JP2024503104A - 周辺部アンチデフォーカス光学デバイス - Google Patents

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Abstract

屈折異常を矯正するための中心部の中央ゾーンと、中央ゾーンに隣接し中央ゾーンから半径方向外側に延在する非球面の環状アンチデフォーカスゾーンとを有する、周辺眼デフォーカス矯正用コンタクトレンズまたは眼鏡レンズである。アンチデフォーカスゾーンの垂直子午線は、アンチデフォーカスゾーンの水平子午線よりも非球面度が低く、水平子午線と垂直子午線は徐々に変化するe値でブレンドされ、滑らかな光学面を形成する。【選択図】なし

Description

多くの可能性のある疾患のために視力に問題を感じる人は多い。最も一般的な視力障害の1つに、近視がある。近視は、眼の角膜のカーブが急勾配すぎる(すなわち、角膜の曲率半径が正常に比べて小さい)、または眼軸長が長すぎて十分な焦点が得られないために、眼の網膜上で適切に焦点を結ぶことができないので、眼が遠くの物体に焦点を合わせることができないという一般的な疾患である。別の疾患は、遠視として知られている。遠視の場合、眼の角膜の曲率が平坦すぎる(すなわち、角膜の曲率半径が正常に比べて大きい)、または眼軸長が短すぎて十分な焦点を合わせることができないために、眼の網膜上で適切に焦点を結ぶことができないので、眼が遠くの物体にも近くの物体にも焦点を合わせることができない。別の視力の問題として乱視があり、これは角膜の1つまたは複数の屈折面の曲率が異なるために、光線が網膜上の1点で明確に合焦できずに、ぼやけて見えてしまう。老眼は、加齢と水晶体の硬化による40歳以上の成人の最も一般的な視力の問題である。老眼の症状は、水晶体硬化症のない若年齢の成人や子供でも、視能率の問題の一部として起こることがあり、調節機能不全または不足として知られている。
視力の問題だけでなく、人間の正常な視力には、遠くと近くの作業に対する効率的な目の協働や視能率のスキルも必要である。人間の目の視能率スキルには、焦点合わせの調節、両眼の位置合わせの輻輳開散運動(vergence)、およびコードや物体の固視と追跡のための眼球運動制御という3つの要素がある。人間の目が受け取ったメッセージを脳で効果的に情報処理するためには、視力と視能率のスキルとが損なわれていないことが不可欠ある。また、3つの視能率スキルの中にも細分化されたスキルがある。十分な訓練を受けた眼科医またはECP(眼科医療従事者)は、総合的な視能率検査を行い、欠陥を発見し、管理することができる。視能率を調べる伝統的な検査としてよく知られているのが、OEP-21項目機能検査である。OEPとは、米国カリフォルニア州にあるOptometric Extension Program Foundationの略称である。眼球運動制御の評価は、NSUCO、SCCO、DEM(商標)、ReadAlyzer/ Visagraphテストなどの検査で分析することができる。ADHD/ADD(多動を伴う/伴わない注意欠陥障害)や失読症などの学習障害と視能率の関係を示す証拠が増えている。
視力矯正のアプローチには、眼鏡の着用、コンタクトレンズの装用、レーシック手術、オルソケラトロジーなどがある。視能率を改善するための従来のアプローチは通常、VT(視覚訓練)を通じて行われ、これはアイチーミング(eye teaming)のための目の制御方法を患者に教えるオペラント条件付け訓練である。VT処置は、合焦/調節ストレスを軽減するために球面レンズを使用したり、過度の偏位角によって生じる輻輳開散運動の要求を補うためにプリズム眼鏡を使用したりする。VTは通常、オペラント条件付けのスキルの自動化を構築するために、2、3ヶ月から1年間、オフィスや家庭での継続的なトレーニングが必要であるが、このスキルは後退する可能性があり、スキルを維持するために頻繁に強化する必要がある。補足的な球面またはプリズムのデバイスは、困難な症例の初期VTに役立ち得るが、アイチーミングは、追加の光学デバイスが提供する新しい焦点または輻輳開散運動の要求に適応し、短期間の症状緩和で再び悪化する可能性がある。輻輳不足(CI)、輻輳過剰(CE)、調節不全(AI)などの視能率の問題は、眼精疲労を引き起こし、近視の進行を早める可能性がある。視能率を改善することで、近視の進行を大幅に遅らせたり、止めたりすることができる。
上記にも拘わらず、視能率をより向上させる装置や手順に対するニーズは依然として残っている。
一実施形態では、本発明は、眼鏡レンズやコンタクトレンズなどのアンチデフォーカスレンズを使用して、周辺眼デフォーカスを補正することによって、視能率の向上を提供する。このレンズは、屈折誤差を補正するためのレンズ度数を有する中央部の中央ゾーン20と、この中央ゾーン20に隣接し、中央ゾーン20から半径方向外側に延びる非球面の環状アンチデフォーカス(ADF)ゾーン21とを有する。レンズの前面または後面には、それぞれe値を持つ水平子午線と垂直子午線があり、ADFゾーンでは、ADFゾーンの垂直子午線がADFゾーンの水平子午線よりも非球面度が小さい。ADFゾーン21の垂直子午線は、例えばe値がゼロであり、および/または垂直子午線のe値は水平子午線のe値の1/2以下であり得る。水平子午線と垂直子午線の間のレンズ表面の曲率は、e値が徐々に変化してブレンドされ、滑らかな光学面を形成する。一実施形態では、ADFゾーン21の垂直子午線は、中央ゾーン20と同じ度数を有する単焦点カーブであり得る。
レンズが眼鏡レンズの場合、水平子午線と垂直子午線はレンズの前面でも後面でもよく、好ましくは後面にあり得る。中央ゾーンの直径は好ましくは1.5~4.0mmであり、中央ゾーンとADFゾーンを合わせた直径は好ましくは18~28mmである。このような眼鏡レンズは、非球面であり、ADFゾーンの内側境界から半径方向外側に累進的にプラス度数になる水平子午線を有するADFゾーンを有することができ、+1.00~+20.0ディオプタのアンチデフォーカス度数(ADP)を有することができ、ここでADPは、ADFゾーン21の外周と中央ゾーン20の外周との間の度数差として定義される。このようなレンズは、遠視眼のデフォーカスの治療に有用である。近視眼のデフォーカスの治療に有用な眼鏡レンズは、非球面であり、ADFゾーンの内側境界から半径方向外側の方へ度数が徐々にマイナスになる水平子午線を有するADFゾーン21を有することができ、このADFゾーンは、-1.00~-20.0ディオプタのアンチデフォーカス度数(ADP)を有する。
レンズがコンタクトレンズである場合、中央ゾーンは好ましくは0.5~1.0mmの直径を有し、ADFゾーン21は好ましくは中央ゾーンから半径方向外側に少なくとも3~4mm延在し、中央ゾーン20と環状のADFゾーン21を合わせた直径は好ましくは6~10mmである。レンズは、例えば硬質角膜レンズ、硬質強膜レンズ、ソフトコンタクトレンズなどであり得る。このようなコンタクトレンズは、ADFゾーン21に結合されそこから半径方向外側に延在する、好ましくは2.0~5.0mmのゾーン幅を有する中間ゾーン24と、当該中間ゾーン24に結合されそこから半径方向外側に延在する、コンタクトレンズを角膜上に支承するための接続ゾーン26と、コンタクトレンズの外周に結合された周辺ゾーン28とをさらに含み得る。オルソケラトロジーの実施に使用されるコンタクトレンズの実施形態では、角膜成形を達成するために、水平子午線と垂直子午線がレンズの後面にある。
コンタクトレンズの実施形態の中央ゾーン20およびADFゾーン21の前面または後面のe値をマージして非球面の中央~ADFゾーン20~21を形成し、そのような中央~ADFゾーン20~21の水平子午線および垂直子午線を回転的に累進するe値でマージして、連続的な滑らかな非球面を有する中央~ADFゾーンを形成することができる。この実施形態では、垂直子午線のe値はゼロで、中央~ADFゾーン20~21全体にわたって単焦点度数(single-vision power)を有することができる。この実施形態における水平子午線のe値は好ましくはゼロではなく、±0.1e~±3.0eであり得る。中央~ADFゾーンの軸Xに沿った回転累進e値Eは、以下の式で導き出すことができる:
x=SIGN(XRp-)*(ABS(XR -R )1/2/d (式2.2)
ここで、XRpは、距離dの軸Xに沿って半径方向外側の点における曲率半径で、XRは次式から導かれる:
XR=HR+sin(X*(VR-HR) (式2.1)
ここで、Rはコンタクトレンズの中心での曲率半径、HRは距離dの水平子午線に沿った半径方向外側の点での曲率半径、VRは距離「1d」の垂直子午線に沿った半径方向外側の点での曲率半径である。
遠視眼のデフォーカス治療に使用されるコンタクトレンズの実施形態では、水平子午線は、レンズの中央部分から半径方向外側に徐々にプラスの度数を有し、+1.00~+30.0ディオプタのアンチデフォーカス度数(ADP)を有する。このようなレンズの水平子午線の前面は、好ましくは-0.1e~-3.0eのe値を有し、または水平子午線の後面が好ましくは+0.1e~+3.0eのe値を有する。
近視眼のデフォーカス治療に使用されるコンタクトレンズの実施形態では、水平子午線は、レンズの中央部分から半径方向外側に徐々にマイナスの度数を有し、-1.00~-30.0ディオプタのアンチデフォーカス度数(ADP)を有する。このようなレンズの水平子午線の前面は、好ましくは+0.1e~+3.0eのe値を有し、または水平子午線の後面が好ましくは-0.1e~-3.0eのe値を有する。
本発明はまた、対象者の眼の周辺部のデフォーカスを補正する上述のレンズを用いて、視能率の問題を改善または向上させる方法を提供する。視能率の問題とは、例えば、眼球運動機能障害、調節機能障害、輻輳開散運動障害、感覚適応異常などであり得る。この方法は、レンズの中央部分にある中央ゾーン20と、中央ゾーン20に隣接しそこから半径方向外側に延在するアンチデフォーカスゾーン21とを有するレンズのアンチデフォーカス度数(ADP)を決定するステップを含み得る。中央ゾーンには、屈折異常を補正するために網膜窩に中心像を形成するための中心焦点があり、決定されたADPは、周辺部の眼のデフォーカスを相殺し、周辺部の融合と視能率を改善するために、対象者の眼の周辺像を再調整するのに十分である。この方法におけるアンチデフォーカス度数(ADP)を決定するステップは、対象者のベースライン視能率データをチェックすること、対象者が経験した視能率問題のタイプに基づいてADFテストレンズを選択すること、視能率データの最大正規化を達成する最適ADPが決定されるまで、選択したADFテストレンズを低ADPから高ADPへ徐々に導入して生の眼のデフォーカス強度をテストすることをさらに含み得る。その後、最適なADPを持つ眼鏡やコンタクトレンズを対象者に提供することができる。最適なADPを決定するステップは、対象者が提供された眼鏡またはコンタクトレンズを所定期間装用した後に繰り返すことができる。両眼効率の問題を改善するため、または遠視眼のデフォーカスを有する場合の近視制御のために、ADFゾーン21の水平子午線は非球面であり、ADFゾーンの内側境界から半径方向外側に徐々にプラスの度数になり、好ましくは+1.00~+20.0ディオプタのADPを有する。
近視眼のデフォーカスを治療するために、ADFゾーン21の水平子午線は非球面であり、ADFゾーンの内側境界から半径方向外側に徐々に度数がマイナスになり、好ましくは-1.00~-20.0ディオプタのADPを有する。一実施形態では、対象者の網膜窩の両側10度(N10およびT10)で測定した周辺焦点(peripheral foci)において、相対的に前方(より近視)または後方(より遠視)に最低0.50ディオプタで、対象者の眼に実質的なアンチデフォーカス効果が誘発される。別の実施形態では、対象者の網膜窩の両側20度(N20およびT20)で測定した周辺焦点において、相対的に前方(より近視)または後方(より遠視)に最低2.00ディオプタで、対象者の眼に実質的なアンチデフォーカス効果が誘発される。
図1は、眼球の軸上像の形成を示す概略図である。 図2は、眼球の平行軸像の形成を示す概略図である。 図3は、本装置のアンチデフォーカス(ADF)コンタクトレンズの実施形態の図4の線3-3に沿った断面図である。 図4は、図3のコンタクトレンズの上側(前面)の平面図である。 図5は、図3のコンタクトレンズの下側(後面)の平面図である。 図6は、本装置の近視性アンチデフォーカス(M-ADF)オルソケラトロジーコンタクトレンズの実施形態の図7の線6-6に沿った断面図である。 図7は、図6のコンタクトレンズの平面図である。 図8は、本装置の遠視性アンチデフォーカス(H-ADF)オルソケラトロジーコンタクトレンズの実施形態の図9の線8-8に沿った断面図である。 図9は、図8のコンタクトレンズの平面図である。 図10は、本装置の眼鏡レンズの一実施形態の正面図である。 図11は、パナムの融像圏の図である。
定義
本明細書で使用される場合、以下の用語およびその変形は、その用語が使用される文脈において明らかに異なる意味で使用する場合を除いて、以下に示した意味を有するものとする。
「AC/A比」とは、調節輻輳AC(プリズム・ディオプタ単位)と調節対刺激A(ディオプタ単位)の比を意味する。この比率を決定する最も一般的な方法はグラディエント法(または勾配テスト)で、両目の前に球面レンズ(通常+1.00Dまたは-1.00D)を置いて調節力を変化させた後、近見の斜位を測定する。これはAC/A=(α-α′)/Fで表され、ここでαは近見の斜位、α′は同じ距離で度数Fのレンズを通したときの斜位である。偏差はプリズムディオプタで測定され、+は内斜視、-は外斜視を表す。
「調節機能障害」とは、眼球が光学度数を変化させたり、鮮明な像を維持したり、距離の変化に応じて対象物に焦点を合わせたりするための調節システムに問題があることである。調節機能障害には、(1)調節不足(accommodative insufficiency)、(2)調節不全(accommodative infacility)、(3)調節過多、のうちの1以上の診断を伴ういくつかの種類がある。
「加入度数(ADD)」は、レンズの遠方視屈折力と近方視屈折力との屈折力差のことである。眼鏡の場合、ADDは、角膜前部表面の前12mmにある平面で測定される。角膜前部表面により近いまたは角膜前部表面からより遠い軌跡を有する任意の他の装置の場合、ADDは、バーテックス補正式Fc=F/(1-xF)を使用して、距離に対してそれぞれ増加または減少する。この場合、Fcは頂点距離に対して矯正される度数であり、Fは元のレンズの度数であり、xは頂点距離メートルの変化である。
「アンチデフォーカス(ADF)デバイス」とは、眼鏡、ソフトコンタクトレンズ、硬質コンタクトレンズ、オルソケラトロジーレンズ、または眼内レンズなどの光学機器であって、眼の屈折異常を矯正し、網膜窩に中心焦点を形成するための中央光学ゾーン20と、中央光学ゾーン20に隣接しそこから外側にあり、後方(より長い)または前方(より短い)周辺焦点を誘発し、周辺眼デフォーカスを矯正するための周辺アンチデフォーカスゾーン21とを有する光学機器をいう。近視眼のデフォーカスを相殺するために後方(長め)の周辺焦点を誘発する近視眼用アンチデフォーカス(M-ADF)デバイスと、遠視眼のデフォーカスを相殺するために前方(短め)の周辺焦点を誘発する遠視眼用アンチデフォーカス(H-ADF)デバイスがセットされる。
ADFデバイスの「アンチデフォーカス度数」(ADP)は、(A)ADFゾーン21の最外周部(周辺部)21cと、(B)中央ゾーン20の最外周部(周辺部)20c(ADFゾーン21の内側境界部22に相当)との間の度数差、すなわちADP=A-Bである。ADPは、H-ADFデバイスでは度数がプラス、M-ADFデバイスでは度数がマイナスである。
「ADP効果」とは、人間の眼にADFデバイスを装用したときの実質的なアンチデフォーカス効果であり、ADFデバイスを装用したときの周辺屈折を、ADFデバイスを装用しないときのベースライン周辺屈折と比較する開放視野屈折計またはシャックハルトマンシステムで測定することができる。中心窩から特定の偏位角でのADP効果=A-Bである。ADPを測定するための偏位角は、通常、網膜窩の各側(鼻側と側頭側)に対して水平に10°、20°、25°、30°(度)に設定される。
「関連斜位」(Associated phoria)は、固視差をゼロにするために必要なプリズムの量として定義される。
レンズの「後面」とは、通常の用途で光がレンズから出る面をいう。例えば、コンタクトレンズの場合、後面とは、対象者が装着したときに対象者の眼に接する面のことである。
「ベースカーブ」とは、コンタクトレンズの後面の曲率をいう。
「両眼融像」とは、2つの眼が1つの両眼像で周囲の状況を認識できるようにする視覚の一種をいう。両眼融像は、眼球が固視している周辺の視覚空間のごく一部でのみ生じる。水平面内の固視点を、経験的水平ホロプタ62と呼ばれるカーブが通過する。また、経験的垂直ホロプタが、固視点より上では目から離れ、固視点より下では目に向かって傾いている。これら水平と垂直のホロプタ60は、視覚の単一性のボリュームの中心を示す。この薄く湾曲したボリューム内では、ホロプタより近い物体も遠い物体も単一に見える。このボリュームはパナムの融像圏64として知られている(図11参照)。パナムの融像圏以外では、複視が発生する。
「輻輳(convergence)」とは、物体に焦点を合わせるために眼球が内側に回転する現象であり、その回転の度合いによって、物体が近いか遠いかが脳に示される。輻輳のためには、近三徴が起こり、眼球が収斂し、調節機能が作動し、瞳孔が収縮する。
「コンタクトレンズ」とは、対象者の眼の外面に配置されるレンズである。
レンズの「曲率」または「曲率半径」は、一般的にミリメートル(mm)単位で測定され、ディオプタまたはmmで表記される。ディオプタで表す場合、曲率は適切な屈折率で特定される。例えばコンタクトレンズでは、ディオプタで表す場合、曲率を決定する際にレンズ材料の屈折率と共に空気や涙の屈折率も考慮されるが、眼鏡の場合は空気とレンズ材料の屈折率のみが必要となる。厚いレンズや眼内レンズのような他のレンズの場合、当業者に周知のように、適切な式と屈折率を使用することができる。曲率は、トポグラフィ装置または適切な屈折情報を使用した半径範囲によって決定することができる。
「デフォーカス」とは、焦点位置が光軸に沿って網膜面などの検出面から離れることをいう。一般的に、デフォーカスは画像のシャープネスとコントラストを低下させる。シャープでコントラストが高いはずのシーンのエッジが緩やかな変化となり、シーンの細かいディテールがぼやけたり、見えなくなったりする。
「DEM(商標)検査」は、発達性眼球運動検査(Developmental Eye Movement Test)のことで、縦配列の数字呼称のサブテストを組み込むもので、横配列の数字を用いて眼球運動機能を評価する手段を提供する。DEM(商標)検査は、Jack Richman,OD博士とRalph Garzia,OD博士によって開発された。
「ディオプタ」(D)とは、屈折力の単位であり、所与のレンズまたはレンズの一部の焦点距離(メートル)の逆数に等しい。
「開散」(Divergence)とは輻輳の逆であり、対象者の両眼を外側に向けて、遠くのものを見る能力のことである。このスキルは、学校で黒板を読んだり、車を運転したり、テレビを見たりするような距離のある活動に必要である。開散には近三徴の反対の現象が必要であり、すなわち眼球が発散し、調節が抑制され、瞳孔がわずかに開く。
「e値」とは、角膜の偏心を示す指標で、値がゼロの場合は完全な球面角膜であることを示す。負のe値は、平坦な中央ゾーンと急峻な中間周囲(扁平面)を示し、正のe値は、急峻な中央部が半径方向外側へと平坦になる(長円面)ことを示す。
「固視差」(Fixation disparity)とは、目が斜視の方向に流される傾向のことである。斜位または潜在斜視は、主位置または移動中の眼がストレス下でのみ固視点に維持される状態と定義され、融像のない輻輳開散運動の状態をいう。固視差とは、画像が対応する点からわずかにずれているが、正常な融像と両眼視ではまだ中心窩内にある小さなずれをいう。このずれは垂直方向、水平方向、またはその両方である。斜視は両眼視を妨げる一方、固視差は両眼視を維持するが、患者の立体視レベルを低下させ、眼精疲労を引き起こす可能性がある。
「焦点」は、物体または目標からの光線が屈折などによって集束する点のことである。
「中心窩」とは、網膜の黄斑部位の中心に位置する眼の一部のことである。中心窩は、はっきりした中心視力を担う部分であり、中心視力は、人間には、読書、テレビや映画の観賞、運転、および細部が見えることが最重要である任意の活動に必要な部分である。人間の中心窩の直径は、約1.2mm~1.5mmであり、約4~5°(光軸または視軸の両側に対して2~2.5°)の視覚に対応する。最良矯正視力(BCVA)は、約20/20である。
レンズの「前面」とは、通常の用途で光がレンズに入射する面のことである。例えば、コンタクトレンズの場合、前面とは、対象者の眼に装着された時に空気と接触する外側に面した面のことである。
「ホロプタ」とは、固視と同じ視差を持つ空間上の点の軌跡である。これは理論的には、対象者の2つの網膜の対応する点、つまり解剖学的に同一の点に投影される空間上の点として定義することができる。「理論的ホロプタ」または「ヴェイト・ミュラー円」とは、両眼の光学中心を通る理論上の幾何学的な円を意味し、この円上にある固視点に隣接する点は、理論的には対応する網膜の点に位置する。理論的ホロプタは、固視点と両眼の結節点を通る円である必要がある。「経験的ホロプタ」は、両眼の光学中心を通る実験的に決定された楕円であり、この楕円上にある固視点に隣接する点は、対応する網膜点を刺激していると知覚される。経験的ホロプタの形状は理論的ホロプタから逸脱している。
「画像シェル」とは、矯正レンズ(コンタクトレンズや眼鏡)を装用した眼の屈折システムによって作られる、焦点がはっきり合う概ね凹面の領域をいう。
「眼内レンズ」(IOL)とは、眼球に埋め込むレンズのことで、眼の水晶体に置換されるか、水晶体と共存し得る。
「調節遅れ」とは、調節刺激(40cmの目標で+2.50D)と調節反応(焦点合わせ)の差で、刺激の方が反応よりも近いことをいう。調節遅れ=(調節刺激-調節反応)で、値は正である。
「調節リード」とは、調節刺激と調節反応の差で、反応が刺激より近いことをいう。調節リード=(調節刺激-調節反応)で、値は負である。
「レンズ」は、光を収束または発散する光学要素をいい、特に対象者の組織または器官でないデバイスをいう。
「黄斑部残存」とは、黄斑として知られる視野の中心部の視力を維持する視野欠損をいう。これは、視覚野の半球に損傷がある人に現れ、両側同名半盲または同名四分盲と同時に起こる。黄斑部残存は視野検査で判断できる。黄斑とは、視野の中心の周囲約±8度の領域として定義される。1~2度以内の不随意な眼球運動があるため、患者を黄斑部残存とみなすには3度以上の領域の視力が維持されている必要がある。
「黄斑分割」は「黄斑部残存」の逆の作用で、視野の中心の半分の視力が失われる。
「子午線」とは一般に、レンズの曲面に沿って伸びる仮想の直線を指す。「水平子午線」とは、レンズ装用時に床や地面などレンズ使用者を支える面に平行な面を通る線である。「垂直子午線」とは、水平子午線に垂直であり、レンズを装用するユーザの矢状面に概ね平行な面を通って延びる線である。
「NSUCO眼球運動検査」は、NSUCO(Nova Southeastern University College of Optometry)で経験豊富な臨床医によって開発された、微細な視運動能力検査を評価するためのアプローチである。この検査を実施するために必要な器具は最小限である。
「眼球デフォーカス」とは、中心から外側に傍中居窩(Para-fovea)から網膜の周辺部まで徐々に前方(短焦点、すなわち近視性眼球デフォーカス)または後方(長焦点、すなわち遠視性眼球デフォーカス)にデフォーカスされた眼球の画像焦点(image foci)をいう。前方(近視)または後方(遠視)のデフォーカスは、光学系と眼球形状の組み合わせである。近視眼では、周辺網膜シェルが短い遠視性眼球デフォーカスが多くみられる。遠視眼では、周辺網膜シェルが長い近視性眼球デフォーカスが多くみられる。
「眼球運動機能障害」とは、固視、衝動性眼球運動、および/または追跡眼球運動に1つ以上の問題を有する、眼球運動系の問題をいう。この機能障害は、効率的な読書能力を妨げ、読解力を制限したり低下させたりする。
レンズを通過する光について説明する場合、「軸上」とは、レンズの光軸にほぼ平行な方向を指す。物体からの光がほぼ光軸上または光軸にほぼ平行な方向からレンズに入射する場合、その物体は中心物体と呼ばれ、レンズによって形成された像は中心像と呼ばれる。接眼レンズ視覚システムでは、軸上像は網膜の中心窩部分と共役である(図1参照)。
レンズを通過する光について説明する場合、「軸外」とは、レンズの光軸に実質的に平行でない方向を指すので、レンズに入射する入射光は光軸から0より大きい角度で発散する。接眼レンズ視覚システムでは、軸外像は網膜の中心窩部分外側の網膜領域、特に、傍中心窩領域または周中心窩領域と共役である(図2参照)。さらに軸外は、入射光が2°~10°の角度で視覚システムの光軸から発散して光学デバイスに入射する場合、「近軸」として定義することができる。
レンズのような光学デバイスの「光軸」とは、ある程度の回転対称性の中心となる線のことであり、装置はこの線を中心として半径方向に対称となる。
「P値」(p)とは、e値(e)からp=1-SIGN(e)という式で導かれる数量で、SIGNはe値と同じ正または負の値を示す。すなわち、e<0の場合はSIGN(e)=-1、e>0の場合はSIGN(e)=+1となる。扁長(prolate)角膜表面のp値は1.0より小さく、扁円(oblate)角膜表面のp値は1.0より大きい。完全な球面角膜のp値は1である。
「パナムの融像圏」とは、両眼単視が存在するホロプタの前方または後方の領域をいう。これは固視点で最も狭く、周辺部で広くなる(図11参照)。ホロプタを含むパナムの領域内では、機能的に正常な両眼では単一画像が見えるが、パナムの領域外では、前後に二重の画像が見える。パナムの領域外の物体はすべて複視(二重視)を引き起こす。
「傍中心窩」とは、中心窩の周囲に0.5mm半径方向外側に離間した中間領域のことであり、神経節細胞層は5列を超える数の列の細胞と最高密度の錐体視細胞とから成る。傍中心窩の最も外側のゾーンは、約8~10°(光軸または視軸の両側に対して4~5°)の視角に対応する。このゾーンにおける最良矯正視力(BCVA)は、20/50(0.4logMAR)~20/20(0logMAR)であり得る。
「周中心窩」とは、傍中心窩の周囲に1.5mmで見られる黄斑の最も外側の領域のことであり、神経節細胞層は2~4列の細胞を含み、視力が最適視力未満である場所である。最も外側の周中心窩ゾーンは、約18~20°(光軸または視軸の両側に対して9~10°)の視角に対応する。このゾーンにおける最良矯正視力(BCVA)は、20/50(0.4logMAR)~20/100(0.7logMAR)である。
眼の「周辺屈折」は、新日本NVision-K5001やグランドセイコーWR-5100Kのようなワイドビュー(またはオープンフィールド)屈折計で測定することができ、これらはワイドビューウィンドウを有し、両眼で自然にウィンドウを覗き、任意の距離と方向で固視することができるため、測定中に対象者がリラックスできる。
「斜位(phoria)」とは、両眼視が崩れ、両眼が同じものを見なくなったときにのみ現れる目のズレである。この目のズレは疲れているときに現れ始めるもので、常に生じるものではない。斜位は、カバー/カバー検査を行うことで診断できる。
「ReadAlyzer/Visagraph」はハードウェアとソフトウェアのパッケージである。これは患者の顔に正確にフィットするゴーグルを使用して、テストページ上のさまざまな視覚信号を目標とする際の眼の微小な動きをスキャンする。このゴーグルは、データ分析、表示、保存を行うソフトウェアを実行するコンピュータに接続される。
「屈折力」または「度数」とは、レンズが光を収束(または発散)させる度合いのことである。レンズの度数は、メートル単位の焦点距離の逆数に等しくD=1/fとなり、ここでDはディオプタ単位の度数、fはメートル単位の焦点距離である。「プラス度数」とは、レンズで近くのものにピントを合わせるための光の輻輳度合いをいい、「マイナス度数」とは、遠くのものにピントを合わせるための光の開散度合いをいう。
「網膜対応」とは、正常網膜対応(NRC)または異常網膜対応(ARC)のいずれかをいう。NRCは、両方の窩が対応する網膜点として連携して機能し、その結果、脳の後頭葉皮質で画像が融合される両眼視の状態である。ARCとは、斜視を補うための両眼感覚順応である。非偏位眼の中心窩と偏位眼の非中心窩(通常は傍中心窩)が連携し、両眼融像単一視が可能になる。
「硬質コンタクトレンズ」とは、眼に装着したときに角膜表面の輪郭を呈するように形状が変化しないコンタクトレンズのことである。硬質コンタクトレンズは通常、PMMA(ポリメタクリル酸メチル)、またはシリコーンアクリレート、フルオロ/シリコーンアクリレート、セルロースアセテートブチレートなどのガス透過性材料から作られ、その主なポリマー分子は一般に水を吸収したり引き寄せたりしない。
「SCCO眼球運動検査」は、SCCO(South California College of Optometry)が開発した、経験豊富な臨床医が行う細かい眼球運動能力を評価するアプローチである。この検査では、固視維持、追従、サッカードが+1~+4で採点される。
「シャックハルトマンシステム」は、眼のレンズ収差を測定するために使用することができる。高解像度のビジュアルディスプレイは、ユーザがレンズレットアレイを通して見るスポットを表示する。その後、ユーザは表示されたスポット(つまり生成された波面)をスポットが揃うまで手動でシフトさせる。このシフトの大きさが、曲率半径などの一次パラメータ、ひいては周辺デフォーカスや球面収差による誤差を推定するためのデータとなる。
「ソフトコンタクトレンズ」とは、通常、表面が角膜上に配置された時に角膜表面の輪郭になるような材料で形成されたコンタクトレンズのことである。ソフトコンタクトレンズは、一般的には、HEMA(ヒドロキシエチルメタクリラート)またはシリコンハイドロゲルポリマーのような、約20~70%の水分を含む材料で製造される。
「眼鏡」は、眼の前に装着されるレンズ付きフレームのことである。このフレームは通常、鼻梁上で、耳にかけたアームによって支えられる。
「球面収差」とは、装置または装置の一部において、光軸上の一点で全ての入射光線を集束する完璧なレンズの焦点からのずれをいう。
「立体視」とは、2つの目から得られる視覚情報に基づいて奥行きを認識することをいう。人間の眼は頭の横方向の位置が異なるため、眼窩に投影される画像は、主に物体の相対的な水平位置におけるわずかに異なる2つの画像になる。この位置の違いは画像視差と呼ばれ、視覚野で処理され奥行き知覚が得られる。立体視には両眼融像は必要であるが、その逆は不要である。
本明細書で使用される「抑制」とは、両眼で観察される2つの単眼画像の一方を全体的または部分的にキャンセルする抑制メカニズムをいう。このメカニズムの適応的価値は、錯乱や複視を避けることである。「間欠性中心抑制(ICS)」とは、正常な両眼視機能の障害で、周辺部の融合は維持されたまま、どちらか一方の眼の中心視野が「オンになったりオフになったり」することで、中心部の視覚感覚が繰り返し間欠的に失われるものである。両眼融像時の単眼抑制は、中心2~3度に限定された短い抑制周期が特徴である。単眼抑制は約2~3秒続き、その後両眼融像が約2~3秒続き、同じ眼または他方の眼が約2~3秒抑制されることがある。ICSは片眼で常に起こる場合と、両眼ICSとして交互に起こる場合がある。
「遷移型(translating)」二重焦点または多焦点コンタクトレンズとは、遠方視用および近方視用の少なくとも2つの別個の領域もしくはゾーンをそれぞれ有するレンズのことである。
「斜視(tropia)」とは、常に存在する目のズレのことである。両目が開いていて連動しようとしているときも、大きな角度のズレが見られる。斜視は、目を覆ったり、両目を交互に繰り返し覆うことによって融合を解除したときに目が移動する静止位置である。
「視力」とは、特定の光学系(例えば、レンズおよび/または眼の角膜)によって得られる焦点の鮮明さをいう。
「視角」とは、光線が視軸または光軸と成す角度であり、好ましくは主平面から測定される。
「視軸」とは、対象者の瞳孔中心を通して見える物体から人間の眼の網膜の中心窩領域まで伸びる直線のことである。
「視能率」とは、素早く追跡し、輻輳し、焦点を合わせる目の能力のことである。視能率スキルの評価には、眼球運動系、調節系、輻輳開散系、感覚系の4つの系がある。視能率は、視覚情報を適切に処理するために必要である。この領域に問題があることは、一般に視能率の問題と呼ばれる。
「輻輳開散運動障害」とは、物体の距離が変化する際に、両眼を同時に反対方向に動かして、単一の両眼視を得るまたは維持するための輻輳開散系の問題である。輻輳開散障害にはいくつかの種類があり、(1)融合性輻輳開散運動障害、(2)輻輳不足(CI)、(3)基本的外斜位、(4)開散過剰、(5)輻輳過剰(CE)、(6)基本的内斜位、(7)開散不足がある。
「視覚情報処理能力」とは、個人を取り巻く世界からの視覚情報を利用し、解釈する脳の能力を指す言葉である。光エネルギーを意味のある画像に変換するプロセスは、多くの脳構造と高次の認知プロセスによって実現する複雑なプロセスである。
用語「具える(comprise)」および「comprising」「comprises」のような用語の変形形態は、他の追加物、部品、整数またはステップを除外するものではない。用語「1つの」、「その」および本明細書で使用される同様の指示語は、文脈においてその他の意味で使用されている場合を除いて、単数および複数の両方を含めるものと解釈すべきである。

レンズの水平子午線と垂直子午線のe値を求めるには、以下の式を用いる。Rは周辺距離dにおける曲率半径、Rは中心における曲率半径、dは周辺点とレンズ中心との距離である。Eは偏心率、pはp値である。
(式1.1)
E=SIGN(R-R)*SQRT(ABS(R -R ))/d
(式1.2)
p=1-SIGN(E)* E
(式1.3)
=SQRT(R+SIGN(E)*d
軸Xに沿った不均一な回転非球面ADFゾーンは、次のように定式化することができる。Eは所定の水平方向(0~180度)のe値、Eは所定の垂直方向(90~270度)のe値、HRは水平軸に沿って距離「d」だけ半径方向外側の点の曲率半径、VRは垂直軸に沿って距離「d」だけ半径方向外側の点の曲率半径、XRは軸Xに沿って距離「d」だけ半径方向外側の点の曲率半径、Eは軸Xのe値である。
式1.3 を適用して HRとVRを計算する。
HR=SQRT(R+SIGN(E)*d
VR=SQRT(R+SIGN(E)*d
(式2.1)XR=HR+sin(X*(VR-HR
式1.1を適用してE
(式2.2)E= SIGN(XR-R)*(ABS(XR -R ))1/2/d
視能率
視能率とは、目の追従、輻輳、焦点合わせを素早く行う能力のことである。視能率は、視覚情報を適切に処理するために必要である。視力、屈折異常、眼球運動、調節力、両眼視力はすべて、視能率の重要な要因である。上記機能の1つまたは複数に異常や機能障害があると、視覚的注意に影響が生じ、学習関連の視覚障害を引き起こす可能性がある。視能率の問題、特に調節不足(AI)や輻輳不足(CI)などの両眼視機能障害は、眼精疲労や不正視を引き起こし、近視を急速に進行させる原因の1つとなり得る。
視能率と読解学習パフォーマンスとの関係について、膨大な量の研究が行われている。視能率に関する最も有名な症例分析システムは、検眼拡張プログラム(OEP-21項目)分析であり、テストは番号コードによって分類される。その他にも、判断に役立つ分析や臨床基準がいくつか提案されている。OEP分析では、近距離と遠距離の両方で、屈折、斜位偏位、輻輳開散系、および調節系を検査する。総合的な評価には、眼球運動系と感覚系のチェックも含まれ得る。
視能率を測定するスキルは、訓練された眼科医(ECP)、特に行動検眼医や眼科医(OD/OMD)によく知られている。人間の視能率における最も重要な目標は、両眼の空間的な位置関係の整列を維持し、焦点を合わせて、遠近すべての距離で単一の融合された鮮明な画像を形成することである。視能率の異常や機能障害の診断や分類は、通常、測定された機能データを、対応する項目の標準的な臨床データと比較することによって行われる。いくつかの測定項目間の相対的な大きさや範囲はまた、輻輳開散運動や調節の障害が存在するかどうかを迅速に評価するのに役立つように、OEP-21項目のグラフ分析から発展した臨床基準と照合する必要がある。限定しないがシェアード(Sheard)基準やパービカル(Pervical)基準など、視能率のクロスチェックのための標準的な臨床データや基準が、熟練のECPにはよく知られている。
視能率に問題がある可能性があるかどうかを評価するために、調節と輻輳開散運動のデータをチェックするだけでなく、感覚系を評価することで、両眼視の質をより直接的に測定することができる。臨床的には、眼科医は通常、両眼融像、固視差、網膜対応(ARCまたはNRC)、抑制、間欠的中心抑制(ICS)、および3次元立体視をチェックすることによって感覚系を評価する。
斜視または斜位は、物を見るときに両眼が正しく整列しない状態である。この症状は断続的に起こることもあれば、常に起こることもある。物体を固視する眼は、両眼で変わる場合もあるし、常に片方の眼の場合もある。偏位(deviation)は断続的または持続的に起こり得る。斜視は重大な両眼視異常であるが、通常、視能率に重大な問題を示すことはない。斜視の感覚系は通常、読書作業に支障がまったくまたは殆どないように、混乱をなくすために抑制やARCによって適応する。
一方、非斜視の視能率の問題は、著しい眼球の偏位がなければ目立たない一方で、読解力や学業成績を大きく損なう可能性がある。この明らかでない両眼視機能障害は通常、軽視されるか、注意欠陥障害(ADD/ADHD)や失読症と誤診され、早期発見と改善の機会を逃している。
経験豊富なECPは、眼の健康状態や屈折による視力のチェック、眼球運動系、調節系、輻輳開散系、感覚系の視能率スキルの評価などを含む総合的な視覚検査を行うことで、非斜視性の視能率の問題を診断することができる。発達に遅れのある子どもの場合、視覚処理スキルを調べることで、知覚スキルの欠如を発見することができる。非斜視性の視能率の問題が発見された場合は、その子はさらなる管理のために行動検眼医または眼科専門医に相談する必要があるかもしれない。治療方針には、屈折異常、調節障害、および/または斜位偏角の補正のために、眼鏡またはコンタクトレンズを処方することが含まれ得る。屈折異常や調節障害は、プラスまたはマイナスの球面度数で矯正または補正する必要があり、一方で斜位偏角や輻輳開散運動障害は、球面レンズやプリズムレンズで補助したり補正することができる。専門家は、測定された斜位角、調整力、輻輳範囲、そして最も重要な総合検査で判定された視能率の問題のタイプを操作することによって、球面度数またはプリズム度数を決定することができる。補正のために決定された球面度数やプリズム度数は、一時的にしか機能しない場合や、腕の長さだけなど限られた距離でしか機能しない場合がある。これは、提供される補正度数は通常、視覚的なストレスを軽減するものであり、効率の問題を改善したり修復したりするためのものではないからである。必要な補正球面度数やプリズム度数は通常、遠距離と近距離で異なる。補正眼鏡の助けを借りて、眼は新しい偏角に順応し、調節力や輻輳開散力の要求が軽減されるが、機能障害が時間とともに悪化する可能性がある。
視覚訓練(Visual Trainingまたは「VT」)は、視能率の問題、特に読書/学習困難や行動上の問題から不注意と判断された患者に選択される治療法である。この療法は、行動修正とバイオフィードバックを活用することで、新たな洞察と、効率的で効果的な、そして最終的には楽なアイチーミングを促進する別のアプローチを可能にするように設計されている。VTにはオフィスと自宅でのトレーニングコースが必要である。通常、改善には少なくとも3ヶ月はかかる。習得したスキルは後退する可能性があり、最初のトレーニングコース終了後も定期的にブースタートレーニングが必要である。
補正球面またはプリズム眼鏡やコンタクトレンズは、融合したクリアな両眼視を実現するための感覚系の主要領域とされる網膜の中心窩領域での中心融合を改善し、両眼像のクリアさを向上させることで視能率を補助する。通常、プラスの球面度数は、老眼や調節不足(AI)のように、腕の距離でよりクリアな近方視力を得るように、調節システムを補助するために加入される。加入されるマイナスまたはプラスの球面度数は、調節性輻輳を変更することにより輻輳開散系を変更し、偏角と両眼融像域が改善される。視能率の問題を改善するために眼鏡に球面度数を加える場合、装用者は近距離用と遠距離用の2組の眼鏡が必要になることがある。あるいは、患者は二焦点や多焦点の眼鏡やコンタクトレンズを日常の仕事や学校で使用することもある。
補正プリズムは通常、融合輻輳機能障害や輻輳不足(CI)のような、遠距離または近距離における過度の偏角の輻輳開散系を補助するために眼鏡に組み込まれる。プリズムの度数は、輻輳開散系の改善や眼の矯正のために処方されるのではなく、両眼視画像のために偏位した眼の網膜の中心窩に像全体を水平または垂直に移動させ、楽に融合を促進するために加えられる。通常、必要な軽減(relieving)プリズム度数は遠用と近用で異なるため、患者は異なる距離を見るときに眼鏡を交換する必要がある。日常生活、特に学校生活には非常に不便である。軽減プリズムは、斜位偏位を改善したり輻輳開散系を改善するものではないが、特定の距離で中心融合を改善して感覚系を満足させる。追加したプリズムに徐々に適応するにつれて斜位角が拡大し、機能不全や眼精疲労が再発する場合があり、症状を緩和するにはさらにプリズムが必要になる。
感覚系を改善し、中心窩の画像をより簡単に融合させるために、球面やプリズムの眼鏡を取り入れることができる。一方、視覚訓練(VT)は、眼外筋の融合域を拡大し、像を破壊することなく中心融合を維持することができる。換言すれば、VTはプリズムのように斜位角度を補正するために眼外筋と脳制御を訓練するものであり、VTは通常は斜位角度を改善するものではない。VT成功後のコンディショニングの向上は、定期的な強化を行わないと退行する可能性があり、眼精疲労や混乱を和らげるための何らかの抑制によって感覚系が自ら異常に適応する可能性がある。
視能率に問題がある患者は、適切に発見され対処されなければ、いくつかの方法で機能障害に適応する場合がある。視能率に問題のある子供たちの最も一般的な適応は、近見作業を避けることであり、学校では注意欠陥(ADD/ADHD)や失読症とみなされることがある。もう一つの適応は、片目を抑制し、一度に片目で見ることである。この現象は不随意的なもので、常に片目だけ抑制されることもあれば、両眼で交互に抑制されることもある。
強度の近視は、近見作業において腕の距離での強い輻輳および/または調節の必要性が軽減されるため、視能率の問題への適応として、近視がより急速に進行する場合がある。片目の抑制が常に起こっている場合、近見作業をするときに見る眼(抑制されていない眼)の近視が他方の目よりも早く進行し、不同視(anisometropic)になる可能性がある。近見作業において、より近視の目が他方の目よりもはるかに明瞭に見える場合、不同視が進むことで、視能率に問題がある場合の複視を回避する場合がある。このように、近視や不同視は、視能率の問題に対する適応となり得る。根本的な視能率の問題を無視して、近視や不同視などの誘発誤差だけを補正すると、誘発誤差は急速に悪化し、新たな適応のための補正力が低下する。子供は学校での近見作業を避けることができないため、輻輳不足(CI)を伴う近視は急速に進行することが少なくない。近視は、AIやCIの場合の激しい輻輳と調節の要求に対する適応であり、一方で遠方視用の新しい眼鏡がその適応を壊して近視がさらに進行し、腕の距離でのそれほど激しくない視覚要求に対する新しい適応を設定する必要がある。CIの場合も同じように不同視の適応が生じ、近見作業には通常より近視の眼が使われ、読書は輻輳の要求が少ない片眼だけで行われる。CIの矯正をせずに、不同視を完全に矯正する眼鏡が処方された場合、CI患者が腕の距離で読書したり仕事をしたりする労力が少なくて済む単眼視の新たな適応を達成するために、不同視が増大する可能性がある。このようなCIの場合、根本的な視能率の問題が発見され適切に改善されなければ、近見作業が多くなるにつれて、近視や不同視が急速に進行する可能性がある。
現在、両眼視機能障害は、球面レンズおよび/またはプリズムレンズで調節系と輻輳開散系に挑戦して度数範囲を決定し、球面レンズおよび/またはプリズムレンズで欠陥を補正することによって分析されている。視覚訓練は、患者にある刺激を知覚させ、適切な反応が生じるように教える条件付け訓練(VT)である。殆どの視能率の問題を永久に治すために直接改善できる生理学的または解剖学的原因はまだ分かっていない。最も一般的な輻輳開散系の問題は輻輳不足(CI)であり、有病率は2~17%、平均13%で、AC/A比が低く、近距離での外斜位が高く、正(輻輳)の輻輳域が減少し、場合によっては調節不足(AI)を伴う。CI患者に眼鏡を処方する場合、近方視力を補助するために調節遅れを補正する度数を加えると、眼球が外側に駆動され、近距離での外斜位が増加する可能性がある。CIのAC/A比は、通常(3/1~6/1)より低い。
視能率の問題に対する上述の両眼評価、補正レンズ、VTはすべて、中心窩像の融像または運動範囲を補正することを目的としている。コンタクトレンズの周辺部のみにプラス度数を加えることで、遠方視力を損なうことなく、近距離の外斜位を即時かつ大幅に軽減し、同時に近距離の調節遅れを減少させることができることを新たに発見した。つまり、従来のアイチーミングの従来の概念には教示のない、画像の周辺眼球のデフォーカスを操作することによってすべての距離の空間関係を正当化し、視能率の問題を改善することができる。
上記のコンタクトレンズを輻輳過剰(CE)の状態に使用することで、近距離での内斜視(内方偏位)を改善できることは、また別の発見である。CEはAC/Aが高く、高い内斜位で、近距離での負(開散)融合範囲の減少を特徴とし、これは従来の診断と改善のための分類におけるCIとはほぼ逆の状態である。同じ中心遠用(CD)多焦点レンズでも、CE患者の空間関係をCI患者のそれと同じように瞬時に回復できるのは皮肉なことである。感覚系は、CIとCEの両方の条件において、両眼視の融像に必要なプリズムの度数を少なくするか無くし、固視差とそれに伴う斜位が減少または消失することで、劇的に改善する。
CD多焦点レンズを使用してCIとCEの両方を治療するためには、多焦点レンズが眼の周辺部の両眼融像のための感覚系をどのように変化させるかを知る必要がある。両眼融像を理解するためには、理論的および経験的なホロプタによって定義される、単一視のパナムの融像圏を知る必要がある。両眼融像は、眼球が固視している周辺の視覚空間のごく一部でのみ生じる。水平面内の固視点を通るのは、経験的水平ホロプタと呼ばれる曲線である。また、経験的垂直ホロプタが、固視点より上では目から離れ、固視点より下では目に向かって傾いている。これら水平と垂直のホロプタは、視覚の単一性のボリュームの中心を示す。この薄く湾曲したボリューム内では、ホロプタより近い物体も遠い物体も単一に見える。このボリュームがパナム融合領域として知られ、パナム融合領域の外側では複視が発生する。
従来の視力と両眼融像は、両眼融像と立体視について最も矯正可能な視力を持つ網膜窩について定義されている。ある人物が斜視で両眼の中心像が融合できない場合、複視や単眼中心抑制、または弱視になり、これらの診断や管理は中心窩領域に帰着するのは事実である。網膜周辺部の解像度は一般的にかなり低く、矯正可能な視力もかなり悪くなる。また、周辺両眼融像を認定または定量化することも容易でないため、周辺視野は通常無視され、両眼融像には重要でないと考えられている。しかしながら、20/20以上の非常にシャープな視力があるにも拘わらず、中心視野は全視野のわずか1%であるため、99%の周辺視野とその融合はアイチーミングの両眼融像の維持に重要な役割を果たしていると考えられる。ホロプタとパナムの融像圏のモデルは、周辺融像の重要性を最も表している。パナムの領域は、固視点(中心窩)で狭く、周辺部(網膜周辺部)に向かって徐々に広くなる。ターゲットを中心に固定し、両眼の中心像を融合させるとき、視能率を高めるためには、両眼周辺視野をできるだけ広く融合させる必要がある。パナムの融像圏の配置は、網膜周辺部の解像度が低くても周辺部の融像を容易にするための適応である。周辺視野の斜光線は角膜周辺部に入射し、網膜周辺部に結像する。角膜周辺部に入射する斜光線は斜め乱視を誘発し、これは水平子午線(J)では倒乱視(ATR)、垂直子午線(J90)では直乱視となる。このようにして、周辺網膜は両眼融像のための周辺画像を認識する。したがって、網膜周辺部での画像知覚や両眼融像の特性は中心窩のそれとは大きく異なり、中心融像を検出する手法で周辺融像を検出することはより困難である。
効率的な感覚系のための質の高い融像は、中心窩の最も鮮明な中心視野と、網膜周辺部のぼやけた円環状の周辺視野があり、両者が両眼融像のためのパナムの融像圏内にあることが望ましい。両眼融像の鍵を握るのは水平方向の経験的ホロプタである。ヘリング・ヒルブランド偏差によると、水平方向の経験的ホロプタは、短い固視距離では理論的ホロプタより平坦で、遠い固視距離では凸状になる。短い固視距離では、水平の経験ホロプタは円より平らな凹放物線になる。アバシック距離と呼ばれる距離で、経験的ホロプタは直線になる。最後に、固視距離がアバシック距離より遠い場合、経験的ホロプタは凸放物線になる。換言すると、パナムの融像圏は、異なる固定面において、凹形状、直線状、凸形状になる。
パナムの融像圏の調査は、通常、視軸の三角関数的解析や空間における角度など、幾何学的にアプローチされている。一方、輻輳系と調節系が一緒になって空間内のホロプタ平面を決定し、ホロプタ空間内の網膜全体に対して鮮明な像を形成するため、調節系や焦点調節系を無視するべきではない。パナムの融像圏の幅は、両眼球の輻輳角に対応する調節の混乱(confusion of accommodation)としても知られている。近くの点を固視すると、パナムの融像圏は広くなり、網膜上の像の視差が大きくなる。つまり、周辺画像シェルがぼやけていてパナムの融像圏内で周辺像が融合しにくい場合、中心部の融像に異常がないにも拘わらず、両眼の融像が乱れたり、損なわれ易くなる。視距離が近いほど視差が大きくなり、融像の維持が難しくなる。
黄斑部は、実質的には中心4~5度の中心窩の領域であり、脳の視覚野の異なる領域に投影し、ここは網膜周辺部とは異なり、視覚野の損傷で黄斑部残存が生じる理由である。この現象はまた、中心画像と周辺画像を、融合のための2つの分離した画像シェルとみなすことができることを示している。ステレオグラムで運動融合をテストすると、中心画像は立体視で融像を維持するが、外側ボックスの周辺画像は中心像が壊れる前に乱れることに気づく。中心画像シェルは、正確な調節、感覚性融像、運動性融像を必要とする明瞭な両眼視と立体視に不可欠である。一方、黄斑を超えた網膜周辺部は、両眼中心融合の配分と安定化に重要な周辺画像シェルを形成する。
眼球の形状、角膜や水晶体などの光学系、そして像を結ぶ網膜シェルは、一般の人々によって異なる。眼球の形は、若い年齢(通常7~9歳未満)の生理的成長で変化する場合があり、その生理的な眼球の成長は、前後方向および赤道方向の寸法でほぼ均等に拡大する。近視の進行は通常、前後軸に沿って拡大するが(軸方向に伸展)、網膜周辺部への伸展は少なくなり、赤道部では殆ど伸展しない。近視の進行に伴う軸の伸長は、網膜周辺部における周辺画像の焦点をより大きく変化させる可能性がある。近視を通常の単焦点眼鏡やコンタクトレンズで矯正した場合、近視の軸伸長は、網膜の周辺部に向かって徐々に外側に増大する、相対的な遠視性の眼球デフォーカスを最終的にもたらす。市販のオートレフラクタ(例えば、新日本NVision-K5001、グランドセイコーWR-5100K、COASシャックハルトマンアベロメーター)を用いて、軸上および軸外の視角における焦点位置をマッピングすることにより、人間の眼球における周辺部のデフォーカスを客観的に検出することができる。また、MRI(磁気共鳴画像法)を用いた調査では、近視の進行に伴い、周辺部の遠視性デフォーカスが網膜シェルの変形と相関していることが発見された。高度近視眼の網膜曲率の変化は、垂直子午線よりも水平子午線、特に側頭網膜で顕著であり、これが画像シェルの著しい遠視性周辺部デフォーカスの原因となり得る。
物体が人の固視点のパナムの融像圏外にあると、物体の像が二重になり融合できなくなり、これは生理的複視と呼ばれ、中心視野でも周辺視野でも生じうる。パナムの融像圏は中心部で狭く、周辺視野に行くほど広くなる。これは解像度が低く、網膜周辺部における倒乱視画像に対応する。網膜周辺部は、角膜の周辺部に入射する斜光線によって形成されるぼやけて歪んだ像を融合させるために適応されている。読書のために両眼で近点を固視する場合、固視には中心窩(4~5)が使われ、コードを認識するが、傍中心窩、周囲窩、周辺網膜は衝動性眼球運動の再配置と両眼融合を補助する。衝動性眼球運動とは、視野のある部分から別の部分へと視線の中心を移動させる、急速で共役的な眼球運動のことである。サッカードは主に、興味のある物体に視線を向けるために使われる。読書のための両眼視は、静的な状態ではなく、眼球を素早く移動させ、数秒間停止して焦点を合わせ、鮮明な像を両眼で融合させ、それによって文字を繰り返し認識する動的なプロセスである。
従来の概念では、自由空間における正常な両眼視は、あらゆる距離で焦点を合わせるための調節系と、両眼融像のために対象物を狙うための輻輳開散系の協調によって定義され、両系統は中心窩画像の統合のためだけのものと見なされていた。中心窩は視軸の両側に1~2度の視角しかなく、これは全視野の約1%である。中心窩は最高の解像度で鮮明な視界を得るために非常に重要だが、両眼融像を維持するには十分な広さはない。中心視野を正確に揃えるには、まず周辺視野を融像できる必要がある。画像シェルがパナムの融像圏内に多くあるほど、より正確で効率的な中心画像の融像が可能になる。広い周辺画像が網膜シェルの前方(焦点が短い)または後方(焦点が長い)に焦点を合わせ、融像のためのパナムの融像圏の要件を満たすことができない場合、眼は周辺部の融合を回復し、複視や混同をなくすために、より遠くまたはより近い固視点および合焦点を求めることを余儀なくされる。周辺部の融像に必要な固視距離が遠かったり近かったりすることで、調節系や輻輳開散系の少なくとも一方が変化し、中心像がぼやけたり、中心部の融像が乱れたり損なわれたりすることがある。両眼中心融像が途絶えると(disrupted)、複視や抑制が生じる。中心融像が損なわれている(compromised)が途絶えていない場合、ICS(間欠的中心抑制)、固視差、中心像のぼやけが生じる。損なわれた画像はパナムの融像圏で融像できる場合があるが画像品質は低くなり、眼検査で固視差、ICS、調節ラグ、痙攣として検出されることがある。
つまり、中心画像シェルと周辺画像シェルの不一致は、複視を防ぐために融像可能な状態を求めて、輻輳開散系と調節系による両眼の再固視が促される。再固視の代償として、中心窩画像が乱れて視力の質が低下し、視能率の問題の一般的な症状である固視差、ICS、視界のぼやけやゆらぎなどが生じ得る。視力の質が低下すると、調節系による頻繁な焦点の調節や、頭を前後に動かすことが必要になり、視能率の問題の一般的な症状である眼球運動機能障害、眼精疲労、急速な近視進行が引き起こされる。
視標からの固視点/合焦点のずれは、OEP-21項目検査のような従来の視能率検査で、異常な外斜位/内斜位(#8と#13)、異常な相対調節を伴うSheard/Percival基準の不適合(#20-PRAまたは#21-NRA)、相対輻輳開散運動(#16A-PRV、#17A-NRV、#16B-PFV、#17B-NFV)、または調節遅れの増加(MEM網膜鏡検査、#14A-netと#15A-netの非融合クロスシリンダー検査、#14B-netと#15B-netの融合クロスシリンダー検査)として検出される。視標からの固視/合焦点のずれも眼球運動機能障害を引き起こす可能性があり、これはNSUCOテスト、SCCOテスト、DEM(商標)、ReadAlyzer/Visagraphで検出・評価することができる。
換言すれば、このイノベーションは、人間の眼球の形状と目の光学系が視能率の問題を引き起こす可能性があるという解剖光学的要因を提案し、アンチデフォーカス(ADF)光学デバイスで眼の周辺デフォーカスを前後に調整することによって測定し修正することができ、視野全体の融像を改善するために、より広い網膜シェルに合わせて画像シェルを再調整する。このアンチデフォーカス(ADF)デバイスは、網膜の中心部外側から周辺部までのパナムの融像圏の要件によく合致し、さらに、視能率の問題を軽減または排除するために、よりよい中心部の融像を促進する。
また、近視の進行が、読書用の腕の距離で周辺画像シェルが網膜シェルに合わないという同じ解剖学的不適合に起因することも新たなイノベーションである。特定の理論に縛られることなく、先行技術で述べられているように人間の眼の成長を制御するのは光学的刺激だけではなく、両眼融像の不適合が眼球の形状を変化させる主な要因である可能性がある。その証拠に、CIの子供たちの間では、特に患者がCIの近方作業を避けずに勉強をさせると、近視の進行が非常に早くなることがよくある。ADF(アンチデフォーカス)コンタクトレンズを処方して装用すると、通常、CI状態は劇的に改善し、補償プリズムやVTを使用しなくても中心融像が改善される。また、近視の進行が止まったり、遅くなったりすることもある。本発明によるADFレンズは、パナムの融像圏内に収まるように画像シェルを網膜シェル全体に再調整し、ターゲットへの正確な固視で両眼融像を改善し、前述のような従来の視能率検査で検出できる中心融像と焦点合わせをさらに容易にする。視能率の問題が改善され、眼精疲労が緩和されれば、急激な近視の進行を遅らせたり、止めたりすることができる。
視能率に問題のある患者の周辺部デフォーカスの程度を評価し、パナムの融像圏に適合する画像シェルを再調整して、中心部の融像と焦点合わせを正常化するために、段階的または漸進的な周辺前方または後方焦点を有する一連のADF光学デバイスを使用することは、さらに別のイノベーションである。ADF光学デバイスを導入する際には、周辺部の眼球デフォーカスの評価もモニターする必要がある。通常、周辺部の眼球デフォーカスや周辺部の画像シェルのずれを直接検出することは困難である。ADFデバイスによって画像のずれが補正されれば、中心窩の融像や視能率の性能をテストすることができ、これはOEP-21項目テストを繰り返すことによって行うことができるし、より簡便には、中心窩の融像を検出するために、固視差や両眼融像/立体視をモニターすることによって行うこともできる。中心部の固視差はより適切に再調整され、相対輻輳開散運動および/または相対調整の改善により、OEP-21項目検査で前述したように斜位偏差が減少する可能性がある。眼球運動機能障害を持つ被験者については、NSUCOテスト、SCCOテスト、DEM(商標)、ReadAlyzer/VisagraphをADF光学デバイスの装用前後で繰り返すことにより、改善を定量化することができる。この比較は、新しい光学系との新しいバランスを引き出す時間を確保するため、数日から数週間デバイスを装用した後に繰り返すのが好ましい。その後、検出された周辺部眼球デフォーカスを変換して、好みの眼鏡やコンタクトレンズにECPを組み込むことができる。
例えばCIやCEなど、球面レンズやプリズムレンズを使用して視能率の問題を補正する従来の方法がいくつかある。プリズム眼鏡は斜位を改善するものではないが、あまり力を入れずに両眼融像を可能にする偏向角度で両眼像を外側または内側に偏位させると、眼精疲労がしばらく軽減される場合があるが、患者は往々にして軽減プリズムに慣れてしまい、さらに偏向してより大きな斜位を示し、症状および/または抑制が再発してしまう。球面レンズは、間接的にAC/Aを通して調節力を変化させ、斜位偏差を調整し、中心融像を改善する可能性がある。しかし、球面デバイスは予め設定された距離でのみ機能し得る。設定した距離以外の視界に使用すると、視界がぼやけたり、両眼融像が壊れたりする。画像シェルと網膜シェルのずれによる視能率の問題が証明された場合、すべての距離でパナムの融像圏によりよく適合するように、周辺部ADF光学デバイスで画像シェルを修正することができる。視能率スキルを改善するための従来の方法の視覚訓練(VT)は、依然として融像範囲をさらに拡大し、被験者の融像スキルを向上させるのに役立つ可能性があり、一方で訓練後にADF光学デバイスを継続的に使用することで、訓練時間やブースターが少なくて済む。
網膜周辺部の形状により、中心から周辺部にかけて画像シェルが網膜シェルとどのように一致するかが決まる。水平子午線におけるパナムの融像圏はヘリング・ヒルブランド偏差に従い、短い固視距離では凹形状、遠い固視距離では凸形状になる。換言すれば、網膜周辺部のシェルが比較的遠視性の眼球デフォーカスを有する場合、画像シェルがパナムの融像圏に入るには、固視距離を眼球からより遠くにある必要がある。遠距離における凸状のヘリング・ヒルブランド偏差は、軸性近視の網膜形状、すなわち網膜シェルが中心から外側へ徐々に遠視性デフォーカスが生じることも示している。両眼融像のための輻輳開散系は網膜網膜シェルによって駆動され、一方、焦点合わせや調節は中心窩によって駆動される。遠視の場合は焦点距離が長くなり、近視の場合は焦点距離が短くなることが分かっている。本発明において、遠視性の眼球デフォーカスは両眼融像のための眼からの固視距離が遠く、近視性の眼球デフォーカスは両眼融像のための眼からの固視距離が短い。
ヘリング・ヒルブランド偏差は近方では凹型で、凹型のパナムの融像圏も周辺部に向かって徐々に広くなるため、近方では遠視性の眼の周辺デフォーカスが少なくなる一方、近視性の眼の周辺デフォーカスが多くなり得る。一方、パナムの融像圏のヘリング・ヒルブランド偏差は、遠方で凸で、周辺に向かって徐々に広くなり、これは遠方で遠視性の眼の周辺デフォーカスを受け入れている可能性がある。
視能率の改善
近視眼は通常、前後軸に沿って細長く、軸長が長く、網膜周辺部があまり細長くないため、球面レンズで矯正した場合、中心窩画像に焦点が合う一方、網膜後方に合焦している周辺画像がぼやける遠視性デフォーカスが形成される可能性がある。調節や単焦点レンズでは、中心窩画像が変化すると同時に焦点が合わなくなるため、眼の周辺デフォーカスは調整できない。眼球は輻輳開散系によって、周辺部融像を改善するために遠方だが鮮明な周辺画像を求めて遠方で両眼視を行い(輻輳を弱め)、周辺部の眼球デフォーカスに適応する。ホロプタ視のために遠方視することは、完璧ではないがより良い両眼融像を可能にする。中心画像と周辺画像は、再固視後の融像のためにパナムの融像圏に入り得るが、「固視差」(exoFD)、「間欠的中心抑制」(ICS)、または過度の輻輳遅れを示すように、実質的に不一致であるべきとなる。このモデルは、AC/A比の低い輻輳不足(CI)、調節遅延を伴う近方での過度の外斜位(OEP-21項目検査のMEM、#14Aと14A-net、15A、14Bと14B-net、15B)の特徴も説明する。このモデルに適した眼球形状は、近視の状態に限定されない。殆どの周辺画像シェルが網膜の後方に合焦し、両眼融像のために遠距離を固視する輻輳が少なくなるように、網膜周辺シェルが相対的に遠視のデフォーカスを有する場合、眼は正視、遠視、近視のいずれかになる。
逆のモデルは、網膜周辺シェルが過度の近視性デフォーカスを有する場合の輻輳過剰(CE)を説明するものである。遠視眼は軸長が短く、赤道が比較的広いため、球面レンズで矯正した場合、中心窩画像に焦点が合う一方、網膜前方に合焦点している周辺画像がぼやける近視性眼球デフォーカスが形成されることがある。同時に中心窩の像も焦点から外れてしまうため、眼の周辺部のデフォーカスは、調節系の弛緩や単焦点光学レンズでは調整できない。眼球は輻輳開散系によって、周辺部融像を改善するために近方だが鮮明な周辺画像を求めて近方で両眼視を行い(輻輳を強め)、周辺部の眼球デフォーカスに適応する。ホロプタ視のために近方視することは、視力のために完璧ではないがより良い両眼融像を可能にする。中心画像と周辺画像は、再固視後の融像のためにパナムの融像圏に入り得るが、「固視差」(esoFD)、「間欠的中心抑制」(ICS)、または輻輳リードを示すように、実質的に不一致であるべきとなる。このモデルは、AC/A比の高い輻輳過剰(CE)、調節過剰を伴う近方での過度の内斜位(OEP-21項目検査のMEM、#14Aと14A-net、15A、14Bと14B-net、15B)の特徴も説明する。このモデルに適した眼球形状は、遠視の状態に限定されない。殆どの周辺画像シェルが網膜の前方に合焦し、両眼融像のために近距離を固視するための輻輳が大きくなるように、網膜周辺シェルが相対的に近視のデフォーカスを有する場合、眼は正視、遠視、近視のいずれかになる。
図3~5を参照すると、コンタクトレンズ、眼鏡レンズ、またはIOLのような周辺部アンチデフォーカス(ADF)光学デバイスは、遠方視力を矯正するための屈折力を有する中心光学ゾーン20を具え、このゾーンは人間の眼の角膜面の後方約22.6mmに位置する1.5mmの中心窩領域に相当する約中心角4~5°の視角に対応する。光学デバイスの隣接する外側部分はさらに、周辺画像シェルをそれぞれ前方または後方に移動させるために、より短い焦点距離またはより長い焦点距離を有するアンチデフォーカス(ADF)ゾーン21を提供し、これは、窩遠ゾーンの4~5度を超えて、眼14の傍窩(最大10度)、窩周辺(最大20度)、および部分的な網膜周辺部に対応する少なくとも最大60度まで網膜周辺部で画像を合焦させる。
本発明の新規な方法論は、視能率の問題の診断と改善、および関連する近視の制御のために、周辺部アンチデフォーカス(ADF)デバイスを設計するために使用することができる。眼球14の中心窩領域の光学デバイスの中心度数は、常に遠方視の矯正用である。周辺部ADFゾーン21がよりプラス度数であり周辺焦点を前方に出すものである場合、遠視用アンチデフォーカス(H-ADF)レンズと呼ばれる。周辺部ADFゾーン21がよりマイナス度数であり周辺焦点を後方に寄せるものである場合、近視用アンチデフォーカス(M-ADF)レンズと呼ばれる。H-ADFレンズを用いて、輻輳不足(CI)のような遠視性眼球デフォーカスを伴う網膜周辺部の視能率の問題を検査し改善することができる。M-ADFレンズを用いて、輻輳過剰(CE)のような近視性眼球デフォーカスを伴う網膜周辺部の視能率の問題を検査し改善することができる。他のタイプの視能率の問題については、ECPはM-ADFレンズまたはH-ADFレンズのいずれかを使って検査し、問題が周辺部ADFレンズで改善できる画像の不一致によって引き起こされるかどうかを判断することができる。
本発明によるレンズのアンチデフォーカス度数(ADP)を決定するために、テストレンズのセットを使用することができる。検査セットは、コンタクトレンズでは直径0.5~1.5mm、眼鏡レンズでは直径1.5~4.0mmの遠方視用の中央光学ゾーン20を有する一連の眼鏡レンズまたはコンタクトレンズであり得る。中央光学ゾーン20には、遠方視力を矯正するための度数を追加するために、臨床使用に便利な任意の球面度数を割り当てることができる。最も一般的な選択肢は、中央の光学ゾーン20に「ゼロ度数」を適用し、ADFゾーン21が中央光学ゾーン20の外縁に隣接して、周辺部アンチデフォーカスのために徐々に外側にプラスまたはマイナスの度数を加えるものである。ADFゾーン21のベストモードは、中央光学ゾーン20の外縁から外側に向かって、徐々にプラスまたはマイナスの度数にすることである。M-ADF用眼鏡レンズの漸増(progressive)ADFゾーンは、前面で正のe値(p値<1)、または後面で負のe値(p値>1)を有し得る。一方、H-ADFレンズは、前面では負のe値(p値>1)、後面では正のe値(p値<1)となる。
コンタクトレンズに漸増ADFゾーン21を組み込むことも可能である。図3および図4を参照すると、M-ADFコンタクトレンズの漸増ADFゾーン21は、曲率31aの前面ADFゾーン21aでは正のe値(p値<1)を有し、または後面ADFゾーン21bでは負のe値(p値>1)を有する。H-ADFコンタクトレンズの漸増ADFゾーン21は、曲率31aの前面ADFゾーン21aで負のe値(p値>1)を有し、または後面ADFゾーン21bで正のe値(p値<1)を有する。しかしながら、漸増ADFゾーン21aは、コンタクトレンズ10の前面に配置され、後面は眼球表面に装着されることが好ましい。コンタクトレンズ10は、ソフトコンタクトレンズ、硬性角膜レンズ(12.4mmより小さい)、または強膜レンズ(12.5mmより大きい)であり得るが、ソフトコンタクトレンズと強膜レンズは、眼球上での動きが少なく良好なセンタリングが得られるために好ましい。
周辺眼デフォーカスのために、入射光線がどのように網膜シェル上に結像するかを決定するために、視角、視野サイズ、像のサイズを確認する必要がある。主面と共役である視角または光角は、式:θ=2*arctan(S/2D)によって計算することができ、ここでθは視角、Sは物体の線形サイズ、Dは物体から眼の主面までの距離である。角度が小さい場合、人の眼の主面と共役である像サイズまたは網膜ゾーン幅は、式:像サイズI=[(2*π*d)*θ]/360で表すことができ、ここでdは主平面から網膜までの距離、θは対象物の視角である。また、画像サイズI=[2*(arctan(θ/2))*d]で推定することもできる。像視野または入射野は、角膜頂点の前面から約5.6mm後方、または22.6mmの標準的な人間の眼の場合は網膜中心から17mm前方に位置する理論上の主平面から前方または後方に共役する必要がある。軸方向長さは、-3D近視が進むごとに1mm長くなってもよく、さらに像サイズもわずかに大きくなってよいが、通常、デバイスの設計では重要でない。
さらに、本発明の光学装置がコンタクトレンズである場合、網膜領域の視角は、コンタクトレンズまたは角膜面上のゾーン幅、つまり中心窩の前方22.6mmまたは主面の前方5.6mmに位置するゾーン幅と共役にすることができる。光学デバイスが眼鏡の場合、視角は、眼鏡上のゾーン幅、つまり角膜の前方12mm、主面の前方17.6mm、または網膜の前方34.6mmに位置するゾーン幅と共役にすることができる。ゾーン幅を視角と共役にするには、1°は円の1/360であり、1メートルの距離の17.5mmゾーン、または40cmの読書距離の7mmゾーン、または主面の前方17.6mmである眼鏡距離の0.31mmゾーン、また主面の前方5.6mmである角膜またはコンタクトレンズ表面の0.1mmゾーンと共役になる。
下記の表1に示すように、4~5度の中心窩はコンタクトレンズ面上の0.5±0.1mmゾーン、眼鏡面上の1.55±0.2mmのゾーンに共役である。傍中心窩の9~10°のスパンは、コンタクトレンズ上の0.85±0.1mmの環状ゾーンまたは眼鏡面上の2.6±0.3mmの環状ゾーンと共役である。周中心窩の18~20°のスパンは、コンタクトレンズ面上の1.8±0.2mmの環状ゾーンまたは眼鏡面上の5.5±0.5mmの環状ゾーンと共役である。
Figure 2024503104000001
中心窩領域と共役なゾーンは中央ゾーンを形成し、傍中心窩および窩周辺部と網膜周辺部の一部と共役な環状ゾーンは光学デバイス上のADFゾーンを形成する。この環状ゾーンは、円形には限定されない。所望の視角について視軸または光軸の各側に共役してアンチデフォーカス機能を有する形状であればどのようなものでもよい。したがって、中心および周辺画像シェルの不一致を検査し、眼球デフォーカスの前後方向を特定し、視能率の問題を改善するために必要なアンチデフォーカス度数(ADP)を定量化するADF光学デバイスを設計するのは非常に簡単である。
遠視性眼球デフォーカス検査用眼鏡レンズでは、中央光学ゾーンはゼロ度数で、直径1.5~4.0mm、中央光学ゾーンの各側に環状H-ADFゾーンを8~12mm、合計直径18~28mmとし、12~14mmの頂点距離で使用するのが好ましい。H-ADFゾーン21は、前面ではマイナスe値(p値>1)、後面ではプラスe値(p値<1)とし、半径方向外側に徐々にプラス度数とすることができる。アンチデフォーカス(ADP)の強度は、±0.1e~±2.0eの間の勾配e値で制御することができる。中央光学ゾーン20のゼロ度数は、患者の補正度数に上乗せして、遠方視の補正度数を変えることなく周辺部眼球デフォーカスを検査するため使用することができる。
近視性眼球デフォーカス検査用眼鏡レンズでは、中央光学ゾーンはゼロ度数で、直径1.5~4.0mm、中央光学ゾーンの各側に環状M-ADFゾーンを8~12mm、合計直径18~28mmとし、12~14mmの頂点距離で使用するのが好ましい。M-ADFゾーン21は、前面ではプラスe値(p値<1)、後面ではマイナスe値(p値>1)とし、半径方向外側に徐々にマイナス度数とすることができる。アンチデフォーカス度数(ADP)の強度は、±0.1e~±2.0eの間の勾配e値で制御することができる。中央光学ゾーンのゼロ度数は、患者の補正度数に上乗せして、遠方視の補正度数を変えることなく周辺部近視性眼球デフォーカスを検査するため使用することができる。
遠視性眼球デフォーカス検査用コンタクトレンズでは、中央光学ゾーンは0.5~1.0mmの直径で、中央光学ゾーンの各側に3~4mmの環状H-ADFゾーンを有し、中央~ADFゾーンの総直径が6~10mmとするのが好ましく、角膜に使用する。H-ADFゾーン21は、ゾーン21aについては前面がマイナスe値(p値>1)、ゾーン21bについては後面がプラスe値(p値<1)とし、半径方向外側に徐々にプラス度数とすることができる。コンタクトレンズ10の前面にADFゾーン21aを組み込む一方で、後面は角膜表面12にフィットするようにのみ残すことが好ましい。アンチデフォーカス度数(ADP)の強度は、±0.1e~±3.0eの間の勾配e値で制御することができる。中央光学ゾーン20のゼロ度数は、遠方視の矯正度数を変えることなく、トライアルフレームで過屈折させるのに便利である。
近視性眼球デフォーカス検査用コンタクトレンズでは、中央光学ゾーンは0.5~1.0mmの直径で、中央光学ゾーンの各側に3~4mmの環状M-ADFゾーンを有し、中央~ADFゾーンの総直径が6~10mmとするのが好ましく、角膜に使用する。M-ADFゾーン21は、前面21aではプラスe値(p値<1)、後面21bではマイナスe値(p値>1)とし、半径方向外側に徐々にマイナス度数とすることができる。コンタクトレンズ10の前面21aにADFゾーン21を組み込む場合、後面は角膜表面12にフィットするようにのみ残すことが好ましい。アンチデフォーカス度数(ADP)の強度は、±0.1e~±3.0eの間の勾配e値で制御することができる。中央光学ゾーン20のゼロ度数は、遠方視の矯正度数を変えることなく、トライアルフレームで過屈折させるのに便利である。
両眼視機能障害を特定するための検査手順は、訓練を受けたECPが診断に必要な情報を得るために実施することができる。ADFレンズを導入する前に、検査をガイドし、ベースラインの視能率データを記録するためにチェックリスト(表2)を提供することができる。
Figure 2024503104000002
遠近解離斜位の輻輳開散系(#8,#13)、融像域(#10,#11,#16,#17)、調節系の調節遅れ(#14,#15)、調節度数(#19)、調節機能、および固視差、関連する斜位またはICSなどの感覚系は、アンチデフォーカス効果をさらに評価するための最も重要な項目である。感覚系は、ADFレンズの検査において最も敏感な指標である。最初の検査で感覚系に著しい異常が認められない場合、輻輳開散系が代替指標となり得る。最初の検査で調節機能障害が認められ、周辺部ADFデバイスで改善できる場合、輻輳系が補助的な指標となり得る。
ADFテストレンズは、上述のように一連の眼鏡レンズでもコンタクトレンズでもあり得る。ADP勾配を有するADF眼鏡レンズを、トライアルフレームと使用するルーストライアルレンズ、または迅速な操作のために回転ディスクのフォロプタ(phoropter)または同様のデバイスに取り付けるアクセサリで作ることができる。フォロプタに取り付けるアクセサリは、レンズを交換する間の非常に短い時間経過による微妙な変化を容易に比較するために好ましく、また、周辺部眼球デフォーカスの検査において重要なことに、ADF眼鏡レンズの中央光学ゾーンを介して目が確実に見える。検査用の勾配ADP付きADFコンタクトレンズは、中央光学ゾーンを確実に視軸に合わせることができるが、コンタクトレンズを交換する際の時間が長くなり、利便性が低下する。ADF眼鏡レンズで迅速な調査を行い、ADFコンタクトレンズを適用して、視能率の問題を改善するために処方されるべきアンチデフォーカス強度を確認することが望ましい。最大の効果が現れるまでには、数日から数週間かかる場合がある。ECPは、前述の検査装置で最初に取得したADPに従って少なくとも2~4週間自宅で使用するコンタクトレンズを処方し、ベースライン視能率データと比較して輻輳開散系、調節系、または感覚系を再チェックし、視能率の問題を最適に改善するためにADPを微調整することができる。
感覚系が指標として利用できる場合、眼球デフォーカスをチェックする手順は以下のようになる。固視差カードまたはデバイスを検査距離に置き、#7または老眼患者用#14A-net/#14B-netの矯正度数をコントロールとして適用し、ADF眼鏡レンズ(中央ゾーンはゼロ度数)を矯正度数の低いADP(低い±e値)から高いADP(高い±e値)へと徐々に導入して強制度数に上乗せし、安定したゼロ視差または最大正常化するまで固視差/関連斜位をチェックする。最後に、遠方視力がADFレンズによって損なわれていないことを確認するため、遠方での両眼の融像/抑制を再確認し、特定された生の眼球デフォーカス強度を記録する。輻輳開散系を指標とする場合は、ADFレンズを導入しながら近用解離性斜位(#13)を、#13が正常範囲に減少するまで連続的にモニターし、垂直解離プリズムを外して融像範囲(#16、#17)を再チェックし、シアードまたはパーシバル基準の残存斜位(#13)と照合する。基準を満たすか著しく改善された場合、遠方視力がADFレンズで損なわれていないことを確認するため、遠方の両眼融像/抑制を再チェックし、得られた生の眼球デフォーカス強度を記録する。この生の眼球デフォーカス強度を使用して、中央光学ゾーンの度数がゼロの検査用ADFコンタクトレンズ対を選択し、診察室で残る眼球デフォーカスをすぐに微調整することができる。あるいは、生の眼性デフォーカス強度に基づいてADF眼鏡またはコンタクトレンズを処方して配送し、数週間後に度数とADF強度を微調整するためにクリニックに戻すようにしてもよい。視覚訓練(VT)を行い、調整や融像の範囲が変化した場合など、微調整が必要な場合もこの手順を繰り返すことができる。
矯正用の周辺部アンチフォーカスデバイスは、対のコンタクトレンズ、眼鏡レンズ、オルソケラトロジーレンズ、眼内レンズ(IOL)などであり得るが、好ましいデバイスはコンタクトレンズ、特にまばたき時の動きが少ないソフトコンタクトレンズや強膜レンズである。また、本方法およびデバイスは、角膜を一時的に再形成するオルソケラトロジーや、屈折異常と周辺眼デフォーカスを一緒に矯正するために角膜を恒久的に再形成する屈折矯正手術のパラメータ設定にも応用できる。眼鏡は眼球と一緒に動かないので、目の中心を中央ゾーンに合わせるのが難しい。ADFデバイスが眼鏡レンズである場合、瞳孔中心に対する2~4mmの単焦点中央光学ゾーン20と、中央光学ゾーン20から前方または後方に焦点を有する球面曲線を有するADFゾーン21がある必要がある。あるいは、中央ゾーン20から前方または後方に所定の±e値を有する非球面曲線を使用してもよい。ADFゾーン21は、中央光学ゾーン20の外縁から半径方向外側の環状のゾーンである。ADFゾーン21の垂直子午線は、水平子午線よりも非球面度を低く(プラスe値を低く、またはマイナスe値を低くなく)設定することで、より良好な視界を得ることができる。ADFゾーン21を水平非球面帯とし、垂直子午線単焦点はe値ゼロのままにして、融像のための水平ヘリング・ヒルブランド偏差を満足させるのが好ましい。2本の垂直な子午線を徐々に変化するe値でブレンドして、滑らかな光学面を形成することができる。
ADFコンタクトレンズは眼球上で回転し得るので、レンズのゾーンは回転対称であることが好ましく、コンタクトレンズのADFゾーン21は、中央ゾーンよりも前方または後方に焦点を有する球面カーブを有する単焦点環状ゾーンであってもよいが、中央ゾーン20から前方または後方に徐々に所定の±e値を有する非球面環状ゾーンであることが好ましい。非球面環状ADFゾーン21は、0.5~1.5mmの単焦点中央ゾーンの外縁から半径方向外側に配置することができ、あるいは、この2つのゾーンは接合部での像飛びを防ぐために連続曲線のe値でマージされてもよい。コンタクトレンズ10のADFゾーン21の垂直子午線は、水平子午線よりも非球面度を低く(プラスe値を低く、またはマイナスe値を低くなく)設定することで、より良好な視界を得ることができる。ADFゾーン21を水平非球面帯とし、垂直子午線単焦点はe値ゼロのままにして、融像のための水平ヘリング・ヒルブランド偏差を満足させるのが好ましい。2本の垂直な子午線(0度と90度)を徐々に変化するe値でブレンドして、滑らかな光学面を形成することができる。安定化構造(プリズムバラスト、トランケーション、または動的安定化)が、アンチデフォーカス帯を正しい軸に揃えるために必要であり、これはトーリック硬質またはソフトコンタクトレンズ10の製造において硬質および軟質コンタクトレンズメーカーにとって周知の技術である。
近視の制御
近視の管理または制御のための従来の方法では、通常、アトロピンなどの調節麻痺剤(cycloplegics)で調節を和らげたり、近業用のADD度数の遠近両用眼鏡の使用が提案されていた。本発明の周辺部ADFデバイスは、近視の進行を遅らせる、すなわち近視管理に非常に有用である。本発明では、周辺部アンチデフォーカスは、画像シェルの不一致を補正することで視能率の問題を改善し、両眼融像を促進する要因となることが提案されている。視能率の問題が発見されない、または改善されない場合、近視は急速に進行する可能性がある。周辺部の遠視性眼球デフォーカスは輻輳不足(CI)を誘発し、周辺部の近視性眼球デフォーカスは輻輳過剰(CE)を誘発する可能性があり、どちらの状態も近視を誘発し得る。視能率検査でCI状態が発見された場合、近視の進行を遅らせるか止めるために、遠視性アンチデフォーカス(H-ADF)装置を使用することがある。視能率検査でCEが発見された場合、近視の進行を遅らせるか止めるために、近視性アンチデフォーカス(M-ADF)装置を使用することがある。本発明のM-ADFレンズは、中心近方(CN)多焦点レンズと似て異なるものである。通常のCN多焦点レンズは、プラス度数が付加された近方視用の中央ゾーンと、遠方視用に、中央ゾーンに隣接し中央ゾーンより半径方向外側に、中央ゾーンよりプラス度数が小さいかマイナス度数が大きい周辺遠方ゾーンとを有する。本発明のM-ADFレンズも中央光学ゾーン20を有するが、その度数は近方用付加度数のない遠方視用であり、外側M-ADFゾーン21は、中央の光学ゾーン20よりもさらにプラスまたはマイナス度数を小さくして、周辺部近視性眼球デフォーカスをアンチデフォーカスし改善する。
CIとCEの両状態は、異なるメカニズムで近視を進行させる可能性がある。本発明では、近視は、従来技術のような理想的な光学状態への周辺部デフォーカスの誘導ではなく、激しい両眼融像によって引き起こされるとみなされる。本発明は、例えば米国特許公開20070115431A1の教示に反して、より周辺部の遠視性眼球デフォーカスを誘発する周辺部後方多焦点コンタクトレンズを使用することで、近方視(CE)の内斜位を伴う近視症例が改善され、より近視の進行が抑えられることを示す研究をよく説明している。
そこで、この方法では、近視症例について両眼効率状態をチェックし、H-ADFまたはM-ADFの検査セットで検査し、前述したように周辺部の眼球デフォーカスと改善のためのADP強度を決定する。医師は、経験的なADPでADFデバイスを処方して自宅で初期適応を行い、1~2ヵ月後に残存する異常に対してレンズ設計を微調整したりVTを開始したりすることができる。ADFゾーン21の経験的なADPは、通常、古典的に補正されるプリズムあたり1~1.5ディオプタである。例えば、CI症例で回復プリズムが40mmで10ΔBI(ベースイン)が必要な場合、経験的H-ADFコンタクトレンズ10のADPは、漸増ADFゾーン21の最外縁で+10~+15ディオプタになる。経験的なADFコンタクトレンズ10を1組処方して自宅で使用し、1~2ヶ月後に視能率を再評価するためにクリニックに戻り、残存機能障害をさらに改善するためにレンズ設計、ADP、またはVTを微調整することができる。その後、正確な両眼融像と近視管理のために、眼球中心と周辺の画像シェルの不一致を改善する眼鏡またはコンタクトレンズを使用する。
アンチデフォーカス眼鏡レンズ
本発明による眼鏡レンズは(図10に示す)、球面湾曲した中央光学ゾーン20とADFゾーン21とを有する凸状の前面を有する。ADF眼鏡レンズの凹面後面は、眼鏡レンズ製造業者によく知られているように、屈折異常の補正のために前面中央光学ゾーン20と協働するように球面レンズ、非球面レンズ、またはトーリックレンズに作成される。あるいは、ADFゾーン21を眼鏡レンズの後面に設計することもできる。
H-ADF眼鏡レンズでは、中央光学ゾーン20は前面(凸面)上に形成された球面パワーであり、直径1.5~4.0mm、中央光学ゾーン20の各側に8~12mmの環状+H-ADFゾーン21があり、合計直径が18~28mmで、12~14mmの頂点距離で使用するのが好ましい。中央光学ゾーン20とH-ADFゾーン21の最外部との間のADP度数差は、+1.00Dから+20Dの間である。H-ADFゾーン21は、ゾーン21に対して凸の前面ではマイナスe値(p値>1)、または凹の後面ではプラスe値(p値<1)で、半径方向外側に漸進的にプラス度数にすることができる。H-ADFゾーン21の焦点は、水平子午線に沿って徐々に短くなり、その最外縁で最短(度数が最もマイナスまたはプラス)の焦点距離となり、一方で垂直子午線は一定の焦点距離で単焦点曲率のe値ゼロを形成する。滑らかな非球面のために、水平および垂直子午線は、徐々に変化するe値でマージされる。アンチデフォーカス度数(ADP)の強度は、H-ADFレンズなしのベースラインに対して、前方(近視)周辺部のフォーカシングに対して、±0.1e~±2.0eの勾配e値で制御することができる。眼14で測定された眼鏡レンズの実質的なADP効果は、中心窩網膜の各側10度(N10およびT10)で最小-0.50ディオプタでより近視となり、網膜窩の各側20度(N20およびT20)で最小-2.00ディオプタまで漸増する。
M-ADF眼鏡レンズでは、中央光学ゾーン20は前面(凸面)上に形成された球面パワーであり、直径1.5~4.0mm、中央光学ゾーン20の各側に8~12mmの環状マイナスM-ADFゾーン21があり、合計直径が18~28mmで、12~14mmの頂点距離で使用するのが好ましい。中央光学ゾーン20とM-ADFゾーン21の最外部とのADP度数差は、-1.00D~-20Dである。M-ADFゾーン21は、凸面前面ではプラスe値(p値<1)、凹面後面ではマイナスe値(p値>1)で、半径方向外側に徐々にマイナス度数にすることができる。M-ADFゾーン21の焦点は、水平子午線に沿って徐々に長くなり、その最外縁で最長(度数が最もマイナスまたはプラス)の焦点距離となり、一方で垂直子午線は一定の焦点距離で単焦点曲率のe値ゼロを形成する。滑らかな非球面のために、水平および垂直子午線は、徐々に変化するe値でマージされる。アンチデフォーカス度数ADPの強度は、±0.1e~±2.0eの間の勾配e値で制御することができる。眼14で測定された眼鏡レンズの実質的なADP効果は、中心窩網膜の各側10度(N10およびT10)で最小+0.50ディオプタでより遠視となり、網膜窩の各側20度(N20およびT20)で最小+2.00ディオプタまで漸増する。
アンチデフォーカス・コンタクトレンズ
図3-5は、標準的なコンタクトレンズ材料から形成された、軟質、硬質、角膜、または強膜コンタクトレンズであり得る、本発明に従って設計されたコンタクトレンズ10を示す。図1-2に示すように、コンタクトレンズ10は、患者の眼14の角膜12上に装着するように適合されている。図3に示すように、コンタクトレンズ10は、コンタクトレンズ10の凸状前面にレンズ10の中心から外周に向かって、中央光学ゾーン(遠方視用)20と、ADFゾーン(眼球デフォーカス調整用)21と、レンチキュラーゾーンであり得る中間ゾーン24との少なくとも3つの補正ゾーンを有する。このようなアンチデフォーカス(ADF)コンタクトレンズ10の凹状後面は、球面、非球面、二重幾何学形状、または逆幾何学形状のレンズ設計であり得る。
光学ゾーン20は、ベースカーブ30bによって画定される後面と、センターカーブ30aおよびADFカーブ31aによって画定される前面を有する。本発明の前面光学ゾーン20は、少なくとも2つの同心円状のゾーンに分割される。光学ゾーン20は、前面にセンターカーブ30aを有する中央ゾーンであり、遠方視矯正用の屈折力が設計されている。光学ゾーン20の外側に位置するADFゾーン21は、近視または遠視の周辺眼部デフォーカスを矯正するための屈折力が設計されたADFカーブ31aを前面に有する。中央光学ゾーン20とADFゾーン21の違いは、眼球デフォーカスを矯正するためのアンチデフォーカス度数(ADP)である。
中央光学ゾーン20とADFゾーン21のそれぞれに、隣接する2つの環状ゾーンを作ることは可能だが、度数が大きく異なる小さなゾーンを作ると、画像飛び、混乱、または複視を誘発する可能性がある。したがって、好ましい実施形態では、2つのゾーン20aおよび21aはより滑らかに移行するように、プラスまたはマイナスの偏心値を持つ連続的な非球面曲率でマージされる。
光学ゾーン20とADFゾーン21は、好ましくは合わせて直径約3~8mm、より好ましくは6mmであり、すなわちレンズの幾何学的中心の各側に3mmずつである。レンズは好ましくは、コンタクトレンズ10の幾何学的中心から半径方向外側に、徐々に急峻または平坦な非球面前面光学カーブ30aおよびADFカーブ31aを有する。ADFゾーン21の最外縁(外周)マージンの最大アンチデフォーカス度数(ADP)は、好ましくはH-ADFレンズでは+3ディオプタ~+30ディオプタであり、画像シェル不一致の条件が異なる場合、M-ADFレンズで-3ディオプタ~-30ディオプタである。前面中央光学ゾーン20aと前面ADFゾーン21aは滑らかにマージされ、非球面前面中央~ADFカーブ30a~31aを有する連続的な前面中央~ADFゾーン20a~21aを呈し、眼14の中心窩領域で明確な中央遠方像が形成され、傍中心窩、周中心窩および網膜周辺部での像の不一致が確実に修復される。2つのゾーンをマージするためのe値を算出する式は、e=SIGN(R-R)*SQRT((R -R ))/(ゾーンA+ゾーンB)であり、ここで、RRは遠用度数に対する曲率半径であり、Rは近用度数に対する曲率半径である。(ゾーンA+ゾーンB)は、2つのゾーン、すなわち中央光学ゾーン20とADFゾーン21のそれぞれの半分のゾーン幅である。
屈折率1.4~1.6程度のコンタクトレンズ素材を用い、前面ADP+3~+30Dで2つのアンチデフォーカス用ゾーン20a、21aをマージさせた場合のe値は、通常-0.7e~-3.0eであり、前面ADP-3~-30Dの場合は通常+0.7e~+3.0eである。コンタクトレンズ10は、球面収差を少なくするように中心窩が中央光学ゾーン20aからの光線を認識するために、正確に中心に配置される必要がある。
遠視用アンチデフォーカスコンタクトレンズ10の場合、レンズの前面には直径0.5~1.0mmの中央光学ゾーン20と、中央光学ゾーン20の両側に3~4mmずつ、合計直径6~10mm(すなわち、光学ゾーン20とADFゾーン21を合わせた直径)の環状の+ADFゾーン21(この場合はH-ADFゾーン)とを有し得る。中央光学ゾーン20とH-ADFゾーン21の最外側部分とのADP度数差は+1.00Dから+30Dである。H-ADFゾーン21は、水平子午線51において中央光学ゾーン20に隣接し中央光学ゾーン20の度数と同じ度数から始まり、水平子午線51に沿って負のe値(p値>1)で度数が徐々にプラスが大きくなるかマイナスが少なくなる。H-ADFゾーン21の焦点は、水平子午線に沿って徐々に短くなり、その最外縁(周縁部21c)で最短の焦点距離(度数が最もマイナスが少なくなるかプラスが大きくなる)となり、一方で垂直子午線52は単焦点曲率のe値ゼロ(p値=1)で形成される。中央光学ゾーン20とADFゾーン21は、前述のように、あるe値でマージして連続的な中央~ADFゾーン20~21としてもよい。中央~ADFゾーン20~21の水平および垂直子午線50は、連続した滑らかな非球面となるように徐々に変化するe値でマージされる。アンチデフォーカス度数(ADP)の強度は、±0.1e~±3.0eの間の勾配e値で制御することができる。眼14で測定されたコンタクトレンズ10の実質的なADP効果は、中心窩網膜の各側10度(N10およびT10)で最小-0.50ディオプタでより近視となり、網膜窩の各側20度(N20およびT20)で最小-2.00ディオプタまで漸増する。
近視用アンチデフォーカス(M-ADF)コンタクトレンズ10の場合、M-ADFレンズ10の前面には直径0.5~1.0mmの中央光学ゾーン20と、中央光学ゾーン20の両側に3~4mmずつ、合計直径6~10mm(すなわち、光学ゾーン20とADFゾーン21を合わせた直径)の環状のマイナスADFゾーン21(この場合はM-ADFゾーン)とを有し得る。中央光学ゾーン20とM-ADFゾーン21の最外側部分とのADP度数差はー1.00Dからー30Dである。M-ADFゾーン21は、水平子午線51において中央光学ゾーン20に隣接し中央光学ゾーン20の度数と同じ度数から始まり、水平子午線51に沿って負のe値(p値<1)で度数が徐々にマイナスが大きくなるかプラスが少なくなる。M-ADFゾーン21の焦点は、水平子午線に沿って徐々に長くなり、その最外縁(周縁部21c)で最長の焦点距離となり(度数が最もプラスが少ないかマイナスが大きくなる)、一方で垂直子午線52は単焦点曲率のe値ゼロ(p値=1)で形成される。中央光学ゾーン20とADFゾーン21は、前述のように、あるe値でマージして連続的な中央~ADFゾーン20~21としてもよい。中央~ADFゾーン20~21の水平および垂直子午線50は、連続した滑らかな非球面となるように徐々に変化するe値でマージされる。アンチデフォーカス度数(ADP)の強度は、±0.1e~±3.0eの間の勾配e値で制御することができる。眼14で測定されたコンタクトレンズ10の実質的なADP効果は、中心窩網膜の各側10度(N10およびT10)で最小+0.50ディオプタでより遠視となり、網膜窩の各側20度(N20およびT20)で最小+2.00ディオプタまで漸増する。
図3~5を参照すると、近視用コンタクトレンズは、周辺エッジに向かって度数が強くなるのに伴って次第に厚くなる傾向がある。本発明のADFコンタクトレンズ10の周縁部の厚みを減らすために、ゾーン20および21のカーブ30aまたは31aよりも急なレンチキュラーカーブを、ADFゾーン21から半径方向外側に組み込んでもよい。近視用レンズとは逆に、正視用、弱い近視用または遠視用コンタクトレンズ10は、縁が薄くなりすぎて、望ましいレンズより割れたり欠け易くなるので、ADFコンタクトレンズ10の周縁部の厚みを増すために、カーブ30aまたは31aよりも平坦なレンチキュラーカーブをADFゾーン21aから半径方向外側に組み込むことができる。
ゾーン24内には、光学的または治療的な理由から、前面ADFゾーン21aとレンチキュラーカーブの間に、半径方向外側に2.0~5.0mmの半値ゾーン幅を有する1つまたは複数のオプションの中間ゾーンを追加することもできる。例えば、この中間ゾーン24は、夜間の遠方視力を向上させるために、周辺遠用入射光をさらに強くすることができる中央光学ゾーン20と同じ矯正度数となるように追加することができる。
コンタクトレンズ10のベースカーブを定義するのに使用される異なる半径、すなわち、光学ゾーン20、ADFゾーン21、接続ゾーン26、および周辺ゾーン28のベースカーブとそれらの相対的な厚さは、患者の眼および関連する眼組織を慎重に検査した後に計算される。角膜曲率を測定し、適切なコンタクトレンズの度数を定め、コンタクトレンズ10に対する予想される生理学的反応を判断する必要がある。視覚系の検査技術の熟練者は、これらのタスクを実行することができる。
アンチデフォーカス・オルソケラトロジー
本発明の目的はまた、眼の周辺デフォーカスを効果的に改善するオルソケラトロジーコンタクトレンズ10を提供することである。本発明のもう一つの目的は、視効率の問題の矯正に必要な、限定しないが遠視、近視、老眼、乱視を含む屈折異常を矯正するオルソケラトロジーコンタクトレンズ10を提供することである。
本発明のこれらの目的は、患者の眼の周辺デフォーカス状態を伴う屈折異常を矯正するためのデバイスおよび方法を提供することによって達成することができる。本発明の方法によると、アンチデフォーカス(ADF)オルソケラトロジーコンタクトレンズ10(例えば図6-9に示す)が患者の眼の角膜に装着され、当該コンタクトレンズ10は、それぞれ対応するカーブ(30a、30b)を有する前面および後面(20a、20b)を有する中央光学ゾーンと、ADFベースカーブ31bを有するADFゾーン21と、中間ゾーン24(遠視用レンズではプラトーゾーン)と、接続またはフィッティングゾーン26と、アライメントゾーンおよび/または周辺ゾーン28とを含む複数のゾーンを有する後面を具える。ADFベースカーブ21bは、角膜12が遠方視用の光学ゾーン20のベースカーブ20bによって形成される中央ゾーンを囲むアンチデフォーカス中間周辺部を有するように、角膜中央周辺部の曲率を平坦化または急峻化するように慎重に作成される。遠方視力矯正のための光学ゾーン20の目標度数は、オルソケラトロジーレンズをフィッティングする眼科医によって決定され得る。ADFゾーン(21a、21b)の形状は、前述のようにADF検査用眼鏡レンズやADF検査用コンタクトレンズで眼球デフォーカスを検査することで導出することができる。
本発明の装置によると、コンタクトレンズ10が提供され、これは、レンズの光学ゾーンカーブ(30a、30b)部分と、当該光学ゾーンカーブ部分に外接し結合されたレンズのADFカーブ(31a、31b)部分と、中間ゾーン24のプラトーカーブ、および/またはADFカーブ(31a、31b)部分に外接し結合されたレンズの接続ゾーン26部分のフィッティングカーブと、中間ゾーン24または接続ゾーン26部分に外接し結合されたレンズの周辺ゾーン28部分のアライメントカーブおよび/または周辺カーブとを有する。
コンタクトレンズ10の中央光学ゾーン20の直径は、近視、遠視、老眼を矯正する目的に応じて1.0~3.0mmの範囲で変えるのが好ましい。ADFゾーン21のゾーン幅は、角膜表面の所定の近視性または遠視性の眼の周辺デフォーカスを再形成するために、1.0~4.0mmで変化させることが好ましい。光学ゾーン20とADFゾーン21の合計直径は、好ましくは4.0~8.0mmであり、これらは、H-ADFオルソケラトロジーコンタクトレンズ10が遠視性眼球デフォーカスを成形するための-0.1e~-3.0eの偏心値を有する非球面光学-ADFカーブ、またはM-ADFオルソケラトロジーレンズ10が眼球14の角膜12上の近視性眼球デフォーカスを成形するための+0.1e~+3.0eの偏心値を有する非球面光学-ADF曲線となるようにマージされ得る。
アンチデフォーカス(ADF)オルソケラトロジーコンタクトレンズ10は、米国特許第6,652,095号明細書、米国特許第7,070,275号明細書、および米国特許第6,543,897号明細書に教示されているようなオルソケラトロジーRGP(ハードガス透過性)レンズ用の球面、非球面、または二段階形状および反転形状設計のレンズとすることができる。
周辺部遠視性眼球デフォーカスを伴う近視の人を治療する場合、ベースカーブ30bは、角膜中心部の曲率よりも平坦であることが好ましい。中央光学ゾーン20とADFゾーン21は、より良好な遠方視力を得るために、好ましくは3~4mmである。遠視の人の治療のためには、ベースカーブ30bは角膜中心部の曲率よりも急峻であることが好ましい。老眼を治療するためには、中央光学ゾーン20を2つに分割することができる。内側の光学ゾーンは、遠方視力を妨げないように近方視力の目的には非常に小さく設計されるべきであり、一方で外側の光学ゾーンは、遠方視力をクリアにする(近視、遠視、乱視があればそれを軽減する)ために、角膜の中央部付近を平坦なゾーンに成形するためにわずかに広く設計されるべきである。
コンタクトレンズ10のベースカーブ(30a、30b)およびADFカーブ(31a、31b)、ならびに中間ゾーン24、接続ゾーン26および周辺ゾーン28のカーブ、およびそれらの相対的な厚さは、患者の眼14および関連する眼組織を慎重に検査した後に計算される。角膜曲率を測定し、適切なコンタクトレンズの度数を定め、コンタクトレンズ10に対する予想される生理学的反応を判断する必要がある。視覚系の検査技術の熟練者は、これらのタスクを実行することができる。
アンチデフォーカス屈折矯正手術
本発明のもう一つの目的は、角膜12に屈折矯正手術(LASIK/LASEK)を行う際のパラメータを設計する方法を提供することである。アンチデフォーカスパラメータは、手術による遠視、近視、老眼、乱視の矯正と同時に、眼の周辺デフォーカスも修正して視能率の問題を改善するために追加される。オルソケラトロジーを実施するのと同様に、ADFゾーン21の形状は、手術を実施する前に、前述のようにADF検査用眼鏡レンズやADF検査用コンタクトレンズで眼球デフォーカスを検査することで導出することができる。このように設計された角膜形状は、近視、遠視、または老眼の矯正という異なる目的のために、好ましくは1.0~3.0mmの範囲で変わる中央ゾーンを持つ治療ゾーンを形成する。中央ゾーン20に隣接し中央ゾーン20から半径方向外側にあるADFゾーン21のゾーン幅は、角膜表面の所定の近視性または遠視性の眼の周辺デフォーカスを補正するために、1.0~4.0mmの範囲で変化させることができる。中央光学ゾーン20とADFゾーン21の合計直径は好ましくは5.0~8.0mmであり、これらをマージすることにより、眼球14の角膜12に対する偏心値が、遠視性眼球デフォーカスを補正する場合は-0.1e~-3.0e、近視性眼球デフォーカスを補正する場合は+0.1e~+3.0eの非球面中央~ADFゾーン20~21を形成することができる。
レーシック(LASIK)/ラセック(LASEK)手術は、白内障手術後の眼の中心像と周辺像の不一致を補完する手術であり、両眼に異なるタイプの眼内レンズを挿入することができる。眼球デフォーカスの強度は、前述のADF検査セットを使用して決定し、レーシック/ラセック手術を行って矯正することができる。
症例1は11歳の女性で、2歳の時から片目が外側にずれた外斜視(XT)であった。彼女は7歳の時に斜視の手術を受けたが、残念ながら術後間もなく、右目が内側に寄る内斜視(ET)を発症し、複視が現れ、近視が発症した。ETを発症した後に複視が現れるのは、XTで形成された感覚適応が抑制性暗点によって破壊されるためである。55%メタフィルコンのソフトH-ADFコンタクトレンズを処方したところ、驚くことに、近距離でも遠距離でも眼の位置がまっすぐになり、複視がなくなった。近視も、アンチデフォーカスコンタクトレンズを装用してから4年間進行が止まった。
<右目用ADFソフトコンタクトレンズ>
中心度数:-1.25D(近視)
中央~ADFゾーン20~21:BOZ(ゾーン幅)8.5mm
BOZR(曲率半径) 9.0mm
FOZR(前面中央カーブ): 9.54mm
前面ADP:+10D
水平前面e値 -1.11 (p=2.23)
中間ゾーン24~26:ハーフゾーン幅1.16mm、曲率半径7.28mm
周辺ゾーン28:ハーフゾーン幅1.0mm、曲率半径9.8mm
<左目>
中心度数:-0.75D (近視)
中央~ADFゾーン20~21:BOZ(ゾーン幅)8.5mm
BOZR(曲率半径) 9.0mm
FOZR(中央前面カーブ): 9.43mm
前面ADP:+10D
水平前面e値 -1.08(p=2.17)
中間ゾーン24~26:ハーフゾーン幅1.16mm、曲率半径7.28mm
周辺ゾーン28:ハーフゾーン幅1.0mm、曲率半径9.8mm
周辺眼デフォーカスの理論に従い、ETを手術で誘発したが、基本的な問題はXTのままである。感覚順応のためのXT抑制暗点が手術によって破壊され、ETに変わり、複視が現れ近視が進行した。先天性の遠視性眼球デフォーカスがXTを誘発していたところ、手術では遠視性眼球デフォーカスを矯正することなく、眼輪筋を調節して眼を内側に向けさせたと考えられる。周辺画像シェルは、術後に眼球をまっすぐにして内側に向けるために必要なパナムの融像圏を満たしておらず、その結果、XTの感覚順応のために形成された抑制暗点が破壊され、複視や近視の進行が現れた。一方、H-ADFコンタクトレンズは、眼の位置がXTかETかに関係なく、先天性の遠視性眼球デフォーカスを補正して両眼融像を改善し、眼球をまっすぐにする。この症例は、本例の斜視が周辺眼デフォーカスに二次的に起因するのに対し、近視は術後に生じた複視により融像するための懸命な努力に三次的に起因することを強く示しており、これはH-ADFコンタクトレンズがどのようにアイチーミングを改善し、同時に近視の進行を止めたかを説明するものである。
症例2は、ADD(注意欠陥障害)と診断され、コンサータを毎日服用している9歳の少年であるが、読解には殆ど効果がなかった。出生時に蘇生を伴う胎便吸引があったが、学齢期になって勉強ができないことが判明するまでは問題はなかった。彼は検眼医から重度の視線追跡障害を指摘され、視能率の評価を受けることになった。SCCOテストにおいて、「固視維持」はむしろ正常だったが、追跡およびサッカードは完全に失敗した。彼の屈折は右目が正常視で、左目は軽度+0.50Dの遠視であった。OEP21点検査で輻輳不足(CI)が判明した。SCCOテストでは、追視とオーバーフロー現象を確認したが、彼は目標を追うことができず、両手を緊張して伸ばしたまま、両眼球を常に上方に移動させていた。重度の眼球運動機能障害と、VTでは非常に珍しいCIがあったため、H-ADFソフトコンタクトレンズを試し、1~2ヶ月後に経過観察してから視覚訓練(VT)を行うこととした。
<右目用H-ADFソフトコンタクトレンズ>
中心度数:プラノ(ゼロ度数)
中央~ADFゾーン20~21:BOZ(ゾーン幅)8.5mm
BOZR(曲率半径) 9.0mm
FOZR(中央前面カーブ): 8.92mm
前面ADP:+10D
水平前面 e値 -1.06 (p=2.12)
中間ゾーン24~26:ハーフゾーン幅1.16mm、曲率半径7.28mm
周辺ゾーン28:ハーフゾーン幅1.0mm、曲率半径9.8mm
<左目用H-ADFソフトコンタクトレンズ>
中心度数+0.50(近視)
中央~ADFゾーン20~21:BOZ(ゾーン幅)8.5mm
BOZR(曲率半径) 9.0mm
FOZR(中央前面カーブ): 9.17mm
前面ADP:+10D
水平前面 e値 -1.05(p=2.10)
中間ゾーン24~26:ハーフゾーン幅1.16mm、曲率半径7.28mm
周辺ゾーン28:ハーフゾーン幅1.0mm、曲率半径9.8mm
H-ADFコンタクトレンズを2ヶ月装用した後、SCCOの追跡およびサッカードを再チェックした。検査中、彼の表情は穏やかでリラックスしていた。検査中、四肢のオーバーフロー現象は見られなくなった。彼は時々位置を見失うことを除けば、動くターゲットをよく追うことができ、眼球を上にやることもなくなった。これにより、周辺眼デフォーカスが両眼のズレを誘発し、眼球運動機能障害を引き起こすことが示されたが、これは通常、神経学的または心理学的問題として誤診され、不適切に治療されていた。眼球運動機能が著しく改善したため、私たちはVTをアレンジして、視覚スキルをさらに微調整した。
症例3は25歳の男性で、読書障害と極度の近視がある。彼は11学年の17歳までクラスで一番だったが、ひどい頭痛のために読書が困難になり、10分も読むと言葉がふるえるようになった。学校で一生懸命勉強したことで、近視も非常に早く進行した。彼は近視の進行を止めるためにアトロピン、RGP、老眼鏡を試したが無駄であった。VTも試したが、殆ど効果はなかった。この状態は不安と不眠を引き起こし、抗うつ薬が必要なうつ病と診断された。
<初回OEP21点検査>
屈折(#7):右目-15.25-3.00x170°(近視-15.25D、乱視3.0D)
左目-15.00-0.75@0°(近視-15.00D乱視0.75D)
遠方斜位(#8) 10ΔXP(外斜位)
近方斜位(#13) 25ΔXP(外斜位)
固視差(ウェッソンカード):近距離でのOD抑制
調節度数:OD4.00D、OS3.50D
(他の視能率データは、OD抑制が激しいため入手不可)
診断は輻輳不足(CI)と調節不足(AI)で、これまで診断も管理もされたことがなかったことも、近視が急速に進行した原因の可能性がある。
彼は市外に住んでいて、従来のVTには来られなかった。H-ADFソフトコンタクトレンズを装用することで、調節不足と輻輳不足を改善し、できれば近視の進行を遅らせることにした。
<右目用H-ADFソフトコンタクトレンズ>
中心度数:-13.50(近視13.50ディオプタ)
中央~ADFゾーン20~21:BOZ(ゾーン幅)8.5mm
BOZR(曲率半径) 9.0mm
FOZR(中央前面カーブ): 13.43mm
前面ADP:+25D
水平前面 e値 -2.18(p=5.84)
中間ゾーン24~26:ハーフゾーン幅1.16mm、曲率半径7.28mm
周辺ゾーン28:ハーフゾーン幅1.0mm、曲率半径9.8mm
<左目用コンタクトレンズ>
中心度数:-13.50D(近視13.50ディオプタ)
中央~ADFゾーン20~21:BOZ(ゾーン幅)8.5mm
BOZR(曲率半径) 9.0mm
FOZR(中央前面カーブ): 13.43mm
前面ADP:+25D
水平前面 e値 -2.18(p=5.84)
中間ゾーン24~26:ハーフゾーン幅1.16mm、曲率半径7.28mm
周辺ゾーン28:ハーフゾーン幅1.0mm、曲率半径9.8mm
ADFレンズ対は、近方外斜視を劇的に瞬時に軽減した。遠方10ΔXPは6ΔXPに減少し、近方25ΔXPは12ΔXPに減少した。直ちにADFレンズ対で固視差をチェックしたところ、40cmで9ΔのXP(外斜位)を伴うOD ICSが存在しないことが明らかになった。
日中装用にH-ADFソフトコンタクトレンズを装着して帰宅させ、VTは行わなかった。彼はコンタクトレンズを装着し、他の補助具なしで一日中快適に勉強でき、頭痛もなかったと報告した。H-ADFレンズ装用11ヵ月後に視能率を再検査したところ、近視の進行は見られず、視能率のデータもほぼ正常であった。
<OEP21点検査の再検査(初回検査から11ヵ月後)>
屈折(#7):右目-15.25-3.00x170°(近視-15.25D、乱視3.0D)
左目-15.00-0.75@0°(近視-15.00D乱視0.75D)
<H-ADFソフトコンタクトレンズを装用して視能率チェック>
遠方斜位(#8) 5ΔXP(外斜位)
近方斜位(#13) 12ΔXP(外斜位)
近方の輻輳開散#16A 12Δ;#16 B18/10Δ
#17A 12Δ;#17 B24/15Δ
固視差(ウェッソンカード):視差ゼロ
調節度数OD4.25D、OS4.25D
この症例は、周辺部の遠視性眼球デフォーカスが輻輳不足の病因であることを示している。ADFデバイスは光学異常を補正し、CIを改善することができる。ADFデバイスを長期的に使用することで、運動範囲(#16と#17)と両眼融像が改善され、その結果、失読症が治癒し、近視の進行を止めることができる。
本発明を特定の好適な実施形態に関して詳細に説明したが、他の実施形態も可能である。例えば、本発明の方法で開示されているステップは、限定的でなく、また各ステップが本発明の方法にとって必ず必要であることを示すものでもなく、単なるステップの例にすぎない。したがって、添付の請求項の範囲は、本開示物に含まれている好適な実施形態の説明に限定すべきでない。
本明細書内の値の範囲の記述は、範囲内にあるそれぞれ別個の値を個々に言及する簡潔な方法として示したものにすぎない。本明細書内で特に明記しない限り、個々の値は本明細書内で個々に示されているように明細書に組み込まれる。本明細書内に示されている全ての参考文献は、内容全体を参照によって本願明細書に引用したものとする。
図中の参照番号は以下の特徴を示す:

コンタクトレンズ 10
眼鏡レンズ 11
角膜 12
眼球 14
光学ゾーン 20
光学ゾーン前面 20a
光学ゾーン後面 20b
光学ゾーン外周 20c
ADFゾーン 21
ADFゾーン前面 21a
ADFゾーン後面 21b
ADFゾーン外周 21c
ADFゾーン内側境界 22
中間ゾーン 24
接続ゾーン 26
周辺ゾーン 28
光学ゾーンカーブ 30
光学ゾーンカーブ(前面)30a
光学ゾーンのベースカーブ(後面)30b
ADFゾーンカーブ 31
ADFゾーンカーブ(前面) 31a
ADFゾーンベースカーブ(後面)31b
子午線 50
水平子午線 51
垂直子午線 52
ホロプタ(Horopter) 60
水平ホロプタ 62
水平ホロプタ上のポイント 63
パナムの融像圏 64

Claims (24)

  1. 周辺眼デフォーカス補正用レンズであって、当該レンズは前面および後面を有し、
    屈折異常を補正するためのレンズ度数を有するレンズ中央部分の中央ゾーン20と、
    前記中央ゾーン20に隣接し当該中央ゾーン20から半径方向外側に延在する非球面で環状のアンチデフォーカス(ADF)ゾーン21とを具え、
    前記レンズが眼鏡レンズまたはコンタクトレンズであり、
    前記レンズの前面または後面が水平子午線と垂直子午線とを有し、前記水平子午線と前記垂直子午線とがそれぞれe値を有し、前記ADFゾーンの垂直子午線が前記ADFゾーンの水平子午線よりも非球面度が低く、前記水平子午線と垂直子午線の間のレンズ表面の曲率が、滑らかな光学面を形成するように徐々に変化するe値でブレンドされていることを特徴とするレンズ。
  2. 前記ADFゾーン21の垂直子午線のe値がゼロである、請求項1に記載のレンズ。
  3. 前記垂直子午線のe値が前記水平子午線のe値の1/2以下である、請求項1に記載のレンズ。
  4. 前記ADFゾーン21の垂直子午線が、前記中央ゾーン20と同じ度数を有する単焦点カーブである、請求項1に記載のレンズ。
  5. 前記レンズが眼鏡レンズであり、前記水平子午線と垂直子午線がレンズの前面にあり、前記中央ゾーンの直径が1.5~4.0mmであり、前記中央ゾーンと前記ADFゾーンを合わせた直径が18~28mmである、請求項1に記載のレンズ。
  6. 前記ADFゾーンの水平子午線が非球面であり、前記ADFゾーンの内側境界から半径方向外側に徐々にプラス度数となり、+1.00~+20.0ディオプタのアンチデフォーカス度数(ADP)を有し、ADPは前記ADFゾーン21の外周と前記中央ゾーン20の外周との間の度数差として定義され、前記レンズは遠視性眼球デフォーカスの治療に有用である、請求項5に記載の眼鏡レンズ。
  7. 前記ADFゾーン21の水平子午線が非球面であり、前記ADFゾーンの内側境界から半径方向外側に徐々にマイナス度数となり、-1.00~-20.0ディオプタのアンチデフォーカス度数(ADP)を有し、ADPは前記ADFゾーン21の外周と前記中央ゾーン20の外周との間の度数差として定義され、前記レンズは近視性眼球デフォーカスの治療に有用である、請求項5に記載の眼鏡レンズ。
  8. 前記レンズがコンタクトレンズであり、前記中央ゾーンの直径が0.5~1.0mmであり、前記ADFゾーン21は前記中央ゾーンから半径方向外側に少なくとも3~4mm延在し、前記中央ゾーン20と前記環状ADFゾーン21を合わせた直径が6~10mmである、請求項1に記載のレンズ。
  9. 前記中央ゾーン20と前記ADFゾーン21の前面または後面がそれぞれe値を有し、前記中央ゾーンと前記ADFゾーンのe値がマージされて非球面の中央~ADFゾーン20~21が形成され、前記中央~ADFゾーン20~21の水平子午線と垂直子午線とが回転的に累進するe値でマージされて連続的で滑らかな非球面を有する中央~ADFゾーンが形成される、請求項8に記載のコンタクトレンズ。
  10. 前記中央~ADFゾーンの軸X°に沿った回転累進e値Eは、
    =SIGN(XR-R)*(ABS(XR -R ))1/2/d (式2.2)で導出され、
    ここで、XRは距離dの軸Xに沿った半径方向外側の点における曲率半径であり、XRは、
    XR=HR+sin(X*(VR-HR) (式2.1)で導かれ、ここで、
    はコンタクトレンズ中心の曲率半径であり、
    HRは、距離dの水平子午線に沿った半径方向外側の点における曲率半径であり、
    VRは、距離「d」の垂直子午線に沿った半径方向外側の点における曲率半径である、請求項9に記載のコンタクトレンズ。
  11. 前記垂直子午線は、e値がゼロであり、前記中央~ADFゾーン20~21全体にわたって単焦点度数を有し、前記水平子午線のe値はゼロではなく、±0.1e~±3.0eである、請求項9に記載のコンタクトレンズ。
  12. 遠視性眼球デフォーカスの治療に使用するための請求項11に記載のコンタクトレンズであって、前記水平子午線は、レンズの中心部分から半径方向外側に徐々にプラス度数となり、アンチデフォーカス度数(ADP)が+1.00~+30.0ディオプタであり、ADPは前記ADFゾーン21の外周と前記中央ゾーン20の外周との間の度数差として定義され、前記水平子午線の前面が-0.1e~-3.0eのe値を有するか、または前記水平子午線の後面が+0.1e~+3.0eのe値を有する、レンズ。
  13. 近視性眼球デフォーカスの治療に使用するための請求項11に記載のコンタクトレンズであって、前記水平子午線は、レンズの中心部分から半径方向外側に徐々にマイナス度数となり、アンチデフォーカス度数(ADP)が-1.00~-30.0ディオプタであり、ADPは前記ADFゾーン21の外周と前記中央ゾーン20の外周との間の度数差として定義され、前記水平子午線の前面が+0.1e~+3.0eのe値を有するか、または前記水平子午線の後面が-0.1e~-3.0eのe値を有する、レンズ。
  14. オルソケラトロジーの実施に使用される請求項8記載のコンタクトレンズであって、角膜成形を達成するために前記水平子午線と前記垂直子午線がレンズの後面にあり、前記ADFゾーンのe値が±0.1e~±3.0eである、コンタクトレンズ。
  15. 請求項8に記載のコンタクトレンズにおいて、さらに、
    前記ADFゾーン21に結合され当該ADFゾーン21から半径方向外側に延在する、ゾーン幅が2.0~5.0mmの中間ゾーン24と、
    前記中間ゾーン24に結合され当該中間ゾーン24から半径方向外側に延在する、前記コンタクトレンズを角膜に支承するための接続ゾーン26と、
    前記コンタクトレンズの外周に結合された周辺ゾーン28とを具える、コンタクトレンズ。
  16. 前記レンズが硬性角膜レンズ、硬性強膜レンズまたはソフトコンタクトレンズである、請求項8に記載のコンタクトレンズ。
  17. 視能率の問題を改善または向上するために、対象者の眼の周辺眼デフォーカスを矯正する方法であって、
    (a)レンズの中心部分にある中央ゾーン20と、前記中央ゾーン20に隣接し当該中央ゾーン20から半径方向外側に延在するアンチデフォーカス(ADF)ゾーン21とを有するレンズについて、アンチデフォーカス度数(ADP)を決定するステップであって、前記中央ゾーンは屈折異常を矯正するための中心像を網膜窩に形成するための中心焦点を有し、ADPは前記ADFゾーン21の外周と前記中央ゾーン20の外周との間の度数差として定義され、決定されたADPは、周辺融像および視能率を改善するために、前記対象者の眼の周辺眼デフォーカスを相殺し、周辺像を再調整するのに十分である、ステップと、
    (b)前記レンズを前記対象者に提供するステップと、
    を含むことを特徴とする方法。
  18. 前記アンチデフォーカス度数(ADP)を決定するステップは、
    (i)前記対象者のベースライン視能率データをチェックするステップと、
    (ii)前記対象者が有する視能率の問題のタイプに基づいて、ADFテストレンズを選択するステップと、
    (iii)視能率データの最大正規化を達成する最適なADPが決定されるまで、前記ADFテストレンズを低いADPから高いADPへと徐々に導入することにより、生の眼球デフォーカス強度を検査するステップと、
    (iv)最適なADPを有するADF眼鏡またはコンタクトレンズを対象者に提供するステップを含む、
    請求項17に記載の方法。
  19. 請求項18に記載の方法において、さらに、
    前記対象者が前記提供された眼鏡またはコンタクトレンズを所定期間装用した後に、前記ステップ(i)~(iv)を繰り返すステップを含む、方法。
  20. 前記ADFゾーン21の水平子午線が非球面であり、前記ADFゾーンの内側境界から半径方向外側に累進的にプラス度数となり、前記ADFゾーンが+1.00~+20.0ディオプタのADPを有し、前記レンズが両眼視能率の問題の改善または遠視性眼球デフォーカスを有する場合の近視制御に使用される、請求項17に記載の方法。
  21. 前記ADFゾーン21の水平子午線が非球面であり、前記ADFゾーンの内側境界から半径方向外側に累進的にマイナス度数となり、前記ADFゾーンが-1.00~-20.0ディオプタのADPを有し、前記レンズが近視性眼球デフォーカスの治療に使用される、請求項17に記載の方法。
  22. 前記対象者の網膜窩の両側10度(N10およびT10)で測定した周辺焦点において、相対的に前方(より近視)または後方(より遠視)に最小0.50ディオプタのADP効果を前記対象者の眼に誘発するステップをさらに含む、請求項17に記載の方法。
  23. 前記対象者の網膜窩の両側20度(N20およびT20)で測定した周辺焦点において、相対的に前方(より近視)または後方(より遠視)に最小2.00ディオプタのADP効果を前記対象者の眼に誘発するステップをさらに含む、請求項17に記載の方法。
  24. 眼球運動機能障害、調節機能障害、輻輳開散運動障害および感覚適応異常からなる群から選択される視能率の問題を治療する、請求項17に記載の方法。
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