JP2024515777A - 植物調節エレメント及びその使用 - Google Patents

植物調節エレメント及びその使用 Download PDF

Info

Publication number
JP2024515777A
JP2024515777A JP2023565870A JP2023565870A JP2024515777A JP 2024515777 A JP2024515777 A JP 2024515777A JP 2023565870 A JP2023565870 A JP 2023565870A JP 2023565870 A JP2023565870 A JP 2023565870A JP 2024515777 A JP2024515777 A JP 2024515777A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
crispr
sequence
synthetic
plant cells
seq
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2023565870A
Other languages
English (en)
Inventor
デイビス,イアン・ダブリュー
マレンゴ,マシュー・エス
ナジ,アーヴィン・ディー
Original Assignee
モンサント テクノロジー エルエルシー
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by モンサント テクノロジー エルエルシー filed Critical モンサント テクノロジー エルエルシー
Publication of JP2024515777A publication Critical patent/JP2024515777A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12NMICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
    • C12N15/00Mutation or genetic engineering; DNA or RNA concerning genetic engineering, vectors, e.g. plasmids, or their isolation, preparation or purification; Use of hosts therefor
    • C12N15/09Recombinant DNA-technology
    • C12N15/63Introduction of foreign genetic material using vectors; Vectors; Use of hosts therefor; Regulation of expression
    • C12N15/79Vectors or expression systems specially adapted for eukaryotic hosts
    • C12N15/82Vectors or expression systems specially adapted for eukaryotic hosts for plant cells, e.g. plant artificial chromosomes (PACs)
    • C12N15/8201Methods for introducing genetic material into plant cells, e.g. DNA, RNA, stable or transient incorporation, tissue culture methods adapted for transformation
    • C12N15/8213Targeted insertion of genes into the plant genome by homologous recombination
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12NMICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
    • C12N15/00Mutation or genetic engineering; DNA or RNA concerning genetic engineering, vectors, e.g. plasmids, or their isolation, preparation or purification; Use of hosts therefor
    • C12N15/09Recombinant DNA-technology
    • C12N15/63Introduction of foreign genetic material using vectors; Vectors; Use of hosts therefor; Regulation of expression
    • C12N15/79Vectors or expression systems specially adapted for eukaryotic hosts
    • C12N15/82Vectors or expression systems specially adapted for eukaryotic hosts for plant cells, e.g. plant artificial chromosomes (PACs)
    • C12N15/8216Methods for controlling, regulating or enhancing expression of transgenes in plant cells

Abstract

本発明は、植物におけるCRISPR媒介標的遺伝子修飾に有用な新規合成核内低分子RNA(snRNA)プロモーターを提供する。本発明はまた、修飾ゲノムを含む植物及び植物細胞の発育のためのガイドRNA及びノンコーディングRNAの発現を駆動するsnRNAプロモーターに使用するための方法及び組成物を提供する。【選択図】なし

Description

関連出願の参照
本出願は、2021年4月30日に出願された米国仮出願第63/182,288号及び2021年12月30日に出願された米国仮出願第63/295,061号の利益を主張し、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。
配列表の援用
「MONS492WO-sequence_listing」という名称のファイルに含まれる配列表は、37キロバイト(Microsoft Windows(登録商標)での計測)であり、2022年4月28日に作成されたものであり、電子申請により本明細書と共に提出され、参照により本明細書に援用される。
本開示は、バイオテクノロジーの分野に関する。より具体的には、本開示は、例えば、CRISPR媒介ゲノム修飾のための非タンパク質コード低分子RNAの発現に有益な新規合成植物プロモーターを提供する。
部位特異的組換えは、バイオテクノロジー関連の幅広い分野に応用される可能性を有する。DNA結合ドメイン及びDNA切断ドメインを含むメガヌクレアーゼ、ジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)、及び転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)により、ゲノム修飾が可能になる。メガヌクレアーゼ、ZFN、及びTALENは、効果的かつ特異的であるが、これらの技術では、修飾のために選択されたゲノム部位ごとに1つ以上の構成要素を、タンパク質工学を介して生成する必要がある。クラスター化された規則的に間隔をあけられた短い回文反復CRISPRの適用の進歩により、迅速に操作できる利点を有するゲノム修飾方法が示されている。
クラスター化された規則的に間隔をあけられた短い回文反復(CRISPR)システムは、侵入したファージのエンドヌクレオチド切断を標的とする原核生物の適応免疫系を構成する。このシステムは、タンパク質成分(Cas)と、Casタンパク質をエンドヌクレオチド切断のための特定の遺伝子座に向けるガイドRNA(gRNA)とで構成されている。このシステムは、哺乳動物、ゼブラフィッシュ、ショウジョウバエ、線虫、細菌、酵母、及び植物のゲノムのエンドヌクレオチド切断で特定の遺伝子座を標的とするように操作することに成功している。
ガイドRNAをコードするDNA配列は、核内低分子RNA(snRNA)を転写するRNAポリメラーゼIIIによって転写されることが好ましい。U6 snRNAプロモーターなどのネイティブプロモーターは、多くの場合、gRNAの発現を駆動するために使用される。多重標的化実験は、多くの場合、gRNAをそれぞれ駆動する同じプロモーターに依存する。これは、複数のU6/gRNAカセットを含むプラスミドをクローニングまたは維持するときに、カセット間の配列重複から生じる組換えイベントまたは欠失などの技術的問題を引き起こし得る。多様なDNA配列を有する複数のsnRNAプロモーターを使用することにより、この技術的問題を軽減する助けとなる。したがって、本発明者らは、既知のネイティブU6snRNAプロモーターとの配列相同性及び相互の配列相同性をほとんど有しない、新規合成snRNAプロモーターを本明細書に開示する。これらの新規合成snRNAプロモーターは、植物細胞中で、gRNAなどのRNAポリメラーゼIII転写物の発現を駆動することができる。
一態様では、本発明は、(a)配列番号1~10のいずれかと少なくとも85%の配列同一性を有する配列;(b)配列番号1~10のいずれかを含む配列;及び(c)配列番号1~10のいずれかの断片、からなる群から選択されるDNA配列を含む、合成核内低分子RNA(snRNA)プロモーターを提供する。一実施形態では、合成snRNAプロモーター配列は、配列番号1~10のいずれかのDNA配列に対して少なくとも90パーセントの配列同一性を有する。別の実施形態では、合成snRNAプロモーター配列は、配列番号1~10のいずれかのDNA配列に対して少なくとも95パーセントの配列同一性を有する。さらに別の実施形態では、合成snRNAプロモーター断片は、遺伝子調節活性を含む。
本発明の別の態様は、1つ以上のガイドRNA(gRNA)をコードするDNA配列に作動可能に連結された合成snRNAプロモーターを含む組換えDNA構築物を提供し、ここで、合成snRNAプロモーターの配列は、(a)配列番号1~10のいずれかと少なくとも85%の配列同一性を有する配列;(b)配列番号1~10のいずれかを含む配列;及び(c)配列番号1~10のいずれかの断片、からなる群から選択され:ここで、合成snRNAプロモーターは、gRNAを発現することができる。いくつかの実施形態では、組換えDNA構築物は、転写終結配列をさらに含む。いくつかの実施形態では、組換えDNA構築物はまた、クラスター化された規則的に間隔をあけられた、短い回文反復CRISPR関連タンパク質をコードするDNA配列に作動可能に連結されたプロモーターをコードするDNA配列をさらに含み得る。いくつかの実施形態では、CRISPR関連タンパク質は、I型CRISPR関連タンパク質、II型CRISPR関連タンパク質、III型CRISPR関連タンパク質、IV型CRISPR関連タンパク質、V型CRISPR関連タンパク質、またはVI型CRISPR関連タンパク質から選択される。いくつかの実施形態では、CRISPR関連タンパク質は、合成CRISPR関連タンパク質である。組換えDNA構築物の特定の実施形態では、CRISPR関連タンパク質をコードするヌクレオチド配列は、少なくとも1つの核局在化配列(NLS)にさらに作動可能に連結され得る。さらに、企図される組換えDNA構築物の特定の実施形態では、CRISPR関連タンパク質は、Cas1、Cas1B、Cas2、Cas3、Cas4、Cas5、Cas6、Cas7、Cas8、Cas9(Csn1及びCsx12としても知られる)、Cas10、Cas12a(Cpf1としても知られる)、Cas12b、Cas12d、Csy1、Csy2、Csy3、Cse1、Cse2、Csc1、Csc2、Csa5、Csn2、Csm2、Csm3、Csm4、Csm5、Csm6、Cmr1、Cmr3、Cmr4、Cmr5、Cmr6、Csb1、Csb2、Csb3、Csx17、Csx14、Csx10、Csx16、CsaX、Csx3、Csx1、Csx15、Csf1、Csf2、Csf3、Csf4、CasX、CasY、及びMad7からなる群から選択される。特定の実施形態では、構築物は、それぞれ長さが約2~1200bpである、隣接する左及び右の相同性アーム(HA)を含む。特定の実施形態では、相同性アームの長さは、約230~約1003bpである。
本発明の別の態様は、1つ以上のガイドRNA(gRNA)をコードするDNA配列に作動可能に連結された第1の合成snRNAプロモーターと、1つ以上のガイドRNA(gRNA)をコードするDNA配列に作動可能に連結された第2の合成snRNAプロモーターと、を含む組換えDNA構築物を提供し、ここで、第1及び第2の合成snRNAプロモーターの配列は、(a)配列番号1~10のいずれかと少なくとも85%の配列同一性を有する配列;(b)配列番号1~10のいずれかを含む配列;及び(c)配列番号1~10のいずれかの断片、からなる群から独立して選択され:ここで、断片は、gRNAを発現することができる。特定の実施形態では、第1の合成snRNAプロモーターは、第2の合成snRNAプロモーターとは異なる。特定の実施形態では、第1の合成snRNAプロモーターによって発現される1つ以上のgRNAをコードする配列は、第2の合成snRNAプロモーターによって発現される1つ以上のgRNAをコードする配列とは異なる。いくつかの実施形態では、gRNAをコードする配列は、その全体が参照により本明細書に組み込まれるWO/2016/061481に記載の1つ以上のtRNAをコードする配列をさらに含む。特定の実施形態では、構築物は、それぞれ長さが約2~1200bpである、隣接する左及び右の相同性アーム(HA)を含む。特定の実施形態では、相同性アームの長さは、約230~約1003bpである。いくつかの実施形態では、組換えDNA構築物は、転写終結配列をさらに含む。いくつかの実施形態では、組換えDNA構築物はまた、クラスター化された規則的に間隔をあけられた、短い回文反復CRISPR関連タンパク質をコードするDNA配列に作動可能に連結されたプロモーターをコードするDNA配列をさらに含み得る。いくつかの実施形態では、CRISPR関連タンパク質は、I型CRISPR-Casシステム、II型CRISPR-Casシステム、III型CRISPR-Casシステム、IV型CRISPR-Casシステム、V型CRISPR-Casシステム、またはVI型CRISPR-Casシステムから選択される。いくつかの実施形態では、CRISPR関連タンパク質は、合成CRISPR関連タンパク質である。組換えDNA構築物の特定の実施形態では、CRISPR関連タンパク質をコードするヌクレオチド配列は、少なくとも1つの核局在化配列(NLS)にさらに作動可能に連結され得る。さらに、企図される組換えDNA構築物の特定の実施形態では、CRISPR関連タンパク質は、Cas1、Cas1B、Cas2、Cas3、Cas4、Cas5、Cas6、Cas7、Cas8、Cas9(Csn1及びCsx12としても知られる)、Cas10、Cas12a(Cpf1としても知られる)、Cas12b、Cas12d、Csy1、Csy2、Csy3、Cse1、Cse2、Csc1、Csc2、Csa5、Csn2、Csm2、Csm3、Csm4、Csm5、Csm6、Cmr1、Cmr3、Cmr4、Cmr5、Cmr6、Csb1、Csb2、Csb3、Csx17、Csx14、Csx10、Csx16、CsaX、Csx3、Csx1、Csx15、Csf1、Csf2、Csf3、Csf4、CasX、CasY、及びMad7からなる群から選択される。
本発明の別の態様は、ノンコーディングRNAをコードする配列に作動可能に連結された合成snRNAプロモーターを含む組換えDNA構築物を提供し、ここで、合成snRNAプロモーターの配列は、(a)配列番号1~10のいずれかと少なくとも85%の配列同一性を有する配列;(b)配列番号1~10のいずれかを含む配列;及び(c)配列番号1~10のいずれかの断片、からなる群から選択され、ここで、断片は、遺伝子調節活性を含む。いくつかの実施形態では、ノンコーディングRNAは、ガイドRNA(gRNA)、マイクロRNA(miRNA)、miRNA前駆体、成熟miRNA、デコイmiRNA(参照により本明細書に組み込まれるWO2010/002984に記載)、低分子干渉RNA(siRNA)、低分子RNA(長さ22~26nt)及びそれをコードする前駆体、ヘテロクロマティックsiRNA(hc-siRNA)、Piwi相互作用RNA(piRNA)、ヘアピン二本鎖RNA(ヘアピンdsRNA)、トランス作用性siRNA(ta-siRNA)、及び天然に存在するアンチセンスsiRNA(nat-siRNA)からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、組換えDNA構築物は、2つ以上のノンコーディングRNAをコードする配列に作動可能に連結された合成snRNAプロモーターを含む。いくつかの実施形態では、2つ以上のノンコーディングRNAをコードする配列は、1つ以上のtRNAをコードする配列をさらに含む。
本発明のさらに別の態様は、a)第1の合成snRNAプロモーターと、b)第2の合成snRNAプロモーターと、を含む、組換えDNA構築物を含み:第1の合成snRNAプロモーターは、(a)配列番号1~10のいずれかと少なくとも85%の配列同一性を有する配列;(b)配列番号1~10のいずれかを含む配列;及び(c)配列番号1~10のいずれかの断片、からなる群から選択され、断片は、遺伝子調節活性を含み、ノンコーディングRNAをコードするDNA配列に作動可能に連結されており;第2の合成snRNAプロモーターは、(a)配列番号1~10のいずれかと少なくとも85%の配列同一性を有する配列;(b)配列番号1~10のいずれかを含む配列;及び(c)配列番号1~10のいずれかの断片、からなる群から選択され、断片は、遺伝子調節活性を含み、ノンコーディングRNAをコードするDNA配列に作動可能に連結されており、ここで、第1の合成snRNAプロモーターと第2の合成snRNAプロモーターとは異なる。組換えDNA構築物の特定の実施形態では、第1の合成snRNAプロモーターをコードする配列及び第2の合成snRNAプロモーターをコードする配列はそれぞれ、配列番号1~10のいずれか、またはその断片を含み、ここで、断片は、遺伝子調節活性を含む。また、組換えDNA構築物が、配列番号1~10、またはその断片からなる群から選択される1つ以上の追加の合成snRNAプロモーターを指定する配列をさらに含む実施形態も企図され、ここで、断片は、遺伝子調節活性を含み、ノンコーディングRNAをコードするDNA配列に作動可能に連結され、ここで、第1の合成snRNAプロモーター、第2の合成snRNAプロモーター、及び1つ以上の追加のsnRNAプロモーターのそれぞれは異なる。特定の実施形態では、1つ以上の追加の合成snRNAプロモーターを指定する組換えDNA構築物配列は、配列番号1~10またはその断片からなる群から選択され、ここで、断片は、遺伝子調節活性を含む。さらに他の実施形態では、組換えDNA構築物は、3、4、または5つの合成snRNAプロモーターを含む。いくつかの実施形態では、組換えDNA構築物は、植物細胞の染色体中の異なる選択された標的部位を標的とするgRNAであるノンコーディングRNAを含む。他の企図される実施形態では、組換えDNAは、RNAガイドエンドヌクレアーゼをコードするDNA配列に作動可能に連結されたプロモーターをコードするDNA配列をさらに含む。さらなる実施形態では、RNAガイドエンドヌクレアーゼは、クラスター化され、規則的に間隔をあけられた、短い回文反復(CRISPR)関連タンパク質である。いくつかの実施形態では、CRISPR関連タンパク質は、I型CRISPR-Casタンパク質、II型CRISPR-Casタンパク質、III型CRISPR-Casタンパク質、IV型CRISPR-Casタンパク質、V型CRISPR-Casタンパク質、及びVI型CRISPR-Casタンパク質から選択される。いくつかの実施形態では、CRISPR関連タンパク質は、合成CRISPR関連タンパク質である。いくつかの実施形態では、CRISPR関連タンパク質は、Cas1、Cas1B、Cas2、Cas3、Cas4、Cas5、Cas6、Cas7、Cas8、Cas9(Csn1及びCsx12としても知られる)、Cas10、Cas12a(Cpf1としても知られる)、Cas12b、Cas12d、Csy1、Csy2、Csy3、Cse1、Cse2、Csc1、Csc2、Csa5、Csn2、Csm2、Csm3、Csm4、Csm5、Csm6、Cmr1、Cmr3、Cmr4、Cmr5、Cmr6、Csb1、Csb2、Csb3、Csx17、Csx14、Csx10、Csx16、CsaX、Csx3、Csx1、Csx15、Csf1、Csf2、Csf3、Csf4、CasX、CasY、及びMad7から選択される。
本発明の別の態様は、上記の組換えDNA構築物のいずれかを含む細胞を提供する。ある特定の実施形態では、細胞は、植物細胞である。いくつかの実施形態では、植物細胞は、単子葉植物細胞である。他の実施形態では、植物細胞は、双子葉植物細胞である。さらに別の実施形態では、植物細胞は、トウモロコシ植物細胞、ダイズ植物細胞、ワタ植物細胞、ピーナッツ植物細胞、オオムギ植物細胞、オートムギ植物細胞、カモガヤ植物細胞、イネ植物細胞、モロコシ植物細胞、サトウキビ植物細胞、トールフェスク植物細胞、芝草植物細胞、コムギ植物細胞、アルファルファ植物細胞、キャノーラ植物細胞、キャベツ植物細胞、マスタード植物細胞、ルタバガ植物細胞、カブ植物細胞、ケール植物細胞、ブロッコリー植物細胞、カリフラワー植物細胞、コショウ植物細胞、マメ植物細胞、ササゲ植物細胞、ヒヨコマメ植物細胞、ヒョウタン植物細胞、レタス植物細胞、キュウリ植物細胞、メロン植物細胞、ニンジン植物細胞、トマト植物細胞、ダイコン植物細胞、ジャガイモ植物細胞、及び観賞用植物細胞からなる群から選択される。
配列の詳細な説明
配列番号1は、合成snRNAプロモーター、P-GSP2262のDNA配列である。
配列番号2は、合成snRNAプロモーター、P-GSP2268のDNA配列である。
配列番号3は、合成snRNAプロモーター、P-GSP2269のDNA配列である。
配列番号4は、合成snRNAプロモーター、P-GSP2272のDNA配列である。
配列番号5は、合成snRNAプロモーター、P-GSP2273のDNA配列である。
配列番号6は、P-GSP2262に由来する、短縮バリアント合成snRNAプロモーターP-GSP2262_TRのDNA配列である。
配列番号7は、P-GSP2268に由来する、短縮バリアント合成snRNAプロモーターP-GSP2268_TRのDNA配列である。
配列番号8は、P-GSP2269に由来する、短縮バリアント合成snRNAプロモーターP-GSP2269_TRのDNA配列である。
配列番号9は、P-GSP2272に由来する、短縮バリアント合成snRNAプロモーターP-GSP2272_TRのDNA配列である。
配列番号10は、P-GSP2273に由来する、短縮バリアント合成snRNAプロモーターP-GSP2273_TRのDNA配列である。
配列番号11は、Zea mays亜種mexicanaユビキチン遺伝子由来のプロモーター、リーダー、及びイントロンからなるEXP、EXP-Zm.UbqM1:1:9のDNA配列である。
配列番号12は、核標的化Cas12aタンパク質、Cas12a_NLSをコードするDNA配列である。
配列番号13は、3’UTR、T-Os.LTP:2のDNA配列である。
配列番号14は、ガイドRNAスペーサー、NR-Zm.Bmr3_2691のDNA配列である。
配列番号15は、ガイドRNA、gRNA-Zm.Bmr3_2691のDNA配列である。
配列番号16は、ガイドRNAスペーサー、NR-Zm.Bmr3_3170のDNA配列である。
配列番号17は、ガイドRNA、gRNA-Zm.Bmr3_3170のDNA配列である。
配列番号18は、ゲノム編集の標的となるZea mays brown midrib 3(Bmr3)ゲノム領域のDNA配列である。
配列番号19は、配列番号12によってコードされるCas12a_NLSのアミノ酸配列である。
配列番号20は、ガイドRNAスペーサー、NR-Zm.Bmr3_90のDNA配列である。
配列番号21は、ガイドRNAスペーサー、NR-Zm.Bmr3_227のDNA配列である。
配列番号22は、ガイドRNAスペーサー、NR-Zm.Bmr3_3279のDNA配列である。
配列番号23は、ガイドRNA、gRNA-Zm.Bmr3_90_3279のDNA配列である。
配列番号24は、ガイドRNA、gRNA-Zm.Bmr3_227_3279のDNA配列である。
配列番号25は、ガイドRNA、gRNA-Zm.Bmr3_2691_2のDNA配列である。
配列番号26は、ガイドRNA、gRNA-Zm.Bmr3_3170_2のDNA配列である。
配列番号27は、ガイドRNA、gRNA-Zm.Bmr3_2691_3170のDNA配列である。
配列番号28は、ゲノム編集の標的となるZea mays Zm7ゲノム領域のDNA配列である。
配列番号29は、ガイドRNAスペーサー、NR-Zm.7.1bのDNA配列である。
配列番号30は、ガイドRNA、gRNA-Zm.7.1bのDNA配列である。
配列番号31は、ガイドRNAスペーサー、NR-Zm.7.1cのDNA配列である。
配列番号32は、ガイドRNA、gRNA-Zm.7.1cのDNA配列である。
配列番号33は、ガイドRNA、gRNA-7.1c_7.1bのDNA配列である。
本明細書では、植物において活性を有する新規合成snRNA(核内低分子RNA)プロモーターが提供される。これらの核内低分子RNAプロモーターのヌクレオチド配列は、配列番号1~10として提供される。これらの核内低分子RNAプロモーターは、植物組織におけるガイドRNAなどのノンコーディングRNAの発現に影響を与えることができ、したがって植物におけるノンコーディングRNAをコードする作動可能に連結された配列の発現を調節することができる。また、提供された核内低分子RNAプロモーターを含む組換えDNA分子を修飾、産生、及び使用する方法も提供される。また、本発明の核内低分子RNAプロモーターを含むトランスジェニック植物細胞、植物、植物部分、及び種子を含む組成物、ならびにこれらを調製し使用するための方法も提供する。
いくつかの実施形態では、配列番号1~10から選択される核内低分子RNAプロモーターのバリアントが提供される。いくつかの実施形態では、配列番号1~10のいずれかとして本明細書に提供される参照配列に対して最適にアラインしたときに、参照配列に対して、少なくとも約85パーセントの同一性、少なくとも約86パーセントの同一性、少なくとも約87パーセントの同一性、少なくとも約88パーセントの同一性、少なくとも約89パーセントの同一性、少なくとも約90パーセントの同一性、少なくとも約91パーセントの同一性、少なくとも約92パーセントの同一性、少なくとも約93パーセントの同一性、少なくとも約94パーセントの同一性、少なくとも約95パーセントの同一性、少なくとも約96パーセントの同一性、少なくとも約97パーセントの同一性、少なくとも約98パーセントの同一性、または少なくとも約99パーセントの同一性を有し、本明細書に開示されるプロモーター活性を有するバリアントが提供される。配列番号1~10のいずれかのバリアントは、塩基配列の活性、例えば塩基配列のプロモーター活性を有し得る。
いくつかの実施形態では、少なくとも約50、少なくとも約75、少なくとも約95、少なくとも約100、少なくとも約125、少なくとも約150、少なくとも約175、少なくとも約200、少なくとも約225、少なくとも約250、少なくとも約275、少なくとも約300、少なくとも約325、少なくとも約350、少なくとも約375、少なくとも約400の連続ヌクレオチド、少なくとも約425、少なくとも約450、少なくとも約475、またはそれ以上の、本明細書に開示のプロモーター活性を有するDNA分子を含む配列番号1~10から選択される核内低分子RNAプロモーターの断片が提供される。特定の実施形態では、遺伝子発現活性を有する、本明細書で提供される核内低分子RNAプロモーターの断片が提供される。出発プロモーター分子からそのような断片を産生する方法は、当技術分野でよく知られている。配列番号1~10のいずれかの断片は、塩基活性の活性、例えば塩基配列のプロモーター活性を有し得る。
配列番号1~10のいずれかに含まれる(例えば、内部もしくは5’欠失)プロモーターエレメントのいずれかに由来する組成物は、発現を改善または改変するために、当技術分野で知られている方法を用いて、例えば、発現に正もしくは負いずれかの効果を有するエレメントの除去、発現に正もしくは負の効果を有するエレメントの重複、及び/または発現に組織特異的もしくは細胞特異的な効果を有するエレメントの重複もしくは除去を含む方法により、産生することができる。TATAボックスエレメントまたはその同等配列及び下流配列が除去された、3’欠失からなる配列番号1~10のいずれかに含まれるプロモーターエレメントのいずれかに由来する組成物を使用して、例えばエンハンサーエレメントを作製し得る。これらのエンハンサーエレメントは、他の合成またはネイティブのsnRNAプロモーターに作動可能に連結して、発現を増強することができる。さらに欠失を行って、発現に正または負の効果を有する任意のエレメントを除去することができる。配列番号1~10のいずれかに含まれるプロモーターエレメントのいずれか、及びそれに由来する断片またはエンハンサーを使用して、キメラ転写調節エレメント組成物を作製することができる。
いくつかの実施形態では、本開示は、新規合成snRNA(核内低分子RNA)プロモーター、及びクラスター化された規則的に間隔をあけた短い回文反復(CRISPR)編集システムによる植物ゲノムの標的遺伝子修飾のためのガイドRNAの発現を含む、その使用方法を提供する。例えば、本開示は、一実施形態において、本明細書に開示される合成snRNAプロモーターを含む少なくとも1つの発現カセット及び1つ以上のガイドRNA(gRNA)をコードするDNA配列をコードするDNA構築物を提供する。CRISPRシステムに標的ゲノムを修飾させるための方法も提供され、そのようなシステムの使用によって修飾された植物のゲノム相補体も提供される。したがって、本開示は、植物ゲノム内の遺伝子、遺伝子座、連結ブロック、及び染色体を挿入、除去、または修飾することが可能になるツール及び方法を提供する。
本開示は、別の実施形態において、本明細書に開示されるプロモーター及び非タンパク質コード低分子RNA(npcRNA)をコードするDNA配列を含む少なくとも1つの発現カセットをコードするDNA構築物を提供する。これらの構築物は、npcRNA分子の発現に有用である。
CRISPRシステムは、侵入ファージのDNA及びRNAのエンドヌクレオチド切断を標的とする原核生物における適応免疫系を構成する(Westra et al.,Annu Rev Genet 46:311-39,2012にて概説)。配列特異的な検出及び破壊のための外来核酸の標的化を低分子RNAに依存する、6つ型のCRISPRシステム(I型、II型、III型、V型、及びVI型)が知られている。細菌CRISPRシステムの構成要素は、CRISPR関連(Cas)タンパク質、及び短い回文反復が点在するゲノム標的配列(プロトスペーサー)を含むCRISPRアレイ(複数可)である。II型CRISPRシステムの場合、プロトスペーサー/リピートエレメントが、前駆体CRISPR RNA(pre-crRNA)分子に転写された後、トランス作用性CRISPR RNA(tracrRNA)分子とpre-crRNA回文リピート間のハイブリダイゼーションによって引き起こされる酵素切断が生じる。得られたcrRNA:tracrRNA分子は、スペーサーのコピー1つと、Casヌクレアーゼと複合体を形成できる足場1つで構成される。次に、CRISPR/Cas複合体は、crRNAスペーサー配列に相補的なDNA配列(プロトスペーサー)に向けられ、このRNA-Casタンパク質複合体は、標的DNAを、両方の鎖の酵素的切断(二本鎖破断;DSB)を介して、サイレンシングさせる。
ネイティブ細菌のII型CRISPRシステムでは、外因性DNAの標的化切断に4つの分子構成要素:Casエンドヌクレアーゼ(例えば、Cas9)、ハウスキーピングRNaseIII、CRISPR RNA(crRNA)、及びトランス作用性CRISPR RNA(tracrRNA)を必要とする。後の2つの構成要素は、dsRNA複合体を形成し、Cas9に結合して、RNAガイドDNAエンドヌクレアーゼ複合体を形成する。真核生物における標的化ゲノム修飾のために、このシステムは、Cas9エンドヌクレアーゼ及びガイドRNA(gRNA)の2つの構成要素に単純化された。最初に真核生物系で行われた実験では、標的化DNA切断を達成するためには、RNaseIII構成要素が必要ではないことが判明した。Cas9と、唯一の標的特異的構成要素としてgRNAを含む最小限の2構成要素システムにより、このCRISPRシステムの標的化ゲノム修飾システムは、標的となる各DNA部位での修飾のためのタンパク質操作を必要とするメガヌクレアーゼ、ジンクフィンガーヌクレアーゼ、TALEヌクレアーゼなどの他の標的化プラットフォームよりもコスト効率が高く、柔軟性が高くなる。さらに、gRNAの設計及び産生が容易であるため、CRISPRシステムには、標的化ゲノム修飾の適用において、いくつかの利点がもたらされる。例えば、1つ以上のゲノム標的部位用に設計されたCRISPR/Casシステムの構成要素(Casエンドヌクレアーゼ、gRNA、及び任意によりゲノムへ組み込むための外因性DNA)は、1回の形質転換に多重化できるか、またはCRISPR/Casシステムの構成要素の導入は、空間的及び/または時間的に分離できる。
本明細書で使用される場合、「ガイド核酸」または「ガイドRNA」または「gRNA」は、標的DNA配列に相補的である(及びハイブリダイズする)スペーサー配列と、Casタンパク質に結合する足場配列とを含む核酸を意味する。いくつかの実施形態では、足場配列及びスペーサー配列は共有結合により連結しており、本明細書では「一本鎖ガイドRNA」(または「sgRNA」)と呼ばれる1つのRNA転写物または分子として発現される。いくつかの実施形態では、足場配列及びスペーサー配列は、本明細書では「デュアルガイドRNA」(または「dgRNA」)と呼ばれる、別個の転写物または分子として発現される。スペーサー配列は、足場配列の5’末端及び/または3’末端に共有結合または非共有結合のいずれかにより連結され得る。いくつかの実施形態では、ガイドRNAは、CRISPR RNA(crRNA)及びトランス活性化crRNA(tracrRNA)を含む。他の実施形態では、ガイドRNAは、crRNAを含むが、tracrRNAは含まない。いくつかの実施形態では、crRNAは、スペーサー配列及び足場配列の両方を含む。いくつかの実施形態では、gRNAの設計は、I型、II型、III型、IV型、V型、またはVI型のCRISPR-Casシステムに基づいていてもよい。
いくつかの実施形態では、ガイドRNAのアレイは、本明細書に記載の合成snRNAプロモーターから発現される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の合成snRNAプロモーターは、2つ以上の足場スペーサー(及び/またはスペーサー-足場)配列(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、またはそれ以上の足場-スペーサー(及び/またはスペーサー-足場)配列)(例えば、足場-スペーサー-足場、例えば、スペーサー-足場-スペーサー、例えば、足場-スペーサー-足場-スペーサー-足場-スペーサー-足場-スペーサー-足場-スペーサー、例えば、スペーサー-足場-スペーサー-足場-スペーサー-足場-スペーサー-足場-スペーサー-足場など)に作動可能に連結させ得る。いくつかの実施形態では、ガイドRNAアレイは、WO/2016/061481に記載されているとおり、1つ以上のtRNAを含む。いくつかの実施形態では、ガイドRNAアレイは、足場配列とスペーサー配列とを分離する1つ以上のtRNAを含む(例えば、足場-スペーサー-tRNA-足場-スペーサー、例えば、スペーサー-足場-tRNA-スペーサー-足場、例えば、足場-スペーサー-tRNA-足場-スペーサー-tRNA-足場-スペーサー-tRNA-足場-スペーサー-tRNA-足場-スペーサー、例えば、スペーサー-足場-tRNA-スペーサー-足場-tRNA-スペーサー-足場-tRNA-スペーサー-足場-tRNA-スペーサー-足場など)。いくつかの実施形態では、足場配列は、以下からなる群から選択される:Cas12a CRISPR-Casシステムの反復配列またはその断片;Cas12b CRISPR-Casシステムの反復配列またはその断片;Cas12c CRISPR-Casシステムの反復配列またはその断片;Cas12d CRISPR-Casシステムの反復配列またはその断片;Cas12e CRISPR-Casシステムの反復配列またはその断片;Cas9 CRISPR-Casシステムの反復配列またはその断片;C2c1 CRISPR Casシステムの反復配列またはその断片;C2c3 CRISPR-Casシステムの反復配列またはその断片;Cas13a CRISPR-Casシステムの反復配列またはその断片;Cas13b CRISPR-Casシステムの反復配列またはその断片;Cas13c CRISPR-Casシステムの反復配列またはその断片;Cas13d CRISPR-Casシステムの反復配列またはその断片;Cas1 CRISPR-Casシステムの反復配列またはその断片;Cas1B CRISPR-Casシステムの反復配列またはその断片;Cas2 CRISPR-Casシステムの反復配列またはその断片;Cas3 CRISPR-Casシステムの反復配列またはその断片;Cas3’ CRISPR-Casシステムの反復配列またはその断片;Cas3’’ CRISPR-Casシステムの反復配列またはその断片;Cas4 CRISPR-Casシステムの反復配列またはその断片;Cas5 CRISPR-Casシステムの反復配列またはその断片;Cas6 CRISPR-Casシステムの反復配列またはその断片;Cas7 CRISPR-Casシステムの反復配列またはその断片;Cas8 CRISPR-Casシステムの反復配列またはその断片;Cas10 CRISPR-Casシステムの反復配列またはその断片;Csy1 CRISPR-Casシステムの反復配列またはその断片;Csy2 CRISPR-Casシステムの反復配列またはその断片;Csy3 CRISPR-Casシステムの反復配列またはその断片;Cse1 CRISPR-Casシステムの反復配列またはその断片;Cse2 CRISPR-Casシステムの反復配列またはその断片;Csc1 CRISPR-Casシステムの反復配列またはその断片;Csc2 CRISPR-Casシステムの反復配列またはその断片;Csa5 CRISPR-Casシステムの反復配列またはその断片;Csn2 CRISPR-Casシステムの反復配列またはその断片;Csm2 CRISPR-Casシステムの反復配列またはその断片;Csm3 CRISPR-Casシステムの反復配列またはその断片;Csm5 CRISPR-Casシステムの反復配列またはその断片;Csm6 CRISPR-Casシステムの反復配列またはその断片;Cmr1 CRISPR-Casシステムの反復配列またはその断片;Cmr3 CRISPR-Casシステムの反復配列またはその断片;Cmr4 CRISPR-Casシステムの反復配列またはその断片;Cmr5 CRISPR-Casシステムの反復配列またはその断片;Cmr6 CRISPR-Casシステムの反復配列またはその断片;Csb1 CRISPR-Casシステムの反復配列またはその断片;Csb2 CRISPR-Casシステムの反復配列またはその断片;Csb3 CRISPR-Casシステムの反復配列またはその断片;Csx10 CRISPR-Casシステムの反復配列またはその断片;Csx14 CRISPR-Casシステムの反復配列またはその断片;Csx15 CRISPR-Casシステムの反復配列またはその断片;Csx16 CRISPR-Casシステムの反復配列またはその断片;Csx17 CRISPR-Casシステムの反復配列またはその断片;CsaX CRISPR-Casシステムの反復配列またはその断片;Csx1 CRISPR-Casシステムの反復配列またはその断片;Csx3 CRISPR-Casシステムの反復配列またはその断片;Csf1 CRISPR-Casシステムの反復配列またはその断片;Csf2 CRISPR-Casシステムの反復配列またはその断片;Csf3 CRISPR-Casシステムの反復配列またはその断片;Csf4 CRISPR-Casシステムの反復配列またはその断片;及びCsf5 CRISPR-Casシステムの反復配列またはその断片。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の合成snRNAプロモーターから発現されるガイドRNAは、2つ以上のcrRNA配列(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、またはそれ以上のcrRNA配列)を含み得る。いくつかの実施形態では、ガイドRNAは、crRNA配列を分離する1つ以上のtRNAを含む(例えば、crRNA-tRNA-crRNA、例えば、crRNA-tRNA-crRNA-tRNA-crRNA-tRNA-crRNA-tRNA-crRNAなど)。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の合成snRNAプロモーターから発現されるガイドRNAアレイは、2つ以上のtracrRNA配列(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、またはそれ以上のtracrRNA配列)を含み得る。いくつかの実施形態では、ガイドRNAアレイは、tracrRNA配列を分離する1つ以上のtRNAを含む(例えば、tracrRNA-tRNA-tracrRNA、例えば、tracrRNA-tRNA-tracrRNA-tRNA-tracrRNA-tRNA-tracrRNA-tRNA-tracrRNAなど)。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の合成snRNAプロモーターから発現されるガイドRNAアレイは、2つ以上のcrRNA-tracrRNA(及び/またはtracrRNA-crRNA)配列(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10またはそれ以上のcrRNA-tracrRNA(及び/またはtracrRNA-crRNA)配列)(例えば、crRNA-tracrRNA-crRNA、例えば、tracrRNA-crRNA-tracrRNA、例えば、crRNA-tracrRNA-crRNA-tracrRNA-crRNA-tracrRNA-crRNA-tracrRNA-crRNA-tracrRNA、例えば、tracrRNA-crRNA-tracrRNA-crRNA-tracrRNA-crRNA-tracrRNA-crRNA-tracrRNAなど)を含み得る。いくつかの実施形態では、ガイドRNAアレイは、crRNA配列とtracrRNA配列とを分離する1つ以上のtRNAを含む(例えば、crRNA-tracrRNA-tRNA-crRNA-tracrRNA、例えば、tracrRNA-crRNA-tRNA-tracrRNA-crRNA、例えば、crRNA-tracrRNA-tRNA-crRNA-tracrRNA-tRNA-crRNA-tracrRNA-tRNA-crRNA-tracrRNA-tRNA-crRNA-tracrRNA、例えば、tracrRNA-crRNA-tRNA-tracrRNA-crRNA-tRNA-tracrRNA-crRNA-tRNA-tracrRNA-crRNA-tRNA-tracrRNA-crRNAなど)。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の合成snRNAプロモーターから発現されるガイドRNAは、アプタマー配列(例えば、MS2アプタマー)をさらに含み得る。いくつかの実施形態では、アプタマー配列は、デアミナーゼを動員する。いくつかの実施形態では、アプタマー配列は、逆転写酵素を動員する。いくつかの実施形態では、ガイドRNAは、1つまたは2つまで、またはそれ以上のアプタマー(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、またはそれ以上のアプタマー)を含み得る。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の合成snRNAプロモーターから発現されるガイドRNAは、逆転写酵素のRNA鋳型をさらに含み得る。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の合成snRNAプロモーターは、プライム編集ガイドRNA(「PegRNA」)に作動可能に連結される。
Cas9は、クラス2CRISPRエフェクタータンパク質である。クラス2CRISPR-Casシステムは、Cas9などの1成分エフェクタータンパク質に依存し、1つのgRNA結合Casタンパク質が、標的配列を認識して切断する。Cas9は、そのガイドRNA結合部位に対して3’にあるG-リッチプロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)を認識する。いくつかの実施形態では、CRISPR Cas9タンパク質は、例えば、Streptococcus属(例えば、S.pyogenes、S.thermophilus)、Lactobacillus属、Bifidobacterium属、Kandleria属、Leuconostoc属、Oenococcus属、Pediococcus属、Weissella属、及び/またはOlsenella属に由来するCas9タンパク質であり得る。クラス2Casエフェクタータンパク質の追加のファミリー:Cpf1(Cas12aとしても知られる)、C2c1、CasX及びCasYが発見されている(Burstein et al.,Nature,542:237-241,2017)。
Cas12aは、クラス2、V型CRISPRシステムに属し、tracrRNAを含まない1つのRNAガイドエンドヌクレアーゼを利用する。Cas12aシステムは、T-リッチプロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)を認識する。T-リッチPAMは、特にATリッチゲノムを有する生物またはATが豊富な目的領域でのゲノム編集での適用が可能になる。CRISPRアレイは、プロセシングを受けて、42~44ヌクレオチド長の短い成熟crRNAとなる。各成熟crRNAは、19ヌクレオチドの直接反復足場で始まり、その後に23~25ヌクレオチドのスペーサー配列が続く。このcrRNAの配置は、成熟crRNAが20~24ヌクレオチドのスペーサー配列で始まり、その後に約22ヌクレオチドの直接反復足場が続くII型CRISPR-Casシステムの配置とは対照的である(Zetsche et al.,Cell 163:759-771,2015)。Cas12aは、二本鎖DNA分子を切断するときに千鳥状の切断を生じさせる。これは、平滑末端切断(Cas9によって生成されるものなど)とは対照的である。細胞の核へ送達するための輸送ペプチドを含むCas12aコード配列の例は、配列番号12として示され、配列番号19として示されるタンパク質をコードする。
本発明で有用なCRISPR-Casヌクレアーゼとしては、限定されないが、Cas9、C2c1、C2c3、Cas12a(Cpf1としても知られる)、Cas12b、Cas12c、Cas12d、Cas12e、Cas13a、Cas13b、Cas13c、Cas13d、Cas1、Cas1B、Cas2、Cas3、Cas3’、Cas3’’、Cas4、Cas5、Cas6、Cas7、Cas8、Cas9(Csn1及びCsx12としても知られる)、Cas10、Csy1、Csy2、Csy3、Cse1、Cse2、Csc1、Csc2、Csa5、Csn2、Csm2、Csm3、Csm4、Csm5、Csm6、Cmr1、Cmr3、Cmr4、Cmr5、Cmr6、Csb1、Csb2、Csb3、Csx17、Csx14、Csx10、Csx16、CsaX、Csx3、Csx1、Csx15、Csf1、Csf2、Csf3、Csf4(dinG)、Csf5及び/またはMad7ヌクレアーゼを挙げることができる。いくつかの実施形態では、CRISPR-Casヌクレアーゼは、Cas9、Cas12a(Cpf1)、Cas12b、Cas12c(C2c3)、Cas12d(CasY)、Cas12e(CasX)、Cas12g、Cas12h、Cas12i、C2c4、C2c5、C2c8、C2c9、C2c10、Cas14a、Cas14b、及び/またはCas14cエフェクタータンパク質であり得る。いくつかの実施形態では、本発明で有用なCRISPR-Casヌクレアーゼは、ヌクレアーゼ活性部位(例えば、RuvC、HNH、例えば、Cas12aヌクレアーゼドメインのRuvC部位;例えば、Cas9ヌクレアーゼドメインのRuvC部位及び/またはHNH部位)中に変異を含み得る。ヌクレアーゼ活性部位中に変異を有し、したがって、もはやヌクレアーゼ活性を含まないCRISPR-Casヌクレアーゼは、一般に、「dead」、例えば、dCas、例えば、dCas9またはdCas12aと称される。いくつかの実施形態では、ヌクレアーゼ活性部位中に変異を有するCRISPR-Casヌクレアーゼドメインまたはポリペプチドは、変異のない同じCRISPR-Casヌクレアーゼ、例えば、ニッカーゼ、例えば、Cas9ニッカーゼ、Cas12aニッカーゼと比較して、活性の障害、または活性の減少を有し得る。近年、CRISPR関連トランスポザーゼ(CAST)が発見され、特徴が明らかになった。CASTは、Tn7様トランスポザーゼサブユニットtnsB、tnsC、及びtniQで構成され、V-K型CRISPRエフェクターであるCas12kは、部位指向性DNA転移を触媒する。Cas12kは、部分的に相補的なノンコーディングRNA種であるcrRNA及びtracrRNAと複合体を形成し、三部分からなるリボ核タンパク質(RNP)複合体は、プロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)の存在及びcrRNAの可変部分と標的DNAとの間の相補性に基づいて、染色体転位部位を認識する。関連するトランスポザーゼ、tnsB、tnsC、及びtniQは、保存された「左端」(LE)及び「右端」(RE)境界によってトランスポゾンを認識し、Cas12kによって認識される標的配列近く(優先的には、TAジヌクレオチドの間)の染色体部位にトランスポゾンを挿入する。シアノバクテリア種Scytonema hofmanni(UTEX B2349)及びAnabaena cylindrica(PCC7122)に固有の2つの相同CASTシステムは、E.coli中での転位に機能することが示されている(Strecker et al.,Science 365(6448):48-53,2019)。
gRNAの発現戦略
本開示は、特定の実施形態において、合成snRNAプロモーター(及びその機能的断片)と、1つ以上のガイド核酸分子をコードするDNA配列との新規組み合わせを提供する。本明細書で提供されるガイド核酸分子は、DNA、RNA、またはDNAとRNAとの組み合わせであり得る。
一実施形態では、形質転換細胞においてgRNA(複数可)を構成的に発現させるために、合成snRNAプロモーターは、1つ以上のgRNAコード配列に作動可能に連結される。これは、例えば、いくつかの実施形態では、得られるgRNA転写物が核内に保持され、したがって核プロセスをガイドするために細胞内に最適に位置する場合に望ましい可能性がある。これは、例えばいくつかの実施形態において、CRISPRシステムの活性が低い場合、または標的部位の発見及び切断の頻度が低い場合にも望ましい可能性がある。いくつかの実施形態では、生殖細胞系などの特定の細胞型のプロモーターが、目的の所与の種について知られていない場合にも望ましい場合がある。
別の実施形態では、転写を駆動するために必要なシスエレメントを含む合成snRNAプロモーターの断片を使用して、1つ以上のgRNAを発現することができる。配列番号1~5として示される、開示された全長合成snRNAプロモーターは、それぞれ長さが約500bpである。複数の合成snRNAプロモーターを含む構築物は、追加の発現カセットが並行してクローン化されるため、大きくなり得る。これにより、安定性及び形質転換に影響を与える問題が発生し得る。したがって、特定の例では、短縮型合成snRNAプロモーターがgRNAの転写を駆動する能力を保持している限り、構築物のサイズを減少させるために、合成snRNAプロモーターを短縮してもよい。このような短縮型合成snRNAプロモーターの例は、配列番号6~10として示される。
異なる配列を有する複数の合成snRNAプロモーター(またはその機能的断片)を利用して、典型的には配列反復に関連する構築物の安定性の問題を最小限に抑えることができ、また、同じ形質転換構築物中での複数のgRNAカセットのスタッキングを容易にするために利用することができる。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の合成snRNAプロモーター(またはその機能的断片)は、1つのgRNAの発現を駆動し得る。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の合成snRNAプロモーター(またはその機能的断片)は、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、またはそれ以上のgRNAのアレイの発現を駆動し得る。それぞれの個々のガイド配列は、同じ標的配列または異なる標的配列を標的とすることができる。この構成は、多重遺伝子操作(例えば、複数の遺伝子を標的にする)に適している。1つの転写物からの個々のガイドRNAのプロセシングを促進するためのいくつかの戦略が当技術分野で記載されている。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の合成snRNAプロモーター(またはその機能的断片)は、発現カセットが、1つ以上のtRNA切断配列によって分離された少なくとも2つ以上のgRNAを含む、gRNAアレイを駆動するために使用され得る(US20190330647)。tRNA切断配列には、RNaseP、RNaseZ及びRNaseE(細菌)などの細胞の内因性tRNAシステムと能動的に相互作用し、それによって切断される任意の配列及び/または構造モチーフが含まれる。これには、アクセプターステム、Dループアーム、T Psi Cループ、及び特定の配列モチーフなどの構造認識エレメントが含まれ得る。別の実施形態では、本明細書に記載の合成snRNAプロモーター(またはその機能的断片)は、1つ以上のリボザイム切断部位によって分離された2つ以上のgRNAを含むgRNAアレイを駆動するために使用され得る(Tang et al.,Mol.Plant 9:1088-1091,2016)。別の実施形態では、本明細書に記載の合成snRNAプロモーター(またはその機能的断片)は、1つ以上のCsy4リボヌクレアーゼ認識部位によって分離された2つ以上のgRNAアレイを含むgRNAアレイを駆動するために使用され得る(Tsai et al.,Nat.Biotechnol,32(6):569-576,2014)。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の合成snRNAプロモーター(またはその機能的断片)は、プライム編集gRNA(PEgRNA)の発現を駆動するために使用され得る。プライム編集は、ポリメラーゼと連携して働く核酸プログラム可能なDNA結合タンパク質(napDNAbp)(例えば、Cas9)を(例えば、融合タンパク質の形態、または、napDNAbpとトランスで提供される形態で)使用して、標的のDNA部位に新しい遺伝情報を直接書き込むゲノム編集方法であり、プライム編集システムは、標的部位を指定するとともに、ガイドRNA上で(例えば、5’または3’末端において、またはガイドRNAの内部部分において)操作した伸長(DNAまたはRNAのいずれか)による置換DNA鎖の形態での所望の編集の合成の鋳型となる、特殊なプライム編集(PE)ガイドRNA(「PEgRNA」)でプログラムされている(WO2020191248)。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の合成snRNAプロモーター(またはその機能的断片)は、ガイドRNAと、DNA合成鋳型を含む少なくとも1つの核酸伸長アームとを含むPEgRNAの発現を駆動するために使用され、ここで、核酸伸長アームは、ガイドRNAの3’または5’末端に位置する。
別の実施形態では、本明細書に記載の合成snRNAプロモーター(またはその機能的断片)を使用して、RNAの細胞間移動を可能にするRNA移動性配列をさらに含む増強されたgRNAの発現を駆動させ得る。RNA移動性配列は、花成時期遺伝子(Flowering Time(FT)遺伝子)、BEL5、GAI、tRNA様モチーフ、またはLeT6などの植物遺伝子に由来する配列であってもよい(WO2021041001)。
他の実施形態では、本明細書に記載の合成snRNAプロモーター(またはその機能的断片)は、CRISPR RNA(crRNA)、成熟crRNA、前駆体crRNA、crRNA断片、トランス活性化crRNA(tracrRNA)、またはtracrRNA断片の発現を駆動するために使用され得る。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の合成snRNAプロモーター(またはその機能的断片)は、塩基編集などの他の形態のCRISPR媒介遺伝子編集と適合するgRNAを駆動するために使用され得る(Komor et al.,Nature 533,420-424,2016;Gaudelli et.al.,Nature 551:464-471,2017;Komor et.al.,Science Advances Vol 3:No.8,2017;及びRees et.al.,Nat Rev Genet.19(12):770-788,2018)。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の合成snRNAプロモーター(またはその機能的断片)は、Scytonema hofmanni(ShCAST)及びAnabaena cylindrica(AcCAST)に由来するものなどの、CRISPR関連トランスポザーゼシステム(CAST)に適合するgRNAを駆動するために使用され得る(Strecker et al.,Science 365(6448):48-53,2019)。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の合成snRNAプロモーター(またはその機能的断片)を使用して、1つ以上の非タンパク質コードRNA(npcRNA)の発現を駆動し得る。非タンパク質コードRNAの非限定的な例としては、マイクロRNA(miRNA)、miRNA前駆体、低分子干渉RNA(siRNA)、低分子RNA(22~26nt長)、及びそれをコードする前駆体、ヘテロクロマティックsiRNA(hc-siRNA)、Piwi相互作用RNA(piRNA)、ヘアピン二本鎖RNA(ヘアピンdsRNA)、トランス作用性siRNA(ta-siRNA)、天然に存在するアンチセンスsiRNA(nat-siRNA)及びtRNAが挙げられる。
CRISPRクラス2、II型またはV型関連遺伝子の発現戦略
本開示は、例えば、少なくとも1つのCasタンパク質によるエンドヌクレアーゼ切断のための任意の部位を標的とするために使用されるスペーサー配列を含むgRNAの転写を提供することにより、分子育種のために、配列特異的CRISPR媒介切断に使用するための新規合成snRNAプロモーター(及びその機能的断片)を提供する。特定の実施形態では、標的部位は、ゲノム標的部位である。いくつかの実施形態では、ゲノム標的部位は、ネイティブまたはトランスジェニックである。さらに、CRISPRシステムは、1つ以上のゲノム標的部位において、切断を触媒するようにカスタマイズさせ得る。
本開示の一態様は、標的部位(例えば、ゲノム標的部位)に相補的なスペーサー配列のコピーなど、1つ以上のgRNAをコードするヌクレオチド配列に作動可能に連結された、本明細書に記載の合成snRNAプロモーター(またはその機能的断片)をコードする1つ以上のカセットを含む発現構築物、及びI型、II型、III型、IV型、V型、またはVI型CRISPR関連タンパク質をコードする発現構築物を、植物細胞に導入して、植物細胞またはそのような細胞からなる植物が、その後有益な形質を呈するような方法で植物細胞を修飾することである。1つの非限定的な例では、形質は、収量の改善、生物的または非生物的ストレスに対する耐性、除草剤耐性、または農業作業における他の改善などの形質である。それに由来するそのような植物細胞を生成する能力は、本明細書に記載の形質転換構築物及びカセットを使用するCRISPRシステムの導入に依存する。
CRISPR関連タンパク質をコードする発現構築物は、プロモーターを含み得る。特定の実施形態では、プロモーターは、構成的プロモーター、組織特異的プロモーター、発生調節プロモーター、または細胞周期調節プロモーターである。特定の企図されるプロモーターには、とりわけ、生殖系列細胞または生殖細胞中でのみ発現するプロモーターが含まれる。このような発生調節されたプロモーターは、CRISPR関連タンパク質が発現する細胞のみにCRISPRシステムの活性が制限されるという利点を有する。いくつかの実施形態では、CRISPR媒介遺伝子修飾(例えば、染色体またはエピソームdsDNA切断)は、ある世代から次の世代へのゲノムの伝達に関与する細胞にのみ制限される。これは、CRISPRシステムの広範な発現に遺伝毒性がある場合、またはその他の望ましくない影響を有する場合には有用であり得る。このようなプロモーターの例としては、DNAリガーゼ、リコンビナーゼ、レプリカーゼなどをコードする遺伝子のプロモーターが挙げられる。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のDNA構築物は、1つ以上のgRNAをコードするDNA配列を高レベルで発現する1つ以上の合成snRNAプロモーターまたはその断片を含む。特定のゲノム配列が切断されて二本鎖破断が生じ、これが二本鎖切断修復経路によって修復されるように(これには、例えば、非相同末端結合、微小相同性媒介末端結合(MMEJ)相同組換え、合成依存性鎖アニーリング(SDSA)、一本鎖アニーリング(SSA)、またはそれによってネイティブ遺伝子座を破壊するそれらの組み合わせが挙げられ得る)、エンドヌクレアーゼ活性を有するCRISPRクラス2、II型、またはV型関連タンパク質を特定のゲノム配列にガイドするgRNAを発現するDNA構築物は、特に有用であり得る。
一実施形態では、CRISPRシステムは、少なくとも1つのI型、II型、III型、IV型、V型、またはVI型CRISPR関連タンパク質と、内因性標的部位に相補的なスペーサー配列のコピーを含む1つのgRNAとを含む。
いくつかの実施形態では、CRISPRシステムは、触媒的に不活性なCRISPRエンドヌクレアーゼを含むことができる。このようなエンドヌクレアーゼは、対照ヌクレアーゼと比較して、その標的核酸に結合する能力を保持しているが、核酸分子を切断する能力が低下または消失しているドメインを含むことになる。いくつかの実施形態では、触媒的に不活性なヌクレアーゼは、触媒的に不活性なCas9である。いくつかの実施形態では、触媒的に不活性なCas9は、標的DNA鎖の1つにニックを生成する。いくつかの実施形態では、dead Cas9(dCas9)として知られる触媒的に不活性なCas9は、ヌクレアーゼ活性をすべて欠いている。いくつかの実施形態では、触媒的に不活性なヌクレアーゼは、触媒的に不活性なCas12aである。いくつかの実施形態では、触媒的に不活性なCas12aは、標的DNA鎖のうちの1つ中にニックを生成する。いくつかの実施形態では、dead Cas12a(dCas12a)として知られる触媒的に不活性なCas12aは、すべてのDNase活性を欠いている。
本開示はまた、生産性を改善するか、または別の有益な形質を提供するために、組織または細胞型に特異的な様式で、目的の遺伝子または遺伝子産物の発現及び/または活性を遺伝的に改変するための、CRISPR媒介二本鎖DNA切断の使用を提供し、ここで、目的の核酸は、本質的に内因性であってもトランスジェニックであってもよい。したがって、一実施形態では、CRISPRシステムは、目的遺伝子中の特定の部位での破壊を媒介するように操作される。目的の遺伝子としては、発現レベル/タンパク質活性の改変が望まれる遺伝子が挙げられる。これらのDNA切断イベントは、コード配列内、または遺伝子内の調節エレメント内に存在し得る。
本開示は、CRISPRシステムの構成要素(例えば、CRISPR関連タンパク質及びその同族gRNA)の細胞への導入を提供する。CRISPR関連タンパク質の例としては、以下などのヌクレアーゼ活性を有するポリペプチドをコードする天然及び操作された(例えば、コドン再設計などの修飾された)ヌクレオチド配列が挙げられる;Streptococcus pyogene、Streptococcus thermophilus、またはBradyrhizobium属由来のCas9;Francisella novicida(FnCpf1)、Prevotella種、Acidaminococcus種BV3L6、及びLachnospiraceae bacterium ND2006(LbCpf1)のCpf1(Cas12aとしても知られる);Alicyclobacillus acidoterrestris、Bacilli種、Verrucomicrobia種、α-proteobacteria、またはδ-proteobacteria由来のC2c1;Planctomycetes及びδ-proteobacteria由来のCasX;またはCandidatus Kerfeldbacteria、Candidatus Vogelbacteria、Candidatus Parcubacteria、またはCandidatus Komeilibacteria由来のCasY。
特定の実施形態では、コドン再設計されたFnCpf1及びLbCpf1ヌクレオチド配列及び発現カセットは、U.S.2020/0080096に開示される組換え核酸配列を含み、その内容及び開示は参照により本明細書に組み込まれる。
触媒的に活性なCRISPR関連遺伝子(例えば、Cas9エンドヌクレアーゼ、C2c1エンドヌクレアーゼ、CasXエンドヌクレアーゼ、CasYエンドヌクレアーゼ、またはCpf1エンドヌクレアーゼ)は、標的細胞に導入され得るか、または標的細胞によって産生され得る。本明細書に開示されているように、これを実施するために様々な方法が使用され得る。
CRISPRの一過性発現
いくつかの実施形態では、gRNA及び/またはI型、II型、III型、IV型、V型、またはVI型CRISPR-CasシステムのCRISPR関連タンパク質成分をコードする1つ以上の発現カセットが細胞へ一時的に導入される。特定の実施形態では、gRNA及び/またはCRISPR関連タンパク質をコードする、導入された1つ以上の発現カセットは、細胞を修飾するのに十分な量で提供されるが、意図された期間が経過した後、または1回以上の細胞分裂後は、持続しない。このような実施形態では、修飾細胞からgRNA及び/またはCRISPR関連タンパク質をコードする1つ以上の発現カセットを除去または隔離するためのさらなるステップは必要ない。本開示のさらに他の実施形態では、二本鎖DNA断片も、gRNA及び/またはCRISPR関連タンパク質をコードする1つ以上の発現カセットとともに細胞に一時的に導入される。このような実施形態では、導入された二本鎖DNA断片は、細胞を修飾するのに十分な量で提供されるが、意図された期間が経過後、または1回以上の細胞分裂後は持続しない。
別の実施形態では、CRISPR関連タンパク質をコードするmRNAが細胞に導入される。このような実施形態では、mRNAは翻訳されて、細胞を修飾するのに十分な量のCRISPR関連タンパク質を産生する(本明細書に記載の合成snRNAプロモーター(またはその機能的断片)によって発現が駆動される少なくとも1つのgRNAの存在下において)が、意図された時間が経過後、または1回以上の細胞分裂後は持続しない。このような実施形態では、修飾された細胞からCRISPR関連タンパク質を除去または隔離するためのさらなるステップは必要ない。
本開示の一実施形態では、触媒活性のあるCRISPR関連タンパク質は、本明細書に記載の合成snRNAプロモーター(またはその機能的断片)によって発現が駆動される少なくとも1つのgRNAを含む、植物細胞への導入前にin vitroで調製される。CRISPR関連タンパク質を調製する方法は、その種類及び特性に依存し、当業者には知られているであろう。例えば、CRISPR関連タンパク質が大きく、単量体である場合、CRISPR関連タンパク質の活性型は、細菌発現、in vitro翻訳、酵母細胞を介して、昆虫細胞中で、または当分野で知られている他のタンパク質生産技術によって生産できる。発現後、CRISPR関連タンパク質は単離され、必要に応じてリフォールディングされ、精製され、任意によりHisタグなどの任意の精製タグを除去する処理が行われる。粗精製、部分精製、またはより完全に精製されたCRISPR関連タンパク質が得られたら、そのタンパク質は、例えばエレクトロポレーション、CRISPR関連タンパク質でコーティングされた粒子による撃ち込み、化学的トランスフェクションまたは細胞膜を通って輸送される他のいくつか手段によって、植物細胞に導入され得る。タンパク質及び核酸を植物細胞に導入するための方法は、当技術分野でよく知られている。タンパク質は、活性タンパク質と核酸との組み合わせを送達できるナノ粒子を使用して送達することもできる。有効量のin vivo活性が存在するように十分な量のCRISPR関連タンパク質が、適切なgRNAとともに導入されると、ゲノム内の標的配列が切断される。当業者が、不活性であるが生来のプロセシング機構によってin vivo内で活性化されるCRISPR関連タンパク質を創出し得ることも認識され、このようなCRISPR関連タンパク質も本開示によって企図される。
別の実施形態では、gRNA及び/またはCRISPR関連タンパク質を一時的に発現する構築物が創出され、植物細胞に導入される。さらに別の実施形態では、構築物は、所望のエピソームまたはゲノム標的部位(複数可)を効果的に修飾するために、十分な量のgRNA及び/またはCRISPR関連タンパク質を産生する。例えば、本開示は、撃ち込み、エレクトロポレーション、化学的トランスフェクト、またはいくつかの他の手段によって植物細胞内に輸送することができる構築物の調製を企図する。このような構造は、いくつかの有用な特性を有し得る。例えば、一実施形態では、構築物は、一過性発現に十分な量で産生され、かつ精製され得るように、細菌宿主内で複製させ得る。別の実施形態では、構築物は、宿主内での構築物の選択を可能にする除草剤耐性遺伝子をコードすることができるか、または構築物は、植物内でのgRNA及び/またはCRISPR関連タンパク質の発現を提供するための発現カセットを含むこともできる。さらなる実施形態では、CRISPR関連タンパク質発現カセットは、プロモーター領域、5’非翻訳領域、発現を補助するための任意のイントロン、CRISPR関連タンパク質をコードするDNA配列の容易な導入を可能にする複数クローニング部位、及び3’UTRを含み得る。特定の実施形態では、CRISPR関連タンパク質発現カセットのプロモーターは、構成的プロモーター、組織特異的プロモーター、または植物細胞で発現する他のタイプのプロモーターであり得る。さらなる実施形態では、gRNA発現カセットは、本明細書に記載のsnRNAプロモーター(またはその機能的断片)、gRNAコード配列、及び転写を終結させる短いポリT領域を含み得る。いくつかの実施形態では、gRNA発現カセット内のプロモーターは、配列番号1~5から選択される合成snRNAプロモーターであろう。いくつかの実施形態では、gRNA発現カセット内のプロモーターは、配列番号6~10から選択される合成snRNAプロモーターであろう。いくつかの実施形態では、発現カセットの一方または各末端に固有の制限部位を含めることが有益であり得、これにより、線状発現カセットの産生及び単離が可能になり、その後、他の構築エレメントを含まなくてもよい。特定の実施形態では、非翻訳リーダー領域は、植物由来の非翻訳領域であり得る。発現カセットが単子葉植物細胞または双子葉植物細胞に形質転換またはトランスフェクトされる場合、植物由来であり得るイントロンの使用が企図される。
他の実施形態では、構築物中の1つ以上のエレメントは、エピソーム配列またはゲノム配列内に含まれる標的部位に相補的なスペーサーを含む。これにより、発現カセット内でのCRISPR媒介修飾が促進され、プロモーター及び導入遺伝子などのエレメントの除去及び/または挿入が可能になる。
別のアプローチでは、細菌またはウイルス構築物宿主を使用して、一過性発現構築物を植物細胞に導入することができる。例えば、Agrobacteriumは、一過性発現構築物を宿主植物細胞に導入するために使用できる1つの細菌構築物である。細菌、ウイルス、または他の構築物宿主系を使用する場合、一過性発現構築物は、宿主構築物系内に含まれる。例えば、Agrobacterium宿主系が使用される場合、一過性発現カセットは、1つ以上のT-DNA境界に隣接し、バイナリー構築物にクローン化される。多くのそのような構築物系が、当技術分野で確認されている(Hellens et al.,2000で概説されている)。
gRNA及び/またはCRISPRシステムのCRISPR関連タンパク質成分のうちの1つ以上が、植物細胞を修飾するのに十分な量で一時的に導入される実施形態では、修飾された植物細胞を選択する方法が使用され得る。このような方法の1つでは、選択可能マーカーを含む第2の核酸分子が、一過性gRNA及び/またはCRISPR関連タンパク質とともに同時導入される。この実施形態では、同時導入されたマーカーは、標的部位においてマーカーを導入するための分子戦略の一部であり得る。例えば、同時導入されたマーカーは、ゲノム標的部位間に挿入することによって、標的遺伝子を破壊するために使用され得る。別の実施形態では、同時導入された核酸を使用して、トランスフェクトされた細胞を細胞選別または他のいくつかの手段によって単離できるように、視覚マーカータンパク質を産生することができる。さらに別の実施形態では、同時導入されたマーカーは、ランダムに組み込まれ得るか、または第2のgRNA:CRISPR関連タンパク質複合体を介して、一次ゲノム標的部位とは独立した部位に組み込まれるように配向させ得る。さらに別の実施形態では、同時導入された分子は、例えば、ゲノム標的部位(複数可)における、非相同末端結合(NHEJ)、微小相同性媒介末端結合(MMEJ)、相同組換え、合成依存性鎖アニーリング(SDSA)、一本鎖アニーリング(SSA)、またはそれらの組み合わせを含み得る二本鎖破断修復経路を介して特定の遺伝子座を標的とすることができる。上記の実施形態では、同時導入されたマーカーは、gRNA及び/またはCRISPR関連タンパク質に曝露された可能性が高く、したがってCRISPRによって修飾された可能性が高い細胞を同定するまたは選択するために使用され得る。
CRISPRの安定した発現
別の実施形態では、CRISPRシステムの1つ以上の成分(例えば、CRISPR関連タンパク質及びその同族gRNA)をコードする1つ以上の発現構築物が、植物細胞に安定して形質転換される。この実施形態において、形質転換構築物の設計は、いつ、どのような条件下でgRNA及び/またはCRISPR関連タンパク質が発現されるかについての柔軟性をもたらす。さらに、形質転換構築物は、CRISPRシステムの1つ以上の構成要素をコードする1つ以上の発現構築物を含む、及び/またはCRISPRシステムによって修飾されている細胞株を単離するかまたは効率よく選択するための手段を提供する、選択可能マーカーまたは可視マーカーを含むように設計することができる。
細胞形質転換システムは、当技術分野において説明されており、その説明には、様々な形質転換構築物が含まれる。例えば、植物の形質転換の場合、2つの主要な方法としては、Agrobacterium媒介形質転換及び粒子銃撃ち込み媒介(例えば、バイオリスティクス)形質転換が挙げられる。いずれの場合も、CRISPRシステムの構成要素をコードするヌクレオチド配列は、1つ以上の発現カセットを介して導入される。さらなる実施形態では、CRISPR関連タンパク質発現カセットは、プロモーター領域、5’非翻訳領域、発現を補助するための任意のイントロン、CRISPR関連タンパク質をコードするDNA配列の容易な導入を可能にする複数クローニング部位、及び3’UTRを含み得る。特定の実施形態では、CRISPR関連タンパク質発現カセットのプロモーターは、構成的プロモーター、組織特異的プロモーター、発生調節プロモーター、細胞周期調節プロモーター、または生殖系列特異的プロモーターであり得る。さらなる実施形態では、gRNA発現カセットは、本明細書に記載のsnRNAプロモーター(またはその機能的断片)、gRNAコード配列、及び転写を終結させる短いポリT領域を含み得る。特定の実施形態では、gRNA発現カセット内のプロモーターは、配列番号1~5から選択される合成snRNAプロモーターであろう。いくつかの実施形態では、gRNA発現カセット内のプロモーターは、配列番号6~10から選択される合成snRNAプロモーターであろう。
粒子撃ち込みまたはプロトプラスト形質転換の場合、発現カセットは、単離された線状断片であり得るか、または細菌複製エレメント、細菌選択マーカー、もしくは他のエレメントを含み得るより大きい構築物の一部であり得る。1つ以上のgRNA及び/またはCRISPR関連タンパク質発現カセット(複数可)は、マーカーカセットに物理的に連結され得るか、またはマーカーカセットをコードする第2の核酸分子とミックスされ得る。いくつかの実施形態では、マーカーカセットは、形質転換細胞を効率よく選択できるようにする視覚的マーカーまたは選択可能マーカーを発現するために必要なエレメントから構成される。Agrobacterium媒介形質転換の場合、1つ以上の発現カセットは、隣接するT-DNA境界に隣接してまたはそれらの間に存在して、バイナリー構築物内に含まれ得る。別の実施形態では、1つ以上の発現カセットは、T-DNAの外側にあってもよい。細胞内に1つ以上の発現カセットが存在することは、ポジティブまたはネガティブ選択レジメン(複数可)によって操作され得る。さらに、選択可能マーカーカセットは、同じT-DNA境界内にあるかまたは境界に隣接してもよく、あるいはバイナリー構築物(例えば、2T-DNAシステム)上の第2のT-DNA内の他のいずれかの場所にあってもよい。
いくつかの実施形態では、CRISPRシステムによって一時的にまたは安定して修飾された細胞は、未修飾細胞とともに持続される。細胞は、独立したクローン由来の系統に細分することも、独立して派生した植物を再生するために使用することもできる。このような細胞から再生された個々の植物またはクローン集団を使用して、独立して派生した系統を生成することができる。これらの段階のいずれかにおいて、分子アッセイを使用して、修飾された細胞、植物、または系統をスクリーニングすることができる。修飾された細胞、植物、または系統は、引き続き伝播するが、未修飾細胞、植物、または系統は廃棄される。いくつかの実施形態では、細胞内に活性なCRISPRシステムが存在することは、プロセス全体の効率を確保するために不可欠である。
形質転換方法
細胞を形質転換またはトランスフェクトするための方法は、当技術分野でよく知られている。AgrobacteriumまたはDNAコーティング粒子を使用する植物形質転換方法は、当技術分野でよく知られており、これは本明細書において組み込まれる。本開示で使用するための宿主細胞の形質転換にとって好適である方法としては、例えばAgrobacterium媒介形質転換(米国特許第5,563,055号;同第5,591,616号;同第5,693,512号;同第5,824,877号;同第5,981,840号;及び同第6,384,301号)、ならびにDNAコーティング粒子の加速(米国特許第5,015,580号;同第5,550,318号;同第5,538,880号;同第6,160,208号;同第6,399,861号;及び同第6,403,865号)によるなど、DNAを細胞に導入できる実質的にあらゆる方法が挙げられると考えられる。このような技術を適用することにより、事実上あらゆる種の細胞を安定して形質転換させ得る。
形質転換細胞を選択するための様々な方法が記載されている。例えば、ネオマイシンホスホトランスフェラーゼタンパク質などの薬物耐性マーカーを利用して、カナマイシンに対する耐性を付与し得る、または5-エノールピルビルシキミ酸リン酸シンターゼを使用して、グリホサートに対する耐性を付与し得る。別の実施形態では、カロテノイドシンターゼを使用して、視覚的に識別できる橙色色素を作出する。これらの3つの例示的なアプローチは、それぞれ、CRISPRによって形質転換及び/または修飾された細胞または植物またはその組織を単離するために効果的に使用することができる。
選択可能なマーカーまたはスクリーニング可能なマーカーをコードする核酸配列がゲノム標的部位に挿入される場合、そのマーカーを使用して、CRISPRまたはその活性の有無を検出することができる。これは、細胞がCRISPRによって修飾され、CRISPRをもはや含まない遺伝子修飾細胞、またはそのような修飾細胞から再生された植物の回収が望まれる場合に有用であり得る。他の実施形態では、マーカーは、ゲノム標的部位に組み込まれるように意図的に設計され得、これにより、CRISPRとは関係なく修飾された細胞を追跡するために使用できるようになる。マーカーは、種子などにおいて視覚的に検出可能な表現型を提供する遺伝子であり得、これにより、CRISPR発現カセットを保有する種子または欠損している種子を迅速に同定することが可能になる。
本開示は、ゲノム標的部位内の修復された二本鎖破断を有する細胞から植物を再生する手段を提供する。再生物は、さらなる植物を繁殖させるために使用できる。
本開示は、合成snRNAプロモーター、及びCRISPR関連遺伝子(複数可)及びgRNA/発現カセットとのそれらの組み合わせを含む、新規な植物形質転換構築物及び発現カセットをさらに提供する。本開示はさらに、CRISPR媒介切断を使用して特異的に修飾された植物細胞、全植物、及び種子または胚を得る方法を提供する。本開示はまた、CRISPR関連Casエンドヌクレアーゼ発現構築物及びgRNA発現カセットを含む新規植物細胞にも関する。
平滑末端オリゴヌクレオチドを使用した標的化
特定の実施形態では、CRISPRシステム(例えば、CRISPR/Cas9システムまたはCRISPR/Cas12aシステム)を利用して、平滑末端二本鎖DNA断片の5’挿入を目的のゲノム標的部位に標的化することができる。いくつかの実施形態では、CRISPR媒介エンドヌクレアーゼ活性は、選択されたゲノム標的部位に二重鎖破断(DSB)を導入することができ、微小相同性駆動の非相同末端結合DNA修復などのDNA修復の結果、平滑末端二本鎖DNA断片がDSBに挿入される。いくつかの実施形態では、平滑末端二本鎖DNA断片は、DNA断片の5’末端及び3’末端の両方において、ゲノム標的部位の切断部位における5’及び3’隣接配列に対応する1~10bpの微小相同性を有するように設計することができる。
分子育種におけるCRISPRシステムの使用
いくつかの実施形態では、ゲノムの知識は、ゲノムの標的遺伝子改変のために利用される。少なくとも1つのgRNAは、ゲノムの少なくとも1つの領域を標的として、その領域をゲノムから破壊するように設計することができる。本開示のこの態様は、遺伝子改変に特に有用であり得る。得られた植物は、改変された遺伝子(複数可)に応じて、修飾された表現型または他の特性を有し得る。事前に特徴が明らかにされている変異対立遺伝子または導入された導入遺伝子は、CRISPR媒介修飾のために標的とされ得、それにより、改良された変異体またはトランスジェニック系統の創出が可能になる。
別の実施形態では、欠失または破壊の標的となる遺伝子は、標的植物または植物細胞に以前に導入された導入遺伝子であり得る。これには、改善された型の導入遺伝子の導入が可能になる、または選択可能マーカーをコードする配列の破壊が可能になるという利点がある。さらに別の実施形態では、CRISPRシステムによる破壊の標的となる遺伝子は、目的の他の導入遺伝子(複数可)と同じ構築物または発現カセット上に導入され、別の導入遺伝子と同じ遺伝子座に存在する少なくとも1つの導入遺伝子である。このタイプのCRISPR媒介修飾が追加配列の欠失または挿入をもたらし得ることは、当業者は理解している。したがって、特定の実施形態では、欠失が生じた複数の植物または植物細胞を生成し、標準技術を使用してそのような植物または植物細胞をスクリーニングし、CRISPR媒介修飾後のゲノムの改変が最小である特定の植物または植物細胞を同定することが好ましい場合がある。このようなスクリーニングでは、遺伝子型及び/または表現型の情報が利用され得る。このような実施形態では、残りの導入遺伝子(複数可)を無傷のままにして、特定の導入遺伝子を破壊してもよい。これにより、望ましくない導入遺伝子を含まずに、望ましい導入遺伝子を含む新規トランスジェニック系統を創出する必要がなくなる。
別の態様では、本開示は、植物のゲノムの特定の部位に目的のDNA断片を挿入するための方法を含み、目的のDNA断片は、植物のゲノム由来であるか、または植物に対して異種である。この開示により、核酸(例えば導入遺伝子)スタッキング(例えばメガ遺伝子座)のためにゲノムの特定の領域を選択または標的化することが可能になる。したがって、ゲノムの標的領域は、少なくとも1つの表現型形質に関連する目的のハプロタイプへの少なくとも1つの導入遺伝子の連結を示す可能性があり、また、結果として、導入遺伝子のスタッキング及びトランスジェニック形質の組み込みを促進するための連結ブロックを発生させること、及び/または従来の形質の組み込みも可能にしながら、連結ブロックを発生させることになり得る。
形質の組み込みにおけるCRISPRシステムの使用
CRISPR媒介切断を介した、少なくとも1つのゲノム標的部位への目的のDNA断片の指向性挿入により、同じ部位または異なる部位のいずれかにおいて、目的の複数の核酸(例えば、形質スタック)を標的とした組み込みを、植物のゲノムに追加できるようになる。標的化させた組み込みのための部位は、基礎となる育種価値、その位置における導入遺伝子の性能、その位置における基礎となる組換え率、その連結ブロックにおける既存の導入遺伝子、または他の要因の知識に基づいて選択することができる。スタックされた植物が組み立てられると、育種パイプラインで進展されている生殖質との交雑のための形質ドナーとして使用でき、または育種パイプラインで直接進展される。
本開示は、少なくとも1つの目的核酸を少なくとも1つの部位に挿入するための方法を含み、目的の核酸は、QTLもしくは対立遺伝子などの植物のゲノムに由来するか、またはトランスジェニック起源である。したがって、ゲノムの標的領域は、(米国特許出願公開第2006/0282911号に記載のとおり)少なくとも1つの表現型形質に関連する目的のハプロタイプに対する少なくとも1つの導入遺伝子の連結、導入遺伝子のスタッキング及びトランスジェニック形質の組み込みを促進するための連結ブロックの発生、QTLまたはハプロタイプのスタッキングと従来の形質の組み込みを促進するための連結ブロックの発生などを示し得る。
本開示の別の実施形態では、複数の固有のgRNAを使用して、ゲノム配列情報の知識と当該技術分野で説明されているカスタムgRNAを設計する能力を利用することによって、1つの染色体上に含まれる1つの連結ブロック内の複数の遺伝子座を修飾することができる。非標的対立遺伝子を含む遺伝子座の上流にあるゲノム標的部位に特異的な、またはそのゲノム標的部位に向けることができるgRNAは、必要に応じて設計または操作される。非標的対立遺伝子を含む標的遺伝子座の下流にあるゲノム標的部位に特異的な、またはそのゲノム標的部位に向けることができる第2のgRNAも設計または操作される。gRNAは、標的対立遺伝子を含む非標的遺伝子座と相同性のないゲノム領域を補完するように設計され得る。いずれのgRNAも、上記の方法のうちの1つを使用して、細胞に導入され得る。
標的化組み込みを実施できる能力は、gRNA:CRISPR関連タンパク質の作用に依存する。この利点により、少なくとも1つのゲノム修飾を含む、植物または細胞などの目的の植物を操作するための方法が提供される。
カスタムgRNAをCRISPRシステムで利用して、少なくとも1つの形質ドナーを生成して、カスタムゲノム修飾イベントを創出し、それを植物など、少なくとも1つの第2の目的の植物と交雑させる。ここで、CRISPR関連タンパク質送達は、ゲノム編集に使用する、目的のgRNAと結合させ得る。他の態様では、1つ以上の目的の植物が、CRISPRシステム及び指向性挿入のための少なくとも1つの目的の二本鎖DNA断片で直接形質転換される。この方法は、植物の配偶子など、様々な細胞、組織、及び発育の種類において実施され得ることが認識されている。本明細書に記載されているエレメントのうちの1つ以上が、減数分裂特異的プロモーターなど、特定の細胞、組織、植物部分及び/または発育段階に特異的なプロモーターの使用と組み合わされ得ることがさらに予想される。
さらに、本開示は、ゲノム内にすでに存在するトランスジェニックエレメントを欠失または破壊の標的とすることを企図する。これにより、例えば、導入遺伝子の改良型の導入、選択可能マーカーの除去が可能になる。さらに別の実施形態では、CRISPR媒介切断による破壊の標的となる遺伝子は、目的の他の導入遺伝子(複数可)と同じ構築物または発現カセット上に導入され、別の導入遺伝子と同じ遺伝子座に存在する少なくとも1つの導入遺伝子である。
一態様では、本開示は、細胞内の目的の遺伝子座を修飾するための方法を提供し、本方法は、(a)DNA配列内の少なくとも1つの目的の遺伝子座を同定することと;(b)gRNAをコードするヌクレオチド配列に作動可能に連結された、配列番号1~10から選択される合成snRNAプロモーターを含む発現カセット及びCRISPR関連タンパク質をコードする核酸配列に作動可能に連結された植物発現可能なプロモーターを含む発現カセットを細胞に導入することであって、ここで、gRNA及び/またはCRISPR関連タンパク質は、一時的にまたは安定して発現される、導入することと;(d)目的遺伝子座を構成する、またはそれに隣接するDNAにおけるCRISPR媒介修飾について細胞をアッセイすることと;(e)細胞またはその子孫細胞を、目的の遺伝子座に修飾を含むものとして同定することと、を含む。
別の態様は、細胞内の複数の目的の遺伝子座を修飾するための方法を提供し、本方法は、(a)ゲノム内の複数の目的の遺伝子座を同定することと;(b)gRNAをコードするヌクレオチド配列に作動可能に連結された配列番号1~10から選択される合成snRNAプロモーターを含む複数の発現カセットを少なくとも1つの細胞に導入することであって、合成snRNAプロモーターは独立して選択され、少なくとも1つの発現カセットは、本開示によるCRISPR関連タンパク質をコードする核酸配列に作動可能に連結された植物発現可能なプロモーターを含み、細胞は、ゲノム標的部位を含み、gRNA及びCRISPR関連タンパク質は、一時的または安定的に発現し、少なくとも1つのCRISPR媒介切断事象を含む修飾された遺伝子座または複数の遺伝子座を創出する、導入することと;(d)目的の各遺伝子座を構成する、またはそれに隣接するDNA中のCRISPR媒介修飾について細胞をアッセイすることと;(e)目的の遺伝子座に修飾されたヌクレオチド配列を含む細胞またはその子孫細胞を同定することと;を含む。
本開示は、本開示による2つ以上のgRNA及びCRISPR関連タンパク質による目的の遺伝子座の逐次修飾をさらに企図する。このような第1のCRISPR媒介ゲノム修飾の作用によって追加された遺伝子または他の配列は、第2のCRISPR媒介ゲノム修飾の作用によって保持され得るか、さらに修飾され得るか、または除去され得る。
本開示は、以下などの作物植物における目的の遺伝子座を修飾するための組成物及び方法を含む;トウモロコシ(トウモロコシ:Zea mays subsp.mays)、トウモロコシの品種(フラワーコーン(Zea mays var.amylacea)、ポップコーン(Zea mays var. everta)、デントコーン(Zea mays var.indentata)、フリントコーン(Zea mays var.indurate)、スイートコーン(Zea mays var.saccharata 及びZea mays var.rugose)、ワクシーコーン(Zea mays var.ceratina)、アミロメイズ(Zea mays)、ポッドコーン(Zea mays var.tunicata Larranaga ex A.St.Hil.)、striped maize(Zea mays var.japonica);大豆(Glycine max);綿(Gossypium hirsutum;Gossypium sp.);落花生(Arachis hypogaea);大麦(Hordeum vulgare);エンバク(Avena sativa);カモガヤ(Dactylis glomerata);イネ(Oryza sativa、インディカ種とジャポニカ種を含む);モロコシ(Sorghum bicolor);サトウキビ(Saccharum sp.);トールフェスク(Festuca arundinacea);芝草種(例えば、種:Agrostis stolonifera、Poa pratensis、Stenotaphrum secundatum);小麦(Triticum aestivum);アルファルファ(Medicago sativa);Brassica属のメンバー、これらに限定されないが、キャノーラ(Brassica napus及びBrassica rapa)、アブラナ属のメンバー(例えば種:チンゲンサイ(B.rapa subsp.chinensis))、カブ(Brassica rapa var.glabra)、サイシン(Brassica rapa subsp.parachinensis)、アブラナ(Brassica rapa subsp.oleifera)、コマツナ(Brassica rapa subsp.perviridis、白菜(Brassica rapa subsp.pekinensis)、カブ(rapini)(Brassica rapa var.rapifera)、タアサイ(Brassica rapa subsp.narinosa)、カブ(turnip)(Brassica rapa subsp.rapa)、yellow sarson(Brassica rapa subsp.trilocularis)、白菜、カブ(turnip)、カブ(rapini)、コマツナ(Brassica rapa(syn.Brassica campestris))、Mallorca cabbage(Brassica balearica)、Abyssinian mustardまたはAbyssinian cabbage、バイオディーゼル(Brassica carinata)の製造に使用される、elongated mustard(Brassica elongata)、Mediterranean cabbage(Brassica.fruticulosa)、St Hilarion cabbage(Brassica hilarionis)、インディアンマスタード、ブラウンマスタード及びリーフマスタード、Sarepta mustard(Brassica juncea)、セイヨウアブラナ、キャノーラ、ルタバガ(スウェーデン(swede)、スウェーデンカブ(swede turnip)、スウェーデンカブ(Swedish turnip))(Brassica napus)、broadbeaked mustard(Brassica narinosa)、クロガラシ(Brassica nigra)、ケール、キャベツ、collard greens、ブロッコリー、カリフラワー、カイラン、芽キャベツ、コールラビ(Brassica oleracea)、tender green、コマツナ(Brassica perviridis)、ブラウンマスタード(Brassica rupestris)、seventop turnip(Brassica seticeps)、Asian mustard(Brassica.tournefortii)、ブロッコリー(B.oleracea);コショウ(例えば、種:クロコショウ、ホワイトペッパーとグリーンペッパー(Piper nigrum)、クベバ(Piper cubeba)、ヒハツ(Piper longum)、ヒハツモドキ(Piper retrofractum)、Voatsiperifery(Piper borbonense)、Ashanti pepper(Piper guineense)、バナナペッパー、ピーマン、カイエンペッパー、ハラペーニョ、Florina pepper、(Capsicum annuumの栽培品種)、トウガラシ(Capsicum annuumの栽培品種、Capsicum frutescens、Capsicum chinense、Capsicum pubescens、及びCapsicum baccatum)、及びdatil pepper(Capsicum chinenseの栽培品種);マメ科植物種(例えば、ソラマメ(broad bean)またはソラマメ(fava bean)(Vicia faba)、インゲン豆;例えば、ピントビーンズ、インゲンマメ、ブラックビーン、Appaloosa bean及びインゲンマメ、及び他の多く(Phaseolus vulgaris)、テパリービーン(Phaseolus acutifolius)、ベニバナインゲン(Phaseolus coccineus)、ライマメ(Phaseolus lunatus)、別名P.デュモサス、1995年に別の種として認識された(Phaseolus polyanthus)、モスビーン(Vigna aconitifolia)、アズキ(Vigna angularis)、ケツルアズキ(Vigna mungo)、リョクトウ(Vigna radiata)、バンバラ豆(Bambara beanまたはground-bean)(Vigna subterranea)、タケアズキ(Vigna umbellata)、ササゲ;また、black-eyed pea、yardlong bean及びその他を含む(Vigna unguiculata)、ヒヨコマメ(chickpeaまたは garbanzo bean)(Cicer arietinum)、エンドウ(Pisum sativum)、グラスピー(Lathyrus sativus)、キュウコンエンドウ(Lathyrus tuberosus)、レンズマメ(Lens culinaris)、フジマメ(Lablab purpureus)、シカクマメ(Psophocarpus tetragonolobus)、キマメ(Cajanus cajan)、ハッショウマメ(Mucuna pruriens)、グアー豆(Cyamopsis tetragonoloba)、タチナタマメ(Canavania ensiformis)、ナタマメ(Canavalia gladiata)、ホースグラム(Macrotyloma uniflorum)、ザッショクノボリフジ(Lupinus mutabilis)、ルピナス豆(Lupinus albus);ウリ科のメンバー(Cucurbitaceae、例えば、属名:squash、pumpkin、ズッキーニ、いくつかのgourd類(Cucurbita)、ユウガオ(Lagenaria)、スイカ(Citrullus lanatus、Citrullus colocynthisなどのCitrullus)、キュウリ(Cucumis sativus)、様々なメロン(Cucumis melo、Cucumis metuliferus);ほうれん草(Spinacia oleracea);ニンジン(Daucus carota subsp.sativus);トマト(Solanum lycopersicum);タマネギ(Allium cepa L.);ダイコン(Raphanus raphanistrum subsp.sativus);ジャガイモ(Solanum tuberosum);観賞用植物;油糧作物、例えば、大豆、キャノーラ、油糧種子菜種、アブラヤシ、ひまわり、オリーブ、トウモロコシ、綿実、落花生、亜麻仁、ベニバナ、及びココナッツ。
ゲノム修飾には、修飾された連結ブロック、2つ以上のQTLの連結、2つ以上のQTLの連結の破壊、遺伝子挿入、遺伝子置換、遺伝子変換、遺伝子の欠失または破壊、トランスジェニックイベント選択、トランスジェニック形質ドナー選択、導入遺伝子の置換、または少なくとも1つの目的の核酸の標的化挿入が含まれ得る。
定義
提供される定義及び方法は、本開示を定義し、当業者が本開示を実施する際の指針となる。特に断りのない限り、用語は、関連分野の当業者による従来の用法に従って理解されるべきである。分子生物学における一般的な用語の定義は、Alberts et al.,Molecular Biology of The Cell,5th Edition,Garland Science Publishing,Inc.:New York,2007;Rieger et al.,Glossary of Genetics:Classical and Molecular,5th edition,Springer-Verlag:New York,1991;King et al.,A Dictionary of Genetics,6th ed.,Oxford University Press:New York,15 2247;及びLewin,Genes IX,Oxford University Press:New York,2007にも見い出され得る。37CFR§1.822に規定されているDNA塩基の命名法が使用される。
本明細書で使用する場合、「合成ヌクレオチド配列」または「人工ヌクレオチド配列」とは、自然界で生じることが知られていないか、または天然に生じないヌクレオチド配列である。本発明の遺伝子調節エレメントは、合成ヌクレオチド配列を含む。好ましくは、合成ヌクレオチド配列は、天然配列に対して拡張した相同性をほとんどまたは全く共有しない。この文脈における拡張した相同性とは、一般に、100%の配列同一性が約25ヌクレオチドの連続配列を超えて拡張していることを指す。
本出願における「単離されたDNA分子」、または等価の用語もしくは表現への言及は、DNA分子が、単独で、または他の組成物と組合せて存在するが、その自然環境内ではないものであることを意味するように意図されている。例えば、コード配列、イントロン配列、非翻訳リーダー配列、プロモーター配列、転写終結配列等のような、生物のゲノムのDNA内で天然に見出される核酸エレメントは、当該エレメントが生物のゲノム内にあり、当該エレメントが天然に見出されるゲノム内の位置にある限りは、「単離された」とは見なされない。ただし、これらのエレメントの各々、及びこれらのエレメントの下位部分は、当該エレメントが生物のゲノム内になく、当該エレメントが天然に見出されるゲノム内の位置にない限り、本開示の範囲内で「単離されている」ものである。一実施形態では、「単離された」という用語は、そのネイティブ状態または天然状態で通常はDNA分子に隣接するいくつかの核酸から少なくとも部分的に分離されているDNA分子を指す。したがって、例えば組換え技術の結果として、通常は関連しない調節配列またはコード配列に融合されたDNA分子は、本明細書では単離されたものとみなされる。そのような分子は、宿主細胞の染色体に組み込まれるか、または他のDNA分子と共に核酸溶液中に存在する場合であっても、単離されたと見なされ、すなわち、これらは、ネイティブ状態ではない。本開示の目的において、任意のトランスジェニックヌクレオチド配列、すなわち、植物もしくは細菌の細胞のゲノム内に挿入されるか、または染色体外構築物内に存在するDNAのヌクレオチド配列は、それが、細胞の形質転換に使用されるプラスミドもしくは同様の構造内に存在しても、植物もしくは細菌のゲノム内に存在しても、または植物もしくは細菌に由来する組織、後代、生物学的試料、もしくは商品生産物の中に検出可能量で存在しても、単離されたヌクレオチド配列であると見なされる。
「異種DNA分子」とは、DNA分子が、作動可能に連結されたポリヌクレオチド配列に対して異種であることを意味する。
本明細書で使用する場合、「作動可能に連結された」という用語は、第2のDNA分子に連結した第1のDNA分子を指し、ここで、第1及び第2のDNA分子は、第1のDNA分子が第2のDNA分子の機能に影響するよう配置される。2つのDNA分子は、単一の連続したDNA分子の一部である場合もそうでない場合もあり、隣接する場合もそうでない場合もある。例えば、プロモーターが細胞内の目的のDNA分子の転写を調節する場合、このプロモーターは、DNA分子と作動可能に連結されている。例えば、リーダーは、DNA配列の転写または翻訳に影響を及ぼすことができる場合、DNA配列に作動可能に連結されている。
本明細書で使用する場合、「組換えDNA分子」とは、人間の介入なしには天然に一緒に生じないであろうDNA分子の組合せを含むDNA分子である。例えば、組換えDNA分子とは、互いに対して異種である少なくとも2つのDNA分子から構成されているDNA分子、自然界に存在するDNA配列から逸脱するDNA配列を含むDNA分子、合成DNA配列を含むDNA分子、または遺伝子形質転換もしくは遺伝子編集によって宿主細胞のDNAに組み込まれたDNA分子であってもよい。
本明細書で使用する場合、「配列同一性」という用語は、2つの最適にアラインメントしたポリヌクレオチド配列または2つの最適にアラインメントしたポリペプチド配列が同一である程度を指す。最適な配列アラインメントは、2つの配列、例えば、参照配列ともう1つの配列とを手動でアラインメントして、適切な内部ヌクレオチド挿入、欠失、またはギャップを伴った配列アラインメント内のヌクレオチドマッチ数を最大化することによって作出される。本明細書で使用する場合、「参照配列」という用語は、配列番号1~10として提供されるDNA配列を指す。
本明細書で使用する場合、「配列同一性パーセント」または「同一性パーセント」または「同一性%」という用語は、同一性の割合に100を掛けたものである。参照配列に対して最適にアラインメントした配列についての「同一性の割合」は、最適アラインメント内のヌクレオチドマッチ数を、参照配列内のヌクレオチド総数、例えば、全長の参照配列全体のヌクレオチド総数で割ったものである。故に、本発明の1つの実施形態は、本明細書で配列番号1~10のいずれかとして提供される参照配列に対して最適にアラインメントした場合に、参照配列に対して少なくとも約85パーセントの同一性、少なくとも約86パーセントの同一性、少なくとも約87パーセントの同一性、少なくとも約88パーセントの同一性、少なくとも約89パーセントの同一性、少なくとも約90パーセントの同一性、少なくとも約91パーセントの同一性、少なくとも約92パーセントの同一性、少なくとも約93パーセントの同一性、少なくとも約94パーセントの同一性、少なくとも約95パーセントの同一性、少なくとも約96パーセントの同一性、少なくとも約97パーセントの同一性、少なくとも約98パーセントの同一性、少なくとも約99パーセントの同一性、または少なくとも約100パーセントの同一性を有する配列を含む、DNA分子を提供する。さらに特定の実施形態では、配列番号1~10のいずれかに対して同一性パーセントを有する配列は、それが由来する出発配列が有するプロモーター活性を呈するものとして定義され得る。配列番号1~10のいずれかと同一性パーセントを有する配列は、「最小プロモーター」をさらに含み得、これは、転写の基礎レベルを提供し、転写を開始するためのRNAポリメラーゼIII複合体を認識し、結合するためのTATAボックスまたは同等の配列で構成される。本発明によれば、プロモーター、プロモーターバリアント、またはプロモーター断片は、既知のプロモーターエレメント、すなわち、TATAボックス及び他の既知の転写因子結合部位モチーフなどのDNA配列特性の存在について分析され得る。このような公知のプロモーターエレメントの識別情報は、当業者により、元のプロモーターと同様の発現パターンを有するプロモーターのバリアントを設計するために使用され得る。
「ゲノム」という用語は、核内に見出される染色体DNAのみでなく、細胞の細胞内成分(例えば、ミトコンドリアまたは色素体)内に見出される細胞小器官DNAも包含する。
本明細書で使用される場合、「ゲノム編集」または「編集」という用語は、部位特異的様式でのヌクレオチド配列の任意の修飾を指す。本開示において、ゲノム編集技術としては、エンドヌクレアーゼ、リコンビナーゼ、トランスポザーゼ、ヘリカーゼ、及びそれらの任意の組み合わせの使用が挙げられる。一態様では、「修飾」は、シチジンまたはデオキシシチジンからそれぞれウリジンまたはデオキシウリジンへの加水分解的脱アミノ化を含む。いくつかの実施形態では、配列特異的編集システムは、アデニンデアミナーゼを含む。一態様では、「修飾」は、アデニンまたはアデノシンの加水分解的脱アミノ化を含む。一態様では、「修飾」は、アデノシンまたはデオキシアデノシンからそれぞれイノシンまたはデオキシイノシンへの加水分解的脱アミノ化を含む。一態様では、「修飾」は、少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも15、少なくとも25、少なくとも50、少なくとも100、少なくとも200、少なくとも300、少なくとも400、少なくとも500、少なくとも750、少なくとも1000、少なくとも1500、少なくとも2000、少なくとも3000、少なくとも4000、少なくとも5000、または少なくとも10,000のヌクレオチドの挿入を含む。別の態様では、「修飾」は、少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも15、少なくとも25、少なくとも50、少なくとも100、少なくとも200、少なくとも300、少なくとも400、少なくとも500、少なくとも750、少なくとも1000、少なくとも1500、少なくとも2000、少なくとも3000、少なくとも4000、少なくとも5000、または少なくとも10,000のヌクレオチドの欠失を含む。さらなる態様では、「修飾」は、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも15、少なくとも25、少なくとも50、少なくとも100、少なくとも200、少なくとも300、少なくとも400、少なくとも500、少なくとも750、少なくとも1000、少なくとも1500、少なくとも2000、少なくとも3000、少なくとも4000、少なくとも5000、または少なくとも10,000のヌクレオチドの逆位を含む。さらに別の態様では、「修飾」は、少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも15、少なくとも25、少なくとも50、少なくとも100、少なくとも200、少なくとも300、少なくとも400、少なくとも500、少なくとも750、少なくとも1000、少なくとも1500、少なくとも2000、少なくとも3000、少なくとも4000、少なくとも5000、または少なくとも10,000のヌクレオチドの置換を含む。さらに別の態様では、「修飾」は、少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも15、少なくとも25、少なくとも50、少なくとも100、少なくとも200、少なくとも300、少なくとも400、少なくとも500、少なくとも750、少なくとも1000、少なくとも1500、少なくとも2000、少なくとも3000、少なくとも4000、少なくとも5000、または少なくとも10,000のヌクレオチドの重複を含む。いくつかの実施形態では、「修飾」は、核酸配列における「A」の「C」、「G」または「T」への置換を含む。いくつかの実施形態では、「修飾」は、核酸配列における「C」の「A」、「G」または「T」への置換を含む。いくつかの実施形態では、「修飾」は、核酸配列における「G」の「A」、「C」または「T」への置換を含む。いくつかの実施形態では、「修飾」は、核酸配列における「T」の「A」、「C」または「G」への置換を含む。いくつかの実施形態では、「修飾」は、核酸配列における「C」の「U」への置換を含む。いくつかの実施形態では、「修飾」は、核酸配列における「G」の「A」への置換を含む。いくつかの実施形態では、「修飾」は、核酸配列における「A」の「G」への置換を含む。いくつかの実施形態では、「修飾」は、核酸配列における「T」の「C」への置換を含む。
本明細書で使用される場合、「標的部位」とは、標的化した修飾のために選択されたDNA配列内に位置する、gRNA/CRISPR関連タンパク質システムが結合し、及び/または活性を発揮するヌクレオチド配列(例えば、プロトスペーサー及びプロトスペーサー隣接モチーフ(PAM))を指す。標的部位は、遺伝子性であっても非遺伝子性であってもよい。標的部位は、細胞の染色体、エピソーム、遺伝子座、またはゲノム内の任意の他のDNA分子(染色体、葉緑体、ミトコンドリアDNA、プラスミドDNAなど)上にあってもよい。標的部位は、細胞のゲノムにおける内因性部位であり得るか、あるいは、標的部位は、細胞にとって異種であり得、したがって、細胞のゲノム中に天然に存在しないものであり得るか、または標的部位は、自然界で存在する場所と比較して、異種ゲノム位置で見い出すことができる。
本明細書で使用する場合、「ゲノム標的部位」とは、標的化修飾のために選択された宿主ゲノム内に位置する標的部位(例えば、プロトスペーサー及びプロトスペーサー隣接モチーフ(PAM))を指す。
本明細書で使用される場合、「プロトスペーサー」とは、gRNA中のスペーサー配列との相補的塩基対形成によってガイドされる、CRISPRシステムによって標的とされ得る短いDNA配列(12~40bp)を指す。
本明細書で使用される場合、「微小相同性」とは、異なるポリヌクレオチド分子において塩基の同じ短い配列(1~10bp)が存在することを指す。
本明細書で使用される場合、「コドン最適化された」とは、特定の植物のコドン使用の偏りを利用するために修飾されたポリヌクレオチド配列を指す。修飾されたポリヌクレオチド配列は、依然として元の配列と同じ、または実質的に同様のポリペプチドをコードするが、特定の植物においてより高い頻度で見出されるコドンヌクレオチドトリプレットを使用する。
本明細書で使用される場合、「非タンパク質コードRNA(npcRNA)」は、ノンコーディングRNA(ncRNA)を指し、これは、前駆体低分子非タンパク質コードRNAであるか、もしくは完全にプロセシングされた非タンパク質コードRNAである、タンパク質に翻訳されない機能的RNA分子である。
本明細書で使用される場合、「プロモーター」は、遺伝子のオープンリーディングフレーム(またはタンパク質コード領域)の翻訳開始コドンの上流または5’に位置する核酸配列を指し、転写を開始するためのRNAポリメラーゼI、II、またはIII及び他のタンパク質(転写因子を処理する)の認識及び結合に関与する。「植物プロモーター」は、植物細胞中で機能するネイティブまたは非ネイティブプロモーターである。構成的プロモーターは、植物の発育を通じて植物のほとんどまたはすべての組織中で機能する。組織、器官、または細胞に特異的なプロモーターは、それぞれ特定の組織、器官、または細胞型中でのみまたは主に発現する。プロモーターは、特定の組織、植物部分、または細胞型中で、「特異的に」発現するのではなく、植物の1つの細胞型、組織、または植物部分において、植物の他の部分と比較して「増強された」発現、すなわちより高いレベルの発現を示し得る。時間的に調節されるプロモーターは、例えば概日リズムに関連する遺伝子の場合のように、植物の発育の特定の期間中または一日の特定の時間帯にのみまたは主に機能する。誘導性プロモーターは、例えば化学化合物(化学誘導物質)による内因性または外因性の刺激の存在に応答して、または環境、ホルモン、化学、及び/または発生シグナルに応答して、作動可能に連結されたDNA配列を選択的に発現する。誘導性プロモーターまたは調節プロモーターには、例えば、光、熱、ストレス、洪水または干ばつ、植物ホルモン、損傷、または、エタノール、ジャスモン酸塩、サリチル酸、毒性緩和剤などの化学物質によって調節されるプロモーターが含まれる。
本明細書で使用される場合、「発現カセット」は、作動可能に連結された第2のポリヌクレオチド配列の転写を開始することができる少なくとも第1のポリヌクレオチド配列、及び任意により第2のポリヌクレオチド配列に作動可能に連結された転写終結配列を含むポリヌクレオチド配列を指す。
回文配列は、一方の鎖の5’から3’で読んでも、二重らせんを形成する相補鎖の3’から5’で読んでも同じである核酸配列である。ヌクレオチド配列がその逆相補配列と等しい場合、そのヌクレオチド配列は回文であると言われる。回文配列は、ヘアピンを形成し得る。
いくつかの実施形態では、本開示の特定の実施形態を説明し、特許請求するために使用される、成分の量、分子量などの特性、反応条件などを表す数字は、場合によっては「約」という用語によって修飾されるものとして理解されるものとする。いくつかの実施形態では、「約」という用語は、値が、その値を決定するために使用される装置または方法の平均標準偏差を含むことを示すために使用される。いくつかの実施形態では、書面による説明及び添付の特許請求の範囲に記載される数値パラメータは、特定の実施形態によって得られることが求められる所望の特性に応じて変化し得る近似値である。いくつかの実施形態では、数値パラメータは、報告された有効桁の数に照らして、及び通常の丸め技法を適用することによって、解釈されるべきである。本開示のいくつかの実施形態の広範な範囲を示す数値範囲及びパラメータは近似値であるにもかかわらず、特定の実施例に記載される数値は、実施される限り正確に報告される。本開示のいくつかの実施形態で提示される数値は、それぞれの試験測定で見つかった標準偏差から必然的に生じる特定の誤差を含む場合がある。本明細書中の値の範囲の列挙はその範囲に入る各別々の値を個々に言及する省略法として働くと単に意図される。本明細書に別段の指示がない限り、個々の値は、あたかも本明細書に個別に記載されているかのように本明細書に組み込まれる。
いくつかの実施形態において、特定の実施形態を記載する文脈において(特に以下の請求項のうちの特定の文脈において)使用される「1つの(a)」及び「1つの(an)」及び「その(the)」という用語、ならびに類似する参照物は、別段具体的に指摘されない限り、単数及び複数の両方をカバーすると解釈され得る。いくつかの実施形態では、特許請求の範囲を含む本明細書で使用される「または」という用語は、選択肢のみを参照することが明示的に示されている場合、または選択肢が相互に排他的でない場合を除き、「及び/または」を意味するために使用される。
「含む(comprise)」「有する(have)」及び「含む(include)」という用語は、オープンエンドの連結動詞である。「含む(comprises)」、「含む(comprising)」、「有する(has)」、「有する(having)」、「含む(includes)」、及び「含む(including)」など、これらの動詞の1つ以上のいずれの語形または時制もまたオープンエンドである。例えば、1つまたは複数のステップを「含む(comprises)」、「有する(has)」、または「含む(includes)」、任意の方法は、それらの1つまたは複数のステップをのみ保持することに限定されず、他のリストされないステップもカバーし得る。同様に、1つまたは複数の特色を「含む(comprises)」、「有する(has)」、または「含む(includes)」、任意の組成物またはデバイスは、それらの1つまたは複数の特色をのみ保持することに限定されず、他のリストされない特色もカバーし得る。
本明細書に記載される全ての方法は、本明細書に別様が示されない限り、または文脈によって別様が明らかに矛盾しない限り、任意の好適な順序で実行され得る。任意の及びすべての例、または本明細書におけるある特定の実施形態に関して提供される例示的な文言(例えば「等の」)の使用は、本開示をより明らかにすることを単に意図し、特許請求の範囲に記載されない限り、本開示の範囲に対する限定をもたらさない。本明細書のいかなる言葉も、本開示の実施にとって必須として任意の請求されていない要素を示すものと解釈されるべきではない。
本明細書に開示される本開示の代替の要素または実施形態のグループ化は限定として解釈されるべきでない。各グループのメンバーは、個別に、またはグループの他のメンバーまたは本明細書に記載の他の要素と組み合わせて、参照及び特許請求することができる。グループの1以上のメンバーは、利便性または特許性の理由から、グループに含めること、またはグループから除くことが可能である。
本開示を詳細に記載してきたが、添付の特許請求の範囲で定義される本開示の範囲から逸脱せずに、修飾、変形、及び同等な実施形態が可能であることは明らかであろう。さらに、本開示における実施例はすべて非限定的な例として提供されることが理解されるべきである。
以下の実施例は、本開示の実施形態を実証するために含まれる。当業者であれば、本開示の概念、趣旨及び範囲から逸脱することなく、開示される特定の実施形態に多くの変更を加えても、同様または類似の結果が得られることを理解されたい。より具体的には、同一または類似の結果が達成される限り、化学的及び生理学的の両方に関連する特定の作用物質が、本明細書に記載される作用物質に置き換えられてもよいことが明らかであろう。当業者に明確な全てのこうした類似の置換及び修正は、添付の特許請求の範囲により定義される本開示の趣旨、範囲、及び概念の範囲内にあるとみなされる。
実施例1
gRNAを発現させるためのプロモーターの合成
新規の合成転写調節エレメントは、アルゴリズム法によって設計された合成発現エレメントである。本発明の合成プロモーターエレメントは、ガイドRNA(gRNA)分子などの核内低分子RNA(snRNA)分子の転写をもたらす。設計された合成snRNAプロモーターエレメントは、自然界に存在する任意の既知の核酸配列に対して拡張した相同性を有しないものの、天然に存在するsnRNAプロモーターと同様に、作動可能に連結されたDNA配列の転写に影響を与える。本発明の完全長合成snRNAプロモーターは、相互に配列同一性をほとんど共有せず;約38パーセントの同一性~約47パーセントの同一性の範囲である。合成snRNAプロモーターの短縮バリアントも産生された。短縮型合成snRNAプロモーターも、互いに配列同一性をほとんど共有せず;約41~約51パーセントの同一性の範囲である。合成snRNAプロモーター間の同一性パーセントが低いため、プロモーター間での組換えの可能性が低くなり、合成snRNAプロモーターが、複数のRNA発現カセットのスタッキングにとって理想的になる;ここで、各カセットは、異なる合成snRNAプロモーターを含む。以下の実施例でさらに説明するように、完全長合成snRNAプロモーター及び短縮型合成snRNAプロモーターの両方が、gRNAの発現を駆動する能力を示した。以下の表1は、異なる合成snRNAプロモーター、対応する短縮型バリアント(「_TR」で示す)、及び各合成snRNAプロモーターのそれぞれの長さを示す。
Figure 2024515777000001
実施例2
トランスフェクトされたトウモロコシ葉プロトプラスト中での合成snRNAプロモーターの分析
トウモロコシの葉のプロトプラストは、構成的プロモーターによって駆動されるCas12aエンドヌクレアーゼを発現させるための発現カセット;及び合成snRNAプロモーターによって駆動されるgRNAを発現させるための第2の発現カセットを含むプラスミド構築物でトランスフェクトされる。
プラスミド構築物は、2つの導入遺伝子カセットを含む当技術分野で公知の方法を使用して構築され、第1の導入遺伝子カセットは、核標的化Cas12aタンパク質の発現に使用され、それはEXP、EXP-Zm.UbqM1:1:9(配列番号11)を含み、それはコード配列、Cas12a_NLS(配列番号12)に5’で作動可能に連結され、それは核標的化Cas12a_NLSタンパク質(配列番号19)をコードし、5’で3’UTR、T-Os.LTP:2(配列番号13)に作動可能に連結され;第2の導入遺伝子カセットは、配列番号1~10からなる群から選択される合成snRNAプロモーターを含み、それは5’でガイドRNA、gRNA-Zm.Bmr3_2691(配列番号15)に作動可能に連結され、それはガイドRNAスペーサー、NR-Zm.Bmr3_2691(配列番号14)を含む。gRNA、gRNA-Zm.Bmr3_2691は、Cas12aエンドヌクレアーゼによって、brown midrib 3(Bmr3)ゲノム配列(配列番号18として示される)内を切断するように設計されている。brown midrib変異は、トウモロコシ中で最も早期に報告されたものの1つである。brown midrib変異を含む植物は、葉が4~6枚になった時から、葉の中肋に赤褐色の色素沈着を呈する。これらの変異は、植物のリグニン組成及び消化率を変えることが知られており、したがってコーンサイレージの育種における主要な候補となる。Bmr3遺伝子は、リグニン生合成に関与する酵素O-メチルトランスフェラーゼ(COMT)をコードする(Vignols et al.,1995,The Plant Cell,Vol.7,407-416)。
トウモロコシ葉プロトプラストは、当技術分野で知られているものと同様のPEGベースのトランスフェクション法を使用してトランスフェクトされる。合成snRNAプロモーターの各々の有効性を評価するために、トランスフェクトされたプロトプラスト細胞の集団に由来する単離されたゲノムDNAから、切断部位領域を含むDNA断片の増幅を可能にするプライマーを使用して、アンプリコン断片を生成する。アンプリコン断片の配列をアラインして、切断部位領域におけるDNAの欠失などの変異を含む任意の断片配列を同定する。このような変異の存在は、合成snRNAプロモーターがgRNAの発現を駆動する能力を示している。
実施例3
トランスフェクトされたトウモロコシ葉プロトプラスト中での2つの合成snRNAプロモーターの分析
トウモロコシ葉プロトプラストは、構成的プロモーターによって駆動されるCas12aエンドヌクレアーゼを発現させるための発現カセット;及びそれぞれ合成snRNAプロモーターによって駆動される2つの異なるgRNAを発現させるための2つの発現カセットを含むプラスミド構築物でトランスフェクトされる。
プラスミド構築物は、3つの導入遺伝子カセットを含む当技術分野で公知の方法を使用して構築され、第1の導入遺伝子カセットは、核標的化Cas12aタンパク質の発現に使用され、EXP、EXP-Zm.UbqM1:1:9(配列番号11)を含み、それはコード配列、Cas12a_NLS(配列番号12)の5’に作動可能に連結され、それは核標的化Cas12a_NLSタンパク質(配列番号19)をコードし、3’UTR、T-Os.LTP:2(配列番号13)に5’で作動可能に連結され;第2の導入遺伝子カセットは、配列番号1~10からなる群から選択される合成snRNAプロモーターを含み、それは5’でガイドRNA、gRNA-Zm.Bmr3_2691(配列番号15)に作動可能に連結され、それはガイドRNAスペーサー、NR-Zm.Bmr3_2691(配列番号14)を含み;第3の導入遺伝子カセットは、配列番号1~10からなる群から選択される第2の合成snRNAプロモーター(第2の導入遺伝子カセットで使用される合成snRNAプロモーターとは異なる)を含み、それは5’でガイドRNA、gRNA-Zm.Bmr3_3170(配列番号17)に作動可能に連結され、それはガイドRNAスペーサー、NR-Zm.Bmr3_3170(配列番号16)を含む。gRNA、gRNA-Zm.Bmr3_2691及びgRNA、gRNA-Zm.Bmr3_3170は、Cas12aエンドヌクレアーゼによって、brown midrib 3(Bmr3)ゲノム配列(配列番号18として示される)内を切断するように設計されている。
トウモロコシ葉プロトプラストは、当技術分野で知られているものと同様のPEGベースのトランスフェクション法を使用してトランスフェクトされる。構築物スタック中の合成snRNAプロモーターの各々の有効性を評価するために、トランスフェクトされたプロトプラスト細胞の集団に由来する単離されたゲノムDNAから、両方の切断部位領域を含むDNA断片の増幅を可能にするプライマーを使用して、アンプリコン断片を生成する。切断部位の各々で検出された変異または約480塩基対の欠失は、合成プロモーターの各々が、それぞれのgRNAの発現を駆動する能力を示している。
実施例4
細胞のゲノムに標的化二本鎖破断を導入
この実施例は、Cas9エンドヌクレアーゼ、Cas12aエンドヌクレアーゼ、または他のCRISPRエンドヌクレアーゼとともに提示された場合に、gRNA発現を駆動して、細胞のゲノムに標的化二本鎖破断を行うための合成snRNAプロモーター配列の使用を示す。
配列番号1~10として示される、本発明の合成snRNAプロモーター及び短縮型バリアント合成snRNAプロモーターは、植物細胞中でのgRNA発現を駆動するために使用することができる。Cas9エンドヌクレアーゼ、Cas12aエンドヌクレアーゼ、またはCRISPRエンドヌクレアーゼとともに細胞の核に提示された場合、gRNAのスペーサー領域に相補的な配列を含む選択された標的領域で、DNA破断が生じる。
必要な成分を植物細胞に導入できる複数の手段がある。gRNAは、gRNAをコードするヌクレオチド配列に5’で作動可能に連結された合成snRNAプロモーターまたは短縮型合成snRNAプロモーター、及び転写を終結させる3’ポリTストレッチを含むDNA断片から発現され得る。あるいは、gRNAをコードする配列をプラスミド構築物にクローニングしてもよい。プラスミド構築物は、植物由来のプロトプラストをトランスフェクトするために使用される構築物であってもよく、または構築物は、植物細胞を安定に形質転換するために使用されるバイナリー植物形質転換構築物であってもよい。Cas9エンドヌクレアーゼ、Cas12aエンドヌクレアーゼ、または他のCRISPRエンドヌクレアーゼは、タンパク質として、またはCas9エンドヌクレアーゼ、Cas12aエンドヌクレアーゼ、または他のCRISPRエンドヌクレアーゼを発現するために使用される異種DNAを介して、植物細胞に導入され得る。Cas9エンドヌクレアーゼ、Cas12aエンドヌクレアーゼ、または他のCRISPRエンドヌクレアーゼは、細胞の核内でエンドヌクレアーゼの切断がより効率よく生じるようにするために、少なくとも1つの核局在化シグナル(NLS)を含む。
植物細胞は、粒子撃ち込みによってトランスフェクトできる。この場合、Cas9エンドヌクレアーゼ、Cas12aエンドヌクレアーゼ、または他のCRISPRエンドヌクレアーゼをタンパク質として、あるいは、任意により、5’から3’UTRに動作可能に連結された少なくとも1つのNLSを含む、Cas9エンドヌクレアーゼ、Cas12aエンドヌクレアーゼ、または他のCRISPRエンドヌクレアーゼをコードするコード配列に対して5’で作動可能に連結されたイントロンに対して、5’で作動可能に連結された、植物発現可能なプロモーターを含むDNA断片として、導入できる。gRNAをコードするDNAは、転写を終了するために、3’ポリTストレッチも含むgRNAをコードする配列に対して、5’で作動可能に連結された合成snRNAプロモーターまたは短縮型合成snRNAプロモーター(配列番号1~10)を含む異種DNA断片で細胞に導入することができる。プロトプラスト細胞はまた、上記と同じ試薬を使用して、トランスフェクトすることができる。
プロトプラスト細胞は、1つまたは2つのプラスミド構築物を使用してトランスフェクトすることもできる。こうした方法の1つは、上記の実施例2に記載の2つの構築物が使用され、第1の構築物は、gRNAを発現させるための導入遺伝子カセットを含み、第2の構築物は、Cas9エンドヌクレアーゼ、Cas12aエンドヌクレアーゼ、または他のCRISPRエンドヌクレアーゼを発現させるために使用される導入遺伝子カセットを含む。あるいは、gRNA導入遺伝子カセット、及びCas9エンドヌクレアーゼ、Cas12、または他のCRISPRエンドヌクレアーゼ導入遺伝子カセットの両方を、トランスフェクションに使用する1つの構築物中に含めることもできる。
植物細胞を安定して形質転換するには、gRNA発現カセット、及びCas9エンドヌクレアーゼ、Cas12aエンドヌクレアーゼ、または他のCRISPRエンドヌクレアーゼ発現カセットの両方を、1つのバイナリー植物形質転換プラスミド構築物に含めることができる。あるいは、2つの構築物を使用して植物細胞を同時形質転換することもでき、第1の構築物は、gRNA発現カセットを含み;第2の構築物は、Cas9エンドヌクレアーゼ、Cas12aエンドヌクレアーゼ、またはCRISPRエンドヌクレアーゼ発現カセットを含む。
導入遺伝子カセットを植物のゲノムに取り込まずにDNA中において二本鎖破断を誘導するために、gRNA及びCas9エンドヌクレアーゼ、Cas12aエンドヌクレアーゼ、または他のCRISPRエンドヌクレアーゼ発現カセットを、カセットを構成した構築物(複数可)から線状断片として切り出すことができる。発現カセット及び平滑末端DNA断片は、粒子撃ち込みによって植物細胞に送達できる。撃ち込みを受けた細胞が誘導されて、カルスが形成される。次に、カルスは、全植物を形成するために使用される。
細胞のゲノムに導入された結果生じる破断は、オリゴDNA断片の導入に使用できる;または、エラーが発生しやすい非相同末端結合によって配列を改変または破壊させ得る。
実施例5
平滑末端二本鎖DNA断片の組み込みによるゲノム修飾
この例では、CRISPRエンドヌクレアーゼとともに提示された場合に、合成snRNAプロモーター配列を使用して、gRNA発現を駆動し、平滑末端の二本鎖DNA断片を、選択された標的部位に組み込む方法を示す。
相補的オリゴヌクレオチドは、プレアニーリングされて、平滑末端の二本鎖DNA断片を形成する。gRNA及びCRISPRエンドヌクレアーゼ発現カセットを含むDNA断片及び構築物は、植物プロトプラストに同時トランスフェクトされる。オリゴヌクレオチドは、ゲノム標的部位中の切断部位にある、対応する5’及び3’隣接配列に対して、約3つの塩基対の微小相同領域を含むように、または微小相同領域を含まないように設計できる。微小相同領域は、ゲノム標的部位での微小相同駆動の非相同末端結合のメカニズムを介して、平滑末端の二本鎖DNA断片の組み込みを促進し得る。
gRNA及びCRISPRエンドヌクレアーゼを発現するには、1つまたは2つの構築物が使用され得る。1つの構築物では、gRNA及びCas9発現カセットの両方が、1つのプラスミド構築物にクローン化される。2つの構築物が望ましい場合、第1の構築物は、gRNA発現カセットを含み、第2の構築物は、CRISPRエンドヌクレアーゼを発現するためのカセットを含むことになる。gRNA発現カセットは、配列番号1~10として示される、本発明の合成snRNAプロモーターまたは短縮型バリアント合成snRNAプロモーターのうちの1つを含むことになる。
プロトプラストトランスフェクションの場合、gRNA発現カセット及びCRISPRエンドヌクレアーゼ発現カセットを含む構築物(複数可)は、平滑末端の二本鎖DNA断片とともに同時トランスフェクトされる。平滑末端の二本鎖DNA断片の組み込みの検出は、標的部位組み込みの周囲の領域の増幅、及び高分解能キャピラリー電気泳動を使用したアンプリコンの検出、及びアンプリコンの直接的配列決定によって、実施され得る。
平滑末端DNA断片を選択された標的部位に組み込み、安定に改変された植物を得るために、gRNA及びCRISPRエンドヌクレアーゼ発現カセットを、カセットを構成する構築物(複数可)から線状断片として切り出すことができる。発現カセット及び平滑末端DNA断片は、粒子撃ち込みによって植物細胞に送達することができる。撃ち込みを受けた細胞が誘導されて、カルスを形成する。次に、カルスは、全植物を形成するために使用される。次いで、再生された植物は、植物のゲノムにDNA断片を含む植物を同定するために、増幅及び配列決定などの当技術分野で知られている方法を使用してアッセイされる。
実施例6
gRNA多重化による複数の固有のゲノム部位の標的化
他のゲノム工学プラットフォームと比較した場合のCRISPRシステムの主な利点は、個別の固有のゲノム標的部位に向けられた複数のgRNAを、個別の構成要素として送達して標的化を実現できることである。あるいは、個別の固有のゲノム標的部位に向けられた複数のgRNAを1つの発現構築物内で多重化して、標的化を実現することもできる。複数の標的化エンドヌクレオチド切断を必要とし得る適用の例には、トランスジェニックイベントからのマーカー遺伝子の除去が含まれる。CRISPRシステムを使用して、トランスジェニックインサートから選択マーカーを除去し、これにより、目的の遺伝子(複数可)を残すことができる。
このようなCRISPRシステムが有用であり得る適用のもう1つの例は、複数の標的化エンドヌクレオチド切断が必要な場合、例えば、量的形質の背後にある原因遺伝子の同定が、遺伝子候補を互いに分離するQTL領域における減数分裂組換えがないことによって妨げられる場合である。これは、目的の遺伝子を同時に標的とする複数のCRISPR構築物で形質転換することにより回避され得る。これらの構築物は、フレームシフト変異によって遺伝子候補をノックアウトするか、欠失によって遺伝子候補を除去する。このような形質転換により、無傷遺伝子座と変異遺伝子座とのランダムな組み合わせが得られ、原因遺伝子の同定が可能になる。
gRNA発現カセットは、配列番号1~10として示され、CRISPRエンドヌクレアーゼ活性を植物細胞ゲノム領域内の特定の部位に向けるように設計された独自のgRNAコード配列に5’で作動可能に連結している本発明の2つ以上の合成snRNAプロモーター及び/または短縮型バリアント合成snRNAプロモーターを含む。植物細胞の形質転換前の細菌宿主中において、短縮型バリアント合成snRNAプロモーターのサイズが小さいほど、より小さい構築物の構築が可能になり、複製エラーが起こる確率が低下するという点で、短縮型バリアント合成snRNAプロモーター(配列番号6~10)を使用することは有利であり得る。
バイナリー植物形質転換構築物は、実施例3で上述したものと同様に構築されるが、複数のgRNA発現カセットを含み、それぞれが、独自のgRNAコード配列に5’で作動可能に連結された独自の合成snRNAプロモーターまたは短縮型バリアント合成snRNAプロモーターを有する。バイナリー植物形質転換構築物は、CRISPRエンドヌクレアーゼの発現に使用される発現カセットも含む。植物細胞は、Agrobacterium媒介形質転換法を使用して、形質転換される。形質転換後、gRNAは、CRISPRエンドヌクレアーゼを、各gRNAのスペーサー配列に相補的な配列に隣接するPAM配列を含むゲノム領域に指向させて、それぞれの標的配列中のゲノムDNA内で、エンドヌクレアーゼ切断を引き起こす。切断後、標的部位間のゲノムDNAが切り出され、ゲノムDNAは、非相同末端結合によって修復される。ゲノムDNAの断片の切除は、当該技術分野で利用可能な様々な増幅または配列決定方法を介して確認され得る。切除するために標的化されるゲノム領域の性質に応じて、表現型、代謝、または他の特性の変化が観察され得る。
実施例7
相同組換えによる標的化組み込み
所望の導入DNA配列の標的化組み込みによるゲノム修飾は、染色体の二本鎖破断部位で生じる。DNA配列の組み込みは、宿主細胞のDNA修復機構を利用した非相同末端結合機構または相同組換えによって媒介される。細胞ゲノム中の二本鎖破断は、CRISPRエンドヌクレアーゼと、CRISPRエンドヌクレアーゼをゲノムDNAの標的領域に指向させるgRNAを使用して実現できる。相同組換えを必要とし得る適用例は、植物ゲノムの特定領域内での植物細胞ゲノムへの発現カセットの組み込みとなる。
相同組換えを用いたDNA断片の組み込みには、CRISPRエンドヌクレアーゼによる切断後に組み込みが好ましい領域と同一の相同領域(本明細書では「相同性アーム」(HA)と呼ぶ)が必要である。相同性アームは、DNA断片の5’末端と3’末端に隣接している。左HAは、標的組み込みのための二本鎖破断部位の5’側に隣接する配列に基づいて設計されている。右HAは、標的組み込みのための二本鎖破断部位の3’側に隣接する配列に基づいて設計されている。相同性アームは、約2~約1200塩基対にすることができるが、相同性アームが長いほど、効率よく働き得る。相同性アームのサイズの望ましい範囲は、長さ230塩基対~1,003塩基対であり得る。
プロトプラストをトランスフェクトするために、トランスフェクションに使用される構築物(複数可)は、実施例5で上述したものと同様である。gRNA発現カセットは、配列番号1~10として示される、本発明の合成snRNAプロモーターまたは短縮型バリアント合成snRNAプロモーターのうちの1つを含む。構築物(複数可)は、相同性アームを含むDNA断片とともに同時トランスフェクトされ得る。あるいは、発現カセットをプラスミド構築物(複数可)から切り出すことができ、線状発現カセット断片を、相同性アームを含むDNA断片とともに同時トランスフェクトすることができる。
DNA断片を含む安定に形質転換された植物をもたらす、相同性アームを含むDNA断片の安定した組み込みのために、発現カセットをプラスミド構築物(複数可)から切り出すことができ、線状発現カセット断片は、粒子撃ち込みによって、相同性アームを含むDNA断片とともに同時形質転換することができる。あるいは、合成snRNAプロモーターまたは短縮型合成snRNAプロモーターを含む発現カセットを、粒子撃ち込みによって相同性アームを含むDNA断片とともに同時形質転換することができる。形質転換された組織は、全植物を形成するように誘導され、植物は、組み込まれたDNA断片の存在について選択され、標的部位への挿入に関して、当技術分野で知られている方法を使用して特性評価される。
DNA断片を含む安定な形質転換植物をもたらす、相同性アームを含むDNA断片のAgrobacterium媒介安定組み込みについては、当技術分野で知られている方法を使用して、1つのバイナリー形質転換構築物を構築することができる。この構築物は、右のT-DNA境界領域;例えば、第1の導入遺伝子カセット(除草剤または抗生物質のいずれかを使用して形質転換された植物細胞を選択するために使用される)に隣接する左の相同性アーム;第2の導入遺伝子カセット(目的の遺伝子の発現の発現カセットを含む);右の相同性アーム;第3の導入遺伝子カセット(核標的CRISPRエンドヌクレアーゼをコードするコード配列に5’で作動可能に連結され、5’で3’UTRに作動可能に連結された植物発現可能なプロモーターを含む);第4の導入遺伝子カセット(配列番号1~10として示される、本発明の合成snRNAプロモーターまたは短縮型合成snRNAプロモーターを含み、転写を終結させるために3’末端にポリTストレッチを含むgRNAコード配列に5’で作動可能に連結される);及び右のT-DNA境界を含む。形質転換体を選択し、特性評価した後に、選択マーカーカセット、CRISPRエンドヌクレアーゼカセット、及びgRNAカセットが、Creリコンビナーゼによって切断されるLox部位などの選択可能マーカーの切り出しが可能になる部位と隣接させることも好ましい場合がある。
2つの右側のT-DNA境界領域を使用することにより、Agrobacteriumによる複製プロセスの結果、T-DNAが二本鎖DNAを形成する。相同性アームに隣接した選択及び発現カセットは、標的部位に組み込まれる。完全長T-DNAまたは部分T-DNAの染色体組み込みの喪失はいずれも、標的部位中に選択及び発現カセットのみを有する分離体を選択することによる育種及び分離を通じて、後続の世代で達成できる。選択可能マーカーカセットの除去は、選択及び発現カセットを含む植物を、Cre-リコンビナーゼを発現する形質転換植物と交配することによって達成することができる。その後、Cre-リコンビナーゼ発現カセットは、次世代の分離を介して選択することもできる。
実施例8
P-GSP2262_TRは、gRNAの発現を駆動できる
トウモロコシ植物を、植物発現可能なプロモーターによって駆動されるCas12aの発現のための発現カセットと、合成snRNAプロモーターGSP2262_TRによって駆動されるgRNAの発現のための発現カセットと、を含むプラスミド構築物で形質転換し、Bmr3標的配列(配列番号18)の特定の領域内の編集について評価した。
トウモロコシ植物は、2つの異なるプラスミド構築物、構築物-1及び構築物-2を使用して形質転換させた。各構築物は、グリホサート選択を使用して、形質転換植物細胞を選択するための発現カセット及びCas12aの発現のための発現カセットを含んでいた。構築物-1はまた、合成snRNAプロモーターGSP2262_TR(配列番号6)によって駆動されるgRNA、gRNA-Zm.Bmr3_90_3279(配列番号23)を発現するための発現カセットを含んでいた。gRNA、gRNA-Zm.Bmr3_90_3279は、Cas12aがBmr3標的配列(配列番号18)内で切断するように指示する2つのスペーサー配列、NR-Zm.Bmr3_90(配列番号20)及びNR-Zm.Bmr3_3279(配列番号22)を含んでいた。構築物-2はまた、合成snRNAプロモーターGSP2262_TR(配列番号6)によって駆動されるgRNA、gRNA-Zm.Bmr3_227_3279(配列番号24)を発現するための発現カセットを含んでいた。gRNA、gRNA-Zm.Bmr3_227_3279は、Cas12aがBmr3標的配列(配列番号18)内で切断するように指示する2つのスペーサー配列、NR-Zm.Bmr3_227(配列番号21)及びNR-Zm.Bmr3_3279(配列番号22)を含んでいた。
トウモロコシ植物を、Agrobacterium媒介形質転換法を使用して、上記の2つのプラスミド構築物で形質転換した。形質転換細胞は、当技術分野で知られている方法によって植物の形成を誘導された。形質転換されたR植物から葉組織サンプルを採取し、各サンプルからゲノムDNAを抽出した。標的部位にまたがる領域を配列決定した。少なくとも1つの編集された対立遺伝子を含む植物の割合を、切断部位ごとに計算した。編集された標的部位の割合を以下の表2に示す。
Figure 2024515777000002
上記の表2で確認できるように、合成snRNAプロモーターP-GSP2262_TR(配列番号6)は、各gRNAに特異的な編集部位の割合によって示されるように、gRNA発現を駆動することができた。
実施例9
トランスフェクトされたプロトプラストを使用した、Bmr3ゲノム遺伝子座を標的とするgRNAの発現の駆動における合成snRNAプロモーターのアッセイ
トウモロコシ葉プロトプラストを構築物でトランスフェクトし、Bmr3標的配列(配列番号18)内で編集を誘導する有効性について評価した。ここで、第1の構築物は、植物発現可能なプロモーターによって駆動されるCas12aの発現のための発現カセットを含み、第2の構築物は、合成snRNAプロモーターによって駆動されるBmr3ゲノム遺伝子座を標的とするように設計されたgRNAの発現のための発現カセットを含む。
トウモロコシ葉プロトプラストに複数の構築物をトランスフェクトし、gRNAの発現を駆動する合成snRNAプロモーターの能力をアッセイし、その結果、Bmr3標的部位(配列番号18)内の特定の配列を編集した。各プロトプラスト調製物を4つの異なる構築物でトランスフェクトした。第1の構築物は、構成的プロモーターを使用して、プロトプラスト細胞におけるCas12a(Cas12a_NLS、配列番号12)の発現を駆動するために使用される。第2の構築物を使用して、配列番号1~10からなる群から選択される合成snRNAプロモーターによって駆動される、Bmr3遺伝子座を標的とするgRNAの発現を駆動した。第3及び第4の構築物を使用して、それぞれ構成的プロモーターを使用して、ウミシイタケルシフェラーゼ遺伝子及びホタルルシフェラーゼ遺伝子の発現を駆動し、プロトプラストトランスフェクションの成功を評価した。
配列番号1~10からなる群から選択される合成snRNAプロモーターによって駆動される、gRNAの発現を駆動するために使用される第2の構築物は、3つの異なるgRNAのうちの1つを含んでいた:(1)gRNA-Zm.Brm3_2691_2(配列番号25)(スペーサーNR-Zm.Brm3_2691(配列番号14)を含み、Cas12a_NLSタンパク質がBmr3標的配列内で切断するように指示する);(2)gRNA-Zm.Brm3_3170_2(配列番号26)(スペーサーNR-Zm.Brm3_3170(配列番号16)を含み、Cas12a_NLSタンパク質がBmr3標的配列内で切断するよう指示する);及び(3)gRNA-Zm.Brm3_2691_3170(配列番号27)(Cas12a_NLSがBmr3標的配列の両方の位置内で切断するよう指示する)。10個の合成snRNAプロモーターのそれぞれに、3つすべてのgRNAを提供するために、合計30個の構築物を作製した。
トウモロコシ葉プロトプラストを、当技術分野で知られているものと同様のPEGベースのトランスフェクション法を使用して、上記の5種類の構築物(第1、第2、第3、第4、及び第5)でトランスフェクトした。ゲノムDNAは、トランスフェクション及びインキュベーション後に、プロトプラスト細胞から単離した。Bmr3標的部位の標的領域の周囲でDNA配列決定を実施した。各トランスフェクションを4回繰り返し、平均%InDelを4回の繰り返しに基づいて計算した。InDelのパーセンテージは次のように計算した:%InDel=100x[(In+Del)/(TotalRC)]。式中、「In」は、挿入の読み取り数である。「Del」は、欠失の読み取り数である。「TotalRC」は、野生型及び変異型読み取り数を含む、特定のサンプルからのすべての配列の読み取り数である。各ガイドRNAは、二本鎖破断の誘導効率に関して異なるため、10個の合成snRNAプロモーターによって駆動される各gRNAの%InDelは、最も高い%InDelを有する10個のsnRNAプロモーターのいずれかからの繰り返しを100%として正規化した。表3は、2つの単一標的gRNA、gRNA-Zm.Brm3_2691_2(配列番号25)及びgRNA-Zm.Brm3_3170_2(配列番号26)に対応する平均%InDel及び平均正規化%InDelを示す。表4は、2標的gRNA、gRNA-Zm.Brm3_2691_3170(配列番号27)に対応する平均%InDel及び平均正規化%InDelを示す。
Figure 2024515777000003
Figure 2024515777000004
表3及び4に見られるように、合成snRNAプロモーターのそれぞれは、gRNA発現を駆動して、標的部位におけるCas12a編集を指示することができた。これらの実験では、gRNA、gRNA-Zm.Brm3_2691_2は、他の2つのgRNAより効率が低いと考えられ、特にプロモーターGSP2262、GSP2272、及びGSP2272_TRの平均%InDelが低くなった。しかし、これら3つの合成snRNAプロモーターは、gRNA、gRNA-Zm.Brm3_3170_2及びgRNA-Zm.Brm3_2691_3170を駆動する場合、他の合成snRNAプロモーターと同様の%InDelを示した。
実施例10
トランスフェクトされたプロトプラストを使用した、Zm7ゲノム遺伝子座を標的とするgRNAの発現の駆動における合成snRNAプロモーターのアッセイ
トウモロコシ葉プロトプラストを構築物でトランスフェクトし、Zm7標的配列(配列番号28)内で編集を誘導する有効性について評価した。ここで、第1の構築物は、植物発現可能なプロモーターによって駆動されるCas12aの発現のための発現カセットを含み、第2の構築物は、合成snRNAプロモーターによって駆動されるBmr3ゲノム遺伝子座を標的とするように設計されたgRNAの発現のための発現カセットを含む。
トウモロコシ葉プロトプラストに複数の構築物をトランスフェクトし、gRNAの発現を駆動する合成snRNAプロモーターの能力をアッセイし、その結果、Zm7標的部位(配列番号28)内の特定の配列を編集した。各プロトプラスト調製物を4つの異なる構築物でトランスフェクトした。第1の構築物は、構成的プロモーターを使用して、プロトプラスト細胞におけるCas12a(Cas12a_NLS、配列番号12)の発現を駆動するために使用した。第2の構築物を使用して、配列番号1~10からなる群から選択される合成snRNAプロモーターによって駆動される、Zm7遺伝子座を標的とするgRNAの発現を駆動した。第3及び第4の構築物を使用して、それぞれ構成的プロモーターを使用して、ウミシイタケルシフェラーゼ遺伝子及びホタルルシフェラーゼ遺伝子の発現を駆動し、プロトプラストトランスフェクションの成功を評価した。
gRNAの発現を駆動するために使用される第2の構築物は、配列番号1~10からなる群から選択される合成snRNAプロモーターによって駆動され、以下の3つの異なるgRNAのうちの1つを含む:(1)gRNA-Zm.7.1b(配列番号30)(スペーサーNR-Zm.7.1b(配列番号29)を含み、Cas12a_NLSタンパク質がZm7標的配列内で切断するように指示する);(2)gRNA-Zm.7.1c(配列番号32)(スペーサーNR-Zm.7.1c(配列番号31)を含み、Cas12a_NLSタンパク質がZm7標的配列内で切断するように指示する);及び(3)gRNA-7.1c_7.1b(配列番号33)(Cas12a_NLSにZm7標的配列の両方の位置内で切断するように指示する)。10個の合成snRNAプロモーターのそれぞれに、3つすべてのgRNAを提供するために、合計30個の構築物を作製した。
トウモロコシ葉プロトプラストを、当技術分野で知られているものと同様のPEGベースのトランスフェクション法を使用して、上記の5種類の構築物(第1、第2、第3、第4、及び第5)でトランスフェクトした。ゲノムDNAは、トランスフェクション及びインキュベーション後に、プロトプラスト細胞から単離した。Bmr3標的部位の標的領域の周囲でDNA配列決定を実施した。各トランスフェクションを4回繰り返し、平均%InDelを4回の繰り返しに基づいて計算した。%InDel及び%InDelの正規化は、上記の実施例9に記載のとおり計算した。
表5は、2つの単一標的gRNA、gRNA-Zm.7.1b(配列番号30)及びgRNA-Zm.7.1c(配列番号32)に対応する平均%InDel及び平均正規化%InDelを示す。表6は、2標的gRNA、gRNA-7.1c_7.1b(配列番号33)に対応する平均%InDel及び平均正規化%InDelを示す。
Figure 2024515777000005
Figure 2024515777000006
表3及び4で確認できるように、各合成snRNAプロモーターは、gRNA発現を駆動して、標的部位におけるCas12a編集を指示することができた。Zm.7.1b部位の編集は、Zm.7.1c部位よりも低い効率であった。しかし、合成snRNAプロモーターは、gRNAの発現を駆動し、Cas12aによる編集に影響を与えることができた。
実施例11
安定に形質転換されたトウモロコシ植物におけるBmr3ゲノム遺伝子座を標的とするgRNAの発現の駆動における合成snRNAプロモーターのアッセイ
トウモロコシ植物を、植物発現可能なプロモーターによって駆動されるCas12aの発現のための発現カセットと、配列番号6~10として示される合成snRNAプロモーターによって駆動されるgRNAの発現のための発現カセットと、を含むプラスミド構築物で形質転換し、Bmr3標的配列(配列番号18)の特定の領域内の編集について評価した。
トウモロコシ植物を、以下の3つの発現カセットを含む5つのプラスミド構築物で形質転換した;グリホサート選択を使用して形質転換植物細胞を選択するための第1の発現カセット、植物発現可能なプロモーターを使用してCas12aを発現するための第2の発現カセット、及びgRNA、gRNA-Zm.Brm3_2691_3170(配列番号27)(Bmr3標的配列(配列番号18)の2つの領域内を切断するように、Cas12aに指示する配列番号6~10として示される合成snRNAプロモーターによって駆動される)の発現のための第3の導入遺伝子カセット。
トウモロコシ植物を、Agrobacterium媒介形質転換法を使用して、上記の2つのプラスミド構築物で形質転換した。形質転換細胞は、当技術分野で知られている方法によって植物の形成を誘導された。形質転換されたR植物から葉組織サンプルを採取し、各サンプルからゲノムDNAを抽出した。1つ及び2つのコピーイベントを選択し、標的部位にわたる領域の配列決定を実施した。平均InDelパーセンテージは、各標的部位で観察された挿入及び欠失の数に基づいて計算した。表7は、Bmr3標的配列内の2つの標的部位のそれぞれについて計算した平均InDelパーセンテージを示す。
Figure 2024515777000007
上記の表7で確認できるように、合成snRNAプロモーターの各々は、gRNA発現を駆動して、Bmr3標的配列の標的部位におけるCas12a編集を指示することができた。
実施例12
安定に形質転換されたトウモロコシ植物におけるZm7ゲノム遺伝子座を標的とするgRNAの発現の駆動における合成snRNAプロモーターのアッセイ
トウモロコシ植物を、植物発現可能なプロモーターによって駆動されるCas12aの発現のための発現カセットと、配列番号6~10として示される合成snRNAプロモーターによって駆動されるgRNAの発現のための発現カセットと、を含むプラスミド構築物で形質転換し、Zm7標的配列(配列番号28)の特定の領域内の編集について評価した。
トウモロコシ植物を、以下の3つの発現カセットを含む5つのプラスミド構築物で形質転換した;グリホサート選択を使用して形質転換植物細胞を選択するための第1の発現カセット、植物発現可能なプロモーターを使用してCas12aを発現するための第2の発現カセット、及びgRNA、gRNA-7.1c_7.1b(配列番号33)(Zm7標的配列(配列番号28)の2つの領域内を切断するように、Cas12aに指示する配列番号6~10として示される合成snRNAプロモーターによって駆動される)の発現のための第3の導入遺伝子カセット。
トウモロコシ植物を、Agrobacterium媒介形質転換法を使用して、上記の2つのプラスミド構築物で形質転換した。形質転換細胞は、当技術分野で知られている方法によって植物の形成を誘導された。形質転換されたR植物から葉組織サンプルを採取し、各サンプルからゲノムDNAを抽出した。1つ及び2つのコピーイベントを選択し、標的部位にわたる領域の配列決定を実施した。平均InDelパーセンテージは、各標的部位で観察された挿入及び欠失の数に基づいて計算した。表8は、Zm7標的配列(配列番号28)内の2つの標的部位のそれぞれについて計算した平均InDelパーセンテージを示している。
Figure 2024515777000008
上記の表8で確認できるように、合成snRNAプロモーターの各々は、gRNA発現を駆動して、Zm7標的配列の標的部位におけるCas12a編集を指示することができた。
*******
本発明の原理を例示及び説明したが、かかる原理から逸脱することなく、本発明の編成及び詳細を変更することができることが、当業者には明らかであるはずである。発明者らは、特許請求の範囲の趣旨及び範囲内にある全ての変更を特許請求する。本明細書で引用される全ての刊行物及び公開された特許文献は、あたかも個々の刊行物または特許出願の各々が参照により援用されることが明確かつ個別に示されているのと同じ程度まで、これにより本明細書に援用される。

Claims (29)

  1. 以下からなる群から選択されるDNA配列を含む合成核内低分子RNA(snRNA)プロモーター:
    a.配列番号1~10のいずれかと少なくとも85%の配列同一性を有する配列;
    b.配列番号1~10のいずれかを含む配列;及び
    c.配列番号1~10のいずれかの断片。
  2. 前記配列が、配列番号1~10のいずれかのDNA配列に対し少なくとも90%の配列同一性を有する、請求項1に記載の合成snRNAプロモーター。
  3. 前記配列が、配列番号1~10のいずれかのDNA配列に対し少なくとも95%の配列同一性を有する、請求項1に記載の合成snRNAプロモーター。
  4. 前記断片が、遺伝子調節活性を含む、請求項1に記載の合成snRNAプロモーター。
  5. ガイドRNA(gRNA)をコードするDNA配列に作動可能に連結された合成snRNAプロモーターを含む組換えDNA構築物であって、前記合成snRNAプロモーターの配列が、配列番号1~10のいずれか、またはその断片であり、前記断片が、遺伝子調節活性を含む、前記組換えDNA構築物。
  6. 転写終結配列をさらに含む、請求項5に記載の組換えDNA構築物。
  7. I型CRISPR関連タンパク質、II型CRISPR関連タンパク質、III型CRISPR関連タンパク質、IV型CRISPR関連タンパク質、V型CRISPR関連タンパク質、またはVI型CRISPR関連タンパク質に作動可能に連結されたプロモーターをコードするDNA配列をさらに含む、請求項5に記載の組換えDNA構築物。
  8. CRISPR関連タンパク質が、少なくとも1つの核局在化配列(NLS)にさらに作動可能に連結されている、請求項7に記載の組換えDNA構築物。
  9. 前記CRISPR関連タンパク質が、Cas1、Cas1B、Cas2、Cas3、Cas4、Cas5、Cas6、Cas7、Cas8、Cas9、Cas10、Cas12a、Csy1、Csy2、Csy3、Cse1、Cse2、Csc1、Csc2、Csa5、Csn2、Csm2、Csm3、Csm4、Csm5、Csm6、Cmr1、Cmr3、Cmr4、Cmr5、Cmr6、Csb1、Csb2、Csb3、Csx17、Csx14、Csx10、Csx16、CsaX、Csx3、Csx1、Csx15、Csf1、Csf2、Csf3、Csf4、CasX、CasY、及びMad7からなる群から選択される、請求項7に記載の組換えDNA構築物。
  10. ノンコーディングRNAを指定する配列に作動可能に連結された合成snRNAプロモーターを含む組換えDNA構築物であって、前記合成snRNAプロモーターの配列が、配列番号1~10のいずれかまたはその断片であり、前記断片が、遺伝子調節活性を含む、前記組換えDNA構築物。
  11. 前記ノンコーディングRNAが、ガイドRNA(gRNA)、シングルガイドRNA(sgRNA)、crRNA、pre-crRNA、tracrRNA、PEgRNA、マイクロRNA(miRNA)、miRNA前駆体、低分子干渉RNA(siRNA)、低分子RNA(長さ22~26nt)及びそれをコードする前駆体、ヘテロクロマチンsiRNA(hc-siRNA)、Piwi相互作用RNA(piRNA)、ヘアピン二本鎖RNA(ヘアピンdsRNA)、トランス作用性siRNA(ta-siRNA)、及び天然に存在するアンチセンスsiRNA(nat-siRNA)からなる群から選択される、請求項10に記載の組換えDNA構築物。
  12. ガイドRNA(gRNA)をコードするDNA配列に作動可能に連結された合成snRNAプロモーターを含む少なくとも第1の発現カセットを含む組換えDNA構築物であって、前記プロモーターの配列は、配列番号1~10のいずれかまたはその断片を含み、前記断片は、遺伝子調節活性を含む、前記組換えDNA構築物。
  13. 少なくとも第2の発現カセットをさらに含み、前記第1のgRNAをコードする前記配列が、前記第2のgRNAをコードする前記配列とは異なる、請求項12に記載の組換えDNA構築物。
  14. 前記第1のgRNAをコードする前記配列に作動可能に連結された前記合成snRNAプロモーターが、前記第2のgRNAをコードする前記配列に作動可能に連結された前記合成snRNAプロモーターとは異なる、請求項13に記載の組換えDNA構築物。
  15. それぞれ長さが約200~1200bpである隣接する左及び右の相同性アーム(HA)を含む、請求項14に記載の構築物。
  16. 前記相同性アームの長さが、約230~1003bpである、請求項15に記載の構築物。
  17. a.配列番号1~10またはその断片からなる群から選択される第1の合成snRNAプロモーターであって、前記断片が、遺伝子調節活性を含み、ノンコーディングRNAをコードするDNA配列に作動可能に連結されている、前記第1の合成snRNAプロモーターと;
    b.配列番号1~10またはその断片からなる群から選択される第2の合成snRNAプロモーターであって、前記断片が、遺伝子調節活性を含み、ノンコーディングRNAをコードするDNA配列に作動可能に連結されている、前記第2の合成snRNAプロモーターと;
    を含む、組換えDNA構築物であって、
    ここで、前記第1の合成snRNAプロモーターと前記第2の合成snRNAプロモーターとが異なる、前記組換えDNA構築物。
  18. 前記第1の合成snRNAプロモーターをコードする前記配列及び前記第2の合成snRNAプロモーターをコードする前記配列はそれぞれ、配列番号1~10のいずれか、またはその断片を含み、ここで、前記断片は、遺伝子調節活性を含む、請求項17に記載の組換えDNA構築物。
  19. 配列番号1~10またはその断片からなる群から選択される1つ以上の追加の合成snRNAプロモーターを指定する配列をさらに含む、請求項17~18のいずれか1項に記載の組換えDNA構築物であって、ここで、前記断片は、遺伝子調節活性を含み、ノンコーディングRNAをコードするDNA配列に作動可能に連結されており、ここで、前記第1の合成snRNAプロモーター、前記第2の合成snRNAプロモーター、及び前記1つ以上の追加の合成snRNAプロモーターのそれぞれが異なる、前記組換えDNA構築物。
  20. 前記1つ以上の追加の合成snRNAプロモーターを指定する前記配列が、配列番号1~10またはその断片からなる群から選択され、ここで、前記断片が、遺伝子調節活性を含む、請求項19に記載の組換えDNA構築物。
  21. 前記組換えDNA構築物が3、4、5、6、7、または8個の合成snRNAプロモーターを含む、請求項19~20のいずれか1項に記載の組換えDNA構築物。
  22. 前記ノンコーディングRNAが、植物細胞の染色体中の異なる選択された標的部位を標的とするgRNAである、請求項17~21のいずれか1項に記載の組換えDNA構築物。
  23. CRISPR関連タンパク質をコードするDNA配列に作動可能に連結されたプロモーターをコードするDNA配列をさらに含む、請求項17~22のいずれか1項に記載の組換えDNA構築物。
  24. 前記CRISPR関連タンパク質が、Cas1、Cas1B、Cas2、Cas3、Cas4、Cas5、Cas6、Cas7、Cas8、Cas9、Cas10、Cas12a、Csy1、Csy2、Csy3、Cse1、Cse2、Csc1、Csc2、Csa5、Csn2、Csm2、Csm3、Csm4、Csm5、Csm6、Cmr1、Cmr3、Cmr4、Cmr5、Cmr6、Csb1、Csb2、Csb3、Csx17、Csx14、Csx10、Csx16、CsaX、Csx3、Csx1、Csx15、Csf1、Csf2、Csf3、Csf4、CasX、CasY、及びMad7からなる群から選択される、請求項23に記載のCRISPR関連タンパク質。
  25. 請求項5、請求項10、請求項12、及び請求項17からなる群から選択される組換えDNA構築物を含む細胞。
  26. 前記細胞が、植物細胞である、請求項25に記載の細胞。
  27. 前記植物細胞が、単子葉植物細胞である、請求項26に記載の植物細胞。
  28. 前記植物細胞が、双子葉植物細胞である、請求項26に記載の植物細胞。
  29. 前記植物細胞が、トウモロコシ植物細胞、ダイズ植物細胞、ワタ植物細胞、ピーナッツ植物細胞、オオムギ植物細胞、オートムギ植物細胞、カモガヤ植物細胞、イネ植物細胞、モロコシ植物細胞、サトウキビ植物細胞、トールフェスク植物細胞、芝草植物細胞、コムギ植物細胞、アルファルファ植物細胞、キャノーラ植物細胞、キャベツ植物細胞、マスタード植物細胞、ルタバガ植物細胞、カブ植物細胞、ケール植物細胞、ブロッコリー植物細胞、カリフラワー植物細胞、コショウ植物細胞、マメ植物細胞、ササゲ植物細胞、ヒヨコマメ植物細胞、ヒョウタン植物細胞、レタス植物細胞、キュウリ植物細胞、メロン植物細胞、ニンジン植物細胞、トマト植物細胞、ダイコン植物細胞、ジャガイモ植物細胞、及び観賞用植物細胞からなる群から選択される、請求項26に記載の植物細胞。
JP2023565870A 2021-04-30 2022-04-28 植物調節エレメント及びその使用 Pending JP2024515777A (ja)

Applications Claiming Priority (5)

Application Number Priority Date Filing Date Title
US202163182288P 2021-04-30 2021-04-30
US63/182,288 2021-04-30
US202163295061P 2021-12-30 2021-12-30
US63/295,061 2021-12-30
PCT/US2022/026754 WO2022232407A2 (en) 2021-04-30 2022-04-28 Plant regulatory elements and uses thereof

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2024515777A true JP2024515777A (ja) 2024-04-10

Family

ID=83848893

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2023565870A Pending JP2024515777A (ja) 2021-04-30 2022-04-28 植物調節エレメント及びその使用

Country Status (7)

Country Link
US (1) US20220372502A1 (ja)
EP (1) EP4330403A2 (ja)
JP (1) JP2024515777A (ja)
AU (1) AU2022264019A1 (ja)
BR (1) BR112023020555A2 (ja)
CA (1) CA3217328A1 (ja)
WO (1) WO2022232407A2 (ja)

Family Cites Families (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP3971283A1 (en) * 2014-02-27 2022-03-23 Monsanto Technology LLC Compositions and methods for site directed genomic modification

Also Published As

Publication number Publication date
CA3217328A1 (en) 2022-11-03
AU2022264019A1 (en) 2023-10-19
US20220372502A1 (en) 2022-11-24
EP4330403A2 (en) 2024-03-06
WO2022232407A3 (en) 2022-12-22
BR112023020555A2 (pt) 2023-12-05
WO2022232407A2 (en) 2022-11-03

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US11566254B2 (en) Compositions and methods for site directed genomic modification
US11702667B2 (en) Methods and compositions for multiplex RNA guided genome editing and other RNA technologies
CN110709519B (zh) 表达调控元件及其用途
US20200354734A1 (en) New strategies for precision genome editing
WO2019185609A1 (en) Method for increasing the expression level of a nucleic acid molecule of interest in a cell
CN116390644A (zh) 通过基因组编辑产生具有改进的转基因基因座的植物
US10941412B2 (en) Citrus varieties resistant to Xanthomonas citri infection
JP2024515777A (ja) 植物調節エレメント及びその使用
CN117242181A (zh) 植物调控元件及其用途
Alburquerque et al. New transformation technologies for trees
Bi Gene editing of rice miRNA and argonaute genes
CN116529377A (zh) 遗传调节元件
CN116529370A (zh) 具有特征性原间隔子相邻基序或特征性指导rna识别位点的可切除植物转基因基因座
CN116367714A (zh) 具有经修饰的转基因基因座的转基因作物植物的基因组编辑
Weeks et al. Efficient CRISPR/Cas9-Mediated Gene Editing in Arabidopsis thaliana and Inheritance of Modified Genes in the T2 and T3 Generations