JP2024522182A - 免疫調節薬を含む新規組成物 - Google Patents

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Abstract

Figure 2024522182000001
本発明は、化合物レナリドマイド及びポマリドマイドのうちの1つ、又はその薬学的に許容される塩を含有する固体コアを含有する複数のコーティングされた粒子に関する。コアは、0.1μm~50μmの平均直径を有する。コアは、コアを取り囲み、囲み、及び/又はカプセル化するコーティングによってコーティングされる。コーティングは、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化シリコン、酸化チタン、及び酸化アルミニウムからなる群から選択される混合された酸化物を含有する。
【選択図】図8

Description

本発明は、例えば薬物送達の分野で、特に血液がん、特に多発性骨髄腫の治療で使用するための新規製剤、並びに当該製剤の製造方法に関する。
本明細書における明らかに以前に公開された文書の列挙又は考察は、文書が最新技術又は共通の一般知識の一部であるという承認として必ずしも受け取られるべきではない。
血液がんは、形質細胞がん又は形質細胞腫瘍とも呼ばれ、成熟B細胞を伴う障害の群である。これらの障害は、特定のモノクローナル抗体の過剰産生をもたらす。抗体は骨髄に蓄積し、血液を肥厚させ、及び/又は腎臓を損傷させる可能性がある。このクラスの腫瘍には、意義不明の単クローン性免疫グロブリン血症(MGUS)、形質細胞腫及び多発性骨髄腫、単クローン性免疫グロブリン沈着病、形質細胞性骨髄腫(PCM)、関連する傍腫瘍性神経症候群を有する形質細胞腫瘍が含まれる。
多発性骨髄腫は、形質細胞に影響を及ぼすがんの一種である。骨髄中の悪性骨髄腫細胞の急速な繁殖は、最終的に健康な細胞の産生を上回る。その結果、がん細胞は骨髄に蓄積し始め、健康な白血球及び赤血球を置き換える。
多発性骨髄腫は治療可能と考えられているが、一般的には治癒不可能である。寛解は、ステロイド、化学療法、標的療法、及び/又は幹細胞移植を使用してもたらされ得る。ビスホスホネート及び放射線療法は、骨病変からの疼痛を軽減するために使用されることがある。
多発性骨髄腫の原因は不明であるが、その発症の危険因子には、肥満、放射線曝露、家族歴、及び/又は特定の化学物質への曝露が含まれる。多発性骨髄腫は、他の形質細胞腫瘍と同様に、末梢神経及び臓器の障害を伴うアミロイドーシスと呼ばれる重篤な状態を引き起こし得る。
世界的に、多発性骨髄腫は488,000人に影響を及ぼし、2015年に101,100人の死亡をもたらした。発症は通常60歳前後であり、この状態は女性よりも男性でより一般的である。治療を行わない場合、典型的な生存期間は7か月である。
65歳未満の患者のための好ましい治療は、高用量化学療法であり、続いて幹細胞移植である。現在の薬物治療には、ボルテゾミブ(プロテアソーム阻害剤)及び通常、コルチコステロイド、デキサメタゾンとともに投与されるレナリドマイド(免疫調節剤)が含まれる。
しかしながら、65歳以上の患者及び著しい併存疾患を有する患者は、しばしば、幹細胞移植を許容することができない。そのような患者の場合、標準的なケアは、しばしばコルチコステロイド、プレドニゾン、及びより最近ではボルテゾミブと共投与されるアルキル化剤であるメルファランを使用する化学療法である。
化学療法剤レナリドマイド(3-(4-アミノ-1-3-ジヒドロ-l-ovo-2H-イソインド1-2イル)-2,6-ピペリジンジオン)は、ポマリドマイド、サリドマイド、イベルドミド、アプレミラスト、及びそれらの類似体を含む免疫調節化合物の群に属する4-アミノグルタミル類似体である。これらの化合物は、免疫調節、抗血管新生、抗炎症及び抗増殖作用を含む多向性抗骨髄腫特性を有することが報告されている。レナリドマイドは、経口投与形態で利用可能であり、多発性骨髄腫の現在の標準治療は、1日25mgの経口用量(デキサメタゾンとともに)を伴う。幹細胞移植後、患者は通常、1日1回10mgの経口用量で投与される。
多発性骨髄腫を含む形質細胞腫瘍の治療の場合、より最適な薬物動態プロファイルを確実にするために、活性成分が、(例えば、注射による)投与後に所望のかつ予測可能な速度でインビボで放出される、徐放組成物を提供することが有利であろう。
任意の持続放出組成物の場合、活性成分の放出プロファイルが、活性成分の初期の最小の急速放出、すなわち投与直後に血漿中の薬物濃度が高くなることを示すことは非常に重要である。そのような「バースト」放出は、望ましくない、高濃度の活性成分をもたらし、治療ウィンドウが狭い薬物、又は高血漿中濃度で毒性のある薬物の場合には、危険な場合がある。レナリドマイドの場合、これは、薬物の細胞毒性及び副作用の多さに起因して特に問題があり、副作用には、一般的に、下痢、掻痒(痒み)、関節痛、発熱、頭痛、及び睡眠障害が含まれ、低血小板数を含むより重篤な副作用があり、これは、血栓症及び低白血球数をもたらす可能性がある。
注射用懸濁液の特定の場合、懸濁された粒径は、それらが針を通して注射され得るように制御されることを確実にすることも重要である。大きい凝集粒子が存在する場合、それら粒子は、針(それを通して懸濁液が注射される)を塞ぐことになるだけでなく、注射液中に安定した懸濁液を形成しないであろう(すなわち、それら粒子は代わりに、注射液の底に沈む傾向があるであろう)。
したがって、多発性骨髄腫を含む血液がんの改善された、効果的な、より患者に優しい治療を提供することに対する重要な満たされていない臨床的必要性があり、この治療は、より長く持続し得る、及び/又はより効果的であり得る。
原子層堆積(ALD)は、様々な材料(有機材料、生物学的材料、ポリマー材料、及び、特に、金属酸化物などの無機材料が含まれる)を含む薄膜を固体基板上に堆積させるために用いられる技術である。これは、汎用性の高いアプリケーションにおける材料、構造、デバイス、及びシステムの原子及び近原子スケール製造(ACSM)を可能にする技術である(例えば、Zhang et al.Nanomanuf.Metrol.2022,https://doi.org/10.1007/s41871-022-00136-8を参照されたい)。その自己限定的な特性に基づいて、ALDは、成長サイクルの数を調整することによってのみ制御される原子レベルの厚さを達成することができる。更に、多層を堆積することができ、各層の特性を原子レベルでカスタマイズすることができる。
その原子レベルの制御のために、ALDは、例えば、次世代の半導体の製造、又は高度な触媒の原子レベルの合成、並びにナノ構造、ナノクラスター、及び単一原子の正確な製造のための重要な技術として使用される(例えば、上記のZhang et al.を参照されたい)。
この技術は通常、低圧及び高温で実行される。膜コーティングは、ALD反応器チャンバー内の固体基板を、気相で気化した反応物に交互にさらすことによって生成される。基板は、シリコンウェハー、粒状材料、又は小さい粒子(例えば、マイクロ粒子又はナノ粒子)であり得る。
コーティングされた基板は、固体コーティングによって化学反応(分解)及び物理的変化から保護される。ALDは、溶媒内での基質材料の放出速度を制御するために使用することができる可能性もある。これにより、医薬品活性成分の製剤化に使用する可能性がある。
ALDでは、金属含有物であり得る第1の前駆体がALD反応器チャンバーに供給され(いわゆる「前駆体パルス」で)、基板の表面に吸着された原子又は分子の単分子層を形成する。次いで、過剰な第1の前駆体が、反応器からパージされ、次いで、水などの第2の前駆体が反応器にパルス注入される。これが最初の前駆体と反応し、基板表面に、例えば、金属酸化物の単分子層を形成する。その後のパージパルスの後、第1の前駆体の更なるパルスが続き、したがって、同じ事象の新たなサイクル(いわゆる「ALDサイクル」)が開始される。
膜コーティングの厚さは、とりわけ、実施されるALDサイクルの数によって制御される。
通常のALDプロセスでは、1つのサイクル中で、原子又は分子の単分子層のみが生成されるため、これらの単分子層の間に識別可能な物理的界面は形成されず、本質的に基板の表面で連続帯になる。
国際特許出願第2014/187995号では、いくつかのALDサイクルが実行され、その後、得られたコーティングされた基板を反応器から定期的に取り出し、再分散/撹拌ステップを実行して、前駆体の吸着に利用可能な新たな表面を提示するプロセスが記載されている。
撹拌ステップは、主にナノ粒子及びマイクロ粒子で観察される問題を解決するために行われる。つまり、ALDコーティングプロセス中に粒子の凝集が起こり、そのような粒子間の接触点によって「ピンホール」が形成される。再分散/撹拌ステップは、コーティングされた基板を水に入れ、超音波処理することによって実行され、その結果、脱凝集が生じ、コーティングされた活性物質の個々の粒子間の接触点が破壊される。
次いで、粒子を反応器に装填し直し、粉末のALDコーティング及び粉末の脱凝集のステップを3回繰り返した(合計4回の一連のサイクル)。このプロセスにより、かなりの程度までピンホールのないコーティングされた粒子の形成が可能になることがわかっている(Hellrup et al,Int.J.Pharm.,529,116(2017)も参照されたい)。
本発明の目的は、従来技術の欠点を少なくとも部分的に緩和することを求めることを含む。したがって、本発明の目的は、レナリドマイド、関連する免疫調節化合物ポマリドマイドのための改善された薬物送達システムの提供、並びに例えばレナリドマイドなどの当該化合物のいずれか又は両方のためのデポー又はデポー形成製剤の提供を含む。
我々は、特に、レナリドマイドを含む新規の(例えば、注射可能な)組成物を作製し、ALDを使用して、金属及び/又はメタロイド酸化物コーティング層の混合物で活性成分の微粒子をコーティングし、コーティングされた粒子を次に(例えば、水性)ビヒクルに懸濁し得る。これらの製剤は、長期間にわたって活性成分を放出することによって有利な薬物動態プロファイルを生成し、顕著な初期バースト効果なしに、全身循環における治療上有効なレベルの薬物を提供する。本開示はまた、本明細書に記載されるように、ALDを使用して、化合物の微粒子を特定の酸化物コーティングでコーティングする、レナリドマイド又はポマリドマイドの新規組成物を提供する。
図1は、比較例3による、コーティングされていない粒子からのレナリドマイドのインビトロ放出プロファイルを示すグラフである。 図2は、実施例1による、4つの異なる層でコーティングされたレナリドマイドのインビトロ放出プロファイルを示すグラフである。 図3は、実施例2による、6つの異なる層でコーティングされたレナリドマイドのインビトロ放出プロファイルを示すグラフである。 図4は、脱凝集ステップを含むプロセスを使用して生成されたコーティングを有する粒子の透過型電子顕微鏡画像を示す。矢印は、適用された原子層の間の可視のインターフェーズを示す。 図5aは、実施例14に記載の様々な製剤のラットへの皮下投与後の、経時的なアザシチジン(アザシチジン)の用量正規化された血漿濃度を示す。 図5bは、実施例14に記載の様々な製剤のラットへの皮下投与後の、経時的なアザシチジン(アザシチジン)の用量正規化された血漿濃度を示す。 図6は、実施例21に従って調製されたコーティングされたレナリドマイド製剤のラット(n=6)への皮下投与後の経時的(h)曲線における用量調整された血漿中濃度(ng/mL)を示す。特に、図6は、比較例15のコーティングされた粒子(50mg/mL、薄い灰色の三角形)を含む製剤を表す。エラーバーは標準エラーを示す。 図7は、実施例21に従って調製されたコーティングされたレナリドマイド製剤のラット(n=6)への皮下投与後の経時的(h)曲線における用量調整された血漿中濃度(ng/mL)を示す。特に、図7は、比較例16のコーティングされた粒子(5mg/mL(濃い灰色の正方形)及び50mg/mL(薄い灰色の円))を含む製剤を表す。エラーバーは標準エラーを示す。 図8は、実施例21に従って調製されたコーティングされたレナリドマイド製剤のラット(n=6)への皮下投与後の経時的(h)曲線における用量調整された血漿中濃度(ng/mL)を示す。特に、図8は、実施例17のコーティングされた粒子(10mg/mL、黒い六角形)を含む製剤を表す。エラーバーは標準エラーを示す。 図9は、実施例21に従って調製されたコーティングされたレナリドマイド製剤のラット(n=6)への皮下投与後の経時的(h)曲線における用量調整された血漿中濃度(ng/mL)を示す。特に、図9は、実施例18のコーティングされた粒子(10mg/mL、黒い菱形)を含む製剤を表す。エラーバーは標準エラーを示す。
本発明の1つの態様によれば、複数のコーティングされた粒子であって、
(a)レナリドマイド及びポマリドマイドからなる群から選択される化合物、又はその薬学的に許容される塩を含む、固体コアであって、当該コアが、約10nm(例えば、約0.1μm)~約700μm(例えば、約100μm又は約50μm)の平均直径を有する、固体コアと、
(b)当該コアを取り囲み、囲み、及び/又はカプセル化するコーティングであって、上記コーティングが、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化シリコン、酸化チタン、及び酸化アルミニウムからなる群から選択される少なくとも2つの金属及び/又はメタロイド酸化物の混合された酸化物を含む、コーティングと、を含む、複数のコーティングされた粒子が提供される。
以下に提供される実施例は、本発明のコーティングされたレナリドマイド粒子の製造、及びそれらの有利なインビトロ放出プロファイルを説明する。
「固形」という用語は、閉じ込められていないときにその形状及び密度を保持し、及び/又は分子が一般にそれらの間の反発力が許す限り強く圧縮されている物質のあらゆる形態を含むことが当業者によく理解されるであろう。固体コアは、コーティング材料の層を堆積することができる少なくとも固体の外面を有する。固体コアの内部も固体であってもよく、代わりに中空であってもよい。例えば、粒子が反応容器に入れられる前に噴霧乾燥される場合、それらは噴霧乾燥技術のために中空であってもよい。
固体コアは、レナリドマイド及び/若しくはポマリドマイド又はそのいずれかの薬学的に許容される塩を含み、この点で、本質的にレナリドマイド及び/若しくはポマリドマイド又は当該その塩からなり得るか、又は他の賦形剤、又は他の活性成分とともに、レナリドマイド及び/若しくはポマリドマイド又は当該その塩を含み得る。
レナリドマイド及び/若しくはポマリドマイド又はそのいずれかの薬学的に許容される塩から「本質的になる」とは、固体コアが本質的にレナリドマイド及び/若しくはポマリドマイド、又は当該その塩のみを含み、すなわち、賦形剤、担体などの非生物学的活性物質(後述)、及び他の活性物質を含まないことを含む。これは、コアが約5%未満、例えば約3%未満、例えば約2%未満、例えば約1%未満のそのような他の賦形剤及び/又は活性物質を含み得ることを意味する。
あるいは、レナリドマイド及び/若しくはポマリドマイド又はその薬学的に許容される塩を含むコアは、活性成分が1つ以上の医薬成分と混合されることを含み得、これは、アジュバント、希釈剤などの薬学的に許容される賦形剤を含み得、及び/又は他の生物学的に活性な成分を含み得る。
本発明に従ってコーティングされるコアに用いられ得る非生物学的に活性なアジュバント、希釈剤、及び担体は、炭水化物、例えばラクトース及び/若しくはトレハロースなどの糖、並びにマンニトール、ソルビトール、及びキシリトールなどの糖アルコールなどの水に可溶である薬学的に許容される物質、又は塩化ナトリウムなどの薬学的に許容される無機塩を含み得る。好ましい担体/賦形剤材料には、糖及び糖アルコールが含まれる。
レナリドマイド及び/若しくはポマリドマイド又はそのいずれかの薬学的に許容される塩は、結晶性、部分結晶性、及び/又はアモルファス状態で提示され得る。レナリドマイド及び/若しくはポマリドマイド又はそのいずれかの薬学的に許容される塩は、物理的形態に関係なく、ほぼ室温(例えば、約18℃)及びほぼ大気圧で、固体状態にあるか、又は固体状態に変換され得る。活性剤(及び任意選択的に、本明細書に記載の他の医薬成分)はまた、例えば、ALD反応器中でコーティングされている間、固体の形態のままであるべきであり、また、コーティングされている間、又は混合された酸化物コーティング材料によって覆われた後、物理的若しくは化学的にかなりの程度(すなわち、約10%w/w以下)に分解してはならない。
レナリドマイド及び/若しくはポマリドマイドの薬学的に許容される塩としては、酸付加塩及び塩基付加塩が挙げられる。そのような塩は、慣用的手段により、例えば、本発明の化合物の遊離酸又は遊離塩基形態と、1当量以上の適切な酸又は塩基とを、任意選択的に溶媒中で、又は塩が不溶である媒体中で反応させ、次いで、標準的技法を用いて(例えば、真空中、凍結乾燥又は濾過によって)、当該溶媒又は当該媒体を除去することにより、形成されてもよい。塩はまた、例えば、好適なイオン交換樹脂を使用して、塩の形態の本発明の化合物の対イオンを別の対イオンと交換することなどによって、当業者に既知の技法を使用して調製され得る。
言及され得る特定の塩としては、例えば、ハロゲン化水素酸(ヒドロクロルド酸)、L-乳酸、酢酸(例えば酢酸及びトリフルオロ酢酸)、リン酸、(+)-L-酒石酸、クエン酸、プロピオン酸、酪酸、ヘキサン酸、L-アスパラギン酸、L-グルタミン酸、コハク酸、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、マレイン酸、アルキル及ぶアリールスルホン酸(メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸を含む)などの酸付加塩が挙げられる。言及され得る特定の塩としては、レナリドマイドベンゼンスルホネート、レナリドマイドp-トルエンスフォネート及びレナリドマイドトリヒドロクロリド、ポマリドマイドトリフルオロ酢酸塩、並びにポマリドマイド塩が挙げられる。
本発明のレナリドマイド及び/若しくはポマリドマイド含有コアは、ナノ粒子、又はより好ましくは微粒子の形態で提供される。好ましい重量、数、又は体積に基づく平均直径は、約50nm(例えば、約100nm、約250nmなど)~約30μm、例えば、約500nm~約100μm、より具体的には、約1μm~約50μm(約25μmなど、例えば、約20μm)である。
本発明のこの態様の一実施形態によれば、コアは、3μm~20μm、例えば、5μm~15μm、例えば、8μm~12μm、例えば、9μm~11μm、例えば、約10μmの平均直径を有する。
本明細書で言及されるコアの「平均直径」という用語は、重量、数、又は体積に基づく平均直径であり得る。本明細書で使用される場合、「重量基準平均直径」という用語は、平均粒径が、重量による粒径分布、すなわち、各サイズクラスにおける既存の分率(相対量)が、例えば、ふるい分け(例えば、湿式ふるい分け)によって得られる重量分率として定義される分布から特徴付けられ、かつ定義されることを含むように当業者に理解される。本明細書で使用される場合、「数基準平均直径」という用語は、平均粒径が、数による粒径分布、すなわち、各サイズクラスにおける既存の分率(相対量)が、例えば、顕微鏡検査によって測定された数分率として定義される分布から特徴付けられ、かつ定義されることを含むように当業者に理解される。本明細書で使用される場合、「体積基準平均直径」という用語は、平均粒径が、体積による粒径分布、すなわち、各サイズクラスにおける既存の分率(相対量)が、例えば、レーザー回折によって測定された体積分率として定義される分布から特徴付けられ、かつ定義されることを含むように当業者に理解される。当業者はまた、面積ベースの平均直径などの平均直径を表現する他の好適な方法があり、平均直径のこれらの他の表現は、本明細書で使用されるものと交換可能であることを理解するであろう。例えば、Malvern Instruments,Ltd(Worcestershire,UK)及びShimadzu(Kyoto,Japan)が販売する機器など、この分野でよく知られている他の機器を用いて、粒径を測定し得る。
粒子は、球形であり得、すなわち、それらは、約20未満、より好ましくは約10未満、例えば約4未満、特に約2未満のアスペクト比を有し、及び/又は粒子の少なくとも約90%、平均値の約50%以下、例えば、その値の約30%以下、例えば、その値の約20%以下における半径(重心から粒子表面まで測定)の変動を有し得る。
それにもかかわらず、本発明によれば、任意の形状への粒子のコーティングも可能である。例えば、不規則な形状(例えば、「レーズン」形状)、針形状、薄片形状又は直方体形状の粒子をコーティングし得る。非球形粒子の場合、サイズは、例えば同じ重量、体積、又は表面積の対応する球形粒径として示され得る。中空粒子、並びに繊維状又は「もつれた」粒子などの細孔、隙間などを有する粒子もまた、本発明に従ってコーティングされ得る。
粒子は、それらがコーティングされるのに好適な形態で得ても、その形態(及び本明細書で指定されたサイズの範囲)で、例えば、粒径縮小プロセス(例えば)、特定の重量ベースの平均直径(本明細書で定義される)への(粉砕、切断、ミリング、又は研削)によって、例えば、湿式研削、乾式研削、エアジェットミリング(極低温微粉化を含む)、遊星ボールミリングなどのボールミリング、並びにエンドランナーミル、ローラーミル、振動ミル、ハンマーミル、ローラーミル、流体エネルギーミル、ピンミルなどを利用することによって、得てもよい。代替的に、粒子は、例えば、噴霧乾燥、凍結乾燥、噴霧凍結乾燥、真空乾燥、超臨界流体の使用を含む沈殿、若しくは他のトップダウン法(すなわち、例えば、研削などによって、大きい粒径を小さくすること)、又はボトムアップ法(すなわち、例えば、ゾルゲル技術、結晶化などによって、小さい粒径を大きくすること)によって、好適なサイズ及び形状に直接調製され得る。代替的に、ナノ粒子は、ガス凝縮、摩滅、化学沈殿、イオン注入、熱分解、水熱合成などのようなよく知られた技術によって作製され得る。
粒子を、それらの生成に由来し得る不純物を除去するために、洗浄及び/又は綺麗にし、次いで、それらを乾燥させる必要があり得る(コアを含む粒子が最初に提供される方法によって異なる)。乾燥は、蒸発、噴霧乾燥、真空乾燥、凍結乾燥、流動床乾燥、マイクロ波乾燥、IR放射、ドラム乾燥などを含む、当業者に知られている多くの技術によって実施され得る。乾燥したら、コアは、次いで、研削、スクリーニング、ミリング、及び/又は乾式超音波処理によって脱凝集され得る。代替的に、コアは、例えば、粒子を真空及び/又は高温に曝露することによって、その表面上に吸収され得る任意の揮発性物質を除去するために処理され得る。
コアの表面は、コーティング材料の第1の層を塗布する前に、例えば、過酸化水素、オゾン、フリーラジカル含有反応物で処理することによって、又はコアの表面にフリー酸素ラジカルを創出するためにプラズマ処理を適用することによって、化学的に活性化され得る。これにより、ALD前駆体のコア上に有利な吸着部位/核形成部位が生成され得る。
上記で定義されるように、混合酸化物は、酸素に加えて、2つ以上の化学元素の酸化物を指す。この用語は、本明細書に記載される金属及び/又はメタロイドを含む、当該化学元素の複数の酸化物の混合物を指し得る。混合酸化物は、複酸化物と呼ばれ得る。混合酸化物は、異種又は均質であり得る。
本発明のこの態様の一実施形態によれば、当該混合された酸化物中の少なくとも2つの金属及び/又はメタロイド酸化物は、酸化鉄、より好ましくは酸化亜鉛、酸化シリコン、酸化チタン、及び酸化アルミニウムからなる群から選択される。本発明によれば、酸化物のうちの少なくとも1つは、酸化亜鉛又は酸化シリコンであり得る。酸化物のうちの少なくとも1つは、酸化亜鉛であることが好ましく、例えば、混合された酸化物は、酸化亜鉛と酸化アルミニウムとの混合物、又は酸化亜鉛と酸化シリコンとの混合物を含む。
この点で、レナリドマイド及び/若しくはポマリドマイド含有コアは、好ましくは、本明細書記載の酸化亜鉛、及び1つ以上の他の金属及び/又はメタロイド酸化物(例えば、酸化チタン、酸化アルミニウム又は酸化シリコン)の混合物を含むコーティング材料で、酸化亜鉛と他の酸化物との原子比が少なくとも約1:6(例えば、少なくとも約1:4、例えば、少なくとも1:2)、好ましくは少なくとも約1:1(例えば、少なくとも約1.5:1、例えば、少なくとも約2:1)(少なくとも約2.25:1を含む、例えば、少なくとも約2.5:1(例えば、少なくとも約3.25:1又は少なくとも約2.75:1(約3:1を含む))、及び最大(すなわち、最大)約6:1まで(最大約5.5:1を含む)、又は最大約5:1、例えば、最大約4.5:1(最大約4:1を含む)(例えば、最大約3.75:1)でコーティングされる。
レナリドマイド含有コアは、酸化亜鉛、及び1つ以上の他の金属及び/又はメタロイド酸化物の混合された酸化物を含むコーティング材料で、酸化亜鉛と他の酸化物との原子比が少なくとも約2:1(例えば、少なくとも約2.25:1、例えば、少なくとも約3.5:1(少なくとも約2.5:1(例えば、少なくとも約3.25:1又は少なくとも約2.75:1(3:1を含む)を含む)、及び約5:1以下、例えば、約4.5:1以下(約4:1以下を含む)(例えば、最大約3.75:1)でコーティングされ得る。一実施形態では、当該他の酸化物は、酸化アルミニウムである。別の実施形態では、当該他の酸化物は、酸化シリコンである。
酸化亜鉛及び酸化シリコンとの混合物を含む本発明の混合された酸化物の場合、当該混合された酸化物中の亜鉛とシリコンとの原子比は、約1:6と、最大で約6:1との間であり、例えば、約1:4~約4:1、例えば、1:2.5~約3.5:1、例えば、1:2、好ましくは、約1:1と、最大で約6:1との間であり、例えば、約2:1~約5:1、例えば、約2:1~約4:1、例えば、約2.5:1~約3.5:1、例えば、約3:1であり得る。更なる実施形態では、当該混合された酸化物中の亜鉛とシリコンとの原子比は、約1:1~約2:1、又は約2:1~約3:1、又は約3:1~約4:1であり得る。
酸化亜鉛及び酸化アルミニウムとの混合物を含む本発明の混合された酸化物の場合、当該混合された酸化物中の亜鉛とアルミニウムとの原子比は、約1:6と、最大で約6:1との間であり、例えば、約1:4~約4:1、例えば、1:2.5~約3.5:1、例えば、1:2、好ましくは、約1:1と、最大で約6:1との間であり、例えば、約2:1~約5:1、例えば、約2:1~約4:1、例えば、約2.5:1~約3.5:1、例えば、約3:1である。更なる実施形態では、当該混合された酸化物中の亜鉛とシリコンとの原子比は、約1:1~約2:1、又は約2:1~約3:1、又は約3:1~約4:1である。
生物学的に活性な薬剤を含むコアにコーティングを塗布する好ましい方法には、ALDなどの気相技術、又は原子層エピタキシー(ALE)、分子層堆積(MLD、ALDと同様の技術であるが、原子の代わりに分子(通常、有機分子)が各パルスで堆積する点で異なる)、分子層エピタキシー(MLE)、化学気相堆積(CVD)、原子層CVD、分子層CVD、物理蒸着(PVD)、スパッタリングPVD、反応性スパッタリングPVD、蒸着PVD及び二元反応シーケンス化学などの関連技術が含まれる。ALDは、本発明による好ましいコーティング方法である。
本発明のこの態様の一実施形態によれば、コアに適用されるコーティングの総厚は、約0.2nm~約2μmである。一実施形態では、コーティングの当該総厚は、約0.5nm~約2μm、例えば、約0.5nm~約2μm、例えば、約1nm~約2μm、例えば、約2nm~約2μmである。一実施形態では、コーティングの当該総厚は、約0.5nm~約500nm、例えば、約1nm~約400nm、例えば、約2nm~約300nmである。一実施形態では、コーティングの当該総厚は、約0.5nm~約50nm、例えば、約1nm~約40nm、例えば約1nm~約30nm、例えば、約1nm~約25nm、例えば、約1nm~約20nm、例えば、約1nm~約15である。一実施形態では、コーティングの当該総厚は、約2nm~約30nm、例えば、約3nm~約30nm、例えば、約4nm~約30nm、又は約3nm~約20nm、例えば、約4nm~約20nmである。一実施形態では、コーティングの当該総厚は、約2nm~約15nm、例えば、約3nm~約15nm、例えば、約3nm~約10nm、例えば、約4nm~約15nm、例えば、約4nm~約10nmである。一実施形態では、コーティングの当該総厚は、約5nm~約10nmである。
各個々の層の最小の厚さは、平均で約0.1、より具体的には約0.3nmの範囲(約0.5nm、例えば、約0.75nm、例えば、約1nmを含む(約1.5nm、例えば、約2.25nm、例えば、約3nm、例えば、約5nm、例えば、約10nmを含む)となる。
各個々の層の平均厚さは、少なくとも0.3nm、例えば、約1.5nm、例えば、約2.25nm、例えば、約3nm、例えば、約5nm、例えば、約10nmであり得る。
各個々の層/コーティング/シェルの最大の厚さは、コアのサイズ(最初は)、及びその後の以前に塗布されたコーティングを有するコアのサイズに依存することになり、そのコア、又は以前にコーティングが塗布されたコアの平均で平均直径(すなわち、重量、数、又は体積に基づく平均直径)の約100分の1になり得る。
好ましくは、平均直径が約100nm~約1μmである粒子の場合、コーティングの総厚は、平均で約1nm~約5nmでなければならず、平均直径が約1μm~約20μmの粒子の場合、コーティングの厚さは、平均で約1nm~約10nmでなければならず、平均直径が約20μm~約700μmの粒子の場合、コーティングの厚さは、平均で約1nm~約100nmでなければならない。
ALDが用いられる場合、上記の混合酸化物コーティングは、第1の亜鉛含有前駆体、他の金属含有前駆体、又はメタロイド含有前駆体をALD反応器チャンバーに供給し(いわゆる「前駆体パルス」で)、粒子の表面に吸着された原子又は分子(例えば、亜鉛含有、他の金属含有、又はメタロイド含有)単分子層を形成することによって調製され得る。次いで、第2の前駆体(例えば、水)を反応器内にパルスし、第1の前駆体と反応させ、基板表面上に亜鉛、金属又はメタロイド酸化物の単分子層をそれぞれ形成する。その後のパージパルスの後、第1の前駆体の更なるパルスが続き、したがって、同じ事象の新たなサイクル(いわゆる「ALDサイクル」)が開始される。
ほとんどの場合、連続する反応の最初のものは、ヒドロキシ基(-OH)又は一級若しくは二級アミノ基(-NH若しくはRが、例えばアルキル基などの脂肪族基である-NHR)などのコーティングされる表面にいくつかの官能基又は遊離電子対又はラジカルを伴う。個々の反応は、有利には、次の反応を行う前に、全ての過剰な試薬及び反応生成物が本質的に除去されるような条件下で、別々に実施される。
本発明の更なる態様によれば、複数の粒子であって、
(a)10nm(例えば、約0.1μm)~約700μm(例えば、約100μm若しくは約50μm、又は本明細書に記載の粒径範囲のうちの1つ以上)である、重量、数、又は体積に基づく平均直径を有し、
(b)少なくとも部分的に、無機材料のコーティングによってコーティングされた、レナリドマイド及びポマリドマイドからなる群から選択される化合物、又はいずれかの化合物の薬学的に許容される塩を含む、固体コアを含み、当該無機材料のコーティングが、
(i)酸化亜鉛(ZnO)と、
(ii)1つ以上の他の金属及び/又はメタロイド酸化物との混合物を含み、
原子比((i):(ii))が、少なくとも約1:6と、最大で約6:1との間である、複数の粒子が提供される。
好ましくは、原子比((i):(ii))が、少なくとも約1:1と、最大で約6:1である、複数の粒子が提供される。
1つ以上の他の金属及び/又はメタロイド酸化物に対する酸化亜鉛どの金属酸化物の原子比が(例えば)約1:1~約6:1である混合酸化物コーティングを作製するために、当業者は、他の酸化物の1つのALDサイクル(すなわち単分子層)ごとに、約1~約6のALDサイクルの、例えば、酸化亜鉛も堆積されなければならないことを理解するであろう。例えば、3:1の重量比(例えば、亜鉛:他の酸化物)の混合酸化物コーティングが形成される場合、3つの例えば、亜鉛含有前駆体パルスの後に、それぞれ第2の前駆体パルスが続き得、例えば、酸化亜鉛の3つの単分子層が形成され、次いで、他の金属及び/又はメタロイド含有前駆体の1つのパルスが続き、第2の前駆体パルスが続き、他の金属及び/又はメタロイドの酸化物の1つの単分子層が形成される。あるいは、例えば、酸化亜鉛の6つの単分子層の後に、約3:1の全体的な原子比を提供するように、他の酸化物の2つの単分子層、又は任意の他の組み合わせが続いてもよい。この点で、関連する酸化物を生成するためのパルスの順序は、結果として生じる原子比が最終的に関連する範囲内にある限り、重要ではない。
言及され得る亜鉛以外の金属及び/又はメタロイド要素には、アルカリ金属、アルカリ土類金属、貴金属、遷移金属、遷移後金属、ランタニドなどが含まれる。言及され得る金属及びメタロイドには、アルミニウム、チタン、マグネシウム、鉄、ガリウム、ジルコニウム、ニオブ、ハフニウム、タンタル、ランタン、及び/又はシリコン、より好ましくは、アルミニウム、チタン、マグネシウム、鉄、ガリウム、及び/又はジルコニウムが含まれる。言及され得る特定の金属及び/又はメタロイド要素には、アルミニウム及びシリコンが含まれる。
したがって、混合された酸化物コーティング材料は、好ましくは、酸化アルミニウム(Al)及び/又は二酸化シリコン(SiO)のうちの1つ又は他のもの、又は両方を含む。
ALDでは、コーティング材料の層は、約20℃~約800℃、又は約40℃~約200℃、例えば、約40℃~約150°、例えば、約50℃~約100℃のプロセス温度で塗布され得る。最適なプロセス温度は、コアに採用される前駆体及び/又は物質(生物学的に活性な薬剤、例えば、レナリドマイド若しくはポマリドマイド又はいずれかの塩を含む)の反応性、並びに/又はコア物質の融点に依存する。約30℃~約100℃などのより低い温度が用いられることが好ましい。特に、上記方法の一実施形態では、約20℃~約80℃、例えば、約30℃~約70℃、例えば、約40℃~約60℃、例えば、約50℃の温度が用いられる。
約50℃~約100℃などの低温でALDを使用して酸化亜鉛を含むコーティングを塗布すると(アモルファス層を形成する酸化アルミニウム及び酸化チタンなどの他のコーティング材料とは異なり)、コーティング材料は、その性質上大部分が結晶性であることを、我々は見出した。
理論に制限されることなく、酸化亜鉛は結晶性であるため、酸化亜鉛のみがコーティング材料として採用される場合、ALDによって堆積される酸化亜鉛の隣接する結晶間に界面が形成され得、これによって、酸化亜鉛が部分的に溶解する担体システム、媒体、又は溶媒(例えば、水性溶媒系)が、その中に懸濁後に侵入し得ることが理解される。これは、作製することが意図されるデポー形成組成物には速すぎる溶解を引き起こし得ると考えられる。
更に、以前の研究では、水性媒体に懸濁した場合、酸化亜鉛でコーティングされた活性成分を含む製剤の相対的な生物学的利用能が、コーティングされていない活性成分よりも低いことが示されている。我々は、この相対的な生物学的利用能の低下は、活性成分が全身循環に放出され得る前の活性成分の分解によるものであると考えている。上記のような酸化亜鉛コーティング内の結晶界面を通る水の貫通は、コーティングされた粒子の内部内の活性成分の加水分解をもたらすと考えられる。
我々は、これらの問題が、本明細書に記載されているように混合酸化物コーティングを作製することによって緩和され得ることを発見した。特に、これらの問題は、本明細書に定義されるように、2つ以上の金属及び/又はメタロイド酸化物(混合酸化物)コーティングの混合物を作製することによって緩和され得ることが、ここでわかった。特に、完全にではないが、主に酸化亜鉛で構成され得る、本明細書に記載されているような混合酸化物コーティングを形成することにより、本質的に非晶質、又は結晶性材料と非晶質材料との間の複合材料であるように見えるコーティング、及び/又は水などの注入ビヒクルの侵入を低減し得るコーティングで活性成分をコーティングすることができた。この点で、前述の知覚された界面の存在は、本発明の混合酸化物態様を、不均一な方法(他の酸化物が界面によって形成された間隙を「充填する」方法)、又は均質な方法(最初に界面が潜在的に回避される方法で、堆積中に混合酸化物材料の真の複合材料が形成される方法)のいずれかで採用することによって、減少又は完全に回避され得るように思われる。以下に記載されるように、本発明による製剤は、コーティングされていないナリドマイド又はポマリドマイドと同等の相対的な生物学的利用能を示す。
したがって、本発明によると、本発明による複数のコーティングされた粒子を調製する方法が更に提供され、コーティングされた粒子は、気相堆積技術によって、固体コア及び/又は以前にコーティングされた固体コア上に混合された酸化物を形成する少なくとも2つの金属及び/又はメタロイド酸化物の前駆体を塗布することによって作製される。金属酸化物又はメタロイド酸化物を形成するための前駆体は、多くの場合、水、酸素、オゾン、及び/又は過酸化水素などの酸素前駆体、並びに金属及び/又はメタロイド化合物、典型的には有機金属化合物又は有機メタロイド化合物を含む。
前駆体の非限定的な例は以下のとおりである:酸化亜鉛の前駆体は、水及びジエチル亜鉛などのジC-Cアルキル亜鉛であり得る。酸化アルミニウムの前駆体は、水及びトリメチルアルミニウムなどのトリC-Cアルキルアルミニウムであり得る。酸化シリコン(シリカ)の前駆体は、酸素前駆体としての水、並びにシラン、アルキルシラン、アミノシラン、及びオルトケイ酸テトラエチルエステルであり得る。酸化鉄の前駆体としては、酸素、酸素前駆体としてオゾン及び水、並びにジC-Cアルキル鉄、ジシクロプロピル鉄、及びFeClが挙げられる。当業者は、どの前駆体が本明細書に開示される目的に適しているかを認識していることが理解されるであろう。
使用される気相堆積反応器チャンバーは、任意選択で、及び/又は好ましくは、固定気相堆積反応器チャンバーであってもよい。用語「静止」は、気相堆積反応器チャンバーの文脈において、例えば、関連する機械によって引き起こされるような無視できる動き及び/又は振動を除外して、気相堆積技術を実行するために使用中に反応器チャンバーが静止したままであることを意味すると理解されるであろう。
更に、いわゆる「ストップフロー」プロセスが採用され得る。ストップフロープロセスを使用して、第1の前駆体が反応器チャンバーに供給され、第1の前駆体が反応器チャンバーからパージされる前に、第1の前駆体は、所定の期間(浸漬時間とみなされ得る)、反応器チャンバー内のコアに接触させられ得る。所定の期間の間、好ましくは、気体の流れをもたらし得るポンプの実質的な欠如、及び/又はコアの機械的撹拌の実質的な欠如がある。
ストップフロープロセスの採用は、各ガスが粉末などの高いアスペクト比の基板に適合して拡散することを可能にすることによって、コーティングの均一性を高めることができる。前駆体が表面上で反応するのにより多くの時間が与えられるため、反応性が遅い前駆体を使用する場合、利点は更に顕著になり得る。これは、特に、本発明による混合酸化物コーティングを堆積させるときに明らかであり得る。例えば、本明細書に記載されるように混合された酸化亜鉛/酸化アルミニウムコーティングを堆積させるとき、我々は、ジエチル亜鉛(DEZ)などの亜鉛含有前駆体が、例えば、トリメチルアルミニウム(TMA)などのアルミニウム含有前駆体よりも基板の表面に向かって低い反応確率を有することを見出した。
良好なシェル完全性及びより制御された放出プロファイルを有するコーティングを生成することに加えて、そのようなストップフロープロセスの採用は、特定のコーティング組成物を達成する能力を改善し得る。
例えば、上記のように、得られたシェル内の亜鉛とアルミニウムとの間の原子比が3:1であるコーティングを製造するために気相技術を採用しようとすると、前駆体の連続的な流れを使用して材料を堆積させる場合よりも、ストップフロープロセスを使用して3:1に非常に近い比率が達成され得ることがわかった。
好ましくは、及び/又は任意選択で、「マルチパルス」技術を採用して、第1の前駆体、第2の前駆体、又は両方の前駆体を反応器チャンバーに供給してもよい。そのようなマルチパルス技術を使用して、それぞれの前駆体は、複数の「サブパルス」として反応器チャンバーに供給され得、各々は、1つの連続したパルスとしてではなく、例えば、1秒から約1分(気相堆積反応器のサイズ及び性質に応じて)のような短い期間を持続する。前駆体は、各サブパルスの後、所定の期間、例えば、約1~500秒、約2~250秒、約3~100秒、約4~50秒、又は約5~10秒、例えば9秒、反応器チャンバー内のコアに接触させてもよい。繰り返しになるが、気相堆積反応器のサイズ及び性質に応じて、この時間は、最大数分(例えば、最大約30分)まで延長することができる。サブパルスの導入、続いて一定期間の浸漬時間は、所定の回数、例えば、約5~1000回、約10~250回、又は約20~50回、単一のステップで繰り返され得る。
本発明によるプロセスは、
(1)酸化鉄、酸化亜鉛、酸化シリコン、酸化チタン、及び酸化アルミニウムからなる群から選択される1つ以上の金属及び/又はメタロイド酸化物の前駆体を塗布するステップであって、それによって、気相堆積技術によって、当該固体コア上に層が形成される、塗布するステップと、
(2)ステップ(1)中に形成されたコーティングされた固体コア凝集体を解凝集するステップと、
(3)ステップ(2)からの解凝集したコーティングされた固体コアに、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化シリコン、酸化チタン、及び酸化アルミニウムからなる群から選択される少なくとも1つの金属及び/又はメタロイド酸化物の前駆体を塗布するステップであって、それによって、気相堆積技術によって、当該以前にコーティングされた固体コア上に別の層が形成される、塗布するステップと、
(4)ステップ(2)及び(3)を1回以上繰り返して、当該固体コアを囲むコーティングの総厚を増加させるステップと、を更に含み得、
上記層のうちの少なくとも1つは、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化シリコン、酸化チタン、及び酸化アルミニウムからなる群から選択される少なくとも2つの金属及び/又はメタロイド酸化物の前駆体を塗布することによって形成され、それによって混合された酸化物が形成される。したがって、ステップ1、3又は4の当該層のうちの少なくとも1つは、混合された酸化物を含む。
この点で、コアは、本明細書に定義されるような混合酸化物コーティングの1つ以上の別個の個別の層で本発明により、コーティングされ得る。好ましくは、2つ以上の別個の個別の混合酸化物の層、コーティング又はシェル(これらの用語は本明細書で互換的に使用される)が、活性成分を含む固体コアに順次塗布される(すなわち、「別個に塗布される」)。
「別個の層、コーティング、又はシェル」の「別個の塗布」は、固体コアが、コーティング材料の第1の層でコーティングされ、この層は、本明細書に記載されるように、2つ以上の(例えば、複数の、又は一組の)サイクルによって形成され、各サイクルは、酸化亜鉛、又は他の金属若しくは/又はメタロイド酸化物(必要に応じて)を生成し、次いで、得られたコーティングされたコアは、何らかの形態の脱凝集ステップに供されることを意味する。
言い換えれば、「気相堆積(例えばALD)サイクル」を数回繰り返して、例えば10、25、又は100サイクルからなり得るサイクルの「気相堆積(例えばALD)セット」を提供することができる。しかしながら、この一連のサイクルの後、コーティングされたコアは、何らかの形態の脱凝集プロセスに供され、これには、更なる一連のサイクルが続く。
このプロセスは、必要に応じて何度も繰り返され得、したがって、最終的なコーティングの中にある複数の一連のサイクルによって生成されるコーティング材料の個別の層の数は、これらの断続的な脱凝集ステップの数に対応し、最終的な機械的脱凝集は、コーティング材料の最終的な層(一連のサイクル)の塗布の前に行われる。
本発明によれば、コーティングは、1~約20層の当該個別の層、例えば、1~約10層の個別の層、2~8層の個別の層を含み、1つ以上の混合された酸化物を含む。当該コーティングは、例えば、1~19層、例えば、1~18層、例えば、1~17層、例えば、1~16層、例えば、1~15層、例えば、1~14層、例えば、1~13層、例えば、1~12層、例えば、1~11層、例えば、1~10層、例えば、1~9層、例えば、1~8層、例えば、1~7層、例えば、1~6層の当該個別の層を含み得る。別の実施形態では、当該コーティングは、2~20層、例えば、2~19層、例えば、2~18層、例えば、2~17層、例えば、2~16層、例えば、2~15層、例えば、2~14層、例えば、2~13層、例えば、2~12層、例えば、2~11層、例えば、2~10層、例えば、2~9層、例えば、2~8層、例えば、2~7層、例えば、2~6層の当該個別の層を含む。別の実施形態では、当該コーティングは、3~20層、例えば、3~19層、例えば、3~18層、例えば、3~17層、例えば、3~16層、例えば、3~15層、例えば、3~14層、例えば、3~13層、例えば、3~12層、例えば、3~11層、例えば、3~10層、例えば、3~9層、例えば、3~8層、例えば、3~7層、例えば、3~6層の当該個別の層を含む。別の実施形態では、当該コーティングは、4~20層、例えば、4~19層、例えば、4~18層、例えば、4~17層、例えば、4~16層、例えば、4~15層、例えば、4~14層、例えば、4~13層、例えば、4~12層、例えば、4~11層、例えば、4~10層、例えば、4~9層、例えば、4~8層、例えば、4~7層、例えば、4~6層の当該個別の層を含む。特定の実施形態では、当該コーティングは、2層、3層、4層、5層、6層、7層、8層、9層又は10層の当該個別の層(3~7層、例えば、4~6層の当該個別の層を含む)含み得る。
上記のプロセスのステップ1及び/又は3(及び4)で形成された別個の個別の層は、本明細書に記載及び/又は定義されるように、1つ又は複数のALDサイクルからの堆積を含み得る。典型的には、各別個の個別の層は、1~50のALDサイクル、例えば、10~40のALDサイクル、例えば、15~35のALDサイクル、例えば、20~30のALDサイクル、例えば、22~26のALDサイクルの堆積を含む。
本発明によれば、「解凝集」及び「脱凝集」という用語は、コーティングされた粒子を指すときに互換的に使用され、コーティングされた粒子凝集体の解凝集は、好ましくは、機械的ふるい分け技術によって行われる。
コーティング/シェルを塗布した後、超音波処理などの1つ以上の脱凝集ステップを実行すると、コーティングされた粒子が、より厚いコーティングを塗布した直後、本質的に、より緊密に「結合」又は「接着」されるため、層/コーティングにおいて摩耗、ピンホール、破損、間隙、亀裂、及び/又は空隙(以下「亀裂」)が生じることがわかった。これにより、脱凝集が起こると、生物学的に活性な成分を含むコアが元素にさらされる可能性がある。
例えば、患者に投与する前に、懸濁液中に試料を提供することが意図される場合、コーティングにピンホール又は亀裂のない脱凝集した一次粒子を提供する必要がある。そのような亀裂により、投与直後の活性成分の血漿中濃度において、望ましくない初期ピーク(バースト)が生じる。
より詳細に以下記載される脱凝集ステップのうちの1つ以上を実施することで、コーティング材料の最終層において、顕著に少ないピンホール、間隙、又は亀裂が生じ、その層/コーティングで完全に被覆されるだけでなく、医薬製剤化前及び/又は中に形成されたコーティング材料の層を破壊しない様式で、粒子が容易に(例えば、ボルテックスなどの非侵襲的な技術を使用して)脱凝集され得る様式で被覆される粒子が生じることを、我々は発見した。
この点で、混合酸化物コーティングは、典型的には、活性成分を含む当該固体コアを完全に取り囲み、囲み、及び/又はカプセル化する。このようにして、関連する活性成分が可溶性である溶媒と薬物が直接接触することに起因する最初の薬物濃度バーストのリスクを最小限に抑える。これは、体液だけでなく、そのようなコーティングされた粒子が注射前に懸濁され得る任意の媒体も含み得る。
したがって、本発明の一実施形態では、本明細書に開示されるような粒子が提供され、当該コアを取り囲み、囲み、及び/又はカプセル化する当該コーティングは、固体コアの表面の少なくとも約50%、例えば、少なくとも約65%、例えば、少なくとも約75%、例えば、少なくとも約80%、より具体的には、少なくとも約90%、例えば、少なくとも約91%、例えば、少なくとも約92%、例えば、少なくとも約93%、例えば、少なくとも約94%、例えば、少なくとも約95%、例えば、少なくとも約96%、例えば、少なくとも約97%、例えば、少なくとも約98%、例えば、少なくとも約99%、例えば、おおよそ若しくは約100%をカバーし、コーティングは、本質的に、当該コアを完全に取り囲み、囲み、及び/又はカプセル化する。
本明細書で使用される場合、「本質的に完全にコーティングして、当該コアを完全に取り囲み、囲み、及び/又はカプセル化する」という用語は、固体コアの表面の少なくとも約98%、又は少なくとも約99%の被覆を意味する。
あるいは、本明細書に記載のプロセスは、活性成分が制御されない方法で放出され得る当該亀裂が本質的に存在しない、脱凝集したコーティングされた粒子をもたらし得る。
放出を制御するという点でその本質的な機能に影響を及ぼすことなく、いくつかの軽微な亀裂が当該コーティングに現れることがあるが、更なる実施形態では、粒子の少なくとも約90%が、当該コアを取り囲み、囲み、及び/又はカプセル化するコーティングに亀裂を示さない、本明細書に開示されるような粒子が提供される。一実施形態では、少なくとも約91%、例えば、少なくとも約92%、例えば、少なくとも約93%、例えば、少なくとも約94%、例えば、少なくとも約95%、例えば、少なくとも約96%、例えば、少なくとも約97%、例えば、少なくとも約98%、例えば、少なくとも約99%、例えば、おおよそ100%の粒子は、当該亀裂を示さない。
あるいは、コーティングに「本質的に当該亀裂がない」とは、コーティングされた粒子の表面の約1%未満が、摩耗、ピンホール、破損、間隙、亀裂及び/又は空隙(それを通して活性成分が潜在的に(例えば、元素に)さらされる)を含むことを意味する。
コーティングされたコアは、連続プロセスによって当該装置から取り出されることなく、内部で前述の脱凝集プロセスに供され得る。このようなプロセスは、反応器内に配置されたふるいを通して当該コアをコーティングすることによって形成された固体生成物塊を強制することを含み、第二のコーティング及び/又は更なるコーティングに供される前に、当該反応器内で適用された強制手段によってコーティングされたコアを強制すると、粒子の凝集体を脱凝集するように構成される。このプロセスは、本明細書に記載されているように、最終的なコーティングを塗布する前に、必要な回数及び/又は適切な回数だけ継続される。
反応容器内にふるいを置くことは、粒子を反応器から取り出す必要のない連続プロセスによって、コーティングを塗布することができることを意味する。したがって、粒子を手動で取り扱う必要はなく、凝集粒子を脱凝集するために外部の機械も必要ない。これにより、コーティングプロセスが実施される時間が大幅に短縮されるだけでなく、より便利になり、有害な(例えば、有毒な)材料が人員によって取り扱われるリスクが軽減される。また、手作業を制限することでプロセスの再現性を高め、汚染のリスクが軽減される。
本発明のこの態様の一実施形態によれば、ステップ2は、ステップ(1)中に形成されたコーティングされた固体コア凝集体を解凝集する前に、コーティングされた固体コアを気相堆積反応器から出すステップと、ステップ(1)中に形成されたコーティングされた固体コア凝集体を解凝集した後に、コーティングされた固体コアを反応器に戻すステップと、を更に含む。
本発明のこの態様の一実施形態によれば、気相堆積技術は、原子層堆積、化学気相堆積、及び物理的気相堆積から選択される。
本発明のこの態様の一実施形態によれば、気相堆積技術は、原子層堆積(ALD)である。ALDは、アクセスが困難な領域又は表面を有する複雑で不均一な構造上の層の堆積に特に有用であり得ることが理解されるであろう。
本発明のこの態様の一実施形態によれば、当該前駆体は、
水、酸素、オゾン及び/又は過酸化水素などの酸素含有前駆体と、
ジエチル亜鉛、トリメチルアルミニウム、及びオルトケイ酸テトラエチルエステルから選択される金属及び/又はメタロイド化合物である。
あるいは及び/又は好ましくは、コーティングされたコアは、ALD反応器などのコーティング装置から取り出され、その後、例えば、国際特許出願第2014/187995号に記載されているように、外部脱凝集ステップに供され得る。そのような外部脱凝集ステップは、湿った状態又は乾いた状態での超音波処理などの撹拌を含み得るか、又は好ましくは、反応器から出された得られた固体生成物塊を、次のコーティングステップのために粒子をコーティング装置に戻す前に、例えば、以下に記載されるように、粒子を脱凝集させるために、例えば、ふるい又はメッシュを通すことによって、ふるいにかけることを含み得る。ここでも、このプロセスは、最終的なコーティングを塗布する前に、必要な回数及び/又は適切な回数だけ継続することができる。
外部脱凝集プロセスでは、脱凝集は、代替的に、湿った状態又は乾いた状態のコーティングされた粒子を、ノズルエアロゾル発生、ミリング、粉砕、撹拌、高剪断混合及び/又は均質化のうちの1つ以上に供することによって、行うことができる。脱凝集のステップが湿った状態の粒子に対して実行される場合、脱凝集した粒子は、次のコーティングステップの前に、(コアに関して前述したように)乾燥されるべきである。
しかしながら、かかる外部プロセスにおいて、脱凝集ステップは、1つ以上のふるい分けステップを含み、これは、ジェットふるい分け、手動ふるい分け、振動ふるい振盪、水平ふるい振盪、タップふるい分け、又は(好ましくは)以下に記載されるような音波ふるい分け、又はこれらのふるい分けステップの任意の組み合わせを含む同様のプロセスを含み得る。当業者は、本明細書に開示される目的のために使用され得る異なる適切なふるい分け技術を認識している。好適な音波シフターのメーカーとしては、Advantech Manufacturing、Endecott、及びTsutsuiが挙げられる。
振動ふるい分け技術は、当該コアをコーティングすることによって形成された固体生成物塊を、反応器の内部又は(好ましくは)外部(すなわち、外側)に位置するふるいに振動的に通す手段を伴い得、任意の粒子凝集体を、コーティング材料の第2の及び/又は更なる層に供する前に、コーティングされたコアを当該振動的に通す際に脱凝集するように構成される。このプロセスは、コーティング材料の最終層を塗布する前に、必要な回数及び/又は適切な回数だけ繰り返される。
振動的に通す手段は、ふるいに結合された振動モータを備える。振動モータは、電力が供給されるときに振動及び/又は回転するように構成される。例えば、振動モータは、逆の圧電効果の結果として、電界が印加されるときに形状を変化させる圧電材料を含む圧電振動モータであり得る。圧電材料の形状の変化は、圧電振動モータの音響又は超音波振動を引き起こす。
代替的に、振動モータは、電力がモータに供給されるときに回転される質量を含む偏心回転質量(ERM)振動モータであってもよい。質量は回転軸から偏心し、質量の回転によりモータが不均衡になり、振動及び/又は回転する。更に、ERM振動モータは、モータに対して異なる位置に配置された複数の質量を含み得る。例えば、ERM振動モータは、各々がモータの反対側の端部に配置された上部質量及び下部質量を含み得る。各質量及び他の質量に対するその角度を変化させることによって、ERM振動モータの振動及び/又は回転を変化させることができる。
振動モータは、電力が供給されるときにモータの振動及び/又は回転がふるいに伝達される様式でふるいに結合される。
ふるい及び振動モータは、振動がマウントに実質的に伝達されるか、又はマウントによって減衰されることなく、ふるい及びモータがマウントに対して自由に振動するように、懸濁手段を介してマウント(例えば、床に配置可能なフレームなど)から懸濁され得る。これにより、振動モータ及びふるいは、障害物なしで振動及び/又は回転することができ、また、振動ふるい分けプロセス中に生成されるノイズを低減する。懸濁手段は、ふるい及び/又はモータをマウントに結合する1つ以上のばね又はベローズ(すなわち、エアクッション又は同等のクッション手段)を含み得る。かかるプロセスを実施するのに適した振動ふるい又はシフターのメーカーとしては、例えば、Russell Finex、SWECO、Filtra Vibracion、VibraScreener、Gough Engineering、及びFarley Greeneが挙げられる。
好ましくは、振動ふるい分け技術は、ふるいに結合された振動プローブを制御することを更に含む。振動プローブは、振動モータによって引き起こされる振動の周波数とは別の周波数でふるいを振動させるように制御され得る。好ましくは、振動プローブは、振動モータによって引き起こされる振動よりも高い周波数でふるいを振動させ、より好ましくは、周波数は超音波範囲内にある。
振動プローブによってふるいに追加の振動を提供することは、ふるいの目詰まりの発生を減らし、ふるいが過負荷になる可能性を減らし、ふるいのメッシュを清掃するのに必要な時間を減らす。
好ましくは、上記の振動ふるい分け技術は、少なくとも1g/分のスループットでコーティングされた粒子をふるい分けることを含む。より好ましくは、振動ふるい分け技術は、4g/分以上のスループットでコーティングされた粒子をふるい分けることを含む。
スループットは、ふるいのメッシュの面積、ふるいのメッシュサイズ、粒子のサイズ、粒子の粘着性、粒子の静的性質に依存する。これらの機能のいくつかを組み合わせることで、はるかに高いスループットが可能になる。したがって、振動ふるい分け技術は、より好ましくは、最大1kg/分又はそれ以上のスループットでコーティングされた粒子をふるい分けることを含む。
上記のスループットのいずれか1つは、既知の機械的ふるい分け、又はふるい分け技術の使用に対する大幅な改善を表す。例えば、我々は、音波ふるい分けは、装置を保存するために必要な15分間の冷却時間を介して15分間のふるい分けを伴うことを見出した。20gのコーティングされた粒子をふるい分けるためには、9セットの15分の活性ふるい分け時間、すなわち、255分の(冷却を含む)合計時間が必要であった。比較すると、前述の振動ふるい分け技術を使用することによって、20gのコーティングされた粒子は、最大で20分間、又はより好ましくはわずか5分間、又はそれ以下で連続的にふるい分けられ得る。
ふるいのメッシュサイズは、ふるいにかけられた粒子又は音波ふるいにかけられた粒子のサイズとふるいのメッシュサイズとの比率が、約1:>1、好ましくは約1:2、及び任意選択で約1:4であるように決定され得る。サイズのメッシュサイズは、約20μm~約100μm、好ましくは約20μm~約60μmの範囲であり得る。
適切なふるいメッシュは、穴あきプレート、マイクロプレート、グリッド、ダイアモンド、スレッド、ポリマー又はワイヤー(編まれたワイヤーふるい)を含み得るが、ステンレス鋼などの金属から形成されることが好ましい。
驚くべきことに、振動ふるい分け技術内でステンレス鋼メッシュを使用することは、音波ふるい分けなどの機械的ふるい分け技術の一部として、より柔らかいポリマーふるい分けを使用することと同様に、粒子コーティングに優しい。
また、ふるい粉の既知の問題は、潜在的に危険な静電気の発生である。スチールメッシュは、粉末から静電気を除去するという利点があるが、ポリマーメッシュではそうではない。ポリマーメッシュは、音波シフターで使用する必要がある。
更に、音波がメッシュを振動させるのではなくメッシュを通って移動するため、既知の音波シフターのメッシュサイズは、約100μmに制限される。その制限は、ふるいで振動を生成するために音波に依存しないため、振動ふるい分け技術のために使用することは存在しない。したがって、本明細書に記載の振動ふるい分け技術は、代替の機械的ふるい分け技術が使用された場合よりも大きな粒子をふるい分けることを可能にする。
ふるいが反応器の外部(すなわち、反応器の外側)に位置する場合、本発明の製剤のコーティングされたコアを作製するプロセスは、コーティングされた粒子を撹拌に供する前に、コーティングされた粒子を気相堆積反応器から排出し、脱凝集したコーティングされた粒子を、少なくとも1つのコーティング材料の更なる層を、再導入された粒子に塗布する前に、気相堆積反応器に再導入することを含む。
本発明者らは、外部脱凝集後、コーティング材料の別個の層を塗布すると、可視及び識別可能な界面が生じることを見出した。これは、コーティングされた粒子を、本発明に従って分析することによって観察することができ、例えば、TEMによって、電子透過性の高い領域として観察される。この点で、界面間の層の厚さは、ALD反応器内で、及び個々の外部撹拌ステップ間で実行される各シリーズのサイクル数に直接対応する。
ALDコーティングプロセスでは、コーティングが原子レベルで起こるため、そのような明確な物理的界面は、典型的には、観察することがより困難である。
理論に制限されることなく、真空条件のALD反応器からコーティングされた粒子を取り出し、新しくコーティングされた表面を大気にさらすと、最も外側の原子層の緩和と再構築による構造の再編成がもたらされると考えられている。このようなプロセスは、表面の自由エネルギーを減少させる熱力学的傾向によって駆動される、表面(及び表面近く)の原子の再編成を伴うと考えられている。
更に、種(例えば、空気中に常に存在する炭化水素)の表面吸着は、炭化水素で形成されたコーティングの反応、並びに大気中の酸素などによる表面修飾と同様に、この現象に寄与する可能性がある。したがって、そのような界面を化学的に分析すると、ALDなどのコーティングプロセスに由来しない微量の汚染物質又はコアの一部を形成する活性成分などのコア材料が含まれている可能性がある。
反応器の内部又は外部で実施されるかどうかにかかわらず、粒子凝集体は、好ましくは、それらをふるいに通す強制手段によって分解され、したがって、凝集体を個々の粒子又は所望及び所定のサイズの凝集体に分離する(それによって、脱凝集を達成する)。後者に関して、場合によっては、個々の一次粒径が非常に小さい(すなわち、<1μm)ため、「完全な」脱凝集(すなわち、凝集体が個々の粒子に分解される)を達成することは不可能である。代わりに、脱凝集は、ふるいのメッシュのサイズによって決定されるように、より大きい凝集体を所望のサイズの二次粒子のより小さい凝集体に分解することによって達成される。次いで、より小さい凝集体を気相技術でコーティングして、小さい凝集体粒子の形態で完全にコーティングされた「粒子」を形成する。このように、「粒子」という用語は、本発明の文脈で脱凝集及びコーティングされた粒子を指す場合、個々の(一次)粒子及び所望のサイズの凝集(二次)粒子の両方を指す。
いずれにせよ、所望の粒径(それが個々の粒子であろうと所望のサイズの凝集体であろうと)は、維持され、更に、ふるい分けによるそのような脱凝集後の粒子への気相コーティング機構の継続的な適用は、粒子上に完全なコーティングを形成し、したがって、完全にコーティングされた粒子(個々の又は所望のサイズの凝集体)が形成されることを意味する。
上記の繰り返されるコーティング及び脱凝集プロセスは、反応器の内部又は外部で実施されるかどうかにかかわらず、少なくとも1回、好ましくは2回、より好ましくは3回、例えば4回、5回を含む、より具体的には6回、例えば、7回、及び約100回以下、例えば、約50回以下、例えば、約40回以下、約30回以下を含む、例えば、2~20回、例えば、3~15回、例えば、10回、例えば、9又は8回、より好ましくは6又は7回、特に、4又は5回実施され得る。
本発明のこの態様によれば、機械的ふるい分け技術は、音波ふるい分けであり、及び/又は振動ふるい分けである。
コーティング材料の層は、まとめて、粒子の表面積にわたって本質的に均一な厚さであり得る。「本質的に均一な」厚さはとは、コーティングの厚さの変動の程度が、本発明の組成物中に存在するコーティングされた粒子の少なくとも約10%、例えば、約25%、例えば、約50%(TEMで測定した場合、平均の厚さの約±20%以下、±50%以下を含む)であることを意味する。
本発明のこの態様の一実施形態によれば、コーティングは、1~10層、例えば、3~7層又は4~6層を含み、全てが酸化亜鉛と酸化アルミニウムの混合物、すなわち混合された酸化物を含み、各層は、20~30のALDサイクル、例えば、22~26のALDサイクルを使用して適用され、酸化亜鉛と酸化アルミニウムとの原子比は、2:1~4:1である。
本発明のこの態様の一実施形態によれば、コーティングを得るために使用されるALDサイクルの総数は、約80~約180、例えば、約90~約150サイクルである。特定の実施形態では、コーティングを得るために使用されるALDサイクルの総数は、約100~約400、例えば、約200~約300サイクルである。
本発明の製剤に採用される本質的な混合酸化物コーティングに加えて、別個の混合酸化物コーティングの間(例えば、別個の脱凝集ステップの間)、及び/又は本明細書中の混合酸化物コーティングが塗布されている間のいずれかに、薬学的に許容され、本質的に非毒性のコーティング材料であり得る他のコーティング材料も加えて塗布され得る。そのような材料は、層の特性を改変するために、金蔵/メタロイド酸化物の混合物の複数(混合された酸化物)、及び1つ以上の異なる無機又は有機材料を含み得る。
追加のコーティング材料は、ポリアミド、ポリイミド、ポリ尿素、ポリウレタン、ポリチオ尿素、ポリエステル、又はポリイミンなどの有機材料又はポリマー材料を含み得る。追加のコーティング材料はまた、金属又は別の元素と、アルコール、カルボン酸、アミン、又はニトリルとの間の組み合わせである材料を含む、ハイブリッド材料(有機材料と無機材料との間のような)を含み得る。しかしながら、コーティング材料は、無機材料を含むことが好ましい。
追加の無機コーティング材料は、酸化物、窒化物、硫化物、セレン化物、炭酸塩、他の三元化合物などのような金属及び/又はメタロイドの他の化合物を含み得る。金属、及びメタロイド、水酸化物、特に酸化物、特に金属酸化物が好ましい。
更に、言及され得る亜鉛、アルミニウム又はシリコン以外の元素の酸化物には、アルカリ金属、アルカリ土類金属、貴金属、遷移金属、遷移後金属、ランタノイドが含まれる。言及され得る金属及びメタロイドには、チタン、マグネシウム、鉄、ガリウム、ジルコニウム、ニオブ、ハフニウム、タンタル及び/又はランタン、より好ましくは、チタン、マグネシウム、鉄、ガリウム及び/又はジルコニウムが含まれる。
したがって、言及され得る追加のコーティング材料には、二酸化チタン(TiO)、酸化鉄(Fe、例えば、FeO及び/若しくはFe及び/若しくはFe)、酸化ガリウム(Ga)、酸化マグネシウム(MgO)、酸化ニオブ(Nb)、酸化ハフニウム(HfO)、酸化タンタル(Ta)、酸化ランタン(La)、並びに/又は二酸化ジルコニウム(ZrO)を含むものが含まれる。
本発明による複数の混合された酸化物でコーティングされた粒子は、塗布されたコーティングにおいて、本質的に前述の亀裂がなく、それを通して活性成分が潜在的に(例えば、元素に)露出されるが、それを更なる医薬製剤の処理に供する前に、2つの更なる任意選択的なステップが複数のコーティングされた粒子に適用され得る。
第1の任意選択的なステップは、前述の最終的な脱凝集ステップの後に、最終的なオーバーコーティング層の塗布を含み得、その外側の「オーバーコーティング」層/コーティング、又は「シーリングシェル」(これらの用語は、本明細書において互換的に使用される)の厚さは、以前に塗布された別個の層/コーティング/シェル(又は「サブシェル」)よりも薄くなければならない。
したがって、厚さは、最も広い以前に塗布されたサブシェルの厚さの平均で約0.7倍以下(例えば、約0.6倍)であり得る。代替的に、厚さは、塗布される最後のサブシェルの厚さの平均で約0.7倍以下(例えば、約0.6倍)であり得、かつ/又は以前に塗布された全てのサブシェルの平均の厚さの平均で約0.7倍以下(例えば、約0.6倍)であり得る。厚さは、最大約20μmの粒子の場合、平均で約0.3nm~約10nmの範囲であり得る。より大きい粒子の場合、厚さは、コーティングされた粒子の重量、数、又は体積に基づく平均直径の平均で約1/1000以下であり得る。
シーリングシェルの役割は、粒子に「シーリング」オーバーコーティング層を提供し、それらの亀裂を覆うことであり、そのため、そのシーリングシェルで完全に覆われているだけでなく、医薬製剤化前及び/又は中に下に形成されたサブシェルを破壊しない様式で、粒子が容易に(例えば、ボルテックスなどの非侵襲的な技術を使用して)脱凝集され得る様式で覆われる粒子が生じる。
本明細書に記載の理由から、シーリングシェルは、酸化亜鉛を含まないことが好ましい。一方、シールシェルは、二酸化シリコン、又はより好ましくは酸化アルミニウムを含み得る。
第2の任意選択的なステップは、壊れた及び/又は亀裂の入ったシェル/コーティングを有する少数の残りの粒子を、全ての粒子が溶媒に懸濁される処理(活性成分は、例えば、少なくとも約0.1mg/mLの溶解度で可溶性であるが、混合酸化物コーティングの最も溶解度の低い材料は、例えば、約0.1μg/mL以下の溶解度で不溶性である)処理に供し、続いて、例えば、遠心分離、沈降、凝集、及び/又は濾過によって、溶媒から固形物粒子を分離し、その結果、主にインタクトな粒子が残ることを確実にすることを含み得る。
上記の任意選択的なステップは、前に考察されたように、活性成分の血漿中濃度における(おそらく)望ましくない初期ピーク(バースト)の可能性を更に潜在的に低減する手段を提供する。
プロセスの最後に、コーティングされた粒子は、コアを乾燥させるための前述した技術のうちの1つ以上を使用して、乾燥させることができる。乾燥は、1つ以上の薬学的に許容される賦形剤(例えば、糖又は糖アルコール)の不在下又は存在下で起こり得る。
代替的に、プロセスの最後に、分離された粒子は、その後の保存及び/又は患者への投与のために、溶媒(例えば、水、本明細書で定義される1つ以上の薬学的に許容される賦形剤の存在の有無で)に再懸濁され得る。
コーティング材料の第1の層を塗布する前に、又は順次のコーティングの間に、コア及び/又は部分的にコーティングされた粒子は、1つ以上の代替的及び/又は予備的な表面処理に供され得る。この点で、異なる材料(すなわち、無機材料以外)を含む1つ以上の中間層を、例えば、コーティングステップ/堆積処理中の前駆体との望ましくない反応からコア又は部分的にコーティングされた粒子を保護するため、コーティング効率を増強するため、又は凝集を低減するために、関連する表面に塗布することができる。
中間層は、例えば、コーティングされる粒子の凝集を低減し、その後のコーティングに好適な親水性表面を提供する目的で、1つ以上の界面活性剤を含み得る。この点に関して、好適な界面活性剤としては、Tweenシリーズ(例えば、Tween80)などのよく知られた非イオン性、アニオン性、カチオン性、又は双性イオン性の界面活性剤が挙げられる。代替的に、コアの一部として(又はコアとして)用いられる活性成分が、コーティング(例えば、ALD)プロセス中に気相に存在し得る1つ以上の前駆体化合物と反応しやすい場合、コアを、予備的な表面処理に供することができる。
代替的に、この性質の「中間」層/表面処理の適用は、代替的に、液相非コーティング技術、続いて、凍結乾燥、噴霧乾燥、又は他の乾燥方法によって達成されて、コーティング材料がその後塗布され得る表面層を、粒子に提供し得る。
本発明の製剤の粒子の外面はまた、例えば、コーティング材料の最終層の外面に、1つ以上の化学化合物又は部分を付着させることよって、例えば、ナノ粒子が投与される患者内の粒子の標的化送達を増強する化学化合物又は部分を用いて、誘導体化又は官能化され得る。そのような化合物は、有機分子(例えば、PEG)ポリマー、抗体若しくは抗体断片、又は受容体結合タンパク質若しくはペプチドなどであり得る。
あるいは、その部分は、シラン官能性を含む部分などのアンカリング基であり得る(例えば、Herrera et al,J.Mater.Chem.,18,3650(2008)及びUS8,097,742を参照されたい)。別の化合物(例えば所望の標的化化合物)は、共有結合若しくは非共有結合(水素結合若しくはファンデルワールス結合を含む)、又はそれらの組み合わせによって、かかるアンカリング基に結合され得る。
かかる固定基の存在は、体内の特定の部位への標的化送達のための汎用性ツールを提供し得る。代替的に、PEGなどの化合物を使用すると、粒子が血流内でより長く循環し、肝臓又は脾臓に蓄積されないようにすることができる(身体が粒子を排除する自然な機構で、疾患組織への送達を防止する可能性がある)。
本発明の一態様によれば、本発明による複数のコーティングされた粒子を調製する方法によって得られる、又は得ることができる、複数のコーティングされた粒子が提供される。
本発明の一態様によれば、本発明による複数のコーティングされた粒子と、薬学的に許容される希釈剤、担体及び/又は賦形剤とを含む医薬組成物又は獣医学的組成物が提供される。一実施形態では、当該医薬組成物は、ヒト又は動物用である。
そのような医薬組成物又は獣医学的組成物は、薬理学的に有効な量のレナリドマイド若しくはポマリドマイド、又はその薬学的に許容される塩を含む。「薬理学的に有効な量」という用語は、単独で又は別の活性成分と組み合わせて投与されるかどうかにかかわらず、治療患者に所望の生理学的変化(治療効果など)を与えることができるレナリドマイド若しくはポマリドマイド又はその塩の量を指す。患者におけるそのような生物学的若しくは医学的反応、又はそのような効果は、主観的(すなわち、対象が効果の兆候を与える、若しくは効果を感じる)であり得、治療されている疾患若しくは障害の症状の少なくとも部分的な緩和、又は当該疾患若しくは障害の治癒若しくは予防を含み、客観的(すなわち、何らかの試験若しくはマーカーによって測定可能)であり得る。
本発明による組成物の医薬(又は獣医用)製剤は、異なるタイプの粒子、例えば、異なる機能化(前述のように)を含む粒子、異なるサイズ、及び/若しくは異なる厚さの混合された酸化物コーティング材料の層の粒子、又はそれらの組み合わせを含み得る。単一の医薬製剤において、異なるコーティング厚さ及び/又は異なるコアサイズを有する粒子を組み合わせることにより、患者への投与後の薬物放出は、特定の期間にわたって制御(例えば、変動若しくは延長)され得る。
したがって、患者に投与され得る活性成分/その塩の用量は、合理的及び/又は関連する時間枠にわたって治療反応に影響を与えるのに十分でなければならない。当業者は、正確な用量及び組成並びに最も好適な送達レジメンの選択が、他の治療剤の性質だけでなく、とりわけ製剤の薬理学的特性、投与経路、治療される状態の性質及び重症度、レシピエントの体調及び知的鋭敏性、並びに治療される患者の年齢、状態、体重、性別、及び反応、疾患の病期/重症度、並びに患者間の遺伝的差異によっても影響されることを認識している。
活性成分/その塩の投与量はまた、投与のタイミング及び頻度によって決定され得る。いずれにしても、医師又は他の当業者は、個々の患者に最も好適な活性成分の実際の投与量を日常的に決定することができるであろう。
本発明の製剤は、全身的に、例えば、注射又は注入、静脈内又は動脈内(血管内若しくは他の血管周囲デバイス/剤形(例えば、ステント)を含む)、筋肉内、骨内、脳内、脳室内、滑液嚢内、胸骨内、髄腔内、病変内、頭蓋内、腫瘍内、皮膚、皮内、皮下、経皮に、薬学的に(又は獣医学的)に許容される剤形の形態で、投与され得る。特定の実施形態では、当該製剤は、筋肉内又は皮下に投与される。
本発明による製剤の調製は、本明細書に記載のコーティングされた粒子を適切な薬学的に許容される水性担体システムに組み込むことを含み、意図する投与経路及び標準的な薬務を考慮して達成され得る。したがって、適切な賦形剤は、用いられる活性剤に対して化学的に不活性であり、使用条件下で有害な副作用又は毒性を有さないことが必要である。そのような薬学的に許容される担体はまた、本発明による製剤の粒子の即時放出又は放出調節を付与し得る。
本発明の粒子の無菌の水性懸濁液は、当該技術分野において既知の技術に従って製剤化され得る。水性媒体は、少なくとも約50%の水を含有すべきであるが、リンゲル溶液などの他の水性賦形剤を含み得、また、極性共溶媒(例えば、エタノール、グリセロール、プロピレングリコール、1,3-ブタンジオール、様々な分子量のポリエチレングリコール、及びテトラグリコール)、粘度増加剤、又は増粘剤(例えば、カルボキシメチルセルロース、微結晶性セルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、グリコール酸デンプンナトリウム、ポロキサマー、例えば、ポロキサマー407、ポリビニルピロリドン、シクロデキストリン、例えば、ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン、ポリビニルピロリドン、及び様々な分子量のポリエチレングリコール)、均質懸濁を達成するための界面活性剤/湿潤剤(例えば、ソルビタンエステル、ラウリル硫酸ナトリウム、モノグリセリド、ポリオキシエチレンエステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシルグリセリド、及び好ましくは、Tween(Polysorbate)、例えば、Tween80及びTween20)を含み得る。好ましい成分には、等張性修飾剤(例えば、乳酸ナトリウム、デキストロース、特に塩化ナトリウム)、pH調節剤及び/又は緩衝剤(例えば、クエン酸、クエン酸ナトリウム、特にリン酸緩衝剤、例えば、リン酸水素二ナトリウム水和物、リン酸ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム一水和物、及びこれらの組み合わせが含まれ、これらは、塩酸及び水酸化ナトリウムなどの標準的な無機酸及び塩基と組み合わせて採用され得る)、並びにマンニトール、クロスカルメロースナトリウム、及びヒアルロン酸などの他の成分が含まれる。
本発明による製剤は、均一かつ注射液内で安定な(すなわち、沈降しない)懸濁液を形成することができ、かつ針を通して注射することができるサイズ分布を有するコーティングされた粒子の注射用懸濁液の形態で更に製剤化され得る。この点で、本発明の製剤は、本発明の製剤の早期ゲル化を防止し得る、及び/又は懸濁液が「均質」ではなくなり、したがって活性成分の過少又は過剰投薬のリスクが生じる沈降を防止するのに十分な粘性を有する不活性成分を含む水性媒体を含み得る。
したがって、製剤は、通常の保管条件下で保管することができ、それらの物理的及び/又は化学的完全性を維持することができる。「物理的及び化学的完全性を維持する」という表現は、本質的に、化学的安定性及び物理的安定性を意味する。
「化学的安定性」とは、本発明のコーティングされた粒子を含む製剤を、通常の保管条件下で、化学的分解(degradation)又は分解(decomposition)の程度がわずかなまま、(適切な医薬品包装の有無にかかわらず)保管することができることを含む。
「物理的安定性」とは、本発明のコーティングされた粒子を含む製剤は、物理的変換(例えば、上記のような沈降)の程度がわずかなまま、又はコーティングされた粒子の性質及び/若しくは完全性の変化、例えば、コーティング自体若しくは活性成分の変化(溶解、溶媒和、固相相転移などを含む)がわずかなまま、通常の保管条件下で、(適切な医薬品包装の有無にかかわらず)保管され得ることを含む。
本発明の製剤の「通常の保管条件」の例としては、長期間(すなわち、約12か月間以上、例えば、約6か月間)にわたる、約-50℃~約+80℃(好ましくは、約-25℃~約+75℃、例えば、約50℃)の温度、及び/又は約0.1~約2バールの圧力(好ましくは、大気圧)、及び/又は約460ルクスの紫外線/可視光への曝露、及び/又は約5~約95%(好ましくは、約10~約40%)の相対湿度が挙げられる。
このような条件下では、本発明の製剤は、必要に応じて、約15%未満、より好ましくは約10%未満、とりわけ約5%未満が、化学的及び/又は物理的に劣化/分解されていることが見出され得る。当業者は、温度及び圧力の上記の上限及び下限が通常の保管条件の極値を表し、これらの極値の特定の組み合わせが通常の保管中に経験されないことを理解する(例えば、50℃の温度及び圧力0.1バール)。
本発明の製剤は、コーティングされた粒子の約10重量%(約20重量%など、例えば、約50重量%)~約90重量%などの約1重量%~約99重量%を含み得、残りは、担体システム及び/又は他の薬学的に許容される賦形剤によって構成されている。
本発明のこの態様の更なる実施形態によれば、組成物は、無菌の注射可能及び/又は注入可能な剤形の形態である。
いずれにしても、好適な製剤の調製は、日常的な技術を使用して当業者によって非進歩的に達成され得る。したがって、本発明の製剤及びそれを含む剤形は、医薬製剤の調製のために当該技術分野で使用される従来の医薬添加剤及び/又は賦形剤で製剤化され得、その後、標準的な技術を使用して様々な種類の医薬製剤及び/又は剤形に組み込まれ得る(例えば、Lachman et al.,‘The Theory and Practice of Industrial Pharmacy’,Lea & Febiger,3rd edition(1986)、‘Remington:The Science and Practice of Pharmacy’,Troy(ed.),University of the Sciences in Philadelphia,21st edition(2006)、及び/又は‘Aulton’s Pharmaceutics:The Design and Manufacture of Medicines’,Aulton and Taylor(eds.),Elsevier,4th edition,2013)、及びそこで言及されている文書を参照されたい。その全ての文書における関連する開示は、参照により本明細書に組み込まれる)。
本発明の一態様によれば、コーティングされた粒子は、コーティング後に担体システムと混合される。本発明の更なる態様によれば、例えば本明細書に記載されるようなコーティングされた粒子を、例えば、本明細書に記載されるような、(例えば、水性)担体システムと一緒に混合することを含む、製剤を調製するためのプロセスが提供される。そのような製剤は、以下、「本発明の製剤」と称される。
皮下注射及び/又は筋肉内注射などの非経口投与の場合、本発明の製剤は、デポー製剤を形成するために、外科的投与装置(例えば、注射用の針、カテーテルなどを備える注射器)を介して投与可能な無菌の注射用及び/又は注入用剤形の形態で提示され得る。
更に、本発明の製剤を含む注射可能及び/又は注入可能な剤形が提供され、当該製剤は、注射又は注入手段(例えば、注射用の針、カテーテルなどを備える注射器)に接続され、及び/又はそれに関連付けられるリザーバー内に含まれる。
あるいは、本発明の製剤は、好適な注射可能及び/又は注入可能な投薬手段(例えば、注射用の針を備える注射器)に装填される前に保存され得るか、又はかかる投薬手段に装填される直前に調製され得る。
したがって、無菌の注射用及び/又は注入用剤形は、本発明の製剤が予め装填されていてもよい注射又は注入手段と連通しているレセプタクル又はリザーバーを含んでいてもよいし、使用前の時点で装填されていてもよいし、本発明の製剤及び水性担体システムのコーティングされた粒子が別個に収容されており、注射又は注入の前及び/又は最中に混合が起こる1つ以上のリザーバーを含んでいてもよい。
したがって、
(a)本発明の製剤のコーティングされた粒子と、
(b)本発明の製剤の担体システムと、を含む、キットオブパーツが更に提供され、
並びに本発明の製剤のコーティングされた粒子を、それらの粒子を本発明による担体システムと混合するエンドユーザーへの説明書とともに含むキットオブパーツ。
上記のように事前に装填された注射可能及び/又は注入可能な剤形が更に提供されるが、少なくとも2つのチャンバーを含むことによって改変され、その一方のチャンバー内に、本発明の製剤のコーティングされた粒子が配置され、他方のチャンバー内に、本発明の製剤の水性担体システムが配置され、混合することで、注射又は注入の前及び/又は最中に、懸濁液又はその他が生成される。
本発明のこの態様の一実施形態によれば、組成物は、外科的投与装置又は注射器を介して投与可能な液体、ゾル、又はゲルの形態であり、その液体、ゾル、又はゲルは、皮下デポー製剤などのデポー製剤を患者に形成する。
本発明のこの態様の一実施形態によれば、組成物は、レナリドマイド及びポマリドマイドから選択される、治療上有効な量の当該化合物を3日間~3か月、例えば1~4週間、例えば15~25日間、例えば約3週間放出するデポー又はデポー形成製剤の形態である。特定の実施形態では、組成物は、治療上有効な量のレナリドマイドを3日間~3か月、例えば、1~4週間、例えば、15~25日間、例えば、約3週間放出するデポー製剤の形態である。
本発明のこの態様の一実施形態によれば、当該デポー製剤は、皮下又は筋肉内デポー、又はデポー形成製剤である。
この組成物は、ヒト患者及び/又はヒト医学において意図され得る。本発明の一態様によれば、医薬品として使用するために、本発明による複数のコーティングされた粒子又は本明細書に記載の本発明による医薬組成物が提供される。
本発明の一態様によれば、多発性骨髄腫の治療に使用するためなど、血液がんの治療に使用するための、本発明による複数のコーティングされた粒子又は本発明による医薬組成物が提供される。
本発明のこの態様の一実施形態によれば、レナリドマイド及びポマリドマイドからなる群から選択される当該化合物の投与は、標準治療から得られる曝露(AUC)の約10%~約100%、例えば、約10%~約60%の化合物のAUCを達成する。一実施形態では、標準治療から得られる曝露(AUC)の約10%~約60%の化合物の当該AUCは、本明細書に開示されるような皮下デポー製剤の形態で投与することによって達成される。標準治療は、例えば、1日1回約500μgの腹腔内注射であり得るか、又は1日1回約2.5~約50mgの経口投与、例えば約2.5mg、約4.0mg、約5mg、約10mg、約15mg、約20mg、約25mg、約30mg、若しくは約50mgの免疫調節イミド化合物の1日1回又は2日に1回の経口投与であり得る。標準治療はまた、約2.5mg~約50mgのレナリドマイドの1日1回の経口用量、例えば、約2.5mg、約5mg、約10mg、約15mg、約20mg、又は約25mg若しくは約50mgの1日1回又は2日に1回であってもよい。
本発明のこの態様の一実施形態によれば、レナリドマイドへの総曝露は、上記で定義される標準治療の投与レジメン、例えば、約25mg又は約10mgを3日連続して1日1回経口投与することを含む投与レジメンから得られる総曝露の少なくとも約40%、例えば、少なくとも約50%、例えば、少なくとも約60%、例えば、少なくとも約70%、例えば、少なくとも約80%、例えば、少なくとも約90%、例えば、最大約100%である。一実施形態では、これは、本明細書に開示されるような皮下デポー製剤の形態で投与することによって達成される。
本発明のこの態様の一実施形態によれば、レナリドマイド及びポマリドマイドからなる群から選択される化合物は、新たに診断された多発性骨髄腫を治療するために、約185μg~約725μg/時間の速度で連続的に送達される。一実施形態では、これは、本明細書に開示されるような皮下デポー製剤の形態で投与することによって達成される。
本発明のこの態様の一実施形態によれば、レナリドマイド及びポマリドマイドからなる群から選択される当該化合物の投与は、約19~70ng/mLの範囲の化合物の定常状態血中濃度を達成する。一実施形態では、これは、本明細書に開示されるような皮下デポー製剤の形態で投与することによって達成される。
本発明のこの態様の一実施形態によれば、血漿中のレナリドマイドの最大濃度Cmaxは、1日1回約25mg又は約10mgを経口投与することを含む投与レジメンから得られるCmaxの少なくとも約40%、例えば、少なくとも約50%、例えば、少なくとも約60%、少なくとも約70%、例えば、少なくとも約80%、例えば、少なくとも約90%、例えば、最大約100%である。1日1回約25mgの用量を経口投与することを含む投与レジメンから得られるCmaxは、約568ng/mlである。一実施形態では、これは、本明細書に開示されるような皮下デポー製剤の形態で投与することによって達成される。
本発明のこの態様の一実施形態によれば、レナリドマイド及びポマリドマイドからなる群から選択される化合物は、多発性骨髄腫の維持治療のために、約70μg~約285μg/時間の速度で連続的に送達される。一実施形態では、これは、本明細書に開示されるような皮下デポー製剤の形態で投与することによって達成される。
本発明のこの態様の一実施形態によれば、レナリドマイド及びポマリドマイドからなる群から選択される当該化合物の投与は、約7.5~約28ng/mLの範囲のレナリドマイドの定常状態血中濃度を達成する。一実施形態では、これは、本明細書に開示されるような皮下デポー製剤の形態で投与することによって達成される。
本発明のこの態様の一実施形態によれば、投与は、皮下デポー製剤の形態である。
当業者は、本開示の本明細書に開示される粒子の医学的使用に関連する態様に関連して言及される任意の実施形態が、本明細書に開示される本発明の治療方法に等しく適用可能であることを理解する。簡潔さのために、当該実施形態は、ここで繰り返されないか、又は簡単に言及されるだけである。
本発明の一態様によれば、多発性骨髄腫などの血液がんを治療する方法であって、治療上有効な量の、本発明による複数のコーティングされた粒子の形態で、又は本発明による医薬組成物の形態で、レナリドマイド及びポマリドマイドからなる群から選択される化合物を、それを必要とする患者に投与することを含む、方法が提供される。
本発明のこの態様の一実施形態によれば、化合物はレナリドマイドである。
本発明のこの態様の一実施形態によれば、上記方法は、標準治療から得られた曝露(AUC)の約10%~約60%の当該化合物のAUCを達成する。一実施形態では、これは、本明細書に開示されるような皮下デポー製剤の形態で投与することによって達成される。
本発明のこの態様の一実施形態によれば、上記方法は、レナリドマイドへの総曝露は、約25mg又は約10mgを3日連続して1日1回経口投与することを含む投与レジメンから得られる総曝露の少なくとも約40%、例えば、少なくとも約50%、例えば、少なくとも約60%、例えば、少なくとも約70%、例えば、少なくとも約80%、例えば、少なくとも約90%、例えば、最大約100%であることを達成する。一実施形態では、これは、本明細書に開示されるような皮下デポー製剤の形態で投与することによって達成される。
本発明のこの態様の一実施形態によれば、化合物は、新たに診断された多発性骨髄腫を治療するために、約185μg~約725μg/時間の速度で連続的に送達される。一実施形態では、投与は、皮下デポー製剤の形態である。
本発明のこの態様の一実施形態によれば、上記方法は、約19~約70ng/mLの範囲の当該化合物の定常状態血中濃度を達成する。一実施形態では、これは、本明細書に開示されるような皮下デポー製剤の形態で投与することによって達成される。
本発明のこの態様の一実施形態によれば、上記方法は、血漿中のレナリドマイドの最大濃度Cmaxが、約25mg又は約10mgを1日1回経口投与することを含む投与レジメンから得られるCmaxの少なくとも約40%、例えば、少なくとも約50%、例えば、少なくとも約60%、例えば、少なくとも約70%、例えば、少なくとも約80%、例えば、少なくとも約90%、例えば、最大約100%であることを達成する。1日1回約25mgの用量を経口投与することを含む投与レジメンから得られるCmaxは、約568ng/mLである。一実施形態では、これは、本明細書に開示されるような皮下デポー製剤の形態で投与することによって達成される。
本発明のこの態様の一実施形態によれば、化合物は、多発性骨髄腫の維持治療のために、約70μg~約285μg/時間の速度で連続的に送達される。一実施形態では、投与は、皮下デポー製剤の形態である。
本発明のこの態様の一実施形態によれば、上記方法は、約7.5~約28μg/Lの範囲の当該化合物の定常状態血中濃度を達成する。一実施形態では、これは、本明細書に開示されるような皮下デポー製剤の形態で投与することによって達成される。
本発明のこの態様の一実施形態によれば、投与は、皮下又は筋肉内デポー、又はデポー形成製剤の形態である。
本発明のこの態様の一実施形態によれば、医薬品は、皮下又は筋肉内デポー、又はデポー形成製剤の形態であり、及び/又はそれを形成する。
本発明によれば、血液がんを治療するための医薬品の調製における、本発明による複数のコーティングされた粒子又は本発明による医薬組成物の使用が提供される。典型的には、上記医薬品は、多発性骨髄腫を治療するためのものである。
本発明によるコーティングされた粒子、及びこれらを含む本発明の製剤は、上の状態のうちのいずれかの治療的、緩和的、及び/又は診断的な治療、並びに予防的治療(状態の悪化(deterioration)及び/又は悪化(worsening)を防止及び/又は抑止することを含む)において示されている。
本発明の製剤の注射は、軽度の炎症反応を引き起こし得る。そのような応答は、注射に好適な抗炎症剤との同時投与によって緩和され得る。
この点で用いられ得る適切な抗炎症剤としては、ブチルピラゾリジン(例えば、フェニルブタゾン、モフェブタゾン、オキシフェンブタゾン、クロフェゾン、ケブゾン及びスキシブゾン)、酢酸誘導体及び関連物質(インドメタシン、スリンダック、トルメチン、ゾメピラック、ジクロフェナク、アルクロフェナク、ブマジゾン、エトドラック、ロナゾラック、フェンチアザック、アセメタシン、ジフェンピラミド、オキサメタシン、プログルメタシン、ケトロラック、アセクロフェナク及びブフェキサマク)、オキシカム(例えば、ピロキシカム、テノキシカム、ドロキシカム、ロルノキシカム及びメロキシカム)、プロピオン酸誘導体(例えば、イブプロフェン、ナプロキセン、ケトプロフェン、フェノプロフェン、フェンブフェン、ベノキサプロフェン、スプロフェン、ピルプロフェン、フルルビプロフェン、インドプロフェン、チアプロフェン酸、オキサプロジン、イブプロキサム、デキシブプロフェン、フルノキサプロフェン、アルミノプロフェン、デクスケトプロフェン、ベダプロフェン、カルプロフェン及びテポキサリン)、フェナメート(例えば、メフェナミン酸、トルフェナム酸、フルフェナム酸、メクロフェナム酸及びフルニキシン)、コキシブ(例えば、セレコキシブ、ロフェコキシブ、バルデコキシブ、パレコキシブ、エトリコキシブ、ルミラコキシブ、フィロコキシブ、ロベナコキシブ、マバコキシブ及びシミコキシブ)、他の非ステロイド性抗炎症剤(例えば、ナブメトン、ニフルミン酸、アザプロパゾン、グルコサミン、ベンジダミン、グルコサミノグリカンポリスルフェート、プロクアゾン、オルゴテイン、ニメスリド、フェプラゾン、ジアセレイン、モルニフルメート、テニダップ、オキサセプロール、コンドロイチン硫酸、ペントサンポリスルフェート及びアミノプロピオニトリル)、コルチコステロイド(例えば、11-デヒドロコルチコステロン、11-デオキシコルチコステロン、11-デオキシコルチゾール、11-ケトプロゲステロン、11β-ヒドロキシプレグネノロン、11β-ヒドロキシプロゲステロン、11β、17α、21-トリヒドロキシプレグネノロン、17α、21-ジヒドロキシプレグネノロン、17α-ヒドロキシプレグネノロン、17α-ヒドロキシプロゲステロン、18-ヒドロキシ-11-デオキシコルチコステロン、18-ヒドロキシコルチコステロン、18-ヒドロキシプロゲステロン、21-デオキシコルチゾール、21-デオキシコルチゾン、21-ヒドロキシプレグネノロン(プレベジオロン)、アルドステロン、コルチコステロン(17-デオキシコルチゾール)、コルチゾール(ヒドロコルチゾン)、コルチゾン、プレグネノロン、プロゲステロン、フルーゲストン(フルロゲストン)、フルオロメトロン、メドリゾン(ヒドロキシメチルプロゲステロン)、プレベジオロンアセテート(21-アセトキシプレグネノロン)、クロロプレドニゾン、クロプレドノール、ジフルプレドネート、フルドロコルチゾン、フルオシノロン、フルペロロン、フルプレドニゾロン、ロテプレドノール、メチルプレドニゾロン、プレドニカルベート、プレドニゾロン、プレドニゾン、チキソコルトール、トリアムシノロン、アルクロメタゾン、ベクロメタゾン、ベタメタゾン、クロベタゾール、クロベタゾン、クロコルトロン、デソキシメタゾン、デキサメタゾン、ジフロラゾン、ジフルオコルトロン、フルクロロロン、フルメタゾン、フルオコルチン、フルオコルトロン、フルプレドニデン、フルチカゾン、フルチカゾンフロエート、ハロメタゾン、メプレドニゾン、モメタゾン、モメタゾンフロエート、パラメタゾン、プレドニリデン、リメキソロン、ウロベタゾール(ハロベタゾール)、アムシノニド、ブデソニド、シクレソニド、デフラザコルト、デソニド、ホルモコルタール フルクロロロンアセトニド(フルクロロニド)、フルドロキシコルチド(フルランドレノロン、フルランドレノリド)、フルニゾリド、フルオシノロンアセトニド、フルオシノニド、ハルシノニド及びトリアムシノロンアセトニド)、キノリン(例えば、オキシシンコフェン)金製剤(例えば、金チオリンゴ酸ナトリウム、オーロチオ硫酸ナトリウム、オーラノフィン、アウロチオグルコース及びオーロチオプロール)、ペニシラミン及び類似の薬剤(例えば、ブシラミンなど)、並びに抗ヒスタミン薬(アクリバスチン、アリメマジン、アンタゾリン、アステミゾール、アザタジン、アゼラスチン、バミピン、ビラスチン、ブロムジフェンヒドラミン、ブロムフェニラミン、ブクリジン、セチリジン、シンナリジン、シクリジン、シプロヘプタジン、デプトロピン、デスロラタジン、デクスブロムフェニラミン、デクスクロルフェニラミン、ジエニルピラリン、ジメンヒドリナート、ジメチンデン、ドキシラミン、エバスチン、エピナスチン、フェニンダミン、フェニラミン、フェキソフェナジン、ヒスタピロジン、ヒドロキシエチルプロメタジン、イソチペンジル、カルビノキサミン、ケトチフェン、キフェナジン、クレマスチン、クロルシクリジン、クロルフェナミン、クロルフェノキサミン、クロロピラミン、レボセチリジン、ロラタジン、メブヒドロリン、メキタジン、メクロジン、メピラミン、メタピリレン、メトジラジン、ミゾラスチン、オキサトミド、オキソメマジン、ピメチキセン、プロメタジン、ピロブタミン、ルパタジン、セキフェナジン、タラスチン、テナリジン、テルフェナジン、チアジナム、チエチルペラジン、トンジルアミン、トリメトベンザミド、トリペレナミン、トリプロリジン及びトリトクバリン)が挙げられる。前述した抗炎症剤のうちのいずれか1つ以上の組み合わせが使用され得る。
好ましい抗炎症剤としては、ジクロフェナク、ケトプロフェン、メロキシカム、アセクロフェナク、フルルビプロフェン、パレコキシブ、ケトララックトロメタミン、又はインドメタシンなどの非ステロイド性抗炎症薬が挙げられる。
対象は、本発明の製剤とは別個の、前述の抗炎症剤のうちの1つ以上を受容してもよく(又は既に受容してもよい)、これは、本発明の製剤による治療の前に、それに加えて、及び/又はそれに続いて、これらの抗炎症剤のうちの1つ以上を所定の用量で受容することを意味する。
レナリドマイド若しくはポマリドマイド又はそのいずれかの塩をそのような他の治療剤と「併用する」場合、活性成分は、同じ製剤で一緒に投与されてもよく、又は異なる製剤で別個に(同時に又は連続して)投与されてもよい(以下、「併用製品」と称される)。
そのような併用製品は、他の治療剤と併せたレナリドマイド又はポマリドマイドの投与を提供し、したがって、それらの製剤のうちの少なくとも1つが、本発明の製剤であり、少なくとも1つが別個の製剤中の抗炎症剤を含む、別個の製剤として提示され得るか、又は併用調製物として提示(すなわち、製剤化)され得る(すなわち、レナリドマイド/ポマリドマイド/塩及び他の抗炎症剤を含む単一製剤として提示され得る)。
この点で、抗炎症剤は、前述の本発明の製剤の一部を形成するコアのうちの1つ以上において、適切な用量でレナリドマイド/ポマリドマイドとともに提示されてもよく、又はレナリドマイド/ポマリドマイドについての前述のものとコーティングのための同じ又は類似のプロセスを使用して製剤化されてもよく、これは、同じ時間スケールにわたって、又は異なる時間スケールにわたって、他の治療剤の放出を可能にし得る。
したがって、抗炎症剤を更に含む本発明の医薬製剤が更に提供される。
本発明のそのような製剤においては、更なる抗炎症剤は、
(1)本発明の製剤(この製剤は、以下、「併用コア調製物」と称される)の固体コア内で、レナリドマイド/ポマリドマイドとともに製剤化すること、又は
(2)それを、本発明の製剤(この製剤は、以下、「併用調製物」と称される)の水性担体システム内に溶解させること、及び/若しくは懸濁させることによって含まれ得る。
上記の実施形態(2)では、抗炎症剤は、レナリドマイド/ポマリドマイド含有コアとは別個の任意の形態で、本発明の製剤中に提示され得る。これは、例えば、その活性成分を本発明の製剤の水性媒体中に直接溶解又は懸濁させることによって、又はその放出がまた、レナリドマイド/ポマリドマイドと同様に、注射後に制御され得る形態でそれを提示することによって達成され得る。
後者の選択は、例えば、本発明の製剤の水性担体システムに懸濁された追加の粒子の形態の抗炎症剤を提供することによって達成され得、この追加の粒子は、10nm~約700μmの量である、重量、数、又は体積に基づく平均直径を有し、抗炎症剤を含むコアを含み、このコアは、少なくとも部分的に、上述の1つ以上のコーティング材料によってコーティングされる(この製剤は、以下、「併用懸濁液」と称される)。
更に、キットオブパーツの形態であって、以下の成分:
(A)本発明の医薬製剤と、
(B)抗炎症剤を含む医薬製剤と、を含み、
これらの成分(A)及び(B)が、各々、他方と併せて投与するのに好適である形態で提供される、キットオブパーツの形態である、本発明の医薬製剤が提供される。
上記の提示されたキットオブパーツの成分(B)は、その化学組成及び/又は物理的形態が成分(A)(すなわち、本発明の製剤)と異なる場合があるが、それはまた、本質的に本発明のレナリドマイド/ポマリドマイド含有製剤と同一又は少なくとも類似する形態、すなわち(例えば、水性)担体システムに懸濁された複数の粒子の形態である形態であってもよく、上記粒子は、
(a)10nm~約700μmの量である、重量、数、又は体積に基づく平均直径を有し、
(b)他の治療剤を含む固体コアを含み、そのコアは、少なくとも部分的に、(例えば、無機)材料のうちの1つ以上のコーティングによってコーティングされる。
加えて、そのような好ましいキットオブパーツ、及び上記の実施形態(2)の下に提示される併用懸濁液では、他の治療剤を含むコーティングされたコアは、それらの化学組成及び/又は物理的形態の点で異なる場合があるが、用いられる無機材料のコーティングは、本発明のレナリドマイド/ポマリドマイド含有製剤で用いられるコーティングと同一又は類似であることが好ましく、これは、他の治療剤が、本明細書に記載されるような1つ以上の無機コーティング、例えば、1つ以上の金属含有又はメタロイド含有化合物、例えば、金属、又はメタロイド、酸化物、例えば、酸化鉄、二酸化チタン、硫化亜鉛、より好ましくは、酸化亜鉛、二酸化シリコン及び/又は酸化アルミニウムを含む1つ以上の無機コーティング材料によってコーティングされることを意味し、このコーティング材料は、そのような酸化物の(個別又は集合ベースで)本質的に(例えば、約80%超、例えば、約90%、例えば、約95%、例えば、約98%)を構成し得、より具体的には、無機コーティングは、
(i)酸化亜鉛と、
(ii)1つ以上の他の金属及び/又はメタロイド酸化物との混合物を含み、
原子比((i):(ii))が、少なくとも約1:6と、最大で約6:1との間である、医薬製剤。
好ましくは、原子比((i):(ii))が、少なくとも約1:1と、最大で約6:1との間である。
いずれにせよ、疑義を避けるために、本明細書で開示されている、及び/又は特許請求されている、本発明のレナリドマイド/ポマリドマイド含有製剤の、好ましい態様を含む全ての態様は、上記の更なる抗炎症剤のうちの1つ以上を含むコーティングされたコアの態様及び/又は好みとして等しく適用可能である。疑義を避けるために、そのような態様、好み及び特徴は、単独で又は組み合わせて、本発明のこれらの態様を参照することにより本明細書に組み込まれる。
したがって、上記の併用コア調製物、併用懸濁液及びキットオブパーツを含む全ての併用製品は、ヒト医学、特に、レナリドマイド及び/又はポマリドマイドの使用が承認されているか、又はそうでなければ、本明細書で定義される血液がん及び多発性骨髄腫などにおいて、有用であることが知られている任意の適応症で使用され得る。
本発明の更なる態様によれば、上記に定義されるキットオブパーツを作製する方法が提供され、この方法は、上記に定義されるように、成分(A)を上記に定義されるように成分(B)と関連付けることを含み、したがって、2つの成分を互いに併用して投与するのに好適なものにする。
2つの成分を互いに「関連付ける」ことによって、キットの成分(A)及び(B)は、
(i)別個の製剤として(すなわち、互いに独立して)提供され得、その後、併用療法において互いに併せて使用するために一緒にされるか、又は
(ii)併用療法において互いに併せて使用するための「併用パック」の別個の成分として一緒に包装及び提示され得ることを含む。
したがって、成分(A)及び(B)が、併用療法で互いに併用するために、併用パックの別個の成分として一緒に包装及び提示される、本明細書で定義されるキットオブパーツ、並びに
(I)本明細書に定義される成分(A)及び(B)のうちの一方と、
(II)成分を2つの成分のうちの他方と併せて使用するための指示書、を含むキットオブパーツが更に提供される。
前述のとおり、本明細書に記載のキットオブパーツは、適切な量/用量のレナリドマイド/ポマリドマイド/塩を含む2つ以上の製剤、及び/又は前述のように、反復投与を提供するために、適切な量/用量の抗炎症剤を含む2つ以上の製剤を含み得る。
この点で、本明細書に記載のキットオブパーツに関して、「~と併せた投与」は、キットの成分(A)及び(B)が、状態の治療の過程にわたって、連続的に、別個に、及び/又は同時に投与されることを含む。
したがって、「~と併せて」という用語は、2つの製剤のうちの一方又は他方が(任意選択的に反復して)、他の成分の投与前、投与後、及び/又は同時に投与され得ることを含む。この文脈で使用される場合、「同時投与される」及び「~と同時に投与される」という用語は、レナリドマイド/ポマリドマイド/塩及び抗炎症剤の個々の用量が、互いの48時間(例えば、24時間)以内に投与されることを含む。
この点で、本発明による上記の併用製品のいずれかに関して、それぞれの製剤は、レナリドマイド/ポマリドマイド/塩単独を含む製剤(例えば、本発明の製剤)が、他の成分の不在下で、同じ治療過程にわたって投与される場合(例えば、本明細書に記載されるように反復して)よりも、状態の治療過程にわたって、対象にとって有益な効果を可能にし得る様式、すなわちよりも大きい様式で、投与される(又は、キットオブパーツの場合、2つの成分は、任意選択的に反復して、互いに併せて投与される)。
併用製品が、治療に関して、及び治療過程にわたって、より大きな有益な効果を提供するかどうかの決定は、治療される状態及び/又はその重症度に依存するが、当業者によって慣習的に達成され得る。
例えば、医師は、多発性骨髄腫を有する患者を治療するために単独で含む本発明の製剤を最初に投与し、次いで、その人が炎症反応(これは、活性成分自体及び/又は製剤の任意の他の成分によって引き起こされ得る)を示すことを見出し得る。
次いで、医師は、以下のうちの1つ以上を投与し得る:
●上記のようなキットオブパーツの成分(B)、
●併用コア調製物、
●併用調製物、及び/又は
●併用懸濁液
上記のように、そのいずれかが、前述したように抗炎症剤を含む。
本発明による併用製品に使用され用いられ得る上記の他の抗炎症剤は、(例えば、薬学的に許容される)塩の形態で提供され得、これには、当技術分野で既知であり、医学文献、例えば、Martindale-The Complete Drug Reference,38th Edition,Pharmaceutical Press,London(2014)及びそこで言及されている文書(その全ての文書における関連する開示は、参照により本明細書に組み込まれる)に問題の薬物について記載されている任意のそのような塩が含まれる。
本発明による併用製品に用いられ得る抗炎症剤の量は、その薬理学的効果を発揮するのに十分でなければならない。
したがって、患者に投与され得るそのような抗炎症成分の用量は、合理的及び/又は関連する時間枠にわたって治療反応に影響を与えるのに十分でなければならない。当業者は、正確な用量及び組成並びに最も好適な送達レジメンの選択が、他の抗炎症成分の性質だけでなく、とりわけ製剤の薬理学的特性、投与経路、治療される状態の性質及び重症度、レシピエントの体調及び知的鋭敏性、並びに治療される患者の年齢、状態、体重、性別、及び反応、疾患の病期/重症度、並びに患者間の遺伝的差異によっても影響されることを認識している。
本発明の製剤の投与は、連続的又は断続的であり得るので(例えば、ボーラス注入によって)、抗炎症成分の投与量はまた、投与のタイミング及び頻度によって決定され得る。
いずれにしても、医師又は他の当業者は、個々の患者に最も好適な任意の特定の追加の活性成分の実際の投与量を日常的に決定することができ、上記の関連する追加の活性成分の投与量には、当技術分野で知られており、医学文献(Martindale-The Complete Drug Reference,38th Edition,Pharmaceutical Press,London(2014)及びその中で言及されている文書)に問題のある薬物について記載されているものが含まれる。これらの文書の全てにおける関連ある開示は、参照により本明細書に組み込まれる。
本発明によるコーティングされた粒子、及びそれらを含む本発明の製剤の使用は、前述のように任意のバースト効果を低減することによって、及び/又は血漿中濃度-時間プロファイルにおけるCmaxを低減することによって、活性成分の溶解速度を制御し、薬物動態プロファイルに影響を与えることができる。
本発明によるコーティングされた粒子、及びそれらを含む本発明の製剤はまた、製剤からの活性成分の放出の長さを増加させる放出及び/又は薬物動態プロファイルを提供し得る。
これらの要因は、製剤が多発性骨髄腫罹患者に投与される必要がある頻度又はそれ以上の頻度を減少させるだけでなく、罹患者に外来患者としてより多くの時間を与え、したがって生活の質を向上させる。
本発明によるコーティングされた粒子、及びそれらを含む本発明の製剤はまた、長期間にわたって安定した速度で有効成分の放出を制御することによって、細胞毒性のある薬物への低い毎日の曝露が必要となり、それが望ましくない副作用を減少させることが期待されるという利点を有する。
本明細書に記載のコーティングされた粒子、製剤及びプロセスはまた、関連する状態の治療において、医師及び/又は患者にとって、先行技術において知られたいかなる類似の治療よりも便利であり、より効果的であり、より毒性が低く、より広い範囲の活性を有し、より強力であり、より少ない副作用をもたらし、他の有用な薬理学的特性を有し得るという利点を有し得る。
本明細書で「約」という言葉が用いられる場合はいつでも、例えば、量(例えば、数、濃度、寸法(サイズ及び/若しくは重量)、用量、期間、薬物動態パラメータなど)、相対量(パーセンテージ、重量比、サイズ比、原子比、アスペクト比、割合、倍数又は分率など)、温度、相対湿度、ルクス又は圧力の文脈では、そのような変数は、概算であり、したがって、本明細書で指定された数値から±15%、例えば±10%、例えば±5%、好ましくは±2%(例えば±1%)変動し得ることが理解されるであろう。これは、そもそもそのような数値がパーセンテージで表されている場合でも当てはまる(例えば、「約15%」は、数値10の±15%を意味し得、これは8.5%~11.5%のいずれでもある)。
発明の項目
1.複数のコーティングされた粒子であって、
(a)レナリドマイド及びポマリドマイドからなる群から選択される化合物、又はその薬学的に許容される塩を含む、固体コアであって、当該コアが、0.1μm~50μmの平均直径を有する、固体コアと、
(b)当該コアを取り囲み、囲み、及び/又はカプセル化するコーティングであって、コーティングが、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化シリコン、酸化チタン、及び酸化アルミニウムからなる群から選択される少なくとも2つの金属又はメタロイド酸化物の混合された酸化物を含む、コーティングと、を含み、
上記粒子が、多発性骨髄腫などの血液がんの治療に有用であり得る、コーティングされた粒子。
2.当該化合物が、レナリドマイドである、項目1に記載の複数のコーティング粒子。
3.当該コーティングが、1~20層の個別の層を含み、各層が、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化シリコン、酸化チタン、及び酸化アルミニウムからなる群から選択される少なくとも1つの酸化物を含み、当該1~20層の個別の層のうちの少なくとも1つが、当該混合された酸化物を含む、項目1又は2に記載の複数のコーティングされた粒子。
4.当該コーティングが、3~7層の個別の層を含む、項目1~3のいずれか1つに記載の複数のコーティングされた粒子。
5.当該コーティングが、4~6層の個別の層を含む、項目1~4のいずれか1つに記載の複数のコーティングされた粒子。
6.当該個別の層のうちの少なくとも2層、例えば、少なくとも3層が、当該混合された酸化物を含む、項目3~5のいずれか1つに記載の複数のコーティングされた粒子。
7.当該個別の層のうちの少なくとも4層が、当該混合された酸化物を含む、項目3~6のいずれか1つに記載の複数のコーティング粒子。
8.当該個別の層の全てが、当該混合された酸化物を含む、項目3~7のいずれか1つに記載の複数のコーティングされた粒子。
9.当該少なくとも1つの酸化物が、酸化亜鉛、酸化シリコン、及び酸化アルミニウムからなる群から選択される、項目3~8のいずれか1つに記載の複数のコーティングされた粒子。
10.当該少なくとも1つの酸化物が、酸化亜鉛又は酸化アルミニウムである、項目3~9のいずれか1つに記載の複数のコーティングされた粒子。
11.当該少なくとも1つの酸化物が、酸化亜鉛又は酸化シリコンである、項目3~9のいずれか1つに記載の複数のコーティングされた粒子。
12.当該混合された酸化物中の当該少なくとも2つの金属及び/又はメタロイド酸化物が、酸化亜鉛、酸化シリコン、及び酸化アルミニウムからなる群から選択される、項目1~11のいずれか1つに記載の複数のコーティングされた粒子。
13.当該混合された酸化物中の当該少なくとも2つの金属及び/又はメタロイド酸化物が、酸化亜鉛及び酸化アルミニウムである、項目1~12のいずれか1つに記載の複数のコーティングされた粒子。
14.当該混合された酸化物中の当該少なくとも2つの金属及び/又はメタロイド酸化物が、酸化亜鉛及び酸化シリコンである、項目1~12のいずれか1つに記載の複数のコーティングされた粒子。
15.ZnとAlとの原子比が、1:1~6:1である、項目13に記載の複数のコーティングされた粒子。
16.上記ZnとAlとの原子比が、2:1~5:1である、項目13又は15に記載の複数のコーティングされた粒子。
17.上記ZnとAlとの原子比が、2:1~4:1である、項目13、15又は16に記載の複数のコーティングされた粒子。
18.上記ZnとAlとの原子比が、3:1である、項目13又は15~17のいずれか1つに記載の複数のコーティングされた粒子。
19.上記コーティングの総厚が、約0.2nm~約2μmである、項目1~18のいずれか1つに記載の複数のコーティングされた粒子。
20.当該コアが、3μm~20μm、例えば、5μm~15μm、例えば、8μm~12μm、例えば、10μmの平均直径を有する、項目1~19のいずれか1つに記載の複数のコーティングされた粒子。
21.項目1~20のいずれか1つに記載の複数のコーティングされた粒子を調製する方法であって、上記コーティングされた粒子が、気相堆積技術によって、上記固体コア及び/又は以前にコーティングされた固体コア上に混合された酸化物を形成する少なくとも2つの金属及び/又はメタロイド酸化物の前駆体を塗布することによって作製される、方法。
22.当該方法が、
(1)酸化鉄、酸化亜鉛、酸化シリコン、酸化チタン、及び酸化アルミニウムからなる群から選択される1つ以上の金属及び/又はメタロイド酸化物の前駆体を塗布するステップであって、それによって、気相堆積技術によって、当該固体コア上に層が形成される、塗布するステップと、
(2)ステップ(1)中に形成されたコーティングされた固体コア凝集体を解凝集するステップと、
(3)ステップ(2)からの解凝集したコーティングされた固体コアに、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化シリコン、酸化チタン、及び酸化アルミニウムからなる群から選択される少なくとも1つの金属及び/又はメタロイド酸化物の前駆体を塗布するステップであって、それによって、気相堆積技術によって、当該以前にコーティングされた固体コア上に別の層が形成される、塗布するステップと、
(4)ステップ(2)及び(3)を1回以上繰り返して、当該固体コアを囲むコーティングの総厚を増加させるステップと、を更に含み得、
上記層のうちの少なくとも1つは、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化シリコン、酸化チタン、及び酸化アルミニウムからなる群から選択される少なくとも2つの金属及び/又はメタロイド酸化物の前駆体を塗布することによって形成され、それによって混合された酸化物が形成される、項目21に記載の方法。
23.当該コーティングされた粒子凝集体を解凝集するステップが、機械的ふるい分け技術によって行われる、項目22に記載の方法。
24.ステップ2は、ステップ(1)中に形成されたコーティングされた固体コア凝集体を解凝集する前に、コーティングされた固体コアを気相堆積反応器から出すステップと、ステップ(1)中に形成されたコーティングされた固体コア凝集体を解凝集した後、コーティングされた固体コアを反応器に戻すステップと、を更に含む、項目22~23のいずれか1つに記載の方法。
25.上記気相堆積技術が、原子層堆積、化学気相堆積、及び物理的気相堆積から選択される、項目21~24のいずれか1つに記載の方法。
26.上記気相堆積技術が、原子層堆積である、項目21~25のいずれか1つに記載の方法。
27.当該前駆体が、
水、酸素、オゾン及び/又は過酸化水素などの酸素含有前駆体と、
ジエチル亜鉛、トリメチルアルミニウム、及びオルトケイ酸テトラエチルエステルから選択される金属及び/又はメタロイド化合物である、項目21~26のいずれか1つに記載の方法。
28.機械的ふるい分け技術が、音波ふるい分け又は振動ふるい分けである、項目23~27のいずれか1つに記載の方法。
29.機械的ふるい分け技術が、音波ふるい分けである、項目28に記載の方法。
30.上記機械的ふるい分け技術が、振動ふるい分けである、項目28に記載の方法。
31.項目1~20のいずれか1つに記載の複数のコーティングされた粒子と、薬学的に許容される希釈剤、担体及び/又は賦形剤と、を含む、医薬組成物又は獣医学的組成物。
32.無菌の注射可能及び/又は注入可能な剤形の形態の、項目31に記載の組成物。
33.上記コーティングされた粒子が、コーティング後に担体システムと混合される、項目31又は32に記載の組成物。
34.上記組成物が、任意選択的に、架橋ヒアルロン酸を含む、項目31~33のいずれか1つに記載の組成物。
35.外科的投与装置又は注射器を介して投与可能な、液体、ゾル、又はゲルの形態であり、当該液体、ゾル、又はゲルが、皮下デポー製剤を形成する、項目31~34のいずれか1つに記載の組成物。
36.組成物が、レナリドマイド及びポマリドマイドから選択される当該化合物の治療上有効な量を、3日間~3か月、例えば、1~4週間、例えば、15~25日間、例えば、約3週間放出するデポー製剤の形態である、項目35に記載の組成物。
37.当該デポー製剤が、皮下デポー製剤である、項目35又は36に記載の組成物。
38.医薬品として使用するための、項目1~20のいずれか1つに記載の複数のコーティングされた粒子、又は項目31~37のいずれか1つに記載の医薬組成物。
39.多発性骨髄腫の治療に使用するためなど、血液がんの治療に使用するための、項目1~20のいずれか1つに記載の複数のコーティングされた粒子又は項目31~37のいずれか1つに記載の医薬組成物。
40.レナリドマイド及びポマリドマイドからなる群から選択される当該化合物の投与が、標準治療から得られる曝露(AUC)の10%~100%の化合物のAUCを達成する、項目38又は39に記載の使用のための複数のコーティングされた粒子又は使用のための医薬組成物。
41.レナリドマイドへの総曝露が、25mg又は10mgを3日連続して1日1回経口投与することを含む投与レジメンから得られる総曝露の少なくとも約40%、例えば、少なくとも50%、例えば、少なくとも60%である、項目38又は39に記載の使用のための複数のコーティングされた粒子又は使用のための医薬組成物。
42.レナリドマイド及びポマリドマイドからなる群から選択される当該化合物が、新たに診断された多発性骨髄腫を治療するために、185μg~725μg/時間の速度で連続的に送達される、項目38又は39に記載の使用のための複数のコーティングされた粒子又は医薬組成物。
43.レナリドマイド及びポマリドマイドからなる群から選択される当該化合物の投与が、約19~70μg/Lの範囲の上記化合物の定常状態血中濃度を達成する、項目38又は39に記載の使用のための複数のコーティングされた粒子又は医薬組成物。
44.血漿中のレナリドマイドの最大濃度Cmaxが、25mg又は10mgを1日1回経口投与することを含む投与レジメンから得られるCmaxの少なくとも約40%、例えば、少なくとも50%、例えば、少なくとも60%である、項目38又は39に記載の使用のための複数のコーティングされた粒子又は医薬組成物。
45.レナリドマイド及びポマリドマイドからなる群から選択される当該化合物が、多発性骨髄腫の維持治療のために70μg~285μg/時間の速度で連続的に送達される、項目38又は39に記載の使用のための複数のコーティングされた粒子又は医薬組成物。
46.レナリドマイド及びポマリドマイドからなる群から選択される当該化合物の投与が、約7.5~28μg/Lの範囲のレナリドマイドの定常状態血中濃度を達成する、項目38又は39に記載の使用のための複数のコーティングされた粒子又は医薬組成物。
47.当該投与が、皮下デポー製剤の形態である、項目40~46のいずれか1つに記載の使用のための複数のコーティングされた粒子又は医薬組成物。
48.多発性骨髄腫などの血液がんを治療する方法であって、治療上有効な量の、レナリドマイド及びポマリドマイドからなる群から選択される化合物を、項目1~20のいずれか1つに記載の複数のコーティングされた粒子の形態で、又は項目31~37のいずれか1つに記載の医薬組成物の形態で、それを必要とする患者に投与することを含む、方法。
49.当該化合物が、レナリドマイドである、項目48に記載の方法。
50.当該方法が、標準治療から得られた曝露(AUC)の10%~60%の当該化合物のAUCを達成する、項目48又は49に記載の方法。
51.当該方法が、レナリドマイドへの総曝露を、25mg又は10mgを3日連続して1日1回経口投与することを含む投与レジメンから得られる総曝露の少なくとも約40%、例えば、少なくとも50%、例えば、少なくとも60%である、項目48又は49に記載の方法。
52.当該化合物が、新たに診断された多発性骨髄腫を治療するために、185μg~725μg/時間の速度で連続的に送達される、項目48又は49に記載の方法。
53.上記方法が、約19~70μg/Lの範囲の当該化合物の定常状態血中濃度を達成する、項目48又は49に記載の方法。
54.上記方法が、血漿中のレナリドマイドの最大濃度Cmaxが、25mg又は10mgを1日1回経口投与することを含む投与レジメンから得られるCmaxの少なくとも約40%、例えば、少なくとも50%、例えば、少なくとも60%であることを達成する、項目48又は49に記載の方法。
55.当該化合物が、多発性骨髄腫の維持治療のために70μg~285μg/時間の速度で連続的に送達される、項目48又は49に記載の方法。
56.当該化合物が、約7.5~28μg/Lの範囲の当該化合物の定常状態血中濃度を達成する、項目48又は49に記載の方法。
57.当該投与が、皮下デポー製剤の形態である、項目48~56のいずれか1つに記載の方法。
58.血液がんを治療するための医薬品の調製における、項目1~20のいずれか1つに記載の複数のコーティングされた粒子又は項目31~37のいずれか1つに記載の医薬組成物の、使用。
59.医薬品が、多発性骨髄腫を治療するためのものである、項目58に記載の使用。
60.当該医薬品が、皮下デポー製剤の形態である、項目58又は59に記載の使用。
様々な例示的な態様及び実施形態を参照して本発明を説明したが、本発明の範囲から逸脱することなく、様々な変更を行い得て、その要素を均等物で置き換え得ることが当業者には理解されよう。したがって、本発明は、開示される特定の態様に限定されるものではなく、本発明は、添付の特許請求の範囲の範囲及び趣旨内の全ての態様を含むことが意図される。ここで、本発明を、以下の非限定的な実施例によって更に例示する。
実施例1-本発明によるコーティングされた粒子の製造
本実施例は、本発明による4つの異なるコーティング層を有するコーティングされたレナリドマイド粒子の製造プロセスを説明する。
材料と方法
レナリドマイド形態Iの微粒子(99.9%)をAPIChem(中国)から入手して使用し、受け取ったまま使用した。レナリドマイド粒子の平均直径は、レーザー回折(Shimadzu,SALD-7500nano,Kyoto,Japan)によって決定したように、10μmであった。レーザー回折によって決定された粒径分布は、以下のとおりであった。D10 2.7μm、D50 10.4μm、及びD90 24.9μm。
微粒子は、ステップ1~4に記載のようにコーティングした。
1.粉末をALD反応器(Picosun,SUNALE(商標)R-シリーズ,Espoo,Finland)に装填し、ALDサイクルに供した。前駆体としてジエチル亜鉛及び水を用いた3つのALDサイクル、続いて50℃の反応器温度で前駆体としてトリメチルアルミニウム及び水の1サイクル。これを6回、すなわち6×(3サイクルのZn+1サイクルのAl)繰り返した。このようにして、亜鉛:アルミニウム3:1の原子比を有する混合された酸化物の第1の層が形成された。
ALDサイクルは、以下のように実行された(ステップa~eは、第1のサイクルを表し、その後のサイクルは、ステップfで指定されているように、ステップbから始まり、最後のサイクルは、ステップeで終了する)。
試薬パルス:水を蒸発させ、不活性窒素ガスによって反応チャンバーに運んだ。水は薬物粒子の表面に吸着し、外部又は粒子にヒドロキシル基を提示する。
パージパルス:チャンバーを窒素でパージした。これが最初のサイクルでない場合は、ガス状の水及び有機ガスが除去される。
試薬パルス:ジエチル亜鉛又はトリメチルアルミニウムを蒸発させ、不活性窒素ガスにより反応チャンバー内に運んだ。ジエチル亜鉛又はトリメチルアルミニウムは、薬物粒子の表面に吸着し、ヒドロキシル基と反応する。これは、ジエチル亜鉛からエタンを、又はトリメチルアルミニウムからメタンを放出する。
パージパルス:チャンバーを窒素でパージした。未反応の試薬及び有機ガスを除去する。
試薬パルス:水を蒸発させ、不活性窒素ガスによって反応チャンバーに運んだ。水は薬物粒子の表面に吸着し、金属有機表面と反応する。残りの全てのエチル基又はメチル基は、それぞれエタン及びメタンに変換される。それによって、表面は金属酸化物層で覆われ、粒子の外部にヒドロキシル基を提示する。
サイクルをステップbから繰り返した。
2.次に、粉末を反応器から取り出し、音波シフター(Tsutsui Sonic Agitated Sifting Machine SW-20AT)によって、メッシュサイズが32μmのふるいで脱凝集させた。
3.得られた脱凝集した粉末を、ALD反応器に再装填し、ステップ1~2を2回繰り返し、亜鉛:アルミニウムの原子比が約3:1である混合された酸化物の第2及び第3の層を形成した。
4.得られた脱凝集した粉末を、ALD反応器に再装填し、ステップ1を1回繰り返した。
結果
得られた粒子は、約3:1の亜鉛原子:アルミニウム原子の原子比を有する4層の混合酸化物を有した。
ステップ1~3が繰り返される回数に応じて、異なる数の異なる層を有する粒子が得られ得る。したがって、薬物粒子上の所望の量の混合酸化物コーティングが達成されるまで、サイクルを繰り返す。少なくとも1つから最大10個の個別の層を有する粒子が生成される。
実施例2-本発明によるコーティングされた粒子の製造
本実施例は、本発明による6つの異なるコーティング層を有するコーティングされたレナリドマイド粒子の製造プロセスを説明する。
材料及び方法
99.9%のレナリドマイド形態I(APIChem、China)の微粒子を、実施例1に記載のように受け取ったまま使用した。
微粒子は、ステップ1~4に記載のようにコーティングされ、ALDサイクルは、実施例1に記載のように実施された。
1.粉末をALD反応器(Picosun,SUNALE(商標)R-シリーズ,Espoo,Finland)に装填した。前駆体としてジエチル亜鉛及び水を用いた3つのALDサイクル、続いて50℃の反応器温度で前駆体としてトリメチルアルミニウム及び水の1サイクル。これを6回、すなわち6×(3サイクルのZn+1サイクルのAl)繰り返した。このようにして、亜鉛:アルミニウムが約3:1の原子比を有する混合された酸化物の第1の層が形成された。
2.粉末を反応器から取り出し、音波シフター(Tsutsui Sonic Agitated Sifting Machine SW-20AT)によって、メッシュサイズが32μmのふるいで脱凝集させた。
3.得られた脱凝集した粉末を、ALD反応器に再装填し、ステップ1~2を4回繰り返し、亜鉛:アルミニウムの原子比が3:1である混合された酸化物の第2、第3、第4、及び第5の層を形成した。
4.得られた脱凝集した粉末を、ALD反応器に再装填し、ステップ1を1回繰り返した。
結果
得られた粒子は、約3:1の亜鉛原子:アルミニウム原子の原子比を有する6層の混合酸化物を形成した。
比較例3-コーティングしないレナリドマイド微粒子
比較例3による粒子は、実施例1及び2について上述したように、APIChem(中国)から得られた、レナリドマイド形態I、99.9%の微粒子である。比較例3の粒子は、いかなるコーティングも受けていない。
比較例4-酸化アルミニウムでコーティングされたレナリドマイド微粒子
実施例1及び2について上述したように、APIChem(中国)から得た99.9%のレナリドマイド形態Iの同じ微粒子を、純粋な酸化アルミニウムコーティングでコーティングする。コーティングは、実施例1に記載のように実施されるが、コーティングされた粉末を反応器から取り出し、実施例1に記載のように脱凝集させる前に、7回のALDサイクルが実施される。得られた脱凝集した粉末を、ALD反応器に再装填し、更に7回のALDサイクルに供し、続いて、抽出、脱凝集、及び7サイクルの再装填を、その後2回繰り返し、続いて、再装填し、2回の14サイクルに供する。
当該粒子の薬物負荷は、以下の実施例6に記載のように決定する。
比較例5-酸化亜鉛でコーティングされたレナリドマイド微粒子
実施例1及び2について上述したように、APIChem(中国)から得られた99.9%のレナリドマイドI型の同じ微粒子を、純粋な酸化亜鉛コーティングでコーティングする。コーティングは、実施例1に記載のように実施されるが、コーティングされた粉末を反応器から取り出し、実施例1に記載のように脱凝集させる前に、7回のALDサイクルが実施される。得られた脱凝集した粉末を、ALD反応器に再装填し、更に7回のALDサイクルに供し、続いて、抽出、脱凝集、及び7サイクルの再装填を、その後2回繰り返し、続いて、再装填し、2回の14サイクルに供する。
当該粒子の薬物負荷は、以下の実施例6に記載のように決定する。
実施例6-薬物負荷の決定
本実施例は、実施例1及び2で得られた粒子のレナリドマイドの薬物負荷の分析について説明する。
材料及び方法
薬物負荷(すなわち、粉末中のレナリドマイドのw/w%)を決定するために、4.6×100mm、2.6μm粒子、C18WPカラム(SunShell,ChromaNik Technologies Inc,Osaka,Japan))を使用して、223nmに設定されたダイオードアレイ検出器(Shimadzu,Japan)を備えたUPLC(Prominence-i(Shimadzu,Japan))を使用した。材料を、アセトニトリル/水(1:1)中の2Mのリン酸に溶解し、濾過する前に、pH3.6(4:1)のメタノール/12.5mMのリン酸緩衝剤で希釈し(0.2μm RC,Lab Logistics Group,Germany)、UPLCで更に分析した(n=2)。
UPLCアッセイは、以下のように設定される。
注入された試料の濃度は、製造業者によって供給されたソフトウェアによって自動的に計算される。薬物負荷は、以下の式に従って計算され、CLENは、分析されたレナリドマイドの濃度であり、msampleは、試料質量である。
結果
実施例1に記載の粒子の薬物負荷レナリドマイドは、94.8%と決定された。
実施例2に記載の粒子の薬物負荷レナリドマイドは、92.6%と決定された。
実施例7-インビトロの薬物放出の分析
本実施例は、実施例1及び2で得られた粒子から、並びに比較例3による粒子からのレナリドマイドのインビトロの薬物放出の分析について説明する。
材料及び方法
比較例3及び実施例1の粒子のインビトロの放出試験は、CP7-35ピストンポンプ(Sotax AG,Switzerland)及びC613フラクションコレクター(Sotax AG,Switzerland)に接続されたSotax CE7スマートUSP4装置(Sotax AG,Switzerland)を使用して実施した。
直径22.6mmのフロースルーセルは、セルコーンの先端に5mmのルビービーズを用いて準備し、そこに、懸濁した試料を導入した。
試料は、1セル当たり50mgのレナリドマイドに対応する試料量で、2回分析した。試料(33.3mgレナリドマイド/mL)を、pH7.2の20mMのPIPES緩衝剤中の1%ポロキサマーP188中のボルテックスによって分散させた。
この装置を、オープンループセットアップで使用し、新鮮な20mMのPIPES緩衝剤(pH7.2)溶解媒体がシステムに連続的に導入された。ウォーターバスの温度を37℃±0.5℃に設定し、媒体の流量を16mL/分に設定した。2つのWhatmanガラスマイクロファイバーフィルター、GF/F及びGF/D(d=25mm,Sigma-Aldrich/Merck KGaA,Germany)を使用して、フロースルーセルを離れる前に媒体を濾過した。放出された媒体を収集した画分を、244nmでUV-VIS(シッパーユニットを装備したShimadzu UV-1800分光光度計)を使用して、レナリドマイド含有量について分析した。
結果
図1、図2及び図3は、それぞれのレナリドマイドの放出プロファイル(比較例3、実施例1及び実施例2によってそれぞれ得られた試料について、Sotax装置におけるサンプリング時間に対する、放出されたレナリドマイドの累積パーセンテージ)を示す。この実施例は、本明細書に記載のコーティングされたレナリドマイド粒子が、コーティングされていないレナリドマイド粒子と比較して、レナリドマイドの持続放出を示したことを示した(比較例3)。
実施例8-粒径分布の決定
本実施例は、実施例1、2及び比較例3による粒子の粒度分布の決定について説明する。
材料及び方法
粒子の粒径分布を、製造業者の説明書に従って、レーザー回折(Shimadzu,SALD-7500nano,Kyoto,Japan)によって調査した。
結果
コーティングされていない粒子は、平均直径が10μmであり、実施例1及び2によるコーティング粒子は、それぞれ、平均直径が17.7(D50)及び15.9(D50)μmであった。
実施例9-製剤の調製
本実施例は、本明細書に開示されるコーティングされたレナリドマイド粒子の製剤の調製を説明する。
材料及び方法
実施例1及び2並びに比較例3による、コーティングされたレナリドマイドの微粒子の懸濁液を調製する。
実施例1及び2並びに比較例3によるレナリドマイドのコーティングされた微粒子の粉末を、ビヒクルとしてHyonate(登録商標)vet(Boehringer Ingelheim Animal Health,France)と混合する。Hyonate(登録商標)vetは、10mg/mLのヒアルロン酸ナトリウム(pH7.4)の滅菌、等張、リン酸緩衝溶液を含む、動物の注射に使用される獣医用医薬品である。Hyonate(登録商標)vetの組成物は、以下の表2に提示される。
微粒子の粉末を含むバイアルにビヒクルを添加することによって微粒子を再構成し、33.3mg/mlのレナリドマイド濃度を得る。
結果
それぞれ、実施例1及び2並びに比較例3によるコーティングされたレナリドマイド粒子の懸濁液を得る。
実施例10-インビボ薬物動態試験
本実施例は、雄Sprague Dawleyラットにおける、本発明によるコーティングされたレナリドマイド製剤の投与後のレナリドマイドの前臨床薬物動態試験を説明する。
材料及び方法
投与日に体重が266~302gの雄Sprague DawleyラットがCharles River(UK)から提供される。動物は、表3に従って、群当たり4~8匹の動物に無作為に分けられる。試験の期間は14日間である。
意図した投与領域の毛を注射前に刈り取り、注射部位に印を付ける。実施例1及び2並びに比較例3~5に記載の懸濁液を1mLのBD注射器に吸い込み、20G針(BDマイクロランス)を通して各ラットの脇腹に単回皮下注射(約0.15mL)を投与する。
あるいは、本質的に実施例1及び2並びに比較例3~5に従って調製された懸濁液は、それらが20μmメッシュを有する音波シフターを使用してふるい分けられることを除いて、試験で使用され得る。
投与は、製剤の調製後10分以内に実施される。
血液試料(約0.2mL)は、次の時点で、尾静脈からKEDTAチューブに収集される:投与後0.5、1、3、6、12、24、48、72、120、168、240、及び336時間。実際のサンプリング時間が記録される。血液試料採取後、実質的に可能な限り早く、血漿を遠心分離(1500g、4℃で10分間)によって分離する。試験の最終日に動物を屠殺する。血漿試料は、分析を待つ間、-80℃の冷凍庫に保管する。
血漿中濃度を決定するために、UPLC-MS/MSを使用する。
試料は、TECAN Genesis液体ハンドリングロボットを使用して、ラット血漿25μLを96ウェルプレートにピペッティングし、アセトニトリル中に25μLの5%DMF、75μLの内部標準作業溶液を添加することによって調製する。96ウェルプレートを15分間振盪させ、遠心分離した。次に、全ての試料を、上記の表1に指定された設定でUPLCシステムに注入する。
血漿中のレナリドマイドの薬物動態分析は、Microsoft Excel for Mac(16.43,Microsoft,Redmond,Washington,USA)を使用して、標準的な非コンパートメントアプローチに従って行われる。様々な製剤の単回皮下投与後のレナリドマイドの用量正規化された血漿中濃度(実施例1~2及び比較例3~5による)を評価し、以下の血漿薬物動態パラメータを評価する。
用量はラットのmg/kg体重で表される
「tmax」は、時間単位で表される濃度のピークまでの時間である
「Cmax」は、μg/mLで表される分析で見出される最大濃度である
「tlast」は、時間単位で表される最後に検出可能な濃度の時間である
「t1/2,z」は、時間単位で表される終末相半減期である
「AUC」は、μg*h/mLで表される無限時間までの濃度対時間曲線下の面積である
「F」は、パーセンテージで表される相対的な生物学的利用能である
「Cmax/D」は、ラットのμg/mL/mg/kg体重で表される1mg/kgに正規化された最大濃度である
「AUClast/D」は、ラットのμg*h/mL/mg/kg体重で表される1mg/kgに正規化された最後の検出可能な濃度までの血中濃度対時間曲線下の面積である
「AUC∞/D」は、ラットのμg*h/mL/mg/kg体重で表される、1mg/kgに正規化された無限時間までの濃度対時間曲線下の面積である
「Fr.Rel0-12h」は、パーセンテージとして表される無限の時間までの濃度対時間曲線下の面積の最初の12時間に放出される分率である。
結果
本発明によるコーティングされたレナリドマイド粒子を投与された群は、長期放出プロファイルを示すことが予想される。対照的に、コーティングされていないレナリドマイド粒子は、投与後の血漿中濃度の急速な低下を示すと予想される。したがって、本発明の製剤について有利な血漿中濃度-時間プロファイルが観察されることが予想される。
実施例11-コーティングされた粒子の透過型電子顕微鏡
本実施例は、本明細書に開示される方法を使用してコーティングされた粒子の構造的特徴を例示することを目的とする。特に、実施例は、脱凝集ステップから生じる個別の層を示す。
材料及び方法
コーティングのためのインドメタシン(Hangzhou APIChem Technology Co.Ltd.,China)の微粒子は、湿式ボールミル(Fritsch,Premium line,Pulverisette 7,IDar-Oberstein,Germany)によって最初に調製され、平均粒径が5.9μmである粒子を得た。得られた粒子のサイズを測定するために、40mgの粒子を試験管に入れ、3mLのTween-80(0.5%、Merck,Kenilworth,NJ,USA)の水溶液を添加した。得られた懸濁液を、穏やかに1分間ボルテックスし(Vortex-Genie 2(Scientific Industries Ltd.,New York,USA))、レーザー回折によって粒径分布を測定した(Shimadzu,SALD-7500nano,Kyoto,Japan)。
粉末をALD反応器(Picosun,SUNALE(商標)R-シリーズ,Espoo,Finland)に装填した。25回のALDサイクルを、50℃の反応器温度で実施した。トリメチルアルミニウム及び水を前駆体として使用し、酸化アルミニウムの第1の層を形成した。第1の層の厚さは、約8nmであった(各サイクルは0.3nmとなるALDサイクル数から推定)。
次に、脱凝集ステップを、粒子を反応器から除去し、それらを100μmメッシュのふるいに通し、続いて、20μmメッシュのふるいに通すことによって実施した。脱凝集した粉末をALD反応器に装填し直した。更なる一連の25回のALDサイクルを実施し、第1の上部に酸化アルミニウムの第2のコーティングを形成した。次いで、第1の撹拌ステップと同じ方法で第2の撹拌ステップを実施した。コーティング-脱凝集ステップを更に2回繰り返して、粒子上に同じ厚さの第3及び第4の別個のコーティングを形成した。
第4のコーティングステップの後、上記のように、レーザー回折(Shimadzu,SALD-7500nano,Kyoto,Japan)によって粒径分布を測定した。コーティングされた粒子の平均粒径は、約6μmと測定された。
次いで、粒子上のコーティングの構造を透過型電子顕微鏡によって分析した。
結果
得られた透過型電子顕微鏡画像は、個別の層界面を有するコーティング構造を明確に示した。化学組成に関して特徴付けることが可能ではない界面は、コーティングされた粒子が反応器から除去され、撹拌/脱凝集が起こった時間に対応することが見出された(図4a)及びb)を参照されたい)。これらの層は、木の幹の断面のリングと同様に説明することができる。断続的な解凝集は、そのようなプロセスを使用して作られた任意の製品に「署名」を生じさせ、その中で、コーティングされた粒子の最外面は、その下にあるものと比較して、目に見えて異なる物理的特性を呈する。
したがって、脱凝集ステップは、金属酸化物の個別のコーティング層の間に可視の(TEMによる)界面を生じさせた。
同様の構造が、実施例1及び2による粒子など、本明細書に開示されるコーティングを含むレナリドマイド微粒子上で識別可能であることが予想される。当該粒子のコーティングのプロセスで使用される脱凝集ステップは、脱凝集を実行するために使用される方法に依存しない同様の構造的特徴を生じることが予想される。
実施例12-コーティングされたアザシチジン微粒子I、II及びIII、並びに酸化アルミニウムの比較コーティングを含む粒子の製造
本実施例は、本明細書に開示されるような混合酸化物を含む3種類のアザシチジン微粒子の製造を開示する。更に、比較のために、酸化アルミニウムのコーティングを含む微粒子を作製した。
材料及び方法
アザシチジン(MSN Labs,India)の微粒子の試料をジェットミリングによって調製した。レーザー回折によって決定された粒径分布は、以下のとおりであった。D 2.9μm、D50 7.9μm、D90 23.2μm。
粉末をALD反応器に装填し、実施例1に記載のようにコーティングを実施したが、脱凝集は、メッシュサイズが20μmのふるいを備えた音波シフター(Tsutsui Sonic Agitated Sifting Machine SW-20AT)によって実行された。
得られたアザシチジン粒子(本明細書ではアザシチジン粒子Iと称される)は、亜鉛:アルミニウムが約3:1の原子比を有する混合された酸化物の6層を有した。
アザシチジン粒子Iについてのものと同じ手順を実施して、2:1の亜鉛:アルミニウムの原子比を含む混合酸化物コーティングでコーティングされた、アザシチジン微粒子IIと称される微粒子を製造した。
コーティングシーケンスは、ジエチル亜鉛及び水を前駆体として用いた2つのALDサイクル、続いてトリメチルアルミニウム及び水の1サイクル、反応器からコーティングされた粉末の繰り返し10回の除去、脱凝集、再装填及び同じコーティングシーケンスの繰り返し、除去、合計4セットの30サイクルが提供されるまでの脱凝集であった。
アザシチジン粒子Iと同じ手順を実施したが、今回は、24回のALDサイクルの6セットを実施することによって、3:1の亜鉛:アルミニウムの原子比を含むより厚い混合酸化物コーティングを製造した。これにより、アザシチジン粒子IIIと呼ばれる粒子が得られた。
アザシチジン(MSN Labs、India)の同じ微粒子を純粋な酸化アルミニウムコーティングでコーティングした。7回のALDサイクルは、本明細書に記載のように、コーティングされた粉末を反応器から除去し、脱凝集させる前に実施された。得られた脱凝集した粉末を、ALD反応器に再装填し、更に7回のALDサイクルに供し、続いて、抽出、脱凝集、及び7サイクルの再装填を、その後2回繰り返し、続いて、再装填し、2回の14サイクルに供した。
当該粒子の薬物負荷(すなわち、粉末中のアザシチジンのw/w%)を決定するために、4.6×250mm、3μm粒子、C18カラム(Luna,Phenomenex,USA))を使用して、223nmに設定されたダイオードアレイ検出器(Shimadzu,Japan)を備えたHPLC(Prominence-i(Shimadzu,Japan))を用いた。ナノシェルコーティングを、DMSO中の5Mのリン酸に溶解し、次いで、スラリーをDMSOで希釈してから、濾過し(0.2μm RC,Lab Logistics Group,Germany)、HPLCで更に分析した(n=2)。
結果
本明細書に記載の混合された酸化物でコーティングされた3種類のアザシチジンの微粒子、並びに酸化アルミニウムの比較コーティングでコーティングされたアザシチジンの微粒子を得た。薬物負荷を決定し、以下のとおりであった:コーティングされたアザシチジン微粒子I:88.9%、コーティングされたアザシチジン微粒子II:86.6%、コーティングされたアザシチジン微粒子III:80.7%、及び比較酸化アルミニウムコーティングを有するアザシチジン微粒子:91.8%。
実施例13-アザシチジンのコーティングされた微粒子の製剤の調製
実施例12によるアザシチジンのコーティングされた微粒子、並びにコーティングされていないアザシチジン粒子は、実施例9に本質的に記載のように、配合物に調製された。
Hyonate(登録商標)vet中のコーティングされていないアザシチジンを含む製剤は、10mg/mLのアジチジンの濃度を示した。これは、Sprague-Dawleyラットの5mg/kg体重に一致する。
比較アルミニウム酸化物コーティングを有するアザシチジン微粒子をHyonate(登録商標)vetに懸濁して、27mg/mLの製剤中のアザシチジンの濃度を達成した。これは、Sprague-Dawleyラットの13.5mg/kg体重に相当する。
コーティングされたアザシチジン微粒子I、II、及びIIIの3つは全て、Hyonate(登録商標)vet中のアザシチジンの濃度が27mg/mLであることを示した。これはSprague-Dawleyラットの13.5mg/kg体重に一致する。
実施例14-インビボ薬物動態試験
本実施例は、本明細書に記載されるコーティングの薬物動態特性に対する予想される効果を示す。この実施例におけるアザチジン粒子の効果として、コーティングされたレナリドマイド粒子の効果は同様であると予想される。
材料及び方法
投与日に体重が266~302gの雄Sprague Dawleyラット38匹をCharles River(UK)から提供された。動物は、群ごとに6匹の動物にランダムに分けられた。
意図した投与領域の毛を注射前に刈り取り、注射部位に印を付け、表4にまとめたように実施例10に記載したように投与を実施した。群1~5については、実施例13に従って粒子を再構成し、群6のPBSを使用した。
血液試料を取得し、実施例11に記載のように取り扱った。
アザシチジンの血漿中濃度をUPLC-MS/MSで決定した。試験試料は、TECAN Genesis液体ハンドリングロボットを使用して、ラット血漿25μLを96ウェルプレートにピペッティングし、アセトニトリル中に25μLの5%DMF、75μLの内部標準作業溶液を添加することによって調製した。次いで、96ウェルプレートを15分間振盪させ、遠心分離した。次いで、全ての試料を、UPLC-MS/MSシステム上に注入した。ACQUITY BEHアミドカラム、2.5μm、2.1×100mm、25℃のWatersで、移動相A(MP A)として0.125μMの酢酸Li、及び移動相B(MP B)としてアセトニトリルを含む水中で10mMのギ酸アンモニウムpH3.4を使用して分離を得た。
血漿中のアザシチジンの薬物動態分析は、Microsoft Excel for Mac(16.43,Microsoft,Redmond,Washington,USA)を使用して、標準的な非コンパートメントアプローチに従って実施された。最大濃度、Cmax、及び関連する時間、tmaxは、時間コースの最高濃度の座標になった。tlastは、最後に検出可能な濃度の時間になった。最後に検出可能な濃度(AUClast)までの濃度対時間曲線下の面積は、線形台形規則を使用して計算された。
各動物の投与部位を投与後にマークし、試験中に無毛に保った。投与部位の観察は、投与後24、120、168、及び336時間に実施した。
結果
様々な製剤の単回の皮下投与後のアザシチジンの用量正規化された血漿中濃度を、図5に提示する。血漿薬物動態パラメータも、以下の表5において、6匹のラットの群の平均値として提示される(括弧内に標準偏差が示されている)。
血漿中濃度のプロファイルは、群3~6で同等であり、最初の1時間以内に最大血漿中濃度(Cmax)に達し、その後、14日間の研究期間にわたって濃度が緩慢であるが着実に減少したことがわかる。
群2は、混合された酸化物を有するコーティング製剤と比較して、より高い初期薬物放出を有した。
群5と群6を比較すると、PBSベースのビヒクルは、Hyonate vetを使用した場合と比較してわずかに低いAUCをもたらしたが、それぞれの薬物動態プロファイルは大部分比較可能であったことがわかる。
maxは、コーティングされていないアザシチジン(群1)と比較して、群2~6で低く、用量の約5分の1が初日に放出された。用量について正規化すると、差は約1桁である。また、最後のサンプリング時間(投与後336時間)後の残存面積(未放出薬物と相関する)は、12%未満であった。
群2の結果は、初日に放出された用量のより大きな分率、より高いCmax、及びより短い期間を特徴とするわずかに異なるプロファイルを示した。
まとめると、群3~6は、コーティングされていないアザシチジンの投与後の急速な低下とは異なる、持続放出プロファイルを示した。同様に、混合された酸化物のコーティングを含む全ての製剤について有利な血漿中濃度-時間プロファイルが観察された。
酸化アルミニウム単独(群2)を含むコーティングが、望ましい薬物動態プロファイルを達成しなかったことは注目に値する。実施例11では、コーティングされたレナリドマイド粒子について同様の結果が観察されることが予想される。
比較実施例15
連続な流れALDプロセスIを使用したコーティングされたレナリドマイド微粒子
レナリドマイド99.9%(APIChem,China)の微粒子を受け取ったまま使用した。レナリドマイド粒子の平均直径は、レーザー回折(Shimadzu,SALD-7500nano,Kyoto,Japan)によって決定したように、10μmであった。レーザー回折によって決定された粒径分布は、以下のとおりであった。D10 2.7μm、D50 10.4μm、及びD90 24.9μm。
微粒子は、ステップ1~4に記載のようにコーティングした。
1.微粒子をALD反応器(Picosun,SUNALE(商標)R-シリーズ,Espoo,Finland)に装填し、前駆体としてジエチル亜鉛及び水を用いた3つのALDサイクルに供し、続いて、50℃の反応器温度で、前駆体としてトリメチルアルミニウム及び水の1つのALDサイクルに供した。これを6回、すなわち6×(Znの3回のサイクル+Alの1回のサイクル)繰り返し、合計24回のサイクルをもたらした。このプロセスによって、約3:1の亜鉛:アルミニウムの原子比を有する混合された酸化物の第1の層が形成された。
ALD反応器は、微粒子が装填された反応チャンバーを含んでいた。ALD反応器は、各前駆体を別個に含有する前駆体ボトルを更に含み、各前駆体ボトルは、バルブを介して反応チャンバーに結合される。ALD反応器はまた、反応チャンバーを通って窒素などの不活性ガスをポンプするためのポンプ及び関連する配管を含み、このポンプはまた、バルブを介して反応チャンバーに結合された。
ALDサイクルは、以下のように実施され、ステップa~eは、第1のサイクルを表し、その後のサイクルは、ステップ1で指定されているように、ステップdから始まり、最後のサイクルはステップkで終了する。
a.試薬パルス:水を蒸発させ、0.1秒間前駆体ボトルへのバルブを開くことによって、不活性窒素ガスによって反応チャンバーに運んだ。水を薬物粒子の表面に吸着させ、外部又は粒子にヒドロキシル基を提示した。
その後、反応器を3秒間ポンピングした。
c.上記ステップa~bを100回繰り返した。
d.パージパルス:チャンバーを窒素でパージした。これが最初のサイクルでない場合は、ガス状の水及び有機ガスが除去された。
e.試薬パルス:ジエチル亜鉛又はトリメチルアルミニウムを蒸発させ、0.1秒間前駆体ボトルへのバルブを開くことによって、不活性窒素ガスによって反応チャンバーに運んだ。ジエチル亜鉛又はトリメチルアルミニウムを薬物粒子の表面に吸着させ、ヒドロキシル基と反応させた。これは、ジエチル亜鉛からエタンを、又はトリメチルアルミニウムからメタンを放出する。
f. その後、反応器を3秒間ポンピングした。
g.上記ステップe~fを100回繰り返した。
h.パージパルス:チャンバーを窒素でパージした。未反応の試薬及び有機ガスを除去した。
i.試薬パルス:水を蒸発させ、0.1秒間前駆体ボトルへのバルブを開くことによって、不活性窒素ガスによって反応チャンバーに運んだ。水を薬物粒子の表面に吸着させ、金属有機表面と反応させた。残りのエチル基又はメチル基は、それぞれエタン及びメタンに変換される。それによって、表面を金属酸化物層で覆い、粒子の外部にヒドロキシル基を提示した。
j.その後、反応器を3秒間ポンピングした。
k.上記ステップi~jを100回繰り返した。
l.サイクルをステップdから繰り返した。
2.次に、粉末を反応器から取り出し、音波シフター(Tsutsui Sonic Agitated Sifting Machine SW-20AT)によって、メッシュサイズが32μmのふるいで脱凝集させた。
3.得られた脱凝集した粉末を、ALD反応器に再装填し、ステップ1~2を2回繰り返し、約3:1の亜鉛:アルミニウムの原子比を有する混合された酸化物の第2及び第3の層を形成した。
4.得られた脱凝集した粉末を、ALD反応器に再装填し、ステップ1を1回繰り返した。
比較実施例16
連続的な流れALDプロセスIIを使用したコーティングされたレナリドマイド微粒子
これは、2つの追加の層が形成されたことを除いて、比較例15と同様であった。言い換えれば、ステップ4が実行される前に、ステップ3を1回繰り返した。
実施例17
ストップフローALDプロセスIを使用したコーティングされたレナリドマイド微粒子
レナリドマイド99.9%(Kyongbo,South Korea)の微粒子を受け取ったまま使用した。平均直径は、上記の実施例15に記載のように決定した。レーザー回折によって決定された粒径分布は、以下のとおりであった。D10 0.6μm、D50 3.9μm、及びD90 15.6μm。
ALDサイクルが以下のように行われたことを除いて、微粒子は、本質的に、比較例15のステップ1~4に記載されるようにコーティングされた(ステップa~eは、第1のサイクルを表し、その後のサイクルは、ステップeに指定されるように、ステップaから開始した。
a.試薬パルス1:
i.ポンプとALD反応器間の配管のバルブが閉じていた。
ii.水前駆体ボトル上のバルブを1秒間開け、蒸発水を反応チャンバーに充填した。
iii.水前駆体ボトルへのバルブを閉じ、ポンプバルブを再び開く前に、チャンバーを30秒間(浸漬時間)休ませて、水分子が薬物粒子の表面に吸着され、外部又は粒子にヒドロキシル基を提示することを確実にした。
iv.その後、反応器を9秒間ポンピングした。
v.上記ステップi~ivを20回繰り返した。
b.パージパルス:チャンバーを連続的な流れで窒素でパージした。これが最初のサイクルでない場合は、ガス状の水及び有機ガスが除去された。
c.試薬パルス:
i.ポンプとALD反応器間の配管のバルブが閉じていた。
ii.ジエチル亜鉛又はトリメチルアルミニウム前駆体ボトル上のバルブを1秒間開け、蒸発した金属含有前駆体を反応チャンバーに充填した。
iii.前駆体ボトルへのバルブを閉じ、ポンプに再び開く前に、チャンバーを30秒間(浸漬時間)休ませて、金属含有前駆体蒸気が薬物粒子の表面上のヒドロキシル基と反応することを確実にした。
iv.その後、反応器を9秒間ポンピングした。
v.上記ステップa~dを20回繰り返した。
d.パージパルス:チャンバーを連続的な流れで窒素でパージした。未反応の試薬及び有機ガスを除去した。
e.サイクルをステップaから繰り返した。
実施例18
ストップフローALDプロセスIIを使用したコーティングされたレナリドマイド微粒子
これは比較例17と同様であったが、2層の追加の層が形成された。言い換えれば、ステップ4が実行される前に、ステップ3を1回繰り返した。
実施例19
薬物負荷の決定
本実施例は、比較例15及び16並びに実施例17及び18で得られた粒子のレナリドマイドの薬物負荷の分析について説明する。
材料及び方法
薬物負荷(すなわち、粉末中のレナリドマイドのw/w%)を決定するために、4.6×100mm、2.6μm粒子、C18WPカラム(SunShell,ChromaNik Technologies Inc,Osaka,Japan))を使用して、223nmに設定されたダイオードアレイ検出器(Shimadzu,Japan)を備えたUPLC(Prominence-i(Shimadzu,Japan))を用いた。材料を、アセトニトリル/水(1:1)中の2Mのリン酸に溶解し、濾過する前に、pH3.4(4:1)のメタノール/12.5mMのリン酸緩衝液で希釈し(0.2μm RC,Lab Logistics Group,Germany)、UPLCで更に分析した(n=2)。
UPLCアッセイは、表6に従って設定される。
注入された試料の濃度は、製造業者によって供給されたソフトウェアによって自動的に計算された。薬物負荷は、以下の式に従って計算され、CLENは、分析されたレナリドマイドの濃度であり、msampleは、試料質量である。
結果
比較例15による粒子の薬物負荷レナリドマイドは、94.8%と決定された。
比較例16による粒子の薬物負荷レナリドマイドは、92.6%と決定された。
実施例17による粒子の薬物負荷レナリドマイドは、76.0%と決定された。
実施例18による粒子の薬物負荷レナリドマイドは、67.7%と決定された。
実施例20
コーティングの完全性
本実施例は、比較実施例15及び16並びに実施例17及び18で得られた粒子のコーティングの完全性の分析について説明する。
コーティングされたレナリドマイドのコーティングの完全性は、コーティングされた材料を、APIを溶解するがコーティング材料を溶解しない溶媒であるDMSO中に懸濁液を調製することによって決定した。したがって、製品からのレナリドマイドの放出は、コーティングの「欠陥」に起因する場合にのみ起こり得る。HPLC法で放出されたレナリドマイドを測定することによって、コーティングの完全性を評価することができる。放出されたレナリドマイドのパーセンテージが低いほど、コーティングの完全性が良好になる。
材料及び方法
コーティングの完全性(すなわち、粉末中の放出されたレナリドマイドのw/w%)を決定するために、4.6×100mm、2.6μm粒子、C18WPカラム(SunShell,ChromaNik Technologies Inc,Osaka,Japan))を使用して、223nmに設定されたダイオードアレイ検出器(Shimadzu,Japan)を備えたUPLC(Prominence-i(Shimadzu,Japan))を用いた。25mgの材料を25mLのDMSOに分散させ、ターニングテーブル上に3時間置いた。1mLの試料を、上記表6の設定に従って、濾過(0.2μm RC、Lab Logistics Group、Germany)及びUPLCによる更なる分析のために取り出した(n=1)。
注入された試料の濃度は、製造業者によって供給されたソフトウェアによって自動的に計算された。コーティングの完全性アッセイに溶解されたAPIの量は、以下の式に従って計算され、cは、分析からのAPIの濃度(mg/mL)であり、Vは、総試料体積(m@)であり、mAPIは、(mg)で計量されたAPIの質量であり、薬物負荷は、コーティングされたAPIのAPI含有量(分率)である。
結果
比較例15による粒子のコーティングの完全性アッセイに溶解されたAPIの量は、74%と決定された。
比較例16による粒子のコーティングの完全性アッセイに溶解されたAPIの量は、51%と決定された。
実施例17による粒子のコーティングの完全性アッセイに溶解されたAPIの量は、15%と決定された。
実施例18による粒子のコーティングの完全性アッセイに溶解されたAPIの量は、7%と決定された。
実施例21
製剤の調製
本実施例は、本明細書に開示されるコーティングされたレナリドマイド粒子の製剤の調製を説明する。
材料及び方法
比較例15及び16並びに実施例17及び18によるレナリドマイドのコーティングされた微粒子の懸濁液を調製した。
比較例15及び16並びに実施例17及び18によるレナリドマイドのコーティングされた微粒子の粉末を、ビヒクルとしてHyonate(登録商標)vet(Boehringer Ingelheim Animal Health,France)と一緒に混合した。Hyonate(登録商標)vetは、10mg/mLのヒアルロン酸ナトリウム(pH7.4)の滅菌、等張、リン酸緩衝溶液を含む動物の注射に使用される獣医用医薬品である。Hyonate(登録商標)vetの組成物は、以下の表7に提示される。
微粒子の粉末を有するバイアルにビヒクルを添加することによって微粒子を再構成し、以下のレナリドマイド濃度を得た。
-比較例15による粒子の50mg/mLのレナリドマイド、
-比較例16による粒子の5mg/mL及び50mg/mlのレナリドマイド、
-実施例17による粒子の20mg/mLのレナリドマイド、及び
-実施例18による粒子の20mg/mLのレナリドマイド。
結果
それぞれ、比較例15及び16並びに実施例17及び18に従って、コーティングされたレナリドマイド粒子の懸濁液を得た。
比較実施例22
インビボ薬物動態試験I
本実施例は、雄及び雌のSprague Dawleyラットにおける、比較例15及び16によるコーティングされたレナリドマイド製剤の投与後のレナリドマイドの前臨床薬物動態試験を説明する。
材料及び方法
投与日に体重が231~285gの雄及び雌Sprague Dawleyラットが、Charles River(UK)から提供された。試験の期間は14日間であった。36匹のラットを試験において使用した。
投与領域の毛を注射前に刈り取った。そして注射部位に印を付ける。比較例15及び16に従ってコーティングされたレナリドマイド粒子で実施例21に記載のように調製した懸濁液を1mLのBD注射器に吸い込み、23G針(BDマイクロランス)を通して、各ラットの脇腹に単回皮下注射(約0.12mL)を投与した。
血液試料(約0.2mL)は、次の時点で、尾静脈からKEDTA(エチレンジアミン四酢酸二カリウム)チューブに収集された:投与後0.25、0.5、1、2、3、6、12、24、48、72、120、168、264、及び336時間。血液試料採取後、実質的に可能な限り速やかに、血漿を遠心分離(1500g、4℃で10分間)によって分離した。試験の最終日に動物を屠殺した。血漿試料を、分析を待つ間、-80℃の冷凍庫に保存した。
血漿中濃度を決定するために、UPLC-MS/MSを使用した。
試料は、TECAN Genesis液体ハンドリングロボットを使用して、ラット血漿35μLを96ウェルプレートにピペッティングし、アセトニトリル中に35μLの5%DMF、75μLの内部標準作業溶液を添加することによって調製した。次いで、96ウェルプレートを15分間振盪させ、遠心分離した。次いで、全ての試料を、以下の表8に指定される設定で、UPLC-MS/MSシステム(Acquity I-Class UPLCシステム、Waters,Milford,MA,USA)に微結合されたXevo TQ-s)上に注入した。
血漿中のレナリドマイドの薬物動態分析は、PKanalix(2021,Lixoft,Antony,France)を使用して、標準的な非コンパートメントアプローチに従って実施した。製剤の単回皮下投与後のレナリドマイドの用量正規化された血漿中濃度を評価し、以下の血漿薬物動態パラメータを評価した。
●用量はラットのmg/kg体重で表される。
●「Cmax」は、ng/mLで表される分析で見出される最大濃度である。
●「AUC」は、ng*h/mLで表される無限時間までの濃度対時間曲線下の面積である。
●「Cmax/D」は、ラットのng/mL/mg/kg体重で表される1mg/kgに正規化された最大濃度である。
●「AUC∞/D」は、ラットのng*h/mL/mg/kg体重で表される、1mg/kgに正規化された無限時間までの濃度対時間曲線下の面積である。
●「Fr.Rel.0-12h」は、パーセンテージとして表される無限の時間までの濃度対時間曲線下の面積の最初の12時間に放出される分率である。
結果
図6及び図7並びに表9は、比較例15及び16によってそれぞれ得られた試料についてのそれぞれの血漿中濃度時間曲線(ng/mLの血漿中濃度レナリドマイド対hサンプリング時間)を示す。
実施例23
インビボ薬物動態試験II
本実施例は、雄及び雌のSprague Dawleyラットにおける、実施例17及び18によるコーティングされたレナリドマイド製剤の投与後のレナリドマイドの前臨床薬物動態試験を説明する。
260~343gの体重の雄のSprague Dawleyラット(Charles River,UK)に対して、上記の実施例22に記載の方法と本質的に同じ方法を実行した。試験の期間は14日間であった。44匹のラットを試験において使用し、約0.15mLの皮下注射を行った。
結果
図7及び図8並びに表10は、実施例17及び18によってそれぞれ得られた試料についてのそれぞれの血漿中濃度時間曲線(ng/mLの血漿中濃度レナリドマイド対hサンプリング時間)を示す。
用量正規化された最大濃度は、最初の12時間の間に放出されたより低い最大濃度及びより低い分率の両方によって示される比較例15と比較して、実施例17についてより低かった。
用量正規化された最大濃度は、最初の12時間の間に放出されたより低い最大濃度及びより低い画分の両方によって示される比較例16と比較して、実施例18についてより低かった。
全体として、比較実施例22及び実施例23は、ストップフローALDによって生成されたコーティングされたレナリドマイド粒子が、連続的な流れALDを使用して生成されたコーティングされたレナリドマイド粒子よりも低い初期放出を有する放出プロファイルを示したことを実証した。



Claims (24)

  1. 多発性骨髄腫などの血液がんの治療に有用な複数のコーティングされた粒子であって、
    (a)レナリドマイド及びポマリドマイドからなる群から選択される化合物、又はその薬学的に許容される塩を含む、固体コアであって、前記コアが、0.1μm~50μmの平均直径を有する、固体コアと、
    (b)前記コアを取り囲み、囲み、及び/又はカプセル化するコーティングであって、前記コーティングが、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化シリコン、酸化チタン、及び酸化アルミニウムからなる群から選択される少なくとも2つの金属又はメタロイド酸化物の混合された酸化物を含む、コーティングと
    を含む、複数のコーティングされた粒子。
  2. 前記化合物が、レナリドマイドである、請求項1に記載の複数のコーティングされた粒子。
  3. 前記コーティングが、1~20層の個別の層、例えば、3~7層の個別の層、例えば、4~6層の個別の層を含み、各層が、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化シリコン、酸化チタン、及び酸化アルミニウムからなる群から選択される少なくとも1つの酸化物を含み、前記1~20層の個別の層のうちの少なくとも1層が、前記混合された酸化物を含む、請求項1又は2に記載の複数のコーティングされた粒子。
  4. 前記個別の層のうちの少なくとも2層、例えば、少なくとも3層、例えば、少なくとも4層、例えば、全てが、前記混合された酸化物を含む、請求項3に記載の複数のコーティングされた粒子。
  5. 前記少なくとも1つの酸化物が、酸化亜鉛、酸化シリコン、及び酸化アルミニウム、例えば、酸化亜鉛又は酸化アルミニウムからなる群から選択される、請求項3又は4に記載の複数のコーティングされた粒子。
  6. 前記混合された酸化物中の前記少なくとも2つの金属及び/又はメタロイド酸化物が、酸化亜鉛、酸化シリコン、及び酸化アルミニウム、例えば、酸化亜鉛及び酸化シリコンからなる群から選択される、請求項1~5のいずれか一項に記載の複数のコーティングされた粒子。
  7. 前記混合された酸化物中の前記少なくとも2つの金属及び/又はメタロイド酸化物が、酸化亜鉛及び酸化アルミニウムである、請求項1~6のいずれか一項に記載の複数のコーティングされた粒子。
  8. ZnとAlとの原子比が、1:1~6:1、例えば、2:1~5:1、例えば、2:1~4:1、例えば、3:1である、請求項7に記載の複数のコーティングされた粒子。
  9. 前記粒子が、
    (a)10nm(例えば、約0.1μm)~約700μm(例えば、約100μm若しくは約50μm、又は本明細書に記載の粒径範囲のうちの1つ以上)である、重量、数、又は体積に基づく平均直径を有し、
    (b)少なくとも部分的に、無機材料のコーティングによってコーティングされた、レナリドマイド及びポマリドマイドからなる群から選択される化合物、又はいずれかの化合物の薬学的に許容される塩を含む、固体コアを含み、前記無機材料のコーティングが、
    (i)酸化亜鉛と、
    (ii)1つ以上の他の金属及び/又はメタロイド酸化物との混合物を含み、
    原子比((i):(ii))が、少なくとも約1:6(例えば、約1:1)と、最大で約6:1との間である、先行請求項のいずれか一項に記載の複数のコーティングされた粒子。
  10. 酸化亜鉛と他の金属及び/又はメタロイド酸化物との比が、約2:1~約5:1である、請求項9に記載の複数のコーティングされた粒子。
  11. 酸化物の混合物の2つ以上の個別の層が、前記コアに順次塗布される、先行請求項のいずれか一項に記載の複数のコーティングされた粒子。
  12. 前記酸化物の混合物の3~10層の個別の層が塗布される、請求項5に記載の複数のコーティングされた粒子。
  13. 請求項1~12のいずれか一項に記載の複数のコーティングされた粒子を調製する方法であって、前記コーティングされた粒子が、気相堆積技術、例えば原子層堆積によって、前記固体コア及び/又は以前にコーティングされた固体コア上に混合された酸化物を形成する少なくとも2つの金属及び/又はメタロイド酸化物の前駆体を塗布することによって作製される、方法。
  14. 前記方法が、
    (1)酸化鉄、酸化亜鉛、酸化シリコン、酸化チタン、及び酸化アルミニウムからなる群から選択される1つ以上の金属及び/又はメタロイド酸化物の前駆体を塗布するステップであって、それによって、気相堆積技術によって、前記固体コア上に層が形成される、塗布するステップと、
    (2)ステップ(1)中に形成されたコーティングされた固体コア凝集体を解凝集するステップと、
    (3)ステップ(2)からの前記解凝集したコーティングされた固体コアに、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化シリコン、酸化チタン、及び酸化アルミニウムからなる群から選択される少なくとも1つの金属及び/又はメタロイド酸化物の前駆体を塗布するステップであって、それによって、気相堆積技術によって、前記以前にコーティングされた固体コア上に別の層が形成される、塗布するステップと、
    (4)ステップ(2)及び(3)を1回以上繰り返して、前記固体コアを囲む前記コーティングの総厚を増加させるステップと
    を含み、
    前記層のうちの少なくとも1つが、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化シリコン、酸化チタン、及び酸化アルミニウムからなる群から選択される少なくとも2つの金属及び/又はメタロイド酸化物の前駆体を塗布することによって形成され、それによって混合された酸化物が形成される、請求項13に記載の方法。
  15. 前記コーティングされた粒子凝集体を解凝集するステップが、機械的ふるい分け技術によって行われる、請求項14に記載の方法。
  16. 前記機械的ふるい分け技術が、音波ふるい分け又は振動ふるい分けを含む、請求項15に記載の方法。
  17. ステップ2が、ステップ(1)中に形成されたコーティングされた固体コア凝集体を解凝集する前に、前記コーティングされた固体コアを気相堆積反応器から出すステップと、ステップ(1)中に形成されたコーティングされた固体コア凝集体を解凝集した後に、前記コーティングされた固体コアを前記反応器に戻すステップと、を更に含む、請求項14~16のいずれか一項に記載の方法。
  18. 請求項1~12のいずれか一項に記載の複数のコーティングされた粒子と、薬学的に許容される希釈剤、担体及び/又は賦形剤と、を含む、医薬組成物又は獣医学的組成物。
  19. 無菌の注射可能及び/又は注入可能な剤形の形態の、請求項18に記載の組成物。
  20. 外科的投与装置又は注射器を介して投与可能な、液体、ゾル、又はゲルの形態であり、前記液体、ゾル、又はゲルが、皮下デポー製剤を形成する、請求項19に記載の組成物。
  21. 血液がんの治療に使用するための、請求項1~12のいずれか一項に記載の複数のコーティングされた粒子又は請求項18~20のいずれか一項に記載の医薬組成物。
  22. 血液がんの治療のための医薬品を製造するための、請求項1~12のいずれか一項に記載の複数のコーティングされた粒子又は請求項18~20のいずれか一項に記載の医薬組成物の、使用。
  23. 血液がんの治療方法であって、かかる治療を必要とする患者に、請求項1~12のいずれか一項に記載の複数のコーティングされた粒子、又は請求項18~20のいずれか一項に記載の医薬組成物を投与することを含む、方法。
  24. 前記血液がんが多発性骨髄腫である、請求項21に記載の使用のための複数のコーティングされた粒子若しくは使用のための医薬組成物、請求項22に記載の使用、又は請求項23に記載の方法。

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