JP2024039701A - 異音検査方法および装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】完成車検査工程でのホーン検査の際に周囲のノイズの影響を抑制すると同時に、音源分離処理に伴う歪による誤判定を少なくする。【解決手段】検査ライン上の車両から音を第1のマイクロフォンで集音し(S1)、ホーン等の評価対象音であると判定したら音データを切り出す(S2)。第2のマイクロフォンの音データを同時に切り出し(S3)、これを用いて音源分離処理を行う(S4)。音源分離処理後の音データのSNRを算出し(S5)、所定の閾値と比較する(S6)。SNRが閾値以上であれば、音源分離処理後の音データを異音判定対象の音データとして選択し(S8)、閾値未満であれば、音源分離処理前の音データを異音判定対象の音データとして選択(S7)して、正常音であるか異常音であるかの判定を行う(S9)。【選択図】図2

Description

この発明は、検査対象から発せられる音が正常音であるか異常音であるかの検査を行う異音検査技術に関する。
例えば、自動車生産ラインの最終段階となる完成車検査工程においては、フリーローラ上で検査員が検査対象となる完成車両の試走を行い、エンジン、メータ類、ブレーキ、ホーン、灯火、等について多数の項目の検査を行う。一般に、この検査工程の中で、車両の各部で発する種々の音について、検査員の感覚に基づくいわゆる官能評価によって異常の有無の判定がなされる。例えば、ホーンについては、検査員がホーンを鳴らし、自らその音を聞いて正常な音であることを確認する検査がなされる。加速時にエンジンから生じる音やブレーキ操作時にブレーキから生じる音等についても同様に官能検査の対象となる。
このような官能検査に代えて、音をマイクロフォンで取得して、その信号の解析により異常を検出する試みが従来からなされている。このようにマイクロフォンで取得した音を用いた異音検査では、検査対象以外の箇所や他の機器等で生じる音つまりノイズが大きな問題となる。
このような周囲のノイズの問題に対処するために、マイクロフォンアレイや適当な距離に配置した複数本のマイクロフォンを用い、ビームフォーミング法等の手法によるノイズ抑制処理つまり音源分離処理を行うことが知られている(例えば特許文献1等)。
特許第6520206号公報
公知の音源分離処理は、ノイズ除去の観点からは有効であるが、同時に、音源分離処理後の音が原音に対して必ず歪を生じる、という本質的な問題がある。そのため、音源分離処理を行った結果、音の歪により、本来は正常音であった検査対象からの音が異常音であると誤判定してしまうことが生じ得る。
この発明に係る異音検査方法は、
検査対象から発せられる音を第1のマイクロフォンを介して取得し、
取得した音が検査対象の音であるかどうかを判定して、検査対象の音を含む期間の音データを切り出し、
第1のマイクロフォンとは異なる位置にある第2のマイクロフォンを介して同時期に取得した第2の音を用いて、上記音データの音源分離処理を行い、
音源分離処理後の音データのSNRを算出し、
算出したSNRを閾値と比較し、
SNRが閾値以上であれば音源分離処理後の音データを、閾値未満であれば音源分離処理前の音データを、異音判定対象の音データとして選択し、
選択した音データの特徴を解析して正常音であるか異常音であるかを判定する。
第1のマイクロフォンによる検査対象の音の取得に併せて第2のマイクロフォンによる音の取得を行うことで、公知の種々の手法により、音源分離処理が可能である。
ここで、音源分離処理後の音データのSNR(signal-noise ratio)が小さいということは、第1のマイクロフォンを介して取得した音の中で本来の検査対象の音に重畳しているノイズ成分が比較的小さいことを意味している。あるいは、ノイズ成分は重畳しているものの結果として十分にノイズを除去できなかったことを意味している。このような場合、音源分離処理によるノイズ除去というメリットに比較して音の歪が加わるデメリットが相対的に大きくなり、不必要な誤判定が生じ得る。そのため、本発明では、音源分離処理後の音データのSNRが所定の閾値以上であることを条件として音源分離処理後の音データを用いて正常音・異常音の判定を行い、音源分離処理後の音データのSNRが所定の閾値未満である場合は、歪を伴わない音源分離処理前の音データをそのまま用いて正常音・異常音の判定を行う。
この発明によれば、音源分離処理に伴う歪による異常音であるとの誤判定をより少なくすることができる。
この発明を自動車の完成車検査工程における異音検査に適用した第1実施例の機能ブロック図。 第1実施例の処理の流れを示すフローチャート。 第1実施例の表示部における表示例を示した説明図。 第1実施例の表示部における他の表示例を示した説明図。 第2実施例の機能ブロック図。 第2実施例の処理の流れを示すフローチャート。 第2実施例の表示部における表示例を示した説明図。 第3実施例の機能ブロック図。 第3実施例の処理の流れを示すフローチャート。 スペクトログラムを用いた歪算出の説明図。 異音判定対象の音データの選択手法の説明図。 異音判定対象の音データの他の選択手法の説明図。 第4実施例の機能ブロック図。 第4実施例の処理の流れを示すフローチャート。 第4実施例の表示部における表示例を示した説明図。 検査ラインとマイクロフォンとの位置関係の説明図。
以下、この発明を自動車の完成車検査工程における異音検査に適用した一実施例について説明する。一般に、自動車生産ラインの最終段階となる完成車検査工程においては、フリーローラ上で検査員が検査対象となる完成車両の試走を行い、エンジン、トランスミッション、メータ類、ホーン、ブレーキ、等を含む多数の項目の検査を所定の検査順序に従って行う。一実施例の異音検査装置は、車両側から評価対象音であるエンジン音やブレーキ音、ホーン音等の音を取得し、正常音であるか異常音(異音ともいう)であるかの判定を行い、その結果を表示する。例えば、ホーンについては、検査員がステアリングホイール上のホーンスイッチを押圧することでホーンを鳴らし、その音に基づいて、ホーンが正常であるかどうかの判別がなされる。
図1は、第1実施例の異音検査装置の機能ブロック図を示している。第1実施例の異音検査装置は、第1計測部1と、第2計測部2と、評価対象音切り出し部10と、音源分離処理部20と、SNR算出部30と、音データ選択部40と、異音判定データ記憶部50と、正常音・異常音判定部60と、表示画像・映像生成部70と、表示部80と、を含んで構成されている。
第1計測部1は、検査対象の車両から生じる音を取得して電気信号つまり音データとするマイクロフォンと、この音データを一時的に保存する録音部と、を含んでいる。マイクロフォンは、ホーンやブレーキ等の音を含む車両からの音を集音し得るように車両外部に配置される。マイクロフォンの指向性や周波数特性などは、評価対象に合わせて選択されている。通常は、車両へ向けて指向性を有するマイクロフォンが用いられる。
第2計測部2は、第1計測部1と同一の構成を有し、音を取得して電気信号つまり音データとするマイクロフォンと、この音データを一時的に保存する録音部と、を含んでいる。この第2計測部2のマイクロフォンは、第1計測部1で取得した音に対する後述する音源分離処理つまりノイズ除去処理のために、第1計測部1のマイクロフォンとは異なる位置に配置される。
ここで、図16は、好ましい一実施例における第1計測部1のマイクロフォンと第2計測部2のマイクロフォンとの位置関係を示している。この例では、完成車検査を行う建屋の中に、複数(例えば3つ)の検査ライン101,102・・・が隣接して配置されており、各検査ラインにおいて、各々検査対象とする車両111,112・・・の種々の検査が並行して行われるようになっている。そして、各々の検査ライン101,102・・・において、それぞれ車両111,112・・・に向かうように、マイクロフォン121,122・・・が配置されている。このような検査ラインの構成において、例えばある検査ライン101上の車両111の異音検査においては、当該検査ライン101に配置されたマイクロフォン121が第1計測部1のマイクロフォンとして利用され、隣接する検査ライン102のマイクロフォン122が第2計測部2のマイクロフォンとして利用される。同様に、検査ライン102上の車両112の異音検査においては、マイクロフォン122が第1計測部1のマイクロフォンとして利用され、隣接する検査ライン101(あるいは反対側に隣接する検査ライン)のマイクロフォン121が第2計測部2のマイクロフォンとして利用される。つまり、複数の検査ラインのマイクロフォンが相互に第1計測部1および第2計測部2のマイクロフォンとして利用される。
評価対象音切り出し部10は、第1計測部1において取得される音データの音圧や音圧の時間特性、周波数や周波数の時間特性、吹鳴時間長やその他評価対象音特有の特徴などを抽出して、取得されている音が評価対象音であるかどうかを判定し、評価対象音を含む期間(例えば数秒程度)の音データを切り出す。評価対象音は、例えば自動車のホーン音やエンジン音、ブレーキ音などであり、予め検査項目として挙げられているものである。
評価対象音を特定するための音の周波数の解析には、例えば、FFT(Fast Fourier Transform)やウェーブレット解析などの周波数解析手法を用いることができる。例えば、横軸を周波数、縦軸をパワー(あるいは音圧)、とした周波数スペクトルに変換したり、時間毎の変換結果を時系列に重ね合わせることで、時間を含む三次元データであるいわゆるスペクトログラムとして、評価対象音の判定を行うことができる。人の聴覚感度の周波数特性であるA特性やC特性などを乗じて、聴覚感度に合わせた周波数特性にしてもよい。なお、STFT(short-term Fourier transform)等の技術を用いることで、音データの取得と並行して実質的にリアルタイムに評価対象音の判定および音データの切り出しを行うことが可能である。
ここで切り出されたある時間長の音データは、どのような形のデータであってもよい。例えば、周波数変換前の波形データの形であってもよく、変換後のスペクトログラム等であってもよい。一つの例では、評価対象音切り出し部10において、スペクトログラムの形で音データが切り出され、以後の処理では、必要に応じて、周波数スペクトルや、音圧ないしパワーと時間とをパラメータとした波形データに逆変換される。
評価対象音切り出し部10は、上記のように第1計測部1において取得した音データについて評価対象音を含む期間の音データを切り出したときに、同じ時期(期間)について第2計測部2において取得した音データの切り出しを行う。つまり、評価対象音(例えばホーン音)を含むある期間について、第1計測部1のマイクロフォンを介して取得した音データと第2計測部2のマイクロフォンを介して取得した音データとが得られることとなる。
音源分離処理部20は、第2計測部2のマイクロフォンを介して取得した音データを用いて、第1計測部1のマイクロフォンを介して取得した評価対象音を含む音データの音源分離処理を行う。つまり、ノイズ音を含む第1計測部1の音データから評価対象音を分離する。一つの例では、それぞれスペクトログラムに変換されている2つの一定期間の音データを用いて、音源分離処理を行う。
音源分離処理には種々の方式のものが既に知られており、ここでは、いかなる方式のものであってもよい。例えば、ビームフォーミング法やこれに類する手法を用いることができる。ビームフォーミング法は、よく知られているように、δ:遅延時間、d:マイクロフォン間隔、θ:音の到達角度、として、「δ=d・sinθ」という関係を利用して音源分離を行う。そのほか、音源の種類や空間的な位置の知識などを用いないいわゆるブラインド音源分離の適用も可能である。
SNR算出部30は、音源分離処理後の音データのSNRを算出する。例えば、一般的な下記式を用いてSNRを算出する。
SNR=10log(Σ(st)/Σ(st’-st))-10log(Σ(st)/Σ(xt-st)
ここで、stはクリーン信号つまり本来の評価対象音(例えば静かな環境で取得したホーン音等)の信号、st’は音源分離処理後の信号、xtは観測信号つまり音源分離処理前の信号、のそれぞれ音圧ないしパワーである。
ここで算出されるSNRは、dBを単位とし、一般にマイナス表記となるが、その絶対値が大きいほどノイズ除去効果が大きいことを示す。
音データ選択部40は、異音判定対象の音データとしてどの音データを用いるかを選択する。この実施例では、SNR算出部30において算出されたSNRを所定の閾値と比較し、SNRが閾値以上であれば音源分離処理後の音データを、閾値未満であれば音源分離処理前の音データを、異音判定対象の音データとして選択する。
正常音・異常音判定部60は、異音判定対象の音データの特徴を解析し、異音判定データ記憶部50に格納された異音判定用のデータを参照して、正常音であるか異常音であるかの判定を行う。例えば、音質を定める音圧や周波数特性を用いて正常音であるか異常音であるか判定する。そのほか、ISOで規定されている音質、音色の指標である、ラウドネス、ラフネス、シャープネス、ビート(変動音)などを用いても良い。
異音判定データ記憶部50には、ホーン音やエンジン音、ブレーキ音などの評価対象音毎に、例えば種々の特徴やその正常・異常判断の閾値等がデータベースとして蓄積されている。例えば、ホーンの場合は、対象部品がホーンで車種が車種Aとした場合の正常音の音圧範囲(例えば、〇〇~△△dB)が異音判定データ記憶部50から読み出され、この範囲を外れている場合には異常音であると判定される。あるいは、周波数特性として、異常な音の特徴であるピーク周波数の出現する周波数と音圧の組み合わせ(例えば、第1ピークは、〇〇Hz, △△dB、第2ピークは、〇〇Hz, △△dB・・・・、等)が異音判定データ記憶部50に記憶されており、これと類比判断することで、正常音と異常音との判定がなされる。
エンジン音の場合は、前述したスペクトログラムを利用して正常音であるか異常音であるかの判定が可能である。つまり、多数の検査対象についてエンジン音のスペクトログラムを生成し、その描画画像を学習して、画像の明暗の線の間隔、長さ、傾きなどの特徴量を抽出し、その特徴量の閾値を正常音・異常音の判定基準として、異音判定データ記憶部50に格納する。そして、異音判定対象の音データのスペクトログラムの特徴量と比較することで、正常音であるか異常音であるかを判定する。また、スペクトログラム以外にも、メルケプストラムなどの音情報を定量化・可視化する手段を利用してもよい。
また、正常である音の音データもしくは周波数データ(周波数スペクトルやスペクトログラム等)そのものを異音判定データ記憶部50に蓄積しておき、これとの類比判断により正常音であるか異常音であるかの判定を行うようにしてもよい。なお、本実施例によって毎回実行される新たな検査の音データや判定結果も異音判定データ記憶部50に蓄積されていき、特徴の抽出等に利用される。
なお、正常音・異常音判定部60としては、上記の例に限らず、正常音と異常音とを識別する公知の適当な方法を利用することが可能である。
表示画像・映像生成部70は、上記のようにして得られた結果(正常音・異常音)や、結果を求めるまでの処理過程等について、表示部80に表示すべき画像ないし映像を生成する。表示部80は、生成された画像ないし映像を、車両を運転している検査員、製造管理者、データを活用するデータサイエンティストなどの関係者、に対して表示するための表示手段である。例えば、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイ、HMD(Head Mounted Display)、スマートウォッチ、等から構成される。また、音声を伴う場合は、音を生成し発するための音源、アンプ、スピーカ、等を含む。表示画像・映像生成部70は、適当な表示を行うために、静止画や動画、アニメーションなど各種表示を生成し、分割、合成、切替表示、等を行う。表示タイミングの制御により複数の表示部80に適切なタイミングで異なる表示を行うなども可能である。
図3は、第1実施例の表示部80における表示例を示した説明図である。この例では、ディスプレイの画面に、上から順に、「(1)抽出した評価音(対象はマイク1)」、「(2)SNR算出結果」、「(3)音源分離判定」、「(4)正常・異常判定結果」の4つの項目が設けられており、それぞれ、「ホーン音」、「-9.32dB」、「閾値:-5dB/音源分離済音を使用」、「正常音」と結果が記載されている。また、ディスプレイの右上部分には、第1計測部1(マイク1と表記)および第2計測部2(マイク2と表記)の各々の音源分離前と音源分離済の音データが、縦軸を音圧とし横軸を時間とした二次元グラフの形で図示されている。つまり、図3の例は、音源分離処理後の音データのSNRが閾値以上であったことから音源分離処理後の音データを用いて正常・異常の判定を行った結果、正常音であったことを示している。
図4は、第1実施例の表示部80における他の表示例を示した説明図である。この例では、「(1)抽出した評価音(対象はマイク1)」、「(2)SNR算出結果」、「(3)音源分離判定」、「(4)正常・異常判定結果」の4つの項目に対し、それぞれ、「ホーン音」、「-1.98dB」、「閾値:-5dB/音源分離前音を使用」、「正常音」と結果が記載されている。つまり、図4の例は、音源分離処理後の音データのSNRが閾値未満であったことから音源分離処理前の音データを用いて正常・異常の判定を行った結果、正常音であったことを示している。
このようにSNRが閾値未満であることは、第1計測部1で取得した音の中で本来の検査対象の音に重畳しているノイズ成分が比較的小さいことを意味している。あるいは、ノイズ成分は重畳しているものの結果として十分にノイズを除去できなかったことを意味している。このような場合、音源分離処理によるノイズ除去というメリットに比較して音の歪が加わるデメリットが相対的に大きくなり、不必要な誤判定が生じ得る。従って、SNRが閾値未満である場合に音源分離処理前の音データを異音判定対象の音データとして用いることで、音源分離処理に伴う歪による異常音であるとの誤判定をより少なくすることができる。なお、SNRが閾値以上である場合も音源分離処理による音の歪は当然に生じているが、この場合は、SNR向上による判定精度の向上のメリットが相対的に大きくなる。従って、SNRの閾値は、両者を勘案して適切に設定する必要がある。
図2は、上記の第1実施例の異音検査装置の処理の流れをフローチャートとして示したものである。まず初めに、第1計測部1のマイクロフォンによってフリーローラ上で試走している車両から例えばホーンの音を含む音を集音し、音データとして取得する(ステップ1)。次に、取得した音が評価対象音(例えばホーン音)であるかどうかを判定し、評価対象音を含む期間の音データを切り出す(ステップ2)。これは、例えばSTFT(short-term Fourier transform)等の技術を用いることで、音データの取得と並行して実質的にリアルタイムに行うことができる。評価対象音であると判定して音データを切り出したら、実質的に同時に、第2計測部2の音データから同じ時間帯の音データを切り出す(ステップ3)。なお、第1計測部1および第2計測部2で取得した音データを一時的に記憶しておいて、例えばホーン音が終了した後に音データの切り出しを行うようにしてもよい。
次に、これら2つの音データを用いて、第1計測部1の音データについて音源分離処理を行い(ステップ4)、さらに、音源分離処理後の音データのSNRを算出する(ステップ5)。一つの例では、2つの音データをそれぞれスペクトログラムに変換した上で音源分離処理を行う。
次に、算出したSNRを所定の閾値と比較する(ステップ6)。SNRが閾値未満であれば、異音判定対象の音データとして音源分離処理前の音データを選択する(ステップ7)。SNRが閾値以上であれば、異音判定対象の音データとして音源分離処理後の音データを選択する(ステップ8)。そして、選択した異音判定対象の音データについて、正常音であるか異常音であるかの判定を行い(ステップ9)、その結果を処理プロセスとともに表示部に表示する(ステップ10)。ホーン音を評価対象音とする一つの例では、スペクトログラムを周波数スペクトルに逆変換した上で、前述したピーク周波数等の特徴に基づいて、正常音であるか異常音であるかの判定を行う。
なお、ステップ1の車両からの音の取得およびステップ2の評価対象音であるか否かの判定は、一連の車両検査中に繰り返し実行される。例えば、ホーン音、加速時のエンジン音、ブレーキ音、の3つを予め評価対象音として設定しておくことで、音の発生タイミングを同期ないし制御する必要がなく、検査員が適当なタイミングで生じさせたホーン音、加速時のエンジン音、ブレーキ音、を認識ないし分別して、各々の処理を行うことができる。つまり、前述した検査ラインの上で、複数種類の異音検査を連続的に行うことができる。
このように、上記実施例では、検査対象となる車両の音を集音するマイクロフォンに加えて隣接した検査ラインが備えるマイクロフォンを利用して音源分離処理を行うので、実質的にマイクロフォンの数を増やさずに周囲のノイズを除去することができ、異音検査の精度が向上する。例えば、エンジン音等が存在する中でホーン等の検査を行うことができる。そして、音源分離処理後の音データのSNRが閾値未満のときには音源分離処理前の音データを用いて正常音・異常音の判定を行うので、音源分離処理に伴う歪による異常音であるとの不必要な誤判定を少なくすることができる。
次に、図5~図7に基づいて第2実施例の異音検査装置について説明する。なお、以下では、第1実施例と異なる部分について主に説明する。第2実施例の異音検査装置は、音源分離処理を複数種類の方式で行い、各々で得られた音源分離処理後の音データの中で最もSNRが大きい音データを異音判定対象の候補とする、点において第1実施例と異なる。
図4は、第2実施例の異音検査装置の機能ブロック図を示している。第2実施例の異音検査装置は、第1実施例と同様に、第1計測部1と、第2計測部2と、評価対象音切り出し部10と、音源分離処理部20Aと、SNR算出部30Aと、音データ選択部40Aと、異音判定データ記憶部50と、正常音・異常音判定部60と、表示画像・映像生成部70と、表示部80と、を含んで構成されている。
音源分離処理部20Aは、前述したように、第2計測部2のマイクロフォンを介して取得した音データを用いて、第1計測部1のマイクロフォンを介して取得した評価対象音を含む音データの音源分離処理を行う。つまり、ノイズ音を含む第1計測部1の音データから評価対象音を分離する。ここで、第2実施例においては、複数種類の音源分離処理を行い、それぞれで音源分離処理後の音データを得る。そして、SNR算出部30Aでは、各々の音源分離処理後の音データについてSNRを算出する。
一実施例では、音源分離処理として、例えば、ビームフォーミング法の固定ビームフォーマ(固定BF)、同じくビームフォーミング法の適用ビームフォーマ(例えばGriffiths-Jimビームフォーマ(GJBF))、ブラインド音源分離の独立低ランク行列分析(ILRMA)、の3つの方式が適用される。勿論、他の公知の音源分離手法を適用することが可能であり、4つ以上の異なる方式での音源分離処理を行ってもよい。
音データ選択部40Aは、前述したように、異音判定対象の音データとしてどの音データを用いるかを選択する。第2実施例では、互いに異なる音源分離処理を経た複数の音データの中でSNRが最も大きい音データを候補とし、この候補の音データのSNRを所定の閾値と比較する。SNRが閾値以上であれば候補である音源分離処理後の音データを、閾値未満であれば音源分離処理前の音データを、異音判定対象の音データとして選択する。閾値は、第1実施例の閾値と同じ値あるいは異なる値となり得る。なお、音源分離処理を経た複数の音データのSNRを先に閾値と比較して閾値以上のものを抽出した上で、その中で最もSNRが大きい音データを選択するようにしてもよい。
図7は、第2実施例の表示部80における表示例を示した説明図である。第1実施例と同様に、ディスプレイの画面に、上から順に、「(1)抽出した評価音(対象はマイク1)」、「(2)SNR算出結果」、「(3)音源分離判定」、「(4)正常・異常判定結果」の4つの項目が設けられている。「(1)抽出した評価音(対象はマイク1)」の欄には「ホーン音」と記載されている。ここで、第2実施例では、「(2)SNR算出結果」の欄には、「ILRMA」、「GJBF」、「固定BF」の3つの方式による音源分離処理後のSNRが、上から値が大きい順に並べた形で表示されている。「(3)音源分離判定」の欄には「閾値:-3dB/音源分離済音を使用」と記載され、「(4)正常・異常判定結果」の欄には「正常音」と結果が記載されている。また、ディスプレイの右上部分には、第1計測部1(マイク1と表記)および第2計測部2(マイク2と表記)の各々の音源分離前の音データが、縦軸を音圧とし横軸を時間とした二次元グラフの形で図示されている。つまり、図7の例は、ILRMA方式の音源分離処理が最も大きいSNRを有し、この音データのSNRが閾値以上であったことから、音源分離処理後の音データを用いて正常・異常の判定を行った結果、正常音であったことを示している。
図6は、上記の第2実施例の異音検査装置の処理の流れをフローチャートとして示したものである。まず初めに、第1計測部1のマイクロフォンによってフリーローラ上で試走している車両から例えばホーンの音を含む音を集音し、音データとして取得する(ステップ1)。次に、取得した音が評価対象音(例えばホーン音)であるかどうかを判定し、評価対象音を含む期間の音データを切り出す(ステップ2)。評価対象音であると判定して音データを切り出したら、実質的に同時に、第2計測部2の音データから同じ時間帯の音データを切り出す(ステップ3)。
次に、これら2つの音データを用いて、第1計測部1の音データについて音源分離処理を行い(ステップ4)、さらに、音源分離処理後の音データのSNRを算出する(ステップ5)。ここでは、複数種類の方式による音源分離処理を行い、それぞれで得られた音源分離処理後の音データのSNRをそれぞれ算出する。
次に、ステップ11に進み、複数の音源分離処理後の音データの中で最もSNRが大きい音データを異音判定対象の音データの候補とする。そして、この候補の音データのSNRを所定の閾値と比較する(ステップ6)。SNRが閾値未満であれば、異音判定対象の音データとして音源分離処理前の音データを選択する(ステップ7)。SNRが閾値以上であれば、異音判定対象の音データとして候補の音源分離処理後の音データを選択する(ステップ8)。そして、選択した異音判定対象の音データについて、正常音であるか異常音であるかの判定を行い(ステップ9)、その結果を処理プロセスとともに表示部に表示する(ステップ10)。
このように、第2実施例では、音源分離処理後のSNRが最も大きい音データを用いて正常音・異常音の判定を行うので、異音検査の精度がより向上する。
次に、図8~図12に基づいて第3実施例の異音検査装置について説明する。なお、以下では、第2実施例と異なる部分について主に説明する。第3実施例の異音検査装置は、第2実施例と同様に音源分離処理を複数種類の方式で行い、各々で得られた音源分離処理後の音データのSNRを算出するのであるが、さらに、複数の音源分離処理後の音データの音の歪(音源分離処理に伴う原音に対する歪)をそれぞれ求め、SNRと歪の大小との双方を勘案して異音判定対象の音データを選択する、点において第2実施例と異なる。
図8は、第3実施例の異音検査装置の機能ブロック図を示している。第3実施例の異音検査装置は、第2実施例と同様に、第1計測部1と、第2計測部2と、評価対象音切り出し部10と、音源分離処理部20Aと、SNR算出部30Aと、音データ選択部40Bと、異音判定データ記憶部50と、正常音・異常音判定部60と、表示画像・映像生成部70と、表示部80と、を含んでおり、さらに、歪算出部90を含んで構成されている。
音源分離処理部20Aは、前述したように、第2計測部2のマイクロフォンを介して取得した音データを用いて、第1計測部1のマイクロフォンを介して取得した評価対象音を含む音データの音源分離処理を行う。つまり、ノイズ音を含む第1計測部1の音データから評価対象音を分離する。ここでは、第2実施例と同じく、複数種類の音源分離処理を行い、それぞれで音源分離処理後の音データを得る。
歪算出部90は、音源分離処理後の音が音源分離処理前の音(原音)に対してどの程度の歪を有しているかを定量的に評価する。特に、ここでは、複数種類の音源分離処理により得られた複数の音データの各々について、歪を算出する。歪の算出は種々の方法が可能であるが、一実施例においては、図10に示すように、音源分離処理前の音データと音源分離処理後の音データとをそれぞれスペクトログラム等の二次元画像に変換し(図10では(a)が音源分離処理前のスペクトログラム、(b)が音源分離処理後のスペクトログラムである)、画像相関法等の手法を用いて2つの画像の類似度を定量化することで、歪を算出する。
なお、図10では、一般的なスペクトログラムの形式に準じて、横軸が時間を表し、縦軸が周波数を表す。そして、各点の明るさおよび色でもって、ある時点のある周波数のパワーないし音圧が表されている。添付した図は白黒画像となっているが、実際のスペクトログラム表示では、例えば、高いパワーは赤色で、中程度のパワーは黄緑色で、低いパワーは青色で、それぞれ色分けされているとともに、それぞれの色の中で明るさが変化することでパワーが示されている。
歪つまり類似度の算出に際しては、異音判定に感度のある、時間帯、周波数帯、音圧範囲、等を予め規定して、その中での類似度を算出するようにしてもよい。また、音源分離処理の遅延などの影響で、評価対象音の開始位置がずれる場合は、その補正を行って開始位置を揃えた上で類似度の算出を行うことが望ましい。なお、他の公知の手法を用いて歪の算出を行うことも可能である。
音データ選択部40Bは、前述したように、異音判定対象の音データとしてどの音データを用いるかを選択する。第3実施例では、互いに異なる音源分離処理を経た複数の音データの中で、SNRが閾値(区別のためにSNR閾値と呼ぶ)以上で、かつ歪が閾値(区別のために歪閾値と呼ぶ)未満の範囲内で、SNRが最も大きい音データを異音判定対象の音データとして選択する。このような適当な候補が存在しない場合は、音源分離処理前の音データを異音判定対象の音データとして選択する。換言すれば、第3実施例ではSNRと歪の双方の点で最良の音データを選択する。
図11は、音データ選択部40Bにおいて最良の音データを決定するための一つの手法を示した説明図である。図11の横軸はSNR値、縦軸は歪量であり、この二次元グラフ上に、説明のために、3つの異なる方式の音源分離処理を経た音データを、「音源分離A」、「音源分離B」、「音源分離C」の3つの点でプロットしてある。二次元グラフの原点には、「音源分離無」として音源分離処理前の音データの点がプロットされる。このような二次元グラフ上において、歪が歪閾値未満でかつSNRがSNR閾値以上である図右下の領域にある音データ(図11の例では音源分離C)が異音判定対象の音データとなる。図右下の領域に候補となる音データが複数存在する場合は、その中で、SNRが最も大きい音データが異音判定対象の音データとなる。他方、図右下の領域に候補となる音データがなければ、音源分離処理前の音データが異音判定対象の音データとなる。
図12は、音データ選択部40Bにおいて最良の音データを決定するための他の一つの手法を示した説明図である。図12の横軸はSNR値、縦軸は歪量であり、この二次元グラフ上に、説明のために、3つの異なる方式の音源分離処理を経た音データを、「音源分離A」、「音源分離B」、「音源分離C」の3つの点でプロットしてある。二次元グラフの原点には、「音源分離無」として音源分離処理前の音データの点がプロットされる。そして、歪閾値とSNR閾値とを組み合わせたものとなる歪SNR閾値が一次関数の形で与えてあり、音データの各点を通る一次関数の傾きでもって音データの良否が評価される。歪SNR閾値の線よりも傾きが大きくなる領域は、歪が歪閾値以上あるいはSNRがSNR閾値未満となり、候補外となる。複数の候補が存在する場合には、各点を通る一次関数の傾きが最も小さな音データ(図12の例では音源分離C)が最良の音データとして選択される。他方、歪SNR閾値の線よりも傾きが小さな領域に候補となる音データがなければ、音源分離処理前の音データが異音判定対象の音データとなる。
なお、第3実施例における表示部80における表示としては、例えば、図7に示したような第2実施例の表示と同様なものでもよく、さらに、歪に関する情報を付加したものであってもよい。
図9は、上記の第3実施例の異音検査装置の処理の流れをフローチャートとして示したものである。まず初めに、第1計測部1のマイクロフォンによってフリーローラ上で試走している車両から例えばホーンの音を含む音を集音し、音データとして取得する(ステップ1)。次に、取得した音が評価対象音(例えばホーン音)であるかどうかを判定し、評価対象音を含む期間の音データを切り出す(ステップ2)。評価対象音であると判定して音データを切り出したら、実質的に同時に、第2計測部2の音データから同じ時間帯の音データを切り出す(ステップ3)。
次に、これら2つの音データを用いて、第1計測部1の音データについて音源分離処理を行い(ステップ4)、さらに、音源分離処理後の音データのSNRを算出する(ステップ5)。ここでは、複数種類の方式による音源分離処理を行い、それぞれで得られた音源分離処理後の音データのSNRをそれぞれ算出する。
次に、ステップ21に進み、複数種類の音源分離処理による複数の音源分離処理後の音データの各々について、音源分離処理前の音データに対し生じた歪を算出する。そして、これら複数の音源分離処理後の音データの歪が所定の歪閾値未満であるかどうかを判定する(ステップ22)。換言すれば、歪が歪閾値未満である候補となり得る音データが存在するかどうかを判定する。
歪が歪閾値未満である音データが存在すれば、ステップ22からステップ11に進み、歪が歪閾値未満である1つあるいは複数の音源分離処理後の音データの中で最もSNRが大きい音データを異音判定対象の音データの候補とする。そして、この候補の音データのSNRを所定の閾値と比較する(ステップ6)。SNRが閾値未満であれば、異音判定対象の音データとして音源分離処理前の音データを選択する(ステップ7)。SNRが閾値以上であれば、異音判定対象の音データとして候補の音源分離処理後の音データを選択する(ステップ8)。
ステップ22において、歪が歪閾値未満である音データが存在しなければ、ステップ22からステップ7に進み、異音判定対象の音データとして音源分離処理前の音データを選択する。
そして、選択した異音判定対象の音データについて、正常音であるか異常音であるかの判定を行い(ステップ9)、その結果を処理プロセスとともに表示部に表示する(ステップ10)。
このように、第3実施例では、歪が歪閾値未満であることを条件として音源分離処理後のSNRが最も大きい音データを用いて正常音・異常音の判定を行うので、歪による異常音であるとの誤判定が少なくなり、異音検査の精度がより向上する。
次に、図13~図15に基づいて第4実施例の異音検査装置について説明する。なお、以下では、第3実施例と異なる部分について主に説明する。第4実施例の異音検査装置は、第3実施例のようにしてSNRと歪との点で最良の音データを異音判定対象の音データとして選択した後に、正常音・異常音の判定を行う前に、この異音判定対象とした音データが本当に評価対象音であるのかどうかを再判定する、点において第3実施例と異なる。
図13は、第4実施例の異音検査装置の機能ブロック図を示している。第4実施例の異音検査装置は、第3実施例と同様に、第1計測部1と、第2計測部2と、評価対象音切り出し部10と、音源分離処理部20Aと、SNR算出部30Aと、音データ選択部40Bと、異音判定データ記憶部50と、正常音・異常音判定部60と、表示画像・映像生成部70と、表示部80と、歪算出部90と、を含んでおり、さらに、評価対象音再判定部11を含んで構成されている。
評価対象音再判定部11は、評価対象音切り出し部10と同様の手法により、異音判定対象とした音データが評価対象音であるのかどうかを再判定する。例えば、評価対象がホーン音である場合、スペクトログラムから周波数スペクトルに逆変換し、音圧や音圧の時間特性、ピーク周波数やピーク周波数とその音圧との組み合わせ、等の評価対象音特有の特徴から評価対象音であるのかどうかを判定する。前述したように評価対象音の種類によっては時間を含む三次元データであるいわゆるスペクトログラムとして評価対象音の判定がなされる。
仮に評価対象音でない場合は、正常音・異常音判定部60における正常音・異常音の判定は行わない。
図15は、第4実施例の表示部80における表示例を示した説明図である。これは、図7に示した第2実施例の表示例に類似しているが、3つ目の項目に「再検知有無」が追加されている。これは、評価対象音再判定部11における再判定を経ているかどうかを示している。図の例では、この項目に対応する欄に、「閾値:-3dB:ILRMAで再検知済」と記載されている。つまり、図15の例は、ILRMA方式の音源分離処理を経た音データが正常音・異常音の判定対象であり、かつ評価対象音であるのかどうかを再判定がなされていることを示している。
図14は、上記の第4実施例の異音検査装置の処理の流れをフローチャートとして示したものである。まず初めに、第1計測部1のマイクロフォンによってフリーローラ上で試走している車両から例えばホーンの音を含む音を集音し、音データとして取得する(ステップ1)。次に、取得した音が評価対象音(例えばホーン音)であるかどうかを判定し、評価対象音を含む期間の音データを切り出す(ステップ2)。評価対象音であると判定して音データを切り出したら、実質的に同時に、第2計測部2の音データから同じ時間帯の音データを切り出す(ステップ3)。
次に、これら2つの音データを用いて、第1計測部1の音データについて音源分離処理を行い(ステップ4)、さらに、音源分離処理後の音データのSNRを算出する(ステップ5)。ここでは、複数種類の方式による音源分離処理を行い、それぞれで得られた音源分離処理後の音データのSNRをそれぞれ算出する。
次に、ステップ21に進み、複数種類の音源分離処理による複数の音源分離処理後の音データの各々について、音源分離処理前の音データに対し生じた歪を算出する。そして、これら複数の音源分離処理後の音データの歪が所定の歪閾値未満であるかどうかを判定する(ステップ22)。換言すれば、歪が歪閾値未満である候補となり得る音データが存在するかどうかを判定する。
歪が歪閾値未満である音データが存在すれば、ステップ22からステップ11に進み、歪が歪閾値未満である1つあるいは複数の音源分離処理後の音データの中で最もSNRが大きい音データを異音判定対象の音データの候補とする。そして、この候補の音データのSNRを所定の閾値と比較する(ステップ6)。SNRが閾値未満であれば、異音判定対象の音データとして音源分離処理前の音データを選択する(ステップ7)。SNRが閾値以上であれば、異音判定対象の音データとして候補の音源分離処理後の音データを選択する(ステップ8)。
ステップ22において、歪が歪閾値未満である音データが存在しなければ、ステップ22からステップ7に進み、異音判定対象の音データとして音源分離処理前の音データを選択する。
このようにして異音判定対象の音データを選択した後、ステップ31において、この音データが評価対象音であるのかどうかを再判定する。評価対象音でない場合は、この音データに基づく正常音・異常音の判定は行わずにステップ1に戻り、それまでのデータは破棄して、再度、第1計測部1による音データの取得等の処理を行う。
異音判定対象の音データとして選択した音データが評価対象音であると判定したら、この選択した異音判定対象の音データについて、正常音であるか異常音であるかの判定を行い(ステップ9)、その結果を処理プロセスとともに表示部に表示する(ステップ10)。
このように、第4実施例では、正常音・異常音の判定の前に本当に評価対象音であるのかどうかを再判定するので、評価対象音ではなかったことによる誤判定が少なくなる。多くの場合は、音源分離処理後の音データを用いて評価対象音であるのかどうかの再判定がなされるので、例えばノイズが重畳していたことにより評価対象音であると誤認識して音データが切り出されたような場合に、異常音であるとの誤判定が未然に回避される。
以上、この発明の一実施例を説明したが、この発明は、上記の実施例に限らず、種々の応用が可能である。上記実施例では自動車の完成車検査工程に適用した例を説明したが、例えば、整備工場での点検整備などでの利用も可能であり、自動車以外の異音検査にも適用が可能である。また、検査対象としては上記のホーン等に限らず、他の何らかの音を生じる部品の音や、アラーム音、報知音等も含めることができる。さらに、ホーンのような検査員の積極的な操作に基づいて音が生じるものに限らず、操作と無関係に検査中に生じる部品音等についても検査対象とすることが可能である。
1…第1計測部
2…第2計測部
10…評価対象音切り出し部
11…評価対象音再判定部
20,20A…音源分離処理部
30,30A…SNR算出部
40,40A,40B…音データ選択部
50…異音判定データ記憶部
60…正常音・異常音判定部
70…表示画像・映像生成部
80…表示部
90…歪算出部
101,102…検査ライン
111,112…車両
121,122…マイクロフォン

Claims (10)

  1. 検査対象から発せられる音を第1のマイクロフォンを介して取得し、
    取得した音が評価対象音であるかどうかを判定して、評価対象音を含む期間の音データを切り出し、
    第1のマイクロフォンとは異なる位置にある第2のマイクロフォンを介して同時期に取得した第2の音を用いて、上記音データの音源分離処理を行い、
    音源分離処理後の音データのSNRを算出し、
    算出したSNRを閾値と比較し、
    SNRが閾値以上であれば音源分離処理後の音データを、閾値未満であれば音源分離処理前の音データを、異音判定対象の音データとして選択し、
    選択した音データの特徴を解析して正常音であるか異常音であるかを判定する、
    異音検査方法。
  2. 判定結果を表示手段に表示する、請求項1に記載の異音検査方法。
  3. 判定結果と、この判定結果を導出した処理プロセスと、を併せて表示する、請求項2に記載の異音検査方法。
  4. 複数種類の音源分離処理を用いて、それぞれ、音源分離処理後の音データを生成し、
    各々の音源分離処理後の音データのSNRを算出し、
    最も大きいSNRを有する音源分離処理後の音データのSNRを上記閾値と比較し、
    SNRが閾値以上であればこの音源分離処理後の音データを、閾値未満であれば音源分離処理前の音データを、異音判定対象の音データとして選択する、
    請求項1に記載の異音検査方法。
  5. 複数種類の音源分離処理を経た上記複数の音源分離処理後の音データの各々について、音源分離処理による音の歪を算出し、
    SNRが閾値以上で、かつ、上記歪が歪閾値未満の音データを、異音判定対象の音データとして選択する、
    請求項4に記載の異音検査方法。
  6. 複数種類の音源分離処理を経た上記複数の音源分離処理後の音データの各々について、音源分離処理による音の歪を算出し、
    SNRを一方のパラメータとし歪を他方のパラメータとした座標上で、SNRと歪との組み合わせの良否を、各音データの点を通る一次関数の傾きで評価して、最良の音データを異音判定対象の音データとして選択する、
    請求項4に記載の異音検査方法。
  7. 正常音であるか異常音であるかの判定を行う前に、
    異音判定対象の音データとして選択した音データが評価対象音であるかどうかを再度判定する、
    請求項4に記載の異音検査方法。
  8. 切り出した音データをスペクトログラムに変換した上で音源分離処理を行い、
    スペクトログラムからなる異音判定対象の音データを逆変換した上で、正常音であるか異常音であるかの判定を行う、
    請求項1に記載の異音検査方法。
  9. 複数の検査ラインで並行して検査を行う自動車の完成車検査工程での異音検査に用いられ、
    1つの検査ラインに設けられたマイクロフォンと他の1つの検査ラインに設けられたマイクロフォンとを、上記第1のマイクロフォンおよび上記第2のマイクロフォンとして相互に用いる、
    請求項1に記載の異音検査方法。
  10. 検査対象から発せられる音を取得する第1の音取得部と、
    第1の音取得部とは異なる位置において音を取得する第2の音取得部と、
    第1の音取得部が取得した音から評価対象音を含む期間の音データを切り出す評価対象音切り出し部と、
    上記音データと同時期に上記第2の音取得部が取得した第2の音を用いて、上記音データの音源分離処理を行う音源分離処理部と、
    音源分離処理後の音データのSNRを算出するSNR算出部と、
    算出したSNRを閾値と比較し、SNRが閾値以上であれば音源分離処理後の音データを、閾値未満であれば音源分離処理前の音データを、異音判定対象の音データとして選択する音データ選択部と、
    選択した音データの特徴を解析して正常音であるか異常音であるかを判定する正常音・異常音判定部と、
    を備えてなる異音検査装置。
    異音検査方法。
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