JP2024527235A - 抗EGFRvIII抗体薬物コンジュゲート及びその使用 - Google Patents

抗EGFRvIII抗体薬物コンジュゲート及びその使用 Download PDF

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Abstract

本開示は、テシリンにコンジュゲートされた、EGFRのクラスIIIバリアント(EGFRvIII)に結合する抗体を含む抗体-薬物コンジュゲート(ADC)、及びそれらを使用する方法を提供する。ある特定の実施形態によると、本明細書で有用な抗体又はその抗原結合断片は、高い親和性でヒトEGFRvIIIに結合する。本明細書で有用な抗体又はその抗原結合断片は、完全ヒト抗体であってもよい。本明細書に提供されるADCは、様々ながんの治療に有用である。
【選択図】なし

Description

関連出願の相互参照
本出願は、2021年6月22日に出願された米国仮特許出願第63/213,478号、及び2021年9月10日に出願された米国仮特許出願第63/242,929号の利益を主張するものであり、これらの各々は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
開示の分野
本開示は、ヒト上皮成長因子受容体(EGFR)の欠失変異体、具体的には、クラスIII欠失変異体EGFRvIIIに特異的に結合する、ヒト抗体、及びヒト抗体の抗原結合断片を含む、抗体-薬物コンジュゲート(ADC)(抗体又はその抗原結合断片は、テシリンにコンジュゲートされている)、及びそれらのADCを使用する治療方法に関する。
配列表
配列表の公的な写しは、ファイル名「10966WO01_Sequence_Listing_ST25.TXT」、作成日2022年6月21日、及びサイズ約49,152バイトのASCIIフォーマットの配列表として、EFS-Webを介して電子的に本明細書と同時に提出されている。このASCIIフォーマット書面に含まれる配列表は、本明細書の一部であり、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
背景
上皮成長因子(EGF)受容体又はEGFRの過剰発現及び/又は遺伝子増幅は、乳癌、卵巣癌、膀胱癌、脳癌、及び様々な扁平上皮癌におけるものを含む複数のヒト腫瘍で報告されている(Wong,A.J.et al.,1987,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,84:6899-6903(非特許文献1)、Harris et al.,1992,Natl.Cancer Inst.Monogr.11:181-187(非特許文献2))。しかしながら、多くの正常組織もそれらの受容体を発現し、新生物標的とともに標的とされ得るため、抗新生物治療方法としてEGFRを標的とすることは、問題となっている。一方、EGFR遺伝子増幅を有する多くの膠芽腫は、遺伝子再構成を含有することが多いことが報告されている(Ekstrand,A.J.et al.,1992,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,89:4309-4313(非特許文献3)、Wong A.J.et al.,1992,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,89:2965-2969(非特許文献4))。1つの研究では、44個中17個の膠芽腫がEGFRコード配列に1つ以上の変化を有することが見出され、これらの症例の全てが増幅されたEGFRを含有したが、遺伝子増幅を伴わない22個の症例のいずれも腫瘍特異的配列異常を示さなかった(Frederick,L.et al.,2000,Cancer Res 60:1383-1387(非特許文献5))。同じ研究はまた、個々の腫瘍において複数のタイプのEGFR変異が検出され得ることも示した。
EGFRのクラスIIIバリアント(EGFRvIII)は、膠芽腫において最も頻繁に見られるEGFRバリアントである(Bigner et al.,1990,Cancer Res 50:8017-8022(非特許文献6)、Humphrey et al.,1990,Proc Natl Acad Sci USA 87:4207-4211(非特許文献7)、Yamazaki et al.,1990,Jap J Cancer Res 81:773-779(非特許文献8)、Ekstrand et al.,1992,Proc Natl Acad Sci USA 89:4309-4313(非特許文献3)、Wikstrand et al.,1995,Cancer Res 55:3140-3148(非特許文献9)、及びFrederick et al.,2000,Cancer Res 60:1383-1387(非特許文献5))。EGFRvIIIは、EGFR遺伝子のエクソン2~7の欠失を特徴とし、コード領域の801個の塩基対のインフレーム欠失、すなわち、6~273個のアミノ酸残基の欠失(成熟EGFRの残基数に基づく)、並びに融合接合部における新しいグリシンの生成をもたらす(Humphrey et al.,1988,Cancer Res 48:2231-2238(非特許文献10)、Yamazaki et al.,1990、上記)。EGFRvIIIは、リガンド非依存性で、弱いが構成的に活性なキナーゼ活性、並びに強化された腫瘍原性を有することが示されている(Nishikawa et al.,1994,Proc Natl Acad Sci USA 91:7727-7731(非特許文献11)、及びBatra et al.,1995,Cell Growth and Differentiation 6:1251-1259(非特許文献12))。神経膠腫に加えて、EGFRvIIIは、乳管癌及び乳管内癌(Wikstrand et al.,1995,Cancer Res 55:3140-3148(非特許文献9))、非小細胞肺癌(Garcia de Palazzo et al.,1993,Cancer Res 53:3217-3220(非特許文献13))、卵巣癌(Moscatello et al.,1995,Cancer Res 55:5536-5539(非特許文献14))、前立腺がん(Olapade-Olaopa et al.,2000,British J Cancer 82:186-194(非特許文献15))、並びに頭頸部の扁平上皮癌(Tinhofer et al.,2011,Clin Cancer Res 17(15):5197-5204(非特許文献16))において検出されている。対照的に、これら及び他の研究は、正常組織がEGFRvIIIを発現しないと報告している(Garcia de Palazzo et al.,1993、上記、Wikstrand et al.,1995、上記、及びWikstrand et al.,1998,J Neuro Virol 4:148-158(非特許文献17))。EGFRvIIIの高度に腫瘍特異的な性質により、この分子を発現するがん及び腫瘍を治療するための特に有用な標的となる。
ヒトEGFRのアミノ酸配列が配列番号27に示され、EGFRvIIIのアミノ酸配列が配列番号28に示される。EGFRvIIIに対する抗体は、例えば、US5,212,290(特許文献1)、US7,736,644(特許文献2)、US7,589,180(特許文献3)、及びUS7,767,792(特許文献4)に記載されている。
本明細書に言及される全ての出版物、特許出願、特許、及び他の参考文献は、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。
US5,212,290 US7,736,644 US7,589,180 US7,767,792
Wong,A.J.et al.,1987,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,84:6899-6903 Harris et al.,1992,Natl.Cancer Inst.Monogr.11:181-187 Ekstrand,A.J.et al.,1992,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,89:4309-4313 Wong A.J.et al.,1992,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,89:2965-2969 Frederick,L.et al.,2000,Cancer Res 60:1383-1387 Bigner et al.,1990,Cancer Res 50:8017-8022 Humphrey et al.,1990,Proc Natl Acad Sci USA 87:4207-4211 Yamazaki et al.,1990,Jap J Cancer Res 81:773-779 Wikstrand et al.,1995,Cancer Res 55:3140-3148 Humphrey et al.,1988,Cancer Res 48:2231-2238 Nishikawa et al.,1994,Proc Natl Acad Sci USA 91:7727-7731 Batra et al.,1995,Cell Growth and Differentiation 6:1251-1259 Garcia de Palazzo et al.,1993,Cancer Res 53:3217-3220 Moscatello et al.,1995,Cancer Res 55:5536-5539 Olapade-Olaopa et al.,2000,British J Cancer 82:186-194 Tinhofer et al.,2011,Clin Cancer Res 17(15):5197-5204 Wikstrand et al.,1998,J Neuro Virol 4:148-158
開示の概要
本開示は、EGFRvIIIに結合する抗体及びその抗原結合断片を含む抗体-薬物コンジュゲート(ADC)を提供し、抗体及びその抗原結合断片は、テシリンにコンジュゲートされている。テシリンは、ピロロベンゾジアゼピン(PBD)ペイロード/ウォーヘッド、SG3199を含有する(Tiberghien et al.,2016,ACS Medicinal Chemistry Letters 7(11):983-987)。ADCは、特に、EGFRvIIIを発現する腫瘍細胞を標的とするのに有用である。
本明細書に提供されるADCで有用な抗体は、完全長(例えば、IgG1抗体若しくはIgG4抗体)であり得るか、又は抗原結合部分(例えば、Fab、F(ab’)、若しくはscFv断片)のみを含んでいてもよく、かつ例えば、残存するエフェクター機能を排除するために、機能性に影響を与えるように改変されていてもよい(Reddy et al.,2000,J.Immunol.164:1925-1933)。
本明細書で有用な例示的な抗EGFRvIII抗体が、表1に列挙される。表1は、例示的な抗EGFRvIII抗体の重鎖可変領域(HCVR)、軽鎖可変領域(LCVR)、重鎖相補性決定領域(HCDR1、HCDR2、及びHCDR3)、並びに軽鎖相補性決定領域(LCDR1、LCDR2、及びLCDR3)のアミノ酸配列識別子を記載する。表2は、例示的な抗EGFRvIII抗体の完全な重鎖及び軽鎖アミノ酸配列を記載する。表3は、例示的な抗EGFRvIII抗体のHCVR、LCVR、HCDR1、HCDR2 HCDR3、LCDR1、LCDR2、及びLCDR3の核酸配列識別子を記載する。
本開示は、配列番号2のアミノ酸配列、又はそれに対して少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、若しくは少なくとも99%の配列同一性を有するその実質的に類似した配列を含むHCVR内に、3つの相補性決定領域(それぞれ、HCDR1、HCDR2、及びHCDR3)を含む、EGFRvIIIに特異的に結合する抗体又はその抗原結合断片を含む、ADCを提供する。
本開示はまた、配列番号10のアミノ酸配列、又はそれに対して少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、若しくは少なくとも99%の配列同一性を有するその実質的に類似した配列を含むLCVR内に、3つの相補性決定領域(それぞれ、LCDR1、LCDR2、及びLCDR3)を含む、EGFRvIIIに特異的に結合する抗体又はその抗原結合断片を含む、ADCを提供する。
本開示は、配列番号2のアミノ酸、又はそれに対して少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、若しくは少なくとも99%の配列同一性を有するその実質的に類似した配列を含むHCVRを含む、EGFRvIIIに特異的に結合する抗体又はその抗原結合断片を含む、ADCを提供する。
本開示はまた、配列番号10のアミノ酸、又はそれに対して少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、若しくは少なくとも99%の配列同一性を有するその実質的に類似した配列を含むLCVRを含む、EGFRvIIIに特異的に結合する抗体又はその抗原結合断片を含む、ADCを提供する。
本開示はまた、配列番号2のアミノ酸配列を含むHCVR及び配列番号10のアミノ酸配列を含むLCVRを含む、EGFRvIIIに特異的に結合する抗体又はその抗原結合断片を含む、ADCを提供する。
本開示はまた、配列番号4のアミノ酸、又は少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、若しくは少なくとも99%の配列同一性を有するその実質的に類似した配列を含む重鎖CDR1(HCDR1)を含む、EGFRvIIIに特異的に結合する抗体又はその抗原結合断片を含む、ADCを提供する。
本開示はまた、配列番号6のアミノ酸、又は少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、若しくは少なくとも99%の配列同一性を有するその実質的に類似した配列を含む重鎖CDR2(HCDR2)を含む、EGFRvIIIに特異的に結合する抗体又はその抗原結合断片を含む、ADCを提供する。
本開示はまた、配列番号8のアミノ酸、又は少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、若しくは少なくとも99%の配列同一性を有するその実質的に類似した配列を含む重鎖CDR3(HCDR3)を含む、EGFRvIIIに特異的に結合する抗体又はその抗原結合断片を含む、ADCを提供する。
本開示はまた、配列番号12のアミノ酸、又は少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、若しくは少なくとも99%の配列同一性を有するその実質的に類似した配列を含む軽鎖CDR1(LCDR1)を含む、EGFRvIIIに特異的に結合する抗体又はその抗原結合断片を含む、ADCを提供する。
本開示はまた、配列番号14のアミノ酸、又は少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、若しくは少なくとも99%の配列同一性を有するその実質的に類似した配列を含む軽鎖CDR2(LCDR2)を含む、EGFRvIIIに特異的に結合する抗体又はその抗原結合断片を含む、ADCを提供する。
本開示はまた、配列番号16のアミノ酸、又は少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、若しくは少なくとも99%の配列同一性を有するその実質的に類似した配列を含む軽鎖CDR3(LCDR3)を含む、EGFRvIIIに特異的に結合する抗体又はその抗原結合断片を含む、ADCを提供する。
本開示はまた、配列番号2のHCVR及び配列番号10のLCVR内に含有される6つのCDRのセット(すなわち、HCDR1-HCDR2-HCDR3-LCDR1-LCDR2-LCDR3)を含む、EGFRvIIIに特異的に結合する抗体又はその抗原結合断片を含む、ADCを提供する。ある特定の実施形態では、HCDR1-HCDR2-HCDR3-LCDR1-LCDR2-LCDR3のアミノ酸配列のセットは、それぞれ、配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号12、配列番号14、及び配列番号16である。
HCVRアミノ酸配列及びLCVRアミノ酸配列内のCDRを同定するための方法及び手法は、当技術分野で周知されており、本明細書に開示の特定のHCVRアミノ酸配列及び/又はLCVRアミノ酸配列内のCDRを同定するために使用することができる。CDRの境界を同定するために使用することができる例示的な規則としては、例えば、Kabat定義、Chothia定義、及びAbM定義が挙げられる。一般的な条件では、Kabat定義は配列変動性に基づき、Chothia定義は構造ループ領域の位置に基づき、AbM定義はKabatとChothia手法との間の折衷物である。例えば、Kabat,”Sequences of Proteins of Immunological Interest,”National Institutes of Health,Bethesda,Md.(1991)、Al-Lazikani et al.,J.Mol.Biol.273:927-948(1997)、及びMartin et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 86:9268-9272(1989)を参照されたい。パブリックデータベースもまた、抗体内のCDR配列を同定するために利用可能である。
本開示は、改変グリコシル化パターンを有する抗EGFRvIII抗体を含む、ADCを含む。いくつかの実施形態では、例えば、抗体依存性細胞傷害(ADCC)機能を増大させるために、望ましくないグリコシル化部位を除去する改変、又はオリゴ糖鎖上に存在するフコース部分を欠損している抗体が有用であり得る(Shield et al.(2002)JBC 277:26733を参照)。他の適用では、補体依存性細胞傷害活性(CDC)を改変するために、ガラクトシル化の修飾を行うことができる。いくつかの実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、アグリコシル化されている。アグリコシル化抗体は、グリコシル化を防止するために好適な残基で点変異されている。いくつかの態様では、抗体又はその抗原結合断片は、コンジュゲーション効率を改善するために、例えば、N297(EUインデックス番号付けによる)でアグリコシル化された重鎖を含む。特定の実施形態では、N297は、グルタミン(Q)残基に変異されており、すなわち、抗体は、N297Q変異を含む。
別の態様では、本発明は、抗EGFRvIII-テシリンADCを含む複合体を提供し、ここで、抗体又はその抗原結合断片は、EGFRvIIIに結合されている。
別の態様では、本発明は、テシリン及びEGFRvIIIに特異的に結合する組換えヒト抗体又はその断片を含むADCと、薬学的に許容可能な担体とを含む、医薬組成物を提供する。関連する態様では、本発明は、抗EGFRvIII抗体-テシリンADC及び第2の治療剤の組み合わせである組成物を特徴とする。一実施形態では、第2の治療剤は、抗EGFRvIII抗体-テシリンADCと有利に組み合わされる任意の薬剤である。本開示の抗EGFRvIII抗体-テシリンADCを含む例示的な併用療法及び共製剤は、本明細書の別の箇所で開示されている。
更に別の態様では、本発明は、抗EGFRvIII抗体-テシリンコンジュゲート又はテシリンにコンジュゲートされた抗体の抗原結合部分を使用して、腫瘍細胞を殺傷するための、又は腫瘍細胞成長を阻害若しくは軽減するための治療方法を提供する。本開示の本態様による治療方法は、抗体-テシリンコンジュゲート又はテシリンにコンジュゲートされた抗体の抗原結合断片を含む治療有効量の医薬組成物を、それを必要とする対象に投与することを含む。治療される障害は、ADCをEGFRvIIIにターゲティングすることによって改善、回復、阻害、又は予防される任意の疾患又は状態である。
他の実施形態は、以下の発明を実施するための形態の検討から明らかになるものとなる。他の実施形態は、以下の発明を実施するための形態の検討から明らかになるものとなる。
雌のSCIDマウスの脇腹に皮下注射した0.5×10個のMMT-EGFRvIII細胞の移植の61日後の腫瘍体積及び体重についての、抗EGFRvIII-テシリンコンジュゲート又は抗EGFRvIII-メイタンシノイドDM1コンジュゲートの比較を示す。
詳細な説明
本開示を説明する前に、本発明が記載される特定の方法及び実験条件に限定されず、したがって、方法及び条件が異なり得ることが理解されるべきである。本開示の範囲は添付の特許請求の範囲のみによって制限されるため、本明細書で使用される用語は、特定の実施形態のみを説明する目的であり、制限することを意図しないことも理解されるべきである。
別途定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、本発明の属する分野の当業者によって一般に理解されるものと同一の意味を有する。本明細書にて使用される場合、「約」という用語は、特定の言及される数値に関して使用される場合、値が言及された値から1%以下まで変動し得ることを意味する。例えば、本明細書で使用される場合、「約100」という表現には、99及び101、並びにその間の全ての値(例えば、99.1、99.2、99.3、99.4など)が含まれる。
本開示を説明及び定義するために、本明細書では、任意の定量的比較、値、測定、又は他の表現に起因し得る固有の不確実性の程度を表すために、「実質的に」、「概して」、「およそ」などの相対的な用語の使用が利用されることに留意されたい。これらの用語はまた、本明細書では、定量的表現が、問題の主題の基本的な機能の変化をもたらすことなく、記載された参照から変動し得る程度を表すために利用される。
いくつかの例では、所与のパラメータ、特性、又は状態に関する「実質的に」という用語は、所与のパラメータ、特性、又は状態が、許容可能な製作公差内など、小さな程度の分散を伴って満たされることを、当業者が理解するであろう程度まで意味し、かつそれを含み得る。一例として、実質的に満たされた特定のパラメータ、特性、又は状態に応じて、パラメータ、特性、又は状態は、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%満たされ得るか、又は完全に満たされ得る。
本明細書に記載されるものと類似又は同等の任意の方法及び材料が、本開示の実施又は試験で使用され得るが、例示的な方法及び材料をこれから記載する。本明細書にて言及される全ての特許、特許出願、及び非特許出版物は、参照によりそれらの全体が本発明に組み込まれる。
定義
本明細書で使用される場合、「EGFRvIII」という用語は、特に指示されない限り、通常発現されるEGFRと共通するものとは対照的にEGFRvIIIに特異的な任意の特徴を示す、配列番号28に示されるアミノ酸配列を有するヒトEGFRクラスIIIバリアント又はその生物学的に活性な断片を指す。EGFRvIIIは、成熟EGFR(すなわち、シグナルペプチド(すなわち、残基1~24)を有しない配列番号27)のアミノ酸残基6~273を欠き、アミノ酸残基5と274との間の6位に新しいグリシン残基を含有する。
本明細書におけるタンパク質、ポリペプチド、及びタンパク質断片への全ての言及は、非ヒト種由来であると明示的に指定されていない限り、ヒトバージョンのそれぞれのタンパク質、ポリペプチド、又はタンパク質断片を指すことが意図されている。したがって、「EGFRvIII」という表現は、例えば、「マウスEGFRvIII」、「サルEGFRvIII」など、非ヒト種由来であると特定されていない限り、ヒトEGFRvIIIを意味する。
本明細書で使用される場合、「細胞表面発現EGFRvIII」という表現は、EGFRvIIIタンパク質の少なくとも一部分が、細胞膜の細胞外側に露出し、抗体の抗原結合部分にアクセス可能であるように、インビトロ又はインビボで細胞の表面上に発現される、1つ以上のEGFRvIIIタンパク質又はその細胞外ドメインを意味する。「細胞表面発現EGFRvIII」は、通常EGFRvIIIタンパク質を発現する細胞の表面上で発現されるEGFRvIIIタンパク質を含むか、又はそれからなり得る。あるいは、「細胞表面発現EGFRvIII」は、通常はその表面上にヒトEGFRvIIIを発現しないがその表面上にEGFRvIIIを発現するように人為的に操作されている細胞の表面上で発現されるEGFRvIIIタンパク質を含むか、又はそれからなり得る。
「抗体」という用語には、4つのポリペプチド鎖、ジスルフィド結合によって相互接続した2つの重(H)鎖及び2つの軽(L)鎖、並びにそれらの多量体(例えば、IgM)を含む、免疫グロブリン分子が包含される。各重鎖は、重鎖可変領域(本明細書ではHCVR又はVと省略される)と重鎖定常領域とを含む。重鎖定常領域は、C1、C2、及びC3の3つのドメインを含む。各軽鎖は、軽鎖可変領域(本明細書ではLCVR又はVと省略される)と軽鎖定常領域とを含む。軽鎖定常領域は、1つのドメイン(C1)を含む。V領域及びV領域は、フレームワーク領域(FR)と呼ばれる比較的保存された領域が間に配された、相補性決定領域(CDR)と呼ばれる超可変領域へと更に細分することができる。各V及びVは、以下の順序でアミノ末端からカルボキシ末端に配置された3つのCDR及び4つのFRから構成される:FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、FR4。本開示の異なる実施形態では、抗EGFRvIII抗体(又はその抗原結合部分)のFRは、ヒト生殖系列配列と同一であってもよいか、又は自然に若しくは人為的に改変されていてもよい。アミノ酸コンセンサス配列は、2つ以上のCDRの並列分析に基づいて定義され得る。
本明細書で使用される場合、抗体の「抗原結合部分」、抗体の「抗原結合断片」などという用語は、抗原に特異的に結合して複合体を形成する、任意の天然に存在する、酵素的に得ることができる、合成の、又は遺伝子操作されたポリペプチド又は糖タンパク質を含む。抗体の抗原結合断片は、例えば、抗体可変領域及び任意選択的に定常ドメインをコードするDNAの操作及び発現を伴う、タンパク質消化又は組換え遺伝子工学技術などの、あらゆる好適な標準的方法を使用する、完全抗体分子に由来してもよい。そのようなDNAは既知であり、かつ/又は例えば、市販の供給源、DNAライブラリ(例えば、ファージ抗体ライブラリを含む)から容易に入手可能であるか、若しくは合成することができる。DNAを配列決定し、化学的に又は分子生物学技法を使用することによって操作して、例えば、1つ以上の可変ドメイン及び/若しくは定常ドメインを好適な構成に配置するか、又はコドンを導入する、システイン残基を作成する、アミノ酸を修飾、付加、若しくは欠失させるなどが可能である。
抗原結合断片の非限定例としては、(i)Fab断片、(ii)F(ab’)2断片、(iii)Fd断片、(iv)Fv断片、(v)一本鎖Fv(scFv)分子、(vi)dAb断片、及び(vii)抗体の超可変領域(例えば、CDR3ペプチドなどの単離された相補性決定領域(CDR))を模倣するアミノ酸残基、又は拘束FR3‐CDR3‐FR4ペプチドからなる最小認識単位が挙げられる。ドメイン特異的抗体、単一ドメイン抗体、ドメイン欠失した抗体、キメラ抗体、CDR移植抗体、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ、ミニボディ、ナノボディ(例えば、一価ナノボディ、二価ナノボディなど)、小モジュラー免疫薬(SMIP)、及びサメ可変IgNARドメインなどの他の操作された分子もまた、本明細書で使用される場合、「抗原結合断片」という表現に包含される。
抗体の抗原結合断片は、典型的に、少なくとも1つの可変ドメインを含む。可変ドメインは、任意の大きさ又はアミノ酸組成であってもよく、一般的には、1つ以上のフレームワーク配列に隣接するか、又はインフレームである、少なくとも1つのCDRを含むものとなる。Vドメインに会合するVドメインを有する抗原結合断片において、Vドメイン及びVドメインは、任意の適切な配置で互いに対して配置され得る。例えば、可変領域は二量体であり、V-V、V-V又はV-V二量体を含有してもよい。あるいは、抗体の抗原結合断片は、単量体のV又はVドメインを含有してもよい。
ある特定の実施形態では、抗体の抗原結合断片は、少なくとも1つの定常ドメインに共有結合された少なくとも1つの可変ドメインを含有していてもよい。本開示の抗体の抗原結合断片内で見出され得る可変ドメイン及び定常ドメインの非限定的な例示的な構成としては、(i)V-C1、(ii)V-C2、(iii)V-C3、(iv)V-C1-C2、(v)V-C1-C2-C3、(vi)V-C2-C3、(vii)V-CL、(viii)V-C1、(ix)V-C2、(x)V-C3、(xi)V-C1-C2、(xii)V-C1-C2-C3、(xiii)V-C2-C3、及び(xiv)V-Cが挙げられる。上で列挙されたいずれかの例示的な構成を含む、可変ドメイン及び定常ドメインのいずれかの構成において、可変ドメイン及び定常ドメインは、互いに直接的に連結されていてもよいし、完全若しくは部分ヒンジ又はリンカー領域により連結されていてもよい。ヒンジ領域は、単一ポリペプチド分子における隣接する可変ドメイン及び/又は定常ドメイン間の可動性又は半可動性連鎖をもたらす、少なくとも2個(例えば、5、10、15、20、40、60個以上)のアミノ酸からなってもよい。更に、本開示の抗体の抗原結合断片は、互いとの、及び/又は1つ以上の単量体V若しくはVドメインとの(例えば、ジスルフィド結合による)非共有会合で、上に列挙される可変ドメイン構成及び定常ドメイン構成のいずれかのホモ二量体又はヘテロ二量体(又は他の多量体)を含み得る。
本明細書で有用な抗体は、補体依存性細胞傷害(CDC)又は抗体依存性細胞媒介性細胞傷害(ADCC)を介して機能し得る。「補体依存性細胞傷害」(CDC)は、補体の存在下での本開示の抗体による抗原発現細胞の溶解を指す。「抗体依存性細胞媒介性細胞傷害」(ADCC)は、Fc受容体(FcR)を発現する非特異的細胞傷害性細胞(例えば、ナチュラルキラー(NK)細胞、好中球、及びマクロファージ)が、標的細胞上の結合抗体を認識し、それによって標的細胞の溶解をもたらす、細胞媒介性反応を指す。CDC及びADCCは、当該技術分野で周知かつ利用可能であるアッセイを使用して測定され得る。(例えば、米国特許第5,500,362号及び同第5,821,337号、並びにClynes et al.(1998)Proc.Natl.Acad.Sci.(USA)95:652-656を参照されたい)。抗体の定常領域は、抗体が補体を固定し、細胞依存性細胞傷害性を媒介する能力において重要である。したがって、抗体のアイソタイプは、抗体が細胞傷害性を媒介することが望ましいかどうかに基づいて選択され得る。
本開示のある特定の実施形態では、本明細書で使用される抗EGFRvIII抗体は、ヒト抗体である。「ヒト抗体」という用語は、本明細書で使用される場合、ヒト生殖系列免疫グロブリン配列由来の可変領域及び定常領域を有する抗体を含むことを意図する。本開示のヒト抗体は、例えばCDRにおいて、特にCDR3において、ヒト生殖系列免疫グロブリン配列によってコードされないアミノ酸残基を含み得る(例えば、インビトロでの無作為若しくは部位特異的な突然変異誘発により、又はインビボでの体細胞変異により変異が導入される)。しかしながら、「ヒト抗体」という用語は、本明細書で使用される場合、マウスなどの別の哺乳類種の生殖系列由来のCDR配列がヒトフレームワーク配列上に移植されている抗体を含むようには意図されていない。
本明細書で有用な抗体は、いくつかの実施形態では、組換えヒト抗体であってもよい。「遺伝子組換えヒト抗体」という用語は、本明細書で使用される場合、遺伝子組換え手段によって、調製される、発現する、作成される、又は単離される全てのヒト抗体、例えば、宿主細胞(以下で詳述する)中に形質導入された組換え発現ベクターを用いて発現した抗体、組換え体から単離され抗体、コンビナトリアルヒト抗体ライブラリ(以下で詳述する)、ヒト免疫グロブリン遺伝子に対してトランスジェニックである動物(例えば、マウス)から単離された抗体(例えば、Taylor et al.(1992)Nucl.Acids Res.20:6287-6295を参照されたい)、又はヒト免疫グロブリン遺伝子配列から他のDNA配列へスプライスすることを含むあらゆるその他の手段によって調製される、発現する、作成される、若しくは単離される抗体などを含むように意図される。そのような遺伝子組換えヒト抗体は、ヒト生殖系列免疫グロブリン配列由来の可変領域及び定常領域を有する。しかしながら、ある特定の実施形態では、そのような遺伝子組換えヒト抗体はインビトロでの突然変異誘発(又は、ヒトIg配列にトランスジェニックな動物を使用する場合、インビボでの体細胞の突然変異誘発)に供されるため、組換え抗体のV領域及びV領域のアミノ酸配列は、ヒト生殖系列V配列及びV配列に由来し、関連する配列である一方で、インビボでのヒト抗体生殖系列レパートリー中には自然に存在し得ない。
ヒト抗体は、ヒンジ不均一性に関連する2つの形態で存在し得る。一形態では、免疫グロブリン分子は、およそ150~160kDaの安定した4つの鎖構築物を含み、二量体が、鎖間重鎖ジスルフィド結合によって一緒に保持されている。第2の形態では、二量体が、鎖間ジスルフィド結合を介して結合されず、約75~80kDaの分子は、共有結合した軽鎖及び重鎖から構成される(半抗体)。これらの形態は、親和性精製後であっても、分離が非常に困難であった。
様々なインタクトなIgGアイソタイプにおける第2の形態の出現頻度は、抗体のヒンジ領域アイソタイプに関連する構造的差異によるが、これに限定されない。ヒトIgG4ヒンジのヒンジ領域における単一アミノ酸置換は、第2の形態の出現を、ヒトIgG1ヒンジを使用して典型的に観察されるレベルまで著しく低減し得る(Angal et al.(1993)Molecular Immunology 30:105)。本発明は、ヒンジ、C2領域又はC3領域において1つ以上の変異を有する抗体を包含し、それら変異は、例えば、産生において、所望の抗体型の収率を改善するために望ましいものであり得る。
本明細書で有用な抗体は、単離抗体であってもよい。本明細書で使用される場合、「単離抗体」とは、その天然環境の少なくとも1つの構成要素から特定され、及び分離され、及び/又は回収された抗体を意味する。例えば、生物の少なくとも1つの構成要素から、又は当該抗体が自然に存在するか、若しくは自然に産生される組織若しくは細胞から分離された、又は取り出された抗体は、本開示の目的で「単離抗体」である。単離抗体はまた、組換え細胞内の原位置の抗体を含む。単離抗体は、少なくとも1つの精製工程又は単離工程を受けた抗体である。ある特定の実施形態によると、単離抗体は、他の細胞物質及び/又は化学物質を実質的に含まなくてもよい。
本明細書で有用な抗EGFRvIII抗体は、抗体が由来した対応する生殖系列配列と比較して、重鎖及び軽鎖可変ドメインのフレームワーク及び/又はCDR領域における1つ以上のアミノ酸置換、挿入、及び/又は欠失を含んでもよい。そのような変異は、本明細書に開示されるアミノ酸配列を、例えば公開抗体配列データベースから入手可能な生殖系列配列と比較することによって容易に確認され得る。本開示は、本明細書に開示されるアミノ酸配列のいずれかに由来する抗体及びその抗原結合断片を含むADCを含み、1つ以上のフレームワーク及び/又はCDR領域内の1つ以上のアミノ酸は、抗体が由来した生殖系列配列の対応する残基、又は別のヒト生殖系列配列の対応する残基、又は対応する生殖系列残基の保存的アミノ酸置換に変異している(そのような配列変化は、本明細書において集合的に「生殖系列変異」と称される)。当業者であれば、本明細書に開示される重鎖可変領域配列及び軽鎖可変領域配列から開始して、1つ以上の個々の生殖系列変異又はそれらの組み合わせを含む、多くの抗体及び抗原結合断片を容易に産生することができる。ある特定の実施形態では、V及び/又はVドメイン内のフレームワーク及び/又はCDR残基の全てが、抗体が由来する元の生殖系列配列に見られる残基に再び変異する。他の実施形態では、ある特定の残基のみ、例えば、FR1の最初の8アミノ酸内、若しくはFR4の最後の8アミノ酸内に見出される変異残基のみ、又はCDR1、CDR2、若しくはCDR3内に見出される変異残基のみが、元の生殖系列配列に再び変異される。他の実施形態では、フレームワーク及び/又はCDR残基のうちの1つ以上は、異なる生殖系列配列(すなわち、抗体が元々由来する生殖系列配列とは異なる生殖系列配列)の対応する残基に変異する。更に、本明細書で有用な抗体は、フレームワーク及び/又はCDR領域内に2つ以上の生殖系列変異の任意の組み合わせを含有してもよく、例えば、ある特定の個々の残基が、特定の生殖系列配列の対応する残基に変異する一方で、元の生殖系列配列とは異なる、ある特定の他の残基が維持されるか、又は異なる生殖系列配列の対応する残基に変異する。いったん得られれば、1つ以上の生殖系列変異を含有する抗体及び抗原結合断片は、結合特異性の改善、結合アフィニティの増大、アンタゴニスト又はアゴニストの生物学的特性の改善又は強化(場合により得る)、免疫原性の低減などの1つ以上の所望の特性について容易に試験することができる。この一般的な様式で得られた抗体及び抗原結合断片は、本開示に包含される。
本開示は、1つ以上の保存的置換を有する本明細書に開示するHCVR、LCVR、及び/又はCDRアミノ酸配列のいずれかのバリアントを含む、本明細書で有用な抗EGFRvIII抗体も含む。例えば、本開示は、本明細書の表1に記載されるHCVR、LCVR、及び/又はCDRアミノ酸配列のいずれかに対して、例えば、10個以下、8個以下、6個以下、又は4個以下などの保存的アミノ酸置換を有するHCVR、LCVR、及び/又はCDRアミノ酸配列を有する抗EGFRvIII抗体を含む。
「エピトープ」という用語は、パラトープとして知られる抗体分子の可変領域中の特定の抗原結合部位と相互作用する抗原性決定基を指す。単一の抗原は、2つ以上のエピトープを有してもよい。したがって、異なる抗体は、抗原上の異なる領域に結合してもよく、異なる生物学的効果を有してもよい。エピトープは、立体構造的又は直線状のいずれであってもよい。立体構造的エピトープは、直線状ポリペプチド鎖の異なるセグメントから空間的に並置されたアミノ酸によって生成される。直鎖状エピトープは、ポリペプチド鎖内の隣接するアミノ酸残基によって生成されるエピトープである。ある特定の状況では、エピトープは、抗原上の糖、ホスホリル基、又はスルホニル基の部分を含み得る。
ポリペプチドに言及する場合、「実質的な同一性」又は「実質的に同一な」という用語は、2つのペプチド配列が、デフォルトのギャップ重みを使用してプログラムGAP又はBESTFITなどによって最適に整列された場合、少なくとも95%の配列同一性、更により好ましくは少なくとも98%又は99%の配列同一性を共有する。いくつかの態様では、同一ではない残基位置は、保存的アミノ酸置換だけ異なる。「保存的アミノ酸置換」とは、アミノ酸残基が、類似の化学的特性(例えば、電荷又は疎水性)を備えた側鎖(R基)を有する別のアミノ酸残基によって置換されたものである。一般に、保存的アミノ酸置換は、タンパク質の機能性特性を実質的に変化させない。2つ以上のアミノ酸配列が保存的置換により互いに異なる場合、配列同一性のパーセント又は類似性の程度は、置換の保存的性質を補正するために上向きに調整されてもよい。この調整を行うための手段は、当業者に周知である。例えば、Pearson(1994)Methods Mol.Biol.24:307-331(参照により本明細書に組み込まれる)を参照されたい。類似の化学的特性を備えた側鎖を有するアミノ酸の基の例としては、(1)脂肪族側鎖:グリシン、アラニン、バリン、ロイシン及びイソロイシン、(2)脂肪族-ヒドロキシル側鎖:セリン及びトレオニン、(3)アミド含有側鎖:アスパラギン及びグルタミン、(4)芳香族側鎖:フェニルアラニン、チロシン、及びトリプトファン、(5)塩基性側鎖:リジン、アルギニン、及びヒスチジン、(6)酸性側鎖:アスパラギン酸及びグルタミン酸、並びに(7)含硫側鎖はシステイン及びメチオニンである、が挙げられる。好ましい保存的アミノ酸置換基は、バリン-ロイシン-イソロイシン、フェニルアラニン-チロシン、リジン-アルギニン、アラニン-バリン、グルタミン酸-アスパラギン酸及びアスパラギン-グルタミンである。あるいは、保存的置換とは、参照により本明細書に組み込まれるGonnet et al.(1992)Science 256:1443-1445に開示される、PAM250対数尤度マトリックスにおいて正の値を有する任意の変化である。「適度に保存的な」置換とは、PAM250対数尤度マトリックスにおいて負以外の値を有する何らかの変化である。
ポリペプチドに対する配列類似性は、配列同一性とも称され、典型的には配列解析ソフトウェアを使用して測定される。タンパク質解析ソフトウェアは、保存的アミノ酸置換を含む様々な置換、欠失及び他の改変へ割り当てられた類似性の尺度を使用して類似の配列と一致させる。例えば、GCGソフトウェアは、異なる種の生物由来の相同ポリペプチドのような密接に関連するポリペプチド間の、又は野生型タンパク質とその変異タンパク質の間の配列相同性又は配列同一性を判定するためのデフォルトパラメータとともに使用することができる、Gap及びBestfitなどのプログラムを含有する。例えば、GCG第6.1版を参照されたい。ポリペプチド配列は、GCGバージョン6.1におけるプログラムである、デフォルトパラメータ又は推奨パラメータを備えたFASTAを使用して比較することもできる。FASTA(例えば、FASTA2及びFASTA3)は、問い合わせ配列と検索配列との間の最良重複の領域の整列及び配列同一性パーセントを提供する(Pearson(2000)上述)。本開示の配列を、異なる生物由来の多数の配列を含有するデータベースと比較する場合の別の好ましいアルゴリズムは、既定パラメータを用いるコンピュータプログラムBLAST、特にBLASTP又はTBLASTNである。例えば、各々が参照により本明細書に組み込まれる、Altschul et al.(1990)J.Mol.Biol.215:403-410、及びAltschul et al.(1997)Nucleic Acids Res.25:3389-402を参照されたい。
対象は、哺乳動物、好ましくはヒトである。
Fcバリアントを含む抗EGFRvIII抗体
本開示のある特定の実施形態によると、本明細書で有用な抗EGFRvIII抗体は、例えば、中性pHと比較して酸性pHで、FcRn受容体への抗体結合を強化するか又は減少させる1つ以上の変異を含むFcドメインを含む。例えば、本開示は、FcドメインのC2又はC3領域に変異を含む抗EGFRvIII抗体を含むADCを含み、変異は、酸性環境において(例えば、pHが約5.5~約6.0の範囲であるエンドソームにおいて)FcRnに対するFcドメインの親和性を高める。そのような変異によって、動物に投与されたときの抗体の血清半減期が延長され得る。このようなFc改変の非限定的な例としては例えば、250位(例えば、E又はQ)、250位及び428位(例えば、L又はF)、252位(例えば、L/Y/F/W又はT)、254位(例えば、S又はT)、及び256位(例えば、S/R/Q/E/D、又はT)における改変、又は428位及び/若しくは433位(例えば、H/L/R/S/P/Q又はK)及び/若しくは434位(例えば、A、W、H、F、又はY[N434A、N434W、N434H、N434F、又はN434Y])における改変、あるいは250位及び/若しくは428位における改変、あるいは307位若しくは308位(例えば、308F、V308F)、及び434位における改変が含まれる。一実施形態では、改変は、428L(例えば、M428L)及び434S(例えば、N434S)の改変、428L、259I(例えば、V259I)、及び308F(例えば、V308F)の改変、433K(例えば、H433K)及び434(例えば、434Y)の改変、252、254、及び256(例えば、252Y、254T、及び256E)の改変、250Q及び428Lの改変(例えば、T250Q及びM428L)、並びに307及び/又は308の改変(例えば、308F及び/又は308P)を含む。更に別の実施形態では、改変は、265A(例えば、D265A)及び/又は297A(例えば、N297A)の改変を含む。
例えば、本開示は、以下からなる群から選択される変異の1つ以上の対又は群を含むFcドメインを含む抗EGFRvIII抗体を含むADCを含む:250Q及び248L(例えば、T250Q及びM248L)、252Y、254T及び256E(例えば、M252Y、S254T及びT256E)、428L及び434S(例えば、M428L及びN434S)、257I及び311I(例えば、P257I及びQ311I)、257I及び434H(例えば、P257I及びN434H)、376V及び434H(例えば、D376V及びN434H)、307A、380A及び434A(例えば、T307A、E380A及びN434A)、並びに433K及び434F(例えば、H433K及びN434F)。前述のFcドメイン変異、及び本明細書に開示される抗体可変ドメイン内の他の変異のあらゆる可能な組み合わせが、本開示の範囲内にあることが想定される。
本開示はまた、キメラ重鎖定常(C)領域を有する抗EGFRvIII抗体を含むADCを含み、キメラC領域は、2つ以上の免疫グロブリンアイソタイプのC領域に由来するセグメントを含む。例えば、本明細書で有用な抗体は、ヒトIgG1、ヒトIgG2、又はヒトIgG4分子に由来するC3ドメインの一部又は全部と組み合わせて、ヒトIgG1、ヒトIgG2、又はヒトIgG4分子に由来するC2ドメインの一部又は全部を含むキメラC領域を含み得る。ある特定の実施形態によると、本明細書で有用な抗体は、キメラヒンジ領域を有するキメラC領域を含む。例えば、キメラヒンジは、ヒトIgG1ヒンジ領域、ヒトIgG2ヒンジ領域又はヒトIgG4ヒンジ領域に由来する「下部ヒンジ」配列(EU番号付けによる位置228~236のアミノ酸残基)と組み合わされた、ヒトIgG1ヒンジ領域、ヒトIgG2ヒンジ領域又はヒトIgG4ヒンジ領域に由来する「上部ヒンジ」アミノ酸配列(EU番号付けによる位置216~227のアミノ酸残基)を含んでもよい。特定の実施形態によると、キメラヒンジ領域は、ヒトIgG1上部ヒンジ又はヒトIgG4上部ヒンジに由来するアミノ酸残基及びヒトIgG2下部ヒンジに由来するアミノ酸残基を含む。本明細書において説明されるキメラC領域を含む抗体は、特定の実施形態では、抗体の治療特性又は薬物動態学的特性に負に影響を与えることなく改変Fcエフェクター機能を呈する。(例えば、2013年2月1日出願の米国仮出願第61/759,578号を参照されたく、その開示は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)。
本発明の一実施形態では、Fcは、変異S108Pを有するIgG4である。
抗体-薬物コンジュゲート(ADC)
テシリンにコンジュゲートされた抗EGFRvIII抗体又はその抗原結合断片を含む抗体-薬物コンジュゲート(ADC)が、本明細書に提供される。
テシリンは、以下の構造を有する。
Figure 2024527235000001
テシリンは、SG3249とも称される。
以下の構造を有する化合物が本明細書に提供され、
Figure 2024527235000002
式中、Abは、抗EGFRvIII抗体又はその抗原結合断片を含み、-S-は、当該抗体又はその抗原結合断片のシステイン残基でのスルフィド結合である。特定の実施形態では、Abは、配列番号2を含むHCVRアミノ酸配列内に3つの重鎖CDR、及び配列番号10のLCVRアミノ酸配列内に3つの軽鎖CDRを含む。特定の実施形態では、Abは、配列番号4のHCDR1アミノ酸配列、配列番号6のHCDR2アミノ酸配列、配列番号8のHCDR3アミノ酸配列、配列番号12のLCDR1アミノ酸配列、配列番号14のLCDR2アミノ酸配列、及び配列番号16のLCDR3アミノ酸配列を含む。特定の実施形態では、Abは、配列番号2のアミノ酸配列に対して少なくとも95%、少なくとも98%、又は少なくとも99%の配列同一性を有するHCVRアミノ酸配列、及び配列番号10のアミノ酸配列に対して少なくとも95%、少なくとも98%、又は少なくとも99%の配列同一性を有するLCVRアミノ酸配列を含む。特定の実施形態では、Abは、配列番号2のHCVRアミノ酸配列、及び/又は配列番号10のLCVRアミノ酸配列を含む。
以下の構造を有する化合物も本明細書に提供され、
Figure 2024527235000003
式中、Abは、抗EGFRvIII抗体又はその抗原結合断片を含み、-S-は、当該抗体又はその抗原結合断片のシステイン残基でのスルフィド結合である。特定の実施形態では、Abは、完全抗体である。特定の実施形態では、Abは、重鎖及び軽鎖を含み、重鎖は、配列番号18のアミノ酸配列を含む。特定の実施形態では、Abは、重鎖及び軽鎖を含み、重鎖は、配列番号20のアミノ酸配列を含む。特定の実施形態では、Abは、重鎖及び軽鎖を含み、軽鎖は、配列番号22のアミノ酸配列を含む。特定の実施形態では、Abは、配列番号18のアミノ酸配列を含む重鎖、及び配列番号22のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。特定の実施形態では、Abは、配列番号20のアミノ酸配列を含む重鎖、及び配列番号22のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。
いくつかの実施形態では、DAR(薬物-抗体比)は、約1~約4である。いくつかの実施形態では、DARは、約2~約4である。いくつかの実施形態では、DARは、約2~約3である。いくつかの実施形態では、DARは、約3~約4である。いくつかの実施形態では、DARは、約2である。いくつかの実施形態では、DARは、約3である。いくつかの実施形態では、DARは、約4である。
テシリンの合成は、例えば、Tiberghien et al.(ACS Medicinal Chemistry Letters 2016,7(11):983-987)に記載される手順を使用して実施され得る。テシリンは、ピロロベンゾジアゼピンウォーヘッド/ペイロード成分SG3199を含み、これは、以下の構造を有する。
Figure 2024527235000004
エピトープマッピング及びその関連技術
本明細書で有用な抗体が結合するエピトープは、EGFRvIIIタンパク質の3個以上(例えば、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20個以上)のアミノ酸の単一の連続配列からなってもよい。あるいは、エピトープは、EGFRvIIIの複数の非連続的アミノ酸(又はアミノ酸配列)からなってもよい。いくつかの実施形態では、エピトープは、EGFRvIIIのリガンド結合ドメイン上又はその付近に位置する。他の実施形態では、エピトープは、EGFRvIIIのリガンド結合ドメインの外側に位置し、例えば、抗体がそのようなエピトープに結合したときにEGFRvIIIへのリガンド結合に干渉しない、EGFRvIII表面上の位置にある。
ある特定の実施形態によると、本明細書で有用な抗体及びその抗原結合断片は、EGFRvIIIに特異的に結合する(かつEGFRに結合しない)抗EGFRvIII抗体を含み、抗体は、EGFRvIII接合ペプチド(例えば、配列番号23)を認識する。そのような抗体は、本明細書では、「接合ペプチドバインダー」、「EGFRvIIIペプチド結合抗体」などと称され得る。他の実施形態によると、本明細書で有用な抗EGFRvIII抗体は、EGFRvIIIに特異的に結合し(かつEGFRに結合せず)、抗体は、EGFRvIII接合ペプチドを認識しない(例えば、配列番号23の接合ペプチドを認識しない、かつ/又は配列番号24のペプチドを認識しない)。そのような抗体は、本明細書では、「立体構造的バインダー」、「EGFRvIII立体構造的エピトープバインダー」などと称され得る。
本明細書で有用な抗体及びその抗原結合断片は、hEGFRvIII ECD(L25-A380).mmH(配列番号29)内の1つ以上の残基に結合するか、又はそれらと相互作用する、例えば、配列番号25又は配列番号29のアミノ酸64~82 GPCRKVCNGIGIGEFKDSL(配列番号26)に対応する1つ以上の残基に結合するか、又はそれらと相互作用する抗EGFRvIII抗体を含む。
当業者にとって既知の様々な技法を使用して、抗体又はその抗原結合断片が、ポリペプチド又はタンパク質内の「1つ以上のアミノ酸と相互作用する」かどうかを決定することができる。例示的な技術としては、例えば、Antibodies、Harlow and Lane(Cold Spring Harbor Press、Cold Spring Harb.,NY)に記載されているような常套的な交差遮断アッセイ、アラニンスキャニング変異解析、ペプチドブロット解析(Reineke,2004,Methods Mol Biol 248:443-463)、及びペプチド切断解析などが挙げられる。更に、抗原のエピトープ切り出し、エピトープ抽出、及び化学修飾などの方法を用いることができる(Tomer,2000,Protein Science 9:487-496)。抗体と相互作用するポリペプチド内のアミノ酸の特定に使用できる別の方法は、質量分析法により検出される水素/重水素交換である。総称的な用語としては、水素/重水素交換は、対象タンパク質を重水素標識すること、次いで抗体をこの重水素標識タンパク質に結合させることを含む。次に、タンパク質/抗体複合体を水に移し、抗体によって保護された残基(重水素標識のまま残る)を除く全ての残基で、水素-重水素交換を生じさせる。抗体の解離後、標的タンパク質をプロテアーゼ切断及び質量分析解析にかけ、それと抗体が相互作用する特異的なアミノ酸に対応する重水素標識残基を明らかにする。例えば、Ehring(1999)Analytical Biochemistry 267(2):252-259、Engen and Smith(2001)Anal.Chem.73:256A-265Aを参照されたい。
本開示は、本明細書に記載される特定の例示的な抗体(例えば、本明細書の表1に記載されるアミノ酸配列のいずれかを含む抗体)のいずれかと同じエピトープに結合する抗EGFRvIII抗体を含むADCを更に含む。同様に、本開示はまた、本明細書に記載される特定の例示的な抗体(例えば、本明細書の表1に記載されるアミノ酸配列のいずれかを含む抗体)のいずれかと、EGFRvIIIへの結合に関して競合する抗EGFRvIII抗体を含むADCも含む。
当技術分野で既知であり、本明細書で例証される定型的な方法を使用することによって、抗体が参照抗EGFRvIII抗体と同じエピトープに結合するか、又は参照抗EGFRvIII抗体と結合について競合するかどうかを容易に決定することができる。例えば、被験抗体が、本開示の参照抗EGFRvIII抗体と同じエピトープに結合するかを決定するために、参照抗体を、EGFRvIIIタンパク質に結合させる。次に、EGFRvIII分子に結合する被験抗体の能力が評価される。参照抗EGFRvIII抗体との飽和結合後に被験抗体がEGFRvIIIに結合することができた場合、当該被験抗体は、参照抗EGFRvIII抗体とは異なるエピトープに結合すると結論付けることができる。一方で、参照抗EGFRvIII抗体との飽和結合後に被験抗体がEGFRvIII分子に結合することができなかった場合、被験抗体は、本開示の参照抗EGFRvIII抗体により結合されるエピトープと同じエピトープに結合する可能性がある。次いで、追加の定型的な実験(例えば、ペプチド変異及び結合分析)を実施して、観察された被験抗体の結合の欠落が実際に、参照抗体と同じエピトープに結合することに起因するのか、又は立体遮断(又は別の現象)が、観察された結合の欠落の原因であるのかを確認することができる。この種の実験は、ELISA、RIA、Biacore、フローサイトメトリー、又は当分野で利用可能な任意の他の定量的又は定性的な抗体結合アッセイを使用して実施することができる。本開示の特定の実施形態によると、競合結合アッセイにおいて測定したとき、ある抗体の、例えば、1倍、5倍、10倍、20倍、又は100倍の余剰量が、他の抗体の結合を少なくとも50%、しかし好ましくは75%、90%、又は更には99%まで阻害する場合、2つの抗体は同じ(又は重複する)エピトープに結合する(例えば、Junghans et al.,Cancer Res.1990:50:1495-1502を参照されたい)。別の方法として、1個の抗体の結合を減少又は排除する抗原中の本質的に全てのアミノ酸突然変異が、他方の抗体の結合を減少又は排除する場合、2個の抗体は同一エピトープに結合するとみなされる。1個の抗体の結合を減少又は排除するアミノ酸突然変異のサブセットのみが、他方の抗体の結合を減少又は排除する場合、2個の抗体は「重複エピトープ」を有するとみなされる。
抗体が参照抗EGFRvIII抗体と結合について競合する(又は結合について交差競合する)かを決定するために、以下の2つの方向性で上述の結合方法が実施される:第1の方針では、参照抗体は、飽和条件下でEGFRvIII分子に結合され、その後、EGFRvIII分子への被験抗体の結合が評価される。第2の方針では、被験抗体が、飽和条件下でEGFRvIII分子に結合され、その後、EGFRvIII分子への参照抗体の結合が評価される。両方の方針で、第1の(飽和)抗体のみがEGFRvIII分子に結合することができた場合、被験抗体及び参照抗体は、EGFRvIIIへの結合について競合するものと結論付けられる。当業者によって理解されるように、参照抗体への結合について競合する抗体は、必ずしも参照抗体と同じエピトープに結合しないことがあるが、重複したエピトープ又は隣接するエピトープに結合することによって参照抗体の結合を立体的に遮断することがある。
抗EGFRvIII ADCの生物学的特徴
本発明は、EGFRvIIIに特異的に結合する抗EGFRvIII-テシリンADCを含む。いくつかの態様では、ADCは、抗EGFRvIII抗体又はその抗原結合断片を含み、(i)配列番号23の接合ペプチドにも、(ii)配列番号24のペプチドにも結合しない。いくつかの態様では、ADCは、37℃の表面プラズモン共鳴アッセイによって測定された場合、約500nMの、ヒトEGFRvIII単量体についての平衡解離定数(K)を示す、抗EGFRvIII抗体又はその抗原結合断片を含む。いくつかの態様では、ADCは、37℃の表面プラズモン共鳴アッセイによって測定された場合、約10nM以下の、ヒトEGFRvIII二量体についての平衡解離定数(K)を示す、抗EGFRvIII抗体又はその抗原結合断片を含む。いくつかの態様では、ADCは、表面プラズモン共鳴アッセイによって検出可能なレベルでEGFR二量体に結合しない、抗EGFRvIII抗体又はその抗原結合断片を含む。
いくつかの実施形態では、抗EGFRvIII-テシリンADCは、以下の特徴のうちの1つ以上を示す:(a)EGFRvIII発現細胞においてインビボでの生存率の低減を示す、(b)EGFRvIII発現細胞と共培養された非EGFRvIII発現細胞に対するインビボでのバイスタンダー細胞傷害性を示す、(c)EGFRvIIIを発現する頭蓋内多形性膠芽腫を有するマウスにおいて、生存の延長を示す、(d)治療関連体重減少の非存在下で、EGFRvIII発現腫瘍を有するマウスにおいて抗腫瘍効果を示す、(e)患者由来の多形性膠芽腫を有するマウスにおいて、腫瘍退縮を示す、(f)MMAFにコンジュゲートされた比較対照抗体と比較して、より低い投与量でより大きな殺腫瘍性を示す、及び/又は(g)腫瘍担持マウスにおいて、抗EGFRvIII-メイタンシノイドADCよりも大きな抗腫瘍効力を示す。
ヒト抗体の調製
本明細書で有用な抗EGFRvIII抗体又はその抗原結合断片は、完全ヒト抗体であり得る。完全ヒトモノクローナル抗体を含むモノクローナル抗体の生成方法は、当技術分野に既知である。ヒトEGFRvIIIに特異的に結合するヒト抗体を作製するために、本開示の状況で任意のそのような既知の方法を使用することができる。
例えばVELOCIMMUNE(商標)技術、又は完全ヒトモノクローナル抗体を生成するための任意の他の類似した既知の方法を使用して、ヒト可変領域及びマウス定常領域を有する、EGFRvIIIに対する高親和性キメラ抗体が最初に単離される。以下の実験セクションと同様に、抗体を、親和性、リガンド遮断活性、選択性、エピトープなどを含む望ましい特徴について特徴付け、選択する。必要であれば、マウス定常領域は、所望のヒト定常領域、例えば野生型又は改変型のIgG1又はIgG4に置き換えられて、完全ヒト抗EGFRvIII抗体を生成する。選択される定常領域が、特定の用途に応じて変わり得る一方で、高親和性の抗原結合性及び標的特異性の特徴は、可変領域に存在する。ある特定の例において、完全ヒト抗EGFRvIII抗体は、抗原陽性B細胞から直接単離される。
本発明は、EGFRvIIIに特異的に結合する本発明の抗体又はその抗原結合断片を含むADCを作製するための方法を含み、方法は、ポリヌクレオチドの発現に好ましい条件下で、培養培地中で、当該抗体又は断片のHCVRを含む免疫グロブリン及び当該抗体又は断片のLCVRを含む免疫グロブリンをコードするポリヌクレオチドを含む宿主細胞を培養することを含む。次いで、そのように産生された抗体又は断片の免疫グロブリンのうちの1つ以上は、例えば、免疫グロブリン鎖を(例えば、ジチオスレイトールの存在下で)還元し、当該テシリンを還元免疫グロブリン鎖とインキュベートすることによって、テシリンにコンジュゲートされ得る。そのような抗体又は断片が発現され得る宿主細胞は、真核又は原核宿主細胞、例えば、哺乳動物細胞である。かかる宿主細胞は、当該技術分野で周知であり、多くは、American Type Culture Collection(ATCC)から入手可能である。これらの宿主細胞としては、特に、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、NSO、SP2細胞、HeLa細胞、ベビーハムスター腎臓(BHK)細胞、サル腎臓細胞(COS)、ヒト肝細胞癌細胞(例えば、Hep G2)、A549細胞、3T3細胞、HEK-293細胞及び多数の他の細胞株が挙げられる。哺乳類宿主細胞には、ヒト、マウス、ラット、イヌ、サル、ブタ、ヤギ、ウシ、ウマ及びハムスター細胞が挙げられる。使用され得る他の細胞株は、昆虫細胞株(例えば、スポドプテラ・フルギペルダ(Spodoptera frugiperda)又はトリコプラスシア・ニ(Trichoplusia ni))、両生類細胞、細菌細胞、植物細胞及び真菌細胞である。真菌細胞としては、例えば、ピキア属(Pichia)、ピキア・パストリス(Pichia pastoris)、ピキア・フィンランディカ(Pichia finlandica)、ピキア・トレハロフィラ(Pichia trehalophila)、ピキア・コクラマエ(Pichia koclamae)、ピキア・メンブラナエファシエンス(Pichia membranaefaciens)、ピキア・ミヌタ(Pichia minuta)(オガタエア・ミヌタ(Ogataea minuta)、ピキア・リンドネリ(Pichia lindneri))、ピキア・オプンティアエ(Pichia opuntiae)、ピキア・サーモトレランス(Pichia thermotolerans)、ピキア・サリクタリア(Pichia salictaria)、ピキア・グエルクウム(Pichia guercuum)、ピキア・ピジュペリ(Pichia pijperi)、ピキア・スティプティス(Pichia stiptis)、ピキア・メタノリカ(Pichia methanolica)、ピキア属の種、サッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)、サッカロマイセス属の種、ハンゼヌラ・ポリモルファ(Hansenula polymorpha)、クリベロマイセス属(Kluyveromyces)の種、クリベロマイセス・ラクティス(Kluyveromyces lactis)、カンジダ・アルビカンス(Candida albicans)、アスペルギルス・ニデュランス(Aspergillus nidulans)、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)、アスペルギルス・オリザエ(Aspergillus oryzae)、トリコデルマ・リーゼイ(Trichoderma reesei)、クリソスポリウム・ルクノウエンス(Chrysosporium lucknowense)、フザリウム属(Fusarium)の種、フザリウム・グラミネウム(Fusarium gramineum)、フザリウム・ベネナトゥム(Fusarium venenatum)、フィスコミトレラ・パテンス(Physcomitrella patens)、及びニューロスポラ・クラッサ(Neurospora crassa)を含む、酵母並びに糸状真菌細胞が挙げられる。そのような方法によって産生されたADCは、本発明の一部を形成する。
生物学的同等物
本明細書で有用な抗EGFRvIII抗体及び抗体断片は、記載される抗体のアミノ酸配列とは異なるがヒトEGFRvIIIに結合する能力を保持するアミノ酸配列を有する、タンパク質を包含する。このようなバリアント抗体及び抗体断片は、親配列と比較して1つ以上のアミノ酸の付加、欠失、又は置換を含むが、記載された抗体の生物学的活性と本質的に同等である生物学的活性を呈する。同様に、そのような抗体の抗EGFRvIII抗体をコードするDNA配列は、開示される配列と比較してヌクレオチドの1つ以上の付加、欠失、又は置換を含むが、本開示の抗EGFRvIII抗体又は抗体断片と本質的に生物学的に同等である抗EGFRvIII抗体又は抗体断片をコードする配列を包含する。そのようなバリアントアミノ酸配列及びDNA配列の例は、上記に検討される。
2つの抗原結合タンパク質又は抗体が、薬学的同等物又は薬学的代替物であり、類似した実験条件下で、単回投与又は複数回投与のいずれかで同モル投与量で投与されたときに、その吸収の速度及び範囲が有意な差を示さない場合、それら2つの抗原結合タンパク質又は抗体は、生物学的に同等であるとみなされる。いくつかの抗体で、吸収の範囲は同等であるが、吸収の速度は同等ではなく、しかし吸収速度における当該差異が意図的であり、ラベリングに反映されており、例えば長期的使用での有効身体薬物濃度の達成に必須ではなく、試験された特定の医薬品にとって医学的に重要ではないとみなされるためにそれら抗体が生物学的に同等であるとみなされ得る場合、それら抗体は同等物、又は薬学的代替物とみなされる。
一実施形態では、2つの抗原結合タンパク質は、その安全性、純度、及び効力において臨床的に意義のある差異が無ければ、生物学的に同等である。
一実施形態では、参照生成物と生物学的製品との間で1回又は複数回の切り替えを行わない持続的療法と比較して、免疫原性の臨床的に有意な変化を含めた有害作用のリスクの上昇が予想されないか、又は有効性が減退することなく、患者がそのような切り替えを行うことができる場合に、2つの抗原結合タンパク質は生物学的に同等である。
一実施形態では、2つの抗原結合タンパク質は、これらが両方とも、1つ以上の使用条件について1つ以上の共通の機序によって、このような機序の既知の程度まで作用する場合に、生物学的に同等である。
生物学的に同等であることは、インビボ及びインビトロの方法により実証され得る。生物学的同等性の測定方法としては例えば、(a)時間の関数として血液、血漿、血清又は他の生体液中で抗体又はその代謝物の濃度が測定される、ヒト又は他の哺乳動物におけるインビボ検査、(b)ヒトのインビボ生体利用効率データと相関し、このデータを合理的に予測するインビトロ検査、(c)抗体(又はその標的)の適切な急性薬理学的作用が時間の関数として計測される、ヒト又は他の哺乳動物におけるインビボ検査、及び(d)抗体の安全性、有効性、又は生体利用効率若しくは生物学的同等性を立証する、適切に管理された臨床試験が挙げられる。
本発明で有用な抗EGFRvIII抗体の生物学的に同等なバリアントは、例えば、残基若しくは配列の様々な置換を行うこと、又は生物学的活性に必要とされない末端若しくは内部の残基若しくは配列を欠失させることによって構築されてもよい。例えば、生物学的活性にとって必須ではないシステイン残基は、再生の際の不必要又は不正確な分子内ジスルフィド架橋の形成を防止するために、欠失又は他のアミノ酸で置換することができる。他の状況では、生物学的に同等の抗体は、抗体のグリコシル化特徴を改変するアミノ酸変化、例えば、グリコシル化を排除又は除去する変異を含む、抗EGFRvIII抗体バリアントを含んでもよい。
種選択性及び種交差反応性
ある特定の実施形態によると、本開示は、ヒトEGFRvIIIに結合するが、他の種由来のEGFRvIIIには結合しない、本明細書で有用な抗EGFRvIII抗体を提供する。本開示はまた、ヒトEGFRvIII及び1つ以上の非ヒト種に由来するEGFRvIIIに結合する、抗EGFRvIII抗体も提供する。例えば、本明細書で有用な抗EGFRvIII抗体は、ヒトEGFRvIIIに結合してもよく、場合によっては、マウス、ラット、モルモット、ハムスター、スナネズミ、ブタ、ネコ、イヌ、ウサギ、ヤギ、ヒツジ、ウシ、ウマ、ラクダ、カニクイザル、マーモセット、アカゲザル又はチンパンジーのEGFRvIIIのうちの1つ以上にも結合してもよいか、又は結合しなくてもよい。ある特定の例示的な実施形態によると、ヒトEGFRvIII及びカニクイザル(例えば、Macaca fascicularis)EGFRvIIIに特異的に結合する抗EGFRvIII抗体が提供される。本開示の他の抗EGFRvIII抗体は、ヒトEGFRvIIIには結合するが、カニクイザルEGFRvIIIには結合しないか、又は弱くしか結合しない。
治療用製剤及び投与
本開示は、抗EGFRvIII抗体-テシリンコンジュゲート、すなわち、抗EGFRvIII抗体-テシリンADCを含む医薬組成物を提供する。本開示の医薬組成物は、好適な担体、賦形剤、及び輸送、送達、忍容性などの改善をもたらす他の薬剤とともに製剤化される。数多くの適切な製剤が、全ての薬剤師に既知の処方集:Remington’s Pharmaceutical Sciences,Mack Publishing Company,Easton,PAにおいて見出され得る。これらの製剤としては、例えば、粉末、ペースト、軟膏、ゼリー、ワックス、油、脂質、小胞を含有する脂質(カチオン性又はアニオン性)(例えば、LIPOFECTIN(商標)、Life Technologies、Carlsbad,CA)、DNAコンジュゲート、無水吸収ペースト、水中油及び油中水乳剤、乳剤カルボワックス(様々な分子量のポリエチレングリコール)、半固体ゲル、並びにカルボワックスを含有する半固体混合物が挙げられる。Powell et al.”Compendium of excipients for parenteral formulations”PDA(1998)J Pharm Sci Technol 52:238-311も参照されたい。
患者に投与されるADCの用量は、患者の年齢及び大きさ、標的の疾患、状態、投与経路などに応じて変化し得る。好ましい用量は、典型的には体重又は体表面積に従い計算される。成人患者では、本開示の抗体を、約0.001~約20mg/kg体重、より好ましくは約0.002~約7、約0.003~約5、又は約0.005~約3mg/kg体重で、通常は単回投与で静脈内投与することが有益であり得る。例示的な投与量としては、1ug/kg、3.5ug/kg、7ug/kg、及び10ug/kgが挙げられる。状態の重症度に応じて、治療の頻度及び期間を調整できる。抗EGFRvIII抗体コンジュゲートを投与するための有効な投与量及びスケジュールは、経験的に決定され得るが、例えば、患者の進行は、定期的な評価によってモニタリングされ得、それに応じて用量が調整される。更に投与量の種間スケーリングは、当分野に周知の方法を使用して実施することができる(例えば、Mordenti et al.,1991,Pharmaceut.Res.8:1351)。
例えば、リポソーム、微粒子、マイクロカプセルへの封入、変異ウイルスを発現することができる組換え細胞、受容体介在性エンドサイトーシスなど、様々な送達系が既知であり、本開示の医薬組成物を投与するために使用され得る(例えば、Wu et al.,1987,J.Biol.Chem.262:4429-4432を参照されたい)。導入方法としては限定されないが、皮内経路、筋肉内経路、腹腔内経路、静脈内経路、皮下経路、鼻腔内経路、硬膜外経路及び経口経路が挙げられる。組成物は、任意の好都合な経路によって、例えば、注入若しくはボーラス注射によって、上皮若しくは粘膜皮膚内層(mucocutaneous lining)(例えば、口腔粘膜、直腸粘膜及び腸粘膜など)を介した吸収によって投与することができ、かつ他の生物活性剤と一緒に投与することができる。投与は全身性又は局所性であってもよい。したがって、抗EGFRvIII抗体-テシリンADCを対象の身体内に投与するための方法が本明細書に提供され、方法は、ADCを対象の身体内に注射することを含む。いくつかの態様では、ADCは、対象の体内に皮下注射される。いくつかの態様では、ADCは、対象の体内に静脈内注射される。いくつかの態様では、ADCは、対象の体内に筋肉内注射される。
本開示の医薬組成物は、容器内で提供され得る。本開示の医薬組成物は、注射用デバイスで提供され得る。医薬組成物は、標準的な針及びシリンジを用いて皮下送達されてもよく、又は静脈内送達されてもよい。更に皮下送達に関しては、ペン型送達デバイスが、本開示の医薬組成物の送達に容易に応用される。そのようなペン型送達デバイスは、再利用可能であるか、又は使い捨てであり得る。再利用可能なペン型送達デバイスは、概して、医薬組成物を含有する交換可能なカートリッジを利用する。カートリッジ内部の医薬組成物の全てが投与され、カートリッジが空になると、空のカートリッジは、容易に廃棄することができ、医薬組成物を含有する新しいカートリッジと交換され得る。次に、ペン型送達デバイスは再利用することができる。使い捨てペン型送達デバイスでは、交換可能なカートリッジはない。むしろ、使い捨てペン型送達デバイスは、医薬組成物がデバイス内部のリザーバ内に保持された事前に充填された状態で販売される。いったんリザーバの医薬組成物が空になると、デバイス全体が廃棄される。
多数の再利用可能なペン型及び自動注射装置送達デバイスは、本開示の医薬組成物の皮下送達において用途を見出す。例としては限定されないが、AUTOPEN(商標)(Owen Mumford,Inc.、Woodstock,UK)、DISETRONIC(商標)ペン(Disetronic Medical Systems、Bergdorf,Switzerland)、HUMALOG MIX 75/25(商標)ペン、HUMALOG(商標)ペン、HUMALIN 70/30(商標)ペン(Eli Lilly and Co.、Indianapolis,IN)、NOVOPEN(商標)I、II、及びIII(Novo Nordisk、Copenhagen,Denmark)、NOVOPEN JUNIOR(商標)(Novo Nordisk、Copenhagen,Denmark)、BD(商標)ペン(Becton Dickinson、Franklin Lakes,NJ)、OPTIPEN(商標)、OPTIPEN PRO(商標)、OPTIPEN STARLET(商標)、及びOPTICLIK(商標)(Sanofi-Aventis、Frankfurt,Germany)が挙げられる。本開示の医薬組成物の皮下送達での用途を有するディスポーザブルペン送達デバイスの例としては、いくつか例を挙げると、SOLOSTAR(商標)ペン(Sanofi-Aventis)、FLEXPEN(商標)(Novo Nordisk)、及びKWIKPEN(商標)(Eli Lilly)、SURECLICK(商標)Autoinjector(Amgen、Thousand Oaks,CA)、PENLET(商標)(Haselmeier、Stuttgart,Germany)、EPIPEN(Dey,L.P.)、及びHUMIRA(商標)Pen(Abbott Labs、Abbott Park IL)が挙げられるが、これらに限定されない。
ある特定の状況では、医薬組成物は、制御放出系で送達され得る。一実施形態では、ポンプを使用してもよい(上記のLanger、Sefton,1987,CRC Crit.Ref.Biomed.Eng.14:201を参照されたい)。別の実施形態では、多量体性材料を使用することができる。Medical Applications of Controlled Release,Langer and Wise(eds.),1974,CRC Pres.,Boca Raton,Floridaを参照されたい。更に別の実施形態では、制御放出系を組成物の標的の近傍に配置することができる。したがって全身用量のほんの一部しか必要としない(例えば、Goodson,1984,Medical Applications of Controlled Release、上記、vol.2,pp.115-138を参照されたい)。他の制御放出系は、Langer,1990,Science 249:1527-1533によるレビューにおいて検討されている。
注射可能な調製物は、静脈内、皮下、皮内、及び筋肉内注射、点滴などのための剤形を含み得る。これらの注射用調製物は、公知の方法によって調製されてもよい。例えば、注射可能な調製物は、例えば、注射に従来使用される無菌水性媒体又は油性媒体に、上述される抗体又はその塩を溶解、懸濁、又は乳化させることによって調製され得る。注射用水性媒体としては、例えば、生理食塩水、グルコースを含有する等張液、及び他の助剤などがあり、これらは、アルコール(例えば、エタノール)、ポリアルコール(例えば、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール)、非イオン性界面活性剤[例えば、ポリソルベート80、HCO-50(水素化ヒマシ油のポリオキシエチレン(50mol)付加物)]などの適切な可溶化剤と組み合わせて使用され得る。油性媒体としては、例えば、ゴマ油、ダイズ油などが採用され、これらは安息香酸ベンジル、ベンジルアルコールなどの可溶化剤と組み合わせて使用され得る。このようにして調製した注射液は、好ましくは、適切なアンプル中に充填される。
有利に、上述の経口又は非経口使用のための医薬組成物は、活性成分の用量を適合させるのに適した単位用量で剤形に調製される。単位用量におけるこのような剤形には、例えば、錠剤、丸剤、カプセル剤、注射剤(アンプル剤)、坐剤などが含まれる。含有される前述の抗体の量は、一般的に単位用量で剤形当たり約5~約500mgであり、特に注射の形態では、上記の抗体は約5~約100mgに含有されることが好ましく、及びその他の剤形に対しては約10~約250mgに含有されることが好ましい。
したがって、本発明は、本発明のADCを対象(例えば、対象は、がんに罹患している)に投与するための方法を含み、方法は、例えば、注射又は本明細書で考察される方法のいずれかによって、ADCを対象の体内に導入する工程を含む。
本発明はまた、容器(例えば、ガラス若しくはプラスチックバイアル、又は静脈内注入バッグなどのバッグ)、あるいは本発明のADCを含むそのようなデバイス、例えば、バレル、プランジャー、及び針を含むシリンジのいずれかも含む。
抗EGFRvIII抗体コンジュゲートの治療的使用
本開示は、その必要のある対象に、テシリンにコンジュゲートされた抗EGFRvIII抗体(例えば、本明細書の表1に記載されるHCVR/LCVR又はCDR配列のいずれかを含む抗EGFRvIII抗体又はADC)を含む抗体-薬物コンジュゲートを含む治療用組成物を投与することを含む方法を含む。治療用組成物は、テシリンにコンジュゲートされた抗EGFRvIII抗体又はその抗原結合断片のいずれかと、薬学的に許容可能な担体又は希釈剤とを含むことができる。
本開示のADCは、とりわけ、EGFRvIIIの発現若しくは活性、又は過剰発現に関連する、又はそれによって媒介される、あるいはEGFRvIIIとEGFRリガンドとの間の相互作用を遮断すること、又は別の方法でEGFRvIIIの活性及び/若しくはシグナル伝達を阻害すること、並びに/又は受容体内在化を促進すること、並びに/又は細胞表面受容体の数を減少させることによって治療可能な、任意の疾患若しくは障害の治療、予防、及び/又は改善に有用である。例えば、本開示のADCは、EGFRvIIIを発現する、及び/又はリガンド媒介性シグナル伝達に応答する腫瘍の治療に有用である。本開示のADCはまた、脳及び髄膜、中咽頭、肺及び気管支樹、消化管、男性及び女性生殖器、筋肉、骨、皮膚及び付属器官、結合組織、脾臓、免疫系、血液形成細胞及び骨髄、肝臓及び尿路、並びに眼などの特殊感覚器官において生じる原発性及び/又は転移性の腫瘍を治療するために使用され得る。ある特定の実施形態では、本開示のADCは、以下のがんのうちの1つ以上を治療するために使用される:膠芽腫、腎細胞癌、膵癌、頭頸部がん、前立腺がん、悪性神経膠腫、骨肉腫、結腸直腸がん、胃がん(例えば、MET増幅を有する胃がん)、悪性中皮腫、多発性骨髄腫、卵巣がん、小細胞肺がん、非小細胞肺がん、滑膜肉腫、甲状腺がん、乳がん(管若しくは管内)、又は黒色腫。
本明細書に記載される治療方法の背景において、抗EGFRvIII抗体-テシリンコンジュゲートは、単剤療法として(すなわち、唯一の治療剤として)、又は1つ以上の追加の治療剤(その例は、本明細書の別の箇所に記載されている)と組み合わせて投与されてもよい。
特定の実施形態によると、本開示は、患者においてがんを治療する、腫瘍成長を低減する、及び/又は腫瘍退縮を引き起こすための方法を提供する。本開示の本態様による方法は、第1の抗体-薬物コンジュゲート(ADC)を単独で、又は第2の抗EGFRvIII抗体若しくはADCと組み合わせて、患者に投与することを含む。第1のADCは、典型的には、抗体又は抗体の抗原結合断片及びテシリンを含み、第1のADCの抗体又は抗原結合断片は、EGFRvIIIに特異的に結合するが、配列番号23の接合EGFRvIIIペプチドにも配列番号24のペプチドにも結合しない(すなわち、第1のADCは、立体構造的EGFRvIII結合抗体を含む)。第2の抗体又はADCが投与される実施形態では、第2の抗体又はADCは、典型的には、抗体又は抗体の抗原結合断片及び細胞毒素を含み、第2の抗体又は抗原結合断片は、EGFRvIIIに特異的に結合し、配列番号23の接合EGFRvIIIペプチド及び/又は配列番号24のペプチドにも結合する(すなわち、第2の抗体又はADCは、EGFRvIII接合ペプチド結合抗体を含む)。2つの別個の抗EGFRvIII ADCが本開示の本態様の文脈で使用される場合、両方のADCは、ある特定の実施形態では、同じ細胞傷害剤を含んでもよく、すなわち、両方が、テシリン、又は同じクラスの細胞傷害剤を含んでもよい。2つの別個の抗EGFRvIII ADCが使用される他の実施形態では、各ADCは、異なる細胞傷害剤及び/又は異なるクラスの細胞傷害剤を含んでもよい。ある特定の実施形態によると、第1のADCの抗体又は抗原結合断片(すなわち、立体構造的EGFRvIII結合抗体)は、配列番号4、6、8、12、14、及び16を含む重鎖及び軽鎖相補性決定領域、又は配列番号2を含む重鎖可変領域及び配列番号10を含む軽鎖可変領域を含む。
併用療法及び製剤
本開示は、本明細書に記載される抗EGFRvIII抗体-テシリンコンジュゲートのいずれかを、1つ以上の追加の治療活性成分と組み合わせて含む組成物及び治療用製剤、並びにその必要のある対象にそのような組み合わせを投与することを含む治療方法を含む。
本明細書で有用な抗EGFRvIII抗体-テシリンコンジュゲートは、以下からなる群から選択される1つ以上の追加の治療活性成分と共製剤化され、かつ/又は組み合わせて投与され得る:PRLRアンタゴニスト(例えば、抗PRLR抗体又はPRLRの小分子阻害剤)、EGFRアンタゴニスト(例えば、抗EGFR抗体[例えば、セツキシマブ若しくはパニツムマブ]、又はEGFRの小分子阻害剤[例えば、ゲフィチニブ若しくはエルロチニブ])、Her2/ErbB2、ErbB3又はErbB4などの別のEGFRファミリーメンバーのアンタゴニスト(例えば、抗ErbB2[例えば、トラスツズマブ又はT-DM1{KADCYLA(登録商標)}]、抗ErbB3若しくは抗ErbB4抗体、又はErbB2、ErbB3、若しくはErbB4活性の小分子阻害剤)、cMETアンタゴニスト(例えば、抗cMET抗体)、IGF1Rアンタゴニスト(例えば、抗IGF1R抗体)、B-raf阻害剤(例えば、ベムラフェニブ、ソラフェニブ、GDC-0879、PLX-4720)、PDGFR-α阻害剤(例えば、抗PDGFR-α抗体)、PDGFR-β阻害剤(例えば、抗PDGFR-β抗体又は小分子キナーゼ阻害剤、例えば、イマチニブメシル酸塩又はスニチニブリンゴ酸塩)、PDGFリガンド阻害剤(例えば、抗PDGF-A、-B、-C、又は-D抗体、アプタマー、siRNAなど)、VEGFアンタゴニスト(例えば、アフリベルセプトなどのVEGF-Trap、例えば、US7,087,411を参照されたい(本明細書では、「VEGF阻害融合タンパク質」とも称される)、抗VEGF抗体(例えば、ベバシズマブ)、VEGF受容体の小分子キナーゼ阻害剤(例えば、スニチニブ、ソラフェニブ、又はパゾパニブ))、DLL4アンタゴニスト(例えば、REGN421などのUS2009/0142354に開示されている抗DLL4抗体)、Ang2アンタゴニスト(例えば、H1H685PなどのUS2011/0027286に開示されている抗Ang2抗体)、FOLH1アンタゴニスト(例えば、抗FOLH1抗体)、STEAP1又はSTEAP2アンタゴニスト(例えば、抗STEAP1抗体又は抗STEAP2抗体)、TMPRSS2アンタゴニスト(例えば、抗TMPRSS2抗体)、MSLNアンタゴニスト(例えば、抗MSLN抗体)、CA9アンタゴニスト(例えば、抗CA9抗体)、ウロプラキンアンタゴニスト(例えば、抗ウロプラキン[例えば、抗UPK3A]抗体)、MUC16アンタゴニスト(例えば、抗MUC16抗体)、Tn抗原アンタゴニスト(例えば、抗Tn抗体)、CLEC12Aアンタゴニスト(例えば、抗CLEC12A抗体)、TNFRSF17アンタゴニスト(例えば、抗TNFRSF17抗体)、LGR5アンタゴニスト(例えば、抗LGR5抗体)、一価CD20アンタゴニスト(例えば、リツキシマブなどの一価抗CD20抗体)、PD-1抗体、PD-L1抗体、CD3抗体、CTLA-4抗体など。本開示の抗EGFRvIII抗体-テシリンコンジュゲートと組み合わせて有益に投与され得る他の薬剤としては、例えば、タモキシフェン、アロマターゼ阻害剤、及びサイトカイン阻害剤が挙げられ、例えば、IL-1、IL-2、IL-3、IL-4、IL-5、IL-6、IL-8、IL-9、IL-11、IL-12、IL-13、IL-17、IL-18などのサイトカイン、又はそれらのそれぞれの受容体に結合する低分子サイトカイン阻害剤及び抗体が挙げられる。
本開示は、本明細書に記載される抗EGFRvIII抗体のいずれかを1つ以上の化学療法剤と組み合わせて含む、組成物及び治療用製剤を含む。化学療法剤の例示としては、アルキル化剤、例えばチオテパ及びシクロホスファミド(Cytoxan(商標));スルホン酸アルキル、例えばブスルファン、インプロスルファン及びピポスルファン;アジリジン、例えばベンゾドーパ(benzodopa)、カルボコン、メツレドーパ(meturedopa)及びウレドーパ(uredopa);アルトレタミン、トリエチレンメラミン、トリエチレンホスホラミド、トリエチレンチオホスホラミド及びトリメチロロメラミン(trimethylolomelamine)を含むエチレンイミン及びメチラメラミン;ナイトロジェンマスタード、例えばクロラムブシル、クロルナファジン、クロロホスファミド、エストラムスチン、イホスファミド、メクロレタミン、メクロレタミンオキシド塩酸塩、メルファラン、ノベムビチン(novembichin)、フェネステリン、プレドニムスチン、トロホスファミド、ウラシルマスタード;ニトロソウレア、例えば、カルムスチン、クロロゾトシン、フォテムスチン、ロムスチン、ニムスチン、ラニムスチン;抗生物質、例えば、アクラシノマイシン、アクチノマイシン、オースラマイシン(authramycin)、アザセリン、ブレオマイシン、カクチノマイシン、カリケアミシン、カラビシン(carabicin)、カルミノマイシン、カルジノフィリン、クロモマイシン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、デトルビシン(detorubicin)、6-ジアゾ-5-オキソ-L-ノルロイシン、ドキソルビシン、エピルビシン、エソルビシン、イダルビシン、マルセロマイシン、マイトマイシン、ミコフェノール酸、ノガラマイシン、オリボマイシン、ペプロマイシン、ポトフィロマイシン(potfiromycin)、ピューロマイシン、ケラマイシン(quelamycin)、ロドルビシン(rodorubicin)、ストレプトニグリン、ストレプトゾシン、ツベルシジン、ウベニメクス、ジノスタチン、ゾルビシン;代謝拮抗薬、例えば、メトトレキサート及び5-フルオロウラシル(5-FU);葉酸アナログ、例えば、デノプテリン、メトトレキサート、プテロプテリン、トリメトレキサート;プリンアナログ、例えば、フルダラビン、6-メルカプトプリン、チアミプリン、チオグアニン;ピリミジンアナログ、例えば、アンシタビン、アザシチジン、6-アザウリジン、カルモフール、シタラビン、ジデオキシウリジン、ドキシフルリジン、エノシタビン、フロクスウリジン;アンドロゲン、例えば、カルステロン、プロピオン酸ドロモスタノロン、エピチオスタノール、メピチオスタン、テストラクトン;抗副腎剤(anti-adrenal)、例えば、アミノグルテチミド、ミトタン、トリロスタン;葉酸補液(folic acid replenisher)、例えば、フォリン酸;アセグラトン;アルドホスファミドグリコシド(aldophosphamide glycoside);アミノレブリン酸;アムサクリン;ベストラブシル(bestrabucil);ビスアントレン;エダトラキサート(edatraxate);デフォファミン(defofamine);デメコルチン;ジアジクオン;エルホルニチン(elfornithine);酢酸エリプチニウム;エトグルシド;硝酸ガリウム;ヒドロキシウレア;レンチナン;ロニダミン;ミトグアゾン;ミトキサントロン;モピダモール;ニトラクリン;ペントスタチン;フェナメット;ピラルビシン;ポドフィリン酸;2-エチルヒドラジド;プロカルバジン;PSK(商標);ラゾキサン;シゾフィラン;スピロゲルマニウム;テヌアゾン酸;トリアジクオン;2,2’,2”-トリクロロトリエチルアミン;ウレタン;ビンデシン;ダカルバジン;マンノムスチン;ミトブロニトール;ミトラクトール;ピポブロマン;ガシトシン(gacytosine);アラビノシド(「Ara-C」);シクロホスファミド;チオテパ;タキサン、例えば、パクリタキセル(Taxol(商標)、Bristol-Myers Squibb Oncology、Princeton,N.J.)及びドセタキセル(Taxotere(商標)、Aventis Antony France);クロラムブシル;ゲムシタビン;6-チオグアニン;メルカプトプリン;メトトレキサート;白金アナログ、例えば、シスプラチン及びカルボプラチン;ビンブラスチン;白金;エトポシド(VP-16);イホスファミド;マイトマイシンC;ミトキサントロン;ビンクリスチン;ビノレルビン;ナベルビン;ノバントロン;テニポシド;ダウノマイシン;アミノプテリン;ゼローダ;イバンドロネート;CPT-11;トポイソメラーゼ阻害剤RFS 2000;ジフルオロメチルオルニチン(DMFO);レチノイン酸;エスペラミシン;カペシタビン;及び上述のいずれかの薬学的に許容可能な塩、酸又は誘導体が挙げられる。この定義には、腫瘍に対するホルモンの作用を制御する、又は阻害するように作用する抗ホルモン剤も含まれ、例えばタモキシフェン、ラロキシフェン、アロマターゼ阻害性4(5)-イミダゾール、4-ヒドロキシタモキシフェン、トリオキシフェン、ケオキシフェン(keoxifene)、LY117018、オナプリストン、及びトレミフェン(Fareston)をはじめとする抗エストロゲン;例えばフルタミド、ニルタミド、ビカルタミド、ロイプロリド及びゴセレリンなどの抗アンドロゲン;並びに上述のいずれかの薬学的に許容可能な塩、酸又は誘導体が挙げられる。
本開示の抗EGFRvIII抗体コンジュゲートはまた、抗ウイルス剤、抗生物質、鎮痛剤、コルチコステロイド、ステロイド、酸素、抗酸化剤、COX阻害剤、心臓保護剤、金属キレート剤、IFN-ガンマ、及び/又はNSAIDと組み合わせて投与及び/又は共製剤化されてもよい。
追加の治療活性成分、例えば、上記に列記される薬剤又はそれらの誘導体のいずれかは、本開示の抗EGFRvIII抗体-テシリンコンジュゲートの投与の直前に、それと同時に、又はその直後に投与されてもよい(本開示の目的で、そのような投与レジメンは、追加の治療活性成分「と組み合わせた」抗EGFRvIII抗体-テシリンコンジュゲートの投与とみなされる)。本開示は、本開示の抗EGFRvIII抗体-テシリンコンジュゲートが、本明細書の別の箇所に記載されている追加の治療活性成分のうちの1つ以上と共製剤化される医薬組成物を含む。
投与レジメン
本開示の特定の実施形態によると、抗EGFRvIII抗体-テシリンコンジュゲート(又は抗EGFRvIII抗体-テシリンコンジュゲート及び本明細書に言及される追加の治療活性剤のいずれかの組み合わせを含む医薬組成物)の複数回用量が、規定の時間経過にわたって対象に投与されてもよい。本開示の本態様による方法は、複数回用量の本開示の抗EGFRvIII抗体-テシリンコンジュゲートを対象に逐次的に投与することを含む。本明細書で使用される場合、「逐次的に投与すること」とは、抗EGFRvIII抗体の各用量が、異なる時点で、例えば、所定の間隔(例えば、時間、日、週、又は月)をあけた異なる日に、対象に投与されることを意味する。本開示は、抗EGFRvIII抗体-テシリンコンジュゲートの単回初回用量、続いて、抗EGFRvIII抗体-テシリンコンジュゲートの1回以上の二次用量、及び任意選択的に続いて、抗EGFRvIII抗体-テシリンコンジュゲートの1回以上の三次用量を患者に逐次的に投与することを含む方法を含む。
「初回用量」、「二次用量」、及び「三次用量」という用語は、本開示の抗EGFRvIII抗体-テシリンコンジュゲートの投与の時間的な順序を指す。したがって、「初回用量」は、治療レジメンの開始時に投与される用量である(また「ベースライン用量」とも称される)、「二次用量」は初回用量の後に投与される用量であり、「三次用量」は二次用量の後に投与される用量である。初回用量、二次用量、及び三次用量は全て、同じ量の抗EGFRvIII抗体-テシリンコンジュゲートを含有し得るが、概して、投与頻度に関しては互いに異なり得る。しかしながら、ある特定の実施形態では、初回用量、二次用量、及び/又は三次用量に含有される抗EGFRvIII抗体-テシリンコンジュゲートの量は、治療経過の間に互いに異なる(例えば、適宜上方又は下方に調整される)。ある特定の実施形態では、2つ以上(例えば、2、3、4、又は5)の用量が、治療レジメンの開始時に「負荷用量」として投与され、その後に続く用量は、より少ない頻度ベースで投与される(例えば、「維持用量」)。
本開示の特定の例示的な実施形態では、各二次用量及び/又は三次用量は、直前の用量の1~26週間後(例えば、1週間後、1週間半後、2週間後、2週間半後、3週間後、3週間半後、4週間後、4週間半後、5週間後、5週間半後、6週間後、6週間半後、7週間後、7週間半後、8週間後、8週間半後、9週間後、9週間半後、10週間後、10週間半後、11週間後、11週間半後、12週間後、12週間半後、13週間後、13週間半後、14週間後、14週間半後、15週間後、15週間半後、16週間後、16週間半後、17週間後、17週間半後、18週間後、18週間半後、19週間後、19週間半後、20週間後、20週間半後、21週間後、21週間半後、22週間後、22週間半後、23週間後、23週間半後、24週間後、24週間半後、25週間後、25週間半後、26週間後、26週間半後、又はそれ以上)に投与される。本明細書で使用される場合、「直前の用量」という語句は、複数回の投与の順序において、介在する用量なくその順序のすぐ次の用量の投与の前に患者に投与される抗EGFRvIII抗体-テシリンコンジュゲートの用量を意味する。
本開示の本態様による方法は、抗EGFRvIII抗体-テシリンコンジュゲートの任意の数の二次用量及び/又は三次用量を患者に投与することを含み得る。例えば、ある特定の実施形態では、患者に単回の二次用量のみが投与される。他の実施形態では、2つ以上(例えば、2、3、4、5、6、7、8、又はそれ以上)の二次用量を患者に投与する。同様に、ある特定の実施形態では、患者に単回の三次用量のみが投与される。他の実施形態では、2つ以上(例えば、2、3、4、5、6、7、8、又はそれ以上)の三次用量を患者に投与する。投与レジメンは、特定の対象の生涯にわたって、又はそのような治療がもはや治療上必要とされなくなるか、又は有益でなくなるまで、無期限に行われてもよい。
複数の二次用量を含む実施形態では、各二次用量は、他の二次用量と同じ頻度で投与されてもよい。例えば、各二次用量は、直前の用量の1~2週間後又は1~2か月後に患者に投与されてもよい。同様に、複数の三次用量を含む実施形態では、各三次用量は、他の三次用量と同じ頻度で投与されてもよい。例えば、各三次用量は、直前の用量の2~12週間後に患者に投与されてもよい。本開示のある特定の実施形態では、二次及び/又は三次用量が患者に投与される頻度は、治療レジメンの過程にわたって変化し得る。投与の頻度は、臨床検査後の個々の患者のニーズに応じて、医師による治療過程の間に、調節され得る。
本開示は、2~6回の負荷用量が、第1の頻度で患者に投与され(例えば、週に1回、2週間に1回、3週間に1回、1か月に1回、2か月に1回など)、その後、より少ない頻度ベースで患者に2回以上の維持用量が投与される投与レジメンを含む。例えば、本開示の本態様によると、負荷用量が月に1回の頻度で投与される場合、維持用量は、6週間に1回、2か月に1回、3か月に1回などで、患者に投与され得る。
以下の実施例は、本開示の方法及び組成物をどのように作製及び使用するかの完全な開示及び説明を当業者に提供するために提示され、本発明者らが彼らの発明とみなすものの範囲を限定することを意図していない。使用した数字に対する正確さを確保するために努力がなされているが、いくつかの実験誤差及び偏差を考慮に入れるべきである。別途示さない限り、分子量は、平均分子量であり、温度は、摂氏であり、圧力は、大気圧又はその付近である。
実施例1.抗EGFRvIII抗体の生成
抗EGFRvIII抗体を、EGFRvIIIの細胞外ドメインを含む免疫原を用いて、VELOCIMMUNE(登録商標)マウス(すなわち、ヒト免疫グロブリン重鎖及びカッパ軽鎖の可変領域をコードするDNAを含む操作マウス)を免疫化することによって得た。
抗体の免疫応答を、EGFRvIII特異的免疫測定法によってモニタリングした。所望の免疫応答が得られたときに、脾細胞を採取し、マウス骨髄腫細胞と融合させて、それらの生存性を維持し、ハイブリドーマ細胞株を形成した。ハイブリドーマ細胞株をスクリーニング及び選択して、EGFRvIII特異的抗体を産生する細胞株を同定した。この技法を使用して、例示的なH1H1863N2抗EGFRvIIIキメラ抗体(すなわち、ヒト可変ドメイン及びマウス定常ドメインを有する)を得た。この抗体の可変ドメイン配列は、最初にUS9,475,875に開示されている。この抗体は、本明細書ではREGN1076と称される。REGN1076抗体重鎖のEUインデックス番号付けによって測定される残基297でのアスパラギン(N)が、グルタミン(Q)に変異した、抗体のアグリコシル化バージョン(すなわち、H1H1863N2-N297Q)は、本明細書ではREGN3124と称される。可変領域配列並びに完全重鎖及び軽鎖配列が、以下に提供される。
これとは別に、フコシル化が低減されたREGN1076[「REGN1076(Fuc-)」]を、米国特許出願第2010/0304436A1号(これは、参照によりその全体が具体的に組み込まれる)に「8088」として記載されたCHO宿主細胞株中で調製した。得られた(Fuc-)抗体の質量分析により、元の抗体と比較してコアフコースが除去されたことが確認された。
表1は、本明細書で有用な例示的な抗EGFRvIII抗体の重鎖及び軽鎖可変領域並びにCDRのアミノ酸配列識別子を記載し、一方で、表2は、完全長重鎖及び軽鎖アミノ酸配列の配列識別子を提供する。対応する核酸配列識別子は、表3に記載される。
(表1)REGN1076及びREGN3124の可変領域アミノ酸配列の配列識別子
Figure 2024527235000005
(表2)REGN1076及びREGN3124の完全重鎖及び軽鎖アミノ酸配列の配列識別子
Figure 2024527235000006
(表3)REGN1076及びREGN3124の可変領域核酸配列の配列識別子
Figure 2024527235000007
当業者によって理解されるように、特定のFcアイソタイプを有する抗体は、異なるFcアイソタイプを有する抗体に変換することができる(例えば、マウスIgG1 Fcを有する抗体は、ヒトIgG4を有する抗体に変換することができる、など)が、いずれの場合でも、表1に示される数値識別子によって示される可変ドメイン(CDRを含む)は、同じままであり、結合特性は、Fcドメインの性質に関わらず同一又は実質的に類似していると予想される。
抗体は、EGFRvIII陽性腫瘍細胞中に急速に内部移行することが見出された。本実施例の方法に従って生成された例示的な抗EGFRvIII抗体のある特定の追加の生物学的特性が、以下に記載される実施例において詳細に記載される。
以下の実施例で使用される対照及び比較対照構築物
対照構築物を、比較目的で以下の実験に含んだ。本明細書でCOMPと称される比較対照抗体は、米国特許出願公開第2010/0056762号に開示される「hu806」抗体の、それぞれ配列番号42及び47に対応するアミノ酸配列を有する重鎖及び軽鎖可変ドメインを有する、ヒト化抗EGFRvIII抗体(hIgG1)である。抗体は、ABT-414とも称される。「hu806」抗体は、増幅若しくは過剰発現されるEGFR(配列番号27)の残基311~326(配列番号24)、又はEGFRvIII(配列番号28)の残基44~59に結合することが知られている。COMP-MMAFは、非切断可能なリンカーを介してモノメチルアウリスタチンF(MMAF)にコンジュゲートされたABT-414抗体を指す。
対照1932及び対照3892は、アイソタイプ対照抗体である。対照1932は、Fc改変を有さず、対照3892は、N297Q改変を有する。
実施例2.テシリン-抗体のコンジュゲーション及び特徴解析
50mMのHEPES又はPBS、150mMのNaCl、pH7.5中の抗体REGN1076及びREGN3124、並びにアイソタイプ対照抗体の対照1932(Fc改変なし)及び対照3892(N297Q改変を有する)の各々10mg/mLを、37℃で30分間、1mMのジチオスレイトールで処理した。ゲル濾過後(G-25、pH4.5の酢酸ナトリウム)、DMSO(10mg/mL)中のマレイミドリンカーペイロードテシリン(別名、SG3249、Tiberghein et al.,2016,ACS Medicinal Chemistry Letters 7(11):983-987に開示されるように合成)(1.2当量/SH基)を還元抗体に添加し、混合物を1M HEPES(pH7.4)でpH7.0に調整した。コンジュゲートを、サイズ排除クロマトグラフィーによって精製し、滅菌濾過した。タンパク質濃度をUVによって決定し、ペイロード対抗体比を質量分析によって決定した。サイズ排除HPLCにより、使用した全てのコンジュゲートが95%を超えて単量体であったことが確認され、LC-MSにより、0.5%未満の非コンジュゲートリンカーペイロードがあったことが確認された。ペイロード対抗体比が、表4に示される。
抗体上のテシリンの担持量を判定するために、コンジュゲートを脱グリコシル化し、還元し、LC-MSによって分析した。
このアッセイについて、50μgのコンジュゲートをミリQ水で希釈し、1mg/mLの最終濃度とした。10μLのPNGase F溶液[PNGase F溶液は、150μLのPNGase Fストック(New England Biolabs、カタログ番号P0704L)及び850μLのミリQ水を添加し、よく混合することによって調製された]を希釈コンジュゲート溶液に添加し、次いで37℃で一晩インキュベートした。得られた物質が20mMの最終TCEP濃度を有するように、2.4μLの0.5M TCEPを試料に添加し、次いでこれを50℃で30分間インキュベートした。各試料の10μLをLC-MS(Waters Synat G2-Si)上に注入し、25分かけて0.1mL/分の勾配移動相(20~40%)で溶出した(移動相A:HO中、0.1%v/v FA、移動相B:アセトニトリル中、0.1%v/v FA)。LC分離を、Waters Acquity BEH C18カラム(1.0×50mM、1.7μM)で実施した。
質量分析スペクトルをデコンボリューションした。識別された軽鎖及び重鎖のピークは、リンカー-ペイロード値=0及び1を有する軽鎖(L)、リンカー-ペイロード値=0、1、2、及び3を有する重鎖(H)を表す。各種の強度値から、ホモ二量体抗体コンジュゲートについて以下の方程式1を使用して、薬物対抗体比(DAR)を計算した。各コンジュゲートのDARが、表4に提供される。
方程式1:
Figure 2024527235000008
(表4)収率及びペイロード 対 抗体比
Figure 2024527235000009
実施例3.EGFRvIIIモノクローナル抗体のBiacore結合速度
抗EGFRvIII抗体のPDBコンジュゲートに対するEGFRvIII結合についての平衡解離定数(K値)を、Biacore 2000又は3000装置でのリアルタイム表面プラズモン共鳴バイオセンサーアッセイを使用して決定した。Biacoreセンサー表面を、モノクローナルマウス抗ヒトFc抗体(GE Healthcare、#BR-1008-39)とのアミンカップリングによって誘導体化して、ヒト定常領域と共に発現された抗EGFRvIII抗体薬物コンジュゲート及び親非改変抗体を捕捉した。Biacore結合研究を、0.01M HEPES pH7.4、0.15M NaCl、3mM EDTA、0.05%v/v Surfactant P20(HBS-EPランニング緩衝液)中で実施した。HBS-EPランニング緩衝液中で調製したC末端myc-myc-ヘキサヒスチジンタグと共に発現された異なる濃度(3倍希釈)のヒトEGFRvIII細胞外ドメイン(hEGFRvIII-MMH、配列番号29(600nM~22.2nMの範囲))を、抗EGFRvIII抗体薬物コンジュゲート又は抗体捕捉表面上に、50μL/分の流量で注入した。捕捉された抗体薬物コンジュゲート及びモノクローナル抗体の各々へのhEGFRvIII-MMHの会合を、4分間モニタリングした。その後、hEGFRvIII-MMH解離を、HBS-EPランニング緩衝液中で6~8分間モニタリングした。抗ヒトFc表面を、20mMのHPOの注入を使用して再生した。全ての結合速度実験を25℃で実施した。Scrubber 2.0c曲線フィッティングソフトウェアを使用して、リアルタイムセンサーグラムを1:1結合モデルにフィッティングすることによって、速度論的会合(k)及び解離(k)速度定数を決定した。全てのセンサーグラムを、対応する分析物センサーグラムから緩衝液注入センサーグラム信号を減算することによって二重参照し、それによって、捕捉表面からの抗体の解離によって引き起こされるアーチファクトを除去した。結合解離平衡定数(K)及び解離半減期(t1/2)を、以下:
Figure 2024527235000010
のように速度定数から計算した。
25℃での抗EGFRvIII抗体薬物コンジュゲート及び抗体に対するhEGFRvIII-MMH結合の結合速度パラメータが、表5に示される。示されるように、親抗体及びそれらの対応する抗体薬物コンジュゲートは、試験した条件下で、hEGFRvIII-MMHと類似の結合K値を示した。
(表5)抗EGFRvIIIコンジュゲート及び親非改変抗体に対するヒトEGFRvIII-MMH結合のBiacore速度
Figure 2024527235000011
実施例4.抗EGFRvIII抗体-テシリンADCの細胞殺傷活性
本発明の抗EGFRvIII抗体薬物コンジュゲートの相対的な細胞殺傷能力を決定するために、ヒトEGFRvIIIを発現する細胞株上で細胞殺傷アッセイを実施した。細胞株を開発するために、Plus Reagentを含むLipofectamine LTXを使用して、本明細書でU251MG/hEGFRvIIIと称される、ヒトEGFRvIII(hEGFRvIII;アミノ酸30~297の欠失及び接合グリシン残基の生成を含むアクセッション番号NP_005219.2のアミノ酸1~380、すなわち、配列番号25)を発現するU251細胞(Sigma、#9063001)を作製した。U251株を、完全成長培地(MEMアール塩+10%FBS+1%L-グルタミン/ペニシリン/ストレプトマイシン+1%非必須アミノ酸+ピルビン酸ナトリウム)中で維持した。
抗EGFRvIII抗体薬物コンジュゲートのインビトロ細胞傷害性を測定するために、抗体薬物コンジュゲートを用いた6日間の処理後の核数を評価した。U251MG細胞及びU251/hEGFRvIII細胞について、完全成長培地中で、96ウェルプレート(PerkinElmer、#6055308)に3000個の細胞/ウェルで細胞を播種し、5%CO中37℃で一晩成長させた。細胞生存率曲線については、連続希釈された抗体薬物コンジュゲート及びペイロードを、(毒素濃度に基づいて)100nM~1.5pMの範囲の最終濃度で細胞に添加し、次いで、5%CO中37℃で6日間インキュベートした。各希釈系列における最後のウェル(未処理ウェル)は、培地単独(ADC)又は培地+0.2%DMSO(ペイロード)のいずれかを含有するブランク対照としての役割を果たし、3倍連続希釈の継続としてプロットした。その後、細胞を、4%ホルムアルデヒド(ThermoFisher、#28908)で固定しながら、3ug/mLのHoechst 33342核染色(ThermoFisher、#H3570)で処理し、画像をOpera Phenix(PerkinELmer)で取得した。核数を、Harmony画像分析ソフトウェア(PerkinELmer)を介して決定し、細胞生存率を、未処理(100%生存)細胞に対する割合として表した。IC50値を、10点の用量応答曲線にわたる4パラメータロジスティック方程式を使用して決定した(GraphPad Prism)。最大殺傷%を、以下のように、各被験物質について決定した:100-最小生存率。各被験物質のIC50値及び最大殺傷%は、表6に示される。
表6に要約されるように、抗EGFRvIII抗体-薬物コンジュゲートのREGN3124-テシリン及びREGN1076-テシリン(REGN3124のグリコシル化バージョン)は、細胞生存率を低減し、IC50値は、U251MG/hEGFRvIII細胞において、REGN3124-テシリンについては33pM、及びREGN1076-テシリンについては84pMであった。REGN3124-テシリン及びREGN1076-テシリンは、親U251MG細胞を殺傷し、IC50値は、REGN3124-テシリンについては2.6nM、及びREGN1076-テシリンについては4.9nMであった。同様にコンジュゲートされたアイソタイプ対照抗体の対照3892-テシリンは、細胞生存率を低減し、IC50値は、U251MG/hEGFRvIII細胞において3.9nM、及びU251MG親細胞において1.8nMであった。テシリンの遊離ペイロード(SG3199)は、10pMのIC50値でU251MG/hEGFRvIII細胞を殺傷し、2pMのIC50値でU251MG親細胞を殺傷した。
比較対照MMAFペイロードにコンジュゲートされたREGN1076(REGN1076-MMAF)も、細胞傷害性について試験した。他の試験された抗EGFRvIII ADCと同様に、REGN1076-MMAFは、47pMのIC50値でU251MG/hEGFRvIII細胞を殺傷した。抗EGFRvIII ADC REGN1076-MMAFは、親U251MG細胞において52nMのIC50値で弱い細胞傷害性を示した。MMAFに対する非結合の同様にコンジュゲートされたアイソタイプ対照抗体(対照1932-MMAF)は、100nMを超えるIC50で、全ての試験された株において弱い細胞傷害性を示した。
(表6)U251/hEGFRvIII及び親細胞株における細胞生存率
Figure 2024527235000012
ADCによるバイスタンダー殺傷は、細胞傷害性ペイロードが標的細胞から放出され、次いで周囲の抗原陰性(バイスタンダー)細胞によって取り込まれるときに起こり得る。REGN3124-テシリン及びREGN1076-テシリンによる潜在的なバイスタンダー殺傷を評価するために、U251MG/hEGFRvIII細胞をCellTrace(商標)Far red(Thermo Fisher、#C34564)で予め標識した。1500個の細胞/ウェルの遠赤色標識U251MG/hEGFRvIII細胞及び1500個の細胞/ウェルの非標識U251MG細胞の1:1の共培養物を、ADC又は遊離ペイロードM31のいずれかと、ある範囲の濃度(100nM~1.5pM)で6日間インキュベートした。その後、細胞を、4%ホルムアルデヒド(ThermoFisher、#28908)で固定しながら、3ug/mLのHoechst 33342核染色(ThermoFisher、#H3570)で処理した。画像をOpera Phenix Microscope(PerkinELmer)で取得した。全ての細胞を、Hoechst標識核によって同定し、細胞数を、Harmony画像分析ソフトウェア(PerkinELmer)を介して、遠赤色陽性U251MG/hEGFRvIII細胞(共培養中のU251)及び遠赤色陰性親U251MG細胞集団に分離した。細胞生存率を各細胞集団について別々に決定し、未処理(100%生存)細胞に対する割合として表した。IC50及び最大殺傷%値を、前述したように決定し、表6に要約した。
REGN3124-テシリン及びREGN1076-テシリンは、それぞれ43pM及び82pMのIC50値で、共培養物からのU251MG/hEGFRvIII細胞を殺傷し、殺傷は、U251MG/hEGFRvIII単培養物で観察されたものと類似していた。REGN3124-テシリン及びREGN1076-テシリンはまた、それぞれ28pM及び59pMのIC50値で、共培養物からのU251MG親細胞を殺傷し、これらのADCによるバイスタンダー殺傷活性を示唆している。非結合ADCの対照3892-テシリンは、それぞれ4.0nM及び2.4nMのIC50値で、U251MG/hEGFRvIII及びU251MG親細胞を殺傷した。
比較対照MMAFペイロードにコンジュゲートされたREGN1076(REGN1076-MMAF)も、バイスタンダー活性について試験した。REGN1076-MMAFは、15pMのIC50値で、共培養物からのU251MG/hEGFRvIII細胞に対する強力な細胞傷害性を示した。テシリンコンジュゲートとは対照的に、REGN1076-MMAFは、28nMのIC50値で、共培養物からのU251親細胞において弱い細胞傷害性であった。MMAFにコンジュゲートされた非結合ADC(対照1932-MMAF)は、共培養アッセイにおいて、100nM未満のIC50値で弱い細胞傷害性であった。
実施例5.ヒト上皮成長因子受容体バリアント(hEGFRvIII)上の抗EGFRvIII抗体の水素/重水素(H/D)交換ベースのエピトープマッピング
REGN3124と相互作用する上皮成長因子受容体バリアント3(hEGFRvIII ECD(L25-A380).mmH(配列番号29)、付録のアミノ酸配列)のアミノ酸残基を決定するために、水素-重水素交換質量分析(HDX-MS)を実施した。HDX-MS方法の概要説明は、例えば、Ehring(1999)Analytical Biochemistry 267(2):252-259、及びEngen and Smith(2001)Anal.Chem.73:256A-265Aに記載されている。
HDX-MS実験を、重水素標識及びクエンチングのための、Leaptec HDX PALシステム、試料消化及び添加のための、Waters Acquity M-Class(Auxiliary solvent manager)、解析勾配のための、Waters Acquity M-Class(μBinary solvent manager)、及びペプチド質量測定のための、Thermo Q Exactive HF質量分析器からなる、統合HDX/MSプラットフォームで実施した。
標識溶液を、pD7.0でDO中のPBS緩衝液(10mMリン酸緩衝液、140mM NaCl、及び3mM KCl、25℃でpH7.4と同等)として調製した。重水素標識については、10μLのEGFRvIII(mycヒスチジンタグを有するEGFRvIII細胞外ドメイン(L25-A380)、配列番号29、66μM)、又は1:0.6のモル比でREGN3124と予混合されたEGFRvIII(Ag-Ab複合体)を、様々な時点(例えば、非重水素化対照は0秒、重水素標識は5分、20分、及び80分)に90μLのDO標識溶液と20℃でインキュベートした。時点の各々について、実験を二連で実施した。100μLの予め冷却されたクエンチ緩衝液(0.5M TCEP-HCl、8M尿素、及び1%ギ酸)を100μLの試料に添加することによって、重水素化反応をクエンチした。混合試料を20℃で5分間インキュベートした。次いで、クエンチされた試料を、オンラインペプシン/プロテアーゼXIII消化用のWaters HDX Managerに注入した。消化ペプチドを、1.0mm×50mm C8カラム(NovaBioassays)上に捕捉し、10%~32%B(移動相A:水中0.5%ギ酸、移動相B:アセトニトリル中0.1%ギ酸)の13分の勾配分離によって分離した。分離されたペプチドを、LC-MS/MSモード又はLC-MSモードでQ Exactive HF質量分析によって解析した。
非重水素化EGFRvIII試料のLC-MS/MSデータを、EGFRvIII及びその無作為化配列を含むデータベースに対して、非特異的酵素消化についてのデフォルトパラメータを用いたByonic検索エンジン(タンパク質指標)を使用して検索した。共通ヒトグリカンのリストは、潜在的な可変修飾として定義される。次いで特定されたペプチドのリストを、全ての重水素化試料からのLC-MSデータと一緒に、HDX Workbenchソフトウェア(バージョン3.3)にインポートして、3つのHDX時点の各複製における個々のペプチドの重水素取り込みを計算した。
所与のペプチドについて、スペクトルのセントロイド質量(強度加重平均質量)を、最初に非重水素化(0秒)対照について計算する。抗原及びAg-Ab複合体の非重水素化対照の平均セントロイド質量は、0%重水素組み込みの質量(0%Dの質量)とみなされる。各重水素化試料について、絶対D取り込みは、重水素化試料のセントロイド質量及び0%Dの質量の質量差として定義される。重水素組み込みパーセント(%D)は、セントロイド質量を0及び100%Dの質量と比較することによって決定される(N-2重水素原子とN-2水素原子との間の質量差の80%として定義される最大D取り込み質量シフトであって、Nは、ペプチド中の非プロリンアミノ酸の数に等しい)。
Figure 2024527235000013
各ペプチドについて、絶対D取り込み値及び%D値を、各HDX時点の2つの複製について個別に計算した。各HDX時点について、重複する絶対D取り込み値及び%D値を抗原及びAg-Ab複合体について平均化した。次いで、5分及び20分のHDX時点における%D値の平均を、「抗原%D」又は「Ag-Ab%D」として定義される、抗原又はAg-Ab複合体についての単一の%D値として提示する。抗原%DとAg-Ab%Dとの間の差を、所与のペプチドについての、抗原及びAg-Ab複合体を比較する重水素組み込みの全体的な変化を表すデルタ%D(Δ%)として定義する。
hEGFRvIII由来の合計200個のペプチドを、hEGFRvIII単独及びREGN3124試料を含む複合体のhEGFRvIIIの両方から同定し、これは、hEGFRvIIIの84%の配列カバレッジを表していた。重水素取り込みの割合において5%超の減少を呈した任意のペプチドを、有意に保護されたものとして定義した(Δ%D<-5%)。hEGFRvIII上のアミノ酸64~82 GPCRKVCNGIGIGEFKDSL(配列番号26)に対応するペプチドは、REGN3124によって有意に保護された。
(表7)hEGFRvIII単独と比較して、hEGFRvIII-REGN3124複合体の形成時に有意な保護を有するhEGFRvIIIペプチド
Figure 2024527235000014
EGFRvlll ECD(L25-A380).mmH(mmHタグは下線が引かれている)
Figure 2024527235000015
実施例6.抗EGFRvIII抗体-テシリンADCは、EGFRvIIIトランスフェクト多形性膠芽腫細胞株異種移植片に対して有意な抗腫瘍有効性を示す
REGN1076-テシリン及びREGN3124-テシリンADCの抗腫瘍有効性を、インビトロ培養後に標的の内因性発現が失われるため、EGFRvIIIを発現するようにトランスフェクトされた膠芽腫細胞株異種移植片モデルで最初に評価した。評価した第1のモデルは、U251/EGFRvIIIであり、腫瘍を、10×10個の細胞をマトリゲルと1:1で混合したものを雄のSCIDマウスの右脇腹上に皮下移植することによって定着させた。腫瘍を、処置開始前、移植の約30日後に約130mmまで成長させた。U87/EGFRvIIIにおけるADCの有効性も評価し、腫瘍を、3×10個の細胞を雄のSCIDマウスの右脇腹上に皮下移植することによって定着させた。U87/EGFvIII腫瘍を、処置開始前、移植の約25日後に約190mmまで成長させた。マウスを7~8匹の群に無作為化し、単回投与の試験ADC又は対照ADCで処置した。処置後60~70日間、腫瘍成長をモニタリングした。
実験結果:
U251/EGFRvIII異種移植片担持マウスにおける初期研究は、2.5又は5ug/kgのPBDペイロードを送達するように設計された単回投与後のREGN1076-テシリン及びREGN3124-テシリン抗EGFRvIII ADCの活性を評価した(表8)。対照-テシリン又は対照-N297Q-テシリンADCで処置した異種移植片の成長は、ビヒクル対照処置腫瘍と比較して有意に遅延しなかった。しかしながら、研究の過程にわたって、2.5ug/kgのペイロード用量のREGN1076-テシリン又はREGN3124-テシリンADCで処置した腫瘍において、腫瘍成長の有意な遅延が観察された。5ug/kgのPBDペイロードを送達したより高いADC用量は、対照処置と比較して更に大きな抗腫瘍効果を有した。REGN3124-テシリンADCは、同等の用量レベルでのREGN1076-テシリンと比較して、より持続的な抗腫瘍効果をもたらした。全体として、全ての抗EGFRvIII処置群は、投与後約60日目に研究が完了するまで生存した。体重に関連する処置は観察されず、全ての群は、研究の過程にわたって体重の約10~15%の増加が観察された。
REGN1076-テシリンADC及びREGN3124-テシリンADCの活性も、U87/EGFRvIII腫瘍異種移植片モデルにおいて評価した(表9)。ここで、2.5ug/kgのPBDペイロードを送達した用量での、REGN1076-テシリン及びREGN3124-テシリンADCの単回投与を比較した。このモデルは、非常に急速な成長を示し、腫瘍が研究エンドポイントに達したため、ビヒクル対照で処置した動物を投与の10日後に安楽死させた。対照-テシリン又は対照-N297Q-テシリンADCは、腫瘍成長のある程度の遅延を媒介したが、全ての腫瘍は成長し、腫瘍が研究エンドポイントに達したため、動物を投与の24日後に安楽死させた。2.5ug/kgのPBDペイロードを送達したREGN1076-テシリン及びREGN3124-テシリンの両方が、腫瘍異種移植片の有意かつ持続的な退縮を媒介した。全ての抗EGFRvIII処置動物は、投与後70日目に研究が完了するまで生存した。REGN1076-テシリンにおける単一の腫瘍は、研究終了に向かって再成長を示した。REGN3124-テシリンで処置した全ての腫瘍は、抑制されたままであった。体重に関連する処置は観察されず、全ての群は、研究の過程にわたって体重の約5%の増加が観察された。
(表8)抗EGFRvIII-テシリンPBD ADCは、対照と比較してU251/EGFRvIII異種移植片の退縮を媒介した(処置後36日目)
Figure 2024527235000016
(表9)抗EGFRvIII-テシリンコンジュゲートは、対照と比較してU87/EGFRvIII異種移植片の退縮を媒介した(処置後10日目)
Figure 2024527235000017
実施例7.抗EGFRvIII抗体-テシリンADCは、同所性に配置されたEGFRvIII陽性多形性膠芽腫患者由来の異種移植片に対して有意な抗腫瘍有効性を示す
脳に同所性に配置したGBM腫瘍に対する抗EGFRvIII ADCの有効性を評価するために、頭蓋内GBM6(高くかつ均一なEGFRvIII発現)又はGBM59(中程度かつ不均一なEGFRvIII発現)患者由来の異種移植片(PDX)腫瘍を、3×10個のPDX細胞の注射によって定着させた。頭蓋内注射を、3mmの深さで、前頂の1mm前側及び2mm外側で実施した。全ての同所性GBM PDX研究は、Translational Drug Development Inc.によって実施された。同所性GBM6 PDXを14+-1日間定着させ、GBM59 PDXを25+-1日間定着させた後、マウスを7~8匹の群に無作為化し、試験ADC又は対照ADCの単回投与で処置した。マウスを、周囲罹患(peri-morbidity)の兆候について約90日間モニタリングし、瀕死状態に達する前に安楽死させた。
実験結果:
同所性GBM6 PDX腫瘍担持マウスを用いた初期研究(研究A)では、ビヒクルで処置したマウスは、急速に悪化する臨床兆候を示し、8匹のうち7匹のマウスを、処置の30日以内に安楽死させた(表10)。アイソタイプ対照ADCは、いかなる臨床的効果ももたらさず、この群のマウスを、腫瘍によって誘導された過度の罹患(per-morbidity)により迅速に安楽死させた。対照群で観察された短い25日及び26.5日の生存中央値とは対照的に、7ug/kgペイロード用量でのREGN3124-テシリン(DAR 3.4)を用いた処置は、生存の非常に有意な延長をもたらした。8匹のうち5匹のマウスが投与後94日目の最終観察時点まで生存したため、抗EGFRvIII-テシリンADC群の生存中央値は得られなかった。
同所性に配置されたGBM6 PDX腫瘍を担持するマウスにおいて、第2の研究(研究B)を開始した(表11)。この場合もやはり、媒介されたアイソタイプ対照ADCは、ビヒクル処置マウスと比較して生存を延長せず、両方の群の生存中央値は20日近くであり、生存したマウスはいなかった。REGN3124-テシリン(DAR 3.4)は、3.5及び7ug/kgのペイロード用量レベルの両方で生存を延長したが、より高い用量は、処置後95日目の研究完了まで生存するより多くのマウス(8匹のうち5匹)をもたらした。REGN3124-テシリン(DAR 1.9)は、REGN3124-テシリン(DAR 3.4)に対して同様に有効であり、生存中央値は処置後77日であり、研究終了まで生存したマウスは8匹のうち4匹であった。腫瘍によって誘導された周囲罹患(peri-morbidity)を示すマウスにおいて、動物体重の急速な悪化が観察された。対照的に、長期生存を示したREGN3124-テシリンで処置した動物は、処置後の観察期間の過程にわたって関連する10~15%の体重の増加を示した。
REGN3124-テシリンの有効性も、同所性に配置されたGBM59 PDX腫瘍に対して評価した(表12)。本研究(研究C)では、ビヒクルで処置した8匹全てのマウスが、30日間で、腫瘍負荷で死んだ。アイソタイプ対照ADCは、ビヒクル対照と比較して生存の部分的な延長を媒介したが、全てのマウスを、処置後42日で周囲罹患(peri-morbidity)により安楽死させ、32.5日の生存中央値をもたらした。GBM6モデルについては、REGN3124-テシリンの単回の7ug/kgのペイロード用量を受けたマウスにおいて、生存の非常に有意な延長が観察された。DAR 1.9及びDAR 3.4を有するREGN3124-テシリンは、処置後94日目に研究が完了するまで生存する8匹のうち7匹のマウスをもたらし、したがって、これらの群における生存期間中央値は得られなかった。本研究では、DAR 3.4 ADCと比較してDAR 1.9 REGN3124-テシリンで処置したマウスにおいて、あまり堅固ではない体重増加が観察された。研究Cのマウスからの脳を様々な時点で、特に、明らかな疾患、体重減少、若しくは他の臨床的尺度によりマウスを安楽死させたとき、又は処置後94日目の研究の完了時に採取した。組織学的分析を実施した。REGN3124-テシリンで処置したマウス由来の脳のいずれにおいても、GBM59細胞は見られなかった。同様の結果がGBM6 PDX研究(研究A)で見られた。その後の免疫組織化学により、GMB59 PDXがEGFRvIIIの中程度かつ不均一な発現を示したことが示された。
(表10)抗EGFRvIII-テシリンADCは、頭蓋内GBM6 GBM PDXを有するマウスの生存を有意に延長した(研究A)
Figure 2024527235000018
(表11)抗EGFRvIII-テシリンADCは、頭蓋内GBM6 GBM PDXを有するマウスの生存を有意に延長した(研究B)
Figure 2024527235000019
(表12)抗EGFRvIII-テシリンADCは、頭蓋内GBM59 GBM PDXを有するマウスの生存を有意に延長した(研究C)
Figure 2024527235000020
実施例8.REGN1076-テシリン及びREGN3124-テシリンADCは、EGFRvIII陽性多形性膠芽腫患者由来の異種移植片に対して有意な抗腫瘍有効性を示す
多形性膠芽腫の腫瘍生物学を表すEGFRvIIIの内因性発現を有する患者由来の異種移植片を使用して、REGN1076-テシリン及びREGN3124-テシリンADCの有効性を更に調べた。GBM PDX研究は、Translational Drug Development Inc.によって実施された。GBM6又はGBM59 PDXの皮下腫瘍を、約50mgのPDX断片をヌードマウスの脇腹に移植することによって定着させた。腫瘍体積が移植後16~18日目に約125mmに達すると、マウスを7~8匹の群に無作為化し、3.5又は7ug/kgのピロロベンゾジアゼピン(PBD)ペイロード用量のいずれかに等しい用量を送達した試験ADC又は対照ADCの単回投与で処置した。処置後60日間、腫瘍成長をモニタリングした。
実験結果:
ビヒクルで処置したGBM6 PDX腫瘍担持マウスでは、急速な腫瘍成長が観察され、腫瘍は、処置の18日後、研究エンドポイントに達した。アイソタイプ対照-テシリンADCは、腫瘍成長のわずかな遅延のみを媒介し、腫瘍は、処置後22日目に研究エンドポイントに達した。ビヒクル及び対照処置腫瘍とは対照的に、抗EGFRvIII ADCは、非常に有意かつ持続的な腫瘍退縮を媒介した(表13)。GBM6モデルでは、REGN1076-テシリン又はREGN3124-テシリンからの3.5ug/kgのペイロード用量は、概して、同等の抗腫瘍有効性を有し、8匹のうち5匹及び8匹のうち4匹の動物が、処置後60日目の研究の完了時に腫瘍を有していなかった。7ug/kgのPBDペイロードを送達したREGN1076-テシリン又はREGN3124-テシリン処置は、より大きくかつ持続的な有効性をもたらし、8匹のうち7匹及び8匹のうち8匹が、処置の60日後の研究の完了時に腫瘍を有していなかった。処置に関連する体重減少は観察されず、動物の体重は、研究の過程にわたって約15%増加した。
(表13)抗EGFRvIII-テシリンADCは、対照と比較してGBM6 PDX腫瘍の退縮を媒介した(処置後18日目)
Figure 2024527235000021
1.9及び3.4の薬物:抗体比(DAR)を有するREGN3124-テシリンADCの相対効果を、GBM59腫瘍担持マウスにおいて評価した。ビヒクルADC及び対照ADCで処置したマウスの急速な腫瘍成長が、この場合もやはり観察され、これらの群の両方が、処置の19日後に研究エンドポイントに達した(表14)。3.5ug/kgのPBD用量では、REGN3124-テシリン(DAR 3.4)は、中程度の抗腫瘍効果を媒介し、腫瘍は、処置後30日目に研究エンドポイントに達した。REGN3124-テシリン(DAR 1.9)も活性であり、腫瘍は、この薬剤を用いた処置後51日目に研究エンドポイントに達した。他の研究と一致して、7ug/kgのペイロード用量を送達したREGN3124-テシリンADC処置は、GBM59腫瘍成長のより大きくかつより持続的な阻害をもたらした。この用量では、REGN3124-テシリン(DAR 1.9)は、60日目の研究の完了時に7つのうち3つの腫瘍が50mm未満という結果になり、一方、REGN3124-テシリン(DAR 3.4)は、研究の完了時に7つのうち5つの腫瘍が50mm未満という結果になった。処置に関連する体重減少は観察されず、動物の体重は、研究の過程にわたって約10%増加した。
(表14)抗EGFRvIII-テシリンコンジュゲートは、対照と比較してGBM59 PDX腫瘍の退縮を媒介した(処置後19日目)
Figure 2024527235000022
実施例9.EGFRvIII陽性GBM59 PDX腫瘍担持マウスにおけるREGN3124-テシリンADCの分割用量スケジュールの評価
抗腫瘍有効性に対するREGN3124-テシリンコンジュゲートの様々な用量スケジュールの効果を評価するために、皮下GBM59 PDX腫瘍モデルを使用して研究を実施した。本研究の場合もやはり、Translational Drug Development Inc.によって実施された。皮下腫瘍GBM59 PDXを、約50mgのPDX断片をヌードマウスの脇腹に移植することによって定着させた。腫瘍体積が移植後13日目におよそ125mmに達すると、マウスを7匹の群に無作為化し、試験ADC又は対照ADCで処置した。アイソタイプ対照ADCを、7ug/kgのPBDペイロードに等しい単回用量で投与した。低用量群の動物は、処置後0及び4日目に1用量当たり1.75ug/kgでADC REGN3124-テシリンコンジュゲートを受け、これは、3.5ug/kgの累積PBD用量をもたらした。更なる群は、累積7ug/kg用量を送達するREGN3124-テシリンを受けた。これは、0、4、及び8日目(2.33ug/kg)、0及び4日目(3.5ug/kg、又は0日目(7ug/kg)に送達した、3×2.33ug/kg、2×3.5ug/kg、又は1×7ug/kgの個々の用量に分割された。処置後60日間、腫瘍成長をモニタリングした。
実験結果:
本研究では、アイソタイプ対照ADCは、ビヒクル対照と比較して腫瘍成長のいかなる遅延も引き起こさず、平均腫瘍体積が研究エンドポイントに達したため、処置後19日目に両方の群を安楽死させた(表15)。2×1.75ug/kgのREGN3124-テシリンを受けた動物では、腫瘍体積の有意な阻害が観察され、全てのマウスは、処置の60日後に研究が完了するまで生存した。7ug/kgの累積PBDペイロード用量をもたらした用量スケジュールの全てが、更なるかつ非常に有意な抗腫瘍効果をもたらした。3×2.33ug/kg PBD用量でREGN3124-テシリンを投与したマウスでは、7匹のうち3匹が、研究の完了時に腫瘍を有しておらず、平均腫瘍体積は、90mm未満であった。2×3.5ug/kg及び1×7ug/kg PBD用量を送達したREGN3124-テシリンを受けた群では、7匹のうち2匹及び7匹のうち3匹のマウスが、研究の完了時に腫瘍を有しておらず、両方の群の平均腫瘍体積は、5mm未満であり、これは、本研究におけるREGN3124-テシリンの有意かつ持続的な有効性を示している。処置に関連する体重減少は観察されず、動物の体重は、研究の過程にわたって約10%増加した。
(表15)抗EGFRvIII-テシリンコンジュゲートは、対照と比較してGBM6 PDX腫瘍の退縮を媒介した(処置後18日目)
Figure 2024527235000023
実施例10.抗EGFRvIII-テシリンADCの抗EGFRvIII-メイタンシノイドDM1 ADCとの比較
腫瘍を定着させるために、0.5×10個のMMT-EGFRvIII細胞を雌のSCIDマウスの脇腹に皮下注射した。腫瘍体積が約140mmに達すると(8日目)、マウスを7匹の群に無作為化し、テシリン又はDM1ペイロードのいずれかを使用して試験ADC及び対照ADCで処置した。薬剤を17日間にわたって3日投与した。移植後61日間、腫瘍成長をモニタリングした。
次いで、それぞれのEGFRvIII ADCの抗腫瘍有効性を経時的に評価した(図1)。1mg/kgのREGN1076-テシリンADCで処置したマウスでは、研究の継続期間中、完全な腫瘍根絶が観察された。対照-テシリンADCは、一過性の抗腫瘍効果を媒介したが、全ての腫瘍は最終的に、プロトコルエンドポイントの腫瘍体積に向かって急速な進行を示した。REGN1076-テシリンの投与後に観察された有意な有効性とは対照的に、1又は15mg/kgのいずれかで投与したREGN1076-DM1は、腫瘍成長の中程度の遅延のみを誘導し、全ての腫瘍は、プロトコルエンドポイントに向かって急速に進行した。対照DM1 ADCは、ビヒクル対照と比較して効果はなかった。1mg/kg用量レベルでの抗EGFRvIIIの結果は、抗EGFRvIII-メイタンシノイドDM1コンジュゲートと比較して、抗EGFRvIII-テシリンコンジュゲートのより大きな効力を示す。本研究では、いずれの処置も重度の体重減少を誘導しなかった。
実施例11.EGFRvIII陽性腫瘍モデルにおける抗EGFRvIII-テシリンコンジュゲート及びCOMP-MMAF ADCの評価
REGN3124-テシリンADCの活性を、U251/EGFRvIII腫瘍異種移植片モデル及び頭蓋内同所性GBM59 PDXモデルにおいて、比較対照ADC、COMP-MMAF(モノメチルアウリスタチンF、Phillips et al.,2016,Mol Cancer Ther.15(4):661-669に記載される手順に基づいて調製されたアウリスタチンベースのADC、Doronina et al.,2006、Bioconjugate Chem.17:114-124も参照されたい)の活性と同時に評価した。最初の異種移植片研究のために、U251/EGFRvIII腫瘍を、10×10個の細胞をマトリゲルと1:1で混合したものを雄のSCIDマウスの右脇腹上に皮下移植することによって定着させた。腫瘍を、処置開始前、移植の約30日後に約175mmまで成長させた。マウスを8匹の群に無作為化し、単回投与の試験ADC又は対照ADCで処置した。処置後71日間、腫瘍成長をモニタリングした。
脳内に同所性に配置したGBM腫瘍に対するREGN3124-テシリン及びCOMP-MMAF ADCの有効性を評価するために、頭蓋内GBM59 PDX腫瘍を、3×10個のPDX細胞の注射によって定着させた。頭蓋内注射を、3mmの深さで、前頂の1mm前側及び2mm外側で実施した。全ての同所性GBM PDX研究は、Translational Drug Development Inc.によって実施された。同所性GBM59 PDXを25日間定着させた後、マウスを8匹の群に無作為化し、試験ADC又は対照ADCの単回投与で処置した。マウスを、周囲罹患(peri-morbidity)の兆候について94日間モニタリングし、瀕死状態に達する前に安楽死させた。
実験結果:
U251/EGFRvIII異種移植片担持マウスにおける研究は、7ug/kgのPBDペイロードを送達するように設計されたREGN3124-テシリンの活性、並びに1、2.5、及び5mg/kgのADC用量でのCOMP-MMAF ADCの活性を評価した(表16)。アイソタイプ対照を本研究の全ての用量レベルについて含んだが、これらの対照薬剤では中程度の抗腫瘍効果しか観察されなかった。REGN3124-テシリンは、0.53mg/kgのADCの単回投与(7ug/kgのPBDペイロード用量)が異種移植片の持続的な退縮を誘導することができたため、本研究において明らかな抗腫瘍活性を示した。1mg/kgのCOMP-MMAFで処置した腫瘍では、持続的な退縮は観察されなかった。2.5mg/kgのCOMP-MMAFを使用して腫瘍に対する活性が見られたが、投与後71日目の研究の完了時に、REGN3124-テシリンを用いた処置による活性と同様の持続的な活性を達成するために、5mg/kgのCOMP-MMAFが必要であった。本研究の全ての動物が、処置後の観察期間にわたって体重の10%の増加を示した。
(表16)対照と比較したU251/EGFRvIII異種移植片の、抗EGFRvIII-テシリンコンジュゲート及びCOMP-MMAFコンジュゲートによって媒介された退縮(治療後36日目)
Figure 2024527235000024
REGN3124-テシリン(DAR 1.9)及びCOMP-MMAF ADCの有効性も、同所性に配置されたGBM59 PDX腫瘍に対して評価した(表17)。本研究では、ビヒクルで処置した8匹全てのマウスが、25日間で、腫瘍負荷で死んだ。アイソタイプ対照-テシリン及び対照MMAF ADCは、ビヒクル対照群と比較して生存を延長しなかった。対照とは対照的に、REGN3124-テシリンは、生存の非常に有意な延長を媒介し、この群の8匹のうち5匹のマウスが、投与後95日目の研究の完了まで生存した。1mg/kgでのCOMP-MMAF ADCは、この群の生存中央値が、5mg/kgでの対照-MMAFと同じであったため、生存の有意な増加を誘導しなかった。より高い5mg/kgのCOMP-MMAF処置は、MMAF対照と比較して生存の程度の増加を誘導したが、全てのマウスは、処置の35日以内に腫瘍負荷で死に、23.5日の生存中央値をもたらした。
(表17)同所性に配置されたGBM59 GBM PDX腫瘍を有するマウスにおけるREGN3124-テシリンコンジュゲート及びCOMP-MMAFコンジュゲートの活性
Figure 2024527235000025
非公式配列表
本明細書に開示される配列を列挙する非公式配列表が、以下に提供される。
(表18)配列識別子並びに対応する核酸及びアミノ酸配列
Figure 2024527235000026
Figure 2024527235000027
Figure 2024527235000028
Figure 2024527235000029
Figure 2024527235000030
本開示は、本明細書に記載される特定の実施形態による範囲に限定されるものではない。実際に、本開示の種々の修飾は、本明細書に記載されるものに加えて、上記の記述及び付随する図から、当業者に明らかとなるであろう。そのような変更は、添付される特許請求の範囲の範囲内にあることが意図される。

Claims (37)

  1. EGFRvIIIに特異的に結合する抗体又はその抗原結合断片を含む抗体-薬物コンジュゲート(ADC)であって、前記抗体又はその抗原結合断片が、
    配列番号2のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(HCVR)内に3つの重鎖相補性決定領域(HCDR1、HCDR2、及びHCDR3)を含む重鎖可変領域(HCVR)と、
    配列番号10のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(LCVR)内に3つの軽鎖相補性決定領域(LCDR1、LCDR2、及びLCDR3)を含む軽鎖可変領域(LCVR)と
    を含み、前記抗体が、テシリンにコンジュゲートされている、前記抗体-薬物コンジュゲート(ADC)。
  2. 抗EGFRvIII抗体又はその抗原結合断片が、
    (i)配列番号23の接合ペプチドにも
    (ii)配列番号24のペプチドにも
    結合しない、請求項1に記載のADC。
  3. 前記抗体又はその抗原結合断片が、37℃での表面プラズモン共鳴アッセイによって測定された場合、約500nMの、ヒトEGFRvIII単量体についての平衡解離定数(K)を示す、請求項1又は2に記載のADC。
  4. 前記抗体又はその抗原結合断片が、37℃での表面プラズモン共鳴アッセイによって測定された場合、約10nM以下の、ヒトEGFRvIII二量体についての平衡解離定数(K)を示す、請求項1~3のいずれか一項に記載のADC。
  5. 前記抗体又はその抗原結合断片が、表面プラズモン共鳴アッセイによって検出可能なレベルでEGFR二量体に結合しない、請求項1~4のいずれか一項に記載のADC。
  6. 前記抗体又はその抗原結合断片が、
    配列番号4のアミノ酸配列を含むHCDR1、
    配列番号6のアミノ酸配列を含むHCDR2、及び
    配列番号8のアミノ酸配列を含むHCDR3
    を含むHCVRと、
    配列番号12のアミノ酸配列を含むLCDR1、
    配列番号14のアミノ酸配列を含むLCDR2、及び
    配列番号16のアミノ酸配列を含むLCDR3
    を含むLCVRと
    を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載のADC。
  7. 前記抗体又はその抗原結合断片が、
    配列番号2のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むHCVRと、
    配列番号10のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むLCVRと
    を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載のADC。
  8. 前記抗体又はその抗原結合断片が、
    配列番号2のアミノ酸配列に対して少なくとも98%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むHCVRと、
    配列番号10のアミノ酸配列に対して少なくとも98%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むLCVRと
    を含む、請求項1~7のいずれか一項に記載のADC。
  9. 前記抗体又はその抗原結合断片が、
    配列番号2のアミノ酸配列に対して少なくとも99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むHCVRと、
    配列番号10のアミノ酸配列に対して少なくとも99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むLCVRと
    を含む、請求項1~8のいずれか一項に記載のADC。
  10. 前記抗体又はその抗原結合断片が、
    配列番号2のアミノ酸配列を含むHCVRと、
    配列番号10のアミノ酸配列を含むLCVRと
    を含む、請求項1~9のいずれか一項に記載のADC。
  11. 前記抗体又はその抗原結合断片が、完全抗体である、請求項1~10のいずれか一項に記載のADC。
  12. 前記抗体又はその抗原結合断片が、重鎖及び軽鎖を含み、前記重鎖が、配列番号18又は配列番号20のアミノ酸配列を含む、請求項1~11のいずれか一項に記載のADC。
  13. 前記抗体又はその抗原結合断片が、重鎖及び軽鎖を含み、前記軽鎖が、配列番号22のアミノ酸配列を含む、請求項1~12のいずれか一項に記載のADC。
  14. 前記抗体又はその抗原結合断片が、配列番号18のアミノ酸配列を含む重鎖及び配列番号22のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む、請求項1~11のいずれか一項に記載のADC。
  15. 前記抗体又はその抗原結合断片が、配列番号20のアミノ酸配列を含む重鎖及び配列番号22のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む、請求項1~11のいずれか一項に記載のADC。
  16. 薬物対抗体比(DAR)が、約1~約4である、請求項1~15のいずれか一項に記載のADC。
  17. 前記抗体が、N297でアグリコシル化されている、請求項1~16のいずれか一項に記載のADC。
  18. 前記抗体が、EUインデックス番号付けによって決定されるN297Q変異をhIgG1 Fc中に含む、請求項1~11のいずれか一項に記載のADC。
  19. 前記抗体又はその抗原結合断片が、
    配列番号4のアミノ酸配列を含むHCDR1、
    配列番号6のアミノ酸配列を含むHCDR2、
    配列番号8のアミノ酸配列を含むHCDR3、
    配列番号12のアミノ酸配列を含むLCDR1、
    配列番号14のアミノ酸配列を含むLCDR2、及び
    配列番号16のアミノ酸配列を含むLCDR3
    を含み、前記抗体又は断片の前記重鎖が、アグリコシル化されており、かつN297Q変異を含み、前記抗体又は断片が、テシリンにコンジュゲートされている、請求項1~11のいずれか一項に記載のADC。
  20. 前記抗体又はその抗原結合断片が、配列番号26のアミノ酸配列内の少なくとも1つの残基と相互作用する、請求項1~19のいずれか一項に記載のADC。
  21. 以下の特徴:
    (a)EGFRvIII発現細胞においてインビボでの生存率の低減を示す、
    (b)EGFRvIII発現細胞と共培養された非EGFRvIII発現細胞に対するインビボでのバイスタンダー細胞傷害性を示す、
    (c)EGFRvIIIを発現する頭蓋内多形性膠芽腫を有するマウスにおいて、生存の延長を示す、
    (d)治療関連体重減少の非存在下で、EGFRvIII発現腫瘍を有するマウスにおいて抗腫瘍効果を示す、
    (e)患者由来の多形性膠芽腫を有するマウスにおいて、腫瘍退縮を示す、
    (f)MMAFにコンジュゲートされた比較対照抗体と比較して、より低い投与量でより大きな殺腫瘍性を示す、及び
    (g)腫瘍担持マウスにおいて、抗EGFRvIII-メイタンシノイドADCよりも大きな抗腫瘍効力を示す
    のうちの1つ以上を有する、請求項1~20のいずれか一項に記載のADC。
  22. 前記抗体又はその抗原結合断片が、EGFRvIIIに結合する、請求項1~20のいずれか一項に記載のADCを含む複合体。
  23. 請求項1~21のいずれか一項に記載のADCを含む、容器又は注射用デバイス。
  24. 請求項1~21のいずれか一項に記載のADC、及び薬学的に許容可能な担体又は希釈剤を含む、医薬組成物。
  25. 化学療法剤、抗炎症剤、及び鎮痛剤からなる群から選択される1つ以上の追加の治療剤を更に含む、請求項24に記載の医薬組成物。
  26. EGFRvIII発現腫瘍に罹患している、その必要のある対象においてがんを治療する方法であって、治療有効量の請求項1~21のいずれか一項に記載のADC又は請求項24に記載の医薬組成物を前記対象に投与することを含む、前記方法。
  27. その必要のある対象において、がん若しくは腫瘍を治療する、又は腫瘍成長を低減させる、及び/又は腫瘍退縮を誘発するための方法であって、治療有効量の請求項1~21のいずれか一項に記載のADC又は請求項24に記載の医薬組成物を前記対象に投与することを含む、前記方法。
  28. 前記がん又は腫瘍が、膠芽腫、乳管癌又は乳管内癌、非小細胞肺癌、卵巣癌、前立腺がん、及び頭頸部の扁平上皮癌からなる群から選択される、請求項26に記載の方法。
  29. 化学療法剤、抗炎症剤、及び鎮痛剤からなる群から選択される1つ以上の追加の治療剤を投与することを更に含む、請求項26に記載の方法。
  30. 抗体又はその抗原結合断片及び細胞毒素を含む第2のADCを投与することを更に含み、前記第2のADCの前記抗体又はその抗原結合断片が、EGFRvIIIに特異的に結合し、配列番号23の接合ペプチド及び/又は配列番号24のペプチドにも結合する、請求項26に記載の方法。
  31. 請求項1~21のいずれか一項に記載のADCを対象の身体に投与するための方法であって、前記ADCを前記対象の身体に注射することを含む、前記方法。
  32. 前記ADCが、前記対象の身体に皮下、静脈内、又は筋肉内注射される、請求項31に記載の方法。
  33. 前記ADCのHCVRを含む免疫グロブリン及び前記ADCのLCVRを含む免疫グロブリンをコードするポリヌクレオチドを含む宿主細胞を、前記ポリヌクレオチドの発現に好ましい条件下で、培養培地中で培養することを含む、請求項1~21のいずれか一項に記載のADCを作製するための方法。
  34. テシリンを前記免疫グロブリンのうちの1つ以上にコンジュゲートすることを更に含む、請求項33に記載の方法。
  35. 前記コンジュゲーションが、還元剤の存在下で前記免疫グロブリン鎖を還元すること、及び還元された前記免疫グロブリン鎖と前記テシリンをインキュベートすることによって実施される、請求項34に記載の方法。
  36. 前記還元剤が、ジチオスレイトールである、請求項35に記載の方法。
  37. 請求項33~36のいずれか一項からの生成物である、ADC。
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