JP2024504979A - 再構成可能な量子ビットもつれシステム - Google Patents

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Abstract

幾つかの実施形態によれば、システムは、第1の量子ビットと第1のスイッチとに結合される第1の入力を含み、第1のスイッチは、第1の出力、第2の出力、及び第3の出力を含む。システムは、第1のスイッチの第1の出力に結合される第1の単一量子ビット測定デバイスと、第2のスイッチの第1の出力に結合される第2の単一量子ビット測定デバイスとを更に含む。システムは、第1のスイッチの第2の出力と第2のスイッチの第2の出力とに結合される第1の2量子ビット測定デバイスと、第1のスイッチの第3の出力と第2のスイッチの第3の出力とに結合される第2の2量子ビット測定デバイスとを更に含む。【選択図】図3D

Description

[0001]関連出願の相互参照
この出願は、「融合ベースの量子コンピューティング」と題される2021年1月22日に出願された米国仮出願第63/140,784号及び「再構成可能な量子ビット融合システム」と題される2021年12月23日に出願された米国仮出願第63/293,592号の優先権を主張し、これらの仮出願のそれぞれは、参照によりその全体が本願に組み入れられる。
[0002]1つ以上の実施形態は、一般に、量子技術デバイス(例えば、ハイブリッド電子/フォトニックデバイス)、より具体的には、量子ビットのもつれ状態(例えば、量子コンピューティング、量子通信、量子計測、及び他の量子情報処理タスクのためのリソースとして使用することができるもつれ状態)を生成するための量子技術デバイス、並びにフォールトトレラント量子コンピューティングシステム内の量子エラー訂正に使用することができるシンドロームグラフデータを生成するためのシステム及び方法に関する。本開示の1つ以上の実施形態は、一般に、量子コンピューティングデバイス及び方法に関し、より具体的には、フォールトトレラント量子コンピューティングデバイス及び方法に関する。
[0003]フォールトトレラント量子コンピューティングでは、その後に誤った計算結果をもたらす量子ビットエラーの蓄積を回避するために量子エラー訂正が必要とされる。フォールトトレランスを達成する1つの方法は、量子エラー訂正のためにエラー訂正符号(例えば、トポロジカル符号)を使用することである。より具体的には、物理量子ビットの集合は、エラーから保護される単一の論理量子ビットに関して符号化するもつれ状態(本明細書ではエラー訂正符号とも呼ばれる)で生成され得る。
[0004]幾つかの量子コンピューティングシステムでは、複数の量子ビットのクラスタ状態、又はより一般的にはグラフ状態をエラー訂正符号として使用することができる。グラフ状態は、量子ビットを表すノードと量子ビット間のもつれを表すエッジとを有するグラフとして視覚的に表すことができる高度にもつれたマルチ量子ビット状態である。しかしながら、もつれ状態の生成を阻害する又は一旦生成されたもつれを破壊する様々な問題が、高度にもつれた量子状態の使用に依存する量子技術の進歩を妨げてきた。
[0005]更に、幾つかの量子ビットアーキテクチャ、例えばフォトニックアーキテクチャにおいて、複数の量子ビットのもつれ状態の生成は、低い成功確率を有し得る本質的に確率的なプロセスである。
[0006]したがって、量子ビットの大きなクラスタ状態に必ずしも依存しない量子コンピューティングのための改良されたシステム及び方法が依然として必要とされている。
[0007]本明細書では、1つ以上の実施形態に係る再構成可能な量子ビットもつれシステムの実施形態について説明する。
[0008]幾つかの実施形態によれば、方法は、複数の量子システムを受信するステップであって、複数の量子システムの各量子システムが、もつれ状態の複数の量子サブシステムを含み、複数の量子システムのそれぞれの量子システムが、互いにもつれない独立した量子システムである、ステップと、複数の量子システムのそれぞれの量子システムからの異なる量子サブシステムに対して複数の破壊的一括測定(融合動作など)を実行するステップであって、破壊的一括測定が、異なる量子サブシステムを破壊するとともに、一括測定結果データを生成して、異なる量子サブシステムからの量子状態情報を複数の量子システムからの他の未測定量子サブシステムに転送する、ステップと、一括測定結果データに基づいて論理量子ビット状態を決定するステップとを含むことができる。論理量子ビット状態は、フォールトトレラント方式で決定することができる。
[0009]幾つかの実施形態によれば、方法は、複数の量子システムを受信するステップであって、複数の量子システムの各量子システムが、もつれ状態の複数の量子サブシステムを含み、複数の量子システムのそれぞれの量子システムが、互いにもつれない独立した量子システムである、ステップと、複数の量子システムのそれぞれからの異なる量子サブシステムに対して複数の破壊的一括測定(融合動作など)を行うことによって論理量子ビットゲートを実行するステップであって、破壊的一括測定が、異なる量子サブシステムを破壊するとともに、一括測定結果データを生成して、異なる量子サブシステムからの量子状態情報を複数の量子システムからの他の未測定量子サブシステムに転送する、ステップと、一括測定結果データに基づいて論理量子ビットゲートの結果を決定するステップとを含むことができる。論理量子ビットゲートの結果は、フォールトトレラント方式で決定することができる。
[0010]幾つかの実施形態によれば、量子コンピューティングデバイスは、複数の量子システムを生成する量子ビットもつれシステムであって、複数の量子システムの各量子システムが、もつれ状態にある複数の量子サブシステムを含み、複数の量子システムのそれぞれの量子システムが、互いにもつれていない独立した量子システムである、量子ビットもつれシステムと、複数の量子システムのそれぞれの量子システムからの異なる量子サブシステムに対して複数の破壊的一括測定を実行する量子ビット融合システムであって、破壊的一括測定が、異なる量子サブシステムを破壊するとともに、一括測定結果データを生成して、異なる量子サブシステムからの量子状態情報を複数の量子システムからの他の未測定量子サブシステムに転送する、量子ビット融合システムと、一括測定結果データに基づいて論理量子ビット状態を決定するための古典的なコンピューティングシステムとを備えることができる。
[0011]幾つかの実施形態によれば、量子コンピューティングデバイスは、複数の量子システムを生成する量子ビットもつれシステムであって、複数の量子システムの各量子システムが、もつれ状態にある複数の量子サブシステムを含み、複数の量子システムのそれぞれの量子システムが、互いにもつれていない独立した量子システムである、量子ビットもつれシステムと、複数の量子システムのそれぞれの量子システムからの異なる量子サブシステムに対して複数の破壊的一括測定を行うことによって論理量子ビットゲートを実行する量子ビット融合システムであって、破壊的一括測定が、異なる量子サブシステムを破壊するとともに、一括測定結果データを生成して、異なる量子サブシステムからの量子状態情報を複数の量子システムからの他の未測定量子サブシステムに転送する、量子ビット融合システムと、一括測定結果データに基づいて論理量子ビットゲートの結果を決定するための古典的なコンピューティングシステムとを備えることができる。
[0012]幾つかの実施形態によれば、システムは、第1の量子ビットと第1のスイッチとに結合される第1の入力を含み、第1のスイッチは、第1の出力、第2の出力、及び第3の出力を含む。システムは、第1のスイッチの第1の出力に結合される第1の単一量子ビット測定デバイスと、第2のスイッチの第1の出力に結合される第2の単一量子ビット測定デバイスとを更に含む。システムは、第1のスイッチの第2の出力と第2のスイッチの第2の出力とに結合される第1の2量子ビット測定デバイスと、第1のスイッチの第3の出力と第2のスイッチの第3の出力とに結合される第2の2量子ビット測定デバイスとを更に含む。
[0013]幾つかの実施形態において、システムは、第1のスイッチ及び第2のスイッチに結合される融合ネットワークコントローラ回路を更に含む。
[0014]幾つかの実施形態において、システムは、第1の単一量子ビット測定デバイスの出力、第2の単一量子ビット測定デバイスの出力、第1の2量子ビット測定デバイスの出力、及び第2の2量子ビット測定デバイスの出力に結合される復号器を更に含む。
[0015]幾つかの実施形態において、第1の量子ビットは、第1のリソース状態の一部として1つ以上の他の量子ビットともつれており、第2の量子ビットは、第2のリソース状態の一部として1つ以上の他の量子ビットともつれており、第1のリソース状態からの量子ビットのいずれも、第2のリソース状態からの量子ビットのいずれとももつれていない。
[0016]幾つかの実施形態において、第1及び第2の2量子ビット測定デバイスは、第1の量子ビット及び第2の量子ビットに対して破壊的一括測定を行い、一括測定結果を表す古典的情報を出力するように構成される。
[0017]幾つかの実施形態では、第1の量子ビット及び第2の量子ビットがフォトニック量子ビットである。
[0018]幾つかの実施形態では、第1及び第2の量子ビットと第1及び第2のスイッチとの間の結合が複数のフォトニック導波路を含む。
[0019]幾つかの実施形態において、第1の単一量子ビット測定デバイスは、Z基底で第1の量子ビットを測定するように構成される。
[0020]幾つかの実施形態において、第2の単一量子ビット測定デバイスは、Z基底で第2の量子ビットを測定するように構成される。
[0021]幾つかの実施形態において、第1の2量子ビット測定デバイスは、第1の量子ビットと第2の量子ビットとの間で投影ベル測定を実行するように構成される。
[0022]幾つかの実施形態において、第2の2量子ビット測定デバイスは、第1の量子ビットと第2の量子ビットとの間で投影ベル測定を実行するように構成される。
[0023]幾つかの実施形態では、投影ベル測定が線形光学タイプII融合測定である。
[0024]幾つかの実施形態では、投影ベル測定が線形光学タイプII融合測定である。
[0025]以下の詳細な説明は、添付図面と共に、特許請求の範囲に記載される発明の性質及び利点のより良い理解をもたらす。
[0026]本開示の態様は、例として示される。非限定的且つ非網羅的な態様が以下の図に関連して説明され、特に明記しない限り、様々な図を通して同様の参照番号が同様の部分を指す。
幾つかの実施形態に係る物理量子ビットのもつれ状態に関するクラスタ状態及び対応するシンドロームグラフを示す図である。 幾つかの実施形態に係る物理量子ビットのもつれ状態に関するクラスタ状態及び対応するシンドロームグラフを示す図である。 幾つかの実施形態に係る物理量子ビットのもつれ状態に関するクラスタ状態及び対応するシンドロームグラフを示す図である。 1つ以上の実施形態に係る量子計算システムを示す。 幾つかの実施形態に係る量子計算システムを示す。 幾つかの実施形態に係る量子計算システムを示す。 幾つかの実施形態に係る量子計算システムを示す。 幾つかの実施形態に係る量子計算システムを示す。 幾つかの実施形態に係る融合ネットワークの一例を示す。 幾つかの実施形態に係る量子計算システムを示す。 幾つかの実施形態に係る量子ビット融合システムの一例を示す。 幾つかの実施形態に係るリソース状態を示す。 幾つかの実施形態に係る量子ビット融合システムの一例を示す。 幾つかの実施形態に係る特定のグループの明示的な定義と共に融合ネットワークの一例を示す。 幾つかの実施形態に係る特定のグループの明示的な定義と共に融合ネットワークの一例を示す。 幾つかの実施形態に係る特定のグループの明示的な定義と共に融合ネットワークの一例を示す。 幾つかの実施形態に係る特定のグループの明示的な定義と共に融合ネットワークの一例を示す。 幾つかの実施形態に係る特定のグループの明示的な定義と共に融合ネットワークの一例を示す。 幾つかの実施形態に係る特定のグループの明示的な定義と共に融合ネットワークの一例を示す。 幾つかの実施形態に係る特定のグループの明示的な定義と共に融合ネットワークの一例を示す。 幾つかの実施形態に係る特定のグループの明示的な定義と共に融合ネットワークの一例を示す。 幾つかの実施形態に係る融合ネットワークの一例を示す。 幾つかの実施形態に係る融合ネットワークの一例を示す。 幾つかの実施形態に係る融合ネットワークの一例を示す。 幾つかの実施形態に係る融合ネットワークの一例を示す。 幾つかの実施形態に係る融合ネットワークの一例を示す。 幾つかの実施形態に係る様々な融合ネットワーク及びリソース状態に関する数値的に計算されたエラー許容範囲を示す。 幾つかの実施形態に係る様々な融合ネットワーク及びリソース状態に関する数値的に計算されたエラー許容範囲を示す。 幾つかの実施形態に従ってZ基底で特定の量子ビットを測定することによってプライマル境界及びデュアル境界をどのように作成することができるかの単純な例を示す。 幾つかの実施形態に従ってZ基底で特定の量子ビットを測定することによってプライマル境界及びデュアル境界をどのように作成することができるかの単純な例を示す。 幾つかの実施形態に従ってZ基底で特定の量子ビットを測定することによってプライマル境界及びデュアル境界をどのように作成することができるかの単純な例を示す。 幾つかの実施形態に従ってZ基底で特定の量子ビットを測定することによってプライマル境界及びデュアル境界をどのように作成することができるかの単純な例を示す。 幾つかの実施形態に従ってフォトニックリソース状態生成器、光ルーティング、及び線形光融合を使用して6リング融合ネットワークを生成するルーティングを提供する融合ルータの一例を示す。 幾つかの実施形態に従ってフォトニックリソース状態生成器、光ルーティング、及び線形光融合を使用して6リング融合ネットワークを生成するルーティングを提供する融合ルータの一例を示す。 幾つかの実施形態に従ってフォトニックリソース状態生成器、光ルーティング、及び線形光融合を使用して6リング融合ネットワークを生成するルーティングを提供する融合ルータの一例を示す。 幾つかの実施形態に従ってフォトニックリソース状態生成器、光ルーティング、及び線形光融合を使用して6リング融合ネットワークを生成するルーティングを提供する融合ルータの一例を示す。 幾つかの実施形態に従ってフォトニックリソース状態生成器、光ルーティング、及び線形光融合を使用して6リング融合ネットワークを生成するルーティングを提供する融合ルータの一例を示す。 例えば、幾つかの実施形態に係る捕捉イオン、超伝導量子ビットなどの物質ベースの量子ビットアーキテクチャで使用することができるネットワーク化されたRSG回路の他の実施形態を示す。 例えば、幾つかの実施形態に係る捕捉イオン、超伝導量子ビットなどの物質ベースの量子ビットアーキテクチャで使用することができるネットワーク化されたRSG回路の他の実施形態を示す。 幾つかの実施形態に係る論理フィードフォワードを使用する量子回路の一例を示す。 幾つかの実施形態に係る量子計算システムに出入りする古典的な情報の図を示す。 幾つかの実施形態に係るバッファリング及び復号器並列化の両方を含む復号システムの構成の一例を示す。 幾つかの実施形態に係る線形光量子コンピュータ内のフォトニックハードウェアコンポーネントを示す。 1つ以上の実施形態に係る多重化単一光子源の一例を示す。 幾つかの実施形態に係るフォールトトレラント量子計算のために復号器に測定結果を提供するべく融合コントローラと共に動作するように構成された融合部位の1つの想定し得る例を示す。 1つ以上の実施形態に係るフォールトトレラント量子計算のための融合ベースの量子計算スキームを示す。 1つ以上の実施形態に係るフォールトトレラント量子計算のための融合ベースの量子計算スキームを示す。 1つ以上の実施形態に係るフォールトトレラント量子計算のための融合ベースの量子計算スキームを示す。 幾つかの実施形態に係る融合ベースの量子コンピューティングのための格子前処理プロトコルの一例を示す。 幾つかの実施形態に係る融合ベースの量子コンピューティングのための格子前処理プロトコルの一例を示す。 幾つかの実施形態に係る融合ベースの量子コンピューティングのための格子前処理プロトコルの一例を示す。 幾つかの実施形態に係る融合ベースの量子コンピューティングのための格子前処理プロトコルの一例を示す。 幾つかの実施形態に係る融合ベースの量子コンピューティングのための格子前処理プロトコルの一例を示す。 1つ以上の実施形態に係る融合ベースの量子コンピューティングのための方法を説明するためのフローチャート及び例示的な格子前処理プロトコルを示す。 1つ以上の実施形態に係る融合ベースの量子コンピューティングのための方法を説明するためのフローチャート及び例示的な格子前処理プロトコルを示す。 1つ以上の実施形態に係る融合ベースの量子コンピューティングのための方法を説明するためのフローチャート及び例示的な格子前処理プロトコルを示す。 1つ以上の実施形態に係る融合ベースの量子コンピューティングのための方法を説明するためのフローチャート及び例示的な格子前処理プロトコルを示す。 1つ以上の実施形態に係る融合ベースの量子コンピューティングのための方法を説明するためのフローチャート及び例示的な格子前処理プロトコルを示す。 幾つかの実施形態に係るフォトニック量子ビットに対してユニタリ演算を実行するためのデュアルレール符号化フォトニック量子ビット及びフォトニック回路の表示を示す。 幾つかの実施形態に係るフォトニック量子ビットに対してユニタリ演算を実行するためのデュアルレール符号化フォトニック量子ビット及びフォトニック回路の表示を示す。 幾つかの実施形態に係るフォトニック量子ビットに対してユニタリ演算を実行するためのデュアルレール符号化フォトニック量子ビット及びフォトニック回路の表示を示す。 幾つかの実施形態に係るフォトニック量子ビットに対してユニタリ演算を実行するためのデュアルレール符号化フォトニック量子ビット及びフォトニック回路の表示を示す。 幾つかの実施形態に係るフォトニック量子ビットに対してユニタリ演算を実行するためのデュアルレール符号化フォトニック量子ビット及びフォトニック回路の表示を示す。 幾つかの実施形態に係るフォトニック量子ビットに対してユニタリ演算を実行するためのデュアルレール符号化フォトニック量子ビット及びフォトニック回路の表示を示す。 幾つかの実施形態に係るフォトニック量子ビットに対してユニタリ演算を実行するためのデュアルレール符号化フォトニック量子ビット及びフォトニック回路の表示を示す。 幾つかの実施形態に係る例えばアダマール(Hadamard)ゲートなどの1つ以上のスプレッダを実装するために使用され得るビームスプリッタのフォトニック実装を示す。 幾つかの実施形態に係る例えばアダマール(Hadamard)ゲートなどの1つ以上のスプレッダを実装するために使用され得るビームスプリッタのフォトニック実装を示す。 幾つかのデュアルレール符号化フォトニック実施形態で使用することができるベル状態生成器回路の一例を示す。 幾つかの実施形態に係る偏光符号化のためのタイプII融合回路の一例を示す。 幾つかの実施形態に係る経路符号化のためのタイプII融合回路の一例を示す。 幾つかの実施形態に係るクラスタ状態の生成における融合の効果を示す。 幾つかの実施形態に係るクラスタ状態の生成における融合の効果を示す。 幾つかの実施形態に係るクラスタ状態の生成における融合の効果を示す。 幾つかの実施形態に係るクラスタ状態の生成における融合の効果を示す。 幾つかの実施形態に係る偏光符号化及び経路符号化において一度ブーストされたタイプII融合ゲートの例を示す。 偏光符号化における異なる測定基底のためのタイプII融合ゲートの変形を伴う表を示す。 幾つかの実施形態に係る経路符号化における測定基底の異なる選択のためのタイプII融合ゲートのフォトニック回路バリエーションの例を示す。
[0064]ここで、実施形態を詳細に参照し、その例が添付図面に示される。以下の詳細な説明では、様々な記載された実施形態の完全な理解を与えるために、多数の特定の詳細が記載される。しかしながら、当業者に明らかなように、様々な記載された実施形態がこれらの特定の詳細を伴うことなく実施され得る。他の例では、実施形態の態様を不必要に不明瞭にしないように、周知の方法、手順、構成要素、回路、及びネットワークが詳細に説明されていない。
[0065]I.量子計算への導入
量子計算は、物理量子ビットに対して演算(又はゲート)が実行される「回路ベースの量子計算」(CBQC)の枠組みで考慮されることが多い。ゲートは、単一量子ビットユニタリ演算(回転)、CNOTゲートなどの2量子ビットもつれ演算、又はToffoliゲートなどの他のマルチ量子ビットゲートのいずれかであり得る。
[0066]測定ベースの量子計算(MBQC)は、量子計算を実施するための別の手法である。MBQC手法では、計算は、一般にクラスタ状態と呼ばれる多くの量子ビットの特定のもつれ状態を最初に前処理し、次いでクラスタ状態に対して一連の単一量子ビット測定を実行して量子計算を実行することによって進行する。この手法では、単一量子ビット測定値の選択は、量子コンピュータ上で実行されている量子アルゴリズムによって決定される。MBQC手法では、クラスタ状態を慎重に設計し、このクラスタ状態のトポロジーを使用して、クラスタ状態を構成する物理量子ビットのいずれかのエラーによって引き起こされ得る任意の論理エラーから保護された論理量子ビットを符号化することによって、フォールトトレランスを達成することができる。実際には、論理量子ビットの値は、計算が進行するにつれてクラスタ状態の物理量子ビットに対して行われる単一粒子測定の結果(本明細書では測定結果とも呼ばれる)に基づいて決定、すなわち読み出すことができる。
[0067]しかしながら、クラスタ状態にわたる長距離もつれの生成及び維持、及びその後の大クラスタ状態の記憶は、課題となり得る。例えば、MBQC手法の任意の物理的実施態様では、相互にもつれた数千以上の量子ビットを含むクラスタ状態が前処理され、次いで単一量子ビット測定が実行される前にある期間保存されなければならない。例えば、単一の論理エラー訂正済み量子ビットを表すクラスタ状態を生成するために、基礎となる物理量子ビットの集合のそれぞれを|+〉状態に前処理することができ、制御位相ゲート(CZ)を各物理量子ビット対の間に適用してクラスタ状態全体を生成することができる。より明示的には、高度にもつれた量子ビットのクラスタ状態は、V及びEがそれぞれ頂点及びエッジのセットを示す無向グラフG=(V,E)によって記述することができ、以下のように生成することができる。すなわち、1)全ての物理量子ビットを|+〉状態になるように初期化し、ここで、

であり、2)量子ビットの各対i、jに制御位相ゲート(CZ)を適用する。したがって、物理量子ビットの大きなもつれ状態に物理的に対応する任意のクラスタ状態は、

であり、ここで、CZi,jは、制御された位相ゲート演算子であり、V及びEは上で定義した通りである。グラフでは、式(1)によって基底されるクラスタ状態は、(|+〉状態で初期化された)物理量子ビットを表す頂点Vと、それらの間のもつれを表すエッジEとを伴うグラフによって表すこともできる(すなわち、様々なCZゲートの適用)。場合によっては、例えば、フォールトトレラントMBQC方式を含む場合、|Ψ〉graphは3次元のグラフの形をとることができる。図1A及び図22に示す例のように、そのようなグラフは、繰り返し単位セルから形成された規則的な構造を有することができ、したがって、しばしば「格子」と呼ばれる。3次元格子として表される場合、この格子の2次元境界を識別することができる。これらの境界に属する量子ビットは「境界量子ビット」と呼ばれ、他の全ての量子ビットは「バルク量子ビット」と呼ばれる。
[0068]|Ψ〉graphが生成された後、この相互にもつれた量子ビットの大きな状態は、例えば、格子の大部分の全ての物理量子ビットに対してX測定を行い、境界量子ビットに対してZ測定を行うことによって、スタビライザ測定が実行されるのに十分長く保存されなければならない。
[0069]図1Aは、MBQCで使用することができるフォールトトレラントクラスタ状態の一例を示し、そのトポロジークラスタ状態は、Raussendorfらによって導入され、一般にRobertRaussendorf、JimHarrington、及びKovidGoyal.A.、Fault-TolerantOne-WayQuantumComputer、AnnalsofPhysics、321(9):2242-2270、2006年に更に詳細に記載されるようなRaussendorf格子と呼ばれる。クラスタ状態は、セルの面及び縁部に配置された物理量子ビット(例えば、物理量子ビット116)を有する繰り返し格子セル(例えば、セル120)の形態である。物理量子ビット間のもつれは、物理量子ビット(例えば、縁部118)を接続するエッジによって表され、各エッジは、式を(1)参照して前述したように、CZゲートの適用を表す。ここに示されるクラスタ状態は、本開示の範囲から逸脱することなく、多くの他のトポロジカルエラー訂正符号の中の単なる一例であり、使用することができる。例えば、その内容全体があらゆる目的のために参照により本明細書に組み込まれる国際特許出願公開第2019/173651号に開示されているようなボリューム符号を使用することができる。また、その内容全体があらゆる目的のために参照により本明細書に組み込まれる国際特許出願公開第2019/178009号に記載されている非立方体単位セルに基づく符号も、本開示の範囲から逸脱することなく使用することができる。更に、ここに示す例は3つの空間次元で表されているが、同じ構造が、純粋に空間的にもつれたクラスタ状態に基づかない符号の他の実装から得られてもよく、むしろ2D空間におけるもつれ及び時間内のもつれの両方を含むことができ、例えば、2+1D表面符号実装が使用されてもよく、又は任意の他の断片化された符号が使用されてもよい。そのような符号のクラスタ状態実装のために、格子を構成する物理量子ビットに対して一連の単一粒子測定を行うことによって、フォールトトレラント量子計算に必要な量子ゲートの全てを構築することができる。
[0070]図1Aに戻ると、Raussendorf格子のチャンクが示されている。そのようなもつれ状態は、多くのもつれた物理量子ビットを使用して1つ以上の論理量子ビット(すなわち、1つ以上のエラー訂正された量子ビット)を符号化するために使用することができる。複数の物理量子ビット(例えば、物理量子ビット116)の単一粒子測定結果の集合は、エラーを訂正し、復号器を使用して論理量子ビットに対してフォールトトレラント計算を実行するために使用することができる。多くの復号器が利用可能であり、一例は、国際特許出願公開第2019/002934A1号に記載されている和集合発見(Union-Find)復号器であり、この出願の開示内容は、あらゆる目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる。当業者であれば分かるように、単一の論理量子ビットを符号化するのに必要な物理量子ビットの数は、物理量子ビットが経験する物理エラー、ノイズなどの正確な性質に応じて異なり得るが、フォールトトレランスを達成するためには、これまでの全ての提案が、単一の論理量子ビットを符号化するために数千の物理量子ビットのもつれ状態を必要とする。そのような大きなもつれ状態を生成及び維持することは、MBQC手法の任意の実用的な実装にとって依然として重要な課題である。
[0071]図1B~図1Cは、Raussendorf格子に基づくクラスタ状態に対して論理量子ビットの復号をどのように進めることができるかを示す。図1Aに見られるように、クラスタ状態の幾何学的形状は、図1Aのクラスタ状態に重ねて示されている立方格子(格子セル120)の幾何学的形状に関連している。図1Bは、クラスタ状態の各物理量子ビットの状態が測定された後の(立方格子に重ねられた)単一粒子測定結果を示し、測定結果は、測定された物理量子ビットの以前の位置に置かれている(明確にするために、表面量子ビットの測定から生じる測定結果のみが示されている)。
[0072]幾つかの実施形態では、測定された量子ビット状態は、全ての量子ビットが例えばx基底で測定された後の1又は0のいずれかの数値ビット値によって表すことができ、1ビット値は+x測定結果に対応し、しかし0値は-x測定結果に対応する(又はその逆)。2つのタイプの量子ビットが存在し、それらは単位セルのエッジ上に位置するもの(例えば、エッジ量子ビット122において)、及び単位セルの面上に位置するもの(例えば、面量子ビット124)である。場合によっては、量子ビットの測定値が得られないか、量子ビットの測定結果が無効である場合がある。これらの場合、対応する測定された量子ビットの位置に割り当てられたビット値はないが、代わりに、結果は、本明細書では例えば太線126として示される消去と呼ばれる。欠落していることが知られているこれらの測定結果は、復号手順中に再構成することができる。
[0073]物理量子ビットにおけるエラーを識別するために、物理量子ビットの測定から生じる測定結果の集合からシンドロームグラフを生成することができる。例えば、各エッジ量子ビットに関連付けられたビット値を組み合わせて、それぞれのエッジの交差から生じる頂点、例えば図1Bに示すような頂点128に関連付けられたシンドローム値を作成することができる。本明細書でパリティチェックとも呼ばれるシンドローム値のセットは、図1Cに示すように、シンドロームグラフの各頂点に関連付けられる。より具体的には、図1Cには、シンドロームグラフの一部の頂点パリティチェックの計算値が示されている。幾つかの実施形態では、パリティ計算は、所与の頂点に入射するエッジ値の合計が偶数又は奇数の整数であるかどうかを判定することを伴い、その頂点のパリティ結果は、合計mod2の結果であると定義される。量子状態又は量子ビット測定においてエラーが発生しなかった場合、全てのシンドローム値は偶数(又は0)であるべきである。逆に、エラーが発生した場合、それは幾つかの奇数(又は1)のシンドローム値をもたらす。量子ビット測定からのビット値の半分のみが、示されているシンドロームグラフ(シンドロームグラフのエッジに整列したビット)と関連付けられる。示されている格子の面に関連する全てのビット値を含む別のシンドロームグラフがある。これは、これらのビットについて同等の復号化問題をもたらす。
[0074]前述したように、量子ビットの大きなクラスタ状態の生成及びその後の記憶は、課題となり得る。しかしながら、本明細書に記載の幾つかの実施形態、方法、及びシステムは、エラー訂正符号における量子ビットの大きなもつれ状態を最初に生成する必要なしに、量子エラー訂正を実行するために必要な相関を含む古典的な測定データ(例えば、シンドロームグラフのシンドロームグラフ値に対応する古典的なデータのセット)のセットの生成を提供する。例えば、本明細書で開示される実施形態は、本明細書では「融合測定値」又は「融合ゲート」とも呼ばれる2量子ビット(すなわち、接合部)測定をはるかに小さいもつれ状態の集合に対して実行して、クラスタ状態を実際に生成する必要なしに、特定の選択されたクラスタ状態のシンドロームグラフを生成及び復号するのに必要な長距離相関を含む古典データのセットを生成することができるシステム及び方法を記載する。言い換えれば、本明細書に記載された幾つかのシステム及び方法では、比較的小さなもつれ状態(本明細書ではリソース状態と呼ばれる)の集合のみが生成され、次いで、量子エラー訂正符号(例えば、Raussendorf格子などのトポロジカル符号)を形成する大きなクラスタ状態を最初に生成する(次いで測定する)必要なしに、これらのリソース状態に対して直接一括測定が実行されてシンドロームグラフデータが生成される。
[0075]例えば、以下で更に詳細に説明するように、シンドロームグラフデータを生成するために、Raussendorf格子符号構造を使用する線形光量子コンピューティングの場合、融合ゲートは、それ自体互いにもつれず、したがってより大きなRaussendorf格子クラスタ状態の一部には決してならない小さなもつれ状態(例えば、4-GHZ状態)の集合に適用することができる。個々のリソース状態からの量子ビットが融合測定の前に相互にもつれていなかったという事実にもかかわらず、融合測定から生じる一括測定結果は、量子エラー訂正を実行するために必要な全ての相関を含むシンドロームグラフを生成する。そのようなシステム及び方法は、本明細書では融合ベースの量子コンピューティング(FBQC)と呼ばれる。好適には、リソース状態は、MBQCのクラスタ状態とは全く対照的に、実行される計算又は使用される符号距離とは無関係のサイズを有する。これにより、FBQCに用いられるリソース状態を、一定数のシーケンシャル動作によって生成することができる。その結果、FBQCでは、リソース状態のエラーが制限され、これはフォールトトレラントにとって重要である。
[0076]II.FBQCのためのシステム
図2は、1つ以上の実施形態に係る量子計算システムを示す図である。量子コンピューティングシステム201は、図3において以下でより詳細に説明する量子コンピューティング(QC)サブシステム206に通信可能に結合されたユーザインタフェースデバイス204を含む。ユーザインタフェースデバイス204は、任意のタイプのユーザインタフェースデバイス、例えば、ディスプレイ、キーボード、マウス、タッチスクリーンなどを含む端末となり得る。更に、ユーザインタフェースデバイス自体は、パーソナルコンピュータ(PC)、ラップトップ、タブレットコンピュータなどのコンピュータとなり得る。幾つかの実施形態では、ユーザインタフェースデバイス204は、ユーザが直接又はローカルエリアネットワーク、ワイドエリアネットワークを介して、又はインターネットを介してQCサブシステム206と対話することができるインタフェースを提供する。例えば、ユーザインタフェースデバイス204は、テキストエディタ、対話型開発環境(IDE)、コマンドプロンプト、グラフィカルユーザインタフェースなどのソフトウェアを実行することができ、それにより、ユーザは、1つ以上の量子アルゴリズムを実行するためにQCサブシステムをプログラムする或いはさもなければQCサブシステムと相互作用できる。他の実施形態では、QCサブシステム206が事前にプログラムされてもよく、また、ユーザインタフェースデバイス204は、単に、ユーザが量子計算を開始し、進捗を監視し、QCサブシステム206から結果を受信することができるインタフェースであってもよい。QCサブシステム206は、1つ以上の量子コンピューティングチップ210に結合される古典的なコンピューティングシステム208を更に含む。幾つかの例では、古典的なコンピューティングシステム208及び量子コンピューティングチップ210は、他の電子部品212、例えば、パルスポンプレーザ、マイクロ波発振器、電源、ネットワークハードウェアなどに結合することができる。極低温動作を使用する幾つかの実施形態では、量子コンピューティングシステム201は、クライオスタット、例えばクライオスタット214内に収容することができる。幾つかの実施形態では、量子コンピューティングチップ210は、1つ以上の構成チップ、例えば、電子チップ216と集積フォトニクスチップ218との集積(直接又は異種)を含むことができる。信号は、例えば、光相互接続220及び他の電子相互接続222を介して、任意の数の方法でオンチップ及びオフチップにルーティングされ得る。更に、コンピューティングシステム201は、量子コンピューティングプロセス、例えば、以下で更に詳細に説明するような融合ベースの量子コンピューティングプロセスを使用することができる。
[0077]図3Aは、幾つかの実施形態に係るQCシステム301のブロック図を示す。そのようなシステムは、図2を参照して前述したコンピューティングシステム201に関連付けることができる。図3において、実線は量子情報チャネルを表し、二重実線は古典情報チャネルを表す。QCシステム301は、リソース状態生成器303と、量子ビット融合システム305と、古典コンピューティングシステム307とを含む。幾つかの実施形態では、リソース状態生成器303は、N個の物理量子ビット(本明細書では「量子サブシステム」とも呼ばれる)、例えば物理量子ビット309(入力311a、311b、311c、...、311Nとしても概略的に表される)の集合を入力として取ることができ、それらのうちの2つ以上の間の量子もつれを生成して、もつれたリソース状態315(それ自体が量子サブシステムのもつれ状態から構成される「量子システム」とも呼ばれる)を生成することができる。例えば、フォトニック量子ビットの場合、リソース状態生成器303は、導波路、ビームスプリッタ、光子検出器、遅延線などを含む集積フォトニック回路などの線形光学システムとすることができる。幾つかの例では、もつれたリソース状態315は、量子ビットの比較的小さいもつれ状態(例えば、3から30量子ビットを有する量子ビットもつれ状態)であり得る。幾つかの実施形態では、リソース状態は、これらの状態の特定の量子ビットに適用される融合演算が、量子エラー訂正に必要な相関を含むシンドロームグラフデータをもたらすように選択することができる。好適には、図3に示すシステムは、リソース状態が互いにもつれてMBQCに必要な典型的な格子クラスタ状態を形成することを必要とせずに、比較的小さいリソース状態を使用してフォールトトレラント量子計算を提供する。
[0078]幾つかの実施形態では、入力量子ビット309は、量子システム(本明細書では量子サブシステムとも呼ばれる)及び/又は粒子の集合となることができ、任意の量子ビットアーキテクチャを使用して形成され得る。例えば、量子システムは、原子、イオン、核、及び/又は光子などの粒子であり得る。他の例では、量子システムは、磁束量子ビット、位相量子ビット、もしくは電荷量子ビット(例えば、超伝導ジョセフソン接合から形成される)、トポロジカル量子ビット(例えば、マジョラナ・フェルミオン(majoranafermions))、空孔中心から形成されたスピン量子ビット(例えば、ダイヤモンド中の窒素空孔)、又はそうでなければ多重量子システムで符号化された量子ビット、例えば、Gottesman-Kitaev-Preskill(GKP)符号化量子ビットなどの他の設計された量子システムであり得る。更に、説明を明確にするために、本明細書中では「量子ビット」という用語が使用されるが、システムは、バイナリビットと必ずしも関連付けられない態様で情報を符号化する量子情報キャリアを使用することもできる。例えば、幾つかの実施形態によれば、量子ビット(すなわち、3つ以上の量子状態で情報を符号化することができる量子システム)を使用することができる。
[0079]幾つかの実施形態によれば、QCシステム301は、1つ以上の量子アルゴリズム又はソフトウェアプログラムを実行することができる融合ベースの量子コンピュータとすることができる。例えば、QCシステム301上で実行される量子アルゴリズムを表すソフトウェアプログラム(例えば、機械可読命令のセット)は、古典的なコンピューティングシステム307(例えば、上記の図2のシステム208に対応する)に渡すことができる。古典的なコンピューティングシステム307は、PC、1つ以上のブレードサーバなどの任意のタイプのコンピューティングデバイス、又はスーパーコンピュータ、サーバファームなどの高性能コンピューティングシステムであってもよい。そのようなシステムは、例えばメモリ306などの1つ以上のコンピュータメモリに結合された1つ以上のプロセッサ(図示せず)を含むことができる。そのようなコンピューティングシステムは、本明細書では「古典的なコンピュータ」と呼ばれる。幾つかの例では、論理プロセッサ308は、ソフトウェアプログラムを入力として受け取り、QCシステム301内で利用可能な特定のハードウェア上でソフトウェアプログラムを実行するために適用される論理ゲートの対応するセットを計算することができる。幾つかの実施形態では、ソフトウェアプログラムは、例えば融合パターン生成器313によって、他の、又は更には複数のモジュールによって受信することができる。融合パターン生成器313の一機能は、機械レベル融合命令のセット(例えば、QCシステム301を構成する物理量子ビットにわたって適用される融合演算及び/又は単一量子ビット測定値のセット)を生成することである。したがって、論理プロセッサ308及び融合パターン生成器313は、入力ソフトウェアプログラム(量子コンピュータをプログラムするためにユーザによってより容易に書き込むことができる高レベル符号として生成することができる)を受信し、低レベル量子ハードウェアに適用される機械可読命令のセットを生成することができる。
[0080]幾つかの実施形態では、融合パターン生成器313は(単独で、又は論理プロセッサ308と組み合わせて)、量子コンピュータ上で実行されるソフトウェアプログラムのコンパイラとして動作することができる。融合パターン生成器313は、純粋なハードウェア、純粋なソフトウェア、又は1つもしくは複数のハードウェアもしくはソフトウェアコンポーネントもしくはモジュールの任意の組み合わせとして実装することができる。様々な実施形態において、融合パターン生成器313は、実行時又は事前に動作することができ、いずれの場合も、融合パターン生成器313によって生成された機械レベル命令を(例えば、メモリ306に)格納することができる。幾つかの例では、コンパイルされた機械レベル命令は、量子コンピュータの所与のクロックサイクルで、別個の、すなわちもつれていないリソース状態315からの特定の量子ビット間の1つ以上の融合を行うように量子ビット融合システム305に命令する1つ以上のデータフレームの形態をとる。例えば、融合パターンデータフレーム317は、プログラムが実行されるときに特定のクロックサイクル中に異なるもつれたリソース状態315からの量子ビットの特定の対の間に適用されるべき融合測定値(例えば、図18~図21を参照して以下により詳細に記載されるタイプII融合測定値)のセットの一例である。
[0081]幾つかの実施形態では、幾つかの融合パターンデータフレーム317を古典データとしてメモリ306に格納することができる。幾つかの実施形態では、融合パターンデータフレーム317は、XXタイプII融合が、量子ビット融合システム305の融合アレイ321内の特定の融合ゲートに適用されるか否か(又は任意の他の種類の融合が適用されるか否か)を指示することができる。更に、融合パターンデータフレーム317は、タイプII融合が異なる基底で実行される、例えば、XX融合、XY融合、ZZ融合などを実行することを示すことができる。本明細書で使用される場合、XXタイプII融合、YYタイプII融合、XYタイプII融合、ZZタイプII融合などの用語は、特定の二粒子投影測定、例えば、選択されたベル基底に応じて、4つのベル状態のうちの1つに2量子ビットを投影することができるベル投影を適用する融合動作を指す。そのような投影測定は、選択された基底で測定される可観測事象の対応する対の固有値に対応する2つの測定結果(本明細書では一括測定結果データとも呼ばれる)を生成する。例えば、XX融合は、XX及びZZ可観測量(それぞれ、+1又は-1の固有値、又は使用される慣例に応じて0又は1を有することができる)を測定するベル投影であり、XZ融合は、可観測XZ及びZX可観測量を測定するベル投影などである。以下の図23~図36は、線形光学システムにおける基底の様々な選択のためにタイプII融合を実行するための例示的な回路を示すが、本開示の範囲から逸脱することなく他の量子ビットアーキテクチャにおいて他のベル投影測定が可能である。当業者であれば分かるように、線形光学システムにおいて、タイプII融合が確率的ベル測定を実行する。図23~図36は、融合「成功」及び「失敗」の結果との関連で線形光学融合の確率的性質を説明しており、明確にするためにここでは繰り返さない。
[0082]量子ビット融合システム205の融合ネットワークコントローラ回路319は、融合パターンデータフレーム317を符号化するデータを受信することができ、このデータに基づいて、融合アレイ321内のハードウェアを駆動する構成信号、例えば、アナログ及び/又はデジタル電子信号を生成することができる。例えば、フォトニック量子ビットの場合、融合ゲートは、1つ以上の導波路、ビームスプリッタ、干渉計、スイッチ、偏光子、偏光回転子などに結合された光子検出器を含むことができる。より一般的には、検出器は、リソース状態315内の量子ビットのうちの1つ以上の量子状態を検出することができる任意の検出器とすることができる。当業者であれば分かるように、使用される特定の量子ビットアーキテクチャに応じて、多くのタイプの検出器が使用され得る。
[0083]幾つかの実施形態では、融合パターンデータフレーム317を融合アレイ321に適用する結果は、直接(図示せず)又は任意の他のモジュールを介して、読み出され、任意選択的に前処理され、融合パターン生成器及び/又は復号器333に送信される古典データの生成である(融合ゲートの検出器によって生成される)。より具体的には、融合アレイ321(本明細書では「融合ネットワーク」とも呼ばれる)は、2つの異なるリソース状態からの特定の量子ビット間で一括測定を実施し、一括測定に関連する測定結果の集合を生成する測定デバイスの集合を含むことができる。これらの測定結果(本明細書では一括測定結果データとも呼ばれる)は、測定結果データフレーム、例えばデータフレーム322に格納され、更なる処理のために古典的なコンピューティングシステムに戻され得る。幾つかの実施形態では、測定結果データフレーム322を融合パターン生成器に直接渡すことにより、システムが、前の時間ステップで収集された測定結果データに基づいて、将来のクロックサイクル(例えば、基底の選択又は単一粒子測定の選択)で融合パターンデータフレーム317を変更できるようにする迅速な適応型フィードフォワードプロセスを可能にすることができる。
[0084]幾つかの実施形態では、QCシステム301内のサブモジュールのいずれか、例えば、コントローラ323、量子ゲートアレイ325、融合アレイ321、融合ネットワークコントローラ319、融合パターン生成器313、復号器333、及び論理プロセッサ308は、プロセッサ(CPU、GPU、TPU)メモリ(RAM、ROMの任意の形態)などの任意の数の古典的コンピューティング構成要素、ハード符号論理構成要素(AND、OR、XORなどの古典的な論理ゲート)、及び/又はフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGAなど)などのプログラマブル論理構成要素を含むことができる。これらのモジュールはまた、任意の数の特定用途向け集積回路(ASIC)、マイクロコントローラ(MCU)、システムオンチップ(SOC)、及び他の同様のマイクロエレクトロニクスを含むことができる。図3は、前述したように機能を実行するためにデータ、信号、及びメッセージを交換する特定のモジュールを示しているが、当業者であれば分かるように、ここに示すモジュールの特定の配置は一例にすぎず、本開示の範囲から逸脱することなく多くの異なる例が可能である。例えば、前述したコンパイル、フィードフォワード機能などは、モジュール間で共有することができる。
[0085]幾つかの実施形態では、もつれたリソース状態315は、融合動作が実行されると、フォールトトレラント量子計算を実行するために必要な相関を含む測定結果データフレームを生成する、任意のタイプのもつれたリソース状態であり得る。図3は、同一のリソース状態の集合の一例を示しているが、多くの異なるタイプのリソース状態を生成し、実行されている量子アルゴリズムの要求に基づいて生成されているリソース状態のタイプを動的に変更することさえできるシステムを採用することができる。本明細書に記載されるように、論理量子ビット測定結果327は、物理量子ビットの測定結果322から、例えば復号器333を介して、フォールト許容回復され得る。次いで、論理プロセッサ308は、プログラムの実行の一部として論理結果を処理することができる。図示のように、論理プロセッサは、下流ゲート及び/又は測定に影響を与えるために融合パターン生成器313に情報をフィードバックして、計算がフォールトトレラントに進むことを保証することができる。
[0086]図3Bは、幾つかの実施形態に係るリソース状態生成器401の一例を示す。そのようなシステムは、幾つかの実施形態によれば、もつれ状態(例えば、以下の図7~図9に示す例示的な例で使用されるリソース状態)で量子ビット(例えば、光子)を生成するために使用することができる。リソース状態生成器401は、上記の図3に示すリソース状態生成器303などの、FBQCシステムに採用することができるシステムの一例である。当業者であれば分かるように、本開示の範囲から逸脱することなく、任意のリソース状態生成器を使用できる。リソース状態生成器の例は、「Generation of entangled qubit states」と題される米国特許出願第16/621,994号明細書(米国特許出願公開第20200287631号として公開された)、「GENERATION OF ENTANGLED PHOTONIC STATES」と題される米国特許出願第16/691,459号明細書(米国特許第11,126,062号として公開された)、及び「GENERATION OF ANENTANGLED PHOTONIC STATE FROM PRIMITIVE RESOURCES」と題される米国特許出願第16/691,450号明細書(米国特許出願公開第XXXXX号として公開された)において見出すことができ、これらの出願の開示内容は、あらゆる目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる。例えば、幾つかの実施形態では、単一光子を生成するのではなく、光子源は、もつれたリソース状態を直接生成してもよく、又は更には、FBQCに使用される最終的なリソース状態を生成するために、もつれ状態生成器400で追加のもつれ動作を受けることができるより小さいもつれ状態を生成してもよい。したがって、本明細書で使用される場合、「光子源」という用語の範囲は、少なくとも単一光子の源、もつれ状態の複数の光子の源、又はより一般的にはフォトニック状態の任意の源を含むことを意図している。当業者であれば分かるように、リソース状態生成ハードウェアの正確な形態は重要ではなく、本開示の範囲から逸脱することなく任意のシステムを使用することができる。
[0087]例示的なフォトニックアーキテクチャでは、リソース状態生成器401は、もつれ状態生成器400に光学的に接続された光子源システム405を含むことができる。光子源システム405及びもつれ状態生成器400の両方は、古典的な処理システム403が光子源システム405及び/又はもつれ状態生成器400と通信及び/又は制御(例えば、古典的な情報チャネル430a~bを介して、)することができるように、古典的な処理システム403に結合することができる。光子源システム405は、導波路402を相互接続することによって、出力光子状態(例えば、単一光子、又はベル状態、GHZ状態などの他のフォトニック状態)をもつれ状態生成器400に提供することができる単一光子源の集合を含むことができる。もつれ状態生成器400は、出力フォトニック状態を受信し、それらを1つ以上のもつれたフォトニック状態(又は、ソース自体がもつれたフォトニック状態を出力する場合はより大きなフォトニック状態)に変換し、次いで、これらのもつれたフォトニック状態を出力導波路440に出力することができる。幾つかの実施形態では、出力導波路440は、量子計算を実行するためにもつれ状態を使用することができる何らかの下流側回路に結合することができる。例えば、もつれ状態生成器400によって生成されたもつれ状態は、下流側の量子光回路(図示せず)のためのリソースとして使用され得る。
[0088]幾つかの実施形態では、光子源システム405及びもつれ状態生成器400は、図3に示す量子計算システムと共に使用することができる。例えば、図3に示すリソース状態生成器303は、光子源システム405及びもつれ状態生成器400を含むことができ、図4の古典的なコンピュータシステム403は、図3に示す様々な古典的コンピューティング構成要素(例えば、古典的なコンピューティングシステム307)のうちの1つ以上を含むことができる。この場合、出力導波路440を介して出るもつれ光子は、量子ビット融合システム305によって一緒に融合することができ、すなわち、FBQC方式で使用するための一括測定値の集合を実行する検出システムに入力することができる。
[0089]幾つかの実施形態では、システム401は、構成要素間で古典的な情報を相互接続し提供するための古典チャネル430(例えば、古典チャネル430-a ~430-d)を含むことができる。古典チャネル430-a~430-dが全て同じである必要はないことに留意すべきである。例えば、古典チャネル430-a~430-cは、1つ以上の基準信号、例えば、1つ以上のクロック信号、1つ以上の制御信号、又は古典情報を搬送する任意の他の信号、例えば、ヘラルド信号、光子検出器読み出し信号などを搬送する双方向通信バスを備えることができる。
[0090]幾つかの実施形態では、リソース状態生成器401は、光子源システム405及び/又はもつれ状態生成器400と通信し、及び/又はそれらを制御する古典的なコンピュータシステム403を含む。例えば、幾つかの実施形態では、古典的なコンピュータシステム403を使用して、例えば光子源405及びもつれ状態生成器400に提供され得るシステムクロック、並びに量子計算を実行するために使用される任意の下流側の量子フォトニック回路を使用して、1つ以上の回路を構成することができる。幾つかの実施形態では、量子フォトニック回路は、光回路、電気回路、又は任意の他のタイプの回路を含むことができる。幾つかの実施形態では、古典的なコンピュータシステム403は、メモリ404と、1つ以上のプロセッサ402と、電源と、入力/出力(I/O)サブシステムと、通信バス又は相互接続するこれらの構成要素とを含む。プロセッサ402は、メモリ404に格納されたソフトウェアモジュール、プログラム、及び/又は命令を実行し、それによって処理動作を実行することができる。
[0091]幾つかの実施形態では、メモリ404は、1つ以上のプログラム(例えば、命令のセット)及び/又はデータ構造を記憶する。例えば、幾つかの実施形態では、もつれ状態生成器400は、連続する段にわたって、及び/又は独立したインスタンスにわたって、もつれ状態を生成しようと試みることができ、そのうちのいずれか1つが、もつれ状態の生成に成功し得る。幾つかの実施形態では、メモリ404は、それぞれの段が成功したかどうかを判定し、それに応じてもつれ状態生成器400を構成する(例えば、ステージが成功した場合に光子を出力に切り替えるように、又はステージがまだ成功していない場合に光子をもつれ状態生成器400の次のステージに渡すように、もつれ状態生成器400を構成することによって)ための1つ以上のプログラムを記憶する。そのために、幾つかの実施形態では、メモリ404は、古典的なコンピューティングシステム403がステージが成功したかどうかを判定することができる検出パターンを記憶する。更に、メモリ404は、例えば、構成要素の1つ以上の位相シフトを設定することによって構成される、本明細書に記載の様々な構成可能な構成要素(例えば、スイッチ)に提供される設定を記憶することができる。
[0092]幾つかの実施形態では、前述の機能の一部又は全ては、光子源システム405及び/又はもつれ状態生成器400上のハードウェア回路で実施することができる。例えば、幾つかの実施形態では、光子源システム405は、1つ以上のコントローラ407-aを含む(例えば、論理コントローラ)(例えば、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、特定用途向け集積回路(ASICS)、古典的なプロセッサ及びメモリを含む「システムオンチップ」などを備えることができる)。幾つかの実施形態では、コントローラ407-aは、光子源システム405が成功したかどうかを判定し(例えば、所与のクロックサイクルに対する所与の試行について、)、光子源システム405が成功したかどうかを示す参照信号を出力する。例えば、幾つかの実施形態では、コントローラ407-aは、光子源システム405が成功した場合、古典チャネル430-a及び/又は古典チャネル430-cに論理ハイ値を出力し、光子源システム405が成功しなかった場合、古典チャネル430-a及び/又は古典チャネル430-cに論理ロー値を出力する。幾つかの実施形態では、コントローラ407-aの出力は、コントローラ107-b内のハードウェアを構成するために使用され得る。
[0093]同様に、幾つかの実施形態では、もつれ状態生成器400は、もつれ状態生成器400のそれぞれの段が成功したかどうかを判定し、前述のスイッチングロジックを実行し、基準信号を古典チャネル430-b及び/又は430-dに出力して、もつれ状態生成器400が成功したかどうかに関して他の構成要素に通知する、1つ以上のコントローラ407-bを含む(例えば、論理コントローラ)(例えば、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、特定用途向け集積回路(ASICS)などを備えることができる)。
[0094]幾つかの実施形態では、システムクロック信号は、外部ソース(図示せず)を介して、又は古典チャネル430-a及び/もしくは430-bを介して古典的なコンピューティングシステム403によって、光子源システム405及びもつれ状態生成器400に提供することができる。使用され得るクロック生成器の例は、その内容の全体があらゆる目的のために参照により本明細書に組み込まれる米国特許第10,379,420号明細書に記載されるが、本開示の範囲から逸脱することなく、他のクロック生成器を使用することもできる。幾つかの実施形態では、光子源システム405に提供されるシステムクロック信号は、光子源システム405をトリガして、導波路ごとに1つの光子を出力しようと試みる。幾つかの実施形態では、もつれ状態生成器400に提供されるシステムクロック信号は、光子を検出しようと試みるために、もつれ状態生成器400内の検出器のセットをトリガ又はゲートする。例えば、幾つかの実施形態では、光子を検出しようと試みるために、もつれ状態生成器400内の検出器のセットをトリガすることは、検出器のセットをゲート制御することを含む。
[0095]幾つかの実施形態では、光子源システム405及びもつれ状態生成器400は、内部クロックを有することができることに留意すべきである。例えば、光子源システム405は、コントローラ407-aによって生成及び/又は使用される内部クロックを有することができ、もつれ状態生成器400は、コントローラ407-bによって生成及び/又は使用される内部クロックを有する。幾つかの実施形態では、光子源システム405の内部クロック及び/又はもつれ状態生成器400は、外部クロック(例えば、古典的なコンピュータシステム403によって提供されるシステムクロック)に同期される(例えば、位相ロックループを介して)。幾つかの実施形態では、内部クロックのいずれかは、それ自体がシステムクロックとして使用されてもよく、例えば、光子源の内部クロックは、システム内の他の構成要素に分配され、マスタ/システムクロックとして使用されてもよい。
[0096]幾つかの実施形態では、光子源システム405は、空間的及び/又は時間的に多重化され得る複数の確率的光子源、すなわち、いわゆる多重化単一光子源を含む。そのような光子源の一例では、光子源は、何らかの非線形プロセス(例えば、自発的な四光波混合、第2高調波発生など)によって0個、1個、又は複数の光子を生成することができる光共振器に結合されたポンプ、例えば光パルスによって駆動される。本明細書で使用される場合、用語「試みる」は、出力光子を非決定論的に生成することができる(すなわち、駆動信号に応答して、光子源が1つ以上の光子を生成する確率は、1未満であり得る)何らかの種類の駆動信号、例えばポンプパルスで光子源を駆動する行為を指すために使用される。幾つかの実施形態では、それぞれの光子源は、それぞれの試みにおいて、ゼロ光子を生成する可能性が最も高い場合がある(例えば、単一光子を生成しようとする1回あたり0光子を生成する確率は90%であり得る)。試みの第2の最も可能性の高い結果は、単一光子の生成であり得る(例えば、単一光子を生成する試みごとに単一光子を生成する確率は9%であり得る)。試みの3番目に可能性の高い結果は、2つの光子の生成であり得る(例えば、単一光子を生成しようとする1回あたり2つの光子を生成する確率は約1%であり得る)。状況によっては、3つ以上の光子を生成する確率は1%未満であり得る。
[0097]幾つかの実施形態では、光子源の見かけの効率は、複数の単一光子源を使用し、複数の光子源の出力を多重化することによって増加させることができる。幾つかの実施形態では、光子源はまた、生成の成功を知らせる(又は通知する)古典的なヘルド信号を生成することができる。幾つかの実施形態では、この古典的な信号は検出器の出力から得られ、光子源システムは常に光子状態を対で生成し(例えば、SPDC)、1つの光子信号の検出はプロセスの成功を知らせるために使用される。以下でより詳細に説明するように、このヘラルド信号は、マルチプレクサに提供され、成功した生成をマルチプレクサ出力ポートに適切にルーティングするために使用され得る。
[0098]使用される正確なタイプの光子源は重要ではなく、自発的な四光波混合(SPFW)、自発的なパラメトリックダウンコンバージョン(SPDC)、又は任意の他のプロセスなどの任意の光子生成プロセスを使用して、任意のタイプの源を使用することができる。必ずしも非線形材料を必要としない他のクラスの光子源、例えば量子ドットソース、結晶の色中心などの原子及び/又は人工原子系を使用するものも使用することができる。場合によっては、光子源は、例えば、キャビティに結合された量子ドットなどの人工原子系の場合のように、フォトニックキャビティに結合されてもされなくてもよい。光機械システムなどの他のタイプの光子源もSPWM及びSPDCに存在する。幾つかの例では、光子源は、既にもつれ状態にある複数の光子を放出することができ、その場合、もつれ状態生成器400は必要でなくてもよく、或いは、もつれ状態を入力として取り、更に大きなもつれ状態を生成してもよい。
[0099]幾つかの実施形態では、幾つかの非決定性光子源(MUX光子源とも呼ばれる)の空間多重化を使用することができる。本開示の範囲から逸脱することなく、多くの異なる空間MUXアーキテクチャが可能である。時間的MUXも、空間多重化の代わりに、又は空間多重化と組み合わせて実施することができる。対数ツリー、一般化マッハツェンダ干渉計、マルチモード干渉計、連鎖ソース、ダンプ・ツー・ポンプ方式の連鎖ソース、非対称多結晶単一光子源、又は任意の他のタイプのMUXアーキテクチャを使用するMUXスキームを使用することができる。幾つかの実施形態では、光子源は、量子フィードバック制御などを伴うMUXスキームを使用することができる。n×mMUXソースの一例は、米国特許第10,677,985号に開示されており、その内容は、あらゆる目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
[0100]図3Cは、幾つかの実施形態に係る量子ビット融合システム501の一例を示す。幾つかの実施形態では、量子ビット融合システム501は、図3Aに示す量子ビット融合システム305などのより大きなFBQCシステム内で使用することができる。
[0101]量子ビット融合システム501は、融合アレイ521(本明細書では「融合ネットワーク」とも呼ばれる)に結合された融合ネットワークコントローラ519を含む。融合ネットワークコントローラ519は、上記の図3の融合ネットワークコントローラ回路319を参照して上記及び下記のように動作するように構成される。融合アレイ521は、(例えば、図4aに示すような)それぞれが異なるリソース状態から2つ以上の量子ビットを受信し、2つ以上のリソース状態から選択された量子ビットに対して1つ以上の融合演算(例えば、II型融合)を実行し、及び/又は図13~図14を参照して以下により詳細に説明するように、選択された単一粒子測定を実行してフォールトトレラント論理を実装する融合部位の集合を含む。量子ビットに対して実行される測定動作は、融合ネットワークコントローラ519から制御チャネル503a、503bなどを介して融合部位のそれぞれに送信される古典信号を介して融合ネットワークコントローラ519によって制御することができる。各融合部位で実行された測定に基づいて、古典データの形態の古典的な測定結果が、出力されて、図3を参照して前述したように、復号器システムに提供される。タイプII融合ゲートとして用いることができるフォトニック回路の例を、図20及び図23~図35も参照して以下に説明する。
[0102]図3Dは、幾つかの実施形態に係るフォールトトレラント量子計算のために復号器システムに測定結果を提供するべく融合ネットワークコントローラ319と共に動作するように構成された融合部位341(融合アレイ321を構成する多くのもののうちの1つ)の1つの想定し得る例を示す。この例では、融合部位341は、融合アレイ321の要素(図3に示す)とすることができ、例示の目的で一例のみが示されているが、融合アレイ321は、融合部位341の任意の数の例を含むことができる。幾つかの実施形態では、融合測定値を変更することによって量子論理ゲートを実装することができる。論理が(少なくとも)実装されることを可能にするために、融合デバイスのサブセットは、図3Bに示すように再構成可能であり得るが、他のものは再構成可能である必要はない。バルク内の境界又は他のトポロジカルフィーチャは、融合の測定基底を変更することによって、又は図13A~図13Dを参照して以下にも説明するように融合の代わりに単一量子ビット測定を選択することによって実装することができる。
[0103]前述したように、量子ビット融合システム305は、実行されている量子応用に従って測定されるべき2つ以上の量子ビット(量子ビット1及び量子ビット2)を(2つ以上の入力で)受信することができる。入力1に入射する量子ビット1は、第1のリソース状態の一部として1つ以上の他の量子ビット(図示せず)ともつれている1つの量子ビットであり、入力2に入射する量子ビット2は、第2のリソース状態の一部として1つ以上の他の量子ビット(図示せず)ともつれている別の量子ビットである。好適には、MBQCとは対照的に、フォールトトレラント量子計算を容易にするために、第1のリソース状態からの量子ビットのいずれも、第2の(又は任意の他の)リソース状態からの量子ビットのいずれとももつれる必要はない。また好適には、融合部位341の入力では、リソース状態の集合は、量子エラー訂正符号の形態をとるクラスタ状態を形成するために互いにもつれず、したがって、クラスタ状態全体にわたって長距離のもつれを伴う大きなクラスタ状態を記憶及び/又は維持する必要はない。また好適には、幾つかの実施形態では、融合部位で行われる融合動作は、測定後に残っている全てが検出器上の測定結果、例えば測定結果603,605,607,609などを表す古典的な情報であるように、量子ビット1及び量子ビット2上の完全に破壊的な一括測定であり得る。この時点で、古典的な情報は、量子エラー訂正を実行するために復号器333に必要な全てである。これは、融合部位を使用してリソース状態をそれ自体がトポロジカル符号として機能するクラスタ状態に融合し、その後にのみ、大クラスタ状態の各量子ビットに対する単一粒子測定の追加のステップを介して必要な古典的情報を生成するMBQCシステムとは対照的であり得る。そのようなMBQCシステムでは、単一粒子測定が行われる前に大クラスタ状態をシステムに格納し維持する必要があるだけでなく、クラスタ状態の全ての量子ビットを受信し、復号器が量子エラー訂正を実行するために必要なシンドロームグラフデータを計算するために必要な古典情報を生成するために、必要な単一粒子測定を実行するために、(クラスタ状態を生成するために使用される融合システムに加えて)余分な単一粒子測定システムが存在する必要がある。
[0104]図3Dは、融合ベースの量子コンピュータアーキテクチャの一部として融合部位を実装する1つの方法の例示的な例を示す。この例では、量子ビット1及び量子ビット2はデュアルレール符号化フォトニック量子ビットであり得るが、本開示の範囲から逸脱することなく任意のタイプの量子ビットが可能である。フォトニック量子ビットのデュアルレール符号化の簡単な紹介を、図26~図29を参照して以下に提供する。したがって、量子ビット1及び量子ビット2は、それぞれスイッチ621及び623に結合することができる。幾つかの実施形態では、結合は導波路とすることができ、スイッチ621及び623はフォトニックスイッチとすることができる。スイッチの様々な出力チャネルは、異なるタイプの測定を実施する異なる量子ビット測定デバイスに結合することができる。例えば、単一量子ビット測定デバイス625(635)はX基底で量子ビット1(量子ビット2)の状態の測定を実施することができ、単一量子ビット測定デバイス627(637)はY基底で量子ビットの測定を実施することができ、単一量子ビット測定デバイス629(639)はZ基底で量子ビットの測定を実施することができる。同様に、2量子ビット測定デバイス631及び633は、異なるタイプの2量子ビット測定、例えば、タイプII融合において本明細書で言及される投影ベル測定を実施することができる。例えば、測定デバイス631はXX融合を実施することができ、測定デバイス633はZZ融合又はXZ融合を実施することができる。図31~図36は、1つ以上の実施形態に係るそのような測定デバイスを実装するために使用することができる例示的なハードウェアを示す。幾つかの実施形態では、スイッチ621及び623の基底の状態は、融合ネットワークコントローラ319内でハードコーディングすることができ、又は幾つかの実施形態では、基底は、外部入力、例えば、実行されているアルゴリズムの必要性に応じて融合パターン生成器313によって提供される命令に基づいて選択することができる。図3Cに示されているレイアウトは単なる例示を意図しており、本開示の範囲から逸脱することなく、任意の数及び組み合わせのスイッチ並びに単一及び/又は多粒子測定デバイスを使用することができる。
[0105]幾つかの実施形態、例えば線形光学実施態様では、融合は確率的操作であり得る、すなわち、図35を参照して以下に説明するように、測定が成功することも失敗することもある確率的ベル測定を実施する。幾つかの実施形態では、そのような動作の成功確率は、動作が作用しているものに加えて追加の量子システムを使用することによって高めることができる。余分な量子システムを使用する実施形態は、通常、「ブーストされた」融合と呼ばれる。図3Cに示される例では、融合部位は、入ってくる量子ビットに対してブーストされていないタイプII融合動作を実施する。当業者であれば分かるように、本開示の範囲から逸脱することなく、任意のタイプの融合動作を適用することができる(ブーストされてもよく又はブーストされなくてもよい)。タイプII融合回路の追加の例は、偏光符号化及びデュアルレール経路符号化の両方について以下に示され説明される。幾つかの実施形態では、融合ネットワークコントローラ319はまた、測定デバイス625,627,629,631,633,635,637,639などに制御信号を提供することができる。制御信号は、例えば、測定ハードウェア(例えば、光子検出器)をゲーティングするために、又はそうでなければハードウェアの動作を制御するために使用することができる。各測定デバイスは、測定結果信号(603,605,607,609等)を提供し、この信号は、融合部位341で前処理されて測定結果(例えば、融合成功か否か、どの固有値が測定されるか、光子がどれだけ検出されるかなど)を決定するか、又は更なる処理のために復号器333に直接渡され得る。
[0106]幾つかの実施形態によれば、フォールトトレラント量子コンピュータアーキテクチャが開示される。幾つかの例では、シリコンフォトニクスプラットフォームで製造可能にすることができるフォールトトレラント線形光量子コンピュータについて説明する。量子コンピューティングへの線形光学手法は、以下を含む多くの理由で有利である。すなわち、(i)高コヒーレント量子ビット及び高忠実度単一量子ビット演算は、周知の量子光学方法を使用して実施することができる;(ii)シリコンフォトニクスが製造可能であり、多数の量子ビットにスケーリングする手段を提供する;(iii)全ての必要な動作(状態前処理、ゲート、及び測定)を迅速に実行することができ、高いゲート速度をもたらすことができる;及び(iv)ノイズの支配的な発生源は、エラーの位置が既知であるため、より効果的なエラー訂正を可能にする光学損失である。
[0107]線形光学系では、光子が互いに相互作用しないため、2量子ビットゲートを決定論的に実装することはできない。もつれ状態は、1未満の確率で成功する演算を使用してのみ生成することができる。また、量子ビット状態を前処理するために使用される単一光子源は、決定的に機能しない場合がある。この制限を克服することは、決定論的な2量子ビット演算を有する方式と比較してオーバーヘッドをもたらす。このオーバーヘッドは、計算のサイズが増大するにつれて増大しない。その意味で、線形光学における非決定論的動作に関連するオーバーヘッドは、より大きな計算のためにゆっくりと増加する量子エラー訂正のオーバーヘッドほど深刻ではない。
幾つかの実施形態によれば、もつれ動作の比較的頻繁な失敗でさえも許容することができ、それによって他のLOQCアーキテクチャと比較して非決定論的動作のオーバーヘッドを大幅に低減することができるアーキテクチャが開示される。
[0108]幾つかの点で、光子が容易に相互作用しないという事実は利点である。これは、量子ビットが意図せずにもつれる可能性がある、いわゆる量子クロストークの可能性を制限する。そのような効果は、量子コンピューティングに対する他の多くの手法において重要なノイズ源である。
[0109]幾つかの実施形態によれば、本明細書では融合ベースの量子コンピューティング(FBQC)と呼ばれる、フォールトトレラント量子計算のためのシステム及び方法が開示される。この手法では、リソース状態と呼ばれる、特定の比較的小さなもつれ状態が生成される。次いで、計算は、別個の、すなわちもつれていないリソース状態から来る量子ビットの対に対して実行される測定値を選択することによって実行される。以下で更に詳細に説明するように、測定値は、線形光学融合測定値、したがって融合ベースの量子コンピューティングという名前であり得る。
[0110]FBQCを測定ベースの量子コンピューティング(MBQC)手法と混同してはならない。MBQC手法は、所望の数の論理量子ビットが増加するにつれて、また計算における所望のゲート演算の数が増加するにつれて増加するクラスタ状態量子ビット数を有するクラスタ状態として知られる、非常に大きなもつれたリソース状態を含む。MBQCでは、計算は、クラスタ状態の単一量子ビット測定値を使用して実行される。FBQCでは、リソース状態のサイズは、計算における論理量子ビットの数又はゲートの数のいずれにも依存しない。本明細書で使用される場合、サイズが計算における論理量子ビットの数又はゲートの数のいずれにも依存しないリソース状態を、固定された(又は一定の)サイズを有するリソース状態と呼ぶ。FBQCでは、計算は、固定サイズを有する2つの別個の(すなわち、もつれていない)リソース状態に属する量子ビットに対して2量子ビット測定を実行することによって実行される。
[0111]線形光学実施態様では、融合動作は確率的であり、それらが失敗した場合、これは融合測定の何らかの結果が得られないことを意味する。FBQCでは、量子エラー訂正符号は、本明細書で「消去」と呼ばれるそのような欠落した測定結果を非常に良好に処理することができるので、量子エラー訂正を使用してこれらの欠落した測定結果を処理することができる。
[0112]本学術文献における最も効率的なフォトニックアーキテクチャは、MBQCに基づいており、融合を使用してクラスタ状態を作成する。融合失敗の影響は、そのような障害が所望のクラスタ状態の量子ビットの欠落をもたらすという事実を使用して処理される。パーコレーション理論の結果は、融合失敗が十分に稀である場合、残りのクラスタ状態が、MBQCに使用することができる非常に大きな連結成分を有することを保証するために使用される。このようなパーコレーションベースのアーキテクチャには、FBQCと比較して重大な欠点があり、残りのクラスタ状態を通る経路を各論理ゲートに対してリアルタイムで計算しなければならず、これは非常に困難である可能性が高く、このような方式の閾値は実際には非常に低いという事実を含む。
[0113]量子エラー訂正符号を使用して、不可避的に確率的な線形光学エンタングリング演算を補償することにより、パーコレーションベースの手法に必要な計算的に要求の厳しい再正規化計算も実施することができる復号器を必要とせずに、FBQCにおける非常に高い量子エラー訂正閾値が可能になる。パーコレーションに基づくスキームは、パーコレーションされたクラスタ内の経路を見つけなければならないはるかに複雑な復号器を必要とする。幾つかの実施形態によれば、FBQCアーキテクチャは、非常に大きなアンシラ状態又は「成功するまで繰り返す」方法を介したゲートテレポーテーションを介して確率的線形光学動作に対処するパーコレーションベースのフォトニックアーキテクチャ又は代替形態よりも桁違いに小さい物理的サイズ(フットプリント)を有することができる。
[0114]幾つかの実施形態では、FBQCを実施することは、以前の融合測定の結果に応答して適応的に各測定値を選択する能力を含む。そのような適応性は、例えば、図3Dを参照して前述したように、各量子ビットを適切な測定デバイスに向かって移動させるために古典的な論理及び適切な切り替え可能要素を使用して実施することができる。
[0115]FBQCは、多くの有利な特徴を組み合わせている。例えば、好適には、FBQC内の全ての個々の光子は、実行される計算のサイズにかかわらず、光子源と検出器との間の少数の固定数の光学素子にしか遭遇しない。この「一定の深さ」の特徴は、各光学素子が損失の確率を増加させるため、他のアーキテクチャと比較して損失を劇的に減少させる。より明示的には、リソース状態量子ビットを含む光子は、後続の融合において直ちに測定される。リソース状態生成器内で光子が通過する光学素子の数は、リソース状態及びそれを生成するために使用される方法に依存するが、実行される計算には依存しない。
[0116]各光子は少数の固定数(これは、例えば、5以下とすることができる)の光学素子を通過し、計算のサイズが増加するにつれてこの数は一定のままであるため、光子を生成及び検出するためのタイムスケールは、自明でない論理演算を実施するために、又は復号器を実行するために必要なはるかに長いタイムスケールから完全に切り離される。これは、復号器がコンピュータの残りの部分と同じ場所に配置される必要がないことを意味し、これは、復号器がクライオスタット内に同じ場所に配置される必要がないため、量子素子の極低温動作を使用するアーキテクチャに有利である。
[0117]好適には、FBQCは、コンピュータの平面アーキテクチャと一致する。そのようなアーキテクチャでは、融合測定値の大部分は、チップの平面内で互いに隣接する量子ビット間にある。好適には、平面アーキテクチャは、非フォトニック量子ビットを使用してシリコンフォトニックチップ又は任意の他の平面集積回路手法で実施することを実用的にする。
[0118]好適には、FBQCは、量子エラー訂正及びフォールトトレラント論理ゲートに対する多くの異なる手法を実施するのに十分な柔軟性を有する。幾つかの実施形態によれば、表面符号を使用するフォールトトレラント量子計算の既存のツールの大部分をFBQCに使用することができる。
[0119]幾つかの実施形態によれば、量子ビット符号化を使用することができ、量子ビットは、2つの導波路のうちの1つの所与の横モードにおける幾つかの時間ビン内の単一光子である。これはデュアルレール符号化と呼ばれる。同様に有用な変形形態は、同じ導波路又はファイバ内を移動する2つの時間ビンのうちの1つで量子ビットを符号化することである。これは、時間ビン符号化と呼ばれる。
[0120]デュアルレール符号化では、各量子ビットは1つの光子を有し、FBQCでは全ての量子ビットが測定される。光子損失は、エラーが発生したという信号を提供する検出される光子の予想数よりも少ない光子をもたらす。好適には、本明細書に開示されているFBQC手法では、そのようなエラーに対する表面符号の許容度は、このように通知されないエラーよりもはるかに高い。
[0121]FBQCの光学実装の別の利点は、光ファイバを使用してリソース状態生成器と融合測定との間に長い遅延を生成する能力である。これにより、フォトニックチップの平面内で単に最近傍ではない量子ビットを融合することが可能になる。
[0122]III.FBQCアーキテクチャ例
幾つかの実施形態によれば、FBQCは、本明細書では融合と呼ばれる、小さい一定サイズのもつれたリソース状態の生成及び投影もつれ測定の2つのプリミティブ動作に基づいて構築することができる。
[0123]FBQCは、多くの物理システムにわたって適用することができ、マルチ量子ビット投影測定がネイティブ動作であるアーキテクチャに特に関連する。1つ以上の実施形態は、線形光量子コンピューティングにおいてFBQCを実装する。本明細書で開示される例では、融合失敗に対する24%のフォールトトレラント閾値が実証されている(以前に報告された14.9%と比較)。
[0124]A.FBQCの原理
FBQCでは、融合ネットワークは、リソース状態の集合の量子ビットに対して行われる融合測定の構成を定義する。融合ネットワークは、融合測定値の少なくとも幾つかの基底を修正することによってアルゴリズムを実装することができる計算の枠組みを形成する。融合測定結果を適切に組み合わせることにより、計算の出力が得られる。2次元融合ネットワークの一例を図4Aに示す。一般に、融合ネットワーク内のいかなる特定の構造も必要とされない。
[0125]融合ネットワークの構築は、2つの基本プリミティブを含む。第1はリソース状態生成であり、これは小さなもつれ状態の生成を記述する。これらの状態は、それらが実装に使用される計算のサイズにかかわらず、固定されたサイズ及び構造を有する。リソース状態は任意のサイズとすることができ、リソース状態の特定の形態は一般にFBQCにとって重要ではなく、むしろ、特定の量子ビットアーキテクチャ及びノイズモデルを考慮して量子エンジニアが自由に使える設計パラメータである。幾つかの実施形態では、リソース状態生成デバイスは、本明細書では「クロックサイクル」と呼ばれるある期間にこのリソース状態のコピーを生成する。リソース状態生成器は、物理的に多くの形態をとることができ、例えば、もつれたフォトニック状態を生成するデバイスであってもよく、又は物質ベースのデバイスであってもよい。
[0126]第2のプリミティブは融合測定値であり、これは複数の量子ビットに関する投影もつれ測定値である。幾つかの実施形態では、融合測定は、測定結果を与えるn個の古典ビットを出力するn個の入力量子ビットを有する融合デバイスによって実施することができる。例えば、結果X及びZをもたらす2量子ビットに関するベル測定。融合デバイスの少なくとも幾つか(又は生成されたリソース状態)は、異なる時間ステップにおいて、それらが行う投影測定がFBQCの計算意図に適合するように、すなわち量子アプリケーションを実行するために変更できるように再構成可能でなければならない。
[0127]融合の物理的実装は、基礎となるハードウェアに依存する。線形光学システムでは、融合は、異なるリソース状態を包含する干渉光子測定を実行することによってネイティブに実施することができ、これは単にビームスプリッタ及び光子検出器の適切な構成に相当し、より微妙な実施もまた、成功確率及びハードウェアの不完全性に対するロバスト性を改善するために可能である。
[0128]量子計算に対する他の手法も、計算全体を通して実行されるもつれ測定を使用する。特に、フォールトトレラント回路図では、シンドローム抽出は、もつれベースの一括測定として理解することができる。トポロジカル量子計算では、システムから古典的な結果を抽出するために結合非イオン電荷投影が必要であり、この結合非イオン電荷投影は、普遍的な量子計算を達成するための基礎として使用することができる。エントロピー蓄積を緩和するために必要な一定密度のシンドローム抽出に自然に対応するために、融合測定結果の冗長性を使用することができる。
[0129]B.アーキテクチャ
FBQCは、リソース状態及び融合のプリミティブを考慮してフォールトトレランスを研究するための自然なフレームワークを提供するが、その利点は、物理アーキテクチャ要件の大幅な簡素化にもつながる。加えて、リソース状態の生成及び融合のために、第3の構成要素、すなわち最初の2つが一緒に機能することを可能にする融合ネットワークルータを、量子ビットをリソース状態から融合測定値に適切にルーティングすることによって明示的に識別することもできる。一体化された導波管及び光ファイバは、非常に長い距離にわたるフォトニック量子ビットの直接的且つ低損失のルーティングを可能にするが、他の物質ベースの手法は、比較的低い忠実度でしか実証されていないコヒーレント光物質結合を必要とするため、融合ネットワークルータは、線形光学の実現に最大の利点を提供する。
[0130]所与の融合ネットワークは、例えば3D融合ネットワークのための多くの可能なアーキテクチャ実装形態を有し、全てのリソース状態を同時に作成することを選択することもでき、或いは代わりに、リソース状態生成器を再使用して各クロックサイクルにおける状態の新しいコピーを作成して、一度に1つの2D層を作成することもできる。このアーキテクチャ設計は、異なる空間的及び時間的位置(すなわち、異なるリソース状態生成器及び時間ビンから)で作成された量子ビットを対応する融合位置に導く融合ネットワークルータによって取り込まれる。したがって、融合ネットワークルータは、遅延線の形態の空間ルーティング及び時間ルーティングの両方を含む。図4Bは、リソース状態生成器の1Dアレイから2D融合ネットワークを作成するFBQCのアーキテクチャの概略例を示す。
[0131]特定のフォールトトレラントな融合ネットワークでは、融合ネットワークは、固定ルーティング構成を実装するためにルータする。固定ルーティングとは、所与のリソース状態生成器から生成された量子ビットが常に同じ位置にルーティングされることを意味する。この設計特徴は、ハードウェアの観点から特に魅力的であり、多くの実用的な意味を有する。すなわち、この設計特徴は、エラーが発生しやすい可能性のある切り替えの必要性を最小限に抑え、古典的な制御の負担を軽減する。
[0132]FBQCアーキテクチャの別の重要な特徴、及びそれらを他の手法と区別するものは、古典的な制御のためのタイムスケールの分離である。図4Bに示すように、測定結果を処理及び復号するために論理レベルでフィードフォワード制御を実施することができ、これはその後、将来の論理演算に影響を及ぼす。しかしながら、このタイムスケールは、リソース状態の生成及び融合のクロックサイクルよりも桁違いに長くすることができ、このより短いタイムスケールでは古典的な計算又はフィードバックは必要とされない。言い換えれば、物理量子ビットは、どのように測定されるべきかを決定するために計算が実行されている間、メモリ内で待機する必要はない。
[0133]IV.融合
FBQCでは、初期量子リソースは、固定サイズの小さなもつれたリソース状態である。ユニバーサル計算に必要な大規模量子相関は、異なるリソース状態から量子ビットに対して測定を実行するときに生成される。これが長距離のもつれを生成するためには、測定結果の少なくとも一部がもつれる、すなわち少なくとも1つのもつれ状態を含む部分空間上のプロジェクタである必要がある。
[0134]一般に、測定は任意の正の演算子評価尺度(POVM)とすることができるが、フォールトトレランスを達成する目的で、全ての結果がスタビライザ状態への投影である測定を考慮することが有用である。これにより、既存のスタビライザフォールトトレランス方法を使用することが容易になる。この論文の例では、特に、ベル状態投影である2量子ビット測定の場合に焦点を当て、このベル融合を呼び出す際に従う。ベル融合は、スタビライザ基底X、Zにおける入力量子ビットを測定する。
[0135]一般に、量子エラー訂正を実施するために必要とされる融合測定の大部分が同一のベル測定である融合ネットワークに注目する。しかしながら、論理ゲートを実装するためには、融合測定値の一部が他と異なる必要がある。これがどのようにして達成され得るかについては、修正されたスタビライザ基底での2量子ビット測定を用いて、又は単一量子ビット測定を含むことによって、多くのバリエーションがある。これについては、以下でより詳細に説明する。
[0136]C.線形光学における融合
線形光量子コンピューティング(LOQC)では、フォトニック量子ビットの対に対する融合は実行が簡単であるが、決定論的にもつれを生成しない。この非決定性は、所望の測定結果が得られないときがあることを意味し、好適には、LOQCのためのアーキテクチャのための1つ以上の実施形態は、この欠けている情報を回避する方法を見出す。FBQC方式では、これらの融合失敗は量子エラー訂正によって直接補正される。
[0137]ここで研究する例では、2つのフォトニックモードの単一光子から構成される「デュアルレール」量子ビットを特に考慮する。第1のモードの光子は論理|0>を表し、他のモードの光子は論理|1>を表す。この量子ビット符号化は、損失があり、量子ビットを計算部分空間から取り出し、したがって知らされるため、魅力的である。デュアルレール量子ビット上のベル融合は、2量子ビットの4つのモード全てが測定される線形光回路を使用して実施することができる。これはしばしばII型融合と呼ばれる。融合は1-pfailで「成功」し、ベルスタビライザ基底X、Zの入力量子ビットを意図通りに測定する。融合は確率pfailで「失敗」し、その場合、分離可能な単一量子ビット測定値Z、Iを実行する。光子損失又は他の不完全性の可能性がある場合、第3の可能な結果:融合「消去」がある。この場合、意図されたスタビライザの結果は測定されない。図5は、2量子ビットにおける線形光学融合の異なる可能な測定結果を示す。
[0138]図5は、線形光学ベル融合の結果を示す。2つのクラスタ状態からの量子ビット上の融合が示され、意図された結果X及びZを有する。光子損失の存在下では、3つの想定し得る結果、すなわち、両方の測定結果が得られる融合成功、結果Zのみが得られる融合失敗、及び測定結果が得られない融合消去がある。融合失敗は線形光学に固有のものであり、全ての動作が理想的である場合でも起こり得る。融合消去は、最も一般的には、融合測定に入る光子の1つ以上が失われた場合に、システムのエラーに起因してのみ生じる。
[0139]線形光学融合の失敗は、それが知らされているため、消去よりも良性のエラーであり、純粋なスタビライザ測定値が依然として得られるため、混合状態にはならない。2つの所望の結果のうちの1つZは、2つの単一量子ビット測定値を乗算することによって得ることができる。したがって、融合失敗は、X測定結果が消去されるベル測定として扱うことができる。
[0140]タイプII融合を実施する最も簡単な方法は、2つのビームスプリッタ及び4つの検出器のみを含み、失敗確率pfail=50%を有する。追加のベル対を使用して、融合を「ブースト」して失敗確率を25%に抑制することができ、より多くの補助光子を使用することにより、融合成功率を更にブーストすることができる。光子損失及び物理的融合失敗に対する耐性の増加は、符号化量子ビットに対して融合を実行することによって達成することができる。この方法は、以下の例で使用され、物理量子ビットは(2,2)Shor符号を使用して符号化され、符号化された融合は、物理融合を横方向に実行することによって実施される。以下では、どのようにして符号化融合における消去を抑制することができるかを説明し、光子損失及び融合失敗の存在下で符号化融合から測定値の消去確率を計算する。
[0141]論理を実装するために、線形光学融合の測定基底は、それらの入力の前に単一量子ビット回転を配置することによって簡単に変更することができる。これらの単一量子ビットゲートは、集積フォトニックチップに実装するのが簡単なビームスプリッタ及び位相シフタを使用して高精度で実装することができる。融合前の小さなスイッチングネットワークは、異なる測定間の再構成可能性を可能にし、これについては以下で更に論じる。
[0142]V.リソース状態
FBQCでは、計算に影響を与える小さなもつれ状態は、リソース状態と呼ばれる。重要なことに、それらのサイズは、実行される計算又は使用される符号距離とは無関係である。これにより、それらを一定数の連続動作によって生成することができる。その結果、リソース状態のエラーは制限され、これはフォールトトレラントにとって重要である。
[0143]融合と同様に、量子ビットスタビライザのリソース状態に焦点を当てる。そのような状態は、グラフ状態表示を使用してグラフGによって局所的なクリフォード演算まで記述することができ、記述されている量子状態|G>は、各頂点で量子ビットを|+>に置き、グラフ内の対応する頂点が隣接する量子ビット間に制御されたZゲートを実行することによって得られる。同様に、1からnとラベル付けされた頂点を有するグラフ状態のn個のスタビライザ生成器は、

によって与えられ、ここで、N(i)は、Gにおける頂点iに隣接する頂点の集合である。
[0144]図6は、一部の実施形態に係る、グラフ状態として表されるリソース状態の一例を示す。図6Aは、6リンググラフ状態の形態のリソース状態の一例を示す。図のようにラベル付けされた量子ビットでは、リソース状態のスタビライザは、Z,Z,Z,Z,Z及びZである。図6Bは、リソース状態における量子ビットが、図示された変換を有する(2,2)Shor符号化されたリソース状態によって置き換えられ得ることを示す。量子ビット1及び2は両方とも、左側の未符号化量子ビットと同じ、点線の円として描かれた隣接量子ビットを有する。Hが内側にある量子ビットは、それらのグラフ状態表示に関してそれらに適用されるアダマールを有する。図6Cは、(2,2)Shor符号で符号化された全ての量子ビットを有する図6Aのリソース状態を示す。
[0145]このリソース状態のスタビライザは、Z,Z,Z,Z,Z,Zである。リソース状態は、図6Bに示された変換に従うことによって(2,2)Shor符号に符号化され得る。6リングの全ての量子ビットを(2,2)Shor符号化量子ビットで置き換えると、図6Cに示すリソース状態が得られる。
[0146]リソース状態を作成するために使用される動作は、このプロセスに使用される物理プラットフォームに依存し、これは、生成されたリソース状態量子ビットが融合ネットワークと互換性がある限り、融合ネットワークを実装するために使用される物理プラットフォームとは異なり得る。例えば、ソリッドステート量子ビットでは、リソース状態は、ユニタリもつれゲートを使用して、又は散逸的に生成することができる。線形光学系を使用する場合、リソース状態の生成は、融合などの一連の投影測定を、時としてシード状態と呼ばれるベル状態及び3-GHZ状態などの更に小さいもつれ状態に対して実行することによって達成される。シード状態を生成するための方法は完全にカバーされる。線形光学における投影もつれ測定は確率的に成功するので、上記で論じたように、プロトコルの成功確率を高めるために融合間でスイッチングネットワークを使用することがしばしば有利である。これらのネットワークを使用して、確率的動作を複数回試み、それらが成功した事例のみを選択する。この意味で、多重化は、融合の結果をもつれさせる際に選択後を効果的に近似するために使用される。リソース状態を生成するために必要な確率的動作のサイズ及び数は固定されているので、確率的動作を繰り返すことからのオーバーヘッドも固定されている。そのようなスイッチングネットワークを実装するための多くの選択肢があり、必要とされる効率及び利用可能なデバイスに応じて、最新の方式を見つけることができる。リソース状態は量子ビット状態、すなわち、明確に定義された量子ビット間の複数部分のもつれを有する状態である必要があるが、リソース状態を生成する中間段階で取得された状態は、この制限に従う必要がないことは注目に値する。
[0147]リソース状態のノイズプロファイルは使用される生成プロトコルに依存するため、最も適切なリソース状態を決定することは、現実的なハードウェア実装のためのFBQC方式の設計の一部である。所与のターゲットリソース状態に対して、膨大な数の可能な前処理プロトコルがあり、そのそれぞれが異なるノイズプロファイルをもたらす。しかしながら、リソース状態の固定サイズは、任意の生成プロトコルが有限数の演算を必要とすることを意味し、したがって、状態生成のいずれかに蓄積されたノイズは制限される。更に、独立した状態生成から出現する任意のエラー相関は、その状態に対してローカルであり、融合ネットワークにおけるエラーの広がりを制限し、以下で説明される。
[0148]VI.融合ネットワーク
融合ネットワーク(FN)は、FBQCプロトコルで使用されるリソース状態、及びそれらが融合によってどのように接続されるかを指定する。融合測定が行われた後、2つのタイプの情報、すなわち、測定結果からの古典的な情報、及び(潜在的に)測定されていない量子ビットに対応する幾つかの量子相関が残る。これらの測定結果は、融合ネットワークの「結果」である相関を含み、計算出力、又はフォールトトレラントな融合ネットワークの場合、エラー訂正に使用できるパリティチェックの両方を提供する。このセクションでは、融合ネットワークを構築する方法、及び融合測定が行われた後に存在する量子相関及び古典的相関を識別するためにそれらを解析する方法について説明する。特に、リソース状態がスタビライザ状態であり、融合測定値がスタビライザ投影であるスタビライザ融合ネットワークに焦点を合わせる。これにより、既存のフォールトトレランスツールを利用することができる。
[0149]スタビライザ融合ネットワークは、2つのパウリ部分グループ、すなわち、(1)理想的なリソース状態を記述するスタビライザグループR、及び(2)融合測定値を定義するパウリ部分グループである融合グループFによって特徴付けることができ、ここで、F∋-1を含む。完全な融合を仮定すると、融合ネットワークを実装することによって、Fにおける全ての演算子の固有値が学習される。融合演算子の個々の測定結果はランダムであるため、-1が含まれる。定義により「+1」の結果を有するはずである融合スタビライザは、Fの一貫してサインされた要素に対応する。
融合測定が行われた後、残存するスタビライザグループによって残りの系を記載することができる。
S:=Z(F)
[0150]これはRにおけるFのセントラライザである。FのスタビライザとRのスタビライザとは、全てが互いに往復するわけではないため、融合測定が行われた後、元のスタビライザの幾つかのサブグループ、すなわち残存スタビライザのみが残る。これらの残存スタビライザは、「既に測定された」量子ビット(残りの情報は純粋に古典的である)と、量子相関が残っているがまだ測定されていない量子ビットの両方を含む。任意の残りの量子ビットは、特定の融合結果から決定することができるサインまで、残りの量子ビットに対するSの制限である出力スタビライザグループSoutによって記述される。すなわち、得られた測定結果に適合するサインを有する融合グループFの要素を乗じると、Sの要素が生成されるように、Soutにおけるスタビライザのサインが計算される。
[0151]本明細書で開示されるフォールトトレラント融合ネットワークの例では、ネットワーク内の全ての量子ビットが測定され、残りの量子ビットはない。FBQCにおける計算は、融合ネットワークの構造から生じる融合測定値間の相関を使用する。
[0152](a)3つのリソース状態:2量子ビットグラフ状態、及び3量子ビット線形グラフ状態の2つのコピーを有する融合ネットワークの例。オレンジ色の線で示されている2つの融合物があり、両方とも演算子〈XZ,ZX〉を測定する。具体的には、量子ビット{1,2,3}で構成されるリソース状態は、〈Z,X,I〉によって安定化され、{6,7,8}に関して同様に安定化される。量子ビット{4,5}は〈X,Z〉によって安定化される。融合ネットワーク内の全ての測定結果が成功し、+1固有値を返す場合、未測定量子ビット{1,2,7,8}は、(b)に示す4線グラフ状態に対応する〈X,Z,Z,Z〉によって安定化される。
[0153]融合ネットワークの単純な例が図7Aに示されており、これは図7Bの状態から結果依存性スタビライザサインまでをもたらす。リソース状態グループRは、それらのグラフ状態表示から推測することができる異なるリソース状態のスタビライザの和集合によって生成される。R=〈X,Z,X,Z,Z,X,Z,Z〉。融合グループは、全ての融合測定演算子の和集合、すなわちF=〈X,Z,X,Z,-1〉によって生成される。融合ネットワークによって生成された古典的な情報は、Fの測定結果から得られる。更に、融合ネットワークは、図7Bのグラフ状態によって示されるスタビライザSout=〈±X,±Z,±Z,±Z〉を有する未測定量子ビットに関する量子情報を残す。Soutのサインは融合測定結果に依存する。
[0154]FBQCアーキテクチャの幾つかの態様は、融合ネットワークによってカバーされない。特に、融合ネットワークは、融合の時間順序、物理量子ビットルーティング、又は古典的な処理要件を捕捉しない。融合ネットワークは、融合の順序を指定せず、基礎となるハードウェアに最も適切な順序で実行することができる。更に、融合ネットワークに関与するリソース状態は全て同時に存在する必要はなく、それらの生成は、必要な全ての量子ビット対に対して融合測定を行うことができる限り、ずらしてもよい。
[0155]以下では、フォールトトレラントのために冗長性を融合ネットワークにどのように追加できるかについて説明する。
[0156]VII.フォールトトレラント融合ネットワーク
融合ネットワークは、エラーが十分に低い確率で発生する限り、リソース状態のエラー、又はそれらの理想値とは異なる融合測定結果をもたらすノイズの多い融合回路を補正できるように、フォールトトレラントであるように構築することができる。このセクションでは、融合ネットワークにおけるフォールトトレランスについて説明する。
フォールトトレラント融合ネットワーク(FTFN)は、回路ベースの量子エラー訂正によって着想を得た方法で、又はフォールトトレラントクラスタ状態に基づいて構築することができる。この手法は有用な初期ガイドとなり得るが、直接変換は非効率的なスキームをもたらすことが多く、本明細書の例で示すように、融合ネットワークの図式でより直接的に動作することにより、より良いスキームを見つけることができる。
[0157]A.FTFNS用のスタビライザ形式
リソース状態前処理及び融合測定の両方から物理的エラーをモデル化する場合、それらは、全てのリソース状態が前処理され、融合が実行される前の空間で発生すると解釈される。この図では、フォールトトレランスの鍵は、融合中に測定されたパウリ演算子Fとリソース状態Rのスタビライザとの間の冗長性である。この冗長性は、チェック演算子グループの存在に反映される。
C:=R∩F
[0158]言い換えれば、チェックグループCは、融合測定グループFによって利用可能にされるリソース状態上のスタビライザRのサブセットに対応する。エラーがない場合、融合結果は、正の固有値を有するC内の全ての演算子と互換性があるべきであり、すなわち、古典的な融合結果は、古典的な線形バイナリ符号を形成し、これにより、修正が可能になる。以下、エラー訂正処理について説明する。
検出不可能なエラーのグループは、パウリグループ全体のチェックグループCのセントラライザによって定義される。
U:=Z(C)
[0159]名前が示唆するように、パウリ演算子のこのサブグループは、他の理想的なプロセスで融合前の量子ビットに適用された場合、チェック演算子の結果にトレースを残さない。しかしながら、幾つかは対象の最終的な相関に影響を与えないため、全ての検出不可能なエラーが計算にとって問題となるわけではない。例えば、R又はFの任意の要素は、R要素の要素がリソース状態を不変のままにし、Fの要素が融合不変のままにし、それぞれ理想的な状態前処理又は融合測定に吸収され得るので、有害な影響を及ぼさない。より一般的には、わずかな検出不可能なエラーのグループは、
T:=Z(S)、
[0160]これは定義により〈R,F〉を含む。したがって、検出不能なエラーは、商U/Tの要素によって分類することができ、Sは、以下に定義される残存スタビライザグループである。2つのエラーは、それらが異なるシンドロームをもたらすか、又は異なる論理的作用を有する場合、別個であると考えられる。対照的に、それらがTの要素のみによって異なる場合、それらは全ての関連する方法で等価である。このように、等価エラーは、等価クラスP/Tに対応する。
[0161]図8A~図8Cは、これらのグループの明示的な定義と共に融合ネットワークの例を示す。全ての融合は、基底XX、ZZにおいて入力量子ビットを測定する。出力スタビライザグループSout=〈±X,±Z〉、すなわち、融合ネットワークは、全ての測定が成功したときにベル対を生成する。図8Aは、リソース状態グループR、融合グループF、及びチェックグループCが図8Bで明示的に定義され得る融合ネットワークの一例を示す。図8Bは、リソース状態グループ生成器のセットが、それらのグラフ状態表示から推測することができる異なるリソース状態のスタビライザの和集合であることを示す。緑色の融合は、基底XX,ZZにおける入力量子ビットを測定する。融合グループは、全ての融合測定及び-1によって生成される。Rにおける異なるリソース状態及びFにおける異なる融合からの生成器は、列によってソートされる。出力スタビライザグループSout=〈±X16,±Z16〉、すなわち、融合ネットワークは、全ての測定が成功したときにベル対を生成する。Soutのサインは、具体的な測定結果に依存する。図8Cは、標識された全てのエッジに対応する測定値を有する融合ネットワーク(a)からのシンドロームグラフを示す。チェックに隣接する測定値を乗算すると、表(b)と同じCの生成器が得られるS=〈X1316,Z10111213141516,C〉
[0162]F⊆Tであるため、Fの要素まで等価である異なるエラーを区別する必要は決してない。P/F(すなわち、融合基によって商化された完全なパウリグループ)の要素で復号問題を表示することを選択する。P/Fの別個の要素は(P/Tの完全に低減された等価クラスに従って)等価エラーに対応することができるが、この低減は、エラーモデル内の局所性構造を大量に保存するという利点を有する。特に、リソース状態上の単一量子ビットパウリエラーは、Fの対応する生成器上の測定エラーとして解釈される。Fがベル融合測定で構成される場合、商P/Fは、Fの要素を一緒に生成するときはいつでもP内の単一量子ビットパウリの対を識別する。したがって、どの融合結果が反転されたかを指定することに直接対応するP/Fに関して復号問題を表すことを選択できる。例えば、図4の例では、単一量子ビットエラーX及びX13は、Fの要素であるX13に乗算するので、等価なエラーである。この等価性まで、エラーは、Fのどの生成器(融合結果)が反転するか、この場合はZ13によって特徴付けることができる。
[0163]最も好ましい種類のエラーは、Tの要素に対応する些細なエラーである。しかしながら、それらは、Pにおいて又は反転される融合結果に関して自明でない表示を有することがある。例えば、測定結果X及びX1014の両方が反転された場合(すなわち、場合によってはエラーZ10に起因する)、どちらのチェックも影響を受けないため、Z10∈Uは検出不可能なエラーである。エラーZ10はまた、Sの残りの発電機と転流し、これはこれもわずかなエラー(すなわち、Z10∈T)であり、出力スタビライザの予測されるサインに影響を与えないことを意味する。X及びX1014の反転を引き起こす物理的エラーがZ10であったか、又はTにおける他の演算子であったかは重要ではない。実際、X及びX1014の結果の任意の組み合わせは、理想化された設定において等しく可能性があり、チェック演算子を抽出し、出力スタビライザSoutのサインを計算する際には、それらの組み合わせパリティ(XOR)のみが使用される。
[0164]より悪い種類のエラーは、自明でない検出不可能なエラーである。これは、Uに属するがTには属さないZ又はZ13などの単一量子ビットエラーによって生成され得るX13の結果フリップの場合である。すなわち、これらのエラーはCのチェック演算子と転流し、したがって検出されないが、Sの追加の発電機の1つと逆転流する。このため、出力スタビライザ上の±Z上のサインの誤った予測につながる。
[0165]フォールトトレラント融合ネットワークにとって最も興味深いケースは、検出可能なエラーのケースである。Z13における測定エラーは、図4Bの両方のチェック生成器における不整合をもたらすので、検出可能なエラー(すなわち、

)に対応する。そのような検出可能なエラーの場合、検出パターンと一致する最も可能性の高い物理的エラークラスに基づいて外側スタビライザのサインを予測することは、復号器の仕事である。復号器がエラークラスを正しく推定する場合、全ての論理結果が正しく回復される。
[0166]フォールトトレラントのために、我々は、符号の距離とも呼ばれる自明でない検出不可能なエラーの重みがネットワークのサイズと共に増加する融合ネットワークに関心がある。そのようなネットワークの幾つかの例を以下に説明する。後に扱う大規模な周期ネットワークでは、図4で行われたように、完全なリソース状態グループR及び融合グループFを明示的に書き込むことは不便である。代わりに、単一のリソース状態のスタビライザ及び単一の融合で測定されたスタビライザのみを指定する。リソース状態及び融合グループ生成器は、異なる量子ビットセットに対して同じスタビライザを繰り返すことによって取得することができる。チェックグループを明示的に書き込む代わりに、後述する「シンドロームグラフ」を使用してグラフィカルにチェックを表すことがより便利である。
[0167]B.ローカルFTFN及びトポロジカルFTFN
エラー訂正における他の同様の構成に完全に類似するローカルFTFNの概念を導入することができる。すなわち、スタビライザFTFNのファミリは、
[0168]それがローカルチェック演算子生成器(すなわち、各発電機は、限られた数の融合を含み、各融合は、限られた数の発電機に関与する)を有する場合にローカルであり、任意の整数dに関して、自明でない検出不可能なエラーが少なくともd量子ビットをサポートするような融合ネットワークがファミリに存在する。
[0169]次に、通常の組み合わせ引数を適用して、エラー閾値の存在を示すことができる。例えば、融合が消去されるか又はランダムに反転される可能性があるエラーモデルを採用する場合、任意の所与のローカルFTFNに対して、FTが達成され得るように消去レート及びフリップレートによって定義される平面内にサブ閾値領域が存在する。すなわち、消去速度とフリップ速度との組み合わせが閾値以下の領域内にある限り、十分に大きい融合ネットワークを構築することによって任意の所望の論理エラー率を達成することができる。
[0170]ローカルFTFNの重要なクラスは、トポロジカル融合ネットワークである。回路図を参照として使用すると、トポロジカル符号のFTエラー訂正プロセスを模倣するものとして、トポロジカル融合ネットワーク(の大部分)を見なすことができる。その結果、2Dトポロジカル符号の場合、生き残っているスタビライザグループSの要素が膜(文字列演算子のワード線)の形態をとり、Uの検出不能なエラーが閉じた文字列(位相電荷のワード線)の形態をとる3Dトポロジカル融合ネットワークが得られる。これらの3Dトポロジカル融合ネットワークと2Dトポロジカル符号との間には記載された同等性が存在するが、3Dトポロジカル融合ネットワークは、葉符号を表すように制約されず、に記載された測定ベースのフォールトトレランスのより一般的なフレームワークをサポートすることができる。トーリック符号に基づくトポロジカルFNの例を以下に説明する。
[0171]C.合成図
フォールトトレラント融合ネットワークに関連付けられた古典的な符号の冗長性は、多くの場合、シンドロームグラフ表示によって十分に説明され、最小重みマッチング及び和集合発見(union-find)復号器などの既存の復号器をFBQCフレームワークに適用することを容易にする。シンドロームグラフ画像の別の利点は、より高い閾値を有するフォールトトレラント方式を設計するグラフィカルな方法を可能にすることである。しかしながら、全てのスキームをシンドロームグラフ構造によって自然に表すことができるわけではないことに留意されたい。
[0172]シンドロームグラフは、頂点がチェック生成器に対応し、エッジが可変ノードに対応する、マルチグラフによる古典的な線形符号のグラフ表示である。各頂点がCのチェック演算子を表し、各エッジが融合グループFの生成器(又はより正確にはそのエラー)を表すようにそれらを使用する。Fの対応する生成器がCの対応するチェック演算子の因数分解で使用される場合、エッジは頂点に結合される。融合グループFの独立した生成器のセットが与えられると、チェックグループCの各要素はそれに関して固有の因数分解を有することに留意されたい。更に、それはフォールトトレラント融合ネットワーク、及び各エッジが最大で2つの頂点に接続されることを保証するためのC用の生成器の選択次第であることに留意されたい(すなわち、各融合生成器は、最大で2つのチェック生成器で使用される)。これがトポロジカルFBQCにおいて可能であることは、エラー鎖がそれらのエンドポイントにおいてのみ自明でないシンドロームを残すという事実の顕在化である。
[0173]チェック演算子のパリティは、チェックを構成する全ての測定結果の結合パリティを取ることで評価される。融合測定結果のセットが与えられると、各パリティチェックは、+1又は-1のいずれかの関連するパリティ値を有する。これら全てのパリティ結果の構成は、シンドロームと呼ばれる。融合結果が反転される場合、グラフ内のそのエッジに入射するチェックは、それらのパリティ値を反転される。融合結果が消去又は欠落している場合、グラフ内のエッジに入射する2つのチェックは、単一のチェック演算子に乗算/結合することができる。シンドロームグラフは、エッジがただ1つのチェック頂点に接続する「未結合エッジ」を有することができ、この場合、融合結果が消去又は欠落している場合、チェック/頂点は除去される。場合によっては、複数の融合測定結果が同じシンドロームの対に寄与する場合、2つのチェックノード間にマルチエッジも存在し得る。
[0174]図4Cは、融合ネットワークの例をシンドロームグラフとしてどのように表すことができるかを示す。この単純な例では、2つのチェック演算子があり、各チェック演算子は4つの入射エッジを有する。2つの頂点を接続する、両方のチェック演算子によって共有される1つのエッジがある。他のエッジは、単一のチェックノードのみに接続された「未結合エッジ」である。この小さな例では、全ての融合結果がチェック演算子に含まれるわけではないが、次のセクションで提示するトポロジカルフォールトトレラント融合ネットワークでは、全ての融合結果が少なくとも1つのチェック演算子の一部になる。具体的には、表面符号に基づくトポロジカル融合ネットワークを考える。任意の表面符号構築と同様に、これらのネットワークは、局所的に切断されたプライマルシンドロームグラフ及びデュアルシンドロームグラフによって表すことができる。バルクでは、全てのベル融合が2つの測定結果に寄与し、これはそれぞれプライマルの1つのエッジ及びデュアルシンドロームグラフの1つに対応する。
[0175]VIII.例示的なフォールトトレラント融合ネットワーク
このセクションでは、表面符号エラー訂正を実装するフォールトトレラント融合ネットワークの2つの明示的な例を説明する。これらの例は、FBQCフレームワークにおいてどのようにフォールトトレラントを達成することができるかの簡単な説明を提供する。それらは有用な教育的例として選択されており、最適なFBQCアーキテクチャではない。しかしながら、これらの例を用いても、本発明者らは著しい性能改善を実証する。
[0176]A.「4スター」融合ネットワーク
幾つかの実施形態によれば、「4スター」融合ネットワークが図9に示されている。リソース状態は、スタビライザZ,X,I及びIを有する4量子ビットのGreenberger-Horne-Zeilinger(GHZ)状態である。グラフを明確にするために、このリソース状態を、中央量子ビットがブラックアウトされた5量子ビットのスターグラフ状態として表している(図9A)が、これは、この状態が、「+1」の結果を有するX基底における5スターグラフ状態の中央量子ビットの測定時に得られるからである。5量子ビットの物理リソース状態を前処理する必要はなく、4-GHZ状態を直接作成することができる。例えば、線形光学系を使用して、4-GHZ状態を、に記載された回路を使用して単一光子から前処理することができる。4つの紫色の円は、リソース状態の量子ビットに対応し、ネットワーク内の融合に入力される。融合ネットワークは、図9A及び図9Dに示すように立方晶単位セルから構築することができ、この場合、リソース状態が単位セルの全ての面及びエッジに配置される。リソースは、面に平行又はエッジに垂直に整列される。図9Bに示すように、単位セル面を中心とするリソース状態からの量子ビットと、隣接するエッジを中心とするリソース状態からの量子ビットとの対に対して融合測定が行われる(リソース状態の中心量子ビットが測定されていない場合、融合は、表面符号のMBQC実装で使用されるクラスタ状態をもたらす)。各融合は、図9Cに示すように、スタビライザ演算子X及びZを測定しようと試みる。
[0177]融合ネットワークは、図9Eに示すシンドロームグラフ、すなわち立方格子をもたらし、全てのエッジが4つの測定結果に対応する4方向マルチエッジである。合計で24個の融合測定値があり、これらを組み合わせて各チェック演算子を評価する。融合ネットワークは、3次元全てにおいて格子定数の半分だけ並進下で対称である。これは、プライマルシンドロームグラフとデュアルシンドロームグラフが同一であることを意味する。
[0178]シンドロームグラフは表面符号のハードウェア実装にわたって使用されるため、FBQCと回路ベースの表面符号実装との間の対応関係を理解することは有用なツールである。回路モデルでは、3Dシンドロームグラフの空間的なエッジは物理的な量子ビットエラーに対応し、時間的なエッジは測定エラーに対応する。FBQCでは、時間的エッジと空間的エッジの両方が融合測定結果に対応し、このモデルでは物理的エラーと測定エラーとの区別はない。別の比較点は、プライマルシンドロームグラフ及びデュアルシンドロームグラフの解釈である。回路モデルでは、プライマルシンドロームグラフはPauli-Xエラーを捕捉し、Z型パリティチェックで測定エラーを捕捉し、デュアルシンドロームグラフはX型チェックでPauli-Zエラー及び測定エラーを捕捉する。このFBQCの例では、各2量子ビット融合は、一方の測定結果をプライマルグラフに寄与させ、他方をデュアルグラフに寄与させる。これを見る1つの方法は、2つの融合測定結果が、回路モデル内の物理量子ビット上のエラーチャネルのPauli-X部分及びPauli-Z部分のように挙動することである。
[0179]B.「6リング」融合ネットワーク
本発明者らの第2の例、図10に示す6リング融合ネットワークは、4スターネットワークを改善する。同じ距離の符号を実装するために必要なリソース状態及び融合測定値が少なく、次のセクションで見るように、これは大幅に改善された閾値を提供する。
[0180]この融合ネットワークでは、リソース状態は、6量子ビットリングの形態のグラフ状態である。融合ネットワークは、図10A及び図10Dに示すように、単位セルあたり2つのリソース状態を伴う立方晶単位セルを有する。融合測定は、図10Bにおいてオレンジ色の線によって示されるように、各面及び各エッジにおいて量子ビットの対を接続する。各融合は、入力量子ビット上のスタビライザ演算子X及びZを測定しようと試みる。図10は、複数の単位セルを示し、リソース状態が(1,1,1)方向に垂直な平面内で層を形成することが分かる。以下のセクションでは、4スター及び6リング融合ネットワークの正式な定義を示す。
[0181]この融合ネットワークのシンドロームグラフは、図10Eに示されており、対角エッジが追加された立方格子である。全てのチェック頂点は12個の入射測定値を有し、24個の測定値の半分は4スターネットワーク内の各チェック演算子に寄与する。6リングネットワークは、格子定数の半分だけ3次元全てにおいて並進下で同じ対称性を有する。したがって、4スターネットワークの場合と同様に、プライマル及びデュアルシンドロームのグラフは同一である。
[0182]ここでシンドロームグラフに現れる対角エッジは、回路ベースの表面符号におけるよく知られた特徴であり、いわゆる「フック」エラーとして解釈され、単一のエラーイベントがスタビライザ測定回路中に隣接する量子ビットに広がる。この種の相関エラーの原因は、融合ネットワーク設定において非常に異なるが、シンドロームグラフにおける出現は同じである。
[0183]C.性能比較
本発明者らは、パウリエラーと消去の両方のモデルの下でそれらの挙動をシミュレートすることによって、これらの2つの融合ネットワークの性能を研究する。2つのエラーモデルを考える。
[0184]全ての融合測定値を消去し、何らかの確率で反転させることができる現象エラーモデル
[0185]全ての融合が失敗確率を有し、リソース内の全ての光子が失われる確率を有する線形光学エラーモデル。
[0186]本発明者らは、L×L×L単位セル及び3次元全ての周期的境界条件を有する各融合ネットワークのモンテカルロシミュレーションを実行する。上記のモデルに基づいてエラーサンプルを描画し、最も単純なバージョンの和集合発見(union-find)復号器を使用して復号化を実行し、論理エラーのインスタンスをカウントする。2つのエラーパラメータに閾値面を構築するために、消去確率及びパウリエラー率、並びにシステムサイズLの値の範囲にわたってこのシミュレーションを繰り返す。プライマル及びデュアルシンドロームグラフは別々に復号される。
[0187]D.薬理エラーモデル
2つのエラーパラメータ、すなわち、融合消去確率perasure及び測定エラー確率perrorを伴うスター(青色線)及び6リング(オレンジ色線)融合ネットワークにおける閾値曲線。ここでは、和集合発見復号器が用いられる。緑色のスターは、リソース状態の量子ビットが(2,2)Shor符号で符号化され、全ての融合がランダムに選択された物理的失敗基底で75%の成功確率にブーストされる場合、線形光学障害による消去を伴う動作点を示す。線形光学失敗及び損失を伴う符号化された融合の有効消去確率は、以下で計算される。
[0188]融合ネットワーク内の全ての融合は、融合測定と呼ばれる2つの測定結果をもたらす。現象論的エラーモデルは、融合測定値上の独立した同一のエラーモデルであり、融合ネットワーク内の全ての測定値は確率perasureで消去され、確率perrorで反転される。これにより、リソース状態生成に由来する単一量子ビットのパウリエラー及び消去、並びに融合機器自体に由来するものを捕捉することが可能になる。
[0189]既に長距離もつれを有する格子上の単一量子ビット測定値の消去閾値及びエラー閾値を調べるフォールトトレラントMBQCの以前の研究と比較して、このモデルは、小さいリソース状態から始まる長距離もつれを生成するために使用される一括測定値のエラーを取り込む。このように、我々が現象論的エラーモデルと呼ぶものは、個々のリソース状態及び融合測定値がエレメンタリーゲートの役割を果たす回路レベルエラーモデルに近い。
[0190]図5は、このエラーモデルを有する4スター(青色の線)及び6リング(オレンジ色の線)の融合ネットワークの閾値曲線(和集合発見復号器で得られる)を示す。測定ごとの消去確率perasure及びエラー確率perrorの組み合わせが閾値曲線を下回る場合、エラーは対応する融合ネットワークの補正可能領域内にある。修正可能領域では、論理エラーとも呼ばれる自明でない検出不可能なエラーの確率が、ネットワークのサイズにおいて指数関数的に抑制される。
[0191]4スターネットワークの修正可能領域は、6リングネットワークの修正可能領域に含まれ、すなわち、4スターネットワークによって修正され得る(perasure、perror)の任意の値は、6リングネットワークによっても修正され得る。4スターネットワークの限界perasure閾値は6.9%であるが、6リングネットワークの限界劣化閾値は11.9%である。6リングネットワークの限界perror閾値(0.94%)も、4スターの閾値(0.65%)よりも高い。このため、6リングネットワークは4スターネットワークよりもフォールトトレラントであると言える。
[0192]観察される一般的な傾向は、現象学的閾値がフォールトトレラントな融合ネットワークにおける融合エラーは、より大きなリソース状態に依存することによって改善することができる。これは、現象論的エラーモデルが融合グラフ部分のエラーのみを捕捉し、リソース状態の内部エラーは捕捉しないためである。一般に、リソース状態生成器の複雑さは、生成された状態のサイズ及びもつれの程度と共に増大する。この複雑さを可能な限り低く保つことと融合エラーの現象学的閾値を上げることとの間のトレードオフは、フォールトトレラントFBQCアーキテクチャの設計における最適化のための重要な目標の1つである。
[0193]E.線形光学エラーモデル
光子損失確率ploss及び融合失敗確率pfailを有する線形光学エラーモデルの下での4スター(青)及び6リング(オレンジ)融合ネットワークの閾値曲線は、ランダムに選択された符号化及び失敗基底である。緑色の曲線は、(2,2)Shor符号で符号化された量子ビットを有する6リング融合ネットワークに対応する。これらの曲線を評価するために使用されるエラーモデルを以下に説明する。
[0194]ここで、線形光学によって動機付けされるエラーモデルの下でこれらの融合ネットワークの性能を調べる。全ての融合は、4つの光子、すなわち、測定されている量子ビットからの2つの光子及び融合成功確率をブーストするために使用されるベル対からの2つの光子を有する線形光学「タイプII」融合である。2つのブースティング光子を含むこれらの4つの光子のそれぞれは、確率

で失われる。融合物中の光子が失われた場合、予想よりも少ない光子が検出され、両方の融合結果は消去されたと見なされる。結果として、確率1-η、η=1-lでは、融合は情報を生成しない。融合物中の光子が失われなくても、線形光学融合物が意図されたベル測定の代わりに分離可能な単一量子ビット測定を実行する確率pfailがある。前述したように、これは、2つの意図された融合測定値のうちの1つが消去されるものとして扱うことができる。各融合のための線形光学融合回路は、融合に由来する両方の測定値の消去確率が同じになるようにランダムに選択される。融合エラーモデルは、このランダム化を用いて、ネットワーク内の全ての物理的融合測定の消去確率がp=1-(1-pfail/2)ηである方法を詳述している。
[0195]消去確率を更に低減するために、図6に示すように、リソース状態内の全ての量子ビットが(2,2)Shor符号に符号化された量子ビットで置き換えられる場合も考える。この置換により、リソース状態における(符号化されていない)量子ビット間の融合は、符号化量子ビットを構成する物理量子ビット間のペアワイズ融合から構成される、リソース状態における符号化量子ビット間の符号化融合に置換される。ネットワーク内の融合測定値は、符号化融合測定値に置き換えられる。
[0196](2,2)Shor符号は、X及びZ可観測量の反復符号を連結することによって得ることができる4量子ビット[[4,1,2]]量子符号を指す。連結の順序に応じて、結果として生じる符号空間は、符号スタビライザ〈XXXX,ZZII,IIZZ〉又は〈ZZZZ,XXII,IIXX〉)によって記述される。簡単にするために、本発明者らは、この選択が符号化された融合ごとに一様にランダムに行われると仮定する。2量子ビットA及び量子ビットB上の符号化融合は、符号化されたベル基底

で入力された符号化量子ビットを測定しようと試みる。ここで、

はそれぞれ、以下で明示的に定義されるローカル(2,2)Shor符号の符号化されたX及びZ演算子を示す。符号化された量子ビットにおける局所スタビライザは、符号化された融合の消去率を抑制する複数の方法で論理ベル測定を実行することを可能にする。以下、符号化融合における測定値の消去確率を明示的に計算する。符号化されていない融合測定値の消去確率がpである場合、符号化された融合測定値の消去確率は

である。p<0.5の場合、penc<p、すなわち符号化は消去確率を抑制する。
[0197]我々が別々にモデル化している符号化には3つのレベルがあり、すなわち、最も低いレベルは、各物理量子ビットをデュアルレール光子として表す線形光学固有の符号化である。次いで、(2,2)Shor符号などのローカル符号化をリソース状態量子ビットに使用して、線形光融合の失敗及び損失の影響を受けにくい符号化融合を達成することができる。最後に、多くのリソース状態及び融合からなる6リングネットワークのような融合ネットワークは、トポロジー的に保護された論理量子ビットを定義する。
[0198]図11の緑のスターは、消失が融合失敗確率pfail=25%のみに起因する場合の符号化された消失確率penc=0.043の大きさを示しており、これはベル対によるブースティングによって達成される値である。この数は、このサブセクションの前の段落のp及びpencの式を組み合わせることによって得ることができ、以下で詳細に説明される。
[0199](2,2)Shor符号化では、融合失敗からの消去は、4スター及び6リングネットワークの両方の補正可能領域内に配置される。6リングネットワークの場合、このベースライン動作点と閾値曲線との間のギャップは、4スターネットワークよりも著しく大きい。ベースライン消去率は、消去周縁部の半分未満であり、光子損失などの他のエラーの余地を残している。
[0200]図6の融合失敗が存在する場合の損失許容度を数値的に見る。青色及びオレンジ色の線は、それぞれ量子ビット符号化なしの4スター及び6リング融合ネットワークの閾値曲線を表す。しかしながら、これらのネットワークの失敗閾値は25%未満である。(2,2)Shor符号化では、6リング融合ネットワークは、43%の著しくより大きい限界失敗閾値及び5.9%の限界損失閾値を提供する。ベル対でブーストされた融合によって達成される25%の失敗確率により、本発明者らは光子あたり2.7%の損失許容値を有する。言い換えれば、ベル対を用いて融合をブーストすることにより、融合において少なくとも1つの光子が失われる確率が10.37%である場合でも、融合ネットワークを修正可能な領域にすることができる。
[0201]IX.フォールトトレラント融合ネットワークを用いた量子計算
上記では、トポロジカル量子計算のファブリックとして機能するフォールトトレラントなバルクを作成する方法について説明した。バルクを作成することは、これがエラー訂正閾値を決定するので、アーキテクチャの最も重要な構成要素である。しかし、フォールトトレラント計算を実装するには、追加の機能が必要である。ここで、このバルクをどのように使用してフォールトトレラント論理を実装することができるか、並びに古典的な処理及び物理アーキテクチャの意味についての疑問に目を向ける。
[0202]A.論理ゲート
フォールトトレラント論理を実行するために、本明細書に開示されるシステム及び方法は、バルクに加えてトポロジカルフィーチャの作成を可能にする。フォールトトレラントなクリフォードゲートセットを作成するために使用することができる異なるアプローチがある。境界を使用して、編組してゲートを実行することができる穿刺を作成することができる。境界を使用して、格子手術を行うことができるパッチを作成することができる。或いは、論理量子ビットは、欠陥及びねじれにおいて符号化され得る。論理に対するこれらの手法は全て、FBQCと適合する。そのようなトポロジカルフィーチャは、特定の位置での融合測定値を変更することによって、又は適切な構成で単一量子ビット測定値を追加することによって作成することができる。ここで、パンクチャ又はパッチにおける論理量子ビットの符号化及び操作を容易にするために、2つのタイプの境界を作成する方法の一例を示す。幾つかの実施形態では、これらの2つの境界タイプは、表面符号図の粗い境界及び滑らかな境界に対応するが、FBQCでは、それらがそれぞれプライマル/デュアルシンドロームグラフの励起に一致することができるかどうかに応じて、それらをプライマル境界及びデュアル境界として参照することがより自然である。プライマル境界は、例えば、図22Cに示すように、プライマルシンドロームグラフの粗い境界に対応し、デュアルシンドロームグラフの滑らかな境界に対応する。
[0203]図13は、Z基底で特定の量子ビットを測定することによって、プライマル境界及びデュアル境界をどのように生成することができるかの一例を示す。図13Aは境界の生成を示し、単位セルの境界における量子ビットの層はZ基底で測定されるか、又は単純に生成されない。図13Bは、滑らかな境界を作成するための同様のプロトコルを示す。境界が単位セルベクトルの対によって定義される平面に平行である場合は、特に単純である。このような境界では、プライマルとデュアルの場合の唯一の違いは、垂直方向の単位ベクトルの半分の変位である。
[0204]この測定パターンの効果は、バルクを終了させ、論理量子ビットを符号化及び操作するための特徴として使用することができる境界を作成することである。図13Dは、パッチ符号化論理量子ビットにおいて状態|0>(又は|1>)をフォールトトレラントに前処理するために、これらの境界を巨視的に組み立てる方法の一例を示す。
[0205]B.パルスフレーム追跡
FBQCにおいて、論理状態は、パウリ訂正までの直接的な物理的対応物のみを有し、これは、例えば図3Aの古典的なコンピューティングシステム307内で、いわゆるパウリフレームを介して古典的な論理において追跡される。パウリ枠の使用は、ベル測定によって行われる遠隔測定によって導入される固有のランダム性のために本質的に不可避である。例えば、論理レベルでは、図13の|0>状態を前処理する同じ構成要素はまた、|1>=X|0>状態の前処理を表す。一般に、これは、幾つかの追跡されたパウリ訂正演算子Pについて、状態|ψ>が異なる状態P|ψ>によって物理的に表され得ることを意味する。
[0206]パウリ型フレームトラッキングに依存する場合、一般的なn量子ビット状態は、フレームを記述する2n個の古典ビットとともに、4個の可能な物理量子状態のいずれかによって表すことができる。論理情報を保護するスタビライザ符号の使用は、フレームを記述するのに必要なビット数を実質的に半分にする。この技術の重要な特性は、クリフォード演算によって記述することができる計算の大部分を古典的な追跡情報とは無関係に実行することができることである。古典パウリフレームデータは、マジック状態注入及び蒸留などの場合に、論理レベルで実行される量子演算にのみ影響を及ぼす。これにより、古典的なパウリフレーム処理を、潜在的にはるかに速い物理融合クロックレートではなく、論理クロックレートで行うことができる。以下では、パウリフレーム追跡がフォールトトレラントFBQCに自然に適している方法を説明し、この技術が最小限の量子及び古典的な処理要件しか課さない理由を説明する。
[0207]C.汎用ロジック
ユニバーサルゲートセットを達成するために、Cliffordゲートに状態注入が追加され、これをマジック状態蒸留プロトコルと組み合わせて、Tゲート又は他の小角度回転ゲートを実装するために使用することができる。マジック状態注入は、修正された融合動作を実行することによって、単一量子ビット

測定を行うことによって、又はリソース状態を特別な「マジック」リソース状態で置き換えることによって、FBQCで実施することができる。これらのアプローチは、注入部位の構成と共に、ノイズの多い符号化状態前処理を最適化するための多数の方法を提供する。
[0208]D.復号及び他の臨床処理
FBQCでは、フォールトトレラント量子計算の他の手法と同様に、古典的なエラー訂正プロトコルが、信頼性が低くノイズの多い物理的測定結果から信頼性の高い論理的測定情報を抽出することを担当している。FBQCでは、復号結果を論理パウリフレーム情報として見ることが有用である。この論理パウリ枠を追跡することは、将来の測定結果を解釈するために必要である。
[0209]この論理パウリフレームは、論理レベルフィードフォワードが必要なときに時間に敏感な情報を生成する。すなわち、将来の論理ゲートを決定するために論理測定結果が使用される場合、関連するパウリフレーム情報を利用可能にする必要がある。この一例は、S又はS†が論理的測定結果を条件として適用される、マジック状態注入によるTゲートの実現の場合である。
[0210]広く議論されている復号化の1つの課題は、量子計算中にそれをライブで実行しなければならないことである。しかしながら、このフィードフォワード動作が論理タイムスケールで行われ、復号結果が融合(又は物理量子ビット)タイムスケールで必要とされないことは重要な特徴である。復号が論理クロックレートよりも遅い場合、バッファリング又は補助論理量子ビットを使用して、計算が復号結果を「待つ」ことを可能にすることができる。しかしながら、これらは論理レベルで使用されるツールであり、物理的動作を変更する必要はないことを強調する価値がある。融合は、復号結果なしに常に進行することができる。これの重要な意味は、スロー復号器が閾値に影響を与えないことである。
[0211]それにもかかわらず、不要なオーバーヘッドを低減するために高速復号器が望ましい。
[0212]E.FBQCアーキテクチャ
任意の所与の融合ネットワークについて、物理アーキテクチャの多くの可能な変形がある。
[0213]図14A~図14Eは、フォトニックリソース状態生成器、光ルーティング及び線形光融合を使用して6リング融合ネットワークを生成するルーティングを提供する融合ルータの一例を示す。この例は、FBQCのためのスキームの幾つかの特徴を実証する。
1.リソース状態生成器は、大きな融合ネットワークを作成するために繰り返し使用することができる。融合ネットワークは多くのリソース状態を含むが、それらは全て同時に共存する必要はない。各クロックサイクルの状態を生成するリソース状態生成器(RSG)は、繰り返し再利用することができる。大規模な融合ネットワークの作成を時間順にする1つの自然な方法は、それを「タイムスライス」に分割することである。3D融合ネットワークは2D層に分割され、各時間ステップで1つの層が作成され、前の層と融合される。この時間順序付けにより、リソース状態生成器の2Dアレイを用いて3Dネットワークを生成することが可能になる。
2.各クロックサイクル間の再ルーティングが必要とされないように、融合ルーティングを固定することができる。融合ルーティングにおける良好な設計原理は、クロックサイクル間の切り替えの必要性を最小限に抑えることである。これにより、スイッチングによる損失及びエラーが低減され、古典的な制御信号を入力する必要性が最小限に抑えられる。この例示的なレイアウトでは、所与の位置で生成された全てのリソース状態は、同じ融合デバイスに向かう。これは、装置の接続が固定されており、バルクを生成するために切り替えを必要としないことを意味する。
3.論理は、融合測定値を修正することによって実装することができる。論理が(少なくとも)実装されることを可能にするために、融合デバイスのサブセットは、図14Eに示すように、再構成可能でなければならない。バルクにおける境界又は他のトポロジカルフィーチャは、融合の測定基底を変更することによって、又は単一量子ビット測定に切り替えることによって実装される。
[0214]図14の例は、単純な物理アーキテクチャを表す。特にフォトニック量子ビットでは、そのようなアーキテクチャをどのように構築するかに大きな柔軟性がある。あまりにも多くのデコヒーレンス又は損失を被る前にリソース状態がメモリ内でどれだけ長く待つことができるかに応じて、より極端な時間順序付け手法をとることができる。フォトニックリソース状態では、国際公開第2020257772号パンフレットに記載されているインターリーブの概念を適用して、ネットワークを一度に1つのリソース状態だけ作成することによって、単一のRSGを使用して融合ネットワークのブロック全体を作成することができる。状態作成の時間順序が論理レベルでのより高いレベルのフィードフォワード制約によって互換性がある限り、任意の時間順序が可能である。この例はローカル接続のみを含み、これはフォトニック量子ビットの要件ではない。長距離接続は、非周期的な境界条件、他のトポロジー、又は非ユークリッド空間に埋め込まれた符号の生成を可能にすることができる。時間順序付け構造を適切な光接続性と組み合わせることによって、より高次の融合ネットワークを作成することもできる。
[0215]2.2.1.回路記号
説明の理解を容易にするために、図14A~図14Dは、後続の図で使用される一組の概略回路記号を導入する。これらの回路シンボルは、物理量子ビットで動作するフォトニック/電子回路を表し、各入力又は出力線は(物理)量子ビットを表す。図面の慣例として、概略回路図が特定の物理的レイアウトに対応する必要がないという離間を伴って、入力が左側に示され、出力が右側に示される。
[0216]図14Aは、リソース状態生成器(RSG)回路1400を示す記号を表す。前述したように、RSG回路は、リソース状態を生成する任意のフォトニック/電子回路を使用して実装することができる。RSG回路1400の出力は量子ビットであり、各量子ビットは線;出力の数は特定のリソース状態に依存する。本明細書に記載の実施形態では、RSG回路はクロックサイクルごとに1つのリソース状態を生成すると仮定し、クロックサイクルの長さは、1つのRSG回路が1つのリソース状態を生成するのに必要な時間に基づいて規定することができる。必要な時間は、特定のRSG回路に依存し得る。例えば、幾つかの既存のRSG回路は、約1nsでリソース状態を生成することができ、クロックサイクルは1nsとすることができる。幾つかの実施形態では、クロックサイクルは、RSG回路が1つのリソース状態を生成するのに必要な時間よりも長くすることができ、RSGが最高速度で動作する必要はない。本明細書の目的のために、RSG回路1400は、同じクロックサイクルでリソース状態の全ての量子ビットを出力すると仮定する。しかしながら、本開示にアクセスする当業者であれば分かるように、タイミングを変えることができる。
[0217]図14Bは、II型融合回路1405を示す記号を表す。II型融合回路は、例えば、図23~図36を参照して以下に記載されるように実装することができるとともに、図3Dを参照して前述したように再構成可能であり得る。入力は、以下に記載されるようにタイプII融合操作によって消費される2量子ビットである(内向き矢印を有する実線によって示される)。タイプIIの融合回路1405は、融合の測定結果並びに融合動作の成功又は失敗及び/又は特定のタイプの成功又は失敗(例えば、検出された光子のパターン)を示す古典的な出力信号1406を提供することができ、検出された光子のパターンは、融合回路の検出器のそれぞれで検出された光子の数を示す。
[0218]図14Cは、スイッチング回路1410を示す記号を表す。スイッチング回路1410への入力及び出力は、任意の数の量子ビットを含むことができ、入力の数は、出力の数に等しい必要はない。スイッチング回路1410は、1つ以上のアクティブ光スイッチ、モードカプラ、位相シフタなどの任意の組み合わせを組み込むことができる。スイッチング回路は、入力モードを再構成するアクティブ動作を実行するように(例えば、量子ビットのモードを結合することによって量子ビットの基底変化をもたらすために)、及び/又は入力モードのうちの1つ以上に位相を適用するように構成することができる(モード間の後続の結合に影響を及ぼす可能性がある)。幾つかの実施形態では、スイッチング回路1410の動作は、古典的な制御信号111に応答して動的に制御することができ、その状態は、以前の動作の結果、実行される特定の計算、構成設定、タイミングカウンタ(例えば、周期的な切り替えのために)、又は任意の他のパラメータもしくは情報に基づいて決定することができる。
[0219]図14Dは、遅延回路1415を示す記号を表す。遅延回路は、量子ビットを一定時間遅延させ、量子ビットに格納された量子情報のメモリとして機能することができる。時間の長さ(クロックサイクル単位)は数字で示され、この例では+1は1クロックサイクルの遅延を意味する。フォトニック量子ビットの場合、遅延回路は、例えば、遅延量子ビットの光子が非遅延量子ビットの光子よりも長い経路を進むように、1つ以上の適切な長さの光ファイバ又は他の導波路材料を提供することによって実装することができる。
[0220]図14Eは、幾つかの実施形態に係る、本明細書でネットワーク化RSG回路と呼ばれるものを使用するFBQCのためのシステムの概略図を示し、そのような回路は、フォールトトレラント量子論理ゲートを実装するために前述したトポロジカルフィーチャを生成することができる。回路表記は、図を明確にするために古典的な入力及び出力が示されていないことを除いて、図14A~図14Fに関連して前述した通りである。図14Aは、4つの代表的なネットワークセル1400、1400’、1400’’、及び1400’’’を使用するシステムを示す。図14Aはまた、結合が前述のように量子エラー訂正符号を実装する融合ネットワークルータの一例を形成するように、ネットワーク内のネットワークセル1400の隣接インスタンス間の結合を示す。各ネットワークセル1400は、6つの周辺量子ビット(例えば、ここに示す6リングリソース状態1410)を有するリソース状態を生成するRSG回路1402を含むことができる。RSG1402は、本明細書で「x-融合方向」と呼ばれる量子ビット5の出力経路及び本明細書で「y+融合方向」と呼ばれる量子ビット6の出力経路によって示されるように、隣接するネットワークセルに2量子ビットを提供する。また、ネットワークセル1400は、2つの隣接するネットワークセルから量子ビットも受ける。具体的には、本明細書において「x+融合方向」と称される量子ビット2の出力経路は、融合回路において隣接するネットワークセル1400’の出力量子ビット5’の出力経路に結合する。同様に、量子ビット3の出力経路は、ネットワークセル1400’’の量子ビット6’’の出力量子ビット経路に結合する。
[0221]ネットワークセル1400、1400’、1400’’’、1400’’’’はまた、再構成可能融合回路、例えば再構成可能融合回路1420’を含むことができ、したがって、図13A~図13Dに記載されるように量子論理を実装することができる。他の融合回路のいずれか又は全ては、図3Dを参照してより詳細に説明するように、実装されているアーキテクチャに応じて再構成可能であってもよい。更に、異なるクロックサイクルで生成されるリソース状態内の量子ビット間の融合を可能にするために、図示のようにオフセットを実施することができる。例えば、示されている各RSGでは、最初のクロックサイクルで生成されたリソース状態からの量子ビット1は、後続のクロックサイクルで生成された(異なる)リソース状態からの量子ビット4と融合される。+1クロック回路以外の遅延を実装することができ、及び/又は遅延を他の量子ビットに適用して、任意の層間の融合を実装することができ、また、例えば、その全内容があらゆる目的のために全体的に参照により本明細書に組み込まれる国際特許出願公開第2020257772A1号に記載されているインターリーブ戦略を実装することもできる。
[0222]図15A及び図15Bは、幾つかの実施形態に係る、例えば捕捉イオン、超伝導量子ビットなどの物質ベースの量子ビットアーキテクチャで使用することができるネットワーク化されたRSG回路の例を示す。これらの実施形態はまた、図示のように6リングリソース状態を使用し、量子ビットは番号付き円として含まれる。実線は、量子ビット間のもつれ動作を実行することができる量子ビット結合を示す。例えば、そのようなゲートは、2量子ビット間でCZゲートを実行し、続いて計算基底で2つの単一量子ビット測定を実行することによって、2量子ビットベル投影測定を実施することができる。例えば、15Aにおいて、本明細書の他の箇所に記載されているものと同様のFBQCプロトコルを実施するために、最初に、以下の量子ビットの対、すなわち、(1,6)、(1,2)、(2,3)、(3,4)、(4,5)、及び(5,6)の間にCZゲートを適用することによってリソース状態が生成される。次に、2量子ビット投影ベル測定値が、例えば、量子ビット対(2,5)、(3,6)、及び(4、1’)に対して2量子ビット測定値(融合)を実行することによって、リソース状態間に適用される。次に、量子ビット1の状態が量子ビット1’にテレポートされる。次の時間ステップでは、新しいリソース状態が以前と同様に生成され、プロセスが繰り返される。
[0223]図15Bに示す実施形態では、FBQCプロトコルは以下のように進む。ステップ1では、適切な対の量子ビット:(1,6)、(1,2)、(2,3)、(3,4)、(4,5)、及び(5,6)の間にCZゲートを適用することによって、6リングのリソース状態が前述のように前処理される。ステップ2aにおいて、融合は、リソース状態間、例えば、隣接する(異なる)リソース状態からの量子ビット(2,5)と量子ビット(3,6)との間、及び各リソース状態内の(4、1’)間に適用される。次に、ステップ2bにおいて、量子ビット1の状態が各リソース状態内の量子ビット1’にテレポートされる。
[0224]F.FBQCのエラー
本明細書に提示される閾値は、単純なエラーモデルに基づいている。物理的な実施態様では、システムの性能に影響を及ぼす多くのことがある。エラーチャネルは、エラーバイアス及び相関を含むランダムなi.i.dパウリエラーよりもはるかに多くの構造を有する可能性があり、演算の時間順序付けはエラーを拡散する可能性がある。境界又はねじれなどのトポロジカルフィーチャを作成することによって論理ゲートが実行される場合、これらは異なる物理的動作を必要とし、それらの位置で異なるエラーモデルをもたらす。
[0225]しかしながら、これにもかかわらず、ここで提示される結果は、多くのタイプの物理ハードウェアにわたって依然として有意であり得るという幾つかの理由がある。
・リソース状態及び融合エラーは本質的に局所的である。FBQCの構築は、エラーが潜在的にどの程度広がる可能性があるかを制限する。相関はリソース状態内にのみ存在し、リソース状態間には存在しないと予想される。この予想は、線形光学では特に強く、異なる位置の光子が互いに「偶然」もつれることはない。更に、プロトコル内の各量子ビットは有限寿命が短く、その近傍のエラーの拡散の可能性を制限する。更に、本発明者らのモデルにおけるリソース状態及び融合は全て同一であるため、物理的実施態様においてそれらが同じ又は類似のエラー率を有することは合理的な仮定である。
・融合内の相関は、性能をより良くすることしかできない。相関するエラーが現れる可能性のある場所は、融合動作の2つの測定結果の間である。本発明者らのモデルは、これらのエラーを無相関として扱う。本発明者らは、ここでプライマル及びデュアルシンドロームグラフを別々に復号するので、融合エラーが相関している場合、それは本発明者らの閾値と差がない。その情報を説明する方法がある場合、それは性能を向上させることしかできない。
・バルクが閾値を決定する。論理を実装するために使用されるトポロジカルフィーチャは、2次元又は1次元のオブジェクトである。結果として、エラー閾値はバルクによって決定される。
[0226]システム全体を評価する複雑さにもかかわらず、多くのハードウェアレベルエラーモデルは、エラーチャネルリマップを介して本発明者らのモデルによって十分に近似することができる。例えば、標準的なゲートエラーモデルの下で、確率p_physicalでエラーを被っている一連のノイズの多い2量子ビットゲートからリソース状態が構築されるべきであった場合、状態前処理中に各量子ビットによって累積されたPauli-X及びPauli-Zを考慮し、累積エラー率として再表示することができる。クラスタ状態が2量子ビットゲートから構築される場合、エラーはそれらの最近傍よりも遠くに伝播することができず、したがって、伝播するエラーからの相関は、プライマルとデュアルとの間のみである。
[0227]X.議論
フォールトトレラント論理ゲートのレベルで、融合ベースの量子コンピューティングは、回路ベースの量子コンピューティング(CBQC)又は測定ベースの量子コンピューティング(MBQC)と同じ動作を可能にする。しかし、論理ゲートを実装するために使用される物理プロセスを見ると、計算プロトコルに必要なリソースの依存関係、物理量子ビットの必要な接続性、古典的な情報の処理、並びにエラーの出現、伝播及び影響において、大きな違いが現れる。
FBQCとMBQCとの間の1つの違いは、フォールトトレランスを実装するために必要とされるそれぞれのもつれ状態の性質である。MBQCは、実行される計算とともにスケールアップするサイズの大きなもつれたクラスタ状態を必要とする。一方、FBQCは、より大きな量子計算のために必要なリソース状態の数が増加する一定サイズのリソース状態を必要とする。この区別は、使用される測定の種類においても明らかである。MBQCは、計算を実行するために単一量子ビット測定値を使用し、フォールトトレラントなMBQCを達成するためのLOQCアーキテクチャを提案する以前の研究は、最初に有限サイズ演算から大きなクラスタ状態リソースを作成し、これに続いて計算(単一量子ビット)測定値を使用することによって行われた。そのような分離はFBQCプロトコルには存在せず、融合ゲートなどのマルチ量子ビット投影測定は、長距離もつれを生成するために必要なエンタングリング測定値を、フォールトトレランス及び計算を実装する測定値と統合する。必須ではないが、幾つかの変形例FBQCでは、プロトコルはまた、例えば図13A~図13Dに記載されているようなトポロジー的特徴を作成するために、少数の単一量子ビット測定値を含むことができる。
[0228]線形光学を用いたフォールトトレラント計算に関しては、構造レベルでより多くの区別が生じる。LOQCは長い歴史を有しており、最も初期の提案は、確率的ゲートを処理するための非常に大きなゲート遠隔転移又はリピート-未成功戦略に依存し、量子メモリを必要とする。より最近のアーキテクチャ提案は、メモリの必要性を排除し、フォールトトレランスのための方式は、大きなもつれたクラスタ状態を構築し、次いで、MBQCを介してフォールトトレランス及び計算を実施するためにその状態に対して単一量子ビット測定を行うことに基づいていた。これらの方式は、低い一定の深さを有し、計算のサイズに関係なく、各光子がその寿命の間に少量の固定数の成分を見ることを意味する。最も性能の高いスキームは、確率的融合を扱うパーコレーション法に基づいていた。他の方式は、冗長性を追加するために分岐したリソース状態を使用し、損失及びパウリエラーに対する閾値を低減することを犠牲にして確率的融合を許容することができた。
[0229]本明細書に開示されるFBQCスキームは、一定の深さを有するアーキテクチャにおいて一定のサイズのリソースを使用するが、文献における最良の結果と比較して有意な閾値改善を提供する。エラー許容範囲を超えて、FBQCは、光子の寿命の間に古典的な処理及びフィードフォワードが発生する必要があったこれらの以前のスキームと比較して、アーキテクチャの実行可能性において重要な利点を提供する。この古典的な処理は複雑であることが多く、光子が遅延線内で待機している間にこの種のグローバル計算を実行する必要性は、光子遅延の損失に並外れた要件を課す。FBQCはこの要件を取り除き、フォールトトレランス閾値を古典的なフィードフォワードのタイムスケールとは無関係にする。幾つかの実施形態によれば、任意の量子コンピューティングアーキテクチャの場合のように、フィードフォワードが依然として必要であるが、FBQCでは、この要件は論理レベルのみであり、タイムスケールは物理演算から完全に分離されている。
[0230]FBQCは、小さな別個の機能ブロック、すなわち、リソース状態生成、融合ネットワーク、及び融合動作で構成されるモジュール式アーキテクチャである。ブロックは互いに互換性がある必要があるが、各ブロックの物理的実装は独立していてもよく、実際には複数の選択肢を有する。現実的な物理システムへのその適用の例として、FBQCの完全に線形の光学的実装の例を提示した。しかしながら、これは、より一般的には他の物理プラットフォームに適用され、特に、ハイブリッド量子システムにおける用途を決定的にサポートする。例えば、フォトニック融合動作及びファイバベースの融合ネットワークは、フォトニックもつれ状態を生成する材料ベースのリソース状態生成器と統合することができる。モジュール性はまた、量子コンピューティングのアーキテクチャが信頼性が高く製造可能であることを保証する重要な態様でもある。
[0231]XI.復号器バッファリング
論理レベルでの古典的な処理及びフィードフォワードを復号及び処理することの課題は、量子計算の全てのモデル間で共有される。復号器は、量子プロセッサの物理クロック速度と同じくらい速く動作できる可能性は非常に低い。古典的なフィードフォワードは、論理レベル(図16参照)で必要とされ、したがって、復号器システムは、長いレイテンシを処理し、復号器スループットを向上させるように設計されるべきである。ここでは、これらの問題に対処する技術として、復号器バッファリング及び復号器並列化について説明する。
[0232]図16は、論理フィードフォワードを必要とする量子回路の一例を示す。より具体的には、図16は、論理π/8回転を実施するための回路を示す。パウリ積測定

が、ターゲット量子ビット及びマジック状態

に対して行われる。マジック状態に対して論理X測定が行われる。これらの2つのステップは、「状態注入」として知られている。2つの測定の結果に応じて、入力量子ビットにπ/8回転をもたらすために補正回路が適用される。
[0233]A.復号器システム
まず、復号器システムの基本的な機能性と、それが論理量子ビットの量子処理及び他の古典的な処理とどのように相互作用するかを紹介する。量子システムに出入りする古典的な情報の概略図を図17に示す。この図は、2つの論理ゲートが実装されるときのシステムの経時的な発展を示す。ここで、測定情報の2D層が各時間ステップで取得されるトポロジカル量子計算の例を考える。物理的には、これは、3D融合ネットワーク内のリソース状態に対して融合測定が行われるFBQC設定のいずれかで達成することができる。或いは、パリティチェック測定が各時間ステップで行われる2D表面符号であってもよい。このシステムは、3つのサブシステムを含む。
・量子プロセッサ1701は、量子情報を含む。量子プロセッサは、フォールトトレランス及び論理ゲートが実装されることを可能にする測定命令を受信及び実行することができる。
・論理ゲート制御システム1703は、実行される量子アルゴリズムのためのプログラムを含む。これは、論理ゲートのための命令と、以前の測定結果に基づいてどのゲートを実装するかに関するフィードフォワード命令とを含む。これは、復号器から出力を受信し、量子プロセッサに論理ゲート命令を送信する。
・復号器システム1705は、量子プロセッサから測定情報を受信し、古典的な計算を実行してこれらを復号する。復号器システムは、その出力を論理ゲート制御システムに送信する。
[0234]B.情報の流れ
以下のステップを用いて情報の流れを理解することができ、これらのステップは図中に番号付き円で示されている。
[0235]ステップ0において、論理ゲート制御は量子プログラムを含む。これはユーザ入力に由来し、量子プロセッサの実行前にオフラインでコンパイルすることができる。量子プログラムは、将来の命令が量子システムで行われる測定に依存するフィードフォワードステップを含み得る。プログラムの幾つかのステップが既に実行された後、論理ゲート制御は現在のプログラム状態を有する。
1.まず、命令が論理ゲート制御システムによって発行され、量子プロセッサに送信される。
2.命令は量子システム上で実行される。論理ゲートを実装するために、これは、L個の時間ステップにわたって複数層の命令を実行することを含み得る。命令は、量子ハードウェアの性質に応じて、ゲートシーケンス、融合測定パターン、単一量子ビット測定、又は他の物理量子命令とすることができる。
3.論理ゲートが実行された後、一緒に束ねられて復号器に渡される測定情報のL層が蓄積されている。
4.復号器は、復号問題と呼ばれる測定情報を受信し、補正された測定結果を計算する。
5.復号が終了すると、結果はアルゴリズム制御に戻され、次にどの論理ゲート命令が発行されるべきかを計算するために使用される。
[0236]G.タイムスケール
論理ゲート命令が必要なときに利用可能であることを保証するためにシステムをどのように設定すべきかを決定することに関連する幾つかのタイムスケールがある。
・層クロック時間-計算の各層間の時間である。これをtとする。このタイムスケールは、異なる物理システム間で大きく異なり得る。インターリーブのないフォトニックシステムでは、これは1nsもの速さであり得る。インターリーブにより、それは1μs以上に低減され得る。
・論理ブロック時間-L層にわたって論理ゲートを実装する時間、これには時間t_log=L*t_cがかかる。対象の目標論理エラー率に達するのに必要なLの値は、典型的には30~50の範囲内である。例として、L=40の値をとる。適用されるインターリーブのレベルに応じて、t_logは、40ns程度の低さ、又は40μsより大きい可能性がある。
・復号器レイテンシ-復号器を実行するのにかかる時間、t。ここで、このレイテンシは、量子システムにおける最終測定から、第1の論理命令が実行され得る時間までの時間、すなわち、量子システムへの信号送信/量子システムからの信号送信、及びアルゴリズム命令の計算にかかる時間を含む時間とする。並列化によってレイテンシを短縮することはできない。このタイムスケールは、図17において太矢印で示されている。復号器ランタイムは、システムサイズ、エラー率、復号アルゴリズムに依存する。ランタイムは特定の測定構成にも依存するため、実際には、幾つかの分布に従って、実行ごとに時間が異なる。
[0237]復号システムの異なる構成及び方法を必要とするこれらのタイムスケールの3つの異なるレジームを考慮することができる。
1.即時復号:t<t-最も単純なシナリオでは、復号器評価は1層クロックサイクル内で完了する。この場合、ゲート2の論理命令は、ゲート1の直後に遅延なしにゲートが実行されるのに時間内に利用可能である。
2.高速復号化:t_c<t_D<t_log-第2のシナリオでは、復号器は1クロックサイクルよりも遅いが、完全な論理ゲートを実行するのにかかる時間よりも速く完了する。この場合、論理ゲート1の完了と論理ゲート2との間に遅延がなければならない。しかしながら、この論理量子ビットでは、論理ゲート2の復号を開始するのに必要な時間までに論理ゲート1の復号問題の実行を完了しているので、1つの復号器プロセッサのみが必要である。言い換えれば、復号器スループットは、情報が生成される速度に追いつくのに十分な大きさである。
3.低速復号:t_c>t_log-最後に、復号器の実行時間が論理ゲート時間よりも長い場合を考える。この場合、ゲート間に遅延がなければならないが、復号器のスループットには更なる問題が生じる。1つの復号器プロセッサでは、第2の復号器プロセッサが到達したときに第1の復号化問題は依然として実行されている。これは、待機中の復号化問題のキューが増加するにつれて後続のゲートごとにレイテンシが本質的に増加する「バックログ問題」をもたらす。幸いなことに、このスループットの問題は、量子システムに一致するようにスループットを増加させるために複数の復号器プロセッサを使用して解決することができる。
[0238]「即時復号」シナリオは、量子コンピュータにおいて達成可能である可能性は極めて低く、復号器の遅延に対処し、復号器を並列化する必要性にほぼ確実に遭遇する。次のセクションでは、これらの復号タイミングシナリオを処理するための技術として使用することができる復号器バッファリングの概念を紹介する。
[0239]H.低速復号を処理するように設計された復号器システム
前のセクションで定義された「高速復号」及び「低速復号」レジームで生じる問題に対処するために、復号遅延を可能にするように論理回路を修正することと、スループットを向上させるために追加のプロセッサを追加することとの組み合わせを使用することができる。
[0240]A.復号器バッファリング
復号器待ち時間が層クロック時間よりも長い場合、ターゲット論理量子ビットが次の論理ゲート命令が利用可能になるまで待機することを可能にするために復号器バッファリングを使用することができる。このバッファ領域は、各論理ゲートの後に、フィードフォワードのために測定結果が必要とされる識別領域を単に実装する。この識別演算は、量子ビットに論理的な影響を及ぼさない。重要なことに、次の論理ゲート測定命令を決定するために、アイデンティティ「バッファ領域」が復号されている必要はない。バッファ領域は後の時点で復号される必要があるが、その復号の結果は、将来の測定結果を解釈するために使用されるパウリ枠を更新するが、これは論理測定命令が何であるかの決定を変更することはできない。
[0241]バッファ時間は、全ての復号実行時間をカバーするのに十分長い時間の、各フィードフォワード動作前の固定持続時間であるように選択することができる。或いは、論理量子ビットが次のゲート命令が利用可能になるまでメモリ内で待機するように、バッファ領域の持続時間を適応的に選択することができる。
[0242]B.復号器の並列化
論理レイテンシが論理クロック速度よりも遅い場合、バッファに加えて、生成される情報に「追いつく」ことができる速度で復号を実行できるようにスループットを高めるための追加の復号プロセッサを含めることができる。
[0243]C.例示的な復号システム
図18において、本発明者らは、バッファリング及び復号器並列化の両方を含む復号システムの例示的な構成を示す。マジック状態注入回路に必要な論理フィードフォワードの例を考える。この場合、第1の論理ゲートは、対象論理量子ビットを蒸留マジック状態と結合し、論理測定を行うことを含む状態注入である。第2の論理ゲートは、第1のゲートの論理結果に応じて実行される補正回路である。
図18の例は、復号器ランタイムが論理クロック時間のおおよそ2倍であり、総復号遅延が論理クロック時間のおおよそ3倍である場合を示す。補正ゲート命令がバッファ領域の終わりまでに前処理されるように、レイテンシよりも長い持続時間のバッファが追加される。量子システムと一致するように復号器スループットを向上させるために、論理量子ビットごとに2つの復号器プロセッサを使用し、次いで復号問題が交互にそれらに渡される。
[0244]XII.物理レベル構成要素及び動作
図19は、幾つかの実施形態に係る線形光量子コンピュータ内のフォトニックハードウェアコンポーネントを示す図である。線形光量子コンピューティングのためのフォトニックチップでは、単一光子が光子源によって放出され、遅延、方向性結合器、及び活性位相シフタを含む一連の線形光学素子を導波路に沿って通過した後、光子計数検出器によって検出される。
[0245]幾つかの実施形態では、量子ビット状態初期化は単一光子源を含む。光子源が成功すると、それはただ1つの光子を生成する。各光子源によって生成された光子は、周波数、パルス形状、及びタイミングを含めて、ほぼ同一である。幾つかの実施形態では、光子源は、非常に高い繰り返し率、例えば約1GHzで光子を生成することができる。適切な光子生成技術は、光通信帯域に近い中赤外周波数で確率的に光子対を生成するための自発的な四光波混合を含む。2つの光子のうちの1つが検出され、ソースの成功を知らせる電気信号を生成する。
[0246]自発的な4波混合源は単位確率では機能しないため、それらを多重化することが望ましい。低い確率で動作する複数のソースを多重化することにより、高い確率で機能する単一のソースを生成することが可能である。
[0247]多重化ソースでは、生成後の単一光子を、例えば1又は2ナノ秒遅延させることが望ましい場合がある。この遅延は、ヘラルド検出器が発射し、光スイッチを作動させるために必要なロジックが実行される時間を提供する。スイッチは、成功したソースから所望の出力導波路に光子をルーティングする。
[0248]幾つかの実施形態によれば、遅延は、超低損失導波路を使用して生成される。アーキテクチャの一部では、より長い遅延を可能にすることができる光ファイバを使用することができる。FBQCアーキテクチャで使用される遅延は短く固定されている(すなわち、計算のサイズが増大するにつれて増大しない)ことに留意されたい。
[0249]幾つかの実施形態によれば、光スイッチは、一般化マッハツェンダ干渉計(GMZI)を使用して実装することができる。これらの干渉計は、2つの完全混合干渉ネットワーク(例えば、アダマールネットワーク)の間に挟まれた活性位相シフタのアレイから構成される。能動位相シフタは、印加電圧の印加時に光位相シフトを実現することができるデバイスである。完全混合干渉ネットワークは、受動線形光学素子を用いて実装することができる。これらの干渉ネットワークの主な特徴は、それらが全てのモードにわたって均等に拡散された波動関数に任意の単一光子入力を変換することである。この時点で、各モードは、光学モードへの2つの位相(0又はπ)のうちの1つを実施する能動位相シフタに入る。この後、モードは別の完全混合干渉ネットワークに入る。この実施態様は、光スイッチの任意の入力モードを任意の出力モードにルーティングすることを可能にする。光子の経路には、スイッチングネットワークにおける損失を最小限に抑える単一の能動位相シフタしか存在しない。N個の入力モードを単一の出力モードに切り替えるだけでよい場合、第2の干渉ネットワークを大幅に単純化することができる。
[0250]幾つかの実施形態によれば、光子数分解検出器は、量子ビット測定を実行することができ、ソースによって放出されたヘラルド光子を検出することができ、リソース状態を生成するために必要な測定を実行することができる。多くのそのような検出器を使用することができるが、選択された技術は、光子が検出器に衝突した場合に非常に高い確率で検出されるように、非常に高い量子効率を有するべきである。検出器はまた、各時間ビンにおいて、検出器が入射光子なしで発光する確率が非常に低くなるように、低いダークカウントを有するべきである。検出器はまた、2つの光子が検出器に衝突したときに2つのカウントが高い確率で報告されるように、数分解でなければならない。最後に、1GHzの単一光子源で動作するために、検出器は非常に低いタイミングジッタ及び迅速なリセット時間を有するべきである。
[0251]幾つかの実施形態によれば、超伝導ナノワイヤ単一光子検出器(SNSPD)は、近赤外光子の好ましい単一光子検出技術として使用することができる。速度、タイミング精度、及び検出効率の組み合わせは、多くの代替例よりも優れているが、本開示の範囲から逸脱することなく任意の検出器技術を使用することができる。一般に、SNSPDは、数ケルビンでの極低温動作を必要とする(多くの材料ベースの量子ビットのミリケルビン温度よりもかなり高い)。更に、数分解検出器の設計は、複数のSNSPDを含むことができる。これを達成する概念的に簡単な方法の1つは、SNSPDのバンクへの入射導波路のファンアウトによるものであるが、本開示の範囲から逸脱することなく他の設計も可能である。SNSPDの数は、2つの入射光子が単一のSNSPDに衝突する確率が十分に低くなるようにする必要がある。
[0252]幾つかの実施形態によれば、これらのハードウェアコンポーネント(ソース、検出器、遅延、及びスイッチ)は、図20に示すように多重化単一光子源内に存在する。
[0253]個々の光子源は、ポンプレーザ入力パルスを受信し、光子対、信号光子及びヘラルド光子を生成する。ヘラルド光子は、光子数分解検出器のバンクに入射することができる。信号光子は、光スイッチングネットワークに送信される前に遅延を通過する。概略図は、6つの入力モード及び単一の出力を有するGMZIを示す。アダマール(Hadamard)ネットワークは、入力モードに対してアダマール変換を実装する方向性結合器のネットワークである。図20では、簡略化のために、光学素子のみが示されており、ロジック及びフィードフォワードを実施するための電子部品及び相互接続は示されていない。
[0254]各時間ビンにおいて、各検出器からの電気信号は、どの光子源が光子を生成したかを決定する何らかの古典的なロジックを通過する。論理ユニットからの信号は、GMZI内の位相シフタを作動させる。これらの電気素子は概略図には示されていない。光学遅延は、位相シフトの検出、論理、及び作動が行われることを可能にするのに十分に長くなければならない。
[0255]本質的に、多重化に対する同じアプローチは、アーキテクチャの幾つかの段階で使用することができる。一例では、典型的なリソース状態生成器は、多重化された単一光子を入力として受け取り、次いで文献からの標準的な方法を使用してベル状態又はGHZ状態を生成する。これらの比較的小さなもつれ状態は、本明細書ではシード状態と呼ばれる。リソース状態生成器は、融合によってより大きなもつれたリソース状態を構築するために使用する多重化シード状態の供給を必要とする。幾つかの実施形態によれば、融合ステップ自体を多重化することができる。
[0256]多重化に関連するオーバーヘッドは、単一光子源、シード状態、又はリソース状態に必要な成功確率に依存する。好適には、FBQCアーキテクチャでは、単一光子源の成功確率は、計算のサイズとは無関係に選択することができる。同じことがシード状態生成とリソース状態生成の両方に当てはまる。これは、部分的には、単一光子生成、シード状態生成、又はリソース状態生成が失敗すると、最終的に既知の位置で量子ビットが失われる、すなわち、これらのエラーが通知されるために当てはまる。エラー訂正符号は、システムがエラー訂正閾値を下回ったままである限り、これらの欠落した量子ビットを訂正することができる。
[0257]XIII.更なる実施形態
図21は、幾つかの実施形態に係る、フォールトトレラント量子計算のために復号器に測定結果を提供するために融合コントローラ319と共に動作するように構成された融合部位6001の可能な一例を示す。この例では、融合部位6001は、融合アレイ321の要素(図3に示す)とすることができ、例示の目的で一例のみが示されているが、融合アレイ321は、融合部位6001の任意の数の例を含むことができる。
[0258]前述したように、量子ビット融合システム305は、融合されるべき2つ以上の量子ビット(ここではデュアルレール符号化で示されている量子ビット1及び量子ビット2)を受け取ることができる。量子ビット1は、第1のリソース状態の一部として1つ以上の他の量子ビット(図示せず)ともつれている1つの量子ビットであり、量子ビット2は、第2のリソース状態の一部として1つ以上の他の量子ビット(図示せず)ともつれている別の量子ビットである。好適には、MBQCとは対照的に、フォールトトレラント量子計算を容易にするために、第1のリソース状態からの量子ビットのいずれも、第2の(又は任意の他の)リソース状態からの量子ビットのいずれとももつれる必要はない。また好適には、融合部位6001の入力では、リソース状態の集合は、量子エラー訂正符号の形態をとるクラスタ状態を形成するために互いにもつれず、したがって、クラスタ状態全体にわたって長距離のもつれを伴う大きなクラスタ状態を記憶及び/又は維持する必要はない。また好適には、融合部位で行われる融合動作は、量子ビット1及び量子ビット2での完全に破壊的な一括測定とすることができ、測定後に残るものは全て、検出器、例えば検出器6003、6005、6007、6009での測定結果を表す古典的な情報である。この時点で、古典的な情報は、復号器333が量子エラー訂正を実行するために必要な全てであり、更なる量子情報はシステムを介して伝搬されない。これは、融合部位を使用してリソース状態をそれ自体がトポロジカル符号として機能するクラスタ状態に融合し、次いで大クラスタ状態の各量子ビットに対する単一粒子測定を介して必要な古典的情報を生成することができるMBQCシステムとは対照的であり得る。そのようなMBQCシステムでは、単一粒子測定が行われる前に大クラスタ状態をシステムに格納し維持する必要があるだけでなく、復号器が量子エラー訂正を実行するために必要なシンドロームグラフデータを計算するために必要な古典情報を生成するために、クラスタ状態の全ての量子ビットに追加の単一粒子測定ステップ(クラスタ状態を生成するために使用される融合に加えて)を適用する必要がある。
[0259]図21は、フォトニック量子コンピュータアーキテクチャの一部として融合部位を実装する一方法の例示的な例を示す図である。この例では、量子ビット1及び量子ビット2は、デュアルレール符号化フォトニック量子ビットであり得る。フォトニック量子ビットのデュアルレール符号化の簡単な紹介は、図26A~図29を参照して、以下のセクションXIVで提供される。したがって、量子ビット1及び量子ビット2は、それぞれ導波路対6021、6023及び導波路対6025、6027に入力することができる。干渉計6024及び6028は、各量子ビットと一直線に配置することができ、各干渉計6024、6028の一方のアーム内には、プログラム可能位相シフタ6030、6032を任意選択的に適用して、例えば、図21に示す特定のモード結合を実装して、本明細書でXX、XY、YY、又はZZ融合と呼ばれるものを実装することによって、融合動作が適用される基底に影響を与えることができる。プログラム可能位相シフタ6030、6032は、融合コントローラ319からの信号を使用して融合演算が量子ビットに適用される基底を設定することができるように、制御線6029及び6031を介して融合コントローラ319に結合することができる。幾つかの実施形態では、基底は融合コントローラ319内でハードコーディングすることができ、又は幾つかの実施形態では、基底は、外部入力、例えば融合パターン生成器313によって提供される命令に基づいて選択することができる。干渉計の後に追加のモードカプラ、例えばモードカプラ0633及び6032を適用し、続いて単一光子検出器6003、6005、6007、6009を適用して、一括測定を実行するための読み出し機構を提供することができる。
[0260]幾つかの実施形態では、融合は確率的演算であり得る、すなわち、以下の図35に記載されるように、測定が成功するときも失敗するときもある確率的ベル測定を実施する。幾つかの実施形態では、そのような動作の成功確率は、動作が作用しているものに加えて追加の量子システムを使用することによって高めることができる。余分な量子システムを使用する実施形態は、通常、「ブーストされた」融合と呼ばれる。当業者であれば分かるように、本開示の範囲から逸脱することなく、任意のタイプの融合動作を適用することができる(ブーストされてもよく又はブーストされなくてもよい)。タイプII融合回路の追加の例は、偏光符号化及びデュアルレール経路符号化の両方について以下のセクションXIVに示され説明される。幾つかの実施形態では、融合コントローラ319はまた、制御信号を検出器6003、6005、6007、6009に提供することができる。制御信号は、例えば、検出器をゲーティングするために、又はそうでなければ検出器の動作を制御するために使用することができる。検出器6003、6005、6007、6009のそれぞれは光子検出信号(検出器によって検出された光子の数、例えば、検出された0光子、検出された1光子、検出された2光子などを表す)を提供し、この光子検出信号は、融合部位6001で前処理されて測定結果(例えば、融合の成功又は失敗)を決定するか、又は更なる処理のために復号器333に直接渡され得る。
[0261]GHZリソース状態を使用するFBQCの例
[0262]図22A~図22Bは、1つ以上の実施形態に係るフォールトトレラント量子計算のためのFBQC方式を示す。この例では、Raussendorf格子として知られるトポロジカル符号(葉面符号としても知られる)が使用されるが、本開示の範囲から逸脱することなく、任意の他のエラー訂正符号を使用することができる。例えば、FBQCは、様々なボリューム符号(例えば、ダイヤモンド符号、ダイヤモンド符号など)に実装することができ、様々なカラー符号、又は本開示の範囲から逸脱することなく他のトポロジカル符号を使用することができる。
[0263]図22Aは、Raussendorf格子の1つの単位セル2202を示す。測定ベースの量子コンピューティングの場合、単位セルの中心で本明細書でPcellと呼ばれるシンドロームグラフの値を決定するために、単位セルの6つの面上の量子ビットがx基底で測定され、その結果、6つのM測定値のそれぞれに対して0又は1つの固有値のセットが決定される。次いで、これらの固有値を以下のように組み合わせる。
[0264]ここで、S、S、...、Sは、単位セルの面上の6つの部位に対応し、M(S)は、対応する面量子ビットをx基底で測定することによって得られた測定結果(0又は1)に対応する。(図22では、S、S、及びSがラベル付けされている。S,S,Sは、単位セル2202の隠れ面に位置している)
[0265]FBQCにおいて、目標は、2つ以上の量子ビットにおける一連の一括測定(例えば、POVMとも呼ばれる正演算子値尺度)を通じて、何らかの量子エラー訂正符号のエラーシンドロームに対応する古典的なデータのセットを生成することである。例えば、図22AのRaussendorf単位セルを例示的な例として使用すると、FBQCアプローチでシンドロームグラフ値を生成するために使用することができる測定値のセットが図22Bに示される。この例では、GHZ状態がリソース状態として使用されるが、本開示の恩恵を受ける当業者であれば分かるように、本開示の範囲から逸脱することなく任意の適切なリソース状態を使用できる。図22Aに示すMBQC方式から図22Bに示すFBQC方式にするために、図22Aの各面量子ビットは、明確に分離した(すなわち、もつれていない)リソース状態からの個々の量子ビットで置き換えられる。例えば、4つのリソース状態R1、R2、及びR3(点線の楕円で囲まれている)はそれぞれ、Raussendorfセルのフェース量子ビットS2となるものに少なくとも1量子ビットを寄与しており、図22Bではラベル付けされている。例えば、図22Aにおけるフェース量子ビットS2は、3つの異なるリソース状態から4量子ビットに置き換えられ、リソース状態R1は2量子ビットに寄与し、リソース状態R2は第3の量子ビットに寄与し、リソース状態R3は第4の量子ビットに寄与する。動作中、システムは、各面で2つの融合を実行する(例えば、図22Bの円2221、2222は、それぞれリソース状態R2及びR1並びにR3及びR1の寄与量子ビット間の融合を表す)。融合物がタイプII融合物である例では、4つの面量子ビット全てが測定され、それによって4つの測定結果が生成される。融合物がタイプII融合物である例では、4つの面量子ビット全てが測定され、それによって4つの測定結果が生成される。セルについてのシンドロームグラフ値は、上記の式(2)によって得られるが、ここでは、
(S)=[F1,XX(S)+F2,XX(S)]mod2 (3)
[0266]ここで、i番目の面について、F1,XX(S)は、融合1に関連付けられた量子ビット(例えば、円721によって示されるように、)に対して一括測定を行うことによって得られた測定結果であり、融合1は、XX基底で行われたタイプII融合であり、F2,XX(S)は、融合2に関連付けられた量子ビット(例えば、円722によって示されるように、)に対して一括測定を行うことによって得られた測定結果であり、融合2も、XX基底で行われたタイプII融合である。式(2)に関連して前述したX可観測値に関連する測定値と同様に、観測可能なXX(及びZZ)の融合測定値は、測定された演算子(XX及びZZ、この例では)の正又は負の固有ベクトルにそれぞれ対応する0又は1の値をとる。式(3)を考慮すると、面M(S)上の各測定値を得るために、融合測定値F1,XX(S)及びF2,XX(S)の両方に対する正しい融合結果が望ましい。しかしながら、何らかのエラーのためにいずれかの融合が失敗し、演算子の値を回復することができない場合、幾つかの実施形態では、顔の測定は失敗したと見なされ、シンドロームグラフデータの少なくとも1つの消去されたエッジをもたらす。本開示の利益を有する当業者であれば分かるように、図1A~図1Cを参照して前述したものと同様の方法で復号器によってエラーに対処することができる。当業者であれば分かるように、式(3)の本発明者らの説明がXX可観測量に注目するが、融合はまた、ZZ可観測量の測定値を生成することができ、それらの結果を式(3)のように組み合わせて独立したシンドロームグラフ日付セットを生成することもできる。幾つかの実施形態では、これら2組のシンドロームデータは、プライマル及びデュアルシンドロームグラフと呼ばれる。
[0267]図22Cは、Raussendorf格子の幾つかの単位セル上に構成されたクラスタ状態の一例を示す。MBQC手法では、このクラスタ状態全体を生成する必要があり、1つの表面境界から別の表面境界まで格子を横切って延在する状態のもつれを有する多くの量子ビットのもつれ状態を形成する。MBQC手法では、量子エラー訂正符号として機能し、したがって論理量子ビットを符号化することができるのは、この大きなもつれたクラスタ状態である。計算は、図1A~図1Cを参照して前述したように復号器に供給されるシンドロームグラフを生成するために使用される測定結果を生成するために、もつれ状態の各量子ビットに対して単一量子ビット測定を実行することによって進行する。このように、計算のエラー許容範囲を大きくするには、格子のサイズを大きくする必要があり、したがって、もつれ状態のサイズを大きくする必要がある。本明細書に開示するFBQC手法の1つ以上の実施形態では、そのような大きなもつれたクラスタ状態は必要ではなく、むしろ、より小さいリソース状態が生成され、リソース状態のサイズは、必要なエラー許容範囲とは無関係である。図22を参照して上記で詳細に説明したように、FBQC手法は、格子の各ノードを2つ以上の隣接するリソース状態間の融合のセットで置き換えることによって、任意のフォールトトレラント格子から構築することができる。格子の各ノードをリソース状態/融合部で置き換えるこの構成は、FBQC方式を取得する一例にすぎず、本開示の恩恵を受ける当業者であれば分かるように、本開示の範囲から逸脱することなく、フォールトトレラント格子からFBQC方式を構築する多くの異なる方法を採用できる。
[0268]更に、以下でより詳細に説明するように、プロセスは、以下の図23~図24で説明するように、所与のクロックサイクルでリソース状態の層を生成し、各層内で融合を実行することによって進めることができる。例えば、図22Cでは、水平方向は、x-y平面内の任意の所与の層における量子ビットの全て又はサブセットを同じクロックサイクルで生成/初期化することができるという意味で時間を表し、例えば、層1における量子ビットをクロックサイクル1で生成することができ、層2における量子ビットをクロックサイクル2で生成することができ、層3における量子ビットをクロックサイクル3で生成することができるなどである。以下でより詳細に説明するように、各層における特定のサブセット量子ビットは、必要に応じて、フォールトトレランスを可能にするために、後続の層におけるリソース状態からの量子ビットと融合するために利用可能であるように記憶/遅延することができる。
[0269]幾つかの実施形態では、所望のエラーシンドロームを生成するために、複数のより小さいもつれたリソース状態の融合から適切なシンドロームグラフを生成する格子前処理プロトコル(LPP)を設計することができる。図23~図24は、幾つかの実施形態に係る格子前処理プロトコルの一例を示す。例示の目的のために、リソース状態は、図23Aに示すリソース状態2300などの状態であるが、本開示の範囲から逸脱することなく、他のリソース状態を使用することができる。リソース状態2300は、単一量子ビットへのアダマール(Hadamard)ゲートの適用まではGHZ状態と等価である。例えば、本明細書で開示される例で使用される状態は、図23Aの2つの終端量子ビット2300a-3及び2300a-4へのアダマール(Hadamard)ゲートの適用まではGHZ状態と等価である。より具体的には、4-GHZ状態は、以下のスタビライザを有するスタビライザ状態として識別することができる:〈XXXX,ZZII,ZIZI,ZIIZ〉。図23Aに示すリソース状態2300は、このGHZ状態に密接に関連しているが、状態2300のスタビライザは〈XXZZ,ZZII,ZIXI,ZIIX〉である(演算子の順序は、量子ビット2300a-1、量子ビット2300a-2、量子ビット2300a-3、及び量子ビット2300a-4にそれぞれ対応する)。当業者であれば分かるように、4-GHZ状態及びリソース状態2300は、量子ビット2300-a3及び2300-a4上のアダマールゲートの適用下で等価である。
[0270]図23~図24の時間方向は、リソース状態2310などの形状を有するリソース状態が、同じクロックサイクル内で互いにもつれている量子ビット1、量子ビット2、及び量子ビット3と、例えば量子ビット2及び量子ビット3と時間次元でもつれている量子ビット4との集合を表すように、ページに対して垂直である。そのようなリソース状態は、例えば、単一のクロックサイクルで完全な4量子ビットリソース状態を生成し、次いで、固定期間(例えば、1クロックサイクル)にわたって量子ビット4をメモリに記憶することによって生成することができる。本明細書で使用される場合、「メモリ」という用語は、任意のタイプのメモリ、例えば、量子メモリ、量子ビット遅延線、量子ビット用のシフトレジスタ、量子ビット自体などを含む。フォトニックリソース状態の場合、これらのような量子ビットメモリは量子ビット遅延と等価であり、したがって光ファイバを使用して実装することができる。図23Cに示す例では、量子ビット4までの遅延は、量子ビットの既存の光路とインラインで配置されるが量子ビット1~3の光路には存在しない追加の光路長(例えば、光ファイバによって提供される)のループによって概略的に表される。この例では、ファイバの長さは、持続時間Tの単一クロックサイクル遅延を実装するような長さであるが、他の遅延、例えば2T、3Tなども可能である。物理的遅延時間に関して、そのような遅延は500ps~500nsの範囲内であり得るが、本開示の範囲から逸脱することなく任意の遅延が可能である。
[0271]本明細書に開示されるFBQCプロセスに戻る。図23~図24は、FBQCの格子前処理及び測定プロトコルが層に従ってどのように進行することができるかの例を示す。図23Aは、層2310(図22Cに示す層1の一部に対応する)として示されているRaussendorf格子の下層の一部を示している。ここに示す例では、図23Aに示すような層を処理するために、最初の複数のリソース状態2300が生成される(例えば、図3の量子ビットもつれシステム303において)。この例では、リソース状態2300は、4つの物理量子ビット(本明細書では量子サブシステムとも呼ばれる)、すなわち、量子ビット2300a-1、2300a-2、2300a-3、2300a-4を含むもつれ状態である。幾つかの実施形態では、リソース状態2300は、2つの終端量子ビット2300a-4及び2300a-3がアダマール演算を受けた4-GHZ状態の形態をとることができる(例えば、デュアルレール符号化量子ビットの場合、量子ビットを形成する2つのレールの間に50:50ビームスプリッタを適用することによって)。幾つかの実施形態では、層内の全ての量子ビットがこのクロックサイクルで融合を受けるわけではなく、むしろ、特定のリソース状態からこのクロックサイクル中に生成された量子ビットの一部を遅延させることができ、例えば、量子ビット2320、冗長符号化された量子ビット2305、又は任意の他の量子ビットの測定を遅延させて、量子ビットが次のクロックサイクルで利用可能になるようにすることができる。次いで、そのような遅延量子ビットは、次のクロックサイクルでの融合にのみ利用可能となるリソース状態からの1つ以上の量子ビットと融合されるために利用可能である。
[0272]フォトニック実装を使用する例では、次に、リソース状態からの量子ビットを量子ビット融合システム(例えば、図3の量子ビット融合システム305)に適切に(集積導波路、光ファイバ、又は任意の他の適切なフォトニックルーティング技術を介して)ルーティングして、量子エラー訂正を実装する融合測定値のセットを可能にする、すなわち、選択されたエラーシンドロームに対応する測定結果を収集することになる。この例は、Raussendorf格子に基づくトポロジカル符号を明示的に使用するが、本開示の範囲から逸脱することなく任意の符号を使用することができる。
[0273]図23Bは、所与の融合ゲートに送信されるべき量子ビットが互いに図式的に隣接して配置されるように、配置されたGHZリソース状態の集合、すなわち、それらが事前ルーティングされたものの一例を示す。この図において互いに隣接する量子ビットの場合、それぞれの融合を量子ビットの対の間で行うことができる(本明細書ではそれぞれの量子サブシステムとも呼ばれ、融合部位に入力された量子ビットの対からの各量子ビットは、異なるそれぞれのリソース状態に属する)。例えば、部位2302において、2つのタイプII融合測定値を適用することができ、一方は量子ビット2322と量子ビット2324との間にあり、他方は量子ビット2326と量子ビット2328との間にある。融合が実行される前に、量子ビット2322及び2324(又は量子ビット2326及び2328)は互いにもつれず、代わりにそれぞれが別個のリソース状態の一部であることに留意すべきである。したがって、融合測定が実行される前には、ラウセンドルフ格子として知られる大きなもつれたクラスタ状態は存在しない。
[0274]図24Aを参照すると、下にある符号構造の第2の層の一部が層2410(図22Cに示す層2に対応)として示されている。FBQCシステムでは、図24Bに示すような単一層を処理するために、FBQC方法は、図23A~図23Bを参照して前述したのと同じラインに沿って進むので、ここでは詳細を繰り返さない。
[0275]図25A~図25Eは、1つ以上の実施形態に係るFBQCを実行するための方法を更に詳細に示す。より具体的には、本明細書に記載の方法は、幾つかの実施形態に係る特定の量子エラー訂正符号の一括測定を実行するためのステップを含み、符号の異なる層は、図23~図24を参照して前述したように異なる時間ステップ(クロックサイクル)で生成され、量子エラー訂正を実行するために必要なシンドローム情報を抽出するために融合測定を提供するように共にもつれてもよい。本明細書で提供される他の例と同様に、例示のためにRaussendorf格子が使用されるが、本開示の範囲から逸脱することなく他の符号を使用することができる。
[0276]例えば、図25A及び図25Bは、図22CのRaussendorf格子(ここでは量子エラー訂正(QEC)符号と呼ばれる)からの層1及び3、並びに層2及び4の部分をそれぞれ示す。図25C及び図25Dは、FBQCシステムにおいてこれらの層を処理するための方法を示し、使用することができる例示的なリソース状態を含む。例として、説明は、QEC符号の頂点1、2、3、及び4に限定され、例は、FBQCシステムにおいてリソース状態生成及び測定をどのように実行するかに焦点を当てている。
[0277]図25Aに戻ると、ステップ2501において、第1のクロックサイクルの間に第1のセットのリソース状態が提供される。図25Dは、(MBQCシステムの場合のように)それらの単一量子ビットが格子を横切って相互にもつれている状態で頂点1、2、3、4、5などに提供される単一量子ビットの代わりに、それぞれが異なるもつれていないリソース状態、例えばそれぞれのリソース状態A、B、C、D、E、F、及びGに由来する2つ以上の量子ビットが提供される一例を示す。本明細書で使用される場合、表記Aijは、第i層の第Aのリソース状態から第jの量子ビットを示すために使用される。例えば、図25Dの層1の第Aのリソース状態は、示されるようにA11、A12、A13、A14とラベル付けされた4量子ビットを含むGHZ状態である。同様に、層1の一部として提供されるリソース状態Bを含む量子ビットは、B11、B12、B13、B14とラベル付けすることができる(ただし、図が煩雑になるのを避けるために、この時点ではラベルは図に明示的に示されていない)。頂点1、2、3、4、5に関連付けられたシンドローム情報を生成するために融合される量子ビットはまた、図25Dにおいて、実線の楕円1、2、3、及び4によって囲まれて示されている。本明細書で使用される場合、これらの頂点はそれぞれ、前述のように、融合部位でタイプII融合を実行するためのハードウェアに関連付けられる。
[0278]幾つかの実施形態では、任意の所与の層のリソース状態は、図3を参照して前述したような量子ビットもつれシステムによって生成/提供することができる。しかしながら、本開示の利益を有する当業者であれば分かるように、任意の量子ビットもつれシステムを使用することができ、所与の量子ビットもつれシステムが多くの異なるタイプのリソース状態生成器を使用することができ、異なるタイプのリソース状態を生成することさえできる。この意味で、FBQCシステムは、量子ビットもつれシステムのためのリソース状態の選択及びアーキテクチャの選択、又は量子ビット自体のアーキテクチャにも完全に依存せず、それにより、システム設計者は、一般的なエラー/ノイズ源に対して最高の閾値をもたらすシステムを実装するための大きな柔軟性を残す。
[0279]ステップ2503において、古典的データ(本明細書では融合パターンとも呼ばれる)の形態の融合命令が融合部位に提供される。再び図3を参照すると、例えば、融合パターンデータフレーム317は、量子アプリケーションがFBQCシステム上で実行されるときに、特定のクロックサイクル中に融合部位において異なるもつれたリソース状態からの量子ビットの対の間に適用され得る融合命令セット(例えば、XX基底でのII型融合測定値)の一例である。また前述したように、幾つかの実施形態では、幾つかの融合パターンデータフレームを古典データとしてメモリに格納することができる。幾つかの実施形態では、融合パターンデータフレームは、融合部位内の特定の融合ゲートにXXTypeII融合が適用されるか否か(又は任意の他の種類の融合が適用されるか否か)を指示することができる。更に、融合パターンデータフレームは、タイプII融合が異なる基底、例えば、XX、XY、ZZなどで実行されることを示すことができる。
[0280]図25Dに戻ると、層1の融合命令は、異なるリソース状態(量子ビットがそれぞれ別個のリソース状態に存在するか、又はその一部であるため、本明細書ではそれぞれの量子サブシステムとも呼ばれる)からの2つ以上の量子ビットを融合するための融合パラメータ(量子ビット位置及び基底)を含むことができる。例えば、融合部位1の場合、融合命令は、リソース状態A1、B1、及びC1(E1、F1、及びG1の間の部位3についても同様である)からの量子ビット間でXXタイプII融合が実行されることを示す融合パラメータを指定することができる。より具体的には、融合部位1で行われる2つのII型融合は、A14とB12との間及びC11とB13との間であると特定することができる。層内の他の融合部位についても同様の指示が提供される。例えば、融合部位2の場合、融合命令は、リソース状態B1、D1、及びF1からの量子ビット間でXXタイプII融合が実行されることを示す融合パラメータを指定することができる。より具体的には、融合部位2で行われる2つのII型融合は、B14とD12との間及びD13とF14との間であると特定することができる。しかしながら、全ての量子ビットが測定された融合部位1の場合とは異なり、融合部位2は、第2のクロックサイクルまで未測定のままである量子ビットを含む。これは、QEC格子の基礎となる構造が、異なるクロックサイクルで異なる層からの量子ビットに融合されるまで、この量子ビットの量子状態が保存されることを必要とするからであり、すなわち、これがMBQC方式である場合、この頂点に関連付けられた量子ビットは、別の層の量子ビット、例えば、それぞれ図25B及び図25Cに示される量子ビット2及び6ともつれているものになる。
[0281]図25Dに示される明示的な例に戻ると、融合命令は、D14が次のクロックサイクルまで測定されないことを指定することができ、ここで、D14は、後の層、例えば図25Eに示す層2の量子ビットから融合される。フォトニック実施態様では、光ファイバは、将来のクロックサイクルに必要とされるまで量子ビットを記憶するための信頼性の高い量子メモリとして役立つ、上記の機能のための量子ビット遅延を実施することができる。本明細書で使用される場合、これらの未測定(遅延)量子ビットは未測定量子サブシステムと呼ばれる。
[0282]融合部位4に移ると、この部位は、層間の融合、すなわち、このクロックサイクルで生成されたリソース状態からの量子ビットと、前のクロックサイクルで生成されたがその時点では測定されなかったが代わりに次のクロックサイクルまで遅延された、又は同等に記憶されたリソース状態からの量子ビットとの融合を含む例である。融合部位4の場合、融合命令は、3つの異なる層C1、B0、及びB2のリソース状態からの量子ビット間でXXタイプII融合が実行されることを示す融合パラメータを指定することができる。また、融合命令は、量子ビットC12及びC13を次のクロックサイクルまで遅延させる(測定しない)命令を含むこともできる。例えば、この場合、融合命令は、次の時間ステップにおいて、C12がB04と融合されるべきであり、C13がB21と融合されるべきであることを示すことができる。
[0283]ステップ2503において、融合命令によって指定された融合動作が実行され、それによって融合測定結果の形態の古典的なデータが生成される。図3及び式(2)を参照して前述したように、その後、この古典的なデータは復号器に渡され、量子エラー訂正に使用されるべきシンドロームグラフを構築するために使用される。
[0284]これらの例は例示である。エラー訂正符号の選択は、量子ビット融合システムの出力がシンドロームグラフを直接構築することができる古典的なデータであるように、特定のリソース状態から融合される量子ビット対のセットを決定する。幾つかの実施形態では、古典的なエラーシンドロームデータは、任意の残りの量子ビットで追加の単一粒子測定を行う必要なく、量子ビット融合システムから直接生成される。幾つかの実施形態では、量子ビット融合システムで実行される一括測定は、一括測定が実行される量子ビットを破壊する。
[0285]量子ビット及び経路符号化の導入
[0286]量子物体、例えば光子、電子、原子、イオン、分子、ナノ構造などのダイナミクスは、量子理論の規則に従う。より具体的には、量子理論では、量子物体、例えば光子の量子状態は、物理的特性のセットによって記述され、そのセット全体はモードと呼ばれる。幾つかの実施形態において、モードは、量子物体の1つ以上の特性の値(又は値の分布)を定めることによって規定される。例えば、先と同様に光子の場合、モードは、光子の周波数、光子の空間内の位置(例えば、光子がどの導波路又は導波路の重ね合わせ内を伝搬しているか)、関連する伝播方向(例えば、自由空間内の光子のkベクトル)、光子の偏光状態(例えば、光子の電場及び/又は磁場の方向(水平又は垂直))などによって定義することができる。
[0287]導波路内を伝播する光子の場合、光子の状態を離散的な時空間モードのセットの1つとして表現することが好都合である。例えば、光子の空間モードkiは、光子が伝播することができる離散導波路の有限セットのうちのいずれかに従って決定される。更に、時間モードtjは、光子が一組の離散時間期間(本明細書では「ビン」と呼ばれる)のうちのどれに存在し得るかによって決定される。幾つかの実施形態では、システムの時間離散化は、光子の生成に関与するパルスレーザのタイミングによって提供することができる。以下の例では、主に説明の複雑化を避けるために空間モードが使用される。しかしながら、当業者であれば分かるように、システム及び方法は、任意のタイプのモード、例えば、時間モード、偏光モード、及び、量子状態を定めるのに役立つ任意の他のモード又はモードのセットに適用され得る。更に、以下の説明では、光子の空間モードを規定するためにフォトニック導波路を使用する実施形態について説明する。しかしながら、本開示の利益を有する当業者であれば分かるように、本開示の範囲から逸脱することなく、任意のタイプのモード、例えば偏光モード、時間モードなどを使用できる。
[0288]区別できない複数の粒子の量子システムの場合、システム内の各粒子の量子状態を記述するのではなく、フォック状態の形式(占有数表示と呼ばれることもある)を使用して多体システム全体の量子状態を記述することが有用である。フォック状態の記述において、多体量子状態は、システムの各モードに幾つの粒子があるかによって定められる。モードは特性の完全なセットであるため、この説明で十分である。例えば、マルチモード2粒子フォック状態|1001〉1,2,3,4は、モード1の1光子、モード2の0光子、モード3の0光子、及びモード4の1光子を有する2粒子量子状態を指定する。ここでも、前述したように、モードは、量子物体の特性の任意のセットであり得る(そして量子状態を定義するために使用される単一粒子基底状態に依存し得る)。光子の場合、電磁場の任意の2つのモードを使用することができ、例えば、線形光学系で受動的に動作することができる自由度に関連するモードを使用するようにシステムを設計することができる。例えば、偏光、空間自由度、又は、角運動量を使用することができる。例えば、2粒子フォック状態|1001〉1,2,3,4によって表される4モードシステムは、4つの導波路のうちの2つ(モード1及びモード4をそれぞれ表す)が内部を移動する1つの光子を有する4つの別個の導波路として物理的に実装することができる。このような多体量子システムの状態の他の例は、1つの光子を含む各導波路を表す4光子フォック状態|1111〉1,2,3,4と、2つの光子をそれぞれ収容する導波路1及び2と、0光子を収容する導波路3及び4とを表す4光子フォック状態|2200〉1,2,3,4である。光子が存在しないモードについては、「真空モード」という用語が使用される。例えば、4つの光子フォック状態|2200〉1,2,3,4の場合、モード3及び4は、本明細書では「真空モード」(「アンシラモード」とも呼ばれる)と呼ばれる。
[0289]本明細書中で使用される場合、「量子ビット(qubit)」(又は量子ビット(quantum bit))は、情報を符号化するために使用され得る関連する量子状態を伴う物理量子システムである。量子ビットは、古典的なビットとは対照的に、0及び1などの論理値の重ね合わせである状態を有することができる。幾つかの実施形態では、量子ビットの論理値が正確に1つの光子(単一光子)による2つのモードのうちの1つの占有によって符号化されるように、量子ビットは「デュアルレール符号化」される。例えば、2つの別個の導波路に関連するフォトニックシステムの2つの空間モードを考える。幾つかの実施形態では、論理0及び1の値は、以下のように符号化することができる。
|0〉=|10〉1,2 (3)
|1〉=|01〉1,2 (4)
[0290]ここで、下付き文字「L」は、ケットが論理値(例えば、量子ビット値)を表すことを示し、上記の式(3)~(4)の右辺の表記|ij〉1,2は、第1の導波路にi個の光子及び第2の導波路にj個の光子がそれぞれあることを示す(例えば、i及びjは整数である)。この表記法では、論理値|01〉(2つの量子ビットの状態を表し、第1の量子ビットは「0」論理状態にあり、第2の量子ビットは「1」論理状態にある)を有する2量子ビット状態は、|1001〉1,2,3,4(すなわち、第1の導波路内の1個の光子、第2の導波路内の0個の光子、第3の導波路内の0個の光子、及び第4の導波路内の1個の光子である)によって4つの別個の導波路にわたる光子占有を使用して表すことができる。この開示全体を通して幾つかの例では、不必要な数学的クラッタを回避するために、様々な添字が省かれる。
[0291]XIV.LOQC導入
A.デュアルレールフォトニック量子ビット
量子ビット(及び量子ビットに対する動作)は、様々な物理システムを使用して実施することができる。本明細書に記載の幾つかの例では、導波路、ビームスプリッタ(又は方向性結合器)、フォトニックスイッチ、及び単一光子検出器を使用する一体型フォトニックシステムにおいて量子ビットが提供され、また、光子によって占有され得るモードは、導波路内の光子の存在に対応する時空間モードである。変換動作を実施するために、モードカプラ、例えば光ビームスプリッタを使用してモードを結合することができ、また、単一光子検出器を特定の導波路に結合することによって測定動作を実施することができる。この開示にアクセスする当業者であれば分かるように、本開示の範囲から逸脱することなく、任意の適切な自由度のセットによって規定されるモード、例えば偏光モード、時間モードなどを使用できる。例えば、偏光のみが異なるモード(例えば、水平(H)及び垂直(V))の場合、モードカプラが、偏光をコヒーレントに回転させる任意の光学素子、例えば波長板などの複屈折材料となり得る。イオントラップシステム又は中性原子システムなどの他のシステムの場合、モードカプラは、2つのモードを結合することができる任意の物理的機構、例えば、原子/イオンの2つの内部状態を結合するように調整されるパルス電磁場となり得る。
[0292]デュアルレール符号化を使用するフォトニック量子計算システムの幾つかの実施形態では、一対の導波路を使用して量子ビットを実装することができる。図26Aは、デュアルレール符号化フォトニック量子ビットを与えるために使用され得る一対の導波路2602,2604の一部の2つの表示(2600,2600’)を示す。2600において、光子2606は導波路2602内にあり、光子は導波路2604内になく(真空モードとも呼ばれる)、幾つかの実施形態では、これはフォトニック量子ビットの|0〉状態に対応する。2600’において、光子2608は導波路2604内にあり、光子は導波路2602内になく、幾つかの実施形態では、これはフォトニック量子ビットの|1〉状態に対応する。既知の状態のフォトニック量子ビットを前処理するために、光子源(図示せず)を導波路のうちの1つの一端に結合することができる。光子源は、それが結合される導波路内に単一光子を放出するように動作することができ、それによって既知の状態のフォトニック量子ビットを前処理する。光子は導波路を通って移動し、また、光子源を周期的に動作させることによって、その論理状態がフォトニックシステムの異なる時間モードにマッピングされる量子ビットを有する量子システムを同じ導波路対に形成することができる。更に、導波路の複数の対を与えることにより、論理状態が異なる時空間モードに対応する量子ビットを有する量子システムを形成することができる。そのようなシステム内の導波路が互いに特定の空間的関係を有する必要はないことが理解されるべきである。例えば、これらの導波路を平行に配置することができるが、必ずしも平行に配置する必要はない。
[0293]占有モードは、所望の導波路内を伝搬する光子を生成するために光子源を使用することによって形成することができる。光子源は、例えば、ヘラルド単一光子源とも呼ばれる光子対を放出する共振器ベースの光子源となり得る。そのような光子源の一例において、光子源は、非線形光学プロセス(例えば、自発的な四光波混合(SFWM)、自発的なパラメトリックダウンコンバージョン(SPDC)、第2高調波発生など)によって光子対を生成することができる光共振器のシステムに結合されるポンプ、例えば光パルスによって駆動される。多くの異なるタイプの光子源を使用することができる。光子対源の例としては、マイクロリングベースの自発的四光波混合(SPFW)ヘラルド光子源(HPS)を挙げることができる。しかしながら、使用される正確なタイプの光子源は重要ではなく、SPFW、SPDC、又は、任意の他のプロセスなどの任意のプロセスを使用する任意のタイプの光子源を使用することができる。必ずしも非線形材料を必要としない他のクラスの光子源、例えば量子ドットソース、結晶の色中心などの原子及び/又は人工原子系を使用するものも使用することができる。場合によっては、光子源は、例えば、キャビティに結合された量子ドットなどの人工原子系の場合のように、フォトニックキャビティに結合されてもされなくてもよい。光機械システムなどの他のタイプの光子源もSPWM及びSPDCに存在する。
[0294]そのような場合、光子源の動作は、所与のポンプパルスが光子対を生成してもしなくてもよいように、決定論的又は非決定論的(「確率論的」と呼ばれることもある)であり得る。幾つかの実施形態では、所定のサイクル中に1つのモードが占有される確率が1に近づくことができるようにするべく幾つかの非決定的光子源のコヒーレント空間及び/又は時間多重化(本明細書では「能動的」多重化と呼ばれる)を使用することができる。当業者であれば分かるように、空間多重化及び/又は時間多重化を組み込む多くの異なる能動的多重化アーキテクチャが想定し得る。例えば、対数ツリー、一般化マッハツェンダ干渉計、マルチモード干渉計、連鎖ソース、ダンプ・ツー・ポンプ方式の連鎖ソース、非対称多結晶単一光子源、又は、任意の他のタイプの能動的多重化アーキテクチャを使用する能動的多重化方式を使用することができる。幾つかの実施形態では、光子源は、量子フィードバック制御などを用いた能動的多重化方式を使用することができる。
[0295]測定動作は、光子が検出器によって検出されたことを示す古典信号(例えば、デジタル論理信号)を生成する単一光子検出器に導波路を結合することによって実施することができる。単一光子に対する感度を有する任意のタイプの光検出器を使用することができる。幾つかの実施形態では、(例えば、導波路の出力端における)光子の検出が占有モードを示し、一方、検出された光子の不在は非占有モードを示すことができる。幾つかの実施形態では、測定動作は特定の基底(例えば、パウリ行列の1つによって定義され、X、Y、又はZと呼ばれる基底)で実行され、後述するモード結合を適用して量子ビットを特定の基底に変換することができる。
[0296]以下に記載される幾つかの実施形態は、システムの量子状態を変換すると理解することができる、量子システムのモードを結合するユニタリ変換演算の物理的実施態様に関する。例えば、量子システムの初期状態(モード結合前)が、あるモードが確率1で占有され、別のモードが確率1で占有されていない状態である場合(例えば、数字が各状態の占有を示す、フォック記法の状態|10〉)、モード結合は、両方のモードが占有される非ゼロ確率を有する状態、例えば状態a|10〉+a|01〉をもたらすことができ、ここで、|a+|a=1である。幾つかの実施形態において、この種の動作は、モードを互いに結合するためにビームスプリッタを使用し、1つ以上のモードに位相シフトを適用するために可変位相シフタを使用することによって実施することができる。振幅a及びaは、ビームスプリッタの反射率(又は透過率)及び導入される任意の位相シフトに依存する。
[0297]図26Bは、2つのモードを結合するための概略図2610(回路図又は回路表記とも呼ばれる)を示す。モードは水平線2612,2614として描かれており、モードカプラ2616は、結合されているモードを識別するためにノード(実線ドット)で終端する垂直線によって示される。線形量子光学のより具体的な言語では、図26Bに示すモードカプラ2616は、転送行列を実装する50/50ビームスプリッタを表す。

ここで、Tは、2つのモード上の光子生成演算子の線形マップを定義する。(特定の状況では、転送行列Tは、一次虚数アダマール変換を実施するものとして理解することができる)慣例により、システムが3つ以上のモードを含む場合、転送行列の第1の列はトップモードの形成演算子(本明細書ではモード1と呼ばれ、水平線2612とラベル付けされる)に対応し、第2の列は第2のモードの形成演算子(本明細書ではモード2と呼ばれ、水平線2614とラベル付けされる)に対応し、以下同様である。より明示的には、マッピングは以下のように書くことができる。

作成演算子上の下付き文字は、操作されるモードを示し、下付き文字の入力及び出力は、ビームスプリッタの前後の作成演算子の形態をそれぞれ識別する。ここで、
[0298]例えば、図26Bに示すモードカプラの適用は、以下のマッピングをもたらす。
[0299]したがって、式(4)によって記述されるモードカプラの作用は、入力状態|10〉,|01〉及び|11〉を取ることである。
[0300]図26Cは、幾つかの実施形態に係る2つのフォトニックモードに関して式(4)の転送行列Tを実装するモード結合の物理的実装を示す。この例において、モード結合は、方向性カプラ又はモードカプラと呼ばれることもある導波路ビームスプリッタ2620を使用して実施される。導波路ビームスプリッタ2620は、一方の導波路のエバネッセント場が他方の導波路に結合することができるように2つの導波路2622,2624を十分に近接させることによって実現することができる。導波路2622,2624間の間隔d及び/又は結合領域の長さlを調整することにより、モード間の異なる結合を得ることができる。このように、導波路ビームスプリッタ2620を所望の透過率を有するように構成することができる。例えば、ビームスプリッタは、0.5(すなわち、上記で導入された転送行列Tの特定の形態を実装するための50/50ビームスプリッタ)に等しい透過率を有するように設計することができる。他の転送行列が望まれる場合、反射率(又は透過率)は、本開示の範囲から逸脱することなく、0.6より大きく、0.7より大きく、0.8より大きく、又は、0.9より大きくなるように設計することができる。
[0301]モード結合に加えて、幾つかのユニタリ変換は、1つ以上のモードに適用される位相シフトを含み得る。幾つかのフォトニック実装形態では、可変位相シフタを集積回路に実装して、複数のモードにわたって拡散される光子の状態の相対位相を制御することができる。そのような位相シフトを規定する転送行列の例は、(第2のモードに+i及び-i位相シフトをそれぞれ適用するために)以下によって与えられる。
[0302]シリカ-オン-シリコン材料の場合、幾つかの実施形態は、熱光スイッチを使用して可変位相シフタを実装する。熱光スイッチは、熱光学効果を介して導波路の温度を10-5K程度上昇させることによって屈折率nの変化をもたらすことができる、チップの表面上に製造された抵抗素子を使用する。本開示にアクセスする当業者であれば分かるように、導波路の一部の屈折率を変化させる任意の効果を使用して、可変の電気的に調整可能な位相シフトを生成することができる。例えば、幾つかの実施形態は、電気光学効果をサポートする任意の材料、いわゆるχ2及びχ3材料、例えばニオブ酸リチウム、BBO、KTP、BTO、PZTなど、更にはドープ半導体、例えばシリコン、ゲルマニウムなどに基づくビームスプリッタを使用する。
[0303]B.フォトニックモードカプラ:ビームスプリッタ
可変透過率及び出力モード間の任意の位相関係を伴うビームスプリッタは、例えば図26Dに示すように、マッハツェンダ干渉計(MZI)形態2630において方向性カプラ及び可変位相シフタを組み合わせることによって達成することもできる。デュアルレール符号化における2つのモード2632a、2632bの相対的な位相及び振幅に対する完全な制御は、位相シフタ2636a、2636b、及び2636cによって与えられる位相、並びに結合領域2634a及び2634bの長さ及び近接度を変化させることによって達成することができる。図26Eは、位相シフタ2637によって与えられる位相を変化させることによってモード2632a、2632b間の可変透過率を可能にするMZI2640のわずかに単純な例を示す。図26D及び図26Eは、物理デバイスにおいてモードカプラを実装することができる方法の例であるが、本開示の範囲から逸脱することなく、任意のタイプのモードカプラ/ビームスプリッタを使用することができる。
[0304]幾つかの実施形態では、ビームスプリッタ及び位相シフタを組み合わせて使用して、様々な転送行列を実装することができる。例えば、図27Aは、図26Aのものと同様の概略的な形態で、以下の転送行列を実装するモードカプラ2700を示す。
[0305]したがって、モードカプラ2700は、以下のマッピングを適用する。
[0306]式(10)の転送行列Tは、第2のモードでの位相シフトによって式(4)の転送行列Tに関係する。これは、モードカプラ2716が第1のモードに結合する閉ノード2707(線2712)と、モードカプラ2716が第2のモードに結合する開ノード2708(線2714)とによって、図27Aに概略的に示される。より具体的には、T=sTsであり、図27Aの右側に示すように、モードカプラ2716は、先行及び後続の位相シフト(白四角2718a、2718bで示す)を用いて、(前述したような)モードカプラ2716を使用して実装することができる。したがって、転送行列Tは、図27Bに示す物理ビームスプリッタによって実装することができ、この場合、白三角形は+i位相シフタを表す。
[0307]C.フォトニック拡散回路の例
モードカプラ及び位相シフタのネットワークを使用して、3つ以上のモード間の結合を実施することができる。例えば、図28は、4つのモード上で「スプレッダ」又は「モード情報消去」変換を実施する4モード結合方式を示し、すなわち、この方式は、入力モードのいずれか1つで光子を取り込み、光子が4つの出力モードのいずれか1つで検出される確率が等しくなるように、4つの出力モードのそれぞれの間で光子を非局在化する。(周知のアダマール変換は、スプレッダ変換の一例である。)図26Aのように、水平線2812-2815はモードに対応し、モード結合は、結合されているモードを識別するためにノード(ドット)を有する垂直線2816によって示される。この場合、4つのモードが結合される。回路表記2802は、一次モード結合のネットワークである回路図2804と等価な表示である。より一般的には、高次モード結合が一次モード結合のネットワークとして実施され得る場合、(適切な数のモードを有する)表記2802と同様の回路表記が使用され得る。
[0308]図29は、幾つかの実施形態に係る図28に概略的に示される4モード拡散変換を実施することができる光学デバイス2900の一例を示す。光学デバイス2900は、第1の材料層(図29において実線で表される)に形成される光導波路2901,2903の第1のセットと、第1の材料層(図29において破線で表される)とは異なる別個の第2の材料層に形成される光導波路2905,2907の第2のセットとを含む。第2の材料層及び第1の材料層は、基板上の異なる高さに位置する。当業者であれば分かるように、適切な低損失導波路交差が使用された場合、図29に示すような干渉計を単層で実装できる。
[0309]光導波路の第1のセットのうちの少なくとも1つの光導波路2901,2903は、任意の種類の適切な光カプラを用いて光導波路の第2のセットの光導波路2905,2907と結合される。例えば、図29に示される光学デバイスは4つの光カプラ2918,2920,2922,2924を含む。各光カプラは、2つの導波路が平行に伝搬する結合領域を有することができる。2つの導波路は、結合領域内で互いにオフセットされているものとして図29に示されるが、2つの導波路は、オフセットを伴うことなく結合領域内で互いに真上及び真下に位置されてもよい。幾つかの実施形態において、光カプラ2918,2920,2922,2924のうちの1つ以上は、2つの導波路間で約50%の結合効率(例えば、49%~51%の結合効率、49.9%~50.1%の結合効率、49.99%~50.01%の結合効率、及び、50%の結合効率など)を有するように構成される。例えば、2つの導波路の長さ、2つの導波路の屈折率、2つの導波路の幅及び高さ、2つの導波路間に位置される材料の屈折率、及び、2つの導波路間の距離は、2つの導波路間に50%の結合効率を与えるように選択される。これにより、光カプラは50/50ビームスプリッタのように動作することができる。
[0310]更に、図29に示される光学デバイスは、2つの層間光カプラ2914及び2916を含むことができる。光カプラ2914は、第1の材料層上の導波路を伝搬する光の第2の材料層上の導波路への伝送を可能にし、光カプラ2916は、第2の材料層上の導波路を伝搬する光の第1の材料層上の導波路への伝送を可能にする。光カプラ2914及び2916は、少なくとも2つの異なる層に位置される光導波路をマルチチャネル光カプラで使用できるようにし、これにより、小型のマルチチャネル光カプラが可能になる。
[0311]更に、図29に示される光学デバイスは、非結合導波路交差領域2926を含む。幾つかの実装形態において、2つの導波路(この例では2903及び2905)は、非結合導波路交差領域2926(例えば、導波路は、ほぼ90度の角度で互いに交差する2つの直線導波路となり得る)内の交差部に平行結合領域が存在することなく互いに交差する。
[0312]当業者であれば分かるように、前述の例は例示的なものであり、ビームスプリッタ及び/又は位相シフタを使用するフォトニック回路を使用して、任意の次数の実数アダマール変換及び虚数アダマール変換、離散フーリエ変換などのための変換行列を含む、多くの異なる変換行列を実装できる。本明細書で「スプレッダ」又は「モード情報消去(MIE)」回路と呼ばれるフォトニック回路の1つのクラスは、入力が1つの入力モードに局在化した単一光子である場合に、光子が出力モードのいずれか1つで検出される等しい確率を有するように、回路が幾つかの出力モードのそれぞれの間で光子を非局在化するという特性を有する。スプレッダ又はMIE回路の例は、アダマール転送行列を実装する回路を含む。(スプレッダ又はMIE回路は、1つの入力モードで局在化された単一光子ではない入力を受信することができ、そのような場合の回路の挙動は、実装される特定の転送行列に依存することが理解されるべきである。)他の例において、フォトニック回路は、1つの入力モードの単一光子に関して、異なる出力モードで光子を検出する確率が等しくない転送行列を含む他の転送行列を実装することができる。
[0313]D.例示的なフォトニック電池状態生成回路
ベル対は、ベル状態と呼ばれる任意のタイプの最大にもつれた状態の量子ビットの対である。デュアルレール符号化量子ビットの場合、ベル状態(ベル基底状態とも呼ばれる)の例には、以下が含まれる。
[0314]2つの状態を有する計算基底(例えば、論理基底)において、Greenberger-Horne-Zeilinger状態は、第2の状態にある全ての量子ビットと重ね合わされた2つの状態のうちの第1の状態にある全ての量子ビットの量子重畳である。前述した論理基底を使用して、一般的なM量子ビットGHZ状態は、以下のように書くことができる。
[0315]幾つかの実施形態において、複数のフォトニック量子ビットのもつれ状態は、2つ(又はそれ以上)の量子ビットのモードを結合して他のモードで測定を実行することによって形成することができる。例として、図30は、幾つかのデュアルレール符号化フォトニック実施形態で使用することができるベル状態生成器3000の回路図を示す。この例において、モード3032(1)-3032(4)は、最初に光子(波線で示す)によってそれぞれ占有され、モード3032(5)-3032(8)は最初は真空モードである。(当業者であれば分かるように、占有モードと非占有モードとの他の組み合わせを使用できる。)
[0316]一次モード結合(例えば、式(4)の転送行列Tを実装する)は、モードカプラ3031(1)-3031(4)によって示されるように占有モードと非占有モードとの対に対して実行される。その後、モードカプラ3037によって示されるように、モードのうちの4つのモード(モード3032(5)-3032(8))に対してモード情報消去結合(例えば、図13に示すような4モードモード拡散変換を実施する)が実行される。モード3032(5)-3032(8)は、他の4つのモード3032(1)-3032(4)でベル状態がうまく生成されたかどうかを決定するために測定されて使用される「ヘラルド」モードとして作用する。例えば、検出器3038(1)-3038(4)は、二次モードカプラ3037の後にモード3032(5)-3032(8)に結合することができる。各検出器3038(1)-3038(4)は、光子(又は検出された光子の数)を検出したかどうかを示す古典的データ信号(例えば、導体上の電圧レベル)を出力することができる。これらの出力は、古典的な出力データに基づいて他の4つのモード3032(1)-3032(4)にベル状態が存在するかどうかを判定する古典的な決定論理回路3040に結合することができる。例えば、決定論理回路3040は、単一光子がちょうど2つの検出器3038(1)-3038(4)のそれぞれによって検出された場合に限り、ベル状態が確認される(ベル状態生成器の「成功」とも呼ばれる)ように構成することができる。モード3032(1)-3032(4)は、図30に示されるように、2つの量子ビット(量子ビット1及び量子ビット2)の論理状態にマッピングすることができる。具体的には、この例では、量子ビット1の論理状態がモード3032(1)及び3032(2)の占有率に基づいており、量子ビット2の論理状態はモード3032(3)及び3032(4)の占有率に基づいている。ベル状態生成器3000の動作は非決定的であり得ることに留意すべきである。すなわち、図示のように4つの光子を入力することは、モード3032(1)-3032(4)でベル状態が生成されることを保証しない。一実施態様では、成功の確率が4/32である。
[0317]幾つかの実施形態では、複数のもつれ量子ビット(典型的には3量子ビット以上であるが、ベル状態は2量子ビットのリソース状態として理解することができる)のリソース状態を形成することが望ましい。より大きなもつれたシステムを形成するための1つの技術は、「融合」ゲートの使用によるものである。融合ゲートは2つの入力量子ビットを受け取り、そのそれぞれは典型的にはもつれたシステムの一部である。融合ゲートは、最初の2つのもつれたシステムが単一のもつれたシステムに融合されるような態様で、1つ(「タイプI融合」)又は0(「タイプII融合」)のいずれかの出力量子ビットを生成する入力量子ビットに対して「融合」演算を実行する。融合ゲートは、量子ビット間のもつれを生成するために使用することができ、フォトニックアーキテクチャに特に適している2粒子投影測定の一般的なクラスの具体例である。次に、I型及びII型の融合ゲートの例を説明する。
[0318]E.融合ゲート光回路の例
図31~図36は、タイプII融合を使用する幾つかの実施形態に従って使用することができるフォトニック量子ビットのための融合ゲート又は融合回路のフォトニック回路実装の幾つかの実施形態を示す。これらの例示的な実施形態は例示的なものであり、限定的なものではないことを理解されたい。より一般的には、本明細書で使用する場合、「融合ゲート」という用語は、2粒子投影測定、例えば、選択されたベル基底に応じて、2つの演算子、例えば演算子XX、ZZ、演算子XX、ZYなどを測定することができるベル投影を実施することができるデバイスを指す。タイプII融合回路(又はゲート)は、偏光符号化において、2つの入力モードを取り、偏光ビームスプリッタ(PBS)でそれらを混合し、次いでそれらのそれぞれを45度回転させた後、それらを計算基底で測定する。図31に一例を示す。経路符号化では、タイプII融合回路は4つのモードを取り、2番目と4番目を交換し、隣接するモードの2つの対の間に50:50ビームスプリッタを適用し、次いでそれらを全て検出する。図32に一例を示す。
[0319]融合ゲートは、量子ビットのいわゆる「冗長符号化」を利用することによって、より大きなもつれ状態の構築に使用することができる。これは、複数の光子によって表される単一量子ビットに存する。すなわち、
[0320]そのため、論理量子ビットはn個の個々の量子ビットで符号化される。これは、X基底で隣接する量子ビットを測定することによって達成される。
[0321]エッジが間にないn個の量子ビット(図33の図(b)のように)としてグラフで示されるこの符号化は、冗長量子ビットに対するパウリ測定がクラスタを分割せず、むしろ冗長符号化から測定された光子を除去し、隣接量子ビットを結合して入力量子ビットの結合を継承する1つの単一量子ビットにし、場合によっては位相を追加するという利点を有する。更に、このタイプの融合の別の利点は、それが損失耐性であることである。両方のモードが測定されるため、光子の1つが失われた場合に成功を知らせる検出パターンを取得する方法はない。最後に、タイプII融合は、2つの検出器が融合成功の通知のためにクリックする必要があり、これは各検出器における光子計数が1である場合にのみ起こり得るので、異なる光子数の間の区別を必要としない。
[0322]偏光符号化において各検出器で単一光子が検出されると、融合は50%の確率で成功する。この場合、偏光符号化は、それを介して送信される量子ビットに対してベル状態測定を効果的に実行し、論理量子ビットの対を最大限にもつれた状態に投影する。ゲートが故障すると(検出器の1つで0個又は2個の光子によって示されるように)、各光子に基づいて計算基底で測定を実行し、冗長符号化からそれらを除去するが、論理量子ビットを破壊しない。クラスタの生成における融合の効果は、図33に示されており、ここで、(a)は、量子ビットをその近傍の量子ビットと結合して単一の論理量子ビットにするべく線形クラスタ内の量子ビットの測定値をX基底で示し、(c)及び(c’)は、ゲートの成功及び失敗がクラスタの構造に及ぼす効果を示す。融合が成功すると、2次元クラスタを構築できることが分かる。
[0323]検出パターンと、状態上のゲートによって実施されるKraus演算子との間の対応関係を検索することができる。この場合、両方の量子ビットが検出されるので、これらはプロジェクタである。
[0324]最初の2つの行は「成功」結果に対応し、2つの量子ビットをベル状態に投影し、下の2つは「失敗」結果に投影し、その場合、2つの量子ビットは積状態に投影される。
[0325]幾つかの実施形態では、タイプII融合の成功確率は、補助ベル対又は単一光子の対を使用することによって高めることができる。単一のアンシラベル対又は2対の単一光子を使用すると、成功確率を75%にブーストすることができる。
[0326]融合ゲートをブーストするために使用される1つの技術は、それが成功したとき、それが入力量子ビットに対するベル状態測定と等価であるという認識に由来する。したがって、融合ゲートの成功確率を高めることは、それが実施するベル状態測定の成功確率を高めることに対応する。ベル状態を識別する確率を改善するための2つの異なる技術がGrice(ベル対を使用)及びEwert&van Loock(https://arxiv.org/pdf/1403.4841.pdf)(単一光子を使用)によって開発されている。
[0327]前者は、補助ベル対が75%の成功確率を達成することを可能にし、理論的には、任意の成功確率に達するために、ますます複雑になる干渉計及び大きなもつれ状態を使用して手順を繰り返すことができることを示した。しかしながら、回路の複雑さ及び必要なもつれ状態のサイズは、これを非実用的にする可能性がある。
[0328]第2の技術は、反対の偏光を有する2つのモードで入力される4つの単一光子を利用して、成功の確率を75%にブーストする。また、この手順を2回繰り返して78.125%の確率を得ることができることも数値的に示されているが、他の方式として成功率を任意に高めることができることは示されていない。
[0329]図34は、偏光及び経路符号化の両方において、これらの2つの技術を使用して一度ブーストされたタイプII融合ゲートを示す。両方の回路の成功確率は75%である。
[0330]融合の成功を知らせる検出パターンを、2種類の回路について以下に説明する。
[0331]融合をブーストするためにベル状態が使用される場合、「成功」検出パターンの背後にある論理は、2つの対、すなわち、入力光子モードに対応するグループ(偏光のモード1及び2並びに経路符号化のトップ4モード)及びベル対入力モードに対応するグループ(偏光のモード3及び4並びに経路符号化のボトム4モード)を考慮することによって最もよく理解される。これらをそれぞれ「メイン」及び「アンシラ」対と呼ぶ。次いで、(a)合計4個の光子が検出されるときはいつでも、融合の成功が通知され、(b)検出器の各グループにおいて4個未満の光子が検出される。
[0332]4つの単一光子が補助リソースとして使用される場合、ゲートの成功は、(a)全体で6つの光子が検出されるときはいつでも通知され、(b)各検出器で検出される光子は4個未満である。
[0333]ゲートが成功すると、2つの入力量子ビットが4つのベル対のうちの1つに投影されるが、これは補助リソースの使用によってこれらが全て互いに区別され得るからである。具体的な投影は、前述のように、得られる検出パターンに依存する。
[0334]1つのベル対及び4つの単一光子をアンシラとしてそれぞれ取るように設計されたブーストされたタイプII融合回路の両方は、アンシラが存在しない場合、又はそれらの一部のみが存在する場合(4つの単一光子アンシラの場合)、可変成功確率でタイプII融合を実施するために使用することができる。これは、利用可能なリソースに応じて、同じ回路を使用して柔軟な方法で融合を実行することを可能にするので、特に有用である。アンシラが存在する場合、それらをゲートに入力して、融合が成功する確率をブーストすることができる。しかし、そうでない場合、ゲートを使用して、より低いが非ゼロの成功確率で融合を試みることができる。
[0335]1つのベル対を使用してブーストされた融合ゲートに関する限り、考慮される唯一のケースは、アンシラが存在しないケースである。この場合、成功を通知する検出パターンの論理は、前述した対の検出器を再び考慮することによって理解することができる。(a)2つの光子が異なる検出器で検出された場合、融合は依然として成功しており、(b)「主」対の検出器で1光子が検出され、「アンシラ」対の検出器で1光子が検出される。
[0336]4つの単一光子を使用してブーストされた回路の場合、複数の修正が可能であり、アンシラの全部又は一部が除去される。これは、同じ原理に基づくブーストベル状態生成器に類似している。
[0337]まず、アンシラが全く存在しない場合を考える。予想通り、融合は、ブーストされない融合の成功率である確率50%で成功する。この場合、任意の2つの別個の検出器で2つの光子が検出されるときはいつでも融合が成功する。
[0338]ブーストされたBSGに関して、奇数個のアンシラの存在はゲートの成功確率に有害であることが判明し、1光子が存在する場合、ゲートは32.5%の時間しか成功しないが、3光子が存在する場合、成功確率は、ブーストされない場合と同様に50%である。
[0339]4つのアンシラのうち2つのみが存在する場合、2つの効果が可能である。
[0340]それらが偏光符号化における異なるモード、すなわち経路符号化におけるアンシラリモードの異なる隣接対で入力される場合、成功の確率は25%に低下する。
[0341]しかしながら、2つのアンシラが同じ偏光モードで、すなわち経路符号化における同じ隣接モード対で入力される場合、成功確率は62.5%までブーストされる。この場合、成功を通知するパターンは、検出器を2つの対、すなわち、アンシラが入力される回路の分岐の対(グループ1)及び他の分岐の対(グループ2)にグループ化することによって再び理解することができる。この区別は偏光符号化図において特に明確である。これらのグループを考慮すると、融合が成功した場合、(a)4個の光子が全体的に検出される;(b)グループ1の各検出器で4個未満の光子が検出される;(c)グループ2の各検出器で2個未満の光子が検出される。
[0342]これらの例では、融合ゲートは、成功したときに入力量子ビットを最大限にもつれた状態に投影することによって機能する。そのような状態が符号化される基底は、入力量子ビットがゲートに入る前、すなわち偏光符号化においてPBSで混合される前に入力量子ビットの局所回転を導入することによって変更することができる。光子がPBSで干渉する前に光子の偏光回転を変更すると、光子の状態が投影される異なる部分空間が得られ、クラスタ状態に対する異なる融合動作がもたらされる。経路符号化では、これは、量子ビットを構成するモードの対(上記の図の隣接する対)間の所望の回転に対応するローカルビームスプリッタ又はビームスプリッタと位相シフトとの組み合わせを適用することに対応する。
[0343]これは、成功事例及び失敗事例の両方において、異なるタイプのクラスタ動作を実施するのに有用となることができ、これは、小さなもつれ状態からの大きなクラスタ状態の構築を最適化するのに非常に有用であり得る。
[0344]図35は、2つの小さいもつれ状態を融合するために使用されるタイプII融合ゲートの幾つかの回転された変形の効果を有する表を示す。偏光符号化におけるゲート、実行された有効投影、及びクラスタ状態に対する最終的な効果の図が示されている。
[0345]異なる基底状態への回転が図36に更に示されており、これは経路符号化を使用するタイプII融合ゲート実装のためのフォトニック回路の例を示す。ZX融合、XX融合、ZZ融合、及びXZ融合のための融合ゲートが示されている。各例において、ビームスプリッタ及び位相シフタ(例えば、上記のように)の組み合わせを使用することができる。
[0346]本開示にアクセスできる当業者であれば分かるように、本明細書に記載の実施形態は例示的であり、限定的ではなく、多くの修正及び変形が可能である。実行される測定値及びそれらが作用する状態は、測定結果がフォールトトレランスを引き起こす冗長性を有するように選択することができる。例えば、符号を測定値と直接入力することができ、又は測定値の破壊性と測定値のもつれ破壊の性質の両方にフォールトトレラントな方法で直接対処する相関を測定値に生成することができる。これは、古典的な復号化の一部として扱うことができ、例えば、失敗した融合操作は、符号による消去として扱うことができる。
[0347]添付の図に関連して、メモリを含むことができる構成要素は、持続性機械可読媒体を含むことができる。本明細書で使用される「機械可読媒体」及び「コンピュータ可読媒体」という用語は、機械を特定の態様で動作させるデータの提供に関与する任意の記憶媒体を指す。上記で提供された実施形態では、様々な機械可読媒体が、実行のためにプロセッサ及び/又は他のデバイスに命令/符号を提供することに関与し得る。これに加えて又は代えて、機械可読媒体は、そのような命令/符号を記憶及び/又は搬送するために使用され得る。多くの実施において、コンピュータ可読媒体は、物理的及び/又は有形の記憶媒体である。そのような媒体は、不揮発性媒体、揮発性媒体、及び伝送媒体を含むがこれらに限定されない多くの形態をとることができる。コンピュータ可読媒体の一般的な形態は、例えば、磁気及び/又は光学媒体、パンチカード、紙テープ、孔のパターンを有する任意の他の物理媒体、RAM、プログラマブル読み出し専用メモリ(PROM)、消去可能プログラマブル読み出し専用メモリ(EPROM)、FLASH-EPROM、任意の他のメモリチップ又はカートリッジ、後述するような搬送波、又はコンピュータが命令及び/又は符号を読み取ることができる任意の他の媒体を含む。
[0348]本明細書で説明される方法、システム、及びデバイスは例である。様々な実施形態は、必要に応じて様々な手順又は構成要素を省略、置換、又は追加することができる。例えば、特定の実施形態に関して説明した特徴は、様々な他の実施形態において組み合わせることができる。実施形態の異なる態様及び要素は、同様の方法で組み合わせることができる。本明細書で提供される図の様々な構成要素は、ハードウェア及び/又はソフトウェアで実施することができる。また、技術は進化しており、したがって、要素の多くは、本開示の範囲をそれらの特定の例に限定しない例である。
[0349]ビット、情報、値、要素、記号、文字、変数、用語、数、数字などのような信号を参照することは、主に一般的な使用の理由から、時には便利であることが判明している。しかしながら、これら又は類似の用語の全ては、適切な物理量に関連付けられるべきであり、単に便利なラベルであることが理解されるべきである。特に明記しない限り、上記の説明から明らかなように、本明細書全体を通して、「処理する」、「演算する」、「計算する」、「決定する」、「確認する」、「識別する」、「関連付ける」、「測定する」、「実行する」などの用語を利用する説明は、専用コンピュータ又は同様の専用電子コンピューティングデバイスなどの特定の装置の動作又はプロセスを指すことが理解される。したがって、本明細書の文脈では、専用コンピュータ又は同様の専用電子コンピューティングデバイスは、通常、専用コンピュータ又は同様の専用電子コンピューティングデバイスのメモリ、レジスタ、又は他の情報記憶デバイス、送信デバイス、又は表示デバイス内の物理的な電子量、電気量、又は磁気量として表される信号を操作又は変換することができる。
[0350]当業者であれば分かるように、本明細書に記載されたメッセージを通信するために使用される情報及び信号は、様々な異なる技術及び技術のいずれかを使用して表され得る。例えば、上記の説明を通して参照され得るデータ、命令、コマンド、情報、信号、ビット、シンボル、及びチップは、電圧、電流、電磁波、磁場もしくは粒子、光場もしくは粒子、又はそれらの任意の組み合わせによって表され得る。
[0351]本明細書で使用される「及び」、「又は」、及び、「及び/又は」という用語は、そのような用語が使用される文脈に少なくとも部分的に依存することも予想される様々な意味を含み得る。一般に、A、B、又はCなどのリストを関連付けるために使用される場合の「又は」は、ここでは包括的な意味で使用されるA、B、及びC、並びにここでは排他的な意味で使用されるA、B、又はCを意味することを意図している。更に、本明細書で使用される「1つ以上」という用語は、単数形の任意の特徴、構造、又は特性を説明するために使用されてもよく、又は特徴、構造、又は特性の幾つかの組み合わせを説明するために使用されてもよい。しかしながら、これは単なる例示であり、特許請求される主題はこの例に限定されないことに留意すべきである。更に、「~のうちの少なくとも1つ」という用語は、A、B、又はCなどのリストを関連付けるために使用される場合、A、B、C、AB、AC、BC、AA、AAB、ABC、AABBCCCなどのA、B、及び/又はCの任意の組み合わせを意味すると解釈することができる。
[0352]本明細書を通して、「1つの例」、「一例」、「特定の例」、又は「典型的な実施」への言及は、特徴及び/又は例に関連して説明される特定の特徴、構造、又は特性が、特許請求される主題の少なくとも1つの特徴及び/又は例に含まれ得ることを意味する。したがって、本明細書全体の様々な箇所における「1つの例では」、「一例では」、「特定の例では」、「特定の実施では」という語句、又は他の同様の語句の出現は、必ずしも全てが同じ特徴、例、及び/又は限定を指すとは限らない。更に、特定の特徴、構造、又は特性は、1つ以上の例及び/又は特徴において組み合わされてもよい。
[0353]幾つかの実装形態では、動作又は処理は、物理量の物理的操作を含み得る。一般に、必ずしもそうとは限らないが、そのような量は、記憶、転送、結合、比較、又は他の方法で操作することができる電気信号又は磁気信号の形態をとることができる。ビット、データ、値、要素、シンボル、文字、用語、数字、数字などの信号を参照することは、主に一般的な使用の理由から、時には便利であることが判明している。しかしながら、これら又は類似の用語の全ては、適切な物理量に関連付けられるべきであり、単に便利なラベルであることが理解されるべきである。特に明記しない限り、本明細書の説明から明らかなように、本明細書全体を通して、「処理」、「コンピューティング」、「計算」、「決定」などの用語を利用する説明は、専用コンピュータ、専用コンピューティングデバイス、又は同様の専用電子コンピューティングデバイスなどの特定の装置の動作又はプロセスを指すことが理解される。したがって、本明細書の文脈では、専用コンピュータ又は同様の専用電子コンピューティングデバイスは、専用コンピュータ又は同様の専用電子コンピューティングデバイスのメモリ、レジスタ、又は他の情報記憶デバイス、送信デバイス、又は表示デバイス内の物理的な電子量又は磁気量として通常表される信号を操作又は変換することができる。
[0354]先の詳細な説明では、特許請求の範囲に記載される主題の完全な理解を与えるために、多数の特定の詳細について記載してきた。しかしながら、当業者であれば分かるように、特許請求の範囲に記載される主題がこれらの特定の詳細を伴うことなく実施されてもよい。他の例において、当業者に知られている方法及び装置は、特許請求の範囲に記載される主題を不明瞭にしないように詳細には説明されていない。したがって、特許請求の範囲に記載される主題が開示された特定の例に限定されず、そのような特許請求の範囲に記載される主題が添付の特許請求の範囲内に入る全ての態様及びその均等物も含み得ることが意図される。
[0355]ファームウェア及び/又はソフトウェアを含む実施態様の場合、方法論は、本明細書に記載された機能を実行するモジュール(例えば、手順、機能など)で実施され得る。命令を実体的に具現化する機械可読媒体は、本明細書に記載の方法論を実施する際に使用することができる。例えば、ソフトウェア符号は、メモリに記憶され、プロセッサユニットによって実行されてもよい。メモリは、プロセッサユニット内に実装されてもよいし、プロセッサユニットの外部に実装されてもよい。本明細書で使用される場合、「メモリ」という用語は、長期、短期、揮発性、不揮発性、又は他の記憶媒体のタイプを指し、メモリの特定のタイプ又はメモリの数又はメモリが記憶される媒体のタイプに限定されるものではない。
[0356]ファームウェア及び/又はソフトウェアに実装される場合、機能は、コンピュータ可読記憶媒体上の1つ以上の命令又は符号として記憶されてもよい。例としては、データ構造で符号化されたコンピュータ可読媒体、及びコンピュータプログラムで符号化されたコンピュータ可読媒体が挙げられる。コンピュータ可読媒体は、物理的なコンピュータ記憶媒体を含む。記憶媒体は、コンピュータによってアクセスされ得る任意の利用可能な媒体であり得る。限定ではなく例として、そのようなコンピュータ可読媒体は、RAM、ROM、EEPROM、コンパクトディスクリードオンリーメモリ(CD-ROM)もしくは他の光ディスク記憶装置、磁気ディスク記憶装置、半導体記憶装置、もしくは他の記憶デバイス、又は命令もしくはデータ構造の形態で所望のプログラム符号を記憶するために使用することができ、且つコンピュータによってアクセスすることができる任意の他の媒体を含むことができ、本明細書で使用されるディスク(disk)及びディスク(disc)は、コンパクトディスク(CD)、レーザディスク、光ディスク、デジタル多用途ディスク(DVD)、フロッピーディスク、及びブルーレイディスクを含み、ディスクは、通常、データを磁気的に再生し、ディスクはレーザを用いて光学的にデータを再生する。上記の組み合わせもまた、コンピュータ可読媒体の範囲内に含まれるべきである。
[0357]コンピュータ可読記憶媒体上の記憶に加えて、命令及び/又はデータは、通信装置に含まれる伝送媒体上の信号として提供されてもよい。例えば、通信装置は、命令及びデータを示す信号を有するトランシーバを含むことができる。命令及びデータは、1つ以上のプロセッサに、特許請求の範囲に概説されている機能を実施させるように構成される。すなわち、通信装置は、開示された機能を実行するための情報を示す信号を有する伝送媒体を含む。第1の時点で、通信装置に含まれる伝送媒体は、開示された機能を実行するための情報の第1の部分を含むことができ、第2の時点で、通信装置に含まれる伝送媒体は、開示された機能を実行するための情報の第2の部分を含むことができる。

Claims (13)

  1. 第1の量子ビットと第1のスイッチとに結合される第1の入力であって、前記第1のスイッチが、第1の出力、第2の出力、及び第3の出力を含む、第1の入力と、
    前記第1のスイッチの前記第1の出力に結合される第1の単一量子ビット測定デバイスと、
    第2のスイッチの第1の出力に結合される第2の単一量子ビット測定デバイスと、
    前記第1のスイッチの前記第2の出力と前記第2のスイッチの第2の出力とに結合される第1の2量子ビット測定デバイスと、
    前記第1のスイッチの前記第3の出力と前記第2のスイッチの第3の出力とに結合される第2の2量子ビット測定デバイスと、
    を備えるシステム。
  2. 前記第1のスイッチ及び前記第2のスイッチに結合される融合ネットワークコントローラ回路を更に備える、請求項1に記載のシステム。
  3. 前記第1の単一量子ビット測定デバイスの出力、前記第2の単一量子ビット測定デバイスの出力、前記第1の2量子ビット測定デバイスの出力、及び前記第2の2量子ビット測定デバイスの出力に結合される復号器を更に備える、請求項1に記載のシステム。
  4. 前記第1の量子ビットは、第1のリソース状態の一部として1つ以上の他の量子ビットともつれており、前記第2の量子ビットは、第2のリソース状態の一部として1つ以上の他の量子ビットともつれており、前記第1のリソース状態からの前記量子ビットのいずれも、前記第2のリソース状態からの前記量子ビットのいずれとももつれていない、請求項1に記載のシステム。
  5. 前記第1及び第2の2量子ビット測定デバイスは、前記第1の量子ビット及び前記第2の量子ビットに対して破壊的一括測定を行い、一括測定結果を表す古典的情報を出力するように構成される、請求項1に記載のシステム。
  6. 前記第1の量子ビット及び前記第2の量子ビットがフォトニック量子ビットである、請求項1に記載のシステム。
  7. 前記第1及び第2の量子ビットと前記第1及び第2のスイッチとの間の前記結合が複数のフォトニック導波路を含む、請求項6に記載のシステム。
  8. 前記第1の単一量子ビット測定デバイスは、Z基底で前記第1の量子ビットを測定するように構成される、請求項1に記載のシステム。
  9. 前記第2の単一量子ビット測定デバイスは、Z基底で前記第2の量子ビットを測定するように構成される、請求項1に記載のシステム。
  10. 前記第1の2量子ビット測定デバイスは、前記第1の量子ビットと前記第2の量子ビットとの間で投影ベル測定を実行するように構成される、請求項1に記載のシステム。
  11. 前記第2の2量子ビット測定デバイスは、前記第1の量子ビットと前記第2の量子ビットとの間で投影ベル測定を実行するように構成される、請求項1に記載のシステム。
  12. 前記投影ベル測定が線形光学タイプII融合測定である、請求項10に記載のシステム。
  13. 前記投影ベル測定が線形光学タイプII融合測定である、請求項11に記載のシステム。
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