JP2603140B2 - 選択遮断方式 - Google Patents

選択遮断方式

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JP2603140B2
JP2603140B2 JP1238689A JP23868989A JP2603140B2 JP 2603140 B2 JP2603140 B2 JP 2603140B2 JP 1238689 A JP1238689 A JP 1238689A JP 23868989 A JP23868989 A JP 23868989A JP 2603140 B2 JP2603140 B2 JP 2603140B2
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] この発明は、選択遮断方式に関し、特に、縦続接続さ
れた複数の回路遮断器に短絡電流が流れた際、短絡電流
が流れた位置に基づいて動作させるべき回路遮断器を選
択して主回路を遮断する選択遮断方式に関する。
[従来の技術] 従来、縦続的に接続された上位回路遮断器と下位回路
遮断器との間に回路遮断器の時間協調を持たせて選択遮
断する選択遮断システムが知られている。この選択遮断
システムを用いることにより、下位回路遮断器の負荷側
で発生した事故に際し、下位の回路遮断器のみが遮断動
作を行ない事故を排除するとともに上位回路遮断器が動
作しないようにして事故回路以外の回路に給電を持続す
ることができる。
このような、従来の選択遮断システムでは、上位回路
遮断器に、短絡電流に十分耐えることのできる短時間容
量を備えた回路遮断器に短時間引外し装置を付加したも
のが使用されている。しかし、通常、回路遮断器の短時
間容量の大小は、回路遮断器自体の大小により決定され
るため、大きな短時間容量が必要な場合には必要以上に
大きな回路遮断器を使用することを余儀なくされてい
た。この結果、システムのコストアップにつながり、不
経済なシステムとなっていた。
これに対して、下位回路遮断器の負荷側で発生した事
故において上位回路遮断器と下位回路遮断器を同時に遮
断させてシステムとしての遮断容量を下位回路遮断器の
遮断容量以上にすることができるバックアップ遮断シス
テムがある。しかし、このシステムは経済的効果はある
が、上位回路遮断器も遮断して短絡事故が発生した回路
以外への給電も停止するため選択遮断を行なうことがで
きない。
第4図は、このように回路遮断器を縦続接続した場合
の電路系統の例を示す系統図である。この系統図におい
ては、上位回路遮断器21の負荷側に並列に下位回路遮断
器22および23が接続され、それぞれに所定の負荷が接続
される。
最近の限流型の回路遮断器の発達に伴い、前述の選択
遮断システムにおいて経済的欠点を補いかつバックアッ
プ性能を持たせた方法が実施されているが、この方法を
第4図を参照して説明する。上位回路遮断器21には、短
絡電流が一定時間流れたときに開閉機構が引外されて遮
断を完了するいわゆる短限時引外し装置を備えた電磁反
発式の回路遮断器が使用される。第9図は、この上位回
路遮断器21の引外し特性を示した図である。第9図を参
照して、この回路遮断器の短限時引外し装置が遮断を完
了するまでには一定時間(第9図では最短約0.025秒)
を要することがわかる。
第5図は、電磁反発式の限流型回路遮断器の概略を示
した概略図である。
第6図は、第5図に示した限流形回路遮断器の動作時
の概略図である。
第5図および第6図を参照して、電磁反発式の限流形
回路遮断器について説明する。これらは、たとえば、特
公昭44−9940に開示されているように、電磁反発式の限
流形回路遮断器は、中央部で2分割された固定接触子10
1と、分割された固定接触子101にそれぞれ対向して設け
られそれぞれの基端が回動自在に取付けられた2つの可
動接触子102と、可動接触子102を固定接触子101に対向
接触させておくためのコンタクトスプリング103と、ア
ークの発生を抑制するための消弧装置104とを含む。
次に、動作について説明する。遮断器が閉路状態にあ
るときには、可動接触子102は固定接触子101とほぼ平行
に接触している。この状態で、短絡電流が流れると固定
接触子101と可動接触子102とにそれぞれ逆方向の電流が
流れる。逆方向の電流が流れると、相互に電磁反発力が
生じる。これにより、第6図に示すように、固定接触子
101の接点から可動接触子101の接点が開離して限流遮断
が行なわれる。この状態が一定時間継続したことに基づ
いて引外し装置が作動し、開閉機構が引外され、可動接
触子102全体が押し下げられる。この結果、可動接触子1
02が平行状態に戻ったとしても可動接触子102と固定接
触子101とが接触することがなくなり遮断が完了する。
つまり、電磁反発式の限流形回路遮断器とは、平行導
体間に働く電磁反発力により、回路遮断器の引外し装置
が動作する前に瞬時に接点が開き、接点間にアークが発
生し、可動接触子が高速で固定接触子から開離すること
および消弧装置によってアークが冷却されることによっ
て急速にアーク抵抗が増大して短絡電流が著しく限流さ
れ、電流の自然ゼロ点を待たずに強制的に電流を遮断す
るものである。
第4図ないし第6図を参照して、従来の選択遮断シス
テムの動作について説明する。まず、下位回路遮断器22
の負荷側Bにおいて、短絡が発生した場合には、下位回
路遮断器22が遮断動作を行なうとともに、上位回路遮断
器21の可動接触子102も電磁反発により同時に開離す
る。双方の回路遮断器が協調して短絡電流を遮断する
と、下位回路遮断器22は瞬時引外し装置が動作して遮断
状態を維持するが、上位回路遮断器21は瞬時引外し装置
がないため遮断状態を維持せず、その可動接触子102は
再投入されて正常な給電状態に戻る。この結果、短絡し
た回路以外の負荷には下位回路遮断器23を介して給電を
継続できる。この動作の際に系統に流れる電流Ip1の波
形を、推定短絡電流(限流しない場合の短絡電流)の波
形と比較して示しているのが第7図である。上記のよう
に2台の遮断器が動作するため短絡電流は大きく限流さ
れ、Ip1はかなり小さくなる。しかも、この電流Ip1が1
回流れるだけで必ず遮断されるため、系統全体にそれほ
ど大きな影響を与えない。
一方、上位回路遮断器21と下位回路遮断器22との間の
A点で短絡が発生した場合には、下位回路遮断器22は動
作せず上位回路遮断器21のみ動作する。すなわち、上位
回路遮断器21の可動接触子102が電磁反発により直ちに
開離されて遮断される。このとき系統に流れる電流Ip2
の通電時間は、その詳細を後述する第8図に示されるよ
うに非常に短いため、この回路遮断器の短限時引外し装
置が動作せず開閉機構は引外されない。このため、遮断
状態を維持せず、短絡電流が消滅するとその可動接触子
102は再投入されて、再び短絡電流が流れて上記と同様
に遮断される。このように、間欠的に電流が流れること
になる。この状態は、短限時引外し装置が動作して開閉
機構が可動接触子装置を回路位置に移動させるまで繰返
される。
[発明が解決しようとする課題] この従来の選択遮断システムにおいて、下位回路遮断
器22の負荷側において短絡事故が発生したときは前述の
ごとく問題はない。
しかし、上位回路遮断器と下位回路遮断器の間で短絡
事故が発生したときは、前述のごとく短絡電流を1回の
遮断動作では遮断を完了させることができず、複数回遮
断を繰返した後に遮断を完了する。さらに、第8図はこ
の動作の最初の遮断の際に系統に流れる電流Ip2の波形
を推定短絡電流波形と比較して示しているが、この動作
では上位回路遮断器21だけで短絡電流を遮断するため、
限流された電流とはいえIp2はIp1よりもかなり大きくな
る。第8図では電流波形が遮断1回分しか示されていな
いが、このような大きな電流が2回以上間欠的に流れる
ため、系統全体にかなりの損傷を与えるという問題点が
あった。
つまり、従来の選択遮断システムでは、上位回路遮断
器21と下位回路遮断器22との間のA点で短絡が発生した
場合に系統全体の受ける損傷が、著しく、系統全体の安
全性が低下するという問題があった。
この発明は、上記のような課題を解決するためになさ
れたもので、上位回路遮断器と下位回路遮断器との間に
短絡事故が発生した場合に、系統全体の受ける損傷を最
小限に止めて系統全体の安全性を向上させることが可能
な選択遮断方式を提供することを目的とする。
[課題を解決するための手段] 第1請求項における発明は、上位回路遮断器の電子式
過電流引外し装置に短限時引外し特性に重畳して瞬時引
外し特性が備えられ、その瞬時引外し特性の動作電流設
定値は、下位遮断装置の負荷側で短絡が発生したときに
上位回路遮断器を流れる電流の上限値より大きい値であ
る。また、上位回路遮断器の短絡電流によって電磁反発
した接触子は電子式過電流引外し装置が動作しないとき
は短絡電流が消滅した後に元の位置に復帰し、再投入す
ることを特徴とする。
第2請求項における発明は、下位遮断装置は電磁反発
式の限流形回路遮断器であることを特徴とする。
第3請求項における発明は、下位遮断装置が限流ヒュ
ーズであることを特徴とする。
第4請求項における発明は、上位回路遮断器の瞬時引
外し装置がロゴウスキコイル式変流器を含むことを特徴
とする。
[作用] 第1請求項ないし第4請求項に係る発明では、縦続接
続された上位回路遮断器と下位遮断装置とを有する電気
系統において、下位遮断装置の負荷側で短絡事故が発生
したときは、上位回路遮断器の可動接触子は短絡電流に
よる電磁反発力によって固定接触子から開離すると同時
に下位の遮断装置の限流装置も動作して、双方の限流作
用によって短絡電流を限流して遮断する。このように、
双方の遮断装置が限流型であるため短絡電流が著しく限
流され、回路に流れる電流は極めて小さな電流となり、
それぞれ単独で短絡で電流を遮断するよりもそれぞれの
遮断装置にとって負担が軽くなる。この遮断の際、短絡
事故の発生した負荷回路の下位遮断装置は遮断動作を完
了してその負荷を電源から切離すが、上位回路遮断器
は、その瞬時引外し装置がこの限流された電流値よりも
大きい値に設定されているため引外し動作をしない。し
たがって、回路から短絡電流が消滅すると上位回路遮断
器の可動接触子がもとの位置に戻って再投入され、給電
を続けることができ、いわゆる選択遮断となる。
次に、上位回路遮断器と下位遮断装置との間で短絡事
故が発生したときは、下位遮断装置には電流が流れない
ため上位回路遮断器の可動接触子だけが電磁反発力によ
って直ちに固定接触子から開離して短絡電流を限流して
遮断する。このときの限流された電流値は、1台だけの
限流作用であるから下位遮断装置の負荷側で短絡が発生
したときの電流値に比べて大きく、瞬時引外し装置の動
作設定値を超えたときは瞬時に動作して可動接触子がも
との位置に戻ることなくすべての負荷を電源から切離
す。もし、限流された電流値が瞬時引外し装置の動作電
流設定値より小さい場合は、短限時引外し装置が動作し
て、短絡電流は短時間流れた後遮断される。この遮断の
際流れる電流値は小さく設定された瞬時引外し装置の動
作電流値以下に制限されるため、系統に悪影響を与える
ことはない。このように上位回路遮断器の瞬時引外し装
置の動作設定値を小さくできる第1の理由は、限流作用
の大きい限流遮断装置を下位遮断装置として使用したこ
とによって、上述の選択遮断において系統に流れる電流
が著しく制限され、瞬時引外し装置の動作設定値が小さ
くても選択遮断ができることである。さらに第2の理由
は、精度のよい電子式過電流引外し装置を使用している
ため、選択遮断において流れる電流の上限値にわずかな
誤差だけを見込むだけで動作設定値とすることができる
ことである。
なお、第4請求項に係る発明によれば、ロゴウスキー
コイル式変流器は大電流でも出力が飽和しないため精度
のよい瞬時引外し動作が可能となる。
[発明の実施例] 本発明による選択遮断方式の一実施例では、第4図を
参照して、上位回路遮断器21として比較的定格電流の大
きい電磁反発式の限流型回路遮断器を、下位回路遮断器
22として比較的定格電流の小さい限流型回路遮断器を採
用している。
まず、この上位回路遮断器21は、それぞれ動作電流値
が可調整の瞬時引外し特性、短限時引外し特性および長
限時引外し特性を備える電子式過電流引外し装置と、こ
の過電流引外し装置の入力信号となる電流センサとして
のロゴウスキコイル式変流器とを有している。電子式過
電流引外し装置を採用しているのは、動作設定値と実際
の動作値との間に誤差が少ないため動作値の精度が必要
なこの選択遮断方式に適しているからである。また、電
流センサとしてロゴウスキコイル式変流器を採用してい
るのは、後述するように短絡電流のような大電流でも出
力が飽和することなく直線性があるとともに他相の電流
の影響を受けないため動作時の精度が必要なこの選択遮
断方式に適しているからである。
第3図は、第1図に示した電子式過電流引外し装置の
制御回路を用いた場合の上位回路遮断器21の引外し特性
の一例を示した図であるが、この図において瞬時引外し
特性の動作設定値は定格電流の30倍以上になっている
が、これは、上述のロゴウスキコイルを採用することに
よる。この上位回路遮断器21の短限時引外し特性の動作
電流および動作時間設定値は当然のことながら電流が短
時間流れ続けても系統に支障がない電流を上限としてい
る。
また、第4図のB点で短絡事故が発生したときは、前
述のごとく双方の遮断器21および22のそれぞれの可動接
触子が電磁反発力によって同時にそれぞれの固定接触子
から開離し、短絡電流が限流されて遮断される。この
際、系統を流れる限流された電流値は、事前に実験によ
り求めることができ、瞬時引外し特性の動作設定値はこ
の電流値より大きい電流値に設定される。なお、当然の
ことながら、第4図のA点で短絡事故が発生したときこ
の瞬時引外し特性が動作しない場合でも系統の支障がな
い電流を下限とする。(この場合は、通常短限時引外し
特性が動作する。) さらに、当然のことながら、下位回路遮断器22は、上
位回路遮断器21よりも定格電流が小さく、この遮断器の
負荷側で短絡事故や負荷装置の過負荷事故などが発生し
たとき、上位回路遮断器21よりも小さい電流で動作する
ように過電流引外し装置の動作値が設定されている。
第1図は、本発明の一実施例を示した選択遮断システ
ムを構成する上位回路遮断器に設けられる電子式過電流
引外し装置の制御回路を示したブロック図である。第1
図を参照して、電子式過電流引外し装置は、第4図に示
した上位回路遮断器21に接続された3相交流の電路1a,1
b,1cと、電路1a,1b,1cに流れる電流を検出するための変
流器2a,2b,2cと、変流器2a,2b,2cによる2次電流を整流
するための整流回路3と、定電圧電源回路4と、長限・
短限・瞬時の引外し遮断が行なわれる電流値がディジタ
ルスイッチにより設定するための長限・短限・瞬時設定
回路5と、ロゴウスキコイル6a,6b,6cと、ロゴウスキコ
イル6a,6b,6cによって発生された電圧を積分するための
積分回路7と、入力電圧変換回路8と、入力信号の位相
を検出するための位相検出回路9と、電流入力値をディ
ジタル化するためのA/D変換器11と、A/D変換器11によっ
てディジタル化された電流入力値および長限・短限・瞬
時設定回路5により設定されたディジタル値等を比較演
算するためのマイクロプロセッサ11と、長限・短限・瞬
時設定回路5において予め設定された設定値の入力を拡
張するための入力拡張回路12と、マイクロプロセッサ10
からの出力信号を拡張するための出力拡張回路13と、出
力拡張回路13の出力に基づいて過電流状態を表示するた
めの発光ダイオード表示回路15と、磁気引外しアクチュ
エータ(MHT)16と、磁気引外しアクチュエータ(MHT)
16を駆動させるためのMHT動作ドライブ回路14とを含
む。ここで、各回路の電源は、変流器2a〜2cから整流回
路3,定電圧電源回路4を経た後、長限・短限・瞬時設定
回路5,入力電圧変換回路8,積分回路7およびマイクロプ
ロセッサ10へ供給される。
第2図は、第1図に示したロゴウスキコイル6a〜6cの
動作を説明するための概略図である。第2図を参照し
て、ロゴウスキコイル6a〜6cは、空心のトロイダルコイ
ル50と、トロイダルコイル50の終端に接続されてその円
周に沿って1ターン巻戻した2次コイル51とからなる。
第1図に示した電路1a〜1cに電流iが流れると、このコ
イルの端子には、以下の電圧Vが発生する。
V=Mdi/dt ここで、Mは1次導体とトロイダルコイル50との相互
インダクタンス,tは時間である。この発生した電圧Vを
積分回路7で積分することによって1次電流に比例した
出力が得られる。このロゴウスキコイル6a〜6cは、空心
であるので、磁気飽和現象がなく1次電流に対する2次
電流の直線性が良い。また、他相の電流により発生して
外部から侵入する磁束に対してはコイル内部でほとんど
打消し合うので干渉作用がなく非常に精度が良いため安
定した高電流設定が可能となる。
なお、過電流引外し装置の動作電力源としては、ロゴ
ウスキコイル6a〜6cと同軸に設けられた別の鉄心入りの
変流器2a〜2cの出力を利用する。これによって、全体と
してロゴウスキコイル式変流器を構成する。
また、本実施例では、安定な高電流設定を行なうため
にロゴウスキコイル6a〜6cを使用したが、本発明はこれ
に限らず、ホール素子などを使用してもよい。
第1図ないし第3図を参照して、電路1a〜1cに電流が
流れたときの上位回路遮断器21の動作を説明する。ま
ず、電路1a〜1cに流れる電流が定格電流I0か若しくはそ
れ以下である場合は、遮断動作は行なわれない。
電路1a〜1cに流れる電流が、第1図に示した長限・短
限・瞬時設定回路5において設定された長限時領域に相
当する場合は、変流器2a〜2cからの入力電流が整流回路
3により整流されて入力電圧変換回路8に入力される。
入力電圧変換回路8に入力された信号は、位相検出回路
9により位相が検出された後、マイクロプロセッサ10に
内蔵されるA/D変換器11に入力される。A/D変換器11で
は、入力信号がディジタル化され、その後、マイクロプ
ロセッサ10に入力される。
また、マイクロプロセッサ10には、第1図に示した長
限・短限・瞬時設定回路5においてディジタルスイッチ
にて予め設定された値がディジタル値として入力拡張回
路12を経て入力される。このマイクロプロセッサ10に入
力された電路1a〜1cからの電流入力値と、長限・短限・
瞬時設定回路5の設定入力値は、マイクロプロセッサ10
により比較演算される。
演算の結果、電路1a〜1cからの電流入力値が長限時領
域にあると判定され、マイクロプロセッサ10から出力拡
張回路13を介して発光ダイオード表示回路15に出力信号
が送られ、過電流状態が表示される。
また、マイクロプロセッサ10により、電路1a〜1cから
の電流入力値に基づいて長限時引外しが開始されるまで
の時間が演算され、その時間の経過後、MHT動作ドライ
ブ回路14に信号が送られて磁気引外しアクチュエータ
(MHT)16が作動される。磁気引外しアクチュエータ(M
HT)16の作動により、上位回路遮断器21の開閉機構が起
動されて上位回路遮断器21の接触端子21a〜21cが開かれ
開路される。
電流1a〜1cに流れる電流が長限・短限・瞬時設定回路
5において設定された短限時領域に相当する場合は、長
限時領域の場合と同様に変換器2a〜2cからの入力電流が
入力されてディジタル値化および演算が実行される。短
限時領域では、短限時入力電流の大きさに関係なく限時
引外し時間が一定であること以外は長限時領域の場合と
同じである。
電路1a〜1cに流れる電流が長限・短限・瞬時設定回路
5において設定された瞬時領域に相当する場合には、変
流器2a〜2cからの出力に替り電路1a〜1cに介挿されたロ
ゴウスキコイル6a〜6cからの出力電圧が測定される。ロ
ゴウスキコイル6a〜6cによる電流波形は、電路1a〜1cに
流れる電流が微分された形で得られるため、積分回路7
により積分される。積分回路7により積分された電流入
力は、短限時領域の場合と同様に、入力電圧変換回路8
を経てマイクロプロセッサ10に入力されてディジタル値
化および演算が実行される。演算の結果、電路1a〜1cか
らの電流入力値が瞬時領域にあると判定され、マイクロ
プロセッサ10から出力拡張回路13を介して発光ダイオー
ド表示回路15により過電流状態が表示される。また、瞬
時領域の場合は、所定の時間を経過することなく直ちに
出力拡張回路13を介してMHT動作ドライブ回路14に信号
が送られて磁気引外しアクチュエータ(MHT)が瞬時に
作動して、上位回路遮断器21の接触子21a〜21cが開路さ
れる。
このような上位回路遮断器21と下位回路遮断器22が含
まれる本実施例の選択遮断方式の動作を第4図を参照し
て説明する。
下位回路遮断器22の負荷側のB点において短絡が発生
したときは、上位回路遮断器21と下位回路遮断器22の双
方が電磁反発力によってそれぞれの可動接触子がそれぞ
れの固定接触子から開離し、短絡電流が限流されて瞬時
に遮断される。この際、下位回路遮断器21はその引外し
機構が動作して開閉機構が遮断位置となり再度閉路する
ことはない。したがって、下位回路遮断器の負荷側には
給電されないため短絡電流が再び流れることはない。こ
の系統に流れる限流された短絡電流は、上位回路遮断器
21の瞬時引外し特性の動作設定値より小さいため上位回
路遮断器21は引外し動作をせず、短絡電流が消滅した後
は反発した接触子がもとの位置に復帰して再投入される
ため、他の下位回路遮断器23には引続いて給電される。
なお、このとき上位回路遮断器21の長限引外し特性や短
限時引外し特性が動作を開始するが、引外し動作に至る
までに短絡電流が消滅するため上位回路遮断器21の開閉
機構を引外すまでには至らない。
次に、上位回路遮断器21と下位回路遮断器22の間の点
Aで短絡が発生したときは、下位回路遮断器22は短絡電
流が流れないため上位回路遮断器21のみが電磁反発力に
よって接触子が開離して短絡電流が限流されて遮断され
るとともに、その電子式過電流引外し装置が動作して開
閉機構は引外し位置となり、接触子が再投入することな
く遮断が完了する。この遮断の際、限流されて流れる電
流は、上位回路遮断器21の瞬時引外し特性の動作設定位
置を超えたときは電子式引外し装置の瞬時引外し特性が
動作し、瞬時引外し特性の動作電流設定値より小さい場
合は短限時引外し特性が動作して、上位回路遮断器が短
絡電流を遮断する。
なお、この実施例の選択遮断方式は、下位回路遮断器
22の負荷側で短絡したときに流れる短絡電流がこの下位
回路遮断器22の定格遮断容量以下である回路に適用でき
るのはもちろんのこと、その定格遮断容量を超える回路
にも適用することもできる。後者の場合、通常ならばよ
り定格遮断容量の大きい高価な下位回路遮断器を使用す
るが、より低い定格遮断容量の回路遮断器を使用できる
ことによって経済的なシステムを構成できるいわゆるバ
ックアップ遮断システムと、選択遮断システムとを兼ね
備えたシステムを構成していることを意味する。
また、本実施例では下位遮断器22として、限流型回路
遮断器を用いたが、短絡電流が流れたとき直ちに溶断し
て限流機能を発揮する限流ヒューズでもよい。
[発明の効果] 第1請求項ないし第4請求項に記載の発明によれば、
上位回路遮断器と下位遮断装置が縦続に接続された電気
系統において、下位遮断装置の負荷側で短絡事故が発生
したときは同時に双方が限流機能を発揮して短絡電流を
限流し、その限流された電流が上位回路遮断器の瞬時引
外し特性の動作設定値より小さいため引外し動作には至
らず、以下遮断装置だけが引外されて短絡点を電源から
切離す。したがって、短絡が発生しなかった他の回路に
は何ら悪影響が与えられることなく給電が持続される、
いわゆる選択遮断システムを構成することができる。し
かも、同時に双方が限流機能を発揮することによって、
下位遮断装置の定格遮断容量を超える短絡電流が流れる
ような回路であってもこの下位遮断装置を使用できる、
いわゆるバックアップシステムも兼ね備えた経済的な回
路構成とすることもできる。また、上位回路遮断器と下
位遮断装置の間で短絡事故が発生したときは、電磁反発
によって直ちに短絡電流を遮断するとともに、上位回路
遮断器の瞬時引外し特性が動作して、または瞬時引外し
特性が動作しない程度に限流された小さい電流の場合で
も短限時引外し特性が動作して、短絡電流が遮断され
る。短絡電流が消滅してもその接触子が再投入すること
がないため系統全体における損傷を最小限に止めて系統
全体の安全性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の一実施例を示した選択遮断システムを
構成する上位回路遮断器に備えられる電子式過電流引外
し装置の制御回路を示したブロック図、第2図は第1図
に示したロゴウスキコイルの動作を説明するための概略
図、第3図は第1図に示した電子式過電流引外し装置に
より上位回路遮断器を制御した場合の引外し特性図、第
4図は回路遮断器を縦続接続した場合の電路系統の例を
示す図、第5図は電磁反発式の限流型回路遮断器の概略
を示した概略図、第6図は第5図に示した電磁反発式の
限流形回路遮断器の動作時の概略図、第7図は第4図に
示した上位回路遮断器と下位回路遮断器との双方により
遮断動作が行なわれた場合の推定短絡電流と系に流れる
電流Ip1との関係を示した図、第8図は第4図に示した
上位回路遮断器のみが遮断動作を行なった場合の推定短
絡電流と系に流れる電流Ip2との関係を示した図、第9
図は従来の上位回路遮断器の引外し特性を示した図であ
る。 図において、1a〜1cは電路、2a〜2cは変流器、3は整流
回路、4は定電圧電源回路、5は長限・短限・瞬時設定
回路、6a〜6cはロゴウスキコイル、7は積分回路、8は
入力電圧変換回路、9は位相検出回路、10はマイクロプ
ロセッサ、11はA/D変換器、12は入力拡張回路、13は出
力拡張回路、14はMHT動作ドライブ回路、15は発光ダイ
オード表示回路、16はMHTである。 なお、図中、同一符号は同一または相当部分を示す。

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】電路の電源側に接続される電子式過電流引
    外し装置を備えた比較的定格電流が大きい電磁反発式の
    限流型回路遮断器よりなる上位回路遮断器と前記上位回
    路遮断器の負荷側に接続される前記上位回路遮断器より
    定格電流の小さい限流遮断装置よりなる下位遮断装置と
    が組合わせられた選択遮断方式であって、 前記上位回路遮断器の電子式過電流引外し装置に短限時
    引外し特性に重畳して瞬時引外し特性が備えられ、 前記瞬時引外し特性の動作電流設定値は、前記下位遮断
    装置の負荷側で短絡が発生したときに前記上位回路遮断
    器を流れる電流の上限値より大きい値であり、 前記上位回路遮断器の短絡電流によって電磁反発した接
    触子は前記電子式過電流引外し装置が動作しないときは
    短絡電流が消滅した後に元の位置に復帰し再投入するこ
    とを特徴とする、選択遮断方式。
  2. 【請求項2】前記下位遮断装置は電磁反発式の限流型回
    路遮断器であることを特徴とする、請求項第1に記載の
    選択遮断方式。
  3. 【請求項3】前記下位遮断装置は限流ヒューズであるこ
    とを特徴とする、請求項第1に記載の選択遮断方式。
  4. 【請求項4】前記上位回路遮断器の前記瞬時引外し装置
    がロゴウスキコイル式変流器を含むことを特徴とする、
    請求項第1に記載の選択遮断方式。
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