JP2024524185A - 抗原特異的t細胞を生成するための方法 - Google Patents

抗原特異的t細胞を生成するための方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2024524185A
JP2024524185A JP2023578736A JP2023578736A JP2024524185A JP 2024524185 A JP2024524185 A JP 2024524185A JP 2023578736 A JP2023578736 A JP 2023578736A JP 2023578736 A JP2023578736 A JP 2023578736A JP 2024524185 A JP2024524185 A JP 2024524185A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
cells
antigen
specific
cell
expansion step
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2023578736A
Other languages
English (en)
Inventor
レベッカ ニュートン,ケイティ
コッツィオウ,エレニ
ロビンソン,ジョー
クエザダ,セルジオ
フレイザー,ヘンリエッタ
ティルケル,サラ
Original Assignee
アキレス セラピューティクス ユーケー リミテッド
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by アキレス セラピューティクス ユーケー リミテッド filed Critical アキレス セラピューティクス ユーケー リミテッド
Publication of JP2024524185A publication Critical patent/JP2024524185A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Abstract

本発明は、抗原特異的T細胞の生成するための方法、及びがんの処置又は予防のための方法におけるそれらの使用に関する。
【選択図】なし

Description

本発明は、T細胞、例えば、抗原特異的T細胞を生成するための方法、及びがんの処置又は予防のための方法におけるそれらの使用に関する。
がん免疫療法は、がんを標的とし、制御し、排除するために身体自身の免疫系を使用する。がん免疫療法の1つのタイプは養子T細胞療法であり、この場合にはT細胞を単離するか又は操作し、エクスビボで増殖させてから患者に戻す。T細胞は、患者自身(自己)又はドナー(同種)のいずれかに由来する。
十分な用量のT細胞を患者に提供するために、多数のT細胞が、効果的なT細胞療法に必要になる場合がある。多数又は高用量のT細胞の作製は当技術分野で以前から研究されてきた。しかし、一部のT細胞療法は、特に、T細胞集団が、数の増加した抗原特異的T細胞を含むことを必要とする。抗原特異性を有するT細胞は、T細胞療法におけるそれらの効果的な使用を可能にする機能的適合性を有するべきである。したがって、抗原特異性の増加、並びに機能的適合性を有する高用量のT細胞を送達することができるT細胞療法の提供が非常に望ましい。
T細胞療法に使用するためのT細胞を作製するための以前の方法は、抗原特異的T細胞の用量を特に増加させず、むしろT細胞の非特異的な増大を目的とする。そのようなT細胞は、T細胞が特定の抗原に対する特異性を有することを必要とするT細胞療法には好適でない。このため、特定の抗原に対する特異性を有する機能的に適合したT細胞の集団を生成するための代替的で改善された方法が、当技術分野において必要である。
本発明者らは、T細胞の抗原特異的な増大のための新たな方法を開発した。本発明は、T細胞の適合性及び機能性を維持しながら、以前に達成されたよりも多数の抗原特異的T細胞を含むT細胞の集団を提供する方法を提供する。本発明のT細胞増大方法は、T細胞集団におけるより多数の抗原特異的T細胞の生成を促進する。
本発明に係る方法は、多数のT細胞を含む集団を生成することができ、前記集団は数又は割合が増加した抗原特異的T細胞を含み、さらに集団内のT細胞が機能的に適合しているという点で、以前の方法よりも改善されている。T細胞の機能的適合性は、以下に記載されるような様々なマーカーの評価によって決定することができる。
本発明の方法は、抗原特異的T細胞の増大工程、及びその後の非特異的な増大工程を含む。非特異的な増大工程は、抗原特異的T細胞の数を増やすように機能し、本明細書では「ブースト増大工程」と称することができる。
本発明の方法はまた、抗原特異的な増大工程の前に、T細胞の非特異的な増大の工程を、場合により含むことができる。これは「プレ増大工程」と称することができる。
一態様では、本発明は、抗原特異的T細胞を含むT細胞の集団を生成するための方法であって、抗原特異的T細胞の増大工程、及びその後の非特異的なT細胞増大工程(ブースト増大工程)を含む前記方法を提供する。場合により、抗原特異的な増大工程の前に、本明細書に記載される非特異的なT細胞プレ増大工程が先行してもよい。
本明細書に記載される抗原特異的な増大工程は、T細胞集団内の、特定の抗原に対して特異的なT細胞の数又は割合を増加させることができる。
一態様では、本発明は、抗原特異的T細胞を含むT細胞の集団を生成するための方法であって、
a)単離されたT細胞を、抗原がロードされた抗原提示細胞と共培養することを含む抗原特異的な増大工程であって、前記T細胞及び抗原提示細胞がIL-2の存在下で共培養される工程、並びに
b)工程a)で生成されたT細胞を、抗CD3抗体及び/又は抗CD28抗体及び/又はIL-2の存在下で培養することを含む非特異的なブースト増大工程
を含む方法を提供する。
本方法は、抗原特異的な増大工程の前に、単離されたT細胞をIL-2及びIL-21の存在下で培養することを含む非特異的なプレ増大工程をさらに含み得る。
プレ増大工程は、T細胞を抗CD3抗体、抗CD28抗体、抗CD2抗体及び/又はIFNγの存在下で培養することをさらに含み得る。
一態様では、プレ増大工程は、T細胞をIL-2、IL-15、IL-21、抗CD3抗体、抗CD28抗体及び抗CD2抗体の存在下で培養することを含み得る。
一態様では、抗原特異的な増大工程は、T細胞及び抗原提示細胞をIL-2及びIL-15の存在下で共培養することを含む。
抗原特異的な増大工程は、血清代替物を含む細胞培養培地中で実施することができる。一態様では、血清代替物は、血小板溶解物を含み得る。
本発明に係る方法は、単離されたT細胞を抗原非特異的な様式で最初に増大させることを伴う、非特異的な「プレ増大」工程をさらに含み得る。
一態様では、プレ増大工程は、T細胞を、IL-2及びIL-21、IL-2及びIL-15、又はIL-2、IL-15及びIL-21の存在下で培養することを含む。プレ増大工程は、T細胞を血小板溶解物の存在下で培養することを含み得る。プレ増大工程は、生成されるT細胞の数をさらに増加させるために、T細胞を、抗CD3、抗CD3/28若しくは抗CD3/28/2抗体及び/又はインターフェロン-ガンマの存在下で培養することをさらに含み得る。
一態様では、プレ増大工程は、約7~約21日、例えば約14~16日の持続時間のものである。
一態様では、T細胞は、がんを有する対象の腫瘍から単離されたものである。一態様では、単離されたT細胞は、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)である。
「抗原特異的な増大」工程は、プレ増大工程の後に行われてもよい。
抗原特異的な増大工程において言及される抗原提示細胞は、好ましくは樹状細胞、例えば、自己樹状細胞である。樹状細胞は、血液試料から入手した単球から生成することができ、単球由来樹状細胞(MoDC)を得ることができる。一態様では、抗原提示細胞は自己MoDCであり、これは患者自身の血液試料から生成することができる。
一態様では、抗原特異的な増大工程におけるIL-2は、500U/ml又はそれより低い濃度で使用することができる。
一態様では、抗原特異的な増大工程は、約7~約21日、例えば、約10日又は約17日の持続時間を有する。
抗原特異的な増大工程は、プレ増大工程の単離されたT細胞と比較して、集団内のT細胞全体の数の増加、及び好ましくは抗原特異的T細胞の数又は割合の増加をもたらし得る。
一態様では、非特異的なブースト増大工程は、抗原特異的な増大工程からのT細胞を、
(i)抗CD3抗体、
(ii)抗CD28抗体、及び
(iii)IL-2
のうちの1つ以上の存在下で培養することを含む。
一態様では、非特異的なブースト増大工程は、約3日~約21日、例えば、約7日又は約17日の持続時間を有し得る。
ブースト増大工程は、出発集団(例えば、プレ増大工程の単離されたT細胞及び/又は抗原特異的な増大工程における細胞の集団)と比較して、集団内のT細胞全体の数の増加、及び好ましくは抗原特異的T細胞の数の増加をもたらし得る。
一態様では、プレ増大工程及び/又は抗原特異的な増大の工程は、T細胞をIL-15の存在下で培養することをさらに含む。
一態様では、本発明の方法は、
a)単離されたT細胞を、抗原がロードされた抗原提示細胞と共培養することを含む抗原特異的な増大工程であって、前記T細胞及び抗原提示細胞が、IL-2及びIL-21の存在下で共培養される工程、並びに
b)工程a)で生成された細胞を、抗CD3抗体及び/又は抗CD28抗体及び/又はIL-2の存在下で培養することを含む非特異的なブースト増大工程
を含む。
一態様では、本発明の方法は、
a)単離されたT細胞をIL-2及びIL-21の存在下で培養することを含む非特異的なプレ増大工程、
b)前記T細胞を、抗原がロードされた抗原提示細胞と共培養することを含む抗原特異的な増大工程であって、前記T細胞及び抗原提示細胞がIL-2の存在下で共培養される工程、並びに
c)工程b)で生成された細胞を、抗CD3抗体及び/又は抗CD28抗体及び/又はIL-2の存在下で培養することを含む非特異的なブースト増大工程
を含む。
一態様では、本発明の方法は、
a)前記T細胞を、抗原がロードされた抗原提示細胞と共培養することを含む抗原特異的な増大工程であって、前記T細胞及び抗原提示細胞がIL-2、IL-15及びIL-21の存在下で共培養される工程、並びに
b)工程a)で生成された細胞を、抗CD3抗体及び/又は抗CD28抗体及び/又はIL-2の存在下で培養することを含む非特異的なブースト増大工程
を含む。
一態様では、本発明の方法は、
a)単離されたT細胞をIL-2、IL-15及びIL-21の存在下で培養することを含む非特異的なプレ増大工程
b)前記T細胞を、抗原がロードされた抗原提示細胞と共培養することを含む抗原特異的な増大工程であって、前記T細胞及び抗原提示細胞がIL-2及びIL-15の存在下で共培養される工程、並びに
c)工程b)で生成された細胞を、抗CD3抗体及び/又は抗CD28抗体及び/又はIL-2の存在下で培養することを含む非特異的なブースト増大工程
を含む。
本発明に係る方法は、T細胞の集団を有利に提供することができ、ここで前記T細胞は、機能的マーカー、例えば、IFNγの産生並びにCD25及び/又はCD27の発現を示す。前記T細胞はまた、消耗(exhaustion)マーカーCD57を減少した量で発現し得る。
本発明の方法は、CD4+及びCD8+ T細胞をより均等なバランスで有するT細胞の集団を有利に提供することができる。例えば、本明細書で記載される本発明の方法は、以前の方法よりも多くのCD8+細胞を含むT細胞の集団をもたらし得る。したがって、T細胞集団は、以前の方法によって達成されるT細胞集団よりも、CD4+/CD8+ T細胞についてよりバランスがとれていてもよい。一態様では、T細胞集団は、CD8+ T細胞を少なくとも約20%、30%、50%、70%若しくは80%又はそれより多く含む。
本発明は、本明細書で記載される方法のいずれかによって生成されるT細胞の集団を範囲に含む。T細胞の集団は、対象から単離されたT細胞の集団よりも数の増加したT細胞を有し得る。T細胞集団は、1つ以上の特定の抗原に対して特異的なT細胞の割合の増加を有し得る。T細胞集団は、1つ以上の特定の抗原に対して特異的なT細胞が濃縮されていてもよい。
本発明に係る方法は、少なくとも約10×106個の抗原特異的T細胞を含むT細胞集団の生成を促進することができる。本発明に従って生成されたT細胞集団は、少なくとも約10×106個の用量の抗原特異的T細胞を対象に提供することができる。一態様では、T細胞集団は、約10×106~約1×1010個の抗原特異的T細胞、例えば、約1×108~約1×109個の抗原特異的T細胞、例えば、約2×108個の抗原特異的T細胞を含み得る。
本発明の方法によって生成されるT細胞集団は、CD3+/CD56-表現型を有するT細胞を含み得る。
本発明に従って生成されたT細胞は、抗原により再刺激された場合にIL-2(CD25)発現をアップレギュレートすることができる。一態様では、同じ抗原が、抗原特異的な増大及び再刺激の両方のために使用される。
本発明に係る方法は、細胞傷害性(キラー)表現型に関連する表現型を有する、主としてエフェクターメモリーT細胞を含むT細胞集団を生成することができる。
本発明の方法に従って生成されるT細胞集団は、医療においてT細胞療法として、好ましくは対象におけるがんの処置又は予防に使用することができる。
本発明に係る方法は、インビトロ又はエクスビボで実施することができる。
特異的/非特異的な増大期間の第0日及び第17日の細胞数によって決定したT細胞(CD3+CD56-)の増大倍数。 腫瘍重量に合わせてスケール変更したT細胞全体の用量(T細胞(CD3+CD56-)の数)。 腫瘍重量に合わせてスケール変更した、IFNγ/TNFα陽性細胞によって測定したcNeT用量/反応性。 cNeT用量の変化倍数。 各プロセスに関するCD4+及びCD8+ T細胞のメモリー表現型。 マーカー発現を有するCD8+及びCD4+ T細胞の割合(中央値)。 cNeTをクローン性ネオ抗原ペプチドで再刺激した場合に産生されたCD25発現レベル。 各プロセスについて反応性細胞の用量を比較した8人のさらなるがん患者から生成されたデータ。 Gen 2.8.1プロセスに関するTIL収量をGen 2.6プロセスと比較した変化倍数。 Gen 2.8.1プロセスに関するcNeT用量をGen 2.6プロセスと比較した変化倍数。 Gen 2.8.2プロセスに関するTIL収量をGen 2.8.1プロセスと比較した変化倍数。 Gen 2.6 B細胞及びGen 2.8.1 B細胞に関するT細胞増大をGen 2.6及びGen 2.8.1と比較した変化倍数。 Gen 2.8.1 B細胞及びGen 2.6 B細胞に関するcNeTの割合をGen 2.8.1及びGen 2.6と比較した変化倍数。 Gen 2.6生成物におけるCD4+及びCD8+ T細胞の割合と対応するGen 2.6 B細胞生成物との比較。
本発明は、T細胞の集団を生成する方法であって、前記集団が抗原特異的T細胞を含む方法を提供する。有利には、本明細書で記載される本発明の方法は、T細胞療法における使用に機能的に適合し、且つ好適である、数又は割合の増加した抗原特異的T細胞を含むT細胞集団の生成を促進する。
本発明に係る方法は、T細胞を、1つ以上の抗原がロードされた抗原提示細胞と共培養する抗原特異的な増大工程、及びその後にT細胞の数を増やす非特異的な増大工程を含む。前記抗原に対して特異的な(又は反応する)T細胞の数は、特異的な増大工程において増加する。T細胞の集団における抗原特異的T細胞の割合又はパーセンテージは、増加し得る。
本発明の文脈において、「増大」又は「増大する」という用語は、T細胞の数を、それらの増殖を誘導することによって増加させることを意味する。T細胞は、T細胞に対して分裂促進刺激を与える条件下でのエクスビボ培養によって増大させることができる。
「抗原特異的な増大工程」は、T細胞の数を、抗原の存在下で増加させる工程を意味する。抗原の存在は、全集団における前記抗原に対する特異性を有するT細胞の増加又は増大を導く。この工程の目的は、1つ以上の抗原に結合して応答するT細胞を優先的又は選択的に増大させることである。結果として、抗原特異的な増大工程は、典型的には、T細胞の非特異的な増大を最小限にするために、非特異的な増大工程と比較してより低い濃度(例えば、500U/ml以下)のIL-2を使用する。抗原特異的な増大工程は、T細胞の全集団における前記抗原に対して特異的なT細胞の割合又はパーセンテージを、すなわち、前記抗原に対して特異的でないT細胞の割合又はパーセンテージと比較して増加させる。
本発明の一態様では、抗原特異的な増大工程は、T細胞を、抗原又は抗原由来のペプチドがロードされた抗原提示細胞(APC)と、IL-2の存在下で共培養することを含む。T細胞が、APCによって提示されたコグネイト抗原を認識すると、これにより、必要なシグナルのうちの1つがサイトカイン刺激とともに提供されて、T細胞が増大(すなわち、増殖)することが可能になる。このプロセスにより、目的のT細胞の選択的な増大が可能になる。
「非特異的なブースト増大工程」は、T細胞の数を、抗原の非存在下で増加させる工程を意味する。抗原の欠如は、集団におけるT細胞の全体的な(又は一般的な)増加又は増大を、その抗原特異性に関係なく導く。
本発明に係る方法は、単離されたT細胞、例えば、腫瘍単細胞懸濁液又は腫瘍断片の形態にあるものを、IL-2の存在下で、並びに場合によりIL-15、IL-21、抗CD3抗体、抗CD28抗体及び/又は抗CD2抗体のうちの1つ以上とともに、インビトロで培養する非特異的なプレ増大工程をさらに含み得る。
単離されたT細胞
T細胞集団を、腫瘍を有する対象から単離された試料中のT細胞から作製することができる。試料は、腫瘍、末梢血(例えば、末梢血単核細胞又はPBMC)、骨髄、リンパ節組織、臍帯血、胸腺組織、感染部位由来の組織、腹水、胸水、脾臓の組織又は対象の他の組織から採取することができる。
T細胞は、対象から収集した血液試料から、当業者に公知であるいくつかの手法のうち任意のものを使用して得ることができる。例えば、密度勾配分離手法、例えば、FICOLL(商標)分離、及び/又はアフェレーシス、例えば、白血球アフェレーシスを使用することができる。T細胞療法のためにT細胞を単離するさらなる方法は、米国特許出願公開第2013/0287748号に開示されており、これはその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
特定の一実施形態では、T細胞集団は腫瘍由来の試料から作製される。換言すると、T細胞集団は、処置を受ける患者の腫瘍から得られた試料から単離される。そのようなT細胞は、本明細書では「腫瘍浸潤リンパ球」(TIL)と称される。TILは、腫瘍組織に浸潤したT細胞である。
本発明に係る方法において単離されるT細胞は、TILであり得る。
腫瘍からの生検試料及び試料の単離は、当技術分野において一般的なことであり、任意の好適な方法に従って行うことができ、そのような方法は当業者に公知である。
腫瘍は、固形腫瘍又は非固形腫瘍であり得る。
T細胞は、当技術分野で周知の方法を使用して単離することができる。例えば、TILは、切除された腫瘍断片又は腫瘍単細胞懸濁液を、IL-2を含有する培地中で培養することによって単離することができる。T細胞は、試料から作製された単細胞懸濁液から、CD3、CD4又はCD8の発現に基づいて精製することができる。T細胞は、密度勾配を経ることによって試料から濃縮することができる。
抗原提示細胞
抗原提示細胞(APC)又はアクセサリー細胞は、主要組織適合遺伝子複合体(MHC)と複合体を形成した抗原を表面に提示する細胞であり、このプロセスは抗原提示として知られる。T細胞は、これらの複合体を、T細胞受容体(TCR)を使用して認識する。
一態様では、抗原提示細胞は樹状細胞である。樹状細胞(DC)は、血液から単離された単球に由来して、単球由来樹状細胞(MoDC)を生成してもよい。一態様では、自己DCを生成するために、DCは、患者から得られた血液試料から生成される。好ましい一態様では、DCは自己MoDCである。当技術分野における標準的な方法を使用して、単離された単球から樹状細胞を生成することができる。例えば、PBMC由来DCを入手するためのプロトコールは、Leko et al. (J. Immunol. 2019, 202: 3458-3467)に記載されている。さらに、DC精製/単離キットは市販されており、これには例えば、StemCell(商標) Technologies製のEasySep(商標)DC濃縮キットがある。加えて、CD14マイクロビーズ及び関連するプロトコールを、Miltenyi Biotechから入手することができる(https://www.miltenyibiotec.com/GB-en/products/cd14-microbeads-human.html#130-050-201で入手可能)。
一態様では、抗原提示細胞はB細胞である。一態様では、B細胞は、血液、例えば、患者から得られた血液試料から増大される。一態様では、B細胞は、血液試料から単離したCD19+細胞から増大される。任意の好適な方法を使用してCD19+を単離することができ、これには例えば、抗CD19抗体でコーティングされた免疫磁性粒子を使用する陽性選択又は陰性選択がある。CD19精製/単離用試薬及びキットは市販されており、これには例えば、CD19マイクロビーズ又はB Cell Isolation Kit II、human(Miltenyi Biotec)及びEasySep(商標) Human CD19 Positive Selection Kit(StemCell(商標) Technologies)がある。別のアプローチは、例えば、CD20又はCD22マイクロビーズ(Miltenyi Biotec)を使用して、CD20又はCD22に対する陽性選択を使用することである。
当技術分野で公知の標準的な方法を使用して、B細胞を、単離されたCD19+単球から生成すること、又は血液試料若しくはPBMCから直接生成することができる。例えば、B細胞増大のためのプロトコールは、Kotsiou et al. (Blood 2016,128:72-81)に、CD40L、F(ab')2断片ヤギ抗IgA+ IgG+ IgM、CpG及びIL-4を使用するものが記載されている。別の典型的な方法は、Su et al (J Immunol 2016, 197:4163-4176)によって教示されているように、CD40Lを発現するフィーダー細胞を用いる培養である。B細胞増大キットは市販されており、これには例えば、StemCell(商標) Technologies製のImmunoCult(商標) Human B Cell Expansion Kit及びMiltenyi Biotec製のB Cell Expansion Kit、Humanがある。
一態様では、単離されたCD19+細胞は、B細胞を増大させるために、IL-4、CD40L及びCpGとともに培養される。
一態様では、B細胞増大用培地は、IL-4を、約10~100ng/mL、例えば、約25~75ng/mLの濃度で含む。一部の実施形態では、B細胞増大用培地は、約50ng/mLのIL-4を含む。一実施形態では、B細胞増大用培地は、約10ng/mL、約25ng/mL、約30ng/mL、約35ng/mL、約40ng/mL、約45ng/mL、約50ng/mL、約55ng/mL、約60ng/mL、約70ng/mL、約80ng/mL、約90ng/mL又は約100ng/mLのIL-4を含む。一実施形態では、B細胞増大用培地は、10ng/mL~20ng/mL、20ng/mL~30ng/mL、30ng/mL~40ng/mL、40ng/mL~50ng/mL、又は50ng/mL~100ng/mLのIL-4を含む。
一態様では、B細胞増大用培地は、CD40Lを、約0.5~約50IU/ml、例えば、約0.5~約10、12、15又は20IU/ml、あるいは約2.5~25IU/mlの濃度で含む。一態様では、CD40Lは、約40IU/ml、約35IU/ml、約30IU/ml、約25IU/ml、約20IU/ml、約15IU/ml、約12IU/ml、約10IU/ml、約5IU/ml、約4IU/ml、約3IU/ml、約2IU/ml、約1IU/ml又は約0.5IU/mlの濃度で存在する。一態様では、CD40Lは、約12IU/mlの濃度で存在する。
一態様では、B細胞増大用培地は、CpGを、約0.1~約10μg/mL、例えば、約0.5~約3、4、5又は6μg/mL、あるいは約4~5μg/mLの濃度で含む。一態様では、CD40Lは、約10μg/mL、約9μg/mL、約8μg/mL、約7μg/mL、約6μg/mL、約5μg/mL、約4.5μg/mL、約4μg/mL、約3μg/mL、約2μg/mL、約1μg/mL又は約0.5μg/mLの濃度で存在する。一態様では、CD40Lは、約4.6μg/mLの濃度で存在する。
抗原提示細胞は、約2:1~約1:100、例えば、約1:1、1:2、1:3、1:4、1:5、1:10、1:20、1:50又は1:75のAPCとT細胞との比で使用することができる。
一態様では、抗原提示細胞には抗原がロードされている。抗原のローディングは、当技術分野で公知の方法によって達成することができる。例えば、抗原提示細胞(APC)にペプチドでパルス刺激を行うことによって、又は遺伝子改変によって、抗原をロードすることができる。本発明の文脈において、「抗原」という用語は、1つ以上の抗原を指す。
APCにパルス刺激を行うことによってAPCに抗原をロードする方法は、当技術分野で公知である。例えば、同定された変異を含むペプチドによるパルス刺激を行うことによってAPCにロードするためのプロトコールは、Leko et al. (J Immunol. 2019, 202: 3458-3467)に記載されている。
例えばネオ抗原として同定された変異を含むペプチド等の、単一の刺激剤として又は刺激ペプチドのプールとしての、1つ以上の同定された変異を含むペプチドの形態で抗原をAPCにロードすることができる。例えば、Leko et al.は、APCを、12個の野生型アミノ酸によって両側が挟まれている同定された点変異をそれぞれが含む最大12個の個々のペプチドのプールとインキュベートすることによって、APCに抗原をロードすることを含むプロトコールを記載している。
一態様では、未熟な樹状細胞にペプチドをロードし、続いて成熟させる。別の態様では、成熟した樹状細胞にペプチドをロードする。さらに別の態様では、樹状細胞に、未熟及び成熟の両方の時点でペプチドを2回ロードする。
あるいは、抗原を発現するようにAPCを改変することによってAPCに抗原をロードする方法も、当技術分野で公知である。例えば、APCは、抗原配列をコードするmRNAをAPCにトランスフェクトすることによって、抗原配列を発現するように改変することができる。抗原配列をコードするmRNAは、ミニ遺伝子又はタンデムミニ遺伝子の形態であってもよい。APCに、同定された変異を含むペプチドをコードするmRNAを、構築物として、又は複数のそのようなペプチドをコードする構築物として、トランスフェクトしてもよい。例えば、Lekoらは、12個の野生型アミノ酸をコードする配列によって両側性に挟まれた変異アミノ酸のコード配列をそれぞれが含む最大12個のミニ遺伝子を含むタンデムミニ遺伝子RNAによってAPCのエレクトロポレーションを行うことによって、APCに抗原をロードすることを含むプロトコールを記載している。
一態様では、抗原提示細胞は、関連するペプチドを、例えば、正しいHLAコンテキスト下で提示することができる細胞である。そのような細胞は、自己HLA分子を発現する自己細胞、又は一致するHLAのアレイを発現する非自己細胞であってもよい。一態様では、人工的な抗原提示細胞に照射を行う。
「ペプチド」という用語は、隣接するアミノ酸のα-アミノ基とカルボキシル基との間の典型的にはペプチド結合によって一方から他方に連結された一連の残基、典型的にはL-アミノ酸を意味して、通常の意味で使用される。この用語には、改変ペプチド及び合成ペプチド類似体が含まれる。
ペプチドは、化学的方法(Peptide Chemistry, A practical Textbook. Mikos Bodansky, Springer-Verlag, Berlin.)を使用して作ることができる。例えば、ペプチドを、固相法(Roberge JY et al. (1995) Science 269: 202-204)によって合成して、樹脂から切断し、分取高速液体クロマトグラフィー(例えば、Creighton (1983) Proteins Structures And Molecular Principles, WH Freeman and Co, New York NY)によって精製することができる。自動合成を、例えば、ABI 43 1 A Peptide Synthesizer(Perkin Elmer)を、製造元によって提供される指示に従って使用して、達成することもできる。
あるいは、ペプチドを、組換え手段によって、又は抗原であるか若しくは抗原を含むポリペプチドからの切断によって作ることもできる。ペプチドの組成は、アミノ酸分析又はシークエンシング(例えば、エドマン分解手順)によって確認することができる。
当技術分野で周知のように、抗原は、主要組織適合遺伝子分子(MHC)が結合した抗原由来ペプチドのコンテキストでT細胞に提示される。
ペプチドが特定のMHC分子に結合し、それ故に抗原として機能する可能性があるか否かを予測する方法は、当技術分野で公知である。例えば、以下に説明するように、ペプチドのMHC結合を、netMHC(Lundegaard et al.)及びnetMHCpan(Jurtz et al.)アルゴリズムを使用して予測することができる。したがって、関連性のある1つ以上のMHC分子によって提示される可能性が高いと考えられる任意の方法を使用して予測されたペプチドを、APCにロードすることができる。これに代えて又はこれに加えて、目的の変異をそれぞれが含み、ペプチド中の目的の変異の位置が互いに異なる複数の候補ペプチドを使用して、APCに抗原をロードすることもできる。
MHCクラスIタンパク質は、身体のほとんどの有核細胞上で機能的受容体を形成する。HLAには、HLA-A、HLA-B、HLA-Cという3種の主要なMHCクラスI遺伝子、並びにHLA-E、HLA-F及びHLA-Gという3種の副次的な遺伝子がある。β2-ミクログロブリンは、主要及び副次的な遺伝子サブユニットと結合してヘテロ二量体を生成する。
MHCクラスI分子に結合するペプチドは、典型的には7~13アミノ酸、より一般的には8~11アミノ酸の長さである。ペプチドの結合は、ペプチドの主鎖中の原子と、全MHCクラスI分子のペプチド結合溝における不変部位との間の接触によって、その両端で安定化されている。溝の両端には、ペプチドのアミノ末端及びカルボキシ末端に結合する不変部位がある。ペプチドの長さの変化は、多くの場合は必要な柔軟性を可能にするプロリン又はグリシン残基の箇所での、ペプチド骨格のねじれによって順応される。
MHCクラスIIタンパク質には、HLA座位によってコードされる3つの主要なもの及び2つの副次的なものがある。クラスIIの遺伝子は組み合わさってヘテロ二量体(αβ)タンパク質受容体を形成し、典型的には抗原提示細胞の表面に発現される。
MHCクラスII分子に結合するペプチドは、典型的には8~20アミノ酸の長さであり、より一般的には10~17アミノ酸の長さであり、より長いこと(例えば、最長で40アミノ酸まで)もあり得る。これらのペプチドは、(MHCクラスIペプチド結合溝とは異なり)両端が開放されたMHC IIペプチド結合溝に沿った伸長した立体構造で存在する。ペプチドは主に、主鎖原子と、ペプチド結合溝の内部に並ぶ保存された残基との接触によって所定の位置に保持される。
ペプチドは、ペプチド内部の任意の残基位置に、変異(例えば、SNVによってコードされる非サイレントアミノ酸置換)を含むことができる。一例として、MHCクラスI分子に結合することができるペプチドは、典型的には7~13アミノ酸の長さである。そのため、アミノ酸置換は、13個のアミノ酸を含むペプチドにおける位置1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12又は13に存在することができる。
一態様では、より長いペプチド、例えば、27、28、29、30又は31アミノ酸の長さのペプチドを使用して、CD4+細胞及びCD8+細胞の両方を刺激することができる。変異は、ペプチド中の任意の位置にあってよい。一態様では、変異は、ペプチドの中心又はその近傍、例えば、位置12、13、14、15又は16にある。
抗原特異的な増大工程には、任意の好適な数の抗原、例えば、10~300種の抗原、例えば、25~250種、50~200種、70~185種、又は100~150種の抗原、例えば、約10種、20種、50種、75種、100種、125種、150種、175種、200種又は250種の抗原を使用することができる。
サイトカイン
本発明の方法によれば、T細胞を、本明細書で記載されるようなサイトカインとともに培養することができる。
「IL-2」という用語は、インターロイキン-2として知られるT細胞増殖因子を指し、これは、ヒト及び哺乳動物の形態、保存的アミノ酸置換、グリコフォーム、バイオシミラー並びにそれらの変異体を含む、IL-2のすべての形態を含む。例えば、IL-2という用語は、IL-2のヒト組換え形態、例えば、Aldesleukin(商標名PROLEUKIN(登録商標))を範囲に含む。Aldesleukin(デス-アラニル-l、セリン-125ヒトIL-2)は、およそ15kDaの分子量を有するIL-2の非グリコシル化ヒト組換え形態である。IL-2という用語はまた、WO 2012/065086に記載されているようなIL-2のペグ化形態も範囲に含む。
一態様では、非特異的なプレ増大工程において、IL-2は、約1,000~約10,000IU/mLの濃度で存在する。例えば、IL-2は、約4,000~約8,000IU/mL、例えば、約5,000IU/mL~約7,000IU/mL、好ましくは約6,000IU/mLの濃度で存在し得る。非特異的なプレ増大工程では、IL-2を、約1,000、2,000、3,000、4,000、5,000、6,000、7,000、8,000、9,000又は10,000IU/mLの濃度で使用することができる。
抗原特異的な増大工程で使用されるIL-2の濃度は、例えば、非特異的なプレ増大工程又はブースト増大工程で使用されるIL-2の濃度と比較して、「より低い」又は「減少した」と記載することができる。より低い濃度のIL-2は、抗原に応答したT細胞の選択的増大を促進し、非特異的な増大を減少させるために使用される。
好ましい一態様では、抗原特異的な増大工程において、IL-2は、約10~500IU/ml、例えば、約50IU/ml~250IU/ml、好ましくは約100IU/mlの濃度で存在する。抗原特異的な増大工程では、IL-2を、約50、75、100、150、250又は500IU/mlの濃度で使用することができる。
一態様では、非特異的なブースト工程及び/又はプレ増大工程において、IL-2は、約100~10,000IU/mLの濃度で存在する。例えば、IL-2は、約500~約6,000IU/mL、例えば、約1,000IU/mL~約5,000IU/mL、又は約3,500~約4,500IU/mL、好ましくは約4,000IU/mLの濃度で存在し得る。非特異的なブースト増大工程では、IL-2を、約500、1,000、2,000、3,000、4,000、5,000、6,000、7,000、8,000、9,000又は10,000IU/mLの濃度で使用することができる。
「IL-15」という用語は、免疫調節性サイトカインであるインターロイキン-15を指し、これは、ヒト及び哺乳動物の形態、保存的アミノ酸置換、グリコフォーム、バイオシミラー並びにそれらの変異体を含む、IL-15のすべての形態を含む。例えば、IL-15という用語は、IL-15のヒト組換え形態を範囲に含む。
一態様では、IL-15は、約10~1600IU/mL、例えば、約80~800IU/mLの濃度で存在する。一態様では、IL-15は、約500IU/mL、約400IU/mL、約300IU/mL、約200IU/mL、約180IU/mL、約160IU/mL、約140IU/mL、約120IU/mL、又は約100IU/mLの濃度で存在する。一態様では、IL-15は、約100IU/mL~約500IU/mLの濃度で存在する。別の態様では、IL-15は、約100~400IU/mL、又は約100~300IU/mL、好ましくは約200IU/mL、より好ましくは160IU/mLの濃度で存在する。
「IL-21」という用語は、免疫調節性サイトカインであるインターロイキン-21を指し、これは、ヒト及び哺乳動物の形態、保存的アミノ酸置換、グリコフォーム、バイオシミラー並びにそれらの変異体を含む、IL-21のすべての形態を含む。例えば、IL-21という用語は、IL-21のヒト組換え形態を範囲に含む。
一態様では、IL-21は、約0.5~約50IU/mL、例えば、約0.5~約10、12、15又は20IU/mL、あるいは約1~5IU/mL、又は約2.5~25IU/mLの濃度で存在する。一態様では、IL-21は、約40IU/mL、約35IU/mL、約30IU/mL、約25IU/mL、約20IU/mL、約15IU/mL、約12IU/mL、約10IU/mL、約5IU/mL、約4IU/mL、約3IU/mL、約2IU/mL、約1IU/mL又は約0.5IU/mLの濃度で存在する。一態様では、IL-21は、約0.5IU/mL~約50IU/mL、好ましくは約32.5IU/mLの濃度で存在する。
本明細書で言及されるIL-2、IL-15及び/又はIL-21の濃度は、各増大工程の出発時の初期濃度であり得る。IL-2、IL-15及び/又はIL-21の濃度は、例えば、反復供給工程で濃度を制御することによって、培養工程を通して一定のままであってもよく、又は指定の最大濃度を超えないように培養を通して変化してもよい。
血清代替物
インビトロ培養中の細胞には、一般的に、細胞の成長及び維持を助けるために、血清、例えば、ヒト又はウシ由来の血清が添加される。しかし、ヒトへの投与を意図した治療用製品の製造におけるGMPの目的には、回避可能であればヒト又はウシ由来の血清を含まないことが望ましい。
ヒト又はウシ由来の血清に代わるものが、血清代替物、例えば、CTS(商標) Immune Cell SR(Gibco)の形態で市販されている。
血清代替物のさらなる選択肢は、血小板溶解物の使用である。血小板溶解物は、細胞培養におけるウシ胎仔血清(FBS)の代替的添加物である。これは、血小板を溶解させて、細胞増大を支える増殖因子を放出させる凍結/解凍サイクルの後に血小板から得られる。血小板溶解物を含有するFBS非含有細胞培養培地がGMP品質で市販されており、細胞療法の製造に使用することができる。好ましい一態様では、血小板溶解物はヒト血液から得られ、これは本明細書でヒト血小板溶解物(hPL)と称される。
血小板溶解物は、本明細書で定義されるT細胞増大工程のいずれかにおいて、細胞培養培地中に含めることができる。一態様では、血小板溶解物は、プレ増大工程の間に存在する。別の態様では、血小板溶解物は、抗原特異的な増大工程の間に存在する。さらに別の一態様では、血小板溶解物は、非特異的なブースト増大工程の間に存在する。好ましくは、血小板溶解物は、工程のそれぞれを通して存在する。
一態様では、血小板溶解物は、約1%~約10%、例えば、約5%の濃度で存在する。
抗体
本発明の方法によれば、T細胞を、本明細書で記載されるような抗体とともに培養することができる。
「CD3」という用語は、分化クラスター3を指す。CD3は、T細胞活性化に関与するタンパク質複合体及びT細胞共受容体である。これは、CD3γ鎖、CD3δ鎖、及び2つのCD3ε鎖から構成される。これらの鎖はT細胞受容体及びζ鎖(ゼータ鎖)と会合して、Tリンパ球において活性化シグナルを発生させる。
抗CD3抗体のCD3への結合は、T細胞の活性化を刺激する。抗CD3抗体は、当技術分野で公知である。例えば、好適な抗CD3抗体には、OKT3(Muromab)、TRX4(Otelixizumab)、PRV-031(Teplizumab)及びVisilizumabが含まれる。
一態様では、抗CD3抗体はOKT3である。
一態様では、抗CD3抗体は、約0.1~1,000ng/mL、例えば、約10~1,000ng/mL、例えば、約30~300ng/mLの濃度で存在する。一部の実施形態では、細胞培養培地は、約30ng/mLの抗CD3抗体を含む。一実施形態では、細胞培養培地は、約0.1ng/mL、約0.5ng/mL、約1ng/mL、約2.5ng/mL、約5ng/mL、約7.5ng/mL、約10ng/mL、約15ng/mL、約20ng/mL、約25ng/mL、約30ng/mL、約35ng/mL、約40ng/mL、約50ng/mL、約60ng/mL、約70ng/mL、約80ng/mL、約90ng/mL、約100ng/mL、約200ng/mL、約500ng/mL、又は約1μg/mLの抗CD3抗体を含む。一実施形態では、細胞培養培地は、0.1ng/mL~1ng/mL、1ng/mL~5ng/mL、5ng/mL~10ng/mL、10ng/mL~20ng/mL、20ng/mL~30ng/mL、30ng/mL~40ng/mL、40ng/mL~50ng/mL、又は50ng/mL~100ng/mLの抗CD3抗体を含む。
「CD28」という用語は、分化クラスター28を意味する。CD28はナイーブT細胞上に恒常的に発現される。例えば、抗CD28抗体によるCD28の刺激は、T細胞の活性化及び生存に必要な共刺激シグナルを提供する。好適な抗CD28抗体は当技術分野で公知である。
一態様では、抗CD28抗体は、約0.1~1,000ng/mL、例えば、約10~1,000ng/mL、例えば、約30~300ng/mLの濃度で存在する。一部の実施形態では、細胞培養培地は、約30ng/mLの抗CD28抗体を含む。一実施形態では、細胞培養培地は、約0.1ng/mL、約0.5ng/mL、約1ng/mL、約2.5ng/mL、約5ng/mL、約7.5ng/mL、約10ng/mL、約15ng/mL、約20ng/mL、約25ng/mL、約30ng/mL、約35ng/mL、約40ng/mL、約50ng/mL、約60ng/mL、約70ng/mL、約80ng/mL、約90ng/mL、約100ng/mL、約200ng/mL、約500ng/mL、又は約1μg/mLの抗CD28抗体を含む。一実施形態では、細胞培養培地は、0.1ng/mL~1ng/mL、1ng/mL~5ng/mL、5ng/mL~10ng/mL、10ng/mL~20ng/mL、20ng/mL~30ng/mL、30ng/mL~40ng/mL、40ng/mL~50ng/mL、又は50ng/mL~100ng/mLの抗CD28抗体を含む。
「CD2」という用語は、分化クラスター2を指す。CD2は、T細胞及びナチュラルキラー(NK)細胞の表面に見出される細胞接着分子である。その接着性に加えて、CD2はT細胞及びNK細胞の共刺激分子としても作用する。好適な抗CD2抗体は、当技術分野で公知である。
一態様では、抗CD2抗体は、約0.1~1,000ng/mL、例えば、約10~1,000ng/mL、例えば、約30~300ng/mLの濃度で存在する。一部の実施形態では、細胞培養培地は、約30ng/mLの抗CD2抗体を含む。一実施形態では、細胞培養培地は、約0.1ng/mL、約0.5ng/mL、約1ng/mL、約2.5ng/mL、約5ng/mL、約7.5ng/mL、約10ng/mL、約15ng/mL、約20ng/mL、約25ng/mL、約30ng/mL、約35ng/mL、約40ng/mL、約50ng/mL、約60ng/mL、約70ng/mL、約80ng/mL、約90ng/mL、約100ng/mL、約200ng/mL、約500ng/mL、又は約1μg/mLの抗CD2抗体を含む。一実施形態では、細胞培養培地は、0.1ng/mL~1ng/mL、1ng/mL~5ng/mL、5ng/mL~10ng/mL、10ng/mL~20ng/mL、20ng/mL~30ng/mL、30ng/mL~40ng/mL、40ng/mL~50ng/mL、又は50ng/mL~100ng/mLの抗CD2抗体を含む。
一態様では、非特異的なブースト増大工程は、抗CD3抗体を使用する。別の態様では、非特異的なブースト増大工程は、抗CD3抗体及び抗CD28抗体の組合せを使用する。別の態様では、非特異的なブースト増大工程は、抗CD3抗体、抗CD28抗体及び抗CD2抗体の組合せを使用する。
抗CD3及び/又は抗CD28及び/又は抗CD2抗体は、可溶性であってもよく、アクセサリー細胞上に存在してもよく、固体表面、例えば、ビーズに結合していてもよく、又はポリマーナノマトリックス構造若しくはミクロスフェアの中に存在してもよい。
本発明の特定の一態様では、抗体は、可溶性四量体抗体複合体として提供される。四量体抗体複合体の結合は、細胞表面リガンドの架橋をもたらし、それによってT細胞活性化に必要な一次シグナル及び共刺激シグナルを提供する。そのような抗体複合体は、磁性ビーズ、フィーダー細胞又は抗原の非存在下でヒトT細胞を活性化して増大させるように設計される。
一態様では、CD3/CD28四量体抗体複合体は、本明細書で記載される非特異的な増大工程のいずれかに使用される。そのような複合体は、市販されている(例えば、STEMCELL Technologies製のImmunoCult(商標) Human CD3/CD28 T cell Activator)。
一態様では、CD3/CD28/CD2四量体抗体複合体は、非特異的な増大工程に使用される。そのような複合体は、市販されている(例えば、STEMCELL Technologies製のImmunoCult(商標) Human CD3/CD28 T cell Activator)。
別の一態様では、抗体は、滅菌濾過及び余分な試薬の除去を可能にするコロイド状ポリマーナノマトリックスにコンジュゲートされる。ヒト化CD3及びCD28抗体にコンジュゲートされたコロイド状ポリマーナノマトリックスは、市販されている(例えば、Miltenyi Biotec製のT Cell TransAct(商標) human)。
さらなる一態様では、抗体は、ミクロスフェア、例えば、磁性を有しないCD3/CD28ミクロスフェア(例えば、Bio-Techne製のCloudz(商標) CD3/28)の中に提供される。
さらに別の一態様では、磁性ビーズは、抗体、例えば、抗CD3及び抗CD28抗体(例えば、Thermo Fisher Scientific製のDynabeads(商標)Human T-Activator CD3/CD28)でコーティングされる。
一態様では、本発明は、抗原特異的T細胞を含むT細胞の集団を生成するための方法であって、
a)単離されたT細胞をIL-2、IL-15及びIL-21の存在下で培養する工程、並びに
b)前記T細胞を、抗原がロードされた抗原提示細胞と共培養する工程であって、前記T細胞及び抗原提示細胞がIL-2及びIL-15の存在下で共培養される工程
を含む方法を提供する。
別の態様では、本発明は、抗原特異的T細胞を含むT細胞集団を生成するための方法であって、
a)単離されたT細胞をIL-2及びIL-21の存在下で培養する工程、
b)前記T細胞を、抗原がロードされた抗原提示細胞と共培養する工程であって、前記T細胞及び抗原提示細胞がIL-2の存在下で共培養される工程、並びに
c)工程b)で生成された細胞を、抗CD3抗体、抗CD28抗体、抗CD2抗体及びIL-2の存在下で培養する工程
を含む方法を提供する。
別の態様では、本発明は、抗原特異的T細胞を含むT細胞集団を生成するための方法であって、
a)単離されたT細胞をIL-2、IL-15及びIL-21の存在下で培養する工程、
b)前記T細胞を、抗原がロードされた抗原提示細胞と共培養する工程であって、前記T細胞及び抗原提示細胞がIL-2及びIL-15の存在下で共培養される工程、並びに
c)工程b)で生成された細胞を、抗CD3抗体、抗CD28抗体、抗CD2抗体及びIL-2の存在下で培養する工程
を含む方法を提供する。
一態様では、プレ増大工程a)は、約7~約21日、例えば、約10~約18日にわたり持続する。一態様では、プレ増大工程は、約11、12、13、14、15、16又は17日にわたり持続する。
一態様では、プレ増大工程a)は、T細胞の非特異的増大を増加させるためのさらなる構成成分を含む。プレ増大工程へのさらなる構成成分(以下に詳述する)の添加は、集団におけるT細胞全体の数の増加、及び好ましくは抗原特異的T細胞の数の増加をもたらし得る。
一態様では、プレ増大工程a)は、単離されたT細胞を、
(i)抗CD3抗体、
(ii)抗CD28抗体、及び/又は
(iii)抗CD2抗体
のうちの1つ以上の存在下で培養することを含む。
一態様では、プレ増大工程は、抗CD3抗体を使用する。別の態様では、プレ増大工程は、抗CD3抗体及び抗CD28抗体の組合せを使用する。別の態様では、プレ増大工程は、抗CD3抗体、抗CD28抗体及び抗CD2抗体の組合せを使用する。
一態様では、プレ増大工程は、インターフェロンガンマ(IFNγ)を使用する。インターフェロンガンマは、二量体化した可溶性サイトカインであり、II型クラスのインターフェロンの唯一のメンバーであり、一連の免疫応答の誘導及び調節において重要な役割を果たす。IFNγの好適なタイプは当技術分野で公知であり、市販されており、これには例えば、ThermoFisher製のヒトIFNγ組換えタンパク質及びPeproTech製の組換えヒトIFN-γがある。
一態様では、プレ増大工程は、抗CD3抗体をIFNγと組み合わせて使用する。別の態様では、プレ増大工程は、抗CD3抗体、抗CD28抗体及びIFNγの組合せを使用する。別の態様では、プレ増大工程は、抗CD3抗体、抗CD28抗体及び抗CD2抗体並びにIFNγの組合せを使用する。
一態様では、IFNγは、約0.1~1,000ng/mL、例えば、約10~500ng/mL、例えば、約5~20ng/mLの濃度で存在する。一部の実施形態では、細胞培養培地は、約10ng/mLのIFNγを含む。一実施形態では、細胞培養培地は、約0.1ng/mL、約0.5ng/mL、約1ng/mL、約2.5ng/mL、約5ng/mL、約7.5ng/mL、約10ng/mL、約15ng/mL、約20ng/mL、約25ng/mL、約30ng/mL、約35ng/mL、約40ng/mL、約50ng/mL、約60ng/mL、約70ng/mL、約80ng/mL、約90ng/mL、約100ng/mL、約200ng/mL、約500ng/mL、又は約1μg/mLのIFNγを含む。一実施形態では、細胞培養培地は、0.1ng/mL~1ng/mL、1ng/mL~5ng/mL、5ng/mL~10ng/mL、10ng/mL~20ng/mL、20ng/mL~30ng/mL、30ng/mL~40ng/mL、40ng/mL~50ng/mL、又は50ng/mL~100ng/mLのIFNγ抗体を含む。
抗CD3抗体及び/又は抗CD28抗体及び/又は抗CD2抗体及び/又はIFNγは、プレ増大工程の間の任意の時点で添加することができる。一態様では、さらなる構成成分(抗体及び/又はIFNγ)は、プレ増大工程の終わり近く、例えば、工程の50%、75%又はそれより多くが完了した時点で添加される。したがって、抗体及び/又はIFNγは、プレ増大工程の第5、6、7、8、9、10、11、12、13、14日又は第15日に培養物に添加することができる。
一態様では、抗原特異的な増大工程b)は、約7~約21日、例えば、約10~約17日にわたり持続する。一態様では、特定の増大工程は、約8、9、10、11、12、13、14、15、16、17又は18日にわたり持続する。
一態様では、非特異的なブースト増大工程c)は、約3~約21日にわたり持続する。一態様では、ブースト増大工程は、約5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16又は17日にわたり持続する。
適切な細胞密度を維持するために、細胞を2~3日毎に分割することができる。新たなサイトカインを添加して、サイトカイン濃度を維持することができる。
T細胞集団
本発明はさらに、本発明の方法によって生成されたT細胞集団を提供する。
本発明に従って生成されるT細胞集団は、所与の抗原に対して特異的な、すなわち、それを標的とするT細胞について濃縮することができる。すなわち、本発明に従って生成されるT細胞集団では、1つ以上の所与の抗原を標的とするT細胞の数が増加していると考えられる。例えば、本発明のT細胞集団では、対象から単離された試料中のT細胞と比較して、前記抗原を標的とするT細胞の数が増加している。すなわち、T細胞集団の組成は、「天然の」T細胞集団(すなわち、本明細書で考察される増大工程を経ていない集団)のものとは異なると考えられ、前記抗原を標的とするT細胞のパーセンテージ又は割合が増加していると考えられる。
本発明に係るT細胞集団は、所与の1つの抗原又は抗原のセットを標的とするT細胞を、少なくとも約0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95又は100%有することができる。例えば、T細胞集団は、所与の1つの抗原又は抗原のセットを標的とするT細胞を、約0.2%~5%、5%~10%、10~20%、20~30%、30~40%、40~50%、50~70%又は70~100%有することができる。一態様では、T細胞集団は、前記抗原を標的とするT細胞を少なくとも約1、2、3、4又は5%有し、例えば、前記抗原を標的とするT細胞を少なくとも約2%又は少なくとも2%有する。
あるいは換言すれば、T細胞集団は、所与の抗原を標的としないT細胞を、約5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、99.1、99.2、99.3、99.4、99.5、99.6、99.7、99.8%以下で有することができる。例えば、T細胞集団は、前記抗原を標的としないT細胞を、約95%~99.8%、90%~95%、80~90%、70~80%、60~70%、50~60%、30~50%又は0~30%以下で有することができる。一態様では、T細胞集団は、前記抗原を標的としないT細胞を約99、98、97、96又は95%以下で有し、例えば、前記抗原を標的としないT細胞を約98%又は95%以下で有する。
抗原反応性T細胞の増大された集団は、例えば、抗原を使用して、増大されてはいないT細胞の集団よりも、高い活性を有し得る。「活性」への言及は、抗原ペプチド、例えば、増大のために使用されるペプチドに対応するペプチド、又は抗原由来ペプチドの混合物による再刺激に対するT細胞集団の応答を表すことができる。応答をアッセイするための好適な方法は、当技術分野で公知である。例えば、サイトカイン産生を測定することができる(例えば、IL-2又はIFNγの産生を測定することができる)。「より高い活性」への言及は、例えば、活性の1~5倍、5~10倍、10~20倍、20~50倍、50~100倍、100~500倍、500~1,000倍への増加を含む。一態様では、活性は、1,000倍超の高さであってもよい。
好ましい一実施形態では、本発明は、複数のT細胞又はT細胞の集団、すなわち、1つより多いT細胞を提供し、ここで複数のT細胞は、所与の抗原を認識するT細胞及び異なる抗原を認識するT細胞を含む。このため、本発明は、異なる複数の抗原を認識する複数のT細胞を提供する。あるいは、複数のもの又は集団における異なるT細胞が、同一の抗原を認識する異なるTCRを有してもよい。
好ましい一実施形態では、複数のT細胞によって認識される抗原の数は、2~1000種である。例えば、認識される抗原の数は、2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、50、100、150、200、250、300、350、400、450、500、550、600、650、700、750、800、850、900、950又は1000種、好ましくは2~100種であり得る。異なるTCRを有するものの同一の抗原を認識する、複数のT細胞が存在し得る。
T細胞集団は、すべてが若しくは主としてCD8+ T細胞で構成されてもよく、又はすべてが若しくは主としてCD8+ T細胞及びCD4+ T細胞の混合物で構成されてもよく、又はすべてが若しくは主としてCD4+ T細胞で構成されてもよい。
ヘルパーT細胞(TH細胞)は、B細胞の形質細胞及びメモリーB細胞への成熟、並びに細胞傷害性T細胞及びマクロファージの活性化を含む免疫学的プロセスにおいて、他の白血球を補助する。TH細胞はその表面にCD4を発現する(すなわち、それらはCD4+ T細胞である)。TH細胞は、抗原提示細胞(APC)の表面にあるMHCクラスII分子によってペプチド抗原とともに提示を受けた場合に活性化される。これらの細胞は、TH1、TH2、TH3、TH17、Th9、又はTFHを含むいくつかのサブタイプのうちの1つに分化することができ、これらは異なるサイトカインを分泌して、異なるタイプの免疫応答を促進する。
細胞傷害性T細胞(TC細胞、又はCTL)は、ウイルス感染細胞及び腫瘍細胞を破壊し、移植拒絶反応にも関与する。CTLはその表面にCD8を発現する(すなわち、CTLはCD8+ T細胞である)。これらの細胞は、すべての有核細胞の表面に存在するMHCクラスIと会合した抗原への結合によってそれらの標的を認識する。制御性T細胞によって分泌されるIL-10、アデノシン及び他の分子を介してCD8+細胞は不活化され、それにより、自己免疫疾患が予防される。
機能的特性
一態様では、本発明の方法に従って生成されたT細胞集団では、CD25発現が増加している。T細胞は、抗原による再刺激に応答して、CD25の発現をアップレギュレートするか又は増加させることができる。
「CD25」という用語は、インターロイキン-2受容体アルファ鎖(IL2RA)を指す。インターロイキン2受容体アルファ及びベータ(IL2RB)鎖は、共通のガンマ鎖(IL2RG)とともに、高親和性IL2受容体を構成する。ホモ二量体アルファ鎖(IL2RA)は低親和性受容体を生じ、ホモ二量体ベータ鎖(IL2RB)は中親和性受容体を生じる。CD25は、制御性T細胞上にCD4とともに発現される。
一態様では、本発明の方法に従って生成されたT細胞集団では、CD27発現が増加している。CD27は腫瘍壊死因子受容体スーパーファミリーのメンバーである。CD27はCD70に結合して、T細胞の分化及びクローン増大をもたらす。CD27はT細胞メモリーの生成において役割を果たす。
一態様では、本発明の方法に従って生成されたT細胞集団では、CD57発現が減少している。CD57抗原は、末梢血単核細胞、NKリンパ球及びTリンパ球のサブセットの表面に存在する。ヒトリンパ球上でのCD57の発現は、増殖不能であること(老化)を示す可能性があるが、CD57陽性細胞はまた、高い細胞傷害能、メモリー様の特徴及び強力なエフェクター機能も示し得る。
本明細書で考察されるように、本発明に従って生成されたT細胞では、IFNγの発現が増加している可能性がある。IFNγの発現を決定するための好適な方法は、当技術分野で公知である。
本明細書に記載されるT細胞は、CD3+/CD56-表現型を有してもよい。
別の態様では、本発明の方法に従って生成されたT細胞集団は、CD4+及びCD8+ T細胞のより均等なバランス又は比を有し得る。例えば、本明細書で記載される本発明の方法は、以前の方法よりも高い割合のCD8+細胞を含むT細胞の集団をもたらすことができる。CD8+細胞の増加は有利であり得る(例えば、Prieto et al, J Immunother 2010 Jun; 33(5):547-56を参照のこと)。したがって、T細胞集団は、以前の方法によって達成されたT細胞集団よりも、CD4+/CD8+ T細胞についてよりバランスがとれている可能性がある。一態様では、T細胞集団は、CD8+ T細胞を約20%~約80%、例えば、CD8+ T細胞を約30%~70%、例えば、CD8+ T細胞を、少なくとも約10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%若しくは95%又はそれより多く含み得る。一実施形態では、T細胞集団は、CD8+ T細胞を少なくとも約50%含む。
T細胞組成物
本発明はさらに、本明細書で記載される本発明に係るT細胞の集団を含むT細胞組成物を提供する。
T細胞組成物は、本明細書で定義される複数のT細胞を含む医薬組成物であり得る。医薬組成物は、薬学的に許容される担体、希釈剤又は賦形剤をさらに含むことができる。医薬組成物は、場合により、1つ以上のさらなる薬学的に活性なポリペプチド及び/又は化合物を含むことができる。そのような製剤は、例えば、静脈内注入に好適な形態であってもよい。
抗原特異的T細胞
T細胞の混合出発集団における抗原特異的T細胞の同定は、当技術分野で公知の方法を使用して行うことができる。例えば、抗原特異的T細胞を、抗原ペプチドを含むMHC多量体を使用して同定することができる。
MHC多量体はMHC分子のオリゴマー形態であり、関連のないT細胞の大集団の中から、特定の抗原に対して高い親和性を有するT細胞を同定して単離するように設計されている。多量体を使用して、クラス1 MHC、クラス2 MHC、又は非古典的分子(例えば、CD1d)を提示することができる。
最も一般的に使用されるMHC多量体は四量体である。これらは通常、真核細胞又は細菌細胞で組換え的に生産される可溶性MHCモノマーをビオチン化することによって作製される。これらのモノマーは次にストレプトアビジン又はアビジンなどの骨格と結合し、四価の構造を作る。これらの骨格に蛍光色素を結合させ、例えばフローサイトメトリーにより結合したT細胞を分離する。
抗原
本発明の一態様では、T細胞集団は、がん関連又は腫瘍特異的抗原を標的とするT細胞を含む。
腫瘍抗原には以下のものが含まれる:CEA、未熟ラミニン受容体、TAG-72、HPV E6及びE7、BING-4、カルシウム活性化塩素チャネル2、サイクリン-B1、9D7、Ep-CAM、EphA3、Her2/neu、テロメラーゼ、メソテリン、SAP-1、サバイビン、BAGEファミリー、CAGEファミリー、GAGEファミリー、MAGEファミリー、SAGEファミリー、XAGEファミリー、NY-ESO-1/LAGE-1、PRAME、SSX-2、メラン-A/MART-1、gp100/pmel17、チロシナーゼ、TRP-1/-2、P.ポリペプチド、MC1R、前立腺特異的抗原、ベータ-カテニン、BRCA1/2、CDK4、CML66、フィブロネクチン、MART-2、p53、ras、TGF-ベータRII及びMUC1。
腫瘍抗原には、また、以下のものも含まれ得る:707-AP = 707アラニンプロリン、AFP = アルファ(α)-フェトプロテイン、ART-4 = T細胞によって認識される腺癌抗原4、BAGE = B抗原; β-カテニン/m、β-カテニン/変異型、Bcr-abl = 切断点クラスター領域-Abelson、CAMEL = CTLにより認識される黒色腫上の抗原、CAP-1 = 癌胎児性抗原ペプチド-1、CASP-8 = カスパーゼ-8、CDC27m = 細胞分裂周期27変異型、CDK4/m = サイクリン依存性キナーゼ4変異型、CEA = 癌胎児性抗原、CT = がん/精巣(抗原)、Cyp-B = シクロフィリンB、DAM = 分化抗原黒色腫(DAM-6及びDAM-10のエピトープは同等であるが、遺伝子配列は異なる。DAM-6はMAGE-B2とも呼ばれ、DAM-10はMAGE-B1とも呼ばれる)、ELF2M = 伸長因子2変異型、ETV6-AML1 = Etsバリアント遺伝子6/急性骨髄性白血病1遺伝子ETS、G250 = 糖タンパク質250、GAGE = G抗原、GnT-V = N-アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼV、Gp100 = 糖タンパク質100kD、HAGE = ヘリカーゼ(helicose)抗原、HER-2/neu = ヒト上皮受容体-2/神経性、HLA-A*0201-R170I = HLA-A2遺伝子におけるα2ドメインのαヘリックスの残基170でのアルギニン(R)のイソロイシン(I)への交換、HPV-E7 = ヒトパピローマウイルスE7、HSP70-2M = 熱ショックタンパク質70-2変異型、HST-2 = ヒト印環腫瘍-2、hTERT又はhTRT = ヒトテロメラーゼ逆転写酵素、iCE = 腸カルボキシルエステラーゼ、KIAA0205 = データベースに記載されている遺伝子名、LAGE = L抗原、LDLR/FUT = 低密度脂質受容体/GDP-L-フコース: β-D-ガラクトシダーゼ2-α-L-フコシルトランスフェラーゼ、MAGE = 黒色腫抗原、MART-1/Melan-A = T細胞によって認識される黒色腫抗原1/黒色腫抗原A、MC1R = メラノコルチン1受容体、ミオシン/m = ミオシン変異型、uMUC1 = ムチン1、MUM-1、-2、-3 = 黒色腫ユビキタス変異型1、2、3、NA88-A = 患者M88のNA cDNAクローン、NY-ESO-1 = New York-食道性1、P15 = タンパク質15、p190 minor bcr-abl = 190 3KD bcr-ablのタンパク質、Pml/RARα = 前骨髄球性白血病/レチノイン酸受容体α、PRAME = 黒色腫の選好的発現抗原、PSA = 前立腺特異的抗原、PSM = 前立腺特異的膜抗原、RAGE = 腎抗原、RU1又はRU2 = 腎ユビキタス1又は2、SAGE = 肉腫抗原、SART-1又はSART-3 = 扁平上皮抗原拒絶性腫瘍1又は3、TEL/AML1 = 転座Etsファミリー白血病/急性骨髄性白血病1、TPI/m = トリオースリン酸イソメラーゼ変異型、TRP-1 = チロシナーゼ関連タンパク質1、又はgp75、TRP-2 = チロシナーゼ関連タンパク質2、TRP-2/INT 2 = TRP-2/イントロン2、WT 1 = ウィルムス腫瘍遺伝子。
ネオ抗原
本発明の一態様において、抗原(アンチゲン)はネオ抗原であり得る。
「ネオ抗原」とは、がん細胞内での変異の結果として生じる腫瘍特異的抗原のことである。従って、ネオ抗原は、対象における健康(即ち、非腫瘍)細胞によって発現されない(又は有意に低いレベルで発現される)。ネオ抗原は、MHC分子に関して提示された場合、T細胞により認識され得る特有のペプチドを生成するようにプロセシングされ得る。本明細書に記載されているように、ネオ抗原をがん免疫療法の基礎として使用してもよい。本明細書における「ネオ抗原」の言及は、ネオ抗原由来のペプチドも含むことが意図される。用語「ネオ抗原」は、本明細書で使用されるとき、免疫原性であるネオ抗原の任意の部分を包含することが意図される。
「抗原」は、本明細書で言及されるとき、それ自体又はその一部が、適切な方法によって免疫系又は免疫細胞に提示された場合、免疫反応を刺激することができる分子である。(特定のHLAアレルによりコードされた)特定のMHC分子へのネオ抗原の結合は、当分野で既知の方法を使用して予測され得る。MHC結合を予測する方法の例には、Lundegaard et al.、O’Donnel et al.及びBullik-Sullivan et al.に記載されているものが挙げられる。例えば、ネオ抗原のMHC結合は、netMHC(Lundegaard et al.)及びnetMHCpan(Jurtz et al.)アルゴリズムを使用して予測される。特定のMHC分子へのネオ抗原の結合は、ネオ抗原がMHC分子により細胞表面に提示されることが前提条件である。
本明細書に記載されるネオ抗原は、野生型の健康な細胞で発現する非変異タンパク質と比較して、がん細胞でタンパク質及び/又はその発現を変化させる非サイレント変異(コード又は非コードのいずれでも)によって生じ得る。言い換えれば、変異は、野生型の健康な細胞では発現しないか、又は非常に低いレベルで発現するアミノ酸配列の発現をもたらす。例えば、変異はタンパク質のコード配列に生じることがあり、その結果、得られるタンパク質のアミノ酸配列が変化する。これは「コード変異」と呼ばれることがある。別の例として、変異はスプライス部位で起こり、その結果、野生型タンパク質とは異なる、又は一般的でないエクソンのセットを含むタンパク質が生成される場合がある。さらなる例として、変異したタンパク質は転座又は融合により生じてもよい。
「変異」とは、同じ個体由来の健康な細胞と比較して、腫瘍細胞のヌクレオチド配列(例えば、DNA又はRNA)に違いがあることを指す。そのヌクレオチド配列の違いは、同じ個体由来の健康な細胞では発現しないタンパク質の発現をもたらす可能性がある。実施形態において、変異は、一塩基バリアント(SNV)、多塩基バリアント(MNV)、欠失変異、挿入変異、インデル変異、フレームシフト変異、転座、ミスセンス変異、スプライス部位変異、融合(fusion)、又は腫瘍細胞の遺伝子材料における任意の他の変化のうちの1以上であり得る。
「インデル(indel)変異」とは、生物のヌクレオチド配列(例えば、DNA又はRNA)における塩基の挿入及び/又は欠失をいう。典型的には、インデル変異は、生物のDNA、好ましくはゲノムDNAに生じる。実施形態において、インデルは、1~100塩基、例えば、1~90、1~50、1~23又は1~10塩基であり得る。インデル変異は、フレームシフトインデル変異であってもよい。フレームシフトインデル変異は、ヌクレオチド配列の読み枠に変化をもたらす1つ以上のヌクレオチドの挿入又は欠失である。このようなフレームシフトインデル変異は、新規のオープンリーディングフレームを生成する可能性があり、これは、典型的には、対象の対応する健常細胞において非変異DNA/RNAによってコードされるポリペプチドとは非常に異なるものである。
これらの変異は、エクソームシーケンシング、RNA-seq、全ゲノムシーケンシング及び/又はターゲット遺伝子パネルシーケンシング及び/又はルーチンの単一遺伝子のサンガーシーケンシングによって特定され得る。適切な方法は当技術分野において公知である。エクソームシーケンシングとRNA-seqについては、それぞれ、Boaら(Cancer Informatics. 2014;13(Suppl 2):67-82)及びAresら(Cold Spring Harb Protoc. 2014 Nov 3;2014(11):1139-48)に記載されている。ターゲット遺伝子パネルシーケンシングについては、例えば、Kammermeierら(J Med Genet. 2014 Nov; 51(11):748-55)及びYap KLら(Clin Cancer Res. 2014. 20:6605)の記載を参照できる。また、Meyerson et al., Nat. Rev. Genetics, 2010及びMardis, Annu Rev Anal Chem, 2013も参照されたい。また、ターゲット遺伝子シーケンシングパネルは、市販品を入手可能である(例えば、Biocompare社により要約されている(http://www.biocompare.com/ Editorial-Articles/161194-Build-Your-Own-Gene-Panels-with-These-Custom-NGS-Targeting-Tools/))。
腫瘍試料からのDNA及び/又はRNAと非腫瘍試料からのDNA及び/又はRNAとを比較して、ヌクレオチドの違い(例えばSNV)を特定するための配列アライメントは、当技術分野で公知の方法を用いて行い得る。例えば、参照試料と比較したヌクレオチドの違いは、Koboldtら(Genome Res. 2012; 22: 568-576)に記載された方法を用いて実施することができる。参照試料は、生殖細胞系列のDNA及び/又はRNA配列であってもよい。
クローン性ネオ抗原
一態様において、ネオ抗原はクローン性ネオ抗原であり得る。
「クローン性ネオ抗原」(「トランカルネオ抗原(truncal neoantigen)」と呼ばれることもある)とは、クローン性変異から生じるネオ抗原のことである。「クローン性変異」(「トランカル変異(truncal mutation)」と呼ばれることもある)は、対象由来の1以上の試料中の本質的にあらゆる腫瘍細胞内に存在する(あるいは、試料(複数可)中の腫瘍遺伝子材料が由来する本質的にあらゆる腫瘍細胞内に存在すると推定され得る)変異である。したがって、クローン性変異は、対象由来の1以上の試料中のあらゆる腫瘍細胞内に存在する変異であり得る。例えば、クローン性変異は、腫瘍形成の初期に発生する変異であり得る。
「サブクローン性ネオ抗原」(「分岐ネオ抗原(branched neoantigen)」と呼ばれることもある)とは、サブクローン性変異から生じるネオ抗原のことである。「サブクローン性変異」(「分岐変異(branched mutation)」と呼ばれることもある)は、対象由来の1以上の腫瘍試料中の細胞のサブセット又はある割合に存在する(あるいは、試料(複数可)中の腫瘍遺伝子材料が由来する腫瘍細胞のサブセット内に存在すると推定され得る)変異である。例えば、サブクローン性変異は、腫瘍形成の後期に特定の腫瘍細胞で発生し、かつその細胞の子孫である細胞のみに見られる変異の結果であり得る。
対象の1つ以上の試料に関連する「本質的にあらゆる腫瘍細胞」という表現は、1つ以上の試料又は対象における腫瘍細胞の少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%を指す場合がある。
このように、クローン性ネオ抗原は、腫瘍全体に効率的に発現しているネオ抗原である。サブクローン性ネオ抗原は、腫瘍内の細胞又は領域のサブセット又は一部に発現しているネオ抗原である。「腫瘍全体に効率的に発現している」とは、試料として分析される腫瘍の全領域にクローン性ネオ抗原が発現していることを意味し得る。
ある変異が「本質的にあらゆる腫瘍細胞内にコード化(又は発現)されている」という判断は、統計的計算に基づいており、そのため統計分析と閾値に依存していることが理解されよう。
同様に、クローン性ネオ抗原が「腫瘍全体に効率的に発現している」という判断も、統計的計算に基づいており、そのため統計分析と閾値に依存している。
当技術分野では、ネオ抗原が「クローン性」であるかどうかを判断するための様々な方法が知られている。クローン性ネオ抗原を同定するのに適切ないずれの方法、例えばLandau et al. (Cell. 2013 Feb 14;152(4):714-26);MacGranahan et al. (Science 2016 March 25;351(6280):1463-1469);又はRoth et al. (Nat Methods. 2014 April ; 11(4): 396-398)に記載されている方法を使用することができる。
例として、変異を有するがん細胞の割合を表すがん細胞画分(CCF)は、変異がクローン性かサブクローン性かを判断するために使用され得る。例えば、がん細胞画分は、Landauら(Cell. 2013 Feb 14;152(4):714-26)に記載されるように、バリアントアレル頻度をコピー数及び純度推定値と統合させることによって決定される。
適切には、CCF値は、分析したそれぞれのあらゆる腫瘍領域内で同定された全ての変異について計算してもよい。1つの領域のみが使用される場合(すなわち、単一の試料のみ)、1セットのCCF値だけが得られる。これは、その腫瘍領域内の全ての腫瘍細胞にどのような変異が存在するかに関する情報を提供し、それによって、その変異がクローン性かサブクローン性かを判断する指標を提供するであろう。複数の腫瘍領域が使用される場合(例えば、複数の試料)、CCF値は各領域について個別に得られてもよいし、複数の腫瘍領域の1つ以上について共同で得られてもよい。
そのようなCCF推定値はまた、クローン性である可能性がある変異を同定するために使用することができる。クローン性変異は、がん細胞画分(CCF)≧0.75、例えば、CCF≧0.80、0.85、0.90、0.95又は1.0を有する変異と定義され得る。サブクローン性変異は、CCF<0.95、0.90、0.85、0.80、又は0.75を有する変異と定義され得る。一態様では、クローン性変異は、CCF≧0.95を有する変異として定義され、サブクローン性変異は、CCF<0.95を有する変異として定義される。
上述したように、クローン性変異の判定は、統計分析と閾値に依存している。CCF推定値は、0と1の間のCCFの複数の可能な値のそれぞれに確率密度を関連付ける分布と関連付ける(例えば、分布から導き出す)ことができ、そこから信頼度の統計的推定値を得ることができる。例えば、95%CCF信頼区間が≧0.75である場合、すなわち、推定CCFの95%信頼区間の上限が0.75以上である場合、変異はクローン性変異である可能性があるとして定義され得る。言い換えれば、下限値L、上限値Hで、P(L<CCF<H)=95%かつH>=0.75となるCCFの区間が存在する場合、変異はクローン性変異である可能性が高いと定義することができる。
一態様において、CCFの95%信頼区間がCCF=1を含む場合、変異はクローン性変異と定義され得る。
別の態様では、ある変異のがん細胞画分(CCF)が上記で定義された要求値(例えば0.75又は0.95)に達するかそれを超える可能性又は確率が50%超、例えば、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%又はそれを超える可能性又は確率である場合に、その変異はクローン性であると同定され得る。言い換えれば、P(CCF>0.75) >= 0.5であれば、変異はクローン性であると同定され得る。
確率値は、パーセンテージ又は割合(画分)で表すことができる。この確率は事後確率(posterior probability)として定義され得る。
一態様において、変異が0.95より大きいがん細胞画分を有する確率が≧0.75である場合に、その変異はクローン性であると同定され得る。
別の態様では、変異は、そのがん細胞画分(CCF)が≧0.95である可能性が50%を上回る場合に、クローン性であると同定され得る。
さらなる態様では、変異は、そのCCFが第1の閾値(例えば0.95)を超える事後確率が第2の閾値(例えば0.5)より大きいか小さいか、又はそのCCF=1が第3の閾値より大きいか小さいかに基づいて、それぞれ、クローン性又はサブクローン性と分類され得る。
別の態様では、変異が0.75より大きいがん細胞画分を有する確率が≧0.5である場合、その変異はクローン性であると同定され得る。
一態様において、T細胞集団は、複数すなわち2以上のクローン性ネオ抗原を標的とするT細胞を含むことができる。
一態様では、クローン性ネオ抗原の数は2~1000である。例えば、クローン性ネオ抗原の数は、2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、50、100、150、200、250、300、350、400、450、500、550、600、650、700、750、800、850、900、950又は1000であってもよく、例えば、クローン性ネオ抗原の数は2~100であり得る。
一態様において、T細胞集団は、あるクローン性ネオ抗原を認識するT細胞と、異なるクローン性ネオ抗原を認識するT細胞とを含む。このように、T細胞集団は、様々なクローン性ネオ抗原を認識する複数のT細胞を含み得る。
一態様では、T細胞集団によって認識されるクローン性ネオ抗原の数は、2~1000である。例えば、認識されるクローン性ネオ抗原の数は、2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、50、100、150、200、250、300、350、400、450、500、550、600、650、700、750、800、850、900、950又は1000であってもよく、例えば、認識されるクローン性ネオ抗原の数は2~100であり得る。
一態様では、T細胞集団は、同じクローン性ネオ抗原を認識する。
一態様では、ネオ抗原は、本明細書に記載されるようなサブクローン性ネオ抗原であってもよい。
上述したように、クローン性ネオ抗原は、本質的にあらゆる腫瘍細胞内にコード化されているものであり、すなわち、ネオ抗原をコードする変異は本質的にあらゆる腫瘍細胞内に存在しており、腫瘍全体に効率的に発現されているようである。しかし、クローン性ネオ抗原は、HLAアレル(腫瘍の少なくとも一部では失われる)によってコードされたHLA分子により提示されると予測され得る。この場合、クローン性ネオ抗原は、実際には、本質的にあらゆる腫瘍細胞上には提示されない可能性がある。そのため、該ネオ抗原の提示はクローン性でないかもしれない。つまり、それは本質的にあらゆる腫瘍細胞内で提示されるわけではない。HLAの損失を予測する方法は、国際特許公開番号WO2019/012296に記載されている。
本明細書に記載の本発明の一態様では、ネオ抗原は本質的にあらゆる腫瘍細胞内に提示されると予測される(すなわち、ネオ抗原の提示はクローン性である)。
ネオ抗原特異的T細胞療法
本発明によるT細胞集団は、ネオ抗原を標的とするT細胞を含み得る。本発明の一態様では、T細胞集団は、クローン性ネオ抗原を標的とするT細胞を含み得る。本発明の文脈において、「標的」という用語は、T細胞がネオ抗原に特異的であり、ネオ抗原に対する反応を出す(mount a response)ことを意味し得る。
一態様において、T細胞集団は、クローン性ネオ抗原などのネオ抗原を標的とするように選択的に増大されたT細胞を含み得る。
すなわち、T細胞集団は、1以上のネオ抗原を標的とするT細胞の数が増加している可能性がある。例えば、本発明のT細胞集団は、対象から分離された試料中のT細胞と比較して、ネオ抗原を標的とするT細胞の数が増加しているであろう。すなわち、このT細胞集団の組成物は、ネオ抗原を標的とするT細胞の割合又は比率が増加していて、並びに/あるいはネオ抗原を標的とするT細胞とネオ抗原を標的としないT細胞との集団中の比率が、ネオ抗原を標的とするT細胞を支持して高くなるという点で、「ネイティブ」T細胞集団(すなわち、本明細書で述べる同定及び増大工程を受けていない集団)のそれとは異なるであろう。
本発明に係るT細胞集団は、少なくとも約0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95又は100%の、ネオ抗原を標的とするT細胞を有し得る。例えば、T細胞集団は、約0.2%~5%、5%~10%、10~20%、20~30%、30~40%、40~50%、50~70%又は70~100%の、ネオ抗原を標的とするT細胞を有し得る。一態様では、T細胞集団は、少なくとも約1、2、3、4又は5%の、ネオ抗原を標的とするT細胞、例えば、少なくとも約2%又は少なくとも2%の、ネオ抗原を標的とするT細胞を有する。
あるいは、T細胞集団は、約5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、99.1、99.2、99.3、99.4、99.5、99.6、99.7、99.8%以下の、ネオ抗原を標的としないT細胞を有し得る。例えば、T細胞集団は、約95%~99.8%、90%~95%、80~90%、70~80%、60~70%、50~60%、30~50%又は0~30%の、ネオ抗原を標的としないT細胞を有し得る。一態様では、T細胞集団は、約99、98、97、96又は95%以下の、ネオ抗原を標的としないT細胞、例えば、約98%又は95%以下の、ネオ抗原を標的としないT細胞を有する。
増大されたネオ抗原反応性T細胞の集団は、例えばネオ抗原ペプチドを用いることで、増大されていないT細胞の集団よりも高い活性を示し得る。「活性」への言及は、ネオ抗原ペプチド(例えば、増大に使用されたペプチドの一部若しくはすべてを含むペプチド(又は対応するコード配列))又はネオ抗原ペプチドの混合物による再刺激に対するT細胞集団の反応を表すことができる。その反応をアッセイするための適切な方法は、当技術分野で公知である。例えば、サイトカイン産生が測定され得る(例えば、IL-2又はIFNγの産生を測定し得る)。「より高い活性」への言及には、例えば、1~5、5~10、10~20、20~50、50~100、100~500、500~1000倍の活性増加が含まれる。一態様では、活性は1000倍を超えて高いことがある。
本発明の一態様において、1つ以上のネオ抗原を特異的に認識することができるT細胞は、対象からの試料において同定され、次に本明細書に記載されるようにex vivo培養によって増大(拡大)される。T細胞の混合出発集団におけるネオ抗原特異的T細胞の同定は、当技術分野において公知である方法を用いて実施することができる。例えば、ネオ抗原特異的T細胞は、本明細書に記載のように、ネオ抗原ペプチドを含むMHC多量体を用いて同定され得る。
MHC多量体は、MHC分子のオリゴマー形態であり、無関係なT細胞の大集団の中から、特定の抗原に高い親和性を持つT細胞を同定し分離するために設計されている。多量体は、クラス1 MHC、クラス2 MHC、又は非古典的分子(例えばCD1d)を提示するために使用されることがある。
最も一般的に使用されるMHC多量体は四量体である。これらは、典型的には真核細胞又は細菌細胞で組換え生産される可溶性MHC単量体をビオチン化することにより典型的に製造される。これらの単量体は、次にストレプトアビジン又はアビジンなどの骨格に結合し、四価の構造を作る。これらの骨格に蛍光色素を結合させ、続いて例えばフローサイトメトリなどにより、結合したT細胞を単離する。
免疫療法
本明細書に記載の本発明は、治療、特に免疫療法に使用するためのT細胞集団を提供し得る。
本発明は、対象におけるがんの予防又は処置に使用するための、本明細書に記載のT細胞集団又はT細胞療法を包含する。
本発明は、がんを有する対象を処置するための方法であって、本明細書に記載のT細胞集団又はT細胞療法を前記対象に投与することを含む方法を包含する。
本発明はまた、対象におけるがんの予防又は処置に使用するための医薬の製造に使用するための、本明細書に記載のT細胞集団又はT細胞療法を包含する。
本発明はさらに、対象におけるがんの予防又は処置における、本明細書に記載のT細胞集団又はT細胞療法の使用を包含する。
「免疫療法」という用語は、免疫反応を誘導すること、増強すること、抑制すること又は他の様式で修正することを含む方法による、疾患に罹患している、又は罹患するか若しくは再発を起こすリスクのある対象の処置を指す。免疫療法の例には、限定するものではないが、T細胞療法が含まれる。T細胞療法には、養子T細胞療法、自己T細胞療法、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)療法、操作T細胞療法、キメラ抗原受容体(CAR)T細胞療法、操作TCR T細胞療法及び同種(allogeneic)T細胞移植が含まれ得る。T細胞療法の例は、国際公開第WO2018/002358号、WO2013/088114号、WO2015/077607号、WO2015/143328号、WO2017/049166号及びWO2011/140170号に記載されている。
免疫療法のT細胞は、当技術分野で公知のあらゆる供給源に起源があってよい。例えば、T細胞を、in vitroで造血幹細胞集団から分化させることができ、又は対象からT細胞を得ることができる。T細胞は、例えば、末梢血単核細胞、骨髄、リンパ節組織、臍帯血、胸腺組織、感染部位の組織、腹水、胸水、脾臓組織、及び腫瘍から得ることができる。加えて、T細胞は、当技術分野で入手可能な1つ以上のT細胞株に由来してもよい。当業者に公知のいくつもの手法、例えば、FICOLL(商標)分離及び/又はアフェレーシスを使用して、対象から採取された一定量の血液からT細胞を得ることもできる。T細胞療法のためにT細胞を単離するさらなる方法は、米国特許出願公開第2013/0287748号に開示されており、これはその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
本明細書に記載の本発明はまた、対象におけるがんの処置又は予防における本発明に係るT細胞集団の使用を包含する。
本明細書に記載のT細胞集団は、T細胞療法と称することができる。
T細胞療法の単回用量が患者に投与され得る。一態様では、T細胞療法の単回用量は、0日目にのみ患者に投与される。本発明の他の態様では、T細胞療法の複数回用量は、患者に対して0日目から開始して投与する。例えば、T細胞療法の用量数は、2回、3回、4回、5回、6回、7回、8回、9回、10回又は10回を上回ってもよい。
投薬は、1年あたり1回、2回、3回、4回、5回、6回又は6回を上回ってもよい。或いは、投薬は、1か月あたり1回、2回、3回、4回、5回、6回又は6回を上回ってもよい。さらなる一態様では、投薬は、2週間ごとに1回、2回、3回、4回、5回、6回又は6回を上回ってもよい。別のさらなる一態様では、投薬は、1週あたり1回、2回、3回、4回、5回、6回又は6回を上回ってもよく、例えば、週に1回若しくは隔日に1回であってもよい。
T細胞療法の投与は、必要な限り継続することができる。
本明細書に記載されるT細胞療法は、in vitro、ex vivo又はin vivoで、例えば、in situ処置又はex vivo処置のいずれかの後に、処置された細胞の身体への投与を行うために使用することができる。
本明細書に記載される本発明に係る特定の態様では、T細胞療法は、例えば、本明細書に記載されるようなT細胞の単離及び増大の後に、対象に再注入される。T細胞を再注入する好適な方法は、当技術分野で公知である。
T細胞療法は、好適な用量で対象に投与することができる。投薬レジメンは、主治医及び臨床的要因によって決定され得る。ある1人の患者に対する投薬量は、患者の大きさ、体表面積、年齢、投与される特定の化合物、性別、投与の時間及び経路、全身の健康状態、並びに同時に投与されている他の薬物を含む多くの要因に依存することが、当技術分野で認められている。
T細胞療法は、所与の数の本明細書に記載されるT細胞の患者への移入を伴い得る。T細胞の治療有効量は、少なくとも細胞約10個、少なくとも細胞約104個、少なくとも細胞約105個、少なくとも細胞約106個、少なくとも細胞約107個、少なくとも細胞約108個、少なくとも細胞約109個、少なくとも細胞約1010個、少なくとも細胞約1011個、少なくとも細胞約1012個、又は少なくとも細胞約1013個であり得る。
T細胞の他の好適な用量は、例えば、WO2016/191755、WO2019/112932、WO2018/226714、WO2018/182817、WO2018/129332、WO2018/129336、WO2018/094167、WO2018/081789及びWO2018/081473に記載されている通りであってよい。
改変T細胞
本発明の一態様において、T細胞は、改変T細胞、例えば遺伝子改変T細胞であってもよい。
本発明に係るT細胞を増大(expanding)させる方法は、T細胞の少なくとも一部を、例えば遺伝子編集によって改変する工程をさらに含んでいてもよい。
T細胞は遺伝子編集法によって改変されてもよい。遺伝子編集法は当技術分野において公知であり、CRISPR法、TALE法、ジンクフィンガー法、及びそれらの組み合わせから選択することができる。
一態様において、遺伝子編集は、1つ以上の免疫チェックポイント遺伝子、例えば、PD-1、CTLA-4、LAG-3、HAVCR2 (TIM-3)、Cish、TGFβ、PKA、CBL-B、PPP2CA、PPP2CB、PTPN6、PTPN22、PDCD1、BTLA、CD 160、TIGIT、CD96、CRT AM、LAIR1、SIGLEC7、SIGLEC9、CD244、TNFRSF10B、TNFRSF10A、CASP8、C ASP 10、CASP3、CASP6、CASP7、FADD、FAS、SMAD2、SMAD3、SMAD4、SMAD10、SKI、SKIL、TGIFl、IL10RA、IL10RB、HMOX2、IL6R、IL6ST、EIF2AK4、CSK、PAG1、SIT1、FOXP3、PRDMl、BATF、GUCY1A2、GUCY1A3、GUCY1B2、GUCY1B3、TOX、ANKRD11、SOCS1、及びBCORを含む群から選択される遺伝子、の発現をサイレンシング又は減少させ得る。
別の態様において、遺伝子編集は、例えば、CCR2、CCR4、CCR5、CXCR2、CXCR3、CX3CR1、IL-2、IL-4、IL-7、IL-10、IL-15、IL-21、NOTCH 1/2細胞内ドメイン(ICD)、及び/又はNOTCHリガンドmDLLlを含む群から選択される、1つ以上の免疫チェックポイント遺伝子の発現を増強させ得る。
遺伝子編集の方法はWO2021/081378に記載されている。
がん
一態様では、本明細書に記載されるがんは、肺がん(小細胞、非小細胞及び中皮腫)、黒色腫、膀胱がん、胃がん、食道がん、乳がん(例えば、トリプルネガティブ乳がん)、結腸直腸がん、子宮頸がん、卵巣がん、子宮内膜がん、腎臓がん(腎細胞)、脳がん(例えば、神経膠腫、星状細胞腫、膠芽腫)、リンパ腫、小腸がん(十二指腸及び空腸)、白血病、肝臓がん(肝細胞癌)、膵臓がん、肝胆道腫瘍、胚細胞がん、前立腺がん、メルケル細胞癌、頭頸部がん(扁平上皮細胞)、甲状腺がん、高マイクロサテライト不安定性(MSI-H)、及び肉腫から選択される。
一態様では、がんは、黒色腫及び非小細胞肺がん(NSCLC)から選択される。
一態様では、がん、例えば、黒色腫又はNSCLCは、転移性及び/又は手術不能及び/又は再発性であり得る。
本発明に係る処置はまた、循環腫瘍細胞及び/又は腫瘍由来の転移を標的とすることも包含する。
対象
本明細書において、「対象」及び「患者」という用語は、互換的に使用される。
本発明の好ましい態様では、対象は、哺乳動物、好ましくはネコ、イヌ、ウマ、ロバ、ヒツジ、ブタ、ヤギ、ウシ、マウス、ラット、ウサギ又はモルモットであるが、最も好ましくは対象はヒトである。
本明細書で定義される「処置(治療)」とは、処置(治療)前の症状と比較して、処置(治療)中の疾患の1以上の症状を軽減、緩和又は除去することを指す。
「予防」(prevention)(又は防止(prophylaxis))とは、疾患の症状の発症を遅らせる又は阻止することを指す。予防は、(疾患が起こらないように)絶対的であってもよいし、一部の個体にのみ又は限られた時間だけ有効であってもよい。
投与レジメン
本明細書に記載の本発明の一態様において、T細胞療法の単回用量が患者に投与され得る。一態様では、T細胞療法の単回用量は、0日目にのみ患者に投与される。本発明の他の態様では、T細胞療法の複数回用量は、患者に対して0日目から開始して投与する。例えば、T細胞療法の用量数は、2回、3回、4回、5回、6回、7回、8回、9回、10回又は10回を上回ってもよい。
投薬は、1年あたり1回、2回、3回、4回、5回、6回又は6回を上回ってもよい。或いは、投薬は、1か月あたり1回、2回、3回、4回、5回、6回又は6回を上回ってもよい。さらなる一態様では、投薬は、2週間ごとに1回、2回、3回、4回、5回、6回又は6回を上回ってもよい。別のさらなる一態様では、投薬は、1週あたり1回、2回、3回、4回、5回、6回又は6回を上回ってもよく、例えば、週に1回若しくは隔日に1回であってもよい。
T細胞療法の投与は、必要な限り継続することができる。
IL-2療法
本明細書に記載の本発明に係るT細胞集団又は療法は、IL-2投与と組み合わせて、例えば患者におけるがんの処置において、使用し得る。
一態様では、本発明は、患者におけるがんの処置又は予防における使用のための、本発明に係るT細胞療法及び約2.0MIU/m2/日未満の用量のIL-2を提供する。さらなる一態様では、本発明は、患者におけるがんの処置又は予防における使用のためのT細胞療法であって、前記T細胞療法がIL-2との投与のためであり、前記IL-2が約2.0MIU/m2/日未満の用量での投与のためである、T細胞療法を提供する。
T細胞療法及びIL-2は、別々に、同時に、又は逐次的に患者に投与することができる。
IL-2は、約1.9MIU/m2/日、約1.8MIU/m2/日、約1.7MIU/m2/日、約1.6MIU/m2/日、約1.5MIU/m2/日、約1.4MIU/m2/日、約1.3MIU/m2/日、約1.2MIU/m2/日、約1.1MIU/m2/日、約1.0MIU/m2/日、約0.9MIU/m2/日、約0.8MIU/m2/日、約0.7MIU/m2/日、約0.6MIU/m2/日、約0.5MIU/m2/日、約0.4MIU/m2/日、約0.3MIU/m2/日又は約0.2MIU/m2/日の用量で投与され得る。
一態様では、前記IL-2は約1.0MIU/m2/日の用量で投与される。
さらなる一態様では、前記IL-2は1日1回投与される。
別の態様では、前記IL-2は、約14日間、13日間、12日間、11日間、10日間、9日間、8日間、7日間、6日間、5日間、4日間、3日間、2日間又は1日間、好ましくは10日間毎日投与される。
一態様では、前記IL-2は、14日間未満、例えば、約13日間、12日間、11日間、10日間、9日間、8日間、7日間、6日間、5日間、4日間、3日間、2日間又は1日間、好ましくは10日間投与される。一態様では、前記IL-2は、13日間以下、例えば、12日間、11日間、10日間、9日間、8日間、7日間、6日間、5日間、4日間、3日間、2日間又は1日間以下で投与される。
前記IL-2の用量は、それぞれの日で同じであってもよい。
本発明の一態様では、前記患者に投与されるIL-2の総用量は、約10MIU/m2を超えない。
一態様では、前記IL-2の初回用量は、T細胞療法と同じ日に投与される。
一態様では、前記IL-2は14回未満の用量で、前記患者に投与される。例えば、13回、12回、11回、10回、9回、8回、7回、6回、5回、4回、3回、2回、又は1回用量の前記IL-2が、前記患者に投与される。
好ましい一態様では、前記IL-2の10回用量が、前記患者に投与される。
さらなる一態様では、前記IL-2は、0日目~9日目に毎日投与される。
IL-2は、静脈内(IV)及び皮下(SC)を含む任意の経路によって投与され得る。低用量IL-2は、典型的には皮下注射によって与えられ、一方、高用量IL-2は一般に、i.v.注入を介して投与される。特定の一態様では、IL-2は皮下投与される。
リンパ球除去(lymphodepletion)
T細胞の移入の前に、患者は典型的にはリンパ球除去療法を受ける。リンパ球除去処置は、内因性リンパ球の数を減少させ、患者に存在する恒常性サイトカイン及び/又は免疫促進因子の血清レベルを上昇させることによって、T細胞療法の有効性を改善する。免疫療法のための骨髄非破壊的リンパ球除去レジメンの例は、国際特許公開第WO2004/021995号に開示されている。
一態様では、本発明は、リンパ球除去剤、例えば、シクロホスファミド及び/又はフルダラビンの投与を含む。一態様では、本発明は、T細胞療法の前のシクロホスファミド及びフルダラビンの投与を含む。各成分の投与のタイミングを調整して、効果を最大にすることができる。本明細書に記載されるように、T細胞療法を施す日を0日目と指定することができる。シクロホスファミド及びフルダラビンは、T細胞療法の施行前の任意の時点で投与することができる。
一態様では、シクロホスファミド及びフルダラビンの投与は、T細胞療法の施行の少なくとも7日、少なくとも6日、少なくとも5日、少なくとも4日、少なくとも3日、少なくとも2日、又は少なくとも1日前に開始される。
別の態様では、シクロホスファミド及びフルダラビンの投与は、T細胞療法の施行の少なくとも8日、9日、10日、11日、12日、13日、又は14日前に開始され得る。一態様では、シクロホスファミド及びフルダラビンの投与は、T細胞療法の施行の7日、6日又は5日前に開始される。特定の一態様では、シクロホスファミドの投与はT細胞療法の施行の約7日前に開始され、フルダラビンの投与はT細胞療法の施行の約5日前に開始される。別の態様では、シクロホスファミドの投与はT細胞療法の施行の約5日前に開始され、フルダラビンの投与はT細胞療法の施行の約5日前に開始される。
各成分の投与のタイミングを調整して、効果を最大にすることができる。一般に、シクロホスファミド及びフルダラビンは、約2日間、約3日間、約4日間、約5日間、約6日間、又は約7日間、毎日投与することができる。本明細書に記載されるように、T細胞療法を患者に施す日を0日目と指定することができる。一部の態様では、シクロホスファミドは、0日目の前の7日目及び6日目(すなわち、-7日目及び-6日目)に患者に投与される。他の態様では、シクロホスファミドは、-5日目、-4日目、及び-3日目に患者に投与される。一部の態様では、フルダラビンは、-5日目、-4日目、-3日目、-2日目及び-1日目に患者に投与される。他の態様では、フルダラビンは-5日目、-4日目、及び-3日目に患者に投与される。シクロホスファミド及びフルダラビンは同じ又は別の日に投与することができる。特定の一態様では、シクロホスファミド及びフルダラビンは両方とも-6日目、-5日目、及び-4日目に患者に投与される。
シクロホスファミド及びフルダラビンは、静脈内(IV)を含む任意の経路によって投与することができる。一部の態様では、シクロホスファミドは、約30分から120分間かけてIV投与される。
特定の一態様では、本発明は、T細胞療法を必要とする患者のコンディショニング(conditioning)を行う方法であって、約500mg/m2/日の用量のシクロホスファミド及び約60mg/m2/日の用量のフルダラビンを患者に投与することを含み、シクロホスファミドが-5日目、-4日目、及び-3目日に投与され、フルダラビンが-5日目、-4日目、及び-3日目に投与される、方法を含む。
別の態様では、本発明は、T細胞療法を必要とする患者のコンディショニングを行う方法であって、約300又は500mg/m2/日の用量のシクロホスファミド及び約30又は60mg/m2/日の用量のフルダラビンを患者に投与することを含み、シクロホスファミドが-7日目及び-6日目に投与され、フルダラビンが-5日目、-4日目、-3日目、-2日目及び-1日目に投与される、方法を含む。
一態様では、リンパ球除去剤は3日間毎日投与される。一態様では、リンパ球除去剤は、前記T細胞療法の施行前の-6日目、-5日目及び-4日目に投与される。一態様では、シクロホスファミドは、約200mg/m2/日~約500mg/m2/日の間の用量で、好ましくは約300mg/m2/日の用量で投与される。一態様では、フルダラビンは、約20mg/m2/日~50mg/m2/日の間の用量で、好ましくは約30mg/m2/日の用量で投与される。
一態様では、細胞注入の前の-6日目、-5日目、及び-4日目のそれぞれにフルダラビンは約30mg/m2の用量で投与され、シクロホスファミドは約300mg/m2の用量で投与される。
一態様では、本発明は、患者のがんを処置する方法であって、
(i)T細胞療法の施行前の、約300mg/m2/日のシクロホスファミド及び約30mg/m2/日のフルダラビンのリンパ球除去レジメン、
(ii)T細胞療法の単回用量、並びに
(iii)約10日間1日1回投与される約1.0 MIU/m2/日の用量のIL-2
を患者に投与することを含み、
前記IL-2の初回用量がT細胞療法と同じ日に投与される、方法を提供する。
他の併用療法
本明細書に記載の発明は、他の適切な療法と組み合わせて(併用して)もよい。
本発明に係るがんを処置するための方法及び使用は、追加のがん療法と組み合わせて行ってもよい。特に、本発明に係るT細胞組成物は、チェックポイント遮断療法、共刺激性抗体、化学療法及び/若しくは放射線療法、ターゲット療法、又はモノクローナル抗体療法と組み合わせて投与してもよい。
チェックポイント阻害剤としては、例えば、PD-1阻害剤、PD-L1阻害剤、Lag-3阻害剤、Tim-3阻害剤、TIGIT阻害剤、BTLA阻害剤、及びCTLA-4阻害剤が挙げられるが、これらに限定されない。共刺激性抗体は、免疫制御受容体を介してポジティブなシグナルを伝達するものであり、ICOS、CD137、CD27、OX-40、及びGITRが含まれるが、これらに限定されない。好ましい実施形態では、チェックポイント阻害剤はCTLA-4阻害剤である。
適切な免疫チェックポイント阻害剤の例としては、ペムブロリズマブ、ニボルマブ、アテゾリズマブ、デュルバルマブ、アベルマブ、トレメリムマブ、及びイピリムマブが挙げられる。
本明細書で使用される化学療法エンティティ(chemotherapeutic entity)とは、細胞に対して破壊的なエンティティを指し、すなわち、該エンティティは細胞の生存能力を低減させるものである。化学療法エンティティは細胞毒性薬であり得る。企図される化学療法剤としては、限定するものではないが、以下が挙げられる:アルキル化剤、アントラサイクリン類、エポチロン類、ニトロソウレア類、エチレンイミン類/メチルメラミン、アルキルスルホナート類、アルキル化剤、代謝拮抗物質、ピリミジン類似体、エピポドフィロトキシン類、酵素、例えばL-アスパラギナーゼ;生物学的応答修飾因子、例えば、IFNα、IL-2、G-CSF及びGM-CSF;白金配位錯体、例えば、シスプラチン、オキサリプラチン及びカルボプラチン、アントラセンジオン類、置換尿素、例えばヒドロキシ尿素、メチルヒドラジン誘導体、例えばN-メチルヒドラジン(MIH)及びプロカルバジン、副腎皮質系抑制剤、例えばミトタン(o,p'-DDD)及びアミノグルテチミド;ホルモン及び拮抗薬、例えば副腎皮質ステロイド拮抗薬(例:プレドニゾンと同等物、デキサメタゾン及びアミノグルテチミド);プロゲスチン剤、例えば、カプロン酸ヒドロキシプロゲステロン、メドロキシプロゲステロン酢酸エステル及び酢酸メゲストロール;エストロゲン剤、例えば、ジエチルスチルベストロール及びエチニルエストラジオール同等物;抗エストロゲン剤、例えばタモキシフェン;アンドロゲン剤、例えば、プロピオン酸テストステロン、フルオキシメステロン/同等物;抗アンドロゲン剤、例えば、フルタミド、ゴナドトロピン放出ホルモン類似体及びリュープロリド;非ステロイド性抗アンドロゲン剤、例えばフルタミド;並びに化学療法剤ペイロードを有する薬物コンジュゲート。
「組み合わせて(併用)」(in combination)とは、本発明に係るT細胞組成物の投与前、投与と同時、又は投与後に、追加の療法を施行(投与)することを意味し得る。
一態様において、本発明に係るT細胞組成物は、チェックポイント遮断療法と組み合わせて投与することができる。チェックポイント阻害剤は、T細胞組成物の投与前及び投与後の両方に投与することができる。特定の実施形態では、チェックポイント阻害剤の1用量がT細胞組成物の前に投与され、別の用量がT細胞組成物の2週間後に投与され、更なる用量が最大12ヶ月間継続される。好ましい実施形態では、チェックポイント阻害剤はペムブロリズマブである。
また、チェックポイント遮断との組み合わせに加えて、又はその代替として、本発明のT細胞組成物は、TALEN及びCrispr/Casを含むがこれらに限定されない遺伝子編集技術を用いて、免疫チェックポイントに対してそれらを耐性にするように、遺伝子改変することができる。そのような方法は当技術分野で知られている。例えば、US20140120622を参照のこと。遺伝子編集技術を用いて、PD-1、Lag-3、Tim-3、TIGIT、BTLA、CTLA-4及びこれらの組み合わせを含むがこれらに限定されない、T細胞によって発現される免疫チェックポイントの発現を防止してもよい。本明細書で論じられるT細胞は、これらの方法のいずれで改変されてもよい。
本発明に係るT細胞はまた、腫瘍へのホーミングを増加させる分子を発現するように、かつ/又はサイトカイン、可溶性免疫調節受容体及び/若しくはリガンドを含むがこれらに限定されない炎症性メディエーターを腫瘍微小環境に送達するように、遺伝子改変してもよい。
キット
一態様において、本発明は、本明細書に記載のようなT細胞療法を含むキットを提供する。
別段の定義がない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、本開示が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されているのと同じ意味を有する。Singleton, et al., DICTIONARY OF MICROBIOLOGY AND MOLECULAR BIOLOGY, 20 ED., John Wiley and Sons, New York (1994)、及びHale & Marham, THE HARPER COLLINS DICTIONARY OF BIOLOGY, Harper Perennial, NY (1991) は、当業者に、本開示で使用される用語の多くの一般的な辞書を提供する。
本開示は、本明細書に開示される例示的な方法及び材料によって限定されず、本明細書に記載されるものと類似又は同等の方法及び材料はどれも、本開示の態様の実施又は試験に使用することができる。数値範囲は、その範囲を定義している数値を含む。
本明細書で提供される見出しは、本明細書全体を参照することによって得られる本開示の様々な態様又は態様を制限するものでない。したがって、すぐ下で定義される用語は、本明細書全体を参照することにより、より完全に定義される。
本明細書で使用される「タンパク質」という用語には、タンパク質、ポリペプチド、及びペプチドが含まれる。
その他の用語の定義は、本明細書の随所に見ることができる。例示的な態様がより詳細に説明される前に、本開示は、説明された特定の態様に限定されず、当然ながら、そうしたものは変化し得る、ことを理解すべきである。また、本明細書で使用される用語は、特定の態様を説明するためだけのものであって、限定することを意図したものではなく、それゆえ、本開示の範囲は添付の特許請求の範囲によってのみ限定される、ことも理解すべきである。
ある範囲の値が提供される場合、その範囲の上限と下限の間の、文脈上別段の明確な指示がない限り下限の単位の10分の1までの、各介在値もまた、具体的に開示されている、ことが理解される。記載された範囲内の任意の記載値又は介在値と、その記載された範囲内の任意の他の記載値又は介在値との間の各小範囲は、本開示に包含される。これらの小範囲の上限及び下限は、独立してその範囲に含まれることも除外されることもあり、上限及び下限のいずれか一方又は両方がその小範囲に含まれるか、どちらも含まれない場合の各範囲も、記載された範囲内の特に除外された上限/下限を条件として、本開示に包含される。記載された範囲が上限と下限の一方又は両方を含む場合、それらの含まれる上限と下限の一方又は両方を除外する範囲もまた、本開示に包含される。
本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用される場合、単数形の「a」、「an」、及び「the」は、文脈上別段の明確な指示がない限り、複数の指示対象を含むことに留意する必要がある。
本明細書で使用される用語「含む」(comprising、comprises、及びcomprised of)は、「包含する」(including、includes)又は「含有する」(containing、contains)と同義であり、かつ包括的又はオープンエンド(open-ended)であって、追加の、列挙されていないメンバー、要素又は方法の工程を除外しない。また、用語「含む」(comprising、comprises、及びcomprised of)には、用語「からなる」(consisting of)も含まれる。
本明細書で論じられる刊行物は、本出願の出願日前のそれらの開示のためにのみ提供される。本明細書のいかなるものも、そのような刊行物が本明細書に添付された特許請求の範囲に対して先行技術を構成する、ことを認めるものと解釈されるべきではない。
本発明は、ここで、例示目的だけのために以下の実施例を参照してさらに記載される。
実施例
[実施例1]
抗原の同定及び作製
血液及び腫瘍試料を各患者から入手して、全エクソームシークエンシング(WES)を実施した。独自のPELEUS(商標)バイオインフォマティクスプラットフォームを使用して、次の工程を実施した:
(i)生殖系列(血液)試料及び一致させた腫瘍試料からのDNA配列データを互いに及び参照ゲノムと比較することによって、患者特異的な体細胞変異(一塩基変異体(SNV)、複数ヌクレオチド変異体(MNV)及び挿入/欠失(インデル)を含む)を同定する、
(ii)患者からの配列データを考慮して、クローン性である可能性が高い変異のセットを、ベイズ的アプローチ(例えば、McGranahan et al., Science Vol 135:6280, p. 1463-1469、Roth et al., Nat Methods. 2014 April ; 11(4): 396-398)を使用して同定する、
(iii)クローン性である可能性が高いとして同定された体細胞変異のセットを含むペプチドのセットを設計する。
得られた抗原ペプチド候補のセットを、標準的なペプチド合成法を使用して製造した。各ペプチド配列は29アミノ酸の長さであり、クローン性体細胞変異のうちの1つ及び体細胞変異の周囲の生殖系列配列の一部を含んでいた。患者当たり70~185種のクローン性ネオ抗原ペプチドを生成して、抗原特異的な増大工程に使用した。
[実施例2]
樹状細胞の生成
各患者から血液試料を入手し、密度勾配遠心法を使用して末梢血単核細胞(PBMC)を分離した。ヒト磁性抗体細胞選別システム(Miltenyi Biotec)を製造元の手順に従って使用して、CD14+細胞の陽性選択によって単球を濃縮した。GM-CSF及びIL-4を使用して、単球を未熟樹状細胞に分化させ、続いてTNFα、IL-1β、IL-6及びPGE2により成熟させた。最後に、樹状細胞を洗浄して、患者特異的ペプチドをロードした。
[実施例3]
T細胞の増大
TILを、以下のプロトコールを使用して増大させた。
第1.2世代(Gen1.2)
腫瘍断片を、IL-2(6000IU/ml)及びIL-21(32.5IU/ml)を含有するTexMACS培地中にて、インビトロで14日間培養した(プレ増大)。その後に、TILを、IL-2(100IU/ml)を含有する培地中で、ペプチドをロードした樹状細胞と17日間共培養した(抗原特異的な増大)。
第1.6世代(Gen1.6)
腫瘍断片を、IL-2(6000IU/mL)及びIL-21(32.5IU/mL)を含有するTexMACS培地中にて、インビトロで14日間培養した(プレ増大)。その後に、TILを、IL-2(100IU/mL)を含有する培地中で、ペプチドをロードした樹状細胞と10日間共培養した(抗原特異的な増大)。続いて、TILを、ImmunoCult(商標)Human CD3/CD28/CD2 T Cell Activatorの1/200希釈物及びIL-2(4000IU/mL)を含む培地中で、7日間さらに増大させた(非特異的なブースト)。
第2.0世代(Gen2.0)
腫瘍断片を、IL-2(6000IU/mL)、IL-15(160IU/mL)、IL-21(32.5IU/mL)及び血小板溶解物を含有するTexMACS培地中にて、インビトロで14日間培養した(プレ増大)。その後に、TILを、IL-2(100IU/mL)、IL-15(160IU/mL)及び血小板溶解物を含有する培地中で、ペプチドをロードした樹状細胞と17日間共培養した(抗原特異的な増大)。
第2.6世代(Gen2.6)
腫瘍断片を、IL-2(6000IU/mL)、IL-15(160IU/mL)、IL-21(32.5IU/mL)及び血小板溶解物を含有するTexMACS培地中にて、インビトロで14日間培養した(プレ増大)。その後に、TILを、IL-2(100IU/mL)、IL-15(160IU/mL)及び血小板溶解物を含有する培地中で、ペプチドをロードした樹状細胞と10日間共培養した(抗原特異的な増大)。続いて、TILを、ImmunoCult(商標)Human CD3/CD28/CD2 T Cell Activatorの1/200希釈物、血小板溶解物、IL-15(10ng/mL)及びIL-2(4000IU/mL)を含有する培地中で、7日間さらに増大させた(非特異的なブースト)。
[実施例4]
抗原特異的T細胞の機能的特徴付け
共培養の第0日及び第17日におけるT細胞(CD3+CD56-)の総数を、6色TBNK ReagentをBD Trucount(商標)(BD Biosciences)とともに使用するフローサイトメトリーによって決定した。T細胞の数は、各条件で使用した腫瘍の重量及び腫瘍切除の総重量に基づいて調整した。
存在するクローン性ネオ抗原反応性T細胞(cNeT)のパーセンテージを、ペプチドプールによる再刺激後にフローサイトメトリー及び細胞内サイトカイン染色によって測定した。反応性は、IFNγ及び/又はTNFαを発現するT細胞(CD3+)のパーセンテージと定義した。単一ペプチドによる再刺激後のELISpotを使用して、細胞集団に存在する異なるクローン性ネオ抗原反応性の数を決定した。
細胞表現型は、CD3、CD56、CD4、CD8、CD45RA、CD197、CD25、CD27及びCD57に対する染色の後に、フローサイトメトリーによって評価した。メモリー表現型は、CD45RA及びCD197の発現によって定義した(ナイーブ=CD45RA+CD197+、セントラルメモリー=CD45RA-CD197+、エフェクターメモリー=CD45RA-CD197-、TEMRA=CD45RA+CD197+)。一部の実験については、染色前に細胞をペプチドプールにより再刺激した。
結果
本発明者らは、3つの異なる用量ブースト戦略を比較する並列マッチドペア分析を完了し、Gen 2.6プロセスが、Gen 1.2プロセスと比較して約10倍の高さの用量のクローン性ネオ抗原T細胞(cNeT)を生じさせることを明らかにした。Gen 2.6は、Gen 1.2と比較して低いパーセンテージ(約2分の1)でcNeTを生じさせるが、このことは、このプロセスによって供給されるT細胞全体の数が有意に多いこと(10倍を上回る)によって代償される。Gen 2.6は、重要な機能マーカーであるIFNγを同等の量で産生する機能的に適合した細胞を生じさせることができる。
Gen2.6は、共培養下にあるT細胞全体の最大の増大(図1)及び最大のT(CD3+CD56-)細胞用量(図2)をもたらす。Gen2.6はまた、最も数多くの反応性細胞を生じさせ、それ故にcNeTの可能性のあるものの用量を最も数多く生じさせた(図3)。Gen2.6は、cNeT用量を、最も低いGen1.2の15倍超に増加させた。2回の試行では、cNeT用量の低い変化倍数しかもたらされなかったが、これらはGen1.2について非常に良好に機能した試行からのものであった。Gen1.2における反応性が非常に不良であった生成物では変化倍数は非常に大きく、このため、Gen2.6はこれらの生成物を効果的にレスキューした(図4)。
Gen 2.6プロセスは、CD8+及びCD4+ T細胞の両方において、細胞傷害性表現型に関連する所望のエフェクターメモリーT細胞表現型を主として生じさせる(図5)。
Gen 2.6プロセスは、Gen 1.2に比して、表現型適合性への影響を最小限に抑えながら、高度に適合したT細胞を供給する。Gen 2.6プロセスによって生成されたT細胞生成物は、CD8+ T細胞において活性化マーカーCD27のより高い発現及び消耗マーカーCD57のより低い発現を示した。しかし、Gen 2.6はまた、IL-2受容体であるCD25のより低い発現も示した(図6)。
しかし、その後の実験では、Gen 2.6プロセスによって生成された細胞は、依然としてペプチド再刺激に応答してCD25のアップレギュレーションを行えることが示され、このことからIL-2に対する感受性が保持されていることが示唆された(図7)。
結論として、これらの結果は、抗原特異的な増大工程の後に非特異的なブースト増大工程を使用することで、T細胞の適合性及び機能性も保持しながら、T細胞全体の用量を増加させ得ることを実証している。クローン性ネオ抗原ペプチドに対する反応性は生成物において保持されており、これはcNeTの用量の増加を導く。
[実施例5]
T細胞の増大
上記の各プロセスを使用して、がん患者(n=8)から入手した腫瘍試料からcNeTを作製した。前記のものと同様に、Gen 2.6は反応性細胞を最も高い用量で生じさせた(図8)。
[実施例6]
プレ増大工程の間の非特異的なブースト
TILを、以下のプロトコールを使用して増大させた。
第2.8.1世代(Gen2.8.1)
腫瘍断片を、ImmunoCult(商標)Human CD3/CD28/CD2 T Cell Activatorの1/200希釈物、IL-2(6000IU/ml)、IL-15(160IU/ml)、IL-21(22.5IU/ml)及び血小板溶解物を含有するTexMACS培地中にて、インビトロで14日間培養した(プレ増大)。その後に、TILを、IL-2(100IU/mL)、IL-15(160IU/ml)及び血小板溶解物を含有する培地中で、ペプチドをロードした樹状細胞と10日間共培養した(抗原特異的な増大)。続いて、TILを、ImmunoCult(商標)Human CD3/CD28/CD2 T Cell Activatorの1/200希釈物、血小板溶解物、IL-15(160IU/ml)及びIL-2(3000-6000IU/ml)を含有する培地中で、7日間さらに増大させた(非特異的なブースト)。
第2.8.2世代(Gen2.8.2)
腫瘍断片を、ImmunoCult(商標)Human CD3/CD28/CD2 T Cell Activatorの1/200希釈物、IL-2(6000IU/ml)、IL-15(160IU/ml)、IL-21(22.5IU/ml)、IFNγ(20ng/mL)及び血小板溶解物を含有するTexMACS培地中にて、インビトロで14日間培養した(プレ増大)。その後に、TILを、IL-2(100IU/mL)、IL-15(160IU/ml)及び血小板溶解物を含有する培地中で、ペプチドをロードした樹状細胞と10日間共培養した(抗原特異的な増大)。続いて、TILを、ImmunoCult(商標)Human CD3/CD28/CD2 T Cell Activatorの1/200希釈物、血小板溶解物、IL-15(160IU/ml)及びIL-2(3000-6000IU/ml)を含有する培地中で、7日間さらに増大させた(非特異的なブースト)。
結果
プレ増大の間のImmunoCult(商標)ヒトCD3/CD28/CD2 T細胞アクチベーターの添加(Gen 2.8.1)は、Gen 2.6と比較して、プレ増大の終了時点で約2.5倍の多さの数のTILを生じさせた(図9)。Gen 2.6及びGen 2.8.1によって生じたcNeT用量は同程度であり、1/3の患者では用量が大幅に増加し(約700倍)、2/3の患者では用量が減少した(図10)。
患者4人中2人では、プロセスのプレ増大相の間に、IFNγとImmunoCult(商標)Human CD3/CD28/CD2 T Cell Activator(Gen 2.8.2)とを組み合わせて添加したところ、ImmunoCult(商標)Human CD3/CD28/CD2 T Cell Activatorを単独で添加した場合と比較して、TILの収量が増加した(図11)。
[実施例7]
B細胞の増大及びAPCとしての使用
B細胞の活性化及び増大
各患者から血液試料を入手し、密度勾配遠心法を使用して末梢血単核細胞(PBMC)を分離した。ヒト磁性抗体細胞選別システム(Miltenyi Biotec)を製造元の手順に従って使用して、CD19+細胞の陽性選択によってB細胞を濃縮した。B細胞を活性化させて、12IU/mlのCD40L、4.6μg/mlのCpG(MACS(登録商標)GMP CpG-P、Miltenyi Biotec)及び50ng/mlのIL-4とともに14日間培養して増大させた。最後に、B細胞に患者特異的ペプチドをロードした。
第2.6世代(Gen2.6)B細胞
腫瘍断片を、ImmunoCult(商標)Human CD3/CD28/CD2 T Cell Activatorの1/200希釈物、IL-2(6000IU/ml)、IL-15(160IU/ml)、IL-21(22.5IU/ml)及び血小板溶解物を含有するTexMACS培地中にて、インビトロで14日間培養した(プレ増大)。その後に、TILを、IL-2(100IU/mL)、IL-15(160IU/ml)及び血小板溶解物を含有する培地中で、ペプチドをロードした活性化B細胞と10日間共培養した(抗原特異的な増大)。続いて、TILを、ImmunoCult(商標)Human CD3/CD28/CD2 T Cell Activatorの1/200希釈物、血小板溶解物、IL-15(160IU/ml)及びIL-2(3000-6000IU/ml)を含有する培地中で、7日間さらに増大させた(非特異的なブースト)。
第2.8.1世代(Gen2.8.1)B細胞
腫瘍断片を、ImmunoCult(商標)Human CD3/CD28/CD2 T Cell Activatorの1/200希釈物、IL-2(6000IU/ml)、IL-15(160IU/ml)、IL-21(22.5IU/ml)及び血小板溶解物を含有するTexMACS培地中にて、インビトロで14日間培養した(プレ増大)。その後に、TILを、IL-2(100IU/mL)、IL-15(160IU/ml)及び血小板溶解物を含有する培地中で、ペプチドをロードした活性化B細胞と10日間共培養した(抗原特異的な増大)。続いて、TILを、ImmunoCult(商標)Human CD3/CD28/CD2 T Cell Activatorの1/200希釈物、血小板溶解物、IL-15(160IU/ml)及びIL-2(3000-6000IU/ml)を含有する培地中で、7日間さらに増大させた(非特異的なブースト)。
結果
CD40活性化B細胞は、プロセスの抗原特異的な増大相の間に、樹状細胞の代替物として使用することができる。ペプチドでパルス刺激されたB細胞(Gen 2.6 B細胞及びGen 2.8.1 B細胞)との共培養は、図12に示されるように、樹状細胞(Gen 2.6及びGen 2.8.1)との共培養よりも少ないT細胞増大をもたらした。B細胞による増大後には、DCによる増大と比較して、同程度の割合のcNeTが存在した(図13)。Gen 2.6生成物ではほとんどの細胞がCD4+であったが、対応するGen 2.6 B細胞生成物ではほとんどがCD8+であった(図14)。

Claims (18)

  1. 抗原特異的T細胞を含むT細胞の集団を生成するための方法であって、抗原特異的T細胞の増大工程、及びその後の非特異的なT細胞ブースト増大工程を含む方法。
  2. a)単離されたT細胞を、抗原がロードされた抗原提示細胞と共培養することを含む抗原特異的な増大工程であって、前記T細胞及び抗原提示細胞がIL-2の存在下で共培養される工程、並びに
    b)工程a)で生成された細胞を、抗CD3抗体及び/又は抗CD28抗体及び/又はIL-2の存在下で培養することを含む非特異的なブースト増大工程
    を含む、請求項1に記載の方法。
  3. 抗原特異的な増大工程の前に、好ましくは単離されたT細胞をIL-2及びIL-21の存在下で培養することを含む非特異的なプレ増大工程をさらに含む、請求項1又は2に記載の方法。
  4. 非特異的なプレ増大工程が、T細胞を、抗CD3抗体、抗CD28抗体、抗CD2抗体及び/又はIFNγの存在下で培養することをさらに含む、請求項3に記載の方法。
  5. 非特異的なプレ増大工程及び/又は抗原特異的な増大工程が、T細胞をIL-15の存在下で培養することをさらに含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
  6. a)前記T細胞を、抗原がロードされた抗原提示細胞と共培養することを含む抗原特異的な増大工程であって、前記T細胞及び抗原提示細胞がIL-2及びIL-15の存在下で共培養される工程、並びに
    b)工程a)で生成された細胞を、抗CD3抗体及び/又は抗CD28抗体及び/又はIL-2の存在下で培養することを含む非特異的なブースト増大工程
    を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
  7. a)単離されたT細胞をIL-2、IL-15及びIL-21の存在下で培養することを含む非特異的なプレ増大工程、
    b)工程a)で生成されたT細胞を、抗原がロードされた抗原提示細胞と共培養することを含む抗原特異的な増大工程であって、前記T細胞及び抗原提示細胞がIL-2及びIL-15の存在下で共培養される工程、並びに
    c)工程b)で生成された細胞を、抗CD3抗体及び/又は抗CD28抗体及び/又はIL-2の存在下で培養することを含む非特異的なブースト増大工程
    を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
  8. 非特異的なブースト増大工程が、T細胞を、抗CD3抗体及びIL-2の存在下、好ましくは抗CD3抗体、抗CD28抗体及びIL-2の存在下で培養することを含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
  9. 非特異的なブースト増大工程が、T細胞を、抗CD3抗体、抗CD28抗体、抗CD2抗体及びIL-2の存在下で培養することを含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
  10. 非特異的なプレ増大工程が、T細胞を、IL-2、IL-15、IL-21、抗CD3抗体、抗CD28抗体及び抗CD2抗体の存在下で培養することを含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
  11. プレ増大工程が、T細胞をIFNγの存在下で培養することをさらに含む、請求項10に記載の方法。
  12. 非特異的なプレ増大工程及び/又は抗原特異的な増大工程及び/又は非特異的なブースト増大工程が、T細胞を血小板溶解物の存在下で培養することをさらに含む、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
  13. 非特異的なプレ増大工程におけるIL-21が、約0.5~50IU/mL、好ましくは約32.5IU/mLの濃度で存在し、及び/又は
    非特異的なプレ増大工程におけるIL-2が、約1,000~10,000IU/mL、好ましくは約6,000IU/mLの濃度で存在し、及び/又は
    抗原特異的な増大工程におけるIL-2が、約10~500IU/mL、好ましくは約100IU/mLの濃度で存在し、及び/又は
    非特異的なブースト増大工程におけるIL-2が、約1,000~10,000IU/mL、好ましくは約4,000IU/mLの濃度で存在し、及び/又は
    IL-15が、約10~16,000IU/mL、好ましくは約160IU/mLの濃度で存在する、
    請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
  14. 非特異的なプレ増大工程の培養期間が、約7~約21日、好ましくは約10~18日、より好ましくは約14~16日の期間であり、及び/又は
    抗原特異的な増大工程の培養期間が、約7~21日、好ましくは約10~17日の期間であり、及び/又は
    非特異的なブースト増大工程の培養期間が、約3~約21日、好ましくは約7~17日の期間である、
    請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
  15. 抗原提示細胞に腫瘍抗原がロードされており、及び/又は抗原提示細胞が樹状細胞及び/又はB細胞である、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
  16. 抗原がネオ抗原であり、好ましくはクローン性ネオ抗原である、請求項1~15のいずれか一項に記載の方法。
  17. 請求項1~16のいずれか一項に記載の方法によって得られるか若しくは得ることができるT細胞集団、又は前記T細胞集団を含むT細胞組成物であって、好ましくは、少なくとも約10×106個の抗原特異的T細胞、又は少なくとも約0.2%~5%、5%~10%、10~20%、20~30%、30~40%、40~50%、50~70%若しくは70~100%の抗原特異的T細胞を含む、T細胞集団又はT細胞組成物。
  18. 対象におけるがんの処置又は予防に使用するためのものであり、好ましくはがんが、膀胱がん、胃がん、食道がん、乳がん、結腸直腸がん、子宮頸がん、卵巣がん、子宮内膜がん、腎臓がん(腎細胞)、肺がん(小細胞、非小細胞及び中皮腫)、脳のがん(例えば、神経膠腫、星状細胞腫、神経膠芽腫)、黒色腫、リンパ腫、小腸がん(十二指腸及び空腸)、白血病、膵臓がん、肝胆道腫瘍、胚細胞がん、前立腺がん、頭頸部がん、甲状腺がん、又は肉腫であり、より好ましくは対象がヒトである、請求項17に記載のT細胞集団又は組成物。
JP2023578736A 2021-06-22 2022-06-21 抗原特異的t細胞を生成するための方法 Pending JP2024524185A (ja)

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
GR20210100409 2021-06-22

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2024524185A true JP2024524185A (ja) 2024-07-05

Family

ID=

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US20230303656A1 (en) Claudin-18.2-specific immunoreceptors and t cell epitopes
JP6599450B2 (ja) がん特異的突然変異に対し抗原特異性を有するt細胞を単離する方法
EP3514172B1 (en) Claudin-6-specific immunoreceptors and t cell epitopes
JP6686008B2 (ja) がん特異的突然変異に対し抗原特異性を有するt細胞受容体を単離する方法
EP1814580B1 (en) Methods of using il-21 for adoptive immunotherapy and identification of tumor antigens
JP6230208B2 (ja) 樹状細胞/腫瘍細胞融合物および抗cd3/cd28を使用する抗腫瘍免疫の刺激
AU2003261546B2 (en) A cell therapy method for the treatment of tumors
US20220088190A1 (en) Compositions and Methods for Targeting Mutant RAS
EP2016930B1 (en) CD8 cell suspension for use in the treatment of melanoma
Salgaller et al. Generation of specific anti-melanoma reactivity by stimulation of human tumor-infiltrating lymphocytes with MAGE-1 synthetic peptide
US20240050570A1 (en) T Cell Modification
US20230226110A1 (en) T cell therapy
JP2024524185A (ja) 抗原特異的t細胞を生成するための方法
KR20240023426A (ko) 항원-특이적 t 세포를 생산하는 방법
WO2017004579A1 (en) Artificial antigen presenting cells for adoptive cell therapy against cancer
KR20220031541A (ko) 항-bcma car t 세포의 제조
Schendel et al. Cell-Based Vaccines for Renal Cell Carcinoma
Patterson Graft-versus-myeloid leukemia responses in murine bone marrow transplantations