JP2561586B2 - 流動床燃焼装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は流動床廃棄物焼却炉や流
動床ゴミ焼却炉等の流動床燃焼装置に係り、詳しくは空
気分散板を空気の自然通風によって冷却し得るようにし
た流動床燃焼装置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来から空気で流動媒体を流動化させて
流動床を形成しこの中で各種の産業廃棄物等の被燃焼物
を燃焼焼却させる流動床廃棄物焼却炉等の流動床燃焼装
置が知られている。このような流動床燃焼装置において
は流動媒体を流動化させるための多数の空気分散管が取
付けられた空気分散板が設けられ、この空気分散板上で
流動床が形成されこの中で廃棄物等の被燃焼物が燃焼焼
却される。そして、流動床は高温状態であるため、空気
分散板も当然、高温状態となっている。このため空気分
散板を金属製のものとするときは、特に強度保持のため
冷却する必要があり、主に図３または図４に示すように
冷却構造を備えた構成の空気分散板が用いられている。

【０００３】図３に示すものは、流動床燃焼装置１の空
気分散板１０を水冷壁パネル構造としたものであり、ス
チーム発生が必要なときなどに用いられ、パネルとして
の仕切板１１に多数、水平状態で取付けられた水冷パイ
プ１２の中に水を通しスチームを発生させ、水およびス
チームでパネル等、空気分散板１０を冷却する。空気分
散板１０にはその仕切板１１に垂直状に多数の空気分散
管（ディストリビュータ）１３が取付けられ、下部の空
気室２から空気がこの多数の空気分散管１３に取り入れ
られ、空気分散管１３の上部の空気噴出口から燃焼室３
内に流出される。空気分散板１０上の流動媒体１４はこ
の流出空気によって流動化され、空気分散板１０上で流
動床１５が形成される。この流動床１５中に廃棄物が投
入されて燃焼焼却される。流動床１５は廃棄物を安定燃
焼させるため８００〜１０００℃と高温に保たれてい
る。

【０００４】一方、図４に示すものは、流動床燃焼装置
１８の空気分散板２０を強制通風式冷却パネル構造とし
たものであり、パネルとしての仕切板２１に水平状態で
取付けられた空冷パイプ２２の中に空気を送り、この空
気を空冷パイプ２２から分岐して垂直状に取付けられた
空気分散管２３から噴出させて流動床２５を形成し、こ
の流動床２５中で被燃焼物を燃焼させるものである。空
気分散板２０は空冷パイプ２２の空気により冷却され
る。１９は燃焼室、２６は流動媒体である。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記の
ような空気分散板１０、２０の冷却構造では、冷却水や
空気等を強制的に送るためのポンプやブロワー、そのた
めの複雑な配管系統および送るための動力源を必要とす
る。このような構造では特に簡易型の焼却炉を得る場合
には構造的、価格的にも障害となる。本発明はこのよう
な欠点に鑑みてなしたものであり、空気分散板を空気の
自然通風により効果的に冷却することができるようにし
た流動床燃焼装置を得ることを目的としている。

【０００６】

【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、本発明は、流動床燃焼装置の空気分散板を、上下
にそれぞれ仕切板を配置して該上下仕切板の間に空間を
形成させ、中央部に該空間に通じる空気流入口を形成
し、該空間内において該空気流入口部から該燃焼装置の
外側の空気出口に通じる渦巻状の空気通路を形成して構
成し、この空気出口に連通し空気分散板よりも上方位置
で開口する空気排出管を設けた構成としたものである。

【０００７】

【作用】空気分散板上の流動床中で被燃焼物が燃焼作用
が行われると、空気分散板は高温の流動床の熱により温
度が上昇して熱せられる。このため、該空気分散板の内
部の空気通路と空気分散板よりも上方位置における空気
排出管の内部との間で空気に温度差が生じて密度差が生
じ、通風力が発生する。この通風力のため、空気が空気
分散板の中央部の空気流入口部に流入して空気分散板の
上下仕切板の間の空間に形成された渦巻状の通路を流
れ、さらに空気出口に到り空気排出管へと流れ、その上
部の開口から大気中へ排出される。これにより、空気分
散板は空気の自然通風によって冷却される。

【０００８】空気分散板内の空気通路は上下の仕切板の
間に例えばリブ（帯状の板）を垂直状に立設して渦巻状
に配置して形成することにより、空気が空気分散板の空
気通路内を内側（中央部）から外側へと渦巻状に流れ
る。これにより、温度分布が放射状にされ、熱による伸
びのアンバランスが避けられる。また、空気分散板内で
は空気が渦巻状に流れるため、圧力損失が低く抑えられ
る。

【０００９】

【実施例】次に、図面に示した実施例により本発明を詳
細に説明する。図１は本発明の流動床燃焼装置としての
流動床廃棄物焼却炉の実施例を示す縦断面図、図２は図
１のＡ〜Ａ矢視断平面図である。廃棄物焼却炉３０は最
下部に冷却用空気室３２を有し、その上部に高温空気室
３１を有し、この上部は空気分散板４０が設けられ、空
気分散板４０の上部には燃焼室３３が位置して設けられ
て構成されている。冷却用空気室３２には大気に開放さ
れた冷却空気取入口３２ａが設けられ、高温空気室３１
には、図示していない高温空気発生用の燃焼バーナが取
付けられる開口３１ａが形成されている。

【００１０】しかして、高温空気室３１の上部に位置す
る空気分散板４０には、平面形状が円板状の上部仕切板
（パネル）４１と、これと上下方向に間隔を開けて下部
に位置する平面形状が円板状の下部仕切板（パネル）４
２が配設されて上部仕切板４１と下部仕切板４２の間に
空間４３が形成されている。なお、上部仕切板４１と下
部仕切板４２は、それぞれその周縁部を炉壁３０ａに固
着されて支持されている。上部仕切板４１と下部仕切板
４２の間の空間４３内には、リブ（帯状の板）４４が垂
直状に立設されて平面視で渦巻状に配置され、その上下
端部をそれぞれ上部仕切板４１と下部仕切板４２の固着
されて取付けられ、このリブ４４同士により又はリブ４
４と炉壁３０ａとにより平面視で渦巻状の空気通路４７
が形成されている。そして、空気分散板４０の中央部に
おいて下部仕切板４２には該空気通路４７に連通した空
気流入口４６が形成され、外周側の空気通路４７の終端
部には空気出口４８が設けられている。

【００１１】空気流入口４６には空気導入管４５の上端
が開口されて取付けられており、この空気導入管４５は
高温空気室３１を貫通して下端を冷却用空気室３２に開
口されて冷却用空気室３２の上部粱に取付けられてい
る。この空気導入管４５は空気分散板４０を下部仕切板
４２を介して支えるべく支持部材としても構成されてい
る。空気通路４７の終端部の空気出口４８には空気排出
管としてのドラフトパイプ５０が連通されて立設されて
おり、その上部端の開口５１は空気分散板４０よりも上
方位置で燃焼室３３上部に位置し大気に臨まされてい
る。空気分散板４０には上下の仕切板４１、４２を上下
方向に貫通して多数の空気分散管４９が配置、立設され
て取付けられており、その下端は高温空気室３１に開口
し、上端部には水平方向に分岐された空気噴出管４９ａ
が取付けられている。この空気噴出管４９ａは燃焼室３
３内に開口している。

【００１２】各々の空気分散管４９内には被燃焼物とし
ての廃棄物である廃液を燃焼室３３内で形成される流動
床３４中に供給する廃液供給管６０が貫通されて取付け
られており、その上端６０ａは燃焼室３３内に開口して
いる。３０ｂはキャスタブル等の耐火物、３５は砂等か
らなる流動媒体である。

【００１３】このように構成された流動床廃棄物焼却炉
３０において、高温空気室３１の開口３１ａに取付けら
れた図示しない燃焼バーナで熱風が発生され、熱風は高
温空気室３１から空気分散板４０に取付けられた多数の
空気分散管４９内に流入し、その上部の空気噴出管４９
ａから燃焼室３３内へ噴出される。これにより、空気分
散板４０上では流動媒体３５が流動化されて高温の流動
床３４が形成される。この流動床３４中には廃棄供給管
６０の上端開口６０ａから被燃焼物としての廃液が供給
されて燃焼焼却される。燃焼排ガスは燃焼室３３上部に
設けられた図示していない排ガス出口から炉外へ排出さ
れる。なお、燃焼室３３内へ供給される高温空気は流動
化兼燃焼用空気として作用する。

【００１４】しかして、空気分散板４０は流動床３４の
高温の熱により熱せられて高温になる。このため、該空
気分散板４０の内部の空間４３内、即ち、空気通路４７
内の空気の温度は高く、空気分散板４０よりも上方位置
におけるドラフトパイプ５０内の空気の温度は低い。こ
のため、両者間の空気に密度差が生じる。従って、空気
通路４７と空気分散板４０よりも上方位置におけるドラ
フトパイプ５０内の間で通風力が発生する。この通風力
により、冷却用としての空気が図１、図２に矢印で示す
ように、冷却用空気室３２から空気導入管４５内に流入
し、さらにその上端部である空気分散板４０の中央部の
空気流入口４６部に流入して空気分散板４０の空間４３
に形成された渦巻状の空気通路４７を渦巻状に流れて空
気分散板４０の外周側へと流れて空気出口４８に到り、
ここからドラフトパイプ５０内に流入し上端の開口５１
から大気へ排出される。このようにして、空気分散板４
０は空気の自然通風によって冷却される。

【００１５】このような作動中において、空気分散板４
０内の空気通路４７は上下の仕切板４１、４２の間にリ
ブ４４を垂直状に立設して渦巻状に配置されて構成され
ているため、空気が空気分散板の空気通路内を内側（中
央部）から外側（外周側）へと渦巻状に流れる。これに
より、温度分布が放射状にされるため、熱による伸びの
アンバランスを避けることができる。また、空気分散板
４０内では冷却用空気が渦巻状に流れるため、圧力損失
を低く抑えることができる。

【００１６】なお、以上の実施例では、廃棄物燃焼炉３
０および空気分散板４０の平面視断面形状が円形である
場合を示したが、勿論、矩形としたものでもよい。ま
た、空気分散板４０内の空気通路４７はリブ４４を滑ら
かに渦を巻かせて形成した渦巻状の空気通路とした場合
を示したが、空気分散板の内側（中央部）から外側（外
周側）へかけてリブを矩形状に折り曲げて全体の平面視
形状が渦巻状となるように連接して構成した空気通路で
あってもよい。また、以上の実施例では、被燃焼物が廃
液である場合を示したが、被燃焼物としては例えば、汚
泥、ビール麦粕、コーヒー豆粕、パルプスラッジ等の他
の産業廃棄物であってもよいことは勿論である。そし
て、これら被燃焼物の燃焼室３３内への供給は燃焼室３
３の炉壁３０ａの側面に臨ませてスクリューフィーダ、
スクリューポンプ、分散ノズル等の供給機を取付けて炉
壁３０ａを貫通させて供給するようにすることもでき
る。

【００１７】一方、図１に示した燃焼室３３の上方に、
本発明による別の空気分散板（第２分散板）を設置し、
この上部に別の燃焼室をもう１室設置し、第２分散板の
空気分散管の下端開口を下部燃焼室３３に臨ませて設け
ることにより、下部燃焼室３３の高温排ガスを上部燃焼
室に導いて流動床を形成させ、ここで別の被燃焼物、例
えば汚泥を下部燃焼室での高温燃焼ガスの有する熱を利
用して燃焼焼却するようにすることもできる。即ち、下
部燃焼室３３内では廃液を燃焼焼却するようにし、上部
燃焼室において汚泥を燃焼させる。この場合、第２分散
板の冷却用空気の取入れは、図１に示した空気分散板４
０の垂直状の空気導入管４５の代わりに空気流入口４６
に連通した例えば矩形断面をした配管を下部仕切板の下
面に沿わせて下部仕切板の半径方向に延在させて取付
け、この配管の両端部を炉壁３０ａ部で大気に開口させ
て構成した空気導入管とすることにより行うことができ
る。

【００１８】

【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
の流動床燃焼装置によれば、空気分散板を空気の自然通
風によって冷却することができる。このため、空気分散
板の冷却用の冷却水や空気等を強制的に送給するための
複雑な配管経路を設ける必要もなく、また、このための
送給用の動力源も必要でなくなる。勿論停電時のバック
アップも必要でない。従って、流動床燃焼装置の構成を
簡略化することができ、簡易構造型の燃焼焼却炉として
用いる場合には特に有用である。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の流動床廃棄物焼却炉の実施例を示す縦
断面図である。

【図２】図１のＡ〜Ａ矢視断平面図である。

【図３】従来の流動床燃焼装置を示す縦断面図である。

【図４】従来の別の流動床燃焼装置を示す縦断面図であ
る。

【符号の説明】

３０ 流動床廃棄物焼却炉 ３３ 燃焼室 ３４ 流動床 ３５ 流動媒体 ４０ 空気分散板 ４１ 上部仕切板 ４２ 下部仕切板 ４３ 空間 ４６ 空気流入口 ４７ 空気通路 ４８ 空気出口 ４９ 空気分散管 ５０ ドラフトパイプ（空気排出管） ５１ ドラフトパイプ開口

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 多数の空気分散管を有し、該空気分散管
   から噴出される空気により流動媒体を流動化させて流動
   床を形成する空気分散板を備え、該流動床中で被燃焼物
   を燃焼させる流動床燃焼装置において、該空気分散板
   を、上下にそれぞれ仕切板を配置して該上下仕切板の間
   に空間を形成させ、中央部に該空間に通じる空気流入口
   を形成し、該空間内において該空気流入口部から該燃焼
   装置の外側の空気出口に通じる渦巻状の空気通路を形成
   して構成し、この空気出口に連通し空気分散板よりも上
   方位置で開口する空気排出管を設けたことを特徴とする
   流動床燃焼装置。