JP2024033977A - ヘッドマウントディスプレイ - Google Patents

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恭孝 前田
Yasutaka Maeda
大一 小出
Daiichi Koide
健介 久富
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Abstract

【課題】奥行き再現範囲を向上させたライトフィールド方式のヘッドマウントディスプレイを提供する。【解決手段】ヘッドマウントディスプレイ1は、左右の眼球100L,100Rに対応した水平方向のピッチpelem-xよりも垂直方向のピッチpelem-yを短くして要素画像epを2次元状に配列した要素画像群EPを表示するディスプレイ10と、ディスプレイ10の前方に配置され、要素画像epに対応するように、水平方向のピッチparray-xよりも垂直方向のピッチをparray-y短くして要素レンズ21を構成したレンズアレイ20と、を備える。【選択図】図2

Description

本発明は、ライトフィールド方式のヘッドマウントディスプレイに関する。
近年、教育、医療、娯楽等の様々な分野で仮想現実(VR:Virtual Reality)や拡張現実(AR:Augmented Reality)の活用が広がりつつある。VR用やAR用の表示装置として、ヘッドマウントディスプレイ(HMD:Head Mounted Display)が利用されている。また、近年では、ヘッドマウントディスプレイの使用者が仮想空間内で高い没入感・臨場感を得られるように、高精細・広視野なデバイスの開発が進められている。
一般的なヘッドマウントディスプレイは、ディスプレイと接眼レンズとで構成されており、接眼レンズを通して、使用者が拡大されたディスプレイの虚像を見ることができる。そして、このヘッドマウントディスプレイは、ディスプレイに左右の視差のある映像を表示することで、使用者に立体感を感じさせることができる。
このヘッドマウントディスプレイの問題として、長時間使用時の視覚疲労や不快感が挙げられる。その原因は、焦点調節機能により眼が焦点を合わせる位置と、輻輳機能により両眼の視線方向が交差する位置とが一致していないことと言われている。そして、この問題は、仮想的に3次元物体の光線を再生するライトフィールド方式で改善できると期待されている(非特許文献1)。
図17に示すように、ライトフィールド方式のヘッドマウントディスプレイ9は、ディスプレイ90と、レンズアレイ91とを備える。
ディスプレイ90は、要素画像epがアレイ状に配列された要素画像群EPを表示するものである。それぞれの要素画像epは、異なる視点での3次元像の一部である。ディスプレイ90は、例えば、一般的なマイクロディスプレイである。
レンズアレイ91は、マイクロレンズ等の微小なレンズ(要素レンズ92)がアレイ状に配列された光学素子である。
ディスプレイ90の複数の画素から要素レンズ92を通過した主光線(実線)Rは、3次元像Tを構成する点から眼球100の異なる場所に入射する光線(一点鎖線)を再現することになる。
図17(a)に示すように、眼球100の焦点調節面SFAが3次元像Tの点Xに一致する場合、眼球100に入射した光線Rは、水晶体101によって網膜102上で1点に集光する。この場合、焦点調節機能により眼球100が焦点を合わせる位置(焦点調節面SFA)が、輻輳機能により眼球100の視線方向が交差する位置(点X)に一致する。
一方、図17(b)に示すように、眼球100の焦点調節面SFAが3次元像Tの点Xに一致しない場合、例えば、点Xが焦点調節面SFAよりも遠い場合、眼球100に入射した光線Rは、網膜102上で集光せず、網膜102上で広がりを持つ状態となる。この場合、焦点調節機能により眼球100が焦点を合わせる位置(焦点調節面SFA)が、輻輳機能により眼球100の視線方向が交差する位置(点X)と一致しない状態となる。
そして、ライトフィールド方式のヘッドマウントディスプレイ9は、図18に示すように、焦点調節面SFAは、輻輳機能によって、左右の眼球100(100L,100R)の視線方向が交差する位置Xと一致するため、視覚疲労や不快感を軽減することが期待できる。
また、特許文献1および非特許文献2には、図19に示すように、ヘッドマウントディスプレイ9Bが記載されている。ヘッドマウントディスプレイ9Bは、ライトフィールド方式に対応しており、ディスプレイ90と、レンズアレイ91と、接眼レンズ93とを備える。このヘッドマウントディスプレイ9Bでは、ディスプレイ90に要素画像群EPを表示すると、レンズアレイ91と接眼レンズ93との間に中間像Mが形成される。そして、ヘッドマウントディスプレイ9Bでは、接眼レンズ93を通して、中間像Mが拡大された3次元像T(虚像)を再現できる。
ここで、ヘッドマウントディスプレイ9Bでは、ディスプレイ90およびレンズアレイ91が使用者の側頭部付近に位置し、接眼レンズ93が使用者の両眼正面に位置するように配置される。
なお、要素レンズ92から眼球100へ到達する光線は要素レンズ92の中心以外を通る周辺光も存在し、ディスプレイ90のある点から出た光線は拡散光として眼球100に到達する。また、要素レンズ92で屈折された光線を進行方向とは逆にたどると、1点に集光する面(集光面)が存在する。この集光面以外では、光線が広がりを持つため、3次元像の形成位置が集光面から離れるほど、3次元像を構成する点が大きくなり。3次元像の鮮明さが低下したり、3次元の形状に歪が生じたりする。この集光面近傍でこれらの影響が生じない、あるいは、影響の少ない範囲を一般的に奥行き再現範囲と呼んでいる。
奥行き再現範囲を向上させるためには、要素レンズの被写界深度を大きくすればよく、すなわち、レンズアレイのピッチを小さくすればよい。しかし、そうすると、眼球面における3次元像を乱れることなく観察することができる範囲(アイボックス)が狭くなってしまう。また、アイボックスのサイズによってヘッドマウントディスプレイが対応できる人間の瞳孔間距離が決まるため、レンズアレイのピッチを小さくすることによる奥行き再現範囲の向上には限界がある。
このアイボックスのサイズを維持したままで奥行き再現範囲を向上させる手法として、可変焦点レンズを用いて集光面を動的に操作する手法がある(非特許文献2)。
また、他の手法として、要素レンズの焦点距離を中心部と周辺部とで異なるレンズアレイを用いて、開口アレイにより光の通過面を時分割で制御する手法がある(非特許文献3)。
特開2020-073988号公報
D. Lanman and D. Luebke, "Near-Eye Light Field Displays," ACM Trans. Graph., 32, 6, 1-10 (2013). H. Huang and H. Hua, "High-performance integral-imaging-based light field augmented reality display using freeform optics," Opt. Express, 26, 17578-17590 (2018). X. Wang and H. Hua, "Depth-enhanced head-mounted light field displays based on integral imaging," Opt. Lett., 46, 985-988 (2021).
ライトフィールド方式のヘッドマウントディスプレイにおける奥行き再現範囲を向上させる非特許文献2に記載の手法は、集光面を移動させる駆動系等、構造が複雑化してしまい、ヘッドマウントディスプレイが大きくなってしまうという問題がある。
また、非特許文献3に記載の手法は、レンズアレイの要素レンズの焦点距離が中心部と周辺部とで異なるため、要素画像群生成時の計算処理が複雑化し、描画速度が低下してしまうという問題がある。さらに、この手法は、時分割で光の通過面を制御するため、ヘッドマウントディスプレイのフレームレートが低下してしまうという問題がある。
そこで、本発明は、簡易な構成で奥行き再現範囲を向上させたヘッドマウントディスプレイを提供することを課題とする。
前記課題を解決するため、本発明に係るヘッドマウントディスプレイは、ライトフィールド方式のヘッドマウントディスプレイであって、左右の眼球に対応した水平方向のピッチよりも垂直方向のピッチを短くして要素画像を2次元状に配列した要素画像群を表示するディスプレイと、前記ディスプレイの前方に配置され、前記要素画像に対応するように、水平方向のピッチよりも垂直方向のピッチを短くして要素光学素子を構成した光学素子アレイと、を備える構成とした。
かかる構成において、ヘッドマウントディスプレイは、ディスプレイに表示する要素画像の垂直方向のピッチを水平方向のピッチよりも短くするとともに、光学素子アレイを構成する要素光学素子の垂直方向のピッチを水平方向のピッチよりも短くしている。
ここで、眼球に集光する光線を逆方向に辿って1点に集光する点の位置である集光面から離れるほど、光線は広がりを持つ。この光線の広がりが小さいほど、奥行き再現範囲が向上することになる。すなわち、ヘッドマウントディスプレイは、要素画像および要素光学素子の垂直方向のピッチを水平方向のピッチよりも短くすることで、垂直方向の光線の広がりが小さくなり、水平方向の瞳孔位置に影響を与えることなく奥行き再現範囲を向上させることができる。
本発明によれば、水平方向の瞳孔位置に影響の少ない垂直方向の要素画像および要素光学素子のピッチを小さくすることで、簡易な構成で3次元像の奥行き再現範囲を向上させることができる。
本発明の実施形態に係るヘッドマウントディスプレイの外観図である。 本発明の実施形態に係るヘッドマウントディスプレイの構成図であって、(a)は側面図、(b)は上面図である。 本発明の実施形態に係るヘッドマウントディスプレイのレンズアレイの構成例を示す構成図である。 本発明の実施形態に係るヘッドマウントディスプレイのレンズアレイの他の構成例を示す構成図である。 本発明の実施形態に係るヘッドマウントディスプレイと、アイボックス、3次元像および中間像との関係を説明するための説明図である。 本発明の実施形態に係るヘッドマウントディスプレイで表示されて眼球に入射する光線を示す模式図であって、(a)は側面図、(b)は上面図である。 図6に対応した焦点調節面が集光面よりも遠い場合を示す模式図である。 本発明の実施形態に係るヘッドマウントディスプレイが形成するアイボックスの大きさを説明するための説明図であって、(a)は側面図、(b)は上面図である。 アイボックスの形状を説明するための説明図である。 アイボックスに占める瞳孔の割合を説明するための説明図であって、(a)は側面図、(b)は上面図である。 実施例に係るヘッドマウントディスプレイの奥行き再現範囲についてのシミュレーションの内容を説明するための説明図である。 シミュレーション結果を示す画像およびグラフである(奥行き850mm、横縞)。 シミュレーション結果を示す画像およびグラフである(奥行き850mm、縦縞)。 シミュレーション結果を示す画像およびグラフである(奥行き1500mm、横縞)。 シミュレーション結果を示す画像およびグラフである(奥行き1500mm、縦縞)。 瞳孔間距離を説明するための説明図であって、(a)は最大の瞳孔間距離、(b)は最小の瞳孔間距離を示す。 従来のヘッドマウントディスプレイにおける焦点調節の仕組みを説明するための説明図である。 従来のヘッドマウントディスプレイにおける焦点調節面と輻輳機能を説明するための説明図である。 従来のヘッドマウントディスプレイにおける光線の経路を説明するための説明図である。
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
[ヘッドマウントディスプレイの構成]
図1,図2を参照して、本発明の実施形態に係るヘッドマウントディスプレイ1の構成について説明する。
図1は、ヘッドマウントディスプレイ1を使用者が装着した状態を示す図である。図2は、ヘッドマウントディスプレイ1の筐体を透過した構成図であって、(a)は側面図、(b)は上面図である。
ヘッドマウントディスプレイ1は、使用者の頭部Hに装着する仮想現実(VR:Virtual Reality)用の表示装置である。ヘッドマウントディスプレイ1は、ゴーグル形状の筐体に後記するディスプレイ10等を内蔵しており、ライトフィールド方式で立体表示を行う。ヘッドマウントディスプレイ1は、装着バンド2によって、頭部Hに装着される。また、ヘッドマウントディスプレイ1は、図1に示すように、スピーカ3を備え、表示する映像に連動してスピーカ3から音声を再生する構成であってもよい。
図2に示すように、ヘッドマウントディスプレイ1は、ディスプレイ10と、レンズアレイ20と、接眼レンズ30と、を備える。
ヘッドマウントディスプレイ1は、同一構成のディスプレイ10、レンズアレイ20および接眼レンズ30を左右の眼球100(100L,100R)用に計2組(B,B)備える。なお、ヘッドマウントディスプレイ1は、ディスプレイ10およびレンズアレイ20のそれぞれを、左の眼球100L用と右の眼球100R用とを区画して2枚で構成しているが、それらを1枚で両眼用として共有してもよい。
ここでは、3次元空間を、眼球100L,100Rに対応した左右方向(水平方向)をx軸、上下方向(垂直方向)をy軸、奥行き方向をz軸とする座標系とする。また、奥行き方向において、眼球100が位置する方向を前方(手前側)とし、その反対方向を後方(奥側)とする。
また、ここでは、説明をわかりやすくするため、要素画像群EPが厚みを有するように図示したが、実際にはディスプレイ10に表示される画像であって厚みを有していない。
ディスプレイ10は、左右の眼球100L,100Rに対応した水平方向のピッチよりも垂直方向のピッチを短くして要素画像epを2次元状に配列した要素画像群EPを表示するものである。要素画像epは、異なる視点での3次元像の一部の画像である。
例えば、ディスプレイ10は、画素を2次元状(x軸方向、y軸方向)に配列した液晶パネルや有機EL(Electronic Luminescent)パネル等の直視型ディスプレイである。
ディスプレイ10は、水平方向と垂直方向とで、要素画像epのピッチ(中心間距離)を異なるようにして要素画像群EPを表示する。ここでは、要素画像epのy軸方向(垂直方向)のピッチpelem-yを、x軸方向(水平方向)のピッチpelem-xよりも短くする。
ディスプレイ10は、一般的なスマートフォン用の中型ディスプレイパネルと同等以上のサイズ、対角長さ3インチ以上であることが好ましく、対角長さ5.5インチ以上であることがより好ましい。例えば、ディスプレイ10として、対角5.5インチ、解像度3840×2160、画素ピッチ32マイクロメートルの中型ディスプレイパネルを用いることができる。
なお、ディスプレイ10は、2次元状に配列した複数枚のマイクロディスプレイで構成してもよい。また、ディスプレイ10に表示する要素画像群EPは、一般的な手法で生成したものである。例えば、3次元モデルに光線追跡法を施すことで、要素画像群EPを生成することができる。
レンズアレイ(光学素子アレイ)20は、ディスプレイ10の前方に配置され、要素画像epに対応するように、水平方向のピッチよりも垂直方向のピッチを短くして要素レンズ(要素光学素子)21を構成したものである。つまり、レンズアレイ20は、要素レンズ21を2次元状(x軸方向、y軸方向)に配列したものである。例えば、要素レンズ21は、微小な平凸レンズまたは両凸レンズである。
ここでは、レンズアレイ20は、ディスプレイ10との距離がレンズアレイ20(要素レンズ21)の焦点距離よりも短くなるように配置されている。
これによって、ディスプレイ10に表示される要素画像群EPで再生される3次元像の中間像がディスプレイ10よりも奥側に形成され、後記する接眼レンズ30を通して、中間像が拡大された3次元像(虚像)として再現される。
また、レンズアレイ20を構成する要素レンズ21は、y軸方向(垂直方向)のピッチparray-yがx軸方向(水平方向)のピッチparray-xよりも短くなるように構成されている。
例えば、レンズアレイ20は、図3に示すように、y軸方向(垂直方向)のピッチparray-yがx軸方向(水平方向)のピッチparray-xよりも短い、横長の長方形の要素レンズ21を2次元状に配列したものを用いることができる。
また、レンズアレイ20は、図4に示すように、y軸方向のピッチparray-yがx軸方向のピッチparray-xよりも短い、長径を水平方向とする横長の楕円形状の要素レンズ21を2次元状に配列したものを用いることもできる。
これによって、眼球100の眼球面SEにおいて、3次元像を乱れることなく観察することができる範囲であるアイボックスEBの垂直方向のサイズ(図2(a)参照)が水平方向のサイズ(図2(b)参照)よりも小さくなる。
なお、要素画像epおよび要素レンズ21の各ピッチは、眼球100の眼球面SEにおいて、3次元像を観察することができる範囲であるアイボックスEBのサイズによって予め設計された値とする。ここでは、アイボックスEBの水平方向のサイズは、眼球100の左右方向に移動する瞳孔の範囲を含んだサイズとし、アイボックスEBの垂直方向のサイズは、少なくとも瞳孔のサイズ以上であって、アイボックスEBの水平方向のサイズよりも小さくする。
また、レンズアレイ20を構成する要素レンズ21は、ピッチ(parray-x,parray-y)を、それぞれ、ディスプレイ10が表示する要素画像epのピッチ(pelem-x,pelem-y)よりも短くしてもよい。
これによって、レンズアレイ20よりも面積の大きいディスプレイ10によって、視野角を拡大させることができる。
なお、レンズアレイ20は、1枚のレンズアレイで構成し、その左右を右眼用レンズアレイおよび左眼用レンズアレイとしてもよい。
接眼レンズ30は、レンズアレイ20の前方に配置され、ディスプレイ10およびレンズアレイ20によって形成される中間像を拡大して使用者に提示するものである。例えば、接眼レンズ30は、平凸レンズまたは両凸レンズである。また、接眼レンズ30の種類としては、球面レンズ、非球面レンズ、フレネルレンズが挙げられる。
なお、接眼レンズ30は、本発明において必須の構成要件ではなく、構成から省略してもよい。その場合、中間像がそのまま3次元像として再現されることになる。
ここで、図5を参照して、ヘッドマウントディスプレイ1、アイボックスEB、3次元像Tおよび中間像Mとの関係について説明する。なお、ここでは、要素画像epのピッチ(pelem-x,pelem-y)については水平方向および垂直方向の区別を行わずに要素画像epのピッチpelemとして説明する。また、要素レンズ21のピッチ(parray-x,parray-y)についても水平方向および垂直方向の区別を行わずに要素レンズ21のピッチparrayとして説明する。
図5において、aはディスプレイ10とレンズアレイ20との距離、bはレンズアレイ20と中間像面SMとの距離、cはレンズアレイ20と接眼レンズ30との距離、dは3次元像Tの集光面STと接眼レンズ30との距離、eは接眼レンズ30と眼球100の眼球面SEとの距離(アイレリーフ)を示す。
アイボックスEBの大きさdeyeboxは、以下の式(1)で表される。
Figure 2024033977000002
また、要素画像epのピッチpelemは、以下の式(2)で表される。
Figure 2024033977000003
なお、式(1),(2)において、feyeは接眼レンズ30の焦点距離を示す。
このように、アイボックスEBの大きさdeyeboxは、要素画像epのピッチpelemおよび要素レンズ21のピッチparrayに比例する。
ヘッドマウントディスプレイ1は、要素画像epおよび要素レンズ21の垂直方向のピッチを水平方向のピッチよりも小さくすることで、アイボックスEBの垂直方向の大きさを水平方向の大きさよりも小さくしている。
また、ヘッドマウントディスプレイ1は、ディスプレイ10とレンズアレイ20との距離aを、要素レンズ21の焦点距離よりも短くする。これによって、ヘッドマウントディスプレイ1は、レンズアレイ20からディスプレイ10の後方に距離bだけ離間して、3次元像Tの集光面STに対応した中間像面SMの近傍に中間像Mを形成する。ここで、ディスプレイ10とレンズアレイ20との距離aと、レンズアレイ20と中間像面SMとの距離bとは、要素レンズ21の焦点距離をfarrayとしたとき、以下の式(3)に示す関係となる。
Figure 2024033977000004
このように、ヘッドマウントディスプレイ1は、ディスプレイ10の後方に中間像(虚像)Mを形成するため、レンズアレイ20と接眼レンズ30との距離を短くして、装置を薄型化(小型化)することができる。
なお、3次元像T(集光面ST)と中間像M(中間像面SM)との関係は、接眼レンズ30の焦点距離feyeを用いて、以下の式(4)で表すことができる。
Figure 2024033977000005
以上説明したヘッドマウントディスプレイ1の作用、効果について図面を参照して説明する。
[作用・効果]
<奥行き再現範囲の向上>
まず、図6,図7を参照して、ヘッドマウントディスプレイ1の奥行き再現範囲の向上について説明する。
なお、図6は、ヘッドマウントディスプレイ1で表示される眼球100に入射する3次元像Tの1点の光線を模式的に示した図で、(a)はヘッドマウントディスプレイ1を側面から見た図、(b)はヘッドマウントディスプレイ1を上面から見た図である。
図7は、図6に対応して、焦点調節面が集光面よりも遠い場合を示す模式図である。なお、図7では、図6に示した3次元像Tと中間像Mとを省略している。
図6に示すように、ディスプレイ10が表示する要素画像群EPがレンズアレイ20によって中間像Mとして再現され、使用者は、接眼レンズ30によって中間像Mが拡大された3次元像Tを眼球100により視認する。
ここで、眼球100の焦点調節機能により、眼球100に入射した光線は、水晶体101によって網膜102上で1点に集光する。この1点に集光した点を光線の進行方向とは逆に辿ると1点に集光する面(集光面ST)が存在し、焦点調節面SFAと一致する。この集光面STは、ディスプレイ10で表示する要素画像epについて、要素レンズ21と接眼レンズ30を通した共役面に相当する。
一方、ディスプレイ10の1点から出て要素レンズ21を通過する光線(周辺光を含む)は、図7に示すように、集光面STから離れるほど広がりを持つことになる。
ここで、図7(a)に示すディスプレイ10が表示する要素画像epおよび要素レンズ21の垂直方向(y軸方向)のそれぞれのピッチは、図7(b)に示すディスプレイ10が表示する要素画像epおよび要素レンズ21の水平方向(x軸方向)のピッチよりも小さい。
そのため、ヘッドマウントディスプレイ1は、垂直方向(y軸方向)の光線の広がりを水平方向(x軸方向)の光線の広がりよりも抑えることができる。
これによって、ヘッドマウントディスプレイ1は、水平方向(x軸方向)における瞳孔の移動範囲をカバーしつつ、垂直方向(y軸方向)の光線の広がり抑えることができるため、従来よりも、奥行き再現範囲を向上させることができる。
<輝度の向上>
次に、図8~図10を参照して、ヘッドマウントディスプレイ1の輝度の向上について説明する。
図8(a)に示すように、要素画像epの垂直方向(y軸方向)の上下端の光線によって、眼球100の眼球面SEにおけるアイボックスEBの垂直方向の大きさdeyebox-yが特定される。
同様に、図8(b)に示すように、要素画像epの水平方向(x軸方向)の左右端の光線によって、眼球100の眼球面SEにおけるアイボックスEBの水平方向の大きさdeyebox-xが特定される。
ここで、要素画像epの垂直方向のピッチは、要素画像epの水平方向のピッチよりも小さいため、アイボックスEBの垂直方向の大きさdeyebox-yは、水平方向の大きさdeyebox-xよりも小さい。
すなわち、図9に示すように、水平方向の大きさdeyebox-y、垂直方向の大きさdeyebox-yの横長のアイボックスEB内で、瞳孔PUが要素画像群EPの光を受光することになる。
ここで、アイボックスEBのうち、瞳孔PUが占める割合は、各要素画像epの中で眼球100に入射する光線を出射するピクセルの割合に等しい。
すなわち、図10(a)に示すように、要素画像epのピッチが小さい垂直方向におけるアイボックスEBに占める瞳孔PUの割合は、図10(b)に示す水平方向におけるアイボックスEBに占める瞳孔PUの割合よりも大きくなる。
これによって、ヘッドマウントディスプレイ1は、水平方向(x軸方向)における瞳孔の移動範囲をカバーしつつ、垂直方向(y軸方向)の光線量を増やすことができ、ヘッドマウントディスプレイ1の輝度を向上させ、3次元像をより明るく提示することができる。
以下、ヘッドマウントディスプレイ1の実施例について説明する。本実施例では、ヘッドマウントディスプレイ1を以下の表のように構成した。
Figure 2024033977000006
この表の構成を構成Aとよぶ。また、要素レンズ21のx軸方向およびy軸方向のピッチをともに1.0mmとした構成(以下、構成Bとよぶ)と、要素レンズ21のx軸方向およびy軸方向のピッチをともに1.5mmとした構成(以下、構成Cとよぶ)とを、ヘッドマウントディスプレイ1(構成A)と比較して説明する。なお、構成Bおよび構成Cの要素レンズ21のピッチ以外は、構成Aと同じ値を用いた。
<奥行き再現範囲について>
まず、本実施例のヘッドマウントディスプレイ1の奥行き再現範囲についてのシミュレーション結果について説明する。
まず、図11に示すように、白黒の縦縞のテクスチャを貼り付けた平面のプレートと、白黒の横縞のテクスチャを貼り付けた平面のプレートとをそれぞれ、奥行き位置を変えて配置し、ディスプレイ10に表示する要素画像群を生成した。このとき、奥行き位置は接眼レンズ30から850mmと1500mmとの2箇所とし、各プレートは、眼球面で見たときの視角が一定となる大きさとした。そして、ディスプレイ10で表示される要素画像群をレンズアレイ20および接眼レンズ30を通して見たときの3次元像を光学シミュレーションにより生成した。
図12~図15にシミュレーション結果を示す。なお、各図の画像は、テクスチャの貼られた平面プレートの3次元像である。また、各図のグラフは、横軸が画像上の破線で示す縞と垂直な方向の位置(x軸方向位置またはy軸方向位置)、縦軸がその位置における輝度を示す。
図12は、接眼レンズ30から850mm離した位置に横縞のプレートを配置したときのシミュレーション結果である。図13は、接眼レンズ30から850mm離した位置に縦縞のプレートを配置したときのシミュレーション結果である。図14は、接眼レンズ30から1500mm離した位置に横縞のプレートを配置したときのシミュレーション結果である。図15は、接眼レンズ30から1500mm離した位置に縦縞のプレートを配置したときのシミュレーション結果である。
同じ奥行き位置で構成Bと構成Cとのグラフを比較すると、どの奥行き位置においても、構成Cグラフの方が3次元像である白黒の矩形形状が崩れている。これは、要素レンズ21のピッチが大きいほど、要素画像群から3次元像を生成させるときの光線に広がりが生じ、奥行き再現範囲が狭くなっているためである。
一方、構成Aは、縦縞の3次元像のグラフ(図13,図15参照)については構成Cの形状と大きく変わらないが、横縞の3次元像のグラフ(図12,図14参照)については構成Bの形状に近い形状で、矩形形状の崩れが少ない。
このように、ヘッドマウントディスプレイ1は、要素レンズ21のy軸方向(垂直方向)のピッチを小さくすることで、y軸方向の奥行き再現範囲を向上させることができる。
<アイボックスについて>)
次に、本実施例のヘッドマウントディスプレイ1のアイボックスの大きさについて説明する。
アイボックスは、左右の眼球の眼球面において、水平方向の大きさが予め定めた最小の瞳孔間距離から最大の瞳孔間距離となる瞳孔の位置を含み、垂直方向の大きさが、水平方向の大きさよりも短い領域である。
すなわち、アイボックスは、図16(a)に示すアイボックスEB内に含まれる両眼の瞳孔PUの最大の瞳孔間距離dPUmaxから、図16(b)に示す最小の瞳孔間距離dPUminまでを水平方向においてカバーする必要がある。
ここで、瞳孔間距離の基準的な距離をdPUst、アイボックスの大きさをdeyebox、瞳孔径をdPUとしたとき、最大の瞳孔間距離dPUmaxは、以下の式(5)で表される。
Figure 2024033977000007
また、最小の瞳孔間距離dPUminは、以下の式(6)で表される。
Figure 2024033977000008
要素レンズ21のピッチがx軸方向およびy軸方向ともに1.0mmの構成Bは、前記式(1)より、アイボックスの大きさdeyeboxが9.2mmとなる。また、要素レンズ21のピッチがx軸方向およびy軸方向ともに1.5mmの構成Cは、前記式(1)より、アイボックスの大きさdeyeboxが13.8mmとなる。
ここで、人間の瞳孔径は2~6mm程度であるため、例えば、瞳孔径dPUを5.0mmとし、瞳孔間距離の基準的な距離dPUstを65.0mmとする。
この場合、構成Bは、アイボックスの大きさdeyeboxが9.2mmであるため、前記式(5),(6)から、カバーできる瞳孔間距離は、60.8mm(dPUmin)から69.2mm(dPUmax)となる。
同様に、構成Cは、アイボックスの大きさdeyeboxが13.8mmであるため、前記式(5),(6)から、カバーできる瞳孔間距離は、56.2mm(dPUmin)から73.8mm(dPUmax)となる。
なお、成人の一般的な瞳孔間距離は55.0mm(dPU-MIN)から72.0mm程度であることが知られている。そのため、この瞳孔間距離をカバーするには、以下の(7)式に示すアイボックスの大きさdeyeboxが必要となる。
Figure 2024033977000009
すなわち、この式(7)より、アイボックスの大きさdeyeboxとして、13.5mm程度が必要となる。
構成Bは、アイボックスの大きさdeyeboxが9.2mmであるため不十分である。構成A,Cは、アイボックスの大きさdeyeboxが13.8mmとなるため条件を満たし、多くの瞳孔間距離をカバーすることができる。
このように、ヘッドマウントディスプレイ1は、具体的には、水平方向のアイボックスの大きさを13.5mmとしたとき、垂直方向のアイボックスの大きさを、13.5mm未満、かつ、瞳孔径5.0mm以上とすることが好ましい。すなわち、要素画像および要素レンズの水平方向のピッチを1としたとき、垂直方向のピッチpを0.37≦p<1とすることが好ましい。
以上説明したように、本実施例のヘッドマウントディスプレイ1は、アイボックスが水平方向に長いため、瞳孔間の分布を広くカバーし、多くの使用者に対応させることができる。また、ヘッドマウントディスプレイ1は、アイボックスが垂直方向に短いため、3次元像の輝度を上げるとともに、奥行き再現範囲を向上させることができる。
さらに、ヘッドマウントディスプレイ1は、要素画像および要素レンズのピッチを水平方向よりも垂直方向を短くするという簡易な構成であるため、従来のように装置全体が大きくなることはなく、要素画像の描画速度の低下やフレームレートの低下を抑えることができる。
以上、本発明の実施形態および実施例について説明したが、本発明は、前記した実施形態および実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
例えば、前記した実施形態では、ヘッドマウントディスプレイ1に接眼レンズ30を備える構成とした。しかし、中間像を拡大する必要がなければ、ヘッドマウントディスプレイ1から接眼レンズ30を省略しても構わない。
また、前記した実施形態では、ヘッドマウントディスプレイ1がVR用の表示装置であることとして説明したが、AR用の表示装置であってもよい。例えば、AR用のヘッドマウントディスプレイでは、ヘッドマウントディスプレイ1の接眼レンズ30の前方にハーフミラーを備える構成とし、接眼レンズ30を介して出射する光線を、ハーフミラーで反射して、両眼に到達するようにし、前景の光を、ハーフミラーを透過して両眼に到達するように構成すればよい。
これによって、AR用のヘッドマウントディスプレイにおいて、3次元像の輝度を上げるとともに、奥行き再現範囲を向上させることができる。
1 ヘッドマウントディスプレイ
10 ディスプレイ
20 レンズアレイ(光学素子アレイ)
21 要素レンズ(要素光学素子)
30 接眼レンズ
EP 要素画像群
ep 要素画像
EB アイボックス

Claims (4)

  1. ライトフィールド方式のヘッドマウントディスプレイであって、
    左右の眼球に対応した水平方向のピッチよりも垂直方向のピッチを短くして要素画像を2次元状に配列した要素画像群を表示するディスプレイと、
    前記ディスプレイの前方に配置され、前記要素画像に対応するように、水平方向のピッチよりも垂直方向のピッチを短くして要素光学素子を構成した光学素子アレイと、
    を備えることを特徴とするヘッドマウントディスプレイ。
  2. 前記光学素子アレイの前方に配置され、前記光学素子アレイによって前記要素画像群から形成される中間像を拡大する接眼レンズをさらに備えることを特徴とする請求項1に記載のヘッドマウントディスプレイ。
  3. 前記接眼レンズを介して出射する光線は、前記左右の眼球の眼球面において、水平方向の大きさが予め定めた最小の瞳孔間距離から最大の瞳孔間距離となる瞳孔の位置を含み、垂直方向の大きさが、前記水平方向の大きさよりも短いアイボックスに照射することを特徴とする請求項2に記載のヘッドマウントディスプレイ。
  4. 前記接眼レンズは、前記ディスプレイの後方に形成される中間像と前記光学素子アレイとの距離をb、前記中間像の後方に位置する集光面と前記接眼レンズとの距離をd、前記光学素子アレイと前記接眼レンズとの距離をc、および、前記接眼レンズの焦点距離をfeyeとしたとき、
    Figure 2024033977000010
    を満たすように配置されることを特徴とする請求項2に記載のヘッドマウントディスプレイ。
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