JP2024516004A - 粒子分離および分析のための破壊可能なマイクロウェルアレイ - Google Patents

粒子分離および分析のための破壊可能なマイクロウェルアレイ Download PDF

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Abstract

本発明は、生物学的サンプル(例えば、細胞および細胞の混合物)を分離、培養、および分析するために有用な、破壊可能な、消化可能な、または溶解可能なマイクロウェルアレイ(例えば、ヒドロゲルマイクロウェルアレイ)を提供する。1つの実施形態において、本発明はまた、これらのマイクロウェルアレイを生成および使用するために必須のデバイス、ソフトウェア、およびプロトコールを提供する。1つの実施形態において、本発明は、本明細書に開示される特徴のうちの1個またはこれより多くを有するヒドロゲルマイクロウェルアレイを生成するためのデバイス(ハードウェアおよびソフトウェア)を提供する。

Description

関連出願の相互参照
本出願は、2021年5月2日出願の米国仮特許出願第63/182,972号(その全体は、本明細書に参考として援用される)の優先権を主張する。
発明の分野
本発明は、破壊可能な、消化可能な、分解可能な、または溶解可能なマイクロウェルアレイ(「DMWs」とも略される)(例えば、ヒドロゲルマイクロウェルアレイ)を提供し、これは、細胞サンプルを分離、培養、および分析するために有用である。これらのマイクロウェルアレイを生成および使用するために必須のデバイス、ソフトウェア、およびプロトコールがまた、提供される。
発明の背景
原発性腫瘍由来の細胞(腫瘍細胞を含む)、リンパ球および健常細胞は、疾患の病因および処置への価値ある洞察を提供し得る。これらの細胞収集物は、概して不均一であり、その洞察は、基礎研究および適用されるプレシジョンメディシンおよび基礎研究に有用である。
米国単独では、8000を超えるNIH資金提供の研究プロジェクトが、基礎研究および臨床研究、すなわち、薬理学的スクリーニング、ネオアンチゲン発見および細胞治療などのための原発性腫瘍由来の細胞を現在調査していると考えられる。個々のクローン追跡および培養を可能にする単一細胞ツールは、疾患進行を理解し、クローン多様性、サンプルの代表性および臨床上の妥当性を維持するにあたって、優れている。しかし、バルク培養法は、その単純性および柔軟性からエキソビボ拡大でなお優位を占めている。投資されてきたバルク培養プロトコール、画像化機器および下流の工程をなおも維持しながら、高い多様性のクローン成長および追跡を可能にするために、十分に容易な方法が必要である。
粒子および細胞を顕微鏡下で直接単離することは、生物医学分野においてなおも困難である。顕微鏡検査法を使用すると、特定の形態学的表現型の細胞または他の細胞タイプと相互作用する細胞を同定することは比較的容易である。しかし、サブミクロン精度の機械的な器具および方法(例えば、マイクロピペット操作、光ピンセット、またはレーザー顕微解剖)を使用することなく、サンプルから目的の細胞または粒子を選択することは、より一層困難である。粒子または細胞を単離するために使用される現在主要な競合技術は、フローサイトメトリー法、マイクロ流体デバイス、マイクロピペット、および光ピンセットである。
細胞を単離、同定、および定量するという難題は、目的が、不均一な細胞サンプル集団に対してその方法論を実行することである場合になお一層困難である。エキソビボ拡大した不均一な細胞集団は、例えば、疾患生物学、薬物応答、およびサンプル遺伝子型決定の直接的な特徴付けについての潜在性を提供し、よって、異なる生物学的分野において勢いを増してきている。エキソビボ拡大とは、細胞、組織のようなサンプル、または腫瘍サンプルを培養して、サンプルの量を拡大、増加、または増幅することをいう。しかし、不均一な細胞集団の2つの特徴は、慣用的な特徴付け方法の広い適用を制限する。すなわち、クローン多様性の喪失および分析を実行する時間枠をしばしば制限することである。さらに、不均一な細胞集団のエキソビボ拡大の選択-非存在または選択-存在は、成長の偏りをもたらす可能性があり、これは、その拡大したサンプルの価値を限られたものにする可能性があり、その結果、その拡大したサンプルはもはや、元のサンプルの細胞集団多様性を表さない。この理由は、不均一な集団中の全ての細胞が同じ速度で成長および複製するわけではないことである。例えば、不均一なサンプル中の、より迅速な複製速度を有するおよび/またはより生存性の高い細胞は、そのサンプル中の、複製がより遅いおよび/またはより生存性が低い細胞を上回り得る。従って、複製、ならびにその後で特徴付けおよび定量のために培養される不均一な細胞サンプルは、その最初の細胞サンプルと比較して、培養後に非常に異なる可能性があり、その最初の細胞サンプルの代表ではないであろう。言い換えると、その培養および増幅は、不必要な偏りをその方法論に付加する可能性があり、その結果、その得られる細胞培養物はもはや、その元の細胞培養物の代表ではない。よって、エキソビボ拡大した培養物は、例えば、潜在的化学療法剤に対する評価のための腫瘍生検サンプルの調製のような、その意図した有用性を有していない場合もある。
これらの難題に加えて、不均一な細胞サンプルから細胞タイプを単離および分離するための現在の方法は、全く不可能ではないにしても、困難であるかまたは非現実的である。上述のように、顕微鏡検査、サイトメトリー、およびマイクロツイーザー、および吸引単離デバイスに基づく技術は、適用可能ではない。なぜならこれらは、一般に、単一細胞または小さな細胞群を、より単純なサンプルシステムから単離することに向けられ、大きく複雑な不均一な細胞サンプルに関しては意図されておらず、現実的ではないからである。また、フローサイトメトリー機構は、高価でありかつかなりの実験用空間を要求する可能性があり、直前で述べられたように、単一細胞の単離には適していない。
単一生細胞単離技術は、生命科学研究(例えば、抗体開発、初代細胞分離、細胞系構築、免疫細胞治療、および循環腫瘍細胞(CTC)分離)の多方面に関して潜在的価値を有する。本発明の利点は、困難な状況(例えば、サンプルサイズが制限されている、塊状のサンプル、および接着性の細胞)下で、生細胞単離を可能にする低コストで、頑健な機序を提供することである。本発明は、サンプル(例えば、特徴付けおよび定量するための不均一な生物学的サンプル)から細胞を分離するための現在の技術の欠点の多くに対処する。
本発明は、細胞を培養するための旧来のプレートを、>10の大きな細胞多様性を提供し得る単一細胞画像化/培養プラットフォームへと変換するためのシステムおよび方法を提供する。本発明のシステムおよび方法は、例えば、腫瘍細胞プールを表現型的にプロファイリングするために有用であり得る。上記システムおよび方法は、表現型的/遺伝的不均一性の保存のために有用であり得ると考えられる。結果的に得られる高い多様性の細胞培養物は、細胞サブタイプ特異的な薬理学的スクリーニングのために、および腫瘍特異的T細胞ベースの治療を準備するために使用され得る。
本発明の破壊可能なマイクロウェルシステムおよび方法は、現在利用可能なシステムおよび方法の欠点および不利な点に対処し、元のサンプルの代表となり、例えば、研究目的、薬物評価および開発、ならびに個別化医療のために使用され得るエキソビボサンプル培養物の生成を提供する。特に、本発明は、患者のためのがん標的療法を開発するための手段を提供する。
さらに、エキソビボで拡大された不均一な細胞集団を使用する生物学的方法は、疾患生物学および薬物応答への直接的な洞察を提供し得る。このようなエキソビボ方法は、多くの異なる分野で勢いを増してきている。しかし、実際には、単純性および柔軟性の欠如は、腫瘍の不均一性に取り組むための既存のツールの妨げになっている。
不均一な細胞サンプルを分離、培養、および分析するためのデバイス、システムおよび方法論を開発する必要性が継続していることは、前述から明らかである。本発明は、これらの必要性に対処する。
発明の要旨
本発明は、細胞サンプルを分離、培養、および分析するために有用である、破壊可能な、消化可能な、分解可能な、または溶解可能なマイクロウェルアレイ(例えば、ヒドロゲルマイクロウェルアレイ)を提供する。
1つの実施形態において、本発明はまた、これらのマイクロウェルアレイを生成および使用するために必須のデバイス、ソフトウェア、およびプロトコールを提供する。
1つの実施形態において、本発明は、破壊可能なヒドロゲルマイクロウェルを利用して、生物学的粒子を分離および分析するための方法であって、上記方法は、
a)ヒドロゲルマイクロウェルのアレイを確立する工程、
b)生物学的粒子のサンプルを上記アレイに播種する工程、
c)上記サンプルを培養(またはインキュベート)する工程、および
d)上記マイクロウェルを破壊して、上記培養した生物学的粒子を上記マイクロウェルから放出する工程、
を包含する方法を提供する。
さらなる実施形態において、上記培養する工程c)は、培養される生物学的粒子を上記マイクロウェル内で生成する。
さらなる実施形態において、上記方法は、上記破壊したマイクロウェルから上記放出した粒子を定量および/または同定するさらなる工程、e)を包含する。
さらなる実施形態において、上記方法は、工程c)と工程d)との間にさらなる工程x):
x)標的化したマイクロウェルを上記アレイから分離する工程、
を包含する。
さらなる実施形態において、上記ヒドロゲルは、光透過性である。
さらなる実施形態において、上記ヒドロゲルは、約315nm~約400nmの光に対して透過性である。
さらなる実施形態において、上記アレイの各ヒドロゲルマイクロウェルは、約1ミクロン~10mmの直径、幅、または断面寸法を有する。
さらなる実施形態において、上記アレイの各ヒドロゲルマイクロウェルの深さ(内部の壁の高さ)は、約10ミクロン~約500ミクロンである。
さらなる実施形態において、上記アレイの各ヒドロゲルマイクロウェルの容積は、約1×10-12リットル~約1×10-6リットルである。
さらなる実施形態において、上記マイクロウェルアレイは、約2~約1×1010個のマイクロウェルを含む。
さらなる実施形態において、上記マイクロウェルアレイは、約1×10~約1×10個のマイクロウェルを含む。
さらなる実施形態において、上記マイクロウェルヒドロゲルアレイは、2Dアレイである。
さらなる実施形態において、上記マイクロウェルヒドロゲルアレイは、3Dアレイである。
さらなる実施形態において、上記ヒドロゲルは、ゼラチンおよびその誘導体、アガロースおよびその誘導体、デキストランおよびその誘導体、セルロースおよびその誘導体、キチンおよびその誘導体、アルギネートおよびその誘導体、PEGおよびその誘導体、ならびにこれらの組み合わせからなる群より選択される。
さらなる実施形態において、上記ヒドロゲルは、光開始剤によって確立される。
さらなる実施形態において、上記光開始剤は、フェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィン酸リチウムである。
さらなる実施形態において、上記ヒドロゲルアレイは、基材に結合しているかまたは基材に接着することができる。
さらなる実施形態において、上記基材は、ポリスチレン、ポリアクリレート、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリアクリレート、および/またはポリカーボネートのコポリマー、ならびにガラスからなる群より選択される。
さらなる実施形態において、上記工程d)の破壊は、部分破壊および完全破壊からなる群より選択される。
さらなる実施形態において、上記工程d)の破壊は、
i.化学的手段(酵素による手段を含む)、
ii.光手段(UVおよび可視光を含む)、
iii.熱的手段、
iv.音波手段(音響エネルギーを印加する)、
v.物理的手段、
vi.電磁放射線、
vii.原子粒子手段、
viii.亜原子粒子手段、
ix.生物学的手段(細胞または組織によって分解可能)、
およびこれらの組み合わせ、
からなる群より選択される方法によって行われる。
さらなる実施形態において、上記工程d)の破壊は、酵素による消化によって行われる。
さらなる実施形態において、上記酵素による消化は、コラゲナーゼ、トリプシン、セルロースヒドロラーゼ、アルギン酸リアーゼ、デキストラナーゼ、アキュターゼ、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される酵素で行われる。
さらなる実施形態において、上記酵素による消化は、EDTAまたはEGTA(CAS 67-42-5またはエチレングリコール-ビス(β-アミノエチル)-N,N,N’,N’-四酢酸としても公知)の存在下で行われる。
さらなる実施形態において、上記生物学的粒子は、細胞である。
さらなる実施形態において、上記細胞は、腫瘍細胞、健常細胞、変異細胞、T細胞、リンパ球、幹細胞、循環腫瘍細胞、ウイルス感染細胞、接着性の細胞、懸濁細胞、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される。
さらなる実施形態において、上記細胞は、細菌、植物、真菌、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される。
さらなる実施形態において、上記細胞は、核酸フラグメント(例えば、DNAフラグメントおよび/またはRNAフラグメント)、それらのゲノムの中の変異、プラスミドをさらに有しているか、または上記細胞は、種々の微生物種を含むマイクロバイオームの一部である。
さらなる実施形態において、上記定量および/または定性分析工程e)は、形態学、動態学、成長曲線、細胞殺滅、細胞表面マーカー、移動、相互作用、ゲノム配列決定、蛍光、照度、レポーター遺伝子発現、トランスクリプトーム配列決定、質量スペクトル、分泌タンパク質、および画像化によって行われる。
1つの実施形態において、本発明は、本明細書に開示される特徴のうちの1個またはこれより多くを有するヒドロゲルマイクロウェルアレイを生成するためのデバイス(ハードウェアおよびソフトウェア)を提供する。
1つの実施形態において、本発明は、本明細書に開示される特徴のうちの1個またはこれより多くを有する破壊可能なヒドロゲルマイクロウェルアレイ構築物を提供する。
1つの実施形態において、本発明は、破壊可能なヒドロゲルマイクロウェルアレイを調製するための方法であって、上記方法は、
(a)重合可能なヒドロゲルを基材上に堆積させる工程、および
(b)所定のマイクロアレイ配置で上記ヒドロゲル上へとエネルギー源を投射して上記ヒドロゲルの重合を開始して、上記マイクロアレイを生成する工程、
を包含する方法を提供する。
さらなる実施形態において、上記基材は、ポリスチレン、ポリアクリレート、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリアクリレート、および/またはポリカーボネートのコポリマー、ならびにガラスからなる群より選択される。
さらなる実施形態において、上記堆積工程(a)は、光開始剤および光吸収を堆積させる工程をさらに包含し、工程(b)において上記エネルギー源は、光源である。
さらなる実施形態において、上記重合可能なヒドロゲルは、ゼラチン-アクリル酸メチル、デキストラン-アクリル酸メチル、およびこれらの組み合わせからなる群より選択され;上記光開始剤は、フェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィン酸リチウムであり;上記光吸収因子は、タートラジンである。
さらなる実施形態において、上記光源は、広視野(直径4mm)、狭角405nmレーザーである。
さらなる実施形態において、上記レーザーは、マイクロウェルアレイを生成するために、2K TFT(薄膜トランジスタ)モノクロムLCDディスプレイ上に投射される。
種々のさらなる実施形態において、(破壊したマイクロウェルから放出された粒子を定量および/または同定する工程の)定量および/または定性的分析工程e)は、以下のために使用され得る:
(i)T細胞単離、
(ii)がん診断または腫瘍タイプ分けに基づく処置レジメンの処方のため。例えば、高い多様性の腫瘍浸潤リンパ球生成。腫瘍浸潤リンパ球(TIL)における細胞傷害性T細胞は、複数の臨床試験において抗腫瘍活性をもたらした。ここでTILのエキソビボ拡大は、一般に、治療用量を達成するために必要とされる。クローン成長の偏りは、TCRレパートリーを作り替える(17)。これは、殺腫瘍性クローンの代表としては不十分であり、腫瘍変異の適用範囲(coverage)の低減を意味する(18)。腫瘍浸潤リンパ球(TIL)に関しては、ゲノム多様性の保存は、原則的には腫瘍変異プールを網羅するために必要であり、そうして、エキソビボで拡大したTILは、細胞治療のために収集され得る。
(iii)患者由来の腫瘍細胞系培養の間の腫瘍の不均一性の保存。1: 間質伸長(outgrowth)に起因するがん細胞の喪失。 原発性腫瘍サンプルは、間質細胞を数多く有していることが公知である; このような非腫瘍細胞の伸長は、腫瘍細胞系が失敗することの説明となった一番の理由である。原発性腫瘍細胞系チャレンジに対処するように設計した538症例の試験において、原発性腫瘍から腫瘍細胞系を樹立することの全体的な成功率はわずか約9%~38%であり、種々の腫瘍タイプ間で有意に変動することが示されている(15)。培地成分の最適化は、成長した線維芽細胞を選択的に抑制する通常のストラテジーであったが、これは、ケースバーケースでの個々の取り組みを必要とする。2: 稀少な腫瘍サブタイプの喪失。 腫瘍形成の異なる発生ステージのおかげで、腫瘍細胞は、種々の程度の転移傾向、分化能および成長速度を示す(16)。稀少なクロノタイプの開始を同時に追跡することは、腫瘍の進化を理解するためにも、薬理学的スクリーニングのためにも、非常に望ましい。特に、薬学的スクリーニングのために、腫瘍細胞の特定の亜集団が遺伝的におよび表現型的に、特異的にモニターされ、標的化され得る場合、併用処置が、単剤療法より成功する可能性がある。3: 腫瘍変異の喪失。 原発性腫瘍細胞は、100~10000の体細胞変異を有しており(1)、これらの変異の詳細な遺伝子型決定が、ネオアンチゲン発見の基礎である。原発性腫瘍細胞のインビトロ拡大は、ゆがんだ変異プールをほぼ常に生じる。従って、サンプリングの妥当性を担保するために、長期の細胞培養の代わりに大量の腫瘍サンプルが使用される。これは、マイクロバイオプシーを使用するその適用を妨げる。DMWを使用すると、不均一性のこのような喪失は、最小化される。および
(iv)免疫細胞および腫瘍細胞の共培養、モニターおよびクローン的拡大、および相互作用。 不均一な免疫細胞および腫瘍細胞は混合され得、このようなヒドロゲルマイクロウェルへと播種され得、免疫細胞の腫瘍殺滅クローンは、可視化され得、個々のマイクロウェル内での外部刺激(すなわち、サイトカイン刺激)ありまたはなしでクローン的に拡大され得る。このようなクローンは、後にプールされ得るか、またはヒドロゲルマイクロウェルクローンの破壊後に単離され得る。免疫細胞は、天然の細胞または遺伝子改変された細胞であり得る;それらは、B細胞、ナチュラルキラー細胞、T細胞および他の腫瘍抑制細胞であり得る。
本発明のこれらのおよび他の局面は、本明細書中の開示から明らかになる。
図1は、溶解可能なマイクロウェル培養ワークフローおよびマイクロウェル生成技術を示す。図1A上段は、サンプル負荷、細胞培養/分析および細胞回収(cell retrieval)を含むワークフロー操作の模式図を示す。図1A下段は、ペトリ皿の中の相当する状況を示し、円の中の正方形は、ペトリ皿中の破壊可能なマイクロウェルアレイを表し、楕円形は、細胞を表す。図1Bは、破壊可能なマイクロウェル生成機の上面図および正面図であり、ここで35mmペトリ皿を、アダプターを介して充填する。プラットフォームはまた、アダプターが必要とされない場合、大部分の既製のマイクロタイタープレートと適合性である。図1Cは、1.4K マイクロウェルシステムの(10mm直径領域のペトリ皿上の)画像である。その実施形態において、12Kまでのマイクロウェルは、28mm直径領域のペトリ皿上で生成され得る。
図2は、迅速なマイクロウェル生成および試薬最適化を示す。図2Aは、液晶ディスプレイ(LCD)でマスクされたマイクロウェル生成の模式図である。図2Bは、250ミクロンマイクロウェルシステムを生成するための代表的なLCDパターンである。図2Cは、マイクロウェル生成プロセスからのリアルタイム写真であり、ここで405nmの光の点が見える(矢印で示される)。図2Dは、光透過性および構造完全性を評価するために、種々のヒドロゲル材料を使用して生成した一連の8個のマイクロウェルアレイを示す。これは目視でチェックされ得る。上段の左から3つめのマイクロウェルアレイ(輪郭で画かれている)は、ゼラチン-アクリル酸メチルベースのマイクロウェルであり、これは、最適化された特性を有する。 図2は、迅速なマイクロウェル生成および試薬最適化を示す。図2Aは、液晶ディスプレイ(LCD)でマスクされたマイクロウェル生成の模式図である。図2Bは、250ミクロンマイクロウェルシステムを生成するための代表的なLCDパターンである。図2Cは、マイクロウェル生成プロセスからのリアルタイム写真であり、ここで405nmの光の点が見える(矢印で示される)。図2Dは、光透過性および構造完全性を評価するために、種々のヒドロゲル材料を使用して生成した一連の8個のマイクロウェルアレイを示す。これは目視でチェックされ得る。上段の左から3つめのマイクロウェルアレイ(輪郭で画かれている)は、ゼラチン-アクリル酸メチルベースのマイクロウェルであり、これは、最適化された特性を有する。
図3は、本発明のマイクロウェルを使用する懸濁細胞の保持を示す。図3Aは、マイクロウェルを使用する粒子捕捉の模式図である。図3Bは、48時間の期間にわたる懸濁細胞の迅速な分裂のタイムラプス写真を示す。マイクロウェルの寸法は、約350ミクロンであり、核は、赤色の生細胞追跡色素で染色される。写真を48時間にわたって15分ごとに撮影したが、8枚の写真のみを0時間、5時間、10時間、20時間、28時間、35時間、42時間、および48時間の適切な時点において、単純さのために示す。
図4は、マイクロウェルアレイの酵素による消化による容易な細胞回収を明らかに示す。図4Aは、種々の寸法のヒドロゲルベースのマイクロウェルの概観である。図4B、左パネルは、5分間のコラゲナーゼII消化(37℃で0.1μ/ml)後のヒドロゲルマイクロウェル(ここでは部分的マイクロウェル消化であった)を示す。残りのマイクロウェル構造は、なお残っていることに注意のこと。およそ5個のJurkat細胞が各ウェルに存在する。図4B、右パネルは、15分間の消化後のヒドロゲルマイクロウェルを示す。ここで壁構造は、完全に溶解され、細胞は回収のために無傷で残る。
図5は、接着性腫瘍細胞プールの限局したクローン性拡大を示す。5KのC4-2細胞を、4K マイクロウェルのある24ウェル培養プレートの1個のウェルに播種した。重ね合わせた明視野画像およびmCherryチャネル画像のセットを毎日収集し、完全ウェルモンタージュを合成し、1日目(上のパネル)および8日目(下のパネル)の2つの相当する部分を示す。
図6は、間質阻害を介する好ましい腫瘍増殖のモデルシステムを示す。腫瘍(モノクローナルC4-2 mCherry)および単一層形成内皮細胞系(EAHY)を、1:3比で混合する。同じ混合物からの5Kの細胞を、4K マイクロウェルあり(図6Aおよび6B)およびなし(図6Cおよび6D)の24ウェル培養プレートの2つのウェルへと播種した。14日間の共培養後に、ウェル全体に及ぶ重ね合わせ画像のセットを収集し、コラージュした。2つの並べたサンプルの全体の蛍光図(図6Aおよび図6C)および拡大図(図6Bおよび図6D)を、比較のために示す。
図7は、細長いヒドロゲルアレイにおける腫瘍細胞プールの表現型プロファイリングの概要図を示す。細長いマイクロウェルを、矩形として示す。時間ゼロ(T0)で撮影した個々のクローン画像を、破線の縁(dashed circumference)で示し、48時間(T1)を実線の楕円として示す。
図8は、1日目、ならびに播種後3日目、6日目、7日目および8日目の代表的なクローン画像で、DMW中でのJurkat細胞のクローン性拡大を示す。
図9は、255ウェル2次元アレイのマイクロウェルあたりの正規化した成長曲線として、DMW中でのJurkat細胞のクローン性拡大を示す。
発明の詳細な説明
定義
本明細書で使用される場合、以下の用語および略語が、反対に明示的に述べられなければ、示される意味を有する。
略語「DMW」とは、破壊可能なマイクロウェルを意味する。あるいは、その略語は、消化可能なマイクロウェル、分解可能なマイクロウェル、または溶解可能なマイクロウェルを意味し得る。
用語「エキソビボ拡大(ex-vivo expansion)」とは、本明細書で使用される場合、人工的な条件下で、生きている生物の外側で細胞を増殖または培養して、サンプルを増大または増幅することを意味する。
用語「ヒドロゲル」とは、本明細書で使用される場合、架橋された親水性ポリマーを意味する。
略語「LCD」とは、本明細書で使用される場合、液晶ディスプレイを意味する。
用語「マイクロウェル」とは、本明細書で使用される場合、非常に小さなウェル、入れ物、または容器をいう。本発明のマイクロウェルは、ヒドロゲル材料から構成される。これらのヒドロゲルマイクロウェルは、多数の個々のマイクロウェルの2次元(2-D)または3次元(3-D)アレイにおいて概して生成または配置される。
本発明のシステム
本発明は、1個またはこれより多くの破壊可能な、消化可能な、分解可能な、または溶解可能なヒドロゲルマイクロウェルを含み、好ましくは、2個またはこれより多くのマイクロウェルのアレイにおいて配置され、およびより代表的には、10,000個程度のまたはより多くのマイクロウェルのアレイにおいて配置される。
エキソビボ拡大した不均一な細胞集団は、疾患生物学、薬物応答、およびサンプル遺伝子型決定の直接的な特徴付けを提供し得、よって、多くの異なる分野において勢いを増してきている。これらの分野としては、基礎研究、薬物開発および評価、ならびに個別化医療またはプレシジョンメディシンが挙げられる。このような個別化医療またはプレシジョンメディシンの一例は、がん患者の標的化処置レジメンの開発のための腫瘍の特徴づけのための、その患者からの腫瘍生検の培養である。にもかかわらず、2つの特殊性が、エキソビボ拡大のその広い適用を明らかに妨害している。すなわち、クローン多様性の喪失および細胞を培養するべき時間枠を制限することである。原則的に、不均一な細胞集団のエキソビボ拡大の任意の選択-非存在または選択-存在は、サンプルの成長の偏りを生じる可能性があり、これは、その有用性を制限する可能性がある。従って、現在のエキソビボ拡大方法は、本発明の破壊的マイクロウェル技術から必然的に利益を得ることができる。
ゲノミクスのような関連分野において、クローン多様性の保存は、ドロップレットまたはマイクロウェル技術によって試みられている。ここで両方の場合において、単一細胞またはダブレット細胞が区画化され、各クローンの成長限界は、そのドロップレットまたはマイクロウェルの物理的空間によって制限される。ドロップレットは、細胞をドロップレットの中へと分散させるために機械的または流体的操作、ならびに液滴内培養およびドロップレット破壊の冗長なプロセスを必要とし、よって、ドロップレット技術は、多くの細胞操作要件には適していない。他方で、従来のマイクロウェルを使用するエキソビボ拡大方法は、容易な細胞回収を妨げる。本発明の破壊可能なマイクロウェルシステムおよび方法は、これらの欠点を除去する。本発明の破壊可能なマイクロウェル培養の基本概念は、図1に示される。
記載される技術は、ヒドロゲルマイクロウェルの確立、最初の細胞サンプルプールの播種、上記マイクロウェル中での細胞の培養、および細胞回収を含む。細胞回収は、上記マイクロウェルの酵素による、光誘導性の、放射線誘導性の、pH誘導性の、温度誘導性の、または化学誘導性の破壊を使用して達成される。マイクロウェルの完全または部分破壊のいずれも行われ得る。図1を参照のこと。さらに、分離工程は、目的のマイクロウェルを選択的に分離するために行われ得る。上記マイクロウェルは、約10~約1010 マイクロウェルのアレイにおいて確立され得る。個々のマイクロウェルは、約1ミクロン~約10mmの単位の直径、幅、または水平/断面寸法(長さまたは幅)を有し得る。個々のマイクロウェルは、約10ミクロン~約500ミクロンの深さ(内部の壁の深さ)を有し、約100ミクロンが便利な深さである。上記マイクロウェルの容積は、約1×10-12リットル~約1×10-6リットルの範囲に及び得る。上記マイクロウェルは、均一であってもそうでなくてもよく(例えば、対称または非対称)、2次元(2-D)または3次元(3-D)アレイにおいて確立され得る。示されるマイクロウェル寸法および容積は、例示であり、これらの範囲外のマイクロウェル寸法および容積が代替の実施形態において企図されることは、理解され得る。当業者が、マイクロウェル寸法を選択して、目標マイクロウェル容積を達成し得るか、または代わりにマイクロウェル容積を選択して、1またはこれより多くの目標マイクロウェル寸法を達成し得ることはまた、理解され得る。
記載される技術は、選択なしの細胞拡大のために顕著に有用であるが、細胞多様性が懸念される全ての場合において多様性保存に優れていると考えられるはずである。上記マイクロウェルの材料は、上記マイクロウェルが細胞培養局面および任意の分離手順のために十分な強度および完全性を有するが、必要とされる場合および適切な制御された条件下で、破壊、消化、または溶解され得るようになる材料を含む。上記マイクロウェルは、ゼラチンおよびその誘導体、アガロースおよびその誘導体、デキストランおよびその誘導体、キチンおよびその誘導体、アルギネートおよびその誘導体、PEG(ポリエチレングリコール)およびその誘導体、PPG(ポリプロピレングリコール)およびその誘導体、PEG/PPG混合ポリマー(ポリエチレングリコールおよびポリプロピレングリコールの混合)、セルロースおよびその誘導体などが挙げられるが、これらに限定されない材料から作製され得る。本発明は、採取、ならびにさらなる使用および特徴づけのために内容物を放出するためのさらなる制御された破壊を伴う、このようなマイクロウェルを使用するエキソビボ細胞拡大の実現可能性および実用性を明らかに示す。
上記で述べられるように、エキソビボ拡大した不均一な細胞集団は、疾患生物学、薬物応答、およびサンプル遺伝子型決定の直接的な特徴付けを提供し、よって、多くの異なる分野において勢いを増してきている。しかし、従来の方法は、クローン多様性の喪失および使用の時間枠の制限に悩まされている。従って、余分のおよび時間を浪費する操作の要求のない多様性保持拡大方法は、このような適用のために非常に望ましい。本発明者らは、ここで破壊可能なマイクロウェルシステムおよび方法を提供する。例えば、本発明者らは、細胞多様性を示し、コラゲナーゼ消化を使用して回収を達成した。図4Aを参照のこと。
本発明が対処する難題の一例として、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)治療(すなわち、細胞拡大による抗腫瘍クローンの生成)に関しては、1~3mm 腫瘍切開から、10~10個の最初のTILの回収を想定すると、1000万倍まで(15~20世代)のクローン拡大が、有用なサンプルを提供するために達成されなければならないであろう。このクローン拡大を考慮すると、リンパ球クローンの間で成長利点の最も少ないものが増幅され、有意でかつ望ましくない成長の偏りとして反映されるであろう。このような偏りは、以下の有害な結論を必然的に伴い得る: (i)成長に有利なクローン(これは通常、腫瘍特異的クローンではない)が優勢になり、有効な集団を希釈し、よって、TIL処置において治療閾値を達成するために必要とされる多量の細胞が、減少するであろう。(ii)腫瘍組織は通常、不均一な変異を有するのに対して、低減されたT細胞多様性は、TIL注入治療後の不完全な応答または再発と関係があり得る。(iii)「コールド」腫瘍のような最初の反応性TILがより少ない場合には、例えば、末梢血単核球(PBMC)単独に由来する成長の偏りは、非メラノーマTIL治験において達成され得る中程度の成功と一致するように、サイトカイン、栄養および空間における競合によって抗腫瘍クローンを排除し得る。さらに、選択圧は、オンターゲット増殖を促進し、よって、有用なクローンを保存するように導入されている。これを達成するにあたって、余分な免疫学的またはサイトメトリー工程が必要とされる。これらの工程は、次に、TIL生成を長期化し、複雑にし、より長い調製プロセスを必要とし、これはしばしば、不利な細胞特性、例えば、短縮されたテロメアおよび活性化するレセプターの喪失を生じる。TILの質に関しては、最小の細胞操作が、重要性という点では集団多様性に匹敵する。
本発明のシステムおよび方法は、目的の細胞タイプを、より大きな細胞サンプル混合物から分離するために使用され得る。例えば、上記システムおよび方法は、特定の細菌が有害である可能性があり、上記サンプルの残りの多様性を維持しながらその細胞を除去することを目的とし得るマイクロバイオーム適用におけるような、複雑な混合物からある特定の細胞株を除去するために使用され得る。また、別の使用は、腫瘍サンプルに由来する細胞のより大きな収集物から特定の細胞の腫瘍変異を分離することであろう。なおさらなる使用は、残りの記載可能な細胞を維持しながら、サンプルから望ましくない細胞を除去することであろう。
本発明者らはここで、細胞クローンは、各マイクロウェルの底へと容易に分布され得るエキソビボでのTIL培養物を調製するにあたってさらなる工程または計測手段を必要としない破壊可能な(例えば、いくつかの実施形態では、酵素により消化可能な)ヒドロゲルベースのマイクロウェル技術を提供する。培養期間の最後に、その拡大した細胞は、短時間のコラゲナーゼインキュベーションによって容易に回収され得る。本発明者らの技術は、TILの活発な集団を増加させ得、最終的なTIL生成物の調製時間および量的要件を低減し得、TIL治療の範囲を他の腫瘍へと拡大し得る。さらに、本発明は、標識のための特異的細胞マーカーも、細胞間分離も必要としない。本発明者らは、PBMC拡大および腫瘍細胞培養を使用してこの技術を検証し得る。拡大速度およびゲノム多様性は、バルク培養と比較され得、他の細胞集団培養に適用可能である。
ヒドロゲル
上記で述べられるように、ヒドロゲルは、架橋された親水性ポリマーである。ヒドロゲルは、一般に、高度に吸収性であり、水に溶解せず、十分に定義された構造を維持する。ヒドロゲルは、天然に由来し得るかまたは合成して作製され得るかの両方である。ヒドロゲルはまた、化学的タイプまたは物理的タイプのものであり得る。化学的ヒドロゲルは、共有結合的な架橋を有するのに対して、物理的ヒドロゲルは、非共有結合的な結合(例えば、水素結合)を有する。
ヒドロゲルは、種々のポリマー材料を使用して調製される。これらの材料は、それらの起源に応じて大きく2つのカテゴリー:天然ポリマーまたは合成ポリマーに分けられ得る。ヒドロゲル調製のための天然ポリマーとしては、ヒアルロン酸、キトサン、ヘパリン、アルギネート、アガロース、セルロース、メチルセルロース、ペプチド、およびフィブリンが挙げられる。Kharkar, Prathamesh M.; Kiick, Kristi L.; Kloxin, April M. (5 August 2013). 「Designing degradable hydrogels for orthogonal control of cell microenvironments」. Chemical Society Reviews. 42 (17): 7335-7372. doi:10.1039/C3CS60040H. PMC 3762890. PMID 23609001を参照のこと。一般的な合成ポリマーとしては、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリアクリル酸ナトリウム、アクリレートポリマー、メタクリレートポリマー、およびこれらのコポリマーが挙げられる。Cai, Wensheng; Gupta, Ram B. (2012). 「Hydrogels」. Kirk-Othmer Encyclopedia of Chemical Technology. doi:10.1002/0471238961.0825041807211620.a01.pub2. ISBN 978-0471238966を参照のこと。
天然に由来するヒドロゲルのうちの多くは、本発明の破壊可能なマイクロウェルアレイを調製するために、本明細書中でのそれらの使用を生じさせる、望ましい生分解性品質を有し得る。
本明細書で有用なヒドロゲルの非限定的な例としては、ゼラチンおよびその誘導体、アガロースおよびその誘導体、デキストランおよびその誘導体、キチンおよびその誘導体、アルギネートおよびその誘導体、PEGおよびその誘導体、PPGおよびその誘導体、セルロースおよびその誘導体、アガロースおよびその誘導体、ならびにこれらの組み合わせからなる群より選択されるものが挙げられる。一般的な誘導体としては、アクリレートおよびメタクリレート(アクリル酸メチル)誘導体が挙げられる。上記ヒドロゲルはまた、単一ポリマー構造内に前文で記載される材料の組み合わせを含み得る。言い換えると、上記ヒドロゲルポリマーは、これらの材料のコポリマーである。
本明細書において有用なヒドロゲルは、上記ヒドロゲルから構築された上記マイクロウェルの内容物が、単離、収集、および分析され得るように、容易に破壊可能、消化可能、分解可能、または溶解可能である。上記マイクロウェルの破壊は、
i.化学的手段(酵素による手段を含む)、
ii.光手段(UV光および可視光を含む)、
iii.熱的手段、
iv.音波手段(例えば、超音波処理)
v.物理的手段(例えば、切断、剪断、混合、ホモジナイズ)、
vi.電磁放射線、
vii.原子粒子手段、
viii.亜原子粒子手段、
ix.生物学的手段(細胞または組織によって分解可能)、
およびこれらの組み合わせ、
からなる群より選択される手段によって行われ得る。
上記ヒドロゲルおよびそれらのアレイは、光透過性であるべきである。このことは、可視光または可視光および紫外線の通過を可能にすることを意味する。光透過性の波長は、可視光の波長であると考えられる約380nm~約740nmおよび約315nm~約380nmであるべきである。これらの波長範囲は、科学的情報源が異なれば記載される範囲もわずかに異なることから、概算であると認識される。
破壊可能な、消化可能な、分解可能な、または溶解可能なマイクロウェル
用語「マイクロウェル」とは、本明細書で使用される場合、本発明のヒドロゲル材料から構成される非常に小さなウェル、入れ物、または容器をいう。本発明のマイクロウェルは、一般に、多数の個々のマイクロウェルの2次元または3次元アレイにおいて生成または配置される。これらのマイクロウェルアレイは、培養、分離、単離および分析のための生物学的細胞サンプルを含むために本発明の方法にとって有用である。
上記ヒドロゲルマイクロウェルは、結論として、特定のヒドロゲル材料に関して本明細書で記載される手段によって容易に破壊可能、消化可能、分解可能、または溶解可能である。
上記マイクロウェルは、約10~約1010の規模で確立され得る。各マイクロウェルは、約1ミクロン(μ)~約10mmの寸法または直径を有し得る。上記マイクロウェルは、均一であってもそうでなくてもよく、2次元または3次元配置の両方において確立され得る。
記載される技術は、選択なしの細胞拡大のために顕著に有用であろうが、サンプルの細胞多様性の保存が懸念される場合の多様性保存にとって有用であると考えられるはずである。
本発明のマイクロウェル、システム、および方法
本発明は、破壊可能な、すなわち、消化可能な、分解可能な、または溶解可能なマイクロウェル(DMW)技術を提供し、それによって、数万程度のマイクロウェルが容易に生成され得、約1時間未満、および代表的には約20分以内に使用できる状態になり得る。これらのマイクロウェルを使用すると、不均一な細胞の単一のクローンが分離され得、個々に追跡され得、バルク培養のための予め確立されたプロトコールを使用して分析され得る。場合によっては、酵素による消化を使用すると、上記細胞は、種々の下流の有用性(すなわち、FACS(蛍光活性化セルソーティング)、プロテオミクス、配列決定)のために、または拡大の終了時に細胞ベースの治療剤として、容易に回収され得る。上記技術は、比較的低コストであり効率的であると予測され、ユーザーによってカスタマイズ可能であり得る。本発明のシステムおよび方法は、例えば、約10,000までまたはより多くのマイクロウェルのアレイを生成し得る。
しかし、原発性腫瘍由来の細胞のための既存のマイクロ区画化技術には難題があった。クローン多様性は、ゲノミクス分野では十分に認識されている。エマルジョン/ドロップレット(2)およびプラスチック/ガラスチップ(2~5)のような被包化技術は、各クローンまたはDNAを定義された物理的空間に拘束するために有用であり、PCR(ポリメラーゼ連鎖反応)のようなバルク増幅プロセス中に偏りを除去するにあたっていくらかの成功をみたことが示されている。しかし、既存の被包化技術は通常、研究者および医療診断適用のための現実的な毎日の使用のものであるには、単純性および柔軟性において十分でない。
現在の技術に伴う難題は、一般に、3つの領域: (i)既存のバルク培養プロトコールとの適合性を欠いている、(ii)細胞回収に伴う困難、および(iii)柔軟性を欠いている、に細分され得る。
既存のバルク培養プロトコールとの適合性を欠いているということに関して、生細胞は敏感である。培養条件および画像化プラットフォームは、バルク形式において大きく最適化されている。具体的には、ドロップレット/エマルジョンベースの技術(6~9)は、スループットおよび回収に関して良好である傾向にある。しかし、個々のクローンを追跡することは困難であり、その結果、細胞運命および移動のようなクローンの挙動は、容易に観察され得ない。さらに、被包化したドロップレットとバルク培養物との間の異なる通気/栄養条件は、しばしば、バルクプロトコールからの広範囲にわたる適合努力を必要とする。
細胞回収に伴う困難に関しては、マイクロウェルは、バルク培養により類似しており、既存の分析ツールと適合性である。特別な設備なしには、細胞は予め作製されたガラス/プラスチックマイクロウェルから回収しづらく、このようなマイクロウェルを、その後のFACS、プロテオミクス、および配列決定分析を利用する、または創薬モダリティ(drug modality)としての既存のパイプラインへと適合させることを妨げる。これらの「硬い」ウェルはまた、製造およびカスタマイズするために高価である。
融通性を欠いていることに関しては、ヒドロゲルマイクロウェルは、個々の研究室によって報告されているが、大部分は、固定されたウェハベースのフォトマスクを必要とする(10~14)。形状および寸法をカスタマイズする能力は、種々の目的のために研究者にとっては重要である。例えば、小さなウェルは、短期間の単一細胞形態学分析のためにより適切であり得るのに対して、より大きなウェルは、長期間の成長試験により適切であり得、細長いウェルは、細胞移動度測定のためにより適切であり得る。
バルク細胞培養の欠点は、腫瘍の不均一性の喪失である。バルクで培養される場合、腫瘍に由来する細胞プール中の個々のクローンの一様でない成長速度は、腫瘍の不均一性の喪失をもたらし、それによって、矛盾および失敗を引き起こした。
従来のバルク培養は、これらの培養物中での間質伸長に起因して、がん細胞の喪失をもたらし得る。原発性腫瘍サンプルは、間質細胞を数多く有していることが公知である;このような非腫瘍細胞の伸長は、腫瘍細胞系が失敗することの説明となった一番の理由の中にある。原発性腫瘍細胞系チャレンジに対処するように設計した538症例の試験は、原発性腫瘍から腫瘍細胞系を樹立することの全体的な成功率がわずか約9%~38%であり、種々の腫瘍タイプ間で有意に変動することを示した(15)。培養培地成分の最適化は、線維芽細胞伸長を選択的に抑制するための通常のストラテジーであったが、これは、ケースバーケースでの個々の取り組みを必要とする。
従来のバルク培養はまた、稀少腫瘍サブタイプの喪失をもたらし得る。腫瘍形成の種々の発生ステージのおかげで、腫瘍細胞のサブタイプは、種々の程度の転移傾向、分化能および成長速度を示す(16)。稀少なクロノタイプの開始を同時に追跡することは、腫瘍の進化を理解するためにも、薬理学的スクリーニングのためにも、非常に望ましい。この追跡は、薬学的スクリーニングのために(遺伝的にも、表現型的にも)、腫瘍細胞の特定の亜集団が特異的にモニターおよび標的化され得る場合には、特に重要である。このような場合には、適切な併用処置が単剤療法より成功する可能性が高い。
従来のバルク培養はまた、腫瘍変異の喪失をもたらし得る。原発性腫瘍細胞は、一般に、100~10,000程度の体細胞変異を有する(1)。これらの変異の詳細な遺伝子型決定は、ネオアンチゲン発見の基礎である。原発性腫瘍細胞のインビトロ拡大は非常に頻繁に、ゆがんだ変異プールを生じる。従って、サンプリングの妥当性を担保するために、長期の細胞培養の代わりに大量の腫瘍サンプルが一般に使用される。大量の腫瘍サンプルに関する要件は、マイクロバイオプシーを使用する適用を妨げる。
従来のバルク培養はまた、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)クローンの喪失をもたらし得る。腫瘍浸潤リンパ球(TIL)における細胞傷害性T細胞は、多数の臨床試験において抗腫瘍活性を付与することが示された。ここでTILのエキソビボ拡大は、一般に、治療用量を達成するために必要とされる。クローン成長の偏りは、T細胞レパートリー(TCR)を作り替える(17)。これは、殺腫瘍性クローンの代表としては不十分であること、および腫瘍変異の適用範囲の低減を意味する(18)。
従って、既存の細胞生物学プロトコール、すなわち、ドロップインシーディング(drop-in seeding)、ピペット操作による培地交換および酵素による細胞回収をなお支援する高多様性の、クローン追跡可能な細胞培養プラットフォームは、より大きな研究コミュニティーの中で不均一な腫瘍サンプルを照合するために必要とされる。本発明の破壊可能なマイクロウェル技術は、このニーズに適合する。
本発明のアプローチは、10,000超の多様性の破壊可能なマイクロウェルを生成するために、デバイス、ソフトウェア、およびプロトコールを含むいくつかの切り口を含む。本発明の技術は、接着性または懸濁状態にある腫瘍細胞を使用する旧来の培養プロトコールに伴う耐久性および適合性に適用可能である。
本発明は、間質夾雑の存在下で原発性腫瘍細胞伸長の促進のための適用可能性を有するはずである。その例は、以下を含み得る: クローン追跡可能な薬理学的スクリーニングを支援するためのマウス腫瘍由来の細胞プールの表現型プロファイリング、腫瘍特異的リンパ球拡大、腫瘍殺滅活性の調査、および拡大した腫瘍浸潤リンパ球(TIL)。
以下の実施例は、本発明の範囲内の実施形態をさらに記載し、明らかに示す。実施例は、例証目的で示されるに過ぎず、本発明の限定として解釈されるべきではない。なぜならその多くのバリエーションが本発明の趣旨および範囲内から逸脱することなく可能であるからである。
1.システムアセンブリおよび破壊可能なマイクロウェルが可能にした細胞培養の操作上の検証
操作上の実現可能性、事象密度、光透過性、および細胞機能の維持は、旧来のペトリ皿ベースのバルク細胞培養の一般的な特徴であり、これは、マイクロウェル形成の間に保存される必要がある。破壊可能なマイクロウェル技術を十分に確立された細胞培養-分析パイプラインへと継ぎ目なく適合させるために、マイクロウェルを生成および溶解するために十分に単純かつ迅速な方法がまた、望ましいかまたは現実的な適用のために必要とされる。機械的には、ヒドロゲルベースのウェルシステムは、本来は柔らかいが、細胞を分離し、障害を切り抜けて生き残り、移動性の細胞を拘束するために、微視的に剛性であるべきである。さらに、クローン追跡のために、自動的画像スティッチング処理およびマイクロウェル画像分割ソフトウェアは、使用され得るさらなる特徴である。
2. ヒドロゲルマイクロウェル生成デバイスのソフトウェアおよびハードウェア
破壊可能なマイクロウェルは、ヒドロゲルリソグラフィによって生成される。ここで上記マイクロウェルのサイズおよび形状は、ソフトウェアによって設計され得(図2A)、2K TFT(薄膜トランジスタ)モノクロムLCDディスプレイへと投射される(図2B)。広視野(直径4mm)、狭角405nmレーザーを使用して、種々の光重合ヒドロゲルのゲル化を誘導し得る(図2C)。ヒドロゲルの大部分は、酵素により消化可能である。ゼラチン-アクリル酸メチルおよびデキストラン-アクリル酸メチルを使用して、本発明者らは、ヒドロゲル材料、ゲル-アクリル酸メチルおよび光開始剤[LAP、光硬化性バイオインクとして公知であるフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィン酸リチウム]および光吸収因子(タートラジン)の選択される濃度をスクリーニングすることによって、ポリスチレンまたはガラスベースのペトリ皿/マイクロタイタープレートに十分結合する光透過性のグリッドシステムを形成するために最適化され得るヒドロゲルの望ましい組成を確認した(図2D)。上記マイクロウェル生成ソフトウェアは、十分にパラメーターで記載され得る。生成スキャン速度は、およそ20mm/分であり得、生じる壁は、高さが約80ミクロンである。10K マイクロウェルのペトリ皿は、約30分以内に自動的に生成され得、その後、細胞培養使用のためにリン酸緩衝食塩水(PBS)ですすがれ得る。最小限の実践時間(hands-on time)が必要とされる。
ヒドロゲルリソグラフィ技術は、図2Aに示される工程1~4に概して従い得る。工程1では、ペトリ皿または適切な封じ込め容器(containment vessel)(すなわち、基材)は、ヒドロゲル形成溶液で満たされると同時に、その皿または容器がLCDの頂部に位置する。あるいは、上記皿または容器は、ヒドロゲル形成溶液で満たされ得、次いで、LCD上に置かれ得る。工程2では、上記LCD上のグリッドパターンをオンにして、特定の位置において光が透過することを可能にし、そのグリッドパターンを定義する。光が通過させられる位置は、上記マイクロウェルの壁を定義する。工程3では、ヒドロゲル重合を、光が上記LCDを通過させられる場所であるグリッドの位置において誘導するように、硬化光源が提供される。工程4では、固化されていないヒドロゲル形成溶液が洗い流されて、上記マイクロウェルパターンが残る。工程または代替の方法の任意の組み合わせが本開示のマイクロウェルを生成するために企図されることは、理解され得る。
各マイクロウェルを登録することによるクローン追跡に関して、本発明者らは、破壊可能なマイクロウェルシステム全体を網羅する重ね合わせ画像のコラージュを採用するソフトウェアを提供する。このような画像データセットは、本発明の破壊可能なマイクロウェルシステム生成システムの電動顕微鏡または光学モジュールから収集され得る。全ウェルモンタージュが生成され得、各マイクロウェルは、選別され得、インデックスが付与され得、追跡され得る。
3. 一定期間にわたる懸濁細胞のマイクロ捕捉および内容物保持能力
流体移動と上記マイクロウェルのサイズとの間の寸法上の差異のおかげで、マイクロウェルの底に沈殿した粒子は、一般に、微視的な障害によって影響を及ぼされない。破壊可能なマイクロウェルシステムのマイクロ捕捉特性は、接着性であろうと懸濁性であろうと、各クローンを高ウェル密度システムへと分離し、マイクロウェルインデックス付与による個々のクローン挙動を登録するために使用され得る。また、このような捕捉能力は、培地交換および画像化のためのプレートローディングのような一般的な細胞培養操作に耐えることができ、それによって、単一細胞可視化ツールとして、確立されたプロトコールを改変する必要性なしに、直ぐに入手可能な細胞培養容器の使用を可能にする。長期のクローン保持および移動性細胞の拘束に関しては、本発明は、急速に成長し、動いている初代細胞の群に対する細胞拘束能力を明らかに示す(図3)。48時間およびより長い期間の間に、本発明者らは、上記マイクロウェルからの検出可能な細胞の逃避を観察しなかった。
4. マイクロウェル溶解のための試薬
上記マイクロウェルのマイクロ流体捕捉効果は、細胞が望ましくなく洗い流されてしまうこと(このことから、以前のマイクロウェルデバイスは、細胞培養および増幅目的ではなく、最終の分析のみのツールとされていた)に対する抵抗力を提供する。ガラス/プラスチックマイクロウェルと比較すると、本発明は、細胞回収に優れている。ヒドロゲル材料は、酵素により消化可能であることから、ウェル構造全体が、フローサイトメトリー、タンパク質/DNA抽出、および治療モダリティーのような下流の作業のために完全に液化され得る。ゼラチン-アクリル酸メチルベースのマイクロウェルに関しては、本発明者らは、破壊可能なマイクロウェルが、数分以内で効率的に消化され得ることを示す(図4B)。
5. 単一クローン分離効率
細胞播種に関しては、細胞を培養培地中に再懸濁し、破壊可能なマイクロウェル上に直接、ランダムな堆積を介して適用する。細胞は通常、約1時間以内に沈殿する。示される細胞/ウェル比を用いると、個々のウェル中の細胞数は、ポワソン統計に従う。単一クローン比は、ウェル/細胞比を1:1から1:10へと調整することによって、0.2~0.8の間へと容易に調整され得る。
6. 性能に関する考慮事項
上記材料の最適な透明性および溶解に関して破壊可能なマイクロウェルの頑健な性能のために、以下のヒドロゲル/ヒドロゲル-ヒドロラーゼ対のような組成(ゼラチン-アクリル酸メチル/コラゲナーゼ、デキストラン-アクリル酸メチル/デキストラナーゼ、キチン-アクリル酸メチル/キチナーゼ、およびアルギネート-アクリル酸メチル/リアーゼを含む)が考慮され得る。破壊可能なマイクロウェルの壁の高さは、種々の光線量(light dose)およびゲル組成のパラメーターに応じてカスタマイズされ得る。ここでその高さは、顕微鏡下で押しつけることによって測定され得る。代表的な高さ(本質的には、上記マイクロウェルの深さ)は、約10ミクロン~約100ミクロンであり、80ミクロンが便利である。
7. 接着性細胞: 固形腫瘍細胞の拡大、表現型的および遺伝的多様性
細胞は、バルク培養では移動し凝集する傾向にあり、不可能でないにしても、一定期間にわたって個々のクローンが追跡されるのを困難にする。本発明の直接的な有用性は、成長、分化、移動、および重要な細胞マーカー発現を含む、細胞の不均一なプールのクローンごとの表現型プロファイリングである。さらに、個々のクローンの物理的分離は、正常細胞の接触阻害および腫瘍細胞の伸長をもたらし得、これらは、原発性腫瘍細胞系を作製することの成功率を大きく改善し得る。上記マイクロウェル中で繁殖させた腫瘍細胞プールの変異プールは、上記技術が元の変異を維持する能力を評価するために、元のサンプルと比較され得る。
8. 接着性腫瘍細胞系のクローン成長 - 実験デザインおよび結果
接着性腫瘍細胞の成長速度がバルク培養と匹敵するかどうか、およびヒドロゲル生成壁が種々の接着性細胞間の障壁を効率的に提供し得るかどうかを確認するために、本発明者らは、mCherryトランスフェクトした上皮がん細胞系C4-2プールをモデルシステムとして使用して、同一の培地[DMEM(ダルベッコ改変イーグル培地)、5% FBS(ウシ胎仔血清)、0.1% Pen/Strep(ペニシリン-ストレプトマイシン)]中、4000個のマイクロウェルありおよびなしで、24ウェルマイクロタイタープレートにおいて培養した。長期間培養の間に、本発明者らは、類似の成長速度を観察した。バルク培養における大きな塊とは異なり、破壊可能なマイクロウェル中の細胞は、比較的均一な細胞凝集物を形成し(図5)、交差事象は観察されなかった。
9. 共培養モデルシステムを使用する間質伸長の制限 - 実験デザインおよび結果
腫瘍および通常の組織線維芽細胞の共成長(cogrowth)をモデル化するために、本発明者らは、前立腺腫瘍由来のC4-2細胞および単層形成内皮細胞系(EAHY)が1:3の比の混合物を使用した。本発明者らは、上記マイクロウェル内での単層形成後に成長を自己制限することを観察した一方で、C4-2のような腫瘍細胞は、接触によって制限されない。共培養の14日後に、全ウェル蛍光を観察すると、旧来のバルクサンプルからよりも、破壊可能なマイクロウェルサンプルにおいてより存在量の多いmCherryシグナルが示された。詳細に観察すると、間質細胞の競合なしに、腫瘍細胞がスフェルライトを形成することができることを明らかに示す一致した結果が示された(図6)。種々の腫瘍タイプおよび初代線維芽細胞を使用してさらなる比を評価し得る。最終の共培養を、コラゲナーゼ消化によって回収し得、破壊可能なマイクロウェルあり/なしでの腫瘍存在量の評価を、定量的に試験し得る。大部分の腫瘍タイプの中で観察された一貫した腫瘍成長は、原発性腫瘍に由来する細胞系を構築することに関して高い成功率を示唆する。
10. 細長い破壊可能なマイクロウェルアレイにおける不均一な細胞プールの拡大および挙動プロファイリング
破壊可能なマイクロウェル技術は、従来のバルク細胞培養において開発されてきた既存の培養プロトコールおよび分析設備の直接的な利用を可能にする。マイクロウェル形状はまた、破壊可能なマイクロウェル技術を使用してカスタマイズされ得る。細長いマイクロウェルは、細胞移動の定量のために生成され得る(図7)。マウス腫瘍および適合している組織を、Jackson laboratoriesから購入する。材料の大部分を、ベンチマークとしてとっておく一方で、10個の腫瘍由来の細胞を、上記マイクロウェルおよびバルクで培養し得る。次いで、本発明者らは、上記マイクロウェルを使用して、移動、分化、拡大速度、および本質的なマーカー(例えば、時間のライブイメージング(live time imaging)によるCD133発現)を含むクローン挙動を特徴づける、腫瘍プールのマルチパラメータープロファイリングの枠組みを確立する。生細胞イメージングは、細胞挙動および細胞マーカーを定量するのを助けるために使用され得る。そのデータセットを分析し、次元削減法を使用して可視化する。このデータセットを使用して、本発明者らは、亜群特異的薬理学的スクリーニングの基礎として、細胞プール全体を、静止期の、スフェルライト形成中の、移動中の、および候補の腫瘍幹種へとクラスター化し得る。
11. 腫瘍特異的変異の配列決定および評価
本発明者らは、破壊可能なマイクロウェルが、酵素的ヒドロゲルから回収したサンプル(そのRNAが、cDNAライブラリーへと逆転写される)を使用して、拡大後の腫瘍変異プールの無損傷を保護し得るかどうかを検証した。上記サンプルから抽出した全RNAの質を、TapeStation2200(Agilent Technologies)で評価し得る。cDNA末端アダプターの5’迅速増幅を、SMART cDNAライブラリー構築キット(Clontech)を使用するcDNA合成の間に追加し得る。バルク培養サンプル、元のサンプルおよび適合している正常組織のトランスクリプトームを、MiSeqを使用して配列決定し得、マウス参照プロテオームにマッピングし得る。腫瘍特異的非サイレント変異を、個々の存在量とともに記録し得る。破壊可能なマイクロウェル培養サンプルの変異スペクトラムを、バルク培養物および元のサンプルと比較し得る。元のサンプル中で特定された1%超の存在量を有する上位の変異は、2つの拡大したサンプル中で計数され得る。有意な変異の喪失またはデノボ変異の獲得を、元のサンプルからの偏差として計数し得る。相互相関を計算して、プールの類似性を定量し得る。
12. 統計上の考慮事項
統計的有意性に関しては、培養アッセイを三連で行って、移動距離、成長速度、および変異存在量の平均および標準化変動(standardized variation)を比較のために計算する。性別、年齢におけるバランスのとれた代表の考慮:腫瘍切片、およびTILサンプルを、異なる性別および年齢のマウスから提供し得る。
13: 懸濁性の細胞: 腫瘍浸潤リンパ球の模倣した拡大および遺伝的多様性
腫瘍浸潤リンパ球(TIL)に関して、ゲノム多様性の保存は、原則的に、腫瘍変異プールを網羅するために必要である。さらに、エキソビボ拡大したTILは、一般に、細胞治療のために必要とされる。その2つの要件を組み合わせると、破壊可能なマイクロウェル技術の有用な適用になる。本発明者らは、マウスTILを使用して、TILをインビボで拡大する条件、その成長曲線の特徴づけ、最適な拡大プロトコールの評価、およびT細胞レセプターの遺伝的多様性の維持を明らかに示し、評価し得る。
14. スパイクイン細胞系を使用する単一細胞成長曲線の観察および定量
マイクロ区画化細胞培養の1つの懸念は、マイクロウェル条件における移動性の低い培養物が、臨床環境において疾患進行と適合させるために必須であるクローン分裂に負の影響を及ぼし得ることである。本発明者らは、Jurkat細胞を使用して破壊可能なマイクロウェル技術の長期間の懸濁培養能力を検証した。2K 細胞を、4K 破壊可能なマイクロウェルへと播種し、RPMI1640 10% FBS(ウシ胎仔血清)で培養した。種々の時点でのウェル全体の画像を収集し、コラージュした。個々のマイクロウェル画像を収集し、細胞数を、粒子認識アルゴリズムを使用して計数した。個々の成長曲線をプロットした。本発明者らは、バルク培養のものに類似の代表的な指数関数的成長を観察した(図8および9~10)。
15. マイクロウェル中でのインターロイキン-2刺激マウスTIL拡大 - クローン追跡を使用する逆細胞マーカー標識
種々のサイトカインを最適化して、研究および治療においてリンパ球のある特定のサブタイプを特異的に拡大することは、非常に価値がある。にもかかわらず、初代細胞の免疫標識は、このようなプロセスに干渉し得る。本発明者らは、個々のクローンの鳥瞰図およびクローン成長の後ろ向き追跡を利用して、テンパリングなしの方法を達成し、TILの部分セットに対して種々の刺激方法を評価し得る。本発明者らは、種々の濃度のIL2(インターロイキン-2)を使用して、破壊可能なマイクロウェル培養したTILプールを対応させ得る。各ウェルの画像を記録し得、クローン特異的成長曲線を計算し得る。拡大の最後に、本発明者らは、抗CD4および抗CD8抗体をサンプルに適用し得る。次いで、各マイクロウェル中の細胞が何であるかを決定し、CD4+ T細胞およびCD8+ T細胞の成長速度を、種々の濃度のIL2に対してグループ化および分析する。
16. T細胞cDNAライブラリー生成およびT細胞レセプター(TCR)多様性比較
実施例11に記載されるように、SMART cDNAライブラリー構築キット(Clontech)を使用してcDNAライブラリーを生成する。T細胞レセプター-β配列を、SMARTアダプターの順方向プライマーおよびTC-細胞レセプター定常領域に特異的な逆方向プライマーを使用して増幅し得る。次いで、バーコード配列を有するIllumina配列アダプターを付加する。最終的に調製したライブラリーを、MiSeq (lllumina Inc.)によって決定し得る。CDR3(重鎖の第3の相補性決定領域)を翻訳し得、Bowtie2(19)アライナーを使用してIMGT/GENE-DB(http://www.imgt.org)から得たT細胞レセプター(TCR)参照配列に対するリードアラインメントを使用して抽出し得る。TCR-β3多様性を計算し得、TCRを使用して、元のTIL、バルク培養および破壊可能なマイクロウェル培養の中で比較し得る(20)。
非単一クローンマイクロウェルを、分析の間に除去し得る。統計的有意性に関しては、本発明者らは、全ての培養アッセイを三連で行い得、成長速度(grow rate)の平均および標準化変動、ならびにTCR存在量を比較のために計算し得る。細胞負荷一貫性に関しては、細胞混合物を、播種工程の前に、30ミクロンセルメッシュを通過させ得る。上位の存在量のクローン分布に加えて、より包括的な比較のために、種々の培養法からの全TCR多様性を、多数の統計方法(例えば、Shannonエントロピー(21)、Gini-Simpson指数(22)およびPielouの指数のような均等尺度(23))を使用して定量し得る。
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援用の表示
本明細書で言及される、訂正証明書、特許出願文書、科学論文、政府の報告書、ウェブサイト、および他の参考文献を含む特許文献の各々の開示全体は、その全体において全ての目的のために本明細書に参考として援用される。用語法において矛盾がある場合、本明細書が優先する。
均等物
本発明は、その趣旨または本質的な特徴から逸脱することなく、他の具体的形態において具現化され得る。前述の実施形態は、本明細書で記載される発明に対する限定ではなく、全ての点において例証であるとみなされるべきである。上記システム、組成物および方法の種々の実施形態において、上記システムもしくは組成物の成分、または上記方法の記載される工程に関して用語「含む、包含する(comprises)」が使用される場合、上記システム、組成物、および方法が、その記載される成分または工程から本質的になるかまたはからなることもまた、企図される。さらに、工程の順序またはある特定の行為を行うための順序は、本発明が変わらず機能する限りにおいて、重要ではないことが理解されるべきである。さらに、2またはこれより多くの工程または行為は、同時に行われ得る。
本明細書において、単数形はまた、文脈が明らかに別のことを規定しなければ、複数形をも含む。別段定義されなければ、本明細書で使用される全ての技術用語および科学用語は、本発明が属する分野の当業者によって一般に理解されるものと同じ意味を有する。矛盾する場合、本明細書が優先する。
さらに、ある特定の場合に、組成物が、混合する前に成分から構成されると記載され得ることは認識されるべきである。なぜなら混合の際に、ある特定の成分がさらに反応し得るかまたはさらなる材料へと変わり得るからである。
本明細書で使用される全てのパーセンテージおよび比は、別段示されなければ、重量によるものである。物体の質量が、日常的な用法においては、および最も一般的な科学的な目的では重量としてしばしば言及され、質量が技術的に物体の物質量に言及するのに対して、重量が、物体が重力に起因して経験する力に言及することは、認識される。また、一般的な使用法において物体の「重量」(質量)は、秤または天秤で物体の「重量」(質量)を測る場合に決定されるものである。

Claims (36)

  1. 破壊可能なヒドロゲルマイクロウェルを利用して、生物学的粒子を分離および分析するための方法であって、前記方法は、
    a)ヒドロゲルマイクロウェルのアレイを確立する工程、
    b)生物学的粒子のサンプルを前記アレイに播種する工程、
    c)前記サンプルを培養する工程、および
    d)前記マイクロウェルを破壊して、前記培養した生物学的粒子を前記マイクロウェルから放出する工程、
    を包含する方法。
  2. 前記培養する工程c)は、培養される生物学的粒子を前記マイクロウェル内で生成する、請求項1に記載の方法。
  3. 前記破壊したマイクロウェルから前記放出した粒子を定量および/または同定するさらなる工程、e)を包含する、請求項1に記載の方法。
  4. 請求項1に記載の破壊可能なヒドロゲルマイクロウェルを利用して、生物学的粒子を分離および分析するための方法であって、前記方法は、工程c)と工程d)との間にさらなる工程x):
    x)標的化したマイクロウェルを前記アレイから分離する工程、
    を包含する方法。
  5. 前記ヒドロゲルは、光透過性である、請求項1に記載の方法。
  6. 前記ヒドロゲルは、約315nm~約400nmの光に対して透過性である、請求項5に記載の方法。
  7. 前記アレイの各ヒドロゲルマイクロウェルは、約1ミクロン~10mmの直径、幅、または断面寸法を有する、請求項1に記載の方法。
  8. 前記アレイの各ヒドロゲルマイクロウェルの深さ(内部の壁の高さ)は、約10ミクロン~約500ミクロンである、請求項1に記載の方法。
  9. 前記アレイの各ヒドロゲルマイクロウェルの容積は、約1×10-12リットル~約1×10-6リットルである、請求項1に記載の方法。
  10. 前記アレイは、約2~約1×1010個のマイクロウェルを含む、請求項1に記載の方法。
  11. 前記アレイは、約1×10~約1×10個のマイクロウェルを含む、請求項1に記載の方法。
  12. 前記マイクロウェルヒドロゲルアレイは、2Dアレイである、請求項1に記載の方法。
  13. 前記マイクロウェルヒドロゲルアレイは、3Dアレイである、請求項1に記載の方法。
  14. 前記ヒドロゲルは、ゼラチンおよびその誘導体、アガロースおよびその誘導体、デキストランおよびその誘導体、セルロースおよびその誘導体、キチンおよびその誘導体、アルギネートおよびその誘導体、PEGおよびその誘導体、ならびにこれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項1に記載の方法。
  15. 前記ヒドロゲルは、光開始剤によって確立される、請求項1に記載の方法。
  16. 前記光開始剤は、フェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィン酸リチウムである、請求項14に記載の方法。
  17. 前記ヒドロゲルアレイは、基材に結合しているかまたは基材に接着することができる、請求項1に記載の方法。
  18. 前記基材は、ポリスチレン、ポリアクリレート、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリアクリレート、および/またはポリカーボネートのコポリマー、ならびにガラスからなる群より選択される、請求項17に記載の方法。
  19. 前記工程d)の破壊は、部分破壊および完全破壊からなる群より選択される、請求項1に記載の方法。
  20. 前記工程d)の破壊は、
    i.化学的手段(酵素による手段を含む)、
    ii.光手段(UVおよび可視光を含む)、
    iii.熱的手段、
    iv.音波手段(音響エネルギーを印加する)、
    v.物理的手段、
    vi.電磁放射線、
    vii.原子粒子手段、
    viii.亜原子粒子手段、
    ix.生物学的手段、
    およびこれらの組み合わせ、
    からなる群より選択される方法によって行われる、請求項1に記載の方法。
  21. 前記工程d)の破壊は、酵素による消化によって行われる、請求項1に記載の方法。
  22. 前記酵素による消化は、コラゲナーゼ、トリプシン、セルロースヒドロラーゼ、アルギン酸リアーゼ、デキストラナーゼ、アキュターゼ、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される酵素で行われる、請求項21に記載の方法。
  23. 前記酵素による消化は、EDTAまたはEGTA(CAS 67-42-5またはエチレングリコール-ビス(β-アミノエチル)-N,N,N’,N’-四酢酸としても公知)の存在下で行われる、請求項21に記載の方法。
  24. 前記生物学的粒子は、細胞である、請求項1に記載の方法。
  25. 前記細胞は、腫瘍細胞、健常細胞、変異細胞、T細胞、リンパ球、幹細胞、循環腫瘍細胞、ウイルス感染細胞、接着性の細胞、懸濁細胞、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項24に記載の方法。
  26. 前記細胞は、細菌、植物、真菌、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項25に記載の方法。
  27. 前記細胞は、核酸フラグメント、それらのゲノムの中の変異、プラスミドをさらに有しているか、または前記細胞は、種々の微生物種を含むマイクロバイオームの一部である、請求項26に記載の方法。
  28. 前記定量および/または定性分析工程e)は、形態学、動態学、成長曲線、細胞殺滅、細胞表面マーカー、移動、相互作用、ゲノム配列決定、蛍光、照度、レポーター遺伝子発現、トランスクリプトーム配列決定、質量スペクトル、分泌タンパク質、および画像化によって行われる、請求項3に記載の方法。
  29. 請求項1に記載のヒドロゲルマイクロウェルアレイを生成するためのデバイス(ハードウェアおよびソフトウェア)。
  30. 請求項1に記載の破壊可能なヒドロゲルマイクロウェルアレイ構築物。
  31. 請求項1に記載の破壊可能なヒドロゲルマイクロウェルアレイを調製するための方法であって、前記方法は、
    (a)重合可能なヒドロゲルを基材上に堆積させる工程、および
    (b)所定のマイクロアレイ配置で前記ヒドロゲル上へとエネルギー源を投射して前記ヒドロゲルの重合を開始して、前記マイクロアレイを生成する工程、
    を包含する方法。
  32. 前記基材は、ポリスチレン、ポリアクリレート、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリアクリレート、および/またはポリカーボネートのコポリマー、ならびにガラスからなる群より選択される、請求項31に記載の方法。
  33. 前記堆積工程(a)は、光開始剤および光吸収を堆積させる工程をさらに包含し、工程(b)において前記エネルギー源は、光源である、請求項32に記載の方法。
  34. 前記重合可能なヒドロゲルは、ゼラチン-アクリル酸メチル、デキストラン-アクリル酸メチル、およびこれらの組み合わせからなる群より選択され;前記光開始剤は、フェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィン酸リチウムであり;前記光吸収因子は、タートラジンである、請求項33に記載の方法。
  35. 前記光源は、広視野(直径4mm)、狭角405nmレーザーである、請求項34に記載の方法。
  36. 前記レーザーは、マイクロウェルアレイを生成するために、2K TFT(薄膜トランジスタ)モノクロムLCDディスプレイ上に投射される、請求項35に記載の方法。
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