JP2024025024A - 農業用ハウス - Google Patents

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Abstract

【課題】ハウス内の温度がすぐに低下することを抑制できる農業用ハウスを提供する。【解決手段】少なくとも側面部を有する農業用ハウスであって、前記農業用ハウスの側面部の長手に沿って側面部の内表面に対向する壁体が設けられ、前記壁体は、室内側から蓄熱層及び断熱層を含む積層体からなるものであることを特徴とする農業用ハウス。【選択図】図1

Description

本発明は、農業用ハウスに関する。
野菜、果物及び園芸植物等の施設栽培に用いられている、農業用ハウス(以下、単に「ハウス」ということがある。)は、昼間は太陽光による熱をハウス内に溜め込みハウス内の温度を維持している。一方、夜間は昼間に溜め込んだ熱が放出されハウス内の温度が低下してしまうことから、ボイラー等の加温設備を用いてハウス内を加温することで温度を保っている。
しかしながら、加温設備を稼働するためには多くの燃料が必要であって、燃料費が高騰すると農作物の価格などへの影響が大きい。
そこで、使用燃料を抑えつつ、夜間でもハウス内の温度を維持することのできる農業用ハウスが求められている。
例えば、コンクリート壁を蓄熱層として用いた温室構造体が知られている(特許文献1)。
特開2013-39123号公報
しかしながら、特許文献1に記載のコンクリート壁からなる蓄熱層は、太陽光が照射される面積が大きいほど蓄熱されやすい一方で、熱の放出もしやすい。したがって、該蓄熱層のみでは短時間で熱が放出しきってしまい、ハウス内の温度もすぐに低下してしまう。また、特許文献1には、蓄熱層の表面に土を設けることで断熱性を高められることが記載されているが、ハウス周辺ではそのスペースを確保することは難しいものであった。
したがって、ハウス内の温度がすぐに低下することを抑制できる農業用ハウスが求められている。
本発明は上記に鑑みてなされたもので、ハウス内の温度がすぐに低下することを抑制できる農業用ハウスを提供することを目的とする。
本発明者らは、上記の課題解決を目標に鋭意検討した結果、室内側から蓄熱層及び断熱層を含む積層体からなる壁体を備える農業用ハウスが熱の放出をハウスの室内側方向とし、無駄な方向への熱の放出を断熱材で防ぐことで、ハウス内の温度の急な低下を抑制できることを見出し、本発明を完成した。
即ち、本発明は、
[1]少なくとも側面部を有する農業用ハウスであって、
前記農業用ハウスの側面部の長手に沿って側面部の内表面に対向する壁体が設けられ、
前記壁体は、室内側から蓄熱層及び断熱層を含む積層体からなるものであることを特徴とする農業用ハウス、
[2]少なくとも側面部を有する農業用ハウスであって、
前記農業用ハウスの側面部の長手に沿って側面部の外表面に対向する壁体が設けられ、
前記壁体は、室内側から蓄熱層及び断熱層を含む積層体からなるものであることを特徴
とする農業用ハウス、
[3]少なくとも側面部を有する農業用ハウスであって、
前記農業用ハウスの側面部の長手に沿って膜材が介在するように壁体が設けられ、
前記壁体は、室内側から蓄熱層及び断熱層をそれらの間に膜材を配して含む多層構成を有するものであることを特徴とする農業用ハウス、
[4]フレームに膜材を張って成る、[1]乃至[3]のうち何れか一に記載の農業用ハウス、
[5]天井部、左右の側面部及び前後の妻面部を有する[4]に記載の農業用ハウス、
[6]ヒトがハウス内部に立ち入りうる空間を有する[5]に記載の農業用ハウス、
[7]膜材がトンネル状又はドーム状に張られ、その一部に側面部が形成されている、[1]乃至[3]のうち何れか一に記載の農業用ハウス、
[8]膜材が弯曲又は屈曲するフレームに張られて、トンネル状又はドーム状に形成されている、[7]に記載の農業用ハウス
に関する。
本発明によれば、農業用ハウスの室内側から蓄熱層及び断熱層を含む積層体からなる壁体を備えることにより、ハウス内の温度がすぐに低下することを抑制できる農業用ハウスを提供することができる。
(a)本発明の実施形態1に係る農業用ハウス1Aの斜視図である。(b)本発明の実施形態1に係る農業用ハウス1Aの断面図である。 (a)本発明の実施形態2に係る農業用ハウス1Bの斜視図である。(b)本発明の実施形態2に係る農業用ハウス1Bの断面図である。 (a)本発明の実施形態3に係る農業用ハウス1Cの断面図である。(b)本発明の実施形態3に係る農業用ハウス1Cをハウス内部から見た側面図である。(c)本発明の実施形態3に係る農業用ハウス1Cをハウス外部から見た側面図である。 (a)本発明の実施形態4に係る農業用ハウス1Dの斜視図である。(b)本発明の実施形態4に係る農業用ハウス1Dの断面図である。 本発明の農業用ハウスの側面部8に対する壁体12の位置((a)側面部8の両側の内表面に配置、(b)側面部8の片側の内表面、かつ断熱層14をフレーム2の間に配置、(c)側面部8の片側の外表面に配置、(d)側面部8の片側に膜材4が介在するように配置、(e)側面部8の両側の内表面、かつ土壌19(地面)に潜り込ませて配置、(f)側面部8の両側の内表面、かつ土壌19(地面)に潜り込ませ、さらに両側の断熱層14を土壌中にて連結するよう配置)を示す断面図である。 (a)検証試験体18の正面図である。(b)検証試験体18の側断面図である。(c)検証試験体18の平面図である。(d)比較試験体20の側断面図である。(e)比較試験体20の平面図である。
本発明は、少なくとも側面部を有する農業用ハウスであって、
前記農業用ハウスの側面部の長手に沿って側面部の内表面又は外表面に対向する壁体が設けられるか、又は膜材が介在するように壁体が設けられ、
前記壁体は、室内側から蓄熱層及び断熱層を含む積層体であること、又はそれらの間に膜材を配して含む多層構成を有するものであることを特徴とする農業用ハウスに関する。
以下、本発明を実施形態に基づき図面を用いて具体的に説明する。図面は模式的なものであり、各要素の寸法の相対関係などは、現実のものとは異なる場合があることに留意する必要がある。また、下記の実施形態は本発明を限定するものではなく、要旨構成の範囲
内で適宜変更することは、本発明の範囲に含まれるものとする。
[農業用ハウス]
本発明の実施形態1の農業用ハウス1Aは、図1(a)に示すように、フレーム2に膜材4を張って成り、ドーム型(丸屋根型)の天井部6、左右の側面部8、8及び前後の妻面部10、10が形成されている。そして、前記農業用ハウス1Aの側面部8の長手に沿って側面部8の内表面に対向する壁体12が設けられ、前記壁体12は、室内側から蓄熱層13及び断熱層14を含む積層体からなる。
本発明の実施形態2の農業用ハウス1Bは、図2(a)に示すように、フレーム2に膜材4を張って成り、ドーム型の天井部6、左右の側面部8、8及び前後の妻面部10、10が形成されている。そして、前記農業用ハウス1Bの側面部8の長手に沿って側面部8の外表面に対向する壁体12が設けられ、前記壁体12は、室内側から蓄熱層13及び断熱層14を含む積層体からなる。
本発明の実施形態3の農業用ハウス1Cは、図3(a)に示すように、フレーム2に膜材4を張って成り、両屋根型の天井部6、左右の側面部8、8及び前後の妻面部10、10が形成されている。そして、前記農業用ハウス1Cの側面部8の長手に沿って前記膜材4が介在するように壁体12が設けられ、前記壁体12は、室内側から蓄熱層13及び断熱層14をそれらの間に膜材4を配して含む多層構成を有する。
本発明の実施形態4の農業用ハウス1Dは、図4(a)に示すように、膜材4が弯曲又は屈曲するフレーム2に張られてトンネル状に形成されており、側面部8の外表面に対向する壁体12が設けられ、前記壁体12は、室内側から蓄熱層13及び断熱層14を含む積層体からなる。
<フレーム>
フレーム2は、通常、口径が10mm以上50mm以下の金属製の丸・角パイプにより形成される。フレーム2を形成する金属には、例えば、アルミニウム又は表面に亜鉛メッキ等の防錆処理を施した鉄等が用いられる。そして該金属を、例えば樹脂でコーテイングしたものも用いることもできる。さらに、上記パイプはプラスチック製又は木製であってもかまわない。
フレーム2は、所望のハウス形状を形成するために適宜必要な形状が採用される。例えば、地面に複数の弯曲又は屈曲するフレーム2を間隔を隔てて立て、この弯曲又は屈曲するフレーム2に膜材4を張ることで、トンネル状の農業用ハウスを形成することができる。一方、後述する膜材4及び壁体12の種類によってはフレームレスのトンネル状又はドーム状の農業用ハウスを作製することもでき、それら農業用ハウスも本発明に含まれる。
<膜材>
膜材4は、例えば、透明合成樹脂製シートやガラスなど、光を透過し且つ風や雨を遮断できる材料であって、農業用ハウスの外周材として用いられる公知の材料の中から適宜選択して使用することができる。より具体的には、透明合成樹脂製シートとして、農業用ポリ塩化ビニルフィルム(農ビ)、農業用ポリオレフィンフィルム(農POフィルム)及び農業用フッ素樹脂フィルム等が挙げられる。これら透明合成樹脂製シートの中でも農業用ポリ塩化ビニルフィルムが好ましい。
<側面部>
本発明の農業用ハウスの側面部8には、その長手に沿って側面部8の内表面又は外表面に対向するように壁体12が設けられている。あるいは、膜材4が介在するように壁体1
2が設けられている。
側面部8は、農業用ハウスの内部より見て、側方に位置する面部であり、農業用ハウスの外周面の一部を構成する。側面部8は通常、左右二つの面部からなるが、その側面部8の位置及び範囲は、農業用ハウスの構造に応じて自由に(任意に)変えることができる。例えば、ヒトがハウス内部に立ち入りうる空間を有するような農業用ハウス1A、農業用ハウス1B及び農業用ハウス1Cの場合、図1乃至図3に示すように側面部8、8に加えて天井部6及び妻面部10、10を備えているため、側面部8、8は、農業用ハウスの外周面の一部を構成し、地面に対して略垂直に立つ二つの略矩形の部位が相当する。また、内部に人が出入りできるほどの大きさの空間を有さず、例えば家庭菜園等に適する大きさの農業用ハウス1Dにおいては、図4に示すように側面部8は農業用ハウスの外周面の一部を構成し、フレーム2に合わせて弯曲又は屈曲したアーチ部上面に相当する。
<天井部・妻面部>
天井部6を有する農業用ハウスについてその天井部6の形状は、太陽光を取り入れることができれば特に限定されない。なお、本発明の天井部は屋根部とも称される。例えば、ドーム型(丸屋根型)、両屋根型、片屋根型、スリークォーター型(不等辺屋根型)、駒型(多角形型)及び片部を曲げたドーム型等の公知の形状を使用することができる。これら形状のうち、受光量が平均化し、通風もよいドーム型及び両屋根型が好ましく、ドーム型がより好ましい。
天井部6の形状が駒型である場合などには、側面部8は天井部6中心に向かって傾斜がつけられていてもかまわない。
農業用ハウス1A、農業用ハウス1B及び農業用ハウス1Cは、天井部6が左右の側面部8、8と前後の妻面部10、10とに支持されている。また、左右の側面部8、8は互いに対向し、前後の妻面部10、10は、2つの側面部8、8に直交している。
妻面部10には、通常、換気や人が出入りするための口が設けられている。さらに側面部8及び妻面部10を地面に潜り込ませるようにハウスを設置してもかまわない。
<壁体>
壁体12は、室内側から蓄熱層13及び断熱層14を含む積層体、又は室内側から蓄熱層13及び断熱層14をそれらの間に膜材4を配して含む多層構成を有するものである。壁体12は、図1乃至図5に示すような種々の設け方が可能である。
例えば、壁体12は、図1(b)(実施形態1の農業用ハウス1A)のように、ハウスの側面部8の長手に沿って片側の側面部8の内表面に対向するよう設けられる。
また、壁体12は、片側の側面部8だけに設けられるものではなく、例えば図5(a)のように左右側面部8、8の両側の内表面に配置されていてもよい。
また、農業ハウス空間を有効に利用する為、図5(b)の様に断熱層14をフレーム2の間に設けてもよい。
壁体12は、図2(b)(実施形態2の農業用ハウス1B)のように、ハウスの側面部8の長手に沿って側面部8の外表面に対向するよう設けられる。ここで、図2(b)のように、壁体12を側面部8の外表面に対向するよう設ける場合は、蓄熱層13の上面からの熱の放出を防ぐために、蓄熱層13の上面に木口断熱層15を設けることが好ましい。
さらに、壁体12を側面部8の外表面に対向するよう設ける場合は、図5(c)のように雨水対策として、笠木16及び防雨材17を設けることがより好ましい。
壁体12は、図3(a)のように、(実施形態3の農業用ハウス1C)のように、ハウスの側面部8の長手に沿って膜材4が介在するように壁体12が設けられる。ここで、膜材4が介在するように壁体12が設けられる場合、蓄熱層13、膜材4及び断熱層14が
密着又は接着した方が無駄な方向への熱の放出をより防ぐことが期待されるため、例えば、図3(b)のように、蓄熱層13はフレーム2の間に設け、一方、断熱層14は、フレーム2の間に設けることなく、図3(c)のように、フレーム2を跨ぐように設けることが好ましい。このとき、断熱層14は複数の後述する断熱材を隙間なく設けてもよい。
また、断熱層14は側面部8の外表面に設けられているため、図5(d)のように雨水対策として、笠木16及び防雨材17を設けることがより好ましい。
壁体12は、図5(e)のように土壌19に潜り込ませるように設けてもよい。さらに例えば図5(f)のように壁体12における断熱層14の先端を土壌19中に埋設した断熱層14とコの字状に連結しても良い。土壌19にはそれ自体にも蓄熱効果があるため、土壌19と埋設した断熱層14とで壁体12に類似の効果を奏することが期待できる。
壁体12は、側面部8の形状等に合わせてその形状を適宜変更することができる。例えば農業用ハウス1Dのように弯曲又は屈曲する側面部8を有するものは、その形状に合わせて壁体12自体を弯曲又は屈曲してもよい。
本発明の農業用ハウスにおける蓄熱層13と断熱層14の形状や位置の組み合わせは上記の図1乃至図5に限定されず、別の組み合わせも適宜可能である。
さらに、壁体12は農業用ハウスの側面部8のみならず天井部6及び妻面部10にも太陽光の取入れを著しく阻害しない範囲で設けることができる。
<蓄熱層及び断熱層>
農業用ハウス内の保温のためには、壁体12を構成する材料として比熱容量が小さく、かつ熱伝導率が低い材料を使用することができる。ここで、蓄熱層13としては、一般的に比熱容量が小さいと熱伝導率が高いため、温まりやすく冷めやすい材料が使用される。一方、断熱層14としては、比熱容量が大きく熱伝導率が低いため、温まりにくく熱が伝わりにくい材料が使用される。したがって、壁体12の蓄熱層13の比熱容量と断熱層14の熱伝導率のバランスを最適化することで、ハウス内の温度がすぐに低下することを抑制できる。蓄熱層13と断熱層14は、密着した状態または接着した状態であれば良い。一方、膜材4を介する場合は、室内側から蓄熱層13及び断熱層14をそれらの間に膜材4を配して含む多層構成を有すればよく、必ずしも蓄熱層13、膜材4及び断熱層14が密着した状態または接着した状態でなくともかまわない。
蓄熱層13としては、太陽光などによってハウス内が加熱されて、蓄熱層13よりもハウス内の気温が高温になった場合に蓄熱する性質を有する材料が使用できる。そのような材料としては例えば、熱容量の大きいコンクリート、モルタル、ブロック、レンガ、気泡コンクリート、花崗岩等の岩石、炭素鋼等の金属及び硬質木繊維等の単体あるいは複数の組み合わせが挙げられる。
これら材料の中でも比熱容量が500J/(kg・K)乃至2000J/(kg・K)の材料が蓄熱層13として好適に使用できる。また、蓄熱層13の厚みは、育成する作物や植物の種類、その地域の気候によって適宜設定され、好ましくは、10mm乃至500mmである。
断熱層14としては、例えば、硬質ウレタンフォーム、スチレンフォーム、フェノールフォーム、塩ビフォーム、ポリエチレンフォーム、グラスウール、ロックウール、セルローズフォーム等のJISA9511記載の断熱材(紙と金属層とプラスチックフィルム層の単層又は複層した表面材をさらに備えていてもよい)等が挙げられる。
これら材料の中でも、熱伝導率が0.04W/(m・K)以下の材料が断熱層14として好適に使用できる。また、断熱層14の厚みは、好ましくは10mm乃至300mmである。
壁体12を構成する蓄熱層13と断熱層14の組合せとしては、蓄熱層13としてコンクリート、断熱層14として硬質ウレタンフォームの組合せが好ましい。さらに、上記の組合せに加えて、膜材4として農業用ポリ塩化ビニルフィルムを使用することがより好ましい。
本発明において「層」とは、単層だけでなく、複数の層(複層)であってもよい。したがって、壁体12を構成する蓄熱層13と断熱層14は、いずれも単層だけでなく、複層であってもよい。例えば、蓄熱層13が同一又は異なった種類の複数の層であってもよい。さらに例えば、断熱層14が同一又は異なった種類の複数の層であってもよい。
本発明の壁体12は、上述した蓄熱層13及び断熱層14を構成する材料を複数用いて形成することができる。例えば、蓄熱層13としてコンクリート、断熱層14として板状の断熱材を用いた場合、農業用ハウスの大きさに合わせてコンクリートの壁(蓄熱層13)を公知の方法で形成した後、その室外側の表面に断熱材を複数枚固定して断熱層14を形成することができる。その際、隣接する断熱材は、隙間なくかつ蓄熱層13が露出しないよう配置することが好ましい。そうすることで蓄熱層13で蓄えた熱が断熱材で覆われていない隙間から放出されることを防ぐことができ、ハウス内の温度がすぐに低下することを抑制しやすくなる。
以下に本発明の実施例を示し、さらに具体的に説明するが、本発明は、これらに限定されるものではなく、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲内で種々の応用が可能である。
[実施例1]
農業用ハウスのモデルとして、実施例1の検証試験体18を図6(a)、(b)及び(c)に示す。検証試験体18は、長さ方向が440mm、幅方向が280mm、高さが350mmの図6に示す形状のものである。農業用ハウスの膜材4に相当する無色透明のポリプロピレン製の板材が組み合わされてなり、密閉ができる。容器の背面部を挟んで外側に断熱層14、内側に蓄熱層13が設けられている。また、容器の左右の側面部8の内表面には、熱外乱を遮断するための断熱層14が設けられている。背面部の外表面の断熱層14は、長さ方向が280mm、幅方向が260mm、厚みが50mmであって、熱伝導率が0.024W/(m・K)の硬質ウレタンフォームからなる。蓄熱層13は、長さ方向が250mm、幅方向が200mm、厚みが50mmであって、比熱容量が837.4J/(kg・K)のコンクリート(RC)からなる。側面部8の内表面の断熱層14は、厚みが30mmの硬質ウレタンフォームからなる。容器には、土壌19が容器下面から30mmの高さまで敷き詰められている。そして温度測定のために、容器内部空間(図6の(b)において◇で示される測定点)にT型熱電対が設置されている。
[比較例1]
比較例1の比較試験体20は、図6(d)及び(e)に示すように背面部の外表面の断熱層14を有しない点を除いて実施例1の検証試験体18と同様の構成を有する。
(断熱層の有無による保温効果の検証)
最高気温の温度差が5℃以上あり、かつ日照時間が2時間以上の差がある二つの検証日を設け、それぞれ実施例1の検証試験体18及び比較例1の比較試験体20の内部の温度測定を行うことで断熱層の有無による保温効果の検証を行った。より具体的には、実施例1の検証試験体18及び比較例1の比較試験体20にデータロガー(アズワン株式会社製ADL12)を接続し、上記の2つの検証日で午前九時から翌日の午前六時まで三時間毎にそれぞれの試験体内(図6の(b)及び(d)における◇で示される試験体内の中心に
位置する測定点)の温度と外の気温(外気温)との差を測定した。2つの検証日における気象条件(気象庁が提供する栃木県佐野市のアメダスデータ)を下記に示す。
(1)検証日1:降水量0mm、最高気温16.2℃、最低気温-0.8℃、日照時間9.6時間、日没時間17時14分
(2)検証日2:降水量0mm、最高気温10.0℃、最低気温1.1℃、日照時間7.6時間、日没時間17時16分
そして検証試験体18の試験体内の温度と外気温との差をAとし、比較試験体20の試験体内の温度と外気温との差をBとし、各時刻におけるAからBを差し引いた値を算出した。結果を表1及び表2に示す。
Figure 2024025024000002
Figure 2024025024000003
表1及び表2に示すように、両検証日において両試験体ともに日中は正午過ぎをピークに太陽光を取り込むため試験体内の温度は外気温よりも最高で30℃以上高く、日没後も蓄熱層13の夜間の放熱で外気温度よりも高かった。しかしながら、断熱層14のある検証試験体18と断熱層14のない比較試験体20との温度の差(A-B)は、日没後ではいずれも正の値を示し、特に15時乃至21時においては1.5℃以上の顕著な差を示した。したがって、蓄熱層13に断熱層14を積層した壁体12を備える実施例1の検証試験体18は、断熱層14を積層していない比較例1の比較試験体20よりも、容器内温度の低下を抑制することが示された。すなわち、検証試験体18の方が比較試験体20より断熱層14がある分、蓄熱層13から外気へ逃げる熱流の防止効果が働いて保温効果を顕著に高めることが示された。
1A、1B、1C、1D 農業用ハウス
2 フレーム
4 膜材
6 天井部
8 側面部
10 妻面部
12 壁体
13 蓄熱層
14 断熱層
15 木口断熱層
16 笠木
17 防雨材
18 検証試験体
19 土壌
20 比較試験体

Claims (8)

  1. 少なくとも側面部を有する農業用ハウスであって、
    前記農業用ハウスの側面部の長手に沿って側面部の内表面に対向する壁体が設けられ、
    前記壁体は、室内側から蓄熱層及び断熱層を含む積層体からなるものであることを特徴とする農業用ハウス。
  2. 少なくとも側面部を有する農業用ハウスであって、
    前記農業用ハウスの側面部の長手に沿って側面部の外表面に対向する壁体が設けられ、
    前記壁体は、室内側から蓄熱層及び断熱層を含む積層体からなるものであることを特徴とする農業用ハウス。
  3. 少なくとも側面部を有する農業用ハウスであって、
    前記農業用ハウスの側面部の長手に沿って膜材が介在するように壁体が設けられ、
    前記壁体は、室内側から蓄熱層及び断熱層をそれらの間に膜材を配して含む多層構成を有するものであることを特徴とする農業用ハウス。
  4. フレームに膜材を張って成る、請求項1乃至請求項3のうち何れか1項に記載の農業用ハウス。
  5. 天井部、左右の側面部及び前後の妻面部を有する請求項4に記載の農業用ハウス。
  6. ヒトがハウス内部に立ち入りうる空間を有する請求項5に記載の農業用ハウス。
  7. 膜材がトンネル状又はドーム状に張られ、その一部に側面部が形成されている、請求項1乃至請求項3のうち何れか1項に記載の農業用ハウス。
  8. 膜材が弯曲又は屈曲するフレームに張られて、トンネル状又はドーム状に形成されている、請求項7に記載の農業用ハウス。
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