JP2024064527A - アトピー性皮膚炎予防・治療剤 - Google Patents

アトピー性皮膚炎予防・治療剤 Download PDF

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Myat Noe Win Khin
賢知 宮坂
Masatomo Miyasaka
翔伍 竹田
Shogo Takeda
博司 下田
Hiroshi Shimoda
弘道 村井
Hiromichi Murai
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Abstract

【課題】 新規なアトピー性皮膚炎予防・治療剤を提供する。【解決手段】 上記課題を解決するための本発明の特徴は以下の通りである。1.β-シトステロールグルコシドを有効成分とするアトピー性皮膚炎下におけるフィラグリン発現促進剤。2.β-シトステロールグルコシドを有効成分とするアトピー性皮膚炎下における経皮水分蒸散量低下剤。3.β-シトステロールグルコシドを有効成分とするアトピー性皮膚炎下における皮膚バリアー機能改善剤。4.上記1.~上記3.に記載の剤を有効成分とするアトピー性皮膚炎予防・治療剤。5.β-シトステロールグルコシドを有効成分とするアトピー性皮膚炎予防・治療剤。【選択図】なし

Description

本発明は,アトピー性皮膚炎予防・治療剤に関する。本発明は,食品,健康食品,特定保健用食品,機能性表示食品,医薬品,皮膚外用剤等に広く利用される。
表皮の角質層は皮膚の最上面に位置し,水分の蒸散を抑えることで保湿機能を果たしている。また,外界からの微生物やウィルスの進入,紫外線,侵襲刺激を抑制するバリアー機能を果たしている。これまで角質層に存在するスフィンゴ脂質であるセラミドはこれらの機能に重要であることが提唱されてきた。また,その他のタンパク質も皮膚のバリアー機能により重要な役割を果たしていることが証明されてきている。
フィラグリン(Filaggrin)は,表皮の顆粒細胞で産生される塩基性タンパク質の一種であり,皮膚のバリアー機能に欠かすことのできない角質層を形成するにあたり,ケラチンとともに重要な役割を担っている。前駆体のプロフィラグリンとして生合成され,角質層が形成される段階で,リン酸プロフィラグリンが脱リン酸化と限定加水分解を受けて分解し,フィラグリンが作られる。プロフィラグリンは,フィラグリンが10~12個繋がった巨大なタンパク質である。フィラグリンが作られないと角質に異常がおこり,皮膚のバリアー機能が低下し,皮膚炎の原因となる。またアトピー性皮膚炎の患者に,フィラグリンの遺伝子異常が多く見つかっていて,アトピー性皮膚炎治療の鍵となる物質として,注目されている。また,尋常性魚鱗癬の患者は,フィラグリンの発現が極度に低下していることが分かっている。そこで,アトピー性皮膚炎に罹患した場合において,フィラグリンの発現を促進し,これにより,皮膚のバリアー機能を修復する必要がある(特許文献1)。
特開2019-023203号公報
このような背景の下,本発明者はアトピー性皮膚炎モデルマウスに,β-シトステロールグルコシドを経口投与した結果,フィラグリンの発現を促進し,これにより,皮膚バリアー機能を改善する機能を有することを見出し,本発明を完成させた。
すなわち,本発明は,アトピー性皮膚炎下において摂取,特に経口摂取することによりフィラグリンの発現を促進し,これにより,アトピー性皮膚炎に起因する皮膚バリアー機能を改善することができる新規なアトピー性皮膚炎予防・治療剤を提供することを目的とする。
上記課題を解決するための本発明の特徴は以下の通りである。
1.β-シトステロールグルコシドを有効成分とするアトピー性皮膚炎下におけるフィラグリン発現促進剤。
2.β-シトステロールグルコシドを有効成分とするアトピー性皮膚炎下における経皮水分蒸散量低下剤。
3.β-シトステロールグルコシドを有効成分とするアトピー性皮膚炎下における皮膚バリアー機能改善剤。
4.上記1.~上記3.に記載の剤を有効成分とするアトピー性皮膚炎予防・治療剤。
5.β-シトステロールグルコシドを有効成分とするアトピー性皮膚炎予防・治療剤。
本発明は,アトピー性皮膚炎下においてβ-シトステロールグルコシドを摂取,特に経口摂取することにより,フィラグリン発現を促進する。これにより,アトピー性皮膚炎下において皮膚バリアー機能を改善する機能を有するため,アトピー性皮膚炎予防・治療剤として有用である。
また,本発明は,アトピー性皮膚炎下においてβ-シトステロールグルコシドを摂取,特に経口摂取することにより,経皮水分蒸散量を低下させることができる。これによりアトピー性皮膚炎下において皮膚バリアー機能を改善する機能を有するため,アトピー性皮膚炎予防・治療剤として有用である。
食餌性アトピー性皮膚炎モデルマウスにおいてβ-シトステロールグルコシド(BSG)が保湿機能に与える影響の評価方法の概要を示す模式図である。 アトピー性皮膚炎モデルマウスにおいてβ-シトステロールグルコシド(BSG)が,経皮水分蒸散量(TEWL)及び表皮水分量に及ぼす影響を示すグラフである。 アトピー性皮膚炎モデルマウスにおいて皮膚におけるフィラグリン発現に対するβ-シトステロールグルコシド(BSG)の効果を示すグラフである。
以下,本発明を詳細に説明する。
本発明は,β-シトステロールグルコシドを有効成分とすることを特徴とする。尚,β-シトステロールグルコシドは下記化学式(1)に示される化合物である。
β-シトステロールグルコシドを得る方法は特に限定されず,市販品のものを使用してもよいし,植物から抽出してもよい。市販品としては富士フイルム和光純薬工業株式会社製の「シトステロール-3-O-グルコシド, β- (AHP Verified)」を用いることができる。
β-シトステロールグルコシドを得るための植物原料は特に限定されないが,例えば,コメ,小麦,ビート,こんにゃく,トウモロコシ等が挙げられる。これらのうちコメが好ましい。
コメからβ-シトステロールグルコシドを得るために使用する部位は特に限定されないが,特に米糠,米胚芽を用いることが好ましい。
米糠や米胚芽からβ-シトステロールグルコシドを得る方法は特に限定されないが,例えば,米糠や米胚芽を発酵させて発酵物を得て,その後,この発酵物を非極性溶媒で抽出し発酵物抽出液を得て,その後,この発酵物抽出液を分配することにより得ることができる。また,オリザ油化株式会社製の「オリザセラミド」(登録商標)から,抽出することができる。
本発明のアトピー性皮膚炎予防・治療剤は,各種飲食品の素材として使用することができる。飲食品としては,例えば,菓子類(ガム,キャンディー,キャラメル,チョコレート,クッキー,スナック,ゼリー,グミ,錠菓等),麺類(そば,うどん,ラーメン等),乳製品(ミルク,アイスクリーム,ヨーグルト等),調味料(味噌,醤油等),スープ類,飲料(ジュース,コーヒー,紅茶,茶,炭酸飲料,スポーツ飲料等)をはじめとする一般食品や,健康食品(錠剤,カプセル等),栄養補助食品(栄養ドリンク等)が挙げられる。これらの飲食品に本発明の剤を適宜配合するとよい。
これら飲食品には,その種類に応じて種々の成分を配合することができ,例えば,ブドウ糖,果糖,ショ糖,マルトース,ソルビトール,ステビオサイド,コーンシロップ,乳糖,クエン酸,酒石酸,リンゴ酸,コハク酸,乳酸,L-アスコルビン酸,dl-α-トコフェロール,エリソルビン酸ナトリウム,グリセリン,プロピレングリコール,グリセリン脂肪酸エステル,ポリグリセリン脂肪酸エステル,ショ糖脂肪酸エステル,ソルビタン脂肪酸エステル,プロピレングリコール脂肪酸エステル,アラビアガム,カラギーナン,カゼイン,ゼラチン,ペクチン,寒天,ビタミンB類,ニコチン酸アミド,パントテン酸カルシウム,アミノ酸類,カルシウム塩類,色素,香料,保存剤の食品素材を使用することができる。
具体的な製法としては,本発明の剤を粉末セルロースとともにスプレードライまたは凍結乾燥し,これを粉末,顆粒,打錠または溶液にすることで容易に飲食品(インスタント食品等)に含有させることができる。また,前記本発明の剤を,例えば,油脂,エタノール,グリセリンあるいはこれらの混合物に溶解して液状にし,飲料に添加するか,固形食品に添加することが可能である。必要に応じてアラビアガム,デキストリン等のバインダーと混合して粉末状あるいは顆粒状にし,飲料に添加するか固形食品に添加することも可能である。
本発明の剤を飲食品に適用する場合の添加量としては,病気予防や健康維持が主な目的であるので,飲食品に対して有効成分の含量が合計1~20wt%以下であるのが好ましい。
本発明のアトピー性皮膚炎予防・治療剤は,薬品(医薬品および医薬部外品を含む。)の素材として用いてもよい。薬品製剤用の原料に,本発明の剤を適宜配合して製造することができる。本発明の剤に配合しうる製剤原料としては,例えば,賦形剤(ブドウ糖,乳糖,白糖,塩化ナトリウム,デンプン,炭酸カルシウム,カオリン,結晶セルロース,カカオ脂,硬化植物油,カオリン,タルク等),結合剤(蒸留水,生理食塩水,エタノール水,単シロップ,ブドウ糖液,デンプン液,ゼラチン溶液,カルボキシメチルセルロース,リン酸カリウム,ポリビニルピロリドン等),崩壊剤(アルギン酸ナトリウム,カンテン,炭酸水素ナトリウム,炭酸カルシウム,ラウリル硫酸ナトリウム,ステアリン酸モノグリセリド,デンプン,乳糖,アラビアゴム末,ゼラチン,エタノール等),崩壊抑制剤(白糖,ステアリン,カカオ脂,水素添加油等),吸収促進剤(第四級アンモニウム塩基,ラウリル硫酸ナトリウム等),吸着剤(グリセリン,デンプン,乳糖,カオリン,ベントナイト,硅酸等),滑沢剤(精製タルク,ステアリン酸塩,ポリエチレングリコール等)などが挙げられる。
本発明のアトピー性皮膚炎予防・治療剤の投与方法は,一般的には,錠剤,丸剤,軟・硬カプセル剤,細粒剤,散剤,顆粒剤,液剤等の形態で経口投与することができる。
投与量は,投与方法,病状,患者の年齢等によって変化し得るが,大人では,通常,1日当たり有効成分として0.5~5000mg,子供では通常0.5~3000mg程度投与することができる。
アトピー性皮膚炎予防・治療剤の配合比は,剤型によって適宜変更することが可能であるが,通常,経口吸収により投与される場合は約0.3~15.0wt%程度にするとよい。なお,投与量は種々の条件で異なるので,前記投与量より少ない量で十分な場合もあるし,また,範囲を超えて投与する必要のある場合もある。
本発明のアトピー性皮膚炎予防・治療剤は,皮膚外用剤(化粧品,医薬品および医薬部外品を含む。)の素材として用いることができる。
本発明の形態としては,例えば,乳液,石鹸,洗顔料,入浴剤,クリーム,乳液,化粧水,オーデコロン,ひげ剃り用クリーム,ひげ剃り用ローション,化粧油,日焼け止めローション,おしろいパウダー,ファンデーション,香水,パック,爪クリーム,エナメル,エナメル除去液,眉墨,ほお紅,アイクリーム,アイシャドー,マスカラ,アイライナー,口紅,リップクリーム,シャンプー,リンス,染毛料,分散液,洗浄料等が挙げられる。
また,本発明を配合しうる医薬品または医薬部外品の形態としては,軟膏剤,クリーム剤,外用液剤等が挙げられる。
上記形態の皮膚外用剤には,本発明の他に,本発明の機能を損なわない範囲で化粧品,医薬部外品などの皮膚外用剤に配合される成分,油分,高級アルコール,脂肪酸,紫外線吸収剤,粉体,顔料,界面活性剤,多価アルコール・糖,高分子,生理活性成分,溶媒,酸化防止剤,香料,防腐剤等を配合することができる。
例を以下に羅列するが,本発明はこれらの例に限定されるものではない。
(1)油分の例
エステル系の油相成分:トリ2-エチルヘキサン酸グリセリル,2-エチルヘキサン酸セチル,ミリスチン酸イソプロピル,ミリスチン酸ブチル,パルミチン酸イソプロピル,ステアリン酸エチル,パルミチン酸オクチル,イソステアリン酸イソセチル,ステアリン酸ブチル,ミリスチン酸ブチル,リノール酸エチル,リノール酸イソプロピル,オレイン酸エチル,ミリスチン酸イソセチル,ミリスチン酸イソステアリル,パルミチン酸イソステアリル,ミリスチン酸オクチルドデシル,イソステアリン酸イソセチル,セバシン酸ジエチル,アジピン酸ジイソプロピル,ネオペンタン酸イソアラキル,トリ(カプリル・カプリン酸)グリセリル,トリ2-エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン,トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン,テトラ2-エチルヘキサン酸ペンタエリスリトール,カプリル酸セチル,ラウリン酸デシル,ラウリン酸ヘキシル,ミリスチン酸デシル,ミリスチン酸ミリスチル,ミリスチン酸セチル,ステアリン酸ステアリル,オレイン酸デシル,リシノレイン酸セチル,ラウリン酸イソステアリル,ミリスチン酸イソトリデシル,ミリスチン酸イソセチル,ミリスチン酸イソステアリル,パルミチン酸イソセチル,パルミチン酸イソステアリル,ステアリン酸オクチル,ステアリン酸イソセチル,オレイン酸イソデシル,オレイン酸オクチルドデシル,リノール酸オクチルドデシル,イソステアリン酸イソプロピル,2-エチルヘキサン酸セトステアリル,2-エチルヘキサン酸ステアリル,イソステアリン酸ヘキシル,ジオクタン酸エチレングリコール,ジオレイン酸エチレングリコール,ジカプリン酸プロピレングリコール,ジ(カプリル・カプリン酸)プロピレングリコール,ジカプリル酸プロピレングリコール,ジカプリン酸ネオペンチルグリコール,ジオクタン酸ネオペンチルグリコール,トリカプリル酸グリセリル,トリウンデシル酸グリセリル,トリイソパルミチン酸グリセリル,トリイソステアリン酸グリセリル,ネオペンタン酸オクチルドデシル,オクタン酸イソステアリル,イソノナン酸オクチル,ネオデカン酸ヘキシルデシル,ネオデカン酸オクチルドデシル,イソステアリン酸イソセチル,イソステアリン酸イソステアリル,イソステアリン酸オクチルデシル,ポリグリセリンオレイン酸エステル,ポリグリセリンイソステアリン酸エステル,炭酸ジプロピル,炭酸ジアルキル(C12-18),クエン酸トリイソセチル,クエン酸トリイソアラキル,クエン酸トリイソオクチル,乳酸ラウリル,乳酸ミリスチル,乳酸セチル,乳酸オクチルデシル,クエン酸トリエチル,クエン酸アセチルトリエチル,クエン酸アセチルトリブチル,クエン酸トリオクチル,リンゴ酸ジイソステアリル,ヒドロキシステアリン酸2-エチルヘキシル,コハク酸ジ2-エチルヘキシル,アジピン酸ジイソブチル,セバシン酸ジイソプロピル,セバシン酸ジオクチル,ステアリン酸コレステリル,イソステアリン酸コレステリル,ヒドロキシステアリン酸コレステリル,オレイン酸コレステリル,オレイン酸ジヒドロコレステリル,イソステアリン酸フィトステリル,オレイン酸フィトステリル,12-ステアロイルヒドロキシステアリン酸イソセチル,12-ステアロイルヒドロキシステアリン酸ステアリル,12-ステアロイルヒドロキシステアリン酸イソステアリル等が挙げられる。
炭化水素系の油相成分:スクワラン,流動パラフィン,α-オレフィンオリゴマー,イソパラフィン,セレシン,パラフィン,流動イソパラフィン,ポリブテン,マイクロクリスタリンワックス,ワセリン等が挙げられる。
動植物油とその硬化油,および天然由来のロウ:牛脂,硬化牛脂,豚脂,硬化豚脂,馬油,硬化馬油,ミンク油,オレンジラフィー油,魚油,硬化魚油,卵黄油等の動物油およびその硬化油,アボカド油,アルモンド油,オリーブ油,カカオ脂,キウイ種子油,杏仁油,ククイナッツ油,ゴマ油,小麦胚芽油,コメ胚芽油,コメヌカ油,サフラワー油,シアバター,大豆油,月見草油,シソ油,茶実油,ツバキ油,トウモロコシ油,ナタネ油,硬化ナタネ油,パーム核油,硬化パーム核油,パーム油,硬化パーム油,ピーナッツ油,硬化ピーナッツ油,ヒマシ油,硬化ヒマシ油,ヒマワリ油,ブドウ種子油,ホホバ油,硬化ホホバ油,マカデミアナッツ油,メドホーム油,綿実油,硬化綿実油,ヤシ油,硬化ヤシ油等の植物油およびその硬化油,ミツロウ,高酸価ミツロウ,ラノリン,還元ラノリン,硬化ラノリン,液状ラノリン,カルナバロウ,モンタンロウ等のロウ等が挙げられる。
シリコーン系の油相成分:ジメチルポリシロキサン,メチルフェニルポリシロキサン,メチルシクロポリシロキサン,オクタメチルポリシロキサン,デカメチルポリシロキサン,ドデカメチルシクロシロキサン,メチルハイドロジェンポリシロキサン,ポリエーテル変性オルガノポリシロキサン,ジメチルシロキサン・メチルセチルオキシシロキサン共重合体,ジメチルシロキサン・メチルステアロキシシロキサン共重合体,アルキル変性オルガノポリシロキサン,末端変性オルガノポリシロキサン,アミノ変性シリコーン油,アミノ変性オルガノポリシロキサン,ジメチコノール,シリコーンゲル,アクリルシリコーン,トリメチルシロキシケイ酸,シリコーンRTVゴム等が挙げられる。
フッ素系の油相成分:パーフルオロポリエーテル,フッ素変性オルガノポリシロキサン,フッ化ピッチ,フルオロカーボン,フルオロアルコール,フルオロアルキル・ポリオキシアルキレン共変性オルガノポリシロキサン等が挙げられる。
(2)高級アルコールの例
ラウリルアルコール,ミリスチルアルコール,セチルアルコール,ステアリルアルコール,イソステアリルアルコール,オレイルアルコール,ベヘニルアルコール,2-エチルヘキサノール,ヘキサデシルアルコール,オクチルドデカノール等が挙げられる。
(3)脂肪酸の例
カプリル酸,カプリン酸,ウンデシレン酸,ラウリン酸,ミリスチン酸,パルミチン酸,パルミトレイン酸,ステアリン酸,イソステアリン酸,オレイン酸,リノール酸,リノレン酸,アラキン酸,アラキドン酸,ベヘン酸,エルカ酸,2-エチルヘキサン酸等が挙げられる。
(4)紫外線吸収剤の例
パラアミノ安息香酸,パラアミノ安息香酸アミル,パラアミノ安息香酸エチルジヒドロキシプロピル,パラアミノ安息香酸グリセリル,パラアミノ安息香酸エチル,パラアミノ安息香酸オクチル,パラアミノ安息香酸オクチルジメチル,サリチル酸エチレングリコール,サリチル酸オクチル,サリチル酸トリエタノールアミン,サリチル酸フェニル,サリチル酸ブチルフェニル,サリチル酸ベンジル,サリチル酸ホモメンチル,ケイ皮酸ベンジル,パラメトキシケイ皮酸オクチル,パラメトキシケイ皮酸2-エチルヘキシル,ジパラメトキシケイ皮酸モノ2-エチルヘキサン酸グリセリル,パラメトキシケイ皮酸イソプロピル,パラメトキシヒドロケイ皮酸ジエタノールアミン塩,ジイソプロピル・ジイソプロピルケイ皮酸エステル混合物,ウロカニン酸,ウロカニン酸エチル,ヒドロキシメトキシベンゾフェノン,ヒドロキシメトキシベンゾフェノンスルホン酸及びその塩,ジヒドロキシメトキシベンゾフェノン,ジヒドロキシメトキシベンゾフェノンジスルホン酸ナトリウム,ジヒドロキシベンゾフェノン,ジヒドロキシジメトキシベンゾフェノン,ヒドロキシオクトキシベンゾフェノン,テトラヒドロキシベンゾフェノン,ブチルメトキシジベンゾイルメタン,2,4,6-トリアニリノ-p-(カルボ-2-エチルヘキシル-1-オキシ)-1,3,5-トリアジン,2-(2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール,メチル-O-アミノベンゾエート,2-エチルヘキシル-2-シアノ-3,3-ジフェニルアクリレート,フェニルベンゾイミダゾール硫酸,3-(4-メチルベンジリデン)カンフル,イソプロピルジベンゾイルメタン,4-(3,4-ジメトキシフェニルメチレン)-2,5-ジオキソ-1-イミダゾリジンプロピオン酸2-エチルヘキシル等,およびこれらの高分子誘導体やシラン誘導体等が挙げられる。
(5)粉体・顔料の例
赤色104号,赤色201号,黄色4号,青色1号,黒色401号等の色素,黄色4号ALレーキ,黄色203号BAレーキ等のレーキ色素,ナイロンパウダー,シルクパウダー,ウレタンパウダー,テフロン(登録商標)パウダー,シリコーンパウダー,ポリメタクリル酸メチルパウダー,セルロースパウダー,デンプン,シリコーンエラストマー球状粉体,ポリエチレン末等の高分子,黄酸化鉄,赤色酸化鉄,黒酸化鉄,酸化クロム,カーボンブラック,群青,紺青等の有色顔料,酸化亜鉛,酸化チタン,酸化セリウム等の白色顔料,タルク,マイカ,セリサイト,カオリン,板状硫酸バリウム等の体質顔料,雲母チタン等のパール顔料,硫酸バリウム,炭酸カルシウム,炭酸マグネシウム,珪酸アルミニウム,珪酸マグネシウム等の金属塩,シリカ,アルミナ等の無機粉体,ステアリン酸アルミニウム,ステアリン酸マグネシウム,パルミチン酸亜鉛,ミリスチン酸亜鉛,ミリスチン酸マグネシウム,ラウリン酸亜鉛,ウンデシレン酸亜鉛等の金属セッケン,ベントナイト,スメクタイト,窒化ホウ素等が挙げられる。これらの粉体の形状(球状,棒状,針状,板状,不定形状,燐片状,紡錘状等)および粒子径に特に制限はない。なおこれらの粉体は,従来公知の表面処理,例えばフッ素化合物処理,シリコーン処理,シリコーン樹脂処理,ペンダント処理,シランカップリング剤処理,チタンカップリング剤処理,油剤処理,N-アシル化リジン処理,ポリアクリル酸処理,金属セッケン処理,アミノ酸処理,レシチン処理,無機化合物処理,プラズマ処理,メカノケミカル処理等によって事前に表面処理されていてもいなくても構わない。
(6)界面活性剤の例
アニオン性界面活性剤:脂肪酸セッケン,α-アシルスルホン酸塩,アルキルスルホン酸塩,アルキルアリルスルホン酸塩,アルキルナフタレンスルホン酸塩,アルキル硫酸塩,POEアルキルエーテル硫酸塩,アルキルアミド硫酸塩,アルキルリン酸塩,POEアルキルリン酸塩,アルキルアミドリン酸塩,アルキロイルアルキルタウリン塩,N-アシルアミノ酸塩,POEアルキルエーテルカルボン酸塩,アルキルスルホコハク酸塩,アルキルスルホ酢酸ナトリウム,アシル化加水分解コラーゲンペプチド塩,パーフルオロアルキルリン酸エステル等が挙げられる。
カチオン性界面活性剤:塩化アルキルトリメチルアンモニウム,塩化ステアリルトリメチルアンモニウム,臭化ステアリルトリメチルアンモニウム,塩化セトステアリルトリメチルアンモニウム,塩化ジステアリルジメチルアンモニウム,塩化ステアリルジメチルベンジルアンモニウム,臭化ベヘニルトリメチルアンモニウム,塩化ベンザルコニウム,塩化ベヘニン酸アミドプロピルジメチルヒドロキシプロピルアンモニウム,ステアリン酸ジエチルアミノエチルアミド,ステアリン酸ジメチルアミノプロピルアミド,ラノリン誘導体第四級アンモニウム塩等が挙げられる。
両性界面活性剤:カルボキシベタイン型,アミドベタイン型,スルホベタイン型,ヒドロキシスルホベタイン型,アミドスルホベタイン型,ホスホベタイン型,アミノカルボン酸塩型,イミダゾリン誘導体型,アミドアミン型等が挙げられる。
ノニオン性界面活性剤:プロピレングリコール脂肪酸エステル,グリセリン脂肪酸エステル,ポリグリセリン脂肪酸エステル,ソルビタン脂肪酸エステル,POEソルビタン脂肪酸エステル,POEソルビット脂肪酸エステル,POEグリセリン脂肪酸エステル,POEアルキルエーテル,POE脂肪酸エステル,POE硬化ヒマシ油,POEヒマシ油,POE・POP共重合体,POE・POPアルキルエーテル,ポリエーテル変性シリコーンラウリン酸アルカノールアミド,アルキルアミンオキシド,水素添加大豆リン脂質等が挙げられる。
天然系界面活性剤:レシチン,サポニン,糖系界面活性剤等が挙げられる。
(7)多価アルコール,糖の例
エチレングリコール,ジエチレングリコール,ポリエチレングリコール,プロピレングリコール,ジプロピレングリコール,ポリプロピレングリコール,グリセリン,ジグリセリン,ポリグリセリン,3-メチル-1,3-ブタンジオール,1,3-ブチレングリコール,ソルビトール,マンニトール,ラフィノース,エリスリトール,グルコース,ショ糖,果糖,キシリトール,ラクトース,マルトース,マルチトール,トレハロース,アルキル化トレハロース,混合異性化糖,硫酸化トレハロース,プルラン等が挙げられる。またこれらの化学修飾体等も使用可能である。
(8)高分子の例
アクリル酸エステル/メタクリル酸エステル共重合体(プラスサイズ,互応化学社製),酢酸ビニル/クロトン酸共重合体(レジン28-1310,NSC社製),酢酸ビニル/クロトン酸/ビニルネオデカネート共重合体(28-2930,NSC社製),メチルビニルエーテルマレイン酸ハーフエステル(ガントレッツES,ISP社製),T-ブチルアクリレート/アクリル酸エチル/メタクリル酸共重合体(ルビマー,BASF社製),ビニルピロリドン/ビニルアセテート/ビニルプロピオネート共重合体(ルビスコールVAP,BASF社製),ビニルアセテート/クロトン酸共重合体(ルビセットCA,BASF社製),ビニルアセテート/クロトン酸/ビニルピロリドン共重合体(ルビセットCAP,BASF社製),ビニルピロリドン/アクリレート共重合体(ルビフレックス,BASF社製),アクリレート/アクリルアミド共重合体(ウルトラホールド,BASF社製),ビニルアセテート/ブチルマレエート/イソボルニルアクリラート共重合体(アドバンテージ,ISP社製),カルボキシビニルポリマー(カーボポール,BFGoodrich社製),アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体(ペミュレン,BF Goodrich社製)等のアニオン性高分子化合物や,ジアルキルアミノエチルメタクリレート重合体の酢酸両性化物(ユカフォーマー,三菱化学社製),アクリル酸オクチルアクリルアミド/アクリル酸ヒドロキシプロピル/メタクリル酸ブチルアミノエチル共重合体(AMPHOMER,NSC社製)等の両性高分子化合物,ビニルピロリドン/ジメチルアミノエチルメタクリレートの4級化物(GAFQUAT,ISP社製),メチルビニルイミダゾリウムクロリド/ビニルピロリドン共重合体(ルビコート,BASF社製)等のカチオン性高分子化合物,ポリビニルピロリドン(ルビスコールK,BASF社製),ビニルピロリドン/酢酸ビニル共重合体(ルビスコールVA,BASF社製),ビニルピロリドン/ジメチルアミノエチルメタクリレート共重合体(コポリマー937,ISP社製),ビニルカプロラクタム/ビニルピロリドン/ジメチルアミノエチルメタクリレート共重合体(コポリマーVC713,ISP社製)等のノニオン性高分子化合物等がある。また,セルロースまたはその誘導体,ケラチン及びコラーゲンまたはその誘導体,アルギン酸カルシウム,プルラン,寒天,ゼラチン,タマリンド種子多糖類,キサンタンガム,カラギーナン,ハイメトキシルペクチン,ローメトキシルペクチン,グアーガム,アラビアゴム,結晶セルロース,アラビノガラクタン,カラヤガム,トラガカントガム,アルギン酸,アルブミン,カゼイン,カードラン,ジェランガム,デキストラン等の天然由来高分子化合物も好適に用いることができる。
(9)生理活性成分の例
生理活性成分としては,皮膚に塗布した場合に皮膚に何らかの生理活性を与える物質が挙げられる。例えば,美白成分,免疫賦活剤,老化防止剤,紫外線防御剤,スリミング剤,ひきしめ剤,抗酸化剤,発毛剤,育毛剤,保湿剤,血行促進剤,抗菌剤,殺菌剤,乾燥剤,冷感剤,温感剤,ビタミン類,アミノ酸,創傷治癒促進剤,刺激緩和剤,鎮痛剤,細胞賦活剤,酵素成分等が挙げられる。これらの好適な配合成分の例としては,例えばアシタバエキス,アボカドエキス,アマチャエキス,アルテアエキス,アルニカエキス,アロエエキス,アンズエキス,アンズ核エキス,イチョウエキス,ウイキョウエキス,ウコンエキス,ウーロン茶エキス,エイジツエキス,エチナシ葉エキス,オウゴンエキス,オウバクエキス,オウレンエキス,オオムギエキス,オトギリソウエキス,オドリコソウエキス,オランダカラシエキス,オレンジエキス,海水乾燥物,海藻エキス,加水分解エラスチン,加水分解コムギ末,加水分解シルク,カモミラエキス,カロットエキス,カワラヨモギエキス,甘草エキス,カルカデエキス,カキョクエキス,キナエキス,キューカンバ-エキス,グアノシン,クチナシエキス,クマザサエキス,クララエキス,クルミエキス,グレープフルーツエキス,クレマティスエキス,クロレラエキス,クワエキス,ゲンチアナエキス,紅茶エキス,酵母エキス,ゴボウエキス,コメヌカ発酵エキス,コメ胚芽油,コンフリーエキス,コラーゲン,コケモモエキス,サイシンエキス,サイコエキス,サイタイ抽出液,サルビアエキス,サボンソウエキス,ササエキス,サンザシエキス,サンショウエキス,シイタケエキス,ジオウエキス,シコンエキス,シソエキス,シナノキエキス,シモツケソウエキス,シャクヤクエキス,ショウブ根エキス,シラカバエキス,スギナエキス,セイヨウキズタエキス,セイヨウサンザシエキス,セイヨウニワトコエキス,セイヨウノコギリソウエキス,セイヨウハッカエキス,セ-ジエキス,ゼニアオイエキス,センキュウエキス,センブリエキス,ダイズエキス,タイソウエキス,タイムエキス,茶エキス,チョウジエキス,チガヤエキス,チンピエキス,トウキエキス,トウキンセンカエキス,トウニンエキス,トウヒエキス,ドクダミエキス,トマトエキス,納豆エキス,ニンジンエキス,ニンニクエキス,ノバラエキス,ハイビスカスエキス,バクモンドウエキス,パセリエキス,蜂蜜,ハマメリスエキス,パリエタリアエキス,ヒキオコシエキス,ビサボロール,ビワエキス,フキタンポポエキス,フキノトウエキス,ブクリョウエキス,ブッチャーブルームエキス,ブドウエキス,プロポリス,ヘチマエキス,ベニバナエキス,ペパーミントエキス,ボダイジュエキス,ボタンエキス,ホップエキス,マツエキス,マロニエエキス,ミズバショウエキス,ムクロジエキス,メリッサエキス,モモエキス,ヤグルマギクエキス,ユーカリエキス,ユキノシタエキス,ヨクイニンエキス,ヨモギエキス,ラベンダーエキス,リンゴエキス,レタスエキス,レモンエキス,レンゲソウエキス,ローズエキス,ローズマリーエキス,ローマカミツレエキス,ローヤルゼリーエキスプラセンタ,ユズ種子エキス,ブルーベリーエキス,リンゴンベリーエキス,カンカニクジュヨウエキス,黒米エキス,生コーヒー豆エキス,レスベラトロール,キウイ種子エキス,イチゴ種子エキス,桜エキス,くず乳酸菌等を挙げることができる。
また,デオキシリボ核酸,ムコ多糖類,ヒアルロン酸ナトリウム,コンドロイチン硫酸ナトリウム,コラーゲン,エラスチン,キチン,キトサン,加水分解卵殻膜などの生体高分子,アミノ酸,加水分解ペプチド,乳酸ナトリウム,尿素,ピロリドンカルボン酸ナトリウム,ベタイン,ホエイ,トリメチルグリシンなどの保湿成分,スフィンゴ脂質,セラミド,フィトスフィンゴシン,コレステロール,コレステロール誘導体,リン脂質などの油性成分,ε-アミノカプロン酸,グリチルリチン酸,β-グリチルレチン酸,塩化リゾチーム,グアイアズレン,ヒドロコールチゾン等の免疫賦活剤,ビタミンA,ビタミンB2,ビタミンB6,ビタミンC,ビタミンD,ビタミンE,パントテン酸カルシウム,ビオチン,ニコチン酸アミド,ビタミンCエステル等のビタミン類,アラントイン,ジイソプロピルアミンジクロロアセテート,4-アミノメチルシクロヘキサンカルボン酸等の活性成分,トコフェロール,カロチノイド,フラボノイド,タンニン,リグナン,サポニン等の抗酸化剤,α-ヒドロキシ酸,β-ヒドロキシ酸などの細胞賦活剤,γ-オリザノール,ビタミンE誘導体などの血行促進剤,レチノール,レチノール誘導体等の創傷治癒剤,アルブチン,コウジ酸,プラセンタエキス,イオウ,エラグ酸,リノール酸,トラネキサム酸,グルタチオン等の美白剤,セファランチン,カンゾウ抽出物,トウガラシチンキ,ヒノキチオール,ヨウ化ニンニクエキス,塩酸ピリドキシン,DL-α-トコフェロール,酢酸DL-α-トコフェロール,ニコチン酸,ニコチン酸誘導体,パントテン酸カルシウム,D-パントテニルアルコール,アセチルパントテニルエチルエーテル,ビオチン,アラントイン,イソプロピルメチルフェノール,エストラジオール,エチニルエストラジオール,塩化カプロニウム,塩化ベンザルコニウム,塩酸ジフェンヒドラミン,タカナール,カンフル,サリチル酸,ノニル酸バニリルアミド,ノナン酸バニリルアミド,ピロクトンオラミン,ペンタデカン酸グリセリル,L-メントール,モノニトログアヤコール,レゾルシン,γ-アミノ酪酸,塩化ベンゼトニウム,塩酸メキシレチン,オーキシン,女性ホルモン,カンタリスチンキ,シクロスポリン,ジンクピリチオン,ヒドロコールチゾン,ミノキシジル,モノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン,ハッカ油,ササニシキエキス,プラセンタ,ユズ種子エキス,ブルーベリーエキス,リンゴンベリーエキス,カンカニクジュヨウエキス,黒米エキス,生コーヒー豆エキス,レスベラトロール,キウイ種子エキス,イチゴ種子エキス,桜エキス,くず乳酸菌等の育毛剤などが挙げられる。
(10)酸化防止剤の例
亜硫酸水素ナトリウム,亜硫酸ナトリウム,エリソルビン酸,エリソルビン酸ナトリウム,チオジプロピオン酸ジラウリル,トコフェロール,トリルビグアナイド,ノルジヒドログアヤレチン酸,パラヒドロキシアニソール,ブチルヒドロキシアニソール,ジブチルヒドロキシトルエン,ステアリン酸アスコルビル,パルミチン酸アスコルビル,没食子酸オクチル,没食子酸プロピル,カロチノイド,フラボノイド,タンニン,リグナン,サポニン,リンゴエキスやチョウジエキスなどの酸化防止効果の認められる植物エキス等が挙げられる。
(11)溶媒の例
精製水,エタノール,低級アルコール,エーテル類,LPG,フルオロカーボン,N-メチルピロリドン,フルオロアルコール,揮発性直鎖状シリコーン,次世代フロン等が挙げられる。
以下,本発明の実施例を説明する。なお,以下に示す実施例は,本発明によって得られる本発明の剤の各種作用・効果等の確認のために説明するもので,本発明の範囲は,これらの製品および製法に限定されるものではない。
試験例:食餌性アトピー性皮膚炎モデルマウスにおいてβ-シトステロールグルコシド(BSG)が保湿機能に与える影響の評価
1.試験方法
試験方法の概要を図1に示す。
即ち,アトピー性皮膚炎モデルマウスは,不飽和脂肪酸が欠如しているHR-AD食 (日本農産株式会社) をヘアレスマウスに与え,55日間飼育することで作成し,これをcontrol群とした。マウスの背部の経皮水分蒸散量(TEWL),表皮水分量を測定した。
同様に,HR-AD食 (日本農産株式会社) をヘアレスマウスに与えるとともに10 mg/kg BSGを経口投与して55日間飼育しBSG群とした。
その後,control群はHR-AD食 (日本農産株式会社) をヘアレスマウスに71日目まで与え続け,ウェスタンブロッティング法を用いてフィラグリンのタンパク質発現に与える影響を検討した(図1)。同様にBSG群は,HR-AD食 (日本農産株式会社) をヘアレスマウスに71日目まで与え続けるとともに10 mg/kg BSGを経口投与し続け,デルフィン・テクノロジーズ社製のポータブル水分蒸散計「Vapometer(登録商標)」を用いて背部のTEWLを測定するとともに,ウェスタンブロッティング法を用いて背部皮膚中のフィラグリンのタンパク質発現に与える影響を検討した(図1)。その結果を図2(TEWL及び表皮水分量)及び図3(フィラグリン発現量)に示す。
測定結果及び実施例の効果
HR-AD食を55日間マウスに与えた結果,重度の乾燥肌を示し,特にNormal群とControl群を比較して有意なTEWLの増加および表皮水分量の低下が認められた。一方,10 mg/kg BSGを経口投与することで,マウスの背部皮膚のTEWLの減少傾向がみられ,表皮水分量が有意に改善した(図2)。これにより,BSGは,アトピー性皮膚炎下において経皮水分蒸散量低下剤として有用であることが確認された。
また,マウスの皮膚を用いてフィラグリンタンパク質の発現をウエスタンブロットで解析した。その結果,BSGがフィラグリンの発現を促進することが確認された。(図3)。
これにより,BSGはアトピー性皮膚炎下においてフィラグリン発現促進剤として有用であることが確認された。
以上の結果から,アトピー性皮膚炎モデルマウスにBSGを経口投与することによりフィラグリンタンパク質発現量の発現が促進され,これにより,TEWLが減少し,表皮水分量の有意な改善作用を有するため,アトピー性皮膚炎予防・治療剤として有用であることが確認された。
本発明のアトピー性皮膚炎予防・治療剤(BSG)の配合例を示す。尚,以下の配合例は本発明を限定するものではない。
配合例1:チューインガム
砂糖 53.0wt%
ガムベース 20.0
グルコース 10.0
水飴 16.0
香料 0.5
アトピー性皮膚炎予防・治療剤 0.5
100.0wt%
配合例2:グミ
還元水飴 40.0wt%
グラニュー糖 20.0
ブトウ糖 20.0
ゼラチン 4.7
水 9.68
ユズ果汁 4.0
ユズフレーバー 0.6
色素 0.02
アトピー性皮膚炎予防・治療剤 1.0
100.0wt%
配合例3:キャンディー
砂糖 50.0wt%
水飴 33.0
水 14.4
有機酸 2.0
香料 0.2
アトピー性皮膚炎予防・治療剤 0.4
100.0wt%
配合例4:ヨーグルト(ハード・ソフト)
牛乳 41.5wt%
脱脂粉乳 5.8
砂糖 8.0
寒天 0.15
ゼラチン 0.1
乳酸菌 0.005
アトピー性皮膚炎予防・治療剤 0.4
香料 微量
水 残余
100.0wt%
配合例5:清涼飲料
果糖ブドウ糖液糖 30.0wt%
乳化剤 0.5
アトピー性皮膚炎予防・治療剤 0.3
香料 適量
精製水 残余
100.0wt%
配合例6:錠菓
砂糖 76.4wt%
グルコース 19.0
ショ糖脂肪酸エステル 0.2
アトピー性皮膚炎予防・治療剤 0.5
精製水 3.9
100.0wt%
配合例7:ソフトカプセル
玄米胚芽油 47.0wt%
ユズ種子油 40.0
乳化剤 12.0
アトピー性皮膚炎予防・治療剤 1.0
100.0wt%
配合例8:錠剤
乳糖 54.0wt%
結晶セルロース 30.0
澱粉分解物 10.0
グリセリン脂肪酸エステル 5.0
アトピー性皮膚炎予防・治療剤 1.0
100.0wt%
配合例9:化粧クリーム
スクワラン 20.0wt%
ミツロウ 5.0
精製ホホバ油 5.0
グリセリン 5.0
グリセリンモノステアレート 2.0
ポリオキシエチレン(20)ソルビタン-
モノステアレート 2.0
イチゴ種子エキス 0.1
グルコシルセラミド 0.1
アトピー性皮膚炎予防・治療剤 1.0
防腐剤 適量
香料 適量
精製水 残余
100.0wt%
配合例10:化粧水
エタノール 5.0wt%
グリセリン 2.0
1,3-ブチレングリコール 2.0
ポリエチレンオレイルエーテル 0.5
クエン酸ナトリウム 0.1
クエン酸 0.1
イチゴ種子エキス 0.1
グルコシルセラミド 0.1
アトピー性皮膚炎予防・治療剤 0.1
精製水 残余
100.0wt%
配合例11:ボディージェル
マカデミアナッツ油 2.0wt%
ミリスチン酸オクチルドデシル 10.0
メチルフェニルポリシロキサン 5.0
ベヘニルアルコール 3.0
ステアリン酸 3.0
バチルアルコール 1.0
モノステアリン酸グリセリル 1.0
テトラオレイン酸ポリオキシエチレンソルビット 2.0
水素添加大豆リン脂質 1.0
セラミド 0.1
パルミチン酸レチノール 0.1
防腐剤 適量
ツボクサ抽出物 1.0
イチゴ種子エキス 0.1
グルコシルセラミド 0.1
アトピー性皮膚炎予防・治療剤 1.0
1,3-ブチレングリコール 5.0
精製水 残余
100.0wt%
配合例12:乳液
スクワラン 4.0wt%
ワセリン 2.5
セタノール 2.0
グリセリン 2.0
親油型モノステアリン酸グリセリン 1.0
ステアリン酸 1.0
L-アルギニン 1.0
イチゴ種子エキス 0.1
グルコシルセラミド 0.1
アトピー性皮膚炎予防・治療剤 0.5
水酸化カリウム 0.1
香料 微量
精製水 残余
100.0wt%
配合例13:浴用剤(液状)
プロピレングリコール 50.0wt%
エタノール 20.0
硫酸ナトリウム 5.0
イチゴ種子エキス 0.1
グルコシルセラミド 0.1
アトピー性皮膚炎予防・治療剤 0.5
ラノリン 0.5
アボガド油 0.5
色素 1.5
香料 22.0
100.0wt%
配合例14:シャンプー
ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム
(E.O2モル) 15.0
ヤシ油脂肪族ジエタノールアミド 5.0
グリセリン 3.0
イチゴ種子エキス 0.1
グルコシルセラミド 0.1
アトピー性皮膚炎予防・治療剤 0.4
エタノール 5.0
香料及び防腐剤 適量
イオン交換水 残余
全体 100wt%
配合例15:ヘヤークリーム
流動パラフィン 20.0wt%
固形パラフィン 3.0
ポリオキシエチレンセチル エーテル
(E.O15モル) 2.0
ソルビタンセスキオレート 1.0
イチゴ種子エキス 0.1
グルコシルセラミド 0.1
アトピー性皮膚炎予防・治療剤 0.2
エタノール 10.0
水酸化カリウム 0.1
グリセリン 3.0
香料及び防腐剤 適量
全体 100wt%
配合例16:軟膏剤
サラシミツロウ 5.0wt%
精製ラノリン 5.0
イチゴ種子エキス 0.1
グルコシルセラミド 0.1
アトピー性皮膚炎予防・治療剤 1.0
香料 0.1
ワセリン 残余
全体 100wt%
以上により,本発明は,アトピー性皮膚炎下において摂取,特に経口摂取することによりフィラグリンの発現を促進し,これにより,アトピー性皮膚炎に起因する皮膚バリアー機能を改善することができる新規なアトピー性皮膚炎予防・治療剤を提供することができる。

Claims (5)

  1. β-シトステロールグルコシドを有効成分とするアトピー性皮膚炎下におけるフィラグリン発現促進剤。
  2. β-シトステロールグルコシドを有効成分とするアトピー性皮膚炎下における経皮水分蒸散量低下剤。
  3. β-シトステロールグルコシドを有効成分とするアトピー性皮膚炎下における皮膚バリアー機能改善剤。
  4. 請求項1~請求項3に記載の剤を有効成分とするアトピー性皮膚炎予防・治療剤。
  5. β-シトステロールグルコシドを有効成分とするアトピー性皮膚炎予防・治療剤。
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