JP2024084804A - 適応免疫応答を誘導するためのヌクレオシド修飾rna - Google Patents

適応免疫応答を誘導するためのヌクレオシド修飾rna Download PDF

Info

Publication number
JP2024084804A
JP2024084804A JP2024060190A JP2024060190A JP2024084804A JP 2024084804 A JP2024084804 A JP 2024084804A JP 2024060190 A JP2024060190 A JP 2024060190A JP 2024060190 A JP2024060190 A JP 2024060190A JP 2024084804 A JP2024084804 A JP 2024084804A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
alkyl
antigen
independently
carbon
attached
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2024060190A
Other languages
English (en)
Inventor
ワイズマン,ドリュー
パーディ,ノーバート
タム,イン
ホープ,マイケル・ジェイ
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Acuitas Therapeutics Inc
Original Assignee
Acuitas Therapeutics Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Acuitas Therapeutics Inc filed Critical Acuitas Therapeutics Inc
Publication of JP2024084804A publication Critical patent/JP2024084804A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Abstract

【課題】対象において適応免疫応答を誘導するための組成物及び方法を提供する。
【解決手段】ある特定の実施形態において、本発明は、抗原、アジュバント、またはそれらの組み合わせをコードするヌクレオシド修飾核酸分子を含む組成物を提供する。例えば、ある特定の実施形態において、上記組成物は、抗原、アジュバント、またはそれらの組み合わせをコードするヌクレオシド修飾核酸分子を含むワクチンを含む。
【選択図】図1

Description

関連出願の相互参照
本出願は、2015年4月27日出願の米国仮特許出願第62/153,143号の優先権を主張し、該出願の内容はその全体が参照により本明細書に援用される。
連邦支援研究または開発に関する表示
本発明は国立保健研究所により授与されたRO1-AI-090788に基づく政府支援によりなされた。政府は本発明において一定の権利を有する。
核酸ワクチン(NAV)は20年以上にわたって開発途上にある。DNAワクチン法の使用に関しては顕著な進歩がある一方で、RNAワクチン接種法についてはそれほどの進捗が見られない。メッセンジャーRNA(mRNA)ワクチンは短時間で開発される可能性があり、強力な応答を示し得る。mRNAワクチンは、核に送達される必要があるDNAワクチンと比較して、細胞質に送達されれば応答を示すという利点がある。
しかしながら、mRNAワクチンの開発は、mRNAの安定性、送達及び自然免疫系によるmRNA自体に対する免疫原性に起因する問題によって妨げられてきた。近年エキソ・ビボ環境において、RNAワクチンを最適化することが幾分有効であることが判ってきてはいるが、イン・ビボで直接投与される場合に、現行のmRNAワクチンの製造方法では、不十分な抗体及びCD8+ T細胞応答しか与えない。
したがって、本技術分野においては、適応免疫応答を誘導するための、抗原をコードするRNAを用いる組成物及びその使用方法の改良が必要とされている。本発明は未だ対処がなされていないこのニーズを満たす。
一態様において、本発明は、少なくとも1種の抗原をコードする少なくとも1種のヌクレオシド修飾RNAを含む、対象において適応免疫応答を誘導するための組成物を提供する。一実施形態において、上記少なくとも1種の単離されたヌクレオシド修飾RNAはプソイドウリジンを含む。一実施形態において、上記少なくとも1種の単離されたヌクレオシド修飾RNAは1-メチル-プソイドウリジンを含む。
一実施形態において、上記ヌクレオシド修飾RNAによってコードされる上記少なくとも1種の抗原は、ウイルス抗原、細菌抗原、真菌抗原、寄生生物抗原、腫瘍関連抗原、または腫瘍特異抗原である。一実施形態において、上記少なくとも1種の抗原はHIV抗原を含む。一実施形態において、上記HIV抗原はエンベロープ(Env)を含む。一実施形態において、上記少なくとも1種の抗原はインフルエンザ抗原を含む。一実施形態において、上記インフルエンザ抗原はヘマグルチニン(HA)を含む。
一実施形態において、上記組成物はアジュバントを更に含む。一実施形態において、上記少なくとも1種のヌクレオシド修飾RNAは少なくとも1種のアジュバントを更にコードする。一実施形態において、上記組成物はワクチンである。
一実施形態において、上記組成物は脂質ナノ粒子(LNP)を更に含む。一実施形態において、上記少なくとも1種のヌクレオシド修飾RNAは上記LNP中に封入されている。一実施形態において、上記LNPは、式(I):
Figure 2024084804000002

の構造を有する化合物または薬学的に許容されるその塩、互変異生体、プロドラッグもしくは立体異性体であって、式中、
及びLはそれぞれ独立に、-O(C=O)-、-(C=O)O-または炭素-炭素二重結合であり、
1a及びR1bは、それぞれの存在毎に独立に、(a)HもしくはC~C12アルキルであるか、または(b)R1aはHもしくはC~C12アルキルであり、且つR1bは該R1bが結合する炭素原子と共に、隣接するR1b及び該R1bが結合する炭素原子と協同して炭素-炭素二重結合を形成するかのいずれかであり、
2a及びR2bは、それぞれの存在毎に独立に、(a)HもしくはC~C12アルキルであるか、または(b)R2aはHもしくはC~C12アルキルであり、且つR2bは該R2bが結合する炭素原子と共に、隣接するR2b及び該R2bが結合する炭素原子と協同して炭素-炭素二重結合を形成するかのいずれかであり、
3a及びR3bは、それぞれの存在毎に独立に、(a)HもしくはC~C12アルキルであるか、または(b)R3aはHもしくはC~C12アルキルであり、且つR3bは該R3bが結合する炭素原子と共に、隣接するR3b及び該R3bが結合する炭素原子と協同して炭素-炭素二重結合を形成するかのいずれかであり、
4a及びR4bは、それぞれの存在毎に独立に、(a)HもしくはC~C12アルキルであるか、または(b)R4aはHもしくはC~C12アルキルであり、且つR4bは該R4bが結合する炭素原子と共に、隣接するR4b及び該R4bが結合する炭素原子と協同して炭素-炭素二重結合を形成するかのいずれかであり、
及びRはそれぞれ独立にメチルまたはシクロアルキルであり、
は、それぞれの存在毎に独立に、HまたはC~C12アルキルであり、
及びRはそれぞれ独立に非置換のC~C12アルキルであるか、またはR及びRが、該R及びRが結合する窒素原子と共に、1つの窒素原子を含む5、6または7員ヘテロ環式リングを形成し、
a及びdはそれぞれ独立に0~24の整数であり、
b及びcはそれぞれ独立に1~24の整数であり、
eは1または2である、
上記化合物または薬学的に許容されるその塩、互変異生体、プロドラッグもしくは立体異性体を含む。
一実施形態において、上記LNPは、式(II):
Figure 2024084804000003

の構造を有する化合物または薬学的に許容されるその塩、互変異生体、プロドラッグもしくは立体異性体であって、式中、
及びLはそれぞれ独立に、-O(C=O)-、-(C=O)O-、-C(=O)-、-O-、-S(O)-、-S-S-、-C(=O)S-、-SC(=O)-、-NRC(=O)-、-C(=O)NR-、-NRC(=O)NR、-OC(=O)NR-、-NRC(=O)O-、または直接の結合であり、
はC~Cアルキレン、-(C=O)-、-O(C=O)-、-SC(=O)-、-NRC(=O)-または直接の結合であり、
は-C(=O)-、-(C=O)O-、-C(=O)S-、-C(=O)NRまたは直接の結合であり、
はC~Cアルキレンであり、
はHまたはC~C12アルキルであり、
1a及びR1bは、それぞれの存在毎に独立に、(a)HもしくはC~C12アルキルであるか、または(b)R1aはHもしくはC~C12アルキルであり、且つR1bは該R1bが結合する炭素原子と共に、隣接するR1b及び該R1bが結合する炭素原子と協同して炭素-炭素二重結合を形成するかのいずれかであり、
2a及びR2bは、それぞれの存在毎に独立に、(a)HもしくはC~C12アルキルであるか、または(b)R2aはHもしくはC~C12アルキルであり、且つR2bは該R2bが結合する炭素原子と共に、隣接するR2b及び該R2bが結合する炭素原子と協同して炭素-炭素二重結合を形成するかのいずれかであり、
3a及びR3bは、それぞれの存在毎に独立に、(a)HもしくはC~C12アルキルであるか、または(b)R3aはHもしくはC~C12アルキルであり、且つR3bは該R3bが結合する炭素原子と共に、隣接するR3b及び該R3bが結合する炭素原子と協同して炭素-炭素二重結合を形成するかのいずれかであり、
4a及びR4bは、それぞれの存在毎に独立に、(a)HもしくはC~C12アルキルであるか、または(b)R4aはHもしくはC~C12アルキルであり、且つR4bは該R4bが結合する炭素原子と共に、隣接するR4b及び該R4bが結合する炭素原子と協同して炭素-炭素二重結合を形成するかのいずれかであり、
及びRはそれぞれ独立にHまたはメチルであり、
はC~C20アルキルであり、
及びRはそれぞれ独立にC~C12アルキルであるか、またはR及びRが、該R及びRが結合する窒素原子と共に、5、6または7員ヘテロ環式リングを形成し、
a、b、c及びdはそれぞれ独立に1~24の整数であり、
xは0、1または2である、
上記化合物または薬学的に許容されるその塩、互変異生体、プロドラッグもしくは立体異性体を含む。
一実施形態において、上記LNPは、式(III):
Figure 2024084804000004

の構造を有する化合物または薬学的に許容されるその塩、互変異生体、プロドラッグもしくは立体異性体であって、式中、
またはLの一方が、-O(C=O)-、-(C=O)O-、-C(=O)-、-O-、-S(O)-、-S-S-、-C(=O)S-、SC(=O)-、-NRC(=O)-、-C(=O)NR-、NRC(=O)NR-、-OC(=O)NR-または-NRC(=O)O-であり、且つLまたはLの他方が-O(C=O)-、-(C=O)O-、-C(=O)-、-O-、-S(O)-、-S-S-、-C(=O)S-、SC(=O)-、-NRC(=O)-、-C(=O)NR-、NRC(=O)NR-、-OC(=O)NR-もしくは-NRC(=O)O-または直接の結合であり、
及びGはそれぞれ独立に、非置換のC~C12アルキレンまたはC~C12アルケニレンであり、
はC~C24アルキレン、C~C24アルケニレン、C~Cシクロアルキレン、C~Cシクロアルケニレンであり、
はHまたはC~C12アルキルであり、
及びRはそれぞれ独立に、C~C24アルキルまたはC~C24アルケニルであり、
はH、OR、CN、-C(=O)OR、-OC(=O)Rまたは-NRC(=O)Rであり、
はC~C12アルキルであり、
はHまたはC~Cアルキルであり、
xは0、1または2である、
上記化合物または薬学的に許容されるその塩、互変異生体、プロドラッグもしくは立体異性体を含む。
一実施形態において、上記LNPは以下の構造のうちの1種を有する化合物を含む:
Figure 2024084804000005

Figure 2024084804000006
一実施形態において、上記LNPは、以下の構造(IV):
Figure 2024084804000007

を有するペグ化脂質または薬学的に許容されるその塩、互変異生体もしくは立体異性体であって、式中、
10及びR11はそれぞれ独立に、任意選択で1もしくは複数のエステル結合が間に入った、10~30の炭素原子を含有する、直鎖状または分枝状の、飽和または不飽和のアルキル鎖であり、
zは30~60の範囲の平均値を有する、
上記ペグ化脂質または薬学的に許容されるその塩、互変異生体もしくは立体異性体を含む。
一実施形態において、上記ペグ化脂質は以下の構造(IVa):
Figure 2024084804000008

を有し、
式中、nは上記ペグ化脂質の平均分子量が約2500g/molとなるように選択される整数である。
一態様において、本発明は、対象における適応免疫応答の誘導方法を提供する。上記方法は、少なくとも1種の抗原をコードする少なくとも1種のヌクレオシド修飾RNAを含む有効量の組成物を上記対象に投与することを含む。一実施形態において、上記少なくとも1種の単離されたヌクレオシド修飾RNAはプソイドウリジンを含む。一実施形態において、上記少なくとも1種の単離されたヌクレオシド修飾RNAは1-メチル-プソイドウリジンを含む。
一実施形態において、上記ヌクレオシド修飾RNAによってコードされる上記少なくとも1種の抗原は、ウイルス抗原、細菌抗原、真菌抗原、寄生生物抗原、腫瘍関連抗原、または腫瘍特異抗原である。一実施形態において、上記少なくとも1種の抗原はHIV抗原を含む。一実施形態において、上記HIV抗原はエンベロープ(Env)を含む。一実施形態において、上記少なくとも1種の抗原はインフルエンザ抗原を含む。一実施形態において、上記インフルエンザ抗原はヘマグルチニン(HA)を含む。
一実施形態において、上記組成物はアジュバントを更に含む。一実施形態において、上記少なくとも1種のヌクレオシド修飾RNAは少なくとも1種のアジュバントを更にコードする。一実施形態において、上記組成物はワクチンである。
一実施形態において、上記組成物は脂質ナノ粒子(LNP)を更に含む。一実施形態において、上記少なくとも1種のヌクレオシド修飾RNAは上記LNP中に封入されている。一実施形態において、上記LNPは、式(I):
Figure 2024084804000009

の構造を有する化合物または薬学的に許容されるその塩、互変異生体、プロドラッグもしくは立体異性体であって、式中、
及びLはそれぞれ独立に、-O(C=O)-、-(C=O)O-または炭素-炭素二重結合であり、
1a及びR1bは、それぞれの存在毎に独立に、(a)HもしくはC~C12アルキルであるか、または(b)R1aはHもしくはC~C12アルキルであり、且つR1bは該R1bが結合する炭素原子と共に、隣接するR1b及び該R1bが結合する炭素原子と協同して炭素-炭素二重結合を形成するかのいずれかであり、
2a及びR2bは、それぞれの存在毎に独立に、(a)HもしくはC~C12アルキルであるか、または(b)R2aはHもしくはC~C12アルキルであり、且つR2bは該R2bが結合する炭素原子と共に、隣接するR2b及び該R2bが結合する炭素原子と協同して炭素-炭素二重結合を形成するかのいずれかであり、
3a及びR3bは、それぞれの存在毎に独立に、(a)HもしくはC~C12アルキルであるか、または(b)R3aはHもしくはC~C12アルキルであり、且つR3bは該R3bが結合する炭素原子と共に、隣接するR3b及び該R3bが結合する炭素原子と協同して炭素-炭素二重結合を形成するかのいずれかであり、
4a及びR4bは、それぞれの存在毎に独立に、(a)HもしくはC~C12アルキルであるか、または(b)R4aはHもしくはC~C12アルキルであり、且つR4bは該R4bが結合する炭素原子と共に、隣接するR4b及び該R4bが結合する炭素原子と協同して炭素-炭素二重結合を形成するかのいずれかであり、
及びRはそれぞれ独立にメチルまたはシクロアルキルであり、
は、それぞれの存在毎に独立に、HまたはC~C12アルキルであり、
及びRはそれぞれ独立に非置換のC~C12アルキルであるか、またはR及びRが、該R及びRが結合する窒素原子と共に、1つの窒素原子を含む5、6または7員ヘテロ環式リングを形成し、
a及びdはそれぞれ独立に0~24の整数であり、
b及びcはそれぞれ独立に1~24の整数であり、
eは1または2である、
上記化合物または薬学的に許容されるその塩、互変異生体、プロドラッグもしくは立体異性体を含む。
一実施形態において、上記LNPは、式(II):
Figure 2024084804000010

の構造を有する化合物または薬学的に許容されるその塩、互変異生体、プロドラッグもしくは立体異性体であって、式中、
及びLはそれぞれ独立に、-O(C=O)-、-(C=O)O-、-C(=O)-、-O-、-S(O)-、-S-S-、-C(=O)S-、-SC(=O)-、-NRC(=O)-、-C(=O)NR-、-NRC(=O)NR、-OC(=O)NR-、-NRC(=O)O-、または直接の結合であり、
はC~Cアルキレン、-(C=O)-、-O(C=O)-、-SC(=O)-、-NRC(=O)-または直接の結合であり、
は-C(=O)-、-(C=O)O-、-C(=O)S-、-C(=O)NRまたは直接の結合であり、
はC~Cアルキレンであり、
はHまたはC~C12アルキルであり、
1a及びR1bは、それぞれの存在毎に独立に、(a)HもしくはC~C12アルキルであるか、または(b)R1aはHもしくはC~C12アルキルであり、且つR1bは該R1bが結合する炭素原子と共に、隣接するR1b及び該R1bが結合する炭素原子と協同して炭素-炭素二重結合を形成するかのいずれかであり、
2a及びR2bは、それぞれの存在毎に独立に、(a)HもしくはC~C12アルキルであるか、または(b)R2aはHもしくはC~C12アルキルであり、且つR2bは該R2bが結合する炭素原子と共に、隣接するR2b及び該R2bが結合する炭素原子と協同して炭素-炭素二重結合を形成するかのいずれかであり、
3a及びR3bは、それぞれの存在毎に独立に、(a)HもしくはC~C12アルキルであるか、または(b)R3aはHもしくはC~C12アルキルであり、且つR3bは該R3bが結合する炭素原子と共に、隣接するR3b及び該R3bが結合する炭素原子と協同して炭素-炭素二重結合を形成するかのいずれかであり、
4a及びR4bは、それぞれの存在毎に独立に、(a)HもしくはC~C12アルキルであるか、または(b)R4aはHもしくはC~C12アルキルであり、且つR4bは該R4bが結合する炭素原子と共に、隣接するR4b及び該R4bが結合する炭素原子と協同して炭素-炭素二重結合を形成するかのいずれかであり、
及びRはそれぞれ独立にHまたはメチルであり、
はC~C20アルキルであり、
及びRはそれぞれ独立にC~C12アルキルであるか、またはR及びRが、該R及びRが結合する窒素原子と共に、5、6または7員ヘテロ環式リングを形成し、
a、b、c及びdはそれぞれ独立に1~24の整数であり、
xは0、1または2である、
上記化合物または薬学的に許容されるその塩、互変異生体、プロドラッグもしくは立体異性体を含む。
一実施形態において、上記LNPは、式(III):
Figure 2024084804000011

の構造を有する化合物または薬学的に許容されるその塩、互変異生体、プロドラッグもしくは立体異性体であって、式中、
またはLの一方が、-O(C=O)-、-(C=O)O-、-C(=O)-、-O-、-S(O)-、-S-S-、-C(=O)S-、SC(=O)-、-NRC(=O)-、-C(=O)NR-、NRC(=O)NR-、-OC(=O)NR-または-NRC(=O)O-であり、且つLまたはLの他方が-O(C=O)-、-(C=O)O-、-C(=O)-、-O-、-S(O)-、-S-S-、-C(=O)S-、SC(=O)-、-NRC(=O)-、-C(=O)NR-、NRC(=O)NR-、-OC(=O)NR-もしくは-NRC(=O)O-または直接の結合であり、
及びGはそれぞれ独立に、非置換のC~C12アルキレンまたはC~C12アルケニレンであり、
はC~C24アルキレン、C~C24アルケニレン、C~Cシクロアルキレン、C~Cシクロアルケニレンであり、
はHまたはC~C12アルキルであり、
及びRはそれぞれ独立に、C~C24アルキルまたはC~C24アルケニルであり、
はH、OR、CN、-C(=O)OR、-OC(=O)Rまたは-NRC(=O)Rであり、
はC~C12アルキルであり、
はHまたはC~Cアルキルであり、
xは0、1または2である、
上記化合物または薬学的に許容されるその塩、互変異生体、プロドラッグもしくは立体異性体を含む。
一実施形態において、上記LNPは以下の構造のうちの1種を有する化合物を含む:
Figure 2024084804000012

Figure 2024084804000013
一実施形態において、上記LNPは、以下の構造(IV):
Figure 2024084804000014

を有するペグ化脂質または薬学的に許容されるその塩、互変異生体もしくは立体異性体であって、式中、
10及びR11はそれぞれ独立に、任意選択で1もしくは複数のエステル結合が間に入った、10~30の炭素原子を含有する、直鎖状または分枝状の、飽和または不飽和のアルキル鎖であり、
zは30~60の範囲の平均値を有する、
上記ペグ化脂質または薬学的に許容されるその塩、互変異生体もしくは立体異性体を含む。
一実施形態において、上記ペグ化脂質は以下の構造(IVa):
Figure 2024084804000015

を有し、
式中、nは上記ペグ化脂質の平均分子量が約2500g/molとなるように選択される整数である。
一実施形態において、上記組成物は皮内、皮下、または筋内送達によって投与される。一実施形態において、上記方法は上記組成物の単回投与を含む。一実施形態において、上記方法は上記組成物の複数回投与を含む。
一実施形態において、上記方法は、ウイルス性感染症、細菌性感染症、真菌性感染症、寄生生物性感染症、及びがんからなる群より選択される少なくとも1種を治療または予防する。一実施形態において、上記方法はHIV感染症を治療または予防する。一実施形態において、上記方法はインフルエンザ感染症を治療または予防する。
以下の本発明の好ましい実施形態の詳細な説明は、添付の図面と併せて読めばよりよく理解されよう。本発明を例証することを目的に、現時点において好ましい実施形態を図面に示している。但し、本発明は、これらの図面に示される実施形態の配置及び手段そのものに限定されることはないことを理解されたい。
図2~図11に適用されるENV-LNP免疫化のための実験の構成を図解する概略図である。動物に、3μg、10μgまたは30μgのいずれかの、脂質ナノ粒子(LNP)中に封入した、HIV-1 CD4非依存性R3AエンベロープをコードするmRNAを2回皮内注射した。対照マウスには、30μgの、LNP中に複合体化した、ホタルルシフェラーゼ(LUC)をコードするmRNAを注射した。2回のmRNA-LNPの注射の間に4週間の間隔をおき、動物を2回目の注射の14日後にと殺した。 ENV-LNPによる2回の免疫化によって強固なCD4+ T細胞応答が誘発されることを図解する一組のグラフである。これらのグラフは抗原特異的CD4+ T細胞によるIFN-γ産生(左)及びTNF-α産生(右)を示す。個々の動物のサイトカイン産生が、脾臓中の全CD4+ T細胞のパーセントとして示される。IFN=インターフェロン、TNF=腫瘍壊死因子。Luc=30μgの、対照のルシフェラーゼをコードするmRNA-LNPを皮内(ID)注射した対照マウス。全ての細胞内サイトカインの測定を、完全なエンベロープ配列の11アミノ酸がオーバーラップする15量体のペプチドプールで刺激した後、多色フローサイトメトリーを用いて実施した。平均値の標準誤差が示される。 ENV-LNPによる2回の免疫化によって強固なCD4+ T細胞応答が誘発されることを図解するグラフである。このグラフは抗原特異的CD4+ T細胞によるIL-2の産生を示す。個々の動物のサイトカイン産生が、脾臓中の全CD4+ T細胞のパーセントとして示される。IL-2=インターロイキン2。Luc=30μgの、対照のルシフェラーゼをコードするmRNA-LNPを皮内(ID)注射した対照マウス。全ての細胞内サイトカインの測定を、完全なエンベロープ配列の11アミノ酸がオーバーラップする15量体のペプチドプールで刺激した後、多色フローサイトメトリーを用いて実施した。平均値の標準誤差が示される。 ENV-LNPによる2回の免疫化によって強固な多機能性CD4+ T細胞応答が誘発されることを図解するグラフである。このグラフは2回目の皮内免疫化の14日後の、ワクチン接種した動物における1、2、及び3機能性の抗原特異的CD4+ T細胞の分布を示す。この棒グラフは表示した1種、2種または3種のサイトカインを産生する抗原特異的CD4+ T細胞の百分率を示す。全ての細胞内サイトカインの測定を、完全なエンベロープ配列の11アミノ酸がオーバーラップする15量体のペプチドプールで刺激した後、多色フローサイトメトリーを用いて実施した。平均値の標準誤差が棒上に示される。 ENV-LNPによる2回の免疫化によって、濾胞性ヘルパーT(Tfh)細胞の総数が有意に増加することを図解するグラフである。このグラフはワクチン接種した動物における脾臓Tfh細胞の出現頻度を示す。CD4、CXCR5及びPD-1マーカーを用いてTfh細胞を測定した。E10=10μgの、ID注射したiR3AエンベロープをコードするmRNA。E30=30μgの、ID注射したiR3AエンベロープをコードするmRNA。Luc=30μgの、ID注射した対照のルシフェラーゼをコードするmRNA。ナイーブ:注射していない動物。 ENV-LNPによる2回の皮内免疫化によって強固なCD8+ T細胞応答が誘発されることを図解する一組のグラフである。これらのグラフは抗原特異的CD8+ T細胞によるIFN-γ産生(左)及びTNF-α産生(右)を示す。個々の動物のサイトカイン産生が示される。E10=10μgの、ID注射したiR3AエンベロープをコードするmRNA。E30=30μgの、ID注射したiR3AエンベロープをコードするmRNA。Luc=30μgの、ID注射した対照のルシフェラーゼをコードするmRNA。全ての細胞内サイトカインの測定を、完全なエンベロープ配列の11アミノ酸がオーバーラップする15量体のペプチドプールで刺激した後、多色フローサイトメトリーを用いて実施した。平均値の標準誤差が示される。 ENV-LNPによる2回の皮内免疫化によって強固なCD8+ T細胞応答が誘発されることを図解する一組のグラフである。これらのグラフは抗原特異的CD8+ T細胞のIL-2産生(左)及びCD107a産生(右)を示す。個々の動物のIL-2及びCD107aの産生が示される。E10=10μgの、ID注射したiR3AエンベロープをコードするmRNA。E30=30μgの、ID注射したiR3AエンベロープをコードするmRNA。Luc=30μgの、ID注射した対照のルシフェラーゼをコードするmRNA。全ての細胞内サイトカインの測定を、完全なエンベロープ配列の11アミノ酸がオーバーラップする15量体のペプチドプールで刺激した後、多色フローサイトメトリーを用いて実施した。平均値の標準誤差が示される。 ENV-LNPによる2回の皮内免疫化によって強固な多機能性CD8+ T細胞応答が誘発されることを図解する一連のグラフである。これらのグラフはワクチン接種した動物における1、2、及び3機能性の抗原特異的CD8+ T細胞の分布を示す。円グラフは1種、2種または3種のサイトカインを産生する抗原特異的CD8+ T細胞の分布を示す。棒グラフは1種、2種または3種のサイトカインを産生する抗原特異的CD8+ T細胞の出現頻度を示す。ENV10=10μgの、ID注射したiR3AエンベロープをコードするmRNA。ENV30=30μgの、ID注射したiR3AエンベロープをコードするmRNA。Luc=30μgの、ID注射した対照のルシフェラーゼをコードするmRNA。全ての細胞内サイトカインの測定を、完全なエンベロープ配列の11アミノ酸がオーバーラップする15量体のペプチドプールで刺激した後、多色フローサイトメトリーを用いて実施した。平均値の標準誤差が棒上に示される。G=INF-γ、T=TNF-α、107=CD107a。 ENV-LNPによる免疫化によって強固なB細胞応答を誘発することを図解する一連のグラフに含まれ、ELISAアッセイによって測定される抗原特異的抗体応答を示すグラフである。mRNA-LNPの2回の皮内注射後にHIV-1 gp120特異的IgGの力価を測定するための実験を行った。gp120でプレートを被覆し、ペルオキシダーゼ標識ヤギ抗マウスIgGを用いてgp120特異的IgGを測定するgp120特異的ELISAアッセイによって力価を測定した。平均値の標準誤差が棒上に示される。 ENV-LNPによる免疫化によって強固なB細胞応答を誘発することを図解する一連のグラフに含まれ、mRNA-LNPによる2回の免疫化の2週間後に、類似した量のEnv特異的IgG1及びIgG2が産生されることを実証する一組のグラフである。 実施例の実験結果を示すグラフである。マウスを、30μgの、ルシフェラーゼ(luc)をコードする、LNPと複合体化した1-メチル-プソイドウリジン-mRNA、または10μgもしくは30μgの、複合体化した、HIVエンベロープiR3Aをコードする1-メチル-プソイドウリジン修飾mRNAで、皮内経路によって1ヶ月間隔で2回免疫化した。血清を、ティア1のMN.3株及び対照のMLVによって、HIV感染を中和する能力に関して分析した。血清を段階希釈し、50%阻害の希釈率を示す。各記号は個々のマウスを表す。 実施例の実験結果を示すグラフである。マウスを、10μgまたは30μgの、LNPに複合体化した、HIVエンベロープiR3Aをコードする1-メチル-プソイドウリジン修飾mRNAで、1ヶ月間隔で皮内経路によって2回免疫化した。血清を、Titer2のX2278_C2_B6株及び対照であるMLVによって、HIV感染を中和する能力に関して分析した。血清を段階希釈し、50%阻害の希釈率を示す。 ENV mRNA-LNP免疫化のための実験の構成を図解する概略図である。動物に、30μgの、脂質ナノ粒子中に封入した、HIV-1 CD4非依存性R3AエンベロープをコードするmRNAの単回皮内注射を行った(ENV)。対照マウスには、30μgの、LNP中に複合体化した、ホタルルシフェラーゼをコードするmRNAを注射した。動物をmRNA投与の14日後にと殺した。 30μgのENV mRNA-LNPの単回注射によって強固なCD4+ T細胞応答が誘発されることを図解する一組のグラフである。これらのグラフは、抗原特異的CD4+ T細胞のIFN-γ産生(左)及びTNF-α産生(右)を示す。個々の動物のサイトカイン産生が示される。ENV=30μgの、ID注射したiR3AエンベロープをコードするmRNA。Luc=30μgの、ID注射した対照のルシフェラーゼをコードするmRNA。全ての細胞内サイトカインの測定を、完全なエンベロープ配列の11アミノ酸がオーバーラップする15量体のペプチドプールで刺激した後、多色フローサイトメトリーを用いて実施した。ペプチド刺激後のサイトカインを発現する全脾臓細胞のパーセントを表す。平均値の標準誤差が示される。 30μgのENV mRNA-LNPの単回注射によって強固なCD4+ T細胞応答が誘発することを図解する一組のグラフである。これらのグラフは、抗原特異的CD4+ T細胞のIL-2産生(左)及びCD107a産生(右)を示す。個々の動物のIL-2及びCD107aの産生が示される。ENV=30μgの、ID注射したiR3AエンベロープをコードするmRNA。Luc=30μgの、ID注射した対照のルシフェラーゼをコードするmRNA。全ての細胞内サイトカインの測定を、完全なエンベロープ配列の11アミノ酸がオーバーラップする15量体のペプチドプールで刺激した後、多色フローサイトメトリーを用いて実施した。平均値の標準誤差が示される。 30μgのENV mRNA-LNPの単回注射によって強固な多機能性CD4+ T細胞応答が誘発されることを図解する一連のグラフである。これらのグラフはワクチン接種した動物における1、2、及び3機能性の抗原特異的CD4+ T細胞の分布を示す。円グラフは1種、2種または3種のサイトカインを産生する抗原特異的CD4+ T細胞の分布を示す。棒グラフは1種、2種または3種のサイトカインを産生する抗原特異的CD4+ T細胞の出現頻度を示す。ENV=30μgの、ID注射したiR3AエンベロープをコードするmRNA。Luc=30μgの、ID注射した対照のルシフェラーゼをコードするmRNA。全ての細胞内サイトカインの測定を、完全なエンベロープ配列の11アミノ酸がオーバーラップする15量体のペプチドプールで刺激した後、多色フローサイトメトリーを用いて実施した。平均値の標準誤差が棒上に示される。G=INF-γ、T=TNF-α、2=IL-2。 30μgのENV mRNA-LNPの単回注射によって、脾臓中のTfh細胞の総数が有意に増加することを図解するグラフである。このグラフはワクチン接種した動物におけるTfh細胞の出現頻度を示す。CD4、CXCR5及びPD-1マーカーを用いてTfh細胞を測定した。ENV=30μgの、ID注射したiR3AエンベロープをコードするmRNA。Luc=30μgの、ID注射した対照のルシフェラーゼをコードするmRNA。平均値の標準誤差が棒上に示される。ナイーブ:注射していない動物。 30μgのENV-LNPの単回注射によって強固な抗原特異的Tfh細胞免疫応答が誘発されることを図解する一連のグラフである。これらのグラフは、抗原特異的Tfh CD4+ T細胞のIFN-γ産生(左上)、TNF-α産生(右上)、及びIL-2産生(下)を示す。Tfh細胞は核Bcl6の発現によって識別した。個々の動物のサイトカイン産生が示される。ENV=30μgの、ID注射したiR3AエンベロープをコードするmRNA。Luc=30μgの、ID注射した対照のルシフェラーゼをコードするmRNA。全ての細胞内サイトカインの測定を、完全なエンベロープ配列の11アミノ酸がオーバーラップする15量体のペプチドプールで刺激した後、多色フローサイトメトリーを用いて実施した。平均値の標準誤差が示される。 30μgのENV-LNPの単回注射によって強固な多機能性Tfh細胞免疫応答が誘発されることを図解する一連のグラフである。これらのグラフはワクチン接種した動物における1、2、及び3機能性の抗原特異的Tfh細胞の分布を示す。円グラフは1種、2種または3種のサイトカインを産生する抗原特異的Tfh細胞の分布を示す。Tfh細胞は核Bcl6の発現によって識別した。棒グラフは1種、2種または3種のサイトカインを産生する抗原特異的Tfh細胞の出現頻度を示す。ENV=30μgの、ID注射したiR3AエンベロープをコードするmRNA。Luc=30μgの、ID注射した対照のルシフェラーゼをコードするmRNA。全ての細胞内サイトカインの測定を、完全なエンベロープ配列の11アミノ酸がオーバーラップする15量体のペプチドプールで刺激した後、多色フローサイトメトリーを用いて実施した。平均値の標準誤差が棒上に示される。G=INF-γ、T=TNF-α、2=IL-2。 30μgのENVmRNA-LNPの単回注射によってIgG産生B細胞応答が誘発されることを図解するグラフである。このグラフは、ELISAアッセイによって測定される抗原特異的抗体応答を示す。mRNA-LNPの単回注射後にHIV-1 gp120特異的IgGの力価を測定するための実験を行った。ENV=30μgの、ID注射したiR3AエンベロープをコードするmRNA。Luc=30μgの、ID注射した対照のルシフェラーゼをコードするmRNA。ナイーブ=注射していない動物。平均値の標準誤差が棒上に示される。 ヌクレオシド修飾及びLNP複合体化の利点を実証する実施例の実験結果を示すグラフである。マウスを、10μgの、iR3A HIVエンベロープをコードする、非修飾mRNA、1-メチル-プソイドウリジンmRNA、または1-メチル-プソイドウリジン-LNP複合体化mRNAで、1ヶ月間隔で皮内経路により2回免疫化した。2回目の免疫化の14日後に得た脾臓細胞を、エンベロープがオーバーラップするペプチドによる6時間の刺激によって分析し、またCD3+、CD8+ T細胞によるCD107Aまたは細胞内IFN-γ、TNF-α、及びIL-2の発現に関して分析した。対照(培地)による刺激への応答を各マウスについて差し引いた。6頭のマウスの群を平均した。修飾mRNA-LNP応答は、未複合体化修飾mRNAまたは非修飾mRNAすなわち対照(ルシフェラーゼ修飾mRNA)で処置したマウスよりも有意に大きかった(p<0.01)。 ヌクレオシド修飾及びLNP複合体化の利点を実証する実施例の実験結果を示すグラフである。マウスを、10μgの、全てiR3A HIVエンベロープをコードする、非修飾mRNA、1-メチル-プソイドウリジンmRNA、またはLNPと複合体化した1-メチル-プソイドウリジンmRNAで、1ヶ月間隔で皮内経路により2回免疫化した。脾臓細胞を、エンベロープがオーバーラップするペプチドによる6時間の刺激によって分析し、またCD3+、CD4+ T細胞による細胞内IFN-γ、TNF-α、及びIL-2の発現に関して分析した。対照(培地)による刺激への応答を各マウスについて差し引いた。6頭のマウスの群を平均した。修飾mRNA-LNP応答は、未複合体化修飾mRNAまたは非修飾mRNAすなわち対照(ルシフェラーゼ修飾mRNA)で処置したマウスよりも有意に大きかった(p<0.01)。 ヌクレオシド修飾及びLNP複合体化の利点を実証する実施例の実験結果を示すグラフである。マウスを、10μgの、未複合体化の、HIVエンベロープiR3Aをコードする1-メチル-プソイドウリジン修飾mRNA(裸のiR3A)、ルシフェラーゼをコードする1-メチル-プソイドウリジンmRNA-LNP(luc-LNP)、またはLNPと複合体化したiR3A mRNAで、1ヶ月間隔で皮内経路により2回免疫化した。ELISAにより、血清をエンベロープ(gp120)特異的応答に関して分析した。血清を1:1000に希釈して分析した。gp120に特異的なモノクローナル抗体を用いて血清中の濃度を測定した。 30μgの、PR8 HAをコードするmRNA-LNPの単回投与の10日後に検出したIFN-γ陽性(左)、TNF-α陽性(中央)、及びIL-2陽性(右)CD4+ T細胞によって測定されたCD4+ T細胞応答を測定する実施例の実験結果を示すグラフである。全ての細胞内サイトカインの測定を、完全なヘマグルチニン配列の11アミノ酸がオーバーラップする15量体のペプチドプールで刺激した後、多色フローサイトメトリーを用いて実施した。平均値の標準誤差が棒上に示される。 PR8 HAをコードするmRNA-LNPの単回免疫化後の多機能性CD4+ T細胞応答を調べる実施例の実験結果を示す一連のグラフである。円グラフは1種、2種または3種のサイトカインを産生する抗原特異的CD4+ T細胞の分布を示す。棒グラフは1種、2種または3種のサイトカインを産生する抗原特異的CD4+ T細胞の比を示す。G=INF-γ、T=TNF-α、2=IL-2。全ての細胞内サイトカインの測定を、完全なヘマグルチニン配列の11アミノ酸がオーバーラップする15量体のペプチドプールで刺激した後、多色フローサイトメトリーを用いて実施した。平均値の標準誤差が棒上に示される。 30μgの、PR8 HAをコードするmRNA-LNPの単回投与の14日後に検出したIFN-γ陽性(左)及びTNF-α陽性(右)CD8+ T細胞によって測定されたCD8+ T細胞応答を測定する実施例の実験結果を示すグラフである。全ての細胞内サイトカインの測定を、完全なヘマグルチニン配列の11アミノ酸がオーバーラップする15量体のペプチドプールで刺激した後、多色フローサイトメトリーを用いて実施した。平均値の標準誤差が棒上に示される。 10μgまたは30μgのいずれかの、PR8 HA mRNA-LNPの投与の14日後及び28日後のHI力価を示す実施例の実験結果を示す一連のグラフである。力価は、七面鳥赤血球をPR8ヘマグルチニンで被覆する、標準的なヘマグルチニン阻害アッセイによって測定した。2倍ずつ増加させる希釈率での血清をRBCに添加し、赤血球凝集が失われる時点での力価を測定した。 PR8 HAをコードするmRNA-LNPの単回投与によって、胚中心(GC)B細胞が増加することを実証する実施例の実験結果を示す一連のグラフである。GC B細胞を、IgD、B220、CD138、CD19、IgM]、CD3-及びCD14-と定義した。脾臓細胞の数を計測し、これにGC B細胞の%を乗じることによって脾臓中の全細胞数を算出した。 PR8 HAをコードするmRNA-LNPの単回投与によって、脾臓中の全メモリーB細胞が増加することを実証する実施例の実験結果を示す一連のグラフである。メモリーB細胞を、CD3-、CD14-、CD11c+、T-bet+と定義した。脾臓細胞の数を計測し、これにメモリーB細胞の%を乗じることによって脾臓中の全細胞数を算出した。 PR8 HAをコードするmRNA-LNPの単回投与によって、脾臓中の全Tfh細胞が増加することを実証する実施例の実験結果を示す一連のグラフである。Tfh細胞を、CD4+細胞、メモリー+細胞、CXCR5+細胞、PD-1+細胞として定義した。脾臓細胞の数を計測し、これにTfh細胞の%を乗じることによって脾臓中の全細胞数を算出した。 30μgの、PR8 HAをコードするmRNA-LNPの単回投与の10日後に検出したIFN-γ陽性(左)及びIL-2陽性(右)CD8+ T細胞によって測定されたCD8+ Tfh細胞応答を測定する実施例の実験結果を示すグラフである。Tfh細胞はBcl6の発現によって識別した。 PR8 HAをコードするmRNA-LNPで免疫化したマウスの脾臓から精製した全T細胞と比較した、Tfh細胞におけるサイトカイン発現の相対的な量を実証する実施例の実験結果を示すグラフである。全てのT細胞を陰性選択によって選択した。Tfh細胞を、メモリー+細胞、CXCR5+細胞、PD-1+細胞を選択するフローサイトメトリー選別によって更に精製した。mRNAをT細胞集団から単離し、特異的プライマーを用いたリアルタイムPCRによって分析した。値は普遍的なmRNAと比較したものとして表す。 T濾胞調節細胞が修飾mRNA-LNPの投与によって増加しないことを実証する実施例の実験結果を示すグラフである。Tfh細胞を、メモリー+、CXCR5+、PD-1+、Bcl6+として識別し、T濾胞調節細胞を、メモリー+、CXCR5+、PD-1+、Bcl6+、FoxP3+として識別した。データは、T濾胞調節細胞であったTfh細胞の百分率として表す。 HA mRNA-LNPまたは対照で単回免疫化したマウスにおけるインフルエンザ負荷後の、病気の尺度としての体重減少を実証する実施例の実験結果を示すグラフである。 2週時(中央)及び4週時(右)における、頭部及び茎部の両方がH1由来であるヘマグルチニンに対するHA結合を実証する実施例の実験結果を示す一連のグラフである。 ヘマグルチニンの茎部領域への特異的結合を実証する実施例の実験結果を示す一連のグラフである。2週時(中央)及び4週時(右)における、H5-頭部/H1-茎部HA(上)及びH5-頭部/H3-茎部(下)を含むハイブリッドヘマグルチニンに対するHA結合。 経時的な、HA全体への結合(左)及びHA茎部結合(右)を調べる実施例の実験結果を示す一組のグラフである。免疫化後、経時的に茎部結合が増加することが実証される。 PR8 HAをコードする修飾mRNA-LNPの単回投与後のヘマグルチニン阻害によって測定される中和力価が、投与後6ヶ月において変化していないことを実証する実験の結果を示すグラフである。 Cal/7/2009 HAをコードするmRNA-LNPの単回投与の2週間後に測定したHA阻害力価を示す実験結果を示すグラフである。 CA09 HAをコードするmRNA-LNPの単回投与後2週間で検出した、IFN-γ陽性(左上)、TNF-α陽性(右上)、及びIL-2陽性(下)CD4+ T細胞によって測定されたCD4+ T細胞応答を測定する実施例の実験結果を示す一連のグラフである。個々の動物のサイトカイン産生を、脾臓中の全CD4+ T細胞のパーセントとして表示する。ポリ(C)=30μgの、皮内(ID)注射した対照であるポリ(C)mRNA-LNPを注射した対照マウス(ID)。全ての細胞内サイトカインの測定を、完全なHA配列の11アミノ酸がオーバーラップする15量体のペプチドプールで刺激した後、多色フローサイトメトリーを用いて実施した。平均値の標準誤差が示される。 CA09 HAをコードするmRNA-LNPの単回投与の2週間後のTfh細胞応答を測定する実施例の実験結果を示すグラフである。Tfh細胞を、CD4+細胞、メモリー+細胞、CXCR5+細胞、PD-1+細胞として定義した。誤差棒は平均値の標準誤差である。 筋内注射(左)及び皮内注射(右)によって投与した、CA09 HAをコードするmRNAの単回投与後のHA阻害力価を測定する実施例の実験結果を示す一組のグラフである。 コドン最適化した非修飾HA mRNAによってINF-α産生が誘導され、m1Ψ修飾mRNAでは誘導が起こらないことを実証する実施例の実験結果を示すグラフであり、このことは、非修飾の、コドン最適化した、HAをコードするmRNAが自然免疫応答を誘導することを実証している。 HPLC精製したヌクレオシド修飾mRNA-LNPの静脈内注射によっては、炎症促進性サイトカインまたはI型インターフェロンが誘導されないことを実証する実施例の実験結果を示す一連のグラフである。 ヌクレオシド修飾したHAをコードするmRNAの投与により、非修飾のHAをコードするmRNAと比較して、IFN-γ産生(左)、TNF-α産生(中心)、及びIL-2産生(右)によって測定されるCD4+ T細胞応答が、有意により良好に誘導されることを実証する実施例の実験結果を示す一連のグラフである。 ヌクレオシド修飾したHAをコードするmRNAの投与により、非修飾のHAをコードするmRNAと比較して、脾臓中のTfh細胞の数が増加することを実証する実施例の実験結果を示すグラフである。 ヌクレオシド修飾したHAをコードするmRNAの投与により、非修飾のHAをコードするmRNAと比較して、抗原特異的Tfh細胞応答の出現頻度が増加することを実証する実施例の実験結果を示すグラフである。 ヌクレオシド修飾したHAをコードするmRNAの投与により、非修飾のHAをコードするmRNAと比較して、非修飾のコドン最適化したmRNAまたはm1Ψ修飾mRNAの単回投与の10日後に測定したHA阻害力価が上昇することを実証する実施例の実験結果を示すグラフである。 LNP中に複合体化した(左)及び裸の(右)、投与した、ルシフェラーゼをコードするm1Ψ修飾mRNAのmRNA翻訳を調べる実施例の実験結果を示す一組のグラフである。翻訳は、ルシフェラーゼをコードするm1Ψ-mRNAを注射し、次いで4時間後にD-ルシフェリンを投与し、IVISスペクトル上で画像化することによって測定した。活性は、増加したシグナルの領域を選択し、IVISソフトウェアを用いることによって定量化した。 マウスに皮内注射した異なるLNP処方を比較する実施例の実験結果を示す写真である。
本発明は対象において適応免疫応答を誘導するための組成物及び方法に関する。ある特定の実施形態において、本発明は、少なくとも1種の抗原、アジュバント、またはそれらの組み合わせをコードする少なくとも1種のヌクレオシド修飾RNAを含む組成物を提供する。例えば、一実施形態において、上記組成物は、少なくとも1種の抗原、アジュバント、またはそれらの組み合わせをコードする少なくとも1種のヌクレオシド修飾RNAを含むワクチンであり、該ワクチンは、上記対象において上記少なくとも1種の抗原に対する免疫を誘導し、したがって、上記対象において上記少なくとも1種の抗原に関連する病原体または病理に対する免疫を誘導する。ある特定の実施形態において、上記少なくとも1種のヌクレオシド修飾RNAは、脂質ナノ粒子(LNP)中に封入されている。
定義
別段の定義がなされない限り、本明細書で用いられる全ての技術用語及び科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるものと同一の意味を有する。本明細書に記載されるものと類似のまたは等価な任意の方法及び物質を本発明の実施または試験において用いることができるが、好ましい方法及び材料を記載する。
本明細書では、以下の用語のそれぞれは、本節における該用語に関連する意味を有する。
冠詞の「a」及び「an」は、本明細書では、1または複数(すなわち、少なくとも1)の当該冠詞の文法上の目的語を指すために用いられる。例として、「ある要素(an element)」とは1の要素または複数の要素を意味する。
本明細書で使用される「約」は、量、時間的な期間などの測定可能な値に言及する場合に、明示した値からの±20%または±10%、より好ましくは±5%、一層より好ましくは±1%、更により好ましくは±0.1%の変化を包含することを意味し、というのはかかる変化が開示された方法を実施するのに適していることによる。
本明細書で使用される「抗体」という用語は免疫グロブリン分子を指し、免疫グロブリン分子は抗原と特異的に結合する。抗体は天然源由来または組換え源由来の完全な免疫グロブリンであってよく、完全な免疫グロブリンの免疫反応性部分であってもよい。抗体は一般には免疫グロブリン分子の四量体である。本発明における抗体は、例えば、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、Fv、Fab及びF(ab)、ならびに一本鎖抗体及びヒト化抗体を含む多様な形態で存在し得る(Harlow et al.,1999,In:Using Antibodies:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory Press,NY; Harlow et al.,1989,In:Antibodies:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor,New York; Houston et al.,1988,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 85:5879-5883; Bird et al.,1988,Science 242:423-426)。
「抗体フラグメント」という用語は完全な抗体の一部を指し、且つ完全な抗体の抗原決定可変領域を指す。抗体フラグメントの例としては、Fabフラグメント、Fab’フラグメント、F(ab’)2フラグメント、及びFvフラグメント、直鎖抗体、scFv抗体、及び抗体フラグメントから形成される多重特異性抗体が挙げられるが、これらに限定はされない。
本明細書で用いられる「抗体重鎖」は、全ての、天然起源の立体配座における抗体分子中に存在する2種のポリペプチド鎖のうちの大きい方を指す。
本明細書で用いられる「抗体軽鎖」は、全ての、天然起源の立体配座における抗体分子中に存在する2種のポリペプチド鎖のうちの小さい方を指す。κ及びλ軽鎖は2種の主たる抗体軽鎖イソ型を指す。
本明細書で使用される「合成抗体」という用語は、例えばバクテリオファージによって発現される抗体などの、組換えDNA技術を用いて生成される抗体を意味する。この用語はまた、当該の抗体をコードするDNA分子の合成によって生成された抗体をも意味すると解釈されるべきであり、該DNA分子は、抗体タンパク質、または該抗体を特定するアミノ酸配列を発現し、ここで上記DNAまたはアミノ酸配列は、本技術分野で利用可能であり且つ周知の合成DNA技術またはアミノ酸配列技術を用いて得られたものである。この用語はまた、当該の抗体をコードするRNA分子の合成によって生成された抗体をも意味すると解釈されるべきである。該RNA分子は、抗体タンパク質、または該抗体を特定するアミノ酸配列を発現し、ここで上記RNAは、本技術分野において利用可能であり且つ周知の、(合成もしくはクローン化された)DNAの転写または他の技術によって得られたものである。
本明細書で使用される「抗原」または「Ag」という用語は、適応免疫応答を誘発する分子として定義される。この免疫応答は、抗体産生、もしくは特異的免疫担当細胞の活性化、またはそれらの両方を含んでいてもよい。当業者ならば、実質的に全てのタンパク質またはペプチドを含む任意の高分子が抗原として働き得ることを理解するであろう。更に、抗原は、組換えもしくはゲノムのDNAまたはRNAから誘導し得る。したがって、適応免疫応答を誘発するタンパク質をコードするヌクレオチド配列または部分ヌクレオチド配列を含む任意のDNAまたはRNAが、本明細書において用いられる用語としての「抗原」をコードすることを当業者ならば理解するであろう。更に、当業者ならば、抗原は遺伝子の全長ヌクレオチド配列によってのみコードされる必要はないことを理解するであろう。本発明は、限定されないが、2種以上の遺伝子の部分ヌクレオチド配列の使用を含むこと、及びこれらのヌクレオチド配列が、所望の免疫応答を誘発するために様々な組み合わせで配置されることは容易に明らかである。更に、当業者ならば、抗原が「遺伝子」によってコードされる必要は全くないことを理解するであろう。抗原が合成、生成させることができるまたは生物学的試料から誘導することができることは容易に明らかである。かかる生物学的試料としては、組織試料、腫瘍試料、細胞または生物学的流体が挙げられるが、これらに限定はされない。
本明細書で使用される「アジュバント」という用語は、抗原特異的適応免疫応答を増強する任意の分子として定義される。
「疾患」という用語は、動物の健康状態であって、当該の動物が恒常性を維持することができず、且つ当該の疾患が改善されない場合、該動物の健康が悪化し続ける上記健康状態である。これに対して、動物における「障害」は、当該の動物が恒常性を維持することはできるが、該障害がない場合よりもより好ましくない健康状態である。障害は、これを未治療のまま放置しても、必ずしも当該動物の健康状態を更に低下させるとは限らない。
本明細書で用いられる「有効量」は、治療上のまたは予防上の恩恵を与える量を意味する。
「コードする」は、規定されたヌクレオチドの配列(すなわち、rRNA、tRNA及びmRNA)または規定されたアミノ酸の配列のいずれか及びそれらに由来する生物学的特性を有する、生物学的過程における他のポリマーならびに高分子の合成のためのテンプレートとしての役割を果たす、遺伝子、cDNA、またはmRNAなどのポリヌクレオチド中の、特定のヌクレオチドの配列の固有の特性を指す。したがって、遺伝子に対応するmRNAの転写及び翻訳が細胞または他の生物学的系においてタンパク質を産生する場合、当該遺伝子は当該タンパク質をコードする。コード鎖であって、そのヌクレオチド配列がmRNA配列と同一であり、且つ通常は配列リストに記載される上記コード鎖と、遺伝子またはcDNAの転写のためのテンプレートとして用いられる非コード鎖の両方を、当該タンパク質またはその遺伝子もしくはcDNAの他の産生物をコードすると称することができる。
「発現ベクター」は、発現されるべきヌクレオチド配列に作動可能に連結された発現制御配列を含む組換えポリヌクレオチドを含むベクターを指す。発現ベクターは発現のための十分なシス作用エレメントを含み、発現のための他のエレメントが宿主細胞によってまたはイン・ビトロ発現系において供給され得る。発現ベクターには、組換えポリヌクレオチドを組み込んだ、コスミド、プラスミド(例えば、裸のまたはリポソーム中に含まれる)RNA、及びウイルス(例えば、レンチウイルス、レトロウイルス、アデノウイルス、及びアデノ随伴ウイルス)などの本技術分野で公知のベクターの全てが含まれる。
「相同な」は、2種のポリペプチド間または2種の核酸分子間の配列類似性または配列同一性を指す。比較される2種の配列の両方の位置が同一の塩基またはアミノ酸単量体サブユニットによって占有される場合、例えば、2種のDNA分子のそれぞれの位置がアデニンによって占有される場合、これらの分子はその位置において相同である。2種の配列間の相同性のパーセントは、比較した位置の数で除した、2種の配列によって共有される、一致するまたは相同な位置の数×100の関数である。例えば、2種の配列における10の位置の内の6の位置が一致するまたは相同である場合、当該の2種の配列は60%相同である。例として、DNA配列ATTGCC及びTATGGCは50%の相同性を共有する。一般に、2種の配列が最大の相同性を与えるように整列された状態で比較が行われる。
「免疫原」は、免疫応答を生じさせるために体内に導入される任意の物質を指す。当該の物質は、タンパク質などの物理的分子であってもよく、またはDNA、mRNA、もしくはウイルスなど、ベクターによってコードされていてもよい。
「単離された」は、自然の状態から変化を受けたまたは取り出されたことを意味する。例えば、生きている動物中に天然に存在する核酸またはペプチドは「単離されて」いないが、その自然の状態の共存する物質から部分的または完全に分離された同一の核酸またはペプチドは「単離されている」。単離された核酸またはタンパク質は実質的に精製された形態で存在していてもよく、または例えば、宿主細胞などの非天然の環境中に存在していてもよい。
本発明の文脈において、一般に出現するヌクレオシド(N-グリコシド結合を介してリボースまたはデオキシリボース糖に結合した核酸塩基)に関する以下の略語が用いられる。「A」はアデノシンを指し、「C」はシチジンを指し、「G」はグアノシンを指し、「T」はチミジンを指し、「U」はウリジンを指す。
別段の明示がない限り、「アミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列」は、互いの縮重したバージョンであり、同一のアミノ酸配列をコードする全てのヌクレオチド配列を含む。タンパク質またはRNAをコードするヌクレオチド配列という表現はまた、当該のタンパク質をコードするヌクレオチド配列が一部のバージョンにおいてイントロン(複数可)を含むことができる範囲でイントロンを含んでいてもよい。
本明細書で使用される「調節する」という用語は、対象における応答のレベルであって、治療薬または化合物の非存在下での当該の対象における応答のレベルと比較した、及び/または他の点では同一であるが治療を受けていない対象における応答のレベルと比較した、上記応答のレベルの検出可能な増加または減少を媒介することを意味する。この用語は、生得のシグナルまたは応答を混乱させる及び/またはそれらに影響を及ぼし、それにより対象、好ましくはヒト、において有益な治療上の応答を媒介することを包含する。
別段の明示がない限り、「アミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列」は、互いの縮重したバージョンであり、同一のアミノ酸配列をコードする全てのヌクレオチド配列を含む。タンパク質及びRNAをコードするヌクレオチド配列はイントロンを含んでいてもよい。また、上記ヌクレオチド配列は、細胞内の翻訳機構によって翻訳可能な修飾ヌクレオシドを含んでいてもよい。例えば、全てのウリジンがプソイドウリジン、1-メチルプソイドウリジン、または別の修飾ヌクレオシドで置換されているmRNA。
「作動可能に連結された」という用語は、調節配列と異種核酸配列との間の機能的連結であって、後者を発現させる上記機能的連結を指す。例えば、第1の核酸配列が第2の核酸配列との機能的関係に置かれている場合、第1の核酸配列は第2の核酸配列と作動可能に連結されている。例えば、プロモーターがコード配列の転写または発現に影響を及ぼす場合、該プロモーターは該コード配列に作動可能に連結されている。概して、作動可能に連結されたDNAまたはRNA配列は連続しており、必要に応じて、2種のタンパク質コード領域を同一の読み枠中で結合する。
本明細書中では、「患者」、「対象」、「個体」などの用語は同義で用いられ、イン・ビトロまたはイン・シチューのいずれであっても、本明細書に記載の方法に適する任意の動物またはその細胞を指す。特定の非限定的な実施形態において、上記患者、対象または個体はヒトである。
本明細書で使用される「ポリヌクレオチド」という用語はヌクレオチドの連鎖として定義される。更に、核酸はヌクレオチドのポリマーである。したがって、本明細書で使用される核酸とポリヌクレオチドとは同義である。当業者であれば、核酸はポリヌクレオチドであり、ポリヌクレオチドは単量体の「ヌクレオチド」へと加水分解することができるという一般的な知識を有する。上記単量体のヌクレオチドはヌクレオシドへと加水分解することができる。本明細書で使用されるポリヌクレオチドとしては、限定はされないが、組換え手段、すなわち、通常のクローニング技術及びPCR(商標)などを用いた、組換えライブラリまたは細胞ゲノムからの核酸配列のクローニングを含む、本技術分野で利用可能な任意の手段によって、及び合成的手段によって得られる全ての核酸配列が挙げられるが、これらに限定されない。
ある特定の例において、本発明のポリヌクレオチドまたは核酸は「ヌクレオシド修飾核酸」であり、これは少なくとも1種の修飾ヌクレオシドを含む核酸を指す。「修飾ヌクレオシド」は修飾を有するヌクレオシドを指す。例えば、100を超える種々のヌクレオシド修飾がRNAにおいて同定されている(Rozenski,et al.,1999,The RNA Modification Database:1999 update.Nucl Acids Res 27:196-197)。
ある特定の実施形態において、「プソイドウリジン」は、別の実施形態において、macpΨ(1-メチル-3-(3-アミノ-3-カルボキシプロピル)プソイドウリジン)を指す。別の実施形態において、この用語は、mΨ(1-メチルプソイドウリジン)を指す。別の実施形態において、この用語は、Ψm(2’-O-メチルプソイドウリジン)を指す。別の実施形態において、この用語は、mD(5-メチルジヒドロウリジン)を指す。別の実施形態において、この用語は、mΨ(3-メチルプソイドウリジン)を指す。別の実施形態において、この用語は、更に修飾されていないプソイドウリジン部分を指す。実施形態において、この用語は、上記のプソイドウリジンのいずれかのモノリン酸エステル、ジリン酸エステル、またはトリリン酸エステルを指す。別の実施形態において、この用語は、本技術分野で公知の任意の他のプソイドウリジンを指す。各可能な選択肢は本発明の別個の実施形態を表す。
本明細書で使用される「ペプチド」、「ポリペプチド」、及び「タンパク質」という用語は同義で用いられ、ペプチド結合によって共有結合されたアミノ酸残基から構成される化合物を指す。タンパク質またはペプチドは、少なくとも2のアミノ酸を含有しなければならず、タンパク質またはペプチドの配列を構成することができるアミノ酸の最大数に制限はない。ポリペプチドとしては、ペプチド結合によって互いに結合した2以上のアミノ酸を含む任意のペプチドまたはタンパク質が挙げられる。本明細書で用いられる場合、この用語は、本技術分野で一般的に、例えば、ペプチド、オリゴペプチド及びオリゴマーとも称される短鎖、ならびに本技術分野で一般的にタンパク質と称され、多くの種類があるより長い連鎖の両方を指す。「ポリペプチド」としては、数ある中でも、例えば、生物学的に活性なフラグメント、実質的に相同なポリペプチド、オリゴペプチド、ホモ二量体、ヘテロ二量体、ポリペプチドの変異体、修飾ポリペプチド、誘導体、類似体、融合タンパク質などが挙げられる。上記ポリペプチドには、天然ペプチド、組換えペプチド、合成ペプチド、またはそれらの組み合わせが含まれる。
本明細書で使用される「プロモーター」という用語は、ポリヌクレオチド配列の特異的転写を開始するために必要な、細胞の合成機構または導入された合成機構によって認識されるDNA配列として定義される。例えば、バクテリオファージRNAポリメラーゼによって認識され、イン・ビトロ転写によってmRNAを生成するために用いられるプロモーター。
本明細書で用いられる、抗体に関する「特異的に結合する」という用語は、特定の抗原を認識するが、試料中の他の分子を実質的に認識しないまたは該分子実質的に結合しない抗体を意味する。例えば、1つの種由来のある抗原に特異的に結合する抗体はまた、1つまたは複数の他の種由来の当該の抗原にも結合する場合がある。しかし、かかる異種間反応性は、それ自体が特異的であるとの抗体の分類を変更するものではない。別の例において、ある抗原に特異的に結合する抗体はまた、当該の抗原の異なる対立遺伝子型にも結合する場合がある。しかしながら、かかる異種間反応性は、それ自体が特異的であるとの抗体の分類を変更するものではない。いくつかの例において、「特異的結合」または「特異的に結合する」という用語は、抗体、タンパク質、またはペプチドの第2の化学種との相互作用に関して用いられ、当該の相互作用が当該の化学種上の特定の構造(例えば、抗原決定基すなわちエピトープ)の存在に依存する、例えば、抗体が、全般的にタンパク質に対してではなく、特定のタンパク質の構造を認識して結合することを意味する場合がある。ある抗体がエピトープ「A」に対して特異的である場合、エピトープAを含有する分子(または遊離の非標識A)が標識「A」及び抗体を含む反応混合物中に存在すると、当該抗体に結合した標識Aの量が減少することとなる。
本明細書で使用される「治療上の」は治療及び/または予防を意味する。治療効果は、疾患もしくは障害の状態の少なくとも1つの徴候または症状の抑制、減退、寛解、または根絶によって得られる。
「治療有効量」という用語は、研究者、獣医師、医師または他の臨床家によって求められている組織、系、もしくは対象の生物学的または医学的応答を誘発することとなる対象化合物の量を指す。「治療有効量」という用語は、投与された場合に、治療を受けている障害もしくは疾患の1つまたは複数の徴候または症状の発症を予防するか、または該徴候または症状をある程度緩和するのに十分な化合物の量を含む。治療有効量は、当該化合物、当該疾患及びその重篤度ならびに治療を受ける対象の年齢、体重などに依存して変化することとなる。
疾患を「治療する」は、該用語が本明細書で用いられる場合、対象に生じる疾患もしくは障害の少なくとも1つの徴候または症状の頻度あるいは重篤度を低下させることを意味する。
本明細書で使用される「形質移入された(transfected)」または「形質転換された(transformed)」または「形質導入された(transduced)」という用語は、外因性核酸が宿主細胞中に移入または導入される過程を指す。「形質移入された」または「形質転換された」または「形質導入された」細胞は、外因性核酸で形質移入された、形質転換されたまたは形質導入された細胞である。上記細胞は初生の対象とする細胞及びその後代を包含する。
本明細書で使用される「転写制御下」または「作動可能に連結された」という表現は、RNAポリメラーゼによる転写の開始及びポリヌクレオチドの発現を制御するために、プロモーターがポリヌクレオチドに対して正しい位置及び方向にあることを意味する。
「ベクター」は、単離された核酸を含み、当該単離された核酸を細胞の内部に送達するために用いることができる物質の組成物である。数多くのベクターが本技術分野で公知であり、線状ポリヌクレオチド、イオン性または両親媒性化合物に連結したポリヌクレオチド、プラスミド、及びウイルスが挙げられるが、これらに限定はされない。したがって、「ベクター」という用語は、自律的に複製するプラスミドまたはウイルスを包含する。この用語はまた、例えばポリリシン化合物、リポソームなどの核酸の細胞中への移動を容易にする非プラスミド及び非ウイルス化合物をも包含すると解釈されるべきである。ウイルスベクターの例としては、アデノウイルスベクター、アデノ随伴ウイルスベクター、レトロウイルスベクターなどが挙げられるが、これらに限定はされない。
「アルキル」は、1~24の炭素原子(C~C24アルキル)、1~12の炭素原子(C~C12アルキル)、1~8の炭素原子(C~Cアルキル)または1~6の炭素原子(C~Cアルキル)を有する、飽和または不飽和(すなわち、1つまたは複数の二重結合及び/または三重結合を含む)の、且つ当該分子の残部に単結合により結合する、炭素原子及び水素原子のみからなる直鎖状または分枝状炭化水素鎖ラジカル、例えば、メチル、エチル、n-プロピル、1-メチルエチル(イソプロピル)、n-ブチル、n-ペンチル、1,1-ジメチルエチル(t-ブチル)、3-メチルヘキシル、2-メチルヘキシル、エテニル、プロパ-1-エニル、ブタ-1-エニル、ペンタ-1-エニル、ペンタ-1,4-ジエニル、エチニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニル、ヘキシニルなどを指す。別段の明示がない限り、アルキル基は任意選択で置換されている。
「アルキレン」または「アルキレン鎖」は、飽和または不飽和(すなわち、1つまたは複数の二重結合(アルケニレン)及び/または三重結合(アルキニレン)を含む)であり、例えば、1~24の炭素原子(C~C24アルキレン)、1~15の炭素原子(C~C15アルキレン)、1~12の炭素原子(C~C12アルキレン)、1~8の炭素原子(C~Cアルキレン)、1~6の炭素原子(C~Cアルキレン)、2~4の炭素原子(C~Cアルキレン)、1~2の炭素原子(C~Cアルキレン)を有する、炭素原子及び水素原子のみからなる、当該分子の残部をラジカル基に結合する直鎖状または分枝状の2価の炭化水素鎖、例えば、メチレン、エチレン、プロピレン、n-ブチレン、エテニレン、プロペニレン、n-ブテニレン、プロピニレン、n-ブチニレンなどを指す。上記アルキレン鎖は、単結合または二重結合を介して当該分子の残部と結合し、単結合または二重結合を介してラジカル基と結合する。当該分子の上記残部及び上記ラジカル基への当該アルキレン鎖の結合点は、当該連鎖内の1の炭素または任意の2の炭素を介することがきる。本明細書において特段の明示がない限り、アルキレン鎖は任意選択で置換されていてもよい。
「シクロアルキル」または「炭素環式リング」は、炭素原子及び水素原子のみからなる安定な非芳香族単環式または多環式炭化水素ラジカルを指し、該「シクロアルキル」または「炭素環式リング」は、3~15の炭素原子を有する、好ましくは3~10の炭素原子を有する縮合環系または架橋環系を含んでいてもよく、且つ飽和または不飽和であり、単結合によって当該分子の残部に結合している。単環式ラジカルとしては、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、及びシクロオクチルが挙げられる。多環式ラジカルとしては、例えば、アダマンチル、ノルボルニル、デカリニル、7,7-ジメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタニルなどが挙げられる。別段の明示がない限り、シクロアルキル基は任意選択で置換されている。
「シクロアルキレン」は2価のシクロアルキル基である。本明細書において別段の明記がない限り、シクロアルキレン基は任意選択で置換されていてもよい。
「ヘテロシクリル」または「ヘテロ環式リング」は、2~12の炭素原子及び窒素、酸素及び硫黄からなる群より選択される1~6のヘテロ原子からなる安定な3~18員非芳香環ラジカルを指す。本明細書において別段の明記がない限り、上記ヘテロシクリルラジカルは、単環式リング系、二環式リング系、三環式リング系または四環式リング系であってもよく、これらは縮合環系または架橋環系を含んでいてもよく、当該ヘテロシクリルラジカル中の窒素原子、炭素原子または硫黄原子は、任意選択で酸化されていてもよく、窒素原子は任意選択で四級化されていてもよく、上記ヘテロシクリルラジカルは部分的または完全に飽和していてもよい。かかるヘテロシクリルラジカルの例としては、ジオキソラニル、チエニル[1,3]ジチアニル、デカヒドロイソキノリル、イミダゾリニル、イミダゾリジニル、イソチアゾリジニル、イソオキサゾリジニル、モルホリニル、オクタヒドロインドリル、オクタヒドロイソインドリル、2-オキソピペラジニル、2-オキソピペリジニル、2-オキソピロリジニル、オキサゾリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、4-ピペリドニル、ピロリジニル、ピラゾリジニル、キヌクリジニル、チアゾリジニル、テトラヒドロフリル、トリチアニル、テトラヒドロピラニル、チオモルホリニル、チアモルホリニル、1-オキソ-チオモルホリニル、及び1,1-ジオキソ-チオモルホリニルが挙げられるが、これらに限定はされない。別段の明示がない限り、ヘテロシクリル基は任意選択で置換されていてもよい。
本明細書で使用される「置換された」は、少なくとも1つの水素原子が、F、Cl、Br、及びIなどのハロゲン原子;オキソ基(=O);ヒドロキシル基(-OH);アルコキシ基(-OR、但しRはC~C12アルキルまたはシクロアルキル)、カルボキシル基(-OC(=O)Rまたは-C(=O)OR、但しRはH、C~C12アルキルまたはシクロアルキル);アミン基(-NR、但しR及びRはそれぞれ独立にH、C~C12アルキルまたはシクロアルキル);C~C12アルキル基;及びシクロアルキル基などの非水素原子への結合によって置換されている上記基(例えば、アルキル、シクロアルキルまたはヘテロシクリル)のいずれかを意味する。いくつかの実施形態において、上記置換基はC~C12アルキル基である。他の実施形態において、上記置換基はシクロアルキル基である。他の実施形態において、上記置換基はフルオロなどのハロ基である。他の実施形態において、上記置換基はオキソ基である。他の実施形態において、上記置換基はヒドロキシル基である。他の実施形態において、上記置換基はアルコキシ基である。他の実施形態において、上記置換基はカルボキシル基である。他の実施形態において、上記置換基はアミン基である。
「任意選択の」または「任意選択で」(例えば、任意選択で置換された)は、その後に記載される状況の事象が生じても生じなくてもよいこと、及び上記記載は、上記事象または状況が生じる場合及びそれらが生じない場合を包含することを意味する。例えば、「任意選択で置換されたアルキル」は、当該アルキルラジカルが置換されていてもされていなくてもよいこと、及び上記記載は、置換されたアルキルラジカル及び置換基をもたないアルキルラジカルの両方を包含することを意味する。
範囲:本開示を通して、本発明の様々な態様を範囲形式で提示する場合がある。範囲形式の記載は単に利便性及び簡潔さのためのものであることを理解するべきであり、本発明の範囲に対する柔軟性のない限定として解釈されるべきものではない。したがって、範囲の記載は、その範囲内の全ての可能な部分範囲及び個々の数値を具体的に開示しているものとみなすべきである。例えば、1~6などの範囲の記述は、1~3、1~4、1~5、2~4、2~6、3~6等の部分範囲、ならびに当該範囲内の個々の数字、例えば1、2、2.7、3、4、5、5.3、及び6を具体的に開示しているものとみなすべきである。このことは当該範囲の幅の如何を問わず適用される。
詳細な説明
本発明は対象において適応免疫応答を誘導するための組成物及び方法に関する。ある特定の実施形態において、本発明は抗原をコードする核酸分子を含む組成物を提供し、該抗原は上記対象において適応免疫応答を誘導する。例えば、ある特定の実施形態において、上記組成物は抗原をコードする核酸分子を含むワクチンを含む。
一実施形態において、本発明の組成物はイン・ビトロ転写(IVT)RNAを含む。例えば、ある特定の実施形態において、本発明の組成物は抗原をコードするIVT RNAを含み、該抗原は適応免疫応答を誘導する。ある特定の実施形態において、上記抗原は、ウイルス抗原、細菌抗原、真菌抗原、寄生生物抗原、腫瘍特異抗原、または腫瘍関連抗原のうちの少なくとも1種である。但し、本発明は、いずれの特定の抗原または抗原の組み合わせにも限定されない。
ある特定の実施形態において、本組成物の抗原をコードする核酸はヌクレオシド修飾RNAである。本発明は、抗原をコードするヌクレオシド修飾RNAが、強固なCD4+ T細胞、CD8+ T細胞、またはTfh細胞の抗原特異的免疫応答を誘導するという知見に一部基づいている。更に、上記抗原をコードするヌクレオシド修飾RNAは、抗原特異的抗体の産生を誘導することが認められた。上記ヌクレオシド修飾RNAは、現在のプライムブーストワクチン投与計画及びウイルスベクターに基づく投与計画と同等またはそれを上回る適応免疫応答を誘導することが実証される。
ある特定の実施形態において、本組成物は脂質ナノ粒子(LNP)を含む。例えば、一実施形態において、本組成物は、LNP内に封入された抗原をコードする核酸分子を含む。特定の例において、上記LNPは当該核酸分子の細胞内取込みを増強する。
ある特定の実施形態において、本組成物はアジュバントを含む。ある特定の実施形態において、本組成物はアジュバントをコードする核酸分子を含む。例えば、一実施形態において、本組成物はアジュバントをコードするヌクレオシド修飾RNAを含む。一実施形態において、本組成物は抗原及びアジュバントをコードするヌクレオシド修飾RNAを含む。一実施形態において、本組成物は抗原をコードする第1のヌクレオシド修飾RNAと、アジュバントをコードする第2のヌクレオシド修飾RNAとを含む。
一実施形態において、本発明は対象における適応免疫応答の誘導方法を提供する。例えば、本方法は、ウイルス、細菌、真菌、寄生生物、がんなどに対する、上記対象の免疫を与えるために用いることができる。いくつかの実施形態において、本方法は、抗原、アジュバント、またはそれらの組み合わせをコードする1種または複数種のヌクレオシド修飾RNAを含む組成物を上記対象に投与することを含む。
一実施形態において、本方法は、例えば皮内投与を始めとする、上記対象への本組成物の全身投与を含む。ある特定の実施形態において、本方法は上記対象へ複数回の投与を行うことを含む。別の実施形態において、本方法は、適応免疫応答を誘導するのに有効な本組成物の単回投与を行うことを含む。
ワクチン
一実施形態において、本発明は対象において適応免疫応答を誘導するための免疫原性組成物を提供する。例えば、一実施形態において、上記免疫原性組成物はワクチンである。組成物がワクチンとして有用であるためには、該組成物は、細胞、組織または哺乳動物(例えば、ヒト)において当該の抗原に対する適応免疫応答を誘導する必要がある。ある特定の例において、上記ワクチンは当該の哺乳動物において防御免疫応答を誘導する。本明細書で使用される「免疫原性組成物」は、抗原(例えば、ペプチドまたはポリペプチド)、抗原をコードする核酸、抗原もしくは細胞成分を発現または提示する細胞、あるいはそれらの組み合わせを含んでいてもよい。特定の実施形態において、本組成物は、本明細書に記載されるいずれかのペプチド抗原、もしくはその免疫原性機能的等価物の全てまたは一部を含むかあるいはコードする。他の実施形態において、本組成物は、更なる免疫刺激剤またはかかる刺激剤をコードする核酸を含む混合物の形態である。免疫刺激剤としては、更なる抗原、免疫調節剤、抗原提示細胞またはアジュバントが挙げられるが、これらに限定はされない。他の実施形態において、1種または複数種の更なる薬剤が当該の抗原または免疫刺激剤に、任意の組み合わせで共有結合している。ある特定の実施形態において、上記抗原性組成物はHLAアンカーモチーフアミノ酸に結合しているか、またはこれを含む。
本発明の文脈において、「ワクチン」という用語は動物への接種時に免疫を誘導する物質を指す。
本発明のワクチンは、その核酸及び/または細胞成分の組成が変化してもよい。非限定的な例において、抗原をコードする核酸はアジュバントと共に製剤されてもよい。当然のことながら、本明細書に記載の様々な組成物は、追加の成分を更に含んでいてもよい。例えば、1種または複数種のワクチン成分は、脂質、リポソーム、または脂質ナノ粒子中に含まれていてもよい。別の非限定的な例において、ワクチンは1種または複数種のアジュバントを含んでいてもよい。本発明のワクチン及びその種々の成分は、本明細書に開示される、または本開示に照らして当業者に公知であろういずれかの方法によって調製及び/または投与することができる。
上記抗原の発現による免疫の誘導は、当該抗原に対する宿主中の免疫系の全てまたは任意の一部の応答をイン・ビボまたはイン・ビトロで観察することによって検出することができる。
例えば、細胞傷害性Tリンパ球の誘導の検出方法は周知である。生体内に侵入した異物はAPCの作用によりT細胞及びB細胞に提示される。APCによって抗原特異的な形態で提示された抗原に応答するT細胞は、当該の抗原による刺激によって細胞傷害性T細胞(細胞傷害性Tリンパ球すなわちCTLとも呼ばれる)に分化する。次いでこれらの抗原によって刺激された細胞は増殖する。この過程は本明細書においてT細胞の「活性化」と呼ばれる。したがって、ポリペプチドもしくはペプチドまたはそれらの組み合わせのエピトープによるCTLの誘導は、APCによるT細胞へのポリペプチドもしくはペプチドまたはそれらの組み合わせのエピトープの提示、及びCTLの誘導の検出によって評価することができる。更に、APCは、B細胞、CD4+ T細胞、CD8+ T細胞、マクロファージ、好酸球及びNK細胞を活性化する効果を有する。
樹状細胞(DC)をAPCとして用いるCTLの誘導作用の評価方法は本技術分野で周知である。DCはAPCの中でも強固なCTL誘導作用を有する代表的なAPCである。本発明の方法において、ポリペプチドもしくはペプチドまたはそれらの組み合わせのエピトープは、初期にはDCによって発現され、次いでこのDCがT細胞と接触する。DCとの接触後に着目する細胞に対する細胞傷害作用を有するT細胞が検出されることは、ポリペプチドもしくはペプチドまたはそれらの組み合わせのエピトープが上記細胞傷害性T細胞を誘導する活性を有することを示す。更に、誘導された免疫応答は、ELISPOTアッセイなどの抗IFN-γ抗体を用いた視覚化により、固定化されたペプチドまたはペプチドの組み合わせを有する抗原提示細胞の存在下でCTLによって産生及び放出されたIFN-γを測定することによって調べることもできる。
DCとは別に、末梢血単核細胞(PBMC)もAPCとして用いることができる。CTLの誘導はGM-CSF及びIL-4の存在下でPBMCを培養することによって増強されることが報告されている。同様に、CTLはキーホールリンペットヘモシアニン(KLH)及びIL-7の存在下でPBMCを培養することによって誘導されることが示されている。
これらの方法によりCTL誘導活性を有することが確認された抗原は、DC活性化作用及びその後のCTL誘導活性を有する抗原である。更に、APCによる抗原の提示によって細胞傷害性を獲得したCTLも、抗原に関連する障害に対するワクチンとして用いることができる。
上記抗原の発現による免疫の誘導は、当該の抗原に対する抗体産生の誘導を観察することによって更に確認することができる。例えば、抗原をコードする組成物で免疫化された実験動物において当該の抗原に対する抗体が誘導される場合、及び抗原関連の病理がこれらの抗体によって抑制される場合、当該組成物は免疫を誘導すると判定される。
上記抗原の発現による免疫の誘導は、CD4+ T細胞の誘導を観察することによって更に確認することができる。CD4+ T細胞は標的細胞を溶解することもできるが、主としてCTL及び抗体の生成を含む他の形式の免疫応答の誘導を支援する。CD4+ T細胞による支援の形式は、Th1細胞、Th2細胞、Th9細胞、Th17細胞、制御性T細胞、または濾胞性ヘルパーT(Tfh)細胞として特徴付けられる。各サブタイプのCD4+ T細胞はある特定の形式の免疫応答を支援する。本発明にとって特に興味深いのは、Τfhサブタイプが高親和性抗体の生成を支援することである。
本発明の治療用化合物または組成物を、疾患もしくは障害に罹患しているかまたはそれらの発症の危険性がある(もしくはそれらに感受性である)対象に、予防的に(すなわち、当該疾患または障害を予防するために)、または治療的に(すなわち、当該疾患または障害を治療するために)投与してもよい。かかる対象は標準的な臨床的方法を用いて識別することができる。本発明の文脈において、予防的投与は、疾患または障害が予防されるか、あるいはその進行が遅延されるように、疾患の顕著な臨床症状の発現の前に行われる。医学の分野の文脈において、「予防する」という用語は、疾患による死亡または病的状態の負荷を低減する任意の活動を包含する。予防は、1次、2次及び3次の予防レベルで行うことができる。1次の予防は疾患の発症を回避する一方、2次及び3次レベルの予防は疾患の進行及び症状の出現を予防し、ならびに、機能を回復させ且つ疾患に関連する合併症を低減することによって既に罹患している疾患の悪影響を低減することを目的とする活動を包含する。
核酸
一実施形態において、本発明はヌクレオシド修飾核酸分子を含む。一実施形態において、上記ヌクレオシド修飾核酸分子は抗原をコードする。一実施形態において、上記ヌクレオシド修飾核酸分子は複数の抗原をコードする。ある特定の実施形態において、上記ヌクレオシド修飾核酸分子は、抗原であって、当該抗原に対する適応免疫応答を誘導する上記抗原をコードする。一実施形態において、本発明はアジュバントをコードするヌクレオシド修飾核酸分子を含む。
あるいは、本明細書に記載の、抗原またはアジュバントをコードするヌクレオチド配列は、得られるポリヌクレオチドが本発明に係るポリペプチドをコードするとの条件で、元のヌクレオチド配列に対する配列変異、例えば、1つまたは複数のヌクレオチドの置換、挿入及び/または除去を含んでいてもよい。したがって、本発明の範囲は、本明細書中に記載されるヌクレオチド配列と実質的に相同であり、且つ目的の抗原またはアジュバントをコードするヌクレオチド配列を包含する。
ある特定の実施形態において、上記ヌクレオチド配列はHIV Env抗原をコードする。例えば、ある特定の実施形態において、上記ヌクレオチド配列は、配列番号または配列番号2のヌクレオチド配列によってコードされるHIV Envをコードする。一実施形態において、上記ヌクレオチド配列はインフルエンザヘマグルチニン(HA)をコードする。例えば、ある特定の実施形態において、上記ヌクレオチド配列はPR8由来のHAをコードする。例えば、一実施形態において、上記ヌクレオチド配列は配列番号3のアミノ酸配列を有するPR8 HAをコードする。ある特定の実施形態において、上記ヌクレオチド配列は配列番号4または配列番号5のヌクレオチド配列によってコードされるPR8 HAをコードする。例えば、ある特定の実施形態において、上記ヌクレオチド配列はCal/7/2009由来のHAをコードする。例えば、一実施形態において、上記ヌクレオチド配列は配列番号6のアミノ酸配列を有するCal/7/2009 HAをコードする。ある特定の実施形態において、上記ヌクレオチド配列は配列番号7または配列番号8のヌクレオチド配列によってコードされるCal/7/2009/HAをコードする。
本明細書では、あるヌクレオチド配列は、本明細書に記載のヌクレオチド配列のいずれかに対して、当該のヌクレオチド配列が上記ヌクレオチド配列に対して、少なくとも60%、有利には少なくとも70%、好ましくは少なくとも85%、より好ましくは少なくとも95%の同一性度を有する場合に、「実質的に相同」である。抗原をコードするヌクレオチド配列と実質的に相同であるヌクレオチド配列は、一般的には、例えば、保存的または非保存的置換を導入することによって、当該ヌクレオチド配列中に含まれる情報に基づいて、当該抗原の産生生物から単離することができる。可能な修飾の他の例としては、当該配列中への1もしくは複数のヌクレオチドの挿入、当該配列のいずれかの末端における1もしくは複数のヌクレオチドの付加、または当該配列のいずれかの末端もしくは内部の1もしくは複数のヌクレオチドの除去が挙げられる。2種のポリヌクレオチド間の同一性度は、当業者に広く知られているコンピュータアルゴリズム及び方法を用いて決定される。
更に、本発明の範囲は、本明細書中に記載されるアミノ酸配列と実質的に相同であり、元のアミノ酸配列の免疫原性機能を維持するアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列を包含する。
本明細書で使用される場合、あるアミノ酸配列は、本明細書に記載のアミノ酸配列のいずれかに対して、当該のアミノ酸配列が上記アミノ酸配列に対して、少なくとも60%、有利には少なくとも70%、好ましくは少なくとも85%、より好ましくは少なくとも95%の同一性度を有する場合に、「実質的に相同」である。2種のアミノ酸配列間の同一性は、好ましくはBLASTNアルゴリズム(BLAST Manual,Altschul,S.,et al.,NCBINLM NIH Bethesda,Md.20894,Altschul,S.,et al.,J.Mol.Biol.215:403-410 (1990))を用いて決定される。
一実施形態において、本発明は抗原をコードするヌクレオチド配列を含む構築物に関する。一実施形態において、上記構築物は複数の抗原をコードする複数のヌクレオチド配列を含む。例えば、ある特定の実施形態において、上記構築物は、1種以上、2種以上、5種以上、10種以上、15種以上、または20種以上の抗原をコードする。一実施形態において、本発明は、アジュバントをコードするヌクレオチド配列を含む構築物に関する。一実施形態において、上記構築物は抗原をコードする第1のヌクレオチド配列と、アジュバントをコードする第2のヌクレオチド配列とを含む。
一実施形態において、本組成物は複数の構築物を含み、各構築物は1種または複数種の抗原をコードする。ある特定の実施形態において、本組成物は、1種以上、2種以上、5種以上、10種以上、15種以上、または20種以上の構築物を含む。一実施形態において、本組成物は抗原をコードするヌクレオチド配列を含む第1の構築物と、アジュバントをコードするヌクレオチド配列を含む第2の構築物とを含む。
別のある特定の実施形態において、上記構築物は、翻訳制御エレメントに作動可能に結合する。この構築物は、本発明のヌクレオチド配列の発現のために作動可能に結合した調節配列を組み込み、したがって発現カセットを形成することができる。
ベクター
上記抗原またはアジュバントをコードする核酸配列は、例えば、当該遺伝子を発現する細胞由来のライブラリをスクリーニングすることによる、上記遺伝子を含むことが知られているベクターから該遺伝子を誘導することによる、または標準的な技法を用いて、上記遺伝子を含有する細胞及び組織から直接単離することによるなどの、本技術分野で公知の組換え方法を用いて得ることができる。あるいは、目的の遺伝子を合成的に生成させることができる。
上記核酸は多くの種類のベクターにクローニングすることができる。例えば、上記核酸は、プラスミド、ファージミド、ファージ誘導体、動物ウイルス、及びコスミドを含む、但しこれらに限定されないベクターにクローニングすることができる。特に着目すべきベクターとしては、発現ベクター、複製ベクター、プローブ生成ベクター、配列決定ベクター及びイン・ビトロ転写のために最適化されたベクターが挙げられる。
ポリヌクレオチドを宿主細胞に導入するための化学的手段としては、高分子複合体、ナノカプセル、ミクロスフェア、ビーズ、及び水中油型乳化液、ミセル、混合ミセル、及びリポソームを含む脂質系システムなどのコロイド分散系が挙げられる。イン・ビトロ及びイン・ビボでの送達ビヒクルとして用いるための例示的なコロイド系はリポソーム(例えば、人工膜ベシクル)である。
非ウイルス送達システムが利用される場合、例示としての送達ビヒクルはリポソームである。当該核酸の宿主細胞への導入(イン・ビトロ、エクス・ビボまたはイン・ビボ)に対しては脂質製剤の使用が企図される。別の態様において、上記核酸は脂質を伴っていてもよい。この脂質を伴う核酸は、リポソームの水性の内部に封入されていてもよく、リポソームの脂質二重層内に散在していてもよく、リポソームとオリゴヌクレオチドの両方に結び付いた連結分子を介してリポソームに結合していてもよく、リポソーム中に封入されていてもよく、リポソームと複合体化されていてもよく、脂質を含有する溶液中に分散していてもよく、脂質と混合されていてもよく、脂質と組み合わされていてもよく、懸濁液として脂質中に含まれていてもよく、ミセルに含まれるかもしくはミセルと複合体化されていてもよく、または他の形態で脂質を伴っていてもよい。脂質、脂質/RNAまたは脂質/発現ベクターを伴う組成物は、溶液中のいずれかの特定の構造に限定されない。例えば、該組成物は、二層構造で、ミセルとして、または「崩壊した」構造で存在してもよい。該組成物はまた、おそらくは均一ではない大きさまたは形状の凝集物を形成して、単に溶液中に散在していてもよい。脂質は天然起源のまたは合成の脂質であってよい脂肪質の物質である。例えば、脂質としては、細胞質に天然起源の脂肪滴、ならびに脂肪酸、脂肪族アルコール、脂肪族アミン、脂肪族アミノアルコール及び脂肪族アルデヒドなどの長鎖脂肪族炭化水素及びそれらの誘導体を含有する化合物の群が挙げられる。
使用に適した脂質は商業的供給源から得ることができる。例えば、ジミリスチルホスファチジルコリン(「DMPC」)は、Sigma(ミズーリ州セントルイス)から入手可能であり、リン酸ジセチル(「DCP」)はK&K Laboratories(ニューヨーク州プレインビュー)から入手可能であり、コレステロール(「Chol」)は、Calbiochem-Behringから入手可能であり、ジミリスチルホスファチジルグリセロール(「DMPG」)及び他の脂質はAvanti Polar Lipids,Inc.(アラバマ州バーミンガム)から入手可能である。脂質のクロロホルムまたはクロロホルム/メタノール保存溶液は約-20℃で保存することができる。クロロホルムはメタノールよりも容易に留去されることから、単独の溶媒として用いられる。「リポソーム」は、密閉された脂質二重層または凝集体の生成によって形成される多様な単層膜及び多重膜脂質ビヒクルを包含する総称である。リポソームは、リン脂質二重層膜及び内部水性媒体を有するベシクル構造を有するものとして特徴付けることができる。多重膜リポソームは水性媒体によって分離された複数の脂質層を有する。多重膜リポソームは、リン脂質を過剰の水溶液中に懸濁させると自ずと形成される。上記脂質成分は、閉鎖構造を形成する前に自己再構成を起こし、脂質二重層の間に水及び溶解した溶質を封入する(Ghosh et al.,1991 Glycobiology 5:505-10)。但し、通常のベシクル構造とは異なる溶液中の構造を有する組成物も包含される。例えば、上記脂質はミセル構造をとっていてもよく、または単に脂質分子の不均一な凝集体として存在してもよい。また、リポフェクタミン-核酸複合体も企図される。
外因性核酸を宿主細胞に導入するために、または他の形態で細胞を本発明の阻害剤に曝露するために用いられる方法かにかかわらず、上記宿主細胞におけるmRNA配列の存在を確認するために、様々なアッセイを行うことができる。かかるアッセイとしては、例えば、ノーザンブロッティング及びRT-PCRなどの当業者に周知の「分子生物学的」アッセイ;例えば、免疫原性的手段(ELISA及びウエスタンブロット)によるまたは本発明の範囲内にある薬剤を識別するための本明細書に記載のアッセイによる、特定のペプチドの有無の検出などの「生化学的」アッセイが挙げられる。
イン・ビトロ転写RNA
一実施形態において、本発明の組成物は抗原をコードするイン・ビトロ転写(IVT)RNAを含む。一実施形態において、本発明の組成物は複数の抗原をコードするIVT RNAを含む。一実施形態において、本発明の組成物はアジュバントをコードするIVT RNAを含む。一実施形態において、本発明の組成物は1種または複数種の抗原及び1種または複数種のアジュバントをコードするIVT RNAを含む。
一実施形態において、IVT RNAは一過性トランスフェクションの形態として細胞に導入することができる。合成的に生成させたプラスミドDNAテンプレートを用いたイン・ビトロ転写によりRNAが生成される。任意の供給源由来の着目するDNAを、適宜のプライマー及びRNAポリメラーゼを用い、PCRによってイン・ビトロmRNA合成用のテンプレートへと直接転換することができる。上記DNAの供給源は、例えば、ゲノムDNA、プラスミドDNA、ファージDNA、cDNA、合成DNA配列または他の適宜のDNA源であってよい。一実施形態において、イン・ビトロ転写用の望ましいテンプレートは、例えば、本明細書の他の箇所に記載されるような、病原体または腫瘍に関連する抗原を始めとする、適応免疫応答を誘導することができる抗原である。一実施形態において、イン・ビトロ転写用の望ましいテンプレートは、適応免疫応答を増強することができるアジュバントである。
一実施形態において、PCRに用いられる上記DNAはオープンリーディングフレームを含む。上記DNAは生物のゲノム由来の天然起源のDNA配列由来であってよい。一実施形態において、上記DNAは遺伝子の一部の着目する全長遺伝子である。上記遺伝子は、5’及び/または3’非翻訳領域(UTR)の一部または全てを含んでいてよい。上記遺伝子はエキソン及びイントロンを含んでいてよい。一実施形態において、PCRに用いられる上記DNAはヒト遺伝子である。別の実施形態において、PCRに用いられる上記DNAは5’及び3’UTRを含むヒト遺伝子である。別の実施形態において、PCRに用いられる上記DNAは、細菌、ウイルス、寄生生物、及び真菌を含む病原性生物または共生生物由来の遺伝子である。別の実施形態において、PCRに用いられる上記DNAは、5’及び3’UTRを含む細菌、ウイルス、寄生生物、及び真菌を含む病原性生物または共生生物由来である。あるいは、上記DNAは天然起源の生物では通常発現されない人工DNA配列であってもよい。例示的な人工DNA配列は、互いに結合して、融合タンパク質をコードするオープンリーディングフレームを形成する遺伝子の部分を含む人工DNA配列である。上記互いに結合するDNAの部分は単一の生物由来または複数の生物由来であってよい。
PCR用のDNA源として用いることができる遺伝子としては、生物において適応免疫応答を誘導または増強するポリペプチドをコードする遺伝子が挙げられる。好ましい遺伝子は、短期間の治療に有用な遺伝子、または投与量もしくは発現する遺伝子に関する安全性の懸念がある遺伝子である。
様々な実施形態において、プラスミドが、トランスフェクションに用いられるmRNAのイン・ビトロ転写用のテンプレートを生成させるために用いられる。
安定性及び/または翻訳効率を助長する能力を有する化学構造を用いてもよい。上記RNAは、好ましくは5’及び3’UTRを有する。一実施形態において、上記5’UTRは0~3000ヌクレオチドの長さである。コード領域に付加される5’及び3’UTR配列の長さは、上記UTRの異なる領域にアニールするPCR用のプライマーの設計を始めとする、但しこれに限定されない、様々な方法によって変えることができる。この手法を用いて、当業者は、転写されるRNAのトランスフェクション後に最適な翻訳効率を達成するために必要な5’及び3’UTRの長さを修正することができる。
上記5’及び3’UTRは、着目する遺伝子のための、天然起源の内在性5’及び3’UTRであってよい。あるいは、着目する遺伝子に対して内在性ではないUTR配列を、上記UTR配列を順方向プライマー及び逆方向プライマーに組み込むことによって、またはテンプレートのいずれかの他の修飾によって付加することができる。着目する遺伝子に対して内在性ではないUTR配列を用いることは、上記RNAの安定性及び/または翻訳効率を修正するのに有用な場合がある。例えば、3’UTR配列中のAUに富むエレメントは、mRNAの安定性を低下させる場合があることが知られている。したがって、3’UTRを、本技術分野で周知のUTRの特性に基づいて、転写されたRNAの安定性を向上させるように選択または設計することができる。
一実施形態において、上記5’UTRは内在性遺伝子のコザック配列を含んでいてよい。あるいは、着目する遺伝子に対して内在性でない5’UTRが上記のようにPCRによって付加される場合、コンセンサスコザック配列を、上記5’UTR配列を付加することによって再設計することができる。コザック配列は、一部のRNA転写物の翻訳効率を向上させることができるが、効率的な翻訳を可能にするために全てのRNAにとって必要とは思われない。多くのmRNAに関するコザック配列の要件が本技術分野で公知である。他の実施形態において、上記5’UTRは、RNAゲノムが細胞内で安定なRNAウイルスから誘導することができる。他の実施形態において、種々のヌクレオチド類似体を3’または5’UTRに用いて、mRNAのエキソヌクレアーゼ分解を阻害することができる。
遺伝子クローニングを必要とすることなく、DNAテンプレートからのRNAの合成を可能にするためには、転写のプロモーターが、転写されるべき配列の上流のDNAテンプレートに結合される必要がある。RNAポリメラーゼに対するプロモーターとして機能する配列が順方向プライマーの5’末端に付加される場合、該RNAポリメラーゼプロモーターは転写されるべきオープンリーディングフレームの上流のPCR産物中に組み込まれた状態になる。一つの好ましい実施形態において、上記プロモーターは、本明細書の他の箇所に記載される、T7 RNAポリメラーゼプロモーターである。他の有用なプロモーターとしては、T3及びSP6 RNAポリメラーゼプロモーターが挙げられるが、これらに限定はされない。T7、T3及びSP6プロモーターのためのコンセンサスヌクレオチド配列が本技術分野において公知である。
好ましい実施形態において、上記mRNAは、当該細胞内でのリボソーム結合、翻訳の開始及びmRNAの安定性を決定する、5’末端上のキャップ及び3’ポリ(A)テールの両方を有する。環状DNAテンプレート、例えば、プラスミドDNA上では、RNAポリメラーゼは真核細胞における発現には適さない長いコンカテマー生成物を産生する。3’UTRの末端で直鎖化されたプラスミドDNAの転写により、転写後にポリアデニル化された場合に真核トランスフェクションに有効な通常の大きさのmRNAが生じる。
直鎖DNAテンプレート上では、ファージT7 RNAポリメラーゼは該テンプレートの最後の塩基を越えて転写物の3’末端を伸長させることができる(Schenborn及びMierendorf,Nuc Acids Res.,13:6223-36 (1985); Nacheva及びBerzal-Herranz,Eur.J.Biochem.,270:1485-65 (2003)。
従来のポリA/T配列のDNAテンプレートへの組み込み方法は分子クローニングである。しかし、プラスミドDNA中に組み込まれたポリA/T配列はプラスミドを不安定にする場合があり、これはプラスミド増殖のための組換え不能な細菌細胞を用いることによって改善することができる。
RNAのポリ(A)テールは、E.coliポリAポリメラーゼ(E-PAP)または酵母ポリAポリメラーゼなどのポリ(A)ポリメラーゼを用いてイン・ビトロ転写後に更に伸長することができる。一実施形態において、ポリ(A)テールの長さを100ヌクレオチドから300~400ヌクレオチドへと増加させことによって、当該RNAの翻訳効率が約2倍増加する。また、異なる化学基の3’末端への結合により、mRNAの安定性を向上させることができる。かかる結合は、修飾/人工ヌクレオチド、アプタマー及び他の化合物を含み得る。例えば、ATP類似体を、ポリ(A)ポリメラーゼを用いてポリ(A)テールに組み込むことができる。ATP類似体は上記RNAの安定性を更に向上させることができる。
5’キャップはmRNA分子に安定性も与える。好ましい実施形態において、上記方法によって産生されたRNAは、5’キャップ1構造を含む。かかるキャップ1構造はワクシニアキャッピング酵素及び2’-O-メチルトランスフェラーゼ酵素(CellScript、ウィスコンシン州マディソン)を用いて生成させることができる。あるいは、5’キャップは、本技術分野で公知であり、本明細書に記載の技法を用いて与えられる(Cougot,et al.,Trends in Biochem.Sci.,29:436- 444 (2001); Stepinski,et al.,RNA,7:1468-95 (2001); Elango,et al.,Biochim.Biophys.Res.Commun.,330:958-966 (2005))。
RNAは、多くの異なる方法、例えば、電気穿孔法(Amaxa Nucleofector-II(Amaxa Biosystems、ドイツ国ケルン))、(ECM830(BTX)(Harvard Instruments、マサチューセッツ州ボストン)、Gene Pulser II(BioRad、コロラド州デンバー)、Multiporator(Eppendort、ドイツ国ハンブルグ)、リポフェクションを用いたカチオン性リポソーム媒介トランスフェクション、ポリマーによる封入、ペプチド媒介トランスフェクション、または「遺伝子銃」などの微粒子銃粒子送達システム(biolistic particle delivery system)(例えば、Nishikawa,et al.Hum Gene Ther.,12(8):861-70 (2001)を参照されたい))を含む、但しこれらに限定されない、市販の方法のいずれかを用いて標的細胞中に導入することができる。ある特定の実施形態において、本発明のRNAは、TransIT(登録商標)-mRNAトランスフェクションキット(Mirus、ウィスコンシン州マディソン)の使用を含む方法で細胞に導入され、該方法はいくつかの例において、高効率、低毒性のトランスフェクションを提供する。
ヌクレオシド修飾RNA
一実施形態において、本発明の組成物は本明細書に記載の、抗原をコードするヌクレオシド修飾核酸を含む。一実施形態において、本発明の組成物は複数の抗原をコードするヌクレオシド修飾核酸を含む。一実施形態において、本発明の組成物は本明細書に記載のアジュバントをコードするヌクレオシド修飾核酸を含む。一実施形態において、本発明の組成物は1種または複数種の抗原及び1種または複数種のアジュバントをコードするヌクレオシド修飾核酸を含む。
例えば、一実施形態において、本組成物はヌクレオシド修飾RNAを含む。一実施形態において、本組成物はヌクレオシド修飾mRNAを含む。ヌクレオシド修飾mRNAは、例えば、安定性の向上、自然免疫原性の低下または消失、及び翻訳の増強を含む、非修飾mRNAに対する特定の利点を有する。本発明において有用なヌクレオシド修飾mRNAは米国特許第8,278,036号に更に記載されており、該特許は参照によりその全体が本明細書に援用される。
ある特定の実施形態において、ヌクレオシド修飾mRNAは、いかなる病態生理的経路も活性化せず、非常に効率的に且つ送達のほぼ直後に翻訳され、数日間持続するイン・ビボでの連続的なタンパク質産生のためのテンプレートとしての役割を果たす(Kariko et al.,2008,Mol Ther 16:1833-1840; Kariko et al.,2012,Mol Ther 20:948-953)。生理効果を発揮するために必要なmRNAの量は小さく、そのことによって該mRNAはヒトの治療に適用可能となる。例えば、本明細書に記載するように、抗原をコードするヌクレオシド修飾mRNAは、CD4+及びCD8+ T細胞及び抗原特異的抗体の産生を誘導する能力があることが実証されている。例えば、ある特定の例において、ヌクレオシド修飾mRNAによってコードされる抗原は、非修飾mRNAによってコードされる抗原と比較して、抗原特異的抗体のより大きな産生を誘導する。
ある特定の例において、上記コードmRNAを送達することによってタンパク質を発現させることは、タンパク質、プラスミドDNAまたはウイルスベクターを用いる方法に対して多くの利点を有する。mRNAトランスフェクションの間は、所望のタンパク質のコード配列が細胞に送達される唯一の物質であり、したがって、プラスミド骨格、ウイルス遺伝子、及びウイルスタンパク質に伴う全ての副作用を回避する。更に重要なことに、上記mRNAは、DNA及びウイルスに基づくベクターとは異なり、ゲノム中に取込まれる危険性を有さず、且つタンパク質産生はmRNAの送達直後に開始する。例えば、上記コードmRNAのイン・ビボ注入の15~30分以内に、高レベルの循環タンパク質が測定されている。ある特定の実施形態において、タンパク質ではなくmRNAを用いることも多くの利点を有する。循環中のタンパク質の半減期は短いことが多いことから、タンパク質による治療は頻繁な投与を要することとなる一方、mRNAは数日間連続してタンパク質を産生するためのテンプレートを提供する。タンパク質の精製は問題を含んでおり、タンパク質が副作用を引き起こす凝集物及び他の不純物を含む場合がある(Kromminga及びSchellekens、2005、Ann NY Acad Sci 1050:257-265)。
ある特定の実施形態において、上記ヌクレオシド修飾RNAは、天然起源の修飾ヌクレオシドであるプソイドウリジンを含む。ある特定の実施形態において、プソイドウリジンを含むことによって、上記mRNAはより安定に、非免疫原性に、及び高度に翻訳可能になる(Kariko et al.,2008,Mol Ther 16:1833-1840; Anderson et al.,2010,Nucleic Acids Res 38:5884-5892; Anderson et al.,2011,Nucleic Acids Research 39:9329-9338; Kariko et al.,2011,Nucleic Acids Research 39:el42; Kariko et al.,2012,Mol Ther 20:948-953; Kariko et al.,2005,Immunity 23:165-175)。
プソイドウリジンを含む修飾ヌクレオシドがRNA中に存在することによって、該RNAの自然免疫原性を抑制することが実証されている(Kariko et al.,2005,Immunity 23:165-175)。更に、プソイドウリジンを含有する、タンパク質をコードするイン・ビトロ転写RNAは、修飾ヌクレオシドを含有しない、または他の修飾ヌクレオシドを含有するRNAよりもより効率的に翻訳され得る(Kariko et al.,2008,Mol Ther 16:1833-1840)。その後、プソイドウリジンが存在することによってRNAの安定性が改善され(Anderson et al.,2011,Nucleic Acids Research 39:9329-9338)、PKRの活性化と翻訳の阻害の両方を抑制する(Anderson et al.,2010,Nucleic Acids Res 38:5884-5892)ことが示されている。優れた翻訳の潜在能力を有し、且つ自然免疫原性をもたないプソイドウリジン含有RNAを得るために重要である分取HPLC精製手順が確立されている(Kariko et al.,2011,Nucleic Acids Research 39:el42)。マウス及びマカクに、HPLC精製した、エリスロポエチンをコードするプソイドウリジン含有RNAを投与することによって血清EPOレベルが有意に増加し(Kariko et al.,2012,Mol Ther 20:948-953)、したがってプソイドウリジン含有mRNAがイン・ビボタンパク療法に適していることが確認された。
本発明は、プソイドウリジンまたは修飾ヌクレオシドを含むRNA、オリゴリボヌクレオチド、及びポリリボヌクレオチド分子を含む。ある特定の実施形態において、本組成物は抗原をコードする単離された核酸を含み、該核酸はプソイドウリジンまたは修飾ヌクレオシドを含む。ある特定の実施形態において、本組成物は、抗原、アジュバント、またはそれらの組み合わせをコードする単離された核酸を含むベクターを含み、該核酸はプソイドウリジンまたは修飾ヌクレオシドを含む。
一実施形態において、本発明のヌクレオシド修飾RNAは、本明細書の他の箇所に記載されるIVT RNAである。例えば、ある特定の実施形態において、上記ヌクレオシド修飾RNAはT7ファージRNAポリメラーゼによって合成される。別の実施形態において、上記ヌクレオシド修飾mRNAはSP6ファージRNAポリメラーゼによって合成される。別の実施形態において、上記ヌクレオシド修飾RNAはT3ファージRNAポリメラーゼによって合成される。
一実施形態において、上記修飾ヌクレオシドはmacpΨ(1-メチル-3-(3-アミノ-3-カルボキシプロピル)プソイドウリジンである。別の実施形態において、上記修飾ヌクレオシドはmΨ(1-メチルプソイドウリジン)である。別の実施形態において、上記修飾ヌクレオシドはΨm(2’-O-メチルプソイドウリジン)である。別の実施形態において、上記修飾ヌクレオシドはmD(5-メチルジヒドロウリジン)である。別の実施形態において、上記修飾ヌクレオシドはmΨ(3-メチルプソイドウリジン)である。別の実施形態において、上記修飾ヌクレオシドは更に修飾されていないプソイドウリジン部分である。別の実施形態において、上記修飾ヌクレオシドは上記のプソイドウリジンのいずれかのモノリン酸エステル、ジリン酸エステル、またはトリリン酸エステルである。別の実施形態において、上記修飾ヌクレオシドは本技術分野で公知の任意の他のプソイドウリジン様ヌクレオシドである。
別の実施形態において、本発明のヌクレオシド修飾RNAにおいて修飾されるヌクレオシドはウリジン(U)である。別の実施形態において、上記修飾されるヌクレオシドはシチジン(C)である。別の実施形態において、上記修飾されるヌクレオシドはアデノシン(A)である。別の実施形態において、上記修飾されるヌクレオシドはグアノシン(G)である。
別の実施形態において、本発明の修飾ヌクレオシドはmC(5-メチルシチジン)である。別の実施形態において、上記修飾ヌクレオシドはmU(5-メチルウリジン)である。別の実施形態において、上記修飾ヌクレオシドはmA(N-メチルアデノシン)である。別の実施形態において、上記修飾ヌクレオシドはsU(2-チオウリジン)である。別の実施形態において、上記修飾ヌクレオシドはΨ(プソイドウリジン)である。別の実施形態において、上記修飾ヌクレオシドはUm(2’-O-メチルウリジン)である。
他の実施形態において、上記修飾ヌクレオシドは、mA(1-メチルアデノシン);mA(2-メチルアデノシン);Am(2’-O-メチルアデノシン);msA(2-メチルチオ-N-メチルアデノシン);iA(N-イソペンテニルアデノシン);msi6A(2-メチルチオ-Nイソペンテニルアデノシン);ioA(N-(cis-ヒドロキシイソペンテニル)アデノシン);msioA(2-メチルチオ-N-(cis-ヒドロキシイソペンテニル)アデノシン);gA(N-グリシニルカルバモイルアデノシン);tA(N-スレオニルカルバモイルアデノシン);msA(2-メチルチオ-N-スレオニルカルバモイルアデノシン);mA(N-メチル-N-スレオニルカルバモイルアデノシン);hnA(N-ヒドロキシノルバリルカルバモイルアデノシン);mshnA(2-メチルチオ-N-ヒドロキシノルバリルカルバモイルアデノシン);Ar(p)(2’-O-リボシルアデノシン(リン酸));I(イノシン);mI(1-メチルイノシン);mIm(1,2’-O-ジメチルイノシン);mC(3-メチルシチジン);Cm(2’-O-メチルシチジン);sC(2-チオシチジン);acC(N-アセチルシチジン);fC(5-ホルミルシチジン);mCm(5,2’-O-ジメチルシチジン);acCm(N-アセチル-2’-O-メチルシチジン);kC(ライシジン);mG(1-メチルグアノシン);mG(N-メチルグアノシン);mG(7-メチルグアノシン);Gm(2’-O-メチルグアノシン);m G(N,N-ジメチルグアノシン);mGm(N,2’-O-ジメチルグアノシン);m Gm(N,N,2’-O-トリメチルグアノシン);Gr(p)(2’-O-リボシルグアノシン(リン酸));yW(ワイブトシン);oyW(ペルオキシワイブトシン);OHyW(ヒドロキシワイブトシン);OHyW*(非修飾ヒドロキシワイブトシン);imG(ワイオシン);mimG(メチルワイオシン);Q(クエオシン);oQ(エポキシクエオシン);galQ(ガラクトシル-クエオシン);manQ(マンノシル-クエオシン);preQ(7-シアノ-7-デアザグアノシン);preQ(7-アミノメチル-7-デアザグアノシン);G(アルケオシン(archaeosine));D(ジヒドロウリジン);mUm(5,2’-O-ジメチルウリジン);sU(4-チオウリジン);mU(5-メチル-2-チオウリジン);sUm(2-チオ-2’-O-メチルウリジン);acpU(3-(3-アミノ-3-カルボキシプロピル)ウリジン);hoU(5-ヒドロキシウリジン);moU(5-メトキシウリジン);cmoU(ウリジン5-オキシ酢酸);mcmoU(ウリジン5-オキシ酢酸メチルエステル);chmU(5-(カルボキシヒドロキシメチル)ウリジン));mchmU(5-(カルボキシヒドロキシメチル)ウリジンメチルエステル);mcmU(5-メトキシカルボニルメチルウリジン);mcmUm(5-メトキシカルボニルメチル-2’-O-メチルウリジン);mcmU(5-メトキシカルボニルメチル-2-チオウリジン);nmU(5-アミノメチル-2-チオウリジン);mnmU(5-メチルアミノメチルウリジン);mnmU(5-メチルアミノメチル-2-チオウリジン);mnmseU(5-メチルアミノメチル-2-セレノウリジン);ncmU(5-カルバモイルメチルウリジン);ncmUm(5-カルバモイルメチル-2’-O-メチルウリジン);cmnmU(5-カルボキシメチルアミノメチルウリジン);cmnmUm(5-カルボキシメチルアミノメチル-2’-O-メチルウリジン);cmnmU(5-カルボキシメチルアミノメチル-2-チオウリジン);m A(N,N-ジメチルアデノシン);Im(2’-O-メチルイノシン);mC(N-メチルシチジン);mCm(N,2’-O-ジメチルシチジン);hmC(5-ヒドロキシメチルシチジン);mU(3-メチルウリジン);cmU(5-カルボキシメチルウリジン);mAm(N,2’-O-ジメチルアデノシン);m Am(N,N,O-2’-トリメチルアデノシン);m2,7G(N,7-ジメチルグアノシン);m2,2,7G(N,N,7-トリメチルグアノシン);mUm(3,2’-O-ジメチルウリジン);mD(5-メチルジヒドロウリジン);fCm(5-ホルミル-2’-O-メチルシチジン);mGm(1,2’-O-ジメチルグアノシン);mAm(1,2’-O-ジメチルアデノシン);τmU(5-タウリノメチルウリジン);τmU(5-タウリノメチル-2-チオウリジン));imG-14(4-デメチルワイオシン);imG2(イソワイオシン);またはacA(N-アセチルアデノシン)である。
別の実施形態において、本発明のヌクレオシド修飾RNAは上記修飾の2種以上の組み合わせを含む。別の実施形態において、上記ヌクレオシド修飾RNAは上記の修飾の3種以上の組み合わせを含む。別の実施形態において、上記ヌクレオシド修飾RNAは上記修飾の4種以上の組み合わせを含む。
別の実施形態において、本発明のヌクレオシド修飾RNA中の残基の0.1%~100%が、(例えば、プソイドウリジンまたは修飾ヌクレオシド塩基のいずれかの存在によって)修飾されている。別の実施形態において、上記残基の0.1%が修飾されている。別の実施形態において、修飾された残基の分率は0.2%である。別の実施形態において、上記分率は0.3%である。別の実施形態において、上記分率は0.4%である。別の実施形態において、上記分率は0.5%である。別の実施形態において、上記分率は0.6%である。別の実施形態において、上記分率は0.8%である。別の実施形態において、上記分率は1%である。別の実施形態において、上記分率は1.5%である。別の実施形態において、上記分率は2%である。別の実施形態において、上記分率は2.5%である。別の実施形態において、上記分率は3%である。別の実施形態において、上記分率は4%である。別の実施形態において、上記分率は5%である。別の実施形態において、上記分率は6%である。別の実施形態において、上記分率は8%である。別の実施形態において、上記分率は10%である。別の実施形態において、上記分率は12%である。別の実施形態において、上記分率は14%である。別の実施形態において、上記分率は16%である。別の実施形態において、上記分率は18%である。別の実施形態において、上記分率は20%である。別の実施形態において、上記分率は25%である。別の実施形態において、上記分率は30%である。別の実施形態において、上記分率は35%である。別の実施形態において、上記分率は40%である。別の実施形態において、上記分率は45%である。別の実施形態において、上記分率は50%である。別の実施形態において、上記分率は60%である。別の実施形態において、上記分率は70%である。別の実施形態において、上記分率は80%である。別の実施形態において、上記分率は90%である別の実施形態において、上記分率は100%である。
別の実施形態において、上記分率は5%未満である。別の実施形態において、上記分率は3%未満である。別の実施形態において、上記分率は1%未満である。別の実施形態において、上記分率は2%未満である。別の実施形態において、上記分率は4%未満である。別の実施形態において、上記分率は6%未満である。別の実施形態において、上記分率は8%未満である。別の実施形態において、上記分率は10%未満である。別の実施形態において、上記分率は12%未満である。別の実施形態において、上記分率は15%未満である。別の実施形態において上記分率は20%未満である。別の実施形態において、上記分率は30%未満である。別の実施形態において上記分率は40%未満である。別の実施形態において、上記分率は50%未満である。別の実施形態において、上記分率は60%未満である。別の実施形態において、上記分率は70%未満である。
別の実施形態において、所与のヌクレオシド(すなわち、ウリジン、シチジン、グアノシン、またはアデノシン)の残基の0.1%が修飾されている。別の実施形態において、修飾される上記所与のヌクレオチドの分率は0.2%である。別の実施形態において、上記分率は0.3%である。別の実施形態において、上記分率は0.4%である。別の実施形態において、上記分率は0.5%である。別の実施形態において、上記分率は0.6%である。別の実施形態において、上記分率は0.8%である。別の実施形態において、上記分率は1%である。別の実施形態において、上記分率は1.5%である。別の実施形態において、上記分率は2%である。別の実施形態において、上記分率は2.5%である。別の実施形態において、上記分率は3%である。別の実施形態において、上記分率は4%である。別の実施形態において、上記分率は5%である。別の実施形態において、上記分率は6%である。別の実施形態において、上記分率は8%である。別の実施形態において、上記分率は10%である。別の実施形態において、上記分率は12%である。別の実施形態において、上記分率は14%である。別の実施形態において、上記分率は16%である。別の実施形態において、上記分率は18%である。別の実施形態において、上記分率は20%である。別の実施形態において、上記分率は25%である。別の実施形態において、上記分率は30%である。別の実施形態において、上記分率は35%である。別の実施形態において、上記分率は40%である。別の実施形態において、上記分率は45%である。別の実施形態において、上記分率は50%である。別の実施形態において、上記分率は60%である。別の実施形態において、上記分率は70%である。別の実施形態において、上記分率は80%である。別の実施形態において、上記分率は90%である。別の実施形態において、上記分率は100%である。
別の実施形態において、修飾される所与のヌクレオチドの分率は8%未満である。別の実施形態において、上記分率は10%未満である。別の実施形態において、上記分率は5%未満である。別の実施形態において、上記分率は3%未満である。別の実施形態において、上記分率は1%未満である。別の実施形態において、上記分率は2%未満である。別の実施形態において、上記分率は4%未満である。別の実施形態において、上記分率は6%未満である。別の実施形態において、上記分率は12%未満である。別の実施形態において、上記分率は15%未満である。別の実施形態において、上記分率は20%未満である。別の実施形態において、上記分率は30%未満である。別の実施形態において、上記分率は40%未満である。別の実施形態において、上記分率は50%未満である。別の実施形態において、上記分率は60%未満である。別の実施形態において、上記分率は70%未満である。
別の実施形態において、本発明のヌクレオシド修飾RNAは、同一の配列を有する非修飾RNA分子よりもより効率的に細胞中で翻訳される。別の実施形態において、上記ヌクレオシド修飾RNAは、標的細胞によって翻訳される能力の増強を示す。別の実施形態において、翻訳が、該ヌクレオシド修飾RNAの非修飾の相当物と比較して2倍の倍率で増強される。別の実施形態において、翻訳が3倍の倍率で増強される。別の実施形態において、翻訳が5倍の倍率で増強される。別の実施形態において、翻訳が7倍の倍率で増強される。別の実施形態において、翻訳が10倍の倍率で増強される。別の実施形態において、翻訳が15倍の倍率で増強される。別の実施形態において、翻訳が20倍の倍率で増強される。別の実施形態において、翻訳が50倍の倍率で増強される。別の実施形態において、翻訳が100倍の倍率で増強される。別の実施形態において、翻訳が200倍の倍率で増強される。別の実施形態において、翻訳が500倍の倍率で増強される。別の実施形態において、翻訳が1000倍の倍率で増強される。別の実施形態において、翻訳が2000倍の倍率で増強される。別の実施形態において、上記倍率は10~1000倍である。別の実施形態において、上記倍率は10~100倍である。別の実施形態において、上記倍率は10~200倍である。別の実施形態において、上記倍率は10~300倍である。別の実施形態において、上記倍率は10~500倍である。別の実施形態において、上記倍率は20~1000倍である。別の実施形態において、上記倍率は30~1000倍である。別の実施形態において、上記倍率は50~1000倍である。別の実施形態において、上記倍率は100~1000倍である。別の実施形態において、上記倍率は200~1000倍である。別の実施形態において、翻訳が、他の有意な量または範囲の量によって増強される。
別の実施形態において、本発明のヌクレオシド修飾された抗原をコードするRNAは、同様の配列を有する非修飾のイン・ビトロ合成RNA分子よりも、有意により大きな適応免疫応答を誘導する。別の実施形態において、上記修飾RNA分子は、該修飾RNA分子の非修飾の相当物よりも2倍大きな適応免疫応答を示す。別の実施形態において、上記適応免疫応答は3倍の倍率で増加する。別の実施形態において、上記適応免疫応答は5倍の倍率で増加する。別の実施形態において、上記適応免疫応答は7倍の倍率で増加する。別の実施形態において、上記適応免疫応答は10倍の倍率で増加する。別の実施形態において、上記適応免疫応答は15倍の倍率で増加する。別の実施形態において、上記適応免疫応答は20倍の倍率で増加する。別の実施形態において、上記適応免疫応答は50倍の倍率で増加する。別の実施形態において、上記適応免疫応答は100倍の倍率で増加する。別の実施形態において、上記適応免疫応答は200倍の倍率で増加する。別の実施形態において、上記適応免疫応答は500倍の倍率で増加する。別の実施形態において、上記適応免疫応答は1000倍の倍率で増加する。別の実施形態において、上記適応免疫応答は2000倍の倍率で増加する。別の実施形態において、上記適応免疫応答は別の倍率差で増加する。
別の実施形態において、「有意により大きな適応免疫応答を誘導する」は、適応免疫応答の検出可能な増加を指す。別の実施形態において、この用語は、適応免疫応答の倍率で表した増加(例えば、上記に列挙した倍率で表した増加の一つ)を指す。別の実施形態において、この用語は、有効な適応免疫応答を依然として誘導しながら、同一の種を有する非修飾RNA分子よりもより低い用量または頻度で当該ヌクレオシド修飾RNAを投与することができるような増加を指す。別の実施形態において、上記増加は、単回用量を用いて上記ヌクレオシド修飾RNAを投与して、効果的な適応免疫応答を誘導できるような増加である。
別の実施形態において、本発明のヌクレオシド修飾RNAは、同様の配列を有する非修飾のイン・ビトロ合成RNA分子よりも有意に低い自然免疫原性を示す。別の実施形態において、上記修飾RNA分子は、該修飾RNA分子の非修飾の相当物よりも2分の1の低さの自然免疫応答を示す。別の実施形態において、自然免疫原性は3分の1の縮小率で低下する。別の実施形態において、自然免疫原性は、5分の1の縮小率で低下する。別の実施形態において、自然免疫原性は7分の1の縮小率で低下する。別の実施形態において、自然免疫原性は10分の1の縮小率で低下する。別の実施形態において、自然免疫原性は15分の1の縮小率で低下する。別の実施形態において、自然免疫原性は20分の1の縮小率で低下する。別の実施形態において、自然免疫原性は50分の1の縮小率で低下する。別の実施形態において、自然免疫原性は100分の1の縮小率で低下する。別の実施形態において、自然免疫原性は200分の1の縮小率で低下する。別の実施形態において、自然免疫原性は500分の1の縮小率で低下する。別の実施形態において、自然免疫原性は1000分の1の縮小率で低下する。別の実施形態において、自然免疫原性は2000分の1の縮小率で低下する。別の実施形態において、自然免疫原性は、別の縮小率差で低下する。
別の実施形態において、「有意に低い自然免疫原性を示す」は、自然免疫原性の検出可能な低下を指す。別の実施形態において、この用語は、自然免疫原性の縮小率で表した低下(例えば、上記に列挙した縮小率で表した低下の一つ)を指す。別の実施形態において、この用語は、有効量の上記ヌクレオシド修飾RNAを、検出可能な自然免疫応答を引き起こすことなく投与することができるような低下を指す。別の実施形態において、この用語は、上記ヌクレオシド修飾RNAが、組換えタンパク質の産生を検出可能に低下させるのに十分な自然免疫応答を誘発することなく、繰り返し投与することができるような低下を指す。別の実施形態において、上記低下は、上記ヌクレオシド修飾RNAが、組換えタンパク質の検出可能な産生を排除するのに十分な自然免疫応答を誘発することなく、繰り返し投与することができるようなものである。
脂質ナノ粒子
一実施形態において、ヌクレオシド修飾RNAの送達は、本明細書の他の箇所に記載される例示的なRNAトランスフェクション方法を始めとする、任意且つ適宜の送達方法を含む。ある特定の実施形態において、ヌクレオシド修飾RNAの対象への送達は、接触させるステップの前に、当該のヌクレオシド修飾RNAをトランスフェクション試薬と混合することを含む。別の実施形態において、本発明の方法は、ヌクレオシド修飾RNAをトランスフェクション試薬と共に投与することを更に含む。別の実施形態において、上記トランスフェクション試薬はカチオン性脂質試薬である。
別の実施形態において、上記トランスフェクション試薬は脂質系トランスフェクション試薬である。別の実施形態において、上記トランスフェクション試薬はタンパク質系トランスフェクション試薬である。別の実施形態において、上記トランスフェクション試薬はポリエチレンイミン系トランスフェクション試薬である。別の実施形態において、上記トランスフェクション試薬はリン酸カルシウムである。別の実施形態において、上記トランスフェクション試薬はLipofectin(登録商標)、Lipofectamine(登録商標)、またはTransIT(登録商標)である。別の実施形態において、上記トランスフェクション試薬は本技術分野で公知の任意の他のトランスフェクション試薬である。
別の実施形態において、上記トランスフェクション試薬はリポソームを形成する。別の実施形態において、リポソームは細胞内安定性を増加させ、取込み効率を高め、生物学的活性を改善する。別の実施形態において、リポソームは、細胞膜を構成する脂質と類似の様式で配置された脂質からなる中空の球状ベシクルである。別の実施形態において、リポソームは水溶性化合物を捕捉するための内部水性空間を有し、大きさが直径で0.05~数ミクロンの範囲である。別の実施形態において、リポソームは生物学的に活性な形態で細胞にRNAを送達することができる。
一実施形態において、本組成物は脂質ナノ粒子(LNP)及び本明細書に記載の1種または複数種の核酸分子を含む。例えば、一実施形態において、本組成物は、LNP及び1種もしくは複数種の抗原、アジュバント、またはそれらの組み合わせをコードする1種または複数種のヌクレオシド修飾RNA分子を含む。
「脂質ナノ粒子」という用語は、1種または複数種の脂質、例えば式(I)、(II)または(III)の脂質を含む、少なくとも一方向の寸法がナノメートルオーダー(例えば、1~1,000nm)である粒子を指す。いくつかの実施形態において、脂質ナノ粒子は本明細書に記載のヌクレオシド修飾RNAを含む製剤中に含まれる。いくつかの実施形態において、かかる脂質ナノ粒子は、カチオン性脂質(例えば、式(I)、(II)または(III)の脂質)ならびに、中性脂質、荷電脂質、ステロイド及びポリマーに結合した脂質(例えば、化合物IVaなどの、構造(IV)のペグ化脂質などのペグ化脂質)から選択される1種または複数種の賦形剤を含む。いくつかの実施形態において、上記ヌクレオシド修飾RNAは、当該脂質ナノ粒子の脂質部分、または該脂質ナノ粒子の脂質部分の一部もしくは全てによって包み込まれた水性空間に封入され、それによって、宿主生物または細胞の機構、例えば有害な免疫応答によって誘導される酵素分解または他の望ましくない作用から当該ヌクレオシド修飾RNAを保護する。
様々な実施形態において、上記脂質ナノ粒子は、約30nm~約150nm、約40nm~約150nm、約50nm~約150nm、約60nm~約130nm、約70nm~約110nm、約70nm~約100nm、約80nm~約100nm、約90nm~約100nm、約70~約90nm、約80nm~約90nm、約70nm~約80nm、または約30nm、35nm、40nm、45nm、50nm、55nm、60nm、65nm、70nm、75nm、80nm、85nm、90nm、95nm、100nm、105nm、110nm、115nm、120nm、125nm、130nm、135nm、140nm、145nm、または150nmの平均径を有し、実質的に無毒である。ある特定の実施形態において、上記ヌクレオシド修飾RNAは、上記脂質ナノ粒子中に存在する場合、水溶液中でヌクレアーゼによる分解に対して耐性である。
上記LNPは、上記1種または複数種の核酸分子が結合する、またはその中に該1種または複数種の核酸分子が封入される粒子を形成することができる、任意の脂質を含んでいてよい。「脂質」という用語は、脂肪酸の誘導体(例えば、エステル)であり、一般に水には不溶であるが多くの有機溶媒に可溶であることを特徴とする、一群の有機化合物を指す。脂質は、通常、少なくとも3種の分類、すなわち、(1)油脂ならびにワックスを含む「単純脂質」、(2)リン脂質及び糖脂質を含む「複合脂質」、ならびに(3)ステロイドなどの「誘導脂質」に分けられる。
一実施形態において、上記LNPは、1種または複数種のカチオン性脂質、及び1種または複数種の安定化脂質を含む。安定化脂質には中性脂質及びペグ化脂質が含まれる。
一実施形態において、上記LNPはカチオン性脂質を含む。本明細書で使用される「カチオン性脂質」という用語は、pHが当該脂質のイオン化可能な基のpKよりも低い場合にはカチオン性であるかまたはカチオン性になる(プロトン化される)が、より高いpH値においては次第により中性となる脂質を指す。上記pKよりも低いpH値においては、上記脂質は負に荷電した核酸と会合することができる。ある特定の実施形態において、上記カチオン性脂質は、pH低下時に正電荷を帯びる双性イオン性脂質を含む。
ある特定の実施形態において、上記カチオン性脂質は、生理的pHなどの選択的なpHで正味の正電荷を有する多数の脂質種のいずれかを含む。かかる脂質としては、N,N-ジオレイル-N,N-ジメチルアンモニウムクロリド(DODAC)、N-(2,3-ジオレイルオキシ)プロピル)-N,N,N-トリメチルアンモニウムクロリド(DOTMA)、N,N-ジステアリル-N,N-ジメチルアンモニウムブロミド(DDAB)、N-(2,3-ジオレオイルオキシ)プロピル)-N,N,N-トリメチルアンモニウムクロリド(DOTAP)、3-(N-(N’,N’-ジメチルアミノエタン)-カルバモイル)コレステロール(DC-Chol)、N-(1-(2,3-ジオレオイルオキシ)プロピル)-N-2-(スペルミンカルボキサミド)エチル)-N,N-ジメチルアンモニウムトリフルオロ酢酸塩(DOSPA)、ジオクタデシルアミドグリシルカルボキシスペルミン(DOGS)、1,2-ジオレオイル-3-ジメチルアンモニウムプロパン(DODAP)、N,N-ジメチル-2,3-ジオレオイルオキシ)プロピルアミン(DODMA)、及びN-(1,2-ジミリスチルオキシプロパ-3-イル)-N,N-ジメチル-N-ヒドロキシエチルアンモニウムブロミド(DMRIE)が挙げられるが、これらに限定はされない。また、本発明で用いることができる多くのカチオン性脂質の市販の調合剤が入手可能である。これらの調合剤としては、例えば、LIPOFECTIN(登録商標)(GIBCO/BRL(ニューヨーク州グランドアイランド)から市販される、DOTMA及び1,2-ジオレオイル-sn-3-ホスホエタノールアミン(DOPE)を含むカチオン性リポソーム)、LIPOFECTAMINE(登録商標)(GIBCO/BRLから市販される、N-(1-(2,3-ジオレイルオキシ)プロピル)-N-(2-(スペルミンカルボキサミド)エチル)-N,N-ジメチルアンモニウムトリフルオロ酢酸塩(DOSPA)及び(DOPE)を含むカチオン性リポソーム)、ならびにTRANSFECTAM(登録商標)(Promega Corp.(ウィスコンシン州マディソン)から市販される、エタノール中のジオクタデシルアミドグリシルカルボキシスペルミン(DOGS)を含むカチオン性脂質)が挙げられる。以下の脂質は、カチオン性であり、生理的pHより低いpHにおいて正電荷を有する:DODAP、DODMA、DMDMA、1,2-ジリノレイルオキシ-N,N-ジメチルアミノプロパン(DLinDMA)、1,2-ジリノレニルオキシ-N,N-ジメチルアミノプロパン(DLenDMA)。
一実施形態において、上記カチオン性脂質はアミノ脂質である。本発明に有用である好適なアミノ脂質としては、全体が参照により本明細書に援用されるWO2012/016184に記載されるものが挙げられる。代表的なアミノ脂質としては、1,2-ジリノレイルオキシ-3-(ジメチルアミノ)アセトキシプロパン(DLin-DAC)、1,2-ジリノレイルオキシ-3-モルホリノプロパン(DLin-MA)、1,2-ジリノレイルオキシ-3-ジメチルアミノプロパン(DLin-DAP)、1,2-ジリノレイルチオ-3-ジメチルアミノプロパン(DLin-S-DMA)、1-リノレイル-2-リノレイルオキシ-3-ジメチルアミノプロパン(DLin-2-DMAP)、1,2-ジリノレイルオキシ-3-トリメチルアミノプロパン塩化塩(DLin-TMA.Cl)、1,2-ジリノレイル-3-トリメチルアミノプロパン塩化塩(DLin-TAP.Cl)、1,2-ジリノレイルオキシ-3-(N-メチルピペラジノ)プロパン(DLin-MPZ)、3-(N,N-ジリノレイルアミノ)-1,2-プロパンジオール(DLinAP)、3-(N,N-ジオレイルアミノ)-1,2-プロパンジオール(DOAP)、1,2-ジリノレイルオキソ-3-(2-N,N-ジメチルアミノ)エトキシプロパン(DLin-EG-DMA)、及び2,2-ジリノレイル-4-ジメチルアミノメチル-[1,3]-ジオキソラン(DLin-K-DMA)が挙げられるが、これらに限定はされない。
好適なアミノ脂質としては、式:
Figure 2024084804000016

を有するアミノ脂質であって、
式中、R及びRは同一であるかまたは異なっているかのいずれかであり、独立に、任意選択で置換されたC10~C24アルキル、任意選択で置換されたC10~C24アルケニル、任意選択で置換されたC10~C24アルキニル、または任意選択で置換されたC10~C24アシルであり、
及びRは同一であるかまたは異なっているかのいずれかであり、独立に、任意選択で置換されたC~Cアルキル、任意選択で置換されたC~Cアルケニル、もしくは任意選択で置換されたC~Cアルキニルであるか、またはR及びRが結合して、任意選択で置換された、4~6の炭素原子ならびに窒素及び酸素から選択される1もしくは2のヘテロ原子のヘテロ環式リングを形成してもよく、
は存在しないかまたは存在するかのいずれかであり、存在する場合には水素またはC~Cアルキルであり、
m、n及びpは同一であるかまたは異なっているかのいずれかであり、独立に0または1のいずれかであり、但し、m、n、及びpは同時に0ではなく、
qは0、1、2、3、または4であり、
Y及びZは同一であるかまたは異なっているかのいずれかであり、独立にO、S、またはNHである、
上記アミノ脂質が挙げられる。
一実施形態において、R及びRはそれぞれ、リノレイルであり、上記アミノ脂質は、ジリノレイルアミノ脂質である。一実施形態において、上記アミノ脂質はジリノレイルアミノ脂質である。
代表的な有用なジリノレイルアミノ脂質は式:
Figure 2024084804000017

を有し、式中、nは0、1、2、3、または4である。
一実施形態において、上記カチオン性脂質はDLin-K-DMAである。一実施形態において、上記カチオン性脂質はDLin-KC2-DMA(上述のDLin-K-DMA、但しnは2)である。
一実施形態において、上記LNPの上記カチオン性脂質成分は、式(I):
Figure 2024084804000018

の構造または薬学的に許容されるその塩、互変異生体、プロドラッグもしくは立体異性体であって、式中、
及びLはそれぞれ独立に、-O(C=O)-、-(C=O)O-または炭素-炭素二重結合であり、
1a及びR1bは、それぞれの存在毎に独立に、(a)HもしくはC~C12アルキルであるか、または(b)R1aはHもしくはC~C12アルキルであり、且つR1bは該R1bが結合する炭素原子と共に、隣接するR1b及び該R1bが結合する炭素原子と協同して炭素-炭素二重結合を形成するかのいずれかであり、
2a及びR2bは、それぞれの存在毎に独立に、(a)HもしくはC~C12アルキルであるか、または(b)R2aはHもしくはC~C12アルキルであり、且つR2bは該R2bが結合する炭素原子と共に、隣接するR2b及び該R2bが結合する炭素原子と協同して炭素-炭素二重結合を形成するかのいずれかであり、
3a及びR3bは、それぞれの存在毎に独立に、(a)HもしくはC~C12アルキルであるか、または(b)R3aはHもしくはC~C12アルキルであり、且つR3bは該R3bが結合する炭素原子と共に、隣接するR3b及び該R3bが結合する炭素原子と協同して炭素-炭素二重結合を形成するかのいずれかであり、
4a及びR4bは、それぞれの存在毎に独立に、(a)HもしくはC~C12アルキルであるか、または(b)R4aはHもしくはC~C12アルキルであり、且つR4bは該R4bが結合する炭素原子と共に、隣接するR4b及び該R4bが結合する炭素原子と協同して炭素-炭素二重結合を形成するかのいずれかであり、
及びRはそれぞれ独立にメチルまたはシクロアルキルであり、
は、それぞれの存在毎に独立に、HまたはC~C12アルキルであり、
及びRはそれぞれ独立に非置換のC~C12アルキルであるか、またはR及びRが、該R及びRが結合する窒素原子と共に、1つの窒素原子を含む5、6または7員ヘテロ環式リングを形成し、
a及びdはそれぞれ独立に0~24の整数であり、
b及びcはそれぞれ独立に1~24の整数であり、
eは1または2である、
上記構造または薬学的に許容されるその塩、互変異生体、プロドラッグもしくは立体異性体を有する。
式(I)のある特定の実施形態において、R1a、R2a、R3aもしくはR4aのうちの少なくとも1つはC~C12アルキルであるか、またはLもしくはLの少なくとも一方は-O(C=O)-もしくは-(C=O)O-である。他の実施形態において、R1a及びR1bは、aが6である場合にはイソプロピルでなく、またはaが8である場合にはn-ブチルではない。
一層更なる式(I)の実施形態において、R1a、R2a、R3aもしくはR4aのうちの少なくとも1つはC~C12アルキルであるか、またはLもしくはLの少なくとも一方は-O(C=O)-もしくは-(C=O)O-であり、
1a及びR1bは、aが6である場合にはイソプロピルでなく、またはaが8である場合にはn-ブチルではない。
他の式(I)の実施形態において、R及びRはそれぞれ独立に非置換C~C12アルキルであるか、またはR及びRが、該R及びRが結合する窒素原子と共に、1つの窒素原子を含む5、6もしく7員ヘテロ環式リングを形成する。
式(I)のある特定の実施形態において、LまたはLのいずれか一方は、-O(C=O)-または炭素-炭素二重結合であってよい。L及びLはそれぞれ-O(C=O)-であってもよく、またはそれぞれ炭素-炭素二重結合であってもよい。
いくつかの式(I)の実施形態において、LまたはLの一方は-O(C=O)-である。他の実施形態において、L及びLは共に-O(C=O)-である。
いくつかの式(I)の実施形態において、LまたはLの一方は-(C=O)O-である。他の実施形態において、L及びLは共に-(C=O)Oである。
いくつかの他の式(I)の実施形態において、LまたはLの一方は炭素-炭素二重結合である。他の実施形態において、L及びLは共に炭素-炭素二重結合である。
更に他の式(I)の実施形態において、LまたはLの一方は-O(C=O)-であり、LまたはLのうちの他方は-(C=O)O-である。更なる実施形態において、LまたはLの一方は-O(C=O)-であり、LまたはLのうちの他方は炭素-炭素二重結合である。一層更なる実施形態において、LまたはLの一方は-(C=O)O-であり、LまたはLのうちの他方は炭素-炭素二重結合である。
本明細書を通して用いられる「炭素-炭素」二重結合は、以下の構造:
Figure 2024084804000019

のうちの1つを指すことが理解され、式中、R及びRはそれぞれの存在毎に独立に、Hまたは置換基である。例えば、いくつかの実施形態において、R及びRはそれぞれの存在毎に独立に、H、C~C12アルキルまたはシクロアルキル、例えばHまたはC~C12アルキルである。
他の実施形態において、式(I)の脂質化合物は、以下の構造(Ia):
Figure 2024084804000020

を有する。
他の実施形態において、式(I)の脂質化合物は、以下の構造(1b):
Figure 2024084804000021

を有する。
更に他の実施形態において、式(I)の脂質化合物は、以下の構造(Ic):
Figure 2024084804000022

を有する。
式(I)の脂質化合物のある特定の実施形態において、a、b、c及びdはそれぞれ独立に、2~12の整数または4~12の整数である。他の実施形態において、a、b、c及びdはそれぞれ独立に、8~12または5~9の整数である。いくつかのある特定の実施形態において、aは0である。いくつかの実施形態において、aは1である。他の実施形態において、aは2である。更なる実施形態において、aは3である。更に他の実施形態において、aは4である。いくつかの実施形態において、aは5である。他の実施形態において、aは6である。更なる実施形態において、aは7である。更に他の実施形態において、aは8である。いくつかの実施形態において、aは9である。他の実施形態において、aは10である。更なる実施形態において、aは11である。更に他の実施形態において、aは12である。いくつかの実施形態において、aは13である。他の実施形態において、aは14である。更なる実施形態において、aは15である。更に他の実施形態において、aは16である。
いくつかの他の式(I)の実施形態において、bは1である。他の実施形態において、bは2である。更なる実施形態において、bは3である。更に他の実施形態において、bは4である。いくつかの実施形態において、bは5である。他の実施形態において、bは6である。更なる実施形態において、bは7である。更に他の実施形態において、bは8である。いくつかの実施形態において、bは9である。他の実施形態において、bは10である。更なる実施形態において、bは11である。更に他の実施形態において、bは12である。いくつかの実施形態において、bは13である。他の実施形態において、bは14である。更なる実施形態において、bは15である。更に他の実施形態において、bは16である。
いくつかの更なる式(I)の実施形態において、cは1である。他の実施形態において、cは2である。更なる実施形態において、cは3である。更に他の実施形態において、cは4である。いくつかの実施形態において、cは5である。他の実施形態において、cは6である。更なる実施形態において、cは7である。更に他の実施形態において、cは8である。いくつかの実施形態において、cは9である。他の実施形態において、cは10である。更なる実施形態において、cは11である。更に他の実施形態において、cは12である。いくつかの実施形態において、cは13である。他の実施形態において、cは14である。更なる実施形態において、cは15である。更に他の実施形態において、cは16である。
式(I)のいくつかのある特定の他の実施形態において、dは0である。いくつかの実施形態において、dは1である。他の実施形態において、dは2である。更なる実施形態において、dは3である。更に他の実施形態において、dは4である。いくつかの実施形態において、dは5である。他の実施形態において、dは6である。更なる実施形態において、dは7である。更に他の実施形態において、dは8である。いくつかの実施形態において、dは9である。他の実施形態において、dは10である。更なる実施形態において、dは11である。更に他の実施形態において、dは12である。いくつかの実施形態において、dは13である。他の実施形態において、dは14である。更なる実施形態において、dは15である。更に他の実施形態において、dは16である。
式(I)のいくつかの他の様々な実施形態において、aとdとは同一である。いくつかの他の実施形態において、bとcとは同一である。いくつかの他の特定の実施形態において、aとdとは同一であり、且つbとcとは同一である。
式(I)におけるaとbとの和及びcとdとの和は、所望の特性を有する式(I)の脂質を得るために変動し得る因子である。一実施形態において、aとbとは、それらの和が14~24の範囲の整数となるように選択される。他の実施形態において、cとdとは、それらの和が14~24の範囲の整数となるように選択される。更なる実施形態において、aとbとの和及びcとdとの和は同一である。例えば、いくつかの実施形態において、aとbとの和及びcとdとの和は共に、14~24の範囲であってよい同一の整数である。一層更なる実施形態において、a、b、c及びdは、aとbとの和及びcとdとの和が12以上になるように選択される。
式(I)のいくつかの実施形態において、eは1である。他の実施形態において、eは2である。
式(I)のR1a、R2a、R3a及びR4aにおける置換基は特に限定されない。ある特定の実施形態において、R1a、R2a、R3a及びR4aはそれぞれの存在毎にHである。ある特定の他の実施形態において、R1a、R2a、R3a及びR4aのうちの少なくとも1つはC~C12アルキルである。ある特定の他の実施形態において、R1a、R2a、R3a及びR4aのうちの少なくとも1つはC~Cアルキルである。ある特定の他の実施形態において、R1a、R2a、R3a及びR4aのうちの少なくとも1つはC~Cアルキルである。上述の実施形態のいくつかにおいて、上記C~Cアルキルは、メチル、エチル、n-プロピル、イソ-プロピル、n-ブチル、イソ-ブチル、tert-ブチル、n-ヘキシルまたはn-オクチルである。
式(I)のある特定の実施形態において、R1a、R1b、R4a及びR4bはそれぞれの存在毎にC~C12アルキルである。
式(I)の更なる実施形態において、R1b、R2b、R3b及びR4bのうちの少なくとも1つはHであるか、またはR1b、R2b、R3b及びR4bはそれぞれの存在毎にHである。
式(I)のある特定の実施形態において、R1bは該R1bが結合する炭素原子と共に、隣接するR1b及び該R1bが結合する炭素原子と協同して炭素-炭素二重結合を形成する。上述の他の実施形態において、R4bは該R4bが結合する炭素原子と共に、隣接するR4b及び該R4bが結合する炭素原子と協同して炭素-炭素二重結合を形成する。
上述の実施形態において、式(I)のR及びRにおける置換基は特に限定されない。ある特定の実施形態において、RもしくはRの一方または両方はメチルである。ある特定の他の実施形態において、RもしくはRの一方または両方はシクロアルキル、例えばシクロヘキシルである。これらの実施形態において、上記シクロアルキルは置換されていても置換されていなくてもよい。ある特定の他の実施形態において、上記シクロアルキルはC~C12アルキル、例えばtert-ブチルによって置換されている。
上述の式(I)の実施形態において、Rにおける置換基は特に限定されない。ある特定の実施形態において、少なくとも1つのRはHである。いくつかの他の実施形態において、Rはそれぞれの存在毎にHである。ある特定の他の実施形態において、RはC~C12アルキルである。
上述の式(I)のある特定の他の実施形態において、RまたはRの一方はメチルである。他の実施形態において、R及びRは共にメチルである。
いくつかの異なる式(I)の実施形態において、R及びRは、該R及びRが結合する窒素原子と共に、5、6または7員ヘテロ環式リングを形成する。上述のいくつかの実施形態において、R及びRは、該R及びRが結合する窒素原子と共に、5員ヘテロ環式リング、例えばピロリジニル環を形成する。
様々な異なる実施形態において、式(I)の脂質は、以下の表1に示す構造のうちの1つを有する。
Figure 2024084804000023

Figure 2024084804000024

Figure 2024084804000025

Figure 2024084804000026

Figure 2024084804000027

Figure 2024084804000028

Figure 2024084804000029
いくつかの実施形態において、上記LNPは、式(I)の脂質、ヌクレオシド修飾RNAならびに中性脂質、ステロイド及びペグ化脂質から選択される1種または複数種の賦形剤を含む。いくつかの実施形態において、式(I)の脂質は化合物I-5である。いくつかの実施形態において、式(I)の脂質は化合物I-6である。
いくつかの実施形態において、上記LNPの上記カチオン性脂質成分は、式(II):
Figure 2024084804000030

の構造または薬学的に許容されるその塩、互変異生体、プロドラッグもしくは立体異性体であって、式中、
及びLはそれぞれ独立に、-O(C=O)-、-(C=O)O-、-C(=O)-、-O-、-S(O)-、-S-S-、-C(=O)S-、-SC(=O)-、-NRC(=O)-、-C(=O)NR-、-NRC(=O)NR、-OC(=O)NR-、-NRC(=O)O-、または直接の結合であり、
はC~Cアルキレン、-(C=O)-、-O(C=O)-、-SC(=O)-、-NRC(=O)-または直接の結合であり、
は-C(=O)-、-(C=O)O-、-C(=O)S-、-C(=O)NRまたは直接の結合であり、
はC~Cアルキレンであり、
はHまたはC~C12アルキルであり、
1a及びR1bは、それぞれの存在毎に独立に、(a)HもしくはC~C12アルキルであるか、または(b)R1aはHもしくはC~C12アルキルであり、且つR1bは該R1bが結合する炭素原子と共に、隣接するR1b及び該R1bが結合する炭素原子と協同して炭素-炭素二重結合を形成するかのいずれかであり、
2a及びR2bは、それぞれの存在毎に独立に、(a)HもしくはC~C12アルキルであるか、または(b)R2aはHもしくはC~C12アルキルであり、且つR2bは該R2bが結合する炭素原子と共に、隣接するR2b及び該R2bが結合する炭素原子と協同して炭素-炭素二重結合を形成するかのいずれかであり、
3a及びR3bは、それぞれの存在毎に独立に、(a)HもしくはC~C12アルキルであるか、または(b)R3aはHもしくはC~C12アルキルであり、且つR3bは該R3bが結合する炭素原子と共に、隣接するR3b及び該R3bが結合する炭素原子と協同して炭素-炭素二重結合を形成するかのいずれかであり、
4a及びR4bは、それぞれの存在毎に独立に、(a)HもしくはC~C12アルキルであるか、または(b)R4aはHもしくはC~C12アルキルであり、且つR4bは該R4bが結合する炭素原子と共に、隣接するR4b及び該R4bが結合する炭素原子と協同して炭素-炭素二重結合を形成するかのいずれかであり、
及びRはそれぞれ独立にHまたはメチルであり、
はC~C20アルキルであり、
及びRはそれぞれ独立にC~C12アルキルであるか、またはR及びRが、該R及びRが結合する窒素原子と共に5、6または7員ヘテロ環式リングを形成し、
a、b、c及びdはそれぞれ独立に1~24の整数であり、
xは0、1または2である、
上記構造または薬学的に許容されるその塩、互変異生体、プロドラッグもしくは立体異性体を有する。
式(II)のいくつかの実施形態において、L及びLはそれぞれ独立に、-O(C=O)-、-(C=O)O-または直接の結合である。他の実施形態において、G及びGはそれぞれ独立に-(C=O)-または直接の結合である。いくつかの異なる実施形態において、L及びLはそれぞれ独立に、-O(C=O)-、-(C=O)O-または直接の結合であり、且つG及びGはそれぞれ独立に-(C=O)-または直接の結合である。
式(II)のいくつかの異なる実施形態において、L及びLはそれぞれ独立に、-O(C=O)-、-O-、-S(O)x-、-S-S-、-C(=O)S-、-SC(=O)-、-NR-、-NRC(=O)-、-C(=O)NR-、-NRC(=O)NR-、-OC(=O)NR-、-NRC(=O)O-、-NRS(O)NR-、-NRS(O)-または-S(O)NR-である。
式(II)の上述の他の実施形態において、上記脂質化合物は以下の構造(IIA)または(IIB):
Figure 2024084804000031

の1つを有する。
式(II)のいくつかの実施形態において、上記脂質化合物は構造(IIA)を有する。他の実施形態において、上記脂質化合物は構造(IIB)を有する。
上述の式(II)の実施形態のいずれかにおいて、LまたはLの一方は-O(C=O)-である。例えば、いくつかの実施形態において、L及びLのそれぞれは-O(C=O)-である。
式(II)のいくつかの異なる実施形態において、LまたはLの一方は-(C=O)O-である。例えば、いくつかの実施形態において、L及びLのそれぞれは-(C=O)O-である。
式(II)の異なる実施形態において、LまたはLの一方は直接の結合である。本明細書で用いられる「直接の結合」は、基(例えば、LまたはL)が存在しないことを意味する。例えば、いくつかの実施形態において、L及びLのそれぞれは直接の結合である。
式(II)の他の異なる実施形態において、R1a及びR1bの少なくとも1つの存在に関して、R1aはHまたはC~C12アルキルであり、且つR1bは該R1bが結合する炭素原子と共に、隣接するR1b及び該R1bが結合する炭素原子と協同して炭素-炭素二重結合を形成する。
式(II)の更に他の異なる実施形態において、R4a及びR4bの少なくとも1つの存在に関して、R4aはHまたはC~C12アルキルであり、且つR4bは該R4bが結合する炭素原子と共に、隣接するR4b及び該R4bが結合する炭素原子と協同して炭素-炭素二重結合を形成する。
式(II)の更なる実施形態において、R2a及びR2bの少なくとも1つの存在に関して、R2aはHまたはC~C12アルキルであり、且つR2bは該R2bが結合する炭素原子と共に、隣接するR2b及び該R2bが結合する炭素原子と協同して炭素-炭素二重結合を形成する。
式(II)の他の異なる実施形態において、R3a及びR3bの少なくとも1つの存在に関して、R3aはHまたはC~C12アルキルであり、且つR3bは該R3bが結合する炭素原子と共に、隣接するR3b及び該R3bが結合する炭素原子と協同して炭素-炭素二重結合を形成する。
式(II)の様々な他の実施形態において、上記脂質化合物は、以下の構造(IIC)または(IID):
Figure 2024084804000032

のうちの一方を有し、式中、e、f、g及びhはそれぞれ独立に1~12の整数である。
式(II)のいくつかの実施形態において、上記脂質化合物は構造(IIC)を有する。他の実施形態において、上記脂質化合物は構造(IID)を有する。
構造(IIC)または(IID)の様々な実施形態において、e、f、g及びhはそれぞれ独立に4~10の整数である。
式(II)のある特定の実施形態において、a、b、c及びdはそれぞれ独立に2~12の整数または4~12の整数である。他の実施形態において、a、b、c及びdはそれぞれ独立に8~12または5~9の整数である。いくつかのある特定の実施形態において、aは0である。いくつかの実施形態において、aは1である。他の実施形態において、aは2である。更なる実施形態において、aは3である。更に他の実施形態において、aは4である。いくつかの実施形態において、aは5である。他の実施形態において、aは6である。更なる実施形態において、aは7である。更に他の実施形態において、aは8である。いくつかの実施形態において、aは9である。他の実施形態において、aは10である。更なる実施形態において、aは11である。更に他の実施形態において、aは12である。いくつかの実施形態において、aは13である。他の実施形態において、aは14である。更なる実施形態において、aは15である。更に他の実施形態において、aは16である。
式(II)のいくつかの実施形態において、bは1である。他の実施形態において、bは2である。更なる実施形態において、bは3である。更に他の実施形態において、bは4である。いくつか実施形態において、bは5である。他の実施形態において、bは6である。更なる実施形態において、bは7である。更に他の実施形態において、bは8である。いくつかの実施形態において、bは9である。他の実施形態において、bは10である。更なる実施形態において、bは11である。更に他の実施形態において、bは12である。いくつかの実施形態において、bは13である。他の実施形態において、bは14である。更なる実施形態において、bは15である。更に他の実施形態において、bは16である。
式(II)のいくつかの実施形態において、cは1である。他の実施形態において、cは
2である。更なる実施形態において、cは3である。更に他の実施形態において、cは4である。いくつか実施形態において、cは5である。他の実施形態において、cは6である。更なる実施形態において、cは7である。更に他の実施形態において、cは8である。いくつかの実施形態において、cは9である。他の実施形態において、cは10である。更なる実施形態において、cは11である。更に他の実施形態において、cは12である。いくつかの実施形態において、cは13である。他の実施形態において、cは14である。更なる実施形態において、cは15である。更に他の実施形態において、cは16である。
式(II)のいくつかのある特定の実施形態において、dは0である。いくつかの実施形態において、dは1である。他の実施形態において、dは2である。更なる実施形態において、dは3である。更に他の実施形態において、dは4である。いくつかの実施形態において、dは5である。他の実施形態において、dは6である。更なる実施形態において、dは7である。更に他の実施形態において、dは8である。いくつかの実施形態において、dは9である。他の実施形態において、dは10である。更なる実施形態において、dは11である。更に他の実施形態において、dは12である。いくつかの実施形態において、dは13である。他の実施形態において、dは14である。更なる実施形態において、dは15である。更に他の実施形態において、dは16である。
式(II)のいくつかの実施形態において、eは1である。他の実施形態において、eは2である。更なる実施形態において、eは3である。更に他の実施形態において、eは4である。いくつかの実施形態において、eは5である。他の実施形態において、eは6である。更なる実施形態において、eは7である。更に他の実施形態において、eは8である。いくつかの実施形態において、eは9である。他の実施形態において、eは10である。更なる実施形態において、eは11である。更に他の実施形態において、eは12である。
式(II)のいくつかの実施形態において、fは1である。他の実施形態において、fは2である。更なる実施形態において、fは3である。更に他の実施形態において、fは4である。いくつかの実施形態において、fは5である。他の実施形態において、fは6である。更なる実施形態において、fは7である。更に他の実施形態において、fは8である。いくつかの実施形態において、fは9である。他の実施形態において、fは10である。更なる実施形態において、fは11である。更に他の実施形態において、fは12である。
式(II)のいくつかの実施形態において、gは1である。他の実施形態において、gは2である。更なる実施形態において、gは3である。更に他の実施形態において、gは4である。いくつか実施形態において、gは5である。他の実施形態において、gは6である。更なる実施形態において、gは7である。更に他の実施形態において、gは8である。いくつかの実施形態において、gは9である。他の実施形態において、gは10である。更なる実施形態において、gは11である。更に他の実施形態において、gは12である。
式(II)のいくつかの実施形態において、hは1である。他の実施形態において、eは2である。更なる実施形態において、hは3である。更に他の実施形態において、hは4である。いくつか実施形態において、eは5である。他の実施形態において、hは6である。更なる実施形態において、hは7である。更に他の実施形態において、hは8である。いくつかの実施形態において、hは9である。他の実施形態において、hは10である。更なる実施形態において、hは11である。更に他の実施形態において、hは12である。
式(II)のいくつかの他の様々な実施形態において、aとdとは同一である。いくつかの他の実施形態において、bとcとは同一である。いくつかのある特定の他の実施形態において、aとdとは同一であり、且つbとcとは同一である。
式(II)のaとbとの和及びcとdとの和は、所望の特性を有する脂質を得るために変動し得る因子である。一実施形態において、aとbとは、それらの和が14~24の範囲の整数となるように選択される。他の実施形態において、cとdとは、それらの和が14~24の範囲の整数となるように選択される。更なる実施形態において、aとbとの和及びcとdとの和は同一である。例えば、いくつかの実施形態において、aとbとの和及びcとdとの和は共に、14~24の範囲であってよい同一の整数である。一層更なる実施形態において、a、b、c及びdは、aとbとの和及びcとdとの和が12以上になるように選択される。
式(II)のR1a、R2a、R3a及びR4aにおける置換基は特に限定されない。いくつかの実施形態において、R1a、R2a、R3a及びR4aのうちの少なくとも1つはHである。ある特定の実施形態において、R1a、R2a、R3a及びR4aはそれぞれの存在毎にHである。ある特定の他の実施形態において、R1a、R2a、R3a及びR4aのうちの少なくとも1つはC~C12アルキルである。ある特定の他の実施形態において、R1a、R2a、R3a及びR4aのうちの少なくとも1つはC~Cアルキルである。ある特定の他の実施形態において、R1a、R2a、R3a及びR4aのうちの少なくとも1つはC~Cアルキルである。いくつかの上述の実施形態において、上記C~Cアルキルは、メチル、エチル、n-プロピル、イソ-プロピル、n-ブチル、イソ-ブチル、tert-ブチル、n-ヘキシルまたはn-オクチルである。
式(II)のある特定の実施形態において、R1a、R1b、R4a及びR4bは、それぞれの存在毎にC~C12アルキルである。
式(II)の更なる実施形態において、R1b、R2b、R3b及びR4bのうちの少なくとも1つはHであるか、またはR1b、R2b、R3b及びR4bは、それぞれの存在毎にHである。
式(II)のある特定の実施形態において、R1bは該R1bが結合する炭素原子と共に、隣接するR1b及び該R1bが結合する炭素原子と協同して炭素-炭素二重結合を形成する。上述の他の実施形態において、R4bは該R4bが結合する炭素原子と共に、隣接するR4b及び該R4bが結合する炭素原子と協同して炭素-炭素二重結合を形成する。
式(II)のR及びRにおける置換基は、上述の実施形態において特に限定されない。ある特定の実施形態において、RまたはRの一方はメチルである。他の実施形態において、RまたはRのそれぞれはメチルである。
式(II)のRにおける置換基は上述の実施形態において特に限定されない。ある特定の実施形態において、RはC~C16アルキルである。いくつかの他の実施形態において、RはC~Cアルキルである。これらの実施形態のいくつかにおいて、Rは、-(C=O)OR、-O(C=O)R、-C(=O)R、-OR、-S(O)、-S-SR、-C(=O)SR、-SC(=O)R、-NR、-NRC(=O)R、-C(=O)NR、-NRC(=O)NR、-OC(=O)NR、-NRC(=O)OR、-NRS(O)NR、-NRS(O)または-S(O)NRによって置換されており、但し、RはHまたはC~C12アルキルであり、RはC~C15アルキルであり、xは0、1または2である。例えば、いくつかの実施形態において、Rは-(C=O)ORまたは-O(C=O)Rによって置換されている。
上述の式(II)の様々な実施形態において、Rは分枝状のC~C15アルキルである。例えば、いくつかの実施形態において、Rは以下の構造のうちの1つを有する:
Figure 2024084804000033
上述の式(II)のある特定の他の実施形態において、RまたはRの一方はメチルである。他の実施形態において、R及びRは共にメチルである。
式(II)のいくつかの異なる実施形態において、R及びRは、該R及びRが結合する窒素原子と共に、5、6または7員ヘテロ環式リングを形成する。いくつかの上述の実施形態において、R及びRは、該R及びRが結合する窒素原子と共に、5員ヘテロ環式リング、例えばピロリジニル環を形成する。いくつかの異なる、上述の実施形態において、R及びRは、該R及びRが結合する窒素原子と共に、6員ヘテロ環式リング、例えばピペラジニル環を形成する。
上述の式(II)の脂質の更に他の実施形態において、GはC~Cアルキレン、例えばCアルキレンである。
様々な異なる実施形態において、上記脂質化合物は以下の表2に示す構造のうちの1つを有する。
Figure 2024084804000034

Figure 2024084804000035

Figure 2024084804000036

Figure 2024084804000037

Figure 2024084804000038
いくつかの実施形態において、上記LNPは、式(II)の脂質、ヌクレオシド修飾RNAならびに中性脂質、ステロイド及びペグ化脂質から選択される1種または複数種の賦形剤を含む。いくつかの実施形態において、式(II)の脂質は化合物II-9である。いくつかの実施形態において、式(II)の脂質は化合物II-10である。いくつかの実施形態において、式(II)の脂質は化合物II-11である。いくつかの実施形態において、式(II)の脂質は化合物II-12である。いくつかの実施形態において、式(II)の脂質は化合物II-32である。
いくつかの他の実施形態において、上記LNPの上記カチオン性脂質成分は、式(III):
Figure 2024084804000039

の構造または薬学的に許容されるその塩、互変異生体、プロドラッグもしくは立体異性体であって、式中、
またはLの一方が、-O(C=O)-、-(C=O)O-、-C(=O)-、-O-、-S(O)-、-S-S-、-C(=O)S-、SC(=O)-、-NRC(=O)-、-C(=O)NR-、NRC(=O)NR-、-OC(=O)NR-または-NRC(=O)O-であり、且つLまたはLの他方が-O(C=O)-、-(C=O)O-、-C(=O)-、-O-、-S(O)-、-S-S-、-C(=O)S-、SC(=O)-、-NRC(=O)-、-C(=O)NR-、NRC(=O)NR-、-OC(=O)NR-もしくは-NRC(=O)O-または直接の結合であり、
及びGはそれぞれ独立に、非置換のC~C12アルキレンまたはC~C12アルケニレンであり、
はC~C24アルキレン、C~C24アルケニレン、C~Cシクロアルキレン、C~Cシクロアルケニレンであり、
はHまたはC~C12アルキルであり、
及びRはそれぞれ独立に、C~C24アルキルまたはC~C24アルケニルであり、
はH、OR、CN、-C(=O)OR、-OC(=O)Rまたは-NRC(=O)Rであり、
はC~C12アルキルであり、
はHまたはC~Cアルキルであり、
xは0、1または2である、
上記構造または薬学的に許容されるその塩、互変異生体、プロドラッグもしくは立体異性体を有する。
上述の式(III)のいくつかの実施形態において、上記脂質は、以下の構造(IIIA)または(IIIB):
Figure 2024084804000040

であって、式中、
Aは3~8員シクロアルキルまたはシクロアルキレン環であり、
はそれぞれの存在毎に独立に、H、OHまたはC~C24アルキルであり、
nは1~15の範囲の整数である、
上記構造のうちの1つを有する。
上述の式(III)のいくつかの実施形態において、上記脂質は構造(IIIA)を有し、他の実施形態において、上記脂質は構造(IIIB)を有する。
他の式(III)の実施形態において、上記脂質は、以下の構造(IIIC)または(IIID):
Figure 2024084804000041

であって、式中、y及びzはそれぞれ独立に1~12の範囲の整数である上記構造ののうちの1つを有する。
上述の式(III)のいずれかの実施形態において、LまたはLの一方は-O(C=O)-である。例えば、いくつかの実施形態において、L及びLのそれぞれは-O(C=O)-である。上述のいずれかのいくつかの異なる実施形態において、L及びLはそれぞれ独立に、(C=O)O-または-O(C=O)-である。例えば、いくつかの実施形態において、L及びLのそれぞれは-(C=O)O-である。
いくつかの異なる式(III)の実施形態において、上記脂質は、以下の構造(IIIE)または(IIIF):
Figure 2024084804000042

のうちの1つを有する。
いくつかの上述の式(III)の実施形態において、上記脂質は以下の構造(IIIG)、(IIIH)、(IIII)、または(IIIJ):
Figure 2024084804000043

のうちの1つを有する。
式(III)のいくつかの上述の実施形態において、nは、2~12、例えば2~8または2~4の範囲の整数である。例えば、いくつかの実施形態において、nは3、4、5または6である。いくつかの実施形態において、nは3である。いくつかの実施形態において、nは4である。いくつかの実施形態において、nは5である。いくつかの実施形態において、nは6である。
上述の式(III)のいくつかの他の実施形態において、y及びzはそれぞれ独立に、2~10の範囲の整数である。例えば、いくつかの実施形態において、y及びzはそれぞれ独立に、4~9または4~6の範囲の整数である。
いくつかの上述の式(III)の実施形態において、RはHである。他の上述の実施形態において、RはC~C24アルキルである。他の実施形態において、RはOHである。
いくつかの式(III)の実施形態において、Gは非置換である。他の実施形態において、Gは置換されている。様々な異なる実施形態において、Gは直鎖状のC~C24アルキレンまたは直鎖状のC~C24アルケニレンである。
上述の式(III)のいくつかの他の実施形態において、RもしくはR、またはそれらの両方はC~C24アルケニルである。例えば、いくつかの実施形態において、R及びRは、それぞれ独立に以下の構造:
Figure 2024084804000044

であって、式中、
7a及びR7bはそれぞれの存在毎に独立に、HまたはC~C12アルキルであり、
aは2~12の整数であり、
7a、R7b及びaはそれぞれ、R及びRがそれぞれ独立に6~20の炭素原子を含むように選択される、上記構造を有する。例えば、いくつかの実施形態において、aは5~9または8~12の範囲の整数である。
いくつかの上述の式(III)の実施形態において、R7aの少なくとも1つの存在はHである。例えば、いくつかの実施形態において、R7aはそれぞれの存在毎にHである。他の異なる上述の実施形態において、R7bの少なくとも1つの存在はC~Cアルキルである。例えば、いくつかの実施形態において、C~Cアルキルは、メチル、エチル、n-プロピル、イソ-プロピル、n-ブチル、イソ-ブチル、tert-ブチル、n-ヘキシルまたはn-オクチルである。
異なる式(III)の実施形態において、RもしくはR、またはそれらの両方は、以下の構造のうちの1つを有する:
Figure 2024084804000045
上述の式(III)のいくつかの実施形態において、Rは、OH、CN、-C(=O)OR、-OC(=O)Rまたは-NHC(=O)Rである。いくつかの実施形態において、Rはメチルまたはエチルである。
様々な異なる実施形態において、式(III)のカチオン性脂質は、以下の表3に示される構造のうちの1つを有する。
Figure 2024084804000046

Figure 2024084804000047

Figure 2024084804000048

Figure 2024084804000049

Figure 2024084804000050
いくつかの実施形態において、上記LNPは式(III)の脂質、ヌクレオシド修飾RNAならびに中性脂質、ステロイド及びペグ化脂質から選択される1種または複数種の賦形剤を含む。いくつかの実施形態において、式(III)の脂質は化合物III-3である。いくつかの実施形態において、式(III)の脂質は化合物III-7である。
ある特定の実施形態において、上記カチオン性脂質は、約30~約95モルパーセントの量で上記LNP中に存在する。一実施形態において、上記カチオン性脂質は、約30~約70モルパーセントの量で上記LNP中に存在する。一実施形態において、上記カチオン性脂質は、約40~約60モルパーセントの量で上記LNP中に存在する。一実施形態において、上記カチオン性脂質は、約50モルパーセントの量で上記LNP中に存在する。一実施形態において、上記LNPはカチオン性脂質のみを含む。
ある特定の実施形態において、上記LNPは、粒子の形成を該粒子の形成中に安定化させる、1種または複数種の更なる脂質を含む。
好適な安定化脂質としては中性脂質及びアニオン性脂質が挙げられる。
「中性脂質」という用語は、生理的pHにおいて非荷電または中性の双性イオン形態のいずれかで存在する、多数の脂質種のいずれか1種を指す。代表的な中性脂質としては、ジアシルホスファチジルコリン、ジアシルホスファチジルエタノールアミン、セラミド、スフィンゴミエリン、ジヒドロスフィンゴミエリン、セファリン、及びセレブロシドが挙げられる。
例示的な中性脂質としては、例えば、ジステアロイルホスファチジルコリン(DSPC)、ジオレオイルホスファチジルコリン(DOPC)、ジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)、ジオレオイルホスファチジルグリセロール(DOPG)、ジパルミトイルホスファチジルグリセロール(DPPG)、ジオレオイル-ホスファチジルエタノールアミン(DOPE)、パルミトイルオレオイルホスファチジルコリン(POPC)、パルミトイルオレオイル-ホスファチジルエタノールアミン(POPE)及びジオレオイル-ホスファチジルエタノールアミン4-(N-マレインイミドメチル)-シクロヘキサン-1-カルボキシラート(DOPE-mal)、ジパルミトイルホスファチジルエタノールアミン(DPPE)、ジミリストイルホスホエタノールアミン(DMPE)、ジステアロイル-ホスファチジルエタノールアミン(DSPE)、16-O-モノメチルPE、16-O-ジメチルPE、18-1-trans PE、1-ステアロイル-2-オレオイル-ホスファチジルエタノールアミン(SOPE)、ならびに1,2-ジエライドイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(transDOPE)が挙げられる。一実施形態において、上記中性脂質は1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DSPC)である。
いくつかの実施形態において、上記LNPは、DSPC、DPPC、DMPC、DOPC、POPC、DOPE及びSMから選択される中性脂質を含む。様々な実施形態において、上記カチオン性脂質(例えば、式(I)の脂質)の上記中性脂質に対するモル比は約2:1~約8:1の範囲である。
様々な実施形態において、上記LNPは、ステロイドまたはステロイド類似体を更に含む。「ステロイド」は以下の炭素骨格:
Figure 2024084804000051

を含む化合物である。
ある特定の実施形態において、上記ステロイドまたはステロイド類似体はコレステロールである。いくつかのこれらの実施形態において、上記カチオン性脂質(例えば、式(I)の脂質)のコレステロールに対するモル比は約2:1~1:1の範囲である。
「アニオン性脂質」は、生理的pHにおいて負に荷電した任意の脂質を指す。これらの脂質としては、ホスファチジルグリセロール、カルジオリピン、ジアシルホスファチジルセリン、ジアシルホスファチジン酸、N-ドデカノイルホスファチジルエタノールアミン、N-スクシニルホスファチジルエタノールアミン、N-グルタリルホスファチジルエタノールアミン、リシルホスファチジルグリセロール、パルミトイルオレオイルホスファチジルグリセロール(POPG)、及び中性脂質に結合した他のアニオン性修飾基が挙げられる。
ある特定の実施形態において、上記LNPは、糖脂質(例えば、モノシアロガングリオシドGM)を含む。ある特定の実施形態において、上記LNPはコレステロールなどのステロールを含む。
いくつかの実施形態において、上記LNPはポリマー結合脂質を含む。「ポリマー結合脂質」という用語は、脂質部分とポリマー部分の両方を含む分子を指す。ポリマー結合脂質の例はペグ化脂質である。「ペグ化脂質」という用語は、脂質部分とポリエチレングリコール部分の両方を含む分子を指す。ペグ化脂質は本技術分野で公知であり、1-(モノメトキシ-ポリエチレングリコール)-2,3-ジミリストイルグリセロール(PEG-s-DMG)などが挙げられる。
ある特定の実施形態において、上記LNPは、ポリエチレングリコール-脂質(ペグ化脂質)である更なる安定化脂質を含む。好適なポリエチレングリコール-脂質としては、PEG修飾ホスファチジルエタノールアミン、PEG修飾ホスファチジン酸、PEG修飾セラミド(例えば、PEG-CerC14またはPEG-CerC20)、PEG修飾ジアルキルアミン、PEG修飾ジアシルグリセロール、PEG修飾ジアルキルグリセロールが挙げられる。代表的なポリエチレングリコール-脂質としては、PEG-c-DOMG、PEG-c-DMA、及びPEG-s-DMGが挙げられる。一実施形態において、上記ポリエチレングリコール-脂質は、N-[(メトキシポリ(エチレングリコール)2000)カルバミル]-1,2-ジミリスチルオキシプロピル-3-アミン(PEG-c-DMA)である。一実施形態において、上記ポリエチレングリコール-脂質はPEG-c-DOMG)である。他の実施形態において、上記LNPは、1-(モノメトキシ-ポリエチレングリコール)-2,3-ジミリストイルグリセロール(PEG-DMG)などのペグ化ジアシルグリセロール(PEG-DAG)、ペグ化ホスファチジルエタノールアミン(PEG-PE)、4-O-(2’,3’-ジ(テトラデカノイルオキシ)プロピル-l-O-(ω-メトキシ(ポリエトキシ)エチル)ブタンジオナート(PEG-S-DMG)などのPEGスクシネートジアシルグリセロール(PEG-S-DMG)、ペグ化セラミド(PEG-cer)、またはω-メトキシ(ポリエトキシ)エチル-N-(2,3-ジ(テトラデカンオキシ)プロピル)カルバマートもしくは2,3-ジ(テトラデカンオキシ)プロピル-N-(ω-メトキシ(ポリエトキシ)エチル)カルバマートなどのPEGジアルコキシプロピルカルバマートを含む。様々な実施形態において、上記カチオン性脂質の上記ペグ化脂質に対するモル比は、約100:1~約25:1の範囲である。
いくつかの実施形態において、上記LNPは、以下の構造(IV):
Figure 2024084804000052

または薬学的に許容されるその塩、互変異性体もしくは立体異性体であって、
10及びR11はそれぞれ独立に、任意選択で1もしくは複数のエステル結合が間に入った、10~30の炭素原子を含有する、直鎖状または分枝状の、飽和または不飽和のアルキル鎖であり、
zは30~60の範囲の平均値を有する、
上記構造または薬学的に許容されるその塩、互変異性体もしくは立体異性体を有するペグ化脂質を含む。
いくつかのペグ化脂質(IV)の上述の実施形態において、zが42である場合、R10及びR11は両者が共にn-オクタデシルであることはない。いくつかの他の実施形態において、R10及びR11はそれぞれ独立に、10~18の炭素原子を含有する、直鎖状または分枝状の、飽和または不飽和のアルキル鎖である。いくつかの実施形態において、R10及びR11はそれぞれ独立に、12~16の炭素原子を含有する、直鎖状または分枝状の、飽和または不飽和のアルキル鎖である。いくつかの実施形態において、R10及びR11はそれぞれ独立に、12の炭素原子を含有する、直鎖状または分枝状の、飽和または不飽和のアルキル鎖である。いくつかの実施形態において、R10及びR11はそれぞれ独立に、14の炭素原子を含有する、直鎖状または分枝状の、飽和または不飽和のアルキル鎖である。いくつかの実施形態において、R10及びR11はそれぞれ独立に、16の炭素原子を含有する、直鎖状または分枝状の、飽和または不飽和のアルキル鎖である。一層更なる実施形態において、R10及びR11はそれぞれ独立に、18の炭素原子を含有する、直鎖状または分枝状の、飽和または不飽和のアルキル鎖である。更に他の実施形態において、R10は12の炭素原子を含有する、直鎖状または分枝状の、飽和または不飽和のアルキル鎖であり、R11は14の炭素原子を含有する、直鎖状または分枝状の、飽和または不飽和のアルキル鎖である。
様々な実施形態において、zは、(II)のPEG部分が約400~約6000g/molの平均分子量を有するように選択される範囲にわたる。いくつかの実施形態において、平均のzは約45である。
他の実施形態において、上記ペグ化脂質は、以下の構造のうちの1つを有し:
Figure 2024084804000053

nは、上記ペグ化脂質の平均分子量が約2500g/molになるように選択された整数である。
ある特定の実施形態において、上記更なる脂質は、約1~約10モルパーセントの量で上記LNP中に存在する。一実施形態において、上記更なる脂質は、約1~約5モルパーセントの量で上記LNP中に存在する。一実施形態において、上記更なる脂質は、約1モルパーセントまたは約1モルパーセントで上記LNP中に存在する。
いくつかの実施形態において、上記LNPは、式(I)の脂質、ヌクレオシド修飾RNA、中性脂質、ステロイド及びペグ化脂質を含む。いくつかの実施形態において、式(I)の脂質は化合物I-6である。異なる実施形態において、上記中性脂質はDSPCである。他の実施形態において、上記ステロイドはコレステロールである。更に別の実施形態において、上記ペグ化脂質は化合物IVaである。
ある特定の実施形態において、上記LNPは、該LNPを細胞または細胞集団に標的化することができる1つまたは複数の標的化部分を含む。例えば、一実施形態において、上記標的化部分は、該LNPを細胞表面上に存在する受容体に導くリガンドである。
ある特定の実施形態において、上記LNPは、1つまたは複数の内部移行ドメインを含む。例えば、一実施形態において、上記LNPは、細胞に結合して、該LNPの内部移行を誘導する1つまたは複数のドメインを含む。例えば、一実施形態において、上記1つまたは複数の内部移行ドメインは、細胞表面上に存在する受容体に結合して、受容体媒介性の上記LNPの取り込みを誘導する。ある特定の実施形態において、上記LNPはイン・ビボで生体分子に結合し、そこで上記LNPが結合した生体分子は次いで細胞表面受容体によって認識されて、内部移行を誘導することができる。例えば、一実施形態において、上記LNPは全身性ApoEに結合し、これが該LNP及びそれに伴うカーゴの取込みにつながる。
他の例示的なLNP及びそれらの製造は、本技術分野において、例えば、米国特許出願公開第US20120276209号、Semple et al.,2010,Nat Biotechnol.,28(2):172-176; Akinc et al.,2010,Mol Ther,18(7):1357-1364; Basha et al.,2011,Mol Ther,19(12):2186-2200; Leung et al.,2012,J Phys Chem C Nanomater Interfaces,116(34):18440-18450; Lee et al.,2012,Int J Cancer.,131(5):E781-90; Belliveau et al.,2012,Mol Ther nucleic Acids,1:e37; Jayaraman et al.,2012,Angew Chem Int Ed Engl.,51(34):8529-8533; Mui et al.,2013,Mol Ther Nucleic Acids.2,e139; Maier et al.,2013,Mol Ther,21(8):1570-1578;及びTam et al.,2013,Nanomedicine,9(5):665-74に記載があり、これらはそれらの全体が参照により援用される。
以下の反応スキームは、式(I)、(II)または(III)の脂質の製造方法を図解する。
Figure 2024084804000054

式(I)の脂質の実施形態(例えば、化合物A-5)は、概括的反応スキーム1(「方法A」)に従って調製することができ、スキーム中、Rは飽和もしくは不飽和のC~C24アルキルまたは飽和もしくは不飽和のシクロアルキルであり、mは0または1であり、nは1~24の整数である。概括的反応スキーム1を参照し、構造A-1の化合物は商業的供給源から購入するか、または当業者に周知の方法に従って調製することができる。A-1、A-2及びDMAPの混合物をDCCで処理してブロミドA-3が得られる。ブロミド(A-3)、塩基(例えば、N,N-ジイソプロピルエチルアミン)及びN,N-ジメチルジアミン(A-4)の混合物を、必要な後処理及び/または精製ステップの後にA-5を生成させるのに十分な温度及び時間で加熱する。
Figure 2024084804000055

式(I)の化合物の他の実施形態(例えば、化合物B-5)は、概括的反応スキーム2(「方法B」)に従って調製することができ、スキーム中、Rは飽和もしくは不飽和のC~C24アルキルまたは飽和もしくは不飽和のシクロアルキルであり、mは0または1であり、nは1~24の整数である。概括的反応スキーム2示すように、構造B-1の化合物は商業的供給源から購入するか、または当業者に周知の方法に従って調製することができる。B-1(1当量)の溶液を酸塩化物(B-2)(1当量)及び塩基(例えばトリエチルアミン)で処理する。粗生成物を酸化剤(例えば、クロロクロム酸ピリジニウム)で処理し、中間生成物(B-3)を回収する。次いで、粗製B-3、酸(例えば酢酸)、及びN,N-ジメチルアミノアミン (B-4)の溶液を還元剤(例えば、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム)で処理して、必要な後処理及び/または精製の後にB-5を得る。
出発物質A-1及びB-1は、飽和のメチレン炭素のみを含むものとして上記されるが、炭素-炭素二重結合を含む化合物の調製には、炭素-炭素二重結合を含む出発物質も用いてよいことに留意されたい。
Figure 2024084804000056

式(I)の脂質の異なる実施形態(例えば、化合物C-7またはC9)は、概括的反応スキーム3(「方法C」)に従って調製することができ、スキーム中、Rは飽和もしくは不飽和のC~C24アルキルまたは飽和もしくは不飽和のシクロアルキルであり、mは0または1であり、nは1~24の整数である。概括的反応スキーム3を参照し、構造C-1の化合物は商業的供給源から購入するか、または当業者に周知の方法に従って調製することができる。
Figure 2024084804000057

式(II)の化合物の実施形態(例えば、化合物D-5及びD-7)は、概括的反応スキーム4(「方法D」)に従って調製することができ、スキーム中、R1a、R1b、R2a、R2b、R3a、R3b、R4a、R4b、R、R、R、R、L、L、G、G、G、a、b、c及びdは本明細書で定義されるとおりであり、R7’はRまたはC~C19アルキルを表す。概括的反応スキーム1を参照し、構造D-1及びD-2の化合物は、商業的供給源から購入するか、または当業者に周知の方法に従って調製することができる。D-1及びD-2の溶液を還元剤(例えば、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム)で処理して、いずれかの必要な後処理の後にD-3を得る。D-3及び塩基(例えば、トリメチルアミン、DMAP)の溶液を、アシルクロリド(D-4)(またはカルボン酸及びDCC)で処理して、必要な後処理及び/または精製の後にD-5を得る。D-5をLiAlH4(D-6)で還元して、必要な後処理及び/または精製の後にD-7を得ることができる。
Figure 2024084804000058

式(II)の脂質の実施形態(例えば、化合物E-5)は、概括的反応スキーム5(「方法E」)に従って調製することができ、スキーム中、R1a、R1b、R2a、R2b、R3a、R3b、R4a、R4b、R、R、R、R、R、L、L、G、a、b、c及びdは本明細書で定義されるとおりである。概括的反応スキーム2を参照し、構造E-1及びE-2の化合物は、商業的供給源から購入するか、または当業者に周知の方法に従って調製することができる。E-1(過剰)、E-2及び塩基(例えば、炭酸カリウム)の混合物を加熱して、必要な後処理の後にE-3を得る。E-3及び塩基(例えば、トリメチルアミン、DMAP)の溶液を、アシルクロリド(E-4)(またはカルボン酸及びDCC)で処理して、必要な後処理及び/または精製後にE-5を得る。
Figure 2024084804000059

概括的反応スキーム6は、式(III)の脂質の調製のための例示的な方法(方法F)を提供する。概括的反応スキーム6中のG、G、R及びRは式(III)に対して本明細書で定義するとおりであり、G1’は、G1の1炭素短い同族体を指す。構造F-1の化合物は購入されるかまたは本技術分野で公知の方法に従って調製される。適宜の縮合条件(例えば、DCC)下でのF-1のジオール(F-2)との反応によりエステル/アルコール(F-3)が生成され、次いでこれをアルデヒド(F-4)へと酸化する(例えば、PCC)ことができる。還元的アミノ化条件下でのF-4のアミン(F-5)との反応によって式(III)の脂質が生成される。
当業者にとっては、様々なこれらに代わる式(III)の脂質の調製の手順が利用可能であることに留意されたい。例えば、L及びLがエステル以外である他の式(III)の脂質を、適宜の出発物質を用いた類似の方法に従って調製することができる。更に、概括的反応スキーム6はGとGとが同一である式(III)の脂質の調製を示すが、これは本発明の必須の態様ではなく、GとGとが異なる化合物を得るための上記反応スキームの改変が可能である。
本明細書に記載のプロセスにおいて、中間体化合物の官能基を適宜の保護基で保護する必要がある場合があることは当業者に理解されよう。かかる官能基としては、ヒドロキシ、アミノ、メルカプト及びカルボン酸が挙げられる。ヒドロキシに対する好適な保護基としては、トリアルキルシリルまたはジアリールアルキルシリル(例えば、t-ブチルジメチルシリル、t-ブチルジフェニルシリルまたはトリメチルシリル)、テトラヒドロピラニル、ベンジルなどが挙げられる。アミノ、アミジノ及びグアニジノに対する好適な保護基としては、t-ブトキシカルボニル、ベンジルオキシカルボニルなどが挙げられる。メルカプトに対する好適な保護基としては、-C(O)-R’’(R’’はアルキル、アリールまたはアリールアルキルである)、p-メトキシベンジル、トリチルなどが挙げられる。カルボン酸に対する好適な保護基としては、アルキルエステル、アリールエステルまたはアリールアルキルエステルが挙げられる。保護基は標準的な技法に従って付加または除去することができ、該標準的な技法は当業者に公知であり且つ本明細書に記載されている。保護基の使用は、Green,T.W.及びP.G.M.Wutz,Protective Groups in Organic Synthesis (1999),3rd Ed.,Wileyに詳細に記載されている。当業者ならば理解するであろうが、上記保護基は、Wang樹脂、Rink樹脂または2-クロロトリチルクロリド樹脂などのポリマー樹脂であってもよい。
抗原
本発明は対象において適応免疫応答を誘導する組成物を提供する。一実施形態において、本組成物は抗原を含む。一実施形態において、本組成物は抗原をコードする核酸配列を含む。例えば、ある特定の実施形態において、本組成物は抗原をコードするヌクレオシド修飾RNAを含む。上記抗原は、対象において適応免疫応答を誘導するポリペプチド、ペプチドまたはタンパク質を含む、但しこれらに限定されない、任意の分子または化合物であってよい。
一実施形態において、上記抗原は、病原体に関連するポリペプチドまたはペプチドであって、当該抗原が該抗原、ひいては上記病原体に対する適応免疫応答を誘導するような上記ポリペプチドまたはペプチドを含む。一実施形態において、上記抗原は病原体に関連するポリペプチドまたはペプチドのフラグメントであって、当該抗原が当該病原体に対する適応免疫応答を誘導するような上記フラグメントを含む。
ある特定の実施形態において、上記抗原は、本明細書に記載の抗原のアミノ酸配列と実質的に相同であり、且つ元のアミノ酸配列の免疫原性機能を保持するアミノ酸配列を含む。例えば、ある特定の実施形態において、上記抗原の上記アミノ酸配列は、元のアミノ酸配列に対して少なくとも60%、有利には少なくとも70%、好ましくは少なくとも85%、より好ましくは少なくとも95%の同一性度を有する。
一実施形態において、上記抗原は核酸分子の核酸配列によってコードされる。ある特定の実施形態において、上記核酸配列は、DNA、RNA、cDNA、それらの変異体、それらのフラグメント、またはそれらの組み合わせを含む。一実施形態において、上記核酸配列は修飾された核酸配列を含む。例えば、一実施形態において、上記抗原をコードする核酸配列は、本明細書の他の箇所に詳細に記載されるヌクレオシド修飾RNAを含む。ある特定の例において、上記核酸配列は、ペプチド結合によって上記抗原に連結されたリンカー配列またはタグ配列をコードする更なる配列を含む。
ある特定の実施形態において、ヌクレオシド修飾核酸分子によってコードされる上記抗原は、任意の数の生物、例えばウイルス、寄生生物、細菌、真菌または哺乳動物由来のタンパク質、ペプチド、それらのフラグメント、もしくはそれらの変異体、またはそれらの組み合わせを含む。例えば、ある特定の実施形態において、上記抗原は、自己免疫疾患、アレルギー、または喘息に関連する。他の実施形態において、上記抗原は、がん、ヘルペス、インフルエンザ、B型肝炎、C型肝炎、ヒトパピローマウイルス(HPV)、エボラ、肺炎球菌、ヘモフィルスインフルエンザ、髄膜炎菌、デング熱、結核、マラリア、ノロウイルスまたはヒト免疫不全ウイルス(HIV)に関連する。ある特定の実施形態において、上記抗原は、2種以上の異なる生物のアミノ酸配列に基づくコンセンサス配列を含む。ある特定の実施形態において、上記抗原をコードする核酸配列は、本組成物が送達される生物における効果的な翻訳に対して最適化される。
一実施形態において、上記抗原は、腫瘍特異抗原または腫瘍関連抗原であって、当該腫瘍に対して適応免疫応答を誘導するような上記抗原を含む。一実施形態において、上記抗原は、腫瘍特異抗原または腫瘍関連抗原のフラグメントであって、当該抗原が当該腫瘍に対して適応免疫応答を誘導するような上記フラグメントを含む。ある特定の実施形態において、上記腫瘍特異抗原または腫瘍関連抗原は宿主タンパク質の突然変異体である。
ウイルス抗原
一実施形態において、上記抗原は、ウイルス抗原、またはそのフラグメント、またはその変異体を含む。上記ウイルス抗原は、以下の科のうちの1つに属するウイルスに由来する:アデノウイルス科、アレナウイルス科、ブンヤウイルス科、カリシウイルス科、コロナウイルス科、フィロウイルス科、ヘパドナウイルス科、ヘルペスウイルス科、オルソミクソウイルス科、パポバウイルス科、パラミクソウイルス科、パルボウイルス科、ピコルナウイルス科、ポックスウイルス科、レオウイルス科、レトロウイルス科、ラブドウイルス科、またはトガウイルス科。ある特定の実施形態において、上記ウイルス抗原は、パピローマウイルス、例えば、ヒトパピローマウイルス(HPV)、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、ポリオウイルス、B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス、天然痘ウイルス(大痘瘡及び小痘瘡)、ワクシニアウイルス、インフルエンザウイルス、ライノウイルス、デング熱ウイルス、ウマ脳炎ウイルス、風疹ウイルス、黄熱病ウイルス、ノーウォークウイルス、A型肝炎ウイルス、ヒトT細胞白血病ウイルス(HTLV-I)、毛状細胞白血病ウイルス(HTLV-II)、カリフォルニア脳炎ウイルス、ハンタウイルス(出血熱)、狂犬病ウイルス、エボラ熱ウイルス、マールブルグウイルス、麻疹ウイルス、流行性耳下腺炎ウイルス、呼吸器多核体ウイルス(RSV)、単純ヘルペス1(口腔ヘルペス)、単純ヘルペス2(陰部ヘルペス)、帯状疱疹(水痘帯状疱疹、別名、水痘)、サイトメガロウイルス(CMV)、例えばヒトCMV、エプスタイン-バーウイルス(EBV)、フラビウイルス、口蹄疫ウイルス、チクングニヤウイルス、ラッサウイルス、アレナウイルス、またはがんを引き起こすウイルス由来である。
肝炎抗原
一実施形態において、上記抗原は、肝炎ウイルス抗原(すなわち、肝炎抗原)、またはそのフラグメント、もしくはその変異体を含む。ある特定の実施形態において、上記肝炎抗原は、A型肝炎ウイルス(HBV)、B型肝炎ウイルス(HBV)、C型肝炎ウイルス(HCV)、D型肝炎ウイルス(HDV)、及び/またはE型肝炎ウイルス(HEV)由来の抗原または免疫原を含む。ある特定の実施形態において、上記肝炎抗原は全長タンパク質の全長または免疫原性フラグメントである。
一実施形態において、上記肝炎抗原はHAV由来の抗原を含む。例えば、ある特定の実施形態において、上記肝炎抗原は、HAVカプシドタンパク質、HAV非構造タンパク質、それらのフラグメント、それらの変異体、またはそれらの組み合わせを含む。
一実施形態において、上記肝炎抗原はHCV由来の抗原を含む。例えば、ある特定の実施形態において、上記肝炎抗原は、HCVヌクレオカプシドタンパク質(すなわち、コアタンパク質)、HCVエンベロープタンパク質(例えば、E1及びE2)、HCV非構造タンパク質(例えば、NS1、NS2、NS3、NS4a、NS4b、NS5a、及びNS5b)、それらのフラグメント、それらの変異体、またはそれらの組み合わせを含む。
一実施形態において、上記肝炎抗原はHDV由来の抗原を含む。例えば、ある特定の実施形態において、上記肝炎抗原は、HDVデルタ抗原、そのフラグメント、またはその変異体を含む。
一実施形態において、上記肝炎抗原はHEV由来の抗原を含む。例えば、ある特定の実施形態において、上記肝炎抗原は、HEVカプシドタンパク質、そのフラグメント、またはその変異体を含む。
一実施形態において、上記肝炎抗原はHBV由来の抗原を含む。例えば、ある特定の実施形態において、上記肝炎抗原は、HBVコアタンパク質、HBV表面タンパク質、HBV DNAポリメラーゼ、遺伝子XによってコードされるHBVタンパク質、それらのフラグメント、それらの変異体、またはそれらの組み合わせを含む。ある特定の実施形態において、上記肝炎抗原は、HBV遺伝子型Aコアタンパク質、HBV遺伝子型Bコアタンパク質、HBV遺伝子型Cコアタンパク質、HBV遺伝子型Dコアタンパク質、HBV遺伝子型Eコアタンパク質、HBV遺伝子型Fコアタンパク質、HBV遺伝子型Gコアタンパク質、HBV遺伝子型Hコアタンパク質、HBV遺伝子型A表面タンパク質、HBV遺伝子型B表面タンパク質、HBV遺伝子型C表面タンパク質、HBV遺伝子型D表面タンパク質、HBV遺伝子型E表面タンパク質、HBV遺伝子型F表面タンパク質、HBV遺伝子型G表面タンパク質、HBV遺伝子型H表面タンパク質、それらのフラグメント、それらの変異体、またはそれらの組み合わせを含む。
ヒトパピローマウイルス(HPV)抗原
一実施形態において、上記抗原は、ヒトパピローマウイルス(HPV)抗原、またはそのフラグメント、もしくはその変異体を含む。例えば、ある特定の実施形態において、上記抗原は、HPV16型、18型、31型、33型、35型、45型、52型、及び58型由来の抗原を含み、これらは子宮頸がん、直腸がん、及び/または他のがんを引き起こす。一実施形態において、上記抗原はHPV6型及び11型由来の抗原を含み、これらは性器疣贅を引き起こし、且つ頭頸部がんの原因であることが知られている。例えば、ある特定の実施形態において、上記HPV抗原は、任意のHPVの型に由来するHPV E6もしくはE7ドメイン、またはそれらのフラグメントもしくは変異体を含む。
RSV抗原
一実施形態において、上記抗原は、RSV抗原またはそのフラグメント、もしくはその変異体を含む。例えば、ある特定の実施形態において、上記RSV抗原は、ヒトRSV融合タンパク質(本明細書では「RSV F」、「RSV Fタンパク質」及び「Fタンパク質」とも呼ばれる。)、またはそのフラグメントもしくは変異体を含む。一実施形態において、上記ヒトRSV融合タンパク質は、RSVサブタイプA及びBの間で保存される。ある特定の実施形態において、上記RSV抗原は、RSV Long株(GenBank AAX23994.1)由来のRSV Fタンパク質、またはそのフラグメントもしくは変異体を含む。一実施形態において、上記RSV抗原は、RSV A2株(GenBank AAB59858.1)由来のRSV Fタンパク質、またはそのフラグメントもしくは変異体を含む。ある特定の実施形態において、上記RSV抗原は、RSV Fタンパク質の単量体、二量体もしく三量体、またはそれらのフラグメントもしくは変異体である。本発明によれば、ある特定の実施形態において、上記RSV Fタンパク質は融合前形態または融合後形態である。
一実施形態において、上記RSV抗原は、ヒトRSV付着糖タンパク質(本明細書では「RSV G」、「RSV Gタンパク質」及び「Gタンパク質」とも呼ばれる。)、またはそのフラグメントもしくは変異体を含む。上記ヒトRSV Gタンパク質はRSVサブタイプA及びBの間で異なる。一実施形態において、上記抗原はRSV Long株(GenBank AAX23993)由来のRSV Gタンパク質、またはそのフラグメントもしくは変異体を含む。一実施形態において、上記RSV抗原は、RSVサブタイプB単離株H5601、RSVサブタイプB単離株H1068、RSVサブタイプB単離株H5598、RSVサブタイプB単離株H1123、またはそれらのフラグメントもしくは変異体由来のRSV Gタンパク質を含む。
他の実施形態において、上記RSV抗原は、ヒトRSV非構造タンパク質1(「NS1タンパク質」)、またはそのフラグメントもしくは変異体を含む。例えば、一実施形態において、上記RSV抗原は、RSV Long株(GenBank AAX23987.1)由来のRSV NS1タンパク質、またはそのフラグメントもしくは変異体を含む。一実施形態において、上記RSV抗原は、RSV非構造タンパク質2(「NS2タンパク質」)、またはそのフラグメントもしくは変異体を含む。例えば、一実施形態において、上記RSV抗原は、RSV Long株(GenBank AAX23988.1)由来のRSV NS2タンパク質、またはそのフラグメントもしくは変異体を含む。一実施形態において、上記RSV抗原は、ヒトRSVヌクレオカプシド(「N」)タンパク質、またはそのフラグメントもしくは変異体を含む。例えば、一実施形態において、上記RSV抗原は、RSV Long株(GenBank AAX23989.1)由来のRSV Nタンパク質、またはそのフラグメントもしくは変異体である。一実施形態において、上記RSV抗原は、ヒトRSVリン酸化タンパク質(「P」)タンパク質、またはそのフラグメントもしくは変異体を含む。例えば、一実施形態において、上記RSV抗原は、RSV Long株(GenBank AAX23990.1)由来のRSV Pタンパク質、またはそのフラグメントもしくは変異体を含む。一実施形態において、上記RSV抗原は、ヒトRSVマトリクスタンパク質(「M」)タンパク質、またはそのフラグメントもしくは変異体を含む。例えば、一実施形態において、上記RSV抗原は、RSV Long株(GenBank AAX23991.1)由来のRSV Mタンパク質、またはそのフラグメントもしくは変異体を含む。
更に他の実施形態において、上記RSV抗原は、ヒトRSV小型疎水性(「SH」)タンパク質、またはそのフラグメントもしくは変異体を含む。例えば、一実施形態において、上記RSV抗原は、RSV Long株(GenBank AAX23992.1)由来のRSV SHタンパク質、またはそのフラグメントもしくは変異体を含む。一実施形態において、上記RSV抗原は、ヒトRSVマトリクスタンパク質2-1(「M2-1」)タンパク質、またはそのフラグメントもしくは変異体を含む。例えば、一実施形態において、上記RSV抗原は、RSV Long株(GenBank AAX23995.1)由来のRSV M2-1タンパク質、またはそのフラグメントもしくは変異体を含む。一実施形態において、上記RSV抗原は、RSVマトリクスタンパク質2-2(「M2-2」)タンパク質、またはそのフラグメントもしくは変異体を含む。例えば、一実施形態において、上記RSV抗原は、RSV Long株(GenBank AAX23997.1)由来のRSV M2-2タンパク質、またはそのフラグメントもしくは変異体を含む。一実施形態において、上記RSV抗原は、RSVポリメラーゼL(「L」)タンパク質、またはそのフラグメントもしくは変異体を含む。例えば、一実施形態において、上記RSV抗原は、RSV Long株(GenBank AAX23996.1)由来のRSV Lタンパク質、またはそのフラグメントもしくは変異体を含む。
インフルエンザ抗原
一実施形態において、上記抗原は、インフルエンザ抗原またはそのフラグメント、もしくはその変異体を含む。上記インフルエンザ抗原は、哺乳動物において1種または複数種のインフルエンザ血清型に対して適応免疫応答を誘発することができるインフルエンザ抗原である。ある特定の実施形態において、上記抗原は、全長翻訳産物ヘマグルチニン(HA)0、サブユニットHA1、サブユニットHA2、それらの変異体、それらのフラグメント、またはそれらの組み合わせを含む。ある特定の実施形態において、上記インフルエンザヘマグルチニン抗原は、インフルエンザA血清型H1、インフルエンザA血清型H2、またはインフルエンザBの1種または複数種の株に由来する。
一実施形態において、上記インフルエンザ抗原は、少なくとも1種の抗原性エピトープであって、それに対して免疫応答が誘発され得る特定のインフルエンザ免疫原に対して有効であることができる、上記エピトープを含有する。ある特定の実施形態において、上記抗原は、無傷インフルエンザウイルス中に存在する免疫原性部位及びエピトープの全レパートリーを提供し得る。
いくつかの実施形態において、上記インフルエンザ抗原は、H1 HA、H2HA、H3 HA、H5 HA、またはBHA抗原を含む。ある特定の実施形態において、上記インフルエンザ抗原は、ノイラミニダーゼ(NA)、マトリクスタンパク質、核タンパク質、M2外部ドメイン-核タンパク質(M2e-NP)、それらの変異体、それらのフラグメント、またはそれらの組み合わせを含む。
ヒト免疫不全ウイルス(HIV)抗原
一実施形態において、上記抗原は、HIV抗原またはそのフラグメント、もしくはその変異体を含む。
ある特定の実施形態において、上記HIV抗原は、エンベロープ(Env)タンパク質またはそのフラグメントもしくは変異体を含む。例えば、ある特定の実施形態において、上記HIV抗原は、gp120、gp41、またはそれらの組み合わせから選択されるEnvタンパク質を含む。
ある特定の実施形態において、上記HIV抗原は、nef、gag、pol、vif、vpr、vpu、tat、rev、またはそれらの変異体のフラグメントのうちの少なくとも1種を含む。
上記HIV抗原は、HIVの任意の株に由来するものであってよい。例えば、ある特定の実施形態において、上記HIV抗原は、HIVグループM、N、O、及びP、ならびにサブタイプA、HIVサブタイプB、HIVサブタイプC、HIVサブタイプD、サブタイプE、サブタイプF、サブタイプG、サブタイプH、サブタイプJ、またはサブタイプK由来の抗原を含む。一実施形態において、上記HIV抗原は、HIV-R3A株由来のEnvまたはそのフラグメントもしくは変異体(R3A-Env)を含む。
寄生生物抗原
ある特定の実施形態において、上記抗原は、寄生生物抗原またはそのフラグメントもしくは変異体を含む。ある特定の実施形態において、上記寄生生物は、原生動物、ぜん虫、または外部寄生生物である。ある特定の実施形態において、上記ぜん虫(helminth)(すなわち、ぜん虫(worm)は、扁虫(例えば、吸虫及び条虫)、鉤頭虫、または回虫(例えば、ギョウ虫)である。ある特定の実施形態において、上記外部寄生生物は、シラミ、ノミ、マダニ及びダニである。
ある特定の実施形態において、上記寄生生物は、以下の疾患を引き起こすいずれかの寄生生物である:アカントアメーバ角膜炎、アメーバ症、アスカリアーシス、バベシア症、バランチジウム症、アライグマ回虫症(Baylisascariasis)、シャーガス病、肝吸虫症、コクリオミイヤ、クリプトスポリジウム症、裂頭条虫症、メジナ虫症、エキノコックス症、象皮症、ぎょう虫症、肝蛭症、肥大吸虫症、フィラリア症、ジアルジア症、顎口虫症、膜様条虫症、イソスポーラ症、片山熱、リースマニア症、ライム病、マラリア、横川吸虫症、ハエ幼虫症、オンコセルカ症、シラミ寄生症、疥癬、住血吸虫症、睡眠病、糞線虫症、テニア条虫症、トキソカラ症、トキソプラズマ症、旋毛虫病、及び鞭虫症。
ある特定の実施形態において、上記寄生生物は、Acanthamoeba、Anisakis、Ascaris lumbricoides、ウマバエ、Balantidium coli、トコジラミ、Cestoda(条虫)、ツツガムシ、Cochliomyia hominivorax、Entamoeba histolytica、Fasciola hepatica、Giardia lamblia、鉤虫、Leishmania、Linguatula serrata、肝吸虫、Loa loa、Paragonimus-肺吸虫、ギョウ虫、Plasmodium falciparum、Schistosoma、Strongyloides stercoralis、ダニ、条虫、Toxoplasma gondii、Trypanosoma、鞭虫、またはWuchereria bancroftiである。
マラリア抗原
一実施形態において、上記抗原は、マラリア抗原(すなわち、PF抗原もしくはPF免疫原)、またはそのフラグメント、もしくはその変異体を含む。例えば、一実施形態において、上記抗原はマラリアを引き起こす寄生生物由来の抗原を含む。一実施形態において、上記マラリアを引き起こす寄生生物はPlasmodium falciparumである。
いくつかの実施形態において、上記マラリア抗原は、P.falciparum免疫原CS;LSAl;TRAP;CelTOS;及びAma1ののうちの1種または複数種を含む。上記免疫原は全長タンパク質の全長または免疫原性フラグメントであってよい。
細菌抗原
一実施形態において、上記抗原は細菌抗原またはその断片もしくは変異体を含む。ある特定の実施形態において、上記細菌は、以下の門のいずれかに属する:Acidobacteria、Actinobacteria、Aquificae、Bacteroidetes、Caldiserica、Chlamydiae、Chlorobi、Chloroflexi、Chrysiogenetes、Cyanobacteria、Deferribacteres、Deinococcus-Thermus、Dictyoglomi、Elusimicrobia、Fibrobacteres、Firmicutes、Fusobacteria、Gemmatimonadetes、Lentisphaerae、Nitrospira、Planctomycetes、Proteobacteria、Spirochaetes、Synergistetes、Tenericutes、Thermodesulfobacteria、Thermotogae、及びVerrucomicrobia。
ある特定の実施形態において、上記細菌はグラム陽性菌またはグラム陰性菌である。ある特定の実施形態において、上記細菌は、好気性菌または嫌気性菌である。ある特定の実施形態において、上記細菌は独立栄養菌または従属栄養菌である。ある特定の実施形態において、上記細菌は中温菌、好中球、極限菌、好酸菌、アルカリ性菌、好熱菌、求核菌、好塩菌、または好感菌である。
ある特定の実施形態において、上記細菌は、炭疽菌、抗生物質耐性細菌、病原菌、食中毒菌、感染菌、サルモネラ菌、黄色ブドウ球菌、肺炎連鎖球菌、または破傷風菌である。ある特定の実施形態において、上記細菌は、マイコバクテリア、Clostridium tetani、Yersinia pestis、Bacillus anthracis、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)、またはClostridium difficileである。
Mycobacterium tuberculosis抗原
一実施形態において、上記抗原は、Mycobacterium tuberculosis抗原(すなわち、TB抗原もしくはTB免疫原)、またはその断片、もしくはその変異体を含む。上記TB抗原はTB抗原のAg85ファミリー、例えば、Ag85A及びAg85B由来であってよい。上記TB抗原はTB抗原のEsxファミリー、例えば、EsxA、EsxB、EsxC、EsxD、EsxE、EsxF、EsxH、EsxO、EsxQ、EsxR、EsxS、EsxT、EsxU、EsxV、及びEsxW由来であってよい。
真菌抗原
一実施形態において、上記抗原は真菌抗原またはその断片もしくは変異体を含む。ある特定の実施形態において、上記真菌は、Aspergillus種、Blastomyces dermatitidis、Candida酵母(例えば、Candida albicans)、Coccidioides、Cryptococcus neoformans、Cryptococcus gattii、皮膚糸状菌、Fusarium種、Histoplasma capsulatum、Mucoromycotina、Pneumocystis jirovecii、Sporothrix schenckii、Exserohilum、またはCladosporiumである。
腫瘍抗原
ある特定の実施形態において、上記抗原は、例えば、腫瘍関連抗原または腫瘍特異抗原を含む腫瘍抗原を含む。本発明の文脈において、「腫瘍抗原」または「過剰増殖性障害抗原」または「過剰増殖性障害に関連する抗原」は、特異的過剰増殖性障害に共通する抗原を指す。ある特定の態様において、本発明の過剰増殖性障害抗原は、原発性または転移性黒色腫、中皮腫、胸腺腫、リンパ腫、肉腫、肺がん、肝臓がん、非ホジキンリンパ腫、ホジキンリンパ腫、白血病、子宮がん、子宮頸がん、膀胱がん、腎臓がん及び乳がん、前立腺がん、卵巣がん、膵臓がんなどの腺癌を含む、但しこれらに限定されないがんに由来する。
腫瘍抗原は、免疫応答、特にT細胞媒介免疫応答を誘発する腫瘍細胞によって産生されるタンパク質である。一実施形態において、本発明の腫瘍抗原は、哺乳動物のがん腫に由来する腫瘍浸潤リンパ球(TIL)によって免疫原的に認識される1種または複数種の抗原性がんエピトープを含む。上記抗原の選択は、本発明の組成物によって治療または予防が行われる特定の種類のがんに依存する。
腫瘍抗原は本技術分野において周知であり、例えば、神経膠腫関連抗原、癌胎児性抗原(CEA)、β-ヒト絨毛ゴナドトロピン、アルファフェトプロテイン(AFP)、レクチン反応性AFP、チログロブリン、RAGE-1、MN-CA IX、ヒトテロメラーゼ逆転写酵素、RU1、RU2(AS)、腸管カルボキシルエステラーゼ、mut hsp70-2、M-CSF、プロスターゼ、前立腺特異抗原(PSA)、PAP、NY-ESO-1、LAGE-1a、p53、プロステイン、PSMA、Her2/neu、スルビビン及びテロメラーゼ、前立腺癌腫抗原1(PCTA-1)、MAGE、ELF2M、好中球エラスターゼ、エフリンB2、CD22、インスリン成長因子(IGF)-I、IGF-II、IGF-I受容体及びメソセリンが挙げられる。
一実施形態において、上記腫瘍抗原は、悪性腫瘍に伴う1種または複数種の抗原性がんエピトープを含む。悪性腫瘍は免疫攻撃の標的抗原としての役割を果たし得る多くのタンパク質を発現する。これらの分子としては、黒色腫におけるMART-1、チロシナーゼ及びGP100ならびに前立腺がんにおける前立腺酸性ホスファターゼ(PAP)及び前立腺特異抗原(PSA)などの組織特異的抗原が挙げられるが、これに限定はされない。他の標的分子は、がん遺伝子HER-2/Neu/ErbB-2などの形質転換関連分子の群に属する。標的抗原の更に別の群は、がん胎児性抗原(CEA)などの胎児性抗原である。B細胞リンパ腫において、腫瘍特異的イディオタイプ免疫グロブリンは、個々の腫瘍に特有の真に腫瘍特異的な免疫グロブリン抗原を構成する。CD19、CD20及びCD37などのB細胞分化抗原は、B細胞リンパ腫における標的抗原の他の候補である。これらの抗原のいくつか(CEA、HER-2、CD19、CD20、イディオタイプ)は、モノクローナル抗体を用いた受動免疫療法の標的として使用されてきたが、これは限定的な成功しか収めていない。
本発明において言及される腫瘍抗原の種類はまた、腫瘍特異抗原(TSA)または腫瘍関連抗原(TAA)であってもよい。TSAは腫瘍細胞に特有であり、体内の他の細胞には存在しない。TAA関連抗原は腫瘍細胞に特有ではなく、むしろ、抗原に対する免疫寛容の状態を誘導できない条件下において、正常細胞上でも発現される。腫瘍上での抗原の発現は、免疫系が該抗原に対して応答可能となる条件下で起こり得る。TAAは、免疫系が未成熟で応答できない胎児発生時に正常細胞上で発現する抗原である場合があり、または正常細胞上では通常は極めて低レベルでしか存在しないが、腫瘍細胞上では大幅に高いレベルで発現する抗原である場合がある。
TSA抗原またはTAA抗原の非限定的な例としては、以下が挙げられる:MART-1/MelanA(MART-I)、gp100(Pmel 17)、チロシナーゼ、TRP-1、TRP-2などの分化抗原及びMAGE-1、MAGE-3、BAGE、GAGE-1、GAGE-2、pI5などの腫瘍特異的多系統抗原;CEAなどの過剰発現した胚性抗原;p53、Ras、HER-2/neuなどの、過剰発現したがん遺伝子及び突然変異した腫瘍抑制遺伝子;BCR-ABL、E2A-PRL、H4-RET、IGH-IGK、MYL-RARなどの、染色体転座に起因する特有な腫瘍抗原;ならびにエプスタイン・バーウイルス抗原EBVA及びヒトパピローマウイルス(HPV)抗原E6及びE7などのウイルス抗原。他の巨大な、タンパク質系の抗原としては、TSP-180、MAGE-4、MAGE-5、MAGE-6、RAGE、NY-ESO、p185erbB2、p180erbB-3、c-met、nm-23H1、PSA、TAG-72、CA 19-9、CA 72-4、CAM 17.1、NuMa、K-ras、β-カテニン、CDK4、Mum-1、p 15、p 16、43-9F、5T4、791Tgp72、α-フェトプロテイン、β-HCG、BCA225、BTAA、CA 125、CA 15-3\CA 27.29\BCAA、CA 195、CA 242、CA-50、CAM43、CD68\P1、CO-029、FGF-5、G250、Ga733\EpCAM、HTgp-175、M344、MA-50、MG7-Ag、MOV18、NB/70K、NY-CO-1、RCAS1、SDCCAG16、TA-90\Mac-2結合タンパク質\シクロフィリンC-関連タンパク質、TAAL6、TAG72、TLP、及びTPSが挙げられる。
好ましい実施形態において、上記抗原としては、CD19、CD20、CD22、ROR1、メソテリン、CD33/IL3Ra、c-Met、PSMA、糖脂質F77、EGFRvIII、GD-2、MY-ESO-1 TCR、MAGE A3 TCRなどが挙げられるが、これらに限定はされない。
アジュバント
一実施形態において、本組成物はアジュバントを含む。一実施形態において、本組成物はアジュバントをコードする核酸分子を含む。一実施形態において、上記アジュバントをコードする核酸分子はIVT RNAである。一実施形態において、上記アジュバントをコードする核酸分子はヌクレオシド修飾RNAである。
例示的なアジュバントとしては、α-インターフェロン、γ-インターフェロン、血小板由来増殖因子(PDGF)、TNFα、TNFβ、GM-CSF、上皮増殖因子(EGF)、皮膚T細胞誘引ケモカイン(cutaneous T cell-attracting chemokine)(CTACK)、上皮胸腺発現ケモカイン(epithelial thymus-expressed chemokine)(TECK)、粘膜関連上皮ケモカイン(mucosae-associated epithelial chemokine)(MEC)、IL-12、IL-15、MHC、CD80、シグナル配列が欠失し、且つ任意選択でIgE由来のシグナルペプチドを含むIL-15を含むCD86が挙げられるが、これらに限定はされない。有用なアジュバントとなり得る他の遺伝子としては以下をコードする遺伝子が挙げられる:MCP-I、MIP-Ia、MIP-Ip、IL-8、RANTES、L-セレクチン、P-セレクチン、E-セレクチン、CD34、GlyCAM-1、MadCAM-1、LFA-I、VLA-I、Mac-1、pl50.95、PECAM、ICAM-I、ICAM-2、ICAM-3、CD2、LFA-3、M-CSF、G-CSF、IL-4、IL-18の変異形態、CD40、CD40L、血管増殖因子、線維芽細胞増殖因子、IL-7、神経増殖因子、血管内皮増殖因子、Fas、TNF受容体、Fit、Apo-1、p55、WSL-I、DR3、TRAMP、Apo-3、AIR、LARD、NGRF、DR4、DR5、KILLER、TRAIL-R2、TRICK2、DR6、カスパーゼICE、Fos、c-jun、Sp-I、Ap-I、Ap-2、p38、p65Rel、MyD88、IRAK、TRAF6、IkB、不活性NIK、SAP K、SAP-I、JNK、インターフェロン応答遺伝子、NFkB、Bax、TRAIL、TRAILrec、TRAILrecDRC5、TRAIL-R3、TRAIL-R4、RANK、RANK LIGAND、Ox40、Ox40 LIGAND、NKG2D、MICA、MICB、NKG2A、NKG2B、NKG2C、NKG2E、NKG2F、TAP1、TAP2、抗CTLA4-sc、抗LAG3-Ig、抗TIM3-Ig及びそれらの機能的フラグメント。
医薬組成物
本明細書に記載される医薬組成物の製剤は、薬理学の分野で公知であるかまたは今後開発される任意の方法によって調製することができる。一般に、かかる調製方法は、活性成分を担体または1種もしくは複数種の他の補助成分と混合し、次いで、必要または望ましい場合には、上記の生成物を所望の単回もしくは複数回投与単位に賦形または包装するステップを含む。
本明細書において提示される医薬組成物の説明は、主として、ヒトへの医師の処方による投与に適した医薬組成物を対象とするが、当業者ならば、かかる組成物が、一般に、あらゆる種類の動物への投与に適することを理解するであろう。ヒトへの投与に適した医薬組成物を種々の動物に投与するのに適したものとするための該組成物の改変は十分に理解されており、通常の熟練した獣医学の薬理学者は、必要な場合には、単に通常の実験によって、かかる改変を設計し且つ実施することができる。本発明の医薬組成物の投与が企図される対象としては、ヒト及び他の霊長動物、非ヒト霊長動物、ウシ、ブタ、ウマ、ヒツジ、ネコ、及びイヌなどの商業的に適切な哺乳動物を含む哺乳動物が挙げられるが、これらに限定はされない。
本発明の方法において有用な医薬組成物は、眼科的、経口、経直腸、経膣、非経口、局所、経肺、鼻腔内、経頬側、静脈内、脳室内、皮内、筋内投与、または別の投与の経路に適した製剤として調製し、包装し、または販売してもよい。企図される他の製剤としては、投射されるナノ粒子、リポソーム製剤、上記活性成分を含有する再封赤血球、及び免疫原系製剤が挙げられる。
本発明の医薬組成物は、バルクで、単一の単位用量として、または複数の単一の単位用量として調製、包装または販売されてもよい。本明細書で用いられる「単位用量」は、所定量の上記活性成分を含む本医薬組成物の個別の量である。上記活性成分の量は一般に、対象に投与されることとなる活性成分の投与量またはかかる投与量の都合のよい一部分、例えば、かかる投与量の1/2または1/3などに等しい。
本発明の医薬組成物中の活性成分、薬学的に許容される担体、及び任意の更なる成分の相対的な量は、治療を受ける対象が何であるか、その大きさ、及び状態に応じて、更に、当該組成物が投与されることとなる経路に応じて変化するであろう。例として、本組成物は0.1%~100%(w/w)の活性成分を含んでいてもよい。
本発明の医薬組成物は、上記活性成分に加えて、1種または複数種の更なる薬学的に活性な薬剤を更に含んでいてもよい。
本発明の医薬組成物の制御放出製剤または持続性放出製剤は、従来の技術を用いて製造することができる。
本明細書では、医薬組成物の「非経口投与」は、対象の組織に物理的に切れ目を設けること及び該組織の切れ目を通して本医薬組成物を投与することを特徴とする、任意の投与経路を包含する。したがって、非経口投与としては、組成物の注射による、外科的切開を介した組成物の適用による、組織を貫通した非外科的創傷を介した組成物の適用によるなどの上記医薬組成物の投与が挙げられるが、これらに限定はされない。特に、非経口投与は、眼内、硝子体内、皮下、腹腔内、筋内、皮内、胸骨内注射、腫瘍内、静脈内、脳室内及び腎透析注入技法を含むことが企図される。
非経口投与に適した医薬組成物の製剤は、無菌水または無菌等張生理食塩水などの薬学的に許容される担体と組み合わせた上記活性成分を含む。かかる製剤は、ボーラス投与または連続的投与に適した形態で調製、包装、または販売されてもよい。注射製剤は、アンプル中または防腐剤が入った複数回投与用の容器中などの単位剤形で、調製、包装、または販売されてもよい。非経口投与用製剤としては、油性または水性ビヒクル中の懸濁液剤、溶液剤、乳化液剤、ペースト剤、及び移植用徐放性または生分解性製剤が挙げられるが、これらに限定はされない。かかる製剤は、懸濁剤、安定化剤、または分散剤を含む、但しこれらに限定されない1種または複数種の更なる成分を更に含んでいてもよい。非経口投与用製剤の一実施形態において、上記活性成分は、適宜のビヒクル(例えば、無菌の発熱物質不含水)を用いた再構成であって、再構成された組成物を非経口投与する前に行われる上記再構成のための乾燥(すなわち粉末または顆粒)形態で提供される。
本医薬組成物は、無菌の注射用の水性もしくは油性懸濁液剤または溶液剤の形態で調製、包装、または販売されてもよい。この懸濁液剤または溶液剤は公知の技術に従って製剤化することができ、上記活性成分に加えて、本明細書に記載の分散剤、湿潤剤、または懸濁剤などの更なる成分を含んでいてもよい。かかる無菌注射用製剤は、例えば、水もしくは1,3-ブタンジオールなどの非毒性の非経口的に許容される希釈剤または溶媒を用いて調製することができる。他の許容される希釈剤及び溶媒としては、リンゲル溶液、等張性塩化ナトリウム溶液、及び合成モノまたはジグリセリドなどの不揮発性油が挙げられるが、これらに限定はされない。有用な他の非経口投与用製剤としては、リポソーム製剤中の、または生分解性ポリマー系の成分としての、微結晶形態の上記活性成分を含む上記製剤が挙げられる。徐放または移植用の組成物は、乳化液、イオン交換樹脂、難溶性ポリマー、もしくは難溶性塩などの薬学的に許容される、ポリマー材料または疎水性材料を含んでいてもよい。
本発明の医薬組成物は、口腔を経由する肺投与に適した製剤として調製、包装、または販売されてもよい。かかる製剤は、上記活性成分を含み、約0.5~約7ナノメートル、好ましくは約1~約6ナノメートルの範囲の径を有する乾燥粒子を含んでいてもよい。かかる組成物は、好都合には、乾燥粉末であって、噴射剤の流れが導かれて上記粉末を分散させることができる乾燥粉末タンクを備える装置を用いた、または密封容器中の低沸点噴射剤中に溶解または懸濁させた上記活性成分を備える装置などの、自己噴射性溶媒/粉末投薬容器を用いた投与のための上記乾燥粉末の形態である。かかる粉末は、重量で少なくとも98%の粒子が0.5ナノメートルより大きな径を有し、数で少なくとも95%の粒子が7ナノメートル未満の径を有する粒子を含むことが好ましい。重量で少なくとも95%の上記粒子が1ナノメートルより大きな径を有し、数で少なくとも90%の上記粒子が6ナノメートル未満の径を有することがより好ましい。乾燥粉末組成物は、好ましくは、砂糖などの固体微粉末希釈剤を含み、好都合には単位剤形として提供される。
低沸点噴射剤は、一般に、大気圧において65°F未満の沸点を有する液体噴射剤を含む。一般に、上記噴射剤は、上記組成物の50~99.9%(w/w)を構成してもよく、活性成分は、該組成物の0.1~20%(w/w)を構成してもよい。上記噴射剤は、液体の非イオン性界面活性剤もしくは固体のアニオン性界面活性剤または固体希釈剤(好ましくは上記活性成分を含む粒子と同一のオーダーの粒子径を有する)などの更なる成分を更に含んでいてもよい。
非経口投与に適した医薬組成物の製剤は、無菌水または無菌等張生理食塩水などの薬学的に許容される担体と組み合わせた上記活性成分を含む。かかる製剤は、ボーラス投与または連続的投与に適した形態で調製、包装、または販売されてもよい。注射製剤は、アンプル中または防腐剤が入った複数回投与用の容器中などの単位剤形で、調製、包装、または販売されてもよい。非経口投与用製剤としては、油性または水性ビヒクル中の懸濁液剤、溶液剤、乳化液剤、ペースト剤、及び移植用徐放性または生分解性製剤が挙げられるが、これらに限定はされない。かかる製剤は、懸濁剤、安定化剤、または分散剤を含む、但しこれらに限定されない1種または複数種の更なる成分を更に含んでいてもよい。非経口投与用製剤の一実施形態において、上記活性成分は、適宜のビヒクル(例えば、無菌の発熱物質不含水)を用いた再構成であって、再構成された組成物を非経口投与する前に行われる上記再構成のための乾燥(すなわち粉末または顆粒)形態で提供される。
本医薬組成物は、無菌の注射用の水性もしくは油性懸濁液剤または溶液剤の形態で調製、包装、または販売されてもよい。この懸濁液剤または溶液剤は公知の技術に従って製剤化することができ、上記活性成分に加えて、本明細書に記載の分散剤、湿潤剤、または懸濁剤などの更なる成分を含んでいてもよい。かかる無菌注射用製剤は、例えば、水もしくは1,3-ブタンジオールなどの非毒性の非経口的に許容される希釈剤または溶媒を用いて調製することができる。他の許容される希釈剤及び溶媒としては、リンゲル溶液、等張性塩化ナトリウム溶液、及び合成モノまたはジグリセリドなどの不揮発性油が挙げられるが、これらに限定はされない。有用な他の非経口投与用製剤としては、リポソーム製剤中の、または生分解性ポリマー系の成分としての、微結晶形態の上記活性成分を含む上記製剤が挙げられる。徐放または移植用の組成物は、乳化液、イオン交換樹脂、難溶性ポリマー、もしくは難溶性塩などの薬学的に許容される、ポリマー材料または疎水性材料を含んでいてもよい。
本明細書で用いられる「更なる成分」としては、以下うちのの1種または複数種が挙げられるが、これらに限定はされない:賦形剤;界面活性剤;分散剤;不活性希釈剤;顆粒化剤及び崩壊剤;結合剤;滑沢剤;甘味料;香味料;着色料;防腐剤;ゼラチンなどの生理的に分解性の組成物;水性ビヒクル及び溶媒;油性ビヒクル及び溶媒;懸濁剤;分散剤または湿潤剤;乳化剤、粘滑剤;緩衝剤;塩;増粘剤;充填剤;乳化剤;抗酸化剤;抗生剤;抗真菌剤;安定剤;及び薬学的に許容されるポリマー材料または疎水性材料。本発明の医薬組成物に含まれてもよい他の「更なる成分」は本技術分野で公知であり、例えばRemington’s Pharmaceutical Sciences(1985,Genaro,ed.,Mack Publishing Co.,Easton,PA)に記載され、該文献は参照により本明細書に援用される。
治療方法
本発明は、1種または複数種の抗原、1種または複数種のアジュバント、またはそれらの組み合わせをコードする1種または複数種の単離された核酸を含む、有効量の組成物を投与することを含む、対象における適応免疫応答の誘導方法を提供する。
一実施形態において、本方法は、上記対象において、抗原に関連する感染症、疾患、または障害に対する免疫を提供する。したがって、本発明は、上記抗原に関連する感染症、疾患、もしくは障害の治療または予防方法を提供する。例えば、本方法は、投与される組成物の抗原の種類に応じて、ウイルス性感染症、細菌性感染症、真菌性感染症、寄生生物性感染症、もしくはがんを治療または予防するために用いることができる。例示的な抗原及び関連する感染症、疾患、及び腫瘍は、本明細書の他の箇所に記載されている。
一実施形態において、本組成物は、上記抗原に関連する感染症、疾患、またはがんを有する対象に投与される。一実施形態において、本組成物は、上記抗原に関連する感染症、疾患、またはがんを発症する危険性がある対象に投与される。例えば、本組成物は、ウイルス、細菌、真菌、寄生生物などと接触する危険性がある対象に投与されてもよい。一実施形態において、本組成物は、遺伝的要因、環境的要因などにより、高いがん発症の尤度を有する対象に投与される。
一実施形態において、本方法は、1種または複数種の抗原及び1種または複数種のアジュバントをコードする1種または複数種のヌクレオシド修飾核酸分子を含む組成物を投与することを含む。一実施形態において、本方法は、1種または複数種の抗原をコードする第1のヌクレオシド修飾核酸分子及び1種または複数種のアジュバントをコードする第2のヌクレオシド修飾核酸分子を含む組成物を投与することを含む。一実施形態において、本方法は、1種または複数種の抗原をコードする1種または複数種のヌクレオシド修飾核酸分子を含む第1の組成物を投与すること、及び1種または複数種のアジュバントをコードする1種または複数種のヌクレオシド修飾核酸分子を含む第2の組成物を投与することを含む。
ある特定の実施形態において、本方法は、複数の抗原、アジュバント、またはそれらの組み合わせをコードする複数のヌクレオシド修飾核酸分子を対象に投与することを含む。
ある特定の実施形態において、本発明の方法は、投与後の少なくとも数日間、本明細書に記載の抗原またはアジュバントの持続的発現を可能にする。但し、ある特定の実施形態において、本方法は、ある特定の実施形態において上記核酸が当該対象のゲノムに組み込まれないことから、一過性の発現も提供する。
ある特定の実施形態において、本方法は、本明細書に記載の抗原またはアジュバントの安定した発現を提供するヌクレオシド修飾RNAを投与することを含む。いくつかの実施形態において、ヌクレオシド修飾RNAの投与によって、自然免疫応答は殆どまたは全く生じない一方、効果的な適応免疫応答が誘導される。
治療方法における本発明の組成物の投与は、本技術分野で公知の方法を用いた、多数の異なる方法で実施することができる。一実施形態において、本発明の方法は、例えば、経腸または非経口投与を含む、上記対象の全身投与を含む。ある特定の実施形態において、本方法は本組成物の皮内送達を含む。別の実施形態において、本方法は本組成物の静脈内送達を含む。いくつかの実施形態において、本方法は本組成物の筋内送達を含む。一実施形態において、本方法は本組成物の皮下送達を含む。一実施形態において、本方法は本組成物の吸入を含む。一実施形態において、本方法は本組成物の鼻腔内送達を含む。
本発明の組成物は、単独で、または別の薬剤との併用で対象に投与してもよいことが理解されよう。
したがって、本発明の治療方法及び予防方法は、本発明の方法を実施するための、本明細書に記載の、抗原、アジュバント、またはそれらの組み合わせをコードする医薬組成物の使用を包含する。本発明の実施に有用な医薬組成物を、ng/kg/日から及び100mg/kg/日の用量を送達するように投与してもよい。一実施形態において、本発明は、哺乳動物において、10nMから及び10μMの本発明の化合物の濃度を生じる用量の投与を想定する。
一般的には、本発明の方法において哺乳動物、好ましくはヒトに投与してもよい投薬量は、当該哺乳動物の体重1キログラム当たり0.01μg~約50mgの範囲であるが、投与される正確な投薬量は、哺乳動物の種類及び治療を受ける疾患状態の種類、当該哺乳動物の年齢及び投与経路を含む、但しこれらに限定されない任意の数の因子に応じて変化するであろう。上記化合物の上記投与量は、当該哺乳動物の体重1キログラム当たり約0.1μg~約10mgで変化することが好ましい。上記投与量は、当該哺乳動物の体重1キログラム当たり約1μg~約1mgで変化することがより好ましい。
本組成物は、哺乳動物に毎日数回といった高頻度で投与されてもよく、または1日に1回、週に1回、2週間に1回、1ヶ月に1回などのより低い頻度で、または、例えば数ヶ月に1回もしくは1年に1回以下の場合すらある更に低いい頻度で投与されてもよい。投与の頻度は、当業者には容易に明らかであり、治療を受ける疾患の種類及び重篤度、当該哺乳動物の種類及び年齢などの、但しこれらに限定されない任意の数の因子に依存することとなる。
ある特定の実施形態において、本発明の免疫原性組成物またはワクチンの投与は、単回投与によって実施されてもよく、または複数回投与によって追加免疫されてもよい。
一実施形態において、本発明は、本明細書に記載の、1種もしくは複数種の抗原またはアジュバントをコードする1種または複数種の組成物を投与することを含む方法を含む。ある特定の実施形態において、本方法は相加効果を有し、上記組み合わせの投与の全体としての効果は、各抗原またはアジュバントの投与の効果の合計にほぼ等しい。他の実施形態において、本方法は相乗効果を有し、上記組み合わせの投与の全体としての効果は、各抗原またはアジュバントの投与の効果の合計よりも大きい。
以下の実験実施例を参照することによって、本発明を更に詳細に説明する。これらの実施例は例証のみを目的として提示されており、別段の明示がない限り限定することを意図するものではない。したがって、本発明は、以下の実施例に限定されるものとは何ら解釈されるべきものではなく、本明細書で提示される教示の結果として明らかになる任意且つ全ての変化形を包含すると解釈されるべきものである。
当業者ならば、更なる説明がなくとも、上述の説明及び以下の例証のための実施例を用いて、本発明を作製及び利用し、特許請求の範囲に記載の方法を実施することができると考えられる。したがって、以下の実施例は、本発明の好ましい実施形態を具体的に示すのであって、如何様にも、本開示の残余の部分を限定するものとして解釈されるべきものではない。
実施例1:HIV Envタンパク質をコードする修飾RNAによる適応免疫応答の誘導
マウスモデルにおいて、HIV Envタンパク質をコードする修飾RNAの適応免疫を誘導する能力を検討するための実験を実施した。第1の一連の実験において、動物に、3μh、10μg(E10)または30μg(E30)の、脂質ナノ粒子中に封入した、HIV-1 CD4非依存性R3AエンベロープをコードするmRNA(ENV-LNP)を2回皮内注射した。実施例1~4の脂質ナノ粒子は、mRNA、カチオン性脂質(化合物I-6)、DSPC、コレステロール及びペグ化脂質(化合物14-6)を含み、実施例15に従って調製した。実施例5の脂質ナノ粒子は、mRNA、記載したカチオン性脂質、DSPC、コレステロール及びペグ化脂質(化合物14-6)を含み、これも実施例15に従って調製した。得られたENV-LNPの平均径は76nmであり、多分散指数は0.007であった。Quant-IT Ribogreen(Thermo-Fisher)を用いて、LNPを破壊し全mRNAを露出させるための2%v/vのTriton TX100界面活性剤を含有する、相当する試料中の全mRNAに対するLNP試料中の遊離mRNAをアッセイして、封入効率を95%と決定した。対照マウスには、30μgの、脂質ナノ粒子中に複合体化したホタルルシフェラーゼをコードするmRNA(LUC)を注射した。これらの対照LNPは平均直径が74nmであり、多分散指数は0.007であり、封入効率は92%であった。mRNA-LNPの注射の間には4週間の間隔をおき、2回目の注射の14日後に動物をと殺した(図1)。上記免疫化した動物由来の細胞及び血清を分析した。
多色フローサイトメトリーを用いて、完全なエンベロープ配列の11アミノ酸がオーバーラップする15量体のペプチドプールで刺激した後の細胞における細胞内サイトカイン産生を測定した。
ENV-LNPによる免疫化によって、抗原特異的CD4+ T細胞によるIFN-γ、TNF-α、及びIL-2の産生(図2及び図3)が誘導されることが認められた。ワクチン接種した動物における一、二、及び三機能性抗原特異的CD4+ T細胞の分布を評価するために更に分析を行った。Envで処置した動物は、より高い割合(%)の、IFN-γ、TNF-α、IL-2の3種全て、IFN-γ及びTNF-αの両方、ならびにTNF-α及びIL-2の両方を産生するCD4 +細胞を産生することが認められた(図4)。まとめると、このデータは、ENV-LNPによる免疫化によって強固且つ高品質のCD4+ T細胞応答が誘発されることを実証している。
ENV-LNPによる免疫化によって、高親和性抗体応答の生起に重要なT嚢胞ヘルパー(Tfh)細胞の数が有意に増加することも認められた。CD4、CXCR5及びPD-1マーカーを用いてTfh細胞を測定した(図5)。CXCR5+ICOS+CD4+ T細胞及びPD-1+ICOS+CD4+ T細胞について、同一の比率のTfh細胞が得られる。
抗原特異的CD8+ T細胞のサイトカイン産生も調べた。ENV-LNPによる免疫化によって、抗原特異的CD8+ T細胞によるIFN-γ、TNF-α、IL-2及びCD107aの産生(図6及び図7)が誘導されることが認められた。ワクチン接種した動物における一、二、及び三機能性抗原特異的CD8+ T細胞の分布を評価するために更に分析を行った。E10で処置した動物は、より高い割合の、IFN-γ、TNF-α、及びCD107aの3種全て、IFN-γ及びCD107aの両方、TNF-α及びCD107aの両方、ならびにCD107a単独を産生するCD8 +細胞を産生することが認められた(図8)。更に、E30で処置した動物は、より高い割合の、IFN-γ、TNF-α、及びCD107aの3種全てを産生するCD8 +細胞を産生することが認められた。まとめると、このデータは、ENV-LNPによる免疫化によって強固なCD8+ T細胞応答が誘発されることを実証している。
ELISAアッセイを行って、3μg、10μg、または30μgの、脂質ナノ粒子中に封入した、HIV-1 CD4非依存性R3AエンベロープをコードするmRNAで免疫化したマウスにおける、HIVエンベロープ免疫原に対する抗原特異的B細胞応答を検討した。具体的には、HIV-lgl20特異的IgG力価を、mRNA-LNPの2回の注射後に測定した。力価は、gp120特異的ELISAアッセイによって測定した。ENV-LNPで処置したマウスは、対照と比較した、gp120特異的IgGのレベルの増加によって測定される、抗原特異的B細胞応答を示すことが認められた(図9A)。更に、2回の免疫化の2週間後に、同様の量のEnv特異的IgG1及びIgG2aが産生されることが認められた。
HIVエンベロープiR3Aをコードする修飾mRNA-LNP複合体による2回の免疫化後に産生された抗ENV抗体の機能活性を調べるための実験を行った。MNと呼ばれる中和しやすいHIVのティア1株及びX2278_C2_B6と呼ばれる中和し難いHIVのティア2株に対する中和力価を決定し、モロニー白血病ウイルス(MLV)に対する対照中和力価を差し引いた。皮内注射したiR3A修飾mRNA-LNPによる免疫化により、高レベルのティア1の中和(図10)及びティア2の中和(図11)が誘導されることが認められた。
マウスに、30μgの、脂質ナノ粒子中に封入した、HIV-1 CD4非依存性R3AエンベロープをコードするmRNA(ENV)を1回皮内注射する別の一連の実験を行った。対照マウスには、30μgの、脂質ナノ粒子中に複合体化したホタルルシフェラーゼをコードするmRNA(LUC)を注射した。mRNA投与の14日後に動物をと殺した(図12)。
30μgのENV-LNPの単回皮内投与によって処置した動物において、抗原特異的CD4+細胞のサイトカイン産生を測定した。ENV-LNPの単回注射による免疫化によって、抗原特異的CD4+ T細胞によるIFN-γ、TNF-α、IL-2及びCD107aの産生(図13及び図14)が誘導されることが認められた。ワクチン接種した動物における一、二、及び三機能性抗原特異的CD4+ T細胞の分布を評価するために更に分析を行った。ENV-LNPで処置した動物は、より高い割合の、TNF-α及びIL-2の両方を産生するCD4 +細胞を産生することが認められた(図15)。まとめると、このデータは、ENV-LNPの単回投与による免疫化によって強固なCD4+ T細胞応答が誘発されることを実証している。
ENV-LNPによる免疫化によってTfh細胞の数が有意に増加することも認められた。CD4、CXCR5及びPD-1マーカーを用いて全Tfh細胞を決定した(図16)。
次いで、抗原特異的Tfh細胞によるサイトカイン産生を調べた。ENV-LNPの単回注射による免疫化によって、抗原特異的Tfh細胞によるIFN-γ、TNF-α、及びIL-2の産生(図17)が誘導されることが認められた。
ワクチン接種した動物における一、二、及び三機能性抗原特異的Tfh細胞の分布を評価するために更に分析を行った。ENV-LNPの単回投与で処置した動物は、より高い割合の、IFN-γ、TNF-α、IL2の3種全てを産生するTfh細胞を産生することが認められた(図18)。まとめると、このデータは、ENV-LNPの単回投与による免疫化によって強固なTfh細胞免疫応答が誘発されることを実証している。
ELISAアッセイを行って、ENV-LNPの単回投与によって免疫化したマウスにおける抗原特異的B細胞応答を検討した。具体的には、HIV-lgl20特異的IgG力価を、ENV-LNPの単回投与後に測定した。力価は、gp120特異的ELISAアッセイによって測定した。上記ENV-LNPの単回投与によって、対照動物及びナイーブ動物と比較したgp120特異的IgGのレベルの増加によって測定される、強固な抗原特異的B細胞応答が誘導されることが認められた(図19)。
単独で送達されたヌクレオシド修飾RNAに対してLNP複合体化ヌクレオシド修飾RNAによって誘導された適応免疫応答を比較するための実験を実施した。マウスを、1ヶ月間隔をおいて皮下経路により、10μgの、非修飾mRNA、1-メチル-プソイドウリジン修飾mRNA、または1-メチル-プソイドウリジン修飾且つLNP複合体化mRNA(全てiR3A抗原をコードする)によって2回免疫化した。
脾臓細胞を、エンベロープがオーバーラップするペプチドでの6時間の刺激によって分析し、CD3+、CD8+ T細胞に対するCD107Aもしくは細胞内IFN-γ、TNF-α、及びIL-2の発現(図20)、またはCD3+、CD4+ T細胞に対する細胞内IFN-γ、TNF-α、及びIL-2の発現(図21)について分析した。CD8+及びCD4+ T細胞におけるヌクレオシド修飾RNA-LNP応答は、未複合体化修飾mRNAまたは非修飾mRNAすなわち対照(ルシフェラーゼ修飾mRNA)によって処置したマウスよりも有意に大きく(p<0.01)(図20及び図21)、これはLNP複合体化の優位性を実証している。
未複合体化または複合体化ヌクレオシド修飾RNAでの免疫化によって誘導されたエンベロープ特異的抗体応答を調べるための実験も実施した。マウスを、1ヶ月間隔をおいて皮内経路により、10μgの、HIVエンベロープiR3Aをコードする未複合体化1-メチル-プソイドウリジン修飾mRNA(裸のiR3A)、ルシフェラーゼをコードする1-メチル-プソイドウリジン-LNP複合体化mRNA(luc-LNP)、または1-メチル-プソイドウリジン-LNP複合体化したiR3AをコードするmRNA(iR3A-LNP)によって2回免疫化した。血清をELISAによりエンベロープ(gp120)特異的応答について分析した。血清を1:1000に希釈して分析した。gp120に特異的なモノクローナル抗体を用いて血清中の濃度を決定した。iR3A-LNPによる免疫化によって、gp120特異的抗体応答が増加することが認められた。
実施例2:インフルエンザ抗原をコードする修飾RNAによる適応免疫応答の誘導
ここで示す実験は、インフルエンザ抗原(すなわち、ヘマグルチニン(HA))をコードするヌクレオシド修飾RNAが、対象においてインフルエンザ特異的適応免疫応答を誘導することを実証している。これらの試験において、PR8及びA/Cal/7/2009インフルエンザ株由来のHAを用いた。PR8及びA/Cal/7/2009 HAに関するアミノ酸配列、ヌクレオチド配列、及びコドン最適化配列は下に記載する。
実験はm1Ψ修飾mRNAを用いて行った。初期の実験は、PR8 HAをコードする修飾mRNA-LNP(30μg)の単回投与の10日後のCD4+ T細胞におけるサイトカイン産生を調べるために実施した。30μgの、PR8 HAをコードする修飾mRNA-LNPの単回皮内投与によって、ルシフェラーゼをコードするmRNA及びスプリットウイルスと比較して、IFN-γ、TNF-α、及びIL-2の産生の増加が誘導されることが認められた(図23)。スプリットウイルスは、標準的な筋内インフルエンザワクチンに使用されている。このウイルスは、初期にはニワトリ胚尿膜液中で増殖される。該液体を回収し、清澄化し、濃縮し、精製して殆ど全ての卵タンパク質を除去する。次いでこのウイルスを不活性化し、構成成分へと分解する化学物質で該ウイルスを破壊して、スプリットウイルスを生成させる。
更に、30μgの、PR8 HAをコードする修飾mRNA-LNPの単回皮内投与後の多機能性CD4+ T細胞応答を観察し、該観察において、PR8 HAをコードする修飾mRNA-LNPは、対照のルシフェラーゼをコードするRNA及び1000HAUの不活性化PR8ウイルスの筋内注射と比較して、有意により大きな割合(%)の細胞において、測定した3種全てのサイトカインの発現を誘導した(図24)。
PR8 HAをコードする修飾mRNA-LNP(30μg)の単回皮内投与の10日後のCD8+ T細胞におけるサイトカイン産生を調べるための実験を実施した。30μgの、PR8 HAをコードする修飾mRNA-LNPの単回投与によって、ルシフェラーゼをコードするmRNA及びスプリットウイルスと比較して、IFN-γ及びTNF-αの産生の増加が誘導されることが認められた(図25)。
10μgまたは30μgのいずれかの、PR8 HAをコードする修飾mRNA-LNPの皮内注射の14日後または28日後に誘導された、HI力価によって測定される中和レベルを検出するための更なる実験を実施した。中和力価は標準的なヘマグルチニン阻害アッセイによって測定し、該アッセイでは、七面鳥赤血球をPR8ヘマグルチニンで被覆した。2倍で増加させた希釈率での血清をRBCに添加し、赤血球凝集が失われる時点での力価を測定した。10μg及び30μgの、PR8 HAをコードする修飾mRNA-LNPの投与の両方によって、ルシフェラーゼをコードするmRNAと比較して力価が上昇することが認められた(図26)。更に、PR8インフルエンザによる急性感染によって誘導される中和のレベルは、修飾mRNA-LNPによって誘導されるレベルよりも低かった(Wolf et al.,2011,J Clin Invest,121:3954-3964)。
PR8 HAをコードする修飾mRNA-LNPの単回投与によって、IgD、B220、CD138、CD19、IgM、CD3及びまたはCD14であることによって測定される胚中心B細胞の産生が誘導されることが更に認められた(図27)。また、PR8 HAをコードする修飾mRNA-LNPの単回皮内投与によって、CD11cT-BET細胞の数によって測定される、脾臓における全メモリーB細胞の増加が誘導される(図28)。
B細胞応答及びメモリーを駆動する上で重要な、T嚢胞ヘルパー(Tfh)細胞に対するHAをコードする修飾mRNAの投与の効果を調べるための更なる検討を実施した。PR8 HAをコードする修飾mRNA-LNPの単回投与によって、脾臓中の全Tfh細胞の増加が誘導されることが認められた(図29)。更に、30μgの、PR8 HAをコードする修飾mRNA-LNPの投与によって、脾臓細胞をオーバーラップするHAペプチドによって刺激し、Tfh細胞がBcl6+として定義された場合に、ルシフェラーゼをコードするmRNA及び生ウイルス対照による処置と比較して、CD4+ Tfh細胞におけるIFN-γ及びIL-2の産生が増加した(図30)。
PR8 HAをコードする修飾mRNA-LNPで免疫化したマウスの脾臓から精製したTfh細胞において、IL-4、IL-21、及びIFN-γのサイトカイン発現を測定した(図31)。PRB修飾mRNA-LNPによる免疫化の10日後の脾臓細胞を単離した。T細胞を、CD3による陽性選択またはCD14、CD19、CD16、CD56による陰性選択のいずれかによって選択した。全T細胞を、直接分析する(全てのT細胞)か、またはCXCR5+及びPD-1+細胞、T濾胞ヘルパー細胞の選択によって更に精製するかのいずれかとした。IL-4、IL-21、及びIFN-gのレベルを、対照としてGAPDHを用いたリアルタイムPCRによって測定した。データは普遍的な標準mRNAと比較した倍率の差として表す。更に、PR8 HAをコードする修飾mRNA-LNPの投与によっては、Tfh調節細胞の割合は増加しないことが認められた(図32)。
10μgまたは30μgのいずれかの、PR8 HAをコードする修飾mRNA-LNPで免疫化したマウスに対するインフルエンザ負荷の影響を調べるための実験も実施した。10μgまたは30μgのいずれかの、PR8 HAをコードする修飾mRNA-LNPによって皮内注射で免疫化した上記負荷マウスは、感染後15日の試験期間を通して体重を維持した一方、対照動物は体重の減少(図33)及び顕著な死亡率を示した。
インフルエンザ茎部の応答を調べて、インフルエンザ株全体にわたる普遍的な防御を誘導する可能性を評価するため、及びTfh細胞によって駆動される親和性成熟を測定するための実験を実施した。現在のインフルエンザワクチンは茎部の応答を誘導しない。
10μgまたは30μgのいずれかの、PR8 HAをコードする修飾mRNA-LNPの単回皮内投与で処置した動物の血清のHA結合能を評価するための実験を実施した。H1 HA(H1-頭部/H1-茎部)への結合が、投与後4週間で、投与後2週間と比較して増加することが認められた(図34)。更に、10μgまたは30μgのいずれかの、PR8 HAをコードする修飾mRNA-LNPの投与によって、H5-頭部/H1-茎部ハイブリッドHAに結合する能力によって示される、茎部に対して特異的なIgGが誘導されることが認められた(図35)。また、単回の皮内免疫化後63日まで、HA全体の結合及びHA茎部結合が経時的に増加することも認められた(図36)。
次に、PR8 HAをコードする修飾mRNA-LNPによって誘導される適応免疫応答の持続性を評価した。PR8 HAをコードする修飾mRNA-LNPの単回皮内投与後の抗体応答は、投与後6ヶ月において変化せずに維持されることが認められた(図37)。
m1Ψ修飾RNA-LNPであって、該m1Ψ修飾RNAがA/California/7/2009 HA(以下、「CA09 HA」)をコードする上記m1Ψ修飾RNA-LNPを用いて更なる実験を行った。CA09 HAは2015~2016ワクチンに用いられた異なるインフルエンザHAであり、臨床上重要である。30μgの、CA09 HAをコードするmRNA-LNPの単回皮内投与によって、該単回皮内投与の2週間後に、HA阻害力価によって測定される抗原特異的適応免疫応答が誘導されることが認められた(図38)。
更に、30μgの、CA09 HAをコードするmRNA-LNPの単回投与によって、単回投与の2週間後に測定した、ポリ(C)対照との比較での、CD4+ T細胞におけるIFN-γ、TNF-α、及びIL-2の増加が誘導されることが認められた(図39)。30μgの、CA09 HAをコードするmRNA-LNPの単回投与によって、単回投与の2週間後に測定したTfh細胞の割合が増加することも認められた(図40)。
CA09 HAをコードするmRNA-LNPの筋内送達の有効性を調べるための実験を実施した。対象に、10μg、30μg、もしくは90μgのいずれかの、CA09 HAをコードするmRNA-LNPを筋内注射によって、または3μg、10μg、もしくは30μgのCA09 HAをコードするmRNA-LNPを皮内注射によって投与した。筋内注射によって、皮内注射と比較して同様の免疫応答が生じたが、3倍多いmRNAを要することが認められた(図41)。
本明細書に示したデータは、本インフルエンザ用修飾mRNA-LNPワクチンの明確な優位性を実証している。インフルエンザに対して完全に防御するために、ナイーブな宿主において、単回の免疫化しか必要としないことが示されているのは重要なことである。これは、非複製ワクチンによる単回免疫化が高力価のIgG応答を誘導することができ、且つ該応答の4分の1を超える部分が茎部に向けられることが実証された初めての報告であると理解する。如何なる特定の理論に拘束されることも望むものではないが、上記の強力な抗体応答は、おそらくCD4ヘルパー応答の半分を構成するTfh応答に起因するもの思われる。更に、上記mRNA-LNPワクチンは異なる経路による送達後に有効であり得ることが実証され、このことは該mRNA-LNPワクチンの有用性を大幅に拡大する。
実施例3:修飾mRNAの強力なTfh応答の誘導の機序
LNP中のヌクレオシド修飾mRNAは自然免疫応答を誘導しない。これが強力なTfh応答を生じさせるアジュバント効果の欠如であるかどうかを調べた。これを検討するために、ヌクレオシド修飾が欠如する点のみが異なり、当該ヌクレオシド配列の修飾を含むPR8 HA mRNAを作成した。これによって同様のレベルの翻訳は生じるが、上記非修飾mRNAは自然免疫応答を誘導する。
コドン最適化しFPLC精製した、但し非修飾であるHA mRNAは1型インターフェロン産生を誘導することが認められ、このことは非修飾HA mRNAが自然免疫応答を誘導することを実証している。しかし、上記m1Ψ修飾mRNAは自然免疫応答を誘導しなかった(図42)。更に、HPLC精製したヌクレオシド修飾mRNA-LNPの静脈内注射によって、炎症誘発性サイトカインIL-6、IFN-α、またはTNF-αの産生は誘導されないことが認められ(図43)、このことは自然免疫の活性化の欠如を実証している。
m1Ψ修飾mRNAを非修飾のコドン最適化mRNAと、それらのCD4+ T細胞応答を誘導する能力について比較するための実験を実施した。上記ヌクレオシド修飾したHAをコードするmRNA(自然免疫応答を誘導しない)は、非修飾のHAをコードするmRNA(自然免疫応答を誘導する)と比較して、IFN-γ、TNF-α、及びIL-2の産生の増加によって測定される、より良好なCD4+ T細胞応答を誘導することが認められた(図44)。
30μgの、非修飾のコドン最適化したPR8 HAをコードするmRNAと比較した、30μgの、m1Ψ修飾したHAをコードするmRNAの皮内投与によって生起される適応免疫応答を調べるための実験を実施した。m1Ψ修飾したHAをコードするmRNAは、非修飾のHAをコードするmRNA及び対照と比較して、脾臓におけるTfh細胞のレベルの上昇を生じさせることが認められた(図45)。また、m1Ψ修飾したHAをコードするmRNAの投与によって、非修飾のHAをコードするmRNAと比較して、CD4+ Bcl6+IFN-γ+ T細胞の割合によって測定される、より大きな抗原特異的Tfh細胞応答が生じた(図46)。最後に、m1Ψ修飾したHAをコードするmRNAは、単回投与の10日後にHA阻害力価によって測定される、より大きなHA特異的抗体応答を誘導した(図47)。
これらの実験は、非修飾mRNAに対してm1Ψを含有すること、及びRNAセンサーを活性化する能力(非修飾のみが有する)の点においてのみ異なり、類似の翻訳レベルを有していたHAをコードするmRNAが、適応免疫応答の誘導において差異のある能力を有することを実証している。上記m1Ψ修飾mRNAはより大きな抗原特異的免疫応答を誘導することが認められた。自然免疫の活性化またはアジュバント活性またはIFN-αの誘導の欠如が強力なTfh細胞の誘導を誘導したことが、最も重要なことである。
実施例4:mRNAの送達
上記m1Ψ修飾mRNAの発現を視覚化するための実験を実施した。マウスに、0.1μg、1μg、もしく5μgの、裸のまたはLNP複合体化したm1ΨルシフェラーゼをコードするmRNAを注射し、In Vivo Imaging(IVIS)によって画像化した。全ての条件でmRNAの翻訳が認められた(図48)。LNPの複合体化によって、mRNA翻訳のレベル及び持続時間が増加する(図48)。
実施例5:LNP製剤の比較
封入したmRNAの有効な翻訳によって判定される、種々のLNP製剤の有効性を調べるために実験を実施した。ルシフェラーゼをコードするm-RNAを含むLNPを、実施例15に記載のようにして調製した。試験したLNPは、カチオン性脂質I-5,I-6、II-9,II-10、II-11,II-12,II-32、III-3またはIII-7を含んでいた。他の成分は実施例15に記載したとおりであった。6週齢のBALB/cマウスに、3μgのルシフェラーゼをコードするmRNA-LNPを皮内注射した。ルシフェラーゼの発現をIVISによって測定した。データは、mRNAが様々なLNPを用いて効果的に送達され得ることを示している(図49)。したがって、該データは、少なくとも1種の抗原をコードするヌクレオシド修飾RNAを送達するために、広範囲のLNPを用いることができることの証拠を提供している。
実施例6:化合物I-5の合成
化合物I-5を、以下の方法Bに従って調製した。
すなわち、ヘキサン-1,6-ジオール(10g)の塩化メチレン(40mL)及びテトラヒドロフラン(20mL)の溶液を塩化2-ヘキシルデカノイル(10g)及びトリエチルアミン(10mL)で処理した。この溶液を1時間撹拌し、溶媒を除去した。この反応混合物をヘキサン中に懸濁させ、ろ過し、ろ液を水洗した。溶媒を除去し、残渣を、ヘキサン、続いて塩化メチレンを溶離液として用いてシリカゲル(50g)カラムに流下させ、6-(2’-ヘキシルデカノイルオキシ)ヘキサン-1-オールを油状物(7.4g)として得た。
上記精製した生成物(7.4g)を塩化メチレン(50mL)に溶解し、クロロクロム酸ピリジニウム(5.2g)で2時間処理した。ジエチルエーテル(200mL)を添加し、上清をシリカゲル床に通してろ過した。ろ液から溶媒を除去し、得られた油状物を、酢酸エチル/ヘキサン(0~5%)勾配を用いてシリカゲル(50g)カラムに流下させた。6-(2’-ヘキシルデカノイルオキシ)ドデカナール(5.4g)を油状物として回収した。
上記生成物(4.9g)、酢酸(0.33g)及び2-N,N-ジメチルアミノエチルアミン(0.40g)の塩化メチレン(20mL)溶液をトリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(2.1g)で2時間処理した。この溶液を水酸化ナトリウム水溶液で洗浄した。有機相を無水硫酸マグネシウム上で脱水し、ろ過し、溶媒を除去した。残渣を、メタノール/塩化メチレン(0~8%)勾配を用いてシリカゲル(50g)カラムに流下させ、所望の生成物(1.4g)を無色油状物として得た。
実施例7:化合物I-6の合成
化合物I-6を、以下の方法Bに従って調製した。
すなわち、ノナン-1,9-ジオール(12.6g)の塩化メチレン(80mL)溶液を2-ヘキシルデカン酸(10.0g)、DCC(8.7g)及びDMAP(5.7g)で処理した。この溶液を2時間撹拌した。この反応混合物をろ過し、溶媒を除去した。残渣を加温したヘキサン(250mL)に溶解し、結晶化させた。溶液をろ過し、溶媒を除去した。残渣を塩化メチレンに溶解し、希塩酸で洗浄した。有機画分を無水硫酸マグネシウム上で脱水し、ろ過し、溶媒を除去した。残渣を、0~12%酢酸エチル/ヘキサンを溶離液として用いてシリカゲルカラム(75g)に流下させ、9-(2’-ヘキシルデカノイルオキシ)ノナン-1-オール(9.5g)を油状物として得た。
上記生成物を塩化メチレン(60mL)に溶解し、クロロクロム酸ピリジニウム(6.4g)で2時間処理した。ジエチルエーテル(200mL)を添加し、上清をシリカゲル床に通してろ過した。ろ液から溶媒を除去し、得られた油状物を、酢酸エチル/ヘキサン(0~12%)勾配を用いてシリカゲル(75g)カラムに流下させ、9-(2’-エチルヘキサノイルオキシ)ノナナール(6.1g)を油状物として得た。
上記粗生成物(6.1g)、酢酸(0.34g)及び2-N,N-ジメチルアミノエチルアミン(0.46g)の塩化メチレン(20mL)溶液をトリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(2.9g)で2時間処理した。この溶液を塩化メチレンで希釈し、水酸化ナトリウム水溶液、次いで水で洗浄した。有機相を無水硫酸マグネシウム上で脱水し、ろ過し、溶媒を除去した。残渣を、メタノール/塩化メチレン(0~8%)勾配を用いてシリカゲル(75g)カラムに、続いて塩化メチレン/酢酸/メタノール勾配を用いて第2のカラム(20g)に流下させた。精製した画分を塩化メチレンに溶解し、希水酸化ナトリウム水溶液で洗浄し、無水硫酸マグネシウム上で脱水し、ろ過し、溶媒を除去して、所望の生成物(1.6g)を無色油状物として得た。
実施例8:化合物II-9の合成
Figure 2024084804000060

化合物II-9を以下の方法Dに従って調製した。すなわち、
ステップ1
3-ジメチルアミン-1-プロピルアミン(1当量、1.3mmol、133mg、163uL;MW 102.18、d 0.812)及びケトン9a(1当量、0.885g、1.3mmol)をDCE(8mL)中で混合し、次いでトリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(1.4当量、1.82mmol、386mg;MW 211.94)及びAcOH(1当量、1.3mmol、78mg、74uL、MW 60.05、d 1.06)で処理した。この混合物をAr雰囲気下、室温で2日間撹拌した。この反応混合物をヘキサン-EtOAc(9:1)で希釈し、0.1N NaOH(20mL)の添加によってクエンチした。有機相を分離し、飽和NaHCO3、飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウム上脱水し、デカントし、濃縮して、所望の生成物9bをわずかに黄色の濁った油状物(1.07g、1.398mmol)として得た。
ステップ2
塩化ノナノイル(1.3当量、1.27mmol、225mg)のベンゼン(10mL)溶液を、室温で、ステップ1由来の化合物9b(0.75g、0.98mmol)及びトリエチルアミン(5当量、4.90mmol、0.68mL)及びDMAP(20mg)のベンゼン(10mL)溶液に、シリンジによって10分間かけて添加した。添加後、この混合物を室温で終夜晩撹拌した。メタノール(5.5mL)を添加して過剰な塩化アシルを除去した。3時間後、この混合物をシリカゲルのパッド(1.2cm)を通してろ過した。濃縮して無色油状物(0.70g)を得た。
上記粗生成物(0.70g)をシリカゲル上でのフラッシュドライカラムクロマトグラフィー(0~4%のMeOHのクロロホルム溶液)によって精製した。これにより457mg(0.50mmol、51%)の無色油状物が得られた。1HNMR (400 MHz,CDCl3) δ:4.54-4.36 (非常にbr.,推定0.3H,アミド結合に関する緩慢な異性化に起因),3.977,3.973 (2組のダブレット,5.8 Hz,4H),3.63 (クインテット様,6.8 Hz,0.7H),3.14-3.09 (m,2H),2.33-2.25 (m,8H),2.23,2.22 (2組のシングレット,6H),1.76-1.56 (m,10H),1.49-1.39 (m,4H),1.37-1.11 (62H),0.92-0.86 (m,15H)。
実施例9:化合物II-10の合成
化合物II-10を概括的手順Dに従って調製して、245mgの無色油状物を得た(0.27mmol、2ステップに対して合計収率53%)。HNMR (400 MHz,CDCl3) δ:4.87 (クインテット様,6.3 Hz,2H),4.54-4.36 (非常にブロード,推定0.3H,アミド結合に関する緩慢な異性化に起因),3.63 (クインテット様,6.8 Hz,0.7H),3.14-3.09 (m,2H),2.33-2.25 (m,8H),2.23,2.22 (2組のシングレット,6H),1.76-1.56 (m,8H),1.55-1.39 (m,12H),1.37-1.11 (60H),0.92-0.86 (m,15H)。
実施例10:化合物II-11の合成
化合物II-11を概括的手順Dに従って調製して、239mgの無色油状物を得た(0.26mmol、2ステップに対して合計収率52%)。HNMR (400 MHz,CDCl3) δ:4.87 (クインテット様,6.3 Hz,2H),4.54-4.36 (非常にブロード,推定0.3H,アミド結合に関する緩慢な異性化に起因),3.63 (クインテット様,6.8 Hz,0.7H),3.14-3.09 (m,2H),2.33-2.25 (m,8H),2.23,2.22 (2組のシングレット,6H),1.76-1.56 (m,8H),1.55-1.39 (m,12H),1.37-1.11 (62H),0.92-0.86 (m,15H)。
実施例11:化合物II-12の合成
化合物II-12を概括的手順Dに従って調製して、198mgの無色油状物を得た(0.20mmol、2ステップに対して合計収率46%)。HNMR (400 MHz,CDCl3) δ:4.54-4.36 (非常にブロード,推定0.3H,アミド結合に関する緩慢な異性化に起因),3.974,3.971 (2組のダブレット,5.8 Hz,4H),3.63 (クインテット様,6.8 Hz,0.7H),3.14-3.09 (m,2H),2.33-2.25 (m,8H),2.23,2.22 (2組のシングレット,6H),1.76-1.56 (m,10H),1.49-1.39 (m,4H),1.37-1.11 (76H),0.92-0.86 (m,15H)。
実施例12:化合物III-3の合成
6-(2’-ヘキシルデカノイルオキシ)ヘキサン-1-アール(2.4g)、酢酸(0.33g)及び4-アミノブタン-1-オール(0.23g)の塩化メチレン(20mL)溶液をトリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(1.3g)で2時間処理した。この溶液を炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄した。有機相を無水硫酸マグネシウム上で脱水し、ろ過し、溶媒を除去した。残渣を、メタノール/塩化メチレン(0~8/100~92%)勾配を用いてシリカゲルカラムに流下させ、化合物3を無色油状物(0.4g)として得た。
実施例13:化合物III-7の合成
6-(2’-ヘキシルデカノイルオキシ)ヘキサン-1-アール(2.4g)、酢酸(0.14g)及び5-アミノペンタン-1-オール(0.24g)の塩化メチレン(20mL)溶液をトリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(1.3g)で2時間処理した。この溶液を炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄した。有機相を無水硫酸マグネシウム上で脱水し、ろ過し、溶媒を除去した。残渣を、メタノール/塩化メチレン(0~8/100~92%)勾配を用いてシリカゲルカラムに流下させ、化合物7を無色油状物(0.5g)として得た。
実施例14:代表的なPEG脂質の合成
Figure 2024084804000061

ペグ化脂質14-6(「PEG-DMA」)を上記反応スキームに従って調製し、スキーム中、nは当該ペグ化脂質中のエチレンオキシド繰返し単位の範囲の中心値に近似する。
14-1及び14-2の合成
ミリスチン酸(6g、26mmol)のトルエン(50mL)溶液に、室温で塩化オキサリル(39mmol、1.5当量、5g)を添加した。得られた混合物を70℃で2時間加熱した後、この混合物を濃縮した。残渣をトルエン中にすくい入れ、再度濃縮した。残留した油状物を10℃で、濃アンモニア溶液(20mL)にシリンジによって添加した。この反応混合物をろ過し、水洗した。白色固体を減圧下で乾燥した。所望の生成物を白色固体(3.47g、15mmol、58.7%)として得た。
14-3の合成
20-2(3.47g、15mmol)のTHF(70mL)懸濁液に、水素化リチウムアルミニウム(1.14g、30mmol)を室温で30分の間に少しずつ添加した。次いでこの混合物を終夜、穏やかに(65℃の油浴)加熱還流した。この混合物を5℃に冷却し、硫酸ナトリウム9水和物を添加した。この混合物を2時間撹拌し、セライト層を通してろ過し、15%のMeOHのDCM溶液(200mL)で洗浄した。ろ液及び洗浄液を一つにまとめて濃縮した。残留した固体を減圧下で乾燥した。所望の生成物を白色固体(2.86 13.4mmol、89.5%)として得た。
14-4の合成
ミリスチン酸(3.86g、16.9mmol)のベンゼン(40mL)及びDMF(1滴)の溶液に、塩化オキサリル(25.35mmol、1.5当量、3.22g)を室温で添加した。この混合物を室温で1.5時間撹拌した。60℃で30分間加熱した。この混合物を濃縮した。残渣をトルエン中にすくい入れ、再度濃縮した。残留した油状物(淡黄色)を20mLのベンゼン中に入れ、10℃で、20-3(2.86 13.4mmol)及びトリエチルアミン(3.53mL、1.5当量)のベンゼン(40mL)溶液に、シリンジによって添加した。添加後、得られた混合物を室温で終夜撹拌した。この反応混合物を水で希釈し、20%のHSOでpH6~7に調節した。この混合物をろ過し、水洗した。淡色の固体が得られた。この粗生成物をメタノールから再結晶した。これにより所望の生成物がオフホワイトの固体(5.65g、13mmol、100%)として得られた。
14-5の合成
20-4(5.65g、13mmol)のTHF(60mL)懸濁液に、水素化アルミニウムリチウム(0.99g、26mmol)を室温で30分の間に少しずつ添加した。次にこの混合物を終夜穏やかに加熱還流した。この混合物を0℃に冷却し、硫酸ナトリウム9水和物を添加した。この混合物を2時間撹拌し、次いでセライト及びシリカゲルのパッドを通してろ過し、まずエーテルで洗浄した。ろ液が白濁し沈殿を形成した。ろ過によって白色固体を得た。この固体をMeOHから再結晶し、無色結晶質の固体(2.43g)。
次に、上記セライト及びシリカゲルのパッドを、5%のMeOHのDCM溶液(400mL)、次いで1%のトリエチルアミンを含む10%のMeOHのDCM溶液(300mL)で洗浄した。所望の生成物を含有する画分を一つにまとめて濃縮した。白色固体が得られた。この固体をMeOHから再結晶し、無色結晶質の固体(0.79g)。上記2つの固体(2.43g及び0.79g)を一つにまとめ、減圧下で乾燥した(3.20g、60%)。1HNMR (7.27 ppmにおけるCDCl3) δ:2.58 (t様,7.2 Hz,4H),1.52-1.44 (m,4H),1.33-1.24 (m,44H),0.89 (t様,6.6 Hz,6H),2.1-1.3 (非常にブロード,1H)。
14-6の合成
20-5(7mmol、2.87g)及びトリエチルアミン(30mmol、4.18mL)のDCM(100mL)溶液に、mPEG-NHS(NOFより、5.0mmol、9.97g、PEG MW約2,000、n=約45)のDCM(120mL)溶液を添加した。24時間後に、この反応溶液を水(300mL)で洗浄した。水相をDCM(100mL×2)で2回抽出した。DCM抽出液を一つにまとめ、飽和食塩水(100mL)で洗浄した。有機相を硫酸ナトリウム上で脱水し、ろ過し、途中まで濃縮した。上記濃縮した溶液(約300mL)を約-15Cで冷却した。ろ過によって白色固体(1.030g、未反応の出発アミン)を得た。上記ろ過にEtN(1.6mmol、0.222mL、4当量)及び無水酢酸(1.6mmol、164mg)を添加した。この混合物を室温で3時間撹拌し、次いで固体となるまで濃縮した。残留した固体をシリカゲル上のカラムクロマトグラフィー(0~8%のメタノールのDCM溶液)によって精製した。これによって所望の生成物を白色固体(9.211g)として得た。1HNMR (7.27 ppmにおけるCDCl3) δ:4.19 (s,2H),3.83-3.45 (m,180-200H),3.38 (s,3H),3.28 (t様,7.6 Hz,2H,CHN),3.18 (t様,7.8 Hz,2H,CH2N),1.89 (s,6.6 H,水),1.58-1.48 (m,4H),1.36-1.21 (m,48-50H),0.88 (t様,6.6 Hz,6H)。
実施例15:脂質ナノ粒子組成物の調製
LNPを以下のようにして調製した。カチオン性脂質、DSPC、コレステロール及びPEG-脂質(化合物14-6)を、概略50:10:38.5:1.5のモル比でエタノールに溶解した。脂質例えば1、2、3及び4はカチオン性脂質化合物I-6及び上述の成分を含んでいた。実施例5のLNPは示したカチオン性脂質及び上述の成分を含んでいた。脂質ナノ粒子(LNP)を、概略10:1~30:1の全脂質対mRNA重量比で調製した。簡単に説明すると、上記mRNAを0.05~0.2mg/mLに、10~50mMのクエン酸緩衝液、pH4中で希釈した。シリンジポンプを用いて、上記エタノール性脂質溶液を上記mRNA水溶液と、約1:5~1:3(vol/vol)の比で、15ml/分を超える全流速で混合した。次いでエタノールを除去し、外部緩衝液を透析によってPBSに置き換えた。最後に、当該脂質ナノ粒子を0.2μmの細孔の無菌フィルタを通してろ過した。脂質ナノ粒子の大きさは、Malvern Zetasizer Nano (Malvern、英国)を用いた準弾性光散乱によって測定して、70~90nm径であった。
実施例16:配列
以下の表4は、本明細書に記載の配列の識別名ならびに核酸配列及びアミノ酸配列の説明を示す。
Figure 2024084804000062
本明細書に引用されるそれぞれの且つ全ての特許、特許出願、及び刊行物は、それらの全体が参照により本明細書に援用される。本発明は特定の実施形態を参照して開示されたが、他の当業者によって、本発明の真の趣旨及び範囲から逸脱することなく、本発明の他の実施形態及び変化形が案出され得ることは明らかである。添付の特許請求の範囲は、全てのかかる実施形態及び等価の変化形を包含すると解釈されることが意図される。

Claims (44)

  1. 少なくとも1種の抗原をコードする少なくとも1種のヌクレオシド修飾RNAを含む、対象において適応免疫応答を誘導するための組成物。
  2. 前記少なくとも1種の単離されたヌクレオシド修飾RNAがプソイドウリジンを含む、請求項1に記載の組成物。
  3. 前記少なくとも1種の単離されたヌクレオシド修飾RNAが1-メチル-プソイドウリジンを含む、請求項1に記載の組成物。
  4. 前記少なくとも1種の抗原が、ウイルス抗原、細菌抗原、真菌抗原、寄生生物抗原、腫瘍関連抗原、及び腫瘍特異抗原からなる群より選択される少なくとも1種を含む、請求項1に記載の組成物。
  5. 前記少なくとも1種の抗原がHIV抗原を含む、請求項1に記載の組成物。
  6. 前記HIV抗原がエンベロープ(Env)を含む、請求項5に記載の組成物。
  7. 前記少なくとも1種の抗原がインフルエンザ抗原を含む、請求項1に記載の組成物。
  8. 前記インフルエンザ抗原がヘマグルチニン(HA)を含む、請求項7に記載の組成物。
  9. アジュバントを更に含む、請求項1に記載の組成物。
  10. 前記少なくとも1種のヌクレオシド修飾RNAが少なくとも1種のアジュバントを更にコードする、請求項1に記載の組成物。
  11. 脂質ナノ粒子(LNP)を更に含む、請求項1に記載の組成物。
  12. 前記少なくとも1種のヌクレオシド修飾RNAが前記LNP中に封入されている、請求項11に記載の組成物。
  13. ワクチンである請求項1に記載の組成物。
  14. 前記LNPが、式(I):
    Figure 2024084804000063

    の構造を有する化合物または薬学的に許容されるその塩、互変異生体、プロドラッグもしくは立体異性体であって、式中、
    及びLはそれぞれ独立に、-O(C=O)-、-(C=O)O-または炭素-炭素二重結合であり、
    1a及びR1bは、それぞれの存在毎に独立に、(a)HもしくはC~C12アルキルであるか、または(b)R1aはHもしくはC~C12アルキルであり、且つR1bは該R1bが結合する炭素原子と共に、隣接するR1b及び該R1bが結合する炭素原子と協同して炭素-炭素二重結合を形成するかのいずれかであり、
    2a及びR2bは、それぞれの存在毎に独立に、(a)HもしくはC~C12アルキルであるか、または(b)R2aはHもしくはC~C12アルキルであり、且つR2bは該R2bが結合する炭素原子と共に、隣接するR2b及び該R2bが結合する炭素原子と協同して炭素-炭素二重結合を形成するかのいずれかであり、
    3a及びR3bは、それぞれの存在毎に独立に、(a)HもしくはC~C12アルキルであるか、または(b)R3aはHもしくはC~C12アルキルであり、且つR3bは該R3bが結合する炭素原子と共に、隣接するR3b及び該R3bが結合する炭素原子と協同して炭素-炭素二重結合を形成するかのいずれかであり、
    4a及びR4bは、それぞれの存在毎に独立に、(a)HもしくはC~C12アルキルであるか、または(b)R4aはHもしくはC~C12アルキルであり、且つR4bは該R4bが結合する炭素原子と共に、隣接するR4b及び該R4bが結合する炭素原子と協同して炭素-炭素二重結合を形成するかのいずれかであり、
    及びRはそれぞれ独立にメチルまたはシクロアルキルであり、
    は、それぞれの存在毎に独立に、HまたはC~C12アルキルであり、
    及びRはそれぞれ独立に非置換のC~C12アルキルであるか、またはR及びRが、該R及びRが結合する窒素原子と共に、1つの窒素原子を含む5、6または7員ヘテロ環式リングを形成し、
    a及びdはそれぞれ独立に0~24の整数であり、
    b及びcはそれぞれ独立に1~24の整数であり、
    eは1または2である、
    前記化合物または薬学的に許容されるその塩、互変異生体、プロドラッグもしくは立体異性体を含む、請求項11に記載の組成物。
  15. 前記LNPが、式(II):
    Figure 2024084804000064

    の構造を有する化合物または薬学的に許容されるその塩、互変異生体、プロドラッグもしくは立体異性体であって、式中、
    及びLはそれぞれ独立に、-O(C=O)-、-(C=O)O-、-C(=O)-、-O-、-S(O)-、-S-S-、-C(=O)S-、-SC(=O)-、-NRC(=O)-、-C(=O)NR-、-NRC(=O)NR、-OC(=O)NR-、-NRC(=O)O-、または直接の結合であり、
    はC~Cアルキレン、-(C=O)-、-O(C=O)-、-SC(=O)-、-NRC(=O)-または直接の結合であり、
    は-C(=O)-、-(C=O)O-、-C(=O)S-、-C(=O)NRまたは直接の結合であり、
    はC~Cアルキレンであり、
    はHまたはC~C12アルキルであり、
    1a及びR1bは、それぞれの存在毎に独立に、(a)HもしくはC~C12アルキルであるか、または(b)R1aはHもしくはC~C12アルキルであり、且つR1bは該R1bが結合する炭素原子と共に、隣接するR1b及び該R1bが結合する炭素原子と協同して炭素-炭素二重結合を形成するかのいずれかであり、
    2a及びR2bは、それぞれの存在毎に独立に、(a)HもしくはC~C12アルキルであるか、または(b)R2aはHもしくはC~C12アルキルであり、且つR2bは該R2bが結合する炭素原子と共に、隣接するR2b及び該R2bが結合する炭素原子と協同して炭素-炭素二重結合を形成するかのいずれかであり、
    3a及びR3bは、それぞれの存在毎に独立に、(a)HもしくはC~C12アルキルであるか、または(b)R3aはHもしくはC~C12アルキルであり、且つR3bは該R3bが結合する炭素原子と共に、隣接するR3b及び該R3bが結合する炭素原子と協同して炭素-炭素二重結合を形成するかのいずれかであり、
    4a及びR4bは、それぞれの存在毎に独立に、(a)HもしくはC~C12アルキルであるか、または(b)R4aはHもしくはC~C12アルキルであり、且つR4bは該R4bが結合する炭素原子と共に、隣接するR4b及び該R4bが結合する炭素原子と協同して炭素-炭素二重結合を形成するかのいずれかであり、
    及びRはそれぞれ独立にHまたはメチルであり、
    はC~C20アルキルであり、
    及びRはそれぞれ独立にC~C12アルキルであるか、またはR及びRが、該R及びRが結合する窒素原子と共に、5、6または7員ヘテロ環式リングを形成し、
    a、b、c及びdはそれぞれ独立に1~24の整数であり、
    xは0、1または2である、
    前記化合物または薬学的に許容されるその塩、互変異生体、プロドラッグもしくは立体異性体を含む、請求項11に記載の組成物。
  16. 前記LNPが、式(III):
    Figure 2024084804000065

    の構造を有する化合物または薬学的に許容されるその塩、互変異生体、プロドラッグもしくは立体異性体であって、式中、
    またはLの一方が、-O(C=O)-、-(C=O)O-、-C(=O)-、-O-、-S(O)-、-S-S-、-C(=O)S-、SC(=O)-、-NRC(=O)-、-C(=O)NR-、NRC(=O)NR-、-OC(=O)NR-または-NRC(=O)O-であり、且つLまたはLの他方が-O(C=O)-、-(C=O)O-、-C(=O)-、-O-、-S(O)-、-S-S-、-C(=O)S-、SC(=O)-、-NRC(=O)-、-C(=O)NR-、NRC(=O)NR-、-OC(=O)NR-もしくは-NRC(=O)O-または直接の結合であり、
    及びGはそれぞれ独立に、非置換のC~C12アルキレンまたはC~C12アルケニレンであり、
    はC~C24アルキレン、C~C24アルケニレン、C~Cシクロアルキレン、C~Cシクロアルケニレンであり、
    はHまたはC~C12アルキルであり、
    及びRはそれぞれ独立に、C~C24アルキルまたはC~C24アルケニルであり、
    はH、OR、CN、-C(=O)OR、-OC(=O)Rまたは-NRC(=O)Rであり、
    はC~C12アルキルであり、
    はHまたはC~Cアルキルであり、
    xは0、1または2である、
    前記化合物または薬学的に許容されるその塩、互変異生体、プロドラッグもしくは立体異性体を含む、請求項11に記載の組成物。
  17. 前記LNPが以下の構造のうちの1種を有する化合物を含む、請求項11に記載の組成物:
    Figure 2024084804000066

    Figure 2024084804000067
  18. 前記LNPが、以下の構造(IV):
    Figure 2024084804000068

    を有するペグ化脂質または薬学的に許容されるその塩、互変異生体もしくは立体異性体であって、式中、
    10及びR11はそれぞれ独立に、任意選択で1もしくは複数のエステル結合が間に入った、10~30の炭素原子を含有する、直鎖状または分枝状の、飽和または不飽和のアルキル鎖であり、
    zは30~60の範囲の平均値を有する、
    前記ペグ化脂質または薬学的に許容されるその塩、互変異生体もしくは立体異性体を含む、請求項11に記載の組成物。
  19. 前記ペグ化脂質が以下の構造(IVa):
    Figure 2024084804000069

    を有し、
    式中、nは前記ペグ化脂質の平均分子量が約2500g/molとなるように選択される整数である、請求項18に記載の組成物。
  20. 対象における適応免疫応答の誘導方法であって、少なくとも1種の抗原をコードする少なくとも1種のヌクレオシド修飾RNAを含む有効量の組成物を前記対象に投与することを含む、前記方法。
  21. 前記少なくとも1種の単離されたヌクレオシド修飾RNAがプソイドウリジンを含む、請求項20に記載の方法。
  22. 前記少なくとも1種の単離されたヌクレオシド修飾RNAが1-メチル-プソイドウリジンを含む、請求項20に記載の方法。
  23. 前記少なくとも1種の抗原が、ウイルス抗原、細菌抗原、真菌抗原、寄生生物抗原、腫瘍関連抗原、及び腫瘍特異抗原からなる群より選択される少なくとも1種を含む、請求項20に記載の方法。
  24. 前記少なくとも1種の抗原がHIV抗原を含む、請求項20に記載の方法。
  25. 前記HIV抗原がエンベロープ(Env)を含む、請求項24に記載の方法。
  26. 前記少なくとも1種の抗原がインフルエンザ抗原を含む、請求項20に記載の方法。
  27. 前記インフルエンザ抗原がヘマグルチニン(HA)を含む、請求項26に記載の方法。
  28. 有効量のアジュバントを前記対象に投与することを更に含む、請求項20に記載の方法。
  29. 前記少なくとも1種のヌクレオシド修飾RNAが少なくとも1種のアジュバントを更にコードする、請求項20に記載の方法。
  30. 前記組成物が脂質ナノ粒子(LNP)を更に含む、請求項20に記載の方法。
  31. 前記少なくとも1種のヌクレオシド修飾RNAが前記LNP中に封入されている、請求項30に記載の方法。
  32. 前記組成物がワクチンである、請求項20に記載の方法。
  33. 前記LNPが、式(I):
    Figure 2024084804000070

    の構造を有する化合物または薬学的に許容されるその塩、互変異生体、プロドラッグもしくは立体異性体であって、式中、
    及びLはそれぞれ独立に、-O(C=O)-、-(C=O)O-または炭素-炭素二重結合であり、
    1a及びR1bは、それぞれの存在毎に独立に、(a)HもしくはC~C12アルキルであるか、または(b)R1aはHもしくはC~C12アルキルであり、且つR1bは該R1bが結合する炭素原子と共に、隣接するR1b及び該R1bが結合する炭素原子と協同して炭素-炭素二重結合を形成するかのいずれかであり、
    2a及びR2bは、それぞれの存在毎に独立に、(a)HもしくはC~C12アルキルであるか、または(b)R2aはHもしくはC~C12アルキルであり、且つR2bは該R2bが結合する炭素原子と共に、隣接するR2b及び該R2bが結合する炭素原子と協同して炭素-炭素二重結合を形成するかのいずれかであり、
    3a及びR3bは、それぞれの存在毎に独立に、(a)HもしくはC~C12アルキルであるか、または(b)R3aはHもしくはC~C12アルキルであり、且つR3bは該R3bが結合する炭素原子と共に、隣接するR3b及び該R3bが結合する炭素原子と協同して炭素-炭素二重結合を形成するかのいずれかであり、
    4a及びR4bは、それぞれの存在毎に独立に、(a)HもしくはC~C12アルキルであるか、または(b)R4aはHもしくはC~C12アルキルであり、且つR4bは該R4bが結合する炭素原子と共に、隣接するR4b及び該R4bが結合する炭素原子と協同して炭素-炭素二重結合を形成するかのいずれかであり、
    及びRはそれぞれ独立にメチルまたはシクロアルキルであり、
    は、それぞれの存在毎に独立に、HまたはC~C12アルキルであり、
    及びRはそれぞれ独立に非置換のC~C12アルキルであるか、またはR及びRが、該R及びRが結合する窒素原子と共に、1つの窒素原子を含む5、6または7員ヘテロ環式リングを形成し、
    a及びdはそれぞれ独立に0~24の整数であり、
    b及びcはそれぞれ独立に1~24の整数であり、
    eは1または2である、
    前記化合物または薬学的に許容されるその塩、互変異生体、プロドラッグもしくは立体異性体を含む、請求項30に記載の方法。
  34. 前記LNPが、式(II):
    Figure 2024084804000071

    の構造を有する化合物または薬学的に許容されるその塩、互変異生体、プロドラッグもしくは立体異性体であって、式中、
    及びLはそれぞれ独立に、-O(C=O)-、-(C=O)O-、-C(=O)-、-O-、-S(O)-、-S-S-、-C(=O)S-、-SC(=O)-、-NRC(=O)-、-C(=O)NR-、-NRC(=O)NR、-OC(=O)NR-、-NRC(=O)O-、または直接の結合であり、
    はC~Cアルキレン、-(C=O)-、-O(C=O)-、-SC(=O)-、-NRC(=O)-または直接の結合であり、
    は-C(=O)-、-(C=O)O-、-C(=O)S-、-C(=O)NRまたは直接の結合であり、
    はC~Cアルキレンであり、
    はHまたはC~C12アルキルであり、
    1a及びR1bは、それぞれの存在毎に独立に、(a)HもしくはC~C12アルキルであるか、または(b)R1aはHもしくはC~C12アルキルであり、且つR1bは該R1bが結合する炭素原子と共に、隣接するR1b及び該R1bが結合する炭素原子と協同して炭素-炭素二重結合を形成するかのいずれかであり、
    2a及びR2bは、それぞれの存在毎に独立に、(a)HもしくはC~C12アルキルであるか、または(b)R2aはHもしくはC~C12アルキルであり、且つR2bは該R2bが結合する炭素原子と共に、隣接するR2b及び該R2bが結合する炭素原子と協同して炭素-炭素二重結合を形成するかのいずれかであり、
    3a及びR3bは、それぞれの存在毎に独立に、(a)HもしくはC~C12アルキルであるか、または(b)R3aはHもしくはC~C12アルキルであり、且つR3bは該R3bが結合する炭素原子と共に、隣接するR3b及び該R3bが結合する炭素原子と協同して炭素-炭素二重結合を形成するかのいずれかであり、
    4a及びR4bは、それぞれの存在毎に独立に、(a)HもしくはC~C12アルキルであるか、または(b)R4aはHもしくはC~C12アルキルであり、且つR4bは該R4bが結合する炭素原子と共に、隣接するR4b及び該R4bが結合する炭素原子と協同して炭素-炭素二重結合を形成するかのいずれかであり、
    及びRはそれぞれ独立にHまたはメチルであり、
    はC~C20アルキルであり、
    及びRはそれぞれ独立にC~C12アルキルであるか、またはR及びRが、該R及びRが結合する窒素原子と共に5、6または7員ヘテロ環式リングを形成し、
    a、b、c及びdはそれぞれ独立に1~24の整数であり、
    xは0、1または2である、
    前記化合物または薬学的に許容されるその塩、互変異生体、プロドラッグもしくは立体異性体を含む、請求項30に記載の方法。
  35. 前記LNPが、式(III):
    Figure 2024084804000072

    の構造を有する化合物または薬学的に許容されるその塩、互変異生体、プロドラッグもしくは立体異性体であって、式中、
    またはLの一方が、-O(C=O)-、-(C=O)O-、-C(=O)-、-O-、-S(O)-、-S-S-、-C(=O)S-、SC(=O)-、-NRC(=O)-、-C(=O)NR-、NRC(=O)NR-、-OC(=O)NR-または-NRC(=O)O-であり、且つLまたはLの他方が-O(C=O)-、-(C=O)O-、-C(=O)-、-O-、-S(O)-、-S-S-、-C(=O)S-、SC(=O)-、-NRC(=O)-、-C(=O)NR-、NRC(=O)NR-、-OC(=O)NR-もしくは-NRC(=O)O-または直接の結合であり、
    及びGはそれぞれ独立に、非置換のC~C12アルキレンまたはC~C12アルケニレンであり、
    はC~C24アルキレン、C~C24アルケニレン、C~Cシクロアルキレン、C~Cシクロアルケニレンであり、
    はHまたはC~C12アルキルであり、
    及びRはそれぞれ独立に、C~C24アルキルまたはC~C24アルケニルであり、
    はH、OR、CN、-C(=O)OR、-OC(=O)Rまたは-NRC(=O)Rであり、
    はC~C12アルキルであり、
    はHまたはC~Cアルキルであり、
    xは0、1または2である、
    前記化合物または薬学的に許容されるその塩、互変異生体、プロドラッグもしくは立体異性体を含む、請求項30に記載の方法。
  36. 前記LNPが以下の構造のうちの1種を有する化合物を含む、請求項30に記載の方法:
    Figure 2024084804000073

    Figure 2024084804000074
  37. 前記LNPが、以下の構造(IV):
    Figure 2024084804000075

    を有するペグ化脂質または薬学的に許容されるその塩、互変異生体もしくは立体異性体であって、式中、
    10及びR11はそれぞれ独立に、任意選択で1もしくは複数のエステル結合が間に入った、10~30の炭素原子を含有する、直鎖状または分枝状の、飽和または不飽和のアルキル鎖であり、
    zは30~60の範囲の平均値を有する、
    前記ペグ化脂質または薬学的に許容されるその塩、互変異生体もしくは立体異性体を含む、請求項30に記載の方法。
  38. 前記ペグ化脂質が以下の構造(IVa):
    Figure 2024084804000076

    を有し、
    式中、nは前記ペグ化脂質の平均分子量が約2500g/molとなるように選択される整数である、請求項37に記載の方法。
  39. 前記組成物が皮内、皮下、及び筋内からなる群より選択される送達経路によって投与される、請求項20に記載の方法。
  40. 前記組成物の単回投与を含む、請求項20に記載の方法。
  41. 前記組成物の複数回投与を含む、請求項20に記載の方法。
  42. ウイルス性感染症、細菌性感染症、真菌性感染症、寄生生物性感染症、及びがんからなる群より選択される少なくとも1種を治療または予防する、請求項20に記載の方法。
  43. HIV感染症を治療または予防する、請求項20に記載の方法。
  44. インフルエンザ感染症を治療または予防する、請求項20に記載の方法。
JP2024060190A 2015-04-27 2024-04-03 適応免疫応答を誘導するためのヌクレオシド修飾rna Pending JP2024084804A (ja)

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
US62/153,143 2015-04-27

Related Parent Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2021096084A Division JP7506030B2 (ja) 2015-04-27 2021-06-08 適応免疫応答を誘導するためのヌクレオシド修飾rna

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2024084804A true JP2024084804A (ja) 2024-06-25

Family

ID=

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP7506030B2 (ja) 適応免疫応答を誘導するためのヌクレオシド修飾rna
US20190274968A1 (en) Nucleoside-modified rna for inducing an adaptive immune response
JP7317715B2 (ja) ジカウイルスに対する免疫応答を誘導するためのヌクレオシド改変rna
US20220378700A1 (en) Lipid Nanoparticles and Formulations Thereof for CAR mRNA Delivery
US20220396556A1 (en) Lipid and Lipid Nanoparticle Formulation for Drug Delivery
US20230248818A1 (en) Nucleoside-modified RNA for Inducing an Immune Response Against SARS-CoV-2
AU2022379626A1 (en) Norovirus vaccine and methods of use
JP2024084804A (ja) 適応免疫応答を誘導するためのヌクレオシド修飾rna
JP7464954B2 (ja) C型肝炎ウイルスに対するヌクレオシド修飾mRNA-脂質ナノ粒子系統ワクチン
WO2023039396A1 (en) Universal influenza vaccine and methods of use
CA3224943A1 (en) P7 containing nucleoside-modified mrna-lipid nanoparticle lineage vaccine for hepatitis c virus
JP2024525578A (ja) C型肝炎ウイルスのためのP7含有ヌクレオシド-改変されたmRNA-脂質ナノ粒子系統ワクチン