JP2024506331A - 腎臓疾患の処置または予防において使用するためのダネガプチド - Google Patents

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Abstract

本発明は、慢性腎臓疾患、例えば、糖尿病性腎障害および/または慢性腎臓疾患などの腎臓疾患の処置において使用するためのダネガプチド、またはその薬学的に許容される塩に関する。【選択図】図1A

Description

本発明は、腎臓疾患、特に、腎臓炎症および/または腎線維症を呈する腎臓疾患の処置または予防におけるダネガプチドおよびその使用に関する。本発明はさらに、慢性腎臓疾患、例えば、糖尿病性腎障害および/もしくは慢性腎臓疾患、または別の状態から生じる腎臓疾患の処置または予防に関する。
慢性腎臓疾患(CKD)は最も一般的な腎臓疾患であり、心臓血管疾患のリスクの増大、末期腎疾患(ESRD)発症のリスクならびに罹患率および死亡率の上昇に関連する、増加しつつある健康上の懸念である。世界人口の10%が罹患していると推定され、リスク因子には、年齢、糖尿病、高血圧、脂質代謝異常および肥満が含まれる。この疾患は、糸球体濾過率(GFR)の低下、高血圧およびタンパク尿により特徴づけられ、糸球体硬化症では、尿細管萎縮および尿細管間質線維症(TIF)が、共通の組織病理学的変化として観察される。腎臓機能の喪失、持続炎症および細胞外マトリックスの沈着の増加に最終的に至るので、TIFおよび進行CKDの処置および予防は、臨床的必要性が満たされていないことを示す。したがって、新しい治療アプローチが必要とされている。
コネクシン(Cx)発現および機能の変化が、CKDを含む腎臓疾患の様々な形態の病態に関与している。コネクシンは、コネクソンと呼ばれる六量体アセンブリーにオリゴマー化する膜結合タンパク質のファミリーである。コネクソンは、パラ分泌シグナル伝達および自己分泌シグナル伝達のためのコンジットとして機能して、膜貫通ヘミチャネルを形成するか、または、隣接する細胞上のコネクソンと整列すると、連続水空孔(aqueous pore)またはギャップジャンクションを形成し、それが代謝シグナル、細胞シグナル伝達シグナルおよび電気的シグナルの直接的な伝達を可能にする。加えて、コネクシンは細胞接着の調節において重要な役割を果たし、アドヘレンスおよびタイトジャンクション複合体とリン酸化依存的に直接的に相互作用し得る。コネクシン43(Cx43)は、腎臓血管系および腎尿細管において最も豊富に発現されるコネクシンの1つである。ギャップジャンクションを介しての隣接細胞間のクロストークは、「ギャップジャンクション細胞間コミュニケーション」(GJIC)と称される。加えて、コネクソンはヘミチャネルとしても機能し得て、例えば、形成されたヘミチャネルを介したATPの放出により、隣接細胞間のコミュニケーションにも関係している。
細胞がコミュニケートし、そして、それらの活性を同期(synchronise)する、細胞の能力が一部では、組織構造、完全性および機能の維持に関係している。コネクシン合成および活性の調節が細胞機能にとって重要であり、いくつかの腎臓疾患は、これらの重要なタンパク質の発現および/または機能の変化に帰せられる。
糖尿病の患者の腎臓では、血糖障害がESRDおよび腎不全の主な原因であり、糸球体過剰濾過、アルブミン尿、細胞外マトリックス沈着の増加およびTIFを含む複数の病理学的事象を反映する。糖尿病性腎障害におけるコネクシン媒介細胞間コミュニケーションの喪失は、疾患進行の初期徴候を表し得て、コネクシン媒介細胞コミュニケーションおよびP2X7などの関連プリン作動性シグナル伝達(associated purinergic signaling)のグルコース誘発変化が糖尿病における腎臓疾患の病因にさらに寄与し得る。
ZP1609またはGAP-134としても公知のダネガプチド((2S、4R)-1-(2-アミノアセチル)-4-ベンズアミドピロリジン2-カルボン酸)は、ロチガプチド(rotigaptide)(ZP123)、抗不整脈ペプチド(AAP)およびAAP10から誘導される小さなジペプチドである。これは元々は、コネクシン43(Cx43)ギャップジャンクション調節薬および抗不整脈薬として開発されたものであり、細胞保護特性および抗不整脈特性を有することが実証されている(WO2007/078990およびWO2008/079266を参照されたい)。
ギャップジャンクション細胞間コミュニケーション(GJIC)およびコネクシンベースのヘミチャネルシグナル伝達の役割は複雑である。いくつかの研究グループが、腎臓組織、糖尿病性網膜症、肝臓線維症ならびに慢性および急性心疾患モデルを含む種々の組織種および疾患呈示において、Cx43タンパク質発現と、リン酸化状態と、タンパク質機能との間の関係を評価することを試みている。重要なことに、これらのモデルにおけるCx43発現は細胞および組織種によって変動し、Cx43の役割には、相当な不確実性が存在し、それは一部のストレスベースのモデルでは上方制御され、他では下方制御される。CKDのモデルでは特に、Cx43発現のストレス誘発変化は、腎臓の領域および疾患のモデルに依存する。例えば、Cx43は、糸球体疾患の患者および糖尿病性腎障害の個体から単離された生検材料の両方の糸球体において発現の増加を示す。さらに、CKDのモデルを使用するin vivo研究は、Cx43発現が、進行性間質炎症および線維症の片側尿管閉塞(UUO)モデル、糸球体腎炎(GN)のマウスモデルにおいて、およびレニン依存性CKDのレニン導入遺伝子(RenTG)マウスモデルにおいて増加することを示唆している。この増加した発現の意味は、ヘテロCx43+/-マウスモデルを使用して評価されている。糸球体腎炎で誘導される場合、Cx43+/-マウスは、野生型動物のものよりも有意に低いタンパク尿、血清尿素窒素(BUN)および血清クレアチニンレベルを示す。さらに、片側尿管閉塞(UUO)で誘導されたヘテロ(Cx43+/-)マウスは、WT対照と比較した場合に細胞外マトリックス沈着の減少および炎症の減少を示す。最後に、GAP-26を使用する薬理学的研究は、Cx43活性がブロックされる場合、レニン依存性CKDのレニン導入遺伝子(RenTG)マウスモデルにおける単球接着およびコラーゲンIの発現が減少することを示している。これらのデータは、腎臓細胞における応答が変動すること、および発現の変化がすべての腎臓細胞集団において、障害に対する普遍的な応答ではないことを示している。
上で示された証拠に反して、Cx43発現は報告によると、db/dbマウスの腎臓において、および高グルコース(HG)誘導ラット近位尿細管細胞において下方制御される。さらに、有足細胞が糸球体腎炎および糖尿病性腎障害の動物においてCx43の発現の増加を示す一方で、メサンギウム細胞は、高グルコースまたはアルドステロン中で培養された場合、同じアイソフォームの発現の減少を示す。
現在までに、改変されたCx43発現および機能が、異なる病態にある様々な組織において観察されるような病態生理学的変化からどのように最適に保護し得るかに関する明白な証拠はない。重要なことに、一部の研究は、Cx43発現レベルの低下がin vitroおよびin vivoの両方でCKDの変化に対する保護を与え得ることが示されている一方で、ダネガプチドが、障害のある腎臓における炎症および線維症から保護し得るかどうかが以前に調査されたことはない。したがって、腎臓疾患の患者に治療効果を最終的に与えるために、Cx43がどのように理想的に調節されるべきかについて、明白なコンセンサスは存在しない。
広くは、本発明は、ギャップジャンクションモジュレーターであるダネガプチドが、処置および刺激された初代ヒト近位尿細管上皮細胞においてATPのCx43ベースのヘミチャネル放出を防止するという以前には知られていなかった作用を有するという新しく明瞭な知見に基づく。このATP放出の遮断は、重要な炎症誘発性タンパク質(例えば、インターロイキン6、単球走化性タンパク質、MCP-1、RANTES)、および線維化促進タンパク質(例えば、PDGF)の両方の減少と関連していた。重要なことに、ダネガプチドは、間質において、近隣の免疫および細胞外マトリックス産生細胞を動員して活性化することが公知である重要なケモカインのTGFβ-1誘導分泌も防止する。さらに、接着ジャンクションおよびタイトジャンクションの発現レベルの上昇により証拠付けられるとおり、本出願において提示されるデータは、ダネガプチドが接着の増大を介してTGFβ1誘導細胞間アンカップリングから保護することを示している。この改善された細胞間のカップリングは、経上皮電気抵抗により測定されるとおり、改善されたバリア機能と機能的に関連し、ダネガプチド処理条件下でパラ細胞漏出の減少を示した。本明細書に開示のデータは、腎臓疾患を処置する新規の方法として、特異的なギャップジャンクションモジュレーターを用いての、コネクシンを標的とする治療可能性を強調しており、その際、炎症および線維症は、基礎病理(underlying pathology)、例えば、糖尿病性腎障害およびCKDを表す。これは、典型的にはヒト患者において腎臓疾患、例えば、慢性腎臓疾患などの腎臓炎症および腎線維症の発症を呈する疾患の処置または予防におけるこれらのプロセスの介入を対象とする、本発明の請求をさらに支持する。
最近、本発明者らは、糖尿病における腎臓および眼の二次合併症において炎症を処置するための標的としてのCx43の概説を刊行した(Cliffら、Int.J.Mol.Sci.、2022、23、600)。
これらの新たな知見に基づき、本発明者らは、ダネガプチド、またはその薬学的に許容される塩および/もしくは水和物が、腎臓疾患を処置するために特に好適であることを意外にも見い出した。ダネガプチドでの処置に好適な腎臓疾患は、これに限定されないが、腎臓炎症および/または腎線維症を含む様々な腎臓病理から生じる様々な重症度の腎臓機能不全を呈し得る。生成されたデータは、ダネガプチドが、ストレス条件下でヒト近位尿細管上皮細胞の細胞間カップリングを維持すること、およびヘミチャネルの閉鎖を促進することの両方の作用を有し、それにより、細胞外環境へのATP漏出を限定するという観察を裏付けている。これらの2つの作用の組合せが、ダネガプチドの新規で独特な治療可能性を提供し、これは、ヘミチャネル閉鎖のみを標的とする他の治療介入よりも有利であると判断される。
本発明者らは、ダネガプチドが、糖尿病性腎障害、糸球体腎炎およびCKDなどのある特定の腎臓疾患において観察されるようなCx発現および機能の変化の作用を打ち消すことができることを見出した。これは、CKDなどの腎臓疾患において通常観察される炎症および線維症に関連するタンパク質の発現および分泌の両方の変化の回復をもたらす。それと共に、本明細書における発見は、ダネガプチドまたはその薬学的に許容される塩および/もしくは水和物が腎臓疾患の処置において使用され得ることを強調する。一態様では、ダネガプチド塩酸塩が、慢性腎臓疾患(CKD)の処置において使用され得る。
したがって、一側面では、本発明は、腎臓疾患を処置または予防する方法において使用するための式(I)の化合物:
Figure 2024506331000002
またはその薬学的に許容される塩および/もしくは水和物を提供する。好ましくは、腎臓疾患は、慢性腎臓疾患(CKD)または慢性腎臓疾患(CKD)に至る基礎状態(underlying condition)である。
さらなる一側面では、本発明は、本開示の化合物による処置のための対象を選択するための方法であって、前記対象から得られた試料を、1種または複数の腎臓疾患バイオマーカーについて分析するステップと、バイオマーカーが存在する場合に、前記対象を処置のために選択するステップとを含む方法を提供する。この目的のためのバイオマーカーの例には、これに限定されないが、タンパク尿、GFR推定値、尿アルブミン-クレアチニン比および/または炎症または線維症発症のバイオマーカーが含まれる。好ましくは、前記方法は、本明細書で定義されているとおりの化合物を使用して対象を処置するステップをさらに含む。
さらなる一側面では、本発明は、対象において腎臓疾患を処置するための方法であって、前記対象に、式(I)の化合物:
Figure 2024506331000003
またはその薬学的に許容される塩および/もしくは水和物を投与するステップを含む方法を提供する。好ましくは、腎臓疾患は、慢性腎臓疾患(CKD)または慢性腎臓疾患(CKD)に至る基礎状態である。
さらなる一側面では、本発明は、ヒト対象において腎臓疾患を処置するための医薬を調製するための式(I)の化合物:
Figure 2024506331000004
またはその薬学的に許容される塩および/もしくは水和物の使用であって、前記方法は、前記対象に、治療有効量の前記化合物、またはその薬学的に許容される塩もしくは水和物を投与することを含む使用を提供する。好ましくは、腎臓疾患は、慢性腎臓疾患(CKD)または慢性腎臓疾患(CKD)に至る基礎状態である。
「および/または」は、本明細書において使用される場合、2つの規定の特徴または構成要素のそれぞれの、他方を伴うか、または伴わない具体的な開示と解釈されるべきである。例えば、「Aおよび/またはB」は、それぞれが本明細書において個別に提示される場合とまさに同様に(i)A、(ii)Bおよび(iii)AおよびBのそれぞれの具体的な開示と解釈されるべきである。
範囲は本明細書において、「約」でのある特定の値から、および/または「約」での別の特定の値までとして表されることがある。そのような範囲が表される場合、別の態様は、ある特定の値から、および/または他の特定の値までを含む。同様に、先行詞「約」の使用により、値が近似値として表される場合、特定の値が別の態様を形成すると理解されるであろう。数値と関連する「約」という用語は、任意選択であり、例えば、+/-10%を意味する。
文脈が別段に規定していない限り、上で提示された特徴の記載および定義は、本発明のいずれかの特定の側面または態様に限定されず、記載されているすべての側面および態様に等しく当てはまる。
本明細書に記述のすべての書類が、それらの全体で参照により明らかに援用される。
添付の図面を参照して、本発明の態様が次に例として、ただし限定されることなく記載される。しかしながら、本開示を考慮することで、本発明の様々なさらなる側面および態様が当業者には明らかであろう。
図1は、ダネガプチドが、ヘミチャネル媒介色素取り込みのTGFβ1誘発増加を防止することを示す図である。パネルAでは、HK2細胞を低グルコース(5mM)中で、TGFβ1(10ng/ml)±ダネガプチド(50、100および1000nM)を伴って/伴わずに48時間、培養し、細胞生存率を評価した。結果は平均±SEM、n=3として示されている。TGFβ1(10ng/ml±ダネガプチド(50~1000nM)を伴ってのインキュベーションは、MTT取り込み、LDH放出またはクリスタルバイオレット染色を変化させなかった。パネルBおよびCでは、ヘミチャネル活性を評価するために、カルボキシフルオレセイン色素取り込みを使用したが、その際、色素負荷の程度は、開放と正比例した。細胞を低(5mM)グルコース中で、TGFβ1(10ng/ml)±ダネガプチド(50または100nM)を伴って/伴わずに48時間、培養した。ダネガプチドは、HK2(B)およびhPTEC(C)細胞において、カルボキシフルオレセイン色素取り込みのTGFβ1誘発増加を防止した。10~1000nMダネガプチドの用量範囲を試験し、HK2細胞におけるカルボキシフルオレセイン色素取り込みの最適な阻害が50~100nMダネガプチド(D)の濃度で生じたことが見い出された。軽微な色素負荷が対照細胞で生じた一方で、TGFβ1で処理された細胞では、色素負荷が有意に増加した。ダネガプチド(50または100nM)の追加は色素取り込みを減少させ、蛍光強度を対照レベルまで戻した。強度は、低グルコース対照と比較してパーセンテージとして表され、3つの別々の実験を代表している。データは平均±SEM、n=3として表されており、重要な有意性が示された(**P<0.01、***P<0.001);一元ANOVAおよびテューキーポストテスト)。 図1は、ダネガプチドが、ヘミチャネル媒介色素取り込みのTGFβ1誘発増加を防止することを示す図である。パネルAでは、HK2細胞を低グルコース(5mM)中で、TGFβ1(10ng/ml)±ダネガプチド(50、100および1000nM)を伴って/伴わずに48時間、培養し、細胞生存率を評価した。結果は平均±SEM、n=3として示されている。TGFβ1(10ng/ml±ダネガプチド(50~1000nM)を伴ってのインキュベーションは、MTT取り込み、LDH放出またはクリスタルバイオレット染色を変化させなかった。パネルBおよびCでは、ヘミチャネル活性を評価するために、カルボキシフルオレセイン色素取り込みを使用したが、その際、色素負荷の程度は、開放と正比例した。細胞を低(5mM)グルコース中で、TGFβ1(10ng/ml)±ダネガプチド(50または100nM)を伴って/伴わずに48時間、培養した。ダネガプチドは、HK2(B)およびhPTEC(C)細胞において、カルボキシフルオレセイン色素取り込みのTGFβ1誘発増加を防止した。10~1000nMダネガプチドの用量範囲を試験し、HK2細胞におけるカルボキシフルオレセイン色素取り込みの最適な阻害が50~100nMダネガプチド(D)の濃度で生じたことが見い出された。軽微な色素負荷が対照細胞で生じた一方で、TGFβ1で処理された細胞では、色素負荷が有意に増加した。ダネガプチド(50または100nM)の追加は色素取り込みを減少させ、蛍光強度を対照レベルまで戻した。強度は、低グルコース対照と比較してパーセンテージとして表され、3つの別々の実験を代表している。データは平均±SEM、n=3として表されており、重要な有意性が示された(**P<0.01、***P<0.001);一元ANOVAおよびテューキーポストテスト)。 図1は、ダネガプチドが、ヘミチャネル媒介色素取り込みのTGFβ1誘発増加を防止することを示す図である。パネルAでは、HK2細胞を低グルコース(5mM)中で、TGFβ1(10ng/ml)±ダネガプチド(50、100および1000nM)を伴って/伴わずに48時間、培養し、細胞生存率を評価した。結果は平均±SEM、n=3として示されている。TGFβ1(10ng/ml±ダネガプチド(50~1000nM)を伴ってのインキュベーションは、MTT取り込み、LDH放出またはクリスタルバイオレット染色を変化させなかった。パネルBおよびCでは、ヘミチャネル活性を評価するために、カルボキシフルオレセイン色素取り込みを使用したが、その際、色素負荷の程度は、開放と正比例した。細胞を低(5mM)グルコース中で、TGFβ1(10ng/ml)±ダネガプチド(50または100nM)を伴って/伴わずに48時間、培養した。ダネガプチドは、HK2(B)およびhPTEC(C)細胞において、カルボキシフルオレセイン色素取り込みのTGFβ1誘発増加を防止した。10~1000nMダネガプチドの用量範囲を試験し、HK2細胞におけるカルボキシフルオレセイン色素取り込みの最適な阻害が50~100nMダネガプチド(D)の濃度で生じたことが見い出された。軽微な色素負荷が対照細胞で生じた一方で、TGFβ1で処理された細胞では、色素負荷が有意に増加した。ダネガプチド(50または100nM)の追加は色素取り込みを減少させ、蛍光強度を対照レベルまで戻した。強度は、低グルコース対照と比較してパーセンテージとして表され、3つの別々の実験を代表している。データは平均±SEM、n=3として表されており、重要な有意性が示された(**P<0.01、***P<0.001);一元ANOVAおよびテューキーポストテスト)。 図1は、ダネガプチドが、ヘミチャネル媒介色素取り込みのTGFβ1誘発増加を防止することを示す図である。パネルAでは、HK2細胞を低グルコース(5mM)中で、TGFβ1(10ng/ml)±ダネガプチド(50、100および1000nM)を伴って/伴わずに48時間、培養し、細胞生存率を評価した。結果は平均±SEM、n=3として示されている。TGFβ1(10ng/ml±ダネガプチド(50~1000nM)を伴ってのインキュベーションは、MTT取り込み、LDH放出またはクリスタルバイオレット染色を変化させなかった。パネルBおよびCでは、ヘミチャネル活性を評価するために、カルボキシフルオレセイン色素取り込みを使用したが、その際、色素負荷の程度は、開放と正比例した。細胞を低(5mM)グルコース中で、TGFβ1(10ng/ml)±ダネガプチド(50または100nM)を伴って/伴わずに48時間、培養した。ダネガプチドは、HK2(B)およびhPTEC(C)細胞において、カルボキシフルオレセイン色素取り込みのTGFβ1誘発増加を防止した。10~1000nMダネガプチドの用量範囲を試験し、HK2細胞におけるカルボキシフルオレセイン色素取り込みの最適な阻害が50~100nMダネガプチド(D)の濃度で生じたことが見い出された。軽微な色素負荷が対照細胞で生じた一方で、TGFβ1で処理された細胞では、色素負荷が有意に増加した。ダネガプチド(50または100nM)の追加は色素取り込みを減少させ、蛍光強度を対照レベルまで戻した。強度は、低グルコース対照と比較してパーセンテージとして表され、3つの別々の実験を代表している。データは平均±SEM、n=3として表されており、重要な有意性が示された(**P<0.01、***P<0.001);一元ANOVAおよびテューキーポストテスト)。 図2は、ダネガプチドが、ATP放出のTGFβ1誘発増加を防止することを示す図である。HK2細胞を低グルコース(5mM)中で、TGFβ1(10ng/ml)±ダネガプチド(50または100nM)を伴って/伴わずに48時間、培養した。代表的なバイオセンサー痕跡は、細胞外カルシウムの除去後のATP放出を示す。対照細胞(A)は、10μM ATPに対する校正(CALIB)応答と比較して、無視できるATP放出を示す一方で、放出の顕著な増加がTGFβ1処理細胞(B)から観察された。ダネガプチド(100nM)は単独では、基礎ATP(C)を変化させることができなかったが、TGFβ1誘発ATP放出(D)を有意に減少させた。ピーク応答は、既知の濃度のATP(10μM)と比較することにより定量化され、平均データ±SEM(E)がプロットされている。結果は3つの別々の実験を代表している(n=3;**P<0.01、777***P<0.001);一元ANOVAおよびテューキーポストテスト)。 図2は、ダネガプチドが、ATP放出のTGFβ1誘発増加を防止することを示す図である。HK2細胞を低グルコース(5mM)中で、TGFβ1(10ng/ml)±ダネガプチド(50または100nM)を伴って/伴わずに48時間、培養した。代表的なバイオセンサー痕跡は、細胞外カルシウムの除去後のATP放出を示す。対照細胞(A)は、10μM ATPに対する校正(CALIB)応答と比較して、無視できるATP放出を示す一方で、放出の顕著な増加がTGFβ1処理細胞(B)から観察された。ダネガプチド(100nM)は単独では、基礎ATP(C)を変化させることができなかったが、TGFβ1誘発ATP放出(D)を有意に減少させた。ピーク応答は、既知の濃度のATP(10μM)と比較することにより定量化され、平均データ±SEM(E)がプロットされている。結果は3つの別々の実験を代表している(n=3;**P<0.01、777***P<0.001);一元ANOVAおよびテューキーポストテスト)。 図2は、ダネガプチドが、ATP放出のTGFβ1誘発増加を防止することを示す図である。HK2細胞を低グルコース(5mM)中で、TGFβ1(10ng/ml)±ダネガプチド(50または100nM)を伴って/伴わずに48時間、培養した。代表的なバイオセンサー痕跡は、細胞外カルシウムの除去後のATP放出を示す。対照細胞(A)は、10μM ATPに対する校正(CALIB)応答と比較して、無視できるATP放出を示す一方で、放出の顕著な増加がTGFβ1処理細胞(B)から観察された。ダネガプチド(100nM)は単独では、基礎ATP(C)を変化させることができなかったが、TGFβ1誘発ATP放出(D)を有意に減少させた。ピーク応答は、既知の濃度のATP(10μM)と比較することにより定量化され、平均データ±SEM(E)がプロットされている。結果は3つの別々の実験を代表している(n=3;**P<0.01、777***P<0.001);一元ANOVAおよびテューキーポストテスト)。 図2は、ダネガプチドが、ATP放出のTGFβ1誘発増加を防止することを示す図である。HK2細胞を低グルコース(5mM)中で、TGFβ1(10ng/ml)±ダネガプチド(50または100nM)を伴って/伴わずに48時間、培養した。代表的なバイオセンサー痕跡は、細胞外カルシウムの除去後のATP放出を示す。対照細胞(A)は、10μM ATPに対する校正(CALIB)応答と比較して、無視できるATP放出を示す一方で、放出の顕著な増加がTGFβ1処理細胞(B)から観察された。ダネガプチド(100nM)は単独では、基礎ATP(C)を変化させることができなかったが、TGFβ1誘発ATP放出(D)を有意に減少させた。ピーク応答は、既知の濃度のATP(10μM)と比較することにより定量化され、平均データ±SEM(E)がプロットされている。結果は3つの別々の実験を代表している(n=3;**P<0.01、777***P<0.001);一元ANOVAおよびテューキーポストテスト)。 図2は、ダネガプチドが、ATP放出のTGFβ1誘発増加を防止することを示す図である。HK2細胞を低グルコース(5mM)中で、TGFβ1(10ng/ml)±ダネガプチド(50または100nM)を伴って/伴わずに48時間、培養した。代表的なバイオセンサー痕跡は、細胞外カルシウムの除去後のATP放出を示す。対照細胞(A)は、10μM ATPに対する校正(CALIB)応答と比較して、無視できるATP放出を示す一方で、放出の顕著な増加がTGFβ1処理細胞(B)から観察された。ダネガプチド(100nM)は単独では、基礎ATP(C)を変化させることができなかったが、TGFβ1誘発ATP放出(D)を有意に減少させた。ピーク応答は、既知の濃度のATP(10μM)と比較することにより定量化され、平均データ±SEM(E)がプロットされている。結果は3つの別々の実験を代表している(n=3;**P<0.01、777***P<0.001);一元ANOVAおよびテューキーポストテスト)。 図3は、ダネガプチドが、細胞周期および腎保護マーカーのTGFβ1誘導mRNA変化を減少させることを示す図である。初代hPTECを低(5mM)グルコース±TGFβ1(10ng/mL)中で、±ダネガプチド(100nM)で12時間、培養した。TGFβ1処理細胞では、qPCR分析は、対照と比較するとp16、p21およびサイクリンD1 mRNAの増加、およびクロトーmRNAの有意な減少を実証した(**P<0.01および***P<0.001;平均±SEM、n=3)。ダネガプチド(100nM)は、p16、p21、サイクリンD1(▲▲▲ P<0.001;平均±SEM、n=3)の増加を打ち消し、クロトーのTGFβ1誘発変化を部分的に逆転させた。 図4は、ダネガプチドが、アドヘレンおよびタイトジャンクションタンパク質ならびに上皮漏出のTGFβ1誘発変化を減少させることを示す図である。初代hPTECを低(5mM)グルコース±TGFβ1(10ng/mL)±ダネガプチド(100nM)中で48時間、培養した。E-カドヘリン(ECAD)、N-カドヘリン(NCAD)およびビメンチン(パネルA)、ならびにクローディン-2およびZonula Occludens(ZO-1)およびb-カテニン(パネルB)の発現をウエスタンブロット法により評価した。TGFβ1は、E-カドヘリン、クローディン-2およびZO-1発現を減少させ、N-カドヘリンおよびビメンチン発現を増加させた(**P<0.01、***P<0.001;平均±SEM、n=3)。ダネガプチドにより、作用が部分的に、または完全に逆転した(100nM;▲P<0.05および▲▲▲P<0.001;平均±SEM、n=3)。各タンパク質での代表的なブロットが示されており、その際、発現は、負荷対照としてのα-チューブリンでの再プローブにより正規化されている。パネルCでは、経上皮電気抵抗(TER)で、上皮完全性に対する、アドへリンおよびタイトジャンクションタンパク質発現の変化の結果が評価された。HK2細胞を低(5mM)グルコース中で、トランスウェルインサート上で培養し、経皮抵抗を測定した。TGFβ1はTERを減少させ、作用はダネガプチド(100nM)の添加により部分的に回復し、データは平均±SEM、n=3(***P<0.001)として表されている。 図4は、ダネガプチドが、アドヘレンおよびタイトジャンクションタンパク質ならびに上皮漏出のTGFβ1誘発変化を減少させることを示す図である。初代hPTECを低(5mM)グルコース±TGFβ1(10ng/mL)±ダネガプチド(100nM)中で48時間、培養した。E-カドヘリン(ECAD)、N-カドヘリン(NCAD)およびビメンチン(パネルA)、ならびにクローディン-2およびZonula Occludens(ZO-1)およびb-カテニン(パネルB)の発現をウエスタンブロット法により評価した。TGFβ1は、E-カドヘリン、クローディン-2およびZO-1発現を減少させ、N-カドヘリンおよびビメンチン発現を増加させた(**P<0.01、***P<0.001;平均±SEM、n=3)。ダネガプチドにより、作用が部分的に、または完全に逆転した(100nM;▲P<0.05および▲▲▲P<0.001;平均±SEM、n=3)。各タンパク質での代表的なブロットが示されており、その際、発現は、負荷対照としてのα-チューブリンでの再プローブにより正規化されている。パネルCでは、経上皮電気抵抗(TER)で、上皮完全性に対する、アドへリンおよびタイトジャンクションタンパク質発現の変化の結果が評価された。HK2細胞を低(5mM)グルコース中で、トランスウェルインサート上で培養し、経皮抵抗を測定した。TGFβ1はTERを減少させ、作用はダネガプチド(100nM)の添加により部分的に回復し、データは平均±SEM、n=3(***P<0.001)として表されている。 図4は、ダネガプチドが、アドヘレンおよびタイトジャンクションタンパク質ならびに上皮漏出のTGFβ1誘発変化を減少させることを示す図である。初代hPTECを低(5mM)グルコース±TGFβ1(10ng/mL)±ダネガプチド(100nM)中で48時間、培養した。E-カドヘリン(ECAD)、N-カドヘリン(NCAD)およびビメンチン(パネルA)、ならびにクローディン-2およびZonula Occludens(ZO-1)およびb-カテニン(パネルB)の発現をウエスタンブロット法により評価した。TGFβ1は、E-カドヘリン、クローディン-2およびZO-1発現を減少させ、N-カドヘリンおよびビメンチン発現を増加させた(**P<0.01、***P<0.001;平均±SEM、n=3)。ダネガプチドにより、作用が部分的に、または完全に逆転した(100nM;▲P<0.05および▲▲▲P<0.001;平均±SEM、n=3)。各タンパク質での代表的なブロットが示されており、その際、発現は、負荷対照としてのα-チューブリンでの再プローブにより正規化されている。パネルCでは、経上皮電気抵抗(TER)で、上皮完全性に対する、アドへリンおよびタイトジャンクションタンパク質発現の変化の結果が評価された。HK2細胞を低(5mM)グルコース中で、トランスウェルインサート上で培養し、経皮抵抗を測定した。TGFβ1はTERを減少させ、作用はダネガプチド(100nM)の添加により部分的に回復し、データは平均±SEM、n=3(***P<0.001)として表されている。 図5は、ダネガプチドが、細胞外マトリックス(ECM)と関連するタンパク質の発現のTGFβ1誘発変化を打ち消すことを示す図である。初代hPTECを低(5mM)グルコース±TGFβ1(10ng/mL)±ダネガプチド(100nM)中で48時間培養した。パネルAでは、ECMタンパク質であるコラーゲンI(Col1)、コラーゲンIV(Col4)、フィブロネクチン(Fibro)、およびラミニン(パネルB)の発現がウエスタンブロット法により評価された。すべてのケースで、TGFβ1は、タンパク質発現を上方制御し(***P<0.001)、作用はダネガプチドにより減少した(100nM;▲▲▲P<0.001)。ダネガプチドは、インテグリン結合キナーゼ1のTGFβ1誘発変化を部分的に逆転させたが(ILK1;▲▲▲P<0.001)、マトリックスメタロプロテイナーゼ3(MMP3)に対しては無視できる作用を有した。すべてのバーは平均±SEM、(n=3)に対応し、代表的なブロットが示されており、その際、発現は、負荷対照としてのα-チューブリンについての再プローブにより正規化されている。 図5は、ダネガプチドが、細胞外マトリックス(ECM)と関連するタンパク質の発現のTGFβ1誘発変化を打ち消すことを示す図である。初代hPTECを低(5mM)グルコース±TGFβ1(10ng/mL)±ダネガプチド(100nM)中で48時間培養した。パネルAでは、ECMタンパク質であるコラーゲンI(Col1)、コラーゲンIV(Col4)、フィブロネクチン(Fibro)、およびラミニン(パネルB)の発現がウエスタンブロット法により評価された。すべてのケースで、TGFβ1は、タンパク質発現を上方制御し(***P<0.001)、作用はダネガプチドにより減少した(100nM;▲▲▲P<0.001)。ダネガプチドは、インテグリン結合キナーゼ1のTGFβ1誘発変化を部分的に逆転させたが(ILK1;▲▲▲P<0.001)、マトリックスメタロプロテイナーゼ3(MMP3)に対しては無視できる作用を有した。すべてのバーは平均±SEM、(n=3)に対応し、代表的なブロットが示されており、その際、発現は、負荷対照としてのα-チューブリンについての再プローブにより正規化されている。 図6は、ダネガプチドが、アディポカイン、ケモカイン、成長因子およびインターロイキンの発現のTGFβ1誘発変化を防止することを示す図である。TGFβ1±ダネガプチドで処理されたhPTEC細胞からの細胞溶解産物において31の炎症性タンパク質候補の調節を評価するために、炎症抗体アレイが使用された。結果は、3つの別々の実験を代表し、平均±SEM、n=3として表されており、その際、重要な有意性が示された(P<0.05、**P<0.01、***P<0.001;一元ANOVAおよびテューキーポストテスト)。 図6は、ダネガプチドが、アディポカイン、ケモカイン、成長因子およびインターロイキンの発現のTGFβ1誘発変化を防止することを示す図である。TGFβ1±ダネガプチドで処理されたhPTEC細胞からの細胞溶解産物において31の炎症性タンパク質候補の調節を評価するために、炎症抗体アレイが使用された。結果は、3つの別々の実験を代表し、平均±SEM、n=3として表されており、その際、重要な有意性が示された(P<0.05、**P<0.01、***P<0.001;一元ANOVAおよびテューキーポストテスト)。 図6は、ダネガプチドが、アディポカイン、ケモカイン、成長因子およびインターロイキンの発現のTGFβ1誘発変化を防止することを示す図である。TGFβ1±ダネガプチドで処理されたhPTEC細胞からの細胞溶解産物において31の炎症性タンパク質候補の調節を評価するために、炎症抗体アレイが使用された。結果は、3つの別々の実験を代表し、平均±SEM、n=3として表されており、その際、重要な有意性が示された(P<0.05、**P<0.01、***P<0.001;一元ANOVAおよびテューキーポストテスト)。 図7は、ダネガプチドが、アディポカイン、ケモカイン、成長因子およびインターロイキンの分泌のTGFβ1誘発変化を防止することを示す図である。TGFβ1±ダネガプチドで処理されたhPTEC細胞からの上清において31の炎症性タンパク質候補の調節を評価するために、炎症抗体アレイを使用した。結果は、3つの別々の実験を代表し、平均±SEM、n=3として表されており、その際、重要な有意性が示された(P<0.05、**P<0.01、***P<0.001;一元ANOVAおよびテューキーポストテスト)。 図7は、ダネガプチドが、アディポカイン、ケモカイン、成長因子およびインターロイキンの分泌のTGFβ1誘発変化を防止することを示す図である。TGFβ1±ダネガプチドで処理されたhPTEC細胞からの上清において31の炎症性タンパク質候補の調節を評価するために、炎症抗体アレイを使用した。結果は、3つの別々の実験を代表し、平均±SEM、n=3として表されており、その際、重要な有意性が示された(P<0.05、**P<0.01、***P<0.001;一元ANOVAおよびテューキーポストテスト)。 図7は、ダネガプチドが、アディポカイン、ケモカイン、成長因子およびインターロイキンの分泌のTGFβ1誘発変化を防止することを示す図である。TGFβ1±ダネガプチドで処理されたhPTEC細胞からの上清において31の炎症性タンパク質候補の調節を評価するために、炎症抗体アレイを使用した。結果は、3つの別々の実験を代表し、平均±SEM、n=3として表されており、その際、重要な有意性が示された(P<0.05、**P<0.01、***P<0.001;一元ANOVAおよびテューキーポストテスト)。
用語および定義
次の記載の理解を促進するために、いくつかの定義を次のパラグラフに示す。
「処置」という用語は、本明細書中のどこで使用される場合にも、本明細書に記載のとおりの腎臓疾患への罹患を停止する、予防する、寛解する、および/または軽減することを目的とする任意の種類の治療を含む。本開示で使用される臨床状態は、当業者には十分に理解されており、世界保健機関、WHOによるInternational Classification of Diseases、ICD-11において同定されている。
本明細書で使用される場合、「治療有効量」は、その状態または病理を有する対象において、疾患の臨床症状および徴候を軽減する、基礎病理を部分的に、または完全に修復または解消することができる、および/または生理学的応答を常態に戻すことができる量を指す。症状の軽減または生理学的応答の正規化は、当技術分野で公知の方法を使用して決定され得、所与の状態または病理で変動し得る。
糸球体濾過率(GFR):
腎機能の最良の尺度は、糸球体濾過率(GFR)である。
GFRは、クレアチニンまたはシスタチンCの血漿中濃度に基づく式(eGFR)を使用することにより、血液試料から推定され得る。これらの方法は当技術分野で周知であり、慢性腎臓疾患を有する患者、例えば、CKDに罹患しているヒト患者の疾患段階の決定をサポートするために十分な確度で対象GFRを決定するための一般的な実施である。
GJICモジュレーター化合物
本発明の処置の医学的使用および方法は一般に、ダネガプチドとしても公知の1-(2-アミノアセチル)-4-ベンゾイルアミノ-ピロリジン-2-カルボン酸、式(I)の化合物:
Figure 2024506331000005
またはその薬学的に許容される塩および/もしくは水和物を用いる。
特に、本発明の処置の医学的使用および方法は、下式:
Figure 2024506331000006
により表されるとおりの、この化合物の(2S,4R)ジアステレオ異性体またはその薬学的に許容される塩および/もしくは水和物を用いる。
この化合物の別の名称は、(2S,4R)-1-(2-アミノアセチル)-4-10ベンズアミドピロリジン-2-カルボン酸である。
その(2S,4R)ジアステレオ異性体などの1-(2-アミノアセチル)-4-ベンゾイルアミノ-ピロリジン-2-カルボン酸の調製、その合成および精製の好適な方法はWO2007/078990に記載されており、そこでは、(2S,4R)異性体は「化合物2」と記述されている(WO2007/078990はその全体が参照により援用される)。
(2S,4R)ジアステレオ異性体の有用な塩形態の例は塩酸塩一水和物であり、その調製はWO2008/079266に記載されており、その明細書では、化合物Xとも称されている(WO2008/079266はその全体が参照により援用される)。
本発明において使用するための化合物は、2つまたはそれ以上の不斉原子(キラル中心とも称される)を含有することがあり、ジアステレオ異性体の発生の可能性をもたらす。本発明の医学的使用および方法は、これらのジアステレオ異性体の使用を含む。
ダネガプチドの薬学的に許容される塩には、ダネガプチド塩酸塩、特にダネガプチド塩酸塩一水和物が含まれる。
薬学的に許容される塩
酸性部分を有する本発明に従って使用するために適した化合物の薬学的に許容される塩は、有機または無機塩基を使用して形成され得る。塩基で形成される好適な塩には、アルカリ金属またはアルカリ土類金属塩、例えば、ナトリウム、カリウム、またはマグネシウム塩などの金属塩;モルホリン、チオモルホリン、ピペリジン、ピロリジン、モノ-、ジ-またはトリ-低級アルキルアミン(例えば、エチル-tert-ブチル-、ジエチル-、ジイソプロピル-、トリエチル-、トリブチル-またはジメチルプロピルアミン)、またはモノ-、ジ-またはトリヒドロキシ低級アルキルアミン(例えば、モノ-、ジ-またはトリエタノールアミン)と共に形成されるものなどのアンモニア塩および有機アミン塩が含まれる。内部塩も形成され得る。本発明に従って使用するために適した化合物が塩基性部分を含有する場合(例えば、1-(2-アミノアセチル)-4-ベンゾイルアミノピロリジン-2-カルボン酸およびその列挙されるジアステレオ異性体の場合においてのように)、塩は、有機または無機酸を使用して形成され得る。例えば、塩は、次の酸から形成され得る:酢酸、プロピオン酸、乳酸、クエン酸、酒石酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸、マロン酸、マンデル酸、リンゴ酸、フタル酸、塩酸、臭化水素酸、リン酸、硝酸、硫酸、メタンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸またはカンファスルホン酸。他の公知の薬学的に許容される酸も用いられ得る。既に上述されたように(上記参照)、1-(2-アミノアセチル)-4-ベンゾイルアミノ-ピロリジン-2-カルボン酸の(2S,4R)ジアステレオ異性体の好ましい塩形態は塩酸塩一水和物である。
塩酸塩、臭化水素酸塩、パモ酸塩、ヨウ化水素酸塩、硫酸塩、または硫酸水素塩、リン酸塩または過リン酸塩、酢酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、シュウ酸塩、乳酸塩、パモ酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、グルコン酸塩、サッカリン酸塩およびp-トルエンスルホン酸塩など、薬学的に許容される塩は、薬学的に許容されるアニオンを含有する非毒性付加塩を形成する酸からも形成され得る。一態様では、本開示による化合物の薬学的に許容される塩は塩酸塩である。
本教示は、本発明に従って使用するために適していると本明細書に開示の化合物のプロドラッグの使用にも拡がり得る。本明細書で使用される場合、「プロドラッグ」は、哺乳類対象、特にヒト対象に投与された場合に、開示の種類のうちの1つの化合物を生成する、作製する、または放出する部分を指す。プロドラッグは、ルーチン的な操作またはin vivoのいずれかにより修飾が親化合物から切断されるように、化合物中に存在する官能基を修飾することにより調製され得る。プロドラッグの例には、化合物のヒドロキシ、アミノ、スルフヒドリルまたはカルボキシ基に付属している(結合している)1つまたは複数の分子部分を含有し、かつ処置される対象に投与された場合に、in vivoで切断されて、それぞれ遊離ヒドロキシ、アミノ、スルフヒドリルまたはカルボキシ基を形成する本明細書に開示のとおりの化合物が含まれる。プロドラッグの例には、これに限定されないが、本発明に従って使用するための本明細書に開示の化合物中のアルコールおよびアミン官能基のアセテート、ホルメートおよびベンゾエート誘導体が含まれる。好ましいプロドラッグの例には、オキサゾリジノンまたはイミダゾリジノンプロドラッグが含まれる。エステルプロドラッグは、C06アルコールなどの低級アルコールと共に形成され得る。プロドラッグの調製および使用は、T.Higuchi and V. Stella、「Pro-drugs as Novel Delivery Systems」、Vol. 14 of the A.C.S. Symposium Series、およびBioreversibie Carriers in Drug Design、Edward B.Roche編、American Pharmaceutical Association and Pergamon Press、1987において検討されている。
医薬組成物
本発明に従って用いられる化合物、またはその薬学的に許容される塩もしくは水和物は、単一で、または組合せで、当技術分野で公知の任意の許容される方法により投与することができる適切な医薬組成物の形態で投与され得る。
本文脈に関連する医薬組成物は、1種または複数の薬学的に許容される担体、希釈剤、ビヒクルまたは賦形剤との混合物で、本発明に従って使用するための本明細書に開示のとおりの化合物を含み得る。
所望の治療効果のために必要とされる本発明の化合物および組成物の用量は、化合物の効力、使用される特定の組成物、および選択された投与経路に依存することとなる。前記化合物は典型的には、患者1人あたり1日あたり約10mg~約500mgの範囲、例えば、10mg~100mgで投与される。例えば、前記化合物は、患者1人あたり1日あたり約50mg~約100mgの範囲で、例えば、患者1人あたり1日あたり約50mgが投与され得る。別法では、前記化合物は、患者1人あたり1日あたり約50mg~約150mgの範囲で投与され得る。
本発明による化合物(またはその薬学的塩もしくは水和物)の投与は、単一の単位剤形で(例えば、ボーラスの形態で)、または経時的に複数回の投与の形態での連続治療として行われ得る。別法では、連続注入システムまたは徐放性デポ製剤が用いられ得る。本発明に従って使用するための2つまたはそれ以上の化合物(またはその医薬組成物)は、同期で、または任意の順序で連続的に同時投与され得る。加えて、例えば、糖尿病患者が糖尿病性腎障害または糖尿病性腎臓疾患を発症するリスクがあると考えられる場合には、前記化合物および組成物は、予防目的のために同様の手法で投与され得る。最終的に、最良の投薬レジメンは主治医により、各患者について個別に決定されることとなる。
本開示に従って、前記化合物は、腎臓疾患を処置するための任意の好適な手段により投与され得る。一態様では、前記化合物は、経口投与により対象に投与される。一態様では、前記化合物は非経口投与により投与される。
本発明による化合物は毎日、例えば、1日1回(QD)、1日2回(BID)、1日3回(TID)、または1日4回(QID)投与され得る。好ましくは、前記化合物は、1日1回または1日2回投与される。
治療用途
本発明の処置の医学的使用および方法は、腎臓疾患を処置または予防するために使用される。一般に、腎臓疾患が腎臓炎症および/または腎線維症の発症を呈している場合に、前記化合物は特に有用である。
別法では、または加えて、本発明は、特にヒト対象における、慢性腎臓疾患(CKD)の種類である腎臓疾患の処置または予防に関する。場合によっては、慢性腎臓疾患は、腎線維症の発症および腎機能の障害を伴う患者において現れ得る。一部の側面では、慢性腎臓疾患は、特にヒト対象における慢性腎臓疾患(CKD)である。
CKDは、ICD-11に従って、異なる疾患ステージに細分され得る。
・ ステージ1:正常または上昇したGFR(>90ml/分/1.73m)を伴う腎障害
・ ステージ2:腎障害およびGFR60~89ml/分/1.73m
・ ステージ3a:GFR45~59ml/分/1.73m
・ ステージ3b:GFR30~44ml/分/1.73m
・ ステージ4:GFR15~29ml/分/1.73m
・ ステージ5:腎不全、GFR<15ml/分/1.73m
・ ステージ 指定外
好ましい一態様では、本開示の化合物は、有効な処置をCKDステージ1から4に提供する。一態様では、本開示の化合物は、CKDを処置するために使用され、その際、CKDは、正常または上昇した対象糸球体濾過率(GFR)、すなわち、GFR>90ml/分/1.73mを伴う腎障害により定義されるステージ1である。別の態様では、CKDは、腎障害および対象GFR60~89ml/分/1.73mにより定義されるステージ2である。さらなる一態様では、CKDは、対象GFR45~59ml/分/1.73mにより定義されるステージ3である。別の態様では、CKDは、対象GFR15~29ml/分/1.73mにより定義されるステージ4である。
前記化合物は、ステージ5において見られるような重大な組織障害が発症する前に、特に有効である。
場合によっては、前記化合物は、CKDの進行の予防において使用することもできる。一部の態様では、前記化合物は、ある慢性腎臓疾患(ステージ1、2、3a、3b、または4のいずれか1つなど)から、より進行した慢性腎臓疾患ステージへの進行を予防する。一部の態様では、前記化合物は、ステージ1の慢性腎臓疾患からステージ2、3a、3b、4、または5のいずれか1つの慢性腎臓疾患への進行を予防する。一部の態様では、前記化合物は、ステージ2の慢性腎臓疾患からステージ3a、3b、4、または5のいずれか1つの慢性腎臓疾患への進行を予防する。一部の態様では、前記化合物は、ステージ3aの慢性腎臓疾患からステージ3b、4、または5のいずれか1つの慢性腎臓疾患への進行を予防する。一部の態様では、前記化合物は、ステージ3bの慢性腎臓疾患からステージ4または5のいずれか1つの慢性腎臓疾患への進行を予防する。一部の態様では、前記化合物は、ステージ4の慢性腎臓疾患からステージ5の慢性腎臓疾患への進行を予防する。
別の態様では、本発明により使用するための化合物は、糖尿病性腎臓疾患の処置において使用される。これは、糖尿病性腎障害とも呼ばれ得て、糖尿病があることから生じる腎障害を表す。一部の患者では、糖尿病性腎障害は、CKDおよび腎臓不全をもたらし得る。
本開示の化合物は、免疫媒介疾患、結合組織疾患、全身性エリテマトーデス(狼瘡性腎炎)、糖尿病性腎障害、サルコイドーシス、シェーグレン症候群、アミロイド症、多発性骨髄腫、脈管炎、がんおよび遺伝性障害(先天性ネフローゼ症候群など)、尿管の閉鎖症もしくは狭窄、上部もしくは下部尿路の結石(腎臓結石)、または閉塞性および逆流性腎障害からなる群から選択される基礎疾患(underlying disease)に起因する腎臓疾患の処置のためにさらに使用され得る。
本出願の化合物が使用され得る他の関連適応症は腎尿細管間質疾患である。一部の患者では、腎尿細管間質疾患は、慢性腎臓疾患(CKD)の発症につながることがある。関係するそのような診断の具体的な例は、慢性尿細管間質性腎炎、薬物および重金属誘発尿細管間質および尿細管状態、全身結合組織障害における腎尿細管間質障害ならびに移植拒絶における腎尿細管間質障害である。
本開示はさらに、炎症および線維症を呈する希少遺伝性腎臓疾患である腎臓疾患の処置において使用するための本明細書で定義されているとおりの化合物に関する。一部の患者では、希少腎臓疾患は、慢性腎臓疾患(CKD)の発症につながることがある。多発性嚢胞腎疾患(PKD)は、炎症および線維症の発症を呈する希少腎臓疾患の該当例である。PKDは、腎臓内での多数の嚢胞の形成により特徴づけられる遺伝性障害であり、多くが、常染色体優性多発性嚢胞腎疾患(ADPKD)におけるPKD1またはPKD2変異に起因する。間質炎症および線維症は、炎症細胞、ケモカイン、およびサイトカインの蓄積を伴う多嚢胞腎臓組織における主な病理変化の1つである。免疫応答が、異なる疾患ステージにわたって観察され、ADPKDにおける嚢胞形成の前、またはそれと同時に生じる。嚢胞成長および線維症に対する重要な一員としての炎症についての証拠には、多嚢胞腎臓組織における間質マクロファージの増加、炎症誘発性サイトカインの発現の上方制御、補体系の活性化、ならびにNF-κBおよびJAK-STATシグナル伝達を含む経路の活性化が含まれる。炎症細胞は、ADPKDにおいて腎線維症を促進するいくつかの向線維症成長因子の過剰産生に関係する。これらの成長因子が上皮間葉転換および筋線維芽細胞/線維細胞活性化を引き起こし、これらは、コラーゲンI、III、IV、V、およびフィブロネクチンを含む細胞外マトリックス(ECM)の展開を刺激して、腎線維症、および腎機能の低下をもたらす。不均衡なECMターンオーバー調節因子が存在し、これが多嚢胞腎臓組織におけるECM産生の増加および不十分な分解につながる。現時点では、有効な抗線維処置は限られているが、嚢胞展開および線維症発症を遅らせることが、寿命を延ばし、ADPKDの患者のケアを改善するために非常に重要であり得る。線維症に関係する向線維症サイトカインの阻害は、ADPKDの患者のための新たな治療戦略であり得るであろう。
尿管の一時的または慢性狭窄または閉塞は、CKDおよび線維症発症につながるであろう別の公知の状態である。これらは、尿管の閉鎖もしくは狭窄、または上部もしくは下部尿路の結石(腎臓結石)、または閉塞性および逆流腎障害などの状態であり得るであろう。
一般に、3つの重要な因子、すなわち、高血圧、血中高グルコースレベルおよび炎症がCKDの発症に関係することが公知である。したがって、本明細書に開示のとおりの化合物での処置は、本態性高血圧もしくは高血圧性腎疾患などの高血圧による腎臓の障害または糖尿病関連高血糖値などの高血糖症による腎臓の障害に罹患している患者において使用され得る。
本明細書に開示の化合物で患者を処置する目的は、腎機能のさらなる低下、ならびに末期腎疾患(ESRD)および腎不全への展開を予防することである。患者が腎不全を発症すると、処置の選択肢は限定され、血液透析、腹膜透析および腎臓移植などの侵襲的手技が含まれる。
糖尿病と最近診断された患者は、いくつかの理由で、本明細書に開示の化合物により処置するための良好な候補者であり得る。糖尿病の最初の診断の時点で多くの場合に観察される臨床症状の一部は、タンパク尿および尿中のグルコースレベルの上昇であり、これは、腎臓組織に対する継続している細胞ストレスを示唆している。1型糖尿病の患者は典型的には、分泌能の喪失を相殺し、ベータ細胞量の継続中の喪失を減少させ得るために、外因性インスリンでの処置が一時的に十分である「ハネムーン期」と呼ばれる期間を経験する。これは、ベータ細胞に対するストレスを減少させて、それらを継続している免疫攻撃から回復させると考えられる。この期間にある患者への本明細書に開示の化合物の投与は、継続している細胞ストレス、炎症および線維症発症から腎臓を保護することに加えて、残りのベータ細胞量を保護するためにさらに役立ち得る。本明細書において提示されるデータは、糖尿病と最近診断され、腎臓組織においてストレスが継続している患者が、本明細書に開示の化合物での処置期間から、腎臓における炎症性および線維化促進状態を減少させる利益を受け得ることを支持している。
腎臓では、E-カドヘリン媒介細胞接着の減少が、部分的上皮間葉転換と関連する間欠性表現型に最終的に達する一連の事象を開始させる。開始が、アドヘレンおよびタイトジャンクション複合体の両方の分解を促進して、接着の喪失、ギャップジャンクション細胞間コミュニケーションの減少および漏出性尿細管上皮細胞に最終的に達する。本明細書に開示の化合物の使用は、アドヘレンおよびタイトジャンクションタンパク質ならびにパラ細胞透過性の変化を回復させ得る。さらに、本開示による化合物の使用は、Cx43媒介ATP放出などのヘミチャネルATP放出を阻害し得る。
形成と分解との間の不均衡に起因して、細胞外マトリックス(ECM)の蓄積がCKDの主なホールマークである。このプロセスにおけるTGFβ1の役割は十分に立証されており(例えば、Mengら、Nat Rev Nephrol、2016、12、325~338;およびAkagi,Yら、Kidney International、1996、Vol.50:148~55を参照されたい)、これらの変化を打ち消す方法を理解することは、疾患の進行を回避または減少させるための方法について明白な関連を有する。
近位尿細管中、およびその周囲の炎症応答は、多数の炎症マーカーの分泌と組み合わされる複数の細胞型の活性化の両方に関係する。具体的には、可溶性ケモカイン、サイトカインおよび成長因子は、浸潤性免疫細胞および常在性線維芽細胞を動員および活性化する。これらの細胞の持続的活性化は、尿細管間質線維症を媒介する。
したがって、一側面では、本開示の化合物は、TGFβ1により誘導される細胞外マトリックスタンパク質、アディポカイン、ケモカインおよび成長因子の発現および分泌の変化を回復させる。別の側面では、本開示の化合物は、近位尿細管または尿細管間質組織における炎症を減少させる。さらなる一側面では、本開示の化合物は、炎症および線維症と関連する腎臓機能の変化から保護する。
細胞老化は、慢性腎臓疾患の進行において重要な役割を果たし得て、その際、老化は、EMT、炎症誘発性浸潤および細胞外マトリックス堆積に関連づけられている。老化は、不可逆的増殖性成長停止をクロマチン構成、遺伝子転写、およびタンパク質分泌の関連変化と共に示す。この状況で、老化細胞は、p21Cip1(p21)、およびp16Ink4a(p16)を含むサイクリン依存性キナーゼ(CDK)阻害因子(CKI)の発現の増加、ならびに腎臓保護性(reno-protective)クロトーの発現の変化を示すことが公知である。したがって、老化表現型に先行する、腎障害と関連する機能変化の発症を認めたら、腎臓疾患における老化細胞のクリアランスが腎臓機能を改善し得る。本明細書において、すなわち実施例4において提示されるデータは、TGFβ1がp16、p21およびサイクリンD1の発現の増加を誘導すること、および細胞をダネガプチドと共に同時インキュベートすると、発現におけるこれらの変化が回復したことを示している。これらの観察は、ダネガプチド、またはその薬学的に許容される塩が慢性腎臓疾患(CKD)などの腎臓疾患の処置において有用であることを裏付ける。
本発明によれば、ダネガプチド、またはその薬学的に許容される塩(例えば、適切な医薬組成物の形態での)は治療有効量で、それを必要とする対象に投与され得る。
化合物の有効量は、少なくとも約0.1mg/kg体重/日、例えば、少なくとも約0.3mg/kg体重/日、少なくとも約0.5mg/体重/日、例えば、少なくとも約1mg/kg体重/日、例えば、少なくとも約2mg/kg体重/日であり得る。他方で、化合物または二量体の有効量は、多くとも約10mg/kg体重/日、例えば、多くとも約5mg/kg体重/日および多くとも約3mg/kg体重/日であり得る。化合物の有効量は、約0.5mg/kg体重/日、約1mg/kg体重/日、約2mg/kg体重/日、または約5mg/kg体重であろうと予測される。
in vitroシステム(HK2細胞におけるカルボキシフルオレセイン色素取り込みおよびHK2細胞におけるATPバイオセンシング)において行われるような用量発見である、本明細書に記載のin vitroシステムにおいて提供される実験は、50~100nMの濃度が微小環境では最適であり、ダネガプチドが、そのアッセイにおいて細胞生存率に対してマイナスの作用を有さないことが確認されたことを示している。したがって、一態様では、本開示の化合物の使用は、腎臓組織の微小環境において約50nM~約100nMの投与された化合物の濃度をもたらす。
本発明により処置される対象/患者は好ましくはヒトであり、任意の年齢、すなわち、乳児、子供、青年、成人、または高齢者であってよい。
処置するための対象を選択する方法
一態様では、本明細書に開示の化合物により処置するための対象を選択するための方法が提供されるが、前記方法は、腎臓疾患バイオマーカーを含む試料を得るステップを含む。一部の態様では、この方法は、前記化合物で対象を処置することをさらに含む。慢性腎臓疾患などの本明細書に記載の臨床的疾患の診断を可能にする当技術分野で公知の任意の手段が、本開示の化合物により処置するための対象を選択するために好適である。
一態様では、本明細書に開示の化合物により処置するための対象を選択するための方法が提供され、前記方法は:
a. 対象から試料を得るか、対象に生検を行うステップ、
b. 基底膜(BM)の厚さを決定するステップ、および/または
c. 対照試料からの基線レベルに対するメサンギウム基質の拡大
を含み、肥厚した基底膜および/または拡大したメサンギウム基質は、その対象が前記化合物での処置に応答することを示す。
一態様では、対象からの試料は、腎臓からの罹患組織または罹患細胞を含む試料、血液試料、尿試料、生検試料および組織切除からなる群から選択される。特異的な態様では、対象からの試料は、腎臓からの罹患組織または罹患細胞を含む試料である。別の態様では、試料は血液試料である。さらなる一態様では、試料は尿試料である。一態様では、対照試料は、1人または複数の健康な対象から得られ、罹患組織または罹患細胞と同じ起源の健康な組織または健康な細胞を含む。
本明細書に開示の化合物により処置するための患者を選択するための別の単一および関連診断マーカーは、患者からの尿試料中のタンパク質またはアルブミンの測定値である。持続的なタンパク尿またはアルブミン尿は、ダネガプチドが治療可能性を有するであろう臨床的適応症であろう。時に、初期症状発現は、マイクロアルブミン尿を有する患者として記載される。アルブミン尿、尿アルブミン-クレアチニン比またはマイクロアルブミン尿の測定値は、本明細書に開示の化合物により処置するための患者の選択を支持する特に有用な診断マーカーである。本明細書に開示の化合物により処置するための患者の選択をさらに最適化するために、アルブミン尿およびマイクロアルブミン尿の測定は、高血圧、脂質異常症およびヘモグロビンA1cレベルの存在などの他の診断マーカーで適切に補われ得る。尿中の炎症細胞または赤血球の測定または検出は、腎炎の公知のマーカーであり、処置するための患者を選択するための関連する支持的マーカーであり得る。単球走化性タンパク質-1(MCP-1)、好中球ゼラチナーゼ関連リポカリン(NGAL)、腎障害分子-1(KIM-1)、活性化制御で、正常T細胞で発現、分泌されるケモカイン(RANTES)、腫瘍壊死因子アルファ(TNF-α)、マトリックスメタロペプチダーゼ9(MMP9)、細胞間接着分子1(ICAM1)、クロトー、非対称ジメチルアルギニン(ADMA)、ならびにある特定のサイトカイン、例えば、インターロイキン-18(IL-18)、トランスフォーミング増殖因子ベータ1(TGFβ1)、顆粒球-コロニー刺激因子(G-CSF)、顆粒球-マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)、インスリン様成長因子結合タンパク質2(IGFBP2)、インスリン様成長因子結合タンパク質3(IGFBP3)、および白血病阻害因子(LIF)などの他の炎症性腎臓疾患バイオマーカーの存在も、対象が本明細書に開示の化合物での処置に応答するかどうかの予測において有用であり得る。慢性腎臓疾患(CKD)におけるバイオマーカーのさらなる例については、Fassettら、Kidney International、2011、80、806~821;Lopez-Giacomanら、World J Nephrol、2015、4(1)、57~73;Lousaら、Int.J.Mol.Sci.、2021、22、43を参照されたい。本明細書に記載の実施例7は、本開示の化合物が、TGFβ1誘導ストレスに暴露された初代ヒト近位尿細管上皮細胞(初代hPTEC)において、これらの腎臓疾患バイオマーカーおよび他の炎症マーカーを調節することを示しており、慢性腎臓疾患(CKD)などの腎臓疾患からの保護作用を実証している。
一態様では、本開示の化合物は、タンパク尿、アルブミン尿またはマイクロアルブミン尿を呈する腎臓疾患の処置において使用される。
腎臓疾患の患者からの腎臓組織からの生検で、糸球体腎炎、間質性腎炎または多発性嚢胞腎疾患による腎臓の障害が観察されることがあり、これらの観察も、本明細書に開示の化合物により処置するための患者の選択をガイドするために役立ち得る。一態様では、本開示の化合物は、糸球体疾患である腎臓疾患の処置において使用される。さらなる一態様では、糸球体疾患は、糸球体硬化症または糖尿病性糸球体硬化症である。
これらの診断マーカーを組み合わせ、かつ炎症のマーカーを含めることは、処置に好適な対象を同定するためにさらに役立ち得る。
腎臓疾患が腎臓炎症および/または腎線維症の発症を呈している処置に好適な患者は、種々の診断マーカーおよび/またはある特定の症状を有することにより同定され得る。患者は、発熱、悪寒、側腹部、腹部および/または鼠径部の疼痛などの症状を呈し得る。頻尿または灼熱感または排尿時疼痛も、患者が腎臓炎症を有する可能性のある症状であり得る。尿試料における赤血球または炎症細胞の検出などの診断マーカーは腎臓炎症の所見を裏付け得る。顕微鏡、尿計量棒または尿もしくは血液中で測定されるバイオマーカーを含む特異的な診断検査の使用が、炎症および/または線維症の発症の徴候を明らかにし得る。
超音波診断法およびコンピュータートモグラフィー(CT)を含むX線診断法が、炎症の所見をさらに裏付け得る。腎臓線維症の徴候は、腎臓生検に基づき診断され得、関連X線診断法には、超音波診断法および磁気共鳴画像法(MRI)が含まれる。
臨床診療では、腎臓炎症および/または腎線維症を呈する腎臓疾患を有する患者の同定は多くの場合に、関連症状を呈し、かつそのような診断マーカーのいくつかにより裏付けられる患者の組合せに基づくであろう。
条項:
1. 腎臓疾患の処置または予防において使用するための式(I)の化合物
Figure 2024506331000007
またはその薬学的に許容される塩および/もしくは水和物。
2. 前記腎臓疾患が対象において、腎臓炎症および/または腎線維症の発症を呈する、条項1に記載の処置または予防において使用するための化合物。
3. 前記腎臓疾患が慢性腎臓疾患(CKD)または糖尿病性腎障害である、先行条項のいずれか1つに記載の処置または予防において使用するための化合物。
4. 前記腎臓疾患が、慢性腎臓疾患(CKD)をもたらしている糖尿病性腎障害である、条項3に記載の処置または予防において使用するための化合物。
5. (a)前記慢性腎臓疾患が、腎障害および対象GFR>90ml/分/1.73mにより定義されるステージ1である;または
(b)前記慢性腎臓疾患が、腎障害および対象GFR60~89ml/分/1.73mにより定義されるステージ2である;または
(c)前記慢性腎臓疾患が、対象GFR45~59ml/分/1.73mにより定義されるステージ3aである;または
(d)前記慢性腎臓疾患が、対象GFR30~44ml/分/1.73mにより定義されるステージ3bである;または
(e)前記慢性腎臓疾患が、対象GFR15~29ml/分/1.73mにより定義されるステージ4である、条項3または条項4に記載の処置または予防において使用するための化合物。
6. 前記腎臓疾患がタンパク尿、アルブミン尿またはマイクロアルブミン尿を呈する、先行条項のいずれか1つに記載の処置または予防において使用するための化合物。
7. 前記腎臓疾患が、糸球体硬化症または糖尿病性糸球体硬化症などの糸球体疾患である、先行条項のいずれか1つに記載の処置または予防において使用するための化合物。
8. 前記腎臓疾患が、全身性エリテマトーデス(狼瘡性腎炎)、糖尿病性腎障害、サルコイドーシス、シェーグレン症候群、アミロイド症、多発性骨髄腫、脈管炎、尿管の閉鎖症もしくは狭窄、上部もしくは下部尿路の結石(腎臓結石)、または閉塞性および逆流性腎障害からなる群から選択される基礎疾患に起因する、先行条項のいずれか1つに記載の処置または予防において使用するための化合物。
9. 前記腎臓疾患が、慢性尿細管間質性腎炎、薬物および重金属誘発性の尿細管間質および尿細管の状態、ならびに全身結合組織障害における腎尿細管間質障害などの腎尿細管間質疾患である、先行条項のいずれか1つに記載の処置または予防において使用するための化合物。
10. 前記腎臓疾患が多発性嚢胞腎疾患(PKD)などの希少な遺伝性腎臓疾患である、先行条項のいずれか1つに記載の処置または予防において使用するための化合物。
11. 前記化合物が、Cx43媒介ATP放出などのヘミチャネルATP放出を阻害する、先行条項のいずれか1つに記載の処置または予防において使用するための化合物。
12. (a)前記化合物が、TGFβ1により誘導される細胞外マトリックスタンパク質、アディポカイン、ケモカインおよび成長因子の発現および分泌の変化を回復させる;および/または
(b)前記化合物が、炎症および線維症と関連する腎臓機能の変化から保護する;および/または
(c)前記化合物が、近位尿細管または尿細管間質組織の炎症を減少させる、
先行条項のいずれか1つに記載の処置または予防において使用するための化合物。
13. 前記化合物が、式:
Figure 2024506331000008
により表される化合物またはその薬学的に許容される塩である、先行条項のいずれか1つに記載の処置または予防において使用するための化合物。
14. 前記使用が、前記腎臓組織の微小環境において、50~100nMの投与された化合物の標的濃度をもたらす、先行条項のいずれか1つに記載の処置または予防において使用するための化合物。
15. 前記薬学的に許容される塩が塩酸塩である、先行条項のいずれか1つに記載の処置または予防において使用するための化合物。
16. 経口または非経口で投与される、好ましくは、経口で投与される、先行条項のいずれか1つに記載の処置または予防において使用するための化合物。
材料
クローンのヒト腎臓(HK2)上皮細胞および初代ヒト近位尿細管上皮細胞(hPTEC)はATCC(LGC Standards)から購入した。組織培養供給物はInvitrogen(Paisley、UK)から購入した。Immobilon-Fl PVDF膜はMillipore(Watford、UK)から購入し、Odysseyブロッキングバッファーおよび二次蛍光抗体はLI-COR(Cambridge、UK)から購入した。E-カドヘリン、N-カドヘリンおよびZO-1のための抗体はCell Signalling Technologies(Hertfordshire、UK)から入手したが、クローディン-2、Col IおよびCol IV抗体はABCAM(Cambridge、UK)から入手した。フィブロネクチン抗体はSanta Cruz(Santa Cruz、CA、USA)から購入した。組換えhTGFβ1はSigma(Poole、UK)から購入し、他の一般薬品もすべて同様であった。ダネガプチドはZealand Pharmaceuticalsにより提供された。ATPバイオセンサーはSarissa Biomedical Ltd(Coventry、UK)から、およびフルオロディッシュはWPI(Hertfordshire、UK)からのものであった。トランスウェルフィルターはCorning(Nottinghamshire、UK)から購入した。Proteome Profiler Human Cytokine Array KitはR&D Systems(Oxfordshire、UK)からのものであった。
初代ヒト近位尿細管上皮細胞(hPTEC)を、0.5%FCSwt/vol、トリヨードチロニン(10nM)、rhEGF(10ng/ml)、ヘミコハク酸ヒドロコルチゾン(100ng/ml)、rhインスリン(5μg/ml)、エピネフリン(1μM)、トランスフェリン(5μg/ml)およびL-アラニル-L-グルタミン(2.4mM)を補充されたATCC製の腎臓上皮細胞基本培地中で、加湿雰囲気内で、37℃で、5%COで維持した。細胞を処理前に、終夜、血清飢餓させた。ヒト腎臓(HK2)細胞(継代18~30)を、10wt/vol%FCS、グルタミン(2mmol/l)およびEGF(5ng/ml)を補充されたDMEM/Hams F12培地中で、加湿雰囲気内で、37℃で、5%COで増殖させた。HK2細胞をヒトパピローマウイルス16(HPV-16)E6/E7遺伝子の形質導入により不死化させたが、これは、マイコプラズマ非含有である。すべての実験で、細胞を低グルコースDMEM/F12(5mmol/L)中に48時間播種し、次いで、処理前に、終夜、血清飢餓させた。
実施例1 - ダネガプチドは尿細管上皮細胞生存率に影響を及ぼさない。
材料および方法
HK2細胞を低グルコース(5mM)中で48時間培養し、その後、終夜、血清飢餓させ、続いて、TGFβ1(10ng/mL)±ダネガプチド(50nM~1μM)で48時間処理した(図1A、n=3)。
MTTアッセイ
3-(4,5-ジメチルチアゾール-2-イル)-2,5-ジフェニルテトラゾリウムブロミド(MTT)アッセイを当技術分野で公知のとおり行って、細胞増殖に対するダネガプチドの細胞毒性作用を評価した。HK2細胞を96ウェルプレートに播種し、低グルコースDMEM/F12(5mM)中で48時間培養し、その後、終夜、血清飢餓させ、続いて、TGFβ1(10ng/mL)±ダネガプチド(50~1000nM)で48時間刺激した。ホルマザン産生の測色測定は生細胞の数に対応する。
乳酸デヒドロキナーゼアッセイ
細胞死または細胞傷害性を評価するために、形質膜損傷の結果としての培地への乳酸デヒドロキナーゼ(LDH)の放出が一般に使用される。HK2細胞を96ウェルプレートに播種し、低グルコースDMEM/F12(5mM)中で48時間培養し、その後、終夜、血清飢餓させた。次いで、細胞をTGFβ1(10ng/ml)±ダネガプチド(50~1000nM)で48時間刺激した。製造者指示に従ってLDH-細胞傷害性アッセイキットII(Abcam)を使用して、LDHを定量化した。
クリスタルバイオレットアッセイ
この単純なアッセイを使用して、マルチウェルディッシュに接着した細胞の相対密度を測定した。クリスタルバイオレットはDNAを染色し、可溶化の後に測色測定で定量化することができる。HK2細胞を12ウェルプレートに播種し、低グルコースDMEM/F12(5mM)中で48時間培養し、その後、終夜、血清飢餓させ、続いて、TGFβ1(10ng/mL)±ダネガプチド(50~1000nM)で48時間刺激した。このアッセイは以前に記載されている(Hills,C.E.;Jin,T.;Siamantouras,E.;LiuIssac,I.K.K.;Jefferson,K.P.;Squires,P.E. “Special K” and a Loss of Cell-To-Cell Adhesion in Proximal Tubule-Derived Epithelial Cells:Modulation of the Adherens Junction Complex by Ketamine. PLoS One 2013、8、e71819)。簡単に述べると、細胞を、パラホルムアルデヒドを使用して10分間固定し、PBSで洗浄し、10分間室温で、1%クリスタルバイオレット溶液中でインキュベートした。さらに数回洗浄した後に、染色物を、1%SDSを使用して可溶化し、プレートリーダーにより吸光度測定した。
結果
MTTアッセイで、TGFβ1(101.9±11.7%)もダネガプチドも単独では、対照と比較して細胞生存率(95.2±7%(50nM)、103±5.7%(100nM)および96.6±5.3%(1μM))を変化させなかったことが確認された。TGFβ1処理細胞をダネガプチド(104.1±2.2%(50nM)、93.4±1.6%(100nM)および89.3±3.7%(1μM))と同時培養した場合に、細胞生存率に対する作用がないことも観察された。これらのデータを確証するために、クリスタルバイオレットおよびLDHアッセイを行った。TGFβ1処理細胞におけるLDH放出は対照(109.3±11.3%)と匹敵し、ダネガプチドとの同時インキュベーションは追加の作用を有さなかった(106.4±11.6%(50nM)、113.9±15.6%(100nM)および113.2±4.3%(1μM))。予測されたとおり、ダネガプチドは単独で、対照と比較してLDH放出を有意に変化させなかった(104.4±4.3%(50nM)、95.3±4.7%(100nM)および92.6±3.3%(1μM))。クリスタルバイオレットを使用しての細胞染色は、これらの所見を再現し、その際、TGFβ1(10ng/mL;96.9±.7.3%)およびTGFβ1+ダネガプチド(50nM-1μM)でのデータは対照と匹敵した(98.2±1.9%(50nM)、97.5±1.8%(100nM)および85.8±5.3%(1μM)。最後に、ダネガプチドは単独で、クリスタルバイオレット染色を変化させなかった(対照に対して98.3±2.5%(50nM)、99.6±2.7%(100nM)および98.5±2.2%(1μM))。これらのデータに照らして、50~100nMの濃度をその後の研究のために選択した。
結論
この実施例は、細胞生存率が、細胞を刺激するために使用される向線維症的サイトカインTGFβ1により、またはTGFβ1誘導細胞応答を調節するためのギャップジャンクション調節薬およびヘミチャネル遮断薬として投与されるダネガプチドにより不利な影響を受けなかったことを実証している。
実施例2 - ダネガプチドは、尿細管上皮細胞においてヘミチャネル媒介色素取り込みのTGFβ1誘発変化をブロックする。
材料および方法
カルボキシフルオレセイン色素取り込みアッセイ
HK2およびHPTEC細胞をフルオロディッシュ(直径22mm)上に播種し、低グルコースDMEM/F12(5mmol/l)中で48時間培養した。終夜の血清飢餓の後に、細胞をTGFβ1(10ng/ml)±ダネガプチド(100nM)と共に48時間インキュベートした。その後のステップのために、NaCl(137mM)、KCl(5.4mM)、MgSO(0.8mM)、NaHPO(0.3mM)、KHPO(0.4mM)、NaHCO(4.2mM)、HEPES(10mM)およびグルコース(5mM)を含む平衡塩溶液(BSS、pH7.0)を使用した。色素取り込みを惹起するために、細胞をCa2+非含有BSS(ゼロCaCl+EGTA(1mM))+カルボキシフルオレセイン(200μM)に10分間、続いて、Ca2+-含有BSS(1.3mM)+カルボキシフルオレセイン(200μM)中に10分間暴露した。続いて、ディッシュをCa2+含有BSS(12ml)で洗浄した。Cool Snap HQ CCDカメラ(Roper Scientific)およびMetamorphソフトウェア(Universal Imaging Corp.、Marlow、Bucks、UK)で画像を取得した。ImageJを使用して色素取り込みを定量化したが、その際、関心領域(ROI)を各細胞(およそ10~15細胞/ディッシュ)の周りで抽出し、平均ピクセル強度を測定した。バックグラウンド蛍光値を各ROIから減算した。
結果
ダネガプチドがHK2細胞および初代hPTECにおいて、ヘミチャネルを介してのTGFβ1誘導色素取り込みを打ち消し得るかどうかを決定するために、カルボキシフルオレセイン色素取り込みアッセイを使用した。予測されたとおり、TGFβ1(10ng/mL)は、HK2細胞において、対照に対して354.9±32.6%まで色素取り込みを増加させたが、ダネガプチド(50nMおよび100nM)との同時インキュベーションは、応答をそれぞれ、165.5±17.9%および147.6±18.1%に有意に鈍らせた(図1B;P≦0.001、n=4)。ダネガプチドは単独では、色素取り込みを変化させなかった。カルボキシフルオレセイン取り込みは、初代hPTECにおいてTGFβ1(10ng/mL)により増加したが(対照に対して310.8±38.6%)、応答は、対照と比較してダネガプチドの同時インキュベーションにより部分的に打ち消された(100nM;145±19.7%)(図1C;P≦0.01、n=4)。最後に、10~1000nMダネガプチドの用量範囲を試験し、HK2細胞におけるカルボキシフルオレセイン色素取り込みの最適な阻害が、50~100nMダネガプチドの濃度で生じることが見い出された(図1D)。
結論
この実施例は、TGFβ1(10ng/mL)が腎臓上皮細胞を刺激してストレスを与えて、それらのCx43ベースのヘミチャネルを開放し、細胞へのカルボキシフルオレセイン色素の流入を可能にすることを実証している。ダネガプチド(100nM)の同時投与はCx43ヘミチャネルを調節して、閉鎖状態に維持し、それにより、細胞ストレスのマーカーとしての色素取り込みを限定した。したがって、ダネガプチドまたはその薬学的に許容される塩は、腎臓上皮細胞をTGFβ1誘導ストレスおよび病的ヘミチャネル開放から保護するための有望な候補として浮上する。
実施例3 - ダネガプチドはhPTECにおいて、TGFβ1誘導ヘミチャネル媒介ATP放出を打ち消す。
材料および方法
ATPバイオセンシング
ATPバイオセンサー(Sarissa Biomedical、Coventry UK)を、以前に記載されたとおりの同時デュアルレコーディングアンポマーセットアップ(ampomeric setup)で使用した(Price,G.W.;Chadjichristos、C.E.;Kavvadas,P.;Tang,S.C.W.;Yiu,W.H.;Green,C.R.;Potter,J.A.;Siamantouras,E.;Squires,P.E.;Hills,C.E.、Blocking Connexin-43 mediated hemichannel activity protects against early tubular injury in experimental chronic kidney disease. Cell Commun. Signal. 2020, 18)。ゼロバイオセンサーを使用して、非特異的電気活性アーチファクトを計上し、ATP痕跡から差し引いた。ATP検出を可能にするために、グリセロール(2mM)がすべての記録用溶液に含まれた。終夜の血清飢餓の前に、HK2細胞をガラスカバースリップ(直径10mm)上に、低グルコースDMEM/F12(5mmol/L)中で48時間、播種した。次いで、細胞をTGFβ1(10ng/ml)±ダネガプチド(100nM)と共に48時間インキュベートした。カバースリップを、6ml/分(37℃)で潅流されているCa2+含有BSSを含有するチャンバーに移し、順応のために10分間放置した。ATPおよびゼロバイオセンサーを曲げ下ろして、電極を細胞単層に対して平行に置いた。安定な基線が生じると、Ca2+非含有BSSの潅流がヘミチャネル開放を刺激した。ATP放出の後に、Ca2+含有BSSを使用してヘミチャネルを閉鎖し、その後、ATP(10mM)の校正溶液を続けた。Spike(v8.03)ソフトウェアを使用して、4Hzで、Micro CED(Mark2)インターフェースで、記録を得た。
結果
ダネガプチド(50~100nM)がhPTECにおいて、ヘミチャネルからのATPのTGFβ1(10ng/mL)誘導放出を防止することができるかどうかを決定するために、本発明者らは、ATPバイオセンシングを使用した。TGFβ1(10ng/mL)は、hPTECにおいてATP放出を0.33±0.11μMから3.60±0.29μMまで増加させ(図2BおよびE;P≦0.001)、作用は、50nM(1.90±0.26μM;P≦0.01)および100nM(0.79±0.19μM;P≦0.001)の両方のダネガプチドにより部分的に打ち消された(図2E、n=3、6回の繰返し/試料数)。ダネガプチドは単独では、ATP放出(図2CおよびE)に影響を及ぼさず、その際、ATPレベルは、対照と比較して0.35±0.10μM(50nM)および0.31±0.09μM(100nM)で記録された(図2E)。
結論
この実施例は、TGFβ1(10ng/mL)が腎臓上皮細胞を刺激してストレスを与えて、それらのCx43ベースのヘミチャネルを開放し、細胞外マトリックスへのATPの流出を可能にすることを実証している。ダネガプチド(50nMおよび100nMの両方)の同時投与はCx43ヘミチャネルを調節して、TGFβ1誘導ストレスにも関わらず閉鎖状態に維持し、それにより、サイトゾルから細胞外環境へのATPの漏出を限定した。したがって、ダネガプチドまたはその薬学的に許容される塩は、腎臓上皮細胞を、細胞外環境へのATP漏出をもたらすTGFβ1誘導ストレスおよび病理学的ヘミチャネル開放から保護するための有望な候補として浮上する。細胞外コンパートメントにおける高レベルのATPが炎症のための強力な刺激であることは周知である。これにより、ダネガプチドは、炎症および線維症発症を呈する腎臓疾患、特に慢性腎臓疾患の該当処置として浮上する。
実施例4 - ダネガプチドはhPTECにおいて、細胞周期タンパク質および腎臓保護のマーカーのTGFβ1誘導変化を逆転させる。
材料および方法
ダネガプチドが一般的な細胞周期および腎臓保護マーカーのヘミチャネル媒介調節を打ち消すかどうかを決定するために、hPTECをTGFβ1(10ng/mL)±ダネガプチド(100nM)と共に12時間インキュベートし、候補遺伝子mRNAの発現をqPCR分析を介して評価した。
RNAを、RNeasyミニキット(QIAGEN)を使用して抽出し、逆転写した(Invitrogen)。リアルタイムPCR(SYBR GreenER、Invitrogen)を、StepOne Plus機器(Applied Biosystems Inc、Foster City、CA)を使用して行った。cDNA発現を、連続希釈cDNAの標準曲線と比較することにより得た。次のプライマーを使用した:p16(フォワード:CTCGTGCTGATGCTACTGAGGA、リバース:GGTCGGCGCAGTTGGGCTCC)、p21(フォワード:AGGTGGACCTGGAGACTCTCAG、リバース:TCCTCTTGGAGAAGATCAGCCG)、サイクリンD1(フォワード:TCTACACCGACAACTCCATCCG、リバース:TCTGGCATTTTGGAGAGGAAGTG)、クロトー(フォワード:CCTCCTTTACCTGAAAATCAGCC、リバース:CAGGTCGGTAAACTGAGACAGAG)。融解曲線分析でプライマー特異性を確認し、汚染の可能性をチェックした。
結果
TGFβ1処理hPTECへのダネガプチドの添加は、p16の発現を対照に対して358.8±21.1%から193±18.5%へと、p21を221.8±12.9%から142.2±6.2%へと、かつサイクリンD1を253.2±7.7%から132.9±15.0%へと逆転させた(図3;150 P≦0.001、それぞれn=3)。加えて、ダネガプチドはクロトーの低下を対照に対して43.3±3.8%から59.9±11.7%へと部分的に逆転させた(図3、n=3)。
結論
この実施例は、TGFβ1処理hPTECがp16、p21およびサイクリンD1などの細胞周期タンパク質をコードするmRNAの発現の上昇に応答すること、およびダネガプチドがこれらのmRNAレベルのTGFβ1誘導変化を部分的に減少させ得ることを実証している。さらに、この実施例は、TGFβ1がp16、p21およびサイクリンD1の発現の増加を誘導したこと、および細胞をダネガプチドと同時インキュベートすると、これらの変化が回復したことを実証している。さらに、データは、TGFβ1がクロトーと呼ばれる重要な腎臓保護因子のmRNAレベルを減少させたこと、およびダネガプチドが、このクロトーのTGFβ1誘導減少から部分的に保護し得たことを示した。クロトータンパク質の産生の減少が、慢性腎臓不全の患者において観察されており、これは、CKDにおいて観察される変性プロセスの基礎にある因子の1つであり得る。再度、これらのデータは、ダネガプチドが向線維症的サイトカインTGFβ1に暴露された腎臓上皮組織に対して保護作用を有し得て、したがって、ダネガプチドまたはその薬学的に許容される塩が腎臓疾患、特に、慢性腎臓疾患を処置するための有望な候補として浮上することをさらに裏付けている。
実施例5 - ダネガプチドはhPTECにおいて、接着およびタイトジャンクションタンパク質ならびにパラ細胞透過性のTGFβ1媒介変化を回復させる。
材料および方法
ダネガプチドが接着およびタイトジャンクションタンパク質のTGFβ1媒介変化を打ち消し得るかどうかを決定するために、hPTECをTGFβ1(10ng/mL)±ダネガプチド(100nM)と共に48時間インキュベートし、候補タンパク質の発現をウエスタンブロット法により評価した。HK2およびHPTEC細胞からのサイトゾルタンパク質の調製、SDS-ゲル電気泳動によるそれらの分離、ならびにImmobilon-Fl PVDF膜上での移動は、以前に(Price,G.W.;Chadjichristos,C.E.;Kavvadas,P.;Tang,S.C.W.;Yiu,W.H.;Green,C.R.;Potter,J.A.;Siamantouras,E.;Squires,P.E.;Hills,C.E.Blocking Connexin-43 mediated hemichannel activity protects against early tubular injury in experimental chronic kidney disease.Cell Commun.Signal.2020,18)に記載されている。膜を、Odysseyブロッキングバッファー(LI-COR)を使用してブロックし、次いで、E-カドヘリン(1:1000)、N-カドヘリン(1:1000)、クローディン-2(1:500)およびZO-1(1:1000)、Col I(1:1000)、Col IV(1:2000)、フィブロネクチン(1:4000)、ラミニン(1:500)、ILK1(1:500)、ベータ-カテニン(1:2000)、ビメンチン(1:500)、MMP3(1:500)に対する抗体で終夜、プローブした。バンドを、OdysseyFCを使用して可視化し、ImageStudio(v5.2、LI-COR)を使用して半定量化した。加えて、経上皮電気抵抗(TER)を上皮細胞間カップリングおよびパラ細胞透過性の機能測定値として測定した。
結果
ダネガプチドは、E-カドヘリン(ECAD)発現を、対照に対して33.3±3.3%から89±7.6%まで、N-カドヘリン(NCAD)を224.4±29.6から161.9±27.4%まで、ビメンチンを212.9±13%から147.3±8.8%へ部分的に回復させた(図4A;それぞれP≦0.001、P≦0.01およびP≦0.001、n=3)。ベータ-カテニン発現は、ダネガプチドによって、149.2±11.2%(TGFβ1単独で)から151.6±16.8%までで変化しないままであった(TGFβ1+ダネガプチド 図4B;P=NS、n=3)。タイトジャンクションタンパク質に対するダネガプチドの作用の評価で、ギャップジャンクション調節薬は、対照と比較して、クローディン-2の発現を対照に対して44.5±5%から74.6±5%へ、かつZO-1を27.8±11.3%から52.8±5.4%へ部分的に回復させたことが確認された(図4B;P≦0.05、n=3)。経上皮電気抵抗を試験する研究で、TGFβ1(10ng/mL)で見られたタイトジャンクションタンパク質の発現の減少が57.33±1.86Ω.cm2から10±1.53Ω.cm2への経上皮抵抗の喪失と平行したことが確認された(P≦0.001、n=3)。この漏出の増加は、ダネガプチドとの同時インキュベーションにより部分的に補正された(36±2.08Ω.cm2)(図4C;P≦0.001、n=3)。
結論
この実施例は、ダネガプチドが、TGFβ1誘導ストレスにも関わらず、上皮細胞間カップリングを維持し得たことを実証している。ダネガプチドのこの保護作用は、接着およびタイトジャンクションタンパク質の発現、ならびにパラ細胞透過性の機能測定値の両方により実証された。E-カドヘリン媒介細胞接着の喪失およびタイトジャンクションの分解は、尿細管間質線維症の基礎病理とすべて関連する、ジャンクションタンパク質の分解、漏出性上皮ならびにビメンチンおよび線維芽細胞特異的タンパク質などの間葉系タンパク質の獲得と共に、部分的上皮間葉転換の開始トリガーと考えられ、その重症度が疾患進行を規定する。細胞間カップリングの維持と、細胞がコミュニケートしてそれらの活性を同期させることができることとが、組織の構造、完全性および機能の維持には必須であることが公知である。したがって、ダネガプチドまたはその薬学的に許容される塩は、腎臓疾患、特に、慢性腎臓疾患を処置するための有望な候補として浮上する。
実施例6 - ダネガプチドは、hPTECにおいて細胞外マトリックスタンパク質のTGFβ1誘発上方制御を阻止する。
材料および方法
ECMタンパク質の発現のTGFβ1誘発変化に対するダネガプチドの作用を試験するために、hPTEC細胞を低(5mM)グルコース中で48時間培養し、終夜、血清飢餓させ、TGFβ1(10ng/mL)±ダネガプチド(100nM)で48時間処理した。ECMタンパク質であるコラーゲンI、コラーゲンIV、フィブロネクチン、ラミニン、インテグリン結合キナーゼ1、およびマトリックスプロテイナーゼ3の発現をウエスタンブロット法により評価した。
結果
対照と比較して、TGFβ1は、ECMタンパク質であるコラーゲンI(334.6±30.14%)、コラーゲンIV(354.5±16.9%)、フィブロネクチン(301.7±50.4%)およびラミニン(324.8±36.4%)の発現を増加させた(図5AおよびB;P≦0.001、n=3)。ダネガプチドとの同時インキュベーションは、これらの変化を有意に減少させ、発現を180.7±27.3%(コラーゲンI)、164.2±6.9%(コラーゲンIV)、161.3±4%(フィブロネクチン)、149±20.4%(ラミニン)(P≦0.001;それぞれのケースでn=3)まで回復させた。ダネガプチド(100nM)はまた、インテグリン結合キナーゼ1(ILK1)のTGFβ1(10ng/mL)誘発変化を378.9±16.8%から251.8±33%(P≦0.001)まで減少させたが、マトリクスメタロプロテイナーゼ3(MMP3)に対してはわずかな作用を有し、発現をサイトカインのみを伴う場合の185.3±19.6%から、ダネガプチドと共に同時インキュベートされた場合の147.1±12.2%まで減少させた。
結論
この実施例は、TGFβ1がコラーゲンI、コラーゲンIV、フィブロネクチン、およびラミニンなどの線維症の発症と関連することが公知であるECMタンパク質の発現を増加させたことを実証している。さらに、インテグリン結合キナーゼは、細胞接着、生存、増殖、および細胞外マトリックス(ECM)沈着の調節において基本的な役割を果たす細胞内セリン/トレオニンプロテインキナーゼである。重要なことに、ILKの阻害は、CKDの複数のモデルにおいて腎線維症を軽減することが観察されている。現在の研究では、細胞をダネガプチドと同時インキュベートした場合に、ILK1発現のTGFβ1誘導増加が回復した。ダネガプチドは、これらのECMタンパク質のTGFβ1誘導産生から部分的に保護することができた。したがって、ダネガプチドまたはその薬学的に許容される塩は、線維症の発症を呈する腎臓疾患、特に、慢性腎臓疾患を処置するための有望な候補として浮上する。
実施例7 - ダネガプチドは、hPTECからのアディポカイン、ケモカイン、成長因子およびインターロイキンの発現のTGFβ1誘発変化を減少させる。
材料および方法
ダネガプチドが重要な炎症誘発性メディエーターの発現および分泌のTGFβ1誘導変化を打ち消すかどうかを決定するために、プロテオームプロファイラーアレイ(R&D Systems(Oxfordshire、UK)製のHuman Cytokine Array Kit)を使用した。初代hPTECを前記のとおり培養し、TGFβ1(10ng/mL)±ダネガプチド(100nM)と共に48時間処理した。
結果
溶解産物(図6、表1)および上清(図7、表2)の変化のリストを、一次機能によりグループ分けされた31の候補タンパク質について提供する。
対照と比較して、TGFβ1は、TNF-α、IFN-γ、IL-8、IGFBP-2、IGFBP-3およびICAM-1を含む、CKDおよび糖尿病性腎障害と関連する重要なサイトカインおよびシグナル分子の発現を増加させた。ダネガプチドとの同時インキュベーションは、これらの変化を減少させ、一般的パターンが観察された。MCP-1(単球走化性タンパク質1)およびRANTES(活性化制御で、正常T細胞で発現、分泌されるケモカイン)などの尿細管細胞の活性化により産生される周知で強力な化学誘引物質も、TGFβ1刺激の後に増加することが観察され、これらの増加が、ダネガプチドが同時投与された場合に減少することが観察された。
Figure 2024506331000009
Figure 2024506331000010
結論
この実施例は、CKDおよび糖尿病性腎障害を含むいくつかの腎臓疾患において炎症プロセスと関連することが公知である重要なサイトカイン、ケモカインおよび他のシグナル分子が、TGFβ1刺激に応じて上方制御されること、およびダネガプチドが、初代hPTECにおけるこれらのTGFβ1誘導変化からの保護作用を実証したことを実証している。近位尿細管における、およびその周囲での炎症応答は、多数の炎症マーカーの分泌と組み合わされた複数の細胞型の活性化の両方と関係することが公知である。具体的には、可溶性ケモカイン、サイトカインおよび成長因子は、浸潤性免疫細胞を動員および活性化し、常在性線維芽細胞を刺激することが公知である。これらの細胞の持続的活性化は、病的炎症および尿細管間質線維症の発症と関連している。したがって、ダネガプチドまたはその薬学的に許容される塩は、炎症を呈する腎臓疾患、特に、慢性腎臓疾患を処置するための有望な候補として浮上する。

Claims (48)

  1. 慢性腎臓疾患(CKD)または慢性腎臓疾患(CKD)に至る基礎状態である、腎臓疾患の処置または予防において使用するための式(I)の化合物:
    Figure 2024506331000011
    またはその薬学的に許容される塩および/もしくは水和物。
  2. ヒト対象に投与される、請求項1に記載の処置または予防において使用するための化合物。
  3. 前記対象が、乳児対象、子供対象、青年対象、成人対象、または高齢者対象である、請求項2に記載の処置または予防において使用するための化合物。
  4. 前記腎臓疾患が対象において、腎臓炎症および/または腎線維症の発症を呈する、請求項1~3のいずれか一項に記載の処置または予防において使用するための化合物。
  5. 前記腎臓疾患が慢性腎臓疾患(CKD)である、請求項1~4のいずれか一項に記載の処置または予防において使用するための化合物。
  6. 慢性腎臓疾患(CKD)に至る前記基礎状態が、慢性腎臓疾患(CKD)をもたらしているか、もたらし得る糖尿病性腎障害である、請求項1~5のいずれか一項に記載の処置または予防において使用するための化合物。
  7. (a)前記慢性腎臓疾患が、腎障害および対象GFR>90ml/分/1.73mにより定義されるステージ1である;または
    (b)前記慢性腎臓疾患が、腎障害および対象GFR60~89ml/分/1.73mにより定義されるステージ2である;または
    (c)前記慢性腎臓疾患が、対象GFR45~59ml/分/1.73mにより定義されるステージ3aである;または
    (d)前記慢性腎臓疾患が、対象GFR30~44ml/分/1.73mにより定義されるステージ3bである;または
    (e)前記慢性腎臓疾患が、対象GFR15~29ml/分/1.73mにより定義されるステージ4である、請求項1~6のいずれか一項に記載の処置または予防において使用するための化合物。
  8. ステージ1、2、3a、3b、または4のいずれか1つである慢性腎臓疾患から、より進行した慢性腎臓疾患段階への進行を予防する、請求項7に記載の処置または予防において使用するための化合物。
  9. ステージ1の慢性腎臓疾患から、ステージ2、3a、3b、4、または5のいずれか1つである慢性腎臓疾患への進行を予防する、請求項7に記載の処置または予防において使用するための化合物。
  10. ステージ2の慢性腎臓疾患から、ステージ3a、3b、4、または5のいずれか1つである慢性腎臓疾患への進行を予防する、請求項7に記載の処置または予防において使用するための化合物。
  11. ステージ3aの慢性腎臓疾患から、ステージ3b、4、または5のいずれか1つである慢性腎臓疾患への進行を予防する、請求項7に記載の処置または予防において使用するための化合物。
  12. ステージ3bの慢性腎臓疾患から、ステージ4または5の慢性腎臓疾患への進行を予防する、請求項7に記載の処置または予防において使用するための化合物。
  13. ステージ4の慢性腎臓疾患から、ステージ5の慢性腎臓疾患への進行を予防する、請求項7に記載の処置または予防において使用するための化合物。
  14. 前記腎臓疾患がタンパク尿、アルブミン尿またはマイクロアルブミン尿を呈する、請求項1~13のいずれか一項に記載の処置または予防において使用するための化合物。
  15. 慢性腎臓疾患(CKD)に至る前記基礎状態が、糸球体硬化症または糖尿病性糸球体硬化症などの糸球体疾患である、請求項1~14のいずれか一項に記載の処置または予防において使用するための化合物。
  16. 慢性腎臓疾患(CKD)に至る前記基礎状態が、全身性エリテマトーデス(狼瘡性腎炎)、糖尿病性腎障害、サルコイドーシス、シェーグレン症候群、アミロイド症、多発性骨髄腫、脈管炎、尿管の閉鎖症もしくは狭窄、上部もしくは下部尿路の結石(腎臓結石)、または閉塞性および逆流性腎障害からなる群から選択される、請求項1~15のいずれか一項に記載の処置または予防において使用するための化合物。
  17. 慢性腎臓疾患(CKD)に至る前記基礎状態が腎尿細管間質疾患である、請求項1~16のいずれか一項に記載の処置または予防において使用するための化合物。
  18. 前記腎尿細管間質疾患が、慢性尿細管間質性腎炎、薬物および重金属誘発性の尿細管間質および尿細管の状態、ならびに全身結合組織障害における腎尿細管間質障害から選択される、請求項17に記載の処置または予防において使用するための化合物。
  19. 慢性腎臓疾患(CKD)に至る前記基礎状態が希少な遺伝性腎臓疾患である、請求項1~18のいずれか一項に記載の処置または予防において使用するための化合物。
  20. 前記希少な遺伝性腎臓疾患が多発性嚢胞腎疾患(PKD)である、請求項19に記載の処置または予防において使用するための化合物。
  21. ヘミチャネルATP放出を阻害する、請求項1~20のいずれか一項に記載の処置または予防において使用するための化合物。
  22. Cx43媒介ATP放出を阻害する、請求項21に記載の処置または予防において使用するための化合物。
  23. (a)前記化合物が、TGFβ1により誘導される細胞外マトリックスタンパク質、アディポカイン、ケモカインおよび成長因子の発現および分泌の変化を回復させる;および/または
    (b)前記化合物が、炎症および線維症と関連する腎臓機能の変化から保護する;および/または
    (c)前記化合物が、近位尿細管または尿細管間質組織の炎症を減少させる、
    請求項1~22のいずれか一項に記載の処置または予防において使用するための化合物。
  24. 式:
    Figure 2024506331000012
    により表される化合物またはその薬学的に許容される塩である、請求項1~23のいずれか一項に記載の処置または予防において使用するための化合物。
  25. 前記使用が、前記腎臓組織の微小環境において、約50nM~100nMの投与された化合物の標的濃度をもたらす、請求項1~24のいずれか一項に記載の処置または予防において使用するための化合物。
  26. 対象1人あたり1日あたり約10mg~約500mgの範囲で投与される、請求項1~25のいずれか一項に記載の処置または予防において使用するための化合物。
  27. 対象1人あたり1日あたり約10mg~約100mgの範囲で投与される、請求項26に記載の処置または予防において使用するための化合物。
  28. 対象1人あたり1日あたり約50mg~約150mgの範囲で投与される、請求項26に記載の処置または予防において使用するための化合物。
  29. 1日あたり少なくとも約0.1mg/kg対象体重で投与される、請求項1~28のいずれか一項に記載の処置または予防において使用するための化合物。
  30. 1日あたり少なくとも約0.3mg/kg対象体重で投与される、請求項1~29のいずれか一項に記載の処置または予防において使用するための化合物。
  31. 1日あたり少なくとも約0.5mg/kg対象体重で投与される、請求項1~30のいずれか一項に記載の処置または予防において使用するための化合物。
  32. 1日あたり少なくとも約1mg/kg対象体重で投与される、請求項1~31のいずれか一項に記載の処置または予防において使用するための化合物。
  33. 1日あたり少なくとも約2mg/kg対象体重で投与される、請求項1~32のいずれか一項に記載の処置または予防において使用するための化合物。
  34. 前記薬学的に許容される塩が塩酸塩である、請求項1~33のいずれか一項に記載の処置または予防において使用するための化合物。
  35. 経口または非経口で投与される、請求項1~34のいずれか一項に記載の処置または予防において使用するための化合物。
  36. 経口で投与される、請求項1~35のいずれか一項に記載の処置または予防において使用するための化合物。
  37. 1日1回または2回投与される、請求項1~36のいずれか一項に記載の処置または予防において使用するための化合物。
  38. 対象において、慢性腎臓疾患(CKD)または慢性腎臓疾患(CKD)に至る基礎状態である腎臓疾患を処置または予防する方法であって、式(I)の化合物:
    Figure 2024506331000013
    またはその薬学的に許容される塩および/もしくは水和物を前記対象に投与するステップを含む方法。
  39. 慢性腎臓疾患(CKD)または慢性腎臓疾患(CKD)に至る基礎状態である腎臓疾患を処置または予防するための医薬を製造するための、式(I)の化合物:
    Figure 2024506331000014
    またはその薬学的に許容される塩および/もしくは水和物の使用。
  40. 対象において、(a)TGFβ1により誘導される細胞外マトリックスタンパク質、アディポカイン、ケモカインおよび成長因子の発現および分泌の変化を回復させる;および/または(b)炎症および線維症と関連する腎臓機能の変化から保護する;および/または(c)近位尿細管または尿細管間質組織における炎症を減少させるための方法であって、式(I)の化合物:
    Figure 2024506331000015
    またはその薬学的に許容される塩および/もしくは水和物を前記対象に投与するステップを含む方法。
  41. 式(I)の化合物:
    Figure 2024506331000016
    またはその薬学的に許容される塩および/もしくは水和物による処置のための対象を選択するための方法であって、
    (a)前記対象から試料を得るか、前記対象に生検を行うステップと;
    (b)前記試料または生検において1種または複数の腎臓疾患バイオマーカーの存在を決定するステップと;
    (c)前記試料または生検中に1種または複数の腎臓疾患バイオマーカーが存在する場合に、前記対象を処置のために選択するステップと
    を含む方法。
  42. 式(I)の化合物:
    Figure 2024506331000017
    またはその薬学的に許容される塩および/もしくは水和物による処置のための対象を選択するための方法であって、
    (a)患者から得られた試料または生検において1種または複数の腎臓疾患バイオマーカーの存在を決定するステップと;
    (b)前記試料または生検中に1種または複数の腎臓疾患バイオマーカーが存在する場合に、前記対象を処置のために選択するステップと
    を含む方法。
  43. 前記1種または複数の腎臓疾患バイオマーカーが、タンパク尿、GFR推定値、尿アルブミン-クレアチニン比および/または炎症または線維症発症のバイオマーカーから選択される、請求項41または42に記載の処置のための対象を選択するための方法。
  44. 式(I)の化合物:
    Figure 2024506331000018
    またはその薬学的に許容される塩および/もしくは水和物による処置のための対象を選択するための方法であって、
    (a)前記対象から試料を得るか、前記対象に生検を行うステップと;
    (b)対照試料からの基線レベルに対して、基底膜(BM)の肥厚および/またはメサンギウム基質拡大を決定するステップと;
    を含み、肥厚した基底膜および/または拡大したメサンギウム基質が、その対象が前記化合物での処置に応答することを示す方法。
  45. 式(I)の化合物:
    Figure 2024506331000019
    またはその薬学的に許容される塩および/もしくは水和物による処置のための対象を選択するための方法であって、
    (a)患者から得られた試料または生検において、対照試料からの基線レベルに対して、基底膜(BM)の肥厚および/またはメサンギウム基質拡大を決定するステップ;
    を含み、肥厚した基底膜および/または拡大したメサンギウム基質が、その対象が前記化合物での処置に応答することを示す方法。
  46. ex vivoにおいてである、請求項41から45のいずれか一項に記載の処置のための対象を選択するための方法。
  47. in vitroにおいてである、請求項41から45のいずれか一項に記載の処置のための対象を選択するための方法。
  48. 対象において腎臓疾患を処置または予防するための方法であって、前記腎臓疾患が、慢性腎臓疾患(CKD)または慢性腎臓疾患(CKD)に至る基礎状態であり、式(I)の化合物:
    Figure 2024506331000020
    またはその薬学的に許容される塩および/もしくは水和物を前記対象に投与するステップを含み、前記対象が、請求項41~47のいずれか一項に記載の処置のための対象を選択するための方法により選択される方法。
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