JP2024039591A - 徐放性粒子及びその製造方法 - Google Patents

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竜太 井上
Ryuta Inoue
樹 森谷
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Abstract

【課題】水溶性生理活性物質の初期バーストを抑制し、機能性食品や医薬等に好適な徐放性に優れる徐放性粒子の提供。【解決手段】水溶性の生理活性物質と、脂溶性の基材とを含有し、表面積/体積の値が0.6以下である徐放性粒子である。【選択図】なし

Description

本発明は、徐放性粒子及びその製造方法に関する。
従来、機能性食品や医薬品などの生理活性物質を体内で徐々に溶解させ、吸収させることができる徐放性製品の開発が行われている。
機能性食品や医薬品では、水溶性の生理活性物質を徐々に溶解させることが求められる。生理活性物質を長期間安定に溶解させるために脂溶性の基材が用いられる。水溶性の生理活性物質と脂溶性の基材を用いて作製した粒子は、粒子外部に生理活性物質が偏在しやすい為、体内に投与後の数時間以内に生理活性物質が大量に溶出する初期バーストが課題となる。初期バーストによる生理活性物質の溶出量が多くなると、生理活性物質の副作用により体に悪影響を及ぼしたり、適切な生理活性物質の投与サイクルの制御が難しくなる。このため、初期バーストを抑制するための試みがなされている。
例えば、使用する生理活性物質の種類及び含有量と、基材の種類、含有量、及び特性と、重量平均粒子径と、を制御したマイクロスフィアが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
また、表面積/体積の値が0.6以下である徐放性粒子が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
本発明は、水溶性生理活性物質の初期バーストを抑制し、機能性食品や医薬等に好適な徐放性に優れる徐放性粒子を提供することを目的とする。
前記課題を解決するための手段としての本発明の徐放性粒子は、水溶性の生理活性物質と、脂溶性の基材とを含有し、表面積/体積の値が0.6以下である徐放性粒子である。
本発明によると、初期バーストを抑制し、機能性食品や医薬等に好適な徐放性に優れる徐放性粒子を提供することができる。
図1は、本実施形態の方法で製造された粒子と噴霧乾燥法で製造された粒子の粒度分布の一例を示す図である。 図2は、液柱共鳴液滴吐出手段の一例を示す概略断面図である。 図3は、粒子の製造装置の一例を示す概略図である。 図4は、粒子の製造装置に用いられる液滴吐出手段の一例を示す概略断面図である。 図5は、粒子の製造装置に用いられる液滴吐出手段の他の一例を示す概略断面図である。 図6は、レイリー分裂液滴吐出手段の一例を示す概略断面図である。
(徐放性粒子)
本発明の徐放性粒子は、水溶性の生理活性物質と、脂溶性の基材とを含有し、必要に応じてその他の材料を含有する。
前記徐放性粒子は、表面積/体積の値が0.6以下である。
本発明者らは、徐放性粒子について検討したところ、以下の知見を得た。
従来技術では、体積平均粒径や重量平均粒子径などの指標、粒子の表面積を用いて、粒子の特性を判断している。本発明者らは、水溶性の生理活性物質の初期バーストを抑制し、徐放性に優れる徐放性粒子は、脂溶性の基材を用い、粒子の表面積/体積の値を0.6以下に制御することが必要であることを見出した。
また、本発明者らは、粒子の初期バーストは、粒子の大きさ、表面積だけでなく、液滴から溶媒を除去するときの乾燥気流の露点温度(T)と吐出(「噴射」と称することもある。)された液滴の湿球温度(T)も関係していることを見出した。
本発明の徐放性粒子は、初期バーストを抑制しつつ、徐放性を奏する。
前記徐放性粒子は、後述する、初期バーストを抑制しつつ、徐放性を奏する粒子を製造することができる本発明の徐放性粒子の製造方法により、好適に製造することができる。
なお、本発明では、「粒子」を「マイクロカプセル」又は「マイクロ粒子」と称することもある。
本発明の粒子は、少なくとも1種の基材、及び少なくとも1種の生理活性を有する生理活性物質を含み、必要に応じて、その他材料を含む。
本願において「基材」は、粒子に含まれる成分であり、1つ1つの粒子を構成する基となる材質である。
生理活性物質は、生体内において何らかの生理活性を有するものであればいかなるものであってもよいが、好ましい一態様において、加熱、冷却、振とう、撹拌、pH変化などの化学的または物理的刺激により生理活性が変化する性質を有する。
本願において「粒子」といった場合、特段の記載のない限り基材及び生理活性物質を含む粒状組成物の集団を意味する。本発明の粒子は、長期的に生理活性物質を放出し続ける徐放性粒子である。
本願において「生理活性物質」は、生体に生理的効果を発揮させるために用いられる有効成分であり、例えば、医薬化合物、食品化合物、化粧料化合物などを含む低分子化合物の他、抗体、酵素等のタンパク質及びDNA、RNA等の核酸などの生体高分子を含む高分子化合物などが挙げられる。また、「生理的効果」とは、生理活性物質が目的部位で生理活性を発揮することにより生じる効果であり、例えば、生体、組織、細胞、タンパク質、DNA、RNA等に量的及び/又は質的な変化、影響をもたらすことである。また、「生理活性」とは、生理活性物質が目的部位(例えば、標的組織等)に作用して変化、影響を与えることである。目的部位としては、例えば、細胞表面又は細胞内に存在する受容体等であることが好ましい。この場合は、生理活性物質が特定の受容体に結合する生理活性によって細胞にシグナルが伝わり、結果として生理的効果が発揮される。
生理活性物質は、生体内の酵素により成熟型に変換された上で特定の受容体に結合し、生理的効果が発揮される物質であってもよい。この場合、本願では、成熟型に変換される前の物質も生理活性物質に含まれるものとする。
なお、生理活性物質は、生物(ヒト又はヒト以外の生物)が作り出す物質であってもよいし、人工的に合成された物質であってもよい。
本発明の粒子の特徴的な物性としては、例えば、粒子の表面積/体積、粒度分布、粒径などが挙げられる。なお、液滴から溶媒を除去するときの乾燥気流の露点温度(T)、噴射された液滴の湿球温度(T)については、後述の徐放性粒子の製造方法の項目で説明する。
-表面積/体積-
本発明の徐放性粒子は、表面積/体積の値が0.6以下であり、0.5以下が好ましく、0.3以下がより好ましい。表面積/体積の値が0.6以下であると、微小な粒子がなく、初期バーストを抑制することができる。
表面積/体積の算出方法としては、例えば、動的光散乱法による濃厚系アナライザー(「FPAR-1000」、大塚電子株式会社製)を用いて測定する方法やレーザー回折/散乱法による粒子径分布測定装置(「LA-960」、堀場製作所製)等から得られる個数平均粒径Dnに基づき得られる表面積及び体積を用いて下記のようにして算出する。
表面積/体積は以下の数式をもって算出する。
表面積/体積=(各個数平均粒径Dnの表面積の総和)/(各個数平均粒径Dnの体積の総和)
各個数平均粒径Dnの表面積の総和は以下の数式をもって算出する。
各個数平均粒径Dnの表面積の総和=「各個数平均粒径Dnに対応する表面積×存在比率」の総和
各個数平均粒径Dnの体積の総和は以下の数式をもって算出する。
各個数平均粒径Dnの体積の総和=「各個数平均粒径Dnに対応する体積×存在比率」の総和
また、上記装置での測定サンプルとしては、測定粒子0.003gに対してDRIWEL K(ドライウェル、富士フイルム株式会社製)0.1gと水5.0g加えて、3分間超音波分散させて得られた分散液を用いる。
[測定条件]
透過率(R):85~95%
透過率(B):70~90%
アルゴリズムオプション:標準モード
-粒度分布-
本発明の粒子は、粒度分布が狭い性質を有することが好ましい。かかる粒度分布の狭さを表す指標としては、具体的には、例えば、Relative Span Factor(R.S.F)や体積平均粒径(Dv)/個数平均粒径(Dn)などが挙げられ、例えばR.S.F.が0<(R.S.F)≦1.2であること、体積平均粒径(Dv)/個数平均粒径(Dn)が1.00以上1.50以下であることが好ましい。粒度分布が上記範囲内であることで、目的とする粒径から見て粗大粒子に相当する粒子の割合が低下する。これにより、粒子を医薬組成物に含有させる場合等、ろ過滅菌してから用いなければならないときであっても、ろ過滅菌フィルターを詰まらせることなく、簡便かつ効率的にろ過滅菌を行うことができる。また、粒子の大きさが均一になることで、各粒子における生理活性物質及び基材の含有量や、各粒子の表面積が均一になる。これにより、各粒子から溶出する生理活性物質の量が均等になり、生理活性物質の高度な徐放性制御が可能な粒子を提供することができる。また、粒子の大きさが均一になることで、基材に含有されていない生理活性物質単体からなる小粒径粒子の発生を抑制することができ、初期バーストが抑制された徐放性を有する粒子を提供することができる。
--Relative Span Factor(R.S.F)--
本願において「Relative Span Factor(R.S.F)」は、(D90-D10)/D50で定義される。D90は累積粒度分布の小粒子側からの累積90個数%を表し、D50は累積粒度分布の小粒子側からの累積50個数%を表し、D10は累積粒度分布の小粒子側からの累積10個数%を表す。(R.S.F)は、0<(R.S.F)≦1.2であることが好ましく、0<(R.S.F)≦1.0であることがより好ましく、0<(R.S.F)≦0.6であることが更に好ましい。
(R.S.F)の測定方法としては、例えば、動的光散乱法による濃厚系アナライザー(「FPAR-1000」、大塚電子株式会社製)を用いて測定する方法やレーザー回折/散乱法による粒子径分布測定装置(「LA-960」、堀場製作所製)等が挙げられる。
--体積平均粒径(Dv)/個数平均粒径(Dn)--
体積平均粒径(Dv)/個数平均粒径(Dn)は、体積平均粒径(Dv)を個数平均粒径(Dn)で除した値である。体積平均粒径(Dv)/個数平均粒径(Dn)は、1.00以上1.50以下であることが好ましく、1.00以上1.20以下であることがより好ましい。
体積平均粒径(Dv)、及び個数平均粒径(Dn)の測定方法としては、例えば、レーザー回折・散乱式粒度分布測定装置(装置名:マイクロトラックMT3000II、マイクロトラック・ベル株式会社製)や、レーザー回折/散乱法による粒子径分布測定装置(「LA-960」、堀場製作所製)を用いて測定する方法等が挙げられる。
-粒径-
粒子の個数平均粒径(Dn)としては、1μm以上50μm以下であることが好ましく、10μm以上30μm以下がより好ましいが、目的に応じて適宜選択することができる。
個数平均粒径(Dn)が1μm以上50μm以下である場合、十分な量の生理活性物質を保持することができ、例えば、生理活性物質を長期に渡って徐放可能な粒子を製造することができる。なお、体積平均粒径(Dv)は、1μm以上50μm以下であることがより好ましく、1μm以上50μm以下であることが更に好ましい。
粒子の個数平均粒径(Dn)の測定方法としては、例えば、動的光散乱法による濃厚系アナライザー(「FPAR-1000」、大塚電子株式会社製)を用いて測定する方法、及びレーザー回折・散乱式粒度分布測定装置(装置名:マイクロトラックMT3000II、マイクロトラック・ベル株式会社製)や、レーザー回折/散乱法による粒子径分布測定装置(「LA-960」、堀場製作所製)を用いて測定する方法等が挙げられる。
次に、粒子の形態について説明する。一般に、基材及び生理活性物質を含む粒子の形態としては、生理活性物質が基材中に封入されている形態であるカプセル粒子、生理活性物質が基材表面に担持されている担持体粒子、及びその他形態の粒子が挙げられる。
カプセル粒子としては、生理活性物質が基材中に分散して封入されている形態である分散封入体粒子、及び生理活性物質が偏在して基材中に封入されている形態である偏在封入体粒子などが挙げられる。なお、カプセル粒子における「封入」とは、生理活性物質が基材中に一時的又は継続的に保持されるものであれば特に限定されない。
分散封入体粒子は、生理活性物質が基材中に分散して封入されている形態であれば特に限定されず、基材中における生理活性物質の分散度合いが均一でなくてもよい。
偏在封入体粒子は、生理活性物質が偏在して基材中に封入されている形態であり、言い換えると、粒子中の基材と生理活性物質が実質的に分離して位置することで生理活性物質が基材中に封入されている形態である。偏在封入体粒子の形態としては、例えば、生理活性物質を含有する中心部と基材を含有し中心部を包含する外周部とを有する粒子の形態が挙げられる。偏在封入体粒子に相当する粒子としては、例えば、リポソーム、ミセル、コーティング粒子などが挙げられる。
また、粒子が複数種類の基材を含み、そのうちの一の基材が粒子中の所定の場所に偏って含有されている場合、生理活性物質が封入されている場所における基材の種類に応じて分散度合いが異なってもよい。分散封入体粒子に相当する粒子としては、例えば、本発明の粒子、エマルション溶媒拡散法(ESD法)を用いて製造された粒子、噴霧乾燥法を用いて製造された粒子などが挙げられる。
また、本発明の粒子は、2種以上の基材を含有してもよく、2種以上の基材を含有する場合は、そのうちの一の基材が粒子の表面側に偏って含有されている形態であってもよい。この場合、生理活性物質は、程度の差はあれど、粒子の表面側に偏って含有されている基材(以下、「表面基材」とも称する)と、表面基材以外の基材(以下、「内部基材」とも称する)と、の両方に分散して封入され得る。
また、本形態の具体例としては、生理活性物質が表面基材側に偏って含有されている形態、及び生理活性物質が内部基材側に偏って含有されている形態等が挙げられるが、生理活性物質が内部基材側に偏って含有されている形態が好ましい。生理活性物質が内部基材側に偏って含有されていることで、生理活性物質の溶出速度が抑制された徐放性粒子を作製することができる。
粒子が少なくとも2種の基材を含有し、この少なくとも2種の基材のうちの一の基材が粒子の表面側に偏って含有されている形態であることを確認する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
確認方法の一例としては、走査型電子顕微鏡、透過型電子顕微鏡、又は走査型プローブ顕微鏡等で粒子断面を観察する方法などが挙げられる。
また、確認方法の他の一例としては、飛行時間型二次イオン質量法を用いて表面基材の成分を測定し、内部基材の成分と異なることを判断できれば上記粒子であると確認する方法が挙げられる。
<基材>
基材は、粒子を構成する基となる材質である。したがって常温で固体であることが好ましい。
基材としては、ともに含有される生理活性物質に悪影響を与える物質でない限り特に限定されず、低分子量の物質であってもよいし、高分子量の物質であってもよいが、本発明の粒子は好ましくは生体に適用される粒子であるため、基材は好ましくは生体に対して毒性を有しない物質である。
低分子量の物質は、重量平均分子量が15,000未満の化合物であることが好ましい。
高分子量の物質は、重量平均分子量が15,000以上の化合物であることが好ましい。
上述のとおり基材は1種のみであっても2種以上であってもよく、後述する任意の基材を組み合わせて用いてもよい。本願に用いられる基材は、生分解性樹脂を含有することが好ましく、ポリ乳酸及び乳酸・グリコール酸共重合体の少なくともいずれかを含むことがより好ましい。
本発明の徐放性粒子における基材は脂溶性である。一方、後述する本発明の徐放性粒子の製造方法における基材は脂溶性のものが好ましいが、脂溶性のものに限定されない。以下、重複する説明を避けるために、脂溶性以外の基材も含めて説明する。
脂溶性物質とは、JIS Z 7260-107に準拠して測定することができる水/オクタノール分配係数(logP値)が3以上である物質を意味する。
-低分子量の物質-
脂溶性である低分子量の物質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、脂質類が挙げられる。
脂溶性ではない低分子量の物質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、糖類、シクロデキストリン類、アミノ酸類、有機酸類が挙げられる。
これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
--脂質類--
脂質類としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、中鎖又は長鎖のモノグリセリド、中鎖又は長鎖のジグリセリド、中鎖又は長鎖のトリグリセリド、リン脂質、植物油(例えば、大豆油、アボカド油、スクアレン油、ゴマ油、オリーブ油、トウモロコシ油、ナタネ油、サフラワー油、ヒマワリ油等)、魚油、調味油、水不溶性ビタミン、脂肪酸、これらの混合物、及びこれらの誘導体などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
--糖類--
糖類としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、グルコース、マンノース、イドース、ガラクトース、フコース、リボース、キシロース、ラクトース、スクロース、マルトース、トレハロース、ツラノース、ラフィノース、マルトトリオース、アカルボース、シクロデキストリン類、アミロース(デンプン)、セルロースなどの単糖類や多糖類の他、グリセリン、ソルビトール、ラクチトール、マルチトール、マンニトール、キシリトール、エリスリトールなどの糖アルコール(ポリオール)、並びにこれらの誘導体などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
--シクロデキストリン類--
シクロデキストリン類としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン、β-シクロデキストリン、γ-シクロデキストリン、α-シクロデキストリン、及びシクロデキストリン誘導体などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
--アミノ酸類--
アミノ酸類としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、バリン、リジン、ロイシン、スレオニン、イソロイシン、アスパラギン、グルタミン、フェニルアラニン、アスパラギン酸、セリン、グルタミン酸、メチオニン、アルギニン、グリシン、アラニン、チロシン、プロリン、ヒスチジン、システイン、トリプトファン、及びこれらの誘導体などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
--有機酸類--
有機酸類としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アジピン酸、アスコルビン酸、クエン酸、フマル酸、没食子酸、グルタル酸、乳酸、リンゴ酸、マイレン酸、コハク酸、酒石酸、及びこれらの誘導体などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
-高分子量の物質-
脂溶性である高分子量の物質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリ(メタ)アクリルアミド、ポリ(メタ)アクリル酸、ポリ(メタ)アクリル酸エステル、ポリアリルアミン、ポリビニルピロリドン、ポリ酢酸ビニル、生分解性樹脂、ポリグリコール酸、ポリアミノ酸、ゼラチン、フィブリンなどのタンパク質などが挙げられる。
脂溶性ではない高分子量の物質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、水溶性セルロース、ポリアルキレングリコール、ポリビニルアルコール、多糖類及びこれらの誘導体などが挙げられる。
これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
--ポリ(メタ)アクリルアミド--
ポリ(メタ)アクリルアミドとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、N-メチル(メタ)アクリルアミド、N-エチル(メタ)アクリルアミド、N-プロピル(メタ)アクリルアミド、N-ブチル(メタ)アクリルアミド、N-ベンジル(メタ)アクリルアミド、N-ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、N-フェニル(メタ)アクリルアミド、N-トリル(メタ)アクリルアミド、N-(ヒドロキシフェニル)(メタ)アクリルアミド、N-(スルファモイルフェニル)(メタ)アクリルアミド、N-(フェニルスルホニル)(メタ)アクリルアミド、N-(トリルスルホニル)(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、N-メチル-N-フェニル(メタ)アクリルアミド、及びN-ヒドロキシエチル-N-メチル(メタ)アクリルアミドなどのモノマーの重合体が挙げられる。これらモノマーは、1種単独で重合されてもよいし、2種以上を併用し重合されてもよい。また、これら重合体は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
--ポリ(メタ)アクリル酸--
ポリ(メタ)アクリル酸としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸等のホモポリマー、アクリル酸-メタクリル酸共重合体等のコポリマーなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
--ポリ(メタ)アクリル酸エステル--
ポリ(メタ)アクリル酸エステルとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、グリセロールポリ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、1,3-ブチレングリコールジ(メタ)アクリレートなどのモノマーの重合体が挙げられる。これらモノマーは、1種単独で重合されてもよいし、2種以上を併用し重合されてもよい。また、これら重合体は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
--ポリアリルアミン--
ポリアリルアミンとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ジアリルアミン、トリアリルアミンなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
--ポリビニルピロリドン--
ポリビニルピロリドンとしては、市販品を用いることができる。ポリビニルピロリドンの市販品としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、プラスドンC-15(ISP TECHNOLOGIES社製)、コリドンVA64、コリドンK-30、コリドンCL-M(以上、KAWARLAL社製)、コリコートIR(BASF社製)などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
--ポリ酢酸ビニル--
ポリ酢酸ビニルとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、酢酸ビニル-クロトン酸コポリマー、酢酸ビニル-イタコン酸コポリマーなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
--生分解性樹脂--
生分解性樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、生分解性ポリエステルなどが挙げられる。生分解性ポリエステルとしては、例えば、ポリ乳酸;ポリ-ε-カプロラクトン;ポリエチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネートアジペートなどのサクシネート系重合体(乳酸・グリコール酸共重合体);ポリヒドロキシプロピオネート、ポリヒドロキシブチレート、ポリヒドロキシパリレートなどのポリヒドロキシアルカノエート、ポリグリコール酸等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、生体適合性が高く、含有する生理活性物質を徐放的に溶出させることができる点からポリ乳酸が好ましい。
---ポリ乳酸---
ポリ乳酸の重量平均分子量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、5,000以上100,000以下が好ましく、10,000以上70,000以下がより好ましく、10,000以上50,000以下が更に好ましく、40,000以上が更により好ましく、40,000以上50,000以下が特に好ましい。
ポリ乳酸の含有量は特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、基材の質量に対して50質量%以上が好ましく、50質量%以上99質量%以下がより好ましく、75質量%以上99質量%以下が更に好ましく、80質量%以上99質量%以下が特に好ましい。
---ポリグリコール酸---
ポリグリコール酸としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、乳酸に由来する構成単位とグリコール酸に由来する構成単位とを有する共重合体である乳酸・グリコール酸共重合体、グリコール酸に由来する構成単位とカプロラクトンに由来する構成単位とを有する共重合体であるグリコール酸・カプロラクトン共重合体、グリコール酸に由来する構成単位と炭酸トリメチレンに由来する構成単位とを有する共重合体であるグリコール酸・炭酸トリメチレン共重合体などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、生体適合性が高く、含有する生理活性物質を徐放的に溶出させることができ、かつ含有する生理活性物質を長期的に保存することができる点から乳酸・グリコール酸共重合体(以下、「ポリ乳酸グリコール酸共重合体」、「ポリ乳酸グリコール酸」と称することもある。)が好ましい。
乳酸・グリコール酸共重合体としては、例えば、PURASORB PDLG5004、PURASORB PDLG5010、PURASORB PDLG7510、PURASORB PDLG7507、PURASORB PDLG5002A、PURASORB PDLG5002、PURASORB PDLG7502A(Corbion社製)や、RG502、RG502H、RG503、RG503H、RG504、RG504H(Sigma-Aldrich社製)等を用いることができる。
乳酸・グリコール酸共重合体の重量平均分子量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、2,000~250,000が好ましく、2,000~100,000がより好ましく、40,000以上が更に好ましく、40,000~50,000が特に好ましい。
乳酸・グリコール酸共重合体における、乳酸に由来する構成単位(L)とグリコール酸に由来する構成単位(G)とのモル比率(L:G)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1:99~99:1が好ましく、25:75~99:1がより好ましく、30:70~90:10が更に好ましく、50:50~85:15が特に好ましい。
乳酸・グリコール酸共重合体の含有量は特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、基材の質量に対して50質量%以上が好ましく、50質量%以上99質量%以下がより好ましく、75質量%以上99質量%以下が更に好ましく、80質量%以上99質量%以下が特に好ましい。
--ポリアミノ酸--
ポリアミノ酸としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。ポリアミノ酸は、上記アミノ酸の項目において例示したアミノ酸を任意に組み合わせてポリマー化したものであってよいが、好ましくは単一のアミノ酸がポリマー化したものである。好ましいポリアミノ酸としては、例えば、ポリ-α-グルタミン酸、ポリ-γ-グルタミン酸、ポリアスパラギン酸、ポリリジン、ポリアルギニン、ポリオルニチン、ポリセリン等のアミノ酸単独重合体、又はこれらの共重合体などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
--ゼラチン--
ゼラチンとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、石灰処理ゼラチン、酸処理ゼラチン、ゼラチン加水分解物、ゼラチン酵素分解物、又はこれらの誘導体などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
ゼラチン誘導体に利用される天然分散剤ポリマーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、タンパク質、多糖類、核酸などが挙げられる。これらの中には、天然分散剤ポリマー、又は合成分散剤ポリマーからなる共重合体も含まれる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
ゼラチン誘導体とは、ゼラチン分子に疎水性基を共有結合させて誘導体化したゼラチンを意味する。
疎水性基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリ-ε-カプロラクトン等のポリエステル類;コレステロール、ホスファチジルエタノールアミン等の脂質;アルキル基、ベンゼン環を含む芳香族基;複素芳香族基、又はこれらの混合物などが挙げられる。
--タンパク質--
タンパク質としては、生理活性物質の生理活性に悪影響を及ぼさない限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、コラーゲン、フィブリン、アルブミンなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
--水溶性セルロース--
水溶性セルロースとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、メチルセルロース、エチルセルロース等のアルキルセルロース;ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等のヒドロキシアルキルセルロース;及びヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等のヒドロキシアルキルアルキルセルロースなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、生体適合性が高く、かつ粒子を製造する際に用いる溶媒に対する溶解度が高い点から、ヒドロキシプロピルセルロース、及びヒドロキシプロピルメチルセルロースが好ましく、ヒドロキシプロピルセルロースがより好ましい。
---ヒドロキシプロピルセルロース---
ヒドロキシプロピルセルロースは、粘度が異なる種々の製品が各社から市販されており、いずれも本発明の基材に使用することができる。ヒドロキシプロピルセルロースの2質量%水溶液(20℃)粘度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、2.0mPa・s(センチポイズ、cps)以上4,000mPa・s(センチポイズ、cps)以下が好ましい。
また、ヒドロキシプロピルセルロースの粘度は、ヒドロキシプロピルセルロースの重量平均分子量、置換度、及び分子量に依存すると考えられる。
ヒドロキシプロピルセルロースの重量平均分子量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、15,000以上400,000以下が好ましい。なお、重量平均分子量は、例えば、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)を用いて測定することができる。
ヒドロキシプロピルセルロースの市販品としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、分子量15,000以上30,000以下、かつ粘度2.0mPa・s以上2.9mPa・s以下のHPC-SSL等、分子量30,000以上50,000以下、かつ粘度3.0mPa・s以上5.9mPa・s以下のHPC-SL等、分子量55,000以上70,000以下、かつ粘度6.0mPa・s以上10.0mPa・s以下のHPC-L等、分子量110,000以上150,000以下、かつ粘度150mPa・s以上400mPa・s以下のHPC-M等、及び分子量250,000以上400,000以下、かつ粘度1,000mPa・s以上4,000mPa・s以下のHPC-H等(以上、日本曹達株式会社製)などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、分子量15,000以上30,000以下、かつ粘度2.0mPa・s以上2.9mPa・s以下のHPC-SSLが好ましい。なお、上記市販品において、分子量はゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)を用いて測定され、粘度は2質量%水溶液(20℃)を用いて測定される。
--ポリアルキレングリコール--
ポリアルキレングリコールとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール、及びこれらの共重合体などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
--ポリビニルアルコール--
ポリビニルアルコールとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、シラノール変性ポリビニルアルコール、カルボキシル変性ポリビニルアルコール、アセトアセチル変性ポリビニルアルコールなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
--多糖類--
多糖類としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、キチン、キトサン、ヒアルロン酸、アルギン酸、デンプン、ペクチンなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
基材は、基材を含有する粒子を医薬製剤、機能性食品、及び機能性化粧品等に含有させることができる物質であることが好ましいため、上記材料の中でも、生体毒性を有しない物質、特に生分解性ポリマーなどの生分解性を有する物質であることが好ましい。
基材の含有量としては、粒子の全量に対して50質量%以上99.99質量%以下であることが好ましく、70質量%以上99質量%以下であることがより好ましい。基材の含有量が粒子の全量に対して50質量%以上99.99質量%以下であると、基材中に生理活性物質を封入することができるため、生理活性物質を徐放することができる。
<生理活性物質>
生理活性物質は、生体に生理的効果を発揮させるために用いられる有効成分である。生理活性物質としては、例えば、医薬組成物に含有される生理活性物質、機能性食品に含有される生理活性物質、及び機能性化粧品に含有される生理活性物質等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
本発明の徐放性粒子における生理活性物質は水溶性である。一方、後述する本発明の徐放性粒子の製造方法における生理活性物質は水溶性のものが好ましいが、水溶性のものに限定されない。以下、重複する説明を避けるために、水溶性以外の生理活性物質も含めて説明する。
水溶性物質とは、JIS Z 7260-107に準拠して測定することができる水/オクタノール分配係数(logP値)が3未満である物質を意味する。
また、水難溶解性物質とは、JIS Z 7260-107に準拠して測定することができる水/オクタノール分配係数(logP値)が3以上である物質を意味する。
-医薬組成物に含有される生理活性物質-
医薬組成物に含有される生理活性物質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、核酸、タンパク質を含むポリペプチド、糖質、脂質、及び低分子化合物等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
--核酸--
核酸としては、典型的にはDNA、RNA及びその組み合わせ等が挙げられ、これらの配列の一部または全部が化学的に修飾された化学修飾核酸に置換されていてもよい。また、PNA(peptide nucleic acid)、モルフォリノアンチセンスオリゴ(Morpholino antisense oligo)等の化学合成核酸アナログも核酸に含まれる。
また、標的遺伝子の発現を抑制することを目的とする場合、核酸としては、例えば、標的遺伝子の転写産物又はその一部に対するアンチセンス核酸、標的遺伝子の転写産物を特異的に開裂するリボザイム活性を有する核酸、標的遺伝子の発現をRNAi効果により阻害する作用を有する短鎖核酸、microRNA(miRNA)、アプタマー、オリゴヌクレオチドを改質したロックド核酸(Locked Nucleic Acid)などを挙げることができる。
--ポリペプチド--
ポリペプチドは、複数のアミノ酸からなる重合体を意味し、そのうち高次構造を有し、かかる高次構造に由来する機能を発揮するポリペプチドを特にタンパク質という。
ポリペプチドとしては、例えば、天然に存在する状態から修飾されていないもの、及び修飾されているものの双方が含まれる。
修飾としては、例えば、アセチル化、アシル化、ADP-リボシル化、アミド化、フラビンの共有結合、ヘム部分の共有結合、ヌクレオチドまたはヌクレオチド誘導体の共有結合、脂質または脂質誘導体の共有結合、ホスファチジルイノシトールの共有結合、架橋、環化、ジスルフィド結合の形成、脱メチル化、共有架橋の形成、シスチンの形成、ピログルタメートの形成、ホルミル化、γ-カルボキシル化、グリコシル化、GPIアンカー形成、ヒドロキシル化、ヨウ素化、メチル化、ミリストイル化、酸化、タンパク質分解処理、リン酸化、プレニル化、ラセミ化、セレノイル化、硫酸化、アルギニル化のようなタンパク質へのアミノ酸の転移RNA媒介付加、ユビキチン化などが含まれる。
標的タンパク質の機能を阻害又は抑制することを目的とする場合、タンパク質としては、例えば、標的タンパク質に対してドミナントネガティブの性質を有する標的タンパク質変異体、標的タンパク質に結合する抗体を挙げることができる。
抗体は、標的タンパク質に結合する限りポリクローナル抗体であってもモノクローナル抗体であってもよく、また二重特異性抗体や三重特異性抗体などの多重特異性を有する抗体であってもよい。生理的効果を発揮する限りいかなる動物種に由来する抗体であってもよいが、好ましくはヒト抗体、ヒト型キメラ抗体またはヒト化抗体である。
本発明の「抗体」は、典型的にはIgG、IgE、IgM、IgA、IgDなどのイムノグロブリン分子であるが、特定の抗原に結合し得る限り、抗原結合領域を有するそれらの抗体断片(例えばF(ab’)2断片、Fab’断片、Fab断片、Fv断片、rIgG断片、一本鎖抗体など)や抗体修飾物(標識抗体など)も含まれる。
なお、タンパク質のその他の態様としては、例えば、酵素等を挙げることもできる。
酵素としては、加水分解酵素、リン酸化酵素、脱リン酸化酵素、転移酵素、酸化還元酵素、脱離酵素、異性化酵素、合成酵素などが挙げられる。
タンパク質の具体例としては、例えば、ケルセチン、テストステロン、インドメタシン、トラニラスト、タクロリムス等が挙げられる。
--糖質--
糖質としては、例えば、単糖、二糖、オリゴ糖、及び多糖等が挙げられる。また、これら糖質がタンパク質や脂質などと共有結合した複合糖質、糖の還元基にアルコール、フェノール、サポニン、色素などのアグリコンが結合した配糖体も糖質に含まれる。
--脂質--
脂質としては、例えば、単純脂質、複合脂質、及び誘導脂質等が挙げられる。
--低分子化合物--
低分子化合物としては、一般的に、分子量が数百から数千であって天然又は人工の物質が含まれる。なお、分子量としては、重量平均分子量、及び数平均分子量のどちらを用いてもよい。
また、低分子化合物としては、水難溶解性物質に相当する物質、水溶性物質に相当する物質などがある。
なお、低分子化合物は、生理活性物質として機能する限り、塩、水和物等のいずれの形態であってもよい。
水難溶解性物質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、グリセオフルビン、イブプロフェン、イトラコナゾール、ノルフロキサシン、タモキシフェン、シクロスポリン、グリベンクラミド、トログリタゾン、ニフェジピン、フェナセチン、フェニトイン、ジギトキシン、ニルバジピン、ジアゼパム、クロラムフェニコール、インドメタシン、ニモジピン、ジヒドロエルゴトキシン、コルチゾン、デキサメタゾン、ナプロキセン、ツルブテロール、プロピオン酸ベクロメタゾン、プロピオン酸フルチカゾン、プランルカスト、トラニラスト、ロラチジン、タクロリムス、アンプレナビル、ベクサロテン、カルシトロール、クロファジミン、ジゴキシン、ドキセルカルシフェロール、ドロナビノール、エトポジド、イソトレチノイン、ロピナビル、リトナビル、プロゲステロン、サキナビル、シロリムス、トレチノイン、アムホテリシン、フェノルドパム、メルファラン、パリカルシトール、プロポフォル、ボリコナゾール、ジプラシドン、ドセタキセル、ハロペリドール、ロラゼパム、テニポジド、テストステロン、バルルビシンなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
水難溶解性物質の具体例としては、例えば、ゲフィチニブ、エルロチニブ、オシメルチニブ、ボスニチブ、バンデタニブ、アレクチニブ、ロルラチニブ、アベマシクリブ、チロホスチンAG494、ソラフェニブ、ダサチニブ、ラパチニブ、イマチニブ、モテサニブ、レスタウルチニブ、タンズチニブドルソモルヒン、アキシチニブ、4-ベンジル-2-メチル-1,2,4-チアジアゾリジン-3,5-ジオン等のキナーゼ阻害剤が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
水溶性物質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アバカビル、アセトアミノフェン、アシクロビル、アミロライド、アミトリプチリン、アンチピリン、アトロピン、ブスピロン、カフェイン、カプトプリル、クロロキン、クロルフェニラミン、シクロホスファミド、ジクロフェナク、デシプラミン、ジアゼパム、ジルチアゼム、ジフェンヒドラミン、ジソピラミド、ドキシン、ドキシサイクリン、エナラプリル、エフェドリン、エタンブトール、エチニルエストラジオール、フルオキセチン、イミプラミン、グルコース、ケトロール、ケトプロフェン、ラベタロール、レボドパ、レボフロキサシン、メトプロロール、メトロニダゾール、ミダゾラム、ミノサイクリン、ミソプロストール、メトホルミン、ニフェジピン、フェノバルビタール、プレドニゾロン、プロマジン、プロプラノロール、キニジン、ロシグリタゾン、サリチル酸、テオフィリン、バルプロ酸、ベラパミル、ジドブジンなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
-機能性食品に含有される生理活性物質-
機能性食品に含有される生理活性物質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ビタミンA、ビタミンD、ビタミンE、ルテイン、ゼアキサンチン、リポ酸、フラボノイド、脂肪酸などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
脂肪酸としては、例えば、オメガ3脂肪酸、オメガ6脂肪酸などが挙げられる。
-機能性化粧品に含有される生理活性物質-
機能性化粧品に含有される生理活性物質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アルコール類、脂肪アルコール類、及びポリオール類、アルデヒド類、アルカノールアミン類、アルコキシル化アルコール類(例えば、アルコール類、脂肪アルコール類等のポリエチレングリコール誘導体類)、アルコキシル化アミド類、アルコキシル化アミン類、アルコキシル化カルボン酸類、塩を含むアミド類(例えば、セラミド類等)、アミン類、塩及びアルキル置換誘導体類を含むアミノ酸、エステル類、アルキル置換及びアシル誘導体類、ポリアクリル酸類、アクリルアミドコポリマー類、アジピン酸コポリマー類、アミノシリコーン類、生物学的ポリマー類及びその誘導体、ブチレンコポリマー類、炭水化物(例えば、ポリサッカライド類、キトサン、その誘導体類等)、カルボン酸類、カーボマー類、エステル類、エーテル類、及びポリマーエーテル類(例えば、PEG誘導体類、PPG誘導体類等)、グリセリルエステル類及びその誘導体、ハロゲン化合物類、塩を含むヘテロ環化合物類、親水性コロイド類並びに塩及びゴムを含む誘導体類(例えば、セルロース誘導体類、ゼラチン、キサンタンガム、天然ゴム類等)、イミダゾリン類、無機物質(粘土、TiO、ZnO等)、ケトン類(例えば、樟脳等)、イセチオネート類、ラノリン及びその誘導体類、有機塩類、塩を含むフェノール類(例えば、パラベン類等)、燐化合物類(例えば、リン酸誘導体類等)、ポリアクリレート類及びアクリレートコポリマー類、タンパク質及び酵素誘導体類(例えば、コラーゲン等)、塩を含む合成ポリマー類、シロキサン類及びシラン類、ソルビタン誘導体類、ステロール類、スルホン酸類及びその誘導体類、ワックス類などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
生理活性物質は、上記の通り、加熱、冷却、又は外部応力により生理活性が変化する性質を有するものであることが好ましい。かかる生理活性物質を本発明の粒子に含有させた場合、製造された粒子において、生理活性の量の低下が抑制される。従って、生理活性の量の低下をより抑制することができるという観点に基づけば、本発明の粒子に含有される生理活性物質として加熱、冷却、又は外部応力により生理活性が変化しやすい生理活性物質とすることにより、本発明の効果が顕著に発揮されることとなる。具体的には、生理活性物質としては、医薬組成物に含有される生理活性物質であることが好ましく、タンパク質及び核酸から選ばれる少なくとも1つであることがより好ましく、抗体及び酵素から選ばれる少なくとも1つであることが更に好ましい。
生理活性物質の含有量としては、粒子の全量に対して1.0質量%以上50質量%以下であることが好ましく、5.0質量%以上40質量%以下であることがより好ましい。生理活性物質の含有量が粒子の全量に対して1.0質量%以上50質量%以下であると、基材中に生理活性物質を封入でき、生理活性物質を徐放することができる。
本発明の粒子は、必要に応じて、分散剤、添加剤等のその他成分を組み合わせることで、例えば、医薬組成物、機能性食品、及び機能性化粧品等に用いることができる。また、粒子は、各種用途に応じて機能性粒子としてもよい。機能性粒子としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、即時放出性粒子、徐放性粒子、pH依存放出性粒子、pH非依存放出性粒子、腸溶性コーティング粒子、放出制御コーティング粒子、ナノ結晶含有粒子などが挙げられる。
-医薬組成物-
医薬組成物は、本発明の粒子を含み、必要に応じて、製剤用等の添加物質を含む。添加物質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。添加物質としては、例えば、賦形剤、矯味剤、崩壊剤、流動化剤、吸着剤、滑沢剤、矯臭剤、界面活性剤、香料、着色剤、抗酸化剤、隠蔽剤、静電気防止剤、湿潤剤などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
--賦形剤--
賦形剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、乳糖、ショ糖、マンニトール、ブドウ糖、果糖、麦芽糖、エリスリトール、マルチトール、キシリトール、パラチノース、トレハロース、ソルビトール、結晶セルロース、タルク、無水ケイ酸、無水リン酸カルシウム、沈降炭酸カルシウム、ケイ酸カルシウムなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
--矯味剤--
矯味剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、L-メントール、白糖、D-ソルビトール、キシリトール、クエン酸、アスコルビン酸、酒石酸、リンゴ酸、アスパルテーム、アセスルファムカリウム、ソーマチン、サッカリンナトリウム、グリチルリチン二カリウム、グルタミン酸ナトリウム、5’-イノシン酸ナトリウム、5’-グアニル酸ナトリウムなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
--崩壊剤--
崩壊剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、カルメロース、カルメロースカルシウム、カルボキシメチルスターチナトリウム、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、ヒドロキシプロピルスターチ、トウモロコシデンプンなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
--流動化剤--
流動化剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、軽質無水ケイ酸、含水二酸化ケイ素、タルクなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
軽質無水ケイ酸としては、市販品を用いることができる。軽質無水ケイ酸の市販品としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アドソリダー101(フロイント産業株式会社製:平均細孔径:21nm)などが挙げられる。
--吸着剤--
吸着剤としては、市販品を用いることができる。吸着剤の市販品としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、商品名:カープレックス(成分名:合成シリカ、DSL.ジャパン株式会社の登録商標)、商品名:アエロジル(日本アエロジル株式会社の登録商標)200(成分名:親水性フュームドシリカ)、商品名:サイリシア(成分名:非晶質二酸化ケイ素、富士シリシア化学株式会社の登録商標)、商品名:アルカマック(成分名:合成ヒドロタルサイト、協和化学株式会社の登録商標)などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
--滑沢剤--
滑沢剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ショ糖脂肪酸エステル、フマル酸ステアリルナトリウム、ステアリン酸、ポリエチレングリコール、タルクなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
--矯臭剤--
矯臭剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、トレハロース、リンゴ酸、マルトース、グルコン酸カリウム、アニス精油、バニラ精油、カルダモン精油などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
--界面活性剤--
界面活性剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリソルベート80等のポリソルベート;ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレン共重合体;ラウリル硫酸ナトリウムなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
--香料--
香料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、レモン油、オレンジ油、はっか油などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
--着色剤--
着色剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、酸化チタン、食用黄色5号、食用青色2号、三二酸化鉄、黄色三二酸化鉄などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
--抗酸化剤--
抗酸化剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アスコルビン酸ナトリウム、L-システイン、亜硫酸ナトリウム、ビタミンEなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
--隠蔽剤--
隠蔽剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、酸化チタンなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
--静電気防止剤--
静電気防止剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、タルク、酸化チタンなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
--湿潤剤--
湿潤剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリソルベート80、ラウリル硫酸ナトリウム、ショ糖脂肪酸エステル、マクロゴール、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
医薬組成物の製剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、大腸デリバリー製剤、リピッドマイクロスフェア製剤、ドライエマルション製剤、自己乳化型製剤、ドライシロップ、経鼻投与用粉末製剤、経肺投与用粉末製剤、ワックスマトリックス製剤、ハイドロゲル製剤、高分子ミセル製剤、粘膜付着型製剤、胃内浮遊製剤、リポソーム製剤、固体分散体製剤などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
医薬組成物の剤形としては、例えば、錠剤、カプセル剤、坐剤、他の固形の剤形等;鼻内用乃至肺投与用のエアロゾル等;注射用剤、眼内用剤、耳内用剤、経口用剤等の液剤などが挙げられる。
医薬組成物の投与経路としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、経口投与、鼻腔投与、直腸投与、膣投与、皮下投与、静脈内投与、肺投与などが挙げられる。
(徐放性粒子の製造方法及び徐放性粒子の製造装置)
本発明の徐放性粒子の製造方法は、生理活性物質、基材、及び溶媒を含有する液滴を吐出する液滴吐出工程と、液滴から溶媒を除去して粒子を造粒する造粒工程を含み、更に必要に応じてその他の工程を含む。
本発明の徐放性粒子の製造装置は、生理活性物質、基材、及び溶媒を含有する液滴を吐出する液滴吐出手段と、液滴から溶媒を除去して粒子を造粒する造粒手段と、を有し、必要に応じて、その他の手段を有する。
本発明では、乾燥気流の露点温度(T)と吐出された液滴の湿球温度(T)との差(T-T)が20℃以下の条件で、液滴から溶媒を除去する。
-乾燥気流の露点温度-
露点温度とは、気体を冷却していくときに結露、すなわち凝結が起こる温度であり、空気が水と平衡状態にあり飽和している温度である。
乾燥気流の露点温度(T)は、露点温度計により直接測定を行なうか、乾燥気流温度と乾燥気流の相対湿度を測定し、その値から水蒸気圧(湿り空気中の水蒸気分圧)を求め、その水蒸気圧を飽和水蒸気圧とする温度を求めることにより得ることができる。
乾燥気流温度と乾燥気流の相対湿度から露点温度を計算する一例としては、下記の計算方法が挙げられる。
露点温度(T)は、以下の数式をもって算出する。
上記式中、「T」は露点温度[℃]、「e」は空気中の水蒸気圧[hPa]を表す。
空気中の水蒸気圧(e)、飽和水蒸気圧(e)、空気の水蒸気量(絶対湿度)(a)、及び飽和水蒸気量(a)は、以下の数式をもって算出する。
上記式中、「e」は空気中の水蒸気圧[hPa]、「e」は飽和水蒸気圧[hPa]、「a」は空気の水蒸気量(絶対湿度)[g/m]、「a」は飽和水蒸気量[g/m]、「RH」は相対湿度[%]、「t」は気温[℃]を表す。
-吐出(噴射)された液滴の湿球温度-
湿球温度は、ある空気塊を一定気圧に保ちながら、その空気塊の中に水を蒸発させることによって、飽和状態に達するまで断熱的に冷却した場合に、その空気塊が持つ温度である。
噴射された液滴の湿球温度(T)は以下の式で計算される。
上記式中、「Δh」は液滴の溶媒の蒸発潜熱[kJ/kg]、「Y」は湿球温度における液滴の溶媒が飽和状態であるときの湿度[蒸気の重さ(kg)/乾きガスの重さ(kg)]、「Y」は湿度[蒸気の重さ(kg)/乾きガスの重さ(kg)]、「C」は湿りガスの比熱容量[kJ/kg・K]、「T」は気流温度[℃]、「T」は液滴の湿球温度[℃]を表す。
ここで、湿りガスの比熱容量(C)は、次式で計算できる。
上記式中、「C」は湿りガスの比熱容量[kJ/kg・K]、「C」は気体の比熱容量[kJ/kg・K]、「C」は溶媒蒸気の比熱容量[kJ/kg・K]、「Y」は湿度[蒸気の重さ(kg)/乾きガスの重さ(kg)]を表す。
また、湿度Yは次式で計算でき、Yは次式の「p」に湿球温度T時の液滴の溶媒の蒸気圧[Pa]を代入することで、計算できる。
上記式中、「Y」は湿度[蒸気の重さ(kg)/乾きガスの重さ(kg)]、「M」は蒸気のモル質量[kg/mol]、「M」は気体のモル質量[kg/mol]、「p」は乾燥気流の圧力[Pa]、「p」は液滴の溶媒の蒸気圧[Pa]を表す。
なお、液滴の溶媒の蒸気圧は、化学便覧 基礎編(公益社団法人 日本化学会編、丸善出版株式会社)や教科書に掲載される値、アントワン式などの推算式を使用することができる。
乾燥気流の露点温度(T)と噴射された液滴の湿球温度(T)との差(T-T)としては、20℃以下であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、10℃以下が好ましい。
-Tの差が大きくなると乾燥気流中の水分が粒子表面で凝縮し粒子の乾燥速度が遅くなる。粒子の乾燥が遅くなることで液滴内の生理活性物質が表面へ移動する時間が増えることで、粒子表面の生理活性物質量が増え初期バースト増加の一因となる。
特に生理活性物質が水溶性化合物の場合、粒子表面の水分増加により、生理活性物質の表面への分配がより顕著になると考えられる。
乾燥気流の温度としては、T-Tが20℃以下であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、26℃~60℃が挙げられる。
乾燥気流の相対湿度としては、T-Tが20℃以下であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、2.1%~35%が挙げられる。
本発明において「除去」は、液相から、当該液相に含まれていた溶媒が取り除かれることを表すが、液相に含まれていた溶媒が全て取り除かれる場合に限定されず、粒子を造粒することができれば、液相に含まれていた溶媒が残留していてもよい。また、本願において「除去」は、乾燥気流の露点温度(T)と吐出された前記液滴の湿球温度(T)との差(T-T)が20℃以下の条件で、液滴から溶媒を除去する態様であれば、特に限定されず、例えば、気体中又は真空中において、液相から当該液相に含まれていた溶媒を気化させること(以降、「気中乾燥」とも称する)等が挙げられる。
液滴の乾燥速度は次式で表される。
上式中、「J」は乾燥速度[蒸発する溶媒量(kg)/蒸発面積(m)/時間(s)]、「K」は物質移動定数[kg/m/s]を表す。
乾燥速度は、Y-Yの値に比例する。乾燥速度が速い場合、液滴内の生理活性物質が表面へ移動する時間が少なくなる為、初期バーストを抑制することができる。乾燥気流の湿球温度における液滴の溶媒が飽和状態であるときの湿度(Y)と湿度(Y)との差(Y-Y)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.07以上が好ましく、0.08以上がより好ましい。乾燥速度は、乾燥気流の条件だけでなく、液相に含まれる溶媒の組成によっても変化し、蒸気圧が高い溶媒組成を用いることで乾燥速度を大きくすることが可能となる。
次に、除去が、気中乾燥である場合の一例を本実施形態として説明するが、粒子の製造方法および製造装置としてはこれら実施形態に限定されない。
<粒子の製造方法>
気中乾燥としての粒子の製造方法は、生理活性物質、基材、及び溶媒を含有する液滴を気体中に吐出する液滴吐出工程と、液滴から溶媒を気化させて液滴に含まれていた溶媒を除去することで粒子を造粒する造粒工程と、を有し、必要に応じて、その他工程を有する。
気中で粒子を造粒する乾式の造粒方法としては、複数の方法が従来から知られている。
例えば、粒子材料を溶融混練して均一に分散させた溶融混練物を冷却した後、粉砕機を用いて粉砕し、小粒径化された粉砕粒子を得る方法や、粒子材料を含有する液体を凍結乾燥させた後、粉砕機を用いて粉砕し、小粒径化された粉砕粒子を得る方法などの気中粉砕法が挙げられる。
また、粒子材料を含有する液体を気中に噴霧して乾燥させ、小粒径化された噴霧粒子を得る方法などの噴霧乾燥法(スプレードライ法)が挙げられる。なお、噴霧する方法としては、液体を加圧してノズルから噴射する加圧ノズル式、高速回転するディスクに液体を送り、遠心力で飛び散らせるディスク式等がある。
気中粉砕法は、粉砕に用いる設備が単純である一方で、粒度分布の狭い粒子を作製するのが困難である。
また、溶融混練物を粉砕する方法において、粒子の材料として、加熱により生理活性が変化する性質を有する生理活性物質が含まれる場合、当該生理活性物質の生理活性が変化し、結果として生理活性の量が低下する。
また、凍結乾燥物を粉砕する方法において、粒子の材料として、冷却により生理活性が変化する性質を有する生理活性物質が含まれる場合、当該生理活性物質の生理活性が変化し、結果として生理活性の量が低下する。
更に、気中粉砕法では、粉砕過程で大きな外部応力が生じるため、粒子の材料として、外部応力により生理活性が変化する性質を有する生理活性物質が含まれる場合、当該生理活性物質の生理活性が変化し、結果として生理活性の量が低下する。
噴霧乾燥法は、粒子の製造工程を経て粒子中に保持される生理活性物質の割合(生理活性物質保持率)が高い粒子を製造できる一方で、一般的に、粒径の小さな粒子を製造するのが困難である。
噴霧する方法がディスク式である場合は、粒径の小さな粒子を製造できる場合もあるが、大掛かりな設備が必要となる。
また、噴霧乾燥法は、気中で液滴同士が合着しやすく、粒度分布の狭い粒子を作製するのが困難である。気中で液滴同士が合着するのを抑制するためには、噴霧後の液滴がすぐに乾燥するように加熱させる必要があるが、粒子の材料として、加熱により生理活性が変化する性質を有する生理活性物質が含まれる場合、当該生理活性物質の生理活性が変化し、結果として生理活性の量が低下する。
更に、噴霧乾燥法では、高剪断力のかかる噴霧により大きな外部応力が生じるため、粒子の材料として、外部応力により生理活性が変化する性質を有する生理活性物質が含まれる場合、当該生理活性物質の生理活性が変化し、結果として生理活性の量が低下する。
以下説明する本実施形態の粒子の製造方法は、上記の気中粉砕法、及び噴霧乾燥法には相当しないため、粒子の材料として、加熱、冷却、又は外部応力により生理活性が変化する性質を有する生理活性物質が含まれる場合であっても、当該生理活性物質の生理活性が変化することが抑制され、結果として生理活性の量の低下も抑制される。
また、本実施形態の粒子の製造方法は、以下説明する通り、生理活性物質の生理活性が変化する外部応力を付与するような振とうや撹拌などの手段を用いる工程、生理活性物質の生理活性が変化する温度にさせる加熱手段を用いる工程、及び生理活性物質の生理活性が変化する温度にさせる冷却手段を用いる工程を有さないことが好ましい。
-液滴吐出工程-
液滴吐出工程は、生理活性物質、基材、及び溶媒を含有する液滴を気体中に吐出する工程である。
液滴を吐出する方法としては、特に制限されないが、例えば以下の方法が挙げられる。
(i)インクジェットノズルのような平板状のノズル形成面に設けられた孔から、圧力をかけられた液体を液滴として吐出する吐出手段を用いた方法
(ii)SPG膜のような不定形な形状に空いている孔から、圧力をかけられた液体を液滴として吐出する吐出手段を用いた方法
(iii)孔から、振動を付与された液体を液滴として吐出する吐出手段を用いた方法
上記(iii)の振動を利用する吐出手段であって、当該振動により生理活性物質の生理活性を変化させない手段としては、例えば、膜振動法を利用した吐出手段、レイリー分裂法を利用した吐出手段、液振動法を利用した吐出手段、液柱共鳴法を利用した吐出手段など、粒子組成液そのものに外部応力がかかりにくい手段が挙げられる。また、これら吐出手段は、更に、液体に圧力をかけて吐出させる手段を有していてもよい。これら手段の中でも、液柱共鳴法を利用した吐出手段であって、更に、液体に圧力をかけて吐出させる手段を有する吐出手段が好ましい。
液柱共鳴法を利用した吐出手段としては、例えば、液柱共鳴液室内に収容された液体に振動を付与することで液柱共鳴による定在波を形成し、定在波の腹となる領域に定在波の振幅方向に形成された吐出孔から液体を吐出する方法を用いた吐出手段などが挙げられる。
なお、膜振動法を利用した吐出手段としては、例えば、複数の吐出孔が形成された薄膜を用い、この薄膜の変形可能な領域内の周囲に配されて前記薄膜を振動させる円環状の振動発生手段で構成された吐出手段などが挙げられる。
レイリー分裂法を利用した吐出手段としては、例えば、液体を貯留部へ供給し、貯留部の一部に接する振動手段により前記貯留部に振動を加えながら、貯留部に設けた複数の貫通孔より該液体を放出し、原料流体を柱状から括れ状態を経て液滴化する吐出手段などが挙げられる。
液振動法を利用した吐出手段としては、例えば、液体を、複数の吐出孔が形成されている膜を有する貯留部材に供給する工程と、該貯留部材に供給された液体を振動させ、該複数の吐出口から液滴をする工程を有する吐出手段などが挙げられる。
液滴吐出工程の一例として、振動により、基材、生理活性物質、及び溶媒を含有する液体を液滴として吐出する方法について改めて説明する。
振動により吐出する方法としては、特に制限されないが、例えば以下の方法が挙げられる。以下それぞれの手段について説明する。
(a)振動を用いて液体収容部の容積を変化させる容積変化手段を用いた方法
(b)液体収容部に振動を加えながら液体収容部に設けた複数の吐出孔より液体を放出し、液体を柱状から括れ状態を経て液滴化させる括れ発生手段を用いた方法
(c)ノズルが形成された薄膜を振動させるノズル振動手段を用いた方法
容積変化手段としては、液体収容部の容積を変化させることができれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、電圧を加えると伸縮する圧電素子(「ピエゾ素子」と称することもある)などが挙げられる。
括れ発生手段としては、例えば、液体収容部の一部に接する圧電素子を用いた振動手段により液体収容部に振動を加えながら、液体収容部に設けた複数のノズル孔より液体を放出し、液体を柱状から括れ状態を経て液滴化する手段などが挙げられる。
ノズル振動手段としては、例えば、液体収容部に設けた複数のノズルが形成された薄膜と、この薄膜の変形可能な領域内の周囲に配されて薄膜を振動させる圧電素子と、を用いて複数のノズル孔より液体を放出し、液滴化する手段などが挙げられる。
振動を発生させる手段としては、圧電素子を用いることが一般的である。圧電素子としては、特に制限はなく、形状、大きさ、及び材質を適宜選択することができ、例えば、従来のインクジェット吐出方式に用いられている圧電素子を好適に使用することができる。
圧電素子の形状、及び大きさとしては、特に制限はなく、吐出孔の形状などにあわせて適宜選択することができる。
圧電素子の材質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)等の圧電セラミックス、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)等の圧電ポリマー、水晶、LiNbO、LiTaO、KNbO等の単結晶などが挙げられる。
吐出孔としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ノズルプレートなどに設けられた開口部などが挙げられる。
吐出孔の断面形状、及び大きさについては適宜選択することができる。
吐出孔の断面形状としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、(1):内部(液体収容部側)から外部(液体が吐出される側)に向かって開口径が小さくなるようなテーパー形状、(2):内部(液体収容部側)から外部(液体が吐出される側)に向かってラウンド形状を持ちながら開口径が狭くなるような形状、(3):内部(液体収容部側)から外部(液体が吐出される側)に向かって一定のノズル角度を持って開口径が狭くなるような形状、(4):(1)の形状及び(2)の形状の組合せなどが挙げられる。これらの中でも、吐出孔において液にかかる圧力が最大となる点から、(3)の形状が好ましい。
(3)の形状におけるノズル角度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、60°以上90°以下が好ましい。ノズル角度が、60°以上90°以下であると液滴吐出を安定化することができる。
吐出孔の大きさとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、直径が1,000μm未満であることが好ましく、1.0μm以上1,000μm未満であることがより好ましく、1.0μm以上500μm以下であることが更に好ましく、1.0μm以上50μm以下であることが特に好ましい。なお、吐出孔の形状が真円でない場合は、吐出孔の面積と同等の面積を有する真円における直径を採用する。
--粒子組成液--
液滴吐出工程において吐出される液体(粒子組成液)は、生理活性物質、基材、及び溶媒を含有するが、当該粒子組成液に含有される基材および生理活性物質は、粒子に含有される基材および生理活性物質と同様の各種材料を使用できるため説明を省略し、溶媒についてのみ説明する。
粒子組成液における生理活性物質又は基材の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
なお、粒子組成液及び溶媒は、界面活性剤を実質的に含まないことが好ましい。界面活性剤を実質的に含まないことで、製造される粒子が医薬組成物、機能性食品、機能性化粧品等に含有される場合において、安全性を向上させることができる。ここで、界面活性剤を実質的に含有しない場合とは、例えば、粒子組成液中及び溶媒中の界面活性剤の含有量が液体クロマトグラフィーによって検出できない検出限界以下である場合、粒子組成液中及び溶媒中に界面活性剤を含有しない場合等が挙げられる。
---溶媒---
溶媒は、基材を溶解させる液体である。また、溶媒は、生理活性物質も溶解させる液体であってもよいが、生理活性物質を分散させる液体であることが好ましい。
生理活性物質が溶解しているとは、生理活性物質が液体に溶け込んで均一な液体となっている状態をいう。また、生理活性物質が分散しているとは、生理活性物質が液体に溶けあわず、液体中に固体やエマルジョンの形で存在している状態をいう。
溶媒としては、例えば、水、脂肪族ハロゲン化炭化水素類(例えば、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム等)、アルコール類(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール等)、ケトン類(例えば、アセトン、メチルエチルケトン等)、エーテル類(例えば、ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、1,4-ジオキサン等)、脂肪族炭化水素類(例えば、n-ヘキサン、シクロヘキサン、n-ヘプタン等)、芳香族炭化水素類(例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン等)、有機酸類(例えば、酢酸、プロピオン酸等)、エステル類(例えば、酢酸エチル等)、アミド類(例えば、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等)、又はこれらの混合溶媒などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、溶解性の面から脂肪族ハロゲン化炭化水素類、アルコール類、又はこれらの混合溶媒が好ましく、ジクロロメタン、1,4-ジオキサン、メタノール、エタノール、アセトニトリル又はこれらの混合溶媒がより好ましい。
溶媒の含有量としては、粒子組成液の質量に対して、70質量%以上99.5質量%以下が好ましく、90質量%以上99質量%以下がより好ましい。含有量が、70質量%以上99.5質量%以下であると、粒子材料の溶解性及び液体粘度の点から生産安定性が向上する。
粒子組成液の粘度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.5mPa・s以上15.0mPa・s以下が好ましく、0.5mPa・s以上10.0mPa・s以下がより好ましい。なお、粘度は、例えば、粘弾性測定装置(装置名:MCRレオメーター、AntonPaar社製)を用いて、25℃、シアレート10s-1の条件により測定することができる。液体の粘度が、0.5mPa・s以上15.0mPa・s以下であることで、液滴を吐出する上記手段において、好適な吐出を行うことができるため好ましい。
粒子組成液の表面張力としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、10mN/m以上60mN/m以下が好ましく、20mN/m以上50mN/m以下がより好ましい。なお、表面張力は、例えば、ハンディ表面張力計(装置名:PocketDyne、KRUSS社製)を用いて、最大泡圧法により25℃、ライフタイム1,000msの条件により測定できる。液体の表面張力が、0.5mPa・s以上15.0mPa・s以下であることで、液滴を吐出する上記手段において、好適な吐出を行うことができるため好ましい。
-造粒工程-
造粒工程は、液滴から溶媒を気化させて液滴に含まれていた溶媒を除去することで粒子を造粒する造粒工程である。
なお、造粒工程は、気体中において行われ、具体的には、液滴吐出工程で気体中に吐出された液滴が、気体中を飛行している際に行われることが好ましい。
本工程により造粒されることで、基材中に生理活性物質が分散した形態の粒子を製造できる。
本方法により製造される粒子は、従来の噴霧乾燥法と異なり、加熱や冷却を伴う乾燥を必要としないため、特に加熱または冷却により生理活性が変化しやすい生理活性物質を含有する粒子の形成に有利である。
また、略均一の大きさである液滴を、液滴が合着しないように制御しながら吐出し、かかる液滴から溶媒を気化させることで造粒することが可能であるため、図1に示すように、均一な大きさの粒子を大量に製造することが可能であり、したがって粒度分布を狭くすることができる。
図1は、本実施形態の方法で製造された粒子と噴霧乾燥法で製造された粒子の粒度分布の一例を示す図である。図1によれば、本実施形態の方法で製造された粒子は、噴霧乾燥法で製造された粒子と異なり、粒度分布の狭いピークが1つのみ表れており、粗大粒子を示すピークも表れない。
また、液滴を形成する吐出手段の吐出孔の大きさ等を適宜調整することにより、粒子の粒径を調整することもできる。
また、粒子を小粒径化する手段として、大きな外部応力が生じる粉砕装置や高剪断力のかかる噴霧装置を用いず、代わりに、振動等により液滴を形成する吐出手段などを用いることで、粒子の材料として、外部応力により生理活性が変化する性質を有する生理活性物質が含まれる場合であっても、当該生理活性物質の生理活性が変化することが抑制され、結果として生理活性の量の低下を抑制することができる。
また、本工程では、造粒する際に、水等の溶媒との接触が必要ないため、粒子の製造工程を経て粒子中に保持される生理活性物質の割合(生理活性物質保持率)が高い粒子を製造できる。本工程により、他の方法に比べて、粒子の生理活性率を高めることができ、例えば、生理活性率を50%以上とすることができる。
なお、造粒工程では、液滴を搬送気流中に吐出することで液滴から溶媒を気化させて粒子を造粒してもよい。搬送気流を用いて液滴から溶媒を気化させる方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、搬送気流の搬送方向を、液滴を吐出する方向に対して略垂直方向とする方法などが好ましい。
また、搬送気流は、温度、蒸気圧、気体の種類などを適宜調整することが好ましい。なお、搬送気流の温度を調整するために加熱手段を設けてもよいが、上記の通り、造粒工程では液滴同士の合着が抑制された吐出がなされる。そのため、加熱手段による加熱の程度を抑制することができ、具体的には、生理活性物質の生理活性が変化しない程度の加熱にすることができる。
また、捕集された粒子が固体状態を維持していれば、溶媒が完全に気化していなくてもよく、回収後に別工程で乾燥工程を追加で設けてもよい。また、温度変化や化学変化などの適用により、液滴から溶媒を気化させる方法を用いてもよい。
-その他工程-
その他の工程としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、粒子捕集工程などが挙げられる。
粒子捕集工程は、製造した粒子を捕集する工程であり、粒子捕集手段により好適に実施することができる。粒子捕集手段としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、サイクロン捕集、バックフィルターなどが挙げられる。
少なくとも2種の基材を含有し、この少なくとも2種の基材のうちの一の基材が表面側に偏って含有されている形態の粒子を製造する場合、粒子組成液に含まれる基材の種類を適宜選択することで、造粒工程において当該形態の粒子を形成することができる。
造粒工程において、少なくとも2種の基材のうちの一の基材が表面側に偏って含有されている形態の粒子を形成するには、少なくとも2種の基材における接触角の大きさが互いに異なるようにする。これにより、造粒工程において、液滴から溶媒を気化させると、基材同士の相互作用が大きくなる。
このとき、少なくとも2種の基材は接触角の大きさが互いに異なるため、基材が互いに相分離しやすくなる。すると、少なくとも2種の基材のうちの1種が表面側に偏って含有されるようになり、その後、溶媒の気化が進むと、その状態のまま固化した粒子が形成される。この方法により、一つの工程のみで、少なくとも2種の基材のうちの一の基材が表面側に偏って含有されている形態の粒子を形成することができる。
互いの基材の接触角の差としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1.0°以上が好ましく、10.0°以上がより好ましい。互いの基材の接触角の差が好ましい範囲内であると、互いの基材が相分離しやすくなる。
基材の接触角を測定する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、接触角計を用いて測定する方法などが挙げられる。接触角計としては、例えば、FIBRO system製の携帯式接触角計PG-X+/モバイル接触角計などが挙げられる。
少なくとも2種の基材における相分離の有無の確認方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、少なくとも2種の基材を溶媒に溶解させた溶液をバーコーターで薄膜状にし、乾燥前、乾燥中、及び乾燥後の状態を光学顕微鏡により確認する方法などが挙げられる。光学顕微鏡としては、例えば、オリンパス株式会社製のOLYMPUS BX51などが挙げられる。
また、基材とともに用いられる溶媒が親油性である場合、表面側に偏って含有させる一の基材は、粒子の内側に偏って含有させる他の基材の接触角よりも大きいものを選択する。すると、接触角が大きい一の基材は、粒子の内側に偏って含有させる他の基材よりも溶媒に対する親和性が大きいため、溶媒側、即ち表面側に偏って含有しやすくなる。
また、基材とともに用いられる溶媒が親水性である場合、表面側に偏って含有させる一の基材は、粒子の内側に偏って含有させる他の基材の接触角よりも小さいものを選択する。すると、接触角が小さい一の基材は、粒子の内側に偏って含有させる他の基材よりも溶媒に対する親和性が小さいため、溶媒側、即ち表面側に偏って含有しやすくなる。
このため、例えば、多くの医薬組成物などのように、水溶性の生理活性物質を含む粒子を作製したい場合には、溶媒を親油性とすることにより、生理活性物質を粒子の内側に偏って含有させ、表面側に偏って含有させる一の基材により内側をコーティングするような構造とすることができる。
また、油溶性の生理活性物質を含む粒子を作製したい場合には、溶媒を親水性とすることにより、生理活性物質を粒子の内側に偏って含有させ、表面側に偏って含有させる一の基材により内側をコーティングするような構造とすることができる。
表面側に偏って含有させる一の基材としては、例えば、pH応答性材料などが挙げられる。pH応答性材料を用いることにより、例えば、腸溶性の医薬組成物に含有させることができる粒子を製造することができる。
pH応答性材料としては、例えば、セルロース系ポリマー、メタクリル酸系ポリマーなどが挙げられる。セルロース系ポリマー及びメタクリル酸系ポリマーは、他の基材に比べて接触角が大きいため、生理活性物質を粒子の内側に偏って含有させ、表面側に偏って含有させる一の基材により内側をコーティングするような構造の粒子を形成することができる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
また、セルロース系ポリマーの中でも、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレートが好ましい。これらは、他の基材に比べて接触角が大きいため、生理活性物質を粒子の内側に偏って含有させ、表面側に偏って含有させる一の基材により内側をコーティングするような構造の粒子を形成することができる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
また、メタクリル酸系ポリマーの中でも、アンモニオアルキルメタクリル酸エステルコポリマーであることが好ましい。これは、他の基材に比べて接触角が大きいためである。
表面側に偏って含有させる一の基材と内側に偏って含有させる他の基材の組み合わせとしては、例えば、ポリ(メタ)アクリル酸、ポリグリコール酸、及びヒドロキシプロピルメチルセルロースから選ばれるいずれか1つと、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリエチレンピロリドン、及びポリアルキレングリコールから選ばれるいずれか1つと、の組合せが好ましい。これらの組み合わせは、互いに相溶せず、相分離するためである。
その他の工程としては、上述したもの以外にも、例えば、粒子の造粒後、前記粒子をフィルターや篩にかけて均一な大きさの粒子を得る工程などが挙げられる。
<粒子の製造装置>
粒子の製造装置は、生理活性物質、基材、及び溶媒を含有する液滴を気体中に吐出する液滴吐出手段と、液滴から溶媒を気化させて液滴に含まれていた溶媒を除去することで粒子を造粒する造粒手段と、を有し、必要に応じて、その他手段を有する。
-液滴吐出手段-
液滴吐出手段は、生理活性物質、基材、及び溶媒を含有する液体を気体中に吐出して液滴を形成する手段である。
好ましい態様において、液滴吐出手段は、振動により粒子組成液を吐出して液滴を形成するものである。
液滴吐出手段は、後述する液体収容容器と接続されている。液滴吐出手段と液体収容容器とを接続する手段としては、液体収容容器から液滴吐出手段に液体を供給しうる限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、管(パイプ、チューブ等)などが挙げられる。
液滴吐出手段は、好ましくは液体に振動を付与することで液滴を吐出させる振動付与部材を有する。振動としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、周波数としては1kHz以上が好ましく、150kHz以上がより好ましく、300kHz以上500kHz以下がさらに好ましい。振動が1kHz以上であると、吐出孔から噴射された液柱を再現よく液滴化することができ、150kHz以上であると生産効率を向上させることができる。
振動付与部材を有する液滴吐出手段としては、例えば、インクジェットノズルなどが挙げられる。インクジェットノズルの吐出機構としては、例えば、液柱共鳴法、膜振動法、液振動法、レイリー分裂法などを用いることができる。
次に、液滴吐出手段の一例として液柱共鳴液滴吐出手段について具体的に説明する。
なお、液滴吐出手段としては、液柱共鳴液滴吐出手段に限らず、他の液滴吐出手段(例えば、膜振動法を利用した吐出手段、レイリー分裂法を利用した吐出手段、液振動法を利用した吐出手段など)を用いてもよいことは、当業者であれば当然に理解するものである。
図2は、液柱共鳴液滴吐出手段の一例を示す概略断面図である。液柱共鳴液滴吐出手段11は、液共通供給路17及び液柱共鳴液室18を有する。液柱共鳴液室18は、長手方向の両端の壁面のうち一方の壁面に設けられた液共通供給路17と連通されている。また、液柱共鳴液室18は、両端の壁面と連結する壁面のうち一つの壁面に液滴21を吐出する吐出孔19と、吐出孔19と対向する壁面に設けられ、かつ液柱共鳴定在波を形成するために高周波振動を発生する振動発生手段20とを有する。なお、振動発生手段20には、高周波電源が接続されている。また、液柱共鳴液滴吐出手段11から吐出された液滴21を搬送する気流を供給する気流通路が設けられていてもよい。
生理活性物質、基材、及び溶媒を含有する液体14は、液循環ポンプにより液供給管を通って、液柱共鳴液滴吐出手段11の液共通供給路17内に流入し、液柱共鳴液室18に供給される。
そして、液体14が充填されている液柱共鳴液室18内には、振動発生手段20によって発生する液柱共鳴定在波により圧力分布が形成される。そして、液柱共鳴定在波において振幅の大きな部分であって圧力変動が大きい、定在波の腹となる領域に配置されている吐出孔19から液滴21が吐出される。
この液柱共鳴による定在波の腹となる領域は、定在波の節以外の領域であり、定在波の圧力変動が液を吐出するのに十分な大きさの振幅を有する領域が好ましく、圧力定在波の振幅が極大になる位置(速度定在波としての節)から極小になる位置に向かって±1/4波長の領域がより好ましい。
定在波の腹になる領域であれば、吐出孔が複数で開口されていても、それぞれからほぼ均一な液滴を形成することができ、更には効率的に液滴の吐出を行うことができ、吐出孔の詰まりも生じ難くなる。なお、液共通供給路17を通過した液体14は液戻り管により循環される。液滴21の吐出によって液柱共鳴液室18内の液体14の量が減少すると液柱共鳴液室18内の液柱共鳴定在波の作用による吸引力が作用し、液共通供給路17から供給される液体14の流量が増加する。そして、液柱共鳴液室18内に液体14が補充される。そして、液柱共鳴液室18内に液体14が補充されると、液共通供給路17を通過する液体14の流量が元に戻る。
液柱共鳴液滴吐出手段11における液柱共鳴液室18は、金属、セラミックス、シリコーンなどの駆動周波数において液体の共鳴周波数に影響を与えない程度の高い剛性を持つ材質により形成されるフレームがそれぞれ接合されて形成されている。
また、図2に示すように、液柱共鳴液室18の長手方向の両端の壁面間の長さLは、液柱共鳴原理に基づいて決定される。
更に、液柱共鳴液室18は、生産性を飛躍的に向上させるために1つの液滴形成ユニットに対して複数配置されていることが好ましい。
液柱共鳴液室18の数としては、特に制限はなく、1個以上2,000個以下が好ましい。
また、液柱共鳴液室毎に、液供給のための流路が液共通供給路17から連通接続されており、液共通供給路17には複数の液柱共鳴液室18と連通している。
また、液柱共鳴液滴吐出手段11における振動発生手段20は所定の周波数で駆動できるものであれば特に制限はないが、圧電体を弾性板9に貼りあわせた形態が好ましい。
周波数としては、生産性の点から、150kHz以上がより好ましく、300kHz以上500kHz以下がさらに好ましい。
弾性板は、圧電体が接液しないように液柱共鳴液室の壁の一部を構成している。
圧電体は、例えば、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)等の圧電セラミックスなどが挙げられ、一般に変位量が小さいため積層して使用されることが多い。この他にも、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)等の圧電ポリマーや、水晶、LiNbO、LiTaO、KNbO等の単結晶などが挙げられる。
更に、振動発生手段20は、1つの液柱共鳴液室毎に個別に制御できるように配置されていることが好ましい。
また、上記の1つの材質のブロック状の振動部材を液柱共鳴液室の配置にあわせて、一部切断し、弾性板を介してそれぞれの液柱共鳴液室を個別制御できるような構成が好ましい。
さらに、吐出孔19の開口を多数設けることができ、生産効率が高くなる点から、吐出孔19を液柱共鳴液室18内の幅方向に設ける構成を採用することが好ましい。
また、吐出孔19の開口配置によって液柱共鳴周波数が変動するため、液柱共鳴周波数は液滴の吐出を確認して適宜決定することが望ましい。
--液体収容容器--
液体収容容器は、生理活性物質、基材、及び溶媒を含有する液体を収容した容器である。
液体収容容器は、可とう性があってもよいし、可とう性がなくてもよい。液体収容容器の材質は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、樹脂製であってもよいし、金属製であってもよい。液体収容容器の構造としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、密閉構造であってもよいし、非密閉構造であってもよい。
-造粒手段-
造粒手段は、液滴から溶媒を気化させて液滴に含まれていた溶媒を除去することで粒子を造粒する手段である。
造粒手段は、例えば、液滴から溶媒を気化させるための空間を形成する部材などが挙げられる。
造粒手段は、搬送気流を形成する搬送気流形成手段を有していることが好ましい。
次に、実施形態の一例について、図3~5を用いて説明する。
図3は、粒子の製造装置の一例を示す概略図である。図4は、粒子の製造装置に用いられる液滴吐出手段の一例を示す概略断面図である。図5は、粒子の製造装置に用いられる液滴吐出手段の他の一例を示す概略断面図である。
図3に示す粒子の製造装置300は、液滴吐出手段302、乾燥捕集ユニット360、搬送気流排出口365、及び粒子貯留部363を有する。液滴吐出手段302には、液体314を収容する液体収容容器313と、液体収容容器313に収容されている液体314を、液供給管316を通して液滴吐出手段302に供給し、更に液戻り管322を通って液体収容容器313に戻すために液供給管316内の液体314を圧送する液循環ポンプ315とが連結されており、随時、液体314を液滴吐出手段302に供給できる。液供給管316にはP1、乾燥捕集ユニットにはP2の圧力測定器が設けられており、液滴吐出手段302への送液圧力及び乾燥捕集ユニット内の圧力は圧力測定器P1、P2によって管理される。このときに、P1の圧力測定値がP2の圧力測定値よりも大きい場合には、液体314が吐出孔から染み出すおそれがあり、P1の圧力測定値がP2の圧力測定値よりも小さい場合には、液滴吐出手段302に気体が入り、吐出が停止する恐れがあるため、P1の圧力測定値とP2の圧力測定値とがほぼ同じあることが好ましい。
チャンバー361内では、搬送気流導入口364から作られる下降気流(搬送気流)301が形成されている。液滴吐出手段302から吐出された液滴321は、重力によってのみではなく、搬送気流301によっても下方に向けて搬送され、搬送気流排出口365を通り、粒子捕集手段362によって捕集され、粒子貯留部363に貯留される。
なお、液滴吐出工程において、吐出した液滴同士が乾燥前に接触すると、液滴同士が合着することがある。粒度分布が狭い粒子を得るためには、吐出した液滴同士の距離が保たれていることが好ましい。しかしながら、吐出された液滴は一定の初速度を持っているが空気抵抗により、やがて失速する。失速した液滴に対し、後から吐出された液滴が追いついた場合であって、液滴の乾燥が不十分であるとき、液滴同士が合着し得る。合着を防ぐためには液滴の速度低下を抑制し、液滴同士を接触させないように搬送気流301によって合着を抑制しながら、液滴を乾燥させつつ搬送することが好ましい。そのため、搬送気流301は、液滴吐出手段302の近傍において液滴吐出方向と同一方向に配置することが好ましい。なお、液滴同士が接触する場合であっても、接触時までに十分に乾燥していれば合着しないため、そのような場合は搬送気流301を用いなくてもよい。
図4は、図3における粒子の製造装置の液滴吐出手段の拡大図である。図4に示すように、液滴吐出手段302は、容積変化手段320、弾性板309、及び液体収容部319を有する。液滴吐出手段302は、容積変化手段320に電圧が印加されると変形し、液体収容部319の容積を減少させるため、液体収容部319に貯留している液体を吐出孔から液滴321として吐出する。
図5は、粒子の製造装置の液滴吐出手段の他の態様を示す図である。図5に示すように、気流通路312において、搬送気流301は、吐出方向に対して略垂直方向であってもよい。なお、搬送気流301は、角度を持っていてもよく、液滴吐出手段302より液滴が離れるような角度を持っていることが好ましい。図5のように、容積変化手段320により弾性板309を介して液体収容部319の容積を変化させて、液滴321を吐出し、吐出した液滴321に対して略垂直方向から合着防止の搬送気流301を与える場合は、吐出孔から合着防止の搬送気流301によって液滴321が搬送された際に液滴が通る軌跡が重ならないように吐出孔を配置することが好ましい。
なお搬送気流301によって合着を防いだ後に、別の気流によって粒子捕集手段まで粒子を運んでもよい。
搬送気流の速度は、液滴吐出速度と同じかそれ以上であることが好ましい。液滴吐出速度より搬送気流の速度が速いと、液滴同士の合着を抑制することができる。
また、搬送気流には、液滴の乾燥を促進させるような化学物質を混入してもよい。搬送気流の状態は、限定されることはなく、層流や旋回流や乱流であってもよい。搬送気流を構成する気体の種類は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、空気を用いても、窒素等の不燃性気体を用いてもよい。
また、搬送気流の温度は、適宜調整可能であるが、気流の温度により、液滴に含まれる生理活性物質の生理活性が変化しない温度である。
図3で示された粒子捕集手段362によって得られた粒子に含まれる残留溶媒量が多い場合は、これを低減するために、必要に応じて、二次乾燥を行うことが好ましい。二次乾燥としては、流動床乾燥や真空乾燥のような一般的な公知の乾燥手段を用いることができる。
-レイリー分裂液滴吐出手段-
また、液滴吐出手段の一例として、レイリー分裂法を利用した吐出手段について、図6を用いて説明する。
図6は、レイリー分裂液滴吐出手段の一例を示す概略断面図である。好ましい液滴吐出手段としては、例えば、図6に示すように、少なくとも原料流体を貯留する貯留部401と、振動手段402と、複数の貫通孔403を有する。
以下、レイリー分裂液滴吐出手段について、各部材毎にさらに詳述する。
--貯留部--
貯留部は、少なくとも、原料流体を加圧された状態において保持される必要があるため、SUS、アルミなどの金属等の部材からなり、10MPa程度の耐圧性があることが望ましいが、これに限るものではない。また、例えば、図6に示すように、貯留部へ液を供給する供給配管404で接続され、貫通孔を有する板を保持する貫通保持機構405とを設けた構造が望ましい。また、貯留部全体を振動する振動手段402が、前記貯留部には接している。振動手段には振動発生装置406と導電線407によって接続されており、制御される形態が望ましい。貯留部内の圧力調整を行ったり、内部の気泡を除去するための開放弁408を設けることが、液柱の安定形成を行う上で好ましい。
--振動手段--
前記振動手段402は、一つの振動手段により、該貫通孔を有する貯留部全体を励振させるのが好ましい。前記貯留部401に振動を与える振動手段402としては、確実な振動を一定の周波数で与えることができるものであれば特に制限はなく、適宜選択して使用することができるが、上述の観点から、例えば、前記貫通孔が、圧電体の伸縮により一定の周波数で振動されるのが好ましい。
前記圧電体は、電気的エネルギーを機械的エネルギーに変換する機能を有する。具体的には、電圧を印加することにより、伸縮し、この伸縮により、貫通孔を振動させることができる。
前記圧電体としては、例えば、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)等の圧電セラミックスが挙げられるが、一般に変位量が小さい為、積層して使用されることが多い。この他にも、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)等の圧電高分子や、水晶、LiNbO、LiTaO、KNbO、等の単結晶、などが挙げられる。
前記一定の周波数としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、10kHz乃至10MHzが好ましく、極めて均一な粒子径を有する微小液滴を発生させる観点から、50kHz乃至2MHzがより好ましい。
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。
(実施例1)
-処方液Aの調製-
生理活性物質としてアセトアミノフェン(富士フイルム和光純薬株式会社製)、及び基材として乳酸・グリコール酸共重合体(PURASORB PDLG5004(重量平均分子量(Mw):44,000)、コービオンジャパン株式会社製)を、溶媒としてアセトニトリルと水の質量比90:10となる混合溶媒に溶解し、処方液Aを調製した。なお、処方液Aの全量に対するアセトアミノフェン含有量を0.2質量%、乳酸・グリコール酸共重合体の含有量を3.8質量%になるように調製した。
-粒子1の造粒(レイリー分裂)-
図6に示すレイリー分裂液滴吐出手段を用いて、得られた処方液Aを吐出孔から吐出して液滴化し、図3に示す粒子の製造装置を用いて、液滴から溶媒を除去することで、粒子1を造粒した。乾燥気流温度、相対湿度、溶媒の蒸気圧等より計算されるT-Tは、9.4℃であり、Y-Yは、0.10であった。
得られた粒子1の表面積/体積の値は0.28、個数平均粒径(Dn)は14.8μm、(R.S.F.)は0.58であった。なお、これらは、レーザー回折・散乱式粒度分布測定装置(装置名:LA-960、株式会社堀場製作所製)を用いて測定した。以下同様にして表面積/体積、個数平均粒径、(R.S.F.)を測定した。なお、粒子の製造条件は下記の通りである。
[粒子の製造条件]
・吐出孔の形状:真円
・吐出孔の直径:35μm
・処方液の押し出し圧力:0.18MPa
・加振周波数:80kHz
・加振電圧:5V
・搬送気流量:50m/h
・乾燥気流の温度:26℃
・乾燥気流の相対湿度:13%
(実施例2)
-処方液Bの調製-
生理活性物質としてTRITC標識デキストラン(コスモバイオ株式会社製)を水に3質量%となるよう溶解し溶液を得た。この溶液をアセトニトリルとジクロロメタンとが同量となる混合溶媒中に、注射器(テルモ製シリンジ注射針付き25G)を用いて投入し、TRTICデキストランの分散液を得た。この分散液へ基材として乳酸・グリコール酸共重合体(PURASORB PDLG5004(重量平均分子量(Mw):44,000)、コービオンジャパン株式会社製)を溶解し、処方液Bを調製した。なお、処方液Bの全量に対するTRITCデキストラン含有量を0.04質量%、乳酸・グリコール酸共重合体の含有量を3.96質量%になるように調製した。
-粒子2の造粒(レイリー分裂)-
図6に示すレイリー分裂液滴吐出手段を用いて、得られた処方液Bを吐出孔から吐出して液滴化し、図3に示す粒子の製造装置を用いて、液滴から溶媒を除去することで、粒子2を造粒した。乾燥気流温度、相対湿度、溶媒の蒸気圧等より計算されるT-Tは、5.7℃であり、Y-Yは、0.13であった。
得られた粒子2の表面積/体積の値は0.27、個数平均粒径(Dn)は16.5μm、(R.S.F.)は0.56であった。なお、粒子の製造条件は下記の通りである。
[粒子の製造条件]
・吐出孔の形状:真円
・吐出孔の直径:35μm
・処方液の押し出し圧力:0.18MPa
・加振周波数:80kHz
・加振電圧:5V
・搬送気流量:50m/h
・乾燥気流の温度:60℃
・乾燥気流の相対湿度:2.1%
(実施例3)
-粒子3の造粒(レイリー分裂)-
実施例2において、得られた処方液Bを、下記の粒子の製造条件に変更した以外は、実施例2と同様にして粒子3を造粒した。乾燥気流温度、相対湿度、溶媒の蒸気圧等より計算されるT-Tは、18.3℃であり、Y-Yは、0.11であった。
得られた粒子3の表面積/体積の値は0.27、個数平均粒径(Dn)は21.5μm、(R.S.F.)は0.71であった。なお、粒子の製造条件は下記の通りである。
[粒子の製造条件]
・吐出孔の形状:真円
・吐出孔の直径:35μm
・処方液の押し出し圧力:0.18MPa
・加振周波数:80kHz
・加振電圧:5V
・搬送気流量:50m/h
・乾燥気流の温度:50℃
・乾燥気流の相対湿度:7.3%
(実施例4)
-処方液Cの調製-
生理活性物質としてアルブミン(富士フイルム和光純薬株式会社製)と、安定剤としてデキストラン(富士フイルム和光純薬株式会社製)とを水にそれぞれ1.5質量%となるよう溶解し溶液を得た。この溶液をアセトニトリルとジクロロメタンとが同量となる混合溶媒中に、注射器(テルモ製シリンジ注射針付き25G)を用いて投入し、アルブミン及びデキストランの分散液を得た。この分散液へ基材として乳酸・グリコール酸共重合体(PURASORB PDLG5004(重量平均分子量(Mw):44,000)、コービオンジャパン株式会社製)を溶解し、処方液Cを調製した。なお、処方液Cの全量に対するアルブミンとデキストランの含有量を0.02質量%、乳酸・グリコール酸共重合体の含有量を1.98質量%になるように調製した。
-粒子4の造粒(レイリー分裂)-
図6に示すレイリー分裂液滴吐出手段を用いて、得られた処方液Cを吐出孔から吐出して液滴化し、図3に示す粒子の製造装置を用いて、液滴から溶媒を除去することで、粒子4を造粒した。乾燥気流温度、相対湿度、溶媒の蒸気圧等より計算されるT-Tは、15.7℃であり、Y-Yは、0.10であった。
得られた粒子4の表面積/体積の値は0.28、個数平均粒径(Dn)は17.2μm、(R.S.F.)は0.76であった。なお、粒子の製造条件は下記の通りである。
[粒子の製造条件]
・吐出孔の形状:真円
・吐出孔の直径:35μm
・処方液の押し出し圧力:0.18MPa
・加振周波数:80kHz
・加振電圧:5V
・搬送気流量:50m/h
・乾燥気流の温度:40℃
・乾燥気流の相対湿度:8.7%
(実施例5)
-処方液Dの調製-
生理活性物質としてイブプロフェン(東京化成工業株式会社製)、及び基材としてEudragit-RLPO(Evonik製)を、溶媒としてアセトニトリルとジクロロメタンとが同量となる混合溶媒中に添加し、処方液Dを調製した。なお、処方液Dの全量に対するイブプロフェンの含有量を0.03質量%、Eudragit-RLPOの含有量を0.27質量%になるように調製した。
-粒子5の造粒(噴霧乾燥)-
得られた処方液Dを、下記の粒子の製造条件の噴霧乾燥手段(ロータリーディスクアトマイザー、大河原化工機株式会社製)を用い、粒子5を造粒した。乾燥気流温度、相対湿度、溶媒の蒸気圧等より計算されるT-Tは、7.1℃であり、Y-Yは、0.13であった。
得られた粒子5の表面積/体積の値は0.58、個数平均粒径(Dn)は11.5μm、(R.S.F.)は1.0であった。なお、粒子の製造条件は下記の通りである。
[粒子の製造条件]
・噴霧乾燥機型式:L-8
・ロータリーディスクアトマイザー回転数:10,000rpm
・処方液の送り量:2kg/時間
・搬送気流量:50m/h
・乾燥気流の温度:60℃
・乾燥気流の相対湿度:2.9%
(実施例6)
-粒子6の造粒(レイリー分裂)-
実施例2において、処方液Bに使用する乳酸・グリコール酸共重合体をPURASORB PDLG5002(重量平均分子量(Mw):17,000、コービオンジャパン株式会社製)に代え、得られた処方液を、下記の粒子の製造条件に変更した以外は、実施例2と同様にして粒子6を造粒した。乾燥気流温度、相対湿度、溶媒の蒸気圧等より計算されるT-Tは、14.5℃であり、Y-Yは、0.13であった。
得られた粒子6の表面積/体積の値は0.27、個数平均粒径(Dn)は22.2μm、(R.S.F.)は0.72であった。なお、粒子の製造条件は下記の通りである。
[粒子の製造条件]
・吐出孔の形状:真円
・吐出孔の直径:35μm
・処方液の押し出し圧力:0.18MPa
・加振周波数:80kHz
・加振電圧:5V
・搬送気流量:50m/h
・乾燥気流の温度:60℃
・乾燥気流の相対湿度:4%
(実施例7)
-粒子7の造粒(レイリー分裂)-
実施例2において、混合溶媒の組成をアセトニトリルとジクロロメタンとの比を100:0となる混合溶媒を用い、得られた処方液を、下記の粒子の製造条件に変更した以外は、実施例2と同様にして粒子7を造粒した。乾燥気流温度、相対湿度、溶媒の蒸気圧等より計算されるT-Tは、5.6℃であり、Y-Yは、0.05であった。
得られた粒子7の表面積/体積の値は0.12、個数平均粒径(Dn)は19.7μm、(R.S.F.)は0.81であった。なお、粒子の製造条件は下記の通りである。
[粒子の製造条件]
・吐出孔の形状:真円
・吐出孔の直径:35μm
・処方液の押し出し圧力:0.18MPa
・加振周波数:80kHz
・加振電圧:5V
・搬送気流量:50m/h
・乾燥気流の温度:40℃
・乾燥気流の相対湿度:13.6%
(実施例8)
-粒子8の造粒(レイリー分裂)-
実施例2において、混合溶媒の組成をアセトニトリルとジクロロメタンとの比を75:25となる混合溶媒を用い、得られた処方液を、下記の粒子の製造条件に変更した以外は、実施例2と同様にして粒子8を造粒した。乾燥気流温度、相対湿度、溶媒の蒸気圧等より計算されるT-Tは、5.6℃であり、Y-Yは、0.07であった。
得られた粒子8の表面積/体積の値は0.16、個数平均粒径(Dn)は15.7μm、(R.S.F.)は0.61であった。なお、粒子の製造条件は下記の通りである。
[粒子の製造条件]
・吐出孔の形状:真円
・吐出孔の直径:35μm
・処方液の押し出し圧力:0.18MPa
・加振周波数:80kHz
・加振電圧:5V
・搬送気流量:50m/h
・乾燥気流の温度:40℃
・乾燥気流の相対湿度:6.4%
(実施例9)
-粒子9の造粒(レイリー分裂)-
実施例2において、混合溶媒の組成をアセトニトリルとジクロロメタンとの比を68:32となる混合溶媒を用い、得られた処方液を、下記の粒子の製造条件に変更した以外は、実施例2と同様にして粒子9を造粒した。乾燥気流温度、相対湿度、溶媒の蒸気圧等より計算されるT-Tは、5.4℃であり、Y-Yは、0.08であった。
得られた粒子9の表面積/体積の値は0.15、個数平均粒径(Dn)は16.6μm、(R.S.F.)は0.57であった。なお、粒子の製造条件は下記の通りである。
[粒子の製造条件]
・吐出孔の形状:真円
・吐出孔の直径:35μm
・処方液の押し出し圧力:0.18MPa
・加振周波数:80kHz
・加振電圧:5V
・搬送気流量:50m/h
・乾燥気流の温度:40℃
・乾燥気流の相対湿度:5.4%
(実施例10)
-粒子10の造粒(レイリー分裂)-
実施例2において、混合溶媒の組成をアセトニトリルとジクロロメタンとの比を62:38となる混合溶媒を用い、得られた処方液を、下記の粒子の製造条件に変更した以外は、実施例2と同様にして粒子10を造粒した。乾燥気流温度、相対湿度、溶媒の蒸気圧等より計算されるT-Tは、5.3℃であり、Y-Yは、0.09であった。
得られた粒子10の表面積/体積の値は0.14、個数平均粒径(Dn)は21.3μm、(R.S.F.)は0.49であった。なお、粒子の製造条件は下記の通りである。
[粒子の製造条件]
・吐出孔の形状:真円
・吐出孔の直径:35μm
・処方液の押し出し圧力:0.18MPa
・加振周波数:80kHz
・加振電圧:5V
・搬送気流量:50m/h
・乾燥気流の温度:40℃
・乾燥気流の相対湿度:4.8%
(比較例1)
-粒子11の造粒(レイリー分裂)-
実施例2において、得られた処方液Bを、下記の粒子の製造条件に変更した以外は、実施例2と同様にして粒子11を造粒した。乾燥気流温度、相対湿度、溶媒の蒸気圧等より計算されるT-Tは、26.4℃であり、Y-Yは、0.09であった。
得られた粒子11の表面積/体積の値は0.26、個数平均粒径(Dn)は17.5μm、(R.S.F.)は0.61であった。なお、粒子の製造条件は下記の通りである。
[粒子の製造条件]
・吐出孔の形状:真円
・吐出孔の直径:35μm
・処方液の押し出し圧力:0.18MPa
・加振周波数:80kHz
・加振電圧:5V
・搬送気流量:50m/h
・乾燥気流の温度:35℃
・乾燥気流の相対湿度:22%
(比較例2)
-粒子12の造粒(レイリー分裂)-
実施例2において、得られた処方液Bを、下記の粒子の製造条件に変更した以外は、実施例2と同様にして粒子12を造粒した。乾燥気流温度、相対湿度、溶媒の蒸気圧等より計算されるT-Tは、27.9℃であり、Y-Yは、0.08であった。
得られた粒子12の表面積/体積の値は0.28、個数平均粒径(Dn)は16.7μm、(R.S.F.)は0.58であった。なお、粒子の製造条件は下記の通りである。
[粒子の製造条件]
・吐出孔の形状:真円
・吐出孔の直径:35μm
・処方液の押し出し圧力:0.18MPa
・加振周波数:80kHz
・加振電圧:5V
・搬送気流量:50m/h
・乾燥気流の温度:26℃
・乾燥気流の相対湿度:35%
(比較例3)
-粒子13の造粒(レイリー分裂)-
実施例4において、得られた処方液Cを、下記の粒子の製造条件に変更した以外は、実施例4と同様にして粒子13を造粒した。乾燥気流温度、相対湿度、溶媒の蒸気圧等より計算されるT-Tは、23.6℃であり、Y-Yは、0.10であった。
得られた粒子12の表面積/体積の値は0.26、個数平均粒径(Dn)は17.9μm、(R.S.F.)は0.74であった。なお、粒子の製造条件は下記の通りである。
[粒子の製造条件]
・吐出孔の形状:真円
・吐出孔の直径:35μm
・処方液の押し出し圧力:0.18MPa
・加振周波数:80kHz
・加振電圧:5V
・搬送気流量:50m/h
・乾燥気流の温度:40℃
・乾燥気流の相対湿度:15%
次に、実施例1~10及び比較例1~3で得られた粒子1~13について、以下のようにして、「生理活性物質の封入率(%)」(以下、「薬物含有率(%)」と称することがある。)及び「初期バースト(%)」を測定及び評価した。結果を表3に示す。
[生理活性物質がアセトアミノフェン又はイブプロフェンの場合]
<初期バースト(%)の測定>
アセトアミノフェン又はイブプロフェンを生理活性物質として含む粒子の初期バースト(%)は、以下の手順で測定した。
50mLコニカルチューブ内に粒子を20mg、リン酸緩衝生理食塩水(富士フイルム和光純薬株式会社製)30mLを入れ、100回/分で振とう(デジタルシェーカー、フロントラボ社製)させた。10分経過後に、コニカルチューブ内の液1mLを回収し、遠心分離後、上清0.5mLを2mLバイアルに入れた。さらに、この2mLバイアルに、アセトニトリル水溶液(アセトニトリル:水=9:1)を0.5mL加えた。
この溶液を用いて、下記条件の液体クロマトグラフィーにより溶出した生理活性物質(アセトアミノフェン又はイブプロフェン)の量を測定した。測定した溶出量と下記式に基づき「初期バースト(%)」を算出した。結果を表3に示す。
[液体クロマトグラフィーの条件]
・カラム:XBridge C18 3.5μm(Waters)
(Particle size:3.5μm,column size:4.6×150mm)
・カラム温度:80℃
・移動相:(A)純水、(B)アセトニトリル、A:B=10:90
・注入量:10μL
・検出器:UV-VIS検出器(Agilent Technologies);210nm
・流速:1.0mL/min
[初期バースト(%)計算式]
初期バースト(%)=(試験液中の生理活性物質量/造粒した粒子中に存在している生理活性物質量)×100(%)
<封入率(%)の測定>
造粒した粒子中の生理活性物質(アセトアミノフェン又はイブプロフェン)の割合を測定するために、粒子をそれぞれ2mg秤量し、上述のアセトニトリル水溶液(アセトニトリル:水=9:1)10mL中に溶解させた。この溶液を用いて、液体クロマトグラフィーにより、生理活性物質の定量評価を行った。なお、封入率(%)は、以下の数式を用いて算出した。結果を表3に示す。なお、液体クロマトグラフィーの条件は、生理活性物質がアセトアミノフェン又はイブプロフェンの場合の初期バースト(%)の測定と同様である。
[封入率(%)計算式]
封入率(%)=(造粒した粒子中に存在する生理活性物質量/生理活性物質の仕込み量)×100(%)
[生理活性物質がTRITC標識デキストランの場合]
<初期バースト(%)の測定>
TRITC標識デキストランを生理活性物質として含む粒子の初期バースト(%)は、以下の手順で測定した。
1.5mLマイクロチューブ内に粒子を10mg、リン酸緩衝生理食塩水(富士フイルム和光純薬株式会社製)500μLを入れ、100回/分で振とう(デジタルシェーカー、フロントラボ社製)させた。10分経過後に、マイクロチューブ内の液400μLを回収し、遠心分離後、上清200μLを2mLバイアルに入れた。
この溶液を用いて、下記条件のマルチラベルリーダーにより溶出した生理活性物質(TRITC標識デキストラン)の量を測定した。測定した溶出量と下記式に基づき「初期バースト(%)」を算出した。結果を表3に示す。
[マルチラベルリーダーの条件]
・型式:株式会社パーキンエルマージャパン製 ARVO X4
・測定種類:蛍光強度測定
・励起フィルター:544/15nm
・検出用フィルター:579/25nm
[初期バースト(%)計算式]
初期バースト(%)=(試験液中の生理活性物質量/造粒した粒子中に存在している生理活性物質量)×100(%)
<封入率(%)の測定>
造粒した粒子中の生理活性物質(TRITC標識デキストラン)の割合を測定するために、粒子を5mg秤量し、10質量%苛性ソーダ水溶液1mL中に溶解させた。この溶液を用いて、マルチラベルリーダーにより、生理活性物質の定量評価を行った。なお、封入率(%)は、以下の数式を用いて算出した。結果を表3に示す。なお、マルチラベルリーダーの条件は、生理活性物質がTRITC標識デキストランの場合の初期バースト(%)の測定と同様である。
[封入率(%)計算式]
封入率(%)=(造粒した粒子中に存在する生理活性物質量/生理活性物質の仕込み量)×100(%)
[生理活性物質がアルブミンの場合]
<初期バースト(%)の測定>
アルブミンを生理活性物質として含む粒子の初期バースト(%)は、以下の手順で測定した。
1.5mLマイクロチューブ内に粒子を10mg、リン酸緩衝生理食塩水(富士フイルム和光純薬株式会社製)500μLを入れ、100回/分で振とう(デジタルシェーカー、フロントラボ社製)させた。10分経過後に、マイクロチューブ内の液400μLを回収し、遠心分離後、上清200μLを2mLバイアルに入れた。
この溶液を用いて、下記条件のマルチラベルリーダーにより溶出した生理活性物質(アルブミン)の量を測定した。測定した溶出量と下記式に基づき「初期バースト(%)」を算出した。結果を表3に示す。
[マルチラベルリーダーの条件]
・型式:株式会社パーキンエルマージャパン製 ARVO X4
・測定種類:紫外吸光度測定 280nm
[初期バースト(%)計算式]
初期バースト(%)=(試験液中の生理活性物質量/造粒した粒子中に存在している生理活性物質量)×100(%)
<封入率(%)の測定>
造粒した粒子中の生理活性物質(アルブミン)の割合を測定するために、粒子を5mg秤量し、10質量%苛性ソーダ水溶液1mL中に溶解させた。この溶液を用いて、マルチラベルリーダーにより、生理活性物質の定量評価を行った。なお、封入率(%)は、以下の数式を用いて算出した。結果を表3に示す。なお、マルチラベルリーダーの条件は、生理活性物質がアルブミンの場合の初期バースト(%)の測定と同様である。
[封入率(%)計算式]
封入率(%)=(造粒した粒子中に存在する生理活性物質量/生理活性物質の仕込み量)×100(%)
以上をまとめたものを下記の表1~3に示す。なお、表1中、「PLGA-1」は、「乳酸・グリコール酸共重合体(PURASORB PDLG5004(重量平均分子量(Mw):44,000))」を表し、「PLGA-2」は、「乳酸・グリコール酸共重合体(PURASORB PDLG5002(重量平均分子量(Mw):17,000))」を表す。
表2及び3に示すように、初期バースト(%)の測定結果から、T-Tの値が小さい実施例の粒子の初期バースト(%)が比較例の粒子の初期バースト(%)よりも低くなることが示された。
よって、実施例の粒子は初期バーストを抑制することができ、徐放性製剤に適した粒子であるといえる。
本発明の態様としては、例えば、以下のものなどが挙げられる。
<1> 水溶性の生理活性物質と、脂溶性の基材とを含有し、
表面積/体積の値が0.6以下であることを特徴とする徐放性粒子である。
<2> 個数平均粒径が、1μm以上50μm以下であり、
Relative Span Factor(R.S.F)が、1.0以下である前記<1>に記載の徐放性粒子である。
<3> 前記脂溶性の基材が、ポリ乳酸及び乳酸・グリコール酸共重合体の少なくともいずれかを含有する前記<1>から<2>のいずれかに記載の徐放性粒子である。
<4> 前記ポリ乳酸及び前記乳酸・グリコール酸共重合体の重量平均分子量が40,000以上である前記<3>に記載の徐放性粒子である。
<5> 生理活性物質、基材、及び溶媒を含有する液滴を吐出する液滴吐出工程と、
前記液滴から前記溶媒を除去して粒子を造粒する造粒工程とを含み、
前記液滴から、乾燥気流の露点温度(T)と吐出された前記液滴の湿球温度(T)との差(T-T)が20℃以下の条件で、前記溶媒を除去することを特徴とする徐放性粒子の製造方法である。
<6> 前記液滴から前記溶媒を除去する条件が、乾燥気流の湿球温度における液滴の溶媒が飽和状態であるときの湿度(Y)と湿度(Y)との差(Y-Y)が0.07以上の条件である前記<5>に記載の徐放性粒子の製造方法である。
<7> 前記生理活性物質が水溶性である前記<5>から<6>のいずれかに記載の徐放性粒子の製造方法である。
<8> 前記生理活性物質が前記溶媒中に分散している前記<5>から<7>のいずれかに記載の徐放性粒子の製造方法である。
<9> 前記基材が、ポリ乳酸及び乳酸・グリコール酸共重合体の少なくともいずれかを含有する前記<5>から<8>のいずれかに記載の徐放性粒子の製造方法である。
<10> 前記ポリ乳酸及び前記乳酸・グリコール酸共重合体の重量平均分子量が40,000以上である前記<9>に記載の徐放性粒子の製造方法である。
前記<1>から<4>のいずれかに記載の徐放性粒子及び前記<5>から<10>のいずれかに記載の徐放性粒子の製造方法によると、従来における前記諸問題を解決し、前記本発明の目的を達成することができる。
9、309 弾性板
11 液柱共鳴液滴吐出手段
14、314 液体
17 液共通供給路
18 液柱共鳴液室
19 吐出孔
20 振動発生手段
21、321 液滴
300 粒子の製造装置
301 下降気流(搬送気流)
302 液滴吐出手段
312 気流通路
313 液体収容容器
315 液循環ポンプ
316 液供給管
319 液体収容部
320 容積変化手段
321 液滴
322 液戻り管
360 乾燥捕集ユニット
361 チャンバー
362 粒子捕集手段
363 粒子貯留部
364 搬送気流導入口
365 搬送気流排出口
401 貯留部
402 振動手段
403 貫通孔
404 供給配管
405 貫通保持機構
406 振動発生装置
407 導電線
408 開放弁
409 液滴
国際公開第2008/047863号 特開2021―147330号公報

Claims (10)

  1. 水溶性の生理活性物質と、脂溶性の基材とを含有し、
    表面積/体積の値が0.6以下であることを特徴とする徐放性粒子。
  2. 個数平均粒径が、1μm以上50μm以下であり、
    Relative Span Factor(R.S.F)が、1.0以下である請求項1に記載の徐放性粒子。
  3. 前記脂溶性の基材が、ポリ乳酸及び乳酸・グリコール酸共重合体の少なくともいずれかを含有する請求項1から2のいずれかに記載の徐放性粒子。
  4. 前記ポリ乳酸及び前記乳酸・グリコール酸共重合体の重量平均分子量が40,000以上である請求項3に記載の徐放性粒子。
  5. 生理活性物質、基材、及び溶媒を含有する液滴を吐出する液滴吐出工程と、
    前記液滴から前記溶媒を除去して粒子を造粒する造粒工程とを含み、
    前記液滴から、乾燥気流の露点温度(T)と吐出された前記液滴の湿球温度(T)との差(T-T)が20℃以下の条件で、前記溶媒を除去することを特徴とする徐放性粒子の製造方法。
  6. 前記液滴から前記溶媒を除去する条件が、乾燥気流の湿球温度における液滴の溶媒が飽和状態であるときの湿度(Y)と湿度(Y)との差(Y-Y)が0.07以上の条件である請求項5に記載の徐放性粒子の製造方法。
  7. 前記生理活性物質が水溶性である請求項5から6のいずれかに記載の徐放性粒子の製造方法。
  8. 前記生理活性物質が前記溶媒中に分散している請求項5から6のいずれかに記載の徐放性粒子の製造方法。
  9. 前記基材が、ポリ乳酸及び乳酸・グリコール酸共重合体の少なくともいずれかを含有する請求項5から6のいずれかに記載の徐放性粒子の製造方法。
  10. 前記ポリ乳酸及び前記乳酸・グリコール酸共重合体の重量平均分子量が40,000以上である請求項9に記載の徐放性粒子の製造方法。
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