JP2024054523A - 抗体薬物複合体の製造方法及びそれに用いる酵素 - Google Patents

抗体薬物複合体の製造方法及びそれに用いる酵素 Download PDF

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Abstract

【課題】ペイロードで修飾したヒト型糖鎖を、糖鎖均一化抗体に効率よく複合化しうる酵素、及び該酵素による抗体薬物複合体の製造方法を提供する。【解決手段】糖鎖均一化抗体と還元末端がオキサゾリン化された糖鎖にリンカーを介して薬物が結合した糖鎖結合薬物とを、エンド-β-N-アセチルグルコサミニダーゼ変異酵素によりコンジュゲーションする工程を含み、本工程において、前記変異酵素は(1)特定のアミノ酸配列において、125番目がD以外のアミノ酸であるアミノ酸配列からなる;(2)(1)に記載の酵素から、1若しくは複数のアミノ酸が置換、欠失、挿入、及び/又は付加し、ただし125番目相当がD以外のアミノ酸であり、かつコンジュゲーション活性を有する;(3)(1)に記載の酵素と少なくとも90%の同一性を有し、ただし125番目相当がD以外のアミノ酸であり、かつコンジュゲーション活性を有する。【選択図】なし

Description

本発明は、抗体薬物複合体の製造方法に関する。また、その製造方法に用いるエンド-β-N-アセチルグルコサミニダーゼの変異酵素に関する。
抗体薬物複合体(Antibody Drug Conjugates,以下ADC)は、標的に特異的に結合する抗体に薬物を複合化したものである。例えば、がん細胞を標的とする抗体に強力な細胞殺傷作用を有するペイロードを複合化したADCは、がん細胞選択的に薬物(ペイロード)を送達することで、単体のペイロード使用に比べ、副作用となる全身毒性を大きく軽減し、効果的にがん細胞を殺傷できる。代表的なADCとして、抗HER2抗体のトラスツズマブにチューブリン阻害剤を複合化したT-DM1(カドサイラ(登録商標))があり、医薬品として承認されている(非特許文献1、非特許文献2、非特許文献3)。T-DM1は抗体上のLys残基にペイロードをランダムに結合しているため、ペイロードの抗体に対する結合位置や結合数が不均一な混合物として製造される。同様のADCとして、ゲムツズマブ オゾガマイシン(総称名:マイロターグ)(非特許文献4)、ブレンツキシマブ ベドチン(総称名:アドセトリス)(非特許文献5)等がある。
近年、ADCの均質性が体内動態や薬物放出速度、薬効に影響することが報告されている(非特許文献6)。またADCの品質コントロールの観点からも、均質性の高いADC製造を目指し、位置選択的なペイロードの結合法が積極的に開発されている。その一つの手法として酵素を用いた抗体糖鎖への結合法がある。これまでに報告されているこの方法によるADC製造工程は次のとおりである:(1)不均一な抗体糖鎖の酵素による切断による、糖鎖の均一化(加水分解工程)、(2)糖鎖均一化抗体と別糖鎖の、酵素による結合(糖転移工程)、(3)別糖鎖のアジド基とペイロードの結合(化学反応工程)。
この方法で糖鎖の変換を目的とする場合、加水分解工程及び糖転移工程ではエンド-β-N-アセチルグルコサミニダーゼと呼ばれる酵素ファミリーが用いられる(非特許文献7)。エンド-β-N-アセチルグルコサミニダーゼは様々な種より分離され、抗体糖鎖の種類により使い分けられる。加水分解工程で用いられる代表的なエンド-β-N-アセチルグルコサミニダーゼはGH18ファミリー酵素とGH85ファミリー酵素に分類され、EndoA、EndoD、EndoM、EndoH、EndoF2、EndoF3、EndoE、EndoS、EndoSd、EndoSz、EndoS2等が挙げられる。
これらの内、EndoSの233番目のAspをGlnに置換したEndoS D233Q(特許文献1、非特許文献8)及びその改変体(特許文献2)、EndoS2の184番目のAspをMet又はGlnに置換したEndoS2 D184M又はEndoS2 D184Q(特許文献3、非特許文献9)、EndoF3の165番目のAspをAla又はGlnに置換したEndoF3 D165A又はEndoF3 D165Q(特許文献4、非特許文献10)、EndoSdの232番目のAspをMetに置換したEndoSd D233M(特許文献5)、EndoSzの234番目のAspをMetに置換したEndoSz D234M(特許文献5)では、加水分解能が抑制されることが報告されている。またこれら変異酵素により、糖鎖均一化抗体(GlcNAc抗体)と糖鎖還元末端をオキサゾリン化した基質の糖転移が進行することが報告されている。
さらに、EndoS D233Qにより、GlcNAc抗体とアジド基を有する糖鎖還元末端をオキサゾリン化した基質に糖転移し、得られたコンジュゲート体のアジド基とペイロードの一種であるMMAEを化学結合し、均質なADCを作製したとの報告がある(非特許文献11、非特許文献12)。
糖鎖均一化抗体に、リンカーを介してビオチンや蛍光物質等の水溶性化合物が連結した分岐鎖糖鎖をEndoS2変異酵素によりコンジュゲーションする糖転移反応(非特許文献13)が報告されている。一方、薬物等の脂溶性化合物が連結された合成糖鎖を用いた糖転移反応については確認されていない。
野生型EndoS2酵素を用いて、不均一な抗体糖鎖を還元末端がオキサゾリン化されたペイロード付き二糖によりリプログラミングする技術(非特許文献14、非特許文献15)が報告されている。この技術により加水分解工程と糖転移工程を一段階で実現可能となるが、抗体に連結する糖鎖の種類がヒト型分岐鎖糖鎖と異なる二糖に限られるため体内動態を考慮した柔軟な設計が困難である点が課題として挙げられる。また、この技術は、EndoS, EndoS D233Q, EndoS2 D184M, EndoF3, EndoF3 D165A, EndoD, EndoD N322Q, EndoA等の酵素を用いた場合ではコンジュゲーション活性を示さないことが報告されている(非特許文献14)。
有機溶媒存在下でのエンド-β-N-アセチルグルコサミニダーゼと呼ばれる酵素ファミリーによる糖転移反応について、野生型EndoM、野生型EndoAによる酵素反応(非特許文献16、非特許文献17)が報告されている。これら野生型酵素は糖転移反応活性と糖鎖加水分解活性を有する。有機溶媒存在下では糖鎖加水分解活性が著しく低下し、逆反応による糖転移反応産物の加水分解が抑制されることから、有機溶媒存在下では糖転移反応産物の収量が増加することが報告されている。一方、EndoAの173番目のGluをHisに置換したEndoA E173H、EndoAの173番目のGluをGlnに置換したE173Q変異酵素について、DMSO存在下で糖転移活性が著しく低下することが報告されている(非特許文献17)。したがって、エンド-β-N-アセチルグルコサミニダーゼと呼ばれる酵素ファミリーの活性部位変異酵素等による糖転移酵素反応について、有機溶媒が糖転移反応効率を低下させ、糖転移産物の収量が低下すると考えるのがこれまでの技術常識であった(非特許文献18)。
EndoS D233Qは一定の糖鎖加水分解活性を保持するため、糖転移反応において、反応開始からの時間経過とともに、糖転移効率が低下することが知られている。この課題を解決するため、EndoSの加水分解活性が抑制された変異体であるEndoS D233Qと比較して、その加水分解活性がより低減され、且つ、一定の糖転移活性を保持する変異酵素(特許文献2)がこれまで見出されている。一方、当該報告においては、EndoS酵素に対してD233Qに加えて特定のアミノ酸に追加変異を有する酵素が見出されているのみである。EndoF3 D165Q等のその他エンド-β-N-アセチルグルコサミニダーゼの活性部位変異酵素における更なる加水分解低減を可能とする変異体はこれまで報告されていない。ペイロード付き糖鎖のコンジュゲーション技術は報告されていない。
WO2013/120066A1 WO2017/010559A1 WO2017/124084A1 US2012/0226024A1 WO2020/006176A1
Nat.Biotechnol,23,1073-1078(2005) Cancer Sci,100,1566-1572(2009) Nat.Biotechnol,23,1137-1146(2005) Clin Cancer Res,7,1490-1496(2001) MAbs,4,458-465(2012) Nat.Biotechnol,26,952-932(2008) Chem.Soc.Rev,46,5128-5146(2017) J.Am.Chem.Soc,134,12308-12318(2012) J.Biol.Chem,291,16508-16518(2016) J.Biol.Chem,291,9356-9370(2016) Nat.Protoc,6,1183-1191(2011) Bioconjug Chem,30,1343-1355(2019) ACS Chem, Biol,16,2502-2514(2021) Acta Pharmacuetica Sinica B, 12, 2417-2428(2022) Bioconjug Chem,33,1179-1191(2022) Carbohydrate Res,339,719-722(2004) Carbohydrate Res,344,2433-2438(2009) Front. Catal,1:810779 (2022)
これまでに報告されている糖鎖均一化抗体と酵素を用いるADCの製造工程は、抗体糖鎖の加水分解工程、糖鎖均一化抗体への糖転移工程、抗体-糖鎖へのペイロードの連結工程という3つの工程を要する。各工程でのADC精製も考慮した場合、ADC製造コストの増大、精製による抗体の性能及び機能低下が予想されるため、よりシンプルな製法が期待される。本発明は、ペイロードで修飾したヒト型糖鎖を、糖鎖均一化抗体に効率よく複合化しうる酵素を提供すること、及びこの酵素により、従来二工程を要した抗体とペイロードの複合化を、一工程で実施するADCの新規な製造方法を提供することを課題とする。
本発明者は、上記課題を解決するため鋭意研究を行った結果、糖鎖均一化抗体に糖鎖連結薬物を一段でコンジュゲーションすることを特徴とするADC製造法を見出し、以下の本発明に到達した。
すなわち本発明は、次の[1]~[12]から構成される。
[1] 下記の工程を含む、抗体薬物複合体の製造方法:
糖鎖均一化抗体と糖鎖結合薬物とを、エンド-β-N-アセチルグルコサミニダーゼ変異酵素によりコンジュゲーションする工程であり、糖鎖結合薬物が、還元末端がオキサゾリン化された糖鎖にリンカーを介して薬物が結合したものである、工程において、上記エンド-β-N-アセチルグルコサミニダーゼ変異酵素が、下記のいずれか一のタンパク質である工程:
(1)配列番号1のアミノ酸配列、又は配列番号1のアミノ酸配列において、125番目がD以外のアミノ酸であるアミノ酸配列からなるタンパク質;
(2)(1)に記載のタンパク質のアミノ酸配列において、1若しくは複数のアミノ酸が置換、欠失、挿入、及び/又は付加したアミノ酸配列からなり、ただし125番目相当がD以外のアミノ酸であり、かつコンジュゲーション活性を有する、タンパク質;
(3)(1)に記載のタンパク質のアミノ酸配列と少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列からなり、ただし125番目相当がD以外のアミノ酸であり、かつコンジュゲーション活性を有する、タンパク質;
(4)配列番号8のアミノ酸配列において、22番目がP以外のアミノ酸及び/又は224番目がM以外のアミノ酸であるアミノ酸配列からなるタンパク質;
(5)(4)に記載のタンパク質のアミノ酸配列において、1若しくは複数のアミノ酸が置換、欠失、挿入、及び/又は付加したアミノ酸配列からなり、ただし22番目相当がP以外のアミノ酸及び/又は224番目相当がM以外のアミノ酸であり、かつコンジュゲーション活性を有する、タンパク質;
(6)(4)に記載のタンパク質のアミノ酸配列と少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列からなり、ただし22番目相当がP以外のアミノ酸及び/又は224番目相当がM以外のアミノ酸であり、かつコンジュゲーション活性を有する、タンパク質;
(7)配列番号15のアミノ酸配列、又は配列番号15のアミノ酸配列において、233番目がD以外のアミノ酸であるアミノ酸配列からなるタンパク質;
(8)(7)に記載のタンパク質のアミノ酸配列において、1若しくは複数のアミノ酸が置換、欠失、挿入、及び/又は付加したアミノ酸配列からなり、ただし233番目相当がD以外のアミノ酸であり、かつコンジュゲーション活性を有する、タンパク質;
(9)(7)に記載のタンパク質のアミノ酸配列と少なくとも95%の同一性を有するアミノ酸配列からなり、ただし233番目相当がD以外のアミノ酸であり、かつコンジュゲーション活性を有する、タンパク質;
(10)配列番号29のアミノ酸配列、又は配列番号29のアミノ酸配列において、233番目がD以外のアミノ酸であるアミノ酸配列からなるタンパク質;
(11)(10)に記載のタンパク質のアミノ酸配列において、1若しくは複数のアミノ酸が置換、欠失、挿入、及び/又は付加したアミノ酸配列からなり、ただし233番目相当がD以外のアミノ酸であり、かつコンジュゲーション活性を有する、タンパク質;
(12)(10)に記載のタンパク質のアミノ酸配列と少なくとも95%の同一性を有するアミノ酸配列からなり、ただし233番目相当がD以外のアミノ酸であり、かつコンジュゲーション活性を有する、タンパク質。
[2] リンカーが、生体内で開裂可能な構造を含む、1に記載の製造方法。
[3] リンカーが、ペプチドを含む構造である、1又は2に記載の製造方法。
[4] リンカーが、一般式-E-D-C-B-A-で表される構造であり、ただしAは糖鎖に結合し、Eは薬物に結合する、3に記載の製造方法
[式中、
A、B、C、及びEが、各々独立に、アルキル基、エステル基、カルバモイル基、アルコキシアルキル基、イミン基、ヒドラゾン基、アゾ基、スルホン基、芳香族基、及び単結合からなる群より選択され;
Dは、2-6個のアミノ酸残基からなるペプチドである。]。
[5] Aは、-(CH2CH2O)m1-(CH2)m2-、-(CH2)m2-、又は単結合であり;
Bは、下記からなる群より選択されるいずれかであり
[式中、Rは、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1-4のアルキル、炭素数1-4のアルコキシ、-CN、-OH、-CF3、又はNRRである。];
Cは、-C(O)-(CH2)n1-C(O)-、-C(O)-(CH2)n1-C(O)-NH-(CH2CH2O)n2-(CH2)n3-C(O)-、-C(O)-(CH2)n1-C(O)-NH-(CH2)n3-C(O)-、又は単結合であり、
Eは、-アミノベンジルアルコール-C(O)-、NH-(CH2)o-、又は単結合であり、
m1は、1から12の整数であり、
m2は、1から6の整数であり、
n1は、1から6の整数であり、
n2は、1から12の整数であり、
n3は、1から6の整数であり、
oは、1から6の整数である、4に記載の製造方法。
[6] Bが、
のいずれかである、5に記載の製造方法。
[7] 薬物が、アンスラサイクリン類、アウリスタチン類、メイタンシン類、カンプトテシン類、ピロロベンゾジアゼピン二量体、カリケアミシン類、及びデュオカルマイシン類からなる群より選択されるいずれかである、1に記載の製造方法。
[8] 下記の工程を含む、抗体薬物複合体の製造方法:
糖鎖均一化抗体と糖鎖結合薬物とを、有機溶媒存在下でエンド-β-N-アセチルグルコサミニダーゼ変異酵素によりコンジュゲーションする工程であって、糖鎖結合薬物が、還元末端がオキサゾリン化された糖鎖にリンカーを介して薬物が結合したものである工程であり、上記有機溶媒が、下記のいずれかである、製造方法:
(1) N,N-ジメチルホルムアミド
(2) アセトン
(3) アセトニトリル
(4) メタノール
(5) エチレングリコール
(6) ジメチルスルホキシド
[9] 1に定義したいずれか一のタンパク質を含む、糖鎖均一化抗体と糖鎖結合薬物との反応に用いるための酵素剤。
[10] 1に定義したいずれか一のタンパク質をコードするポリヌクレオチドの、糖鎖均一化抗体と、糖鎖結合薬物との反応に用いるための酵素の製造における使用。
図1はEndoF3変異酵素を用い、抗体-GlcNAcとMMAE付糖鎖をコンジュゲーションし、取得したADCのHPLCクロマトグラムを示した図である。 各endoF3変異酵素の変換率の経時変化 各有機溶媒存在下での酵素活性 WP5321_D159Qのアミノ酸配列(ただし、N末シグナル配列、及びC末の4アミノ酸が除去されている。159番目相当のアミノ酸を囲みで示す。) (SEQ ID NO:1)、WP5321_D159Qの塩基配列 (SEQ ID NO:2)、及びプラスミドpRSFDuet-1-MBP-WP5321_D159Qの塩基配列 (SEQ ID NO:7) WP1328_D165Qのアミノ酸配列(ただし、N末シグナル配列が除去されている。165番目相当、61番目相当、及び263番目相当のアミノ酸を囲みで示す。)(SEQ ID NO:8)、WP1328_D165Qの塩基配列 (SEQ ID NO:9)、プラスミドpRSFDuet-1-MBP-WP1328_D165Qの塩基配列(SEQ ID NO:14) WP4602_D233Qのアミノ酸配列(SEQ ID NO:15)、WP4602_D233Qの塩基配列(SEQ ID NO:16)、プラスミドpET26(+)-WP4602_D233Qの塩基配列 (SEQ ID NO:23) c3DEKS12_D233Qのアミノ酸配列(SEQ ID NO:29)、c3DEKS12_D233Qの塩基配列(SEQ ID NO:30)、プラスミドpRSFDuet-1-c3DEKS12_D233Qの配列 (SEQ ID NO:31)
本発明は、下記の工程を含む、抗体薬物複合体(Antibody Drug Conjugates,以下ADC)の製造方法に関する。本発明の製造方法は、糖鎖均一化抗体と糖鎖結合薬物とを、コンジュゲーションする工程を含む。糖鎖均一化抗体と糖鎖結合薬物とをコンジュゲーションする工程は、合成法又は酵素法により行うことができる。また、前記コンジュゲーション工程は、有機溶媒存在下で行うことができる。
[酵素]
コンジュゲーション工程を酵素法で行う場合、エンド-β-N-アセチルグルコサミニダーゼ変異酵素を用いることができる。本発明に関し、エンド-β-N-アセチルグルコサミニダーゼ変異酵素というときは、エンド-β-N-アセチルグルコサミニダーゼであって、加水分解能が抑制された変異酵素をいう。代表的なエンド-β-N-アセチルグルコサミニダーゼの例として、EndoA、EndoD、EndoM、EndoH、EndoF2、EndoF3、EndoE、EndoS、EndoSd、EndoSz、EndoS2等が挙げられる。
WP5321は、そのアミノ酸配列(WP_133641859.1))がNational Center for Biotechnology Information (NCBI)のデータベース上に記載されており、EndoF3のアミノ酸配列(WP_034868774.1)に対して57%の同一性を示す。これまで、WP5321及びその変異体タンパク質についての研究報告例はない。
WP1328は、そのアミノ酸配列(WP_069215570.1)がデータベース上に記載されており、EndoF3のアミノ酸配列に対して89%の同一性を示す。これまで、WP1328及びその変異体タンパク質についての研究報告例はない。
WP4602は、そのアミノ酸配列(WP_111684602.1)がデータベース上に記載されており、EndoSのアミノ酸配列(WP_011285695.1)に対して95%の同一性を示す。これまで、WP4602及びその変異体タンパク質についての研究報告例はない。
c3DEKS12は、本発明において見出した新規配列のEndoSホモログであり、EndoSのアミノ酸配列と95%の同一性を示す。これまで、c3DEKS12及びその変異体タンパク質についての研究報告例はない。
好ましい態様においては、エンド-β-N-アセチルグルコサミニダーゼ変異酵素のうち、EndoSの233番目のアスパラギン酸(D)を置換した変異酵素、EndoS2の184番目のアスパラギン酸(D)を置換した変異酵素、EndoF3の165番目のアスパラギン酸(D)を置換した変異酵素、EndoSdの232番目のアスパラギン酸(D)を置換した変異酵素、EndoSzの234番目のアスパラギン酸(D)を置換した変異酵素、好ましくはEndoSの233番目のアスパラギン酸(D)を置換した変異酵素、又はEndoF3の165番目のアスパラギン酸(D)を置換した変異酵素が用いられる。
より好ましいエンド-β-N-アセチルグルコサミニダーゼ変異酵素の例は、下記のいずれか一のタンパク質からなる酵素である。
(1)配列番号1のアミノ酸配列、又は配列番号1のアミノ酸配列において、125番目がD以外のアミノ酸、好ましくはQであるアミノ酸配列からなるタンパク質;
(2)(1)に記載のタンパク質のアミノ酸配列において、1若しくは複数のアミノ酸が置換、欠失、挿入、及び/又は付加したアミノ酸配列からなり、ただし125番目相当がD以外のアミノ酸、好ましくはQであり、かつコンジュゲーション活性を有する、タンパク質;
(3)(1)に記載のタンパク質のアミノ酸配列と少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列からなり、ただし125番目相当がD以外のアミノ酸、好ましくはQであり、かつコンジュゲーション活性を有する、タンパク質;
(4)配列番号8のアミノ酸配列において、22番目がP以外のアミノ酸(好ましくはD)及び/又は224番目がM以外のアミノ酸(好ましくはA)であるアミノ酸配列からなるタンパク質;
(5)(4)に記載のタンパク質のアミノ酸配列において、1若しくは複数のアミノ酸が置換、欠失、挿入、及び/又は付加したアミノ酸配列からなり、ただし22番目相当がP以外のアミノ酸(好ましくはD)及び/又は224番目相当がM以外のアミノ酸(好ましくはA)であり、かつコンジュゲーション活性を有する、タンパク質;
(6)(4)に記載のタンパク質のアミノ酸配列と少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列からなり、ただし22番目相当がP以外のアミノ酸(好ましくはD)及び/又は224番目相当がM以外のアミノ酸(好ましくはA)であり、かつコンジュゲーション活性を有する、タンパク質;
(7)配列番号15のアミノ酸配列、又は配列番号15のアミノ酸配列において、233番目がD以外のアミノ酸、好ましくはQであるアミノ酸配列からなるタンパク質;
(8)(7)に記載のタンパク質のアミノ酸配列において、1若しくは複数のアミノ酸が置換、欠失、挿入、及び/又は付加したアミノ酸配列からなり、ただし233番目相当がD以外のアミノ酸、好ましくはQであり、かつコンジュゲーション活性を有する、タンパク質;
(9)(7)に記載のタンパク質のアミノ酸配列と少なくとも95%の同一性を有するアミノ酸配列からなり、ただし233番目相当がD以外のアミノ酸、好ましくはQであり、かつコンジュゲーション活性を有する、タンパク質;
(10)配列番号29のアミノ酸配列、又は配列番号29のアミノ酸配列において、233番目がD以外のアミノ酸、好ましくはQであるアミノ酸配列からなるタンパク質;
(11)(10)に記載のタンパク質のアミノ酸配列において、1若しくは複数のアミノ酸が置換、欠失、挿入、及び/又は付加したアミノ酸配列からなり、ただし233番目相当がD以外のアミノ酸、好ましくはQであり、かつコンジュゲーション活性を有する、タンパク質;
(12)(10)に記載のタンパク質のアミノ酸配列と少なくとも95%の同一性を有するアミノ酸配列からなり、ただし233番目相当がD以外のアミノ酸、好ましくはQであり、かつコンジュゲーション活性を有する、タンパク質。
なお、(2)でいう「125番目相当」とは、基準となる(1)の配列番号1の配列においては125番目であるが、配列番号1の配列において1若しくは複数のアミノ酸を欠失等した場合は、位置がずれて125番目ではなくなる場合であっても、配列番号1の配列の125番目に対応する位置を指す。他の(3)等の項についても同様である。対応する位置は、当業者であれば2つの配列を最適の態様で整列させる等して、適宜特定することができる。
配列表には、配列番号1として、WP5321のアミノ酸配列(WP_133641859.1)の159番目のアスパラギン酸(D)をグルタミン(Q)に置換したWP5321_D159Qのアミノ酸配列(ただし、N末シグナル配列を除去し、かつC末の4アミノ酸を除去している。)が示されている。DをQに置換した位置は、配列番号1の配列では125番目である。
配列番号8として、WP1328のアミノ酸配列(WP_069215570.1)の165番目のアスパラギン酸(D)をグルタミン(Q)に置換したWP1328_D165Qのアミノ酸配列(N末シグナル配列を除去している。)が示されている。DをQに置換した位置は、配列番号8の配列では126番目である。
配列番号15として、WP4602アミノ酸配列(WP_111684602.1)の233番目のアスパラギン酸(D)をグルタミン(Q)に置換したWP4602_D233Qのアミノ酸配列が示されている。
配列番号29として、c3DEKS12_D233Qのアミノ酸配列が示されている。WP1328_D165Q及びWP5321_D159QはEndoF3 D165Q変異酵素ホモログであり、WP4602_D233Q及びc3DEKS12_D233QはEndoS D233Qホモログである。なお、以下では、本発明を、エンド-β-N-アセチルグルコサミニダーゼ変異酵素として、EndoF3 D165Q又はEndoS D233Qを用いた場合を例に説明することがあるが、当業者であれば、その説明を他の変異酵素を用いた場合にも適宜当てはめて理解することができる。
コンジュゲーションに用いるエンド-β-N-アセチルグルコサミニダーゼ変異酵素は、既存の変異酵素にさらに点変異を導入することに拠り得られたものであってもよい。このような例として、配列番号8のアミノ酸配列、又は配列番号8のアミノ酸配列において126番目がアスパラギン酸(D)以外のアミノ酸であるアミノ酸配列からなるタンパク質であって、22番目のアミノ酸及び/又は224番目のアミノ酸に変異を有するものが挙げられる。好ましい例として、配列番号8のアミノ酸配列において、22番目のPをDに置換した変異酵素(WP1328_D165Q_P61Dということがある。)、及び224番目のMをAに置換した変異酵素(WP1328_D165Q_M263Aということがある)、並びに22番目のPをDに置換し、224番目のMをAに置換した変異酵素(WP1328_D165Q_P61D_M263Aということがある。)が挙げられる。
本発明に関し、エンド-β-N-アセチルグルコサミニダーゼ変異酵素に関し、コンジュゲーション活性というときは、特に記載した場合を除き、糖鎖均一化抗体と糖鎖結合薬物とのコンジュゲーション反応を行ったときに、薬物が付加した抗体(付加体)を少なくとも20%生成できることをいう(100(%)-残存率(%)が20%以上)。ここでいう率(%)は、コンジュゲーション反応液のHPLCクロマトグラムのピーク面積に基づき、計算できる。複数種類の付加体が生成する場合、例えば1付加体と2付加体が生成する場合は、すべての付加体を考慮する。具体的には、下記の式に基づいて計算できる。
残存率(%)=[未反応の抗体のピーク面積値]/[(未反応の抗体のピーク面積値)+(付加体のピーク面積値:複数種類に付加体が生成する場合は各々のピーク面積値の合計)×100
1付加体変換率(%)=[1付加体のピーク面積値]/[(未反応の抗体のピーク面積値)+(1付加体のピーク面積値)+(2付加体のピーク面積値)]×100
2付加体変換率(%)=[2付加体のピーク面積値]/[(未反応の抗体のピーク面積値)+(1付加体のピーク面積値)+(2付加体のピーク面積値)]×100
コンジュゲーション変換率(%)= 1付加体変換率(%) / 2 + 2付加体変換率(%)
WP1328_D165Qのアミノ酸配列において、61番目(P61)及び/又は263番目(M263)のアミノ酸に点変異を導入した変異型酵素(配列番号8の配列において、22番目及び/又は224番目のアミノ酸に点変異を導入した変異型酵素)は、加水分解活性が、WP1328_D165Qタンパク質と比較して低減されていることを特徴とする。すなわち、実施例の項の[変異酵素の活性の測定]に記載のpH7.4の条件におけるコンジュゲーション変換率が、反応開始から2~48時間までのいずれかの時点において、WP1328_D165Qによるコンジュゲーション変換率より高い値を示す。具体的にはコンジュゲーション反応開始24時間後のコンジュゲーション反応率の値は、WP1328_D165Qによるコンジュゲーション変換率の値より、10%以上高く、好ましくは15%以上高く、より好ましくは20%以上高く、より好ましくは24%以上高く、より好ましくは25%以上高く、より好ましくは29%以上高く、さらに好ましくは30%以上高い。
本発明はまた、抗体薬物複合体の製造方法に用いることができるエンド-β-N-アセチルグルコサミニダーゼ変異酵素をコードするポリヌクレオチドを提供する。すなわち、下記のいずれか一のタンパク質をコードする、ポリヌクレオチドを提供する。
(1)配列番号1のアミノ酸配列、又は配列番号1のアミノ酸配列において、125番目がD以外のアミノ酸であるアミノ酸配列からなるタンパク質;
(2)(1)に記載のタンパク質のアミノ酸配列において、1若しくは複数のアミノ酸が置換、欠失、挿入、及び/又は付加したアミノ酸配列からなり、ただし125番目相当がD以外のアミノ酸であり、かつコンジュゲーション活性を有する、タンパク質;
(3)(1)に記載のタンパク質のアミノ酸配列と少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列からなり、ただし125番目相当がD以外のアミノ酸であり、かつコンジュゲーション活性を有する、タンパク質;
(4)配列番号8のアミノ酸配列において、22番目がP以外のアミノ酸及び/又は224番目がM以外のアミノ酸であるアミノ酸配列からなるタンパク質;
(5)(4)に記載のタンパク質のアミノ酸配列において、1若しくは複数のアミノ酸が置換、欠失、挿入、及び/又は付加したアミノ酸配列からなり、ただし22番目相当がP以外のアミノ酸及び/又は224番目相当がM以外のアミノ酸であり、かつコンジュゲーション活性を有する、タンパク質;
(6)(4)に記載のタンパク質のアミノ酸配列と少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列からなり、ただし22番目相当がP以外のアミノ酸及び/又は224番目相当がM以外のアミノ酸であり、かつコンジュゲーション活性を有する、タンパク質;
(7)配列番号15のアミノ酸配列、又は配列番号15のアミノ酸配列において、233番目がD以外のアミノ酸であるアミノ酸配列からなるタンパク質;
(8)(7)に記載のタンパク質のアミノ酸配列において、1若しくは複数のアミノ酸が置換、欠失、挿入、及び/又は付加したアミノ酸配列からなり、ただし233番目相当がD以外のアミノ酸であり、かつコンジュゲーション活性を有する、タンパク質;
(9)(7)に記載のタンパク質のアミノ酸配列と少なくとも95%の同一性を有するアミノ酸配列からなり、ただし233番目相当がD以外のアミノ酸であり、かつコンジュゲーション活性を有する、タンパク質;
(10)配列番号29のアミノ酸配列、又は配列番号29のアミノ酸配列において、233番目がD以外のアミノ酸であるアミノ酸配列からなるタンパク質;
(11)(10)に記載のタンパク質のアミノ酸配列において、1若しくは複数のアミノ酸が置換、欠失、挿入、及び/又は付加したアミノ酸配列からなり、ただし233番目相当がD以外のアミノ酸であり、かつコンジュゲーション活性を有する、タンパク質;
(12)(10)に記載のタンパク質のアミノ酸配列と少なくとも95%の同一性を有するアミノ酸配列からなり、ただし233番目相当がD以外のアミノ酸であり、かつコンジュゲーション活性を有する、タンパク質。
本発明はまた、抗体薬物複合体の製造方法に用いることができるエンド-β-N-アセチルグルコサミニダーゼ変異酵素をコードするポリヌクレオチドとして、下記を提供する。
(13)配列番号2の塩基配列からなるポリヌクレオチド;
(14)配列番号2の塩基配列と少なくとも90%の同一性を有する塩基配列からなり、コンジュゲーション活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド;
(15)配列番号16の塩基配列からなるポリヌクレオチド;
(16)配列番号16の塩基配列と少なくとも90%の同一性を有する塩基配列からなり、コンジュゲーション活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド;
(17)配列番号30の塩基配列からなるポリヌクレオチド;
(18)配列番号30の塩基配列と少なくとも90%の同一性を有する塩基配列からなり、コンジュゲーション活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド。
配列表の配列番号2には、WP5321_D159Qの塩基配列 (アミノ酸配列は、SEQ ID NO:1) をE.coli発現用にコドン最適化した配列を示す。配列番号16には、WP4602_D233Qの塩基配列 (アミノ酸配列はWP_111684602.1の233番目のAspをGlnに置き換えたもの、SEQ ID NO:15)のE.coli発現用にコドン最適化した配列を示す。配列番号30には、c3DEKS12_D233Qの塩基配列 (アミノ酸配列はSEQ ID NO:29)を示す。
[抗体]
本発明に用いる抗体は、マウス抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体、ヒト抗体のいずれでもよいが、ヒト化抗体、又はヒト抗体であることが好ましい。用いる抗体はまた、修飾されていてもよく、ポテリジェント技術(IgGのFc領域のフコースを除去)により作成されたものであってもよい。
抗体の一例は、抗HER2抗体である。抗HER2抗体は、リコンビナント抗HER2モノクローナル抗体であり、ヒトの定常領域を有するキメラ抗体、ヒト抗体のCDR(相補性決定領域)をヒト以外の動物の抗HER2抗体のCDRで移植したヒト化抗体(CDR移植抗体)、ヒト由来の抗体遺伝子の発現産物であるヒト抗体が含まれるが、ヒト化抗体やヒト抗体が好ましい。完全ヒトモノクローナル抗体は、ヒト免疫グロブリン重鎖及び軽鎖遺伝子座の大部分が遺伝子導入されたマウスを免疫することにより作製することができる。好ましい抗HER2抗体として、ヒト化IgG1抗体であるトラスツズマブ(Trastuzumab)(ハーセプチン(登録商標))が挙げられる。
本発明は、抗体医薬品として用いられている抗体に適用することができる。具体例としては、ibritumomabtiuxetan、iodine131、catumaxomab、blinatumomab、muromonab-CD3、abciximab、rituximab、basiliximab、infliximab、cetuximab、brentuximab、siltuximab、dinutuximab、obiltoxaximab、daclizumab、palivizumab、gemtuzumab、alemtuzumab、omalizumab、efalizumab、bevacizumab、natalizumab、tocilizumab、ranibizumab、eculizumab、certolizumabpegol、mogamulizumab、pertuzumab、obinutuzumab、vedolizumab、pembrolizuma、idarucizumab、mepolizumab、elotuzumab、daratumumab、ixekizumab、reslizumab、adalimumab、panitumumab、golimumab、ustekinumab、canakinumab、ofatumumab、denosumab、ipilimumab、belimumab、raxibacumab、ramucirumab、nivolumab、secukinumab、evolocumab、alirocumab、及びnecitumumabを挙げることができる。
本発明の製造方法に用いられる抗体のクラスの一例はIgGであり、サブクラスの一例は、IgG1である。
[薬物]
本発明には、薬物として、抗がん剤を用いることができる。抗がん剤の例として、チューブリン合成阻害剤(抗がん性植物アルカロイド)、トポイソメラーゼ阻害剤、核酸合成の阻害剤であるアルキル化剤、代謝拮抗剤、抗生物質抗がん剤、ホルモン製剤、白金製剤、非特異的抗悪性腫瘍剤等の公知の抗がん剤の他新規に開発される抗がん剤を含む。具体的には、アウリスタチン、硫酸ビンクリスチン、硫酸ビンブラスチン、硫酸ビンデシン、ドセタキセル水和物、パクリタキセル、酒石酸ビノレルビン、メイタンシノイド等のチューブリン合成阻害剤(抗がん性植物アルカロイド);カンプトテシン、トポテカン、エトポシド、塩酸イリノテカン、塩酸ノギテカン等のトポイソメラーゼ阻害薬;シクロフォスファミド、イフォスファミド、メルファラン、チオテバ、ブスルファン、カルボコン、ダカルバジン、塩酸ニムスチン、ラニムスチン等のアルキル化剤;メトトレキサート、メルカプトプリン、6-メルカプトプリンリボシド、フルオロウラシル(5-FU)、テガフール、テガフールウラシル、カルモフール、ドキシフルリジン、シタラビンオクホスファート、ヒドロキシカルバミド、シタラビン、塩酸ゲムシタビン、リン酸フルダラビン、エノシタビン、ロイコボリン等の代謝拮抗剤;塩酸ドキソルビシン、塩酸イダルビシン、塩酸エピルビシン、塩酸ピラルビシン、塩酸ダウノルビシン、塩酸アクラルビシン、マイトマイシンC、アクチノマイシンD、ブレオマイシン、硫酸ペプロマイシン、ネオカルチノスタチン、ジノスタチンスチマラマー等の抗がん性抗生物質;リン酸エストラムスチンタトリウム、フルタミド、ビカルタミド、酢酸ゴセレリン、酢酸ニュープロレリン、クエン酸タモキシフェン、塩酸フォドロゾール水和物、アナストロゾール、メピチオスタン、エピチオスタノール、酢酸メドロキシプロゲステロン等のホルモン製剤;シスプラチン、カルボプラチン、ネダプラチン等の白金製剤;クレスチン、レンアチン、シゾフィラン、ウベニメクス等の非特異的抗悪性腫瘍剤;塩酸ミトキサントロン、塩酸プロカルバジン、ペントスタチン、ソブゾキサン、トレチノイン、L-アスパラギナーゼ、アセグラトン、ミトタン、ポルフィマーナトリウム等が挙げられる。
好ましい態様においては、薬物は、アンスラサイクリン類、アウリスタチン類、メイタンシン類、カンプトテシン類、ピロロベンゾジアゼピン二量体、カリケアミシン類、及びデュオカルマイシン類からなる群より選択されるいずれかである。
アンスラサイクリン類の例として、ダウノルビシン(ダウノマイシン)、ドキソルビシン(アドリアマイシン)、PNU-159682、ピラルビシンが挙げられる。
アウリスタチン類の例として、チューブリン合成阻害剤であり、非常に強い抗腫瘍剤であるauristatin(アウリスタチン)が挙げられる。アウリスタチンには、monomethyl auristatin E (MMAE、モノメチルアウリスタチンE)、monomethyl auristatin D (MMAD、モノメチルアウリスタチンD)、monomethyl auristatin F (MMAF、モノメチルアウリスタチンF)等が含まれる。この中でも、monomethyl auristatin E (MMAE、モノメチルアウリスタチンE)が好ましい。
メイタンシン類の例として、アンサマイトシンP3(AP3)、DM1、DM4が挙げられる。
カンプトテシン類の例として、Exatecan、SN-38、DXdが挙げられる。
その他の具体例として、PBD-dimer、カリケアミシン、Duocarmycinが挙げられる。
[リンカー]
本発明では、糖鎖結合薬物が、還元末端がオキサゾリン化された糖鎖にリンカーを介して薬物が結合している。好ましい態様において、リンカーは、スペーサー(後述する-C-B-A-)と切断性部分(-E-D-)を含む。
スペーサーは、糖鎖と、リンカー(狭義、後述する-E-D-)と薬物との結合物を連結する部位である。結合基としては、アミド、エステル、アルコシキアルキル、カルバモイル、スルホン酸アミド、スルホン酸エステル、ホスホン酸アミド、ホスホン酸エステル、アルドイミン、ケトイミン、オキシム、及びアルキンとアジド等から形成されるクリック結合部位等が挙げられる。
クリック結合部位として代表的なものは、次の文献情報に挙げられる(Chem Rev.113,4905-4979(2013)、Method Mol Biol.2078,83-97(2020)、Chem.Soc.Rev.48、4361-4374(2019)、Protein Cell.Jan;9(1),33-46(2018))。このような結合部位の好ましい例としては、アルキンとアジドから形成される1,2,3-トリアゾール部位、DBCOとアジドから形成される1,2,3-トリアゾールを含む4環性部位が挙げられる。さらに好ましい例としてアジドから形成される1,2,3-トリアゾールを含む4環性部位が挙げられる。
また、ADC凝集性低下を目的として、リンカーの水溶性を向上させるため、一般的な手法として、PEG基を導入することが挙げられる。本製法ではスペーサーにPEG基を導入することが挙げられる。このようなPEGは直鎖であっても、分岐鎖であってもよく、好ましくは直鎖のPEGである。PEG鎖長は特に限定されず、例として、PEG2(数値は繰り返し数を表す。)、PEG3、PEG4、PEG5~12が挙げられる。
切断性部分は、タンパク質の変性・分解を引き起こさない特定の条件において、切断可能な部位である。すなわち、生体内で開裂可能な構造を含む。タンパク質の変性・分解を引き起こさない特定の条件としては、酸性物質、塩基性物質、還元剤、酸化剤、酵素からなる群から選ばれる1種以上の物質による分解条件である(参考文献:Bioorg Med Chem.20 571-582(2012)、J.Control.Release,99,423-434(2004)、Bioconjugate Chem.28,1906-1915(2017))。このような切断性部分としては、ジスルフィド結合、アセタール結合、ケタール結合、アルドイミン結合、ケトイミン結合、オキシム結合、エステル結合、アミド結合、カルバモイル結合、カーボネート結合、アルコキシアルキル結合、含スルホン結合、含ホスホン酸結合等が挙げられる。これら切断性部分の好ましい例として、2-6個のアミノ酸残基からなるペプチドが挙げられる。この例として、Val-Cit、Gly-Gly-Phe-Gly(GGFG)、Val-Ala、Lys-Phe(KF)、Gly-Gly-Val-Gly(GGVG)が挙げられる。
好ましい態様において、リンカーは、一般式-E-D-C-B-A-で表される構造であり、ただしAは糖鎖に結合し、Eは薬物に結合する。
式中、
A、B、C、及びEが、各々独立に、アルキル基、エステル基、カルバモイル基、アルコキシアルキル基、イミン基、ヒドラゾン基、アゾ基、スルホン基、芳香族基、及び単結合からなる群より選択され;
Dは、2-6個のアミノ酸残基からなるペプチドである。
式中、
A、B、C、及びEはまた、各々独立に、-(CH2)1-12-、-(CH2)1-12-0-C(O)- (CH2)0-12、-0-C(O)-NH-、-(CH2CH2O)1-12-(CH2) 1-12-、-C(=NR1)-又は-(CH2)1-12- N(R1)- (このときR1は、水素原子、又は-(CH2)1-6である。)、-R2C=N-NR3-又は-R2C=N-OR3- (このときR2 及びR3は、各々独立に、水素原子、又は-(CH2)1-6である。)、-N=N-、-SO3-、2価の芳香族炭化水素基(芳香族炭化水素環から2個の水素原子を除去して形成される基、例えばフェニレン、インデニレン、ナフチレン、フルオレニレン、フェナントレニレン、アントリレン及びピレニレン)、及び単結合からなる群より選択されていてもよい。
Aは、-(CH2CH2O)m1-(CH2)m2-、-(CH2)m2-、又は単結合とすることができる。
Bは、下記からなる群より選択されるいずれかであってもよい。
式中、Rは、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1-4のアルキル、炭素数1-4のアルコキシ、-CN、-OH、-CF3、又はNRRである。
Cは、-C(O)-(CH2)n1-C(O)-、-C(O)-(CH2)n1-C(O)-NH-(CH2CH2O)n2-(CH2)n3-C(O)-、-C(O)-(CH2)n1-C(O)-NH-(CH2)n3-C(O)-、又は単結合であり、
Eは、-アミノベンジルアルコール-C(O)-、NH-(CH2)o-、又は単結合であり、
m1は、1から12の整数であり、
m2は、1から6の整数であり、
n1は、1から6の整数であり、
n2は、1から12の整数であり、
n3は、1から6の整数であり、
oは、1から6の整数である。
Bは、下記のいずれかであってもよい。
特に好ましい態様において、リンカーは、下記の構造からなる。
特に好ましい態様において、本発明の製造方法は、下記のように実施することができる。
(1)元々糖鎖構造が不均一な抗HER2抗体の糖鎖を切断する。糖鎖の切断は、エンド-β-N-アセチルグルコサミニダーゼ(EndoS)を用いて行うことができる。EndoSにより、抗体のFc領域のCHドメインに位置する297番目のアスパラギン(Asn)に結合しているN型複合型糖鎖の還元末端のN-アセチルグルコサミン(GlcNAc)1残基を残して切断される。還元末端のN-アセチルグルコサミンには、フコースが結合していても、結合していなくてもよい。この後、クロマトグラフィーを用いて、糖鎖が切断された抗体を精製すればよい。クロマトグラフィーとしては、ゲル濾過クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、疎水性クロマトグラフィー等が挙げられる。
(2)(1)により取得した抗体-GlcNAcの糖鎖に糖鎖結合薬物をコンジュゲーションする。コンジュゲーションは、エンド-β-N-アセチルグルコサミニダーゼ変異酵素を用いて行うことができる。抗体-GlcNAcのFc領域のCHドメインに位置する297番目のアスパラギン(Asn)に結合しているN型複合型糖鎖の還元末端のN-アセチルグルコサミン(GlcNAc)1残基に糖鎖複合薬物の還元末端がオキサゾリン化されたN-アセチルグルコサミンが結合する。この後、クロマトグラフィーを用いて、糖鎖が切断された抗体を精製すればよい。クロマトグラフィーとしては、ゲル濾過クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、疎水性クロマトグラフィー等が挙げられる。
[有機溶媒]
本発明のコンジュゲーション工程は有機溶媒存在下で実施できる。有機溶媒の例として、メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、1-ブタノール、tert-ブタノール、1-ヘプタノール、1-ヘキサノール、エチレングリコール、トリエチレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、ジメチルスルホキシド(DMSO)、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、テトラヒドロフラン(THF)、1,4-ジオキサン、トルエン、アセトニトリル、N,N-ジメチルアセトアミド(DMA)、プロピレングリコール(PG)、又はこれらの組み合わせ等が挙げられる。好ましい態様においては、有機溶媒は、DMSO、DMF、アセトン、アセトニトリル、メタノール、エチレングリコールより選択されるいずれかである。
還元末端がオキサゾリン化された糖鎖結合薬物を調製するために用いる有機溶媒の濃度は、約0%(v/v)から100%(v/v)の範囲、例えば0%(v/v)、10%(v/v)、20%(v/v)、30%(v/v)、50%(v/v)、75%(v/v)、又は100%(v/v)であってよい。
還元末端がオキサゾリン化された糖鎖結合薬物を有機溶媒又は有機溶媒と水の混合物に溶解し、酵素法による糖鎖均一化抗体とのコンジュゲーション工程に用いることができる。コンジュゲーション工程において、混合溶液中の有機溶媒濃度は約0%(v/v)から約40%(v/v)の範囲である。例えば、混合溶液中の有機溶媒の濃度は、約0~5%(v/v)、5~10%(v/v)、10~15%(v/v)、15~30%(v/v)、30~40%(v/v)であってよい。コンジュゲーションプロセスは、約0.1~24時間、20~40℃で行うことができる。例えば、1実施形態では、コンジュゲーションプロセスは2時間、30℃で行うことができる。
[用語等]
本発明に関し、タンパク質又はアミノ酸配列について「1若しくは複数のアミノ酸が置換、欠失、挿入、及び/又は付加されたアミノ酸配列」というときの置換等されるアミノ酸の個数は、特に記載した場合を除き、いずれのタンパク質においても、そのアミノ酸配列からなるタンパク質が所望の機能を有する限り特に限定されないが、1-750個、1-500個、1-250個、1-200個、1-150個、1-100個、1-50個、1-40個、1-30個、1-20個、1-15個、1-9個又は1-4個程度であるか、性質の似たアミノ酸への置換であれば、さらに多くの個数の置換等がありうる。このようなアミノ酸配列に係るポリヌクレオチド又はタンパク質を調製するための手段は、当業者にはよく知られている。
本発明に関する説明において、アミノ酸又はアミノ酸残基については、特に記載した場合を除き、Aはアラニン、Cはシステイン、Dはアスパラギン酸、Eはグルタミン酸、Fはフェニルアラニン、Gはグリシン、Hはヒスチジン、Iはイソロイシン、Kはリシン、Lはロイシン、Mはメチオニン、Nはアスパラギン、Pはプロリン、Qはグルタミン、Rはアルギニン、Sはセリン、Tはトレオニン、Uはセレノシステイン(3)、Vはバリン、Wはトリプトファン、Yはチロシンを表す。
本発明に関し、塩基配列(ヌクレオチド配列ということもある。)又はアミノ酸配列について「同一性」というときは、特に記載した場合を除き、いずれの塩基配列又はアミノ酸配列においても、2つの配列を最適の態様で整列させた場合に、2つの配列間で共有する一致したヌクレオチド又はアミノ酸の個数の百分率を意味する。すなわち、同一性=(一致した位置の数/位置の全数)×100で算出でき、市販されているアルゴリズムを用いて計算することができる。また、このようなアルゴリズムは、Altschul et al., J. Mol. Biol. 215(1990)403-410に記載されるNBLAST及びXBLASTプログラム中に組込まれている。より詳細には、塩基配列又はアミノ酸配列の同一性に関する検索・解析は、当業者には周知のアルゴリズム又はプログラム(例えば、BLASTN、BLASTP、BLASTX、ClustalW)により行うことができる。プログラムを用いる場合のパラメーターは、当業者であれば適切に設定することができ、また各プログラムのデフォルトパラメーターを用いてもよい。これらの解析方法の具体的な手法もまた、当業者には周知である。同一性の計算には遺伝子情報処理ソフトウェア Genetyx(登録商標)(株式会社ゼネティックス)を用いてもよい。なお、同一性%を求める対象配列が、末端にタグ配列等の、比較する配列には存在しない付加配列を有する場合には、その付加配列部分は同一性%の計算には含めない。
本発明に関し、塩基配列又はアミノ酸配列について、同一性というときは、特に記載した場合を除き、いずれの場合も、少なくとも50%、例えば60%以上、70%以上、好ましくは80%以上、より好ましくは85%以上、さらに好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上、さらに好ましくは97.5%以上さらに好ましくは99%以上の配列の同一性を指す。
本発明で用いるポリヌクレオチド又は遺伝子、及びタンパク質又は酵素は、当業者であれば、従来技術を利用して調製することができる。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。また、特に記載のない試薬、溶媒及び出発材料は市販されているか、又はよく知られた供給源から入手可能である。
なお、以下の実施例においては下記の略号を使用する。
IPTG:Isopropyl β-D-1-thiogalactopyranoside
MMAE:Monomethyl Auristatin E
[酵素製造例1:WP5321_D159Q]
(1)pRSFDuet-1-MBP-WP5321_D159Qの調製
WP5321_D159Q (アミノ酸配列はWP_133641859.1の159番目のAspをGlnに置き換え、N末シグナル配列を除去し、かつC末の4アミノ酸を除去したもの、SEQ ID NO:1) の塩基配列をE.coli発現用にコドン最適化した配列 (SEQ ID NO:2) を人工合成し(Genewiz社)、この配列をプライマーWP_5321_f及びWP_5321_rを用いたPCR(98℃10秒、60℃5秒、68℃30秒を30サイクル)により増幅した。
WP5321_fの塩基配列 (SEQ ID NO:3)
ACTATCGAGGGAAGGAACACGGCCGTTATCAATAATGAGC
WP5321_rの塩基配列 (SEQ ID NO:4)
ATCCAATTGAGATCTTCAGATCGCATTCAGCACCAGTT
同様にpRSF-1-MBPベクター(pRSDuet-1 (Novagen)のBglIIサイトにMaltose binding protein及びFactor Xa切断配列がクローニングされたベクター)を、プライマーpRSF_MBP_f及びpRSF_MBP_rを用いたPCR (98℃10秒、60℃5秒、68℃30秒を30サイクル)により増幅した。
pRSF_MBP_fの塩基配列 (SEQ ID NO:5)
AGATCTCAATTGGATATCGGCCGG
pRSF_MBP_rの塩基配列 (SEQ ID NO:6)
CCTTCCCTCGATAGTCTGCGC
得られた2断片をIn-Fusion kit(TAKARA)を使用し、MBPのC末端にFactor Xa配列、その下流に、N末シグナル配列を除去し、かつC末の4アミノ酸を除去したWP5321配列が配置されるようにクローニングした。得られたIn-Fusion溶液を用いてE.coli JM109(TAKARA)を形質転換し、37℃で終夜培養した。得られたコロニーに対してコロニーPCRを行い、ポジティブクローンからプラスミドとしてpRSFDuet-1-MBP-WP5321_D159Q (SEQ ID NO:7)を取得した。
(2)形質転換
BL21(DE3)コンピテントセル(NIPPON GENE)(0.05mL)に上記プラスミド(0.0005mL)を加え、0℃で20分静置後、42℃アルミブロックで45秒静置し、ヒートショック処理した。37℃に加温したSOC培地(0.45mL)を加え、37℃で1時間培養した。培養液を遠心分離(室温、6000g、3分)し、菌体を沈殿させた。上清(0.4mL)を除去後、菌体を再懸濁し、LB-Agarプレート(0.05mg/mLのカナマイシン含有)に播種し、37℃で終夜静置培養した。
(3)発現培養
Superbroth(10mL;Bacto Trypton(32g)、BactoYeast Extract(5g)、NaCl(5g)、1M 水酸化ナトリウム水溶液(5mL)、純水(950mL)、0.05mg/mLのカナマイシン含有)に上記形質転換で得られたコロニー1つを加え、37℃で終夜培養した。250mLバッフル付フラスコ中のSuperbroth(100mL、0.05mg/mLのカナマイシン含有)に培養液(2mL)を加えた。37℃で24時間培養し、終濃度が1mMとなるようにIPTGを加え、37℃で終夜培養した。培養液を遠心分離(4℃、10000rpm、5分)し、上清を除去し、菌体を回収した。
(4)不溶性画分の調製及びリフォールディング
菌体にBugBuster(5mL)、及びLysonase(0.005mL)を加え、ピペッティングにより菌体を懸濁し、20分転倒混和した。この菌体懸濁液を遠心分離(室温、10000rpm、20分)し、上清を除去し、沈殿物を不溶性画分として取得した。この不溶性画分に0.15%CHAPS/20%酢酸溶液(40mL)を加えた。37℃で2.5時間転倒混和し、遠心分離(室温、10000rpm、10分)し、上清を取得した。Slide-A-Lyzer Dialysis Flask(20kDa MWCO;Thermo Fischer Scientific)にこの上清を加え、超純水に浸し、4℃で2日透析した(4時間以上の時間を空けて透析外液を3回交換)。さらに10mM Tris-HClバッファー(pH8.0)に浸し、4℃で終夜透析した。本溶液を50mM pH7.4 Tris-HClバッファーで限外濾過(Amicon Ultra 30kDa)により置換し、WP5321_D159Qを取得した。
[酵素製造例2:WP1328_D165Q]
(1)pRSFDuet-1-MBP-WP1328_D165Qの調製
WP1328_D165Qの塩基配列 (アミノ酸配列はWP_069215570.1 の165番目のAspをGlnに置き換えたもの、SEQ ID NO:8) をE.coli発現用にコドン最適化した配列 (SEQ ID NO:9) を人工合成し(Genewiz社)、この配列をプライマーWP_1328_f及びWP_1328_rを用いたPCR(98℃10秒、60℃5秒、68℃30秒を30サイクル)により増幅した。
WP1328_fの塩基配列 (SEQ ID NO:10)
ACTATCGAGGGAAGGAGTCGCGCGCTGGCG
WP1328_rの塩基配列 (SEQ ID NO:11)
ATCCAATTGAGATCTTCATTTCACCGCGTTCTTAACGG
同様にpRSF-1-MBPベクター(pRSDuet-1のBglIIサイトにMaltose binding protein及びFactor Xa切断配列がクローニングされたベクター)を、プライマーFNtermMBP及びRNtermMBPを用いたPCR (98℃10秒、60℃5秒、68℃30秒を30サイクル)により増幅した。
FNtermMBPの塩基配列 (SEQ ID NO:12)
AGATCTCAATTGGATATCGG
RNtermMBPの塩基配列 (SEQ ID NO:13)
CCTTCCCTCGATAGTCTGCGCGTCTTTCAGGGC
得られた2断片をIn-Fusion kit(TAKARA)を使用し、MBPのC末端にFactor Xa配列、その下流にN末シグナル配列を除去したWP1328配列が配置されるようにクローニングした。得られたIn-Fusion溶液を用いてE.coliJM109(TAKARA)を形質転換し、37℃で終夜培養した。得られたコロニーに対してコロニーPCRを行い、ポジティブクローンからプラスミドとしてpRSFDuet-1-MBP-WP1328_D165Q (SEQ ID NO:14)を取得した。
[酵素製造例3:WP1328_D165Q_P61D及びWP1328_D165Q_M263A]
(1)点変異導入構築
pRSFDuet-1-MBP-WP1328_D165Qに対し、目的の点変異(P61D,M263A)を導入するため、PCRを行った。PCRにより得られた断片にDpnIを0.001mL加え、37℃で1時間反応し、DNA断片を精製した。得られた断片をE.coliJM109にヒートショック法で導入し、次いでLK plateに塗布後、37℃で終夜培養し、コロニーを取得した。このコロニーをカナマイシン含有LB培地(3mL)に接種し、終夜培養後、Wizard Plus SV Minipreps DNA Purification Systemsにてプラスミド抽出を行い、培養物からプラスミドDNA溶液0.05mLを取得した。
(2)形質転換
BL21(DE3)コンピテントセル(NIPPON GENE)(0.05mL)に上記プラスミド(0.0005mL)を加え、0℃で20分静置後、42℃アルミブロックで45秒静置し、ヒートショック処理した。37℃に加温したSOC培地(0.45mL)を加え、37℃で1時間培養した。培養液を遠心分離(室温、6000g、3分)し、菌体を沈殿させた。上清(0.4mL)を除去後、菌体を再懸濁し、LB-Agarプレート(0.05mg/mLのカナマイシン含有)に播種し、37℃で終夜静置培養した。
(3)発現培養
Superbroth(10mL;Bacto Trypton(32g)、BactoYeast Extract(5g)、NaCl(5g)、1M 水酸化ナトリウム水溶液(5mL)、純水(950mL)、0.05mg/mLのカナマイシン含有)に上記形質転換で得られたコロニー1つを加え、37℃で終夜培養した。250mLバッフル付フラスコ中のSuperbroth(100mL、0.05mg/mLのカナマイシン含有)に培養液(2mL)を加えた。37℃で24時間培養し、終濃度が1mMとなるようにIPTGを加え、37℃で終夜培養した。培養液を遠心分離(4℃、10000rpm、5分)し、上清を除去し、菌体を回収した。
(4)不溶性画分の調製及びリフォールディング
菌体にBugBuster(5mL)、及びLysonase(0.005mL)を加え、ピペッティングにより菌体を懸濁し、20分転倒混和した。この菌体懸濁液を遠心分離(室温、10000rpm、20分)し、上清を除去し、沈殿物を不溶性画分として取得した。この不溶性画分に0.15%CHAPS/20%酢酸溶液(40mL)を加えた。37℃で2.5時間転倒混和し、遠心分離(室温、10000rpm、10分)し、上清を取得した。Slide-A-Lyzer Dialysis Flask(20kDa MWCO;Thermo Fischer Scientific)にこの上清を加え、超純水に浸し、4℃で2日透析した(4時間以上の時間を空けて透析外液を3回交換)。さらに10mM Tris-HClバッファー(pH8.0)に浸し、4℃で終夜透析した。本溶液を50mM pH7.4 Tris-HClバッファーで限外濾過(Amicon Ultra 30kDa)により置換し、WP1328点変異酵素を取得した。
[酵素製造例4:WP4602_D233Q]
(1)プラスミド構築
WP4602_D233Qの塩基配列 (アミノ酸配列はWP_111684602.1の233番目のAspをGlnに置き換えたもの、SEQ ID NO:15)のE.coli発現用にコドン最適化した配列 (SEQ ID NO:16) をN末端側及びC末端側の2つの部分に分割して人工合成した(ユーロフィン社)。この配列を鋳型にプライマーFWP111864602_pET26b_-sig.及びRWP111864602_frontでN末端側を増幅し、FWP111864602_back及びRWP111864602_pET26bを用いたPCR(98℃10秒、60℃5秒、68℃8秒を30サイクル)によりC末端側を増幅した。同様にベクターpET26bを、FpET26b(+)_InF及びRpET26b(+)_InFを用いたPCR(98℃10秒、60℃5秒、68℃8秒を30サイクル)により増幅した。
FWP111864602_pET26b_-sig. (SEQ ID NO:17)
GGCGATGGCCGAAGAGAAAACCGTACAGGTGC
RWP111864602_front (SEQ ID NO:18)
GGCTCAGCTGGATCTTATCGGGCTGGATCTTATC
FWP111864602_back(SEQ ID NO:19)
CTTATCGGGCTGGATCTTATCGGGCTTTCAC
RWP111864602_pET26b (SEQ ID NO:20)
GTGGTGGTGGTGGTGCTTTTTGAGTAATTGCCGTTTC
FpET26b(+)_InF(SEQ ID NO:21)
CACCACCACCACCACCACTG
RpET26b(+)_InF(SEQ ID NO:22)
GGCCATCGCCGGCTGGGCAG
得られた3断片をIn-Fusion kit(TAKARA)を使用し、開始コドンのMetを除去の上でHisタグの上流にWP4602配列が配置されるようにクローニングした。得られたIn-Fusion溶液を用いてE.coliJM109(TAKARA)を形質転換し、37℃で終夜培養した。得られたコロニーに対してコロニーPCRを行い、ポジティブクローンからプラスミドとしてpET26b(+)-WP4602_D233Qを(SEQ ID NO:23)取得した。
(2)形質転換
BL21(DE3)コンピテントセル(NIPPON GENE)(0.05mL)に上記プラスミド(0.001mL)を加え、0℃で20分静置後、42℃アルミブロックで45秒静置し、ヒートショック処理した。37℃に加温したSOC培地(0.45mL)を加え、37℃で1時間培養した。培養液を遠心分離(室温、6000g、3分)し、菌体を沈殿させた。上清(0.4mL)を除去後、菌体を再懸濁し、LB-Agarプレート(0.05mg/mLのカナマイシン含有)に播種し、37℃で終夜静置培養した。
(3)発現培養
Superbroth(10mL;Bacto Trypton(32g)、BactoYeast Extract(5g)、NaCl(5g)、1M 水酸化ナトリウム水溶液(5mL)、純水(950mL)、0.05mg/mLのカナマイシン含有)に上記形質転換で得られたコロニー1つを加え、37℃で終夜培養した。500mLバッフル付フラスコ中のSuperbroth(200mL、0.05mg/mLのカナマイシン含有)に培養液(2mL)を加えた。37℃で6時間培養し、終濃度が1 mMとなるようにIPTGを加え、37℃で終夜培養した。培養液を遠心分離(4℃、10000rpm、5分)し、上清を除去し、菌体を回収した。
(4)WP4602の取得
菌体にBugBuster(5mL)、及びLysonase(0.5mL)を加え、ピペッティングにより菌体を懸濁し、20分転倒混和した。この菌体懸濁液を遠心分離(4℃、10000rpm、20分)し、上清を回収した。この上清に終濃度が20%となるように1M pH7.5 Tris-HClバッファーを加え、カラムクロマトグラフィー(His Trap HP)にアプライし、精製し、WP4602_D233Q(SEQ ID NO:15)を取得した。
[酵素製造例5:c3DEKS12_D233Q]
(1)プラスミド構築
c3DEKS12 (SEQ ID NO:24)の塩基配列をE.coli発現用にコドン最適化した配列を人工合成した(Genewiz社)。この配列を鋳型にプライマーF_pRSF_His_c3DEKS12及びRc3DEKS12_pRSFを用いたPCR(98℃10秒、60℃5秒、68℃8秒を30サイクル)により増幅した。同様にpRSFDuet-1をプライマーvec_pRSF_EndoS_ENGase_f及びvec_pRSF_EndoS_ENGase_rを用いたPCR(98℃10秒、60℃5秒、68℃8秒を30サイクル)により増幅した。
F_pRSF_His_c3DEKS12 (SEQ ID NO:25)
caccatcatcaccacGATAAACGCCTGCTGGTGAAACG
Rc3DEKS12_pRSF (SEQ ID NO:26)
atacgacttatctttCAGCATCACTTGTTTCAGCGCTT
vec_pRSF_EndoS_ENGase_f(SEQ ID NO:27)
AAAGATAAGTCGTATGATCTGATTGATGAGAA
vec_pRSF_EndoS_ENGase_r(SEQ ID NO:28)
GTGGTGATGATGGTGATGGCTG
得られた2断片をIn-Fusion kit(TAKARA)を使用し、開始コドンのMetを除去の上でHisタグの下流にc3DEKS12配列が配置されるようにクローニングした。得られたIn-Fusion溶液を用いてE.coliJM109(TAKARA)を形質転換し、37℃で終夜培養した。得られたコロニーに対してコロニーPCRを行い、ポジティブクローンからプラスミドとしてpRSFDuet-1-c3DEKS12を取得した。更に、PCR法により、233番目のAspをGlnに置き換えたc3DEKS12_D233Q変異酵素の発現ベクターであるpRSFDuet-1-c3DEKS12_D233Q(SEQ ID NO:31)を取得した。
(2)形質転換
BL21(DE3)コンピテントセル(NIPPON GENE)(0.05mL)に上記プラスミド(0.001mL)を加え、0℃で20分静置後、42℃アルミブロックで45秒静置し、ヒートショック処理した。37℃に加温したSOC培地(0.45mL)を加え、37℃で1時間培養した。培養液を遠心分離(室温、6000g、3分)し、菌体を沈殿させた。上清(0.4mL)を除去後、菌体を再懸濁し、LB-Agarプレート(0.05mg/mLのカナマイシン含有)に播種し、37℃で終夜静置培養した。
(3)発現培養
Superbroth(10mL;Bacto Trypton(32g)、BactoYeast Extract(5g)、NaCl(5g)、1M 水酸化ナトリウム水溶液(5mL)、純水(950mL)、0.05mg/mLのカナマイシン含有)に上記形質転換で得られたコロニー1つを加え、37℃で終夜培養した。500mLバッフル付フラスコ中のSuperbroth(200mL、0.05mg/mLのカナマイシン含有)に培養液(2mL)を加えた。37℃で6時間培養し、終濃度が1mMとなるようにIPTGを加え、37℃で終夜培養した。培養液を遠心分離(4℃、10000rpm、5分)し、上清を除去し、菌体を回収した。
(4) c3DEKS12_D233Qの取得
菌体にBugBuster(5mL)、及びLysonase(0.5mL)を加え、ピペッティングにより菌体を懸濁し、20分転倒混和した。この菌体懸濁液を遠心分離(4℃、10000rpm、20分)し、上清を回収した。この上清に終濃度が20%となるように1M pH7.5 Tris-HClバッファーを加え、カラムクロマトグラフィー(His Trap HP)にアプライし、精製し、c3DEKS12_D233Q (SEQ ID NO:29)を取得した。
[製造例1:化合物15]
DMF(10mL)にHOBt(0.11g)、及びジイソプロピルエチルアミン(0.08mL)を加え、溶液Aを作製した。この溶液A(6.3mL)に化合物14 (Monomethyl auristatin E (MMAE), Asta Tech, Inc.) (0.22g)、及びWO2004/010957の方法で合成した化合物2(Fmoc-Val-Cit-PAB-PNP)(0.22g)を溶解した。この反応溶液を室温で3時間撹拌した。反応溶液を減圧濃縮し、得られた残渣を再沈殿法(クロロホルム/酢酸エチル)で精製し、化合物15(0.31g)を得た。
MS(ESI)m/z:1346(M+H)
[製造例2:化合物16]
化合物15(0.31g)のDMF溶液(4.0mL)にジエチルアミン(1.0mL)を加え、室温で終夜撹拌した。反応溶液を減圧濃縮し、得られた残渣を再沈殿法(クロロホルム/酢酸エチル)で精製し、黄色固体(0.17g)を得た。得られた固体の内、0.11gを上記記載の溶液A(2.5mL)に溶解し、化合物4(0.11g)を加え、30℃で3時間撹拌した。反応溶液を減圧濃縮し、得られた残渣を再沈殿法(DMF/酢酸エチル)で精製し、化合物16(0.11g)を得た。
MS(ESI)m/z:1505(M+H)
[製造例3:化合物17]
DMF(10mL)、HOAt(0.11g)、ジイソプロピルエチルアミン(0.08mL)にて溶液Bを作製した。この溶液B(2.5mL)に化合物9(0.09g)、及び化合物6(0.03g)を溶解した。この反応溶液を30℃で3時間撹拌した。反応溶液を減圧濃縮し、得られた残渣を再沈殿法 (クロロホルム/メタノール/エーテル)で精製し、化合物17(0.11g)を得た。
MS(ESI)m/z:1571(M+H)
[製造例4:化合物18]
化合物17(0.07g)のDMF溶液(1.5mL)に化合物10(0.02g)を加え、30℃で3時間撹拌した。反応溶液を減圧濃縮し、分取HPLC(メタノール/水)で精製し、化合物18(0.01g)を得た。
MS(ESI)m/z:1822(M+H+H+Na)3+、1373(M+H+H+Na+Na)4+
[製造例5:化合物19(MMAE付き糖鎖)]
化合物18(0.004g)のDMF/水混合溶液(2.0mL/2.0mL)にCDMBI(0.01g)、及びトリエチルアミン(0.1mL)を加え、0℃で2時間撹拌した。この反応溶液をゲルろ過クロマトグラフィー(LH-20:DMF)で精製し、化合物19(0.005g)を得た。
[変異酵素の活性の測定]
上で製造したEndoF3変異酵素又はEndoS変異酵素にて、下記「抗体-GlcNAcの調製」で調製した抗体-GlcNAcと、MMAE付糖鎖をコンジュゲーションした。詳細には、エッペンドルフチューブに抗体-GlcNAc(0.03mg)、各変異酵素(0.003mg)、及び化合物19/DMSO溶液(40mg/mL、0.002mL)を加え、さらに、抗体-GlcNAc濃度が5.0mg/mLになるように50mM pH7.4 Tris-HClバッファーを加えた。反応溶液を30℃又は37℃で20分~24時間インキュベーションした。反応溶液を限外濾過(アミコンウルトラ 100kDa)し、50mM pH7.0 リン酸バッファーで置換した。
本コンジュゲーションの模式図を下に示す。
取得したコンジュゲーション体を、HPLCにより測定した。以下にHPLC分析条件を示す。
(HPLC条件)
使用カラム:AdvanceBio HIC
カラムサイズ:30 x 4.6 mm
充填剤粒子径:3.5μm
移動相A:50 mM pH 7.4 リン酸ナトリウム水溶液
移動相B:2 M pH 7.0 硫酸アンモニウム水溶液
移動相C:2-プロパノール
LC条件:グラジエントは以下の通り。
分析時間: 23 min
流速:0.50 mL/min, カラム温度:25℃, 検出波長:214 nm, 280nm インジェクション量:15μL.
図1に、代表例としてEndoS D233Q(WP_011285695.1配列のD233をQに変換したもの)を用い、抗体-GlcNAcとMMAE付糖鎖をコンジュゲーションし、取得したADCのHPLCクロマトグラムを示す。得られたHPLCクロマトグラムより、未反応の抗体-GlcNAc、抗体-GlcNAc1分子とペイロード付糖鎖1分子がコンジュゲーションした1付加体、及び抗体-GlcNAc1分子とペイロード付糖鎖2分子がコンジュゲーションした2付加体を、分離したピークとして確認した。抗体-GlcNAc、1付加体、及び2付加体のピーク面積比から、下記式より、抗体-GlcNAc残存率、1付加体変換率(%)、2付加体変換率(%)及びコンジュゲーション変換率を算出した。なお、変換率算出には、214nmのピーク面積を利用した。
抗体-GlcNAc残存率(%)=[抗体-GlcNAcのピーク面積値]/[(抗体-GlcNAcのピーク面積値)+(1付加体のピーク面積値)+(2付加体のピーク面積値)]×100
1付加体変換率(%)=[1付加体のピーク面積値]/[(抗体-GlcNAcのピーク面積値)+(1付加体のピーク面積値)+(2付加体のピーク面積値)]×100
2付加体変換率(%)=[2付加体のピーク面積値]/[(抗体-GlcNAcのピーク面積値)+(1付加体のピーク面積値)+(2付加体のピーク面積値)]×100
コンジュゲーション変換率(%)= 1付加体変換率(%) / 2 + 2付加体変換率(%)
得られた酵素活性を下表に示す。また、各endoF3変異酵素の変換率の経時変化を図2に示す。WP1328_D165Qは2時間後に変換率約86%で、24時間後の変換率が約34%であった。一方、WP1328_D165QのP61DとM263A追加変異は共にWP1328_D165Qに比べて糖転移活性が同等もしくは活性が向上しており、加水分解活性は低減する結果となった。
[有機溶媒存在下でのコンジュゲーション]
(1)抗体-GlcNAcの調製
抗体-GlcNAcの調製の模式図を以下に示す。
エッペンドルフチューブにて、抗HER2抗体0.050g(米国特許第5821337を参考に調製したもの。サブクラスはIgG1。)を酢酸ナトリウムバッファー(GlycoBuffer 1;NEW ENGLAND BioLabs)にて置換し、0.3mLになるように本バッファーを加えた。その溶液にEndoS(0.025mL;NEW ENGLAND BioLabs)を加え、37℃で16時間インキュベーションした。反応溶液のEndoSをChitin Beads(NEW ENGLAND BioLabs)にて除去し、回収画分をアフィニティカラム(rProtein A Sepharose Fast Flow(GEヘルスケア))にて精製した。50mM pH7.4 Tris-HClバッファーにて限外濾過(Amicon Ultra 30kDa)で置換し、抗体-GlcNAc(0.050g)を取得した。
(2)有機溶媒存在下でのコンジュゲーション
エッペンドルフチューブに実施例で取得した抗体-GlcNAc(0.09 mg)、上述のように調製したEndoS変異酵素(0.003 mg)、及び抗体-GlcNAc濃度が5.0mg/mLになるように50mM pH7.4 Tris-HClバッファーを加えた。さらに、MMAE付き糖鎖(化合物19)のDMSO、DMF、メタノール、アセトニトリル、エチレングリコール、アセトン、又は50mM pH7.4 Tris-HClバッファー溶液(40mg/mL、0.002mL)を加えた反応溶液を30℃でインキュベーションした。反応溶液を50mM pH7.0 リン酸バッファーに溶かし、反応性に影響を及ぼすか比較した。
各有機溶媒存在下での酵素活性を図3に示す。有機溶媒存在下では各溶媒において効率良く、コンジュゲーション反応が進行した。一方、有機溶媒非存在下では、反応効率は低下した。
[配列表に記載した配列一覧]
SEQ ID NO:1 WP5321_D159Q, amino acid sequence
SEQ ID NO:2 WP5321_D159Q, nucletotide sequence
SEQ ID NO:3 primer, WP5321_f
SEQ ID NO:4 primer, WP5321_r
SEQ ID NO:5 primer, pRSF_MBP_f
SEQ ID NO:6 primer, pRSF_MBP_r
SEQ ID NO:7 pRSFDuet-1-MBP-WP5321_D159Q
SEQ ID NO:8 P1328_D165Q, amino acid sequence
SEQ ID NO:9 P1328_D165Q, nucletotide sequence
SEQ ID NO:10 primer, WP1328_f
SEQ ID NO:11 primer, WP1328_r
SEQ ID NO:12 primer, FNtermMBP
SEQ ID NO:13 primer, RNtermMBP
SEQ ID NO:14 pRSFDuet-1-MBP-WP1328_D165Q
SEQ ID NO:15 WP4602_D233Q, amino acid sequence
SEQ ID NO:16 WP4602_D233Q, nucletotide sequence
SEQ ID NO:17 primer, FWP111864602_pET26b_-sig.
SEQ ID NO:18 primer, RWP111864602_front
SEQ ID NO:19 primer, FWP111864602_back
SEQ ID NO:20 primer, RWP111864602_pET26b
SEQ ID NO:21 primer, FpET26b(+)_InF
SEQ ID NO:22 primer, RpET26b(+)_InF
SEQ ID NO:23 pET26b(+)-WP4602_D233Q
SEQ ID NO:24 c3DEKS12, amino acid sequence
SEQ ID NO:25 primer, F_pRSF_His_c3DEKS12
SEQ ID NO:26 primer, Rc3DEKS12_pRSF
SEQ ID NO:27 primer, vec_pRSF_EndoS_ENGase_f
SEQ ID NO:28 primer, vec_pRSF_EndoS_ENGase_r
SEQ ID NO:29 c3DEKS12_D233Q, amino acid sequence
SEQ ID NO:30 c3DEKS12_D233Q, nucletotide sequence
SEQ ID NO:31 pRSFDuet-1-c3DEKS12_D233Q

Claims (10)

  1. 下記の工程を含む、抗体薬物複合体の製造方法:
    糖鎖均一化抗体と糖鎖結合薬物とを、エンド-β-N-アセチルグルコサミニダーゼ変異酵素によりコンジュゲーションする工程であり、糖鎖結合薬物が、還元末端がオキサゾリン化された糖鎖にリンカーを介して薬物が結合したものである、工程において、上記エンド-β-N-アセチルグルコサミニダーゼ変異酵素が、下記のいずれか一のタンパク質である工程:
    (1)配列番号1のアミノ酸配列、又は配列番号1のアミノ酸配列において、125番目がD以外のアミノ酸であるアミノ酸配列からなるタンパク質;
    (2)(1)に記載のタンパク質のアミノ酸配列において、1若しくは複数のアミノ酸が置換、欠失、挿入、及び/又は付加したアミノ酸配列からなり、ただし125番目相当がD以外のアミノ酸であり、かつコンジュゲーション活性を有する、タンパク質;
    (3)(1)に記載のタンパク質のアミノ酸配列と少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列からなり、ただし125番目相当がD以外のアミノ酸であり、かつコンジュゲーション活性を有する、タンパク質;
    (4)配列番号8のアミノ酸配列において、22番目がP以外のアミノ酸及び/又は224番目がM以外のアミノ酸であるアミノ酸配列からなるタンパク質;
    (5)(4)に記載のタンパク質のアミノ酸配列において、1若しくは複数のアミノ酸が置換、欠失、挿入、及び/又は付加したアミノ酸配列からなり、ただし22番目相当がP以外のアミノ酸及び/又は224番目相当がM以外のアミノ酸であり、かつコンジュゲーション活性を有する、タンパク質;
    (6)(4)に記載のタンパク質のアミノ酸配列と少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列からなり、ただし22番目相当がP以外のアミノ酸及び/又は224番目相当がM以外のアミノ酸であり、かつコンジュゲーション活性を有する、タンパク質;
    (7)配列番号15のアミノ酸配列、又は配列番号15のアミノ酸配列において、233番目がD以外のアミノ酸であるアミノ酸配列からなるタンパク質;
    (8)(7)に記載のタンパク質のアミノ酸配列において、1若しくは複数のアミノ酸が置換、欠失、挿入、及び/又は付加したアミノ酸配列からなり、ただし233番目相当がD以外のアミノ酸であり、かつコンジュゲーション活性を有する、タンパク質;
    (9)(7)に記載のタンパク質のアミノ酸配列と少なくとも95%の同一性を有するアミノ酸配列からなり、ただし233番目相当がD以外のアミノ酸であり、かつコンジュゲーション活性を有する、タンパク質;
    (10)配列番号29のアミノ酸配列、又は配列番号29のアミノ酸配列において、233番目がD以外のアミノ酸であるアミノ酸配列からなるタンパク質;
    (11)(10)に記載のタンパク質のアミノ酸配列において、1若しくは複数のアミノ酸が置換、欠失、挿入、及び/又は付加したアミノ酸配列からなり、ただし233番目相当がD以外のアミノ酸であり、かつコンジュゲーション活性を有する、タンパク質;
    (12)(10)に記載のタンパク質のアミノ酸配列と少なくとも95%の同一性を有するアミノ酸配列からなり、ただし233番目相当がD以外のアミノ酸であり、かつコンジュゲーション活性を有する、タンパク質。
  2. リンカーが、生体内で開裂可能な構造を含む、請求項1に記載の製造方法。
  3. リンカーが、ペプチドを含む構造である、請求項1又は2に記載の製造方法。
  4. リンカーが、一般式-E-D-C-B-A-で表される構造であり、ただしAは糖鎖に結合し、Eは薬物に結合する、請求項3に記載の製造方法
    [式中、
    A、B、C、及びEが、各々独立に、アルキル基、エステル基、カルバモイル基、アルコキシアルキル基、イミン基、ヒドラゾン基、アゾ基、スルホン基、芳香族基、及び単結合からなる群より選択され;
    Dは、2-6個のアミノ酸残基からなるペプチドである。]。
  5. Aは、-(CH2CH2O)m1-(CH2)m2-、-(CH2)m2-、又は単結合であり;
    Bは、下記からなる群より選択されるいずれかであり
    [式中、Rは、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1-4のアルキル、炭素数1-4のアルコキシ、-CN、-OH、-CF3、又はNRRである。];
    Cは、-C(O)-(CH2)n1-C(O)-、-C(O)-(CH2)n1-C(O)-NH-(CH2CH2O)n2-(CH2)n3-C(O)-、-C(O)-(CH2)n1-C(O)-NH-(CH2)n3-C(O)-、又は単結合であり、
    Eは、-アミノベンジルアルコール-C(O)-、NH-(CH2)o-、又は単結合であり、
    m1は、1から12の整数であり、
    m2は、1から6の整数であり、
    n1は、1から6の整数であり、
    n2は、1から12の整数であり、
    n3は、1から6の整数であり、
    oは、1から6の整数である、請求項4に記載の製造方法。
  6. Bが、
    のいずれかである、請求項5に記載の製造方法。
  7. 薬物が、アンスラサイクリン類、アウリスタチン類、メイタンシン類、カンプトテシン類、ピロロベンゾジアゼピン二量体、カリケアミシン類、及びデュオカルマイシン類からなる群より選択されるいずれかである、請求項1に記載の製造方法。
  8. 下記の工程を含む、抗体薬物複合体の製造方法:
    糖鎖均一化抗体と糖鎖結合薬物とを、有機溶媒存在下でエンド-β-N-アセチルグルコサミニダーゼ変異酵素によりコンジュゲーションする工程であって、糖鎖結合薬物が、還元末端がオキサゾリン化された糖鎖にリンカーを介して薬物が結合したものである工程であり、上記有機溶媒が、下記のいずれかである、製造方法:
    (1) N,N-ジメチルホルムアミド
    (2) アセトン
    (3) アセトニトリル
    (4) メタノール
    (5) エチレングリコール
    (6) ジメチルスルホキシド
  9. 請求項1に定義したいずれか一のタンパク質を含む、糖鎖均一化抗体と糖鎖結合薬物との反応に用いるための酵素剤。
  10. 請求項1に定義したいずれか一のタンパク質をコードするポリヌクレオチドの、糖鎖均一化抗体と、糖鎖結合薬物との反応に用いるための酵素の製造における使用。

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