JP2024519832A - アルデヒドの気相水素化のためのプロセス - Google Patents

アルデヒドの気相水素化のためのプロセス Download PDF

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Abstract

本発明は、アルデヒドの気相水素化のためのプロセスに関する。一実施形態では、プロセスは、(a)液体アルデヒドストリームを気化システムに提供して、気状アルデヒドストリームを弱塩基性アミンの存在下で生成することであって、弱塩基性アミンが、アルデヒドの標準沸点よりも少なくとも50℃高い標準沸点を有し、弱塩基性アミンが、液体アルデヒドストリーム中の酸性不純物と反応して、アンモニウム塩付加物を形成し、アンモニウム塩付加物及び任意の過剰な弱塩基性アミンが、気化システムから重質パージとして除去される、生成することと、(b)水素ストリームを気化システムに供給することによって、工程(a)の後に水素ストリームを気状アルデヒドストリームに添加することによって、又はこれらの組み合わせのいずれかによって、気状アルデヒドストリームを水素ストリームと組み合わせることと、(c)組み合わされた気状アルデヒドと水素とのストリームを気相水素化ゾーンに提供することと、(d)気状アルデヒドを気相水素化ゾーンにおいて水素化することと、を含む。

Description

本発明は、一般に、アルデヒドの気相水素化(vapor phase hydrogenation、VPH)のためのプロセスに関する。
アルデヒド(及び不飽和アルデヒド)の対応するアルコールへの還元のための不均質(充填床)水素化触媒の使用は周知である。このような水素化触媒を利用する場合、特に気相水素化において、例えば、反応性、選択性(副反応の回避)、及び床全般にわたる圧力降下を含む多くの問題が考慮される必要がある。
例えば、これらの問題を軽減するために、水素化触媒粒子の形状及びサイズに関してかなりの研究がなされてきた。米国特許第4,673,664号は、押出成形によって形成されたらせん状、ローブ状、又はポリローブ状の触媒粒子を使用することによる、固定床反応器内の圧力の改善について考察しており、これらの触媒粒子は、それらの装飾的な構造に起因して、追加の空隙空間を作成する。米国特許出願公開第2017/0189875号は、様々な装飾的な形状の触媒粒子を使用することによる、固定床反応器内の圧力降下の改善について考察しており、これらの粒子を用いる反応器設計について考察している。
米国特許第6096931号は、低レベル(窒素基準1~50ppm)のアミンをVPH触媒ゾーンに入る気相に添加して、おそらく触媒自体の部位を改変することによって、VPH触媒自体の挙動を改変することを教示している。気相中のアミンの必要なレベルを達成するために、アミンは揮発性でなければならないか、又は気化温度及びVPH温度は、アミンを気化させ、VPH触媒上での凝縮を回避するのに十分に高くなければならない。次いで、このプロセスは、VPH反応ゾーンの後にアミンを分離することを必要とする。VPHゾーン及び下流の精製プロセス中にアミンを存在させることは、アミン触媒によるアルドール縮合によって重質物を生成する可能性が高い。この参考文献は、アルデヒド供給物と共に入ってくる酸性種の影響については言及しておらず、入ってくる酸性度に対する改善策を提供していない。
考慮される必要がある別の問題は、気相水素化において使用される固体水素化触媒の劣化である。触媒が使用されるにつれて、固体触媒が劣化して「微粉」又は「触媒ダスト」を生成することが見出された。これらの「微粉」の正確な性質は定義されておらず、触媒及び担体の性質に応じて変化し得る。しかしながら、これらの微粉の生成を許容する触媒の能力は、過去に適切に対処されていなかった。水素化触媒からの微粉の発生は、触媒床全般にわたる圧力降下の望ましくない増加をもたらし得る。優れた性能で開始するが、急速に劣化する(すなわち、経時的に急速な圧力降下の増加を示す)触媒床は、頻繁に交換される必要があり、これは、プラントの停止、及び高価な触媒の回収又は触媒の廃棄を必要とし得る。
触媒劣化を最小限に抑え、したがって触媒を改善する、アルデヒドの気相水素化のためのプロセスを有することが望ましい。
典型的な気相水素化(VPH)プロセスでは、水素化反応器に入る前に、アルデヒドストリームは、気化器を通過する。気化プロセス中に存在する穏和な塩基を有することは、いくつかの触媒担体による触媒劣化の少なくとも1つの原因を軽減することが見出された。穏和な塩基は、アルデヒドストリーム中に存在し得る酸性不純物(例えば、オレフィンカルボニル化、アルデヒドの酸化、又は重質エステル加水分解からおそらく誘導されるカルボン酸)を中和すると考えられる。加えて、酸性不純物の存在は、気化及び水素化プロセス中に副反応を引き起こし得る。例えば、多くの場合、上流のヒドロホルミル化プロセス(任意の中間貯蔵を含む)からの酸性不純物の量は、VPH触媒の分解を引き起こし、並びに低減した収率をもたらす副反応を引き起こすのに十分に高い場合がある。
一実施形態では、アルデヒドの気相水素化のためのプロセスは、
(a)液体アルデヒドストリームを気化システムに提供して、気状アルデヒドストリームを弱塩基性アミンの存在下で生成することであって、弱塩基性アミンが、アルデヒドの標準沸点よりも少なくとも50℃高い標準沸点を有し、弱塩基性アミンが、液体アルデヒドストリーム中の酸性不純物と反応して、アンモニウム塩付加物を形成し、アンモニウム塩付加物及び任意の過剰な弱塩基性アミンが、気化システムから重質パージとして除去される、生成することと、
(b)水素ストリームを気化システムに供給することによって、工程(a)の後に水素ストリームを気状アルデヒドストリームに添加することによって、又はこれらの組み合わせのいずれかによって、気状アルデヒドストリームを水素ストリームと組み合わせることと、
(c)組み合わされた気状アルデヒドと水素とのストリームを気相水素化ゾーンに提供することと、
(d)気状アルデヒドを気相水素化ゾーンにおいて水素化することと、含む。
これら及び他の実施形態は、「発明を実施するための形態」において、より詳細に説明される。
本発明の一実施形態によるプロセスストリーム及び装置を示すシステム図である。
この開示は、一般に、アルデヒドの気相水素化のためのプロセスに関する。VPHは、典型的には、成分として遷移金属及び少なくとも1つの担体を含む固定床触媒の存在下で、少なくとも1つのアルコール生成物を形成するのに十分な不均質なVPH条件下で、少なくとも1つのアルデヒドを水素と接触させることを伴う。水素化の前に、液体アルデヒドストリームは、典型的には、気化システムにおいて気状アルデヒドストリームに変換される。一態様では、本発明は、液体アルデヒドストリームを気化システムに提供して、気状アルデヒドストリームを弱塩基性アミンの存在下で生成することであって、弱塩基性アミンが、アルデヒドの標準沸点よりも少なくとも50℃高い標準沸点を有し、弱塩基性アミンが、液体アルデヒドストリーム中の酸性不純物と反応して、アンモニウム塩付加物を形成し、アンモニウム塩付加物及び任意の過剰な弱塩基性アミンが、気化システムから重質パージとして除去される、生成することを含む。気状アルデヒドストリームは、水素ストリームを気化システムに供給することによって、気化の後に水素ストリームを気状アルデヒドストリームに添加することによって、又はこれらの組み合わせのいずれかによって、水素ストリームと組み合わされる。組み合わされた気状アルデヒドと水素とのストリームは、気相水素化ゾーンに提供され、気状アルデヒドは、気相水素化ゾーンにおいて水素化される。
元素の周期表及びその中の様々な族に対する全ての言及は、CRC Handbook of Chemistry and Physics,72nd Ed.(1991-1992)CRC Press、page I-11で公開されたバージョンである。
特段の記載がない限り、又は文脈から黙示的でない限り、全ての部及びパーセンテージは、重量に基づくものであり、全ての試験方法は、本出願の出願日現在のものである。米国特許実務の目的のために、任意の参照される特許、特許出願又は公開の内容は、特に定義の開示(具体的に本開示で提供されるいずれの定義とも矛盾しない範囲)及び当該技術分野における一般知識に関して、参照によりそれらの全体が組み込まれる(又はそれと等価な米国版がそのように参照により組み込まれる)。
本明細書で使用される場合、「a」、「an」、「the」、「少なくとも1つ」、及び「1つ以上」は、互換的に使用される。「含む(comprise)」、「含む(include)」という用語、及びそれらの変形は、これらの用語が明細書及び特許請求の範囲に現れる場合に限定的な意味を有しない。したがって、例えば、「1つの」疎水性ポリマーの粒子を含む水性組成物は、組成物が「1つ以上の」疎水性ポリマーの粒子を含むことを意味すると解釈され得る。
また、本明細書において、端点による数値範囲の列挙は、その範囲に包含される全ての数を含む(例えば、1~5は、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4、5などを含む)。本発明の目的のために、当業者が理解することと一致して、数値範囲は、その範囲に含まれる可能性のある全ての部分範囲を含み、かつサポートすることを意図するということを理解されたい。例えば、1~100の範囲は、1.01~100、1~99.99まで、1.01~99.99まで、40~60まで、1~55までなどを伝達することを意図している。また、本明細書では、数値範囲及び/又は数値の列挙は、特許請求の範囲におけるそのような記載を含めて、「約」という用語を含むように読むことができる。このような場合、「約」という用語は、本明細書に記載されているものと実質的に同じ数値範囲及び/又は数値を指す。
本明細書で使用される場合、「ppmw」という用語は、重量百万分率を意味する。弱塩基性アミンの濃度を評価するために使用される場合、「ppmw(窒素基準)」という句は、アミン窒素の重量を混合物の総重量で除算したものに基づく。これは、分析をアミンの分子量から独立させ、弱塩基性アミン上の活性基に焦点を合わせる。アミン窒素は、四級アミンなどの酸と反応し得ない窒素部分を含まない。
本明細書で使用される場合、「置換された」という用語は、別段の指示がない限り、有機化合物の全ての許容される置換基を含むことが企図される。広範な態様では、許容される置換基には、有機化合物の非環式及び環式、分岐状及び非分岐状、炭素環式及び複素環式、芳香族及び非芳香族の置換基が含まれる。例示的な置換基には、例えば、アルキル、アルキルオキシ、アリール、アリールオキシ、ヒドロキシアルキル、アミノアルキル(炭素の数が1~20以上、好ましくは1~12の範囲であり得る)、並びにヒドロキシ、ハロ、及びアミノが含まれる。許容される置換基は、適切な有機化合物について、1つ以上であり得、同じか又は異なり得る。本発明は、有機化合物の許容される置換基によりいかなる方式でも限定されることは意図されていない。
本明細書で使用される場合、「気相水素化」という用語は、不均質(固体)触媒を使用して、1つ以上の置換若しくは非置換アルデヒド化合物又は1つ以上の置換若しくは非置換アルデヒド化合物を含む反応混合物を、1つ以上の置換若しくは非置換アルコール又は1つ以上の置換若しくは非置換アルコールを含む反応混合物に変換することを伴う全ての気相水素化プロセスを含むが、これらに限定されないことが企図される。アルコールは、不斉又は非不斉であり得る。出発アルデヒドは、不飽和であり得(アルデヒド部分との共役又は非共役)、得られる生成物は、対応する飽和又は不飽和アルコールであり得る。
一態様では、アルデヒドの気相水素化のためのプロセスは、(a)液体アルデヒドストリームを気化システムに提供して、気状アルデヒドストリームを弱塩基性アミンの存在下で生成することであって、弱塩基性アミンが、アルデヒドの標準沸点よりも少なくとも50℃高い標準沸点を有し、弱塩基性アミンが、液体アルデヒドストリーム中の酸性不純物と反応して、アンモニウム塩付加物を形成し、アンモニウム塩付加物及び任意の過剰な弱塩基性アミンが、気化システムから重質パージとして除去される、生成することと、(b)水素ストリームを気化システムに供給することによって、工程(a)の後に水素ストリームを気状アルデヒドストリームに添加することによって、又はこれらの組み合わせのいずれかによって、気状アルデヒドストリームを水素ストリームと組み合わせることと、(c)組み合わされた気状アルデヒドと水素とのストリームを気相水素化ゾーンに提供することと、(d)気状アルデヒドを気相水素化ゾーンにおいて水素化することと、を含む。
トリアルキルアミンなどの単純なアミンは、塩基性が高すぎるが、単純なアルカノールアミン及び及びイミダゾールなどの複素環式窒素化合物は、アルドール縮合重質物を生成することなく酸性不純物を効果的に中和するのに十分に塩基性度が低い。これは、より長い触媒寿命につながる。加えて、供給酸の除去は、VPHプロセス自体における副反応の低減に寄与する。アルカノールアミン及びイミダゾールは、非常に低い揮発性を示すので、それらは、VPHシステム中に気化せず、気化器重質ストリーム中で(任意の塩と共に)除去され、したがって下流の精製に影響を及ぼさない。弱塩基性アミンのアルカリ性度又は塩基性度は、一般に、共役酸のpKaとして報告され、これは、有利なことには25℃で5~11である。pKaは、いくつかの実施形態では、好ましくは25℃で5.0~9.5であり、最も好ましくは25℃で6.0~9.0である。いくつかの実施形態では、弱塩基性アミンは、アルデヒドの標準沸点よりも少なくとも100℃高い標準沸点を有する。いくつかの実施形態では、本発明のプロセスにおいて使用される弱塩基性アミンは、トリアルカノールアミン又はイミダゾールを含む。いくつかの実施形態では、本発明のプロセスにおいて使用される弱塩基性アミンは、トリエタノールアミン又はベンズイミダゾールを含む。
いくつかの実施形態では、工程(c)における組み合わされた気状アルデヒドと水素とのストリーム(気相水素化ゾーンに供給される組み合わされたストリーム)中の弱塩基性アミンの濃度は、1ppmw未満(窒素基準)である。
いくつかの実施形態では、本発明のプロセスは、液体アルデヒドストリームの酸含有量を測定することを更に含み、気化システムに添加される弱塩基性アミンの量は、酸の当量に対して0.1~5当量の弱塩基性アミンである。いくつかの実施形態では、気化システムに添加される弱塩基性アミンの量は、酸の当量に対して0.1~1.5当量の弱塩基性アミンである。
いくつかの実施形態では、気化及び水素化される液体アルデヒドストリームは、ヒドロホルミル化反応及び生成物-触媒分離工程から提供され、液体アルデヒドストリームを提供するために、生成物-触媒分離工程において、ヒドロホルミル化触媒は、ヒドロホルミル化生成物ストリームから分離される。
図1は、本発明の一実施形態によるプロセスストリーム及び装置を示すシステム図である。図1に示されるように、液体アルデヒドストリーム1は、任意選択的に水素ガスストリーム2と共に、気化システム3に供給される。揮発したアルデヒド(任意選択的なHと共に)は、ストリームを介して気化デバイス3から出て行き、任意の揮発しなかった材料は、ストリーム5を介して出て行く。水素ガスが、気化システムに供給されない場合、いくつかの実施形態では、水素ガスは、気化デバイス3を出る気状アルデヒドストリーム4に、又はVPHユニット6(以下で考察される)に添加され得る。気化システム3に添加された気状アルデヒド及び任意の水素を含むストリーム4は、次いで、VPHユニット6内の気相水素化ゾーンにおいて気相水素化に供される。いくつかの実施形態では、水素はまた、ストリーム7を介してVPHユニット6に提供され得る(又はVPHユニットに入る前にストリーム4と組み合わされ得る)。明確に言うと、水素は、多くの方法:(a)水素は、ストリーム2を介して気化システム3に添加され得、次いで、ストリーム4中の気状アルデヒドと共に出て行く、(b)水素は、別個のストリーム7としてVPHユニット6に添加され得る、(c)水素は、VPHユニット6に入る前にストリーム4に添加され得る、又は(a)、(b)、及び(c)の任意の組み合わせ、においてVPHユニット6に提供され得る。粗アルコール生成物及び過剰のH、未変換アルデヒド、並びにガス状不活性物質は、未反応H及び/又はアルデヒドを分離すること、並びにそれらの一方又は両方を前のユニットに再循環することを含む更なる処理のために、ストリーム8を介して出る。例えば、未反応水素は、分離され、ストリーム2、ストリーム7、又は別のストリームの一部としてプロセスに再利用され得る。気化システム3又はVPHユニット6のいずれかへの再利用ストリームは、明確に示されていない。本発明のプロセスにおいて使用される弱塩基性アミンは、典型的には、良好な混合を可能にするために気化システム3の前にストリーム1に添加されるが、気化システム3にも直接添加され得る。
液体アルデヒドストリーム1は、ヒドロホルミル化ユニットから直接であり得るか、又は他のユニット操作からの再利用ストリーム若しくはアルデヒド(例えば、アルドール縮合から又は精製ユニットから再利用されたもの)を含み得る。これらのプロセスのうちのいずれかは、アルデヒドストリームが気相水素化ゾーンに入る(例えば、VPH触媒と接触する)前に除去される必要がある酸性種を生成し得る。
気化システム3は、単純な蒸留塔、噴霧気化器、薄膜気化器、水素ストリッピングシステム、又はこれらの組み合わせであり得る。弱塩基性アミンが液体アルデヒドストリームに添加されない場合、弱塩基性アミンは、(気化システムが蒸留塔であるこれらの実施形態では)液体アルデヒド供給物から蒸留塔内の異なるトレイに、典型的には上部トレイの下の数トレイに、又は還流フローの一部として、又はこれらの任意の組み合わせで添加され得る。
気化システムは、ヒドロホルミル化プロセス中及び気化器システムに供給される前の貯蔵中に形成された重質物を除去するために、重質物除去ストリーム(例えば、図1のストリーム5)を有するべきである。このプロセスはまた、ヒドロホルミル化触媒残留物(同伴又は昇華のいずれか)を除去し、VPH触媒を重質有機物による凝縮から保護する。弱塩基性アミン及びそれらが入ってくる酸性種と共に形成する任意の塩は、このパージにおいて重質物と共に除去される。得られたパージは、更に処理されて、再利用される任意の有益なアルデヒドを回収し得、場合によっては、再使用のために弱塩基性アミンを回収し得る。
水素は、アルデヒドの気相水素化に必要であり、記載されたようにVPHユニットに供給され得る。水素は、石油分解及び精製操作を含む任意の好適な供給源から取得され得る。
アルデヒド気相水素化触媒の性質及び組成は周知である。気相水素化プロセスにおいて有用な触媒は、担体上の触媒金属を含む。触媒金属としては、ロジウム(Rh)、コバルト(Co)、イリジウム(Ir)、ルテニウム(Ru)、鉄(Fe)、ニッケル(Ni)、パラジウム(Pd)、白金(Pt)、クロム(Cr)、オスミウム(Os)、銅(Cu)、及びこれらの混合物から選択される第8族、第9族、及び第10族金属を挙げることができ、好ましい金属は、パラジウム、白金、銅、及びニッケルである。
気相水素化触媒のための触媒担体は、一般に、活性触媒金属を保持するように設計された不活性固体材料である。例としては、グラファイト、活性炭、シリカ、アルミナ、及び酸化モリブデン、酸化クロム、酸化亜鉛、チタニアなどの金属酸化物が挙げられる。担体は、改善された破砕強度、低減された金属浸出、低減された副生成物、及びとりわけ押出の容易さなどの異なる特性を提供する異なる材料及び他の添加剤の組み合わせからなり得る。
例示として、触媒金属は、無機酸化物(すなわち、アルミナ、シリカ、チタニア、若しくはジルコニア)、炭素、又はイオン交換樹脂などの任意の固体担体上に含浸され得る。触媒は、ゼオライト、ガラス、又は粘土の細孔に担持され得るか、細孔内に挿入され得る。触媒はまた、当該ゼオライト又はガラスの細孔を被覆する液体被膜中に溶解され得る。このようなゼオライト担持触媒は、ゼオライトの細孔径によって決定されるように、高選択性で1つ以上の位置異性体アルコールを生成するために特に有利である。当業者に知られているであろう、初期湿潤などの固体上に触媒を担持するための技法。このようにして形成された固体触媒は、上で定義した配位子のうちの1つ以上と依然として錯化し得る。このような固体触媒の記載は、例えば、J.Mol.Cat.,1991,70,363-368;Catal.Lett.,1991,8,209-214、J.Organomet.Chem.,1991,403,221-227、Nature,1989,339,454-455、J.Catal.,1985,96,563-573、J.Mol.Cat.,1987,39,243-259に見出すことができる。
担体の性質は、本発明にとってそれほど重要ではないが、いくつかの担体は、他のものよりも酸分解に対してより脆弱であることが観察されている。酸化亜鉛は、特に脆弱であると思われるが、酸化クロムは脆弱ではない。酸性不純物は、担体を劣化させ、金属浸出を促進し、又は触媒表面若しくは細孔構造の性質を変化させ得る。
不均質気相水素化触媒の正確な組成及び顕微鏡的(細孔)構造は、主に触媒の性質の変化を扱う本発明にとってそれほど重要ではないことに留意すべきである。最も明白に観察される問題は、触媒性能の変化(水素化率、選択性、圧力降下、及び床内のホットスポット位置など)である。圧力降下の増加は、多くの場合、微粉の発生によって引き起こされ得る。微粉の性質、それらがどのように生成されるか、及びそれらが床中でどのように移動するかも、それが観察され、触媒性能及び/又は触媒床性能が、悪影響が及ぼされる程度まで観察される圧力降下の変化以外は、それほど重要ではない。
金属浸出又は微粉の生成が、気相水素化中に起こったかどうかを決定するために、触媒及び/又は凝縮液体生成物中の触媒金属濃度は、当業者に周知の分析技術を使用して測定され得、例えば、原子吸光(AA)、誘導結合プラズマ(ICP)、X線回折(XRD)、及び蛍光X線分析(XRF)が典型的には好ましい。
触媒に関する問題(例えば、微粉の生成)が存在し得るかどうかの1つの指標は、気相水素化反応器にわたる圧力降下であり、したがって、いくつかの実施形態では、水素化反応にわたる圧力降下が監視され得る。本明細書で使用される場合、圧力降下とは、水素化反応器の供給点(典型的には、アルデヒド供給点又はその付近で測定される)と、反応器の出口点との間の圧力差を指す。反応材料が不均質触媒を通過する際、フローは、触媒に起因する抵抗を受け、その結果、材料が床を通過する際に圧力が降下する。過剰の圧力降下は、更なる触媒床劣化(例えば、破砕又は摩耗)をもたらし得、気相水素化の場合には、凝縮、チャネリング、及び熱伝達の問題の可能性がある。粒子微粉は、フロー抵抗を増加させる傾向があり、したがって、経時的に圧力降下の増加の主な要因となり、触媒交換の必要性につながり得る。微粉の正確な性質及びそれらがどのように生成されるかは、多くの場合、知られていないが、通常、触媒の破壊、摩耗、化学的/物理的侵食(浸出)などに起因する。
初期の触媒充填中のような触媒寿命の開始時に微粉が発生され得ることが知られている。本発明の目的のために、圧力降下の増加は、最初の「慣らし」期間後に監視され得る。最初の「慣らし」期間の後、圧力降下は、ある期間にわたって安定したままであり、次いで、経時的に、多くの場合、指数関数的な方式で増加し始める。
臨界圧力降下値は、もちろん、触媒システム及び装置に応じて異なるが、触媒反応器効率及び運転が圧力降下によって影響を及ぼされる場合、最適以下の性能(例えば、より低い速度、より低い変換率、より高い副生成物、二重/スイング反応器)で継続するか、又は運転を停止して触媒を交換するかに関して、経済的決定になる。本発明の実施形態は、有利なことには、触媒床の寿命を延長し得、したがって、触媒購入、プラント停止、及び関連する触媒貴金属の回収又は廃棄のコストを延期及び/又は低減し得る。
本発明の目的のために、「弱塩基性アミン」という用語は、以下に記載されるような比較的非揮発性の置換アミン及び複素環式窒素化合物を包含する。弱塩基性アミンは、酸捕捉剤又は酸性度緩和剤として機能して、気化器ボトムパージ中の付加物(典型的には塩)として気化システム中のアルデヒド供給ストリームから酸性成分を除去する。任意の所与のVPHプロセスにおいて一度に1つの弱塩基性アミン種のみを用いることが好ましい場合があるが、必要に応じて、2つ以上の異なる弱塩基性アミン種の混合物も任意の所与のプロセスにおいて用いられ得る。弱塩基性アミンを気化システムに添加することによって、酸性成分は、有利なことには、このような成分が本明細書で考察されるような水素化触媒の分解を引き起こし得る水素化ゾーンの前に除去される。
本発明の実施形態において有用な弱塩基性アミンは、有利なことには、以下の2つの特性:(1)気化システムにおける重質物形成を回避するために弱塩基性であること、及び(2)水素化条件下でVPH触媒上での接触及び収集(凝縮)を回避するために不揮発性であること、を有する。弱塩基性アミンのアルカリ性度又は塩基性度は、一般に、共役酸のpKaとして報告され、これは、有利なことには25℃で5~11である。pKaは、好ましくは、いくつかの好ましい実施形態では、25℃で5.0~9.5であり、他の好ましい実施形態では、25℃で6.0~9.0である。いくつかの実施形態では、弱塩基性アミンは、重質物の形成の強力な促進剤ではない。いくつかの実施形態では、弱塩基性アミンは、生成物アルデヒドを弱塩基性アミンと共に、アルデヒドの気化温度又はその付近などの高温で加熱することによって、重質物形成について試験され得る。いくつかの実施形態では、弱塩基性アミンは、アルデヒドの気化温度で1日当たり試験溶液(溶液中の生成物アルデヒド+弱塩基性アミンであり、弱塩基性アミンは、典型的には1000ppmwの濃度で添加されたもの)1リットル当たり1グラム未満の重質物形成を示す。重質物形成の量は、当業者に既知であるように、ガス又は液体クロマトグラフィーによって容易に決定され得る。
揮発性に関して、弱塩基性アミンの揮発性は、気相アルデヒドの気化条件下で、添加された弱塩基性アミンの1%未満、好ましくは0.1%未満、最も好ましくは0.01%未満が揮発するようなものであるべきである。これは、いくつかの実施形態では水素化されるアルデヒドよりも少なくとも50℃高い標準沸点を有し、他の実施形態ではアルデヒドよりも少なくとも100℃高い標準沸点を有する弱塩基性アミンを選択することによって制御され得る。
気化条件下で揮発する弱塩基性アミンの量もまた、(酸性不純物に対して)過剰な弱塩基性アミンの量が、「遊離」アミンを低レベルに低減させるように、弱塩基性アミンの濃度を制御することによって管理され得る。遊離アミンがほとんど存在しない場合、これは、アミンの分圧を低減させ、気化ストリームを介したアミンの損失を低下させる。「遊離アミン」という用語は、中和されていないか、又は酸性不純物と反応していないアミンを指す。例えば、酸とアミンとの等モル比では、遊離アミンが溶液中にほとんど存在しない、したがってアミン分圧は極めて低くなる。これはまた、遊離酸の量も極めて低いことを意味する。
本発明の任意の所定のプロセスにおいて用いられ得る弱塩基性アミンの量は、本質的に同じ条件下であるが、アルデヒド生成物の気化分離などの過酷な条件中に、弱塩基性アミンの不在下で、同一の金属触媒水素化プロセスを実行する結果として起こることが見出され得るような、触媒分解の少なくともいくらかの最小化のための基礎を提供するために必要な最小量であることのみが必要である。したがって、いくつかの実施形態では、気化システムに添加される弱塩基性アミンの量は、気化システムに提供される液体アルデヒドストリーム中の酸の当量に対して0.1~5当量の弱塩基性アミンである。いくつかの実施形態では、気化システムに添加される弱塩基性アミンの量は、気化システムに提供される液体アルデヒドストリーム中の酸の当量に対して0.5~1.5当量の弱塩基性アミンである。気化システムに提供される液体アルデヒドストリームの酸含有量は、滴定によって測定される。
本発明の様々な実施形態において有利に使用され得る弱塩基性アミンは、以下のクラスのうちの1つ以上から選択される。
弱塩基性アミンの1つのクラスは、以下の構造を有する。
式中、R、R、及びRは、それぞれ独立して、R、R、及びRのいずれも水素ではないようなアルキル又はアリール置換基を表し、少なくとも1つは、電子求引性置換基(窒素部分に対してアルファ又はベータのいずれか)であり、好ましくは少なくとも2つは、電子求引性置換基である。電子求引性アルキル又はアリール置換基としては、アルキル置換又は非置換アリール、アルコキシル化、アルキルアルコキシル化、又はカルボキシル化アリール基、β-アルコキシ又はβ-アルコキシアルキル(例えば、β-ヒドロキシエチル、β-ヒドロキシ-α-メチルエチル、β-ヒドロキシ-β-メチルエチル、並びにこれらのエトキシル化及び/又はプロポキシル化付加物)が挙げられる。このクラスの好ましいアミンの例としては、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、エチルジエタノールアミン、ジメチルエタノールアミン、及びトリ(2-ヒドロキシプロピル)アミン、並びにこれらのエトキシレートが挙げられる。好ましいアミンは、トリエタノールアミン及びトリ(2-ヒドロキシプロピル)アミンなどのトリアルカノールアミンである。
弱塩基性の第2のクラスとしては、国際公開第2019/083700号に記載されているような複素環式窒素化合物が挙げられる。このような複素環式窒素化合物は、それらの調製についての方法と同様に周知である。多くの実例では、このような複素環式窒素化合物は、容易に市場で入手可能である。好適な置換及び非置換複素環式窒素化合物としては、Kirk-Othmer,”Encyclopedia of Chemical Technology”,Fourth Edition,1996に記載されている許容可能な置換及び非置換複素環式窒素化合物が挙げられ、その該当分は、参照により本明細書に組み込まれる。
本発明のいくつかの実施形態では、弱塩基性アミンとして使用され得る例示的な複素環式窒素化合物としては、以下のジアゾールが挙げられる。
(a)以下の式で表されるイミダゾール、
(b)以下の式で表されるピラゾール、
及び(c)以下の式で表されるインダゾール、
上記式(II)、(III)、及び(IV)中、R、R、R10、R11、R12、及びR13は、同一又は異なっており、各々、水素原子又は一価の置換基を表す、ただし、本発明の一実施形態では、R及びRの両方が同時に一価の炭化水素ラジカルであるべきではない。隣接する置換基R及びR11、又はR及びR、又はR10及びR11、又はR10及びR12、又はR12及びR13は、任意選択的に一緒になって、当該隣接する置換基が結合している式の2個の原子と一緒になって環式環を形成する置換又は非置換の二価のラジカルを形成し得る。
式(II)、(III)、及び(IV)中の一価のR~R13置換基は、本発明の目的及びプロセスに過度に悪影響を及ぼさない任意の置換基であり得る。このような一価の置換基の例としては、ヒドロキシ、シアノ、ニトロ、トリフルオロメチル、並びにアシル、アシルオキシカルボニルオキシ、オキシカルボニル、シリル、アルコキシ、アリールオキシ、シクロアルコキシ、アルキル、アリール、アルカリール、アラルキル、及び脂環式ラジカルからなる群から選択される1~30個の炭素原子を含有する置換又は非置換ラジカルが挙げられる。
より具体的には、1~30個の炭素原子を含有する例示的な一価の置換基としては、例えば、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、ブチル、sec-ブチル、t-ブチル、ネオペンチル、n-ヘキシル、アルニル、sec-アミル、t-アミル、イソオクチル、デシル、オクタデシルなどの一級、二級、及び三級アルキルラジカル;フェニル、ナフチルなどのアリールラジカル;ベンジル、フェニルエチル、トリフェニルメチルなどのアラルキルラジカル;トリル、キシリルなどのアルカリールラジカル;シクロペンチル、シクロヘキシル、1-メチルシクロヘキシル、シクロオクチル、シクロヘキシルエチルなどの脂環式ラジカル;メトキシ、エトキシ、プロポキシ、t-ブトキシ、--OCHCHOCH、--O(CHCHOCH、--O(CHCHOCHなどのアルコキシラジカル;フェノキシなどのアリールオキシラジカル;並びに--Si(CH、-Si(OCH、-Si(Cなどのシリルラジカル;--C(O)CH、--C(O)C、--C(O)Cなどのアシルラジカル;--C(O)OCHなどのカルボニルオキシラジカル;--O(CO)Cなどのオキシカルボニルラジカルが挙げられる。
必要に応じて、このような一価の置換基は、次に、本発明の目的及びプロセスに過度に悪影響を及ぼさない任意の置換基、例えば、R、R、R10、R11、R12、及びR13について本明細書で概説したこれらの炭化水素及び非炭化水素置換基で置換され得る。式(II)~(IV)はまた、2つ以上のこのようなジアゾール式を有する化合物を包含することが意図され、例えば、2つのジアゾール式は、R~R13置換基のうちのいずれか1つが、任意選択的に直接結合を表す結果として、又はR~R13置換基のうちのいずれか1つが、任意選択的に第2のジアゾール式で置換される結果として、一緒に直接結合される。
更に、当該隣接する置換基、R及びR11、又はR及びR、又はR10及びR11、又はR10及びR12、又はR12及びR13は、一緒になって、3~5個、好ましくは4個の炭素原子を有する置換又は非置換の二価の架橋基を形成し得、これは、それらが結合している式中に示される2個の原子と一緒になって、5~7員環式環を形成する。このような二価の架橋基は、好ましくは炭素原子のみからなるが、当該炭素原子に加えて1~2個の窒素原子を含有し得る。置換の二価の架橋基上に存在し得る置換基の例は、R、R、R10、R11、R12、及びR13について本明細書で定義されるものと同じ炭化水素置換基及び非炭化水素置換基である。好ましいジアゾールは、上記式(II)のイミダゾール、特にベンズイミダゾールである。
本発明のいくつかの実施形態では、弱塩基性アミンとして使用され得る例示的な複素環式窒素化合物としてはまた、以下のようなトリアゾール化合物:
(a)以下の式で表される1,2,3-トリアゾール、
(b)以下の式で表される1,2,4-トリアゾール、
(c)以下の式で表される2,1,3-トリアゾール、
及び(d)以下の式で表される4,1.2-トリアゾールが挙げられ、
上記式(V)、(VI)、(VII)、及び(VIII)中、R、R、R10、R11、及びR12は、同一又は異なっており、各々、水素原子又は一価の置換基を表し、隣接する置換基R及びR、又はR及びR11、又はR10及びR11、又はR10及びR12は、任意選択的に一緒になって、当該隣接する置換基が結合している式の2個の原子と一緒になって環式環を形成する置換又は非置換の二価のラジカルを形成し得る。より具体的には、上記式(V)~(VIII)中のR、R、R10、R11、及びR12の当該一価の置換基、並びに隣接する置換基R及びR、R及びR11、R10及びR11、又はR10及びR12は、上記式(II)~(IV)について定義された一価の置換基及び二価のラジカルと同じであり得る。式(V)~(VIII)はまた、2つ以上のこのようなトリアゾール式を有する化合物を包含することが意図されることが更に理解されるべきであり、例えば、2つのトリアゾール式は、R、R、R10、R11、及びR12置換基のうちのいずれか1つが、任意選択的に直接結合を表す結果として、又はR、R、R10、R11、及びR12置換基のうちのいずれか1つが、任意選択的に第2のトリアゾール式で置換される結果として、一緒に直接結合される。好ましいトリアゾールは、上記式(VIII)の1,2,3-トリアゾール、特にベンゾトリアゾールである。他の例示的なトリアゾールとしては、5-メチル-1H-ベンゾトリアゾール、5,6-ジメチル-1-H-ベンゾトリアゾール、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)-フェノール、5-ニトロベンゾトリアゾール、ビス(1-ベンゾトリアゾリル)オキサレート、1-ベンゾトリアゾリル9-フルオレニルメチルカーボネート、1-シアノベンゾトリアゾール、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-ヒドロキノン、2-(2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)-ベンゾトリアゾール、5-ヘキシルベンゾトリアゾール、5-デシルベンゾトリアゾール、1-エチルベンゾトリアゾール、1-ペンチルベンゾトリアゾール、1-ベンジルベンゾトリアゾール、1-ドデシルベンゾトリアゾールなどが挙げられる。
本発明のいくつかの実施形態では、弱塩基性アミンとして使用され得る例示的な複素環式窒素化合物としてはまた、以下のようなジアジン化合物:
(a)以下の式で表される1,2-ジアジン、
(b)以下の式で表される1,3-ジアジン、
及び(c)以下の式で表される1,4-ジアジンが挙げられ、
上記式(IX)、(X)、及び(XI)中、R14、R15、R16、R17、及びR18は、同一又は異なっており、各々、水素原子又は一価の置換基を表し、隣接する置換基R14及びR15、又はR15及びR16、又はR16及びR17、又はR14及びR18は、任意選択的に一緒になって、当該隣接する置換基が結合している式の2個の原子と一緒になって環式環を形成する置換又は非置換の二価のラジカルを形成し得る。より具体的には、上記式(IX)~(XI)中の当該一価の置換基R14、R15、R16、R17、及びR18、並びに隣接する置換基R14及びR15、又はR15及びR16、又はR16及びR17、又はR14及びR18は、上記式(II)~(IV)について定義された一価の置換基及び二価のラジカルと同じであり得る。式(IX)~(XI)はまた、2つ以上のこのようなジアジン式を有する化合物を包含することが意図されることが更に理解されるべきであり、例えば、2つのジアジン式は、R14~R18置換基のうちのいずれか1つが、任意選択的に直接結合を表す結果として、又はR14~R18置換基のうちのいずれか1つが、任意選択的に第2のジアジン式で置換される結果として、一緒に直接結合される。このようなジアジン化合物の例は、ピリダジン、ピリミジン、ピラジンなどである。
本発明のいくつかの実施形態では、弱塩基性アミンとして使用され得る例示的な複素環式窒素化合物としてはまた、以下の式で表される1,3,5-トリアジンなどのトリアジン化合物が挙げられ、
上記式(XII)中、R15、R17、及びR18は、同一又は異なっており、各々、水素原子又は一価の置換基を表す。より具体的には、上記式(XII)中の当該一価の置換基R15、R17、及びR18は、上記式(II)~(IV)について定義された一価の置換基と同じであり得る。式(XII)はまた、2つ以上のこのようなトリアジン式を有する化合物を包含することが意図されることが更に理解されるべきであり、例えば、2つのトリアジン式は、R15、R17、及びR18置換基のうちのいずれか1つが、任意選択的に直接結合を表す結果として、又はR15、R17、及びR18置換基のうちのいずれか1つが、任意選択的に第2のトリアジン式で置換される結果として、一緒に直接結合される。このようなトリアジン化合物の例は、1,3,5-トリアジンなどである。
本発明のいくつかの実施形態では、弱塩基性アミンとして使用され得る複素環式窒素化合物は、酸部分と錯体又は付加物を形成することができる孤立電子対を有する少なくとも1つの非官能化窒素を含有することを理解されたい。言い換えれば、米国特許第6,995,293(B2)号に記載されているようなイオン性アンモニウム塩(アルキル化又はプロトン化のいずれか)は、これらの四級アンモニウム塩が遊離窒素孤立電子対を有しないので、複素環式窒素安定剤ではない。
上記の式(II)~(XII)の複素環式窒素化合物のR~R18ラジカルのうちのいずれかは、必要に応じて、本発明のプロセスの所望の結果に過度に悪影響を及ぼさない1~30個の炭素原子を含有する任意の好適な置換基で置換され得る。アルキル、アリール、アラルキル、アルカリール、及びシクロヘキシル置換基などの対応する炭化水素ラジカルにもちろん加えて、当該ラジカル上にあり得る置換基としては、例えば、--N(R19などのアミノラジカル、--アリール--P(R19などのホスフィンラジカル、--C(O)R19などのアシルラジカル、--OC(O)R19などのアシルオキシラジカル、--CON(R19及び--N(R19)COR19などのアミドラジカル、--SO19などのスルフォニルラジカル、--OR19などのアルコキシラジカル、--SOR19などのスルフィニルラジカル、--SR19などのスルフェニルラジカル、イオン性ホスフィンに関して上記に本明細書に定義された--SOM、--POM、--N(R、及び--COMからなる群から選択されるイオン性ラジカル(式中、M、X、及びRは、上記に定義された通りである)、並びにニトロ、シアノ、トリフルオロメチル、ヒドロキシラジカルなどを挙げることができ、式中、各R19ラジカルは、独立して、1~18個の炭素原子を有する同一又は異なる一価の炭化水素ラジカル(例えば、アルキル、アリール、アラルキル、アルカリール、及びシクロヘキシルラジカル)を表すが、ただし、-N(R19などのアミノ置換基において、各R19はまた、一緒になって、窒素原子を用いて複素環ラジカルを形成する二価の架橋基を表し得る。もちろん、特定の弱塩基性アミンを構成する置換又は非置換の置換基ラジカルのうちのいずれかは、同じか又は異なっていてもよいことを理解されたい。
例示的な具体例としては、イミダゾール及び置換イミダゾール、例えば、1-メチルイミダゾール、1-エチルイミダゾール、1-n-プロピルイミダゾール、1-イソプロピルイミダゾール、1-ブチルイミダゾール、2-メチルイミダゾール、2-エチルイミダゾール、2-n-プロピルイミダゾール、2-イソプロピルイミダゾール、2-n-ブチルイミダゾール、2-n-ヘキシルイミダゾール、2-n-ヘプチルイミダゾール、2-n-オクチルイミダゾール、2-n-ノニルイミダゾール、2-n-デシル-イミダゾール、2-n-ウンデシルイミダゾール、2-n-ドデシルイミダゾール、2-n-トリデシルイミダゾール、2-n-テトラデシルイミダゾール、2-n-ペンタデシルイミダゾール、2-n-ヘキサデシルイミダゾール、2-n-ヘプタデシルイミダゾール、2-(2-エチルペンチル)イミダゾール、2-エチル-4-メチルイミダゾール、2-フェニルイミダゾール、1-ベンジル-2-メチルイミダゾール、2,4,5-トリフェニルイミダゾール、2-(2-プロピルヘキシル)イミダゾール、4-メチルイミダゾール、4-エチルイミダゾール、3-n-プロピルイミダゾール、4-イソプロピルイミダゾール、4-ブチルイミダゾール、4,5-ジメチルイミダゾール、4,5-ジエチルイミダゾール、1-メチル-2-エチルイミダゾール、1-メチル-4-エチルイミダゾール、2-エチル-4-メチルイミダゾール、1-ベンジル-2-メチルイミダゾール、1-フェニルイミダゾール、2-フェニルイミダゾール、4-フェニルイミダゾール、2,4,5-トリフェニルイミダゾール、1,2-トリメチレンイミダゾール、1,5-トリメチレンイミダゾール、4,5-トリメチレンイミダゾールなど、並びに極性置換イミダゾール、例えば、1-ヒドロキシメチルイミダゾール、2-ヒドロキシメチルイミダゾール、4-ヒドロキシメチルイミダゾール、1-(2-ヒドロキシエチル)イミダゾール、2-(2-ヒドロキシエチル)イミダゾール、4-2(ヒドロキシエチル)イミダゾール、1-カルボキシメチルイミダゾール、2-カルボキシメチルイミダゾール、4-カルボキシメチルイミダゾール、1-(2-カルボキシエチル)イミダゾール、4-(2-カルボキシエチル)イミダゾール、4-(2-カルボキシエチル)イミダゾール、4-(2-カルボキシ-2-ヒドロキシエチル)イミダゾールなどが挙げられる。
いくつかの実施形態では、弱塩基性アミンとして使用するための好ましい複素環式窒素化合物としては、以下の式で表されるものなどのベンズイミダゾールが挙げられ、
上記式(XIII)中、R20、R21、R22、R23、R24、及びR25は、同一又は異なっており、各々、水素原子又は一価の置換基を表す、ただし、R20及びR21の両方が同時に一価の炭化水素ラジカルであることはない。より具体的には、R20、R21、R22、R23、R24、及びR25の当該一価の置換基は、上記式(II)~(IV)について定義された一価の置換基と同じであり得る。もちろん、式(XIII)はまた、2つ以上のこのようなベンズイミダゾール式を有する化合物を包含することが意図されることが更に理解されるべきであり、例えば、2つのベンズイミダゾール式は、R20~R25置換基のうちのいずれか1つ、例えば、R21が任意に直接結合を表す結果として、又はR20~R25置換基のうちのいずれか1つ、例えば、R21が、任意選択的に第2のベンズイミダゾール式、例えば、ジ-、ビ-、又はビス-ベンズイミダゾールで置換される結果として、一緒に直接結合される。
このようなベンズイミダゾールの例としては、ベンズイミダゾール及び置換ベンズイミダゾール、例えば、1-メチルベンズイミダゾール、1-エチルベンズイミダゾール、1-n-プロピルベンズイミダゾール、1-イソプロピルベンズイミダゾール、1-ブチルベンズイミダゾール、1-ベンジルベンズイミダゾール、2-ベンジルベンズイミダゾール、2-メチルベンズイミダゾール、2-エチルベンズイミダゾール、2-n-プロピルベンズイミダゾール、2-イソプロピルベンズイミダゾール、2-n-ブチルベンズイミダゾール、2-n-ヘキシルベンズイミダゾール、2-n-ヘプチルベンズイミダゾール、2-n-オクチルベンズイミダゾール、2-n-ノニルベンズイミダゾール、2-n-デシルベンズイミダゾール、2-n-ウンデシルベンズイミダゾール、2-n-ドデシルベンズイミダゾール、2-n-トリデシルベンズイミダゾール、2-n-テトラデシルベンズイミダゾール、2-n-ペンタデシルベンズイミダゾール、2-n-ヘキサデシルベンズイミダゾール、2-n-ヘプタデシルベンズイミダゾール、2-(2-エチルペンチル)ベンズイミダゾール、2-(2-プロピルヘキシル)ベンズイミダゾール、2-フェニルベンズイミダゾール、2-フェニルベンズイミダゾール、1-ベンジルイミダゾール、1-シクロヘキシルベンズイミダゾール、1-オクチルベンズイミダゾール、1-ドデシルベンズイミダゾール、1-ヘキシルデシルベンズイミダゾール、5,6-ジメチルベンズイミダゾール、1-メチル-5,6-ジメチルベンズイミダゾール、4-メチルベンズイミダゾール、4-エチルベンズイミダゾール、3-n-プロピルベンズイミダゾール、4-イソプロピルベンズイミダゾール、4-ブチルベンズイミダゾール、4,5-ジメチルベンズイミダゾール、4,5-ジエチルベンズイミダゾール、1-メチル-2-エチルベンズイミダゾール、1-メチル-4-エチルベンズイミダゾール、1-フェニルベンズイミダゾール、及び4-フェニルベンズイミダゾール、5-ブロモベンゾトリアゾール、6-ブロモベンゾトリアゾール、5-クロロベンゾトリアゾール、6-クロロベンゾトリアゾール、5-クロロ-1,6-ジメチルベンゾトリアゾール、5-クロロ-6-メチルベンゾトリアゾール、6-クロロ-5-メチルベンゾトリアゾール、5-クロロ-6-メチル-1-フェニルベンゾトリアゾール、4,5,6,7-テトラクロロベンゾトリアゾール、1-(2-ヨードエチル)ベンゾトリアゾール、5-クロロ-6-フルオロベンゾトリアゾール、5-トリフルオロメチルベンゾトリアゾール、6-トリフルオロメチルベンゾトリアゾールなど、並びに極性置換ベンズイミダゾール、例えば、1-アセチルベンズイミダゾール、1-ベンゾイルベンズイミダゾール、1-ヒドロキシメチルベンズイミダゾール、2-ヒドロキシメチルベンズイミダゾール、4-ヒドロキシメチルベンズイミダゾール、1-(2-ヒドロキシエチル)ベンズイミダゾール、2-(2-ヒドロキシエチル)ベンズイミダゾール、4-2(ヒドロキシエチル)ベンズイミダゾール、1-カルボキシメチルベンズイミダゾール、2-カルボキシメチルベンズイミダゾール、4-カルボキシメチルベンズイミダゾール、1-(2-カルボキシエチル)ベンズイミダゾール、4-(2-カルボキシエチル)ベンズイミダゾール、4-(2-カルボキシエチル)ベンズイミダゾール、4-(2-カルボキシ-2-ヒドロキシエチル)ベンズイミダゾール、1-エチル-5,6-ジメチルベンズイミダゾール、1-イソプロピル-5,6-ベンズイミダゾール、1-イソプロピル-5,6-ベンズイミダゾール、5,6-ジメトキシベンジルニダゾール、4,5-トリメチレンベンズイミダゾール、ナフト[1,2-d]イミダゾール、ナフト[2,3-d]イミダゾール、1-メチル-4-メトキシベンズイミダゾール、1-メチル-5-メトキシベンズイミダゾール、1-メチル-5,6-ジメトキシベンズイミダゾールなどが挙げられる。例えば、2,2’-エチレンビベンズイミダゾール、2,2’-ヘプタメチレンビベンズイミダゾール、2,2’-ヘキサメチレンビベンズイミダゾール、2,2’(イミノジエチリデン)-ビベンズイミダゾール、2,2’-(メチルイミノジエチリデン)ビベンズイミダゾール、2,2’-オクタメチレンビベンズイミダゾール、2,2’-ペンタメチレンビベンズイミダゾール、2,2-p-フェニレンビベンズイミダゾール、2,2’-トリメチレンビベンズイミダゾール、2,2’-メチレンビス(5,6-ジメチルベンズイミダゾール)、ジ-2-ベンズイミダゾリルメタン、5,5’,6,6’-テトラメチル-2,2’-ビベンズイミダゾール、1,2-ビス(5,6-ジメチル-2-ベンズイミダゾリル)エタノール塩酸塩などのビ-、ジ-、及びビスベンズイミダゾールも含まれる。中でも最も好ましい複素環式窒素化合物は、ベンズイミダゾールである。
不揮発性弱塩基性アミンは、VPH触媒上で凝縮し得るか、又は精製及び生成物アルコール純度を含む他の望ましくない下流の影響を有するので、揮発され、VPH触媒に向かう揮発されたアルデヒドストリームと共に持ち越される弱塩基性アミンの量は、最小限にされるべきである。好ましくは、気化システムを出る気相中に存在するアミンの量は、1ppmw未満(窒素基準)であるべきである。このレベルは、添加される弱塩基性アミンの量、酸/アミン比(すなわち、存在する酸のモル数に対して高過剰のアミンを回避する)、及び気化条件(温度、圧力、及びパージ速度)によって制御され得る。気化システムを出る気相中のアミンの量は、本明細書の教示に基づいて当業者に既知の技術を使用してガスクロマトグラフィーによって決定される。
アルデヒド生成物がアルデヒド供給物から気化システムに気化されるにつれて、残留材料中の非揮発成分(例えば、アルデヒド重質物及び弱塩基性アミン(及び任意の酸付加物))の濃度は、それに応じて増加する。したがって、添加されるべき弱塩基性アミンの上限量は、気化システムからの非揮発液体パージ中のその溶解度限界(及び任意の酸付加物の溶解度限界)によっても支配される。溶解度は、気化分離温度、並びに特定のアミン自体に依存する。いくつかの実施形態では、アルカノールアミンが好ましい場合があり、その理由は、それらが通常、周囲温度においてアルデヒド重質ストリーム中で高溶解度の液体又は低融点固体であるからである。
アルデヒド供給物を気化させる弱塩基性アミンのアルデヒドへの添加は、所望の任意の好適な方式において実行され得る。例えば、弱塩基性アミンは、ヒドロホルミル化反応ゾーンから取り出されたアルデヒド流体に、アルデヒドの気化前又は気化中の任意の時点で添加され得る。しかしながら、使用されるために選択される弱塩基性アミンは、アルデヒド自体に実質的に有害な影響を及ぼさないはずなので、ヒドロホルミル化生成物-触媒分離工程の直後に、弱塩基性アミンは、粗アルデヒドに直接添加され得る。実際、弱塩基性アミン、特に複素環式窒素化合物を粗アルデヒドにできるだけ早く添加して、弱塩基性アミンが水素化プロセスの開始直後から存在するようにすることが望ましい場合がある。
本発明のプロセスにおいて液体アルデヒドストリームとして提供され得るアルデヒド供給原料に関して、例示的な非光学活性アルデヒド出発物質としては、プロピオンアルデヒド、n-ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、n-バレルアルデヒド、2-メチル1-ブチルアルデヒド、ヘキサナール、ヒドロキシヘキサナール、2-メチルバレルアルデヒド、ヘプタナール、2-メチル1-ヘキサナール、オクタナール、2-メチル1-ヘプタナール、ノナナール、2-メチル-1-オクタナール、2-エチル1-ヘプタナール、3-プロピル1-ヘキサナール、デカナール、アジポアルデヒド、2-メチルグルタルアルデヒド、2-メチルアジポアルデヒド、3-メチルアジポアルデヒド、3-ヒドロキシプロピオンアルデヒド、6-ヒドロキシヘキサナール、アルケナール、例えば2-、3-、及び4-ペンテナールなどが挙げられる。
本発明の実施形態から得られるアルコールは、溶媒及び他の生成物の原料を含む多くの用途を有する。
本発明のいくつかの実施形態を、以下の実施例においてより詳細に説明する。
以下の実施例における全ての部及び百分率は、他に示されていない限り重量による。別段の指示がない限り、圧力は絶対圧力として記載される。
以下の実施例は、本発明を説明するために示され、本発明の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。
比較例A
ブチルアルデヒド供給物の商業規模のVPH気化システムへの分析は、従来のGC又は滴定法を使用して様々な酪酸レベルを明らかにする。これらのレベルは、200~5000ppmw(総有機供給物に基づく)の範囲である。加えて、得られた気化ストリームの分析は、かなりの量の供給酸が揮発され、VPH触媒に向かう供給物中に依然として存在することを明らかにする。気液平衡(Vapor-Liquid Equilibirum、VLE)モデル化は、酪酸が気化器重質分まで下がっているはずであるが、何らかの理由で、かなりの部分が依然としてVPH床に移動していたことを示す。
比較例B
酸化亜鉛(ZnO)系VPH触媒の試料を、典型的な水素化条件下で、比較例Aに見られるレベルと同様の酪酸含有気化アルデヒドに曝露する。おそらく触媒からの昇華を介して、より低温の下流の装置上に堆積した固体が観察される。この固体をTGA及びFT-IRによって分析し、真正物質と比較することによって、Zn(ブチレート)であることが見出された。
比較例C
商業規模のVPH反応器からのZnO系VPH触媒の試料をSEMによって検査し、反応器に充填されていない触媒と比較する。使用済み触媒の本体内に空隙及び新しい結晶が見られる。後者は、おそらく揮発性Zn(ブチレート)の移動からのZnOであることが決定され、その後のZnOへの加水分解が決定された。新しい結晶は、元の新しい触媒とは明らかに異なり(大きく)、触媒担体の形態の変化及び触媒の完全性の喪失と一致する空隙を示す。
比較例A~Cは、不均質触媒に対する酪酸気化物質の有害な影響を示す。
発明例1
酪酸を含まない粗ブチルアルデヒドストリーム中の1000ppmw(窒素基準94ppmw)のトリエタノールアミン(弱塩基性アミン)についてのASPENにおける単純なフラッシュモデルは、約1.4ppmw(窒素基準)のトリエタノールアミンが気相中に存在することを示す。これは、少量のトリエタノールアミンのみが気化されたアルデヒドストリームと共に残ることを示す。これは、遊離酸を非常に低いレベルに低減させるために酸を中和する際に弱塩基性アミンの多くが使用されるので、操作中に気化システム中に存在する遊離アミンがより少ないので、上限を表す。したがって、気相中のトリエタノールアミンの量は、中和前のVPH供給物中に典型的に見出される遊離酸のレベル(典型的には200~5000ppmw)よりもはるかに少ないと予測される。このデータに基づいて、オーバーヘッド気化物質ストリーム中の遊離トリエタノールアミンの量は、存在する酸性度のモル数により厳密に一致するように供給物を低減させ、したがってVPH触媒に影響を及ぼすことなく遊離酸を中和することによって計算され得る。

Claims (8)

  1. アルデヒドの気相水素化のためのプロセスであって、
    (a)液体アルデヒドストリームを気化システムに提供して、気状アルデヒドストリームを弱塩基性アミンの存在下で生成することであって、前記弱塩基性アミンが、前記アルデヒドの標準沸点よりも少なくとも50℃高い標準沸点を有し、前記弱塩基性アミンが、前記液体アルデヒドストリーム中の酸性不純物と反応して、アンモニウム塩付加物を形成し、前記アンモニウム塩付加物及び任意の過剰な弱塩基性アミンが、前記気化システムから重質パージとして除去される、生成することと、
    (b)水素ストリームを前記気化システムに供給することによって、工程(a)の後に水素ストリームを前記気状アルデヒドストリームに添加することによって、又はこれらの組み合わせのいずれかによって、前記気状アルデヒドストリームを水素ストリームと組み合わせることと、
    (c)前記組み合わされた気状アルデヒドと水素とのストリームを気相水素化ゾーンに提供することと、
    (d)前記気状アルデヒドを前記気相水素化ゾーンにおいて水素化することと、を含む、プロセス。
  2. 前記弱塩基性アミンが、トリアルカノールアミン又はイミダゾールを含む、請求項1に記載のプロセス。
  3. 前記弱塩基性アミンが、トリエタノールアミン又はベンズイミダゾールを含む、請求項2に記載のプロセス。
  4. 工程(c)における前記組み合わされた気状アルデヒドと水素とのストリーム中の弱塩基性アミン濃度が、1ppmw未満(窒素基準)である、請求項1~3のいずれか一項に記載のプロセス。
  5. 前記液体アルデヒドストリームの酸含有量を測定することを更に含み、前記気化システムに添加される弱塩基性アミンの量が、酸の当量に対して0.1~5当量の弱塩基性アミンである、請求項1~4のいずれか一項に記載のプロセス。
  6. 前記液体アルデヒドストリームが、ヒドロホルミル化反応及び生成物-触媒分離工程から提供され、前記液体アルデヒドストリームを提供するために、前記生成物-触媒分離工程において、ヒドロホルミル化触媒が、ヒドロホルミル化生成物ストリームから分離される、請求項1~5のいずれか一項に記載のプロセス。
  7. 共役酸のpKaとして決定される前記弱塩基性アミンの塩基性度が、25℃の温度で5~11である、請求項1~6のいずれか一項に記載のプロセス。
  8. 前記弱塩基性アミンが、前記アルデヒドの標準沸点よりも少なくとも100℃高い標準沸点を有する、請求項1~7のいずれか一項に記載のプロセス。
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