JP2024075638A - タンパク質同定のためのデコーディングアプローチ方法 - Google Patents

タンパク質同定のためのデコーディングアプローチ方法 Download PDF

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JP2024075638A JP2024039635A JP2024039635A JP2024075638A JP 2024075638 A JP2024075638 A JP 2024075638A JP 2024039635 A JP2024039635 A JP 2024039635A JP 2024039635 A JP2024039635 A JP 2024039635A JP 2024075638 A JP2024075638 A JP 2024075638A
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スジャル エム. パテル
パラグ マリック
ジャレット ディー. エガートソン
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ノーティラス・サブシディアリー・インコーポレイテッド
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Abstract

【課題】正確でかつ効率の良いタンパク質の同定および定量のための方法およびシステムが提供される。
【解決手段】1つの局面において、本明細書において、未知のタンパク質の試料中のタンパク質を同定するための方法が開示され、該方法は、未知のタンパク質において実施される複数の実証的な測定の情報を受信する工程;実証的な測定の情報を、複数のタンパク質配列を含むデータベースに対して比較する工程であって、各タンパク質配列が、複数の候補タンパク質の中の1つの候補タンパク質に対応する、工程;およびデータベースに対する実証的な測定の情報の比較に基づいて、複数の候補タンパク質の1つまたは複数のそれぞれに関して、実証的な測定の情報を候補タンパク質が生成する確率、候補タンパク質が前記試料中に存在するときに、複数の実証的な測定が観測されない確率、または候補タンパク質が試料中に存在する確率を生成する工程を含む。
【選択図】なし

Description

相互参照
本出願は、2017年12月29日出願の米国特許仮出願62/611,979号、および2018年10月20日
出願の国際出願PCT/US2018/056807号の恩典を主張するものであり、そのそれぞれは、全
体が参照により本明細書に組み入れられる。
背景
タンパク質同定のための現行の技術は、典型的には、高度に特異的でかつ感度の高い親
和性試薬(抗体など)の結合およびそれに続く情報の読み出し、または質量分析計からの
ペプチド読み取りデータ(典型的には12~30アミノ酸長ほど)のいずれかに依存する。そ
のような技術は、高度に特異的でかつ感度の高い親和性試薬の、関心対象のタンパク質に
対する結合測定の分析に基づいて、候補タンパク質の存在、非存在、または量を決定する
ために、試料中の未知のタンパク質に適用され得る。
概要
本明細書において、未知のタンパク質の試料中のタンパク質の、改善された同定および
定量の必要性が認識される。本明細書において提供される方法およびシステムは、試料中
のタンパク質を同定する際の誤りを有意に減少または排除することができ、そしてそれに
より、前記タンパク質の定量を改善する。そのような方法およびシステムは、未知のタン
パク質の試料中の候補タンパク質の、正確でかつ効率の良い同定を達成し得る。そのよう
な同定は、1つまたは複数の候補タンパク質に選択的に結合するように設定されている親
和性試薬プローブの結合測定、タンパク質の長さ、タンパク質の疎水性、および等電点な
どの情報を用いる算定に、基づき得る。いくつかの態様において、未知のタンパク質の試
料は、個々の親和性試薬プローブに、プールされた親和性試薬プローブに、または個々の
親和性試薬プローブとプールされた親和性試薬プローブとの組み合わせに、曝露されてよ
い。同定は、1つまたは複数の候補タンパク質のそれぞれが試料中に存在する信頼水準の
推測を含み得る。
本明細書において提供される方法およびシステムは、完全にインタクトなタンパク質、
またはタンパク質断片において実施される一連の実験に基づいてタンパク質を同定するた
めの、アルゴリズムを含み得る。各実験は、タンパク質において実施される実証的な測定
であり得、かつ、タンパク質を同定するために有用であり得る情報を提供し得る。実験の
例は、親和性試薬(たとえば抗体またはアプタマー)の結合、タンパク質の長さ、タンパ
ク質の疎水性、および等電点の測定を含む。実験アウトカムについての情報は、タンパク
質候補の確率もしくは尤度を算定するために、および/または観測される実験アウトカム
の尤度を最大にするタンパク質候補のリストからタンパク質を選択することによってタン
パク質のアイデンティティを推定するために、使用され得る。本明細書において提供され
る方法およびシステムはまた、タンパク質候補の集団と、これらのタンパク質候補のそれ
ぞれからの実験アウトカムの確率を算定するためのアルゴリズムとを、含み得る。
1つの局面において、本開示は、未知のタンパク質の試料中のタンパク質を同定するた
めの、コンピューターによって遂行される方法を提供し、該方法は以下の工程を含む:(a
) 前記試料中の前記未知のタンパク質において実施される複数の実証的な測定の情報を
、前記コンピューターによって受信する工程;(b) 前記複数の前記実証的な測定の前記
情報の少なくとも一部分を、複数のタンパク質配列を含むデータベースに対して、前記コ
ンピューターによって比較する工程であって、各タンパク質配列が、複数の候補タンパク
質の中の1つの候補タンパク質に対応する、工程;ならびに(c) 前記複数のタンパク質配
列を含む前記データベースに対する、前記複数の前記実証的な測定の前記情報の前記少な
くとも一部分の前記比較に基づいて、前記複数の候補タンパク質中の1つまたは複数の候
補タンパク質のそれぞれに関して、(i) 前記複数の実証的な測定の前記情報を前記候補
タンパク質が生成する確率、(ii) 前記候補タンパク質が前記試料中に存在するときに、
前記複数の実証的な測定が観測されない確率、および(iii) 前記候補タンパク質が前記
試料中に存在する確率、のうちの1つまたは複数を、前記コンピューターによって生成す
る工程。
いくつかの態様において、前記複数の実証的な測定の2つ以上は、(i) 前記試料中の前
記未知のタンパク質に対する1つまたは複数の親和性試薬プローブのそれぞれについての
結合測定であって、親和性試薬プローブそれぞれが、前記複数の候補タンパク質の中の1
つまたは複数の候補タンパク質に選択的に結合するように設定されている、結合測定;(i
i) 前記試料中の1つまたは複数の前記未知のタンパク質の長さ;(iii) 前記試料中の1
つまたは複数の前記未知のタンパク質の疎水性;および(iv) 前記試料中の1つまたは複
数の前記未知のタンパク質の等電点、からなる群より選択される。
いくつかの態様において、前記複数の確率を生成する工程は、複数の追加の親和性試薬
プローブのそれぞれについての結合測定の追加の情報を受信することを、さらに含み、追
加の親和性試薬プローブそれぞれは、前記複数の候補タンパク質の中の1つまたは複数の
候補タンパク質に選択的に結合するように設定されている。いくつかの態様において、方
法は、前記1つまたは複数の候補タンパク質のそれぞれに関して、前記候補タンパク質が
前記試料中の前記未知のタンパク質の1つに整合する信頼水準を生成する工程をさらに含
む。
いくつかの態様において、前記複数の親和性試薬プローブは、50個以下の親和性試薬プ
ローブを含む。いくつかの態様において、前記複数の親和性試薬プローブは、100個以下
の親和性試薬プローブを含む。いくつかの態様において、前記複数の親和性試薬プローブ
は、200個以下の親和性試薬プローブを含む。いくつかの態様において、前記複数の親和
性試薬プローブは、300個以下の親和性試薬プローブを含む。いくつかの態様において、
前記複数の親和性試薬プローブは、500個以下の親和性試薬プローブを含む。いくつかの
態様において、前記複数の親和性試薬プローブは、500個超の親和性試薬プローブを含む
。いくつかの態様において、方法は、前記試料中の前記タンパク質を同定する紙のまたは
電子的なレポートを生成する工程をさらに含む。
いくつかの態様において、前記試料は、生物学的試料を含む。いくつかの態様において
、前記生物学的試料は、対象から得られる。いくつかの態様において、方法は、前記複数
の確率に少なくとも基づいて、前記対象における疾患の状態を同定する工程をさらに含む
いくつかの態様において、(c)は、前記複数の候補タンパク質中の1つまたは複数の候補
タンパク質のそれぞれに関して、(i) 前記複数の実証的な測定の前記情報を前記候補タ
ンパク質が生成する前記確率を、前記コンピューターによって生成することを含む。いく
つかの態様において、(c)は、前記複数の候補タンパク質中の1つまたは複数の候補タンパ
ク質のそれぞれに関して、(ii) 前記候補タンパク質が前記試料中に存在するときに、前
記複数の実証的な測定が観測されない前記確率を、前記コンピューターによって生成する
ことを含む。いくつかの態様において、(c)は、前記複数の候補タンパク質中の1つまたは
複数の候補タンパク質のそれぞれに関して、(iii) 前記候補タンパク質が前記試料中に
存在する前記確率を、前記コンピューターによって生成することを含む。いくつかの態様
において、測定アウトカムは、親和性試薬プローブの結合を含む。いくつかの態様におい
て、測定アウトカムは、親和性試薬プローブの非特異的結合を含む。いくつかの態様にお
いて、測定アウトカムは、親和性試薬プローブの結合を含む。いくつかの態様において、
測定アウトカムは、親和性試薬プローブの非特異的結合を含む。いくつかの態様において
、前記実証的な測定は、親和性試薬プローブの結合を含む。いくつかの態様において、前
記実証的な測定は、親和性試薬プローブの非特異的結合を含む。
いくつかの態様において、方法は、所定の閾値を有するタンパク質同定のある感度を生
成する工程をさらに含む。いくつかの態様において、前記所定の閾値は、不正確であるの
が1%未満というものである。いくつかの態様において、前記試料中の前記タンパク質は、
切断されているか、または分解されている。いくつかの態様において、前記試料中の前記
タンパク質は、タンパク質末端から始まっているのではない。
いくつかの態様において、前記実証的な測定は、前記試料中の1つまたは複数の前記未
知のタンパク質の長さを含む。いくつかの態様において、前記実証的な測定は、前記試料
中の1つまたは複数の前記未知のタンパク質の疎水性を含む。いくつかの態様において、
前記実証的な測定は、前記試料中の1つまたは複数の前記未知のタンパク質の等電点を含
む。いくつかの態様において、前記実証的な測定は、抗体の混合物において実施される測
定を含む。いくつかの態様において、前記実証的な測定は、複数の種から得られた試料に
おいて実施される測定を含む。いくつかの態様において、前記実証的な測定は、非同義の
一塩基多型(SNP)によって引き起こされる1アミノ酸変異(SAV)の存在下で試料におい
て実施される測定を含む。
本開示の追加の局面および利点は、本開示の例証の態様のみが示されそして記載される
以下の詳細な説明から、当業者には容易に明らかになるであろう。理解されるように、本
開示は、他のおよび異なる態様が可能であり、かつ、そのいくつかの詳細は、さまざまな
明らかな点において、本開示から一切逸脱することなく改変することができる。したがっ
て、図面および説明は、本質的に、例証としてみなされるべきものであり、かつ制限する
ものとしてみなされるべきではない。
参照による組み入れ
本明細書において言及されるすべての刊行物、特許、および特許出願は、個々の刊行物
、特許、または特許出願がそれぞれ、参照により組み入れられるように具体的にかつ個々
に示された場合と同程度に、参照により本明細書に組み入れられる。本明細書において含
まれる本開示と相反する、参照により組み入れられる刊行物および特許または特許出願の
範囲については、本明細書が、そのような相反する事柄のどれよりも優先され、および/
または上位に立つことが、意図される。
本発明の新規な特徴は、特に添付の特許請求の範囲において記載される。本発明の特徴
および利点のより良い理解は、本発明の原理が利用される例証の態様が記載される以下の
詳細な説明、ならびに添付される以下の図面(本明細書においてはまた、「図(Figure)
」および「図(FIG.)」とも言う)の参照により、得られるであろう。
開示される態様にしたがった、生物学的試料における未知のタンパク質のタンパク質同定の、例示的フローチャートを示す。 開示される態様にしたがった、親和性試薬プローブの感度(たとえば、1%未満の偽検出率(FDR)で同定される基材のパーセント)を示し、該感度は、3つの異なる実験事例(それぞれ灰色の丸、黒い丸、および白い丸によって表される、50個、100個、および200個のプローブが使用される)について、親和性試薬プローブにおける、プローブの認識部位(たとえば三量体結合エピトープ)の数(プローブの認識部位または三量体結合エピトープは100個までの範囲にわたる)に対してプロットされる。 開示される態様にしたがった、親和性試薬プローブの感度(たとえば、1%未満の偽検出率(FDR)で同定される基材のパーセント)を示し、該感度は、3つの異なる実験事例(それぞれ灰色の丸、黒い丸、および白い丸によって表される、50個、100個、および200個のプローブが使用される)について、親和性試薬プローブにおける、プローブの認識部位(たとえば三量体結合エピトープ)の数(プローブの認識部位または三量体結合エピトープは700個までの範囲にわたる)に対してプロットされる。 開示される態様にしたがった、100個のプローブ(左)、200個のプローブ(中央)、または300個のプローブ(右)を用いる実験によるタンパク質同定の感度を示すプロットを示す。 図5は、さまざまなタンパク質断片化アプローチを用いる実験によるタンパク質同定の感度を示すプロットを示す。上の列および下の列のそれぞれにおいて、開示される態様にしたがった、タンパク質同定の性能が、50個、100個、200個、および300個の親和性試薬測定(4つのパネルにおいて左から右へ)により、50、100、200、300、400、および500の、断片の最大長の値(それぞれ六角形、下向きの三角形、上向きの三角形、ひし形、四角形、および丸によって表される)において示される。 図5は、さまざまなタンパク質断片化アプローチを用いる実験によるタンパク質同定の感度を示すプロットを示す。上の列および下の列のそれぞれにおいて、開示される態様にしたがった、タンパク質同定の性能が、50個、100個、200個、および300個の親和性試薬測定(4つのパネルにおいて左から右へ)により、50、100、200、300、400、および500の、断片の最大長の値(それぞれ六角形、下向きの三角形、上向きの三角形、ひし形、四角形、および丸によって表される)において示される 開示される態様にしたがった、測定のタイプのさまざまな組み合わせを用いる実験によるヒトタンパク質の同定の感度(1%未満のFDRで同定される基材のパーセント)を示すプロットを示す。 開示される態様にしたがった、大腸菌(E. coli)、酵母、またはヒト(それぞれ丸、三角形、および四角形によって表される)のいずれかからの未知のタンパク質に対する50個、100個、200個、または300個の親和性試薬プローブパスを用いる実験によるタンパク質同定の感度を示すプロットを示す。 開示される態様にしたがった、反復(x軸)に対する結合確率(y軸、左)およびタンパク質同定の感度(y軸、右)を示すプロットを示す。 開示される態様にしたがった、シミュレートされたプローブ200個の実験についての、推測された偽同定率の真の偽同定率との比較は、偽同定率の正確な推測を証明することを示す。 本明細書において提供される方法を遂行するようにプログラムされた、または別の状況では、そうするように設定された、コンピューター制御システムを示す。 打ち切りのタンパク質同定アプローチ 対 非打ち切りのタンパク質同定アプローチの性能を示す。 無作為な「偽陰性」結合アウトカムへの、打ち切りのタンパク質同定アプローチおよび非打ち切りのタンパク質同定アプローチの許容性を示す。 無作為な「偽陽性」結合アウトカムへの、打ち切りのタンパク質同定アプローチおよび非打ち切りのタンパク質同定アプローチの許容性を示す。 過大に推測されたまたは過小に推測された親和性試薬の結合確率を用いる、打ち切りのタンパク質同定アプローチおよび非打ち切りのタンパク質同定アプローチの性能を示す。 未知の結合エピトープを有する親和性試薬を用いる、打ち切りのタンパク質同定アプローチおよび非打ち切りのタンパク質同定アプローチの性能を示す。 結合エピトープを欠く親和性試薬を用いる、打ち切りのタンパク質同定アプローチおよび非打ち切りのタンパク質同定アプローチの性能を示す。 プロテオーム中で最上位の最も豊富な三量体300個、プロテオーム中で無作為に選択された三量体300個、またはプロテオーム中で最も乏しい三量体300個を標的とする親和性試薬を用いる、打ち切りのタンパク質同定アプローチおよび非打ち切りのタンパク質同定アプローチの性能を示す。 無作為なオフターゲット部位またはバイオシミラーオフターゲット部位を有する親和性試薬を用いる、打ち切りのタンパク質同定アプローチおよび非打ち切りのタンパク質同定アプローチの性能を示す。 最適な親和性試薬(プローブ)のセットを用いる、打ち切りのタンパク質同定アプローチおよび非打ち切りのタンパク質同定アプローチの性能を示す。 非混合の候補親和性試薬、および候補親和性試薬の混合物を用いる、打ち切りのタンパク質同定アプローチおよび非打ち切りのタンパク質同定アプローチの性能を示す。 いくつかの態様にしたがった、親和性試薬とタンパク質との間の結合を増強する際の、2つのハイブリダイゼーション工程を示す。 いくつかの態様にしたがった、4種類のアミノ酸(K、D、C、およびW)の選択的な修飾ならびに検出のための試薬の集団を用いるタンパク質同定の性能を示す。 いくつかの態様にしたがった、20種類のアミノ酸(R、H、K、D、E、S、T、N、Q、C、G、P、A、V、I、L、M、F、Y、およびW)の選択的な修飾ならびに検出のための試薬の集団を用いるタンパク質同定の性能を示す。 いくつかの態様にしたがった、アミノ酸の順の測定を用いるタンパク質同定の性能を示し、ここですべてのアミノ酸は、x軸上に示される検出確率(反応の有効性に等しい)で測定され、かつy軸は、1%を下回る偽発見率で同定される、試料中のタンパク質のパーセントを示す。
詳細な説明
本発明のさまざまな態様が本明細書において示されかつ記載されているが、そのような
態様が単なる例として提供されていることは、当業者には明らかである。無数の変更、改
変、および置き換えが、本発明から逸脱することなく、当業者に想起され得る。本明細書
において記載される本発明の態様のさまざまな代替物が採用され得ることが、理解される
べきである。
「試料」との語は、本明細書において使用されるように、概して、生物学的試料(たと
えばタンパク質を含む試料)を指す。試料は、組織もしくは細胞から、または組織もしく
は細胞の環境から、採取されてよい。いくつかの例において、試料は、組織生検、血液、
血漿、細胞外液、乾燥血液スポット、培養細胞、培養培地、破棄された組織、植物性物質
、合成タンパク質、細菌のおよび/もしくはウイルスの試料、菌類の組織、古細菌、もし
くは原生動物を含んでよく、またはそれらに由来してよい。試料は、収集の前に、供給源
から単離されていてよい。試料は、法医学的な証拠を含んでよい。非限定的な例は、収集
の前に一次供給源から単離された、指紋、唾液、尿、血液、大便、精液、または他の体液
を含む。いくつかの例において、タンパク質は、試料調製の間に、その一次供給源(細胞
、組織、血液などの体液、環境の試料等)から単離される。試料は絶滅種に由来してよく
、限定するものではないが、化石に由来する試料を含む。タンパク質は、その一次供給源
から精製されてもよく、もしくは精製されなくてもよい、またはそうでなければ、その一
次供給源から濃縮されてもよく、もしくは濃縮されなくてもよい。いくつかの場合におい
て、一次供給源は、さらなる処理の前にホモジナイズされる。いくつかの場合において、
細胞は、RIPAバッファーなどの緩衝液を用いて溶解される。変性緩衝液もまた、この段階
で使用されてよい。試料は、脂質および粒子状物質を除去するために、ろ過または遠心分
離されてよい。試料はまた、核酸を除去するために精製されてよく、またはRNアーゼおよ
びDNアーゼで処理されてもよい。試料は、未処理のタンパク質、変性したタンパク質、タ
ンパク質断片、または部分的に分解したタンパク質を含んでよい。
試料は、疾患または障害を有する対象から採取されてよい。疾患または障害は、感染性
疾患、免疫障害もしくは免疫疾患、がん、遺伝性疾患、変性疾患、生活習慣病、創傷、希
少疾患、または加齢に関する疾患であり得る。感染性疾患は、細菌、ウイルス、菌類、お
よび/または寄生生物によって引き起こされ得る。がんの非限定的な例は、膀胱がん、肺
がん、脳のがん、黒色腫、乳がん、非ホジキンリンパ腫、子宮頸がん、卵巣がん、結腸、
直腸のがん、膵臓がん、食道がん、前立腺がん、腎臓がん、皮膚がん、白血病、甲状腺が
ん、肝臓がん、および子宮がんを含む。遺伝性疾患または遺伝性障害のいくつかの例は、
限定されるものではないが、多発性硬化症(MS)、嚢胞性線維症、シャルコー・マリー・
トゥース病、ハンチントン病、ポイツ・ジェガース症候群、ダウン症候群、関節リウマチ
、およびテイ・サックス病を含む。生活習慣病の非限定的な例は、肥満、糖尿病、動脈硬
化症、心臓病、脳卒中、高血圧、肝硬変、腎炎、がん、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、聴覚
の問題、および慢性背痛を含む。創傷のいくつかの例は、限定されるものではないが、擦
過傷、脳損傷、挫傷、火傷、震とう症、うっ血性心不全、建築現場での傷害、脱臼、動揺
胸、骨折、血胸、椎間板ヘルニア、ヒップポインター、低体温症、裂傷、神経が圧迫され
た状態(pinched nerve)、気胸、肋骨骨折、坐骨神経痛、脊髄損傷、腱、靭帯、筋膜の
損傷、外傷性脳損傷、およびむち打ち症を含む。試料は、疾患もしくは障害を有する対象
の処置の前および/または後に採取されてよい。試料は、処置の前および/または後に採
取されてよい。試料は、処置のまたは処置計画の間に採取されてよい。複数の試料が、処
置の効果を経時的にモニターするために、対象から採取されてよい。試料は、診断用抗体
が利用可能ではない感染性疾患を有することが分かっている、またはそれが疑われる対象
から、採取されてよい。
試料は、疾患または障害を有することが疑われる対象から採取されてよい。試料は、疲
労、悪心、体重減少、痛み(ache)および痛み(pain)、衰弱、または健忘などの、説明
のつかない症状(unexplained symptom)を経験中である対象から、採取されてよい。試
料は、説明のつく症状(explained symptom)を有する対象から採取されてよい。試料は
、家族の病歴、年齢、環境曝露、生活習慣上のリスク因子、もしくは他の公知のリスク因
子の存在などの因子に起因する疾患または障害を発症するリスクのある対象から、採取さ
れてよい。
試料は、胚、胎児、または妊婦から採取されてよい。いくつかの例において、試料は、
母親の血漿から単離されたタンパク質を含んでよい。いくつかの例においては、母親の血
液中の、循環する胎児細胞から単離されたタンパク質。
試料は、健康な個体から採取されてよい。いくつかの場合において、試料は、同じ個体
から長期的に採取されてよい。いくつかの場合において、長期的に入手される試料は、個
体の健康のモニタリング、および健康問題の早期の検出というゴールをともなって、分析
されてよい。いくつかの態様において、試料は、家庭でまたは臨床現場で収集されてよく
、そして続いて、分析の前に、郵送、宅配、または他の輸送方法によって輸送されてよい
。たとえば、家庭でのユーザーは、フィンガープリックにより血液スポット試料を収集し
てよく、該血液スポット試料は、乾燥されてよく、そして続いて、分析の前に、郵送によ
って輸送されてよい。いくつかの場合において、長期的に入手される試料は、健全な運動
能力、または認知能力に影響を与えると予想される刺激への応答をモニターするために、
使用されてよい。非限定的な例は、医薬への、食事療法への、または運動療法への応答を
含む。
試料のタンパク質は、エピトープへの結合を妨害し得る修飾を除去するために、処理さ
れてよい。たとえば、タンパク質は、酵素によって処理されてよい。たとえば、タンパク
質は、翻訳後グリコシル化を除去するために、グリコシダーゼ処理されてよい。タンパク
質は、タンパク質中のジスルフィド結合を還元するために、還元剤を用いて処理されてよ
い。タンパク質は、リン酸基を除去するために、ホスファターゼを用いて処理されてよい
。除去され得る翻訳後修飾の、他の非限定的な例は、アセテート、アミド基、メチル基、
脂質、ユビキチン、ミリストイル化、パルミトイル化、イソプレニル化またはプレニル化
(たとえばファルネソールおよびゲラニルゲラニオール)、ファルネシル化、ゲラニルゲ
ラニル化、グリピエーション(glypiation)、リポイル化、フラビンモエティ結合、ホス
ホパンテテイニル化、ならびにレチニリデンシッフ塩基形成を含む。
試料のタンパク質は、1つまたは複数の残基が、親和性試薬による結合または検出をよ
り受け入れやすくするために、該残基を修飾することによって処理されてよい。いくつか
の場合において、試料のタンパク質は、エピトープへの結合を容易にし得るまたは増強し
得る翻訳後のタンパク質修飾を保持するように、処理されてよい。いくつかの例において
、ホスファターゼ阻害剤が、試料に添加され得る。いくつかの例において、ジスルフィド
結合を保護するために、酸化剤が添加され得る。
試料のタンパク質は完全にまたは部分的に変性されてよい。いくつかの態様において、
タンパク質は完全に変性され得る。タンパク質は、界面活性剤、強酸もしくは強塩基、濃
縮された無機塩、有機溶媒(たとえばアルコールもしくはクロロホルム)、放射線照射、
または熱などの外部ストレスの適用によって変性されてよい。タンパク質は、変性緩衝液
の添加により変性されてよい。タンパク質はまた、変性緩衝液中で、沈殿、凍結乾燥、お
よび懸濁されてよい。タンパク質は、加熱により変性されてよい。タンパク質に化学的修
飾を生じさせる可能性の低い変性方法が、選ばれ得る。
試料のタンパク質は、より短いポリペプチドを産生するために、コンジュゲーションの
前または後のいずれかで処理されてよい。残りのタンパク質は、断片を生成するためにプ
ロテイナーゼKなどの酵素で部分的に消化してよく、または無傷のままにしておいてもよ
い。さらなる例において、タンパク質は、トリプシンなどのプロテアーゼに曝露されてよ
い。プロテアーゼの追加の例は、セリンプロテアーゼ、システインプロテアーゼ、スレオ
ニンプロテアーゼ、アスパラギン酸プロテアーゼ、グルタミン酸プロテアーゼ、メタロプ
ロテアーゼ、およびアスパラギンペプチドリアーゼを含んでよい。
いくつかの場合において、極度に大きいおよび小さいタンパク質(たとえばタイチン)
を除去することは有用となり得、たとえば、そのようなタンパク質はろ過または他の適切
な方法によって除去され得る。いくつかの例において、極度に大きいタンパク質は、少な
くとも約400キロダルトン(kD)、450 kD、500 kD、600 kD、650 kD、700 kD、750 kD、8
00 kD、または850 kDであるタンパク質を含んでよい。いくつかの例において、極度に大
きいタンパク質は、少なくとも約8,000アミノ酸、約8,500アミノ酸、約9,000アミノ酸、
約9,500アミノ酸、約10,000アミノ酸、約10,500アミノ酸、約11,000アミノ酸、または約1
5,000アミノ酸であるタンパク質を含んでよい。いくつかの例において、小さいタンパク
質は、約10 kD未満、9 kD未満、8 kD未満、7 kD未満、6 kD未満、5 kD未満、4 kD未満、3
kD未満、2 kD未満、または1 kD未満のタンパク質を含んでよい。いくつかの例において
、小さいタンパク質は、約50アミノ酸未満、45アミノ酸未満、40アミノ酸未満、35アミノ
酸未満、または約30アミノ酸未満のタンパク質を含んでよい。極度に大きいまたは小さい
タンパク質は、サイズ排除クロマトグラフィーにより除去され得る。極度に大きいタンパ
ク質は、サイズ排除クロマトグラフィーによって単離され、中間サイズのポリペプチドを
産生するためにプロテアーゼで処理され、試料の中間サイズのタンパク質と再度組み合わ
されてよい。
試料のタンパク質は、たとえば、試料を多重化することを可能にする、同定可能なタグ
で、タグ付けされてよい。同定可能なタグのいくつかの非限定的な例は、以下を含む:フ
ルオロフォア、蛍光ナノ粒子、量子ドット、磁気ナノ粒子、またはDNAバーコードに基づ
くリンカー。使用されるフルオロフォアは、GFP、YFP、RFP、eGFP、mCherry、tdtomato、
FITC、Alexa Fluor 350、Alexa Fluor 405、Alexa Fluor 488、Alexa Fluor 532、Alexa
Fluor 546、Alexa Fluor 555、Alexa Fluor 568、Alexa Fluor 594、Alexa Fluor 647、A
lexa Fluor 680、Alexa Fluor 750、Pacific Blue、クマリン、BODIPY FL、Pacific Gree
n、Oregon Green、Cy3、Cy5、Pacific Orange、TRITC、Texas Red、フィコエリスリン、
およびアロフィコシアニン(Allophcocyanin)などの蛍光タンパク質を含んでよい。
任意の数のタンパク質試料が多重化され得る。たとえば多重化された反応は、2、3、4
、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、約20、約25、約30、約35
、約40、約45、約50、約55、約60、約65、約70、約75、約80、約85、約90、約95、約100
、または約100超の初期試料からのタンパク質を含んでよい。同定可能なタグは、各タン
パク質を、その由来の試料に関して調べる手段を提供してよく、または異なる試料からの
タンパク質を、異なる区域または固体支持体に隔離するように誘導してもよい。いくつか
の態様において、タンパク質はその後、タンパク質を基材に化学的に結合させるために、
機能化された基材に適用される。
任意の数のタンパク質試料が、タグ付けされること無しにまたは多重化されること無し
に、分析の前に混合されてよい。たとえば、多重化された反応は、2個、3個、4個、5個、
6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、13個、14個、15個、16個、17個、18個、19個、
約20個、約25個、約30個、約35個、約40個、約45個、約50個、約55個、約60個、約65個、
約70個、約75個、約80個、約85個、約90個、約95個、約100個、または約100個超の初期試
料からの、タンパク質を含んでよい。たとえば、希少な条件に関する診断は、プールされ
た試料において実施されてよい。個々の試料の分析は、その後、試験された、診断が陽性
であったプール中の試料からのみ、実施されてよい。試料は、コンビナトリアルプーリン
グ設計を用いて、タグ付けされること無しに多重化されてよく、該設計においては、個々
の試料からのシグナルが、分析されるプールから、コンピューターによる多重分離を用い
て区別されることを可能にする様式で、試料がプールへと混合される。
「基材」との語は、本明細書において使用されるように、概して、固体の支持体を形成
することができる基材を指す。基材、または固体の基材とは、タンパク質が共有結合もし
くは非共有結合できる、任意の固体の表面を指し得る。固体の基材の非限定的な例は、粒
子、ビーズ、スライド、装置の構成要素の表面、膜、フローセル、ウェル、チャンバー、
マクロ流体チャンバー、ミクロ流体チャンバー、チャンネル、ミクロ流体チャンネル、ま
たは任意の他の表面を含む。基材の表面は、平面であり得るかもしくは湾曲され得、また
は他の形状を有し得、かつ平滑であり得るかもしくは凹凸を有し得る。基材の表面は、マ
イクロウェルを含んでよい。いくつかの態様において、基材は、ガラス、デキストランな
どの炭水化物、ポリスチレンもしくはポリプロピレンなどのプラスチック、ポリアクリル
アミド、ラテックス、シリコン、金などの金属、またはセルロースから構成され得、かつ
タンパク質の共有結合もしくは非共有結合を可能にするまたは強化するために、さらに修
飾されてよい。たとえば、基材の表面は、マレイン酸モエティもしくはコハク酸モエティ
などの特定の官能基での修飾によって機能化されてよく、またはアミノ基、チオール基、
もしくはアクリレート基などの化学的な反応基での修飾によって、シラン化などによって
、誘導体化されてもよい。適切なシラン試薬は、アミノプロピルトリメトキシシラン、ア
ミノプロピルトリエトキシシラン、および4-アミノブチルトリエトキシシランを含む。基
材は、N-ヒドロキシスクシンイミド(NHS)官能基で機能化されてよい。ガラス表面はま
た、たとえばエポキシシラン、アクリレートシラン、またはアクリルアミドシランを用い
て、アクリレートまたはエポキシなどの他の反応基で誘導体化され得る。タンパク質結合
のための、基材および処理は、好ましくは、繰り返される結合、洗浄、画像化、および溶
出の工程に対して安定である。いくつかの例において、基材は、スライド、フローセル、
またはマイクロスケールのもしくはナノスケールの構造(たとえばマイクロウェル、マイ
クロピラー、単一分子アレイ、ナノボール、ナノピラー、もしくはナノワイヤなどの規則
正しい構造)であってよい。
基材上の官能基の間隔は、規則正しくてよく、または無作為であってもよい。官能基の
規則正しいアレイは、たとえばフォトリソグラフィ、ディップペンナノリソグラフィー、
ナノインプリントリソグラフィ、ナノスフェアリソグラフィ、ナノボールリソグラフィ、
ナノピラーアレイ、ナノワイヤリソグラフィ、走査型プローブリソグラフィ、熱化学リソ
グラフィ、熱走査型プローブリソグラフィ、局所酸化ナノリソグラフィ、分子自己集合、
ステンシルリソグラフィ、または電子線リソグラフィによって作製されてよい。規則正し
いアレイ中の官能基は、官能基がそれぞれ、任意の他の官能基から200ナノメートル(nm
)未満であるように、または約200 nm、約225 nm、約250 nm、約275 nm、約300 nm、約32
5 nm、約350 nm、約375 nm、約400 nm、約425 nm、約450 nm、約475 nm、約500 nm、約52
5 nm、約550 nm、約575 nm、約600 nm、約625 nm、約650 nm、約675 nm、約700 nm、約72
5 nm、約750 nm、約775 nm、約800 nm、約825 nm、約850 nm、約875 nm、約900 nm、約92
5 nm、約950 nm、約975 nm、約1000 nm、約1025 nm、約1050 nm、約1075 nm、約1100 nm
、約1125 nm、約1150 nm、約1175 nm、約1200 nm、約1225 nm、約1250 nm、約1275 nm、
約1300 nm、約1325 nm、約1350 nm、約1375 nm、約1400 nm、約1425 nm、約1450 nm、約1
475 nm、約1500 nm、約1525 nm、約1550 nm、約1575 nm、約1600 nm、約1625 nm、約1650
nm、約1675 nm、約1700 nm、約1725 nm、約1750 nm、約1775 nm、約1800 nm、約1825 nm
、約1850 nm、約1875 nm、約1900 nm、約1925 nm、約1950 nm、約1975 nm、約2000 nm、
もしくは2000 nm超であるように、配置されてよい。無作為な間隔の官能基は、官能基が
、任意の他の官能基から平均して少なくとも約50 nm、約100 nm、約150 nm、約200 nm、
約250 nm、約300 nm、約350 nm、約400 nm、約450 nm、約500 nm、約550 nm、約600 nm、
約650 nm、約700 nm、約750 nm、約800 nm、約850 nm、約900 nm、約950 nm、約1000 nm
、または100 nm超であるような密集状態で、提供されてよい。
基材は、間接的に機能化されてよい。たとえば、基材はPEG化されてよく、かつ官能基
がPEG分子のすべて、またはPEG分子のサブセットに適用されてよい。基材は、マイクロス
ケールのまたはナノスケールの構造(たとえばマイクロウェル、マイクロピラー、単一分
子アレイ、ナノボール、ナノピラー、もしくはナノワイヤなどの規則正しい構造)のため
に適した技術を用いて、機能化されてよい。
基材は、金属、ガラス、プラスチック、セラミック、またはそれらの組み合わせを含む
、任意の素材を含んでよい。いくつかの好ましい態様において、固体基材はフローセルで
あり得る。フローセルは、単一の層、または複数の層から構成され得る。たとえばフロー
セルは、基部層(たとえばホウケイ酸ガラス製のもの)、基部層を覆うチャンネル層(た
とえばエッチングされたシリコン製のもの)、およびカバー層または最上部層を含み得る
。それらの層が共に組み立てられると、囲われたチャンネルが形成され得、該チャネルは
、カバーを通って両端に入口/出口を有する。それぞれの層の厚さは可変であるが、好ま
しくは約1700 μm未満である。層は、感光性ガラス、ホウケイ酸ガラス、溶融シリケート
(fused silicate)、PDMS、またはシリコンなどの適した素材から構成され得る。異なる
層は、同じ素材から、または異なる素材から、構成され得る。
いくつかの態様において、フローセルは、フローセルの底部にチャンネルのための開口
部を含み得る。フローセルは、別々に視覚化され得る位置において、何百万もの付着され
た標的コンジュゲーション部位を含み得る。いくつかの態様において、本発明の態様で使
用されるさまざまなフローセルは、異なる数のチャンネル(たとえば1チャンネル、2以上
のチャンネル、3以上のチャンネル、4以上のチャンネル、6以上のチャンネル、8以上のチ
ャンネル、10以上のチャンネル、12以上のチャンネル、16以上のチャンネル、または16超
のチャンネル)を含み得る。さまざまなフローセルは、異なる深さまたは幅のチャンネル
を含み得、これらは1つのフローセル中のチャンネルの間で異なっていてよく、または異
なるフローセルのチャンネルの間で異なっていてもよい。1つのチャンネルはまた、深さ
および/または幅が変化し得る。たとえば1つのチャンネルは、チャンネル中の1つまたは
複数の場所で、約50 μm未満の深さ、約50 μmの深さ、約100 μm未満の深さ、約100 μm
の深さ、約100 μmから約 500 μmの深さ、約500 μmの深さ、または約500 μm超の深さ
であり得る。チャンネルは、限定するものではないが、円形の、半円形の、長方形の、台
形の、三角形の、または卵形の断面を含む、任意の断面形状を有し得る。
タンパク質は、基材に、スポットされてよく、滴下されてよく、ピペットされてよく、
注がれてよく、洗浄されてよく、または他の方法で適用されてよい。NHSエステルなどの
モエティで機能化された基材の場合には、タンパク質の修飾は必要とされない。代わりの
モエティ(たとえばスルフヒドリル、アミン、またはリンカー核酸)で機能化された基材
の場合には、架橋試薬(たとえばスベリン酸ジスクシンイミジル、NHS、スルホンアミド
)が使用されてよい。リンカー核酸で機能化された基材の場合には、試料のタンパク質は
、相補的な核酸タグで修飾されてよい。
光活性化架橋剤は、試料の架橋を基材上の特定の区域に指向させるために使用されてよ
い。光活性化架橋剤は、各試料を基材の既知の領域に付着させることによってタンパク質
試料の多重化を可能にするために、使用されてよい。光活性化架橋剤は、たとえばタンパ
ク質を架橋する前に蛍光タグを検出することによって、成功裏にタグ付けされたタンパク
質の特異的な付着を可能にし得る。光活性化架橋剤の例は、限定するものではないが、N-
5-アジド-2-ニトロベンゾイルオキシスクシンイミド、スルホスクシンイミジル6-(4'-ア
ジド-2'-ニトロフェニルアミノ)ヘキサノアート、スクシンイミジル4,4'-アジペンタノア
ート、スルホスクシンイミジル4,4'-アジペンタノアート、スクシンイミジル6-(4,4'-ア
ジペンタンアミド)ヘキサノアート、スルホスクシンイミジル6-(4,4'-アジペンタンアミ
ド)ヘキサノアート、スクシンイミジル2-((4,4'-アジペンタンアミド)エチル)-1,3'-ジチ
オプロピオナート、およびスルホスクシンイミジル2-((4,4'-アジペンタンアミド)エチル
)-1,3'-ジチオプロピオナートを含む。
ポリペプチドは、1つまたは複数の残基によって基材に付着されてよい。いくつかの例
において、ポリペプチドは、N末端、C末端、両方の末端を介して、または内部の残基を介
して、付着されてよい。
永続的な架橋剤に加えて、いくつかの適用に関して光切断性リンカーを使用すること、
およびそうすることによって分析後に基材からタンパク質を選択的に抽出することを可能
にすることは、適切であり得る。いくつかの場合において、光切断性架橋剤は、いくつか
の異なる多重化試料に使用されてよい。いくつかの場合において、光切断性架橋剤は、多
重化された反応中の1つまたは複数の試料から使用されてよい。いくつかの場合において
、多重化された反応は、永続的な架橋剤を介して基材に架橋された対照試料、および光切
断性架橋剤を介して基材に架橋された実験試料を含んでよい。
コンジュゲートされた各タンパク質は、コンジュゲートされた各タンパク質が光学的に
解像可能であるように、コンジュゲートされた他のタンパク質それぞれから空間的に分離
されてよい。タンパク質はしたがって、固有の空間的アドレスを用いて、個々にラベルさ
れてよい。いくつかの態様において、これは、各タンパク質分子が他のタンパク質分子そ
れぞれから空間的に分離されるように低い濃度のタンパク質および基材上の低い密度の付
着部位を用いるコンジュゲーションによって、達成され得る。例として、光活性化架橋剤
が使用される場合、タンパク質があらかじめ決定されている位置に付加されるように、光
パターンが使用されてよい。
いくつかの態様において、各タンパク質は、固有の空間的アドレスに関連付けられてよ
い。たとえば、タンパク質が空間的に分離される位置において基材に付着すると、各タン
パク質には、座標などによる、インデックス付きアドレスが割り当てられ得る。いくつか
の例において、あらかじめ割り当てられる固有の空間的アドレスの格子が、あらかじめ決
定されていてよい。いくつかの態様において、各タンパク質の配置が基材上の固定マーク
に対して決定され得るように、基材は、容易に同定可能な固定マークを含んでよい。いく
つかの例において、基材は、表面上に永続的に記された、格子線および/もしくはおよび
「起点」または他の基準を有してよい。いくつかの例において、基材の表面は、架橋され
たタンパク質の位置を特定するための基準を提供するために、永続的にまたは半永続的に
マークが付けられていてよい。コンジュゲートされたポリペプチドの外縁などのパターン
それ自体の形状もまた、各スポットの固有の位置を決定するための基準として使用されて
よい。
基材はまた、コンジュゲートされたタンパク質標準物および対照を含んでよい。コンジ
ュゲートされたタンパク質標準物および対照は、既知の位置にコンジュゲートされた、既
知の配列のペプチドまたはタンパク質であってよい。いくつかの例において、コンジュゲ
ートされたタンパク質標準物および対照は、アッセイにおける内部対照として役立ち得る
。該タンパク質は、精製されたタンパク質ストックから基材へと適用されてよく、または
核酸プログラマブルタンパク質アレイ(Nucleic Acid-Programmable Protein Array)(N
APPA)などの処理によって基材上で合成されてよい。
いくつかの例において、基材は蛍光標準物を含んでよい。これらの蛍光標準物は、アッ
セイ間の蛍光シグナルの強度を較正するために使用されてよい。これらの蛍光標準物はま
た、蛍光シグナルの強度を、ある区域に存在するフルオロフォアの数と相関させるために
、使用されてもよい。蛍光標準物は、アッセイにおいて使用される異なる種類のフルオロ
フォアのいくつかまたはすべてを含んでよい。
基材が、試料からのタンパク質とコンジュゲートされたら、複数の親和性試薬測定を実
施することができる。本明細書において記載される測定プロセスは、さまざまな親和性試
薬を利用してよい。いくつかの態様において、複数の親和性試薬は、ともに混合されてよ
く、かつ測定は、タンパク質-基材コンジュゲートへの、親和性試薬混合物の結合におい
て、実施されてよい。いくつかの場合において、親和性試薬混合物の結合において実施さ
れる測定は、異なる溶媒条件によって、および/または異なるタンパク質折りたたみ条件
によって、変化し得る;したがって、繰り返される測定が、同じ親和性試薬、または親和
性試薬の同じセットにおいて、そのような変化させた溶媒条件下および/またはタンパク
質折りたたみ条件下で、結合測定の異なるセットを得る目的で、実施されてよい。いくつ
かの場合において、結合測定の異なるセットは、その中のタンパク質が酵素によって(た
とえばグリコシダーゼ、ホスホリラーゼ、もしくはホスファターゼによって)処理されて
いる試料、または酵素によって処理されていない試料において、繰り返される測定を実施
することによって、得られ得る。
「親和性試薬」との語は、本明細書において使用されるように、概して、タンパク質ま
たはペプチドに、再現性のある特異性を有して結合する、試薬を指す。たとえば親和性試
薬は、抗体、抗体断片、アプタマー、ミニタンパク質バインダー、またはペプチドであっ
てよい。いくつかの態様において、ミニタンパク質バインダーは、長さが30~210アミノ
酸の間であり得るタンパク質バインダーを含んでよい。いくつかの態様において、ミニタ
ンパク質バインダーが設計されてよい。たとえば、タンパク質バインダーは、ペプチド大
環状分子(たとえば、その全体が参照により本明細書に組み入れられる[Hosseinzadeh et
al., “Comprehensive computational design of ordered peptide macrocycles,” Sci
ence, 2017 Dec. 15; 358(6369): 1461-1466]に記載される)を含み得る。いくつかの態
様において、モノクローナル抗体が選ばれ得る。いくつかの態様において、Fab断片など
の抗体断片が選ばれ得る。いくつかの態様において、親和性試薬は、市販の抗体などの市
販の親和性試薬であってよい。いくつかの態様において、望ましい親和性試薬は、有用な
特徴を有するものを同定するために市販の親和性試薬をスクリーニングすることによって
、選択されてよい。
親和性試薬は、高い、中間の、または低い特異性を有してよい。いくつかの例において
、親和性試薬は、いくつかの異なるエピトープを認識してよい。いくつかの例において、
親和性試薬は、2以上の異なるタンパク質に存在するエピトープを認識してよい。いくつ
かの例において、親和性試薬は、多くの異なるタンパク質に存在するエピトープを認識し
てよい。いくつかの場合において、本開示の方法において使用される親和性試薬は、エピ
トープ1つだけに対して、高度に特異的であってよい。いくつかの場合において、本開示
の方法において使用される親和性試薬は、翻訳後修飾を含むエピトープ1つだけに対して
、高度に特異的であってよい。いくつかの場合において、親和性試薬は、高度に類似した
エピトープへの特異性を有し得る。いくつかの場合において、高度に類似したエピトープ
への特異性を有する親和性試薬は、高度に類似するタンパク質候補配列(たとえば、1ア
ミノ酸変異を有する候補、またはアイソフォーム)を区別するために、特異的に設計され
得る。いくつかの場合において、親和性試薬は、タンパク質配列のカバレッジを最大にす
るために、高度に多様性のあるエピトープへの特異性を有してよい。いくつかの態様にお
いて、タンパク質-基材へのプローブ結合の確率論的な性質のために、結果は異なる可能
性があり、かつしたがって、タンパク質同定に関して追加の情報を提供し得る、と予想し
て、実験が、同じ親和性プローブを用いて繰り返して実施されてよい。
いくつかの場合において、親和性試薬によって認識される、特異的な単数のエピトープ
または複数のエピトープは、完全には既知でなくてよい。たとえば、親和性試薬は、1つ
または複数の、全長タンパク質、タンパク質複合体、もしくはタンパク質断片に特異的に
結合することに関して、特異的な結合エピトープの知見無しに、設計または選択され得る
。定性プロセスによって、この試薬の結合プロファイルは精巧なものになっている可能性
がある。特異的な結合エピトープが未知であるとしても、前記親和性試薬を用いる結合測
定は、タンパク質のアイデンティティを決定するために使用され得る。たとえば、タンパ
ク質標的に結合するように設計された市販の抗体またはアプタマーが、親和性試薬として
使用され得る。アッセイ条件(たとえば完全に折りたたまれている、部分的に変性してい
る、または完全に変性している)のもとでの定性の後で、未知のタンパク質へのこの親和
性試薬の結合は、未知のタンパク質のアイデンティティについての情報を提供し得る。い
くつかの場合において、タンパク質特異的親和性試薬の集団(たとえば市販の抗体または
アプタマー)が、それらが標的とする特異的なエピトープについての知見とともに、また
は該知見無しのいずれかで、タンパク質同定を生成するために、使用され得る。いくつか
の場合において、タンパク質特異的親和性試薬の集団は、約50個、100個、200個、300個
、400個、500個、600個、700個、800個、900個、1000個、2000個、3000個、4000個、5000
個、10000個、20000個、または20000個超の、親和性試薬を含んでよい。いくつかの場合
において、親和性試薬の集団は、特定の生物において標的への反応性が証明されている、
すべての市販の親和性試薬を含んでよい。たとえば、タンパク質特異的親和性試薬の集団
は、各親和性試薬に関して個々になされる結合測定を用いて、連続してアッセイされてよ
い。いくつかの場合において、タンパク質特異的親和性試薬のサブセットは、結合測定の
前に混合されてよい。たとえば、結合測定パスそれぞれに関して、親和性試薬の新規な混
合物は、完全なセットから無作為に選択された親和性試薬のサブセットを含むように、選
択されてよい。たとえば、続く混合物それぞれは、親和性試薬の多くが複数の混合物の中
に存在するであろうと予想して、同じ無作為な様式で生成されてよい。いくつかの場合に
おいて、タンパク質同定は、タンパク質特異的親和性試薬の混合物を用いて、より速やか
に生成され得る。いくつかの場合において、タンパク質特異的親和性試薬のそのような混
合物は、任意の個々のパスにおいて親和性試薬が結合する、未知のタンパク質のパーセン
テージを、増加させ得る。親和性試薬の混合物は、すべての利用可能な親和性試薬の、約
1%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、または90%超を含んでよい。1
回の実験において評価される親和性試薬の混合物は、個々の親和性試薬が共通であっても
よく、または共通でなくてもよい。いくつかの場合において、同じタンパク質に結合する
集団中に、複数の異なる親和性試薬が存在してよい。いくつかの場合において、集団中の
各親和性試薬は、異なるタンパク質に結合してよい。同じタンパク質への親和性を有する
複数の親和性試薬が、単一の未知のタンパク質に結合する場合、前記親和性試薬の共通の
標的である未知のタンパク質のアイデンティティにおける信頼度は、増加し得る。いくつ
かの場合において、同じタンパク質を標的とする複数のタンパク質親和性試薬の使用は、
複数の親和性試薬が同じタンパク質上の異なるエピトープに結合し、かつ、該タンパク質
を標的とする親和性試薬のあるサブセットの結合のみが、結合エピトープの翻訳後修飾ま
たは他の立体障害(steric hinderance)によって妨害され得る場合に、冗長性を提供し
得る。いくつかの場合において、その結合エピトープが未知である親和性試薬の結合は、
その結合エピトープが既知である親和性試薬の結合測定と組み合わせて、タンパク質同定
を生成するために使用され得る。
いくつかの例において、1つまたは複数の親和性試薬は、2個、3個、4個、5個、6個、7
個、8個、9個、10個、または10個超のアミノ酸などの所定の長さのアミノ酸モチーフに結
合するように、選ばれてよい。いくつかの例において、1つまたは複数の親和性試薬は、2
アミノ酸から40アミノ酸までの異なる長さのある範囲のアミノ酸モチーフに結合するよう
に、選ばれてよい。
いくつかの場合において、親和性試薬は、核酸バーコードで標識されてよい。いくつか
の例において、核酸バーコードは、使用後に親和性試薬を精製するために使用されてよい
。いくつかの例において、核酸バーコードは、繰り返しの使用のため親和性試薬を仕分け
するために、使用されてよい。いくつかの場合において、親和性試薬は、使用後に親和性
試薬を仕分けするために使用され得るフルオロフォアで、標識されてよい。
親和性試薬のファミリーは、親和性試薬の1つまたは複数の種類を含んでよい。たとえ
ば、本開示の方法は、抗体、抗体断片、Fab断片、アプタマー、ペプチド、およびタンパ
ク質の1つまたは複数を含む親和性試薬のファミリーを使用してよい。
親和性試薬は修飾されてよい。修飾の例は、限定されるものではないが、検出モエティ
の結合を含む。検出モエティは、直接的にまたは間接的に結合されてよい。たとえば検出
モエティは、親和性試薬に直接的に共有結合されてよく、またはリンカーを介して結合さ
れてよく、または相補的な核酸タグもしくはビオチン・ストレプトアビジンの対などの親
和性反応を介して結合されてよい。軽い洗浄および親和性試薬の溶出に耐えることのでき
る結合方法が、選ばれ得る。
親和性試薬は、たとえば、結合イベントの同定または定量(たとえば結合イベントの蛍
光検出で)を可能にする、同定可能なタグで、タグ付けされてよい。同定可能なタグの、
いくつかの非限定的な例は、以下を含む:フルオロフォア、磁気ナノ粒子、または核酸バ
ーコードに基づくリンカー。使用されるフルオロフォアは、GFP、YFP、RFP、eGFP、mCher
ry、tdtomato、FITC、Alexa Fluor 350、Alexa Fluor 405、Alexa Fluor 488、Alexa Flu
or 532、Alexa Fluor 546、Alexa Fluor 555、Alexa Fluor 568、Alexa Fluor 594、Alex
a Fluor 647、Alexa Fluor 680、Alexa Fluor 750、Pacific Blue、クマリン、BODIPY FL
、Pacific Green、Oregon Green、Cy3、Cy5、Pacific Orange、TRITC、Texas Red、フィ
コエリスリン、およびアロフィコシアニンなどの、蛍光タンパク質を含んでよい。あるい
は、親和性試薬は、結合イベントが、たとえば結合イベントの表面プラズモン共鳴(SPR
)検出で、直接的に検出される際などに、タグが除去されてよい。
検出モエティの例は、限定するものではないが、フルオロフォア、生物発光タンパク質
、不変の領域およびバーコード領域を含む核酸セグメント、または磁気粒子などのナノ粒
子を連結するための化学的テザーを含む。たとえば、親和性試薬は、DNAバーコードでタ
グ付けされてよく、これらはその後、それらの位置において、明確に配列決定され得る。
別の例として、異なるフルオロフォアのセットが、蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)検出
法による検出モエティとして、使用されてよい。検出モエティは、励起または発光の異な
るパターンを有する、いくつかの異なるフルオロフォアを含んでよい。
検出モエティは、親和性試薬から切断可能であってよい。これは、もはや関心対象では
ない親和性試薬から検出モエティが除去される工程によってシグナル混入を減少させるこ
とを可能にし得る。
いくつかの場合において、親和性試薬は未修飾である。たとえば、もし親和性試薬が抗
体であるならば、抗体の存在は原子間力顕微鏡によって検出されてよい。親和性試薬は未
修飾であってよく、かつ、たとえば親和性試薬の1種または複数種に対して特異的な抗体
を手に入れることによって、検出されてよい。たとえば、もし親和性試薬がマウス抗体で
あるならば、マウス抗体は、抗マウス二次抗体を用いて検出されてよい。交代で、親和性
試薬は、アプタマーに特異的な抗体によって検出されるアプタマーであってよい。二次抗
体は、上述のように検出モエティで修飾されてよい。いくつかの場合において、二次抗体
の存在は、原子間力顕微鏡によって検出されてよい。
いくつかの例において、親和性試薬は、同じ修飾、たとえばコンジュゲートされた緑色
蛍光タンパク質を含んでよく、または異なる2種類以上の修飾を含んでよい。たとえば、
各親和性試薬は、異なる励起波長または発光波長をそれぞれ有する、いくつかの異なる蛍
光モエティの1つにコンジュゲートされてよい。いくつかの異なる親和性試薬は組み合わ
され得、かつ/または識別され得るので、これは、親和性試薬の多重化を可能にし得る。
1つの例において、第1の親和性試薬は緑色蛍光タンパク質にコンジュゲートされてよく、
第2の親和性試薬は黄色蛍光タンパク質にコンジュゲートされてよく、かつ第3の親和性試
薬は赤色蛍光タンパク質にコンジュゲートされてよく、したがってこれら3つの親和性試
薬は多重化され得、かつそれらの蛍光によって同定され得る。さらなる例において、第1
、第4、および第7の親和性試薬は緑色蛍光タンパク質にコンジュゲートされてよく、第2
、第5、および第8の親和性試薬は黄色蛍光タンパク質にコンジュゲートされてよく、かつ
第3、第6、および第9の親和性試薬は赤色蛍光タンパク質にコンジュゲートされてよい;
この場合、第1、第2、および第3の親和性試薬はともに多重化され得、一方で第2、第4、
および第7の親和性試薬、ならびに第3、第6、および第9の親和性試薬は、2つのさらなる
多重化反応を形成する。ともに多重化され得る親和性試薬の数は、それらを区別するため
に使用される検出モエティ次第で変わり得る。たとえば、フルオロフォアで標識された親
和性試薬の多重化は、利用可能な独特のフルオロフォアの数によって制限され得る。さら
なる例としては、核酸タグで標識された親和性試薬の多重化は、核酸バーコードの長さに
よって決定されてよい。核酸は、デオキシリボ核酸(DNA)またはリボ核酸(RNA)であり
得る。
各親和性試薬の特異性は、アッセイにおける使用の前に決定され得る。親和性試薬の結
合特異性は、既知のタンパク質を用いる対照実験において決定され得る。任意の適切な実
験方法が、親和性試薬の特異性を決定するために使用されてよい。一例では、基材に、既
知のタンパク質標準物を既知の位置に載せて、複数の親和性試薬の特異性を評価するため
に使用してよい。別の例においては、各親和性試薬の特異性が対照および標準物への結合
から算出され得、その後実験試料を同定するために使用され得るように、基材は、実験試
料ならびに対照および標準物のパネルの両方を含んでよい。いくつかの場合において、未
知の特異性を有する親和性試薬が、既知の特異性の親和性試薬とともに含まれてよく、既
知の特異性の親和性試薬からのデータが、タンパク質を同定するために使用されてよく、
かつ未知の特異性の親和性試薬の、同定されるタンパク質への結合のパターンが、それら
の結合特異性を決定するために使用されてよい。どのタンパク質が個々の親和性試薬と結
合したのかを評価するために、他の親和性試薬の既知の結合データを用いて、任意の個々
の親和性試薬の特異性を再確認することもまた、可能である。いくつかの場合において、
基材にコンジュゲートされた既知の各タンパク質への、親和性試薬の結合の頻度は、基材
上のタンパク質のいずれかに結合する確率を導き出すために、使用され得る。いくつかの
場合において、エピトープ(たとえばアミノ酸配列または翻訳後修飾)を含む既知のタン
パク質への結合の頻度は、特定のエピトープへの親和性試薬の結合の確率を決定するため
に、使用され得る。したがって、親和性試薬パネルの複数の使用により、親和性試薬の特
異性は各反復のたびにますます洗練され得る。特定のタンパク質に対して一意的に特異的
な親和性試薬が使用され得るが、本明細書において記載される方法は、それらを必要とし
なくてもよい。加えて方法は、ある範囲の特異性において効果的であり得る。いくつかの
例において、本明細書において記載される方法は、親和性試薬が、いかなる特定のタンパ
ク質に対しても特異的ではないが、代わりに、アミノ酸モチーフ(たとえばトリペプチド
AAA)に対して特異的である場合に、特に有効であり得る。
いくつかの例において、親和性試薬は、高い、中間の、または低い結合親和性を有する
ように選ばれてよい。いくつかの場合において、低いまたは中間の結合親和性を有する親
和性試薬が選ばれ得る。いくつかの場合において、親和性試薬は、約10-3 M、10-4 M、10
-5 M、10-6 M、10-7 M、10-8 M、10-9 M、10-10 Mの、または約10-10 Mより小さい解離定
数を有してよい。いくつかの場合において、親和性試薬は、約10-10 M、10-9 M、10-8 M
、10-7 M、10-6 M、10-5 M、10-4 M、10-3 M、10-2 Mを超える、または10-2 Mより大きい
解離定数を有してよい。いくつかの場合において、低いもしくは中間のkoff速度または中
間のもしくは高いkon速度の親和性試薬が好ましいことがある。
親和性試薬のいくつかは、リン酸化されたまたはユビキチン化されたアミノ酸配列など
の修飾されたアミノ酸配列に結合するために、選ばれてよい。いくつかの例において、1
種または複数種の親和性試薬は、1種または複数種のタンパク質によって含まれ得るエピ
トープのファミリーに対し広く特異的であるように、選ばれてよい。いくつかの例におい
て、1種または複数種の親和性試薬は、2つ以上の異なるタンパク質に結合してよい。いく
つかの例において、1種または複数種の親和性試薬は、それらの1つまたは複数の標的に弱
く結合してよい。たとえば親和性試薬は、10%未満、10%未満、15%未満、20%未満、25%未
満、30%未満、または35%未満が、それらの1つまたは複数の標的に結合し得る。いくつか
の例において、1種または複数種の親和性試薬は、それらの1つまたは複数の標的に中程度
にまたは強固に結合してよい。たとえば親和性試薬は、35%超、40%超、45%超、60%超、65
%超、70%超、75%超、80%超、85%超、90%超、91%超、92%超、93%超、94%超、95%超、96%超
、97%超、98%超、または99%超が、それらの1つまたは複数の標的に結合し得る。
弱い結合を補うために、過剰な親和性試薬が、基材に適用されてよい。親和性試薬は、
約1:1、2:1、3:1、4:1、5:1、6:1、7:1、8:1、9:1または10:1で、試料タンパク質に対し
て過剰に適用されてよい。親和性試薬は、約1:1、2:1、3:1、4:1、5:1、6:1、7:1、8:1、
9:1、または10:1で、試料タンパク質におけるエピトープの予想される出現率に対して過
剰に適用されてよい。
親和性試薬の速い解離速度を補うために、リンカーモエティが、各親和性試薬に結合さ
れてよく、そしてリンカーモエティは、結合された親和性試薬を、それが結合する基材ま
たは未知のタンパク質に可逆的に連結するために、使用されてよい。たとえば、DNAタグ
が、各親和性試薬の末端に結合され得、そして異なるDNAタグが、基材または各未知のタ
ンパク質に結合され得る。親和性試薬が未知のタンパク質にハイブリダイズした後で、リ
ンカーDNA、これは親和性試薬と結合しているDNAタグに対して一方の末端において相補的
であり、かつ基材と結合しているタグに対して他方の末端において相補的であるが、これ
は、基材に親和性試薬を結合させるために、チップに添加され得、そしてこれは、親和性
試薬が測定の前に解離することを防ぐ。結合後、連結された親和性試薬は、DNAリンカー
の結合を分断するために熱または高塩濃度の存在下で洗浄することにより、離れ得る。
図21は、いくつかの態様にしたがった、親和性試薬とタンパク質との間の結合を増強す
る際の、2つのハイブリダイゼーション工程を示す。特に、図21の工程1は、親和性試薬の
ハイブリダイゼーションを示す。工程1に示されるように、親和性試薬2110は、タンパク
質2130にハイブリダイズする。タンパク質2130は、スライド2105に結合されている。工程
1に示されるように、親和性試薬2110は、結合されているDNAタグ2120を有する。いくつか
の態様において、親和性試薬は、複数の、結合されているDNAタグを有してよい。いくつ
かの態様において、親和性試薬は、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10
個、11個、12個、13個、14個、15個、16個、17個、18個、19個、20個、または20個超の、
結合されているDNAタグを有してよい。DNAタグ2120は、認識配列2125を有する一本鎖DNA
(ssDNA)タグを含む。加えて、タンパク質2130は、2つのDNAタグ2140を含む。いくつか
の態様において、DNAタグは、タンパク質中のシステインと反応する化学反応を用いて付
加されてよい。いくつかの態様において、タンパク質は、複数の、結合されているDNAタ
グを有してよい。いくつかの態様において、タンパク質は、1個、2個、3個、4個、5個、6
個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、13個、14個、15個、16個、17個、18個、19個、2
0個、25個、30個、35個、40個、45個、50個、55個、60個、65個、70個、75個、80個、85
個、90個、95個、100個、または100個超の、結合されているDNAタグを有してよい。各DNA
タグ2140は、認識配列2145を有するssDNAタグを含む。
工程2に示されるように、DNAリンカー2150は、親和性試薬2110およびタンパク質2130に
それぞれ結合されているDNAタグ2120および2140に、ハイブリダイズする。DNAリンカー21
50は、それぞれ認識配列2125および2145に相補的な配列を有する、ssDNAを含む。さらに
、工程2に示されるように、認識配列2125および2145は、DNAリンカー2150がDNAタグ2120
および2140の両方と同時に結合することを可能にするように、DNAリンカー2150に対して
位置する。特に、DNAリンカー2150の第一の領域2152は、認識配列2125と選択的にハイブ
リダイズし、かつDNAリンカー2150の第二の領域2154は、認識配列2145と選択的にハイブ
リダイズする。いくつかの態様において、第一の領域2152、および第二の領域2154は、DN
Aリンカー上で、互いに離れて配置されてよい。特に、いくつかの態様において、DNAリン
カーの第一の領域、およびDNAリンカーの第二の領域は、第一の領域と第二の領域との間
のハイブリダイズしないスペーサー配列によって、離れて配置されてよい。さらに、いく
つかの態様において、認識配列の配列は、DNAリンカーに対して完全には相補的ではない
場合があり得るが、しかし依然として、DNAリンカー配列に結合し得る。いくつかの態様
において、認識配列の長さは、5ヌクレオチド未満、5ヌクレオチド、6ヌクレオチド、7ヌ
クレオチド、8ヌクレオチド、9ヌクレオチド、10ヌクレオチド、11ヌクレオチド、12ヌク
レオチド、13ヌクレオチド、14ヌクレオチド、15ヌクレオチド、16ヌクレオチド、17ヌク
レオチド、18ヌクレオチド、19ヌクレオチド、20ヌクレオチド、21ヌクレオチド、22ヌク
レオチド、23ヌクレオチド、24ヌクレオチド、25ヌクレオチド、26ヌクレオチド、27ヌク
レオチド、28ヌクレオチド、29ヌクレオチド、または30ヌクレオチド、または30ヌクレオ
チド超であってよい。いくつかの態様において、認識配列は、相補的なDNAタグ配列に対
して、1つまたは複数の不整合を有してよい。いくつかの態様において、認識配列は、10
ヌクレオチドのうちおよそ1個が、相補的DNAタグ配列に対して不整合であり得るが、しか
し依然として、相補的DNAタグ配列にハイブリダイズし得る。いくつかの態様において、
認識配列は、10ヌクレオチドのうち1個未満が、相補的DNAタグ配列に対して不整合であり
得るが、しかし依然として、相補的DNAタグ配列にハイブリダイズし得る。いくつかの態
様において、認識配列は、10ヌクレオチドのうちおよそ2個が、相補的DNAタグ配列に対し
て不整合であり得るが、しかし依然として、相補的DNAタグ配列にハイブリダイズし得る
。いくつかの態様において、認識配列は、10ヌクレオチドのうち2個超が、相補的DNAタグ
配列に対して不整合であり得るが、しかし依然として、相補的DNAタグ配列にハイブリダ
イズし得る。
親和性試薬はまた、磁気を帯びた構成要素を含んでよい。磁気を帯びた構成要素は、い
くつかのもしくはすべての結合した親和性試薬を同じ画像面またはzスタックで操作する
ために、有用であり得る。いくつかのまたはすべての親和性試薬を同じ画像面で操作する
ことは、画像化データの質を改善し得、かつシステム中のノイズを減少させ得る。
「検出器」との語は、本明細書において使用されるように、概して、シグナルを検出す
ることができる装置を指し、該シグナルは、タンパク質への親和性試薬の結合イベントの
存在または非存在を示すシグナルを含む。シグナルは、表面プラズモン共鳴(SPR)シグ
ナルなどの、結合イベントの存在または非存在を示す直接的なシグナルであってよい。シ
グナルは、蛍光シグナルなどの、結合イベントの存在または非存在を示す間接的なシグナ
ルであってよい。いくつかの場合において、検出器は、シグナルを検出することができる
、光学的なおよび/または電子的な構成要素を含んでよい。「検出器」との語は、検出方
法において使用され得る。検出方法の非限定的な例は、光学的検出、分光学的検出、静電
気学的検出、電気化学的検出、磁気的検出、蛍光検出、表面プラズモン共鳴(SPR)等を
含む。光学的検出方法の例は、限定されるものではないが、蛍光測定および紫外可視光吸
光度を含む。分光学的検出方法の例は、限定されるものではないが、質量分析、核磁気共
鳴(NMR)分光法、および赤外分光法を含む。静電気学的検出方法の例は、限定されるも
のではないが、ゲル電気泳動などの、ゲルに基づく技術を含む。電気化学的検出方法の例
は、限定されるものではないが、増幅産物の高速液体クロマトグラフィー分離後の、増幅
産物の電気化学的検出を含む。
試料におけるタンパク質同定
タンパク質は、生きている生物の細胞および組織の、重要な構成要素である。一定の生
物は、典型的にはプロテオームと称される、種々のタンパク質の大きなセットを産生する
。プロテオームは、時間とともに変化し得、かつ細胞または生物が経験するさまざまなス
テージ(たとえば細胞サイクルのステージもしくは疾患の状態)の機能としても変化し得
る。プロテオームの大規模研究または測定(たとえば実験による分析)は、プロテオミク
スと称され得る。プロテオミクスにおいては、タンパク質を同定するための複数の方法が
存在しており、該方法はイムノアッセイ(たとえば酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)
およびウェスタンブロット)、質量分光に基づく方法(たとえばマトリックス支援レーザ
ー脱離イオン化法(MALDI)およびエレクトロスプレーイオン化法(ESI))、混成の方法
(たとえば質量分析イムノアッセイ(MSIA))、ならびにタンパク質マイクロアレイを含
む。たとえば、単一分子プロテオミクスの手法が、アミノ酸の直接的な機能化から親和性
試薬の使用までにわたる多様なアプローチによって、試料中のタンパク質分子のアイデン
ティティを推定するために、試みられてよい。そのようなアプローチから集められた情報
または測定は、典型的には、試料中に存在するタンパク質を同定するために、適したアル
ゴリズムによって分析される。
タンパク質の正確な定量はまた、感度の欠如、特異性の欠如、および検出器ノイズのた
めに、難題に直面し得る。特に、試料中のタンパク質の正確な定量は、タンパク質を同定
および定量する際に誤りを引き起こし得る、検出器のシグナルレベルにおける無作為かつ
予測不可能なシステム上の変動のために、難題に直面し得る。いくつかの場合において、
機器および検出体系は、機器の診断を、およびコモンモードでの挙動をモニターすること
によって、較正され得、かつ除去され得る。しかしながら、タンパク質の結合(たとえば
親和性試薬プローブによる)は、本質的には、理想的ではない感度および結合の特異性を
有し得る、確率論的なプロセスである。
本開示は、タンパク質の正確でかつ効率の良い同定のための方法およびシステムを提供
する。本明細書において提供される方法およびシステムは、試料中のタンパク質を同定す
る際の誤りを有意に減少または排除することができる。そのような方法およびシステムは
、未知のタンパク質の試料中の候補タンパク質の、正確でかつ効率の良い同定を達成し得
る。タンパク質同定は、試料中の未知のタンパク質の、実証的な測定の情報を用いる算定
に、基づき得る。たとえば、実証的な測定は、1つもしくは複数の候補タンパク質に選択
的に結合するように設定されている親和性試薬プローブの結合情報、タンパク質の長さ、
タンパク質の疎水性、および/または等電点を含み得る。タンパク質同定は、最小限のメ
モリフットプリントで計算できるように、最適化され得る。タンパク質同定は、1つまた
は複数の候補タンパク質のそれぞれが試料中に存在する信頼水準の推測を含み得る。
1つの局面において、本明細書において、未知のタンパク質の試料中のタンパク質を同
定するための、コンピューターによって遂行される方法100(たとえば図1に示される)が
開示される。方法は、試料において同定されたタンパク質の集団を生成するために、試料
中の未知のタンパク質それぞれに、独立して適用され得る。タンパク質の量は、候補タン
パク質それぞれについての同定の数を数えることによって、算定され得る。タンパク質を
同定するための方法は、試料中の未知のタンパク質の、複数の実証的な測定の情報を、コ
ンピューターによって受信する工程(たとえば工程105)を含み得る。実証的な測定は、(
i) 試料中の1つもしくは複数の未知のタンパク質に対する1つもしくは複数の親和性試薬
プローブのそれぞれについての結合測定、(ii) 1つもしくは複数の未知のタンパク質の
長さ;(iii) 1つもしくは複数の未知のタンパク質の疎水性;および/または(iv) 1つ
もしくは複数の未知のタンパク質の等電点を、含み得る。いくつかの態様において、複数
の親和性試薬プローブは、複数の個々の親和性試薬プローブのプールを含んでよい。たと
えば、親和性試薬プローブのプールは、2種類の、3種類の、4種類の、5種類の、6種類の
、7種類の、8種類の、9種類の、10種類の、または10種類超の親和性試薬プローブを含ん
でよい。いくつかの態様において、親和性試薬プローブのプールは、2種類の親和性試薬
プローブを含んでよく、該組み合わせは、親和性試薬プローブのプール中の親和性試薬プ
ローブの組成の大半を占める。いくつかの態様において、親和性試薬プローブのプールは
、3種類の親和性試薬プローブを含んでよく、該組み合わせは、親和性試薬プローブのプ
ール中の親和性試薬プローブの組成の大半を占める。いくつかの態様において、親和性試
薬プローブのプールは、4種類の親和性試薬プローブを含んでよく、該組み合わせは、親
和性試薬プローブのプール中の親和性試薬プローブの組成の大半を占める。いくつかの態
様において、親和性試薬プローブのプールは、5種類の親和性試薬プローブを含んでよく
、該組み合わせは、親和性試薬プローブのプール中の親和性試薬プローブの組成の大半を
占める。いくつかの態様において、親和性試薬プローブのプールは、5種類超の親和性試
薬プローブを含んでよく、該組み合わせは、親和性試薬プローブのプール中の親和性試薬
プローブの組成の大半を占める。親和性試薬プローブのそれぞれは、複数の候補タンパク
質の中の1つまたは複数の候補タンパク質に選択的に結合するように設定され得る。親和
性試薬プローブは、kマーの親和性試薬プローブであり得る。いくつかの態様において、k
マーの親和性試薬プローブそれぞれは、複数の候補タンパク質の中の1つまたは複数の候
補タンパク質に選択的に結合するように設定される。実証的な測定の情報は、未知のタン
パク質に結合したと考えられるプローブのセットの結合測定を含み得る。
次に、未知のタンパク質の実証的な測定の情報の、少なくとも一部分が、複数のタンパ
ク質配列を含むデータベースに対して、コンピューターによって比較され得る(たとえば
工程110)。タンパク質配列のそれぞれは、複数の候補タンパク質の中の1つの候補タンパ
ク質に対応し得る。複数の候補タンパク質は、少なくとも10個、少なくとも20個、少なく
とも30個、少なくとも40個、少なくとも50個、少なくとも60個、少なくとも70個、少なく
とも80個、少なくとも90個、少なくとも100個、少なくとも150個、少なくとも200個、少
なくとも250個、少なくとも300個、少なくとも350個、少なくとも400個、少なくとも450
個、少なくとも500個、少なくとも600個、少なくとも700個、少なくとも800個、少なくと
も900個、少なくとも1000個、または1000個超の、異なる候補タンパク質を含んでよい。
次に、複数の候補タンパク質中の1つまたは複数の候補タンパク質のそれぞれに関して
、候補タンパク質における実証的な測定が、観測される測定アウトカムを生成する確率が
、コンピューターによって算定または生成され得る(たとえば工程115において)。「測
定アウトカム」との語は、本明細書において使用されるように、測定を実施する際に観測
される情報を指す。たとえば、親和性試薬結合実験の測定アウトカムは、試薬の結合また
は非結合のいずれかなどの、正のまたは負のアウトカムであり得る。別の例として、タン
パク質の長さを測定する実験の測定アウトカムは、417アミノ酸であり得る。加えて、ま
たはあるいは、複数の候補タンパク質中の1つまたは複数の候補タンパク質のそれぞれに
関して、候補タンパク質における実証的な測定が、観測される測定アウトカムを生成しな
い確率が、コンピューターによって算定または生成され得る。加えて、またはあるいは、
候補タンパク質における実証的な測定が、観測されない測定アウトカムを生成する確率が
、コンピューターによって算定または生成され得る。加えて、またはあるいは、候補タン
パク質における一連の実証的な測定が、アウトカムセットを生成する確率が、コンピュー
ターによって算定または生成され得る。
「アウトカムセット」とは、本明細書において使用されるように、あるタンパク質に関
する、複数の独立した測定アウトカムを指す。たとえば、一連の実証的な親和性試薬結合
測定が、未知のタンパク質において実施され得る。個々の親和性試薬それぞれの結合測定
は、測定アウトカムを含み、そしてすべての測定アウトカムのセットが、アウトカムセッ
トである。いくつかの場合において、アウトカムセットは、観測されたすべてのアウトカ
ムのサブセットであってよい。いくつかの場合において、アウトカムセットは、実証的に
観測されなかった測定アウトカムからなってよい。加えて、またはあるいは、複数の候補
タンパク質中の1つまたは複数の候補タンパク質のそれぞれに関して、未知のタンパク質
が候補タンパク質である確率が、コンピューターによって算定または生成され得る。工程
115および/もしくは120の算定または生成は、反復して、または反復せずに、実施され得
る。工程115における確率は、未知のタンパク質の実証的な測定アウトカムの、すべての
候補タンパク質に関する複数のタンパク質配列を含むデータベースに対する比較に基づい
て、生成され得る。したがって、アルゴリズムへの入力は、候補タンパク質配列のデータ
ベース、ならびに未知のタンパク質についての実証的な測定(たとえば、未知のタンパク
質に結合したと考えられるプローブ、未知のタンパク質の長さ、未知のタンパク質の疎水
性、および/または未知のタンパク質の等電点)のセットを含み得る。いくつかの場合に
おいて、アルゴリズムへの入力は、親和性試薬の任意のものが候補タンパク質の任意のも
のに関して任意の結合測定を生成する確率(たとえば、各親和性試薬に関する、三量体レ
ベルの結合確率)を推測することに関するパラメーターを含み得る。アルゴリズムの出力
は、(i) 仮定された候補タンパク質のアイデンティティが与えられるとき、測定アウト
カムもしくはアウトカムセットが観測される確率、(ii) 測定アウトカムもしくはアウト
カムセットが与えられるとき、未知のタンパク質についての、候補タンパク質のセットか
ら選択される最も蓋然性の高いアイデンティティ、および該同定が正確である確率(たと
えば工程120において)、ならびに/または(iii) 高確率の候補タンパク質のアイデンテ
ィティのグループ、および未知のタンパク質がグループ中のタンパク質の1つであるとい
う、関連する確率を、含み得る。候補タンパク質が、測定されたタンパク質であるとする
と、測定アウトカムが観測される確率は、以下のように表現され得る:
P(測定アウトカム | タンパク質)
いくつかの態様において、P(測定アウトカム | タンパク質)は、完全にインシリコで算
定される。いくつかの態様において、P(測定アウトカム | タンパク質)は、タンパク質の
アミノ酸配列の特徴に基づいて算定される、または該特徴に由来する。いくつかの態様に
おいて、P(測定アウトカム | タンパク質)は、タンパク質のアミノ酸配列の知見からは独
立して算定される。たとえば、P(測定アウトカム | タンパク質)は、タンパク質候補の単
離物における繰り返しの実験において測定を入手し、そしてP(測定アウトカム | タンパ
ク質)を頻度:(アウトカムを有する測定の数/測定の総数)から算定することによって
、実証的に決定され得る。いくつかの態様において、P(測定アウトカム | タンパク質)は
、タンパク質についての過去の測定のデータベースに由来する。いくつかの態様において
、P(測定アウトカム | タンパク質)は、打ち切りの測定の結果を有する未知のタンパク質
の集団から、信頼性を有するタンパク質同定のセットを生成し、そしてその後、候補タン
パク質として信頼性を有して同定された、未知のタンパク質のセットの中の、測定アウト
カムの頻度を算定することによって、算定される。いくつかの態様において、未知のタン
パク質の集団が、P(測定アウトカム | タンパク質)のシード値を用いて同定され得、かつ
シード値は、候補タンパク質に信頼性を有して整合した未知のタンパク質の中の、測定ア
ウトカムの頻度に基づいて、改良され得る。いくつかの態様において、このプロセスは、
アップデートされた測定アウトカムの確率に基づいて生成される、新規の同定を用いて繰
り返され、そしてその後、新規の測定アウトカムの確率が、信頼性を有する同定のアップ
デートされたセットから、生成される。
候補タンパク質が、測定されているタンパク質であるとすると、測定アウトカムが観測
されない確率は、以下のように表現され得る:
P(非測定アウトカム | タンパク質) = 1 - P(測定アウトカム | タンパク質)
候補タンパク質が、測定されているタンパク質であるとすると、N個の個々の測定アウ
トカムからなる測定アウトカムセットが観測される確率は、個々の測定アウトカムそれぞ
れについての確率の積として、表現され得る:
P(アウトカムセット | タンパク質) = P(測定アウトカム1 | タンパク質) * P(測定アウ
トカム2 | タンパク質) * … * P(測定アウトカムN | タンパク質)
未知のタンパク質が候補タンパク質(タンパク質i)である確率は、可能性のある候補
タンパク質それぞれについてのアウトカムセットの確率に基づいて、算定され得る。
いくつかの態様において、測定アウトカムセットは、親和性試薬プローブの結合を含む
。いくつかの態様において、測定アウトカムセットは、親和性試薬プローブの非特異的結
合を含む。
いくつかの態様において、試料中のタンパク質は、切断されているか、または分解され
ている。いくつかの態様において、試料中のタンパク質は、元のタンパク質のC末端を含
まない。いくつかの態様において、試料中のタンパク質は、元のタンパク質のN末端を含
まない。いくつかの態様において、試料中のタンパク質は、元のタンパク質のN末端を含
まず、かつ元のタンパク質のC末端も含まない。
いくつかの態様において、実証的な測定は、抗体の混合物において実施される測定を含
む。いくつかの態様において、実証的な測定は、複数の種からのタンパク質を含む試料に
おいて実施される測定を含む。いくつかの態様において、実証的な測定は、ヒトに由来す
る試料において実施される測定を含む。いくつかの態様において、実証的な測定は、ヒト
以外の種に由来する試料において実施される測定を含む。いくつかの態様において、実証
的な測定は、非同義の一塩基多型(SNP)によって引き起こされる1アミノ酸変異(SAV)
の存在下で試料において実施される測定を含む。いくつかの態様において、実証的な測定
は、試料中のタンパク質の配列に影響を与える、挿入、欠失、転座、逆位、セグメントの
重複、またはコピー数多型(CNV)などのゲノムの構造多型の存在下での、試料における
測定を含む。
いくつかの態様において、方法は、試料において測定されたすべての未知のタンパク質
に方法を適用する工程をさらに含む。いくつかの態様において、方法は、1つまたは複数
の候補タンパク質のそれぞれに関して、候補タンパク質が試料中の測定される未知のタン
パク質に整合する信頼水準を生成する工程をさらに含む。信頼水準は、確率値(probabil
ity value)を含み得る。あるいは、信頼水準は、誤りを有する確率値を、含み得る。あ
るいは、信頼水準は、ある信頼度(たとえば、約90%の、約95%の、約96%の、約97%の、約
98%の、約99%の、約99.9%の、約99.99%の、約99.999%の、約99.9999%の、約99.99999%の
、約99.999999%、約99.9999999%の、約99.99999999%の、約99.999999999%の、約99.99999
99999%の、約99.99999999999%の、約99.999999999999%の、約99.9999999999999%の信頼度
、または99.9999999999999%超の信頼度)を任意で有する、ある範囲の確率値を、含み得
る。
いくつかの態様において、方法は、候補タンパク質が試料中に存在する確率を生成する
工程をさらに含む。
いくつかの態様において、方法は、タンパク質同定、および関連する確率を、試料中の
未知のタンパク質それぞれについて、独立して生成する工程、ならびに試料中の、同定さ
れた独特なタンパク質すべてのリストを生成する工程をさらに含む。いくつかの態様にお
いて、方法は、試料中の候補タンパク質それぞれの量を決定するために、独特な候補タン
パク質それぞれについて生成された同定の数を数える工程をさらに含む。いくつかの態様
において、タンパク質同定および関連する確率の集合物は、高いスコア、高い信頼度、お
よび/または低い偽発見率の同定のみが含まれるように、フィルタリングされ得る。
いくつかの態様において、結合確率は、全長の候補タンパク質に対する親和性試薬に関
して生成され得る。いくつかの態様において、結合確率は、タンパク質断片(たとえば完
全なタンパク質配列の部分配列)に対する親和性試薬に関して生成され得る。たとえば、
未知のタンパク質それぞれの最初の100アミノ酸のみがコンジュゲートされているような
様式で、未知のタンパク質が処理されそして基材にコンジュゲートされた場合、最初の10
0アミノ酸以外のエピトープ結合についてのすべての結合確率がゼロに、またはあるいは
誤り率を表す非常に低い確率にセットされるようにして、結合確率はタンパク質候補それ
ぞれについて生成され得る。類似のアプローチが、各タンパク質の最初の10アミノ酸、20
アミノ酸、50アミノ酸、100アミノ酸、150アミノ酸、200アミノ酸、300アミノ酸、400ア
ミノ酸、または400超のアミノ酸が基材にコンジュゲートされる場合に、使用され得る。
類似のアプローチが、最後の10アミノ酸、20アミノ酸、50アミノ酸、100アミノ酸、150ア
ミノ酸、200アミノ酸、300アミノ酸、400アミノ酸、または400超のアミノ酸が基材にコン
ジュゲートされる場合に、使用され得る。
いくつかの態様において、整合対の片方として1つのタンパク質候補が、未知のタンパ
ク質へと割り当てられることができない場合、整合対の片方として潜在的なタンパク質候
補のグループが、未知のタンパク質に割り当てられ得る。信頼水準は、グループ中のタン
パク質候補のいずれかのうち1つである未知のタンパク質に、割り当てられ得る。信頼水
準は、確率値を含み得る。あるいは、信頼水準は、誤りを有する確率値を、含み得る。あ
るいは、信頼水準は、ある信頼度(たとえば、約90%の、約95%の、約96%の、約97%の、約
98%の、約99%の、約99.9%の、約99.99%の、約99.999%の、約99.9999%の、約99.99999%の
、約99.999999%の、約99.9999999%の、約99.99999999%の、約99.999999999%の、約99.999
9999999%の、約99.99999999999%の、約99.999999999999%の、約99.9999999999999%の信頼
度、または99.9999999999999%超の信頼度)を任意で有する、ある範囲の確率値を、含み
得る。たとえば、未知のタンパク質は、2つのタンパク質候補に、強固に整合し得る。2つ
のタンパク質候補は、互いに高い配列類似性を有し得る(たとえば、2つのタンパク質ア
イソフォーム、たとえば、カノニカル配列と比較して1アミノ酸変異を有するタンパク質
)。これらの場合においては、個々のタンパク質候補が高い信頼度で割り当てられること
はない可能性があるが、しかしながら高い信頼度は、強固に整合する2つのタンパク質候
補を含む「タンパク質グループ」のうちの、単一のしかし未知のメンバーに整合する、未
知のタンパク質に、起因し得る。
いくつかの態様において、未知のタンパク質が光学的に区別されない状態を検出するた
めの労力が費やされ得る。たとえば、まれな出来事として、2つ以上のタンパク質が基材
の同じ「ウェル」または位置に結合する可能性が、これが生じるのを防ぐための労力にも
かかわらず、ある。いくつかの場合において、コンジュゲートされたタンパク質は、非特
異的な色素によって処理されてよく、そして色素からのシグナルが測定されてよい。2つ
以上のタンパク質が光学的に区別されないという状況においては、色素から生じるシグナ
ルは、タンパク質1つを含む位置よりも強いものであり得、かつ複数のタンパク質が結合
している位置を知らせるために使用され得る。
いくつかの態様において、複数の候補タンパク質は、未知のタンパク質の試料がそれか
ら得られるもしくはそれに由来する、ヒトもしくは生物のDNAもしくはRNAを、配列決定も
しくは分析することによって、生成される、または修飾される。
いくつかの態様において、方法は、未知のタンパク質の翻訳後修飾についての情報を導
き出す工程をさらに含む。翻訳後修飾についての情報は、特定の修飾の性質についての知
見無しの、翻訳後修飾の存在を含み得る。データベースは、PTMの指数積とみなされ得る
。たとえば、タンパク質候補配列が未知のタンパク質に割り当てられたら、アッセイされ
たタンパク質についての親和性試薬結合のパターンが、以前の実験からの、同じ候補への
親和性試薬の結合測定を含むデータベースと、比較され得る。たとえば、結合測定のデー
タベースは、既知の位置において既知の配列の未改変のタンパク質を含む核酸プログラマ
ブルタンパク質アレイ(Nucleic Acid Programmable Protein Array)(NAPPA)への結合
に、由来してよい。
加えてまたは代替として、結合測定のデータベースは、タンパク質候補配列が未知のタ
ンパク質に、信頼性を有して割り当てられた以前の実験に、由来してよい。アッセイされ
たタンパク質と既存の測定のデータベースとの間の、結合測定における不一致は、翻訳後
修飾の尤度についての情報を提供し得る。たとえば、親和性作用物質が、データベースに
おいて、候補タンパク質への高頻度の結合を有するが、アッセイされたタンパク質には結
合しない場合、翻訳後修飾がタンパク質上のどこかに存在する、より高い尤度が存在する
。それについて結合の不一致がある親和性試薬に関して、結合エピトープが既知である場
合、翻訳後修飾の位置は、親和性試薬の結合エピトープの場所に、またはその近くに、位
置する可能性がある。いくつかの態様において、特定の翻訳後修飾についての情報は、特
定の翻訳後修飾を特異的に除去する酵素でタンパク質-基材コンジュゲートを処理する前
および後に、繰り返される親和性試薬測定を実施することによって、導き出され得る。た
とえば、結合測定は、一連の親和性試薬に関して、ホスファターゼでの基材の処理の前に
入手されてよく、そしてその後、ホスファターゼでの処理の後に繰り返されてよい。ホス
ファターゼ処理の前には未知のタンパク質に結合するが、ホスファターゼ処理後には結合
しない(差異のある結合の)親和性試薬は、リン酸化の証拠を提供し得る。差異のある結
合の親和性試薬によって認識されるエピトープが既知である場合、リン酸化は、親和性試
薬に対する結合エピトープの場所に、またはその近くに、位置する可能性がある。
いくつかの場合において、特定の翻訳後修飾の数は、特定の翻訳後修飾に対する親和性
試薬を用いた結合測定を用いて、決定され得る。たとえば、リン酸化イベントを認識する
抗体が、親和性試薬として使用されてよい。この試薬の結合は、未知のタンパク質におけ
る少なくとも1つのリン酸化の存在を示し得る。いくつかの場合において、未知のタンパ
ク質における、特定のタイプの別個の翻訳後修飾の数が、特定の翻訳後修飾に対して特異
的な親和性試薬について測定された結合イベントの数を数えることによって、決定され得
る。たとえば、リン酸化特異的抗体が、蛍光レポーターにコンジュゲートされてよい。こ
の場合、蛍光シグナルの強度が、未知のタンパク質に結合したリン酸化特異的親和性試薬
の数を決定するために、使用され得る。未知のタンパク質に結合したリン酸化特異的親和
性試薬の数は、次に、未知のタンパク質におけるリン酸化部位の数を決定するために、使
用され得る。いくつかの態様において、より正確な、翻訳後修飾の数、同定、または配置
を導き出すために、親和性試薬の結合実験からの証拠は、翻訳後に修飾されている可能性
のあるアミノ酸配列モチーフまたは特異的なタンパク質の位置についての既存の知見(た
とえばdbPTM、PhosphoSitePlus、もしくはUniProtから)と、組み合わせられ得る。たと
えば、翻訳後修飾の位置が、親和性測定のみからは、正確には決定されない場合、関心対
象の翻訳後修飾にしばしば関連するアミノ酸配列モチーフを含む位置が、好都合であり得
る。
いくつかの態様において、確率は、所定の条件が満たされるまで、反復して生成される
。いくつかの態様において、所定の条件は、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも
60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、
少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少な
くとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくと
も99.9%、少なくとも99.99%、少なくとも99.999%、少なくとも99.9999%、少なくとも99.9
9999%、少なくとも99.999999%、少なくとも99.9999999%、少なくとも99.99999999%、少な
くとも99.999999999%、少なくとも99.9999999999%、少なくとも99.99999999999%、少なく
とも99.999999999999%、少なくとも99.9999999999999%の信頼度、または99.999999999999
9%超の信頼度で複数の確率のそれぞれを生成することを、含む。
いくつかの態様において、方法は、試料中の1つまたは複数の未知のタンパク質を同定
する紙のまたは電子的なレポートを生成する工程をさらに含む。紙のまたは電子的なレポ
ートは、候補タンパク質のそれぞれに関して、候補タンパク質が試料中に存在することの
信頼水準を、さらに示し得る。信頼水準は、確率値を含み得る。あるいは、信頼水準は、
誤りを有する確率値を、含み得る。あるいは、信頼水準は、ある信頼度(たとえば約90%
の、約95%の、約96%の、約97%の、約98%の、約99%の、約99.9%の、約99.99%の、約99.999
%の、約99.9999%の、約99.99999%の、約99.999999%の、約99.9999999%の、約99.99999999
%の、約99.999999999%の、約99.9999999999%の、約99.99999999999%の、約99.9999999999
99%の、約99.9999999999999%の信頼度、または99.9999999999999%超の信頼度)を任意で
有する、ある範囲の確率値を、含み得る。紙のまたは電子的なレポートは、予想される偽
発見率の閾値(たとえば、10%未満、9%未満、8%未満、7%未満、6%未満、5%未満、4%未満
、3%未満、2%未満、1%未満、0.5%未満、0.4%未満、0.3%未満、0.2%未満、または0.1%未満
の偽発見率)を下回って同定されるタンパク質候補のリストを、さらに示し得る。偽発見
率は、信頼度の降順で、タンパク質同定を最初に並べ替えることによって、推測され得る
。並べ替えられたリストにおける、任意の点での推測された偽発見率は、その後、1 - av
g_c_probとして算定され得、ここでavg_c_probは、リストにおける現在の点またはそれよ
り前の(たとえば、より高い信頼度)、すべてのタンパク質についての平均の候補の確率
である。望ましい偽発見率の閾値を下回るタンパク質同定のリストは、その後、並べ替え
られたリストにおける、偽発見率が閾値よりも高い、最も初期の点より前の、すべてのタ
ンパク質同定を戻すことによって、生成され得る。あるいは、望ましい偽発見率の閾値を
下回るタンパク質同定のリストは、並べ替えられたリストにおける、偽発見率が望ましい
閾値を下回るかまたはそれと等しい、最も後期の点を含めた、それより前のすべてのタン
パク質を戻すことによって、生成され得る。
いくつかの態様において、試料は、生物学的試料を含む。生物学的試料は、対象から得
られてよい。いくつかの態様において、方法は、複数の確率に少なくとも基づいて、対象
における疾患の状態または障害を同定する工程をさらに含む。いくつかの態様において、
方法は、各タンパク質候補について生成された同定の数を数えることによって、タンパク
質を定量する工程をさらに含む。たとえば、試料中に存在するタンパク質の絶対量(たと
えば、タンパク質分子の数)は、タンパク質候補から生成された、信頼性を有する同定の
数を数えることによって算定され得る。いくつかの態様において、量は、アッセイされた
未知のタンパク質の総数のパーセンテージとして、算定され得る。いくつかの態様におい
て、生の同定数は、機器および検出システムからのシステム上の誤りを除去するために、
較正され得る。いくつかの態様において、量は、タンパク質候補の可検出性の変動によっ
て引き起こされる量の偏りを除去するために、較正され得る。タンパク質の可検出性は、
実験による測定、またはコンピューターシミュレーションから評価され得る。
疾患または障害は、感染性疾患、免疫障害もしくは免疫疾患、がん、遺伝性疾患、変性
疾患、生活習慣病、創傷、希少疾患、または加齢に関する疾患であり得る。感染性疾患は
、細菌、ウイルス、菌類、および/または寄生生物によって引き起こされ得る。がんの非
限定的な例は、膀胱がん、肺がん、脳のがん、黒色腫、乳がん、非ホジキンリンパ腫、子
宮頸がん、卵巣がん、結腸、直腸のがん、膵臓がん、食道がん、前立腺がん、腎臓がん、
皮膚がん、白血病、甲状腺がん、肝臓がん、および子宮がんを含む。遺伝性疾患または遺
伝性障害のいくつかの例は、限定されるものではないが、多発性硬化症(MS)、嚢胞性線
維症、シャルコー・マリー・トゥース病、ハンチントン病、ポイツ・ジェガース症候群、
ダウン症候群、関節リウマチ、およびテイ・サックス病を含む。生活習慣病の非限定的な
例は、肥満、糖尿病、動脈硬化症、心臓病、脳卒中、高血圧、肝硬変、腎炎、がん、慢性
閉塞性肺疾患(copd)、聴覚の問題、および慢性背痛を含む。創傷のいくつかの例は、限
定されるものではないが、擦過傷、脳損傷、挫傷、火傷、震とう症、うっ血性心不全、建
築現場での傷害、脱臼、動揺胸、骨折、血胸、椎間板ヘルニア、ヒップポインター、低体
温症、裂傷、神経が圧迫された状態、気胸、肋骨骨折、坐骨神経痛、脊髄損傷、腱、靭帯
、筋膜の損傷、外傷性脳損傷、およびむち打ち症を含む。
いくつかの態様において、方法は、タンパク質ではなくまたはタンパク質に加えて小分
子(たとえば代謝物)またはグリカンを、同定する、および定量する工程を含む。たとえ
ば、多様な性質を有して糖もしくは糖の組み合わせに結合する、レクチンまたは抗体など
の親和性試薬が、グリカンを同定するために使用されてよい。さまざまな糖または糖の組
み合わせに結合する親和性試薬の性質は、市販のグリカンアレイへの結合を分析すること
によって、特徴付けされ得る。たとえば、未知のグリカンは、ヒドロキシル基反応性の化
学反応を用いて、機能化された基材にコンジュゲートされ得、そして結合測定は、グリカ
ンに結合する親和性試薬を用いて入手され得る。基材上の未知のグリカンへの、親和性試
薬の結合測定は、特定の糖を有する、または糖の特定の組み合わせを有するグリカンの数
を直接的に定量するために、使用され得る。あるいは、未知のグリカンそれぞれの構造を
同定するために、1つまたは複数の結合測定は、本明細書において記載される方法を用い
て、候補グリカン構造のデータベースから予測された結合測定と、比較され得る。いくつ
かの態様において、タンパク質が基材に結合され、そして、グリカン親和性試薬を用いる
結合測定が、タンパク質に結合したグリカンを同定するために生成される。さらに、結合
測定は、タンパク質バックボーン配列およびコンジュゲートされたグリカンの同定を単一
の実験で生成するために、グリカン親和性試薬およびタンパク質親和性試薬の両方を用い
てなされ得る。別の例として、スルフヒドリル、カルボニル、アミン、または活性水素な
どの、代謝物中に一般的に見出されるカップリング基を標的とする化学反応を用いて機能
化された基材に、代謝物がコンジュゲートされ得る。結合測定は、特定の官能基、構造モ
チーフ、または代謝物に対し、異なる性質を有する親和性試薬を用いてなされてよい。結
果としてもたらされる結合測定は、候補小分子のデータベースについて予測された結合測
定と、比較され得、そして本明細書において記載される方法が、基材上の各位置における
代謝物を同定するために、使用され得る。
実施例1:親和性試薬結合によるタンパク質同定
本明細書において記載される方法は、試料中のタンパク質を分析および/または同定す
るために、親和性結合試薬(たとえばアプタマーもしくは抗体)の結合測定と組み合わせ
て、使用され得る。この場合、算定されるべき測定アウトカムの確率は、タンパク質候補
への親和性結合試薬(たとえば親和性試薬もしくは親和性プローブ)の結合イベントまた
は非結合イベントの確率である。結合確率は、親和性結合試薬によって認識される、タン
パク質の配列中に存在するエピトープの存在に合わせて調節されて、モデル化されてよい
。たとえば、エピトープは、「三量体」(3アミノ酸の連続物)であってよい。親和性試
薬は、特定のエピトープ(たとえばGAV)を標的とするように設計されてよい。親和性試
薬のオフターゲット結合(たとえば、親和性試薬の、その標的エピトープとは異なるエピ
トープへの結合)は、追加のエピトープへの結合の、ゼロではない確率を含めることによ
って、モデル化され得る。
たとえば、親和性試薬は、三量体GAVに結合するように設計され得るが、3つの追加の認
識部位:CLD、TYL、およびIADへのオフターゲット結合を有してよい。この親和性試薬に
ついて、結合確率は以下のようにモデル化され得る:
P(親和性プローブの結合 | タンパク質) = {GAV、CLD、TYL、またはIADがタンパク質配列
中に存在する場合は0.25; そうでない場合は0}
親和性試薬がタンパク質に非特異的に結合する、わずかな確率があってもよく、これは
以下のように表現され得る:
P(親和性プローブの結合 | タンパク質) = {GAV、CLD、TYL、またはIADがタンパク質配列
中に存在する場合は0.25; そうでない場合は0.00001}
ここで、確率は、抗体結合の検出のアウトカムを測定する。
例として、ヒトに由来する試料からのタンパク質が分析される事例を検討する。試料中
のタンパク質は、ヒト「リファレンス」プロテオーム(たとえば、カノニカルタンパク質
配列および機能的情報のUniprotデータベースにおいて、見いだされるようなもの)中に
表されているとみなされる。つまり、タンパク質候補のリストは、UniProtデータベース
中の、約21000個のタンパク質および関連する配列の、セットである。未知のタンパク質
の集団は試料に由来しており、かつ未知のタンパク質それぞれは、測定されそして記録さ
れるアウトカム(結合または非結合)を有する、一連の親和性試薬結合実験において、調
べられる。たとえば、そのような実験は、連続的に、異なる親和性試薬を添加することお
よび未知のタンパク質への親和性試薬の結合を観測することを、含んでよい。親和性試薬
または「プローブ」は、タンパク質候補リストにおいて、(約800個の可能性のある三量
体のうちの)最も高頻度で観測される三量体を標的とするように、選択される。標的三量
体のほかに、各プローブは、無作為に選択されるいくつかの追加の三量体へのオフターゲ
ット結合を有する。プローブがタンパク質配列に結合する確率は、以下のように表現され
得る:
P(親和性プローブの結合 | タンパク質) = 1 - [ P(非特異的結合無し) * P(特異的結合
無し)]
以下のようにみなされる:
n = タンパク質候補の配列の長さ;
q = 認識部位の長さ(たとえば3);
s = 三量体への非特異的結合の確率(たとえば10-5);
p = 特異的結合の確率(たとえば0.25);
P(非特異的結合無し)との語、およびP(特異的結合無し)との語は、以下のように表現され
得る:
P(非特異的結合無し) = (1 - s)n - q + 1 = (1 - 10-5)n - 3 + 1
および
P(特異的結合無し) = Π各認識部位について(1-p)タンパク質において出現する部位の数
最後に、プローブがタンパク質に結合しない確率は、以下のように表現され得る:
P(親和性プローブの非結合 | タンパク質) = 1 - P(親和性プローブの結合 | タンパク質
)
図2は、親和性試薬プローブの感度(たとえば、1%未満の偽検出率(FDR)で同定される
基材のパーセント)を示し、該感度は、3つの異なる実験事例(それぞれ灰色の丸、黒い
丸、および白い丸によって表される、50個、100個、および200個のプローブが使用される
)について、親和性試薬プローブにおける、プローブの認識部位(たとえば三量体結合エ
ピトープ)の数(プローブの認識部位または三量体結合エピトープは100個までの範囲に
わたる)に対してプロットされる。図2に示されるように、使用されるプローブの数は、
タンパク質を正確に同定する能力に対して有意な影響を有する。y軸上にプロットされる
のは感度であり、これは、不正確である同定が1%未満という閾値(たとえば上限)で正確
に同定される未知のタンパク質の、パーセンテージである。たとえば、各プローブが5つ
の認識部位または三量体結合エピトープ(1つの標的部位、および4つのオフターゲット部
位)を含む場合、タンパク質同定の感度は、50個のプローブが使用される際に10%未満で
あり、100個のプローブが使用される際に約60%であり、かつ200個のプローブが使用され
る際に約90%である。実際、300個のプローブが使用される場合、感度は95%を上回る(結
果はプロット上には示されていない)。このタンパク質同定アプローチは、多くのオフタ
ーゲット結合部位を有するプローブを利用可能にする。60個の認識部位または三量体結合
エピトープ(1個の標的部位、および59個のオフターゲット部位)を有する場合であって
さえも、同定の感度は、プローブ100個の実験において約55%であり、かつプローブ200個
の実験において約90%である。
しかしながら、図3に示されるように、タンパク質を同定する能力は、プローブが100個
超の結合部位または三量体結合エピトープを有する場合に、急速に悪化する。図3は、親
和性試薬プローブの感度(たとえば、1%未満の偽検出率(FDR)で同定される基材のパー
セント)を示し、該感度は、3つの異なる実験事例(それぞれ灰色の丸、黒い丸、および
白い丸によって表される、50個、100個、および200個のプローブが使用される)について
、親和性試薬プローブにおける、プローブの認識部位(たとえば三量体結合エピトープ)
の数(プローブの認識部位または三量体結合エピトープは700個までの範囲にわたる)に
対してプロットされる。たとえば、各プローブが100個の認識部位または三量体結合エピ
トープ(1個の標的部位、99個のオフターゲット部位)を含む場合、タンパク質同定の感
度は、50個のプローブが使用される際に約1%であり、100個のプローブが使用される際に
約30%であり、かつ200個のプローブが使用される際に約70%である。しかしながら、各プ
ローブが200個の認識部位または三量体結合エピトープ(1個の標的部位、199個のオフタ
ーゲット部位)を含む場合、タンパク質同定の感度は、50個のプローブが使用される際に
1%未満であり、100個のプローブが使用される際に20%未満であり、かつ200個のプローブ
が使用される際に40%未満である。
実施例2:切断されているかまたは分解されているタンパク質への、タンパク質親和性試
薬の結合
本明細書において記載される方法は、切断されている、試料中のタンパク質を、分析お
よび/または同定するために、適用され得る。そのような実験においては、親和性プロー
ブがタンパク質に結合する確率の算定は、全長のタンパク質配列ではなく、切断されてい
るタンパク質配列への結合のみを検討するように、改変される。たとえば、図4は、100個
のプローブ(左)、200個のプローブ(中央)、または300個のプローブ(右)を用いる実
験によるタンパク質同定の感度を示すプロットを示す。各プロットにおいて、親和性試薬
プローブの感度(たとえば、1%未満の偽検出率(FDR)で同定される基材のパーセント)
が、以下の4種類の長さの基材が測定される実験に関して、決定される:(1) インタクト
な(全長の)タンパク質、(2) 長さ50の、タンパク質のN末端断片またはC末端断片、(3)
長さ100の、タンパク質のN末端断片またはC末端断片、および(4) 長さ200の、タンパ
ク質のN末端断片またはC末端断片。N末端断片およびC末端断片は、それぞれ無地の棒およ
び縞模様の棒で表される。各プローブは、1つの標的三量体、および4つの他の無作為なオ
フターゲット三量体に結合する。図4に示されるように、たとえば、わずか100アミノ酸を
含む断片へとタンパク質が切断されており、かつプローブ200個の実験が実施される場合
でさえも、タンパク質のかなりの割合(約40%)が同定され得る。
300個のプローブが使用されると、わずか100アミノ酸を含む断片へとタンパク質が切断
されている場合において、タンパク質の約70~75%が同定され得る。図4はまた、N末端断
片を含む、切断されているタンパク質は、C末端断片を含む断片よりも、同定するのがや
や容易である(たとえば、タンパク質同定のより高い感度を有する)ことを示す。
実施例3:それが由来するインタクトなタンパク質のC末端もN末端も含まないタンパク質
断片
本明細書において記載される方法は、試料中のタンパク質断片であって、該断片が由来
するインタクトなタンパク質の、元の2つの末端のいずれも含まないタンパク質断片を分
析および/または同定するために、適用され得る。そのような実験における、親和性プロ
ーブがタンパク質に結合する確率の算定は、全長のタンパク質配列ではなく、切断されて
いるものへの結合のみを検討するように、改変される。図5は、さまざまなタンパク質断
片化アプローチを用いる実験によるタンパク質同定の感度を示すプロットを示す。上の列
および下の列のそれぞれにおいて、タンパク質同定の性能が、50個、100個、200個、およ
び300個の親和性試薬測定(4つのパネルにおいて左から右へ)により、50、100、200、30
0、400、および500の、断片の最大長の値(それぞれ六角形、下向きの三角形、上向きの
三角形、ひし形、四角形、および丸によって表される)において示される。
図5の上の列に注目すると、各サブプロットにおける各点は、断片の開始位置および断
片の長さによって定義される、特定の、断片生成アプローチを用いる場合の、感度(タン
パク質の同定率)を表す。断片は、N末端からのアミノ酸による距離(たとえば、離れて
いるアミノ酸(AA)の数)によって表される、各タンパク質における特定の開始位置(x
軸上にプロットされる)から、生成される。タンパク質断片それぞれの末尾は、50アミノ
酸、100アミノ酸、200アミノ酸、300アミノ酸、400アミノ酸、または500アミノ酸の長さ
(断片の最大長、または最大断片長の値)を有する断片を生成するように選択され、それ
らはそれぞれ、六角形、下向きの三角形、上向きの三角形、ひし形、四角形、および丸に
よって表される。タンパク質が短かすぎるために、所定の指定された長さの断片を生成で
きない場合、C末端を含む、指示された長さよりも短い断片が、保持される。たとえば、5
0個の親和性試薬を用いて実験が実施される場合、わずかなパーセンテージのタンパク質
しか同定(y軸上にプロットされる)されない可能性がある。しかしながら、200個の親和
性試薬プローブを使用し、200アミノ酸という最大長を有する断片を用いて実験が実施さ
れる場合、断片の開始部位(x軸上にプロットされる)に応じて、約50%~約85%のタンパ
ク質が同定(y軸上にプロットされる)され得る。断片の開始部位が、N末端からさらに離
れるにつれて、タンパク質同定の感度が低下するという、全体的な傾向が存在する。この
傾向は、断片の開始位置が、N末端からより遠くに離れるにつれて、C末端を含み、かつ断
片の最大長に満たない、より多くの断片が生成される、という事実によって説明され得る
図5の下の列に注目すると、ここの4つのサブプロットは、断片の最大長に整合しない断
片(たとえば、C末端を含まない断片)はいずれも感度および偽発見率の算定の前に分析
から除外される点以外は、上の列における結果と同様である結果を示す。タンパク質同定
の感度は、妥当な断片を生成した可能性のあるそれらタンパク質の中でのみ、算定される
。図5の下の列が示すように、断片の長さの調節が無い場合、断片の最大長において、断
片の開始部位の位置に関し、タンパク質同定の感度における統計学的に有意な変化は無い
。タンパク質配列中の断片の位置ではなく、断片の長さが、タンパク質同定率の主な決定
要因である。
実施例4:長さ、疎水性、および/または等電点の測定によるタンパク質同定
本明細書において記載される方法は、長さ、疎水性、および/もしくは等電点(pI)を
含む、タンパク質における測定からの情報を用いて、試料中のタンパク質を分析ならびに
/または同定するために、適用され得る。あるタンパク質クエリー候補についてある特定
の長さを測定する確率は、以下によって表現され得る:
Figure 2024075638000001
ここで
σ = | CV * 予想されるアウトカムの値 |
u = (測定されるアウトカムの値 - 予想されるアウトカムの値) / σ
この場合、測定アウトカムは、未知のタンパク質の、測定される長さであり、かつ予想
されるアウトカムの値は、タンパク質クエリー候補の長さである。モデルはまた、測定ア
プローチの予想される精度を表す変動係数(CV)値を使用する。あるタンパク質について
ある特定の疎水性を測定する確率は、同じ式を用いて算定され、予想されるアウトカム値
は、タンパク質候補の配列から算定される、ハイドロパシーの総平均(grand average of
hydropathy)(gravy)スコアにセットされている。そのようなgravyスコアは、たとえ
ば、Kyte-Doolittleの計算方法(たとえば、その全体が参照により本明細書に組み入れら
れる[Kyte et al., “A simple method for displaying the hydropathic character of
a protein,” J. Mol. Biol., 1982 May 5; 157(1):105-32]に記載される)を実施するた
めに、計算分子生物学に関するBiopythonツールを用いて、算定され得る。同様に、等電
点(pI)は、予想されるpI値を用いてモデル化され、該pI値は、Bjellqvistの方法(たと
えば、その全体が参照により本明細書に組み入れられる[Audain et al., “Accurate est
imation of isoelectric point of protein and peptide based on amino acid sequence
s,” Bioinformatics, 2015 November 14; 32(6):821-27]に記載される)を、その全体が
参照により本明細書に組み入れられる[Tabb, David L., “An algorithm for isoelectri
c point estimation,” <http://fields.scripps.edu/DTASelect/20010710-pI-Algorithm
.pdf>, 2003 June 28]に記載される方法にしたがって遂行するためにBiopythonを用いて
、タンパク質候補配列から算定される。すべての事例において、実験による測定の精度は
、0.1のCV値にセットされた。
図6は、測定のタイプのさまざまな組み合わせを用いる実験によるヒトタンパク質の同
定の感度(1%未満のFDRで同定される基材のパーセント)を示すプロットを示す。タンパ
ク質の長さの測定だけ、疎水性の測定だけ、またはpIの測定だけを用いた場合には、事実
上、タンパク質を同定することはできない(たとえば1%未満の感度)。3タイプの測定す
べてを組み合わせても(長さ + 疎水性 + pI)、依然として同定は、事実上もたらされな
い。しかしながら、タンパク質の長さ、疎水性、またはpIの測定は、親和性試薬プローブ
の結合実験からの測定を強化するために、使用され得る。たとえば、タンパク質は、これ
らの特徴の任意のものに基づいて分画されてよく、かつ各画分は、基材上の異なる空間的
な位置に、コンジュゲートされてよい。この分画およびコンジュゲーションに続いて、親
和性試薬の結合測定がなされてよく、そして、疎水性、タンパク質の長さ、またはpIの測
定が、タンパク質の空間的なアドレスによって決定され得る。変性されたタンパク質は、
ゲルろ過(SDS-PAGE)またはサイズ排除クロマトグラフィーに基づき、分子量によって分
画されてよい。タンパク質の長さは、分子量をアミノ酸の平均分子量(111 Da)で割るこ
とによって、分子量から推測され得る。タンパク質は、疎水性相互作用クロマトグラフィ
ーを用いて、疎水性によって分画されてよい。タンパク質は、イオン交換クロマトグラフ
ィーを用いて、pIによって分画されてよい。たとえば、0.1のCV値での分画による、タン
パク質の長さの、追加の測定を実施すると、プローブ100個(プローブ1つにつき、1つの
標的三量体、および4つの追加のオフターゲット部位)の実験を用いる同定の感度が、約5
5%(タンパク質の長さの測定無し)から約65%(タンパク質の長さの測定有り)へと改善
された。同様に、0.1のCV値で、タンパク質の長さの、追加の測定を実施すると、プロー
ブ200個(プローブ1つにつき、1つの標的三量体、および4つの追加のオフターゲット部位
)の実験を用いる同定の感度が、約90%(タンパク質の長さの測定無し)から約95%(タン
パク質の長さの測定有り)へと改善された。
実施例5:抗体の混合物を用いる測定による、タンパク質同定
本明細書において記載される方法は、各結合実験において親和性試薬の混合物が測定さ
れる実験からの情報を用いて、試料中のタンパク質を分析および/または同定するために
、適用され得る。開示される態様と一致して、1,000個の未知のヒトタンパク質の同定が
、Santa Cruz Biotechnology, Inc.から市販されている抗体のプールを用いる結合測定を
入手することによって、ベンチマークテストとして実施された。1,000個のタンパク質が
、約21,005個のタンパク質を含むUniprotタンパク質データベースから、無作為に選択さ
れた。ヒトタンパク質に対して反応性を有する、Santa Cruz Biotechnology社のカタログ
から利用可能なモノクローナル抗体のリストが、オンライン抗体レジストリからダウンロ
ードされた。リストは22,301個の抗体を含んでいた、そしてUniprotヒトタンパク質デー
タベース中のタンパク質に整合した14,566個の抗体のリストへと、フィルタリングされた
。本実験においてモデル化された、抗体の完全な集団は、これらの14,566個の抗体を含ん
でいた。1,000個の未知のタンパク質候補への抗体混合物の結合の、実験による評価は、
以下のように実施された。
最初に、抗体の混合物50個がモデル化された。いずれの混合物1つを作製するのにも、
抗体の総集団からの5,000個の抗体が、無作為に選択された。
次に各混合物に関して、結合確率が、未知のタンパク質のいずれかに対する混合物につ
いて決定された。タンパク質は、ゴールがそれらのアイデンティティを推定することであ
るという意味で「未知」であるが、アルゴリズムは「未知のタンパク質」それぞれの真の
アイデンティティを承知している点に、注意されたい。混合物が、未知のタンパク質に対
する抗体を含む場合、0.99の結合確率が割り当てられた。混合物が、未知のタンパク質に
対する抗体を含まない場合、0.0488の結合確率が割り当てられた。言い換えると、抗体の
混合物についての結合アウトカムの確率は、以下のようにモデル化された:
P(結合アウトカム | タンパク質) = {混合物がタンパク質に対する抗体を含む場合は0.99
; そうでない場合は0.0488}
0.0488との値は、この混合物についての、タンパク質に対する非特異的な(オフターゲッ
ト)結合イベントが生じる確率を表す。混合物についての非特異的結合の確率は、任意の
個々の抗体が、その標的以外のタンパク質に結合する、予想される確率、および混合物中
のタンパク質の数に基づいて、モデル化された。抗体の混合物についての非特異的結合イ
ベントの確率は、混合物中の任意の1つの抗体が非特異的に結合する確率である。この確
率は、混合物中の抗体の数(n)、および任意の1つの抗体についての、非特異的結合の確
率(p)に基づいて算定され、かつ以下の方程式によって表現され得る:
混合物の非特異的結合の確率 = 1 - (1 - p)n
この場合においては、個々の抗体がその標的タンパク質以外の何かに結合するという非
特異的結合イベントに、0.00001 (10-5)の確率があるとみなされた。したがって、任意の
1つの抗体についての非特異的結合の確率(p)は10-5であり、以下を与える:
混合物の非特異的結合の確率 = 1 - (1 - 10-5)5000 = 0.0488
加えて、タンパク質への非結合アウトカムの確率が、以下のように算定された:
P(非結合アウトカム | タンパク質) = 1 - P(結合アウトカム | タンパク質)
各未知のタンパク質に関して、結合が、未知のタンパク質への抗体混合物の結合確率に
基づいて、測定された抗体混合物それぞれについて評価された。0の最小値および1の最大
値を有する一様分布が無作為にサンプリングされ、そして、結果としてもたらされる数が
、未知のタンパク質への抗体混合物の結合確率未満であれば、実験は該混合物について、
結合イベントをもたらした。そうでなければ、実験は該混合物について、非結合イベント
をもたらした。評価されるすべての結合イベントを用いて、タンパク質推定は以下のよう
に実施される。
各未知のタンパク質に関して、一連の評価された結合イベント(全50個、混合物1個に
つき1個)は、Uniprotデータベース中の、21,005個のタンパク質候補のそれぞれに対して
評価された。より具体的には、一連の結合イベントを観測する確率が、各候補に関して算
定された。確率は、測定されたすべての50個の混合物にわたる、個々の混合物それぞれの
結合イベント/非結合イベントの確率を掛けることによって、算定された。結合確率は、
上述したのと同じ様式で算定され、かつ非結合の確率は、1から結合確率を差し引いたも
のである。最高の結合確率を有するタンパク質クエリー候補が、未知のタンパク質につい
て推定されるアイデンティティである。該個々のタンパク質に関して同定が正確である確
率は、すべての候補の合計された確率で割った、最上位の個々の候補の確率として、算定
された。
1,000個の未知のタンパク質のそれぞれについて推定されるアイデンティティを用いて
、未知のタンパク質は、それらの同定の確率の降順で並べ替えられた。同定の確率のカッ
トオフは、リスト中で先行するすべての同定の中の不正確な同定のパーセンテージが1%で
あるように、選択された。全体として、1,000個の未知のタンパク質のうち551個が、1%の
不正確な同定率で同定された。したがって、タンパク質同定は、55.1%の感度で実施され
た。
実施例6:多くの種におけるタンパク質同定
本明細書において記載される方法は、多くの異なる種から得られた試料中のタンパク質
を分析および/または同定するために、適用され得る。たとえば、一連の親和性試薬結合
実験からの結果は、それぞれ丸、三角形、および四角形によって表される、大腸菌、サッ
カロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)(酵母)、またはホモ・サピエ
ンス(Homo sapiens)(ヒト)におけるタンパク質を同定するために、使用され得る。分
析方法を種それぞれに対して適合させるために、タンパク質候補のリストは、Uniprotか
らダウンロードされる該種についてのリファレンスプロテオームなどの、種特異的な配列
データベースから、生成されなくてはならない。
図7は、大腸菌、酵母、またはヒト(それぞれ丸、三角形、および四角形によって表さ
れる)のいずれかからの未知のタンパク質に対する50個、100個、200個、または300個の
親和性試薬プローブパスを用いる実験によるタンパク質同定の感度を示すプロットを示す
。各プローブは、1つの標的三量体、および4つの追加のオフターゲット部位に、0.25の確
率で結合する。200個のプローブを用いる実験に関する感度(1%未満の偽同定率で同定さ
れる未知のタンパク質のパーセンテージ)は、試験された3つの種のそれぞれについて、
約90%であった。
実施例7:SNPの存在下でのタンパク質同定
本明細書において記載される方法は、非同義の一塩基多型(SNP)によって引き起こさ
れる1アミノ酸変異(SAV)の存在下で試料中のタンパク質を分析および/または同定する
ために、適用され得る。少数の1アミノ酸変異(SAV)を除いて同じ配列を有するタンパク
質は、区別することが困難であり得る。たとえば、一連の親和性試薬測定を用いる実験に
おいては、タンパク質のカノニカル型は、タンパク質の多型領域に対して高度に選択的な
親和性試薬が実験に含まれない限り、その変異型から区別するのはほぼ不可能であり得る
。多型領域が、親和性試薬測定のいずれによっても区別されない場合においては、いずれ
かのタンパク質型の測定は、カノニカルおよび変異体タンパク質クエリー候補の両方につ
いて、類似の確率(尤度)を返すと考えられる(たとえば、 L (カノニカルタンパク質 |
証拠) = 0.8 かつ L (変異体タンパク質 | 証拠) = 0.8)。
そのような場合においては、個々のタンパク質候補はいずれも、0.5より高い確率を返
さない可能性があり、これはたとえば、カノニカルタンパク質について、以下に表現され
る(ここで、 cprot = カノニカルタンパク質 であり、 vprot = 変異体タンパク質 であ
る):
Figure 2024075638000002
ここでLotherは、カノニカルタンパク質および変異体タンパク質を除く、すべてのタンパ
ク質クエリー候補の合計された尤度であり、かつゼロより大きいかまたはゼロと等しい数
である。
この場合、潜在的なタンパク質同定のグループが、未知のタンパク質に関して返され得
る。たとえば、最上位の2つの、最も可能性の高いタンパク質クエリー候補についての確
率は、以下のように表現され得る:
Figure 2024075638000003
カノニカルタンパク質と変異体タンパク質とを区別しないものの、このアプローチを用い
て、信頼性を有する同定が、未知のタンパク質から導かれ得る。特に、Lotherがゼロに近
い場合は、信頼性を有する同定がもたらされる可能性が高い。
実施例8:実証的な結果による、確率モデルの反復した改善
本明細書において記載される1つまたは複数の方法において使用される、確率論的なモ
デルは、期待値最大化アプローチまたは関連するアプローチを用いるタンパク質同定の計
算の間に実証的な測定を用いて、反復して改善され得る。そのようなアプローチの1つが
、親和性試薬結合実験に関して、本明細書に記載される。
最初に、各親和性試薬プローブについての結合確率が、推測値に初期化される。たとえ
ば、プローブ200個の集団はそれぞれ、1つの三量体を標的とし得、かつ0.5の推測された
結合確率を有し得る。タンパク質は、本明細書の他の箇所において開示されるアプローチ
を用いて同定される(たとえば、実施例1を参照されたい)。次に、各プローブについて
の結合確率が、以下の工程によって要約されるように、実証的な測定に基づいて、反復し
て改良される。
(1) 結合確率をアップデートするために、0.01未満の推測された偽発見率で同定され
る、未知のタンパク質の集団を使用する。
各プローブについて、集団中の、プローブによって認識される結合部位(三量体)を含
むタンパク質の割合を用いて、アップデートされた結合確率を算定する:
Figure 2024075638000004
「集団中の、結合部位を有するタンパク質の数が20個超」であるプローブの確率をアッ
プデートする。
アップデートされた確率が10-5未満であれば、それを10-5にセットする(0の確率が割
り当てられることを避けるため)。
(2) アップデートされた結合確率を用いて、別のタンパク質同定を実施する。
工程1および2の複数回の反復を繰り返す(たとえば、全部で1回、2回、3回、4回、5回
、6回、7回、8回、9回、10回、または10回超の反復)。
この反復したアプローチは、それぞれが0.25の結合確率で1つの三量体を認識する200個
のプローブを使用する実験を用いて、試験された。プローブ200個の結合測定は、0.5にセ
ットされた、プローブの結合確率の初期推測値を用いて、2000個の未知のタンパク質に対
してモデル化された。この反復するアルゴリズムの5回の反復を実施した後、アップデー
トされたプローブの結合確率は、より正確なものとなり(0.25により近い)、かつタンパ
ク質同定の感度は増加した。
図8は、反復(x軸)に対する結合確率(y軸、左)およびタンパク質同定の感度(y軸、
右)を示すプロットを示す。図8に示されるように、薄い線は、個々のプローブそれぞれ
についての、プローブの結合確率を示し、薄い線の中の濃い線は、プローブの結合確率の
中央値であり、かつ太い線は、各反復における、タンパク質同定の感度を示す。
実施例9:タンパク質候補整合物の確率からの、同定の偽発見率の推測
本明細書において記載される1つまたは複数の方法において使用される、タンパク質の
推定または同定のための確率論的なモデルは、直接的な成果物として、未知のタンパク質
それぞれについての、タンパク質配列整合物のリスト、および該配列整合物が正確である
という、関連する確率を、もたらす。多くの場合、タンパク質同定のサブセットのみが正
確であり得る。したがって、タンパク質のセットについての偽同定率を推測および制御す
るために有用な方法が、以下に記載される。
最初に、タンパク質同定の完全なセットは、タンパク質の同定確率によって、降順で並
べ替えられ、これは以下に示される(ここで prot = タンパク質 である):
prot1の確率(p1):0.99
prot2の確率(p2):0.97
prot3の確率(p3):0.92
prot4の確率(p4):0.9
prot5の確率(p5):0.8
prot6の確率(p6):0.75
prot7の確率(p7):0.6
prot8の確率(p8):0.5
次に、リスト中の各点における、予想される偽発見率が、
Figure 2024075638000005
として算定され、ここで
Figure 2024075638000006
は、リスト中の所与の点およびそれより前のものにおけるすべての確率の、平均である(
以下に示される):
Figure 2024075638000007
図9に示されるように、シミュレートされたプローブ200個の実験についての、推測され
た偽同定率の真の偽同定率との比較は、偽同定率の正確な推測を証明する。図9の上のプ
ロットに注目すると、同定の感度は、真の偽同定率および推測された偽同定率と、比較さ
れる。図9の下のプロットに注目すると、推測された偽同定率は、真の偽同定率に対して
プロットされており(実線で示される)、一方で破線は、理想的な、完全に正確な偽同定
率の推測を示す。
推測された偽同定(ID)率は、偽同定に関する許容性に応じて、タンパク質同定のリス
トの閾値に使用され得る。
実施例10:偽発見率推測アプローチの導出
タンパク質の同定それぞれが、未知のタンパク質について最も可能性の高いタンパク質
整合物を含む、タンパク質同定のリスト、および該整合物が正確であるという、関連する
確率(P(タンパク質 | 証拠)を、検討する。たとえば:
Figure 2024075638000008
である。
このリストにおける、偽発見の予想される数は、 1 -リスト中のすべてのタンパク質に
ついての平均の整合確率 である。この場合:
Figure 2024075638000009
である。
このアプローチの背景にある根拠は、以下のとおりである。N個のタンパク質同定のリ
ストと、無作為な変数である、各タンパク質同定、protiとを検討する、ここで、同定が
正確である場合は proti = 1 であり、かつ同定が不正確である場合は proti = 0 である
。この場合、任意のリストにおける正確な同定の数(correctids)は、これらの無作為な
変数の合計である:
Figure 2024075638000010
個々のタンパク質同定それぞれについての予想値は、正確な同定の確率と等価である:
Figure 2024075638000011
期待値の線形性により、以下のとおりとなる:
Figure 2024075638000012
予想される真の発見率(正確な同定の数/同定の数)は、平均の、候補の確率である:
Figure 2024075638000013
偽発見率は、 1 - 真の発見率、すなわち:
Figure 2024075638000014
である。
実施例11:結合測定アウトカムを用いるタンパク質同定
本明細書において記載される方法は、未同定のタンパク質への親和性試薬の結合および
/または非結合に関連するデータの、異なるサブセットに適用され得る。いくつかの態様
において、本明細書において記載される方法は、測定された結合アウトカムのうちの特定
のサブセットが検討されない(たとえば非結合測定アウトカム)実験に適用され得る。測
定された結合アウトカムのうちのあるサブセットが検討されないこれらの方法は、本明細
書において、「打ち切り」の推定アプローチ(たとえば実施例1に記載されるようなアプ
ローチ)と称され得る。図10に記載される結果において、打ち切りの推定アプローチの結
果として得られるタンパク質同定は、特定の未同定のタンパク質に関連する結合イベント
の発生を評価することに基づいている。したがって、打ち切りの推定アプローチは、未知
のタンパク質のアイデンティティを決定する際に、非結合アウトカムを検討しない。
このタイプの打ち切りの推定アプローチは、得られるすべての結合アウトカムが検討さ
れる(たとえば、特定の未同定のタンパク質に関連する、結合測定アウトカムおよび非結
合測定アウトカムの両方)、「非打ち切り」のアプローチとは、対照をなす。いくつかの
態様において、特定の結合測定もしくは結合測定アウトカムが、より誤りを生じやすいも
のであると予想される、またはタンパク質について予想される結合測定アウトカム(たと
えば、タンパク質によって該結合測定アウトカムが生成される確率)から逸脱する可能性
があると予想される場合に、打ち切りのアプローチは、適用可能であり得る。たとえば、
親和性試薬の結合実験において、結合測定アウトカムの、および非結合測定アウトカムの
確率が、大部分が直線構造を有する変性したタンパク質への結合に基づいて、算定され得
る。これらの条件において、エピトープは、親和性試薬に容易に接近可能であり得る。し
かしながら、いくつかの態様において、アッセイされたタンパク質試料における結合測定
は、非変性条件下または部分的な変性条件下で収集され得、該条件下ではタンパク質は、
著しい3次元構造を有する「折りたたまれた」状態で存在し、これは多くの場合において
、親和性試薬が結合する、直線型では接近可能であるタンパク質上のエピトープを、折り
たたまれた状態においては立体障害のために接近不可能にさせ得る。たとえば、あるタン
パク質に関して、親和性試薬が認識するエピトープが、折りたたまれたタンパク質の、構
造的に接近可能な領域にある場合、未知の試料において入手される、実験による結合測定
は、直線化されたタンパク質に由来する結合の算定された確率と、一致することが予想さ
れ得る。しかしながら、たとえば、親和性試薬によって認識されるエピトープが、構造上
接近不可能である場合、直線化されたタンパク質に由来する結合の算定された確率から予
想されるよりも多い、非結合アウトカムが存在することが予想され得る。さらに、タンパ
ク質の周囲の特定の条件に基づいて、3次元構造が、いくつかの可能性のある異なる立体
配置で形成され得、かつ、可能性のある異なる立体配置のそれぞれは、所望の親和性試薬
の接近可能性の程度に基づいて、特定の親和性試薬への結合に関して独特な予想を有し得
る。
したがって、非結合アウトカムは、各タンパク質に関して算定された結合確率から逸脱
することが予想され得、かつ、結合アウトカムを検討するのみである、打ち切りの推定ア
プローチが、適切であり得る。図10に提供されるような「打ち切り」の推定アプローチに
おいては、測定された結合アウトカムのみが検討され(言い換えると、非結合アウトカム
が測定されないか、または測定された非結合アウトカムが検討されないのいずれか)、し
たがって、結合測定をもたらした、M個の測定された結合アウトカム、これは、結合測定
アウトカムおよび非結合測定アウトカムの両方を含む、N個の全部の測定された結合アウ
トカムのうちのサブセットであるが、これのみを、結合アウトカムセットの確率は考慮す
る。これは、以下の表現によって記述され得る:
P(アウトカムセット | タンパク質) = P(結合イベント1 | タンパク質) * P(結合イベン
ト2 | タンパク質) * … * P(結合イベントM | タンパク質)
打ち切りのアプローチを適用する場合、偏りを補正するために、スケール因子をP(結合
アウトカムセット | タンパク質)に適用することが適切であり得る。たとえば、より長い
タンパク質は、概して、潜在的な結合アウトカムを生成する、より高い確率を有する(た
とえばそれらは、潜在的な結合部位をより多くを含むため)。この偏りを補正するために
、スケール変換された尤度SLが、P(結合アウトカムセット | タンパク質)を、M箇所の結
合部位の独特な組み合わせの数、これはタンパク質上の潜在的な結合部位の数に基づいて
、タンパク質から生成され得るものであるが、これで割ることによって、各候補タンパク
質について算定され得る。三量体認識部位を有する、長さLであるタンパク質に関して、L
-2個の潜在的な結合部位が存在し得(たとえば、完全なタンパク質配列の、可能性のある
長さLの部分配列ごとに)、したがって以下のとおりとなる:
Figure 2024075638000015
可能性のある候補タンパク質Q個の集団から選択される任意の候補タンパク質の確率は
、アウトカムセットが与えられるとき、以下のように表され得る:
Figure 2024075638000016
打ち切りのタンパク質推定アプローチ 対 非打ち切りのタンパク質推定アプローチの
態様の性能は、図10にプロットされる。図10にプロットされるデータは、表1に提供され
る。
(表1)
Figure 2024075638000017
図10に示される比較において、タンパク質同定の感度(たとえば、同定される独特なタ
ンパク質のパーセント)が、直線状のタンパク質基材において使用された打ち切りの推定
および非打ち切りの推定の両方について、測定された親和性試薬群の数に対してプロット
される。使用される親和性試薬は、プロテオーム中で最上位の最も豊富な三量体を標的と
しており、かつ各親和性試薬は、追加の無作為な三量体4つに対してオフターゲット親和
性を有する。100個の親和性試薬群が使用される場合に、非打ち切りのアプローチは、10
倍超の差で、打ち切りのアプローチよりも性能が優れている。非打ち切りの推定が打ち切
りの推定よりも性能が優れている度合いは、より多い群が使用される場合に、減少する。
実施例12:無作為な偽陰性のおよび偽陽性の親和性試薬の結合に対する、タンパク質同定
の許容性
いくつかの場合において、親和性試薬結合に関して、偽陰性の結合測定アウトカムが多
発することが起こり得る。「偽陰性」の結合アウトカムは、予想されるよりも少ない頻度
で生じる親和性試薬結合測定として現れる。そのような「偽陰性」のアウトカムは、たと
えば、結合検出方法、結合条件(たとえば、温度、緩衝液組成物等)、タンパク質試料の
劣化、または親和性試薬ストックの劣化の問題のために生じ得る。打ち切りのタンパク質
同定アプローチおよび非打ち切りのタンパク質同定アプローチにおける、偽陰性測定の影
響を決定するため、親和性試薬測定群のサブセットは、10個のうち1個、100個のうち1個
、1,000個のうち1個、10,000個のうち1個、または100,000個のうち1個のいずれかの、無
作為な、観測された結合イベントを、非結合イベントへとインシリコで交換することによ
って、意図的に劣化させた。全300個の親和性試薬群のうち、0個、1個、50個、100個、20
0個、または300個のいずれかを、この様式で劣化させた。図11にプロットされる結果によ
って示されるように、打ち切りのタンパク質同定アプローチおよび非打ち切りのタンパク
質同定アプローチの両方とも、このタイプの無作為な偽陰性の結合を許容する。図11にプ
ロットされるデータは、表2に提供される。
(表2)
Figure 2024075638000018
Figure 2024075638000019
同様に、「偽陽性」の結合アウトカムは、予想されるよりも高い頻度で生じる親和性試
薬結合測定として現れる。「偽陽性」の結合アウトカムへの許容性が、結合アウトカムの
サブセットを、非結合アウトカムから結合アウトカムへと交換することによって、評価さ
れた。この評価の結果は、表3に提供される。
(表3)
Figure 2024075638000020
Figure 2024075638000021
図12にプロットされるこれらの結果は、無作為な偽陽性測定の発生が増加すると、打ち
切りのタンパク質同定アプローチの性能は、非打ち切りのタンパク質同定アプローチより
も急速に悪化することを示す。しかしながら、両方のアプローチは、親和性試薬群ごとに
1000個のうち1個の偽陽性率、または親和性試薬群のサブセットにおいて100個のうち1個
の割合を、許容する。
実施例13:過大に推測されたまたは過小に推測された親和性試薬結合確率を用いるタンパ
ク質推定の性能
タンパク質同定の感度は、三量体への親和性試薬の、正確に推測された結合確率、およ
び過大に推測されたまたは過小に推測された親和性試薬結合確率を用いるタンパク質同定
を用いて、評価された。真の結合確率は、0.25であった。過小に推測された結合確率は:
0.05、0.1、および0.2であった。過大に推測された結合確率は、0.30、0.50、0.75、およ
び0.90であった。全部で300個の親和性試薬測定の群が入手された。親和性試薬のうち、
無し(0個)、300個すべて、またはサブセット(1個、50個、100個、200個)は、過大に
推測された、または過小に推測された結合確率を適用された。他のすべては、タンパク質
同定において、正確な結合確率(0.25)が使用された。分析の結果は、表4に提供される
(表4)
Figure 2024075638000022
Figure 2024075638000023
Figure 2024075638000024
図13にプロットされるこれらの結果は、結合確率が正確に推測されない可能性があるい
くつかの場合において、打ち切りのタンパク質同定が好ましいアプローチであり得ること
を示す。
実施例14:未知の結合エピトープを有する親和性試薬を用いるタンパク質推定アプローチ
の性能
いくつかの場合において、親和性試薬は、いくつかの未知の結合部位(たとえば、エピ
トープ)を有し得る。親和性試薬結合測定を用いる、打ち切りのタンパク質同定アプロー
チおよび非打ち切りのタンパク質同定アプローチの感度は、5つの三量体部位(たとえば
、1つの標的三量体、および4つの無作為なオフターゲット部位)に、タンパク質同定アル
ゴリズムに入力される0.25の確率でそれぞれ結合する親和性試薬を用いて、比較された。
親和性試薬のサブセット(300個のうち0個、300個のうち1個、300個のうち50個、300個の
うち100個、300個のうち200個、もしくは300個のうち300個)は、1個、4個、または40個
のいずれかの、追加の余分な結合部位を有しており、該部位はそれぞれ、無作為な三量体
に対して0.05、0.1、または0.25の結合確率を有していた。分析の結果は、表5に示される
(表5)
Figure 2024075638000025
Figure 2024075638000026
Figure 2024075638000027
Figure 2024075638000028
図14にプロットされるこれらの結果は、非打ち切りの推定は、追加の隠された結合部位
を包含させることへの許容性がより高いこと、および両方の推定アプローチの性能は、30
0個の親和性試薬のうち50個が、40個の追加の結合部位を含む場合に、有意に損なわれる
ことを示す。
実施例15:結合エピトープを欠く親和性試薬を用いるタンパク質推定アプローチの性能
いくつかの場合において、存在していない、アノテーションされたいくつかの結合エピ
トープ(たとえば、余分な予想される結合部位)を用いて、不適切に特徴付けされている
親和性試薬が、存在し得る。つまり、親和性試薬に関して予想される結合確率を生成する
ために使用されるモデルは、存在しない、余分な予想される部位を含む。親和性試薬結合
測定を用いる、打ち切りのタンパク質同定アプローチおよび非打ち切りのタンパク質同定
アプローチの感度は、無作為な三量体部位(たとえば、1つの標的三量体、および4つの無
作為なオフターゲット部位)に、タンパク質同定アルゴリズムに入力される0.25の確率で
それぞれ結合する親和性試薬を用いて、比較された。親和性試薬のサブセット(300個の
うち0個、300個のうち1個、300個のうち50個、300個のうち100個、300個のうち200個、も
しくは300個のうち300個)は、1個、4個、または40個のいずれかの、余分な予想される結
合部位を有しており、該部位はそれぞれ、無作為な三量体に対して結合確率0.05、0.1、
または0.25を有し、タンパク質推定アルゴリズムによって使用される親和性試薬について
のモデルに追加された。分析の結果は、表6に示される。
(表6)
Figure 2024075638000029
Figure 2024075638000030
Figure 2024075638000031
図15にプロットされるこれらの結果は、非打ち切りの推定は、親和性試薬結合のモデル
に含まれる余分な予想される結合部位を包含させることへの許容性がより高いこと、およ
び両方のタンパク質同定アプローチの性能は、親和性試薬の大部分が、40個の余分な予想
される結合部位を含む場合に、ある程度損なわれることを示す。
実施例16:別のスケール変換戦略を用いる、親和性試薬結合分析のための打ち切りの推定
本明細書において記載される方法は、確率のさまざまなスケール変換戦略との組み合わ
せで親和性試薬結合測定を用いる、タンパク質のアイデンティティの推定(たとえば未知
のタンパク質の同定)に、適用され得る。実施例11に記載される打ち切りの推定アプロー
チは、タンパク質における潜在的な結合部位の数(タンパク質の長さ - 2)、および観測
された結合アウトカムの数(M)に基づき、タンパク質に関する観測されたアウトカムの
確率をスケール変換する:
Figure 2024075638000032
本明細書において記載される方法は、スケール変換された尤度を計算するための別のア
プローチに、適用され得る。この例は、タンパク質を測定するために使用される親和性試
薬のセットから、長さkのタンパク質に関してN個の結合イベントを生成する確率をモデル
化し、そしてこの確率に基づいてスケール変換する、正規化のための別のアプローチを、
適用する。最初に、各プローブに関して、プローブが、試料中の未知のアイデンティティ
の三量体に結合する確率が、算定される:
Figure 2024075638000033
ここで、P(三量体j)は、プロテオーム中のすべての8,000個の三量体の合計数と比較し
た、三量体が存在する頻度である。長さkの任意のタンパク質に関して、プローブiがタン
パク質に結合する確率は、以下のように表され得る:
P(タンパク質の結合 | プローブi, k) = 1 - (1 - P(三量体の結合 | プローブi))k-2
長さkのタンパク質に関して観測された、成功した結合イベントの数は、n回の試行をと
もなうポアソン二項分布に従い得、ここでnは、タンパク質に関してなされたプローブの
結合測定の数であり、かつ分布のパラメーターpプローブ, kは、各試行について成功の確
率を示す:
pプローブ, k = [P(結合 | プローブ1, k), P(結合 | プローブ2, k), P(結合 | プロー
3, k) … P(結合 | プローブn, k)]
プローブの特定のセットを用いて、長さkのタンパク質からN個の結合イベントを生成す
る確率は、pによってパラメーター化され、Nにおいて評価される、ポアソン二項分布の確
率質量関数(PMFPoiBin)として表され得る:
P(N個の結合イベント | プローブ, k) = PMFPoiBin (N, pプローブ, k)
特定のアウトカムセットのスケール変換された尤度が、この確率に基づいて計算される

Figure 2024075638000034
実施例17:無作為に選択される親和性試薬の使用
本明細書において記載される方法は、親和性試薬の任意のセットに適用され得る。たと
えば、タンパク質同定アプローチは、プロテオーム中で最も豊富な三量体を標的とする親
和性試薬または無作為な三量体を標的とする親和性試薬のセットに、適用され得る。プロ
テオーム中で最上位の最も乏しい三量体300個を標的とする親和性試薬、プロテオーム中
で無作為に選択された三量体300個を標的とする親和性試薬、またはプロテオーム中で最
も豊富な三量体300個を標的とする親和性試薬を用いるヒトタンパク質推定分析からの結
果は、それぞれ表7A~表7Cに示される。
表7A~表7C
(表7A)プロテオーム中の最も乏しい三量体を標的とする、300個の親和性試薬
Figure 2024075638000035
(表7B)プロテオーム中の無作為な三量体を標的とする、300個の親和性試薬
Figure 2024075638000036
Figure 2024075638000037
Figure 2024075638000038
Figure 2024075638000039
Figure 2024075638000040
Figure 2024075638000041
Figure 2024075638000042
Figure 2024075638000043
Figure 2024075638000044
Figure 2024075638000045
Figure 2024075638000046
Figure 2024075638000047
Figure 2024075638000048
Figure 2024075638000049
Figure 2024075638000050
Figure 2024075638000051
(表7C)プロテオーム中の最も豊富な三量体を標的とする、300個の親和性試薬
Figure 2024075638000052
これらの結果は、図16にプロットされる。すべての場合において、各親和性試薬は、標
的三量体に対して0.25の結合確率を有しており、かつ、無作為に選択された追加の三量体
に対して0.25~4の結合確率を有していた。各親和性試薬セットの性能は、感度(たとえ
ば同定されるタンパク質のパーセンテージ)に基づいて測定される。各親和性試薬セット
は、5回繰り返して評価され、ここで各繰り返しの性能は点としてプロットされ、そして
垂直の線が、親和性試薬の同じセットからの繰り返しの測定をつないでいる。最上位の最
も豊富な300個の親和性試薬からなる、親和性試薬のセットからの結果は、青色であり、
最下位の300個では緑色である。無作為な三量体を標的とする親和性試薬300個の、全部で
100個の異なるセットが生成され、そして評価された。それらセットのそれぞれは、灰色
の垂直の線でつながれた、5つの灰色の点(1つが各繰り返しを表す)のセットによって表
される。この分析において使用された非打ち切りの推定から見て、より豊富な三量体を標
的とすることは、無作為な三量体を標的とすることと比べて、同定の性能を改善する。
実施例18:バイオシミラーオフターゲット部位を有する親和性試薬
本明細書において記載される方法は、異なるタイプのオフターゲット結合部位(エピト
ープ)を有する親和性試薬を用いる親和性試薬結合実験に、適用され得る。この実施例に
おいては、親和性試薬の2つのクラスの性能が比較される:無作為な親和性試薬、および
「バイオシミラー」親和性試薬。これらの評価からの結果は、表8A~表8Dに示される。
表8A~表8D
(表8A)バイオシミラーオフターゲット部位を有しており、かつプロテオーム中で最
も豊富な三量体300個を標的とする親和性試薬を用いる、打ち切りの推定の性能
Figure 2024075638000053
(表8B)バイオシミラーオフターゲット部位を有しており、かつプロテオーム中で最
も豊富な三量体300個を標的とする親和性試薬を用いる、非打ち切りの推定の性能
Figure 2024075638000054
(表8C)無作為なオフターゲット部位を有しており、かつプロテオーム中で最も豊富
な三量体300個を標的とする親和性試薬を用いる、打ち切りの推定の性能
Figure 2024075638000055
(表8D)無作為なオフターゲット部位を有しており、かつプロテオーム中で最も豊富
な三量体300個を標的とする親和性試薬を用いる、非打ち切りの推定の性能
Figure 2024075638000056
無作為な親和性試薬とは異なり、バイオシミラー親和性試薬は、標的エピトープと生化
学的に類似する、オフターゲット結合部位を有する。無作為な親和性試薬およびバイオシ
ミラー親和性試薬の両方とも、それらの標的エピトープ(たとえば三量体)を、結合確率
0.25で認識する。無作為なクラスの親和性試薬のそれぞれは、結合確率0.25の、無作為に
選択されたオフターゲット三量体結合部位4つを有する。対照的に、「バイオシミラー」
親和性試薬の、4つのオフターゲット結合部位は、親和性試薬の標的三量体に最も類似す
る4つの三量体であり、これらは確率0.25で結合される。これらのバイオシミラー親和性
試薬に関して、三量体配列の間の類似性が、配列位置それぞれでのアミノ酸対についてBL
OSUM62係数を合計することによって、計算される。無作為な親和性試薬のセットおよびバ
イオシミラー親和性試薬のセットの両方は、ヒトプロテオーム中で最上位の最も豊富な三
量体300個を標的とし、ここで豊富さの度合いは、三量体の1つまたは複数の例を含んでい
る、独特なタンパク質の数として、測定される。図17は、無作為なオフターゲット部位を
有する親和性試薬(青色)またはバイオシミラーオフターゲット部位を有する親和性試薬
(オレンジ色)が使用される場合にヒト試料において同定されるタンパク質のパーセント
に関して、打ち切りのタンパク質推定アプローチ(破線)および非打ち切りのタンパク質
推定アプローチ(実線)の性能を示す。
この比較において、非打ち切りの推定は、打ち切りの推定よりも性能が優れており、非
打ち切りの推定は、バイオシミラー親和性試薬のときのほうがより優れて実施され、かつ
打ち切りの推定は、無作為な親和性試薬のときのほうがより優れて実施される。
あるいは、プロテオーム中で最も豊富な三量体を標的とする親和性試薬を用いるのでは
なく、三量体標的の最適なセットが、測定され得る候補タンパク質(たとえばヒトプロテ
オーム)、実施されるタンパク質推定のタイプ(打ち切りまたは非打ち切り)、および使
用される親和性試薬のタイプ(無作為なまたはバイオシミラー)に基づいて、特定のアプ
ローチに関して選択され得る。「貪欲法」アルゴリズムが、後述のように、最適な親和性
試薬のセットを選択するために、使用され得る:
1) 選択される親和性試薬(AR)の空のリストを、初期化する。
2) 候補ARのセット(たとえば、そのそれぞれが、無作為なオフターゲット部位を有し
つつ独特な三量体を標的とする、8,000個のARの集団)を、初期化する。
3) (たとえばUniprotリファレンスプロテオーム中のすべてのヒトタンパク質)に対
して最適化するために、タンパク質配列のセットを選択する。
4) 所望の数のARが選択されるまで、以下を繰り返す:
a. 各候補ARに関して:
i. タンパク質セットに対する候補ARの結合をシミュレートする。
ii. 候補ARからシミュレートされた結合測定、および以前に選択されたすべてのA
Rからシミュレートされた結合測定を用いて、各タンパク質についてタンパク質推定を実
施する。
iii. タンパク質推定によって決定される、各タンパク質についての正確なタンパ
ク質同定の確率を合計することによって、候補ARについてスコアを算定する。
b. 最高のスコアを有するARを選択されるARのセットへ追加し、そしてそれを候補AR
リストから除去する。
貪欲法アプローチは、ヒトプロテオーム中で最上位の最も豊富な三量体4,000個を標的
とする、無作為な親和性試薬の集団またはバイオシミラー親和性試薬の集団のいずれかか
ら、最適な親和性試薬300個を選択するために、使用された。最適化が、打ち切りのタン
パク質推定および非打ち切りのタンパク質推定の両方に対して実施された。これらの最適
化からの結果は、表9A~表9Dに提供される。
表9A~表9D
(表9A)バイオシミラーオフターゲット部位を有しており、かつプロテオーム中の最
適な三量体300個を標的とする親和性試薬を用いる、打ち切りの推定の性能
Figure 2024075638000057
(表9B)バイオシミラーオフターゲット部位を有しており、かつプロテオーム中の最
適な三量体300個を標的とする親和性試薬を用いる、非打ち切りの推定の性能
Figure 2024075638000058
(表9C)無作為なオフターゲット部位を有しており、かつプロテオーム中の最適な三
量体300個を標的とする親和性試薬を用いる、打ち切りの推定の性能
Figure 2024075638000059
(表9D)無作為なオフターゲット部位を有しており、かつプロテオーム中の最適な三
量体300個を標的とする親和性試薬を用いる、非打ち切りの推定の性能
Figure 2024075638000060
打ち切りのタンパク質推定および非打ち切りのタンパク質推定の両方についての、最適
化されたプローブセットの性能は、図18にプロットされる。
貪欲法の最適化アルゴリズムによって選択された親和性試薬のセットの使用は、打ち切
りのタンパク質推定アプローチおよび非打ち切りのタンパク質推定アプローチの両方を用
いる、無作為な親和性試薬セットならびにバイオシミラー親和性試薬セット両方の性能を
、改善する。加えて、無作為な親和性試薬のセットは、貪欲法アプローチが親和性試薬を
選択するために使用される場合に、バイオシミラー親和性試薬のセットとほぼ同様に作用
する。
実施例19:親和性試薬の混合物の結合を用いるタンパク質推定
本明細書において記載される方法は、親和性試薬の混合物を用いて測定されたタンパク
質を、分析および/または同定するために、適用され得る。親和性試薬の混合物によって
アッセイされた場合に、ある特定のタンパク質が結合アウトカムを生成する確率は、以下
のように計算され得る:
1) 混合物中の各親和性試薬の、非特異的エピトープ結合の平均の確率
Figure 2024075638000061
を、算定する。
2) タンパク質における結合部位の数を、タンパク質の長さ(L)および親和性試薬の
エピトープの長さ(K)に基づいて算定する:結合部位の数 = L - K + 1。非特異的結合
イベントが生じない確率は、
Figure 2024075638000062
である。
3) 混合物中の各親和性試薬に関して、エピトープ特異的結合イベントが生じない確率
を、以下のように算定する:
Figure 2024075638000063
4) タンパク質に関して、混合物が非結合アウトカムを生成する確率は、以下である:
Figure 2024075638000064
5) 混合物が結合アウトカムを生成する確率は、以下である:
P(結合 | タンパク質) = 1 - P(非結合 | タンパク質)
タンパク質混合物からの、結合アウトカムまたは非結合アウトカムの確率を算定するた
めのこのアプローチは、タンパク質同定のための親和性試薬の混合物の性能を分析するた
めに、本明細書において記載される方法と組み合わせて使用された。分析において個々の
親和性試薬それぞれは、その標的三量体エピトープに、0.25の確率で結合し、かつ該エピ
トープ標的に最も類似する三量体4つに、0.25の確率で結合する。これらの親和性試薬に
関して、三量体の類似性が、比較される三量体中の各配列位置におけるアミノ酸について
BLOSUM62置換マトリックスからの係数を合計することによって、算定される。加えて、各
親和性試薬は、BLOSUM62置換マトリックスを用いて算定された、オフターゲット部位と標
的三量体との間の配列類似性にしたがい、スケール変換された結合確率で、20個の追加の
オフターゲット部位に結合する。これらの追加のオフターゲット部位についての確率は、
以下のとおりである:
Figure 2024075638000065
ここでSOTは、オフターゲット部位と標的部位との間のBLOSUM62類似性であり、かつSself
は、標的配列とそれ自身との間のBLOSUM62類似性である。2.45 x 108を下回る結合確率を
有するオフターゲット部位はいずれも、結合確率2.45 x 108を有するように調整される。
非特異的エピトープ結合確率は、この例においては2.45 x 108である。
300個の親和性試薬の混合物の最適なセットは、打ち切りのおよび非打ち切りの両方の
タンパク質推定のために、貪欲法アプローチを用いて生成された:
1) 選択される親和性試薬(AR)混合物の空のリストを、初期化する。
2) 候補親和性試薬(この例においては、実施例18に詳細が記載される貪欲法アプロー
チを用いて計算された、300個のもっとも最適なものからなる)のリストを、初期化する

3) (たとえばUniprotリファレンスプロテオーム中のすべてのヒトタンパク質)に対
して最適化するために、タンパク質配列のセットを選択する。
4) 所望の数のAR混合物が生成されるまで、以下を繰り返す:
a. 空の混合物を初期化する。
b. 各候補ARに関して:
i. それに追加された候補ARを有する現在の混合物を用いて、結合アウトカムをシ
ミュレートする。
ii. i.からシミュレートされた結合測定、および以前に生成された混合物からシ
ミュレートされた結合測定を用いて、各タンパク質についてタンパク質推定を実施する。
iii. タンパク質推定によって決定される、各タンパク質についての正確なタンパ
ク質同定の確率を合計することによって、この候補ARを有する混合物についてスコアを算
定する。
c. 最高のスコアが付けられた候補ARを、混合物へ追加する。
d. それまでに混合物になかった各候補ARに関して、該ARが追加された混合物に、i
~iiiにおけるようにスコアを付け、そして、最高のスコアが付けられた候補が、混合物
に追加された以前の候補よりも高いスコアを有する場合、それを混合物に追加し、そして
、この工程を繰り返す。混合物は、最高のスコアが付けられた候補ARが、以前に追加され
た候補と比べて、混合物のスコアを減少させる場合に、またはすべての候補ARが混合物に
追加された場合に、完成する。
図19は、非混合の候補親和性試薬が、および混合物が、打ち切りのタンパク質推定およ
び非打ち切りのタンパク質推定とともに使用される場合の、タンパク質同定の感度を示す
。図19にプロットされるデータは、表10A~表10Bに示される。
表10A~表10B
(表10A)個々のプローブ(非混合)の、またはプローブの混合物(混合)の結合に
おいてなされた測定を用いる、打ち切りの推定の性能
Figure 2024075638000066
(表10B)個々のプローブ(非混合)の、またはプローブの混合物(混合)の結合に
おいてなされた測定を用いる、非打ち切りの推定の性能
Figure 2024075638000067
混合物の使用は、非打ち切りの推定が使用される場合に性能を改善するが、打ち切りの
推定が使用される場合には、性能に不利な影響を与え得る。
実施例20-候補グリカン7個のデータベースを用いるグリカン同定
データベースが候補グリカン7個を含む状況を、検討する:
Figure 2024075638000068
加えて実験は、所与の二糖への結合の25%の尤度をそのそれぞれが有する、4個の親和性
試薬(AR)を用いて実施する。これらの試薬が結合する他の二糖は、データベース中のい
かなるグリカンにも見出されない。
ヒットテーブルが、データベース中の各配列に対する親和性試薬に関して構築される。
(行 = 親和性試薬#1~#4、列 = SEQ ID)
Figure 2024075638000069
とりわけ、この情報は徐々に到着するので、したがって反復して計算されてよい。以下
に示されるように、ヒットテーブルから、P(グリカン_i | AR_j)が、確率マトリックスを
生成するために評価される。所与のエントリーに関して、ヒットテーブル ≧ 1であるな
らば、P_着地_AR_n = 真の着地率 = 0.25が使用され;そうではなくヒットテーブル = 0
であれば、P(検出器の誤り) = 0.00001が使用されることに、注意されたい。
Figure 2024075638000070
多くのセルが0.00001の確率を含むことに注意されたい。この小さい確率は、検出器の
誤りが原因である可能性がある。最初に、正規化されていない、グリカンの確率が、各候
補グリカンについて、確率の積として算定される:
Figure 2024075638000071
次に、サイズの正規化が計算され、これは、いくつかの数の親和性試薬が、所与のグリ
カンに着地し得る様式の数を、グリカンの潜在的な結合部位の数の関数として表す。サイ
ズの正規化は、Choose(部位_i, n)との語として表される。たとえば、候補ID 52は、6個
の二糖部位、および15である[6 choose 4]というサイズの正規化を、有する。利用可能な
二糖部位の数よりも多い結合イベントがある場合、サイズの正規化係数は1にセットされ
る。正規化されていない、各グリカンの確率は、このサイズ補正を考慮に入れるために、
サイズの正規化で割ることによって正規化され、これを以下に示す:
Figure 2024075638000072
次に、データベース全体にわたる確率のセット全体が合計されて1になるように、確率
が正規化される。これは、サイズが正規化された確率が0.00390641になるよう合計し、そ
して最終的な釣り合った確率を達成するために、この正規化によって、サイズが正規化さ
れた確率のそれぞれを割ることによって、達成される:
Figure 2024075638000073
実施例21:タンパク質アイソフォームを含む試料における、打ち切りのタンパク質同定の
性能
本明細書において記載されるタンパク質同定アプローチは、タンパク質アイソフォーム
を含む試料に適用され得る。カノニカルタンパク質のアイソフォームとは、カノニカルタ
ンパク質と同じ遺伝子の選択的スプライシングによって形成される、またはカノニカルタ
ンパク質と同じ遺伝子ファミリー中の別の遺伝子によって形成される、カノニカルタンパ
ク質の変異体を指し得る。タンパク質アイソフォームは、カノニカルタンパク質に対して
構造的に類似し得るものであり、典型的には、カノニカルタンパク質と、配列の大部分を
共有している。
タンパク質試料および親和性試薬
タンパク質同定における、アイソフォーム配列の存在の影響を決定するため、親和性試
薬結合分析が、独特なカノニカルヒトタンパク質20,374個、およびそれらカノニカルタン
パク質の独特なアイソフォーム21,987個からなるタンパク質の集団において、実施された
。カノニカルタンパク質およびアイソフォームタンパク質は、Uniprotデータベースの一
部として利用可能なリファレンスヒトプロテオーム中に列挙されているものである。手動
でアノテーションされかつレビューされているタンパク質であることを意味するために使
用される「Swiss-Prot」との表示のあるタンパク質のみが、分析に含められた。個々のカ
ノニカルタンパク質それぞれについての、含まれるアイソフォームの数は、アイソフォー
ム0~36個の範囲にわたっていた。このセット中のカノニカルタンパク質についての、ア
イソフォームの平均数は、1.08である。試料は、384個の親和性試薬群を用いて分析され
た、ここで各群は、試料中のタンパク質のそれぞれへの、独特な親和性試薬の結合アウト
カムを、測定する。各親和性試薬は、標的三量体に0.25の確率で結合し、かつ標的三量体
に最も類似する4つの三量体に0.25の確率で結合する。他のオフターゲット三量体は、2.4
5 x 10-8より大きい数であってかつ0.25 * 1.5-xという確率で結合され、後者においてx
は、標的三量体のそれ自体に対する類似性から差し引かれた、オフターゲット三量体の三
量体標的に対する類似性である。三量体配列の間の類似性は、たとえば、3つの配列位置
のそれぞれにおけるアミノ酸対について、BLOSUM62係数を合計することによって、計算さ
れ得る。親和性試薬の三量体標的は、ヒトプロテオームに対して最適化するために、実施
例18に記載されるように、貪欲法アプローチを用いて選択された。
未知のアイソフォーム配列を用いるタンパク質同定の性能
タンパク質試料中の、20,374個のカノニカルタンパク質についての配列のみを含むデー
タベースを用いて、打ち切りのタンパク質推定が、試料からの結合アウトカムにおいて実
施された。タンパク質推定のために使用されたデータベースは、試料中の21,987個のタン
パク質アイソフォームの配列を欠くため、この分析の結果は、試料中の潜在的なタンパク
質アイソフォームの配列が既知ではない場合の性能を示す。この様式で実施されるタンパ
ク質推定を用いて、正確なタンパク質ファミリーは、試料中のタンパク質の83.9%につい
て、1%の偽発見率で同定される。「タンパク質ファミリー」との語は、本明細書において
使用されるように、概して、カノニカルタンパク質配列、および該カノニカルタンパク質
配列のすべてのアイソフォームを含む、配列のセットを指す。タンパク質についての正確
なタンパク質ファミリーは、推定されたタンパク質のアイデンティティが、分析されてい
る該タンパク質と同じタンパク質ファミリー内にある場合に、同定される。
既知のアイソフォーム配列を用いるタンパク質同定の性能
タンパク質推定が、試料中のすべてのタンパク質配列(カノニカルタンパク質配列およ
びアイソフォームタンパク質配列の両方)からなる配列データベースを用いて実施された
場合、正確なタンパク質配列は、試料中のタンパク質の60.9%について、1%の偽発見率で
同定された。あるタンパク質について正しい配列が同定される場合に、該タンパク質につ
いて正確なタンパク質配列が同定される。さらに、正確なタンパク質ファミリーは、試料
中のタンパク質の89.8%について、同定される。タンパク質ファミリーの同定率と、正し
いタンパク質配列の同定率との間の相違は、類似の配列を有する複数のアイソフォーム候
補の間で、タンパク質のアイデンティティを区別することの困難性のために、生じ得る。
アプリオリに定義されるタンパク質ファミリーを用いるタンパク質同定の性能
カノニカルタンパク質配列およびアイソフォームタンパク質配列の、タンパク質ファミ
リーへのグループ化が、アプリオリに既知である場合、タンパク質ファミリーについての
同定率は、タンパク質ファミリーの確率を直接的に算定することによって、改善され得る
。測定されている個々のタンパク質に関して、タンパク質がタンパク質ファミリーのメン
バーである確率は、ファミリーを構成する個々のタンパク質配列の確率のそれぞれを合計
することによって、算定され得る。分析されているタンパク質について最高の確率を有す
るタンパク質ファミリーが、タンパク質ファミリーの同定物として、割り当てられる。タ
ンパク質ファミリーの確率がこの様式で算定される場合、正確なタンパク質ファミリーは
、試料中のタンパク質の97.2%について、1%の偽発見率で同定される。比較として、タン
パク質ファミリーの確率が直接的に算定されない場合、正確なタンパク質ファミリーは、
試料中のタンパク質の89.8%について、1%の偽発見率で同定される。
実施例22:1アミノ酸変異(SAV)を有するタンパク質を含む試料における、打ち切りのタ
ンパク質同定の性能
本明細書において記載されるタンパク質同定アプローチは、1アミノ酸変異を有するタ
ンパク質を含む試料に適用され得る。カノニカルタンパク質の1アミノ酸変異(SAV)とは
、本明細書において使用されるように、概して、1アミノ酸が異なる、カノニカルタンパ
ク質の変異を指す。1アミノ酸変異タンパク質は、典型的には、タンパク質をコードする
遺伝子におけるミスセンス一塩基多型(SNP)から生じ得る。
タンパク質試料および親和性試薬
タンパク質同定における、SAVタンパク質の存在の影響を決定するため、親和性試薬結
合分析が、独特なカノニカルヒトタンパク質20,374個、およびそれらカノニカルタンパク
質の独特なSAV12,827個からなるタンパク質の集団において、実施された。カノニカルタ
ンパク質は、Uniprotデータベースの一部として利用可能なリファレンスヒトプロテオー
ム中に列挙されているものである。各カノニカルタンパク質に関して、タンパク質につい
ての1つまたは複数のSAVが、SAVデータベース中に存在する場合、無作為に選択されるSAV
が、試料中に含められる。使用されたSAVデータベースは、Uniprot human polymorphisms
and disease mutations indexである。手動でアノテーションされかつレビューされてい
るタンパク質であることを意味するために使用される「Swiss-Prot」との表示のあるタン
パク質のみが、分析に含められた。試料は、384個の親和性試薬群を用いて分析された、
ここで各群は、試料中のタンパク質のそれぞれへの、独特な親和性試薬の結合アウトカム
を、測定する。各親和性試薬は、標的三量体に0.25の確率で結合し、かつ標的三量体に最
も類似する4つの三量体に0.25の確率で結合する。他のオフターゲット三量体は、2.45 x
10-8より大きい数であってかつ0.25 * 1.5-xという確率で結合され、後者においてxは、
標的三量体のそれ自体に対する類似性から差し引かれた、オフターゲット三量体の三量体
標的に対する類似性である。三量体配列の間の類似性は、たとえば、3つの配列位置のそ
れぞれにおけるアミノ酸対について、BLOSUM62係数を合計することによって、計算され得
る。親和性試薬の三量体標的は、ヒトプロテオームに対して最適化するために、実施例18
に記載されるように、貪欲法アプローチを用いて選択された。
既知のSAV配列を用いるタンパク質同定の性能
タンパク質試料中の、20,374個のカノニカルタンパク質についての配列のみを含むデー
タベースを用いて、打ち切りのタンパク質推定が、試料からの結合アウトカムにおいて実
施された。タンパク質推定のために使用されたデータベースは、試料中の12,827個のSAV
タンパク質の配列を欠くため、この分析の結果は、試料中のすべての潜在的なSAVの配列
が既知ではない場合の性能を示す。この様式で実施されるタンパク質推定を用いて、正確
なSAVタンパク質ファミリーは、試料中のタンパク質の96.0%について、1%の偽発見率で同
定される。「SAVタンパク質ファミリー」との語は、本明細書において使用されるように
、概して、カノニカルタンパク質配列、および該カノニカルタンパク質配列のすべてのSA
Vを含む、配列のセットを指す。タンパク質についての正確なSAVタンパク質ファミリーは
、推定されたタンパク質のアイデンティティが、分析されている該タンパク質と同じSAV
タンパク質ファミリー内にある場合に、同定される。
既知のSAV配列を用いるタンパク質同定の性能
タンパク質推定が、試料中のすべてのタンパク質配列(カノニカルタンパク質配列およ
びSAVタンパク質配列の両方)からなる配列データベースを用いて実施された場合、正確
なタンパク質配列は、試料中のタンパク質の27.1%について、1%の偽発見率で同定された
。あるタンパク質について正しい配列が同定される場合に、該タンパク質について正確な
タンパク質配列が同定される。さらに、正確なSAVタンパク質ファミリーは、試料中のタ
ンパク質の96.1%について、同定される。SAVタンパク質ファミリーの同定率と、正しいタ
ンパク質配列の同定率との間の相違は、カノニカルタンパク質配列のアイデンティティと
、極度に類似したSAV配列のアイデンティティの間を区別することの困難性のために、生
じ得る。
アプリオリに定義されるSAVタンパク質ファミリーを用いるタンパク質同定の性能
SAVタンパク質ファミリーについての同定率は、SAVタンパク質ファミリーの確率を直接
的に算定することによって、改善され得る。測定されている個々のタンパク質に関して、
タンパク質がSAVタンパク質ファミリーのメンバーである確率は、ファミリーを構成する
個々のタンパク質配列の確率のそれぞれを合計することによって、算定され得る。分析さ
れているタンパク質について最高の確率を有するSAVタンパク質ファミリーが、SAVタンパ
ク質ファミリーの同定物として、割り当てられる。SAVタンパク質ファミリーの確率がこ
の様式で算定される場合、正確なSAVタンパク質ファミリーは、試料中のタンパク質の96.
5%について、1%の偽発見率で同定される。比較として、タンパク質ファミリーの確率が直
接的に算定されない場合、正確なSAVタンパク質ファミリーは、試料中のタンパク質の96.
1%について、1%の偽発見率で同定される。
実施例23:種の混合物からのタンパク質を含む試料における、打ち切りのタンパク質推定
の性能
いくつかの場合において、タンパク質試料は、複数の種のそれぞれからのタンパク質を
含んでよい。タンパク質試料は、化石などの外部供給源に由来するタンパク質を含んでよ
い。いくつかの態様において、タンパク質試料は、組み換えタンパク質、またはインビト
ロ転写および翻訳によって合成されたタンパク質などの、合成された、修飾された、また
は遺伝子操作されたタンパク質を、含んでよい。いくつかの態様において、合成された、
修飾された、または遺伝子操作されたタンパク質は、非天然の配列(たとえば、CRISPR-C
as9による改変、または他の人工的な遺伝子構築物から生じるもの)を含んでよい。種の
それぞれは、たとえば、哺乳類(たとえばヒト、マウス、ラット、霊長類、もしくはサル
)などの動物、家畜(肉牛、乳牛、家禽、ウマ、ブタ等)、スポーツ動物、伴侶動物(た
とえばペットもしくは支援動物);植物、原生生物、細菌、ウイルス、または古細菌であ
ってよい。
この実施例においては、腫瘍異種移植マウスモデルからの試料が、マウス起源およびヒ
ト起源の両方のタンパク質の、実質的な量を含み得る。タンパク質推定における、種の混
合物からのタンパク質を有する試料におけるタンパク質推定の性能を決定するため、親和
性試薬結合分析が、2,000個の独特なマウスタンパク質および2,000個の独特なヒトタンパ
ク質からなるタンパク質の集団において、実施された。ヒトタンパク質およびマウスタン
パク質の両方は、それぞれの種のUniprotリファレンスプロテオーム中の、カノニカルSwi
ss-Prot配列エントリーの集団から、無作為に選択された。試料は、384個の親和性試薬群
を用いて分析された、ここで各群は、試料中のタンパク質のそれぞれへの、独特な親和性
試薬の結合アウトカムを、測定する。各親和性試薬は、標的三量体に0.25の確率で結合し
、かつ標的三量体に最も類似する4つの三量体に0.25の確率で結合する。他のオフターゲ
ット三量体は、2.45 x 10-8より大きい数であってかつ0.25 * 1.5-xという確率で結合さ
れ、後者においてxは、標的三量体のそれ自体に対する類似性から差し引かれた、オフタ
ーゲット三量体の三量体標的に対する類似性である。三量体配列の間の類似性は、たとえ
ば、3つの配列位置のそれぞれにおけるアミノ酸対について、BLOSUM62係数を合計するこ
とによって、計算され得る。親和性試薬の三量体標的は、ヒトプロテオームに対して最適
化するために、実施例18に記載されるように、貪欲法アプローチを用いて選択された。
タンパク質推定が、ヒトプロテオーム(Uniprotヒトリファレンスプロテオーム中の、
カノニカルSwiss-Prot配列エントリー)からの候補タンパク質についての配列のみを含む
データベースを用いて、混合物試料において実施された場合、結果は、偽発見率の1%とい
う閾値を下回る、試料中のタンパク質の同定は無かった(たとえば、0%の同定率)ことを
示した。比較として、タンパク質推定が、混合物試料において、ヒトプロテオームおよび
マウスプロテオームの両方からの候補タンパク質についての配列を含むデータベースを用
いて実施された場合、試料中のタンパク質の85.3%が、偽発見率の1%という閾値を下回っ
て同定された。性能におけるこの相違は、複数の種からのタンパク質を含む試料(たとえ
ば混合物試料)に関して、タンパク質同定の性能は、タンパク質推定の分析が、混合物試
料中に示されるすべての種からの候補タンパク質についての配列を含むデータベースを用
いて実施される場合に、有意に改善されることを示す。
実施例24:タンパク質の標的パネルに対する親和性試薬セットの設計
試料中のタンパク質の、特定のサブセットの同定のために最適化される、親和性試薬の
セットが設計され得る。たとえば、親和性試薬の最適な集団は、プロテオーム全体の同定
のために最適化されたセットを用いるのと比べて、より少数の親和性試薬結合群で、標的
タンパク質の特定のセットを同定するために、使用され得る。この実施例においては、親
和性試薬のセットが、がん免疫療法処置への臨床応答に関する潜在的なバイオマーカーで
ある、25種類のヒトタンパク質の最適な同定のために、生成される。標的パネル中のタン
パク質は、表11に列挙される。
(表11)がん免疫療法への応答に関する標的パネルに含まれるタンパク質
Figure 2024075638000074
完全なプロテオームの同定のために最適化された親和性試薬のセットを生成するため、
貪欲法選択アプローチが、実施例18に記載されるように適用された。親和性試薬のこのセ
ットは、「プロテオームに最適化された」親和性試薬セットと称され得る。表11中のタン
パク質の同定のために最適化された親和性試薬のセットを生成するため、実施例18におけ
る工程4)のi)の改変版が実施され、これにおいては、タンパク質推定によって決定される
、各タンパク質についての正確なタンパク質同定の確率のそれぞれを合計することによっ
て、候補親和性試薬についてのスコアを算定するのではなく、候補親和性試薬についての
スコアは、標的パネル中のタンパク質のみについての正確なタンパク質同定の確率のそれ
ぞれを合計することによって、算定される。この親和性試薬セットは、「パネルに最適化
された」親和性試薬セットと称され得る。プロテオームに最適化された親和性試薬のセッ
ト、およびパネルに最適化された親和性試薬のセットの性能は、UniprotからのSwiss-Pro
tヒトリファレンスプロテオーム中の、すべて独特なカノニカルタンパク質(20,374個の
タンパク質)を含むヒトプロテオーム試料において試験された。この試料は、標的パネル
中の25個のタンパク質すべてを含む。両方の親和性試薬セットが、タンパク質試料を分析
するために使用され、そして打ち切りの推定が、試料中のすべてのタンパク質についてタ
ンパク質同定を生成するために使用された。
プロテオームに最適化された親和性試薬セットによって同定された、標的パネルのタン
パク質の数、およびパネルに最適化された親和性試薬セットによって同定された、標的パ
ネルのタンパク質の数は、表12に示される。成功した同定として数えられるべき、標的パ
ネルのタンパク質に関して、該タンパク質は、試料において1%を下回る偽発見率で同定さ
れるタンパク質すべてのリスト中に、存在しなければならない。同定は、変化させた数の
親和性試薬群で実施された。たとえば、150個の親和性試薬群は、タンパク質推定が、プ
ロテオームに最適化されたセットまたはパネルに最適化されたセットのいずれかからの、
上位150個の親和性試薬を用いる分析を含むデータセットにおいて、実施されたことを示
し、ここで各親和性試薬は、個々の群において分析される。
(表12)標的タンパク質25個の標的パネルについてのタンパク質同定の性能
Figure 2024075638000075
表12に示される結果は、パネルに最適化された親和性試薬の適用が、標的パネルのタン
パク質の同定率を、成功裏に増加させたことを示す。パネルに最適化された親和性試薬セ
ット、およびプロテオームに最適化された親和性試薬セットの両方について、1%を下回る
偽発見率で同定されたタンパク質すべてのパーセンテージは、表13に示される。
(表13)試料中のすべてのタンパク質についての、タンパク質同定の性能
Figure 2024075638000076
表13に示される結果は、特異的な標的パネル中のタンパク質のセットを同定する性能を
改善するために、パネルに最適化された親和性試薬セットが生成され得ることを示す。し
かしながら代償が生じ得、表13における、パネルに最適化された試薬の、全体的なタンパ
ク質同定率の低下によって示されるように、結果としてもたらされた、パネルに最適化さ
れた親和性試薬セットは、標的パネル以外のタンパク質を同定するためには、最適という
わけではない可能性がある。
実施例25:個々のアミノ酸の存在、数、または順の検出を用いるタンパク質推定の性能
本明細書において記載されるタンパク質推定アプローチは、タンパク質およびペプチド
中の特定のアミノ酸の測定に適用され得る。たとえば、タンパク質もしくはペプチド中の
あるアミノ酸の存在もしくは非存在(二値)、タンパク質もしくはペプチド中のあるアミ
ノ酸の数(数)、またはタンパク質中のあるアミノ酸の順(順)を示す、タンパク質にお
ける測定が、実施され得る。この実施例においては、タンパク質は、それぞれが特定のア
ミノ酸を選択的に修飾する、一連の反応によって、修飾される。一連の反応の各反応は、
0~1の間の、反応の有効性を有し、これは、反応が、タンパク質中の任意の1つのアミノ
酸基質を成功裏に修飾する確率を示す。タンパク質試料においてそのような修飾反応を実
施した後で、選択的に修飾されたアミノ酸の存在もしくは非存在が検出され得、選択的に
修飾されたアミノ酸の数が検出され得、および/またはタンパク質中の、選択的に修飾さ
れたアミノ酸の特定のセットの順が検出され得る。
アミノ酸の存在および非存在の測定からの検出
アミノ酸の存在または非存在を示す一連の二値の測定からタンパク質同定を生成するた
めに、確率Pr(アミノ酸の存在の検出 | タンパク質)は、 1 - (1 - Raa)Caa のように表
現され得、ここでRaaは、該アミノ酸についての反応の有効性であり、かつCaaは、該アミ
ノ酸がタンパク質中に出現する回数の数である。確率Pr(アミノ酸の存在の非検出 | タン
パク質)は、 1 - Pr(アミノ酸の存在の検出 | タンパク質) のように表現され得る。以下
によって表現されるように、一連の、アミノ酸検出の複数の測定がなされる場合、候補タ
ンパク質が与えられるとき、確率は、N個の測定の完全なセットの確率を決定するために
、乗じられ得る:
Pr(アウトカムセット | タンパク質) = Pr(アミノ酸1についての測定アウトカム | タン
パク質) * Pr(アミノ酸2についての測定アウトカム | タンパク質) * … Pr(アミノ酸N
についての測定アウトカム | タンパク質)
ある特定の候補タンパク質が、測定されているタンパク質についての正確な同定物であ
る確率は、
Figure 2024075638000077
として表現され得、ここで
Figure 2024075638000078
は、P個のタンパク質からなるタンパク質配列データベース中の、可能性のあるタンパク
質それぞれについてのアウトカムセットの確率の合計である。
アミノ酸の数の測定からの検出
一連の、アミノ酸の数の測定から、タンパク質同定を生成するために、確率Pr(アミノ
酸の数の測定 | タンパク質)は、
Figure 2024075638000079
のように表現され得、ここでRaaは、該アミノ酸についての反応の有効性であり、Caaは、
該アミノ酸がタンパク質中に出現する回数の数であり、かつMは、タンパク質中の該アミ
ノ酸について測定される数である。M > Caa である場合、0の確率が返される。以下によ
って表現されるように、一連の、アミノ酸数の複数の測定がなされる場合、候補タンパク
質が与えられるとき、確率は、N個の測定の完全なセットの確率を決定するために、乗じ
られ得る:
Pr(アウトカムセット | タンパク質) = Pr(アミノ酸1についての測定アウトカム | タン
パク質) * Pr(アミノ酸2についての測定アウトカム | タンパク質) * … Pr(アミノ酸Nに
ついての測定アウトカム | タンパク質)
ある特定の候補タンパク質が、測定されているタンパク質についての正確な同定物であ
る確率は、
Figure 2024075638000080
のように表現され得、ここで
Figure 2024075638000081
は、P個のタンパク質からなるタンパク質配列データベース中の、可能性のあるタンパク
質それぞれについてのアウトカムセットの確率の合計である。
アミノ酸の順の測定からの検出
いくつかの態様において、タンパク質中の、選択的に修飾されたアミノ酸の順が、測定
され得る。たとえば、配列TINYPRTEINを有するタンパク質は、アミノ酸IおよびNが修飾さ
れ、そして測定される場合、測定アウトカムININを生成し得る。同様に、前述のタンパク
質は、アミノ酸の修飾および/または測定のサブセットが成功していない場合、測定アウ
トカムINNまたはIINを生成し得る。確率Pr(測定アウトカム | タンパク質)は、 Pr(aa_co
unts | タンパク質) * NUMORDER のように表現され得る。
Figure 2024075638000082
であり、ここでRaaiは、アミノ酸iについての反応の有効性であり、Miは、アミノ酸iが測
定された回数であり(たとえば、INNという測定アウトカムにおいて、Nは2回測定された
)、Caaiは、アミノ酸iが候補タンパク質の配列中に出現する回数であり、かつアミノ酸1
~L個は、タンパク質において測定された、独特なアミノ酸のすべて(たとえば、測定ア
ウトカムININについては、IおよびN)である。任意の特定のアミノ酸について測定される
回数の数が、アミノ酸がタンパク質候補配列中に出現する回数の数より大きい場合、確率
Pr(aa_counts | タンパク質)は、ゼロにセットされる。NUMORDERは、タンパク質配列から
生成され得る、特定のアウトカムの様式の数である。たとえば、INという測定アウトカム
は、タンパク質TINYPRTEINから、以下の様式で生成され得る:
{TINYPRTEIN, TINYPRTEIN, TINYPRTEIN}
このように、NUMORDERは、この特定のアウトカムおよびタンパク質配列に関しては、3で
ある。NUMORDERは、タンパク質から特定のアウトカムを生成することが可能ではない場合
においては、ゼロの値を有することに注意されたい(たとえば、INNIという測定アウトカ
ムは、タンパク質TINYPRTEINからは生成され得ない)。ある特定の候補タンパク質が、測
定されているタンパク質についての正確な同定物である確率は、
Figure 2024075638000083
のように表現され得、ここで
Figure 2024075638000084
は、P個のタンパク質からなるタンパク質配列データベース中の、可能性のあるタンパク
質それぞれについての測定アウトカムの確率の合計である。
Figure 2024075638000085
がゼロに等しい場合においては、候補タンパク質の確率はゼロにセットされる。
アミノ酸K、D、C、およびWの選択的な修飾ならびに検出のための試薬の集団を用いるタ
ンパク質同定の性能が、図22および表14に示される。反応は、x軸上に示されるように、
変化させた有効性で実施される。検出の形式(「二値」、「数」、または「順」のいずれ
か、これらはそれぞれ、アミノ酸の存在もしくは非存在の検出、アミノ酸の数の検出、ま
たはアミノ酸の順の検出を示す)は、各棒の濃淡によって示される。各棒の高さは、1%を
下回る偽発見率で同定される、試料中のタンパク質のパーセントを示す。測定された試料
は、1,000個のタンパク質を含む、ヒトタンパク質試料であった。結果は、0.9以上の反応
の有効性で、アミノ酸の順の測定を用いて、かなりの数のタンパク質が同定され得ること
を示す。アミノ酸の数の測定が使用される場合、0.99以上の反応の有効性で、かなりの数
のタンパク質が同定され得る。アミノ酸の存在または非存在の測定では、試験された条件
で、タンパク質検出を生成するのに十分なものは無かった。
(表14)4種類のアミノ酸(K、D、C、およびW)の選択的な修飾ならびに検出を用い
るタンパク質同定の性能
Figure 2024075638000086
図23に示されるように、アミノ酸の選択的な修飾および検出のための試薬の集団は、20
種類のアミノ酸、R、H、K、D、E、S、T、N、Q、C、G、P、A、V、I、L、M、F、Y、およびW
を含むように、拡張された。検出の形式は、線の濃淡によって示され、かつ反応の有効性
は、x軸上に示される。y軸は、試料中の、1%を下回る偽発見率で同定されるタンパク質の
パーセントを示す。
図23および表15に示される結果は、そのような試薬の集団は、反応の有効性が約0.6よ
り大きく、かつアミノ酸の数の測定が使用される場合に、タンパク質同定において非常に
効果的であることを示す。しかしながら、アミノ酸の存在または非存在の測定が、アミノ
酸の数の測定の代わりに使用される場合、わずかなパーセンテージのタンパク質しか同定
されない。
(表15)20種類のアミノ酸(R、H、K、D、E、S、T、N、Q、C、G、P、A、V、I、L、M
、F、Y、およびW)の選択的な修飾ならびに検出を用いるタンパク質同定の性能
Figure 2024075638000087
図24は、アミノ酸の順の測定を用いるタンパク質同定の性能を示し、ここでアミノ酸は
、x軸上に示される検出確率(反応の有効性に等しい)で測定される。y軸は、1%を下回る
偽発見率で同定される、試料中のタンパク質のパーセントを示す。実験は、各タンパク質
のN末端の25、50、100、または200アミノ酸で測定されたアミノ酸の順の測定を用いて実
施され、かつ候補タンパク質配列のデータベースは、Uniprotリファレンスヒトタンパク
質データベースにおける各カノニカルタンパク質配列の、それぞれ最初の25、50、100、
または200アミノ酸からなっていた。
図24および表16に示される性能は、約0.3の検出確率で、各タンパク質の少なくとも最
初の100アミノ酸を配列決定することが、最適であることを示す。約0.6より大きい検出確
率で、最初の25アミノ酸以上を配列決定することは、十分であると考えられる。
(表16)アミノ酸の順の測定を用いるタンパク質同定の性能
Figure 2024075638000088
Figure 2024075638000089
図25は、1,000個の独特なヒトタンパク質からなる試料のトリプシン消化物における、
さまざまなアプローチの性能を示す。試料は、これらのタンパク質から生じる、失敗する
ことなく切断された、12より大きい長さの、完全にトリプシン処理されたペプチドを、す
べて含む。濃い線は、変化させた検出確率(反応の有効性と等価)において測定されるす
べてのアミノ酸の順の測定を用いて、タンパク質同定が実施される場合の、性能を示す。
薄い線は、アミノ酸K、D、W、およびCの順のみが、変化させた検出確率(反応の有効性と
等価)において測定される場合の、性能を示す。推定のために使用された配列データベー
スは、Uniprotからダウンロードされたヒトリファレンスプロテオームデータベースにお
ける全カノニカルタンパク質配列に由来する、これらのタンパク質から生じる、失敗する
ことなく切断された、12より大きい長さを有する、完全にトリプシン処理されたペプチド
全部の配列を、含む。実線は、1%を下回る偽発見率で同定される、試料中のペプチドのパ
ーセンテージを示す。破線は、1%を下回る偽発見率で同定される、試料中のタンパク質の
パーセンテージを示す。タンパク質は、該タンパク質に独特な配列を有するペプチドが1%
を下回る偽発見率で同定される場合に、同定される。これらの結果は、アミノ酸K、D、W
、およびCだけの順の測定は、トリプシン消化物試料からのタンパク質検出には十分では
ない可能性があることを示す。さらに、約0.5以上の検出確率(反応の有効性と等価)で
の、すべてのアミノ酸の順の測定は、トリプシン消化物中のタンパク質の大部分を同定す
るのに十分である。
コンピューター制御システム
本開示は、本開示の方法を遂行するためにプログラムされた、コンピューター制御シス
テムを提供する。図10は、コンピューターシステム1001を示し、これは:試料中の未知の
タンパク質の実証的な測定の情報を受信するように、実証的な測定の情報を、候補タンパ
ク質に対応する複数のタンパク質配列を含むデータベースに対して比較するように、観測
される測定アウトカムセットを候補タンパク質が生成する確率を生成するように、および
/もしくは候補タンパク質が試料において正確に同定される確率を生成するように、プロ
グラムされているか、または別の状況では、そうするように設定されている。
コンピューターシステム1001は、本開示の方法およびシステムのさまざまな局面、たと
えば、試料中の未知のタンパク質の、実証的な測定の情報を、受信する工程、実証的な測
定の情報を、候補タンパク質に対応する複数のタンパク質配列を含むデータベースに対し
て、比較する工程、観測される測定アウトカムセットを候補タンパク質が生成する確率を
生成する工程、および/または候補タンパク質が試料において正確に同定される確率を生
成する工程などを、制御することができる。
コンピューターシステム1001は、ユーザーの電子装置、または電子装置に対して遠隔に
位置するコンピューターシステムであり得る。電子装置は、携帯型電子装置であり得る。
コンピューターシステム1001は、中央処理装置(CPU、本明細書においてはまた「プロセ
ッサ」および「コンピュータープロセッサ」)1005を含み、これはシングルコアもしくは
マルチコアプロセッサ、または並列処理のための複数のプロセッサであり得る。コンピュ
ーターシステム1001はまた、メモリーまたはメモリーロケーション1010(たとえばランダ
ムアクセスメモリー、読み出し専用メモリー、フラッシュメモリー)、電子ストレージユ
ニット1015(たとえばハードディスク)、1つまたは複数の他のシステムとの通信のため
の通信インターフェース1020(たとえばネットワークアダプター)、ならびにキャッシュ
、他のメモリー、データストレージおよび/または電子ディスプレイアダプターなどの周
辺装置1025を含む。メモリー1010、ストレージユニット1015、インターフェース1020、お
よび周辺装置1025は、マザーボードなどの通信バス(実体のある配線)を経由して、CPU1
005と通信する。ストレージユニット1015は、データを保管するためのデータストレージ
ユニット(またはデータレポジトリ)であり得る。コンピューターシステム1001は、通信
インターフェース1020の補助を受けて、コンピューターネットワーク(「ネットワーク」
)1030に機能的に連結され得る。ネットワーク1030は、インターネット(the Internet)
、インターネット(an internet)および/もしくはエクストラネット、またはインター
ネット(the Internet)と通信するイントラネットおよび/もしくはエクストラネットで
あり得る。ネットワーク1030は、いくつかの場合において、電気通信および/またはデー
タネットワークである。ネットワーク1030は、クラウドコンピューティングなどの分散コ
ンピューティングを可能にし得る1つまたは複数のコンピューターサーバーを、含み得る
。たとえば、1つまたは複数のコンピューターサーバーは、本開示の分析、算定、および
生成のさまざまな局面を実施するために、ネットワーク1030(「クラウド」)上でのクラ
ウドコンピューティングを可能にし得、該局面は、たとえば、試料中の未知のタンパク質
の実証的な測定の情報を、受信する工程、実証的な測定の情報を、候補タンパク質に対応
する複数のタンパク質配列を含むデータベースに対して比較する工程、観測される測定ア
ウトカムセットを候補タンパク質が生成する確率を生成する工程、および/または候補タ
ンパク質が試料において正確に同定される確率を生成する工程などである。そのようなク
ラウドコンピューティングは、たとえば、アマゾンウェブサービス(AWS)、マイクロソ
フトアジュール、グーグルクラウドプラットフォーム、およびIBMクラウドなどのクラウ
ドコンピューティングプラットフォームによって、提供され得る。ネットワーク1030は、
いくつかの場合において、コンピューターシステム1001の補助を受けて、コンピューター
システム1001に連結される装置がクライアントまたはサーバーとして機能することを可能
にし得るピアトゥピアネットワークを、実装し得る。
CPU 1005は、プログラムまたはソフトウェアの形で具現化され得る、機械で読み取り可
能な指示のシーケンスを実行することができる。指示は、メモリー1010などのメモリーロ
ケーションにおいて記憶されてよい。指示はCPU 1005に向けられ得、これは次いで、本開
示の方法を遂行するために、CPU 1005をプログラムし得るまたは他の方法で設定し得る。
CPU 1005により実施される作業の例は、フェッチ、デコード、実行、およびライトバック
を含み得る。
CPU 1005は、集積回路などの回路の一部であり得る。システム1001の1つまたは複数の
他の構成要素は、該回路に含まれ得る。いくつかの場合において、該回路は特定用途向け
集積回路(ASIC)である。
ストレージユニット1015は、ドライバー、ライブラリー、および保存されたプログラム
などのファイルを記憶可能である。ストレージユニット1015は、たとえば、ユーザープリ
ファレンスおよびユーザープログラムといったユーザーデータを記憶可能である。コンピ
ューターシステム1001は、いくつかの場合において、イントラネットまたはインターネッ
ト(the Internet)を経由してコンピューターシステム1001と通信する遠隔のサーバーに
位置するものなどの、コンピューターシステム1001の外部の、1つまたは複数の追加のデ
ータストレージユニットを含み得る。
コンピューターシステム1001は、ネットワーク1030を経由して、1つまたは複数の遠隔
のコンピューターシステムと通信可能である。たとえば、コンピューターシステム1001は
、ユーザーの遠隔のコンピューターシステムと通信可能である。遠隔のコンピューターシ
ステムの例は、パーソナルコンピューター(たとえば携帯型PC)、スレート型もしくはタ
ブレット型PC(たとえばApple(登録商標)iPad、Samsung(登録商標)Galaxy Tab)、電
話機、スマートフォン(たとえばApple(登録商標)iPhone、Androidが作動可能な装置、
Blackberry(登録商標))、またはパーソナルデジタルアシスタントを含む。ユーザーは
、ネットワーク1030を介してコンピューターシステム1001にアクセス可能である。
本明細書において記載されるような方法は、たとえばメモリー1010上または電子ストレ
ージユニット1015上などのコンピューターシステム1001の電子ストレージロケーション上
に記憶された、機械(たとえばコンピュータープロセッサ)で実行可能なコードによって
、遂行され得る。機械で実行可能なまたは機械で読み取り可能なコードは、ソフトウェア
の形で提供され得る。使用の間に、コードはプロセッサ1005によって実行され得る。いく
つかの場合において、コードはストレージユニット1015から引き出され得、そしてプロセ
ッサ1005の速やかなアクセスのためにメモリー1010に記憶され得る。いくつかの状況にお
いては、電子ストレージユニット1015は除外され得、かつ機械で実行可能な指示はメモリ
ー1010に記憶される。
コードはプリコンパイルされ得、かつコードを実行するために適合されたプロセッサを
有する機械での使用のために設定され得るか、または実行時の最中にコンパイルされ得る
。コードは、プリコンパイルされる様式または実行時にコンパイルされる(as-compiled
)様式でコードを実行することを可能にするように選択され得るプログラミング言語で供
給され得る。
コンピューターシステム1001などの、本明細書において提供されるシステムおよび方法
の局面は、プログラミングの形で具現化され得る。技術のさまざまな局面が、機械で読み
取り可能な媒体の一種類で運ばれるもしくは具現化される、典型的には機械(もしくはプ
ロセッサ)で実行可能なコードおよび/もしくは関連付けられるデータの形である「物品
」または「製品」として、みなされてよい。機械で実行可能なコードは、メモリー(たと
えば読み出し専用メモリー、ランダムアクセスメモリー、フラッシュメモリー)またはハ
ードディスクのような、電子ストレージユニット上に記憶され得る。「ストレージ」タイ
プの媒体は、コンピューター、プロセッサ、もしくは同様のものの有形メモリー、もしく
はさまざまな半導体メモリー、テープドライブ、ディスクドライブおよび同様のものなど
の関連するそのモジュールの、任意のものまたはすべてを含み得、これらはソフトウェア
プログラミングの際にいつでも非一過性ストレージを提供し得る。ソフトウェアのすべて
または一部分は、インターネット(the Internet)またはさまざまな他の電気通信ネット
ワークを経由して、時々通信してよい。そのような通信は、たとえば、1つのコンピュー
ターまたはプロセッサから別のものへ、たとえば、マネージメントサーバーまたはホスト
コンピューターからアプリケーションサーバーのコンピュータープラットフォームへ、ソ
フトウェアを読み込ませることを可能にし得る。したがって、ソフトウェア要素を運び得
る別の種類の媒体は、ローカル装置間の物理的なインターフェースを通過して使用される
もの、有線のおよび光学の固定電話ネットワークを経由して使用されるもの、ならびにさ
まざまなエアリンクを通じて使用されるものなどの、光波、電波、ならびに電磁波を含む
。有線もしくは無線リンク、光学リンク、または同様のものなどの、そのような波を運ぶ
物理的な要素もまた、ソフトウェアを運ぶ媒体としてみなされてよい。本明細書において
使用されるように、非一過性で有形の「ストレージ」媒体に限定されない限り、コンピュ
ーターでまたは機械で「読み取り可能な媒体」などの語は、実行のためのプロセッサへの
指示の提供に関与する、任意の媒体を指す。
したがって、コンピューターで実行可能なコードなどの機械で読み取り可能な媒体は、
限定するものではないが、有形のストレージ媒体、搬送波媒体、または物理的な伝達媒体
を含む、多くの形をとり得る。不揮発性のストレージ媒体は、たとえば、任意のコンピュ
ーターまたは同様のものにおける任意のストレージ装置などや、図面において示されるデ
ータベース等を実装するために使用され得るものなどの、光学もしくは磁気ディスクを含
む。揮発性ストレージ媒体は、コンピュータープラットフォーム等のメインメモリーなど
の、ダイナミックメモリーを含む。有形の伝達媒体は、コンピューターシステム中のバス
を含む配線を含む、同軸ケーブル;銅線、および光ファイバーを含む。搬送波伝達媒体は
、電気信号もしくは電磁信号の形、または無線周波(RF)での、および赤外線での(IR)
データ通信の間に生成されるものなどの、音波もしくは光波の形をとってよい。コンピュ
ーターで読み取り可能な媒体の一般的な形態は、したがって、たとえば以下を含む:フロ
ッピーディスク、フレキシブルディスク、ハードディスク、磁気テープ、任意の他の磁気
媒体、CD-ROM、DVDもしくはDVD-ROM、任意の他の光学媒体、パンチカード紙テープ、穿孔
のパターンを有する任意の他の物理的なストレージ媒体、RAM、ROM、PROMおよびEPROM、F
LASH-EPROM、任意の他のメモリーチップもしくはカートリッジ、データもしくは指示を運
ぶ搬送波、そのような搬送波を運ぶケーブルもしくはリンク、またはコンピューターが読
み込み得るプログラミングコードおよび/もしくはデータからの、任意の他の媒体。コン
ピューターで読み取り可能な媒体のこれらの形態の多くが、実行のためにプロセッサへ1
つまたは複数の指示の1つまたは複数のシーケンスを運ぶことに関与し得る。
コンピューターシステム1001は、たとえば、アルゴリズム、結合測定データ、候補タン
パク質、およびデータベースのユーザー選択を提供するためのユーザーインターフェース
(UI)1040を含む電子ディスプレイ1035を、含むことができる、またはこれと通信するこ
とができる。UIの例は、限定するものではないが、グラフィカルユーザーインターフェー
ス(GUI)およびウェブベースのユーザーインターフェースを含む。
本開示の方法およびシステムは、1つまたは複数のアルゴリズムによって遂行され得る
。アルゴリズムは、中央処理装置1005による実行に際し、ソフトウェアによって遂行され
得る。アルゴリズムは、たとえば、試料中の未知のタンパク質の実証的な測定の情報を受
信することができ、実証的な測定の情報を、候補タンパク質に対応する複数のタンパク質
配列を含むデータベースに対して比較することができ、観測される測定アウトカムセット
を候補タンパク質が生成する確率を生成することができ、および/または候補タンパク質
が試料において正確に同定される確率を生成することができる。
本発明の好ましい態様は本明細書において示されかつ記載されているが、そのような態
様が、単なる例として提供されていることは、当業者には明らかである。本発明が、本明
細書中に提供される特定の例によって限定されることを目的としているわけではない。本
発明は前述の明細書を参照して記載されているが、本明細書における態様の説明および図
面は、制限的な意味に解釈されるべきではない。無数の変更、改変、および置き換えが、
本発明から逸脱することなく、今や当業者に想起されるであろう。さらに、本発明のすべ
ての局面は、多様な条件および可変のものに左右される、本明細書において記載される特
定の描写にも構成にも相対的な比率にも限定されないことが、理解されるべきである。本
明細書において記載される本発明の態様のさまざまな代替物が、本発明を実践する際に採
用され得ることが、理解されるべきである。したがって、本発明はまた、任意のそのよう
な代替のもの、修飾したもの、変更したもの、または同等のものを包含することが、企図
される。添付の特許請求の範囲は、本発明の範囲を定義し、かつこの特許請求の範囲内の
方法および構成、ならびにそれらの等価物がそれにより包含されることを定義することを
、意図する。
本発明の好ましい態様は本明細書において示されかつ記載されているが、そのような態様が、単なる例として提供されていることは、当業者には明らかである。本発明が、本明細書中に提供される特定の例によって限定されることを目的としているわけではない。本発明は前述の明細書を参照して記載されているが、本明細書における態様の説明および図面は、制限的な意味に解釈されるべきではない。無数の変更、改変、および置き換えが、本発明から逸脱することなく、今や当業者に想起されるであろう。さらに、本発明のすべての局面は、多様な条件および可変のものに左右される、本明細書において記載される特定の描写にも構成にも相対的な比率にも限定されないことが、理解されるべきである。本明細書において記載される本発明の態様のさまざまな代替物が、本発明を実践する際に採用され得ることが、理解されるべきである。したがって、本発明はまた、任意のそのような代替のもの、修飾したもの、変更したもの、または同等のものを包含することが、企図される。添付の特許請求の範囲は、本発明の範囲を定義し、かつこの特許請求の範囲内の方法および構成、ならびにそれらの等価物がそれにより包含されることを定義することを、意図する。
本発明は一態様において以下を提供する。
[項目1]
未知のタンパク質の試料中のタンパク質を同定するための、コンピューターによって遂行される方法であって、以下の工程を含む、方法:
(a) 前記試料中の前記未知のタンパク質において実施される複数の実証的な測定の情報を、前記コンピューターによって受信する工程;
(b) 前記複数の前記実証的な測定の前記情報の少なくとも一部分を、複数のタンパク質配列を含むデータベースに対して、前記コンピューターによって比較する工程であって、各タンパク質配列が、複数の候補タンパク質の中の1つの候補タンパク質に対応する、工程;ならびに
(c) 前記複数のタンパク質配列を含む前記データベースに対する、前記複数の前記実証的な測定の前記情報の前記少なくとも一部分の前記比較に基づいて、前記複数の候補タンパク質中の1つまたは複数の候補タンパク質のそれぞれに関して、
(i) 前記複数の実証的な測定の前記情報を前記候補タンパク質が生成する確率、
(ii) 前記候補タンパク質が前記試料中に存在するときに、前記複数の実証的な測定が観測されない確率、および
(iii) 前記候補タンパク質が前記試料中に存在する確率
のうちの1つまたは複数を、前記コンピューターによって生成する工程。
[項目2]
前記複数の実証的な測定の2つ以上が、
(i) 前記試料中の前記未知のタンパク質に対する1つまたは複数の親和性試薬プローブのそれぞれについての結合測定であって、親和性試薬プローブそれぞれが、前記複数の候補タンパク質の中の1つまたは複数の候補タンパク質に選択的に結合するように設定されている、結合測定;
(ii) 前記試料中の1つまたは複数の前記未知のタンパク質の長さ;
(iii) 前記試料中の1つまたは複数の前記未知のタンパク質の疎水性;および
(iv) 前記試料中の1つまたは複数の前記未知のタンパク質の等電点
からなる群より選択される、項目1に記載の方法。
[項目3]
前記複数の確率を生成する工程が、複数の追加の親和性試薬プローブのそれぞれについての結合測定の追加の情報を受信することをさらに含み、追加の親和性試薬プローブそれぞれが、前記複数の候補タンパク質の中の1つまたは複数の候補タンパク質に選択的に結合するように設定されている、項目1に記載の方法。
[項目4]
前記1つまたは複数の候補タンパク質のそれぞれに関して、
前記候補タンパク質が前記試料中の前記未知のタンパク質の1つに整合する信頼水準を生成する工程をさらに含む、項目1に記載の方法。
[項目5]
前記複数の親和性試薬プローブが、50個以下の親和性試薬プローブを含む、項目1に記載の方法。
[項目6]
前記複数の親和性試薬プローブが、100個以下の親和性試薬プローブを含む、項目1に記載の方法。
[項目7]
前記複数の親和性試薬プローブが、200個以下の親和性試薬プローブを含む、項目1に記載の方法。
[項目8]
前記複数の親和性試薬プローブが、300個以下の親和性試薬プローブを含む、項目1に記載の方法。
[項目9]
前記複数の親和性試薬プローブが、500個以下の親和性試薬プローブを含む、項目1に記載の方法。
[項目10]
前記複数の親和性試薬プローブが、500個超の親和性試薬プローブを含む、項目1に記載の方法。
[項目11]
前記試料中の前記タンパク質を同定する紙のまたは電子的なレポートを生成する工程をさらに含む、項目1に記載の方法。
[項目12]
前記試料が、生物学的試料を含む、項目1に記載の方法。
[項目13]
前記生物学的試料が、対象から得られている、項目12に記載の方法。
[項目14]
前記複数の確率に少なくとも基づいて、前記対象における疾患の状態を同定する工程をさらに含む、項目13に記載の方法。
[項目15]
(c)が、
前記複数の候補タンパク質中の1つまたは複数の候補タンパク質のそれぞれに関して、
(i) 前記複数の実証的な測定の前記情報を前記候補タンパク質が生成する前記確率を、前記コンピューターによって生成すること
を含む、項目1に記載の方法。
[項目16]
(c)が、
前記複数の候補タンパク質中の1つまたは複数の候補タンパク質のそれぞれに関して、
(ii) 前記候補タンパク質が前記試料中に存在するときに、前記複数の実証的な測定が観測されない前記確率
を、前記コンピューターによって生成すること
を含む、項目1に記載の方法。
[項目17]
(c)が、
前記複数の候補タンパク質中の1つまたは複数の候補タンパク質のそれぞれに関して、
(iii) 前記候補タンパク質が前記試料中に存在する前記確率
を、前記コンピューターによって生成すること
を含む、項目1に記載の方法。
[項目18]
測定アウトカムが、親和性試薬プローブの結合を含む、項目15に記載の方法。
[項目19]
測定アウトカムが、親和性試薬プローブの非特異的結合を含む、項目15に記載の方法。
[項目20]
測定アウトカムが、親和性試薬プローブの結合を含む、項目16に記載の方法。
[項目21]
測定アウトカムが、親和性試薬プローブの非特異的結合を含む、項目16に記載の方法。
[項目22]
前記実証的な測定が、親和性試薬プローブの結合を含む、項目17に記載の方法。
[項目23]
前記実証的な測定が、親和性試薬プローブの非特異的結合を含む、項目17に記載の方法。
[項目24]
所定の閾値を有するタンパク質同定のある感度を生成する工程をさらに含む、項目1に記載の方法。
[項目25]
前記所定の閾値が、不正確であるのが1%未満というものである、項目24に記載の方法。
[項目26]
前記試料中の前記タンパク質が、切断されているか、または分解されている、項目1に記載の方法。
[項目27]
前記試料中の前記タンパク質が、タンパク質末端から始まっているのではない、項目1に記載の方法。
[項目28]
前記実証的な測定が、前記試料中の1つまたは複数の前記未知のタンパク質の長さを含む、項目15~17のいずれか一項に記載の方法。
[項目29]
前記実証的な測定が、前記試料中の1つまたは複数の前記未知のタンパク質の疎水性を含む、項目15~17のいずれか一項に記載の方法。
[項目30]
前記実証的な測定が、前記試料中の1つまたは複数の前記未知のタンパク質の等電点を含む、項目15~17のいずれか一項に記載の方法。
[項目31]
前記実証的な測定が、抗体の混合物において実施される測定を含む、項目1に記載の方法。
[項目32]
前記実証的な測定が、複数の種から得られた試料において実施される測定を含む、項目1に記載の方法。
[項目33]
前記実証的な測定が、非同義の一塩基多型(SNP)によって引き起こされる1アミノ酸変異(SAV)の存在下で試料において実施される測定を含む、項目1に記載の方法。
本発明の好ましい態様は本明細書において示されかつ記載されているが、そのような態様が、単なる例として提供されていることは、当業者には明らかである。本発明が、本明細書中に提供される特定の例によって限定されることを目的としているわけではない。本発明は前述の明細書を参照して記載されているが、本明細書における態様の説明および図面は、制限的な意味に解釈されるべきではない。無数の変更、改変、および置き換えが、本発明から逸脱することなく、今や当業者に想起されるであろう。さらに、本発明のすべての局面は、多様な条件および可変のものに左右される、本明細書において記載される特定の描写にも構成にも相対的な比率にも限定されないことが、理解されるべきである。本明細書において記載される本発明の態様のさまざまな代替物が、本発明を実践する際に採用され得ることが、理解されるべきである。したがって、本発明はまた、任意のそのような代替のもの、修飾したもの、変更したもの、または同等のものを包含することが、企図される。添付の特許請求の範囲は、本発明の範囲を定義し、かつこの特許請求の範囲内の方法および構成、ならびにそれらの等価物がそれにより包含されることを定義することを、意図する。
本発明は一態様において以下を提供する。
[項目1]
未知のタンパク質の試料中のタンパク質を同定するための、コンピューターによって遂行される方法であって、以下の工程を含む、方法:
(a) 前記試料中の前記未知のタンパク質において実施される複数の実証的な測定の情報を、前記コンピューターによって受信する工程;
(b) 前記複数の前記実証的な測定の前記情報の少なくとも一部分を、複数のタンパク質配列を含むデータベースに対して、前記コンピューターによって比較する工程であって、各タンパク質配列が、複数の候補タンパク質の中の1つの候補タンパク質に対応する、工程;ならびに
(c) 前記複数のタンパク質配列を含む前記データベースに対する、前記複数の前記実証的な測定の前記情報の前記少なくとも一部分の前記比較に基づいて、前記複数の候補タンパク質中の1つまたは複数の候補タンパク質のそれぞれに関して、
(i) 前記複数の実証的な測定の前記情報を前記候補タンパク質が生成する確率、
(ii) 前記候補タンパク質が前記試料中に存在するときに、前記複数の実証的な測定が観測されない確率、および
(iii) 前記候補タンパク質が前記試料中に存在する確率
のうちの1つまたは複数を、前記コンピューターによって生成する工程。
[項目2]
前記複数の実証的な測定の2つ以上が、
(i) 前記試料中の前記未知のタンパク質に対する1つまたは複数の親和性試薬プローブのそれぞれについての結合測定であって、親和性試薬プローブそれぞれが、前記複数の候補タンパク質の中の1つまたは複数の候補タンパク質に選択的に結合するように設定されている、結合測定;
(ii) 前記試料中の1つまたは複数の前記未知のタンパク質の長さ;
(iii) 前記試料中の1つまたは複数の前記未知のタンパク質の疎水性;および
(iv) 前記試料中の1つまたは複数の前記未知のタンパク質の等電点
からなる群より選択される、項目1に記載の方法。
[項目3]
前記複数の確率を生成する工程が、複数の追加の親和性試薬プローブのそれぞれについての結合測定の追加の情報を受信することをさらに含み、追加の親和性試薬プローブそれぞれが、前記複数の候補タンパク質の中の1つまたは複数の候補タンパク質に選択的に結合するように設定されている、項目1に記載の方法。
[項目4]
前記1つまたは複数の候補タンパク質のそれぞれに関して、
前記候補タンパク質が前記試料中の前記未知のタンパク質の1つに整合する信頼水準を生成する工程をさらに含む、項目1に記載の方法。
[項目5]
前記複数の親和性試薬プローブが、50個以下の親和性試薬プローブを含む、項目1に記載の方法。
[項目6]
前記複数の親和性試薬プローブが、100個以下の親和性試薬プローブを含む、項目1に記載の方法。
[項目7]
前記複数の親和性試薬プローブが、200個以下の親和性試薬プローブを含む、項目1に記載の方法。
[項目8]
前記複数の親和性試薬プローブが、300個以下の親和性試薬プローブを含む、項目1に記載の方法。
[項目9]
前記複数の親和性試薬プローブが、500個以下の親和性試薬プローブを含む、項目1に記載の方法。
[項目10]
前記複数の親和性試薬プローブが、500個超の親和性試薬プローブを含む、項目1に記載の方法。
[項目11]
前記試料中の前記タンパク質を同定する紙のまたは電子的なレポートを生成する工程をさらに含む、項目1に記載の方法。
[項目12]
前記試料が、生物学的試料を含む、項目1に記載の方法。
[項目13]
前記生物学的試料が、対象から得られている、項目12に記載の方法。
[項目14]
前記複数の確率に少なくとも基づいて、前記対象における疾患の状態を同定する工程をさらに含む、項目13に記載の方法。
[項目15]
(c)が、
前記複数の候補タンパク質中の1つまたは複数の候補タンパク質のそれぞれに関して、
(i) 前記複数の実証的な測定の前記情報を前記候補タンパク質が生成する前記確率を、前記コンピューターによって生成すること
を含む、項目1に記載の方法。
[項目16]
(c)が、
前記複数の候補タンパク質中の1つまたは複数の候補タンパク質のそれぞれに関して、
(ii) 前記候補タンパク質が前記試料中に存在するときに、前記複数の実証的な測定が観測されない前記確率
を、前記コンピューターによって生成すること
を含む、項目1に記載の方法。
[項目17]
(c)が、
前記複数の候補タンパク質中の1つまたは複数の候補タンパク質のそれぞれに関して、
(iii) 前記候補タンパク質が前記試料中に存在する前記確率
を、前記コンピューターによって生成すること
を含む、項目1に記載の方法。
[項目18]
測定アウトカムが、親和性試薬プローブの結合を含む、項目15に記載の方法。
[項目19]
測定アウトカムが、親和性試薬プローブの非特異的結合を含む、項目15に記載の方法。
[項目20]
測定アウトカムが、親和性試薬プローブの結合を含む、項目16に記載の方法。
[項目21]
測定アウトカムが、親和性試薬プローブの非特異的結合を含む、項目16に記載の方法。
[項目22]
前記実証的な測定が、親和性試薬プローブの結合を含む、項目17に記載の方法。
[項目23]
前記実証的な測定が、親和性試薬プローブの非特異的結合を含む、項目17に記載の方法。
[項目24]
所定の閾値を有するタンパク質同定のある感度を生成する工程をさらに含む、項目1に記載の方法。
[項目25]
前記所定の閾値が、不正確であるのが1%未満というものである、項目24に記載の方法。
[項目26]
前記試料中の前記タンパク質が、切断されているか、または分解されている、項目1に記載の方法。
[項目27]
前記試料中の前記タンパク質が、タンパク質末端から始まっているのではない、項目1に記載の方法。
[項目28]
前記実証的な測定が、前記試料中の1つまたは複数の前記未知のタンパク質の長さを含む、項目15~17のいずれか一項に記載の方法。
[項目29]
前記実証的な測定が、前記試料中の1つまたは複数の前記未知のタンパク質の疎水性を含む、項目15~17のいずれか一項に記載の方法。
[項目30]
前記実証的な測定が、前記試料中の1つまたは複数の前記未知のタンパク質の等電点を含む、項目15~17のいずれか一項に記載の方法。
[項目31]
前記実証的な測定が、抗体の混合物において実施される測定を含む、項目1に記載の方法。
[項目32]
前記実証的な測定が、複数の種から得られた試料において実施される測定を含む、項目1に記載の方法。
[項目33]
前記実証的な測定が、非同義の一塩基多型(SNP)によって引き起こされる1アミノ酸変異(SAV)の存在下で試料において実施される測定を含む、項目1に記載の方法。

Claims (33)

  1. 未知のタンパク質の試料中のタンパク質を同定するための、コンピューターによって遂
    行される方法であって、以下の工程を含む、方法:
    (a) 前記試料中の前記未知のタンパク質において実施される複数の実証的な測定の情
    報を、前記コンピューターによって受信する工程;
    (b) 前記複数の前記実証的な測定の前記情報の少なくとも一部分を、複数のタンパク
    質配列を含むデータベースに対して、前記コンピューターによって比較する工程であって
    、各タンパク質配列が、複数の候補タンパク質の中の1つの候補タンパク質に対応する、
    工程;ならびに
    (c) 前記複数のタンパク質配列を含む前記データベースに対する、前記複数の前記実
    証的な測定の前記情報の前記少なくとも一部分の前記比較に基づいて、前記複数の候補タ
    ンパク質中の1つまたは複数の候補タンパク質のそれぞれに関して、
    (i) 前記複数の実証的な測定の前記情報を前記候補タンパク質が生成する確率、
    (ii) 前記候補タンパク質が前記試料中に存在するときに、前記複数の実証的な測定
    が観測されない確率、および
    (iii) 前記候補タンパク質が前記試料中に存在する確率
    のうちの1つまたは複数を、前記コンピューターによって生成する工程。
  2. 前記複数の実証的な測定の2つ以上が、
    (i) 前記試料中の前記未知のタンパク質に対する1つまたは複数の親和性試薬プローブ
    のそれぞれについての結合測定であって、親和性試薬プローブそれぞれが、前記複数の候
    補タンパク質の中の1つまたは複数の候補タンパク質に選択的に結合するように設定され
    ている、結合測定;
    (ii) 前記試料中の1つまたは複数の前記未知のタンパク質の長さ;
    (iii) 前記試料中の1つまたは複数の前記未知のタンパク質の疎水性;および
    (iv) 前記試料中の1つまたは複数の前記未知のタンパク質の等電点
    からなる群より選択される、請求項1に記載の方法。
  3. 前記複数の確率を生成する工程が、複数の追加の親和性試薬プローブのそれぞれについ
    ての結合測定の追加の情報を受信することをさらに含み、追加の親和性試薬プローブそれ
    ぞれが、前記複数の候補タンパク質の中の1つまたは複数の候補タンパク質に選択的に結
    合するように設定されている、請求項1に記載の方法。
  4. 前記1つまたは複数の候補タンパク質のそれぞれに関して、
    前記候補タンパク質が前記試料中の前記未知のタンパク質の1つに整合する信頼水準
    を生成する工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
  5. 前記複数の親和性試薬プローブが、50個以下の親和性試薬プローブを含む、請求項1に
    記載の方法。
  6. 前記複数の親和性試薬プローブが、100個以下の親和性試薬プローブを含む、請求項1に
    記載の方法。
  7. 前記複数の親和性試薬プローブが、200個以下の親和性試薬プローブを含む、請求項1に
    記載の方法。
  8. 前記複数の親和性試薬プローブが、300個以下の親和性試薬プローブを含む、請求項1に
    記載の方法。
  9. 前記複数の親和性試薬プローブが、500個以下の親和性試薬プローブを含む、請求項1に
    記載の方法。
  10. 前記複数の親和性試薬プローブが、500個超の親和性試薬プローブを含む、請求項1に記
    載の方法。
  11. 前記試料中の前記タンパク質を同定する紙のまたは電子的なレポートを生成する工程を
    さらに含む、請求項1に記載の方法。
  12. 前記試料が、生物学的試料を含む、請求項1に記載の方法。
  13. 前記生物学的試料が、対象から得られている、請求項12に記載の方法。
  14. 前記複数の確率に少なくとも基づいて、前記対象における疾患の状態を同定する工程を
    さらに含む、請求項13に記載の方法。
  15. (c)が、
    前記複数の候補タンパク質中の1つまたは複数の候補タンパク質のそれぞれに関して、
    (i) 前記複数の実証的な測定の前記情報を前記候補タンパク質が生成する前記確率
    を、前記コンピューターによって生成すること
    を含む、請求項1に記載の方法。
  16. (c)が、
    前記複数の候補タンパク質中の1つまたは複数の候補タンパク質のそれぞれに関して、
    (ii) 前記候補タンパク質が前記試料中に存在するときに、前記複数の実証的な測定
    が観測されない前記確率
    を、前記コンピューターによって生成すること
    を含む、請求項1に記載の方法。
  17. (c)が、
    前記複数の候補タンパク質中の1つまたは複数の候補タンパク質のそれぞれに関して、
    (iii) 前記候補タンパク質が前記試料中に存在する前記確率
    を、前記コンピューターによって生成すること
    を含む、請求項1に記載の方法。
  18. 測定アウトカムが、親和性試薬プローブの結合を含む、請求項15に記載の方法。
  19. 測定アウトカムが、親和性試薬プローブの非特異的結合を含む、請求項15に記載の方法
  20. 測定アウトカムが、親和性試薬プローブの結合を含む、請求項16に記載の方法。
  21. 測定アウトカムが、親和性試薬プローブの非特異的結合を含む、請求項16に記載の方法
  22. 前記実証的な測定が、親和性試薬プローブの結合を含む、請求項17に記載の方法。
  23. 前記実証的な測定が、親和性試薬プローブの非特異的結合を含む、請求項17に記載の方
    法。
  24. 所定の閾値を有するタンパク質同定のある感度を生成する工程をさらに含む、請求項1
    に記載の方法。
  25. 前記所定の閾値が、不正確であるのが1%未満というものである、請求項24に記載の方法
  26. 前記試料中の前記タンパク質が、切断されているか、または分解されている、請求項1
    に記載の方法。
  27. 前記試料中の前記タンパク質が、タンパク質末端から始まっているのではない、請求項
    1に記載の方法。
  28. 前記実証的な測定が、前記試料中の1つまたは複数の前記未知のタンパク質の長さを含
    む、請求項15~17のいずれか一項に記載の方法。
  29. 前記実証的な測定が、前記試料中の1つまたは複数の前記未知のタンパク質の疎水性を
    含む、請求項15~17のいずれか一項に記載の方法。
  30. 前記実証的な測定が、前記試料中の1つまたは複数の前記未知のタンパク質の等電点を
    含む、請求項15~17のいずれか一項に記載の方法。
  31. 前記実証的な測定が、抗体の混合物において実施される測定を含む、請求項1に記載の
    方法。
  32. 前記実証的な測定が、複数の種から得られた試料において実施される測定を含む、請求
    項1に記載の方法。
  33. 前記実証的な測定が、非同義の一塩基多型(SNP)によって引き起こされる1アミノ酸変
    異(SAV)の存在下で試料において実施される測定を含む、請求項1に記載の方法。
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