JP2553061B2 - 布帛の薬液処理方法およびその装置 - Google Patents

布帛の薬液処理方法およびその装置

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JP2553061B2 JP62013252A JP1325287A JP2553061B2 JP 2553061 B2 JP2553061 B2 JP 2553061B2 JP 62013252 A JP62013252 A JP 62013252A JP 1325287 A JP1325287 A JP 1325287A JP 2553061 B2 JP2553061 B2 JP 2553061B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、合成皮革の製造等に用いられる布帛に対す
る薬液処理方法およびその装置に関するものである。
〔従来の技術〕
一般に、布帛の薬液処理は第2図に示すような装置を
用いた方法で行われている。すなわち、この装置は、ウ
レタン樹脂溶液,ゴム溶液等の布帛含浸用薬液1を収容
する薬液槽2の一端側の上方に、布帛7案内用ローラ3
を配設しているとともに、薬液1の液面に沿つた両端側
に含浸ローラ5,6を配設し、さらに薬液槽2の他端側の
上方に送り出し用のローラ4を配設している。そして、
その使用に際しては、ローラ3の上部側に布帛7を支受
させ、その布帛7の先端を含浸ローラ5,6の下側に通し
て薬液1に接触させたのちローラ4に支受させ、この状
態で布帛7を矢印方向に牽引装置(図示せず)で引つ張
ることにより布帛7を2m/min程度の速度で連続走行させ
る。この布帛7の連続走行の際に、布帛の薬液接触面か
ら毛細管現象によつて薬液1が吸い上げられ布帛7全体
に薬液1が含浸され薬液処理がなされる。
〔発明が解決しようとする問題点〕
ところで、第3図(第2図の丸で囲われた部分Aの拡
大図)に示すように、布帛7の下面側(薬液接触面側)
から薬液1が含浸されると、布帛7内の空気の大部分は
布帛7上方に追い出され、少量の空気が気泡8となつて
布帛7の内部に残る。この残存空気による気泡8を布帛
7内から除去するためには、一定時間以上、布帛7を薬
液1に浸漬する必要がある。この所要時間をtとし、布
帛7の走行速度をv、ローラ5,6間距離をSとすると、
これらの関係はv=S/tとなる。すなわち、従来の装置
によれば高生産性を得るために走行速度vを大きくする
と、これに比例してローラ5,6間距離Sを大きくしなけ
ればならず、このため薬液槽2が大形化され設備コスト
が高価になる。また、薬液槽2を小形化するためには布
帛7の走行速度vを小さくしなければならず、このよう
にしても生産性が低下するという問題を有している。
本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、布
帛の走行速度を速くでき、しかも、薬液槽の小形化をも
実現しうる布帛の薬液処理方法およびそれに用いる装置
の提供をその目的とする。
〔問題点を解決するための手段〕
上記の目的と達成するため、本発明は、薬液面に接触
させた状態で布帛を走行させ、この走行の過程で毛細管
現象により薬液を布帛に含浸させる薬液処理方法であつ
て、布帛を薬液に接触させた状態で一方向に一定距離走
行させたのち、液面から離間反転させて布帛の上記走行
方向と反対方向に斜め上向きに走行させ、ついで反転ロ
ーラによつて反転させ布帛を薬液に接触させた状態で前
記走行方向と同方向に走行させる布帛の薬液処理方法を
第1の要旨とし、薬液が収容された薬液槽と、帯状の布
帛を一端側から上記薬液槽内に連続的に案内するための
案内ローラと、上記薬液槽内に配設され上記案内ローラ
で案内された布帛を薬液に接触させながら一方向に一定
距離走行させる第1および第2の含浸ローラと、上記第
2の含浸ローラよりも上流側であつて、かつその第2の
含浸ローラの配設位置よりも上方の位置に位置決めされ
上記第2の含浸ローラを経た布帛を上方に引き上げたの
ちそれ自体の外周面に圧接させて反転走行させる反転ロ
ーラと、上方に引き上げられた布帛を再度薬液に接触さ
せながら上記一方向に一定距離走行させる第3および第
4の含浸ローラと、上記布帛を薬液槽外に案内する送り
出し用ローラを備えた薬液処理方法を第2の要旨とす
る。
すなわち、本発明者らは、薬液槽を大形化することな
く布帛の走行速度を速くするためには、薬液に接触した
状態での走行により、接触面側に薬液が含浸された状態
の布帛を、薬液面よりも上方に配設されたローラで走行
方向と反対方向に上向き走行させると、布帛含浸薬液が
自重により薬液接触面からその反対側の面に移動し残存
空気による気泡が効果的に追い出されるようになると着
想し、一連の研究を行つた。その結果、薬液面に沿つて
配設された2個1組の布帛浸漬用ローラのうちの下流側
(前方側)ローラの上方であつてかつ上記ローラよりも
上流側の位置に第3のローラを設け、薬液との接触によ
り薬液接触面側に薬液が含浸された布帛を上記第3のロ
ーラで布帛の前記走行方向と反対方向に引き上げ、かつ
第3のローラを中心に再度反転させて薬液に接触させた
状態で走行させるようにすると、含浸薬液の自重による
薬液接触面からその反対側面への移動および前記第3の
ローラの外周面と布帛との圧接に基づく薬液圧入効果と
により、布帛への薬液含浸が極めて効果的にできるよう
になることを見いだし本発明に到達した。
つぎに、本発明を実施例にもとづいて詳しく説明す
る。
〔実施例〕
第1図は本発明に用いる薬液処理装置の一実施例を示
している。図において、2は従来例と同様の薬液槽であ
り、その中に布帛含浸用薬液(以下薬液と略す)1が収
容されている。9は布帛7の案内用ローラであり、薬液
槽2の一端側の上方に配設されている。10,11はそれぞ
れ、上記薬液槽2内に、薬液面1aに沿つて一定間隔で配
設された2個1組の含浸用ローラであり、14は上記含浸
用ローラ10の上方に配設された布帛反転用ローラであ
る。そして、上記2個1組の含浸用ローラ10,11の下流
側には薬液面1aに沿つて、これと同様の2個1組の含浸
用ローラ12,13が配設され薬液槽2の他端側上方には、
布帛送り出し用ローラ15が配設されている。
この構成において、まず、帯状布帛7の一端側をロー
ラ9に支受させ、これを下方の薬液面1a方向に引つ張り
ながらローラ10,11の側に通す。ついで、その一端側を
上方に引き上げてローラ14に掛け、ここで反転させたの
ち、再び薬液面1a方向に引つ張りローラ12,13の下側に
通す。そして、その一端側を上方に引き上げ、ローラ15
に掛ける。上記布帛7は、その先端が牽引装置(図示せ
ず)によつて牽引されることにより、矢印方向へ連続的
に走行する。これによつて連続的に薬液処理がなされる
ようになる。すなわち、この薬液処理装置では、布帛7
が、ローラ9を経由したのち、ローラ10により薬液面1a
まで下降させられ、ローラ10,11間を走行する際、その
下面側を薬液1に接触させる。この接触の間に、毛細管
現象により布帛7の下面の薬液接触面側に薬液1が含浸
される。ついで、布帛7は、ローラ11の位置よりも上流
側であつて、かつローラ11よりも上方に位置するローラ
14で、上記走行方向とは反対方向に、斜め上向きに走行
しローラ14を中心に反転させられる。このとき、ローラ
11,14間において布帛7の上下面が反転するため、毛細
管現象による薬液の移動作用に加えて薬液1の自重によ
り、薬液1が薬液接触面側からその反対側に移動し布帛
7内への均一含浸が進み残存空気の気泡が追い出され
る。さらに、布帛7はローラ14に巻回され、ローラ14の
布帛に対する接触圧に基づく薬液圧入作用によつて薬液
1が布帛7内にさらに強制的に移行せしめられ含浸状態
が均一化される。そののち、ローラ12によつて再び薬液
面1aまで移送され12,13間で2度目の薬液面1aに対する
接触が行われ布帛7の薬液1含浸がさらに充分になされ
る。このようにして、気泡を含まない充分な薬液含浸が
なされた布帛7はローラ15により薬液槽2の他端側上方
に巻き上げられたのち、次工程へと移送される。
このように、この薬液処理装置は、ローラ10,13間に
ローラ11,12を配設するとともに、ローラ10の上方に第
3のローラ14を配設し、布帛7を、ローラ9,10,11,14,1
2,13,15を順次通過せしめるようにしている。その結
果、布帛7はローラ11,14間でその上下面が反転するた
め、布帛7の毛細管現象に加えて薬液1の自重による薬
液1の移動が起こり布帛7内への薬液1含浸がより効果
的に進行するようになる。さらに、ローラ14の薬液1圧
入効果により薬液1が強制的に布帛7内に移行せしめら
れ均一含浸が一層達成される。したがつて、従来のよう
な布帛7の毛細管現象の作用だけによる処理方法に比べ
て非常に効率のよい含浸が行われる。その結果、布帛7
に対する薬液1含浸時間を短縮することができるため布
帛7の走行速度を速めることができ生産性の向上を実現
することができる。また、薬液槽2の小形化も可能とな
り設備コストの低減や狭い場所における設置が可能とな
る。
なお、上記装置においては薬液温度および薬液面高さ
が常時一定になるように制御されるようになつている。
また、上記ローラ14の配設位置としてはローラ11,14間
距離l=600mm、その傾斜角度θ=50°となる位置が最
も好適であり、薬液の温度は20〜30℃が好ましく、最も
好適なのは23〜27℃である。上記条件下において、第1
図の装置を用いて布帛7の処理を行つたところ、従来約
2m/minであつて布帛7の走行速度vを約5m/minに高める
ことが可能となつた。
また、薬液処理装置は上記実施例のものに限定するも
のでなくローラ10,11および反転用ローラ14からなる組
を複数組設けて多段式にしてもよいし、また、上記実施
例の装置を複数個連設したものでもよい。
〔発明の効果〕
以上のように、本発明の方法では、布帛の有する毛細
管現象の作用による布帛への薬液含浸だけでなく、これ
に布帛の上下面を反転させることによる薬液の自重によ
る布帛内への含浸およびローラの薬液圧入効果が加わつ
て、布帛への薬液含浸がより効果的になされるようにな
る。また、本発明の装置によれば、布帛の走行速度を速
くでき高生産性を得ることができるとともに、設備の小
形化が可能になる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の一実施例の説明図、第2図は従来例の
説明図、第3図は第2図の丸で囲われた部分Aの拡大図
である。 1……布帛含浸用薬液、2……薬液槽、7……布帛 9,10,11,14……ローラ

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】薬液面に接触させた状態で布帛を走行さ
    せ、この走行の過程で毛細管現象により薬液を布帛に含
    浸させる薬液処理方法であつて、布帛を薬液に接触させ
    た状態で一方向に一定距離走行させたのち、液面から離
    間反転させて布帛の上記走行方向と反対方向に斜め上向
    きに走行させ、ついで反転ローラによつて反転させ布帛
    を薬液に接触させた状態で前記走行方向と同方向に走行
    させることを特徴とする布帛の薬液処理方法。
  2. 【請求項2】薬液が収容された薬液槽と、帯状の布帛を
    一端側から上記薬液槽内に連続的に案内するための案内
    ローラと、上記薬液槽内に配設され上記案内ローラで案
    内された布帛を薬液に接触させながら一方向に一定距離
    走行させる第1および第2の含浸ローラと、上記第2の
    含浸ローラよりも上流側であつて、かつその第2の含浸
    ローラの配設位置よりも上方の位置に位置決めされ上記
    第2の含浸ローラを経た布帛を上方に引き上げたのちそ
    れ自体の外周面に圧接させて反転走行させる反転ローラ
    と、上方に引き上げられた布帛を再度薬液に接触させな
    がら上記一方向に一定距離走行させる第3および第4の
    含浸ローラと、上記布帛を薬液槽外に案内する送り出し
    用ローラを備えていることを特徴とする布帛の薬液処理
    装置。
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