JP2024521142A - 次世代体積インサイチュ配列決定 - Google Patents

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Abstract

無傷組織における細胞における核酸の次世代体積インサイチュ配列決定のためのデバイス、方法、及びシステムが本明細書で提供される。特に、薄い及び厚い組織体積を含む、試料タイプにわたって堅牢性を改善し、体積組み合わせインサイチュ配列決定のための標的標識化の効率及び特異性を増加させるための方法が提供される。

Description

生物学的試料は、個々の細胞の長さの尺度から組織全体の長さの尺度にわたる複雑で不均一な遺伝情報を含有する。細胞内の核酸の空間パターンは、細胞機能の特性及び異常を明らかにする可能性があり、RNA発現の累積分布は、細胞の型又は機能を定義する可能性があり、組織内の細胞型の位置の体系的バリエーションは、組織機能を定義する可能性がある。核酸にエンコードされる解剖学的接続性情報と組織全体の細胞型分布との組み合わせは、組織の多くのセクションにわたる可能性がある。したがって、インサイチュ核酸配列決定のための技法は、個々の分子と同じくらい小さい分解能と脳全体と同じくらい大きな分解能とを橋渡しすることができなければならない。長さの桁違いの差にわたってこの情報を効率的に収集及び記録するには、インサイチュ配列決定技法の堅牢性、迅速性、自動化、及びハイスループットの性質を増強させるための新しい発明が必要である。
無傷組織における細胞における核酸の次世代体積インサイチュ配列決定のためのデバイス、方法、及びシステムが本明細書で提供される。特に、薄い及び厚い組織体積を含む、試料タイプにわたって堅牢性を改善し、体積連続的及び組み合わせインサイチュ配列決定のための標的標識化の効率及び特異性を増加させるための方法が提供される。
一態様では、無傷組織における細胞における標的核酸のインサイチュ遺伝子配列決定のための方法が提供され、本方法は、(a)特異的ハイブリダイゼーションを可能にする条件下で、固定され、透過化された無傷組織を少なくとも一対のオリゴヌクレオチドプライマーと接触させることであって、一対のプライマーが、第1のオリゴヌクレオチド及び第2のオリゴヌクレオチドを含み、第1のオリゴヌクレオチド及び第2のオリゴヌクレオチドの各々が、第1の相補性領域、第2の相補性領域、及び第3の相補性領域を含み、第2のオリゴヌクレオチドが、バーコード配列を更に含み、第1のオリゴヌクレオチドの第1の相補性領域が、標的核酸の第1の部分に相補的であり、第1のオリゴヌクレオチドの第2の相補性領域が、第2のオリゴヌクレオチドの第1の相補性領域に相補的であり、第1のオリゴヌクレオチドの第3の相補性領域が、第2のオリゴヌクレオチドの第3の相補性領域に相補的であり、第2のオリゴヌクレオチドの第2の相補性領域が、標的核酸の第2の部分に相補的であり、標的核酸の第1の部分が、標的核酸の第2の部分に隣接しており、第1のオリゴヌクレオチドの第2の相補性領域が、独自の一致する配列の第1の部分を含み、第1のオリゴヌクレオチドの第3の相補性領域が、独自の一致する配列の第2の部分を含み、第2のオリゴヌクレオチドの第1の相補性領域が、独自の一致する配列の第1の部分に相補的である配列を含み、第2のオリゴヌクレオチドの第3の相補性領域が、独自の一致する配列の第2の部分に相補的である配列を含む、接触させることと、(b)リガーゼを添加して、第2のオリゴヌクレオチドをライゲーションし、閉じた核酸環を生成することと、(c)核酸分子の存在下でローリングサークル増幅を実行することであって、鋳型として第2のオリゴヌクレオチドと、ポリメラーゼのためのプライマーとして第1のオリゴヌクレオチドとを使用して、1つ以上のアンプリコンを形成することを含む、実行することと、(d)1つ以上のアンプリコンをヒドロゲルサブユニットの存在下で埋め込んで、1つ以上のヒドロゲルに埋め込まれたアンプリコンを形成することと、(e)ライゲーションを可能にする条件下で、バーコード配列を有する1つ以上のヒドロゲルに埋め込まれたアンプリコンを一組の配列決定プライマーと接触させることであって、一組の配列決定プライマーが、塩基を解読するように構成された第3のオリゴヌクレオチド及び解読された塩基をシグナルに変換するように構成された第4のオリゴヌクレオチドを含み、ライゲーションが、第3のオリゴヌクレオチド及び第4のオリゴヌクレオチドの両方が同じアンプリコンの隣接する配列に相補的であるときにのみ生じる、接触させることと、(f)ステップ(e)を何度も繰り返すことと、(g)1つ以上のヒドロゲルに埋め込まれたアンプリコンを撮像して、無傷組織における細胞における標的核酸の遺伝子配列をインサイチュで決定することとを含む。
ある特定の実施形態では、本方法は、固定され、透過化された無傷組織を、第1のオリゴヌクレオチドに結合するゲルアダプタオリゴヌクレオチドと接触させることであって、ゲルアダプタオリゴヌクレオチドが、ゲル化の間にゲルアダプタオリゴヌクレオチドをヒドロゲルに連結する5’末端又は3’末端にヌクレオチド修飾を含む、接触させることを更に含む。いくつかの実施形態では、ヌクレオチド修飾は、アクリダイト(acrydite)基を含む。いくつかの実施形態では、第1のオリゴヌクレオチドは、ゲルアダプタオリゴヌクレオチドに対する共通の結合部位を更に含む。いくつかの実施形態では、ゲルアダプタオリゴヌクレオチドに対する共通の結合部位は、第1のオリゴヌクレオチドの第1の相補性領域に隣接している。
ある特定の実施形態では、本方法は、固定され、透過化された無傷組織を、アンプリコンの検出及び縮合のためのオリゴヌクレオチドプローブと接触させることであって、オリゴヌクレオチドプローブが、第2のオリゴヌクレオチドに結合する、接触させることを更に含む。いくつかの実施形態では、第2のオリゴヌクレオチドは、アンプリコンの検出及び縮合のためのオリゴヌクレオチドプローブに対する共通の結合部位を更に含む。いくつかの実施形態では、アンプリコンの検出及び縮合のためのオリゴヌクレオチドプローブに対する共通の結合部位は、第2の相補性領域に隣接しているか、又は第2のオリゴヌクレオチドの独自の一致する配列の第2の半分に相補的である配列に隣接している。いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドプローブは、目的のプローブ標的のアンプリコンを検出するための独自の配列、及びアンプリコン上の共通の配列に相補的な配列の2つ以上のコピーを含む。いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドプローブは、第1のオリゴヌクレオチドプローブがゲル化の間にヒドロゲルに連結されるように、5’末端又は3’末端にヌクレオチド修飾を更に含む。いくつかの実施形態では、ヌクレオチド修飾は、アクリダイト基を含む。
ある特定の実施形態では、本方法は、細胞を、i)5’アミン修飾又は5’ビオチン修飾、ゲルアダプタオリゴヌクレオチドとハイブリダイゼーションする共通のゲルアダプタ相補配列、及び独自のバーコード配列を含む第1のプローブ、並びにii)独自のバーコード配列の第1の部分に相補的である第1の配列、及び独自のバーコード配列の第2の部分に相補的である第2の配列を含む第2のプローブと接触させることによって、細胞をバーコード化することであって、第1の配列及び第2の配列が、配列決定エンコード配列に隣接し、第1のプローブ及び第2のプローブのハイブリダイゼーションが、第1のプローブ及び第2のプローブを含むバーコード複合体の形成をもたらす、バーコード化することを更に含む。いくつかの実施形態では、第2のプローブは、パドロック(padlock)プローブである。
ある特定の実施形態では、標的核酸の第1の部分及び標的核酸の第2の部分は、ほぼ同じ融解温度を有する。
ある特定の実施形態では、本方法は、固定され、透過化された無傷組織を、mRNA保持オリゴヌクレオチドと接触させることであって、mRNA保持オリゴヌクレオチドが、5’末端又は3’末端におけるヌクレオチド修飾であって、mRNA保持オリゴヌクレオチドが、ゲル化の間にヒドロゲルに連結される、ヌクレオチド修飾と、mRNAのポリAテールにハイブリダイゼーションするポリTテールであって、mRNA保持オリゴヌクレオチドのポリTテールとmRNAのポリAテールとのハイブリダイゼーションが、ヒドロゲル中にmRNAを保持する、ポリTテールと、独自のハイブリダイゼーション配列とを含む、接触させることを更に含む。いくつかの実施形態では、ポリTテールは、相互的ロックド(interleaved locked)核酸(LNA)チミン(T)塩基を含む。いくつかの実施形態では、本方法は、固定され、透過化された無傷組織を、mRNA保持オリゴヌクレオチドの独自のハイブリダイゼーション配列に選択的に結合する蛍光標識されたプローブオリゴヌクレオチドと接触させることを更に含む。
ある特定の実施形態では、独自の一致する配列は、ランダム化配列である。
ある特定の実施形態では、配列決定は、連続的又は組み合わせエンコードを用いて実行される。
ある特定の実施形態では、本方法は、ローリングサークル増幅を実行する前に、組織全体へのポリメラーゼの均一な拡散を可能にするために十分な時間、組織試料をポリメラーゼとともにプレインキュベーションすることを更に含む。
ある特定の実施形態では、シグナルは、蛍光シグナルである。
ある特定の実施形態では、撮像は、酸化防止剤を含む抗退色緩衝液の存在下で実行される。例えば、抗退色緩衝液には、トロロックス(6-ヒドロキシ-2,5,7,8-テトラメチルクロマン-2-カルボン酸)及びトロロックス-キノンが含まれ得るが、これらに限定されない。
ある特定の実施形態では、本方法は、ヒドロゲルをホルムアミドと接触させることによって、撮像後にシグナルを除去することを更に含む。
ある特定の実施形態では、第4のオリゴヌクレオチドは、ジスルフィド結合によってフルオロフォアに共有結合的に連結している。いくつかの実施形態では、本方法は、当該撮像後にヒドロゲルを還元剤と接触させることであって、ジスルフィド結合の還元が、第4のオリゴヌクレオチドからのフルオロフォアの切断をもたらす、接触させることを更に含む。
ある特定の実施形態では、第3のオリゴヌクレオチド及び第4のオリゴヌクレオチドのライゲーションは、ポリエチレングリコールポリマー(例えば、PEG6000)の存在下で実行される。
ある特定の実施形態では、標的結合剤へのオリゴコンジュゲートは、フルオロフォアを含有するオリゴヌクレオチドのハイブリダイゼーションによって検出される。ある特定の実施形態では、このシグナルは、検出後、置き換えるオリゴヌクレオチドの競合的結合によって除去される。
別の態様では、候補薬剤をスクリーニングして、候補薬剤が無傷組織における細胞における核酸の遺伝子発現を調節するか否かを決定する方法であって、本明細書に記載される方法を実行して、無傷組織における細胞における標的核酸の遺伝子配列を決定することと、標的核酸の遺伝子発現のレベルを検出することであって、候補薬剤の不在下での標的核酸の発現のレベルに対する、候補薬剤の存在下での標的核酸の発現のレベルの変化が、候補薬剤が無傷組織における細胞における核酸の遺伝子発現を調節することを示す、検出することとを含む、方法が提供される。
ある特定の実施形態では、検出することは、フローサイトメトリー、配列決定、プローブ結合及び電気化学的検出、pH変化、DNAタグに結合した酵素によって誘発された触媒作用、量子もつれ、ラマン分光法、テラヘルツ波技術、並びに/又は走査型電子顕微鏡法を実行することを含む。いくつかの実施形態では、フローサイトメトリーは、質量サイトメトリー又は蛍光活性化フローサイトメトリーである。いくつかの実施形態では、検出することは、顕微鏡法、走査質量分析、又は他の撮像技法を実行することを含む。いくつかの実施形態では、検出することは、蛍光シグナルなどのシグナルを検出することを含む。
別の態様では、システムであって、流体デバイスと、無傷組織における細胞における標的核酸のインサイチュ遺伝子配列決定のための本明細書に記載される方法を実行するように構成されたプロセッサユニットとを備える、システムが提供される。
ある特定の実施形態では、システムは、撮像チャンバを更に備える。
ある特定の実施形態では、システムは、ポンプを更に備える。
厚い切片(200um)のマウス脳組織試料にわたる次世代STARmap2シグナルを示す。ハイブリダイゼーション溶液中のデキストラン、ライゲーション溶液中のPEG、及び不活性RCAポリメラーゼ溶液とのプレインキュベーションと組み合わせて、試料調製全体にわたって浮遊する切片を維持することは、試料Z軸全体にわたって一貫した、高効率かつ均一な標識化をもたらす。 厚い切片(200um)のマウス脳組織試料にわたる次世代STARmap2シグナルを示す。ハイブリダイゼーション溶液中のデキストラン、ライゲーション溶液中のPEG、及び不活性RCAポリメラーゼ溶液とのプレインキュベーションと組み合わせて、試料調製全体にわたって浮遊する切片を維持することは、試料Z軸全体にわたって一貫した、高効率かつ均一な標識化をもたらす。 厚い切片(200um)のマウス脳組織試料にわたる次世代STARmap2シグナルを示す。ハイブリダイゼーション溶液中のデキストラン、ライゲーション溶液中のPEG、及び不活性RCAポリメラーゼ溶液とのプレインキュベーションと組み合わせて、試料調製全体にわたって浮遊する切片を維持することは、試料Z軸全体にわたって一貫した、高効率かつ均一な標識化をもたらす。 厚い切片(200um)のマウス脳組織試料にわたる次世代STARmap2シグナルを示す。ハイブリダイゼーション溶液中のデキストラン、ライゲーション溶液中のPEG、及び不活性RCAポリメラーゼ溶液とのプレインキュベーションと組み合わせて、試料調製全体にわたって浮遊する切片を維持することは、試料Z軸全体にわたって一貫した、高効率かつ均一な標識化をもたらす。 死後のヒト脳組織試料中のSTARmap2による効率的で高いシグナル対ノイズ比(SNR)標識化を示す。4つの取得チャネルの単一の読み出しチャネル(488)は、配列決定の第1の組み合わせラウンドから、単一の光学平面内に示される。破線ボックスは、組織内の個々の細胞を強調している。点シグナルはアンプリコンである。 ハイブリダイゼーション、清澄化、ライゲーション、及びRCA反応を通して、試料が、配列決定のための調製物に再結合される前に浮遊するように維持される、STARmap2のためのワークフローを示す。 150umの厚さのマウス脳切片における200個の遺伝子の組み合わせ化学配列決定を示す。標識化の単一の組み合わせラウンドからの単一の光学平面を示すデータを表す。左は、単一のXY光学平面、右上は、全体的に高いSNRを有する、Z軸にわたって一貫した標識化効率を示すZY光学平面、右下は、単一のXY平面内の複数のセルについての詳細を示す。 プローブ環状化接合部において独自の配列を組み込む効果を示す。(A、B)試料は、Actbに対する共通の一組のSTARmap2プローブと、試料内に含有されないランダム(外因性)配列を標的とする384プローブとを用いて調製した。(A)ランダム配列を標的とする384プローブで標識化された試料は、それらの環状化接合部に独自の(プローブにわたる)配列を含有した。独自の配列は、配列をランダム化し、交差配列類似性及び融解温度によってフィルタリングすることによって生成された。(B)元のSNAILプローブ設計と同様に、プローブが環状化接合部に定常配列を含有することを除き、(A)と同様の同じ一組のランダム(外因性)配列を標的とする384プローブで標識化された試料である。細胞間の空間における詳細を示す(A)及び(B)の右下の挿入図である。破線ボックス、挿入図位置を示す。隣接する組織切片から並行して調製された試料である。等しい撮像及びコントラスト設定で、単一の最も明るい平面から20倍の倍率で取得された画像を示す。 STARmap2プローブ修飾の概要(改善された配列決定化学のために使用される配列の詳細を除く)を示す。
無傷組織における細胞における核酸の次世代体積インサイチュ配列決定のためのデバイス、方法、及びシステムが本明細書で提供される。特に、薄い及び厚い組織体積を含む、試料タイプにわたって堅牢性を改善し、体積組み合わせインサイチュ配列決定のための標的標識化の効率及び特異性を増加させるための方法が提供される。
本デバイス、方法、及びシステムを説明する前に、本発明は、記載された特定の方法又は組成物に限定されるものではなく、それ自体が勿論、変化し得ることを理解されたい。また、本発明の範囲は添付の特許請求の範囲によってのみ限定されるため、本明細書で使用される専門用語は、単に特定の実施形態を説明するためのものであることも理解されたい。
値の範囲が提供される場合、文脈上別段の指示がない限り、その範囲の上限と下限との間の各介在値も、下限の単位の10分の1まで具体的に開示されていることを理解されたい。任意の記載値又は記載された範囲内の間に介在する値と、任意の他の記載値又はその記載された範囲内の間に介在する値との間の、それぞれより小さい範囲が、本発明に包含される。これらの小さい範囲の上限及び下限は、独立して範囲に含まれていても、除外されていてもよく、いずれか、どちらでもない、又は両方の限定が小さい範囲に含まれている各範囲も、記載されている範囲の中で任意の具体的に除外されている限定に従うことを条件として、本発明に包含される。記載された範囲が限定の一方又は両方を含む場合、それらの含まれる限定のいずれか又は両方を除外する範囲も、同様に本発明に含まれる。
別段定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、本発明が属する当業者に一般に理解される意味と同じ意味を有する。本明細書に記載される方法及び材料と類似又は同等の任意の方法及び材料は、本発明の実施又は試験に使用することができるが、ここでは、いくつかの潜在的かつ好ましい方法及び材料を説明する。本明細書で言及される全ての刊行物は、刊行物が引用されることに関連して方法及び/又は材料を開示及び説明するために、参照により本明細書に組み込まれる。矛盾がある場合、本開示は、組み込まれた刊行物の任意の開示に優先されることを理解されたい。
本開示を読むと当業者には明らかであるように、本明細書に記載及び例証される別個の実施形態の各々は、本発明の範囲又は趣旨から逸脱することなく、他の様々な実施形態のいずれかの特徴から容易に分離され得るか、又はこれらと組み合わされ得る別個の構成要素及び特徴を有する。任意の列挙された方法は、列挙された事象の順序、又は論理的に可能な任意の他の順序で実行され得る。
本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用される場合、単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈上明確に別段の指示のない限り、複数の指示対象を含むことに留意されたい。したがって、例えば、「a cell(細胞)」への言及は、複数のかかる細胞を含み、「the peptide(ペプチド)」への言及は、当業者に既知の1つ以上のペプチド及びその等価物、例えばオリゴペプチド又はポリペプチドなどへの言及を含む。
本明細書において考察された刊行物は、本出願の出願日より前のそれらの開示についてのみ提供される。本明細書におけるいかなる内容も、本発明が先行発明を理由に、そのような刊行物に先行する権利がないことを認めるものと解釈されるべきではない。更に、提供される刊行物の日付は、独立して確認する必要があり得る実際の刊行日とは異なる場合がある。
定義
「約」という用語は、特に所与の量に関して、プラス又はマイナス5パーセントの偏差を包含することを意味する。
「ペプチド」、「オリゴペプチド」、「ポリペプチド」、及び「タンパク質」という用語は、本明細書では互換的に使用され、アミノ酸残基のポリマーを指す。この用語は、また、1つ以上のアミノ酸残基が対応する天然に存在するアミノ酸の人工的な化学的模倣物であるアミノ酸ポリマー、並びに天然に存在するアミノ酸ポリマー及び非天然に存在するアミノ酸ポリマーにも適用される。全長タンパク質及びその断片の両方が、定義に包含される。この用語は、また、ポリペプチドの発現後修飾、例えば、リン酸化、グリコシル化、アセチル化、ヒドロキシル化、酸化など、並びに修飾ペプチド骨格を有する化学的又は生化学的に修飾された又は誘導体化されたアミノ酸及びポリペプチドを含む。この用語は、また、異種のアミノ酸配列を有する融合タンパク質、N末端メチオニン残基を有する、又は有さない異種及び相同のリーダー配列を有する融合、免疫学的にタグ付けされたタンパク質などを含むが、これらに限定されない、融合タンパク質も含む。この用語は、脂肪酸部分、脂質部分、糖部分、及び炭水化物部分のうちの1つ以上を含むポリペプチドを含む。
本明細書で使用される場合、「標的核酸」という用語は、単一の細胞内に存在する任意のポリヌクレオチド核酸分子(例えば、DNA分子、RNA分子、修飾核酸など)である。いくつかの実施形態では、標的核酸は、コードRNA(例えば、mRNA)である。いくつかの実施形態では、標的核酸は、非コードRNA(例えば、tRNA、rRNA、マイクロRNA(miRNA)、成熟miRNA、未成熟miRNAなど)である。いくつかの実施形態では、標的核酸は、細胞の状況におけるRNA分子(例えば、mRNA、プレmRNAなど)のスプライスバリアントである。したがって、好適な標的核酸は、スプライシングされていないRNA(例えば、プレmRNA、mRNA)、部分的スプライシングRNA、又は完全スプライシングRNAなどであり得る。目的の標的核酸は、細胞集団内で可変的に発現されてもよく、すなわち、異なる存在量を有してもよく、本発明の方法は、個々の細胞におけるRNA転写産物を含むがこれに限定されない核酸の発現レベルのプロファイリング及び比較を可能にする。標的核酸は、また、DNA分子、例えば、変性ゲノム、ウイルス、プラスミドなどであってもよい。例えば、本方法を使用して、例えば、標的核酸が集団における細胞のゲノムにおいて異なる存在量で存在するがん細胞集団、ウイルス負荷及び動態を決定するためのウイルス感染細胞において、コピー数バリアントを検出し得る。
本明細書では互換的に使用される「オリゴヌクレオチド」、「ポリヌクレオチド」、及び「核酸分子」という用語は、リボヌクレオチド又はデオキシリボヌクレオチドのいずれかの任意の長さのヌクレオチドのポリマー形態を指す。したがって、この用語には、単鎖、二本鎖、若しくは多鎖DNA若しくはRNA、ゲノムDNA、cDNA、DNA-RNAハイブリッド、又はプリン及びピリミジン塩基、若しくは他の天然、化学的若しくは生化学的に修飾された、非天然、若しくは誘導体化されたヌクレオチド塩基を含むポリマーが含まれるが、これらに限定されない。ポリヌクレオチドの骨格は、糖及びリン酸基(典型的には、RNA又はDNAに見出され得る)、又は修飾若しくは置換された糖若しくはリン酸基を含み得る。代替的に、ポリヌクレオチドの骨格は、ホスホラミダイト、及び/又はホスホロチオエートなどの合成サブユニットのポリマーを含み得、したがって、オリゴデオキシヌクレオシドホスホラミデート又は混合ホスホラミデート-ホスホジエステルオリゴマーであり得る。Peyrottes et al.(1996)Nucl.Acids Res.24:1841-1848、Chaturvedi et al.(1996)Nucl.Acids Res.24:2318-2323を参照されたい。ポリヌクレオチドは、1つ以上のLヌクレオシドを含み得る。ポリヌクレオチドは、メチル化ヌクレオチド及びヌクレオチド類似体などの修飾ヌクレオチド、ウラシル、他の糖、並びにフルオロリボース及びチオエートなどの連結基、及びヌクレオチド分岐を含み得る。ヌクレオチドの配列は、非ヌクレオチド成分によって中断されてもよい。ポリヌクレオチドは、N3’-P5’(NP)ホスホラミデート、モルホリノホスホロシアミデート(MF)、ロックド核酸(LNA)、2’-O-メトキシエチル(MOE)、又は2’-フルオロアラビノ核酸(FANA)を含むように修飾されてもよく、これらはヌクレアーゼ分解に対するポリヌクレオチドの耐性を増強することができる(例えば、Faria et al.(2001)Nature Biotechnol.19:40-44、Toulme(2001)Nature Biotechnol.19:17-18を参照されたい)。ポリヌクレオチドは、例えば、標識化成分とのコンジュゲーションによって、重合後に更に修飾されてもよい。この定義に含まれる他の種類の修飾は、キャップ、天然に存在するヌクレオチドのうちの1つ以上の類似体での置換、及びポリヌクレオチドをタンパク質、金属イオン、標識化成分、他のポリヌクレオチド、又は固体支持体に結合させるための手段の導入である。免疫調節核酸分子は、本明細書でより詳細に記載するように、様々な製剤において、例えば、リポソーム、マイクロカプセル化などと関連して提供され得る。増幅に使用されるポリヌクレオチドは、増幅における最大効率のために概して一本鎖であるが、代替的に二本鎖であってもよい。二本鎖である場合、ポリヌクレオチドをまず処理して、その鎖を分離した後、伸長産物を調製するために使用することができる。この変性ステップは、典型的には熱の影響を受けるが、代替的には、アルカリを使用して実行し、続いて中和してもよい。
「単離された」とは、タンパク質、ポリペプチド、又はペプチドを指す場合、示される分子が、その分子が天然に見られる生物全体から分離され、離れているか、又は同じ種類の他の生物学的マクロ分子の実質的な非存在下で存在することを意味する。ポリヌクレオチドに関して「単離された」という用語は、天然において通常それと会合する配列の全体若しくは一部を欠く核酸分子、又は天然に存在するが、それと関連する異種配列を有する配列、又は染色体から解離した分子である。
「個体」、「対象」、「宿主」、及び「患者」という用語は、本明細書では互換的に使用され、節足動物(例えば、昆虫、甲殻類、クモ類)、頭足類(例えば、タコ、イカ)、両生類(例えば、カエル、サラマンダー、アシナシイモリ)、魚、爬虫類(例えば、カメ、ワニ、ヘビ、ミミズトカゲ、トカゲ、ムカシトカゲ)、ヒト並びにチンパンジー及び他の類人猿並びにサル種を含む非ヒト霊長類などの非ヒト哺乳動物を含む哺乳動物、マウス、ラット、ウサギ、ハムスター、モルモット、及びチンチラなどの実験動物、イヌ及びネコなどの飼育動物、ヒツジ、ヤギ、ブタ、ウマ、及びウシなどの家畜、かつニワトリ、シチメンチョウ、並びに他のキジ類のトリ、アヒル、及びガンを含む、飼育、野性、及び狩猟のトリなどのトリを含むが、これらに限定されない、無脊椎動物及び脊椎動物を指す。ある場合には、本発明の方法は、実験動物で、獣医学的用途で、並びにマウス、ラット、及びハムスターを含むげっ歯類、霊長類、並びにトランスジェニック動物を含むが、これらに限定されない、疾患のための動物モデルの開発での使用を見出す。
方法
本明細書に開示される方法は、「STARmap2」と称される修正された空間分解型転写アンプリコン読み出しマッピング(STARmap)技法の使用を含む。元のSTARmap技法の説明については、例えば、国際特許出願公開第2019/199579A1号及びWang et al.(2018)Science 361(6400):eaat5691を参照されたく、これらは参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。STARmapと同様に、STARmap2は、ライゲーションによる配列決定プロセス、特異的シグナル増幅、生物学的組織を透明な配列決定チップに変換するヒドロゲル組織化学、並びに亜細胞及び細胞レベルで高度に多重化された遺伝子検出を空間的に分解する関連するデータ分析パイプラインを使用する、画像ベースのインサイチュ核酸(DNA及び/又はRNA)配列決定技術を利用する。STARmap2は、バックグラウンド標識化を低減させるためのプローブ設計の改善、ゲル中の核酸標的のより良好な標識化及び保持のためのアダプタオリゴヌクレオチドの使用を追加し、撮像サイクリング時間を低減させ、高効率の組み合わせバーコード読み取りを用いて前方又は後方配列決定のいずれかを実行する能力を提供する。
上記で要約したように、本明細書に開示される方法は、無傷組織内の細胞における標的核酸のインサイチュ遺伝子配列決定のための方法を含み、この方法は、(a)特異的ハイブリダイゼーションを可能にする条件下で、固定され、透過化された無傷組織を少なくとも一対のオリゴヌクレオチドプライマーと接触させることであって、一対のプライマーが、第1のオリゴヌクレオチド及び第2のオリゴヌクレオチドを含み、第1のオリゴヌクレオチド及び第2のオリゴヌクレオチドの各々が、第1の相補性領域、第2の相補性領域、及び第3の相補性領域を含み、第2のオリゴヌクレオチドが、バーコード配列を更に含み、第1のオリゴヌクレオチドの第1の相補性領域が、標的核酸の第1の部分に相補的であり、第1のオリゴヌクレオチドの第2の相補性領域が、第2のオリゴヌクレオチドの第1の相補性領域に相補的であり、第1のオリゴヌクレオチドの第3の相補性領域が、第2のオリゴヌクレオチドの第3の相補性領域に相補的であり、第2のオリゴヌクレオチドの第2の相補性領域が、標的核酸の第2の部分に相補的であり、標的核酸の第1の部分が、標的核酸の第2の部分に隣接しており、第1のオリゴヌクレオチドの第2の相補性領域が、独自の一致する配列の第1の部分を含み、第1のオリゴヌクレオチドの第3の相補性領域が、独自の一致する配列の第2の部分を含み、第2のオリゴヌクレオチドの第1の相補性領域が、独自の一致する配列の第1の部分に相補的である配列を含み、第2のオリゴヌクレオチドの第3の相補性領域が、独自の一致する配列の第2の部分に相補的である配列を含む、接触させることと、(b)リガーゼを添加して、第2のオリゴヌクレオチドをライゲーションし、閉じた核酸環を生成することと、(c)核酸分子の存在下でローリングサークル増幅を実行することであって、鋳型として第2のオリゴヌクレオチドと、ポリメラーゼのためのプライマーとして第1のオリゴヌクレオチドとを使用して、1つ以上のアンプリコンを形成することを含む、実行することと、(d)1つ以上のアンプリコンをヒドロゲルサブユニットの存在下で埋め込んで、1つ以上のヒドロゲルに埋め込まれたアンプリコンを形成することと、(e)ライゲーションを可能にする条件下で、バーコード配列を有する1つ以上のヒドロゲルに埋め込まれたアンプリコンを一組の配列決定プライマーと接触させることであって、一組の配列決定プライマーが、塩基を解読するように構成された第3のオリゴヌクレオチド及び解読された塩基をシグナルに変換するように構成された第4のオリゴヌクレオチドを含み、ライゲーションが、第3のオリゴヌクレオチド及び第4のオリゴヌクレオチドの両方が同じアンプリコンの隣接する配列に相補的であるときにのみ生じる、接触させることと、(f)ステップ(e)を何度も繰り返すことと、(g)1つ以上のヒドロゲルに埋め込まれたアンプリコンを撮像して、無傷組織における細胞における標的核酸の遺伝子配列をインサイチュで決定することとを含む。
ある特定の実施形態では、本方法は、固定され、透過化された無傷組織を、第1のオリゴヌクレオチドに結合するゲルアダプタオリゴヌクレオチドと接触させることであって、ゲルアダプタオリゴヌクレオチドが、ゲル化の間にゲルアダプタオリゴヌクレオチドをヒドロゲルに連結する5’末端又は3’末端にヌクレオチド修飾を含む、接触させることを更に含む。いくつかの実施形態では、ヌクレオチド修飾は、アクリダイト基を含む。いくつかの実施形態では、第1のオリゴヌクレオチドは、ゲルアダプタオリゴヌクレオチドに対する共通の結合部位を更に含む。いくつかの実施形態では、ゲルアダプタオリゴヌクレオチドに対する共通の結合部位は、第1のオリゴヌクレオチドの第1の相補性領域に隣接している。
ある特定の実施形態では、本方法は、固定され、透過化された無傷組織を、アンプリコンの検出及び縮合のためのオリゴヌクレオチドプローブと接触させることであって、オリゴヌクレオチドプローブが、第2のオリゴヌクレオチドに結合する、接触させることを更に含む。いくつかの実施形態では、第2のオリゴヌクレオチドは、アンプリコンの検出及び縮合のためのオリゴヌクレオチドプローブに対する共通の結合部位を更に含む。いくつかの実施形態では、アンプリコンの検出及び縮合のためのオリゴヌクレオチドプローブに対する共通の結合部位は、第2の相補性領域に隣接しているか、又は第2のオリゴヌクレオチドの独自の一致する配列の第2の半分に相補的である配列に隣接している。いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドプローブは、目的のプローブ標的のアンプリコンを検出するための独自の配列、及びアンプリコン上の共通の配列に相補的な配列の2つ以上のコピーを含む。いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドプローブは、第1のオリゴヌクレオチドプローブがゲル化の間にヒドロゲルに連結されるように、5’末端又は3’末端にヌクレオチド修飾を更に含む。いくつかの実施形態では、ヌクレオチド修飾は、アクリダイト基を含む。
ある特定の実施形態では、本方法は、細胞を、i)5’アミン修飾又は5’ビオチン修飾、ゲルアダプタオリゴヌクレオチドとハイブリダイゼーションする共通のゲルアダプタ相補配列、及び独自のバーコード配列を含む第1のプローブ、並びにii)独自のバーコード配列の第1の部分に相補的である第1の配列、及び独自のバーコード配列の第2の部分に相補的である第2の配列を含む第2のプローブと接触させることによって、細胞をバーコード化することであって、第1の配列及び第2の配列が、配列決定エンコード配列に隣接し、第1のプローブ及び第2のプローブのハイブリダイゼーションが、第1のプローブ及び第2のプローブを含むバーコード複合体の形成をもたらす、バーコード化することを更に含む。いくつかの実施形態では、第2のプローブは、パドロックプローブである。
ある特定の実施形態では、本方法は、固定され、透過化された無傷組織を、mRNA保持オリゴヌクレオチドと接触させることであって、mRNA保持オリゴヌクレオチドが、5’末端又は3’末端におけるヌクレオチド修飾であって、mRNA保持オリゴヌクレオチドが、ゲル化の間にヒドロゲルに連結される、ヌクレオチド修飾と、mRNAのポリAテールにハイブリダイゼーションするポリTテールであって、mRNA保持オリゴヌクレオチドのポリTテールとmRNAのポリAテールとのハイブリダイゼーションが、ヒドロゲル中にmRNAを保持する、ポリTテールと、独自のハイブリダイゼーション配列とを含む、接触させることを更に含む。いくつかの実施形態では、ポリTテールは、相互的ロックド核酸(LNA)チミン(T)塩基を含む。ある特定の実施形態では、本方法は、固定され、透過化された無傷組織を、mRNA保持オリゴヌクレオチドの独自のハイブリダイゼーション配列に選択的に結合する蛍光標識されたプローブオリゴヌクレオチドと接触させることを更に含む。
本明細書に開示される方法は、また、本明細書に記載される方法を実行して、無傷組織における細胞における標的核酸の遺伝子配列を決定することによって、かつ標的核酸の遺伝子発現のレベルを検出することであって、候補薬剤の不在下での標的核酸の発現のレベルに対する、候補薬剤の存在下での標的核酸の発現のレベルの変化が、候補薬剤が無傷組織における細胞における核酸の遺伝子発現を調節することを示す、検出することによって、候補薬剤をスクリーニングして、候補薬剤が無傷組織における細胞における核酸の遺伝子発現を調節するか否かを決定する方法を提供する。
ある特定の態様では、本明細書に開示される方法は、既存の遺伝子発現分析ツールと比較して、より速い処理時間、より高い多重性(最大1000個の遺伝子)、より高い効率、より高い感受性、より低い誤差率、及びより空間的に分解される細胞型を提供する。かかる態様では、改善されたヒドロゲル組織化学法は、生物学的組織を、誤差の低減を伴うインサイチュ配列決定のための改善されたライゲーションによる配列決定技法(SCAL及びSEDAL2)であるインサイチュ配列決定と適合性があるヒドロゲルでインプリントされた核酸に形質転換する。いくつかの他の態様では、本明細書に開示される方法は、単一の細胞及び/又は単一の分子感受性を有する生物医学研究及び臨床診断(例えば、がん、細菌感染、ウイルス感染など)のための空間的配列決定(例えば、試薬、チップ、又はサービス)を含む。
分子内ライゲーションを介した核酸の特異的増幅(SNAIL)
いくつかの実施形態では、STARmap2のうちの1つの構成要素は、SNAILと称され得る分子内ライゲーションを介した核酸の特異的増幅のための、細胞RNAからインサイチュでcDNAライブラリを生成するための効率的なアプローチを含む。ある特定の実施形態では、本発明の方法は、特異的ハイブリダイゼーションを可能にする条件下で、固定され、透過化された無傷組織を少なくとも一対のオリゴヌクレオチドプライマーと接触させることを含み、一対のプライマーは、第1のオリゴヌクレオチド及び第2のオリゴヌクレオチドを含む。
より一般的には、組織における目的の細胞において存在する核酸は、本明細書において第1のオリゴヌクレオチド及び第2のオリゴヌクレオチドと称される、一対のプライマーを含む複合体のアセンブリのための足場として機能する。いくつかの実施形態では、固定化及び透過化された無傷の組織を接触させることは、一対のプライマーを同じ標的核酸にハイブリダイゼーションすることを含む。いくつかの実施形態では、標的核酸は、RNAである。かかる実施形態では、標的核酸は、mRNAであり得る。他の実施形態では、標的核酸は、DNAである。
本明細書で使用される場合、「ハイブリダイゼーションする」及び「ハイブリダイゼーション」という用語は、ワトソン-クリック塩基対合を介して複合体を形成するために十分に相補的であるヌクレオチド配列間の複合体の形成を指す。プライマーが標的(鋳型)と「ハイブリダイゼーションする」場合、かかる複合体(又はハイブリッド)は、DNA合成を開始するために、例えば、DNAポリメラーゼによって必要とされるプライミング機能を果たすために十分に安定している。ハイブリダイゼーションする配列は、安定したハイブリッドを提供するために完全な相補性を有する必要はないことが理解される。多くの場合では、4つ以上のヌクレオチドのループは無視して、塩基の約10%未満が不一致で、安定したハイブリッドが形成される。したがって、本明細書で使用される場合、「相補的」という用語は、概して約90%以上の相同性が存在するアッセイ条件下で、その「相補体」と安定な二本鎖を形成するオリゴヌクレオチドを指す。
SNAILオリゴヌクレオチドプライマー
主題の方法では、SNAILオリゴヌクレオチドプライマーは、少なくとも第1のオリゴヌクレオチド及び第2のオリゴヌクレオチドを含み、第1のオリゴヌクレオチド及び第2のオリゴヌクレオチドの各々は、第1の相補性領域、第2の相補性領域、及び第3の相補性領域を含み、第2のオリゴヌクレオチドは、バーコード配列を更に含み、第1のオリゴヌクレオチドの第1の相補性領域は、標的核酸の第1の部分に相補的であり、第1のオリゴヌクレオチドの第2の相補性領域は、第2のオリゴヌクレオチドの第1の相補性領域に相補的であり、第1のオリゴヌクレオチドの第3の相補性領域は、第2のオリゴヌクレオチドの第3の相補性領域に相補的であり、第2のオリゴヌクレオチドの第2の相補性領域は、標的核酸の第2の部分に相補的であり、第1のオリゴヌクレオチドの第1の相補性領域は、第2のオリゴヌクレオチドの第2の相補性領域に隣接している。代替的な実施形態では、第2のオリゴヌクレオチドは、閉じた環状分子であり、ライゲーションステップは省略される。
本開示は、固定化及び透過化された組織の接触が、異なる標的核酸に対する特異性を有する複数のオリゴヌクレオチドプライマーをハイブリダイゼーションすることを含む方法を提供する。いくつかの実施形態では、本方法は、これらに限定されないが、標的ヌクレオチド配列にハイブリダイゼーションする、5つ以上の第1のオリゴヌクレオチド、例えば、8つ以上、10個以上、12個以上、15個以上、18個以上、20個以上、25個以上、30個以上、35個以上を含む、複数の第1のオリゴヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、本開示の方法は、これらに限定されないが、15個以上、例えば、20個以上、30個以上、40個以上、50個以上、60個以上、70個以上、及び最大80個の異なる標的ヌクレオチド配列にハイブリダイゼーションする、15個以上の第1のオリゴヌクレオチド、例えば、20個以上、30個以上、40個以上、50個以上、60個以上、70個以上、及び最大80個の異なる第1のオリゴヌクレオチドを含む、複数の第1のオリゴヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、本方法は、これらに限定されないが、5個以上の第2のオリゴヌクレオチド、例えば、8つ以上、10個以上、12個以上、15個以上、18個以上、20個以上、25個以上、30個以上、35個以上を含む、複数の第2のオリゴヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、本開示の方法は、これらに限定されないが、15個以上、例えば、20個以上、30個以上、40個以上、50個以上、60個以上、70個以上、及び最大80個の異なる標的ヌクレオチド配列にハイブリダイゼーションする、15個以上の第2のオリゴヌクレオチド、例えば、20個以上、30個以上、40個以上、50個以上、60個以上、70個以上、及び最大80個の異なる第1のオリゴヌクレオチドを含む、複数の第2のオリゴヌクレオチドを含む。複数のオリゴヌクレオチド対を反応に使用することができ、1つ以上の対が各標的核酸に特異的に結合する。例えば、感受性を改善し、可変性を低減するために、2つのプライマー対を1つの標的核酸に対して使用することができる。また、細胞内の複数の異なる標的核酸を検出すること、例えば、最大2つ、最大3つ、最大4つ、最大5つ、最大6つ、最大7つ、最大8つ、最大9つ、最大10個、最大12個、最大15個、最大18個、最大20個、最大25個、最大30個、最大40個又はそれ以上の異なる標的核酸を検出することも目的である。プライマーは、典型的には、使用前に、典型的には、少なくとも約50℃、少なくとも約60℃、少なくとも約70℃、少なくとも約80℃、及び最大約99℃、最大約95℃、最大約90℃の温度まで加熱することによって変性される。
いくつかの実施形態では、プライマーは、試料と接触する前に加熱することによって変性される。ある特定の態様では、オリゴヌクレオチドの融解温度(T)は、溶液中のライゲーションを最小限に抑えるように選択される。核酸の「融解温度」又は「T」は、加熱、又は、例えば、酸若しくはアルカリ処理などによる塩基対間の水素結合の他の解離に起因して、核酸の螺旋構造の半分が失われる温度として定義される。核酸分子のTは、その長さ及び塩基組成に依存する。GC塩基対に富む核酸分子は、AT塩基対が豊富なものよりも高いTを有する。分離された核酸の相補鎖は、温度がT未満に低下した場合に、自発的に再会合又はアニールして二本鎖核酸を形成する。核酸ハイブリダイゼーションの最高速度は、Tよりもおよそ25℃下で起こる。Tは、以下の関係を使用して推定し得る。T=69.3+0.41(GC)%(Marmur et al.(1962)J.Mol.Biol.5:109-118)。
ある特定の実施形態では、複数の第2のオリゴヌクレオチドは、パドロックプローブを含む。いくつかの実施形態では、プローブは、測定及び定量化することができる検出可能な標識を含む。「標識」及び「検出可能な標識」という用語は、放射性同位体、蛍光剤、化学発光体、酵素、酵素基質、酵素補因子、酵素阻害剤、発色団、色素、金属イオン、金属ゾル、リガンド(例えば、ビオチン又はハプテン)などを含むが、これらに限定されない、検出することができる分子を指す。「蛍光剤」という用語は、検出可能な範囲内で蛍光を示すことができる物質又はその一部を指す。本発明とともに使用され得る標識の特定の例には、フィコエリトリン、アレクサ色素、フルオレセイン、YPet、CyPet、カスケードブルー、アロフィコシアニン、Cy3、Cy5、Cy7、ローダミン、ダンシル、ウンベリフェロン、テキサスレッド、ルミノール、アクリジニウムエステル、ビオチン、緑色蛍光タンパク質(GFP)、増強緑色蛍光タンパク質(EGFP)、黄色蛍光タンパク質(YFP)、増強黄色蛍光タンパク質(EYFP)、青色蛍光タンパク質(BFP)、赤色蛍光タンパク質(RFP)、ホタルルシフェラーゼ、レニラルシフェラーゼ、NADPH、ベータガラクトシダーゼ、ホースラジッシュペルオキシダーゼ、グルコースオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ、及びウレアーゼが含まれるが、これらに限定されない。
いくつかの実施形態では、1つ以上の第1のオリゴヌクレオチド及び第2のオリゴヌクレオチドは、標的核酸又は標的部位の異なる領域に結合する。一対において、各標的部位は異なり、標的部位は、標的核酸上の隣接部位であり、例えば、通常、他の部位から15個のヌクレオチド以下の距離にあり、例えば、10個、8つ、6つ、4つ、又は2つのヌクレオチド以下の距離であり、連続部位であり得る。標的部位は、典型的には、同じ方向で標的核酸の同じ鎖上に存在する。標的部位もまた、細胞内に存在する他の核酸に対して独自の結合部位を提供するように選択される。各標的部位は、概して、約19~約25個のヌクレオチド長、例えば約19~23個のヌクレオチド、約19~21個のヌクレオチド、又は約19~20個のヌクレオチドである。第1及び第2のオリゴヌクレオチドの対は、対において各オリゴヌクレオチドが、その同族の標的部位に結合するための同様の融解温度を有するように選択され、例えば、Tは、約50℃から、約52℃から、約55℃から、約58°から、約62℃から、約65℃から、約70℃から、又は約72℃からであり得る。標的部位のGC含有量は、概して、約20%以下、約30%以下、約40%以下、約50%以下、約60%以下、約70%以下であるように選択される。
いくつかの実施形態では、第1のオリゴヌクレオチドは、第1、第2、及び第3の相補性領域を含む。第1のオリゴヌクレオチドの標的部位は、第1の相補性領域を指し得る。上記で要約したように、第1のオリゴヌクレオチドの第1の相補性領域は、19~25個のヌクレオチドの長さを有し得る。ある特定の態様では、第1のオリゴヌクレオチドの第2の相補性領域は、例えば、4~8つのヌクレオチド又は4~7つのヌクレオチドを含む3~10個のヌクレオチドの長さを有する。いくつかの態様では、第1のオリゴヌクレオチドの第2の相補性領域は、6つのヌクレオチドの長さを有する。いくつかの実施形態では、第1のオリゴヌクレオチドの第3の相補性領域は、同様に、6つのヌクレオチドの長さを有する。かかる実施形態では、第1のオリゴヌクレオチドの第3の相補性領域は、例えば、4~8つのヌクレオチド又は4~7つのヌクレオチドを含む3~10個のヌクレオチドの長さを有する。
いくつかの実施形態では、第2の第1のオリゴヌクレオチドは、第1、第2及び第3の相補性領域を含む。第2のオリゴヌクレオチドの標的部位は、第2の相補性領域を指し得る。上記に要約したように、第2のオリゴヌクレオチドの第2の相補性領域は、19~25個のヌクレオチドの長さを有し得る。ある特定の態様では、第1のオリゴヌクレオチドの第1の相補性領域は、例えば、4~8つのヌクレオチド又は4~7つのヌクレオチドを含む3~10個のヌクレオチドの長さを有する。いくつかの態様では、第1のオリゴヌクレオチドの第1の相補性領域は、6つのヌクレオチドの長さを有する。いくつかの態様では、第2のオリゴヌクレオチドの第1の相補性領域は、第2のオリゴヌクレオチドの5’末端を含む。いくつかの実施形態では、第2のオリゴヌクレオチドの第3の相補性領域は、同様に、6つのヌクレオチドの長さを有する。そのような実施形態では、第2のオリゴヌクレオチドの第3の相補性領域は、例えば、4~8つのヌクレオチド又は4~7つのヌクレオチドを含む、3~10個のヌクレオチドの長さを有する。更なる実施形態では、第2のオリゴヌクレオチドの第3の相補性領域は、第2のオリゴヌクレオチドの3’末端を含む。いくつかの実施形態では、第2のオリゴヌクレオチドの第1の相補性領域は、第2のオリゴヌクレオチドの第3の相補性領域に隣接する。
いくつかの態様では、第2のオリゴヌクレオチドは、バーコード配列を含み、第2のオリゴヌクレオチドのバーコード配列は、標的核酸の特定のためのバーコード化情報を提供する。「バーコード」という用語は、単一の細胞又は細胞の亜集団を同定するために使用される核酸配列を指す。バーコード配列は、増幅中に目的の標的核酸に連結させることができ、標的核酸が由来する細胞までアンプリコンをトレースするために使用することができる。バーコード配列は、バーコード配列を含む領域及びバーコード配列が最終的に増幅された標的核酸産物(すなわち、アンプリコン)に組み込まれるように標的核酸に相補的である領域を含有するオリゴヌクレオチドで増幅を行うことによって、増幅中に目的の標的核酸に付加され得る。
いくつかの実施形態では、第1のオリゴヌクレオチドは、独自の一致する配列(SNAIL一致配列)を含み、これは、第2のオリゴヌクレオチドの各末端を補完する(末端が一緒にハイブリダイゼーションし、その後ライゲーションされるSNAILシェル)ために使用される。いくつかの実施形態では、第1のオリゴヌクレオチドの第2の相補性領域は、独自の一致する配列の第1の部分を含み、第1のオリゴヌクレオチドの第3の相補性領域は、独自の一致する配列の第2の部分を含み、第2のオリゴヌクレオチドの第1の相補性領域は、独自の一致する配列の第1の部分に相補的である配列を含み、第2のオリゴヌクレオチドの第3の相補性領域は、独自の一致する配列の第2の部分に相補的である配列を含む。独自の一致する配列は、オフターゲットハイブリダイゼーション、タンパク質結合、又は他のプローブ凝集若しくは持続的な密接な相互作用のいずれかに起因して生じ得るスプリアスプローブ-プローブ相互作用を最小限に抑え、より多くの数の遺伝子が標的とされるか、又はより高いプローブ濃度が使用されるときに特異性を改善する。本方法は、リガーゼの特異性に依存し、不一致配列を許容しないリガーゼが使用される。複数の異なる核酸標的を検出するために、遺伝子当たり又はプローブ対当たりの独自の一致する配列が生成され得る。
いくつかの実施形態では、第1のオリゴヌクレオチドは、ゲルアダプタオリゴヌクレオチドに対する共通の結合部位を更に含む。ゲルアダプタオリゴヌクレオチドは、第1のオリゴヌクレオチドがゲル化の間にゲルアダプタオリゴヌクレオチドを介してヒドロゲルに共有結合的に連結するように、その5’末端又は3’末端にアクリダイトなどの機能的結合修飾を含む。ゲルアダプタの使用は、第1のオリゴヌクレオチドが5’修飾自体を有することを必要とせずに、第1のオリゴヌクレオチドの3’末端から成長したアンプリコンをゲル中に保持するために役立つ。いくつかの実施形態では、ゲルアダプタオリゴヌクレオチドに対する共通の結合部位は、第1のオリゴヌクレオチドの第1の相補性領域に隣接している。
ある特定の実施形態では、mRNA保持オリゴヌクレオチドは、ハイブリダイゼーション中又はハイブリダイゼーション前にヒドロゲル中にmRNAを保持するために使用される。mRNA保持オリゴヌクレオチドは、5’末端又は3’末端におけるアクリダイト修飾などのヌクレオチド修飾であって、mRNA保持オリゴヌクレオチドが、ゲル化の間にヒドロゲルに連結される、ヌクレオチド修飾と、mRNAのポリAテールにハイブリダイゼーションするポリTテールであって、mRNA保持オリゴヌクレオチドのポリTテールとmRNAのポリAテールとのハイブリダイゼーションが、ヒドロゲル中にmRNAを保持する、ポリTテールと、独自のハイブリダイゼーション配列とを含む。いくつかの実施形態では、ポリTテールは、相互的ロックド核酸(LNA)チミン(T)塩基を含む。mRNA保持オリゴヌクレオチドの使用は、必要に応じて、ハイブリダイゼーションの前にゲル化を実行することを可能にする。mRNA保持オリゴヌクレオチド上の独自のハイブリダイゼーション配列は、相補的な蛍光標識されたオリゴヌクレオチドプローブとのハイブリダイゼーションによるmRNAの標識化を可能にする。
組織
本明細書に記載される場合、開示される方法は、特異的ハイブリダイゼーションを可能にする条件下で固定化及び透過化された無傷の組織を少なくとも一対のオリゴヌクレオチドプライマーと少なくとも接触させることによるインサイチュ配列決定技術を含む。本明細書に記載の方法とともに使用するために好適な組織標本には、概して、例えば、上皮、筋肉、結合組織、及び神経組織が含まれるが、これらに限定されないそれらの生検標本及び検死標本などの生体又は死体の対象から収集された任意の種類の組織標本が含まれる。組織標本は、本明細書に記載の方法を使用して収集及び処理されてもよく、処理の直後に顕微鏡分析に供されてもよく、又は保存され、将来的に、例えば長期間の保管後に顕微鏡分析に供されてもよい。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法を使用して、将来の分析のために、安定し、アクセス可能で、完全に無傷の形態で組織標本を保存し得る。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法を使用して、以前に保存又は保管された組織標本を分析してもよい。いくつかの実施形態では、無傷の組織は、視覚野スライスなどの脳組織を含む。いくつかの実施形態では、無傷の組織は、例えば、5~18μm、5~15μm、又は5~10μmを含むがこれらに限定されない、5~20μmの厚さを有する薄いスライスである。他の実施形態では、無傷の組織は、例えば、50~150μm、50~100μm、又は50~80μmを含むがこれらに限定されない、50~200μmの厚さを有する厚いスライスである。
本発明の態様は、無傷の組織を固定化することを含む。本明細書で使用される「固定化する」又は「固定化」という用語は、腐敗及び/又は分解から生体材料(例えば、組織、細胞、オルガネラ、分子など)を保存するプロセスである。固定化は、任意の好都合なプロトコルを使用して達成され得る。固定化は、試料を固定化試薬(すなわち、少なくとも1つの固定化剤を含有する試薬)と接触させることを含み得る。試料を、温度、試料の性質、及び固定化剤に依存し得る広い範囲の時間、固定化試薬に接触させ得る。例えば、試料を、24時間以下、18時間以下、12時間以下、8時間以下、6時間以下、4時間以下、2時間以下、60分以下、45分以下、30分以下、25分以下、20分以下、15分以下、10分以下、5分以下、又は2分以下で固定化試薬に接触させ得る。
試料は、5分~24時間、例えば、10分~20時間、10分~18時間、10分~12時間、10分~8時間、10分~6時間、10分~4時間、10分~2時間、15分~20時間、15分~18時間、15分~12時間、15分~8時間、15分~6時間、15分~4時間、15分~2時間、15分~1.5時間、15分~1時間、10分~30分、15分~30分、30分~2時間、45分~1.5時間、又は55分~70分の範囲の期間、固定化試薬によって接触することができる。
試料は、プロトコル及び使用する試薬に応じて、様々な温度で固定化試薬によって接触することができる。例えば、場合によっては、試料は、-22℃~55℃の範囲の温度で固定化試薬によって接触することができ、目的となる特定の範囲には、これらに限定されないが、50~54℃、40~44℃、35~39℃、28~32℃、20~26℃、0~6℃、及び-18~22℃が含まれる。場合によっては、試料は、-20℃、4℃、室温(22~25℃)、30℃、37℃、42℃、又は52℃の温度で固定化試薬によって接触することができる。
任意の好都合な固定化試薬が使用され得る。一般的な固定化試薬としては、架橋固定化剤、沈殿固定化剤、酸化固定化剤、水銀などが挙げられる。架橋固定化剤は、共有結合によって2つ以上の分子を化学的に接合し、幅広い架橋試薬が使用され得る。好適な架橋固定化剤の例としては、アルデヒド(例えば、一般に「パラホルムアルデヒド」及び「ホルマリン」とも称されるホルムアルデヒド、グルタルアルデヒドなど)、イミドエステル、NHS(N-ヒドロキシスクシンイミド)エステルなどが挙げられるが、これらに限定されない。好適な沈殿固定化剤の例としては、アルコール(例えば、メタノール、エタノールなど)、アセトン、酢酸などが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、固定化剤は、ホルムアルデヒド(すなわち、パラホルムアルデヒド又はホルマリン)である。固定化試薬中のホルムアルデヒドの好適な最終濃度は、10分間で、約1.6%を含む0.1~10%、1~8%、1~4%、1~2%、3~5%、又は3.5~4.5%である。いくつかの実施形態では、試料は、4%のホルムアルデヒドの最終濃度で固定される(より濃縮されたストック溶液、例えば、38%、37%、36%、20%、18%、16%、14%、10%、8%、6%などから希釈される)。いくつかの実施形態では、試料は、10%のホルムアルデヒドの最終濃度で固定化される。いくつかの実施形態では、試料は、1%のホルムアルデヒドの最終濃度で固定化される。いくつかの実施形態では、固定剤は、グルタルアルデヒドである。固定化試薬中のグルタルアルデヒドの好適な濃度は、0.1~1%である。固定化試薬は、任意の組み合わせで2つ以上の固定化剤を含有し得る。例えば、いくつかの実施形態では、試料を、ホルムアルデヒド及びグルタルアルデヒドの両方を含有する固定化試薬と接触させる。
本明細書で使用される「透過化」又は「透過化する」という用語は、試料の細胞(細胞膜など)を核酸プローブ、抗体、化学基質などの実験試薬に対して透過可能にするプロセスを指す。透過化のための任意の好都合な方法及び/又は試薬が使用され得る。好適な透過化試薬としては、洗剤(例えば、サポニン、トリトンX-100、Tween-20など)、有機固定化剤(例えば、アセトン、メタノール、エタノールなど)、酵素などが挙げられる。洗剤は幅広い濃度で使用され得る。例えば、0.001%~1%の洗剤、0.05%~0.5%の洗剤、又は0.1%~0.3%の洗剤を、透過化に用いることができる(例えば、0.1%のサポニン、0.2%のtween-20、0.1~0.3%のトリトンX-100など)。いくつかの実施形態では、氷上のメタノールを少なくとも10分間使用して、透過化する。
いくつかの実施形態では、固定化試薬及び透過化試薬として同じ溶液が使用され得る。例えば、いくつかの実施形態では、固定化試薬は、0.1%~10%のホルムアルデヒド及び0.001%~1%のサポニンを含有する。いくつかの実施形態では、固定化試薬は、1%のホルムアルデヒド及び0.3%のサポニンを含有する。
試料は、温度、試料の性質、及び透過処理試薬に依存し得る広い範囲の時間、透過化試薬によって接触することができる。例えば、試料を、24時間以上、24時間以下、18時間以下、12時間以下、8時間以下、6時間以下、4時間以下、2時間以下、60分以下、45分以下、30分以下、25分以下、20分以下、15分以下、10分以下、5分以下、又は2分以下で透過化試薬に接触させ得る。試料を、プロトコル及び使用する試薬に応じて、様々な温度で透過化試薬に接触させ得る。例えば、いくつかの例では、試料を、-82℃~55℃の範囲の温度で透過化試薬に接触させることができ、目的の特定の範囲には、50~54℃、40~44℃、35~39℃、28~32℃、20~26℃、0~6℃、-18~-22℃、及び-78~-82℃が含まれる。場合によっては、試料は、-80℃、-20℃、4℃、室温(22~25℃)、30℃、37℃、42℃、又は52℃の温度で透過化試薬によって接触することができる。
いくつかの実施形態では、試料は、酵素透過化試薬と接触する。酵素透過化試薬は、アッセイ試薬による試料の透過化を妨げる細胞外マトリックス又は表面タンパク質を部分的に分解することによって試料を透過化する。酵素透過化試薬との接触は、固定後及び標的検出前の任意の時点で行うことができる。場合によっては、酵素透過化試薬は、市販の酵素であるプロテイナーゼKである。そのような場合、試料は、固定化後試薬と接触する前にプロテイナーゼKと接触する。プロテイナーゼK処理(すなわち、プロテイナーゼKによる接触であり、一般に「プロテイナーゼK消化」とも称される)は、ある範囲の時間にわたって、ある範囲の温度で、調査中の各細胞型又は組織型について経験的に決定される酵素濃度の範囲に及んで実行することができる。例えば、試料は、プロテイナーゼKによって30分間以下、25分間以下、20分間以下、15分間以下、10分間以下、5分間以下、又は2分間以下、接触させることができる。試料は、1μg/ml以下、2μg/ml以下、4μg/ml以下、8μg/ml以下、10μg/ml以下、20μg/ml以下、30μg/ml以下、50μg/ml以下、又は100μg/ml以下のプロテイナーゼKによって接触することができる。試料は、2℃~55℃の範囲の温度でプロテイナーゼKによって接触することができ、目的の特定の範囲は、限定されないが、50~54℃、40~44℃、35~39℃、28~32℃、20~26℃、及び0~6℃が挙げられる。場合によっては、試料は、4℃、室温(22~25℃)、30℃、37℃、42℃、又は52℃の温度でプロテイナーゼKによって接触することができる。いくつかの実施形態では、試料は、酵素透過化試薬と接触しない。いくつかの実施形態では、試料は、プロテイナーゼKと接触しない。無傷組織と少なくとも固定化試薬及び透過化試薬との接触により、固定され、透過化された組織の生成が生じる。
リガーゼ
いくつかの実施形態では、開示される方法は、第2のオリゴヌクレオチドをライゲーションし、閉じた核酸環を生成するためにリガーゼを添加することを含む。いくつかの実施形態では、リガーゼの添加は、DNAリガーゼの添加を含む。代替的な実施形態では、第2のオリゴヌクレオチドは、閉鎖核酸環として提供され、リガーゼを添加するステップは省略される。ある特定の実施形態では、リガーゼは、標的核酸分子の配列決定を促進する酵素である。
本明細書で使用される「リガーゼ」という用語は、ポリヌクレオチドを一緒に接合するか、又は単一のポリヌクレオチドの末端を接合するために一般的に使用される酵素を指す。リガーゼには、ATP依存性二本鎖ポリヌクレオチドリガーゼ、NAD-i-依存性二本鎖DNA又はRNAリガーゼ、並びに一本鎖ポリヌクレオチドリガーゼ、例えば、EC6.5.1.1(ATP依存性リガーゼ)、EC6.5.1.2(NAD+依存性リガーゼ)、EC6.5.1.3(RNAリガーゼ)に記載されるリガーゼのうちのいずれかが含まれる。リガーゼの具体例には、E.coli DNAリガーゼ及びTaq DNAリガーゼなどの細菌リガーゼ、Ampligase(登録商標)熱安定性DNAリガーゼ(Epicentre(登録商標)Technologies Corp.、lllumina(登録商標)の一部、Madison,Wis.)、並びにT3 DNAリガーゼ、T4 DNAリガーゼ及びT7 DNAリガーゼなどのファージリガーゼ、並びにそれらの変異体が含まれる。
ローリングサークル増幅
いくつかの実施形態では、本発明の方法は、核酸分子の存在下でローリングサークル増幅を実行するステップを含み、実行することは、第2のオリゴヌクレオチドを鋳型として、そして第1のオリゴヌクレオチドをポリメラーゼのためのプライマーとして使用して、1つ以上のアンプリコンを形成することを含む。かかる実施形態では、一本鎖環状ポリヌクレオチド鋳型は、第2のヌクレオチドのライゲーションによって形成され、環状ポリヌクレオチドは、第1のオリゴヌクレオチドに相補的である領域を含む。適切なdNTP前駆体及び他の補助因子の存在下でDNAポリメラーゼを添加すると、第1のオリゴヌクレオチドは、鋳型の複数のコピーの複製によって伸長される。この増幅産物は、検出プローブに結合することによって容易に検出され得る。いくつかの実施形態では、ポリメラーゼは、ローリングサークル増幅を実行する前に、ポリメラーゼが試料を均一に浸透することを可能にするために、dNTPなしでプレインキュベーションされる。
いくつかの実施形態では、第1のオリゴヌクレオチド及び第2のオリゴヌクレオチドが同じ標的核酸分子にハイブリダイゼーションする場合にのみ、第2のオリゴヌクレオチドを環化し、ローリングサークル増幅して、cDNAの複数のコピーを含有するcDNAナノボール(すなわち、アンプリコン)を生成し得る。「アンプリコン」という用語は、PCR反応又は他の核酸増幅プロセスの増幅された核酸産物を指す。いくつかの実施形態では、アミン修飾ヌクレオチドは、ローリングサークル増幅反応にスパイクされる。
ローリングサークル増幅のための技法は、当該技術分野で既知である(例えば、Baner et al,Nucleic Acids Research,26:5073-5078,1998、Lizardi et al,Nature Genetics 19:226,1998、Schweitzer et al.Proc.Natl Acad.Sci.USA 97:101 13-1 19,2000、Faruqi et al,BMC Genomics 2:4,2000、Nallur et al,Nucl.Acids Res.29:el18,2001、Dean et al.Genome Res.11:1095-1099,2001、Schweitzer et al,Nature Biotech.20:359-365,2002、米国特許第6,054,274号、同第6,291,187号、同第6,323,009号、同第6,344,329号、及び同第6,368,801号を参照されたい)。いくつかの実施形態では、ポリメラーゼは、phi29DNAポリメラーゼである。
ある特定の態様では、核酸分子は、アミン修飾ヌクレオチドを含む。かかる実施形態では、アミン修飾ヌクレオチドは、アクリル酸N-ヒドロキシスクシンイミド部分修飾を含む。他のアミン修飾ヌクレオチドの例としては、5-アミノアリル-dUTP部分修飾、5-プロパルギルアミノ-dCTP部分修飾、N6-6-アミノヘキシル-dATP部分修飾、又は7-デアザ-7-プロパルギルアミノ-dATP部分修飾が挙げられるが、これらに限定されない。
いくつかの実施形態では、ローリングサークル増幅は、アンプリコンを標識及び縮合させるオリゴヌクレオチド(「アンプリコン縮合及び検出オリゴヌクレオチド」)の存在下で実行される。アンプリコン縮合及び検出オリゴヌクレオチドは、ゲルへの結合のための末端修飾、例えば、5’一級アミン又はアクリダイト修飾を含む。加えて、アンプリコン縮合及び検出オリゴヌクレオチドは、アンプリコン検出のためのプローブのハイブリダイゼーションのための独自の配列と、アンプリコン縮合及び検出オリゴヌクレオチドが所与のアンプリコンから鎖を一緒に引き出すように、アンプリコン上の共通の配列に相補的な配列の2つ以上のコピーとを含む。いくつかの実施形態では、アンプリコン縮合及び検出オリゴヌクレオチドは、アンプリコン上の共通の配列に相補的な配列の3つ以上、4つ以上、5つ以上、6つ以上、7つ以上、8つ以上、9つ以上、又は10個以上のコピーを含む。アンプリコン縮合及び検出オリゴヌクレオチドの使用は、アンプリコンの光学的広がりを減少させ、異なる遺伝子からの隣接するアンプリコンが密に詰められたときに凝集する可能性を低くする。いくつかの実施形態では、アンプリコン縮合及び検出オリゴヌクレオチドは、厚い組織切片における標的核酸のインサイチュ遺伝子配列決定に使用される。
組織-ヒドロゲル設定へのアンプリコン埋め込み
いくつかの実施形態では、開示される方法は、ヒドロゲルサブユニットの存在下で1つ以上のアンプリコンを包埋し、1つ以上のヒドロゲル包埋アンプリコンを形成することを含む。記載されるヒドロゲル組織化学は、組織清澄化、酵素拡散、及び多重サイクル配列決定のために核酸をインサイチュ合成されたヒドロゲルに共有結合することを含むが、既存のヒドロゲル組織化学方法は、それができない。いくつかの実施形態では、組織-ヒドロゲル設定へのアンプリコン埋め込みを可能にするために、アミン修飾されたヌクレオチドが、ローリングサークル増幅反応にスパイクされ、アクリル酸N-ヒドロキシスクシンイミドエステルを使用してアクリルアミド部分で官能化され、アクリルアミドモノマーと共重合されて、ヒドロゲルを形成する。
本明細書で使用される場合、「ヒドロゲル」又は「ヒドロゲルネットワーク」という用語は、水が分散媒体であるコロイドゲルとして時々見出される、水不溶性であるポリマー鎖のネットワークを意味する。言い換えれば、ヒドロゲルは、溶解することなく大量の水を吸収することができる高分子材料の部類である。ヒドロゲルは、99%を超える水を含有することができ、天然若しくは合成ポリマー、又はそれらの組み合わせを含み得る。ヒドロゲルは、また、それらの顕著な水含有量により、天然組織と非常に類似したある程度の柔軟性を有する。好適なヒドロゲルの詳細な説明は、米国特許出願第2010/0055733号に見出され得、これは参照により本明細書に具体的に組み込まれる。本明細書で使用される場合、「ヒドロゲルサブユニット」又は「ヒドロゲル前駆体」という用語は、架橋又は「重合」されて三次元(3D)ヒドロゲルネットワークを形成することができる親水性モノマー、プレポリマー、又はポリマーを意味する。いかなる科学的理論にも拘束されないが、ヒドロゲルサブユニットの存在下での生体標本のこの固定は、標本の成分をヒドロゲルサブユニットに架橋し、それによって分子成分を所定の位置に固定し、組織構造及び細胞形態を保存すると考えられている。
いくつかの実施形態では、埋め込むことは、1つ以上のアンプリコンをアクリルアミドと共重合させることを含む。本明細書で使用される場合、「コポリマー」という用語は、2つ以上の種類のサブユニットを含有するポリマーを説明する。この用語は、2つ、3つ、4つ、5つ、又は6つの種類のサブユニットを含むポリマーを包含する。
ある特定の態様では、埋め込むことは、1つ以上のヒドロゲルに埋め込まれたアンプリコンを清澄化することを含み、標的核酸は、1つ以上のヒドロゲルに埋め込まれたアンプリコンに実質的に保持される。かかる実施形態では、浄化は、1つ以上のヒドロゲル包埋アンプリコンから複数の細胞成分を実質的に除去することを含む。いくつかの他の実施形態では、清澄化することは、1つ以上のヒドロゲルに埋め込まれたアンプリコンから脂質及び/又はタンパク質を実質的に除去することを含む。本明細書で使用される場合、「実質的に」という用語は、清澄化する前に試料中に存在する元の量が、およそ70%以上、75%以上など、80%以上など、85%以上など、90%以上など、95%以上など、99%以上など、100%など低減していることを意味する。
いくつかの実施形態では、ヒドロゲルに埋め込まれたアンプリコンを清澄化することは、標本に対して電気泳動を実行することを含む。いくつかの実施形態では、アンプリコンは、イオン界面活性剤を含む緩衝溶液を使用して電気泳動される。いくつかの実施形態では、イオン界面活性剤はドデシル硫酸ナトリウム(SDS)である。いくつかの実施形態では、標本は、約10~約60ボルトの範囲の電圧を使用して電気泳動される。いくつかの実施形態では、標本は、約15分~最大で約10日の範囲の期間にわたって電気泳動される。いくつかの実施形態では、本方法は、浄化された標本を、浄化された組織の屈折率と一致する屈折率を有する封入媒体中でインキュベーションすることを更に含む。いくつかの実施形態では、封入媒体は、標本の光学的透明度を増加させる。いくつかの実施形態では、封入媒体はグリセロールを含む。
SCAL及びSEDAL2のライゲーションによる配列決定
いくつかの実施形態では、SEDAL2又はSCALのライゲーションによる配列決定法が使用される。本明細書に開示される方法は、ライゲーションを可能にする条件下で、バーコード配列を有する1つ以上のヒドロゲルに埋め込まれたアンプリコンを一対のプライマーと接触させるステップを含み、一対のプライマーは、第3のオリゴヌクレオチド及び第4のオリゴヌクレオチドを含み、ライゲーションは、第3のオリゴヌクレオチド及び第4のオリゴヌクレオチドの両方が同じアンプリコンにライゲーションするときにのみ生じる。いくつかの実施形態では、第3のオリゴヌクレオチドは、塩基を解読するように構成され、第4のオリゴヌクレオチドは、解読された塩基をシグナルに変換するように構成される。いくつかの態様では、シグナルは、蛍光シグナルである。例示的な態様では、ライゲーションを可能にする条件下で、バーコード配列を有する1つ以上のヒドロゲル包埋アンプリコンを一対のプライマーと接触させることは、完璧な一致が生じた場合にのみ、画像化のための安定した産物を形成するように第3のオリゴヌクレオチド及び第4のオリゴヌクレオチドの各々のライゲーションを含む。ある特定の態様では、リガーゼ酵素の不一致感受性を使用して、標的核酸分子の基礎となる配列を決定する。
配列決定ライゲーション混合物中にポリエチレングリコール(PEG)ポリマーを含めることは、標的核酸へのシグナル付加を実質的に加速させる。例示的なPEGポリマーは、300g/mol~10,000,000g/molの範囲の分子量を有する。いくつかの実施形態では、PEG6000ポリマーは、第3及び第4のオリゴヌクレオチドのライゲーション中に存在する。
いくつかの実施形態では、1つ以上のヒドロゲルに埋め込まれたアンプリコンを接触させることは、限定されないが、例えば、3回以上、4回以上、5回以上、6回以上、又は7回以上を含む、2回以上生じる。ある特定の実施形態では、1つ以上のヒドロゲル包埋アンプリコンの接触は、薄い組織標本については4回以上生じる。他の実施形態では、1つ以上のヒドロゲル包埋アンプリコンの接触は、厚い組織標本については6回以上生じる。いくつかの実施形態では、1つ以上のアンプリコンを、24時間以上、24時間以下、18時間以下、12時間以下、8時間以下、6時間以下、4時間以下、2時間以下、60分以下、45分以下、30分以下、25分以下、20分以下、15分以下、10分以下、5分以下、又は2分以下で一対のプライマーに接触させ得る。いくつかの実施形態では、本方法は、組織形態の保存のために室温で実行され、低いバックグラウンドノイズ及び誤差低減を有する。いくつかの実施形態では、1つ以上のヒドロゲル包埋アンプリコンの接触は、配列決定が進むにつれて誤差の蓄積を排除することを含む。
本方法を使用して調製された標本は、いくつかの異なるタイプの顕微鏡法、例えば、光学顕微鏡法(例えば、明視野、傾斜照明、暗視野、位相コントラスト、微分干渉コントラスト、干渉反射、エピ蛍光、共焦点などの顕微鏡法)、レーザー顕微鏡法、電子顕微鏡法、及び走査プローブ顕微鏡法のいずれかによって分析することができる。いくつかの態様では、非一過性コンピュータ可読媒体は、インサイチュ配列決定の多数ラウンドの顕微鏡法を通じて取得された生の画像を、まず解読された遺伝子同一性及び空間的位置に転換し、次いで、遺伝子発現の1細胞当たりの組成を分析する。
「完全に一致した」という用語は、二本鎖に関して使用される場合、二本鎖を構成するポリヌクレオチド及び/又はオリゴヌクレオチド鎖が、各鎖における全てのヌクレオチドが他方の鎖におけるヌクレオチドとワトソン-クリック塩基対合を受けるように、互いに二本鎖構造を形成することを意味する。「二本鎖」という用語には、これらに限定されないが、デオキシイノシンなどのヌクレオシド類似体、2-アミノプリン塩基を有するヌクレオシド、ペプチド核酸(PNA)などの対合が含まれ、それらが用いられ得る。2つのオリゴヌクレオチド間の二本鎖における「不一致」は、二本鎖における一対のヌクレオチドがワトソン-クリック結合を受けることができないことを意味する。
いくつかの実施形態では、本方法は、標的ヌクレオチド配列にハイブリダイゼーションする、5つ以上の第3のオリゴヌクレオチド、例えば、8つ以上、10個以上、12個以上、15個以上、18個以上、20個以上、25個以上、30個以上、35個以上を含むが、これらに限定されない、複数の第3のオリゴヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、本開示の方法は、これらに限定されないが、15個以上、例えば、20個以上、30個以上、40個以上、50個以上、60個以上、70個以上、及び最大80個の異なる標的ヌクレオチド配列にハイブリダイゼーションする、15個以上の第3のオリゴヌクレオチド、例えば、20個以上、30個以上、40個以上、50個以上、60個以上、70個以上、及び最大80個の異なる第1のオリゴヌクレオチドを含む、複数の第3のオリゴヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、本方法は、これらに限定されないが、5個以上の第4のオリゴヌクレオチド、例えば、8つ以上、10個以上、12個以上、15個以上、18個以上、20個以上、25個以上、30個以上、35個以上を含む、複数の第4のオリゴヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、本開示の方法は、これらに限定されないが、15個以上、例えば、20個以上、30個以上、40個以上、50個以上、60個以上、70個以上、及び最大80個の異なる標的ヌクレオチド配列にハイブリダイゼーションする、15個以上の第4のオリゴヌクレオチド、例えば、20個以上、30個以上、40個以上、50個以上、60個以上、70個以上、及び最大80個の異なる第1のオリゴヌクレオチドを含む、複数の第4のオリゴヌクレオチドを含む。複数のオリゴヌクレオチド対を反応に使用することができ、1つ以上の対が各標的核酸に特異的に結合する。例えば、感受性を改善し、可変性を低減するために、2つのプライマー対を1つの標的核酸に対して使用することができる。また、細胞内の複数の異なる標的核酸を検出すること、例えば、最大2つ、最大3つ、最大4つ、最大5つ、最大6つ、最大7つ、最大8つ、最大9つ、最大10個、最大12個、最大15個、最大18個、最大20個、最大25個、最大30個、最大40個又はそれ以上の異なる標的核酸を検出することも目的である。
ある特定の実施形態では、配列決定は、塩基不一致、第3のオリゴヌクレオチド、及び第4のオリゴヌクレオチドによって妨げられる活性を有するリガーゼによって実行される。この文脈における「妨げられる」という用語は、およそ20%以上、25%以上など、50%以上など、75%以上など、90%以上など、95%以上など、99%以上など、100%など低減されるリガーゼの活性を指す。いくつかの実施形態では、第3のオリゴヌクレオチドは、5~13個のヌクレオチド、5~10個のヌクレオチド、又は5~8つのヌクレオチドを含むがこれらに限定されない、5~15個のヌクレオチドの長さを有する。いくつかの実施形態では、第3のオリゴヌクレオチドのTは、室温(22~25℃)である。いくつかの実施形態では、第3のオリゴヌクレオチドは、変性しているか、又は部分的に変性している。いくつかの実施形態では、第4のオリゴヌクレオチドは、5~13個のヌクレオチド、5~10個のヌクレオチド、又は5~8つのヌクレオチドを含むがこれらに限定されない、5~15個のヌクレオチドの長さを有する。いくつかの実施形態では、第4のオリゴヌクレオチドのTは、室温(22~25℃)である。塩基読み出しに対応する配列決定の各サイクル後、第4のオリゴヌクレオチドは剥離されてもよく、これにより、配列決定が進むにつれて誤差蓄積が排除される。いくつかの実施形態では、第4のオリゴヌクレオチドは、ホルムアミドによって剥離される。
いくつかの実施形態では、配列決定は、非結合オリゴヌクレオチドを除去するための第3のオリゴヌクレオチド及び第4のオリゴヌクレオチドの洗浄を伴い、その後、撮像のための蛍光産物を明らかにする。ある特定の例示的な実施形態では、検出可能な標識を使用して、本明細書に記載される1つ以上のヌクレオチド及び/又はオリゴヌクレオチドを検出し得る。ある特定の実施形態では、検出可能な標識を使用して、1つ以上のアンプリコンを検出し得る。検出可能なマーカーの例としては、様々な放射性部分、酵素、補綴基、蛍光マーカー、発光マーカー、生物発光マーカー、金属粒子、タンパク質-タンパク質結合対、タンパク質-抗体結合対などが挙げられる。蛍光タンパク質の例には、黄色蛍光タンパク質(YFP)、緑色蛍光タンパク質(GFP)、シアン蛍光タンパク質(CFP)、ウンベリフェロン、フルオレセイン、フルオレセインイソチオシアネート、ローダミン、ジクロロトリアジニルアミンフルオレセイン、塩化ダンシル、フィコエリトリンなどが含まれるが、これらに限定されない。生物発光マーカーの例としては、ルシフェラーゼ(例えば、細菌、ホタル、コメツキムシなど)、ルシフェリン、エクオリンなどが挙げられるが、これらに限定されない。視覚的に検出可能なシグナルを有する酵素系の例としては、これら限定されないが、ガラクトシダーゼ、グルコリミダーゼ、ホスファターゼ、ペルオキシダーゼ、コリンエステラーゼなどが挙げられる。識別可能なマーカーには、125I、35S、14C、又はHなどの放射性化合物も含まれる。識別可能なマーカーは、様々な供給源から市販されている。
蛍光標識、並びにヌクレオチド及び/又はオリゴヌクレオチドへのそれらの結合は、Haugland、Handbook of Fluorescent Probes and Research Chemicals、第9版(Molecular Probes,Inc.、Eugene、2002)、Keller及びManak、DNA Probes、第2版(Stockton Press、New York、1993)、Eckstein、編集者、Oligonucleotides and Analogues:A Practical Approach(IRL Press、オックスフォード、1991)、並びにWetmur、Critical Reviews in Biochemistry and Molecular Biology,26:227-259(1991)を含む多くの報告に記載される。本発明に適用可能な特定の方法論は、米国特許第4,757,141号、同第5,151,507号、及び同第5,091,519号の参考文献の例に開示されている。一態様では、1つ以上の蛍光色素は、標識された標的配列のための標識として使用され、例えば、米国特許第5,188,934号(4,7-ジクロロフルオレセイン色素)、米国特許第5,366,860号(スペクトル分解性ローダミン色素)、米国特許第5,847,162号(4,7-ジクロロローダミン色素)、米国特許第4,318,846号(エーテル置換されたフルオレセイン色素)、米国特許第5,800,996号(エネルギー伝達色素)、Leeら、米国特許第5,066,580号(キサンチン染料)、米国特許第5,688,648号(エネルギー伝達染料)などによって開示されている。標識付けは、米国特許第6,322,901号、同第6,576,291号、同第6,423,551号、同第6,251,303号、同第6,319,426号、同第6,426,513号、同第6,444,143号、同第5,990,479号、同第6,207,392号、同第2002/0045045号、及び同第2003/0017264号の特許及び特許刊行物に開示されるように、量子ドットで行うことができる。本明細書で使用される場合、「蛍光標識」という用語は、1つ以上の分子の蛍光吸収及び/又は発光特性を通して情報を伝達するシグナル伝達部分を含む。そのような蛍光特性には、蛍光強度、蛍光寿命、発光スペクトル特性、エネルギー伝達などが含まれる。
ヌクレオチド及び/又はオリゴヌクレオチド配列に容易に組み込まれる市販の蛍光ヌクレオチド類似体には、Cy3-dCTP、Cy3-dUTP、Cy5-dCTP、Cy5-dUTP(Amersham Biosciences、Piscataway,N.J.)、フルオレセイン-12-dUTP、テトラメチルローダミン-6-dUTP、TEXAS RED(商標)-5-dUTP、CASCADE BLUE(商標)-7-dUTP、BODIPY TMFL-14-dUTP、BODIPY TMR-14-dUTP、BODIPY TMTR-14-dUTP、RHODAMINE GREEN(商標)-5-dUTP、OREGON GREENR(商標)488-5-dUTP、TEXAS RED(商標)-12-dUTP、BODIPY(商標)630/650-14-dUTP、BODIPY(商標)650/665-14-dUTP、ALEXA FLUOR(商標)488-5-dUTP、ALEXA FLUOR(商標)532-5-dUTP、ALEXA FLUOR(商標)568-5-dUTP、ALEXA FLUOR(商標)594-5-dUTP、ALEXA FLUOR(商標)546-14-dUTP、フルオレセイン-12-UTP、テトラメチルローダミン-6-UTP、TEXAS RED(商標)-5-UTP、mCherry、CASCADE BLUE(商標)-7-UTP、BODIPY(商標)FL-14-UTP、BODIPY TMR-14-UTP、BODIPY(商標)TR-14-UTP、RHODAMINE GREEN(商標)-5-UTP、ALEXA FLUOR(商標)488-5-UTP、LEXA FLUOR(商標)546-14-UTP(Molecular Probes,Inc.Eugene,Oreg.)などが含まれるが、これらに限定されない。他のフルオロフォアを有するヌクレオチドのカスタム合成のためのプロトコルが当該技術分野で既知である(Henegariu et al.(2000)Nature Biotechnol.18:345を参照されたい)。
合成後の結合に利用可能な他のフルオロフォアには、ALEXA FLUOR(商標)350、ALEXA FLUOR(商標)532、ALEXA FLUOR(商標)546、ALEXA FLUOR(商標)568、ALEXA FLUOR(商標)594、ALEXA FLUOR(商標)647、BODIPY 493/503、BODIPY FL、BODIPY R6G、BODIPY 530/550、BODIPY TMR、BODIPY 558/568、BODIPY 558/568、BODIPY 564/570、BODIPY 576/589、BODIPY 581/591、BODIPY 630/650、BODIPY 650/665、カスケードブルー、カスケードイエロー、ダンシル、リサミンローダミンB、マリナブルー、Oregon Green488、Oregon Green514、パシフィックブルー、ローダミン6G、ローダミングリーン、ローダミンレッド、テトラメチルローダミン、テキサスレッド(Molecular Probes,Inc.、Eugene,Oreg.から入手可能)、Cy2、Cy3.5、Cy5.5、Cy7(Amersham Biosciences、Piscataway,N.J.)などが含まれるが、これらに限定されない。FRET直列フルオロフォアも使用することができ、PerCP-Cy5.5、PE-Cy5、PE-Cy5.5、PE-Cy7、PE-テキサスレッド、APC-Cy7、PE-アレクサ色素(610、647、680)、APC-アレクサ色素などが含まれるがこれらに限定されない。
金属銀又は金粒子を使用して、蛍光標識されたヌクレオチド及び/又はオリゴヌクレオチド配列からのシグナルを増強し得る(Lakowicz et al.(2003)Bio Techniques 34:62)。
ビオチン又はその誘導体は、また、ヌクレオチド及び/又はオリゴヌクレオチド配列上の標識として使用され得、その後、検出可能に標識されたアビジン/ストレプトアビジン誘導体(例えば、フィコエリトリンコンジュゲートストレプトアビジン)、又は検出可能に標識された抗ビオチン抗体によって結合され得る。ジゴキシゲニンは、標識として組み込まれ得、その後、検出可能に標識された抗ジゴキシゲニン抗体(例えば、フルオレセイン化抗ジゴキシゲニン)によって結合され得る。アミノアリル-dUTP残基は、オリゴヌクレオチド配列に組み込まれ得、続いてN-ヒドロキシスクシンイミド(NHS)誘導体化蛍光色素に結合し得る。概して、検出可能に標識されたコンジュゲートパートナーが検出を可能にするように結合され得ることを条件に、コンジュゲート対の任意のメンバーを検出オリゴヌクレオチドに組み込め得る。本明細書で使用される場合、抗体という用語は、任意の部類の抗体分子、又はFabなどのその任意のサブ断片を指す。
オリゴヌクレオチド配列のための他の好適な標識は、フルオレセイン(FAM)、ジゴキシゲニン、ジニトロフェノール(DNP)、ダンシル、ビオチン、ブロモデオキシウリジン(BrdU)、ヘキサヒスチジン(6×His)、リン光体アミノ酸(例えば、P-tyr、P-ser、P-thr)などを含み得る。一実施形態では、以下のハプテン/抗体対を検出に使用し、抗体の各々は、検出可能な標識、ビオチン/α-ビオチン、ジゴキシゲニン/α-ジゴキシゲニン、ジニトロフェノール(DNP)/α-DNP、5-カルボキシフルオレセイン(FAM)/α-FAMで誘導体化される。
ある特定の例示的な実施形態では、ヌクレオチド及び/又はオリゴヌクレオチド配列は、例えば、米国特許第5,344,757号、同第5,702,888号、同第5,354,657号、同第5,198,537号及び同第4,849,336号、PCT公開第91/17160号などに開示されるように、特に次いで捕捉剤によって結合されるハプテンで間接的に標識化され得る。多くの異なるハプテン捕捉剤対が使用可能である。例示的なハプテンには、ビオチン、デスビオチン及び他の誘導体、ジニトロフェノール、ダンシル、フルオレセイン、CY5、ジゴキシゲニンなどが含まれるが、これらに限定されない。ビオチンの場合、捕捉剤は、アビジン、ストレプトアビジン、又は抗体であり得る。抗体は、他のハプテンに対する捕捉剤として使用することができる(多くの色素-抗体対は、市販されている、例えば、Molecular Probes、Eugene,Oreg.)。
いくつかの実施形態では、酸化防止剤化合物は、蛍光撮像中の光退色を低減するために、洗浄及び撮像緩衝液(すなわち、「抗退色緩衝液」)中に含まれる。例示的な酸化防止剤には、トロロックス(6-ヒドロキシ-2,5,7,8-テトラメチルクロマン-2-カルボン酸)及びトロロックス-キノン、没食子酸プロピル、ターシャリーブチルヒドロキノン、ブチル化ヒドロキシアニソール、ブチル化ヒドロキシトルエン、グルタチオン、アスコルビン酸、及びトコフェロールが含まれるが、これらに限定されない。かかる酸化防止剤は、フルオロフォアに対する抗退色効果を有する。すなわち、酸化防止剤は、タイリング中の光退色を低減させ、感受性フルオロフォアのシグナル対ノイズ比(SNR)を大幅に増強し、より厚い試料のより高いSNR撮像を可能にする。酸化防止剤を含む固定された曝露時間の場合は、光への曝露中に退色されていないフルオロフォアの濃度を増加させることにより、SNRを増加させる。酸化防止剤を含むことにより、より長い曝露時間(光退色前に限られたフルオロフォア寿命によって引き起こされる)のリターンの減少も除去され、曝露時間の増加を可能にすることによってSNRの増加が提供される。
加えて、複数の配列決定サイクルが使用されるとき、プローブからのフルオロフォア切断又はプローブ剥離を使用して、1つのラウンドから次のラウンドへのシグナルキャリーオーバーを排除することができる。例えば、フルオロフォアは、ホルムアミドで剥離して除くことができる。代替的に、フルオロフォアとオリゴヌクレオチドプローブとの間にジスルフィド連結を有するチオール結合色素を使用することもでき、これにより、還元環境下でのオリゴヌクレオチドプローブからのフルオロフォアの切断が可能になる。ジスルフィド結合を切断するために使用され得る例示的なジスルフィド還元剤には、トリス(2-カルボキシエチル)ホスフィン(TCEP)、ジチオスレイトール(DTT)、及びb-メルカプトエタノール(BME)が含まれるが、これらに限定されない。配列決定ラウンド中の蛍光撮像後、剥離剤及び/又は還元剤を添加し、その後の洗浄ステップにより、別の配列決定のラウンドを実行する前に拡散性蛍光シグナルが除去される。
SCAL又はSEDAL2についての配列決定サイクルは、任意選択的に、第1のシグナル付加に進む前に、短時間の試料洗浄で開始する。SCAL配列決定の場合、連続的又は組み合わせエンコードが特定のラウンドに使用されているか否かに応じて、対応する一組の第3及び第4のオリゴヌクレオチド、並びにそれらのラウンド特異的競合物が添加され、ライゲーションされる。組み合わせエンコードでは、所与の位置xについての第3のオリゴヌクレオチドが添加され、更に一組の蛍光標識された二塩基エンコードオリゴヌクレオチド、更に標識化された以前の位置についての競合物オリゴヌクレオチドが添加される(それが標識化の第1のラウンドである場合を除き、その場合には、競合物オリゴヌクレオチドは省略される)。連続的エンコードでは、所与のラウンドxについての第3のオリゴヌクレオチド、4チャネルフルオロフォア混合物、及びラウンドx-1競合物オリゴヌクレオチドが、それが標識化の第1のラウンドである場合を除き、添加される。配列決定ライゲーション混合物中のPEGの存在は、標的へのシグナル付加を実質的に加速させる。撮像緩衝液中の試料のインキュベーション後、試料を撮像し、次の配列決定サイクルに進む前に短時間すすぐ。
SEDAL2の場合、競合物オリゴヌクレオチドが省略されることを除き、シグナル付加段階中に上記と同じオリゴヌクレオチド/ライゲーション混合物が使用される。上記のような試料添加、洗浄、撮像緩衝液添加、及び撮像の後、SEDAL2は、シグナル除去のための別個の段階を含み、シグナルは、ホルムアミド含有剥離溶液で剥離して除かれるか、又はチオール連結色素が蛍光標識されたオリゴヌクレオチドを連続的にエンコードするために使用される場合、ジスルフィド還元剤(例えば、TCEP)を含有する切断溶液で剥離して除かれるかのいずれかである。その後、試料を洗浄した後、次のラウンドのシグナル付加に進む。
細胞
本明細書に開示される方法は、無傷組織における細胞における標的核酸のインサイチュ遺伝子配列決定のための方法を含む。ある特定の実施形態では、細胞は、細胞の集団に存在する。ある特定の他の実施形態では、細胞の集団は、興奮性ニューロン、抑制性ニューロン、及び非ニューロン細胞を含むが、これらに限定されない、複数の細胞型を含む。本発明のアッセイにおいて使用される細胞は、生物であり得、生物由来の単一細胞型、又は細胞型の混合物であり得る。天然に存在する細胞及び細胞集団、遺伝子操作された細胞株、トランスジェニック動物に由来する細胞などが含まれる。事実上、あらゆる細胞の型及びサイズに対応し得る。好適な細胞としては、細菌、真菌、植物、及び動物の細胞が含まれる。本発明の一実施形態では、細胞は、哺乳動物細胞、例えば、天然に存在する組織、例えば、血液、肝臓、膵臓、神経組織、骨髄、皮膚などの複雑な細胞集団である。いくつかの組織は、単分散懸濁液中に破壊され得る。代替的に、細胞は、培養された集団、例えば、複雑な集団に由来する培養物、細胞が複数の系統に分化した、又は細胞が刺激に差次的に応答している単一細胞型に由来する培養物などであり得る。
主題の発明において使用を見出し得る細胞型には、幹細胞及び前駆細胞、例えば、胚性幹細胞、造血幹細胞、間葉系幹細胞、神経堤細胞など、内皮細胞、筋細胞、心筋、平滑筋及び骨格筋細胞、間葉系細胞、上皮細胞;Th1 T細胞、Th2 T細胞、ThO T細胞、細胞傷害性T細胞などのT細胞を含むリンパ球などの造血細胞;B細胞、前B細胞など;単球;樹状細胞;好中球;及びマクロファージ;ナチュラルキラー細胞;肥満細胞など;脂肪細胞、胸腺、内分泌腺、膵臓、ニューロン、グリア、星状細胞、樹状細胞などの脳などの特定の器官に関与する細胞、並びにそれらの遺伝子組換え細胞が含まれる。造血細胞は、炎症性プロセス、自己免疫疾患などに関連している可能性があり、内皮細胞、平滑筋細胞、心筋細胞などが心血管疾患と関連している可能性がある。ほとんどの任意の型の細胞は、肉腫、がん及びリンパ腫などの腫瘍、肝細胞を伴う肝疾患、腎細胞を伴う腎疾患などと関連している可能性がある。
細胞は、また、異なる型の形質転換細胞又は腫瘍細胞、例えば、異なる細胞起源のがん腫、異なる細胞型のリンパ腫などであってもよい。The American Type Culture Collection(Manassas,VA)は、150を超える異なる種から4,000を超える細胞株、700のヒトがん細胞株を含む950を超えるがん細胞株を収集し、利用可能にしている。National Cancer Instituteは、ヒト腫瘍細胞株の大パネルから臨床的、生化学的、及び分子的データを蓄積しており、これらは、ATCC又はNCIから入手可能である(Phelps et al.(1996)Journal of Cellular Biochemistry Supplement 24:32-91)。自発的に派生したか、又は個々の細胞株から所望の成長又は応答特性に対して選択された異なる細胞株が含まれ、類似の腫瘍型に由来するが、異なる患者又は部位に由来する多数の細胞株を含み得る。
細胞は、非接着性であってもよく、例えば、単球、T細胞、B細胞を含む血液細胞、腫瘍細胞など、又は接着性細胞、例えば、上皮細胞、内皮細胞、神経細胞などであってもよい。接着性細胞をプロファイルするために、プローブ分子を認識し、結合する能力を維持する様式で、それらが接着される基質から、及び他の細胞から解離されてもよい。
かかる細胞は、例えば、当該技術分野で既知の様々な技法によって、様々な組織、例えば、血液、骨髄、固形組織(例えば、固形腫瘍)、腹水から、引き抜き、洗浄(lavage)、洗浄(wash)、外科的解剖などを使用して、個体から取得することができる。細胞は、固定化されたか、又は固定化されていない、新鮮又は凍結された、全体又は分解された試料から得ることができる。組織の分解は、既知の技法を使用して機械的又は酵素的のいずれかで生じ得る。
撮像
開示される方法は、いくつかの異なる種類の顕微鏡法、例えば、共焦点顕微鏡法、二光子顕微鏡法、明視野顕微鏡法、無傷組織拡張顕微鏡法、及び/又はCLARITY(商標)最適化光シート顕微鏡法(COLM)のうちのいずれかを使用して、1つ以上のヒドロゲルに埋め込まれたアンプリコンを撮像することを含む。
明視野顕微鏡法は、全ての光学顕微鏡技法の中で最も単純である。試料照明は、透過した白色光を介して、すなわち、下方から照らされ、上方から観察される。制限には、ほとんどの生体試料のコントラストが低く、焦点の外れた材料のぼやけに起因する見かけの解像度が低いことが含まれる。技法の単純さ及び必要最小限の試料調製は、重要な利点である。
傾斜照明顕微鏡では、標本は側面から照射される。これにより、画像に3次元の外観を与え、さもなければ見えない特徴を強調することができる。この方法に基づくより最近の技術は、細胞培養に使用するための倒立顕微鏡上で見られるシステムである、ホフマンの変調コントラストである。傾斜照明は、明視野顕微鏡法と同じ限界(焦点外の材料のぼやけによる、多くの生体試料の低いコントラスト、及び低い見かけ分解能)を受けるが、それは、さもなければ見えない構造を強調し得る。
暗視野顕微鏡法は、染色されていない透明な標本のコントラストを改善するための技法である。暗視野照明は、慎重に整列された光源を使用して、画像平面に入る直接透過(非散乱)光の量を最小限に抑え、試料によって散乱された光のみを収集する。暗視野は、機器のセットアップ又は試料の準備をほとんど必要とせずに、画像のコントラスト(特に透明なオブジェクト)を劇的に改善することができる。しかしながら、この技法は、多くの生体試料の最終画像における光強度が低いことに苦しみ、見かけの解像度の低さの影響を受け続けている。
位相コントラストは、透明な標本を通過する光の位相シフトを画像の明るさの変化に変換する光学顕微鏡照明技法である。すなわち、位相コントラストは、屈折率の差異をコントラストの差異として示す。位相シフト自体は人間の目には見えないが、明るさが変化するにつれて示されるようになる。
微分干渉コントラスト(DIC)顕微鏡では、光学密度の差がレリーフの差として示される。システムは、コンデンサ内の特殊なプリズム(ノマルスキープリズム、ウォラストンプリズム)で構成されており、普通のビームと並外れたビームの光を分割する。2つのビーム間の空間的な差異は最小である(対物レンズの最大解像度未満)。標本を通過した後、ビームは対物レンズ内の同様のプリズムによって再結合される。均質な標本では、2つのビームの間に差異はなく、コントラストは生成されない。しかしながら、屈折境界(例えば、細胞質内の核)の近くでは、通常のビームと並外れたビームとの間の差は、画像に緩和を生じさせる。微分干渉コントラストは、機能するには偏光源を必要とし、2つの偏光フィルタを光路に取り付ける必要があり、1つはコンデンサの下方(偏光子)、もう1つは対物レンズの上方(アナライザ)である。
干渉を使用する別の顕微鏡技法は、干渉反射顕微鏡法(反射干渉コントラスト、又はRICとしても既知である)である。これは、異なる屈折率を有する2つの物質間の界面がある場合は常に反射される狭い範囲の波長の偏光を使用して、ガラス表面への細胞の接着を調べるために使用される。細胞がガラス表面に結合すると、ガラスからの反射光と結合した細胞からの反射光が干渉する。ガラスに細胞が結合していない場合、干渉はない。
蛍光顕微鏡は、反射及び吸収の代わりに、又はそれに加えて、蛍光及びリン光を使用して有機物又は無機物の特性を研究する光学顕微鏡である。蛍光顕微鏡法では、試料は、試料中の蛍光を励起する波長の光で照射される。通常は照明よりも長い波長にある蛍光光は、次いで顕微鏡対物レンズを介して撮像される。この技法では、2つのフィルタを使用することができる。照明が単色に近く、正しい波長であることを保証する照明(又は励起)フィルタ、及び励起光源のいずれも検出器に到達しないことを保証する第2の発光(又はバリア)フィルタである。代替的に、これらの機能は両方とも、単一の二色性フィルタによって達成され得る。「蛍光顕微鏡」は、蛍光顕微鏡のようなより単純なセットアップであるか、又は蛍光画像のより良い解像度を得るために光学切片を使用する共焦点顕微鏡のようなより複雑な設計であるかにかかわらず、蛍光を使用して画像を生成する任意の顕微鏡を指す。
共焦点顕微鏡は、点照明及び検出器の前方の光学的に接合される平面におけるピンホールを使用して、焦点が外れたシグナルを排除する。焦点面に非常に近い蛍光によって産生された光しか検出できないため、画像の光学分解能、特に試料深度方向では、広視野顕微鏡のものよりもはるかに優れている。しかしながら、試料蛍光からの光の多くがピンホールで遮断されるため、この増加した解像度は信号強度の低下を犠牲にし、そのため多くの場合長時間の露光が必要とされる。一度に照射されるのは試料における1つの点のみであるため、2D又は3D画像化は、標本における規則的なラスター(すなわち、平行走査線の矩形パターン)に対して走査する必要がある。焦点面の達成可能な厚さは、主に使用される光の波長を対物レンズの数値開口部で割ったものによって定義されるが、標本の光学特性によっても定義される。可能な薄い光学的切断により、これらのタイプの顕微鏡は、特に試料の3D撮像及び表面プロファイリングに優れたものになる。COLMは、大きい明確化された試料の高速3D撮像に代替の顕微鏡法を提供する。COLMは、大きな免疫染色された組織を調査し、取得の速度を向上させ、生成されたデータのより高い品質をもたらす。
光シート顕微鏡法としても既知の単一平面照明顕微鏡法(SPIM)では、検出対物レンズの焦点面におけるフルオロフォアのみが照射される。ライトシートは、一方向に平行化され、他方向に収束されたビームである。検出器の焦点面の外側でフルオロフォアが励起されないため、方法は、また、固有の光学切片も提供する。更に、従来の顕微鏡法と比較すると、光シート法は、光退色の低減及び光毒性の低下を示し、多くの場合標本ごとにはるかに多くの走査を可能にする。標本を回転させることによって、技法は、異なる角度から得られた複数の図を有する仮想的に任意の平面を画像化することができる。しかしながら、全ての角度について、標本の比較的浅い切片のみが高解像度で画像化され、一方で深い領域はますますぼやけて見える。
超解像度顕微鏡法は、光学顕微鏡法の一形態である。光の回折により、従来の光顕微鏡法の分解能は、1873年にErnst Abbeによって述べられたように、制限されている。達成可能な解像度の良好な近似は、点拡散関数のFWHM(半値全幅)であり、高い開口部及び可視光を備えた精密な広視野顕微鏡は、通常、約250nmの解像度に達する。超解像度技法により、回折限界よりも高い解像度で画像を捕捉することができる。これらは、エバネッセント波に含まれる情報を捕捉する「真の」超解像度技法、並びに超解像画像を再構成するために実験的な技法及び画像化される物質の既知の制限を使用する「機能的な」超解像技法の2つの大きなカテゴリに分けられる。
レーザー顕微鏡法は、様々な形態の顕微鏡法でレーザー照明源を使用する。例えば、生物学的用途に焦点を当てたレーザー顕微鏡法は、非線形顕微鏡法、飽和顕微鏡法、及び2光子励起顕微鏡法(生体組織の画像化を非常に高い深度、例えば1ミリメートルまで可能にする蛍光画像化法)などの多光子蛍光顕微鏡法を含むいくつかの技法において、超短パルスレーザー、又はフェムト秒レーザーを使用する。
電子顕微鏡法(EM)では、電子のビームを使用して標本を照射し、拡大画像を生成する。電子顕微鏡は、可視光(光子)よりも約100,000倍短い波長を有するため、光電力光学顕微鏡よりも高い分解能を有する。それらは、50pmより優れた解像度、及び、最大約10,000,000倍の倍率を達成することができるが、一方、通常の非焦点光顕微鏡は、回折によって、約200nmの解像度及び2000倍未満の有用な倍率に制限される。電子顕微鏡は静電及び電磁「レンズ」を使用して電子ビームを制御し、それに焦点を合わせて画像を形成する。これらのレンズは、標本上又は標本を介して光を集束することによって拡大画像を形成する光学顕微鏡のガラスレンズと類似するが、異なる。電子顕微鏡は、微生物、細胞、大きな分子、生検試料、金属、及び結晶を含む幅広い生物学的及び無機標本を観察するために使用される。工業的には、電子顕微鏡は、多くの場合、品質管理及び故障解析に使用される。電子顕微鏡法の例としては、透過型電子顕微鏡法(TEM)、走査型電子顕微鏡法(SEM)、反射型電子顕微鏡法(REM)、走査型透過型電子顕微鏡法(STEM)及び低電圧電子顕微鏡法(LVEM)が挙げられる。
走査プローブ顕微鏡法(SPM)は、標本を走査する物理プローブを使用して表面の画像を形成する顕微鏡法の一分岐である。表面の画像は、標本のラスター走査でプローブを一線ずつ機械的に動かし、位置の関数としてプローブと表面との相互作用を記録することによって得られる。SPMの例としては、原子間力顕微鏡(ATM)、弾道電子放出顕微鏡(BEEM)、化学力顕微鏡(CFM)、導電性原子間力顕微鏡(C-AFM)、電気化学走査型トンネル顕微鏡(ECSTM)、静電力顕微鏡(EFM)、流体力顕微鏡(FluidFM)、力変調顕微鏡(FMM)、機能指向走査型プローブ顕微鏡(FOSPM)、ケルビンプローブ力顕微鏡(KPFM)、磁力顕微鏡(MFM)、磁気共鳴力顕微鏡(MRFM)、近接場走査型光学顕微鏡(NSOM)(又はSNOM、走査型近接場光学顕微鏡、SNOM、ピエゾ応答力顕微鏡(PFM)、PSTM、光子走査型トンネル顕微鏡(PSTM)、PTMS、光熱顕微鏡分光法/顕微鏡(PTMS)、SCM、走査型容量顕微鏡(SCM)、SECM、走査型電気化学顕微鏡(SECM)、SGM、走査型ゲート顕微鏡(SGM)、SHPM、走査型ホールプローブ顕微鏡(SHPM)、SICM、走査型イオンコンダクタンス顕微鏡(SICM)、SPSMスピン分極走査型トンネル顕微鏡(SPSM)、SSRM、走査型拡散抵抗顕微鏡(SSRM)、SThM、走査型熱顕微鏡(SThM)、STM、走査型トンネル顕微鏡(STM)、STP、走査型トンネル電位差測定法(STP)、SVM、走査型電圧顕微鏡(SVM)、及びシンクロトロンX線走査型トンネル顕微鏡(SXSTM)が挙げられる。
無傷組織拡張顕微鏡法(exM)により、約70nmの方位分解能を有する厚い保存標本の撮像が可能になる。ExMを使用すると、撮像前に生体標本を物理的に拡張することによって、光学回折限界が回避され、したがってサブ回折限界された構造を、従来の回折限界された顕微鏡によって視認可能なサイズ範囲に持ち込む。ExMは、回折限界された顕微鏡のボクセル速度で、ただし超分解能顕微鏡のボクセルサイズで、生体標本を撮像することができる。膨張した試料は、透明であり、膨張した材料が>99%水であるため、屈折率が水に整合している。拡張顕微鏡法の技術は、例えば、Gao et al.,Q&A:Expansion Microscopy,BMC Biol.2017;15:50に開示されるように、当該技術分野で知られている。
スクリーニング方法
本明細書に開示される方法は、また、候補薬剤をスクリーニングして、候補薬剤が無傷組織における細胞における核酸の遺伝子発現を調節するか否かを決定する方法も提供する。本方法は、本明細書に開示されるSTARmap2のステップを実行して、無傷組織における細胞における標的核酸の遺伝子配列を決定することと、標的核酸の遺伝子発現のレベルを検出することであって、候補薬剤の不在下での標的核酸の発現のレベルに対する、候補薬剤の存在下での標的核酸の発現のレベルの変化が、候補薬剤が無傷組織における細胞における核酸の遺伝子発現を調節することを示す、検出することとを含む。
いくつかの態様では、検出することは、フローサイトメトリー、配列決定、プローブ結合及び電気化学的検出、pH変化、DNAタグに結合した酵素によって誘発された触媒作用、量子もつれ、ラマン分光法、テラヘルツ波技術、並びに/又は走査型電子顕微鏡法を実行することを含む。ある特定の態様では、フローサイトメトリーは、質量サイトメトリー又は蛍光活性化フローサイトメトリーである。いくつかの他の態様では、検出することは、顕微鏡法、走査質量分析、又は本明細書に記載される他の撮像技法を実行することを含む。かかる態様では、検出することは、シグナル、例えば、蛍光シグナルを決定することを含む。
本明細書において互換的に使用される、本明細書における「試験薬剤」、「候補薬剤」、及び文法的等価物とは、主題のアッセイにおける活性について試験される任意の分子(例えば、タンパク質(本明細書においてタンパク質、ポリペプチド、及びペプチドを含む)、小分子(すなわち、サイズが5~1000Da、100~750Da、200~500Da、又は500Da未満)、又は有機若しくは無機分子、多糖、ポリヌクレオチドなど)を意味する。
様々な異なる候補薬剤が上記方法によってスクリーニングされ得る。候補薬剤は、多数の化学部類、例えば、50ダルトンを超える(例えば、少なくとも約50Da、少なくとも約100Da、少なくとも約150Da、少なくとも約200Da、少なくとも約250Da、又は少なくとも約500Da)、及び約20,000ダルトン未満、約10,000ダルトン未満、約5,000ダルトン未満、又は約2,500ダルトン未満の分子量を有する小さな有機化合物を包含する。例えば、いくつかの実施形態では、好適な候補薬剤は、約500Da~約20,000Da、例えば、約500Da~約1000Da、約1000Da~約2000Da、約2000Da~約2500Da、約2500Da~約5000Da、約5000Da~約10,000Da、又は約10,000Da~約20,000Daの範囲の分子量を有する有機化合物である。
候補薬剤は、タンパク質との構造的相互作用、例えば水素結合に必要な官能基を含み得、少なくともアミン、カルボニル、ヒドロキシル、若しくはカルボキシル基、又は官能性化学基のうちの少なくとも2つを含み得る。候補薬剤は、上記官能基のうちの1つ以上で置換された環状炭素若しくは複素環式構造、及び/又は芳香族若しくは多芳香族構造を含み得る。候補薬剤は、また、ペプチド、糖類、脂肪酸、ステロイド、プリン、ピリミジン、誘導体、構造類似体、又はそれらの組み合わせを含む生体分子中に見出される。
候補薬剤は、合成又は天然化合物のライブラリを含む多種多様な供給源から得られる。例えば、無作為化オリゴヌクレオチド及びオリゴペプチドの発現を含む、多種多様な有機化合物及び生体分子の無作為で指向性の合成のために、多数の手段が利用可能である。代替的に、細菌、真菌、植物及び動物抽出物の形態の天然化合物のライブラリが利用可能であるか、又は容易に生成される。追加的に、天然又は合成で生成されたライブラリ及び化合物は、従来の化学的、物理的及び生化学的手段を通じて容易に修飾され、組み合わせライブラリを生成するために使用され得る。既知の薬理学的薬剤は、アシル化、アルキル化、エステル化、アミド化などの直接的又はランダムな化学修飾を受けて、構造的類似体を生成し得る。更に、スクリーニングは、既知の薬理学的活性化合物及びその化学的類似体、又は合理的な薬物設計を介して作製されるものなどの未知の特性を有する新規の薬剤を対象とし得る。
一実施形態では、候補調節物質は合成化合物である。無作為化オリゴヌクレオチド及びオリゴペプチドの発現を含む、多種多様な有機化合物及び生体分子の無作為で指向性の合成のために、任意の数の手段が利用可能である。例えば、参照により本明細書に明示的に組み込まれ、ランダム化学法及び酵素法を含む新規化合物の生成方法を考察するWO94/24314を参照されたい。
別の実施形態では、候補薬剤は、利用可能であるか又は容易に産生される細菌、真菌、植物及び動物の抽出物の形態の天然化合物のライブラリとして提供される。追加的に、天然又は合成で生成されたライブラリ及び化合物は、従来の化学的、物理的及び生化学的手段を通じて容易に修正される。既知の薬理学的薬剤は、構造類似体を産生するために、酵素的修飾を含む、方向付けられた、又は無作為化された化学修飾に供され得る。
一実施形態では、候補薬剤は、タンパク質を含む(抗体、抗体断片(すなわち、抗原結合領域を含有する断片、一本鎖抗体など)、核酸、及び化学部分を含む)。一実施形態では、候補薬剤は、天然に存在するタンパク質又は天然に存在するタンパク質の断片である。したがって、例えば、タンパク質を含有する細胞抽出物、又はタンパク質性細胞抽出物のランダム又は指向性の消化物を試験してもよい。このようにして、原核生物のタンパク質及び真核生物のタンパク質のライブラリをスクリーニングのために作製してもよい。他の実施形態は、細菌、真菌、ウイルス、及び哺乳動物のタンパク質(例えば、ヒトタンパク質)のライブラリを含む。
一実施形態では、候補薬剤は有機部分である。この実施形態では、概して、WO94/24314に記載されているように、候補薬剤は、化学修飾され得る一連の基質から合成される。本明細書における「化学修飾」は、従来の化学反応及び酵素反応を含む。これらの基質には、概して、アルキル基(アルカン、アルケン、アルキン、及びヘテロアルキルを含む)、アリール基(アレーン、及びヘテロアリールを含む)、アルコール、エーテル、アミン、アルデヒド、ケトン、酸、エステル、アミド、環状化合物、複素環式化合物(プリン、ピリミジン、ベンゾジアゼピン、ベータラクタム、テトラシリン、セファロスポリン、及び炭水化物を含む)、ステロイド(エストロゲン、アンドロゲン、コルチゾン、エコダイソンなどを含む)、アルカロイド(エルゴット、ビンカ、キュラレ、ピロリズジン、及びマイトマイシンを含む)、有機金属化合物、ヘテロ原子担持化合物、アミノ酸、並びにヌクレオシドが含まれるが、これらに限定されない。化学(酵素を含む)反応は、新たな基質又は候補薬剤を形成するために部分上で行われ得、次いで、本発明を使用して試験され得る。
デバイス及びシステム
本方法の態様を実行するためのデバイスも含まれる。本デバイスは、例えば、撮像チャンバ、電気泳動装置、フローチャンバ、顕微鏡、針、チューブ、ポンプを含み得る。
本開示は、また、主題の方法を実行するためのシステムを提供する。システムは、例えば、電源、冷凍ユニット、廃棄物、加熱ユニット、ポンプなどを含み得る。システムは、また、本明細書に記載される試薬、例えば、撮像緩衝液、洗浄緩衝液、剥離緩衝液、Nissl及びDAPI溶液のうちのいずれかを含み得る。ある特定の実施形態によるシステムは、また、顕微鏡及び/又は関連する撮像機器、例えば、カメラ構成要素、デジタル撮像構成要素及び/又は画像捕捉機器、1つ以上のユーザ入力に従って画像を収集するように構成されたコンピュータプロセッサなども含み得る。
上記で考察されたように、本明細書に記載されるシステムは、撮像チャンバ及びポンプを有する流体デバイスと、本明細書に記載される無傷組織内の細胞における標的核酸のインサイチュ遺伝子配列決定のための方法を実行するように構成されたプロセッサユニットとを備える。いくつかの実施形態では、本システムは、本明細書に記載されるプロセスである、STARmap2の自動化を可能にし、これは、ゲルに埋め込まれたDNAでのプローブのハイブリダイゼーションの反復ラウンド、これらのプローブ上での蛍光標識されたオリゴヌクレオチドのライゲーション、過剰なプローブを洗浄して除くこと、撮像すること、及び次のラウンドの配列決定のためにプローブを剥離して除くことを含むが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、本システムは、継続的な作動を可能にし得る。いくつかの実施形態では、本システムは、試料に対するインサイチュDNA配列決定に関与する配列決定化学物質を流すための画像化チャンバを含む。いくつかの実施形態では、流体及びポンプのシステムは、試料への配列決定化学物質の送達を制御する。
緩衝液は、1つ以上のポート、並びに任意選択的に、チューブ、ポンプ、バルブ、又は任意の他の好適な流体取り扱い及び/若しくは流体操作機器、例えば、デバイスのうちの1つ以上の構成要素に取り外し可能に取り付けられているか、又は永久に取り付けられているチューブの使用によって添加/除去/再循環/交換され得る。例えば、第1及び第2の端部を有する第1のチューブは、第1のポートに取り付けられ得、第1及び第2の端部を有する第2のチューブは、第2のポートに取り付けられ得、第1のチューブの第1の端部は、第1のポートに取り付けられ、第1のチューブの第2の端部は、容器、例えば、冷却ユニット、加熱ユニット、濾過ユニット、廃棄物容器などに作動可能に連結され、第2のチューブの第1の端部は、第2のポートに取り付けられ、第2のチューブの第2の端部は、容器、例えば、冷却ユニット、氷上ビーカー、濾過ユニット、廃棄物容器などに作動可能に連結される。
いくつかの実施形態では、本システムは、プロセッサユニットによって実行される場合、プロセッサユニットに化学物質の送達を制御させ、このプロセスを顕微鏡と同期させる命令を有する非一過性コンピュータ可読記憶媒体を含む。いくつかの実施形態では、非一時的なコンピュータ可読記憶媒体は、プロセッサユニットによって実行される場合、プロセッサユニットに光信号を測定させる命令を含む。
有用性
本明細書におけるデバイス、方法、及びシステムは、生物医学研究及び/又は臨床診断などの当技術分野におけるいくつかの使用を見出す。例えば、生物医学的研究において、用途には、基本的な生物学又は薬物スクリーニングのための空間的に分解された遺伝子発現分析が含まれるが、これらに限定されない。臨床診断において、用途には、患者試料の疾患、免疫応答、細菌又はウイルスDNA/RNAなどの遺伝子マーカーの検出が含まれるが、これらに限定されない。本明細書に記載の方法の利点の例としては、効率性が挙げられ、生試料から最終データを取得するためにわずか3又は4日かかり、既存のマイクロアレイ又は配列決定技術よりもはるかに速い速度を提供し、高度に多重化され(最大1000個の遺伝子)、単一細胞及び単一分子の感度、保存された組織形態、並びに/又は低誤差率での高い信号対ノイズ比が挙げられる。
ある特定の態様では、STARmap2は、マウスの視覚野における分子定義された細胞型及び活性調節された遺伝子発現の研究に適用され得、より大きな3D組織ブロックに拡張可能であり、以前にアクセス可能でなかった体積尺度での皮質ニューロンの短距離及び長距離空間編成を可視化し得る。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される方法は、高度に多重化されたタンパク質検出のためのDNAコンジュゲート抗体を撮像するように適合され得る。
本発明のデバイス、方法、及びシステムは、また、多様な組織におけるいくつかの不均一な細胞集団を研究するように一般化され得る。いかなる科学的理論にも拘束されないが、脳は、STARmap2分析に非常に適した特別な課題を提起する。例えば、異なる細胞型にわたって観察される多型活性調節遺伝子(ARG)発現は、固有の細胞生物学的特性(例えば、シグナル伝達経路成分発現)、及び外部の感覚情報を異なる細胞に送る神経回路解剖学などの外部特性(ここでは、視覚野)の両方に依存する可能性が高い。かかる場合、STARmap2によって例示されるインサイチュトランスクリプトミクスは、撮像ベースの分子情報を解剖学的及び活性情報と効果的に連結し、したがって脳機能及び機能障害を解明することができる。
本明細書に開示されるデバイス、方法、及びシステムは、細胞成分、例えば、通常は、構造的支持を提供するが、亜細胞タンパク質及び分子の視覚化を妨げる脂質が除去されることを可能にし、同時に、試料が組織の超構造を物理的に支持するヒドロゲルに架橋されているため、細胞及び組織の三次元構造を維持する。この除去は、実質的に、生体標本の内部を光及び/又は巨大分子に対して透過性にし、標本、例えば、細胞及び細胞下構造の内部を、組織の時間のかかる破壊的切断を伴わずに顕微鏡的に可視化することを可能にする。典型的には別個のステップで実施される一掃及び透過化が、細胞成分を除去する単一のステップで組み合わせることができるため、この手順は、当該技術分野で一般的に使用される手順よりも速い。加えて、包括的な分析のために、標本は、反復的に染色される、染色されない、及び他の試薬で再染色され得る。重合性アクリルアミド部分による更なる官能化により、アンプリコンが多数の部位でポリアクリルアミドネットワーク内に共有結合的に固定されることが可能になる。
一例では、主題のデバイス、方法、及びシステムは、疾患を評価、診断、又は監視するために用いられ得る。本明細書で使用される場合、「診断」は、概して、疾患又は障害に対する対象の感受性の予測、対象が現在疾患又は障害に影響を受けているか否かの決定、疾患又は障害に影響を受けている対象の予測(例えば、がん状態、がんの病期、患者ががんによって死亡する可能性の同定)、疾患又は障害の治療に対する対象の応答性の予測(例えば、陽性応答、陰性応答、例えば、同種造血幹細胞移植、化学療法、放射線療法、抗体療法、小分子化合物療法に対してまったく応答がない)、及び治療法の使用(例えば、対象の状態を監視して、療法の効果又は有効性に関する情報を提供する)を含む。例えば、生検は、がん組織から調製され、顕微鏡分析されて、がんの型、がんが発生した程度、がんが治療介入に応答するか否かを決定し得る。
主題のデバイス、方法、及びシステムは、また、組織又は疾患に対するそれらの効果について候補の治療薬をスクリーニングするための有用な技法を提供する。例えば、対象、例えば、マウス、ラット、イヌ、霊長類、ヒトなどは、候補薬剤と接触され得、その器官又は生検を主題の方法によって調製し得、調製された標本を1つ以上の細胞又は組織パラメータについて顕微鏡で分析し得る。パラメータは、細胞又は組織の定量化可能な構成要素であり、特に、望ましくはハイスループットなシステムで正確に測定することができる構成要素である。パラメータは、細胞表面決定基、受容体、タンパク質又はその立体構造若しくは翻訳後修飾、脂質、炭水化物、有機分子又は無機分子、核酸、例えばmRNA、DNAなど、又はそのような細胞成分に由来する部分あるいはそれらの組み合わせを含む任意の細胞成分又は細胞産物であり得る。ほとんどのパラメータは定量的読み出しを提供するが、場合によっては、半定量的又は定性的結果が許容される。読み出しは、単一の決定値を含んでもよく、又は平均、中央値若しくは分散などを含んでもよい。特徴的に、パラメータの読み出し値の範囲は、同じアッセイの多重性から各パラメータについて取得される。変動性が予期され、試験パラメータの各セットの値の範囲は、単一の値を提供するために使用される一般的な統計学的方法を用いた標準統計学的方法を使用して取得される。したがって、例えば、1つのかかる方法は、細胞生存率、組織血管形成、免疫細胞浸潤の存在、疾患の進行を変化させる効果などを検出することを含み得る。いくつかの実施形態では、スクリーンは、分析されたパラメータを、対照、又は参照試料、例えば、候補薬剤と接触していない対象から同様に調製された標本由来のものと比較することを含む。スクリーニングのための目的の候補薬剤には、有機金属分子、無機分子、遺伝子配列などを含み得る、多数の化学分類、主に有機分子を包含する既知及び未知の化合物が含まれる。スクリーニングのための目的の候補薬剤には、核酸、例えば、siRNA、shRNA、アンチセンス分子、若しくはmiRNAをエンコードする核酸、又はポリペプチドをエンコードする核酸も含まれる。本発明の重要な態様は、毒性試験などを含む候補薬物を評価することである。主題の方法を使用する組織試料の評価は、例えば、遺伝的、転写産物的、ゲノム、プロテオミクス、及び/又はメタボロミクスの分析を含み得る。
主題のデバイス、方法、及びシステムは、また、亜細胞分解能での全組織における遺伝的にエンコードされたマーカー、例えば、染色体異常(反転、重複、転座など)、遺伝的ヘテロ接合性の喪失、疾患又は良好な健康に対する素因を示す遺伝子対立遺伝子の存在、療法への応答性の可能性、祖先などの分布を可視化するために使用され得る。かかる検出は、例えば、上記のような疾患の診断及び監視、個別化された医学、及び父性の研究において使用することができる。
分析情報のデータベースが蓄積され得る。これらのデータベースは、既知の細胞型から得られた結果、特定の条件下で処理された細胞の分析からの参照などを含み得る。データマトリックスが生成されてよく、データマトリックスの各点は細胞からの読み出しに対応し、各細胞についてのデータは複数のラベルからの読み出しを含んでよい。読み出しは、平均値、中央値、若しくは分散値、又は測定値に関連付けられた他の統計的若しくは数学的に導出された値であり得る。出力読み出し情報は、対応する参照読み出しと直接比較することによって、更に精査され得る。同一の条件下で各出力について得られた絶対値は、生体系に固有の可変性を示し、個々の細胞の可変性及び個体間に固有の可変性も反映する。
本開示の非限定的な態様の例
上述の本主題の態様(実施形態を含む)は、単独で、又は1つ以上の他の態様又は実施形態と組み合わせて有益であり得る。先の説明を限定することなく、番号1~71の本開示の特定の非限定的な態様を以下に提供する。本開示を読むと当業者には明らかであるように、個々に番号付けされた態様の各々は、前述の態様のいずれか又は個々に番号付けされた態様に続く態様のいずれかと使用又は組み合わせられ得る。これは、態様の全てのかかる組み合わせのサポートを提供することを意図しており、以下に明示的に提供される態様の組み合わせに限定されない。
1.無傷の組織における細胞における標的核酸のインサイチュ遺伝子配列決定のための方法であって、
(a)特異的ハイブリダイゼーションを可能にする条件下で、固定され、透過化された無傷組織を少なくとも一対のオリゴヌクレオチドプライマーと接触させることであって、
一対のプライマーが、第1のオリゴヌクレオチド及び第2のオリゴヌクレオチドを含み、
第1のオリゴヌクレオチド及び第2のオリゴヌクレオチドの各々が、第1の相補性領域、第2の相補性領域、及び第3の相補性領域を含み、第2のオリゴヌクレオチドが、バーコード配列を更に含み、
第1のオリゴヌクレオチドの第1の相補性領域が、標的核酸の第1の部分に相補的であり、第1のオリゴヌクレオチドの第2の相補性領域が、第2のオリゴヌクレオチドの第1の相補性領域に相補的であり、第1のオリゴヌクレオチドの第3の相補性領域が、第2のオリゴヌクレオチドの第3の相補性領域に相補的であり、第2のオリゴヌクレオチドの第2の相補性領域が、標的核酸の第2の部分に相補的であり、標的核酸の第1の部分が、標的核酸の第2の部分に隣接しており、第1のオリゴヌクレオチドの第2の相補性領域が、独自の一致する配列の第1の部分を含み、第1のオリゴヌクレオチドの第3の相補性領域が、独自の一致する配列の第2の部分を含み、第2のオリゴヌクレオチドの第1の相補性領域が、独自の一致する配列の第1の部分に相補的である配列を含み、第2のオリゴヌクレオチドの第3の相補性領域が、独自の一致する配列の第2の部分に相補的である配列を含む、接触させることと、
(b)リガーゼを添加して、第2のオリゴヌクレオチドをライゲーションし、閉じた核酸環を生成することと、
(c)核酸分子の存在下でローリングサークル増幅を実行することであって、第2のオリゴヌクレオチドを鋳型として、そして第1のオリゴヌクレオチドをポリメラーゼのためのプライマーとして使用して、1つ以上のアンプリコンを形成することを含む、実行することと、
(d)1つ以上のアンプリコンをヒドロゲルサブユニットの存在下で埋め込んで、1つ以上のヒドロゲルに埋め込まれたアンプリコンを形成することと、
(e)ライゲーションを可能にする条件下で、バーコード配列を有する1つ以上のヒドロゲルに埋め込まれたアンプリコンを一組の配列決定プライマーと接触させることであって、一組の配列決定プライマーが、塩基を解読するように構成された第3のオリゴヌクレオチド及び解読された塩基をシグナルに変換するように構成された第4のオリゴヌクレオチドを含み、ライゲーションが、第3のオリゴヌクレオチド及び第4のオリゴヌクレオチドの両方が同じアンプリコンの隣接する配列に相補的であるときにのみ生じる、接触させることと、
(f)ステップ(e)を何度も繰り返すことと、
(g)1つ以上のヒドロゲルに埋め込まれたアンプリコンを撮像して、無傷組織における細胞における標的核酸の遺伝子配列決定をインサイチュで決定することと
を含む、方法。
2.固定され、透過化された無傷組織を、第1のオリゴヌクレオチドに結合するゲルアダプタオリゴヌクレオチドと接触させることを更に含み、ゲルアダプタオリゴヌクレオチドが、ゲル化の間にゲルアダプタオリゴヌクレオチドをヒドロゲルに連結する5’末端又は3’末端にヌクレオチド修飾を含む、態様1に記載の方法。
3.ヌクレオチド修飾が、アクリダイト基を含む、態様2に記載の方法。
4.第1のオリゴヌクレオチドが、ゲルアダプタオリゴヌクレオチドに対する共通の結合部位を更に含む、態様2又は3に記載の方法。
5.ゲルアダプタオリゴヌクレオチドに対する共通の結合部位が、第1のオリゴヌクレオチドの第1の相補性領域に隣接している、態様4に記載の方法。
6.固定され、透過化された無傷組織を、アンプリコンの検出及び縮合のためのオリゴヌクレオチドプローブと接触させることを更に含み、オリゴヌクレオチドプローブが、第2のオリゴヌクレオチドに結合する、態様1~5のいずれか1つに記載の方法。
7.第2のオリゴヌクレオチドが、アンプリコンの検出及び縮合のためのオリゴヌクレオチドプローブに対する共通の結合部位を更に含む、態様6に記載の方法。
8.アンプリコンの検出及び縮合のためのオリゴヌクレオチドプローブに対する共通の結合部位が、第2の相補性領域に隣接しているか、又は第2のオリゴヌクレオチドの独自の一致する配列の第2の半分に相補的である配列に隣接している、態様7に記載の方法。
9.オリゴヌクレオチドプローブが、目的のプローブ標的のアンプリコンを検出するための独自の配列、及びアンプリコン上の共通の配列に相補的な配列の2つ以上のコピーを含む、態様6~8のいずれか1つに記載の方法。
10.オリゴヌクレオチドプローブが、第1のオリゴヌクレオチドプローブがゲル化の間にヒドロゲルに連結されるように、5’末端又は3’末端にヌクレオチド修飾を更に含む、態様6~9のいずれか1つに記載の方法。
11.ヌクレオチド修飾が、アクリダイト基を含む、態様10に記載の方法。
12.細胞を、
5’アミン修飾又は5’ビオチン修飾、ゲルアダプタオリゴヌクレオチドとハイブリダイゼーションする共通のゲルアダプタ相補配列、及び独自のバーコード配列を含む第1のプローブ、並びに
独自のバーコード配列の第1の部分に相補的である第1の配列、及び独自のバーコード配列の第2の部分に相補的である第2の配列を含む第2のプローブと接触させることによって、細胞をバーコード化することであって、第1の配列及び第2の配列が、配列決定エンコード配列に隣接し、第1のプローブ及び第2のプローブのハイブリダイゼーションが、第1のプローブ及び第2のプローブを含むバーコード複合体の形成をもたらす、バーコード化することを更に含む、態様1~11のいずれか1つに記載の方法。
13.第2のプローブが、パドロックプローブである、態様12に記載の方法。
14.標的核酸の第1の部分及び標的核酸の第2の部分が、ほぼ同じ融解温度を有する、態様1~13のいずれか1つに記載の方法。
15.固定され、透過化された無傷組織を、mRNA保持オリゴヌクレオチドと接触させることを更に含み、
mRNA保持オリゴヌクレオチドが、
5’末端又は3’末端におけるヌクレオチド修飾であって、mRNA保持オリゴヌクレオチドが、ゲル化の間にヒドロゲルに連結される、ヌクレオチド修飾と、
mRNAのポリAテールにハイブリダイゼーションするポリTテールであって、mRNA保持オリゴヌクレオチドのポリTテールとmRNAのポリAテールとのハイブリダイゼーションが、ヒドロゲル中にmRNAを保持する、ポリTテールと、
独自のハイブリダイゼーション配列とを含む、態様1~14のいずれか1つに記載の方法。
16.ポリTテールが、相互的ロックド核酸(LNA)チミン(T)塩基を含む、態様15に記載の方法。
17.固定され、透過化された無傷組織を、mRNA保持オリゴヌクレオチドの独自のハイブリダイゼーション配列に選択的に結合する蛍光標識されたプローブオリゴヌクレオチドと接触させることを更に含む、態様15又は16に記載の方法。
18.配列決定が、連続的又は組み合わせエンコードを用いて実行される、態様1~17いずれか1つに記載の方法。
19.ローリングサークル増幅を実行する前に、組織全体へのポリメラーゼの均一な拡散を可能にするために十分な時間、組織試料をポリメラーゼとともにプレインキュベーションすることを更に含む、態様1~18のいずれか1つに記載の方法。
20.当該撮像が、酸化防止剤を含む抗退色緩衝液の存在下で実行される、態様1~19のいずれか1つに記載の方法。
21.抗退色緩衝液が、トロロックス(6-ヒドロキシ-2,5,7,8-テトラメチルクロマン-2-カルボン酸)及びトロロックス-キノンを含む、態様20に記載の方法。
22.シグナルが、蛍光シグナルである、態様1~21のいずれか1つに記載の方法。
23.ヒドロゲルをホルムアミドと接触させることによって、撮像後にシグナルを除去することを更に含む、態様22に記載の方法。
24.第4のオリゴヌクレオチドが、ジスルフィド結合によってフルオロフォアに共有結合的に連結する、態様22に記載の方法。
25.当該撮像後にヒドロゲルを還元剤と接触させることを更に含み、ジスルフィド結合の還元が、第4のオリゴヌクレオチドからのフルオロフォアの切断をもたらす、態様24に記載の方法。
26.一組のプライマーが、試料と接触する前に加熱することによって変性される、態様1~25のいずれか1つに記載の方法。
27.細胞が、細胞の集団に存在する、態様1~26のいずれか1つに記載の方法。
28.細胞の集団が、複数の細胞型を含む、態様27に記載の方法。
29.固定され、透過化された無傷組織を接触させることが、プライマーを同じ標的核酸にハイブリダイゼーションすることを含む、態様1~28のいずれか1つに記載の方法。
30.標的核酸が、RNA又はDNAである、態様1~29のいずれか1つに記載の方法。
31.RNAが、mRNAである、態様30に記載の方法。
32.第2のオリゴヌクレオチドが、パドロックプローブを含む、態様1~31のいずれか1つに記載の方法。
33.第1のオリゴヌクレオチドの第1の相補性領域が、19~25個のヌクレオチドの長さを有する、態様1~32のいずれか1つに記載の方法。
34.第1のオリゴヌクレオチドの第2の相補性領域が、6つのヌクレオチドの長さを有する、態様1~33のいずれか1つに記載の方法。
35.第1のオリゴヌクレオチドの第3の相補性領域が、6つのヌクレオチドの長さを有する、態様1~34のいずれか1つに記載の方法。
36.第2のオリゴヌクレオチドの第1の相補性領域が、6つのヌクレオチドの長さを有する、態様1~35のいずれか1つに記載の方法。
37.第2のオリゴヌクレオチドの第2の相補性領域が、19~25個のヌクレオチドの長さを有する、態様1~36のいずれか1つに記載の方法。
38.第2のオリゴヌクレオチドの第3の相補性領域が、6つのヌクレオチドの長さを有する、態様1~37のいずれか1つに記載の方法。
39.第2のオリゴヌクレオチドの第1の相補性領域が、第2のオリゴヌクレオチドの5’末端を含む、態様1~38のいずれか1つに記載の方法。
40.第2のオリゴヌクレオチドの第3の相補性領域が、第2のオリゴヌクレオチドの3’末端を含む、態様1~39のいずれか1つに記載の方法。
41.第2のオリゴヌクレオチドの第1の相補性領域が、第2のオリゴヌクレオチドの第3の相補性領域に隣接している、態様1~40のいずれか1つに記載の方法。
42.第2のオリゴヌクレオチドのバーコード配列が、標的核酸の特定のためのバーコード情報を提供する、態様1~41のいずれか1つに記載の方法。
43.固定され、透過化された無傷組織を接触させることが、異なる標的核酸に対する特異性を有する複数のオリゴヌクレオチドプライマーをハイブリダイゼーションさせることを含む、態様1~42のいずれか1つに記載の方法。
44.第2のオリゴヌクレオチドが、閉じた鎖核酸環として提供され、リガーゼを添加するステップが、省略される、態様1~43のいずれか1つに記載の方法。
45.オリゴヌクレオチドの融解温度(T)が、溶液中のライゲーションを最小限に抑えるように選択される、態様1~44のいずれか1つに記載の方法。
46.リガーゼを添加することが、DNAリガーゼを添加することを含む、態様1~45のいずれか1つに記載の方法。
47.核酸分子が、アミン修飾されたヌクレオチドを含む、態様1~46のいずれか1つに記載の方法。
48.アミン修飾されたヌクレオチドが、アクリル酸N-ヒドロキシスクシンイミド部分修飾を含む、態様47に記載の方法。
49.埋め込むことが、1つ以上のアンプリコンをアクリルアミドと共重合させることを含む、態様1~48のいずれか1つに記載の方法。
50.埋め込むことが、1つ以上のヒドロゲルに埋め込まれたアンプリコンを清澄化することを含み、標的核酸が、1つ以上のヒドロゲルに埋め込まれたアンプリコンに実質的に保持される、態様1~49のいずれか1つに記載の方法。
51.清澄化することが、1つ以上のヒドロゲルに埋め込まれたアンプリコンから複数の細胞成分を実質的に除去することを含む、態様50に記載の方法。
52.清澄化することが、1つ以上のヒドロゲルに埋め込まれたアンプリコンから脂質若しくはタンパク質、又はそれらの組み合わせを実質的に除去することを含む、態様50又は51に記載の方法。
53.1つ以上のヒドロゲルに埋め込まれたアンプリコンを接触させることが、配列決定が進むにつれて、誤差の蓄積を排除することを含む、態様1~52のいずれか1つに記載の方法。
54.撮像が、共焦点顕微鏡法、二光子顕微鏡法、明視野顕微鏡法、無傷組織拡張顕微鏡法、及び/又はCLARITY(商標)最適化光シート顕微鏡法(COLM)を使用して、1つ以上のヒドロゲルに埋め込まれたアンプリコンを撮像することを含む、態様1~53のいずれか1つに記載の方法。
55.無傷組織が、薄い切片である、態様1~54のいずれか1つに記載の方法。
56.無傷組織が、5~20μmの厚さを有する、態様55に記載の方法。
57.1つ以上のヒドロゲルに埋め込まれたアンプリコンを接触させることが、4回以上生じる、態様55又は56に記載の方法。
58.無傷組織が、厚い切片である、態様1~54のいずれか1つに記載の方法。
59.無傷組織が、50~200μmの厚さを有する、態様58に記載の方法。
60.1つ以上のヒドロゲルに埋め込まれたアンプリコンを接触させることが、6回以上生じる、態様58又は59に記載の方法。
61.第3のオリゴヌクレオチド及び第4のオリゴヌクレオチドのライゲーションが、ポリエチレングリコールポリマーの存在下で実行される、態様1~60のいずれか1つに記載の方法。
62.PEGポリマーが、PEG6000である、態様61に記載の方法。
63.候補薬剤をスクリーニングして、候補薬剤が無傷組織における細胞における核酸の遺伝子発現を調節するか否かを決定する方法であって、
態様1~62のいずれか1つに記載の方法を実行して、無傷組織における細胞における標的核酸の遺伝子配列を決定することと、
標的核酸の遺伝子発現のレベルを検出することであって、候補薬剤の不在下での標的核酸の発現のレベルに対する、候補薬剤の存在下での標的核酸の発現のレベルの変化が、候補薬剤が無傷組織における細胞における核酸の遺伝子発現を調節することを示す、検出することと
を含む、方法。
64.検出することが、フローサイトメトリー、配列決定、プローブ結合及び電気化学的検出、pH変化、DNAタグに結合した酵素によって誘発された触媒作用、量子もつれ、ラマン分光法、テラヘルツ波技術、並びに/又は走査型電子顕微鏡法を実行することを含む、態様63に記載の方法。
65.フローサイトメトリーが、質量サイトメトリー又は蛍光活性化フローサイトメトリーである、態様64に記載の方法。
66.検出することが、顕微鏡法、走査質量分析、又は他の撮像技法を実行することを含む、態様63~65のいずれか1つに記載の方法。
67.検出することが、シグナルを検出することを含む、態様63~66のいずれか1つに記載の方法。
68.シグナルが、蛍光シグナルである、態様67に記載の方法。
69.システムであって、
流体デバイスと、
態様1~68のいずれか1つに記載の方法を実行するように構成されたプロセッサユニットと
を備える、システム。
70.撮像チャンバを更に備える、態様69に記載のシステム。
71.ポンプを更に備える、態様69又は70に記載のシステム。
実験
以下の実施例は、当業者に、本発明の作製及び使用方法の完全な開示及び説明を提供するために提示されるものであり、本発明者らがその発明とみなすものの範囲を限定することを意図するものではなく、以下の実験が実行される全て又は唯一の実験であることを表すことを意図するものでもない。使用される数字(例えば、量、温度など)に対する正確性を確保する努力がなされているが、ある程度の実験誤差及び偏差が考慮されるべきである。別様に示されない限り、部とは重量部であり、分子量は重量平均分子量であり、温度は摂氏であり、圧力は大気圧又はほぼ大気圧である。
本明細書で引用された全ての刊行物及び特許出願は、各々の個々の刊行物又は特許出願が、参照により組み込まれることが具体的かつ個別に示されているかのように、参照により本明細書に組み込まれる。
本発明は、本発明の実施のための好ましいモードを含むように、本発明者によって見出されるか、又は提供される特定の実施形態に関して説明されている。当業者は、本開示に照らして、本発明の意図される範囲から逸脱することなく、例示される特定の実施形態で多数の修正及び変更を行うことができることを理解されたい。例えば、コドン冗長性によって、タンパク質配列に影響を与えることなく、基礎となるDNA配列の変更を行うことができる。生物学的機能的等価性を考慮することによって、種類又は量において生物学的作用に影響を与えることなく、タンパク質構造の変更を行うことができる。かかる修正は全て、添付の特許請求の範囲内にあることが意図される。
実施例1
STARmap2次世代体積インサイチュ配列決定
序論
STARmapは、標的核酸がバーコードで選択的に標識される配列決定プロセスであり、バーコードは、ライゲーションによってその後の複数のラウンド読み出しの前に増幅され、ヒドロゲルに結合される。STARmapの最初の出版物は、0.0034立方ミリメートルの大きさの試料サイズにおける組み合わせ配列決定の使用、及び0.238立方ミリメートルの大きさの試料サイズにおける連続的配列決定の使用を実証した。これらのデータを収集するには、かなりの人的労力が必要であり、配列決定の読み出し段階だけでも、単一の試料に対して数日間の連続した労力が必要であった。成体マウスの脳全体は、約400立方ミリメートル、すなわち、以前に実証された組み合わせ配列決定試料の体積の110,000倍を超える。無傷の組織配列決定が、容量及びスループットを増加させるための規模に近づくにつれて、それらの堅牢性を最大化し(誤差の複合蓄積を防止するために)、並列性及びスループットを増強することが非常に重要である。特に、これらの技法が研究室から臨床及び産業ワークフローに移行する場合に当てはまる。
STARmap2次世代体積インサイチュ配列決定
1.プローブ設計
SNAIL複合体の各DNA部分のライゲーションを足場とする遺伝子又はプローブ対特異的一致シグナルによるバックグラウンド標識化低減
2.アダプタオリゴ
3.オリゴの保持及び標識化
4.標的の化学保持
固定化及び透過化条件
標的の他の化学修飾
ハイブリダイゼーション及びその後のステップの前のゲルへの任意選択的な標的保持
5.浮遊するゲル
6.PEGを用いる加速されたライゲーション
7.RCA条件
8.リンカーオリゴを用いるアンプリコンの構造化及び自己組織化
9.浮遊するゲルの再結合
10.アンプリコン結合
11.STARmap2についてのSCAL及びSEDAL2配列決定
STARmap2におけるSCALのための低減されたサイクル時間及び簡素化された試薬
STARmap2における高効率組み合わせバーコード読み取りのための前方及び後方配列決定
技術的な説明
プローブ設計
標的とされたプローブ-相補配列特定
所与の種について、発現された遺伝子のライブラリは、その種についての全てのcDNA配列のライブラリから各遺伝子についての最短のアイソフォームを取得することによって得た。Bowtie2を使用して、最短アイソフォームからボウタイ(bowtie)インデックスを構築した。温度制約なしで、44~48個のヌクレオチド(nt)のオリゴ長、並びに30%の最小GC含有量及び70%の最大GC含有量で、重複モードにおいてOligoMinerのblockParse.py機能性を使用して、候補相補配列を抽出した。次いで、候補相補配列をボウタイインデックスに整列させて一意性をチェックし、全ての非独自の配列を一組の候補オリゴから除去した。最後に、遺伝子当たりの第1の位置から開始して、重複するオリゴを一組の候補遺伝子から除去した。
標的とされたプローブ-SNAIL構築
所与の一組の遺伝子の名称に対して、SNAILプローブのライブラリを設計し、入力として遺伝子当たりのSNAIL対の目標数(典型的には4つ又は16個)、並びに配列決定のためのエンコードが連続的であるべきか、又は組み合わせであるべきかを考慮した。組み合わせエンコードプローブライブラリについて、ハミングエンコードスキーム後のバーコード配列を、様々なコード長及び最小距離について事前に計算し、遺伝子の数に基づいて、適切なエンコードセットを選択した(例えば、200遺伝子セットについては、最小距離3を有する7長コードを使用した)。このコードブックからのバーコード配列を、二塩基エンコードでは、全てのラウンドにわたって単一の色のみを生成しないように、追加的にフィルタリングした。これらのフィルタリングしたバーコードを、遺伝子ごとに独自に割り当てた。次いで、組み合わせエンコード及び連続的エンコードの両方について、プローブ配列を、2つのSNAILプローブ配列部分、頭部及びシェルの各々に対して設計した。追加的に、以前に行われたように、SNAIL頭部の3’末端における2つの隣接する相補的部位についてプローブセット内の全てのプローブにわたって共通の配列を使用するのではなく、GC制約の対象となる独自の一致する配列(SNAIL一致配列)を、遺伝子ごと又はプローブ対ごとのいずれかで生成して、SNAILシェルの各末端を補完するために使用した(末端が一緒にハイブリダイゼーションされ、その後ライゲーションされる)。これらのSNAIL一致配列は、オフターゲットハイブリダイゼーション、タンパク質結合、又は他のプローブ凝集若しくは持続的な密接な相互作用のいずれかに起因して生じ得るスプリアスプローブ-プローブ相互作用を最小限に抑える効果を有し(リガーゼが不一致配列を拒絶するため)、したがって、より多くの数の遺伝子が標的とされるか、又はより高いプローブ濃度が使用されるときに特異性を促進する。所与のプローブ対について、標的とされた遺伝子の独自の配列を選択し、逆補完し、各部分が他の部分とほぼ等しい融解温度を有するように、2つの部分に分割した。共通の20ntのハイブリダイゼーション配列(以下のゲルアダプタプローブを参照されたい)の後に、逆補完標的遺伝子配列の第1の部分が続き、続いてプローブ対特異的又は遺伝子特異的SNAIL一致配列が続き、SNAIL頭部を形成した。標的配列の逆補完の第2の部分を、SNAIL一致配列の第1の半分の逆補完の後に添加し、続いて塩基を配列決定し、次いでSNAIL一致配列の第2の半分の逆補完を添加した。アンプリコン縮合及び検出オリゴが使用されたプローブセット(厚い切片、ライブラリ生成を参照されたい)について、アンプリコン縮合及び検出オリゴにおけるランダム化N塩基がハイブリダイゼーション標的間を区別する傾向があるように、標的相補配列に隣接するか、又は独自のSNAIL一致配列に隣接するかのいずれかの、全てのSNAILシェルに共通する追加の配列をSNAILシェル配列に添加した(厚い切片、ライブラリ生成を参照されたい)。
ゲルアダプタオリゴ
SNAIL頭部上の5’ハイブリダイゼーション配列に相補的なオリゴは、5’修飾自体を伴うSNAIL頭部オリゴの合成を必要とせずに、ゲル化中にSNAIL頭部配列がヒドロゲルに共有結合的に連結するように(したがって、この配列の3’末端から成長した得られたアンプリコンをより良好に保持する)、アクリダイトなどのその5’末端での機能的結合修飾で設計した。
mRNA保持及び標識オリゴ
mRNA保持及び標識化オリゴを、ヒドロゲル中の保持のための5’-アクリダイト修飾、及び(mRNAポリAテールへの安定したハイブリダイゼーションのための)相互的ロックド核酸(LNA)T塩基を含有する14merのポリdt配列、続いて、独自の18ntのハイブリダイゼーション配列で設計した。このオリゴは、ハイブリダイゼーション中又はその前にヒドロゲル中にmRNAを保持するために使用され得、ある場合には、ハイブリダイゼーションの前にゲル化が実行されることを追加的に可能にする。重要なことに、オリゴ上の独自のハイブリダイゼーション配列は、RNAが分解された後でさえ、相補的なフルオロフォア標識化オリゴとのハイブリダイゼーションを介して、総mRNAシグナルの標識化を可能にする。これは、配列決定後のデータ処理パイプラインにおける細胞質標識化に基づくセグメント化にとって重要である。
細胞バーコード化
細胞当たりのバーコードは、2つの成分で設計した。第一に、5’アミン修飾(固定化又はその後の修飾のため)又は5’ビオチン修飾(細胞を介する極性輸送を促進するため)のいずれかを含有する5’スプリント配列(splint sequence)、共通のゲルアダプタ相補配列、及び独自の40nt配列であり、第二に、配列決定エンコード配列(例えば、特定のラウンド及び塩基のための連続的エンコード配列)に隣接する、第1のプローブの独自の40nt配列の各々の半分に相補的な20ntの配列を各末端に含有するパドロックプローブである。一緒にプレハイブリダイゼーションされた一対の成分は、固定化、ハイブリダイゼーション(ゲルアダプタオリゴによる)、ヒドロゲルへの重合、ライゲーション、及びRCAによる増幅のSTARmap2手順を通じて従うことができるバーコードを構成し、任意の内因性シグナルが検出されるとともに、エンコードされた配列のSTARmap2の読み出しを可能にする。無傷組織体積におけるパッチクランプ記録後の細胞タグ付け及び形態的再構築のためのこれらの細胞バーコードの例示的な使用の方法論的説明については、以下のSTARpatchを参照されたい。
STARmap2-薄い切片、組み合わせ及び連続的
試料調製
5%のイソフルオランを使用してマウスを深く麻酔し、断頭した。脳を頭蓋骨から迅速に解剖し、チャックにおけるOCTに浸漬し、エタノール及びドライアイスのスラリー中でフラッシュ凍結し、使用するまで-80℃で保管した(使用の少なくとも30分前)。切片化の前に、脳を、クライオスタット内の切断温度に少なくとも15分間平衡化した。切片を16mm以下の厚さに切断し、製造業者の指示に従ってバインドシラン(Bind-Silane)及びポリ-L-リジンで前処理していたガラス底プレートのウェルに移した。組織の収集後、切片を4%のパラホルムアルデヒド(PFA)中で室温で10分~1時間(又は4℃で最大24時間)固定した。その後、切片を氷冷リン酸塩緩衝生理食塩水(PBS)で3回すすぎ、-20℃に予備冷却していたメタノールに移した。試料を、使用する前に、-80℃で少なくとも15分間、及び最大で数ヶ月間保管した。
試料調製-スライドに結合されている
その後、固定化の有無にかかわらず、以前にスライド上に収集された組織を以下のように調製した。組織がFFPEであり、スライド上に切片化されている場合、キシレンによる標準的なパラフィン除去、エタノールによる洗浄、及び試料の再水和を、FFPE試料回収についての典型として実行する。試料がスライドに結合されているが固定されていない場合、試料を室温で4%のPFAで短時間固定してから進める。疎水性バリアペンを使用して、スライドガラス上の各試料の周りにウェルを描画し、以下に概説されるライブラリ生成手順に従って、その後の試料調製ステップをこのウェル内で実行する。試料が過剰に固定され、酵素によってもはや浸透することができない場合、以下の再水和及びハイブリダイゼーション及び洗浄ステップを最初に実行し、続いて、ヒドロゲルの埋め込み及び清澄化を行い、(プロテイナーゼが組織のガラスへの結合を破壊しているために)かみそり又は他の器具を用いてヒドロゲルをスライドガラスからその後分離することができる。その後、ライゲーション、増幅、及び再埋め込みステップを、以下の厚い切片のプロトコルと同様の様式で実行する。
ライブラリ生成
切片を室温まで平衡化し、0.1%のTween-20及び0.1U/mlのSuperase RNAse阻害剤(PBSTwR)を含有するPBS中で少なくとも20分間再水和させ、続いて、PBSTwRで2回目のすすぎを行い、任意の残留メタノールを除去した。試料を、2X生理食塩水クエン酸ナトリウム(SSC)緩衝液、10%のホルムアミド、0.1%のTween-20、0.1mg/mLの剪断鮭精子DNA、プローブ対当たり1nM~100nMの最終濃度での組み合わせ又は連続的配列決定に適したプローブセット(標的とされたプローブを参照されたい)(90℃に3分間加熱し、ハイブリダイゼーション緩衝液に添加する前に室温までゆっくりと冷却させたプローブアリコート)、3uMでのmRNA標識オリゴ、0.2U/mlの濃度でのSuperase RNAse阻害剤、RNAseを含まない蒸留水及び脱イオン水(HO)、並びに無菌の10%のデキストラン硫酸塩溶液を含有するハイブリダイゼーション緩衝液に入れた。ある場合には、デキストラン硫酸塩溶液を省略した。少なくとも50mlのハイブリダイゼーション緩衝液を試料に添加し、典型的には125ml~250mlである。試料を、加湿したインキュベーター(Shake-N-Bakeハイブリダイゼーションオーブン)内で、40℃で少なくとも12時間、及び最大48時間インキュベーションし、撹拌した。ハイブリダイゼーションの後、切片を室温(RT)でPBSTwR中で2回、各々20分間洗浄し、撹拌した。(SSCを4倍の最終濃度まで補充した)PBSTwR中で最終的なストリンジェンシー洗浄を37℃で20分間実行し、撹拌した。切片を室温でPBSTwRで短時間すすいだ。切片を、0.2U/mlのT4 DNAリガーゼ、1X T4リガーゼ緩衝液、0.1mg/mlのBSA、0.2U/mlのSuperase RNAse阻害剤、及びHOで構成されるライゲーション混合物中でインキュベーションした。いくつかの切片について、ライゲーション速度を増加させるために、7.5%のPEG6000を使用してライゲーションを実行した。この場合、T4 DNAリガーゼ緩衝液をDTTなしで製剤化した。DTTは、反応に必要ではなく、PEG中に沈殿する。ライゲーションを室温で実行し、2時間撹拌した。次いで、切片をPBSTwRで2回、各々15分間洗浄した。次いで、切片をローリングサークル増幅(RCA)緩衝液中で30℃にてインキュベーションした。組み合わせ配列決定のために、試料を撹拌しながら2時間インキュベーションした。単一のアンプリコン分解連続的配列決定のために、試料を、また、撹拌しながら2時間インキュベーションした。細胞当たりの合計シグナルを有する連続的配列決定のために、試料を少なくとも2時間、及び最大24時間インキュベーションした。RCA緩衝液を、0.6U/mlのPhi29 DNAポリメラーゼ、1X Phi29 DNAポリメラーゼ緩衝液、0.25mMのdNTP、0.05mg/mlのBSA、40uMの5-(3-アミノアリル)-dUTP、0.2U/mlのSuperase RNAse阻害剤、及びHOで構成した。その後、切片を、撹拌することなく、PBSTw(RNAse阻害剤なし)中で2回、室温で各々15分間洗浄した。必要に応じて、翌日に進むまで試料を4℃に置いた。試料を、撹拌することなく、20mMのアクリル酸NHSエステル(AA-NHS)緩衝液で、室温で2時間処理した。試料をPBSTw中で2回すすぎ、AA-NHS緩衝液を交換した後、2X SSC、4%のアクリルアミドモノマー、0.2%のビス-アクリルアミドモノマー、及びHOで構成される予備重合緩衝液(PM1)に入れた。試料をPM1中で室温にて30分間インキュベーションして、モノマーを切片に浸透させた。インキュベーション後、PM1溶液を切片から除去し、PM1並びに1:1000v/vテトラメチルエチレンジアミン(TEMED)及び1:1000v/v過硫酸アンモニウム(APS)を含有する10~20mlの氷冷重合緩衝液(PM2)と交換した。PM2を氷上の切片に添加した。製造業者の指示に従ってGel Slick溶液でコーティングされたカバースリップを切片上に配置し、下方に押して気泡を除去し、切片上の過剰なゲルを最小限に抑えた。切片を室温で1~1.5時間重合した。カバースリップを一対の鉗子で除去し、切片をPBSTwですすいで非重合モノマーを除去した後、切片を、2X SSC、2%のSDS、0.8mg/mlのプロテイナーゼK、0.5%のトリトンX-100、及びHOを含有する消化緩衝液中で、少なくとも2時間及び最大24時間インキュベーションした。最終的に、試料をPBS中で3回、各々5分間洗浄して消化緩衝液を除去し、1:1000の濃度でのDAPIで10分間染色し、その後、PBSですすいだ。ある場合には、薄い切片試料を、洗浄時間が洗浄当たり5~10分に制限されたことを除き、以下の厚い切片プロトコルに従って処理した。
STARmap2の調製-厚い切片、組み合わせ及び連続的
試料調製
マウスに氷冷PBSを経心的に灌流し、続いて、氷冷の4%のPFAを経心的に灌流した。脳を解剖し、最大24時間、撹拌しながら一晩固定化するために、氷冷の4%のPFAに移した。その後、脳を氷冷PBS中ですすぎ、次いで、氷冷PBS中で4℃で30分間平衡化した。脳を、ビブラトーム上の氷上の新鮮な氷冷PBS中で、150mmの典型的な厚さを有する50~300mmの厚さまで切片化した。目的の領域を含む切片を、HO中の65%以上、典型的には70%のエタノールの氷冷エタノールに直接移した。切片を、使用するまで、エタノール溶液中で4℃で少なくとも一晩、及び最大で数ヶ月間保管したが、典型的には、1ヶ月未満であった。
ライブラリ生成
切片を室温まで平衡化し、PBSTwR中で少なくとも30分間再水和させ、続いて、PBSTwRで2回目のすすぎを行い、任意の残留エタノールを除去した。試料を、2X生理食塩水クエン酸ナトリウム(SSC)緩衝液、10%のホルムアミド、0.1mg/mLの剪断鮭精子DNA、プローブ対当たり1nM~100nMの最終濃度での組み合わせ又は連続的配列決定に適したプローブセット(標的とされたプローブを参照されたい)(90℃に3分間加熱し、ハイブリダイゼーション緩衝液に添加する前に室温までゆっくりと冷却させたプローブアリコート)、3mMでのmRNA標識オリゴ、プローブの総濃度での2分の1~2倍の等モル濃度におけるアクリダイトアダプタオリゴ(プローブ/RNA複合体のゲル保持用)、0.2U/mlの濃度でのSuperase RNAse阻害剤、及びRNAseを含まない蒸留水、脱イオン水(HO)、並びに10%の無菌のデキストラン硫酸塩溶液を含有するハイブリダイゼーション緩衝液に入れた。少なくとも125mlのハイブリダイゼーション緩衝液を試料に添加し、典型的には250mlを使用した。切片を、加湿したインキュベーター(Shake-N-Bakeハイブリダイゼーションオーブン)内で、40℃で少なくとも12時間、及び典型的には16~48時間インキュベーションし、撹拌した。切片を、37℃で2X SSCに補充したPBSTwR中で2回、各々30分間洗浄し、撹拌した。次いで、切片を室温でPBSTwR中で30分間洗浄し、撹拌し、次いで、PBSTwR中ですすいだ。緩衝液を、3%のアクリルアミド及び0.15%のビス-アクリルアミドを含有する脱気したPM1と交換し、切片を氷上に少なくとも1時間置き、PM1モノマーを切片に浸透させた。その後、PM1を除去し、試料を氷上に残したまま、40mlのPM2(氷上で調製した)と交換し、Gel-Slickでコーティングしたカバースリップでカバースリップした。カバースリップを下方に押して気泡を除去し、切片上に最小限のゲルで均一なゲル化を確実にし、切片をゲル化のために室温に1.5時間置いた。ある場合には、このゲル化ステップを、ゲル化が試料をウェルプレートガラスに付着させるように、カバーガラスがバインドシランにより製造業者の指示に従って前処理されていたウェル内の切片を用いて実行し、その後のライブラリ調製ステップを、試料がガラス上に不動化された状態で実行した。他の場合には、ゲル化ステップを、処理されたガラスなしで実行し、この場合では、試料調製ステップの残りを、(得られたゲルの両側から)試料へのより良好な試薬拡散、得られたシグナルのより良好な均一性、及び拡散の増加に起因するより効率的な酵素作用を可能にする、浮遊する切片を用いて実行した。ゲル化後、カバースリップを鉗子で除去し、切片をPBSTwRで洗浄した後、上記のように消化緩衝液に移し、撹拌しながら37℃で16~24時間インキュベーションして清澄化した。ある場合には、試料を48時間消化した。光学的に透明に見えない試料を、新鮮な緩衝液中で更に清澄化した。消化が完了した後、切片を、PBSTwRで撹拌する室温での3回、30分間、又はPBS+2mMのPMSF溶液で撹拌する室温での1回、30分間のいずれかで洗浄して、プロテイナーゼKを不活性化し、次いで、PBSTwRで撹拌する室温で2回、30分間洗浄した。切片を、0.2U/mlのT4 DNAリガーゼ、1X T4リガーゼ緩衝液、0.1mg/mlのBSA、0.2U/mlのSuperase RNAse阻害剤、及びHOで構成されるライゲーション混合物中でインキュベーションした。いくつかの切片について、ライゲーション速度を増加させるために、7.5%のPEG6000を使用してライゲーションを実行した。この場合、T4 DNAリガーゼ緩衝液をDTTなしで製剤化した。DTTは、反応に必要ではなく、PEG中に沈殿する。ライゲーションを室温で実行し、12~24時間、典型的には16時間撹拌した。次いで、切片を室温で撹拌しながらPBSTwRで2回、各々30分間洗浄した。試料を、0.6U/mlのPhi29 DNAポリメラーゼ、1X Phi29 DNAポリメラーゼ緩衝液、0.25mMのdNTP、0.05mg/mlのBSA、40mMの5-(3-アミノアリル)-dUTP、0.2U/mlのSuperase RNAse阻害剤、及びHOで構成されるRCA緩衝液中で4℃にておよそ6時間プレインキュベーションした。薄い切片調製物及び厚い切片を含むある場合には、RCA緩衝液は、5’一級アミン又はアクリダイトなどのゲルへの結合のための末端修飾を含有することがあり、アンプリコン上の共通の配列に相補的な配列の2つ以上のコピー、及び相補配列の各々の隣に配置された1つ以上の「N」塩基に加えて、アンプリコン検出のための独自の配列を含有することがある、アンプリコン縮合及び検出オリゴを追加的に含有した。アンプリコン上の共通の配列は、ランダム化塩基を有するアンプリコン縮合及び検出オリゴプールが、特定の遺伝子のアンプリコンにほぼ又は完全に一致するオリゴにソートされる傾向があるように、プローブ標的(例えば、内因性mRNA)に最初に一致する配列の隣に配置され得る。これは、特定の遺伝子について所与のアンプリコンから鎖を一緒に引き出す(アンプリコンの光学的広がりを減少させる)効果を有し、異なる遺伝子からの隣接するアンプリコンが密に詰められたときに凝集する可能性を低くする。RCA混合物(任意選択的にdNTPを含まない)中の試料の4℃でのプレインキュベーションは、伸長オリゴの末端分解又は不安定性によるポリメラーゼの分解を最小限に抑えながら、ポリメラーゼがZにおいて試料を均一に透過することを可能にする。プレインキュベーションの後、厚い切片は光学的により困難であり、薄い切片と比較してシグナルのより大きな増幅を必要とするため、試料を2~24時間、典型的には連続的エンコードのために16時間、及び組み合わせエンコードのために3時間揺動しながら30℃に移した。縮合オリゴを使用しない場合、30℃での3時間のインキュベーションは、アンプリコン当たりのシグナル強度とアンプリコン形状の均一性との間の最適なバランスを提供する。アンプリコン縮合及び検出オリゴは、特に厚い試料における組み合わせ配列決定のために、アンプリコンサイズの成長又はアンプリコン形状の不規則性に起因して、増幅時間の増加がアンプリコンの下流計算的検出を圧倒しないことを確実にするために役立つ。増幅後、切片を撹拌することなく室温で20分間、PBSで2回洗浄した。以前のステップを浮遊する切片(大部分の場合)において実行した試料について、切片をその後、プレートのガラス底に結合させた。そのために、ほとんどの場合、試料をポリ-L-リジンコーティングされたガラス底ウェルに移し、所望に応じて配向した。次いで、緩衝液を完全に除去し、試料をガラス上にある程度平坦に乾燥させた(室温で10分間)。次いで、試料を、PFA、グルタルアルデヒド、BSPEG9、又は他のBis-NHS架橋剤(変化する長さ及び組成の中間鎖を有する)などのアミンに結合する過剰な架橋剤(典型的にはグルタルアルデヒドを有する)に室温で1時間浸した後、Trisで30分間クエンチし、室温にてPBSで3回、各々20分間最終的に洗浄し、2回目の洗浄は、DAPIを1:1000で含有していた。ある場合には、試料の境界の周りに急速に重合するエラストマー剤の添加を介して、試料をカバーガラス上で追加的に安定化させた。ある場合には、浮遊する切片を、AA-NHS緩衝液中で(薄い切片の方法のセクションに記載されるように)室温で2時間インキュベーションし、室温にてPBS中で2×20分間洗浄し、次いで、室温で脱気したPM1中で30分間インキュベーションした。次いで、切片をPM2中の氷上に5分間浸した後、氷上のバインドシラン処理されたガラス底ウェルに移し、全てのPM2溶液を除去し、試料をウェル底に対して平坦に押し付け、残留PM2をKimwipeで乾かし(過剰なゲル化を防止するため)、試料をGel-Slickコーティングされたカバーガラスでカバーし、その後、室温で1時間重合させ、その後、カバースリップを除去し、切片を室温でPBSで20分間3回洗浄し、2回目の洗浄は、DAPIを1:1000濃度で含有していた。最初のゲル化中に浮遊しなかったが、代わりにウェルのガラス底に結合された切片について、上記のように試料を架橋剤で処理して、グルタルアルデヒド、PFA、BSPEG9、又は他のBis-NHS架橋剤などのアンプリコンをより良好に保持し、Trisでクエンチし、次いで洗浄した。最後に、ある場合には、全体の厚い切片手順を、以前にヒドロゲル形成及び清澄化を受けていた試料に対して実行し、スプリント化(splinted)されたパドロックプローブ及び/又は外因性オリゴ(バーコードとして、又は他の細胞標的の標識化として)、内因性RNA、若しくは細胞成分などの標的をヒドロゲルに保持した(例えば、CLARITY手順)。これらのプローブ又は標的のゲルへの連結を、ヒドロゲル結合について前述のように、又は(例えば、メルファランのようなアルキル化剤をアクリル酸NHSエステル又はアクリロイル-Xと反応させることによって)ヒドロゲルモノマー部分と組み合わせた他の化学架橋剤、特定の抗体、若しくはオリゴによって実行し、これらの基質がゲル形成時にゲルに組み込まれるように修飾した。次いで、最初のゲル化及び消化ステップを除去した状態で、ハイブリダイゼーション(非スプリント化パドロックプローブの場合)から、又はライゲーションステップから開始して、厚い(又はある場合には、最終ゲル化ステップが省略される薄い)切片STARmap2手順を実行した。
配列決定サイクル-SCAL及びSEDAL2
SCAL又はSEDAL2についての配列決定サイクルは、任意選択的に、第1のシグナル付加に進む前に、短時間の試料洗浄で開始する。SCAL配列決定の場合、連続的又は組み合わせエンコードが特定のラウンドに使用されているか否かに応じて、対応する一組のOR及びフルオルオリゴ又はRO及びフルオルオリゴ、並びにそれらのラウンド特異的競合物を、BSA(1:100)、T4リガーゼ(1:20)、10xT4リガーゼ緩衝液(上記のように、DTTなしで)、PEG6000(7.5%)、DAPI(1:1000)、及びHOからなるリガーゼ混合物中で試料に添加する。組み合わせエンコードでは、所与の位置xについてのROオリゴを添加し、更に16個のオリゴの二塩基エンコードフルオロフォアセット、更に標識化された以前の位置についての競合物オリゴを添加する(それが標識化の第1のラウンドである場合を除き、その場合には、競合物オリゴは省略される)。連続的エンコードでは、所与のラウンドxについてのORオリゴ、4チャネルフルオロフォア混合物、及びラウンドx-1競合物オリゴを、それが標識化の第1のラウンドである場合を除き添加する。配列決定ライゲーション混合物中のPEGの存在は、標的へのシグナル付加を実質的に加速させる。標的は、標識化段階で1~4時間標識化される。その後、試料を1X SSC緩衝液中で洗浄し、過剰なフルオロフォア及びOR/ROオリゴを除去した後、緩衝液を抗退色溶液からなる撮像緩衝液に交換する。抗退色溶液は、室温での活性をより長期間維持するために別個に保管される2つの部分の溶液である。撮像緩衝液の第1の成分は、Tris HCl(125mM)、SSC(1X)、HO、トロロックス-キノン(TQ)溶液(ストック中約500mMのキノン、撮像緩衝液中100mMのTQにおける)、2mMのトロロックス、グルコースオキシダーゼ(0.66mg/ml)、及びカタラーゼ(0.8mg/ml)を含有する。撮像緩衝液の第2の成分は、1X SSC中の1.11Mのグルコースで構成される。撮像緩衝液中の試料のインキュベーション後、試料を撮像し、次の配列決定サイクルに進む前に短時間すすぐ。
SEDAL2の場合、競合物オリゴが省略され、OR/ROオリゴがオリゴ中に競合物特異的相補的配列を含有しないことを除き、シグナル付加段階中に上記のように記載されるものと同じオリゴ/ライゲーション混合物を使用する。上記のような試料添加、洗浄、撮像緩衝液添加、及び撮像の後、SEDAL2は、シグナル除去のための別個の段階を含み、シグナルは、ホルムアミド含有剥離溶液(例えば、80%のホルムアミド、0.1%のトリトン-X、2X SSC、及びHO)で剥離して除かれるか、又はチオール連結色素が蛍光オリゴを連続的にエンコードするために使用される場合、2X SSC、50mMのTCEP、及びHOを含有する切断溶液で剥離して除かれるかのいずれかである。その後、上記のように試料をHO又はPBSTw中のいずれかの1X SSCにおいて洗浄した後、シグナル付加の次のラウンドに進む。
データ転送
配列決定実行によって大量のデータを生成できるため、配列決定中に別個のシステムスレッドが実行され、完了したデータファイル(画像、メタデータ、構成)を定期的にチェックし、それらを大規模な記憶バッファディスク又はクラウドコンピューティング記憶のいずれかにストリーミングし、データが更に処理される。

Claims (72)

  1. 無傷組織における細胞における標的核酸のインサイチュ遺伝子配列決定のための方法であって、前記方法が、
    (a)特異的ハイブリダイゼーションを可能にする条件下で、固定され、透過化された無傷組織を少なくとも一対のオリゴヌクレオチドプライマーと接触させることであって、
    一対のプライマーが、第1のオリゴヌクレオチド及び第2のオリゴヌクレオチドを含み、
    前記第1のオリゴヌクレオチド及び前記第2のオリゴヌクレオチドの各々が、第1の相補性領域、第2の相補性領域、及び第3の相補性領域を含み、前記第2のオリゴヌクレオチドが、バーコード配列を更に含み、
    前記第1のオリゴヌクレオチドの前記第1の相補性領域が、前記標的核酸の第1の部分に相補的であり、前記第1のオリゴヌクレオチドの前記第2の相補性領域が、前記第2のオリゴヌクレオチドの前記第1の相補性領域に相補的であり、前記第1のオリゴヌクレオチドの前記第3の相補性領域が、前記第2のオリゴヌクレオチドの前記第3の相補性領域に相補的であり、前記第2のオリゴヌクレオチドの前記第2の相補性領域が、前記標的核酸の第2の部分に相補的であり、前記標的核酸の前記第1の部分が、前記標的核酸の前記第2の部分に隣接しており、前記第1のオリゴヌクレオチドの前記第2の相補性領域が、独自の一致する配列の第1の部分を含み、前記第1のオリゴヌクレオチドの前記第3の相補性領域が、前記独自の一致する配列の第2の部分を含み、前記第2のオリゴヌクレオチドの前記第1の相補性領域が、前記独自の一致する配列の前記第1の部分に相補的である配列を含み、前記第2のオリゴヌクレオチドの前記第3の相補性領域が、前記独自の一致する配列の前記第2の部分に相補的である配列を含む、接触させることと、
    (b)リガーゼを添加して、前記第2のオリゴヌクレオチドをライゲーションし、閉じた核酸環を生成することと、
    (c)核酸分子の存在下でローリングサークル増幅を実行することであって、鋳型として前記第2のオリゴヌクレオチドと、ポリメラーゼのためのプライマーとして前記第1のオリゴヌクレオチドとを使用して、1つ以上のアンプリコンを形成することを含む、実行することと、
    (d)前記1つ以上のアンプリコンをヒドロゲルサブユニットの存在下で埋め込んで、1つ以上のヒドロゲルに埋め込まれたアンプリコンを形成することと、
    (e)ライゲーションを可能にする条件下で、前記バーコード配列を有する前記1つ以上のヒドロゲルに埋め込まれたアンプリコンを一組の配列決定プライマーと接触させることであって、前記一組の配列決定プライマーが、塩基を解読するように構成された第3のオリゴヌクレオチド及び解読された塩基をシグナルに変換するように構成された第4のオリゴヌクレオチドを含み、前記ライゲーションが、前記第3のオリゴヌクレオチド及び前記第4のオリゴヌクレオチドの両方が同じアンプリコンの隣接する配列に相補的であるときにのみ生じる、接触させることと、
    (f)ステップ(e)を何度も繰り返すことと、
    (g)前記1つ以上のヒドロゲルに埋め込まれたアンプリコンを撮像して、前記無傷組織における前記細胞における前記標的核酸の遺伝子配列をインサイチュで決定することと
    を含む、方法。
  2. 前記固定され、透過化された無傷組織を、前記第1のオリゴヌクレオチドに結合するゲルアダプタオリゴヌクレオチドと接触させることを更に含み、前記ゲルアダプタオリゴヌクレオチドが、ゲル化の間に前記ゲルアダプタオリゴヌクレオチドを前記ヒドロゲルに連結する5’末端又は3’末端にヌクレオチド修飾を含む、請求項1に記載の方法。
  3. 前記ヌクレオチド修飾が、アクリダイト基を含む、請求項2に記載の方法。
  4. 前記第1のオリゴヌクレオチドが、前記ゲルアダプタオリゴヌクレオチドに対する共通の結合部位を更に含む、請求項2又は3に記載の方法。
  5. 前記ゲルアダプタオリゴヌクレオチドに対する前記共通の結合部位が、前記第1のオリゴヌクレオチドの前記第1の相補性領域に隣接している、請求項4に記載の方法。
  6. 前記固定され、透過化された無傷組織を、前記アンプリコンの検出及び縮合のためのオリゴヌクレオチドプローブと接触させることを更に含み、前記オリゴヌクレオチドプローブが、前記第2のオリゴヌクレオチドに結合する、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
  7. 前記第2のオリゴヌクレオチドが、前記アンプリコンの検出及び縮合のための前記オリゴヌクレオチドプローブに対する共通の結合部位を更に含む、請求項6に記載の方法。
  8. 前記アンプリコンの検出及び縮合のための前記オリゴヌクレオチドプローブに対する前記共通の結合部位が、前記第2の相補性領域に隣接しているか、又は前記第2のオリゴヌクレオチドの前記独自の一致する配列の第2の半分に相補的である配列に隣接している、請求項7に記載の方法。
  9. 前記オリゴヌクレオチドプローブが、目的のプローブ標的のアンプリコンを検出するための独自の配列、及び前記アンプリコン上の共通の配列に相補的な配列の2つ以上のコピーを含む、請求項6~8のいずれか一項に記載の方法。
  10. 前記オリゴヌクレオチドプローブが、第1のオリゴヌクレオチドプローブがゲル化の間に前記ヒドロゲルに連結されるように、5’末端又は3’末端にヌクレオチド修飾を更に含む、請求項6~9のいずれか一項に記載の方法。
  11. 前記ヌクレオチド修飾が、アクリダイト基を含む、請求項10に記載の方法。
  12. 細胞を、
    5’アミン修飾又は5’ビオチン修飾、ゲルアダプタオリゴヌクレオチドとハイブリダイゼーションする共通のゲルアダプタ相補配列、及び独自のバーコード配列を含む第1のプローブ、並びに
    前記独自のバーコード配列の第1の部分に相補的である第1の配列、及び前記独自のバーコード配列の第2の部分に相補的である第2の配列を含む第2のプローブと接触させることによって、
    前記細胞をバーコード化することを更に含んでおり、
    前記第1の配列及び前記第2の配列が、配列決定エンコード配列に隣接し、前記第1のプローブ及び前記第2のプローブのハイブリダイゼーションが、前記第1のプローブ及び前記第2のプローブを含むバーコード複合体の形成をもたらす、バーコード化することを更に含む、
    請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
  13. 前記第2のプローブが、パドロックプローブである、請求項12に記載の方法。
  14. 前記標的核酸の前記第1の部分及び前記標的核酸の前記第2の部分が、ほぼ同じ融解温度を有する、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
  15. 前記固定され、透過化された無傷組織を、mRNA保持オリゴヌクレオチドと接触させることを更に含んでおり、
    前記mRNA保持オリゴヌクレオチドが、
    5’末端又は3’末端におけるヌクレオチド修飾であって、前記mRNA保持オリゴヌクレオチドが、ゲル化の間に前記ヒドロゲルに連結される、ヌクレオチド修飾と、
    mRNAのポリAテールにハイブリダイゼーションするポリTテールであって、前記mRNA保持オリゴヌクレオチドの前記ポリTテールと前記mRNAの前記ポリAテールとのハイブリダイゼーションが、前記ヒドロゲル中に前記mRNAを保持する、ポリTテールと、
    独自のハイブリダイゼーション配列と
    を含む、
    請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
  16. 前記ポリTテールが、相互的ロックド核酸(LNA)チミン(T)塩基を含む、請求項15に記載の方法。
  17. 前記固定され、透過化された無傷組織を、前記mRNA保持オリゴヌクレオチドの前記独自のハイブリダイゼーション配列に選択的に結合する蛍光標識されたプローブオリゴヌクレオチドと接触させることを更に含む、請求項15又は16に記載の方法。
  18. 配列決定が、連続的又は組み合わせエンコードを用いて実行される、請求項1~17のいずれか一項に記載の方法。
  19. 前記ローリングサークル増幅を実行する前に、組織全体への前記ポリメラーゼの均一な拡散を可能にするために十分な時間、組織試料を前記ポリメラーゼとともにプレインキュベーションすることを更に含む、請求項1~18のいずれか一項に記載の方法。
  20. 撮像が、酸化防止剤を含む抗退色緩衝液の存在下で実行される、請求項1~19のいずれか一項に記載の方法。
  21. 前記抗退色緩衝液が、トロロックス(6-ヒドロキシ-2,5,7,8-テトラメチルクロマン-2-カルボン酸)及びトロロックス-キノンを含む、請求項20に記載の方法。
  22. 前記シグナルが、蛍光シグナルである、請求項1~21のいずれか一項に記載の方法。
  23. 前記ヒドロゲルをホルムアミドと接触させることによって、撮像後に前記シグナルを除去することを更に含む、請求項22に記載の方法。
  24. 前記第4のオリゴヌクレオチドが、ジスルフィド結合によってフルオロフォアに共有結合的に連結する、請求項22に記載の方法。
  25. 撮像後に前記ヒドロゲルを還元剤と接触させることを更に含み、前記ジスルフィド結合の還元が、前記第4のオリゴヌクレオチドからの前記フルオロフォアの切断をもたらす、請求項24に記載の方法。
  26. 一組のプライマーが、試料と接触する前に加熱することによって変性される、請求項1~25のいずれか一項に記載の方法。
  27. 前記細胞が、細胞の集団に存在する、請求項1~26のいずれか一項に記載の方法。
  28. 前記細胞の集団が、複数の細胞型を含む、請求項27に記載の方法。
  29. 前記固定され、透過化された無傷組織を前記接触させることが、前記プライマーを同じ標的核酸にハイブリダイゼーションすることを含む、請求項1~28のいずれか一項に記載の方法。
  30. 前記標的核酸が、RNA又はDNAである、請求項1~29のいずれか一項に記載の方法。
  31. 前記RNAが、mRNAである、請求項30に記載の方法。
  32. 前記第2のオリゴヌクレオチドが、パドロックプローブを含む、請求項1~31のいずれか一項に記載の方法。
  33. 前記第1のオリゴヌクレオチドの前記第1の相補性領域が、19~25個のヌクレオチドの長さを有する、請求項1~32のいずれか一項に記載の方法。
  34. 前記第1のオリゴヌクレオチドの前記第2の相補性領域が、6つのヌクレオチドの長さを有する、請求項1~33のいずれか一項に記載の方法。
  35. 前記第1のオリゴヌクレオチドの前記第3の相補性領域が、6つのヌクレオチドの長さを有する、請求項1~34のいずれか一項に記載の方法。
  36. 前記第2のオリゴヌクレオチドの前記第1の相補性領域が、6つのヌクレオチドの長さを有する、請求項1~35のいずれか一項に記載の方法。
  37. 前記第2のオリゴヌクレオチドの前記第2の相補性領域が、19~25個のヌクレオチドの長さを有する、請求項1~36のいずれか一項に記載の方法。
  38. 前記第2のオリゴヌクレオチドの前記第3の相補性領域が、6つのヌクレオチドの長さを有する、請求項1~37のいずれか一項に記載の方法。
  39. 前記第2のオリゴヌクレオチドの前記第1の相補性領域が、前記第2のオリゴヌクレオチドの5’末端を含む、請求項1~38のいずれか一項に記載の方法。
  40. 前記第2のオリゴヌクレオチドの前記第3の相補性領域が、前記第2のオリゴヌクレオチドの3’末端を含む、請求項1~39のいずれか一項に記載の方法。
  41. 前記第2のオリゴヌクレオチドの前記第1の相補性領域が、前記第2のオリゴヌクレオチドの前記第3の相補性領域に隣接している、請求項1~40のいずれか一項に記載の方法。
  42. 前記第2のオリゴヌクレオチドの前記バーコード配列が、前記標的核酸の特定のためのバーコード情報を提供する、請求項1~41のいずれか一項に記載の方法。
  43. 前記固定され、透過化された無傷組織を前記接触させることが、異なる標的核酸に対する特異性を有する複数のオリゴヌクレオチドプライマーをハイブリダイゼーションさせることを含む、請求項1~42のいずれか一項に記載の方法。
  44. 前記第2のオリゴヌクレオチドが、閉じた鎖核酸環として提供され、リガーゼを添加するステップが、省略される、請求項1~43のいずれか一項に記載の方法。
  45. オリゴヌクレオチドの融解温度(T)が、溶液中のライゲーションを最小限に抑えるように選択される、請求項1~44のいずれか一項に記載の方法。
  46. 前記リガーゼを添加することが、DNAリガーゼを添加することを含む、請求項1~45のいずれか一項に記載の方法。
  47. 前記核酸分子が、アミン修飾されたヌクレオチドを含む、請求項1~46のいずれか一項に記載の方法。
  48. 前記アミン修飾されたヌクレオチドが、アクリル酸N-ヒドロキシスクシンイミド部分修飾を含む、請求項47に記載の方法。
  49. 埋め込むことが、前記1つ以上のアンプリコンをアクリルアミドと共重合させることを含む、請求項1~48のいずれか一項に記載の方法。
  50. 埋め込むことが、前記1つ以上のヒドロゲルに埋め込まれたアンプリコンを清澄化することを含み、前記標的核酸が、前記1つ以上のヒドロゲルに埋め込まれたアンプリコンに実質的に保持される、請求項1~49のいずれか一項に記載の方法。
  51. 清澄化することが、前記1つ以上のヒドロゲルに埋め込まれたアンプリコンから複数の細胞成分を実質的に除去することを含む、請求項50に記載の方法。
  52. 清澄化することが、前記1つ以上のヒドロゲルに埋め込まれたアンプリコンから脂質若しくはタンパク質、又はそれらの組み合わせを実質的に除去することを含む、請求項50又は51に記載の方法。
  53. 前記1つ以上のヒドロゲルに埋め込まれたアンプリコンを接触させることが、配列決定が進むにつれて、誤差の蓄積を排除することを含む、請求項1~52のいずれか一項に記載の方法。
  54. 撮像が、共焦点顕微鏡法、二光子顕微鏡法、明視野顕微鏡法、無傷組織拡張顕微鏡法、及び/又はCLARITY(商標)最適化光シート顕微鏡法(COLM)を使用して、前記1つ以上のヒドロゲルに埋め込まれたアンプリコンを撮像することを含む、請求項1~53のいずれか一項に記載の方法。
  55. 前記無傷組織が、薄い切片である、請求項1~54のいずれか一項に記載の方法。
  56. 前記無傷組織が、5~20μmの厚さを有する、請求項55に記載の方法。
  57. 前記1つ以上のヒドロゲルに埋め込まれたアンプリコンを接触させることが、4回以上生じる、請求項55又は56に記載の方法。
  58. 前記無傷組織が、厚い切片である、請求項1~54のいずれか一項に記載の方法。
  59. 前記無傷組織が、50~200μmの厚さを有する、請求項58に記載の方法。
  60. 前記1つ以上のヒドロゲルに埋め込まれたアンプリコンを接触させることが、6回以上生じる、請求項58又は59に記載の方法。
  61. 前記第3のオリゴヌクレオチド及び前記第4のオリゴヌクレオチドのライゲーションが、ポリエチレングリコールポリマーの存在下で実行される、請求項1~60のいずれか一項に記載の方法。
  62. 前記PEGポリマーが、PEG6000である、請求項61に記載の方法。
  63. 前記独自の一致する配列が、ランダム化配列である、請求項1~62のいずれか一項に記載の方法。
  64. 候補薬剤をスクリーニングして、前記候補薬剤が無傷組織における細胞における核酸の遺伝子発現を調節するか否かを決定する方法であって、
    請求項1~63のいずれか一項に記載の方法を実行して、前記無傷組織における前記細胞における前記標的核酸の前記遺伝子配列を決定することと、
    前記標的核酸の遺伝子発現のレベルを検出することであって、前記候補薬剤の不在下での前記標的核酸の発現の前記レベルに対する、前記候補薬剤の存在下での前記標的核酸の発現の前記レベルの変化が、前記候補薬剤が前記無傷組織における前記細胞における前記核酸の遺伝子発現を調節することを示す、検出することと
    を含む、方法。
  65. 前記検出することが、フローサイトメトリー、配列決定、プローブ結合及び電気化学的検出、pH変化、DNAタグに結合した酵素によって誘発された触媒作用、量子もつれ、ラマン分光法、テラヘルツ波技術、並びに/又は走査型電子顕微鏡法を実行することを含む、請求項64に記載の方法。
  66. 前記フローサイトメトリーが、質量サイトメトリー又は蛍光活性化フローサイトメトリーである、請求項65に記載の方法。
  67. 前記検出することが、顕微鏡法、走査質量分析、又は他の撮像技法を実行することを含む、請求項64~66のいずれか一項に記載の方法。
  68. 前記検出することが、シグナルを検出することを含む、請求項64~67のいずれか一項に記載の方法。
  69. 前記シグナルが、蛍光シグナルである、請求項68に記載の方法。
  70. システムであって、
    流体デバイスと、
    請求項1~69のいずれか一項に記載の方法を実行するように構成されたプロセッサユニットと
    を備える、システム。
  71. 撮像チャンバを更に備える、請求項70に記載のシステム。
  72. ポンプを更に備える、請求項70又は71に記載のシステム。
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