JP2572698B2 - 高速船の衝突予防援助装置 - Google Patents

高速船の衝突予防援助装置

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JP2572698B2
JP2572698B2 JP4139924A JP13992492A JP2572698B2 JP 2572698 B2 JP2572698 B2 JP 2572698B2 JP 4139924 A JP4139924 A JP 4139924A JP 13992492 A JP13992492 A JP 13992492A JP 2572698 B2 JP2572698 B2 JP 2572698B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、高速船の衝突予防援助
装置に関し、特に鯨類や海上浮遊物に対する探知と威嚇
とを可能にしそれらの位置及び方向を表示可能にしたも
のに関する。
【0002】
【従来の技術】最近、特公昭53−37636号公報に
記載されているような高速水中翼船が実用化されてお
り、近海航路に就航しているが、45ノットもの高速で
翼走する関係上、海上浮遊物或いはイルカや鯨などの大
型海洋生物と衝突したときに、翼やストラットに大きな
衝撃力が作用する。そして、前記水中翼船の前部ストラ
ット回動機構及び後部ストラット回動機構には、大きな
衝撃力が作用したときに衝撃を吸収して乗客・乗員や船
体の損傷を防止する為の衝撃吸収装置が設けられてお
り、浮遊物等の衝突時には衝撃吸収装置のショックアブ
ソーバーが伸長し、前部ストラット又は後部ストラット
が後方へ回動し、前部翼または後部翼の仰角がマイナス
となって水中翼船は緊急着水するようになっている(特
開平3−57791号公報参照)。
【0003】一方、特公昭58−14167号公報に
は、漁場の魚類保護の為、海中に10kHz〜100k
Hzの周波数でイルカ類の可聴しきい値より約100d
B以上高い音圧の超音波を放射してイルカ類を威嚇する
技術が記載されている。また、特開平3−57791号
公報には、水中翼船の進行方向前方の海中に向けて約1
00〜120mの前方の海中でイルカや鯨が忌避する1
20〜130dBの音圧となる100kHz以下の周波
数の指向性を有する超音波を発振するようにした水中翼
船のイルカ・鯨類衝突予防装置が記載されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】前記前者の公報の技術
は、イルカを威嚇する技術であり、また後者の公報の技
術は、鯨類を探知する技術である。このように、従来の
ものは、イルカや鯨類に対して探知する探知機能と威嚇
する威嚇機能との何れか一方の機能しか備えていないた
め、仮に、高速船が進路前方にイルカや鯨類を探知して
も、短時間に避航動作するのに量的かつ質的に十分な情
(特に、自船の進行方向に対するイルカや鯨類の方
向)を入手できないという問題があった。例えば、イル
カや鯨類が高速船の前方を左舷方向へ移動中のときに高
速船が左舷方向へ避航動作すれば、衝突の可能性があ
る。
【0005】しかも、従来の装置では、基本的に、一度
に単一周波数の超音波を連続的に発生させる構成であっ
たので、その超音波でイルカや鯨類の聴覚が麻痺すると
威嚇効果が低減するという問題もあった。更に、後者の
公報の装置では、超音波発振器と、超音波受信器とを独
立に構成していたため、設置スペースが増加し、高速船
の抵抗増加原因になるという問題もあった。本発明の目
的は、鯨類に対する優れた探知機能と優れた威嚇機能と
を有する高速船の衝突予防援助装置を提供することであ
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】請求項1の高速船の衝突
予防援助装置は、高速船の没水部分に設けられ、高速船
の進行方向前方の正船首方向の海中に向けて100kH
z以下の超音波を送波し且つその超音波の反射波であっ
て進行方向前方の鯨類や海上浮遊物で反射してきた反射
を受波する第1送受波器と、前記第1送受波器を駆動
する駆動部と第1送受波器からの信号を受信する受信部
とを含む第1送受信手段と、前記高速船の没水部分に設
けられ、高速船の進行方向前方の正船首方向に対して左
舷側又は右舷側へ所定小角度傾いた方向の海中に向け
て、第1送受波器から送波する超音波の約2倍の100
kHz以下の周波数で前記所定小角度の約2倍の半減角
超音波を送波し且つその超音波の反射波であって進行
方向前方の鯨類や海上浮遊物で反射してきた反射波を受
波する第2送受波器と、前記第2送受波器を駆動する駆
動部と第2送受波器からの信号を受信する受信部とを含
む第2送受信手段と、前記第1,第2送受波器から超音
波を断続的に送波するように第1,第2送受信手段の駆
動部を制御する送波制御手段と、前記第1第2送受信
手段の受信部の出力を受けて、高速船の前方の鯨類や海
上浮遊物とその位置及び方向を検知して表示する表示手
段と備えたものである。
【0007】請求項2の高速船の衝突予防援助装置は、
請求項1の装置において、前記高速船が、前部翼及びこ
れを支持する前部ストラットと、後部翼及びこれを支持
する後部ストラットとを有する水中翼船であり、前記第
1送受波器と第2送受波器とが前部ストラットの下部又
は前部翼に設けられたものである。
【0008】
【0009】請求項の高速船の衝突予防援助装置は、
高速船の没水部分に設けられ、高速船の進行方向前方の
正船首方向の海中に向けて100kHz以下の超音波
波する第1送波器と、前記第1送波器から発振された
超音波の反射波であって進行方向前方の鯨類や海上浮遊
物で反射してきた反射波を受波する第1受波器と、前記
第1送波器を駆動する駆動部と第1受波器からの信号を
受信する受信部とを含む第1送受信手段と、前記高速船
の没水部分に設けられ、高速船の進行方向前方の正船首
方向に対して左舷側又は右舷側へ所定小角度傾いた方向
の海中に向けて、第1送波器から送波する超音波の約2
倍の100kHz以下の周波数で前記所定小角度の約2
倍の半減角の超音波送波する第2送波器と、前記第2
送波器から発振された超音波の反射波であって進行方向
前方の鯨類や海上浮遊物で反射してきた反射波を受波す
る第2受波器と、前記第2送波器を駆動する駆動部と第
2受波器からの信号を受信する受信部とを含む第2送受
手段と、前記第1,第2送波器から超音波を断続的に
送波するように第1,第2送受信手段の駆動部を制御す
る送波制御手段と、前記第1第2送受信手段の受信部
の出力を受けて、高速船の前方の鯨類や海上浮遊物とそ
位置及び方向を検知して表示する表示手段と備えた
ものである。
【0010】
【作用】請求項1の高速船の衝突予防援助装置において
は、第1送受波器は、第1送受信手段で駆動されるとと
もに送波制御手段で制御され、高速船の進行方向前方の
正船首方向の海中に向けて100kHz以下の超音波を
断続的に送波する。その超音波の断続の断期間の間に、
この第1送受波器は前方からの超音波の反射波を受信し
てその信号を第1送受信手段へ出力するが、高速船の前
方に鯨類や海上浮遊物がないときには超音波の反射波は
受信されない。同様に、第2送受波器は、第2送受信
で駆動されるとともに送波制御手段で制御され、高速
船の進行方向前方の正船首方向に対して左舷側又は右舷
側へ所定小角度傾いた方向の海中に向けて、第1送受波
器から送波する超音波の約2倍の周波数で前記所定小角
度の約2倍の半減角の超音波を断続的に送波する。その
超音波の断続の断期間の間に、この第2送受波器は前方
からの超音波の反射波を受信してその信号を第2送受信
手段へ出力するが、高速船の前方に鯨類や海上浮遊物が
ないときには超音波の反射波は受信されない。
【0011】前記送波制御手段は、第1,第2送波器か
ら超音波を断続的に送波するように第1,第2送受信手
段の駆動部を制御する。前記表示手段は、第1第2送
受信手段の受信部の出力を受けて、高速船の前方の鯨類
や海上浮遊物とその位置及び方向を検知して表示する。
従って、第1送受波器から100kHz以下の超音波を
送波し、第2送受波器から、第1送受波器から送波する
超音波の約2倍の100kHz以下の超音波であって前
記所定小角度の約2倍の半減角の超音波を送波するよう
に構成したので、第1送受波器と第2送受波器による受
信信号から、高速船の前方の鯨類や海上浮遊物とその
置及び方向を検知して表示手段に表示でき、適切な避航
動作が可能になる。また、第1送受波器と第2送受波器
を夫々送波器と受波器とを兼用する構成としたため、設
置スペースと製作コスト的に有利である。前記第1送受
波器と第2送受波器から超音波を断続的に発振するた
め、超音波により鯨類の聴覚が麻痺することがなく、威
嚇効果が高まる。
【0012】請求項2の高速船の衝突予防援助装置にお
いては、前記高速船が、前部翼及びこれを支持する前部
ストラットと、後部翼及びこれを支持する後部ストラッ
トとを有する水中翼船であり、前記第1送受波器と第2
送受波器とを前部ストラットの下部又は前部翼にコンパ
クトに設けて、水中翼船の抵抗増加を防ぐことが出来
る。
【0013】
【0014】請求項の高速船の衝突予防援助装置にお
いては、第1送波器と第1受波器とが独立に構成され、
また第2送波器と第2受波器とが独立に構成された点で
請求項1と異なるのみで、基本的に請求項1と同様の作
用が得られるが、設置スペースと製作コスト面での有利
性はなくなっている。
【0015】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば次
の効果が得られる。請求項1の高速船の衝突予防援助装
置によれば、第1,第2送受波器、第1,第2送受信手
段と、送波制御手段と、表示手段とを設け、正船首方向
へ100kHz以下の超音波を送波するとともに、正船
首方向に対して所定小角度だけ左舷側又は右舷側へ傾け
て前記超音波の約2倍の100kHz以下の周波数で前
記所定小角度の約2倍の半減角の超音波を送波し、それ
ら超音波の反射波から高速船の前方の鯨類や海上浮遊物
とその位置及び方向を検知して表示するように構成した
ので、鯨類や海上浮遊物とその位置及び方向(左舷側か
右舷側か)に基づいて迅速に且つ適切に避航動作するこ
とが可能になる。 しかも、第1送受波器からの超音波で
正船首方向に対する左舷側と右舷側とが検知され、第2
送受波器からの超音波で正船首方向に対する左舷側又は
右舷側が検知されるので、左舷側又は右舷側を2重に検
知できるため、鯨類や海上浮遊物を検知する信頼性も高
くなる。更に、第1送受波器と第2送受波器が夫々送波
器と受波器とを兼用する構成としたため、設置スペース
と製作コスト的に有利である。しかも、前記第1送受波
器と第2送受波器から超音波を断続的に発振するため、
超音波により鯨類の聴覚が麻痺することがなく、威嚇効
果が高まる。
【0016】請求項2の高速船の衝突予防援助装置によ
れば、前記高速船である水中翼船の前部ストラットの下
部又は前部翼に、前記第1送受波器と第2送受波器とを
コンパクトに設けて、水中翼船の抵抗増加を防ぐことが
出来る。
【0017】
【0018】請求項の高速船の衝突予防援助装置によ
れば、第1送波器と第1受波器とが独立に構成され、ま
た第2送波器と第2受波器とが独立に構成された点で請
求項1と異なるのみで、基本的に請求項1と同様の効果
が得られるが、設置スペースと製作コスト面での有利性
はなくなっている。
【0019】
【実施例】以下、本発明の実施例について図面に基いて
説明する。本実施例は、通称ジェットフォイルと称する
高速の水中翼船に本発明を適用した場合の一例である。
図1、図2に示すように、水中翼船JFの船体10の船
首部の下部中央には翼形断面のラダーを兼ねる前部スト
ラット12がその上端部において鉛直軸回り及び左右方
向水平軸回りに回動可能に設けられ、前部ストラット1
2の下端のセンターポッド部12Aには前部翼13が設
けられ、前部翼13の後縁部には前部フラップ14が設
けられている。翼走時に前部ストラット12は図示のよ
うに鉛直に下方へ伸張され、艇走時には矢印11方向へ
回動して前方へ水平に起される。
【0020】船体10の船尾部の下部には、左右1対の
翼形断面の後部ストラット22がその上端部において左
右方向の水平枢支ピン21を介して回動可能に設けら
れ、左右の後部ストラット22の中間位置にはセンター
ストラット23がその上端において左右方向の水平枢支
ピンを介して回動可能に設けられ、左舷後部ストラット
22と右舷後部ストラット22の下端部同士に亙って後
部翼24が設けられ、後部翼24はセンターストラット
23の下端部にも固着されている。
【0021】上記後部翼24の後縁部には左舷側2枚及
び右舷側2枚計4枚の後部フラップが設けられている。
但し、通常の場合各舷の内側後部フラップと外側後部フ
ラップとは同期作動される。上記センターストラット2
3及びその上端近傍の船体底部とに亙ってウォータジェ
ット方式の推進装置(図示略)が設けられている。但
し、これに代えてプロペラ方式の推進装置を設けること
も可能である。翼走時に後部ストラット22及びセンタ
ーストラット23は図示のように鉛直に下方へ伸張さ
れ、艇走時に矢印25方向へ回動して後方へ水平に起さ
れる。
【0022】前部フラップ14と左舷内側後部フラップ
と左舷外側後部フラップと右舷内側後部フラップと右舷
外側後部フラップとを夫々回動駆動する油圧式アクチュ
エータが設けられ、また前部ストラット12を鉛直軸回
りに回動駆動する油圧式アクチュエータが設けられ、更
に前部ストラット12を水平軸回りに前方へ回動駆動す
る油圧式アクチュエータ及び後部ストラット22及びセ
ンターストラット23を枢支軸21回りに回動駆動する
油圧式アクチュエータも設けられている。
【0023】更に、この水中翼船JFは、45ノットも
の高速で航行するので、翼走時に海上の浮遊物(材木、
ボンベ、ドラム缶など)やイルカや鯨などが前部ストラ
ット12又は後部ストラット22に衝突したときに、船
体10に作用する衝撃を緩和する為、前部ストラット1
2の上端部と船体10とに亙って衝撃吸収機構(図示
略)が設けられ、後部ストラット22の上端部と船体1
0とに亙って衝撃吸収機構(図示略)が設けられている
が、衝突時に前部ストラット12や後部ストラット22
・22が後方へ回動し、前部翼13や後部翼24の迎え
角がマイナスとなるので水中翼船JFは緊急着水する。
【0024】この緊急着水時に乗客や乗員に大きな慣性
力が作用するので好ましくなく、衝撃吸収機構の一部の
部品も損耗するので前部ストラット12または後部スト
ラット22を正規の立向き姿勢に応急的に復旧するのに
相当の時間がかかる。そこで、この水中翼船JFには、
以下に説明するような海上の浮遊物や鯨類との衝突を予
防する為に、これらを検知し且つ鯨類を威嚇する衝突予
防援助装置が設けられている。
【0025】上記衝突予防援助装置は、図2〜図4に示
すように前部ストラット12の下端のセンターポッド1
2Aの前端部から、進行方向前方の正船首方向へ向けて
指向性を有する鯨類が忌避する100kHz以下の周波
数の超音波(本実施例では、約20kHz)を海中へ発
振してその反射超音波を受信し、またセンターポッド1
2Aの前端部から、進行方向前方の正船首方向から右舷
側へ、角度α(例えば、α=6度)傾けた方向へ向けて
鯨類が忌避する指向性を有する超音波(本実施例では、
約50kHz)を海中へ発振してその反射超音波を受信
し、それらの受信信号から海上の浮遊物や鯨類を検知
し、その距離と方向(右舷前方方向、左舷前方方向)を
表示装置に表示するものであり、その表示に基いて衝突
を回避方向へ水中翼船JFを避航操船することが出来
る。
【0026】この衝突予防援助装置の構成について、図
5〜図9に基いて説明する。図7、図8に示すように、
この衝突予防援助装置は、コントロール兼ディスプレイ
ユニット30と、トランシーバユニット31と、ブース
タユニット32と、第1送受波器33及び第2送受波器
34とを備え、インタロックユニット35も設けられて
いる。
【0027】前記第1送受波器33及び第2送受波器3
4は、図5、図6に示すように、前記センターポッド1
2Aの合成樹脂製のケース12a内に配設され、第1送
受波器33は、ケース12a内の後部の上段部にまた第
2送受波器34はケース12a内の中央部の下段部に夫
々配置され、第1送受波器33は、正船首方向(船体中
心の延長前方方向)へ約20kHzの超音波を発振し且
つその反射超音波を受信するものであり、第2送受波器
34は、正船首方向から右舷側へ6度傾けた前方の方向
へ約50kHzの超音波を発振し且つその反射超音波を
受信するものである。前記ケース12a内には空気の侵
入を防止する為に水が充填されている。
【0028】前記第1送受波器33は、例えば磁歪素子
からなる超音波発振部を備え、その振動板は約20kH
zの超音波の発振用に設定され、その出力は数kWであ
る。前記第2送受波器34は、同様に超音波発振部を備
え、その振動板は約50kHzの超音波の発振用に設定
され、その出力は数kWである。尚、第1及び第2送受
波器に備える超音波発振部の素子は、他の種類のもので
もよい。前記トランシーバユニット31は、第1送受信
器31aと第2送受信器31bとからなり、これらはコ
ントロール兼ディスプレイユニット30からの制御信号
で作動する。
【0029】前記ブースタユニット32は、第1ブース
タ部32aと第2ブースタ部32bとからなり、第1ブ
ースタ部32aは、第1送受信器31aから供給される
発振信号を増幅するためのものであり、その発振信号を
増幅した駆動信号を第1送受波器33へ出力する。同様
に、第2ブースタ部32bは、第2送受信器31bから
供給される発振信号を増幅するためのものであり、その
発振信号を増幅した駆動信号を第2送受波器34へ出力
する。
【0030】第1送受波器33で受信した受信信号は、
第1ブースタ部32aを通過して第1送受信器31aへ
供給され、この第1送受信器31aにおいて24.3k
Hzの付近の周波数の信号のみ濾波してコントロール兼
ディスプレイユニット30へ出力され、同様に、第2送
受波器34で受信した受信信号は、第2ブースタ部32
bを通過して第2送受信器31bへ供給され、この第2
送受信器31bにおいて50kHzの付近の周波数の信
号のみ濾波してコントロール兼ディスプレイユニット3
0へ出力される。
【0031】前記コントロール兼ディスプレイユニット
30は、CRTディスプレイ30Aと、ディスプレイコ
ントローラと、コンピュータと、D/A変換器及びA/
D変換器、操作パネル30B等で構成されている。前記
コンピュータには、操作パネル30Bからの設定信号
と、インタロックユニット35からのインタロック信号
に基いてトランシーバユニット31を制御する制御プロ
グラムと受信制御の制御プログラムとCRTディスプレ
イ30Aを制御する制御プログラムが予め入力格納され
ている。
【0032】前記操作パネル30Bには、少なくとも、
起動スイッチ、第1及び第2送受波器33、34から断
続的に発振する超音波の発振期間T1と周期T2を設定
するスイッチ類(図9参照)、海上浮遊物や鯨類を検知
する検知対象範囲の距離レンジを設定するスイッチ、等
が設けられている。前記ディスプレイ30Aの画面に
は、自船の前方の海上浮遊物や鯨類が例えば1つの3角
印37で表示され、距離レンジを200mに設定した場
合には、画面の上端が0m位置(自船位置)、下端が自
船の前方200m位置に対応する。そして、画面の左半
分は、第1送受波器33で受信した海上浮遊物や鯨類を
表示し、また画面の右半分は、第2送受波器34で受信
した海上浮遊物や鯨類を表示するように構成してある。
【0033】それ故、例えば鯨類が、進路前方約130
mの位置で正船首方向に対して右側であって正船首方向
から大きく外れていない位置にいる場合には、第1及び
第2送受波器33、34の両方で反射超音波を受信する
ため、図8に実線で図示のように3角印37が画面の中
心線上の対応する距離の位置に表示される。その後、表
示は画面の左端、右端の方向へ更新され、このとき鯨類
が左方へ移動し、第1送受波器33のみで受信したとき
には、画面の左半分に表示され、鯨類の自船からの距離
に応じて図示のように前記3角印37が3角印37aの
位置に移り、その後、3角印37b、3角印37eの順
に表示される。これに対して、鯨類が右方へ移動し、第
1及び第2送受波器33、34で受信したときには、両
画面に表示され、鯨類の自船からの距離に応じて図示の
ように前記3角印37が3角印37a、37cの位置に
移り、その後、3角印37b、37d、3角印37eの
順に表示される。
【0034】このコントロール兼ディスプレイユニット
30は、操舵室に設置されていて、オペレータが常時デ
ィスプレイ30Aの画面を監視し、その表示に基いて前
方の海上浮遊物や鯨類についての情報を操船者に連絡
し、操船者は必要な避航操船を行うことで、水中翼船J
Fがその海上浮遊物や鯨類と衝突するのを予防する。前
記インタロックユニット35について説明すると、この
水中翼船JFには、船首部の海面に上方から微弱な超音
波を発振してその反射超音波から海面レベルを検出する
海面レベル検出装置とその制御ユニット36が設けられ
ているが、この海面レベル検出装置で検出中に第1及び
第2送受波器33、34からの超音波の発振を禁止する
為に、海面レベル検出の開始と終了時に制御ユニット3
6から信号がインタロックユニット35に出力され、イ
ンタロックユニット35からコントロールユニット30
にインタロック信号が供給される。
【0035】前記第1及び第2送受波器33、34から
断続的に発振する超音波の発振パターンについて、図9
により説明すると、第1送受波器33と第2送受波器3
4から断続的に発振する超音波の発振期間T1と周期T
2は、進路前方の何mまでを検知対象とするかの距離レ
ンジとの関連において、所定の値に設定される。
【0036】次に、以上説明した衝突予防援助装置の作
用について説明する。水中翼船JFが翼走状態のときに
は、常時衝突予防援助装置が作動し、コントロール兼デ
ィスプレイユニット30から第1及び第2送受信器31
a、31bへ、夫々図9のようなパターンにて数mse
cずつ制御信号が供給され、第1送受波器33から約2
0kHzの超音波が断続的に発振され、また第2送受波
器34から約50kHzの超音波が断続的に発振され
る。進路前方の海上浮遊物又は鯨類で反射した超音波の
うち、約20kHzの超音波の反射波は、第1送受波器
33で受信され、その受信信号が第1送受信器31aか
らコントロール兼ディスプレイユニット30へ供給さ
れ、また約50kHzの超音波の反射波は、第2送受波
器34で受信され、その受信信号が第2送受信器31b
からコントロールユニット30へ供給される。
【0037】コントロールユニット30においては、そ
れらの受信信号のデータを解析処理して、海上浮遊物又
は鯨類までの距離と左右方向位置(左側か右側かの概略
位置)を演算し、その結果を前述のようにディスプレイ
30Aの画面に表示する。但し、進路前方に海上浮遊物
又は鯨類等の比較的大型の障害物が存在しないときに
は、超音波の反射波が受信されないから、3角印37が
表示されない。前記ディスプレイ30Aの表示に基いて
障害物までの距離と方向とを判断し、その障害物との衝
突を回避するように避航操船することができる。ここ
で、第1及び第2送受波器33、34を夫々送波器と受
波器とを一体化した構成としたので、前記比較的小型の
センターポット12A内にコンパクトに配設でき、推進
抵抗の増加を招くこともなく、また第1及び第2送受波
器33、34の製作費を低減できる。
【0038】第1送受波器33を正船首方向へ向け、ま
た第2送受波器34を正船首方向から所定角度右側へ傾
けた方向に向け、第1送受波器33と第2送受波器34
から異なる周波数の超音波を発振するように構成したの
で、海上浮遊物又は鯨類の左右方向位置(船体中心線に
対して、左側か右側かの位置)を検知して、適切な避航
を行うことが出来る。第1及び第2送受波器33、34
から超音波を仮に連続的に発振する場合には、鯨類の聴
覚の麻痺により威嚇効果が低減することがあるが、超音
波を断続的に発振するため威嚇効果を高めることができ
る。
【0039】尚、前記例では、約20kHzと約50k
Hzの超音波を発振するように構成したが、これらの周
波数に限定されず、鯨を威嚇できる100kHz以下の
2つの異なる周波数の超音波を発振するように構成して
もよい。また、前記第2送受波器34は、正船首方向に
対して左舷側へ傾けてもよいし、前記傾け角αは、6度
以外の角度でもよいが、第2送受波器34の発振する超
音波の半減角を傾け角αとすることにより、海上浮遊物
や鯨類の左右方向位置を検知するものとする。更に、前
記第1及び第2送受波器33、34を設置する部位は、
前記センターポット12Aに限らず、設置スペース的に
可能であれば、前部翼13内に設けることも出来る。
【0040】次に、前記実施例に部分的に変更を付加し
た変更例について説明する。大型の水中翼船であって左
右1対の前部ストラットとそれらの下端のポッドを有す
る大型の水中翼船又はその他の種々の形式の高速船にお
いて、設置スペースを十分にとれる場合には、図10に
示すように、第1送波器33a、これと別体の第1受波
器33b、第2送波器34a、これと別体の第2受波器
34bを設け、図示のように、第1送受信器31aから
第1ブースタ部32aを介して第1送波器33aに駆動
信号を出力し、第2送受信器31bから第2ブースタ部
32bを介して第2送波器34aに駆動信号を出力する
ように構成し、また、第1受波器33bからの受信信号
を第1送受信器31aへ出力し、第2受波器34bから
の受信信号を第2送受信器31bへ出力するように構成
してもよい。
【0041】前記第1送波器33aからの超音波は、前
記第1送受波器33と同様に正船首方向へ発振され、ま
た第2送波器34aからの超音波は、前記第2送受波器
34と同様に正船首方向に対して右舷側へ所定角度傾け
た方向へ発振される。但し、第1送波器33aからの超
音波を正船首方向に対してやや左舷側ヘ傾け、また第2
送波器34aからの超音波を正船首方向に対してやや右
舷側ヘ傾けてもよい。尚、その他の種類の高速船の場合
には、前記第1及び第2送波器33a、34aと第1及
び第2受波器33b、34bは、高速船の水中に位置す
る没水部に前方に向けて配置するものとする。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例に係る水中翼船の右側面図である。
【図2】超音波発振状態を示す前部ストラットと前部翼
等の斜視図である。
【図3】超音波発振状態を示す水中翼船の右側面図であ
る。
【図4】超音波発振状態を示す水中翼船の平面図であ
る。
【図5】第1及び第2送受波器を設けたセンターポッド
の横断面図である。
【図6】第1及び第2送受波器を設けたセンターポッド
の縦断面図である。
【図7】衝突予防援助装置の制御系の構成図である。
【図8】コントロール兼ディスプレイユニットの正面図
である。
【図9】超音波発振パターンのタイムチャートである。
【図10】変更例に係る衝突予防援助装置の制御系の構
成図である。
【符号の説明】
JF 水中翼船 12 前部ストラッド 13 前部翼 14 前部フラップ 30 コントロール兼ディスプレイユニット 30A ディスプレイ 30B 操作パネル 31 トランシーバユニット 31a 第1送受信器 31b 第2送受信器 32 ブースタユニット 32a 第1ブースタ部 32b 第2ブースタ部 33a 第1送波器 33b 第1受波器 34 第2送受波器 34a 第2送波器 34b 第2受波器
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 下田 正昭 神戸市中央区東川崎町3丁目1番1号 川崎重工業株式会社 神戸工場内 (56)参考文献 特開 平3−57791(JP,A) 特開 昭59−159080(JP,A) 実開 平1−129680(JP,U)

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 高速船の没水部分に設けられ、高速船の
    進行方向前方の正船首方向の海中に向けて100kHz
    以下の超音波を送波し且つその超音波の反射波であって
    進行方向前方の鯨類や海上浮遊物で反射してきた反射波
    を受波する第1送受波器と、 前記第1送受波器を駆動する駆動部と第1送受波器から
    の信号を受信する受信部とを含む第1送受信手段と、 前記高速船の没水部分に設けられ、高速船の進行方向前
    方の正船首方向に対して左舷側又は右舷側へ所定小角度
    傾いた方向の海中に向けて、第1送受波器から送波する
    超音波の約2倍の100kHz以下の周波数で前記所定
    小角度の約2倍の半減角の超音波を送波し且つその超音
    波の反射波であって進行方向前方の鯨類や海上浮遊物で
    反射してきた反射波を受波する第2送受波器と、 前記第2送受波器を駆動する駆動部と第2送受波器から
    の信号を受信する受信部とを含む第2送受信手段と、前記第1,第2送受波器から超音波を断続的に送波する
    ように第1,第2送受信手段の駆動部を制御する送波制
    御手段と、 前記第1第2送受信手段の受信部の出力を受けて、高
    速船の前方の鯨類や海上浮遊物とその位置及び方向を検
    知して表示する表示手段と を備えたことを特徴とする高速船の衝突予防援助装置。
  2. 【請求項2】 前記高速船が、前部翼及びこれを支持す
    る前部ストラットと、後部翼及びこれを支持する後部ス
    トラットとを有する水中翼船であり、前記第1送受波器
    と第2送受波器とが前部ストラットの下部又は前部翼に
    設けられたことを特徴とする請求項1に記載の高速船の
    衝突予防援助装置。
  3. 【請求項3】 高速船の没水部分に設けられ、高速船の
    進行方向前方の正船首方向の海中に向けて100kHz
    以下の超音波を送波する第1送波器と、 前記第1送波器から発振された超音波の反射波であって
    進行方向前方の鯨類や海上浮遊物で反射してきた反射波
    を受波する第1受波器と、 前記第1送波器を駆動する駆動部と第1受波器からの信
    号を受信する受信部とを含む第1送受信手段と、 前記高速船の没水部分に設けられ、高速船の進行方向前
    方の正船首方向に対して左舷側又は右舷側へ所定小角度
    傾いた方向の海中に向けて、第1送波器から送波する超
    音波の約2倍の100kHz以下の周波数で前記所定小
    角度の約2倍の半減角の超音波送波する第2送波器
    と、 前記第2送波器から発振された超音波の反射波であって
    進行方向前方の鯨類や海上浮遊物で反射してきた反射波
    を受波する第2受波器と、 前記第2送波器を駆動する駆動部と第2受波器からの信
    号を受信する受信部とを含む第2送受信手段と、前記第1,第2送波器から超音波を断続的に送波するよ
    うに第1,第2送受信手段の駆動部を制御する送波制御
    手段と、 前記第1第2送受信手段の受信部の出力を受けて、高
    速船の前方の鯨類や海上浮遊物とその位置及び方向を検
    知して表示する表示手段と を備えたことを特徴とする高速船の衝突予防援助装置。
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