JP2542983Y2 - ドラム用音程比較装置 - Google Patents

ドラム用音程比較装置

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JP2542983Y2 JP1993023150U JP2315093U JP2542983Y2 JP 2542983 Y2 JP2542983 Y2 JP 2542983Y2 JP 1993023150 U JP1993023150 U JP 1993023150U JP 2315093 U JP2315093 U JP 2315093U JP 2542983 Y2 JP2542983 Y2 JP 2542983Y2
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Description

【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この考案は、バンド演奏等に使用
されるドラムの音程調節時等の際にドラムの音程を比較
するのに用いる装置に関する。
【0002】
【従来の技術】前記ドラムには、口径の違いによって大
きい径のものからバスドラム、フロアータム、タムタ
ム、そしてスナッピーが装着されたスネアドラム等があ
り、それらはいずれもドラムヘッドと称される膜面を有
する。
【0003】これらのドラムにあっては、次のようにし
てドラムヘッドが固定される。まず、図18に示すよう
にドラム胴50の上部及び下部エッジにドラムヘッド5
1を装着し、このドラムヘッド51の外周縁部に締め付
けフープ52を嵌める。次いで、ドラム胴50の側面外
周にラグ53を介して等間隔で配置されたラグナット5
4に、締め付けボルト55を螺合して前記フープ52を
圧締することによりドラムヘッド51がドラム胴50に
固定される。図中56はチューニングキーである。
【0004】また前記のドラムは、演奏に先立ちドラム
ヘッド51が全域に亘って均一に張られることが必要不
可欠である。そのため従来にあっては、ドラムヘッドの
締め付けボルト55近くをスティック57で軽く叩き、
その際に発する音の高低を順次他の締め付けボルト近く
の音と比較して、音の高低差をなくすように締め付けボ
ルトの締め付け具合を調整していた。
【0005】しかし、前記のような調整作業は、演奏者
がスティックの音を直接耳で聞きながら行うため、まわ
りの雑音等によりスティックの音がかき消されないよう
な静かな所で行わなければならず、しかも注意深く慎重
に行わなければならないので、時間及び熟練を要する問
題がある。特に、このようなドラムの調整作業は素人に
とって非常に困難なため、正しく調整されないまま演奏
されているのが現状である。
【0006】しかも、最近のドラムヘッドはポリエステ
ルフィルムよりなり、その厚みは50〜400ミクロン
程度である。このドラムヘッドを前記締め付けボルトで
締め付けることにより最終的に音の高低を決めるのであ
るが、その際ドラムヘッドに強く張られた部分と弱く張
られた部分があると、全体としては両方の音が合わさっ
た音になり、それが濁りや唸りとなるため、ドラムの音
として好ましくなかった。
【0007】また、部分的に強く張られた部分にあって
は、ドラムヘッドを構成するポリエステルフィルムが、
弾性変形の範囲を越えたり、あるいは降伏点を越えた
り、さらには破断する恐れがあり、耐久性に問題を生じ
ることもある。
【0008】そこで、ドラムヘッドの張力を測定する装
置が提案されるようになった(特開昭57−37231
号公報)。この装置は、円環状ベースと、その中央部に
上下動自在に取り付けられた検出棒と、前記円環状ベー
スの上方に横向きに取り付けられたダイヤルゲージとよ
りなり、前記円環状ベースをドラムヘッド表面に載置し
てヘッド表面を前記検出棒で押圧して沈下させ、その検
出棒の沈下量をダイヤルゲージで読み取るものである。
【0009】しかし、前記装置にあっては、ダイヤルゲ
ージの示す値がドラムの音の高低に対応してなく、使い
にくいものであった。たとえば、ダイヤルゲージの値が
0から0.4になる箇所と、0から0.8になる箇所を
比較した場合、ダイヤルゲージ上では1:2の比である
が、実際の音程比は1:2(1オクターブ違い)とはな
らないのである。すなわち、ドラムヘッドを強く張るに
つれて、音の高低がダイヤルゲージの値に表れにくくな
っていた。
【0010】したがって、スネアドラム等で音を高くし
てチューニングした場合などは、その状態で締め付けボ
ルトを調整してもダイヤルゲージの値は殆ど変化しな
く、ドラムヘッドを均一に張るのが容易ではなかった。
【0011】また逆に、バスドラム等で音を低くしてチ
ューニングする場合等には、ダイヤルゲージの値が敏感
すぎて調整しずらかった。これは、前記装置においてダ
イヤルゲージの示す値Yが、検出棒の沈下量Xに対し、
Y=1−Xの関係にあるためと考えられる。なお、前記
沈下量とこの考案における測定子の突出量とは等しいた
め、同じ記号Xを用いて示す。
【0012】
【考案が解決しようとする課題】そこでこの考案は、前
記の点に鑑みてなされたもので、音程に対応した測定値
が得られて、音の高さが異なるドラムに対しても使用で
きる使い勝手のよいドラム用音程比較装置を提供するも
のである。
【0013】
【課題を解決するための手段】この考案は、ドラムヘッ
ドの表面に底部が接触する本体と、前記本体底面から先
端が突出するように付勢されて前記ドラムヘッドを押圧
し沈下させる測定子と、前記測定子と連動して前記測定
子の突出量Xに応じた数値Yを表示する表示手段とを有
し、前記表示手段が、Y=K/X1/2 (Kは定数)の値
を表示することを特徴とするドラム用音程比較装置に係
る。なお、Kは適宜設定される。
【0014】
【作用】図9ないし図11に示すように張力Tで張られ
たドラムヘッド51の表面に、この考案のドラム用音程
比較装置10の底部が載置される。このとき装置10の
重力W1 と測定子21の圧力W2 により増加した分の張
力をT1 、その張力T1と水平方向との間の角度をθ1
とすると、装置10外側の張力はT/ cosθ1 +T1
なる。また、ドラムヘッド51の表面は、図10におけ
る装置10部分の拡大図を示す図11からわかるよう
に、装置10底面から突出する測定子21の先端により
押されて、前記装置10外周との接触部52よりも所定
量沈下する。このドラムヘッド51の沈下量は、測定子
21の突出量Xに相当する。そして、装置10外周から
測定子21までの距離をL、装置10内側のドラムヘッ
ドの張力をT2 とすると、次の関係が成り立つ。
【0015】 T2 ・X/(L2 +X2 1/2 =(W1 +W2 )/2 T2 =(W1 +W2 )・(L2 +X2 1/2 /2X ここで、X≪Lより、 T2 =(W1 +W2 )・L/2X ──── になる。
【0016】図12は、前記の各張力とそれらの角度と
の関係を示している。ここで、装置10の外周とドラム
ヘッド51との接触部52において、ドラムヘッド51
と装置10間には摩擦がないものとすると、図12よ
り、 (T/cos θ1 +T1 )・cos θ1 =T2 cos(θ1 +θ2 ) ここで、θ1 とθ2 は微小であるため、 T+T1 =T2 ──── になる。そして、をに代入すると、次のを得る。 T+T1 =(W1 +W2 )・L/2X ────
【0017】前記より、ドラムヘッドの元の張力T
と、装置の重力W1 および測定子の圧力W2 による増加
分の張力T1 との和(T+T1 )は、測定子の突出量X
に反比例することがわかる。
【0018】さらに、Tに対するT1 の割合は小さいた
め、 T=(W1 +W2 )・L/2X ──── と略みなすことができる。
【0019】次に、円形膜であるドラムヘッドの振動に
ついて考察する。ヘッド表面上のすべての点での張力
は、すべての方向に等しく、また振動中も一定であると
し、またドラムヘッドの半径をa、面密度(単位面積の
質量)をρ、張力をTとすると基本振動数νは、 ν=(2.404/2πa)・(T/ρ)1/2 =(0.765/2a)・(T/ρ)1/2 ──── となり、ドラムヘッドの張力Tの平方根に比例する。ま
た、とより基本振動数νは、 ν=(2.404/2πa)・(T/ρ)1/2 =(0.765/2a)・((W1 +W2 )L/2ρX)1/2 ──── となり、測定子の突出量Xの平方根に反比例することが
わかる。ここで、基本振動数νは、音の高低に対応する
ものである。
【0020】したがって、表示手段が、Y=K/X1/2
(Kは定数)なるY値を示すこの考案の装置によれば、
測定子の突出量Xより測定場所におけるドラムヘッドの
基本振動数、すなわち音の高低に対応する値Yを読み取
れることがわかる。
【0021】なお、前記のことを、グラフにして示した
ものが図13ないし図15である。図13は、従来の張
力測定装置における読みYと測定子(検出棒)の突出量
(沈下量)Xの関係、Y=1−Xを示す。またより、 ν・(2a/0.765)・(2ρ/(W1 +W2 )L)1/2 =1/X1/2 となるため、 Z=ν・(2a/0.765)・(2ρ/(W1 +W2 )L)1/2 として、このZを基本振動数比とすれば、 Z=1/X1/2 ──── となる。このを図示したものが図14である。
【0022】図15は、図13および図14より従来の
張力測定装置の読みYと基本振動数比Zとの関係、すな
わちZ=1/(1−Y)1/2 を示す。この図15より理
解されるように、従来の装置の読みYが0.3〜0.6
付近と0.8〜0.9付近では、基本振動数比の変化率
がかなり違うことがわかる。このことは、従来技術の欄
で説明したように、スネアドラム等で音を高くしてチュ
ーニングする場合に、その位置から締め付けボルトを締
めたり緩めたりしても読みYがほとんど変わらなかった
り、バスドラム等で音を低くしてチューニングする場合
に、敏感すぎて読みYが大きく変化することと一致す
る。
【0023】
【実施例】以下添付の図面に従ってこの考案を詳細に説
明する。図1はこの考案の一実施例に係る装置の側面
図、図2はその平面図、図3は図2の3−3断面図、図
4は本体内を上から見た概略図、図5は針の作動を示す
図、図6は測定子の作動を示す図、図7は装置の使用時
を示す平面図、図8は装置の使用時を示すドラムの部分
断面図である。
【0024】この実施例の装置10は本体11と、前記
本体11底面から先端が突出する測定子21と、表示手
段31とを有する。図3および図5に示されるように、
本体11は、筒状のケースよりなり、上部には表示手段
31の表示部32が取り付けられ、また底部には揺動レ
バー40、測定子レバー22を支持する底板12が取り
付けられている。その底板12の略中央には測定子21
の先端を突出させるための孔13が形成されている。
【0025】前記表示手段31は、測定時に測定値を見
やすいように表示部32が上向きに取り付けられてい
る。この実施例における表示手段31は、ダイヤルゲー
ジと称されるもので、ばね32で一方向に付勢されたス
ピンドル33の一部に歯34が形成され、針36と一体
にされた歯車38が前記歯34に噛み合ってスピンドル
33の摺動により針36とともに回転するようになって
いる。
【0026】前記スピンドル33には、係合ピン39が
突設され、そのピン39には、揺動レバー40の一端が
係合し、その揺動レバー40の揺動によりスピンドル3
3が摺動するようになっている。また、揺動レバー40
は側面視略L字形に屈曲し、その屈曲点部分で本体底板
12内面に揺動自在に軸着されて、一端が前記ピン39
に係合し、他端が測定子レバー22上面と当接してい
る。
【0027】前記測定子レバー22は、本体底板の孔1
3を挟んで、前記揺動レバー40とは反対側の本体底板
12内面に揺動可能に軸着されている。その測定子レバ
ー22の下面に測定子21が突出形成されて、その測定
子先端21aが底板の孔13から突出するようになって
いる。また、前記測定子レバー22は、測定子21の先
端を前記底板の孔13から突出させるようにばね24に
より付勢されている。この装置10は、使用時に測定子
21がドラムヘッドにより上方に押されて上昇する(突
出量が減る)ことにより、測定子レバー22が上方に揺
動し、またその測定子レバー22の上面に当接する揺動
レバー40が揺動する。そしてその揺動レバー40の一
端と係合するスピンドル33が摺動し、それにより針3
6が回転する。
【0028】前記測定子レバー22は、揺動レバー40
の他端との当接面23が所定の曲面形状になっていて、
測定子レバー22の揺動により揺動レバー40と測定子
レバー22の当接位置が順次変化するようになってい
る。揺動レバー40における当接面23の曲形状を求め
る方法の一例として、スピンドル33の摺動量がそのま
ま表示部32の値Yとなる場合について示す。もちろ
ん、揺動レバー40の下面を曲形状としてもよく、その
場合も同様にして求めることができる。
【0029】まず、基本振動数比Zとスピンドル33の
摺動量が直線関係にある図16を、前記図15の図を利
用して描く。ここで、鎖線は図15の図を示す。なお、
この図および以下の図においては実際のドラムヘッドの
調整において必要となる範囲のみについて示す。次に、
前図14と16から、測定子の突出量Xに対応するスピ
ンドル33の摺動量をプロットして図17を描く。そし
てその図17を用いて測定子21の突出量Xに対するス
ピンドル33の摺動量を必要範囲について所定数求め
る。図17より実際に求めたスピンドル33の摺動量は
図6のように突出量0.7の時が0.3、突出量0.1
36の時が0.6、突出量0.055の時が0.9であ
る。そして、その摺動量が得られるように前記当接面2
3の形状を作図等により決める。
【0030】この実施例の装置10は、ドラムヘッドの
調整等の際に、図7のようにドラムヘッド51表面に載
置される。その際、図8のように装置底面から突出する
測定子21は、ドラムヘッド51の張力により突出量が
Xとなり、その突出量Xに応じた値Y、すなわちY=K
/X1/2 が装置上部の表示部32に示される。その表示
部32は上方を向いているため、容易に値を見ることが
できる。そして装置10を、図7の2点鎖線で示すよう
に順に移動させて、各位置における読みYが均一になる
ようにチューニングキー56を使ってドラムヘッドの張
り具合を合わせていく。それにより、ドラムヘッドを均
一に張ることができる。前記Kについては、表示部の目
盛り間隔等をどのように設定するか等により適宜設定さ
れる。たとえばK=1等である。
【0031】なお、図示の装置10として、重さが35
0〜400g、装置の外径(ドラムヘッドと接触する部
分の直径)が60mm程度、測定子21の圧力が130〜
150gのものを挙げる。また、この装置10は、バス
ドラムからスネアドラムまで、一つのもので対応でき
る。
【0032】前記実施例にあっては、表示手段は針式の
ダイヤルゲージを用いたが、デジタル表示するもの、あ
るいは暗い場所でも読み易いようにライトを内蔵したも
のでもよい。また、計算器を本体に内蔵して測定子の値
Xを読み取って、K/X1/2を出力表示するものであっ
てもよい。
【0033】
【考案の効果】以上図示し説明したように、この考案の
装置によれば、ドラムヘッドを張る際あるいは音程を調
節する際に、従来の張力測定装置のように高音状態では
読みの変化が少なかったり逆に低音状態では読みの変化
が大きくなることがないため、音程を正しく把握でき、
ドラムヘッドの音程調節をきわめて容易に行える。
【図面の簡単な説明】
【図1】この考案の一実施例に係る装置の側面図であ
る。
【図2】その平面図である。
【図3】図2の3−3断面図である。
【図4】同実施例の本体内を上から見た概略図である。
【図5】表示手段の針の作動を示す図である。
【図6】測定子の作動を示す図である。
【図7】装置の使用時を示す平面図である。
【図8】装置の使用時を示すドラムの部分断面図であ
る。
【図9】ドラムヘッドの張力を示す図である。
【図10】測定時におけるドラムヘッドの張力を示す図
である。
【図11】図10の拡大図である。
【図12】張力の関係を示す図である。
【図13】Y=1−Xを示す図である。
【図14】Y=1/X1/2 を示す図である。
【図15】Z=1/(1−Y)1/2 を示す図である。
【図16】基本振動数比Zとスピンドルの摺動量が直線
関係にある図である。
【図17】図14および図16から測定子の突出量Xに
対応するスピンドル摺動量をプロットした図である。
【図18】ドラムヘッドの一部を断面で示す図である。
【符号の説明】
10 装置 21 測定子 31 表示手段 32 表示部

Claims (1)

    (57)【実用新案登録請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ドラムヘッドの表面に底部が接触する本
    体と、前記本体底面から先端が突出するように付勢され
    て前記ドラムヘッドを押圧し沈下させる測定子と、前記
    測定子と連動して前記測定子の突出量Xに応じた数値Y
    を表示する表示手段とを有し、前記表示手段が、Y=K
    /X1/2 (Kは定数)の値を表示することを特徴とする
    ドラム用音程比較装置。
JP1993023150U 1993-04-06 1993-04-06 ドラム用音程比較装置 Expired - Lifetime JP2542983Y2 (ja)

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