JP2024509326A - 光ワイヤレスポイントツーポイントシステムにおける飽和を回避するための方法及び装置 - Google Patents

光ワイヤレスポイントツーポイントシステムにおける飽和を回避するための方法及び装置 Download PDF

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Abstract

ポイントツーポイント光ワイヤレス通信システムにおける装置200であって、当該装置は、信号を受信するように構成される光レシーバ210と、受信信号の信号強度を検出するように構成されるパワーディテクタ202と、受信信号を復調する及び受信信号のデータレートを測定するように構成されるデジタルベースバンドモジュール203と、検出された信号強度がある閾値を上回る場合、測定されたデータレートの変化に応じてゲイン設定調整を導出するように構成されるコントローラ204とを含む。

Description

本発明は、光ワイヤレス通信の分野に関する。とりわけ、ポイントツーポイント光ワイヤレス通信システム(point-to-point optical wireless communication system)におけるゲイン制御に関する、様々な方法、装置、システム、及びコンピュータ可読媒体が本明細書で開示される。
近年、データ収集、アナリティクス、機械学習、拡張現実等、広範囲の技術の進歩が、スマート、オートメーションファクトリー(smart, automated factory)の台頭に拍車をかけている。インダストリー4.0(Industry 4.0)は、製造技術における自動化及びデータ交換の現在のトレンドである。これには、サイバーフィジカルシステム(cyber-physical system)、モノのインターネット(Internet of things)、クラウドコンピューティングが含まれる。まだ、コネクティビティは、インダストリー4.0の可能性をフルに発揮するためのクリティカルな障壁であり続けている。今日の最先端ファクトリーでさえ、Wi-Fi(登録商標)等、既存の無線周波数(RF:radio frequency)ベースの技術に大きく依存している。しかしながら、RFベースの通信技術は、RFが許容されないか、金属表面から生じるマルチパスに起因してうまくいかない産業環境において一定の制限がある。
高度なコネクティビティ技術の出現は、信頼できる代替手段を製造業者に提供する可能性がある。光ワイヤレス通信、とりわけ、Li-Fiポイントツーポイント通信は、厳しい産業環境においてRF通信に代わる信頼性の高い高速代替手段として台頭してきている。これは、機械及び製造ロボットのワイヤレス制御等、クリティカルな通信を可能にし、インダストリー4.0の可能性をフルに引き出す可能性がある。
本発明者らは、生産ライン及び自動機械のユースケースについて、解決されるべき現実的な問題の1つは、インターフェースされる必要がある2つのデバイス間の距離が、機械の動きに追従して、常に変化する可能性があることであることを認識している。通信リンク自体は、あるレベルのパスロス変動(pathloss variation)を許容するかもしれないが、急激な変化(drastic change)は、リンクの深飽和(deep saturation)又は遮断(breaking)につながる可能性がある。
上記に鑑みて、本開示は、ゲイン制御に関する判断が、受信信号強度に基づくだけでなく、リンク上の実際のデータレートの変化にも相関して決定される、ポイントツーポイント光ワイヤレス通信システムにおける高度な自動ゲイン制御スキームのための方法、装置、システム、コンピュータプログラム及びコンピュータ可読媒体に関する。これは、レシーバの飽和領域において最適な受信性能が実現される場合に特に有効である。対照的に、純粋に受信信号強度に依拠している、従来のゲイン制御アプローチでは、最適とは言えない受信性能しか実現されることができない。
とりわけ、本発明の目的は、請求項1に記載の装置、請求項9及び10に記載のポイントツーポイント光ワイヤレス通信システム、請求項11に記載の装置の方法、及び請求項12に記載のコンピュータプログラムによって達成される。
本発明の第1の態様によれば、装置が提供される。ポイントツーポイント光ワイヤレス通信システムにおける装置であって、当該装置は、信号を受信するように構成される光レシーバ(optical receiver)と、受信信号の信号強度を検出するように構成されるパワーディテクタ(power detector)と、受信信号を復調する及び受信信号のデータレートを測定するように構成されるデジタルベースバンドモジュール(digital baseband module)と、検出された信号強度がある閾値を上回る場合、測定されたデータレートの変化に応じてゲイン設定調整(gain setting adjustment)を導出するように構成されるコントローラとを含む。
ポイントツーポイント光ワイヤレス通信(OWC)は、通常、直接且つ遮るもののない経路、又はライオンオブサイト(Line-of-Sight)経路で2つのリモートデバイス間の高速通信をサポートする。OWCは、産業環境における有線通信に代わる優れた代替であり、RFベースのワイヤレス通信と比較してマルチパス効果も低減する。OWCシステムは、可視光、赤外線(IR)、又は紫外線(UV)スペクトルで動作してもよい。
光レシーバは、光信号を受信する及び電気信号に変換するように構成され、パワーディテクタは、信号強度を検出するために使用される。パワーディテクタは、エネルギディテクタ(energy detector)と呼ばれてもよい。受信信号は、デジタルベースバンドモジュールにおいて復調され、デジタルデコードされ、その際、デジタルベースバンドモジュールは、信号のリアルタイムデータレートを監視する。受信信号がある閾値を上回る又は飽和領域(saturation region)に入るとみなされる場合、コントローラは、受信信号の測定されたデータレートの変化に基づいてゲイン設定調整を導出するように構成される。閾値は、アプリケーションシナリオ又はハードウェア特性に応じてユーザによって事前定義されてもよい。
有益には、コントローラは、検出された信号強度がある閾値を上回り、測定されたデータレートが低下する場合、ゲインリダクション(gain reduction)のためのゲイン設定調整を導出するように構成される。
従来のゲイン制御アプローチと比較して、ゲイン調整は、純粋に検出された信号強度に依拠するのではなく、データレートの変化も考慮に入れる。これは、レシーバがあるレベルの飽和を許容することができ、当該領域において最大データレートが達成されるような場合に極めて有益であり得る。さらに、離散コンポーネントで構成されるシステムにおいて、レシーバチェーンの異なるステージに沿った個々のコンポーネントの線形性が、システムレベルで最適化されなくてもよい。場合によっては、これらのパラメータを別個に測定するのは極めて複雑であり、ましては不可能でさえあり得る。
斯くして、測定されたデータレートの変化を観察することによりこのような最適動作点を決定することは有利である。信号が、ある閾値を上回る等、強い場合、達成データレート(achieved data rate)は、最適動作点を示す最大点を経験する可能性がある。それゆえ、コントローラは、例えば2つの通信デバイスが互いに向かって移動することによって生じ得る、過飽和受信信号(over-saturated received signal)をコンディショニングする(condition)ために負のゲイン設定調整を導出するように構成される。
有利には、光レシーバは、フォトダイオードと、フォトダイオードの出力を増幅するように構成されるトランスインピーダンスアンプ(TIA:transimpedance amplifier)とを含み、コントローラは、TIAにゲイン設定調整を適用するように構成される。
フォトダイオードは、デバイスの動作モードに基づいて光を電流又は電圧に変換する半導体デバイスである。場合によっては、フォトダイオードは、フォトディテクタ(photo detector)、光ディテクタ(light detector)、又はフォトセンサ(photo sensor)とも呼ばれる。フォトダイオードは、構造が様々であってもよく、光学フィルタ、ビルトインレンズ(built-in lens)を含んでもよく、大きい又は小さい表面エリアを有してもよい。フォトダイオードは、通常、表面エリアが増加すると応答時間が遅くなる。デバイスの構造に依存して、フォトダイオードは、PNフォトダイオード、ショットキーフォトダイオード、PINフォトダイオード、及びアバランシェフォトダイオード等、異なるタイプに分類されることができる。異なるタイプのフォトダイオードは異なって機能する可能性があるが、これらのダイオードの基本的な動作は同じままである。
TIAは電流-電圧コンバータの一種であり、電圧応答よりも電流応答が線形であるセンサによく使用される。フォトダイオードからの出力電気信号は典型的には小さいため、フォトダイオードからの信号を、さらなる処理のためにより大きなスイング及び/又は振幅を有する信号に増幅することは有益である。それゆえ、TIAは、フォトダイオードの受信信号をコンディショニングするための初段アンプ(first stage amplifier)として非常によく使用される。
好ましいセットアップにおいて、コントローラによって導出されるゲイン設定調整はTIAに適用される。斯くして、受信信号は、さらなるデジタル処理のために適切な範囲にコンディショニングされることができる。
有利には、パワーディテクタは、TIAよりも大きなダイナミックレンジを有する。
ダイナミックレンジは、典型的には、デシベル(dB)で表され、回路、コンポーネント、又はシステムが扱える最も高い信号レベルと、扱える最も低い信号レベルの比である。最も低い信号レベルは、通常、回路、コンポーネント、又はシステムのノイズフロア、及び所要の最小信号対ノイズ比(SNR)によって決定される。最も高い信号レベルは、通常、信号が歪まない又は飽和しないように、回路、コンポーネント、又はシステムの線形性によって決定される。
市販されている製品を考慮すると、TIAのダイナミックレンジは、典型的には、極めて限定される。2つの通信デバイスが互いに近づきすぎる場合、受信信号が増加し、レシーバ側でのTIAが飽和領域に入り、クリッピングが生じる可能性がある。対照的に、別個のコンポーネントとして、専用のパワーディテクタは、通常、TIAと比較してはるかに強い入力信号を許容することができる。それゆえ、信号強度を正確に測定するためにパワーディテクタを使用することは有益である。
別の例において、コントローラは、装置に接続される光トランスミッタ(optical transmitter)にゲイン設定調整を提供するように構成される。
TIA等、レシーバチェーンにゲイン調整を適用する代わりに又はそれに加えて、装置にローカルに接続される光トランスミッタ等、トランスミッタチェーンにゲイン調整を適用することも有益であり得る。斯くして、ローカル通信デバイスは、同じハウジングに装置及び光トランスミッタの両方を含む、双方向光通信をサポートする光トランシーバ(optical transceiver)である。このようなゲイン調整メカニズムは、双方向光リンクが対称的であることを前提とし、2つのリモートデバイスは、同一又は類似の出力パワーレベルを使用してもよい。実際には、これは、特にポイントツーポイント光ワイヤレス通信にとって、非常によくあるシナリオである。それゆえ、装置によってリモートデバイスから受信される第1の信号に基づいてゲイン設定調整が導出されると、コントローラは、リモートデバイスに第2の信号を送信するためにコロケートされたトランスミッタ(co-located transmitter)にゲイン調整を適用してもよい。
有益には、光トランスミッタは、光源及びアンプを含む、光フロントエンドを含んでもよい。アンプは、相応に光源を駆動する電気信号を増幅するために異なるゲイン設定を適用するように制御される。光源は、発光ダイオード(LED)、レーザダイオード、垂直キャビティ面発光レーザ(VCSEL)、又はLED及びVCSELの両方を含むハイブリッドフロントエンドのいずれかであってもよい。このオプションにおいて、装置のコントローラは、光トランスミッタのアンプにゲイン設定調整を直接適用するように構成される。
一例において、信号のピーク対平均パワー比(PAPR:peak-to-average power ratio)は、少なくとも3dBである。
PAPRは、信号の二乗平均平方根(RMS:root mean square)値に対するピーク振幅の比の二乗を表す。PAPRは、信号をその波形の観点から特徴付け、斯くして、非線形歪み及び/又は振幅歪みにセンシティブである。有利には、8PSK、OQPSK、64QAM、OFDM等、ある変調方式で一般的にそうであるように、装置によって受信される信号は3dB以上のPAPRを有する。PAPRの領域は、信号に適用される変調スキームの指標にもなる。高次振幅変調は、典型的には、より大きなPAPRをもたらす。
開示されるスキームは、大きなPAPRを有する信号に対して極めて有益である。純粋に受信信号強度に基づく従来のゲイン制御方式では、レシーバが、信号のピークパワーによって通常決定される、受信信号の飽和を検出する限り、システムは、アンプのゲインを下げることになる。しかしながら、実用的なシステムでは、ピークパワーがレシーバチェーン内のあるコンポーネントを飽和させる可能性がある場合でも、レシーバが信号を正しく復調及びデコードすることを可能にするあるマージンがまだ残っている。当該動作領域は、最大スループットが達成されることに寄与する可能性がある。このようにして、性能が向上する可能性がある。
好ましくは、信号は、スペクトル拡散変調(spread spectrum modulation)によるものである。
マルチキャリアスペクトル拡散技術には、チャネル容量の向上及びマルチユーザ干渉に対するロバスト性という利点がある。通信チャネルのプロファイルに依存して、異なるサブキャリアに異なる次数の変調を適用する等、適応ビットローディング(adaptive bit loading)により、チャネル容量はさらに増大されることができる。斯くして、これは、ポイントツーポイント光ワイヤレス通信システムで使用されるのに好ましい変調である。
有益には、信号は、直交周波数分割多重(OFDM:orthogonal frequency-division multiplexing)信号である。
OFDMは、狭帯域干渉又は周波数選択性フェージング等、厳しいチャネル条件に対してロバストであるという大きな利点を持つため、多くの通信システムにおけるデジタルマルチキャリア変調方法として広く使用されている。また、全帯域を複数のサブキャリアに分割することにより、システムは、個々のサブキャリアに異なる変調及びコーディング方式を適用するフレキシビリティを有し、これは、チャネルの容量を最大化するために使用され得る。光ワイヤレス通信では、ACO-OFDM、DCO-OFDM、ADO-OFDM及び/又はフリップOFDM(Flip OFDM)等、ユニポーラOFDM変調技術が典型的には採用される。
好ましいセットアップにおいて、ポイントツーポイント光ワイヤレス通信システムは、OFDMベースのマルチキャリアシステムである。
本発明の第2の態様によれば、ポイントツーポイント光ワイヤレス通信システムが提供される。ポイントツーポイント光ワイヤレス通信システムは、リモート光受信デバイス(remote optical receiving device)に信号を送信するように構成される光送信デバイス(optical transmitting device)と、本発明による装置を含むリモート光受信デバイスとを含む。
第1の可能なセットアップにおいて、開示されるゲイン制御スキームは、リモート光受信デバイスで適用される。ゲイン設定調整は、現在受信している信号に基づいて装置のコントローラによって導出され、その後、ゲイン設定調整は、レシーバチェーンにおけるTIAに直接適用される。斯くして、受信信号にリアルタイムゲイン調整が適用される。
別のセットアップにおいて、ポイントツーポイント光ワイヤレス通信システムは、本発明による第1の装置及びこれに接続される第1の光トランスミッタを含む第1の光トランシーバデバイス(optical transceiver device)と、本発明による第2の装置及びこれに接続される第2の光トランスミッタを含む第2の光トランシーバデバイスとを含み、第1の光トランシーバデバイスは、第2の光トランシーバデバイスに第1の信号を送信するように構成され、第2の光トランシーバデバイスは、第1の信号を受信する、及び、第1の光トランシーバデバイスに別の信号を送信するために第2の光トランスミッタに第1の信号から導出されるゲイン設定調整を適用するように構成される。
この第2の可能なセットアップにおいて、開示されるゲイン制御スキームは、第1の光トランシーバに新しいパケットを送信するために第2の光トランシーバデバイスで適用される。ゲイン設定調整は、先に(earlier on)第1の光トランシーバから受信された第1の信号に基づいて第2の光トランシーバデバイスによって導出される。根本的な前提は、第1の光トランシーバ及び第2の光トランシーバが双方向ポイントツーポイントリンクを有し、双方向リンクが対称的であることである。それゆえ、別の信号を第1の光トランシーバデバイスに送信するために第2の光トランスミッタにゲイン設定調整を適用することにより、別の信号が第1の光トランシーバデバイスにおいて飽和する状況が回避される。その際、同じゲイン設定調整が、第1の光トランシーバデバイスからの第1の信号又は任意の来る信号(upcoming signal)の受信のために第2の光トランシーバデバイスの受信チェーンにおけるTIAにも適用されてもよい。
本発明の第3の態様によれば、装置の方法が提供される。ポイントツーポイント光ワイヤレス通信システムにおける装置の方法であって、当該方法は、装置が、信号を受信することと、受信信号の信号強度を検出することと、受信信号を復調する及び受信信号のデータレートを測定することと、検出された信号強度がある閾値を上回る場合、測定されたデータレートの変化に応じてゲイン設定調整を導出することとを含む。
方法はさらに、装置が、検出された信号強度がある閾値を上回り、測定されたデータレートが低下する場合、ゲインリダクションのためのゲイン設定調整を導出することを含む。
本発明はさらに、コンピュータプログラムであって、当該プログラムが処理手段を含む装置によって実行された場合、処理手段に本発明で開示される装置の方法を実行させるコード手段を含む、コンピュータプログラムに具現化されてもよい。
図面中、同様の参照文字は、一般に、異なる図にわたって同じ部分を指す。また、これらの図面は、必ずしも正しい縮尺ではなく、その代わりに、全般的に、本発明の原理を例示することに重点が置かれている。
双方向ポイントツーポイント通信リンクを示す。 2つの通信デバイス間の距離によるスループットの変化を示す。 装置の基本的な構成要素を概略的に示す。 装置の基本的な構成要素の一例を概略的に示す。 装置の制御ループの一例を示す。 装置の制御ループの別の例を示す。 ポイントツーポイント通信システムの一例を示す。 ポイントツーポイント通信システムの一例を示す。 装置の方法のフローチャートを示す。
以下で述べられる実施形態は、当業者が実施形態を実践することを可能にするための情報を表し、実施形態を実践するための最良の態様を例証する。添付の図面に照らして以下の記述を読むことで、当業者は、本開示の概念を理解し、本明細書で特に取り上げられていないこれらの概念の応用を認識するであろう。これらの概念及び応用は本開示の範囲内であることが理解されるべきである。
通信システムは、可視光、紫外線(UV:Ultraviolet)、赤外線(IR:Infrared)等、光学帯域(optical band)で動作する、ポイントツーポイント光ワイヤレス通信システムである。図1は、2つのトランシーバTRX1及びTRX2で構成される、Li-Fi又は自由空間光(FSO:free-space-optical)ポイントツーポイント通信システムの簡略版を示している。各トランシーバは、ITU g.hn/g.vlc又はIEEE準拠のベースバンドであってもよい、ベースバンドモジュールBB、光レシーバRX、光トランスミッタTX、及びEthernet(登録商標)接続ETH等、外部デバイスへの接続を含む。両トランシーバユニットはアラインされ(aligned)、距離d離れ、自由空間光接続又はLi-Fi接続を確立する。トランシーバの一方は、EthernetポートETH等の接続ポートを介してマシン又はデバイスに接続されてもよく、他方のトランシーバは、同じマシン若しくはデバイスの他の部分、又は対応するEthernetポートETHを介して外部ネットワークにインターフェースする、異なるマシン若しくはデバイスに設けられてもよい。
2つのトランシーバ間の距離dが、cmのオーダ等、小さすぎる場合、受信信号は、図2に描かれているような挙動に従って、スループットが急速に低下する飽和領域に入る可能性がある。図からわかるように、距離が縮まり飽和領域に入る場合スループットは低下するが、信号強度は低下せず、高いレベルを維持する。また、特定のスループットは、飽和領域内の距離又はスループットが距離とともに減衰する飽和領域外の距離(それゆえ、調整は必要とされない)のいずれかに対応することができる。図中、点「a」及び「b」は等しいスループット又は同じデータレートを示すが、点「a」の場合、レシーバ又は対向するトランスミッタのゲインが、スループットを増加させるために下げられる必要がある。
それゆえ、トランシーバが飽和距離にあることを検出するために、2つのアプローチがあり得る:
・ デバイスの一方に設置される飛行時間(ToF:time-of-flight)センサで実際の距離を検出する。この解決策は可能ではあるが、デバイスが完全にアラインされていない場合、ToFセンサが誤った測定結果を報告する可能性があるため、問題が生じる可能性がある。
・ 実際のスループット又はデータレートを受信信号強度と相関させる。信号強度が高い又はある閾値を上回るが、スループットが落ちる場合、トランシーバ間の距離は飽和ゾーン内にあり、斯くして、ゲインが下げられる必要がある。
それゆえ、本発明は、2つのデバイスが接近しすぎであり、受信パワーが高すぎる場合のポイントツーポイントLi-Fi又はFSO通信システムにおけるレシーバ飽和の問題に対処する。例えば、自動機械の2つのセグメントが高速で信頼性の高い接続によって接続される必要があり、これら2つのデバイス間のパスロスの変動が非常に大きく、特定点において、デバイス間の距離が短すぎ、飽和に起因してデータレートが下がるような産業セットアップに適用可能である。
一方、図2に示されるような曲線の反射点の近く等、データレートが最大化される、最適動作点に近づくことも望ましい。レシーバが受信信号のあるレベルの飽和を許容し得、最適動作点が飽和ゾーンに位置することを考慮すると、本発明で開示される装置にとって、受信信号強度と実際のスループット又はデータレートの変化とを相関させることによりゲイン調整を決定することは有利である。
図3は、装置200の基本的な構成要素を概略的に示している。装置200は、少なくとも光レシーバ210、パワーディテクタ202、デジタルベースバンドモジュール203、及びコントローラ204を含む。コントローラ204は、マイクロコントローラ(MCU)等、低消費電力プロセッサ又はコントローラであってもよい。光レシーバ210は、信号を受信するように構成され、デジタルベースバンドモジュール203に信号を供給する。デジタルベースバンドモジュール203は、受信信号を復調する及び受信信号のデータレートを測定するように構成される。一方、パワーディテクタ202は、信号強度を検出するように構成される。信号強度及び測定されたデータレートに関する情報を用いて、コントローラ204は、検出された信号強度がある閾値を上回る場合、測定されたデータレートの変化に応じてゲイン設定調整を導出するように構成される。
装置200の基本的な構成要素の別の例が図4に示され、ここでは、光レシーバ210が、フォトダイオード(PD)211と、トランスインピーダンスアンプ(TIA)212とを含んでいる。場合によっては、フォトダイオード211は、フォトディテクタ、光ディテクタ、又はフォトセンサとも呼ばれる。フォトダイオードは、光学フィルタ及びビルトインレンズを含んでもよい。デバイスの構造に依存して、フォトダイオードは、PNフォトダイオード、ショットキーフォトダイオード、PINフォトダイオード、及びアバランシェフォトダイオード等、異なるタイプに分類されることができる。TIA212は、フォトダイオード又はフォトディテクタ211の電気出力を増幅するように構成される。この例では、コントローラ204はさらに、TIA212にゲイン設定調整を適用するように構成される。斯くして、レシーバチェーンのゲインが相応に調整される。
図5は、装置200の制御ループのより詳細な例を示している。フォトダイオード211は光信号を受信し、これは、デジタルベースバンドモジュールBB203に到達する前に、後続のTIA212によって増幅される。パワーディテクタ202は信号強度を検出し、値が、内部又は外部アナログ/デジタルコンバータ(ADC)(図示せず)を用いてコントローラ204によって読み取られる。デジタルベースバンドモジュールBB203は、PHY層のデータレート又はスループットを測定し、これをコントローラ204に送信する。デジタルベースバンドモジュール203とコントローラとの間の接続は、有線通信プロトコル(例えば、UART)又は単純なGPIO値コーディングを介してもよい。その後、コントローラ204は、システムが飽和ゾーン内にあるかどうかを決定するために信号強度及び測定されたPHYデータレートの値に依存して判断する。そうである場合、コントローラ204は、深飽和を回避するためにTIA212のゲインにゲイン設定調整又は補正を適用する。その結果、スループット又はデータレートは、図2に示されるような曲線の最大点近くに、又は最大レベル近くにとどまる。斯くして、システム性能は最適化される。これは、フォトダイオード211がTIAよりもはるかに高いダイナミックレンジを有することを考えると、データレートが最高レベルに達する前にTIA212が飽和する、光レシーバチェーンのよくある問題を解決する。
図6は、装置200の制御ループの別の例を示している。この例では、光ビームがアラインされる場合、2つのリモートデバイス間のリンクは対称的であると想定される。受信信号の飽和が検出されると、TIAにゲイン調整を適用する代わりに、コントローラ204は、装置200に接続される光トランスミッタにゲイン調整を適用するように構成される。斯くして、リモートデバイスでの受信パワーが少なくなり、そこでの飽和を回避することにつながる。光トランスミッタは、少なくともアンプAMP及び光源を含む。光源は、発光ダイオード(LED)、レーザダイオード、垂直キャビティ面発光レーザ(VCSEL)、又はLED及びVCSELの両方を含むハイブリッドフロントエンドのいずれかであってもよい。斯くして、ゲイン設定調整は、光トランスミッタの光源に接続されるアンプに適用されてもよい。
図示しないさらなる例において、コントローラ204は、図5及び図6に示される例の組み合わせのように、レシーバチェーンにおけるTIA及びトランスミッタチェーンにおけるアンプの両方に同時にゲイン設定調整を適用するように構成されてもよい。利点は、ローカルデバイスにおいて現在の受信性能が向上するだけでなく、リモートにおけるピアデバイスの受信性能も向上することである。
図7は、ポイントツーポイント通信システム100の一例を示している。ポイントツーポイント光ワイヤレス通信システム100は、リモート光受信デバイス120に信号を送信するように構成される光送信デバイス110を含み、リモート光受信デバイス120は、本発明による装置200を含む。受信信号から導出されるゲイン設定調整は、受信チェーンに直接適用される。図には一方向リンクのみが示されているが、これは限定として理解されるべきではない。開示されるスキームは、双方向リンクにも適用されてもよい。
ポイントツーポイント通信システム100の別の例が図8に示されている。ポイントツーポイント光ワイヤレス通信システム100は、2つの同一の通信デバイス、第1の光トランシーバデバイス150及び第2の光トランシーバデバイス160を含む。両デバイス150、160は、本発明による装置200と、これに接続される(connected thereto)光トランスミッタ151、161とを含む。この例では、対称的な双方向リンクが想定される。上述したように、このセットアップにおいて、装置によって導出されるゲイン設定調整は、レシーバチェーン、トランスミッタチェーン、又はこれらの両方に適用されてもよい。
それゆえ、第1の光トランシーバデバイス150が第2の光トランシーバデバイス160に第1の信号を送信する場合、第2の光トランシーバデバイス160は、第1の信号を受信する、及び、第1の信号から導出されるゲイン設定調整を、
・ 第1の光トランシーバデバイス150に別の信号を送信するために第2の光トランスミッタ161に、又は
・ 受信された第1の信号、若しくは第1の光トランシーバデバイス150からの任意の来る信号をさらにコンディショニングするために第2の光トランシーバデバイス160に含まれる光レシーバに、又は
・ 第2の光トランスミッタ161及び第2の光トランシーバデバイス160に含まれる光レシーバの両方にゲイン設定調整を適用することにより前の2つのオプションの組み合わせに、
適用するように構成される。
双方向リンクを有する2つのリモート通信デバイスが、開示されるような同じスキームを実行する場合、これらが受信信号に反応する場合に同時に両方のトランシーバが送信ゲインを(TIAゲインの代わり)調整することによって引き起こされ得る不安定性(instability)を回避するためにこれらの間でコーディネートする(coordinate)ことが必要である可能性がある。
図9は、ポイントツーポイント光ワイヤレス通信システム100における装置200の方法500のフローチャートを示している。方法500は、装置200が、ステップS501において、信号を受信することと、ステップS502において、受信信号の信号強度を検出することと、ステップS503において、受信信号を復調する及び受信信号のデータレートを測定することと、ステップS504において、検出された信号強度がある閾値を上回る場合、測定されたデータレートの変化に応じてゲイン設定調整を導出することとを含む。
本発明による方法は、コンピュータ実施方法(computer implemented method)としてコンピュータで、又は専用のハードウェアで、又は両方の組み合わせで実施されてもよい。
本発明による方法のための実行可能コードは、コンピュータ/機械可読記憶手段に記憶されてもよい。コンピュータ/機械可読記憶手段の例としては、不揮発性メモリデバイス、光記憶媒体/デバイス、ソリッドステート媒体、集積回路、サーバ等が挙げられる。好ましくは、コンピュータプログラムプロダクトは、当該プログラムプロダクトがコンピュータで実行される場合に本発明による方法を実行するためのコンピュータ可読媒体に記憶された非一時的プログラムコード手段を含む。
方法、システム及びコンピュータ可読媒体(一時的及び非一時的)は、上述の実施形態の選択された態様を実施するために提供されてもよい。
用語「プログラム」又は「コンピュータプログラム」は、本明細書では、1つ以上のプロセッサ又はコントローラをプログラムするために採用されることが可能な、任意のタイプのコンピュータコード(例えば、ソフトウェア又はマイクロコード)を指すように、一般的な意味で使用される。

Claims (13)

  1. ポイントツーポイント光ワイヤレス通信システムにおける装置であって、当該装置は、
    信号を受信するように構成される光レシーバと、
    受信信号の信号強度を検出するように構成されるパワーディテクタと、
    前記受信信号を復調する及び前記受信信号のデータレートを測定するように構成されるデジタルベースバンドモジュールと、
    前記検出された信号強度がある閾値を上回る場合、前記測定されたデータレートの変化に応じてゲイン設定調整を導出するように構成されるコントローラと、
    を含む、装置。
  2. 前記コントローラは、前記検出された信号強度が前記ある閾値を上回り、前記測定されたデータレートが低下する場合、ゲインリダクションのためのゲイン設定調整を導出するように構成される、請求項1に記載の装置。
  3. 前記光レシーバは、フォトダイオードと、前記フォトダイオードの出力を増幅するように構成されるトランスインピーダンスアンプ(TIA)とを含み、前記コントローラは、前記TIAに前記ゲイン設定調整を適用するように構成される、請求項1又は2に記載の装置。
  4. 前記パワーディテクタは、前記TIAよりも大きなダイナミックレンジを有する、請求項3に記載の装置。
  5. 前記コントローラは、当該装置に接続される光トランスミッタに前記ゲイン設定調整を提供するように構成される、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の装置。
  6. 前記信号のピーク対平均パワー比(PAPR)は、少なくとも3dBである、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の装置。
  7. 前記信号は、スペクトル拡散変調によるものである、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の装置。
  8. 前記信号は、直交周波数分割多重(OFDM)信号である、請求項1乃至7のいずれか一項に記載の装置。
  9. リモート光受信デバイスに信号を送信するように構成される光送信デバイスと、
    請求項1に記載の装置を含む前記リモート光受信デバイスと、
    を含む、ポイントツーポイント光ワイヤレス通信システム。
  10. 請求項5に記載の第1の装置及びこれに接続される第1の光トランスミッタを含む第1の光トランシーバデバイスと、
    請求項5に記載の第2の装置及びこれに接続される第2の光トランスミッタを含む第2の光トランシーバデバイスと、
    を含む、ポイントツーポイント光ワイヤレス通信システムであって、
    前記第1の光トランシーバデバイスは、前記第2の光トランシーバデバイスに第1の信号を送信するように構成され、前記第2の光トランシーバデバイスは、
    前記第1の信号を受信する、及び
    前記第1の光トランシーバデバイスに別の信号を送信するために前記第2の光トランスミッタに前記第1の信号から導出されるゲイン設定調整を適用する、
    ように構成される、ポイントツーポイント光ワイヤレス通信システム。
  11. ポイントツーポイント光ワイヤレス通信システムにおける装置の方法であって、当該方法は、前記装置が、
    信号を受信することと、
    受信信号の信号強度を検出することと、
    前記受信信号を復調する及び前記受信信号のデータレートを測定することと、
    前記検出された信号強度がある閾値を上回る場合、前記測定されたデータレートの変化に応じてゲイン設定調整を導出することと、
    を含む、方法。
  12. 当該方法は、前記装置が、
    前記検出された信号強度が前記ある閾値を上回り、前記測定されたデータレートが低下する場合、ゲインリダクションのためのゲイン設定調整を導出すること、
    を含む、請求項11に記載の方法。
  13. コンピューティングプログラムであって、当該プログラムが請求項1乃至8のいずれか一項に記載の装置によって実行された場合、前記装置に請求項11又は12に記載の方法のステップを実行させるコード手段を含む、コンピューティングプログラム。
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