JP2024518905A - 炭素隔離、改善された油回収並びに水素貯蔵及び再生のためのカルボキシレートの使用 - Google Patents

炭素隔離、改善された油回収並びに水素貯蔵及び再生のためのカルボキシレートの使用 Download PDF

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Abstract

本明細書には、水性混合物を地下貯留層に注入することによって、炭素を隔離するため、油を生産するため、油回収を改善するため、かつ水素を貯蔵するための組成物、技術、方法及びシステムが記載される。水性混合物は、二酸化炭素の形態及び/又は水素の形態を表すことができる1つ以上のカルボキシレートを含む。カルボキシレートを含む水性混合物はまた、代替的に貯留層内の流体の粘度を増加させるため、又は貯留層内の岩石の濡れ性を改質して、岩石の細孔内に含有される炭化水素の利用可能性及び生産を改善するために有用であり得る。

Description

関連出願の相互参照
本出願は、2021年4月30日に出願された米国仮出願第63/182,299号の利益及び優先権を主張し、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
分野
本発明は、炭素の捕捉及び隔離、増進及び改善された油回収、並びに水素貯蔵の分野にある。本発明は、一般に、地下貯留層中に炭素を隔離し、炭化水素を生産し、地下貯留層からの炭化水素生産を向上させ、かつ地下貯留層を使用して水素を貯蔵及び/又は再生するための組成物、方法、技術及びシステムに関する。
背景
大気中の二酸化炭素(CO)のレベルが上昇し続けるにつれて、炭素の捕捉及び隔離がより重要になってきている。ガス状CO又は液体COとしての地下貯留層におけるCOの隔離が検討されているが、炭素を安全かつ効果的に隔離するための追加の技術が必要である。
水攻法は、地下貯留層からの油生産速度を支援するために有用であり、貯留層が枯渇するにつれて油生産速度及び油回収率を増加させるために使用され得る。注入された水は、貯留層又は別の貯留層から以前に生産された水又はブラインであってもよく、海水、淡水又は帯水も代替的に使用されてもよい。水は、生産井戸から離れた距離で注入されて、貯留層中の油を生産井戸に向かって変位させるための駆動力を提供し得、油が生産されるときに貯留層内の圧力を維持するのに有用であり得る。場合によっては、貯留層内の岩石の細孔内に油が閉じ込められている場合など、貯留層内の一部の油は、抽出に容易に利用できないことがある。多孔質岩から油を生産するための技術が存在するが、それらは、複雑であるか、又は環境に優しくない場合がある界面活性剤、溶媒又は他の高価な添加剤の使用を必要とし得る。
水素ガス(H)は、水素燃料電池を使用する発電用の燃料として有用である。しかしながら、電気が必要な場合、発電に使用されるHは、利用可能でなければならないため、Hは、典型的には、圧縮ガスの形態で、又は水素キャリア(例えば、アンモニア若しくはメチルシクロヘキサン)として貯蔵され、これは、需要を満たすのに十分な量のHの貯蔵における課題を提示する可能性がある。場合によっては、Hは、必要に応じてオンデマンドで生成することができるが、H生成は、多くの場合、エネルギー集約的なプロセスであり、リアルタイムのニーズを満たすためのオンデマンド生成は、有意なエネルギー要件を有する可能性がある。
概要
地下貯留層に水性混合物を注入することによって、炭素を隔離するため、油の生産及び生産の増強のため、並びに水素を貯蔵及び/又は再生するための様々な技術が本明細書に記載されている。水性混合物は、二酸化炭素の形態及び/又は水素の形態を表し得る1つ以上のカルボキシレートを含む。任意選択で、カルボキシレートを含む水性混合物は、貯留層内の岩石の濡れ性を改質して、岩石の細孔内に含有される炭化水素の利用可能性及び生産を改善するのに有用であり得る。カルボキシレートは、粘度調整剤(例えば、貯留層内の流体の粘度を増加させる)としても使用され得る。さらに、カルボキシレートは、高濃度で地下貯留層内に天然に存在しない傾向があるため、それらはまた、貯留層内の流体の動きを追跡し、井戸の接続性を識別するためのトレーサとしても代替的に使用することができる。有利には、カルボキシレートは、核磁気共鳴又は液体若しくはガスクロマトグラフィー質量分析などの分光技術を使用して容易に特徴付け及び定量化することができる。さらに、カルボキシレートは、環境に優しく、容易に生産され、低コストで入手可能であり、炭素及び水素の両方の貯蔵並びに水素の再生に有用である傾向がある。いくつかの例では、水素再生は、注入されたカルボキシレートから貯留層内で、又は生産されたカルボキシレートから表面でin situで起こり得る。
本技術は、炭素をギ酸塩、酢酸塩又はプロピオン酸塩などのカルボキシレートの形態でしっかりと貯蔵することができるため、二酸化炭素を高圧に圧縮しなければならないこと、又は二酸化炭素が貯留層から漏れて表面に逃げる可能性があるためなどの地下貯留層中のガス状二酸化炭素の隔離に関連する課題を克服する。二酸化炭素又は炭酸イオン若しくは重炭酸イオンなどの関連イオンは、例えば、水による電気化学的還元を介してカルボキシレートに変換することができる。カルボキシレートは、水又はブラインと高度に混和性であり得るので、カルボキシレートの水性混合物は、二酸化炭素ガスのように高度に加圧される必要なく液体として地下貯留層に直接注入することができ、現在の液体注入システムは、カルボキシレートを使用した炭素隔離に実用的である。
本技術はまた、注入された水性混合物中のカルボキシレートの存在が、貯留層内の岩石表面の濡れ性を改質して岩石表面をより水湿潤条件(より少ない油湿潤性条件)に変化させ、岩石の細孔内に含有される炭化水素をより容易に放出及び生産することを可能にし得るので、地下貯留層から油又は炭化水素を回収する際の課題を克服する。カルボキシレートはまた、任意選択で、単独で又は1つ以上のポリマー(例えば、加水分解若しくは部分的に加水分解されたポリアクリルアミド)と共に増粘剤として使用されてもよく、地下貯留層内の流体の粘度を増加させ、貯留層内の流体変位のフロント安定性を改善する。有利には、注入された水性混合物中にカルボキシレートを含めることはまた、貯留層からの炭化水素の生産に関連する正味の炭素排出量を低減するのに役立ち得る。いくつかの例では、貯留層からの炭化水素の生産に関連する正味の炭素排出量は、COを注入することによって達成される排出量を超えても、カルボキシレート注入を使用して改善することができる。
開示された技術は、貯留層からの炭化水素放出を有利に可能にするために、及び多くの場合、水性混合物中に存在する界面活性剤を使用することなく、又は界面活性剤の不在下で岩石の濡れ性を変え得る。しかしながら、場合によっては、注入された水性混合物中に界面活性剤を含めることが依然として有利であり得る。界面活性剤の使用を排除又は低減することは、界面活性剤の安定性を維持するために通常使用される安定剤もまた、使用する必要がないか、又は使用する必要が少ないため、水性混合物の複雑さ及びコストを低減するので、さらなる有益な効果を有し得る。さらに、界面活性剤を濡れ性調整剤として使用することは、高塩分濃度又は高温条件を有するものなどの特定の貯留層では実行可能ではない場合がある。水性混合物はまた、例えば炭化水素の粘度を低下させ、より容易かつ/又はより効率的な生産を可能にするために、貯留層内の炭化水素と有利に相互作用することができる溶媒などの他の成分を含んでもよい。いくつかの例では、カルボキシレートは、有利な炭化水素放出を可能にするように岩石の濡れ性を改質するために、ケトンのような酸素化溶媒と共に使用されてもよい。
本技術はまた、水素ガス(H)をガス形態ではなくカルボキシレートの形態で貯蔵することによって、それを貯蔵するための有利な方法を提供し、地下貯留層での貯蔵に好適なものにする。例えば、ギ酸は、液体有機水素キャリアとして機能することができ、二酸化炭素(CO)による接触(脱)水素化によって可逆的にH生成/貯蔵を可能にする。地下貯留層に大量のカルボキシレートを貯蔵することにより、これらのカルボキシレートを生産し、オンデマンドでのH生成に使用することができ、あるいは、触媒(例えば、ナノ触媒及び/又はpH調整剤)を地下貯留層に添加して、in-situでのH生成を促進し、その結果、Hを地下貯留層から直接生産することができる。有利には、地下貯留層に注入されたカルボキシレートは、多くの場合、1日の特定の時間中に断続的であり得るか、又は過剰に生産することがある再生可能エネルギー資源(例えば、太陽、風など)を使用して生成することができる。生成されたカルボキシレート又はそれから生成された水素は、再生可能エネルギーの発生が少ない期間に後で生産され、発電源として使用することができる。このようにして、カルボキシレートは、グリッド負荷分散目的に有用であり得る。
第1の態様では、方法が本明細書に開示される。一例では、この態様の方法は、水及びカルボキシレート、例えば1重量%~45重量%の濃度を有するカルボキシレートを含む水性混合物を得ることと、水性混合物を地下貯留層に注入することと、を含む。場合によっては、地下貯留層は、水又はブラインを含有し、カルボキシレートは、地下貯留層中の水又はブラインの中又は全体に分布することができる。例えば、地下貯留層は、油若しくはガス貯留層、塩水帯水層、淡水帯水層、地熱貯留層又は空洞(例えば、塩空洞)であり得る。任意選択で、この態様の方法は、地下貯留層中の水又はブラインのpHを決定することと、水性混合物のpHを、地下貯留層中の水又はブラインのpHと同じ又はそれに近い(例えば、1pH単位以内)ように改質することと、をさらに含んでもよい。実施例では、水性混合物のpHは、カルボキシレート(例えば、カルボン酸又はカルボキシレート塩)の供給源に応じて、酸(例えば、塩酸)又は塩基(例えば、水酸化ナトリウム)を混合物に添加することによって改質することができる。
開示された方法を使用して二酸化炭素などから炭素を隔離するために、カルボキシレートは、工業プロセスから捕捉された大気CO又はCO、例えば直接捕捉されたCO又は他の形態のCO、例えば水性媒体中の炭酸イオン又は重炭酸イオンから調製することができる。例えば、カルボキシレートは、水を伴う電気化学的還元プロセスを使用して、CO、炭酸イオン又は重炭酸イオンから調製することができる。有利には、そのような電気化学的還元プロセスは、再生可能エネルギー(例えば、太陽、風力、地熱など)を使用して動力供給することができ、その結果、電気化学的還元プロセスは、カーボンニュートラルであるため、注入プロセスは、正味のカーボンネガティブプロセスとして機能する。さらに、上述したように、そのような電気化学的還元プロセスは、負荷分散目的に有用であり得る。
本明細書に記載のシステム、方法及び水性混合物では、種々の異なるカルボキシレートが有用である。例えば、カルボキシレートは、
の式を有し得、式中、Rはアルキル基であり、XはH又はアルカリ金属などの金属である。カルボキシレートは、任意の好適な濃度で水性混合物中に存在し得る。カルボキシレートの例示的な濃度は、約1重量%~約45重量%であり得る。例えば、水性混合物中の1つ以上のカルボキシレートの有用な総濃度は、1重量%~2重量%、2重量%~3重量%、3重量%~4重量%、4重量%~5重量%、5重量%~6重量%、6重量%~7重量%、7重量%~8重量%、8重量%~9重量%、9重量%~10重量%、10重量%~11重量%、11重量%~12重量%、12重量%~13重量%、13重量%~14重量%、14重量%~15重量%、15重量%~16重量%、16重量%~17重量%、17重量%~18重量%、18重量%~19重量%、19重量%~20重量%、20重量%~21重量%、21重量%~22重量%、22重量%~23重量%、23重量%~24重量%、24重量%~25重量%、25重量%~26重量%、26重量%~27重量%、27重量%~28重量%、28重量%~29重量%、29重量%~30重量%、30重量%~31重量%、31重量%~32重量%、32重量%~33重量%、33重量%~34重量%、34重量%~35重量%、35重量%~36重量%、36重量%~37重量%、37重量%~38重量%、38重量%~39重量%、39重量%~40重量%、40重量%~41重量%、41重量%~42重量%、42重量%~43重量%、43重量%~44重量%又は44重量%~45重量%であり得る。実施形態では、カルボキシレートの濃度は、地下貯留層の温度及び圧力での水性混合物中のカルボキシレートの溶解限界内(すなわち、以下又は約)である。任意選択で、水性混合物中のカルボキシレートの量は、カルボキシレートの飽和又は過飽和水性混合物の形態などの溶解限界より上又は溶解限界である。いくつかの実施形態では、複数のカルボキシレートが水性混合物中で使用される。
水性混合物は、任意選択で、水及びカルボキシレート以外に、いくつかの異なる成分を含んでもよい。例えば、水性混合物は、任意選択で、淡水、海水、貯留層接続水、生成水、河川水、池水又はブラインを含んでもよい。いくつかの方法では、水性混合物を得ることは、水溶液を得ることと、カルボキシレートを含む1つ以上の添加剤で水溶液を増強することと、を含む。任意選択で、水性混合物は、界面活性剤、溶媒、酸、塩基、塩、キレート剤、無機化合物、ポリマー、ナノ材料、炭化水素、アミノ酸、殺生物剤、窒素又は二酸化炭素のうちの1つ以上を含む。界面活性剤の例としては、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、両性若しくは双性イオン性界面活性剤又はこれらの任意の組み合わせが挙げられ得る。溶媒の例としては、炭化水素、炭化水素溶媒、アミン、エーテル、アルコール、ケトン、エステル又はこれらの任意の組み合わせが挙げられ得る。酸の例としては、塩酸又は酢酸が挙げられ得る。塩基の例としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化アンモニウム(アンモニア溶液/アンモニア水)及び/又はアミンが挙げられ得る。塩の例としては、ナトリウムイオン、カリウムイオン、マグネシウムイオン、カルシウムイオン、ストロンチウムイオン、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン、硫酸イオン、重炭酸イオン、炭酸イオン又はこれらの任意の組み合わせを含むものが挙げられ得る。
水性混合物は、任意の好適な塩分濃度を有し得る。任意選択で、水性混合物の塩分濃度は、地下貯留層中のブライン又は水の塩分濃度以上である。任意選択で、水性混合物の塩分濃度は、地下貯留層中のブライン又は水の塩分濃度以下である。水性混合物の具体的な塩分濃度は、約0ppm~約250000ppmであり得る。例えば、水性混合物の塩分濃度は、0ppm~500ppm、500ppm~1000ppm、1000ppm~5000ppm、5000ppm~10000ppm、10000ppm~50000ppm、10000ppm~15000ppm、15000ppm~20000ppm、20000ppm~50000ppm、50000ppm~100000ppm、100000ppm~150000ppm、150000ppm~200000ppm又は200000ppm~250000ppmであり得る。任意選択で、水性混合物の塩分濃度は、地下貯留層中のブライン又は水の塩分濃度の約100%以下である。場合によっては、水性混合物の塩分濃度は、水性混合物中のカルボキシレートの溶解度に影響を及ぼし得る。
場合によっては、水性混合物のpH が、地下貯留層中のブライン又は水のpHとほぼ等しい、例えば約1pH単位以内であることが望ましい場合がある。任意選択で、水性混合物のpHは、地下貯留層中のブライン又は水のpH以下である。任意選択で、水性混合物のpHは、地下貯留層中のブライン若しくは水のpHよりも0.1pH単位~5.0pH単位低く、地下貯留層中のブライン若しくは水のpHよりも0.1pH単位~0.5pH単位低く、地下貯留層中のブライン若しくは水のpHよりも0.5pH単位~1.0pH単位低く、地下貯留層中のブライン若しくは水のpHよりも1.0pH単位~1.5pH単位低く、地下貯留層中のブライン若しくは水のpHよりも1.5pH単位~2.0pH単位低く、地下貯留層中のブライン若しくは水のpHよりも2.0pH単位~2.5pH単位低く、地下貯留層中のブライン若しくは水のpHよりも2.5pH単位~3.0pH単位低く、地下貯留層中のブライン若しくは水のpHよりも3.0pH単位~3.5pH単位低く、地下貯留層中のブライン若しくは水のpHよりも3.5pH単位~4.0pH単位低く、地下貯留層中のブライン若しくは水のpHよりも4.0pH単位~4.5pH単位低く又は地下貯留層中のブライン若しくは水のpHよりも4.5pH単位~5.0pH単位低くあり得る。任意選択で、水性混合物のpHは、地下貯留層中のブライン又は水のpH以上である。任意選択で、水性混合物のpHは、地下貯留層中のブライン若しくは水のpHよりも0.1pH単位~5.0pH単位高く、地下貯留層中のブライン若しくは水のpHよりも0.1pH単位~0.5pH単位高く、地下貯留層中のブライン若しくは水のpHよりも0.5pH単位~1.0pH単位高く、地下貯留層中のブライン若しくは水のpHよりも1.0pH単位~1.5pH単位高く、地下貯留層中のブライン若しくは水のpHよりも1.5pH単位~2.0pH単位高く、地下貯留層中のブライン若しくは水のpHよりも2.0pH単位~2.5pH単位高く、地下貯留層中のブライン若しくは水のpHよりも2.5pH単位~3.0pH単位高く、地下貯留層中のブライン若しくは水のpHよりも3.0pH単位~3.5pH単位高く、地下貯留層中のブライン若しくは水のpHよりも3.5pH単位~4.0pH単位高く、地下貯留層中のブライン若しくは水のpHよりも4.0pH単位~4.5pH単位高く又は地下貯留層中のブライン若しくは水のpHよりも4.5pH単位~5.0pH単位高くあり得る。いくつかの例では、水性混合物のpHは、地下貯留層中のブライン又は水の全体的なpHを実質的に改質しない。しかしながら、水性混合物のpHは、少なくとも一時的に、注入井戸を囲む地域の地下貯留層中のブライン又は水のpHを改質するために使用され得る。任意選択で、水性混合物のpHは、注入前に調整される。いくつかの例では、水性混合物のpHは、約5~約9、例えば5~6、6~7、7~8又は8~9であり得る。
本明細書に記載の方法及びシステムは、種々の異なる地下貯留層で有用であり得る。例えば、地下貯留層は、油若しくはガス貯留層、塩水帯水層、淡水帯水層又は地熱貯留層であり得る。任意選択で、地下貯留層は、砂岩、炭酸塩又は火山岩を含むがこれらに限定されない1つ以上の岩石タイプを含む。任意選択で、地下貯留層は、石英、方解石、ドロマイト、無水石膏、石膏、長石、シデライト、ゼオライト、カオリナイト、イライト、亜塩素酸塩又はスメクタイトを含むがこれらに限定されない1つ以上の鉱物を含む。任意選択で、地下貯留層は、ケロゲン又はビチューメンなどの有機物を含む。地下貯留層中の岩石は、10%未満(例えば、堅い頁岩の地層)の空隙率を有し得、又はより大きな空隙率(例えば、最大20%若しくは30%)を有し得る。地下貯留層中の岩石は、5nD若しくは10nD未満の透過率を有してもよく、又は最大5D若しくは10Dなどのより大きな透過率を有してもよい。
例えば、増進油回収及び/又は炭化水素生産の事例では、水性混合物又はその成分は、地下貯留層において岩石表面と接触し、任意選択で、岩石表面の水濡れ性性質を増大することができる。炭化水素を生産するために使用される水性混合物中のカルボキシレートの使用は、いくつかの明確な利点を提供し得る。例えば、特に、カルボキシレートは、地下の油貯留層又はガス貯留層内に天然には存在せず、分光技術を使用して容易に識別可能及び定量可能であるため、貯留層中の井戸間の流体接続性の識別を可能にするために、カルボキシレートはトレーサとして使用され得る。
本明細書に記載の方法に従って生産され得る地下貯留層内の炭化水素としては、原油、タルマット、ビチューメン、重油、タイトオイル、シェールオイル、ガス凝縮物又はこれらの任意の組み合わせが挙げられ得るが、これらに限定されない。いくつかの例では、地下貯留層からの炭化水素の回収率は、水性混合物を注入しない地下貯留層からの炭化水素の回収率と比較して、(1つ以上のカルボキシレートを含有する)水性混合物を注入することによってより大きくなり得る。例えば、貯留層内の岩石表面の濡れ性状態を改質することによって、貯留層は、炭化水素をより放出しやすくなり得る。
任意選択で、この態様の方法は、地下貯留層に1つ以上の井戸を配置することをさらに含む。実施形態では、地下貯留層に水性混合物を注入することは、1つ以上の井戸に水性混合物を注入することを含む。任意選択で、この態様の方法は、地下貯留層から、例えば1つ以上の井戸から流体を生産することをさらに含み得る。任意選択で、流体は、例えば増進油回収の事例など、炭化水素を含む。いくつかの実施形態では、地下貯留層から炭化水素を生産することは、地下貯留層に注入された水性混合物の少なくとも一部を回収することを含む。任意選択で、例えば、地下貯留層からの炭化水素の生産中、又は地下貯留層からの炭化水素の生産とは別に、地下貯留層からブラインを生産してもよい。任意選択で、カルボキシレートは、地下貯留層から生産されたブライン中のトレーサとして存在するか、トレーサとして識別されるか、又はトレーサとして観察される。例えば水素貯蔵の事例では、流体は、任意選択で、カルボキシレートを含むか、又は流体は、任意選択で、水素を含む。
地下貯留層内に炭素を隔離するためのシステム、地下貯留層から炭化水素を生産するためのシステム、又は地下貯留層中に水素を貯蔵するためのシステムなどのシステムも本明細書で提供される。例示的なシステムは、水性混合物の供給源、例えば、水及びカルボキシレート、例えば水性混合物中の1重量%~45重量%の濃度を有するカルボキシレートを含む水性混合物と;地下貯留層に水性混合物を注入するために、供給源及び地下貯留層と流体連通する注入システムと、を備える。さらなる例示的な詳細を以下に説明する。
いかなる特定の理論に束縛されるものではないが、本明細書では、本発明に関する基本原理の信念又は理解について考察することができる。いかなる機械的な説明又は仮説が最終的に正しいかどうかにかかわらず、本発明の実施形態は、それでもなお、動作可能で有用であり得ることが認識される。
地下貯留層及び水性混合物を地下貯留層に注入するためのシステムの概略図である。
例示的な炭素隔離方法の概要を示す図である。
例示的な炭化水素生産方法の概要を示す図である。
例示的な水素貯蔵方法の概要を示す図である。
貯留層ブラインに浸漬されたウルフキャンプ頁岩の経時的な接触角の変化を示す写真である。
貯留層ブライン中の1重量%ギ酸ナトリウムに浸漬されたウルフキャンプ頁岩の経時的な接触角の変化を示す写真である。
貯留層ブラインに浸漬されたイーグルフォード頁岩の経時的な接触角の変化を示す写真である。
貯留層ブライン中の1重量%ギ酸ナトリウムに浸漬されたイーグルフォード頁岩の経時的な接触角の変化を示す写真である。
貯留層ブラインに浸漬されたウルフキャンプ頁岩の経時的な接触角の変化を示す写真である。
貯留層ブライン中の1重量%酢酸ナトリウムに浸漬されたウルフキャンプ頁岩の経時的な接触角の変化を示す写真である。
貯留層ブラインに浸漬されたイーグルフォード頁岩の経時的な接触角の変化を示す写真である。
貯留層ブライン中の1重量%酢酸ナトリウムに浸漬されたイーグルフォード頁岩の経時的な接触角の変化を示す写真である。
脱イオン水中のギ酸ナトリウム溶液の写真である。
25、50及び75℃でのブライン中のギ酸塩溶液の粘度を示すプロットである。
2つの相、砂相及び頁岩相を有する3D帯水層モデルの図である。
水-油比透過率曲線を示すプロットである。
液体-気体比透過率曲線を示すプロットである。
シミュレーション期間にわたる帯水層におけるCO及びギ酸塩分布を示すプロファイルである。 シミュレーション期間にわたる帯水層におけるCO及びギ酸塩分布を示すプロファイルである。 シミュレーション期間にわたる帯水層におけるCO及びギ酸塩分布を示すプロファイルである。 シミュレーション期間にわたる帯水層におけるCO及びギ酸塩分布を示すプロファイルである。
帯水層からの累積CO及びギ酸塩生産を示すプロットである。
帯水層からの累積造水量を示すプロットである。
帯水層(aquiver)に貯蔵された注入剤の累積モルを示すプロットである。
貯留層の空隙率分布の3D図である。
異なる時間におけるCO及びギ酸塩のプロファイルを示す図である。 異なる時間におけるCO及びギ酸塩のプロファイルを示す図である。 異なる時間におけるCO及びギ酸塩のプロファイルを示す図である。 異なる時間におけるCO及びギ酸塩のプロファイルを示す図である。
累積造水量を示すプロットである。
CO及びギ酸塩溶液注入からの油回収を示すプロットである。
貯留層に貯蔵された注入剤のモル数の履歴を示すプロットである。
COに対するフォーマットを使用した炭素強度の減少を示すプロットである。
調整されたkv/kh値を使用して、油貯留層中のCO及びギ酸塩のプロファイルを示す図である。 調整されたkv/kh値を使用して、油貯留層中のCO及びギ酸塩のプロファイルを示す図である。 調整されたkv/kh値を使用して、油貯留層中のCO及びギ酸塩のプロファイルを示す図である。
CO及びギ酸塩注入の油生産結果を示すプロットである。
貯留層中のCO及びギ酸塩注入のための注入剤貯蔵を示すプロットである。
異なる形態のグリシンの分子構造を示す図である。
分子構造のギ酸アニオン、酢酸アニオン及びグリシンを示す図である。
接触角測定のための装置を示す写真である。
アモットセルを示す写真である。
強制吸収測定のために使用される実験装置の概略図である。
方解石による貯留層接触角実験の結果を示すプロットである。
異なるグリシン溶液濃度での方解石によるグリシン接触角実験の結果を示すプロットである。 異なるグリシン溶液濃度での方解石によるグリシン接触角実験の結果を示すプロットである。 異なるグリシン溶液濃度での方解石によるグリシン接触角実験の結果を示すプロットである。 異なるグリシン溶液濃度での方解石によるグリシン接触角実験の結果を示すプロットである。
異なる酢酸塩溶液濃度での方解石による酢酸塩接触角実験の結果を示すプロットである。 異なる酢酸塩溶液濃度での方解石による酢酸塩接触角実験の結果を示すプロットである。 異なる酢酸塩溶液濃度での方解石による酢酸塩接触角実験の結果を示すプロットである。 異なる酢酸塩溶液濃度での方解石による酢酸塩接触角実験の結果を示すプロットである。
異なるギ酸塩溶液濃度での方解石による酢酸塩接触角実験の結果を示すプロットである。 異なるギ酸塩溶液濃度での方解石による酢酸塩接触角実験の結果を示すプロットである。 異なるギ酸塩溶液濃度での方解石による酢酸塩接触角実験の結果を示すプロットである。 異なるギ酸塩溶液濃度での方解石による酢酸塩接触角実験の結果を示すプロットである。
イーグルフォード頁岩板による接触角実験の結果を示すプロットである。
テキサスクリーム石灰石コアによる一連の自発的吸水実験の結果を示すプロットである。 テキサスクリーム石灰石コアによる一連の自発的吸水実験の結果を示すプロットである。
テキサスクリーム石灰石コアによる一連の強制吸収実験の結果を示すプロットである。 テキサスクリーム石灰石コアによる一連の強制吸収実験の結果を示すプロットである。
テキサスクリーム石灰石コアによる一連の自発的吸収実験の結果を示すプロットである。 テキサスクリーム石灰石コアによる一連の自発的吸収実験の結果を示すプロットである。
テキサスクリーム石灰石コアによる一連の強制吸収実験の結果を示すプロットである。 テキサスクリーム石灰石コアによる一連の強制吸収実験の結果を示すプロットである。
グリシンへのカルシウム結合の2つの可能な機構を示す構成を示す図である。 グリシンへのカルシウム結合の2つの可能な機構を示す構成を示す図である。
キレート効果によるカルボキシレートアニオン(右)に対するグリシン(左)の優位性におけるアミノ基の役割を示す図である。
脱イオン水中のギ酸塩溶液の粘度を示すプロットである。
15000ppmのNaCl中のギ酸塩溶液の粘度を示すプロットである。
49000ppmのNaCl中のギ酸塩溶液の粘度を示すプロットである。
102646ppmのブライン(97897ppmのNaCl及び4749ppmCaCl)中のギ酸塩溶液の粘度を示すプロットである。
室温での20重量%ギ酸塩溶液のin-situ及びバルク粘度を示すプロットである。
コアフラッディング実験(ブラインの事例)の結果を示すプロットである。
コアフラッディング実験(20重量%ギ酸塩の事例)の結果を示すプロットである。
コアフラッディング実験(30重量%ギ酸塩の事例)の結果を示すプロットである。
詳細な説明
1つ以上のカルボキシレートを含む水性混合物の地下貯留層への注入に関する方法、システム及び技術、例えば炭素隔離、増進油回収、又は水素貯蔵のための方法、システム及び技術が本明細書に記載される。炭素を隔離するために、カルボキシレートは、1重量%~45重量%以上などの任意の好適な濃度で水性混合物中に存在することができる。このようにして、大量の炭素を地下貯留層に注入することができ、そこでそれを隔離されたままにすることができる。場合によっては、カルボキシレートは、大気から又は生成の時点で二酸化炭素を捕捉し、水媒体中の他の形態(例えば、炭酸イオン若しくは重炭酸イオン)のCOの水素化反応又は電気化学的還元などの化学反応によって二酸化炭素をカルボキシレートに変換し、任意選択で、再生可能エネルギー(例えば、太陽光、風力、地熱)を電源として使用して、カーボンネガティブプロセスを提供することによって生成することができる。増進油回収のために、カルボキシレートを含む水性混合物は、貯留層内の岩石の濡れ性を改質して、岩石の細孔内に含有される炭化水素の利用可能性及び生産を改善するのに有用であり得る。カルボキシレートはまた、任意選択で、単独で又は1つ以上のポリマーと共に増粘剤として使用されてもよく、地下貯留層内の流体の粘度を増加させるのに役立ち、これは、次いで貯留層内のより効果的な流体変位成分となり得、貯留層の部分にわたって流体をより効率的に駆動するのに役立つ。水素を貯蔵するために、カルボキシレートは、1重量%~45重量%などの任意の好適な濃度で水性混合物中に存在することができ、後の水素生成のための回収のために地下貯留層に注入することができる。例えば、カルボキシレートは、貯留層から生産され、水素ガスが発生する化学反応、例えば脱水素反応器で使用することができる。場合によっては、触媒、pH調整剤及び/又はナノ触媒を地下貯留層に注入して、in-situでのカルボキシレートの酸化からの水素発生を触媒することができ、その結果、次いで水素を地下貯留層から直接生産することができる。
本明細書で使用するとき、「カルボキシレート」は、カルボキシル官能基を含有する分子を指し、これはアニオン形態(-COO)、カルボン酸(-COOH)としてのプロトン化形態、又はアルカリ金属カルボキシレート塩(例えば、カルボン酸ナトリウム)などのカルボキシレート塩(-COOM)の形態であり得る。水性混合物では、カルボキシレートは、溶媒和形態であってもよく、混合物のpH、混合物の塩分濃度、及び/又はカルボキシレートの濃度は、カルボキシレートがカルボン酸、カルボキシレートイオン又はカルボキシレート塩の形態である程度に影響を及ぼし得ることが理解されよう。一般に、本明細書に記載の技術で有用なカルボキシレートは、式
(式中、XはH又はアルカリ金属であり、RはH又はアルキル基、例えばC1-C3アルキル基であり、置換又は非置換であってもよい)で表されるものなどのアルキルカルボキシレートである。本明細書に記載の技術で有用なカルボキシレートは、Rがアミン官能基を含む上記式のカルボキシレートに対応し得るアミノ酸とは異なり得ることが理解されよう。例えば、他の方法で述べると、カルボキシレートは、アミノ酸ではないか、又はRは、アミンを含有しない。
カルボキシレートの使用は、いくつかの理由で有益であり得る。第1に、多くのカルボキシレートは、天然に存在し、環境に優しい。例えば、酢酸、酸、ギ酸及びプロピオン酸は、米国食品医薬品局によって食品添加物として承認されている。カルボキシレートは、天然に存在し得るが、それらは、典型的には、地下貯留層内の水性流体中に存在しないか、又は低濃度で存在するので、本明細書に記載の方法による注入によって添加された場合、それらは、貯留層内のどの井戸が互いに流体連通しているかを識別するため、又は地下貯留層内の水性流体の流れを追跡するためなどに、地下貯留層内の流体の動きを追跡するためのトレーサとして使用され得る。カルボキシレートはまた、貯留層内の岩石表面の濡れ性を改質することなどによって、貯留層からの炭化水素の増加又は容易な生産を可能にするために、地下貯留層内の条件を有利に改質し得る。
カルボキシレートは、有利には、界面活性剤、酸、塩基、ポリマー、キレート剤、ナノ材料、アミノ酸、殺生物剤、溶媒、炭化水素又は溶解ガスなどの地下貯留層に注入される水性混合物への他の添加剤と組み合わせて使用され得る。炭化水素の生産のために、カルボキシレートの使用は、カルボキシレートが界面活性剤と同様の効果を提供し得るので、より少ない量の他の成分、例えばより少ない量の界面活性剤を同じ効果に使用することを可能にすることができ、すなわち、地下貯留層中の岩石内の細孔から炭化水素をより容易に放出することを可能にする。
特に、貯留層中の岩石表面の濡れ性性質は、カルボキシレートの存在下で、より油湿潤性性質(より少ない水湿潤性)からより水湿潤性性質(より少ない油湿潤性)に変化し得る。そのような効果は、岩石表面と水相及びオレイン相との間の接触角の変化として定量化することができる。実施形態では、岩石は、カルボキシレート含有水性混合物と接触する前により多くの油湿潤性性質(油接触角90°未満、水接触角90°超)を有し、カルボキシレート含有混合物と接触した後により多くの水湿潤性性質(水接触角90°未満、油接触角90°超)に変化し得る。
図1は、いくつかの井戸105が配置された例示的な地下貯留層100の概略図を提供する。地下貯留層100は、例えば、油若しくはガス貯留層であってもよく、又は帯水層であってもよい。場合によっては、井戸105は、垂直井戸であってもよい。場合によっては、井戸105は、水平井戸であってもよい。本明細書では、垂直井戸と水平井戸との組み合わせも企図される。井戸105は、炭素隔離又は水素貯蔵などの目的のために、上述のように、地下貯留層100にカルボキシレートを含む水性混合物を注入及び貯蔵するために使用され得る。
場合によっては、井戸105は、流体、例えばカルボキシレートを含有する本明細書に記載の水性混合物が注入され、任意選択の浸漬期間の後に生産プロセスが行われる周期的注入プロセス(例えば、huff及びpuff又はhuff-n-puffプロセス)に使用されてもよい。場合によっては、井戸105は、流体、例えばカルボキシレートを含有する本明細書に記載の水性混合物が第1の井戸に注入され、第2の井戸が流体、例えば炭化水素を含む流体又は水性流体若しくは気体流体を生産するために使用されるフラッディングプロセス(例えば、水攻法プロセス)に使用されてもよい。特定の構成に応じて、同じ又は異なる井戸105が注入及び生産の両方に使用され得る。
井戸105は、任意選択で、ブライン又は水中にカルボキシレートを含む本明細書に記載の水性混合物のスラグを注入し、続いて追跡流体を注入するために使用されてもよい。追跡流体は、ブライン又は水及び他の成分、例えばキレート剤、アミン又は無機塩基を含み得る。場合によっては、追跡流体は、カルボキシレートを含む水性混合物のベースである同じブライン若しくは水を含んでもよく、又は異なるブライン若しくは水(例えば、異なるイオン及び/若しくはイオンの濃度を含む)であってもよい。追跡流体のための他の例示的な成分としては、界面活性剤、溶媒、酸、塩基、塩、無機化合物、ポリマー、キレート剤、ナノ材料、アミノ酸、殺生物剤、炭化水素、窒素、又は二酸化炭素のうちの1つ以上が挙げられる。追跡流体は、地下貯留層中の岩石表面に吸収されたカルボキシレートの保持を減少させるため、かつ/又は水性混合物からカルボキシレートの少なくとも一部を脱着させるための1つ以上の成分に有用であり得、それらを含み得る。例示的な追跡流体としては、水又はブライン及びキレート剤、アミン若しくは無機塩基のうちの1つ以上が挙げられ得る。
注入システムは、井戸105と流体連通し得る。図1に示すように、注入システムは、例えば、導管及び圧送機器110を含み得る。流体源115は、注入システムと流体連通していてもよく、又は注入システムは、流体源115を含んでもよい。流体源115は、例えば、貯蔵タンク、混合タンク、流体導管などを備え得るか、又は含み得、井戸105を介して貯留層100に注入するための水性混合物を提供するために使用され得る。
生産システムは、井戸105と流体連通し得る。図1に示すように、生産システムは、例えば導管及び圧送機器120を含み得る。タンク125は、生産システムの構成要素と流体連通し得るか、かつ/又は構成要素であり得る。タンク125は、貯蔵タンクを備え得るか、又は例えば反応容器であり得る。水素貯蔵の事例では、圧送機器120を使用して生産された流体は、生産されたカルボキシレートから水素ガスが生成される脱水素反応のための反応容器として機能することができるタンク125に提供されるカルボキシレートを含み得る。
図2は、地下貯留層にカルボキシレートを注入することによって隔離炭素を生産するための例示的な方法200の概要を提供する。ブロック205において、1つ以上の井戸が地下貯留層に配置される。井戸は、任意の好適な寸法、向き、方向などを有し得る。1つ以上の井戸は、例えば、垂直井戸、水平井戸、又はそれらの組み合わせを備え得る。地下貯留層は、淡水帯水層若しくは塩水帯水層などの帯水層、又は油若しくはガス貯留層であってもよく、これは任意選択で、枯渇した油若しくはガス貯留層に対応してもよい。
ブロック210において、カルボキシレートが調製される。いくつかの例では、ギ酸塩は、CO、炭酸イオン又は重炭酸イオンとの電気化学的還元反応によって調製され得る。場合によっては、カルボキシレートは、市販されているか、又は他の方法を使用して生産されてもよい。いくつかの例では、酢酸塩又は酢酸は、細菌発酵、メタノールカルボニル化、アセトアルデヒド酸化、又はエチレン酸化によって調製され得る。炭素隔離の目的のために、ブロック210でのカルボキシレートの調製は、太陽光、風力、地熱又は原子力などの炭素中性電力のみを使用して実行されることが望ましい場合がある。場合によっては、ブロック210でのカルボキシレートの調製は、任意選択のプロセスであり、カルボキシレートを得るプロセスで置き換えてもよい。
利用可能なカルボキシレートを用いて、ブロック215において、カルボキシレートを水又は別の水溶液(例えば、ブライン)と混合することによって水性混合物が調製され得る。限定するものではないが、水又は水溶液は、例えば地下貯留層又は別の貯留層から以前に生産されたブライン若しくは水又は海水、淡水、河川水、池水、帯水などの任意の好適な供給源からのものであり得る。任意選択で、界面活性剤、溶媒、酸、塩基、塩、無機化合物、ポリマー、キレート剤、アミノ酸、殺生物剤、ナノ材料、炭化水素、窒素又は二酸化炭素などの添加剤が混合物に含まれてもよい。いくつかの例では、添加剤を使用して、カルボキシレートの溶解度を増加させるか、又は溶液中のカルボキシレートを含む固体粒子の懸濁液を提供して、カルボキシレートの濃度を水中のカルボキシレートの自然溶解限界より高くすることが可能になり得る。
ブロック220において、1つ以上のカルボキシレートを含む水性混合物は、1つ以上の井戸を介してなど、地下貯留層に注入される。水性混合物は、連続的に注入されてもよく、又は半連続的に若しくは1つ以上の別個の注入プロセスで注入されてもよい。水性混合物の注入は、任意選択で、進行されてもよく、又は続いて他の流体が注入されてもよく、これはカルボキシレートを含んでも含まなくてもよい。ブロック210、215又は220のいずれかは、任意選択で、1回以上繰り返されてもよい。
いくつかの例では、地下貯留層からの流体の試料は、注入井戸又は別の井戸を使用するなどして、任意選択で、生産され得る。サンプリングされた流体は、地下貯留層中の隔離された炭素の量を識別又は推定するなどのために、地下貯留層中のカルボキシレートの濃度を識別するために試験され得る。場合によっては、注入された水性混合物中のカルボキシレートの濃度は、地下貯留層中の隔離された炭素の同定若しくは推定量、又は生産された流体中のカルボキシレートの濃度に基づいて改質することができる。
図3は、地下貯留層から炭化水素を生産するための例示的な方法300の概要を提供する。ブロック305において、1つ以上の井戸が地下貯留層に配置される。上述したように、1つ以上の井戸は、地下貯留層への流体の注入及び/又は地下貯留層からの流体の生産に独立して使用され得る。井戸は、任意の好適な寸法、向き、方向などを有し得る。1つ以上の井戸は、例えば、垂直井戸、水平井戸又はそれらの組み合わせを備え得る。井戸は、任意選択で、ガス又は液体などの流体を、炭化水素などの地下貯留層から直接生産するために使用されてもよく、任意選択で、カルボキシレートを含む水性流体などであってもよい。
ブロック310において、カルボキシレートを含む水性混合物は、水性流体(例えば、貯留層若しくは別の貯留層から以前に生産されたブライン又は海水、淡水、帯水水など)をカルボキシレート及び(溶媒、界面活性剤など)を含む任意の他の添加剤で増強するなどによって得られる。限定されないが、水性混合物は、カルボキシレートに加えて、淡水、海水、貯留層接続水、生成水、河川水、池水又はブラインを含んでもよい。水性混合物は、カルボキシレートに加えて、界面活性剤、溶媒、酸、塩基、塩、無機化合物、ポリマー、キレート剤、アミノ酸、殺生物剤、ナノ材料、炭化水素、窒素又は二酸化炭素を含み得る。
ブロック315において、1つ以上のカルボキシレートを含む水性混合物は、1つ以上の井戸を介してなど、地下貯留層に注入される。水性混合物は、連続的に注入されてもよく、又は半連続的に若しくは1つ以上の別個の注入プロセスで注入されてもよい。水性混合物の注入は、ブロック320に示されるように、任意選択で、進行されてもよく、又は続いて他の流体が注入されてもよく、これは、追跡流体などのカルボキシレートを含んでも含まなくてもよい。水性混合物及び追跡流体の注入は、任意選択で、1回以上繰り返されてもよい。
ブロック325において、炭化水素が地下貯留層から生産される。地下貯留層及び/又は構成に応じて、地下貯留層内の圧力は、炭化水素を表面まで引き込むための人工リフトを必要とせずに、地下貯留層から炭化水素を直接生産するのに十分であり得るが、場合によっては、人工リフトシステムが使用されてもよい。用いられる生産プロセスに応じて、ブロック315及び325における水性混合物の注入及び炭化水素ステップの生産は、ブロック320における追跡流体注入プロセスを任意選択で、繰り返しながら、周期的注入プロセスなどで、1回以上繰り返されてもよい。
ブロック325において、非炭化水素流体は、任意選択で、地下貯留層から回収されてもよい。場合によっては、地下貯留層に注入された水性混合物中のカルボキシレート又は他の添加剤の一部を回収するために、注入された水性混合物の少なくとも一部を回収することが望ましい場合がある。しかしながら、地層に応じて、これらの成分の回収は、実行可能又は実行不可能であり得る。流体生産は、例えば、炭化水素の生産中、生産後、又は生産の代わりに起こり得ることが理解されよう。
ブロック330において、水性混合物は、任意選択で、ブロック315に対応する反復注入ステップで異なる水性混合物を注入することができるように改質されてもよい。例えば、地下貯留層からの炭化水素及び/又は流体の生産は、異なるカルボキシレートの使用、カルボキシレート濃度の変化、水性混合物中の他の又はより多い若しくはより少ない添加剤(例えば、界面活性剤、酸、塩基など)の提供など、水性混合物を変化させるために使用される情報を提供し得る。このようにして、生産プロセス中に得られたリアルタイムフィードバックに基づいて注入及び生産を調節することができる。
図4は、地下貯留層に水素を貯蔵するための例示的な方法400の概要を提供する。ブロック405において、1つ以上の井戸が地下貯留層に配置される。上述したように、1つ以上の井戸は、地下貯留層への流体の注入及び/又は地下貯留層からの流体の生産に独立して使用され得る。井戸は、任意の好適な寸法、向き、方向などを有し得る。1つ以上の井戸は、例えば、垂直井戸、水平井戸又はそれらの組み合わせを備え得る。井戸は、任意選択で、ガス又は液体などの流体を、炭化水素などの地下貯留層から直接生産するために使用されてもよく、カルボキシレートを任意選択で含む水性流体などであってもよい。
ブロック410において、カルボキシレートは、水素のキャリアとして調製され、次いで水性流体と混合して水性混合物を調製する。上記のように、カルボキシレートは、任意の望ましい技術を使用して調製することができる。場合によっては、COの水素化反応を使用して、ギ酸を調製してもよく、ギ酸は、例えば水又はブラインと混合することができる。任意選択で、混合物中のカルボキシレートの溶解度を増加させるのに役立つ成分などの他の添加剤が、水性混合物に含まれてもよい。限定されないが、水性混合物は、カルボキシレートに加えて、淡水、海水、貯留層接続水、生成水、河川水、池水又はブラインを含んでもよい。水性混合物は、例えばカルボキシレートに加えて、界面活性剤、溶媒、酸、塩基、塩、無機化合物、ポリマー、キレート剤、アミノ酸、殺生物剤、ナノ材料、炭化水素、窒素又は二酸化炭素を含み得る。
ブロック415において、1つ以上のカルボキシレートを含む水性混合物は、1つ以上の井戸を介してなど、地下貯留層に注入される。水性混合物は、連続的に注入されてもよく、又は半連続的に若しくは1つ以上の別個の注入プロセスで注入されてもよい。
ブロック420において、触媒を、任意選択で、1つ以上の井戸を介してなど、地下貯留層に注入することができる。触媒は、例えば、地下貯留層中でin-situで水素ガスを生成するためにカルボキシレートの脱水素を助けるのに有用な金属触媒であり得るか、又はそれを含むことができる。任意選択で、触媒は、ナノ触媒を含むことができる。いくつかの例では、触媒は、水素の発生のための反応の推進を助けることができるpH調整剤であり得る。
ブロック425において、流体は、地下貯留層から生産される。in-situ水素ガス生成の事例では、流体は、水素ガスを含み得る。追加的又は代替的に、生産された流体は、カルボキシレートを含み得る。場合によっては、地下貯留層に注入された触媒の一部を回収するために、注入された水性混合物の少なくとも一部を回収することが望ましい場合があるが、この態様は任意選択である。しかしながら、地層に応じて、これらの成分の回収は、実行可能又は実行不可能であり得る。用いられるプロセスに応じて、ブロック415及び425における水性混合物の注入及び流体の生産、並びに任意選択で、ブロック420における触媒注入ステップは、1回以上繰り返されてもよい。
ブロック430において、水素ガスを任意選択で、地下貯留層から生産された流体中のカルボキシレートから生成することができる。上記のように、カルボキシレートは、地下層の上方の表面又は生産された流体が輸送される別の場所にある反応器中などで、脱水素反応に供されて水素ガスを生産することができる。
プロセスにおける様々な時点で、水性混合物は、任意選択で、ブロック415に対応するステップで異なる水性混合物を注入できるように、改質されてもよい。例えば、地下貯留層からの流体の生産は、異なるカルボキシレートの使用、カルボキシレート濃度の変化、他の又はより多い若しくはより少ない添加剤(例えば、界面活性剤、酸、塩基、触媒など)の提供など、水性混合物を変化させるために使用される情報を提供し得る。このようにして、水素貯蔵プロセスは、プロセス中に得られたリアルタイムフィードバックに基づいて調節することができる。
本発明は、以下の非限定的な例によってさらに理解され得る。
実施例1:油湿潤頁岩表面上の接触角の変化に対するギ酸アニオン(HCOO)の効果
ギ酸アニオンを含有する溶液が頁岩地層の濡れ性性質を改質する能力を評価するために実験を実行した。これらの実験では、ウルフキャンプ及びイーグルフォードの露頭からの頁岩ディスクの試料を使用した。
ウルフキャンプ及びイーグルフォード頁岩露頭のディスクを、表面を強く油湿潤にするために油熟成した。頁岩表面を熟成するために使用された油は、原油(分子量210g/mol、飽和71.6重量%、芳香族24.8重量%。%、樹脂3.4重量%及びアスファルテン(n-ペンタン不溶性)0.1重量%)であった。
油熟成ディスクを貯留層ブライン(RB)又は74℃の貯蔵層ブライン中の1重量%ギ酸ナトリウムに浸漬した。貯留層ブラインは、68,722ppmの塩分濃度を有した。油滴を貯留層ブライン(RB)又は貯蔵層ブライン中の1重量%ギ酸ナトリウム中の頁岩表面上に配置し、油滴の接触角を0日目(初期)及び3日目(最終)に測定した。液滴に使用した油は、原油(分子量186g/mol、288.71Kでの密度822.5kg/m、飽和76.7重量%、芳香族20.1重量%、樹脂3.2重量%及び0.1重量%未満のアスファルテン(n-ペンタン不溶性))であった。
表1は、地層ブライン中の1重量%ギ酸塩が、ウルフキャンプ頁岩の接触角をわずかに減少させるだけで効果的であることを示す。貯留層ブライン自体は、ウルフキャンプ頁岩上の油滴の接触角を有意に変化させなかった(図5)。しかしながら、ギ酸塩溶液は、3日以内に接触角を134.27°から121.15°に変化させた(図6)。
ギ酸塩は、ウルフキャンプ表面と比較して、イーグルフォード頁岩表面で優れた濡れ性変化を示し、3日以内に表面を強く水湿潤にした。表2を参照されたい。地層ブラインはまた、イーグルフォード頁岩表面上の油滴の接触角を減少させたが、濡れ性性質を有意に改質させなかった(図7)。しかしながら、ギ酸塩溶液は、イーグルフォード頁岩表面を強く水湿潤にした;接触角は、3日以内に148.02°から45.57°に変化した(図8)。
上記データから、74℃の貯留層ブライン中の1重量%ギ酸ナトリウムが、3日間でイーグルフォード岩石表面を、明らかに水湿潤に変化させることができることが明らかである。しかしながら、貯留層ブライン中の1重量%ギ酸ナトリウムは、同じ条件下でウルフキャンプ岩石表面の接触角を変化させなかった。これは、2つの貯留層岩石の鉱物学の差によるものであり得る(表3)。
大部分が方解石を有するイーグルフォード岩石は、ギ酸塩溶液に対して急速な接触角の変化を示す;一方、ウルフキャンプ岩石の大部分は、石英(ケイ酸塩)で不活性である。したがって、ギ酸アニオンと正に帯電したイーグルフォード岩石表面との間の有利な静電相互作用は、濡れ性変化において有意な役割を果たし得る。
実施例2:油湿潤頁岩表面上の接触角の変化に対する酢酸アニオン(CH3COO)の効果
酢酸アニオンを含有する溶液が頁岩地層の濡れ性性質を改質する能力を評価するために実験を実行した。これらの実験では、ウルフキャンプ及びイーグルフォードの露頭からの頁岩ディスクの試料を使用した。
ウルフキャンプ及びイーグルフォード頁岩露頭のディスクを、表面を強く油湿潤にするために油熟成した。頁岩表面を熟成するために使用された油は、原油(分子量210g/mol、飽和71.6重量%、芳香族24.8重量%。%、樹脂3.4重量%及びアスファルテン(n-ペンタン不溶性)0.1重量%)であった。
油熟成ディスクを貯留層ブライン(RB)又は74℃の貯留層ブライン中の1重量%酢酸ナトリウムに浸漬した。貯留層ブラインは、68,722ppmの塩分濃度を有した。油滴を貯留層ブライン(RB)又は貯蔵ブライン中の1重量%酢酸ナトリウム中の頁岩表面上に配置し、油滴の接触角を、0日目(初期)及び3日目(最終)に測定した。液滴に使用した油は、原油(分子量186g/mol、288.71Kでの密度822.5kg/m、飽和76.7重量%、芳香族20.1重量%、樹脂3.2重量%及び0.1重量%未満のアスファルテン(n-ペンタン不溶性))であった。
表4は、地層ブライン中の1重量%酢酸塩が、ウルフキャンプ頁岩の接触角を有意に減少させ、表面を強く水湿潤に変化させるのに有効であることを示す。貯留層ブライン自体は、ウルフキャンプ頁岩上の油滴の接触角を減少させたが、表面の濡れ性性質を変化させなかった(図9)。しかしながら、酢酸塩溶液は、3日以内に接触角を134.08°から45.06°に有意に変化させた(図10)。
酢酸塩はまた、イーグルフォード頁岩表面に対して優れた濡れ性変化を示し、3日以内に表面を強く水湿潤にした。表5を参照されたい。地層ブラインは、イーグルフォード頁岩表面上の油滴の接触角をわずかにしか変化させなかった(図11)。しかしながら、酢酸塩溶液は、イーグルフォード頁岩表面を強く水湿潤にした;接触角は、3日以内に148.02°から45.57°に変化した(図12)。
上記データから、74℃の貯留層ブライン中の1重量%酢酸ナトリウムは、3日間でウルフキャンプ及びイーグルフォード岩石表面を水湿潤に変化させることができることが明らかである。ギ酸塩による実験とは異なり、酢酸塩の濡れ性変化特徴は、頁岩石試料の鉱物組成とは無関係であることが分かった。
実施例3:地質学的炭素貯蔵のためのギ酸水溶液のシミュレーション事例研究
地質層における炭素貯蔵は、化石燃料に基づく工業プロセスの炭素強度を低下させる重要な技術と考えられてきた。炭素捕捉貯蔵(CCS)は、従来、炭素キャリアとして高圧二酸化炭素(CO)を使用する。しかしながら、従来のCCSの様々な欠点は、低圧から中程度の圧力での低炭素密度、低質量密度、低粘度、水との不混和性及び腐食性などのCOの物理特性に関連している。特に、CO注入は、多くの場合、地球物理学的不均一性の下での地層における細孔空間の非効率的な使用をもたらす。
この実施例は、地質学的炭素貯蔵のための炭素含有水としてギ酸ブライン溶液を使用する事例研究を提示する。ブライン中のギ酸塩溶液の特性、例えば溶解度、密度及び粘度を測定した。実験結果は、102,600ppmのNaCl+CaClブライン中のギ酸塩溶解度が25~75℃で30重量%~35重量%の範囲であることを示した。ブライン中の30重量%ギ酸塩溶液の粘度は、ニュートン挙動を伴い25℃で約12cp、50℃で5cp及び75℃で3cpであった。
数値貯留層シミュレーションを2つの事例について実行した:帯水層の事例研究1及び油貯留層の事例研究2。シミュレーション結果は、一貫して、ギ酸塩注入の事例が、油及び水変位のフロントがより安定することを一貫して示した。より安定したフロントは、注入剤の破過に反応しない油回収及び炭素貯蔵をもたらした。これは、透過率の不均一性に関連するCCSのリスク及び表面下の流れ様式へのそれらの影響を制御するための炭素キャリアとしてギ酸塩を使用することの実質的な利点である。
序論。気候変動に関する政府間パネルの第6次評価報告書では、二酸化炭素(CO)排出量を大幅に削減することなく、21世紀末までに2℃の地球温暖化閾値を超えると述べられている(IPCC、2021)。地質層における炭素貯蔵は、国の持続可能な成長を保つための重要な技術として特定されている。以前の注入プロジェクトからの利用可能なデータに基づいて、これらの地層について大きな貯蔵容量が推定されるため、油貯留層及び深部塩水帯水層は、最も魅力的な地層である。
現在の炭素貯蔵プロセスは、捕捉されたCOを超臨界COに圧縮することを伴い、これは気体のような粘度ではなく液体のような密度を有する。炭素貯蔵に伴う課題は、以下を含む:a)生産井戸でのCO破過後の人為的COの捕捉、圧縮、輸送及びリサイクルに関連する実質的なコスト;b)不均質媒体中のCOによる油及び水の多相変位における低い質量密度及び粘度のために、細孔空間の非効率的な使用(体積掃引及び局所的変位効率)をもたらす表面下の流体流の問題;c)COの腐食性;d)予期しない油圧経路を通って表面にCOが漏れる可能性。これらの問題は、COの物理特性と密接に関連している。
この実施例は、地質学的炭素貯蔵のための水性炭素キャリアとしてギ酸塩溶液を使用するという新規な着想に関する。ギ酸塩(HCOO-)は、カルボキシレート基及びギ酸の共役塩基の最も単純なメンバーである。ギ酸塩は、COの電気化学的還元(ECR)から形成することができる。COの他の有用な生成物への電気化学的変換は、炭素排出を削減する必要があるため、注目を集めている。ギ酸塩/ギ酸は、COECRからの高価値生成物である。ギ酸塩生産プロセスのアップスケーリングは、周囲圧力及び周囲温度での水性電解質中のCOの質量輸送によって制限されてきた。しかしながら、ギ酸塩へのCOECRに関する研究は、ガス拡散電極を使用すると物質移動プロセスが大幅に改善され、ギ酸塩へのCOECRの工業的規模拡大の可能性を提示することを示した。
研究により、ギ酸塩溶液は、わずかなpH調整で炭酸塩岩の濡れ性を油湿潤から水湿潤に変えることによって油回収を改善できることが示されている。泥土掘削用の基礎流体としてのギ酸ブラインに関する研究は、ギ酸塩が有利な健康、安全性及び環境(HSE)プロファイルを有し、油田設備との良好な適合性を有することを示している。この実施例は、2つの事例研究を通して炭素キャリアとしてのギ酸水溶液の使用を提示する:1つは帯水層における炭素貯蔵のためのものであり、もう1つは増進油回収(EOR)及び油貯留層における炭素貯蔵のためのものである。この実施例はまた、ブライン中のギ酸ナトリウム溶液の溶解度、密度及び粘度に関する新しい実験データを報告し、これはこのリサーチにおける数値流れシミュレーションの基礎を設定する。
ギ酸塩溶液特性の測定。地層溶液の特性は、文献では比較的少ないので、この実施例は、このリサーチの一部として、ギ酸塩種のブラインへの溶解度、並びにギ酸塩溶液の粘度及び密度に関する新しいデータを測定した。結果を使用して、以下に提示する事例研究の数値流れシミュレーションを設定した。
材料及び方法。ギ酸ナトリウム、塩化ナトリウム及び塩化カルシウム二水和物塩(全て99%を超える純度で)を、このリサーチで使用したブライン及びギ酸塩溶液の調製に使用した。質量測定に使用した秤量天秤の精度は、±0.0001gであった。全ての実験は、大気圧下で行った。
脱イオン水(DIW)へのギ酸ナトリウムの溶解度。DIWへのギ酸ナトリウムの溶解度は、異なるモル濃度のギ酸水溶液を調製し、それらを平衡化させ、未溶解塩が存在しない最大モル濃度を観察することによって決定した。図13は、25℃で異なるモル濃度を有する調製されたギ酸ナトリウム溶液を示す。ギ酸を溶液に添加してpHを7に調整した。溶解度実験は、25、50及び75℃で行った。
溶液に添加されたギ酸の濃度は、Henderson-Hasselbalchの式、
(式中、Kaは酸解離定数であり、pKaはKa(pKa=-log10Ka)の負の対数であり、[HA]は酸のモル濃度であり、[A]は共役塩基のモル濃度である)を使用して計算した。報告されたモデルに基づいて、50及び75℃における酸解離定数を計算した。
NaCl+CaClブライン中のギ酸ナトリウムの溶解度。ブラインへのギ酸ナトリウムの溶解度を決定するために、ギ酸ナトリウムをNaCl+CaClブライン(97,897ppmのNaCl及び4,749ppmのCaCl)に溶解した。ブライン中のギ酸ナトリウムのいくつかの溶液を、それぞれ異なる重量分率のギ酸ナトリウムによって作製した。初期の精密なスクリーニングの後、溶液を平衡化させ、未溶解の塩なしで添加された最も高い重量分率のギ酸ナトリウムを有する溶液を記録した。この実験は、25、50及び75℃で行った。溶液のpH値は、前述のようにギ酸を添加することによって調整した。
NaCl及びCaClを含有するこの特定のブラインは、地層ブライン中に二価カチオンを有することが一般的であるので使用した。CaClの添加は、地層ブラインのための多数の可能なブライン組成を探索することなく、二価カチオンの効果を含めることであった。ブライン中のギ酸塩溶液特性のデータベースを開発するためには、別個のリサーチプロジェクトが必要である。
粘度測定。ブライン(97,897ppmのNaCl及び4,749ppmのCaCl)中の異なる濃度のギ酸ナトリウムの溶液の粘度を、温度制御のために循環浴と連結されたTA AresLS-1レオメータを使用して測定した。測定には二重壁クエット形状を使用した。粘度測定値は、25、50及び75℃で所得した。ギ酸ナトリウム溶液を調製し、目標温度に設定したオーブン中で平衡化させた。
50及び75℃での粘度測定のために、溶液をレオメータの試料保持カップに入れる前に、保持カップの温度を循環浴を使用して目標温度まで上昇させた。これは、より低い温度でのギ酸ナトリウムの溶解度の低下のために生じる可能性のある、高濃度のギ酸塩(例えば、>30重量%)を有する試料中の溶解塩の沈殿を回避するために行われた。
実験結果。このセクションでは、この実施例で測定した溶液中のギ酸イオン(HCOO-)濃度を報告する。ギ酸塩重量分率/パーセンテージは、溶液中のギ酸ナトリウム(HCOONa)重量分率とは異なることに留意されたい。また、HCOOの各モルは、1モルの炭素を含有し、HCOOのモル質量は、COのモル質量(それぞれ45.018及び44.01g/mol)と同様であることに留意されたい;したがって、ギ酸塩の溶解度値は、水性形態で保持されたCOの質量分率に近い。
表6は、DIW中のギ酸ナトリウムの溶解度値を示す;ギ酸塩のDIWへの溶解度は、温度の上昇と共に、25℃での31.5重量%から75℃での36.77重量%に増加した。25℃で測定したギ酸塩溶解度は、32.2重量%の報告結果に近かった。
地質層に見られるブラインは、多くの場合、高度の塩水である。ギ酸ナトリウムを25、50及び75℃でブライン(塩組成:97,897ppmのNaCl及び4,749ppmのCaCl)に溶解して、これらの温度での溶解度を決定し、溶液がいかなる沈殿もすることなく単相のままであるかどうかを確かめた。表7は、25、50及び75℃でのブライン中のギ酸ナトリウムの溶解度を示す。ブライン中のギ酸塩の溶解度は、25℃で29.6重量%~75℃で34.8重量%の範囲であった。
ニュートン挙動は、広範囲のせん断速度にわたって25、50及び75℃でのブライン中のギ酸ナトリウムの異なる溶液の粘度測定によって一貫して観察された。ギ酸塩溶液の粘度は、ギ酸塩濃度の増加と共に増加し、25、50及び75℃で図14に示すように、粘度をギ酸塩のモル濃度に対して半対数スケールでプロットした場合、線形傾向が観察された。25、50及び75℃でのNaCl+CaClブライン中のギ酸ナトリウムの密度及び粘度を表8、9及び10に示す。参考として、水中のほぼ飽和した45%(%w/w)ギ酸ナトリウムの報告された粘度は、20℃で9.5cpであり、これはギ酸塩を水に添加すると溶液粘度が増加したことを示している。
数値シミュレーションの事例研究。化石燃料に基づく工業プロセスの炭素強度を低減するために、炭化水素貯留層及び塩水帯水層への高圧COの注入が研究され、商業的に実施されている。このリサーチにおける中心的な問題は、水性ギ酸塩注入がCO注入に関連する様々な問題を改善する地質学的炭素貯蔵の実行可能な選択肢となり得るかどうかである。
COの捕捉及び貯蔵コストは、大規模な炭素捕捉及び貯蔵作業の世界的展開に対する障壁のうちの1つである。ギ酸塩注入シナリオでは、ギ酸塩へのCOECRのコストが重要であり得る。したがって、シミュレーション事例研究の目的は、ECRプロセスのコストを計算することであるが、これはこの実施例では考慮されない。
事例研究は、塩水帯水層及び油貯留層における地質学的炭素貯蔵の2つのシナリオについてのCO注入及び30重量%ギ酸塩溶液注入の数値流れシミュレーションに基づいている。シミュレーションは、多相組成流れシミュレータであるCMG GEM(Computer Modelling Group 2018)を使用して実行される。上記の実験データをシミュレーション入力の一部として使用した。
事例研究1:塩水帯水層。数値流れシミュレーション。帯水層における炭素貯蔵のシミュレーションは、3D不均質貯留層モデルに基づいた。使用したモデルは、2つの岩相(85体積%の清浄砂及び15体積%の頁岩障壁)を表すための逐次指標シミュレーションを使用した確率的実現のうちの1つであり、各相は均質かつ等方性である。モデルは、183×183×27m(600×600×90ft)の寸法を有し、9×9×0.5m(30×30×1.5ft)の均一なグリッドブロックサイズで、合計24,000個のグリッドブロックを与える。図15は、3D帯水層モデルの相分布を示す。
表11は、帯水層モデル特性を示す。両方の事例(CO及びギ酸水溶液)は、1日当たり114kmolの炭素(5トンのCOと同等)の一定の炭素注入速度を想定した。8963kPa(1300psia)の圧力に設定した生産井の井戸を使用して、貯留層圧力を制御した。図16Aは、比透過率曲線を示す(このセクションのシミュレーションでは水及びガスの1つのみを使用した)。
COとギ酸塩との事例の主な差は、流れ様式にある。COの事例では、注入されたCOは、不安定な変位フロント及び強い浮力でガス及び水の二相流の下で地層ブラインを変位させた。
変位フロントの安定性は、典型的には、以下のように定義されるエンドポイント移動度比(M)によって評価され、
式中、
は、それぞれ、変位した流体及び変位流体のエンドポイント比透過率である。μ及びμは、それぞれ、変位した流体及び変位流体の粘度である。1より大きいMは、そのような変位フロントが不安定になる傾向があるという点で好ましくないと考えられる。COの事例のMは、6.4と計算され、iは水相であり、jは気相である。地層ブライン及びギ酸塩溶液は、混和性であるため、ギ酸塩の事例のMは、粘度比まで減少し、μ/μ、式中、μ及びμは、それぞれ地層ブライン及び注入されたギ酸塩溶液の粘度である。すなわち、ギ酸塩の事例の粘度比は、0.13である。
変位における重力は、以下のように定義される密度数(N)によって測定することができ、
式中、ρ及びρは、それぞれ、変位した流体及び変位流体の質量密度である。Nの負の値は、重力オーバーライドと相関する。Nは、CO注入の事例では-0.6であり、ギ酸塩注入の事例では0.4である。初期貯留層条件での密度は、COでは0.4g/cm、地層水では1.0g/cm、30重量%ギ酸塩溶液では1.4g/cmである。
数値シミュレーションは、CO及びギ酸塩注入の事例について34年間のシミュレーション期間にわたって実行した。図17A、図17B、図17C及び図17Dは、COの事例のガス飽和のプロファイル及びギ酸塩の事例の水相中のギ酸塩モル分率のプロファイルを示す。COの事例は、注入されたCOが地層の上部から蓄積し、重力安定方向に不混和性のガス状CO相と共に地層水を変位させた重力支配的な流れ様式をもたらした。重力支配的な流れ様式は、非常に強く、COによる水の変位は、不混和性であるが、使用される貯留層モデルにおける地質学的不均一性によって影響されなかった。地層の上部付近のCOの蓄積は、表面への任意の障害及び井戸に沿った水圧経路を通るガス状COの潜在的な漏れを示す。
図17A~図17Dにおけるギ酸塩濃度プロファイルは、流れ様式に対する正のN及び地質学的不均一性の影響を示す。しかしながら、有利な粘度比を有する混和性変位は、ギ酸塩注入の事例において変位フロントを安定させた。
図18、図19及び図20はそれぞれ、シミュレーションからの注入剤(CO又はギ酸塩)生産、累積造水量及び累積炭素貯蔵を示す。CO及びギ酸塩の各々は、1モルの炭素を含有する;したがって、それらは炭素モル基準に匹敵する。CO注入の事例は、18年でCO破過を示した(図18)。図19及び図20は、CO破過時に造水及び炭素貯蔵が横ばいになり、炭素貯蔵効率が急速に低下したことを示す。
ギ酸塩注入の事例の混和性変位における有利な粘度比は、生産井におけるギ酸塩破過によって影響されない造水(図19)をもたらした。炭素貯蔵は、ギ酸塩の事例の破過後も継続した(図20)。34年の注入後、ギ酸塩の事例は、COの事例よりも42%多い炭素貯蔵量(モル単位)をもたらした。2つの事例の主な差は、注入剤の破過後の炭素貯蔵効率に起因する。
このシミュレーション事例は、地層水へのCOの溶解度並びにその後の地球化学反応及び水相中の炭素種の拡散を含まなかった。これらの要因は、より長い時間スケールで炭素貯蔵に影響する可能性がある。また、この事例の炭素貯蔵の最適化は、注入井及び生産井の穿孔領域の隆起によって可能である。しかしながら、この事例研究においてなされるべき有用な点は、ギ酸塩注入事例における破過後でさえ継続的な炭素貯蔵であった。破過に対する炭素貯蔵の不感受性は、地質層の様々な不確実性の下で、地質学的炭素貯蔵の設計をより堅牢にすると予想される。
事例研究2:油貯留層(EOR及び炭素貯蔵)。IEAは、増進油回収(COEOR)のためのCOの注入がCOの2番目に多い使用であると報告した。このサブセクションは、油貯留層中のCO注入とギ酸塩注入との事例を比較する。
数値流れシミュレーション。貯留層モデルは、第10回SPE比較ソリューションプロジェクトからの不均質砂岩貯留層モデルに基づいた。元のモデルは、366×671×52m(1200×2200×170ft)の寸法及び6×3×0.6m(20×10×2ft)の均一なグリッドブロックサイズを有し、1.122×106のグリッドブロックをもたらした。本研究では、ターベルト地層からの122×122×21m(400×400×70ft)断面を使用し、これは、微細から中程度の大きさの粒子の砂岩並びにいくつかの絹石及び頁岩の薄い層を有する浅い海洋砂岩である。シミュレーションは、5スポットパターン(4つの注入井戸が正方形の角に位置し、生産井戸が中央に入る注入パターン)の4分の1を使用した。6×3×0.6m(20×10×2ft)の均一なグリッドブロックサイズ寸法により、20×40×35(28,000)のグリッドブロックをもたらした。図21は、貯留層の空隙率分布の3D図を示す。
表12は、選択された貯留層断面の特性を示す。モデルは元来、履歴整合及び不確実性定量化の調査であるPUNQ(不確実性定量化による生産予測)プロジェクトで使用するために生成した。元のPUNQモデルは、このセクションにおけるシミュレーションのように、モデル全体にわたって垂直透過率対水平透過率の比(kv/kh)の均一な値を使用した;しかしながら、kv/khは、感受性試験として使用されるように、フラクチャーでは0.3に設定し、第10回SPE比較ソリューションプロジェクトにおけるマトリックスでは0.0001に設定した。表13は、このシミュレーションの事例に使用された油組成及び流体特性を示す。
両方の事例(CO及びギ酸水溶液)について、11,376kPa(1,650psia)での5年間の水攻法によって油生産が開始された。その後、両方の注入を、114kmolの炭素/日(5トンのCO/日と同等)の一定速度に設定した。生産圧力を10,342kPa(1,500psia)に保った。相挙動は、Peng-Robinsonの状態方程式によってモデル化された。COの油(表2に示す油組成)との熱力学的最小混和性圧力は、状態方程式モデルを使用して、貯留層温度41℃(106°F)で10,053kPa(1,458psia)であると計算された。図16Bは、シミュレーションに使用した2相比透過率曲線を示す。3相比透過率は、StoneのモデルIIを使用して生成した。2つの事例のシミュレーションは、5年間の初期の水攻法を含む40年間のシミュレーション期間にわたって実行した。
事例研究1とは異なり、油貯留層への注入は、注入流体による油及び地層水の多相変位を伴う。CO注入の事例とギ酸塩注入の事例との間の重要な差は、変位プロセス及び浮力の安定性によって強く影響される流れ様式から生じた;しかしながら、これら2つの要因は、フラクチャーネットワークを通じて流れをチャネリングする強い傾向のために、以前の事例研究とは異なって現れた。
注入剤及び油のMは、COの事例は13、ギ酸塩の事例は0.16であると計算された。注入剤及び地層水のMは、COの事例は3.1であると計算された。ギ酸塩溶液による造水の変位は、有利な粘度比0.13を有する混和性プロセスであった。
図22A、図22B、図22C及び図22Dは、異なる時間におけるCO注入の事例の全体的なCOモル分率及び地層注入の事例の水相中のギ酸塩モル分率のプロファイルを示す。図23、図24及び図25は、シミュレーションからの造水、油生産及び注入剤貯蔵の結果を示す。COの事例は、重力によるオーバーライドを示し、注入されたCOは、上記のM値のために、地層水よりも優先的に油を変位させた。ギ酸塩注入の事例は、破過後であっても、重力駆動流れのない変位フロントの安定した伝播、並びに水相及び油相の効率的な変位を示した。ギ酸塩注入は、CO注入の事例よりも15%多い油回収及び37%多い炭素貯蔵をもたらした。
油回収の増加に伴い、ギ酸塩がより多くの炭素排出をもたらすことに関する懸念が存在する可能性がある。油中の生産された炭化水素成分のモル数を計算し、生産された炭素分子の数を合計し、これらを貯蔵された炭素分子の数と比較して、各注入剤によってどの程度の炭素強度の低下が達成されるかを確かめた。CO/ギ酸塩を注入して15年で、図26に示すように、ギ酸塩の事例は炭素強度が20%減少し、COの事例は炭素強度が16%減少した。すなわち、より大きな注入剤貯蔵は、ギ酸塩の事例から得られるより高い油回収を補う。結果は、油貯留層中の炭素貯蔵が、油の効率的な変位だけでなく、水(水攻法からの水及び遺留水)の効率的な変位のための意図的な設計を必要とすることを示唆している。
kv/khに対する感度分析。フラクチャー体積のkv/kh値を0.3に保ちながら、マトリックスのkv/kh値を0.3から0.0001に調整した。前述のように、これは第10回SPE比較ソリューションプロジェクトにおける設定に対応する。CO及びギ酸塩注入の事例についての流れパターン、炭素貯蔵及び油回収に対するkv/khの変化の影響を調べた。
kv/khの変化は、図27A、図27B及び図27Cに示すように、観察された注入剤分布プロファイルに影響を及ぼした。kv/khの減少は、流れをチャネリングするレベルの増加をもたらし、したがって、特にCOの事例に見られるような重力駆動フラックスの抑制をもたらした。図28及び図29は、両方の貯留層設定(kv/kh=0.3及び0.0001)の油生産及び炭素貯蔵を示す。両方の事例とも、kv/khの有意な減少を伴って油及び炭素の貯蔵量が減少した;しかしながら、COの事例は、この調整によってはるかに影響された。CO注入の事例では、油回収は50%減少し、炭素貯蔵は52%減少したが、ギ酸塩注入の事例では、油回収は25%減少し、炭素貯蔵は19%減少した。
この感度分析は、透過率の不均一性に関連するCCSのリスク及び表面下の流れ様式への影響を制御するための炭素キャリアとしてギ酸塩を使用する利点を示している。掘削泥水における基礎流体としてのギ酸ブラインの使用に関する以前の研究は、ギ酸水溶液がポリマーと適合性であり、150℃もの高い温度で安定性を保持したことを示した;したがって、注入されるギ酸塩溶液の密度及び粘度を調整することによって、ギ酸塩(炭素キャリア)のin-situの流れ様式を制御することが実際に可能である。
結論。この実施例では、地質学的炭素貯蔵のための炭素キャリアとしてのギ酸水溶液の事例研究を、従来の炭素キャリアとしてのCOと比較して提示した。ブライン中のギ酸塩溶液の特性について新しい実験データを報告し、事例研究のための数値流れシミュレーションを設定するために使用した。いくつかの結論は以下の通りである:
実験データは、ギ酸塩がNaCl+CaClブライン(102,600ppm)中で安定であり、ギ酸塩溶解度が25~75℃の温度で30重量%~35重量%の範囲であることを示した。
ニュートン挙動は、異なるギ酸塩濃度及び温度でブライン中のギ酸塩溶液について一貫して観察された。測定された粘度は、ギ酸塩のモル濃度の対数関数としてよく相関していた。102,600ppmのブライン中の30重量%ギ酸塩溶液の粘度は、25℃で約12cp、50℃で5cp及び75℃で3cpであった。
炭素貯蔵の2つのシミュレーション事例研究を実行した;帯水層の事例研究1及び油貯留層の事例研究2。各事例研究について、CO及びギ酸塩の注入を、流れ様式及び貯留層流体(事例研究1では地層水並びに事例研究2では地層水及び地層油)の変位に関して比較した。流れ様式は、貯留層特性に依存したが、ギ酸塩注入の事例は、油及び水の変位のはるかに安定したフロントを示した。より安定したフロントは、注入剤の破過に反応しない油回収及び炭素貯蔵をもたらした。全ての研究されたシナリオにおいて、ギ酸塩溶液注入の事例は、CO注の入事例と比較して、約40%大きい炭素(モル谷)貯蔵をもたらした。

実施例3の図のキャプション。図13.25℃のDIW中のギ酸ナトリウム溶液。未溶解塩は、底部に沈降した。未溶解塩を有するギ酸ナトリウムの最高モル濃度を有する溶液を溶解限界として選定し、溶液中のギ酸塩の重量分率を記録した。
図14.25、50及び75℃でのブライン中のギ酸塩溶液の粘度。データは、ギ酸塩モル濃度の対数関数として明確な相関を示す。
図15.2つの相を有する3D帯水層モデル。砂相は赤色であり、頁岩相は青色である。注入井は、右下の角にあり、生産井は、左上の角にある。
図16A.事例研究で使用された水-油比透過率曲線。図16B。事例研究で使用された液体-ガス比透過率曲線。
図17A、図17B、図17C、図17D.シミュレーション期間にわたる帯水層におけるCO及びギ酸塩の分布。CO注入は、ギ酸塩の事例とは異なり、明確な重力オーバーライドプロファイルを示した。混和性変位が有利な粘度比を有していたため、プロファイルは帯水層中のギ酸塩の均一な分布に発展した。
図18.事例研究1における帯水層からのCO及びギ酸塩の累積生産。ギ酸塩及びCOの各分子は、1モルの炭素を含有する;したがって、それらの生産は、モル基準に匹敵する。CO生産は、高移動度ガスに典型的なCO破過が始まるとすぐに急速に上昇した。
図19.事例研究1における帯水層からの累積造水量。CO破過が生じると、造水は横ばいになった。注入されたCOのほとんど全てが破過後に生産された。
図20.事例研究1で貯蔵された注入剤の累積モル数。ギ酸塩溶液が地層水を有利な粘度比で混和的に変位するため、破過後も貯蔵されたギ酸塩のモルは、着実に増加した。
図21.貯留層の空隙率分布の3D図;第10回SPE比較ソリューションプロジェクト(ChristieandBlunt,2001)から取得した。カラースケールは、空隙率を示す。
図22A、図22B、図22C、図22.事例研究2における異なる時間でのCO及びギ酸塩のプロファイル。第1列の時間枠は、CO/ギ酸塩注入の開始後の時間を指す。油生産は、5年間の水攻法によって開始した。ギ酸塩注入の事例は、安定した変位フロント及びCOよりも効率的な油及び水の変位を示す。
図23.事例研究2でシミュレートされた累積造水量。
図24.事例研究2におけるCO及びギ酸塩溶液注入からの油回収。ギ酸塩注入の事例は、CO注入の事例よりも約20%多い油回収をもたらした。
図25.事例研究2で貯蔵された注入剤のモルの履歴。1モルのCO/ギ酸塩は、1モルの炭素を含有する;したがって、貯蔵されたCO/ギ酸塩のモルは、貯蔵された炭素のモルと同等である。
図26.炭素強度の低下。これは、注入剤によって生産された油中の炭素のモルに対する、貯蔵された注入剤中の炭素のモルの比である。ギ酸塩注入は、CO注入よりも多くの炭化水素(油)を生産したが、ギ酸塩は、COと比較して炭素強度の低下が依然としてより高い。
図27A、図27B、図27C.マトリックス体積に対して0.0001の調整されたkv/kh値を使用した油貯留層中のCO及びギ酸塩のプロファイル。第1列の時間枠は、CO/ギ酸塩注入の開始後の時間を指す。
図28.0.3及び0.0001のkv/kh値を使用した、事例研究2のCO及びギ酸塩注入事例の油生産結果。
図29.0.3及び0.0001のkv/kh値を使用した、事例研究2のCO及びギ酸塩注入の事例の注入剤貯蔵。
実施例4:炭酸塩及び頁岩フォーマットの濡れ性調整剤としてのギ酸塩、酢酸塩及びグリシンの比較実験的調査
研究により、炭酸塩貯留層中の水の吸収を増進する濡れ性調整剤としての最も単純なアミノ酸であるグリシンの有効性が示されている。この実施例の目的は、炭酸塩地層のための濡れ性調整剤としてのギ酸塩、酢酸塩及びグリシンの性能を比較することであった。ギ酸塩及び酢酸塩は、この目的のための新規な化学物質として初めて導入される。アミノメチル基及びアミノ基は、それぞれギ酸塩とグリシンとの間、及び酢酸塩とグリシンとの間の唯一の構造的差異であることに留意されたい。
実験は、油熟成方解石及び頁岩プレート上の接触角測定、並びに吸収変位(自発的及び強制的)からなった。これらの添加剤間の比較は、溶液のpHを調整するために塩化水素(HCl)を添加した場合/添加しない場合で実現された。グリシン及びギ酸塩+HCl溶液のアモットインデックスは、吸収実験の残りの事例よりも顕著に高かった。ギ酸塩は、溶液のpHが低下したときに、炭酸塩岩の濡れ性を水湿潤状態に変えるのに非常に効果的であり得ることが見出された。これは、pH調整と岩石表面へのギ酸塩の吸着との相乗効果が成功したことを示しており、油回収の改善をもたらした。
グリシンは、この実施例の全ての実験条件について、ギ酸塩及び酢酸塩の濡れ性調整剤と比較して優れた挙動を示した。これは、カルボキシル基の存在下で、アミノ基が岩石の濡れ性を変えるのに重要な役割を果たすことを示した。グリシンが濡れ性を変える能力は、2つの要因に由来する:1つは、カルボキシル基の存在下で電子供与体としてのアミノ基によって引き起こされるキレート効果である。キレート効果は、グリシンをエントロピー的により有利にして、ブライン中のカルシウムカチオンに結合させ、方解石溶解を誘発し、かつ/又は方解石表面に直接付着させる。他の要因は、pH低下、続いて岩石表面へのグリシンの引力によって誘導される方解石溶解である。
序論。炭酸塩油貯留層中の水攻法は、マトリックスとフラクチャーとの間の透過率の大きなコントラストが、チャネリングフローをもたらすため、一般に非効率的である。また、炭酸塩岩は、油湿潤傾向があるため、フラクチャーからマトリックスへの自発的な水の吸収は油回収に効果的ではない。より水湿潤状態への濡れ性のシフトは、油湿潤炭酸塩貯留層における油回収を改善すると予想される。
岩石鉱物と、ブラインと、油との間の相互作用は、他の要因の中でも、岩石の濡れ性に影響する。地層水(又はブライン)は、油移動前の従来の油貯留層において初期湿潤段階である。油移動後、ブラインの膜が安定している限り、ブラインは依然として湿潤相である。ブラインの安定性が変化し始めると、岩石表面と油との間に接続が形成される。このプロセスに続いて、油の表面活性成分が吸着し、その結果、水湿潤性が減少するか、又は表面が油湿潤に切り替わりさえする。薄いブラインの安定性を改善すること、又は/及び吸着した油成分を岩石の表面から切り離すことによって、濡れ性を油湿潤から水湿潤に戻すことが可能である。
岩石の濡れ性を変えるための広く研究されている方法は、界面活性剤注入である。しかしながら、界面活性剤による濡れ性の変化は、通常、オレイン相と水相との間の界面張力の低下と共に起こると予想される。しかしながら、IFTは、堅い地層では超低値(10-3mN/m)に達するべきではない。界面活性剤の吸収速度が低下するため、油回収は超低IFTによって制限され得る。
人気を得た別の濡れ性変化方法は、砂岩貯留層及び炭酸塩貯留層の両方の低塩分濃度水攻法(LSW)である。このプロセスでは、低塩分濃度水は、炭酸塩岩の総電荷を変化させ、ブライン-岩石及び油-ブライン界面の電気二重層を増加させることによって、炭酸塩岩の濡れ性を改質することができる。CO 2-、SO 2-、Ca2+及びMg2+などの多価イオンは、岩石表面の電荷を制御する電位決定イオンとして報告されている。
特に炭酸塩貯留層における油回収に対する海水の効果を調査した。海水を使用した自発的な吸水実験に基づいて、硫酸イオンの存在下で岩石の濡れ性の変化が観察され、これはナフテン酸を炭酸塩岩表面から変位させた。硫酸イオンは、濡れ性変化プロセスにおいてカルシウム及びマグネシウムイオンによって助けられ得る。
LSWは、コアフラッディング実験によって評価されている。海水及びその希釈溶液を連続的に注入した結果は、0.18の増分油回収率を示した。イオンの影響を、表面電位実験を使用して個別に研究した。R10炭酸塩の濡れ性を変化させた主なイオンは、硫酸塩及びカルシウムである。表面電位は、油改善方解石溶解を完全に説明しなかったため、濡れ性変化の潜在的な機構のうちの1つとして方解石溶解が提案されている。
界面活性剤以外の化学物質もまた、炭酸塩貯留層のための濡れ性調整剤として研究されてきた。濡れ性変化により油回収を増進させるための3-ペンタノン水溶液を調査した。包括的な分析を、接触角、吸収及びコアフラッディング実験によって実行した。結果は、3-ペンタノンをブラインに添加した後の石灰石コアによる油回収の顕著な改善を示した。
アミノ酸はまた、別の種類の濡れ性調整剤として研究されてきた。最も単純なアミノ酸及び導入されたグリシンは、効果的な濡れ性調整剤として研究されてきた。アミノ酸から合成された界面活性剤はまた、油回収剤として、及びいくつかの他の用途のために研究された。これらのアミノ酸は、同じ分子内にカルボン酸(-COOH)基及びアミン(-NH)基を含有する。グリシンの重要な特性は、図30に示すように、その全体的な電荷が溶液のpHに依存することである。溶液のpHが、室温では5.97である等電点(pI)より高い場合、グリシンは負に帯電している。そうでなければ、グリシンは、正に帯電している。グリシンは、溶液pHがそのpIと方解石のゼロ電荷点(pzc)との間にある場合に有効である。
この実施例の目的は、カルボキシレートアニオン、具体的にはギ酸塩及び酢酸塩が、炭酸塩鉱物表面の濡れ性を油湿潤状態から水湿潤状態に変化させる能力を調査することである。これは、ギ酸塩及び酢酸塩を実証済みの濡れ性調整剤であるグリシンと接触角及び吸収実験によって比較することによって実行した。アミノメチル基及びアミノ基は、それぞれギ酸塩とグリシンとの間、及び酢酸塩とグリシンとの間の唯一の構造的差異である(図31)。この実施例はまた、これらのカルボキシレートアニオンがわずかに低下したpH下で濡れ性変化により効果的になり得る方法を分析する。ギ酸イオン及び酢酸イオンの負電荷は、正に帯電した方解石表面とカルボキシル基との間の相互作用のために濡れ性変化をもたらし得る。
比較研究の結果から着想を得て、岩石の濡れ性変化及び炭酸塩岩への水の吸収の効果的な増進のためのグリシンのアミノ基の重要性を調査した。グリシン、ギ酸塩及び酢酸塩の中での比較は、グリシンによる濡れ性変化の2つの可能な機構を研究するのに便利であった。1つは、グリシンのみで起こり得るキレート効果である。もう1つは、方解石溶解とカルボキシル基との間の相乗効果であり、これはギ酸塩及び酢酸塩でも起こると予想される。
材料及び方法。この実施例の実験は、方解石表面及びイーグルフォード頁岩プレートによる接触角測定、並びにテキサスクリーム石灰石コアプラグによる自発的及び強制的な吸収試験を含む。
材料。表14は、方解石片及び石灰石コアによる接触角実験で使用したデッド原油試料の特性を示す。この油は、Oil1と呼ばれ、その貯留層温度は、347Kである。表15は、イーグルフォード頁岩での接触角実験で使用した油を示す。この油は、Oil2と呼ばれ、その貯留層温度は、337Kである。貯留層ブライン(RB)は、表16に示すように全ての実験で同じであり、その塩分濃度は、68,722mg/Lである。X線粉末回折は、イーグルフォード頁岩試料が75%方解石、14%石英、4%ドロマイト、2%カオリナイト、1%Kスパー、1%黄鉄鉱などからなることを示した。テキサスクリーム石灰石コアは、98%方解石、1%黄鉄鉱及び無視できる量の他の鉱物からなっていた。
グリシン、酢酸塩及びギ酸塩試料(Sigma-Aldrich)は、99%を超える純度を有する。グリシンは、室温で5.97のpIを有する。図31は、グリシン、酢酸塩及びギ酸塩の分子構造を示す。3つ全ての化学物質の水性安定性は、貯留層及び室温でRBを用いて確認された。
接触角実験。接触角実験を方解石表面及びイーグルフォード頁岩プレートで実行した。方解石による接触角実験は、グリシン、ギ酸塩及び酢酸塩の最適濃度を決定することに焦点を当てているが、頁岩プレート上で実験を実行して、別の炭酸塩に富む岩石による溶液の有効性を検証した。適切なサイズにプレートを切断した後、それらをダイヤモンド粉砕機で研磨して、滑らかな表面を得た。次いで、これらの方解石及び頁岩プレートを最初にRB中で1日熟成し、次いで、それらを油湿潤状態に達するまで347Kで少なくとも3週間重質原油中に入れた。
実験の前後に、化学溶液のpH値を測定した。溶液pHの影響を試験するために、異なる濃度のギ酸塩及び酢酸塩だけでなく、グリシンのpHレベルに達するようにHClを添加した方解石表面による接触角実験を実行した。
化学溶液をガラス室で作製し、363Kのオーブンに入れて、それらを少なくとも1日脱気した。塩を添加し、溶液の総質量を脱イオン水で1kgに調整することによって、RBを最初に作製した。次いで、適量のグリシン、ギ酸塩又は酢酸塩のいずれかを添加して、所望の濃度に達した。HClを含む溶液の場合、HClを、ゆっくり撹拌しながら室温でギ酸塩及び酢酸塩の溶液に添加した。最終pHレベルは、同じ濃度のグリシン溶液に対応するように調整した。水溶液を調製し、脱気した後、それらを所望の貯留層温度(方解石の場合は347K及びイーグルフォード頁岩の場合は337)のオーブンに入れた。表17は、試験した水溶液を要約している。
重質油中で少なくとも3週間熟成させた後、方解石又は頁岩片を回収し、過剰な油を表面から慎重に除去した。次いで、実験を開始するために、岩石片を溶液に浸漬し、次いで、油滴を岩石片の底部に入れた。溶液チャンバを平衡化のためにオーブンに入れた。次いで、油滴の画像を撮影した。一定日数後に新しい油滴を入れ、平衡化後に画像を撮影した。図に報告された接触角は、平衡接触角である。例えば、データが7日目から報告される場合、そのデータは、7日目に入れられた液滴の最終平衡接触角である。接触角実験のための装置の写真を図32に示す。接触角は、オンスクリーンプロトラクタソフトウェアを用いて写真から測定した。
イーグルフォード頁岩プレートによる別の一連の実験についても同様の手順に従った。5つの事例(5重量%グリシン、5重量%酢酸塩、5重量%酢酸塩+HCl、5重量%ギ酸塩及び5重量%ギ酸塩+HCl)を使用して、ギ酸塩及び酢酸塩の濡れ性変化機構に対するHClの影響(pH調整)を試験した。接触角変化が方解石実験よりも速いため、0日目及び3日目に油滴を頁岩プレートの底部に入れた。
自発的吸収。グリシン、ギ酸塩及び酢酸塩を用いて自発的吸収試験を行った。溶液pHの影響もギ酸塩及び酢酸塩について試験した。使用したアモットセルは、図33に示すように、高さ約15cm及び直径5cmであった。アモットセルの首を目盛り付けし、実験を開始する前に目盛りを実際の体積に合わせて較正した。
使用したテキサスクリーム石灰石コアプラグは、直径38mm及び長さ92mmであった。コアを真空ポンプで30分間排気し、次いで、ブラインを689kPa(100psig)の一定圧力で注入して、コアをブラインで完全に飽和させた。これを室温下で行った。次いで、RBを用いてコアプラグの空隙率及び透過率を測定した。実験装置は、2つのアキュムレータ(RB及びOil1)、1つの真空ポンプ、1つのポンプ、過負荷を維持するための1つの手動油圧ポンプ、1つのハスラー型コアホルダ、1つの差圧ゲージ及び1つのオーブンからなっていた。
次いで、Oil1を60cm/時間の一定速度でコアに注入した。これは室温下で、いかなる背圧もなしで実行した、言い換えれば、流出側は、大気に開放されていた。破油後、速度を100cm/時に上げた。これらの値は、毛細管末端効果を最小限に抑え、約2×10-5の毛細管数を与えるように選定した。これには式(3)及び(4)を使用した。流出物でブラインが生産されなくなるまで油注入を継続し、そこから残留水飽和Swrを決定した。表18及び19は、自発的及び強制吸収実験で使用した各コアの岩石特性を要約している。
表18に示す4つのコアを、以下の溶液による吸収実験に使用した:貯留層ブライン(RB)、RB中の5重量%グリシン、RB中の5重量%酢酸塩及びRB中5重量%ギ酸塩。溶液pHの影響を試験するために、表19に示す6つのコアを以下の溶液と共に使用した:RB、RB+HCl、2.5重量%グリシン、5重量%ギ酸塩+HCl及び5重量%酢酸塩+HCl。第1の試行は、予想外に少量の油回収をもたらしたので、酢酸塩+HClを2つの実験で繰り返した。
Oil1で飽和させた後、表18に示す4つのコア及び表19に示す6つのコアを、Oil1で満たされたガラス室に30日間入れた。しかしながら、前者の一連のコアは、室温で10日間及び347Kで30日間熟成した。後者の一連のコアは、30日間全体にわたって347Kで熟成した。熟成温度の差は、以下に示すように、2つのセットの初期の油の濡れ性に影響する。したがって、表18及び表19に示す2つの一連のコアの対照実験としてRBの事例を使用した。
溶液を脱気のために363Kのオーブンに1日入れ、次いで、それらを347K(実験温度)のオーブンに入れた。次いで、油飽和コアをアモットセルに導入した。その直後に、気泡の形成が回避されるように水溶液を慎重に注いだ。このアモット試験は、油の熱膨張/収縮を回避するために347Kで加熱した全ての材料で開始したことに留意されたい。実験全体を通して、大気圧をセルの内部に維持した。最後に、油回収を毎日監視した。
強制吸水。自発的吸収実験後にアモットセルを冷却し、次いで、ガラスピペットを使用してセルから油及びブライン(又は他の溶液)を回収し、それらの体積を測定した。コアをアモットセルから回収し、強制吸収のために直ちにコアホルダに入れた。
図34は、強制吸収のための実験装置を示す。実験は、347Kで実行した。背圧はなかった、言い換えれば、流出側は、実験中大気に開放されていた。各事例に対応する溶液を100cm/hrの一定流量で注入した。毛細管末端効果を最小限に抑えるために、油が生産されなくなった後に流量を300cm/hrに増加させた。生産された流体をバイアルに収集して、油回収を計算した。
結果を使用して、以下のように水Iのアモットインデックスを推定した:
式中、V(o,SI)及びV(o,FI)は、それぞれ自発的吸収実験及び強制吸収実験によって回収された油量である。
強制吸収実験の速度は、コア飽和手順と同様に選定した。この速度は、2×10-5の毛細管数を与えるように設定した。この実施例で使用した毛細管数Nvcの式は、以下の通りである:
式中、vは間隙速度であり、μは水粘度であり、

はエンドポイント水比透過率であり、σは水/油界面張力であり、θは油/水接触角である。それを水湿潤媒体の文献に一般的に示されているように、
と想定した。
毛細管末端効果を最小限に抑えるための注入速度の増加は、2.5cp-cm/分以上のRapoport及びLeas数(NRL)に基づいた。NRLin([cp・cm)/分]は、以下のように与えられる:

式中、Lはコア長さであり、uは空塔速度であり、μは水粘度である。
結果及び考察。このセクションでは、接触角及び吸収実験からの実験結果について考察する。接触角実験は、方解石及びイーグルフォード頁岩ピースの2つのセットからなっていた。吸収実験は、自発的及び強制的な吸収からなっていた。
接触角実験。グリシンの全体的な電荷は、溶液のpHに依存する(図30)。pHがグリシンのpIより大きい、すなわち5.97である場合、全体的な負電荷が生じる。方解石のpzcは、8.8であると報告されている。したがって、グリシンは、溶液pHが5.97~8.8である場合、濡れ性を変えると予想される。表20は、全ての事例について接触角実験の前後に測定された溶液pHを要約している。この表は、全てのグリシンの事例のpH値が濡れ性変化のpH窓内にあったことを示している。酢酸塩溶液及びギ酸塩溶液は、グリシン溶液とは異なり塩基性であった。
図35、図36A、図36B、図36C、図36D、図37A、図37B、図37C、図37D、図38A、図38B、図38C及び図38Dは、RB中の方解石表面、並びにHClに有無にかかわらず異なる濃度のグリシン、酢酸塩及びギ酸塩の接触角値を示す。ほとんどのグリシンの事例では、接触角の有意な減少が経時的に観察された。例えば、2.5及び5重量%グリシン濃度でほぼ40°に達した(図38C及び図38D)。これらの実験から、2.5重量%濃度のグリシンが経済的観点からより最適であることは明らかである。しかしながら、HClを含まないRB及び酢酸塩の事例は、接触角を有意に減少させなかった。HClを含まないギ酸塩の事例は、約80°の接触角でわずかに水湿潤状態をもたらした(図38A、図38B、図38C、図38D)。
表20は、グリシンの初期溶液pHがギ酸塩及び酢酸塩の初期溶液pHよりも小さかったことを示す。より低いpHは、方解石溶解反応をもたらせることができるので、これはグリシンの事例に起こった可能性がある。方解石溶解は、吸収された極性成分を岩石表面から放出させる場合がある。次いで、pIと表面pzcとの間のpHのグリシンの事例のように、負に帯電したイオンが正に帯電した方解石表面に引き付けられる場合、濡れ性変化が可能である。
水湿潤状態への濡れ性変化は、方解石溶解が起こった後、ギ酸アニオン又は酢酸アニオンが溶液中に存在する場合に増強されると考えられる。これは、一旦方解石が溶解して方解石表面から油分子が放出されると、ギ酸塩及び酢酸塩アニオンが正に帯電した方解石表面に結合することができるためである。表20は、HClを含む酢酸塩及びギ酸塩の事例が、同じ濃度のグリシン溶液のpHに近いpH値を有したことを示す。ギ酸塩及び酢酸塩の事例の溶液pHを低下させると、図に示すように濡れ性変化が増強した。図35、図36A、図36B、図36C、図36D、図37A、図37B、図37C、図37D、図38A、図38B、図38C及び図38D。特に、ギ酸塩で有意な改善が観察された;HClによるギ酸塩の事例では、接触角は50~60°に減少した。pHを低下させるとRBの事例も改善したが、接触角は依然として約80°であった。この観察から、より大きな濡れ性変化のためには、方解石溶解と共に負に帯電したイオン(例えば、そのpIを超えるpH値を有するグリシン及びカルボキシレートアニオン)を有することが不可欠であることが確認される。
上述のように、5つの事例(5重量%グリシン、5重量%酢酸塩、5重量%酢酸塩+HCl、5重量%ギ酸塩及び5重量%ギ酸塩+HCl)をイーグルフォード頁岩岩石表面で試験した。これは、HClの添加がギ酸塩及び酢酸塩の濡れ性変化能力を改善することを再確認するためであった。図39は、ギ酸塩及び酢酸塩の最終接触角が、HClを用いると約60°に、HClを用いないと約80°に減少したことを示す。カルボキシレート溶液(ギ酸塩及び酢酸塩)のpHを低下させると、濡れ性変化強度がグリシンと同様になり、これも接触角の60°への減少をもたらした。
自発的及び強制吸水実験。接触角実験は、濡れ性変化を示した;しかしながら、観察された濡れ性変化を検証するために、コアスケールで添加剤のさらなる試験を実行した。上記のように、第1の一連の実験では、表18に示す4つのコアについて、RB、5重量%グリシン、5重量%酢酸塩及びHClを含まない5重量%ギ酸塩を使用した。第2の一連の実験では、表19に示す6つのコアについて、RB、RB+HCl、2.5重量%グリシン、5重量%ギ酸塩+HCl及び5重量%酢酸塩+HClを使用した。これらの濃度は、グリシン及びギ酸塩に対して最も良好に機能したために選定された。酢酸塩の事例では、この濃度が残りの化学物質と同様に頁岩プレート上の接触角を減少させたので、5重量%も選択した。
Oil1と4つの溶液との間のIFTも測定し、油回収が濡れ性変化によって改善され、IFT減少ではないことを検証するために表21に示した。カルボキシレート溶液/Oil1のIFTがRB溶液及びグリシン溶液の両方のIFTよりもわずかに低かったとしても、この小さな差は、毛細管圧を有意に変化させるとは予想されない。
岩石特性に加えて、油回収の計算に使用される単位を考慮することが重要である。したがって、図40A、図41A、図42A及び図43Aは、原始埋蔵量(OOIP)の単位での油回収を示し、図40B、図41B、図42B及び図43Bは、細孔容積(PV)に関する油回収を示す。
図40A及び図40Bは、自発的吸収実験からの油回収率を示す。コア特性間の差に起因して、より良好な比較のために、油回収グラフをレベレット係数、√(k/φ)で補正した。プラトーに達した時点で各実験を終了した。グリシンは、他の事例よりも優れており、自発的吸収において0.32の回収率に達した。酢酸塩及びギ酸塩の油回収率は、それぞれ0.20及び0.23であり、これは0.22のRB回収に非常に近い(図40A)。
強制吸収実験は、自発的吸収の直後に行った。図41A及び図41Bは、注入の細孔容積に関する強制吸収実験中の油回収を示す。最終的な油回収は、事例間で同様であるが、現場規模では、通常の注入は約1PVであり、グリシンは1以下で注入されたPVで残りの化学物質を明らかにアウトパフォームしていることに留意することが重要である。表22は、第1の一連のコアについての水のアモットインデックス、並びに実験開始時、自発的吸収後及び強制吸収後の水飽和を示す(表18参照)。グリシンの水に対するアモットインデックスは、RB、ギ酸塩及び酢酸塩のものよりも有意に高く、これはグリシンの事例がより水湿潤になることを示した。これらの結果は、前のセクションで提示した接触角の結果と一致する。
図42A及び図42Bは、第2の一連の実験の自発的吸収からの油回収を示す。接触角実験から予想されるように、ギ酸塩による濡れ性変化は、pHの低下によって増強された。HClを含むギ酸塩溶液は、2.5重量%グリシンに匹敵し、これはRB又はRB+HClよりも2倍以上多く回収した。この観察により、溶液のpH効果と負に帯電したカルボキシル基との相乗効果が再確認された。しかしながら、この相乗効果は、酢酸塩の事例の2回の重複実験では観察されなかった。5重量%酢酸塩+HClの第1の試行は、RBと同程度の量の油をもたらし、第2の試行は、わずかに少ない量の油回収をもたらした。第2の試行のコア#6からのより低い油回収は、より長い熟成時間に起因する可能性があり、より強い油湿潤状態をもたらした。これらの2つの実験に基づいて、酢酸塩は、増進油回収技術として有利に使用され得ないと結論付けることができる。
図43A及び図43Bは、第2の一連の実験の強制吸収からの油回収を示す。5重量%の酢酸塩の第1の試行に使用されたコアは、自発的吸収試験においてプラトーに達する前に廃棄されたため、強制吸収実験を継続することはできなかった。したがって、図43A及び図43Bは、酢酸塩の第2の試行のみの結果を示す。表23は、第2の一連のコアについての水のアモットインデックス、並びに実験開始時、自発的吸収後及び強制吸収後の水飽和を示す(表19参照)。2.5重量%グリシンの事例は、アモットインデックスの最大値を有し、5重量%ギ酸塩+HClの事例よりわずかに大きい。「RB+HCl」と「5%ギ酸塩+HCl」との比較は、濡れ性変化におけるカルボキシル基の重要性を実証している(言い換えれば、方解石溶解単独では効果がなかった)。さらに、「5重量%ギ酸塩」と「5重量%ギ酸塩+HCl」との比較は、HClの添加の重要性を示している(すなわち、カルボキシレートアニオンのみの存在は有効ではなかった)。カルボキシル基は、上記で説明したように、還元された溶液pHによる方解石溶解後に岩石表面と相互作用したと仮定された;しかしながら、HClの添加は、酢酸塩の事例を増強しなかった。さらなる調査は、例えば、最初から、分子動力学及び表面錯化モデリングなど、異なるスケールで岩石表面上のイオンの結合の詳細を理解するのに有用であり得る。
それにもかかわらず、結果は、グリシンが、pHの制御あり/なしでギ酸塩及び酢酸塩よりも有効であったことを示している。これは、カルボキシル基の存在下でのグリシンと酢酸塩との構造的差異であるグリシンのアミノ基に起因すると考えるのが合理的である。すなわち、負に帯電したカルボキシレート側以外では、グリシンの電子供与性アミノ基は、濡れ性変化による油回収改善において重要な役割を果たす。グリシンのこの電子供与基は、グリシンをキレート配位子、又はより具体的には、溶液中のカルシウムカチオン及び/若しくは分子中に2つの官能基を有する方解石表面と相互作用することができる二座配位子にする。キレート配位子は、1つの官能基とのみ相互作用することができる類似の単座配位子よりも金属イオンに対して高い親和性を有する。方解石に結合することを可能にするグリシンのキレート特性は、2つの機構によるものである。図44A及び図44Bは、カルシウムカチオンがグリシンに結合する2つの方法を提示する。グリシンは、ブライン中のカルシウム及びマグネシウムカチオンに結合し、次に岩石表面は、これらの隔離されたカチオンを補償して平衡を回復しようとすると仮定された。このプロセスは、カチオンが放出されると方解石表面から油分子が放出されるため、より水湿潤状態への濡れ性を高める方解石溶解を引き起こす。この仮説は、低塩分濃度ブラインよりも良好に油回収を増進することができる、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸(HEDTA)及びジエチレントリアミン五酢酸DTPAなどのキレート剤について最初に示された。さらに、グリシンは、同様の方式で、カルボキシル基を介して方解石表面とのみ相互作用することができる油由来のナフテン酸よりもエントロピー的に方解石表面に付着するのが有利であると仮定された。この機構を図45に示す。カルボキシレートイオンと比較してキレート効果によるグリシンに対する方解石表面のこのより高い親和性は、グリシンが濡れ性をより有意に変える理由のうちの1つであり得る。
要約すると、この実施例の結果は、方解石溶解と方解石表面へのカルボキシル基の引力との間の可能性のある相乗効果により、わずかに低下したpH下での濡れ性変化におけるギ酸塩の有効性を示す。結果はまた、グリシンによる濡れ性変化に対するアミノ基の値を示し、これはpH調整あり/なしの酢酸塩よりも有効であり得る。これは、グリシンをキレート配位子にするカルボキシル基と共にアミノ基が存在することに起因し得る。
結論。この実施例の目的は、炭酸塩岩の濡れ性調整剤としてのギ酸塩アニオン及び酢酸塩アニオンを調査して、グリシンのアミノ基の有用性を明確にすることを含んでいた。これは、これらの3つの化学物質の接触角及び吸収実験結果を比較することによって達成された。主な結論は、以下の通りである:
油熟成方解石表面及びイーグルフォード頁岩プレートによる接触角実験は、酢酸塩に対するグリシンの有意な優位性及びギ酸塩に対するわずかな優位性を示した。これは、テキサスクリーム石灰石コアによるその後のアモット試験によっても再確認され、グリシンのアミノ基の重要性が明らかになった。
濡れ性を変えるアミノ基の重要な役割は、ギ酸塩及び酢酸塩ではなくグリシンで生じるキレート効果に起因すると仮定された。カルボキシル基に加えて、アミノ基は、キレート効果が生じるための結合官能基(電子供与基)として作用する。これにより、グリシンが二座配位子となり、エントロピー的に、カルシウムカチオンに結合し、さらなる方解石溶解を誘発し、かつ/又はアミノ基及びカルボキシル基の両方を有する方解石表面に直接結合するのがより有利である。グリシンのこの特性は、カルボキシル基を介してのみ相互作用することができる酢酸塩又はギ酸塩のものよりも大きな濡れ性変化をもたらす。
酢酸塩及びギ酸塩は、溶液のpHがグリシンと同じレベルに低下したときに、頁岩プレート上の油滴の接触角を減少させるのにより効果的になった。pHが低下したRBは、方解石表面上での油滴の接触角を減少させるのに有効ではなかった。これは、カルボキシル基と溶液pHとの間の相乗効果の重要性を示している。酢酸塩と比較して、ギ酸塩は、濡れ性を変えるその能力がより良好であった。
吸水試験は、方解石溶解と、グリシン(キレート効果を介する)及びギ酸塩(カルボキシル基を介する)による岩石表面への引力との相乗効果の成功を示した。グリシン及びギ酸塩+HCl溶液のアモットインデックスは、残りの事例よりも顕著に高かった。酢酸塩の事例が、吸収試験におけるHClの添加によって増強されなかった理由は明らかではなく、さらなる調査が必要であることを示唆している。
上記の点は、油湿潤炭酸塩岩の濡れ性変化のために、したがって水吸収を改善するその能力により油回収を増進させるために、pHを低下させたギ酸塩の使用を導入することを可能にする。
命名法
実施例4の図のキャプション。図30.異なる形態のグリシンの分子構造。
図31.この実施例で使用した化学物質の分子構造:(a)ギ酸アニオン、(b)酢酸アニオン及び(c)グリシン。
図32.この実施例で使用した接触角装置。
図33.この実施例で使用したアモットセル。油熟成したコアをアモットセルに入れ、次いで、試験する溶液をアモットセルにゆっくり注ぐ。全ての構成要素は、流体膨張を回避するために実験のセットアップ中に貯留層温度(347K)にあった。生産された油は、上部に蓄積され、その体積は、アモットセルで利用可能な格子から測定することができる。
図34.強制吸収に使用される実験装置の図。
図35.方解石によるRB接触角実験の結果。
図36A、図36B、図36C、図36D.方解石によるグリシン接触角実験の結果:(図36A)0.5重量%グリシン溶液、(図36B)1重量%グリシン溶液、(図36C)2.5重量%グリシン溶液及び(図36D)5重量%グリシン溶液。
図37A、図37B、図37C、図37D.方解石による酢酸塩接触角実験の結果:(図37A)0.5重量%酢酸塩溶液、(図37B)1重量%酢酸塩溶液、(図37C)2.5重量%酢酸塩溶液及び(図37D)5重量%酢酸塩溶液。
図38A、図38B、図38C、図38D.方解石によるギ酸塩接触角実験の結果:(図38A)0.5重量%ギ酸塩溶液、(図38B)1重量%ギ酸塩溶液、(図38C)2.5重量%ギ酸塩溶液及び(図38D)5重量%ギ酸塩溶液。
図39.イーグルフォード頁岩プレートによる接触角実験の結果。
図40A及び図40B.テキサスクリーム石灰石コアによる第1の一連の自発的吸収実験の結果:(図40A)OOIPに関する油回収、(図40B)細孔容積(PV)に関する油回収。
図41A及び図41B.テキサスクリーム石灰石コアによる第1の一連の強制吸収実験の結果:(図41A)OOIPに関する油回収、(図41B)PVに関する油回収。
図42A及び図42B.テキサスクリーム石灰石コアによる第2の一連の自発的吸収実験の結果:(図42A)OOIPに関する油回収、(図42B)PVに関する油回収。
図43A及び図43B.テキサスクリーム石灰石コアによる第2の一連の強制吸収実験の結果:(図43A)OOIPに関する油回収、(図43B)PVに関する油回収。
図44A及び図44B.グリシンへのカルシウム結合の2つの可能な機構:(図44A)カルボキシル基へのカルシウム結合、(図44B)カルボキシル基及びアミノ基へのカルシウム結合。カルシウムは黄色であり、カーボンは灰色であり、窒素は青色であり、水素は白色であり、酸素は赤色である。Tang et al.から取得した概略図
図45.キレート効果によるカルボキシレートアニオン(右)に対するグリシン(左)の優位性におけるアミノ基の役割の説明。グリシンは、アミノ基及びカルボキシル基の両方を介して方解石表面に引き付けられ、これにより、カルボキシル基を介してのみ相互作用するギ酸塩又は酢酸塩などのカルボキシレートアニオンと比較してエントロピー的により有利になる。この引力は、方解石溶解のために油分子が表面から放出される場合に必要である。
実施例5:ギ酸塩溶液の実験的に決定された特性
脱イオン水及び異なるブライン中のギ酸塩の溶液を調製した。表24に要約されるように、溶液中のギ酸塩の溶解度を測定した。
3つの塩分濃度(0、15000及び49000ppmのNaCl)、3つの温度(25、50及び75℃)並びに5つの濃度(0、10、20、25及び30重量%)のギ酸塩溶液の粘度を測定し、結果を表25~28、図46、図47、図48及び図49に要約した。表29に要約されるように、いくつかのギ酸塩及びHPAM(加水分解アクリル酸ポリマー)溶液の粘度も測定した。
界面張力測定をギ酸塩溶液と油との間で行い、結果を表30に要約した。
表31及び32に要約されるように、in-situ粘度及び吸着測定値を得た。インディアナ石灰石を含む20重量%ギ酸塩溶液のin-situ粘度測定値を室温で得た。in-situ粘度は、ニュートン流体挙動を示す。平均in-situ粘度は4cpであり、平均バルク粘度は3.3cpである。
3つのインディアナ石灰石コアについてコアフラッディング実験を実行した。表33及び表34並びに図51に要約されている第1の事例は、ブラインによるフラッディングのためのものであり、最終的な油回収は、53.3%であり、ブレークスルー時間は、0.298HCPV(炭化水素細孔容積)であった。
表35及び表36並びに図52に要約されている第2の事例は、20重量%ギ酸塩によるフラッディングのためのものであり、最終的な油回収は、53.2%であり、ブレークスルー時間は、0.425HCPVであった。
表37及び表38並びに図53に要約されている第3の事例は、30重量%ギ酸塩によるフラッディングのためのものであり、最終的な油回収は、52.6%であり、ブレークスルー時間は、0.489HCPVであった。
実施例5の図のキャプション。図46.DI水中のギ酸塩溶液の粘度。
図47.15000ppmのNaCl中のギ酸塩溶液の粘度。
図48.49000ppmのNaCl中のギ酸塩溶液の粘度。
図49.102646ppmのブライン(97897ppmのNaCl及び4749ppmのCaCl)中のギ酸塩溶液の粘度。
図50.室温での20重量%ギ酸塩溶液のin-situ及びバルク粘度。
図51.コアフラッディング#1の結果(ブラインの事例)。
図52.コアフラッディング#2の結果(20重量%ギ酸塩の事例)。
図53.コアフラッディング#3の結果(30重量%ギ酸塩の事例)。
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ChelateEffect(及びMacrocycleEffect):chem.libertexts.org/@go/page/200888(2021年12月13日にアクセス)で入手可能。
参照による組み込み及び変形例に関する記述
本出願全体の全ての参考文献、例えば、発行又は付与された特許又は同等物を含む特許文書;特許出願公開公報;非特許文献又は他の原資料は、各参照が少なくとも部分的に本出願の開示と矛盾しない限り(例えば、部分的に一致しない参照は、参照の部分的に一致しない部分を除いて参照により組み込まれる)、参照により個々に組み込まれているかのように、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
本明細書に記載された全ての特許及び刊行物は、本発明が属する技術分野における当業者の技術水準を示すものである。本明細書で引用した参考文献は、場合によっては、その出願日時点での最先端を示すために、その全体が参照により本明細書に組み込まれており、この情報は、必要に応じて、先行技術にある特定の実施形態を除外する(例えば、免責する)ために本明細書に採用できることが意図される。例えば、化合物が特許請求される場合、本明細書に開示された参考文献(特に参照された特許文献)に開示された特定の化合物を含む、先行技術で公知の化合物は、特許請求の範囲に含まれることを意図しないことを理解されたい。
本明細書において、ある置換基群が開示されるとき、それらの群の全ての個々の部材、並びにその置換基を用いて形成することができる全ての下位群及びクラスが別々に開示されることが理解される。本明細書において、マーカッシュ群又は他の集団が用いられるとき、その群の全ての個々の部材、並びにその群の可能な全ての組み合わせ及び下位組み合わせは、本開示に個々に含まれることが意図されている。本明細書で使用するとき、「及び/又は」は、「及び/又は」で区切られたリスト内の項目の1つ、全て又は任意の組み合わせがリストに含まれることを意味し、例えば「1、2及び/又は3」は、「『1』若しくは『2』若しくは『3』、又は『1及び2』若しくは『1及び3』若しくは『2及び3』、又は『1、2及び3』と同等である。
記載又は例示されている構成要素のあらゆる配合又は組み合わせは、特に明記しない限り、本発明を実施するために用いることができる。当業者であれば、同じ材料に異なる名前を付けることができることを知っているため、材料の具体的な名前は例示を意図したものである。当業者は、具体的に例示されたもの以外の方法、装置要素、出発材料及び合成方法が、過度の実験に頼ることなく本発明の実施において用いられ得ることを理解するであろう。任意のこのような方法、装置要素、出発材料及び合成方法の、全ての技術的に知られた機能的同等物は、本発明に含まれることが意図されている。本明細書において、範囲、例えば、温度範囲、時間範囲、組成範囲が示されるときは必ず、全ての中間範囲及び小範囲、並びに示される範囲に含まれる全ての個々の値が、本開示に含まれることを意図している。
本明細書で使用するとき、「備える(comprising)」は、「含む(including)」、「含む(containing)」、又は「を特徴とする(characterized by)」と同義であり、包括的若しくは開放的であり、追加の、再現されていない要素、又は方法ステップを除外しない。本明細書で使用するとき、「~からなる」は、請求項の要素で指定されていない任意の要素、ステップ又は成分を除外する。本明細書で使用するとき、「本質的に~からなる」は、請求項の基本的かつ新規な特性に重大な影響を与えない材料又はステップを除外しない。本明細書において、「含む(comprising)」という用語のいかなる記載も、特に組成物の成分の説明において、又は装置の要素の説明において、記載された成分若しくは要素から本質的になる、それらの組成物及び方法を含むものと理解される。本明細書に例示的に記載された本発明は、好適には、本明細書に具体的に開示されていない任意の要素若しくは複数の要素、制限若しくは複数の制限がない場合に実施され得るものである。
採用されている用語及び表現は、説明の用語として使用され、これに限定されるものではなく、そのような用語及び表現の使用において、示され、説明された特徴又はその一部分の任意の同等物を除外する意図はないが、請求された本発明の範囲内で様々な変更が可能であることは認識される。したがって、本発明は、好ましい実施形態及び任意の特徴によって具体的に開示されているが、本明細書に開示された概念の修正及び変形は、当業者によって頼ることができ、そのような修正及び変形は、添付の請求項によって定義される本発明の範囲内にあるとみなされることが理解されるべきである。

Claims (70)

  1. 水及びカルボキシレートを含む水性混合物を得ることであって、前記水性混合物中の前記カルボキシレートの濃度が、1重量%~45重量%である、得ることと、
    前記水性混合物を地下貯留層に注入することと
    を含む、方法。
  2. 前記カルボキシレートが、カルボン酸、カルボキシレート塩、カルボキシレートイオン又はこれらの任意の組み合わせを含む、請求項1に記載の方法。
  3. 前記水性混合物の塩分濃度が、約0ppm~約243000ppmである、請求項1に記載の方法。
  4. 前記水性混合物が、5~9のpHを有する、請求項1に記載の方法。
  5. 前記水性混合物が、前記地下貯留層中の水性流体の1pH単位以内のpHを有する、請求項1に記載の方法。
  6. 前記水性混合物を注入することが、前記地下貯留層中に前記カルボキシレートの形態の炭素又は二酸化炭素を隔離することを含む、請求項1に記載の方法。
  7. 前記水性混合物を得ることが、COガス、炭酸イオン又は重炭酸イオンから前記カルボキシレートを調製することを含む、請求項1に記載の方法。
  8. 前記カルボキシレートが、カルボン酸を含む、請求項7に記載の方法。
  9. 前記水性混合物を得ることが、電気化学的還元プロセスを使用して、CO及びHOから、炭酸イオン及びHOから、又は重炭酸イオン及びHOから前記カルボキシレートを調製することを含む、請求項1に記載の方法。
  10. 前記水性混合物を得ることが、再生可能エネルギーによって動力供給される電気化学的還元プロセスを使用して、CO及びHOから、炭酸イオン及びHOから、又は重炭酸イオン及びHOから前記カルボキシレートを調製することを含む、請求項1に記載の方法。
  11. 前記カルボキシレートの濃度が、1重量%~2重量%、2重量%~5重量%、5重量%~8重量%、8重量%~11重量%、11重量%~14重量%、14重量%~17重量%、17重量%~20重量%、20重量%~23重量%、23重量%~26重量%、26重量%~29重量%、29重量%~32重量%、32重量%~35重量%、35重量%~38重量%、38重量%~41重量%、41重量%~44重量%又は44重量%~45重量%である、請求項1に記載の方法。
  12. 前記水性混合物を得ることが、前記カルボキシレートを得ることと、前記カルボキシレートを水溶液と混合することと、を含む、請求項1に記載の方法。
  13. 前記地下貯留層から又は別の地下貯留層から前記水溶液を生産することをさらに含む、請求項12に記載の方法。
  14. 前記水性混合物を得ることが、酸又は塩基を前記水性混合物に添加することによって、前記水性混合物のpHを調整することを含む、請求項1に記載の方法。
  15. 前記カルボキシレートの濃度が、前記地下貯留層の温度及び圧力での前記水性混合物中の前記カルボキシレートの溶解限界内である、請求項1に記載の方法。
  16. 前記カルボキシレートの濃度が、前記地下貯留層の温度及び圧力での前記水性混合物中の前記カルボキシレートの溶解限界を超えるか、又は前記水性混合物が、前記カルボキシレートの飽和若しくは過飽和溶液である、請求項1に記載の方法。
  17. 前記カルボキシレートが、アミノ酸ではない、請求項1に記載の方法。
  18. 前記カルボキシレートが、
    (式中、RはH又はC1-C3アルキル基であり、XはH又はアルカリ金属である)
    の式を有する、請求項に記載の方法。
  19. 前記水性混合物が、複数の異なるカルボキシレートを含む、請求項1に記載の方法。
  20. 前記水性混合物中の前記複数の異なるカルボキシレートのそれぞれの濃度が、0.5重量%~44.5重量%である、請求項19に記載の方法。
  21. 前記カルボキシレートが、ギ酸塩、ギ酸、酢酸塩、酢酸、プロピオン酸塩又はプロピオン酸である、請求項1に記載の方法。
  22. 前記地下貯留層が、油若しくはガス貯留層、塩水帯水層、淡水帯水層、地熱貯留層又は空洞を含む、請求項1に記載の方法。
  23. 前記地下貯留層が、砂岩、炭酸塩、火山岩又はこれらの任意の組み合わせを含む、請求項1に記載の方法。
  24. 前記地下貯留層が、石英、方解石、炭酸塩、ドロマイト、無水石膏、石膏、長石、シデライト、ゼオライト、カオリナイト、イライト、亜塩素酸塩又はスメクタイトを含む1つ以上の鉱物を含む、請求項1に記載の方法。
  25. 前記水性混合物が、淡水、海水、貯水池接続水、造水、河川水、池水又はブラインを含む、請求項1に記載の方法。
  26. 前記水性混合物の塩分濃度が、前記地下貯留層中のブラインの塩分濃度以上である、請求項1に記載の方法。
  27. 前記水性混合物の塩分濃度が、前記地下貯留層中のブラインの塩分濃度以下である、請求項1に記載の方法。
  28. 前記水性混合物又はその成分が、前記地下貯留層中の岩石表面に接触し、前記岩石表面の水濡れ性性質を増加させる、請求項1に記載の方法。
  29. 前記水性混合物又はその成分が、前記地下貯留層中の流体の粘度を増加させる、請求項1に記載の方法。
  30. 前記地下貯留層から炭化水素を生産することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
  31. 前記地下貯留層から前記炭化水素を生産する速度が、前記水性混合物を注入する前の前記地下貯留層から前記炭化水素を生産する速度と比較して、前記水性混合物を注入した後により速くなる、請求項30に記載の方法。
  32. 前記炭化水素が、原油、タルマット、ビチューメン、ケロゲン、重油、タイトオイル、シェールオイル、ガス凝縮物、湿潤ガス、乾燥ガス又はこれらの任意の組み合わせを含む、請求項30に記載の方法。
  33. 前記水性混合物が、界面活性剤、溶媒、酸、塩基、塩、無機化合物、ポリマー、キレート剤、ナノ材料、アミノ酸、殺生物剤、炭化水素、窒素又は二酸化炭素のうちの1つ以上をさらに含む、請求項1に記載の方法。
  34. 前記界面活性剤が、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、両性若しくは双性イオン性界面活性剤又はこれらの任意の組み合わせを含む、請求項33に記載の方法。
  35. 前記溶媒が、炭化水素、炭化水素溶媒、アミン、エーテル、アルコール、ケトン、エステル又はこれらの任意の組み合わせを含む、請求項33に記載の方法。
  36. 前記水性混合物を前記地下貯留層に注入することが、前記水性混合物をスラグとして前記地下貯留層に注入することを含み、前記方法が、前記水性混合物をスラグとして前記地下貯留層に注入した後に、追跡流体を前記地下貯留層に注入することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
  37. 前記地下貯留層に1つ以上の井戸を配置することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
  38. 前記水性混合物を前記地下貯留層に注入することが、前記水性混合物を前記井戸のうちの1つ以上に注入することを含む、請求項37に記載の方法。
  39. 前記地下貯留層から前記炭化水素を生産することが、前記地下貯留層中の1つ以上の井戸から前記炭化水素を生産することを含む、請求項30に記載の方法。
  40. 前記地下貯留層から前記炭化水素を生産することが、前記地下貯留層に注入された前記水性混合物の少なくとも一部を回収することを含む、請求項30に記載の方法。
  41. 前記地下貯留層からブラインを生産することをさらに含む、請求項30に記載の方法。
  42. 前記地下貯留層から前記炭化水素を生産することが、前記地下貯留層から前記ブラインを生産することを含む、請求項41に記載の方法。
  43. 前記カルボキシレートが、前記地下貯留層から生産されたブライン中にトレーサとして存在する、請求項41に記載の方法。
  44. 前記地下貯留層から生産された前記ブライン中のトレーサとして前記カルボキシレートを識別することをさらに含む、請求項41に記載の方法。
  45. 前記水性混合物を注入し、前記炭化水素を生産することが、フラッディングプロセス又はhuff-n-puffプロセスを含む、請求項30に記載の方法。
  46. 前記水性混合物を注入し、前記炭化水素を生産することが、連続注入プロセス、周期的注入プロセス又はスラグ注入プロセスを含む、請求項30に記載の方法。
  47. 前記水性混合物を注入することが、前記地下貯留層中に前記カルボキシレートの形態で水素を貯蔵することを含む、請求項1に記載の方法。
  48. 前記地下貯留層から流体を生産することをさらに含み、前記流体が前記カルボキシレートを含む、請求項47に記載の方法。
  49. 前記流体から前記カルボキシレートを使用してHを生成することをさらに含む、請求項48に記載の方法。
  50. 前記カルボキシレートを使用して前記Hを生成することが、前記流体から前記カルボキシレートを脱水素化することを含む、請求項49に記載の方法。
  51. 前記カルボキシレートを脱水素することによって生成したCOを捕捉することをさらに含む、請求項50に記載の方法。
  52. 前記地下貯留層中の前記カルボキシレートを使用して前記地下貯留層中でHを生成することをさらに含む、請求項47に記載の方法。
  53. 前記地下貯留層中でHを生成することが、ナノ触媒又はpH調整剤を含む触媒を前記地下貯留層に注入することを含む、請求項52に記載の方法。
  54. 前記地下貯留層からHを生産することをさらに含む、請求項52に記載の方法。
  55. 水性混合物の供給源であって、前記水性混合物が、水及びカルボキシレートを含み、前記水性混合物中の前記カルボキシレートの濃度が、1重量%~45重量%である、供給源と、
    前記水性混合物を前記地下貯留層に注入するために、前記供給源及び地下貯留層流体と流体連通する注入システムと
    を備える、システム。
  56. 前記カルボキシレートが、カルボン酸、カルボキシレート塩、カルボキシレートイオン又はこれらの任意の組み合わせを含む、請求項55に記載のシステム。
  57. 前記水性混合物の塩分濃度が、約0ppm~約243000ppmである、請求項55に記載のシステム。
  58. 前記水性混合物が、前記地下貯留層中の水性流体の5~9のpH又は1pH単位以内のpHを有する、請求項55に記載のシステム。
  59. 前記水性混合物が、淡水、海水、貯水池接続水、造水、河川水、池水又はブラインを含む、請求項55に記載のシステム。
  60. 前記カルボキシレートが、アミノ酸ではない、請求項55に記載のシステム。
  61. 前記カルボキシレートが、
    (式中、RはH又はC1-C3アルキル基であり、XはH又はアルカリ金属である)
    の式を有する、請求項に記載のシステム。
  62. 前記カルボキシレートが、ギ酸塩、ギ酸、酢酸塩、酢酸、プロピオン酸塩又はプロピオン酸である、請求項55に記載のシステム。
  63. 前記地下貯留層が、油若しくはガス貯留層、塩水帯水層、淡水帯水層又は地熱貯留層を備える、請求項55に記載のシステム。
  64. 前記水性混合物の前記供給源が、CO及びHOから前記カルボキシレートを生成するための電気化学的還元反応器を備える、請求項55に記載のシステム。
  65. 前記地下貯留層から流体を生産するために、前記地下貯留層と流体連通する流体生産システムをさらに備える、請求項55に記載のシステム。
  66. 前記流体が、炭化水素を含む、請求項65に記載のシステム。
  67. 前記流体が、前記カルボキシレートを含む、請求項65に記載のシステム。
  68. 前記流体中の前記カルボキシレートからHを生成するために、前記流体生産システムと流体連通する脱水素化反応器をさらに備える、請求項67に記載のシステム。
  69. 前記流体が、Hを含む、請求項65に記載のシステム。
  70. 請求項1~54のいずれか一項に記載の方法を実行するように適合された、請求項55に記載のシステム。
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