本出願は、2021年6月18日を出願日とする米国仮特許出願第63/212191号、2022年1月31日を出願日とする米国仮特許出願第63/304807号、2022年2月22日を出願日とする米国特許出願第17/677345号、2021年6月18日を出願日とする米国仮特許出願第63/212179号、2021年10月4日を出願日とする米国仮特許出願第63/251785号、2022年2月22日を出願日とする米国特許出願第17/677375号、2021年11月29日を出願日とする米国仮特許出願第63/283600号、2021年12月6日を出願日とする米国仮特許出願第63/286316号、2022年3月10日を出願日とする米国特許出願第17/691813号、2022年3月10日を出願日とする米国仮特許出願第63/318553号、2022年5月31日を出願日とする米国仮特許出願第63/347095号、2022年5月31日を出願日とする米国仮特許出願第63/347201号、及び2022年5月31日を出願日とする米国仮特許出願第63/347157号の優先権の利益を主張するものであり、そのすべての内容は引用することにより本明細書に組み入れられるものとする。
以下、ガラス組成物及び当該ガラス組成物から形成した所望の色を有する着色ガラス物品の種々の実施形態について、詳細に説明を行う。複数の実施形態によれば、着色ガラス物品は、50モル%以上80モル%以下のSiO2と、7モル%以上20モル%以下のAl2O3と、1モル%以上35モル%以下のR2O(ただし、R2Oは、Li2O、Na2O、及びK2Oのうちの少なくとも1つを含む)と、1×10-6モル%超10モル%以下の着色剤(ただし、着色剤は、Cr2O3、Au、Ag、CuO、NiO、Co3O4、TiO2、CeO2のうちの少なくとも1つを含む)とを含み、12モル%以上24モル%以下のAl2O3+MgO+CaO+ZnOを含む。また、着色ガラス物品は、F2照明及び10°視野標準観察者の条件で測定した、L*値が55以上96.5以下であるCIELAB色空間の透過色座標と、着色ガラス物品の厚さをtとした場合に0.15t以上の圧縮深さ、200MPa以上の圧縮応力、及び60MPa以上の中心張力である圧縮応力プロファイルと、10GHz~60GHzの周波数範囲において5.6~6.4の誘電率と、0.4mm以上5mm以下の厚さtとを有することができる。以下、添付の図面を具体的に参照しながら、着色ガラス物品の種々の実施形態について説明する。
本明細書において、「約(about)」ある特定の値以上、「約」ある特定の値~「約」他の特定の値、又は、「約」該他の特定の値以下、という形で範囲を表現する場合がある。このような表現で範囲を表す場合、該ある特定の値~該他の特定の値を含む他の実施形態が存在する。同様に、ある値の前に「約」をつけてその値を近似値として表現する場合、その特定の値自身によって構成される他の実施形態も存在することが理解されるであろう。また、各範囲の両端点が持つ意味は、互いに相関しているとともに互いに独立でもあることも理解されるであろう。
本明細書において、方向性のある用語(例えば、上へ(up)、下へ(down)、右(right)、左(left)、前(front)、後(back)、上(top)、下(bottom)など)は、図面を参照したものに過ぎず、絶対的な向きを意味することを意図するものではない。
特に断りのない限り、本明細書に記載のいかなる方法も、各ステップ(工程)を特定の順序で実施することを要請していると解釈されることを意図するものではなく、また、いかなる装置に関しても、特定の向きを要請することを意図するものではない。したがって、方法クレームにおいてそのステップの順序を実際に記載している場合、及び、装置クレームにおいて個々の構成要素の並び順や向きを実際に記載している場合を除き、又は、その他、各ステップが特定の順序に限定される旨の記載が請求の範囲若しくは発明の詳細な説明において明確になされている場合、及び、装置の構成要素の特定の並び順や特定の向きを記載している場合を除き、順序(並び順)や向きが推測されることは、いかなる点においても意図していない。これは、各ステップの並び、操作の流れ、構成要素の並び順、又は構成要素の向きについての論法の問題、文法的な構成又は句読点から導き出される通俗的な意味、本明細書に記載の実施形態の数又は種類など、解釈の根拠となり得るあらゆる非明示的事項に対して該当する。
本明細書において、「a」、「an」、及び「the(その/前記)」で示す単数形は、文脈上明らかに複数形を含まないことが明らかである場合を除き、対応する複数形に対する言及も包含するものとする。したがって、例えば、ある構成要素を冠詞「a」で導く表現は、文脈上明らかにそうでない場合を除き、その構成要素を2つ以上有する態様も包含する。
本明細書に記載のガラス組成物及びそれから得られる着色ガラス物品の実施形態において、特に断りのない限り、酸化物形態の構成成分(例えば、SiO2、Al2O3など)の濃度は、酸化物基準のモルパーセント(モル%)で示す。
本明細書に記載のガラス組成物及びそれから得られる着色ガラス物品の実施形態において、特に断りのない限り、Au及びClの濃度はモルパーセント(モル%)で示す。
本明細書に記載のガラス組成物及びそれから得られる着色ガラス物品の実施形態において、特に断りのない限り、カチオン「M」の濃度はモルパーセント(モル%)で示す。
「実質含まない(substantially free)」という用語は、ガラス組成物及びそれから得られる着色ガラス物品における特定の構成成分の濃度及び/又は非存在を説明するために用いられる場合、当該構成成分がこのガラス組成物及びそれから得られる着色ガラス物品に意図的には添加されていないことを意味している。ただし、本明細書において特に断りのない限り、当該構成成分は、わずかに残る異物又は混入物として、このガラス組成物及びそれから得られる着色ガラス物品に、200ppm未満の量で含まれる場合がある。なお、「実質含まない」の定義の対象に、金(Au)は含まれないことに留意されたい。Auは、着色ガラス物品において所望の色を実現するために、比較的少量(例えば、限定するものではないが、200ppm未満の量(又は、これに相当するモル%))で、当該着色ガラス物品の元となるガラス組成物に意図的に添加することができる。
「0モル%(0 mol%)」及び「含まない(free)」という用語は、ガラス組成物における特定の構成成分の濃度及び/又は非存在を説明するために用いられる場合、当該構成成分がこのガラス組成物に存在していないことを意味している。
破壊靭性(KIC)は、ガラス組成物の耐破壊性能を表す。例えば、ガラス物品のイオン交換(ion exchange:IOX)処理を行う前にKIC値を測定するなど、破壊靭性は、非強化ガラス物品において測定して、イオン交換前のガラス基板の特徴を表すものである。本明細書に記載の破壊靭性試験方法は、イオン交換処理済のガラスに適したものではない。したがって、イオン交換処理後の物品の破壊靭性を記載している場合、当該破壊靭性は、イオン交換処理後の物品の中心部(すなわち、物品又は基板の厚さをtとした場合に、物品又は基板の各表面から少なくとも0.5tの距離にある点)と同一の組成及び微細構造(存在する場合)を有する、イオン交換処理を行っていない物品の破壊靭性を意味する(イオン交換処理後の物品の中心部は、イオン交換処理後の物品において、イオン交換プロセスの影響を最も受けにくい部分に相当し、したがってその組成及び微細構造は、イオン交換処理を行っていないガラスと同等となる)。破壊靭性は、シェブロンノッチショートバー法(chevron notched short bar:CNSB)で測定した。シェブロンノッチショートバー(CNSB)法については、Reddy, K.P.R. et al著「Fracture Toughness Measurement of Glass and Ceramic Materials Using Chevron-Notched Specimens(シェブロンノッチ試料片を用いたガラス及びセラミック材料の破壊靭性測定)」J. Am. Ceram. Soc.,71[6],C-310-C-313(1988年)に開示されている。ただし、Y*mは、Bubsey, R.T. et al.著「Closed-Form Expressions for Crack-Mouth Displacement and Stress Intensity Factors for Chevron-Notched Short Bar and Short Rod Specimens Based on Experimental Compliance Measurements(実験によるコンプライアンス測定に基づく、シェブロンノッチショートバー及びショートロッド試料片のき裂開口変位と応力拡大係数の閉形式式)」NASA Technical Memorandum 83796,1-30頁(1992年10月)の数式5を使用して計算した。なお、特に断りのない限り、すべての破壊靭性値は、シェブロンノッチショートバー(CNSB)法で測定されたものである。
ただし、一部の試料については、これに代えて、破壊靭性KICの測定を双片持ち梁(double cantilever beam:DCB)法により行った。図49に、DCB試料片の形状を示す。図中、パラメータとして、き裂長さa、印加荷重P、断面寸法w及び2h、き裂案内溝の深さ(厚さ方向)bを示している。試料は、幅2hが1.25cm、厚さwが0.3mm~1mmの長方形にカットした。なお、試料の全長(重要な寸法ではない)は、5cm~10cmの範囲で様々であった。また、試料を試料ホルダー及び荷重に取り付けるための手段として、ダイヤモンドドリルで両端部に穴を開けた。次に、ダイヤモンド刃を装着したウェハダイシングソーで、試料の全長にわたり両平坦面上にき裂「案内溝(guiding groove)」を切り、刃の厚さに相当する180μmの高さで、全板厚の約半分(図49の寸法b)の試料材料の「網目(web)」を残した。ダイシングソーの高精度な寸法公差により、試料間のばらつきを最小限に抑えることができる。また、このダイシングソーを使って、a=15mmの予き裂(initial crack)も切った。この最後の工程により、き裂の先端付近の材料が(刃の湾曲により)非常に薄いくさび状となり、試料にき裂が発生しやすい状態となった。そして、この試料の下側の穴に鋼線を通して、金属製の試料ホルダーに取り付けた。また、低荷重状態でも試料が水平に保たれるよう、試料の反対側の端部も支持した。次に、ロードセル(FUTEK社、LSB200)に直列に取り付けたばねを上側の穴に引っ掛け、ロープと高精度摺動装置を使って引き伸ばすことにより、徐々に荷重を印加した。そして、デジタルカメラとコンピュータを取り付けた分解能5μmの顕微鏡で、き裂を観察した。負荷応力度KPは、下記式により求めた。
各試料について、まず網目の先端でき裂を発生させ、その後、この始き裂(starter crack)から、寸法比a/hが1.5を上回る値となるまで、慎重にサブクリティカルき裂進展を起こして、応力度を正確に計算した。また、この時点でのき裂長さaを、分解能5μmの移動式顕微鏡を使用して測定・記録した。次に、き裂の溝にトルエンを一滴滴下し、毛細管力により溝の長さに沿ってウィッキングさせてき裂をピン止めし、破壊靭性に到達するまでき裂が動かない状態とした。次に、試料が破壊されるまで荷重を増加し、破壊荷重及び試料寸法から臨界応力度KICを求めた。なお、測定方法上、KPはKICと等価となる。
本明細書に記載のガラス組成物の粘度は、ASTM規格C965-96に従って測定している。
本明細書において、「融点(melting point)」という用語は、ガラス組成物の粘度が200ポアズとなる温度を指す。
本明細書において、「軟化点(softening point)」という用語は、ガラス組成物の粘度が1×107.6ポアズとなる温度を指す。軟化点の測定は、ASTM規格C1351Mと同様に、無機ガラスの粘度を温度の関数として107ポアズから109ポアズまで測定する平行板粘度測定法に従って測定している。
本明細書において、「アニール点(annealing point)」という用語は、ガラス組成物の粘度が1×1013.18ポアズとなる温度を指す。
本明細書において、「歪点(strain point)」という用語は、ガラス組成物の粘度が1×1014.68ポアズとなる温度を指す。
本明細書に記載の「熱膨張係数(coefficient of thermal expansion)」及び「CTE」という用語は、ASTM規格E228-85に従って、25℃~300℃の温度範囲で測定した値であり、当該温度範囲の平均値として「×10-7/℃」の単位で表す。
本明細書において、「液相粘度(liquidus viscosity)」という用語は、失透が始まるときの(すなわち、ASTM規格C829-81に従って勾配炉法で求めた液相温度における)ガラス組成物の粘度を指す。
本明細書において、「液相温度(liquidus temperature)」という用語は、ASTM規格C829-81に従って勾配炉法で求めた、ガラス組成物の失透が始まる温度を指す。
表面圧縮応力は、市販の機器(例えば、有限会社折原製作所(日本)製のFSM-6000)などの表面応力計(FSM)で測定することができる。表面応力を測定するためには、ガラス物品の複屈折に関係している応力光学係数(stress optical coefficient:SOC)の測定が必要である。一方、応力光学係数は、ASTM規格C770-16「ガラスの応力光学係数測定の標準試験法(Standard Test Method for Measurement of Glass Stress-Optical Coefficient)」に記載される手順C(ガラスディスク法)に従って測定される。なお、本記載のすべての内容は引用することにより本明細書に組み入れられるものとする。圧縮深さ(DOC)もFSMで測定する。最大中心張力(最大CT)値は、当技術分野において公知の散乱光偏光器(scattered light polariscope:SCALP)技術を使用して測定することができる。
本明細書において、「圧縮深さ(depth of compression)」(DOC)という用語は、圧縮応力から引張応力に変化する物品内の位置を指す。
可視スペクトルの透過率データ(全透過率及び拡散透過率)は、パーキンエルマー社(PerkinElmer Inc.)(米国マサチューセッツ州ウォルサム)製の紫外可視近赤外(UV/Vis/NIR)分光光度計ラムダ950(Lambda 950)で測定している。ラムダ950装置には、150mm積分球を取り付けた。試料位置に何も置かない状態(open beam)を基準値とし、スペクトラロン(Spectralon)(登録商標)標準反射板を使用してデータを収集した。全透過率(Total Tx)の測定は、試料を積分球の入口点に固定して行っている。
本明細書において、可視スペクトルに関して使用される「平均透過率(average transmittance)」という用語は、所定の波長域内で行われた透過率測定値の重み付け平均(各整数波長に対して均等に重み付け)を指す。本明細書に記載の実施形態では、可視スペクトルに関する「平均透過率」とは、380nm以上750nm以下の波長域にわたる平均を示す。また、特に断りのない限り、平均透過率は、0.4mm以上5mm以下の厚さの物品についての値を示している。よって、特に断りのない限り、平均透過率を示している場合、0.4mm~5mmの厚さ範囲内の各厚さの平均透過率が、記載した平均透過率となることを意味している。例えば、380nm~750nmの波長域における平均透過率が10%~92%である着色ガラス物品の場合、0.4mm~5mmの範囲(例えば、0.6mm、0.9mm、2mmなど)の各厚さについて、380nm~750nmの波長域に対する平均透過率が10%~92%の範囲にあることを意味している。
本明細書において、「CIELAB色空間(CIELAB color space)」という用語は、1976年に国際照明委員会(International Commission on Illumination:CIE)が策定した色空間を指す。CIELAB色空間は、色を、黒(0)から白(100)までの明度L*、緑(負の値)から赤(正の値)までのa*、青(負の値)から黄(正の値)までのb*という3つの値で表現する。特に断りのない限り、L*値、a*値、b*値は、0.4mm以上5mm以下の厚さの物品を、F2照明及び10°視野標準観察者の条件で試料の厚さ方向に測定した値を示している。つまり、特に断りのない限り、当該厚さ範囲内の各厚さのL*,a*,b*座標が、本明細書において特定したL*,a*,b*座標の範囲に含まれる。例えば、着色ガラス物品のL*値が55~96.5の範囲にあるとしている場合には、0.4mm~5mmの範囲の各厚さ(例えば、0.6mm、0.9mm、2mmなど)のL*が、55~96.5の範囲にあることを意味している。
本明細書において、「色域(color gamut)」という用語は、着色ガラス物品がCIELAB色空間内において実現できるカラーパレットを指す。
本明細書に記載の「光透過スペクトル(optical transmission spectrum)」は、アジレント(Agilent)社製の分光光度計Cary60を用いて、走査範囲250nm~800nm、走査刻み(scan step)2nm、信号平均0.5秒、スポットサイズ2mmの設定で得たものである。そして、得られた光透過データを使用して、R.S. Berns著「Billmeyer and Saltzman's Principles of Color Technology(ビルメイヤー&ザルツマン色彩技術の原理)」(第3版)John Wiley & Sons,New York(2000年)に記載されているように、CIELAB色空間に座標をプロットした。
本明細書において、「投影色域(projected color gamut)」という用語は、3次元CIELAB色空間内において着色ガラス物品が占める線、面、立体、又は重複立体を指し、着色ガラス物品が、着色ガラス物品中に存在する(1つ以上の)着色剤の濃度に基づいて、CIELAB色空間内において実現できるカラーパレットを表す。本明細書に図示する投影色域は、グラフ作成ルーチンのニュープロット(Gnuplot)バージョン5.4を用いて作成した。具体的には、ニュープロットを用いて、F2照明でのCIE 1976 10°視野標準観察者の条件での透過色のCIELAB色座標を投影表示した。平坦なガラス板を透過する透過率スペクトルは、下記式で与えられる。
式中、Rはガラスのフレネル反射強度係数、Niは個々のドーパントの数密度、σiは個々のドーパントの吸収断面積、λは光の波長、tはガラスの厚さである。色座標は、1.5mmの着色ガラス物品を透過する透過率スペクトルから計算した。複数の着色剤配合について、ドーパント濃度(Ni)を0から最大値まで変化させて、上記透過率式の値を求めた。本明細書において説明するように、かかる投影色域を求める際の最大値については、Cr2O3を2モル%、NiOを4モル%、CuOを20モル%、Co3O4を2モル%に設定した。
当技術分野において公知のとおり、着色ガラス物品の誘電率は、スプリットポスト誘電体共振器(split post dielectric resonator:SPDR)を用いて、10GHzの周波数で測定することができる。誘電率の測定は、長さ3インチ(76.2mm)、幅3インチ(76.2mm)、厚さ0.9mm未満の着色ガラス物品試料で行った。
また、当技術分野において公知のとおり、着色ガラス物品の誘電率は、凹面-凹面反射鏡構成のファブリペロー(Fabry-Perot)開放型共振器を用いて、10GHz~60GHzの周波数範囲にわたり測定することもできる。開放型共振器では、反射鏡の間隔を調整することにより、様々な周波数で誘電率を測定することができる。誘電率の測定は、長さ120mm、幅120mm、厚さ2mm以下の着色ガラス物品試料で行うことができる。理論に縛られることを望むものではないが、10GHzで測定した着色ガラス物品の誘電率は、10GHz~60GHzの範囲の各周波数における誘電率に近似すると考えられる。
着色ガラス物品の誘電率Dkは、下記式に従って計算することができる:
Dk=3.802946+0.01747*B2O3(モル%)+0.058769*Al2O3(モル%)+0.080876*Li2O(モル%)+0.148433*Na2O(モル%)+0.153264*K2O(モル%)+0.045179*MgO(モル%)+0.080113*CaO(モル%)
従来は、アルミノケイ酸塩ガラス組成物に着色剤を添加して、所望の色を有するガラス物品を実現してきた。しかし、このようなガラス物品の場合、一部のエンドユーザー用途に適した所望の機械的又は電気的特性が得られない場合があった。例えば、消費者向け電子デバイスの筐体に使用されるガラスには、日々の過酷な使用に耐える堅牢な機械的特性や、デバイスの無線信号受信を可能にする誘電特性が求められる場合があった。
さらに、着色ガラス物品には、消費者向け電子デバイスと組み合わせて使用するのに適した機械的特性及び誘電特性を有することが望まれると同時に、様々な色に及ぶ色範囲で同様の着色ガラス物品を提供することも望まれる場合がある。しかし、単にアルミノケイ酸塩ガラス組成物に着色剤を含有させるだけでは、所望の色を発色させることができない場合があった。例えば、着色剤の中には、蒸発温度が比較的低く、製造中に蒸発してガラス外部に発散されてしまうものもある。そして、残存する着色剤の量が比較的少なくなってしまうと、実現可能な色域が制限されてしまう。
本明細書は、優れたイオン交換性能を有するガラス組成物及び当該ガラス組成物から生成された着色ガラス物品を開示するものである。この着色ガラス物品は、スマートフォン、タブレット端末、コンピュータなどの消費者向け電子デバイスの筐体として使用するのに好適な、誘電率などの誘電特性を有している。様々な着色剤及び配合着色剤を原料に使用することにより、得られる着色ガラス物品において実現可能な色域を広げることができる。
本明細書に記載のガラス組成物及び着色ガラス物品(アルミノホウケイ酸塩ガラス組成物及び着色ガラス物品と表記する場合もある)は、SiO2、Al2O3、及びB2O3を含む。また、SiO2、Al2O3、及びB2O3に加えて、本明細書に記載のガラス組成物及び着色ガラス物品は、結果として得られる着色ガラス物品に所望の色を付与するため、1つ以上の着色剤を着色剤セット(colorant package)としてさらに含む。また、本明細書に記載のガラス組成物及び着色ガラス物品は、着色ガラス物品をイオン交換性とするために、Li2O及びNa2Oなどのアルカリ酸化物もさらに含む。また、複数の実施形態において、本明細書に記載のガラス組成物及び着色ガラス物品は、着色剤の残存率を高めて、所望の色を有する着色ガラス物品を製造するための他の成分をさらに含むことができる。複数の実施形態において、本明細書に記載のガラス組成物及びそれから得られる着色ガラス物品におけるR2OとAl2O3の差(すなわち、R2O(モル%)-Al2O3(モル%))を調整することにより、所望の観察色(例えば、ピンク色、紫色、赤色、橙色、又は青色)を発色させることができる。また、複数の実施形態において、ガラス組成物の失透を防止するように、ガラス組成物の粘度を調整することができる。
SiO2は、本明細書に記載のガラス組成物における主要なガラス形成物質であり、着色ガラス物品のネットワーク構造を安定化させる機能がある。ガラス組成物の化学的耐久性(特に、酸性溶液、塩基性溶液、及び水への曝露による劣化に対するガラス組成物の耐性)を高めるためには、ガラス組成物及びそれから得られる着色ガラス物品におけるSiO2の濃度を、十分に高い濃度(例えば、40モル%以上)とする必要がある。ただし、純SiO2ガラスや高SiO2ガラスでは融点が高すぎて好ましくないため、SiO2の量を抑えて(例えば、80モル%以下まで)、ガラス組成物の融点を制御することができる。したがって、SiO2の濃度を抑えることにより、得られる着色ガラス物品の溶融性及び成形性の向上に貢献することができる。
複数の実施形態において、ガラス組成物及びそれから得られる着色ガラス物品は、40モル%以上80モル%以下のSiO2、さらに又は50モル%以上80モル%以下のSiO2を含むことができる。また、複数の実施形態において、ガラス組成物及びそれから得られる着色ガラス物品は、45モル%以上67モル%以下のSiO2、さらに又は53モル%以上67モル%以下のSiO2を含むことができる。複数の実施形態において、ガラス組成物及びそれから得られる着色ガラス物品におけるSiO2の濃度は、40モル%以上、45モル%以上、50モル%以上、52モル%以上、53モル%以上、54モル%以上、55モル%以上、56モル%以上、57モル%以上、58モル%以上、さらに又は60モル%以上とすることができる。複数の実施形態において、ガラス組成物及びそれから得られる着色ガラス物品におけるSiO2の濃度は、80モル%以下、75モル%以下、73モル%以下、71モル%以下、70モル%以下、68モル%以下、67モル%以下、66モル%以下、65モル%以下、64モル%以下、63モル%以下、62モル%以下、61モル%以下、60モル%以下、さらに又は59モル%以下とすることができる。複数の実施形態において、ガラス組成物及びそれから得られる着色ガラス物品におけるSiO2の濃度は、40モル%以上70モル%以下、40モル%以上67モル%以下、40モル%以上65モル%以下、40モル%以上63モル%以下、40モル%以上62モル%以下、40モル%以上61モル%以下、40モル%以上60モル%以下、45モル%以上70モル%以下、45モル%以上67モル%以下、45モル%以上65モル%以下、45モル%以上63モル%以下、45モル%以上62モル%以下、45モル%以上61モル%以下、45モル%以上60モル%以下、50モル%以上70モル%以下、50モル%以上67モル%以下、50モル%以上65モル%以下、50モル%以上63モル%以下、50モル%以上62モル%以下、50モル%以上61モル%以下、50モル%以上60モル%以下、50モル%以上59モル%以下、53モル%以上70モル%以下、53モル%以上67モル%以下、53モル%以上65モル%以下、53モル%以上63モル%以下、53モル%以上62モル%以下、53モル%以上61モル%以下、53モル%以上60モル%以下、53モル%以上59モル%以下、55モル%以上70モル%以下、55モル%以上67モル%以下、55モル%以上65モル%以下、55モル%以上63モル%以下、55モル%以上62モル%以下、55モル%以上61モル%以下、55モル%以上60モル%以下、55モル%以上59モル%以下、56モル%以上70モル%以下、56モル%以上67モル%以下、56モル%以上65モル%以下、56モル%以上63モル%以下、56モル%以上62モル%以下、56モル%以上61モル%以下、56モル%以上60モル%以下、56モル%以上59モル%以下、57モル%以上70モル%以下、57モル%以上67モル%以下、57モル%以上65モル%以下、57モル%以上63モル%以下、57モル%以上62モル%以下、57モル%以上61モル%以下、57モル%以上60モル%以下、さらに又は57モル%以上59モル%以下、又は、これら範囲の各端点から形成される任意の及びすべての部分範囲内とすることができる。複数の実施形態において、ガラス組成物及びそれから得られる着色ガラス物品におけるSiO2の濃度は、50モル%以上80モル%以下、50モル%以上75モル%以下、50モル%以上73モル%以下、50モル%以上71モル%以下、50モル%以上69モル%以下、52モル%以上80モル%以下、52モル%以上75モル%以下、52モル%以上73モル%以下、52モル%以上71モル%以下、52モル%以上69モル%以下、54モル%以上80モル%以下、54モル%以上75モル%以下、54モル%以上73モル%以下、54モル%以上71モル%以下、54モル%以上69モル%以下、56モル%以上80モル%以下、56モル%以上75モル%以下、56モル%以上73モル%以下、56モル%以上71モル%以下、56モル%以上69モル%以下、58モル%以上80モル%以下、58モル%以上75モル%以下、58モル%以上73モル%以下、58モル%以上71モル%以下、58モル%以上69モル%以下、50モル%以上80モル%以下、60モル%以上75モル%以下、60モル%以上73モル%以下、60モル%以上71モル%以下、さらに又は60モル%以上69モル%以下、又は、これら範囲の各端点から形成される任意の及びすべての部分範囲内とすることができる。複数の実施形態において、ガラス組成物及びそれから得られる着色ガラス物品におけるSiO2の濃度は、52モル%以上70モル%以下、52モル%以上68モル%以下、52モル%以上66モル%以下、52モル%以上65モル%以下、52モル%以上64モル%以下、53モル%以上70モル%以下、53モル%以上68モル%以下、53モル%以上66モル%以下、53モル%以上65モル%以下、又は53モル%以上64モル%以下、54モル%以上70モル%以下、54モル%以上68モル%以下、54モル%以上66モル%以下、54モル%以上65モル%以下、又は54モル%以上64モル%以下、又はこれら範囲の端点から形成されるありとあらゆる部分範囲とすることができる。
SiO2と同様に、Al2O3もガラスネットワークを安定化させることができ、さらに、ガラス組成物及びそれから得られる着色ガラス物品の機械的特性及び化学的耐久性を向上させることもできる。また、Al2O3の量を調節することにより、ガラス組成物の粘度を制御することもできる。Al2O3は、得られるガラス物品が所望の破壊靭性(例えば、0.7MPa・m1/2以上)を有するように含めることができる。ただし、Al2O3の量が多すぎる(例えば、25モル%を上回る)と、ガラス融液の粘度が上昇し、着色ガラス物品の成形性が低下する恐れがある。複数の実施形態において、Al2O3の量が多すぎると、着色剤セットの1つ以上の着色剤のガラス融液に対する溶解度が低下して、ガラス中に望ましくない結晶相が形成されてしまう恐れがある。例えば、限定されるものではないが、着色剤セットにCr2O3を含む場合、Al2O3濃度が高くなる(例えば、17.5モル%以上の濃度になる)につれてガラス融液に対するCr2O3の溶解度が低下し、望ましくない結晶相の析出が起こる場合がある。理論に縛られることを望むものではないが、Cr2O3以外の着色剤でも同様の挙動が生じ得ると推定される。
したがって、複数の実施形態において、ガラス組成物及びそれから得られる着色ガラス物品は、7モル%以上25モル%以下のAl2O3、7モル%以上20モル%以下のAl2O3、さらに又は8モル%以上20モル%以下のAl2O3を含むことができる。複数の実施形態において、ガラス組成物及びそれから得られる着色ガラス物品は、10モル%以上20モル%以下のAl2O3、10モル%以上17.5モル%以下のAl2O3、さらに又は12モル%以上17.25モル%以下のAl2O3を含むことができる。複数の実施形態において、ガラス組成物及びそれから得られる着色ガラス物品は、11モル%以上19モル%以下のAl2O3、又は14モル%以上17モル%以下のAl2O3を含むことができる。複数の実施形態において、ガラス組成物及びそれから得られる着色ガラス物品におけるAl2O3の濃度は、7モル%以上、8モル%以上、9モル%以上、10モル%以上、11モル%以上、12モル%以上、12.5モル%以上、13モル%以上、13.5モル%以上、14モル%以上、14.5モル%以上、15モル%以上、15.5モル%以上、さらに又は16モル%以上とすることができる。複数の実施形態において、ガラス組成物及びそれから得られる着色ガラス物品におけるAl2O3の濃度は、25モル%以下、23モル%以下、20モル%以下、19モル%以下、18モル%以下、17.5モル%以下、17.25モル%以下、17モル%以下、16.75モル%以下、さらに又は16モル%以下とすることができる。複数の実施形態において、ガラス組成物及びそれから得られる着色ガラス物品におけるAl2O3の濃度は、8モル%以上20モル%以下、8モル%以上18モル%以下、8モル%以上17.5モル%以下、8モル%以上17モル%以下、10モル%以上20モル%以下、10モル%以上18モル%以下、10モル%以上17.5モル%以下、10モル%以上17モル%以下、12モル%以上20モル%以下、12モル%以上18モル%以下、12モル%以上17.5モル%以下、12モル%以上17モル%以下、12.5モル%以上20モル%以下、12.5モル%以上18モル%以下、12.5モル%以上17.5モル%以下、12.5モル%以上17モル%以下、13モル%以上20モル%以下、13モル%以上18モル%以下、13モル%以上17.5モル%以下、13モル%以上17モル%以下、13.5モル%以上20モル%以下、13.5モル%以上18モル%以下、13.5モル%以上17.5モル%以下、13.5モル%以上17モル%以下、14モル%以上20モル%以下、14モル%以上18モル%以下、14モル%以上17.5モル%以下、さらに又は14モル%以上17モル%以下、又は、これら範囲の各端点から形成される任意の及びすべての部分範囲内とすることができる。複数の実施形態において、ガラス組成物及びそれから得られる着色ガラス物品におけるAl2O3の濃度は、7モル%以上25モル%以下、7モル%以上23モル%以下、7モル%以上20モル%以下、7モル%以上17モル%以下、9モル%以上25モル%以下、9モル%以上23モル%以下、9モル%以上20モル%以下、9モル%以上17モル%以下、11モル%以上25モル%以下、11モル%以上23モル%以下、11モル%以上20モル%以下、11モル%以上17モル%以下、13モル%以上25モル%以下、13モル%以上23モル%以下、13モル%以上20モル%以下、13モル%以上17モル%以下、又は、これら範囲の各端点から形成される任意の及びすべての部分範囲内とすることができる。複数の実施形態において、ガラス組成物及びそれから得られる着色ガラス物品におけるAl2O3の濃度は、10モル%以上17.5モル%以下、10モル%以上17.25モル%以下、10モル%以上17モル%以下、10モル%以上16.75モル%以下、12モル%以上17.5モル%以下、12モル%以上17.25モル%以下、12モル%以上17モル%以下、12モル%以上16.75モル%以下、14モル%以上17.5モル%以下、14モル%以上17.25モル%以下、14モル%以上17モル%以下、14モル%以上16.75モル%以下、14.5モル%以上17.5モル%以下、14.5モル%以上17.25モル%以下、14.5モル%以上17モル%以下、14.5モル%以上16.75モル%以下、15モル%以上17.5モル%以下、15モル%以上17.25モル%以下、15モル%以上17モル%以下、15モル%以上16.75モル%以下、15.5モル%以上17.5モル%以下、15.5モル%以上17.25モル%以下、15.5モル%以上17モル%以下、15.5モル%以上16.75モル%以下、16モル%以上17.5モル%以下、16モル%以上17.25モル%以下、16モル%以上17モル%以下、さらに又は16モル%以上16.75モル%以下、又は、これら範囲の各端点から形成される任意の及びすべての部分範囲内とすることができる。複数の実施形態において、ガラス組成物及びそれから得られる着色ガラス物品におけるAl2O3の濃度は、10モル%以上20モル%以下、10モル%以上19モル%以下、10モル%以上18モル%以下、10モル%以上17モル%以下、10モル%以上16モル%以下、11モル%以上20モル%以下、11モル%以上19モル%以下、11モル%以上18モル%以下、11モル%以上17モル%以下、11モル%以上16モル%以下、12モル%以上20モル%以下、12モル%以上19モル%以下、12モル%以上18モル%以下、12モル%以上17モル%以下、12モル%以上16モル%以下、13モル%以上20モル%以下、13モル%以上19モル%以下、13モル%以上18モル%以下、13モル%以上17モル%以下、13モル%以上16モル%以下、14モル%以上20モル%以下、14モル%以上19モル%以下、14モル%以上18モル%以下、14モル%以上17モル%以下、14モル%以上16モル%以下、又は、これら範囲の各端点から形成される任意の及びすべての部分範囲内とすることができる。
B2O3により、ガラス組成物の融点が下がるため、ガラスにおける特定の着色剤(例えば、限定されるものではないがAuなど)の残存率を高めることができる。理論に縛られることを望むものではないが、Au以外の着色剤でも同様の挙動が生じ得ると推定される。また、B2O3は、得られる着色ガラス物品の耐損傷性を向上させることもできる。さらに、B2O3を添加することにより、破壊靭性を低下させる恐れのある非架橋酸素の形成を抑制することもできる。ガラス組成物の融点を下げ、成形性を向上させ、着色ガラス物品の破壊靭性を高めるためには、B2O3の濃度を、十分に高い濃度(例えば、1モル%以上)とする必要がある。ただし、B2O3濃度が高すぎる(例えば、15モル%を上回る)と、アニール点や歪点が下がり、応力緩和が大きくなり、着色ガラス物品の強度が総合的に低下する恐れがある。
複数の実施形態において、ガラス組成物及びそれから得られる着色ガラス物品は、1モル%以上15モル%以下のB2O3、1モル%以上10モル%以下のB2O3、3モル%以上10モル%以下のB2O3、3.5モル%以上9モル%以下のB2O3を含むことができる。複数の実施形態において、ガラス組成物及びそれから得られる着色ガラス物品は、2モル%以上12モル%以下のB2O3、さらに又は2モル%以上8モル%以下のB2O3を含むことができる。複数の実施形態において、ガラス組成物及びそれから得られる着色ガラス物品におけるB2O3の濃度は、1モル%以上、2モル%以上、3モル%以上、3.5モル%以上、4モル%以上、4.5モル%以上、5モル%以上、さらに又は5.5モル%以上とすることができる。複数の実施形態において、ガラス組成物及びそれから得られる着色ガラス物品におけるB2O3の濃度は、15モル%以下、12モル%以下、10モル%以下、9モル%以下、8モル%以下、7.5モル%以下、7モル%以下、6.5モル%以下、さらに又は6モル%以下とすることができる。複数の実施形態において、ガラス組成物及びそれから得られる着色ガラス物品におけるB2O3の濃度は、1モル%以上15モル%以下、1モル%以上12モル%以下、1モル%以上10モル%以下、1モル%以上9モル%以下、1モル%以上8モル%以下、1モル%以上7.5モル%以下、1モル%以上7モル%以下、1モル%以上6.5モル%以下、1モル%以上6モル%以下、2モル%以上15モル%以下、2モル%以上12モル%以下、2モル%以上10モル%以下、2モル%以上9モル%以下、2モル%以上8モル%以下、2モル%以上7.5モル%以下、2モル%以上7モル%以下、2モル%以上6.5モル%以下、2モル%以上6モル%以下、3モル%以上15モル%以下、3モル%以上12モル%以下、3モル%以上10モル%以下、3モル%以上9モル%以下、3モル%以上8モル%以下、3モル%以上7.5モル%以下、3モル%以上7モル%以下、3モル%以上6.5モル%以下、3モル%以上6モル%以下、3.5モル%以上15モル%以下、3.5モル%以上12モル%以下、3.5モル%以上10モル%以下、3.5モル%以上9モル%以下、3.5モル%以上8モル%以下、3.5モル%以上7.5モル%以下、3.5モル%以上7モル%以下、3.5モル%以上6.5モル%以下、3.5モル%以上6モル%以下、4モル%以上15モル%以下、4モル%以上12モル%以下、4モル%以上10モル%以下、4モル%以上9モル%以下、4モル%以上8モル%以下、4モル%以上7.5モル%以下、4モル%以上7モル%以下、4モル%以上6.5モル%以下、4モル%以上6モル%以下、4.5モル%以上10モル%以下、4.5モル%以上9モル%以下、4.5モル%以上8モル%以下、4.5モル%以上7.5モル%以下、4.5モル%以上7モル%以下、4.5モル%以上6.5モル%以下、5モル%以上10モル%以下、5モル%以上9モル%以下、5モル%以上8モル%以下、5モル%以上7.5モル%以下、5モル%以上7モル%以下、5モル%以上6.5モル%以下、5.5モル%以上10モル%以下、5.5モル%以上9モル%以下、5.5モル%以上8モル%以下、5.5モル%以上7.5モル%以下、5.5モル%以上7モル%以下、さらに又は5.5モル%以上6.5モル%以下、又は、これら範囲の各端点から形成される任意の及びすべての部分範囲内とすることができる。
上述したように、ガラス組成物及びそれから得られる着色ガラス物品は、着色ガラス物品をイオン交換性とするために、Li2O、Na2O、及びK2Oなどのアルカリ酸化物を含有することができる。
Li2Oは、着色ガラス物品のイオン交換性に寄与するとともに、ガラス組成物の軟化点を下げ、着色ガラス物品の成形性を向上させる。Li2Oを添加することにより、イオン交換時にガラスへのNa+カチオン及びK+カチオンの導入が促進されてガラスの強化が図れるとともに、比較的大きい表面圧縮応力と比較的大きい圧縮深さが生成され易くなるため、得られる着色ガラス物品の機械的特性が向上する。さらに、Li2Oによりガラス組成物の融点が下がるため、ガラスにおける特定の着色剤(例えば、限定されるものではないがAuなど)の残存率を高めることもできる。理論に縛られることを望むものではないが、Au以外の着色剤でも同様の挙動が生じ得ると推定される。ガラス組成物の融点を下げ、イオン交換後の最大中心張力を所望のもの(例えば、40MPa以上)とするためは、ガラス組成物及びそれから得られる着色ガラス物品におけるLi2Oの濃度を、十分に高い濃度(例えば、1モル%以上)とする必要がある。ただし、Li2Oの量が多すぎる(例えば、20モル%を上回る)と、液相温度が上がり、着色ガラス物品の製造性が低下する恐れがある。
複数の実施形態において、ガラス組成物及びそれから得られる着色ガラス物品は、1モル%以上20モル%以下のLi2O、さらに又は1モル%以上18モル%以下のLi2Oを含むことができる。複数の実施形態において、ガラス組成物及びそれから得られる着色ガラス物品は、3モル%以上18モル%以下のLi2O、7モル%以上18モル%以下のLi2O、8.8モル%以上14モル%以下のLi2O、さらに又は9モル%以上13.5モル%以下のLi2Oを含むことができる。複数の実施形態において、ガラス組成物及びそれから得られる着色ガラス物品におけるLi2Oの濃度は、1モル%以上、3モル%以上、5モル%以上、7モル%以上、7.5モル%以上、8モル%以上、8.5モル%以上、8.8モル%以上、9モル%以上、9.2モル%以上、9.4モル%以上、9.6モル%以上、9.8モル%以上、10モル%以上、11モル%以上、11.5モル%以上、さらに又は12モル%以上とすることができる。複数の実施形態において、ガラス組成物及びそれから得られる着色ガラス物品におけるLi2Oの濃度は、20モル%以下、18モル%以下、17モル%以下、16モル%以下、15モル%以下、14モル%以下、13.5モル%以下、13モル%以下、12.5モル%以下、12モル%以下、11.5モル%以下、さらに又は11モル%以下とすることができる。複数の実施形態において、ガラス組成物及びそれから得られる着色ガラス物品におけるLi2Oの濃度は、1モル%以上20モル%以下、1モル%以上18モル%以下、1モル%以上16モル%以下、1モル%以上14モル%以下、1モル%以上12.5モル%以下、1モル%以上12モル%以下、1モル%以上11.5モル%以下、1モル%以上11モル%以下、3モル%以上20モル%以下、3モル%以上18モル%以下、3モル%以上16モル%以下、3モル%以上14モル%以下、3モル%以上12.5モル%以下、3モル%以上12モル%以下、3モル%以上11.5モル%以下、3モル%以上11モル%以下、5モル%以上20モル%以下、5モル%以上18モル%以下、5モル%以上16モル%以下、5モル%以上14モル%以下、5モル%以上12.5モル%以下、5モル%以上12モル%以下、5モル%以上11.5モル%以下、5モル%以上11モル%以下、7モル%以上20モル%以下、7モル%以上18モル%以下、7モル%以上16モル%以下、7モル%以上15モル%以下、7モル%以上14モル%以下、7モル%以上13モル%以下、7モル%以上12.5モル%以下、7モル%以上12モル%以下、7モル%以上11.5モル%以下、7モル%以上11モル%以下、7.5モル%以上20モル%以下、7.5モル%以上18モル%以下、7.5モル%以上16モル%以下、7.5モル%以上14モル%以下、7.5モル%以上12.5モル%以下、7.5モル%以上12モル%以下、7.5モル%以上11.5モル%以下、7.5モル%以上11モル%以下、8モル%以上20モル%以下、8モル%以上18モル%以下、8モル%以上16モル%以下、8モル%以上15モル%以下、8モル%以上14モル%以下、8モル%以上13モル%以下、8モル%以上12.5モル%以下、8モル%以上12モル%以下、8モル%以上11.5モル%以下、8モル%以上11モル%以下、8.5モル%以上20モル%以下、8.5モル%以上18モル%以下、8.5モル%以上16モル%以下、8.5モル%以上14モル%以下、8.5モル%以上12.5モル%以下、8.5モル%以上12モル%以下、8.5モル%以上11.5モル%以下、8.5モル%以上11モル%以下、9モル%以上20モル%以下、9モル%以上18モル%以下、9モル%以上16モル%以下、9モル%以上15モル%以下、9モル%以上14モル%以下、9モル%以上13モル%以下、9モル%以上12.5モル%以下、9モル%以上12モル%以下、9モル%以上11.5モル%以下、さらに又は9モル%以上11モル%以下、又は、これら範囲の各端点から形成される任意の及びすべての部分範囲内とすることができる。複数の実施形態において、ガラス組成物及びそれから得られる着色ガラス物品におけるLi2Oの濃度は、8.8モル%以上14モル%以下、8.8モル%以上13.5モル%以下、8.8モル%以上13モル%以下、8.8モル%以上12.5モル%以下、8.8モル%以上12モル%以下、8.8モル%以上11.5モル%以下、9モル%以上14モル%以下、9モル%以上13.5モル%以下、9モル%以上13モル%以下、9モル%以上12.5モル%以下、9モル%以上12モル%以下、9モル%以上11.5モル%以下、9.2モル%以上14モル%以下、9.2モル%以上13.5モル%以下、9.2モル%以上13モル%以下、9.2モル%以上12.5モル%以下、9.2モル%以上12モル%以下、9.2モル%以上11.5モル%以下、9.4モル%以上14モル%以下、9.4モル%以上13.5モル%以下、9.4モル%以上13モル%以下、9.4モル%以上12.5モル%以下、9.4モル%以上12モル%以下、9.4モル%以上11.5モル%以下、9.6モル%以上14モル%以下、9.6モル%以上13.5モル%以下、9.6モル%以上13モル%以下、9.6モル%以上12.5モル%以下、9.6モル%以上12モル%以下、9.6モル%以上11.5モル%以下、9.8モル%以上14モル%以下、9.8モル%以上13.5モル%以下、9.8モル%以上13モル%以下、9.8モル%以上12.5モル%以下、9.8モル%以上12モル%以下、9.8モル%以上11.5モル%以下、10モル%以上14モル%以下、10モル%以上13.5モル%以下、10モル%以上13モル%以下、10モル%以上12.5モル%以下、10モル%以上12モル%以下、さらに又は10モル%以上11.5モル%以下、又は、これら範囲の各端点から形成される任意の及びすべての部分範囲内とすることができる。複数の実施形態において、ガラス組成物及びそれから得られる着色ガラス物品におけるLi2Oの濃度は、10モル%以上17モル%以下、10モル%以上16モル%以下、10モル%以上15モル%以下、10モル%以上14モル%以下、10モル%以上13モル%以下、10モル%以上12モル%以下、11モル%以上17モル%以下、11モル%以上16モル%以下、11モル%以上15モル%以下、11モル%以上14モル%以下、11モル%以上13モル%以下、11モル%以上12モル%以下、11.1モル%以上17モル%以下、11.1モル%以上16モル%以下、11.1モル%以上15モル%以下、11.1モル%以上14モル%以下、11.1モル%以上13モル%以下、11.1モル%以上12モル%以下、11.5モル%以上17モル%以下、11.5モル%以上16モル%以下、11.5モル%以上15モル%以下、11.5モル%以上14モル%以下、11.5モル%以上13モル%以下、11.5モル%以上12モル%以下、12モル%以上17モル%以下、12モル%以上16モル%以下、12モル%以上15モル%以下、12モル%以上14モル%以下、12モル%以上13モル%以下、13モル%以上17モル%以下、13モル%以上16モル%以下、13モル%以上15モル%以下、13モル%以上14モル%以下、又は、これら範囲の各端点から形成される任意の及びすべての部分範囲内とすることができる。
Na2Oは、ガラス中のアルカリイオンの拡散性を向上させることにより、イオン交換処理時間を短縮し、所望の表面圧縮応力(例えば、300MPa以上)の実現に貢献する。また、Na2Oを添加することにより、イオン交換時にガラスへのK+カチオンの導入が促進されるため、得られる着色ガラス物品の強化や機械的特性の向上も期待できる。さらに、Na2Oにより、着色ガラス物品の成形性も向上する。また、Na2Oによりガラス組成物の融点が下がるため、ガラスにおける特定の着色剤(例えば、Auなど)の残存率を高めることもできる。理論に縛られることを望むものではないが、Au以外の着色剤でも同様の挙動が生じ得ると推定される。ただし、ガラス組成物へのNa2Oの添加量が多すぎると、融点が下がりすぎる恐れがある。複数の実施形態において、ガラス組成物及びそれから得られる着色ガラス物品に存在するLi2Oの濃度は、当該ガラス組成物及びそれから得られる着色ガラス物品に存在するNa2Oの濃度に比べて高くすることができる。
複数の実施形態において、ガラス組成物及びそれから得られる着色ガラス物品は、0モル%超又は0.01モル%以上15モル%以下のNa2O、0.5モル%以上15モル%以下のNa2O、さらに又は1モル%以上15モル%以下のNa2Oを含むことができる。複数の実施形態において、ガラス組成物及びそれから得られる着色ガラス物品は、1モル%以上12モル%以下のNa2O、さらに又は2モル%以上10モル%以下のNa2Oを含むことができる。複数の実施形態において、ガラス組成物及びそれから得られる着色ガラス物品は、0.01モル%以上4モル%以下のNa2Oを含むことができる。複数の実施形態において、ガラス組成物及びそれから得られる着色ガラス物品は、1.5モル%以上8モル%以下のNa2O、さらに又は2モル%以上7.5モル%以下のNa2Oを含むことができる。複数の実施形態において、ガラス組成物及びそれから得られる着色ガラス物品におけるNa2Oの濃度は、0モル%超、0.01モル%以上、0.5モル%以上、1モル%以上、1.5モル%以上、2モル%以上、2.5モル%以上、3モル%以上、3.5モル%以上、4モル%以上、さらに又は4.5モル%以上とすることができる。複数の実施形態において、ガラス組成物及びそれから得られる着色ガラス物品におけるNa2Oの濃度は、15モル%以下、12モル%以下、10モル%以下、9モル%以下、8.5モル%以下、8モル%以下、7.5モル%以下、以下の7モル%以下、6.5モル%以下、6モル%以下、以下の5.5モル%以下、5モル%以下、4.5モル%以下、さらに又は4モル%以下とすることができる。複数の実施形態において、ガラス組成物及びそれから得られる着色ガラス物品におけるNa2Oの濃度は、0モル%超15モル%以下、0モル%超12モル%以下、0モル%超10モル%以下、0モル%超8モル%以下、0モル%超6モル%以下、0モル%超5.5モル%以下、0モル%超5モル%以下、0モル%超4.5モル%以下、0モル%超4モル%以下、0.01モル%以上15モル%以下、0.01モル%以上12モル%以下、0.01モル%以上10モル%以下、0.01モル%以上8モル%以下、0.01モル%以上6モル%以下、0.01モル%以上5.5モル%以下、0.01モル%以上5モル%以下、0.01モル%以上4.5モル%以下、0.01モル%以上4モル%以下、0.5モル%以上15モル%以下、0.5モル%以上12モル%以下、0.5モル%以上10モル%以下、0.5モル%以上8モル%以下、0.5モル%以上6モル%以下、1モル%以上15モル%以下、1モル%以上12モル%以下、1モル%以上10モル%以下、1モル%以上9モル%以下、1モル%以上8モル%以下、1モル%以上7.5モル%以下、1モル%以上7モル%以下、1モル%以上6.5モル%以下、1モル%以上6モル%以下、1モル%以上5.5モル%以下、1.5モル%以上15モル%以下、1.5モル%以上12モル%以下、1.5モル%以上10モル%以下、1.5モル%以上9モル%以下、1.5モル%以上8モル%以下、1.5モル%以上7.5モル%以下、1.5モル%以上7モル%以下、1.5モル%以上6.5モル%以下、1.5モル%以上6モル%以下、1.5モル%以上5.5モル%以下、2モル%以上15モル%以下、2モル%以上12モル%以下、2モル%以上10モル%以下、2モル%以上9モル%以下、2モル%以上8モル%以下、2モル%以上7.5モル%以下、2モル%以上7モル%以下、2モル%以上6.5モル%以下、2モル%以上6モル%以下、2モル%以上5.5モル%以下、2.5モル%以上15モル%以下、2.5モル%以上12モル%以下、2.5モル%以上10モル%以下、2.5モル%以上9モル%以下、2.5モル%以上8モル%以下、2.5モル%以上7.5モル%以下、2.5モル%以上7モル%以下、2.5モル%以上6.5モル%以下、2.5モル%以上6モル%以下、2.5モル%以上5.5モル%以下、3モル%以上15モル%以下、3モル%以上12モル%以下、3モル%以上10モル%以下、3モル%以上9モル%以下、3以上8.5モル%以下、3モル%以上8モル%以下、3モル%以上7.5モル%以下、3モル%以上7モル%以下、3モル%以上6.5モル%以下、3モル%以上6モル%以下、3モル%以上5.5モル%以下、3.5モル%以上15モル%以下、3.5モル%以上12モル%以下、3.5モル%以上10モル%以下、3.5モル%以上9モル%以下、3.5モル%以上8モル%以下、3.5モル%以上7.5モル%以下、3.5モル%以上7モル%以下、3.5モル%以上6.5モル%以下、3.5モル%以上6モル%以下、3.5モル%以上5.5モル%以下、4モル%以上15モル%以下、4モル%以上12モル%以下、4モル%以上10モル%以下、4モル%以上9モル%以下、4モル%以上8モル%以下、4モル%以上7.5モル%以下、4モル%以上7モル%以下、4モル%以上6.5モル%以下、4モル%以上6モル%以下、4モル%以上5.5モル%以下、4.5モル%以上15モル%以下、4.5モル%以上12モル%以下、4.5モル%以上10モル%以下、4.5モル%以上8モル%以下、4.5モル%以上7.5モル%以下、4.5モル%以上7モル%以下、4.5モル%以上6.5モル%以下、4.5モル%以上6モル%以下、さらに又は4.5モル%以上5.5モル%以下、又は、これら範囲の各端点から形成される任意の及びすべての部分範囲内とすることができる。
ガラス組成物及びそれから得られる着色ガラス物品におけるLi2O+Na2Oの濃度により、当該ガラス組成物及び着色ガラス物品をイオン交換プロセスでいかに強化できるかが決まると考えられる。一般に、イオン交換プロセスとは、ガラス中のアルカリイオンをより大きなアルカリイオンに置換することによりガラスを強化するプロセスである。例えば、Li2O及び/又はNa2Oを含有するガラスの場合、イオン交換により、ガラス中のLi+イオン又はNa+イオンをカリウムイオン(K+)に置換することによってガラスを強化することができる。よって、イオン交換プロセスにより着色ガラス物品をいかに強化できるかは、Li2O+Na2Oの含有量に直接関係しており、Li2O+Na2Oの含有量が低すぎる(例えば、約8モル%未満の)場合には、得られる着色ガラス物品をイオン交換プロセスによって十分に強化することができなくなる恐れがある。
複数の実施形態において、ガラス組成物及びそれから得られる着色ガラス物品におけるLi2O+Na2Oの濃度は、8モル%以上とすることができ、例えば、10モル%以上19モル%以下とすることができる。複数の実施形態において、ガラス組成物及びそれから得られる着色ガラス物品におけるLi2O+Na2Oの濃度は、9モル%以上、10モル%以上、12モル%以上、14モル%以上、16モル%以上、又は16モル%超とすることができる。複数の実施形態において、ガラス組成物及び着色ガラス物品におけるLi2O+Na2Oの濃度は、20モル%以下、18モル%以下、16モル%以下、14モル%以下、12モル%以下、10モル%以下、又は10モル%未満とすることができる。複数の実施形態において、ガラス組成物及び着色ガラス物品におけるLi2O+Na2Oの濃度は、8モル%以上20モル%以下、9モル%以上19モル%以下、10モル%以上18モル%以下、11モル%以上17モル%以下、12モル%以上16モル%以下、13モル%以上15モル%以下、8モル%以上14モル%以下、又は、これら範囲の各端点から形成される任意の及びすべての部分範囲内とすることができる。
K2Oを含めることにより、イオン交換が促進され、圧縮深さの増大、融点の低下、着色ガラス物品の成形性の向上を図ることができる。ただし、K2Oの添加量が多すぎると、表面圧縮応力や融点が低下しすぎる恐れがある。したがって、複数の実施形態において、ガラス組成物に添加するK2Oの量は制限することができる。
複数の実施形態において、ガラス組成物及びそれから得られる着色ガラス物品は、任意選択的に、0モル%以上3モル%以下のK2O、0モル%以上1モル%以下のK2O、0.01モル%以上1モル%以下のK2O、さらに又は0.1モル%以上1モル%以下のK2Oを含むことができる。複数の実施形態において、ガラス組成物及びそれから得られる着色ガラス物品は、任意選択的に、0.1モル%超0.5モル%以下のK2Oを含むことができる。複数の実施形態において、ガラス組成物及びそれから得られる着色ガラス物品におけるK2Oの濃度は、0モル%以上、0.01モル%以上、0.1モル%以上、0.2モル%以上、0.25モル%以上、0.4モル%以上、さらに又は0.5モル%以上とすることができる。複数の実施形態において、ガラス組成物及びそれから得られる着色ガラス物品におけるK2Oの濃度は、3モル%以下、2.5モル%以下、2モル%以下、1.5モル%以下、1モル%以下、0.75モル%以下、0.5モル%以下、さらに又は0.25モル%以下とすることができる。複数の実施形態において、ガラス組成物及びそれから得られる着色ガラス物品におけるK2Oの濃度は、0モル%以上3モル%以下、0モル%以上2.5モル%以下、0モル%以上2モル%以下、0モル%以上1.5モル%以下、0モル%以上1モル%以下、0モル%以上0.75モル%以下、0モル%以上0.7モル%以下、0モル%以上0.5モル%以下、0モル%以上0.25モル%以下、0.01モル%以上3モル%以下、0.01モル%以上2.5モル%以下、0.01モル%以上2モル%以下、0.01モル%以上1.5モル%以下、0.01モル%以上1モル%以下、0.01モル%以上0.75モル%以下、0.01モル%以上0.7モル%以下、0.01モル%以上0.5モル%以下、0.1モル%以上3モル%以下、0.1モル%以上2.5モル%以下、0.1モル%以上2モル%以下、0.1モル%以上1.5モル%以下、0.1モル%以上1モル%以下、0.1モル%以上0.75モル%以下、0.1モル%以上0.7モル%以下、0.1モル%以上0.5モル%以下、0.2モル%以上3モル%以下、0.2モル%以上2.5モル%以下、0.2モル%以上2モル%以下、0.2モル%以上1.5モル%以下、0.2モル%以上1モル%以下、0.2モル%以上0.75モル%以下、0.2モル%以上0.7モル%以下、0.2モル%以上0.5モル%以下、0.25モル%以上3モル%以下、0.25モル%以上2.5モル%以下、0.25モル%以上2モル%以下、0.25モル%以上1.5モル%以下、0.25モル%以上1モル%以下、0.25モル%以上0.75モル%以下、0.25モル%以上0.7モル%以下、0.25モル%以上0.5モル%以下、0.3モル%以上3モル%以下、0.3モル%以上2.5モル%以下、0.3モル%以上2モル%以下、0.3モル%以上1.5モル%以下、0.3モル%以上1モル%以下、0.3モル%以上0.75モル%以下、0.3モル%以上0.7モル%以下、0.3モル%以上0.5モル%以下、0.4モル%以上3モル%以下、0.4モル%以上2.5モル%以下、0.4モル%以上2モル%以下、0.4モル%以上1.5モル%以下、0.4モル%以上1モル%以下、0.4モル%以上0.75モル%以下、0.4モル%以上0.7モル%以下、さらに又は0.4モル%以上0.5モル%以下、0.5モル%以上1モル%以下、又は、これら範囲の各端点から形成される任意の及びすべての部分範囲内とすることができる。複数の実施形態において、ガラス組成物及びそれから得られる着色ガラス物品は、K2Oを実質含まないか、又はK2Oを含まないものとすることもできる。
複数の実施形態において、ガラス組成物及びそれから得られる着色ガラス物品におけるK2Oの濃度は、0モル%以上、0.01モル%以上、0.1モル%以上、0.2モル%以上、0.25モル%以上、0.4モル%以上、さらに又は0.5モル%以上とすることができる。複数の実施形態において、ガラス組成物及びそれから得られる着色ガラス物品におけるK2Oの濃度は、5モル%以下、4モル%以下、3モル%以下、2モル%以下、さらに又は1モル%以下とすることができる。複数の実施形態において、ガラス組成物及びそれから得られる着色ガラス物品におけるK2Oの濃度は、0モル%以上5モル%以下、0モル%以上4モル%以下、0モル%以上3モル%以下、0モル%以上2モル%以下、0モル%以上1モル%以下、0.01モル%以上5モル%以下、0.01モル%以上4モル%以下、0.01モル%以上3モル%以下、0.01モル%以上2モル%以下、0.01モル%以上1モル%以下、0.1モル%以上5モル%以下、0.1モル%以上4モル%以下、0.1モル%以上3モル%以下、0.1モル%以上2モル%以下、0.1モル%以上1モル%以下、0.2モル%以上5モル%以下、0.2モル%以上4モル%以下、0.2モル%以上3モル%以下、0.2モル%以上2モル%以下、0.2モル%以上1モル%以下、0.25モル%以上5モル%以下、0.25モル%以上4モル%以下、0.25モル%以上3モル%以下、0.25モル%以上2モル%以下、0.25モル%以上1モル%以下、0.3モル%以上5モル%以下、0.3モル%以上5モル%以下、0.3モル%以上3モル%以下、0.3モル%以上2モル%以下、0.3モル%以上1モル%以下、0.4モル%以上5モル%以下、0.4モル%以上4モル%以下、0.4モル%以上3モル%以下、0.4モル%以上2モル%以下、0.4モル%以上1モル%以下、0.5モル%以上5モル%以下、0.5モル%以上4モル%以下、0.5モル%以上3モル%以下、0.5モル%以上2モル%以下、さらに又は0.5モル%以上1モル%以下、又は、これら範囲の各端点から形成される任意の及びすべての部分範囲内とすることができる。
本明細書において、R2Oは、ガラス組成物及びそれから得られる着色ガラス物品中に存在するLi2O、Na2O、及びK2Oの合計(モル%)を指す(すなわち、R2O=Li2O(モル%)+Na2O(モル%)+K2O(モル%))。B2O3と同様に、アルカリ酸化物も、ガラス組成物の軟化点及び成形温度の引き下げに寄与する。そして、これにより、例えば、ガラス組成物に含まれるSiO2の量が比較的多いことに起因するガラス組成物の軟化点及び成形温度の上昇が相殺される。複数種類のアルカリ酸化物(例えば、2種類以上のアルカリ酸化物)を組み合わせてガラス組成物に含めることにより、軟化点及び成形温度をさらに下げることができる。この現象は、「混合アルカリ効果(mixed alkali effect)」と呼ばれる。ただし、アルカリ酸化物の量が多すぎると、ガラス組成物の平均熱膨張係数が100×10-7/℃超にまで上昇し、望ましくない場合があることが確認されている。
複数の実施形態において、ガラス組成物及びそれから得られる着色ガラス物品におけるR2Oの濃度は、1モル%以上35モル%以下とすることができる。複数の実施形態において、ガラス組成物及びそれから得られる着色ガラス物品におけるR2Oの濃度は、6モル%以上25モル%以下、さらに又は8モル%以上23モル%以下とすることができる。複数の実施形態において、ガラス組成物及びそれから得られる着色ガラス物品におけるR2Oの濃度は、2モル%以上、4モル%以上、6モル%超、8モル%以上、10モル%以上、10.3モル%以上、11モル%以上、12モル%以上、13モル%以上、さらに又は14モル%以上とすることができる。複数の実施形態において、ガラス組成物及びそれから得られる着色ガラス物品におけるR2Oの濃度は、35モル%以下、30モル%以下、25モル%以下、23モル%以下、22モル%以下、21モル%以下、20モル%以下、19モル%以下、18モル%以下、17モル%以下、さらに又は16モル%以下とすることができる。複数の実施形態において、ガラス組成物及びそれから得られる着色ガラス物品におけるR2Oの濃度は、1モル%以上35モル%以下、1モル%以上30モル%以下、1モル%以上25モル%以下、1モル%以上23モル%以下、1モル%以上22モル%以下、1モル%以上21モル%以下、1モル%以上20モル%以下、1モル%以上19モル%以下、1モル%以上18モル%以下、1モル%以上17モル%以下、1モル%以上16モル%以下、2モル%以上35モル%以下、2モル%以上30モル%以下、2モル%以上25モル%以下、2モル%以上23モル%以下、2モル%以上22モル%以下、2モル%以上21モル%以下、2モル%以上20モル%以下、2モル%以上19モル%以下、2モル%以上18モル%以下、2モル%以上17モル%以下、2モル%以上16モル%以下、4モル%以上35モル%以下、4モル%以上30モル%以下、4モル%以上25モル%以下、4モル%以上23モル%以下、4モル%以上22モル%以下、4モル%以上21モル%以下、4モル%以上20モル%以下、4モル%以上19モル%以下、4モル%以上18モル%以下、4モル%以上17モル%以下、4モル%以上16モル%以下、6モル%以上35モル%以下、6モル%以上30モル%以下、6モル%以上25モル%以下、6モル%以上23モル%以下、6モル%以上22モル%以下、6モル%以上21モル%以下、6モル%以上20モル%以下、6モル%以上19モル%以下、6モル%以上18モル%以下、6モル%以上17モル%以下、6モル%以上16モル%以下、8モル%以上35モル%以下、8モル%以上30モル%以下、8モル%以上25モル%以下、8モル%以上23モル%以下、8モル%以上22モル%以下、8モル%以上21モル%以下、8モル%以上20モル%以下、8モル%以上19モル%以下、8モル%以上18モル%以下、8モル%以上17モル%以下、8モル%以上16モル%以下、10モル%以上35モル%以下、10モル%以上30モル%以下、10モル%以上25モル%以下、10モル%以上23モル%以下、10モル%以上22モル%以下、10モル%以上21モル%以下、10モル%以上20モル%以下、10モル%以上19モル%以下、10モル%以上18モル%以下、10モル%以上17モル%以下、10モル%以上16モル%以下、11モル%以上35モル%以下、11モル%以上30モル%以下、11モル%以上25モル%以下、11モル%以上23モル%以下、11モル%以上22モル%以下、11モル%以上21モル%以下、11モル%以上20モル%以下、11モル%以上19モル%以下、11モル%以上18モル%以下、11モル%以上17モル%以下、11モル%以上16モル%以下、12モル%以上35モル%以下、12モル%以上30モル%以下、12モル%以上25モル%以下、12モル%以上23モル%以下、12モル%以上22モル%以下、12モル%以上21モル%以下、12モル%以上20モル%以下、12モル%以上19モル%以下、12モル%以上18モル%以下、12モル%以上17モル%以下、12モル%以上16モル%以下、13モル%以上35モル%以下、13モル%以上30モル%以下、13モル%以上25モル%以下、13モル%以上23モル%以下、13モル%以上22モル%以下、13モル%以上21モル%以下、13モル%以上20モル%以下、13モル%以上19モル%以下、13モル%以上18モル%以下、13モル%以上17モル%以下、13モル%以上16モル%以下、14モル%以上35モル%以下、14モル%以上30モル%以下、14モル%以上25モル%以下、14モル%以上23モル%以下、14モル%以上22モル%以下、14モル%以上21モル%以下、14モル%以上20モル%以下、14モル%以上19モル%以下、14モル%以上18モル%以下、14モル%以上17モル%以下、さらに又は14モル%以上16モル%以下、又は、これら範囲の各端点から形成される任意の及びすべての部分範囲内とすることができる。
複数の実施形態において、ガラス組成物中のR2OとAl2O3の差(すなわち、R2O(モル%)-Al2O3(モル%))を調整することにより、所望の観察色(例えば、ピンク色、紫色、赤色、橙色、又は青色)を発色させることができる。本明細書で説明するように、得られた着色ガラス物品を分析することにより特定したR2O-Al2O3は、添加した着色剤セットと併せて、熱処理後の着色ガラス物品の観察色と相関させることができる。複数の実施形態において、ガラス組成物及びそれから得られる着色ガラス物品におけるR2O-Al2O3は、-5モル%以上7モル%以下、さらに又は-3モル%以上2モル%以下とすることができる。複数の実施形態において、ガラス組成物及びそれから得られる着色ガラス物品におけるR2O-Al2O3は、-3モル%以上6モル%以下とすることができる。複数の実施形態において、ガラス組成物及びそれから得られる着色ガラス物品におけるR2O-Al2O3は、-1モル%以上5モル%以下とすることができる。複数の実施形態において、ガラス組成物及びそれから得られる着色ガラス物品におけるR2O-Al2O3は、-5モル%以上1.5モル%以下とすることができる。複数の実施形態において、ガラス組成物及びそれから得られる着色ガラス物品におけるR2O-Al2O3は、-3モル%以上1.5モル%以下とすることができる。複数の実施形態において、ガラス組成物及びそれから得られる着色ガラス物品におけるR2O-Al2O3は、1.5モル%以上7モル%以下とすることができる。複数の実施形態において、ガラス組成物及びそれから得られる着色ガラス物品におけるR2O-Al2O3は、1.5モル%以上5モル%以下とすることができる。複数の実施形態において、ガラス組成物及びそれから得られる着色ガラス物品におけるR2O-Al2O3は、-5モル%以上、-4モル%以上、-3モル%以上、-2.5モル%以上、-2モル%以上、-1.5モル%以上、0.2モル%以上、0.5モル%以上、1モル%以上、1.5モル%以上、さらに又は2モル%以上とすることができる。複数の実施形態において、ガラス組成物及びそれから得られる着色ガラス物品におけるR2O-Al2O3は、7モル%以下、6.5モル%以下、6モル%以下、5.5モル%以下、5モル%以下、4.5モル%以下、4モル%以下、3.5モル%以下、3モル%以下、2.5モル%以下、2モル%以下、1.5モル%以下、1モル%以下、さらに又は0.5モル%以下とすることができる。複数の実施形態において、ガラス組成物及びそれから得られる着色ガラス物品におけるR2O-Al2O3は、-5モル%以上7モル%以下、-5モル%以上5モル%以下、-5モル%以上3モル%以下、-5モル%以上1.5モル%以下、-3モル%以上7モル%以下、-3モル%以上5モル%以下、-3モル%以上3モル%以下、-3モル%以上1.5モル%以下、-1モル%以上7モル%以下、-1モル%以上5モル%以下、-1モル%以上3モル%以下、-1モル%以上1.5モル%以下、0モル%以上7モル%以下、0モル%以上5モル%以下、0モル%以上3モル%以下、0モル%以上1.5モル%以下、1.5モル%以上7モル%以下、1.5モル%以上5モル%以下、さらに又は1.5モル%以上3モル%以下、又は、これら範囲の各端点から形成される任意の及びすべての部分範囲内とすることができる。複数の実施形態において、ガラス組成物及びそれから得られる着色ガラス物品におけるR2O-Al2O3は、-3モル%以上2モル%以下、-3モル%以上1.5モル%以下、-3モル%以上1モル%以下、-3モル%以上0.5モル%以下、-2.5モル%以上2モル%以下、-2.5モル%以上1.5モル%以下、-2.5モル%以上1モル%以下、-2.5モル%以上0.5モル%以下、-2モル%以上2モル%以下、-2モル%以上1.5モル%以下、-2モル%以上1モル%以下、-2モル%以上0.5モル%以下、-1.5モル%以上2モル%以下、-1.5モル%以上1.5モル%以下、-1.5モル%以上1モル%以下、さらに又は-1.5モル%以上0.5モル%以下、又は、これら範囲の各端点から形成される任意の及びすべての部分範囲内とすることができる。複数の実施形態において、ガラス組成物及びそれから得られる着色ガラス物品におけるR2OとAl2O3の濃度差は、0.2モル%以上5モル%以下、0.2モル%以上4.5モル%以下、0.2モル%以上4モル%以下、0.2モル%以上3.5モル%以下、0.2モル%以上3モル%以下、0.5モル%以上5モル%以下、0.5モル%以上4.5モル%以下、0.5モル%以上4モル%以下、0.5モル%以上3.5モル%以下、0.5モル%以上3モル%以下、1モル%以上5モル%以下、1モル%以上4.5モル%以下、1モル%以上4モル%以下、1モル%以上3.5モル%以下、1モル%以上3モル%以下、1.5モル%以上5モル%以下、1.5モル%以上4.5モル%以下、1.5モル%以上4モル%以下、1.5モル%以上3.5モル%以下、1.5モル%以上3モル%以下、2モル%以上5モル%以下、2モル%以上4.5モル%以下、2モル%以上4モル%以下、2モル%以上3.5モル%以下、2モル%以上3モル%以下、又は、これら範囲の各端点から形成される任意の及びすべての部分範囲内とすることができる。
また、複数の実施形態において、本明細書に記載のガラス組成物及びそれから得られる着色ガラス物品は、MgO及び/又はZnOをさらに含み、これにより、ガラス組成物の融点を下げることによって、ガラス中の着色剤(例えば、Auなど)の残存率の向上を図る。ガラス組成物の融点を下げると、ガラス組成物を比較的低い温度で溶融させることができ、ガラスからの金などの着色剤の蒸発が抑えられるため、着色剤の残存率の向上に寄与することができると考えられる。また、理論に縛られることを望むものではないが、Li2O及び/又はNa2Oの一部をMgO及び/又はZnOで置き換えたことも、着色剤の残存率の向上に寄与していると考えられている。具体的には、ガラス組成物バッチには、Li2Oは炭酸リチウムの形で含まれ、及び/又はNa2Oは炭酸ナトリウムの形で含まれている。そして、ガラス組成物を溶融すると、ガラス組成物から炭酸ガスが放出される。その際、この炭酸ガスの中に含まれる形で、Auなどの着色剤もガラス組成物から逃げてしまう。したがって、着色剤の残存率の向上は、炭酸塩の量を低減したことによるものと考えられる。さらに、MgO及び/又はZnOにより、ガラス中の一部の着色剤(例えば、Cr2O3など)の溶解度を高めることができ、これにより、望ましくない結晶相(Crスピネル結晶など)の形成を防ぎ、得られる着色ガラス物品において実現可能な色域を広げることができると考えられている。例えば、着色剤にCr2O3を含む実施形態では、ガラス組成物及びそれから得られる着色ガラス物品に存在するMgO及びZnOの合計(すなわち、MgO(モル%)+ZnO(モル%))は、0モル%以上6モル%以下、さらに又は4.5モル%以下とすることができる。理論に縛られることを望むものではないが、AuやCr2O3以外の着色剤でも同様の挙動が生じ得ると推定される。
複数の実施形態において、ガラス組成物及びそれから得られる着色ガラス物品に存在するMgO及びZnOの合計(モル%)(すなわち、MgO(モル%)+ZnO(モル%))は、0モル%以上8モル%以下、0.1モル%以上8モル%以下、0モル%以上6モル%以下、0.1モル%以上6モル%以下、さらに又は0モル%以上4.5モル%以下とすることができる。複数の実施形態において、ガラス組成物及びそれから得られる着色ガラス物品におけるMgO及びZnOの合計は、0.5モル%以上5.5モル%以下とすることができる。複数の実施形態において、ガラス組成物及びそれから得られる着色ガラス物品におけるMgO及びZnOの合計は、0モル%以上、0.01モル%以上、0.1モル%以上、0.5モル%以上、1モル%以上、1.5モル%以上、2モル%以上、2.5モル%以上、3モル%以上、さらに又は3.5モル%以上とすることができる。複数の実施形態において、ガラス組成物及びそれから得られる着色ガラス物品におけるMgO及びZnOの合計は、8モル%以下、7モル%以下、6モル%以下、5.5モル%以下、5モル%以下、4.5モル%以下、4.25モル%以下、さらに又は4モル%以下とすることができる。複数の実施形態において、ガラス組成物及びそれから得られる着色ガラス物品におけるMgO及びZnOの合計は、0モル%以上8モル%以下、0モル%以上7モル%以下、0モル%以上6モル%以下、0モル%以上5.5モル%以下、0モル%以上5モル%以下、0モル%以上4.5モル%以下、0モル%以上4.25モル%以下、0モル%以上4モル%以下、0.1モル%以上8モル%以下、0.1モル%以上7モル%以下、0.1モル%以上6モル%以下、0.1モル%以上5.5モル%以下、0.1モル%以上5モル%以下、0.1モル%以上4.5モル%以下、0.1モル%以上4.25モル%以下、0.1モル%以上4モル%以下、0.5モル%以上8モル%以下、0.5モル%以上7モル%以下、0.5モル%以上6モル%以下、0.5モル%以上5.5モル%以下、0.5モル%以上5モル%以下、0.5モル%以上4.5モル%以下、0.5モル%以上4.25モル%以下、0.5モル%以上4モル%以下、1モル%以上8モル%以下、1モル%以上7モル%以下、1モル%以上6モル%以下、1モル%以上5.5モル%以下、1モル%以上5モル%以下、1モル%以上4.5モル%以下、1モル%以上4.25モル%以下、1モル%以上4モル%以下、1.5モル%以上8モル%以下、1.5モル%以上7モル%以下、1.5モル%以上6モル%以下、1.5モル%以上5.5モル%以下、1.5モル%以上5モル%以下、1.5モル%以上4.5モル%以下、1.5モル%以上4.25モル%以下、1.5モル%以上4モル%以下、2モル%以上8モル%以下、2モル%以上7モル%以下、2モル%以上6モル%以下、2モル%以上5.5モル%以下、2モル%以上5モル%以下、2モル%以上4.5モル%以下、2モル%以上4.25モル%以下、2モル%以上4モル%以下、2.5モル%以上8モル%以下、2.5モル%以上7モル%以下、2.5モル%以上6モル%以下、2.5モル%以上5.5モル%以下、2.5モル%以上5モル%以下、2.5モル%以上4.5モル%以下、2.5モル%以上4.25モル%以下、2.5モル%以上4モル%以下、3モル%以上8モル%以下、3モル%以上7モル%以下、3モル%以上6モル%以下、3モル%以上5.5モル%以下、3モル%以上5モル%以下、3モル%以上4.5モル%以下、3モル%以上4.25モル%以下、3モル%以上4モル%以下、3モル%以上8モル%以下、3モル%以上7モル%以下、3.5モル%以上6モル%以下、3.5モル%以上5.5モル%以下、3.5モル%以上5モル%以下、さらに又は3.5モル%以上4.5モル%以下、3.5モル%以上4.25モル%以下、3.5モル%以上4モル%以下、又は、これら範囲の各端点から形成される任意の及びすべての部分範囲内とすることができる。
MgOは、着色剤の残存率を向上させるとともに、ガラス組成物の粘度を低下させることにより、成形性、歪点、ヤング率を向上させて、イオン交換性を高めることができる。ただし、ガラス組成物へのMgOの添加量が多すぎると、ガラス組成物内へのナトリウムイオンやカリウムイオンの拡散性が低下し、得られる着色ガラス物品のイオン交換性能(すなわち、いかにイオン交換できるか)に悪影響を及ぼしてしまう。
複数の実施形態において、ガラス組成物及びそれから得られる着色ガラス物品は、0モル%以上8モル%以下のMgO、さらに又は0モル%以上4.5モル%以下のMgOを含むことができる。複数の実施形態において、ガラス組成物及びそれから得られる着色ガラス物品は、0.5モル%以上7モル%以下のMgOを含むことができる。複数の実施形態において、ガラス組成物におけるMgOの濃度は、0モル%以上、0.5モル%以上、1モル%以上、1.5モル%以上、2モル%以上、さらに又は2.5モル%以上とすることができる。複数の実施形態において、ガラス組成物におけるMgOの濃度は、8モル%以下、7モル%以下、6モル%以下、5.5モル%以下、5モル%以下、4.5モル%以下、4モル%以下、3.5モル%以下、3モル%以下、2.5モル%以下、2モル%以下、1.5モル%以下、さらに又は1モル%以下とすることができる。複数の実施形態において、ガラス組成物におけるMgOの濃度は、0モル%以上8モル%以下、0モル%以上7モル%以下、0モル%以上6モル%以下、0モル%以上5.5モル%以下、0モル%以上5モル%以下、0モル%以上4.5モル%以下、0モル%以上4モル%以下、0モル%以上3.5モル%以下、0モル%以上3モル%以下、0モル%以上2.5モル%以下、0モル%以上2モル%以下、0モル%以上1.5モル%以下、0モル%以上1モル%以下、0モル%以上0.5モル%以下、0.5モル%以上8モル%以下、0.5モル%以上7モル%以下、0.5モル%以上6モル%以下、0.5モル%以上5.5モル%以下、0.5モル%以上5モル%以下、0.5モル%以上4.5モル%以下、0.5モル%以上4モル%以下、0.5モル%以上3.5モル%以下、0.5モル%以上3モル%以下、0.5モル%以上2.5モル%以下、0.5モル%以上2モル%以下、0.5モル%以上1.5モル%以下、0.5モル%以上1モル%以下、1モル%以上8モル%以下、1モル%以上7モル%以下、1モル%以上6モル%以下、1モル%以上5.5モル%以下、1モル%以上5モル%以下、1モル%以上4.5モル%以下、1モル%以上4モル%以下、1モル%以上3.5モル%以下、1モル%以上3モル%以下、1モル%以上2.5モル%以下、1モル%以上2モル%以下、1モル%以上1.5モル%以下、1.5モル%以上8モル%以下、1.5モル%以上7モル%以下、1.5モル%以上6モル%以下、1.5モル%以上5.5モル%以下、1.5モル%以上5モル%以下、1.5モル%以上4.5モル%以下、1.5モル%以上4モル%以下、1.5モル%以上3.5モル%以下、1.5モル%以上3モル%以下、1.5モル%以上2.5モル%以下、1.5モル%以上2モル%以下、2モル%以上8モル%以下、2モル%以上7モル%以下、2モル%以上6モル%以下、2モル%以上5.5モル%以下、2モル%以上5モル%以下、2モル%以上4.5モル%以下、2モル%以上4モル%以下、2モル%以上3.5モル%以下、2モル%以上3モル%以下、2モル%以上2.5モル%以下、0モル%以上8モル%以下、2.5モル%以上7モル%以下、2.5モル%以上6モル%以下、2.5モル%以上5.5モル%以下、2.5モル%以上5モル%以下、2.5モル%以上4.5モル%以下、2.5モル%以上4モル%以下、2.5モル%以上3.5モル%以下、さらに又は2.5モル%以上3モル%以下、又は、これら範囲の各端点から形成される任意の及びすべての部分範囲内とすることができる。複数の実施形態において、ガラス組成物及びそれから得られる着色ガラス物品は、MgOを実質含まないか、又はMgOを含まないものとすることもできる。
複数の実施形態において、ガラス組成物及びそれから得られる着色ガラス物品は、0モル%以上6モル%以下のMgOを含むことができる。複数の実施形態において、ガラス組成物及びそれから得られる着色ガラス物品は、0.1モル%以上5モル%以下のMgOを含むことができる。複数の実施形態において、ガラス組成物におけるMgOの濃度は、0モル%以上、0.1モル%以上、さらに又は0.5モル%以上とすることができる。複数の実施形態において、ガラス組成物におけるMgOの濃度は、6モル%以下、5モル%以下、4モル%以下、3モル%以下、2モル%以下、さらに又は1モル%以下とすることができる。複数の実施形態において、ガラス組成物におけるMgOの濃度は、0モル%以上6モル%以下、0モル%以上5モル%以下、0モル%以上4モル%以下、0モル%以上3モル%以下、0モル%以上2モル%以下、0モル%以上1モル%以下、0.1モル%以上6モル%以下、0.1モル%以上5モル%以下、0.1モル%以上4モル%以下、0.1モル%以上3モル%以下、0.1モル%以上2モル%以下、0.1モル%以上1モル%以下、0.5モル%以上6モル%以下、0.5モル%以上5モル%以下、0.5モル%以上4モル%以下、0.5モル%以上3モル%以下、0.5モル%以上2モル%以下、さらに又は0.5モル%以上1モル%以下、又は、これら範囲の各端点から形成される任意の及びすべての部分範囲内とすることができる。複数の実施形態において、ガラス組成物及びそれから得られる着色ガラス物品は、MgOを実質含まないか、又はMgOを含まないものとすることもできる。
ZnOは、着色剤の残存率を向上させるとともに、ガラス組成物の粘度を低下させることにより、成形性、歪点、ヤング率を向上させて、イオン交換性を高めることができる。ただし、ガラス組成物へのZnOの添加量が多すぎると、ガラス組成物内へのナトリウムイオンやカリウムイオンの拡散性が低下し、得られる着色ガラス物品のイオン交換性能(すなわち、いかにイオン交換できるか)に悪影響を及ぼしてしまう。
複数の実施形態において、ガラス組成物及びそれから得られる着色ガラス物品は、0モル%以上5モル%以下のZnO、さらに又は0モル%以上4.5モル%以下のZnOを含むことができる。複数の実施形態において、ガラス組成物及びそれから得られる着色ガラス物品は、0.1モル%以上4モル%以下のZnOを含むことができる。複数の実施形態において、ガラス組成物におけるZnOの濃度は、0モル%以上、0.1モル%以上、0.25モル%以上、0.5モル%以上、0.75モル%以上、1モル%以上、1.5モル%以上、さらに又は2モル%以上とすることができる。複数の実施形態において、ガラス組成物におけるZnOの濃度は、5モル%以下、4.5モル%以下、4モル%以下、3.5モル%以下、3モル%以下、2.5モル%以下、2モル%以下、1.75モル%以下、1.5モル%以下、1.25モル%以下、さらに又は1モル%以下とすることができる。複数の実施形態において、ガラス組成物におけるZnOの濃度は、0モル%以上5モル%以下、0モル%以上4.5モル%以下、0モル%以上4モル%以下、0モル%以上3.5モル%以下、0モル%以上3モル%以下、0モル%以上2.5モル%以下、0モル%以上2モル%以下、0モル%以上1.75モル%以下、0モル%以上1.5モル%以下、0モル%以上1.25モル%以下、0モル%以上1モル%以下、0.1モル%以上5モル%以下、0.1モル%以上4.5モル%以下、0.1モル%以上4モル%以下、0.1モル%以上3.5モル%以下、0.1モル%以上3モル%以下、0.1モル%以上2.5モル%以下、0.1モル%以上2モル%以下、0.1モル%以上1.75モル%以下、0.1モル%以上1.5モル%以下、0.1モル%以上1.25モル%以下、0.1モル%以上1モル%以下、0.25モル%以上5モル%以下、0.25モル%以上4.5モル%以下、0.25モル%以上4モル%以下、0.25モル%以上3.5モル%以下、0.25モル%以上3モル%以下、0.25モル%以上2.5モル%以下、0.25モル%以上2モル%以下、0.25モル%以上1.75モル%以下、0.25モル%以上1.5モル%以下、0.25モル%以上1.25モル%以下、0.25モル%以上1モル%以下、0.5モル%以上5モル%以下、0.5モル%以上4.5モル%以下、0.5モル%以上4モル%以下、0.5モル%以上3.5モル%以下、0.5モル%以上3モル%以下、0.5モル%以上2.5モル%以下、0.5モル%以上2モル%以下、0.5モル%以上1.75モル%以下、0.5モル%以上1.5モル%以下、0.5モル%以上1.25モル%以下、0.5モル%以上1モル%以下、0.75モル%以上5モル%以下、0.75モル%以上4モル%以下、0.75モル%以上3モル%以下、0.75モル%以上2.5モル%以下、0.75モル%以上2モル%以下、0.75モル%以上1.75モル%以下、0.75モル%以上1.5モル%以下、0.75モル%以上1.25モル%以下、1モル%以上1モル%以下、1モル%以上5モル%以下、1モル%以上4.5モル%以下、1モル%以上4モル%以下、1モル%以上3.5モル%以下、1モル%以上3モル%以下、1モル%以上2.5モル%以下、1モル%以上2モル%以下、1モル%以上1.75モル%以下、1モル%以上1.5モル%以下、1モル%以上1.25モル%以下、1.5モル%以上5モル%以下、1.5モル%以上4.5モル%以下、1.5モル%以上4モル%以下、1.5モル%以上3.5モル%以下、1.5モル%以上3モル%以下、1.5モル%以上2.5モル%以下、1.5モル%以上2モル%以下、1.5モル%以上1.75モル%以下、2モル%以上5モル%以下、2モル%以上4.5モル%以下、2モル%以上4モル%以下、2モル%以上3.5モル%以下、2モル%以上3モル%以下、さらに又は2モル%以上2.5モル%以下、又は、これら範囲の各端点から形成される任意の及びすべての部分範囲内とすることができる。複数の実施形態において、ガラス組成物及びそれから得られる着色ガラス物品は、ZnOを実質含まないか、又はZnOを含まないものとすることもできる。
ZnOやアルカリ土類酸化物であるMgOと同様に、CaO、SrO、BaOなどの他のアルカリ土類酸化物も、ガラス組成物の融点を下げる。したがって、ガラス組成物の融点引き下げにより着色剤の残存率向上に寄与するため、ガラス組成物及びそれから得られる着色ガラス物品にCaO、SrO、及び/又はBaOを含めることもできる。
複数の実施形態において、本明細書に記載のガラス組成物及びそれから得られる着色ガラス物品はCaOをさらに含むことができる。CaOは、ガラス組成物の粘度を低下させることにより、成形性、歪点、ヤング率を向上させて、イオン交換性を高めることができる。ただし、ガラス組成物へのCaOの添加量が多すぎると、ガラス組成物内へのナトリウムイオンやカリウムイオンの拡散性が低下し、得られる着色ガラス物品のイオン交換性能(すなわち、いかにイオン交換できるか)に悪影響を及ぼしてしまう。
複数の実施形態において、ガラス組成物及びそれから得られる着色ガラス物品におけるCaOの濃度は、0モル%以上、0.25モル%以上、0.5モル%以上、さらに又は0.75モル%以上とすることができる。複数の実施形態において、ガラス組成物及びそれから得られる着色ガラス物品におけるCaOの濃度は、7モル%以下、6.5モル%以下、6モル%以下、5.5モル%以下、5モル%以下、4.5モル%以下、4モル%以下、3.5モル%以下、3モル%以下、2.5モル%以下、2モル%以下、1.75モル%以下、1.5モル%以下、1.25モル%以下、さらに又は1モル%以下とすることができる。複数の実施形態において、ガラス組成物及びそれから得られる着色ガラス物品におけるCaOの濃度は、0モル%以上7モル%以下、0モル%以上6.5モル%以下、0モル%以上6モル%以下、0モル%以上5.5モル%以下、0モル%以上5モル%以下、0モル%以上4.5モル%以下、0モル%以上4モル%以下、0モル%以上3.5モル%以下、0モル%以上3モル%以下、0モル%以上2.5モル%以下、0モル%以上2モル%以下、0モル%以上1.75モル%以下、0モル%以上1.5モル%以下、0モル%以上1.25モル%以下、0モル%以上1モル%以下、0.25モル%以上7モル%以下、0.25モル%以上6.5モル%以下、0.25モル%以上6モル%以下、0.25モル%以上5.5モル%以下、0.25モル%以上5モル%以下、0.25モル%以上4.5モル%以下、0.25モル%以上4モル%以下、0.25モル%以上3.5モル%以下、0.25モル%以上3モル%以下、0.25モル%以上2.5モル%以下、0.25モル%以上2モル%以下、0.25モル%以上1.75モル%以下、0.25モル%以上1.5モル%以下、0.25モル%以上1.25モル%以下、0.25モル%以上1モル%以下、0.5モル%以上7モル%以下、0.5モル%以上6.5モル%以下、0.5モル%以上6モル%以下、0.5モル%以上5.5モル%以下、0.5モル%以上5モル%以下、0.5モル%以上4.5モル%以下、0.5モル%以上4モル%以下、0.5モル%以上3.5モル%以下、0.5モル%以上3モル%以下、0.5モル%以上2.5モル%以下、0.5モル%以上2モル%以下、0.5モル%以上1.75モル%以下、0.5モル%以上1.5モル%以下、0.5モル%以上1.25モル%以下、0.5モル%以上1モル%以下、0.75モル%以上7モル%以下、0.75モル%以上6.5モル%以下、0.75モル%以上6モル%以下、0.75モル%以上5.5モル%以下、0.75モル%以上5モル%以下、0.75モル%以上4.5モル%以下、0.75モル%以上4モル%以下、0.75モル%以上3.5モル%以下、0.75モル%以上3モル%以下、0.75モル%以上2.5モル%以下、0.75モル%以上2モル%以下、0.75モル%以上1.75モル%以下、0.75モル%以上1.5モル%以下、0.75モル%以上1.25モル%以下、さらに又は0.75モル%以上1モル%以下、又は、これら範囲の各端点から形成される任意の及びすべての部分範囲内とすることができる。複数の実施形態において、ガラス組成物及びそれから得られる着色ガラス物品は、CaOを実質含まないか、又はCaOを含まないものとすることもできる。
複数の実施形態において、ガラス組成物及びそれから得られる着色ガラス物品におけるSrOの濃度は、0モル%以上、0.25モル%以上、0.5モル%以上、さらに又は0.75モル%以上とすることができる。複数の実施形態において、ガラス組成物及びそれから得られる着色ガラス物品におけるSrOの濃度は、2モル%以下、1.75モル%以下、1.5モル%以下、1.25モル%以下、さらに又は1モル%以下とすることができる。複数の実施形態において、ガラス組成物及びそれから得られる着色ガラス物品におけるSrOの濃度は、0モル%以上2モル%以下、0モル%以上1.75モル%以下、0モル%以上1.5モル%以下、0モル%以上1.25モル%以下、0モル%以上1モル%以下、0.25モル%以上2モル%以下、0.25モル%以上1.75モル%以下、0.25モル%以上1.5モル%以下、0.25モル%以上1.25モル%以下、0.25モル%以上1モル%以下、0.5モル%以上2モル%以下、0.5モル%以上1.75モル%以下、0.5モル%以上1.5モル%以下、0.5モル%以上1.25モル%以下、0.5モル%以上1モル%以下、0.75モル%以上2モル%以下、0.75モル%以上1.75モル%以下、0.75モル%以上1.5モル%以下、0.75モル%以上1.25モル%以下、さらに又は0.75モル%以上1モル%以下、又は、これら範囲の各端点から形成される任意の及びすべての部分範囲内とすることができる。複数の実施形態において、ガラス組成物及びそれから得られる着色ガラス物品は、SrOを実質含まないか、又はSrOを含まないものとすることもできる。
複数の実施形態において、ガラス組成物及びそれから得られる着色ガラス物品におけるBaOの濃度は、0モル%以上、0.25モル%以上、0.5モル%以上、さらに又は0.75モル%以上とすることができる。複数の実施形態において、ガラス組成物及びそれから得られる着色ガラス物品におけるBaOの濃度は、2モル%以下、1.75モル%以下、1.5モル%以下、1.25モル%以下、さらに又は1モル%以下とすることができる。複数の実施形態において、ガラス組成物及びそれから得られる着色ガラス物品におけるBaOの濃度は、0モル%以上2モル%以下、0モル%以上1.75モル%以下、0モル%以上1.5モル%以下、0モル%以上1.25モル%以下、0モル%以上1モル%以下、0.25モル%以上2モル%以下、0.25モル%以上1.75モル%以下、0.25モル%以上1.5モル%以下、0.25モル%以上1.25モル%以下、0.25モル%以上1モル%以下、0.5モル%以上2モル%以下、0.5モル%以上1.75モル%以下、0.5モル%以上1.5モル%以下、0.5モル%以上1.25モル%以下、0.5モル%以上1モル%以下、0.75モル%以上2モル%以下、0.75モル%以上1.75モル%以下、0.75モル%以上1.5モル%以下、0.75モル%以上1.25モル%以下、さらに又は0.75モル%以上1モル%以下、又は、これら範囲の各端点から形成される任意の及びすべての部分範囲内とすることができる。複数の実施形態において、ガラス組成物及びそれから得られる着色ガラス物品は、BaOを実質含まないか、又はBaOを含まないものとすることもできる。
本明細書において、R´Oは、MgO、ZnO、CaO、BaO、及びSrOの合計(モル%)である(すなわち、R´O=MgO(モル%)+ZnO(モル%)+CaO(モル%)+BaO(モル%)+SrO(モル%))。複数の実施形態において、ガラス組成物及びそれから得られる着色ガラス物品におけるR´Oの濃度は、0モル%以上、0.5モル%以上、1モル%以上、1.5モル%以上、2モル%以上、さらに又は2.5モル%以上とすることができる。複数の実施形態において、ガラス組成物及びそれから得られる着色ガラス物品におけるR´Oの濃度は、8モル%以下、7.5モル%以下、7モル%以下、6.5モル%以下、6モル%以下、5モル%以下、5モル%以下、4.5モル%以下、4モル%以下、さらに又は3.5モル%以下とすることができる。複数の実施形態において、ガラス組成物及びそれから得られる着色ガラス物品におけるR´Oの濃度は、0モル%以上8モル%以下、0モル%以上7.5モル%以下、0モル%以上7モル%以下、0モル%以上6.5モル%以下、0モル%以上6モル%以下、0モル%以上5.5モル%以下、0モル%以上5モル%以下、0モル%以上4.5モル%以下、0モル%以上4モル%以下、0モル%以上3.5モル%以下、0.5モル%以上8モル%以下、0.5モル%以上7.5モル%以下、0.5モル%以上7モル%以下、0.5モル%以上6.5モル%以下、0.5モル%以上6モル%以下、0.5モル%以上5.5モル%以下、0.5モル%以上5モル%以下、0.5モル%以上4.5モル%以下、0.5モル%以上4モル%以下、0.5モル%以上3.5モル%以下、0.5モル%以上8モル%以下、1モル%以上7.5モル%以下、0.5モル%以上7モル%以下、1モル%以上6.5モル%以下、0.5モル%以上6モル%以下、1モル%以上5.5モル%以下、1モル%以上5モル%以下、1モル%以上4.5モル%以下、1モル%以上4モル%以下、1モル%以上3.5モル%以下、1.5モル%以上8モル%以下、1.5モル%以上7.5モル%以下、1.5モル%以上7モル%以下、1.5モル%以上6.5モル%以下、1.5モル%以上6モル%以下、1.5モル%以上5.5モル%以下、1.5モル%以上5モル%以下、1.5モル%以上4.5モル%以下、1.5モル%以上4モル%以下、1.5モル%以上3.5モル%以下、2モル%以上8モル%以下、2モル%以上7.5モル%以下、2モル%以上7モル%以下、2モル%以上6.5モル%以下、2モル%以上6モル%以下、2モル%以上5.5モル%以下、2モル%以上5モル%以下、2モル%以上4.5モル%以下、2モル%以上4モル%以下、2モル%以上3.5モル%以下、2.5モル%以上8モル%以下、2.5モル%以上7.5モル%以下、2.5モル%以上7モル%以下、2.5モル%以上6.5モル%以下、2.5モル%以上6モル%以下、2.5モル%以上5.5モル%以下、2.5モル%以上5モル%以下、2.5モル%以上4.5モル%以下、2.5モル%以上4モル%以下、さらに又は2.5モル%以上3.5モル%以下、又は、これら範囲の各端点から形成される任意の及びすべての部分範囲内とすることができる。
複数の実施形態において、R2O、CaO、MgO、及びZnOの合計(R2O(モル%)+CaO(モル%)+MgO(モル%)+ZnO(モル%))は、35モル%以下とすることができる。理論に縛られることを望むものではないが、ガラス組成物におけるR2O、CaO、MgO、及びZnOの配合を最小限とすることにより、電子デバイスの筐体の一部として着色ガラス物品を使用する場合などに望ましい誘電率を有する着色ガラス物品を結果として実現することができると考えられる。複数の実施形態において、R2O(モル%)+CaO(モル%)+MgO(モル%)+ZnO(モル%)は、1モル%以上35モル%以下、1モル%以上30モル%以下、1モル%以上25モル%以下、1モル%以上20モル%以下、1モル%以上15モル%以下、1モル%以上10モル%以下、2モル%以上35モル%以下、2モル%以上30モル%以下、2モル%以上25モル%以下、2モル%以上20モル%以下、2モル%以上15モル%以下、2モル%以上10モル%以下、3モル%以上35モル%以下、3モル%以上30モル%以下、3モル%以上25モル%以下、3モル%以上20モル%以下、3モル%以上15モル%以下、3モル%以上10モル%以下、4モル%以上35モル%以下、4モル%以上30モル%以下、4モル%以上25モル%以下、4モル%以上20モル%以下、4モル%以上15モル%以下、4モル%以上10モル%以下、4モル%以上35モル%以下、5モル%以上30モル%以下、5モル%以上25モル%以下、5モル%以上20モル%以下、5モル%以上15モル%以下、5モル%以上10モル%以下、6モル%以上35モル%以下、6モル%以上30モル%以下、6モル%以上25モル%以下、6モル%以上20モル%以下、6モル%以上15モル%以下、6モル%以上10モル%以下、7モル%以上35モル%以下、7モル%以上30モル%以下、7モル%以上25モル%以下、7モル%以上20モル%以下、7モル%以上15モル%以下、7モル%以上10モル%以下、8モル%以上35モル%以下、8モル%以上30モル%以下、8モル%以上25モル%以下、8モル%以上20モル%以下、8モル%以上15モル%以下、さらに又は8モル%以上10モル%以下とすることができる。
複数の実施形態において、ガラス組成物及びそれから得られる着色ガラス物品に存在するAl2O3、MgO、及びZnOの合計(すなわち、Al2O3(モル%)+MgO(モル%)+ZnO(モル%))は、12モル%以上22モル%以下とすることができる。理論に縛られることを望むものではないが、Al2O3、MgO、及びZnOの配合をこの範囲内に収めることにより、得られる着色ガラス物品に望ましくない結晶相が形成されないようにすることに寄与できると考えられる。例えば、限定されるものではないが、ガラス組成物及びそれから得られる着色ガラス物品中の着色剤セットにCr2O3を含む場合、Al2O3、MgO、及びZnOの配合をこの範囲内に収めることにより、着色剤Cr2O3の溶解度を高めることができ、これにより、Crスピネル結晶の形成を防ぎ、得られる着色ガラス物品において実現可能な色域を広げることができる。理論に縛られることを望むものではないが、Cr2O3以外の着色剤でも同様の挙動が生じ得ると推定される。
複数の実施形態において、ガラス組成物及びそれから得られる着色ガラス物品おけるAl2O3、MgO、及びZnOの合計は、13モル%以上21.5モル%以下とすることができる。複数の実施形態において、ガラス組成物及びそれから得られる着色ガラス物品おけるAl2O3、MgO、及びZnOの合計は、12モル%以上、13モル%以上、14モル%以上、15モル%以上、さらに又は16モル%以上とすることができる。複数の実施形態において、ガラス組成物及びそれから得られる着色ガラス物品おけるAl2O3、MgO、及びZnOの合計は、22モル%以下、21.5モル%以下、21モル%以下、20.5モル%以下、さらに又は20モル%以下とすることができる。複数の実施形態において、ガラス組成物及びそれから得られる着色ガラス物品おけるAl2O3、MgO、及びZnOの合計は、12モル%以上22モル%以下、12モル%以上21.5モル%以下、12モル%以上21モル%以下、12モル%以上20.5モル%以下、12モル%以上20モル%以下、13モル%以上22モル%以下、13モル%以上21.5モル%以下、13モル%以上21モル%以下、13モル%以上20.5モル%以下、13モル%以上20モル%以下、14モル%以上22モル%以下、14モル%以上21.5モル%以下、14モル%以上21モル%以下、14モル%以上20.5モル%以下、15モル%以上20モル%以下、15モル%以上22モル%以下、15モル%以上21.5モル%以下、15モル%以上21モル%以下、15モル%以上20.5モル%以下、15モル%以上20モル%以下、16モル%以上22モル%以下、16モル%以上21.5モル%以下、16モル%以上21モル%以下、16モル%以上20.5モル%以下、さらに又は16モル%以上20モル%以下、又は、これら範囲の各端点から形成される任意の及びすべての部分範囲内とすることができる。
複数の実施形態において、ガラス組成物及びそれから得られる着色ガラス物品に存在するAl2O3、MgO、CaO、及びZnOの合計(すなわち、Al2O3(モル%)+MgO(モル%)+CaO(モル%)+ZnO(モル%))は、12モル%以上24モル%以下とすることができる。理論に縛られることを望むものではないが、Al2O3、MgO、CaO、及びZnOの配合をこの範囲内に収めることにより、得られる着色ガラス物品に望ましくない結晶相が形成されないようにすることに寄与できると考えられる。さらに、Mgカチオン、Caカチオン、及びZnカチオンなどの高電界強度修飾物質の濃度を比較的高くすることにより、得られる着色ガラス物品の、破壊靭性、弾性率、及び落下試験耐性などの機械的特性を向上することもできる。
複数の実施形態において、ガラス組成物及びそれから得られる着色ガラス物品におけるAl2O3、MgO、CaO、及びZnOの合計は、12モル%以上24モル%以下とすることができる。複数の実施形態において、ガラス組成物及びそれから得られる着色ガラス物品におけるAl2O3、MgO、CaO、及びZnOの合計は、12モル%以上、13モル%以上、14モル%以上、15モル%以上、さらに又は16モル%以上とすることができる。複数の実施形態において、ガラス組成物及びそれから得られる着色ガラス物品におけるAl2O3、MgO、CaO、及びZnOの合計は、24モル%以下、23モル%以下、22モル%以下、21.5モル%以下、21モル%以下、20.5モル%以下、さらに又は20モル%以下とすることができる。複数の実施形態において、ガラス組成物及びそれから得られる着色ガラス物品におけるAl2O3、MgO、CaO、及びZnOの合計は、12モル%以上24モル%以下、12モル%以上23モル%以下、12モル%以上22モル%以下、12モル%以上21.5モル%以下、12モル%以上21モル%以下、12モル%以上20.5モル%以下、12モル%以上20モル%以下、13モル%以上24モル%以下、13モル%以上23モル%以下、13モル%以上22モル%以下、13モル%以上21.5モル%以下、13モル%以上21モル%以下、13モル%以上20.5モル%以下、13モル%以上20モル%以下、14モル%以上24モル%以下、14モル%以上23モル%以下、14モル%以上22モル%以下、14モル%以上21.5モル%以下、14モル%以上21モル%以下、14モル%以上20.5モル%以下、15モル%以上24モル%以下、15モル%以上23モル%以下、15モル%以上22モル%以下、15モル%以上21.5モル%以下、15モル%以上21モル%以下、15モル%以上20.5モル%以下、15モル%以上20モル%以下、16モル%以上24モル%以下、16モル%以上23モル%以下、16モル%以上22モル%以下、16モル%以上21.5モル%以下、16モル%以上21モル%以下、16モル%以上20.5モル%以下、さらに又は16モル%以上20モル%以下、又は、これら範囲の各端点から形成される任意の及びすべての部分範囲内とすることができる。
複数の実施形態において、ガラス組成物及びそれから得られる着色ガラス物品におけるAl2O3、MgO、CaO、及びZnOの合計は、10モル%以上、11モル%以上、さらに又は12モル%以上とすることができる。複数の実施形態において、ガラス組成物及びそれから得られる着色ガラス物品におけるAl2O3、MgO、CaO、及びZnOの合計は、30モル%以下、27モル%以下、さらに又は24モル%以下とすることができる。複数の実施形態において、ガラス組成物及びそれから得られる着色ガラス物品におけるAl2O3、MgO、CaO、及びZnOの合計は、10モル%以上30モル%以下、10モル%以上27モル%以下、10モル%以上24モル%以下、11モル%以上30モル%以下、11モル%以上27モル%以下、11モル%以上24モル%以下、12モル%以上30モル%以下、12モル%以上27モル%以下、さらに又は12モル%以上24モル%以下、又は、これら範囲の各端点から形成される任意の及びすべての部分範囲内とすることができる。
複数の実施形態において、ガラス組成物及びそれから得られる着色ガラス物品は、任意選択的に、Clを含むことができる。Clは、着色剤を含有する特定の結晶相を成長させることができる。例えば、ガラスが含む着色剤セットにAuが含まれる場合、Clをガラスに含めることにより、特定のAu結晶を成長させることが可能となる。複数の実施形態において、ガラス組成物及びそれから得られる着色ガラス物品におけるClの濃度は、0モル%以上、さらに又は0.1モル%以上とすることができる。複数の実施形態において、ガラス組成物及びそれから得られる着色ガラス物品におけるClの濃度は、0.5モル%以下、さらに又は0.25モル%以下とすることができる。複数の実施形態において、ガラス組成物及びそれから得られる着色ガラス物品におけるClの濃度は、0モル%以上0.5モル%以下、0モル%以上0.25モル%以下、0.1モル%以上0.5モル%以下、さらに又は0.1モル%以上0.25モル%以下、又は、これら範囲の各端点から形成される任意の及びすべての部分範囲内とすることができる。複数の実施形態において、ガラス組成物及びそれから得られる着色ガラス物品は、Clを実質含まないか、又はClを含まないものとすることもできる。着色剤セットにAgを含む実施形態では、ガラス組成物及びそれから得られる着色ガラス物品が含むハロゲン化物(Clを含む)は、100ppm未満である。
複数の実施形態において、本明細書に記載のガラス組成物及びそれから得られる着色ガラス物品はZrO2をさらに含むことができる。理論に縛られることを望むものではないが、ZrO2は、比較的低温の熱処理時に、特定の着色剤(例えば、Au)に酸素を供給する酸化還元対として働く多価種の機能を果たし、着色剤の残存率向上に寄与することができると考えられている。理論に縛られることを望むものではないが、Au以外の着色剤でも同様の挙動が生じ得ると推定される。また、ZrO2は、補助着色剤としても機能し、例えば、赤色の着色ガラス物品の製造を可能にする。複数の実施形態において、ガラス組成物及びそれから得られる着色ガラス物品は、0.01モル%以上2モル%以下のZrO2を含むことができる。複数の実施形態において、ガラス組成物及びそれから得られる着色ガラス物品は、0.01モル%以上2モル%以下のZrO2を含むことができる。複数の実施形態において、ガラス組成物及びそれから得られる着色ガラス物品は、0.1モル%以上1.5モル%以下のZrO2を含むことができる。複数の実施形態において、ガラス組成物及びそれから得られる着色ガラス物品は、0.25モル%以上1.5モル%以下のZrO2を含むことができる。複数の実施形態において、ガラス組成物におけるZrO2の濃度は、0モル%以上、0.01モル%以上、0.1モル%以上、さらに又は0.2モル%以上とすることができる。複数の実施形態において、ガラス組成物におけるZrO2の濃度は、2モル%以下、1.5モル%以下、1モル%以下、0.75モル%以下、さらに又は0.5モル%以下とすることができる。複数の実施形態において、ガラス組成物におけるZrO2の濃度は、0モル%以上2モル%以下、0モル%以上1.5モル%以下、0モル%以上1モル%以下、0モル%以上0.75モル%以下、0モル%以上0.5モル%以下、0.01モル%以上2モル%以下、0.01モル%以上1.5モル%以下、0.01モル%以上1モル%以下、0.01モル%以上0.75モル%以下、0.01モル%以上0.5モル%以下、0.1モル%以上2モル%以下、0.1モル%以上1.5モル%以下、0.1モル%以上1モル%以下、0.1モル%以上0.75モル%以下、0.1モル%以上0.5モル%以下、0.2モル%以上2モル%以下、0.2モル%以上1.5モル%以下、0.2モル%以上1モル%以下、0.2モル%以上0.75モル%以下、さらに又は0.2モル%以上0.5モル%以下、又は、これら範囲の各端点から形成される任意の及びすべての部分範囲内とすることができる。複数の実施形態において、ガラス組成物及びそれから得られる着色ガラス物品は、ZrO2を実質含まないか、又はZrO2を含まないものとすることもできる。
複数の実施形態において、本明細書に記載のガラス組成物及びそれから得られる着色ガラス物品はFe2O3をさらに含むことができる。Fe2O3も、着色剤の残存率向上に寄与することができる。Fe2O3は、比較的低温の熱処理時に、特定の着色剤(例えば、Au)に酸素を供給する酸化還元対として働く多価種であり、着色剤の残存率向上に寄与する。理論に縛られることを望むものではないが、Au以外の着色剤でも同様の挙動が生じ得ると推定される。また、Fe2O3は、着色剤としても機能し、例えば、ピンク色又は赤色の着色ガラス物品の製造を可能にする。複数の実施形態において、ガラス組成物及びそれから得られる着色ガラス物品は、0.01モル%以上1モル%以下のFe2O3、さらに又は0.1モル%以上1モル%以下のFe2O3を含むことができる。複数の実施形態において、ガラス組成物におけるFe2O3の濃度は、0モル%以上、0.01モル%以上、さらに又は0.1モル%以上とすることができる。複数の実施形態において、ガラス組成物におけるFe2O3の濃度は、1モル%以下、0.75モル%以下、0.5モル%以下、さらに又は0.25モル%以下とすることができる。複数の実施形態において、ガラス組成物におけるFe2O3の濃度は、0モル%以上1モル%以下、0モル%以上0.75モル%以下、0モル%以上0.5モル%以下、0モル%以上0.25モル%以下、0.01モル%以上1モル%以下、0.01モル%以上0.75モル%以下、0.01モル%以上0.5モル%以下、0.01モル%以上0.25モル%以下、0.05モル%以上1モル%以下、0.05モル%以上0.75モル%以下、0.05モル%以上0.5モル%以下、0.05モル%以上0.25モル%以下、0.1モル%以上1モル%以下、0.1モル%以上0.75モル%以下、0.1モル%以上0.5モル%以下、0.1モル%以上0.25モル%以下、又は、これら範囲の各端点から形成される任意の及びすべての部分範囲内とすることができる。複数の実施形態において、ガラス組成物及びそれから得られる着色ガラス物品は、Fe2O3を実質含まないか、又はFe2O3を含まないものとすることもできる。
複数の実施形態において、ガラス組成物及びそれから得られる着色ガラス物品におけるFe2O3の濃度は、0モル%以上、0.001モル%以上、さらに又は0.005モル%以上とすることができる。実施形態では、ガラス組成物及びそれから得られる着色ガラス物品におけるFe2O3の濃度は、0.5モル%以下、0.1モル%以下、0.05モル%以下、さらに又は0.01モル%以下とすることができる。複数の実施形態において、ガラス組成物及びそれから得られる着色ガラス物品におけるFe2O3の濃度、0モル%以上0.5モル%以下、0モル%以上0.1モル%以下、0モル%以上0.05モル%以下、0モル%以上0.01モル%以下、0.001モル%以上0.5モル%以下、0.001モル%以上0.1モル%以下、0.001モル%以上0.05モル%以下、0.001モル%以上0.01モル%以下、0.005モル%以上0.5モル%以下、0.005モル%以上0.1モル%以下、0.005モル%以上0.05モル%以下、さらに又は0.005モル%以上0.01モル%以下、又は、これら範囲の各端点から形成される任意の及びすべての部分範囲内とすることができる。
複数の実施形態において、本明細書に記載のガラス組成物及びそれから得られる着色ガラス物品はSnO2、Sb2O3、及び/又はBi2O3をさらに含むことができる。MgOやZnOと同様に、SnO2、Sb2O3、及びBi2O3も、ガラス組成物の融点引き下げに寄与することができる。したがって、融点を引き下げて着色剤の残存率を向上させるため、ガラス組成物及びそれから得られる着色ガラス物品にSnO2、Sb2O3、及び/又はBi2O3を含めることもできる。また、着色剤セットにAgが含まれる実施形態では、SnO2がガラス中のAgの還元を助け、これにより、ガラス中に銀粒子が形成される。理論に縛られることを望むものではないが、着色剤セットにAuが含まれる実施形態では、SnO2を添加することにより、ガラス中のAuの還元も助けられ、これにより、金粒子が形成されると考えられる。SnO2及び/又はSb2O3を含む実施形態では、SnO2及び/又はSb2O3は、清澄剤としても機能することができる。
複数の実施形態において、ガラス組成物及びそれから得られる着色ガラス物品は、0.01モル%以上1モル%以下のSnO2を含むことができる。複数の実施形態において、ガラス組成物及びそれから得られる着色ガラス物品は、0.05モル%以上0.75モル%以下のSnO2、0.05モル%以上0.5モル%以下のSnO2、さらに又は0.1モル%以上0.25モル%以下のSnO2を含むことができる。複数の実施形態において、ガラス組成物及びそれから得られる着色ガラス物品におけるSnO2の濃度は、0モル%以上、0.01モル%以上、0.05モル%以上、さらに又は0.1モル%以上とすることができる。複数の実施形態において、ガラス組成物及びそれから得られる着色ガラス物品におけるSnO2の濃度は、1モル%以下、0.75モル%以下、0.5モル%以下、さらに又は0.25モル%以下とすることができる。複数の実施形態において、ガラス組成物及びそれから得られる着色ガラス物品におけるSnO2の濃度は、0モル%以上1モル%以下、0モル%以上0.75モル%以下、0モル%以上0.5モル%以下、0モル%以上0.25モル%以下、0.01モル%以上1モル%以下、0.01モル%以上0.75モル%以下、0.01モル%以上0.5モル%以下、0.01モル%以上0.25モル%以下、0.05モル%以上1モル%以下、0.05モル%以上0.75モル%以下、0.05モル%以上0.5モル%以下、0.05モル%以上0.25モル%以下、0.1モル%以上1モル%以下、0.1モル%以上0.75モル%以下、0.1モル%以上0.5モル%以下、さらに又は0.1モル%以上0.25モル%以下、又は、これら範囲の各端点から形成される任意の及びすべての部分範囲内とすることができる。複数の実施形態において、ガラス組成物及びそれから得られる着色ガラス物品は、SnO2を実質含まないか、又はSnO2を含まないものとすることもできる。
複数の実施形態において、ガラス組成物及びそれから得られる着色ガラス物品におけるSb2O3の濃度は、0モル%以上、0.01モル%以上、0.05モル%以上、さらに又は0.1モル%以上とすることができる。複数の実施形態において、ガラス組成物及びそれから得られる着色ガラス物品におけるSb2O3の濃度は、1モル%以下、0.75モル%以下、0.5モル%以下、さらに又は0.25モル%以下とすることができる。複数の実施形態において、ガラス組成物及びそれから得られる着色ガラス物品におけるSb2O3の濃度は、0モル%以上1モル%以下、0モル%以上0.75モル%以下、0モル%以上0.5モル%以下、0モル%以上0.25モル%以下、0.01モル%以上1モル%以下、0.01モル%以上0.75モル%以下、0.01モル%以上0.5モル%以下、0.01モル%以上0.25モル%以下、0.05モル%以上1モル%以下、0.05モル%以上0.75モル%以下、0.05モル%以上0.5モル%以下、0.05モル%以上0.25モル%以下、0.1モル%以上1モル%以下、0.1モル%以上0.75モル%以下、0.1モル%以上0.5モル%以下、さらに又は0.1モル%以上0.25モル%以下、又は、これら範囲の各端点から形成される任意の及びすべての部分範囲内とすることができる。複数の実施形態において、ガラス組成物及びそれから得られる着色ガラス物品は、Sb2O3を実質含まないか、又はSb2O3を含まないものとすることもできる。
また、ガラス組成物及びそれから得られる着色ガラス物品は、黄色などの所望の色を実現するための着色剤セットの追加成分としてBi2O3を含むこともできる。複数の実施形態において、ガラス組成物及びそれから得られる着色ガラス物品におけるBi2O3の濃度は、0モル%以上、0.01モル%以上、0.05モル%以上、さらに又は0.1モル%以上とすることができる。複数の実施形態において、ガラス組成物及びそれから得られる着色ガラス物品におけるBi2O3の濃度は、1モル%以下、0.75モル%以下、0.5モル%以下、さらに又は0.25モル%以下とすることができる。複数の実施形態において、ガラス組成物及びそれから得られる着色ガラス物品におけるBi2O3の濃度は、0モル%以上1モル%以下、0モル%以上0.75モル%以下、0モル%以上0.5モル%以下、0モル%以上0.25モル%以下、0.01モル%以上1モル%以下、0.01モル%以上0.75モル%以下、0.01モル%以上0.5モル%以下、0.01モル%以上0.25モル%以下、0.05モル%以上1モル%以下、0.05モル%以上0.75モル%以下、0.05モル%以上0.5モル%以下、0.05モル%以上0.25モル%以下、0.1モル%以上1モル%以下、0.1モル%以上0.75モル%以下、0.1モル%以上0.5モル%以下、さらに又は0.1モル%以上0.25モル%以下、又は、これら範囲の各端点から形成される任意の及びすべての部分範囲内とすることができる。複数の実施形態において、ガラス組成物及びそれから得られる着色ガラス物品は、Bi2O3を実質含まないか、又はBi2O3を含まないものとすることもできる。
本明細書に記載のガラス組成物及びそれから得られる着色ガラス物品は、清澄剤としてのSO3をさらに含むことができる。SO3は、着色ガラス物品の色や色安定性には影響を与えずに使用することができる清澄剤である。複数の実施形態において、ガラス組成物及びそれから得られる着色ガラス物品におけるSO3の濃度は、0.1モル%以下、0.01モル%以下、さらに又は0.001モル%以下とすることができる。複数の実施形態において、ガラス組成物及びそれから得られる着色ガラス物品は、SO3を実質含まないか、又はSO3を含まないものとすることができる。複数の実施形態において、ガラス組成物及びそれから得られる着色ガラス物品は、0モル%以上1モル%以下のSO3を含むこともできる。
また、ガラス組成物及びそれから得られる着色ガラス物品は、黄色などの所望の色を実現するための着色剤セットの追加成分としてWO3を含むこともできる。複数の実施形態において、ガラス組成物及びそれから得られる着色ガラス物品におけるWO3の濃度は、0モル%以上1モル%以下とすることができ、例えば、0モル%以上0.5モル%以下、0モル%超0.1モル%以下、0.001モル%以上0.01モル%以下、及び、これら範囲の各端点から形成されるすべての部分範囲内とすることができる。複数の実施形態において、ガラス組成物及びそれから得られる着色ガラス物品は、WO3を実質含まないか、又はWO3を含まないものとすることもできる。
また、ガラス組成物及びそれから得られる着色ガラス物品は、黄色などの所望の色を実現するための着色剤セットの追加成分としてNb2O5を含むこともできる。複数の実施形態において、ガラス組成物及びそれから得られる着色ガラス物品におけるNb2O5の濃度は、0モル%以上1モル%以下とすることができ、例えば、0モル%以上0.5モル%以下、0モル%超0.1モル%以下、0.001モル%以上0.01モル%以下、及び、これら範囲の各端点から形成されるすべての部分範囲内とすることができる。複数の実施形態において、ガラス組成物及びそれから得られる着色ガラス物品は、Nb2O5を実質含まないか、又はNb2O5を含まないものとすることもできる。
また、ガラス組成物及び着色ガラス物品は、黄色などの所望の色を実現するための着色剤セットの追加成分としてMoO3を含むこともできる。複数の実施形態において、ガラス組成物及びそれから得られる着色ガラス物品におけるMoO3の濃度は、0モル%以上1モル%以下とすることができ、例えば、0モル%以上0.5モル%以下、0モル%超0.1モル%以下、0.001モル%以上0.01モル%以下、及び、これら範囲の各端点から形成されるすべての部分範囲内とすることができる。複数の実施形態において、ガラス組成物及びそれから得られる着色ガラス物品は、MoO3を実質含まないか、又はMoO3を含まないものとすることもできる。
また、ガラス組成物及び着色ガラス物品は、黄色などの所望の色を実現するための着色剤セットの追加成分としてLa2O3を含むこともできる。複数の実施形態において、ガラス組成物及びそれから得られる着色ガラス物品におけるLa2O3の濃度は、0モル%以上3モル%以下とすることができ、例えば、0モル%以上2モル%以下、0モル%超1モル%以下、0.001モル%以上0.1モル%以下、及び、これら範囲の各端点から形成されるすべての部分範囲内とすることができる。複数の実施形態において、ガラス組成物及び着色ガラス物品は、La2O3を実質含まないか、又はLa2O3を含まないものとすることもできる。
複数の実施形態において、本明細書に記載のガラス組成物及びそれから得られる着色ガラス物品は、P2O5を抑えた濃度でさらに含むことができ、又は、P2O5を実質含まないか、もしくはP2O5を含まないものとすることもできる。P2O5を含む実施形態では、P2O5により、得られる着色ガラス物品のイオン交換特性を向上させることができる。ただし、P2O5の濃度が上がる(すなわち、1モル%を上回る)と、着色剤セットに含まれる1つ以上の着色剤の残存率が低下する恐れがある。理論に縛られることを望むものではないが、P2O5は、SiO2などの他のガラスネットワーク形成物質よりも揮発性が高いため、着色剤セットに含まれる着色剤の残存率低下を促進させてしまう恐れがあると考えられている。複数の実施形態において、ガラス組成物及びそれから得られる着色ガラス物品は、0.1モル%以上1モル%以下のP2O5を含むことができる。複数の実施形態において、ガラス組成物及びそれから得られる着色ガラス物品におけるP2O5の濃度は、0モル%以上、0.1モル%以上、0.25モル%以上、さらに又は0.5モル%以上とすることができる。複数の実施形態において、ガラス組成物及びそれから得られる着色ガラス物品におけるP2O5の濃度は、1モル%以下、さらに又は0.75モル%以下とすることができる。複数の実施形態において、ガラス組成物及びそれから得られる着色ガラス物品におけるP2O5の濃度は、0モル%以上1モル%以下、0モル%以上0.75モル%以下、0.1モル%以上1モル%以下、0.1モル%以上0.75モル%以下、0.25モル%以上1モル%以下、0.25モル%以上0.75モル%以下、0.5モル%以上1モル%以下、さらに又は0.5モル%以上0.75モル%以下、又は、これら範囲の各端点から形成される任意の及びすべての部分範囲内とすることができる。複数の実施形態において、ガラス組成物及びそれから得られる着色ガラス物品は、P2O5を実質含まないか、又はP2O5を含まないものとすることもできる。
複数の実施形態において、ガラス組成物及びそれから得られる着色ガラス物品は、0モル%以上3モル%以下のP2O5を含むことができる。複数の実施形態において、ガラス組成物及びそれから得られる着色ガラス物品におけるP2O5の濃度は、0モル%以上、0.1モル%以上、0.25モル%以上、さらに又は0.5モル%以上とすることができる。複数の実施形態において、ガラス組成物及びそれから得られる着色ガラス物品におけるP2O5の濃度は、3モル%以下、2モル%以下、さらに又は1モル%以下とすることができる。複数の実施形態において、ガラス組成物及びそれから得られる着色ガラス物品におけるP2O5の濃度は、0モル%以上3モル%以下、0モル%以上2モル%以下、0モル%以上1モル%以下、0.1モル%以上3モル%以下、0.1モル%以上2モル%以下、0.1モル%以上1モル%以下、0.25モル%以上3モル%以下、0.25モル%以上2モル%以下、0.25モル%以上1モル%以下、0.5モル%以上3モル%以下、0.5モル%以上2モル%以下、さらに又は0.5モル%以上1モル%以下、又は、これら範囲の各端点から形成される任意の及びすべての部分範囲内とすることができる。
本明細書に記載の実施形態では、ガラス組成物及びそれから得られる着色ガラス物品は、結果として得られる着色ガラス物品に所望の色を付与するように機能する少なくとも1つの着色剤を着色剤セットとしてさらに含む。複数の実施形態において、着色剤セットは、着色剤セットに含まれる着色剤として、Au、Ag、Cr2O3、遷移金属酸化物(例えば、CuO、NiO、Co3O4、TiO2、Cr2O3)、希土類金属酸化物(例えば、CeO2)、及び/又はそれらの組み合わせのうちの少なくとも1つを含むことができる。複数の実施形態において、着色剤セットに含まれる着色剤は、Au、Ag、Cr2O3、遷移金属酸化物(例えば、CuO、NiO、Co3O4、TiO2、Cr2O3)、希土類金属酸化物(例えば、CeO2)、及びそれらの組み合わせからなる群から選択することができる。実施形態において、ガラス組成物及びそれから得られる着色ガラス物品は、着色剤(すなわち、着色剤セットに含まれるすべての着色剤の合計)を、1×10-6モル%以上10モル%以下で含むことができる。複数の実施形態において、ガラス組成物及びそれから得られる着色ガラス物品中の着色剤セットの濃度は、1×10-6モル%以上9.5モル%以下、1×10-6モル%以上9モル%以下、1×10-6モル%以上8.5モル%以下、1×10-6モル%以上8モル%以下、1×10-6モル%以上7.5モル%以下、1×10-6モル%以上7モル%以下、1×10-6モル%以上6.5モル%以下、1×10-6モル%以上6モル%以下、1×10-6モル%以上5.5モル%以下、1×10-6モル%以上5モル%以下、1×10-6モル%以上4.5モル%以下、1×10-6モル%以上4モル%以下、1×10-6モル%以上3.5モル%以下、1×10-6モル%以上3モル%以下、1×10-6モル%以上2.5モル%以下、1×10-6モル%以上2モル%以下、1×10-6モル%以上1.5モル%以下、1×10-6モル%以上1モル%以下、1×10-6モル%以上0.5モル%以下、0.0005モル%以上10モル%以下、0.0005モル%以上9.5モル%以下、0.0005モル%以上9モル%以下、0.0005モル%以上8.5モル%以下、0.0005モル%以上8モル%以下、0.0005モル%以上7.5モル%以下、0.0005モル%以上7モル%以下、0.0005モル%以上6.5モル%以下、0.0005モル%以上6モル%以下、0.0005モル%以上5.5モル%以下、0.0005モル%以上5モル%以下、0.0005モル%以上4.5モル%以下、0.0005モル%以上4モル%以下、0.0005モル%以上3.5モル%以下、0.0005モル%以上3モル%以下、0.0005モル%以上2.5モル%以下、0.0005モル%以上2モル%以下、0.0005モル%以上1.5モル%以下、0.0005モル%以上1モル%以下、0.0005モル%以上0.5モル%以下、0.001モル%以上9.5モル%以下、0.001モル%以上9モル%以下、0.001モル%以上8.5モル%以下、0.001モル%以上8モル%以下、0.001モル%以上7.5モル%以下、0.001モル%以上7モル%以下、0.001モル%以上6.5モル%以下、0.001モル%以上6モル%以下、0.001モル%以上5.5モル%以下、0.001モル%以上5モル%以下、0.001モル%以上4.5モル%以下、0.001モル%以上4モル%以下、0.001モル%以上3.5モル%以下、0.001モル%以上3モル%以下、0.001モル%以上2.5モル%以下、0.001モル%以上2モル%以下、0.001モル%以上1.5モル%以下、0.001モル%以上1モル%以下、0.001モル%以上0.5モル%以下、0.01モル%以上9.5モル%以下、0.01モル%以上9モル%以下、0.01モル%以上8.5モル%以下、0.01モル%以上8モル%以下、0.01モル%以上7.5モル%以下、0.01モル%以上7モル%以下、0.01モル%以上6.5モル%以下、0.01モル%以上6モル%以下、0.01モル%以上5.5モル%以下、0.01モル%以上5モル%以下、0.01モル%以上4.5モル%以下、0.01モル%以上4モル%以下、0.01モル%以上3.5モル%以下、0.01モル%以上3モル%以下、0.01モル%以上2.5モル%以下、0.01モル%以上2モル%以下、0.01モル%以上1.5モル%以下、0.01モル%以上1モル%以下、0.01モル%以上0.5モル%以下、又は、これら範囲の各端点から形成される任意の及びすべての部分範囲内とすることができる。
着色剤:遷移金属酸化物及び/又は希土類酸化物
複数の実施形態において、ガラス組成物及びそれから得られる着色ガラス物品における着色剤セットは、所望の色を実現するための着色剤として、遷移金属酸化物、希土類酸化物、又はそれらの組み合わせを含む(又は、からなる)着色剤を含むことができる。複数の実施形態において、遷移金属酸化物及び/又は希土類酸化物は、唯一の着色剤として又は他の着色剤と組み合わせて、ガラス組成物に含めることができる。複数の実施形態において、遷移金属酸化物及び/又は希土類酸化物系の着色剤は、NiO、Co3O4、Cr2O3、CuO、CeO2、TiO2、及び/又はそれらの組み合わせを含むことができる。複数の実施形態において、遷移金属酸化物及び/又は希土類酸化物系の着色剤は、V、Mn、Fe、Cu、Zr、Nb、Mo、Tc、Ru、Rh、Pd、Cd、Hf、Ta、W、Re、Os、Ir、Pt、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、及びErの酸化物をさらに含むこともできる。
複数の実施形態において、ガラス組成物及びそれから得られる着色ガラス物品は、NiO+Co3O4+Cr2O3+CuO+CeO2+TiO2を0.001モル%以上で含むことができ、例えば、0.001モル%以上10モル%以下で含むことができる。複数の実施形態において、ガラス組成物及びそれから得られる着色ガラス物品におけるNiO+Co3O4+Cr2O3+CuO+CeO2+TiO2の濃度は、0.001モル%以上5モル%以下、0.001モル%以上4モル%以下、0.001モル%以上3モル%以下、0.001モル%以上2.5モル%以下、0.001モル%以上2モル%以下、0.001モル%以上1.5モル%以下、0.01モル%以上5モル%以下、0.01モル%以上4モル%以下、0.01モル%以上3モル%以下、0.01モル%以上2.5モル%以下、0.01モル%以上2モル%以下、0.01モル%以上1.5モル%以下、0.02モル%以上5モル%以下、0.02モル%以上4モル%以下、0.02モル%以上3モル%以下、0.02モル%以上2.5モル%以下、0.02モル%以上2モル%以下、0.02モル%以上1.5モル%以下、0.1モル%以上5モル%以下、0.1モル%以上4モル%以下、0.1モル%以上3モル%以下、0.1モル%以上2.5モル%以下、0.1モル%以上2モル%以下、0.1モル%以上1.5モル%以下、0.5モル%以上5モル%以下、0.5モル%以上4モル%以下、0.5モル%以上3モル%以下、0.5モル%以上2.5モル%以下、0.5モル%以上2モル%以下、0.5モル%以上1.5モル%以下、0.7モル%以上5モル%以下、0.7モル%以上4モル%以下、0.7モル%以上3モル%以下、0.7モル%以上2.5モル%以下、0.7モル%以上2モル%以下、0.7モル%以上1.5モル%以下、0.9モル%以上5モル%以下、0.9モル%以上4モル%以下、0.9モル%以上3モル%以下、0.9モル%以上2.5モル%以下、0.9モル%以上2モル%以下、0.9モル%以上1.5モル%以下、又は、これら範囲の各端点から形成される任意の及びすべての部分範囲内とすることができる。複数の実施形態において、ガラス組成物及びそれから得られる着色ガラス物品に含まれる、NiO、Co3O4、Cr2O3、CuO、CeO2、及び/又はTiO2のうちの1つ以上を、0モル%とすることもできる。
複数の実施形態において、ガラス組成物及びそれから得られる着色ガラス物品は、NiO+Co3O4+Cr2O3+CuOを0.001モル%以上で含むことができ、例えば、0.001モル%以上3モル%以下で含むことができる。複数の実施形態において、ガラス組成物及びそれから得られる着色ガラス物品におけるNiO+Co3O4+Cr2O3+CuOの濃度は、0.001モル%以上2.5モル%以下、0.001モル%以上2モル%以下、0.001モル%以上1.5モル%以下、0.001モル%以上1モル%以下、0.001モル%以上0.5モル%以下、0.001モル%以上0.4モル%以下、0.01モル%以上2.5モル%以下、0.01モル%以上2モル%以下、0.01モル%以上1.5モル%以下、0.01モル%以上1モル%以下、0.01モル%以上0.5モル%以下、0.01モル%以上0.4モル%以下、0.02モル%以上2.5モル%以下、0.02モル%以上2モル%以下、0.02モル%以上1.5モル%以下、0.02モル%以上1モル%以下、0.02モル%以上0.5モル%以下、0.02モル%以上0.4モル%以下、0.1モル%以上2.5モル%以下、0.1モル%以上2モル%以下、0.1モル%以上1.5モル%以下、0.1モル%以上1モル%以下、0.1モル%以上0.5モル%以下、0.1モル%以上0.4モル%以下、0.2モル%以上2.5モル%以下、0.2モル%以上2モル%以下、0.2モル%以上1.5モル%以下、0.2モル%以上1モル%以下、0.2モル%以上0.5モル%以下、0.2モル%以上0.4モル%以下、又は、これら範囲の各端点から形成される任意の及びすべての部分範囲内とすることができる。複数の実施形態において、ガラス組成物及びそれから得られる着色ガラス物品に含まれる、NiO、Co3O4、Cr2O3、及び/又はCuOのうちの1つ以上を、0モル%とすることもできる。
複数の実施形態において、ガラス組成物及びそれから得られる着色ガラス物品は、0モル%以上のTiO2を含むことができ、例えば、0モル%以上2モル%以下、さらに又は0.01モル%以上2モル%以下のTiO2を含むことができる。複数の実施形態において、ガラス組成物及びそれから得られる着色ガラス物品におけるTiO2の濃度は、0モル%以上2モル%以下、0モル%以上1.5モル%以下、0モル%以上1モル%以下、0モル%以上0.75モル%以下、0モル%以上0.5モル%以下、0モル%以上0.4モル%以下、0.01モル%以上2モル%以下、0.01モル%以上1.5モル%以下、0.01モル%以上1モル%以下、0.01モル%以上0.75モル%以下、0.01モル%以上0.5モル%以下、0.01モル%以上0.4モル%以下、0.1モル%以上2モル%以下、0.1モル%以上1.5モル%以下、0.1モル%以上1モル%以下、0.1モル%以上0.75モル%以下、0.1モル%以上0.5モル%以下、0.1モル%以上0.4モル%以下、0.2モル%以上2モル%以下、0.2モル%以上1.5モル%以下、0.2モル%以上1モル%以下、0.2モル%以上0.75モル%以下、0.2モル%以上0.5モル%以下、0.2モル%以上0.4モル%以下、0.3モル%以上2モル%以下、0.3モル%以上1.5モル%以下、0.3モル%以上1モル%以下、0.3モル%以上0.75モル%以下、0.3モル%以上0.5モル%以下、0.3モル%以上0.4モル%以下、又は、これら範囲の各端点から形成される任意の及びすべての部分範囲内とすることができる。
複数の実施形態において、ガラス組成物及びそれから得られる着色ガラス物品は、0.1モル%以上のCeO2を含むことができ、例えば、0.1モル%以上2モル%以下のCeO2を含むことができる。複数の実施形態において、ガラス組成物及びそれから得られる着色ガラス物品におけるCeO2の濃度は、0.1モル%以上1.5モル%以下、0.1モル%以上1モル%以下、0.1モル%以上0.75モル%以下、0.1モル%以上0.5モル%以下、0.1モル%以上0.4モル%以下、0.2モル%以上1.5モル%以下、0.2モル%以上1モル%以下、0.2モル%以上0.75モル%以下、0.2モル%以上0.5モル%以下、0.2モル%以上0.4モル%以下、0.3モル%以上1.5モル%以下、0.3モル%以上1モル%以下、0.3モル%以上0.75モル%以下、0.3モル%以上0.5モル%以下、0.3モル%以上0.4モル%以下、又は、これら範囲の各端点から形成される任意の及びすべての部分範囲内とすることができる。複数の実施形態において、ガラス組成物及びそれから得られる着色ガラス物品は、0モル%超2モル%以下のCeO2を含むことができる。
複数の実施形態において、ガラス組成物及びそれから得られる着色ガラス物品は、0モル%以上のNiOを含むことができ、例えば、0.01モル%以上0.05モル%以下のNiOを含むことができる。複数の実施形態において、ガラス組成物及びそれから得られる着色ガラス物品におけるNiOの濃度は、0モル%以上0.05モル%以下、0モル%以上0.04モル%以下、0モル%以上0.035モル%以下、0モル%以上0.03モル%以下、0モル%以上0.025モル%以下、0モル%以上0.02モル%以下、0モル%以上0.015モル%以下、0.01モル%以上0.05モル%以下、0.01モル%以上0.04モル%以下、0.01モル%以上0.035モル%以下、0.01モル%以上0.03モル%以下、0.01モル%以上0.025モル%以下、0.01モル%以上0.02モル%以下、0.01モル%以上0.015モル%以下、0.015モル%以上0.05モル%以下、0.015モル%以上0.04モル%以下、0.015モル%以上0.035モル%以下、0.015モル%以上0.03モル%以下、0.015モル%以上0.025モル%以下、さらに又は0.015モル%以上0.02モル%以下、及び、これら範囲の各端点から形成されるすべての部分範囲内とすることができる。
複数の実施形態において、ガラス組成物及びそれから得られる着色ガラス物品は、0モル%以上のCuOを含むことができ、例えば、0.1モル%以上0.5モル%以下のCuOを含むことができる。複数の実施形態において、ガラス組成物及びそれから得られる着色ガラス物品におけるCuOの濃度は、0.1モル%以上0.5モル%以下、0.1モル%以上0.4モル%以下、0.1モル%以上0.35モル%以下、0.1モル%以上0.3モル%以下、0.1モル%以上0.25モル%以下、0.1モル%以上0.2モル%以下、0.1モル%以上0.15モル%以下、0.15モル%以上0.5モル%以下、0.15モル%以上0.4モル%以下、0.15モル%以上0.35モル%以下、0.15モル%以上0.3モル%以下、0.15モル%以上0.25モル%以下、さらに又は0.15モル%以上0.2モル%以下、及び、これら範囲の各端点から形成されるすべての部分範囲内とすることができる。
複数の実施形態において、ガラス組成物及びそれから得られる着色ガラス物品は、0モル%以上のCo3O4を含むことができ、例えば、0.0001モル%以上0.01モル%以下のCo3O4を含むことができる。複数の実施形態において、ガラス組成物及びそれから得られる着色ガラス物品におけるCo3O4の濃度は、0モル%以上0.01モル%以下、0モル%以上0.0095モル%以下、0モル%以上0.009モル%以下、0モル%以上0.0085モル%以下、0モル%以上0.0075モル%以下、0モル%以上0.007モル%以下、0モル%以上0.0065モル%以下、0モル%以上0.006モル%以下、0モル%以上0.0055モル%以下、0モル%以上0.005モル%以下、0モル%以上0.0045モル%以下、0モル%以上0.004モル%以下、0モル%以上0.0035モル%以下、0モル%以上0.003モル%以下、0モル%以上0.0025モル%以下、0モル%以上0.002モル%以下、0.0001モル%以上0.01モル%以下、0.0001モル%以上0.0095モル%以下、0.0001モル%以上0.009モル%以下、0.0001モル%以上0.0085モル%以下、0.0001モル%以上0.0075モル%以下、0.0001モル%以上0.007モル%以下、0.0001モル%以上0.0065モル%以下、0.0001モル%以上0.006モル%以下、0.0001モル%以上0.0055モル%以下、0.0001モル%以上0.005モル%以下、0.0001モル%以上0.0045モル%以下、0.0001モル%以上0.004モル%以下、0.0001モル%以上0.0035モル%以下、0.0001モル%以上0.003モル%以下、0.0001モル%以上0.0025モル%以下、0.0001モル%以上0.002モル%以下、0.001モル%以上0.01モル%以下、0.001モル%以上0.0095モル%以下、0.001モル%以上0.009モル%以下、0.001モル%以上0.0085モル%以下、0.001モル%以上0.0075モル%以下、0.001モル%以上0.007モル%以下、0.001モル%以上0.0065モル%以下、0.001モル%以上0.006モル%以下、0.001モル%以上0.0055モル%以下、0.001モル%以上0.005モル%以下、0.001モル%以上0.0045モル%以下、0.001モル%以上0.004モル%以下、0.001モル%以上0.0035モル%以下、0.001モル%以上0.003モル%以下、0.001モル%以上0.0025モル%以下、0.001モル%以上0.002モル%以下、及び、これら範囲の各端点から形成されるすべての部分範囲内とすることができる。
複数の実施形態において、ガラス組成物及びそれから得られる着色ガラス物品は、0モル%以上のCr2O3を含むことができ、例えば、0.01モル%以上0.05モル%以下のCr2O3を含むことができる。複数の実施形態において、ガラス組成物及びそれから得られる着色ガラス物品におけるCr2O3の濃度は、0モル%以上0.05モル%以下、0モル%以上0.04モル%以下、0モル%以上0.035モル%以下、0モル%以上0.03モル%以下、0モル%以上0.025モル%以下、0モル%以上0.02モル%以下、0モル%以上0.015モル%以下、0.01モル%以上0.05モル%以下、0.01モル%以上0.04モル%以下、0.01モル%以上0.035モル%以下、0.01モル%以上0.03モル%以下、0.01モル%以上0.025モル%以下、0.01モル%以上0.02モル%以下、0.01モル%以上0.015モル%以下、0.015モル%以上0.05モル%以下、0.015モル%以上0.04モル%以下、0.015モル%以上0.035モル%以下、0.015モル%以上0.03モル%以下、0.015モル%以上0.025モル%以下、さらに又は0.015モル%以上0.02モル%以下、及び、これら範囲の各端点から形成されるすべての部分範囲内とすることができる。
複数の実施形態において、ガラス組成物及びそれから得られる着色ガラス物品は、0.001モル%以上のNiO+Co3O4+Cr2O3+CuO、例えば0.001モル%以上3モル%以下のNiO+Co3O4+Cr2O3+CuO(又は、本明細書に記載したNiO+Co3O4+Cr2O3+CuOの範囲のいずれか)と、0.1モル%以上のCeO2、例えば0.1モル%以上1.5モル%以下のCeO2(又は、本明細書に記載したCeO2の範囲のいずれか)と、0.1モル%以上のTiO2、例えば0.1モル%以上2モル%以下のTiO2(又は、本明細書に記載したTiO2の範囲のいずれか)と、のうちの少なくとも1つを含むことができる。
ガラス組成物及びそれから得られる着色ガラス物品は、所望の黄色を得るのに十分なTiO2+CeO2を含むことができる。複数の実施形態において、ガラス組成物及びそれから得られる着色ガラス物品におけるTiO2+CeO2の濃度は、0.2モル%以上、0.3モル%以上、0.4モル%以上、0.5モル%以上、0.6モル%以上、0.7モル%以上、0.8モル%以上、又は0.8モル%超とすることができる。複数の実施形態において、ガラス組成物及びそれから得られる着色ガラス物品におけるTiO2+CeO2の濃度は、3モル%以下、2.5モル%以下、2モル%以下、1.5モル%以下、1モル%以下、又は1モル%未満とすることができる。複数の実施形態において、ガラス組成物及びそれから得られる着色ガラス物品におけるTiO2+CeO2の濃度は、0.2モル%以上3モル%以下とすることができ、例えば、0.3モル%以上2.5モル%以下、0.4モル%以上2モル%以下、0.5モル%以上2.0モル%以下、0.5モル%以上1.5モル%以下、0.6モル%以上1モル%以下、0.7モル%以上0.9モル%以下、0.8モル%以上1.5モル%以下、又は、これら範囲の各端点から形成される任意の及びすべての部分範囲内とすることができる。
複数の実施形態において、ガラス組成物及びそれから得られる着色ガラス物品は、所望の色を得るための着色剤として、Er2O3及びNd2O3のうちの少なくとも1つを含むことができる。ガラス組成物にEr2O3及びNd2O3を含めることにより、他の遷移金属着色剤では実現が難しい色を実現することができる。また、Au、Ag、又はCuを着色剤として利用する一部のガラスとは異なり、成形工程後に所望の色を実現するための熱処理を行う必要もない。Er2O3及びNd2O3は、着色ガラス物品の色調整のために、他の着色剤と組み合わせることもできる。
複数の実施形態において、ガラス組成物及びそれから得られる着色ガラス物品は、Er2O3を、0モル%以上4モル%以下の量、例えば、0モル%超4モル%以下、又は0.1モル%以上2モル%以下の量で含むことができる。複数の実施形態において、ガラス組成物及びそれから得られる着色ガラス物品は、Er2O3を、0モル%以上、0モル%超、0.1モル%以上、0.2モル%以上、0.5モル%以上、1モル%以上、又は1モル%超の量で含むことができる。複数の実施形態において、ガラス組成物及びそれから得られる着色ガラス物品は、Er2O3を、4モル%以下、3モル%以下、2モル%以下、1モル%以下、0.5モル%以下、又は0.5モル%未満の量で含む。複数の実施形態において、ガラス組成物及びそれから得られる着色ガラス物品は、Er2O3を、0モル%以上4モル%以下、0モル%超3.5モル%以下、0.1モル%以上3モル%以下、0.2モル%以上2.5モル%以下、0.3モル%以上2モル%以下、0.4モル%以上1.9モル%以下、0.5モル%以上1.8モル%以下、0.6モル%以上1.7モル%以下、0.7モル%以上1.6モル%以下、0.8モル%以上1.5モル%以下、0.9モル%以上1.4モル%以下、1.0モル%以上1.3モル%以下、1.1モル%以上1.2モル%以下、又は上記の範囲の各端点から形成される任意の及びすべての部分範囲内の量で含む。複数の実施形態において、ガラス組成物及びそれから得られる着色ガラス物品は、Er2O3を実質含まないか、又はEr2O3を含まないものとすることもできる。
複数の実施形態において、ガラス組成物及びそれから得られる着色ガラス物品は、Nd2O3を0モル%以上4モル%以下の量、例えば、0モル%超4モル%以下、又は0.1モル%以上3モル%以下の量で含むことができる。複数の実施形態において、ガラス組成物及びそれから得られる着色ガラス物品は、0モル%以上、0モル%超、0.1モル%以上、0.2モル%以上、0.5モル%以上、1モル%以上、又は1モル%超の量のNd2O3を含むことができる。複数の実施形態において、ガラス組成物及びそれから得られる着色ガラス物品は、Nd2O3を4モル%以下、3モル%以下、2モル%以下、1モル%以下、0.5モル%以下、又は0.5モル%未満の量で含むことができる。複数の実施形態において、ガラス組成物及びそれから得られる着色ガラス物品は、Nd2O3を、0モル%以上4モル%以下、0モル%超3.5モル%以下、0.1モル%以上3モル%以下、0.2モル%以上2.5モル%以下、0.3モル%以上2モル%以下、0.4モル%以上1.9モル%以下、0.5モル%以上1.8モル%以下、0.6モル%以上1.7モル%以下、0.7モル%以上1.6モル%以下、0.8モル%以上1.5モル%以下、0.9モル%以上1.4モル%以下、1.0モル%以上1.3モル%以下、1.1モル%以上1.2モル%以下、又は上記の範囲の各端点から形成される任意の及びすべての部分範囲内の量で含む。複数の実施形態において、ガラス組成物及びそれから得られる着色ガラス物品は、Nd2O3を実質含まないか、又はNd2O3を含まないものとすることもできる。
着色剤:金
複数の実施形態において、ガラス組成物及びそれから得られる着色ガラス物品における着色剤セットは、所望の色を実現するための着色剤として、Auを含む(又は、Auからなる)ことができる。複数の実施形態において、Auは、唯一の着色剤として又は他の着色剤と組み合わせて、ガラス組成物に含めることができる。本明細書で説明するように、複数の実施形態において、Auの残存率を高めて、得られる着色ガラス物品において実現可能な色域が広くなるように、ガラス組成物及びそれから得られる着色ガラス物品を調合することができる。
複数の実施形態において、ガラス組成物及びそれから得られる着色ガラス物品は、0.0005モル%超1モル%以下のAuを含むことができる。複数の実施形態において、ガラス組成物及びそれから得られる着色ガラス物品は、0.001モル%超0.5モル%以下のAuを含むことができる。複数の実施形態において、ガラス組成物及びそれから得られる着色ガラス物品におけるAuの濃度は、0.0005モル%以上、0.001モル%以上、0.002モル%以上、0.005モル%以上、さらに又は0.01モル%以上とすることができる。複数の実施形態において、ガラス組成物及びそれから得られる着色ガラス物品におけるAuの濃度は、1モル%以下、0.75モル%以下、0.5モル%以下、0.25モル%以下、0.1モル%以下、さらに又は0.05モル%以下とすることができる。複数の実施形態において、ガラス組成物及びそれから得られる着色ガラス物品におけるAuの濃度は、0.0005モル%以上1モル%以下、0.0005モル%以上0.75モル%以下、0.0005モル%以上0.5モル%以下、0.0005モル%以上0.25モル%以下、0.0005モル%以上0.1モル%以下、0.0005モル%以上0.05モル%以下、0.001モル%以上1モル%以下、0.001モル%以上0.75モル%以下、0.001モル%以上0.5モル%以下、0.001モル%以上0.25モル%以下、0.001モル%以上0.1モル%以下、0.001モル%以上0.05モル%以下、0.002モル%以上1モル%以下、0.002モル%以上0.75モル%以下、0.002モル%以上0.5モル%以下、0.002モル%以上0.25モル%以下、0.002モル%以上0.1モル%以下、0.002モル%以上0.05モル%以下、0.005モル%以上1モル%以下、0.005モル%以上0.75モル%以下、0.005モル%以上0.5モル%以下、0.005モル%以上0.25モル%以下、0.005モル%以上0.1モル%以下、0.005モル%以上0.05モル%以下、0.01モル%以上1モル%以下、0.01モル%以上0.75モル%以下、0.01モル%以上0.5モル%以下、0.01モル%以上0.25モル%以下、0.01モル%以上0.1モル%以下、さらに又は0.01モル%以上0.05モル%以下、又は、これら範囲の各端点から形成される任意の及びすべての部分範囲内とすることができる。
複数の実施形態において、ガラス組成物及びそれから得られる着色ガラス物品は、1×10-6モル%以上1モル%以下のAuを含むことができる。複数の実施形態において、ガラス組成物及びそれから得られる着色ガラス物品は、1×10-6モル%以上0.01モル%以下のAuを含むことができる。複数の実施形態において、ガラス組成物及びそれから得られる着色ガラス物品におけるAuの濃度は、1×10-6モル%以上、1×10-5モル%以上、0.0001モル%以上、0.0005モル%以上、さらに又は0.001モル%以上とすることができる。複数の実施形態において、ガラス組成物及びそれから得られる着色ガラス物品におけるAuの濃度は、1モル%以下、0.75モル%以下、0.5モル%以下、0.25モル%以下、0.1モル%以下、0.05モル%以下、さらに又は0.01以下とすることができる。複数の実施形態において、ガラス組成物及びそれから得られる着色ガラス物品におけるAuの濃度は、1×10-6モル%以上0.75モル%以下、1×10-6モル%以上0.5モル%以下、1×10-6モル%以上0.25モル%以下、1×10-6モル%以上0.1モル%以下、1×10-6モル%以上0.05モル%以下、1×10-6モル%以上0.01モル%以下、1×10-5モル%以上1モル%以下、1×10-5モル%以上0.75モル%以下、1×10-5モル%以上0.5モル%以下、1×10-5モル%以上0.25モル%以下、1×10-5モル%以上0.1モル%以下、1×10-5モル%以上0.05モル%以下、1×10-5モル%以上0.01モル%以下、0.0001モル%以上1モル%以下、0.0001モル%以上0.75モル%以下、0.0001モル%以上0.5モル%以下、0.0001モル%以上0.25モル%以下、0.0001モル%以上0.1モル%以下、0.0001モル%以上0.05モル%以下、0.0001モル%以上0.01モル%以下、0.0005モル%以上1モル%以下、0.0005モル%以上0.75モル%以下、0.0005モル%以上0.5モル%以下、0.0005モル%以上0.25モル%以下、0.0005モル%以上0.1モル%以下、0.0005モル%以上0.05モル%以下、0.0005モル%以上0.01モル%以下、0.001モル%以上1モル%以下、0.001モル%以上0.75モル%以下、0.001モル%以上0.5モル%以下、0.001モル%以上0.25モル%以下、0.001モル%以上0.1モル%以下、0.001モル%以上0.05モル%以下、さらに又は0.001モル%以上0.01モル%以下、又は、これら範囲の各端点から形成される任意の及びすべての部分範囲内とすることができる。
Auに加えて二次着色剤を含めることにより、異なる色域を実現することもできる。例えば、F、Cl、Br、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Se、Nb、Mo、Ru、Rh、Pd、Ag、Cd、In、Te、W、Ir、Pt、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、及びErのうちの少なくとも1つを、「M」とおくと、複数の実施形態において、ガラス組成物及びそれから得られる着色ガラス物品は、0モル%以上1モル%以下のカチオン「M」を含むことができる。
着色剤:Cr 2 O 3
複数の実施形態において、本明細書に記載のガラス組成物及びそれから得られる着色ガラス物品において使用される着色剤セットは、所望の色を実現するための着色剤として、Cr2O3を含む(又は、Cr2O3からなる)ことができる。複数の実施形態において、Cr2O3は、唯一の着色剤として又は他の着色剤と組み合わせて、ガラス組成物に含めることができる。例えば、Cr2O3を着色剤として利用する実施形態において、ガラスに付与する色を補正するために、ガラス組成物に他の遷移金属酸化物を含めることもできる。かかる他の遷移金属酸化物としては、例えば、CuO、NiO、及び/又はCo3O4が挙げられるが、これらに限定されるものではない。本明細書で説明するように、複数の実施形態において、Cr2O3の溶解度を高めて、得られる着色ガラス物品において実現可能な色域が広くなるように、ガラス組成物及びそれから得られる着色ガラス物品を調合することができる。
複数の実施形態において、ガラス組成物及びそれから得られる着色ガラス物品は、0モル%以上2モル%以下のCr2O3を含むことができる。複数の実施形態において、ガラス組成物及びそれから得られる着色ガラス物品は、0.001モル%以上1.5モル%以下のCr2O3を含むことができる。複数の実施形態において、ガラス組成物及びそれから得られる着色ガラス物品におけるCr2O3の濃度は、0モル%以上、0.001モル%以上、0.005モル%以上、0.01モル%以上、さらに又は0.05モル%以上とすることができる。複数の実施形態において、ガラス組成物及びそれから得られる着色ガラス物品におけるCr2O3の濃度は、2モル%以下、1.5モル%以下、1モル%以下、0.5モル%以下、さらに又は0.1モル%以下とすることができる。複数の実施形態において、ガラス組成物及びそれから得られる着色ガラス物品におけるCr2O3の濃度は、0モル%以上2モル%以下、0モル%以上1.5モル%以下、0モル%以上1モル%以下、0モル%以上0.5モル%以下、0モル%以上0.1モル%以下、0.001モル%以上2モル%以下、0.001モル%以上1.5モル%以下、0.001モル%以上1モル%以下、0.001モル%以上0.5モル%以下、0.001モル%以上0.1モル%以下、0.005モル%以上2モル%以下、0.005モル%以上1.5モル%以下、0.005モル%以上1モル%以下、0.005モル%以上0.5モル%以下、0.005モル%以上0.1モル%以下、0.01モル%以上2モル%以下、0.01モル%以上1.5モル%以下、0.01モル%以上1モル%以下、0.01モル%以上0.5モル%以下、0.01モル%以上0.1モル%以下、0.05モル%以上2モル%以下、0.05モル%以上1.5モル%以下、0.05モル%以上1モル%以下、0.05モル%以上0.5モル%以下、さらに又は0.05モル%以上0.1モル%以下、又は、これら範囲の各端点から形成される任意の及びすべての部分範囲内とすることができる。
着色剤セットに着色剤としてCr2O3を含む実施形態では、Cr2O3の溶解度を高め、Crスピネル結晶の形成を防ぐために、ガラス組成物及びそれから得られる着色ガラス物品を過アルカリ(すなわち、R2O(モル%)+R´O(モル%)-Al2O3(モル%)を0.5モル%以上)とする。ただし、Al2O3の電荷を平衡した後もなお過剰な量のアルカリがガラス組成物に含まれていると、このアルカリによりSiO2の周囲に非架橋酸素が形成され、破壊靭性を低下させてしまう恐れがある。したがって、複数の実施形態において、破壊靭性の低下を防ぐため、ガラス組成物及びそれから得られる着色ガラス物品中のR2O+R´O-Al2O3を制限する(例えば、6モル%以下とする)ことができる。
複数の実施形態において、ガラス組成物及びそれから得られる着色ガラス物品におけるR2O+R´O-Al2O3は、0.5モル%以上6モル%以下とすることができる。複数の実施形態において、ガラス組成物及びそれから得られる着色ガラス物品におけるR2O+R´O-Al2O3は、1モル%以上5.5モル%以下とすることができる。複数の実施形態において、ガラス組成物及びそれから得られる着色ガラス物品におけるR2O+R´O-Al2O3は、0.5モル%以上、1モル%以上、1.5モル%以上、さらに又は2モル%以上とすることができる。複数の実施形態において、ガラス組成物及びそれから得られる着色ガラス物品におけるR2O+R´O-Al2O3は、6モル%以下、5.5モル%以下、5モル%以下、4.5モル%以下、4モル%以下、3.5モル%以下、さらに又は3モル%以下とすることができる。複数の実施形態において、ガラス組成物及びそれから得られる着色ガラス物品におけるR2O+R´O-Al2O3は、0.5モル%以上6モル%以下、0.5モル%以上5.5モル%以下、0.5モル%以上5モル%以下、0.5モル%以上4.5モル%以下、0.5モル%以上4モル%以下、0.5モル%以上3.5モル%以下、0.5モル%以上3モル%以下、1モル%以上6モル%以下、1モル%以上5.5モル%以下、1モル%以上5モル%以下、1モル%以上4.5モル%以下、1モル%以上4モル%以下、1モル%以上3.5モル%以下、1モル%以上3モル%以下、1.5モル%以上6モル%以下、1.5モル%以上5.5モル%以下、1.5モル%以上5モル%以下、1.5モル%以上4.5モル%以下、1.5モル%以上4モル%以下、1.5モル%以上3.5モル%以下、1.5モル%以上3モル%以下、2モル%以上6モル%以下、2モル%以上5.5モル%以下、2モル%以上5モル%以下、2モル%以上4.5モル%以下、2モル%以上4モル%以下、2モル%以上3.5モル%以下、さらに又は2モル%以上3モル%以下、又は、これら範囲の各端点から形成される任意の及びすべての部分範囲内とすることができる。
着色剤セットに着色剤としてCr2O3を含む実施形態では、ガラス組成物及びそれから得られる着色ガラス物品は、(1)Al2O3が17.5モル%以下、及び/又はR2O+R´O-Al2O3が0.5モル%以上、(2)Al2O3+MgO+ZnOが22モル%以下、及び(3)MgO+ZnOが4.5モル%以下、という条件のうちの少なくとも1つを満たして、所望の色を実現することができる。
着色剤にCr2O3を含む実施形態では、Cr2O3に加えて他の着色剤を含めることによって、異なる色域を実現することもできる。例えば、複数の実施形態において、ガラス組成物及びそれから得られる着色ガラス物品は、Cr2O3に加えて、NiO、Co3O4、CuO、又はそれらの組み合わせを含むことができる。
複数の実施形態において、ガラス組成物及びそれから得られる着色ガラス物品は、Cr2O3に加えて、着色剤として0モル%以上4モル%以下のNiOを含むことができる。複数の実施形態において、ガラス組成物及びそれから得られる着色ガラス物品におけるNiOの濃度は、0モル%以上、0.01モル%以上、さらに又は0.05モル%以上とすることができる。複数の実施形態において、ガラス組成物及びそれから得られる着色ガラス物品におけるNiOの濃度は、4モル%以下、3モル%以下、2モル%以下、1モル%以下、0.5モル%以下、0.25モル%以下、さらに又は0.1モル%以下とすることができる。複数の実施形態において、ガラス組成物及びそれから得られる着色ガラス物品におけるNiOの濃度は、0モル%以上4モル%以下、0モル%以上3モル%以下、0モル%以上2モル%以下、0モル%以上1モル%以下、0モル%以上0.5モル%以下、0モル%以上0.25モル%以下、0モル%以上0.1モル%以下、0.01モル%以上4モル%以下、0.01モル%以上3モル%以下、0.01モル%以上2モル%以下、0.01モル%以上1モル%以下、0.01モル%以上0.5モル%以下、0.01モル%以上0.25モル%以下、0.01モル%以上0.1モル%以下、0.05モル%以上4モル%以下、0.05モル%以上3モル%以下、0.05モル%以上2モル%以下、0.05モル%以上1モル%以下、0.05モル%以上0.5モル%以下、0.05モル%以上0.25モル%以下、さらに又は0.05モル%以上0.1モル%以下、又は、これら範囲の各端点の間に形成される任意の及びすべての部分範囲内とすることができる。
複数の実施形態において、ガラス組成物及びそれから得られる着色ガラス物品は、Cr2O3に加えて、着色剤として0モル%以上2モル%以下のCo3O4を含むことができる。複数の実施形態において、ガラス組成物及びそれから得られる着色ガラス物品におけるCo3O4の濃度は、0モル%以上、0.001モル%以上、0.005モル%以上、さらに又は0.01モル%以上とすることができる。複数の実施形態において、ガラス組成物及びそれから得られる着色ガラス物品におけるCo3O4の濃度は、2モル%以下、1.5モル%以下、1モル%以下、0.5モル%以下、0.1モル%以下、さらに又は0.05モル%以下とすることができる。複数の実施形態において、ガラス組成物及びそれから得られる着色ガラス物品におけるCo3O4の濃度は、0モル%以上2モル%以下、0モル%以上1.5モル%以下、0モル%以上1モル%以下、0モル%以上0.5モル%以下、0モル%以上0.1モル%以下、0モル%以上0.05モル%以下、0.001モル%以上2モル%以下、0.001モル%以上1.5モル%以下、0.001モル%以上1モル%以下、0.001モル%以上0.5モル%以下、0.001モル%以上0.1モル%以下、0.001モル%以上0.05モル%以下、0.005モル%以上2モル%以下、0.005モル%以上1.5モル%以下、0.005モル%以上1モル%以下、0.005モル%以上0.5モル%以下、0.005モル%以上0.1モル%以下、0.005モル%以上0.05モル%以下、0.01モル%以上2モル%以下、0.01モル%以上1.5モル%以下、0.01モル%以上1モル%以下、0.01モル%以上0.5モル%以下、0.01モル%以上0.1モル%以下、さらに又は0.01モル%以上0.05モル%以下、又は、これら範囲の各端点から形成される任意の及びすべての部分範囲内とすることができる。
複数の実施形態において、ガラス組成物及びそれから得られる着色ガラス物品は、Cr2O3に加えて、着色剤として0モル%以上5モル%以下のCuOを含むことができる。複数の実施形態において、ガラス組成物及びそれから得られる着色ガラス物品におけるCuOの濃度は、0モル%以上、0.05モル%以上、0.1モル%以上、0.5モル%以上、さらに又は1モル%以上とすることができる。複数の実施形態において、ガラス組成物及びそれから得られる着色ガラス物品におけるCuOの濃度は、5モル%以下、4モル%以下、3モル%以下、さらに又は2モル%以下とすることができる。複数の実施形態において、ガラス組成物及びそれから得られる着色ガラス物品におけるCuOの濃度は、0モル%以上5モル%以下、0モル%以上4モル%以下、0モル%以上3モル%以下、0モル%以上2モル%以下、0.05モル%以上5モル%以下、0.05モル%以上4モル%以下、0.05モル%以上3モル%以下、0.05モル%以上2モル%以下、0.1モル%以上5モル%以下、0.1モル%以上4モル%以下、0.1モル%以上3モル%以下、0.1モル%以上2モル%以下、0.5モル%以上5モル%以下、0.5モル%以上4モル%以下、0.5モル%以上3モル%以下、0.5モル%以上2モル%以下、1モル%以上5モル%以下、1モル%以上4モル%以下、1モル%以上3モル%以下、さらに又は1モル%以上2モル%以下、又は、これら範囲の各端点から形成される任意の及びすべての部分範囲内とすることができる。
着色剤:銀
複数の実施形態において、ガラス組成物及びそれから得られる着色ガラス物品において使用される着色剤セットは、所望の色を実現するための着色剤として、Agを含む(又は、Agからなる)ことができる。本明細書で説明するように、複数の実施形態において、Agの残存率を高めて、得られる着色ガラス物品において実現可能な色域が広くなるように、ガラス組成物及びそれから得られる着色ガラス物品を調合することができる。複数の実施形態において、Agは、唯一の着色剤として又は他の着色剤と組み合わせて、ガラス組成物に含めることができる。着色剤としてAgをガラス組成物に使用する実施形態では、ガラス組成物中の銀イオンが還元されることにより異方性銀粒子(anisotropic silver particle)が形成され、この異方性銀粒子が内在することにより着色ガラス物品が発色する。
したがって、複数の実施形態において、ガラス組成物及びそれから得られる着色ガラス物品は、0.01モル%以上5モル%以下のAgを含むことができる。複数の実施形態において、ガラス組成物及びそれから得られる着色ガラス物品は、0.05モル%以上2.5モル%以下のAg、0.1モル%以上1モル%以下のAg、0.1モル%以上0.75モル%以下のAg、0.1モル%以上0.5モル%以下のAg、又は0.1モル%以上0.25モル%以下のAgを含むことができる。複数の実施形態において、ガラス組成物及びそれから得られる着色ガラス物品におけるAgの濃度は、0.01モル%以上、0.05モル%以上、又は0.1モル%以上とすることができる。複数の実施形態において、ガラス組成物及びそれから得られる着色ガラス物品におけるAgの濃度は、5モル%以下、2.5モル%以下、1モル%以下、0.75モル%以下、0.5モル%以下、又は0.25モル%以下とすることができる。複数の実施形態において、ガラス組成物及びそれから得られる着色ガラス物品におけるAgの濃度は、0.01モル%以上5モル%以下、0.01モル%以上2.5モル%以下、0.01モル%以上1モル%以下、0.01モル%以上0.75モル%以下、0.01モル%以上0.5モル%以下、0.01モル%以上0.5モル%以下、0.05モル%以上5モル%以下、0.05モル%以上2.5モル%以下、0.05モル%以上1モル%以下、0.05モル%以上0.75モル%以下、0.05モル%以上0.5モル%以下、0.05モル%以上0.25モル%以下、0.1モル%以上5モル%以下、0.1モル%以上2.5モル%以下、0.1モル%以上1モル%以下、0.1モル%以上0.75モル%以下、0.1モル%以上0.5モル%以下、0.1モル%以上0.25モル%以下、又は、これら範囲の各端点から形成される任意の及びすべての部分範囲内とすることができる。
ハロゲン化物を含まず、銀を含む従来の着色ガラス物品の場合、成形したままの状態(すなわち、機械的延伸を加える前の着色ガラス物品の状態)で適切な熱処理を施すことにより発色する色は、黄色、橙色、赤色のみである。従来のハロゲン化物を含まない着色ガラス物品では、等方性(公称形状が球状)の銀粒子が形成されることによりこれらの色が発色している。この等方性銀粒子(isotropic silver particle)は、単一の局在表面プラズモン共鳴を起こすものである。等方性の粒子形状は、体積に対する表面積の比が最も小さくなるため、エネルギー的に最も有利に形成される形状である。したがって、銀を含む着色ガラス物品において最も多く観察される銀粒子の形状は、等方性の銀粒子である。
これに対し、異方性銀粒子を含む着色ガラス物品の場合、ピンク色、紫色、青色、緑色、茶色、及び黒色などの、より広い範囲の色を発色することが可能となる。本明細書において、異方性銀粒子とは、アスペクト比(すなわち、粒子の最短寸法に対する粒子の最長寸法の比)が1を上回る(例えば、粒子の幅に対する粒子の長さの比が1を上回る)銀粒子を指し、この点が、アスペクト比が1である等方性銀粒子と異なる。異方性銀粒子を含むガラスの発色色域が広くなるのは、異方性銀粒子が、エネルギー高い横モードとエネルギーの低い縦モードという2つの異なるプラズモンモードを起こすためである。なお、この2つの異なるプラズモンモードは、着色ガラス物品の吸収スペクトルで観察することができ、ガラスの中に異方性銀粒子が存在する場合には、通常、着色ガラス物品の吸収スペクトルに少なくとも2つの異なるピークが現れる。異方性粒子のアスペクト比を変化させて、これら2つのプラズモンモードの共鳴吸収を調整することにより、色の変化(color shift)を起こすことができるのである。
従来は、機械的延伸プロセスを用いて、球状の銀粒子をせん断力によって引き伸ばす(例えば、リドロー(re-draw)法で着色ガラス物品を延伸する)ことにより、ガラスに異方性の金属銀粒子を形成していた。機械的延伸プロセスによって、延伸方向に沿って互いに平行に整列した状態の銀粒子を含むガラス物品が得られる(すなわち、偏光ガラスとなる)。
また、機械的延伸プロセスに代わる、ガラス物品に異方性の金属粒子を形成する従来の方法として、ガラス組成物にハロゲン化物(例えば、F、Cl、及びBr)を組み入れる方法もある。ハロゲン化物を含有する着色ガラス物品においては、細長い形やピラミッド形の形状をしたハロゲン化物結晶をテンプレートとして、異方性銀粒子が形成される。しかし、ガラス組成物中にハロゲン化物を含めることは好ましくない場合がある。
これに対して、本明細書に記載の、着色剤としてAgを含む着色ガラス物品の場合、ガラス組成物中にハロゲン化物を含めることも、機械的延伸プロセスを使用することもなく、黄色、橙色、赤色、緑色、ピンク色、紫色、茶色、及び黒色などの広範囲の色を発色することができる。特定の理論に縛られるものではないが、本開示の着色ガラス物品においては、ガラス組成物中にハロゲン化物を含む場合に生じるテンプレート成長と同様のメカニズムにより、異方性銀粒子を形成することができると考えられる。ただし、ハロゲン化物を含有する結晶をテンプレートとして利用する方法や等方性銀粒子を機械的に延伸する方法の代わりに、成形したままの状態でガラス物品を熱処理することにより、スポジュメン、ケイ酸リチウム、及び/又はβ-石英のナノサイズの結晶上に、異方性の銀結晶が形成されるということが偶然発見された。これに加えて及び/又は代えて、異方性銀粒子は、着色ガラス物品の相分離領域及び/又は部分的にしか結晶化していない領域の界面に析出するとも考えられる。さらに、これらの結晶及び/又は相分離領域は、異方性銀粒子が成長する際の核生成部位にもなると考えられる。
したがって、複数の実施形態において、着色剤として銀を含むガラス組成物及びそれから得られる着色ガラス物品が含むハロゲン化物を、100ppm(parts per million)未満とすることができる。例えば、着色剤としてAgを含むガラス組成物及びそれから得られる着色ガラス物品が含むハロゲン化物を、100ppm未満とすることができ、例えば、50ppm未満、25ppm未満、10ppm未満、さらに又は0ppmとすることができる。
上述したように、通常、機械的延伸プロセスで製造したAgを含む着色ガラス物品も、本願の着色ガラス物品と同様の異方性銀粒子を含んでいる。ただし、機械的延伸プロセスを用いた場合には、異方性銀粒子が規則正しく整列した状態となる(例えば、各異方性銀粒子の長手寸法が同一の方向(例えば、機械的延伸における延伸方向など)を向いた状態となる)ことに留意されたい。簡単に言うと、機械的延伸プロセスで製造した着色ガラス物品は、機械的延伸によりガラス中の異方性銀粒子が整列した状態となるため、偏光ガラスとなる。
これに対し、本明細書に記載の実施形態の着色剤としてAgを含む着色ガラス物品は、機械的延伸プロセスを行っておらず、非偏光ガラスとなる。複数の実施形態において、着色ガラス物品の異方性銀粒子は整列状態とはならず(例えば、2つ以上の異方性銀粒子の長手寸法が異なる方向を向いた状態となり)、ガラスの中で異方性銀粒子はランダムに配列されている。
本明細書において、「長さ(length)」という用語は、異方性銀粒子の最長寸法を指す。本明細書に記載の着色ガラス物品中の異方性銀粒子の長さは、10nm以上、12nm以上、14nm以上、16nm以上、18nm以上、10nm以上、22nm以上、24nm以上、26nm以上、28nm以上、30nm以上、32nm以上、34nm以上、36nm以上、さらに又は38nm以上である。異方性銀粒子の長さは、ImageJなどのソフトウェアを用いて、着色ガラス物品の試料から得られた電子顕微鏡写真の画像解析を行うことにより測定することができる。異方性銀粒子の長さや幅は、以下のように取得する。まず、電子顕微鏡写真上のスケールバーを読み取り、各画素を適切な単位長さに変換することにより、キャリブレーションを行う。次に、画像をグレースケール画像に変換する。そして、ソフトウェア計測ツールを用いて、各粒子の端から端までの画素数と最大粒子幅の画素数とを計測する。複数の実施形態において、自動スクリプトを実行して、複数の粒子について長さとアスペクト比の測定を自動で行う。複数の実施形態において、本明細書に記載の着色ガラス物品中の異方性銀粒子の長さは、40nm以下、38nm以下、36nm以下、34nm以下、32nm以下、30nm以下、28nm以下、26nm以下、24nm以下、22nm以下、さらに又は20nm以下である。複数の実施形態において、本明細書に記載の着色ガラス物品中の異方性銀粒子の長さは、10nm以上40nm以下、12nm以上36nm以下、14nm以上34nm以下、14nm以上32nm以下、14nm以上28nm以下、14nm以上26nm以下、16nm以上26nm以下、16nm以上24nm以下、16nm以上22nm以下、16nm以上20nm以下、又は、これら範囲の各端点から形成される任意の及びすべての部分範囲内である。
本明細書において、「幅(width)」という用語は、異方性粒子の最長寸法に垂直な方向に延びる異方性粒子の寸法(すなわち、長さに垂直な方向の寸法)を指す。複数の実施形態において、本明細書に記載の着色ガラス物品中の異方性銀粒子の幅は、6nm以上、8nm以上、10nm以上、12nm以上、さらに又は14nm以上である。複数の実施形態において、本明細書に記載の着色ガラス物品中の異方性銀粒子の幅は、20nm以下、18nm以下、16nm以下、12nm以下、さらに又は10nm以下である。複数の実施形態において、本明細書に記載の着色ガラス物品中の異方性銀粒子の幅は、6nm以上20nm以下、6nm以上18nm以下、6nm以上16nm以下、8nm以上20nm以下、8nm以上18nm以下、8nm以上16nm以下、10nm以上20nm以下、10nm以上18nm以下、10nm以上16nm以下、10nm以上14nm以下、又は、これら範囲の各端点から形成される任意の及びすべての部分範囲内である。
複数の実施形態において、本明細書に記載の着色ガラス物品中の異方性銀粒子のアスペクト比(すなわち、異方性銀ナノ粒子の幅に対する長さの比)は、1超、1.5以上、2以上、さらに又は2.5以上である。複数の実施形態において、本明細書に記載の着色ガラス物品中の異方性銀粒子のアスペクト比は、3以下、2.5以下、2以下、さらに又は1.5以下である。複数の実施形態において、本明細書に記載の着色ガラス物品中の異方性銀粒子のアスペクト比は、1超3以下、1超2.5以下、1超2以下、1超1.5以下、1.5以上3以下、1.5以上2.5以下、1.5以上2以下、2以上3以下、2以上2.5以下、又は、これら範囲の各端点から形成される任意の及びすべての部分範囲内である。
着色剤としてAgを含むガラス組成物及びそれから得られる着色ガラス物品は、CeO2、Nd2O3、Er2O3などの1つ以上の希土類酸化物をさらに含むことができる。希土類酸化物を加えることにより、ガラスに(銀により得られる可視光の吸光度に加えて)追加の可視光吸光度を与えて、ガラスの色をさらに変化させることができる。また、ガラスのヤング率及び/又はアニール点を引き上げるために、希土類酸化物を原料に加えることもできる。
複数の実施形態において、着色剤としてAgを含むガラス組成物及びそれから得られる着色ガラス物品は、0モル%以上4モル%以下のCeO2をさらに含むことができる。複数の実施形態において、着色剤としてAgを含むガラス組成物及びそれから得られる着色ガラス物品は、0モル%以上3モル%以下のCeO2、0モル%以上1モル%以下のCeO2、0.05モル%以上1モル%以下のCeO2、又は0.05モル%以上0.5モル%以下のCeO2をさらに含むことができる。複数の実施形態において、着色剤としてAgを含むガラス組成物及びそれから得られる着色ガラス物品におけるCeO2の濃度は、0モル%以上、さらに又は0.05モル%以上とすることができる。複数の実施形態において、着色剤としてAgを含むガラス組成物及びそれから得られる着色ガラス物品におけるCeO2の濃度は、4モル%以下、3モル%以下、2モル%以下、1モル%以下、又は0.5モル%以下とすることができる。複数の実施形態において、着色剤としてAgを含むガラス組成物及びそれから得られる着色ガラス物品におけるCeO2の濃度は、0モル%以上4モル%以下、0モル%以上3モル%以下、0モル%以上2モル%以下、0モル%以上1モル%以下、0モル%以上0.5モル%以下、0.05モル%以上4モル%以下、0.05モル%以上3モル%以下、0.05モル%以上2モル%以下、0.05モル%以上1モル%以下、さらに又は0.05モル%以上0.5モル%以下、又は、これら範囲の各端点から形成される任意の及びすべての部分範囲内とすることができる。
複数の実施形態において、着色剤としてAgを含むガラス組成物及びそれから得られる着色ガラス物品は、0モル%以上4モル%以下のNd2O3をさらに含むことができる。複数の実施形態において、着色剤としてAgを含むガラス組成物及びそれから得られる着色ガラス物品は、0モル%以上3モル%以下のNd2O3、0モル%以上1モル%以下のNd2O3、0モル%以上1モル%以下のNd2O3、0.1モル%以上1モル%以下のNd2O3、0.1モル%以上1.5モル%以下のNd2O3、又は0.1モル%以上0.5モル%以下のNd2O3をさらに含むことができる。複数の実施形態において、着色剤としてAgを含むガラス組成物及びそれから得られる着色ガラス物品におけるNd2O3の濃度は、0モル%以上、さらに又は0.1モル%以上とすることができる。複数の実施形態において、着色剤としてAgを含むガラス組成物及びそれから得られる着色ガラス物品におけるNd2O3の濃度は、4モル%以下、3モル%以下、2モル%以下、1モル%以下、又は0.5モル%以下とすることができる。複数の実施形態において、着色剤としてAgを含むガラス組成物及びそれから得られる着色ガラス物品におけるNd2O3の濃度は、0モル%以上4モル%以下、0モル%以上3モル%以下、0モル%以上2モル%以下、0モル%以上1モル%以下、0モル%以上1.5モル%以下、0モル%以上0.5モル%以下、0.1モル%以上4モル%以下、0.1モル%以上3モル%以下、0.1モル%以上2モル%以下、0.1モル%以上1.5モル%以下、0.1モル%以上1モル%以下、さらに又は0.1モル%以上0.5モル%以下、又は、これら範囲の各端点から形成される任意の及びすべての部分範囲内とすることができる。
複数の実施形態において、着色剤としてAgを含むガラス組成物及びそれから得られる着色ガラス物品は、0モル%以上4モル%以下のEr2O3をさらに含むことができる。複数の実施形態において、着色剤としてAgを含むガラス組成物及びそれから得られる着色ガラス物品は、0モル%以上3モル%以下のEr2O3、0モル%以上1.5モル%以下のEr2O3、0モル%以上1モル%以下のEr2O3、0.1モル%以上1.5モル%以下のEr2O3、0.1モル%以上1モル%以下のEr2O3、又は0.1モル%以上0.5モル%以下のEr2O3をさらに含むことができる。複数の実施形態において、着色剤としてAgを含むガラス組成物及びそれから得られる着色ガラス物品におけるEr2O3の濃度は、0モル%以上、さらに又は0.1モル%以上とすることができる。複数の実施形態において、着色剤としてAgを含むガラス組成物及びそれから得られる着色ガラス物品におけるEr2O3の濃度は、4モル%以下、3モル%以下、2モル%以下、1モル%以下、又は0.5モル%以下とすることができる。複数の実施形態において、着色剤としてAgを含むガラス組成物及びそれから得られる着色ガラス物品におけるEr2O3の濃度は、0モル%以上4モル%以下、0モル%以上3モル%以下、0モル%以上2モル%以下、0モル%以上1.5モル%以下、0モル%以上1モル%以下、0モル%以上0.5モル%以下、0.1モル%以上4モル%以下、0.1モル%以上3モル%以下、0.1モル%以上2モル%以下、0.1モル%以上1.5モル%以下、0.1モル%以上1モル%以下、さらに又は0.1モル%以上0.5モル%以下、又は、これら範囲の各端点から形成される任意の及びすべての部分範囲内とすることができる。
複数の実施形態において、本明細書に記載のガラス組成物及びそれから得られる着色ガラス物品は、TiO2、MnO、MoO3、WO3、Y2O3、CdO、As2O3、硫黄系化合物(例えば、硫酸塩)、ハロゲン、又はそれらの組み合わせなどの混入物を、さらに含んでもよい。複数の実施形態において、ガラス組成物及びそれから得られる着色ガラス物品は、TiO2、MnO、MoO3、WO3、Y2O3、CdO、As2O3、硫黄系化合物(例えば、硫酸塩)、ハロゲン、又はそれらの組み合わせなどの混入物を、実質含まないか、又はかかる混入物を含まないものとすることもできる。
本明細書に記載の実施形態では、ガラス組成物の融点を下げると、ガラス組成物を比較的低い温度で溶融させることができ、着色剤の蒸発が抑えられるため、着色剤の残存率の向上に寄与することができると考えられる。したがって、本明細書に記載のガラス組成物及びそれから得られる着色ガラス物品は、任意選択的に、ガラス組成物の融点引き下げに寄与するMgO及び/又はZnOを含むこともできる。B2O3、Li2O、Na2Oも、ガラス組成物の融点を下げる。また、本明細書で説明するように、ガラス組成物の融点を下げるために、SnO2、Sb2O3、及びBi2O3などの他の成分をガラス組成物に加えることもできる。複数の実施形態において、ガラス組成物の融点は、1550℃以下とすることができる。複数の実施形態において、ガラス組成物の融点は、1300℃以上、1325℃以上、1350℃以上、1375℃以上、さらに又は1400℃以上とすることができる。複数の実施形態において、ガラス組成物の融点は、1550℃以下、1525℃以下、1500℃以下、1475℃以下、さらに又は1450℃以下とすることができる。複数の実施形態において、ガラス組成物の融点は、1300℃以上1550℃以下、1300℃以上1525℃以下、1300℃以上1500℃以下、1300℃以上1475℃以下、1300℃以上1450℃以下、1325℃以上1550℃以下、1325℃以上1525℃以下、1325℃以上1500℃以下、1325℃以上1475℃以下、1325℃以上1450℃以下、1350℃以上1550℃以下、1350℃以上1525℃以下、1350℃以上1500℃以下、1350℃以上1475℃以下、1350℃以上1450℃以下、1375℃以上1550℃以下、1375℃以上1525℃以下、1375℃以上1500℃以下、1375℃以上1475℃以下、1375℃以上1450℃以下、1400℃以上1550℃以下、1400℃以上1525℃以下、1400℃以上1500℃以下、1400℃以上1475℃以下、さらに又は1400℃以上1450℃以下、又は、これら範囲の各端点から形成される任意の及びすべての部分範囲内とすることができる。
複数の実施形態において、ガラス組成物の液相温度は、1000℃以上、1050℃以上、さらに又は1100℃以上とすることができる。複数の実施形態において、前駆体ガラス組成物の液相温度は、1400℃以下、1350℃以下、さらに又は1300℃以下とすることができる。複数の実施形態において、ガラス組成物の液相温度は、1000℃以上1400℃以下、1000℃以上1350℃以下、1000℃以上1300℃以下、1050℃以上1400℃以下、1050℃以上1350℃以下、1000℃以上1300℃以下、1100℃以上1400℃以下、1100℃以上1350℃以下、さらに又は1100℃以上1300℃以下、又は、これら範囲の各端点から形成される任意の及びすべての部分範囲内とすることができる。
複数の実施形態において、溶融成形時に、ガラス組成物が失透を起こしてAu粒子などの着色剤粒子が形成されてしまうことを防ぐように、ガラス組成物の粘度を調整することができる。溶融成形時に着色剤粒子が形成されると、熱処理後に実現できる色域が制限されてしまう恐れがある。複数の実施形態において、本明細書に記載のガラス組成物及びそれから得られるガラス物品は、5.72*Al2O3(モル%)-21.4*ZnO(モル%)-2.5*P2O5(モル%)-35*Li2O(モル%)-16.6*B2O3(モル%)-20.5*MgO(モル%)-23.3*Na2O(モル%)-27.9*SrO(モル%)-18.5*K2O(モル%)-26.3*CaO(モル%)が-609モル%を上回るという関係を満たすことにより、所望の粘度を実現して、これにより、溶融前に着色剤粒子が形成されてしまう事態を防止することができる。理論に縛られることを望むものではないが、この関係は、Au以外の着色剤を含むガラス組成物、例えば、着色剤にAgを含む場合(Agも、ガラスの中に着色剤粒子を形成してしまう恐れがある)にも当てはまると考えられる。複数の実施形態において、本明細書に記載のガラス組成物及びそれから得られるガラス物品は、5.72*Al2O3(モル%)-21.4*ZnO(モル%)-2.5*P2O5(モル%)-35*Li2O(モル%)-16.6*B2O3(モル%)-20.5*MgO(モル%)-23.3*Na2O(モル%)-27.9*SrO(モル%)-18.5*K2O(モル%)-26.3*CaO(モル%)が、-609モル%超、-575モル%以上、-550モル%以上、さらに又は-525モル%以上であるという関係を満たすことができる。複数の実施形態において、本明細書に記載のガラス組成物及びそれから得られるガラス物品は、5.72*Al2O3(モル%)-21.4*ZnO(モル%)-2.5*P2O5(モル%)-35*Li2O(モル%)-16.6*B2O3(モル%)-20.5*MgO(モル%)-23.3*Na2O(モル%)-27.9*SrO(モル%)-18.5*K2O(モル%)-26.3*CaO(モル%)が、-400モル%以下、-425モル%以下、さらに又は-450モル%以下であるという関係を満たすことができる。複数の実施形態において、本明細書に記載のガラス組成物及びそれから得られるガラス物品は、5.72*Al2O3(モル%)-21.4*ZnO(モル%)-2.5*P2O5(モル%)-35*Li2O(モル%)-16.6*B2O3(モル%)-20.5*MgO(モル%)-23.3*Na2O(モル%)-27.9*SrO(モル%)-18.5*K2O(モル%)-26.3*CaO(モル%)が、-609モル%超-400モル%以下、-609モル%超-425モル%以下、-609モル%超-450モル%以下、-575モル%以上-400モル%以下、-575モル%以上-425モル%以下、-575モル%以上-450モル%以下、-550モル%以上-400モル%以下、-550モル%以上-425モル%以下、-550モル%以上-450モル%以下、-525モル%以上-400モル%以下、-525モル%以上-425モル%以下、さらに又は-525モル%以上-450モル%以下、又は、これら範囲の各端点から形成される任意の及びすべての部分範囲内であるという関係を満たすことができる。
複数の実施形態において、着色ガラス物品の形成は、まず、ガラス組成物を溶融する工程から始めることができる。ここで、ガラス組成物は、本明細書で説明するガラス構成成分の組み合わせと、着色剤セットとして1つ以上の着色剤とを含む。次に、溶融したガラスを、従来型の成形技術を用いて前駆体ガラス物品に成形し、その後冷却する。前駆体ガラス物品は、任意の数の形状をとることができる。かかる形状としては、板状、管状、棒状、容器状(例えば、バイアル、ボトル、ジャーなどの形状)などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。そして、複数の実施形態において、前駆体ガラス物品に熱処理を施して、ガラスを発色させることができる。例えば、限定されるものではないが、熱処理によりガラスの中に着色剤粒子を形成して、着色剤粒子によりガラスを発色させることができる。いくつかの実施形態では、熱処理前のガラスが、透明(すなわち、無色)に見える場合もある。限定されるものではないが、着色剤粒子の例としては、Au粒子(ガラスに含まれる着色剤セットにAuを含む場合など)、及び/又はランダムに配向した異方性銀粒子(着色剤セットにAgを含む場合など)などの粒子が挙げられ、これにより着色ガラス物品が形成される。熱処理の時間及び/又は温度は、所望の色を有する着色ガラス物品を製造するように特に選択することができる。理論に縛られることを望むものではないが、所望の色は、ガラスの中に析出する粒子のモルフォロジーの結果として得られるものであり、かかる粒子モルフォロジーは、熱処理の時間や温度に依存していると考えられる。したがって、異なる色を有する着色ガラス物品は、ガラスに含まれる着色剤セットの組成に加えて、適用される熱処理の時間及び/又は温度にも基づいて、1つのガラス組成物から形成することができることを理解されたい。
詳細には、着色ガラス物品を製造するためにガラス組成物に対して行う熱処理サイクルに変更を加えることにより、色域の範囲内で異なる色座標を実現することが可能となる。熱処理サイクルは、環境(すなわち、炉)の温度とサイクルの長さ(すなわち加熱環境に曝露する時間)とにより特徴付けられる。本明細書において、「熱処理サイクルの温度」という表現は、環境(すなわち、炉)の温度を指す。複数の実施形態において、本明細書に記載のガラス組成物から形成されたガラス物品は等温炉で熱処理され、これにより着色ガラス物品が製造される。
複数の実施形態において、熱処理サイクルの温度は、500℃以上、550℃以上、575℃以上、600℃以上、625℃以上、さらに又は650℃以上である。複数の実施形態において、熱処理サイクルの温度は、800℃以下、775℃以下、750℃以下、725℃以下、さらに又は700℃以下である。複数の実施形態において、熱処理サイクルの温度は、500℃以上800℃以下、500℃以上775℃以下、500℃以上750℃以下、500℃以上725℃以下、550℃以上700℃以下、550℃以上800℃以下、550℃以上775℃以下、550℃以上750℃以下、550℃以上725℃以下、550℃以上700℃以下、575℃以上800℃以下、575℃以上775℃以下、575℃以上750℃以下、575℃以上725℃以下、575℃以上700℃以下、600℃以上800℃以下、600℃以上775℃以下、600℃以上750℃以下、600℃以上725℃以下、600℃以上700℃以下、625℃以上800℃以下、625℃以上775℃以下、625℃以上750℃以下、625℃以上725℃以下、625℃以上700℃以下、650℃以上800℃以下、650℃以上775℃以下、650℃以上750℃以下、650℃以上725℃以下、さらに又は650℃以上700℃以下、又は、これら範囲の各端点から形成される任意の及びすべての部分範囲内である。
複数の実施形態において、熱処理サイクルの長さは、0.15時間以上、0.25時間以上、0.5時間以上、1時間以上、さらに又は2時間以上である。複数の実施形態において、熱処理サイクルの長さは、24時間以下、16時間以下、8時間以下、6時間以下、4時間以下、さらに又は3時間以下である。複数の実施形態において、熱処理サイクルの長さは、0.25時間以上24時間以下、0.25時間以上16時間以下、0.25時間以上8時間以下、0.25時間以上4時間以下、0.5時間以上24時間以下、0.5時間以上16時間以下、0.5時間以上8時間以下、0.5時間以上4時間以下、1時間以上24時間以下、1時間以上16時間以下、1時間以上8時間以下、1時間以上4時間以下、2時間以上24時間以下、2時間以上16時間以下、2時間以上8時間以下、さらに又は2時間以上4時間以下、又は、これら範囲の各端点から形成される任意の及びすべての部分範囲内である。
複数の実施形態において、熱処理は、熱処理温度まで昇温速度でランプアップする工程と、熱処理温度から冷却速度でクールダウンする工程とを含むことができる。複数の実施形態において、選択された昇温速度及び冷却速度が、得られる着色ガラス物品の色座標に影響を与えると考えられる。
複数の実施形態において、熱処理の昇温速度は、2℃/分以上、さらに又は3℃/分以上とすることができる。複数の実施形態において、熱処理の昇温速度は、10℃/分以下、7℃/分以下、さらに又は5℃/分以下とすることができる。複数の実施形態において、熱処理の昇温速度は、2℃/分以上10℃/分以下、2℃/分以上7℃/分以下、2℃/分以上5℃/分以下、3℃/分以上10℃/分以下、3℃/分以上7℃/分以下、さらに又は3℃/分以上5℃/分以下、又は、これら範囲の各端点から形成される任意の及びすべての部分範囲内とすることができる。
複数の実施形態において、熱処理の冷却速度は、1℃/分以上、さらに又は2℃/分以上とすることができる。複数の実施形態において、熱処理の冷却速度は、10℃/分以下、8℃/分以下、6℃/分以下、さらに又は4℃/分以下とすることができる。複数の実施形態において、熱処理の冷却速度は、1℃/分以上10℃/分以下、1℃/分以上8℃/分以下、1℃/分以上6℃/分以下、1℃/分以上4℃/分以下、2℃/分以上10℃/分以下、2℃/分以上8℃/分以下、2℃/分以上6℃/分以下、さらに又は2℃/分以上4℃/分以下、又は、これら範囲の各端点から形成される任意の及びすべての部分範囲内とすることができる。
例えば、限定されるものではないが、ガラス組成物がAgを含む実施形態では、前駆体ガラス物品を、約590℃~約610℃の熱処理温度で約45分~約180分の熱処理時間にわたり熱処理することにより、橙色を有する着色ガラス物品を形成することができる。
例えば、限定されるものではないが、ガラス組成物がAgを含む実施形態では、前駆体ガラス物品を、約600℃~約615℃の熱処理温度で約180分~約300分の熱処理時間にわたり熱処理することにより、赤色を有する着色ガラス物品を形成することができる。
例えば、限定されるものではないが、ガラス組成物がAgを含む実施形態では、前駆体ガラス物品を、約620℃~約640℃の熱処理温度で約20分~約40分の熱処理時間にわたり熱処理することにより、緑色を有する着色ガラス物品を形成することができる。
例えば、限定されるものではないが、ガラス組成物がAgを含む実施形態では、前駆体ガラス物品を、約640℃~約660℃の熱処理温度で約30分~約90分の熱処理時間にわたり熱処理することにより、茶色を有する着色ガラス物品を形成することができる。
例えば、限定されるものではないが、ガラス組成物がAgを含む実施形態では、前駆体ガラス物品を、約625℃~約650℃の熱処理温度で約30分~約90分の熱処理時間にわたり熱処理することにより、紫色を有する着色ガラス物品を形成することができる。
なお、本明細書に記載のガラスのいくつかの実施形態では、ガラスに色を付与するための熱処理を行う必要があるが、本明細書に記載のガラスの他の実施形態では、ガラスに色を付与するための熱処理を行う必要がないことを留意されたい。例えば、遷移金属酸化物及び/又は希土類酸化物を含有するガラスの中には、ガラスに色を付与するための熱処理を行う必要がないものがある。したがって、熱処理は任意選択的であることを理解されたい。
熱処理(ただし、必要な場合)後、本明細書に記載のガラスは発色し、着色ガラス物品と呼ばれる状態となる。複数の実施形態において、着色ガラス物品は、主にガラス(すなわち、主に非結晶)であるが、結晶モルフォロジーを有する粒子(着色剤粒子など)を含むことができる。したがって、着色ガラス物品は、少なくとも1つの結晶相を含むことができる。複数の実施形態において、例えば、限定されるものではないが、結晶相を、Au結晶相及び/又はAg結晶相とすることができる。ただし、他の結晶相も可能であり、Au結晶相及び/又はAg結晶相の代用物として、又はAu結晶相及び/又はAg結晶相に代えて、他の結晶相も存在することができることを理解されたい。複数の実施形態において、着色ガラス物品の結晶度は、ガラス物品の質量に対して、10質量%以下、9質量%以下、8質量%以下、7質量%以下、6質量%以下、5質量%以下、4質量%以下、3質量%以下、2質量%以下、さらに又は1質量%以下である。
複数の実施形態において、着色ガラス物品は、CIELAB色空間において、L*が20以上96.5以下である透過色座標を有することができる。複数の実施形態において、着色ガラス物品は、CIELAB色空間において、a*の絶対値(すなわち、|a*|)が0.3以上である透過色座標を有することができる。複数の実施形態において、着色ガラス物品は、CIELAB色空間において、b*の絶対値(すなわち、|b*|)が0.5以上である透過色座標を有することができる。複数の実施形態において、着色ガラス物品は、CIELAB色空間において、L*が20以上96.5以下、a*の絶対値(すなわち、|a*|)が0.3以上、b*の絶対値(すなわち、|b*|)が0.5以上である透過色座標を有することができる。これらの実施形態において、L*は、25以上、30以上、35以上、40以上、45以上、50以上、さらに又は55以上であってよい。なお、既に述べた通り、特に断りのない限り、CIELAB色空間の透過色座標は、0.4mm以上5mm以下の厚さの物品を、F2照明及び10°視野標準観察者の条件で測定した値を示している。
理論に縛られることを望むものではないが、L*が20以上96.5以下の範囲内にあるCIELAB色座標を有するガラスは、可視光の波長(すなわち、380nm以上750nm以下の光の波長)に対して不透明ではなく、透明であると考えられる。ただし、L*の値が小さくなるにつれて、着色ガラス物品の色は彩度が高くなり、ガラスの不透明度が高くなる(すなわち、透明度が低下する)。また、L*の値が大きくなるにつれて、着色ガラス物品の色は彩度が低くなり、L*値が96.5を超えると、着色ガラス物品は無色に見えると考えられる。
複数の実施形態において、着色ガラス物品は、CIELAB色空間において、L*が55以上96.5以下、a*が-5以上25以下(a*が-0.3超0.3未満である場合を除く)、b*が-20以上5以下(b*が-0.5超0.5未満である場合を除く)である透過色座標を有することができる。
複数の実施形態において、着色ガラス物品は、CIELAB色空間において、L*が55以上96.5以下、a*が-10以上25以下(a*が-0.3超0.3未満である場合を除く)、b*が-20以上5以下(b*が-0.5超0.5未満である場合を除く)である透過色座標を有することができる。
複数の実施形態において、着色ガラス物品は、CIELAB色空間において、L*が55以上96.5以下、a*が-18以上0.3以下、b*が0.5以上82以下である透過色座標を有することができる。
複数の実施形態において、着色ガラス物品は、CIELAB色空間において、L*が55以上96.5以下、a*が-18以上18以下(a*が-0.3超0.3未満である場合を除く)、b*が0.5以上82以下である透過色座標を有することができる。
複数の実施形態において、着色ガラス物品は、CIELAB色空間において、L*が55以上96.5以下、a*が-20以上60以下(a*が-0.3超0.3未満である場合を除く)、b*が-90以上85以下(b*が-0.5超0.5未満である場合を除く)である透過色座標を有することができる。
複数の実施形態において、着色ガラス物品は、CIELAB色空間において、L*が55以上96.5以下、a*が-35以上-0.3以下、b*が0.5以上82以下である透過色座標を有することができる。
複数の実施形態において、着色ガラス物品は、CIELAB色空間において、L*が55以上96.5以下、a*が-35以上20以下(a*が-0.3超0.3未満である場合を除く)、b*が0.5以上75以下である透過色座標を有することができる。
複数の実施形態において、着色ガラス物品は、CIELAB色空間において、L*が55以上96.5以下、a*が-15以上65以下(a*が-0.3超0.3未満である場合を除く)、b*が-90以上80以下(b*が-0.5超0.5未満である場合を除く)である透過色座標を有することができる。
複数の実施形態において、着色ガラス物品は、CIELAB色空間において、L*が55以上96.5以下、a*が-35以上60以下(a*が-0.3超0.3未満である場合を除く)、b*が-90以上80以下(b*が-0.5超0.5未満である場合を除く)である透過色座標を有することができる。
複数の実施形態において、着色ガラス物品は、CIELAB色空間において、L*が55以上96.5以下、a*が-35以上60以下(a*が-0.3超0.3未満である場合を除く)、b*が-90以上80以下(b*が-0.5超0.5未満である場合を除く)である透過色座標を有することができる。
複数の実施形態において、着色ガラス物品は、CIELAB色空間において、L*が55以上96.5以下、a*が-11.12以上60以下(a*が-0.3超0.3未満である場合を除く)、b*が-20以上120以下(b*が-0.5超0.5未満である場合を除く)である透過色座標を有することができる。
複数の実施形態において、CIELAB色空間の透過色座標は、L*値の範囲と、a*(横軸又はx軸)及びb*(縦軸又はy軸)の色空間領域とにより記述することができる。そして、このa*対b*色空間領域は、a*及びb*により定義される複数の直線の交差により定義することができる。
複数の実施形態において、黄色に見える着色ガラス物品は、CIELAB色空間において、L*が20以上90以下であり、a*値及びb*値が、直線b*=0.2879・a*+27.818、直線b*=7.0833・a*-94.5、直線b*=0.45・a*+104.5、及び直線b*=15.3・a*+253の交差により囲まれたa*対b*色空間領域内にある透過色座標を有することができる。なお、この色空間領域は、図48のグラフにおいて、直線A、B、C、Dで囲まれた領域として示す領域である。
複数の実施形態において、橙色に見える着色ガラス物品は、CIELAB色空間において、L*が20以上90以下であり、a*値及びb*値が、直線b*=7.0833・a*-94.5、直線b*=-0.9583・a*+146.75、直線b*=2.6957・a*-50.565、及び直線b*=33の交差により囲まれたa*対b*色空間領域内にある透過色座標を有することができる。なお、この色空間領域は、図48のグラフにおいて、直線B、E、F、Gで囲まれた領域として示す領域である。
複数の実施形態において、赤色に見える着色ガラス物品は、CIELAB色空間において、L*が20以上90以下であり、a*値及びb*値が、直線b*=2.6957・a*-50.565、直線a*=54、直線b*=1.0769・a*-17.154、及び直線b*=6.6667・a*-173.67の交差により囲まれたa*対b*色空間領域内にある透過色座標を有することができる。なお、この色空間領域は、図48のグラフにおいて、直線F、H、I、Jで囲まれた領域として示す領域である。
複数の実施形態において、緑色に見える着色ガラス物品は、CIELAB色空間において、L*が4以上80以下であり、a*値及びb*値が、直線b*=0.2879・a*+27.818、直線a*=0、b*=-1.375・a*+1、及び直線b*=9.333・a*+86.667の交差により囲まれたa*対b*色空間領域内(ただし、a*が-0.3超0.3未満である場合を除き、且つb*が-0.5超0.5未満である場合を除く)にある透過色座標を有することができる。なお、この色空間領域は、図48のグラフにおいて、直線A、K、L、Mで囲まれた領域として示す領域である。
複数の実施形態において、ピンク色/紫色に見える着色ガラス物品は、CIELAB色空間において、L*が10以上80以下であり、a*値及びb*値が、直線b*=0.0833・a*+20.833、直線b*=2.1182・a*-32.073、直線b*=-0.3、及び直線b*=1.5929・a*-0.3の交差により囲まれたa*対b*色空間領域内(ただし、a*が-0.3超0.3未満である場合を除き、且つb*が-0.5超0.5未満である場合を除く)にある透過色座標を有することができる。なお、この色空間領域は、図48のグラフにおいて、直線N、O、P、Qで囲まれた領域として示す領域である。
複数の実施形態において、着色ガラス物品は、CIELAB色空間において、L*が55以上96.5以下、a*が-15以上-0.3以下、b*が-10以上10以下(b*が-0.5超0.5未満である場合を除く)である透過色座標を有することができる。
複数の実施形態において、着色ガラス物品は、CIELAB色空間において、L*が85以上96.5以下、a*が-10以上-0.3未満、b*が-5以上5以下(b*が-0.5超0.5未満である場合を除く)である透過色座標を有することができる。
本明細書に記載の着色ガラス物品が着色剤セットにAuを含む実施形態では、差R2O-Al2O3とAuとの組み合わせにより、所望の色(例えば、ピンク色、紫色、赤色、橙色など)を有する着色ガラス物品が製造されるように、R2O及びAl2O3の濃度を調整することができる。複数の実施形態において、着色ガラス物品は、CIELAB色空間において、L*が55以上96.5以下、a*が-15以上25以下、b*が-25以上25以下(ただし、a*が-0.3超0.3未満である場合を除き、且つb*が-0.5超0.5未満である場合を除く)である透過色座標を有することができる。
着色剤セットにAuを含む実施形態では、濃度差R2O-Al2O3を比較的小さく(例えば、1.5モル%以下)すると、青色又は紫色のガラス物品を得ることができる。また、濃度差R2O-Al2O3を比較的大きく(例えば、1.5モル%超)すると、橙色又は赤色のガラス物品を得ることができる。
例えば、着色剤セットにAuを含む実施形態では、R2O-Al2O3を-5モル%以上1.5モル%以下とすることができ、b*を-25以上10以下(b*が-0.5超0.5未満である場合を除く)とすることができる。複数の実施形態において、R2O-Al2O3を-3モル%以上1.5モル%以下とすることができ、b*を-15以上7以下(b*が-0.5超0.5未満である場合を除く)とすることができる。複数の実施形態において、R2O-Al2O3を、-5モル%以上1.5モル%以下、-3モル%以上1.5モル%以下、-1モル%以上1.5モル%以下、さらに又は0モル%以上1.5モル%以下、又は、これら範囲の各端点から形成される任意の及びすべての部分範囲内とすることができ、b*を、-25以上10以下(b*が-0.5超0.5未満である場合を除く)、-25以上7以下、-25以上5以下(b*が-0.5超0.5未満である場合を除く)、-15以上10以下(b*が-0.5超0.5未満である場合を除く)、-15以上7以下(b*が-0.5超0.5未満である場合を除く)、-15以上5以下(b*が-0.5超0.5未満である場合を除く)、-10以上10以下(b*が-0.5超0.5未満である場合を除く)、-10以上7以下(b*が-0.5超0.5未満である場合を除く)、さらに又は-10以上5以下(b*が-0.5超0.5未満である場合を除く)、又は、これら範囲の各端点から形成される任意の及びすべての部分範囲内とすることができる。
着色剤セットにAuを含む実施形態では、R2O-Al2O3を1.5モル%超7モル%以下とすることができ、b*を0.5以上25以下とすることができる。複数の実施形態において、R2O-Al2O3を1.5モル%超5モル%以下とすることができ、b*を0.5以上15以下とすることができる。複数の実施形態において、R2O-Al2O3を、1.5モル%超7モル%以下、1.5モル%超5モル%以下、さらに又は1.5モル%超3モル%以下、又は、これら範囲の各端点から形成される任意の及びすべての部分範囲内とすることができ、b*を、0.5以上25以下、0.5以上15以下、0.5以上10以下、2.5以上25以下、2.5以上15以下、2.5以上10以下、5以上25以下、5以上15以下、さらに又は5以上10以下、又は、これら範囲の各端点から形成される任意の及びすべての部分範囲内とすることができる。
複数の実施形態において、着色剤としてAuを含む着色ガラス物品は、CIELAB色空間において、L*が55以上96.5以下、a*が-5以上25以下(a*が-0.3超0.3未満である場合を除く)、b*が-20以上5以下(b*が-0.5超0.5未満である場合を除く)である透過色座標を有することができる。
複数の実施形態において、着色剤としてAuを含む着色ガラス物品は、CIELAB色空間において、L*が55以上96.5以下、a*が-10以上25以下(a*が-0.3超0.3未満である場合を除く)、b*が-20以上5以下(b*が-0.5超0.5未満である場合を除く)である透過色座標を有することができる。
複数の実施形態において、着色剤としてCr2O3を含む着色ガラス物品は、CIELAB色空間において、L*が55以上96.5以下、a*が-18以上0.3以下、b*が0.5以上82以下である透過色座標を有することができる。
複数の実施形態において、着色剤としてCr2O3及びNiOを含む着色ガラス物品は、CIELAB色空間において、L*が55以上96.5以下、a*が-18以上18以下(a*が-0.3超0.3未満である場合を除く)、b*が0.5以上82以下である透過色座標を有することができる。
複数の実施形態において、着色剤としてCr2O3及びCo3O4を含む着色ガラス物品は、CIELAB色空間において、L*が55以上96.5以下、a*が-20以上60以下(a*が-0.3超0.3未満である場合を除く)、b*が-90以上85以下(b*が-0.5超0.5未満である場合を除く)である透過色座標を有することができる。
複数の実施形態において、着色剤としてCr2O3及びCuOを含む着色ガラス物品は、CIELAB色空間において、L*が55以上96.5以下、a*が-35以上-0.3以下、b*が0.5以上82以下である透過色座標を有することができる。
複数の実施形態において、着色剤としてCr2O3、NiO、及びCuOを含む着色ガラス物品は、CIELAB色空間において、L*が55以上96.5以下、a*が-35以上20以下(a*が-0.3超0.3未満である場合を除く)、b*が0.5以上75以下である透過色座標を有することができる。
複数の実施形態において、着色剤としてCr2O3、NiO、及びCo3O4を含む着色ガラス物品は、CIELAB色空間において、L*が55以上96.5以下、a*が-15以上65以下(a*が-0.3超0.3未満である場合を除く)、b*が-90以上80以下(b*が-0.5超0.5未満である場合を除く)である透過色座標を有することができる。
複数の実施形態において、着色剤としてCr2O3、CuO、及びCo3O4を含む着色ガラス物品は、CIELAB色空間において、L*が55以上96.5以下、a*が-35以上60以下(a*が-0.3超0.3未満である場合を除く)、b*が-90以上80以下(b*が-0.5超0.5未満である場合を除く)である透過色座標を有することができる。
複数の実施形態において、着色剤としてCr2O3、NiO、CuO、及びCo3O4を含む着色ガラス物品は、CIELAB色空間において、L*が55以上96.5以下、a*が-35以上60以下(a*が-0.3超0.3未満である場合を除く)、b*が-90以上80以下(b*が-0.5超0.5未満である場合を除く)である透過色座標を有することができる。
複数の実施形態において、着色剤としてAgを含む着色ガラス物品は、CIELAB色空間において、L*が55以上96.5以下、a*が-11.12以上60以下(a*が-0.3超0.3未満である場合を除く)、b*が-20以上120以下(b*が-0.5超0.5未満である場合を除く)である透過色座標を有することができる。
複数の実施形態において、CIELAB色空間の透過色座標は、L*値の範囲と、a*(横軸又はx軸)及びb*(縦軸又はy軸)の色空間領域とにより記述することができる。そして、このa*対b*色空間領域は、a*及びb*により定義される複数の直線の交差により定義することができる。
例えば、複数の実施形態において、着色剤としてAgを含み且つ黄色に見える着色ガラス物品は、CIELAB色空間において、L*が20以上90以下であり、a*値及びb*値が、直線b*=0.2879・a*+27.818、直線b*=7.0833・a*-94.5、直線b*=0.45・a*+104.5、及び直線b*=15.3・a*+253の交差により囲まれたa*対b*色空間領域内にある透過色座標を有することができる。なお、この色空間領域は、図48のグラフにおいて、直線A、B、C、Dで囲まれた領域として示す領域である。
複数の実施形態において、着色剤としてAgを含み且つ橙色に見える着色ガラス物品は、CIELAB色空間において、L*が20以上90以下であり、a*値及びb*値が、直線b*=7.0833・a*-94.5、直線b*=-0.9583・a*+146.75、直線b*=2.6957・a*-50.565、及び直線b*=33の交差により囲まれたa*対b*色空間領域内にある透過色座標を有することができる。なお、この色空間領域は、図48のグラフにおいて、直線B、E、F、Gで囲まれた領域として示す領域である。
複数の実施形態において、着色剤としてAgを含み且つ赤色に見える着色ガラス物品は、CIELAB色空間において、L*が20以上90以下であり、a*値及びb*値が、直線b*=2.6957・a*-50.565、直線a*=54、直線b*=1.0769・a*-17.154、及び直線b*=6.6667・a*-173.67の交差により囲まれたa*対b*色空間領域内にある透過色座標を有することができる。なお、この色空間領域は、図48のグラフにおいて、直線F、H、I、Jで囲まれた領域として示す領域である。
複数の実施形態において、着色剤としてAgを含み且つ緑色に見える着色ガラス物品は、CIELAB色空間において、L*が4以上80以下であり、a*値及びb*値が、直線b*=0.2879・a*+27.818、直線a*=0、b*=-1.375・a*+1、及び直線b*=9.333・a*+86.667の交差により囲まれたa*対b*色空間領域内(ただし、a*が-0.3超0.3未満である場合を除き、且つb*が-0.5超0.5未満である場合を除く)にある透過色座標を有することができる。なお、この色空間領域は、図48のグラフにおいて、直線A、K、L、Mで囲まれた領域として示す領域である。
複数の実施形態において、着色剤としてAgを含み且つピンク色/紫色に見える着色ガラス物品は、CIELAB色空間において、L*が10以上80以下であり、a*値及びb*値が、直線b*=0.0833・a*+20.833、直線b*=2.1182・a*-32.073、直線b*=-0.3、及び直線b*=1.5929・a*-0.3の交差により囲まれたa*対b*色空間領域内(ただし、a*が-0.3超0.3未満である場合を除き、且つb*が-0.5超0.5未満である場合を除く)にある透過色座標を有することができる。なお、この色空間領域は、図48のグラフにおいて、直線N、O、P、Qで囲まれた領域として示す領域である。
複数の実施形態において、着色剤として遷移金属酸化物及び/又は希土類金属酸化物(NiO、CuO、TiO2、Co3O4、Cr2O3、及び/又はCeO2など)を含む着色ガラス物品は、CIELAB色空間において、L*が55以上96.5以下、a*が-15以上-0.3以下、b*が-10以上10以下(b*が-0.5超0.5未満である場合を除く)である透過色座標を有することができる。
複数の実施形態において、着色剤として遷移金属酸化物及び/又は希土類金属酸化物(NiO、CuO、TiO2、Co3O4、Cr2O3、及び/又はCeO2など)を含む着色ガラス物品は、CIELAB色空間において、L*が85以上96.5以下、a*が-10以上-0.3未満、b*が-5以上5以下(b*が-0.5超0.5未満である場合を除く)である透過色座標を有することができる。
いくつかの実施形態では、380nm~750nmの波長域の光に対する着色ガラス物品の平均透過率は、10%以上92%以下である。なお、既に述べた通り、特に断りのない限り、平均透過率は、0.4mm以上5mm以下の厚さの物品についての値を示す。複数の実施形態において、380nm~750nmの波長域における着色ガラス物品の平均透過率は、15%以上92%以下である。複数の実施形態において、380nm~750nmの波長域の光に対する着色ガラス物品の平均透過率は、20%以上92%以下である。複数の実施形態において、380nm~750nmの波長域の光に対する着色ガラス物品の平均透過率は、25%以上92%以下である。複数の実施形態において、380nm~750nmの波長域の光に対する着色ガラス物品の平均透過率は、30%以上92%以下である。複数の実施形態において、380nm~750nmの波長域における着色ガラス物品の平均透過率は、19%以上88%以下である。複数の実施形態において、380nm~750nmの波長域における着色ガラス物品の平均透過率は、15%以上88%以下である。複数の実施形態において、380nm~750nmの波長域の光に対する着色ガラス物品の平均透過率は、20%以上88%以下である。複数の実施形態において、380nm~750nmの波長域の光に対する着色ガラス物品の平均透過率は、25%以上88%以下である。複数の実施形態において、380nm~750nmの波長域の光に対する着色ガラス物品の平均透過率は、30%以上88%以下である。
複数の実施形態において、本明細書に記載の着色ガラス物品の10GHzにおける誘電率Dkは、6.4以下とすることができ、例えば、5.6以上6.4以下とすることができる。複数の実施形態において、着色ガラス物品の誘電率は、5.7以上6.4以下、5.8以上6.4以下、5.9以上6.4以下、6.0以上6.4以下、6.2以上6.4以下、5.6以上6.3以下、5.7以上6.3以下、5.8以上6.3以下、5.9以上6.3以下、6.0以上6.3以下、6.2以上6.3以下、5.7以上6.2以下、5.8以上6.2以下、5.9以上6.2以下、6.0以上6.2以下、さらに又は6.1以上6.2以下とすることができる。既に述べた通り、理論に縛られることを望むものではないが、10GHzで測定した着色ガラス物品の誘電率は、10GHz~60GHzの範囲の各周波数における誘電率に近似すると考えられる。よって、10GHzの周波数での値として記載した着色ガラス物品の誘電率は、10GHz以上60GHz以下の周波数範囲の各周波数における着色ガラス物品の誘電率に近似している。
本明細書に記載のガラス組成物から形成される着色ガラス物品は、着色ガラス物品の特定の用途に応じて変更できる任意の適切な厚さを有することができる。複数の実施形態において、着色ガラス物品の厚さは、200μm以上6mm以下、200μm以上4mm以下、200μm以上2mm以下、200μm以上1mm以下、200μm以上750μm以下、200μm以上650μm以下、200μm以上600μm以下、200μm以上550μm以下、200μm以上500μm以下、250μm以上6mm以下、250μm以上4mm以下、250μm以上2mm以下、250μm以上1mm以下、250μm以上750μm以下、250μm以上650μm以下、250μm以上600μm以下、250μm以上550μm以下、250μm以上500μm以下、300μm以上6mm以下、300μm以上4mm以下、300μm以上2mm以下、300μm以上1mm以下、300μm以上750μm以下、300μm以上650μm以下、300μm以上600μm以下、300μm以上550μm以下、300μm以上500μm以下、350μm以上6mm以下、350μm以上4mm以下、350μm以上2mm以下、350μm以上1mm以下、350μm以上750μm以下、350μm以上650μm以下、350μm以上600μm以下、350μm以上550μm以下、350μm以上500μm以下、400μm以上6mm以下、400μm以上4mm以下、400μm以上2mm以下、400μm以上1mm以下、400μm以上750μm以下、400μm以上650μm以下、400μm以上600μm以下、400μm以上550μm以下、400μm以上500μm以下、450μm以上6mm以下、450μm以上4mm以下、450μm以上2mm以下、450μm以上1mm以下、450μm以上750μm以下、450μm以上650μm以下、450μm以上600μm以下、450μm以上550μm以下、450μm以上500μm以下、500μm以上6mm以下、500μm以上4mm以下、500μm以上2mm以下、500μm以上1mm以下、500μm以上750μm以下、750μm以上6mm以下、750μm以上4mm以下、750μm以上2mm以下、750μm以上1mm以下、1mm以上6mm以下、1mm以上4mm以下、1mm以上2mm以下、2mm以上6mm以下、2mm以上4mm以下、さらに又は4mm以上6mm以下、又は、これら範囲の各端点から形成される任意の及びすべての部分範囲内とすることができる。
上記において説明したように、本明細書に記載のガラス組成物から形成される着色ガラス物品の破壊靭性を高めることにより、着色ガラス物品に高い耐損傷性を持たせることができる。複数の実施形態において、着色ガラス物品の、CNSB法で測定したイオン交換処理前の破壊靭性KICは、0.7MPa・m1/2以上とすることができる。複数の実施形態において、着色ガラス物品の、CNSB法で測定したイオン交換処理前の破壊靭性KICは、0.7MPa・m1/2以上、0.8MPa・m1/2以上、0.9MPa・m1/2以上、さらに又は1.0MPa・m1/2以上とすることができる。
上記において説明したように、本明細書に記載のガラス組成物から形成される着色ガラス物品の破壊靭性を高めることにより、着色ガラス物品に高い耐損傷性を持たせることができる。複数の実施形態において、着色ガラス物品の、DCB法で測定したイオン交換処理前の破壊靭性KICは、0.7MPa・m1/2以上とすることができる。複数の実施形態において、着色ガラス物品の、DCB法で測定したイオン交換処理前の破壊靭性KICは、0.7MPa・m1/2以上、0.8MPa・m1/2以上、0.9MPa・m1/2以上、さらに又は1.0MPa・m1/2以上とすることができる。
複数の実施形態において、本明細書に記載のガラス組成物はイオン交換性であり、これにより、本ガラス組成物から製造された着色ガラス物品の強化を可能としている。通常のイオン交換プロセスでは、ガラス組成物から製造された着色ガラス物品の外表面に近い層内において、ガラス組成物中の比較的小さい金属イオンを、価数の等しいそれより大きな金属イオンに置換(すなわち、「交換(exchange)」)する。小さいイオンを大きいイオンに置換することにより、ガラス組成物から製造された着色ガラス物品における上記の層の内部に圧縮応力が生成される。複数の実施形態において、かかる金属イオンは一価の金属イオン(例えば、Li+、Na+、K+など)であり、ガラス組成物から製造された着色ガラス物品を溶融塩浴に浸漬して、当該溶融塩浴に含まれる少なくとも1つの溶融塩中の比較的大きな金属イオンを、着色ガラス物品中の比較的小さい金属イオンと置換することにより、イオン交換を行う。また、これに代えて、Ag+、Tl+、Cu+などの他の一価イオンとのイオン交換を行うこともできる。ガラス組成物から製造された着色ガラス物品を強化するために行う1つ以上のイオン交換プロセスは、着色ガラス物品をイオン交換媒体に接触させる工程を含むことができる。複数の実施形態において、イオン交換媒体は、溶融塩浴とすることができる。例えば、イオン交換プロセスは、1つの浴に浸漬する工程、又は、同様の組成もしくは異なる組成の複数の浴に浸漬する工程(任意選択的に、浸漬と浸漬の合間に洗浄工程及び/又はアニール工程を行ってもよい)を含むことができるが、これらに限定されるものではない。
複数の実施形態によれば、着色ガラス物品への曝露時のイオン交換溶液(例えば、KNO3及び/又はNaNO3溶融塩浴)の温度は、350℃以上500℃以下、360℃以上450℃以下、370℃以上440℃以下、360℃以上420℃以下、370℃以上400℃以下、375℃以上475℃以下、400℃以上500℃以下、410℃以上490℃以下、420℃以上480℃以下、430℃以上470℃以下、さらに又は440℃以上460℃以下、又は、上記の値の間の任意の及びすべての部分範囲内とすることができる。複数の実施形態において、イオン交換溶液への着色ガラス物品の曝露時間は、2時間以上24時間以下、2時間以上12時間以下、2時間以上6時間以下、8時間以上24時間以下、6時間以上24時間以下、6時間以上12時間以下、8時間以上24時間以下、さらに又は8時間以上12時間以下、又は、これら範囲の各端点から形成される任意の及びすべての部分範囲内とすることができる。
複数の実施形態において、ガラス組成物から製造された着色ガラス物品にイオン交換を行うことにより実現できる圧縮深さは、10μm以上、20μm以上、30μm以上、40μm以上、50μm以上、60μm以上、70μm以上、80μm以上、90μm以上、又は100μm以上とすることができる。複数の実施形態において、ガラス組成物から製造された着色ガラス物品が厚さ「t」を有しており、イオン交換を行うことにより実現できる圧縮深さは、0.15t以上、0.17t以上、さらに又は0.2t以上とすることができる。複数の実施形態において、ガラス組成物から製造された着色ガラス物品が厚さ「t」を有しており、イオン交換を行うことにより実現できる圧縮深さは、0.3t以下、0.27t以下、さらに又は0.25t以下とすることができる。複数の実施形態において、本明細書に記載のガラス組成物から製造された着色ガラス物品が厚さ「t」を有しており、イオン交換を行うことにより実現できる圧縮深さは、0.15t以上0.3t以下、0.15t以上0.27t以下、0.15t以上0.25t以下、0.17t以上0.3t以下、0.17t以上0.27t以下、0.17t以上0.25t以下、0.2t以上0.3t以下、0.2t以上0.27t以下、さらに又は0.2t以上0.25t以下、又は、これら範囲の各端点から形成される任意の及びすべての部分範囲内とすることができる。
このような表面圧縮層を成長させることより、イオン交換されていない材料と比べてき裂耐性や曲げ強度を向上する効果が得られる。表面圧縮層では、イオン交換により着色ガラス物品に導入されるイオンの濃度が、着色ガラス物品の本体(すなわち、表面圧縮を起こしていない領域)に比べて高くなる。複数の実施形態において、ガラス組成物から製造された着色ガラス物品のイオン交換強化後の表面圧縮応力は、300MPa以上、400MPa以上、500MPa以上、さらに又は600MPa以上とすることができる。複数の実施形態において、ガラス組成物から製造された着色ガラス物品のイオン交換強化後の表面圧縮応力は、1GPa以下、900MPa以下、さらに又は800MPa以下とすることができる。複数の実施形態において、ガラス組成物から製造された着色ガラス物品のイオン交換強化後の表面圧縮応力は、300MPa以上1GPa以下、300MPa以上900MPa以下、300MPa以上800MPa以下、400MPa以上1GPa以下、400MPa以上900MPa以下、400MPa以上800MPa以下、500MPa以上1GPa以下、500MPa以上900MPa以下、500MPa以上800MPa以下、600MPa以上1GPa以下、600MPa以上900MPa以下、600MPa以上800MPa以下とすることができる。
複数の実施形態において、ガラス組成物から製造された着色ガラス物品のイオン交換強化後の最大中心張力は、40MPa以上、60MPa以上、80MPa以上、さらに又は100MPa以上とすることができる。複数の実施形態において、ガラス組成物から製造された着色ガラス物品のイオン交換強化後の最大中心張力は、250MPa以下、200MPa以下、さらに又は150MPa以下とすることができる。複数の実施形態において、ガラス組成物から製造された着色ガラス物品のイオン交換強化後の最大中心張力は、40MPa以上250MPa以下、40MPa以上200MPa以下、40MPa以上150MPa以下、60MPa以上250MPa以下、60MPa以上200MPa以下、60MPa以上150MPa以下、80MPa以上250MPa以下、80MPa以上200MPa以下、80MPa以上150MPa以下、100MPa以上250MPa以下、100MPa以上200MPa以下、さらに又は100MPa以上150MPa以下、又は、これら範囲の各端点から形成される任意の及びすべての部分範囲内とすることができる。なお、本明細書における中心張力とは、特に断りのない限り、最大中心張力値を指す。
本明細書で説明するように、複数の実施形態において、Auの残存率を高めることにより、得られる着色ガラス物品におけるAuの濃度を高めて、当該着色ガラス物品において実現可能な色域が広くなるように、本明細書に記載のガラス組成物を調合することができる。複数の実施形態において、0.01モル%以上1モル%以下のAuを含む着色ガラス物品は、CIELAB色空間において、L*が55以上96.5以下、a*が-5以上25以下(a*が-0.3超0.3未満である場合を除く)、b*が-20以上5以下(b*が-0.5超0.5未満である場合を除く)である透過色座標を有することができる。複数の実施形態において、1×10-6モル%以上1モル%以下のAuを含む着色ガラス物品は、CIELAB色空間において、L*が55以上96.5以下、a*が-10以上25以下(a*が-0.3超0.3未満である場合を除く)、b*が-20以上5以下(b*が-0.5超0.5未満である場合を除く)である透過色座標を有することができる。
複数の実施形態において、ガラス組成物及びそれから得られる着色ガラス物品は、60モル%以上70モル%以下のSiO2と、11モル%以上17モル%以下のAl2O3と、2モル%以上8モル%以下のB2O3と、9モル%以上14モル%以下のLi2Oと、2モル%以上6モル%以下のNa2Oと、0.1モル%以上2モル%以下のMgOと、0.1モル%以上2モル%以下のZnOと、1×10-6モル%以上0.01モル%以下のAuとを含むことができる。これらの実施形態において、MgO+ZnOは0.1モル%以上4.5モル%以下である。
複数の実施形態において、ガラス組成物及びそれから得られる着色ガラス物品は、60モル%以上70モル%以下のSiO2と、11モル%以上17モル%以下のAl2O3と、2モル%以上8モル%以下のB2O3と、9モル%以上14モル%以下のLi2Oと、2モル%以上6モル%以下のNa2Oと、0.1モル%以上0.5モル%以下のK2Oと、1×10-6モル%以上0.05モル%以下のAuとを含むことができる。これらの実施形態において、Li2O、Na2O、及びK2Oの合計をR2Oとすると、R2O-Al2O3は0モル%以上3モル%以下である。
複数の実施形態において、ガラス組成物及びそれから得られる着色ガラス物品は、40モル%以上70モル%以下のSiO2と、8モル%以上20モル%以下のAl2O3と、1モル%以上10モル%以下のB2O3と、1モル%以上20モル%以下のLi2Oと、1モル%以上15モル%以下のNa2Oと、0モル%以上8モル%以下のMgOと、0モル%以上5モル%以下のZnOと、0.0005モル%以上1モル%以下のAuとを含むことができ、MgO+ZnOは0.1モル%以上6モル%以下である。
複数の実施形態において、ガラス組成物及びそれから得られる着色ガラス物品は、40モル%以上70モル%以下のSiO2と、8モル%以上20モル%以下のAl2O3と、1モル%以上10モル%以下のB2O3と、1モル%以上20モル%以下のLi2Oと、1モル%以上15モル%以下のNa2Oと、0モル%以上6モル%以下のMgOと、0モル%以上5モル%以下のZnOと、1×10-6モル%以上1モル%以下のAuとを含むことができ、MgO+ZnOは0.1モル%以上6モル%以下である。
複数の実施形態において、ガラス組成物及びそれから得られる着色ガラス物品は、50モル%以上80モル%以下のSiO2と、7モル%以上25モル%以下のAl2O3と、1モル%以上15モル%以下のB2O3と、5モル%以上20モル%以下のLi2Oと、0.5モル%以上15モル%以下のNa2Oと、0モル%超1モル%以下のK2Oと、1×10-6モル%以上1モル%以下のAuとを含むことができ、Li2O、Na2O、及びK2Oの合計をR2Oとすると、R2O-Al2O3は-5モル%以上7モル%以下である。
複数の実施形態において、ガラス組成物及びそれから得られる着色ガラス物品は、50モル%以上70モル%以下のSiO2と、10モル%以上17.5モル%以下のAl2O3と、3モル%以上10モル%以下のB2O3と、8.8モル%以上14モル%以下のLi2Oと、1.5モル%以上8モル%以下のNa2Oと、0モル%超2モル%以下のCr2O3を含むことができ、Li2O、Na2O、及びK2Oの合計をR2Oとし、MgO、ZnO、及びCaOの合計をR´Oとすると、R2O+R´O-Al2O3は0.5モル%以上6モル%以下であり、Al2O3+MgO+ZnOは12モル%以上22モル%以下である。
複数の実施形態において、ガラス組成物及びそれから得られる着色ガラス物品は、50モル%以上70モル%以下のSiO2と、10モル%以上20モル%以下のAl2O3と、4モル%以上10モル%以下のB2O3と、7モル%以上17モル%以下のLi2Oと、1モル%以上9モル%以下のNa2Oと、0.01モル%以上1モル%以下のSnO2と、0.01モル%以上5モル%以下のAgとを含むことができ、Li2O、Na2O、及びK2Oの合計をR2Oとすると、R2O-Al2O3は0.2モル%超5.00モル%以下である。
複数の実施形態において、ガラス組成物及びそれから得られる着色ガラス物品は、50モル%以上70モル%以下のSiO2と、10モル%以上20モル%以下のAl2O3と、1モル%以上10モル%以下のB2O3と、7モル%以上14モル%以下のLi2Oと、0.01モル%以上8モル%以下のNa2Oと、0.01モル%以上1モル%以下のK2Oと、0モル%以上7モル%以下のCaOと、0モル%以上8モル%以下のMgOとを含むことができ、Li2O+K2O+Na2O+CaO+MgO+ZnOは25モル%以下である。そしてさらに、CuO+NiO+Co3O4+Cr2O3が0.001モル%以上、CeO2が0.1モル%以上、及びTiO2が0.1モル%以上のうちの少なくとも1つが成り立つ。
複数の実施形態において、ガラス組成物及びそれから得られる着色ガラス物品は、53モル%以上66モル%以下のSiO2と、9モル%以上18モル%以下のAl2O3と、0モル%以上15モル%以下のB2O3と、0モル%以上3モル%以下のP2O5と、0モル%以上16モル%以下のLi2Oと、0モル%以上15モル%以下のNa2Oと、0モル%以上5モル%以下のK2Oと、0モル%以上6モル%以下のMgOと、0モル%以上6モル%以下のCaOと、0モル%以上3モル%以下のZnOと、0モル%以上2モル%以下のTiO2と、0モル%超2モル%以下のCeO2と、0モル%以上1モル%以下のFe2O3と、0モル%以上0.5モル%以下のSnO2と、0モル%以上0.05モル%以下のSO3と、0モル%以上1モル%以下のWO3と、0モル%以上1モル%以下のNb2O5と、0モル%以上1モル%以下のBi2O3と、0モル%以上1モル%以下のMoO3と、0モル%以上3モル%以下のLa2O3とを含むことができ、TiO2+CeO2が0.2モル%以上、及びLi2O+Na2Oが8モル%以上である。
複数の実施形態において、ガラス組成物及びそれから得られる着色ガラス物品は、50モル%以上70モル%以下のSiO2と、10モル%以上20モル%以下のAl2O3と、1モル%以上10モル%以下のB2O3と、7モル%以上14モル%以下のLi2Oと、0モル%超8モル%以下のNa2Oと、0モル%以上1モル%以下のK2Oと、0モル%以上7モル%以下のCaOと、0モル%以上8モル%以下のMgOと、0モル%超4モル%以下のEr2O3及び0モル%超4モル%以下のNd2O3のうちの少なくとも1つとを含むことができる。
複数の実施形態において、着色ガラス物品の平均CTEは、約85×10-7C-1未満、約80×10-7C-1未満、約75×10-7C-1未満、約70×10-7C-1未満、約65×10-7C-1未満、さらに又は約60×10-7C-1未満とすることができる。CTEをこのような比較的低い値とすることにより、比較的高いCTE値を有する物品に比べて、熱サイクル条件や熱応力条件に対するガラスの耐久性が向上する。
複数の実施形態において、本明細書に記載の着色ガラス物品は、通常、約400℃以上約550℃以下の歪点を有することができる。
複数の実施形態において、本明細書に記載の着色ガラス物品は、通常、約450℃以上約650℃以下のアニール点を有することができる。
複数の実施形態において、本明細書に記載の着色ガラス物品は、通常、約700℃以上約900℃以下の軟化点を有することができる。
本明細書に記載の着色ガラス物品は、様々な用途に用いることができる。かかる用途としては、例えば、消費者向け電子デバイスの筐体、建築用のガラス用途、自動車・車両用のガラス用途、又は業務用・家庭用の電化製品の用途が挙げられる。複数の実施形態において、消費者向け電子デバイス(例えば、スマートフォン、タブレットコンピュータ、ウォッチ、パーソナルコンピュータ、ウルトラブック、テレビ、カメラなど)、建築用ガラス、及び/又は自動車用ガラスに、本明細書に記載の着色ガラス物品を含めることができる。
図1及び図2に、本明細書に開示の着色ガラス物品のいずれかを組み込んだ例示的な物品を示す。具体的には、図1及び図2は消費者向け電子デバイス100を示している。消費者向け電子デバイス100は、前面104、背面106及び側面108を有する筐体102と、筐体の内部に少なくとも一部又は全体が収容され、かつコントローラ、メモリ、及び筐体の前面またはその隣接部に設けられるディスプレイ110を少なくとも備える電気部品(図示せず)と、ディスプレイを覆うように筐体の前面に設けられる又は前面を覆うカバー基板112と、を備えている。複数の実施形態において、筐体102の少なくとも一部(例えば、背面106)に、本明細書に開示のガラス物品のいずれかを備えることができる。
以下では、種々の実施形態をさらに容易に理解できるよう、本明細書に記載の着色ガラス物品の種々の実施形態を例示する実施例を挙げる。
熱処理 - 以下に示す実施例に対して、ガラス物品をSiCセッターの間に入れるステップと、ガラス物品を炉に入れるステップと、炉を4℃/分の速度で指定の熱処理温度まで加熱するステップと、熱処理時間経過後に当該熱処理温度から3℃/分の冷却速度で冷却するステップとを含む熱処理を行った。
表1には、比較例1、2及び実施例1~30について、これらの比較例・実施例の形成に用いたバッチ組成(モル%)を示している。また、表1には、これらのバッチ組成物から着色ガラス物品を製造するために行った熱処理と、得られた着色ガラス物品のAu濃度分析結果(モル%)も示している。
表1を参照すると、実施例1~3は、溶融温度を変えて同一のガラス組成物から形成したものである。1550℃で溶融した実施例1のAu残存率は18.0%であった。また、1500℃で溶融した実施例2のAu残存率は34.0%、1450℃で溶融した実施例3のAu残存率は36.0%であった。実施例1~3が示すように、溶融温度が低いほどAuの残存率は高くなる。したがって、処理時のAu残存率を高めるためには、より融点の低いガラス組成物を形成することが望ましいと考えられる。
また、比較例1、2について、1450℃で18時間溶融した後のAu残存率は、比較例1が13.0%、比較例2が11.5%であった。MgOとZnOとを含む点を除いて、実施例4は比較例1と同様、実施例5は比較例2と同様であり、1450℃で18時間溶融した後のAu残存率は、実施例4が30.0%、実施例5が21.5%であった。比較例1、2及び実施例4、5が示すように、ガラス組成物にMgOとZnOを含めることにより、得られる着色ガラス物品のAu残存率は高くなる。
実施例6について、1550℃で18時間溶融した後のAu残存率は26.0%であった。一方、ZrO2を含む点を除いて実施例6と同様の実施例7について、1550℃で18時間溶融した後のAu残存率は36.0%であった。実施例6、7が示すように、ガラス組成物にMgOとZnOに加えてZrO2を含めることにより、得られる着色ガラス物品のAu残存率は高くなる。
P2O5を含む点を除いて、実施例8は実施例6と同様、実施例9は実施例7と同様であり、1550℃で18時間溶融した後のAu残存率は、実施例8が12.0%、実施例9が14.0%とそれぞれ低下した。実施例6~9が示すように、ガラス組成物にP2O5を含めることにより、得られる着色ガラス物品のAu残存率は低下する。
ZrO2とSnO2を含む実施例10~13は、1550℃で18時間溶融した後のAu残存率がそれぞれ38.0%、26.0%、32.0%、34%と比較的高い値となった。実施例10~13が示すように、ガラス組成物にMgO、ZnO、ZrO2に加えてSnO2を含めることにより、得られる着色ガラス物品のAu残存率は高くなる。
実施例14、17について、1550℃で18時間溶融した後のAu残存率は、比較例14が18.0%、比較例17が20.0%であった。SnO2を含む点を除いて、実施例15は実施例14と同様、実施例18は実施例17と同様であり、1550℃で18時間溶融した後のAu残存率は、実施例15が20.0%、実施例18が22%であった。実施例15、18が示すように、ガラス組成物にMgOとZnOに加えてSnO2を含めることにより、得られる着色ガラス物品のAu残存率は高くなる。
さらに、ZrO2とSnO2を含む実施例16、19は、1550℃で18時間溶融した後のAu残存率がそれぞれ24.0%、28.0%と比較的高い値となった。実施例16、19が示すように、ガラス組成物にMgO、ZnO、ZrO2に加えてSnO2を含めることにより、得られる着色ガラス物品のAu残存率は高くなる。
Fe2O3を含む実施例23、24は、1550℃で18時間溶融した後のAu残存率がそれぞれ32.0%、34.0%と比較的高い値となった。実施例23、24が示すように、ガラス組成物にMgO、ZnO、ZrO2に加えてFe2O3を含めることにより、得られる着色ガラス物品のAu残存率は高くなる。
次に、図3A~図3C、図4A~図4C、図5A~図5C、及び図6A~図6Cを参照すると、温度勾配法により、所望の色座標を実現するための熱処理サイクルパラメータ(すなわち、温度と時間)の特定を行った。詳細には、実施例11のガラス組成物で形成した長さ12cm、厚さ1.5mmの試料を温度勾配炉に入れ、試料の長さに沿って異なる熱処理温度を、規定時間にわたり維持した。次に、試料を急冷することにより、試料及び試料内に析出したAu粒子をクエンチした。次に、温度勾配方向に沿って2mm間隔で光透過スペクトルを測定した。そして、0.25時間(図3A~図3C)、0.5時間(図4A~図4C)、1時間(図5A~図5C)、1.5時間(図6A~図6C)という4つの異なる熱処理時間について、F2照明及び10°視野標準観察者の条件で測定したCIELAB色空間座標を、それぞれグラフで示した。図示のグラフには、熱処理温度によって色空間座標が移動する様子が示されている。図3A~図3C、図4A~図4C、図5A~図5C、図6A~図6Cが示すように、熱処理温度と熱処理時間を様々に変えることにより、所望の色を実現することができる。
なお、本明細書において説明するように、着色ガラス物品を製造するために行う実際のガラス組成物の処理は、等温炉で行うことができることに留意されたい。ただし、上記の実施例では、ある範囲の温度の試験を同時に行うため、温度勾配炉を使用している。温度勾配炉により、所望の温度で等温炉を用いた場合と同様の結果が得られる。
表2に、実施例31~65について、得られた着色ガラス物品の濃度分析結果(モル%)を示す。
次に、表3を参照すると、表2に示す濃度を有する実施例ガラス物品31~35に対し、600℃~660℃の温度で等温熱処理を行った。得られた着色ガラス物品の観察色を表3に示す。R2O-Al2O3の分析結果が-0.08モル%である実施例ガラス物品31、R2O-Al2O3の分析結果が-0.04モル%である実施例ガラス物品32、R2O-Al2O3の分析結果が0.03モル%である実施例ガラス物品33に対し熱処理を行った結果、観察色がピンク色、紫色、及び赤色の着色ガラス物品が得られた。R2O-Al2O3の分析結果が0.08モル%である実施例ガラス物品34、R2O-Al2O3の分析結果が0.27モル%である実施例ガラス物品35に対し熱処理を行った結果、観察色が赤色及び橙色の着色ガラス物品が得られた。表2、表3が示すように、ガラス物品の分析値R2O-Al2O3を調整した上で、そのガラス物品に対し特定の熱処理を行うことにより、所望の着色ガラス物品を得ることができる。
次に、表4を参照すると、表2に示す分析濃度を有する実施例ガラス物品36~48に対し、表4に示す温度及び時間で熱処理を行った。得られた着色ガラス物品の観察色を表4に示す。
このうち、熱処理後に観察色が橙色の着色ガラス物品が得られたガラス物品は、R2O-Al2O3の分析結果が0.94モル%である実施例ガラス物品41のみであった。実施例ガラス物品36~40、42~48のR2O-Al2O3は、0.76モル%以下であった。Fe2O3を含むガラス物品38に対し熱処理を行った結果、観察色がピンク色の着色ガラス物品が得られた。ZrO2を含むガラス物品39、45~48に対し熱処理を行った結果、赤色の着色ガラス物品が得られた。表2、表4が示すように、分析値R2O-Al2O3を調整し、ガラス組成物に追加成分を加えた上で、そのガラス物品に対し特定の熱処理を行うことにより、所望の着色ガラス物品を得ることができる。
表5に、実施例66~75について、得られた着色ガラス物品の濃度分析結果(モル%)を示す。
次に、表6を参照すると、表5に示す分析濃度を有する実施例ガラス物品66、68~75に対し、表6に示す温度及び時間で熱処理を行った。得られた着色ガラス物品の観察色を表6に示す。
R2O-Al2O3の分析結果が0.54モル%以上である実施例ガラス物品71~75は、様々な熱処理を行うことにより実現可能な色域が比較的制限されていた。表6が示すように、R2O-Al2O3が比較的大きくなると、着色ガラス物品において実現可能な色域が制限されてしまう恐れがある。
次に、表7を参照すると、表5に示す分析濃度と表7に示す厚さを有する実施例ガラス物品66に対し、表7に示す温度及び時間で熱処理を行った。表7に、得られた着色ガラス物品についての、F2照明及び10°視野標準観察者の条件により、表に示す物品厚さで測定したCIELAB色空間の透過色座標及び観察色を示す。
次に、表8を参照すると、表5に示す分析濃度と表8に示す厚さを有する実施例ガラス物品68に対し、表8に示す温度及び時間で熱処理を行った。表8に、得られた着色ガラス物品についての、F2照明及び10°視野標準観察者の条件により、表に示す物品の厚さで測定したCIELAB色空間の透過色座標及び観察色を示す。
次に、表9を参照すると、表5に示す分析濃度と表9に示す厚さを有する実施例ガラス物品68に対し、表9に示す温度及び時間で熱処理を行った。表9に、得られた着色ガラス物品についての、F2照明及び10°視野標準観察者の条件により、表に示す物品の厚さで測定したCIELAB色空間の透過色座標及び観察色を示す。
表7~表9が示すように、Auを含む着色ガラス物品に対して様々に異なる熱処理を行うことにより、所望の観察色を実現することができる。
表10に、545℃で2時間の熱処理を行った後に、表10に示す条件でイオン交換を行った後の実施例ガラス物品67の表面圧縮応力CS、層深さDOL、最大中心張力CTを示す。
表11に、実施例組成物C1~C26について、得られた着色ガラス物品の濃度分析結果(モル%)を示す。
次に、表12を参照すると、表11に示す実施例組成物C2~C9、C15~C23から形成した実施例ガラス物品A1~A52に対し、表12に示す温度及び時間で熱処理を行った。表12に、得られた着色ガラス物品についての、F2照明及び10°視野標準観察者の条件により1.33mmの物品厚さで測定したCIELAB色空間の透過色座標及び観察色を示す。
次に、表13を参照すると、表11に示す実施例組成物C1~C14、C24~C26から形成した実施例ガラス物品A53~A114に対し、表13に示す温度及び時間で熱処理を行った。得られた着色ガラス物品の観察色を表13に示す。
次に、図7及び図8を参照すると、図7は、実施例ガラス物品A29~A44のR2O-Al2O3とa*の関係を示すグラフ、図8は、実施例ガラス物品A29~A44のR2O-Al2O3とb*の関係を示すグラフである。図7に示すように、a*は、R2O-Al2O3の値に関わらず正の値をとり、よって、観察色は、CIELAB色空間において赤色寄りとなっている。図8に示すように、R2O-Al2O3が大きくなるにつれ、b*も大きくなり、これにより、観察色は青色から黄色にシフトする。例えば、R2O-Al2O3の分析結果が0.07モル%である、実施例組成物C8から形成された実施例ガラス物品A35のb*は-9.39、R2O-Al2O3の分析結果が0.04モル%である、実施例組成物C9から形成された実施例ガラス物品A36のb*は-8.92であり、いずれも、観察色が紫色のガラス物品が得られた。例えば、R2O-Al2O3の分析結果が2.98モル%である、実施例組成物C2から形成された実施例ガラス物品A29のb*は9.97であり、観察色が橙色のガラス物品が得られた。R2O-Al2O3の分析結果が2.02モル%である、実施例組成物C3から形成された実施例ガラス物品A30のb*は10.51であり、観察色が赤色のガラス物品が得られた。
さらに、Fe2O3を含む実施例ガラス組成物C6から形成される実施例ガラス物品A33及びZrO2を含む実施例ガラス組成物C7から形成される実施例ガラス物品A34の観察色は、赤色であった。
表12、表13及び図7、図8が示すように、分析値R2O-Al2O3を調整し、ガラス組成物に追加成分を加えた上で、そのガラス物品に対し特定の熱処理を行うことにより、所望の着色ガラス物品を得ることができる。
表14に、着色剤としてCr2O3を含有する実施例ガラス組成物(単位:モル%)と、得られた着色ガラス物品についての、F2照明及び10°視野標準観察者の条件により1.5mmの物品厚さで測定したCIELAB色空間の透過色座標とを示す。
表14に示す実施例ガラス組成物及び実施例着色ガラス物品が示すように、本明細書に記載のガラス組成物では、Cr2O3の溶解度を高めることにより、所望の色を有する着色ガラス物品を形成している。例えば、0.098モル%のCr2O3を含む実施例ガラス組成物Cr-1からは、L*=83.78、a*=-12.60、b*=62.26のCIELAB色空間の透過色座標を有する着色ガラス物品が形成された。
また、表14に示す実施例ガラス組成物及び実施例着色ガラス物品がさらに示すように、Cr2O3に加えて、本明細書に記載の他の着色剤もさらに添加することにより、異なる色域を実現することが可能となる。例えば、0.068モル%のCr2O3と、0.001モル%のCo3O4と、0.83モル%のCuOとを含む実施例ガラス組成物Cr-2からは、L*=77.06、a*=-26.24、b*=8.74のCIELAB色空間の透過色座標を有する着色ガラス物品が形成された。例えば、0.038モル%のCr2O3と、0.023モル%のNiOと、0.002モル%のCo3O4と、0.233モル%のCuOとを含む実施例ガラス組成物Cr-3からは、L*=85.88、a*=-9.40、b*=6.26のCIELAB色空間の透過色座標を有する着色ガラス物品が形成された。
次に、図9~図32を参照すると、着色剤としてCr2O3を含有するガラス組成物の投影色域のモデリング結果が示されている。モデリングは、着色剤としてCr2O3を単独で含むガラス組成物だけでなく、Cr2O3に加えてNiO、Co3O4、CuOを様々な組み合わせで含むガラス組成物に対しても行った。
まず、図9~図11を参照すると、着色剤としてCr2O3を単独で含むガラス組成物の投影色域が示されている。図示の通り、1つの着色剤からは、CIELAB色空間に線が生成される。線上の点は、0モル%~2モル%の範囲の異なるCr2O3濃度にそれぞれ対応している。矢印の方向は、濃度の上昇を示す。このCr2O3色域から、0モル%以上2モル%以下のCr2O3を含む着色ガラス物品の、F2照明及び10°視野標準観察者の条件により1.5mmの物品厚さで測定したCIELAB色空間の透過色座標は、L*が0以上100以下、a*が-18以上0以下、b*が0以上82以下となると推定される。
また、Cr2O3に加えて他の着色剤を含めることにより、異なる色域を実現することができる。次に、図12~図14を参照すると、着色剤としてCr2O3及びNiOを含むガラス組成物の投影色域が示されている。図示の通り、2つの着色剤からは、CIELAB色空間に面が生成される。このCr2O3/NiO色域から、0モル%以上2モル%以下のCr2O3と0モル%以上4モル%以下のNiOとを含む着色ガラス物品の、F2照明及び10°視野標準観察者の条件により1.5mmの物品厚さで測定したCIELAB色空間の透過色座標は、L*が0以上100以下、a*が-18以上18以下、及びb*が0以上82以下となると推定される。
次に、図15~図17を参照すると、着色剤としてCr2O3及びCo3O4を含むガラス組成物の投影色域が示されている。図示の通り、2つの着色剤からは、CIELAB色空間に面が生成される。このCr2O3/Co3O4色域から、0モル%以上2モル%以下のCr2O3と0モル%以上2モル%以下のCo3O4とを含む着色ガラス物品の、F2照明及び10°視野標準観察者の条件により1.5mmの物品厚さで測定したCIELAB色空間の透過色座標は、L*が0以上100以下、a*が-20以上60以下、及びb*が-90以上85以下となると推定される。
次に、図18~図20を参照すると、着色剤としてCr2O3及びCuOを含むガラス組成物の投影色域が示されている。図示の通り、2つの着色剤からは、CIELAB色空間に面が生成される。このCr2O3/CuO色域から、0モル%以上2モル%以下のCr2O3と0モル%以上20モル%以下のCuOとを含む着色ガラス物品の、F2照明及び10°視野標準観察者の条件により1.5mmの物品厚さで測定したCIELAB色空間の透過色座標は、L*が0以上100以下、a*が-35以上0以下、及びb*が0以上82以下となると推定される。
次に、図21~図23を参照すると、着色剤としてCr2O3、NiO、及びCuOを含むガラス組成物の投影色域が示されている。図示の通り、3つの着色剤からは、CIELAB色空間に立体が生成される。このCr2O3/NiO/CuO色域から、0モル%以上2モル%以下のCr2O3と、0モル%以上4モル%以下のNiOと、0モル%以上20モル%以下のCuOとを含む着色ガラス物品の、F2照明及び10°視野標準観察者の条件により1.5mmの物品厚さで測定したCIELAB色空間の透過色座標は、L*が0以上100以下、a*が-35以上20以下、及びb*が0以上75以下となると推定される。
次に、図24~図26を参照すると、着色剤としてCr2O3、NiO、及びCo3O4を含むガラス組成物の投影色域が示されている。図示の通り、3つの着色剤からは、CIELAB色空間に立体が生成される。このCr2O3/NiO/Co3O4色域から、0モル%以上2モル%以下のCr2O3と、0モル%以上4モル%以下のNiOと、0モル%以上2モル%以下のCo3O4とを含む着色ガラス物品の、F2照明及び10°視野標準観察者の条件により1.5mmの物品厚さで測定したCIELAB色空間の透過色座標は、L*が0以上100以下、a*が-15以上65以下、及びb*が-90以上80以下となると推定される。
次に、図27~図29を参照すると、着色剤としてCr2O3、CuO、及びCo3O4を含むガラス組成物の投影色域が示されている。図示の通り、3つの着色剤からは、CIELAB色空間に立体が生成される。このCr2O3/CuO/Co3O4色域から、0モル%以上2モル%以下のCr2O3と、0モル%以上20モル%以下のCuOと、0モル%以上2モル%以下のCo3O4とを含む着色ガラス物品の、F2照明及び10°視野標準観察者の条件により1.5mmの物品厚さで測定したCIELAB色空間の透過色座標は、L*が0以上100以下、a*が-35以上60以下、及びb*が-90以上80以下となると推定される。
次に、図30~図32を参照すると、着色剤としてCr2O3、NiO、CuO、及びCo3O4を含むガラス組成物の投影色域が示されている。図示の通り、4つの着色剤からは、CIELAB色空間に重複立体(overlapping volume)が生成される。このCr2O3/NiO/CuO/Co3O4色域から、0モル%以上2モル%以下のCr2O3と、0モル%以上4モル%以下のNiOと、0モル%以上20モル%以下のCuOと、0モル%以上2モル%以下のCo3O4とを含む着色ガラス物品の、F2照明及び10°視野標準観察者の条件により1.5mmの物品厚さで測定したCIELAB色空間の透過色座標は、L*が0以上100以下、a*が-35以上60以下、及びb*が-90以上80以下となると推定される。
表15、表16には、着色剤としてAgを含有する実施例ガラス組成物(単位:モル%)を示す。
表15、表16に示す実施例ガラス組成物を使用して、ガラス試料片を製造した。そして、このガラス試料片を、予熱した大気電気炉に入れて所望の時間にわたり保持した後、大気中で冷却することにより、着色ガラス試料片を製造した。なお、一部のガラスについて、特定の昇温速度で加熱を行ったり、冷却速度を制御して冷却を行ったりしたが、昇温速度や冷却速度は発色に影響しないことが明らかとなった。
実施例Ag-1、Ag-9から製造した着色ガラス試料片のCIELAB空間座標を、図33A(a*対L*)、図33B(b*対L*)、図33C(a*対b*)のグラフに示す。各ガラス組成物から0.6mm、1.33mm、2.06mmの厚さを有する試料群を作製し、作製した試料に対し、種々の熱処理時間(575℃、600℃、625℃、650℃)と種々の熱処理時間(1時間、2時間)で熱処理を行うことにより、図33A~図33Cに示すCIELAB値L*、a*、b*を有する着色ガラス物品を製造した。
実施例Ag-10~Ag-12から製造した着色ガラス試料片の投影CIELAB空間座標を、図34A(a*対L*)、図34B(b*対L*)、図34C(a*対b*)のグラフに示す。各ガラス組成物から0.6mm、1.33mm、2.06mmの厚さを有する試料群を作製し、作製した試料に対し、種々の熱処理時間(575℃、600℃、625℃、650℃)と種々の熱処理時間(1時間、2時間)で熱処理を行うことにより、図34A~図34Cに示すCIELAB値L*、a*、b*を有する着色ガラス物品を製造した。
図35は実施例Ag-1から製造した着色ガラス試料片の、図36はAg-9から製造した着色ガラス試料片の、吸光度スペクトル(透過率スペクトルTから、吸光度A=log10(1/T)により求めた吸光度スペクトル)をそれぞれ示している。詳細には、実施例Ag-1、Ag-9のガラス組成物から形成したガラス試料片について、as-made状態(熱処理なし)、600℃2時間の熱処理後、600℃3時間の熱処理後、625℃2時間の熱処理後、625℃3時間の熱処理後、及び650℃3時間の熱処理後の各ガラス試料片の吸光度スペクトルを収集した。図35及び図36に示すように、熱処理温度と熱処理時間を変化させることより、吸光度スペクトルが大きく変化した。
図37は実施例Ag-10から製造した着色ガラス試料片の、図38は実施例Ag-11から製造した着色ガラス試料片の、図39は実施例Ag-12から製造した着色ガラス試料片の、吸光度スペクトルをそれぞれ示している。詳細には、実施例Ag-10~Ag-12のガラス組成物から形成したガラス試料片について、575℃2時間の熱処理後、600℃1時間の熱処理後、600℃2時間の熱処理後、600℃3時間の熱処理後、625℃1時間の熱処理後、630℃4時間の熱処理後、及び650℃0.5時間の熱処理後の各ガラス試料片の吸光度スペクトルを収集した。図37~図39に示すように、熱処理温度と熱処理時間を変化させることより、吸光度スペクトルが大きく変化した。
図40A~図40Cは、エルビウムを含有する実施例Ag-16から製造した着色ガラス試料片のCIELAB空間座標を示すグラフである。詳細には、図40Aはa*対L*のグラフ、図40Bはb*対L*のグラフ、図40Cはa*対b*のグラフである。このガラス組成物から約0.6mm、約1.33mm、約2.06mmの厚さを有する試料群を作製し、作製した試料に対し、種々の熱処理温度と種々の熱処理時間(表17に示す)で熱処理を行うことにより、図40A~図40Cに示すCIELAB値L*、a*、b*を有する着色ガラス物品を製造した。図示のCIELAB空間座標には、エルビウムを組成物に加えることにより、まったく新しい色域が実現できることが示されている。図41は、実施例Ag-16のas-made状態(熱処理前)、565℃15分の熱処理後、575℃20分の熱処理後の吸光度スペクトルを示している。
図42A~図42Cは、実施例Ag-13から製造した着色ガラス試料片のCIELAB空間座標を示すグラフである。詳細には、実施例Ag-13の組成物から形成されたガラス試料片は、2.5~3モル%の範囲内、具体的には2.66モル%、のR2O-Al2O3値を有している。これら試料に対し、種々の熱処理温度と熱処理時間で熱処理を行うことにより、図42A~図42CのCIELAB空間に示す、緑色、茶色、栗色(maroon)、紫色、ピンク色を含む色範囲を有する着色ガラス物品を製造した。
図43は、635℃20分、635℃30分、635℃40分で熱処理を行った場合の実施例Ag-13の吸光度スペクトルである。これらの熱処理条件では、緑色の着色ガラス物品が製造された。図43に示すように、この吸光度スペクトルは2つの異なるピークを持っていたが、これは、2つの異なるプラズモン共鳴を起こす異方性銀粒子が形成されたことに起因するものである。図44A~図44Cは、実施例Ag-13から形成された緑色ガラス中の異方性銀粒子のTEM顕微鏡写真であり、異方性粒子がランダムに配向されている様子(図44A)と、当該銀粒子のアスペクト比が1を上回っていること(図44B、図44C)が示されている。
本明細書で説明するように、ガラス組成物のR2O-Al2O3値は、熱処理時に形成される等方性粒子と異方性粒子の両方に影響を与え、ひいては、得られるガラスの色に影響を与えるものである。R2O-Al2O3<<1(すなわち、0.2モル%以下)の場合には、熱処理を行ってもガラスにほとんど色が付かない。これを実証しているのが、R2O-Al2O3値が0.2モル%である実施例Ag-3である。実施例Ag-3のガラスは、熱処理後もほぼ無色透明のままであった。一方、R2O-Al2O3値を段階的に上げて、0.7モル%(例えば、実施例Ag-2から形成したガラス)、さらには1.2モル%(例えば、実施例Ag-1から形成したガラス)とすると、熱処理により発色する色の範囲も段階的に広がるとともに彩度も段階的に高くなった。
次に、図45を参照すると、同一の熱処理温度(600℃)で熱処理時間を変えて(1時間、2時間、又は3時間)熱処理を行った、実施例Ag-1から形成した1.3mmガラス試料片についての透過率スペクトルを示す。図45に示すように、熱処理条件の違いにより、可視光領域における透過率スペクトルがそれぞれ異なる、異なる色(黄色(図45の実線)、橙色(図45の点線)、赤色(図45の破線))の着色ガラス物品が製造された。透明度は、黄色の試料が最も高く、赤色の試料が最も低かった。
次に、図46を参照すると、650℃の熱処理温度と1時間の熱処理時間で熱処理を行った、実施例Ag-1から形成した1.3mmガラス試料片についての透過率スペクトルを示す。製造された着色ガラス物品の色は茶色であった。既に述べた通り、茶色の着色ガラス物品は、640℃~660℃の範囲の熱処理温度と30分~90分の範囲の熱処理時間で熱処理を行うことにより製造することができる。
次に、図47を参照すると、450℃1時間の一次熱処理を行った後に635℃1時間の二次熱処理を行った、実施例Ag-21から形成した1.3mmガラス試料片についての透過率スペクトルを示す。製造された着色ガラス物品の色は紫色であった。なお、一次熱処理は、試料の発色には必要なかったことが明らかとなった。既に述べた通り、紫色の着色ガラス物品は、625℃~650℃の範囲の熱処理温度と30分~90分の範囲の熱処理時間で熱処理を行うことにより製造することができる。
次に、表18、図48を参照すると、表15、表16のガラス組成物から、ガラス試料片の形態の着色ガラス物品を製造した。ガラス試料片の厚さは約0.5mm~約1.4mmの範囲であり、これに対し種々の時間と温度(表18に示す)で熱処理を行って、異なる色相を有する着色ガラス物品を製造した。なお、PHCFRは、予熱した炉にガラス試料片を直接投入して、表に示す時間の間保持してから炉の電源を切り、炉が冷却される速度(通常2~3℃/分)でガラス試料片を炉内で冷却する処理を指す。また、PHACとは、予熱した炉にガラス試料片を直接投入して、表に示す時間の間保持してから取り出し、大気中で室温まで冷却する処理を指す。そして、各着色ガラス物品のCIELAB座標L*、a*、b*を求め、色座標a*、b*をプロットして、図48に示すグラフを得た。図48では、a*座標をx軸、b*座標をy軸にとっている。ちなみに、L*座標(図示しない)は、a*=0且つb*=0の点を通って図48のx軸とy軸の両方に直交して延びる軸の方向となる。
図48に示すように、得られた着色ガラス物品の色相に従って、着色ガラス物品を複数のa*b*座標領域に分類することができる。すなわち、同様の色相を有する着色ガラス物品が有する個々のa*、b*の値の組は、同一のa*b*座標領域内に分布している。詳細には、黄色に見える着色ガラス物品のa*値及びb*値は、b*=0.2879・a*+27.818(直線A)、b*=7.0833・a*-94.5(直線B)、b*=0.45・a*+104.5(直線C)、b*=15.3・a*+253(直線D)という4本の直線の交差により画定される領域内にある。この直線A、B、C、Dの交差により画定される領域を、「黄色領域」と呼ぶことができ、着色ガラス物品ごとに異なるa*、b*の値の組がこの領域内にある場合、通常、その着色ガラス物品は黄色に見える。
同様に、橙色に見える着色ガラス物品のa*値及びb*値は、b*=7.0833・a*-94.5(直線B)、b*=-0.9583・a*+146.75(直線E)、b*=2.6957・a*-50.565(直線F)、b*=33(直線G)という4本の直線の交差により画定される領域内にある。この直線B、E、F、Gの交差により画定される領域を、「橙色領域」と呼ぶことができ、着色ガラス物品ごとに異なるa*、b*の値の組がこの領域内にある場合、通常、その着色ガラス物品は橙色に見える。
なお図48を参照すると、赤色に見える着色ガラス物品のa*値及びb*値は、b*=2.6957・a*-50.565(直線F)、a*=54(直線H)、b*=1.0769・a*-17.154(直線I)、b*=6.6667・a*-173.67(直線J)という4本の直線の交差により画定される領域内にある。この直線F、H、I、Jの交差により画定される領域を、「赤色領域」と呼ぶことができ、着色ガラス物品ごとに異なるa*、b*の値の組がこの領域内にある場合、通常、その着色ガラス物品は橙色に見える。
緑色に見える着色ガラス物品のa*値及びb*値は、b*=0.2879・a*+27.818(直線A)、a*=0(直線K)、b*=-1.375・a*+1(直線L)、b*=9.333・a*+86.667(直線M)という4本の直線の交差により画定される領域内(ただし、a*が-0.3超0.3未満である場合を除き、且つb*が-0.5超0.5未満である場合を除く)にある。この直線A、L、K、Mの交差により画定される領域を、「緑色領域」と呼ぶことができ、着色ガラス物品ごとに異なるa*、b*の値の組がこの領域内にある場合、通常、その着色ガラス物品は緑色に見える。
ピンク色/紫色に見える着色ガラス物品のa*値及びb*値は、b*=0.0833・a*+20.833(直線N)、b*=2.1182・a*-32.073(直線O)、b*=-0.3(直線P)、b*=1.5929・a*-0.3(直線Q)という4本の直線の交差により画定される領域内(ただし、a*が-0.3超0.3未満である場合を除き、且つb*が-0.5超0.5未満である場合を除く)にある。この直線N、O、P、Qの交差により画定される領域を、「ピンク色/紫色領域」と呼ぶことができ、着色ガラス物品ごとに異なるa*、b*の値の組がこの領域内にある場合、通常、その着色ガラス物品はピンク色/紫色に見える。
次に、表19を参照すると、表15、表16のガラス組成物から、ガラス試料片の形態の着色ガラス物品を製造した。ガラス試料片の厚さは約0.5mm~約1.4mmの範囲であり、これに対し種々の時間と温度(表19に示す)で熱処理を行って、異なる色相を有する着色ガラス物品を製造した。なお、PHCFRは、予熱した炉にガラス試料片を直接投入して、表に示す時間の間保持してから炉の電源を切り、炉が冷却される速度(通常2~3℃/分)でガラス試料片を炉内で冷却する処理を指す。また、PHACとは、予熱した炉にガラス試料片を直接投入して、表に示す時間の間保持してから取り出し、大気中で室温まで冷却する処理を指す。そして、各着色ガラス物品のCIELAB座標L*、a*、b*を求めた。また、380nm~750nmの波長域における各試料の平均透過率(%)も求めた。これらの結果を表19に示す。
表20A~表20Eは、(1つ以上の)着色剤として遷移金属酸化物及び/又は希土類酸化物を含有する実施例ガラス組成物(単位:モル%)を示している。表20A~表20Eには、遷移金属酸化物及び/又は希土類酸化物の合計含有量(「TM+RE合計」と記載)も示す。
表21A~表21Cは、表20A~表20Eから選択した実施例の誘電率(計算値)及び誘電率(10GHzでの実測値)を示している。誘電率の計算値は、下記式により求めた:
Dk=3.802946+0.01747*B2O3(モル%)+0.058769*Al2O3(モル%)+0.080876*Li2O(モル%)+0.148433*Na2O(モル%)+0.153264*K2O(モル%)+0.045179*MgO(モル%)+0.080113*CaO(モル%)
誘電率の実測値は、スプリットポスト誘電体共振器(SPDR)を用いて、10GHzの周波数で測定した。また、表21A~表21Cは、表20A~表20Eから選択した実施例の、表に示した厚さでのCIELAB座標L*、a*、b*も示している。
表22A、表22Bは、表20A~表20Dから選択したガラス物品について、厚さとイオン交換条件(温度、時間、イオン交換浴組成)を変化させた場合のイオン交換特性(CS、DOL、CT)を示している。
表23は、表20A~表20Dから選択した実施例と、非着色ガラス物品である比較例の破壊靭性(KIC)を示す。なお、比較例の非着色ガラス物品は、58.41モル%のSiO2と、6.07モル%のB2O3と、17.84モル%のAl2O3と、1.73モル%のNa2Oと、0.20モル%のK2Oと、4.43モル%のMgOと、0.57モル%のCaOと、0.01モル%のSnO2と、10.71モル%のLi2Oとを含むものであった。破壊靭性の測定は、シェブロンノッチショートバー法と双片持ち梁法により行った。
図50は、表20A~表20Dから選択した実施例と、非着色ガラス物品である比較例とを、異なる2つのサンドペーパー条件(粒度180と粒度80)のサンドペーパー上に段階的に高さを上げて面落下させた(「落下試験」)の結果を示す。なお、比較例の非着色ガラス物品は、58.41モル%のSiO2と、6.07モル%のB2O3と、17.84モル%のAl2O3と、1.73モル%のNa2Oと、0.20モル%のK2Oと、4.43モル%のMgOと、0.57モル%のCaOと、0.01モル%のSnO2と、10.71モル%のLi2Oとを含むものであった。TM-33試料については、落下試験を行う前に、89.3質量%のKNO3、10質量%のNaNO3、及び0.7質量%のLiNO3を含む溶融塩バッチで440℃9時間のイオン交換処理を行った。TM-8試料については、79質量%のKNO3、19.9質量%のNaNO3、及び1.6質量%のLiNO3を含む溶融塩バッチで400℃5時間のイオン交換処理を行った。比較例については、90.3質量%のKNO3、9質量%のNaNO3、及び0.7質量%のLiNO3を含む溶融塩バッチで450℃5時間のイオン交換処理を行った。
図50の○印は、どの高さで試料が破壊したかを表している。◇印は、220cmまで少しずつ高さを上げて落下させた結果、破壊しなかった試料を表している。図50と実施例TM-8、TM-32から、着色ガラス物品が、非着色ガラス物品の比較例と同様の耐落下性能を示したことが実証された。
図51は、標準的な落下試験を示す模式図である。各試料1310を、一般的な「スマートフォン」に近似したサイズ、質量、及び比率(balance)を有する標準試験機(standard test vehicle)1320に貼付し、落下高さhから研磨面1335を有する1枚のサンドペーパー1330上に落下させた。なお、落下高さhは、約0.2mから2.2mまで、0.1mずつ段階的に引き上げた。落下試験は、粒度180の炭化ケイ素サンドペーパー面と粒度80の炭化ケイ素サンドペーパー面とを使用して行った。図示の耐落下性能は、着色ガラス物品が破損するまでの最大落下高さ(cm)を示す。
表24A、表24Bは、(1つ以上の)着色剤として遷移金属酸化物及び/又は希土類酸化物を含有する実施例ガラス組成物(単位:モル%)を示している。また、表24A、表24Bには、実施例ガラス組成物の誘電率(Dk、10GHzでの実測値)も示す。
表25A~表25BJは、(1つ以上の)着色剤として遷移金属酸化物及び/又は希土類酸化物を含有する実施例着色ガラス物品(単位:モル%)とその特性を示している。実施例TM-476~TM-502は、600℃1時間のアニール処理を行った後の分析結果である。
実施例TM-476~TM-502について、アニール処理によるb*値の変化を計算した。下記の表26に示す。
ガラス組成物中のFe2O3含有量が着色ガラス物品の色及び色安定性に与える影響を調べるため、図52に示すように、Fe2O3含有量の異なる複数のガラス組成物のb*値をプロットした。図52の実線で囲んだ部分は、着色ガラス物品の色感度を最小化するとともに、b*値に大きな影響を与えないFe2O3含有量の領域である。図52の破線で囲んだ部分は、600℃の温度に20時間保持しても安定した色を発色したFe2O3含有量を示している。
また、図53に示すように、様々なSnO2含有量(分析値)のガラス組成物のa*、b*値をプロットして、SnO2含有量がb*値に与える影響を調べた。図53では、SnO2含有量(分析値)を各データ点に付記している。図53に示すように、SnO2含有量の上昇に伴い、着色ガラス物品のb*値が低下し、a*値が上昇する。
さらに、CeO2が、着色ガラス物品におけるチタン酸化状態の安定性及びそれに伴う着色ガラス物品の色安定性に与える影響を調べるため、XPS分析を実施した。CeO2及びTiO2を含む実施例TM-361のガラス組成物から3mm×3mm×10mmの大きさのガラス棒を形成するとともに、TiO2を含むがCeO2は含まない比較例組成物からも同寸法の棒を形成した。この分析で使用した比較例組成物は、61.5モル%のSiO2と、14.5モル%のAl2O3と、5.7モル%のB2O3と、9.8モル%のLi2Oと、1.8モル%のNa2Oと、0.2モル%のK2Oと、2.0モル%のMgOと、2.0モル%のCaOと、1.0モル%のZnOと、1.5モル%のTiO2と、0.004モル%のFe2O3を含む組成物であった。成形したままの状態、600℃24時間のアニール処理後、600℃48時間のアニール処理後の各実施例TM-361ガラス棒を、超高真空下で破壊した。破壊部位のXPS分析によりチタンとセリウムの酸化状態を調べた結果、チタンの主な酸化状態はTi4+、セリウムの主な酸化状態はCe3+であることが特定された。また、図54に示すように、分析結果から、アニール時間の増加とともにTi3+の含有量が増加することも分かった。観察色の変化は、かかるチタンの酸化状態の変化により生じたものであると予想される。これに対し、XPS分析結果から、比較例組成物の場合には、チタンの酸化状態がアニール時間に応じて変化しなかったことも分かった。また、図55に示すように、XPS分析結果から、ガラス組成物中にFe2O3が存在することにより、熱処理時のTi4+からTi3+への変化が抑制され、色安定性を向上させることも分かった。
表27A~表27Zは、(1つ以上の)着色剤として遷移金属酸化物及び/又は希土類酸化物を含有する実施例着色ガラス物品(単位:モル%)を示している。また、表27A~表27Zには、密度、厚さ、及びF2照明及び10°視野標準観察者の条件で測定したCIELAB色空間の透過色座標も示す。
表28A~表28Cには、着色剤として金(Au)を含有する実施例ガラス組成物(単位:モル%)を示す。
次に、表29を参照すると、表28A~表28Cのガラス組成物から、ガラス試料片の形態の着色ガラス物品を製造した。ガラス試料片は、表に示す厚さを有しており、これに対し種々の時間と温度(表に示す)で熱処理を行って、異なる色相を有する着色ガラス物品を製造した。そして、各着色ガラス物品のCIELAB座標L*、a*、b*を求めた。また、380nm~750nmの波長域における各試料の平均透過率(%)も求めた。これらの結果を表29に示す。
表30A~表30NNは、着色剤として遷移金属酸化物及び/又は希土類酸化物を含有する実施例ガラス組成物(単位:モル%)を示している。
次に、表31を参照すると、表30A-30NNのガラス組成物から、ガラス試料片の形態の着色ガラス物品を製造した。ガラス試料片は、表に示す厚さを有するものであった。そして、各着色ガラス物品のCIELAB座標L*、a*、b*を求めた。また、380nm~750nmの波長域における各試料の平均透過率(%)も求めた。これらの結果を表31に示す。
当業者であれば、特許請求の範囲に記載の主題の趣旨及び範囲から逸脱しない範囲で、本明細書に記載の実施形態に種々の変形及び変更を加えることができることは明らかであろう。したがって、添付の特許請求の範囲及びその均等物を逸脱しない限り、本明細書に記載の種々の実施形態に対する変形及び変更も本明細書の範囲に含むことが意図されている。