JP2024109044A - 摺動機構 - Google Patents

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Abstract

【課題】ピストン摺動速度が低速となる状況において低摩擦化及び低摩耗化を図ることが可能となる摺動機構を提供する。【解決手段】摺動機構は、自動的に一時停止可能なエンジンに適用されるピストンとシリンダ内周面との間の摺動機構である。エンジンの潤滑油は、有機モリブデン系摩擦調整剤を含有している。摺動機構は、一対の外周面を含む環状のオイルリングを有し、オイルリングの一対の外周面のそれぞれは、径方向外側に向かって凸状に湾曲する断面形状の湾曲面を含み、オイルリングの湾曲面の径方向最外点である頂点は、オイルリングの軸方向におけるオイルリングの外周面の中央部に配置されており、オイルリングの湾曲面は、オイルリングの頂点からオイルリングの軸方向の両側にそれぞれ0.075mm離れると共に径方向内側に10μm以上の落差にて位置する一対の点を通る円弧面をなしている。【選択図】図1

Description

本開示は、摺動機構に関し、特に自動的に一時停止可能なエンジンに適用されるピストンとシリンダ内周面との間の摺動機構に関する。
自動車等に用いられる摺動部品では、窒化クロム(CrN,Cr2N)、窒化チタン(TiN)、炭化クロム(CrC)などのイオンプレーティング皮膜やDLC皮膜などがPVD法やCVD法などの皮膜形成法によって摺動部分に形成され、耐摩耗性の向上が図られることがある。また、摺動部に使用される潤滑油にMoDTCやMoDTPなどの摩擦調整剤を添加して用いることで、摩擦低減及び耐摩耗性の向上を図ることが知られている(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)。
特表2014-532841号公報 特開2018-150434号公報
近年、自動車等では、アイドリングストップ機能を有するエンジン及びハイブリッド車両に搭載のエンジン等の自動的に一時停止可能なエンジンの採用が増加している。また、低燃費化のために低粘度の潤滑油が採用される傾向があり、ピストンリングの外周面が摺接するシリンダ内周面において油膜が薄くなりやすい。このようなエンジンでは、エンジンの一時停止及び始動の回数が増加すると、ピストン摺動速度が低速となる頻度が増えるため、ピストンリングの外周面とシリンダ内周面との間の潤滑状態が境界潤滑(固体潤滑)となる頻度が増えることとなる。しかしながら、ピストン摺動速度が低速となる状況における低摩擦化及び低摩耗化は、従来のピストン摺動速度が低速ではない状況と比べて相対的に着目されておらず、改善の余地があった。
本開示は、ピストン摺動速度が低速となる状況において低摩擦化及び低摩耗化を図ることが可能となる摺動機構を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明者は鋭意検討を重ねた。その結果、本発明者は、自動的に一時停止可能なエンジンに適用されるピストンとシリンダ内周面との間の摺動機構において、有機モリブデン系摩擦調整剤を含有するエンジンの潤滑油を用いる場合に、ピストン摺動速度が低速となる状況であっても低摩擦化及び低摩耗化に有効となるピストンリングの外周面の形状を見出した。
本開示の一態様に係る摺動機構は、自動的に一時停止可能なエンジンに適用されるピストンとシリンダ内周面との間の摺動機構であって、エンジンの潤滑油は、有機モリブデン系摩擦調整剤を含有しており、ピストンの複数のリング溝にそれぞれ組み付けられる複数のピストンリングを備え、複数のピストンリングは、環状の圧力リングと、環状のオイルリングと、を有し、オイルリングの一対の外周面のそれぞれは、径方向外側に向かって凸状に湾曲する断面形状の湾曲面を含み、オイルリングの湾曲面の径方向最外点である頂点は、オイルリングの軸方向におけるオイルリングの外周面の中央部に配置されており、オイルリングの湾曲面は、オイルリングの頂点からオイルリングの軸方向の両側にそれぞれ0.075mm離れると共に径方向内側に10μm以上の落差にて位置する一対の点を通る円弧面をなしており、圧力リングの外周面は、下記の(1)又は(2)のように構成されている:(1)圧力リングの外周面は、径方向外側に向かって突出しており、圧力リングの外周面の径方向最外点である頂点は、圧力リングの軸方向において圧力リングの外周面の中央部よりもピストンの下死点側に配置されている。(2)圧力リングの外周面は、径方向外側に向かって凸状に湾曲する断面形状の湾曲面を含み、圧力リングの湾曲面の径方向最外点である頂点は、圧力リングの軸方向において圧力リングの外周面の中央部又は圧力リングの中央部よりもピストンの下死点側に配置されており、圧力リングの湾曲面は、圧力リングの頂点から圧力リングの軸方向の両側にそれぞれ0.3mm離れると共に径方向内側に2μm以上の落差にて位置する一対の点を通る円弧面をなしている。
本開示の一態様に係る摺動機構では、オイルリングの外周面及び圧力リングの外周面は、エンジンの運転中にピストン摺動速度が速く流体潤滑領域の割合が多い状況で、シリンダ内周面の潤滑油を掻き落しやすく油膜が薄くなりやすい形状に構成されている。このようなオイルリングの外周面形状及び圧力リングの外周面形状により、ピストンリングの外周面とシリンダ内周面との摺接部での潤滑状態が境界潤滑になりやすくなり、ピストンリングの外周面とシリンダ内周面との微小な接触が増えやすくなる。その結果、摺接部において摩擦熱が増大し、有機モリブデン系摩擦調整剤からフィルム状の二硫化モリブデン等が形成されやすくなる。したがって、自動的に一時停止可能なエンジンに適用されるピストンとシリンダ内周面との間の摺動機構において、有機モリブデン系摩擦調整剤を含有するエンジンの潤滑油を用いる場合に、ピストン摺動速度が低速となる状況であっても低摩擦化及び低摩耗化を図ることが可能となる。
一実施形態において、圧力リングの外周面及びオイルリングの外周面には、クロムを含む皮膜が形成されていてもよい。この場合、クロム分の存在により、摺接部において有機モリブデン系摩擦調整剤からフィルム状の二硫化モリブデン等が形成される現象が一層発現しやすくなる。
一実施形態において、複数のピストンリングのシリンダ内周面に対する合計面圧は、0.85MPa以上であってもよい。この場合、合計面圧が0.85MPa未満である場合と比べてシリンダ内周面の油膜が薄くなるため、摺接部において有機モリブデン系摩擦調整剤からフィルム状の二硫化モリブデン等が形成される現象が一層発現しやすくなる。
一実施形態において、圧力リングの外周面及びオイルリングの外周面と、シリンダ内周面と、の合成粗さは、Ra0.1μm以上であってもよい。この場合、合成粗さがRa0.1μm未満である場合と比べてピストンリングの外周面とシリンダ内周面との微小な接触が増えやすくなるため、摩擦熱が発生しやすくなり、摺接部において有機モリブデン系摩擦調整剤からフィルム状の二硫化モリブデン等が形成される現象が一層発現しやすくなる。
本開示の他の態様に係る摺動機構は、自動的に一時停止可能なエンジンに適用されるピストンとシリンダ内周面との間の摺動機構であって、エンジンの潤滑油は、有機モリブデン系摩擦調整剤を含有しており、ピストンの複数のリング溝にそれぞれ組み付けられる複数のピストンリングを備え、複数のピストンリングは、外周面が下記の(1)又は(2)のように構成された環状の圧力リングを有する:(1)圧力リングの外周面は、径方向外側に向かって突出しており、圧力リングの外周面の径方向最外点である頂点は、圧力リングの軸方向において圧力リングの外周面の中央部よりもピストンの下死点側に配置されている。(2)圧力リングの外周面は、径方向外側に向かって凸状に湾曲する断面形状の湾曲面を含み、圧力リングの湾曲面の径方向最外点である頂点は、圧力リングの軸方向において圧力リングの外周面の中央部又は圧力リングの中央部よりもピストンの下死点側に配置されており、圧力リングの湾曲面は、圧力リングの頂点から圧力リングの軸方向の両側にそれぞれ0.3mm離れると共に径方向内側に2μm以上の落差にて位置する一対の点を通る円弧面をなしている。
本開示の他の態様に係る摺動機構では、圧力リングの外周面及び頂点は、エンジンの運転中にピストン摺動速度が速く流体潤滑領域の割合が多い状況で、シリンダ内周面の潤滑油を掻き落しやすく油膜が薄くなりやすい形状に構成されている。このような圧力リングの外周面形状により、ピストンリングの外周面とシリンダ内周面との摺接部での潤滑状態が境界潤滑になりやすくなり、ピストンリングの外周面とシリンダ内周面との微小な接触が増えやすくなる。その結果、摺接部において摩擦熱が増大し、有機モリブデン系摩擦調整剤からフィルム状の二硫化モリブデン等が形成されやすくなる。したがって、自動的に一時停止可能なエンジンに適用されるピストンとシリンダ内周面との間の摺動機構において、有機モリブデン系摩擦調整剤を含有するエンジンの潤滑油を用いる場合に、ピストン摺動速度が低速となる状況であっても低摩擦化及び低摩耗化を図ることが可能となる。
本開示の更に他の態様に係る摺動機構は、自動的に一時停止可能なエンジンに適用されるピストンとシリンダ内周面との間の摺動機構であって、エンジンの潤滑油は、有機モリブデン系摩擦調整剤を含有しており、ピストンの複数のリング溝にそれぞれ組み付けられる複数のピストンリングを備え、複数のピストンリングは、一対の外周面を含む環状のオイルリングを有し、オイルリングの一対の外周面のそれぞれは、径方向外側に向かって凸状に湾曲する断面形状の湾曲面を含み、オイルリングの湾曲面の径方向最外点である頂点は、オイルリングの軸方向におけるオイルリングの外周面の中央部に配置されており、オイルリングの湾曲面は、オイルリングの頂点からオイルリングの軸方向の両側にそれぞれ0.075mm離れると共に径方向内側に10μm以上の落差にて位置する一対の点を通る円弧面をなしている。
本開示の更に他の態様に係る摺動機構では、オイルリングの湾曲面及び頂点は、エンジンの運転中にピストン摺動速度が速く流体潤滑領域の割合が多い状況で、シリンダ内周面の潤滑油を掻き落しやすく油膜が薄くなりやすい形状に構成されている。このようなオイルリングの外周面形状により、ピストンリングの外周面とシリンダ内周面との摺接部での潤滑状態が境界潤滑になりやすくなり、ピストンリングの外周面とシリンダ内周面との微小な接触が増えやすくなる。その結果、摺接部において摩擦熱が増大し、有機モリブデン系摩擦調整剤からフィルム状の二硫化モリブデン等が形成されやすくなる。したがって、自動的に一時停止可能なエンジンに適用されるピストンとシリンダ内周面との間の摺動機構において、有機モリブデン系摩擦調整剤を含有するエンジンの潤滑油を用いる場合に、ピストン摺動速度が低速となる状況であっても低摩擦化及び低摩耗化を図ることが可能となる。
上記更に他の態様に係る摺動機構の一実施形態において、オイルリングの外周面には、クロムを含む皮膜が形成されていてもよい。この場合、複数のピストンリングのうちシリンダ内周面に対する面圧が高くされる傾向があるオイルリングの外周面にクロム分が存在することにより、オイルリングの摺接部において有機モリブデン系摩擦調整剤からフィルム状の二硫化モリブデン等が形成される現象が効果的に発現しやすくなる。
本開示の種々の態様に係る摺動機構によれば、ピストン摺動速度が低速となる状況において低摩擦化及び低摩耗化を図ることが可能となる。
一実施形態に係る摺動機構を模式的に示す断面図である。 図1のトップリングの断面図である。 図1のセカンドリングの断面図である。 (a)は、図1のオイルリングの断面図である。(b)は、(a)のオイルリングの外周面の拡大断面図である。 図2のトップリングのダレ量と平均油膜厚さとの関係を図示するグラフである。 図3のセカンドリングの下端ダレ量と平均油膜厚さとの関係を図示するグラフである。 図4のオイルリングのダレ量と平均油膜厚さとの関係を図示するグラフである。 一実施形態に係る摺動機構の摩擦係数の概略特性を示すストライベック線図である。 変形例に係るトップリングの断面図である。 変形例に係るセカンドリングの断面図である。 別の変形例に係るセカンドリングの断面図である。 (a)は、変形例に係るオイルリングの外周面の拡大断面図である。(b)は、別の変形例に係るオイルリングの外周面の拡大断面図である。 図11のオイルリングの平均油膜厚さを図示するグラフである。 図1の複数のピストンリングのリングセットの合計面圧と平均油膜厚さとの関係を図示するグラフである。 図1の複数のピストンリングの外周面及びシリンダ内周面の合成粗さとリングセットの摩擦平均有効圧との関係を図示するグラフである。
以下、本開示の実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下の説明において、同一又は相当要素には同一符号を用い、重複する説明は省略する。以下の説明において、「上側」はピストンの上死点側(エンジンの燃焼室側)に対応し、「下側」はピストンの下死点側(エンジンのクランク室側)に対応する。
本開示に係る摺動機構は、エンジンのピストンとシリンダ内周面との間の摺動機構であり、例えば自動車に搭載されたエンジンに適用される。ここでのエンジンは、自動車の使用中において自動的に一時停止可能に構成されている。エンジンは、例えば、アイドリングストップ機能を有するエンジン及びハイブリッド車両に搭載のエンジン等である。エンジンの回転数は、ピストン摺動速度と比例する。エンジンを所定の回転数以上(例えば1500rpm以上)で運転中のピストン摺動速度と比べて、エンジンの一時停止及び始動の際のピストン摺動速度は、低速となる。ピストン摺動速度とは、シリンダ内周面に対するピストンの往復運動の速度を意味する。
エンジンの潤滑油は、有機モリブデン系摩擦調整剤を含有している。有機モリブデン系摩擦調整剤としては、例えば、MoDTC(ジアルキルジチオカルバミン酸モリブデン)、又は、MoDTP(ジアルキルジチオリン酸モリブデン)を用いることができる。ここでのエンジンの潤滑油では、例えば、MoDTCの含有量が2000ppm以下である。エンジンの潤滑油としては、MoDTCの含有量が2000ppmを超える潤滑油を用いることもできる。有機モリブデン系摩擦調整剤は、MoDTC及びMoDTPに限定されず、有機モリブデン化合物を含むものであれば、基油の種類や他の添加剤の有無等によらず採用することができる。
図1は、一実施形態に係る摺動機構を模式的に示す断面図である。図1の断面図は、複数のピストンリング1の軸方向に沿っての断面図である。図1には、ピストンリング1がリング溝2に装着された状態でシリンダ内に配置されたピストン3の一部の模式的な断面が示されている。ピストンリング1の軸方向は、ピストン3の往復動方向と同じ方向である。
図1に示されるように、ピストン3のピストン外周面3aには、複数のリング溝2が形成されている。ここでの複数のリング溝2は、上側から順に、トップリング溝2a、セカンドリング溝2b、及びオイルリング溝2cである。複数のリング溝2には、複数のピストンリング1がそれぞれ組み付けられている。
複数のピストンリング1は、環状の圧力リングと、環状のオイルリングと、を有している。ここでの複数のピストンリング1は、トップリング溝2aに嵌め込まれるトップリング(圧力リング)10、セカンドリング溝2bに嵌め込まれるセカンドリング(圧力リング)20、及び、オイルリング溝2cに嵌め込まれるオイルリング30である。つまり、摺動機構100は、ピストン3の複数のリング溝2にそれぞれ組み付けられる複数のピストンリング1を備えている。各ピストンリング1は、潤滑油が付着したシリンダ内周面4に対して摺動することで、燃焼室側とクランク室側との間のガスシール機能、潤滑油の掻き落とし機能、及び、潤滑油の油膜形成機能等を奏することができる。複数のリング溝2に組付けられた複数のピストンリング1は、ピストンの往復運動に伴って、シリンダ内周面4に対して潤滑油の油膜を介してピストン摺動速度と等しい速度で摺動する。シリンダ内周面4は、シリンダボアの内壁面のことである。
[トップリング]
図2は、図1のトップリングの断面図である。図1及び図2に示されるように、トップリング10は、環状の本体部11と、本体部11の一部に形成された合口部(図示省略)とを有している。本体部11は、一対の側面12及び側面13と、内周面14及び外周面15とを有している。側面12,13は、例えば、内周面14に略直交している。以下の説明では、側面12と側面13とを結ぶ方向をピストンリング1の幅方向とし、内周面14と外周面15とを結ぶ方向をピストンリング1の厚さ方向とする。ピストンリング1の幅方向は、「上下方向」及び「軸方向」に相当する。
本体部11は、厚さ方向が長辺かつ幅方向が短辺となる断面略長方形状をなしている。本体部11は、例えば複数の金属元素を含有する鋳鉄或いは鋼(スチール)を用い、十分な強度、耐熱性、及び弾性をもって形成されている。
本体部11の表面には、表面改質が施されて硬質皮膜が形成されてもよい。硬質皮膜は、例えば、物理気相成長法(PVD法)を用いて形成される物理気相成長膜(PVD膜)である。これにより、硬質皮膜を十分な硬度で形成できる。硬質皮膜は、チタン(Ti)及びクロム(Cr)の少なくとも一種と、炭素(C)、窒素(N)、及び酸素の少なくとも一種とを含むイオンプレーティング膜、若しくはダイヤモンドライクカーボン(DLC)膜である。具体例としては、硬質皮膜は、窒化チタン膜、窒化クロム膜、炭窒化チタン膜、炭窒化クロム膜、酸窒化クロム膜、クロム膜、又はチタン膜である。この中でも、耐摩耗性及び耐スカッフ性を重視する場合には、窒化クロム膜を用いることが好ましい。なお、硬質皮膜は積層体であってもよく、例えば窒化クロム膜及びダイヤモンドライクカーボン膜等を含んでもよい。ここでのトップリング10の外周面15には、窒化クロム(CrN)を含む硬質皮膜(皮膜)が形成されていてもよい。
合口部は、本体部11の一部が分断された部分であり、互いに対向する一対の合口端部によって形成されている。一対の合口端部は、それぞれ本体部11の自由端となっている部分である。合口部の隙間(合口隙間)は、例えばトップリング10が加熱されて熱膨張したときに狭まるようになっている。合口部は、トップリング10の使用時において、トップリング10とシリンダ内周面4との間の温度差に起因する本体部11の熱膨張分の逃げ部として機能する。
トップリング10の本体部11の外周面15について詳細に説明する。以下の説明での各ピストンリング1の外周面に関する線の形状は、特に特定しない場合、当該ピストンリング1の断面視での線の形状を意味する。
トップリング10の外周面15には、一例として、径方向外側に向かって凸状に湾曲する断面形状の湾曲面16が設けられている。湾曲面16は、例えば、側面12の径方向外側の端部と側面13の径方向外側の端部とを両端とする円弧面となっている。湾曲面16の円弧面は、例えば、その中心が側面12と側面13との中間に位置してもよい。この場合、トップリング10の径方向において円弧面の最外部は、外周面15において側面12と側面13とを結ぶ幅方向の中央に位置する。つまり、トップリング10の湾曲面16の径方向最外点である頂点17は、トップリング10の幅方向(軸方向)においてトップリング10の外周面15の中央部15Mに配置されている。頂点17は、外周面15のうち径方向外側に最も張り出している部分であり、シリンダ内周面4との摺接部となる点である。頂点17は、本体部11の周方向については、周方向全体に亘って延在することで円環状をなしている。トップリング10の外周面15は、頂点17を境に幅方向に対称な対称バレル形状となっている。
なお、バレル形状は、ピストンリング1の径方向外側に向かって凸状に湾曲する湾曲面であって、ピストンリング1の径方向の最外部を含む湾曲面を意味する。バレル形状には、対称バレル形状及び偏心バレル形状が含まれる。対称バレル形状は、バレル形状であって、ピストンリング1の径方向の最外部(頂点)がピストンリング1の外周面の幅方向における中央に位置している湾曲面を意味する。偏心バレル形状は、バレル形状であって、ピストンリング1の径方向の最外部(頂点)がピストンリング1の外周面の幅方向における中央よりも下側(クランク室寄り)に位置している湾曲面を意味する。
湾曲面16の円弧面の大きさは、頂点17から幅方向に一定距離離れた点(例えば上下に0.3mmずつ離れた各一点)と、頂点17の位置との間の、トップリング10の径方向におけるダレ量(落差の寸法)で規定することができる。湾曲面16のダレ量は、例えば、2μm以上且つ10μm以下であってもよい。湾曲面16のダレ量は、例えば、3μm以上且つ7μm以下であってもよい。湾曲面16のダレ量は、例えば、4μm以上且つ5μm以下であってもよい。つまり、トップリング10の湾曲面16は、トップリング10の頂点17からトップリング10の幅方向(軸方向)の両側にそれぞれ0.3mm(図2のLh1は0.6mm)離れると共に径方向内側に2μm以上の落差(図2のD1)にて位置する一対の点を通る円弧面をなしている。
[セカンドリング]
図3は、図1のセカンドリングの断面図である。図1及び図3に示されるように、セカンドリング20は、環状の本体部21と、本体部21の一部に形成された合口部(図示省略)とを有している。本体部21は、一対の側面22及び側面23と、内周面24及び外周面25とを有している。側面22,23は、例えば、内周面24に略直交している。合口部は、例えば、上述のトップリング10の本体部11の合口部と同様に構成されている。
本体部21は、厚さ方向が長辺かつ幅方向が短辺となる断面略長方形状をなしている。本体部21は、例えば複数の金属元素を含有する鋳鉄或いは鋼(スチール)を用い、十分な強度、耐熱性、及び弾性をもって形成されている。
本体部21の表面には、上述のトップリング10の本体部11と同様に、表面改質が施されて硬質皮膜が形成されてもよい。ここでのセカンドリング20の外周面25には、窒化クロム(CrN)を含む硬質皮膜(皮膜)が形成されていてもよい。
セカンドリング20の本体部21の外周面25について詳細に説明する。セカンドリング20の外周面25は、一例として、テーパ面26を含んでいる。ここでのテーパ面26は、下側に向かうほど径方向外側に向かって張り出す断面形状の傾斜面である。テーパ面26は、例えば、側面22の径方向外側の端部と側面23の径方向外側の端部とを直線状に結ぶように延在している。テーパ面26の上端部には、側面22の径方向外側の端部に連なる面取部26aが形成されている。テーパ面26の下端部には、側面23の径方向外側の端部に連なる円弧面である下端ダレ部27が形成されている。テーパ面26の直線状の部分と下端ダレ部27との境界は、セカンドリング20の径方向において外周面25の最外部の頂点28であり、幅方向において側面22と側面23との中間よりも下死点側に位置している。つまり、セカンドリング20の外周面25は、径方向外側に向かって突出しており、セカンドリング20の外周面25の径方向最外点である頂点28は、セカンドリング20の幅方向(軸方向)においてセカンドリング20の外周面25の中央部25Mよりもピストン3の下死点側に配置されている。セカンドリング20の頂点28は、セカンドリング20の下死点側(側面23)を基準としてセカンドリング20の幅寸法(側面22と側面23との間の幅方向距離)の50%未満の距離となる位置に配置されている。頂点28は、外周面25のうち径方向外側に最も張り出している部分であり、シリンダ内周面4との摺接部となる点である。頂点28は、本体部21の周方向については、周方向全体に亘って延在することで円環状をなしている。
下端ダレ部27の円弧面の大きさは、セカンドリング20の径方向における頂点28の位置から円弧面の径方向内側の端部までの下端ダレ量(落差の寸法)で規定することができる。下端ダレ量は、例えば、2μm以下であってもよい。下端ダレ量は、例えば、0μmよりも大きく1μm以下であってもよい。つまり、セカンドリング20の下端ダレ部27の円弧面は、セカンドリング20の径方向において頂点28の位置から径方向内側に2μm以下の落差(図3のD2)にて位置する点を通る円弧面をなしている。また、側面23から頂点28までの軸方向寸法は、例えば、2μm以下であってもよい。
[オイルリング]
図4(a)は、図1のオイルリングの断面図である。図4(b)は、図4(a)のオイルリングの外周面の拡大断面図である。図1、図4(a)、及び図4(b)に示されるように、オイルリング30は、一対のサイドレール31,32と、一対のサイドレール31,32の間に配置されるスペーサエキスパンダ30Xとを備える3ピースのオイルコントロールリングである。サイドレール31,32の外周面35,36がシリンダ内周面4に接している。サイドレール31,32の内周面31a,32aがスペーサエキスパンダ30Xの耳部に接している。スペーサエキスパンダ30Xとしては、公知の構成のスペーサエキスパンダを用いることができる。
サイドレール31,32の軸方向の幅寸法は、例えば0.35mm程度とされる。サイドレール31,32の幅寸法は共通であってもよいし、互いに異なっていてもよい。
サイドレール31,32の材質は、例えば、ステンレス鋼、炭素鋼である。サイドレール31,32は、少なくとも外周面35,36を覆うように設けられた硬質皮膜(不図示)を備えてもよい。サイドレール31,32の硬質皮膜は、上述のトップリング10の本体部11と同様の硬質皮膜とすることができる。ここでのオイルリング30の外周面35,36には、窒化クロム(CrN)を含む硬質皮膜(皮膜)が形成されていてもよい。図4(a)に示されるように、サイドレール31,32は、例えば同じ形状である。以下、サイドレール31の形状について説明し、サイドレール32の形状の説明は省略する。
サイドレール31の外周面35には、一例として、径方向外側に向かって凸状に湾曲する断面形状の湾曲面37が設けられている。湾曲面37は、例えば、側面33の径方向外側の端部と側面34の径方向外側の端部とを両端とする円弧面となっている。湾曲面37の円弧面は、例えば、その中心が側面33と側面34との中間に位置してもよい。この場合、オイルリング30の径方向において円弧面の最外部は、外周面35において側面33と側面34とを結ぶ幅方向の中央に位置する。つまり、オイルリング30の一対の外周面35,36のそれぞれは、径方向外側に向かって凸状に湾曲する断面形状の湾曲面37を含んでいる。オイルリング30の湾曲面37の径方向最外点である頂点38は、オイルリング30の幅方向(軸方向)におけるオイルリング30の外周面35,36の中央部35Mに配置されている。頂点38は、外周面35のうち径方向外側に最も張り出している部分であり、シリンダ内周面4との摺接部となる点である。頂点38は、サイドレール31の周方向については、周方向全体に亘って延在することで円環状をなしている。オイルリング30の外周面35は、頂点38を境に幅方向に対称な対称バレル形状となっている。
湾曲面37の円弧面の大きさは、頂点38から幅方向に一定距離離れた点(例えば上下に0.075mmずつ離れた各一点)と、頂点38の位置との間の、サイドレール31の径方向におけるダレ量(落差の寸法)で規定することができる。湾曲面37のダレ量は、例えば、10μm以上且つ30μm以下であってもよい。湾曲面37のダレ量は、例えば、15μm以上且つ25μm以下であってもよい。湾曲面37のダレ量は、例えば、20μm以上且つ25μm以下であってもよい。つまり、オイルリング30の湾曲面37は、オイルリング30の頂点38からオイルリング30の幅方向(軸方向)の両側にそれぞれ0.075mm離れると共に径方向内側に10μm以上の落差にて位置する一対の点を通る円弧面をなしている。
以上のように構成されたトップリング10、セカンドリング20、及び、オイルリング30を備える摺動機構100について、図5~図7を参照しつつ、ピストン摺動速度が低速となる状況におけるシミュレーション結果を説明する。図5~図7のシミュレーション結果は、摺動機構100において、トップリング10の幅寸法は1.2mmとし、セカンドリング20の幅寸法は1.2mmとし、オイルリング30の幅寸法は0.35mmとし、トップリング10の外周面15、セカンドリング20の外周面25、及び、オイルリング30の外周面35,36には、窒化クロム(CrN)を含む硬質皮膜(皮膜)を形成し、シリンダボアの直径は86mmとし、ピストン3の往復運動のストロークは86mmとし、シリンダ内周面4は鋳鉄製(材質:FC250)とし、エンジンの潤滑油は低粘度エンジンオイル(SAE 0W-8)を用い、エンジンの潤滑油の油温は80℃とし、エンジンの回転数は1200rpmとし、モータリングの運転条件でシミュレーションを行った結果である。
図5は、図2のトップリングのダレ量と平均油膜厚さとの関係を図示するグラフである。図5の横軸はトップリング10のダレ量であり、縦軸はトップリング10の外周面15とシリンダ内周面4との間の平均油膜厚さである。図5に示されるように、トップリング10のダレ量が大きくなるほど、トップリング10の外周面15とシリンダ内周面4との間の平均油膜厚さが小さくなる傾向があることがわかる。この傾向は、トップリング10のダレ量が大きくなるほど、トップリング10の外周面15の湾曲面16の曲率半径が小さくなり、外周面15が湾曲面16において尖った形状に近付くことから、シリンダ内周面4の潤滑油を掻き落しやすく油膜が薄くなりやすいことに対応する。
図6は、図3のセカンドリングの下端ダレ量と平均油膜厚さとの関係を図示するグラフである。図6の横軸はセカンドリング20の下端ダレ量であり、縦軸はセカンドリング20の外周面25とシリンダ内周面4との間の平均油膜厚さである。図6に示されるように、セカンドリング20の下端ダレ量が2μm以下の範囲で小さくなるほど、セカンドリング20の外周面25とシリンダ内周面4との間の平均油膜厚さが小さくなる傾向があることがわかる。この傾向は、セカンドリング20の下端ダレ量が2μm以下の範囲で小さくなるほど、セカンドリング20の外周面25の頂点28付近が鋭角な形状となる(シャープエッジに近付く)ことから、シリンダ内周面4の潤滑油を掻き落しやすく油膜が薄くなりやすいことに対応する。
図7は、図4のオイルリングのダレ量と平均油膜厚さとの関係を図示するグラフである。図7の横軸はオイルリング30のサイドレール31,32のダレ量であり、縦軸はサイドレール31,32の外周面35,36とシリンダ内周面4との間の平均油膜厚さである。図7に示されるように、サイドレール31,32のダレ量が大きくなるほど、サイドレール31,32の外周面35,36とシリンダ内周面4との間の平均油膜厚さが小さくなる傾向があることがわかる。この傾向は、サイドレール31,32のダレ量が大きくなるほど、サイドレール31,32の外周面35,36の湾曲面37の曲率半径が小さくなり、外周面35,36が湾曲面37において尖った形状に近付くことから、シリンダ内周面4の潤滑油を掻き落しやすく油膜が薄くなりやすいことに対応する。
ここで、図8は、一実施形態に係る摺動機構の摩擦係数の概略特性を示すストライベック線図である。図8の横軸は、エンジンの潤滑油の粘度とピストン摺動速度との積をシリンダ内周面4に対する垂直荷重(荷重)で除算して得た値であり、縦軸は、複数のピストンリング1とシリンダ内周面4との間の潤滑油の油膜を介しての摩擦係数である。
図8においては、エンジンの潤滑油の粘度及び垂直荷重が一定であると想定すると、横軸はピストン摺動速度に比例する。この場合、エンジンの回転数が大きいほどピストン摺動速度が高速となる状況となり、横軸の右側の点に対応していく。エンジンの回転数が小さいほどピストン摺動速度が低速となる状況となり、横軸の左側の点に対応していく。図8の縦の破線Lu1,Lu2は、流体潤滑領域と、境界潤滑領域と、流体潤滑領域及び境界潤滑領域の混合潤滑領域と、を分ける線である。破線Lu1よりも横軸の左側は、境界潤滑領域に対応する。破線Lu2よりも横軸の右側は、流体潤滑領域に対応する。横軸において破線Lu1と破線Lu2との間の部分は、混合潤滑領域に対応する。
図8において、実線L1は、「有機モリブデン系摩擦調整剤を含有する低粘度の潤滑油を使用し、上記実施形態の構成を備える摺動機構100」の想定される特性に対応する線である。短破線L2は、実線L1に対して「上記実施形態の構成のうち複数のピストンリング1の外周面形状を公知形状に戻した点で異なる比較例」の既知の特性に対応する線である。長破線L3は、短破線L2に対して「有機モリブデン系摩擦調整剤を含有しない低粘度の潤滑油を使用する点で異なる比較例」の既知の特性に対応する線である。一点鎖線L4は、長破線L3に対して「潤滑油の粘度が高い点で異なる比較例」の既知の特性に対応する線である。
図8では、従来技術として、一点鎖線L4と長破線L3とを比べると、長破線L3(低粘度の潤滑油)の方が一点鎖線L4よりも、破線Lu2よりも右側の流体潤滑領域において摩擦係数が小さく、破線Lu2よりも左側の混合潤滑領域及び境界潤滑領域において摩擦係数が大きい。この比較では、低粘度の潤滑油の方が、複数のピストンリング1とシリンダ内周面4との間の潤滑状態が境界潤滑(固体潤滑)となる頻度が増えやすいといえる。自動的に一時停止可能に構成されていないエンジンにおいては、流体潤滑領域となるようなピストン摺動速度での運転機会が多いため、流体潤滑領域での低摩擦化を優先させた設計思想といえる。また、低粘度の潤滑油に有機モリブデン系摩擦調整剤を含有させることで、破線Lu2よりも左側の混合潤滑領域及び境界潤滑領域において、長破線L3よりも短破線L2の方が低摩擦化が図られる。しかしながら、自動的に一時停止可能に構成されたエンジンでは、エンジンの一時停止及び始動の機会が増えやすくピストン摺動速度が低速となる運転機会が増えやすいことから、ピストンリングの外周面とシリンダ内周面との間の潤滑状態が、自動的に一時停止可能に構成されていないエンジンと比べて境界潤滑(固体潤滑)となりやすくなる。図8の例に当てはめれば、短破線L2であっても境界潤滑領域において未だ低摩擦化を図る余地が残されていた。
そこで、本発明者は、従来の流体潤滑領域での低摩擦化を優先させた設計思想とは異なり、境界潤滑領域での低摩擦化及び低摩耗化を優先させた設計思想への逆転の発想のもと、あえてシリンダ内周面4の潤滑油の油膜が薄くなるような複数のピストンリング1の外周面形状を摺動機構100の構成として採用している。この構成によれば、ピストン摺動速度が低速となる状況においても、摺接部において有機モリブデン系摩擦調整剤からフィルム状の二硫化モリブデン等が形成される現象が発現しやすくなる。その結果、図8にて摺動機構100に対応する実線L1に示されるように、短破線L2と比べて境界潤滑領域において低摩擦化を図ることが可能となると期待される。
以上説明したように、摺動機構100では、外周面15、外周面25、及び、外周面35,36は、エンジンの運転中にピストン摺動速度が速く流体潤滑領域の割合が多い状況で、シリンダ内周面4の潤滑油を掻き落しやすく油膜が薄くなりやすい形状に構成されている。これにより、外周面15、外周面25、及び、外周面35,36とシリンダ内周面4との摺接部での潤滑状態が境界潤滑になりやすくなり、外周面15、外周面25、及び、外周面35,36とシリンダ内周面4との微小な接触が増えやすくなる。その結果、摺接部において摩擦熱が増大し、有機モリブデン系摩擦調整剤からフィルム状の二硫化モリブデン等が形成されやすくなる。したがって、自動的に一時停止可能なエンジンに適用されるピストン3とシリンダ内周面4との間の摺動機構100において、有機モリブデン系摩擦調整剤を含有するエンジンの潤滑油を用いる場合に、ピストン摺動速度が低速となる状況であっても低摩擦化及び低摩耗化を図ることが可能となる。
摺動機構100では、外周面15、外周面25、及び、外周面35,36には、クロムを含む皮膜が形成されている。これにより、クロム分の存在によって摺接部において有機モリブデン系摩擦調整剤からフィルム状の二硫化モリブデン等が形成される現象が一層発現しやすくなる。
[変形例]
以上、本開示の実施形態について説明したが、本開示は上述した実施形態に限定されるものではない。本開示は、上述した実施形態を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した様々な形態で実施することができる。
上記実施形態では、トップリング10は頂点17を境に幅方向に対称な対称バレル形状となっていたが、偏心バレル形状であってもよい。例えば、図9は、変形例に係るトップリングの断面図である。図9のトップリング10Aの外周面15Aには、一例として、径方向外側に向かって凸状に湾曲する断面形状の湾曲面16Aが設けられている。湾曲面16Aは、例えば、幅方向において側面12と側面13との中間よりも下死点側に中心が位置する円弧面の一部である。つまり、トップリング10Aの外周面15Aは、径方向外側に向かって突出しており、トップリング10Aの外周面15Aの径方向最外点である頂点17Aは、トップリング10Aの幅方向(軸方向)においてトップリング10Aの外周面15Aの中央部15Mよりもピストンの下死点側に配置されている。トップリング10Aの外周面15Aは、バレル形状であって、トップリング10Aの径方向の最外部(頂点17A)がトップリング10Aの外周面15Aの幅方向における中央部15Mよりも下側(クランク室寄り)に位置している湾曲面(偏心バレル形状)となっている。トップリング10Aの湾曲面16Aのダレ量は、例えば、トップリング10の湾曲面16のダレ量と同様に規定されている。この場合、湾曲面16Aの上端と側面12の径方向外側の端部との間には、湾曲面16Aと異なる曲率半径の接続面18が介在していてもよい。湾曲面16Aの下端と側面13の径方向外側の端部との間には、湾曲面16Aと異なる曲率半径の接続面19が介在していてもよい。また、偏心バレル形状のトップリング10Aの湾曲面16Aのダレ量は、頂点17Aの上側(ピストンの上死点側)と下側(ピストンの下死点側)とで異なる値としてもよい。
上記実施形態では、セカンドリング20のテーパ面26の下端部では、下端ダレ部27が側面23の径方向外側の端部に直接連なっていたが、下端ダレ部27と側面23の径方向外側の端部との間に、切欠部が設けられていてもよい。例えば、図10は、変形例に係るセカンドリングの断面図である。図10に示されるように、セカンドリング20Aの本体部21Aには、切欠部29Aが形成されている。切欠部29Aは、側面23Aと外周面25Aとがなす角部が切り欠かれた部分であり、本体部21Aの周方向の全体にわたって延在している。切欠部29Aは、例えば切削用、研削用、又は研磨用の治具等によって、側面23A側且つ外周面25A側の本体部21Aの一部を全周にわたって切り欠くことで形成される。また、切欠部29Aは、本体部21Aの上記一部を圧延もしくは絞り加工等で塑性加工することによって形成されてもよい。切欠部29Aは、外周面25A側を向く第1面29xと、側面23Aを向く第2面29yとを有している。第1面29xは、内周面24と略平行に延在し、第2面29yは側面22,23Aと略平行に延在している。このため、第1面29xと第2面29yとがなす角は、略直角になっている。第2面29yと外周面25Aとがなす下端ダレ部27Aは、セカンドリング20の下端ダレ部27と同様に構成されている。セカンドリング20Aは、いわゆるスクレーパカット形状を呈している。
別の例として、図11は、別の変形例に係るセカンドリングの断面図である。図11に示されるように、セカンドリング20Bの外周面25Bでは、切欠部29Bの第2面29zは、本体部21Bの側面23Aに対して非平行となっている。第2面29zは、セカンドリング20Bの径方向外側に向かうにつれて側面23A側に近付くように傾斜している。第2面29zと外周面25Bとがなす下端ダレ部27Bは、セカンドリング20の下端ダレ部27と同様に構成されている。セカンドリング20Bは、いわゆるナピアカット形状を呈している。なお、セカンドリング20Bでは、面取部26aに代えて、テーパ面26よりも幅方向に対して大きく傾斜する傾斜面26bが設けられていてもよい。
上記実施形態では、オイルリング30の外周面35,36は、頂点38を境に幅方向に対称な対称バレル形状となっていたが、この例に限定されない。例えば、図12(a)は、変形例に係るオイルリングの外周面の拡大断面図である。サイドレール31Aの外周面35Aは、幅方向に略平行な当たり面37Aと、当たり面37Aの上端から燃焼室側に延在する傾斜面37Bと、を含んでいる。傾斜面37Bは、当たり面37Aに対して燃焼室側において、燃焼室側に向かって径が小さくなる(縮径される)。サイドレール31Aの外周面35Aは、いわゆるテーパレール形状を呈している。
別の例として、図12(b)は、別の変形例に係るオイルリングの外周面の拡大断面図である。サイドレール31Bは、外周面35Bと、側面33,34と、外周面35Bと側面33の間の傾斜面35xと、外周面35Bと側面34の間の傾斜面35yとを有する。外周面35B、傾斜面35x、及び、傾斜面35yは、一例として、軸方向の断面において上下対称の形状を有している。サイドレール31Bの外周面35Bは、いわゆるバレット形状を呈している。例えば、外周面35Bの先端部は、所定の曲率半径の円弧面で構成されている。傾斜面35xは、軸方向の断面において、外周面35Bの先端部をなす円弧面の側面33側の端部から側面33の径方向最外部までを直線状に結んで傾斜する面である。傾斜面35yは、軸方向の断面において、外周面35Bの先端部をなす円弧面の側面34側の端部から側面34の径方向最外部までを直線状に結んで傾斜する面である。軸方向と直交する面と傾斜面35x,35yのなす角度は、例えば、30~50°であってもよい。
図13は、図12のオイルリングの平均油膜厚さを図示するグラフである。図13の横軸は図12(a)及び図12(b)のオイルリング30A,30Bのサイドレール31A,31Bの外周面形状に対応しており、縦軸はサイドレール31,32の外周面35A,35Bとシリンダ内周面4との間の平均油膜厚さである。図13に示されるように、図12(a)のテーパレール形状のサイドレール31A及び図12(b)バレット形状のサイドレール31Bは、ともに、平均油膜厚さが0.1μmよりも小さい。よって、図4(b)のオイルリング30のにおけるダレ量が10μmの場合よりも、平均油膜厚さが小さいことから、図12(a)及び図12(b)のオイルリング30A,30Bによれば、シリンダ内周面4の潤滑油を掻き落しやすく油膜が薄くなりやすくなる。
ちなみに、複数のピストンリング1のシリンダ内周面4に対する合計面圧を高めることで、シリンダ内周面4の潤滑油を掻き落しやすくし、摺接部において摩擦熱が増大させ、有機モリブデン系摩擦調整剤からフィルム状の二硫化モリブデン等が形成されやすくてもよい。ここでの合計面圧Pは、下式(1)により算出される各ピストンリング1の面圧を、全ての複数のピストンリング1について加算して得られる値である。オイルリング30についてはサイドレール31,32の両方の和が用いられる。下式(1)において、Pは当該ピストンリング1の外周の面圧であり、Ftは当該ピストンリング1の張力であり、Dはシリンダボアの直径であり、h1は当該ピストンリング1の幅寸法である。
Figure 2024109044000002
例えば、複数のピストンリング1のシリンダ内周面4に対する合計面圧Pは、0.85MPa以上5.5MPa以下であってもよい。複数のピストンリング1のリングセットのシリンダ内周面4に対する合計面圧Pは、1.5MPa以上5.5MPa以下であってもよい。図14は、図1の複数のピストンリングのリングセットの合計面圧Pと平均油膜厚さとの関係を図示するグラフである。図14の横軸は複数のピストンリング1のリングセットの合計面圧Pであり、縦軸はリングセットとシリンダ内周面4との間の平均油膜厚さである。このリングセットの平均油膜厚さとは、トップリング10、セカンドリング20、及び、オイルリング30(一対のサイドレール31,32)についての4つの平均油膜厚さを更に平均した値である。図14に示されるように、リングセットの合計面圧Pが大きくなるほど、リングセットとシリンダ内周面4との間の平均油膜厚さが小さくなる傾向があることがわかる。この傾向は、リングセットの合計面圧Pが大きくなるほど、複数のピストンリング1の外周面がシリンダ内周面4に向かって押し付けられることから、シリンダ内周面4の潤滑油を掻き落しやすく油膜が薄くなりやすいことに対応する。例えば、トップリング10、セカンドリング20、及び、オイルリング30のシリンダ内周面4に対する合計面圧Pが0.85MPa以上である場合、合計面圧Pが0.85MPa未満である場合と比べてシリンダ内周面4の油膜が薄くなるため、摺接部において有機モリブデン系摩擦調整剤からフィルム状の二硫化モリブデン等が形成される現象が一層発現しやすくなる。
また、トップリング10の外周面15、セカンドリング20の外周面25、及び、オイルリング30の外周面35,36と、シリンダ内周面4と、の合成粗さを高めることで、シリンダ内周面4の潤滑油を掻き落しやすくし、摺接部において摩擦熱が増大させ、有機モリブデン系摩擦調整剤からフィルム状の二硫化モリブデン等が形成されやすくてもよい。ここでの合成粗さRaは、下式(2)により算出される左辺のσであり、各ピストンリング1ごとに算出することができる。下式(2)において、σrは当該ピストンリング1の外周粗さRaであり、σlはシリンダ内周面4の内周粗さRaである。合成粗さRaは、ピストンリング1の未使用状態(加工直後の状態又は新品出荷状態)の値として算出される。
Figure 2024109044000003
例えば、合成粗さRaは、Ra0.1μm以上Ra0.5μm以下であってもよい。図15は、図1の複数のピストンリングの外周面及びシリンダ内周面の合成粗さと平均油膜厚さとの関係を図示するグラフである。図15の横軸は合成粗さRaであり、縦軸は複数のピストンリングのリングセットのFMEP(Friction Mean Effective Pressure)である。図15に示されるように、合成粗さRaがRa0.1μm以上Ra0.5μm以下の場合、当該ピストンリング1の外周面の粗さによってシリンダ内周面4との微小な接触(突起接触)が発生しやすくなり、当該ピストンリング1の外周面のFMEP(すなわち摩擦力)が高くなる傾向がある。これにより、摩擦熱が発生しやすくなり、摺接部において有機モリブデン系摩擦調整剤からフィルム状の二硫化モリブデン等が形成される現象が一層発現しやすくなる。
上記実施形態では、トップリング10、セカンドリング20、及び、オイルリング30の全てについて、ピストン摺動速度が低速となる状況であっても低摩擦化及び低摩耗化に有効となるピストンリングの外周面の形状を採用していたが、この例に限定されない。トップリング10、セカンドリング20、及び、オイルリング30のうちの少なくとも一つのピストンリング1について、このような外周面の形状を採用していればよい。例えば、トップリング及び/又はセカンドリングの圧力リングについて、上記実施形態及び変形例のような外周面の形状を採用し、オイルリングについては公知の外周面の形状を採用してもよい。あるいは、オイルリングについて、上記実施形態及び変形例のような外周面の形状を採用し、トップリング及びセカンドリングの圧力リングの少なくとも一方については公知の外周面の形状を採用してもよい。
上記実施形態では、トップリング10、セカンドリング20、及び、オイルリング30の全てについて、ピストンリング1の外周面にクロムを含む皮膜が形成されていたが、この例に限定されない。トップリング10、セカンドリング20、及び、オイルリング30の少なくとも一つについてクロム以外の皮膜(例えばDLC膜)が形成されていてもよい。なお、オイルリング30について上記実施形態及び変形例のような外周面の形状を採用する場合には、オイルリング30の外周面にクロムを含む皮膜が形成されていてもよい。この場合、複数のピストンリング1のうちシリンダ内周面4に対する面圧が高くされる傾向があるオイルリング30の外周面にクロム分が存在することにより、オイルリング30の摺接部において有機モリブデン系摩擦調整剤からフィルム状の二硫化モリブデン等が形成される現象が効果的に発現しやすくなる。
上記実施形態では、例えばトップリング10の場合、湾曲面16は、例えば、側面12の径方向外側の端部と側面13の径方向外側の端部とを両端とする円弧面となっていたが、この例に限定されず、摺接部から離れた外周面の形状が変形されてもよい。例えば、湾曲面16の上端と、側面12の径方向外側の端部との間に、湾曲面16とは異なる円弧面又は直線状のテーパ面等を含む接続面が介在してもよい。湾曲面16の下端と、側面13の径方向外側の端部との間に、湾曲面16とは異なる円弧面又は直線状のテーパ面等を含む接続面が介在してもよい。他のピストンリング1についても、同様である。
上記実施形態では、オイルリング30は、3ピースのオイルコントロールリングであったが、2ピースのオイルコントロールリングであってもよい。
上記実施形態では、セカンドリング20の側面22,23は、内周面24に略直交していたが、この例に限定されない。例えば、セカンドリングは、側面22,23と内周面24との交差する角部を切り欠くようにインナーカット面を備える態様(いわゆるインナーベベル形状)としてもよい。
トップリング10の側面12,13は、内周面14に略直交していたが、この例に限定されない。例えば、トップリングは、側面12,13と内周面14との交差する角部を切り欠くようにインナーカット面を備える態様(いわゆるインナーベベル形状)としてもよい。また、トップリングは、側面12,13と外周面15,15Aとの交差する角部を切り欠くようにバランスカット面を備える態様(いわゆるバランスカット形状)としてもよい。
1…ピストンリング、2…リング溝、3…ピストン、4…シリンダ内周面、10,10A…トップリング(圧力リング)、15,15A,25,25A,25B,35,35A,35B,36…外周面、15M,25M,35M…中央部、16,16A,37…湾曲面、17,17A,28,38…頂点、20,20A,20B…セカンドリング(圧力リング)、30,30A,30B…オイルリング、100…摺動機構。

Claims (7)

  1. 自動的に一時停止可能なエンジンに適用されるピストンとシリンダ内周面との間の摺動機構であって、
    前記エンジンの潤滑油は、有機モリブデン系摩擦調整剤を含有しており、
    前記ピストンの複数のリング溝にそれぞれ組み付けられる複数のピストンリングを備え、
    複数の前記ピストンリングは、環状の圧力リングと、環状のオイルリングと、を有し、
    前記オイルリングの一対の外周面のそれぞれは、径方向外側に向かって凸状に湾曲する断面形状の湾曲面を含み、
    前記オイルリングの前記湾曲面の径方向最外点である頂点は、前記オイルリングの軸方向における前記オイルリングの前記外周面の中央部に配置されており、
    前記オイルリングの前記湾曲面は、前記オイルリングの前記頂点から前記オイルリングの軸方向の両側にそれぞれ0.075mm離れると共に径方向内側に10μm以上の落差にて位置する一対の点を通る円弧面をなしており、
    前記圧力リングの外周面は、下記の(1)又は(2)のように構成されている、摺動機構。
    (1)前記圧力リングの前記外周面は、径方向外側に向かって突出しており、
    前記圧力リングの前記外周面の径方向最外点である頂点は、前記圧力リングの軸方向において前記圧力リングの前記外周面の中央部よりも前記ピストンの下死点側に配置されている。
    (2)前記圧力リングの前記外周面は、径方向外側に向かって凸状に湾曲する断面形状の湾曲面を含み、
    前記圧力リングの前記湾曲面の径方向最外点である頂点は、前記圧力リングの軸方向において前記圧力リングの前記外周面の中央部又は前記圧力リングの前記中央部よりも前記ピストンの下死点側に配置されており、
    前記圧力リングの前記湾曲面は、前記圧力リングの前記頂点から前記圧力リングの軸方向の両側にそれぞれ0.3mm離れると共に径方向内側に2μm以上の落差にて位置する一対の点を通る円弧面をなしている。
  2. 前記圧力リングの前記外周面及び前記オイルリングの前記外周面には、クロムを含む皮膜が形成されている、請求項1に記載の摺動機構。
  3. 複数の前記ピストンリングの前記シリンダ内周面に対する合計面圧は、0.85MPa以上5.5MPa以下である、請求項1又は2に記載の摺動機構。
  4. 前記圧力リングの前記外周面及び前記オイルリングの前記外周面と、前記シリンダ内周面と、の合成粗さは、Ra0.1μm以上Ra0.5μm以下である、請求項1又は2に記載の摺動機構。
  5. 自動的に一時停止可能なエンジンに適用されるピストンとシリンダ内周面との間の摺動機構であって、
    前記エンジンの潤滑油は、有機モリブデン系摩擦調整剤を含有しており、
    前記ピストンの複数のリング溝にそれぞれ組み付けられる複数のピストンリングを備え、
    複数の前記ピストンリングは、外周面が下記の(1)又は(2)のように構成された環状の圧力リングを有する、摺動機構。
    (1)前記圧力リングの前記外周面は、径方向外側に向かって突出しており、
    前記圧力リングの前記外周面の径方向最外点である頂点は、前記圧力リングの軸方向において前記圧力リングの前記外周面の中央部よりも前記ピストンの下死点側に配置されている。
    (2)前記圧力リングの前記外周面は、径方向外側に向かって凸状に湾曲する断面形状の湾曲面を含み、
    前記圧力リングの前記湾曲面の径方向最外点である頂点は、前記圧力リングの軸方向において前記圧力リングの前記外周面の中央部又は前記圧力リングの前記中央部よりも前記ピストンの下死点側に配置されており、
    前記圧力リングの前記湾曲面は、前記圧力リングの前記頂点から前記圧力リングの軸方向の両側にそれぞれ0.3mm離れると共に径方向内側に2μm以上の落差にて位置する一対の点を通る円弧面をなしている。
  6. 自動的に一時停止可能なエンジンに適用されるピストンとシリンダ内周面との間の摺動機構であって、
    前記エンジンの潤滑油は、有機モリブデン系摩擦調整剤を含有しており、
    前記ピストンの複数のリング溝にそれぞれ組み付けられる複数のピストンリングを備え、
    複数の前記ピストンリングは、一対の外周面を含む環状のオイルリングを有し、
    前記オイルリングの一対の外周面のそれぞれは、径方向外側に向かって凸状に湾曲する断面形状の湾曲面を含み、
    前記オイルリングの前記湾曲面の径方向最外点である頂点は、前記オイルリングの軸方向における前記オイルリングの前記外周面の中央部に配置されており、
    前記オイルリングの前記湾曲面は、前記オイルリングの前記頂点から前記オイルリングの軸方向の両側にそれぞれ0.075mm離れると共に径方向内側に10μm以上の落差にて位置する一対の点を通る円弧面をなしている、摺動機構。
  7. 前記オイルリングの前記外周面には、クロムを含む皮膜が形成されている、請求項6に記載の摺動機構。

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