JP2024048483A - 振動子の駆動回路及び駆動方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】振動子の共振周波数などを追尾して、個体差、温度変化、動作状況の変化等によらず、所定の条件で振動子を駆動する、振動子の駆動回路及び駆動方法を提供する。【解決手段】振動子の駆動回路が、(電源電圧又は振動子の駆動電圧)÷(電源消費電流又は振動子に流れる電流)が一定になるように駆動周波数を制御することによって、所定の条件で振動子を駆動することを特徴とする。【選択図】図6
Description
本発明は、振動子の共振周波数などを追尾して、所定の条件で振動子を駆動する駆動回路及び駆動方法に関する。
振動子の共振周波数や反共振周波数等は、振動子の個体差、温度変化、動作状況の変化等によって変化する。このため、振動子を駆動する周波数はこれらの変化に追従する必要がある。
従来、例えば特許文献1には振動子の共振周波数の近傍に励振周波数を設定することが常識とされている旨が記載されており、その方式としては、共振周波数を検出して周波数を一致させるPLL方式と、振動子の共振を利用して発信する自励発振方式の2つの方式があることが、例えば特許文献2に記載されている。
一方、例えば特許文献3のように、反共振周波数で駆動している例もあった。
また、共振周波数と反共振周波数の間に霧化量が大きくなる周波数が存在しているとして、その周波数の近辺で振動子を駆動している例もあった。例えば特許文献1では、厚み振動モードの共振周波数と反共振周波数との範囲内に存在する、振動子固有の長さ方向縦振動モードの高次振動による共振周波数で駆動することが提案されている。さらに例えば特許文献4では、共振周波数と反共振周波数の間に存在する、正位相角が最初の誘導性にあるピーク値となる周波数で駆動することが提案されていた。
特許文献2に示されている、共振周波数を検出して周波数を一致させるPLL方式は、回路が複雑になるという問題があった。また特許文献2に示されている、振動子の共振を利用して発振する自励発振方式は、駆動部に供給される電源の電力利用効率が悪いという問題もあった。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、振動子の共振周波数などの変化を追尾して、振動子の特性のばらつきや動作状態の影響を軽減して所定の条件で振動子を駆動する、振動子の駆動回路及び駆動方法を提供する。
本発明はかかる課題を解決するため、(電源電圧又は振動子の駆動電圧)÷(電源消費電流又は振動子に流れる電流)が一定になるように駆動周波数を制御することによって、所定の条件で振動子を駆動する、振動子の駆動回路及び駆動方法を提供する。
前記振動子の駆動回路では、前記(電源電圧又は振動子の駆動電圧)を一定の電圧とし、前記(電源消費電流又は振動子に流れる電流)が一定になるように駆動周波数を制御することによって、所定の条件で前記振動子を駆動する、としてもよい。
前記振動子の駆動回路では、前記(電源消費電流又は振動子に流れる電流)を一定の電流とし、前記(電源電圧又は振動子の駆動電圧)が一定になるように駆動周波数を制御することによって、所定の条件で前記振動子を駆動する、としてもよい。
前記振動子の駆動回路では、駆動部がスイッチング回路で構成される、としてもよい。
前記振動子の駆動回路では、駆動部が前記スイッチング回路で構成され、スイッチング回路の出力であるPWM波、疑似正弦波又はパルス波を、そのまま又はフィルタ回路を経由して前記振動子に与える、としてもよい。
本発明はまた、(電源電圧又は振動子の駆動電圧)÷(電源消費電流又は振動子に流れる電流)が一定になるように駆動周波数を制御することによって、所定の条件で振動子を駆動する、振動子の駆動方法を提供する。
前記振動子の駆動方法では、前記(電源電圧又は振動子の駆動電圧)を一定の電圧とし、前記(電源消費電流又は振動子に流れる電流)が一定になるように駆動周波数を制御することによって、所定の条件で前記振動子を駆動する、としてもよい。
前記振動子の駆動方法では、前記(電源消費電流又は振動子に流れる電流)を一定の電流とし、前記(電源電圧又は振動子の駆動電圧)が一定になるように駆動周波数を制御することによって、所定の条件で前記振動子を駆動する、としてもよい。
前記振動子の駆動方法では、スイッチング回路で構成された駆動部を用いる、としてもよい。
前記振動子の駆動方法では、スイッチング回路で構成された駆動部を用い、前記スイッチング回路の出力であるPWM波、疑似正弦波又はパルス波を、そのまま又はフィルタ回路を経由して前記振動子に与える、としてもよい。
本発明では、(電源電圧又は振動子の駆動電圧)÷(電源消費電流又は振動子に流れる電流)が一定になるように周波数を制御することによって、振動子の個体差等によらず、振動子の所定の駆動条件を追尾している。
このため、振動子の個体差、温度変化、動作状況(一例として、超音波振動子による霧発生用途における、液体の深さ等)の変化等によって、共振周波数等が変化しても、自動的に追尾できるので、常に所定の駆動条件を維持できるという、有用な効果が得られる。すなわち、所定の駆動条件の一例として、共振周波数で振動子を駆動する場合、振動子の共振周波数が変化しても、駆動周波数が共振周波数の周波数変化を自動的に追尾できる。
このような周波数を自動的に追尾する回路は、PLLよりも簡単な回路で実現できるという効果を有している。また、本発明において駆動回路をスイッチング回路で構成すれば、駆動部に供給される電源の電力利用効率を高くできるという効果を有している。
以降では、振動子として超音波振動子を例示しているが、後述の図9(A)のような等価回路によって主な特性を近似できる振動子であればよい。本発明は、例えば水晶振動子やMEMS振動子などのような振動子一般に広く適用可能である。
振動子の一例として、共振周波数が公称1.6MHzである超音波振動子のアドミタンスの周波数特性の測定結果を、図1(A)と図1(B)に示す。
図1(A)と図1(B)は、株式会社エヌエフ回路設計ブロック社製のインピーダンスアナライザZA57630を用いて、小信号(信号源における振幅:1[Vrms]、信号源の出力インピーダンス:50[Ω])で測定した結果である。図1(A)はアドミタンスの大きさ(実線)と位相(点線)を示しており、共振周波数(2つある位相が0°になる周波数のうち低い方)が1.65MHz近辺、反共振周波数(2つある位相が0°になる周波数のうち高い方)が1.79MHz近辺であることがわかる。
図1(B)はこの測定結果をコンダクタンス(実線)とサセプタンス(点線)で示しており、共振周波数と反共振周波数の間にあるサセプタンスが最小となる周波数が1.68MHz近辺であることがわかる。(以下、共振周波数と反共振周波数の間の周波数の一例として、サセプタンスが最小となる周波数を例示する。以下、サセプタンスが最小となる周波数を「サセプタンス最小周波数」と記載する。)
別の一例として、共振周波数が公称2.4MHzである3個の超音波振動子において、性能のばらつきを示す例を、図2(A)、図2(B)と図3に示す。
図2(A)と図2(B)では、超音波振動子No.1の特性を破線で表し、No.2は実線で、No.3は一点鎖線で表している。
図2(A)は、株式会社エヌエフ回路設計ブロック社製のインピーダンスアナライザZA57630を用いて、小信号(信号源における振幅:1[Vrms]、信号源の出力インピーダンス:50[Ω])で測定したアドミタンスの大きさと位相を示している。2.35MHzから2.40MHzにピークを有しているプロットがアドミタンスの大きさ(|Y|)であり、2.40MHzから2.60MHzにディップを有しているプロットがアドミタンスの位相(θ)である。3個の超音波振動子の最大アドミタンス周波数が2.37MHz前後でばらついていることがわかる。また、共振周波数は2.37MHzから2.40MHzあたりでばらついており、反共振周波数は2.63MHz前後でばらついていることがわかる。
図2(B)は、図2(A)のアドミタンスの測定結果を、コンダクタンス(G)とサセプタンス(B)で示したグラフ図である。2.35MHzから2.40MHzにピークを有しているプロットがコンダクタンス(G)であり、2.40MHzから2.45MHzあたりにディップを有しているプロットがサセプタンス(B)である。3個の超音波振動子のサセプタンス最小周波数が2.40MHzから2.45MHzあたりでばらついていることがわかる。
図3は、これら3個の超音波振動子における、共振周波数、反共振周波数と、これらの間に存在するサセプタンス最小周波数をプロットしたものである。○が共振周波数を示しており、*がサセプタンス最小周波数を示しており、×が反共振周波数を示している。超音波振動子No.1とNo.3の間では、いずれの周波数も、約30kHzのばらつきがある。また、共振周波数とサセプタンス最小周波数の差は、各素子とも40kHz弱であり、共振周波数と反共振周波数の差は、各振動子とも約240kHzである。
図4は、電源電圧46Vのスイッチング回路で発生させたパルス波を、フィルタ回路(図4ではバンドパスフィルタを使用)により略正弦波にして超音波振動子を駆動したときの、駆動周波数(横軸)と、(電源電圧÷電源消費電流)[Ω](縦軸)を表したものである。図4では、超音波振動子No.1の特性を△と破線で表し、No.2は○と実線で、No.3は◇と一点鎖線で表している。電源電圧と駆動周波数の両方を共に一定の値にすると、超音波振動子のばらつきによって駆動電力が大きく変化してしまう。このため、超音波振動子のばらつきによって、霧化量が大きくばらついてしまう。
図4の具体例では、電源電圧:46V、駆動周波数:2.42MHz(太い縦の点線、No.2のサセプタンス最小周波数に近い周波数を例示)のとき、No.1では約13.6W、No.2では約17.6W、No.3では約23.3Wと、超音波振動子が異なることによって駆動電力がばらつくことになる。
なお本発明において「電源」とは、原則として駆動部に供給している直流電源を指すが、駆動回路の駆動部以外の部分にも電力を供給してもよい。また、駆動部がドライバと駆動素子に分けることができる場合は、ドライバに供給する電源電力は含んでも含まなくてもよい。
図5は、図4と同じグラフ図であるが、(電源電圧÷電源消費電流)[Ω]一定、すなわち、駆動回路の消費電力が一定になるように周波数を制御した場合を示している。電源電圧は46V一定とし、消費電力が17W一定((電源電圧÷電源消費電流)≒125[Ω]、太い横の点線)になるように周波数を制御すると、超音波振動子No.1では2.41MHz弱、No.2では2.42MHz強、No.3では2.44MHz弱となる。これを前述の図3と比較すると、各々、サセプタンス最小周波数とほぼ一致していることがわかる。(駆動周波数の測定間隔が粗いため、完全には一致し得ない。)
つまり、駆動回路の消費電力が一定になるように周波数を制御することによって、超音波振動子が異なっても、駆動電力のばらつきが抑制されている。
〔第1実施形態〕
図6は、本発明の好適な一実施形態を示す回路ブロック図である。
図6は、本発明の好適な一実施形態を示す回路ブロック図である。
電源1は、一定の電圧(直流定電圧源)としており、駆動部6に与えられている。電流検出部2は電源消費電流を検出してエラーアンプ3の一方の入力に与えており、エラーアンプ3の他方の入力には目標電流値を設定するための基準電圧が基準電源4から与えられている。電流検出部2は直流電流を検出する回路であり、一例として、シャント抵抗と増幅器、あるいはホール素子やフラックスゲートによる電流センサ等を用いることができる。エラーアンプ3の出力は電圧制御発振器(VCO)5の周波数制御入力に与えられている。電圧制御発振器5の信号出力は、駆動部6の入力に与えられており、駆動部6の出力は振動子7に与えられる。
駆動部6は、振動子7を駆動可能な波形(一例として正弦波)で振動子7を駆動できればよく、その回路方式は自由に選択可能である。高効率化が必要な場合はスイッチング回路を使用し、PWMによる正弦波及び疑似正弦波(2値の矩形波ではなく、3値以上の矩形波や階段波によって正弦波に近づけた波形)を、フィルタ回路(バンドパスフィルタやローパスフィルタなど)によって正弦波あるいはそれに近い波形に変換した波形が振動子7に与えられるようにすることができる。
さらに、スイッチング波形による2値の矩形波をそのまま用いて、フィルタ回路によって正弦波あるいはそれに近い波形に変換したものが振動子7に与えられるようにすることも好ましい。振動子7が許容するのであれば、駆動部6の出力のPWM波、疑似正弦波やスイッチング波形による2値の矩形波を、フィルタ回路を用いずそのまま振動子7に与えることも可能である。
駆動部6が、スイッチ素子に加えて、スイッチ素子のドライバを含んでいる場合、電源消費電流はドライバの消費電流を含んでも含まなくてもよい。また電源消費電流は、駆動部6以外の消費電流を含んでもよい。なお高効率化が不要なのであれば、電力効率の低い自励発振回路や、信号発生回路とリニアアンプの組み合わせなども利用可能であるが、このような場合は後述の第3実施形態のように振動子に供給される電圧や電流を用いることが望ましい。
このような構成によって、電源電圧一定のもとで、電源消費電流が一定になるように駆動周波数を制御すれば、前述の具体例のように、所定の条件で振動子7を駆動できる。PLLは一般的に、位相比較器、ループフィルタや分周器などを備えており、回路構成が複雑であった。これに対してこの実施形態では、電流値が目標値になるように負帰還をかけているだけなので、PLL方式よりも回路構成がシンプルになっている。
〔第2実施形態〕
図7は、本発明の別の好適な一実施形態を示す回路ブロック図である。
図7は、本発明の別の好適な一実施形態を示す回路ブロック図である。
電源1’は、直流定電流源とし、一定の電流を出力するようにして駆動部6に与えられている。さらに電源電圧はエラーアンプ3の一方の入力に与えられており、エラーアンプ3の他方の入力には目標電圧値を設定するための基準電圧が基準電源4から与えられている。その他の構成は第1実施形態と同様とすることができる。エラーアンプ3や駆動部6等は、図6と同じ例を示しているが、これに限定するものではない。
このような構成によって、電源電流一定のもとで、電源電圧が一定になるように駆動周波数を制御すれば、前述の具体例と同様に、所定の条件で振動子7を駆動できる。この実施形態では、電圧値が目的値になるように負帰還をかけているだけなので、第1実施形態と同様、PLL方式よりも回路構成がシンプルになっている。
〔第3実施形態〕
図6の第1実施形態や図7の第2実施形態では、電源電圧と電源消費電流に基づいて、(電源電圧÷電源消費電流)が一定になるように周波数を制御することによって所定の条件で振動子7を駆動する例を示した。
図6の第1実施形態や図7の第2実施形態では、電源電圧と電源消費電流に基づいて、(電源電圧÷電源消費電流)が一定になるように周波数を制御することによって所定の条件で振動子7を駆動する例を示した。
本実施形態では、電源電圧(直流)に代えて、図8に示す振動子7に印加している電圧(振動子の駆動電圧:交流)、及び/又は、電源消費電流(直流)に代えて、図8に示す振動子7に流れる電流(交流)を用いる。第1及び第2実施形態は電源電圧と電源消費電流との組み合わせであったが、本実施形態では、電源電圧と振動子7に流れる電流との組み合わせ、振動子7に印加している電圧と電源消費電流との組み合わせ、又は、振動子7に印加している電圧と振動子7に流れる電流との組み合わせで、(電源電圧又は振動子の駆動電圧)÷(電源消費電流又は振動子に流れる電流)が一定になるように駆動周波数を制御する。これ以外の構成は、第1及び第2実施形態と同様とすることができる。
振動子7に印加している電圧や振動子7に流れる電流は、共に交流であるが、これらの測定にあたっては、交流のままベクトル値(大きさと位相)を測定してもよいし、検波手段等を用いて直流に変換して測定してもよい。なお振動子7に印加している電圧と振動子7に流れる電流を共に交流で測定すると、(振動子の駆動電圧÷振動子に流れる電流)は振動子7のインピーダンスそのもの(アドミタンスの逆数)を測定していることになる。
以下、第1~第3実施形態の一例をシミュレーションした結果を示して、本発明の効果を確認する。
図9(A)の左側の図は、振動子7の電気的な特性等を近似する、等価回路である。共振周波数は、LmとCmによる直列共振回路によって生じている。Rmは、振動子7の動作出力を示している。Cdは制動容量である。
図9(A)左側の等価回路のコンダクタンスをGm、サセプタンスをBmとすると、図9(A)中央の図のように表すことができる。また、図9(A)左側の等価回路のレジスタンスをRm’、リアクタンスをXmとすると、図9(A)右側の図のように表すことができる。
以降の説明においては、振動子7の等価回路の各素子を各々、単にLm、Cm、Rm、Cdと略記する。また、振動子7のアドミタンスの大きさ|Ym|、アドミタンスの位相θm、コンダクタンスGm、サセプタンスBmを各々、単に|Ym|、θm、Gm、Bmと略記し、振動し7のインピーダンスの大きさ|Zm|、インピーダンスの位相θm’、レジスタンスRm’リアクタンスXmを各々、単に|Zm|、θm’、Rm’、Xmと略記する。
図9(B)~図9(E)は、シミュレーションによって得た、図9(A)の等価回路の周波数特性の例である。等価回路を構成する各素子の定数は、一例として、図10の右の等価回路部に記載している値を用いてシミュレーションした。図9(B)はアドミタンスの大きさと位相の一例であり、|Ym|を実線で表し、θmを点線で表している。図9(C)はコンダクタンスとサセプタンスの一例であり、Gmを実線で表し、Bmを点線で表している。図9(D)はインピーダンスの大きさと位相の一例であり、|Zm|を実線で表し、θm’を点線で表している。図9(E)はレジスタンスとリアクタンスの一例であり、Rm’を実線で、Xmを点線で表している。
これらの例では、図9(A)左側の等価回路を構成する各素子の定数を、図2(A)や図2(B)で例示した超音波振動子の特性に基づいて求めた値としており、より具体的には図10の右の等価回路部に記載している値としている。このため、図9(B)は図2(A)に近い特性が得られており、図9(C)は図2(B)に近い特性が得られている。
(電源電圧又は振動子の駆動電圧)÷(電源消費電流又は振動子に流れる電流)が一定になるように駆動周波数を制御する一例として、Gmが一定になるように駆動周波数fdを制御する例を考える。なおコンダクタンスG=I/Vの実部であり、上記の「電圧÷電流」とは分子と分母が逆だが、「電圧÷電流」が一定であれば「電流÷電圧」もまた一定になるので、Gmも一定となる。この様子を図10に示す。また、図11(A)~図14(D)のシミュレーションに用いている等価回路の定数の例も、図10に示す。
実際の振動子では、等価回路に含まれる任意の素子に対して意図的に所望の特性変化を起こさせることは、困難又は事実上不可能であるため、実験結果を示すことができない。よって以下では、振動子の等価回路の各定数が変化した場合のシミュレーション結果を示す。図11(A)~図11(D)は、図10に等価回路を示している振動子の、共振周波数(θm=0となる周波数のうち低い方であり、以下単に「fr」と略記する。)、サセプタンス最小周波数(Bmが最小となる周波数であり、以下単に「f2」と略記する。)、反共振周波数(θm=0となる周波数のうち高い方であり、以下単に「fa」と略記する。)と、fr、f2、fa各々に対応する駆動周波数の、シミュレーション結果を示している。なおf2は、frとfaの間に存在している。(fr、f2、faは共に、「電子情報技術産業協会規格 JEITA EM-4501A 圧電セラミック振動子の電気的試験方法」に基づく表記である。)
図11(A)~図11(D)において、横軸0%で約2.39MHzのプロットがfrであり、このときのGmは約0.101sである。横軸0%で約2.43MHzのプロットがf2であり、このときのGmは約0.053sである。横軸0%で約2.61MHzのプロットがfaであり、このときのGmは約0.0049sである。
また図11(A)~図11(D)において、細い実線が図10の等価回路におけるfr、f2、faに対応しており、太い点線は本発明によってfr、f2、faを各々追尾している駆動周波数を示している。より具体的には、frに対応するGmの約0.101sを追尾している駆動周波数が最も下の太い点線であり、f2に対応するGmの約0.053sを追尾している駆動周波数が中程の太い点線であり、faに対応するGmの約0.0049sを追尾している駆動周波数が最も上の太い点線である。細い実線と太い点線が重なっているか近いということは、すなわち、所定の周波数を駆動周波数がより高度に追尾していることを表している。
図11(A)は、Lmが±5%変化したときのfr、f2、faと、各々を追尾している駆動周波数のシミュレーション結果を示した図である。図11(A)では、横軸はLmの変化[%]とし、縦軸は周波数[MHz]としている。(以降、図11(B)~図11(D)の説明では、横軸と縦軸の説明を省略する。)frとそれを追尾している駆動周波数は、ほぼ同一周波数になっており、この図では重なっているため判別できない。f2とそれを追尾している駆動周波数も同様である。faとそれを追尾している駆動周波数はわずかにずれているが、その差は小さいことがわかる。また、Lmの大小とfr、f2、faの高低は、逆であることがわかる。
図11(B)は、Cmが±5%変化したときのfr、f2、faと、各々を追尾している駆動周波数のシミュレーション結果を示した図である。frとそれを追尾している駆動周波数は、ほぼ同一周波数になっており、この図では重なっているため判別できない。f2とそれを追尾している駆動周波数も同様である。faとそれを追尾している駆動周波数はわずかにずれているが、その差は小さいことがわかる。また、Cmの大小と各周波数の高低は、逆であることがわかる。
図11(C)は、Rmが±5%変化したときのfr、f2、faと、各々を追尾している駆動周波数のシミュレーション結果を示した図である。frとそれを追尾している駆動周波数は、少しずれている。(Rmが約+4%以上において、frを追尾している駆動周波数が表示されていない理由は、後述する。)f2とそれを追尾している駆動周波数はわずかにずれているが、その差は小さいことがわかる。faとそれを追尾している駆動周波数も同様である。また、Rmが変化しても、fr、f2、faの各周波数はほとんど変化しないことがわかる。
図11(D)はCdが±5%変化したときのfr、f2、faと、各々を追尾している駆動周波数のシミュレーション結果を示した図である。frとそれを追尾している駆動周波数は、ほぼ同一周波数になっており、この図では重なっているため判別できない。f2とそれを追尾している駆動周波数も同様である。faとそれを追尾している駆動周波数は少しずれている。また、Cdが変化してもfrとf2はほとんど変化しない。一方、Cdが変化するとfaは少し変化しており、Cdの大小とfaの高低は、逆である。しかし、Cdが変化しても、faを追尾している駆動周波数はほとんど変化していないことがわかる。
図11(A)~図11(D)では、fr、f2、faとそれらの駆動周波数のプロットが重なって判別できないものも多かったので、シミュレーション結果の詳細を図12(A)~図14(D)に示す。図12(A)~図14(D)各々の横軸は、図12(A)、図13(A)、図14(A)はLmの変化[%]、図12(B)、図13(B)、図14(B)の横軸はCmの変化[%]、図12(C)、図13(C)、図14(C)の横軸はRmの変化[%]、図12(D)、図13(D)、図14(D)の横軸はCdの変化[%]としている。図12(A)~図12(D)の縦軸は、駆動周波数÷frの周波数比を示しており、周波数比1が同一周波数であることを示す。図13(A)~図13(D)の縦軸は、駆動周波数÷f2の周波数比を示しており、図14(A)~図14(D)の縦軸は、駆動周波数÷faの周波数比を示している。
図12(A)~図14(D)に含まれている各図は、各々縦軸が異なっている。比較の容易のために、Lm、Cm、Rm、Cdの各素子を±5%程度変化させたときの、駆動周波数÷(fr、f2、fa)の各々の誤差の概要を、表1に示す。
表1では、fr、f2、faのいずれにおいても周波数誤差が±0.数%以内に収まっており、駆動周波数は、fr、f2、faを十分に追尾しているということができる。また、f2を追尾するときの誤差が最も小さく、faを追尾するときの誤差が比較的大きいという傾向もわかる。
ここで、fr、f2、faを駆動周波数が追尾する動作の概略を説明する。またこの例において、Rmが約4%以上に変化したときにfrを追尾できかった原因の概略を説明する。図6、図7及び図9(C)を参照する。
まず、Lmが大きくなる方向に変化したときには、図9(C)のコンダクタンスGmのプロットは左方向(fr、f2、faの各周波数が共に下がる方向)に移動する。このため、駆動周波数が変化しない場合にはコンダクタンスGmが下がり、所定のコンダクタンス(例えばfrの場合の約0.101s)よりも低くなる。この場合、図6や図7において駆動周波数を下げる方向に帰還がかかるため駆動周波数が下がる結果、駆動周波数におけるコンダクタンスGmが上がる。そして、駆動周波数におけるコンダクタンスGmが所定のコンダクタンスと一致するまで駆動周波数が下がる結果、fr等を追尾することになる。Lmが下がる方向に変化した時はこの逆で、駆動周波数が上がってfr等を追尾することになる。
Cmが大きくなるとfr等が下がり、Cmが小さくなるとfr等が上がるので、Cmが変化したときはLmが変化したときとほぼ同様の結果となる。
一方、Rmが大きくなる方向に変化したときには、図9(C)のコンダクタンスGmのプロットは小さくなる。(ゼロに近づく。)駆動周波数が変化しない場合にはコンダクタンスGmが下がるため、駆動周波数におけるコンダクタンスGmが所定のコンダクタンスと一致するまで駆動周波数が変化する結果、fr等を追尾することになる。Rmが下がる方向に変化した時も同様に、fr等を追尾することになる。
ここで、frにおける追尾対象の所定のコンダクタンス(約0.101s)は、図9(C)のコンダクタンスGmのプロットのピークに近い値となっている。前述の通り、Rmが大きくなる方向に変化したときには、図9(C)のコンダクタンスGmのプロットが小さくなる。そして、Rmが約4%以上大きくなると、コンダクタンスGmのピークが、追尾対象としている所定のコンダクタンス(約0.101s)よりも小さくなってしまう。こうなると、駆動周波数をどのように変化させても所定のコンダクタンスに到達することができなくなってしまい、正常に追尾できなくなる。図11(C)や図12(C)において、Rmが約4%以上でプロットが表示されていないのは、このためである。一方、f2における追尾対象の所定のコンダクタンスは約0.053s、faでは約0.0049sと小さいため、Rmが5%まで大きくなっても追尾できている。
Cdが大きくなる方向に変化すると図9(C)のサセプタンスBmのプロットが左方向に移動し、Cdが小さくなる方向に変化するとサセプタンスBmのプロットが右方向に移動する。一方、Cdが変化しても、コンダクタンスGmはほとんど変化しないが、図11(D)のように、駆動周波数はfrやf2を高度に追尾しており、駆動周波数とfaの誤差も十分に小さい。
以上述べた通り、本発明によれば、振動子の共振周波数などを追尾して、所定の条件で振動子を駆動することができる。
1 電源(直流定電圧源)
1’ 電源(直流定電流源)
2 電流検出部
3 エラーアンプ
4 基準電源
5 電圧制御発振器(VCO)
6 駆動部
7 振動子
1’ 電源(直流定電流源)
2 電流検出部
3 エラーアンプ
4 基準電源
5 電圧制御発振器(VCO)
6 駆動部
7 振動子
Claims (10)
- (電源電圧又は振動子の駆動電圧)÷(電源消費電流又は振動子に流れる電流)が一定になるように駆動周波数を制御することによって、所定の条件で振動子を駆動することを特徴とする、振動子の駆動回路。
- 前記(電源電圧又は振動子の駆動電圧)を一定の電圧とし、前記(電源消費電流又は振動子に流れる電流)が一定になるように駆動周波数を制御することによって、所定の条件で前記振動子を駆動することを特徴とする、請求項1に記載の振動子の駆動回路。
- 前記(電源消費電流又は振動子に流れる電流)を一定の電流とし、前記(電源電圧又は振動子の駆動電圧)が一定になるように駆動周波数を制御することによって、所定の条件で前記振動子を駆動することを特徴とする、請求項1に記載の振動子の駆動回路。
- 駆動部がスイッチング回路で構成されることを特徴とする、請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の振動子の駆動回路。
- 駆動部がスイッチング回路で構成され、前記スイッチング回路の出力であるPWM波、疑似正弦波又はパルス波を、そのまま又はフィルタ回路を経由して前記振動子に与えることを特徴とする、請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の振動子の駆動回路。
- (電源電圧又は振動子の駆動電圧)÷(電源消費電流又は振動子に流れる電流)が一定になるように駆動周波数を制御することによって、所定の条件で振動子を駆動することを特徴とする、振動子の駆動方法。
- 前記(電源電圧又は振動子の駆動電圧)を一定の電圧とし、前記(電源消費電流又は振動子に流れる電流)が一定になるように駆動周波数を制御することによって、所定の条件で前記振動子を駆動することを特徴とする、請求項6に記載の振動子の駆動方法。
- 前記(電源消費電流又は振動子に流れる電流)を一定の電流とし、前記(電源電圧又は振動子の駆動電圧)が一定になるように駆動周波数を制御することによって、所定の条件で前記振動子を駆動することを特徴とする、請求項6に記載の振動子の駆動方法。
- スイッチング回路で構成された駆動部を用いることを特徴とする、請求項6乃至請求項8のいずれか1項に記載の振動子の駆動方法。
- スイッチング回路で構成された駆動部を用い、前記スイッチング回路の出力であるPWM波、疑似正弦波又はパルス波を、そのまま又はフィルタ回路を経由して前記振動子に与えることを特徴とする、請求項6乃至請求項8のいずれか1項に記載の振動子の駆動方法。
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JP2022154416A JP2024048483A (ja) | 2022-09-28 | 2022-09-28 | 振動子の駆動回路及び駆動方法 |
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2022
- 2022-09-28 JP JP2022154416A patent/JP2024048483A/ja active Pending
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