JP2024082154A - ハイブリッド車両の制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】触媒暖機時の内燃機関の吹け上がりを抑制する。【解決手段】ハイブリッド車両の制御装置は、駆動輪へ駆動力を供給し回生制動により発電する走行用モータジェネレータと、内燃機関により駆動され発電する発電用モータジェネレータと、前記走行用モータジェネレータおよび前記発電用モータジェネレータによって充放電される蓄電装置と、を備え、前記蓄電装置の充電性能の制限状況に応じて前記発電用モータジェネレータによる発電量が制限されるハイブリッド車両に設けられ、触媒暖機制御部を備える。触媒暖機制御部は、触媒暖機時に、前記内燃機関の冷却水の水温および前記内燃機関の回転数に基づいて、前記回転数が大きいほど前記水温に応じて定まる遅角量を減少させ、減少させた前記遅角量となるように遅角補正制御を行うとともに、前記遅角量の減少量が大きいほどスロットル開度を減少させる制御を行う。【選択図】図4
Description
本開示は、ハイブリッド車両の制御装置に関する。
従来、電動機および内燃機関の2種類の動力源を備えるハイブリット車両が知られている。特に、シリーズ方式のハイブリッド車両では、内燃機関に直結された発電用モータジェネレータで発電を行い、発電した電力を蓄電装置に蓄電するとともにタイヤ軸に直結された走行用モータジェネレータを駆動することで走行することが知られている。車両は、加速時には走行用モータジェネレータの駆動により力行し、減速時には走行用モータジェネレータによる回生によって減速エネルギーを蓄電装置に蓄電することで効率よく走行する。
ハイブリッド車両などの車両では、排ガスを浄化する触媒を暖機するための触媒暖機が行われている。触媒暖機時には、触媒暖機性の向上の観点から、発電用モータジェネレータの発電量に拘わらず内燃機関の出力を一定に制御することが行われている(例えば、特許文献1参照)。
ハイブリッド車両では、超低温環境などの蓄電装置の充電性能が制限される状況などでは、発電用モータジェネレータによる発電量の制限が行われる場合がある。触媒暖機時に発電用モータジェネレータによる発電量が制限されると、内燃機関の出力が発電用モータジェネレータの出力を上回り、内燃機関の回転数が上昇する吹け上がりが発生する場合があった。このため、従来技術では、触媒暖機時に内燃機関の吹け上がりが発生する場合があった。
本開示が解決しようとする課題は、触媒暖機時の吹け上がりを抑制することができる、ハイブリッド車両の制御装置を提供することである。
本開示にかかるハイブリッド車両の制御装置は、駆動輪へ駆動力を供給し回生制動により発電する走行用モータジェネレータと、内燃機関により駆動され発電する発電用モータジェネレータと、前記走行用モータジェネレータおよび前記発電用モータジェネレータによって充放電される蓄電装置と、を備え、前記蓄電装置の充電性能の制限状況に応じて前記発電用モータジェネレータによる発電量が制限されるハイブリッド車両に設けられ、触媒暖機制御部を備える。触媒暖機制御部は、触媒暖機時に、前記内燃機関の冷却水の水温および前記内燃機関の回転数に基づいて、前記回転数が大きいほど前記水温に応じて定まる遅角量を減少させ、減少させた前記遅角量となるように遅角補正制御を行うとともに、前記遅角量の減少量が大きいほどスロットル開度を減少させる制御を行う。
本開示にかかるハイブリッド車両の制御装置によれば、触媒暖機時の内燃機関の吹け上がりを抑制することができる。
以下に添付図面を参照して、本開示に係るハイブリッド車両の制御装置の実施形態を説明する。
図1は、本実施形態の車両1の概略構成を示す図である。車両1は、ハイブリッド車両の一例である。本実施形態では、車両1がシリーズ方式のハイブリッド車両である形態を一例として説明する。
車両1は、車両用制御装置10と、内燃機関12と、発電用モータジェネレータ14と、走行用モータジェネレータ16と、蓄電装置18と、を備える。
内燃機関12は、エンジンである。内燃機関12は、例えば、複数の気筒を包有する4ストロークエンジン等である。
発電用モータジェネレータ14は、内燃機関12により駆動されて発電する。内燃機関12の回転軸であるクランクシャフトは、発電用モータジェネレータ14の回転軸と歯車機構を介して機械的に接続されている。内燃機関12が出力する回転駆動力が発電用モータジェネレータ14に入力されることで、発電用モータジェネレータ14が発電する。発電用モータジェネレータ14で発電された電力は、蓄電装置18に充電され、走行用モータジェネレータ16に供給される。
また、発電用モータジェネレータ14は、回転駆動力を発生させて内燃機関12のクランクシャフトを回転駆動する電動機としても機能する。例えば、発電用モータジェネレータ14は、停止している内燃機関12を始動するクランキングを実行する。
走行用モータジェネレータ16は、駆動輪22へ駆動力を供給し回生制動により発電する。詳細には、走行用モータジェネレータ16は、発電用モータジェネレータ14および蓄電装置18から供給された電力により車両1の走行のための駆動力を発生させ、減速機61を介して駆動力を駆動輪22に出力する。また、走行用モータジェネレータ16は、駆動輪22に連れ回されて回転することで発電し、車両1の運動エネルギーを電気エネルギーとして回収する。この回生制動により発電された電力は、蓄電装置18に充電される。
蓄電装置18の容量一杯にまで電力が蓄えられており、それ以上の充電が困難な場合がある。この場合、走行用モータジェネレータ16の回生制動により発電された電力は発電用モータジェネレータ14に供給され、発電用モータジェネレータ14を電動機として駆動させて内燃機関12を回転駆動する余剰電力消費が行われる。余剰電力消費により、車両1の制動性能を維持しながら、余剰電力が消費される。
蓄電装置18は、発電用モータジェネレータ14および走行用モータジェネレータ16によって充放電される。蓄電装置18は、発電用モータジェネレータ14および走行用モータジェネレータ16の各々で発電された電力を充電して蓄える。また、蓄電装置18は、発電用モータジェネレータ14および走行用モータジェネレータ16の各々を電動機として作動させるための電力を放電し、発電用モータジェネレータ14および走行用モータジェネレータ16の各々に必要な電力を供給する。蓄電装置18は、例えば、バッテリ、またはキャパシタなどである。
インバータ24およびインバータ26は、PCU(Power Control Unit)の一部として機能する。
インバータ24は、発電用モータジェネレータ14で発電された交流電力を直流電力に変換し、蓄電装置18およびインバータ26の少なくとも一方へ出力する。また、インバータ24は、発電用モータジェネレータ14を電動機として作動させる際、蓄電装置18およびインバータ26の少なくとも一方から供給される直流電力を交流電力に変換し、発電用モータジェネレータ14へ出力する。
インバータ26は、蓄電装置18およびインバータ24の少なくとも一方から供給される直流電力を交流電力に変換し、走行用モータジェネレータ16へ出力する。また、インバータ26は、回生制動により走行用モータジェネレータ16で発電された交流電力を直流電力に変換し、蓄電装置18およびインバータ24の少なくとも一方へ出力する。
車両用制御装置10は、車両1を制御するコントローラである。車両用制御装置10は、ハイブリッド車両の制御装置の一例である。
車両用制御装置10は、車両1に搭載された各種のセンサによる検出結果を取得する。例えば、車両用制御装置10は、車両1の車速、蓄電装置18の環境温度、蓄電装置18に対する充放電電流、蓄電装置18の残容量、アクセル開度、シフトポジション、スイッチのON/OFF、路面の勾配、発電用モータジェネレータ14の発電電力、走行用モータジェネレータ16の発電電力、などを取得する。車両用制御装置10は、これらの検出結果に応じて、走行用モータジェネレータ16の回転駆動力、内燃機関12の回転駆動力、および発電用モータジェネレータ14が発電する電力の大きさなどを制御する。
車両用制御装置10は、例えば、HEV_ECU(Electronic Control Unit)30、エンジンECU32、発電機ECU34、バッテリECU36、および駆動機ECU38を有する。
HEV_ECU30、エンジンECU32、発電機ECU34、バッテリECU36、および駆動機ECU38は、CAN(Controller Area Network)などの電気通信回線を介して相互に通信可能に接続されている。
HEV_ECU30は、エンジンECU32、発電機ECU34、バッテリECU36、および駆動機ECU38などを相互に管理し制御する。HEV_ECU30は、内燃機関12の出力、発電用モータジェネレータ14および走行用モータジェネレータ16の出力などを車両負荷や走行状態などに応じて最適配分し、車両1が最も効率よく走行可能となるように車両1のハイブリッドシステム全体を制御する。
エンジンECU32は、内燃機関12を制御するエンジンコントローラである。エンジンECU32は、触媒暖機制御部32Aを備える。触媒暖機制御部32Aの詳細は後述する。発電機ECU34は、発電用モータジェネレータ14およびインバータ24を制御するコントローラである。バッテリECU36は、蓄電装置18を制御するコントローラである。駆動機ECU38は、走行用モータジェネレータ16およびインバータ26を制御するコントローラである。
図2は、車両用制御装置10の一例のハードウェア構成図である。
車両用制御装置10に設けられたHEV_ECU30、エンジンECU32、発電機ECU34、バッテリECU36、および駆動機ECU38は、CPU(Central Processing Unit)11A、ROM(Read Only Memory)11B、RAM(Random Access Memory)11C、およびI/F11Dなどがバス11Eにより相互に接続され、通常のコンピュータを利用したハードウェア構成である。
CPU11Aは、本実施形態の車両用制御装置10を制御する演算装置である。ROM11Bは、CPU11Aによる各種処理を実現するプログラムなどを記憶する。RAM11Cは、CPU11Aによる各種処理に必要なデータを記憶する。I/F11Dは、データを送受信するためのインタフェースである。
本実施形態の車両用制御装置10で実行される情報処理を実行するためのプログラムは、ROM11Bなどに予め組み込んで提供される。なお、本実施形態の車両用制御装置10で実行されるプログラムは、車両用制御装置10にインストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD-ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD-R、DVD(Digital Versatile Disk)などのコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録されて提供するように構成してもよい。
図3は、内燃機関12の概略の一例を示す構成図である。
内燃機関12は、例えばガソリンまたは軽油などの炭化水素系の燃料により動力を出力可能なエンジンとして構成されている。
内燃機関12は気筒41を備える。気筒41の吸気ポート近傍には、燃料を噴射するインジェクタ42が設けられている。気筒41の燃焼室の天井部には、点火プラグ43が取り付けられている。点火プラグ43は、点火コイルにて発生した誘導電圧の印加を受けて、中心電極と接地電極との間で火花放電を惹起するものである。点火コイルは、半導体スイッチング素子であるイグナイタとともに、コイルケースに一体的に内蔵される。
吸気を供給するための吸気通路44は、外部から空気を取り入れて気筒41の吸気ポートへと導く。吸気通路44上には、エアクリーナ45、電子スロットルバルブ46、サージタンク47、および吸気マニホルド48が、吸気の上流から下流側に向かってこの順に配置されている。排気を排出するための排気通路49は、気筒41内での燃料燃焼により発生した排気を気筒41の排気ポートから外部へと導く。排気通路49上には、排気マニホルド50および排気浄化用の三元触媒51が配置されている。
三元触媒51は、内燃機関12の排気を浄化する触媒である。三元触媒51は、所定温度以上で活性化し、炭化水素および一酸化炭素の酸化と、窒素酸化物の還元とを同時に行う、車両用の内燃機関に搭載されるものとして周知のものである。
内燃機関12は、エアクリーナ45により清浄された空気を、電子スロットルバルブ46を介して吸入する。内燃機関12は、インジェクタ42から燃料を噴射して吸入された空気と混合した混合気を、吸気マニホルド48を介して燃料室である気筒41内に吸入する。気筒41内に吸入した混合気は点火プラグ43による電気火花によって爆発燃焼され、そのエネルギーにより押し下げられるピストンの往復運動をクランクシャフトの回転運動に変換することで内燃機関12が駆動する。内燃機関12からの排気は、排気通路49および三元触媒51を介して外気へ排出される。
内燃機関12は、エンジンECU32の制御によって駆動する。
エンジンECU32には、車両1および内燃機関12に設けられた各種のセンサの各々による検出結果を表す信号が入力される。例えば、エンジンECU32には、内燃機関12の冷却水温を検出する水温センサで検出された水温を表す水温信号、および、内燃機関12の回転数を検出するエンジン回転数センサで検出された回転数を表す回転数信号が入力される。内燃機関12の回転数は、エンジン回転数と称する場合がある。また、エンジンECU32には、車両1の実車速を表す車速信号、アクセル開度を表すアクセル開度信号、吸気通路44内の吸気温及び吸気圧を表す吸気温・吸気圧信号、吸気カムシャフトまたは排気カムシャフトの複数のカム角を表すカム角信号等の各種の信号が入力される。
エンジンECU32は、入力された信号に応じて内燃機関12の駆動を制御する。例えば、エンジンECU32は、入力された信号に応じて、吸気量の推算、燃料噴射量、燃料噴射タイミング、燃料噴射圧、点火タイミング、要求EGR(Exhaust Gas Recirculation)量等の各種運転パラメータを決定する。運転パラメータの決定手法には、既知のものを採用することが可能である。エンジンECU32は、運転パラメータに対応した各種制御信号を内燃機関12の各機構へ出力する。例えば、エンジンECU32は、点火プラグ43のイグナイタに対して点火信号、インジェクタ42に対して燃料噴射信号、電子スロットルバルブ46に対して開度操作信号等を出力する。
エンジンECU32は、触媒暖機制御部32Aを備える。
触媒暖機制御部32Aは、触媒暖機のための遅角補正制御を行う。触媒暖機のための遅角補正制御とは、触媒である三元触媒51を暖機し活性温度に昇温させ該三元触媒51を活性状態とするために、点火プラグ43の点火時期の遅角補正を行う制御である。点火時期を遅角させることで排気温度が上昇し三元触媒51の触媒暖機を促進させることが可能となる。触媒暖機制御部32Aは、内燃機関12の始動時などの三元触媒51の温度が活性温度未満であると推定されるとき等に、触媒暖機のための遅角補正制御を行う。
ここで、触媒暖機時には、エンジンECU32は、触媒暖機性の向上の観点から、発電用モータジェネレータ14による発電量に拘わらず内燃機関12の出力が一定になるように制御する。
また、HEV_ECU30は、超低温環境などの蓄電装置18の充電性能が制限される状況では、蓄電装置18の劣化抑制の観点から、発電用モータジェネレータ14による発電量を制限するように制御する。
しかし、触媒暖機時に発電用モータジェネレータ14による発電量が制限されると、出力一定に制御されている内燃機関12の出力が発電用モータジェネレータ14の出力を上回り、内燃機関12の回転数が上昇する吹け上がりが発生する場合がある。
そこで、本実施形態の触媒暖機制御部32Aは、触媒暖機時に、内燃機関12の回転数が大きいほど電子スロットルバルブ46のスロットル開度を減少させる制御を行う。触媒暖機制御部32Aが触媒暖機時に内燃機関12の回転数に応じてスロットル開度を減少させる制御を行うことで、内燃機関12への空気流入量が減少され、触媒暖機時の内燃機関12の吹け上がりを抑制することができる。
なお、電子スロットルバルブ46のスロットル開度を減少させると吹け上がりは抑制されるものの、点火時期の遅角度合いと空気流入量とのバランスがとれず内燃機関12の燃焼安定性が得られなくなる場合がある。内燃機関12の燃焼安定性が得られなくなると、内燃機関12の失火や、排気に含まれる未燃焼成分の上昇による排気エミッション悪化が生じる場合がある。
そこで、本実施形態の触媒暖機制御部32Aは、内燃機関12の冷却水の水温および内燃機関12の回転数に基づいて、回転数が大きいほど水温に応じて定まる遅角量を減少させ、減少させた遅角量となるように遅角補正制御を行う。
触媒暖機制御部32Aが、冷却水の水温に加えて内燃機関12の回転数を用い、回転数が大きいほど水温に応じて定まる遅角量を減少させることで、内燃機関12の燃焼安定性の低下を抑制し、失火および排気エミッションの悪化を抑制することが可能となる。
以下、触媒暖機制御部32Aによる制御について詳細に説明する。
触媒暖機制御部32Aは、触媒暖機時に以下の制御を実行する。
触媒暖機制御部32Aは、水温センサで検出された水温信号によって表される内燃機関12の冷却水の水温とエンジン回転数センサで検出された内燃機関12の回転数と、を取得する。
触媒暖機制御部32Aは、取得した水温に応じた遅角量を決定する。水温に応じた遅角量の決定方法には、公知の方法を用いればよい。例えば、触媒暖機制御部32Aは、取得した水温が低温状態であるほど大きい遅角量を決定する。
そして、触媒暖機制御部32Aは、更に、取得した回転数が大きいほど、水温に応じて決定した遅角量を減少させる。すなわち、触媒暖機制御部32Aは、エンジン回転数である回転数が大きいほど、点火プラグ43の点火時期を遅角させる量がより減少するように、水温に応じて決定した遅角量を減少させる。
触媒暖機制御部32Aが、エンジン回転数が大きいほど、水温に応じて決定した遅角量をより減少させることで、安定燃焼のための最適な点火時期からの遅角量が減少する。このため、触媒暖機制御部32Aは、内燃機関12の燃焼安定性の低下を抑制し、失火および排気エミッションの悪化を抑制可能な遅角量を決定することができる。
また、触媒暖機制御部32Aは、水温およびエンジン回転数に応じて決定した遅角量を用いて、スロットル開度を決定する。
詳細には、触媒暖機制御部32Aは、水温に応じて決定した遅角量に対する回転数を用いて減少させた後の遅角量の減少量が大きいほど、空気流入量がより少なくなるように、より減少したスロットル開度を決定する。上述したように、触媒暖機制御部32Aは、回転数が大きいほど、水温に応じて決定した遅角量を減少させる。このため、触媒暖機制御部32Aは、回転数を用いて減少させる前の遅角量に対する回転数を用いて減少させた後の遅角量への減少量に応じたスロットル開度を決定することで、内燃機関12のエンジン回転数が大きいほど、より減少したスロットル開度を決定する。
また、触媒暖機制御部32Aは、水温および回転数に応じて決定した遅角量が小さいほど、より減少したスロットル開度を決定することで、エンジン回転数が大きいほどより減少したスロットル開度を決定してもよい。この場合、例えば、触媒暖機制御部32Aは、水温および回転数に応じて決定される遅角量と、上記条件を満たすスロットル開度と、の関係を表すテーブルを予め記憶する。そして、触媒暖機制御部32Aは、該テーブルにおける、水温および回転数に応じて決定した遅角量に対応するスロットル開度を特定することで、スロットル開度を決定してよい。
触媒暖機制御部32Aは、触媒暖機時に、水温および回転数に応じて決定した遅角量を用いた遅角補正制御を行うとともに、決定したスロットル開度となるように電子スロットルバルブ46のスロットル開度を制御する。
詳細には、例えば、触媒暖機制御部32Aは、点火プラグ43の点火時期の遅角量が水温および回転数に応じて決定した遅角量に達するまで、一周期(例えば0.16ms)ごとに所定量だけ点火時期を遅角する。そして、触媒暖機制御部32Aは、点火時期の遅角量が水温および回転数に応じて決定した遅角量に達すると、点火時期の遅角量を水温および回転数に応じて決定した遅角量に保つ。これらの制御により、触媒暖機制御部32Aは、水温および回転数に応じて決定した遅角量を用いた遅角補正制御を行う。
また、触媒暖機制御部32Aは、上記遅角補正制御と共に、決定したスロットル開度となるように電子スロットルバルブ46のスロットル開度を制御するスロットル開度制御を行う。
触媒暖機制御部32Aは、水温およびエンジン回転数に応じた遅角量の決定、スロットル開度の決定、上記遅角補正制御、および上記スロットル開度制御を、触媒暖機の終了条件を満たすと判断するまで、継続して実行する。
このため、触媒暖機制御部32Aは、触媒暖機時の内燃機関12の吹け上がりを抑制することができる。また、触媒暖機制御部32Aは、触媒暖機時の内燃機関12の燃焼安定性の低下を抑制し、失火および排気エミッションの悪化を抑制することができる。
次に、本実施形態のエンジンECU32の触媒暖機制御部32Aで実行する情報処理の流れの一例を説明する。
図4は、本実施形態の触媒暖機制御部32Aで実行される情報処理の流れの一例を示すフローチャートである。
触媒暖機制御部32Aは、触媒暖機の実行条件を満たすか否かを判断する(ステップS100)。例えば、触媒暖機制御部32Aは、内燃機関12のエンジン始動が完了した直後であるか、三元触媒51の温度が活性温度未満であるか、等の予め定めた触媒暖機の実行条件を満たすか否かを判別することで、ステップS100の判断を行う。ステップS100で否定判断すると(ステップS100:No)、本ルーチンを終了する。ステップS100で肯定判断すると(ステップS100:Yes)、ステップS102へ進む。
触媒暖機制御部32Aは、触媒暖機要求信号をHEV_ECU30へ送信する(ステップS102)。触媒暖機制御部32Aは、触媒暖機要求信号に対する応答としてHEV_ECU30から受信した信号が、触媒暖機許可を表す信号である場合(ステップS104:Yes)、ステップS106へ進む。HEV_ECU30から受信した信号が触媒暖機非許可を表す信号である場合(ステップS104:No)、本ルーチンを終了する。
触媒暖機制御部32Aは、水温センサで検出された内燃機関12の水温信号によって表される水温、およびエンジン回転数センサで検出された内燃機関12の回転数、を用いて遅角量を決定する(ステップS106)。触媒暖機制御部32Aは、水温に応じた遅角量を決定し、回転数が大きいほど、水温に応じて決定した遅角量を減少させることで、遅角量を決定する。
触媒暖機制御部32Aは、ステップS106で決定した遅角量を用いて、スロットル開度を決定する(ステップS108)。触媒暖機制御部32Aは、水温に応じて決定した遅角量に対する回転数を用いて減少させた後の遅角量の減少量が大きいほど、より減少したスロットル開度を決定する。すなわち、触媒暖機制御部32Aは、内燃機関12のエンジン回転数が大きいほど、より減少したスロットル開度を決定する。
触媒暖機制御部32Aは、ステップS106で決定した遅角量を用いた遅角補正制御を行うとともに、ステップS108で決定したスロットル開度となるように電子スロットルバルブ46のスロットル開度を制御する(ステップS110)。
触媒暖機制御部32Aは、触媒暖機を終了するか否かを判断する(ステップS112)。触媒暖機制御部32Aは、触媒暖機終了条件を満たすか否かを判別することで、ステップS112の判断を行う。例えば、触媒暖機制御部32Aは、三元触媒51が活性化温度に上昇したことが検出された場合や、車両1のシフトポジションが非走行レンジから走行レンジに変化した場合などに、触媒暖機終了条件を満たすと判断する。ステップS112で否定判断すると(ステップS112:No)、上記ステップS106へ戻る。ステップS112で肯定判断すると(ステップS112:Yes)、本ルーチンを終了する。
次に、本実施形態のHEV_ECU30で実行する情報処理の流れの一例を示す。
図5は、触媒暖機時にHEV_ECU30が実行する情報処理の流れの一例を示すフローチャートである。
HEV_ECU30は、エンジンECU32から触媒暖機要求信号を受信したか否かを判断する(ステップS200)。ステップS200で否定判断すると(ステップS200:No)、本ルーチンを終了する。ステップS200で肯定判断すると(ステップS200:Yes)、ステップS202へ進む。
ステップS202では、HEV_ECU30は、触媒暖機の許可条件を満たすか否かを判断する(ステップS202)。例えば、HEV_ECU30には、車両1の走行状態を表す走行モードごとに、エンジンECU32、発電機ECU34、バッテリECU36、および駆動機ECU38の各々から受信する信号の優先順位が予め定められている。HEV_ECU30は、現在の車両1の走行状態に対応する信号の優先順位が、エンジンECU32からの受信信号を他のECU(発電機ECU34、バッテリECU36、駆動機ECU38)からの受信信号より高い優先順位とすることを表す場合、触媒暖機の許可条件を満たすと判断する。HEV_ECU30は、許可条件を満たすと判断した場合(ステップS202:Yes)、触媒暖機許可を表す信号をエンジンECU32へ送信し(ステップS204)、本ルーチンを終了する。HEV_ECU30は、許可条件を満たさないと判断した場合(ステップS202:No)、触媒暖機非許可を表す信号をエンジンECU32へ送信し(ステップS206)、本ルーチンを終了する。
以上説明したように、本実施形態の車両用制御装置10(ハイブリッド車両の制御装置)は、駆動輪22へ駆動力を供給し回生制動により発電する走行用モータジェネレータ16と、内燃機関12により駆動され発電する発電用モータジェネレータ14と、走行用モータジェネレータ16および発電用モータジェネレータ14によって充放電される蓄電装置18と、を備え、蓄電装置18の充電性能の制限状況に応じて発電用モータジェネレータ14による発電量が制限される車両1(ハイブリッド車両)に設けられている。車両用制御装置10は、触媒暖機制御部32Aを備える。触媒暖機制御部32Aは、触媒暖機時に、内燃機関12の冷却水の水温および内燃機関12の回転数に基づいて、回転数が大きいほど水温に応じて定まる遅角量を減少させ、減少させた遅角量となるように遅角補正制御を行うとともに、遅角量の減少量が大きいほどスロットル開度を減少させる制御を行う。
触媒暖機制御部32Aが触媒暖機時に、内燃機関12の回転数が大きいほど減少させる、遅角量の減少量が大きいほど、スロットル開度を減少させる制御を行うことで、触媒暖機時の内燃機関12への空気流入量が減少され、触媒暖機時の内燃機関12の吹け上がりを抑制することができる。
例えば、触媒暖機時には、エンジンECU32は、触媒暖機性の向上の観点から、発電用モータジェネレータ14による発電量に拘わらず内燃機関12の出力が一定になるように制御する。また、HEV_ECU30は、超低温環境などの蓄電装置18の充電性能が制限される状況では、蓄電装置18の劣化抑制の観点から、発電用モータジェネレータ14による発電量を制限するように制御する。
ここで、従来技術では、触媒暖機時の遅角量を内燃機関12の水温のみから決定し、決定した水温に応じたスロットル開度を決定していた。しかし、従来技術では、発電用モータジェネレータ14による発電量が制限されている状態で触媒暖機を行うと、触媒暖機時の内燃機関12の出力が一定となり、内燃機関12の出力が発電用モータジェネレータ14の出力を上回り、内燃機関12の回転数が吹け上がる場合があった。
一方、本実施形態では、車両用制御装置10の触媒暖機制御部32Aは、触媒暖機時に、内燃機関12の回転数が大きいほど減少させる、遅角量の減少量が大きいほどスロットル開度を減少させる制御を行う。
このため、本実施形態の車両用制御装置10の触媒暖機制御部32Aは、触媒暖機時に発電用モータジェネレータ14による発電量が制限される場合であっても、内燃機関12の出力が発電用モータジェネレータ14の出力を上回ることを抑制することができ、内燃機関12の吹け上がりを抑制することができる。
従って、本実施形態の車両用制御装置10は、触媒暖機時の内燃機関12の吹け上がりを抑制することができる。
また、本実施形態の車両用制御装置10は、内燃機関12の吹け上がり抑制のために単に触媒暖機を中断制御する場合に比べて、触媒暖機を継続しつつ、触媒暖機時の内燃機関12の吹け上がりを抑制することができる。
また、本実施形態の車両用制御装置10は、触媒暖機中に発電用モータジェネレータ14の出力に応じて内燃機関12の出力を抑制する制御に比べて、内燃機関12の回転数の低下を抑制することができる。このため、本実施形態の車両用制御装置10は、触媒暖機時に内燃機関12の回転数が低下し、三元触媒51に与える熱が変動して三元触媒51を十分に活性化出来ない状態となることを抑制することができる。
また、本実施形態の触媒暖機制御部32Aは、内燃機関12の冷却水の水温および内燃機関12の回転数に基づいて、回転数が大きいほど水温に応じて定まる遅角量を減少させ、減少させた遅角量となるように遅角補正制御を行う。
このため、本実施形態の車両用制御装置10は、上記効果に加えて、触媒暖機時の内燃機関12の燃焼安定性の低下を抑制し、失火および排気エミッションの悪化を抑制することができる。
また、本実施形態の車両用制御装置10では、触媒暖機制御部32Aが、内燃機関12の水温および内燃機関12の回転数に応じて上記処理を行うため、車両1および車両用制御装置10のシステム構成の変更を行うことなく、制御方法を変更することで、上記効果を得ることができる。このため、本実施形態の車両用制御装置10は、上記効果に加えて、費用および質量の増加を招くことなく、触媒暖機時の内燃機関12の吹け上がり、内燃機関12の失火、および排気エミッションの悪化、を抑制することができる。
本実施形態の車両用制御装置10で実行される上記各処理を実行するためのプログラムは、HDDに記憶されていてもよい。また、本実施形態の車両用制御装置10で実行される上記各処理を実行するためのプログラムは、ROM11Bに予め組み込まれて提供されていてもよい。
また、上記実施形態の車両用制御装置10で実行される上記処理を実行するためのプログラムは、インストール可能な形式または実行可能な形式のファイルでCD-ROM、CD-R、メモリカード、DVD(Digital Versatile Disc)、フレキシブルディスク(FD)などのコンピュータで読み取り可能な記憶媒体に記憶されてコンピュータプログラムプロダクトとして提供されるようにしてもよい。また、本実施形態の車両用制御装置10で実行される上記処理を実行するためのプログラムを、インターネットなどのネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するようにしてもよい。また、本実施形態の車両用制御装置10で実行される上記処理を実行するためのプログラムを、インターネットなどのネットワーク経由で提供または配布するようにしてもよい。
なお、上記には、本発明の実施形態を説明したが、上記実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。この実施形態およびその変形は、発明の範囲および要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
1 車両
10 車両用制御装置
32A 触媒暖機制御部
10 車両用制御装置
32A 触媒暖機制御部
Claims (2)
- 駆動輪へ駆動力を供給し回生制動により発電する走行用モータジェネレータと、内燃機関により駆動され発電する発電用モータジェネレータと、前記走行用モータジェネレータおよび前記発電用モータジェネレータによって充放電される蓄電装置と、を備え、前記蓄電装置の充電性能の制限状況に応じて前記発電用モータジェネレータによる発電量が制限されるハイブリッド車両に設けられ、
触媒暖機時に、前記内燃機関の冷却水の水温および前記内燃機関の回転数に基づいて、前記回転数が大きいほど前記水温に応じて定まる遅角量を減少させ、減少させた前記遅角量となるように遅角補正制御を行うとともに、前記遅角量の減少量が大きいほどスロットル開度を減少させる制御を行う触媒暖機制御部、
を備えるハイブリッド車両の制御装置。 - 前記触媒暖機制御部は、
前記水温および前記回転数に基づいた前記遅角補正制御、および前記遅角量の減少量に応じて前記スロットル開度を減少させる制御を、触媒暖機の実行条件を満たすと判断してから触媒暖機の終了条件を満たすと判断するまで継続して実行する、
請求項1に記載のハイブリッド車両の制御装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2022195910A JP2024082154A (ja) | 2022-12-07 | 2022-12-07 | ハイブリッド車両の制御装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2022195910A JP2024082154A (ja) | 2022-12-07 | 2022-12-07 | ハイブリッド車両の制御装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2024082154A true JP2024082154A (ja) | 2024-06-19 |
Family
ID=91523868
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2022195910A Pending JP2024082154A (ja) | 2022-12-07 | 2022-12-07 | ハイブリッド車両の制御装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2024082154A (ja) |
-
2022
- 2022-12-07 JP JP2022195910A patent/JP2024082154A/ja active Pending
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Legal Events
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A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20240325 |