JP2585416Y2 - ロールベーラ - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案はほ場の牧草・稲ワラ等を
拾い上げて円柱状に圧縮成形するロールベーラに係り、
特に、拾い上げ装置と圧縮成形室との間に切断装置を介
設したロールベーラの改良に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来より、ロールベーラは、ほ場の牧草
・稲ワラ等を拾い上げ、円柱状に圧縮成形する梱包機械
として知られており、近年、拾い上げ装置と圧縮成形室
との間に切断装置を介設したものが創案されている。

【０００３】即ち、図５に示されているように、この種
のロールベーラ１は、車輪２を具備した固定枠３と、こ
の固定枠３の上部に枢支され、油圧シリンダ装置４によ
り上方へ展開可能な可動枠５と、上記固定枠３及び可動
枠５内に円環状に配設された複数のローラ６と、これら
ローラ６によって区画形成された圧縮成形室７と、この
圧縮成形室７の前方下部に設けられた拾い上げ装置８
と、上記固定枠３から前方へと延出された牽引部材９
と、上記圧縮成形室７と拾い上げ装置８との間に設けら
れた切断装置１０とから主に構成されている。

【０００４】また、上記切断装置１０は、上記拾い上げ
装置８から圧縮成形室７への搬送路に突出した切断刃１
１と、この切断刃１１と咬合する複数の搬送フィンガ１
２を突設した搬送ロータ１３とから主に構成されてい
る。

【０００５】このロールベーラ１は、上記牽引部材９を
トラクタ（図示せず）に接続することによりこれに牽引
され、該トラクタからの動力によって上記拾い上げ装置
８，切断装置１０，ローラ６等が駆動されるものであ
る。そして、トラクタを走行させて上記ロールベーラ１
を牽引することにより、ほ場上の牧草・稲ワラ等が、先
ず、上記拾い上げ装置８にて拾い上げられ、次に、上記
切断装置１０を構成する切断刃１１と搬送フィンガ１２
との咬合により所定の長さに切断され、上記圧縮成形室
７へと搬送され、該圧縮成形室７で所定の大きさに圧縮
成形され、さらに、その外周面に紐等が巻き付けられた
後、上記可動枠５を上方へ展開して、完成したロールベ
ールＲを機外へ放出するようになっている。

【０００６】

【考案が解決しようとする課題】ところで、従来のロー
ルベーラ１において、上記切断装置１０は、上記拾い上
げ装置８で拾い上げられた牧草・稲ワラ等を、その周面
に搬送フィンガ１２を突設した搬送ロータ１３で、搬送
路に突出した切断刃１１に押し付け、この切断刃１１と
搬送フィンガ１２との咬合で切断して、上記圧縮成形室
７へ送り出すようになっている。

【０００７】また、図６に示すように、上記搬送フィン
ガ１２の根元で搬送ロータ１３に持ち回られ、この根元
位置では上記切断刃１１で切断され得ない牧草等は、そ
の先端を爪状に尖らせて形成したスクレーパ１４により
すくい上げられ、上記搬送フィンガ１２の先端に押しや
られることにより、上記切断刃１１に押し付けられて、
切断されるようになっている。

【０００８】さらに、上記搬送ロータ１３の両端では、
スクレーパ１４と略同形状を呈する端部用スクレーパ１
４ａを両側板１５にそれぞれボルトで固定して、上記ス
クレーパ１４と同様の機能を持たせている。しかし、搬
送ロータ１３の両端に位置された搬送フィンガ１２ａで
搬送される牧草等は、側方に側板１５が位置しているの
で、これとの接触抵抗により、該牧草等の側板側が上記
搬送ロータ１３の回転方向と略平行に折曲してしまう。
従って、端部用スクレーパ１４ａでは折曲した牧草等を
すくい上げることができず、該牧草等は切断されないま
ま、上記端部用スクレーパ１４ａの傾斜部とロータ本体
１３ａと搬送片１２ａとからなる空間Ｓを通過し、やが
て搬送フィンガ１２にからみ付き、搬送ロータ１３に巻
き付くことになる。

【０００９】そして、この搬送ロータ１３への牧草等の
巻き付きが次第に成長し、牧草等の圧縮成形室７への搬
送を妨げたり、或いは、巻き付いた牧草等と側板１５及
び端部用スクレーパ１４ａとの摩擦抵抗により、上記搬
送ロータ１３の駆動部に過負荷が作用するという問題が
あった。

【００１０】本考案の目的は、上記課題に鑑み、搬送ロ
ータ両端部への牧草等の巻き付きを防止して、牧草等の
圧縮成形室への搬送を円滑にすることができると共に、
搬送ロータの駆動部に過負荷が作用するのを防止するこ
とができるロールベーラを提供することにある。

【００１１】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成すべく本
考案に係るロールベーラは、ほ場の牧草等を拾い上げる
拾い上げ装置と、その牧草等を円柱状に圧縮成形する圧
縮成形室との間に、上記拾い上げ装置から圧縮成形室へ
の搬送路に突出した切断刃と、この切断刃と咬合する複
数の搬送フィンガを突設した搬送ロータと、この搬送ロ
ータへの牧草等の巻き付きを防止するスクレーパとを具
備する切断装置を介設したロールベーラにおいて、上記
搬送ロータのロータ本体の両端部近傍に、その側面形状
が略半三日月状を呈し、その先端部の平面形状が平先形
状を呈する端部用スクレーパを、上記ロータ本体の周面
にその先端部を近接させて設けたものである。

【００１２】

【作用】上記切断装置は、上記拾い上げ装置で拾い上げ
られた牧草等を、その周面に搬送フィンガを突設した搬
送ロータで、搬送路に突出した切断刃に押し付け、この
切断刃と搬送フィンガとの咬合で切断して、上記圧縮成
形室に送り出す。このとき、スクレーパは、上記搬送フ
ィンガの根元で搬送ロータに持ち回られ、この根元位置
では上記切断刃で切断され得ない牧草等を、その尖った
先端ですくい上げ、上記搬送フィンガの先端に押しやる
ことにより、上記切断刃に押し付けて、切断させ、且
つ、切断された牧草等を搬送フィンガから引き離し、搬
送ロータへの巻き付きを防止するものである。

【００１３】また、上記搬送ロータのロータ本体の両端
部近傍に設けられた端部用スクレーパの先端部は、その
側面形状が先が尖った略半三日月状を呈しており、その
先端部の平面形状が平先形状を呈している。さらに、そ
の先端部は、上記搬送ロータのロータ本体の周面に近接
されている。従って、端部用スクレーパの先端部と上記
搬送ロータのロータ本体の周面との隙間が、平先幅に亘
って極めて小さくなり、これにより回転方向と略同一方
向に方向転換した牧草等をもすくい上げられ、圧縮成形
室へと送り込まれることになる。

【００１４】

【実施例】以下、本考案に係るロールベーラの好適一実
施例を添付図面に基づいて詳述する。本実施例のロール
ベーラの側断面図は、図５に示した従来のロールベーラ
と略同一外観を呈しており、その切断装置の構成に特徴
を有している。

【００１５】図１は本実施例のロールベーラにおける切
断装置を示す側断面図であり、図２は本実施例における
切断装置を一部破断し中央部を省略した状態を示す平面
図である。

【００１６】本実施例のロールベーラ２０の切断装置２
１には、搬送ロータ２２が具備されており、その円筒状
のロータ本体２２ａの周面上には、複数の搬送フィンガ
２３が突設されている。この搬送フィンガ２３は、それ
ぞれ対の搬送片２３ａ，２３ｂからなっており、上記ロ
ータ本体２２ａの長手方向に等間隔に、且つ、左右対称
の螺旋状に二条ずつ配設されている。この搬送ロータ２
２の両端は、両側板２４ａ，２４ｂに支持固定された軸
受２５に回転自在に支承されている。そして、この搬送
ロータ２２の一端の支軸にはスプロケット２６が固定さ
れており、該スプロケット２６をチェーン駆動すること
により、上記搬送ロータ２２は矢印Ｂの方向に回転する
ようになっている。

【００１７】また、上記搬送ロータ２２の下方には、該
搬送ロータ２２が牧草等を圧縮成形室（図示せず）へ送
り込む際に、これを案内する底板２７が設けられてい
る。即ち、この底板２７は、上記搬送ロータ２２の下部
から圧縮成形室入口２８へ向けて張設されており、上記
両側板２４ａ，２４ｂに固定されている。

【００１８】さらに、本実施例のロールベーラ２０の切
断装置２１には、切断刃２９が具備されている。この切
断刃２９は、上記搬送ロータ２２のロータ本体２２ａの
周面上に突設した搬送フィンガ２３を構成する対の搬送
片２３ａと搬送片２３ｂとの間に位置されるようになっ
ている。即ち、これら搬送フィンガ２３と切断刃２９と
が咬合することにより、拾い上げ装置（図示せず）にて
拾い上げられた牧草等が切断されるようになっている。
上記切断刃２９は、上記ロータ本体２２ａの長手方向
に、搬送フィンガ２３と同ピッチで配設されている。ま
た、この切断刃２９は、通常作業時には、上記底板２７
に形成されたスリット２７ａを通過して、上記搬送ロー
タ２２下部から圧縮成形室入口２８への搬送路に突出し
ている。

【００１９】そして、この切断刃２９には、これを切断
位置に付勢するためのコイルスプリング３０が具備され
ている。このコイルスプリング３０の一端は、ブラケッ
ト３１の一端に設けた軸３２に係合されている。このブ
ラケット３１は、両側板２４ａ，２４ｂに支持された軸
３３に回動自在に設けられている。さらに、該ブラケッ
ト３１は、上記ロータ本体２２ａの長手方向に、上記切
断刃２９と同ピッチで複数配設されている。他方、上記
コイルスプリング３０の他端は、両側板２４ａ，２４ｂ
に掛け亘された杆３４に固定されたブラケット３５に、
穴付きボルト３６とナット３７とによって張架されてい
る。尚、上記杆３４及びブラケット３５の両端は、両側
板２４ａ，２４ｂに固定されている。

【００２０】また、上記切断刃２９の基端部には溝部２
９ａが形成されており、この溝部２９ａは両側板２４
ａ，２４ｂに支持された軸３８に回動自在に枢支されて
いる。さらに、この切断刃２９の背部２９ｂには溝部２
９ｃが形成されており、この溝部２９ｃは上記ブラケッ
ト３１に挿通した軸３２に軸支された溝付きローラ３９
に係合されている。

【００２１】さらに、この切断刃２９とコイルスプリン
グ３０とは、これらを一組として、上記ブラケット３１
に取り付けられており、上記搬送ロータ２２の過負荷時
には、上記切断刃２９はコイルスプリング３０の付勢力
に抗して、図１において、軸３８を中心に反時計回りに
回動して逃げる構造になっている。

【００２２】そして、上記搬送ロータ２２のロータ本体
２２ａ周面上に突設した搬送フィンガ２３と相隣接する
搬送フィンガ２３との間には、上記ロータ本体２２ａ周
面上へ向けてスクレーパ４０が設けられており、該スク
レーパ４０は上記ロータ本体２２ａの長手方向に沿って
等間隔に複数設けられている。各スクレーパ４０は、図
１に示すように側面形状が略半三日月状を呈しており、
且つ、図２に示すように平面形状が三角状に尖った形状
を呈している。これらスクレーパ４０は、その先端部４
０ａを搬送ロータ２２のロータ本体２２ａ周面上に近接
させ、又、略Ｒ形状をなした背側部４０ｂを上記圧縮成
形室入口２８へ向けて位置する状態で、保持部材４１の
先端部に固定されている。この保持部材４１の基部は、
両側板２４ａ，２４ｂに支持された杆４２に固定された
ブラケット４３に、ボルト４４を締結することにより固
定されている。この保持部材４１の基部に形成されたボ
ルト孔（図示せず）は長孔になっており、該保持部材４
１を前後に調節することにより、上記スクレーパ４０の
先端部４０ａと搬送ロータ２２のロータ本体２２ａ周面
との隙間が調節できるようになっている。

【００２３】また、上記搬送ロータ２２の両端の搬送フ
ィンガ２３と両側板２４ａ，２４ｂとの間には、端部用
スクレーパ４５，４６が設けられている。ここで、図３
は本実施例における搬送ロータ端部の側板に固定された
端部用スクレーパを示す斜視図であり、図４は本実施例
における端部用スクレーパを示す側面図である。即ち、
これら端部用スクレーパ４５は、図４に示すように、そ
の側面形状が上記スクレーパ４０と略同形状を呈してお
り、且つ、その先端部４５ａは上記搬送ロータ２２のロ
ータ本体２２ａ周面に対し、その先４５ｃをより接近さ
せ、その上部４５ｄでは先４５ｃに比して、上記ロータ
本体２２ａ周面との隙間を大きく設定している。他方、
この端部用スクレーパ４５の平面形状は上記スクレーパ
４０と相違し、上記ロータ本体２２ａ周面に沿った直状
の平先を呈している。

【００２４】他端の端部用スクレーパ４６は、上記端部
用スクレーパ４５と対称な形状を呈している。これら端
部用スクレーパ４５，４６は、そのボルト孔４７に両側
板２４ａ，２４ｂからボルト４８を締結することにより
固定されている。また、両側板２４ａ，２４ｂに穿設さ
れたボルト孔（図示せず）を長孔に形成することによ
り、端部用スクレーパ４５，４６の取付位置の調節を可
能にすることで、これら端部用スクレーパ４５，４６の
先端と搬送ロータ２２のロータ本体２２ａ周面との隙間
が調節できるようになっている。尚、スクレーパ４０及
び端部用スクレーパ４５，４６は、図１に示した上部ロ
ーラ４９の外周面に、その上部を延出させて設けるよう
にしても良い。

【００２５】次に、上記実施例における作用を述べる。
本実施例のロールベーラ２０はトラクタ（図示せず）に
牽引され、図１に示したように、搬送ロータ２２が矢印
Ｂの方向に回転する。上記拾い上げ装置により拾い上げ
られた牧草・稲ワラ等は、この搬送ロータ２２の回転に
より、上記搬送路内に突出している切断刃２９に押し付
けられ、この切断刃２９と搬送フィンガ２３とが咬合す
ることにより切断され、圧縮成形室へと送り込まれる。

【００２６】このとき、上記スクレーパ４０は、搬送ロ
ータ２２に突設された搬送フィンガ２３の根元で搬送さ
れ、この根元位置では、切断刃２９で切断され得ない牧
草等をすくい上げ、搬送フィンガ２３の先端に押しや
り、切断刃２９に押し付けて切断させ、且つ、切断され
た牧草等を搬送フィンガ２３から引き離し、搬送ロータ
２２への牧草等の巻き付きが防止される。

【００２７】他方、両側板２４ａ，２４ｂに固定された
端部用スクレーパ４５（４６）の先端４５ａは、その側
面形状が先の尖った略半三日月状を呈しており、その先
端部４５ａの平面形状が平先形状を呈している。さら
に、この先端部４５ａの先４５ｃは、上記搬送ロータ２
２端部に設けられた搬送片２３ａ，２３ｂと側板２４
ａ，２４ｂとの間において、上記搬送ロータ２２のロー
タ本体２２ａの周面に近接されている。従って、端部用
スクレーパ４５の先４５ｃと上記搬送ロータ２２のロー
タ本体２２ａの周面との隙間が、平先幅に亘って極めて
小さくなり、これにより回転方向と略同一方向に方向転
換した牧草等をもすくい上げ、圧縮成形室へと送り込む
ことができる。

【００２８】このように本実施例にあっては、上記搬送
ロータ２２の全域に亘って牧草等の巻き付きが防止され
るので、拾い上げ装置から圧縮成形室への牧草等の搬送
を円滑にすることができ、又、上記搬送ロータ２２の駆
動部に過負荷が作用するのを防止することができるもの
である。

【００２９】

【考案の効果】以上述べたように、本考案に係るロール
ベーラによれば、搬送ロータ両端部への牧草等の巻き付
きを防止して、牧草等の圧縮成形室への搬送を円滑にす
ることができると共に、搬送ロータの駆動部に過負荷が
作用するのを防止することができるという優れた効果を
発揮する。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案に係るロールベーラの一実施例における
切断装置を示す側断面図である。

【図２】本実施例における切断装置を一部破断し中央部
を省略した状態を示す平面図である。

【図３】本実施例における搬送ロータ端部の側板に固定
された端部用スクレーパを示す斜視図である。

【図４】本実施例における端部用スクレーパを示す側面
図である。

【図５】従来の切断装置を介設したロールベーラを示す
側断面図である。

【図６】従来の搬送ロータ端部の側板に固定された端部
用スクレーパを示す斜視図である。

【符号の説明】

２０ ロールベーラ ２１ 切断装置 ２２ 搬送ロータ ２２ａ ロータ本体 ２３ 搬送フィンガ ２９ 切断刃 ４０ スクレーパ ４５ 端部用スクレーパ ４５ａ 端部用スクレーパの先端部

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.⁶，ＤＢ名) A01F 15/00 - 15/18 A01D 90/06

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 ほ場の草を拾い上げる拾い上げ装置と、
   該草を円柱状に圧縮成形する圧縮成形室との間に、上記
   拾い上げ装置から圧縮成形室への搬送路に突出した切断
   刃と、該切断刃と咬合する複数の搬送フィンガを突設し
   た搬送ロータと、該搬送ロータへの草の巻き付きを防止
   するスクレーパとを具備する切断装置を介設したロール
   ベーラにおいて、上記搬送ロータのロータ本体の両端部
   近傍に、その側面形状が先端部が尖った略半三日月状を
   呈し、その先端部の平面形状が平先形状を呈する端部用
   スクレーパを、上記ロータ本体の周面にその先端部を近
   接させて設けたことを特徴とするロールベーラ。