JP2024064611A - アルミニウム合金の製造方法 - Google Patents

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Abstract

Figure 2024064611000001
【課題】高い強度特性及び十分な伸び特性を有するアルミニウム合金を安価で製造する方法を提供する。
【解決手段】(i)アルミニウム合金の原料を準備するステップと、(ii)(i)のステップで準備したアルミニウム合金の原料の組成を、(ii-1)全体を100質量%としたときに、Cu:1.5質量%~3.0質量%と、Si:5.0質量%~7.0質量%と、Mg:0.2質量%~0.6質量%と、Zn:0.01質量%~0.8質量%と、Fe:0.01質量%~0.7質量%と、Mn:0.20質量%~0.80質量%と、Al及び不可避不純物:残部とを含み、(ii-2)Mgに対するCuの質量比(Cu/Mg)が2.5~15になり、(ii-3)Mnに対するFeの質量比(Fe/Mn)が3.5以下になるように調整するステップと、(iii)(ii)のステップで組成が調整されたアルミニウム合金の原料を鋳造してアルミニウム合金を製造するステップとを含む、アルミニウム合金を製造する方法に関する。
【選択図】図1

Description

本発明は、アルミニウム合金の製造方法に関する。
自動車部品を軽量化することで、燃費を向上させ、消費電力を低減するために、従来使用されていた鉄系材料をアルミニウム材料又はアルミニウム合金に置き換える検討がなされている。
例えば、特許文献1には、アルミニウム合金鋳物屑にアルミニウム合金展伸材屑若しくは地金を加えて、溶解して不純物を希釈し、必要に応じて成分調整を行うことを特徴とする自動車部材用アルミニウム合金の製造方法が記載されている。
特許文献2には、質量比で、Si:4.0~6.0%、Cu:0.5~2.0%、Mg:0.25~0.5%、Fe:0.5%以下、Mn:0.5%以下と、Na:0.002~0.02%、Ca:0.002~0.02%及びSr:0.002~0.02%からなる群から選ばれた少なくとも1種の成分を含有し、残部がAl及び不可避的不純物であることを特徴とする鋳造用アルミニウム合金が記載されている。
特開平11-293363号公報 特開2009-13480号公報
しかしながら、従来のアルミニウム合金の原料は、高いアルミニウム純度を必要とし、高いアルミニウム純度を有するアルミニウム、例えばアルミニウム新地金は、電気精錬により製造されるため、コストが高く、且つCO排出量が多くなりやすい。また、アルミニウム合金は、高い強度特性(例えば、硬さ、引張強さ、降伏応力)だけではなく、当該強度特性と背反し得る伸び特性(例えば、伸び率)も十分良好であることもまた求められる。
したがって、本発明は、高い強度特性及び十分な伸び特性を有するアルミニウム合金を安価で製造する方法を提供することを課題とする。
アルミニウム合金を安価で製造するためには、原料として、アルミスクラップを使用することが考えられる。
しかしながら、原料として安価なアルミスクラップはアルミニウム合金に対して引張強さや伸び率の低下を引き起こし得るマグネシウム(Mg)、亜鉛(Zn)、及び鉄(Fe)などを多く含む。例えば、Feは、アルミニウム合金中で、応力の集中により破壊起点となり得る硬質且つ板状のβFe(AlFeSi)やπFe(Al18FeMgSi10)を晶出し、アルミニウム合金の靭性を低下させ得る。
そこで、本発明者は、前記課題を解決するための手段を種々検討した結果、銅(Cu)、ケイ素(Si)、Mg、Zn、Fe、及びマンガン(Mn)を含むアルミニウム合金材料において、Mgに対するCuの質量比(Cu/Mg)及びMnに対するFeの質量比(Fe/Mn)を調整することによって、Mg、Zn及びFeなどの不純物を比較的多く含んでいても、高い強度特性を有しつつ、十分な伸び特性を有するアルミニウム合金を製造できることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明の要旨は以下の通りである。
(1)(i)アルミニウム合金の原料を準備するステップと、
(ii)(i)のステップで準備したアルミニウム合金の原料の組成を、
(ii-1)全体を100質量%としたときに、
Cu:1.5質量%~3.0質量%と、
Si:5.0質量%~7.0質量%と、
Mg:0.2質量%~0.6質量%と、
Zn:0.01質量%~0.8質量%と、
Fe:0.01質量%~0.7質量%と、
Mn:0.2質量%~0.8質量%と、
Al及び不可避不純物:残部と
を含み、
(ii-2)Mgに対するCuの質量比(Cu/Mg)が2.5~15になり、
(ii-3)Mnに対するFeの質量比(Fe/Mn)が3.5以下になる
ように調整するステップと、
(iii)(ii)のステップで組成が調整されたアルミニウム合金の原料を鋳造してアルミニウム合金を製造するステップと
を含む、アルミニウム合金を製造する方法。
(2)Feの含有量が0.5質量%超~0.7質量%である、(1)に記載の方法。
(3)Znの含有量が0.5質量%超~0.8質量%である、(1)又は(2)に記載の方法。
(4)Mgの含有量が0.4質量%超~0.6質量%である、(1)~(3)のいずれか1つに記載の方法。
(5)Mnの含有量が0.4質量%超~0.8質量%である、(1)~(4)のいずれか1つに記載の方法。
(6)アルミニウム合金の原料として、アルミスクラップを使用する、(1)~(5)のいずれか1つに記載の方法。
(7)アルミニウム合金が、シリンダーヘッドである、(1)~(6)のいずれか1つに記載の方法。
本発明によって、高い強度特性及び十分な伸び特性を有するアルミニウム合金を安価で製造する方法が提供される。
実施例及び比較例のアルミニウム合金鋳物におけるCu/Mg比(質量比)とアルミニウム合金の伸び率(E)の関係を示すグラフである。 実施例及び比較例のアルミニウム合金鋳物におけるFe/Mn比(質量比)とアルミニウム合金の伸び率(E)の関係を示すグラフである。
以下、本発明の好ましい実施形態について詳細に説明する。
本明細書では、適宜図面を参照して本発明の特徴を説明する。なお、本発明のアルミニウム合金の製造方法は、以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、当業者が行い得る変更、改良などを施した種々の形態にて実施することができる。
また、本発明において、「数値(下限)~数値(上限)」の表現は、下限及び上限を含む範囲を示す。「数値(下限)超~数値(上限)」の表現は、下限を含まず、下限より大きく、上限を含む範囲を示す。
本発明は、(i)アルミニウム合金の原料を準備するステップと、(ii)(i)のステップで準備したアルミニウム合金の原料の組成を、(ii-1)全体を100質量%としたときに、Cu:1.5質量%~3.0質量%と、Si:5.0質量%~7.0質量%と、Mg:0.2質量%~0.6質量%と、Zn:0.01質量%~0.8質量%と、Fe:0.01質量%~0.7質量%と、Mn:0.20質量%~0.80質量%と、Al及び不可避不純物:残部とを含み、(ii-2)Mgに対するCuの質量比(Cu/Mg)が2.5~15になり、(ii-3)Mnに対するFeの質量比(Fe/Mn)が3.5以下になるように調整するステップと、(iii)(ii)のステップで組成が調整されたアルミニウム合金の原料を鋳造してアルミニウム合金を製造するステップとを含む、アルミニウム合金を製造する方法に関する。
(i)~(iii)のステップについて、以下に記載する。
(i)アルミニウム合金の原料を準備するステップ
(i)のステップでは、アルミニウム合金の原料を準備する。
ここで、アルミニウム合金の原料には、粉末などの状態、溶湯の状態、鋳物(例えば、アルミニウム合金インゴット)の状態のものが含まれる。
アルミニウム合金の原料としては、アルミニウム地金や、アルミニウムスクラップを使用することができる。
アルミスクラップとしては、例えば、自動車アルミ部品の製造工程で生ずる方案や切粉を還流する材料、比較的高品位なアルミニウムスクラップの箔や印刷版、5000系スクラップ(Al-Mg合金)、6000系スクラップ(Al-Mg-Si合金)、7000系スクラップ(Al-Zn-Mg合金)(これらは、例えば、自動車や家電のパネル材、ラジエーターなどの展伸アルミ材料、航空機用部品材料などを含む)などが挙げられる。アルミスクラップとしては、アルミスクラップの化学組成により、1種だけでなく、2種以上を準備してもよい。
アルミニウム合金の原料は、コストとカーボン排出量を低減する為に新地金を使用せず、1種以上のアルミスクラップのみで構成されることが好ましい。
(i)のステップにおいて、アルミニウム合金の原料としてアルミスクラップを準備することにより、アルミニウム合金のコストを下げることができる。
(i)のステップにおいて、アルミニウム合金の原料としては、組成が判明している市販のものを使用してもよい。アルミニウム合金の原料の組成が判明していない場合には、アルミニウム合金の原料の組成を分析することができる。
アルミニウム合金の原料の組成、特にCu、Si、Mg、Zn、Fe、及びMnの含有量の分析は、限定されないが、例えば発光分光分析法、蛍光X線分析(XRF)などにより実施することができる。
アルミニウム合金の原料を分析することにより、(ii)のステップにおいて、製造するアルミニウム合金と同じ組成のアルミニウム合金の原料を調製することができる。
(ii)(i)のステップで準備したアルミニウム合金の原料の組成を、(ii-1)全体を100質量%としたときに、Cu:1.5質量%~3.0質量%と、Si:5.0質量%~7.0質量%と、Mg:0.2質量%~0.6質量%と、Zn:0.01質量%~0.8質量%と、Fe:0.01質量%~0.7質量%と、Mn:0.20質量%~0.80質量%と、Al及び不可避不純物:残部とを含み、(ii-2)Mgに対するCuの質量比(Cu/Mg)が2.5~15になり、(ii-3)Mnに対するFeの質量比(Fe/Mn)が3.5以下になるように調整するステップ
(ii)のステップでは、(i)のステップで準備したアルミニウム合金の原料の組成を、(ii-1)全体を100質量%としたときに、Cu:1.5質量%~3.0質量%と、Si:5.0質量%~7.0質量%と、Mg:0.2質量%~0.6質量%と、Zn:0.01質量%~0.8質量%と、Fe:0.01質量%~0.7質量%と、Mn:0.20質量%~0.80質量%と、Al及び不可避不純物:残部とを含み、(ii-2)Mgに対するCuの質量比(Cu/Mg)が2.5~15になり、(ii-3)Mnに対するFeの質量比(Fe/Mn)が3.5以下になるように調整する。
(ii-1)のステップ
アルミニウム合金の原料における銅(Cu)の含有量は、下記で説明する(ii-2)のステップの通り、Mgの含有量に依存するが、アルミニウム合金の原料の総質量に対して、1.5質量%~3.0質量%、好ましくは1.5質量%~2.0質量%に調整される。Cuの含有量は、例えば、(i)のステップで準備した、組成が判明している2種以上のアルミニウム合金の原料(例えばアルミスクラップ)を任意の割合で混合し、場合により添加物、例えばアルミニウム合金の原料中のCuの含有量を調整するために当該技術分野で公知の添加物(純銅又はCuを含む合金若しくは化合物(例えば酸化物))を添加して調整することができる。
ここで、Cuの含有量は、発光分光分析法により測定することができる。
本発明において、アルミニウム合金の原料におけるCuの含有量が前記範囲になることにより、CuがAlとの間で金属組織(金属間化合物)を形成し、アルミニウム合金の引張強さを向上することができる。また、Cuの含有量の範囲の上限値は、従来のアルミニウム合金(AC2C)のものと比較して小さいため、コスト低減に寄与することができる。
アルミニウム合金の原料におけるケイ素(Si)の含有量は、アルミニウム合金の原料の総質量に対して、5.0質量%~7.0質量%、好ましくは5.5質量%~6.5質量%に調整される。Siの含有量は、例えば、(i)のステップで準備した、組成が判明している2種以上のアルミニウム合金の原料(例えばアルミスクラップ)を任意の割合で混合し、場合により添加物、例えばアルミニウム合金の原料中のSiの含有量を調整するために当該技術分野で公知の添加物(純ケイ素又はSiを含む合金若しくは化合物(例えば酸化物))を添加して調整することができる。
ここで、Siの含有量は、発光分光分析法により測定することができる。
本発明において、アルミニウム合金の原料におけるSiの含有量が前記範囲になることにより、共晶Si相を晶出し、優れた機械特性を有し、また液相温度範囲を広くして流動性を高くすることができ、さらに剛性や耐摩耗性を向上することができる。
アルミニウム合金材料におけるマグネシウム(Mg)の含有量は、下記で説明する(ii-2)のステップの通り、Cuの含有量に依存するが、アルミニウム合金の原料の総質量に対して、0.2質量%~0.6質量%、例えば0.4質量%超~0.6質量%、例えば0.45質量%~0.60質量%、好ましくは0.5質量%~0.6質量%に調整される。Mgの含有量は、例えば、(i)のステップで準備した、組成が判明している2種以上のアルミニウム合金の原料(例えばアルミスクラップ)を任意の割合で混合し、場合により添加物、例えばアルミニウム合金の原料中のMgの含有量を調整するために当該技術分野で公知の添加物(純マグネシウム又はMgを含む合金若しくは化合物(例えば酸化物))を添加して調整することができる。
ここで、Mgの含有量は、発光分光分析法により測定することができる。
本発明において、アルミニウム合金の原料におけるMgの含有量が前記範囲になることにより、MgがAl、Si、及び/又はCuとの間で金属組織、例えばQ相を形成し、アルミニウム合金の引張強さや材料強度を向上することができる。
アルミニウム合金の原料における亜鉛(Zn)の含有量は、アルミニウム合金の原料の総質量に対して、0.01質量%~0.8質量%、例えば0.5質量%超~0.8質量%、例えば0.55質量%~0.80質量%、好ましくは0.7質量%~0.8質量%に調整される。Znの含有量は、例えば、(i)のステップで準備した、組成が判明している2種以上のアルミニウム合金の原料(例えばアルミスクラップ)を任意の割合で混合し、場合により添加物、例えばアルミニウム合金の原料中のZnの含有量を調整するために当該技術分野で公知の添加物(純亜鉛又はZnを含む合金若しくは化合物(例えば酸化物))を添加して調整することができる。
ここで、Znの含有量は、発光分光分析法により測定することができる。
本発明において、アルミニウム合金の原料におけるZnの含有量が前記範囲になることにより、アルミニウム合金の強度や腐食耐性に負の影響を与えることなく、原料の選択肢を向上させて価格を下げることができる。
アルミニウム合金の原料における鉄(Fe)の含有量は、下記で説明する(ii-3)のステップの通り、Mnの含有量に依存するが、アルミニウム合金材料の総質量に対して、0.01質量%~0.7質量%、例えば0.5質量%超~0.7質量%、例えば0.55質量%~0.70質量%、好ましくは0.6質量%~0.7質量%に調整される。Feの含有量は、例えば、(i)のステップで準備した、組成が判明している2種以上のアルミニウム合金の原料(例えばアルミスクラップ)を任意の割合で混合し、場合により添加物、例えばアルミニウム合金の原料中のFeの含有量を調整するために当該技術分野で公知の添加物(純鉄又はFeを含む合金若しくは化合物(例えば酸化物))を添加して調整することができる。
ここで、Feの含有量は、発光分光分析法により測定することができる。
本発明において、アルミニウム合金の原料におけるFeの含有量が前記範囲になることにより、FeがMnとの間で金属組織、例えばAlSiFeMnを形成し、アルミニウム合金の高温強度の向上と共に、鋳造の際のアルミニウム合金と金型との焼き付きを抑制する。
アルミニウム合金の原料におけるマンガン(Mn)の含有量は、下記で説明する(ii-3)のステップの通り、Feの含有量に依存するが、アルミニウム合金材料の総質量に対して、0.20質量%~0.80質量%、例えば、0.20質量%~0.37質量%、好ましくは0.40質量%超~0.80質量%、例えば、0.40質量%超~0.50質量%、例えば、0.45質量%~0.50質量%に調整される。Mnの含有量は、例えば、(i)のステップで準備した、組成が判明している2種以上のアルミニウム合金の原料(例えばアルミスクラップ)を任意の割合で混合し、場合により添加物、例えばアルミニウム合金の原料中のMnの含有量を調整するために当該技術分野で公知の添加物(純マンガン又はMnを含む合金若しくは化合物(例えば酸化物))を添加して調整することができる。
ここで、Mnの含有量は、発光分光分析法により測定することができる。
本発明において、アルミニウム合金の原料におけるMnの含有量が前記範囲になることにより、MnがAl、Si及び/又はFeとの間で金属組織、例えば塊状の金属組織を形成し、アルミニウム合金の靭性の低下を抑制することができる。
アルミニウム合金の原料は、前記元素以外にも、アルミニウム合金の原料の総質量に対して、通常0.5質量%以下のニッケル(Ni)、通常0.3質量%以下のスズ(Sn)、通常1質量%以下のクロム(Cr)、通常0.3質量%以下のチタン(Ti)、通常0.1質量%以下のカルシウム(Ca)などの元素を含んでもよい。
さらに、アルミニウム合金の原料は前記元素以外に、ストロンチウム(Sr)やナトリウム(Na)などの元素を含むことができ、当該元素を含むことにより、アルミニウム合金におけるSiを微細化し、アルミニウム合金の強度や耐摩耗性を向上させることができる。
(ii-2)のステップ
アルミニウム合金の原料におけるMgに対するCuの質量比(Cu/Mg)は、2.5~15、好ましくは9.17~13.0に調整される。
本発明において、アルミニウム合金の原料におけるMgに対するCuの質量比が前記範囲になることにより、引張強さを向上するとともに、Cuの含有量を低減させることができ、コスト低減に寄与することができる。
(ii-3)のステップ
アルミニウム合金の原料におけるMnに対するFeの質量比(Fe/Mn)は、3.5以下、好ましくは0.020~3.5、より好ましくは1.0~3.5、さらにより好ましくは1.20~1.75に調整される。
本発明において、アルミニウム合金の原料におけるMnに対するFeの質量比が前記範囲になることにより、アルミニウム合金中で金属組織としてMnとFeとにより形成される化合物が、塊状化合物の形態、特に、走査型電子顕微鏡(SEM)及びエネルギー分散型X線分析(EDS)において観察した場合に、化合物中にMnを含む塊状化合物の形態になり、強度特性(例えば、硬さ、引張強さ、降伏応力)を高くする一方で、伸び特性(例えば、伸び率)を十分に確保することができる。
本発明において、組成が調整されたアルミニウム合金の原料は、均質化されてもよい。均質化する方法として、例えば、前記のアルミニウム合金の原料を単に混合する方法を挙げることができる。この方法は、アルミニウム合金の原料が、それぞれ混合しやすい形態、例えば粉末状、顆粒状などである場合に採用することができる。
あるいは、均質化する方法として、例えば、アルミニウム合金の原料を溶解してアルミニウム合金溶湯を調製する方法を挙げることができる。
(iii)(ii)のステップで組成が調整されたアルミニウム合金の原料を鋳造してアルミニウム合金を製造するステップ
(iii)のステップでは、(ii)のステップで組成が調整されたアルミニウム合金の原料を鋳造してアルミニウム合金を製造する。
ここで、鋳造とは、高温、アルミニウム合金の場合は、通常680℃~700℃で溶解した金属(合金含む)溶湯を、砂や金属などで作った型の空洞部分(キャビティー)に流し込み、冷やして、通常200℃~350℃まで冷やして固めることである。
鋳造としては、例えば、連続鋳造法、連続鋳造圧延法、半連続鋳造法(DC鋳造法)、ホットトップ鋳造法などの通常の溶解鋳造法、又はダイカスト鋳造法が挙げられる。
鋳造により得られたアルミニウム合金は、溶体化処理及び/又は時効処理に供してもよい。
溶体化処理は、当該技術分野で公知の溶体化処理を実施することができ、例えば、鋳造により得られたアルミニウム合金を、通常480℃~500℃で、2時間~4時間熱処理する。
さらに、溶体化処理後に冷却することにより、アルミニウム合金において強度や靭性に影響を与え得る金属元素の過飽和固溶体を形成することができる。
時効処理は、当該技術分野で公知の時効処理を実施することができ、例えば、溶体化処理されたアルミニウム合金を、通常180℃~200℃で、2時間~4時間熱処理する。
時効処理により、アルミニウム合金において析出した金属組織を安定化させ、強度を向上させることができる。
表1に、本発明により製造されるアルミニウム合金の組成を従来のアルミニウム合金(AC2C)と比較して示す。
Figure 2024064611000002
本発明におけるアルミニウム合金が前記組成を有することによって、本発明におけるアルミニウム合金では、Mg、Zn及び/又はFeの含有量が多くても、例えばMgを最大0.6質量%、Znを最大0.8質量%、Feを最大0.7質量%(ここで、質量%はアルミニウム合金の原料の総質量に対する)含んでいても、引張強さは、通常289MPa以上、好ましくは315MPa~400MPaになり、降伏応力は、通常245MPa以上、好ましくは265MPa以上、より好ましくは280MPa~375MPaになり、伸び率は、通常1.0%以上、好ましくは1.1%以上になる。なお、各強度特性及び伸び特性は、例えば、JIS Z2241の金属材料引張試験方法により測定することができる。
本発明におけるアルミニウム合金は、前記特性以外にも、良好な疲労強度、腐食耐性、亀裂伝播耐性、及び永久生長抑制の特性を有する。
なお、本発明において、アルミニウム合金の原料からアルミニウム合金を製造する際に組成の変化は起こらないため、アルミニウム合金の原料とアルミニウム合金とは同じ組成を有する。
また、本発明において製造されるアルミニウム合金は、アルミニウム合金鋳物であり、鋳物とは、鋳造により製造される成型物を指す。したがって、鋳物には、低圧鋳造、重力鋳造、ダイカスト鋳造などにより製造される成型物が含まれる。
本発明におけるアルミニウム合金は、鋳造により成型されることによって、鉄系材料を代替する軽量な材料、例えば、自動車や二輪車の分野では、シリンダーヘッド、モータの水冷付きハウジングなどに使用することができる。
以下、本発明に関するいくつかの実施例につき説明するが、本発明をかかる実施例に示すものに限定することを意図したものではない。
1.サンプル調製及び伸び率測定
まず、表2に記載する化学成分を含むアルミニウム合金の原料を700℃で溶解し、溶湯を690℃に調整後、JIS4号引張試験片(250℃)切出し用鋳型に流し込んで鋳造した。鋳型を350℃まで冷却した後、鋳型から試験片を取出し、室温まで24℃/分で空冷した。その後、500℃、2時間での溶体化処理、水冷焼入れを行い、その後時効処理としての200℃、2時間でのT6熱処理を実施することにより、実施例1~12及び比較例1~5のアルミニウム合金鋳物を製造した。各アルミニウム合金鋳物の伸び率(E)をJIS Z2241の金属材料引張試験方法に基づいて測定した。
Figure 2024064611000003
表2において、UTSは引張強さを示し、YSは降伏応力を示し、Eは伸び率を示す。
図1に、表2に基づくCu/Mg比(質量比)とアルミニウム合金鋳物材料の伸び率の関係を示し、図2に、表2に基づくFe/Mn比(質量比)とアルミニウム合金鋳物材料の伸び率の関係を示す。
図1及び2より、Cu/Mg比(質量比)が2.5~15になり、かつ、Fe/Mn比(質量比)が3.5以下になれば、機械特性を高く維持したまま、伸び率を大きくできることがわかった。

Claims (6)

  1. (i)アルミニウム合金の原料を準備するステップと、
    (ii)(i)のステップで準備したアルミニウム合金の原料の組成を、
    (ii-1)全体を100質量%としたときに、
    Cu:1.5質量%~3.0質量%と、
    Si:5.0質量%~7.0質量%と、
    Mg:0.2質量%~0.6質量%と、
    Zn:0.01質量%~0.8質量%と、
    Fe:0.5質量%超~0.7質量%と、
    Mn:0.20質量%~0.80質量%と、
    Al及び不可避不純物:残部と
    を含み、
    (ii-2)Mgに対するCuの質量比(Cu/Mg)が2.5~15になり、
    (ii-3)Mnに対するFeの質量比(Fe/Mn)が3.5以下になる
    ように調整するステップと、
    (iii)(ii)のステップで組成が調整されたアルミニウム合金の原料を鋳造してアルミニウム合金を製造するステップと
    を含む、アルミニウム合金を製造する方法。
  2. (i)アルミニウム合金の原料を準備するステップと、
    (ii)(i)のステップで準備したアルミニウム合金の原料の組成を、
    (ii-1)全体を100質量%としたときに、
    Cu:1.5質量%~3.0質量%と、
    Si:5.0質量%~7.0質量%と、
    Mg:0.2質量%~0.6質量%と、
    Zn:0.5質量%超~0.8質量%と、
    Fe:0.01質量%~0.7質量%と、
    Mn:0.20質量%~0.80質量%と、
    Al及び不可避不純物:残部と
    を含み、
    (ii-2)Mgに対するCuの質量比(Cu/Mg)が2.5~15になり、
    (ii-3)Mnに対するFeの質量比(Fe/Mn)が3.5以下になる
    ように調整するステップと、
    (iii)(ii)のステップで組成が調整されたアルミニウム合金の原料を鋳造してアルミニウム合金を製造するステップと
    を含む、アルミニウム合金を製造する方法。
  3. (i)アルミニウム合金の原料を準備するステップと、
    (ii)(i)のステップで準備したアルミニウム合金の原料の組成を、
    (ii-1)全体を100質量%としたときに、
    Cu:1.5質量%~3.0質量%と、
    Si:5.0質量%~7.0質量%と、
    Mg:0.4質量%超~0.6質量%と、
    Zn:0.01質量%~0.8質量%と、
    Fe:0.01質量%~0.7質量%と、
    Mn:0.20質量%~0.80質量%と、
    Al及び不可避不純物:残部と
    を含み、
    (ii-2)Mgに対するCuの質量比(Cu/Mg)が2.5~15になり、
    (ii-3)Mnに対するFeの質量比(Fe/Mn)が3.5以下になる
    ように調整するステップと、
    (iii)(ii)のステップで組成が調整されたアルミニウム合金の原料を鋳造してアルミニウム合金を製造するステップと
    を含む、アルミニウム合金を製造する方法。
  4. (i)アルミニウム合金の原料を準備するステップと、
    (ii)(i)のステップで準備したアルミニウム合金の原料の組成を、
    (ii-1)全体を100質量%としたときに、
    Cu:1.5質量%~3.0質量%と、
    Si:5.0質量%~7.0質量%と、
    Mg:0.4質量%超~0.6質量%と、
    Zn:0.5質量%超~0.8質量%と、
    Fe:0.5質量%超~0.7質量%と、
    Mn:0.20質量%~0.80質量%と、
    Al及び不可避不純物:残部と
    を含み、
    (ii-2)Mgに対するCuの質量比(Cu/Mg)が2.5~15になり、
    (ii-3)Mnに対するFeの質量比(Fe/Mn)が3.5以下になる
    ように調整するステップと、
    (iii)(ii)のステップで組成が調整されたアルミニウム合金の原料を鋳造してアルミニウム合金を製造するステップと
    を含む、アルミニウム合金を製造する方法。
  5. アルミニウム合金の原料として、アルミスクラップを使用する、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
  6. アルミニウム合金が、シリンダーヘッドである、請求項5に記載の方法。
JP2022173337A 2022-10-28 アルミニウム合金の製造方法 Pending JP2024064611A (ja)

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