JP2588036B2 - 緑青の形成方法 - Google Patents

緑青の形成方法

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Description

【発明の詳細な説明】 〈産業上の利用分野〉 この発明は、基材との密着性に優れた緑青を生産性良
く安定して形成する方法に関する。
〈従来技術とその課題〉 従来から、神社・仏閣の屋根材等に用いられた銅の表
面が長い年月の間に大気中の酸素,水蒸気,炭酸ガス,
硫化物乃至は塩化物等の作用によって優雅で美しい緑色
の緑青{CuCO3・Cu(OH)2,CuSO4・3Cu(OH)2,CuCl2
3Cu(OH)等の塩基性銅塩}に覆われることは良く知
られているが、この緑青層は重厚で独特の美観を醸し出
すばかりでなく防食皮膜としての作用をも発揮し、その
ため緑青に覆われた銅屋根等は数百年に及ぶ耐久性を示
すこととなる。
そこで、近年、天然に近い緑青を人工的に短期間で発
生させて基材の腐食防止や装飾乃至美術的な効果を狙っ
た“緑青被膜形成品”が、屋根材のみならず建築内壁材
や装飾品等にも見られるようになり、これまでにも天然
に近い緑青被膜を人工的に形成させる手段に関する提案
が数多くなされてきた。
これら従来の人工緑青形成手段を大別すると次の通り
である。
(A) 薬液と接触させる化成処理法(例えば特公昭57
−51468号として提案された方法等), (B) 薬液中で電解処理する方法(例えば特公昭55−
12117号として提案された方法等), (C) 基材を化成処理した後、その上に更に塗装を施
す方法(例えば特開昭55−8491号として提案された方法
等), (D) 緑青色形成物質を含む塗料で塗装する方法(例
えば特開昭55−139467号として提案された方法等), (E) サンドブラストにより表面を粗面化した銅板表
面に銅又は銅合金の粉末を接着剤で接着した後、塩化ア
ンモニウムや硫酸アンモニウム等の人工緑青発生液を塗
布する方法(例えば特公昭57−52425号として提案され
た方法等)。
しかしながら、上記の人工緑青形成手段は、実際上 (a) 緑青の発生速度が遅い, (b) 緑青被膜が剥離し易く、製造設備に多額の費用
がかかる, (c) 緑青色を安定して形成させることできず、不均
一で色調が劣る, (d) 緑青の密着性が良くない, (e) 緑青色被膜を形成するための工数が多く、生産
性が悪い, 等の問題が指摘されるものであり、更には、何れも一般
的に基材が銅又は銅合金にほぼ限定させる上、発生させ
た緑青の表面を塗装等によって保護しなければ基材との
十分な密着性を保てないとの問題を有するものでもあっ
た。しかも、塗料膜による緑青の保護策では、紫外線に
よって塗膜組成物の劣化が起きることから上記問題の根
本的な解決策となり得るものではなかった。
このようなことから、本発明が目的としたのは、「密
着性に優れた均一色調の緑青被膜を、基材の種類を問わ
ずに短時間に安定して形成し得る手段」を確立すること
であった。
〈課題を解決するための手段〉 本発明者等は、上記目的を達成すべく様々な観点に立
って鋭意研究を重ねた結果、「緑青を形成しようとする
基材表面を必要に応じて粗面化してから該基材表面に銅
又は銅合金から成る薄膜を形成し、次いでこの薄膜を特
に“特定の酸化性物質を添加した化成処理液”で処理し
た場合には、前記“銅又は銅合金から成る薄膜”と“特
定の酸化性物質を添加した化成処理液”との間で化成反
応(腐食生成物形成反応)と腐食生成物の酸化反応とが
同時に進行することとなって、基材表面に強固に密着
し、かつ天然緑青に酷似した重厚で均一な色調の緑青被
膜が短時間で形成される」との知見を得るに至ったので
ある。
本発明は、上記知見事項等に基づいて成されたもので
あり、 「緑青を形成しようとする基材表面に銅又は銅合金か
ら成る薄膜を形成した後、該薄膜を a)二酸化マンガン, b)二酸化鉛, c)過マンガン酸塩, d)クロム酸塩及び/又は重クロム酸塩, e)フリーの沃素を含有する沃素化合物 のうちの1種以上を添加した化成処理液で処理すること
を特徴とする緑青の形成“二酸化マンガンを添加した銅
イオン及び塩素イオン含有化成処理液”で処理すること
により、密着性に優れた良好な外観の緑青を短時間に安
定形成し得るようにした点」 に特徴を有している。
ここで“緑青を形成しようとする基材”とは銅及び銅
合金に代表される金属材料のみならず、セラミック,
瓦,木材,合成樹脂等の何れであっても差し支えがな
く、格別にその材質が制限されるものではない。
以下、本発明をその作用・効果と共により詳細かつ具
体的に説明する。
本発明に係る緑青形成法においては、まず基材の表面
に“銅又は銅合金から成る薄膜”が形成される。薄膜の
厚さは特に限定されるものではないが、通常は1〜100
μm程度、好ましくは5〜40μm程度とするのが良い。
勿論、膜厚が1μm未満であっても緑青の形成は可能で
あるが、この場合には薄膜に亀裂等が生じ易いため好ま
しくない。一方、膜厚が100μmを超えると満足できる
色調を得ることが難しくなり、また生産コストの面でも
好ましくない。
上記“銅又は銅合金から成る薄膜”を形成する手段と
しては、めっき法,真空蒸着法,スパッタリング法,イ
オンプレーティング法,溶射法等の公知の方法が適用で
きる。従って、基材の種類等に応じて適当な薄膜形成手
段を選択する必要があるが、ドライプロセスであって加
工が迅速な上に、広い範囲の材料が使用でき、かつ素材
に対して大きな悪影響を与えることのない“溶射法”が
最も好ましい手段と言える。
ところで、溶射法には“フレーム溶射",“アーク溶
射”及び“プラズマ溶射”等の各種の手法があり、また
溶射原料として銅又は銅合金から成る粉末やワイヤ−等
も使用できることが知られているが、本発明においては
溶射法や溶射原料に対する格別な制限はない。しかし、
同じ材料,同じ装置を使用した場合でも溶射の方法(即
ち溶射条件)が異なると違った皮膜が形成されるため、
この点での注意は必要である。例えば、雰囲気条件(酸
素−アセチレン混合比等),溶射距離,ワイヤー供給速
度等は溶射皮膜の硬度に敏感に影響する。その他、溶射
ガンと被加工物の相対速度,1パス当りの皮膜厚さ,溶射
中の被加工物温度(皮膜の密着強さを高めるためには基
材を適温に予熱しておくことが好ましい),ガスや空気
の圧力並びに流量等、溶射皮膜の特性に影響を与える要
素は非常に多い。
更に、一般に、「溶射皮膜は同じ厚さであったとして
も“薄い層が数多く積み重なったもの”の方が“厚い層
が数少なく積み重なったもの”よりも強度が強い」と言
われていることも考慮する必要がある。また、1パス当
りの溶射厚を厚くすることは過熱の原因となるので、内
径溶射の場合には過熱を避けるために溶射ガンと被加工
物の相対速度を速くして1パス当りの被膜厚さを薄くす
るように特に注意することも必要である。
上述のように、溶射によって“銅又は銅合金から成る
薄膜”を形成する場合には、基材の種類,溶射皮膜の厚
み,目的とする表面粗さ等により適宜溶射条件等の選定
を行う必要がある。
これに対して、めっき法等によって“銅又は銅合金薄
膜”を形成する場合には、例えば公知の電解液組成,電
解条件等をそのまま適用するだけでも比較的安定に目的
を達成することができる。
このようにして形成された“銅又は銅合金から成る薄
膜”の表面粗さは特に限定されるものではないが、薄膜
表面の粗さが3μm未満では緑青の発色度合いが低く、
一方、50μmを超えると母材と薄膜の密着強度が低下す
る傾向が見られることから、通常は3〜50μm、好まし
くは5〜40μmとするのが良い。
ところで、基材表面への“銅又は銅合金から成る薄
膜”の形成に先立って該基材表面を粗面化することは、
基材と“銅又は銅合金から成る薄膜”との密着性の向
上、ひいては形成される緑青被膜の密着性を向上させる
上で極めて好ましいことである。従って、銅又は銅合金
から成る薄膜形成処理の前には、必要に応じて基材表面
の粗面化処理が施され、基材表面の一様な粗化と一時的
な表面の活性化が図られる。
基材表面の粗面化法としては、一般に化学的方法(電
気化学的方法も含む)と物理的方法(機械的方法)の2
種類が知られている。前者の例としては“酸又はアルカ
リに浸漬する方法(即ち、エッチング処理法)”や“電
解法”等が、そして後者の例としては“ブラスト法",
“ウォータージェット法",“動力工具法",“手工具法”
等を挙げることができる。従って、本発明に係る“銅又
は銅合金から成る薄膜”の形成に先立つ基材の粗面化に
際しては、該基材の種類や目的とする緑青形成品表面の
粗さ等によって粗面化法を適宜選択する必要がある。例
えば、基材が金属材料の場合には、基材表面の粗面化を
高能率で実施できる上、同時に基材表面に発生していた
錆その他の腐食生成物等の除去も成される“ブラスト
法”が好適と言える。
しかも、ブラスト法では、研削材として硅砂,スティ
ールグリッド,スティールショット,溶融アルミナ(人
造コランダム),アランダム,カーボランダム,グラス
ビーズ,合成樹脂粒子等の如き各種の硬度,粘度を持っ
たものが使用されるので、基材の種類その他に合わせて
好適なものを適宜選択することが可能であることに加
え、ブラスト条件により表面粗さの調整も可能であると
言う長所もある。
なお、ブラスト法については種々の観点から種類分け
がなされており、例えば研削材の吹付け手法の観点から
は“圧縮空気によってブラストする方法”と“遠心力に
よってブラストする方法”とに分類でき、また吹付ける
研削材の乾湿状態からは“乾式法”と“湿式法”に分類
できるが、本発明においてはその種類や組み合わせに格
別な制限はない。
粗面化処理後の基材の表面粗さは、3μm以上、好ま
しくは10〜30μmとするのが良い。なぜなら、該表面粗
さが3μm未満では“銅又は銅合金から成る薄膜”との
密着性改善効果が顕著ではないからである。一方、上記
表面粗さが50μmを超えた場合には、前記密着性は良好
となるものの母材(基材)に生じる歪が問題となってく
るなど現実的ではない。
さて、本発明において、基材の表面に“銅又は銅合金
から成る薄膜”が形成された後、該薄膜に本発明の大き
な特徴の1つである「特定の酸化性物質を添加した化成
処理液による処理」が施され、化成処理と共に生成する
化成処理被膜の酸化処理が同時進行的に行われる。
一般に、“化成処理”とは或る金属を特定条件に調整
された腐食液(化成処理液)と化学反応させ、その金属
の表面に固着性のある水に不溶性の腐食生成物層を形成
させる処理を言い、その腐食生成物の物理的又は化学的
性質を利用して防錆,塗装下地,塑性加工用潤滑下地等
への適用がなされている。
本発明で言う「化成処理」もほぼ同じ概念であるが、
本発明においては、特に、基材上に形成された“銅又は
銅合金から成る薄膜”を“特定の酸化性物質を添加した
化成処理液”で処理して特性の際立った緑青を形成させ
る点で特異なものと言うこともできる。
本発明で使用される“酸化性物質を添加する前の化成
処理液”は、銅又は銅合金表面に水に不溶の腐食生成物
層を形成するものであれば公知の何れのものをも使用す
ることができ、その種類を問うものではない。そして、
そのようなものとして、従来よりアンモニウム塩,塩
酸,カセイソーダ,硫化物,硫酸塩,硝酸塩,酢酸塩,
炭酸塩,重炭酸塩,ミョウバン等を含んだ溶液およびこ
れらを組み合わせたもの(人工緑青発生液と称されるも
のを含むことは勿論であり、溶媒も水に限るものではな
い)が知られているが、より具体的なものの例として次
の化成処理液が挙げられる。
A) 塩酸,硝酸及び硫酸アンモニウムにアルカリ金属
塩化物及び/又はアルカリ土類金属塩化物を加えた水溶
液, B) 塩化第二銅を添加した水溶液, C) アルカリ金属塩化物及び/又はアルカリ土類金属
塩化物(例えばNaCl,KCl,NH4Cl等)に硫酸銅を加えた水
溶液。
そして、本発明では、上記化成処理液に酸化性物質と
して a)二酸化マンガン(MnO2), b)二酸化鉛(PbO2), c)過マンガン酸塩(KMnO4,NaMnO4他), d)クロム酸塩及び/又は重クロム酸塩(本発明ではク
ロム酸及び重クロム酸をも含む), e)フリーの沃素を含有する沃素化合物(例えば、フリ
ーの沃素を含有するヨードカリ溶液等) のうちの1種以上が添加され、緑青形成用の処理液が調
整される。
上述したように、本発明においては化成処理液として
はこれまでに知られていたものが使用されるが、本発明
では、それら化成処理液(有効成分濃度も格別に限定さ
れないが、通常は5〜50重量%、好ましくは20〜30重量
%である)と前記酸化性物質(酸化性物質の添加量にも
特に制限はないが、通常は3重量%以上、好ましくは5
〜20重量%である)を適宜組み合わせて混合した処理液
を、基材上に形成した“銅又は銅合金から成る薄膜”に
塗布,スプレー等の方法で接触されるか、又は該薄膜を
前記化成処理液に浸漬する等の方法で接触させ、“化成
処理反応”と同時に“化成処理反応による反応生成物を
酸化させる酸化反応”を生じさせる。
この処理を行うと、一瞬ではあるが“銅又は銅合金か
ら成る薄膜”が白色化する。そして、その後は時間の経
過と共に緑青の生成してくることが薄膜の色の変化によ
り認められる。
この場合、“銅又は銅合金から成る薄膜”が溶射によ
って形成されたものであると化学反応が生じ易く、より
良好な結果を得ることができる。これは、溶射皮膜は高
温から急冷されかつ母材表面に衝突した粒子の積層物で
あって、熱歪による残留応力,酸化物及び気孔等が介在
するので、その電極電位が比較的卑な状態となっている
ためと考えられる。
この“銅又は銅合金から成る薄膜を特定の酸化性物質
添加化成処理液で処理した際の緑青形成機構”について
は現在のところ明確に解明されてはいないが、X線回折
によって、該処理により生成した緑青が化学的に安定な
塩基性塩化第二銅{CuCl2・3Cu(OH)}であると確認
されている。また、化成処理液に添加する二酸化マンガ
ン等の酸化性物質は、その種類にもよるが、単なる酸化
反応に係わるだけでなくCu,Cu2O,CuCl等の酸化に対する
触媒的な働きをしていることも推測される。
前記特定の酸化性物質を添加した化成処理液での処理
によって緑青が形成した基材は、好適には乾燥を兼ねた
養生にまわされる。この養生では特に加熱する必要はな
く、通常、室温で2〜24時間行えば十分である。
このようにして、密着性の極めて優れた均一色調の緑
青を短時間で形成することができる。
続いて、本発明を実施例によって更に具体的に説明す
る。
〈実施例〉 実施例 1 まず、予め脱脂された銅板(360mm幅×360mm長×0.3m
m厚)を準備し、粒径#50〜#250のアランダム粉を用い
た空気圧1.5〜5kg/cm2(ゲージ圧)での吹付けブラスト
処理によって銅板表面の粗面化処理を行った。
次に、前記銅板粗化面に銅ワイヤーを用いて厚さ25μ
mの溶射膜(銅)を形成した。
なお、この時の溶射条件は 溶射方法:アーク溶射(メテコ社製の4RC型機を使
用), 溶射距離:150mm±80mm, 溶射ガン速度:40m/min, ピッチ:20〜30mm, 使用電圧:35V, 使用電流:50A, エアーギャップ:Fine, エアー圧:80psi(5.6kg/cm2), 銅ワイヤー:1.6mmφ×2本, であった。
次いで、前記銅溶射膜に“化成処理液である塩化第二
銅30重量%の水溶液の中に二酸化マンガン粉末を5重量
%添加した溶液”を刷毛で均一に塗布して反応層を生成
させた後、室温で8時間の乾燥を兼ねた養生を行った。
そして、“上述した本発明法により形成された緑青",
“30年以上経過した天然緑青",“市販品の人工緑青板”
及び“市販品の人工緑青スレート”につき、各緑青表面
の状態をSEM(走査型電子顕微鏡)にて観察した。
このSEM観察写真を第1乃至4図に示す。
第1乃至4図の比較によっても明らかなように、本発
明法により形成された緑青は形状及び粒子の大きさ等が
天然緑青と酷似するものであることが判る。
また、本発明法により形成された緑青は重厚な青味を
帯びた緑色の色調を呈しており、緑青被膜を指先でこす
っても全く剥離物を生ずることがなく、天然緑青と同等
以上に優れた密着性を有していることが確認された。
更に、X線回折による分析によって、本発明法により
形成された緑青は天然緑青の主成分である塩基性塩化第
二銅{CuCl2・3Cu(OH)}であることも確認された。
しかも、“本発明法により形成された緑青”及び“天
然緑青”の断面についてそれぞれSEM観察を行ったとこ
ろ、本発明法によるものは、第5図に示す如く、基材
(銅板)の粗化面に食い込んだ溶射膜のほぼ全断面が緑
青化して強固に基材と密着した構造となっている上、溶
射膜(緑青化したもの)中に微細な気孔の存在すること
が明確に認められ、第6図に示す天然緑青の場合と構
造,外観,緻密性等の点で極めて類似していることが判
った。
実施例 2 二酸化マンガンを添加する前の化成処理液として“食
塩(NaCl)10重量%と硫酸銅20重量%を含む水溶液”を
用いた以外は実施例1と同様の方法で緑青の形成を行っ
た。
このようにして得られた緑青被膜は、均一で剥離物の
全くない密着性の極めて優れたものであった。
これらの実施例以外にも、銅又は銅合金薄膜の形成に
溶射法以外の種々の方法と、公知の種々の化成処理液
(人工緑青発生液と呼ばれるものをも含む)に二酸化マ
ンガン,二酸化鉛,過マンガン酸塩,クロム酸塩及び/
又は重クロム酸塩,フリーの沃素を含有する沃素化合物
の1種又は2種以上を添加した処理液による処理とを様
々に組み合わせた試験により、何れも本発明法に従えは
前記実施例の場合とほぼ同様に良好な結果を得られるこ
とが確認された。
〈効果の総括〉 以上に説明した如く、この発明によれば、天然緑青と
ほぼ同じ重厚な色調を呈すると共に密着性の極めて優れ
た緑青をあらゆる種類の基材上に短時間に安定して形成
することができ、また格別に特殊な設備等を要すること
がないため現場施工も可能で、例えば緑青製品の補修等
への適用も容易である。従って、屋根材のみならず建築
内壁材や装飾品等の幅広い分野のおける創作物の概念拡
大に寄与し得るなど、産業上、社会生活上極めて有用な
効果がもたらされる。
【図面の簡単な説明】
第1図は、“本発明法により形成された緑青”表面の状
態を示した走査型電子顕微鏡による金属組織写真図(倍
率:約8000倍)である。 第2図は、30年以上経過した天然緑青表面の状態を示し
た走査型電子顕微鏡による金属組織写真図(倍率:約80
00倍)である。 第3図は、“市販品の人工緑青板”表面の状態を示した
走査型電子顕微鏡による金属組織写真図(倍率:約8000
倍)である。 第4図は、“市販品の人工緑青スレート”表面の状態を
示した走査型電子顕微鏡による金属組織写真図(倍率:
約8000倍)である。 第5図は、“本発明法により形成された緑青”の断面状
態を示した走査型電子顕微鏡による金属組織写真図(倍
率:約300倍)である。 第6図は、30年以上経過した天然緑青の断面状態を示し
た走査型電子顕微鏡による金属組織写真図(倍率:約36
0倍)である。

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】緑青を形成しようとする基材表面に銅又は
    銅合金から成る薄膜を形成した後、該薄膜を a)二酸化マンガン, b)二酸化鉛, c)過マンガン酸塩, d)クロム酸塩及び/又は重クロム酸塩, e)フリーの沃素を含有する沃素化合物 のうちの1種以上を添加した化成処理液で処理すること
    を特徴とする緑青の形成方法。
  2. 【請求項2】緑青を形成しようとする基材表面を粗面化
    し、その後で銅又は銅合金から成る薄膜を形成させる、
    請求項1に記載の緑青の形成方法。
  3. 【請求項3】銅又は銅合金から成る薄膜を溶射により形
    成させる、請求項1又は2に記載の緑青の形成方法。
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