JP2024506316A - リベリバクター属種によって引き起こされる植物の病気に対する防御に関与する免疫調節因子 - Google Patents

リベリバクター属種によって引き起こされる植物の病気に対する防御に関与する免疫調節因子 Download PDF

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Abstract

本開示は、リベリバクター属種の細菌への感染によって引き起こされる病気に対する植物の抵抗性を増大させるための方法および組成物を提供する。TIFF2024506316000099.tif76128

Description

関連出願の相互参照
本出願は、2021年2月9日に提出された米国特許仮出願第63/147,452号の優先権の恩典を主張するものであり、該仮出願は全ての目的に関して参照により組み入れられる。
背景
カンキツグリーニング病(黄竜病(Huanglongbing)(HLB))は、細菌であるカンジダタス・リベリバクター・アジアティカス(Candidatus Liberibacter asiaticus)(CLas)に関連し、かつミカンキジラミ(Asian citrus psyllid)(ACP)によって媒介されるものであり、これはカンキツ類にとって最も破壊的な病気であって、かつカンキツ類の品質および収量の著しい低下をもたらしている。HLBは、カンキツ類産物に毎年数十億ドルもの損失をもたらしており、かつカンキツ類産業の活力に深刻な影響を与えている。主として感染樹の伐採および媒介昆虫に対する化学薬品処理によって、部分的には制御が達成される。HLBについての効率が良くかつ持続可能な病気の制御方法は、見いだされていない。フロリダ州においては、2005年にHLB陽性樹が最初に発見されて以来、カンキツ類果樹園の80%超がCLasに感染している。それ以降、HLBはテキサス州およびカリフォルニア州に広がっている。感染樹を全て伐採することは、もはや現実的な対処戦略ではない。加えて、防除剤を適用しても、病気を一時的に抑制できるだけであり、かつこれは、長期的な解決策としては、環境に優しい手法ではない。
リベリバクター(Liberibacter)属種によって引き起こされる別の重要な病気は、ジャガイモゼブラチップ(ZC)病(ジャガイモゼブラ複合病(Potato Zebra complex disease)とも呼ばれる)である。ZC病はカンジダタス・リベリバクター・ソラナセアラム(Candidatus Liberibacter solanacearum)(CLso)に関連するものであり、これはジャガイモトガリキジラミ(potato psyllid)(たとえば、バクテリセラ・コクケレリ(Bactericera cockerelli))によって伝染する。ZC病はテキサス州北部において2006年に蔓延レベルに到達し、かつアリゾナ州、カリフォルニア州、コロラド州、アイダホ州、オレゴン州、カンザス州、ネブラスカ州、およびニューメキシコ州に広がっている。ZC病は、米国の南西部、特にテキサス州において、ジャガイモ産業に対し数百万ドルもの損失をもたらしている。ジャガイモに加えて、トマト、ナス、およびトウガラシを含めた他のナス科(solanaceous)作物もまた、これに感染し得る。
概要
本発明者らは、HLB抵抗性/耐性の変種であるUS942と、HLB感受性の変種であるクレオパトラ(Cleopatra)との間での、小分子RNAプールの比較解析によって、US942においてHLBに応答したが、クレオパトラにおいては応答しなかった調節因子を同定した。本発明者らは、免疫の負および正の調節因子の可能性のあるものの予測およびアノテーションを行い、そして、クレオパトラと比較して、US942において発現レベルを抑制または評価し、かつ、HLB耐性である近縁の別のカンキツ類であって、異なる遺伝学的背景および地理的背景を有するシドニーハイブリッド(Sydney hybrid)(ミクロシトラス・ビルガタ(Microcitrus virgata))においても、発現レベルを抑制または評価した。樹木作物における調節因子候補の機能検証は、常に難易度が高くかつ時間がかかるため、本発明者らは、HLBの天然の伝染および感染の回路を模倣するために、類似しかつ同等であるC. リベリバクター・ソラナセアラム(CLso)/ジャガイモトガリキジラミ/ニコチアナ・ベンサミアナ(Nicotiana benthamiana)の相互作用システムを用いる、迅速な機能スクリーニング方法を開発したものであり、この費用効果の高いスクリーニング方法によって、HLBに対する植物の免疫応答に関与する調節因子の迅速な同定およびその機能的な特徴付けが可能となる。正の防御調節因子または負の免疫抑制因子を同定するために、本発明者らはこのパソシステム(pathosystem)において機能試験を実施した。それにより、リベリバクター感染に対する植物の抵抗性、たとえばHLBまたはジャガイモゼブラチップ病に対する抵抗性が強化されるように、正の防御調節因子の発現を増大させるためおよび/または負の免疫調節因子の発現を阻害するための方法ならびに組成物が、本明細書において提供される。
1つの局面において、HLBに対する抵抗性を強化する方法が本明細書において提供され、該方法は、免疫応答ポリペプチドの負の調節因子をコードする内在性遺伝子の発現を低下させるために、植物、たとえばミカン科(citrus family)の植物またはナス科作物を、遺伝学的に改変する段階を含み、ここで、免疫応答ポリペプチドの負の調節因子は、表1に列挙されるポリペプチドである。いくつかの態様において、免疫応答ポリペプチドの負の調節因子は、VAD1、PRT6、PUB26、PAO1、LIN2、CRWN、またはGPX8である。いくつかの態様において、負の調節因子ポリペプチドの発現を低下させることは、負の調節因子ポリペプチドをコードする内在性核酸を標的とするsiRNAに、植物を接触させることを含む。いくつかの態様において、負の調節因子ポリペプチドの発現を低下させることは、ウイルスベクターに媒介される遺伝子サイレンシングを含む。いくつかの態様において、負の調節因子ポリペプチドの発現を低下させることは、負の調節因子をコードする内在性遺伝子の発現をノックアウトすることを含む。いくつかの態様において、方法は、たとえばCRISPR/CASでの遺伝子編集を用いて、発現を低下させるかまたはノックアウトするために内在性遺伝子を遺伝子編集する段階を含む。いくつかの態様において、免疫応答ポリペプチドの負の調節因子は、表3に列挙されるポリペプチド配列と同一であるアミノ酸配列を含むか、または表3に列挙されるポリペプチド配列と少なくとも70%、75%、80%、もしくは85%同一である、もしくは少なくとも90%もしくは少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、免疫応答ポリペプチドの負の調節因子は、表3に記載されるVAD1、PRT6、PUB26、PAO1、LIN2、CRWN、もしくはGPX8のポリペプチド配列と同一であるアミノ酸配列を含むか、または該ポリペプチド配列と少なくとも70%、75%、80%、もしくは85%同一である、もしくは少なくとも90%もしくは少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、植物は、シトラス・マキシマ(Citrus maxima)植物、シトラス・メディカ(Citrus medica)植物、シトラス・ミクランサ(Citrus micrantha)植物、シトラス・レティクラタ(Citrus reticulata)植物、シトラス・オーランティイフォリア(Citrus aurantiifolia)植物、シトラス・オーランティウム(Citrus aurantium)植物、シトラス・ラティフォリア(Citrus latifolia)植物、シトラス・リモン(Citrus limon)植物、シトラス・リモニア(Citrus limonia)植物、シトラス・パラディシ(Citrus paradisi)植物、シトラス・クレメンティナ(Citrus clementina)植物、シトラス・ウンシュウ(Citrus unshiu)植物、シトラス・シネンシス(Citrus sinensis)植物、シトラス・タンジェリナ(Citrus tangerina)植物、シトラス・イーチャンゲンシス(Citrus ichangensis)植物、アタランティア・バクシフォリア(Atalantia buxifolia)植物、またはポンシラス・トリフォリアタ(Poncirus trifoliata)植物である。いくつかの態様において、植物はジャガイモまたはトマトの変種である。いくつかの態様において、植物はトウガラシの変種である。
さらなる1つの局面において、HLBに対する抵抗性を強化する方法が本明細書において提供され、該方法は、表2に記載される正の防御調節因子ポリペプチドをコードする遺伝子を高発現させるために、植物、たとえばミカン科の植物またはナス科作物を、遺伝学的に改変する段階を含む。いくつかの態様において、正の防御調節因子ペプチドは、BRAP2、NDR1様、またはPSL4である。いくつかの態様において、方法は、表4に記載されるポリペプチドと同一であるアミノ酸配列か、または表4に記載されるポリペプチドに対して少なくとも70%、75%、80%、もしくは85%の同一性;もしくは少なくとも90%もしくは95%の同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドを高発現させるために、植物を遺伝学的に改変する段階を含む。いくつかの態様において、ポリペプチドは、表4に記載されるBRAP2、NDR1様、もしくはPSL4のポリペプチド配列と同一であるか、または該ポリペプチド配列に対して少なくとも70%、75%、80%、もしくは85%の同一性、もしくは少なくとも90%の同一性もしくは少なくとも95%の同一性を有する。いくつかの態様において、ポリペプチドは植物にとって内在性である。あるいは、ポリペプチドは植物にとって異種性であり得る。いくつかの態様において、植物は、シトラス・マキシマ植物、シトラス・メディカ植物、シトラス・ミクランサ植物、シトラス・レティクラタ植物、シトラス・オーランティイフォリア植物、シトラス・オーランティウム植物、シトラス・ラティフォリア植物、シトラス・リモン植物、シトラス・リモニア植物、シトラス・パラディシ植物、シトラス・クレメンティナ植物、シトラス・ウンシュウ植物、シトラス・シネンシス植物、シトラス・タンジェリナ植物、シトラス・イーチャンゲンシス植物、アタランティア・バクシフォリア植物、またはポンシラス・トリフォリアタ植物である。いくつかの態様において、植物はジャガイモまたはトマトの変種である。いくつかの態様において、植物はトウガラシの変種である。
さらなる1つの局面において、本開示は、本明細書に記載される遺伝子、たとえばこの直前の2段落に記載される遺伝子をターゲティングする方法によって作製された、HLBに対する強化された抵抗性を有する植物を提供する。
図1a~1c:ウイルス誘導型遺伝子サイレンシング(viral-induced gene silencing)(VIGS)と組み合わせられた、Nb/キジラミ/CLsoのパソシステムにより、VADが、CLso感染に対する応答における負の調節因子であることが示された。a) 2週齢のNb植物は、CLso陽性のジャガイモトガリキジラミに5日間曝露され、そしてVADの発現がVIGSによってノックダウンされた。RB遺伝子のサイレンシング(iRB対照)は、サイレンシングされない植物において対照として使用された。b) パネルaの葉の詳細。c) 50 ngの宿主ゲノムDNAにおいてプローブベースのqPCRによって測定された、CLso細菌の力価。有意差はスチューデントのt検定によって解析されている(*P < 0.01)。 図2a~2d:VADがノックダウンされているキャリゾ(Carrizo)植物は、感染特異的(pathogenesis-related)PR-2およびキチナーゼ(CHI)を含めた防御マーカー遺伝子のより高度な発現を示した。a. VADがノックダウンされているキャリゾ植物の挿し穂の1つ。VADは、RNAサイレンシングによってノックダウンされている。キャリゾ植物には、VADヘアピンRNA発現ベクターであるpHellsgate8が導入された。b. VADをサイレンシングしたキャリゾ植物におけるVADの発現レベルは、qRT-PCRによって解析され、そしてユビキチン遺伝子(CsUbi)に対して正規化された。有意差はT検定によって解析されている(*P < 0.01)。cおよびd. VADをサイレンシングしたキャリゾ植物における、防御マーカー遺伝子であるPR2 (c)およびCHI (d)の発現レベルは、qRT-PCRによって解析され、そしてユビキチン遺伝子(CsUbi)に対して正規化された。有意差はT検定によって解析されている(*P < 0.01)。 図3a~3c:VIGSと組み合わせられた、Nb/キジラミ/CLsoのパソシステムにより、PAO1が、CLso感染に対する応答における負の調節因子であることが示された。a) 2週齢のNb植物は、CLso陽性のジャガイモトガリキジラミに5日間曝露され、そしてPAO1の発現がVIGSによってノックダウンされた。RB遺伝子のサイレンシング(iRB対照)は、サイレンシングされない植物において対照として使用された。b) パネルaの葉の詳細。c) 50 ngの宿主ゲノムDNAにおいてプローブベースのqPCRによって測定された、CLso細菌の力価。有意差はスチューデントのt検定によって解析されている(*P < 0.05)。 図4a~4c:VIGSと組み合わせられた、Nb/キジラミ/CLsoのパソシステムにより、CRWNが、CLso感染に対する応答における負の調節因子であることが示された。a) 2週齢のNb植物は、CLso陽性のジャガイモトガリキジラミに5日間曝露され、そしてCRWNの発現がVIGSによってノックダウンされた。RB遺伝子のサイレンシング(iRB対照)は、サイレンシングされない植物において対照として使用された。b) パネルaの葉の詳細。c) 50 ngの宿主ゲノムDNAにおいてプローブベースのqPCRによって測定された、CLso細菌の力価。有意差はスチューデントのt検定によって解析されている(*P < 0.05)。 図5a~5c:VIGSと組み合わせられた、Nb/キジラミ/CLsoのパソシステムにより、GPX8が、CLso感染に対する応答における負の調節因子であることが示された。a) 2週齢のNb植物は、CLso陽性のジャガイモトガリキジラミに5日間曝露され、そしてGPX8の発現がVIGSによってノックダウンされた。RB遺伝子のサイレンシング(iRB対照)は、サイレンシングされない植物において対照として使用された。b) パネルaの葉の詳細。c) 50 ngの宿主ゲノムDNAにおいてプローブベースのqPCRによって測定された、CLso細菌の力価。有意差はスチューデントのt検定によって解析されている(*P < 0.05)。 図6a~6b:VIGSと組み合わせられた、Nb/キジラミ/CLsoのパソシステムにより、PRT6が、CLso感染に対する応答における負の調節因子であることが示された。a) 2週齢のNb植物は、CLso陽性のジャガイモトガリキジラミに5日間曝露され、そしてPRT6の発現がVIGSによってノックダウンされた。RB遺伝子のサイレンシング(iRB対照)は、サイレンシングされない植物において対照として使用された。b) 50 ngの宿主ゲノムDNAにおいてプローブベースのqPCRによって測定された、CLso細菌の力価。 図7a~7c:VIGSと組み合わせられた、Nb/キジラミ/CLsoのパソシステムにより、PUB26が、CLso感染に対する応答における負の調節因子であることが示された。a) 2週齢のNb植物は、CLso陽性のジャガイモトガリキジラミに5日間曝露され、そしてPUB26の発現がVIGSによってノックダウンされた。RB遺伝子のサイレンシング(iRB対照)は、サイレンシングされない植物において対照として使用された。b) パネルaの葉の詳細。c) 50 ngの宿主ゲノムDNAにおいてプローブベースのqPCRによって測定された、CLso細菌の力価。 図8a~8c:VIGSと組み合わせられた、Nb/キジラミ/CLsoのパソシステムにより、LIN2が、CLso感染に対する応答における負の調節因子であることが示された。a) 2週齢のNb植物は、CLso陽性のジャガイモトガリキジラミに5日間曝露され、そしてLIN2の発現がVIGSによってノックダウンされた。RB遺伝子のサイレンシング(iRB対照)は、サイレンシングされない植物において対照として使用された。b) パネルaの葉の詳細。c) 50 ngの宿主ゲノムDNAにおいてプローブベースのqPCRによって測定された、CLso細菌の力価。有意差はスチューデントのt検定によって解析されている(*P < 0.05)。 図9a~9c:VIGSと組み合わせられた、Nb/キジラミ/CLsoのパソシステムにより、BRAPが、CLso感染に対する応答における正の調節因子であることが示された。a) 2週齢のNb植物は、CLso陽性のジャガイモトガリキジラミに5日間曝露され、そしてBRAPの発現がVIGSによってノックダウンされた。RB遺伝子のサイレンシング(iRB対照)は、サイレンシングされない植物において対照として使用された。b) パネルaの葉の詳細。c) 50 ngの宿主ゲノムDNAにおいてプローブベースのqPCRによって測定された、CLso細菌の力価。有意差はスチューデントのt検定によって解析されている(*P < 0.05)。 図10a~10b:VIGSと組み合わせられた、Nb/キジラミ/CLsoのパソシステムにより、PSL4が、CLso感染に対する応答における正の調節因子であることが示された。a) 2週齢のNb植物は、CLso陽性のジャガイモトガリキジラミに5日間曝露され、そしてPSL4の発現がVIGSによってノックダウンされた。RB遺伝子のサイレンシング(iRB対照)は、サイレンシングされない植物において対照として使用された。b) 50 ngの宿主ゲノムDNAにおいてプローブベースのqPCRによって測定された、CLso細菌の力価。 図11a~11b:VIGSと組み合わせられた、Nb/キジラミ/CLsoのパソシステムにより、NDR1様が、CLso感染に対する応答における正の調節因子であることが示された。a) 2週齢のNb植物は、CLso陽性のジャガイモトガリキジラミに5日間曝露され、そしてPSL4の発現がVIGSによってノックダウンされた。RB遺伝子のサイレンシング(iRB対照)は、サイレンシングされない植物において対照として使用された。b) 50 ngの宿主ゲノムDNAにおいてプローブベースのqPCRによって測定された、CLso細菌の力価。有意差はスチューデントのt検定によって解析されている(*P < 0.05)。
詳細な説明
本開示は、HLBに対する抵抗性が強化されるように免疫応答経路を変化させるための標的を提供する。
本発明は、常用されているさまざまな組み換え核酸技術を利用する。概して、以下に説明される組み換えDNA技術における専門用語および実験手技は、当技術分野において一般的に採用されているものである。組み換えDNA操作を実施するための説明を提供する多くのマニュアルが利用可能であり、これはたとえば、SambrookおよびRussell, "Molecular Cloning, A Laboratory Manual" (第3版、2001);ならびに"Current Protocols in Molecular Biology" (Ausubelら、John Wiley and Sons, New York, 2009-2014)などである。
本明細書において使用される場合、「カンキツグリーニング病」および「黄竜病(HLB)」との用語は、カンジダタス・リベリバクター(Candidatus Liberibacter)属の細菌(カンジダタス・リベリバクター・アジアティカス、カンジダタス・リベリバクター・アフリカヌス(Candidatus Liberibacter africanus)、およびカンジダタス・リベリバクター・アメリカヌス(Candidatus Liberibacter americanus))によって引き起こされる、植物(たとえばカンキツ類植物)の細菌感染を指す。ミカンキジラミであるディアフォリナ・シトリ(Diaphorina citri)、およびミカントガリキジラミ(African citrus psyllid)であるトリオザ・エリトレアエ(Trioza erytreae)が、感染を媒介し、かつ伝染させる。現在、3種類の異なるHLBが知られている:高温に対して耐性のアジア型と、高温に対して感受性のアフリカ型およびアメリカ型である。
「HLB抵抗性の/耐性の」または「HLB抵抗性/耐性」との用語は、遺伝学的改変を含まない対応する対照カンキツ類植物と対比される、本明細書に記載される遺伝学的改変の1種または複数種を含むカンキツ類植物の能力であって、HLB感染を防止するかもしくはそれに抵抗する能力、またはHLBに誘起される感染症状を防止するかもしくはそれに抵抗する能力の、増大を指す。したがって、「HLB抵抗性」植物は、対照のカンキツ類植物と比較して、HLBに対する増大した耐性を有し得る。したがって、別途指定されない限り、「HLB抵抗性」との用語には、HLBに対して耐性である植物が含まれ、これはたとえば、HLBに感染しているにもかかわらず、生育することおよび果実を産生することが可能なカンキツ類植物などであり得る。したがって、「HLB抵抗性/耐性」および「HLB抵抗性」との用語は、HLB感染を防止する能力が増大しているか、またはHLBに誘起される感染症状の1種もしくは複数種が低減している植物を指すために、本明細書において互換性をもって使用される。
「負の免疫抑制因子」または「負の免疫応答調節因子」または「免疫応答の負の調節因子」との用語は、植物がHLBに対する増大した感受性を有するように、宿主の防御応答を低下させる、すなわち、CLas感染に対する植物の免疫応答の1つまたは複数の局面を低下させる、遺伝子または該遺伝子によってコードされるポリペプチドを指す。負の免疫抑制因子の一覧は表1に提供される。例示的なポリペプチド配列は表3に提供される。
「正の防御調節因子」との用語は、植物がHLBに対する増大した抵抗性/耐性を有するように、宿主の防御応答を強化する、すなわち、CLas感染に対する植物の免疫応答の1つまたは複数の局面を強化する、遺伝子または該遺伝子によってコードされるポリペプチドを指す。正の防御調節因子の一覧は表2にある。例示的なポリペプチド配列は表4に提供される。
「核酸」または「ポリヌクレオチド」との用語は、5'末端から3'末端に向かって読まれる、デオキシリボヌクレオチド塩基またはリボヌクレオチド塩基の、1本鎖または2本鎖の重合体を指す。核酸はまた、ポリメラーゼによる正確なリードスルーが可能な修飾ヌクレオチドであって、該核酸によってコードされるポリペプチドの発現を著しく変化させることはない修飾ヌクレオチドを含んでもよい。
「…をコードする核酸」または「…をコードするポリヌクレオチド」との表現は、ある特定のタンパク質またはペプチドの発現を指向する核酸を指す。核酸配列には、RNAへと転写されるDNA鎖配列と、タンパク質へと翻訳されるRNA配列との両方が含まれる。核酸配列には、全長核酸配列と、該全長核酸配列に由来する全長でない配列との両方が含まれる。配列には、ある特定の宿主細胞におけるコドンの優先傾向を提供するように導入され得る、天然の単数または複数の配列の縮重コドンが含まれることが、さらに理解されるべきである。
2つの核酸配列または2つのポリペプチドは、後述のように最大限一致するようにアラインされた際に、該2つずつの配列においてそれぞれヌクレオチドまたはアミノ酸残基の並びが同じである場合に、「同一」であると言われる。「配列同一性のパーセンテージ」は、最適にアラインされた2つの配列を比較ウィンドウの全体にわたって比較することによって決定されるものであり、ここで、2つの配列を最適にアラインするために、比較ウィンドウ中のポリヌクレオチド配列またはポリペプチド配列の一部分は、参照配列(これは付加も欠失も含まない)と比較して、付加または欠失(すなわちギャップ)を含んでよい。該パーセンテージは以下によって算出される:マッチした位置の数を導き出すために、同一の核酸塩基または同一のアミノ酸残基が両方の配列に存在する位置の数を決定すること、マッチした位置の数を、比較ウィンドウ中の位置の総数で除すること、および配列同一性のパーセンテージを導き出すために、結果に100を乗じること。配列同一性のパーセンテージがタンパク質またはペプチドに関して使用される場合、同一でない残基位置は、しばしば、保存的アミノ酸置換によって異なっていることが理解されており、保存的アミノ酸置換においてアミノ酸は、類似の化学的特性(たとえば電荷または疎水性)を有する他のアミノ酸残基で置換されているため、分子の機能的特性は変化しない。保存的置換のために配列が異なっている場合、該置換の保存的性質に関して補正を行うために、パーセント配列同一性は上方へ調整され得る。この調整を行うための手段は、当技術分野において当業者に周知である。典型的にはこれは、保存的置換を、完全ミスマッチではなく部分的ミスマッチとしてスコアリングすることを伴い、それにより配列同一性のパーセンテージは増大する。したがって、たとえば、同一のアミノ酸に対してスコア1が与えられ、かつ非保存的置換に対してスコア0が与えられる場合、保存的置換に対しては、0と1との間のスコアが与えられる。保存的置換のスコアリングは、たとえば、PC/GENEプログラム(Intelligenetics、米国カリフォルニア州マウンテンビュー市(Mountain View, California, USA))において実行される場合に、たとえば、MeyersおよびMiller, Computer Applic. Biol. Sci. 4:11-17 (1988)のアルゴリズムを用いて算出される。
ポリヌクレオチド配列またはポリペプチド配列の文脈において使用される場合、「実質的な同一性」または「実質的に同一」との用語は、参照配列に対して少なくとも60%の配列同一性を有する配列を指す。あるいはパーセント同一性は、60%から100%までの任意の整数であり得る。例示的な態様には、本明細書に記載されるプログラムを使用して;好ましくは後述の、標準的なパラメーターを用いるBLASTを使用して、参照配列と比較された場合の、少なくとも:60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%が含まれる。これらの値は、2つのヌクレオチド配列によってコードされるタンパク質の対応する同一性を決定するために、コドンの縮重、アミノ酸の類似性、リーディングフレームの位置調整等を考慮して適切に調整可能であることを、当業者であれば理解するであろう。
配列の比較に関し、典型的には1つの配列が、それに対して試験配列が比較される、参照配列としての役割を果たす。配列比較アルゴリズムが使用される場合、試験配列および参照配列がコンピューターに入力され、必要であればサブ配列の座標が指定され、そして配列アルゴリズムプログラムのパラメーターが指定される。プログラムのデフォルトパラメーターが使用されてよく、または別のパラメーターが指定されてもよい。配列比較アルゴリズムは次に、参照配列に対する試験配列のパーセント配列同一性を、プログラムのパラメーターに基づいて算出する。
本明細書において使用される場合、「比較ウィンドウ」には、20~600個からなる群より選択されるいずれか1つの数の、一般的には約50~約200個からなる群より選択されるいずれか1つの数の、より一般的には約100~約150個からなる群より選択されるいずれか1つの数の、連続的な並びを有するセグメントであって、そこにおいて、ある配列と、それと同数の連続的な並びを有する参照配列とが最適にアラインされた後で、該2つの配列の比較が行われ得るセグメントへの言及が含まれる。比較のための配列アラインメント方法は、当技術分野において周知である。比較のための最適な配列アラインメントは、以下によって実施され得る:SmithおよびWaterman, Add. APL. Math. 2:482 (1981)の局所的相同性アルゴリズム、NeedlemanおよびWunsch, J. Mol. Biol. 48:443 (1970)の相同性アラインメントアルゴリズム、PearsonおよびLipman, Proc. Natl. Acad. Sci. (U.S.A.) 85: 2444 (1988)の類似性検索の方法、これらのアルゴリズムのコンピューター実装(ジェネティクス・コンピューター・グループ(Genetics Computer Group)(GCG)、ウィスコンシン州マディソン市サイエンスドライブ575番地(575 Science Dr., Madison, WI)によるウィスコンシン・ジェネティクス・ソフトウェア・パッケージ(Wisconsin Genetics Software Package)中のGAP、BESTFIT、BLAST、FASTA、およびTFASTA)、または手作業でのアラインメントおよび目視での確認。
配列同一性および配列類似性のパーセントを決定するために適切なアルゴリズムは、BLASTアルゴリズムおよびBLAST 2.0アルゴリズムであり、これらはそれぞれ、Altschulら (1990) J. Mol. Biol. 215: 403-410、およびAltschulら (1977) Nucleic Acids Res. 25: 3389-3402に記載されている。BLAST解析を実施するためのソフトウェアは、国立生物工学情報センター(National Center for Biotechnology Information)(NCBI)のウェブサイトを通じて一般公開されている。該アルゴリズムはまず、クエリー配列において短いワード長(words of length)Wを同定することによって、高スコアリング配列ペア(high scoring sequence pair)(HSP)を同定することを伴い、これは、データベース配列中の同じ長さのワードとアラインされた場合に、マッチするか、または何らかの正の値の閾値スコア(threshold score)Tに該当するかのいずれかである。Tは、隣接ワードスコア閾値(neighborhood word score threshold)と称される(前記Altschulら)。これらの初期隣接ワードヒット(initial neighborhood word hit)は、それらを含むさらに長いHSPを発見するための検索を開始するための、シード(seed)としての役割を果たす。該ワードヒットは次に、累積アラインメントスコア(cumulative alignment score)が増大可能である限り、各配列に沿って両方向に拡張される。累積スコアは、ヌクレオチド配列に関しては、パラメーターM(マッチした残基ペアについてのリワードスコア;常に > 0)、およびパラメーターN(ミスマッチの残基についてのペナルティスコア;常に < 0)を用いて算出される。アミノ酸配列に関しては、累積スコアを算出するためにスコアリング行列が使用される。各方向におけるワードヒットの拡張は、以下の場合に停止する:累積アラインメントスコアについて、達成される最大値から数値Xの下落が生じた場合;1つもしくは複数の負にスコアリングされた残基アラインメントが累積することによって、累積スコアが0以下になった場合;またはいずれかの配列の末端に到達した場合。BLASTアルゴリズムのパラメーターであるW、T、およびXは、アラインメントの感度および速度を決定する。BLASTNプログラム(ヌクレオチド配列用)は、デフォルトとして、28のワードサイズ(word size)(W)、10の期待値(expectation)(E)、M = 1、N = -2、および両鎖の比較を使用する。アミノ酸配列に関し、BLASTPプログラムは、デフォルトとして、3のワードサイズ(W)、10の期待値(E)、およびBLOSUM62スコアリング行列(HenikoffおよびHenikoff, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89:10915 (1989)を参照されたい)を使用する。本出願の目的のためには、アミノ酸配列の同一性は、デフォルトのパラメーターを用いてBLASTPを使用して決定される。
BLASTアルゴリズムはまた、2つの配列の間の類似性について統計学的解析を実施する(たとえば、KarlinおよびAltschul, Proc. Nat'l. Acad. Sci. USA 90:5873-5787 (1993)を参照されたい)。BLASTアルゴリズムによって提供される類似性の測定値の1つは、最小合計確率(smallest sum probability)(P(N))であり、これは、2つのヌクレオチド配列間または2つのアミノ酸配列間のマッチが偶然に生じる確率の指標を提供するものである。たとえば、試験核酸と参照核酸との比較において、最小合計確率が約0.01未満である場合に、より好ましくは約10-5未満である場合に、かつ最も好ましくは約10-20未満である場合に、核酸は参照配列に類似しているとみなされる。
本明細書において「相補的」との用語は、あるポリヌクレオチド配列が、参照ポリヌクレオチド配列の全てまたは一部分に対して相補的であることを意味するために使用される。いくつかの態様において、ポリヌクレオチド配列は、参照ポリヌクレオチド配列の、少なくとも15、少なくとも20、少なくとも25、少なくとも30、少なくとも40、少なくとも50、少なくとも75、少なくとも100、少なくとも125、少なくとも150、少なくとも175、少なくとも200、またはより多い連続したヌクレオチドに対して、相補的である。いくつかの態様において、あるポリヌクレオチド配列の少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%が、参照ポリヌクレオチド配列に対して相補的である場合、該ポリヌクレオチド配列は、参照ポリヌクレオチド配列に対して「実質的に相補的」である。
あるポリヌクレオチド配列は、ある生物にとって異種起源である場合に、もしくは第2のポリヌクレオチド配列にとって異種起源である場合に、または同種由来であってその元の形態から改変されている場合に、「異種性」である。たとえば、異種性のコーディング配列にプロモーターが機能的に連結されている、と言われる場合、それは、コーディング配列がある1つの種に由来し、一方でプロモーター配列が別の異なる種に由来することを意味するか;または両者が同じ種に由来する場合には、コーディング配列が、天然では該プロモーターと結合していないこと(たとえばコーディング配列が、たとえば、同じ種の別の遺伝子に由来するか、または異なるエコタイプもしくは変種の対立遺伝子に由来する、遺伝子操作されたコーディング配列であること)を意味する。
「発現カセット」とは、宿主細胞に導入された場合に、RNAまたはポリペプチドについてそれぞれ転写および/または翻訳を引き起こす核酸構築物を指す。翻訳されないかまたは翻訳不可能なアンチセンス構築物またはセンス構築物も、この定義に明示的に含まれる。導入遺伝子の発現の場合と、内在性遺伝子の抑制の場合(たとえば、アンチセンスによって、またはセンス抑制によって)との両方において、挿入されるポリヌクレオチド配列は、それが由来する遺伝子の配列と同一である必要はなく、それが由来する遺伝子の配列と実質的に同一でありさえすればよい可能性があることを、当業者は理解するであろう。
本明細書において使用される場合、「プロモーター」との用語は、細胞においてコーディング配列の転写を駆動することが可能なポリヌクレオチド配列を指す。したがって、本発明のポリヌクレオチド構築物において使用されるプロモーターには、シス作用性の転写の制御エレメントおよび調節配列が含まれ、これらは、遺伝子の転写のタイミングおよび/または速度の調節または変化に関与する。たとえば、プロモーターは、シス作用性の転写の制御エレメントであってよく、これには、転写の調節に関与する以下が含まれる:エンハンサー、プロモーター、転写ターミネーター、複製起点、染色体組み込み配列、5'非翻訳領域および3'非翻訳領域、またはイントロン配列。典型的にはこれらのシス作用性配列は、遺伝子の転写を実行する(遺伝子の転写を開始/停止する、調節する、変化させる等)ように、タンパク質または他の生体分子と相互作用する。「植物プロモーター」とは、植物細胞において転写を開始させることが可能なプロモーターである。「構成的プロモーター」とは、ほぼ全ての組織型において転写を開始させることが可能なプロモーターであり、一方で「組織特異的プロモーター」は、1つかまたは少数の特定の組織型においてのみ転写を開始させる。「誘導性プロモーター」とは、ある特定の環境条件下または発生学的条件下においてのみ転写を開始させるプロモーターである。
「植物」との用語には以下が含まれる:植物体全体、シュートの栄養器官および/または構造物(たとえば、葉、茎、および塊茎)、根、花および花器官(たとえば、苞、がく片、花弁、雄ずい、心皮、やく)、胚珠(卵細胞および中央細胞が含まれる)、種子(接合子、胚、内胚乳、および種皮が含まれる)、果実(たとえば成熟子房)、実生、植物組織(たとえば、維管束組織、基本組織等)、細胞(たとえば、孔辺細胞、卵細胞、トライコーム等)、ならびにそれらの子孫。
本発明の詳細な説明
序論
以下の実施例セクションに記載されるように、リベリバクター感染、たとえばHLBまたはジャガイモゼブラチップ病などに対する免疫応答の負の調節因子と、リベリバクター感染に対する免疫応答の正の防御調節因子とが、スクリーニング技術を用いて同定された。免疫応答の負の調節因子の発現もしくは活性を、サイレンシングするように、阻害するように、もしくは低下させるように、カンキツ類植物を遺伝学的に改変することによって;および/または正の防御調節因子の発現もしくは活性を増大させるように、カンキツ類植物を遺伝学的に改変することによって、HLBに対するカンキツ類植物の抵抗性/耐性を強化するための方法ならびに組成物が、本明細書に記載される。同様に、ナス科作物植物、たとえばジャガイモまたはトマトなども、本明細書に記載される免疫調節因子ポリペプチドの発現を低下および/または増大させるように改変することが可能である。
本開示に記載される組成物または方法の任意のものにおいて、任意の植物種が使用可能であるが、好ましい態様において、植物はミカン科のメンバーであり、これはたとえば、シトラス・マキシマ植物、シトラス・メディカ植物、シトラス・ミクランサ植物、シトラス・レティクラタ植物、シトラス・オーランティイフォリア植物、シトラス・オーランティウム植物、シトラス・ラティフォリア植物、シトラス・リモン植物、シトラス・リモニア植物、シトラス・パラディシ植物、シトラス・クレメンティナ植物、シトラス・ウンシュウ植物、シトラス・シネンシス植物、シトラス・タンジェリナ植物、シトラス・イーチャンゲンシス植物、アタランティア・バクシフォリア植物、またはポンシラス・トリフォリアタ植物などである。いくつかの態様において、植物はジャガイモまたはトマトの変種である。いくつかの態様において、植物はトウガラシの変種である。
免疫応答の負の調節因子
いくつかの態様において、表1に記載される植物の免疫遺伝子の負の調節因子の1つまたは複数の発現を阻害する方法および組成物が、本明細書において提供される。カンキツ類のさまざまな種についての例示的なポリペプチド配列は、表3に提供される。
(表1)HLBに対する植物免疫応答の負の調節因子
これらの遺伝子は、US942においてCLas感染によって誘導されたがクレオパトラにおいては誘導されなかった小分子RNAの標的であった。
Figure 2024506316000002
本明細書に記載される免疫応答タンパク質の負の調節因子の発現または活性は、公知の方法を用いて阻害またはノックアウトすることが可能である。したがって、HLB抵抗性を強化するために、表1に提供される遺伝子の1つまたは複数をノックアウトすることまたは変異させることが可能である。たとえば、いくつかの態様において、表3に記載されるVAD1、PRT6、OPT1、YSL6、PUB26、DMR6、PAO1、TPS5、ACA11、MPK1、CRT1、LIN2、CRWN(LINC4)、GPX8、LOX2、もしくはPI4Kのポリペプチド配列と同一であるかまたは実質的に同一である(たとえば、少なくとも70%、75%、80%、85%、90%同一であるか、もしくは少なくとも95%同一である)ポリペプチドをコードする天然の遺伝子を、ミカン科植物において変異させるかまたはノックアウトする。いくつかの態様において、表3に記載されるVAD1、PRT6、PUB26、PAO1、LIN2、CRWN(LINC4)、もしくはGPX8のポリペプチド配列と同一であるかまたは実質的に同一である(たとえば、少なくとも70%、75%、80%、85%、90%同一であるか、もしくは少なくとも95%同一である)ポリペプチドをコードする天然の遺伝子を、ミカン科植物において変異させるかまたはノックアウトする。遺伝子配列は、既知のゲノム配列およびタンパク質の保存されている性質を考慮して、カンキツ類の他の種において容易に同定することが可能である。
いくつかの態様において、遺伝子配列は植物においてノックアウトされる。本出願の文脈において「ノックアウト」とは、該遺伝子によってコードされる特定のタンパク質を、植物が産生しないことを意味する。「ノックダウン」とは、植物において、発現レベルか、またはタンパク質レベルか、またはタンパク質活性が、対応する対照野生型植物と比較して低下していることを意味する。ノックアウトおよびノックダウンは、さまざまな様式で引き起こすことが可能である。たとえば、ノックアウト植物は、表1に記載される遺伝子によってコードされるタンパク質と同一であるかもしくは実質的に同一であるポリペプチドについて、または表3に記載されるVAD1、PRT6、OPT1、YSL6、PUB26、DMR6、PAO1、TPS5、ACA11、MPK1、CRT1、LIN2、CRWN(LINC4)、GPX8、LOX2、もしくはPI4Kのポリペプチド配列のいずれか1つと同一であるかもしくは実質的に同一であるポリペプチドについて、全てもしくは実質的な部分(たとえばその大半)を、またはコーディング配列を、欠失させることによって作製され得る。いくつかの態様において、発現が消失または低下するように、プロモーター配列が改変されてよく、またはプロモーター配列を欠失させてもよい。いくつかの態様において、標的のノックアウトまたはノックダウンは、翻訳または転写を防止する変異(たとえば、コーディング配列において前のほうに終止コドンを導入する変異、または転写を妨害する変異など)の導入によって達成される。ノックアウトまたはノックダウンはまた、サイレンシング方法または他の抑制方法、たとえば、植物が天然のタンパク質を実質的に少なく(たとえば、天然の発現の50、25、10、5、または1%未満)発現するようなサイレンシング方法または他の抑制方法によっても、達成され得る。ノックアウトまたはノックダウンはまた、CRISPR-CASに媒介される変異および欠失によっても達成され得、または追ってさらに述べる別の遺伝子編集技術を使用することによっても達成され得る。
いくつかの態様において、タンパク質に導入される変異は、該タンパク質の活性を低下または消失させる、わずか1アミノ酸の変更である。あるいは、変異には、タンパク質の活性を低下または消失させる、任意の数(たとえば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、もしくは10、またはより多く)のアミノ酸の変更、欠失、または挿入が含まれ得る。
植物の遺伝子に遺伝学的変異を導入し、そして所望の形質を有する植物を選択するための方法は周知であり、かつ該方法を使用して、変異を導入することまたはタンパク質の発現もしくは活性をノックアウトもしくはノックダウンすることが、可能である。たとえば、種子または他の植物材料は、標準的な技術を用いて、変異原性の挿入ポリヌクレオチド(たとえば、トランスポゾン、T-DNA等)で、または化学物質で処理され得る。そのような化学物質には以下が含まれるが、これらに限定されない:硫酸ジエチル、エチレンイミン、メタンスルホン酸エチル、およびN-ニトロソ-N-エチルウレア。あるいは、線源からの電離放射線、たとえばX線またはガンマ線などが使用され得る。変異タンパク質を有する植物はその後、たとえば表現型または分子的技術によって、同定可能である。
改変されたタンパク質鎖はまた、当業者に周知であって、かつ、たとえば前記Sambrookらに記載されている、さまざまな組み換えDNA技術を利用しても容易に設計可能である。ヒドロキシルアミンもまた、遺伝子のコーディング領域に1塩基変異を導入するために使用可能である(Sikorskiら、Meth. Enzymol., 194:302-318 (1991))。たとえば、アミノ酸の置換、付加、欠失等によって、一次構造のレベルで鎖は天然の配列から変化し得る。これらの改変をいくつかの組み合わせとして使用して、最終的な改変タンパク質鎖を作製することが可能である。
あるいは、相同組み換えを使用して、インビボにおいてある遺伝子を特異的にターゲティングすることによって標的型の遺伝子改変または遺伝子ノックアウトを誘導することが可能である(概論として、GrewalおよびKlar, Genetics, 146:1221-1238 (1997)、ならびにXuら、Genes Dev., 10:2411-2422 (1996)を参照されたい)。相同組み換えは、植物において実証されている(Puchtaら、Experientia, 50:277-284 (1994); Swobodaら、EMBO J., 13:484-489 (1994); Offringaら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 90:7346-7350 (1993);およびKempinら、Nature, 389:802-803 (1997))。
遺伝子に対して相同組み換え技術を適用する際、標準的な技術を用いて、遺伝子配列(5'側上流領域、3'側上流領域、および遺伝子内領域が含まれる)のうちの選択された部分における変異をインビトロで引き起こすことが可能であり、そしてその後、該変異を所望の植物へと導入することが可能である。相同組み換えの効率は、使用されるベクターに応じて変化することが知られているため、トランスジェニック植物における改変されたPP2AサブユニットAタンパク質の遺伝子発現についての選択の効率を増大させるために、Mountfordら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 91:4303-4307 (1994);およびVaulontら、Transgenic Res., 4:247-255 (1995)に記載されるジシストロニック遺伝子ターゲティングベクターが好都合に使用される。変異遺伝子は標的の野生型遺伝子と相互作用し、該相互作用は野生型遺伝子の相同組み換えおよび標的型置換がトランスジェニック植物細胞において生じるような様式であるため、結果として、標的タンパク質の活性が抑制される。
当業者に知られている多数のゲノム編集技術の任意のものを使用して、標的タンパク質を変異させることまたはノックアウトすることが可能である。所望の核酸配列の部位特異的変異がもたらされればよいので、特定のゲノム編集技術の使用は必須ではない。例示的なゲノム編集タンパク質には、標的型ヌクレアーゼ、たとえば、遺伝子操作されたジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)、転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)、および遺伝子操作されたメガヌクレアーゼなどが含まれる。加えて、エンドヌクレアーゼを標的切断部位へと導くために、遺伝子操作されたガイドRNA(gRNA)を利用するシステムが使用可能である。これらのシステムのうちで最も広く使用されているのはCRISPR/Casシステムであり、該システムは、Cas-9またはCas12エンドヌクレアーゼを標的切断部位へと導くための、遺伝子操作されたガイドRNAを有する。
CRISPR(クラスター化し規則的に間隔のあいた短い回文配列の反復(Clustered Regularly Interspaced Short Palindromic Repeats))/Cas(CRISPR関連)システムは、原核生物における適応性の防御システムであり、これは外来DNAを切断する。微生物宿主におけるCRISPR座位は、CRISPR関連(Cas)遺伝子の組み合わせを含むとともに、CRISPRが媒介する核酸の切断の特異性を決定する、ノンコーディングRNAエレメントをも含む。幅広い細菌宿主にわたって、3種類(I~III)のCRISPRシステムが同定されている。典型的なシステムにおいては、配列特異的な1本鎖または2本鎖DNA配列を標的とする小分子ガイドRNAを用いることで、Casエンドヌクレアーゼ(たとえばCas9)をゲノム上の所望の部位へと導く。CRISPR/Casシステムは、欠失を含めた部位特異的変異を誘導するために、植物において使用されている(Miaoら、2013 Cell Research 23:1233-1236を参照されたい)。
基本的なCRISPRシステムは、2種類のノンコーディングガイドRNA(crRNAおよびtracrRNA)を使用するものであり、これらはcrRNA:tracrRNA複合体を形成し、crRNAと標的DNAとの間のワトソン・クリック型塩基対形成を介して、標的DNAへとヌクレアーゼを向かわせる。したがって、任意の所望の標的DNA配列を認識するように、ガイドRNAを改変することが可能である。最近になって、crRNAエレメントおよびtracRNAエレメントの両方を含むキメラ1本鎖ガイドRNA(sgRNA)を用いて、標的遺伝子の位置へとCasヌクレアーゼを指向させることが可能であることが示されている。キメラsgRNAを用いて、さまざまな生物において所望の遺伝子の位置へとCas9またはCas12などを指向させることが可能であることが示されている(Congら、2013 Science 339:819-23)。
ジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)は遺伝子操作されたタンパク質であり、これは、たとえばヌクレアーゼなどの核酸切断ドメインと融合させた、ジンクフィンガーDNA結合ドメインを含む。ジンクフィンガー結合ドメインは特異性をもたらすものであり、かつ該ドメインは、任意の所望の標的DNA配列を特異的に認識するように、遺伝子操作することが可能である。植物および他の生物におけるZFNの構築および使用のレビューについては、Urnovら、2010 Nat Rev Genet. 11(9):636-46を参照されたい。
転写活性化因子様エフェクター(TALE)は、宿主植物の遺伝子発現を変化させるために、ならびに細菌の定着および生存を容易にするために、キサントモナス(Xanthomonas)属のいくつかの種によって分泌されるタンパク質である。植物において、TALEは転写因子として作用し、そして抵抗性遺伝子の発現を変化させる。TALEについての最近の研究から、TALEの反復領域と、その標的DNA結合部位とを関連付けるコードが明らかにされている。TALEは、ほとんどがアミノ酸33個かまたは34個のセグメントのタンデムリピートからなる、高度に保存されておりかつ反復性である領域を含む。リピートのモノマーは、主としてアミノ酸の12位および13位が互いに異なっている。12位および13位のアミノ酸の独特なペアと、TALE結合部位における対応するヌクレオチドとの間の、強力な相関が見いだされている。アミノ酸配列と、TALE結合ドメインによるDNA認識との間の単純な関係は、任意の所望の特異性を有するDNA結合ドメインの設計を可能にするものである。
TALEを非特異的DNA切断ドメインと連結して、TALENと称されるゲノム編集タンパク質を調製することが可能である。ZFNと同じように、制限エンドヌクレアーゼ、たとえばFokIなどを、好都合に使用することが可能である。植物におけるTALENの使用の解説については、Mahfouzら、2011 Proc Natl Acad Sci U S A. 108:2623-8、およびMahfouz 2011 GM Crops. 2:99-103を参照されたい。
メガヌクレアーゼは、12~40塩基対の認識部位を有するエンドヌクレアーゼである。そのため、その認識部位は、いかなるゲノム上においてもめったに生じない。タンパク質工学を用いて該認識配列を改変することによって、その標的配列を変化させることが可能であり、かつ、該ヌクレアーゼを使用して、所望の標的配列を切断することが可能である。(Seligmanら 2002 Nucleic Acids Research 30: 3870-9、WO06097853、WO06097784、WO04067736、またはUS20070117128を参照されたい)。
上述の方法に加えて、植物の遺伝子に遺伝学的変異を導入し、そして所望の形質を有する植物を選択するための、他の方法も公知である。たとえば、種子または他の植物材料は、標準的な技術を用いて、変異原性の化学物質で処理され得る。そのような化学物質には、硫酸ジエチル、エチレンイミン、メタンスルホン酸エチル(EMS)、およびN-ニトロソ-N-エチルウレアが含まれる。あるいは、線源からの電離放射線、たとえばX線またはガンマ線などが使用され得る。
植物細胞において内在性標的遺伝子の発現または活性を阻害するRNA分子(またはその断片)を発現する発現カセットを用いて、カンキツ類植物においてポリペプチドの発現または活性を抑制する方法もまた提供され、ここで該ポリペプチドは、表1に記載される遺伝子によってコードされるタンパク質と、または表3に記載されるVAD1、PRT6、OPT1、YSL6、PUB26、DMR6、PAO1、TPS5、ACA11、MPK1、CRT1、LIN2、CRWN(LINC4)、GPX8、LOX2、もしくはPI4Kのポリペプチド配列と、同一であるかまたは実質的に同一である、たとえば、少なくとも70%、75%、80%、85%、もしくは90%同一であるか;もしくは少なくとも95%同一である。遺伝子機能の抑制またはサイレンシングとは、概して、内在性遺伝子が発現するmRNAもしくはタンパク質のレベルを抑制すること、および/または細胞における該タンパク質の機能性のレベルを抑制することを指す。該用語は特定の機構を必要とするものではなく、かつ該用語には、RNAi(たとえば、短鎖干渉RNA(short interfering RNA)(siRNA)およびマイクロRNA(miRNA))、アンチセンス、共抑制、ウイルスによる抑制、ヘアピンによる抑制、ステムループによる抑制等が含まれ得る。
植物において遺伝子発現を抑制またはサイレンシングするために、多数の方法が使用可能である。植物を含めたさまざまな生物において、2本鎖RNAを用いて遺伝子機能を抑制するための手法が周知である。RNAiをコードする発現カセットは、典型的には、相補的なポリヌクレオチド配列に連結されている、少なくとも実質的に標的遺伝子と同一であるポリヌクレオチド配列を含む。該配列とその相補物とは、しばしばリンカー配列によって連結されており、これにより、該2つの配列が互いにハイブリダイズするように、転写されたRNA分子が折りたたまれることが可能となる。
RNAi(たとえば、siRNA、miRNA)は、相補的なRNA標的配列またはDNA標的配列と塩基対を形成することによって機能するように見受けられる。RNAに結合すると、阻害性RNA分子は、RNAの切断か、または標的配列の翻訳阻害のいずれかを引き起こす。DNA標的配列に結合した場合、阻害性RNAは、標的配列のDNAメチル化を媒介し得ると考えられている。特定の機構かどうかを問わず、これらのイベントの結果は、遺伝子発現の阻害である。RNAサイレンシングはまた、ウイルスベクターにおいて、標的遺伝子、または標的遺伝子の一部を発現させることによっても達成することが可能であり、これはたとえば、標的遺伝子のウイルス誘導型遺伝子サイレンシング(virus-induced gene silencing)(VIGS)を引き起こすことが可能である、タバコ茎えそウイルス(tobacco rattle virus)(TRV)、ジャガイモウイルスX(Potato virus X)(PVX)、またはカンキツトリステザウイルス(Citrus Tristeza Virus)(CTV)などである。
マイクロRNA(miRNA)は約19~約24ヌクレオチドの長さのノンコーディングRNAであり、これは、安定なヘアピン構造を形成しているより長い前駆転写物からプロセシングされる。
加えて、アンチセンス技術が利用可能である。これを達成するには、所望の遺伝子に対して少なくとも実質的に同一である核酸セグメントをクローニングし、そしてこれを、RNAアンチセンス鎖が転写されるように、プロモーターに機能的に連結する。その後、発現カセットで植物を形質転換し、そしてRNAアンチセンス鎖を産生させる。植物細胞においては、対象となるタンパク質をコードするmRNAの蓄積を防止することによって、アンチセンスRNAが遺伝子発現を阻害することが示唆されている。
別の抑制方法は、センス抑制である。プロモーターに対して核酸がセンス方向に配置されている発現カセットを導入することは、標的遺伝子の転写をブロックする効果的な手段であることが示されている。
これらの技術に関し、発現カセット中の導入される配列は、標的遺伝子に対して完全な同一性を有している必要はない。加えて該配列は、一次転写産物かまたは完全にプロセシングされたmRNAのいずれかと比べた場合の全長である必要もない。当業者はまた、これらの技術を使用して、1つの転写物を用いて遺伝子ファミリーを抑制することが可能であることも認識するであろう。たとえば、遺伝子ファミリー中で保存されている配列を有するように転写物が設計される場合、遺伝子ファミリーの複数のメンバーが抑制され得る。逆に言えば、目標が、相同な遺伝子ファミリーの1つのメンバーのみを抑制することである場合、転写物は、ファミリーのメンバー間で最も多様性を有する配列を標的とするべきである。
遺伝子の発現はまた、トランスポゾンまたはT-DNA配列を含む構築物を用いて植物細胞を形質転換することによって、組み換えDNA技術を用いて不活性化することが可能である。これらの方法によって調製された変異体は、標準的な技術を用いて同定される。たとえば、変異体はPCRによって検出可能であり、または変異体は、PP2AサブユニットAのmRNAの存在もしくは非存在を、たとえばノーザンブロットもしくは逆転写PCR(RT-PCR)などによって検出することによっても検出可能である。
触媒RNA分子またはリボザイムもまた、胚特異的遺伝子の発現を阻害するために使用され得る。事実上いかなる標的RNAであっても、それと特異的にペアを形成し、そしてある特定の位置でホスホジエステル骨格を切断し、それにより標的RNAを機能的に不活性化するリボザイムを、設計することが可能である。この切断を行う際、リボザイムそれ自体は変化せず、かつしたがって、リボザイムは再利用することおよび他の分子を切断することが可能であり、これにより、リボザイムは真の酵素となっている。アンチセンスRNA中にリボザイム配列を包含させると、該RNAにRNA切断活性が付与され、それにより構築物の活性が増大する。標的RNAに特異的なリボザイムの設計および使用は周知である。
ゲノム編集タンパク質をコードするか、または発現を抑制する核酸をコードする組み換え構築物は、当業者に周知の標準的な遺伝子操作技術を用いて植物細胞に導入され得る。典型的な態様において、組み換え発現カセットは、周知の技術を用いて調製可能である。CRISPR/Casヌクレアーゼの場合、発現カセットは、ガイドRNAをも転写するものであってよい。
いくつかの態様において、ゲノム編集タンパク質それ自体が植物細胞に導入される。これらの態様において、導入されたゲノム編集タンパク質は、細胞を改変するのに十分な量で提供されるが、意図される期間が過ぎた後は、または1回もしくは複数回の細胞分裂の後は、存続しない。そのような態様においては、ゲノム編集タンパク質および改変された細胞を除去または分離するためのさらなる段階は、必要ではない。
これらの態様において、ゲノム編集タンパク質は、植物細胞へと導入される前に、周知の組み換え発現系(細菌発現、インビトロ翻訳、酵母細胞、昆虫細胞等)を用いてインビトロで調製される。発現後、タンパク質は単離され、必要であればリフォールディングされ、精製され、そして任意で、任意の精製タグ、たとえばHisタグなどを除去するために、処理される。未精製の、部分的に精製された、またはより完全に精製された、ゲノム編集タンパク質が得られたら、該タンパク質は植物細胞へと、エレクトロポレーションを介して導入されてよく、該タンパク質でコートされたパーティクルのボンバードメントによって導入されてよく、化学物質を用いたトランスフェクションによって導入されてよく、または細胞膜を通過させる何らかの他の輸送手段によって導入されてよい。
免疫応答の正の調節因子
いくつかの態様において、表2に記載される植物の正の防御遺伝子の1つまたは複数の発現を強化する方法および組成物が、本明細書において提供される。カンキツ類のさまざまな種の例示的なポリペプチド配列は表4に提供される。
(表2)HLBに対する植物免疫応答の正の調節因子
これらの遺伝子は、US942においてCLas感染によって下方制御されたがクレオパトラにおいては下方制御されなかった小分子RNAの標的であった。
Figure 2024506316000003
本明細書に記載されるタンパク質の発現は、公知の技術を用いて増大させることが可能である。HLB抵抗性を強化するために、表4に提供される遺伝子の任意の1つまたは任意の複数が、植物において高発現され得る。したがって、いくつかの態様において、自身にとって天然である遺伝子を高発現するように、または別の種に由来する異種性の対応する遺伝子を発現するように、植物は遺伝学的に改変され得る。いくつかの態様において、カンキツ類植物は、表4に記載されるBRAP2、CYP93、NDR1様、PSL4、LYM2、SOT12、SCE1、GLY1、PAL1、WRKY70、もしくはEFR様のポリペプチド配列と同一であるかまたは実質的に同一である(たとえば、少なくとも70%、75%、80%、85%、90%同一であるか、もしくは少なくとも95%同一である)ポリペプチドを高発現するように、遺伝子操作される。いくつかの態様において、カンキツ類植物は、表4に記載されるBRAP2、NDR1様、もしくはPSL4のポリペプチド配列と同一であるかまたは実質的に同一である(たとえば、少なくとも70%、75%、80%、85%、90%同一であるか、もしくは少なくとも95%同一である)ポリペプチドを高発現するように、遺伝子操作される。遺伝子配列は、既知のゲノム配列およびタンパク質の保存されている性質を考慮して、カンキツ類の他の種において容易に同定することが可能である。
いくつかの態様において、カンキツ類植物は、天然のまたは異種性のBRAP2、CYP93、NDR1様、PSL4、LYM2、SOT12、SCE1、GLY1、PAL1、WRKY70、またはEFR様のポリペプチドを発現させるための組み換え発現カセットが導入されるように、遺伝学的に改変される。トランスジェニック植物には、発現カセットが導入されている植物または植物細胞が包含されるとともに、染色体に安定に組み込まれている該発現カセットを有する子孫を含め、該発現カセットを含むそのような植物または植物細胞の子孫が包含されることが、理解されるべきである。
いくつかの態様において、トランスジェニック植物は、BRAP2、CYP93、NDR1様、PSL4、LYM2、SOT12、SCE1、GLY1、PAL1、WRKY70、またはEFR様のポリペプチドの発現が、該タンパク質を高発現するように遺伝学的に改変されていない対応する対照植物と比較して、増大している(たとえば、少なくとも5%、10%、50%、またはより多く)ものであり得る。
いくつかの態様において、遺伝子編集技術、たとえばCRISPR/Casなどを利用して、BRAP2、CYP93、NDR1様、PSL4、LYM2、SOT12、SCE1、GLY1、PAL1、WRKY70、またはEFR様のポリペプチドの発現を増大させることが可能であり、これはたとえば、該タンパク質をコードする配列の追加のコピーを植物のゲノムに導入することによって行われる。
いくつかの態様において、プロモーターによって駆動されるタンパク質コーディング配列を含む組み換え発現ベクターが、所望の植物のゲノムに導入されてよく;またはこれは、上述のCRISPR-CASノックインによって導入されてもよく;またはこれを、ウイルスベクター、たとえばCTVウイルスベクターなどによって発現させてもよい。いくつかの態様において、ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、植物にとって内在性であるプロモーターによって発現が制御されるように、たとえば組み換えによって、植物に導入され得る。したがって、たとえばいくつかの態様において、DNA構築物は、たとえば植物細胞のプロトプラストへのエレクトロポレーションおよびマイクロインジェクションといった技術を用いて、植物細胞のゲノムDNAに直接導入されてよく、またはDNA構築物は、たとえばDNAパーティクルボンバードメントといった衝撃による方法を用いて、植物組織に直接導入されてもよい。あるいはDNA構築物は、適切なT-DNA隣接領域と組み合わされてよく、そして、慣用のアグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)を宿主とするベクターへと導入されてよい。本発明にはポリペプチドの一過性の発現が包含されるが、一般的には、たとえば植物の少なくともいくつかの子孫もまた組み込まれた発現カセットを含むように、発現は、植物ゲノムへの発現カセットの挿入に起因し得る。
発現カセット
植物の発現カセット(たとえば、本明細書に記載される正の防御タンパク質の発現のためのもの、あるいは、本明細書に記載される負の免疫応答調節因子の発現を阻害するかまたは消失させる、阻害性核酸また阻害性遺伝子編集タンパク質の発現のためのもの)には、以下のものに機能的に連結されているポリヌクレオチドが含まれ得る:プロモーター(たとえば、誘導性もしくは構成的な発現をもたらすもの、環境によってもしくは発生学的に調節される発現をもたらすもの、もしくは、細胞もしくは組織に特異的/選択的な発現をもたらすもの)、転写開始部位、リボソーム結合部位、RNAプロセシングシグナル、転写終結部位、および/またはポリアデニル化シグナル。
多数のプロモーターが使用可能である。植物の全組織において所望のポリヌクレオチドの発現を指示する植物プロモーター断片が、利用可能である。いくつかの態様において、本明細書に記載されるプロモーターは、遺伝子の転写が開始される位置から上流(5')の、500~2 kb、または500~1 kb、または500~2.5 kbを含む。そのようなプロモーターは、本明細書において「構成的」プロモーターと称され、かつこれは、ほとんどの環境条件下において、および発生学上または細胞分化のほとんどの段階において、活性である。構成的プロモーターの例には、カリフラワーモザイクウイルス(CaMV)の35S転写開始領域が含まれる。
あるいは、植物プロモーターは、環境による制御下で、ポリヌクレオチドの発現を指示することが可能である。そのようなプロモーターは、本明細書において「誘導性」プロモーターと称される。誘導性プロモーターによる転写に影響を与え得る環境条件には、以下が含まれる:生物ストレス、非生物ストレス、塩ストレス、乾燥ストレス、病原体の攻撃、嫌気的条件、低温ストレス、高温ストレス、低酸素ストレス、または光の存在。
加えて、化学物質誘導性プロモーターが使用可能である。その例には、ベンジルスルホンアミド、テトラサイクリン、アブシシン酸、デキサメタゾン、エタノール、またはシクロヘキセノールによって誘導されるものが含まれる。
発生学的な制御下にあるプロモーターの例には、ある特定の組織においてのみ、またはある特定の組織において優先的に、転写を開始させるプロモーターが含まれ、ここで該組織は、たとえば、葉、根、果実、種子、または花などである。これらのプロモーターは、ときおり、組織優先的(tissue-preferred)プロモーターと呼ばれる。プロモーターの作用はまた、ゲノム上のその位置に応じて変化し得る。したがって、発生学的に調節されるプロモーターは、ある特定の位置において、完全に構成的なもの、または部分的に構成的なものとなり得る。発生学的に調節されるプロモーターはまた、必要であれば、弱発現のために改変され得る。
強化されたHLB抵抗性/耐性を有する植物の選択
強化されたHLB抵抗性/耐性を有する植物は、多くの様式で選択することが可能である。当業者であれば、以下の方法は、可能なもののうちのごく一部であることを理解するであろう。当業者であれば、植物の抵抗性応答は、植物を含めた多くの因子に応じて変化することを理解するであろう。一般的には、強化された抵抗性は、対照植物と比較した場合に、CLas感染に対する応答において病気の症状が低減または消失すること(たとえば、損傷の数もしくはサイズが低下すること、または植物において、もしくは植物の一部において、菌のバイオマス量が低下すること)によって測定される。しかしながらいくつかの場合においては、強化された抵抗性はまた、植物の過敏感反応(HR)の発生によっても測定可能である(たとえば、Staskawiczら (1995) Science 268(5211): 661-7を参照されたい)。強化された病原体抵抗性を有する植物は、対照植物と比較して、強化された過敏感反応を引き起こし得る。
強化されたHLB抵抗性はまた、正の防御調節因子に機能的に連結されている遺伝子の発現の増大を測定することによっても、または負の免疫調節因子タンパク質の発現もしくは活性の低下を測定することによっても、決定され得る。そのような発現の測定は、RNAまたはそれに続くタンパク質産物の蓄積を定量することによって測定可能である(たとえば、それぞれノーザンブロット技術またはウエスタンブロット技術を用いる(たとえば、SambrookらおよびAusubelらを参照されたい))。
特許請求する発明の限定ではなく例示を目的として、以下の実施例が提供される。
この実施例においては、正の防御調節因子および負の免疫応答調節因子の同定が説明される。正および負の調節因子の機能を同定および試験するために使用された実験の方法論は、Huangら (2020) Plant Biotechnol. J. doi.oprg/10.1111/pbi.13502に記載されており、これは参照により組み入れられる。Huangらは宿主/媒介生物/病原体の効果的な相互作用システムについて述べており、これは、CLasに近縁であってナス科植物に感染するC. リベリバクター・ソラナセアラム(CLso)と、ジャガイモおよびトマトの主要な害虫であるジャガイモトガリキジラミと、ウイルス誘導型遺伝子サイレンシング(VIGS)実験の理想的な宿主であるニコチアナ・ベンサミアナとを使用するものである。VIGSは、ウイルス(TRV)ベクターを用いて植物の内在性遺伝子の発現をノックダウンするための、効果的なサイレンシング方法である。このシステムは、カンキツ類/キジラミ/CLasの天然の相互作用システムによく似ており、かつ、C. リベリバクター属種に対する植物の防御応答における調節因子候補の機能を迅速に特徴付けするために、このシステムを使用することが可能である。
未感染のHLB耐性ハイブリッドであるUS-942と、未感染のHLB感受性マンダリンであるクレオパトラとで、sRNAプロファイルを比較することによって、HLB感受性のクレオパトラと比べてUS-942において構成的により多い量で存在する、保存されたmiRNAが発見された。クレオパトラと比べてUS-942において構成的により少ない量で存在する、さらなる別のmiRNAもまた発見された。本発明者らは、免疫の負および正の調節因子の可能性のあるものの予測およびアノテーションを行い、US942およびクレオパトラにおいて発現レベルを評価し、そして、HLB耐性である近縁の別のカンキツ類であって、異なる遺伝学的背景および地理的背景を有するシドニーハイブリッド(ミクロシトラス・ビルガタ)においても、発現レベルを評価した。本発明者らはまた、前記Huangら、2020に記載される、ニコチアナ・ベンサミアナ(Nb)/ジャガイモトガリキジラミ/カンジダタス・リベリバクター・ソラナセアラム(CLso)のパソシステムにおいて、機能試験も実施した。BRAP2、CYP93、NDR1様、PSL4、LYM2、SOT12、SCE1、GLY1、PAL1、WRKY70、およびEFR様が、正の免疫応答調節因子として同定された;かつ、VAD1、PRT6、OPT1、YSL6、PUB26、DMR6、PAO1、TPS5、ACA11、MPK1CRT1、LIN2、CRWN(LINC4)、GPX8、LOX2、およびPI4Kが、負の免疫応答調節因子として同定された。
CLsoに対する防御応答における調節因子候補の機能確認は、TRVベースのVIGSによって実施されたが、これは、CLsoに感染しているNb植物において、表1および2に列挙されるもののNbのオルソロガス遺伝子/相同遺伝子をノックダウンするものであった。2週齢のNb植物は、CLso陽性のジャガイモトガリキジラミ幼虫に5日間曝露された。キジラミ幼虫を除去してから3~4日後、標的遺伝子をサイレンシングする200~300 bpの遺伝子断片を含むTRVベクターを担持するアグロバクテリウム・ツメファシエンスが、浸潤によりNbの葉に接種するために使用された。浸潤の17日後、植物の黄化症状および維管束組織の緑色化が観察され、そしてsiRB対照と比較された。CLsoのDNAを検出するために植物の葉組織が採取され、そして標的遺伝子の発現が定量リアルタイムポリメラーゼ連鎖反応によって解析された。ソラナム・ブルボカスタナム(Solanum bulbocastanum)が特異的に有する抵抗性遺伝子であって、疫病(late-blight)に対する抵抗性遺伝子であるRBの断片を含むTRV構築物が、陰性対照(siRB)として使用された。Nbはオルソロガス遺伝子を有さず、かつしたがって、標的RB遺伝子を含まない。
図1a~1cは、50 ngの宿主ゲノムDNAにおいてプローブベースのqPCRによって測定された際に、VADの発現がVIGSによってノックダウンされている変異体植物が、RB遺伝子がサイレンシングされている対照植物と比較して、CLso細菌力価の低下を示したことを表すデータを提供するものである。
図2a~2dは、VADがノックダウンされているキャリゾ植物(RNAサイレンシングによるノックダウン)が、感染特異的(PR-2)およびキチナーゼ(CHI)を含めた防御マーカー遺伝子のより高度な発現を示したことを表すデータを提供するものである。
図3a~3cは、PAO1が、CLso感染に対する応答における負の調節因子であることを示すデータを提供するものである。PAO1は、活性酸素種のホメオスタシスを調節する、ポリアミンオキシダーゼである。50 ngの宿主ゲノムDNAにおいてプローブベースのqPCRによって測定された際に、PAO1の発現がVIGSによってノックダウンされている変異体植物は、RB遺伝子がサイレンシングされている対照植物と比較して、CLso細菌力価の低下を示した。
図4a~4cは、CRWNが、CLso感染に対する応答における負の調節因子であることを示すデータを提供するものである。CRWNは核ラミナタンパク質である。CRWNタンパク質が失われると、サリチル酸生合成遺伝子の発現が誘導される。50 ngの宿主ゲノムDNAにおいてプローブベースのqPCRによって測定された際に、CRWNの発現がVIGSによってノックダウンされている変異体植物は、RB遺伝子がサイレンシングされている対照植物と比較して、CLso細菌力価の低下を示した。
図5a~5cは、GPX8が、CLso感染に対する応答における負の調節因子であることを示すデータを提供するものである。GPX8はグルタチオンペルオキシダーゼである。GPXの発現が低下すると、光酸化ストレスへの耐性が損なわれるが、病原性細菌に対する抵抗性が増大する(たとえば、Changら、Plant Physiol. 150: 670-683, 2009を参照されたい)。50 ngの宿主ゲノムDNAにおいてプローブベースのqPCRによって測定された際に、GPX8の発現がVIGSによってノックダウンされている変異体植物は、RB遺伝子がサイレンシングされている対照植物と比較して、CLso細菌力価の低下を示した。
図6a~6bは、PRT6が、CLso感染に対する応答における負の調節因子であることを示すデータを提供するものである。PRT6はE3ユビキチンタンパク質リガーゼである。シロイヌナズナおよびオオムギのprt6変異体植物は、Pst、およびPs. ジャプノイカ(Ps. japnoica)、ならびにブルメリア・グラミニス分化型ホルデイ(Blumeria graminis f. sp. hordei)に対して抵抗性である(たとえば、Christopherら、Plant direct 3:12 e00194, 2019を参照されたい)。50 ngの宿主ゲノムDNAにおいてプローブベースのqPCRによって測定された際に、PRT6の発現がVIGSによってノックダウンされている変異体植物は、RB遺伝子がサイレンシングされている対照植物と比較して、CLso細菌力価の低下を示した。
図7a~7bは、PUB25/26が、CLso感染に対する応答における負の調節因子であることを示すデータを提供するものである。PUB25/26は、分解のために非活性化免疫キナーゼであるBIK1を標的とする、E3リガーゼである。50 ngの宿主ゲノムDNAにおいてプローブベースのqPCRによって測定された際に、PUB25/26の発現がVIGSによってノックダウンされている変異体植物は、RB遺伝子がサイレンシングされている対照植物と比較して、CLso細菌力価の低下を示した。
図8a~8cは、LIN2が、CLso感染に対する応答における負の調節因子であることを示すデータを提供するものである。LIN2はコプロポルフィリノーゲンIIIオキシダーゼをコードしており、これは、テトラピロール経路であるクロロフィルおよびヘムの生合成経路において重要な酵素である。LIN2変異体では、防御応答に関連する分子マーカーがより高度に発現している(たとえば、Guoら、Plant Cell Rep 32:687-702, 2013を参照されたい)。50 ngの宿主ゲノムDNAにおいてプローブベースのqPCRによって測定された際に、LIN2の発現がVIGSによってノックダウンされている変異体植物は、RB遺伝子がサイレンシングされている対照植物と比較して、CLso細菌力価の低下を示した。
上述のスクリーニングにおいて同定された正の調節因子はまた、免疫応答調節因子としても解析された。
図9a~9cは、BRAPが、CLso感染に対する応答における正の調節因子であることを示すデータを提供するものである。BRAPは、植物の防御応答において引き起こされる病原体関連分子パターンを正に調節する、E3リガーゼである(たとえば、Xieら、PLoS Pathog 12: 1005529, 2016を参照されたい)。50 ngの宿主ゲノムDNAにおいてプローブベースのqPCRによって測定された際に、BRAPの発現がVIGSによってノックダウンされている変異体植物は、RB遺伝子がサイレンシングされている対照植物と比較して、CLso細菌力価の増大を示した。
図10a~10bは、PSL4が、CLso感染に対する応答における正の調節因子であることを示すデータを提供するものである。PSL4は、elf18の受容体であるEFRの安定的な蓄積および性質の制御に必須である。50 ngの宿主ゲノムDNAにおいてプローブベースのqPCRによって測定された際に、PSL4の発現がVIGSによってノックダウンされている変異体植物は、RB遺伝子がサイレンシングされている対照植物と比較して、CLso細菌力価の増大を示した。
図11a~11bは、NDR1様が、CLso感染に対する応答における正の調節因子であることを示すデータを提供するものである。NDR1様(品種非特異的病気抵抗性1(NON RACE-SPECIFIC DISEASE RESISTANCE 1))は、細菌病原体および真菌病原体に対する品種非特異的抵抗性のために必要である。これは、全身獲得抵抗性の応答を媒介する(たとえば、Dayら、Plant Cell. 18:2782-91, 2006を参照されたい)。50 ngの宿主ゲノムDNAにおいてプローブベースのqPCRによって測定された際に、NDR1様の発現がVIGSによってノックダウンされている変異体植物は、RB遺伝子がサイレンシングされている対照植物と比較して、CLso細菌力価の増大を示した。
全ての参考文献、刊行物、およびアクセッション番号は、個々のアクセッション番号がそれぞれ参照により組み入れられるように具体的にかつ個々に指示されている場合と同程度に、参照により組み入れられる。上述の開示は、明確な理解を目的とした説明および例示のためにいくらか詳細に記載されているが、本開示の教示に照らせば、本発明の精神または範囲から逸脱することなく本発明に対していくらかの変更および改変がなされ得ることが、当業者には容易に理解されるであろう。
(表3)カンキツ類植物の負の免疫応答調節因子のポリペプチド配列
Figure 2024506316000004
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Figure 2024506316000056
Figure 2024506316000057
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Figure 2024506316000059
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(表4)カンキツ類植物の正の防御調節因子のポリペプチド配列
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Claims (20)

  1. リベリバクター(Liberibacter)属種の細菌によって引き起こされる病気に対する植物の抵抗性を強化する方法であって、以下の段階を含む方法:免疫応答ポリペプチドの負の調節因子をコードする内在性遺伝子の発現を低下させるために、植物を遺伝学的に改変する段階であって、免疫応答ポリペプチドの負の調節因子がVAD1、PRT6、PUB26、PAO1、LIN2、CRWN、またはGPX8である、段階。
  2. 前記病気がHLBであり、かつ植物がカンキツ類植物である、請求項1に記載の方法。
  3. 植物が、シトラス・マキシマ(Citrus maxima)植物、シトラス・メディカ(Citrus medica)植物、シトラス・ミクランサ(Citrus micrantha)植物、シトラス・レティクラタ(Citrus reticulata)植物、シトラス・オーランティイフォリア(Citrus aurantiifolia)植物、シトラス・オーランティウム(Citrus aurantium)植物、シトラス・ラティフォリア(Citrus latifolia)植物、シトラス・リモン(Citrus limon)植物、シトラス・リモニア(Citrus limonia)植物、シトラス・パラディシ(Citrus paradisi)植物、シトラス・クレメンティナ(Citrus clementina)植物、シトラス・ウンシュウ(Citrus unshiu)植物、シトラス・シネンシス(Citrus sinensis)植物、シトラス・タンジェリナ(Citrus tangerina)植物、シトラス・イーチャンゲンシス(Citrus ichangensis)植物、アタランティア・バクシフォリア(Atalantia buxifolia)植物、またはポンシラス・トリフォリアタ(Poncirus trifoliata)植物である、請求項2に記載の方法。
  4. 前記病気がジャガイモゼブラチップ病であり、かつ植物がジャガイモ植物である、請求項1に記載の方法。
  5. 前記負の調節因子の発現を低下させることが、前記負の調節因子をコードする内在性核酸を標的とするsiRNAに、植物を接触させることを含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
  6. 前記負の調節因子の発現を低下させることが、ウイルスベクターに媒介される遺伝子サイレンシングを含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
  7. 前記負の調節因子の発現を低下させることが、前記負の調節因子をコードする内在性遺伝子の発現をノックアウトすることを含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
  8. 発現を低下させるかまたはノックアウトするために内在性遺伝子を遺伝子編集する段階を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
  9. 遺伝子編集技術がCRISPR/CAS遺伝子編集である、請求項8に記載の方法。
  10. 免疫応答ポリペプチドの負の調節因子が、表3に記載されるVAD1、PRT6、PUB26、PAO1、LIN2、CRWN、またはGPX8のポリペプチド配列に対して少なくとも70%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
  11. 免疫応答ポリペプチドの負の調節因子が、表3に記載されるVAD1、PRT6、PUB26、PAO1、LIN2、CRWN、またはGPX8のポリペプチド配列に対して少なくとも90%または少なくとも95%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項10に記載の方法。
  12. リベリバクター属種の細菌によって引き起こされる病気に対する植物の抵抗性を強化する方法であって、以下の段階を含む方法:表2に記載される正の防御調節因子ポリペプチドをコードする遺伝子を高発現させるために、植物を遺伝学的に改変する段階であって、該正の防御調節因子ペプチドがBRAP2、NDR1様、またはPSL4である、段階。
  13. 前記病気がHLBであり、かつ植物がミカン科(Citrus family)のメンバーである、請求項12に記載の方法。
  14. 植物が、シトラス・マキシマ植物、シトラス・メディカ植物、シトラス・ミクランサ植物、シトラス・レティクラタ植物、シトラス・オーランティイフォリア植物、シトラス・オーランティウム植物、シトラス・ラティフォリア植物、シトラス・リモン植物、シトラス・リモニア植物、シトラス・パラディシ植物、シトラス・クレメンティナ植物、シトラス・ウンシュウ植物、シトラス・シネンシス植物、シトラス・タンジェリナ植物、シトラス・イーチャンゲンシス植物、アタランティア・バクシフォリア植物、またはポンシラス・トリフォリアタ植物である、請求項13に記載の方法。
  15. 前記病気がジャガイモゼブラチップ病であり、かつ植物がジャガイモ植物である、請求項12に記載の方法。
  16. 表4に記載されるBRAP2、NDR1様、またはPSL4のポリペプチド配列に対して少なくとも70%の同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドを高発現させるために、植物を遺伝学的に改変する段階を含む、請求項12~15のいずれか一項に記載の方法。
  17. 表4に記載されるBRAP2、NDR1様、またはPSL4のポリペプチド配列に対して少なくとも95%を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドを高発現させるために、植物を遺伝学的に改変する段階を含む、請求項16に記載の方法。
  18. 前記ポリペプチドが植物にとって内在性である、請求項12~17のいずれか一項に記載の方法。
  19. 前記ポリペプチドが植物にとって異種性である、請求項12~17のいずれか一項に記載の方法。
  20. 請求項1~19のいずれか一項に記載の方法によって作製された、HLBに対する強化された抵抗性を有する植物。
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