JP2593142B2 - フルイデイク流量計における差圧検出装置 - Google Patents

フルイデイク流量計における差圧検出装置

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【発明の詳細な説明】 イ.発明の目的 イ−1.産業上の利用分野 この発明は、流体圧力の差を測る差圧検出手段を利用
して流量を測るフルイディク流量計に係る。
イ−2.従来技術 第8図に示すフィードバック式フルイディク流量計が
公知である(例えば、雑誌「センサ技術」1985年3月
号、VoL.5−NO.3の第66頁参照)。この種の流量計は、
入口(1)、出口(2)とともに中心線に沿う胴体
(3)内のこの直線に沿う流体通路に、流体を噴出させ
るノズル(4)、噴出方向の正面のターゲット(5)、
それを対称的に挾む通路漸次拡大的の側壁(6),
(6′)を備え、更に側壁(6),(6′)の下流端か
らその外側を対称的に戻ってノズル(4)出口近辺に至
るコントロールループ(7),(7′)を備え、ノズル
(4)から放出され一方の側壁(6)に沿って流れる付
着流の一部がその側のコントロールループ(7)を通っ
てノズル(4)の出口近辺の側壁(6)と同じ側に戻
り、主噴流を反対側の側壁(6′)に付着させ、これを
反覆して、その結果、主噴流が発振をし、このときの発
振周波数が流量に比例するものである。ターゲット
(5)は低流量での発振を可能にする。この従来技術で
は、発振の結果圧力が増減相反的に変化する2部分の壁
面に密着されていて流体の圧力に受けると壁面から反力
を受けて厚み方向に圧縮され、その結果両面間に圧力に
対応する大きさの電位差を生ずる各圧力検出膜(8),
(8′)と、第9図の回路を用いて、両圧力検出膜
(8),(8′)の各電位差をそれぞれに専用の演算増
幅器(9),(9′)を用いて増幅して得られた両出力
の差を差動増幅器(10)を用いて算出するようにした増
幅装置(11)とをもつ差圧算定手段(12)を備え、その
出力の周期的変化の頻度に基づいて被測流体の流動に対
応する電気的量を生ずるようになっている。
そして、圧力検出膜(8),(8′)として、両面に
薄く導電性の層を付けたPVDF膜(ポリビニリデンフルオ
ライド膜、polyvinylidene fluoride film)が用いられ
ている。
イ−3.本考案が解決しようとする問題点 まず、一般に、流量測定の対象となる流れには、それ
による渦の発生やポンプによる脈流などに起因して、比
較的に周波数が高い圧力変動が伴い、これは差圧算定手
段(12)の圧力検出膜(8)、(8′)に均等に及ぼさ
れる。従って、この圧力変動の影響は、本来ならば、演
算増幅器(9),(9′)を経て差動増幅器(10)にお
いて相殺されるべき性質のものである。ところが、2個
の圧力検出膜(8),(8′)として圧力と発生電位差
との関係や周波数特性が互いに均等なものを実現するこ
と及びこれらに対応する演算増幅器(9),(9′)と
して利得が均一なものを実現することは、これらの素子
の特性のそろえ方の技術上の限界のために、現実にはは
なはだ困難である。その結果、面倒な調整を回路に加え
ない限り、差圧算定手段(12)の出力には前記圧力変動
の影響が不可避的に残存する。すなわち、前記従来のフ
ライディク流量計に用いた演算増幅器(9),(9′)
の出力波形は、第10図線図A及びA′に示すように、流
量に比例する頻度の正弦曲線状の基本波形に、前記圧力
変動による高調波形が重なったものとなり、線図A,A′
を比べると、基本波形成分は逆相的であるが高調波形成
分は同相的であって、それぞれの振幅は、2個の圧力検
出膜(8),(8′)や2個の演算増幅器(9),
(9′)の各特性の不均一に起因して同じにならない。
この結果差動増幅器(10)の出力波形は、第10図線図B
に示すように、強調しあった基本波形に残存高調波形が
加わったものとなる。流量に対応する電気的量を作る目
的で、差動増幅器(10)の前記出力波形に含まれる基本
波形の周期的変化の頻度を求めるに当たり、差動増幅器
(10)の出力波形での出力が一定の基準値を超えた回数
を数えるときは、前記基準値をどのように選んでも、超
える現象が基本波形に加えて高調波形にも起因して生ず
ることを避けられないので、回数が不当に大きく現われ
実流量を超える流量に対応する電気的量を生ずるという
問題点がある。
なお、第11図に示す弛張発振式フルイディク流量計に
おいて、圧力変動を取り出すべき2流路部分を各制御ノ
ズル(7a),(7a′)内に定めるときも同様の問題点が
ある。
この発明の目的は、上記問題点がない差圧検出手段を
利用して前記問題点を解決したフルイディク流量計を得
ることである。
ロ.発明の構成 ロ−1.問題点を解決するための手段 前記問題点を解決するために、ケース内を、中央に配
したインピーダンスの大きい単一の差圧検出膜(15)に
より2室に区画して互いに隔絶された2つの空間(1
4)、(14)を形成し、 前記差圧検出膜は、それぞれリード線を介して単一の
増幅器からなる増幅装置(16)に接続し、その出力端を
流量算定装置(17)に接続するとともに、 前記各空間(14)、(14)は曲折部を有する導圧管
(24)、(24)を介して対称形流路をもつフルイディク
流量計の被測流体の流量に対応する頻度で周期的にかつ
増減相反的に圧力が変動する2流路部分(25)、(25)
にそれぞれ連通したことを特徴とするものである。
なお、第1図にはフィードバック式フルイディク流量
計にこの発明を適用したものを示したが、第11図の弛張
発振式フルイディク流量計に適用するためには、2流路
部分(25),(25′)を各制御ノズル(7a),(7a′)
内に定めればよい。
ロ−2.作用 この発明のフルイディク流量計では、1つの差圧検出
膜(15)の両面に直接に流体に面する自由な部分は表裏
対向して全く同形でこの部分に、圧力差を求められてい
る2部分の圧力を受ける。従ってこの2部分にかかる同
相で同大の高調波成分は互いにうち消しあい、差圧に対
応すべき出力は、圧力の高調波成分の影響をほとんど受
けない。その結果、増幅装置(16)の出力は、ほとんど
基本波成分のみである。従って、流量算定装置(17)
は、高調波の影響を受けることなく基本波形のみの周期
的変化の頻度に基づいて、被測流体の流量に正しく対応
する電気的量を生ずる。以上のようにして、従来技術に
おける前記問題点は、ほとんど完全に解消された。
ロ−3.実施例 この発明の1実施例について、それに用いられる差圧
検出膜(15)及び増幅装置(16)からなる差圧検出手段
(13)の1実施例の具体的構造を、第2図の断面図を用
いて次に説明する。差圧検出膜(15)は両面に導く導電
性の層を付けた厚み約40μのPVDF膜であって、周縁近辺
の表裏対向する部分を両面から、互いに同一寸法の金属
製リングワッシャ(18),(18′)、金属製スプリング
ワッシャ(19),(19′)、及び金属製スペーサリング
(20),(20′)を順次に介して、絶縁体のケース(2
1),(21′)のつばに挾まれている。電極に相当する
各スペーサリング(20),(20′)にはリード線(2
2),(22′)がろう付けされ、これら(22),(2
2′)はケース(21),(21′)を気密に保ちつつ貫通
して外界に出ている。ケース(21),(21′)の内部空
間(14),(14′)は、導圧口(23),(23′)及び導
圧管(24),(24′)を介して、圧力に差異を生ずべき
2部分(25),(25′)にそれぞれ連通される。導圧管
(24),(24′)の内面を黒色としかつ90度以上の曲げ
部分を設けて、焦電性のある差圧検出膜(15)に、赤外
線などの外乱が及ばない構造とする。
この差圧検出手段(13)を用いたこの発明の1実施例
の具体的構造を、第3図Aの断面図と第3図Bの正面図
とを用いて次に説明する。この実施例の流量計本体部分
は、前記従来技術のものとは形状は異なるが、機能上同
様の意味をもつ部分として、入口(1)、出口(2)、
胴体(3)、ノズル(4)、ターゲット(5)、及び、
中心線について対称的の側壁(6)、(6′)、コント
ロールループ(7)、(7′)を備え、同様に動作し
て、ノズル(4)から出る主噴流が流量に比例する周波
数で発振をする。そして、コントロールループ(7),
(7′)において対称位置(25),(25′)に圧力取出
口(26),(26′)が開口し、これらに、第1図の差圧
検出手段(13)の導圧管(24),(24′)が接続されて
いる。リード線(22),(22′)は、第4図に回路及び
ブロック図を示すように、入力した電位差を増幅して圧
力取出口(26),(26′)の圧力の差に対応する出力を
生ずる単一の増幅器からなる増幅装置(16)の入力端に
接続され、増幅装置(16)の出力端は、その出力の周期
的変化の頻度に基づいて被測流体の流量に対応する電気
的量を生ずる流量算定装置(17)に接続されている。な
お、この実施例に用いた圧力検出膜(15)は、第8図の
従来技術に用いた圧力検出膜(8),(8′)と同様に
PVDF膜製で、ともに厚み方向の電荷の移動を利用するも
のであるが、その電荷移動の原因が、前記従来技術では
主として厚み方向に受ける圧縮応力であるのに対し、前
記実施例では、主として、自由な部分の高圧側から見た
へこみに伴う各部分の曲げ応力にあり、詳しいことは不
明であるが、各部分の内部応力による電荷の移動の全体
的効果として、出力電位差を生ずるものと考えられる。
次に、圧力検出膜(15)としては、弾性膜に歪み抵抗素
子を接着してその抵抗変化に対応する電圧変化を出力と
することも考えられるが、その場合はインピーダンスの
大きいものを得難いので消費電力が大きくなるので実用
的でない。本発明ではPVDF膜を利用するので、インピー
ダンスの大きいものを得やすいので消費電力の小さいも
のを実現することができる。
ハ.発明の効果 この発明によると、差圧検出膜(15)がインピーダン
スが大きい単一のもので増幅装置(16)も単一にするこ
とができるから、次の効果がある。
(1) まず差圧検出手段(13)の構造及び回路の簡単
化と原価低減が可能である。
(2) 差圧検出膜(8),(8′)や増幅装置(9)
(9′)の特性に不斉一に起因して従来技術に不可避で
あった前記問題点はない。
(3) 従ってこの発明のフルイディク流量計では、増
幅装置(16)の出力の周期的変化における高調波を、こ
れが基本波に加わっても少なくとも波形の上下幅の中間
部分では増減方向に影響しない程度にまで縮小可能で、
そのように縮小すると、比較すべき基準値を前記中間部
分に択ぶことにより、流量算定装置(17)は流量に正し
く対応する電気量を生ずる。
(4) 残存する高調波が小さいので、基本波の周波数
が低いときはもとより、高調波の周波数に近い大流量を
も満足に測定することができる。
(5) 流量の急激な変化があっても、圧力差にはその
影響の現われ方が小さいので、その直後から流量を計測
可能である。
(6) 差圧検出膜がインピーダンスの大きい単一のも
ので増幅装置も単一にしたので差圧検出手段の構造及び
回路の簡単化と原価低減ができる。特にフルイディの流
量計の2流路部分は曲折部分をもった導圧管を介して差
圧検出膜の両側の空間に連通されているので、差圧検出
膜に赤外線などの外乱が及ばず、焦電性の大きい検出膜
(例えばPVDF膜)を利用できる。
次に、第2図、第3図A、第3図Bの実施例について
の実験結果に基づく第5図ないし第7図の線図を用い
て、前記効果(3)ないし(5)を説明する。
第5図の線図Aは、差圧検出手段(13)のケース(2
1′)と導圧管(24′)とを外して空間(14′)を大気
に連通させかつ導圧管(24′)をふさいた状態での、差
圧検出膜(15)の電位差の変化を示し、基本波形に高調
波形が加わっている。図示してはないがケース(21)と
導圧管(24)とを外して反対に空間(14)を大気に連通
させかつ導圧管(24)をふさいだ状態での変化は、線図
Aの基本波形とは逆相の基本波形に線図Aの高調波形と
同相の高調波形を加えた波形である。第5図線図Bは、
ケース(21),(21′)と導圧管(24),(24′)を接
続したままの状態での、差圧検出膜(15)の電位差の変
化を示し、線図Aの波形と前記図示しない波形との差に
相当する。第6図A、第6図Bは、第5図のそれぞれ線
図A、Bの波形の周波数分析の結果を示すもので、Bは
Aに比べて、基本波形の周波数以外の周波数成分とくに
高周波成分が、格段に少ないことを示す(信号レベルが
約10dB高く、ノイズレベルが約10dB低くS/N比が20dB改
善されている。) 第5図と第6図A及び第6図Bとは、前記効果
(3)、(4)を証明する。第7図A、第7図Bは、第
5図のそれぞれ線図A、Bに対応する流量計の各状態に
おいて、圧力を急激に加えたときの過渡応答線図を示す
もので、第7図Aでは、その直後の約4振動に相当する
時間内に記録可能限度を超えて大きく1振動しその後も
高さが不斉一であるが、第7図Bでは、その直後の約1.
5振動に相当する時間以後は、高さがぼ斉一となる。
これは、前記効果(5)を証明する。
【図面の簡単な説明】
第1図は、この発明のフルイディク流量計の原理図、第
2図は、この発明の1実施例に用いる差圧検出膜の近辺
の構造を示す断面図、第3図Aと第3図Bとは、この発
明のフルイディク流量計の1実施例の断面図及び正面
図、第4図は、第3図Aの実施例の増幅装置の回路図及
び流量算定装置のブロック図、第5図は、第3図Aの実
施例の出力波形を説明する線図、第6図A、第6図B
は、第5図の線図の周波数分析結果を示す線図、第7図
A、第7図Bは、圧力を急に加えたときの過渡応答を示
す線図、第8図は、従来技術によるフルイディク流量計
の断面図、第9図は、第8図の従来技術の差圧算定手段
の回路図、第10図は、第8図の従来技術の第9図の回路
での点A、A′、Bでの各電圧変化を示す線図、第11図
は、他の従来技術の断面図である。 14、14′……空間 15……差圧検出膜 16……増幅装置 17……流量算定装置
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (73)特許権者 999999999 愛知時計電機 株式会社 愛知県名古屋市熱田区千年一丁目2番70 号 (72)発明者 田口 藤孝 東京都大田区中央6−9―5 (72)発明者 安田 弘一 豊田市若林西町北間57 (72)発明者 岡林 誠 大阪市東区平野町5丁目1番地 大阪瓦 斯株式会社本社内 (72)発明者 伊藤 稔彦 名古屋市熱田区千年1丁目2番70号 愛 知時計電機株式会社内 (72)発明者 新美 征洋 名古屋市熱田区千年1丁目2番70号 愛 知時計電機株式会社内 (72)発明者 長沼 雅仁 名古屋市熱田区千年1丁目2番70号 愛 知時計電機株式会社内 (56)参考文献 特開 昭58−189518(JP,A) 特開 昭48−20580(JP,A) 特開 昭54−99671(JP,A) 実開 昭56−19714(JP,U)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ケース内を、中央に配したインピーダンス
    の大きい単一の差圧検出膜(15)により2室に区画して
    互いに隔絶された2つの空間(14)、(14)を形成し、 前記差圧検出膜は、それぞれリード線を介して単一の増
    幅器からなる増幅装置(16)に接続し、その出力端を流
    量算定装置(17)に接続するとともに、 前記各空間(14)、(14)は曲折部を有する導圧管(2
    4)、(24)を介して対称形流路をもつフルイディク流
    量計の被測流体の流量に対応する頻度で周期的にかつ増
    減相反的に圧力が変動する2流路部分(25)、(25)に
    それぞれ連通したことを特徴とするフルイディク流量計
    における差圧検出装置。
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