JP2024096106A - 非半径方向のクランプ機能部を備えたアセンブリおよび電動コンプレッサ - Google Patents
非半径方向のクランプ機能部を備えたアセンブリおよび電動コンプレッサ Download PDFInfo
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Abstract
【課題】効率が高く、低騒音、かつ耐用期間が最大である電動コンプレッサを提供する。
【解決手段】電動コンプレッサ10は、ハウジング22、24、冷媒入口ポート68、冷媒出口ポート70、インバータモジュール、モータ、駆動軸90、クランプ機構、および圧縮装置18を含んでいる。冷媒入口ポートは、ハウジングに連結されていて、冷媒を吸込容積へと導入するように構成されている。冷媒出口ポートは、ハウジングに連結されていて、圧縮された冷媒が吐出容積を出ることができるように構成されている。インバータモジュールは、直流電力を交流電力に変換するように適合されている。モータは、ハウジングの内側に取り付けられている。複数のクランプ機構は、モータの外径の周囲に離間されて配置されていて、モータをハウジング内に拘束するように構成されている。
【選択図】図9
【解決手段】電動コンプレッサ10は、ハウジング22、24、冷媒入口ポート68、冷媒出口ポート70、インバータモジュール、モータ、駆動軸90、クランプ機構、および圧縮装置18を含んでいる。冷媒入口ポートは、ハウジングに連結されていて、冷媒を吸込容積へと導入するように構成されている。冷媒出口ポートは、ハウジングに連結されていて、圧縮された冷媒が吐出容積を出ることができるように構成されている。インバータモジュールは、直流電力を交流電力に変換するように適合されている。モータは、ハウジングの内側に取り付けられている。複数のクランプ機構は、モータの外径の周囲に離間されて配置されていて、モータをハウジング内に拘束するように構成されている。
【選択図】図9
Description
関連出願に関する相互参照
本出願は、本出願と同日に出願された米国特許出願第(n/a)号明細書に関し、その全内容は、引用したことにより本明細書に組み込まれるものとする(代理人整理番号:MAHLE-P0012)。
本出願は、本出願と同日に出願された米国特許出願第(n/a)号明細書に関し、その全内容は、引用したことにより本明細書に組み込まれるものとする(代理人整理番号:MAHLE-P0012)。
技術分野
本発明は、概して、電動コンプレッサに関し、より具体的には、スクロール型圧縮装置を使用して冷媒を圧縮する電動コンプレッサに関する。
本発明は、概して、電動コンプレッサに関し、より具体的には、スクロール型圧縮装置を使用して冷媒を圧縮する電動コンプレッサに関する。
背景技術
コンプレッサは、長い間、冷却システムで使用されてきた。特に、旋回スクロールが、円運動で、固定スクロールに対して相対的に回転させられて冷媒を圧縮するスクロール型コンプレッサは、特定の領域に冷却を提供するように設計されたシステムで使用されてきた。例えば、このようなスクロール型コンプレッサは、長い間、乗用車などの自動車のHVACシステムにおいて、空調を提供するために使用されてきた。このようなコンプレッサは、逆に、ヒートポンプを必要とする用途でも使用することができる。一般的に、これらのコンプレッサは、自動車のエンジンに由来する回転運動を用いて駆動される。
コンプレッサは、長い間、冷却システムで使用されてきた。特に、旋回スクロールが、円運動で、固定スクロールに対して相対的に回転させられて冷媒を圧縮するスクロール型コンプレッサは、特定の領域に冷却を提供するように設計されたシステムで使用されてきた。例えば、このようなスクロール型コンプレッサは、長い間、乗用車などの自動車のHVACシステムにおいて、空調を提供するために使用されてきた。このようなコンプレッサは、逆に、ヒートポンプを必要とする用途でも使用することができる。一般的に、これらのコンプレッサは、自動車のエンジンに由来する回転運動を用いて駆動される。
バッテリ駆動車両もしくは電気自動車、および/または場合によってはバッテリのみによって車両に電力が供給されことがあるハイブリッド自動車の登場に伴い、このようなコンプレッサは、エンジンではなくバッテリによって駆動または電力が供給されなければならない。このようなコンプレッサは、電動コンプレッサと呼ばれてもよい。
自動車の客室の冷却に加えて、電動コンプレッサは、自動車の他の領域または構成要素を加熱または冷却するために使用することができる。例えば、バッテリが充電されていて、特に高速充電モード中に、これにより、バッテリおよび/または他のシステムを損傷または劣化させる可能性がある熱が発生する場合に、電子システムおよびバッテリまたはバッテリ隔室を加熱または冷却することが望ましい場合がある。バッテリが充電中ではなく、または使用されていない場合でも、熱はバッテリを損傷または劣化させる可能性があるので、バッテリを冷却するために電動コンプレッサが使用されることもある。電動コンプレッサは、自動車が動作していない場合であっても種々の時点で動作可能であり、このような使用は、明らかにバッテリからの電気エネルギを必要とするので、バッテリの動作時間を減じる。
さらに、電動コンプレッサは、極めて高速で、例えば2000RPM(またはそれ以上)で稼働することがある。このような高速は、望ましくないレベルの騒音を発生させる可能性がある。
概して、従来技術による電動コンプレッサは、モータと、冷媒を圧縮するためにモータにより駆動される圧縮装置とを含む、コンプレッサの構成要素を収容するためのハウジングを有している。モータのステータであってもよい、モータの外側ハウジングは、コンプレッサのハウジングに対して所定の位置に保持されなければならない。いくつかの従来技術によるコンプレッサでは、半径方向のクランプ力が、ステータの外径の全部または一部に沿って加えられる。半径方向のクランプ力は、ステータの外径とハウジングの内径との間の、300μm以上の締め代によって与えられてもよい。このような高い半径方向のクランプ力により、ステータのジオメトリにおける歪みが生じることがあり、これは、コンプレッサにおける非効率を増大させることがあり、かつコンプレッサによって発生させられる騒音を増大させることがある。
図21Aおよび図22Aが参照され、この図では、ステータが、締り嵌めにより加えられる半径方向のクランプ力によりコンプレッサハウジングに対して位置保持されている。コンプレッサは、例えば、ハウジングの内径を増大させるためにハウジングを加熱することにより、組み立てることができる。次いでモータが、ハウジングの内側キャビティ内に挿入され、締り嵌めを形成するために、ハウジングを冷却することができる。図21A~図21Bに示されているように、これにより、ステータの半径または外径において歪みまたは変化が生じるおそれがある。図22Aは縮尺通りではない。ステータの半径に対する歪みは、例示目的で誇張されている。図示した実施形態では、ステータの半径は、約(-91)μm~約(+49)μmの範囲内で変化した。
したがって、効率が高く、低騒音、かつ耐用期間が最大である電動コンプレッサが提供されることが望ましい。
本発明は、上述した課題または利点の1つ以上を目標とする。
発明の簡単な概要
本発明の第1の実施形態では、冷媒を圧縮するように構成された電動コンプレッサが提供される。この電動コンプレッサは、ハウジング、冷媒入口ポート、冷媒出口ポート、インバータモジュール、モータ、駆動軸、複数のクランプ機構、および圧縮装置を含んでいる。ハウジングは、吸込容積と吐出容積とを画定し、ほぼ円筒形状を有していて中心軸線を有している。冷媒入口ポートは、ハウジングに連結されていて、冷媒を吸込容積へと導入するように構成されている。冷媒出口ポートは、ハウジングに連結されていて、圧縮された冷媒が吐出容積から電動コンプレッサを出ることができるように構成されている。インバータモジュールは、ハウジングの内側に取り付けられていて、直流電力を交流電力に変換するように適合されている。モータは、ハウジングの内側に取り付けられている。駆動軸は、モータに連結されている。複数のクランプ機構は、モータの外径の周囲に離間されて配置されていて、モータをハウジング内に拘束するように構成されている。駆動軸に連結された圧縮装置は、吸込容積から冷媒を受け取り、駆動軸がモータによって回転させられるときに冷媒を圧縮する。
本発明の第1の実施形態では、冷媒を圧縮するように構成された電動コンプレッサが提供される。この電動コンプレッサは、ハウジング、冷媒入口ポート、冷媒出口ポート、インバータモジュール、モータ、駆動軸、複数のクランプ機構、および圧縮装置を含んでいる。ハウジングは、吸込容積と吐出容積とを画定し、ほぼ円筒形状を有していて中心軸線を有している。冷媒入口ポートは、ハウジングに連結されていて、冷媒を吸込容積へと導入するように構成されている。冷媒出口ポートは、ハウジングに連結されていて、圧縮された冷媒が吐出容積から電動コンプレッサを出ることができるように構成されている。インバータモジュールは、ハウジングの内側に取り付けられていて、直流電力を交流電力に変換するように適合されている。モータは、ハウジングの内側に取り付けられている。駆動軸は、モータに連結されている。複数のクランプ機構は、モータの外径の周囲に離間されて配置されていて、モータをハウジング内に拘束するように構成されている。駆動軸に連結された圧縮装置は、吸込容積から冷媒を受け取り、駆動軸がモータによって回転させられるときに冷媒を圧縮する。
本発明の第2の実施形態では、ハウジング、モータ、駆動軸、および複数のクランプ機構を有しているアセンブリが提供される。ハウジングは、ほぼ円筒形状を有していて中心軸線を有している。モータは、ハウジングの内側に取り付けられている。駆動軸は、モータに連結されている。複数のクランプ機構は、モータの外径の周囲に離間されて配置されていて、モータをハウジング内に拘束するように構成されている。
本発明の第3の実施形態では、中心軸線を有していて、冷媒を圧縮するように構成された電動コンプレッサが提供される。このコンプレッサは、ハウジング、冷媒入口ポート、冷媒出口ポート、インバータセクション、モータセクション、圧縮装置、および複数のクランプ機構を含んでいる。
ハウジングは、吸込容積と吐出容積とを画定している。冷媒入口ポートは、ハウジングに連結されていて、冷媒を吸込容積へと導入するように構成されている。冷媒出口ポートは、ハウジングに連結されていて、圧縮された冷媒が吐出容積から電動コンプレッサを出ることができるように構成されている。
インバータセクションは、インバータハウジングと、インバータ背面カバーと、インバータモジュールとを含む。インバータ背面カバーは、インバータハウジングに接続されていて、インバータキャビティを形成する。インバータモジュールは、インバータキャビティの内側に取り付けられていて、直流電力を交流電力に変換するように適合されている。
モータセクションは、駆動軸とモータとを含んでいる。駆動軸は、ハウジング内に位置していて、第1および第2の端部を有し、中心軸線を規定している。モータは、中心軸線を中心として駆動軸を制御可能に回転させるようにハウジング内に配置されている。
圧縮装置は、吸込容積から冷媒を受け取り、駆動軸がモータによって回転させられるときに冷媒を圧縮するために駆動軸に連結されている。圧縮装置は、固定スクロールと旋回スクロールとを含む。固定スクロールは、ハウジング内に配置されていて、ハウジングに対して相対的に固定されている。旋回スクロールは、駆動軸に連結されている。旋回スクロールと固定スクロールとは、吸込容積から冷媒を受け取り、駆動軸が中心軸線を中心として回転するときに冷媒を圧縮するための圧縮チャンバを形成している。
複数のクランプ機構は、モータの外径の周囲に離間されて配置されていて、モータをハウジング内に拘束するように構成されている。
本発明のこれらの特徴およびその他の特徴および利点は、以下の詳細な説明および添付の図面に関連して考慮されるとき、より容易に認められるであろう。
発明の詳細な説明
図1A~図20Dを参照すると、複数の図を通じて同様の符号は同じまたは対応する部分を示しており、外側ハウジング12を有する電動コンプレッサ10が設けられている。電動コンプレッサ10は、特に、乗用車(図示せず)などの自動車に適している。電動コンプレッサ10は、車両の様々な側面を加熱および/または冷却する冷却装置として、または(逆に)加熱ポンプとして使用されてもよい。例えば、電動コンプレッサ10は、客室を冷却または加熱するために、電気自動車(図示せず)における暖房、換気および空調(HVAC)システムの一部として使用されてもよい。さらに、電動コンプレッサ10は、例えば充電サイクル中、車両が運転されていない間に、客室、車載電子機器、および/または車両に電力を供給するために使用されるバッテリを加熱または冷却するために使用されてもよい。電動コンプレッサ10は、さらに、車両が運転されていない間に、かつバッテリが、バッテリの耐用期間を維持するために、またはバッテリの劣化を最小限にするために、充電されない間に使用されてもよい。図示した実施形態では、電動コンプレッサ10は、36立方センチメートル(cc)の容量を有する。容量とは、圧縮装置のスクロールが最初に閉じられるかまたは接触する際に(下記参照)圧縮装置内に捕捉される初期容積を指す。本明細書に開示された電動コンプレッサ10は、このようないかなる容積にも限定されるものではなく、特定の所要の仕様を満たすようにサイズ決めまたは寸法設定されてもよいことに留意すべきである。
図1A~図20Dを参照すると、複数の図を通じて同様の符号は同じまたは対応する部分を示しており、外側ハウジング12を有する電動コンプレッサ10が設けられている。電動コンプレッサ10は、特に、乗用車(図示せず)などの自動車に適している。電動コンプレッサ10は、車両の様々な側面を加熱および/または冷却する冷却装置として、または(逆に)加熱ポンプとして使用されてもよい。例えば、電動コンプレッサ10は、客室を冷却または加熱するために、電気自動車(図示せず)における暖房、換気および空調(HVAC)システムの一部として使用されてもよい。さらに、電動コンプレッサ10は、例えば充電サイクル中、車両が運転されていない間に、客室、車載電子機器、および/または車両に電力を供給するために使用されるバッテリを加熱または冷却するために使用されてもよい。電動コンプレッサ10は、さらに、車両が運転されていない間に、かつバッテリが、バッテリの耐用期間を維持するために、またはバッテリの劣化を最小限にするために、充電されない間に使用されてもよい。図示した実施形態では、電動コンプレッサ10は、36立方センチメートル(cc)の容量を有する。容量とは、圧縮装置のスクロールが最初に閉じられるかまたは接触する際に(下記参照)圧縮装置内に捕捉される初期容積を指す。本明細書に開示された電動コンプレッサ10は、このようないかなる容積にも限定されるものではなく、特定の所要の仕様を満たすようにサイズ決めまたは寸法設定されてもよいことに留意すべきである。
図示した実施形態では、電動コンプレッサ10は、自動車、例えば電気自動車またはハイブリッド自動車の様々なシステムにおいて使用するために、冷媒を迅速かつ効率的に圧縮するように動作するスクロール式コンプレッサである。電動コンプレッサ10は、外側ハウジング12内に含まれるインバータセクション14、モータセクション16、および圧縮装置(または圧縮アセンブリ)18を含む。外側ハウジング12は、インバータ背面カバー20、インバータハウジング22、中央ハウジング24、およびフロントカバー28(吐出ヘッドとも称されてもよい)を含む。中央ハウジング24は、モータセクション16と圧縮装置28とを収容している。
本発明の1つの態様では、電動コンプレッサ10は、モータセクション16を外側ハウジング12内に拘束するように構成された、モータセクション16の外径の周囲に離間されて配置された複数のクランプ機構170を有している(下記参照)。
インバータ背面カバー20、インバータハウジング22、中央ハウジング24、およびフロントカバー28は、機械加工されたアルミニウムから構成されていてもよい。インバータ10は、例えば、自動車のボディ内に、複数の取付け点120を介して取り付けられてもよい。
電動コンプレッサ10の一般的な配置および動作
インバータ背面カバー20とインバータハウジング22とが、インバータキャビティ30を形成する。インバータ背面カバー20は、複数のボルト32によってインバータハウジング22に取り付けられている。インバータ背面カバー20とインバータハウジング22とは、インバータ背面カバー20の開口部36と、インバータハウジング22の開口部38とを貫通して延在し、中央ハウジング24のねじ山付き開口40に螺合する複数のボルト34によって中央ハウジング24に取り付けられている。インバータ背面カバー20とインバータハウジング22との間に位置するインバータガスケット42が、内部キャビティ30を、水分、埃、およびその他の汚染物質に対して保護している。周囲に対する冷媒シールを提供し維持するために、インバータハウジング22と中央ハウジング24との間には、モータガスケット54Bが配置されている。
インバータ背面カバー20とインバータハウジング22とが、インバータキャビティ30を形成する。インバータ背面カバー20は、複数のボルト32によってインバータハウジング22に取り付けられている。インバータ背面カバー20とインバータハウジング22とは、インバータ背面カバー20の開口部36と、インバータハウジング22の開口部38とを貫通して延在し、中央ハウジング24のねじ山付き開口40に螺合する複数のボルト34によって中央ハウジング24に取り付けられている。インバータ背面カバー20とインバータハウジング22との間に位置するインバータガスケット42が、内部キャビティ30を、水分、埃、およびその他の汚染物質に対して保護している。周囲に対する冷媒シールを提供し維持するために、インバータハウジング22と中央ハウジング24との間には、モータガスケット54Bが配置されている。
図11を参照すると、インバータ背面カバー20とインバータハウジング22とによって形成されたインバータキャビティ30内に取り付けられるインバータモジュール44が示されている。インバータモジュール44は、インバータハウジング22に取り付けられたプリント回路基板48上に取り付けられたインバータ回路46を含む。インバータ回路46は、電動コンプレッサ10の外部から受け取った直流(DC)電力を、三相交流(AC)電力に変換して、モータ54に供給/電力供給する(下記参照)。インバータ回路46は、電動コンプレッサ10の回転速度も制御する。インバータ回路46には、高電圧コネクタ50を介して高電圧の直流電流が供給される。インバータ回路46を駆動するための低電圧の直流電流、ならびにインバータ回路46およびモータセクション16の動作を制御するための制御信号は、低電圧コネクタ52を介して供給される。
中央ハウジング24は、モータキャビティ56を形成している。モータセクション16は、モータキャビティ56内に配置されたモータ54を含む。モータキャビティ56は、インバータハウジング22のモータ側22Aと、中央ハウジング22の内面24Aとによって形成される。特に図12を参照すると、モータ54は、ステータ60を有する三相交流モータである。ステータ60は、6個の個別コイル(各相に2個)を有するほぼ中空円筒形状を有している。ステータ60は、モータハウジング22内に収容されていて、モータハウジング22に取り付けられており、モータハウジング22に対して相対的に定置に維持される。
モータ54は、ステータ58内に配置されていて、ステータ58に対して中心合わせされたロータ60を含む。ロータ60は、ほぼ中空円筒形状を有していて、ステータ60内に配置されている。ロータ60は、ロータに固定された複数のバランスカウンタウェイト60A,60Bを有する。バランスカウンタウェイトは、モータ54が圧縮装置18を駆動するときにモータ54の釣合いをとり、バランスカウンタウェイトは、真鍮から機械加工されていてもよい。
モータ54には、Oリング54Bによってモータキャビティ56に対してシールされている端子54Aのセットを介して電力が供給される。
ロータ60には駆動軸90が連結されていて、駆動軸は、ロータと共に回転する。図示した実施形態では、駆動軸90は、ロータ60の中央開口60C内にプレス嵌めされている。駆動軸90は、第1の端部90Aと第2の端部90Bとを有している。インバータハウジング22は、インバータハウジング22のモータ側に配置された第1の駆動軸支持部材22Bを含む。第1の駆動軸支持部材22によって形成された開口部内に位置している第1のボールベアリング62は、駆動軸90の第1の端部を支持し、駆動軸90の第1の端部の回転を可能にする。中央ハウジング24は、第2の駆動軸支持部材24Aを含む。第2の駆動軸支持部材24Aによって形成された開口部内に位置している第2のボールベアリング64は、駆動軸90の第2の端部90Bの回転を可能にする。図示した実施形態では、第1および第2のボールベアリング62,64は、インバータハウジング22の第1の駆動軸支持部材22によって形成された開口部、および中央ハウジング24の第2の駆動軸支持部材24Aによって形成された開口部にそれぞれプレス嵌めされている。
上述したように、電動コンプレッサ10は、スクロール式コンプレッサである。圧縮装置18は、固定スクロール26と旋回スクロール66とを含む。旋回スクロール66は、ロータ60Bの第2の端部に固定されている。駆動軸90を備えたロータ60は、旋回スクロール66を、インバータモジュール44の制御下で回転運動するように駆動するように回転する。
図14A、図14B、図16Aおよび図16Bを参照すると、駆動軸90は、中心軸線90Cを有していて、この中心軸線を中心にロータ60および駆動軸90が回転させられる。旋回スクロール66は、旋回スクロール66の向きを固定スクロール26に対して一定に維持しながら、偏心軌道において、すなわち円運動で中心軸線90Cを中心として運動する。旋回スクロール66の中心は、駆動軸90の第2の端部90Dに配置された旋回スクロール開口(または駆動ピン位置)90E(図14A参照)によって規定される、駆動軸90のオフセット軸線90Dに沿って位置している。モータ54によって駆動軸90が回転させられると、旋回スクロール66は、駆動軸90が中心軸線60Cを中心として回転するとき、駆動ピン126と、旋回リンク機構124の駆動ハブと、ベアリング108とを介して、旋回スクロール開口90Eの動きに追従する。
特に図1、図2および図9を参照すると、混合された冷媒およびオイルは(低圧で)、冷媒入口ポート68を介して電動コンプレッサ10に入り、圧縮装置18によって圧縮された後、冷媒出口ポート70を介して(高圧で)電動コンプレッサ10から出る。図9の断面図に示されたように、冷媒は、電動コンプレッサ10を通る冷媒経路72をたどる。図示されたように、冷媒は冷媒入口ポート68に入り、インバータハウジング22のモータ側22Aと冷媒入口ポート68に隣接するセンターハウジング24との間に形成された吸込容積74に入る。次いで、冷媒は、モータセクション16を通って引き込まれ、固定スクロール26の内壁と旋回スクロール66との間に形成された圧縮吸込容積76に進入する(図14Aにおいて矢印92によって示されている)。
固定スクロール26は、中央ハウジング24内に取り付けられている。図9および図13に示されたように、固定スクロール26は、固定スクロールベース26Aと、固定スクロールベース26Aから離れるように旋回スクロール66に向かって延在する固定スクロールラップ26Bとを有している。図16A~図16Bに示されたように、旋回スクロール66は、旋回スクロールベース66Aと、旋回スクロールベース66Aから固定スクロール26に向かって延在する旋回スクロールラップ66Bとを有している。ラップ26A,66Aは、各スクロール26A,66Bの外縁に隣接した末端部26C,66Cを有し、それぞれの中心端部26D,66Dに向かって内向きに渦巻を成す。
それぞれ固定スクロール26および旋回スクロール66の上面に位置するスロット26E,66E内には、それぞれ先端シール94が配置されている。先端シール94は、ポリフェニレンサルファイド(PPS)プラスチックなどの可撓性材料から成る。組み立てられると、先端シール94は、対向するベース26A,66Aに対して押し付けられて、これらの間にシールを提供する。1つの実施形態では、スロット26E,66Eは、先端シール94の長さに沿って調節/移動するための空間を提供するために、先端シール94の長さよりも長い。
図17A~図17Iを参照すると、冷媒は、圧縮吸込容積76から圧縮装置12に進入する。図17A~図17Iには、固定スクロール26の断面図および旋回スクロール66の上面図が示されている。
詳細に後述するように、固定スクロールラップ26Aと、旋回スクロールラップ66Aとは、圧縮チャンバ80を形成しており、この中には低圧または非加圧(飽和圧力)の冷媒が圧縮装置12から流入する。圧縮チャンバ80を閉じることができるように旋回スクロール66が移動すると、圧縮チャンバ80の容積が減少して冷媒が加圧される。このサイクル中の任意の1つの時点で、1つ以上の圧縮チャンバ80が、圧縮サイクルの異なる段階にある。下記の説明は、電動コンプレッサ10の1つの完全なサイクルにおける圧縮チャンバ80の1つのセットだけに関する。
冷媒は、旋回スクロールラップ66Aと固定スクロールラップ26Aとの間に形成された圧縮チャンバ80に進入する。コンプレッサ10の1サイクル中に、冷媒は、これらチャンバの中心に向かって搬送される。旋回スクロール66は、電動コンプレッサ10の1サイクル中に、固定スクロール26に対して相対的な、旋回スクロール66の相対位置により形成される、矢印78で示された円運動で旋回する。
図17Aには、サイクルの開始時の旋回スクロール66の位置が示されている。図示されたように、この初期位置では、末端部16B,66Bは、他方のスクロールラップ66B 16Bから離間されている。この時点では、圧縮チャンバ80は圧縮吸込容積76に対して開放されており、これにより、低圧の冷媒が圧縮吸込容積76から圧縮チャンバ80を充填することができる。旋回スクロール66が経路78に沿って移動すると、末端部16A,66Aと他方のスクロール66,16との間のスペースは、圧縮チャンバ80が、圧縮吸込容積76に対して閉じられるまで減少する(図17B~図17E)。旋回スクロール66が、78に沿って移動し続けると、圧縮チャンバ80の容積はさらに減じられ、したがって、両圧縮チャンバ80内の冷媒は加圧される(図17F~図17H)。図17I~図18Jに示されたように、旋回スクロール66が旋回し続けると、2つの圧縮チャンバ80は結合されて、単一の容積となる。この容積は、加圧された冷媒が、圧縮装置18から排出されるまでさらに減じられる(下記参照)。
後述するように、冷媒は、旋回スクロール66と固定スクロール26との壁の間に形成されたチャンバに進入する。コンプレッサ10のこのサイクル中に、冷媒は、これらチャンバの中心に向かって搬送される。旋回スクロール66は、電動コンプレッサ10の1サイクル中に、固定スクロール26に対して相対的な、旋回スクロール66の相対位置により形成される、矢印78で示された円運動で旋回または移動する。
図1に戻るが、フロントカバー28は、吐出容積82を形成する。吐出容積82は、冷媒出口ポート70と連通している。さらに詳しく後述するように、加圧された冷媒は、固定スクロール26における中央オリフィス84Aと2つの側方オリフィス84Bとから圧縮装置18を出る(図18Cおよび図18E参照)。加圧された冷媒の放出は、リード機構86によって制御される。図示した実施形態では、リード機構86は、3つのリード、すなわち、中央オリフィス84Aに対応する中央リード87Aと、2つの側方オリフィス84Bに対応する2つの側方リード87Bとを含む(下記参照)。
図18Dおよび図18Eに示したように、図示した実施形態では、リード機構86は、吐出リード86Aとリード保持体86Bとを含む。吐出リード86Aは、鋼などの可撓性材料から形成される。材料および強度などの特性は、加圧された冷媒が圧縮装置18から放出される圧力を制御するように選択される。リード保持体86Bは、打ち抜かれた鋼などの剛性の、非可撓性材料から形成される。リード保持体86は、固定スクロール26に対して相対的な吐出リード86Aの最大の変位を制御または制限する。通常、オイルはモータセクション16を通って後方に向けられ、ロータ60、駆動軸90およびすべてのベアリング62,64,108など、電動コンプレッサ10の回転部品に潤滑および冷却を提供する。ロータ60の回転により、オイルがモータ54の上部に向かって上方に引き上げられる。ここから、第2のボールベアリング64を潤滑するためにモータ54の内部にオイルが入り、モータセクション16内の回転力によってオイルは、インバータハウジング22のモータ側22Aに衝突することができる。オイルは、さらに後述するように、モータ側22Aによってボールベアリング62内へとさらに向けられる。
図示した実施形態では、リード機構86は、別個の固定具89を介して位置保持または位置固定される。図18Eおよび図18Fに示されたように、リード機構86は、固定スクロール26上の関連するポスト83Aを収容するように構成された複数の開口部86Cを含む。図18Eに示されているように、固定スクロール26の背面は、オリフィス84を取り囲む、冷媒が圧縮装置18を出る際の圧力の調節を支援する縁部83Bを含む。付加的に、リード機構86への干渉を阻止するために、デブリ捕集スロット83Cが、オリフィス84A,84B付近のデブリを捕集する。
図9に示されているように、電動コンプレッサを通流する冷媒の経路が、一点鎖線の矢印72で示されている。
電動コンプレッサ10は、オイル(図示せず)を利用して、圧縮装置18の構成要素とモータ54との間に、例えば、旋回スクロール66と固定スクロール26との間に、およびボールベアリング62,64内に潤滑を提供する。オイルは、圧縮装置18およびモータ54内の冷媒と混合されて、オリフィス84から圧縮装置18を出る。より詳しく後述するように、オイルはフロントカバー28内で、圧縮された冷媒から分離され、圧縮装置18へと戻される。
オイルセパレータ96は、混合されたオイルと冷媒との分離を促進する。図示した実施形態では、オイルセパレータ96は、フロントカバー28に組み込まれている。フロントカバー28は、さらに、オイルが、モータ54と、モータキャビティ56と、圧縮装置18とを通るように再循環させられる前に、オイルセパレータ96からオイルを捕集するオイルリザーバ98を画定する。使用中、電動コンプレッサ10は、概して、図3~図5に示したように、重力が矢印106によって示したように作用し、オイルがオイルリザーバ98内に捕集されるように、方向付けられる。
図9を参照すると、オイルが、電動コンプレッサ10の底部から、圧縮装置18を通って、オリフィス84を出て、フロントカバー28の吐出容積82へと進み、圧縮装置18へと戻る概略的な経路が、矢印88で示されている。
図示した実施形態では、フロントカバー28は、複数のボルト122によって、中央ハウジング24に取り付けられていて、これらのボルトは、中央ハウジングの各開口部に挿入されて、中央ハウジング24の開口部内に螺合させられる。中央ハウジング24と固定スクロール26との間には、固定ヘッドガスケット110とリアヘッドガスケット112とが配置されていて、シールを提供している。
オイルセパレータ96は、混合されたオイルと冷媒との分離を促進する。一般的に、オイルセパレータ96は、混合されたオイルと冷媒とにおけるオイルの一部のみを除去する。分離されたオイルは、オイルリザーバ内に貯蔵され、圧縮装置18を通って戻されるように循環させられ、そこでオイルは冷媒と再び混合される。
図示した実施形態では、オイルセパレータ96は、フロントカバー28に組み込まれている。フロントカバー28は、さらに、オイルが、モータ54と、モータキャビティ56と、圧縮装置18とを通るように再循環させられる前に、オイルセパレータ96からオイルを捕集するオイルリザーバ98を画定する。使用中、電動コンプレッサ10は、概して、図3~図5に示したように、重力が矢印106によって示したように作用し、オイルがオイルリザーバ98内に捕集されるように、方向付けられる。図9を参照すると、オイルが、電動コンプレッサ10の底部から、圧縮装置18を通って、オリフィス84を出て、フロントカバー28の吐出容積82へと進み、圧縮装置18へと戻る概略的な経路が、矢印88で示されている。図示したように、オイルは、圧縮装置18内に引き戻され、そこでオイルは再び冷媒内に混合される、または冷媒と混合される。
上述したように、実際には冷媒とオイルとの混合物である冷媒は、冷媒入口ポート70を介して電動コンプレッサ10に進入する。オイルと冷媒との混合物は、モータセクション16内へと引き込まれ、これにより、ロータ60、駆動軸90など、電動コンプレッサ10の回転部品に潤滑および冷却を提供する。第2のボールベアリング64を潤滑するためにモータ54の内部にオイルと冷媒とが入り、モータセクション16内の回転力によってオイルは、インバータハウジング22のモータ側22Aに衝突することができる。冷媒とオイルとは、さらに後述するように、モータ側22Aによってボールベアリング62内へとさらに向けられる。
旋回リンク機構および駆動軸の同心突出部
特に図13~図18Bを参照すると、本開示の電動コンプレッサ10の第1の態様では、電動コンプレッサ10は、旋回リンク機構124を有し、駆動軸90は、同心突出部126を有する。1つの実施形態では、同心突出部126は、駆動軸90と一体に形成されている。後述するように、旋回リンク機構124は、旋回スクロール66を、偏心軌道で駆動軸90の周りを回転させるために使用される。
特に図13~図18Bを参照すると、本開示の電動コンプレッサ10の第1の態様では、電動コンプレッサ10は、旋回リンク機構124を有し、駆動軸90は、同心突出部126を有する。1つの実施形態では、同心突出部126は、駆動軸90と一体に形成されている。後述するように、旋回リンク機構124は、旋回スクロール66を、偏心軌道で駆動軸90の周りを回転させるために使用される。
従来技術では、駆動軸は、駆動ピンと、別体の偏心ピンとによって旋回リンク機構に連結されていて、これらのピンは両方とも駆動軸に圧入される。駆動ピンは、旋回スクロール66を偏心軌道に沿って動かす旋回リンク機構124を回転させるために使用される。駆動ピンと偏心ピンとは、駆動軸の端部における各開口部内に挿入されている。偏心ピンは、旋回スクロール66が偏心軌道に沿って移動する際に、旋回スクロール66の枢動を制限するために使用される。駆動ピンと偏心ピンとはいずれも、駆動軸の中心軸線に沿って位置していない。駆動軸が回転させられると、駆動ピンと偏心ピンとは、大きな応力下に置かれる。これらの両方のピンは、SAE52100軸受鋼などの硬化した材料から構成されている。さらに、偏心ピンは、旋回スクロール66の偏心軌道の半径方向の動きを制限するために使用されるので、偏心ピンの損傷を防止するためにアルミニウムブシュまたは他の滑り軸受を必要とすることがある。また、従来技術の偏心ピンは、駆動ピンおよび偏心ピンのための正確な開口部を含む、駆動軸90の面における付加的な機械加工を必要とする。
より詳細に後述するように、従来技術の偏心ピンが、同心突出部90Fに置き換えられている。
図示の実施形態では、スクロール型電動コンプレッサ10は、ハウジング12、冷媒入口ポート68、冷媒出口ポート70、駆動軸90、同心突出部90F、モータ54、圧縮装置18、旋回リンク機構124、駆動ピン126およびボールベアリング108を含む。ハウジング12は、吸込容積74と吐出容積82とを画定する。冷媒入口ポート68は、ハウジング12に連結されていて、冷媒を吸込容積74へと導入するように構成されている。冷媒出口ポート70は、ハウジング12に連結されていて、圧縮された冷媒が吐出容積82からスクロール型電動コンプレッサ10を出ることができるように構成されている。駆動軸90は、ハウジング12内に配置されていて、第1および第2の端部90A,90Bを有している。駆動軸90は、中心軸線90Cを定義していて、中心軸線90Cを中心としている。
同心突出部90Fは、駆動軸90の第2の端部90Bに位置していて、中心軸線90Cに同心である。同心突出部90Fは、中心軸線90Cに沿って駆動軸90から離れる方向に延在している。同心突出部90Fは、駆動ピン開口90Eを含む。モータ54は、ハウジング12内に配置されていて、中心軸線90Cを中心として駆動軸90を制御可能に回転させるように、駆動軸90に連結されている。駆動ピン126は、駆動ピン開口90E内に配置されていて、駆動軸90から離れる方向に延在している。駆動ピン126は、同心突出部90Fに対して平行である。
同心ピン90Fはさらに、アンダカット90Gを含んでいてもよく、外面は、表面硬化されてもよいまたはコーティングまたはベアリング面によって後処理されてもよい。同心ピン90Fは、駆動軸90と同時にさらに機械加工されてもよい。
上述したように、圧縮装置18は、固定スクロール26と旋回スクロール66とを含む。固定スクロール26は、ハウジング12内に配置されていて、ハウジング12に対して相対的に固定されている。旋回スクロール66は、駆動軸90に連結されている。旋回スクロール66と固定スクロール26とは、吸込容積74から冷媒を受け取るための、そして駆動軸90が中心軸線90Cを中心として回転するときに冷媒を圧縮するための圧縮チャンバ80(上記参照)を形成する。旋回スクロール66は、内周面66Eを有している。
旋回リンク機構124は、駆動軸90に連結されていて、同心突出部90Fおよび駆動ピン126を受容するための第1および第2の開口部124A,124Bを有している。旋回リンク機構124はさらに、外周面124Cを有している。
旋回スクロール66の内周面66Eと、旋回リンク機構124の外周面124Cとの間に、これらの内周面および外周面のそれぞれに隣接して、ボールベアリング108が配置されている。駆動軸90、駆動ピン126、旋回スクロール66、および旋回リンク機構124は、旋回スクロール66を、偏心軌道で中心軸線90Cの周りを回転させるように配置されている。
1つの実施形態では、同心突出部90Fは、駆動軸90と一体に形成されている。駆動軸90、同心突出部90F、および旋回リンク機構124は、機械加工により鋼から形成されてもよい。駆動軸90と同時にかつ同じ機械加工動作内で形成された同心突出部90Fにより、製造効率がさらに高められる。
図16Gに示された圧縮装置18の一部の拡大図は、さらに同心突出部90Fを示している。同心突出部90Fは、旋回リンク機構124と相互作用し、旋回リンク機構124をガイドする。同心突出部90Fは、旋回スクロール66の偏心軌道の半径方向の動きを制限する制御されたギャップを形成するために、第1の開口部124Aに対して制御された許容誤差を有するようにサイズ決めされ、機械加工される。従来技術とは異なり、同心突出部90Fは、第2のピンを必要とせず、またはいかなる付加的な機械加工動作も必要としない。さらに後述するように、同心突出部90Fはさらに、ガイドピン128、および旋回スクロール66の下面66F上のスロット66Gと協働する。
スクロール型の電動コンプレッサ10は、インバータセクション14と、モータセクション16と、圧縮装置18とを含む。モータセクション16は、モータキャビティ56を画定するモータハウジング54を含む。圧縮装置18は、固定スクロール26を含む。ハウジング12は、少なくとも部分的に、固定スクロール26および中央ハウジング24を形成している。
図13、図16Bおよび図18A~図18Fを具体的に参照すると、図示した実施形態では、旋回スクロール66は、下面66Fを有している。下面66Fは複数のリング状のスロット66Gを有している。中央ハウジング24は、複数の枢動ガイドピン開口128を含む。ガイドピン128は、ガイドピン開口66G内に配置され、圧縮装置18に向かって、リング状のスロット66G内へと延在する。ガイドピン128は、旋回スクロール66が中心軸線90Cの周りを旋回するときに、旋回スクロール66の枢動を制限するように構成されている。1つの実施形態では、リング状のスロット66Gのそれぞれは、リング状スリーブ118を含む。スラストプレート130は、固定スクロール26とスラストボディ150(下記参照)との間に配置されていて、これらの間に摩耗面を提供する。
3リード式リード機構とオイルセパレータとを有する吐出ヘッド設計
図示の実施形態では、電動コンプレッサ10は、マルチキャビティ脈動マフラシステム160と、オイルセパレータ96とを含み、これらは、吐出容積82内に配置されていてもよく、吐出ヘッドまたはフロントカバー28と一体に形成されていてもよい。上述したように、オイルは、電動コンプレッサ10の運動構成要素間に潤滑を提供するために使用される。動作中、オイルと冷媒とは混合される。オイルセパレータ96は、冷媒が電動コンプレッサ10から出て行く前に、混合したオイルと冷媒とを分離するために必要である。
図示の実施形態では、電動コンプレッサ10は、マルチキャビティ脈動マフラシステム160と、オイルセパレータ96とを含み、これらは、吐出容積82内に配置されていてもよく、吐出ヘッドまたはフロントカバー28と一体に形成されていてもよい。上述したように、オイルは、電動コンプレッサ10の運動構成要素間に潤滑を提供するために使用される。動作中、オイルと冷媒とは混合される。オイルセパレータ96は、冷媒が電動コンプレッサ10から出て行く前に、混合したオイルと冷媒とを分離するために必要である。
一般的に、冷媒は、各サイクル中、すなわち、旋回スクロール66の回動(または旋回)中、圧縮装置18から放出される。図示した実施形態では、冷媒は、固定スクロール26における中央オリフィス84Aと2つの側方オリフィス84Bとから圧縮装置18を出る。オリフィス84A,84Bからの冷媒の放出は、中央リード87Aと2つの側方リード87Bとによってそれぞれ制御される。マルチキャビティ脈動マフラシステム160とオイルセパレータ96とについてはより詳しく後述される。
スクロールベアリングオイルオリフィス
電動コンプレッサ10は、スクロールベアリングオイル噴射オリフィスを有していてもよい。上述したように、本開示の圧縮装置18は、ボールベアリング108を含む。図示した実施形態では、ボールベアリング108は、旋回リンク機構124と旋回スクロール66との間に配置されている。しかしながら、圧縮装置18内におけるボールベアリング108の位置の結果として、ボールベアリング108への限定的なオイル供給が生じる場合があり、その結果として、耐久性が減じられてしまう。図9に示されたように、オイルオリフィス138により、オイル(および冷媒)は、吐出チャンバ82からボールベアリング108へと経路73(「ノーズブリード(nose bleed)」経路と呼ばれることもある)に沿って進むことができる。
電動コンプレッサ10は、スクロールベアリングオイル噴射オリフィスを有していてもよい。上述したように、本開示の圧縮装置18は、ボールベアリング108を含む。図示した実施形態では、ボールベアリング108は、旋回リンク機構124と旋回スクロール66との間に配置されている。しかしながら、圧縮装置18内におけるボールベアリング108の位置の結果として、ボールベアリング108への限定的なオイル供給が生じる場合があり、その結果として、耐久性が減じられてしまう。図9に示されたように、オイルオリフィス138により、オイル(および冷媒)は、吐出チャンバ82からボールベアリング108へと経路73(「ノーズブリード(nose bleed)」経路と呼ばれることもある)に沿って進むことができる。
スクロール型電動コンプレッサ10は、ハウジング12、冷媒入口ポート68、冷媒出口ポート70、インバータモジュール144、モータ54、駆動軸90、および圧縮装置18を含んでいてもよい。ハウジング12は、吸込容積74と吐出容積82とを画定する。冷媒入口ポート68は、ハウジング12に連結されていて、冷媒を吸込容積74へと導入するように構成されている。冷媒出口ポート70は、ハウジング12に連結されていて、圧縮された冷媒が吐出容積82からスクロール型電動コンプレッサ10を出ることができるように構成されている。インバータモジュール144は、ハウジング12の内側に取り付けられていて、直流電力を交流電力に変換するように適合されている。モータ54は、ハウジング12の内側に取り付けられている。駆動軸90は、モータ54に連結されている。圧縮装置18は、吸込容積74から冷媒を受け取り、駆動軸90がモータ54によって回転させられるときに冷媒を圧縮する。圧縮装置18は、固定スクロール26と、旋回スクロール66と、旋回リンク機構124と、ボールベアリング108と、ピン136とを含む。
固定スクロール26は、ハウジング12内に配置されていて、ハウジング12に対して相対的に固定されている。旋回スクロール66は、駆動軸90に連結されている。旋回スクロール66と固定スクロール26とは、吸込容積72から冷媒を受け取り、駆動軸90が中心軸線90Cを中心として回転するときに冷媒を圧縮するための圧縮チャンバ80を形成する。旋回スクロール66は、第1の側(または下面)66Fと第2の側(または上面)66Gとを有している。旋回スクロール66は、第1の側66Fから第2の側66Gへと旋回スクロール66を貫通するオイル開口140を有している。
旋回リンク機構124は、駆動軸90に連結されている。旋回スクロール66と旋回リンク機構124との間に、これらのそれぞれに隣接して、ボールベアリング108が配置されている。駆動軸90、旋回スクロール66、および旋回リンク機構124は、旋回スクロール66を、偏心軌道で駆動軸線90Cの周りを旋回させるように配置されている。
図16B~図16Eに示したように、旋回スクロール66の先端部は、プラグ136を有し、オイルオリフィス138を有する。プラグ136は、旋回スクロール66のオイル開口140内にプレス嵌めされていてもよい。オイルオリフィス138は、制御された流量を有するオイルまたは圧縮された冷媒が、旋回スクロール66を通過してボールベアリング108に到達することを可能にするように構成されている。
オイルオリフィス138のサイズは、電動コンプレッサ10の仕様に合わせて調整されてもよい。例えば、電動コンプレッサ10の所与の仕様では、オイルオリフィス138の直径は、オイルのみが通過することができ、旋回スクロール66の第1の側と第2の側との間の圧力の等化を制限することができるように選択されてもよい。オイルオリフィス138を旋回スクロール66に直接、機械加工するのではなく、別個のプラグ136を使用することにより、製造効率が達成され得る。さらにプラグ136は、具体的には、オイル流および冷媒流が、オイルオリフィス138の直径およびジオメトリに応じて増減することを可能にするように設計および調整されたオイルオリフィス138を有していてもよい。
図16D~図16Eに示したように、1つの実施の形態では、オイルオリフィス138は、第1の孔138Aおよび第2の孔138Bを有していてもよく、この場合、第1の孔138Aの直径は、第2の孔138Bの直径よりも小さい。例えば、この実施形態の1つの用途では、第1の孔138Aは、ほぼ0.3mmの直径を有している。第2の孔138Bは、第1の孔138Aの直径よりも大きな直径を有していて、第1の孔138Aの長さを短くするためにだけ使用される。オイルおよびクーラントの流れは、旋回スクロール66の偏心旋回により生じる半径方向力を支持するボールベアリング108に熱および潤滑を提供するように設計されている。
さらに、上述したように、旋回スクロール66は、旋回スクロールベース66Aと、旋回スクロールラップ66Bとを有している。旋回スクロールラップ66Bは、旋回スクロール末端部66Cと、旋回スクロール中心端部66Dとを有していてもよい。図示したように、オイル開口140は、旋回スクロール中心端部66D内に位置している。プラグ136は、プレス嵌め、またはプラグ136を固定する任意の他の方法によって、オイル開口140内に固定されてもよい。
図9に示されたように、オイルオリフィス138により、オイル(および冷媒)は、吐出チャンバ82からボールベアリング108へと経路73(「ノーズブリード」経路と呼ばれることもある)に沿って進むことができる。
ベアリングオイル連通孔
電動コンプレッサ10は、1つ以上のベアリングオイル連通孔を有していてもよい。上述したように、図示した実施形態では、駆動軸90は、モータ54によって回転させられて、圧縮装置18を制御可能に作動させる。駆動軸90は、第1の端部90Aと第2の端部90Bとを有している。電動コンプレッサ10のハウジング10は、第1の駆動軸支持部材22Bと第2の駆動軸支持部材24Aとを有している。図示した実施形態では、第1の駆動軸支持部材22Bは、インバータハウジング22Aのモータ側22に形成されていて、第2の駆動軸支持部材24Aは、中央ハウジング24内に形成されている。第1および第2のボールベアリング62,64は、第1および第2の駆動軸支持部材22B,24A内に位置している。
電動コンプレッサ10は、1つ以上のベアリングオイル連通孔を有していてもよい。上述したように、図示した実施形態では、駆動軸90は、モータ54によって回転させられて、圧縮装置18を制御可能に作動させる。駆動軸90は、第1の端部90Aと第2の端部90Bとを有している。電動コンプレッサ10のハウジング10は、第1の駆動軸支持部材22Bと第2の駆動軸支持部材24Aとを有している。図示した実施形態では、第1の駆動軸支持部材22Bは、インバータハウジング22Aのモータ側22に形成されていて、第2の駆動軸支持部材24Aは、中央ハウジング24内に形成されている。第1および第2のボールベアリング62,64は、第1および第2の駆動軸支持部材22B,24A内に位置している。
第1の駆動軸支持部材22Bの位置は、冷媒(およびオイル)のための通流領域ではない。その結果、低い潤滑状態を生じさせることがあり、電動コンプレッサ10の耐久性に影響する。
図16Fに示されたように、第1の駆動支持部材22Bは、オイルが第1の駆動支持部材22Bに入り、第1のボールベアリング62を潤滑することを可能にする1つ以上の孔22Cを含んでいてもよい。
図示した実施形態では、スクロール型電動コンプレッサ10は、ハウジング12、第1のボールベアリング62、第2のボールベアリング64、冷媒入口ポート68、冷媒出口ポート70、インバータモジュール44、モータ54、駆動軸90、および圧縮装置18を含んでいる。
ハウジング12は、吸込容積74と吐出容積82とを画定し、第1および第2の駆動軸支持部材22B,24Aを有している。第1のボールベアリング62は、第1の駆動軸支持部材22B内に位置している。ハウジング12の第1の駆動軸支持部材22Bは、オイルが第1のボールベアリング62に入ることを可能にする1つ以上の連通孔22Cを含む。
第2のボールベアリング64は、第2の駆動軸支持部材24A内に位置している。冷媒入口ポート68は、ハウジング12に連結されていて、冷媒を吸込容積74へと導入するように構成されている。冷媒出口ポート70は、ハウジング12に連結されていて、圧縮された冷媒が吐出容積82からスクロール型電動コンプレッサ10を出ることができるように構成されている。インバータモジュール144は、ハウジング12の内側に取り付けられていて、直流電力を交流電力に変換するように適合されている。モータ54は、ハウジング12の内側に取り付けられている。駆動軸90は、モータ54に連結されている。駆動軸90は、第1の端部90Aと第2の端部90Bとを有している。駆動軸90の第1の端部90Aは、第1のベアリング62内に配置されていて、駆動軸90の第2の端部90Bは第2のベアリング64内に配置されている。圧縮装置18は、吸込容積74から冷媒を受け取り、駆動軸90がモータ54によって回転させられるときに冷媒を圧縮する。上述したように、図示した実施形態では、第1の駆動軸支持部材22は、インバータハウジング22のモータ側22Aに形成されていてもよい。
圧縮装置18のモータセクション16内での回転運動は、図9に矢印88で示したように、オイルリザーバ98からのオイルの流路および移動を生成する。図示したように、オイルは、オイルリザーバ98からモータセクション16に向かって流れ、継続してステータ58およびロータ60に向かって流れる。旋回スクロール、ロータ、および駆動軸の回転運動は、オイルを上に向かって引き上げ、冷媒経路72の入口流と混合させる。ロータ60および駆動軸90の回転運動は、さらに、インバータハウジング22のモータ側22Aに向かってオイルをさらに進ませる。モータ側22Aの面は、図16Fに示されたように一連のリブ22Dをさらに含む。リブ22Dは、第1の駆動軸支持部材22を支持するために必要な剛性を提供し、隆起した支持部とポケットとに第1のベアリング62の支持を可能にする。インバータハウジング22は、さらに、オイルキャビティ(図示せず)を画定してもよく、この場合、リブ22Dの間に捕集されたオイルは、重力により下方に方向付けられてオイル内に到る。リブ22Dと、モータ側22Aの斜面とは、協働して、ロータ60または駆動軸90によってモータ側22Aに対して跳ね飛ばされたまたは進められたオイルを捕捉し、オイルキャビティ22Eおよび第1のベアリング62内へのオイル流を増大させることを支援する。図16Fは、2つの連通孔22Cを示しているが、2つよりも多数のまたは少数のオイル連通孔22Cが、インバータハウジング22のモータ側22Aにおけるリブ22Dの上方またはこれらのリブ22Dの間に含まれていてもよい。例えば、図示した実施形態では、孔は直径3.5mmであり、モータ側22Aはリブ22Dの間の傾斜壁を有している。さらに、モータ側22Aは、外側のオイル捕集領域22を含んでいてもよい。
ドーム型のインバータカバー
本発明のスクロール型電動コンプレッサ10は、ドーム型のインバータカバー20を有していてもよい。スクロール型電動コンプレッサ10は、ハウジング12、冷媒入口ポート68、冷媒出口ポート70、インバータモジュール44、モータ54、駆動軸90、圧縮装置18、およびインバータカバー20を含む。ハウジング12は、吸込容積70と吐出容積82とを画定する。ハウジング12は、ほぼ円筒形状を有していて中心軸線90Cを有している。冷媒入口ポート68は、ハウジング12に連結されていて、冷媒を吸込容積70へと導入するように構成されている。冷媒出口ポート82は、ハウジング12に連結されていて、圧縮された冷媒が吐出容積82からスクロール型電動コンプレッサ10を出るように構成されている。
本発明のスクロール型電動コンプレッサ10は、ドーム型のインバータカバー20を有していてもよい。スクロール型電動コンプレッサ10は、ハウジング12、冷媒入口ポート68、冷媒出口ポート70、インバータモジュール44、モータ54、駆動軸90、圧縮装置18、およびインバータカバー20を含む。ハウジング12は、吸込容積70と吐出容積82とを画定する。ハウジング12は、ほぼ円筒形状を有していて中心軸線90Cを有している。冷媒入口ポート68は、ハウジング12に連結されていて、冷媒を吸込容積70へと導入するように構成されている。冷媒出口ポート82は、ハウジング12に連結されていて、圧縮された冷媒が吐出容積82からスクロール型電動コンプレッサ10を出るように構成されている。
インバータモジュール44は、ハウジング12の内側に取り付けられていて、直流電力を交流電力に変換するように適合されている。モータ54は、ハウジング12の内側に取り付けられている。駆動軸90は、モータ54に連結されている。圧縮装置18は、駆動軸90に連結されていて、吸込容積から冷媒を受け取り、駆動軸90がモータ54によって回転させられるときに冷媒を圧縮するように構成されている。
上述したように、圧縮装置18は、高速(2000RPM超)で回転する場合があり、これにより望ましくない騒音、振動、およびハーシュネス(NVH)が生じるおそれがあり、耐久性の低下をまねく可能性がある。従来技術では、インバータカバー20は、ほぼ平坦であり、圧縮装置18からの振動を増幅しかつ/または集束させる傾向がある。
圧縮装置18からの振動を集束させるよりもむしろ振動分散させるために、本開示の第5の態様によるスクロール型電動コンプレッサ10のインバータ背面カバー20には、概して湾曲したまたはドーム型の輪郭が設けられている。
図示したように、具体的には、図1、図3および図6に示したように、インバータカバー20は、スクロール型電動コンプレッサ10の一方の端部に配置されていて、第1の部分20Aと第2の部分20Bとを含む。第1の部分20Aは、頂端または頂部20Cを含み、中心軸線90Cに対してほぼ垂直であり、頂端20Cおよび外周20Dを含む。第1の部分20Aは、インバータカバー20が、頂端20Cから外周20Dに向かって湾曲した輪郭を有するように、相対的にドーム型の形状を有している。湾曲の量および位置は、他の考慮する点、例えばパッケージング制約、すなわちスクロール型電動コンプレッサ10を嵌め込まなければならない空間、および内部の構成要素によって課せられる制約、すなわち位置およびサイズ)によって規定または制限されてもよい。第1の部分20Aは、他の機能部、例えば、締結ボルトを受容する開口部を組み込まなければならない場合もある。第2の部分20Bは、ドーム型ではない、すなわち、インバータカバーの周囲に位置する比較的平坦なインバータカバー20の部分を含んでいてもよい。
改良されたスクロール底面を有した固定スクロール
本発明の第1の態様では、改良された固定スクロール底面を備えたスクロール型電動コンプレッサ10が、冷媒を圧縮するように構成されている。スクロール型電動コンプレッサ10は、ハウジング12、冷媒入口ポート68、冷媒出口ポート70、インバータモジュール44、モータ54、駆動軸90、および圧縮装置18を含む。ハウジング12は、吸込容積74と吐出容積82とを画定する。
本発明の第1の態様では、改良された固定スクロール底面を備えたスクロール型電動コンプレッサ10が、冷媒を圧縮するように構成されている。スクロール型電動コンプレッサ10は、ハウジング12、冷媒入口ポート68、冷媒出口ポート70、インバータモジュール44、モータ54、駆動軸90、および圧縮装置18を含む。ハウジング12は、吸込容積74と吐出容積82とを画定する。
冷媒入口ポート68は、ハウジング12に連結されていて、冷媒を吸込容積74へと導入するように構成されている。冷媒出口ポート70は、ハウジング12に連結されていて、圧縮された冷媒が吐出容積82からスクロール型電動コンプレッサ12を出ることができるように構成されている。インバータモジュール144は、ハウジング12の内側に取り付けられていて、直流電力を交流電力に変換するように適合されている。モータ54は、ハウジング12の内側に取り付けられていて、モータ54には、駆動軸90が連結されている。
一般的に、上述したように、圧縮装置18は、吸込容積74から冷媒を受け取り、駆動軸90がモータ54によって回転させられるときに冷媒を圧縮する。
圧縮装置18は、固定スクロール26と旋回スクロール66とを含む。圧縮装置18は、副室容積134を画定する。副室容積134(図18Cおよび図18G参照)は、圧縮サイクルの開始時に、冷媒をチャンバ80に供給する。圧縮サイクル中、チャンバ80が閉じられると(ラップ26B,66Bが接触すると、吸込により、副室容積134内の圧力が降下し、このことは電動コンプレッサ10の効率に影響を与える可能性がある。本発明の1つの態様では、(圧縮装置18に対して付加的な冷媒を供給するためには)副室の容積を増大させることが望ましい。これにより、圧縮装置18の「容量」が増加し、圧縮サイクルが円滑になる。
図示した実施形態では、固定スクロール26および旋回スクロールのうちの1つのスクロールのベース26A,66Aが、副室容積134を増大させるための切除部136を有している。
図示した実施形態では、切除部136は、固定スクロール26の底面またはベース26Aに位置している。
図示されたように、固定スクロール26は、固定スクロールベース26Aによって規定される第1の側26Fと、固定スクロールラップ26Bの上面によって規定される第2の側26Gとを有している。固定スクロールラップ26Bは、固定スクロールベース26Aから固定スクロール26の第2の側26Gに向かって延在している。図18Cおよび図18Gに示されたように、固定スクロールベース26の底面における切除部136は、第2の部分138の深さd2よりも大きな深さd1を有する第1の部分を規定している。
第1の部分または切除部136のサイズは、連結制約によって制限されることがある。第1に、深さd1は、固定スクロール26の構造的完全性を維持するために十分な材料を残さなければならない。加えて、チャンバ80がシールされていることを保証するために、切除部のジオメトリは、17Dに示したようにチャンバ80が閉鎖されかつシールされることを可能にするために、旋回ラップ66Bの外側にとどまっていなければならない。切除部136は、17Dにおけるチャンバ80内の容積を完全に充填することができるように、副室容積134内に追加的な容積を提供することができる。切除部136は、旋回スクロール66Bの経路によって、および固定スクロール26に必要な底面および壁厚に対する制限によって制限される。加えて、工作機械工具および固定スクロールの底面へのアクセスによって、旋回スクロール66Bのシール領域外のサイズおよび面積に付加的な制限が加えられる場合がある。
離間/拘束システム
本発明の第2の態様では、離間および拘束システム148を使用して、旋回スクロール66によって引き起こされる振動および脈動からハウジング12を分離することができる。
本発明の第2の態様では、離間および拘束システム148を使用して、旋回スクロール66によって引き起こされる振動および脈動からハウジング12を分離することができる。
典型的なスクロール型電動コンプレッサでは、モータと固定スクロールとはハウジングに直接連結されている。上述したように、ハウジングに直接連結されたガイドピンは、旋回スクロールが駆動軸の周りを旋回するときに旋回スクロールの枢動を制限するために、旋回スクロール上のリング状スロットと協働することができる。このような形式の装置により、旋回スクロールからの振動およびポンピング脈動は、ハウジングに、かつ取付け部を介して、例えば車両構造に伝達され得る。
スクロール型電動コンプレッサ10は、冷媒を圧縮するように構成されている。スクロール型電動コンプレッサ10は、ハウジング12、冷媒入口ポート68、冷媒出口ポート70、インバータモジュール144、モータ54、駆動軸90、および圧縮装置18を含む。ハウジング12は、吸込容積74と吐出容積82とを画定し、ほぼ円筒形状を有している。冷媒入口ポート68は、ハウジング12に連結されていて、冷媒を吸込容積74へと導入するように構成されている。冷媒出口ポート70は、ハウジング12に連結されていて、圧縮された冷媒が吐出容積82からスクロール型電動コンプレッサ12を出ることができるように構成されている。インバータモジュール144は、ハウジング12の内側に取り付けられていて、直流電力を交流電力に変換するように適合されている。モータ54は、ハウジング12の内側に取り付けられている。駆動軸90は、モータ54に連結されている。圧縮装置18は、吸込容積74から冷媒を受け取り、駆動軸90がモータ54によって回転させられるときに冷媒を圧縮するために駆動軸90に連結されている。
上述したように、圧縮装置16は、固定スクロール26と旋回スクロール66とを含む。固定スクロール26は、ハウジング12内に配置されていて、ハウジング12に対して相対的に固定されている。旋回スクロール66は、駆動軸90に連結されている。旋回スクロール66と固定スクロール26とは、吸込容積74から冷媒を受け取り、駆動軸90が中心軸線90Cを中心として回転するときに冷媒を圧縮するための圧縮チャンバ80を形成する。
旋回スクロール66は、複数のリング状のスロット66Gを有している下面を有する(上記参照)。
特に図20Aを参照すると、スクロール型電動コンプレッサ10はさらに、スラスト体150と、複数の枢動ガイドピン24Bと、複数の取付けピン152と、複数の絶縁スリーブ154とを有する。スラスト体150は、複数のガイドピン開口152Aを有する。複数の枢動ガイドピン24Bは、ガイドピン開口152から圧縮セクション18に向かって、リング状のスロット66B内へと延在する。ガイドピン24Bは、旋回スクロール66が中心軸線90Cの周りを旋回するときに、旋回スクロール66の枢動を制限するように構成されている。
各取付けピン152は、ハウジング端部152Aとスラスト体端部152Bとを有している。ハウジング端部152は、ハウジング12の各受容開口内にプレス嵌めされている。スラスト体端部152Bは、円筒状の外面を備える。複数の絶縁スリーブ154は、化学的に耐性のある合成ゴムなどの可撓性材料から構成されている。このような材料の1つは、エチレンプロピレンジエンモノマー(EPDM)である。取付けピン152のスラスト体端部152は、各スリーブ154内に封入されており、スラスト体150内のそれぞれのスロット150Aに収容されている。このようにして、スラスト体150とハウジング12との間の唯一の接続は、スリーブ154によって離間または絶縁された取付けピン152を介して行われ、旋回スクロール66からの振動がハウジング12に伝達されることを防止するまたは最小限に抑える。
図20Aに示されたように、1つの実施形態では、絶縁スリーブ152は、円形のガスケットまたはリング156と一体に形成されている。
図20Bに示されたように、別の実施形態では、各取付けピン152のスラスト体端部152Bは、例えば、オーバーモールドプロセスを利用して、柔軟な材料によって完全に封止されている。絶縁を補助するために、絶縁スリーブ154の外面は、摩擦加工されていてもよい。
電動コンプレッサヘッド設計
本開示の電動コンプレッサ10の第3の態様では、フロントカバー28の設計は、オイルセパレータ96と3リード式リード機構86を含んでいる。後述するように、カバー28、固定スクロール26、およびリード機構86の設計は、マルチキャビティ脈動マフラシステムを画定している。
本開示の電動コンプレッサ10の第3の態様では、フロントカバー28の設計は、オイルセパレータ96と3リード式リード機構86を含んでいる。後述するように、カバー28、固定スクロール26、およびリード機構86の設計は、マルチキャビティ脈動マフラシステムを画定している。
従来技術の電動コンプレッサでは、冷媒は、旋回スクロールの回動(または旋回)ごとに1回、圧縮装置から放出される。これにより、電動コンプレッサにより放出される圧縮された冷媒中に一次脈動が生じる。冷媒内に生じる脈動の比較的強い振幅および低い周波数により、(電動コンプレッサの内部または外部)の他の構成要素が励起されることがあり、これにより、望ましくない騒音、振動およびハーシュネス(NVH)が生じるおそれがあり、耐久性の低下をまねく可能性がある。
図18C~図18Fおよび図19A~19Bを参照すると、マルチキャビティ脈動マフラシステム160では、圧縮された冷媒が、1圧縮サイクル中に2回、圧縮装置18から放出される。より詳しく後述するように、圧縮装置18は、2つの(隣接した)二次吐出チャンバ内に配置された2つのより小さな二次吐出ポートを含む。二次吐出チャンバは、中央吐出ポートからの圧力降下部の(吐出ヘッド内の)下流にある。同じくさらに後述するように、フロントカバー28は、圧縮装置18を出て冷媒出口ポート70に到る冷媒のための平行な吐出経路を画定する。
図示した実施形態では、コンプレッサ10は、ハウジング12、インバータモジュール44、モータ54、および圧縮装置18を含む。ハウジング12は、吸込容積74と吐出容積82とを画定する。ハウジング12は、ほぼ円筒形状を有していて中心軸線90Cを有している。インバータモジュール44は、ハウジング12の内側に取り付けられていて、直流電力を交流電力に変換するように適合されている。モータ54は、ハウジングの内側に取り付けられている。
圧縮装置18は、吸込容積74から冷媒を受け取り、駆動軸54が回転させられるときに冷媒を圧縮するためにモータ54に連結されている。
圧縮装置18は、圧縮サイクル中に、圧縮された冷媒を吐出容積82内へ制御可能に放出するために、中央圧縮装置出口オリフィス84Aおよび第1および第2の側方圧縮装置出口オリフィス84Bを有する。圧縮装置18は、圧縮サイクルで、冷媒が中央吐出オリフィス84Aを介して放出されるよりも早い段階で、第1および第2の側方圧縮装置出口オリフィス84Bを介して、圧縮された冷媒を吐出容積82内へ放出するように構成されている。
付加的に、オイルセパレータ96は、圧縮装置18と冷媒出口ポート70との間の2つの平行な経路を利用して、このような脈動の低減を維持しながら正味の圧力降下を低減させる。
図示の実施形態では、オイルセパレータ96は、吐出容積82内に配置されていてもよく、吐出ヘッドまたはフロントカバー28と一体に形成されていてもよい。上述したように、オイルは、電動コンプレッサ10の運動構成要素間に潤滑を提供するために使用される。動作中、オイルと冷媒とは混合される。オイルセパレータ96は、冷媒が電動コンプレッサ10から出て行く前に、混合したオイルと冷媒とを分離するために必要である。
一般的に、冷媒は、各サイクル中、すなわち、旋回スクロール66の回動(または旋回)中、圧縮装置18から放出される。図示した実施形態では、冷媒は、固定スクロール26における中央オリフィス84Aと2つの側方オリフィス84Bとから圧縮装置18を出る。オリフィス84A,84Bを介した冷媒の放出は、中央リード87Aと2つの側方リード87Bとによってそれぞれ制御される(下記参照)。
図示した実施形態では、オイルセパレータ96は、チャンバ間の圧力降下を発生させるために相対的に小さな通路によって吐出チャンバを接続している(下記参照)。これは、電動コンプレッサ10からの圧縮された冷媒の流れをスムーズにするために作用する。さらに、オイルセパレータ96は、圧縮装置18と冷媒出口ポート70との間の2つの平行な経路を利用して、このような脈動の低減を維持しながら正味の圧力降下を低減させる。
オイルセパレータ96は、フロントカバー28の内面から延在する一連の隔壁98Aを有していてもよい。図示されたように、壁98Aは、吐出容積82を、中央吐出チャンバ82Aと、2つの側方吐出チャンバ82Bと、上側吐出チャンバ82Cと、オイルリザーバ98とに分離している。中央吐出チャンバ82Aは、中央のリード87Aに隣接していて、リード87Aを介して中央オリフィス84を通る、混合された加圧冷媒とオイルとを圧縮装置18から受け取る。側方吐出チャンバ82Bは、それぞれ側方リード87Bに隣接していて、各リード87Bを介して側方オリフィス84Bを通る、混合された加圧冷媒とオイルとを圧縮装置18から受け取る。概して、チャンバ内の冷媒の圧力は:中央吐出チャンバ82A>側方吐出チャンバ82B>上側吐出チャンバ82Cである。
中央吐出チャンバ82Aは、それぞれ側方通路100を介して2つの側方吐出チャンバ82Bと流体連通しており、側方通路は、上側吐出チャンバ82Cと、オイルリザーバ98とに、それぞれ上側の吐出通路102と下側の吐出通路104とを介して流体連通している。1つの実施形態では、側方通路100は、側方吐出チャンバ82Bへと鋭角で延在している。通路100の角度により、分離をさらに改良し、オイルセパレータ96によって分離されるオイルの量を増大させるように、冷媒とオイルとの吐出混合物の衝突がさらに方向付けられる。例えば、図19Cでは、側方通路100は、中央の吐出チャンバ82Aの内壁に対してほぼ45度の角度で側方吐出チャンバ82B内へと下向きに延在している。しかしながら、角度は、側方吐出チャンバ82Cの用途または表面輪郭に応じて変化してもよく、いくつかの変化態様において、約60度まで増大してもよい。角度は変化してもよいが、乱流を生ぜしめるために流れを方向付け、側方吐出チャンバ82C内に曲がりくねった経路を生ぜしめるために流れの衝突を方向付け、下側吐出通路104内へのオイルの分離を増大させるように設計されている。
図示されたように、オイルセパレータ96は、中央吐出チャンバ82Aと下側のバッフル132とを有する。図示した実施形態では、下側のバッフル132は、山型(逆「v」)であって、中央チャンバ82とオイルリザーバ98との間に位置している。下側のバッフル132の形状は、真下に低圧の領域を形成する。混合されたオイルと冷媒とが、中央吐出チャンバ82Aに入り、低圧領域によって下方に引かれる。混合されたオイルと冷媒とが、下側のバッフル132の上面に接触すると、オイルと冷媒とは、分離される。オイルは、オイルリザーバ98内に落下する。
冷媒は、側方通路100および/または下方の吐出通路104を介して、側方吐出チャンバ82Bに入ることができる。次いで冷媒は、上側吐出チャンバ82Bに入ることができ、次いで、冷媒出口ポート70から出て行く。
オイルリザーバ98は、側方チャンバ対の下方に位置していて、それぞれ下方の吐出通路104を介して側方チャンバに接続されている。オイルリザーバは、側方チャンバ内の圧縮された冷媒から分離されたオイルを受け取るように構成されている。オイルに作用する重力が分離を支援し、側方吐出チャンバ82B内に位置する下方の吐出通路104を通ってオイルはオイルリザーバ98内に落下する。
上述したように、リード機構86は、吐出リード86Aと、リード87A,87Bを規定するリード保持体86Bとを含む。吐出リード86Aは、冷媒が、中央オリフィス84Aと2つの側方オリフィス84Bとから圧縮装置18を出ることができる圧力を調節するために使用される。
非半径方向クランプ機能部を備えたアセンブリおよび電動コンプレッサ
本発明の別の態様では、電動コンプレッサ10は、モータセクション16の外径の周囲に離間されて配置された複数のクランプ機構170を有している。より詳しく後述するように、クランプ機構170は、モータセクション16を外側ハウジング12内に拘束するように構成されている(下記参照)。複数のクランプ機構170は、上述した異なる特徴のいずれかまたは組合せを含む、上述した異なる実施形態の電動コンプレッサ10と共に利用されてもよい。
本発明の別の態様では、電動コンプレッサ10は、モータセクション16の外径の周囲に離間されて配置された複数のクランプ機構170を有している。より詳しく後述するように、クランプ機構170は、モータセクション16を外側ハウジング12内に拘束するように構成されている(下記参照)。複数のクランプ機構170は、上述した異なる特徴のいずれかまたは組合せを含む、上述した異なる実施形態の電動コンプレッサ10と共に利用されてもよい。
本発明の第1の実施形態では、電動コンプレッサ10は、冷媒を圧縮するように構成されている。電動コンプレッサ10は、ハウジングまたは外側ハウジング12、冷媒入口ポート68、冷媒出口ポート70、インバータモジュール44、モータ54、駆動軸90、複数のクランプ機構170、および圧縮装置18を含む。ハウジング12は、吸込容積74と吐出容積82とを画定し、ほぼ円筒形状を有していて中心軸線90Cを有している。
冷媒入口ポート68は、ハウジング12に連結されていて、冷媒を吸込容積74へと導入するように構成されている。冷媒出口ポート70は、ハウジング12に連結されていて、圧縮された冷媒が吐出容積82から電動コンプレッサ10を出ることができるように構成されている。インバータモジュール44は、ハウジング12の内側に取り付けられていて、直流電力を交流電力に変換するように適合されている。モータ54は、ハウジング12の内側に取り付けられている。駆動軸90は、モータ54に連結されている。複数のクランプ機構170は、モータの外径の周囲に離間されて配置されていて、モータ54をハウジング12内に拘束するように構成されている。圧縮装置18は、駆動軸90に連結されていて、吸込容積から冷媒を受け取り、駆動軸90がモータ54によって回転させられるときに冷媒を圧縮する。クランプ機構170についてはさらに詳しく後述する。
本発明の第2の実施形態では、アセンブリ172は、ハウジング12、モータ54、駆動軸90、および複数のクランプ機構170を含んでいる。ハウジング12は、ほぼ円筒形状を有していて中心軸線90Cを有している。モータ54は、ハウジング12の内側に取り付けられている。駆動軸90は、モータ54に連結されている。複数のクランプ機構170は、モータ54の外径の周囲に離間されて配置されていて、モータ54をハウジング12内に拘束するように構成されている。
本発明の第3の実施形態では、中心軸線90Cを有していて、冷媒を圧縮するように構成された電動コンプレッサ10が提供される。電動コンプレッサ10は、ハウジング12、冷媒入口ポート68、冷媒出口ポート70、インバータセクション14、モータセクション16、圧縮装置18、および複数のクランプ機構170を含む。
ハウジング12は、吸込容積74と吐出容積82とを画定する。冷媒入口ポート68は、ハウジング12に連結されていて、冷媒を吸込容積74へと導入するように構成されている。冷媒出口ポート70は、ハウジング12に連結されていて、圧縮された冷媒が吐出容積82から電動コンプレッサ12を出ることができるように構成されている。
インバータセクション14は、インバータハウジング22と、インバータ背面カバー20と、インバータモジュール44とを含む。インバータ背面カバー20は、インバータハウジング22に接続されていて、インバータキャビティ30を形成する。インバータモジュール44は、インバータキャビティ30の内側に取り付けられていて、直流電力を交流電力に変換するように適合されている。上述したように、インバータセクション14は、ステータ58のコイルに係合するまたは電気的に連結されている端子54Aを介してモータ54に電力を供給する。
モータセクション16は、駆動軸90とモータ54とを含む。駆動軸90は、ハウジング12内に配置されている。モータ54は、駆動軸90を制御可能に回転させるようにハウジング12内に配置されている。
圧縮装置18は、吸込容積74から冷媒を受け取り、駆動軸90がモータ54によって回転させられるときに冷媒を圧縮するために駆動軸90に連結されている。圧縮装置18は、固定スクロール26と旋回スクロール66とを含む。固定スクロール26は、ハウジング12内に配置されていて、ハウジング12に対して相対的に固定されている。旋回スクロール66は、駆動軸90に連結されている。旋回スクロール66と固定スクロール26とは、吸込容積74から冷媒を受け取り、駆動軸90が回転するときに冷媒を圧縮するための圧縮チャンバ58を形成する。
図22A~図22Eを特に参照すると、複数のクランプ機構170は、モータ54の外径の周囲に離間されて配置されていて、モータ54をハウジング12内に拘束するように構成されている。本発明の1つの態様では、コンプレッサ10は、モータ54の周囲に等間隔で離間されて配置された偶数のクランプ機構170を有している。図示した実施形態では、コンプレッサ10は、モータ54の周囲に離間されて配置された4つのクランプ機構170を有している。
上述したように、ハウジング12は、内径174を有するモータキャビティ56を含む。図示した実施形態では、モータ54は、外径176を有するステータ58を含む。本発明の1つの態様では、ステータ58の外径176とモータキャビティ58の内径176とは、これらの間に(ステータ58とモータ54との外側形状を変形させることなく)、同心性を維持するために滑り嵌めを確立するように構成されている。1つの実施形態では、ステータ58の外径176とモータキャビティ56の内径174との間の滑り嵌めは、これらの間の締め代によって確立される。例えば、具体的な実施形態では、ステータ58の外径176とモータキャビティ56の内径174との間の締め代は、-25~75μmであってもよい。
図示した実施形態に示されたように、複数のクランプ機構170のそれぞれは、モータ54またはステータ58の外径176上に位置するタブ178と、ハウジング12の内径174上に位置する対応する通路180とを有している。各通路180は、各タブ178を受容するように構成されている。代替的な実施形態では、タブ178が、ハウジング12の内径174上に位置していてもよく、通路180が、モータ54またはステータ58の外径176上に位置していてもよい。
さらに、各タブ178は、第1および第2の側178A,178Bを有している。(矢印182によって示された)横方向のクランプ力が、各タブ178の第1および第2の側178A,178Bのそれぞれに、各通路180の対向する側180A,180Bによって加えられる。横方向のクランプ力は、各タブ178の第1および第2の側178A,178Bと、各通路180の対向する側180A,180Bとの間の締め代によって確立することができる。例えば、非限定的な例では、各タブ178の第1および第2の側178A,178Bと、通路180の対向する側180A,180Bとの間の締め代は、100~200μmである。
さらに、各タブ178は上面178Cを有していて、各通路180は外面180Cを有している。各タブ178の上面178Cと各通路180の外面180Cとは、半径方向の隙間r(図22B参照)を有している。半径方向の隙間rは、クランプ力または半径方向力が、クランプ機構170を介してステータ58に加えられることを防止するために利用される。1つの非限定的な実施形態では、半径方向の隙間は、0~100μmである。
半径方向の隙間rは、上面178Cとハウジング12の通路180の外面180との間の弓形の領域として示されている。半径方向の隙間rは、例えば、対向する側180A,180Bの間の上面178Cの長さに沿って延在する矩形の領域であってもよい。半径方向の隙間rは、従来技術の図21Aおよび図21Bに示された変形を生じさせる可能性のある半径方向外向きのあらゆる力を減じるために上面178Cの上方に位置している。
モータ54またはステータ58は、横力182によって、ハウジング12に対して相対的に位置保持されている。モータ54は、ステータ58の外径176とモータキャビティ58の内径176との間の滑り嵌めによって、モータキャビティ56内に同心的に保持されている。
滑り嵌めは、ハウジングに対するステータ58の同心性を維持するために緊密な滑り嵌めであってもよいが、ハウジングまたはステータを変形させるおそれのある半径方向外側に向かう力を回避するために、依然として締り嵌めを回避している。さらに、通路180の対向する側180A,180Bに対する締り嵌めを伴うタブの側178A,178Bの利用により、ステータ58は固定されるが、締め代およびステータ58の長さに沿った半径方向外側に向かう力の必要性は減じられ、さらに、ステータと、モータの駆動回転構成要素との間の同心関係を減じる、ハウジング12の半径方向の歪みの可能性が減じられる。
上述の発明は、関連する法的基準に従って記載されているので、この説明は、本質的に限定的なものではなく例示的なものである。開示された実施形態に対する変化形態および修正は、当業者には明らかであり、本発明の範囲内であってもよい。
Claims (21)
- 冷媒を圧縮するように構成された電動コンプレッサであって
吸込容積と吐出容積とを画定するハウジングであって、ほぼ円筒形状を有していて中心軸線を有しているハウジングと、
前記ハウジングに連結されていて、前記冷媒を前記吸込容積へと導入するように構成された冷媒入口ポートと、
前記ハウジングに連結されていて、圧縮された冷媒が前記吐出容積から前記電動コンプレッサを出ることができるように構成された冷媒出口ポートと、
前記ハウジングの内側に取り付けられていて、直流電力を交流電力に変換するように適合されたインバータモジュールと、
前記ハウジングの内側に取り付けられたモータと、
前記モータに連結された駆動軸と、
前記モータの外径の周囲に離間されて配置されていて、前記モータを前記ハウジング内に拘束するように構成された複数のクランプ機構と、
前記駆動軸に連結されていて、前記吸込容積から前記冷媒を受け取り、前記駆動軸が前記モータによって回転させられるときに前記冷媒を圧縮するための圧縮装置と、
を有している電動コンプレッサ。 - 前記ハウジングは、内径を有した内側モータキャビティを有していて、前記モータは、外径を有したステータを有しており、前記ステータの前記外径と、前記内側モータキャビティの前記内径とは、これらの間に同心性を維持するように滑り嵌めを確立するように構成されている、請求項1記載の電動コンプレッサ。
- 前記ステータの前記外径と前記内径との間の前記滑り嵌めは、これらの間の締め代によって確立される、請求項2記載の電動コンプレッサ。
- 前記ステータの前記外径と前記内径との間の前記締め代は、-25~75μmである、請求項3記載の電動コンプレッサ。
- 前記複数のクランプ機構のそれぞれは、前記モータの前記外径上に位置するタブと、前記ハウジングの前記内径上に位置する通路とを有していて、各通路は、各タブを収容するように構成されている、請求項1記載の電動コンプレッサ。
- 各タブは、第1および第2の側を有していて、各タブの前記第1および第2の側のそれぞれに、前記通路の対向する側によって、横方向のクランプ力が加えられる、請求項5記載の電動コンプレッサ。
- 前記横方向のクランプ力は、各タブの前記第1および第2の側と、前記通路の前記対向する側との間の締め代によって確立される、請求項6記載の電動コンプレッサ。
- 各タブの前記第1および第2の側と、前記通路の前記対向する側との間の前記締め代は、100~200μmである、請求項7記載の電動コンプレッサ。
- 各タブは、上面を有していて、各通路は外面を有しており、各タブの前記上面と、各通路の前記外面とは、半径方向の隙間を有している、請求項5記載の電動コンプレッサ。
- 前記半径方向の隙間は、0~100μmである、請求項9記載の電動コンプレッサ。
- アセンブリであって
ほぼ円筒形状を有していて中心軸線を有しているハウジングと、
前記ハウジングの内側に取り付けられたモータと、
前記モータに連結された駆動軸と、
前記モータの外径の周囲に離間されて配置されていて、前記モータを前記ハウジング内に拘束するように構成された複数のクランプ機構
を有しているアセンブリ。 - 前記ハウジングは、内径を有した内側モータキャビティを有していて、前記モータは、外径を有したステータを有しており、前記ステータの前記外径と、前記内側モータキャビティの前記内径とは、これらの間に同心性を維持する滑り嵌めを確立するように構成されている、請求項11記載のアセンブリ。
- 前記ステータの前記外径と前記内径との間の前記滑り嵌めは、これらの間の締め代によって確立される、請求項12記載のアセンブリ。
- 前記ステータの前記外径と前記内径との間の前記締め代は、-25~75μmである、請求項13記載のアセンブリ。
- 前記複数のクランプ機構のそれぞれは、前記モータの前記外径上に位置するタブと、前記ハウジングの前記内径上に位置する通路とを有していて、各通路は、各タブを収容するように構成されている、請求項11記載のアセンブリ。
- 各タブは、第1および第2の側を有していて、各タブの前記第1および第2の側のそれぞれに、前記通路の対向する側によって、横方向のクランプ力が加えられる、請求項15記載のアセンブリ。
- 前記横方向のクランプ力は、各タブの前記第1および第2の側と、前記通路の前記対向する側との間の締め代によって確立される、請求項16記載のアセンブリ。
- 各タブの前記第1および第2の側と、前記通路の前記対向する側との間の前記締め代は、100~200μmである、請求項17記載のアセンブリ。
- 各タブは、上面を有していて、各通路は外面を有しており、各タブの前記上面と、各通路の前記外面とは、半径方向の隙間を有している、請求項15記載のアセンブリ。
- 前記半径方向の隙間は、0~100μmである、請求項19記載のアセンブリ。
- 中心軸線を有し、冷媒を圧縮するように構成された電動コンプレッサであって
吸込容積と吐出容積とを画定するハウジングと、
前記ハウジングに連結されていて、前記冷媒を前記吸込容積へと導入するように構成された冷媒入口ポートと、
前記ハウジングに連結されていて、圧縮された冷媒が前記吐出容積から前記電動コンプレッサを出ることができるように構成された冷媒出口ポートと、
インバータセクションであって
インバータハウジングと、
前記インバータハウジングに接続されていて、インバータキャビティを形成するインバータ背面カバーと、
前記インバータキャビティの内側に取り付けられていて、直流電力を交流電力に変換するように適合されたインバータモジュールと、
を含むインバータセクションと、
モータセクションであって
前記ハウジング内に位置する駆動軸であって、第1および第2の端部を有し、中心軸線を規定している駆動軸と、
前記中心軸線を中心として前記駆動軸を制御可能に回転させるように前記ハウジング内に配置されたモータと、
を含むモータセクションと、
前記駆動軸に連結されていて、前記吸込容積から前記冷媒を受け取り、前記駆動軸が前記モータによって回転させられるときに前記冷媒を圧縮するための圧縮装置であって、前記圧縮装置は
前記ハウジング内に配置されていて、前記ハウジングに対して相対的に固定されている固定スクロールと、
前記駆動軸に連結された旋回スクロールであって、前記旋回スクロールと前記固定スクロールとは、前記吸込容積から前記冷媒を受け取り、前記駆動軸が前記中心軸線を中心として回転するときに前記冷媒を圧縮するための圧縮チャンバを形成する、旋回スクロールと、
前記モータの外径の周囲に離間されて配置されていて、前記モータを前記ハウジング内に拘束するように構成された複数のクランプ機構と、
を含む圧縮装置と、
を有している電動コンプレッサ。
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
US18/147,913 | 2022-12-29 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2024096106A true JP2024096106A (ja) | 2024-07-11 |
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