JP2621947B2 - 磁気的に安定化した流動床内で供給流の成分を等移動度収束する方法 - Google Patents

磁気的に安定化した流動床内で供給流の成分を等移動度収束する方法

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Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、磁気的に安定化した流動床を用いて物質の
濃縮及び分離を行う技術に関する。より詳細には本発明
は、多くの成分を含有している供給流(feedstream)
を、カラム内で、帯磁性吸着剤固形物で作られていて磁
気的に安定化されたベッドすなわち床(該床に対し、浄
化すべき成分が親和性を有している)に接触させること
によって、少なくとも1つの成分をクロマトグラフ的に
濃縮しかつ分離するプロセス(方法)に関し、本発明の
方法によれば、帯磁性吸着剤固形物が、流動化媒体の上
昇流とは逆向きに下降して流れ、供給混合物(feed mix
ture)及び流動化媒体は共に、カラム内の少なくとも1
つの限定領域内で所望の成分を有効に濃縮できる条件下
でカラム内に流体相を構成し、前記領域内においては、
上昇する流体相での成分の速度と下降する固体相での成
分の速度との間に平衡が維持されるようになっている。
従来のクロマトグラフプロセスにおいては、供給混合
物及びキャリヤ流体のパルスすなわち脈動が、吸着剤で
パックされたカラムに通されるようになっている。吸着
剤は、多孔質のもの又は微粉砕した固形物、或いは、表
面又は内部の孔が吸着部となっているか、所望の非揮発
性吸着剤のフィルム又はコーティングが施された顆粒状
の物質で作ることができる。供給混合物の成分はキャリ
ヤ流体と共にカラム内を前進し、このとき個々の成分は
平衡プロセスに関連する速度で前進するため、成分は、
静止の吸着剤と運動するキャリヤ流体との間で分配され
る。所与の組の流体相と固体相との条件下で、各成分
は、静止相及び移動相でのそれぞれの濃度によって定め
られる有効分配係数を有している。
もしもクロマトグラフカラムを、プレートすなわち段
と呼ばれる、別体ではあるが連続した狭い水平層で構成
されているとみなせば、各段において静止相と移動相と
の間の成分の平衡が起こっていると考えることができ
る。かような理論によれば、理論段当たり相当高さ(he
ight equivalent of a theoretical plate;HETP)及び
理論段の数Nは、下記の式で表される。すなわち、 N=L/HETP ……(1) ここで、Lは、固体吸着剤の長さである。
もしもカラムの長さが、成分の完全な分離を行わせる
ことができる程に充分長くて、これらの成分が別々の小
区分となってカラムを通過するものとすれば、供給流の
成分は、最初に出ていく吸着剤によって最小の強さに保
持される。
従って従来のクロマトグラフプロセスにおいては、混
合物の他の成分からの分離を可能にする所望の成分の分
配係数を得るのに吸着剤及びキャリヤ流体を入念に選択
する必要があり、かつ、完全な分離を行わせるにはカラ
ムの長さを充分に長くする必要がある。
一般にクロマトグラフプロセスは、固定の吸着剤床を
用いてバッチ作動を行うようになっている。しかしなが
ら、バッチの作動効率は、カラムの高さと、連続的な分
離を行うには吸着剤を再生する必要があること等によっ
て制限される。従来提案されている連続固定床によるプ
ロセスは機械的に複雑であり、例えば、環体を回転させ
たり流体の方向を変える必要がある。
更に、固定床によるプロセスの効率は、吸着剤の粒子
サイズによって制限される。一方、吸着剤粒子が大きい
と分子の通過を妨げかつクロマトグラフ分離能力を低下
させる。これに対し吸着剤粒子が小さくなると、良好な
分離能力を得ることができるけれども、床を横切る大き
な圧力降下を招き、このため流体速度を低下させる必要
がある。
小さな吸着剤粒子を使用することに伴う圧力降下は、
吸着剤粒子の床を流動化することによって低減させるこ
とができるが、かような流動床の特徴であるバックミキ
シングすなわち逆混合やチャンネル形成のために分離効
率は低下してしまう。
分離を含む種々の化学的プロセスを行うのに、磁気的
に安定化した流動床を使用することが、これ迄にも提案
されている。本明細書において使用する「磁気的に安定
化した流動床」(magnetically stabilized fluidized
bed;“MBS"とも略称される)なる用語は、帯磁し得る成
分を有しかつ流動化流体の流れによって流動化される固
体粒子の床が、米国特許第4,115,927号(米国再発行特
許第Re.31,439号として再発行されている)に開示され
ているように、磁界を作用させることによって、総固形
物の逆混合(gross solids backmixing)及び流体バイ
パス作用(fluid bypassing)が生じないように安定化
されているシステム(装置)を意味するものと理解すべ
きである。
上記米国特許の発明者は、重力に対し実質的に共直線
性をなす付与磁界の作用を受ける帯磁性粒子を含有して
いる流動床の静止流体のような挙動に注目し、更に、か
ような流体のような挙動が広範囲の作動速度に亘って維
持されることを観察した。これらの「表面流動化速度
(superficial fluidization velocities)」は、
(a)磁界が存在しないときの固形物の床を流動化すな
わち浮揚させるのに要する通常の最小流動化表面流体速
度(normal minimum fluidization superficial fluid
velocity)によって与えられる下限と、(b)付与され
た磁界の存在時に連続流動化を行う間に、安定化された
流動床を通る圧力差の経時変動を引き起こすのに必要な
表面流体速度によって与えられる上限との間の範囲にあ
る。表面流体速度が増大するとき、床を通る圧力降下
は、最小流動化速度における床の横断面積に対する床重
量の比に等しい値まで増加し、その後、流体速度が増大
するとき、比較的一定に維持される。磁界を付与する
と、表面流動化速度を、磁界が存在せずまたガス流動床
に実質的に泡も存在しないか或いは流体流動床にロール
セル挙動(roll−cell behavior)も存在しないときの
初期流動化時における流動床の流速の10倍以上にするこ
とができるといわれている。この安定した流動床状態
は、接触容器に固形物が連続的に供給されかつ連続的に
除去される場合でも維持される。
下記の参考文献には、分離プロセスを行うのに磁気的
に安定化した床を使用することが報告されている。
米国特許第4,247,987号には、磁気的に安定化した流
動床内で固形物を流体の流れに対して連続向流接触させ
る方法が開示されており、この方法では、固形物が、接
触流に対して実質的に逆向き(向流)のプラグ流として
下向きに流れるようになっている。また、この米国特許
は、連続固形物流分子篩分離法を用いて接触流体から1
つの化学種を吸着させており、飽和した吸着剤粒子は連
続的に除去され、次に、吸着した化学種を除去すべく再
生される。
米国特許第4,283,204号には、磁気的に安定化した流
動床内で供給流から汚染成分を分離する連続向流吸着法
が開示されている。
また米国特許第4,443,231号には、磁気的に安定化し
た流動床内で連続クロマトグラフ分離を行う方法が開示
されている。この方法によれば、供給混合物の成分が、
成分の吸着特性及び脱着特性に基づいて噴射点からの距
離を変えながら下流に運ばれるように、床の粒子は、床
を流動化するキャリヤ流体の流れを横切って連続的に移
動するようになっている。キャリヤ流体と少なくとも1
つの成分を含有する供給混合物の一部とからなる生成物
の流れが床の表面から回収され、最も強力に吸着された
成分は噴射点から最も離れた所に運ばれる。更にこの米
国特許には、この方法の変形例すなわち、温度プログラ
ミングを加えるか、キャリヤ流体及び床の固形物の双方
の流れに対して横方向に電界を作用させることによっ
て、混合物の成分の分離を改良する方法が開示されてい
る。
1985年7月17日に刊行された欧州特許出願第0083202
号には、炭化水素の分離に用いられる磁気的に安定化し
た床が示されている。この発明者らは、小さな拡散抵抗
をもつ小さな吸着剤粒子のクロマトグラフ分離に、大き
な圧力降下又は総(グロス)流体バイパス作用を生じさ
せることなくMSBプロセスを使用できることを確認して
いる。かような粒子は、吸着された化学種を、大きな吸
着剤粒子よりも迅速に流体から運ぶことができ、従って
より迅速に平衡状態に到達できると云われている。
しかしながら、上記の磁気的に安定化した流動床プロ
セスにおいては、カラムの高さが、分離に供される吸着
剤の量に制限を及ぼしている。またこれらのプロセスは
一般に、分離しようとする混合物の成分を高度の特殊性
をもって吸着するのに適した吸着−脱着システムの開発
を必要としている。
従って、カラムの高さを制限することなく又は吸着剤
に特殊性を要求することなくして、混合物の成分を浄化
しかつ分離するための磁気的に安定化した流動床プロセ
スが強く要望されている。
本発明によれば、磁気的に安定化した流動床内で供給
流の成分を等移動度収束(isomobility focusing)する
方法において、前記供給流の成分が親和性をもつ帯磁性
吸着剤固形物の床をカラムの中に設ける工程を有し、前
記固形物は、流動化媒体の流入点において前記床に流入
する流動化媒体の床を通る上向き流に対向して下向きに
流れ、更に前記床は、固形物の逆混合を抑制しかつ固形
物内のステージングを維持するのに充分な強さの磁気手
段によって安定化されており、前記流動化媒体の流入点
の上方に間隔を隔てている少なくとも1つの供給点を通
して前記供給流をカラム内に導入する工程を有し、前記
供給流及び流動化媒体は共にカラム内で流体相を構成し
ており、前記供給流及び流動化媒体が容器内の等移動度
収束領域内の成分の濃度に有効な効果をもたらすように
条件を調節する工程を有し、前記等移動度収束領域内で
上昇する流体相をなす成分の速度と下降する固体相をな
す成分の速度との間に平衡を維持することを特徴とす
る、磁気的に安定化した流動床内で供給流の成分を等移
動度収束する方法を開発することができる。
本発明によれば、制御可能に移送され向流をなして流
れる磁気的に安定化した流動床内で供給流の成分を濃縮
しかつ分離する進歩した方法(プロセス)が提供され
る。このプロセスによれば、分離しようとする供給混合
物の成分はカラムの限定領域内に蓄積され、供給混合物
の他の成分は排出される固形物と共に又は流体相をなし
てカラムから出ていく。
或るプロセスパラメータを変えることによって、流体
相をなしている供給流の所与の成分の運動が固体相にあ
る成分の運動に等しくなるような状態を確立することが
できる。もしも2つの相が反対方向に移動しているとき
には、成分は正味速度をもたず、一方の相での一方向に
おける成分の運動は、他の相での成分の運動に等しくか
つ反対方向になる。
本発明のプロセスによれば、混合物の他の成分は、固
体相又は流体相のいずれかの流れの方向に大きな速度を
有することになる。2つの相の運動が等しくなる所望の
成分を除き、供給混合物の他の成分は、混合物がカラム
に導入される領域から外に移動するであろう。
制御自在に移動される磁気的に安定化した流動床内で
混合物の成分を選択的に濃縮しかつ分離するプロセス
(方法)を、以下に「等移動度収束」(Isomobility Fo
cusing;“IMF"とも略称する)とよぶことにする。なぜ
ならば、固体相及び流体相の両相においてバランスした
速度をもつ結果として成分の濃縮が生じるからである。
IMFカラムに混合物を連続的に添加していくと、カラム
内に所望の成分が連続的に蓄積していきかつカラムから
他の成分が除去されるため、混合物の選択された成分
が、混合物から分離されると共に濃度が高くなる。
所与のシステムにおける吸着剤に対する分子の親和力
は、一般に、後述の式(2)によって定められる分配係
数により表すことができる。
従来のクロマトグラフにおいては、混合物の成分は、
用いられた作動条件の下での吸着剤に対する各成分の親
和力に基づく異なる速度で、固定の吸着剤床を通って前
進される。クロマトグラフの最高性能は、クロマトグラ
フカラムの高さに直接関係している。混合物の成分の吸
着剤に対する親和力の差が小さくなると、一般に、成分
の分離に必要なカラムの高さは大きくなる。
IMFプロセスによれば、混合物の成分が吸着剤の固定
床を通って移動するように構成された従来のクロマトグ
ラフプロセスとは逆に、所望の成分の濃度の高い領域
は、吸着剤固形物が成分の濃度のピークを通過したとき
に得られる。従って、IMFプロセスは、分離性能がカラ
ムの高さには直接関係しないという点で、従来のクロマ
トグラフプロセスとは重大な相違がある。むしろIMFプ
ロセスでは、機械的には、カラムの高さは、吸着剤の相
の速度に、所望の成分が回収される前にシステムが作動
することのできる時間の長さを掛けたものに等しくな
る。例えば、もしも吸着剤の相が70cm/分の速度で移動
し、システムがトータルで4時間(240分)作動し、理
論段の相当高さが10cmであるとすれば、分離の理論段の
数は、 ((240分)×(70cm/分))/(10cm)=1,680段 となる。
また、従来のクロマトグラフプロセスとは異なり、IM
Fプロセスにおいては、吸着剤の選択がそれほど厳格な
ファクタとはならない。浄化されかつ分離されるべき生
成物は、特定の吸着−脱着システムにおける固体吸着剤
粒子に対し式(2)で表されるような親和力をもたなく
てはならないけれども、この値は、吸着剤への吸着速度
(この吸着速度は、固体相に吸着された生成物の速度が
流体相における生成物の速度と平衡を保のに充分な速度
である)に等しい。従って、吸着剤に対する生成物の分
子の特殊性すなわち親和性は、特に要求されない。
本発明のプロセスの利点は、特別な困難性なくして、
実験室スケールから生産スケールに直接縮尺(拡大)で
きることである。本発明のプロセスは概して低圧で作動
するため、ポンプ、カラムその他の装備品のコストを安
価に済ませることができかつ安全性も高めることができ
る。また、低作動圧力下では、過敏性の高い高分子に対
する実質的な剪断すなわち損傷を避けることができる。
更に、IMFプロセスを通って流れる吸着剤を再生(リサ
イクル)させるのに、磁気的に安定化した流動床の技術
を使用しているため、大規模な処理を行う場合に特に必
要とされる吸着剤の在庫量を最小限にすることができ
る。
また、同時に濃度と浄化とを行うことができるIMFプ
ロセスの能力によって、従来のクロマトグラフに比べ著
しい利益を得ることができ、特に、使用可能な目的生成
物を得るために希釈分子化学種を濃縮するのに有効であ
って、濾過、親液化及びハンドリングに対する下流側の
条件を最小にすることができる。
IMFプロセスは、所望レベルの浄化を達成するのに比
較的多数の理論段を必要とする種々の特殊な化学薬品と
調合薬剤との分離を行う場合、又は比較的低濃度の所望
の生成物を有していて生成物の濃度及び純度を大幅に高
める必要がある原料を取り扱う場合に特に有効に使用す
ることができる。
IMFプロセスは、液体相又はガス相をなす無機化合物
及び有機化合物の双方の分離を行うのに使用することが
できる。
分離することができる有機化合物としては、ファイン
ケミカル、特殊な芳香族炭化水素及びパラフィン、天然
の材料からの植物性薬品及び抽出物、合成有機混合物、
生化学分子の他、調合薬剤、ホルモン、オイル、酵素、
蛋白質等の醗酵生成物、更に、特殊な多糖、アミノ酸、
調味料、顔料及び滑剤等がある。
無機化合物としては、IMFプロセスにイオン交換樹脂
を用いることによって浸出液から分離することができ
る、金、銀又は銅等の金属の塩がある。この濃縮生成物
は、電解採取又は直接化学的還元を行うことによって再
生することができる。
供給流の1つ以上の成分について所望の等移動度収束
を有効に行うことができるようにするため、IMFプロセ
スの多数の条件を調節することができる。これらの条件
の調節を行って初めて、流体相をなす成分の速度と固体
相をなす成分の速度との間の成分の平衡を達成すること
ができる。IMFプロセスは、固体吸着剤相の生成物分子
の濃度を変えるか、流体相と固体相との相対速度を操作
して条件を調節することによって広範囲のプロセス条件
に適合させることができる。これらの条件は、 a.吸着剤と流動化媒体との特定の組み合わせを選択する
こと、 b.pH、温度、圧力又は塩の濃度等の、流体相の化学的又
は物理的特性を調節すること、 c.容器を通る流体相及び固体相の相対流速を調節するこ
と、 によって調節することができる。
吸着剤及び流動化媒体の最初の選択は、IMF条件の確
立に要求される条件に直接的な影響を与える。生成物分
子は、吸着剤に対して次のような親和性をもつものであ
ることが望ましい。すなわち、生成物分子が吸着剤に対
して非可逆的結合をしないこと(非可逆的結合すると、
吸着剤の流れと共に生成物がカラムから逃散してしま
う)及び非吸着性をもたないこと(非吸着性をもつと、
流体相と共に生成物分子がカラムから排出されてしま
う)である。要求される親和力は、IMFカラム内で生成
物分子に適度に大きな運動性を与えるのに充分な、許容
できる広範囲内のものとすることができる。最適な性能
を得るための条件は、特定の吸着剤を使用するときのシ
ステムの作動を支配する微分方程式を解くことによっ
て、解析的に決定することができる。
次に、等移動度収束を達成するために、pH等の流体相
の化学的及び物理的特性を調節することができる。例え
ば、一般に高分子生化学物質は電荷を有しているが、こ
の電荷は、緩衝液のpHを変えてしまう。例えば、もしも
クロマトグラフ媒体としてアニオン交換樹脂を使用する
ものとすれば、このクロマトグラフ媒体に対する別の生
化学分子の親和力は、これらの生化学分子の負の電荷が
低pHで中性化されるために低下してしまう。従って、pH
は、所望のフォーカシングすなわち収束化が得られるよ
うに調節される。
また、固体相に対する所望の成分の親和力を高めたり
低下するため、流体相の溶離剤の濃度も調節される。例
えば、Rohm & Haas社の製造に係るXAD−2のような、
官能基をもたないスチレンジビニルベンゼンに対するセ
ファロスポリン(Cephalesporin)のごとき抗生物質生
成物の親和力は、溶液中のプロパノールの濃度を変える
ことによって調節することができる。液体相内で溶離剤
を添加したり希釈することによって、等移動度収束を達
成することができる。
以上の構成に加えて又は別の構成として、加熱エレメ
ントを設けるようにカラムを設計して、カラムの各部の
温度を加熱エレメントにより調節するように構成するこ
とができる。固体相への所望の生成物の吸着が発熱を伴
う場合には、カラムが加熱されることによって、生成物
に対する吸着剤の吸着能力が低下する。かような条件下
では、大きな流体速度を有する生産カラムの上方領域が
低温度で作動され、高い固体相吸着が行えるようにす
る。小さな流体速度をもつ生産カラムの下方領域は高い
温度で作動され、吸着剤に対する生成物の小さな親和力
が得られるようにする。
荷電した吸着剤に荷電した化学種が吸着されることを
抑制するため、食塩を使用することもできる。イオン交
換樹脂を取り巻く溶液中に食塩が存在すると、吸着容量
をさせかつ固体相を取り巻くイオンの二重層内に生じる
重大な変化を抑えることができる。流体相内に溶解され
る食塩を増量又は希釈することによって、吸着剤に対す
る荷電した生成物分子の親和力を大きく変えることがで
き、従ってカラム内でのIMF条件を容易に変えることが
できる。
固体相に対する生成物分子の親和力を調節することに
加え、可変速ポンプ又は生産カラムと再生カラムとの間
での固形物の流れの制御に使用されるエダクタの作動を
機械的に調節することによって、固体相と流体相との相
対速度を調節することができる。これらの流れは、カラ
ムの全体に亘って所望のIMF条件を達成すべく連続的に
変えることができる。
以下、添付図面を参照して本発明の実施例を説明す
る。
本発明のプロセス(方法)によれば、流動化媒体の流
れによって流動化された帯磁性吸着剤の固形物からなる
床(ベッド)が、流動化媒体の流れ方向とは逆向きに流
れるようになっている。固形物はカラムの頂部から装填
され、底部から取り出される。カラムに沿う供給点(fe
edpoint)において供給流が噴射され、流動化媒体と供
給流とが一緒になって、カラム内で流体相を形成してい
る。カラムは磁界内に保持されており、好ましくは、カ
ラム内の個々の粒子の間に固定関係を維持しかつ逆混合
(バックミキシング)を最小にするのに充分な磁界強度
が得られる軸線方向に置くのがよい。
流体相の速度VFのうち、供給点の下方でカラムを通っ
て上向きに流れる流体相の速度をVF1とする。また、供
給点の上方(ここで、流動化媒体及び供給流のマスフロ
ーが合流する)で、上向きに流れる流体相の速度をVF2
とする。カラムの全体に亘って、固形物の速度は実質的
に一定であり、この速度をVSとする。
このシステム(装置)に流入する所与の化学種であっ
て固体相に完全には吸着されていない化学種は、TFの流
体相内での分別滞留時間と、TSの固体相上での分別滞留
時間とを有し、ここで、TF+TS=1.0となる。所与の組
の流体相と固体相の条件下では、各化学種は、Ω〔n〕
として次のように定義される有効分配係数、すなわち、 Ω〔n〕=TF〔n〕/TS〔n〕 ……(2) を有する。
各化学種についての分配係数は、カラムの作動条件を
修正することによって、あるいは別の固体相メディアを
選択することによって変えることができる。IMFプロセ
スでは、流体相内での生成分子(P)の上向き運動と固
体相上での生成分子の下向き運動との間にバランスが維
持される必要がある。この条件は、下記の時に満たされ
る。
VSTS〔P〕=VFTF〔P〕 ……(3) 又は、 Ω〔P〕=VS〔P〕/VF〔P〕 ……(4a) 及び、 VS=VF(1/Tf〔P〕−1) ……(4b) カラム内での流体相には2つの速度があり、これらの速
度のうち供給点より上の速度は、供給点より下の速度よ
りも大きい。これは、流動化媒体の上向き流に供給流が
付加されるからである。式(4a)、(4b)で示されるバ
ランスを維持するためには、供給点の上・下での条件
は、 供給点の下については、 Ω〔P〕=VS〔P〕/VF1〔P〕 ……(5) 供給点の上については、 Ω〔P〕=VS〔P〕/VF2〔P〕 ……(6) が維持されなくてはならない。これは、カラムの底から
の流動化媒体の流れがひとたび供給流の流れと混合する
ときには、Ω〔P〕の値から、VF2〔P〕/VF1〔P〕
の比によって、Ω〔P〕が下向きに調節されるように
条件を調節することによって達成される。バンドスプレ
ッディングの結果として生じるカラムの両端部からの生
成物の損失を最小限にしつつ、カラムを最大限に利用す
るため、所与のプロセスについてシステムの作動が最適
化される。カラムの作動は生成物の保持能力によって制
限され、かつ、軸線方向への分散によるバンドスプレッ
ディングの結果としての生成物の最終的損失によっても
制限される。
例えば、生成物PについてのIMFシステムの容量(キ
ャパシティ)は、吸着剤の磁気的に安定化された床の理
論段当たり相当高さ(HETP)に関係しており、このHETP
は次のように定義される。
HETP=σd 2/L ……(7) ここで、σd 2はバンド分散量、Lはカラムの長さであ
る。LがIMFカラムの物理的高さに等しくはなく、生成
物の静止バンドを通過した吸着剤の量(長さ)に等しい
ものとし、かつ、最大値の1/2におけるピークの幅W0.5
をカラムの高さの65%に等しくセットし、カラムの高さ
の残余の35%をバンドの両縁部を収容するのに使用し、
更に10mのカラムであり、H=L/N=10cm、W0.5=650cm
であると仮定すると、 N=5.54(L/W0.5) ……(8) 及び、 H=10=L/(5.54(L/W0.5) ……(9) となり、従ってL=7630cmとなる。これにより、10mの
カラムは、76mの高さすなわち約763の理論段をもつ従来
のカラムのクロマトグラフ性能を与えることができる。
吸着剤の小さな粒子(上記性能は、500μ(ミクロン)
の粒子を用いたときのものである)を用いることによっ
て、及びIMFシステム内での軸線方向分散量を最小にす
ることによって、かなりの高性能を得ることができる。
供給点の上・下で作動条件が変化(この変化は、供給
点の下よりも上の方が流体速度が速くなるようにする必
要がある)するため、不純物の分子を、生成物と収束し
た状態に維持することは困難である。このため、供給点
の上・下に存在する両IMF条件下で、不純物分子を収束
された状態に維持することが必要になる。このことは、
通常、容器内での変化する条件下で、不純物分子及び生
成物分子が同一のゼータ(ζ)電位、吸着特性及び流体
力学的特徴を有することを必要とする。従って、カラム
の2つの異なる作動条件において、通常、不純物分子が
生成物分子と収束された状態に留まることがないので、
このIMFシステムは従来のクロマトグラフプロセスより
もより有効に不純物を除去することができる。
IMFプロセスの種々の実施例についての実際の作動を
説明する。
IMFプロセスの1つの実施例においては、システムに
供給流が噴射され、カラム内に生成物を収集して不純物
を廃棄すべく、或る延長期間の間このプロセスが作動さ
れる。その後供給が止められ、IMFカラム内に捕捉され
た生成物を完全に溶離すべく、溶離剤を噴射することに
より生成物を回収する。
IMFプロセスの他の実施例においては、システム内に
供給流が噴射され、生成物を収集しかつ不純物を廃棄す
るため、或る時間内でプロセスが作動される。次いで供
給が止められるが、システムの流動化は続けられ、生成
物の回収に先立ってカラムから残留不純物を廃棄する。
次いで、カラムから生成物を完全に溶離すべく溶離剤を
噴射することによって、作動条件を段階的に変化させて
生成物を回収する。
IMFプロセスの他の実施例においては、システム内に
供給流が噴射され、生成物を収集しかつ不純物を廃棄す
るのに充分な時間内でプロセスの作動が続けられる。次
いで供給が止められる。溶離工程中での不純物からの生
成物の分離を増大させるべく、カラム内で生成物を徐々
に溶離することによって生成物を回収する。
システムの更に別の実施例においては、供給流が噴射
され、生成物を収集しかつ不純物を廃棄するのに充分な
時間に亘ってプロセスが作動される。次いで、流動化が
維持されている間に供給が中止され、生成物の回収に先
立って残留不純物がカラムを通過できるようにする。次
いで生成物は、徐々に溶離することによってカラムから
回収される。
本発明のプロセスの更に他の実施例においては、プロ
セスが連続的に作動され、システム内に供給流が噴射さ
れ、カラムの両端部から不純物が通され、カラムの供給
点の近くに位置する1つ以上のサイドストリームによっ
て生成物を連続的又は半連続的に回収することによっ
て、生成物の連続的な分離及び回収を達成している。
生成物にも収束されている不純物を除去するため、
「二重収束」形のIMF作動を行うより複雑なIMF分離プロ
セスを考えることができる。かようなプロセスによれ
ば、第1作動モードにおける生成物の収集に続いて、シ
ステムが第2のIMF条件、例えば、異なる組のpH条件で
作動され、固形物の速度と流体の速度とのバランスの調
節が行われる。この第2のIMF条件の下では、第1浄化
工程中に生成物と収束された不純物を、第2浄化工程中
に収束解除(デフォーカス)することができる。広範囲
の作動条件の間中、2つの分子が同一の吸着特性を呈す
ることは考えられないことである。
IMFの概念は、水性システム及び非水性システムを含
む広範囲の分離問題に適用することができる。例えば、
キシレンの異性体は、強磁性ゼオライト吸着剤を用いる
ことにより、また、流動化媒体の流れ中及び供給流中の
溶離剤の濃度を調節して吸着剤に対する異性体の親和力
を制御することによって分離することができる。
またIMFの概念は、吸着剤媒体に対する生成物の親和
力を調節することが困難なシステムにも適用することが
できる。かような1つの場合として、サイズ排他クロマ
トグラフ(size exclusion chromatography)を用いて
高分子の分離を行う場合がある。各分子は、分子と吸着
剤媒体の微孔との間の特定の相互作用度に基づいて、サ
イズ排他クロマトグラフ媒体の床を通る特徴的な速度を
有している。従って、液体の流れと共に移動する高分子
の上向き流は、高分子がサイズ排他クロマトグラフ媒体
により概媒体に沿って運ばれるときの下向き速度とバラ
ンスされる。この速度のバランスをとることによって、
IMFカラム内での所与のサイズの分子の運動をゼロにバ
ランスさせることができる一方、所望の範囲から外れた
サイズをもつ分子をカラムから排出させることができ
る。
サイズ排他クロマトグラフに対してIMFプロセスを使
用することの利点は、柔らかな吸着剤媒体に作用する静
流体荷重を最小にするための磁気的に安定化した振動床
を使用することによって、従来の排他クロマトグラフに
比べてカラムの高さを増大させることができることであ
る。
使用した特別の吸着剤は広範囲に変化することができ
かつ分離すべき混合物の成分に基づいている。無機吸着
剤又は有機吸着剤を使用することもできる。
活性アルミナ、シリカ及びシリカゲル、カーボン又は
ゼオライトからなる分子篩(シーブ)、逆相クロマトグ
ラフ媒体、排他クロマトグラフ媒体、イオン交換クロマ
トグラフ媒体、親和性クロマトグラフ媒体、ゲル・イオ
ン交換媒体、天然又は人工の吸着剤セルロース又はアル
ギン酸、又はその他の吸着剤が、一般的に、高性能液体
クロマトグラフ、液体クロマトグラフ、又はガスクロマ
トグラフに応用されている。これらの吸着剤の大部分は
市場から容易に入手することができるか、特別な技術な
くして合成できるものである。
本発明に特に有効な吸着剤は、ベンゼンスルホン酸、
カルボン酸又は燐酸で交換されたカチオン交換樹脂及び
強塩基又は弱塩基のアニオン交換樹脂を含むイオン交換
樹脂である。
吸着剤は、添加物として使用してもよいし、又は強磁
性体又はフェリ磁性体との複合体として使用してもよ
い。非磁性体の吸着剤粒子と磁性体粒子(この磁性体粒
子は、吸着剤であっても吸着剤でなくてもよい)との混
合床は、特に磁性体粒子該吸着剤粒子の1/3〜1/10程度
に小さい場合には、磁界を用いることによって安定化す
ることができる。混合粒子によるこのシステムは、単に
磁性体粒子と混合するだけで、IMFプロセスに市販の吸
着剤を使用することを可能にする。
本明細書において使用する「帯磁性吸着剤固形物」
(magnetizable adsorbent solids)なる用語は、吸着
剤を帯磁性粒子と混合及び/又は複合化したものを意味
するものである。
強磁性体及びフェリ磁性体としては、帯磁性のFe
3O4、酸化鉄(Fe2O3)、MO・Fe2O3の構成のフェライト
(ここで、“M"はZn,Mn,Cu等の金属又は金属混合物であ
る)を含むがこれらに限定されるものではない。また、
強磁性体元素としては、鉄、ニッケル、コバルト、ガド
リニウム、及び、吸着剤粒子又は吸着材料との混合及び
複合化に使用される強磁性流動化粒子の固形物の合金が
ある。或いは吸着剤自体は、その化学的又は物理的組成
に強磁性体又はフェリ磁性体を含むものでもよい。この
場合には、吸着剤は磁気を呈する。従って、吸着剤に磁
性材料を添加して混合したり複合化する必要は全くな
い。
帯磁性成分と吸着剤との複合体は、400番手のステン
レス鋼粒子及び例えばゼオライトシーブのような吸着剤
と、比較的均質なゲルを形成するための吸着剤ベースと
を混合することによって得ることができる。吸着剤ベー
スは例えば、シリカ、アルミナ又はシリカ−アルミナで
構成することができる。次いでゲルを乾燥し、焼成しか
つサイジングする。複合体吸着剤をサイジングしかつ成
形する適当な技術として、押し出し、ピリング、ビーデ
ィング、噴霧乾燥等がある。帯磁性成分も、含浸、コゲ
リング、共沈法等によって吸着剤と複合化することがで
きる。米国特許第4,247,987号にも、帯磁性吸着剤粒子
の製造方法が開示されている。
床の粒子(複合体又は混合体)は一般に、約50〜2,00
0μの平均粒径を有し、好ましくは、約50〜500μの平均
粒径を有する。粒子は単一サイズのものであってもよい
し、幾つかのサイズ範囲の混合物であってもよい。同様
に、粒子の形状は、例えば球形、不規則な形状又は長い
形状等でもよいが、実質的に球形の粒子が好ましい。非
磁性吸着剤粒子又は非磁性吸着材料と混合又は複合化す
るとき、帯磁性成分の重量分率は分離すべき特定の成
分、使用される吸着剤、プロセスの条件等によって変化
する。しかしながら、一般に床内の帯磁性成分の重量分
率は少なくとも10重量−%であり、好ましくは約25〜75
重量−%である。
流動化媒体は、ガス状又は液状のものとすることがで
き、例えば生化学的分子の分離を行うには緩衝液が望ま
しい。
本発明によれば、流動床を構成する粒子は、種々の方
法によって作ることができる磁気安定化手段の作用を受
ける。例えば、磁気安定化手段は、内部的には永久的に
磁化された粒子によって作ることができ(例えば米国特
許第4,261,101号に開示されており、その全体的な開示
をここに参考として記載する)、外部的には磁界を付与
することによって作ることができる。磁気安定化手段と
しては内部的手段又は外部的手段のいずれであってもよ
いが(どきらかといえば、外部的手段の方が好ましい
が)、以下、本発明については外部的に付与された磁界
を使用した場合について説明する。最も好ましくは、外
力の場(例えば重力)の方向に沿う実質的成分をもつ、
均一に加えられた磁界を使用することである。
以上、本発明の磁気的に安定化した流動床を、全体と
して泡や脈動がない床であって、均一な磁界を、帯磁性
固形物の床に対して、流動化する流体の流れと共直線性
(colinear)をなす方向に作用したときに得ることがで
きる静止した流体状の床であるとして説明してきた。磁
気的な安定化によって、磁界の存在しない所で固形物の
床を流動すなわち浮遊させるのに要する通常の最小流動
化表面流体速度(Umf)によって与えられる下限と、付
与された磁界が存在する所で連続的に流動化する間に安
定化された流動床部分を通る圧力差の経時変動を生じさ
せるのに要する表面流体速度(UT)によって与えられる
上限との間の広範囲の作動速度をもつ泡の存在しない流
体状態が作り出される。床はまた、米国特許第4,247,98
7号に開示の磁気的に安定化した向流床について説明さ
れているような床の泡立ち域と安定化域との間の移行部
の近くの狭い領域内で作動することもできる。磁界がUT
での値より上に増大するか或いは表面流体速度が前記値
より下に減少するとき、磁気的に安定化された床の流動
性はUTにおける流動性から連続的に減少する。UTから更
に離れて作動する、横方向に流れる安定化床は、実質的
なプラグ流すなわち実質的に平らな速度プロフィールを
呈する。これに対し、UTに近接して作動する、横方向に
流れる安定化床は、垂直方向における非プラグ流の固形
物の速度プロフィールを呈し、増大した流動性を有す
る。しかしながら、床がより流動化した領域内で作動す
るとき、プラグ流のプロフィールからの偏差は、床の出
口における固形物の流れの堰を適正に設計することによ
って、減少するか、実質的に無くすことができる。本発
明を実施する上では、プラグ流の状態が好ましい。
磁気的に安定化した流動床は、実質的に総固形物の逆
混合(バックミキシング)が無くかつ流体バイパス作用
も無い、拡がった固定床の外観を有している。磁界を付
与することによって、表面流体速度を、磁気流体が存在
せず、かつ、ガス流動床における泡立ちや液体流動床に
おけるロールセル挙動のような、総固形物の逆混合及び
流体バイパス作用も存在しないときの初期の流動化にお
ける流動床の流速の10倍以上にすることができる。表面
流体速度が増大するとき、床を通る圧力降下は、付与さ
れた磁界の作用を受けない通常の流動床から期待するこ
とができる圧力降下に等しく、この圧力降下は、最小の
流動化速度での横断面積に対する床の重量の比に等しい
値まで増加して、流体の速度が増大しても比較的一定に
保たれる。この安定して流動化された床の状態は、カラ
ムに固形物が連続的に付加されるときでも、カラムから
固形物が除去されるときでも維持される。
以上説明した磁気的に安定化した流動床(MBS)は、
流動床反応システム及び固定床反応システムの双方の原
理の長所を1つのシステムにまとめたものであり、下記
の表Iのように要約される。
磁気的に安定化した床の利点は、微小の粒子サイズを
使用することによって、床粒子内での拡散抵抗を低減さ
せ、粒子をより効果的に使用することができることであ
る。同時に、微小粒子の使用によって大きな圧力降下及
び総流体バイパス作用を無くすことができる。また、吸
着プロセスに微小粒子を使用することによって、大きな
吸着剤粒子を使用する場合よりも、流体から吸着した化
学種をより高速に移送することができ、これにより、よ
り速く平衡状態に到達できることである。更に付加的な
長所は、固形物を床に添加すること及び床から除去する
ことができること、及び、床内での固形物の逆混合を最
小化又は無くすことができるため、固形物を導入点の近
くから取り出し点の近くまでプラグ流の状態で移動でき
ることである。
経済的な観点からすれば、固形物が充分に帯磁され
て、付与された比較的小さな磁界強度において床を安定
化できるものであることが好ましい。強磁性体の粒子が
磁界に置かれたとき、誘起された帯磁力は、米国特許第
4,247,987号に開示のように、磁気材料と、強磁性体粒
子の幾何学的形状と、床の幾何学的形状との関数として
求められる。
磁界を作るのに、普通の永久磁石、電磁石又はこれら
の双方を使用することができる。電磁石の付勢は直流電
流で行うのが望ましいけれども、交流電流で行うことも
できる。磁石のサイズ、強度及び形状は任意に定めるこ
とができ、また、使用する固形物、要求される安定化の
度合等に基づいて、床の上又は下に配置することができ
る。磁石は接触容器の内部又は外部に配置することがで
きし、或いは接触容器の構造体の一部として取り付ける
ことができる。本発明のプロセスは特別な容器又は容器
材料に制限されるものではなく、現在各産業で使用され
ている接触容器に容易に適用できるものである。本発明
の好ましい実施例においては、ソレノイド形の電磁石が
流動床を取り囲むようにして配置されており、これによ
り、最も均一な磁界、従って床の全体に亘って最も良好
な安定性が得られるようになっている。
磁性体粒子を適正に選択することによって、商業プラ
ントの電磁石磁界源に要求される電力を余り大きくしな
いで済ませることができる。磁気動力の消散によって熱
が発生されるが、この熱は、自然の空気対流冷却を行う
ことによって除去される。このため、液体対流冷却を行
う必要は全く無くかつこれに付随する冷却剤の処理及び
再生の必要性も無い。磁界源は、具体的な強度と均一性
をもつ磁界が作り出されるように高い信頼性をもってコ
ンピュータ設計することができる。
接触領域において流動化された固形物に付与すべき磁
界の強度は、磁性体粒子の帯磁性及び要求する安定化の
度合に基づいて定められる。同様な安定化効果を得る場
合に、例えば或る種の複合体及び合金のように比較的弱
い磁気特性をもつ粒子には、例えば鉄のように比較的強
い磁気特性をもつ微粒状固形物よりも強い磁界を付与す
る必要がある。固形物のサイズ及び形状もまた、付与す
べき磁界の強度に影響を与える。粒子の帯磁の度合は、
過剰の粒子間引力を生じさせて粒子同士を集塊させる程
に強くすべきではなく、もしも帯磁の度合がこのように
強ければ、粒子を床内で固まらせてしまい、連続作動を
行うことが不可能になる。しかしながら、電磁石によっ
て発生される磁界の強度は電磁石の電流強度によって定
まるため、作業者は、使用する特定のシステムに要求さ
れる安定化の度合に応じて磁界強度を調節することがで
きる。付与される最も好ましい磁界は、米国特許第4,11
5,927号に開示されているような均一な磁界である。一
般的に、空の容器に付与される磁界の強度は、約5〜1,
500エールステッドの範囲、好ましくは約10〜1,000エー
ルステッドの範囲である。
第1図は、pH制御装置によるIMF平衡バランスを用い
ておりかつ流動化流体としての緩衝液を使用している本
発明のプロセスの好ましい実施例を示すものであり、か
つ、IMFシステムの作動を概略的に示すものである。主
生産カラム1が、支持吊り台(図示せず)に吊り下げら
れた電磁石2によって包囲されている。生産カラム1の
底部にはディストリビュータ3が設けられている。該デ
ィストリビュータ3は、緩衝液供給ライン4から供給さ
れる緩衝液のような流動化媒体を、生産カラム1内の磁
気的に安定化された粒子5に対し均一に噴射する働きを
なすものである。生産カラム1を通って重力の作用によ
り下向きに移動する吸着剤の固形物は、ディストリビュ
ータ3に通され、更に該ディストリビュータ3から使用
された吸着剤のエダクタ6を通して再生カラム7に排出
される。再生カラム7の頂部には固形物/液体セパレー
タ8が配置されている。該固形物/液体セパレータ8
は、液体の流速を減少させるべく再生カラム7の拡大領
域を構成しており、該拡大領域を通った吸着剤の粒子は
それぞれの自重によって再生カラム7内に降下してい
く。再生カラム7の頂部に配置されたこの固形物/液体
セパレータ8にはベントフィルタすなわち排気フィルタ
9が設けられていて、捕捉された空気を排出させかつシ
ステムの加圧を防止するようになっている。吸着剤を生
産カラム1から再生カラム7に運ぶのに用いられた流体
は、固形物/液体セパレータ8からオーバーフローし
て、遮断弁11が設けられた廃棄溶離剤排出ライン10を介
して廃棄される。再生カラム7内での液体の高さは、流
体レベルセンサ12を用いてモニタリングされる。
再生カラム7は、生産カラム1と同様な方法で電磁石
13によって取り囲まれており、該再生カラム7を通って
移動する粒子14は磁気的に安定化される。再生カラム7
は、3つのディストリビュータによって3つの作動領域
に分離されている。再生カラム7の頂部の作動領域Aは
ディストリビュータ15の上方にある。このディストリビ
ュータ15は、溶離剤供給ライン16からの溶離剤を再生カ
ラム7内に容易に噴射できるようにするためのものであ
る。溶離剤は、作動領域A内での吸着剤粒子の下向きの
流れ方向とは逆向きに流れて、吸着剤が生産カラム1内
で以前に使用された間に吸着剤に吸着された薬品を除去
すべく作用する。溶離剤は再生カラム7を通って該再生
カラム7の頂部の固形物/液体セパレータ8内に流入
し、該固形物/液体セパレータ8から廃棄溶離剤排出ラ
インを介して廃棄される。吸着剤の粒子はディストリビ
ュータ15を通って作動領域Aを出て、下向きに移動して
作動領域B(該領域Bは、ディストリビュータ15の下で
ディストリビュータ17の上に配置されている)内に流入
する。ディストリビュータ17は、脱イオン水(deionize
d water,以下、「DI水」ともいう)ライン18から供給さ
れたDI水を噴射する。このDI水は吸着剤の粒子の流れに
向かって上向きに流れ、吸着剤粒子の浄化に使用された
溶離剤を除去する。DI水はディストリビュータ15まで上
向きに流れ、該ディストリビュータ15において廃棄DI水
排出ライン19(該ライン19には遮断弁20が設けられてい
る)を介して排出される。
次いで吸着剤粒子は、再生カラム7の底部にある作動
領域C(該領域Cは、ディストリビュータ17と再生カラ
ム7の底部に設けられたディストリビュータ21との間に
配置されている)内に流入する。ディストリビュータ21
は、緩衝液供給ライン22から供給される緩衝液(この緩
衝液は、吸着剤を生産カラム1内に存在する状態と平衡
させるのに使用される)を導入する働きをなす。緩衝液
は吸着剤粒子の下向きの流れに向かって領域Cを通り上
昇し、廃棄緩衝液排出ライン23(該ライン23には遮断弁
24が設けられている)を介して再生カラム7から排出さ
れる。ディストリビュータ21は再生樹脂エダクタ25に連
結されている。該再生樹脂エダクタ25は吸着剤粒子を再
生カラム7から生産カラム1に戻してリサイクルすなわ
ち再生させるのに使用される。ディストリビュータ21に
はまた、使用済みの吸着剤を除去するための吸着剤ドレ
ンポート26が設けられている。
再生カラム7から再生された吸着剤粒子は、生産カラ
ム1の頂部に配置された固形物/液体セパレータ27に戻
される。固形物/液体セパレータ27は、再生された粒子
が生産カラム1内に落下できるようにする機能、及び再
生カラム7から粒子を移送するのに使用された流体を廃
棄所28に送る機能を有する。固形物/液体セパレータ27
には排気フィルタ29が設けられており、生産カラム1の
加圧を防止しかつ蓄積された空気が逃散できるようにな
っている。更に固形物/液体セパレータ27にはレベルセ
ンサ30が設けられていて、液体の高さをモニタリングで
きるようになっている。
生産カラム1内に流入した吸着剤粒子は、該生産カラ
ム1の頂部に配置されていてかつ生産カラム1のほぼ中
央部にあるフィード(供給)ディストリビュータ31と生
産カラム1の頂部にある固形物/液体セパレータ27との
間に位置している領域X内に導かれる。生産カラム1の
領域X内の材料の温度は、温度センサ32を用いてモニタ
リングされる。
分離及び浄化すべき化学種を含有している供給混合物
が、フィルタ33及びチェック弁33Aを介してシステムに
導入される。チェック弁33Aは、モーターポンプ34(該
モーターポンプにはバイパスループ及びチェック弁35が
設けられている)を保護するためのものである。次い
で、前置フィルタ36(該前置フィルタは、システム内の
総(グロス)汚染を制御するのに使用される)を通して
供給流がポンプにより圧送される。次いで供給流は、チ
ェック弁37及びpH制御計量ポンプ組立体38の出口に導か
れる。供給流のpHは、領域X内の吸着剤粒子から分離さ
れる化学種の親和力を制御すべく注意深く調節しなけれ
ばならない。このpH制御は、インライン静止ミキサ40の
下流側の供給ラインにpHプローブ39を設置することによ
って達成される。pH制御組立体によって供給流に噴射さ
れるpH調節溶液(適宜、酸又は塩基)の添加量の制御に
は、電子式フィードバックループが使用される。次いで
供給流は最終の滅菌フィルタ41に導かれる。この滅菌フ
ィルタ41は製薬装置に使用されるものであって、微生物
を除去することによって製造装置内に滅菌状態を維持す
るフィルタである。
システム内への供給流の流れはフローメータ42を用い
てモニタリングされ、該フローメータ42は、モーターポ
ンプ34を制御する速度制御装置へのフィードバック制御
装置(図示せず)によって、生産カラム1内への供給流
の流れを正確に制御することができる。次いで供給流
は、最終のチェック弁43を通して、フィードディストリ
ビュータ31の個所から生産カラム1内に流入する。
この供給流は、生産カラム1の領域Yから到達する緩
衝液の流れと合流する。領域Yは、フィードディストリ
ビュータ31と、生産カラム1の底部に配置されたディス
トリビュータ3との間に設けられている。この領域Y内
の温度は、温度センサ44によってモニタリングされる。
緩衝液は、ディストリビュータ3によって領域Yに供
給される。このディストリビュータ3は、領域Yを下向
きに移動する磁気的に安定化された吸着剤粒子の流れ方
向とは逆向きに、流体を領域Yを通して上昇させること
ができる。所与の化学種の分離作業中に、強磁性体の吸
着剤粒子の流れに対して緩衝液の流れが調節され、所望
の化学成分についての速度のバランスが得られるように
する。このバランスは、領域X内のpH又はたの作動条件
を調節することによって、分離される化学種の親和力の
調節を行うことにより、領域X内でも維持することがで
きる。領域X内での流体の流れは、供給流と緩衝液の流
れとが合流したものであるため、領域X内での固体相に
対する生成物の親和力は、収束された状態を維持すべく
上方に調節されなくてはならない。
生産カラム1内への供給流の噴射を行うのに使用され
る、フィルタ、チェック弁、pH制御装置、フローモニタ
及びフロー制御装置、及びインラインミキサからなるシ
ステムは、生産カラム1及び再生カラム7へのあらゆる
流体の制御された噴射を行うことができるように多数設
けられる。また、ディストリビュータ3には、吸着剤ド
レンポート46が設けられている。
生成物は、適当な溶離剤によって生産カラム1から排
出することによって直ちに回収することができる。別の
方法として、生産カラム1内への供給流を最初は止めて
おくことができる。残留不純物を生成物から更に分離で
きるようにするため、生産カラム1には、時間が許す限
り緩衝液及び再生された吸着剤が供給され続ける。供給
流の供給を中止しても、必ずしもシステムのIMFバラン
スを崩すことにはならない。例えば、緩衝液を流し続け
る間に供給流を遮断すると、領域X内で短時間だけIMF
が不安定になる。しかしながら、このように不安定にな
ったとしても、生成物がフィードディストリビュータ31
から離れる方向に移動することはなく、フィードディス
トリビュータに向かう焦点の一時的増大を招き、生成物
の損失を招くことがあっても、特性に大きな影響を与え
ることはない。
所望の純度を得るのに充分な時間が経過したならば、
溶離剤供給ライン45から生産カラム1内に噴射される溶
離剤を用いてシステムから生成物を排出させることによ
って、生成物を回収する。一般に溶離剤は、高pH又は低
pH溶液、塩溶液、水とイソプロピルアルコールのような
有機材料との混合物、又は選択された吸着剤から生成物
を有効に置換することができる実証能力を備えた他の溶
離剤である。生成物の回収を行うべく生産カラム1のデ
ィストリビュータ3に溶離剤を供給するとき、緩衝液の
流れを中止して、生成物を生産カラム1を通して上方に
移動させ、廃棄物排出ライン28を介して生産カラム1か
ら取り出される。サイクルのこの部分の間、廃棄物排出
ライン28から出る流れは、生成物回収タンク(図示せ
ず)又は別の生成物受取り場所に回される。
生成物を回収した後、溶離剤の供給を中止しかつ緩衝
液の流れを再開して、システムを準備状態に戻す。カラ
ム内に保持された吸着剤は再生カラム7を通ることが可
能になり、新しく再生された吸着剤と交換される。
浄化サイクル、生成物回収サイクル及び準備復帰サイ
クルの制御、及びシステムの作動パラメータのモニタリ
ング及び制御を行うのに、プロセス制御コンピュータを
使用することができる。コンピュータはまた、システム
及び吸着剤エダクタを通る固形物及び液体の流れを制御
してIMF状態を維持するのに使用することもできる。ま
た、システムの制御は、生産カラム1内での生成物の位
置の検出を行いかつカラム内で上下する生成物のドリフ
トを評価するリアルタイム・モニタリングシステムを使
用して行うこともできる。生成物のドリフトは、所望の
バランスを維持すべく固形物、緩衝液の流れ、供給流、
又は吸着剤粒子に対する生成物の親和力を増減させるよ
うに、システムの作動パラメータすなわち条件の調節を
行うことによって修正することができる。
例 この例は、有機化合物及び無機化合物の錯体混合物か
らなる濾過された醗酵液体培地(ブイヨン)から、生成
物Pを分離する例を示すものである。生成物Pの濃度
は、原料の濾過液体培地の0.5重量−%である。
Rohm & Haas社により製造されたIRA−68のような直
径500μの弱塩基のアニオン交換樹脂ビーズであって、
非常に薄い不透性プラスチック内に封入された直径1.0
μの高度に消磁された410番手の強磁性ステンレス鋼粒
子を75重量−%含有するアニオン交換樹脂ビーズからな
る、候補となる吸着剤固形物に対して生成物Pの等移動
度収束を達成するのに必要な条件を正確に見積もること
が重要である。
生成物PについてのIMFバランスを決定するため、以
下に述べる標準形カラムパッキング手順によって、高さ
6.0インチ(約15.2cm)、幅0.5インチ(約1.3cm)の強
磁性体ビーズからなるパックされた円筒状ベッドを用意
する。生成物Pを含有する醗酵液体培地のサンプルが、
ハイドロダイナミック・トレーサとして働く10マイクロ
キュリーのトリチウム・ラベルド水(tritium−labeled
water,HTO)と混合される。吸着カラムは、生成物Pが
除去されておりかつpHが特定の値に調節された醗酵液体
培地からなる、模擬化(シミュレート)された醗酵液体
培地と平衡状態にされる。次いで、模擬化された醗酵液
体培地の流れが続けられているとき、同じpHを有しかつ
生成物Pとトリチウム化された水とを含有する実際の醗
酵液体培地がカラム内に噴射される。
カラムを通る流体の流れは、トリチウム化された水の
漏出について吸着カラムからの漏出量をモニタリングす
ることにより、液体シンチレーション計数器を用いて計
測される。カラムを通る生成物Pの流れは、標準の分析
手順(一般的にはUV吸着)を用いてモニタリングされ
る。P、TPの漏出に要する時間が、ハイドロダイナミッ
ク・フェーズ(相)TFの溶離に要する時間(これは、1.
0に等しくセットされている)に対して標準化される。
次いで、カラムを通る流体の速度VFに対するP、VPの速
度の比を計算する。また、固定床内での樹脂の嵩密度も
測定する。
もしも生成物Pが120秒以内に溶離しかつハイドロダ
イナミックフロントが40秒以内に溶離するものとすれ
ば、生成物Pが静止固形物の相の上にある時間TS〔P〕
は、TP−TFすなわち80秒に等しくなり、従って、Ω=TF
〔P〕/TS〔P〕=40/80=0.5となる。
IMFバランスを得るためには、VS=VFΩ=0.5VF(DR/D
r′)の成立が要求される。ここで、DRは磁気的に安定
化した流動床の樹脂の嵩密度に等しく、この嵩密度は、
パックされた静止床の樹脂の嵩密度Dr′よりも小さい。
もしもDR/Dr=1.3であるとすると、生産カラム1内の生
成物Pについて静止状態を達成するためには、VS=0.65
VFとなることが必要である。このバランス状態は、生産
カラム1の下方の領域において確立される。生産カラム
1の上方の領域においては、緩衝液の流れと供給流とが
合流するため、流体の流れが増大される。上方の領域に
おいて第2バランスを達成するため、pH、塩の濃度又は
他の作動パラメータを変化させることによって親和力を
調節する。
第2図は、アニオン交換樹脂について、種々のpH値に
おける代表的な生成物Pに対する分配係数Ωを示すグラ
フであり、実験室内で行った固定床試験により求めたも
のである。このグラフから、2つの作動点が選択され
る。第1の作動点は、生産カラム1の下方領域に対する
親和力の小さい所にある。生産カラム1の上方領域に対
して確立された第2の作動点は親和力の大きな所にあ
り、上記式(5)に示すように計算されかつ第2図のよ
うなグラフから選択される。
この簡単な実験室的手順によって、所望の生成物につ
いてのIMF作動条件を正確に見積もることができる。別
の方法として、異なる作動条件での分配係数Ωの値を、
吸着等温線(式)を決定するのに機械的に用いられてい
る手順によって測定することもできる。これらの方法
は、変化するPの濃度をもつ溶液から種々のpH又は作動
条件で吸着剤に吸着された生成物Pの平衡吸着の測定を
伴うことができる。また、これらの結果は、IMF作動を
行うための正しい条件を計算するのに直接適用すること
ができる。
例えば、もしもIMFカラムが次のような条件すなわ
ち、供給流と緩衝液の流れとが等しく、化学混合物が第
2図に示す吸着特性をもち、VS=1.2cm/秒、VF1=1.85c
m/秒、VF2=3.70cm/秒となるように作動される場合に
は、所望の結果を得るため、次の条件が選択される。す
なわち、 〔P〕=0.5、流動化緩衝液のpH=6.500 〔P〕=0.25、流動化緩衝液+供給流のpH=5.950 生産カラム1の上方領域においてこの最終pHを達成す
るためには、供給流のpHを5.842に調節しなければなら
ない。
これらの選択されたIMF条件の下では、第2図に示す
ように、不純物Aは固体相をなしてIMFカラムの外部に
運ばれ、不純物Bは、生成物Pを浄化するのに用いられ
るIMF条件下で、流体相をなしてカラムを出ていく。
第3図は、IMFプロセスの作動中に観察された代表的
な結果を模擬化した一連のグラフを示すものである。IM
F条件下では、カラム内での生成物Pの運動はゼロとな
り、生成物Pは供給点の回りでカラム内に蓄積され、高
濃度の静止ピークを形成する。生成物Pは蓄積し続け、
バンドスプレッディング及び生成物Pを保持するカラム
の容量の飽和の結果として延長された運転時間に亘って
カラムの周縁部に拡散する。不純物A及びB(これらの
移動度はバランスしていない)は、流体相又は固体相を
なしてカラムの外部に移動する。
【図面の簡単な説明】
第1図は、供給流のpHを調節して等移動度収束を行う本
発明の方法の一実施例を示すものである。 第2図は、固定床の試験で求めた、アニオン交換樹脂に
ついての種々のpH値における代表的な生成物の親和力を
分配係数Ωとして表したグラフである。 第3図は、IMFプロセスの代表的な結果を模擬化した一
連のグラフを示すものである。 1……生産カラム、2……電磁石、 3……ディストリビュータ、4……緩衝液供給ライン、 6……エダクタ、7……再生カラム、 8……固形物/液体セパレータ、 13……電磁石、15……ディストリビュータ、 16……溶離剤供給ライン、17……ディストリビュータ、 18……脱イオン水ライン、21……ディストリビュータ、 22……緩衝液供給ライン、23……廃棄緩衝液排出ライ
ン、 25……再生樹脂エダクタ、26……吸着剤ドレンポート、 27……固形物/液体セパレータ、 31……フィードディストリビュータ、 45……溶離剤供給ライン、46……吸着剤ドレンポート、 A、B、C、X、Y……作動領域。

Claims (30)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】磁気的に安定化した流動床内で供給流の成
    分を等移動度収束する方法において、 a.前記成分が親和性をもつ帯磁性吸着剤固形物の床をカ
    ラムの中に設ける工程を有し、前記床は、流動化媒体の
    流入点においてカラムに流入する流動化媒体の床を通る
    上向き流に対向して下向きに流れ、更に前記床は、固形
    物の逆混合を抑制しかつ固形物内のステージングを維持
    するのに充分な強さの磁気手段によって安定化されてお
    り、 b.前記流動化媒体の流入点の上方に間隔を隔てている少
    なくとも1つの供給点を通して前記供給流をカラム内に
    導入する工程を有し、前記供給流及び流動化媒体は共に
    カラム内で流体相を構成しており、 c.前記供給流及び流動化媒体が容器内の少なくとも1つ
    の等移動度収束領域内の成分の濃縮に有効な結果をもた
    らすように条件を調節する工程を有し、前記等移動度収
    束領域内で流体相をなす成分の速度と固体相をなす成分
    の速度との間に平衡を維持することを特徴とする、磁気
    的に安定化した流動床内で供給流の成分を等移動度収束
    する方法。
  2. 【請求項2】多数の成分を含んだ供給流の少なくとも1
    つの成分を分離するための等移動度収束方法において、 a.所望の成分が親和性をもつ帯磁性吸着剤固形物の床を
    カラムの中に設ける工程を有し、前記床は、流動化媒体
    の流入点においてカラムに流入する流動化媒体の床を通
    る上向き流に対向して下向きに流れ、更に前記床は、固
    形物の逆混合を抑制しかつ固形物内のステージングを維
    持するのに充分な強さの磁気手段によって安定化されて
    おり、 b.前記流動化媒体の流入点の上方に間隔を隔てている少
    なくとも1つの供給点を通して前記供給流をカラム内に
    導入する工程を有し、前記供給流及び流動化媒体は共に
    カラム内で流体相を構成しており、 c.前記供給流及び流動化媒体がカラム内の少なくとも1
    つの等移動度収束領域内の成分の濃縮に有効な結果をも
    たらすように条件を調節する工程を有し、前記等移動度
    収束領域内で流体相の成分の速度と固体相の成分の速度
    との間に平衡が維持され、供給流の他の成分がカラムに
    通され、 d.供給流の導入を中断する工程と、 e.流動化媒体の流れを終了する工程と、 f.カラムから所望の成分を回収する工程とを更に有する
    ことを特徴とする、多数の成分を含んだ供給流の少なく
    とも1つの成分を分離するための等移動度収束方法。
  3. 【請求項3】多数の成分を含んだ供給流の少なくとも1
    つの成分を分離するための等移動度収束方法において、 a.所望の成分が親和性をもつ帯磁性固形物の床をカラム
    の中に設ける工程を有し、前記床は、流動化媒体の流入
    点においてカラムに流入する流動化媒体の床を通る上向
    き流に対向して下向きに流れ、更に前記床は、固形物の
    逆混合を抑制しかつ固形物内のステージングを維持する
    のに充分な強さの磁気手段によって安定化されており、 b.前記流動化媒体の流入点の上方に間隔を隔てている少
    なくとも1つの供給点を通して前記供給流をカラム内に
    導入する工程を有し、前記供給流及び流動化媒体は共に
    カラム内で流体相を構成しており、 c.前記供給流及び流動化媒体がカラム内の少なくとも1
    つの等移動度収束領域内の成分の濃縮に有効な結果をも
    たらすように条件を調節する工程を有し、前記等移動度
    収束領域内で流体相の成分の速度と固体相の成分の速度
    との間に平衡が維持され、供給流の他の成分がカラムに
    通され、 d.供給流の導入を中断する工程と、 e.流動化媒体の流れを維持する工程と、 f.カラムから所望の成分を回収する工程とを更に有する
    ことを特徴とする、多数の成分を含んだ供給流の少なく
    とも1つの成分を分離するための等移動度収束方法。
  4. 【請求項4】前記成分が、前記カラムから溶離によって
    回収されることを特徴とする請求項3に記載の方法。
  5. 【請求項5】前記所望の成分が、前記カラムから段階的
    溶離によって回収されることを特徴とする請求項4に記
    載の方法。
  6. 【請求項6】前記所望の成分が、前記カラムから傾斜溶
    離によって回収されることを特徴とする請求項4に記載
    の方法。
  7. 【請求項7】多数の成分を含んだ供給流の少なくとも1
    つの成分を分離するための等移動度収束方法において、 a.前記供給流の所望の成分が親和性をもつ帯磁性吸着剤
    固形物の床をカラムの中に設ける工程を有し、前記床
    は、流動化媒体の流入点においてカラムに流入する流動
    化媒体の床を通る上向き流に対向して下向きに流れ、更
    に前記床は、固形物の逆混合を抑制しかつ固形物内のス
    テージングを維持するのに充分な強さの磁気手段によっ
    て安定化されており、 b.前記流動化媒体の流入点の上方に間隔を隔てている少
    なくとも1つの供給点を通して前記供給流をカラム内に
    導入する工程を有し、前記供給流及び流動化媒体は共に
    カラム内で流体相を構成しており、 c.前記供給流及び流動化媒体がカラム内の少なくとも1
    つの等移動度収束領域内の成分の濃縮に有効な結果をも
    たらすように条件を調節する工程を有し、前記等移動度
    収束領域内で流体相の成分の速度と固体相の成分の速度
    との間に平衡が維持され、供給流の他の成分が、流体相
    又は固体相をなしてカラムに通され、 d.等移動度収束領域から所望の成分を回収する工程を更
    に有することを特徴とする、多数の成分を含んだ供給流
    の少なくとも1つの成分を分離するための等移動度収束
    方法。
  8. 【請求項8】前記所望の成分が側流として回収されるこ
    とを特徴とする請求項7に記載の方法。
  9. 【請求項9】前記成分が連続的に回収されることを特徴
    とする請求項8に記載の方法。
  10. 【請求項10】前記成分が半連続的に回収されることを
    特徴とする請求項8に記載の方法。
  11. 【請求項11】前記条件は、カラム内に2つの等移動度
    収束領域を作り出すように調節されることを特徴とする
    請求項1、2、3又は7に記載の方法。
  12. 【請求項12】前記供給流の他の成分を、流体相又は固
    体相をなしてカラムに通すことを特徴とする請求項1、
    2、3又は7に記載の方法。
  13. 【請求項13】前記カラム内の温度の条件は、等移動度
    収束が行えるように調節されることを特徴とする請求項
    1、2、3又は7に記載の方法。
  14. 【請求項14】前記流体相の塩の濃度は、等移動度収束
    が行えるように調節されることを特徴とする請求項1、
    2、3又は7に記載の方法。
  15. 【請求項15】前記カラム内の流体相の流量は、等移動
    度収束が行えるように調節されることを特徴とする請求
    項1、2、3又は7に記載の方法。
  16. 【請求項16】pHの条件は、等移動度収束が行えるよう
    に調節されることを特徴とする請求項1、2、3又は7
    に記載の方法。
  17. 【請求項17】前記帯磁性吸着剤固形物が、強磁性体粒
    子、フェリ磁性体粒子又はこれらの混合物と混合された
    吸着剤粒子であることを特徴とする請求項1、2、3又
    は7に記載の方法。
  18. 【請求項18】前記帯磁性吸着剤固形物が、活性アルミ
    ナ、シリカ及びシルカゲル、カーボン又はゼオライトの
    分子篩、逆相クロマトグラフ媒体、排他クロマトグラフ
    媒体、イオン交換クロマトグラフ媒体、ゲル・イオン交
    換媒体、親和性クロマトグラフ媒体、吸着剤セルロース
    又は天然又は人工のアルギン酸塩から選択された吸着剤
    であることを特徴とする請求項1、2、3又は7に記載
    の方法。
  19. 【請求項19】前記吸着剤がイオン交換樹脂であること
    を特徴とする請求項18に記載の方法。
  20. 【請求項20】前記供給流の成分が生化学分子であるこ
    とを特徴とする請求項1、2、3又は7に記載の方法。
  21. 【請求項21】前記流動化媒体が、液体、ガス又はこれ
    らの混合物であることを特徴とする請求項1、2、3又
    は7に記載の方法。
  22. 【請求項22】前記流動化媒体が緩衝液の溶液であるこ
    とを特徴とする請求項21に記載の方法。
  23. 【請求項23】前記磁気手段が、外部から作用させる磁
    界であることを特徴とする請求項1、2、3又は7に記
    載の方法。
  24. 【請求項24】前記磁気手段が、前記流動化媒体の流れ
    方向と共直線性をなす方向に外部から作用する均一な磁
    界であることを特徴とする請求項23に記載の方法。
  25. 【請求項25】前記帯磁性吸着剤固形物が、実質的にプ
    ラグ流をなしてカラムを通って流れることを特徴とする
    請求項1、2、3又は7に記載の方法。
  26. 【請求項26】前記帯磁性吸着剤固形物が、前記容器内
    の閉ループ内を再生することを特徴とする請求項1、
    2、3又は7に記載の方法。
  27. 【請求項27】前記帯磁性吸着剤固形物が前記カラムか
    ら取り出されて第2の容器に通され、次いで該第2の容
    器から前記カラムに再生されることを特徴とする請求項
    1、2、3又は7に記載の方法。
  28. 【請求項28】前記第2の容器内の前記帯磁性吸着剤固
    形物が、流動化媒体の床を通る下向きの流れとは逆に上
    向きに流れることを特徴とする請求項27に記載の方法。
  29. 【請求項29】前記第2の容器内の前記帯磁性吸着剤固
    形物を流動化媒体の床を通る下向きの流れとは逆に上向
    きに流すことを、磁気手段が存在するときに行なうこと
    を特徴とする請求項28に記載の方法。
  30. 【請求項30】前記第2の容器内の前記帯磁性吸着剤固
    形物を流動化媒体の床を通る下向きの流れとは逆に上向
    きに流すことを、磁気手段が存在しないときに行なうこ
    とを特徴とする請求項28に記載の方法。
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