JP2024084515A - 超音波診断装置 - Google Patents

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彩 袖山
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Abstract

【課題】検波処理前の受信信号の信号特性に基づいて決定された画像処理パラメータに基づく超音波画像の高画質化を可能とする。
【解決手段】特性推定部20は、被検体に対して超音波を送受波することで得られた受信信号のうち検波処理前の受信信号を解析することで、受信信号のデータ空間における領域毎に、受信信号の信号特性を推定する。画像処理パラメータ決定部22は、特性推定部20が推定した、受信ビームデータのデータ空間における領域毎の信号特性に基づいて、超音波画像の高画質化のための画像処理パラメータを決定する。画像形成部24は、検波処理後の受信信号に基づいて超音波画像を形成しつつ、画像処理パラメータ決定部22が決定した画像処理パラメータに基づいて、超音波画像の高画質化処理を実行する。
【選択図】図1

Description

本明細書は、超音波診断装置の改良を開示する。
従来、被検体に向けて超音波が送受波され、それにより得られた受信信号に基づいて超音波画像を形成し、形成された超音波画像をディスプレイに表示する超音波診断装置が知られている。従来、超音波診断装置で形成される超音波画像を高画質化(例えばノイズ低減や輝度補正など)するための種々の技術が提案されている。
例えば、特許文献1又は2には、超音波プローブが受信した受信信号に基づいて超音波画像を形成し、形成された超音波画像に対して多重解像度解析を行うことで、位置毎及び解像度毎の展開係数(分解係数)を演算し、得られた展開係数に基づいてノイズ量を推定し、推定したノイズ量に応じたゲインを各展開係数にかけることで、当該超音波画像のノイズを低減する超音波診断装置が開示されている。
また、特許文献3又は4には、振動素子アレイが被検体からの反射波を受信しない環境(例えば超音波を空中に向けて送信したとき)において受信回路が出力した受信信号に基づいてノイズ信号を特定し、特定したノイズ信号に基づいて、被検体からの反射波に基づく受信信号に対してノイズ低減処理を実行し、ノイズが低減された受信信号に基づいて超音波画像を形成する超音波診断装置が開示されている。
特開2011-251136号広報 特開2008-278995号広報 特表2020-508168号広報 特表2004-500915号広報
例えば特許文献1又は2のように、従来、超音波画像を解析することで、超音波画像の領域毎に、超音波画像の形成処理又は補正処理に用いるパラメータである画像処理パラメータを決定し、決定した画像処理パラメータに基づいて、超音波画像を領域毎に高画質化する処理が行われている。しかしながら、従来においては、画像処理パラメータを決定するための解析対象となるデータは、専ら、超音波画像などの検波処理後の受信信号であった。
検波処理によって受信信号の情報量が低減する。例えば、検波処理によって、各受信信号の位相情報が失われる。したがって、超音波画像の領域毎の高画質化のための画像処理パラメータを決定するにあたり、解析対象のデータを検波処理後の受信信号とした場合、解析に限界があり、好適な画像処理パラメータを決定できない場合があった。換言すれば、画像処理パラメータを決定するための解析対象のデータを検波処理前の受信信号とすることで、より好適な画像処理パラメータを決定することでき、ひいてはより好適な超音波画像の高画質化ができることが期待される。
なお、例えば特許文献3又は4などのように、従来、検波処理前の受信信号に対する解析結果に基づいて、受信信号自体を処理することは行われている。しかしながら、検波処理前の受信信号の解析結果に基づいて、超音波画像を高画質化するための画像処理パラメータを決定することは、従来行われていない。
本明細書で開示される超音波診断装置の目的は、検波処理前の受信信号の信号特性に基づいて決定された画像処理パラメータに基づく超音波画像の高画質化を可能とすることにある。
本明細書で開示される超音波診断装置は、被検体に対して超音波を送受波することで得られた受信信号のうち検波処理前の受信信号を解析することで、前記受信信号のデータ空間における領域毎に、前記受信信号の信号特性を推定する特性推定部と、推定された前記領域毎の前記信号特性に基づいて、画像処理パラメータを決定する画像処理パラメータ決定部と、前記検波処理された前記受信信号に基づいて、前記画像処理パラメータに基づく高画質化処理が施された超音波画像を形成する画像形成部と、を備えることを特徴とする。
また、前記信号特性は、超音波を送受波する各振動素子が出力する各前記受信信号のコヒーレンス性、前記受信信号に対する周波数解析により演算されるS/N比、又は、前記受信信号に対する周波数解析により演算される、前記被検体の深度方向における前記信号強度の減衰を表す減衰情報であって、前記検波処理前の受信信号に基づいて特定された、被検体内の構造物を含む前記領域の前記信号強度を除外して推定された減衰情報、の少なくとも1つであるとよい。
当該構成によれば、少なくとも検波処理後の受信信号よりも情報量が豊富な検波処理前の受信信号に基づいて、受信信号のデータ空間における領域毎に信号特性が推定され、当該信号特性に基づいて決定された画像処理パラメータによって超音波画像の高画質化処理が実行される。これにより、より好適な高画質化処理(より低ノイズ化を実現する処理、あるいは、より好適な時間利得制御(TGC(Time Gain Control)))を行うことができる。
前記画像処理パラメータは、前記領域に関する前記コヒーレンス性又は前記S/N比の少なくとも一方に基づく、超音波画像の画素の輝度を変換するための輝度変換係数であり、前記輝度変換係数は、前記領域に関する前記コヒーレンス性又は前記S/N比の少なくとも一方が大きい程、当該領域に含まれる画素の輝度が大きくなるような係数であるとよい。
受信信号に含まれるノイズが少ない程、当該受信信号のコヒーレンス性が大きくなる。また、言うまでもなく、受信信号に含まれるノイズが少ない程、受信信号のS/N比が大きくなる。当該構成によれば、検波処理前のコヒーレンス性又はS/N比の少なくとも一方に基づいて決定された輝度変換係数によって超音波画像の輝度を変換することで、信号成分を多く含む領域の輝度がより大きくなり、ノイズ成分を多く含む領域の輝度がより小さくなる。すなわち、超音波画像のノイズが低減される。
前記画像形成部は、前記検波処理された前記受信信号に基づいて形成した超音波画像に対する多重解像度解析を行い、得られた各展開係数の絶対値の大きさに応じたゲインを各展開係数にかけることによって超音波画像のノイズ低減を実行し、前記画像処理パラメータは、前記領域に関する前記コヒーレンス性又は前記S/N比の少なくとも一方が大きい程、大きくなるように補正された前記ゲインであるとよい。
当該構成によれば、多重解像度解析において、ノイズを多く含む展開係数にかけられるゲインが低減されることで、超音波画像のノイズが低減される。
前記画像パラメータは、前記画像パラメータは、前記減衰情報に基づく、時間利得制御のための輝度補正関数であり、前記画像形成部は、前記輝度補正関数に基づいて、前記構造物を含む超音波画像の領域に対して前記時間利得制御を実行するとよい。
当該構成によれば、受信信号のデータ空間に被検体の構造物に対応するデータがあったとしても、当該構造物の影響を受けない輝度補正関数を決定することができ、これにより、より好適なTGCが可能となる。
本明細書で開示される超音波診断装置によれば、検波処理前の受信信号の信号特性に基づいて決定された画像処理パラメータに基づく超音波画像の高画質化を行うことができる。
本実施形態に係る超音波診断装置の構成概略図である。 遅延処理後の受信信号の例を示す概念図である。 図2のAの受信信号群の振幅値分布の周波数解析によって得られるパワースペクトルを表す図である。 図2のBの受信信号群の振幅値分布の周波数解析によって得られるパワースペクトルを表す図である。 図2のCの受信信号群の振幅値分布の周波数解析によって得られるパワースペクトルを表す図である。 受信ビームデータ、及び、受信ビームデータのデータ空間における領域を示す概念図である。 輝度変換処理に用いられるγカーブの例を示す第1の図である。 輝度変換処理に用いられるγカーブの例を示す第2の図である。 多重解像度解析の処理の流れを示す説明図である。 従来における展開係数変換関数の例を示す図である。 本実施形態における展開係数変換関数の例を示す図である。 本実施形態に係る超音波診断装置の処理の流れを示すフローチャートである。
<超音波診断装置の構成概要>
図1は、本実施形態に係る超音波診断装置10の構成概略図である。超音波診断装置10は、病院などの医療機関に設置され、超音波検査時に使用される医用装置である。
超音波診断装置10は、被検体に対して超音波ビームを走査し、それにより得られた受信信号に基づいて超音波画像を生成する装置である。例えば、超音波診断装置10は、受信信号に基づいて、走査面からの反射波の振幅強度が輝度に変換された断層画像(Bモード画像)を形成する。あるいは、超音波診断装置10は、送信波と受信波の周波数の差分(ドプラシフト)に基づいて、被検体内の組織の運動速度を表す超音波画像であるドプラ画像を形成することもできる。本実施形態では、超音波診断装置10がBモード画像を生成する処理について説明する。
超音波プローブ12は、被検体に対して超音波の送受波を行う装置である。超音波プローブ12は、被検体に対して超音波の送受波を行う複数の振動素子からなる振動素子アレイを有する。
送受信部14は、制御部34(後述)からの制御によって、超音波プローブ12(詳しくは振動素子アレイの各振動素子)に対して送信信号を送信する。これにより、各振動素子から被検体に向けて超音波が送信される。また、送受信部14は、被検体からの反射波を受信した各振動素子から受信信号を受信する。送受信部14は、加算器及び各振動素子に対応した複数の遅延器を有しており、当該加算器及び複数の遅延器により、各振動素子からの受信信号の位相を揃えて加算する整相加算処理を行う。これにより、被検体からの反射波の信号強度を示す情報が被検体の深度方向に並ぶ受信ビームデータが形成される。受信ビームデータを形成する処理を受信ビームフォーミングと呼ぶ。
信号処理部16は、送受信部14からの受信ビームデータに対して、バンドパスフィルタを適用するフィルタ処理などを含む各種信号処理を実行する。
送受信部14による受信ビームフォーミング前の受信信号、送受信部14による受信ビームフォーミング後の受信信号(受信ビームデータ)、又は、信号処理部16におけるフィルタ処理後の受信信号の少なくとも1つは、後述の特性推定部20に送られる。
検波処理部18は、信号処理部16による処理後の受信信号に対して検波処理(例えば包絡線検波処理)、対数圧縮処理、などの処理を実行する。検波処理部18による検波処理によって、受信信号は位相情報(周波数情報)を失う。つまり、検波処理後の受信信号は、検波処理前の受信信号に比して、その情報量が少なくなる。
特性推定部20は、被検体に対して超音波を送受波することで得られた受信信号のうち検波処理前の受信信号を解析する。検波処理前の受信信号とは、例えば、送受信部14による受信ビームフォーミング前の受信信号、送受信部14による受信ビームフォーミング後の受信信号(受信ビームデータ)、又は、信号処理部16におけるフィルタ処理を含む各種信号処理後の受信信号である。これにより、特性推定部20は、後に形成される超音波画像の領域に対応する、受信信号(受信ビームデータ)のデータ空間における領域毎に、受信信号の信号特性を推定する。特性推定部20の処理の詳細については後述する。
画像処理パラメータ決定部22は、特性推定部20が推定した、受信ビームデータのデータ空間における領域毎の信号特性に基づいて、画像処理パラメータを決定する。なお、画像処理パラメータとは、超音波画像の高画質化のためのパラメータであって、超音波画像の形成処理又は補正処理に用いられるパラメータを意味する。画像処理パラメータ決定部22の処理の詳細については後述する。
画像形成部24は、検波処理部18において検波処理などされた受信信号に基づいて、超音波画像(Bモード画像)を形成する。特に、画像形成部24は、画像処理パラメータ決定部22が決定した画像処理パラメータに基づいて、超音波画像の高画質化処理を実行する。画像形成部24による超音波画像の高画質化処理については後述する。
表示制御部26は、画像形成部24で形成された超音波画像及びその他の種々の情報をディスプレイ28に表示させる制御を行う。ディスプレイ28は、例えば液晶ディスプレイや有機EL(Electro Luminescence)などから構成される表示器である。
入力インターフェース30は、例えばボタン、トラックボール、タッチパネルなどから構成される。入力インターフェース30は、ユーザの命令を超音波診断装置10に入力するために用いられる。
メモリ32は、(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、eMMC(embedded Multi Media Card)、あるいはROM(Read Only Memory)などを含んで構成される。メモリ32には、超音波診断装置10の各部を動作させるための超音波診断プログラムが記憶される。なお、超音波診断プログラムは、例えば、USB(Universal Serial Bus)メモリ又はCD-ROMなどのコンピュータ読み取り可能な非一時的な記憶媒体に格納することもできる。超音波診断装置10は、そのような記憶媒体から超音波診断プログラムを読み取って実行することができる。
制御部34は、汎用的なプロセッサ(例えばCPU(Central Processing Unit)など)、及び、専用のプロセッサ(例えばGPU(Graphics Processing Unit)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、あるいは、プログラマブル論理デバイスなど)の少なくとも1つを含んで構成される。制御部34としては、1つの処理装置によるものではなく、物理的に離れた位置に存在する複数の処理装置の協働により構成されるものであってもよい。制御部34は、メモリ32に記憶された超音波診断プログラムに従って、超音波診断装置10の各部を制御する。
なお、送受信部14、信号処理部16、検波処理部18、特性推定部20、画像処理パラメータ決定部22、画像形成部24、及び、表示制御部26の各部は、1又は複数のプロセッサ、チップ、電気回路などによって構成されている。これらの各部がハードウェアとソフトウエアとの協働により実現されてもよい。
超音波診断装置10の構成概略は以上の通りである。以下、特性推定部20、画像処理パラメータ決定部22、及び、画像形成部24による画像処理パラメータに基づく高画質化処理の詳細について説明する。
<信号特性の推定>
本実施形態では、特性推定部20は、受信信号の信号特性として、超音波を送受波する各振動素子が出力する個別の受信信号(本明細書では「個別受信信号」と記載する)のコヒーレンス性、受信信号から取得される信号強度に基づいて演算されるS/N比、又は、被検体の深度方向における受信信号の信号強度の減衰を表す減衰情報の少なくとも1つを推定する。以下、それぞれの推定方法について説明する。なお、特性推定部20が推定する受信信号の信号特性は、これらに限られるものではない。
<<コヒーレンス性の推定方法>>
まず、各個別受信信号のコヒーレンス性の推定方法について説明する。コヒーレンス性とは、各個別受信信号の(遅延処理後の)位相の揃い具合を意味する。特性推定部20は、送受信部14による加算処理前の受信信号(すなわち個別受信信号)に基づいて、各個別受信信号のコヒーレンス性を推定する。
図2には、超音波プローブ12が有する振動素子アレイに含まれる複数の振動素子12a、送受信部14に含まれる、各振動素子12aに対応する複数の遅延器16a、及び、複数の遅延器16aによる遅延処理後の個別受信信号Rsのセットの例(セットA、セットB、セットC)が模式的に表されている。
個別受信信号RsのセットAは、ノイズがあまり含まれない場合の個別受信信号Rsのセットである。セットAの個別受信信号Rsは、主にメインローブ成分(各振動素子の超音波送信面から略垂直に送信された超音波の反射波)に基づいて生成されるものであり、この場合、遅延器16aにて遅延処理された各個別受信信号Rsの位相は揃っている。すなわち、この場合、各個別受信信号Rsのコヒーレンス性が大きいと言える。
個別受信信号RsのセットB及びセットCは、ノイズが含まれる場合の個別受信信号Rsのセットである。セットBの個別受信信号Rsは、主にサイドローブ成分(各振動素子の超音波送信面から斜め方向に送信された超音波の反射波)を含む信号であり、この場合、遅延器16aにて遅延処理された各個別受信信号Rsの位相は、振動素子12aの並び方向に順次ずれてしまう。すなわち、この場合、各個別受信信号Rsのコヒーレンス性が小さいと言える。また、セットCの個別受信信号Rsは、被検体内で音速のばらつき(位相収差)が生じた場合の信号であり、この場合、遅延器16aにて遅延処理された各個別受信信号Rsの位相がばらばらに乱れてしまう。すなわち、この場合も、各個別受信信号Rsのコヒーレンス性が小さいと言える。
このように、個別受信信号Rsに含まれるノイズと、各振動素子12aからの個別受信信号Rsのコヒーレンス性との間には関連性が認められる。具体的には、個別受信信号Rsに含まれるノイズが少ない程、各個別受信信号Rsのコヒーレンス性が大きくなる。換言すれば、個別受信信号Rsに含まれるノイズが多い程、各個別受信信号Rsのコヒーレンス性が小さくなる。
特性推定部20は、GCF(Generalized Coherence Factor)、SCF(Sign Coherence Factor)、あるいは、DAX法(Dual Apodization with Cross-correlation)といった手法で、各個別受信信号Rsのコヒーレンス性を推定することができる。GCF、SCF、及びDAX法は既知の技術であるが、以下、それぞれについて簡単に説明する。
GCFにおいては、特性推定部20は、まず、各振動素子12aが出力した遅延処理後の各個別受信信号Rsの、ある時刻における振幅値を取得する。これにより、複数の振動素子12aに対応する複数の瞬時振幅値からなる振幅値分布が構成される。振幅値分布は個々の時刻(サンプリングタイミング)毎に構成され、振幅値分布は動的に変化する。特性推定部20は、振幅値分布に対してフーリエ変換を行う。これにより、図3A~図3Cに示すような、横軸が周波数、縦軸がパワーで表されるパワースペクトルを得ることができる。図3Aは図2の個別受信信号RsのセットAに対応するパワースペクトルであり、図3Bは図2の個別受信信号RsのセットBに対応するパワースペクトルであり、図3Cは図2の個別受信信号RsのセットCに対応するパワースペクトルである。
個別受信信号RsのセットAでは、各個別受信信号Rsの位相が揃っているので、振幅値分布における各振幅値間の差異はかなり小さくなる。したがって、個別受信信号RsのセットAに対応する図3Aのパワースペクトルでは、周波数0近傍の周波数領域であるDC領域(図3Aの斜線部)に突出したピークが現れる。
個別受信信号RsのセットBでは、各個別受信信号Rsの位相が振動素子12aの並び方向に順次ずれているので、個別受信信号RsのセットBに対応する図3Bのパワースペクトルでは、サイドローブ成分の到来方向(角度)に従って定まる周波数にピークが現れる。図3Bのパワースペクトルでは、DC領域(図3Bの斜線部)のパワーはかなり小さくなる。
個別受信信号RsのセットCでは、各個別受信信号Rsの位相がばらばらに乱れているので、振幅値分布における各振幅値もかなりばらつくことになる。したがって、個別受信信号RsのセットCに対応する図3Cのパワースペクトルでは、広範囲の周波数成分にパワーが現れる。少なくとも、図3Cのパワースペクトルでは、DC領域(図3Cの斜線部)のパワーが突出することはない。
以上の通りであるから、振幅値分布に対してフーリエ変換を行うことで得られたパワースペクトルにおけるDC領域のパワーと、各個別受信信号Rsのコヒーレンス性との間に関連性が認められる。したがって、特性推定部20は、当該パワースペクトルにおけるDC領域のパワーに基づいて、コヒーレンス性を得ることができる。具体的には、特性推定部20は、以下の式(1)で各個別受信信号Rsのコヒーレンス性(ここではGCF)を演算する。コヒーレンス性としてのGCFは、個別受信信号Rsに含まれるノイズが少ない程大きくなり、個別受信信号Rsに含まれるノイズが多い程小さくなる。

GCF=(DC領域のパワー)/(パワースペクトル全体のパワー) ・・・(1)
次に、SCFにおいては、特性推定部20は、まず、各振動素子12aが出力した遅延処理後の各個別受信信号Rsの、ある時刻における振幅値を取得して振幅値分布を構成する。そして、個別受信信号Rsを以下の式(2)により二値化する。

bi = -1 if Rs < 0
= +1 if Rs ≧ 0 ・・・(2)

式(2)において、iは、各振動素子12aに対応するチャンネル番号である。すなわち、特性推定部20は、各個別受信信号Rsを、正の値を+1に、負の値を-1に正規化する。
その上で、特性推定部20は、以下の式(3)で表されるSCFを各個別受信信号Rsのコヒーレンス性として演算する。
式(3)において、Nは振動素子12aの個数を表し、pはSCFを調整するパラメータである。
個別受信信号RsのセットAのように、各個別受信信号Rsの位相が揃っている場合は、b(i=0~(N-1))の値は、全て+1か全て-1となるはずである。この場合、式(3)により、SCFは1となる。一方、個別受信信号RsのセットB又はセットCのように、各個別受信信号Rsの位相が揃っていない場合は、b(i=0~(N-1))の値はばらつく(+1又は-1を取る)ことになる。この場合、各個別受信信号Rsの位相が乱れる程、SCFは0に近づくことになる。すなわち、コヒーレンス性としてのSCFは、個別受信信号Rsに含まれるノイズが少ない程大きくなり、個別受信信号Rsに含まれるノイズが多い程小さくなる。
最後に、DAX法とは、各振動素子12aが出力した各個別受信信号Rs信号に対して、2つ以上の異なる受信開口関数に基づいて遅延処理(すなわち重み付け遅延処理)を施し、重み付け遅延処理により得られた各受信信号間の相互相関演算を行うことで得られる情報に基づいてコヒーレンス性を得る方法である。
上述のように、特性推定部20は、受信ビームデータのデータ空間の領域毎に受信信号の信号特性を特定する。図4は、受信ビームデータRb、及び、受信ビームデータRbのデータ空間における領域Reを示す概念図である。領域Reは、予め定義されており、1つの領域Reは、ある程度の広さ(対応する超音波画像では複数画素)を有している。受信信号の信号特性としてコヒーレンス性が推定される場合、特性推定部20は、加算処理前の個別受信信号Rsに基づいて推定したコヒーレンス性を、当該個別受信信号Rsを受信ビームフォーミングすることにより得られる受信ビームデータRbに対応する(深度方向に並ぶ)各領域Reのコヒーレンス性とする。なお、個別受信信号Rsに基づいて推定したコヒーレンス性が、深度方向に並ぶ領域Reのいずれの領域Reのコヒーレンス性であるかは、コヒーレンス性の特定のために取得された振幅値分布の取得タイミングにより特定可能である。
<<S/N比の推定方法>>
次に、受信信号のS/N比の推定方法について説明する。特性推定部20は、送受信部14による受信ビームフォーミング後の受信信号(すなわち受信ビームデータRb)に基づいて、受信信号のS/N比を推定する。
図4を参照し、S/N比の信号成分Sは、受信ビームデータRbの各領域Reの信号強度(振幅)である。S/N比のノイズ成分Nは、各振動素子12aが被検体からの反射波を受信しない環境(例えば超音波を空中に向けて送信したとき)において送受信部14が出力した受信ビームデータRbの各領域Reの信号強度とすることができる。したがって、予め、各領域Reのノイズ成分Nを取得しておき、メモリ32に記憶させておく。
本実施形態では、特性推定部20は、各領域Reの信号成分Sを、単純に受信ビームデータRbの信号強度(振幅)ではなく、まず、以下のようにして演算する。特性推定部20は、各領域Reにおいて、検波処理前の受信ビームデータRbに対して周波数解析処理(例えばFFT(Fast Fourier Transform))を実行する。これにより、領域Re毎に、受信ビームデータRbの周波数スペクトルが取得される。次いで、特性推定部20は、各領域Reの周波数スペクトルの周波数積分値を演算し、演算した周波数積分値を各領域Reの信号成分Sとする。
特性推定部20は、以上のようにして演算した各領域Reについての信号成分Sと、予めメモリ32に記憶されている各領域Reのノイズ成分Nとに基づいて、各領域ReのS/N比を推定する。
<<減衰情報の推定方法>>
最後に、受信信号の減衰情報の特定方法について説明する。特性推定部20は、信号処理部16におけるフィルタ処理後の受信信号(フィルタ処理後の受信ビームデータRb)に基づいて、受信信号の減衰情報を推定する。特性推定部20は、上述のように、各領域Reにおける、検波処理前の受信ビームデータRbに対する周波数解析処理によって周波数スペクトルを得て、得られた周波数スペクトルの周波数積分値を、各領域Reの信号強度とする。そして、特性推定部20は、深度方向に並ぶ複数の領域Reの信号強度に基づいて減衰情報を推定する。例えば、深度方向に並ぶ複数の領域Reの信号強度を、深度及び信号強度の2次元データ空間にプロットし、プロットされた各領域Re(各深度)の信号強度の近似直線の傾きを減衰情報とすることができる。なお、特性推定部20は、受信ビームデータRbのデータ空間の領域Re毎に受信信号の信号特性を特定するところ、深度方向に並ぶ各領域Reの減衰情報は互いに同じであってよい。
超音波の照射範囲内に被検体の構造物(例えば臓器や血管)などがあると、構造物によっては超音波の減衰の仕方がかなり異なる。したがって、受信ビームデータRbのデータ空間において、構造物に対応する領域Reの信号強度に基づいて減衰情報を推定した場合、適切な減衰情報を得ることができない。
そこで、特性推定部20は、受信ビームデータRbのデータ空間において、構造物を含む領域Reの信号強度を除外し、構造物を含まない領域Reの信号強度を用いて、減衰情報を推定する。構造物を含む領域Reは、検波処理前の受信信号に基づいて特定することができる。例えば、特性推定部20は、受信信号の周波数成分の空間変化量に基づいて、各領域Reに構造物が含まれるか否かを判定することができる。
<画像処理パラメータの決定>
本実施形態では、画像処理パラメータ決定部22は、受信信号のコヒーレンス性又はS/N比の少なくとも一方に基づいて、超音波画像の画素の輝度を変換するための輝度変換係数(γ係数)を画像処理パラメータとして決定する。また、画像処理パラメータ決定部22は、受信信号のコヒーレンス性又はS/N比の少なくとも一方に基づいて、超音波画像の多重解像度解析によって得られる各展開係数にかけられるゲインを画像処理パラメータとして決定する。あるいは、画像処理パラメータ決定部22は、受信信号の減衰情報に基づいて、被検体の深度に応じて補正された受信信号の信号強度を画像処理パラメータとして決定する。以下、それぞれの画像処理パラメータの決定方法について説明する。なお、画像処理パラメータ決定部22が決定する画像処理パラメータは、これらに限られるものではない。
<<γ係数の決定方法>>
図5Aは、輝度変換処理に用いられるγカーブの例を示す図である。γ係数は、輝度変換処理前の超音波画像の画素の輝度(これを入力輝度と呼ぶ)と、輝度変換処理後の当該画素の輝度(これを出力輝度と呼ぶ)との関係を表すγカーブを表すパラメータである。
入力輝度が同じである場合、γ係数が大きい程出力輝度が大きくなり、γ係数が小さい程出力輝度が小さくなる。従来では、γ係数は、入力輝度と出力輝度との関係を示す関数に含まれるパラメータであったが、図5A又は図5Bに示すように、本実施形態では、γ係数を、入力輝度及びコヒーレンス性と、出力輝度との関係を示す関数に含まれるパラメータとする。又は、γ係数を、入力輝度及びS/N比と、出力輝度との関係を示す関数に含まれるパラメータとする。あるいは、γ係数を、入力輝度、コヒーレンス性、及びS/N比と、出力輝度との関係を示す関数に含まれるパラメータとしてもよい。γ係数は領域Re毎に決定される。
上述のように、受信信号に含まれるノイズが少ない程、当該受信信号のコヒーレンス性が大きくなる。したがって、本実施形態では、画像処理パラメータ決定部22は、受信ビームデータRbの各領域Reに対応する超音波画像の領域(以下、便宜上領域Reと記載する)のコヒーレンス性が大きい程、当該領域のγ係数を大きくする。これにより、コヒーレンス性が大きい程、当該領域Reに含まれる画素の輝度が大きくなる。又は、画像処理パラメータ22決定部は、領域ReのS/N比が大きい程、当該領域のγ係数を大きくする。同様に、これにより、S/N比が大きい程、当該領域Reに含まれる画素の輝度が大きくなる。γ係数をこのように決定することにより、ノイズが少ない領域Reの輝度がより大きくなる一方で、ノイズが多い領域Reの輝度がより小さくなるから、ノイズ低減の効果が発揮される。
<<多重解像度解析によって得られる展開係数にかけられるゲインの決定方法>>
本実施形態では、多重解像度解析の対象は、画像形成部24により形成された超音波画像である。詳しくは後述するように、多重解像度解析によって、超音波画像のノイズが低減される。多重解像度解析は画像形成部24が行い、画像処理パラメータ決定部22は、受信信号の信号特性に基づいて、多重解像度解析の途中で得られる展開係数にかけられるゲインを決定する。
図6は、多重解像度解析の処理の流れを示す説明図である。まず、画像形成部24は、超音波画像に対してウェーブレット変換を施す。ウェーブレット変換とは、超音波画像の複数のエッジ方向(例えば超音波画像の横方向(x座標方向)及び縦方向(y座標方向))について、ハイパスフィルタ及びローパスフィルタを適用し、超音波画像を各エッジ方向及び各解像度レベルの信号に分解する。例えば、超音波画像の横方向にハイパスフィルタを適用すると、横方向におけるエッジ成分(高解像度成分)が抽出され、超音波画像の横方向にローパスフィルタを適用すると、横方向における低解像度成分が抽出される。このような分解により得られた各信号を展開係数wと呼ぶ。展開係数wは、以下の式(4)のように表わすことができる。

w=wj,o[m,n] ・・・(4)

式(4)において、jは解像度レベルを表し、oはエッジ方向を表す。また、m及びnは超音波画像上の位置(座標)を表す。
画像形成部24は、複数の解像度レベルjのそれぞれについて、展開係数wにおけるノイズ量を推定する。ここで、展開係数wにおけるノイズ量は、位置(m,n)及びエッジ方向oによって異なる特性を持つため、本実施形態では、画像形成部24は、各解像度レベルjのノイズ量として、全位置及び全エッジ方向における複数の展開係数wの代表値を演算する。例えば、複数の展開係数wの標準偏差で解像度レベルjのノイズ量zが表わされる場合、ノイズ量zは、以下の式(5)で表される。
式(5)において、Njは、解像度レベルjにおける全位置及び全エッジ方向における展開係数wの個数である。
また、例えば、複数の展開係数wの絶対値の中央値で解像度レベルjのノイズ量zが表わされる場合、ノイズ量zは、以下の式(6)で表される。
式(6)において、αは定数である。
次いで、画像形成部24は、各展開係数wにゲインをかける。このようなゲイン変換を縮退と呼ぶ。基本的には、ノイズ成分を多く含む展開係数wに対しては小さいゲインをかけ、信号成分を多く含む展開係数wに対しては大きいゲインをかける。超音波画像中の信号成分は、特定の位置及び周波数に局在化するという性質がある。逆に、ノイズ成分は位置及び周波数において分散するという性質がある。このため、信号成分を多く含む展開係数w程、その絶対値が大きくなり、換言すれば、ノイズ成分を多く含む展開係数w程、その絶対値が小さくなるという傾向がある。
図7Aは、従来における展開係数変換関数の例を示す図である。図7Aに示すグラフでは、横軸が縮退前展開係数wを表し、縦軸が縮退後展開係数w’を表す。展開係数wの絶対値とノイズ量zに関しては概ね上述の傾向があるため、図7Aに示すように、従来では、展開係数wの絶対値が大きい程、当該展開係数wには大きいゲインをかけ、展開係数wの絶対値が小さい程、当該展開係数wには小さいゲインをかけていた。さらに、各展開係数wについてのノイズ量zが予測されているため、展開係数wについて推定されたノイズ量zが小さい程、当該展開係数wには大きいゲインをかけ、展開係数wについて推定されたノイズ量zが大きい程、当該展開係数wには小さいゲインをかけていた。例えば、図7Aに示すように、展開係数変換関数のうち、縮退させる(ゲインが小さい)縮退前展開係数wの範囲(主には縮退前展開係数wの絶対値が小さい領域)をノイズ量zに応じて変化させていた。これにより超音波画像のノイズが低減される。
このように、従来においては、展開係数変換関数は、展開係数wとノイズ量zの関数となっていた。従来における縮退後展開係数w’は、例えば以下の式(7)で表すことができる。

|w'j,o[m,n]| = A(wj,o[m,n];zj,o[m,n]) ・・・(7)

式(7)において、A(p;z)は振幅変換関数であり、入力pに対して単調増加する関数である。
本実施形態では、画像処理パラメータ決定部22は、上述のような、各展開係数wの絶対値の大きさに応じたゲインを、さらに、特性推定部20が推定した、受信信号のコヒーレンス性、又は、受信信号のS/N比の少なくとも一方が大きい程、大きくなるように補正する。すなわち、本実施形態では、各展開係数wに対するゲインを表す展開係数変換関数は、図7Bに示すように、展開係数wと、ノイズ量zと、受信信号のコヒーレンス性又はS/N比の少なくとも一方と、の関数となる。
例えば、図7Bに示すように、展開係数変換関数のうち、縮退させる(ゲインが小さい)縮退前展開係数wの範囲(主には縮退前展開係数wの絶対値が小さい領域)をコヒーレンス性又はS/N比に応じて変化させるよう、関数的に保持する。あるいは、展開係数変換関数を、図7Aのような、縮退前展開係数wを縮退後展開係数w’に変換する1次元的な関数ではなく、コヒーレンス性又はS/N比の軸を加えた多次元的な関数として保持するようにしてもよい。
展開係数変換関数が、展開係数wと、ノイズ量zと、コヒーレンス性との関数である場合、縮退後展開係数w’は、例えば以下の式(8)で表すことができる。

|w'j,o[m,n]| = A(wj,o[m,n];f(zj,o[m,n],σ[m,n])) ・・・(8)

式(8)において、σ[m,n]は、各領域Reにおける(当該領域Re内の座標(m、n)における)コヒーレンス性を表す。
また、展開係数変換関数が、展開係数wと、ノイズ量zと、S/N比との関数である場合、縮退後展開係数w’は、例えば以下の式(9)で表すことができる。

|w'j,o[m,n]| = A(wj,o[m,n];f(zj,o[m,n],SNR[m,n])) ・・・(9)

式(9)において、SNR[m,n]は、各領域Reにおける(当該領域Re内の座標(m、n)における)S/N比を表す。
さらに、展開係数変換関数が、展開係数wと、ノイズ量zと、コヒーレンス性と、S/N比との関数である場合、縮退後展開係数w’は、例えば以下の式(10)で表すことができる。

|w'j,o[m,n]| = A(wj,o[m,n];f(zj,o[m,n],σ[m,n],SNR[m,n])) ・・・(10)
画像形成部24は、画像処理パラメータ決定部22により決定されたゲインを各縮退前展開係数wにかけて、複数の縮退後展開係数w’を得る。その後、図6に示すように画像形成部24は、複数の縮退後展開係数w’に対して逆ウェーブレット変換を行うことで、ノイズが低減された超音波画像を得る。
上述のように、受信信号のコヒーレンス性又はS/N比が大きい程ノイズが少なく、換言すれば、受信信号のコヒーレンス性又はS/N比が小さい程ノイズが多い。本実施形態における展開係数変換関数においては、各展開係数wには、受信信号のS/N比の少なくとも一方が大きい程、より大きいゲインがかけられ、換言すれば、受信信号のS/N比の少なくとも一方が小さい程、より小さいゲインがかけられる。これにより、多重解像度解析によるノイズ低減の効果が増大される。
<<時間利得制御のための輝度補正関数の決定方法>>
画像処理パラメータ決定部22は、特性推定部20が推定した減衰情報に基づいて、画像パラメータとしての、時間利得制御(TGC)のための輝度補正関数を決定する。輝度補正関数は、被検体の深度とゲイン(受信ビームデータRbの信号強度の増幅度)との関係を表す関数である。輝度補正関数は、被検体の深度が大きい程大きなゲインを持つ。本実施形態では、上述のように、特性推定部20は、被検体の構造物を含む領域Reを除外して減衰情報が特定されているため、受信ビームデータRbのデータ空間に被検体の構造物に対応するデータがあったとしても、当該構造物の影響を受けない輝度補正関数を決定することができる。
上述の通り、減衰情報は、深度方向に並ぶ領域Reの列毎に決定される。しかし、深度方向に並ぶ領域Re毎に、互いに異なる輝度補正関数によってTGCを行うのは適切ではない。したがって、画像処理パラメータ決定部22は、複数の領域Reの列に対応する複数の輝度補正関数に基づいて、1枚の超音波画像に対応する全体輝度補正関数を決定する。例えば、複数の輝度補正関数を平均化することによって全体輝度補正関数を決定する。
<決定された画像処理パラメータに基づく高画質化処理>
画像形成部24は、画像処理パラメータ決定部22により決定された画像処理パラメータに基づいて、超音波画像を高画質化するための高画質化処理を実行する。
画像処理パラメータとして、γ係数が決定された場合は、画像形成部24は、領域Re毎に決定されたγ係数が表わすγカーブに基づいて、形成した超音波画像の領域Re毎に輝度を変換する。これにより、ノイズが低減された超音波画像が形成される。
画像処理パラメータとして、多重解像度解析によって得られる展開係数にかけられるゲインが決定された場合は、上述のように、画像形成部24は、決定されたゲインを用いた多重解像度解析によって、ノイズが低減された超音波画像が形成される。
画像パラメータとして、TGCのための輝度補正関数(全体輝度補正関数)が決定された場合は、画像形成部24は、当該全体輝度補正関数に基づいて超音波画像に対してTGCを実行する。本実施形態では、画像形成部24は、超音波画像に被検体の構造物が含まれていても、当該構造物を含む超音波画像の領域に対してTGCを実行する。これにより、深度方向の輝度が好適に補正された超音波画像が形成される。
<本実施形態に係る超音波診断装置が奏する効果>
本実施形態に係る超音波診断装置10の概要は以上の通りである。超音波診断装置10では、情報量が豊富な検波処理前の受信信号を解析して受信信号の信号特性を推定し、推定された信号特性に基づいて決定された画像処理パラメータに基づいて、超音波画像の高画質化処理が実行される。これにより、従来に比して、特に、検波処理後の受信信号を解析することで得られた受信信号の信号特性に基づく高画質化処理に比して、より好適な高画質化処理(より低ノイズ化を実現する処理、あるいは、より好適なTGC)を行うことができる。
例えば、上述の実施形態では、特性推定部20は、受信信号の信号特性としてコヒーレンス性を推定している。検波処理によって受信信号の位相情報が失われるため、検波処理後の受信信号からは、コヒーレンス性を推定することはできない。検波処理前の受信信号を解析することで初めてコヒーレンス性を推定することができ、推定されたコヒーレンス性により上述の高画質化処理が可能となっている。
また、上述の実施形態では、特性推定部20は、ある程度の広さを有する領域Re毎に受信ビームデータRbの周波数スペクトルを演算し、深度方向に並ぶ複数の領域Reの周波数スペクトルに基づいて、超音波画像のS/N比又は減衰量を推定している。このように推定された減衰量から決定された画像処理パラメータに基づいて高画質化処理を行うことで、少なくとも、超音波画像(検波処理後の受信信号)に対する解析に基づいて高画質化処理を行う場合に比して、スペックル(被検体内の不特定多数の場所で発生する散乱波が互いに干渉することで超音波画像に生じる縞模様の像)の影響を低減することができる。
<超音波診断装置の処理の流れ>
以下、図8に示すフローチャートに従って、超音波診断装置10の処理の流れを説明する。
ステップS10において、送受信部14は、超音波プローブ12に対して送信信号を供給する。これにより、超音波プローブ12の複数の振動素子12aから被検体に対して超音波が送信される。
ステップS12において、超音波プローブ12の複数の振動素子12aは、被検体からの反射波を受信して、送受信部14に対して受信信号を送信する。これにより、送受信部14は、受信信号を取得する。送受信部14は、検波処理前の受信信号(送受信部14による加算処理前の個別受信信号Rs、送受信部14による加算処理後の受信信号(受信ビームデータRb)、又は、信号処理部16におけるフィルタ処理後の受信ビームデータRb)を特性推定部20に渡す。
ステップS14において、特性推定部20は、検波処理前の受信信号を解析する。これにより、受信信号の信号特性を推定する。
ステップS16において、画像処理パラメータ決定部22は、ステップS14で推定された受信信号の信号特性に基づいて、超音波画像の高画質化のための画像処理パラメータを決定する。
ステップS18において、検波処理部18は、信号処理部16からの受信ビームデータRbに対して検波処理を実行する。なお、ステップS14及びS16と、ステップS18の処理は並列に実行することができる。
ステップS20において、画像形成部24は、検波処理後の受信ビームデータRbに基づいて超音波画像(Bモード画像)を形成する。また、画像形成部24は、超音波画像の形成処理において、又は、形成した超音波画像に対して、ステップS16で決定された画像処理パラメータを用いた超音波画像の高画質化処理を実行する。
ステップS22において、表示制御部26は、ステップS20で形成され高画質化された超音波画像をディスプレイ28に表示させる。
以上、本発明に係る実施形態を説明したが、本発明は上記実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
例えば、本実施形態では、超音波プローブ12は、一列に並ぶ振動素子を有するプローブであるが、超音波プローブ12は、2次元に並ぶ振動素子を有する2D(Dimension)アレイプローブであってもよい。そして、超音波診断装置10の各部の処理対象である受信信号とは、2Dアレイプローブによって得られた、深度方向、方位方向、及び、スライス方向に延びる3次元のボリュームデータを構成するものであってもよい。
10 超音波診断装置、12 超音波プローブ、12a 振動素子、14 送受信部、16 信号処理部、16a 遅延器、18 検波処理部、20 特性推定部、22 画像処理パラメータ決定部、24 画像形成部、26 表示制御部、28 ディスプレイ、30 入力インターフェース、32 メモリ、34 制御部、Rs 受信信号、Rb 受信ビームデータ、Re 領域。

Claims (5)

  1. 被検体に対して超音波を送受波することで得られた受信信号のうち検波処理前の受信信号を解析することで、前記受信信号のデータ空間における領域毎に、前記受信信号の信号特性を推定する特性推定部と、
    推定された前記領域毎の前記信号特性に基づいて、画像処理パラメータを決定する画像処理パラメータ決定部と、
    前記検波処理された前記受信信号に基づいて、前記画像処理パラメータに基づく高画質化処理が施された超音波画像を形成する画像形成部と、
    を備えることを特徴とする超音波診断装置。
  2. 前記信号特性は、超音波を送受波する各振動素子が出力する各前記受信信号のコヒーレンス性、前記受信信号に対する周波数解析により演算されるS/N比、又は、前記受信信号に対する周波数解析により演算される、前記被検体の深度方向における前記信号強度の減衰を表す減衰情報であって、前記検波処理前の受信信号に基づいて特定された、被検体内の構造物を含む前記領域の前記信号強度を除外して推定された減衰情報、の少なくとも1つである、
    ことを特徴とする請求項1に記載の超音波診断装置。
  3. 前記画像処理パラメータは、前記領域に関する前記コヒーレンス性又は前記S/N比の少なくとも一方に基づく、超音波画像の画素の輝度を変換するための輝度変換係数であり、
    前記輝度変換係数は、前記領域に関する前記コヒーレンス性又は前記S/N比の少なくとも一方が大きい程、当該領域に含まれる画素の輝度が大きくなるような係数である、
    ことを特徴とする請求項2に記載の超音波診断装置。
  4. 前記画像形成部は、前記検波処理された前記受信信号に基づいて形成した超音波画像に対する多重解像度解析を行い、得られた各展開係数の絶対値の大きさに応じたゲインを各展開係数にかけることによって超音波画像のノイズ低減を実行し、
    前記画像処理パラメータは、前記領域に関する前記コヒーレンス性又は前記S/N比の少なくとも一方が大きい程、大きくなるように補正された前記ゲインである、
    ことを特徴とする請求項2に記載の超音波診断装置。
  5. 前記画像パラメータは、前記減衰情報に基づく、時間利得制御のための輝度補正関数であり、
    前記画像形成部は、前記輝度補正関数に基づいて、前記構造物を含む超音波画像の領域に対して前記時間利得制御を実行する、
    ことを特徴とする請求項2に記載の超音波診断装置。
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