JP2025524356A - ポリ(有機ホスファゼン)高分子を含む炎症性疾患の予防又は治療用組成物 - Google Patents
ポリ(有機ホスファゼン)高分子を含む炎症性疾患の予防又は治療用組成物Info
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Abstract
本発明は、薬物を搭載した温度感受性ポリ(有機ホスファゼン)高分子及びそれを含む炎症性疾患の予防又は治療用の薬学的組成物などに関するものであり、前記ヒドロゲルを含む注射可能な高分子ナノ粒子ヒドロゲルシステムは、長期間の抗炎症効果を有し、治療的有効濃度の薬物を徐放する効果があるため、変形性関節症などの様々な炎症疾患の予防及び治療に活用できる。
Description
本発明は、ポリ(有機ホスファゼン)高分子を含む炎症性疾患の予防又は治療用組成物などに関する。
変形性関節症(OA)は、変性関節疾患の最も一般的なタイプである。関節の退行及び炎症は、慢性疼痛、硬直及び再生することができない関節軟骨の進行性の損失につながる。変性関節は、変形性関節症の末期に人工補綴具に置き換えることができるが、人工補綴具も制限的であり、人工関節置換術のための追加の手術が必要な場合がある。自己軟骨細胞の関節内への投与(IA)、多血小板血漿などのその他の治療戦略、又は侵食された軟骨へのヒアルロン酸(HA)などの粘性物質の補充は、損傷した関節軟骨の再生のための他の解決策になり得る。しかし、このような方法の結果としての抗OA効果は、IAの投与後の標的特異的作用及び体内維持時間が良くないため、満足のいくものではない。薬物療法としては、鎮痛剤、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)、特定のシクロオキシゲナーゼ(COX)-2阻害剤、及びオピオイドの経口投与が可能であるが、この治療方法は、症状のある痛みの治療に制限的であり、炎症の局所治療にはほとんど効果がない[Buchman A.L.Side effects of corticosteroid therapy.J.Clin.Gastroenterol.2001;33(4):289-294]。また、NSAID、COX-2阻害剤及びオピオイドは、胃腸(GI)システム、心臓及び脳に深刻な副作用を起こすことが知られている。したがって、胃腸関係、心臓、脳に基底疾患がある高齢者には、このような経口用薬物を慎重に処方しなければならない。標的部位における投与薬物のバイオアベイラビリティを高め、可能な限り全身の副作用を減らすために、メトトレキサート、ジクロフェナク及びトリアムシノロンアセトニド(TCA)などのコルチコステロイドの直接的なIA投与が可能である。しかし、これらの薬物の半減期は、それぞれ0.56~2.9、5.2及び1.47時間と知られており、体内で急速に消失することが報告されている[Larsen C.,Ostergaard J.,Larsen S.W.,Jensen H.,Jacobsen S.,Lindegaard C.,Andersen P.H.Intra-articular depot formulation principles:role in the management of postoperative pain and arthritic disorders.J.Pharmacol.Sci.2008;97(11):4622-4654.など]。このような短い滞留時間は、持続する炎症反応の減少には十分でない。
したがって、このような理由から、変形性関節症の究極の治療と初期段階での予防のための新しい方法について研究が進められている。長期間体内で活性を有する抗OA薬物送達システムを用いた潜在的な新しいOA治療方法は、リポソーム、ナノ粒子、マイクロ粒子、ヒドロゲルなどとして適用されており、数週から数ヶ月にわたって抗OA薬物放出持続期間がかなり延長されたことが分かった[Pradal J.,Zuluaga M.F.,Maudens P.,Waldburger J.M.,Seemayer C.A.,Doelker E.,Gabay C.,Jordan O.,Allemann E.Intra-articular bioactivity of a p38 MAPK inhibitor and development of an extended-release system. Eur.J.Pharm.Biopharm.2015;93:110-117.など]。しかし、このようなシステムは、標的部位の標的部位への正確な薬物送達には適しておらず、放出効率が低いことが示されている[Kopecek J.Hydrogel biomaterials:a smart future? Biomaterials.2007;28(34):5185-5192.]。
一方、ヒドロゲルベースの薬物送達システムは、薬物放出期間を延長することができ、滑液領域のように物理的に支持できる三次元(3D)空間を提供することができる局所薬物貯蔵所の利点を提供することができる。このような特性は、炎症性関節炎の物理的摩擦を減らすことで滑膜関節の損傷をさらに減らすことができる。さらに、温度感受性ゾル-ゲル転移特性は、非侵襲的投与の利点を提供することができる。しかし、ヒドロゲルベースの抗変形性関節症の薬物送達システムは、数日間だけ薬物放出特性を示しているという限界が報告されている[Park C.W.,Ma K.W.,Jang S.W.,Son M.,Kang M.J.Comparison of piroxicam pharmacokinetics and anti-inflammatory effect in rats after intra-articular and intramuscular administration.Biomol.Ther.(Seoul)2014;22(3):260-266.]。
ナノ薬物送達体と3Dヒドロゲル薬物送達体のハイブリッドシステムは、成功的なOA治療のための強力なツールになり得る。そのために、疎水性及び親水性の側鎖を置換したポリ(有機ホスファゼン)は、注射可能なin situヒドロゲル形成、薬物ローディング過程及び長期薬物放出特性を有する生分解性薬物送達体として機能し得る[Hong K.H.,Kim Y.M.,Song S.C.Fine-tunable and injectable 3D hydrogel for on-demand stem cell niche.Adv.Sci.2019;6(17):1900597.doi:10.1002/advs.201900597.]。水溶液中のこのような高分子は、温度の変化に伴う疎水性変化に応じて広がる鎖又はナノサイズの球状粒子の形で存在する。このような特性に基づいて、疎水性部分を有する様々な薬物は、高分子ナノ粒子(polymeric nanoparticle、PN)の自己組織化工程に参加することにより高分子ナノ粒子(PN)にカプセル化することができる。さらに、高分子ナノ粒子は、特定の濃度以上で3Dヒドロゲルネットワークを形成することができる。
本発明者らは、このようなポリ(有機ホスファゼン)ベースのPNヒドロゲルシステムを用いて局所的かつ持続的なTCA送達を可能にするために研究して、本発明を完成した。
本発明が達成しようとする技術的課題は、ポリ(有機ホスファゼン)高分子を含む炎症性疾患の予防又は治療用組成物を提供することである。
しかし、本発明が達成しようとする技術的課題は、前述した課題に制限されず、言及されていない他の課題は、以下の記載から当技術分野における通常の知識を有する者に明確に理解されるであろう。
前記の課題を解決するために、
下記の化学式1で示されるポリホスファゼン骨格のリン原子上に、
下記の化学式2で示されるアミノ酸エステルの第1モイエティと、
下記の化学式3で示されるポリエチレングリコールの第2モイエティと、
アミノエタノールと有機酸を含む第3モイエティと、をそれぞれa:b:cのモル比で含むポリホスファゼン系高分子、及び
治療的有効量の炎症制御及び治療用の薬物
を含む炎症性疾患の予防又は治療用組成物が提供される。
前記化学式において、
R1は、C1-6のアルキル、C1-6のアルケニル、又はC6-10のアリール-C1-6のアルキルであり、
R2は、水素、メチル、イソプロピル、1-メチルプロピル、2-メチルプロピル、チオメチル、メチルチオエチル、ベンジル、ヒドロキシベンジル、又は2-インドリルメチルであり、
R3は、C1-6のアルキルであり、
nは、3~100,000の整数であり、
pは、1~20の整数であり、
a:bのモル比は、5.5:1~7.5:1であり、
aは、70~80モル%であってもよい。
一態様によれば、前記第3モイエティにおける前記有機酸は、グルタル酸を含んでもよい。
一態様によれば、前記R1は、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ベンジル、又は2-プロフェニルであってもよい。
一態様によれば、前記R3はメチルであってもよい。
一態様によれば、前記炎症性疾患の治療用薬物は疎水性であってもよい。
一態様によれば、前記疎水性の炎症性疾患の治療用薬物は、トリアムシノロンアセトニド、メチルプレドニゾロン、デキサメタゾン、セレコキシブ、イブプロフェン、ナプロキセン、インドメタシン、ケトプロフェン、エトドラク、メロキシカム、ロフェコキシブ、エトリコキシブ、バルデコキシブ、ルミラコキシブ、及びジクロフェナクからなる群から選ばれるいずれか1つ以上であってもよい。
一態様によれば、前記高分子は、前記炎症性疾患の治療用薬物を徐放してもよい。
一態様によれば、前記ポリホスファゼン系高分子が、1~50重量%の濃度で溶媒に溶解して含まれてもよい。前記溶媒は、水、緩衝溶液、酸性溶液、塩基性溶液、塩溶液、生理食塩水、注射用水、細胞培養液、及びブドウ糖食塩液からなる群から選ばれた1種以上であってもよいが、これに制限されない。
一態様によれば、前記高分子は、5~70℃の範囲でゾル-ゲル転移の挙動を示し、予め決められた所定の温度でヒドロゲルを形成してもよい。
一態様によれば、前記高分子は、生体への適用時に、又は生体外の環境でゲル化し、予め決められた所定の温度で温度感受性を失い、温度の変化に関係なくゲルの状態を維持してもよい。
一態様によれば、前記炎症性疾患は、変形性関節症、変形関節炎、関節リウマチ、骨粗鬆症、及びアキレス腱炎からなる群から選ばれるいずれか1つであってもよい。
本発明は、薬物をローディングした温度感受性ポリ(有機ホスファゼン)高分子、それを含むヒドロゲル、及びそれを含む炎症性疾患の予防又は治療用組成物などに関するものであり、前記ヒドロゲルを含む注射可能な高分子ナノ粒子ヒドロゲルシステムは、長期間体内で維持される抗炎症効果を有し、アキレス腱をはじめとする腱(tendon)、靭帯(ligament)、筋肉(muscle)、細胞(cell)などを再生する効果があるため、変形性関節症などの様々な炎症性疾患の予防及び治療に活用できる。
また、本発明者らは、ポリ(有機ホスファゼン)高分子をなす疎水性の側鎖と親水性の側鎖の比率を最適化して体内で理想の薬物放出特性を示すようにし、長期間、一定の濃度で体内に薬物を投与することができる。
本発明の効果は、上述のものに限定されず、言及されていない他の効果は、以下の説明から当業者に明確に理解されるであろう。
本発明者らは、前術の技術的課題を解決するために、以下のようなポリ(有機ホスファゼン)高分子とそれを含む炎症性疾患の予防又は治療用組成物を提供する。
下記の化学式1で示されるポリホスファゼン骨格のリン原子上に、
下記の化学式2で示されるアミノ酸エステルの第1モイエティと、
下記の化学式3で示されるポリエチレングリコールの第2モイエティと、
アミノエタノールと有機酸を含む第3モイエティと、をそれぞれa:b:cのモル比で含む、ポリホスファゼン系高分子、及び
治療的有効量の炎症制御及び治療用薬物、
を含む炎症性疾患の予防又は治療用組成物がそれである。
前記化学式において、
R1は、C1-6のアルキル、C1-6のアルケニル、又はC6-10のアリール-C1-6のアルキルであり、
R2は、水素、メチル、イソプロピル、1-メチルプロピル、2-メチルプロピル、チオメチル、メチルチオエチル、ベンジル、ヒドロキシベンジル、又は2-インドリルメチルであり、
R3は、C1-6のアルキルであり、
nは、3~100,000の整数であり、
pは、1~20の整数であり、
a:bのモル比は、5.5:1~7.5:1であり、
aは、70~80モル%であってもよい。
一般に温度感受性高分子は、温度の変化に伴い溶解度の急激な変化を示す高分子である。温度を上げることにより、高分子と溶媒との間の水素結合が弱くなって脱水化が起こり、高分子間の疎水性引力が強化され、より疎水性の構造を有するようになる。下部臨界溶液温度(LCST:low critical solution temperature)では、高分子と水の間の水素結合よりも高分子-高分子、水-水の間の相互作用がより好まれるにつれ、高分子から急速に脱水現象が起こり、より疎水性の構造を有する。温度感受性高分子は、高分子骨格に結合されている疎水性基と親水性基のバランスにより下部臨界温度が変化し、一般に親水性基の含量が増加すると相転移温度が上がり、疎水性基が増加すると逆に相転移温度が下がる。このような特徴は、下記実施例9で開示する疎水性の側鎖と親水性の側鎖の割合変化によるTmax変化などでも確認することができる。
前記ポリ(有機ホスファゼン)高分子を構成する必須構成モイエティが所定の割合を有する場合、一定の温度以下では温度の変化により高分子溶液のゾル-ゲル転移が可逆的に起こるが、特定の温度以上に晒された後は、このような急激な可逆的転移特性を失い、ゲルの状態を長期間維持することができる。特に、これは、最初に高分子の合成時に導入した置換体の割合によってこのような特性変化を有するようにすることができる。
特に、本発明では、前記第1モイエティと第2モイエティが特定のモル比の範囲内である場合、生体内で求められる最適な薬物濃度を維持して徐放できることを確認した(下記実施例9参照)。これは、疎水性を有する前記第1モイエティと親水性を有する前記第2モイエティとの構成比に応じて、高分子の疎水性性質と相転移温度が変化する本発明者らの発見に基づいたものである。疎水性の側鎖のモル比が増加するほど、高分子は疎水性を有し、疎水性の薬物との相互作用が強くなって、薬物が体内に放出されにくくなる。したがって、疎水性の側鎖と親水性の側鎖のモル比を調整して、薬物が体内に放出される速度を調節することができる。
TCAをはじめとするステロイド系炎症疾患治療用薬物、又はセレコキシブを含む非ステロイド性薬物は、いずれも体内での作用に最も適合な濃度範囲が存在し、TCAの場合、図20に示すように、特定の濃度範囲外である場合、むしろ炎症関連因子の発現が増えることが確認できる。
本発明者らが以下の実施例9及び図21に示すように、好ましくは、疎水性の側鎖のモル比が親水性の側鎖に対して5.5:1~7.5:1の範囲であってもよく、より好ましくは6:1~7:1であってもよく、最も好ましくは6.13:1であってもよい。前述のモル比の範囲において、薬物、好ましくはTCAを前術の適合な濃度範囲内で徐放させることができる。上述のモル比の範囲から外れると、TCAの薬理効果が低下する可能性がある。
一態様によれば、前記第3モイエティにおける前記有機酸は、グルタル酸を含んでもよい。前記グルタル酸は、下記実施例10-2に開示される(Acid)を意味する。これは、実施例10-2の製造方法によって製造、生成されるものであり、最終生成物においてヒドロキシ官能基とエステル結合で結合されたグルタル酸であってもよい。
前記第3モイエティの一部又は全官能基に、高分子の分解速度を調節できる物質、分解速度が調節可能なイオン基を含む置換体、架橋結合可能な置換体、組織結合を誘導できる追加の化合物、生理活性物質、及びそれらの2つ以上の機能性材料が線形に接続されて形成された複合材料からなる群から選ばれる1つ以上の機能性モイエティが直接又はリンカーを介して接続された第4モイエティをさらに含んでもよい。
この場合、前記第4モイエティは、葉酸、ヒアルロン酸、シクロデキストリン、イミダゾール系化合物、抗がん剤、ヒスチジン、リシン、アルギニン、システイン、チオールアリールアミン、スペルミン、スペルミジン、ポリエチレンイミン、ポリヒスチジン、ポリリシン、ポリアルギニン、プロタミン、ヘパリン、キトサン、及び1~20個のアミノ酸からなるペプチドからなる群から選ばれる少なくとも1つを含んでもよい。
一態様によれば、前記R1は、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ベンジル、又は2-プロフェニルであってもよい。
一態様によれば、前記R3はメチルであってもよい。
一態様によれば、前記炎症性疾患の治療用薬物は疎水性であってもよく、更に機能性物質を含んでもよい。
前記機能性物質は、前骨芽細胞(preosteoblast)、軟骨細胞(chondrocyte)、骨芽細胞(osteoblast)、成体幹細胞(adult stem cell)、シュワン細胞(schwann cell)、オリゴデンドロサイト前駆細胞(oligodendrocyte)、インスリン、オキシトシン、バソプレシン、副腎皮質刺激ホルモン、線維芽細胞成長因子、上皮成長因子、血小板由来成長因子、インスリン様成長因子、血管内皮細胞増殖因子、トランスフォーミング増殖因子、脳由来神経栄養因子、抗生剤及びインテグリンα-5-β-1アンタゴニストなどの新生血管阻害剤又はそれらの組み合わせであってもよい。
前記疎水性の変形性関節症治療用薬物は、トリアムシノロン、メチルプレドニゾロン、デキサメタゾン、イブプロフェン、ナプロキセン及びジクロフェナクからなる群から選ばれるいずれか1つ以上であってもよく、最も好ましくはトリアムシノロンである。
一態様によれば、前記高分子は、前記変形性関節症の治療用薬物を徐放してもよい。本明細書における「徐放」とは、少なくとも21日以上体内に維持され、薬物を放出することを意味し、好ましくは薬物の放出濃度を薬物の治療的有効濃度に維持することである。また、前記徐放は、治療的有効量の範囲の薬物濃度で薬物を放出することであり、前記治療的有効量の範囲の薬物濃度は、好ましくは9.375~75μg/mlであり、より好ましくは10~50μg/mlである。
一態様によれば、前記ポリホスファゼン系高分子が、1~50重量%の濃度で溶媒に溶解して含まれてもよい。前記溶媒は、水、緩衝溶液、酸性溶液、塩基性溶液、塩溶液、生理食塩水、注射用水、細胞培養液、及びブドウ糖食塩液からなる群から選ばれた1種以上であってもよいが、これに制限されない。前記溶媒の存在下で、本発明のポリホスファゼン系高分子はヒドロゲル化することができ、後述するようにゾル-ゲル転移の挙動を示す。
一態様によれば、前記高分子は、5~70℃の範囲でゾル-ゲル転移の挙動を示し、予め決められた所定の温度でヒドロゲルを形成してもよい。
一態様によれば、前記高分子は、生体への適用時に、又は生体外の環境でゲル化し、予め決められた所定の温度で温度感受性を失い、温度の変化に関係なくゲルの状態を維持してもよい。
前記炎症性疾患は、好ましくは、変形性関節症、変形関節炎、関節リウマチ、骨粗鬆症、及びアキレス腱炎からなる群から選ばれるいずれか1つであってもよく、最も好ましくは変形性関節症であってもよい。
本発明の組成物は、炎症性疾患、好ましくは変形性関節症の「予防(prevention)」及び/又は「治療(treatment)」の用途を有する。予防的用途において、本発明の組成物は、本発明に記載された疾患又は症状を有しているか、又は発症の危険性があると疑われる個体に投与することができる。治療の用途において、本発明の医薬組成物は、本発明に記載された疾患を既に患っている患者のような個体に、本発明に記載された疾病又は症状を治療又は少なくとも部分的に停止するのに十分な量で投与される。このような用途に有効な量は、疾患又は症状の重症度と経過、以前の治療、個体の健康状態と薬物に対する反応性、及び医師又は獣医師の判断に依存している。
前記組成物は、滅菌水溶液、非水性溶剤、懸濁剤、錠剤、丸剤、散剤、顆粒剤、カプセル剤、内容液剤、乳剤、シロップ剤、乳剤、凍結乾燥剤、及び坐剤からなる群から選ばれるいずれか1つの剤形であってもよく、非経口又は経口の様々な剤形であってもよい。製剤化する場合には、通常使用する充填剤、増量剤、結合剤、湿潤剤、崩壊剤、界面活性剤などの希釈剤又は賦形剤を用いて調製される。経口投与のための固形製剤には、錠剤、丸剤、散剤、顆粒剤、カプセル剤などが含まれ、このような固形製剤は、1つ以上の化合物に少なくとも1つ以上の賦形剤、例えばデンプン、炭酸カルシウム、スクロース(sucrose)又はラクトース(lactose)、ゼラチンなどを混ぜて調製する。また、単なる賦形剤以外に、ステアリン酸マグネシウム、タルクなどの潤滑剤も用いられる。経口投与のための液状製剤としては、懸濁剤、内容液剤、乳剤、シロップ剤等が挙げられ、通常用いられる単純希釈剤である水、リキッドパラフィン以外にも様々な賦形剤、例えば湿潤剤、甘味剤、芳香剤、保存剤などが含まれる。非経口投与のための製剤には、滅菌水溶液、非水性溶剤、懸濁剤、乳剤、凍結乾燥剤、坐剤が含まれる。非水性溶剤、懸濁剤としては、プロピレングリコール(propylene glycol)、ポリエチレングリコール、オリーブ油などの植物油、エチルオレートなどの注射可能なエステルなどが用いられる。坐剤の基剤としては、ウイテプゾール(witepsol)、マクロゴール、ツイン(tween)61、カカオバター、ラウリン酸、グリセロゼラチンなどが用いられる。
本発明において、本発明の組成物は、非経口投与のための滅菌水溶液、非水性溶剤、懸濁剤に製剤化され、具体的に、注射剤に製剤化されてもよい。本発明の医薬組成物は、通常使用される適切な担体、賦形剤又は希釈剤をさらに含んでもよい。この場合、前記医薬組成物に含まれる有効成分である本発明の注射剤組成物の含量は特に制限されない。
本発明の組成物は、個体に薬学的に有効な量で投与することができる。
本発明における「薬学的に有効な量」とは、医学的治療に適用可能な合理的な利益/危険の割合で疾患を治療するのに十分な量を意味し、有効用量の水準は、個体の種類と重症度、年齢、性別、疾病の種類、薬物の活性、薬物に対する感受性、投与時間、投与経路と排出率、治療期間、同時使用される薬物を含む要素、及び他の医学分野に公知の要素によって決められる。
本発明の組成物は、個別治療剤として投与するか、又は他の治療剤と混合して投与することができ、従来の治療剤とは順次又は同時に投与することができ、単回又は反復投与することができる。前記要素をすべて考慮して、副作用なしで最小限の量で最大の効果を得ることができる量を投与することが重要であり、当業者によって容易に決められてもよい。本発明の組成物の好ましい投与量は、患者の状態と体重、疾病の重症度、薬物形態、投与経路及び期間によって異なり、投与は1日1回投与することもでき、数回に分けて投与することもできる。
本発明において、本発明の組成物は、幹細胞をはじめとする前記機能性物質と混合投与することができ、これについては上述した通りである。
本発明の組成物は、変形性関節症の予防又は治療を目的とする個体であれば特に限定されず投与可能である。投与の方式は、当技術分野の常法であれば制限なく含む。前記組成物は、関節腔内(例えば、軟骨内)、皮下、腹腔内、肺内及び鼻腔内に投与することができ、局所治療のために、必要に応じて病変、すなわち関節腔内(例えば軟骨内)投与を含む適切な方法によって投与することができる。一例として、関節腔内注射によって投与(注入)することができるが、これに制限されない。
本発明における用語「個体」とは、変形性関節症が発生しているか又は発生する可能性があるすべての動物を意味し、本発明の組成物を変形性関節症の疑いのある個体に投与することによって、個体を効率的に治療することができる。前記個体は特に制限されず、例えば、サル、イヌ、ネコ、ウサギ、モルモット、ラット、マウス、ウシ、ヒツジ、ブタ、ヤギなどの動物、鳥類であってもよいが、これらに制限されない。
本発明における用語「投与」とは、ある適切な方法で変形性関節症の疑いのある個体に本発明の組成物を導入することを意味し、投与経路は、目的組織に到達することができる限り、非経口の様々な経路を介して投与することができる。本発明の組成物は、薬学的に有効な量で投与することができ、前記薬学的に有効な量は、前述の通りである。
実施例で使用した用語は、単に説明の目的で用いられたものであり、限定の意図で解釈されてはいけない。単数の表現は、文脈上明確に別に示さない限り、複数の表現を含む。本明細書における「含む」又は「有する」などの用語は、明細書上に記載した特徴、数字、ステップ、動作、構成要素、部品又はこれらを組み合わせたものが存在することを指定するためのものであり、1つ又はそれ以上の他の特徴や数字、ステップ、動作、構成要素、部品又はこれらを組み合わせたものなどの存在又は付加可能性をあらかじめ排除しないものと理解されたい。
別段の定義がない限り、技術的又は科学的な用語を含めてここで使用されるすべての用語は、実施例が属する技術の分野における通常の知識を有する者によって一般に理解されるものと同じ意味を有する。一般に使用される辞典で定義されているような用語は、関連技術の文脈上有する意味と一致する意味を有すると解釈されるべきであり、本出願で明確に定義しない限り、理想的又は過度に形式的な意味で解釈されない。
本発明は、様々な変換を加えることができ、様々な実施例を有することができ、以下の特定の実施例を図面に例示し、詳細な説明で詳細に説明する。しかし、これは本発明を特定の実施形態に限定することを意図するものではなく、本発明の思想及び技術的範囲に含まれるすべての変換、均等物ないし代替物を含むものを理解されたい。本発明の説明において、関連する公知技術の具体的な説明が本発明の要旨を不明瞭にすると判断される場合、その詳細な説明は省略する。
発明の実施のための形態
発明の実施のための形態
以下の実施例1~9では、TCAを搭載するポリ(有機ホスファゼン)について開示する。TCA搭載ポリ(有機ホスファゼン)の作用機序の模式図を図1に示した。
実施例1.実験方法A
実施例1-1.材料
Hexachlorocyclotriphosphazeneは、Sigma-Aldrich(USA)から入手し、真空(約0.1mmHg)下で55℃で昇華して精製した。ポリ(ジクロロホスファゼン)は、Bromberg L.らの説明に従って準備した[Bromberg L.,Temchenko M.Self-assembly in aqueous solutions of poly(ethylene oxide)-b-poly(propylene oxide)-b-poly(ethylene oxide)-b-poly(vinyl alcohol)Langmuir.1999;15:8633-8639.]。750Daの分子量を有するメトキシポリ(エチレングリコール)(Sigma-Aldrich、USA)はα-アミノ-ω-メトキシポリ(エチレングリコール)(AMPEG)に置き換えられ、ポリ(有機ホスファゼン)骨格に置換された。l-Isoleucine ethyl ester hydrochloride(IleOEt・HCl)(A&Z food additives,HangZhou,china,aminoethanol(Sigma-Aldrich,USA)、glutaric anhydride(Alfa Aesar、USA)、4-(dimethylamino) pyridine(DMAP)(Alfa Aesar,USA)を入手した。THF(Tetrahydrofuran)とTEA(Trimethylamine)を乾燥窒素下でそれぞれ金属ナトリウムと酸化バリウムで還流乾燥した。Triamcinolone acetonide(TCA)は、TCI(日本)から入手した。他のすべての試薬は、市販のものを入手した。
実施例1-2.ポリ(有機ホスファゼン)の合成
すべての反応は、標準的なシュレンクライン(Schlenk-line)技術を用いて乾燥窒素雰囲気下で行った。
1-2-1.前駆体重合体(PP、アミノエタノールポリ(有機ホスファゼン))の合成
前駆体重合体(PP)は、以下のように調製した。最初に、IleOEt・HCl(10.8g、55.22mmol)を無水THF(200mL)に懸濁し、反応フラスコを冷却した。続いて、ポリ(ジクロロホスファゼン)(10.00g、8.63mmol)を無水THF(200mL)に溶解し、無水THA及びTEAに溶解したIleOEt・HCl(23.64g、12.08mmol)を含む反応フラスコにゆっくり添加した。反応混合物をドライアイス水槽で12時間撹拌し、45℃で24時間撹拌した。次に、AEtOH(1.42g、2.33mmol)及びAMPEG750(13.59g、18.12mmol)を無水THFに溶解して、反応混合物に添加した。反応混合物を室温で24時間撹拌し、45℃でさらに24時間撹拌した。反応混合物を濾過し、n-ヘキサンに注いで沈殿物を得た後、同じ溶媒システムで2回再沈殿させた。重合体生成物を、室温で4日間メタノールに対して、4℃で4日間蒸留水に対して透析膜(Spectra/Por、MWCO:10~12kDa)で透析することでさらに精製した。透析液を凍結乾燥してPPを得た。収率は73.7%であり、NMRデータは次の通りであった。
1H NMR(CDCl3), δ(ppm):0.8-1.0(s,6H),1.1-1.3(b. 3H),1.3-1.6(b,2H),1.6-1.9(b,1H),2.8-3.3(b,2H),3.4-3.8(b,73H),3.9(s,1H),4.0-4.3(b,3H).
1-2-2.カルボン酸末端官能基化ポリ(有機ホスファゼン)(CP)の合成
ヒドロキシル末端をカルボン酸末端に置き換えるために、PP(10g、12.25mmol)を乾燥THFに溶解した。反応混合物を室温で12時間攪拌した後、40~45℃までさらに24時間撹拌した。最終生成物のCPは、室温で3日間メタノールに対して、4℃で3日間水に対して透析膜で透析した。精製されたCPは、凍結乾燥によって得られた。2.1~2.32ppm(b,4H,CH2)で新たに現れたピークは、CP 1H NMRに存在しない生成されたグルタル酸末端を示す。収率は96%であり、NMRデータは次の通りであった。
1H NMR(CDCl3), δ(ppm): 1H NMR(300 MHz,CDCl3, δ),d(ppm):0.8-1.0(s,6H,CH3),1.1-1.3(b,3H,CH3),1.3-1.6(b,2H,CH2),1.6-1.9(b,1H,CH),2.1-2.32(b,4H,CH2),2.8-3.3(b,2H,CH2),3.4-3.8(b,62H,CH2),3.9(s,1H,CH),4.0-4.3(b,3H,CH3).
実施例1-3.CPの特性確認
合成されたCPの構造は、1H NMR(CDCl3を用いたフーリエ変換モードで300MHzで作動するVarian Gem-ini-300分光計)を測定して推定した。水溶液中のCPの表面電荷はZetasizer Nano ZS(Malvern Instruments Ltd.,Malvern,UK)で測定した。CPの分子量(MW)は、25℃で0.35mL/分の流速で一列に接続された2つのStyragelカラム(TSKgel SupermultiporeHZ-M及びTSKgel SuperHZ-2500)と屈折率検出器付きのゲル透過クロマトグラフィシステム(Tosoh,EcoSEC HLC-8320 GPC)により計算した。0.1wt%の臭化テトラブチルアンモニウムを含むTHFを移動相として使用した。ポリスチレン(MW:162;580;1920;3090;9590;27,810;70,500;133,500;290,300;729,500;1,074,000;2,703,000)を標準として使用した。
実施例1-4.生体適合性の実験
1-4-1.CPの細胞毒性の実験
CPの細胞毒性の試験は、マウス線維芽細胞株(NIH3T3)を用いて行った。細胞を96-ウェルプレート(SPL、Korea)に2×104/wellの密度で分注し、37℃で5%CO2の湿った雰囲気で10%fetal bovine serumと1%penicillin/streptomycinが添加されたDulbecco’s modified Eagle’s medium(DMEM)に一晩付着した。培養培地は24時間後に新しいDMEMに交換し、様々な濃度のCPを処理した(DMEMで0mg/mL~10mg/mL、n=6)。24時間/48時間/72時間後、MTT溶液(3-(4,5-ジメチルチアゾール-2-イル)-2,5 ジフェニルテトラゾリウムブロミド)を処理して、培地吸引後、3時間培養した。沈殿物を100μlのDMSOに溶解し、生成された紫色の溶液の吸光度をSpectra MAX 340(BIO-RAD,Hercules,CA)を用いて励起波長570nmで測定した。細胞生存率(%)は、[ab]test/[ab]control×100%で計算された。
1-4-2.CPの突然変異誘発性の確認
CPの突然変異誘発性は、バクテリアサルモネラチフィムリウム(salmonella typhimurium)の様々な栄養要求株で評価された。復帰コロニー形成量を評価して突然変異誘発性を決定した(Amesテスト)。T98及びT100の検査のために滅菌した液体培地(2.5%Oxoid Nutrient Broth No.2)を用いて行った。振とう水槽(37℃,200rpm)で10時間培養した後、培養したバクテリア0.1mLを、上寒天2mL、CP溶液0.1mL及びS9画分と混合した。その後、この混合物を、20mLの最小グルコース寒天プレートが含まれている、先に準備したシャーレに穏やかに注ぎ、固まるまで培養した。37℃で48時間培養した後、コロニー数を計算した。Phosphate buffered saline(PBS)を陰性対照群として使用し、2-nitrofluorene、benzo(a)pyrene及びsodium azideを各バクテリアT98及びT100に特異的な陽性対照群として使用した。すべての陰性及び陽性対照群は同一の方法で行った。最小グルコース寒天プレートは、Bacto agar(Difco)、Vogel-Bonner培地E及び2%グルコースを使用して準備した。
実施例1-5.自己組織化高分子ナノ粒子(PNs)及びTCAカプセル化高分子ナノ粒子(TePN)の製造
合成したCPを、マグネチックスターラーを用いて4℃でPBS溶液に溶解した(12重量%CP溶液を準備して10倍希釈した)。準備したCP溶液をZetasizer Nano ZS(Malvern Instruments Ltd.,Malvern,UK)を使用した動的光散乱(DLS)及び透過型電子顕微鏡(TEM、CM30電子顕微鏡、Philips、CA)で観察した。自己組織化PNの観察されたサイズと形態を確認した。3つの濃度のTCA(0.3、1.0及び1.5mg/mL)でTCAカプセル化高分子ナノ粒子(TePN)を準備した。TCAをPNs溶液に直接添加し、穏やかに混合した。混合溶液を室温で30分間インキュベートしてTCAカプセル化を誘導した。TePNの特性は、DLSとTEMで検証した。
実施例1-6.TePN溶液の温度感受性ゾル-ゲル転移の挙動
PN水溶液(12wt%)の粘度は、Brookfield RVDV-III+粘度計で0.1s-1の固定剪断速度で5~75℃の範囲で測定した。測定は、0.2rpmの設定されたスピンドル速度と0.33℃/minの加熱速度で処理した。レオロジー測定(MSC 102、Anton Paar、DE)は、PN溶液(PBS中のPN 12wt%)及びTePN溶液(0.3、1.0、1.5mg/mLのTCAを準備された12wt%PN溶液に添加した)で行った。貯蔵弾性率(G’)及び損失弾性率(G”)の測定は、振動周波数1Hz、振動変形率5%、温度4℃及び60℃で間隔長0.3mmで行った。
実施例1-7.TePNヒドロゲルの生体内の分解研究
TePN溶液(1.5mg/mL of TCA、200μL)をマウス(Balb/c nude mice、6週齢、オス、オリエントバイオ、韓国)の背中に31ゲージ針を用いて皮下注射した。局所的に生成されたTePNヒドロゲルは、注入直後に確認された。残りのTePNヒドロゲルは、予め決められた日に重量を測定した。
実施例1-8.TePNからのTCAの体外放出
TePN溶液はそれぞれ0.3、1.0及び1.5mg/mLのTCAを含む12wt%PN溶液で準備した。準備したTePN溶液0.3mLをチューブに入れ、37℃まで昇温してヒドロゲルの形成を確認した。ヒドロゲルに6mLのPBS溶液を穏やかに添加し、チューブを37℃の水槽(KMC-12055W1、Vision、Korea)で弱い振とう運動(50rpm)で培養した。PBS溶液は、各時点で新鮮なPBS溶液と交換した。放出されたTCAの量は、水/アセトニトリル(50/50、v/v%)を溶離液として使用して高性能の液体クロマトグラフィ(HPLC、Agilent)で測定し、240nmでUV検出を用いて確立された標準試料で計算した。
実施例1-9.TePNヒドロゲルシステムの生体内の抗OA効果
1-9-1.変形性関節症(OA)のラットにおけるTePNの関節内注射
Monosodium iodoacetate(MIA,Sigma-Aldrich,USA)(0.5mg/50μl)をSprague Dawley(SD)ラット(6週齢、オス、orient Bio、Korea)(各群当たりn=6)の関節内の部位に注射してOAを誘導した。1週間後、OA誘導されたラットを、関節内注射により0.3mLのTePN溶液で処理した。未処理のMIA誘導OAラットモデルを対照群として使用した。追加分析のために、TePN注射して8週間後にラットを殺した。
1-9-2.関節内構造及びX線、マイクロコンピュータ断層撮影(μ-CT)スキャン
注射して8週間後にラットを殺した後、分離した膝関節を大腿骨及び脛骨から切断した。分離した膝関節のサンプルは、X-ray(In-Vivo Series、DXS PRO、Carestream、USA)及びμ-CT(Aibira CT system,Carestream,USA)を用いてスキャンした。破壊された軟骨の距離は、μ-CT画像とImageJソフトウェアを用いて測定した。
1-9-3.組織学的解析
集められたすべての組織をパラフィンで包埋し、ミクロトーム(厚さ8μm)で切片化した。組織学的評価のために組織切片を、パラフィン除去、再水和、及び染色した。H&E(hematoxylin and eosin)とsafranin-Oで染色した後、光学顕微鏡(Nikkon;E400、Japan)で個々の膝関節の組織学的様子を観察した。
1-9-4.RNA抽出及びリアルタイムのポリメラーゼ連鎖反応
時点(OA誘導後、TePNヒドロゲル処理して1週間、4週間及び8週間後)に血液サンプルを収集した。製造社の指示に従ってRNA血液キット(QIAamp、QIAGEN)を使用してRNAを抽出した。製造社のプロトコールに従い、Accupower CycleScriptRT Pre Mix(dT20)(BIO-RAD)を使用してcDNAを合成した。ABI7300 Real-Time Thermal cycler(Applied Biosystems、Foster City、CA、USA)を使用してリアルタイムのポリメラーゼ連鎖反応(PCR)増幅及び検出を行った。MMP-3(metalloproteinase-3)、MMP-13、IL-6(interleukin-6)、TNF-α(tumor necrosis factor-α)などの全身炎症性サイトカイン、及びILなどの抗炎症性サイトカインの遺伝子発現-4、IL-10、IL-13をそれぞれ調べた。各遺伝子マーカーの配列を下記表1に列挙した。
実施例2.ポリ(有機ホスファゼン)の合成及び特性
側鎖に疎水性のl-isoleucine ethyl ester(IleOEt)と親水性のα-amino-ω-methoxy poly(ethylene glycol)(AMPEG)を主に含むPoly(organophosphazene)を合成し、温度反応性及びin situゲル化薬物貯蔵システムとして使用された。また、カルボン酸末端を導入して、主にコンドロイチン硫酸とヒアルロン酸で構成された天然軟骨の細胞外基質を模倣し、軟骨の恒常性及び再生に関わる様々なサイトカインと相互作用し、これは下記の化学式で示す通りである。
NMRスペクトルを用いて置換された側鎖のモル比を計算した。IleOEt、AMPEG及びカルボン酸の濃度はそれぞれ、最終重合体において70%、10.5%及び13.5%であった。ポリマーの各複合物の置換率は、1H NMRデータとして、IleOEtの6つのプロトンに対して、0.8~1.0ppm/カルボン酸の4つのプロトンに対して、2.1~2.32ppm/AMPEGの62個のプロトンに対して、3.4~3.8ppmの特定のピークの積分により評価した(図2)。最終ポリマーの電荷は、ゼータ電位測定で-4.0±1.6、軟骨の細胞外マトリックスを模倣する負電荷に特性化され、ポリスチレン標準を用いたGPC分析は、50,085Daの分子量を示した。
また、ポリ(有機ホスファゼン)の生体適合性を次のように評価した。Amesテストは、一般に発がん性に関わるテスト化学物質の潜在的な突然変異誘発性を評価するためのテストである。変異原性試験のために、Salmonella typhimurium TA98又はTA100を200μgのポリマーで処理した。ポリマー処理群は、陰性対照群とほぼ同一の復帰コロニーを示した(図3の(a))。このような非毒性及び突然変異反応は、合成高分子の安全性を暗示し、このような結果は、高分子が生体利用可能な物質として用いられる可能性を裏付ける。特に抗OA治療の場合、TCAキャリアは、病変部位で免疫反応を促進してはならないので、生体適合性の高い特性が必要である。このため、合成されたpoly(organophosphazene)の調べられた生体適合性は、抗OA薬物送達体として適切であることが確認された。
細胞毒性及び変異原性試験は、新薬又は生物学的に利用可能な物質に関する毒性データの生成に必要であり、実験を行った。合成poly(organophosphazene)の毒性をMTT assayとAmes testで調べた。重合体の細胞毒性をNIH 3T3細胞株(培地中の重合体濃度0mg/mL~30mg/mL)で処理した。処理から24時間後、すべてのポリマー濃度で90~95%の細胞生存率が観察された(図3の(b))。同一組成のポリマーをCPで48、72時間処理した後も細胞毒性の効果はなく、これを図4に示した。これは、CPが細胞適合性物質であることを示している。
実施例3.自己組織化PN及びTCAカプセル化の特性
ポリマーの側鎖は、疎水性部分と親水性部分からなり、バランスのとれた両親媒性(amphiphilicity)を有する。ポリマーは、水分子に対するポリマーの疎水性のIleOEt単位の露出領域を最小化するために、水性環境で球状のナノ粒子として存在する。また、TCAなどの疎水性薬物は、PNの疎水性コア部分と相互作用する(図5の(a))。自己組織化PN及びTePNは、TEM及びサイズ分布の研究によって調べた。丸い形のPNは、TEM像で識別され(図5の(b))、サイズは25℃(リン酸緩衝食塩水(PBS)溶液で120mg/mLのPN)で~140nmであり、誤差範囲は≦4nmであった。水溶性の低い薬物であるTCAは、PBS溶液(PBS内1.5mg/mLのTCA)で、232.9nm~3343nmの範囲(DLS及びTEMデータにおける誤差範囲≧1450nm)の不規則なナノ及びマイクロサイズの結晶相(crystallin)を示した(図5の(c)及び図6)。しかし、微細なサイズのTCA凝集体は、PN分散PBS溶液と混合及び培養した後、サイズ分布から消えた。サイズが~140nmの粒子のみがTCAとPNの混合溶液(PBS溶液で120mg/mLのPN及び1.5mg/ mLのTCA)で≦4nmの誤差範囲で測定された(図5の(d))。この結果は、PNナノ粒子へのTCAの成功的なカプセル化を意味する。この粒子の平均サイズと多分散指数(PDI)の値は、図5の(e)及び図7に示されている。サイズの変化と著しい減少は、TCAが疎水性相互作用によりPNの疎水性コアにうまくカプセル化できることを証明する。
実施例4.TePN溶液の温度感受性ゾル-ゲル転移の挙動の確認
PNの一定の濃度以上の水溶液では、温度の変化に伴う明らかな粘度変化と相転移が現れる。このような相転移は、昇温に従いPNの親水性PEG鎖と水分子との間の水素結合が弱くなって発生するが、それに対しPN間の疎水性の相互作用は増加した、本研究では、12wt%のPN溶液を、注射性が良く、十分な粘度を有し、体温でゲル状態となるように、最大貯蔵弾性率を有するように製造した。図8の(a)に示されたように、PN溶液は、32℃まで0Pa・sに近い粘度を示した。粘度の数値は32℃で増加し続け、37℃で518.75Pa・sを示した。同様に、貯蔵及び損失弾性率の値はいずれも32℃で増加し、貯蔵弾性率の値(G’)は、レオロジー研究において32℃と44℃の間の損失弾性率値(G”)よりも大きかった。37℃におけるG’及びG”の値はそれぞれ、1284.3及び765Paと、ゲル状態を示した(図8の(b))。
また、図8の(c)に示されたように、薬物送達ヒドロゲルの物理的特性が薬物放出パターン又は期間に大きな影響を及ぼす可能性があるため、TCAローディング後のゾル-ゲル転移の挙動をモニターした。TePN溶液の貯蔵及び損失係数は、3つの異なる用量でTCAをローディングした後に測定された。すべての群で、温度の変化による貯蔵及び損失弾性率の値で類似した変化を示した。この結果は、ローディングされたTCAがPNの内部で均質にカプセル化され、ゾル-ゲル転移の挙動にほぼ影響を及ぼしていないことを立証でき、このような特性は、様々な薬物の投与量でもヒドロゲルが類似した挙動を示すと予測可能である。
実施例5.TePNヒドロゲルの生体内分解
生分解は、生体材料及び薬物送達体への必須要件であるため、PNヒドロゲルが局所配置された組織の周りのヒドロゲル分解速度及び一般的な症状をモニターした。準備したPN溶液を31ゲージ針でマウスの皮下に注射した。注射後、PNヒドロゲルの形成を直接確認し、残りのPNヒドロゲルは、意図した時点で皮膚で簡単な分離過程を経て測定した(図9の(a))。残りのPNヒドロゲルの量は、42日経時により減少した(図9の(b)及び図10)。このような生分解の特性、PNヒドロゲル形成のための穏やかな条件及び注入された部位における長期滞在は、開発されたPNヒドロゲルシステムが長期薬物貯蔵所であり、薬物の送達キャリアとしての用途に適していることを示している。
実施例6.試験管内TePNからのTCAの持続放出プロファイルの確認
TCAのようなステロイド性抗炎症薬は、関節内への投与後の滞留時間が短く、体内から迅速に除去される。したがって、一般的な投与時における長期間の抗炎症効果は制限的である。TePNヒドロゲルシステムは、強く相互作用する薬物が材料の分解特性に大きく依存する傾向があり、PNヒドロゲルの解離及び分解速度を制御することにより、TCA放出パターン及び期間を制御することができる。3つの異なる濃度のTCAを含む新しく準備したTePN溶液を用いてTCA放出挙動を実験した。37℃でTePNヒドロゲルを形成した後、それぞれのTePNヒドロゲルをPBS緩衝液に浸漬した。1日未満の速い膨潤を示すPN群とは対照的に、TCAがある大部分のヒドロゲルは、1週間後に膨潤を示しており、これは、TCAとヒドロゲルとの間の疎水性相互作用が水溶液におけるポリマー構造の安定性を向上させるためであると考えられる(図11)。また、すべてのゲルは、4週間後に質量損失が始まった(図12の(a))。これは、42日間のヒドロゲルのTCA放出パターンと密接な関係があった(図12の(b))。0.3、1.0及び1.5mg/mLのTCA濃度を有する3つのTePNヒドロゲル群で最初の24時間の間にTCAの抑制された初期放出が確認され、観察された値は、すべてのローディングされたTCAの量に対してそれぞれ14.45%、9.55%及び9.72%と読み取られた。このような結果は、送達キャリアがないTCAの半減期が、直接投与の場合に人体で1.27時間に過ぎなかったこととは対照的な結果であった。各TePNヒドロゲル群で7日、14日及び16日にローディングされたTCA量の略半分が、それぞれ0.3、1.0及び1.5mg/mLの値で放出された。持続放出過程は、TePNヒドロゲルが完全に分解されるまで続けられた。一方、TCA濃度が最も低いTePNヒドロゲル群は、他の2つの群よりも速い放出パターンを示した。低いTCA濃度は、疎水性ネットワークの損失、速い膨潤、及び速い溶解に影響を与えられる。1.0mg/mL及び1.5mg/mLのTCAを含むTePNヒドロゲル群において、経時によるTCA放出パターンは線形的であった。TePNヒドロゲルの分解とTCA放出時間はほぼ類似した。抑制された初期放出及び連続TCA放出は、TCAがポリマーと強く相互作用してPNにより良好にキャプセル化されることを示す。
実施例7.OAラットモデルにおけるTePNヒドロゲルの1回の注入による長期抗炎症及び軟骨退化予防効果の確認
TePNヒドロゲル貯蔵システムの1回の注入で、長期抗炎症及び軟骨変性抑制効果を検証した。TePNヒドロゲルシステムの治療のために、MIA(monosodium iodoacetate)誘発OAを有するラットモデルを準備した。TePNの注入は、OAの初期段階を模倣するために、OA生成後1週間に行われた。TePNヒドロゲル群に加えて、TCA溶液の直接注入群及び食塩水群を対照群として追加した。生理食塩水、TePN、及びTCAをそれぞれ300μl溶液準備し、ラットの傷害部位に注入した。
治療開始から8週間後、死んだラットの膝関節を解剖した結果、TePNを処理した群でのみ他の群と比較して明らかに稀な炎症反応を示した(図13)。形態学的研究のために、X線及びμ-CT画像も撮影し、これを図14の(a)に示した。生理食塩水処理群は、重度の軟骨欠損及び軟骨破壊とともに、相当進行した変形性関節症を示した。しかし、各TePN処理群は、良く維持された形態学的特性を示し、OAの初期段階の炎症が持続放出TCAにより良好に抑制されたことを示した。さらに、すべてのTePNヒドロゲル群は、TCA溶液群と比較して抗OA効果において有意な改善を示した。TCAの直接溶液注入群の破壊された軟骨状態は、長期の炎症治療及び軟骨変性防止の失敗を反映する。TCA溶液群における軟骨の病理学的状態は、生理食塩水処理群と類似しているか又はより悪かった。これは、軟骨細胞毒性に対するTCAの直接IA注入の起こり得る副作用と、高用量のTCAを用いた局所治療が、ヒドロキシプロリン生産を減少させ、線維芽細胞成長及びコラーゲン合成を抑制でき、これにより膝周辺の結合組織の構造的安定性が減少される可能性があるためであると予想された。統計的評価のために、関節間軟骨(DIC)の距離を測定した(図14の(b))。多くのDICは、左右側両方において生理食塩水群とTCA溶液処理群で同様に増加したが、軟骨の左側部分で生理食塩水群と高濃度TCA溶液(1.5mg/mL)群との間に統計的に有意な差のみが確認された。軟骨の深刻な破壊は、1)短時間で直接的な高用量のTCA曝露の毒性の可能性と、2)速いTCAの除去により持続的な消炎効果が不適切であるという2つの理由で発生する可能性がある。
また、TePNヒドロゲル群では軟骨変性が良好に予防されたのに対し、TCA溶液の直接注入群ではOA治療が失敗した対照的な結果が、組織学的染色法により立証された(図15)。Hematoxylin and eosin(H&E)とsafranin O染色は、各実験群の形態的特徴を示した。生理食塩水及びTCA溶液処理群では、軟骨が薄くなり、軟骨細胞のある組織が失われ、健康な軟骨で確認されたグリコサミノグリカンの特徴的な赤色染色が消えた。このような結果は、生理食塩水及びTCA溶液の治療が初期発症後OAの進行にほとんど影響を与えていないことを示している。しかし、TePNヒドロゲル群は、正常軟骨と形態学的類似性を示し、軟骨細胞の細胞特性が良好に維持された。この実験では、TePNヒドロゲルシステムの1回の注入によるTCAの持続的な放出が、さらなる炎症及びOAの進行を効果的に予防できることを確認することができた。
実施例8.TePNヒドロゲルシステムを用いた持続的なTCA放出が全身炎症の遺伝子の抑制及び抗炎症の遺伝子の活性化に及ぼす影響の確認
実験期間中の炎症の遺伝子の発現の変化を評価した。較正された血液サンプルから全身炎症及び抗炎症の遺伝子の発現レベルを評価した。MIA誘発変形性関節症の発生から1週間後、全身炎症性サイトカインであるMMP-3、MMP-13、IL-6、及びTNF-αの遺伝子の発現レベルは、正常群よりもそれぞれ5.60、4.25、4.80、及び5.35倍増加した(図16の(a))。TePN又はTCA溶液を注入してから1週間、4週間、8週間で各実験群で対照される遺伝子の発現パターンを観察した。全身炎症性サイトカインの増加した遺伝子の発現レベルは、TePNヒドロゲル群で経時に減少したが、TCA溶液群は持続的に増加した。全身炎症性サイトカインとMMPsの発現が軟骨変性を引き起こすため、炎症誘発性サイトカインとMMPsサイトカインを効果的に下げることで軟骨の退化を成功裏に予防することができた。8週間後にTCA濃度が最も高いTePNヒドロゲルで、MMP-3、MMP-13、IL-6、TNF-αサイトカインの遺伝子のレベルは、生理食塩水処理群に比べてそれぞれ1.62倍、1.67倍、1.49倍、及び1.62倍に減少したことが確認された。対照的に、TCA溶液群における各全身炎症性サイトカインの遺伝子のレベルは、経時に応じて持続的に増加した。直接投与されたTCAは迅速に除去されるため、TCA溶液の1回のIA注入で細胞外基質の分解及び軟骨のコラーゲン分解を防止するには、抗炎症効果が不十分であった。
IL-4、IL-10及びIL-13のような抗炎症サイトカインの遺伝子を同時にモニターした(図16の(b))。このような遺伝子の発現は、マクロファージのような免疫細胞及び特定のT細胞(Th2)の生存、増殖及び分化に対する刺激と関連していることが知られている。また、このようなサイトカインの発現の度合は、インターフェロン-γ、インターロイキン、TNF-αなどの全身炎症性サイトカインの合成を阻害する基準となり得る。MIA誘発変形性関節症の発生から1週間後、すべての治療群でIL-4、IL-10、IL-13遺伝子の発現レベルは、定常状態とほぼ類似していた。炎症誘発後4週間までは、治療群間に有意な差はなかった。しかし、8週間後、TePNヒドロゲル処理群で各遺伝子の発現量が有意に増加した。また、ローディングされたTCAの濃度によって遺伝子発現の増加マージンが拡大した。8週間後、TCA濃度が最も高いTePNヒドロゲルで、IL-4、IL-10、IL-13遺伝子の発現レベルが生理食塩水処理群よりもそれぞれ1.91倍、2.25倍、1.92倍高かった。このような結果は、持続的なTCA放出の効率と1回の注射による長期的な抗炎症効果を裏付けるものである。体重に対する異常症状はなかった(図17)。TCAを含まないPNヒドロゲル処理は、全身炎症性及び抗炎症性遺伝子の発現レベルに変化を示さなかった。すなわち、キャリアPNヒドロゲルシステムは、全身炎症反応に影響を及ぼさないことを示す。
実施例9.IleOEt/AMPEGのモル比による放出特性の最適化
IleOEt/AMPEGのモル比によって、PNの疎水性性質、これと関連する薬物担持能力と徐放能力が異なるため、IleOEt/AMPEGのモル比を調節して最適な放出特性を有する高分子組成を確認しようとした。
ポリ[(イソロイシンエチルエステル)1.47(アミノメトキシポリエチレングリコール750)0.24(エタノール)0.21(酸)0.08ホスファゼン]n(以下、PPZ 43)、ポリ[(イソロイシンエチルエステル)1.37(アミノメトキシポリエチレングリコール750)0.25(エタノール)0.27(酸)0.11ホスファゼン]n(以下、PPZ 46)、及びポリ[(イソロイシンエチルエステル)1.44(アミノメトキシポリエチレングリコール750)0.30(エタノール)0.08(酸)0.18ホスファゼン]n(以下、PPZ 24)を以下のように調製し、調製されたPPZのNMRデータを図18に示した。
PPZ 43は以下のように調製した。前駆体重合体(PP)は以下のように調製した。まず、IleOEt・HCl(24.65g、112.98mmol)を無水THF(200mL)に懸濁し、反応フラスコを冷却した。続いて、ポリ(ジクロロホスファゼン)(10.00g、8.63mmol)を無水THF(200mL)に溶解した後、無水THA及びTEAに溶解したIleOEt・HCl(24.65g、112.98mmol)を含有する反応フラスコにゆっくり添加した。反応混合物をドライアイス水槽で12時間撹拌し、45℃で24時間撹拌した。続いて、AEtOH(1.05g、17.26mmol)及びAMPEG750(22g、29.34mmol)を無水THFに溶解し、反応混合物に添加した。反応混合物を室温で24時間撹拌し、45℃でさらに24時間撹拌した。反応混合物を濾過し、n-ヘキサンに注いで、沈殿物を得た後、同じ溶媒系で2回再沈殿させた。重合体生成物を、室温で4日間メタノールに対して、4℃で4日間蒸留水に対して、透析膜(Spectra/Por、MWCO:10~12kDa)で透析してさらに精製した。透析液を凍結乾燥してPPを得た。
ヒドロキシル末端をカルボン酸末端に置換するために、PP(10g、12.25mmol)を乾燥THFに溶解した。これに無水グルタル酸(2.80g、24.5mmol)及びジメチルアミノピリジン(2.99g、24.5mmol)を添加した反応混合物を室温で12時間撹拌した後、40~45℃まで24時間さらに加熱した。最終生成物のCPは、室温で3日間メタノールに対して、4℃で3日間水に対して透析膜で透析した。精製されたCPは凍結乾燥して得た。2.1~2.32ppm(b、4H、CH2)で新たに現れたピークは、CP 1HNMRに存在しない生成されたグルタル酸末端を示す。
PPZ 46は以下のように調製した。前駆体重合体(PP)は以下のように調製した。まず、IleOEt・HCl(23.98g、122.53mmol)を無水THF(200mL)に懸濁し、反応フラスコを冷却した。続いて、ポリ(ジクロロホスファゼン)(10.00g、8.63mmol)を無水THF(200mL)に溶解した後、無水THA及びTEAに溶解したIleOEt・HCl(23.98g、122.53mmol)を含有する反応フラスコにゆっくり添加した。反応混合物をドライアイス水槽で12時間撹拌し、45℃で24時間撹拌した。続いて、AEtOH(1.32g、21.57mmol)及びAMPEG750(21.36g、28.48mmol)を無水THFに溶解し、反応混合物に添加した。反応混合物を室温で24時間撹拌し、45℃でさらに24時間撹拌した。反応混合物を濾過し、n-ヘキサンに注いで、沈殿物を得た後、同じ溶媒系で2回再沈殿させた。重合体生成物を、室温で4日間メタノールに対して、4℃で4日間蒸留水に対して、透析膜(Spectra/Por、MWCO:10~12kDa)で透析してさらに精製した。透析液を凍結乾燥してPPを得た。
ヒドロキシル末端をカルボン酸末端に置換するために、PP(10g、12.25mmol)を乾燥THFに溶解した。これに無水グルタル酸(2.80g、24.5mmol)及びジメチルアミノピリジン(2.99g、24.5mmol)を添加した反応混合物を室温で12時間撹拌した後、40~45℃まで24時間さらに加熱した。最終生成物のCPは、室温で3日間メタノールに対して、4℃で3日間水に対して透析膜で透析した。精製されたCPは凍結乾燥して得た。2.1~2.32ppm(b、4H、CH2)で新たに現れたピークは、CP 1HNMRに存在しない生成されたグルタル酸末端を示す。
PPZ 24は以下のように調製し、前駆体重合体(PP)は以下のように調製した。まず、IleOEt・HCl(26.43g、134.61mmol)を無水THF(200mL)に懸濁し、反応フラスコを冷却した。続いて、ポリ(ジクロロホスファゼン)(10.00g、8.63mmol)を無水THF(200mL)に溶解した後、無水THA及びTEAに溶解したIleOEt・HCl(26.43g、134.61mmol)を含有する反応フラスコにゆっくり添加した。反応混合物をドライアイス水槽で12時間撹拌し、45℃で24時間撹拌した。続いて、AEtOH(1.05g、17.26mmol)及びAMPEG750(15.53g、20.71mmol)を無水THFに溶解し、反応混合物に添加した。反応混合物を室温で24時間撹拌し、45℃でさらに24時間撹拌した。反応混合物を濾過し、n-ヘキサンに注いで、沈殿物を得た後、同じ溶媒系で2回再沈殿させた。重合体生成物を、室温で4日間メタノールに対して、4℃で4日間蒸留水に対して、透析膜(Spectra/Por、MWCO:10~12kDa)で透析してさらに精製した。透析液を凍結乾燥してPPを得た。
ヒドロキシル末端をカルボン酸末端に置換するために、PP(10g、12.25mmol)を乾燥THFに溶解した。これに無水グルタル酸(2.80g、24.5mmol)及びジメチルアミノピリジン(2.99g、24.5mmol)を添加した反応混合物を室温で12時間撹拌した後、40~45℃まで24時間さらに加熱した。最終生成物のCPは、室温で3日間メタノールに対して、4℃で3日間水に対して透析膜で透析した。精製されたCPは凍結乾燥して得た。2.1~2.32ppm(b、4H、CH2)で新たに現れたピークは、CP 1HNMRに存在しない生成されたグルタル酸末端を示す。
製造されたPPZ43、46及び24のTmaxを測定して図19の(a)に示した。図に示したように、IleOEt/AMPEGのモル比が高くなるほど疎水性が強くなり、Tmax値が減少した。図19の(b)は、それぞれの化合物にTCAを担持した後、経時による累積放出量をmgと%でそれぞれ示したものである。疎水性性質が強くなるほど、疎水性薬物であるTCAをさらに徐放する特徴を確認することができた。
実施例6及び図12に示したTCAの放出プロファイルを参照すると、TePN1.5で(1.5mg/mlの濃度で担持されたTCAカプセル化PNで)TCAの放出速度は0.011~0.018mg/day(11~18μg/day)であった。TePNは、体内に200~300μl程度で適用され、30日程度にわたって徐々に分解してTCAを放出するようになる。したがって、1日に体内で放出されて曝露され得るTCA量を計算してin vitro実験に適用しようとし、そのために、TePN1.5に担持された1.5mg/mlのTCAをそれぞれ20倍~160倍に希釈してそれぞれ9.375、18.75、37.5、及び75μg/mlの濃度で担持した。
担持したTCAとPPZの複合体を、炎症環境が誘導された軟骨細胞(chondrocyte)に処理して炎症関連因子の発現をPCRで測定した。炎症環境の誘導は、ヒト軟骨細胞にIL-1βを10ng/mlで処理してin vitro関節炎モデルを形成した。モデルにおいて前記の各濃度で担持されたTCA-PPZ複合体を処理したときのMMP3、MMP13、IL-6、及びTNF-αの相対的発現程度を測定して図20に示した。図で分かるように、MMP3、MMP13、及びIL-6(inflammatory cytokine)がIL-1βを処理した後に急激に増加し、炎症環境が良好に誘導されたことを確認した。この際、9.375~37.5μg/mlのTCA-PPZ複合体を処理した場合、MMP3、MMP13、及びIL-6の発現が急激に減少することが確認できたのに対し、最も高い投与量である75μg/mlの濃度では相対発現量の減少が少なく、炎症緩和効果が9.375~37.5μg/mlの濃度よりもされに減少することが示された。すなわち、高投与量のTCAは悪影響を及ぼし得ることが示され、一定の濃度の薬物を徐々に放出する薬物送達体の特性がOA治療にさらに有用であることを示唆する。
最適なIleOEt/AMPEGのモル比を確認するために、以下のように実験した。In vitro放出実験で、200ulのTCA-PPZ複合体が表2に示す量で放出されることを確認した。
これに基づいて、5mlのTCA-PPZ溶液で処理する場合を想定して放出されるTCAの量の予想値を計算して下記表3に示した。In vitroのOAモデルは、主に軟骨細胞にIL-1βを処理することになり、10mlの培養培地を用いる場合が多く、培養培地の体積の半分である5mlのTCA-PPZヒドロゲルを処理する場合を想定した。
前記表3の予測値に基づいて、最適なIleOEt/AMPEGのモル比を確認するために、以下のように計算した。まず、総培養培地の体積が10mlであるため、前記表3のTCA放出量の予想値を10で割った数値がμg/ml単位のTCA放出濃度と予測された。この予測されたTCA放出濃度を各日付別に表示して図21に示した。図21を参照すると、MMP3、MMP13、及びIL-6の発現量が最適な9.375μg/ml~37.5μg/mlの範囲内に1日目から4日目までのすべてが含まれる高分子組成は、43GAに該当し、そのIleOEt/AMPEGのモル比は約6.125と確認され、当該モル比の範囲で最良の徐放特性を示すことが分かった。
下記の実施例10以降では、セレコキシブ(CXB)搭載のためのポリ(有機ホスファゼン)の調製とその効果について開示する。アキレス腱炎(Achilles tendonitis、AT)におけるセレコキシブを搭載したポリ(有機ホスファゼン)の処理に対する模式図を図22に示した。
実施例10.実験方法B
実施例10-1.材料
Hexachlorocyclotriphosphazene(Sigma-Aldrich、USA)は、精製のために真空下で60℃で再結晶化した。ポリ(ジクロロホスファゼン)は、前記実施例2に開示したように合成された。l-Isoleucine ethyl ester hydrochloride(IleOEt・HCl)(A&Z food additives、Hangzhou、China)を入手し、55℃の真空条件で10日間乾燥し、Methoxy Polyethylene glycol(750Da)は、Sigma-Aldrich(USA)より入手し、α-アミノ-ω-メトキシ-ポリ(エチレングリコール)(AMPEG)に置き換えた。Ethanolamine(Sigma-Aldrich、USA)、glutaric anhydride(Alfa Aesar、USA)、4-(dimethylamino)pyridine(DMAP)(Alfa Aesar、USA)が準備された。テトラヒドロフラン(THF)及びトリエチルアミン(TEA)を窒素ガスに溶解し、THFをナトリウム金属(Aldrich、USA)及びベンゾフェノン(Daejung、韓国)を使用して乾燥した。酸化バリウム(Daejung、韓国)を使用してTEAを乾燥した。セレコキシブ(Celecoxib、CXB)はEDQA(ヨーロッパ)より入手した。
実施例10-2.PNP合成
反応は、標準的なシュレンクラインを用いて、乾燥窒素雰囲気下で行われた。IleOEt・HCl(10.38g、53.06mmol)を無水THFに溶解した。反応器をドライアイス水槽で撹拌し、乾燥したTEA50mLを添加した。ポリ(ジクロロホスファゼン)(5.00g、43.14mmol)を乾燥されたTHFに溶解し、反応器に添加した。反応温度50℃、24時間に設定し、重合体をエタノールアミン(0.91g、15.1mmol)及びAMPEG(13.59g、18.12mmol)を添加して48時間さらに反応させた。ポリマー溶液を濾過し、ロータリーエバポレータを使用して溶媒を除去した。重合体はn-ヘキサン(Daejung、韓国)に2回注いで沈殿させ、4日間メタノールに対して透析膜(Spectra/Por、MWCO:10~12kDa)を使用し、4日間蒸留水を使用してさらに精製した。精製された高分子溶液を0.45μmの気孔を有するシリンジフィルタを使用して濾過し、凍結乾燥して、アミノエタノール結合ポリ(有機ホスファゼン)を得た。乾燥THFをアミノエタノール-ポリ(有機ホスファゼン)(10g、158.93mmol)に添加してカルボン酸基と結合させた。無水グルタル酸無水物(5.98g、52.41mmol)及びDMAP(6.40g、52.41mmol)を無水THFに溶解し、アミノエタノールPPZ溶液に添加した。その後、溶液を撹拌し、45℃で24時間培養した。次に重合体を4日間透析膜を使用してメタノールに対して透析し、凍結乾燥する前に4日間蒸留水を使用した。このような製造工程により、(IleOEt)、(AMPEG750)、(EtOH)及び(Acid)からなる高分子を得ることができた。
実施例10-3.PNPの特性確認
1H NMRの結果は、次の通りであった。
1H NMR(CDCl3),δ(ppm):0.8-1.0(s,6H),1.1-1.3(b,3H),1.3-1.6(b,2H),1.6-1.9(b,1H),2.1-2.3(b,4H),2.8-3.3(b,2H),3.4-3.8(b,62H),3.9(s,1H),and 4.0-4.3(b,3H)
重合体の分子量は、ゲル透過クロマトグラフィシステム(EcoSEC HLC-8320 GPC、Tosoh)及び屈折率検出器を使用して測定した。2つのStyragelカラム(TSKgel SupermultiporeHZ-M及びTSKgel SuperHZ-2500)を接続し、40℃で0.35mL min-1の流速で使用した。THFは、移動相として0.1%(w/v)臭化テトラブチルアンモニウムと共に使用した。ポリスチレン(MW:162;580;1920;3090;9590;27 810;70 500;133 500;290 300;729 500;1 074 000;及び2 703 000Da)が標準として使用された。フーリエ変換赤外分光法(FTIR)は、FTIR分光計(Nicolet i20 FTIR分光計、Thermo Fisher Scientific)を使用し、PCNPでCXB及びPNPの存在を特性化するために行われた。サンプルをクロロホルムに1wt%で溶解し、KBr円形セル(Sigma-Aldrich、USA)にコーティングした。クロロホルムを乾燥した後、コーティングされたサンプルを分析して、波数範囲4000~500cm-1で32回スキャンしてFTIRスペクトルを得た。
実施例10-4.細胞生存率試験
NIH3T3線維芽細胞細胞株と連続的に希釈されたPNPヒドロゲル(0~10mg/mL)を使用した。細胞を96 well cell culture plate(SPL、Korea)に2×104cells/wellの密度で分注し、10%ウシ胎児血清及び1%ペニシリン/ストレプトマイシンを添加したDulbecco’s modified Eagle’s medium(DMEM)に、37℃、CO2インキュベータで24時間培養した。培養培地は、PNP、CXB、及びPCNPの濃度が異なるFBSを含まないDMEMに交換された。24時間後、MTT溶液(3-(4,5-ジメチルチアゾール-2-イル)-2,5 ジフェニルテトラゾリウムブロミド)を添加した後、37℃、CO2インキュベータで2時間インキュベートした。Dimethyl sulfoxide(200μl; Daejung、Korea)を添加し、Spectra MAX 340 spectrophotometer(BIO-RAD、Hercules、CA)を使用して570nmで溶液の吸光度を測定した。NIH3T3細胞の生存率は、実験群と対照群の吸光度を用いて次の式で計算されたた。
細胞生存率(%)=吸光度(実験群)/吸光度(対照群)×100
実施例10-5.レオロジー試験
PPZの温度感受性ゾル-ゲル転移は、レオメータ(Anton Parr、AT)を使用して測定した。PNP及びPCNPヒドロゲル溶液は、10wt%の濃度で準備した。モジュラスは正確な温度で測定した。レオメータは、25.0mmの平行板と0.5mmのゼロギャップと共に使用された。モジュラスは、周波数0.8Hz及び10%歪み及び様々な温度で振動応力下で測定した。37℃、10%せん断歪みの下で周波数掃引試験も行った。すべてのモジュラスデータは、RheocompassのAnton Parrソフトウェアを用いて分析した。
実施例10-6.極低温走査電子顕微鏡(cryo-SEM)像の取得
Alto 2500 cryo-transferシステム(Gatan、UK)を備えたQuanta 3D FEG(FEI、オランダ)をcryo-SEM実験に使用した。PNP及びPCNPサンプルを0.5秒かけて液体窒素スラッシュに速やかに浸漬した。冷凍室は数秒後に空になり、サンプルは約-190℃で10-5mbarで予め空にした準備チャンバに移した。金属蒸着は、60秒間、3mAの電流でプラズマスパッターにより行った。金属コーティングされたサンプルを10-5mbarの圧力で予め真空処理し、-190℃の温度に予め冷却した顕微鏡チャンバに移した。cryo-SEM像は11.8pAで5-keVビームで取得した。
実施例10-7.動的光散乱(DLS)
PNP、CXB及びPCNPの粒子サイズは、Zetasizer Nano ZS(Malvern Instruments Ltd.、Malvern、UK)を使用して調べた。ナノ粒子を0.1wt%濃度のリン酸緩衝生理食塩水(Well Gene、KR)に溶解し、粒子サイズを5、25、37及び45℃で2サイクルにわたって測定した。
ゼータ電位評価のために、0.5wt%のPNPとPCNP(CXB 4mg)を室温で準備した。測定は、DLS(Malvern Instruments Ltd.、Malvern、UK)を使用して行った。
実施例10-8.試験管内及び生体内のヒドロゲル分解
試験管内の膨潤及び分解を確認するために、200μlの10wt%のPNPヒドロゲルをインサートウェルで秤量し、完全なゲル化を誘導するために37℃のオーブンで5分間インキュベートした。その後、ヒドロゲルブロックを37℃でPBSに浸漬した。決められた時点でヒドロゲルの質量の変化を測定した。
PNPの膨潤及び分解を測定するために、PNPを10wt%でPBSに溶解し、4℃で撹拌した。次に、200μlのポリマー溶液をそれぞれのマウス(CrljOri:CD1(ICR)、6週齢、オス、韓国オリエントバイオ)の背中にゆっくり皮下注射した。注入されたPNPを抽出し、一定の時点で残量を測定した。
実施例10-9.PCNPにおけるCXBの体外への放出
PCNPヒドロゲルは、CXBと共に10wt%のPNPを撹拌して調製した。その後、PNCP(200μl)をMillicell(直径:12mm、Millipore、US)に入れ、37℃で5分間オーブンに入れた。続いてPCNPを6mLのPBSを含む15mLの円錐形チューブに浸漬し、振とう槽(KMC-12-55W1、Vision、KR)で37℃及び50rpmで培養した。PBSは、特定の時点で変更された。放出されたCXBは、移動相としてメタノール(75%)と水(25%)を使用し、高性能液体クロマトグラフィ(Agilent Technologies)を使用して測定した。
キネティック・モデルは、実験データを合わせるために使用した。このモデルには、
が含まれている。各式の左辺
は、時間tにおける薬物放出の百分率を表す。k及びnはそれぞれ、キネティック定数及び拡散指数を示す。
が含まれている。各式の左辺
は、時間tにおける薬物放出の百分率を表す。k及びnはそれぞれ、キネティック定数及び拡散指数を示す。
実施例10-10.生体内の腱再生試験
マウスを用いたすべての実験は、高麗大学医療院動物実験委員会(IACUC)の関連法及び制度的指針に準拠して行われ、IACUC承認(承認番号KOREA-2018-0049)を受けた。Collagenase(Thermo Fisher Inc.、US、50μL)を生後9週齢のマウス(DooYeol Biotec、Seoul、KR)に注射して、1週間放置した後、DMSOに溶解した1又は4mg/(100μL)濃度のCXB溶液を注入して欠損腱を治療した。PCNP(CXB 1mg)及びPCNP(CXB 4mg)ヒドロゲルは、4℃で100μLの10wt%のPNPヒドロゲルに1mg又は4mgのCXBを撹拌して調製した。その後、PCNPヒドロゲルを欠損腱モデルに注入した。
実施例10-11.リアルタイムのポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)
血液サンプルは、CXB溶液又はPCNPを欠損腱に注入してから4週間後に採取した。RNA血液キット(QIAGEN、QIAamp)をRNA抽出に使用した。Accupower CycleScript RT プレミックス(dT20)(BIO-RAD)を使用してcDNAを合成した。リアルタイムのポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)は、ABI7300リアルタイムの熱循環器(Applied Biosystems、USA)を使用して行い、炎症誘発性サイトカイン(COX-2、IL-1、IL-6、MMP-3、MMP-13、及びTNF-α)、及び抗炎症性サイトカイン(IL-4及びIL-10)を検査した。遺伝子マーカー配列は、次の表4に示した。
実施例10-12.組織学的処理及び分析
PCNP又はCXB溶液で処理した欠損腱を抽出し、DPBSで洗浄した。各腱を4%パラホルムアルデヒドに24時間浸漬して組織を固定した後、腱をすすぎ、パラフィン(5μmの切片)で切断した。パラフィン切片を60℃のオーブンに入れ、100%、90%、80%及び70%のエタノールが含まれたキシレンでパラフィンを除去した。セクションはH&E及びMTで染色した。各群は3倍(n=3)であった。
実施例10-13.ヒドロキシプロリン含量の分析
PCNP及びCXB溶液処理によるATの緩和を立証するために、マウスの腱組織のコラーゲン含量をヒドロキシプロリン分析により評価した。腱組織を加水分解するために、5mgを6N HCl溶液に浸漬して、120℃で3時間加熱した。加水分解後、腱組織を3000rpmで3分間遠心分離し、上清を集めて96-ウェルプレートに移した。その後、96-ウェルプレートを乾燥オーブンで60℃、12時間培養した。Chloramine T試薬(6μL)を酸化緩衝液(94μL)と混合し、混合物を各試料又は標準溶液に添加した。得られた溶液をゆっくりと96-ウェルプレートに移し、p-ジメチルアミノベンズアルデヒド試薬(100μL)を各サンプル又は標準に添加した後、60℃で90分間培養した。ヒドロキシプロリン含量は、Flash Multimode Reader(VarioskanTM、Thermo Scientific、USA)を使用して光学密度450nmで測定した。
実施例10-14.生体力学テスト
ATの存在を確認するために、マウスから選択された踵骨-アキレス腱を使用して生体力学の検査を行った。各サンプルは、特別設計された装置を使用してInstron Mechanical Tester(AG-10KNX、Shimadzu、Japan)にロードした後、1Nの予圧でクロスヘッド速度5mm/minで矢状方向に引っ張った。引張強度とアキレス腱の硬直度を測定した。
実施例10-15.統計データの分析
すべての定量的結果は、平均値と標準偏差で表される。グラフは、Originソフトウェアを使用して描いた。統計学的分析は、Student’s t-testを使用し、*P<0.05、**P<0.01で表現した。
実施例11.PCNPヒドロゲルの合成及び特性化
温度感受性PPZナノ粒子(PNP)ヒドロゲルは、現場ゲル化及び疎水性薬物カプセル化のために設計された。PNPは、疎水性IleOEtと親水性AMPEGをPPZ主鎖に置換して合成した。合成されたPNP構造は、1H NMR分光法で確認し、これを図23に示した。コンドロイチン硫酸及びヒアルロン酸などのカルボン酸グループは、負に帯電した機能グループでポリマー骨格に置き換えられ、天然ECMを模倣し、組織再生中にサイトカインとの相互作用を誘導することが知られている。PNPのカルボン酸グループは、1H NMRを用いて定量した。2.0及び2.5のピークは、酸性グループがPNPヒドロゲル骨格に成功裏に結合したことを示した。GPCを用いてPNPに対し62,920Daの分子量を得、ポリスチレンを標準物質として用いた(図23の(c))。置換された側鎖比率は、1H NMRスペクトルを用いて計算され、結果はそれぞれ、71%、17%、1%及び11%の比率でIleOEt、AMPEG、EtOH及びカルボン酸グループを有する側鎖の存在を示した。高疎水性のIleOEt含量は、疎水性ゲル化及びCXBとの緊密な疎水性相互作用をすべて誘導した。PCNP、PNP及びCXBのFTIRスペクトルを分析してPCNPのCXBローディングを確認し、図24に示した。PCNPデータで観察された1530~1630cm-1の芳香族C=Cピークは、CXBローディングを示す。
CXBは一般に、有機溶剤に溶解又は化学的修飾を経て医療用に使用されるが、CXBは、溶媒や化学的修飾なしに単なる溶液の状態で混合してPNPに成功裏に溶解した。ゲル状態は、PNPの温度感受性ゲル化特性により維持され、これを図25に示した。PCNPは、CXBを4℃で10wt%のPNP溶液で撹拌してPNP内にCXBをカプセル化することで製造した。PCNPsの温度依存的ゲル化は、高分子溶液を4℃と37℃の水に注入することにより確認した。4℃の高分子溶液とは異なり、水溶液に37℃のグループを注入すると、ゲルのような3D構造が観察され、これは図26に示す通りである。これは、体内注入後、ゾル-ゲル転移が数秒内にゲル化する可能性が高いため、安定した3D構造が分散なしで形成できることを意味する。PNP及びPCNPヒドロゲルの貯蔵及び損失弾性率は、ゲルの温度依存の定量的レオロジーを確認するために、5~60℃の範囲の精密に制御された温度でモニターされた。PNP及びPCNPヒドロゲルのゾル-ゲル転移は、特定の温度範囲(20~25℃)内で生じ、体温(37℃)でゲル状態を維持した。貯蔵弾性率は温度と共に増加し始め、約35~38℃で最も高い値が観察された。これを図27に示した。
PCNPの貯蔵及び損失係数は、CXB濃度の影響を受けた(図27の(b)~(d))。PNPヒドロゲルの最大貯蔵モジュラスは、35.1℃で454.3Paであった。しかし、PCNP(CXB 1mg)及びPCNP(CXB 4mg)ヒドロゲルの最大貯蔵モジュラスは、それぞれ38.1℃で655.0Pa、37.6℃で994.3Paであった。PNP及びPCNPヒドロゲルグループの温度及び最大貯蔵弾性率に有意な差は観察されなかった。しかし、最大貯蔵弾性率値はCXBを統合した後に増加した。これは、CXBが疎水性架橋剤として作用するため、PNPヒドロゲルとCXB分子との間の疎水性相互作用がモジュラスを増加させることを示唆する。このようなデータは、PNPとCXB分子との間の成功的な相互作用を示す。
実施例12.CXBとPNPとの複合化
疎水性CXBは、均質に溶解することが明らかになり、PNP溶液中で良好に分布された。PCNPは低温での簡単な撹拌後に形成され、これはこのシステムの明らかな利点に該当する。毒性溶媒又は界面活性剤は、一般に疎水性のため、臨床試験におけるCXBの溶解度の向上に必要である。しかし、CXBが毒性溶媒又は界面活性剤なしで低温でPNPに容易に統合され得ることは、相当な利点である。
両親媒性PNPヒドロゲルネットワークは、高分子鎖間の疎水性相互作用により特定の濃度と体温で形成されることが観察された。しかし、PNPの両親媒性特性は、高分子構造が孤立鎖の折り畳みを介して低濃度(0.5wt%)で高分子ミセル粒子を形成するために自己組織化されることを意味する。PNPとPCNPの形態は、ゲル状態と希釈状態の両方で特性化され(図28の(a))、結果は、PNPとPCNPヒドロゲルがそれぞれ6.2及び4.9μmのサイズの気孔を有する多孔質構造であることを示している。PCNPはPNPよりも粗い表面構造を示した。しかし、CXB凝集は観察されず、これは疎水性CXBがPCNPヒドロゲルマトリックスに良好に統合されたことを示している。20倍希釈後、PNPとPCNPの両方で自己組織化によるミセル形成が生じ、粒子構造を観察できた。広範囲の粒子サイズが測定された。しかし、PCNPグループの粒子はPNPグループの粒子よりも小さかった。したがって、PNP及びPCNPヒドロゲルのヒドロゲル及び粒子形態は、CXBがPNPに成功裏にカプセル化され、PCNP形態がカプセル化されたCXBにより影響を受けたことを示唆する。
PNPとCXBとの間の疎水性相互作用をさらに確認するために、互いに異なるCXBs濃度を添加して混合前後の高分子ナノ粒子のサイズ変化を調べた(図28の(b))。実験は、PNPとCXB分子との間の疎水性相互作用による粒子サイズの差を観察することができるように精密な温度条件で行った。PNPの粒子サイズは、温度が4℃から45℃に昇温するにつれて240.0nmから126.2nmに漸進的に減少することが観察された。この現象は、温度と疎水性の相関の結果であった。疎水性モイエティは、高温で緊密に相互作用して収縮した形態のポリマーナノ粒子を生成する。PNPとPCNP粒子のサイズは、温度に関係なく類似している。これは、ヒドロゲルネットワークが非共有相互作用による安定した温度感受性及び可逆的物理的特性を有し、単純な薬物ローディング及び注入性を含む様々な利点を提供することを示している。CXBがPNPに統合された後、すべての温度でCXBの濃度が増加するにつれて粒子サイズが減少した。これは、PNP内部のCXB分子が疎水性架橋剤の役割をして、PCNPがより収縮した構造を形成するように誘導することを意味する。したがって、CXBとPNPヒドロゲルとの相互作用は、CXBが界面活性剤なしで様々な濃度でPNPにカプセル化され得ることを意味し、治療効果を肯定的に改善し、この戦略に関連する副作用を減らすことができる。
ゼータ電位は粒子サイズと共に調べ、これを図28の(c)に示した。PNPのゼータ電位は、PNP骨格のカルボキシルのため-19.9mVと測定された。しかし、ゼータ電位は、CXBがPNPに含まれた後、PCNP(CXB 1mg)及びPCNP(CXB 4mg)に対してそれぞれ-13.1及び-9.5mVと大幅に減少した。これは、PNPよりも粒子サイズの小さい疎水性CXBがPCNPミセル構造のコアにカプセル化されているためである(図28の(b))。これは、PCNPの表面の親水性PEGが負電荷を覆っていることを意味し、したがって疎水性相互作用は、CXBをPNPに成功裏に結合して、小さな気孔と粒子サイズを有するPCNPを形成した。
実施例13.試験管内及び生体内のPCNPヒドロゲルの質量損失及びヒドロゲルからのCXB持続放出
体内注入後のPCNPヒドロゲルの維持要求事項を予測するために、ヒドロゲルの質量損失を測定し、ヒドロゲルからのCXBの放出を分析して、PCNPヒドロゲルが長期にCXBを維持及び放出できるかどうかを確認し、これを図29に示した。体外分解データは、水性環境で膨潤及び分解パターンを示した。PNPヒドロゲルは、3日で147%に膨張した後、5週間にわたってゆっくりと溶解した(図30)。図29の(a)で示したように、PCNPヒドロゲルのCXB放出速度は、PNPヒドロゲルとCXBとの安定した相互作用のため、高い膨張が発生した場合でも、29日間ほぼ一定に維持された。CXB放出速度は、1mgのCXBを有する群でより高かったが、これは、より高いCXB濃度を有するCXBとPNPとの間の疎水性相互作用の増加がより緻密な構造を誘導するためであると思われる。
PCNPは加水分解により生分解され、CXBは28日にわたって放出された。分解と放出プロファイルの間に観察された相関は、CXB放出がPCNPヒドロゲルの分解と関連していることを示す。さらに、実験初期(~7日)に観察されたPCNP膨張は、CXBの爆発的な放出につながらず、これは放出が膨張よりもPCNPヒドロゲルの溶解と関連していることを示す。
CXB放出データは、0次、1次、Higuchi、及びRitger-Peppasモデル(以下の表5)を含む様々な動力学モデルに合わせて分析した。相関係数(R2)の比較は、Ritger-PeppasモデルがPCNP(CXB 1mg)及びPCNP(CXB 4mg)の両方に最も適していることを示す。Ritger-Peppasモデルを使用するとき、膨潤、侵食、及びポリマー多孔性を含む混合放出メカニズムが関連し得る。この動力学モデルは、CXBがPCNPの膨潤及び分解により放出されるため、PCNPと共に使用するのに適している。さらに、拡散メカニズムは、拡散指数(n)で説明することができる。それぞれ0.62と0.57と計算されたPCNP(CXB 1mg)とPCNP(CXB 4mg)の拡散指数(n)は、いずれもnon-Fickian拡散を示す。
生体内の生分解率を測定するために、PNPヒドロゲルをマウスの背中に皮下注射した。PNPヒドロゲルの温度感受性のゲル化特性は、4℃で観察されるポリマー溶液の分散とは異なり、体温でゲル化が速やかに発生することを意味する(図26)。また、PNPヒドロゲルは、37℃で1~100rad/sの範囲の角周波数で安定したモジュラスを維持することが示された(図31)。これは、PNPヒドロゲルが注射に適しており、生体内でゲル構造を維持することを示す。注入されたPNPヒドロゲルの質量は、生体内環境で2日で111%に増加した後、28日以上持続的に減少した(図29の(b))。これは、生体内のPNPヒドロゲルがPNPヒドロゲルネットワークへの最初の水吸収後、漸進的に分解し始めたことを示す。図32は、生体内のPNPヒドロゲルのサイズの漸進的な減少を示す。このような結果は、生体内へのPCNPヒドロゲルの注入後にCXBがゆっくり放出され、PCNPヒドロゲルが約1ヶ月間注入部位に残っていることを示す。
実施例14.欠損腱へのPCNPヒドロゲルの全身炎症性サイトカイン抑制及び抗炎症効果
生体内実験の前に、PNPヒドロゲルの試験管内の細胞毒性を調べて副作用を確認した(図33の(a))。細胞生存率は、高濃度のPNP(10mg mL-1)でも70%以上に維持された。生体内実験の質量損失データは、200μgの注入PNPヒドロゲルが30日以内に分解されたことを示唆し、これは、注入ヒドロゲル構造で1日に約6.6μgのPNPが放出されることを示す(図29)。したがって、PNPヒドロゲルは、副作用のない生体適合性薬物担体であることが確認され、またPNPヒドロゲルは、加水分解によりリン酸塩、ポリ(エチレングリコール)、及びアンモニアなどの無毒性物質に分解される。
CXB及びPCNPの細胞毒性も確認して、図33の(b)及び(c)に示した。CXB群は625μg/mlで高い細胞毒性を示したのに対し、PCNP群では40,000μg/ml CXBで重大な細胞毒性は観察されなかった。これは、CXBの低い溶解度が凝集を引き起こすため、細胞が高い細胞毒性レベルの薬物に高濃度で晒されるためである。PNPは、凝集や細胞毒性なしで薬物を送達できるため、CXBに適した担体と見なされる。
PCNPは、様々なCXB用量を効果的にカプセル化することができるため、多種の炎症性疾患を成功裏に治療できる適切な治療用量を制御するのに役立つ。本発明では、注射剤として使用される用量であるPCNP(CXB 1mg)とPCNP(CXB 4mg)を用いてAT治療の効果を評価した。
CXBは、IL-4、IL-10などの抗炎症性サイトカインの発現を増加させ、炎症と疼痛を減少させる。CXB治療はまた、軟骨と潤滑膜における全身炎症性サイトカイン(TNF-α、IL-1、IL-6、COX-2、MMP-3及びMMP-13)の発現を減少させることが知られている。このような抗炎症性及び炎症性サイトカインは、腱の治癒に直接関連している。全身炎症性サイトカインは、ECM恒常性と腱のリモデリングに影響するが、腱細胞のアポトーシスを促すことがある。IL-4は、腱の治癒に関連するテノサイトの増殖を増加させるが、それに対し、IL-10は、STAT3シグナル伝達経路を介して細胞増殖と生存に影響を与える。
開発された送達体の全身炎症性サイトカインの抑制及び抗炎症効果を分析するために、欠損のあるアキレス腱モデルにPCNPヒドロゲルを注入し、RT-PCRを用いて抗炎症性及び炎症性サイトカインのレベルを測定した(図34)。血液中の抗炎症性サイトカイン(IL-4及びIL-10)のレベルは、治療の4週間後に測定した(図34の(a)及び(b))。対照群と比較して、IL-4の発現は、CXBを1回処理した群では1.2倍、3回処理した群では1.3倍増加した。対照群と比較して、PCNP(1mg及び4mgのCXB)注入群において、IL-4の発現はそれぞれ1.5倍及び1.7倍増加し、IL-10は1.3倍及び1.5倍にそれぞれ増加する類似したパターンを示した。PCNP(1及び4mg CXB)群はそれぞれ1.8倍及び2.2倍の増加を示した。対照群と比較して、無処理群で抗炎症性サイトカイン発現はあまり変化せず、これは、治療なしでは抗炎症効果が生じないことを示唆する。抗炎症サイトカイン遺伝子の発現レベルは、CXB溶液の処理群でより高く、抗炎症サイトカインの発現は、PCNPヒドロゲルの注入後により高かった。これは、CXB注射が抗炎症効果を引き起こし、PCNP注射が欠損のあるアキレス腱でのCXBの局所的かつ持続的な放出により抗炎症効果をさらに強化したことを示す。
全身炎症性サイトカイン(COX-2、IL-1、IL-6、MMP-3、MMP13、及びTNF-α)の発現も調べ、これは図34の(c)~(h)に示した。無治療群の重度の炎症は、COX-2、IL-1、IL-6、MMP-3、MMP13及びTNF-αの発現において、対照群と比較してそれぞれ7.6-、6.4-、7.1-、7.1、8.1-及び7.8-倍増加した。全身炎症性サイトカインのCOX-2、IL-1、IL-6、MMP-3、MMP-13及びTNF-αの発現は、対照群と比較してCXB溶液中でそれぞれ6.3-、5.4-、6.0-、5.9-、7.2-及び6.7倍増加し、これは無治療群で観察されたものより著しく低かった。PCNP(CXB 4mg)ヒドロゲル注射群で、全身炎症性サイトカインの数値は、対照群と比較して5.6倍、4.7倍、5.2倍、5.1倍、6.6倍、5.8倍増加した。すべてのPCNP注入群は、CXB溶液注入群よりもほとんどの炎症誘発サイトカインの発現レベルが低かった。プロ炎症性サイトカイン及び抗炎症性サイトカイン発現データは、PCNPヒドロゲルの単一局所注入がCXB溶液の複数の注入よりもさらに高い抗炎症効果を生じることを示し、これは、再びCXBが欠損領域にゆっくり放出されるためであると評価された。
実施例15.生体内の欠損アキレス腱の再生
PCNPヒドロゲルからのCXBの局所的持続放出による生体内の腱の再生効果を分析するために、コラゲナーゼを用いて欠損アキレス腱を生成し、欠損アキレス腱の再生を調べるために、同一濃度の群を用いた(図35)。Hematoxylinとeosin(H&E)とMasson’s trichrome(MT)染色データは、コラゲナーゼ50群におけるECM整列の破壊とコラーゲン分解を示し、コラゲナーゼによって腱が完全に損傷したことを示す(図35の(b)及び(h))。損傷した腱は、4週間後にCXB溶液注入群で一部が再生された(図35の(c)及び(d))。MT染色データは、1回のみのCXB注入群よりも、CXB溶液を3回投与した群でより多くのコラーゲンが再生されたことを明らかに示した(図35の(i)及び(j))。これは、欠陥のある腱がCXBに晒される時間が、腱の再生に肯定的な影響を与えることを示す。H&E染色の結果は、PCNPヒドロゲル処理群の腱が組織整列と共にほぼ完全に回復したことを示した(図35の(e)及び(f))。MT染色の結果は、PCNPヒドロゲル群がCXB溶液注入群と比較して向上したコラーゲン再生を示すことを示した。PCNPヒドロゲルのCXB濃度も、腱再生に影響を与えた(図35の(e)~(l))。このような結果は、欠損腱の長期間の再生を誘導するためには、欠損腱の持続的なCXB曝露が必要であることを示唆する。
腱構成の生体内の再生及び機能回復は、ヒドロキシプロリン分析、機械的剛性、及び強度テストを用いて調べた(図36)。腱の主な構成要素の1つであるコラーゲンは、硬い機械的特性を提供する。コラーゲンは、主にヒドロキシプロリンで構成されている。したがって、組織内に存在するこの物質の量は、存在するコラーゲンの量を示す。35.5μg/mgの正常の腱組織のヒドロキシプロリン含量は、無処理群において11.3μg/mgと有意に減少したことが示された(図36の(a))。増加したヒドロキシプロリン含量は、CXB溶液(1週間当たり1回及び3回の注入)群でそれぞれ15.3及び17.2μg/mgの値が観察され、PCNPヒドロゲル注入群のヒドロキシプロリン含量でさらなる増加が観察され(CXB 1mg及び4mg)、値はそれぞれ21.4及び24.4μg/mgに達した。CXB溶液の注入回数とPCNPヒドロゲルのCXB濃度は、ヒドロキシプロリン含量に比例して影響を及ぼした。PCNPヒドロゲルは、CXB溶液よりもアキレス腱の欠損により長いCXB暴露時間を提供し、様々な濃度のCXBカプセル化は、治療効果に直接的な影響を及ぼし得る。
処理された腱の剛性と引張強度を測定し、正常な腱と比較して機械的機能再生を評価した(図36の(b)及び(c))。無処理群では、正常な腱の剛性度が36.3N/mmから13.7N/mmに有意な減少を示した。CXB溶液(1週間当たり1回及び3回の注射)で処理された群は、より高い剛性値(16.4及び18.6N/mm)を示したものの、剛性はPCNPヒドロゲル処理群で24.5及び26.4N/mmに増加して(CXB 1及び4mg)、正常の腱に対して得られた値と類似した。CXB溶液処理群は、腱再生能力が向上したが、このような効果は、PCNPヒドロゲル処理群においてはるかに顕著であった。引張強度データは、33.7MPaの正常の腱の引張強度が無処理群で11.4MPaに減少して、剛性度の結果と類似したパターンを示した。引張強度は、CXB溶液処理群(1週間当たり1回及び3回の注入)においてそれぞれ12.5及び14.7MPaと観察され、PCNPヒドロゲル処理群(CXB1及び4mg)は、それぞれ、正常なアキレス腱組織の約66%及び71%の回復を示した。これは、PCNPヒドロゲルが整列した腱ECMの再生と腱の機械的機能再生をいずれも誘導したことを示している。
以上のように、実施例が限定された図面により説明されたが、該技術分野における通常の知識を有する者であれば、上述に基づいて様々な技術的修正及び変形を適用することができる。例えば、説明された技術が説明された方法と異なる手順で行われ、及び/又は説明されたシステム、構造、装置、回路などの構成要素が説明された方法と異なる形で結合又は組み合わされ、他の構成要素又は均等物により対置され、又は置換されても、適切な結果を達成することができる。
したがって、他の具現例、他の実施例、及び特許請求の範囲と均等なものも、後述する特許請求の範囲に属する。
本発明は、災害安全のための知能型ソリューション技術開発(課題番号2E31600、課題期間20220101~20221231)、汎用的筋骨格系疾患治療のための局所型薬物伝達プラットフォーム技術開発(課題固有番号1711056093、課題期間20170401~20171231)、及びニューラルネットワークの再建のためのヒドロゲルエンジニアリング技術開発(課題固有番号1711134231、課題期間:20210701~20211231)課題の支援を受けて完成された。
Claims (13)
- 下記の化学式1で示されるポリホスファゼン骨格のリン原子上に、
下記の化学式2で示されるアミノ酸エステルの第1モイエティと、
下記の化学式3で示されるポリエチレングリコールの第2モイエティと、
アミノエタノールと有機酸を含む第3モイエティと、をそれぞれa:b:cのモル比で含むポリホスファゼン系高分子、及び
治療的有効量の炎症制御及び治療用の薬物
を含む、炎症性疾患の予防又は治療用組成物。
(前記化学式において、
R1は、C1-6のアルキル、C1-6のアルケニル、又はC6-10のアリール-C1-6のアルキルであり、
R2は、水素、メチル、イソプロピル、1-メチルプロピル、2-メチルプロピル、チオメチル、メチルチオエチル、ベンジル、ヒドロキシベンジル、又は2-インドリルメチルであり、
R3は、C1-6のアルキルであり、
nは、3~100,000の整数であり、
pは、1~20の整数であり、
a:bのモル比は、5.5:1~7.5:1であり、
aは、70~80モル%である。) - 前記第3モイエティにおける前記有機酸は、グルタル酸を含む、請求項1に記載の炎症性疾患の予防又は治療用組成物。
- 前記R1は、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ベンジル、又は2-プロフェニルである、請求項1に記載の炎症性疾患の予防又は治療用組成物。
- 前記R3はメチルである、請求項1に記載の炎症性疾患の予防又は治療用組成物。
- 前記炎症性疾患の治療用薬物は疎水性である、請求項1に記載の炎症性疾患の予防又は治療用組成物。
- 前記疎水性の炎症性疾患の治療用薬物は、トリアムシノロンアセトニド、メチルプレドニゾロン、デキサメタゾン、セレコキシブ、イブプロフェン、ナプロキセン、インドメタシン、ケトプロフェン、エトドラク、メロキシカム、ロフェコキシブ、エトリコキシブ、バルデコキシブ、ルミラコキシブ、及びジクロフェナクからなる群から選ばれるいずれか1つ以上である、請求項5に記載の炎症性疾患の予防又は治療用組成物。
- 前記高分子は、前記炎症性疾患の治療用薬物を徐放することを特徴とする、請求項1に記載の炎症性疾患の予防又は治療用組成物。
- 前記徐放は、治療的有効量の範囲の薬物濃度で薬物を放出する、請求項1に記載の炎症性疾患の予防又は治療用組成物。
- 前記ポリホスファゼン系高分子が、1~50重量%の濃度で溶媒に溶解されたものである、請求項1に記載の炎症性疾患の予防又は治療用組成物。
- 前記溶媒は、水、緩衝溶液、酸性溶液、塩基性溶液、塩溶液、生理食塩水、注射用水、細胞培養液、及びブドウ糖食塩液からなる群から選ばれる1種以上である、請求項9に記載の炎症性疾患の予防又は治療用組成物。
- 前記高分子は、5~70℃の範囲でゾル-ゲル転移の挙動を示し、予め決められた所定の温度でヒドロゲルを形成する、請求項1に記載の炎症性疾患の予防又は治療用組成物。
- 前記高分子は、生体への適用時に、又は生体外の環境でゲル化し、予め決められた所定の温度で温度感受性を喪失して温度の変化に関係なくゲル状態を維持する、請求項1に記載の炎症性疾患の予防又は治療用組成物。
- 前記炎症性疾患は、変形性関節症、変形関節炎、関節リウマチ、骨粗鬆症、及びアキレス腱炎からなる群から選ばれるいずれか1つである、請求項1に記載の炎症性疾患の予防又は治療用組成物。
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