JP2024527633A - 新規なラクトバシラスプランタルム菌株、菌株由来多糖体の腫瘍の予防又は治療のための併用投与用途 - Google Patents

新規なラクトバシラスプランタルム菌株、菌株由来多糖体の腫瘍の予防又は治療のための併用投与用途 Download PDF

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Abstract

Figure 2024527633000001
本発明は、新規なLactobacillus plantarum IMB19菌株及び/又は菌株由来多糖体の腫瘍の予防又は治療のための抗癌剤との併用投与用途に関し、本発明の新規なラクトバシラスプランタルムIMB19菌株及び前記菌株由来の多糖体は、優れたCD8+ T細胞活性の刺激能力及びTreg細胞の抑制活性を示し、CPS腫瘍内のマクロファージ浸潤増加、マクロファージの炎症性(M1)表現型への分化/再プログラミングなどの多様なメカニズムを通じて抗腫瘍免疫反応を刺激及び向上させる。さらに、前記菌株及び多糖体は、抗癌剤、特に、PD-1又はPD-L1抑制剤(例えば、PD-1抗体又はPD-L1抗体など)などの免疫抗癌剤と併用投与する場合、抗腫瘍免疫反応を顕著に増加させることができ、抗癌剤を単独で使用する場合に比べて顕著な腫瘍の成長抑制効果を示す。よって、多様な抗癌剤と併用投与することによって、腫瘍の予防、改善又は治療に有用に使用され得る。

Description

本発明は、新規なラクトバシラスプランタルム(Lactobacillus plantarum)IMB19菌株KCTC 14337BP及び/又は菌株由来多糖体の腫瘍の予防又は治療のための抗癌剤との併用投与用途に関し、具体的には、免疫刺激及び抗腫瘍活性を有するラクトバシラスプランタルムIMB19菌株KCTC 14337BP又は前記菌株由来の化学式Iの多糖体の腫瘍の予防又は治療のための抗癌剤との併用用途に関する。
哺乳類は、免疫システムと絶え間なく相互作用する一連の微生物を保有している。共生微生物は宿主と共生関係を結び、消化、行動、免疫システムの成熟などの様々な過程において宿主と相互作用する(Cerf-Bensussan N,Gaboriau-Routhiau V.The immune system and the gut microbiota:friends or foes? Nat Rev Immunol 2010;10(10):735-44.)。同様に、かびは人体に存在し、宿主の免疫システムに影響を与える(Wheeler ML,Limon JJ,Underhill DM.Immunity to Commensal Fungi:Detente and Disease.Annu Rev Pathol 2017;12:359-85.)。先天性免疫細胞は、Toll様受容体(Toll-like receptors,TLRs)のようなパターン認識受容体(pattern recognition receptors,PRRs)により、多糖体を含むかび細胞表面の様々な病原菌関連分子パターン(pathogen-associated molecular patterns,PAMPs)を検出する。信号を探知すると、先天性免疫細胞が遺伝子発現プロファイルを変更し、後天的免疫を調停するためにサイトカインのような免疫信号分子を生産する(Iliev ID,Leonardi I.Nat Rev Immunol 2017;17(10):635-46.,Underhill DM,Iliev ID.Nat Rev Immunol 2014;14(6):405-16.及びBrubaker SW,Bonham KS,Zanoni I,et al.Annu Rev Immunol 2015;33:257-90.)。
WHOは、プロバイオティクスを適切な量で投与する場合、宿主の健康に役立つ生きている微生物と定義する(Nat Rev Gastroenterol Hepatol11,506-514(2014))。プロバイオティクスは、宿主の腸内微生物相(gut microflora)に対する補充剤の役割を担い、腸障壁機能を改善し、宿主の兔疫体系を調節することに効果的なものと報告された(Microb Ecol Health Dis 26,25877(2015))。プロバイオティクスの大部分は、ファーミキューテス門(phylum Firmicutes)に属し、これは、最大の単一バクテリア門であり、これらの大部分は、“G+C”含有量が低いグラム陽性菌であり、主にBacilli及びClostridiaグループに分類される。ラクトバシラス種(Lactobacillus species)は、ラクトバシラセエ(Lactobacillaceae)科に属する乳酸菌(LAB)である。ラクトバシラス(Lactobacillus)は、明確な生態学的地位を有する広く知られた微生物群集である。種々の乳酸菌は、伝統的に、牛乳、乳製品、発酵食品、ソーセージなどの食品と関連していることが知られている。ラクトバシラスは、FDAによってGRAS(Generally Regarded As Safe)と認定された微生物グループであり、食品及びその他の産業分野において広く用いられている。ラクトバシラスは、条件嫌気性、非胞子形成、非運動性、棒形、グラム陽性細菌に分類され、一般に、カタラーゼ陰性と見なされる。ラクトバシラスは、同種発酵(homofermentative)又は異種発酵(heterofermentative)特性を示すことができ、一次発酵の最終産物として乳酸を生産する(Front Cell Infect Microbiol 2,86(2012))。ラクトバシラスは、滑らかで膨らんだコロニーを示す。
LAB同士の類似した生化学及び形態学的特性のため、個別菌株を同定するためには分子的同定方法が必要である。様々な乳酸菌が食品、特に発酵食品において分離及び特性化されている。発酵は一般に、微生物に起因する生化学的変化を意味する。韓国の伝統食品であるキムチは、主に白菜を発酵させた食べ物であり、栄養健康的に有益な効果を示す(Crit Rev Food Sci Nutr34,175-203(1994))。キムチには独特の微生物群集が存在していると知られている。様々な報告によれば、主に乳酸菌がキムチに存在することが知られており、Weisellia、Lactobacillus、及びLeuconostocは優占種として、特に、ラクトバシラスプランタルム(Lactobacillus plantarum)菌株が最優占種として知られている(Food Sci Biotechnol19,641-646(2010))。ラクトバシラスプランタルム(Lactobacillus plantarum)は、菌株特異的プロバイオティックプロファイル及び食品産業において技術的応用によって最も多く研究された菌株の一つである。キムチ微生物群の大部分は培養が可能であり(Int J Food Microbiol102,143-150(2005))、それらが健康上に及ぼす利点を研究するために個別微生物分離が必須である。
一方、癌の成長及び増殖は、宿主免疫反応によって厳格に調節される。腫瘍細胞の成長及び増殖のためには、腫瘍細胞の初期死滅を誘導する免疫体系の監視を回避できる必要がある。腫瘍細胞は、サイトカインの分泌、細胞表面分子の発現など、様々な経路を介して免疫抑制性腫瘍微細環境を形成し、免疫システムを回避することによって成長及び増殖する。このような免疫回避機序を対象にする癌治療戦略として、免疫体系を誘導又は強化させようとする様々な努力が試みられた。腫瘍免疫治療法は、腫瘍が獲得した免疫抑制又は免疫回避機序を克服するために、兔疫体系の腫瘍認知能力又は破壊能力を回復又は強化させる治療方法であるといえる。2011年にイピリムマブ(ipilimumab)が悪性黒色腫患者を成功的に治療した免疫治療剤として開発されて以来、ニボルマブ、ペンブロリズマブなどの様々な免疫治療剤が持続的に開発されてきている。
このような腫瘍免疫治療療法のツールとして、腸内微生物群(gut microbiota)の重要性及びその応用に対する報告及び事例が増加している。腸内微生物群は、宿主の局所及び全身免疫反応を形成するために必須の役割を担う(Science330,1768-1773(2010)、Cell148,1258-1270(2012))。腸内微生物群の多様性及び構成は、化学療法に対する反応性にも影響を及ぼすことが見られた(Cancer Immunol Immunother 55,1470-1479(2006);Science342,971-976(2013))。特に、特定の共生微生物は、自発的な抗腫瘍免疫の活性化と関連することが明らかにされ、実験(Science350,1084-1089(2015)、Science350,1079-1084(2015))及びヒト癌(Science359,91-97(2018),Nature453,620-625(2008))において免疫治療剤の治療効能にシナジー効果を示すことが知られている。したがって、腸内微生物群のような特定菌株が粘膜外及び遠距離腫瘍の進行にも影響を及ぼし得るという点が明確にされつつある。このような様々な報告に基づき、腸内微生物群の変更は、効果的で且つ実行可能な臨床治療の一つのオプションとして見なされている。現在、大部分の研究は、プロバイオティクスの観点において特定菌株又は菌株の集団が宿主の免疫システム又は抗腫瘍免疫に及ぼす包括的な効果を立証したが、このような効果を示す具体的な菌株由来の有効成分及びその信号経路のようなメカニズムに関する情報はほとんど明らかにされたことがない。
併用療法は、癌を含む多くの感染性、自己免疫、神経系、心血管疾患に対する治療戦略の一つであり、単一療法と比較して効能を向上させるために一つ以上の治療剤又は療法を組み合わせる古典的接近方式である。一般に、直交活性を有する薬物が癌の治療のために結合されてきたが、現在は、効能を高めながらも副作用を減少させるための追加効果又はシナジー効果を有する薬物又は療法の組み合わせが要求される。
化学療法及び小分子抑制剤を含む標的療法は、過去の半世紀間、臨床で腫瘍の治療のために使用される主要な臨床的方法であったが、最近、免疫チェックポイント抑制剤がさらに効果的な治療オプションとして登場した。免疫チェックポイント抑制剤(Immune checkpoint inhibitors、ICIs)は、多様な腫瘍類型に適用可能であり、持続的な反応性を示し、最小毒性効果及び耐薬性を示すので、非常に優れた臨床結果を示した。
しかし、免疫チェックポイント抑制剤の最大の短所の一つは、母集団におけるICIsの制限的な応答性にある。非反応性集団、患者の遺伝学又は後天的耐性と関連した要因で多様なメカニズムが作用し得るが、最近、免疫療法に対する患者の反応性を調節するのに腸内共生微生物群集が影響を及ぼすことが報告された。ICIsに反応する供与者のFMTは、非反応性患者の客観的な反応を改善するものとして示された。抗癌効果を高める個別腸内微生物の役割は、抗CTLA-4及び抗PD-L1に対するバクテロイデスフラジリス(Bacteroides fragilis)及びビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)の効果向上が報告されながら最初に認識された。それ以来、多様なバクテリア菌株が類似する効果を示すが、互いに異なる効率を示すので、より良い効率を示す免疫チェックポイント抑制剤と菌株との組み合わせが必要となる。
このような技術的背景下で、本発明者等は、微生物由来の多糖体の成分、構造、分子量などと免疫調節機能との明確な相関関係及びメカニズムを明らかにしようと鋭意努力した結果、韓国の伝統食品であるキムチから顕著に高い免疫増進活性を有する新規なラクトバシラスプランタルム(Lactobacillus plantarum)に属する菌株を同定し、前記新規菌株の莢膜多糖体、及びその特定の構造を有する分画(CPS-100)が免疫刺激及び増進効果を示す有効分子であることを確認した。具体的には、本発明者等の新規菌株及び特定の構造の新規多糖体は、CD8+ T細胞機能の活性化、CPS腫瘍内のマクロファージ浸潤増加、マクロファージの炎症性表現型への分化/再プログラミングなどの多様なメカニズムで抗腫瘍免疫反応を刺激することによって、腫瘍の成長を顕著に抑制できることを確認して特許出願した(大韓民国特許出願第2021-0003432号及び第2021-0003433号)。
さらに、本発明者等は、従来の癌の治療に使用される多様な治療用途と前記菌株又は菌株由来多糖体の併用療法を通じた癌治療戦略を開発するために鋭意努力した結果、前記新規菌株が抗原提示細胞を通じて細胞毒性T細胞活性を刺激することに基づいて、ラクトバシラスプランタルム(Lactobacillus plantarum)IMB19菌株と多様な免疫抗癌剤、例えば、抗PD-L1抗体を併用投与する場合、抗腫瘍免疫効果が顕著に向上することを確認し、本発明を完成するに至った。
本背景技術部分に記載の前記情報は、単に本発明の背景に対する理解を向上させるためのものであり、したがって、本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者に既に知られた先行技術を形成する情報が含まれなくてもよい。
本発明の目的は、免疫刺激活性を有する新規な菌株及び抗癌剤の併用投与用途を提供することにある。
本発明の他の目的は、免疫刺激活性を有する前記菌株由来の多糖体及び抗癌剤の併用投与用途を提供することにある。
本発明のさらに他の目的は、前記菌株及び/又は菌株由来多糖体と抗癌剤の併用投与を通じた免疫調節方法、及び/又は腫瘍又は感染性疾患の予防、改善又は治療方法を提供することにある。
前記目的を達成するために、
本発明は、ラクトバシラスプランタルム(Lactobacillus plantarum)IMB19菌株KCTC 14337BPを含み、抗癌剤と併用投与されることを特徴とする、腫瘍の予防又は治療用組成物を提供する。
また、本発明は、ラクトバシラスプランタルム(Lactobacillus plantarum)IMB19菌株KCTC14337及び抗癌剤を含む腫瘍の予防又は治療用組成物を提供する。
本発明は、下記化学式Iで表される多糖体を有効成分として含み、抗癌剤と併用投与されることを特徴とする、腫瘍の予防又は治療用組成物を提供する:
[化I]
-[-D-B-I-F-G-C-E-H-A-]
前記化学式Iにおいて、
A及びDは、ガラクトース(Galactose)であり、
B、C、E、G及びHは、ラムノース(Rhamnose)であり、
Fは、N-アセチルグルコサミン(N-acetylglucosamine)であり、
Iは、ブドウ糖であり、
nは、1~10の整数である。
また、本発明は、下記化学式Iで表される多糖体及び抗癌剤を含む腫瘍の予防又は治療用組成物を提供する:
[化I]
-[-D-B-I-F-G-C-E-H-A-]
前記化学式Iにおいて、
A及びDは、ガラクトース(Galactose)であり、
B、C、E、G及びHは、ラムノース(Rhamnose)であり、
Fは、N-アセチルグルコサミン(N-acetylglucosamine)であり、
Iは、ブドウ糖であり、
nは、1~10の整数である。
また、本発明は、前記ラクトバシラスプランタルムIMB19菌株の腫瘍の予防、改善又は治療のための抗癌剤との併用投与用途を提供する。
また、本発明は、前記化学式Iの多糖体の腫瘍の予防、改善又は治療のための抗癌剤との併用投与用途を提供する。
また、本発明は、前記ラクトバシラスプランタルムIMB19菌株及び抗癌剤を対象に併用投与する段階を含む腫瘍の予防、改善又は治療方法を提供する。
また、本発明は、前記化学式Iの多糖体及び抗癌剤を対象に併用投与する段階を含む腫瘍の予防、改善又は治療方法を提供する。
また、本発明は、腫瘍又は感染性疾患の予防又は治療のための併用投与用組成物を製造するための前記菌株及び/又は多糖体の用途を提供する。
キムチ由来菌株処理時の脾臓細胞の炎症性又は抗炎症サイトカイン数値を示すものである。
キムチ懸濁液の段階的希釈液を作り、MRSアガープレートにストリークし、37℃で48時間培養した後に14個のコロニーから菌株を獲得し、MRSブロスで24時間さらに培養した。脾臓細胞とそれぞれの菌株を1:10に混合し、37℃、5%CO条件で48時間培養した。脾臓細胞の活性化は、ELISAによって培養上澄液のサイトカイン数値を測定して評価した。前記データは、平均±SEM値である(n=2)。統計的有意性は、一元分散分析(one-way ANOVA)によってMockに対して計算された。p<0.5、**p<0.01、***p<0.001
L.plantarum IMB19菌株の微生物学的及び生物学的特性を示す図である。

1710137507964_0
のA:L.plantarum IMB19菌株のTEM写真を示すものである。矢印は、細胞壁周囲の莢膜層を示す。
図2のB:5%ヒツジ血液アガーで48時間培養した後、L.plantarum IMB19菌株の溶血活性、陽性対照群:Bacillus cereus ATCC27348
図2のC:L.plantarum IMB19菌株に対するゼラチン加水分解試験。陽性対照群:B.cereus ATCC11778
L.plantarum IMB19の系統図(Cluster dendrogram)を示すものである。
系統樹(phylogenetic tree)は、L.plantarum菌株間の差に基づいて構築された。平均ヌクレオチド指数(Average nucleotide index,ANI)は、OrthANIアルゴリズムを計算した。距離は、ゲノムの差に正比例する。
様々なラクトバシラスプランタルム菌株のTh17細胞生成を確認した結果である。
未成熟(naive)CD4+ T細胞に対するL.plantarum IMB19、L.plantarum 3105、L.plantarum 3106、L.plantarum 3107の効果を示した流動細胞分析データである。L.plantarum IMB19でプライミングされた樹状細胞を未成熟CD4+ T細胞、抗CD3(10ng/ml)及びIL-2(100U/ml)と共に培養した。
図4のAにおけるiは、Th17細胞の生成を描写するFACSプロットである。細胞は、ライブ(live)CD4+RORγ細胞としてゲートされた。
図4のAにおけるiiは、ライブCD4+RORγ細胞としてゲートされたTh17細胞に対する平均細胞数を示す棒グラフである。
図4のBは、ライブCD4+ T-bet+ T細胞としてゲートされたTh1細胞である。
図4のCは、ライブCD4+GATA3+ T細胞としてゲートされたTh2細胞である。
図4のDは、ライブCD4+Foxp3+調節T細胞としてゲートされたTregである。
データは、平均±SDで示し、統計的有意性は、一元分散分析(one-way ANOVA)によってMockに対して計算された。**p<0.01
L.plantarum IMB19のTreg抑制及びTh17細胞誘導能を示すものである。
図5のAにおけるiは、Th17細胞の生成に対するL.plantarum IMB19の効果を示す代表的なFACSプロット及び棒グラフである。L.plantarum IMB19プライミングされた樹状細胞を未成熟CD4+ T細胞、抗CD3(0.1μg/ml)、TGF-β、IL-6(2ng/ml)、IL1-βIL-2(100U/ml)、抗IL4(10μg/ml)及び抗IFNγ(μg/ml)と共に共同培養した。細胞は、ライブCD4+RORγ細胞としてゲートされた。
図5のAにおけるiiは、L.plantarum IMB19で生成されたTh17細胞においてインターロイキン-17のレベルを示す代表的なFACSプロット及び棒グラフである。細胞は、ライブCD4+RORγ細胞としてゲートされた。
図5のBは、試験管内Treg細胞生成に対するL.plantarum IMB19の抑制効果を示す代表的なFACSプロット及び棒グラフである。L.plantarum IMB19プライミングされた樹状細胞は、抗CD3(0.1μg/ml)、IL-2(100U/ml)及び様々な濃度のTGF-βと共に未成熟CD4+ T細胞と共同培養した。データは、平均±SEMで表示した。統計的有意性は、一般の一元分散分析で分析された。**p<0.01、***p<0.001
L.plantarum IMB19によって強化されたCD8+ T細胞活性化を用いた抗腫瘍免疫反応を示すものである。
図6のAは、脾臓細胞-バクテリア共同培養上澄液のELISAを用いたサイトカイン分析結果である。
図6のBは、L.plantarum IMB19又はL.murinusでプライミングされた脾臓CD11c+樹状細胞及び未成熟CD8+ T細胞の共同培養物からIFNγ細胞を定量した結果である。
図6のCは、L.plantarum IMB19でプライミングされたCD11b+F4/80+腹膜マクロファージ及び未成熟CD8+ T細胞の共同培養物からIFNγ細胞を定量した結果である。
図6のDは、L.plantarum IMB19でプライミングされた脾臓CD11c+樹状細胞、未成熟CD4+ T細胞及び2ng/mlのTGFβの共同培養物からFoxp3+CD4+ T細胞を定量した結果である。
前記データは、平均±SEM値であり、Bは、テューキーの(Tukey’s)多重比較と共に一般の一元分散分析で分析された。**p<0.01、****p<0.0001
図6のEは、in vivo OVA発現リステリアモノサイトゲネス(LM-OVA)細胞毒成分析を概略的に示すものである。
図6のFは、LM-OVAで感染されたマウスにおいてOVA+脾臓細胞に対するL.plantarum IMB19媒介されたCD8+ T細胞特異的細胞毒性を示すものである。
図6のGは、in vivo B16.F10黒色腫マウスモデルを概略的に示すものである。
図6のHは、L.plantarum IMB19又はL.murinusで処理又は非処理されたC57/BI6無菌(germ-free)マウスにおいてB16.F10黒色腫成長動力学(B116.F10 melanoma growth kinetics)を示すものである。
図6のIは、L.plantarum IMB19又はL.murinusで処理又は非処理されたC57/BI6 SPFマウスにおいてB16.F10黒色腫成長動力学(B116.F10 melanoma growth kinetics)を示すものである。
前記データは、平均±SEM値であり、図6のFは、非パラメトリック両側検定(non-parametric two tailed t-test)であり、図6のH及びIは、ダネットの(Dunnet’s)多重比較と共に二元分散分析で分析された。**P<0.01、***P<0.001、****P<0.0001
L.plantarum IMB19のCD8+ T細胞に対する用量依存的効果を示すものである。
図7のA及びBは、異なる比率のL.plantarum IMB19でプライミングされた脾臓(図7のA)又はmLN(図7のB)CD11c+樹状細胞と未成熟CD8+ T細胞の共同培養物においてIFNγ細胞を定量化したものである。
図7のCは、100ng/mlのgp-100の存在下に、異なる比率のL.plantarum IMB19でプライミングされた脾臓CD11c+樹状細胞と未成熟pmel TCR移植CD8+ T細胞の共同培養物においてIFNγ細胞を定量化したものである。データは、平均±SEMであり、テューキーの多重比較と共に一般の一元分散分析で分析された。**p<0.01、***p<0.001、****p<0.0001
L.plantarum IMB19のインターロイキン-6生産を用いた調節T細胞の成長抑制を示すものである。
図8のAは、異なるTGFβ濃度においてL.plantarum IMB19プライミングされた脾臓CD11c+樹状細胞と未成熟CD4+ T細胞の共同培養物においてFoxp3+CD4+ T細胞を定量化したものである。
図8のBは、2ng/mlのTGFβ濃度においてL.plantarum IMB19プライミングされた脾臓CD11c+樹状細胞と未成熟CD4+ T細胞の共同培養物においてサイトカインを定量化したものであり、総CD4+ T細胞としてゲートされた。
図8のCは、IL-6-/-脾臓DC及び0.01ng/mlのTGFβ濃度においてL.plantarum IMB19プライミングされた脾臓CD11c+樹状細胞と未成熟CD4+ T細胞の共同培養物においてFoxp3+CD4+ T細胞を定量化したものである。
データは、平均±SEMであり、テューキーの多重比較と共に一般の一元分散分析で分析された。***p<0.001、ns:有意でない
微生物多様性の変化無しでL.plantarum IMB19が腫瘍免疫に及ぼす効果を示すものである。
図9のAは、図6のHにおけるL.plantarum IMB19を給与した腫瘍保有マウスの糞便サンプルに現れた門(phylums,%)の系統発生学的分析結果である。
図9のB及びCは、図6のHにおけるL.plantarum IMB19を給与した腫瘍保有マウスの糞便サンプルに現れたバクテリアβ-多様性のアルファ(α)多様性分析(B)及び主座標分析(Principal coordinates analysis)を示すものである。データは、2回の独立試験値を示す。
L.plantarum IMB19の透過電子顕微鏡(TEM)写真である。
図10のaは、L.plantarum IMB19バクテリア群集であり、矢印は個別バクテリアを示す。
図10のbは、L.plantarum IMB19であり、矢印は、細胞壁周囲の厚い莢膜層(Capsular layer)を示す。
HF処理無しで(a)又はHF処理して(b)試料を脱リン酸化させたL.plantarum IMB19から抽出されたCPS由来のアセチル化されたメチルグリコシドのGC-MSプロファイルを示すものである。“i”は不純物を表す。
L.plantarum IMB19から抽出されたCPSのアセチル化2-(-)-オクチル誘導体(2-(-)-octyl derivatives)(a)、ラムノース(b)、ブドウ糖(c)及びガラクトースアセチル化2-(-)-オクチルグリコシド標準(d)のGC-MSプロファイルを示すものである。“i”は不純物を表す。
未精製CPSをイオン交換クロマトグラフィーで精製して得た分画の陽性子スペクトルを示すものである(600MHz、298K):CPS(a)、CPS-10(b)、CPS-100(c)、CPS-200(d)、CPS-400(e)、CPS-700(f)及びCPS7-1000(g)。括弧中の数字は、28mgの未精製CPSを基準に各分画の収率(mg/mg)を表す。
L.plantarum IMB19の莢膜多糖体に対して記録されたHSQCスペクトルの拡張を示すものである(600MHz、310K):(a)アノマー領域(anomeric region)の拡張;(b)カルビノール領域(carbinolic area)の拡張。灰色密度は“CH”炭素に該当し、“”は還元形態(Galα及びGalβでガラクトースに付着した反復単位の糖のマイナーなアノマー信号(minor anomeric signals)を示すものである。
HFを処理し、サンプルを脱リン酸化した後、L.plantarum IMB19から抽出したCPS-400のアセチル化メチルグリコシドのGC-MSプロファイル。“i”は不純物を表し、MurAは、バクテリアのペプチドグリカンの構成要素であるムラミン酸(muramic acid)を表す。
L.plantarum IMB19の莢膜多糖体、CPS-100に対して記録されたTOCSU(黒色)及びCOZY(青緑色/赤色)スペクトルの拡張を示すものである(600MHz、310K)。
L.plantarum IMB19の莢膜多糖体、CPS-100に対して記録されたNOESY(黒色)及びCOZY(青緑色/赤色)スペクトルの拡張を示すものである(600MHz、310K)。
L.plantarum IMB19の莢膜多糖体に対して記録されたHSQC-TOCSY(a)及びHMBC(b)NMRスペクトルの拡張を示すものである(600MHz、310K)。
L.plantarum IMB19の莢膜多糖体、CPS-100の一部である残基B-GのH-2陽性子領域を詳細に示すNESY(黒色)及びCOZY(青緑色/赤色)スペクトルの拡張を示すものである(600MHz、310K)。
L.plantarum IMB19の莢膜多糖体、CPS-100の反復単位の構造を示すものである。4は、計算された平均重合度を示す。Dの6’炭素残基の酸素に置換されたリン酸基(P)は、Aの1’炭素と連結されて重合された多糖体の反復単位間AとDのリン酸ジエステル(phosphodiester)結合を表す。
溶媒単独注入(a);CPS-100(b);CPS-400(c)のHPSECプロファイルを示すものである。13.6及び14.74分におけるピークは、単独注入された溶媒のプロファイル(a)から見られるように、溶媒で誘発されたアーティファクトである。
CPS-400に対して記録されたNMRスペクトルを示すものである(600MHz、310K):(a)HSQC-TOCSY(黒色)及びHSQC(青緑色)のオーバーレイ;(b)HMBC(黒色)及びHSQC(青緑色)のオーバーレイ;(c)HSQC;(d)HSQC-TOCSY;(e)~(h)異なる領域のTOCSYスペクトル。“”は、未確認されたマイナーモチーフに属する密度。構造単位の標識及び描写は、表4に開示した。
リビトールGの密度を描写するHSQC-TOCSY(黒色/灰色)及びHSQC(青緑色/赤色)の拡張を示すものである。G1及びG5からのHSQC-TOCSY相関関係は、灰色の点線で立証される。構造単位の標識及び描写は、表4に開示した(600MHz、310K)。
精製された分画の莢膜多糖体の免疫刺激活性を確認するためにサイトカインのレベルを確認した結果である。脾臓細胞は、図24に、すなわち、培地(対照群)、CPS分画(CPS-400及びCPS-100、50μg/mL)、全体のCPS(50μg/mL)及び脂質多糖体(E.Coli 0111:B4由来LPS、0.1μg/mL)の存在下に脾臓細胞を培養した。サイトカイン生産の評価のために、細胞培養上澄液をELISAで分析した。(a)IFNγIL-10;(c)TNF-α;(d)IL-6;(e)IL-12;(f)IFNγの生産に対するCPS-100の用量反応曲線(Dose response curve)。(f)において、EC50(half maximal effective concentration)は3.16μMと計算された。データは、類似した結果の2~3回の独立実験値であり、全ての棒グラフは、平均±SDを示す。p<0.05、****p<0.0001(多重比較のための事後ダネットの検定(post hoc Dunnet’ test)を用いた一元分散分析);ND、検出無し。
L.plantarum IMB19及びCPSのCD8+ T細胞の活性化及び腫瘍内浸潤向上を用いた腫瘍成長抑制効果を示すものである。
図25のAは、L.plantarum IMB19又はCPSで処理又は非処理されたC57/Bi6 SPFマウスにおけるB16.F10黒色腫成長動力学を示すものである。
図25のBは、マウスから分離された腫瘍を示す写真である。
図25のC及びDは、L.plantarum IMB19(C)又はCPS(D)処理の開始16~18日後に流動細胞分析で決定された腫瘍浸潤CD8+及びCD4+ T細胞の比率を示すものである。
データは平均±SEM値である。データは、ダネットの多重比較を用いた二元分散分析(A)又は非パラメトリック両側検定(non-parametric two tailed t-test)(C-D)で分析された。p<0.05、**p<0.01、***p<0.001。
図25のE及びFは、L.plantarum IMB19(E)又はCPS(F)での処理又は非処理時、腫瘍浸潤IFNγ細胞の百分率及び腫瘍浸潤CD8+ T細胞の平均蛍光強度(mean fluorescence intensity,MFI)の量を示すものである。図25のG及びHは、L.plantarum IMB19(G)又はCPS(H)での処理又は非処理時、IFNγ細胞の頻度を示すものである。データは平均±SEM値である。データは、非パラメトリック両側検定(non-parametric two tailed t-test)で分析された。P<0.05、ns:無意義。
L.plantarum IMB19及びCPSが腫瘍内調節T細胞集団を変更させないことを示すものである。
図26のA及びBは、L.plantarum IMB19(A)又はCPS(B)の処理時、腫瘍浸潤されたリンパ球内腫瘍浸潤CD4+Foxp3+調節T細胞の百分率を示すものである。データは、非パラメトリック両側検定(non-parametric two tailed t-test)で分析された。P<0.05、ns:無意義。
L.plantarum IMB19のEMT乳癌の腫瘍成長抑制活性を示すものである。
図27のAは、L.plantarum IMB19処理又は非処理されたBalb/c SPFマウスにおけるEMT-6乳癌成長動力学を示すものである。データは平均±SEMであり、ダネットの多重比較と共に二元分散分析で分析された。P<0.05、***P<0.001。
CPSのB16.F10黒色腫において炎症性マクロファージのCPSの腫瘍内浸潤向上活性を示すものである。
図28のAは、腫瘍接種40時間後に、CPS処理時のCD45+CD11c+CD11b+腫瘍浸潤マクロファージの数及び百分率を示すものである。
図28のB及びCは、CPS処理時、腫瘍浸潤マクロファージ(B)及び樹状細胞(C)上の活性マーカー、CD11b、MHC I、MHC II、CD86及びCD40を示すものである。
図28のDは、CPS処理時、腫瘍流れ込みリンパ節(Tumor draining lymph nodes)においてCD8+CD69+ T細胞の百分率を示すものである。データは平均±SEMであり、ダネットの多重比較と共に二元分散分析(A)又は非パラメトリック両側検定(non-parametric two tailed t-test)(B)で分析された。P<0.05、**P<0.01、***P<0.001。
図28のE及びFは、分離して直後(E)又は24時間のIL-4処理後(F)に、生体外でCPS(10μg/ml)処理されたマウス腹膜マクロファージ上の活性マーカー、MHC I、MHC II、iNOS2、CD68、CD40、CD80、及びCD86を示すものである。
図28のGは、腫瘍接種40時間後に分離されたCPS又はPBS処理された腫瘍由来マクロファージにおける豊富化したM1マクロファージ遺伝子シグネチャーをダビッド経路分析で分析した結果である。
TLR2のリガンドとして、CPSの役割及びマクロファージでの鉄の隔離を通じて腫瘍成長を抑制できることを確認した結果である。
図29のAは、経路分析によって評価されたCPS及びPBS投与マウスの腫瘍から初期浸潤されたマクロファージを分離し、遺伝子発現プロファイリングのためにmRNAシーケンシングを行い、ダビッド経路分析によって評価された各マクロファージで上昇した遺伝子のサブセット内の生物学的経路及び機能を示したものである(fold change≧1.5)。
図29のB~Dは、鉄の隔離(B)、TLR(C)及び炎症性マクロファージマーカー(D)関連遺伝子のうち顕著な変化を示す遺伝子の相対的豊富度を示したヒートマップである。
図29のEは、CPS(10μg/ml)及びLpIMB19プライミングされた野生型又はTLR2-/-脾臓CD11c+樹状細胞及び野生型マウス由来の未成熟CD8+ T細胞を共培養した後、IFN-γT細胞を定量した結果である。
図29のFは、HEK-TLR2細胞をTLR2リガンドPam3Csk4又はCPSと共に24時間培養し、QUANTI-BLUE SEAPレポーターアッセイ(reporter assay)によって培養上澄液でSEAP分泌によって評価された活性を示したものである。図29のE~Fにおいて、データは、二元分散分析(two-way ANOVA)とダネットの多重比較(Dynnet’s multiple comparison)で分析された平均±SDである。<0.05、**P<0.01、***P<0.001。
図29のFは、B16.F10黒色腫の移植18~20日後に、CD45+CD11c+CD11b+F4/80+腫瘍浸潤マクロファージ内の鉄(Fe++)の蛍光強度の定量及び平均を示したものである。
図29のGは、CPS処理の有無によって培地で鉄に露出してから30分後、鉄分の摂取を定量化した結果である。データは、非パラメトリック両側検定(non-parametric two tailed t-test)によって分析された平均±SD値であり、nsは無意義を示す。
APC上のTLRによって媒介されるCPS活性を示したものである。CPS(10μg/ml)及びLpIMB19プライミングされた野生型、MyD88-/-、TLR4-/-又はTLR6-/-脾臓CD11c+樹状細胞及び野生型マウス由来の未成熟CD8+ T細胞を共同培養した場合にIFN-γT細胞を定量した結果である。データは、二元分散分析(two-way ANOVA)とダネットの多重比較(Dynnet’s multiple comparison)で分析された平均±SDである。<0.05、**P<0.01、***P<0.001。
腫瘍浸潤CD8+ T細胞において、CPS媒介もTCRレパートリーの拡張を示したものである。図31のAは、>0.0001の生産頻度を有する152個のTCRクローン及びPBS、CPS(10μg/ml)及びLpIMB19処理されたグループでの発現レベルをパイグラフで示したものである。図31のBはシンプソン指数(Simpson’s Index)で、図31のCはピエロー(Pielou)の均一性点数、図31のDは、PBS、CPS(10μg/ml)及びLpIMB19処理されたマウスにおいて上位20 TCR再配置をPBSと比べたフォルド差で示したものである。
免疫チェックポイント抑制剤である抗PD-L1と組み合わされたLpIMB19の顕著な腫瘍成長抑制効果を示したものである。マウスは、i)PBS(isotype)、ii)LpIMB19(1x10CFU/mouse p.o)、iii)抗PD-L1(100μg/mouse i.p)及びii)とiii)との組み合わせで処理された。図32のA~Cは、Renca-Luc同所性(orthotopic)マウス腎臓癌モデルである。腫瘍細胞(0.04mill/mouse)は、マウス腎臓カプセルの下側に外科的手術を通じて移植され、マウスを7日目に生物発光イメージングに基づいて無作為化した。
図32のAは、治療療法を概略的に示したものである。
図32のBは、20日目の代表的な生体内の生物発光イメージ(BLI)を示したものであり、BLIは、10、13、18、20及び24日目に腎臓癌の成長を追跡するために行われた。
図32のCは、腫瘍の進行を示す縦断BLIを示したものである。
図32のDは、B16.F10マウス黒色腫モデルに対する併用投与を概略的に示したものである。
図32のEは、黒色腫における腫瘍の進行を示したものである。B16.F10細胞(0.2milli/マウス)を皮下注射し、多様な治療療法を処理し、腫瘍の進行を20日まで追跡した。平均±SEM値が表示され、二元分散分析(two-way analysis of variance(ANOVA))で分析された。P<0.05、**P<0.001、***P<0.0001、****P<0.00001。
特に断らない限り、本明細書で使用される技術的及び科学的用語はいずれも、本発明の属する技術の分野における熟練した専門家によって通常理解されるのと同じ意味を有する。一般に、本明細書における命名法は、本技術分野によく知られており、通常使用されるものである。
本発明の一実施例において、本発明者等は、韓国の伝統発酵食品であるキムチから、高い免疫刺激活性を示す新規なラクトバシラスプランタルム(Lactobacillus plantarum)IMB19菌株を同定し、韓国生物資源センターに寄託した(寄託番号:KCTC 14337BP)。
本発明の他の実施例において、先天的免疫システムと適応免疫システムの両方を含むように設計した共同培養システムにおいて、前記菌株が免疫刺激性サイトカイン(例えば、IFN-γ)の増加及び抗炎症サイトカイン(例えば、IL-10)の抑制効果を示し、エフェクターT細胞を顕著に増加させ、Tregの生成を抑制することにより、宿主内で免疫システムを刺激し、腫瘍の成長及び増殖を抑制することを確認した。
本発明の他の実施例において、本発明者等は、前記菌株及び免疫チェックポイント抑制剤の併用投与時、抗腫瘍効果が顕著に向上することを確認し、菌株又は免疫チェックポイント抑制剤を単独で投与する場合に比べて腫瘍の成長を効果的に抑制できることを確認した。
したがって、本発明は、一観点において、ラクトバシラスプランタルム(Lactobacillus plantarum)IMB19菌株KCTC 14337BPを含み、抗癌剤と併用投与されることを特徴とする、腫瘍の予防又は治療用組成物に関する。
本発明において、前記ラクトバシラスプランタルム(Lactobacillus plantarum)IMB19菌株KCTC 14337BPは、優れた免疫増進活性及び抗腫瘍活性を示すことを特徴とし得る。
より具体的には、本発明の菌株は、i)ヘルパーT細胞の誘導及びTreg細胞の分化抑制のような炎症性方向へのT細胞分化誘導、ii)CD8+ T細胞の刺激、活性向上及び腫瘍内浸潤向上、iii)Treg細胞活性抑制、iv)腫瘍内マクロファージ浸潤増加、v)マクロファージの炎症性細胞への活性化、及びM2からM1マクロファージへの再プログラミングなどの様々な免疫増進活性及び/又は抗腫瘍活性を示すことを特徴とし得る。
本発明において、前記ラクトバシラスプランタルムIMB19菌株(以下、L.plantarum IMB19と略称する。)は、キムチから分離されており、16S rRNA分析、recA増幅/バンド比較、全体の遺伝子配列分析、及び系統学的、形態学的、生理学的分析を通じて新規な菌株と同定され、寄託された。
本発明において、前記L.plantarum IMB19菌株は、発酵食品、例えば、キムチに由来するものであることを特徴とし得る。
本発明において、前記L.plantarum IMB19菌株は、小さくて滑らかであり、円形の半透明なコロニーを示すことを特徴とし得る。
本発明において、前記L.plantarum IMB19菌株は、無鞭毛性(non-flagellated)であることを特徴とし得る。
本発明において、前記L.plantarum IMB19菌株は、棒形(rod-shaped)コロニーを示すことを特徴とし得る。
本発明において、前記L.plantarum IMB19菌株は、莢膜層(capsular layer)を有することを特徴とし得る。
本発明において、前記L.plantarum IMB19菌株は、非溶血性(non-hemolytic)又はγ-溶血性(γ-hemolytic)であることを特徴とし得る。
本発明において、前記L.plantarum IMB19菌株は、ゼラチナーゼ活性に陰性であることを特徴とし得る。
本発明において、前記L.plantarum IMB19菌株は、ヒスタミン(histamine)、カダベリン(cadaverine)、チラミン(tyramine)及び/又はプトレシン(putrescine)などの生体アミン(biogenic amine)を生成しないことを特徴とし得る。
本発明において、前記L.plantarum IMB19菌株は、カナマイシンに耐性を有することを特徴とし得る。
本発明において、前記L.plantarum IMB19菌株は、免疫増進及び/又は抗腫瘍活性を有することを特徴とし得る。より具体的な例として、前記L.plantarum IMB19菌株は、i)ヘルパーT細胞の誘導及びTreg細胞の分化抑制のような炎症性方向へのT細胞分化誘導、ii)CD8+ T細胞の刺激、活性向上及び腫瘍内浸潤向上、iii)Treg細胞活性抑制、iv)腫瘍内マクロファージ浸潤増加、v)マクロファージの炎症性細胞への活性化及びM2からM1マクロファージへの再プログラミングなどの様々な免疫増進及び抗腫瘍活性を有し得るが、これに制限されるものではない。
本発明において、前記L.plantarum IMB19菌株は、腫瘍の成長を抑制することを特徴とし得る。
本発明において、前記抗癌剤は、例えば、化学抗癌剤(細胞毒性抗癌剤)、標的抗癌剤、免疫抗癌剤、ホルモン性抗癌剤、細胞治療剤などであり得るが、これに制限されるものではない。
本発明において、前記化学抗癌剤は、細胞毒性抗癌剤とも呼ばれ、癌細胞を直接攻撃し、抗癌効果を示す抗癌剤であり、例えば、シクロホスファミド、イホスファミド、ベンダムスチン、メルファラン及びシスプラチンなどのアルキル化剤;カペシタビン、シタラビン、ドキシフルリシン、フルオロウラシル、クロファラビン、フルダラビン及びデシタビンなどの代謝拮抗剤;ドキソルビシン、ダウノルビシン、イダルビシン、エトポシド及びトポテカンなどのDNA回転酵素阻害剤;カバジタキセル、ドセタキセル、ビンクリスチンなどの微小管阻害剤;及びマイトマイシンC、ブレオマイシン、ヒドロキシウレアなどのその他の化学抗癌剤などを含むが、これに制限されるものではない。
本発明において、標的抗癌剤は、癌が発現する特定抗原又は癌と関連した抗原を標的とし、これに結合又は相互作用する物質を主要成分とする抗癌剤であり、例えば、セツキシマブ、トラスツズマブ、ベバシズマブ、リツキシマブ、イブリツモマブ、アレムツズマブ、ブレンツキシマブ及びエロツズマブなどの抗体治療剤;及びエルロチニブ、ゲフィチニブ、バンデタニブ、アファチニブ、ラパチニブ、アキシチニブ、パゾパニブ、スニチニブ、ソラフェニブなどの信号伝逹抑制剤を含むが、これに制限されるものではない。
本発明において、前記免疫抗癌剤は、イピリムマブなどのCTLA-4抗体、ペムブロリズマブ、ニボルマブなどのPD-1抗体、アテゾリズマブなどのPD-L1抗体、IDO抑制剤などの免疫チェックポイント抑制剤を含むが、これに制限されるものではない。
本発明において、前記ホルモン性抗癌剤は、ビカルタミド、エンザルタミドなどの男性ホルモン抑制剤、及びタモキシフェン、アナストロゾール、レトロゾールなどの女性ホルモン抑制剤などを含むが、これに制限されるものではない。
本発明において、前記細胞治療剤は、生きている免疫細胞を有効成分とする治療剤を意味し、細胞毒性T細胞治療剤、CAR-T細胞治療剤、CAR-NK細胞治療剤などを含むが、これに制限されるものではない。
本発明のL.plantarum IMB19菌株は、i)ヘルパーT細胞の誘導及びTreg細胞の分化抑制のような炎症性方向へのT細胞分化誘導、ii)CD8+ T細胞の刺激、活性向上及び腫瘍内浸潤向上、iii)Treg細胞活性抑制、iv)腫瘍内マクロファージ浸潤増加、v)マクロファージの炎症性細胞への活性化、及びM2からM1マクロファージへの再プログラミングなどの様々な免疫増進及び抗腫瘍活性を有するので、本発明において、好ましくは、前記抗癌剤は免疫抗癌剤であることを特徴とし得る。
本発明において、さらに好ましくは、前記免疫抗癌剤は免疫チェックポイント抑制剤であることを特徴とし得る。
本発明において、前記免疫チェックポイント抑制剤は、免疫チェックポイントに関与する受容体又はそのリガンドによる信号伝逹を遮断する製剤であり、PD-1/PD-L1、CTLA-4、IDO、B7-1及びB7-2で構成された群から選ばれる免疫チェックポイントタンパク質を抑制することを特徴とし得る。
本発明において、前記免疫チェックポイント抑制剤は、前記免疫チェックポイントタンパク質に特異的に結合する抗体であり得る。本発明において、前記免疫チェックポイントタンパク質に特異的に結合する抗体は、例えば、ペムブロリズマブ、ニボルマブ、セミプリマブなどのPD-1抑制剤、アテゾリズマブ、アベルマブ及びデュルバルマブなどのPD-L1抑制剤、アテゾリズマブなどのCTLA-4遮断剤であり得るが、これに制限されるものではない。
本発明の一実施例において、前記菌株を給与した動物腫瘍モデルにおいて、CD8+ T細胞の刺激、マクロファージでの分化、表現型誘導及び鉄隔離、Tregの抑制、免疫細胞の腫瘍浸潤向上、CD8+ T細胞のTCRレパートリー調節などの多様なメカニズムを通じて顕著な免疫増進効果及び抗腫瘍活性を示すことを確認した。
また、本発明の他の実施例において、CPSの処理時に腫瘍の成長が顕著に抑制されることを確認した。
本発明の用語“腫瘍”は、生体調節機構から離脱し、細胞が自律性をもって過剰増殖する現象又はこれによって生成された新生物、又は過形成物のいずれをも含む。前記腫瘍は、例えば、良性、前悪性、悪性腫瘍のいずれをも含み、より具体的な例として、組織細胞腫、神経膠腫、星状細胞腫、骨腫、各種癌、例えば、肺癌、小細胞肺癌、胃癌、胃腸管癌、腸癌、結腸癌、直腸癌、膵癌、乳癌、皮膚癌、卵巣癌、前立腺癌、精巣癌、肝癌、腎臓癌、膀胱癌、脳癌、肉腫、骨肉腫、黒色腫、リンパ腫(ホジキンリンパ腫、FL、MCL、MZBL、CLL、T-ALL、AML、ALLなど)、血液癌、白血病、乾癬、骨疾患、線維増殖性障害、粥状硬化症などを含むことができ、好ましくは、黒色腫、乳癌、腎臓癌、肺癌、膀胱癌、直腸癌であり得るが、これに制限されるものではない。
本発明で使用される用語“予防”は、本発明に係る組成物の投与によって疾患を抑制させるか、疾患の発病を遅延させるあらゆる行為を意味する。
本発明で使用される用語“治療”は、本発明に係る組成物の投与によって疾患に対する症状が好転するか、有益に変更されるあらゆる行為を意味する。
本発明の組成物は、その有効成分の上述した免疫増進効果及び/又は抗腫瘍効果によって様々な疾患に対する予防又は治療及び抗炎症効果を示す。
本発明の組成物は、抗癌剤との併用投与のための組成物であることを特徴とし得る。
本発明において、前記L.plantarum IMB19菌株及び抗癌剤は、混合された後、同時投与のための一つの剤形として組成物に含まれ得るが、これに制限されるものではなく、別途の投与剤形として、L.plantarum IMB19菌株を含む組成物及び抗癌剤を含む組成物がそれぞれの独立的な剤形として製造されることを特徴とし得る。
本発明において、前記L.plantarum IMB19菌株及び抗癌剤は、同一又は異なる投与経路を介して投与されるように含まれ得る。例えば、前記L.plantarum IMB19菌株は、経口投与に適した剤形であり、前記抗癌剤は、注射剤形として製造及び投与され得るが、これは説明のための例示に過ぎなく、これに制限されるものではない。
本発明において、前記L.plantarum IMB19菌株を含む組成物は、経口投与剤形として製造されることが好ましいが、これに制限されるものではない。本発明において、前記前記L.plantarum IMB19菌株を含む組成物は、ヒト又は動物に投与されるのに適した組成物の形態で使用され得る。
本発明の組成物の有効成分であるL.plantarum IMB19菌株は、経口剤形として製造したとき、凍結乾燥又はカプセル化された形態、培養懸濁液、発酵液、乾燥粉末又は顆粒形態の組成物として提供され得る。
本発明の組成物の有効成分であるL.plantarum IMB19菌株を含む組成物の非経口剤形として製造したとき、滅菌された水溶液、非水性溶剤、懸濁剤、乳剤、凍結乾燥製剤、坐剤が含まれ得る。非水性溶剤及び懸濁溶剤としては、プロピレングリコール(Propylene glycol)、ポリエチレングリコール、オリーブオイルなどの植物性油、エチルオレートなどの注射可能なエステルなどが使用され得る。坐剤の基剤としては、ウイテプゾール(witepsol)、マクロゴール、ツイン(tween)61、カカオ脂、ラウリン脂、グリセロゼラチンなどが使用され得る。さらに、当分野の適正な方法で又はRemington’s Pharmaceutical Science(最新版)、Mack Publishing Company、Easton PAに開示されている方法を用いて製剤化することができる。
前記組成物は、本発明のL.plantarum IMB19菌株又はその培養液を含有する他、通常、微生物を含む組成物に使用される適切な担体、賦形剤及び希釈剤をさらに含むことができる。
前記組成物に含み得る担体、賦形剤及び希釈剤としては、ラクトース、デキストロース、スクロース、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、エリスリトール、マルチトール、澱粉、アカシアガム、アルギネート、ゼラチン、カルシウムホスフェート、カルシウムシリケート、セルロース、メチルセルロース、微晶質セルロース、ポリビニルピロリドン、水、メチルヒドロキシベンゾエート、プロピルヒドロキシベンゾエート、タルク、ステアリン酸マグネシウム及び鉱物油などがある。前記組成物を製剤化する場合は、通常使用する充填剤、増量剤、結合剤、湿潤剤、崩壊剤、界面活性剤などの希釈剤又は賦形剤を使用して調合される。
本発明に係る組成物は、通常の方法によって様々な形態で剤形化して使用され得る。適宜の剤形としては、錠剤、丸剤、散剤、顆粒剤、糖衣錠、硬質又は軟質のカプセル剤、溶液剤、懸濁剤、乳化液剤、注射剤、エアゾールなどの経口型剤形、外用剤、坐剤及び滅菌注射溶液などがあるが、これに限定されるものではない。
本発明に係る組成物は、薬学的に不活性である有機又は無機担体を用いて適切な剤形として製造することができる。すなわち、剤形が錠剤、コーティングされた錠剤、糖衣錠及び硬質カプセル剤である場合は、ラクトース、スクロース、澱粉又はその誘導体、タルク、カルシウムカーボネート、ゼラチン、ステアリン酸又はその塩を含むことができる。また、剤形が軟質カプセル剤である場合は、植物性オイル、ワックス、脂肪、半固体及び液体のポリオールを含むことができる。また、剤形が溶液又はシロップ形態である場合は、水、ポリオール、グリセロール、及び植物性オイルなどを含むことができる。
本発明に係る組成物は、前記担体の他にも、保存剤、安定化剤、湿潤剤、乳化剤、溶解剤、甘味剤、着色剤、滲透圧調節剤、酸化防止剤などをさらに含むことができる。
本発明の組成物は、当業界に公知となった方法を用いて、胃腸を通過した後で小腸に到逹し、活性成分である微生物、L.plantarum IMB19菌株が迅速に腸内に放出されるように腸溶被覆製剤として製造され得る。
また、本発明の組成物は、通常のカプセル化方法を用いてカプセル形態の組成物として製造され得る。例えば、標準担体を用いて凍結乾燥させた本発明の微生物を含有するペレット(pellet)を製造した後、これを硬質のゼラチンカプセル内に充填させることができる。又は、本発明の微生物と任意の適切な薬剤学的担体、例えば、水性ガム、セルロース、ケイ酸塩又はオイルを用いて懸濁液及び分散液を製造した後、このような分散液又は懸濁液を軟質のゼラチンカプセル内に充填させることもできる。
本発明において、前記組成物は、特に、経口用単位剤形として腸溶被覆された腸溶性製剤として提供され得る。本明細書内での“腸溶被覆”は、胃酸によっては分解されずに被覆が維持されるが、小腸では十分に分解され、活性成分が小腸内に放出できるようにする、薬剤学上に許容可能な全ての種類の公知の被覆を含む。腸溶被覆の材料は、公知の高分子物質から適当に選択され得る。適当な高分子物質は、多数の公知文献(L.Lachman外,The Theory and Practice of Industrial Pharmacy,3版,1986,pp.365~373;H.Sucker外,Pharmazeutische Technologie,Thieme,1991,pp.355-359;Hagers Handbuch der pharmazeutischen Praxis,4版,Vol.7,pp.739~742,及び766~778,(SpringerVerlag,1971);及びRemington’s Pharmaceutical Sciences,13版,pp.1689~1691(Mack Publ.,Co.,1970))に列挙されており、セルロースエステル誘導体、セルロースエーテル、アクリル樹脂のメチルアクリレート共重合体、及びマレイン酸及びフタル酸誘導体の共重合体がこれらに含まれ得るが、これに制限されるものではない。
本発明に係る組成物は、有効な量で投与する。例えば、前記組成物が食品組成物又は医薬組成物である場合、それぞれ食品学的に有効な用量、又は薬学的に有効な量で投与されることを特徴とし得る。本発明において、“有効な用量”、“食品学的に有効な用量”及び“薬学的に有効な量”は、本発明の目的である予防又は治療に適用可能な合理的な受恵/危険の割合で疾患を治療するのに十分な量を意味し、有効用量レベルは、対象の疾患の種類、重症度、薬物の活性、薬物に対する敏感度、投与時間、投与経路、排出比率、治療期間、同時に使用される薬物を含む要素及びその他の医学分野によく知られた要素によって決定され得る。
本発明に係る組成物は、個別治療剤として投与されるか、或いは他の治療剤と併用して投与されてもよく、従来の治療剤とは順次に又は同時に投与されてもよく、単一又は多重投与されてもよい。上記の要素を全て考慮し、副作用無しで最小限の量で最大の効果が得られる量を投与することが重要であり、これは、当業者によって容易に決定され得る。
例えば、本発明において、前記L.plantarum IMB19菌株は、約1x10cfu~約1x1020cfu、好ましくは、約1x10cfu~約1x1015cfuの用量で投与されることを特徴とすることができ、本発明の一実施例では、約1x10cfuで投与されたが、これに制限されるものではない。
本発明において、本発明の組成物と併用投与される抗癌剤は、抗癌剤によって当業界に知られた薬学的に有効な用量で投与され得る。本発明の一実施例において、抗癌剤と併用投与されたPD-L1抗体は100μgの用量に投与されたが、これに制限されるものではない。
本発明の組成物は、個体に様々な経路で投与され得る。投与の方式は、例えば、皮下、静脈、筋肉又は子宮内硬膜又は脳血管内注射であり得る。本発明の組成物は、治療する疾患、投与経路、患者の年齢、性別、体重及び疾患の重症度などの様々な関連因子と共に、活性成分である薬物の種類によって決定される。
本発明に係る組成物の投与方法は、剤形によって容易に選択可能であり、経口又は非経口投与され得る。投与量は、患者の年齢、性別、体重、病症の程度、投与経路によって変わり得る。本発明の組成物は、他の治療療法又は治療剤と併用して投与され得る。腫瘍の予防又は治療用途に使用される場合、好ましくは、前記他の治療療法又は治療剤は免疫療法又は免疫細胞治療剤であり得るが、これに制限されず、臨床医の判断によって様々に組み合わせて使用され得る。
本発明の用語“併用投与”は、2種類以上の有効成分を同時又は順次に投与したり、2種類以上の有効成分の作用でそれぞれの有効成分を独立的に投与したときに期待される効果より向上した効果を示すことができるように、同時に、順次に又は特定の間隔を置いて投与することを意味する。
本発明において、前記併用投与は、本発明のL.plantarum IMB19菌株及び抗癌剤を併用して投与することを特徴とすることができ、それ以外にも、他の有効成分を含有する組成物又は他の療法と併行して行われることを特徴とし得る。
本発明において、前記併用投与されるそれぞれの有効成分は、独立的な経路を介して投与されることを特徴とし得る。それぞれの有効成分は、独立的に通常の技術者によって適切な投与用法及び用量で投与され得る。例えば、本発明の一実施例のように、好ましくは、前記L.plantarum IMB19菌株は経口投与し、抗癌剤は静脈注射を通じて投与することを特徴とし得るが、これに制限されるものではない。
本発明において、前記L.plantarum IMB19及び抗癌剤の併用投与は同時に行われることを特徴とし得る。
本発明において、前記L.plantarum IMB19菌株及び抗癌剤の併用投与は順次に行われることを特徴とし得る。例えば、前記L.plantarum IMB19菌株の投与後に抗癌剤が投与されたり、抗癌剤の投与後に菌株が投与され得る。
本発明において、前記L.plantarum IMB19菌株及び抗癌剤が順次に投与される場合、一定の時間的間隔を置いて投与されることを特徴とすることができ、非制限的な例として、1分間隔、5分間隔、10分間隔、20分間隔、30分間隔、1時間間隔、1日間隔、数日間隔、又は1週~数週間隔で順次に投与され得るが、これに制限されるものではなく、通常の技術者によって適切な間隔で順次に投与され得る。
本発明において、前記L.plantarum IMB19菌株と抗癌剤の投与は、それぞれ独立的に繰り返して1回以上行われ得る。本発明において、前記L.plantarum IMB19菌株及び抗癌剤が繰り返して投与される場合、それぞれの投与間隔は、独立的に、対象の状態、目的とする効果のレベルによって通常の技術者が容易に調節することができる。例えば、前記菌株と抗癌剤は、それぞれ独立的に1時間間隔、6時間間隔、8時間間隔、12時間間隔、1日間隔、2日間隔、1週間隔、2週間隔、又は一ヶ月間隔で投与され得るが、これに制限されるものではない。
本発明の組成物は、医薬組成物又は食品組成物として製造され得る。
本発明において、前記L.plantarum IMB19菌株を含む組成物は、併用投与される抗癌剤の剤形と独立的な形態の組成物、例えば、医薬組成物又は食品組成物の形態で投与され得る。好ましくは、前記L.plantarum IMB19菌株を含む医薬組成物と抗癌剤を含む医薬組成物がそれぞれ有効な用量で投与されたり、L.plantarum IMB19菌株を含む食品組成物と抗癌剤を含む医薬組成物がそれぞれ有効な用量で投与されることを特徴とし得るが、これに制限されるものではない。
本発明の用語“食品組成物”は、栄養成分を含有する物質を包括する広い意味で使用され、肉類、ソーセージ、パン、チョコレート、キャンディ類、スナック類、菓子類、ピザ、ラーメン、その他麺類、ガム類、アイスクリーム類を含む酪農製品(乳製品)、各種スープ、飲料水、茶、ドリンク剤、アルコール飲料、ビタミン複合剤、プレバイオティクス、プロバイオティクス、ポストバイオティクス、健康補助食品、健康機能食品及び健康食品などを含み、通常の意味での食品を全て含むだけでなく、食品に添加される“食品添加剤”又は“食品添加用組成物”を含む意味で使用される。
本発明において、前記食品がヒトを除外した動物の餌として提供される場合、“飼料”と実質的に同一の意味で相互互換的に使用され得る。よって、本発明において、前記食品組成物は、飼料組成物、飼料添加剤(飼料添加組成物)を意味し得る。
本発明の用語“健康機能(性)食品(functional food)”とは、特定保健用食品(food for special health use,FoSHU)と同じ意味の用語であり、栄養供給の他にも生体調節機能が効率的に現れるように加工された医学、医療効果が高い食品を意味する。ここで、“機能(性)”とは、人体の構造及び機能に対して栄養素を調節するか、生理学的作用などの保健用途に有用な効果を得ることを意味する。本発明の食品は、当業界で通常用いられる方法によって製造可能であり、前記製造時には、当業界で通常添加する原料及び成分を添加して製造できる。また、前記食品の剤形も、食品として認定される剤形であれば制限なく製造可能であり、本発明に係る健康機能食品は、粉末、顆粒錠剤、カプセル又は飲料の形態であり得る。
前記健康食品(health food)は、一般食品に比べて積極的な健康維持や増進効果を有する食品を意味し、健康補助食品(health supplement food)は、健康補助目的の食品を意味する。場合によって、健康機能食品、健康食品、 健康補助食品の用語は混用される。
前記食品組成物は、生理学的に許容可能な担体をさらに含み得るが、担体の種類は特に制限されず、当該技術分野において通常使用される担体であればいずれも使用可能である。
また、前記組成物は、食品組成物に通常使用され、臭い、味、視覚などを向上できる追加成分を含むことができる。例えば、前記組成物は、ビタミンA、C、D、E、B1、B2、B6、B12、ニアシン(niacin)、ビオチン(biotin)、フォレート(folate)、パントテン酸(panthotenic acid)などを含むことができ、また、亜鉛(Zn)、鉄(Fe)、カルシウム(Ca)、クロム(Cr)、マグネシウム(Mg)、マンガン(Mn)、銅(Cu)、クロム(Cr)などのミネラルを含むことができ、また、リシン、トリプトファン、システイン、バリンなどのアミノ酸を含むことができる。
また、前記組成物は、防腐剤(ソルビン酸カリウム、ベンゾ酸ナトリウム、サリチル酸、デヒドロ酢酸ナトリウムなど)、殺菌剤(さらし粉と高度さらし粉、次亜塩素酸ナトリウムなど)、酸化防止剤(ブチルヒドロキシアニソール(BHA)、ブチルヒドロキシトルエン(BHT)など)、着色剤(タール色素など)、発色剤(亜硝酸ナトリウム、亜酢酸ナトリウムなど)、漂白剤(亜硫酸ナトリウム)、調味料(MSGなど)、甘味料(ズルチン、シクラメート、サッカリン、ナトリウムなど)、香料(バニリン、ラクトン類など)、膨張剤(ミョウバン、D-酒石酸水素カリウムなど)、強化剤、乳化剤、増粘剤(糊料)、皮膜剤、ガム基礎剤、バブル抑制剤、溶剤、改良剤などの食品添加物(food additives)を含むことができる。前記添加物は、食品の種類によって選別され、適切な量で使用され得る。
本発明の前記L.plantarum IMB19菌株と共に食品学的に許容可能な食品補助添加剤をさらに含むことができ、他の食品又は食品成分と共に使用可能であり、通常の方法によって適切に使用され得る。有効成分の混合量は、その使用目的(予防、健康又は治療的処置)によって適切に決定され得る。
本発明は、他の観点において、ラクトバシラスプランタルム(Lactobacillus plantarum)IMB19菌株KCTC 14337BP及び抗癌剤を含む腫瘍の予防又は治療のための医薬組成物に関する。
また、本発明は、さらに他の観点において、前記ラクトバシラスプランタルム(Lactobacillus plantarum)IMB19菌株KCTC 14337BP及び抗癌剤を対象に併用投与する段階を含む腫瘍の予防又は治療方法に関する。
また、本発明は、さらに他の観点において、前記ラクトバシラスプランタルム(Lactobacillus plantarum)IMB19菌株KCTC 14337BPの腫瘍の予防、改善又は治療のための抗癌剤との併用投与用途に関する。
また、本発明は、さらに他の観点において、ラクトバシラスプランタルム(Lactobacillus plantarum)IMB19菌株KCTC 14337BPの抗癌剤と併用投与するための組成物の製造のための用途に関する。
本発明の一実施例において、莢膜多糖体(Capsular polysaccharides)が本発明のL.plantarum IMB19の免疫増進活性を示す有効成分であることを確認した。
また、本発明の他の実施例では、前記分離した莢膜多糖体が、L.plantarum IMB19菌株と同様に、i)ヘルパーT細胞の誘導及びTreg細胞の分化抑制のような炎症性方向へのT細胞分化誘導、ii)CD8+ T細胞の刺激、活性向上及び腫瘍内浸潤向上、iii)Treg細胞活性抑制、iv)腫瘍内マクロファージ浸潤増加、v)マクロファージの炎症性細胞への活性化、及びM2からM1マクロファージへの再プログラミング、vi)マクロファージでの遺伝子プロファイルの変更及び鉄の隔離(iron sequestration)、及び/又はvii)CD8+ T細胞のTCRレパートリー調節などの様々なメカニズムにより、優れた免疫増進活性及び抗腫瘍活性を示すことを確認した。
本発明の他の実施例において、前記莢膜多糖体は、NMRで構造的に分析された。
したがって、本発明は、さらに他の観点において、免疫増進活性を有するラクトバシラスプランタルム(Lactobacillus plantarum)IMB19菌株KCTC 14337BP由来の莢膜多糖体(Capsular polysaccharides;CPS)を含み、抗癌剤と併用投与されることを特徴とする、腫瘍の予防又は治療用組成物に関する。
本発明において、前記莢膜多糖体は、下記化学式Iの多糖体を含むことを特徴とし得る:
[化I]
-[-D-B-I-F-G-C-E-H-A-]
A及びDは、ガラクトース(Galactose)であり、
B、C、E、G及びHは、ラムノース(Rhamnose)であり、
Fは、N-アセチルグルコサミン(N-acetylglucosamine)であり、
Iは、ブドウ糖であり、
nは、1以上の整数である。
本発明において、前記化学式Iの多糖体は、化学式Iにおいて[-D-B-I-F-G-C-E-H-A-]で表される反復単位の重合体(n=1以上)構造であり得る。
本発明において、前記化学式Iのnが2以上である場合、前記反復単位は、直接の共有結合の他にも様々な方法で制限なく連結され得る。例えば、前記反復単位は、グリコシド結合、ホスホジエステル結合などの化学的結合によって連結されてもよく、リンカーを媒介して連結されてもよい。
本発明において、前記化学式Iのnが2以上である場合、反復単位([-D-B-I-F-G-C-E-H-A-])は、AとDのグリコシド結合(-O-)で連結されたことを特徴とし得る。
本発明において、前記化学式Iのnが2以上である場合、反復単位([-D-B-I-F-G-C-E-H-A-])は、AとDとの間のリン酸ジエステル結合(phosphodiester linkage)で連結されたことを特徴とし得る。
本発明において、前記化学式Iのnが2以上である場合、反復単位のAの1位の炭素と他の反復単位のDの6位の炭素とがリン酸ジエステル結合(phosphodiester linkage)で連結されたことを特徴とし得る。
本発明において、前記化学式IのA及びDのいずれか一つ以上がリン酸化されたことを特徴とし得る。好ましくは、Aの場合は、1位の炭素の水酸化基がリン酸化されたことを特徴とすることができ、Dの場合は、6位の炭素の水酸化基がリン酸化されたことを特徴とし得る。
本発明において、前記ガラクトース(galactose)は、自然系に一般に存在するガラクトース又はその誘導体を含む意味で使用される。例えば、本発明において、前記ガラクトースは異性質体であって、α型(α configuration)、β型(β configuration)、D型(D configuration)又はL型(L configuration)であってもよく、好ましくはα-ガラクトース、さらに好ましくはα-D-ガラクトースであることを特徴とし得るが、これに制限されるものではない。
本発明において、前記ラムノース(rhamnose)は、自然系に一般に存在するラムノース又はその誘導体のいずれをも含む意味で使用される。例えば、本発明において、前記ラムノースは異性質体であって、α型(α configuration)、β型(β configuration)、D型(D configuration)又はL型(L configuration)であってもよく、好ましくはα-ラムノース、さらに好ましくはα-L-ラムノースであることを特徴とし得るが、これに制限されるものではない。
本発明において、前記N-アセチルグルコサミン(N-acetylglucosamine)は、N-アセチルグルコサミン及びその誘導体のいずれをも含む意味で使用される。
本発明において、前記ブドウ糖(glucose)は、一般のブドウ糖又はその誘導体のいずれをも含む意味で使用される。例えば、本発明において、前記ブドウ糖は異性質体であって、α型、β型、D型又はL型であってもよく、好ましくは、β型配列を有するブドウ糖、さらに好ましくはD-ブドウ糖であることを特徴とし得るが、これに制限されるものではない。
本発明において、DとB(D-B)、及びBとI(B-I)は、α-1,3-グリコシド結合で連結されたことを特徴とし得る。
本発明において、前記IとF(I-F)は、β-1,6-グリコシド結合で連結されたことを特徴とし得る。
本発明において、前記FとG(F-G)、GとC(G-C)、CとE(C-E)、及びEとH(E-H)は、α-1,2-グリコシド結合で連結されたことを特徴とし得る。
本発明において、前記HとA(H-A)は、α-1,6-グリコシド結合で連結されたことを特徴とし得る。
本明細書において、前記グリコシド結合は、結合配向によってα又はβで表示しており、続く数字はそれぞれ、2つの単糖類において、グリコシド結合(-O-)で連結された炭素番号を意味する。例えば、前記“IとF(I-F)はβ-1,6-グリコシド結合で連結された”とは、Iの1位の炭素とFの6位の炭素とがIを基準にしてβ-配列のグリコシド結合で連結されたことを意味する。
本発明において、前記莢膜多糖体は、nが1以上の整数である化学式Iの多糖体を含むことができ、様々なnで重合された多数の化学式Iの多糖体を含むことができる。好ましくは、前記化学式Iの多糖体は、nが1~10であることを特徴とし得る。
本発明の一実施例において、莢膜多糖体に含まれた化学式Iの多糖体の平均重合度は約4であり、平均分子量は約6.0kDaと確認された。各反復単位([-D-B-I-F-G-C-E-H-A-])は、約1.5kDaの分子量(MW)と確認された。
本発明において、前記莢膜多糖体に含まれた化学式Iの多糖体の“平均重合度(average of n)”は、好ましくは1~10、最も好ましくは約4であることを特徴とし得る。
本発明において、前記莢膜多糖体に含まれた化学式Iの多糖体の平均分子量は、1.5~15kDa、好ましくは約6.0kDaであることを特徴とし得る。
本発明の一実施例において、前記莢膜多糖体に含まれた化学式Iの多糖体は、L.plantarum IMB19菌株由来の莢膜多糖体(Capsular polysaccharides;CPS)を、約100mMのNaClを溶離液として用いてイオン交換クロマトグラフィー方法で分離した。詳細な分離方法は実施例に詳細に記載されているが、これに制限されず、本発明に記載の化学式Iの多糖体構造及び特徴に基づき、従来に知られた様々な精製方法で取得できる。
本発明において、前記莢膜多糖体は、テイコ酸(teichoic acid)をさらに含むことができる。
本発明の一実施例から確認されるように、本発明において、前記莢膜多糖体は、2個以上のテイコ酸をさらに含むことができる。
本発明において、前記テイコ酸は、Groタイプ又はRboタイプであってもよく、莢膜多糖体が2個以上のテイコ酸をさらに含む場合、単一タイプの形態で又は2種のタイプが混合されて含まれ得る。
本発明において、前記莢膜多糖体は、化学式Iの多糖体及び/又はテイコ酸の他にも、他の多糖体又は脂質などの生体分子をさらに含むことを特徴とし得る。
本発明は、さらに他の観点において、免疫増進活性を有するラクトバシラスプランタルム(Lactobacillus plantarum)IMB19菌株KCTC 14337BP由来の莢膜多糖体(Capsular polysaccharides;CPS)及び抗癌剤を含む腫瘍の予防又は治療用医薬組成物に関する。
本発明は、さらに他の観点において、対象に免疫増進活性を有するラクトバシラスプランタルム(Lactobacillus plantarum)IMB19菌株KCTC 14337BP由来の莢膜多糖体(Capsular polysaccharides;CPS)及び抗癌剤を対象に投与する段階を含む腫瘍の予防又は治療方法に関する。
本発明は、さらに他の観点において、前記ラクトバシラスプランタルム(Lactobacillus plantarum)IMB19菌株KCTC 14337BP由来の莢膜多糖体(Capsular polysaccharides;CPS)の腫瘍の予防、改善又は治療のための抗癌剤との併用投与用途に関する。
本発明は、さらに他の観点において、ラクトバシラスプランタルム(Lactobacillus plantarum)IMB19菌株KCTC 14337BP由来の莢膜多糖体(Capsular polysaccharides;CPS)の抗癌剤と併用投与するための組成物の製造のための用途に関する。
本発明の莢膜多糖体生産方法及び免疫増進活性を有する有効多糖体分画を取得する段階は、一例として、本発明の実施例に詳細に記載されているが、これに制限されるものではない。
本発明の実施例では、L.plantarum IMB19菌株由来の莢膜多糖体(Capsular polysaccharides;CPS)を、様々な濃度のNaCl溶離液を使用したイオン交換クロマトグラフィーを用いて分画し、各分画に含まれた多糖体の構造をNMRで分析した。
本発明の他の実施例では、L.plantarum IMB19菌株由来の莢膜多糖体(Capsular polysaccharides;CPS)の様々な分画のうち、100mMのNaClを使用して精製したCPS-100においてのみ、顕著なレベルのIFN-γTNF-α、IL-6及びIL-12を生成し、且つ無視できるレベルのIL-10、IL-17、IL1-β生産を示すのに対し、他の分画(CPS-400(テイコ酸を含む。)など)では有意義なサイトカイン生産が検出されず、L.plantarum IMB19菌株の免疫増進活性を示す有効分子が、CPS-100に含まれた特定反復単位のポリマー構造を有する多糖体(化学式I)であることを確認した。
したがって、本発明は、さらに他の観点において、下記化学式Iで表される多糖体を含み、抗癌剤と併用投与されることを特徴とする腫瘍の予防又は治療用組成物に関する。
[化I]
-[-D-B-I-F-G-C-E-H-A-]
前記化学式Iにおいて、
A及びDは、ガラクトース(Galactose)であり、
B、C、E、G及びHは、ラムノース(Rhamnose)であり、
Fは、N-アセチルグルコサミン(N-acetylglucosamine)であり、
Iは、ブドウ糖であり、
nは、1以上の整数である。
本発明において、前記化学式Iの多糖体は、化学式Iにおいて[-D-B-I-F-G-C-E-H-A-]で表される反復単位の重合体(n=1以上)構造であり得る。
本発明において、前記化学式Iのnが2以上である場合、前記反復単位は、直接の共有結合の他にも様々な方法で制限なく連結され得る。例えば、前記反復単位は、グリコシド結合、ホスホジエステル結合などの化学的結合によって連結されてもよく、リンカーを媒介して連結されてもよい。
本発明において、前記化学式Iのnが2以上である場合、反復単位([-D-B-I-F-G-C-E-H-A-])は、AとDのグリコシド結合(-O-)で連結されたことを特徴とし得る。
本発明において、前記化学式Iのnが2以上である場合、反復単位([-D-B-I-F-G-C-E-H-A-])は、AとDとの間のリン酸ジエステル結合(phosphodiester linkage)で連結されたことを特徴とし得る。
本発明において、前記化学式Iのnが2以上である場合、反復単位のAの1位の炭素と他の反復単位のDの6位の炭素とがリン酸ジエステル結合(phosphodiester linkage)で連結されたことを特徴とし得る。
本発明において、前記化学式IのA及びDのいずれか一つ以上がリン酸化されたことを特徴とし得る。好ましくは、Aの場合は、1位の炭素の水酸化基がリン酸化されたことを特徴とすることができ、Dの場合は、6位の炭素の水酸化基がリン酸化されたことを特徴とし得る。
本発明において、前記ガラクトース(galactose)は、自然系に一般に存在するガラクトース又はその誘導体を含む意味で使用される。例えば、本発明において、前記ガラクトースは異性質体であって、α型(α configuration)、β型(β configuration)、D型(D configuration)又はL型(L configuration)であってもよく、好ましくはα-ガラクトース、さらに好ましくはα-D-ガラクトースであることを特徴とし得るが、これに制限されるものではない。
本発明において、前記ラムノース(rhamnose)は、自然系に一般に存在するラムノース又はその誘導体のいずれをも含む意味で使用される。例えば、本発明において、前記ラムノースは異性質体であって、α型(α configuration)、β型(β configuration)、D型(D configuration)又はL型(L configuration)であってもよく、好ましくはα-ラムノース、さらに好ましくはα-L-ラムノースであることを特徴とし得るが、これに制限されるものではない。
本発明において、前記N-アセチルグルコサミン(N-acetylglucosamine)は、自然系に一般に存在するN-アセチルグルコサミン又はその誘導体のいずれをも含む意味で使用される。
本発明において、前記ブドウ糖(glucose)は、一般のブドウ糖又はその誘導体のいずれをも含む意味で使用される。例えば、本発明において、前記ブドウ糖は異性質体であって、α型、β型、D型又はL型であってもよく、好ましくは、β型配列を有するβ-ブドウ糖、さらに好ましくはD-ブドウ糖であることを特徴とし得るが、これに制限されるものではない。
本発明の用語“誘導体”とは、化合物の構造が、本願に開示された化合物の構造と十分に類似しており、その類似性を基準にして請求された化合物と同一又は類似した活性及び用途を示すか、或いは、前駆体として、請求された化合物と同一又は類似した活性及び用途を誘導することが予想される親化合物(例えば、本願に記載された化合物、化学式Iの多糖体)の構造に由来する構造を有する化合物を意味する。例えば、前記誘導体は、親化合物の塩、異性質体、エステル、アミド、エステル又はアミドの塩、N-酸化物などを含むが、これに制限されるものではない。
本発明において、前記化学式IのDとB(D-B)、及びBとI(B-I)は、α-1,3-グリコシド結合で連結されたことを特徴とし得る。
本発明において、前記化学式IのIとF(I-F)は、βグリコシド結合で連結されたことを特徴とし得る。
本発明において、前記化学式IのFとG(F-G)、GとC(G-C)、CとE(C-E)、及びEとH(E-H)は、α-1,2-グリコシド結合で連結されたことを特徴とし得る。
本発明において、前記化学式IのHとA(H-A)は、α-1,6-グリコシド結合で連結されたことを特徴とし得る。
本明細書において、前記連結は、結合配向によってα又はβで表示し、続く数字は2つの単糖類の(-O-)結合された炭素番号を意味する。
本発明において、前記化学式Iのnは、1以上の整数であり、好ましくは1~10の整数、さらに好ましくは4であることを特徴とし得る。
本発明において、前記多糖体は、下記化学式IIの構造を有することを特徴とし得る:
[化II]
nは、1以上の整数である。
本発明において、前記化学式IIのnは、好ましくは1~10の整数、さらに好ましくは4であることを特徴とし得る。
本発明の一実施例において、莢膜多糖体の有効分画であるCPS-100に含まれた化学式Iの多糖体の平均重合度は約4であり、平均分子量は、約6.0kDaと確認された。各反復単位([-D-B-I-F-G-C-E-H-A-])は、約1.5kDaの分子量(MW)と確認された。
本発明の組成物に有効成分として含まれる前記化学式Iの多糖体は、他の重合度(n)を有する多糖体が二つ以上含まれることを特徴とし得る。
本発明において、前記組成物に含まれた化学式Iの多糖体の“平均重合度(average of n)”は、好ましくは1~10、最も好ましくは約4であることを特徴とし得る。
本発明において、前記化学式Iの多糖体は、重合度、リン酸化程度などによって、少なくとも約1.5kDa、好ましくは約1.5kDa~約15kDa、さらに好ましくは約4kDaの分子量を有することを特徴とし得る。
本発明において、前記多糖体は、ラクトバシラスプランタルム(Lactobacillus plantarum)IMB19菌株KCTC 14337BP由来であることを特徴とし得る。
本発明において、前記化学式Iの多糖体は、免疫増進及び/又は抗腫瘍活性を有することを特徴とし得る。より具体的な例として、前記L.plantarum IMB19菌株は、i)ヘルパーT細胞の誘導及びTreg細胞の分化抑制のような炎症性方向へのT細胞分化誘導、ii)CD8+ T細胞の刺激、活性向上及び腫瘍内浸潤向上、iii)Treg細胞活性抑制、iv)腫瘍内マクロファージ浸潤増加、v)マクロファージの炎症性細胞への活性化及びM2からM1マクロファージへの再プログラミング、vi)マクロファージでの遺伝子プロファイルの変更及び鉄の隔離(iron sequestration)、及び/又はvii)CD8+ T細胞のTCRレパートリー調節などの様々な優れた免疫増進及び抗腫瘍活性を有し得るが、このようなメカニズムに制限されるものではない。
本発明において、前記化学式Iの多糖体は、腫瘍の成長を抑制することを特徴とし得る。
本発明において、通常の技術者等は、前記多糖体を、本発明の菌株を用いて生産/分離でき、その他の化学的又は生物学的方法で本発明の多糖体を誘導又は合成することができる。
さらに、本発明の多糖体の薬動学(pharmacokinetics)及び/又は薬理学的(pharmacodynamics)特性の改善又は臨床的剤形化(例えば、可溶性)のためのCPSの構造の変形(modification)が行われ得ることは自明である。例えば、i)一つ以上の官能基の追加、ii)炭素鎖の変形、iii)一つ以上の水素又は水酸化基の添加、iv)末端基の変形(例えば、染料などのシグナル分子の追加)、v)他の知られた糖分子との結合(例えば、経口又は全身伝達のための剤形など)などが行われ得るが、これに制限されるものではない。
したがって、本発明の多糖体は、前記化学式I又は化学式IIの多糖体に限定されるものではなく、本発明の免疫刺激及び免疫増進効果を有する限り、前記化学式I又は化学式IIの変形体、誘導体、類似体などのいずれをも含む概念として解釈されるべきである。
したがって、本発明は、他の観点において、前記化学式Iの多糖体を有効成分として含有する免疫調節用組成物に関する。
本発明は、さらに他の観点において、前記多糖体を対象に投与する段階を含む免疫調節方法に関する。
本発明は、さらに他の観点において、前記多糖体の免疫調節用途に関する。
本発明は、さらに他の観点において、免疫調節用組成物を製造するための多糖体の用途に関する。
以下において、用語に関して特に断りのない限り、通常の技術者によって理解される意味又は本発明の他の観点で定義した意味と同一に理解されるであろう。
本発明の一実施例において、多糖体の50%効果濃度(half maximal effective concentration,EC50)は、3.16μMと確認された。したがって、好ましくは、本発明の医薬組成物は、少なくとも3.16μM以上の多糖体を含むことを特徴とし得る。
本発明において、前記多糖体及び抗癌剤は、混合された後、併用投与のための一つの剤形として組成物に含まれ得るが、これに制限されるものではなく、別途の投与剤形として、前記多糖体を含む組成物及び抗癌剤を含む組成物がそれぞれの独立的な剤形として製造されることを特徴とし得る。
本発明において、別途に言及しない限り、前記多糖体を含む組成物の剤形、投与用法、投与用量、併用投与などに関する記載は、ラクトバシラスプランタルム(Lactobacillus plantarum)IMB19菌株KCTC 14337BPを含み、抗癌剤と併用投与されることを特徴とする、腫瘍の予防又は治療用組成物の観点で記載されたのと実質的に同一の特徴を有することを特徴とし得る。
本発明において、前記多糖体及び抗癌剤の併用投与は、同時に投与されたり、順次に投与されることを特徴とし得る。例えば、前記多糖体の投与後に抗癌剤が投与されたり、抗癌剤の投与後に多糖体が投与され得る。
本発明において、前記多糖体及び抗癌剤が順次に投与される場合、一定の時間的間隔を置いて投与されることを特徴とすることができ、非制限的な例として、1分間隔、5分間隔、10分間隔、20分間隔、30分間隔、1時間間隔、1日間隔、数日間隔、又は1週~数週間隔で順次に投与され得るが、これに制限されるものではなく、通常の技術者によって適切な間隔で順次に投与され得る。
本発明において、前記多糖体及び抗癌剤の投与は、それぞれ独立的に繰り返して1回以上行われ得る。本発明において、前記多糖体及び抗癌剤が繰り返して投与される場合、それぞれの投与間隔は、独立的に、対象の状態、目的とする効果のレベルによって通常の技術者が容易に調節することができる。例えば、前記多糖体及び抗癌剤は、独立的に1時間間隔、6時間間隔、8時間間隔、12時間間隔、1日間隔、2日間隔、一週間隔、2週間隔、又は一ヶ月間隔で1回以上投与され得るが、これに制限されるものではない
本発明は、さらに他の観点において、前記化学式Iで表される多糖体及び抗癌剤を含む腫瘍の予防又は治療用医薬組成物に関する。
本発明は、さらに他の観点において、前記多糖体及び抗癌剤を対象に併用投与する段階を含む腫瘍の予防又は治療方法に関する。
本発明は、さらに他の観点において、前記多糖体の腫瘍の予防、改善又は治療のための抗癌剤との併用投与用途に関する。
本発明は、さらに他の観点において、前記化学式Iの多糖体の腫瘍の予防、改善又は治療のために抗癌剤と併用投与する組成物を製造するための用途に関する。
本発明の用語“腫瘍”は、生体調節機構から離脱し、細胞が自律性をもって過剰増殖する現象又はこれによって生成された新生物、又は過形成物のいずれをも含む。前記腫瘍は、例えば、良性、前悪性、悪性腫瘍のいずれをも含み、より具体的な例として、組織細胞腫、神経膠腫、星状細胞腫、骨腫、各種癌、例えば、肺癌、小細胞肺癌、胃癌、胃腸管癌、腸癌、結腸癌、直腸癌、膵癌、乳癌、皮膚癌、卵巣癌、前立腺癌、精巣癌、肝癌、腎臓癌、膀胱癌、脳癌、肉腫、骨肉腫、黒色腫、リンパ腫(ホジキンリンパ腫、FL、MCL、MZBL、CLL、T-ALL、AML、ALLなど)、血液癌、白血病、乾癬、骨疾患、線維増殖性障害、粥状硬化症などを含み得るが、これに制限されるものではない。
以下、実施例を用いて本発明をより詳細に説明する。これらの実施例は単に本発明を例示するためのものであり、本発明の範囲がこれらの実施例によって制限されると解釈されないことは、当業界における通常の知識を有する者にとって明らかであろう。
実施例1:材料及び方法
1.バクテリア培養及び同定
キムチを均質化し、懸濁液を収集した。その後、連続希釈し、MRSブロス及び寒天にストリークし、37℃で48時間培養することによってコロニーを分離し、様々な分析のために追加培養した。
ラクトバシラスプランタルムIMB19(L.plantarum IMB19)菌株は、一般に、24~36時間、37℃でMRSブロスで培養した。TEM(transmission electron microscope)のために、バクテリアを培養した後、MRS-1.5%寒天(Neogen Corp.,USA)にストリークし、24~30時間培養した。バクテリアコロニーは、2000メッシュグラフェンコーティング銅グリッドにドロップキャスティングした。TEMイメージングは、JEOL1220及びHitachi HT7700を用いて80kVで行った。
同定のために、選別された分離菌株の細胞の形態を顕微鏡で調べ、遺伝的特性分析はゲノムDNAを用いて行い、Macrogen(韓国)で16s rRNA配列分析を行った。
16S rRNA遺伝子は、正方向(27Fプライマー)5’-AGAGTTTGATCMTGGCTCAG-3’、及び逆方向(1492Rプライマー)5’-TACGGYTACCTTGTTACGACTT-3’の汎用プライマーを用いて直接PCRによって増幅された。
2.一次細胞ベースの試験
2-1.in vitro脾臓細胞刺激
全ての動物実験及び手順は、ポハン工科大学動物管理及び使用委員会の倫理規定及び承認に従って行われた。C57BL/6マウスは、病原体のない動物障壁施設で飼育及び施設内繁殖され、6~8週齢で使用された。脾臓を収穫し、滑らかに粉砕することによって脾臓細胞を放出した。細胞懸濁液をアンモニウムクロリドバッファーを用いてRBC溶解させ、10% FBS(Hy-Clone,Australia)を含有する完全RPMI培地(Welgene,S.Korea)に再懸濁させた。細胞を、96ウェルプレートで、抗CD3(Bio-Xcell,USA)10ng/mL及びGM-CSF(Peprotech,USA)2.5ng/mLを含有する200μLの培地/ウェルに200k/ウェルの密度でプレーティングした。分画されたCPS-100、分画されていない全体のCPS(tCPS)、LPS(E-coli 0111:B4由来の脂糖類、Invivogen,USA)及び培地を必要に応じて添加し、37℃、5%CO条件で48時間培養した。メーカーの指針に従い、遠心分離後に上澄液を収集し、酵素連結免疫吸着分析(Enzyme linked immunosorbent Assay(ELISA);e-Bioscience,Ready set go ELISA kits)を用いてサイトカイン推定のために冷凍させた。
2-2.免疫細胞共同培養システム
上述したように脾臓細胞の分離を行った。CD11c+APC(Miltenyi biotec)及び未成熟CD4+ T細胞(naive CD4+ T-cells)(Stem Cell Technologies)は、メーカーのプロトコルに従って分離された。APCは、37℃、5%COで18~20時間プロバイオティック菌株と共に培養された。その後、プロバイオティック菌株を洗浄し、プライミングされたAPC及びCD4+ T細胞を特定条件で共に共同培養した。
3.安全性評価(Safety evaluation)
3-1.溶血テスト(Hemolysis Test)
L.plantarum IMB19を最適な成長条件で成長させた後、5%のヒツジ血液寒天(Hanil,Komed)にストリークして48時間培養した。アルファ(α)2溶血は、赤血球のヘモグロビンの部分分解と見なし(実際に溶血を示さない。)、寒天プレートにおいて透明領域として観察されるベータ(β)溶血は、赤血球のヘモグロビンの完全な分解と見なし、ガンマ(γ)溶血は溶血不足と見なした。Bacillus cereus ATCC 27348を陽性対照群として使用した。
3-2.ゼラチン分解試験
基本プロトコルは、ASM Science Recommendation(Dela Cru et al.,2012)に従って行った。最適な成長条件で成長したL.plantarum IMB19をゼラチン培地に接種ループで接種し、30℃で最大で5日間培養し、ゼラチン液化及びバクテリア成長を毎日確認した。ゼラチンは一般に28℃以上で液化される。液化がゼラチン分解酵素活性によるものか否かを確認するために、チューブを冷蔵庫に30分間保管した。その後、チューブを傾け、ゼラチンが分解されたか否かを観察した。ゼラチンが分解された場合、低温の露出後にも液化培地として現れる。Bacillus cereus ATCC 11778を陽性対照群として使用した。
3-3.生体アミン生産分析(biologenic amine analysis)
L.plantarum IMB19は、最適な成長条件で成長し、Bover-Cid及びHolzapfel(Bover-Cid et al,1999)によってヒスタミン(histamine)、カダベリン(cadaverine)、チラミン(tyramine)及びプトレシン(putrescine)の前駆体が含まれた特殊培地にストリークし、37℃、30℃及び23℃で4日間培養した。その後、培地色相の変化を確認し、陽性及び陰性を決定した。E.coli ATCC 25922を陽性対照群として使用した。培養は、ブロモクレゾールパープル指示薬(bromo cresol purple indicator)と共に、オルニチン、リシン、チロシン、及びヒスチジンのいずれか一つの塩基性培養培地を用いて寒天上で行った。
3-4.抗生剤耐性試験
基本プロトコルは、ISO推奨事項(ISO-10932,2010)に基づいて行った。抗生剤に対する菌株の最小抑制濃度(MIC)を評価するために、ブロス希釈方法を用いた。
培養液微細希釈において、試験有機体は培養液培地で純粋に培養し、全ての有機体を1X PBSで洗浄した。PBSで洗浄されたバクテリア溶液を、0.01~0.02の600nm光学密度(OD)単位で調整した。菌株10μL(1~2×10CFU)を抗生剤と共に、200μLのLSMブロス培地を含む96ウェルプレートに接種した。
菌株は、ヨーロッパ食品安全庁(EFSA,2018)で設定したパラメータによって設定されたカット-オフ値と同一であるか、それより低い特定抗生剤に対する濃度で抑制された時に感受性と見なされ、規定によって設定されたカット-オフ値よりも高い特定抗生剤の濃度で抑制されないと、耐性があると見なされた。
4.未精製莢膜多糖体(capsular polysaccharide,CPS)の分離
未精製莢膜多糖体(CPS)の分離は、以前に記述された方法を変形して行われた(Verma et al.,2018)。細菌培養液を遠心分離し、10%振幅及び10秒のパルスで15分間Bransonデジタル超音波処理器で超音波処理した。上澄液は、トリクロロ酢酸(trichloroacetic acid(0.5% w/v))で4℃で一晩処理された。サンプルを6000rpmで20分間遠心分離し、100%エタノールを3:1の比率で上澄液に添加し、未精製多糖体を-20℃で沈殿させた。沈殿物を、耐毒素のない蒸留水に準備されたマグネシウムクロリド(20mM,Sigma Aldrich)及びカルシウムクロリド(20mM,Sigma Aldrich)を含有するトリスバッファー(100mM,Sigma Aldrich,USA)に再懸濁し、DNAse(0.1mg/mL,Roche,Germany)及びRNAse(0.4mg/mL,Sigma Aldrich,USA)で37℃で4~6時間処理した。タンパク質汚染物質を分解するために、プロナーゼ(Pronase,0.3mg/mL,Sigma-Aldrich,USA)に添加し、4℃で一晩培養した。サンプルに37℃で30分間トリクロロ酢酸(1~2% w/v)を処理し、添加された酵素を含む総タンパク質を除去した。タンパク質の除去されたサンプルの総多糖体は、エタノール沈殿によって再び沈殿された。ペレットを耐毒素のない水に再懸濁し、4℃で48時間1日に2回水を入れ替えながら透析した(MW cut-off 12,000Da)。総CPS分画は、培養物リットルにつき20mgの最終収率で凍結乾燥させて取得した。
5.GC-MS分析条件
全ての化学誘導体は、質量選択検出器5973N及びZebron ZB-5毛細管カラム(Phenomenex,30m×0.25mm i.d.,フィルム厚0.25μm、流速1mL/min、キャリアガスとしてHe)が装着された気体-液体クロマトグラフィー(GLC-MS)Agilent 7820A(Santa Clara,CA,USA)を用いて分析された。電子衝撃質量スペクトルは、70eVのイオン化エネルギー及び0.2mAのイオン化電流で記録された。使用された温度プログラムは、次の通りである:150℃で5分、10℃/minで150℃から300℃まで、300℃で12分。
6.NMR収集媒介変数
分離された多糖体の構造的分析のために、Z軸に沿って勾配が形成された逆クライオ-プローブ(reverse cryo-probe)付きBruker 600MHz分光器を用いてNMRスペクトルをDOに記録した。スペクトルは298K又は310Kで測定し、内部標準として、アセトン(H 2.225ppm;13C 31.45ppm)で補正し、Topspin 2.0ソフトウェア(Bruker)で獲得し、Topspin 3.6で処理及び研究した。H-H DQ-COSY(二重量子COZYスペクトル;以下、COSY)、TOCSY及びNOESYスペクトルは2048×512ポイントのデータセット(t1×t2)から獲得し、TOCSY及びNOESYスペクトルの場合、それぞれ100ms及び200msの混合時間が設定された24回のスキャンで収集した。異種核H-13C HSQC、HMBC、及びHSQC-TOCSYスペクトルは、2048×512ポイントのデータセットを用いたH-検出モードで行われた。HSQC及びHSQC-TOSCYは、“”密度を他の密度と区別するために、選択段階で多重編集によって行われた。HMBCは、一結合相関関係を抑制するために、低域通過Jフィルターを用いて長距離カップリング定数に最適化され、長距離相関関係の進化には60ms遅延が用いられた。HSQC-TOCSYの場合、混合時間を100msに設定した。全ての二次元試験において、データマトリックスは4092×2048ポイントに拡張され、qsine又はsine窓関数を適用して変換した。
7.動物及びマウス腫瘍モデル
C57BL/6&Balb/cマウスは、ポハン工科大学校動物施設で確保及び維持した。Pmel-1 TCRトランスジェニック、TLR2-/-、TLR4-/-、TLR6-/-、MyD88-/-及びIL-6-/-マウスは、Jackson Labから得てPOSTECH動物施設で維持された。C57BL/6-由来の黒色腫細胞株B16.F10及びBalb/c由来の乳癌細胞株EMT-6は、ATCCから調達して提供されたプロトコルによって維持された。共通遺伝子腫瘍モデル(Syngeneic tumor models)は、20万個のB16.F10腫瘍細胞又は50万個のEMT-6細胞を皮下注射して生成した。終点まで隔日で腫瘍サイズを測定し、腫瘍体積を長さ×広さ×0.5で計算した。先天性免疫細胞の初期浸潤分析のために、腫瘍細胞を5mill/マウスに皮下注射し、40時間後に腫瘍細胞を分析した。全ての実験動物手順は、ポハン工科大学校動物管理及び使用委員会(IACUC)の承認を受けて行われた。
8.細胞ベースのin vitro分析方法
脾臓及び/又はリンパ節から採取した総細胞を、全体の脾臓細胞培養に使用するか、又は磁性ビーズ分離(Miltenyi Biotec)に適用し、CD11c+樹状細胞、未成熟CD8+ T細胞(naive CD8+T-cell)又は未成熟CD4+ T細胞を豊富にさせた。総脾臓細胞(20万個/ウェル)を96プレートにバクテリアと1:1の比率で培養し、48時間目に上澄液を収穫し、ELISA(eBioscience Ready set Go kits)に使用した。CD11c+樹状細胞(20万個/ウェル)を適切な比率のバクテリアで18~20時間プライミングし洗浄した後、T細胞(20万個/ウェル)を添加して72時間培養した。指示されたように、CD8+ T細胞の刺激のためにanti-CD3@0.01μg/ml(BioXCell)、GM-CSF@2.5ng/ml(Peprotech)を、CD4+ T細胞の刺激のためにanti-CD3@0.1μg/ml、GM-CSF@10ng/ml、IL2@100U/ml及びTGFβを添加した。
腹膜マクロファージの場合、2% BIogel(Bio-Rad)を腹腔内注射して5日後に細胞を収穫し、組換えネズミ(murine)MCSF 10ng/ml(Peprotech)と共にin vitro培養した。選択的に活性化されたマクロファージの分極化(polarization)のために、IL-4(Peprotech)を24時間添加した後、CPS、LPS(E-coli 0111:B4由来の脂質多糖体、Invivogen)又はPam3CSk4(Sigma)で処理した。
9.メタ遺伝体(Metagenomics)分析及び全体の遺伝子配列分析(Whole genome sequencing)
腫瘍を保有しているSPFマウスの大便ペレットを、メタ遺伝体分析のために委託した(Macrogen,S.Korea)。バクテリアの全体の遺伝子配列分析は、イルミナプラットホーム(Illumina platform,Macrogen,S.Korea)で行われ;バクテリア培養サンプルを、分析のために直接送付した。生物情報学的分析も、Macrogenに委託して行った。
10.腫瘍浸潤マクロファージの分類及び遺伝子発現プロファイル分析
マウスに500μgのCPSを24時間間隔で2回注入した後、5×10個のB16.F10腫瘍細胞を皮下に接種した。腫瘍移植40時間後に、浸潤免疫細胞を含む全体の腫瘍をリベラーゼ(Liberase)において単一細胞懸濁液で消化させた。同じ処理グループにおいて5~10匹のマウスサンプルを募集し、Fixable Viability-ef506(eBioscience)、CD45-AF488(Bioloegend,30-F11)、CD3-ef450(Ebioscience,145-2C11)、CD19-PB(Ebioscience,1D3)、I-A/I-E-PECy7(Biolegend,M5/114.15.2)、CD11c-PE(Ebioscience,N418)及びCD11b-PerCpCy5.5(BD,M1/70)で染色した。生きているCD45+CD3-CD19-MHCIIhiCD11cCD11bマクロファージを、FBS補充された培地で分類し、遠心分離してトリゾール(Trizol,Sigma)に保管した。サンプルは、Macrogenで遺伝子発現プロファイルを分析し、処理群間の遺伝子転写体の数週の平均フォールドチェンジを計算し、両比較においてフォールド-チェンジが1.5以上である遺伝子を、経路分析のためにDAVID v6.7(The Database for Annotation,Visualization and Integrated Discovery v6.7)に入力した。免疫機能が顕著に強化されたと決定された遺伝子を、ヒートマップに表示した(p<0.05)。
11.リステリアモノサイトゲネス(Listeria monocytogenes)in vivo細胞毒成分析
従来知られた方法で分析を行った。具体的には、C57/Bl6マウスにOVAペプチド(LM-OVA)を発現させるリステリアモノサイトゲネスを5000CFU/miceで注入した。マウスに隔日でL.plantarum IMB19菌株を給与した。6日目に、未成熟C57/bl6マウスの脾臓細胞をOVAペプチドパルスし、ペプチドパルスされているか、又はペプチドパルスされていない細胞をCFSE又はCTVで染色し、1:1の比率で混合し、感染されたマウスの静脈内に投与した。LM-OVAに感染されたマウスを2時間後に犠牲させ、脾臓細胞/リンパ節を収穫し、流動細胞分析を用いてペプチドパルスされた脾臓細胞の細胞死滅率を検出した。
12.クロマトグラフィーを使用した精製
分離された全体の莢膜多糖体(tCPS28mg)は、陰イオン交換Q-セファロース高速フロー方法で精製した(GE Healthcare;V=4.4mL,flow 16mL/h)。樹脂はパッキングされ、1M NaClで洗浄し、10体積のNaCl 10mMで平衡化された。その後、全体の莢膜多糖体(tCPS)を10mM NaCl(5mL)に溶解させ、樹脂に吸着させた。溶出は、16mLのNaCl(それぞれ10、100、200、400、700及び1000mM)を順次に添加して段階的に行われた。各濃度のNaClで溶出された溶出液を収集し、透析(Cut-off 1kDa)によって脱塩及び凍結乾燥させた。各濃度のNaClから溶出された6個の分画を、CPS-X(Xは溶出に使用されたNaCl濃度,mM)で標識した。
分子量測定は、溶離剤(eluent)として50mMのNHHCOで平衡化されたTSK G-5000PWXLサイズ排除カラム(30cm×7.8mm)を使用するHPLC system Agilent 1100を用いてCPS-100に対して推論され(flow=0.8mL/min)、溶出液を屈折率検出器(refractive index detector)でモニタリングした。カラムは、知られた分子量(それぞれ12、50、150及び670kDa)のデキストラン標準(1mg/mL溶液の50μL)を注入して補正した。分子量のログは、溶出体積に対してプロットされ、確立された線形関係(linear relationship,LogPM=-0.811mL+11.7;R2=0.98)を用いて多糖体のMWを計算した。
13.QUANTI-Blue SEAP分析
誘導性SEAPレポーター遺伝子を有するヒトTLR 2(InvivoGen)で形質感染されたHEK293細胞を10%FBS(fetal bovine serum)、1%ペニシリン/ストレプトマイシン、及び1%L-グルタミン(L-glutamine)で補充された200ml DMEM(完全成長培地)で培養した。具体的には、細胞を96-ウェルプレートに1ウェル当たり7万個の細胞で接種し、完全成長培地で37℃で24時間培養した。培地を96ウェルプレートから除去し、10%FBS(1%ペニシリン/ストレプトマイシン、及び1%L-グルタミン(L-glutamine)を含まない。)で補充されたDMEMに取り替えた後、適切な濃度の化合物で処理した。その後、細胞を37℃で18~24時間一晩培養した。SEAP活性を検出するために、各ウェルで20mLの培地を除去し、180mlのQUANTI-Blue試薬(InvivoGen)がある透明な96-ウェルプレートに移し、37℃の暗条件で30分~2時間培養した。
14.TCRレパートリー分析
腫瘍浸潤CD8+ T細胞は、実験18~20日にMoFlow分類機(BD biosciences)によってCD45DumpCD3CD8a(Dump CD19/CD11c/Ly6c/Ly6G/CD11b)に分類された。細胞をHEPES/PBSバッファーに収集して遠心分離し、細胞ペレットをDNA分離(AbCam)まで-80℃で保管した。4~5匹のマウスのDNAを単一サンプルに集め、TCR-βレパートリー分析を委託した(Adaptive Bio)。データは、Adaptive Bioで提供するImmunoseqプラットホームで分析した。
15.統計分析
腫瘍成長曲線は、2グループの比較のためのシダックの(Sidak’s)多重比較事後-検定、様々なグループと対照群との間の比較のためのダネットの多重比較事後-検定、又は2つ以上のグループのそれぞれの比較のためのテューキーの多重比較事後-検定を用いた両方向ANOVAによって分析した。他の比較の場合、2グループを比較する時に独立スチューデントのt検定(unpaired Student ’s t-test)を用い、2グループ以上を比較する時は、多重検定のためのBonFerroni補正と一元分散分析が用いられた。P<0.05は、統計的に有意義であると見なした(P<0.05、**P<0.01、***P<0.001、****P<0.0001)。GraphPad PRISM v8.0を用いて統計分析を行った。Flow-joソフトウェアv10.1を用いて流動細胞分析データを分析した。
実施例2:L.plantarum IMB19の分離及び同定
ラクトバシラスプランタルム(Lactobacillus plantarum)IMB19菌株KCTC 14337BPは、主に原料由来の微生物によって発酵された家庭用キムチから分離された。ラクトバシラス種(Lactobacillus sp.)のコロニーを誘導するために、連続希釈したキムチ懸濁液をMRSブロス(De Man,Rogosa and Sharpe broth,Becton-Dickinson,USA)プレートにストリークした。培養した単一コロニーを分離し、MRSブロスでさらに培養した。コロニーの形態がそれぞれの個別菌株を区分するのに十分でなかったため、14個の分離されたバクテリアをPCR及び16s rRNA配列分析し、NCBIのBLASTを用いて配列の類似性を確認した。分離されたバクテリアはいずれも乳酸菌(LAB)に属するものと判明された。分離されたバクテリアのうち、L.plantarumと99%以上の類似性を有する菌株を同定し、その他にも、多くの分離されたバクテリア寒天Weissellia koreensisと99%類似することを確認した。このような結果は、キムチの優占種がL.plantarumとWeissellia koreensisであるという既存の報告と一致する。
分析されたL.plantarum IMB19の16S rRNA配列情報は、次の通りである。
-L.plantarum IMB19 16S rRNA(785 Forward)(配列番号3)
AGCGCTGGGATGATGCTAGTGTTGGAGGGTTTCCGCCCTTCAGTGCTGCAGCTAACGCATTAAGCATTCCGCCTGGGGAGTACGGCCGCAAGGCTGAAACTCAAAGGAATTGACGGGGGCCCGCACAAGCGGTGGAGCATGTGGTTTAATTCGAAGCTACGCGAAGAACCTTACCAGGTCTTGACATACTATGCAAATCTAAGAGATTAGACGTTCCCTTCGGGGACATGGATACAGGTGGTGCATGGTTGTCGTCAGCTCGTGTCGTGAGATGTTGGGTTAAGTCCCGCAACGAGCGCAACCCTTATTATCAGTTGCCAGCATTAAGTTGGGCACTCTGGTGAGACTGCCGGTGACAAACCGGAGGAAGGTGGGGATGACGTCAAATCATCATGCCCCTTATGACCTGGGCTACACACGTGCTACAATGGATGGTACAACGAGTTGCGAACTCGCGAGAGTAAGCTAATCTCTTAAAGCCATTCTCAGTTCGGATTGTAGGCTGCAACTCGCCTACATGAAGTCGGAATCGCTAGTAATCGCGGATCAGCATGCCGCGGTGAATACGTTCCCGGGCCTTGTACACACCGCCCGTCACACCATGAGAGTTTGTAACACCCAAAGTCGGTGGGGTAACCTTTTAGGAACCAGCCGCCTAAGGTGGGACAGATGATTAGGGTGAAGTCGTAACAGGGTAAAACCGTAAAGATGTTCAACCCGCCACATCTGTCGCGTCTCCGTCGTAGATATAAGAAAGCCAAAGGGCCTTTCTTCCATGGCTGGGTGTTCATGCAATAACATCGACCGGTTATCCACGACACAAGAAAGGATTACGTTGGTCCTGGTTGTGCGCTCAGGTTTTATAGTGACAGCGGGCCTATTTGTATGGTGTAAACCGGAGTGCTAACAATCTTCTACAAGAAACAGCCTGTACATAAATTTACGGCATATATATACCGGAACGTGGCTTGGCCACGTATGTTATTAACGCGGGCTGGCAGGAACTTACTAGGCCGTGCCATTCCGGTGTCAAATCCGACCGAATCCGGGGACTCGTCTCGCGGAAATGTGTTTCTTTTTAGAGACATGGATTCTTACAAACCGAGACCCTGTCATGCCCGGGATGAGGGTCTGCCACTAACAACTTTCCGAACATGATGGGAAGAACCCCCTAACGGGCGCCCACCTGGAGGAATTTGGGCCGGGGCACCACCGCCCGAGGTGGGGCGGAAAACCCCCTCCAGGGGTCCCATCCTCAATTTTTCCGGGGGGGACCCCCCTCCCCCCCAAAATGAGGGAAAACCCCCGGGGGGGCACCCCCAAAAGAAGGAGAGCCCCCCACCCTCACTCTTCCCGCCCGGCGTGCGGGGGCGGGTTTTTTTTTCTGTCAAAATAAATTTTGTGTTGTTTGTGTGTTCCTCCCCCCCCCGCCGCGGGGGCGGGGTTGTACTTTTTTCCCTCTCCATCCCCCCCCCACCACAAAAGAAAAGGAGGGGACGACACCCACAGTGGGTGTGTTTTT
-L.plantarum IMB19 16S rRNA(907 Forward)(配列番号4)
TTGACGGGGGGGTCTCCAGGCGGAATGCTTAATGCGTTAGCTGCAGCACTGAAGGGCGGAAACCCCCCAACACTTAGCATTCATCGTTTACGGTATGGACTACCAGGGTATCTAATCCTGTTTGCTACCCATACTTTCGAGCCTCAGCGTCAGTTACAGACCAGACAGCCGCCTTCGCCACTGGTGTTCTTCCATATATCTACGCATTTCACCGCTACACATGGAGTTCCACTGTCCTCTTCTGCACTCAAGTTTCCCAGTTTCCGATGCACTTCTTCGGTTGAGCCGAAGGCTTTCACATCAGACTTAAAAAACCGCCTGCGCTCGCTTTACGCCCAATAAATCCGGACAACGCTTGCCACCTACGTATTACCGCGGCTGCTGGCACGTAGTTAGCCGTGGCTTTCTGGTTAAATACCGTCAATACCTGAACAGTTACTCTCAGATATGTTCTTCTTTAACAACAGAGTTTTACGAGCCGAAACCCTTCTTCACTCACGCGGCGTTGCTCCATCAGACTTTCGTCCATTGTGGAAGATTCCCTACTGCTGCCTCCCGTAGGAGTTTGGGCCGTGTCTCAGTCCCAATGTGGCCGATTACCCTCTCAGGTCGGCTACGTATCATTGCCATGGTGAGCCGTTACCCCACCATCTAGCTAATACGCCGCGGGACCATCCAAAAGTGATAGCCGAAGCCATCTTTCAAACTCGGACCATGCGGTCCAAGTTGTTATGCGGTATTAGCATCTGTTTCCAGGTGTTATCCCCCGCTTCTGGGCAGGTTTCCCACGTGTTACTCACCAGTTCGCCACTCACTCAAATGTAAATCATGATGCAAGCACCAATCAATACCAGAGTTCGTTCGACTTGCATGTATTAGGCACGCCGCCAGCGTTCGTCCTGACAGAGAGAAAAAAAAAAAAAAAAAAGGGCCGGGGGGATCGGGGGGGGGGGGGGGGGGGGTGAGGGGTTGAGGGGGGGGGGGGGGGGGGGGGGGGGGGGGGGGGGGGGGGGGGGGGGGGGGGGGGGGGGGGGGGGGGGGGGGGGGGGGGGGGGGGGGGGGGGGGGGGGGGGGGGGGGGGGGGGGGGGGGGGGTGTGTGGGGGGGGGGGGGTTGTTGTTTTTGTTTGGGGGGGGGGTTGTTTTTTGTGTGTGTTTTGTTGTTTGTTTGGGGGTGTGTTTTGTTGTGGGGTGGGGTGTTGGGGGGGTTGGGGGGGGGGTGTTGTTTGGGGGGGGTGGGGGGGGGGGTTTTTTTGTTGTTGTGTGGTTGTGTGTTGTGTGGTGGGTGGGGGGGGTGGTGTGTGTGTGGGGGTGGGGGGTGTTTGGTGGGGGGGGGGTTGTTGTGGGGGGGTGGTGTTTGTTTTTTGTTTTTTTTTGTGTGTGGGGGGGGGGGGTGGGGGGTGGTTTGTGGGGTGTTGTTTGTGTGTGGTTGGTGGTGGTGTGTGGGGGGGTTGGGGGGGGGGGGGTTGTCTTTTTTGTTGGTGTTGGGTGTTTGTTGGTGTTGGTGTGTGGTGGGGTGGTGTGGTGGGTGGGTGCTTGTTGTGTGTGTGGTGTGT
実施例3:L.plantarum IMB19の選別
分離されたバクテリアの免疫細胞に対する免疫刺激効果を確認するために、バクテリア培養分離物がネズミ(murine)の脾臓細胞に及ぼす影響をテストし、免疫細胞に対する刺激効果があるバクテリアを確認した。全体の脾臓細胞を、分離されたバクテリアと48時間培養した後、培養上澄液でサイトカインのレベルを測定した。よく知られた炎症マーカーであるIFN-γと抗炎症サイトカインであるIL-10を用いて、前記分離されたバクテリアが免疫細胞に及ぼす影響を評価した。全ての分離されたバクテリアのうち、無視可能なレベルのIL-10と非常に高い量のIFN-γを誘導する新規なラクトバシラスプランタルム(Lactobacillus plantarum)菌株を選別し、L.plantarum IMB19と命名した(図1、colony 1)。
実施例4:L.plantarum IMB19の微生物学的及び生化学的特性分析
L.plantarumのコロニー形態は小さくて滑らかな円形であり、半透明な様子を示す。低温切片(Cryosection)TEMを用いてL.plantarumの無鞭毛(non-flagellated)、棒形の微生物コロニーを確認した(図2のA)。個別バクテリアの厚い莢膜層が一般的に明らかに確認された。ヒツジ血液寒天(sheep blood agar)で培養する場合は、透明であるか、緑色光の領域がないため、当該菌株が他のラクトバシラスと類似する形に非溶血性(non-hemolytic)又はγ-溶血性(γ-hemolytic)と確認された(図2のB)。陽性対照群として使用されたBacillus cereus ATCC 11778に対して、最大5日までゼラチナーゼ活性に陰性と現れた(図2のC)。また、特化された培地で前記菌株の4つの生体アミン生成をテストした(ヒスタミン(histamine)、カダベリン(cadaverine)、チラミン(tyramine)及びプトレシン(putrescine))。L.plantarum IMB19の場合、E-coli ATCC 25922とは違い、生体アミンを生成しないものと確認された(表1)。
抗生剤感受性テスト結果は、下記表2のように、大部分のラクトバシラス種と同様に、カナマイシン(kanamycin)を除いて大部分の臨床関連抗生剤に感受性を示すことが確認された(Appl Environ Microbiol 85,(2019))。
*EFSA=ヨーロッパ食品安全処(European Food Safety Authority)、Amp=Ampicillin、Ery=Erythromycin、Gen=Gentamicin、Tet=Tetracycline、Str=Streptomycin、Chl=Chloramphenicol、Cli=Clindamycin、Kan=Kanamycin、Van=Vancomycin、n.r=not required、Q.C=Quality Control。
実施例5:L.plantarum IMB19の遺伝学的特性分析
16S rRNA配列分析に基づく配列類似性比較は、L.plantarum種間の同一性を確認した。また、PCRによるrecA遺伝子分析により、L.pentosus及びL.paraplantarumのような遺伝的に密接した他の種と区分した(Appl Environ Microbiol 67,3450-3454(2001))。
DNA分離、Pac-Bio & Illumina Hi-seq配列分析及び生物情報学に基づく分析が行われた(Macrogen、韓国)。
L.plantarum IMB19は、recA遺伝子由来のプライマーを用いてrecA遺伝子を増幅し、バンドを比較することによって、他の遺伝的に密接に関連した種と区別した。いくつかのL.plantarum菌株は、全体のゲノムにおいて類似性を有するものと知られているので、平均ヌクレオチド指数(OrthoANI)に基づいて系統発生分析を行い、L.plantarum IMB19を固有の菌株として同定した(図3)。4個の知られた菌株に対する病原性遺伝子配列相同性(virulent gene sequence homology)に基づき、Virulence Finder 2.0を用いて推定される病原性遺伝子の存在を確認した。90%ヌクレオチドカット-オフを用いて病原性遺伝子に対するいかなる有意味なヒットも見られなかった。ResFinder(J Clin Microbiol 52,1501-1510(2014))から確認できるように、L.plantarum IMB19の全体のゲノムには抗生剤耐性遺伝子がないことが確認された。
前記各実施例に開示されているように、L.plantarum IMB19は、既存に報告されたL.plantarum菌株と異なる特徴を有する新規な菌株であり、2020年10月21日に韓国生命工学研究院の生物資源センターに受託番号KCTC 14337BPで寄託した。
実施例6:L.plantarum IMB19のネズミ(murine)T細胞に対する免疫刺激効果
L.plantarumに属する様々な菌株の宿主免疫及び健康に及ぼす有益な効果は、従来に報告されたことがあり(Biomed Res Int 2018,9361614(2018))、本発明のL.plantarum IMB19のネズミ(murine)免疫細胞に対する直接的な効果を確認した。本発明者等は、抗原提示細胞(APC)によるバクテリア抗原の吸収が活性化状態を変更させることができ、これにより、他の免疫細胞をプライミングし、結果的に免疫システムの調節が可能であると予想した。したがって、それぞれ先天的免疫システム及び適応免疫システムを示すAPC及びCD4+ T細胞の両方を含む共同培養システムを設計した。CD11c+APCをバクテリアに20時間露出させた(APC:バクテリア=1:100)。このようなAPCは、免疫表現型を歪めず、サブオプティマルな外部刺激下で未成熟CD4+ T細胞(naive CD4+ T cell)と共同培養した。T細胞のTh1、Th2、Th17又は調節T細胞(Treg)への分化を確認するために、他の転写因子、Tbet、GATA3、RORγ及びFoxp3を分析した。特別な外部の影響無しで、L.plantarum IMB19は、他の3つの菌株と比較して、CD4+RORγTh17細胞の生成を顕著に誘導した(図4のA)。他のTh細胞のサブタイプの有意味な生成の有無は明確にされておらず、他のL.plantarum菌株と類似する形に現れた(図4のB)。
前記結果の検証のために、Th17細胞の最小生成条件で、L.plantarum IMB19によるTh17細胞の生成をテストした。L.plantarum IMB19は、相当な量のIL-17を生産するCD4+RORγTh17の生成を顕著に増加させた(図5のA)。
その一方で、L.plantarum IMB19は、中性条件で相当な量のFoxp3を誘導しておらず(図5のB)、よって、L.plantarum IMB19が十分な濃度のTGF-βで未成熟CD4+ T細胞からTregを生成できるかどうかを確認した結果、TGF-βの濃度増加下でむしろTregの生成を顕著に抑制することが確認された。
実施例7:L.plantarum IMB19の生体内での抗腫瘍免疫反応の促進効果確認
L.plantarum IMB19菌株及び対照群として様々なラクトバシラス菌株(14種)を脾臓細胞と共に培養して、免疫細胞によるサイトカイン生産の変更有無を比較した。その結果、他のラクトバシラス菌株に比べて、L.plantarum IMB19は顕著に高いIFN-γレベル及び顕著に低いIL-10レベルを示した(図6のA)。参考として、他の菌株であるラクトバシラスムリヌス(Lactobacillus murinus)は、最も高いIL-10誘導能を示し、低いIFN-γ生産を示した(図6のA)。
CD8+ T細胞が主要な抗腫瘍エフェクター細胞であるため、分離された前記2菌株のCD8+ T細胞刺激能力を確認した。バクテリアでプライミングされた樹状細胞(DC)及びCD8+ T細胞の共同培養において、L.plantarum IMB19を処理する場合にIFN-γレベルの増加を確認し、特に、ラクトバシラスムリヌス(Lactobacillus murinus)を処理した場合に比べて顕著に増加した(図1のB)。脾臓及び腸間膜リンパ節抗原提示細胞との共同培養時に、CD8+ T細胞の活性化は、バクテリアの濃度に依存的に変化した(図7のA及びB)。
L.plantarum IMB19は、樹状細胞がない場合は、CD8+ T細胞を直接刺激しなかった。マウス黒色腫特異的抗原Pmel-1に対するTCR運搬CD8+ T細胞の活性化は、抗原gp-100の存在下に類似する形に活性化された(図7のC)。DCの他にも、マクロファージは腫瘍の成長及び抑制に重要な役割を担うものと知られたAPCであるので、CD11b+F4/80+腹膜マクロファージを用いたCD8+ T細胞刺激に対するL.plantarum IMB19の効果を確認した。樹状細胞と同様に、L.plantarum IMB19は、マクロファージ-CD8+ T細胞との共同培養時に、IFN-γ細胞の比率を大きく増加させた(図6のC)。
CD4+Foxp3+調節T細胞(Tregs)は、腫瘍に蓄積され、CD8+ T細胞及びその他の免疫細胞のエフェクター機能を抑制し、腫瘍進行を増加させる。また、Treg生成を促進する様々なバクテリアが報告されたことがある(Nature 453,620-625(2008);Sci Immunol 3,(2018))。したがって、本発明者等は、L.plantarum IMB19がCD11c+DC及びCD4+ T細胞の共同培養時にTreg誘導に影響を及ぼすかどうかを確認した。高度なTreg歪み培養条件で、L.plantarum IMB19は、TGF-βの存在下でTreg生成の相当な抑制を示した(図6のD)。この効果は、さらに低いレベルのTGF-βにおいても持続され、テストされた条件のいずれにおいてもTreg生成が観察されなかった(図8のA)。その一方で、インターロイキン-17A(IL-17A)は増加し(図8のB)、これは、T-helper-17細胞(Th17)の生成を意味する。インターロイキン-6(IL-6)は、Th17生成に必須であり、TGF-βの存在下でTreg生成を抑制する(Eur J Immunol 40,1830-1835(2010))。これにより、IL-6欠乏DCは、CD4+ T細胞共同培養でTregsを生成した。したがって、L.plantarum IMB19プライミングDCによるIL-6生産は、Treg歪み培養条件下でTreg生成を抑制する。
L.plantarum IMB19によって活性化されたCD8+ T細胞が機能的に細胞傷害性であるか否かをテストするために、OVA抗原(LM-OVA)を発現させる急性リステリアモノサイトゲネス(Listeria monocytogenes)感染モデルを使用した細胞毒性を試験した(図6のE)。L.plantarum IMB19を給与したLM-OVA感染マウスは、生体内でOVA pulsed CFSEがロードされた標的細胞の溶解において顕著な増加を示した(図6のF)。また、SPF(specific pathogen free)及びGF(Germ free)マウスの両方で皮下移植されたB16.F10黒色種に対するL.plantarum IMB19の効果を評価した(図6のG)。L.plantarum IMB19は、L.murinusと比較して、SPF及びGFマウスの両方において黒色腫成長の顕著な抑制を示した(図6のH及びI)。L.plantarum IMB19が抗腫瘍効果を招く全ての群集崩壊(dysbiosis)を誘導するか否かを評価するために、L.plantarum IMB19を給与した腫瘍保有動物の大便サンプルに対して16sリポソームRNAシーケンシングを行った。しかし、PBS対照群と比較して、L.plantarum IMB19給餌マウスの大便から、微生物多様性において重要な変化が見られなかった(図9のA~C)。これは、抗腫瘍免疫のL.plantarum IMB19媒介調節は、L.plantarum IMB19特異的な効果に該当し、群集崩壊の結果でないことを意味する。総合的に、本実施例のデータは、L.plantarum IMB19が生体内で細胞毒性T細胞媒介抗腫瘍免疫反応の陽性調節子であることを示す。
実施例8:L.plantarum IMB19由来の未精製多糖体分画の化学的特性分析
透過電子顕微鏡(TEM)による分析の結果、L.plantarum IMB19の細胞は、ラムノース、ガラクトース、ブドウ糖及びグルコサミンで構成された炭水化物組成、及び少量のグリセロール及びリビトールを含有する莢膜物質の層で囲まれていることが確認された(図10及び図11のA)。2つのポリオールは、一般に、ホスホジエステル結合で相互連結されるテイコ酸(teichoic acids)の存在と関連がある(Tomita,Tanaka,& Okada,2017)。一般に、メタノール分解(methanolysis)は、ホスホジエステル結合を完全に切断できないため、このようなポリオールの検出が非常に難しい。したがって、メタノール分解及びアセチル化前に水性HFで試料を脱リン酸化し、GC-MS分析を反復しており、2つのポリオールの量が増加することに基づいてテイコ酸の存在を確認した。単糖類の場合、ラムノースはL絶対配列を、グルコースとガラクトースはD配列(図12)を有する。その一方で、グルコサミンの場合、D配列は立体異性質体の独占的存在に基づいて仮定された。
実施例9:未精製多糖体の精製
炭水化物成分の化学的分析結果は、CPSが重合体の混合物であることを示唆している。そこで、イオン交換クロマトグラフィーを用いてCPSを精製して得た6個の分画を、使用された溶出液の濃度(X)によってCPS-Xで表示した。精製によって得た収率は次の通りである:CPS-10 11%、CPS-100 13%、CPS-200 9.0%、CPS-400 51%、CPS-700 7.0%、及びCPS-1000 7.9%。各分画は、H NMR分析を用いて元来の混合物(CPS)のスペクトルプロファイルと比較した(図13)。
具体的には、各分画は次の通りである(図13)。
CPS-100(図13のb):CPS-10は、多少異質的なスペクトルを示した。CPS-10のアノマー領域は、炭水化物と異なる物質と関連した4.2及び1.3ppmの強い信号を有する2個の主要信号を含む。
CPS-100(図13のc):CPS-100のアノマー領域(5.6~4.5ppm)は、α-配列(H1,H2=3.4Hz)及びリン酸化(H1,P=7.0Hz)された残基を示す5.5ppmにおける二重ダブレット(図14)を有する9個の主要信号を含む。また、それぞれN-アセチルグルコサミン及びラムノースユニットの存在と一致するアセチル基(2.06ppmでのメチル基)及びジオキシ残基(1.3ppm)の様々なメチル基を含む強い信号を確認した。
CPS-200(図13のd):CPS-200は、CPS-100とCPS-400との混合物として示され、アノマー領域において4個の多少広い信号を示し、1.6ppm(ラムノースのメチルと一致しない値)と混雑なカルビノール領域(4.4~3.2ppm)において強烈なメチル信号を示した。
積分によって、アノマー陽性子及びカルビノール陽性子との間の比率は1.0:12と示され、一般に予想される比率は1:6又はそれ以下であり、これは、CPS-400が多糖体の典型的な構造を有していないことを意味し、比率の増加は、化学的分析によって確認されたように、リビトール及びグリセロールユニットの存在のためである(図15)。また、グルコースは、最も豊富な単糖類であり、その次に、ペプチドグリカンの特徴として、少量のグルコサミン(GlcN)及びムラミン酸(MurA)の2単糖類が豊富に見られた。
このような観察は、CPS-400がテイコ酸(TA)であることを意味する。
CPS-700及びCPS-1000(図13のf及びg):アノマー領域には、CPS-400で発見される信号の一部のみが含まれており、2分画ともアノマー陽性子とカルビノール陽性子との間の比率が不定形的であった。不炭水化物物質の信号もさらに確認された。
CPSにおいて、CPS-10、CPS-700及びCPS-1000の量が豊富でないため、少量しか獲得されなかった。
実施例10:CPS-100のNMR分析
莢膜多糖体の構造は、310Kで記録されたH-H同種核(COSY、TOCSY、NOESY)及びH-13C異種核(HSQC、HMBC、HSQC-TOCSY)2D NMRスペクトルの完全なセットを分析して決定された(表3)。
C及びEのC-3はオーバーラップされ、これらの正確な化学的移動は確実に決定されていない。
**C、E、G及びHのC-5はオーバーラップされ、それらの正確な化学的移動は確実に決定されていない。
297K(図13のc)において310K(図14)への温度上昇は、約5.15ppmにおける3個のアノマー信号と関連残基の単純化されたNMR属性との間のオーバーラップを減少させた。
HSQCスペクトル(図14)は、大文字A-I、図14のa、表3で表示されたH 5.6~4.5において9個の主要アノマー密度を示しており、該当する陽性子はいずれも類似した比率を有している。NMR分析は、COSYスペクトルの3.85ppmと共通に、TOCSYスペクトルにおいて3つの相関関係を示すAのH-1(5.51ppm)で(図16)始まった。したがって、この密度は、H-2に割り当てられ、類似した接近方式によってH-3(3.91ppm)及びH-4(4.04ppm)も割り当てられた。H-1との追加の相関関係がないので、Aをガラクトースユニットと確認した。H-5は、強いH-4/H-5相関関係によってNOESYスペクトルで識別され(図17)、該当するCOZY相関関係によって2つのH-6を確認した(図16及び図17)。
HSQC及びHSQC-TOCSYスペクトル(図18のa)は、C-6(67.1ppm)の高い化学的移動に基づいてO-6に連結されたα-ガラクトースユニットであるA(表3)の全ての炭素化学的移動を定義した。DのH-1(5.12ppm)で発生するTOCSYスペクトルの相関関係は、Aと同じパターンを有しているので、Dはガラクトースであり、αは、H1,H2(3.9Hz)値に基づいて構成され、H-6s/C-6(4.04-4.02/65.6ppm)の化学的移動は、この位置の以前の文献のデータと一致し、リン酸化されていることを意味する(Sechenkova et al.,2004)。したがって、Dは、6P-α-Galであり、他の全ての炭素化学移動の高いフィールド値に基づいてそれ以上分岐されなかった。
Bにおいて、H-1(5.24ppm)は、H-2(4.25ppm)に最も強い2つのTOCSY相関関係を示しており、これは、COZY密度と一致している(図16)。この2番目の陽性子(図16)においてTOCSYを判読した結果、ラムノース残基のパターン全体の診断である1.28ppmにおいてメチルを含むユニットの他の全ての陽性子を確認した。したがって、Bは、そのC-5値(約70.5ppm)と参照グリコシド(α又はβメチルグリコシドの場合、それぞれ69.4又は73.6ppm、Bock & Pedersen,1983)の類似性に基づき、アノマー中心においてα-配列されたラムノースであり、当該炭素において経験したグリコシル化移動から定義されたのと同様に3-置換された。残基C、E、G及びH(それぞれ、5.14、5.10、4.97、4.88ppmにおいてH-1)のTOCSYパターンは、Bのものと類似し、α-ラムノースユニットであり、参照値(71.0ppm,Bock & Pedersen,1983)と比較して、C-2(77.8~79.6ppm)の低いフィールド値は、O-2において置換されたことを意味する。
Fにおいて、H-1(5.01ppm)は、4個のTOCSY相関関係を有しており(図16)、これは、COSYスペクトルにおいてH-2~H-5に起因したものであり、グルコ構成残基(gluco configurated residue)のパターンである。H-5のHSQC-TOCSY分析により69.5ppmでの密度と相関関係を確認し、これは、C-6に起因し、次第にH-6sと関連した(4.14及び3.96ppm)。したがって、Fは、C-2(54.9ppm)及びH-2(3.93ppm)値に基づくN-アセチルグルコサミンであり、C-6(69.4ppm)において置換された。α配列は、アノマーシグナル形状(broad singlet)とC-3値(71.8ppm)によって推論され、これは、参照α-グリコシド(72.0ppm,Bock & Pedersen,1983)と非常に類似している。最後に、IのH-1(4.50ppm)は、ユニットの全ての陽性子を示すTOCSYパターンを有している。したがって、13C化学的移動に基づき、IはC-3(82.8ppm)において置換され、H1,H2値(7.9Hz)に基づいてβ-配列されたブドウ糖である。
残基間の配列は、HMBC(図5のB)とNOESY(図4)スペクトルを分析して推論した。最初に、BのH-1とIのC-3が連結されたHMBCの相関関係と当該密度は、Bと表示した(図18のb)。同じ形式でC、D、F、H及びIなどの別の相関関係が発見された。また、EのH-1とGのH-1は、C及びHのC-2と類似した値である約79ppmにおける炭素と長距離相関関係を示した。E及びGへのこのような密度の正確な割り当ては、EのH-1とHのH-2、及びGのH-1とCのH-2が関連しているNOESYスペクトル(図17)を分析して推論した。このような属性は、互いに異なるラムノースユニットのH-2陽性子の拡張に詳細に示された逆相関関係を観察して確認された(図19)。
最後に、AとDがそれぞれO-1とO-6においてホスホジエステル結合でリン酸化されたという情報は、なぜAのH-1とDのC-6、又はDのH-6及びAのC-1に対してHMBC連結が現れなかったのか、又は、なぜこれらの陽性子が残基間のNOE相関関係を有しないのかを説明する。HMBCスペクトルは、実際に、このシーケンスの限界(3個の連結)を超えるAのH-1(又は、C-1)とDのC-6(又は、H-6)との間の結合数が多いために(5個の連結)、両ユニット間のいかなる相関関係も検出することができなかった。同様に、AとDとの間のリン酸塩部分の密度は、検出可能なNOE効果を提供するために、それらのユニットの陽性子を非常に遠く離す。したがって、CPS-100の反復単位構造は、図20に報告されているように、non-saccharideである。
また、その特性を理解するために、マイナーなNMR信号を調査した。HSQCスペクトル(図14)において、Galα及びGalβ(それぞれH/13C 5.26/93.5及び4.57/97.8ppm)で表示された密度の炭素化学的移動は、自由還元形態のα又はβ残基を示す。H-1におけるTOCSYスペクトル(図16)は、ガラクト(galacto)構成糖の典型的なパターンを示した(すなわち、Galαの場合、3番目の密度は、COZY密度とほとんどオーバーラップされる。)。このような発見には、CPSの分離のための超音波処理及びトリクロロ酢酸処理が含まれており、上記の2つの処理過程において、特に、ガラクトースAのアノマーリン酸塩において、ホスホジエステル結合の極度の柔軟性によってそれら結合の一部の切断を誘導できるという点から説明される。したがって、強い信号の傍におけるマイナーな信号(図14、“”で表示)は、最初の反復残基に属し、自由還元形態でガラクトースに連結されていると予想された。しかし、それらの低い強度と、カルビノール領域(carbinolic region)の密集は、正確な属性の把握を妨害した。最後に、HSQCスペクトル(図14のa)において、アノマー密度を統合すると、サンプルの平均重合度は4であり、平均MWは約6kDa(反復単位のMWは1500Da)であり、HPSECによって計算された11kDaは多少過大評価された値と類似した値である(図21)。
実施例11:CPS-400のNMR分析
前記実施例において説明されたのと類似した方式でCPS-400の構造的特徴を分析した(表4)。
第一に、HSQCスペクトルのアノマー領域(図22のa及びb)は、いくつかの残基を示しているが、H 5.3-5.1ppmにおける信号は、単糖類残基で発生したのに対し、H/13C 5.39/75.5ppmは、アノマー信号ではなくAで表示されたグリセロールユニット(Gro)のC-2であり、アシル化によって低いフィールドへと移動した。O-2における置換基はアラニン(Ala)であり、H/13C 1.64/16.5ppmで確認されたメチル及び4.30/50.2ppmにおけるHα/Cαによって確認された。また、AのH-1/C-1及びH-3/C-3は同等であり、当該HSQC-TOCSY(図22のa)及びTOCSY(図22のg)の相関関係に基づいて4.11/65.0ppmで確認された。
最後に、C-1(又は、C-3)値は、Gro型テイコ酸の場合のように、Aが両末端でリン酸化されていることを示す。Gerlach et al.,2018を参照したHSQC分析において、2番目の1,3-二リン酸化Groユニット(B)、及び1,5-二リン酸化されたリビトールユニット(Rbo,C)を確認し、このような最後の残基は、リビトール-ホスフェートバックボーンに基づくさらに他のテイコ酸の存在を意味する。単糖類ユニットにおいて、分析は、TOCSYスペクトルのアノマー信号において最大H-6まで磁化(magnetization)の効率的な伝播に基づいてα-グルコースユニットとして確認された最も強い信号(D、E、F’及びF)に集中した。このようなGlcユニットは、13C化学的移動の類似性に基づいてそれ以上置換されなかった(Bock & Pedersen,1983)。
このようなユニットの位置は、HMBCスペクトル分析及び参照文献のデータとの比較から推論した。実際に、Eは、Groユニット(H)のO-2に連結されたのに対し(Shashkov,Potekina,Senchenkova,& Kudryashova,2009)、F’は、Rboユニット(I)のO-4に連結された(Streshinskaya et al.,2011)。Dの場合、H-1は、陽性子(4.30ppm)がHSQC-TOCSYスペクトルにおいて69.9ppmで“CH”に連結された78.3ppmにおける炭素(図18のb)と長距離相関関係を有している(図23)。このような新しいユニットはGと表示され、H/13C 4.30/78.3及び4.14/66.9ppmにおける密度は、G4及びG5と割り当てられた(図18のc及び図23)。Gは、リビトールと識別され、HSQC-TOSCYスペクトル分析によって他の信号を探した。実際に、H/13C 4.16/67.7ppmにおける“CH”密度は、G4を示す信号と3つの相関関係を有しており、この密度はG1と表示した。また、GのC-1(67.7ppm)は、Iに対して報告されたように、隣接位置でグリコシル化されず、リン酸化された炭素を表す。このような情報は、残りの2つのHSQC-TOSCY相関関係をC-2(70.5ppm)及びC-3(80.6ppm)に割り当てるようにし、HSQCスペクトルにおいて順にそれに相応するH-2(4.15ppm)及びH-3(3.97ppm)を識別した(図18、図23、表4)。したがって、Gは、付着した2つのユニット、F及びDと共に、O-3及びO-4でグリコシル化されたRboである(図22のbにおけるHMBC)。
このような類型の置換は、他のラクトバシラスプランタルム(Lactobacillus plantarum)菌株から確認されたことがあるが、そのNMRデータは、リン酸塩がないRboユニットを報告しており、このような化学的移動と本発明のデータは比較できない(Tomita et al.,2017)。しかし、我々の結果は、C-2及びC-3に連結されたグルコースユニットを有するリビトールの逆置換パターンを提案したビフィスズ菌のテイコ酸のもの(Valueva et al.,2013)と類似していた。興味深いことに、Valueva et al.(2013)に報告された脱リン酸化形態のNMRデータは、Tomita et al.(2009)で報告された3,4-二グルコシル化リビトールのNMRデータと一致している。したがって、このようなリビトールユニットの置換パターン(2,3又は3,4)は、まだ明確に定義されずにいる。したがって、本発明のNMRデータは、CPS-400がGro-及びrbo-型の2つのテイコ酸の混合物であることを示し、それぞれ、非化学量論的方式でいくつかの置換基の存在を示した。Gro-型TAの場合、非化学量論的置換基はアラニン及びα-グルコースであった。Rbo-型TAの場合、α-グルコースは、リビトールのO3及びO4の両方、O4単独で発生するか、又はいずれの位置でも発生しなかった。サイズ排除クロマトグラフィーによって2つのTAの分離を試みたが、CPS-400は約45kDa(図21)の対称ピークとして現れ、それ以上分離されなかった。
実施例12:CPS-100及びCPS-400の免疫刺激活性
前記CPS-100及びCPS-400の免疫反応に対する活性を確認した。
全ての免疫細胞を生理学的な比率で混合した脾臓細胞を使用し、免疫システムに対するCPSの効果を確認した。終点分析(Endpoint analysis)は、ELISAにより、個別のサイトカインをテストして行った。サイトカインは、生体内で炎症性又は寛容性免疫反応を媒介し調節する細胞信号伝達に関与する分泌性ペプチド/糖タンパク質グループを意味する。したがって、CPSに露出される時に、免疫細胞プールにおいてサイトカインの歪みが生体内で類似した役割を担うことを意味する。CPS-100及びCPS-400によって生成された免疫反応を確認するために、インターフェロンガンマ(IFN-γ)を炎症性マーカーとし、インターロイキン-10(IL-10)を調節性サイトカインとして分析した。研究結果によれば、CPS-100は、高いIFN-γ及び無視できるレベルのIL-10生産で現れたように、免疫刺激性であることを示す(図24のa及びb)。その一方で、TA分画であるCPS-400では、IFN-γのレベルが検出されなかった(図24のa)。類似した条件において、TNF-α(tumor necrosis factor-α)、IL-6(interleukin 6)、IL-12(interleukin 12)、IL-17(interleukin 17)及びIL1-β(interleukin 1β)を含む他のサイトカインを評価した。
CPS-100は細胞を刺激し、顕著に高いレベルのTNF-α、IL-6及びIL-12の生成を示すのに対し(図24のc~e)、IL-17及びIL1-βは検出されなかった。その一方で、CPS-400は、測定された如何なるサイトカインでも明確な増加が見られなかった(図24のc及e)。IFN-γは、様々な類型の免疫細胞で生成される一次免疫刺激マーカーであるので、CPSの免疫刺激反応の特異性を確認するために、IFN-γの生産がCPS-100の濃度に依存的であるかどうかを確認した。48時間のIFN-γ誘導においてCPS-100のEC50(half maximal effective concentration)は3.16μM(図24のf)であり、CPS-100が効率的な免疫刺激剤として使用され得ることを意味する。
結果的に、CPS-100は、L.plantarum IMB19菌株と類似した免疫刺激特性を示し、これは、L.Plantarum IMB19菌株の免疫増進活性を示す有効分子がCPS-100であることを意味する。
実施例13:L.plantarum IMB19及びCPSのCD8+ T細胞機能の向上及び抗腫瘍免疫効果
in vitroにおける免疫刺激剤としてのCPS活性が生体内で腫瘍抑制活性へとつながり得るかどうかを確認した。経口投与されたL.plantarum IMB19及び腹腔内投与されたCPS治療グループは、皮下黒色腫の成長が顕著に減少したことが確認された(図25のA及びB)。両グループにおいて、腫瘍成長の遅延はCD8+ T細胞の浸潤と関連している(図25のC)。腫瘍浸潤CD8+ T細胞によるIFN-γの生成と頻度の増加は、前記投与によってCD8+ T細胞の細胞毒性活性が顕著に向上したことを意味する(図25のE及びF)。また、腫瘍内CD4+ T細胞は、両投与グループにおいて、IFN-γ生産の上向き調節を示している(図25のG及びH)。その一方で、PBS投与グループと比較して、腫瘍内Treg集団の差は見られなかった(図26のA及びB)。L.plantarum IMB19の経口投与は、EMT-6乳癌において腫瘍成長を調節した(図27)。結果的に、前記データは、CPS及びL.plantarum IMB19が癌成長を抑制する抗腫瘍免疫活性を向上させることを意味する。
実施例14:CPSの腫瘍内マクロファージ浸潤増加
CPSは、腫瘍においてマクロファージの浸潤を増加させる。CD8+ T細胞反応を調節する特定APC類型を確認するために、CPSの腹膜内投与と共に、B16.F10黒色腫細胞を移植し、初期腫瘍においてAPCの浸潤を評価した。CPSは主に、CD11c+DCに比べて、腫瘍においてCD11c+CD11b+マクロファージの頻度を増加させた(図28のA)。流動細胞計測法によって確認した結果、マクロファージの数は、CPS投与されたマウスにおいて顕著に高く現れた(図28のA)。同じ条件で、CD11c+CD11b+マクロファージとCD11c+樹状細胞の活性化マーカーを確認した。驚くことに、CPS処理された樹状細胞の活性化状態は、対照群と有意味な差を示さなかった(図28のC)。しかし、マクロファージは、さらに活性化されており、CD11b、MHC I、MHC II、CD86及びCD40のさらに高い発現を示した(図28のB)。同じマウスにおいて全身的な適応免疫システムの活性化を確認するために、排水リンパ節においてCD8+ T細胞早期活性化マーカーであるCD69を確認した。対照群と比較して、CD69は、CPS投与によって明確且つ有意に上向き調節された(図28のD)。このようなデータは、CPSがマクロファージの活性化に重要な働きをし、腫瘍成長を制限できることを意味する。
実施例15:CPSによるマクロファージの炎症性マクロファージへの分化及びM2マクロファージのM1表現型への再プログラミング
マクロファージに対するCPSの効果を特性化するために、マクロファージをCPSに露出する場合に表現型の変化を確認した。腹膜CD11b+F4/80+マクロファージは、CPSを処理した場合に活性化された表現型を示しており、LPS又はPam3CSK4処理された場合に比べて、CPS処理されたマクロファージにおいてMHC I、MHC II、CD68、iNOS2、及びCD40の顕著な上向き調節を示し(図28のE)、M1表現型又はマクロファージの炎症性表現型を示した。特に、Pam3CSK4と同様に、TLR2はCPS処理時に上向き調節され、CPSがTLR2リガンドであり得ることを意味する。しかし、生体内実験とは対照的に、CD80及びCD86の発現は変更されなかった(図28のE)。
代案として、活性化されたマクロファージ又はM2表現型マクロファージは、免疫抑制に大きく寄与し、腫瘍の成長を向上させる(Ann Oncol 28,xii18-xii32(2017))(Front Oncol 9,421(2019))。したがって、前記結果は、腫瘍においてCPSがM2マクロファージをM1表現型に再プログラミングし得ることを示す。実際に、IL-4誘導M2表現型腹膜マクロファージは、LPS及びPam3CSK4と比較して、CPSを処理する場合に顕著に増加した(図28のF)。また、炎症性マクロファージマーカーiNOS2は、MHC I、MHC II、CD40及びCD68とは別に、有意に上向き調節された(図28のF)。このようなデータは、CPSの処理が炎症性マクロファージを生成し、免疫抑制性マクロファージを免疫刺激性表現型に再プログラミングすることを意味する。
実施例16:CPS変調された腫瘍浸潤マクロファージの遺伝子発現プロファイル確認
CPS及びPBS投与マウスの腫瘍において初期浸潤されたマクロファージを分離し、遺伝子発現プロファイリングのためにmRNAシーケンシングを行った。細胞走化性(cellular chemotaxis)、炎症反応(inflammatory response)及び鉄イオン恒常性(iron ion homeostasis)と関連した様々な遺伝子(図29のA)は、CPSグループマクロファージで上向き調節された。身体の鉄分調節は、鉄循環と可溶性を維持するために、主にマクロファージが行う生理的役割の一つである。腫瘍微細環境内でマクロファージから細胞内の鉄イオン隔離に関与する遺伝子の有意な上向き調節を確認した(図29のB)。また、Tlr2及びTlr6は顕著に上向き調節されたが、Tlr6の遺伝子発現レベルはTlr2より低かった(図29のc)。マクロファージに対するCPSの効果をサポートするために、M1又はM2表現型を示す遺伝子の上向き調節を確認した結果、M1炎症性遺伝子の有意な上向き調節及びM2遺伝子の有意な下向き調節が確認された(図29のD)。よって、CPSによる炎症性マクロファージ表現型の調節において、Tlr2及び鉄の隔離が重要な役割をすることを意味する。
実施例17:CPSによるCD8+ T-細胞のTLR2媒介刺激
CPS媒介CD8+ T-細胞刺激においてTLRの役割を確認するために、まず、CD8+ T-細胞活性化に対するDC特異的MyD88節制効果を確認した。MyD88欠乏樹状細胞及び野生型マウス由来のCD8+ T細胞を使用した共同培養実験において、IFN-γ細胞の割合が顕著に減少することを観察した(図30のA)。次に、類似した条件でTLR2、TLR4及びTLR6の役割を確認し、CPS又はL.plantarum IMB19処理された細胞においてTLR2ノックダウンされた樹状細胞がCD8+ T-細胞の活性化を顕著に抑制することを確認した(図29のE及び図30のB)。これは、TLR2上向き調節を示すRNAシーケンシングデータ(図29のC)と一致するものであり、CD8+ T細胞のCPS媒介プライミングでTLR2が重要な役割をすることを意味する。
実施例18:腫瘍関連マクロファージにおけるCPSによる鉄隔離(Iron sequestration)
抗腫瘍免疫と関連して、マクロファージによる鉄隔離の役割を確認するために、黒色腫腫瘍保有マウスから腫瘍関連マクロファージを分離し、このようなマクロファージによる総細胞内の可溶性鉄(Fe++)及び鉄吸収を評価した。腫瘍から分離された総免疫細胞を30分間鉄補充培地に保管し、Fe++イオンを直接染色し、流動細胞分析を通じて分析した。CPS投与されたマウスから分離したマクロファージは、細胞内の高い不安定な鉄レベルを示した(図29のF)。また、CPS投与されたマウスから分離されたマクロファージによる鉄の吸収は顕著に高く現れた(図29のG)。1細胞当たりの細胞内の鉄レベルは、MFIに反映されたように、CPS処理グループでさらに高く現れた(図29のF及び図29のG)。よって、CPSプライミングされたマクロファージでの鉄隔離は、腫瘍成長を抑制する重要なメカニズムになり得ることを意味する。
実施例19:CPS又はL.plantarum IMB19の腫瘍内のCD8+ T細胞TCRレパートリー調節
CPS又はL.plantarum IMB19が細胞毒性反応の増加と関連した腫瘍浸潤CD8+ T-細胞のTCRレパートリーをさせるかどうかを確認した。PBSグループと比較して(図31のD)、CPS又はL.plantarum IMB19処理時に特定TCRが豊富に現れることで確認した(図S14A)。シムソン多様性指数(Simpson’s diversity index)はL.plantarum IMB19及びCPS処理時に減少し、さらに多くの多クローン反応(polyclonal response)を示したPBSと比較して、少数の選択されたクローンのクローン拡張を示した(図31のB)。
ピエローの均等性(Pielou evenness)又はシャノンの公平性(Shannon equitability)は、全てのTCRの均一な豊富さを示すPBSに比べて、CPS処理時に特定TCRの豊富さを増加させることを示す(図31のC)。よって、CPS及びL.plantarum IMB19は、いずれも腫瘍微細環境内でTCRレパートリーに影響を及ぼし、一部の固有のTCRの発現を含み、特定TCR配列の表現型増加を明らかに示す。
実施例20:CPS又はL.plantarum IMB19の抗癌剤との併用投与療法
前記各実施例で確認したように、L.plantarum IMB19及び多糖体がB16F10マウス黒色腫モデルにおいて腫瘍進行の顕著な抑制を立証し、L.plantarum IMB19と免疫抗癌剤との組み合わせが腫瘍に及ぼす影響を確認するために同一の方法で併用投与を通じた実験を行った。
マウス共通遺伝子(syngeneic)マウス黒色腫モデルは、0.2million B16F10細胞/マウスの皮下投与によって生成された。L.plantarum IMB19(1x10CFU/mouse)が0日から経口投与され、抗PD-L1(100μg i.p.)抗体は7、10、13、16日に処理された(図32のA)。腫瘍成長率は、抗PD-L1抗体単独に比べて、L.plantarum IMB19菌株を併用投与した群で顕著に低く現れた(図32のB)。
L.plantarum IMB19に対する治療療法を用いて、マウス腎臓癌モデルでシナジー効果を評価した(図32のC)。腎臓細胞癌(Renal Cell Carcinoma、RCC)は、全世界的に40万件の発病率を高める癌であり、40,000Renca-ルシフェラーゼ細胞をマウスの右側腎臓の腎臓カプセルに外科的に移植した。マウスを無作為に抽出し、7日から治療を始めた(図32のC)。
生物発光イメージ(BLI)は、腫瘍進行を確認するために他の時点でIVISスペクトル((Ami-HTX、Spectral Instruments Imaging、USA)を用いて獲得した。
全ての時点で生物発光強度を正規化するために、最後の日の分析に基づいてスケールを手動で設定した。腫瘍進行の縦断的評価において、L.plantarum IMB19と抗PD-L1との間の顕著な相乗効果を観察した(図32のD~E)。前記結果は、L.plantarum IMB19が治療及びセミ治療療法のいずれにおいても抗PD-L1の抗腫瘍効果を顕著に強化できることを意味する。
寄託機関名:韓国生命工学研究院
受託番号:KCTC 14337BP
受託日:20201021
本発明の新規なラクトバシラスプランタルム(Lactobacillus plantarum)IMB19菌株KCTC 14337BP及び前記菌株由来の多糖体は、優れたCD8+ T細胞活性の刺激能力及びTreg細胞の抑制活性を示し、CPS腫瘍内のマクロファージ浸潤増加、マクロファージの炎症性(M1)表現型への分化/再プログラミングなどの多様なメカニズムを通じて抗腫瘍免疫反応を刺激及び向上させる。
特に、前記菌株及び多糖体は、抗癌剤、特に、PD-1又はPD-L1抑制剤(例えば、PD-1抗体又はPD-L1抗体)などの免疫抗癌剤と併用投与する場合、抗腫瘍免疫反応を顕著に増加させることができる。よって、本発明の菌株及び/又は多糖体を含む組成物を多様な抗癌剤と併用投与することによって、腫瘍の予防、改善又は治療に有用に使用され得る。
以上、本発明の内容の特定の部分を詳細に記述したが、当業界における通常の知識を有する者にとって、このような具体的記述は単に好ましい実施様態に過ぎず、これによって本発明の範囲が制限されるものでない点は明らかであろう。したがって、本発明の実質的な範囲は、添付の特許請求の範囲及びそれらの等価物によって定義されるといえよう。
電子ファイルを添付した。

Claims (17)

  1. ラクトバシラスプランタルム(Lactobacillus plantarum)IMB19菌株KCTC 14337BPを含み、抗癌剤と併用投与されることを特徴とする腫瘍の予防又は治療用組成物。
  2. 前記抗癌剤は免疫抗癌剤であることを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
  3. 前記免疫抗癌剤は、免疫チェックポイント抑制剤であることを特徴とする、請求項2に記載の組成物。
  4. 前記免疫チェックポイント抑制剤は、PD-1/PD-L1、CTLA-4、IDO、B7-1及びB7-2で構成された群から選ばれる免疫チェックポイントタンパク質を抑制又は遮断することを特徴とする、請求項3に記載の組成物。
  5. 前記腫瘍は、組織細胞腫、神経膠腫、星状細胞腫、骨腫、各種癌、例えば、肺癌、小細胞肺癌、胃癌、胃腸管癌、腸癌、結腸癌、直腸癌、膵癌、乳癌、皮膚癌、卵巣癌、前立腺癌、精巣癌、肝癌、腎臓癌、膀胱癌、脳癌、肉腫、骨肉腫、黒色腫、リンパ腫、血液癌、白血病、乾癬、骨疾患、線維増殖性障害、及び粥状硬化症で構成された群から選ばれることを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
  6. 前記組成物は、医薬組成物又は食品組成物であることを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
  7. 下記化学式Iで表される多糖体を含み、抗癌剤と併用投与されることを特徴とする、腫瘍の予防又は治療用組成物:
    [化I]
    -[-D-B-I-F-G-C-E-H-A-]
    前記化学式Iにおいて、
    A及びDは、ガラクトース(Galactose)であり、
    B、C、E、G及びHは、ラムノース(Rhamnose)であり、
    Fは、N-アセチルグルコサミン(N-acetylglucosamine)であり、
    Iは、ブドウ糖であり、
    nは、1~10の整数である。
  8. 前記化学式IのA及びDのうちいずれか一つ以上のガラクトースがリン酸化されたことを特徴とする、請求項7に記載の組成物。
  9. 前記Aの1位の炭素の水酸化基(-OH)がリン酸化されたことを特徴とする、請求項8に記載の組成物。
  10. 前記Dの6位の炭素の水酸化基(-OH)がリン酸化されたことを特徴とする、請求項8に記載の組成物。
  11. 前記化学式Iのnは2以上で、反復単位のAとDがリン酸ジエステル結合(phosphodiester linkage)で連結されたことを特徴とする、請求項7に記載の組成物。
  12. 前記化学式Iにおいて、
    DとB及びBとIは、α-1,3-グリコシド結合で連結され、
    IとFは、βグリコシド結合で連結され、
    FとG、GとC、CとE、及びEとHは、α-1,2-グリコシド結合で連結され、
    HとAは、α-1,6-グリコシド結合で連結されたことを特徴とする、請求項7に記載の組成物。
  13. 前記多糖体は、下記化学式IIの構造を有することを特徴とする、請求項7に記載の組成物:
    [化II]
    nは、1~10の整数である。
  14. 前記抗癌剤は免疫抗癌剤であることを特徴とする、請求項7に記載の組成物。
  15. 前記免疫抗癌剤は、免疫チェックポイント抑制剤であることを特徴とする、請求項14に記載の組成物。
  16. 前記免疫チェックポイント抑制剤は、PD-1、PD-L1、CTLA-4、IDO、B7-1及びB7-2で構成された群から選ばれる免疫チェックポイントタンパク質を抑制又は遮断することを特徴とする、請求項15に記載の組成物。
  17. 前記腫瘍は、組織細胞腫、神経膠腫、星状細胞腫、骨腫、各種癌、例えば、肺癌、小細胞肺癌、胃癌、胃腸管癌、腸癌、結腸癌、直腸癌、膵癌、乳癌、皮膚癌、卵巣癌、前立腺癌、精巣癌、肝癌、腎臓癌、膀胱癌、脳癌、肉腫、骨肉腫、黒色腫、リンパ腫、血液癌、白血病、乾癬、骨疾患、線維増殖性障害、及び粥状硬化症で構成された群から選ばれることを特徴とする、請求項7に記載の組成物。
JP2024524970A 2021-07-09 2022-07-07 新規なラクトバシラスプランタルム菌株、菌株由来多糖体の腫瘍の予防又は治療のための併用投与用途 Pending JP2024527633A (ja)

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