JP2024042690A - 非アルコール性脂肪性肝疾患の予防及び/又は治療薬 - Google Patents

非アルコール性脂肪性肝疾患の予防及び/又は治療薬 Download PDF

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Abstract

【課題】非アルコール性脂肪性肝疾患や非アルコール性脂肪性肝炎の予防及び/又は治療が可能な医薬組成物や薬剤の組み合わせの提供を課題とする。【解決手段】本発明は、非アルコール性脂肪性肝疾患や非アルコール性脂肪性肝炎の予防及び/又は治療のためのチアゾリジン系誘導体とナトリウム・グルコース共役輸送体2(SGLT2)阻害剤との組合せを提供する。【選択図】なし

Description

新規性喪失の例外適用申請有り
本発明は、非アルコール性脂肪性肝疾患の予防及び/又は治療薬に関する。
非アルコール性脂肪性肝疾患(nonalcoholic fatty liver disease、NAFLD)は、アルコール性肝炎やウイルス性肝炎によらない脂肪性肝障害であり、一般人口の約3割に見られると推定されている。NAFLDは、肝細胞の脂肪沈着のみによる比較的予後の良好な単純性脂肪肝(simple steatosis)から、比較的重症の肝組織の線維化、肝硬変、肝細胞癌に至ることがある非アルコール性脂肪性肝炎(nonalcoholic steatohepatitis、NASH)までの症状を含めた総称である。近年ではC型肝炎を代表とするウイルス性肝炎の治療法が急速に進歩しており、将来的にはウイルスによる肝癌患者数の減少が見込まれる一方で、NASHを基盤にした肝癌患者数の増加が懸念されている(非特許文献1~3)。
NAFLD発症の機序としては、肝細胞への脂肪の蓄積の段階と炎症・線維化が進展する段階を分けた、「Two hit theory」が広く知られているが(非特許文献4)、近年では、他因子が同時並行で病態進行に関与する「Multiple-parallel hit theory」が提唱されている(非特許文献5)。NASHの診断に際しては、肝細胞の風船様変性(Ballooning)、Mallory-Denk体、及び線維化が重要な因子であり、日本消化器病学会のNAFLD/NASH診療ガイドラインでは、病理学的診断基準として「肝細胞の大滴性脂肪化に加えて、炎症を伴う肝細胞の風船様変性を認めるものをNASHとする」と定義されている。
Matteoniらは予後に重点を置いて病理所見からNAFLDを4段階に分け、Type3と4をNASHと定義している(非特許文献3、6)。肝細胞の肥大化及び風船様変性は肝細胞中の脂肪蓄積に由来する、細胞骨格が変性を来たした所見であり、これらの指標はNASHか否かを鑑別する上で重要な所見である。
NAFLDの治療の原則は、食事療法、運動療法などの生活習慣の改善により、背景にある肥満、糖尿病、脂質異常症、高血圧を是正することにある。臨床では、生活習慣の改善に加えて、インスリン抵抗性、脂質代謝異常、高血圧、酸化ストレス等を標的とした薬物治療が行われている。インスリン抵抗性に対しては、インスリン感受性の増強作用にかかわる核内受容体PPARγのリガンドであるチアゾリジン系誘導体(ピオグリタゾンやロシグリタゾン等)、あるいは、ビグアナイド系薬物(メトホルミン等)等のインスリン抵抗性改善薬が使用されている。脂質代謝異常に対しては、PPARαアゴニストであるフィブラート系薬物(フェノフィブラート、ベザフィブラート等)、スタチン系製剤、小腸コレステロール再吸収阻害薬(エゼチミブ等)等が、高血圧治療剤としては、アンジオテンシンIIタイプ1受容体拮抗薬(ARB)等が使用されている(非特許文献1、3)。
この他、抗酸化剤として、ビタミンE等が使用されている。
これらの薬物治療は、患者の基礎疾患等により適宜選択される。しかし、いずれの薬物治療も更なる検証が必要とされ、NAFLDの薬物療法として評価が定まったものは現在のところない。
チアゾリジン系誘導体では、NASHに対するピオグリタゾンやロシグリタゾンの臨床試験報告があり、肝組織像の改善が示されている(非特許文献7~10)。一方、ナトリウム・グルコース共役輸送体2(SGLT2)阻害剤(非特許文献11)であるレモグリフロジンが臨床で作用検討がなされ、NASHの改善作用が報告されている(非特許文献12)。世界的なメタボリックシンドローム患者の増加に伴い、NASHの患者数の増加も予測されている。NASHは癌関連死の大きな要因を占める非ウイルス性肝細胞癌の原因と考えられる(非特許文献13)ことから、より有効な治療法の確立が望まれている。
Chalasani N. et al. Hepatology, 55, 2005-23 (2012) Musso G. et al. Nat. Rev. Drug Discov. 15(4), 249-74 (2016.1) 日本消化器病学会 NAFLD/NASH診療ガイドライン2014 Day CP. et al, Gastroenterology, 114(4), 842-5 (1998) Tilg H. et al. Hepatology, 52, 1836-46 (2010) Matteoni CA. et al. Gastroenterology, 116, 1413-9 (1999) Belfort R. et al. N. Engl. J. Med., 355, 2297-2307 (2006) Aithal GP. et al. Gastroenterology, 135, 1176-1184 (2008) Ratziu V. et al. Gastroenterology, 135, 100-110 (2008) Sanyal AJ. et al. N. Engl. J. Med., 362, 1675-1685 (2010) Washburn WN. et al. Expert Opin. Investig. Drugs (2013) 22(4):463-486 Wilkison W. et al. Abstract O047. International Liver Congress; April 22-26, 2015 Fujii M. et al. Med. Mol. Morphol, 46, 141-52 (2013)
本発明の課題は、NAFLDやNASHの予防及び/又は治療が可能な医薬組成物や薬剤の組み合わせを提供することにある。
かかる現状に鑑み、本発明者らは、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)、特に症状の重い非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)の予防及び/又は治療に有用な方法を見出すべく、NASH患者を対象に鋭意検討を行ったところ、チアゾリジン系誘導体とSGLT2阻害剤とを組み合わせて使用することで、肝脂肪量や肝硬化度の低下や緩和を来し、ひいてはNAFLD及びNASHの予防及び/又は治療作用を見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、チアゾリジン系誘導体とSGLT2阻害剤との組み合わせを特徴とする組成物やキット等に関する。より具体的には、次の[1]から[54]に関する。
[1]チアゾリジン系誘導体とSGLT2阻害剤とを組み合わせてなる肝疾患の予防及び/又は治療剤。
[2]肝疾患が非アルコール性脂肪性肝疾患である、前記[1]に記載の予防及び/又は治療剤。
[3]非アルコール性脂肪性肝疾患が非アルコール性脂肪性肝炎である、前記[2]に記載の予防及び/又は治療剤。
[4]非アルコール性脂肪性肝疾患における脂肪肝改善作用及び/又は肝線維化改善作用を有するものである、前記[2]に記載の予防及び/又は治療剤。
[5]肝疾患が肝硬変又は肝細胞癌である、前記[1]に記載の予防及び/又は治療剤。
[6]チアゾリジン系誘導体が、ピオグリタゾンである、前記[1]~[5]のいずれかに記載の予防及び/又は治療剤。
[7]SGLT2阻害剤が、トホグリフロジンである、前記[1]~[6]のいずれかに記載の予防及び/又は治療剤。
[8]配合剤である前記[1]~[7]のいずれかに記載の予防及び/又は治療剤。
[9]キットである前記[1]~[7]のいずれかに記載の予防及び/又は治療剤。
[10]チアゾリジン系誘導体とSGLT2阻害剤とを組み合わせてなる医薬であって、肝疾患の予防及び/又は治療における使用のための医薬。
[11]肝疾患が非アルコール性脂肪性肝疾患である、前記[10]に記載の医薬。
[12]非アルコール性脂肪性肝疾患が非アルコール性脂肪性肝炎である、前記[11]に記載の医薬。
[13]非アルコール性脂肪性肝疾患における脂肪肝改善作用及び/又は肝線維化改善作用を有するものである、前記[11]に記載の医薬。
[14]肝疾患が肝硬変又は肝細胞癌である、前記[10]に記載の医薬。
[15]チアゾリジン系誘導体が、ピオグリタゾンである、前記[10]~[14]のいずれかに記載の医薬。
[16]SGLT2阻害剤が、トホグリフロジンである前記[10]~[15]のいずれかに記載の医薬。
[17]配合剤である前記[10]~[16]のいずれかに記載の医薬。
[18]キットである前記[10]~[16]のいずれかに記載の医薬。
[19]チアゾリジン系誘導体、SGLT2阻害剤及び薬学的に許容される担体を含有する肝疾患の予防及び/又は治療のための医薬組成物。
[20]肝疾患が非アルコール性脂肪性肝疾患である、前記[19]に記載の医薬組成物。
[21]非アルコール性脂肪性肝疾患が非アルコール性脂肪性肝炎である、前記[20]に記載の医薬組成物。
[22]非アルコール性脂肪性肝疾患における脂肪肝改善作用及び/又は肝線維化改善作用を有するものである、前記[20]に記載の医薬組成物。
[23]肝疾患が肝硬変又は肝細胞癌である、前記[19]に記載の医薬組成物。
[24]チアゾリジン系誘導体が、ピオグリタゾンである、前記[19]~[23]のいずれかに記載の医薬組成物。
[25]SGLT2阻害剤が、トホグリフロジンである前記[19]~[24]のいずれかに記載の医薬組成物。
[26]予防又は治療を必要とする対象に有効量のチアゾリジン系誘導体と有効量のSGLT2阻害剤とを投与する工程を含む、肝疾患の予防及び/又は治療方法。
[27]肝疾患が非アルコール性脂肪性肝疾患である、前記[26]に記載の予防及び/又は治療方法。
[28]非アルコール性脂肪性肝疾患が非アルコール性脂肪性肝炎である、前記[27]に記載の予防及び/又は治療方法。
[29]非アルコール性脂肪性肝疾患における脂肪肝の改善及び/又は肝線維化の改善をするものである、前記[27]に記載の予防及び/又は治療方法。
[30]肝疾患が肝硬変又は肝細胞癌である、前記[26]に記載の予防及び/又は治療方法。
[31]チアゾリジン系誘導体が、ピオグリタゾンである、前記[26]~[30]のいずれかに記載の予防及び/又は治療方法。
[32]SGLT2阻害剤が、トホグリフロジンである前記[26]~[31]のいずれかに記載の予防及び/又は治療方法。
[33]チアゾリジン系誘導体とSGLT2阻害剤とを同時に投与する前記[26]~[32]のいずれかに記載の予防及び/又は治療方法。
[34]チアゾリジン系誘導体とSGLT2阻害剤とを間隔を置いて別々に投与する前記[26]~[32]のいずれかに記載の予防及び/又は治療方法。
[35]予防又は治療を必要とする対象が、非アルコール性脂肪性肝疾患に罹患したヒトである、前記[26]~[34]のいずれかに記載の予防及び/又は治療方法。
[36]予防又は治療を必要とする対象が、非アルコール性脂肪性肝炎に罹患したヒトである、前記[26]~[34]のいずれかに記載の予防及び/又は治療方法。
[37]肝疾患の予防及び/又は治療剤の製造のための、チアゾリジン系誘導体とSGLT2阻害剤との使用。
[38]肝疾患が非アルコール性脂肪性肝疾患である、前記[37]に記載の使用。
[39]非アルコール性脂肪性肝疾患が非アルコール性脂肪性肝炎である、前記[38]に記載の使用。
[40]非アルコール性脂肪性肝疾患における脂肪肝改善作用及び/又は肝線維化改善作用を有するものである、前記[38]に記載の使用。
[41]肝疾患が肝硬変又は肝細胞癌である、前記[37]に記載の使用。
[42]チアゾリジン系誘導体が、ピオグリタゾンである、前記[37]~[41]のいずれかに記載の使用。
[43]SGLT2阻害剤が、トホグリフロジンである前記[37]~[42]のいずれかに記載の使用。
[44]予防及び/又は治療剤が配合剤である、前記[37]~[43]のいずれかに記載の使用。
[45]予防及び/又は治療剤がキットである、前記[37]~[43]のいずれかに記載の使用。
[46]肝疾患を予防及び/又は治療するための、チアゾリジン系誘導体とSGLT2阻害剤との組合せ。
[47]肝疾患が非アルコール性脂肪性肝疾患である、前記[46]に記載の組合せ。
[48]非アルコール性脂肪性肝疾患が非アルコール性脂肪性肝炎である、前記[47]に記載の組合せ。
[49]非アルコール性脂肪性肝疾患における脂肪肝改善作用及び/又は肝線維化改善作用を有するものである、前記[47]に記載の組合せ。
[50]肝疾患が肝硬変又は肝細胞癌である、前記[46]に記載の組合せ。
[51]チアゾリジン系誘導体が、ピオグリタゾンである、前記[46]~[50]のいずれかに記載の組合せ。
[52]SGLT2阻害剤が、トホグリフロジンである前記[46]~[51]のいずれかに記載の組合せ。
[53]配合剤である、前記[46]~[52]のいずれかに記載の組合せ。
[54]キットである、前記[46]~[52]のいずれかに記載の組合せ。
本発明の治療剤、医薬、医薬組成物、治療方法、使用又は組合せにより、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)や非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)の指標となる肝脂肪量や肝硬化度の低下や緩和が可能であり、NAFLDやNASHに対する新たな予防及び/又は治療を提供することができる。特に、重症度の高いNASHについて予防及び/又は治療を提供することができる。
図1は、NAFLD患者に対して、トホグリフロジン(20mg/日、21症例;◆)又はピオグリタゾン(15-30mg/日、19症例;■)を24週間、それぞれ単独投与を行った場合、及び、前記24週間の投与後にHbA1cが6.5%以上であった患者について、続く24週間にわたりトホグリフロジン(20mg/日)及びピオグリタゾン(15-30mg/日)の併用投与を行った場合の、プロトン密度脂肪分率(PDFF)の推移を示す図である。縦軸は、ベースライン(0週)に対するPDFFの変化率(%)を示す。図中、*はベースラインと比較してp<0.05の有意差があることを、†は単剤投与と比較してp<0.01の有意差があることを、それぞれ示す。 図2は、NAFLD患者に対して、トホグリフロジン(20mg/日、21症例;◆)又はピオグリタゾン(15-30mg/日、19症例;■)を24週間、それぞれ単独投与を行った場合、及び、前記24週間の投与後にHbA1cが6.5%以上であった患者について、続く24週間にわたりトホグリフロジン(20mg/日)及びピオグリタゾン(15-30mg/日)の併用投与を行った場合の、MRエラストグラフィー(MRE)の推移を示す図である。縦軸は、ベースライン(0週)に対するMREの変化(kPa)を示す。図中、*はベースラインと比較してp<0.05の有意差があること示す。
本発明において、チアゾリジン系誘導体とは、核内受容体の1つであるペルオキシソーム増殖剤応答性レセプター(PPAR)ファミリー中、インスリン感受性の増強作用に関与するPPARγ型受容体を活性化する化合物の総称を意味する。具体的には、ピオグリタゾン、ロシグリタゾンやロベグリタゾン等が挙げられる。ピオグリタゾン、ロシグリタゾンやロベグリタゾンは市販品として入手することができ、例えば、ピオグリタゾンは、日本においてピオグリタゾン塩酸塩の錠剤として商品名アクトス(登録商標)の医薬品が知られている。
本発明において、SGLT2阻害剤とは、腎臓におけるグルコース再吸収に関わるナトリウム・グルコース共役輸送体2(SGLT2)に対して阻害活性を有する化合物の総称を意味する。具体的には、ダパグリフロジン、カナグリフロジン、イプラグリフロジン(ASP1941)、エンパグリフロジン(BI 10773)、ルセオグリフロジン(TS-071)、トホグリフロジン(CSG452)、エルツグリフロジン(PF-04971729)、ソタグリフロジン(LX-4211)、ベキサグリフロジン(EGT-1442)、レモグリフロジン(KGT-1681)等が挙げられる。なお、これらの化合物はそれぞれ、適宜薬学的に許容される塩及び/又は溶媒和物として用いられることがあるが、本発明はそれらも全て包含する。
トホグリフロジンは、化合物(1S,3’R,4’S,5’S,6’R)-6-[(4-エチルフェニル)メチル]-6’-(ヒドロキシメチル)-3’,4’,5’,6’-テトラヒドロ-3H-スピロ[2-ベンゾフラン-1,2’-ピラン]-3’,4’,5’-トリオールの一般名である。トホグリフロジンは、例えばトホグリフロジン一水和物として使用することができる。
トホグリフロジンは、例えばWO2006/080421号等に記載の方法に従って製造することができる。また、文献に記載の公知の方法に準じて製造することもできる。さらに、日本においてはトホグリフロジン水和物の錠剤として商品名デベルザ(登録商標)の医薬品として知られており、市販品として入手することができる。
本発明において、肝疾患とは、脂肪肝、肝炎、NAFLD、NASH、肝硬変及び肝細胞癌等の肝臓がん等が挙げられる。
配合剤とは、1つの製剤に複数の有効成分を含有する医薬品のことである。本発明においては、チアゾリジン系誘導体とSGLT2阻害剤のそれぞれの有効量を含有する1の錠剤が、例として挙げられる。
キットとは、複数の薬剤を同時に又は間隔を置いて別々に服用又は投与されるための、医薬品の組み合わせのことである。本発明においては、チアゾリジン系誘導体の有効量を含有する医薬品とSGLT2阻害剤の有効量を含有する医薬品を組み合わせたものが、例として挙げられる。
NASHにおいては、脂肪肝が進展すると共に、肝臓の線維化が進展する。後記実施例に示すとおり、トホグリフロジンとピオグリタゾンとの併用は、NAFLD患者におけるPDFFやMREを有意に低下させた。従って、本発明のチアゾリジン系誘導体とSGLT2阻害剤との併用は、NASHの予防及び/又は治療剤として有用である。
本発明のチアゾリジン系誘導体とSGLT2阻害剤とを組み合わせてなる治療剤、医薬等は、単独又は他の薬学的に許容される担体を用いて、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、粉末剤、ローション剤、軟膏剤、注射剤、座剤等の剤型とすることができ、これらの製剤は、公知の方法で製造することができる。
本発明のチアゾリジン系誘導体とSGLT2阻害剤とを組み合わせてなる治療剤、医薬等は、経口投与又は非経口投与により投与される。投与量は、当業者であれば、患者の体重、年齢、性別、症状等によって適宜設定することができるが、チアゾリジン系誘導体としてピオグリタゾンを成人に投与する場合、一日0.1~1000mg、好ましくは1~100mg、より好ましくは5~50mgを1~3回に分けて投与するのが好ましい。また、SGLT2阻害剤としてトホグリフロジンを用いる場合、一日0.1~100mg、好ましくは1~50mgを、それぞれ1~3回に分けて投与するのが好ましい。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれら実施例により何ら限定されるものではない。
実施例1 トホグリフロジンとピオグリタゾンとの併用療法によるNAFLD改善効果
2型糖尿病でMRI-PDFF(magnetic resonance imaging-proton density fat fractation:磁気共鳴画像法-プロトン密度脂肪分率)が10%以上のNAFLD患者40症例を対象に、トホグリフロジン(20mg/日、21症例)又はピオグリタゾン(15-30mg/日、19症例)を24週間、それぞれ単独投与した。24週間後にHbA1cが6.5%以上であった症例には追加でトホグリフロジン(20mg/日)及びピオグリタゾン(15-30mg/日)を24週間にわたって併用投与し、肝脂肪量の指標であるMRI-PDFF及び肝硬化度の指標であるMRE(magnetic resonance elastography:MRエラストグラフィー)を評価した。
24週目時点でのMRI-PDFF改善効果は、トホグリフロジン投与群(有効解析症例数20症例)、ピオグリタゾン投与群(有効解析症例数12症例)でそれぞれ-3.4%、-5.6%であった。併用投与を終了した48週目では、トホグリフロジンにピオグリタゾンを追加投与した群では-5.7%となり、ピオグリタゾンにトホグリフロジンを追加投与した群では-6.4%となり、さらなる低下(改善)効果が認められた(図1)。
一方、24週目時点でのMRE改善効果は、トホグリフロジン投与群(有効解析症例数20症例)、ピオグリタゾン投与群(有効解析症例数12症例)でそれぞれ-0.12%、-0.43%であった。併用投与を終了した48週目では、トホグリフロジンにピオグリタゾンを追加投与した群では-0.27%となり、ピオグリタゾンにトホグリフロジンを追加投与した群では-0.62%となり、さらなる低下(改善)効果が認められた(図2)。
以上の結果から、本発明のトホグリフロジンとピオグリタゾンを併用することにより、NAFLD患者における肝脂肪量及び肝硬化度の低下効果が著明に認められた。これらはNAFLDやNASHの病態を改善することであり、ひいてはそれら疾患の終末病態である肝硬変、肝細胞癌の予防にもつながる。
チアゾリジン系誘導体とSGLT2阻害剤を併用投与することにより、NAFLDやNASHに対し予防及び/又は治療効果を示したことから、チアゾリジン系誘導体とSGLT2阻害剤との組み合わせを特徴とする本発明は産業上の利用可能性を有している。

Claims (16)

  1. チアゾリジン系誘導体とSGLT2阻害剤とを組み合わせてなる肝疾患の予防及び/又は治療剤。
  2. 肝疾患が非アルコール性脂肪性肝疾患である、請求項1に記載の予防及び/又は治療剤。
  3. 非アルコール性脂肪性肝疾患が非アルコール性脂肪性肝炎である、請求項2に記載の予防及び/又は治療剤。
  4. 非アルコール性脂肪性肝疾患における脂肪肝改善作用及び/又は肝線維化改善作用を有するものである、請求項2に記載の予防及び/又は治療剤。
  5. 肝疾患が肝硬変又は肝細胞癌である、請求項1に記載の予防及び/又は治療剤。
  6. チアゾリジン系誘導体が、ピオグリタゾンである、請求項1~5のいずれか1項に記載の予防及び/又は治療剤。
  7. SGLT2阻害剤が、トホグリフロジンである、請求項1~5のいずれか1項に記載の予防及び/又は治療剤。
  8. SGLT2阻害剤が、トホグリフロジンである、請求項6に記載の予防及び/又は治療剤。
  9. 配合剤である請求項1~5のいずれか1項に記載の予防及び/又は治療剤。
  10. 配合剤である請求項6に記載の予防及び/又は治療剤。
  11. 配合剤である請求項7に記載の予防及び/又は治療剤。
  12. 配合剤である請求項8に記載の予防及び/又は治療剤。
  13. キットである請求項1~5のいずれか1項に記載の予防及び/又は治療剤。
  14. キットである請求項6に記載の予防及び/又は治療剤。
  15. キットである請求項7に記載の予防及び/又は治療剤。
  16. キットである請求項8に記載の予防及び/又は治療剤。
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