JP2024068660A - 製造システムのモデル化での予測リスク評価 - Google Patents

製造システムのモデル化での予測リスク評価 Download PDF

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Abstract

【課題】数理モデル化によって製造システムの動作を評価する方法を提供する。【解決手段】システムの物理的リソースを規定したリソースグラフ、該システムが実行するサービスを規定したプロセスグラフ、およびこれらリソースグラフとプロセスグラフとの間のマッピングによって該システムをモデル化する。前記サービスの性能のシミュレーションを前記リソースグラフ及び前記プロセスグラフに応じて複数のセットの動作パラメータで行うことにより、前記システムの性能指標をモデル化する。モデル化された性能指標に基づいて、リスクが特定され得る。該リスクは、所定の閾値を上回る前記性能指標の変化を示す。そして、該リスクを伴わない結果に対応する動作パラメータのセットが特定され得る。この発見に基づき、前記製造システムに対する変更を決定し、前記リスクを避けるように前記システムを最適化することができる。【選択図】図1

Description

関連出願
本願は、2022年11月8日付出願の米国仮特許出願第63/382,809号の利益を主張する。該出願の全教示内容は、参照をもって本明細書に取り入れたものとする。
製造システムは、幅広いプロセス、機械、ツール、原料及び人的要素を含んでなる複雑で多面的なものである。産業界は、コスト削減、品質向上及び生産増加のために何世紀ものあいだ製造プロセスを完璧なものにしようと努めてきた。デジタル時代の到来によって製造システムはますます複雑なものへと成長しており、その各プロセスの監督・微調整を行うための着実なツールや技術が求められている。
伝統的に、製造プロセスの最適化にはトライアルアンドエラーの手法が主に用いられてきた。このような手法は有用ではあるものの、コストの上昇や資源の浪費、さらには、所望の効率が得られるまでのタイムフレームの長期化をしばしば招いた。製造システムが複雑化するにつれて、システムの性能を予測、分析及び改善するための手法の必要性が歴然となった。
ここ数十年で、製造プロセスをモデル化するための様々なシミュレーションツールや手法が登場した。特に、コンピュータベースのシミュレーションにより、製造業者は、システムの仮想的表現を生み出し、実際に変更を施すことなく様々なシナリオの検証や最適化を行うことができるようになった。このようなツールとしては、離散事象シミュレーション、有限要素解析、モンテカルロシミュレーションなどが挙げられる。
例示的な実施形態は、製造システムの動作を評価する、コンピュータに実装される方法からなる。
1)複数のリソースノードであって、そのそれぞれが前記製造システムをの複数の物理的リソースのうちの一つの物理的リソースを表す複数のリソースノード、および2)複数のリソースリンクであって、そのそれぞれが少なくとも2つの前記リソースノード間の因果依存関係を表す複数のリソースリンク、を定めたリソースグラフが取得され得る。1)複数のサービスノードであって、そのそれぞれが前記製造システムが実行する複数のサービスのうち一つのサービスを表す複数のサービスノード、および2)複数のサービスリンクであって、そのそれぞれが少なくとも2つの前記サービスノード間の因果依存関係を表す複数のサービスリンク、を定めたプロセスグラフが取得され得る。また、前記サービスリンクと前記リソースノードとの間のマップを定める、前記サービスによる前記物理的リソースの使用を表すマッピングが取得され得る。前記複数のサービスの性能のシミュレーションを前記リソースグラフ及び前記プロセスグラフに応じて複数のセットの動作パラメータで行うことにより、前記製造システムの性能指標がモデル化され得る。該モデル化は、1)実行時間中の、前記サービスノードの動作に応じた前記リソースノードの状態の変化を求めること、および2)前記実行時間中の、前記リソースノードの状態の前記変化による前記サービスノードの前記動作の変化を求めること、を含み得る。
モデル化された前記性能指標に基づいて、リスクが特定され得る。該リスクは、所定の閾値を上回る該性能指標の変化を示す。そして、前記複数のセットの動作パラメータのうち、前記リスクを伴わない結果に対応する少なくとも1つのセットの動作パラメータが特定され得る。前記リスクを伴わない前記結果に対応する動作パラメータに基づき、前記製造システムに対する変更が決定され得る。そして、前記変更に基づき、前記リソースグラフ及び/又は前記プロセスグラフが更新され得る。
前記複数のサービスは、製品の生成、製品の処理および製品の輸送を含み得る。前記複数のリソースリンクは、少なくとも2つの前記リソースノードの動作能力の関係を表し得る。前記複数のサービスリンクは、少なくとも2つの前記サービスノードの入出力の関係を表し得る。前記マッピングは、1)一つのリソースノードと複数のサービスノードとの対応関係、および2)一つのサービスノードと複数のリソースノードとの対応関係を含み得る。前記複数のセットの動作パラメータは:リソースノードの障害;サービスの遅延;前記サービスリンクに対する変更であって、違う動作順序にすることを示す変更;および前記サービスリンクに対する変更であって、別の動作モードにすることを示す変更;のうちの、少なくとも一つの設定によって互いに異なり得る。
前記複数の各リソースノードは、それぞれの前記物理的リソースによる汚染物質排出量を示す各排出パラメータを含み得て、モデル化された前記性能指標および前記各排出パラメータに基づき、環境負荷が特定され得る。前記複数のセットの動作パラメータのうち、環境負荷の減少に対応する少なくとも1つのセットの動作パラメータが特定され得て、前記環境負荷の減少に対応する動作パラメータに基づき、前記製造システムに対する変更が決定され得る。
前記複数のサービスノードは、そのそれぞれに対応するサービスが稼働中であり前記実行時間の一部および、そのそれぞれに対応するサービスが非稼働である前記実行時間の一部を規定し得る。前記複数の各リソースノードは、所定の期間中の、前記複数のサービスのうちの1つ以上のサービスを実行する能力を規定し得る。
前記複数のセットの動作パラメータ下での前記リスクの変化が特定され得て、該変化に基づき、前記性能指標と前記リスクとを関連付ける関数が求められ得る。前記性能指標は、製造プロセスの長期的な反復可能性を示す持続性指標、および前記製造システムで消費されるエネルギーに対する、前記複数のサービスを実行するためのエネルギーの可用性を示すエネルギー指標を含み得る。前記製造システムは、前記変更を組み込むように更新され得る。
前述の内容は、添付の図面に示す例示的な実施形態についての以下の詳細な説明から明らかになる。異なる図をとおして、同一の参照符号は同一の構成/構成要素を指すものとする。図面は必ずしも縮尺どおりとは限らず、むしろ、実施形態を図示することに重点が置かれている。
一実施形態における、製造システムモデルの生成の様子を示すブロック図である。 一実施形態における、製造システムモデルを構成して動作させる処理を示すフロー図である。 一実施形態における、パラメータと結果とを関連付けるマップを示す図である。 一実施形態における、診断及び修正を決定する処理を示すフロー図である。 一実施形態における、製造システムの状態、リスクおよび対応する修正を相互参照するルックアップテーブルを示す図である。 動的複雑性を考慮に入れた、製造システムの性能の分解、エミュレーション及び分析の処理を示すフロー図である。 動的複雑性を考慮に入れて、パラメータを変えながら製造システムの性能をエミュレーションする処理を示すフロー図である。 不利な結果が生じたか否かを判定する処理を示すフロー図である。 不利な結果の検出後に製造システムの診断を行う処理を示すフロー図である。 一実施形態における、製造システムのリスク管理の処理を示す状態遷移図である。 一実施形態における、リスクの伝播を説明する、製造システムモデルの依存関係グラフの一部を示す図である。 本発明の実施形態が実現され得るコンピュータネットワークなどのデジタル処理環境を示す図である。 図12のコンピュータシステムのコンピュータ(例えば、クライアントプロセッサ/装置、サーバコンピュータ等)の内部構造の一例を示す図である。 一実施形態における、リソースノードを表すテーブルである。 例示的な一実施形態の出力を示し、生産収率-対-需要強度を予測するグラフである。 一実施形態における、高次サービスグラフである。 一実施形態における、プロセスグラフである。 一実施形態における、リソースグラフである。
以下では、例示的な実施形態について説明する。
現代のビジネスは、主に、製品、サプライチェーン、生産ラインなどの、相互に作用又は依存する任意の一連のコンポーネントのような、何らかのシステムへの変換によって定義される。このようなシステムは、何百万ものコンポーネント、動的相互作用および相互依存関係を含んでおり、それらが組み合わさることによって、ビジネスの利害関係者が掲げる全体的な目標が達成される。相互依存関係、時間制約およびフィードバックループのせいで、どのような変化であっても、予期せぬかたちで製造プロセスに混乱を生む可能性がある。例えば、パンデミックはサプライチェーンの混乱や労働力不足を引き起こす可能性があり、経済混乱は企業の財政状態を一晩で引っくり返しかねない。
相互に連関した内部システムや外部システムの歪みに起因し得る、生産プロセスの全体的な破綻を回避することは、製造業者にとって現在進行形の課題である。それと併せて、製造設計、エンジニアリング、組立およびサービスは、技術革新、規制の変化、消費者需要の動向によって急速に廃れてしまう可能性がある。
製造業者が今日の新たな環境のなかで成功するためには、変化に常に対応し、あらゆるレベルで自身のアプローチを最適化させる必要がある。インダストリー4.0のダイナミクスを受け身で維持する姿勢は、多くの用途でもはや適策でない。今日の主流である危機管理的な事業方式から、より高い水準の卓越性を支援する適応型のビジネス慣習に転換していくことが望ましい。問題を先読みし、先回りで好機を掴むための能力を、ビジネスの基本構造に組み込む必要がある。後述の例示的な実施形態は、現行水準の意思決定支援ツールで管理するには複雑になり過ぎた現代のビジネスダイナミクスに対処するのに必要な指標や洞察を製造業者に提供する。
図1は、一実施形態における、デジタルツイン(DT)とも称される製造システムモデル120の生成の様子を示すブロック図である。製造システムモデル120は、リソース属性110、リソース使用属性112、プロセス属性114などの、実世界の製造システム105から収集された様々な属性およびデータから生成され得る。リソース属性110は、製造システム105を構成する製造機器、輸送手段、人的リソースなどの物理的リソースの分析によって収集され得る。また、リソース属性110は、製造ステーションが各種サブコンポーネントに依存して機能している等といった、リソース間の依存関係を特定したものであり得る。同様に、プロセス属性114は、システム105により実行される各プロセス(各プロセスは、階層構造に組織化されたものであり得る)を分析することによって収集され得る。例えば、プロセス属性114は、大規模なプロセス(例えば、任意の製品の製造等)、および該大規模なプロセスが依存する小規模なプロセス(例えば、前記任意の製品の一部品の製造等)を特定したものであり得る。最後に、リソース使用属性112は、各プロセスで使用される物理的リソースを、リソース属性110の項目とプロセス属性114の項目の両方を参照して特定したものである。
収集が済むと、製造システム105の属性110,112,114が処理されて、システムモデル120のコンポーネントが生成され得る。システムモデル120は、図6を参照しながら後述する処理に従って構築され得て、つまり、静的複雑性と動的複雑性の双方の定義が組み込まれたものであり得る。また、システムモデル120は、属性110,112,114を表す複数の依存関係グラフ及びマッピング(後で詳述する)として構造化され得る。具体的に述べると、システムモデル120は、リソース属性110を表すリソースグラフ140、プロセス属性114を表すプロセスグラフ140、およびリソース使用属性112を表すリソースプロセスマッピング150を含み得る。リソースグラフ130は、製造システム105の各物理的リソースをそれぞれ表す複数のリソースノードを定めたものであり得る。該リソースノード同士は、少なくとも2つの該リソースノード間の因果依存関係をそれぞれ表す複数のリソースリンクによって接続され得る。また、該リソースリンクは、少なくとも2つの前記リソースノードの稼働能力の関係を規定したものであり得る。例えば、このようなリソースリンクは、あるリソース(例えば、組立ロボット等)による別のリソース(例えば、電源等)との依存関係、複数のリソース(例えば、一連の組立ロボット等)による別のリソース(例えば、コンベアベルト等)との依存関係等を規定したものであり得る。また、リソースグラフ130は、製造システム105の各種リソースの動作による環境負荷を表し得る。例えば、一部又は全ての各リソースノードは排出パラメータをそれぞれ含み得て、各排出パラメータは、それぞれの物理的リソースによる汚染物質排出(例えば、二酸化炭素等)量を示し得る。その結果、システムモデル120についてモデル化した性能指標および前記各排出パラメータに基づいて、環境負荷を特定することが可能となる。
同様に、プロセスグラフ140は、製造システム105が実行する各サービスをそれぞれ表す複数のサービスノードを定めたものであり得る。例えば、各ノードが表すサービスは、製品の生成、製品の処理および製品の輸送を含み得る。また、前記サービスノードは、前記製造システムの実行時間のうち、それぞれのサービスの実行時間およびそれぞれのサービスの休止時間を規定したものであり得る。このような構成は、前記リソースノードが1つ以上のサービスについての所定の期間中の実行能力を各自規定したものである場合に、該リソースノードと対応関係になる構成であり得る。前記サービスノード同士は、少なくとも2つのサービスノード間の因果依存関係をそれぞれ表すサービスリンクによって接続され得る。具体的に述べると、サービスリンクは、製造組立ラインにおける連続するステーション間の関係などの、少なくとも2つの前記サービスノードの入出力の関係を表し得る。
リソース-プロセスのマッピング150は、前記サービスリンクと前記リソースノードとの間の、前記サービスによる物理的リソースの使用を表すマップを定めたものであり得る。前記マッピングは、サービスとリソースとの間の1対複数および複数対複数の関係を表したものであり得る。例えば、前記マッピングは、一つのリソースノードと複数のサービスノードとの対応関係、および/または一つのサービスノードと複数のリソースノードとの対応関係を規定したものであり得る。
つまり、製造システムモデル120は、リソース属性110、リソース使用属性112およびプロセス属性114を、相互に関連し合うリソースグラフ130、リソース-プロセスのマッピング150およびプロセスグラフ140にそれぞれ取り込むことにより、製造システム105を表現し得る。製造システムモデル120は、所定の時点(例えば、属性110,112,114の収集時等)の製造システム105を表現するように構成され得るとともに、新たな属性が製造システム105から収集されることで更新され得る。
図2は、前述のモデル120などの製造システムモデルを構成して動作させる、コンピュータに実装される処理200を示すフロー図である。処理200は、図6~図10を参照しながら後述するような、製造システムのエミュレーションを行う処理や不利な結果の特定を行う処理の構成を組み込んだものであり得る。また、処理200は、図6を参照しながら後述する処理に組み込まれるものであってもよく、具体的には、エミュレータの駆動や根本原因の特定や改善の定義を行う構成に拡張される。
図1を参照するが、始めに、上述したような処理からリソースグラフ130、リソース-プロセスのマッピング150およびプロセスグラフ140が取得され得る(205,210,215)。システムモデル120は、これらのグラフ/マッピングから、図6を参照しながら後述する処理に従って構築され得る。つまり、依存関係、静的複雑性および動的複雑性の定義が組み込まれ得る。
製造システムモデル120が完成すると、複数のセットのパラメータによるモデル化(シミュレーション)が行われ得る。該複数のセットのパラメータは、後述の例示的な実施形態を参照しながら詳述するようにして予め生成され得る(220)。該複数の各セットのパラメータは、性能指標との因果関係を有する各変数を指し得る。例えば、前記複数のセットの動作パラメータは:リソースノードの障害;および/またはサービスの遅延;および/または前記サービスリンクに対する変更であって、違う動作順序にすることを示す変更;および/または前記サービスリンクに対する変更であって、別の動作モードにすることを示す変更;の設定によって互いに異なり得る。
そして、製造システムモデル120の動作が前記複数のセットのパラメータでモデル化されることにより、各性能指標(例えば、持続性指標、環境負荷指標等)が生成される(225)。製造システム105の性能指標は、前記複数のサービスの性能のシミュレーションをリソースグラフ130及びプロセスグラフ140に応じて複数のセットの動作パラメータで行うことによってモデル化され得る。該モデル化は、例えば、実行時間中の、前記サービスノードの動作による前記リソースノードの状態の変化を求めること、前記実行時間中の、前記リソースノードの状態の前記変化による前記サービスノードの前記動作の変化を求めること等からなり得る。前記性能指標には、製造プロセスの長期的な反復可能性を示す持続性指標や、製造システム105で消費されるエネルギーに対する、前記複数のサービスを実行するためのエネルギーの可用性を表すエネルギー指標が含まれ得る。
前記複数のセットのパラメータ及び得られた前記性能指標についての分析から、各セットのパラメータの発生確率が求められて前記システムのリスクが特定され得る(230)。発生確率とは、前記製造システムモデルが初期状態から、前記複数の各セットのパラメータにそれぞれ対応する複数の各後続状態に遷移する予測確率のことを指し得る。これらの後続状態の一部は、製造システム105の稼働が継続不能になる障害状態などの不利な結果や、前記製造システムの性能指標が所定の閾値未満に低下するような結果に関係すると特定され得る。つまり、(モデル120で表現される)製造システム105が(各属性の収集を行った初期状態に対応する)前記初期状態からシステム障害などの不利な結果に遷移する可能性を示す少なくとも1つのリスクも特定され得る。該リスクは、所定の変化閾値または所定の変化率閾値を上回る前記性能指標の経時的変化を示し得る。また、前記複数のセットの動作パラメータ下での前記リスクの変化が特定され得て、該変化に基づき、前記性能指標と前記リスクとを関連付ける関数が求められ得る。
前記複数のセットのパラメータ及び前記得られた性能指標についての分析から、さらに、前記リスクを伴わない結果を生じさせるパラメータが特定され得る。このようなセットのパラメータには、例えば、システムの初期状態からのリソースおよび/またはプロセスの違いが含まれ得る。よって、特定されたパラメータが示唆するかたちで前記システムを変更することにより、所定のリスクが回避され得る。つまり、前記リスクを伴わない結果に対応する動作パラメータに基づき、前記製造システムに対する少なくとも1つの変更が決定され得る(235)。また、このような分析により、製造システム105の環境負荷を評価することが可能になる。例えば、前記複数のセットの動作パラメータのうち、環境負荷の減少に対応する少なくとも1つのセットの動作パラメータが特定され得て、前記環境負荷の減少に対応する動作パラメータに基づき、前記製造システムに対する変更が決定され得る。
リスク及びリスク回避の知見に基づき、製造システム105についての報告が生成され得る(240)。該報告は、特定された前記リスクを知らせ得て、また、前記複数のセットのパラメータ及び得られた性能指標に基づき、製造システム105の診断と、不利な結果を回避又は阻止するために予測された少なくとも1つの変更とを提供し得る。このような診断および修正を決定するための処理の例については、後で詳しく説明する。その後、製造システム105が、特定された少なくとも1つの前記変更を組み込むように更新され得る。これにより、長期的に持続可能な稼働および/または最小限の環境負荷などの、特定された目標に応じた向上がシステム105にもたらされる。また、前記変更に基づいて、リソースグラフ130および/またはプロセスグラフ140が更新され得る。
本明細書で説明する例示的な実施形態は、製造システムモデル120のエミュレーションを、複数の異なるシナリオで行う。このようなエミュレーションの結果が分析されることにより、製造システム105の稼働上の問題、修正の潜在的な修正点および最適化の特定が行われ得る。前述のように、同エミュレーションの側面の一つは、複数のセットのパラメータを生成することである(220)。該セットのパラメータの生成は、一連の入力パラメータの少なくとも1つの値を変更して置換することによって行われ得る。これにより、エミュレーション用の少なくとも1つのシナリオが追加生成される。本明細書では、各種パラメータのこのような選択について、特に、図7を参照しながら説明する。入力パラメータの選択時には、製造システムモデルの動的複雑性に起因した不利な結果を検出する目的で、複数の変数を選んで置換対象とし得る。例えば、入力パラメータは、違った構成またはリソース制約下での且つ/或いは違ったサービス需要下での前記製造システムのシミュレーションとなるように置換を施され得る。さらに、モデル120のエミュレーションの時間の長さも変更されてよく、このような変更は、調べたい結果に基づいてAI処理によって管理され得る。時間のこのような変更は、他の置換と共に又は他の置換を伴わずに、時間の長さの変化(例えば、長時間化)で入力パラメータが不利な結果を生じるようになるか否かを判定するのに用いられ得る。
例示的な一実施形態において、前記セットのパラメータのうちの第1のセットのパラメータは、製造システム105の初期状態に相当し得る(例えば、開始時点の属性の測定値に相当する)か、あるいは、製造システム105のある理論的状態又はある予測状態に相当し得る。また、前記セットのパラメータの追加のインスタンスは、前記第1のセットのパラメータについての、前記製造システムの前記初期状態からのズレに相当し得る一連の置換に相当し得る。このようなズレには、前述のような置換が含まれ得る。
そして、前記セットのパラメータの定義が済み、前記モデルのシミュレーションが各セットのパラメータで行われることにより、対応するセットの性能指標が生成され得る(225)。該セットの性能指標には時間の次元(例えば、時間「T1」等と称する)も含まれ得て、その場合の結果は、前記第1のセットのパラメータでの所定の(シミュレーション)時間長さのシミュレーションの結果に相当する。結果としての性能指標を取得した後は、図7~図9を参照しながら後述するような該指標の分析を実施することで、少なくとも1つの不利な結果が特定され得る。また、図9を参照しながら後述するような該性能指標のさらなる分析を実施することにより、モデル化された結果の少なくとも1つの原因が特定され得る。シミュレーション・分析の工程(220~230)が、さらなる置換と共に繰り返されてもよい。これにより、様々な入力パラメータに対応する多様なシナリオで性能(例えば、新たなセットの性能指標や推定リスク等)の決定や不利な結果の特定が行われる。
少なくとも1つの不利な結果が特定されると、該不利な結果を前記複数のセットのパラメータのうちの対応するインスタンスと関連付けるマップが生成され得る。マップの一例については、図3を参照しながら後述する。該マップに基づき、不利な結果を含む結果の確率を定めた少なくとも1つのリスクが求められて報告され得る。具体的に述べると、該リスクは、前記複数のセットのパラメータのうちの、特定された前記不利な結果と関連付けられた各インスタンスの発生確率に基づいて、算出され得る。そして、該リスクは、前述のようにしてユーザに報告され得る(235)とともに、図4及び図10を参照しながら後で詳述するようなさらなる分析に供され得る。報告には、リスクを表す尺度(例えば、リスク指数等)が含まれ得る。
図3は、一実施形態における、パラメータと結果とを関連付けるマップ300を示す図である。マップ300は、図2を参照しながら上述した処理200の結果として生成され得て、製造システムモデルの初期状態305を、各自のセットのパラメータ311A~311Nをそれぞれ有する製造システムの一連の後続状態310A~310Nと接続する。各セットのパラメータ311A~311Nは、対応する結果320A~320N、さらに、該当すれば、対応する不利な結果330A,330Bと関連付けられる。不利な結果110A,110Bには、前記製造システムモデルがシステム全体の障害を示すような障害状態(例えば、330A等)、および/または、その他の良くない若しくは有害となり得る結果(例えば、性能指標が所定の閾値を上回った場合や更新後の性能指標が性能の悪化を示すような場合等)が含まれ得る。マップ300は、後続状態310A~310Nに加えて、介入312A,312Bも考慮したものであり得る。介入312A,312Bは、各自のセットのパラメータ及びそれに伴う製造システムモデル120についての状態を表しているという点で、状態/パラメータのペアと同等であり得る。それでも、例示的な実施形態でシミュレーション対象となり得るシナリオの多様性を強調する目的で、介入312A,312Bをそれぞれの結果322A,322Bと共に別途図示している。具体的に述べると、介入312A,312Bは、製造システムモデル120に対して効率又は持続性の向上をもたらす少なくとも1つの良い変更(例えば、リソースの追加、リソースの再配備又は再組織、サービスの変更等)が施されるシナリオを表したパラメータを指し得る。介入312Aは、少なくとも1つの事前のシミュレーション(例えば、パラメータ311A~311Nによるシミュレーション等)での対応するパラメータが求めるサービス出力に前記製造システムが応えることができないというリスクが判明した後、提案かつシミュレーションされたものであり得る。
パラメータ311A~311Nは、上述のようにモデル化された各シナリオに対応し得て、結果320A~320Nには、該モデル化によって得られた対応する性能指標が含まれ得る。また、所定のセットのパラメータによる前記製造システムモデルのモデル化から不利な結果(例えば、システム障害110A等)が特定された場合には、該不利な結果がその結果(例えば、結果320A等)と対応付けられる。これにより、その結果が「フラグ付け」される。一連の様々なパラメータ310A~310N(例えば、置換後パラメータ等)について、対応する結果320A~320Nの一部が不利な結果110A,110Bと対応付けられ得る一方で、それ以外にはこのような対応付けが行われ得ない。代替的な一実施形態では、不利な結果に対応付けられた結果のみを含むマップが生成され得る。
マップ300から、前記製造システムモデルの少なくとも1つのリスクが求められ得る。前述のように、リスクとは、前記製造システムモデルが、システム障害などの不利な結果を含む各種結果に遭遇する確率のことを指し得る。このようなリスクは、数多くの手段で算出されることが可能であり、数多くの様々な方法で表現され得る。このような分析及び表現の例については、後で詳細に説明する。一例では、各後続状態310A~310Nに、前記製造システムモデルが初期状態305から所定のパラメータの状態に移行する可能性を示す発生確率が振り当てられ得る。例えば、状態310Aに10%の発生確率が振り当てられる。これは、対応するパラメータ311Aで前記製造システムモデルのシミュレーションを行った際に前記製造システムモデルが10%の確率で状態310Aに遷移することを示す。このような発生確率は、前記製造システムモデルに関する履歴データ、および/または、業界データ、および/または、過去のシミュレーションデータ、および/または、同等の製造システムモデルに関するデータ、および/または、前記製造システムの性能属性、および/または、その他の情報源に基づいて求められ得る。各状態310A~310Nの発生確率に基づき、少なくとも1つのリスク(例えば、少なくとも1つの不利な結果110A,110Bを含む各種結果の確率等)が求められ得る。該リスクは、予測された不利な結果及び各確率の詳細を含め、ユーザに報告され得る。また、該リスクがさらなる処理に供されることにより、例えば、ルックアップテーブルの生成等が行われ得る。ルックアップテーブルの例については、図5を参照しながら後で説明する。
図示のように、マップ300は、開始時点(T1)の前記製造システムを表した前記製造システムの初期状態305と、後の時点(T2)で製造システムに起こり得る結果を表した前記製造システムの後続状態310A~310N(および介入312A,312B)との、2つの時点を描写したものであり得る。後続状態310A~310Nは、同時点で発生し得る各種結果を表している場合もあるが、別々の時点を表している場合もある。例えば、状態310Aが状態310Bよりも前のシミュレーション時点を表している場合がある。その理由としては、シミュレーションによって状態310Aが不利な結果110Aを生じさせることが判明し、状態310Aのモデル化が早期に終了させられたのに対し、状態310Bは、より長時間シミュレーションされて、結果320Bが不利な結果を含まないことが確認されたというケースが考えられ得る。
また、後続状態310A~310N(および/または介入312A,312B)に伴うシミュレーションシナリオは、いずれも、該後続状態を超えて、さらに後の時点(T3)の前記製造システムモデルの状態及び結果を予測するように延長されてもよい。図3に示すように、例えば、状態310Bが、時間T2の結果320Bの性能指標を生じさせる。そして、該性能指標が前記製造システムモデルに適用され得る。これにより、前記製造システムモデルが、後続パラメータ341Bを有する後続状態340Bによってモデル化され得る(後続パラメータ341Bは、パラメータ311Bと同一又は異なり得る)。したがって、後続パラメータ341Bの適用により、時間T3の前記製造システムモデルの状態を予測した後続結果350Bが求められ得る。変形例として、後続のシミュレーションについては、前記製造システムの初期状態305が任意の後続状態310A~310N(または介入312A~312N)で代えられてもよく、つまり、前記製造システムモデルを、該後続状態に対応する結果が示した性能指標を基づく性能属性によって構成するようにしてもよい。例えば、状態310Bを、結果320に応じた性能属性を有する新たな初期状態として設定したうえで、複数の後続状態310A~310Nへの前記製造システムモデルの遷移のシミュレーションを行い、対応する結果や、不利な結果のリスクの示唆を得るようにしてもよい。このように、前記製造システムモデルのシミュレーションを、連続的な1つ以上の後続状態で行うことにより:1)前記製造システムモデルに対する経時的な複数の変更(例えば、性能属性、性能指標、介入等)に応じた予測結果;および/または2)製造システムの一つの初期状態から派生した一連の分岐シナリオ;がもたらされ得る。これにより、様々なセットのパラメータの検討が行われるとともに、前記製造システムモデルに対して複数の変更を施した後に各シナリオで起こり得る一連の結果についても予測が行われる。
図4は、一実施形態における、診断及び修正を決定する処理400を示すフロー図である。処理400が前述の処理200と併せて行われることにより、性能指標の悪化、性能属性の変化、システム障害のような不利な結果のリスク上昇などの良くない結果の原因についてのさらなる検証が行われ得る。また、処理400は、モデル化されたシナリオでの前記製造システムモデルの結果の改善点と効果的な修正/介入との因果関係を特定することによって該修正/介入を特定し得る。
前述のように、複数のセットのパラメータで前記製造システムモデルを動かすと、性能指標、良い結果及び悪い結果、不利な結果のリスク、場合によっては、さらに、それ以降のシナリオの前記製造システムモデルの性能指標の変化などの、一連の結果が得られ得る。これらの結果を利用して、製造システムの初期状態と、(一連のパラメータの発生確率による)それ以降の状態と、結果と、不利な結果のリスクとを関連付ける、図3に示すようなマップ300が生成され得る。マップ300などのデータフォーマットを用いて該結果がパースされる(405)ことにより、一部の性能属性と複数の性能指標結果とリスクとの対応関係が特定され得る(410)。この処理は、図9を参照しながら後述する処理900の一部又は全てを実施するものであり得る。該対応関係に基づき、製造システムの診断が決定され得る(415)。製造システムの診断では、前記性能属性のうち、リスクとの対応関係が閾値を上回っている性能属性が示され得る。
診断に続いて、あるいは、別の処理として、少なくとも1つの修正が決定され得る。該修正は、前記製造システムモデル(例えば、性能属性等)に対する少なくとも1つの変更であって、少なくとも1つの良好な変化(例えば、不利な結果(例えば、システム障害等)のリスクの抑制又は回避に繋がる変化、以降のモデル化での前記製造システムモデルの性能指標又は性能属性の良い変化等)と因果関係を有する変更に相当し得る。このような修正を特定する処理は後述の処理900の構成を実施し得るが、前記製造システムモデル及び/又は性能指標に良い変化を引き起こす性能属性及び/又はセットのパラメータ(例えば、良い介入等)を特定対象とする(420)点が異なる。例えば、所定のセットのパラメータ(例えば、介入等)でモデル化したシナリオでは、前記製造システムモデルの性能指標が向上する可能性がある。数多くのシミュレーション及び分析により、そのセットのパラメータから、良好な性能指標と因果関係を有すると見なされる少なくとも1つのパラメータが特定され得る。このようにして、修正が、該少なくとも1つのパラメータに応じた前記製造システムモデルへの変更として決定され得てユーザに報告され得る(425)。さらなる例では、前記性能指標のうち、不利な結果(例えば、システム故障等)と負の相関関係にある一部の性能指標が特定されて、修正が、該一部の性能指標にそれぞれ関連する少なくとも1つの変数(例えば、少なくとも1つのセットのパラメータ等)として決定され得る。さらなる他の例では、前記修正の決定が:1)性能介入を示すさらなるセットのパラメータを生成すること;2)該さらなるセットのパラメータで前記製造システムモデルの性能指標をモデル化することによって性能指標結果を生成すること;および3)前記性能介入に関係する性能指標に基づいて修正を特定すること;を含み得る。
任意で、前記修正は、図5を参照しながら後述するテーブル500のような参照テーブルに組み込まれ得る。そして、製造システム105は、前記修正に応じて、例えば該システム105のリソースおよび/またはサービスを拡張、再組織または再配備する等して変更され得る。任意で、製造システムモデル120には、例えば、前記修正に応じた属性110,112,114、グラフ130,140またはマッピング150の更新等の、前記修正を組み込むような更新が行われ得る(430)。そして、同じセットのパラメータ又は前記さらなるセットのパラメータで、前記製造システムモデルのシミュレーションが行われ得る。これによって更新後の性能指標が求まることで、前記修正の有効性が試験及び/又は検証される(435)。
図5は、一実施形態における、製造システムモデルの状態510、リスク520および対応する修正530を相互参照するルックアップテーブル500を示す図である。テーブル500は、図2を参照しながら上述したリスク特定処理200で得られる情報に基づいて生成され得る。具体的に述べると、製造システムモデルの状態510は、一連のパラメータを置換してモデル化しつつ行われ得る前記製造システムモデルの複数の様々な各反復から得られたものであり得る。同様に、リスク指標520は、製造システムモデルの各状態510についての、その所定の状態に対応するリスクを示したものである。修正530は、所定のリスクにまつわる不利な結果を阻止又は回避するのに効果的な、前記製造システムモデルおよび/または外部リソースの処理および/または変更からなるものであり得る。このような修正530は、本明細書に記載の方法によって決定され得る。例えば、修正候補からなるパラメータにより、前記製造システムモデルのモデル化が行われ得る。該修正候補により、予測される不利な結果が抑制又は回避されると判断された場合に、対応するリスクに対する解決策として該修正候補がテーブル500内に含められ得る。
ルックアップテーブル500へのアクセスは、前記情報製造システムモデルの状態についての情報が与えられることで行われ得る。例えば、診断用途では、前記製造システムモデルの状態を分析し、前記ルックアップテーブルの項目と比較することにより、前記製造システムモデルに内在するリスクが求められ得る。また、少なくとも1つの該リスクを回避するための修正および/または処理案(例えば、前記製造システムモデルに対する変更等)などの修正530も伝えられ得て、前記製造システムモデル自体で該修正530が実施され得る。
図6は、製造システムの性能の分解、エミュレーション及び分析によって動的複雑性を考慮に入れる処理を示すフロー図である。同処理は、対象の製造システムモデル又は環境を静的複雑性(すなわち、前記製造システムモデルの各コンポーネントの階層アーキテクチャ及び特性)の観点から定義するとともに、条件を変えながら該製造システムモデルのモデル化及びエミュレーションを行って該エミュレーションの結果を分析及び定量化し、該製造システムモデルを改善するための解決案を提供するという、図1~図5などを参照しながら上述した諸段階を含む。同処理は、さらに、前記対象の製造システムモデルを動的複雑性の観点から定義することを含み、該定義は、モデル化、エミュレーション及び分析の諸段階に組み込まれる。
図6に示す諸段階には:1)静的複雑性の基礎の定義及び該基礎の分解(605);2)動的複雑性の基礎の定義及び該定義の分解(610);3)所定の数理及び分解に基づくエミュレータの構築(615);4)エミュレータの駆動(620);5)不測の挙動/不利な結果の根本原因の特定および改善の定義(625);ならびに6)(610で新規に定義された)動的複雑性による新たな挙動パターンについての、エミュレータを用いた予測(630);が含まれる。各段階は、ある段階の出力が次の段階の入力になるように、一つ前の段階の後に続いて行われる。以下では、各段階について詳述する。
(段階1:静的複雑性の基礎の定義及び該基礎の分解(605))
対象の製造システムモデル及び環境についての数理モデルを準備する初期段階として、該対象の製造システムモデルの各コンポーネントおよび該コンポーネント間の動作関係に関する情報が収集される。図1~図5を参照しながら前述したような数理モデルを正確に導き出すのに十分な情報が収集される。U.S. Patent No. 6,311,144(米国特許第6311144号)に、このような情報収集の処理の一例が見受けられ得る(参照をもって本明細書に取り入れたものとする)。同段階(605)の入力には、前記製造システムに関する情報(例えば、性能属性等)、および環境や前記製造システムを静的に定義してなる該環境や該製造システムモデルの構築物(例えば、機能的定義(前記製造システムモデルの各コンポーネントの動作や他のコンポーネントとの相互作用)、物理的定義(階層アーキテクチャ)等)が含まれる。同段階(605)の出力は、対象の環境や製造システムモデルの静的複雑性の基礎の定義である。
対象の製造システムモデルの静的な分解を正確に行うために、次の処理が行われ得る:
1.前記環境や製造システムモデルを構成する単位や部分を発見及び特定する。その定義の粒度は、以後の段階で予測を行うのに要求される精度に応じて変わる。
2.前記単位同士の相互接続関係を発見及び特定する。
3.前記接続関係に沿ったフローを発見及び特定する。
(段階2:動的複雑性の基礎の定義及び該基礎の分解(610))
前記製造システムモデルの静的な側面以外のモデルの特徴も描くために、対象の製造システムモデル及びその各コンポーネントに関する追加情報を、該製造システムモデルの動的複雑性の定義として収集して同モデルに組み込む。同段階の入力には、段階(605)で得られた静的複雑性の定義、および静的複雑性の経時的な変化に関する情報が含まれる。この情報は、前記製造システムモデルに関する過去のデータ、および/または、疫学的データ(例えば、所定の母集団の各種変化の発生と性能属性とを関連付ける、該母集団から導出されたデータ等)、および/または、過去のシミュレーションデータ、および/または、同等の製造システムモデルに関するデータ、および/または、前記製造システムの性能属性、および/または、その他の情報源についての分析により取得され得る。同段階(610)の出力は、前記製造システムモデルについての動的複雑性の基礎モデルの定義である。製造システムモデルの動的な分解を正確に行うために、次の処理が行われ得る:
1.前記静的複雑性の定義内での各部分や単位の変化が発見及び特定され得る。各部分や単位のこのような変化が、動的複雑性を指す。
2.前記静的複雑性の基礎モデル内での前記接続関係の変化を発見及び特定する。
(段階3;所定の数理分解に基づくエミュレータの構築(615))
次に、前記対象の製造システムモデルの静的な定義及び動的な定義(605,610)から、前記対象の製造システムモデルの、エミュレーション用の数理モデルが構築される(615)。該数理モデルは、図1~図5を参照しながら前述したようにして構築され得る。該数理モデルは、U.S. Patent No. 6,311,144(米国特許第6311144号)に記載のアプローチに従ったものであり得る(参照をもって本明細書に取り入れたものとする)。同段階の入力には、段階(610)で得られた動的複雑性の定義、モデルのエミュレーションに用いる所定の数理的手法、およびモデルの生成に用いるコンピュータプログラミング手法が含まれる。同段階(615)の出力には、所定の環境や製造システムモデルの動的複雑性及びそれに伴う挙動パターンを求めるように使用されることが可能なエミュレータが含まれる。
前記エミュレータの数理性には、次のような定義が含まれ得る。
US Patent 7 389 211(米国特許第7389211号)は、(包括的に言って)システム性能を分析予測する数理的予測解の基礎を確立するものである。一実施形態において、このような解は、次の式によって概念が記述される:
Figure 2024068660000002
(式中、Xは指標ドメイン(例えば、性能、コスト、能力等に対する複雑性の影響)の初期値であり、XNはN個の静的複雑性要因(例えば、接続数、インターフェース数、リンク数、箇所数、距離等)による直接的影響の算出値であり、XMはM個の動的複雑性要因(例えば、コンポーネントの有効性に影響を及ぼす相互作用、処理能力の向上を求めるフィードバック、流動性に影響を及ぼす干渉、健康に影響を及ぼすパンデミック、寿命に影響を及ぼす加齢化等)による直接的影響の算出値である。
2つの関数ドメイン:
Figure 2024068660000003

を合成した数式の解は、ラプラス変換
Figure 2024068660000004

を用いて、畳み込み定理によって以下のように合成解の算出が可能である:
Figure 2024068660000005


(式中、ベクトルσ=σ(k)は、ドメインを規定する指標の集合を表す。)
変分を表す連立方程式は:
Figure 2024068660000006

となる。
ラプラス変換を用いると、式(1)及び(2)から、ドメイン指標に対する複雑性の影響は:
Figure 2024068660000007

となる。式中、d及びsは2種類の複雑性を示し、
Figure 2024068660000008

はNA(3)で提案する手法により算出される。ここで、(σ’(d),σ’’(d))及び((σ’(s),σ’’(s)) は様々な座標のσを表し、σi、sまたはdは指数型式で記述される複雑性の第i次導関数となる:
Figure 2024068660000009
連立方程式3、4及び5により、複雑性表現の2つの各部分を変化させて全てのドメイン指標を算出することができる。
ベクトルXのそれぞれのドメインX(式中、X(1)は性能であり、X(2)はコストを示し、X(3)はサービスの品質を意味し、X(4)は利用可能性を表し、等)に起因した集約的影響を表す集約的概念である複雑度(complexial)を提案する。
以上の内容から:
Figure 2024068660000010

(式中、Xは、ドメイン指標nの(直接的及び間接的)高次摂動の複雑性寄与量である。)となる。
(段階4;エミュレータの駆動(620))
そして、前記対象の製造システムモデルや環境についての前記数理モデルの定義が済むと、該モデルのエミュレーションが行われる。該数理モデルは、前述のようにして構築され得て、かつ、U.S. Patent No. 6,311,144(米国特許第6311144号)に記載のアプローチを実施するものであり得る(参照をもって本明細書に取り入れたものとする)。同段階(620)の入力には、一つ前の段階(615)からの前記数理モデル(エミュレータ)および少なくとも1つのセットの動作シナリオが含まれる。該動作シナリオにより、前記対象の環境や製造システムモデルのエミュレーションが動かされる。同段階(620)の出力には、エミュレーション対象の前記製造システムモデルの、一連の様々なシナリオでの挙動を示す一連の反応、その複雑性の変化、さらには、前記環境や製造システムモデルの挙動が特異的になったり別の不利な又は許容できない結果に遭遇したりした際の条件及び時間上の点が含まれる。
同段階(620)の出力により、エミュレーション対象の前記環境や製造システムモデルの、突然の変化による「予想外」の挙動を発見及び特定することができる。これは、複数の開始点を実行し、様々な初期状態で複数の様々なタイムラインに亘って前記エミュレータを実行するように制御することによって行われ得る。
簡単に述べるが、複雑性による「製造システムモデル限界」を求めるために、特に2種類の結果が特定される。第一は、静的複雑性による製造システムモデル限界(「頭打ち」)であり、単純な外挿、統計トレンド及び実際の経験から分かる予測可能な限界であり得る。「頭打ち」が製造システムモデルの動作限界であることは、一般的にも分かる。第二に、動的複雑性(特異性)による製造システムモデル限界が特定されるが、一般的な手法(例えば、統計トレンド等)では予測不可能である。特異性は、どの時点でも発生する可能性があるが、相互作用、フィードバック及び干渉のエミュレーションを行う例示的な実施形態の数理的手法であれば、予測や管理が可能である。
(段階5:不測の挙動/不利な結果の根本原因の特定および改善の定義(625))
前述のような少なくとも1つの検証シナリオによる前記数理モデルのエミュレーションが済むと、該エミュレーションの結果が分析されて、不利な結果(例えば、システム障害等)を含む各検出結果の根本原因、およびそのような不利な結果を回避するための前記製造システムモデルに対する変更(例えば、修正等)が特定され得る。同段階(625)の入力には、一つ前の段階(620)によるエミュレーション結果の計算値、および該一つ前の段階(620)の出力の調整及び検証を行うための実際の製造システムモデルの測定値及び観測値が含まれる。同段階(625)の出力には、前記製造システムモデルに対する変更案である修正が含まれる。
同段階(625)の処理は、性能指標への変更の発見、不利な結果のリスクの発見、エミュレーション用のさらなるシナリオの構築及び算出などの、エミュレーション結果分析の各種手法を含む。また、一つ前の段階(620)の結果が、各シナリオの結果の評価、シナリオ同士の合成による介入の決定などの様々な方法によって定量化及び定性化され得る。不利な結果が発生したか否かの判定手法については、図8を参照しながら後で説明する。また、不利な結果の原因を判定するためのエミュレーション対象の製造システムモデルの診断手法については、その一つを、図9を参照しながら後で説明する。
(段階6:新たな動的複雑性による新たな挙動パターンについての、エミュレータを用いた予測(630))
一つ前の段階(625)で提供された前記製造システムモデルへの変更案に応じて、該変更が前記製造システムモデルの改良モデルに組み込まれて、該改良モデルのエミュレーションを行うことにより、該変更により生じる具体的な効果が求められ得る。同段階(630)の入力には、一つ前の段階(625)の出力、および所定の改善シナリオが含まれる。このような改善シナリオには、性能属性の改善及び/又は不利な若しくは高リスクの製造システム状態の発生確率の減少及び/又は性能指標の改善及び/又はシステム若しくはサブシステムの障害などの少なくとも1つの不利な結果のリスク低下を意図した前記製造システムモデルへの変更が含まれ得る。このような改善は、図6及び図8~図12を参照しながら上記説明する処理の結果として提案され得る。具体的に述べると、前記製造システムモデルに改良案を組み込んでエミュレーションを行う同段階(630)の出力には、リソースの再割当て、目標に対するリソースの追加、提供サービスの再設計などの修正や介入を定めた改善計画が含まれ得る。
同段階(630)の処理は、参照予測エミュレータによる前記改善シナリオの算出及び前記計画の定義を含む。また、該エミュレータを動かして複雑性を継続的に(例えば、長期的なシミュレーションシナリオ等で)監視することにより、複雑性の増加による悪化が特定されて該悪化の影響が求められ、該悪化に対処するための措置が定義されるとともに、複雑性の監視及び分析の頻度(例えば、常時、日毎、週毎等)が求められ得る。
(段階7:動的複雑性の制御)
以上の段階の結果として、エミュレーション対象の製造システムモデル内の動的複雑性により生じる不利な結果に対する予防措置の特定及び実施が行われると、該製造システムモデルの動的複雑性は許容範囲内に制御されて該許容範囲内で予測可能なものになると考えられる。不利な結果は、性能指標などの特性の変化率に基づき、少なくとも1つの該指標が変化率の閾値を上回ることで特定され得る。特異性は、このような不利な結果や、製造システムモデルの性能又は特性のその他の急激な変化の一例であり得る。このようにして、前記製造システムモデルに対する変更案などの結果が、該モデルに対応する実世界の製造システムモデルの変更及び改善の推奨案として該モデルから出力され得る。
同段階の入力には、それまでの全段階の出力や知識や経験、変更管理計画、ならびに前記製造システムモデルの根底にあると特定された問題及び課題に関する情報が含まれる。同段階の出力や継続的状態には、報告構造、報告先、報告頻度及び報告内容に関する提案、前記計画を実施するための制御機能の実行、ならびに継続的な成熟度向上が含まれる。
図7は、パラメータを変えながら製造システムの性能のエミュレーションを行うことによって動的複雑性を考慮に入れる処理を示すフロー図である。同処理は、図6を参照しながら前述した処理に組み込まれ得て、具体的には、エミュレータの駆動(620)や根本原因の特定及び改善の定義(625)を行う前述の工程に拡張される
初めに、エミュレーション用の数理モデルが取得される(705)。該数理モデルは、図6を参照しながら前述した処理(すなわち、工程605~615)に従って構築され得て、つまり、静的複雑性の定義および動的複雑性の定義の両方を組み込んだものであり得る。該モデルのエミュレーションを行うために、第1のセットのパラメータ(動作条件)が定義される。前記第1のセットのパラメータは、所定の作業(またはその他の一連の入力)の経時的な実行を該モデルにシミュレーションさせるように既述のとおり定義されたものであり得る。次に、前記第1のセットのパラメータの定義が済み、前記モデルのシミュレーションが該第1のセットのパラメータで行われることにより、対応する第1のセットの性能指標が生成される(710)。該第1のセットの性能指標は、前述のように定量化され得る。また、該第1のセットの性能指標には時間の次元(例えば、時間「T1」等と称する)も含まれ得て、その場合の結果は、前記第1のセットの入力パラメータでの所定の(シミュレーション)時間長さのシミュレーションの結果に相当する。
前述したように、本発明の実施形態は、製造システムモデルのエミュレーションを、複数の異なるシナリオで行う。このようなエミュレーションの結果が分析されることにより、前記製造システムモデルの問題や解決策の候補が特定され得る。同エミュレーションの手法の一つは、一連の入力パラメータの少なくとも1つの値を変更して置換することである。これにより、エミュレーション用の少なくとも1つのシナリオが追加生成される。本明細書では、各種パラメータのこのような選択について、図2、図6及び図10を参照しながら説明している。入力パラメータの選択時には、製造システムモデルの動的複雑性に起因した不利な結果を検出するため、複数の変数を選んで置換対象とし得る。例えば、入力パラメータは、前記製造システムの性能属性の変更、サービスの中断、前記システムのコンポーネントの障害、少なくとも1つのコンポーネントの電源喪失等のシミュレーションとなるように置換を施され得る。さらに、前記製造システムモデルのエミュレーションの時間の長さも変更されてよい。時間のこのような変更は、他の置換と共に又は他の置換を伴わずに、時間の長さの変化(例えば、長時間化)で入力パラメータが不利な結果(例えば、特異性等)を生じるようになるか否かを判定するのに用いられ得る。少なくとも1つの変数が選択されて前記第1のパラメータの置換が行われることで、第2のセットのパラメータが生成される(715)。前記モデルのシミュレーションを再び行うことで、対応する第2のセットの性能指標が生成される(720)。
これら第1および第2の性能指標の結果が得られると、該指標同士の比較が行われて(730)ユーザに報告され得る(730)。これにより、入力パラメータを変えた場合の前記製造システムモデルの性能への影響が求められる。図9を参照しながら後述するようにして該性能指標のさらなる分析を実施することにより、モデル化された結果の少なくとも1つの原因が特定され得る(735)。置換、シミュレーション及び分析の工程(715~735)は、繰返し実施してもよい。これにより、様々な入力パラメータに対応する多様なシナリオで、性能の決定や不利な結果の特定が行われる。
図8は、不利な結果が生じたか否かを判定する処理を示すフロー図である。同処理は、図7を参照しながら上述したような、パラメータを変えながら行う製造システムモデルのエミュレーション処理についての改良版であり得て、前記製造システムモデルのエミュレーションの時間長さを変更しつつ性能指標を生成し、性能閾値との比較を行う。
初めの段階で、あるセットの入力パラメータに対して行う変更を特定する(805)、これを新たなセットのパラメータに組み込んだものが、エミュレーション対象となる(810)。これらの工程は、図7を参照しながら上述した工程715に相当し得る。さらに、前記製造システムモデルのエミュレーションを行うシミュレーション時間として、時間の次元T1が選択される。次に、前記製造システムモデルのエミュレーションが、前記新たなセットのパラメータで、時間T1のあいだ行われることにより、時間T1における性能指標が得られる(815)。次に、得られた性能指標の定量化、および少なくとも1つの閾値との比較が行われ得る(830)。例えば、性能指標は、持続性(性能目標を満足しつつ稼働する能力)および環境負荷の観点から定量化された後、図表上に時間に対してプロットされ得る。次に、プロットされた指標が、前記製造システムモデルの性能指標の相対的変化に相当する少なくとも1つの閾値と比較されることにより、前記製造システムモデル又は性能指標の変化が許容可能な閾値を上回ったか否かが判定され得る。上回った場合には、不利な結果(例えば、システム故障等)が報告される(860)。上回っていなければ、同シミュレーションがさらなる時間T2で引き続き行われ得る(840)。
製造システムモデルの動的複雑性から、動作時間が長引かない限り、不利な結果が出現しない場合がある。このような不利な結果は、短期間のシミュレーション時間長さでは予測されなかったとしても顕在化する可能性がある。よって、シミュレーションを時間T2ぶん延長することで、製造システムモデルの検証をより徹底的に行い、時間長さが増えた場合に不利な結果が生じるか否かを判定することができるようになる。時間T2後に得られる性能指標が許容可能な閾値を上回った場合には(845)、不利な結果が報告される(860)。上回らなければ、結果が許容範囲内であるという報告が行われ得る(850)。これは、その所定のセットの入力パラメータ下で、前記製造システムモデルの性能指標が良好であるということを示唆する。
図9は、不利な結果の検出後に製造システムの診断を行う処理900を示すフロー図である。同処理は、図6~図8を参照しながら前述した各処理から得られる結果を分析するのに実施され得る。少なくとも2つの異なるセットの性能指標が、対応するセットの入力パラメータにより生成されると、これらの入力パラメータのセット間の違いが、前記製造システムモデルに加わった「変化」として特定される(905)。該変化は、性能指標での不利な結果の(必ずしも直接の原因でなくてもよい)最初にあらわれる原因として扱われ得る。例えば、該変化には、前記製造システムのリソース又はサービスの変化、コンポーネントの故障、電源遮断等に似たものが含まれ得る。
次に、前記不利な結果の最も直接の原因であるコンポーネントが特定される(910)。例えば、製造システムモデルが一つの組立ステーションの故障を示唆しており、該組立ステーションこそ、性能指標(例えば、送り出される製品量等)が許容可能な閾値未満に低下している原因であり、システム全体としてのリソース及び/又はサービスのより大規模な障害のリスクを上げているという場合が考えられる。そして、前記最初の原因及び直接の原因の特定が済むと、これら最初の原因と直接の原因とを繋ぐ、全ての動作及び要因を含むパスの追跡行われ得る(915)。このパスから、前記不利な結果へと繋がる因果連鎖にそれぞれ寄与したと考えられ得る一連のノード及び依存関係が、該パスで特定され得る(920)。次に、これらの各コンポーネントの、前記製造システムモデルの障害、劣化などの、前記不利な結果に寄与した可能性がある変化についての調査が、個別に行われ得る(930)。先程の例を参考にすると、組立ライン内の組立ロボットが冗長(余分)に設けられていないなどの、前記製造システムのリソースの組織構造が最適でない点が、該製造システムの持続性指標を低下させたことで組立ラインの障害発生度が上昇し、それにより、該組立ラインが出力する製品を輸送する輸送系統の障害のリスクが高まっていると判断される可能性が考えられる。さらに、(上記パス以外の)その他の因果関係要因も不利な結果に寄与していた可能性があると判断された場合には、このような他の原因も同様の調査に供され得る。特定された前記不利な結果に該原因が寄与していれば、これらのコンポーネント及び各コンポーネントに内在する具体的な問題が報告されて、さらなる分析や修正の対象となり得る(940)。
動的複雑性の分解や不利な結果の予測についての詳細は、その応用例も含め、U.S. Pub. No. 2012/0197686(米国特許出願公開第2012/0197686号)に記載のとおりである(参照をもって全内容を本明細書に取り入れたものとする)。
前述のモデル化手法を適用することで、一連の製造システムモデルを、性能属性、性能指標ルールなどの前記システムモデルの各側面に各層が対応してなる多層数理モデルとしてシミュレーションすることが可能となる。一部の実施形態では、モデル化対象の特定の製造システムモデルに合わせて、少なくとも1つのそのような層が部分的に又は全体的に統合又は再構成され得る。例えば、物理的なコンポーネントとの直接的な関係でプロセスを簡単に記述できる比較的単純な製造システムモデルでは、プロセス層と実装層が共通の層で実現され得る。同様に、実装層と物理層も共通の層で実現され得る。
(予測リスク評価)
前述したように、不利な結果が起こり得るということは、製造システムモデルの動作にとって、さらには、前記製造システムモデルの整合性にとってもリスクであることは明らかである。不利な結果は、性能指標などの特性の変化率に基づき、少なくとも1つの該指標が変化率の閾値を上回ることで特定され得る。前述したように、特異性は、このような不利な結果や、製造システムモデルの性能又は特性のその他の急激な変化の一例であり得る。前述したように、本発明の実施形態は、不利な結果、その原因などの結果を特定し、製造システムモデルを再構成することにより、このような不利な結果を回避可能とすることができる。
また、本発明の実施形態は、様々な不利な結果の特定や回避について包括的に適用することが可能である。様々なパラメータで製造システムモデルの性能指標をモデル化することにより、不利な結果を含む結果のリスクを確率として求めることができる。該リスクは、特定の不利な結果により、さらには、所定の期間として定性化され得る。このようなリスクは、必要ならば複数同時に報告され得る。
少なくとも1つのリスクの特定及び報告を行う例示的な一実施形態では、前述のように、製造システムモデルの多層数理モデルが用意され得る。複数のセットのパラメータにより、持続性指標および/または環境負荷指標および/またはリスク指数などの前記多層モデルの性能指標がモデル化され得る。これらの性能指標から、該性能指標の変化又は変化率が少なくとも1つの所定の閾値を上回ることに基づき、少なくとも1つの不利な結果が特定され得る。少なくとも1つの不利な結果が特定されると、該少なくとも1つの不利な結果を前記複数のセットのパラメータのうちの対応するインスタンスと関連付けるマップが生成され得る。該マップに基づき、少なくとも1つの不利な結果を含む結果の確率を定めた少なくとも1つのリスクが求められて報告され得る。以下では、予測リスク評価及び管理を行う例示的な実施形態について詳細に説明する。
図10は、一実施形態における、製造システムのリスク管理の処理1000を示す状態遷移図である。処理1000は、図21~図27を参照しながら前述したような、製造システムモデルのモデル化、リスクの決定および該リスクに対する解決策の導出を行う処理を組み込んだものであり得る。処理1000は、製造システムモデル内でのリスクの感知及び管理を向上させるために繰返し行われるサイクルであると解釈され得る。
前述したようなリスク決定の実施形態を実施する前は、最初のリスク感知2805(第1フェーズ)が終わっていない可能性がある。そのため、第2フェーズ(リスクのモデル化)2810では、経験や似た状況のベンチマークから集めた情報に基づいて分解や因果分析を実施するための必要な情報が収集される。このデータから、リスクや特異性を明らかにする調査や大胆なシナリオが構築され得る。数理定式化、ならびに分解した特性、依存関係及びコンテンツ挙動を利用することで、前記製造システムモデルのダイナミクスや動的複雑性を表した数理的エミュレータが提供される。該エミュレータを用いて、初期状態や動的制約のパターンを変えながらシナリオを展開させることにより、リスクや該リスクが生じる条件、さらには、取り得る低減戦略が特定され得る。該エミュレータは、経時的に起こり得るあらゆる変化を再現するように、動的複雑性、環境の変化又はコンテンツダイナミクスの発展をとおして問題の定義にも影響を及ぼしながら継続的に更新され得る。前記エミュレータは、正確かつ象徴的であり続けることができるだけでなく、健全な予測を立ててあらゆるリスクを捕捉できることにより、より良い成果をもたらす。
第2フェーズ2810で前記エミュレータが構築された後、第3フェーズ2815(リスクの発見)にて、変更入りシナリオが実行されることにより、リスクの可能性の特定が行われる。起こり得る変化を表現するように前記エミュレータ内の各シナリオのパラメータを一つずつ又はグループ単位で、あるいは、ドメイン単位で変更することにより、その都度、前記製造システムモデルが特異性に達する箇所が外挿で求められるとともに、対応する情報によって状況の診断が行われ得る。前記エミュレータは、意思決定の手助けとなるその他の数多くの性質(例えば、影響の深刻度、対策の部類、緊急性等)や対策措置の実施の複雑性及び/又はコストに基づいたリスク分類も容易に行う。
各シナリオの結果の理解にあたっては、波及効果が極めて重要である。摂動論を分析手段とし、それによって各コンポーネントへの直接的な影響や間接的な影響やコンポーネント同士の順序を表す軌跡を含めた製造システムモデルのダイナミクスを表現することにより、密接な相互関係や緩い繋がりの相互関係への波及効果が及ぶ。
同フェーズ2815では、リスクによって悪い結果が顕在化する前に、許容可能なリスク対策戦略の確保によって前記製造システムモデルを修正することができる有力な予防的修正の選択肢を探るための、さらなるシナリオも形成され得る。この最後の側面は、動的複雑性により生じるリスクを含めた大半のリスクを同フェーズで発見することをリスク管理上想定しているため、極めて重要と捉えられ得る。
対策とは、リソースの組織的かつ経済的適用により目指す目標に対する、不確実性の影響としてのリスクの特定、評価及び優先付けを、不運な事象の影響の最小化、監視及び制御や機会実現の最大化を達成するように行うことである。リスク管理の目的は、不確実性によって前記製造システムの性能から焦点がズレないようにすることである。したがって、第4フェーズ2820では、それまでのフェーズにより導出した情報を、前記製造システムのモデルのリスクが軽減されるように実装する。リスクが特定及び診断された後、該リスクの影響を解消したり最終的に減少させたり最小限にまで相殺したりするための事前の修正計画が構築され得る。それまでのフェーズで得られた知識が適用されることで、起こり得る事象に備えてリスクの修正計画を用意することができるようになる。例示的な実施形態は、製造システムモデルを継続的に監視する知識データベースを活用することで、動的複雑性の進展的性質から起こる既知や未知の事柄(例えば、リスク等)の両方に対処し得る。
第5フェーズのリスク監視2825では、監視プロセスが実施される。第3フェーズ2815で生成された全てのリスク事例を含み第4フェーズ2820での修正計画で補強されたデータベースにより、前記製造システムモデルが自動化技術による監視下に置かれ得る。この自動操縦的機能は、飛行機や自動車や原子力発電所で用いられている機能と似ており、稼働中の前記製造システムモデルを観察して、事前特定したリスク状況に最終的に繋がりかねないような動的特性を特定し得る。該当する事例に遭遇すると、警告が生成されて、事前承認済みの修正措置が起動される。
格納された各事例は、識別子、診断、および修正に用いる少なくとも1つの選択肢を含み得る。自動操縦の製造システムモデルは、該当する事例が見つからなかったとしても、リスクを引き起こしかねない重篤な症状を検出する場合がある。その場合には、監視制御部が、第2フェーズ(予測モデル化フェーズ)2810にその特徴を送り返す。対応するシナリオが実行されることにより、リスクの推定、事例の診断、および修正選択肢の提案が実施され得る。その後、これらが前記データベースに送り返され得る。新たな事例により、知識のベースが豊富なものになる。このアプローチにより、自動操縦的監視制御の製造システムモデルは、徐々に知性および網羅性が向上し得て、時間を積むことで、不利な結果のリスクの発生を大幅に減少させるようになり得る。
図11は、一実施形態における、製造システムモデルの依存関係グラフ1100の一部を示し、リスクの伝播を説明する図である。依存関係グラフ1100は、図1を参照しながら前述したリソースグラフ130および/またはプロセスグラフ140に実装され得て、かつ、上述の製造システムモデルの生成過程で生成され得る。同図に記載した依存関係グラフ1100の一部は、より大規模な依存関係グラフの一部であり得る。依存関係グラフ1100の要素(ノードやリンク)は、前記システムモデルの要素や該要素が表す性能属性間の因果関係に基づいて構成される。例えば、各ノード1105A~1105Eはそれぞれの物理的リソース又はサービスを表し得て、一部又は全てのノードが少なくとも1つの特性(例えば、性能属性の変数、静的値等)を有し得て、一部又は全ての該特性がリンク1190A~1190Dを介して別のノードの影響を受け得る。リンク1190A~1190Dは、あるノードの特性と別のノードの特性との間の因果関係(例えば、機能的関係、数学的関係等)を表し得る。前述の性能指標は、各ノードが表し得るか、あるいは、少なくとも1つの別のノードの特性に基づいて算出され得る。以下では、製造システムモデルとしての依存関係グラフのさらなる例を、例示的に説明する。例えば、ノード1105A,1105Bは別々の組立ラインの組立ロボットを表し得て、各ノード1105A,1105Bの数値はリンク1190A,1190Bを介してノード1105Cと因果的に結合している。ノード1105Cは、両方の組立ロボットに給電するように構成された電源を表す。そして、ノード1105Cは、該電源又は該給電に給電する電力系統により給電される別のリソースを表し得るノード1105D,1105Eと因果的に結合したものであり得る。
図11に示す例において、依存関係グラフ1100は、ノードD1105Dで発生するクロスノード(ノード横断)影響1135を、該クロスノード影響1135に有意に寄与するノード、事象及び性能指標と関連付けるものである。これらの要素は、「あれなければこれなし(but for)」因果、直接の因果(例えば、所定の閾値を上回るリスク寄与量等)、前記クロスノード影響の発生と所定の閾値を超えて相関する事象/性能指標の発生などの複数の要因に基づいて選択されて含められ得る。任意で、依存関係グラフ1100は、クロスノード影響1135の発生と部分的に又は完全に相関する追加のクロスノード影響(例えば、ノードE1105Eのクロスノード影響1136等)を含み得る。
(図6~図9を参照しながら前述した)パラメータの置換による多ノード複合構造のエミュレーションから、主に:1)ノードA2205Aで生じる不利な結果1130;および2)ノード1105Bの性能指標1131を変化させる外部の事象1180;の2つの影響要因によってクロスノード影響1135が発生することが判明し得る。クロスノード影響1135の発生については、両方の影響要因が必要であるか又は一方の影響要因で十分(他方はなくてもよい)ことが判明し得る。不利な結果1130は、ノードA1105Aの性能指標の変化として現れ、リンク1190Aを介してノードC1105Cに伝播する。同様に、外部の事象1180は、ノードB1105Bの性能指標の変化として顕在化し、リンク1190Bを介してノード1105Cに伝播する。この伝播がノードC1105Cの性能指標1132の変化を引き起こし、リンク1190Cを介してノードC1105Dに伝播してクロスノード影響1135を生じさせる。また、性能指標1132の変化は、リンク1190Dを介してノードEに伝播し、追加のクロスノード影響1136を生じさせ得る。よって、依存関係グラフ1100は、クロスノード影響をその原因、さらには、該原因の別の影響と関連付ける。依存関係グラフ1100は、クロスノード影響1135の阻止又は軽減の手助けとしてユーザに提示され得るか、あるいは、クロスノード影響1135を阻止又は軽減するための前記複合構造に対する変更(例えば、修正措置等)を特定するのに用いられ得る。
製造システムモデルで現れる例示的な指標やリスクは、動的複雑性指標(Dycom)やリスク指数(RI)と称され得る。Dycom及びRIは、図1~図11を参照しながら前述した実施形態で実装され得て、その詳細については、U.S. Pub. No. 2020/0175439(米国特許出願公開第2020/0175439号)に記載のとおりである(参照をもって全内容を本明細書に取り入れたものとする)。
(リスク制御アプローチ)
例示的な実施形態では、製造システムモデルの因果分解後の分析がリスク管理の起点となる。
A)環境、環境のダイナミクス、変化を引き起こし得る影響要因、重要業績評価指標、ならびに性能属性及び/又は性能指標及び/又は不利な結果のリスクの観点から目標を見出す。
B)(静的)複雑性の具体的な各要素:プロセスフロー;構造;構成;技術;および地理;を収集する。動的複雑性:依存関係;相互作用;組合せ動作モデル;を理解する。
C)システムの組織的視点、論理的視点及び物理的視点(静的複雑性)ならびに依存関係、フィードバック及び組合せパラメータパターン(動的複雑性)を明らかにするトップダウン型の階層構築物により、数理的予測動的複雑性エミュレータを構築する。
D)数理モデルの演算により、性能指標や不利な結果のリスクを計算し、そこから重要業績評価指標を導出・生成する。
E)前記エミュレータは、正確性や精度についての適切な検査が済んだ後、シナリオの検証及び知識ベースの構築に活用される:
a)初期状態(例えば、一連のパラメータによる性能指標等)、依存関係及び/又はインフラストラクチャ、環境、さらには、パラメータを変化させることで、さらなる不利な事象やさらなる特異点を明らかにし得るほか、混沌点が形成し始め得る。
b)フィードバック過程で起こり得る状況シナリオを構築及び算出する。
c)ベンチマーク解(修正や介入)を評価及び比較して判断を行う。
d)修正及びリアルタイム介入に必要な知識を提供する。
e)一方で、多数の知識項目を導き出して前記知識ベースに出力する(一部の項目は既知のものであり得るが、大半の項目は未だ観測されていない未知の知識を明らかにするものであり得る)。
f)十分な情報による意思決定に基づいて修正/介入を投入する。それまでのフェーズで得られた知識内容を使って前記製造システムモデルを制御し、最終的な状況を任意の知識内容と合致させ得る。
g)以上により、本アプローチは、現在の状況(治療)および未来の状況(予防)に対処する。そして、修正/介入によって前記製造システムモデルを継続的に監視及び改善していくとともに、継続的に新たなシナリオの生成及び限界の特定を行うことで、不利な結果の新たなリスクを最終的に発見し、該リスクを回避する方法を探し出す。
このようなアプローチにより、性能関係の熟練者が製造システムの制御・計画や理想的な結果の特定を行うためのプラットフォームが提供され得る。簡単に言えば、不確実性の軽減と、問題の予防的推定及び修正という両方の目標が達成される。プロセスの簡単な予防的修正が長期的な機械学習過程の起点となり、時間を積むことで知的なプラットフォームに成長し、迅速かつ包括的な適時修正案を提供できるようになる。
図12は、本発明の実施形態が実現され得るコンピュータネットワークなどのデジタル処理環境を示す図である。1つ以上のクライアントコンピュータ/装置50および1つ以上のサーバコンピュータ60が、アプリケーションプログラムなどを実行する処理装置、記憶装置および入出力装置となる。また、クライアントコンピュータ/装置50は、さらなるクライアント装置/プロセス50やサーバコンピュータ60などの別のコンピューティング装置と、通信ネットワーク70を介して接続され得る。通信ネットワーク70は、現在各自のプロトコル(TCP/IP、Bluetooth(登録商標)など)を使って互いに通信する遠隔アクセスネットワークやグローバルネットワーク(例えば、インターネット等)や世界中のコンピュータの集まりやローカルエリアネットワークやワイドエリアネットワークやゲートウェイの一部であり得る。これ以外の電子装置/コンピュータネットワークアーキテクチャも好適である。
図13は、図8のコンピュータシステムのコンピュータ(例えば、クライアントプロセッサ/装置50、サーバコンピュータ60等)の内部構造の一例を示す図である。各コンピュータ50,60は、コンピュータや処理系統の構成要素間でデータを転送するのに用いられる一連のハードウェアラインであるシステムバス79を具備する。システムバス79は、本質的に、コンピュータシステムの各構成要素(例えば、プロセッサ、ディスクストレージ、メモリ、入出力ポート、ネットワークポート等)を接続して該構成要素間での情報の移動を可能にする共有の導管である。システムバス79には、コンピュータ50,60に各種入出力装置(例えば、キーボード、マウス、ディスプレイ、プリンタ、スピーカ等)を接続するための入出力装置インターエース82が取り付けられている。ネットワークインターフェース86は、ネットワークに取り付けられたその他の各種装置に前記コンピュータが接続することを可能にする。メモリ90は、本発明の一実施形態(例えば、図1~図11を参照しながら前述したプロセス、データ構造等)を実現するのに用いられるコンピュータソフトウェア命令92やデータ94を記憶する揮発性の記憶部である。ディスクストレージ95は、本発明の一実施形態を実施するのに用いられるコンピュータソフトウェア命令92やデータ94を記憶する不揮発性の記憶部である。システムバス79には、さらに、コンピュータ命令を実行する中央演算処理装置84が取り付けられている。
一実施形態において、プロセッサのルーチン92やデータ94は、本発明のシステムのソフトウェア命令の少なくとも一部を提供する、非一時的なコンピュータ読取り可能媒体(例えば、少なくとも1つのDVD-ROM、CD-ROM、ディスケット、テープなどの取外し可能な記憶媒体等)のような(包括的に符号92を付した)コンピュータプログラムプロダクトである。コンピュータプログラムプロダクト92は、当該技術分野において周知である任意の適切なソフトウェアインストール手順でインストールされるものであってもよい。他の実施形態において、前記ソフトウェア命令の少なくとも一部は、有線の通信および/または無線の接続でダウンロードされるものであってもよい。
(重要業績評価指標)
製造の優秀性は、製造手順やプロセスの概念化及び実行を、企業の優先事項を支えて様々な利害関係者の目標に応える重要業績評価指標(KPI)に一致させることによって実現される。そのため、KPIは、あらゆる製造意思決定の状態を測定及び伝達して管理活動を戦略や設計から業務や物流に昇華させるための手段となる。KPIは、局所的なレベルでも全体的なレベルでも、製造の理想的状態を特定し、該理想的状態を実現するための道筋となる修正選択肢の比較を行い、自信をもって計画を施行するための手段を、利害関係者に提供する。
例示的な実施形態は、製造システムの少なくとも1つのKPIを性能指標として組み込むことにより、該KPIをモデル化するように構成され得る。性能指標として追跡され得るKPIの例には、次のようなものが含まれる:
a)処理量=製造数/時間(時又は日)は、指定の期間に機械、ライン又は工場が製造することのできる量の尺度である。
b)サイクル時間=プロセス終了時間-プロセス開始時間は、完成品の製造、完成品の各構成要素の製造、またはエンドユーザへの完成品の提供にかかる平均時間量の尺度であり、製造プロセスのマクロ的な効率性の分析やミクロ的な非効率性の決定に役立ち得る。
c)在庫回転=売上原価/在庫平均は、特定の期間での在庫の売上げ回数の尺度であり、リソースの効率性を示唆する。
d)製造達成度=製造目標満足期間数/総期間は、特定の期間での製造レベルの尺度であり、該期間のうちの何パーセントで製造レベル目標が達成されたのかを算出したものである。
e)回避可能費用=想定修理費用+製造減少量-予防管理経費は、経費をかけることで節約される費用の推定値(例えば、機械の保守にかかる費用と、該機械が故障した場合の修理費用+修理期間で失われる製造額との対比)である。
f)停止時間対稼働時間=停止時間/稼働時間は、機械保守や機械自体の有効性を測るのに用いることが可能な製造指標である。
g)直行率=良品/総製造品数は、初回のプロセスにて仕様どおりに製造された(修正を要したり廃棄になったりしない)製品の割合の計算値である。
h)設備総合効率(OEE)=可用性×性能×品質は、100%の時間、100%の能力および100%の収率(すなわち、不良品なし)の製造時にOEE=100点となる。
i)設備稼働率=実際の設備利用/総生産能力は、利用可能な能力全体のうちの活用されている能力量の尺度である。
j)単位製品あたり製造コスト=総製造コスト/製造個数は、製造にかかるコスト(典型的には、材料費、間接費、減価償却費、人件費などが挙げられる)を全て考慮して該コストを製造品数で割った値である。
k)単位製品あたりエネルギーコスト=総エネルギーコスト/製造個数は、所定の期間で消費したエネルギーの総コストを同じ時間枠で製造された製造個数で割った測定値である。
l)CO2排出=活動量×排出係数は、所定の活動で排出される二酸化炭素(CO2)の量の尺度である。
製造の利害関係者が優れた意思決定を行うには、各選択肢に伴って起こり得る結果、利点およびリスクについての現実的な分析が可能でなければならない。ただし、一部の判断は、経験や過去のデータの恩恵なしで行わざるを得ない。特に、新規の活動は、複雑な又は未知のダイナミクスに左右される可能性があるので、そうならざるを得ない。このような状況から、製造業者は、不足した知識を埋めて賢明な判断や予防的ビジネス慣習を助けとなる最新の手法や生成AI技術を求めるようになっている。
例示的な実施形態は、経験やデータ駆動型の意思決定ツールで管理するには複雑過ぎる現代のビジネスダイナミクスに製造業者が対処するのを助ける。例示的な実施形態は、変化への対応、限界の特定、あらゆる問題の予防的な発見及び修正ならびに機会の活用を継続的に実現するように活用可能なデジタル実験プラットフォームを提供することにより、廃棄の低減、製造収益の増収、持続性の向上および競争優位性の獲得を達成するうえで製造業者が賢く対応しなければならない無数の様々な競争問題への対処を支援し得る。
例示的な実施形態は、あらゆる問題の根本原因の解明や検討対象の製造プロセスのあらゆる変化の将来的影響の予測を製造業者が行うのを支援する指標を算出し得る。測定対象となり得る総合的側面としては、作業内容・種別、サービス品質およびコストの3種類が挙げられる。例示的な実施形態は、現在のシナリオや今後のシナリオの分析に基づき、報告ダッシュボードに現れる指標を計算し得る。このような指標は、システム健全性、リスクおよび機会についての定量的視点や定性的視点を利害関係者に提供して既存の製造活動及び/又は設計や製造活動案及び/又は設計案の改善をもたらす。各側面は、低次の寄与量を考慮に入れたものであり、その影響は、相互依存関係のグラフをとおして算出される。
本願の出願人の製造最適化の経験は、重要性、複雑性及び範囲が異なる多種多様な事例に及ぶ。どの事例においても、本願の出願人は、事業的および戦略的な判断の両方について独自の効率的な予測性及び移植性の実現に成功してきた。各々の事例は定義や複雑性で異なるものの、本願の出願人の調査から、諸要件は以下の分類に亘ることが分かっている:
a)製品の目標品質を維持しつつ処理能力を最適化する。
b)結果として生じるエラーの影響や破壊性を最小限にする。
c)製造ラインのエラーを最小限に抑えるとともに、適応型の防衛線や防衛構造を構築する。
d)柔軟性を持つ適切なインフラストラクチャを選択して設計に含める(場合によっては、コンピュータ援用エンジニア(CAE)実装と統合させることも可能である)
e)検証用の選択肢を提供し、適応型の手順により、柔軟で評価された製造設計を可能にする。
f)製造コストを最小化し、コスト設定を最適化することにより、所望の投資利益率(ROI)を実現する。
g)市場拡張シナリオの検証を容易にする。
h)オートメーションの選択肢などの、サプライチェーン段階やエンドツーエンドサービスの最適化を行う。
i)予防保全を提供する。
j)予測分析により、起こり得るエラーの再現を行う。
k)最終的なエラーを特定して修正する。
l)3つの軸(生産性、品質及びコスト)の観点からエラーの特定及び分類を行い、重要性に基づいて評価する。
(製造システム分解)
製造とは、原料や部品や部材から製品を生産することである。製品は、一つずつ、複数単位で又はオンデマンドで、人手によって又は時間重視のプロセスからなる高度に自動化された製造ラインによって製造され得る。それぞれの製造プロセスは、一連の工程を実行するように連携する所定数の相互依存のサブプロセス、システム、アセット及びコンポーネントから構成される。各工程は、例えばロボット、コンベア、オートメーション、産業用ウェハ、組立設備、監視/試験機構等の、論理的又は物理的な製造コンポーネントによって実施され得る。そして、それぞれの製造プロセスは、各々の特性及び依存関係を有する低次のシステム、アセット、コンポーネント及びサブコンポーネントから構成される。任意の時点でサブコンポーネントの動作不良が起こると、高次のコンポーネントにも動作不良が発生し、さらには、より高次の製造ラインやプロセス全体にも動作不良が発生・伝播する。
図14は、複数のリソースノードを表すテーブル1400である。図1を参照すると、リソースグラフ130の各ノードが、テーブル1400などの少なくとも1つのテーブルの項目に該当しており、図示の各物理的リソースの特性を規定し得る。テーブル1400は、例えば、製造システム105における複数の輸送リソースの各項目を格納する。つまり、テーブル1400の各列は、速度、距離、計画外遅延、計画外時間、計画内遅延などの、前記リソースが行う輸送サービスに関する特性を定める各項目を格納する。
(ノード拡張)
テーブル1400のうちの「ノード拡張」と称される部分は、能力、発生カーボン、燃料消費量、エネルギー利用、コスト種別、コスト値などの特定の性能指標のモデル化に用いられる追加の特性を格納し得る。一例において、ノード拡張は、一般、グリーン、可用性、フェイルオーバーおよびコストの、5種類の情報カテゴリーに分けられ得る。ノード拡張は、例えば輸送手段種類ノード等の変数の追加も可能であり得るほか、実装ビューで任意のノードに取り付けることも可能である。ノード拡張の例は、まとめると以下のようになる:
1)一般:「一般」カテゴリーには、空間を扱う変数が含まれる。
a)輸送容量:輸送容量変数はノードの上限容量(整数値)であり、ノードの容量の上限を定めるのに用いられる。一例として、コンテナ船のノードではコンテナ200個が上限容量とされ、トラックではパレット40個が上限容量とされる。
b)空き容量:ノードの空き容量は該ノードのうちの余裕がある上限容量(整数値)であり、空いている容量の上限を定めるのに用いられる。先程の例を続けると、コンテナ船の上限容量の200個のうち、空きは10個だけであり得る。同様に、トラックの上限容量が40個であるときに、全部空いていれば数値は40になる。
c)空間要件:これはノードの床スペース要件であるが、現時点は机上段階なので、本件の出力には含めない。
2)グリーン:「グリーン」カテゴリーには、エネルギーやカーボン排出を扱う変数が含まれる。
a)発生カーボン:発生カーボンは、燃料1リットルあたり発生するカーボン数(キログラム)であり、この変数には、信頼できる情報源、EPA、大学ラボまたはエンジニアリング会社からの数値を使用するのが望ましい。
b)燃料消費量:燃料消費量は、1Lあたりのキロメートル(km/l)で表現されるのが望ましい。輸送手段の種類に依存するが、通常、何らかの形式の表記やその他の表記を見つけることができる。航空機や船舶を用いるのであれば、燃料利用量が著しく大量になるため、何らかの換算が必要となる可能性が高いが、換算ツールはオンラインで入手可能である。
c)エネルギー利用:燃料1リットルあたり発生するエネルギーのキロワット時(kwh)数であり、発生カーボンと同じく、燃料の種類ごとの信頼できる情報源から得るのが望ましい。
d)排出熱:排出熱は、燃料1リットルあたり発生する熱量の測定値(英国熱量単位(British Thermal Unit;btu))であり、エネルギー消費の別の尺度である。
3)可用性:「可用性」カテゴリーには、ノードの信頼性/確実性を扱った変数が含まれる。
d)平均故障間隔(MTBF):ノードの予想故障間隔(秒)である。
e)平均修復時間(MTTR):故障が発生してからノードがサービスに復帰するまでの予想時間(秒)である。
f)ノード予想アップタイム;ノードが使用可能な状態であると予想される連続時間量(秒)である。
g)ノードサービスレベル:クライアントが指定する契約サービスレベル(%)である。
4)フェイルオーバー:「可用性」タブの変数に関連して、「フェイルオーバー」は、故障が発生した場合にノードを利用可能にするための変数を設定する。
a)フェイルオーバー有無:フェイルオーバーの有無を示す変数(1か0のブーリアン)である。
b)フェイルオーバー対象:拡張子が生成された対象ノードに対するフェイルオーバーとなるノードを特定する変数であり、ドロップダウン型のノード候補リストから選択される。
c)フェイルオーバー遅延:フェイルオーバー対象で動作が完全に確立されるまでにかかる時間量(秒)である。
5)コスト:「コスト」タブは、ノードへのドルコスト割当てを可能にする変数を含む。
a)コスト有無:コスト値の有無を示す変数(1か0のブーリアン)である。
b)コスト種類:ドルコスト値が何を表しているのかを説明する変数であり、ドロップダウン型の種類候補リストから選択される。
c)コスト値:ノードに適用されるドル値の変数である。
リソースやサービスの相互依存関係に起因した再帰的影響から、製造システムを表現及び再現する際の該システムの詳細な分析は、最大限の幅広さと深さに及ぶ洗練されたものでなければ問題を掴むことが難しい。システム理論の重要な概念の一つは、システム(又はサブシステム)間の相互依存関係の説明である。非線形系を十分な精度と再現性でモデル化するには、このような相互依存関係を数理定式化によって捉える必要がある。
製造プロセスのモデル化では、独立変数同士が相互に作用して複雑かつ相乗的な非線形作用が生じるような重要な現象を説明するための必要データが欠落してしまうことが良くある。よって、選択するモデル化手法は、変数間の関係の非線形性を記述する先験的知識のこのような欠落に対処するものでなければならない。これこそ、機械論的な数理的ツインを構築するという概念の理由であり、製造ラインの依存関係成分が表現されるとともに、低次のツイン同士が寄与する相互依存関係も派生する。
本明細書で説明する分析案は、システムのダイナミクスを数式に変換するものであるが、該数式は、同じ初期条件一式で実際に該システムの測定を行った場合に得られるであろう指標値と同じ数値を提供する。この連立方程式は、いったん検証が済めば、新たなデータを継続的につぎ込まずとも、検討対象のシステムの予測処方分析に高い信頼性で利用することができるようになる。
(デジタルツイン)
製造の利害関係者が優れた意思決定を行うには、各選択肢に伴って起こり得る結果、利点およびリスクについての現実的な分析が可能でなければならない。ただし、一部の判断は、経験や過去のデータの恩恵なしで行わざるを得ない。特に、新規の試みやシステムは、複雑な又は未知のダイナミクスに左右される可能性があるので、そうせざるを得ない。このような場合、機械論的なデジタルツイン技術により、不足した知識を埋めることで、より賢明な判断や予防的ビジネス慣習の手助けとすることができる。
機械論的なデジタルツインは、数理的なクローニングにより、実世界の製造プロセス、製品又はアセットの設計どおり又は構築どおり又は維持どおりのフィッティングや形態や機能の仮想的な表現を製造業者に提供する。偏微分方程式(PDE)を数理解の基盤としたデジタルツインは、物体、製品、機器の部分、人間、プロセス、サプライチェーン、さらには、ビジネスエコシステム全体を十分頑強に表現することができる。
システムのメカニズムを前記デジタルツインで掴むことにより、ユーザは、モデルを算出して複数対複数の時間依存関係の因果や何百万もの接続部分の相互依存関係を求めることが可能となる。前記ツインは、不足した数値を計算し、実世界環境の変容する条件下で何が起こるのかを正確に予測する。本願の出願人は、これをアルゴリズム的知性と称する。これにより、動的に複雑な製造ユースケースで極めて重要な判断を下すうえで本アプローチが信頼できるものとなる。
デジタルツインを用いることにより、実世界における等価物の性能や動作リスクを理解、予測及び最適化することが可能となる。仮想モデルは概念的な性質のものであるが、前記ツインから導き出されるアルゴリズム的知性は、所定の一連の状況下で起こり得る実世界の事象を、該事象の発生の有無にかかわらず正確にデジタル表現化する。これにより、実際のプロトタイピングのコストや従来のアプローチの時間制約にとらわれることなく仮想世界上で賢明な判断や技術革新を実現することのできる実験プラットフォームが提供される。前記デジタルツインへの調節をとおして、実世界でシステムが仮にどのように変化するのかを確認してから、動作系統に変更を施すことが可能となる。
機械論的なデジタルツインは、最先端のアナリティクスとシナリオ分析機能により、製造業者が生産性を劇的に増加させたり停止時間を短縮したり機械の寿命を最大化したり問題が起こる前に検知したり修正措置を迅速に講じたりするのを支援し得る。
例示的な実施形態は、製造動作の向上を複数の手段でもたらし得る:
a)製品設計:デジタルツインは、設計段階では仮想的な原型となり、最適な試作品の検証に先立って様々な設計選択肢を試してみることを可能にする。これにより、製品を製造に移行するのに必要な試行回数が減って時間やコストの節約に繋がる。
b)プロセス最適化:得られた知的情報と製造ラインのデータを組み合わせることにより、重要な性能指標の予測や分析を行うことができる。デジタルツインに調節を行うことで、製造の最適化や弱点の発見の新たな方法を特定したり根本原因分析を支援したりすることが可能となる。
c)品質管理:感度分析を用いて製造時のリスクの監視及び対応を行うことは、高い品質を維持して修正をなくすのに欠かせない。実施形態では、製造プロセスの全ての部分がモデル化され得る。これにより、潜在的な問題を特定したり、より良い材料やプロセスを利用する機会を見出したりすることが可能となる。
d)動的検定:人工知能、先端ロボティクス、オートメーション、先進的なヒト-機械相互作用の態様などといった技術革新は、静的検定プロセスでは対処できない新たな課題を生み出している。実施形態は、適応型の製品やサービスやシステムの複雑性によって時間と共に生じる品質や安全性遵守の欠落についての監視及び対応を継続的に行うことを可能にする。
e)サプライチェーン管理:サプライチェーンや物流/流通のチームは、梱包パフォーマンス、フリート管理、ルート効率などの重要業績評価指標を追跡及び分析することが可能となる。実施形態は、ジャストインタイムやジャストインシーケンスの製造を最適化して流通ルートを分析するのに特に役立つ。
f)予知保全:実施形態は、個々の機器や製造プロセスのデジタルツインを生成し、深刻になる前に問題を特定して予防修理や予防保全の必要性を示唆することができる。実施形態は、さらに、負荷レベル、ツール校正及びサイクル時間の最適化を支援することもできる。
g)報告・連携:指標により、部門をまたいだ知的情報の共有が容易になり、連携、意思疎通の向上、及び意思決定の高速化が可能となる。エンジニアリング、製造、販売及びマーケティングが、いずれも同じデータを使って互いに協働することで、十分な情報による意思決定を行うことが可能となる。
h)顧客満足:実施形態により、製品の性能、流通およびエンドユーザ経験についての洞察を得ることが可能となる。この知的情報により、エンジニアや設計者は、品質制御やカスタマイズや使い易さをとおして、製品に関わる顧客の経験を向上させることができる。
(数学的な解決策)
多数の相互作用ネットワークからなる非線形系を扱ううえで、困難な演算や数値の欠如はよくあることから、分析のどこかの時点で、数値解が必要となる。摂動グラフによる解法を用いると、オイラー=ラグランジュ偏微分方程式(PDE)の解をテンソル分解によって記述・算出することで、非線形系の時空的発展をカバーできるようになる。この手法は、全ての特徴、動的挙動、およびシステムコンポーネント間の依存関係を効率的に内包することで、ほぼ正確な挙動を再現するとともに、数理エミュレーション対象の系の全ての法則も順守する。得られた分析から、ユーザは、今後の状況を探り、システムの表現に信頼を寄せつつ極めて重要な判断を行うことができる。
本明細書で規定したように、前記ツインは、全ての製造コンポーネント間の接続関係のグラフを表現する。各自、それぞれの特徴とエンドツーエンドの性能及び時間に対する寄与量とを示した数学的偏微分として表現される。グラフ理論により、頂点(すなわち、ノード)の集まりと2つの頂点同士を接続する一連のエッジとからなる様々な種類の物理的構造を表現することが可能な数学的非線形データ構造がもたらされる。
現実の用途では、グラフの頂点及びエッジが、ラベルや重み(例えば、量、コスト等)のような具体的な情報をしばしば含む。実世界の多くのシナリオは、一連の時間依存要素によってエッジが動く場合、時間依存グラフによって、より良くモデル化される。横方向の視点では、依存関係が元となって挙動が発生し得るのに対し、縦方向の視点では、直接的な原因や間接的な原因が元となって挙動が発生し得る。このような諸原因の解明は、非摂動解そのものを明らかにすること自体よりも重要な場合がある。
摂動論のアプローチは、非摂動解の基底を中心とした直接的な摂動と間接的な摂動の両方を捉えた解および目的関数の動的挙動を表現する、動的なラグランジュ様偏微分連立方程式を伴ったものである。概念を述べると、その解は、摂動論により、任意の指標Xを次の式で記述できるものとして表現され得る:
Figure 2024068660000011

(式中、Xは、指標(例えば、関数、特性等)の初期値である。X(d) は、M個の原因に起因した直接的な計算値である。直接的な影響により、前記グラフ内の隣接したノードの影響をエッジを通じて特定のノードへ移行する。X(i) は、N個の原因(隣合せでないノード)によって摂動関数に加わる間接的な影響の計算値である。)このような影響は、一次摂動として起こるものであってもよいし、二次、三次などの摂動として起こるものであってもよい。
統計学的に一見相関性がないような影響も基底関数に対して重要な影響を及ぼす可能性があることから、有意性は極めて重要である。言い換えると、統計学的に確率の低いリスクであっても、それが具現化し、多次の相互作用を経て特異性に発展する場合がある。
具体的には、ベクトルσ=σ(k)を想定する(式中、kは1、2…kであり、σは、時間の関数であって、企業、財政、事業及び技術工学の特性や挙動を説明する指標を表す。)
さらに、次のことを想定する:
a)σ(c)は、指標の非摂動値、あるいは、簡略化した場合の最小認容値を表す。
b)σ(d)は、摂動関数Xの直接的な影響による摂動対象指標の尺度を表す。
c)σ(i)は、指標同士の互いの摂動影響による又は外部の影響からの摂動関数X(i)による間接的な摂動を表す。
一般的に、変分を表す連立方程式は、次のような式になり得る:
Figure 2024068660000012

(式中、X(c)は、基底関数を表す。)
さらに、σ’及びσ’’は、様々な座標でσを表現するベクトルであり、σ(0)、σ’(0)及びσ’’(0)は、指標の非摂動値を表すものとすると、一次直接摂動は次のようなものになる:
Figure 2024068660000013

一次間接摂動は、次のようなものになる:
Figure 2024068660000014
このような区別は、理論的な観点からは人為的にも考えられるが、X(d)とσ(i)の摂動起源が異なることから、現実的な観点からはごく自然である。次に:
Figure 2024068660000015

(式中、C(i) k,nは、数値ベクトルの行列であり、n 、n 、…n は、正規化定数であり、χ、χ、…、χは、摂動変数(時間関数)である。)とする。
すると、
Figure 2024068660000016

は、既知の時間関数となり、2つの連立方程式(1)及び(2)の解は、次の式:
Figure 2024068660000017

(式中、U(t)は、正方行列(K×K)であり、v(t)は、既知のベクトル関数である。)で算出することができる。前記行列は、次のようにして求められる:
Figure 2024068660000018

(式中、Iは単位行列である。)すると、式(3)は:
Figure 2024068660000019

となり、X(c)=(X(c) )Uは、
Figure 2024068660000020

の式で定まる。
式:
Figure 2024068660000021

は、非摂動式に等しい連立方程式:
Figure 2024068660000022

を構成する。式(4)の解Yは、例えば式(5)の条件によって))を求め、非摂動問題の偏微分をK個の積分定数に関して算出することによって判明する。
典型的な製造生産工場では、製造ステーション(プロセス)同士が、ある程度の自律性をもって製造生産活動の一部を提供している。コンポーネント同士は、簡単な又は入り組んだ接続関係によって互いに連関している。ツインは、工場の各コンポーネント間の接続関係のグラフを表現し、各接続関係は、その特性、および性能の全体像や時間の寄与量を示した数学的偏微分として表わされる。
機械論的なデジタルツインは、実世界の製造プロセスを抽象的な言葉に変換し、その基本原理を必要なレベルの細部まで表現したものである(図6)。これを土台として、象徴的なツインを数理的に構築する。各コンポーネントは、前記基本原理と同じ数学的特性を有して実世界と同じ数値を高い精度で算出する1つ以上の偏微分式として構築される。各コンポーネントをあらゆる詳細情報と適切に統合させることにより、高い確実性が得られる。端的に言って、前記ツインは、実世界の所定の挙動を引き起こすあらゆる詳細情報を考慮に入れたものである。
式(1)に注目すると、σは、システムの複雑性を管理及び把握して最終的なリスクを求めるのに必要な指標を表すベクトルである。信頼性指標HD指標(持続性指標とも称する)は、システムによる確実性、性能、安全性及びコストへの影響を表す。エネルギーESスコアは、サービスの目標を悪化させることなくシステムの変更が可能であるか否かを表す。最後の指標は、リソース消費RIへの緊張度である。これら3種類の指標を算出することにより、最終的なリスクが求まるとともに、改善の指針となるシナリオが分かる。
式(1)のベクトルX は、製造プロセスを提供する製造コンポーネントの寄与量を表す。Xは、基礎的な寄与量であり、Xは、そのコンポーネントに直接影響する要素が別のコンポーネントとの相互依存関係を介して奏する寄与量であり、最後に、Xは、システム外部のその他の要因によって加わる寄与量(例えば、輸送条件、環境要因、渋滞、事故等)を表す。
簡単な事例では、ベクトルX’が、a)自動需要選別、b)製造ロボット設備、c)組立機能、およびd)適応型輸送手順の、4種類の要素から構成される:
摂動偏微分方程式の解を算出すると、摂動対象のベクトルσが、前述の座標で且つ時間及び空間に相当する様々な点で求まる。
(方法例)
一例として、製造システムは、1)自動需要選別、2)製造(ロボット設備)、3)組立機能および4)輸送の4つのフェーズのプロセスによって製品の製造・提供のサービスを行うように稼働し得る。各プロセスは、自律性を有し得るサブプロセス同士が互いに依存したり共通のリソース一式を共有したりして複雑に絡み合ったものである。いずれも、様々なレベルの内的コンポーネントとの低次の相互依存関係(例えば、耐障害性促進の適用能力、トリアージの効率的なルール、適時の十分な試験等)や外部の影響要因に対処する外的即応性(交通の選択肢、即応性及び可用性、リソースの不足または措置の遅れ)のグラフで表される。
また、どのプロセスも、交通状況、天候状況、原料の在庫、スケジューリング規則の的確な選択などの、それぞれの領域の外乱影響を受け得る。
どの影響や影響要因も、一つのコンポーネントだけに影響するとは限らず、その外乱は何次もの直接性、間接性を介して構造全体に及び、各コンポーネントの時間的かつ空間的な寄与量に影響する。このような影響要因の記述は、摂動グラフ理論の数式への変換なしでは現実的に不可能であり、そうすることで、あらゆる大きさや重要度の影響要因の影響を追跡することが可能となる。
製造ラインは、基本的に時間に厳しいものであるとともに、以下のカバーすべき包括的目標があって、それに応えていかなければならないという点は予想に難しくない:
a)製造時間窓ごとの計画の製品目標品質、
b)ヒトが頻繁に介入せずともよい堅牢な自動プロセス、
c)生産の最大化、遅延の減少及びコストの最適化を実現する効率的な組立、ならびに
d)過剰な遅延や渋滞を最小限に抑える適時かつ最適な輸送。
(製造上のマクロなインシデントやミクロなインシデントに直面した際の)都度的な調節を不要とするには、静的な解釈から導き出した法則や過去の経験だけでは実現が不可能であり、実世界を機械論的な各特徴で完全に複製すると共に、各影響要因を機械論に基づく一連の解へと完全に可視化させる必要がある。
このようなアプローチは、摂動グラフを表現するだけに留まらず、該グラフでカバーされたあらゆるレベルで起こり得る変化を検証し、状況-対-起こり得る多数のシナリオを定めたルールを立てる洞察を得るための環境も提供する。
Figure 2024068660000023
上記の表1は、収集されてシステムモデル120のプロセスグラフ140に組み込まれ得るプロセス属性(例えば、図1の属性114等)の例である。直接的な影響及び間接的な影響からは、プロセスのノード同士がどのようにして互いに且つリソースグラフ130のノードと結合しており、さらに、それによって製造システム105のプロセスとリソースとの間の複数-対-複数の相互依存関係がどのようにモデル化されているのかが分かる。
((機械論的な)デジタルツインの構築)
範囲の構築:ここでは、2つの問い掛けに応える。
a)理由:
i.なぜ量、品質、コストの限界を感じるのか
ii.なぜ事故、課題、介入に頻繁に遭遇するのか
iii.なぜ新たな需要に対峙する必要があるのか
iv.なぜ刷新して新たに構築する必要があるのか
v.ビジネスの進化の理由
b)対象:
i.プラットフォームのどの部分
ii.新たな設備、新たな概念、新たなオートメーション、新たな原理に向けた、より多くの、より良い、より安価なものへの全体の変更
iii.プラットフォームの刷新
iv.未来に向けた構築
2)機械論的な複製ツインの構築:
複製の構築は、コンポーネントが機能を発揮する様子を表すあらゆる属性を収集することからなる。一例として、輸送コンポーネントの数理的再現には、輸送手段の容量、任意の単位(例えば、SQU等)による収納領域の大きさ、各種道路での速度が必要となる。ロボットであれば、その処理能力、平均故障率、保守やエラーのログが必要となる。組立ラインでは、処理能力、現場組立、外部組立、および事前組立の部品や構造体が必要となる。
a)前記ツインを構築するインターフェース
i.全ての属性は、コンポーネントの性質及び特性を示す特定のインターフェースをとおして提供される。
ii.該インターフェースは、対象構造との一致度、およびデータに必要な網羅性を監視する。
b)演算フェーズ
i.コンポーネントごとの機械論的性質を表す寄与量の構築には、様々なエンジンが必要である。
ii.結果同士を集めて統合して収束性を検証する数学的集約手段により、演算・統合が行われる。
c)指標及び多段階の詳細な結果の分析
i.指標が算出されると、指標の検証が可能で且つ解釈も支援する汎用性の高いユーザインターフェースをとおして、該指標がユーザに明らかにされる。
ii.ユーザの状況や環境に応じた本技術のアルゴリズム的知性(AI)メカニズムにより、収集・検証後の知識が必要に応じて利用でき、時間が生まれて持続性の向上が可能となる。
d)結論として、意思決定者による様々な選択肢の構築及び比較を支援する管理シナリオが適宜追加で生成される。
i.事業的にみて且つ財政的にみて正当な根拠を提供する。
ii.選択肢ごとの利益/リスク要因が求まる。
iii.実行計画が構築される。
iv.予想:短期計画、中期計画及び長期計画
(収率-対-需要強度の予想)
図15は、例示的な一実施形態の出力を示し、生産収率-対-需要強度を予想するグラフである。本例では、理想的な条件で製造可能な単位数の上限が1時間あたり44個であるとする。製造品の動的複雑性が増すと、コストの増加で補償することになる。1時間あたり64個になると、組立機能はリスクに曝され、1時間あたり80個になると、該リスクは管理不可能になる。
(従来のアプローチに対する利点)
他のデジタルツイン技術では、使用しているモデル化手法で複雑性を処理しきれず、実世界の複製像が簡素なものになってしまう。例えば、製造業者が800万個の変数からなるプロセスのデジタルツインを生成したい場合、データ駆動型のデジタルツインであれば、まず、出来る限りの変数を排除してから、ビッグデータを用いて2つの変数間の関係を一つずつ調べていくことになる。本質的に、従来技術のツインでは、それ以外の変数が定数であるかの如く、実際にはそうでないにもかかわらず、そのように見なす。実世界を表現するようにモデルを校正又は学習させるため、機械学習を用いて何千ないし何百万ものデータセットを分析させることになる。これにより、既知のシナリオについては予測精度が高まるものの、変数間の関係が簡素であるため、複合的な影響が生じる。
このツインを使って今まで起こったことのないシナリオを検討しようとすると、丸め込み誤差や数値の欠損から予測誤差が増加する。このため、極めて重要な判断、特に、時間に左右される判断や過去のデータがない変更を伴う判断については、その分析を信用することが難しくなる。
製造の優秀性に影響し得ることが分かっている又はその疑いがある無数のパラメータには、性質、起源、進展及び強度が大きく異なる何段階もの変数が含まれる。このような多様な集合のパラメータの寄与量を捉えるには、それらを一つの数式に統合するしかない。
例示的な実施形態で用いる機械論的なアプローチによれば、システムの各特徴がはっきりするにつれて、新たな又は未知のシナリオを再現するモデルの予測精度が高まる。摂動グラフを記述したPDEが、ビッグデータの代わりとなる。PDEにより、時間感度、環境要因などの、無数のあらゆる重要なパラメータをモデルに含めるとともに、ランダム性を伴わずに今後の事象を正確に算出するための必要な厳密性を提供することができる。システムの複雑なダイナミクスや数値の欠損から、他の数理的手法や統計学的分析手法では、これほどまでの水準のモデル表現性や再現性を得ることが不可能である。
X-ACTは、全ての変数が数式に従って変化するような数学的表現を用いることで、それ以外の解決手段に付随するモデルバイアス、データ完全性およびドリフトの問題を回避する。X-ACTは、PDEを用いることで、今後の事象を正確に算出することができる。分析の決定論性により、既存のビッグデータセットでは表せない挙動についても、その予測を信頼することができる。
(意思決定支援)
例示的な実施形態では、設計、エンジニアリング、組立およびサービスの意思決定をより良く支援するために、内的な相互依存関係や外的な相互依存関係を一つのモデルへと数学的に複製してなる機械論的デジタルツインが生成される。そして、その解により、あたかも実際の製造プロセス、工場ライン、アセット又は製品であるかの如く各選択肢を無制限に実験、特定および評価することができる。これは、今まで起こっていない事象の結果や今まで特定されたことのない現象の根本原因を解明して最適な実装方法を提案するための唯一の方法なので重要である。
例示的な実施形態は、各指標を算出し、過去や現在や未来のあらゆる時点のあらゆる依存関係を含め、その数値に影響を及ぼす細部情報を明らかにすることができる。この解明プロセスは、リスクを定量化し、該リスクを最小化する方法を提示し、対応するアルゴリズム的知性やルールを用いて、製品や動作を改善するための選択肢を提供する。例示的な実施形態により得られるアルゴリズム的知性は、時間を積むことでなおいっそう洗練されたものとなり、既知の情報を幅広くカバーするだけでなく、これまでに分かっていなかった因果関係も明らかにする。新たな因果関係を解明するという能力は、ビッグデータ分析の欠点を克服する唯一の方法であることから極めて重要である。
例示的な実施形態は、次のようにして製造業者を支援し得る:
a)各製造活動を巧妙に組織化されたフローに統合する。
b)製造プロセスのあらゆる中断を回避する。
c)品質問題の根本原因を迅速に特定して解消する。
d)バリューストリーム内の無駄を取り除く
e)脱炭素および実質ゼロ排出の目標を達成する。
f)購買や製造の判断を需要と合致させる。
g)リーン生産方式の礎としての意思疎通や柔軟性を育む。
what if分析により、所定の一連の状況下でどのようにして特定のリスクが生まれ得るのかについての理解を進めることが可能となる。様々な進展的製造状態についてのアルゴリズム的知識が築かれることにより、製品やプロセスに対して重大な結果を招きかねない任意の一連の状況を回避するための措置を特定及び/又は実行するにあたって予防的に適用することのできるルールの構築が可能となる。
例示的な実施形態は、製造システムに関する直接的な詳細情報や間接的な詳細情報を全てモデル化し得る。これにより、ユーザは、どの要素が特定の結果を引き起こすのかを、あらゆるタイミングで解明することができる。このアプローチは、何百万もの接続関係をカバーするように拡張させることができる。接続関係の任意の部分集合が、そのパラメータの関与が既に確かめられているか、疑われているか、それとも、現時点で不明であるかに関係なく、特定のリスクの原因となったり全体的な改善の促進剤となったりする場合がある。
信頼性(持続性)指標は、効率性、生産性及び経済性のベンチマークに対するエンドツーエンドシステムの性能の尺度となる。この指標を用いることで、調査対象のシステムの動作限界を明らかにするとともに、競合する目標間の最良なバランスを、一貫して達成することが可能となる。効率性、生産性及び経済性のベンチマーク間で理想的なバランスを達成している製造プロセスの信頼性スコアは、100%となる。現在のデジタルツインの状態と今後起こり得るシステムの任意の状態とを比較することで、リスクや改善の機会が予防的に明確化される。
例えば、what if分析は、どのようにして信頼性スコアが直接的なリスク(すなわち、製造組立ラインのコンポーネント)や間接的なリスク(例えば、サプライチェーンの分断やコストの上昇等)の影響を受け得るのかを明らかにし得る。また、この分析により、意思決定者による改善策候補の検討が容易になり得る。例えば、信頼性スコアは、新たなオートメーション技術への投資で所望のコストカットや製造能力の改善が得られるのか否かを明らかにすることができる。
エネルギー勾配は、システムの構築理由である作業へのエネルギーの利用可能性の尺度となる。エネルギー勾配は、エネルギーの獲得や損失の定量的指標や定性的指標として有用なターゲットである。システムの全エネルギーが生産活動に注ぎ込まれる場合、エネルギー勾配スコアは100%となる。エネルギー勾配を下げることで、作業に利用するエネルギーが足りない場合の、システムの全力稼働を妨げるシステム症状が明らかとなる。
システムの利害関係者は、エネルギー勾配の変化を追跡し、システムの性能を低下させるシナリオや向上させるシナリオを特定することで、リスク管理を行うことができる。例えば、利害関係者は、エネルギー勾配を下げることにより、サービスや処理時間のミスマッチに起因する待ち合わせ(queuing)問題から生じる現在や未来のボトルネックを特定して取り除くことが可能となる。また、エネルギー勾配を用いることにより、労働ストライキや原料不足などの外的要因から起こる生産リスクを定量化し、その管理計画を建てることが可能となる。
(実施例:自動車製造システム)
以下では、例示的な一実施形態の応用として、多国籍自動車製造業者のエミュレーションについて説明する。本アプローチでは、まず、エミュレータの範囲を定めるために、エミュレーションの予定利用内容が特定され得る。範囲が分かると、該範囲内で用いられるプロセスを特定し、これらのプロセスの分解を開始する。これは、反復的なプロセスとされ得る。というのも、企業の業務をもっと正確に表現するプロセスやプロセスの組合せが新たに特定される可能性があるからである。この最中に、各プロセスが行う作業の駆動係数(強度)が特定され得る。この強度は、特定した期間内、ピーク時間内、ピーク日内または予想エミュレーションウインドウ内で達成される作業量を表す。
プロセスの特定が済むと、次の工程は、各プロセスのサービスプロセスフロー図を生成してプロセスフローを定義することである。このフローは、プロセスの精巧なエミュレーションを支えるのに必要なリソースを特定したものである。そして、これらのリソースに対して作業量が分配されることにより、プロセスのエミュレーションが行われる。
プロセスフローの定義が済み、使用するリソースが特定されると、実装ビューの構築が行われ得る。各リソースは、少なくとも1つのプロセスを支えるために実施する少なくとも1つの動作を有する。製造される1物品/ユニットあたりの、リソースの各動作の生産的時間及び非生産的時間の量を特定する必要がある。
次に、特定したリソースをもとに、場所およびグルーピングの特定が行われ得る。地図上に各場所が配置され、各場所のグルーピングが生成される。最後に、各リソースは、特定された場所のグループに追加される。リソースノードを生成する際の質問に答えることにより、リソースについて特定された前記少なくとも1つの動作が各リソースに当てはめられる。
実装ビューを完成させるには、ネットワークの形成が必要である。全てのリソースおよび全てのグルーピングをネットワークで接続し、全てのリソースとグループとの間にパスを存在させることが演算上必須である。
最後の工程は、リソース及び該リソースの動作を含んでなるプロセスの各活動間に、接続関係を形成することである。これが済むと、前記フローにて、活動間や該活動に関連する動作間に任意のメッセージを設定することが可能となる。こうして、エミュレーションで演算や代表性の確認を行うことが可能となる。
以下の例は、前述の手法の各工程や、形成されたエミュレーション内での各工程の適用の様子を描いたものである。まず、範囲を定めてから、プロセスを特定・分解した後、プロセスフロー及び動作の定義を行う。そして、リソースの特定および実装の作成へと進む。最後に、リソースの動作をサービスの活動及びメッセージと結び付ける。
(範囲)
図16は、製造業者が行う上位のサービスを示した高次サービスグラフ1600である。図示のように、自動車製造業者は、製造対象の自動車の全3種類のモデルを製造することが可能な組立ラインをそれぞれ持つ製造施設を、3つの異なる国々に有している。製造業者は、あるモデルから別のモデルにラインを移行する問題や構築部品の利用可能性の問題を避けるために、ある施設で製造したモデルを別の場所の施設に輸送することになった際に、どのような影響が生じるのかを把握したいとする。加えて、製造業者は、障害や遅延によるラインへの影響にも関心があるとする。
プロセスグラフ1600には、以下の代表的なコンポーネントが含まれる:
a)企業目標1601:ウインドウ期間の変数を定める。
b)事業体1602:真ん中の2列の楕円形状であり、緑色のほうは上から渡された数値を受け入れ、鼠色のほうに数値が振り分けられる。
c)事業プロセス1603:小さい円が事業プロセスであり、サービスビューで拡張させると、図17に示すような詳細プロセスフローを表示し得る。
d)接続ライン1604:各ラインは、上記3種類の対象間の接続関係を定めるとともに、利用頻度と称される数値を有する。該数値は、ある対象から別の対象への強度値を、該ラインに振り当てられた%で調節するものである。一例として、「ドイツT1製造」は、受け入れる「T1ドイツ」プロセスに繋がるラインの利用頻度の値が10の場合に100となる。
(プロセスの特定)
図16に示すように、それぞれの施設は、製造業者の自動車の全3種類のモデルT1,T2,T3を製造することが可能である。どのモデルでも組立ラインの基本動作は同じであるが、各モデルのプロセスは若干異なる。つまり、各モデルごとにプロセスを定義し、これを各場所に複製することになる。図16は、ドイツ、フランスおよび米国の3つの場所での各プロセスを表示した「企業」ビューである。
(プロセスの分解)
図17は、T1モデル自動車の製造のプロセスグラフ1700である。T1モデルの製造は、輸送準備1710、出荷1720および到着先でのステージング1730の、3つの段階に分けることができる。さらに、T1モデルからT2又はT3モデルに切り替える場合には、ラインの開始時に、その影響を表す任意の工程が有効化され得る。プロセス内の各段階は、ライン両側のロボットについて定められた活動を含む工程、ロボット及びラインを監視制御する指令制御系統について定められた活動を含む工程、ならびに段階終了時の品質制御のための工程に分けられる。
プロセスグラフ1700には、以下の代表的なコンポーネントが含まれる:
a)サービスプロセス1701:ラインの構成に伴う諸工程のコンテナである。
b)サービスコンポーネント1702:輸送準備に伴う諸工程のコンテナである。
c)サービスタスク1703:主に活動などの各タスクについてのコンテナであり、アイコンは様々であり得るが、その形状は常に一点上の正方形である。
d)サービス活動1704:サービス活動とは、プロセスの活動がリソースの動作と対応付けられ得る箇所のことである。アイコンは様々であり得るが、その形状は常に三角形である。
e)サービスツーサービス1705:メッセージの定義を表しており、グラフ内のあらゆる段階で存在し得る。メッセージには、製造リソースの動作と消費リソースの動作の定義が必要である。
f)サービスノード間のライン1706:企業ビューのラインと同じような機能であり、各ノード及びその動作の強度を調節するための利用頻度変数を有する。
定義されたフローにおいて、ラインの両側では、(a)該ラインの片側のロボットと(b)反対側のロボットとで、動作が並行して行われる。これらのロボットは、動作や進行を監視する制御系統にメッセージを渡す。輸送準備工程では、物流管理と、ドイツ国内でのステージングまでの輸送、ドイツからフランスでのステージングまでの輸送、およびドイツから米国でのステージングまでの輸送が特定される。このプロセスは、各モデル及び各場所ごとに変更を加えつつ複製され得て、数多くの組合せや選択肢のエミュレーションを可能にする。
(リソースの特定)
プロセスフローの作成時には、4種類の基本的なリソースを特定した:
a)ロボット:組立ラインの片側に7個ずつの14個を特定した。
i)BotAct:ロボットの主な機能であり、該主な機能の実行に要する実際の時間である生産的時間値と、配置、リセット、その他の何らかの遅延時間である非生産的時間値とを有する。これらの数値は、ロボットの動作を定義する際に用いられる。
ii)BotSig:ロボットがその状態を知らせるための管理的動作であり、コントローラに開始、完了、故障などの多数の事項を知らせるのに用いられ得る。これにも、前述のような生産的時間と遅延の非生産的時間がある。
b)ロボットコントローラ:各a/bペアごとに1個ずつで7個のコントローラを特定した。各ロボットは、2つの動作を実行する。
i)BotConsume:コントローラがロボットからメッセージを受信して該メッセージを処理する動作である。これにも、動作に伴う前述のような生産的時間と非生産的時間がある。
ii)BotProduceis:ロボットコントローラが必要に応じて通知を行う動作である。機能を実行する際の生産的時間と非生産的時間が定義される。
c)輸送:国内のステージング用ロットへの輸送や、外国のステージング用ロットへの長距離輸送のための追加輸送について、3種類の輸送手段が特定される。各輸送手段には、距離、速度および輸送対象物の輸送容量が定義される。
d)人的行為種別:5種類が特定される。
i)3種類のQCがあり、行為の時間量が異なる。
1)QC1タイプは、4種類が存在し、1回の行為で300秒かかる(10品ごとに1回の確認)。
2)QC2タイプは、4種類が存在し、1回の行為で600秒かかる。
3)QC3タイプは、4種類が存在し、1回の行為で900秒かかる。
ii)第4の人的行為種別は出荷物流であり、1品ごとに1000秒かかり、8人の人間が振り当てられる。
iii)最後の人的行為種別は構成サポートであり、処理対象の1品ごとに4200秒かかり、2人の人間が該処理に使われる。
リソースに加えて、3つの製造場所および3つの船積み港の、6つの場所を特定した。各製造場所については、製造と自動車のステージングの、2種類のグループを定義した。各船積み港については、1種類のグループを定義した。
製造・ステージングの場所として、ドイツのリューネブルク、フランスのトゥール、および米国ジョージア州のモンローがマップに配置され得る。製造業者が使用する港は、ドイツのハンブルクのハンブルク港、フランスのサン=ナゼールのサン=ナゼール港、および米国サウスカロライナ州チャールストンのチャールストン港である。これらの場所がマップにプロットされて、各場所にグループが追加され得る。
図18は、リソースグラフ1800である。前述のようにしてグループが形成されると、図示のようにリソースグラフ1800内の製造現場にリソースが追加され得る。各グループには、ネットワークの定義を可能にするネットワーク装置が追加され、マップ上の点と点の間にパスを定義することを可能にする。
リソースグラフ1800には、以下の代表的なコンポーネントが含まれる:
a)ルータ1801:ネットワーク全体の連結点であり、ネットワークの性能は、本エミュレーションで問題としない。よって、ルータの性質はデフォルト状態のままとする。
b)人間1802:人間ノードは、行為あたりの時間、休止回数、休止期間および反復の、4種類の変数を有する。
c)輸送手段1803:製品を場所間で移動させる輸送手段であり、速度、距離、休止回数、休止期間および反復の、5種類の変数を有する。
d)サーバ(ロボット)1804:一種のサーバであり、前述したような2種類の動作を有する。
e)サーバ(コントローラ)1805:ロボットの動作を管理して状態を報告するものであり、2種類の動作が定められている。
f)ストレージ1806:各サーバノードには、ストレージノードが接続されている必要がある。
g)スイッチ1807:ロボットおよびコントローラを接続する標準的なネットワークスイッチである。
h)コネクタ1808:他の場所グループとのページ接続を示す。
(リソースのリンク方法)
最後の工程は、サービスプロセスグラフ(フロー)とリソース動作(グループビュー)との接続関係を形成することである。これは、フロー内の活動へと進んで、Add ACI(追加)ボタンを選択することによって行われる。このリストから、適切な動作を特定し、クリックで追加・選択する。これにより、論理的なフローの定義と物理的な実装とが連関させられる。
これが完了した際に、フロー内にサービスツーサービスが定義されていれば、渡される少なくとも1つのメッセージを定義する必要がある。これは、メッセージに名前を与え、生産活動と消費活動とを選択することからなる。該メッセージがリスト内に生成され、対象動作が表示される。しかしながら、活動に関して複数の動作が定義されている場合には、適切な動作を選択しなければならない。こうして、エミュレータの定義(すなわち、システムモデル)が完了し、様々なシナリオによる演算が可能な状態となる。
本明細書で引用する全ての特許、特許出願公開公報及び引用文献については、参照をもってその全教示内容を取り入れたものとする。
例示的な実施形態を具体的に図示・説明したが、当業者であれば、添付の特許請求の範囲に包含される実施形態の範囲を逸脱しない範疇で形態や細部に様々な変更が施されてもよいということが分かるであろう。

Claims (21)

  1. 製造システムの動作を評価する、コンピュータに実装される方法であって、
    1)それぞれのリソースノードが、前記製造システムの複数の物理的リソースのうちの一つの物理的リソースを表す、複数のリソースノード、および
    2)それぞれのリソースリンクが、少なくとも2つの前記リソースノード間の因果依存関係を表す、複数のリソースリンク、
    を定めたリソースグラフを取得する過程と、
    1)それぞれのサービスノードが、前記製造システムが実行する複数のサービスのうちの一つのサービスを表す、複数のサービスノード、および
    2)それぞれのサービスリンクが、少なくとも2つの前記サービスノード間の因果依存関係を表す、複数のサービスリンク、
    を定めたプロセスグラフを取得する過程と、
    前記サービスリンクと前記リソースノードとの間の、前記サービスによる前記物理的リソースの使用を表すマッピングを取得する過程と、
    前記複数のサービスの性能のシミュレーションを前記リソースグラフ及び前記プロセスグラフに応じて複数のセットの動作パラメータで行うことにより、前記製造システムの性能指標をモデル化する過程であって、
    1)実行時間中の、前記サービスノードの動作に応じた前記リソースノードの状態の変化を求める副過程、および
    2)前記実行時間中の、前記リソースノードの状態の前記変化に応じた前記サービスノードの前記動作の変化を求める副過程、
    を含む、過程と、
    モデル化された前記性能指標に基づいてリスクを特定する過程であって、前記リスクは、所定の閾値を上回る前記性能指標の変化を示す、過程と、
    前記複数のセットの動作パラメータのうち、前記リスクを伴わない結果に対応する少なくとも1つのセットの動作パラメータを特定する過程と、
    前記リスクを伴わない前記結果に対応する前記動作パラメータに基づき、前記製造システムに対する変更を決定する過程と、
    前記変更に基づき、前記リソースグラフ及び前記プロセスグラフのうちの少なくとも一方を更新する過程と、
    を備える、方法。
  2. 請求項1に記載の方法において、前記複数のサービスが、製品の生成、製品の処理および製品の輸送のうちの少なくとも一つを含む、方法。
  3. 請求項1に記載の方法において、前記複数のリソースリンクが、2つ以上の前記リソースノードの動作能力の関係を表す、方法。
  4. 請求項1に記載の方法において、前記複数のサービスリンクが、2つ以上の前記サービスノードの入出力の関係を表す、方法。
  5. 請求項1に記載の方法において、前記マッピングが、1)一つのリソースノードと複数のサービスノードとの対応関係、および2)一つのサービスノードと複数のリソースノードとの対応関係を含む、方法。
  6. 請求項1に記載の方法において、前記複数のセットの動作パラメータは:リソースノードの障害;サービスの遅延;前記サービスリンクに対する変更であって、違う動作順序にすることを示す変更;および前記サービスリンクに対する変更であって、別の動作モードにすることを示す変更;のうちの、少なくとも一つの設定が互いに異なる、方法。
  7. 請求項1に記載の方法において、前記複数のリソースノードのそれぞれが、それぞれに対応する前記物理的リソースによる汚染物質排出量を示すそれぞれの排出パラメータを含み、当該方法が、さらに、
    モデル化された前記性能指標およびそれぞれの前記排出パラメータに基づき、環境負荷を特定する過程、
    を備える、方法。
  8. 請求項7に記載の方法において、さらに、
    前記複数のセットの動作パラメータのうち、環境負荷の減少に対応する少なくとも1つのセットの動作パラメータを特定する過程と、
    前記環境負荷の減少に対応する動作パラメータに基づき、前記製造システムに対する変更を決定する過程と、
    を備える、方法。
  9. 請求項1に記載の方法において、前記複数のサービスノードのそれぞれが、それぞれに対応するサービスが稼働中である前記実行時間の一部、および、それぞれに対応するサービスが非稼働でえある前記実行時間の一部を規定する、方法。
  10. 請求項1に記載の方法において、前記複数の各リソースノードは、所定の期間中の、前記複数のサービスのうちの少なくとも1つのサービスを実行する能力を規定する、方法。
  11. 請求項1に記載の方法において、さらに、
    前記複数のセットの動作パラメータ下での前記リスクの変化を特定する過程と、
    前記変化に基づき、前記性能指標と前記リスクとを関連付ける関数を求める過程と、
    を備える、方法。
  12. 請求項1に記載の方法において、前記性能指標が、製造プロセスの反復可能性を示す持続性指標を含む、方法。
  13. 請求項1に記載の方法において、前記性能指標は、前記製造システムで消費されるエネルギーに対する、前記複数のサービスを実行するためのエネルギーの可用性を示すエネルギー指標を含む、方法。
  14. 請求項1に記載の方法において、さらに、
    前記変更を前記製造システムに組み込ませる、前記製造システムを変更する過程、
    を備える、方法。
  15. 命令を備えるコンピュータ読取り可能媒体であって、前記命令は、コンピュータプロセッサにより実行されると、該プロセッサに:
    3)それぞれのリソースノードが、前記製造システムの複数の物理的リソースのうちの一つの物理的リソースを表す、複数のリソースノード、および
    4)それぞれのリソースリンクが、少なくとも2つの前記リソースノード間の因果依存関係を表す、複数のリソースリンク、
    を定めたリソースグラフを取得する手順と、
    3)それぞれのサービスノードが、前記製造システムが実行する複数のサービスのうちの一つのサービスを表す、複数のサービスノード、および
    4)それぞれのリソースリンクが、少なくとも2つの前記サービスノード間の因果依存関係を表す、複数のサービスリンク、
    を定めたプロセスグラフを取得する手順と、
    前記サービスリンクと前記リソースノードとの間の、前記サービスによる前記物理的リソースの使用を表すマッピングを取得する手順と、
    前記複数のサービスの性能のシミュレーションを前記リソースグラフ及び前記プロセスグラフに応じて複数のセットの動作パラメータで行うことにより、前記製造システムの性能指標をモデル化する手順であって、
    3)実行時間中の、前記サービスノードの動作に応じた前記リソースノードの状態の変化を求める副手順、および
    4)前記実行時間中の、前記リソースノードの状態の前記変化に応じた前記サービスノードの前記動作の変化を求める副手順、
    を含む、手順と、
    モデル化された前記性能指標に基づいてリスクを特定する手順であって、前記リスクは、所定の閾値を上回る前記性能指標の変化を示す、手順と、
    前記複数のセットの動作パラメータのうち、前記リスクを伴わない結果に対応する少なくとも1つのセットの動作パラメータを特定する手順と、
    前記リスクを伴わない前記結果に対応する前記動作パラメータに基づき、前記製造システムに対する変更を決定する手順と、
    前記変更に基づき、前記リソースグラフ及び前記プロセスグラフのうちの少なくとも一方を更新する手順と、
    を実行させる、コンピュータ読取り可能媒体。
  16. 請求項15に記載のコンピュータ読取り可能媒体において、前記複数のサービスが、製品の生成、製品の処理および製品の輸送のうちの少なくとも一つを含む、コンピュータ読取り可能媒体。
  17. 請求項15に記載のコンピュータ読取り可能媒体において、前記複数のリソースリンクが、2つ以上の前記リソースノードの動作能力の関係を表す、コンピュータ読取り可能媒体。
  18. 請求項15に記載のコンピュータ読取り可能媒体において、前記複数のサービスリンクが、2つ以上の前記サービスノードの入出力の関係を表す、コンピュータ読取り可能媒体。
  19. 請求項15に記載のコンピュータ読取り可能媒体において、前記マッピングが、1)一つのリソースノードと複数のサービスノードとの対応関係、および2)一つのサービスノードと複数のリソースノードとの対応関係を含む、コンピュータ読取り可能媒体。
  20. 請求項15に記載のコンピュータ読取り可能媒体において、前記複数のセットの動作パラメータは:リソースノードの障害;サービスの遅延;前記サービスリンクに対する変更であって、違う動作順序にすることを示す変更;および前記サービスリンクに対する変更であって、別の動作モードにすることを示す変更;のうちの、少なくとも一つの設定が互いに異なる、コンピュータ読取り可能媒体。
  21. 請求項15に記載のコンピュータ読取り可能媒体において、前記複数のリソースノードのそれぞれが、それぞれに対応する前記物理的リソースによる汚染物質排出量を示すそれぞれ排出パラメータを含み、さらに、
    モデル化された前記性能指標およびそれぞれの前記排出パラメータに基づき、環境負荷を特定する命令、
    を備える、コンピュータ読取り可能媒体。
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