JP2500094B2 - 一般原子軌道基底に対する分子軌道初期値生成装置 - Google Patents

一般原子軌道基底に対する分子軌道初期値生成装置

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、分子軌道計算法の初期
値生成装置に関し、特に一般の原子軌道基底を使った非
経験的分子軌道計算方法における初期値生成装置に関す
る。
【0002】
【従来の技術】分子科学におけるあらゆる理論的方法
は、量子力学方程式(シュレデインガーの波動方程式)
を解くことと密接に関連している。量子力学方程式は少
数の例外を除いて多体問題てあるため解析解が存在せ
ず、この解法は数値計算に基づいている。
【0003】理論化学の分野では、分子軌道法(分子軌
道計算法ともいう)と呼ばれる手法が量子力学方程式の
数値解法として確立され使用されている(「三訂 量子
化学入門」、米澤貞次郎ほか、化学同人、1983)。分子
軌道計算法によれば、量子力学的方程式を解くことは、
分子軌道と呼ばれる一電子の座標の関数の組を決定する
問題に変わる。
【0004】分子軌道を決定する手段としては、セット
で与えられた基底関数の線形結合として分子軌道の関数
形を規定しておき、その線形展開係数(分子軌道係数)
に関する非線形連立方程式を解くLCAOMO法が主に
用いられる。
【0005】この基底関数セットとしては、分子を構成
する各原子あるいはその他の点の上に各々中心を持つ原
子軌道基底サブセットの寄せ集めとしての原子軌道基底
セットが使われる。原子軌道の関数形としては、ガウシ
アン型とスレーター型が代表的である。
【0006】原子軌道基底セット構成時に、分子を構成
する各原子の原子価状態を記述するために最小限必要な
サイズの原子軌道基底サブセットを使う場合は、それら
の寄せ集めとしての原子軌道基底セットは特別に最小原
子軌道基底セットと呼ばれ、それ以外の一般原子軌道基
底セットと区別されている。
【0007】分子軌道計算法のうち、解法の途中で数値
の一部を実験値などで置換ないしは近似するものは半経
験的分子軌道計算法、純粋に計算値のみによるものは非
経験的分子軌道計算法と呼ばれる。
【0008】分子軌道計算法では、分子軌道係数に関す
る非線形連立方程式を、初期値から出発して改良を繰り
返して収束させるという解法で解いている。初期値は、
原子軌道基底上への線形展開係数(分子軌道係数)の形
で、あるいはSCF演算子の原子軌道基底上での行列表
現(F−行列)の形で、あるいは原子軌道基底上での電
子密度行列の形で表現できる。
【0009】これらの表現の間には簡単な関係があり、
例えばF−行列の初期値を与えることは分子軌道係数の
初期値を与えることと等価である。以後、F−行列の初
期値を与えるという形で表現する。
【0010】初期値の良否は、真の解への収束の成否や
収束速度に大きく影響するため、分子軌道計算法にとっ
て重要な因子である。初期値の良否とは収束解に近いか
遠いかということとほぼ同じ意味である。
【0011】従来の非経験的分子軌道の初期値推定法
は、次の5種に分類できる。 1)hコア法 電子間の相互作用を無視した方程式は簡単な線形計算で
解けるのでその解を初期値とする。 2)部分解重ね合わせ法 分子および原子軌道基底をいくつかの部分に分け、各部
分に対する方程式の解を求め、部分解全体をなんらかの
方法で合成して分子に対する初期値とする。合成は、各
部分の電子密度行列をつなぎ合わせて分子の電子密度行
列を作る方法が代表的である(小杉信博、「東京大学計
算機センターニュース」Vol.14(No.6)P.20,1982 )。 3)半経験的分子軌道計算法 半経験的分子軌道計算法(例えば、拡張ヒュッケル法、
MNDO法、INDO法等)は、非経験的分子軌道計算
法と比べて計算時間の面では無視できるほど容易である
ため、その解を非経験的分子軌道計算の初期値として利
用する事が行われる。 4)別途解の流用 別の原子軌道基底を使った計算の解や近似解を、目的の
原子軌道基底用に再配分して流用するもので、特開平1
−106262号公報「拡張基底用分子軌道の初期値発
生方式」および特開平4−332864号公報「分子軌
道初期値生成装置」がその具体例である。そこでは、別
途解を案分法や射影法により目的の原子軌道基底上に再
配分して初期分子軌道を作っている。 5)経験推定法 経験に基づいて人力で、分子軌道係数、F−行列、ある
いは電子密度行列の推定値を作成する方法である。
【0012】上述の5方法について、その特徴を列挙す
ると、 1)hコア法は、どの様な原子軌道基底に対しても簡単
な計算で分子軌道初期値を与えるが、電子間相互作用を
全く無視しているため、本来の解とは定性的にもかけ離
れた初期値となる場合が多い。 2)部分解重ね合わせ法では、部分内の電子間相互作用
は考慮されているが、部分間の相互作用が全て無視され
るため、部分解が分子の一部を表現するものとしては妥
当でなくなる可能性がある。また、各部分解を求める処
理が余分に必要となる。 3)半経験的分子軌道計算法は、電子間相互作用や分子
形成の影響が近似的ながら取り入れられるため、半経験
的パラメタが有効な範囲内では良好な初期値を与える事
が多い。しかし、一般の原子軌道基底に対する良好な半
経験的パラメタはこれまでのところは無く、適用できる
原子軌道基底の種類は限られている。一般の原子軌道基
底の場合には計算の途中に現われる諸量と原子について
の実験値との間の対応が単純でないため有効な半経験的
パラメタが作り難いためである。 4)別途解の再配分法は、別途解の良否をそのまま引き
継いだ初期値が得られるが、あらかじめ別途解を求める
処理が新たな問題となってくる。 5)経験推定法は、勘に頼るものであるため、汎用性に
欠ける。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】上述のように、初期値
推定法として従来使用されてきた諸方法は、値が良くな
いか、簡便でないか、特定の原子軌道基底のみに使える
か、別の問題を解くことを要求されるか等、何らかの欠
点を持っている。
【0014】これは、方程式を解く前にその答えを推定
するという初期値推定作業の持つ宿命であるが、初期値
の良否は分子軌道計算法の性能に直接影響するため、特
に一般原子軌道基底の場合について、初期値推定法の改
善が望まれる(最小原子軌道基底と呼ばれる特殊な原子
軌道基底の場合には半経験的計算法の利用が比較的有効
である)。
【0015】本発明の目的は、分子軌道計算システムの
収束性を改善し、従来に比し安定性、コストの面で優れ
ている一般原子軌道基底に対する分子軌道初期値生成装
置を提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】第1の発明の一般原子軌
道基底に対する分子軌道初期値生成装置は、外部から原
子軌道基底のサイズN(Nは整数)と原子軌道の重なり
積分行列S(要素Spq、p=1〜N、q=1〜N)と相
対的な原子軌道の使われ易さを表わす量J0p,J1p,J
2p(p=1〜N)とを入力する入力部と、前記入力され
たデータから半固定値としての重みづけ係数ω1 とω2
とを含む下式により示される項を要素とする行列を計算
する行列計算部と、前記行列を分子軌道初期値として外
部に出力する出力部とを含んで構成されている。
【0017】
【0018】第2の発明の一般原子軌道基底に対する分
子軌道初期値生成装置は、外部から原子軌道基底のサイ
ズN(Nは整数)と原子軌道の重なり積分行列S(要素
Spq、p=1〜N、q=1〜N)と原子軌道の使われ易
さの目安になるhコア積分行列のN個の対角項hpp(p
=1〜N)と原子軌道の所属シェル情報とを入力する入
力部と、前記hppと前記原子軌道の所属シェル情報とか
らシェル内で平均化されたhコア積分行列の対角項
pp' を作るシェル平均化部と、前記hpp' を変数値と
する予め与えられている単調増加関数f0 ,f1 およびf
2 の関数値を計算する関数計算部と、前記各部で入力お
よび計算されたデータから半固定値としての重みづけ係
数ω1 とω2 とを含む下式により示される項を要素とす
る行列を計算する行列計算部と、前記行列を分子軌道初
期値として外部に出力する出力部とを含んで構成されて
いる。
【0019】
【0020】
【作用】次に、本発明の一般原子軌道基底に対する分子
軌道初期値生成の原理について詳細に述べる。
【0021】分子軌道を{φi }(i=1〜N)、原子
軌道を{χp }(p=1〜N)と記す。ここで、Nは原
子軌道基底のサイズである。
【0022】分子軌道の原子軌道基底上への線形展開係
数(分子軌道係数)を{Cpi}と記すと、
【0023】
【0024】分子軌道計算法において{Cpi}を決定す
る方程式は、行列表現では、 FC=SCε (束縛条件 C+ SC=I) … (1) の形をとる(いわゆるカップリング演算子法により、あ
らゆる場合をこの形に書ける:「分子軌道法」藤永
茂、岩波書店、1980)。
【0025】ここで行列Cの行列要素はCpiであり、重
なり積分行列Sの行列要素は、Spq=∫χp χq dτで
ある。また、固有値行列εは対角行列であり、Iは単位
行列である。肩付き+は転置行列を表わす。
【0026】行列Fは統一SCF演算子の行列表現であ
りF−行列と呼ばれる。行列Fの行列要素は統一演算子
の定義により細部は異なるが、 Fpq=hpq+({Cpi}に依存する電子間相互作用項) … (2) の形をとる。ここでhコア積分とよばれるhpqは、hpq
=∫χp hχq dτであり、{Cpi}に依存しない。こ
こでhはコア演算子と呼ばれる。
【0027】方程式(1)はFが{Cpi}に依存するた
め、非線形であり、なんらかの繰り返し解法で解かれ
る。すなわち、初期値から出発し目的の電子状態解に向
けての改良を繰り返して収束させるという解法である。
いずれにしても、最初に目的の電子状態に適したFまた
はCの初期値を見積る必要がある。
【0028】本発明は、最低電子状態に適したF−行列
の初期値を生成するものであるが、そのF−行列につい
て(1)を解くことにより、分子軌道初期値即ち行列C
の初期値は容易に得られる。
【0029】なお、重なり積分行列とhコア積分行列
は、分子軌道計算で、初期値計算と無関係に、必ず計算
される量であるが、hコア積分行列の対角項hppは最低
電子状態における原子軌道χp の使われ易さの一つの目
安になる。また、重なり積分行列は、原子軌道間の混ざ
り易さの一つの目安になる。
【0030】従来の初期値見積法のうちで、Fpq=hpq
とするのがhコア法であり、 Fpq=δpqp +(1−δpq)ω(Ip +Iq )Spq … (3) とするのが拡張ヒュッケル法である。経験的パラメタI
p は原子軌道χp の使われ易さを表す様な量(イオン化
ポテンシャル等から定める)であるが、Ip の経験値は
最小原子軌道基底以外では評価が困難であるため、一般
原子軌道基底に対する拡張ヒュッケル法はない。
【0031】第1の発明のF−行列評価法は、原子軌道
χp の使われ易さを表す量(ただし、χp が属する原子
軌道シェル内では一定値)J0p、J1p、J2pを使って、
【0032】
【0033】とし、特に、第2の発明で原子軌道χp
使われ易さを表わす量J0p、J1p、J2pについて、
【0034】
【0035】とするものである。
【0036】ただし、関数f0 (x)、f1 (x)、f
2 (x)は各々変数xの単調増加関数であり、δpqはク
ロネッカーのδ記号、ω1 、ω2 は各々第2項目、第3
項目に対する重みであり、半固定値である。
【0037】また、hpp’はhコア積分hppを同一の原
子軌道シェルの中での平均値であり、例えば、P型シェ
ルの3成分のPx 、Py 、Pz 原子軌道について3個の
ppを平均化した値をhpp’としPx 、Py 、Pz 原子
軌道に用いる。この平均化は、分子の回転に対してFpq
が共変的に変化するために必要である。原子軌道χp
どのシェルに属するかは、シェル所属情報として与えら
れるものとする。
【0038】次に、(A)式の論理的な根拠について述
べる。
【0039】1) 新しいF−行列の見積方法 ある電子状態に対する電子密度行列Pは P=CρC+ で定義される。ここで対角行列ρはその電子状態での分
子軌道占有数行列で、ρk は分子軌道φk の被占有数で
ある。対角項Pppはその電子状態における原子軌道χp
の使われ易さの一つの目安になる。
【0040】束縛条件C+ SC=Iを満たしている任意
のCからPを作り、G=SPSと置き、このGを(1)
式のFのかわりに用いた式を解くと元のCが容易に得ら
れる(すなわち、GC=(S(CρC+ )S)C=SC
ρ)。
【0041】つまり、SPSはF−行列と同じ働きを持
っている。従って、Pの初期値を与えて、(Fの初期
値)=SPSとする新しい初期値生成手段が可能にな
る。
【0042】2) P行列の対角近似の妥当性 前述の(2)式においてFはCを使わずPでも書ける。
よって、Pの初期値を与えて(2)式により直接Fの初
期値を作ることもできるが、その場合、対角項Pppのみ
を与える近似、すなわち値が原子軌道χp の(目的電子
状態での)使われる度合を表わすように与える近似が良
く働くことが知られている。ところが、SPSを(1)
式のFのかわりに用いてCを求める操作は、Pが全電子
数を正しく表わさない場合にそれを補正する操作(idem
potent化処理)を含んでいる。すなわち、求めたCから
さらにCρC+ としてつくられる新しいPは全電子数の
記述に関して補正されている。したがって、(Fの初期
値)=SPSとする方式において、対角項Pppのみを与
える近似は、(2)式に直接そのPppを代入する方式よ
りも、新しいPが自動的に全電子数に対応するという点
でさらに妥当である。
【0043】3) P行列の対角近似値の与え方 SPSの中のPが全電子数の記述に対応していなくても
よいということは、対角近似においてはPppがχp の使
われる度合をそのまま表わす量である必要がなく、相対
的なχp の使われ易さを表わす量(Jp と置く)であれ
ばよいということになる。従って、最低電子状態におけ
る原子軌道χp の使われ易さを表わす一つの目安量hpp
の単調増加関数f(hpp)をこれに当てる第2の発明は
最低電子状態に対する初期値生成において自然である。
【0044】ところが、対角近似Ppp=Jp のせいで、
SPSはF−行列が満たすべき性質、すなわち、座標軸
の回転に対して共変的に変わるという性質(すなわち、
原子軌道が座標軸の回転とともにχ’=χRと変換され
るときF−行列はF’=R+FRと変換されるという性
質)を持っていない。そのため対称性を持った分子の場
合に初期分子軌道が対称性を満たさない等の不都合を生
じる。
【0045】原子軌道は、原子軌道の中心回りの全角運
動量の値により、s、p、d、……型シェルに分類され
る。座標軸の回転による原子軌道の変換では、同一のシ
ェルに属する原子軌道の間だけで変換による混合が起こ
るから、同一のシェルに属する原子軌道のJp を全て同
じ値とすることにより、SPSに共変性を持たせられ
る。
【0046】そこで第2の発明では、hppをシェル内で
平均化してその値をhpp’をとし、Jp =f(hpp’)
とする。
【0047】Ppp=Jp とし、F=SPSを成分で書
き下すと、
【0048】
【0049】となる。上式で1項目、2項目、3項目は
独立に共変性を持つので、各項の関数Jを分離して
0 、J1 、J2 とし、2項目と3項目に重みω1 、ω
2 を導入する事が許される(ω1 、ω2 は実質的には符
号)。これにより(A)式が得られる。
【0050】上述のように、本発明の一般原子軌道基底
に対する分子軌道初期値生成装置は、SPSがF−行列
と同様の役割を果たすという原理に基づき、Pを対角近
似し、対角項Pppを分子軌道計算で必ず生成される量h
ppを使って算定し、さらに共変性の成り立つ範囲で調整
用のパラメタを付加した、理論的に健全で新規性のある
最低電子状態向け初期値生成装置である。
【0051】そして、本発明の一般原子軌道基底に対す
る分子軌道初期値生成装置は、次の4項目に述べる特徴
を有している。 1)理論的に一定の根拠がある。 2)原子軌道基底の種類に関係なく原子軌道基底の性質
を反映した(最低電子状態用の)初期値を生成する。 3)別途解の再配分法と異なり、極端に良い初期値を得
ることは原理的に不可能であるが、全て自前で初期値を
生成する。 4)分子軌道計算の途中で既に用意された量のみを利用
するため、簡便かつ効率的であり、処理時間が極めて短
い。
【0052】なお、(A)式において、ω2 =0とする
と前述の(3)式と同じ関数形となる。すなわち、
(A)式は、最小原子軌道基底の場合には非常に有効な
初期値生成法である拡張ヒュッケル法の一般原子軌道基
底への自然な拡張になっている。逆に、(A)式は、拡
張ヒュッケル法が良好な結果を与える根拠を示している
とも言える。(A)式でω2 の入った項により、他の原
子軌道の使われ易さの影響が2次の効果として取り入れ
られている。
【0053】
【実施例】次に、本発明の実施例について図面を参照し
て説明する。
【0054】図1は第1の発明の一般原子軌道基底に対
する分子軌道初期値生成装置の一実施例(以下第1の実
施例という)を示すブロック図である。
【0055】第1の実施例の一般原子軌道基底に対する
分子軌道初期値生成装置1は必要データを外部から入力
する入力部11と、それらを使用して半固定値として重
みづけ係数ω1 とω2 とを含む(A)式により近似F−
行列の各要素の計算を行なう行列計算部12と、その結
果を外部に出力する出力部13とから構成されている。
【0056】図3には、第1の実施例で使用する各種情
報の構成例が示されている。 図3(a)に示す原子軌
道基底のサイズ、すなわち、原子軌道の数Nは整数であ
り、原子軌道の重なり積分行列Sは対称であるため図3
(b)に示すようにN(N−1)個の上三角非対角項の
みを入力すればよく、原子軌道の使われ易さを表わす3
種の量であるJ0p、J1p、J2p(p=1〜N)について
は本例では図3(c)に示すように、N個の原子軌道全
てに対して値を直接与えている。出力データである近似
F−行列は対称であるので、図3(d)に示すように対
角項を含むN(N+1)個の上三角項を出力すればよ
い。
【0057】図2は第2の発明の一般原子軌道基底に対
する分子軌道初期値生成装置の一実施例(以下第2の実
施例という)を他の分子軌道計算システム3と組合わせ
て利用した場合を示すブロック図である。
【0058】第2の実施例の一般原子軌道基底に対する
分子軌道初期値生成装置2は入力部21と、シェル平均
化部22と、関数計算部23と、行列計算部24と、出
力部25とを含んで構成されている。
【0059】図3には、第2の実施例で使用する各種情
報の構成例が示されている。原子軌道の数N、原子軌道
の重なり積分行列Sおよび出力データである近似F−行
列については、第1の実施例と同じである。第2の実施
例として新たに外部から入力を要する情報としては、図
3(e)に示す原子軌道の使われ易さの目安になるhコ
ア積分行列のN個の対角項hppと、図3(f)に示す原
子軌道の所属シェル情報としてのN個の所属シェル番号
とがある。所属シェル番号ap はp番目の原子軌道χp
がap 番目のシェルに属することを示す。
【0060】通常の分子軌道計算に際しては前述のよう
に、重なり積分行列Sとhコア積分行列とは、初期値計
算とは無関係に、必ず計算される量であるので、第2の
実施例では、これらの量とあわせて原子軌道の数Nと原
子軌道χp (p=1〜N)の所属シェル情報である所属
シェル番号ap とを他の分子軌道計算システム3から入
力部21を介して入力する。
【0061】次に、シェル平均化部22では、原子軌道
数Nと原子軌道の所属シェル番号ap とhコア積分行列
のN個の対角項hppとの供給を受けて、この対角項をシ
ェル内で平均化する。すなわち、例えば1番目の原子軌
道χ1 と2番目の原子軌道χ2 とがともに1番目のシェ
ルに所属しているとしたa1 =a2 =1の場合にはシェ
ル内で平均化したhコア積分行列の対角項は、 h11' =h22' =(h11+h22)/2 として計算される。その情報の構成例は、図3(g)に
示されている。
【0062】関数計算部23では平均化したhコア積分
行列の対角項の予め与えられている単調増加関数である
0 、f1 およびf2 のそれぞれの関数値f0 (hpp'
)、f1 (hpp' )およびf2 (hpp' )を計算す
る。f0 、f1 、f2 それぞれについてシェルの数に等
しいL個の値が存在する(L≦N)。図3(h)にはf
0、f1 、f2 をfとして簡略表示している。
【0063】行列計算部24では上述の関数値と原子軌
道の重なり積分行列Sと原子軌道数Nとから、半固定値
として重みづけ係数ω1 とω2 とを含む下式により近似
F−行列の要素を計算し、出力部25によりこれを分子
軌道の初期値として他の分子軌道計算システム3に出力
し、分子軌道計算による量子力学方程式の数値解法に役
立てる。
【0064】
【0065】
【発明の効果】本発明の初期値生成装置は、一般の原子
軌道基底に対して、原子軌道基底の性質を反映しかつ理
論的に根拠のある初期値を、分子軌道計算の途中で必ず
生成される量を利用して簡便に生成するという特徴があ
り、従来の種々の初期値生成と比べ、安定性、扱い易
さ、コストの面で総合的に優れている。
【0066】従って、本初期値生成装置を利用する分子
軌道計算システムの収束性能、安定性やコストが改善さ
れるという効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の発明の一実施例を示すブロック図であ
る。
【図2】第2の発明の一実施例を示すブロック図であ
る。
【図3】初期値生成のために使用する各種情報の構成例
を示す構成図である。
【符号の説明】
1、2 一般原子軌道基底に対する分子軌道初期値生
成装置 3 他の分子軌道計算システム 11、21 入力部 12、24 行列計算部 13、25 出力部 22 シェル平均化部 23 関数計算部 S 重なり積分行列 h hコア積分行列の対角項 a 原子軌道の所属シェル情報 h’ シェル平均化されたhコア積分行列の対角項 f0 (hpp’) 原子軌道χp の使われ易さの評価値 f1 (hpp’) 原子軌道χp の使われ易さの評価値 f2 (hpp’) 原子軌道χp の使われ易さの評価値 J 原子軌道の使われ易さを示す量 p,q 原子軌道の順番を示す添字(p,q=1〜
N) N 原子軌道基底のサイズ=原子軌道の総数 L シェルの総数(L≦N)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 外部から原子軌道基底のサイズN(Nは
    整数)と原子軌道の重なり積分行列S(要素Spq、p=
    1〜N、q=1〜N)と相対的な原子軌道の使われ易さ
    を表わす量J0p,J1p,J2p(p=1〜N)とを入力す
    る入力部と、前記入力されたデータから半固定値として
    の重みづけ係数ω1 とω2 とを含む下式により示される
    項を要素とする行列を計算する行列計算部と、前記行列
    を分子軌道初期値として外部に出力する出力部とを含む
    ことを特徴とする一般原子軌道基底に対する分子軌道初
    期値生成装置。
  2. 【請求項2】 外部から原子軌道基底のサイズN(Nは
    整数)と原子軌道の重なり積分行列S(要素Spq、p=
    1〜N、q=1〜N)と原子軌道の使われ易さの目安に
    なるhコア積分行列のN個の対角項hpp(p=1〜N)
    と原子軌道の所属シェル情報とを入力する入力部と、前
    記hppと前記原子軌道の所属シェル情報とからシェル内
    で平均化されたhコア積分行列の対角項hpp' を作るシ
    ェル平均化部と、前記hpp' を変数値とする予め与えら
    れている単調増加関数f0 ,f1およびf2 の関数値を計
    算する関数計算部と、前記各部で入力および計算された
    データから半固定値としての重みづけ係数ω1 とω2
    を含む下式により示される項を要素とする行列を計算す
    る行列計算部と、前記行列を分子軌道初期値として外部
    に出力する出力部とを含むことを特徴とする一般原子軌
    道基底に対する分子軌道初期値生成装置。
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