JP2024021610A - ハイフローシステム - Google Patents
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Abstract
Description
この構成によれば、本発明のハイフローシステムによりガスを供給されるユーザに対して設定した任意のPEEPをかけることができる。その結果、本発明によれば、従来技術のハイフローセラピーに用いられる装置(特許文献1に記載の高流量ガス送気装置や非特許文献1に記載の装置)と比べて、適応患者が広がることが期待できる。また、本発明のハイフローシステムは、肺の状態が重症化する患者にも使えるため、患者(ユーザ)及び医療従事者の両者の負担となる人工呼吸器への移行を減らすことが期待できる。
このように、本発明の圧力調整ユニットは、比較的単純な部品により構成されており、大幅なコストアップを招くことなく、従来技術のハイフローセラピーの課題を解消できる。
先ず、本実施形態のハイフローシステムの全体構成について図1、2を用いて説明する。
また、マスク200は、呼気口213が設けられているとともに、鼻カニューレ100のチューブ101が気密に挿通され、ユーザの口及び鼻との間の空隙部に、ユーザに装着された鼻カニューレ100の鼻腔管が配置されている。
なお、上記のフロージェネレータ50及び鼻カニューレ100は、周知技術であるため、以下では説明を簡略化する。
なお、フロージェネレータ50には、例えば、本願出願人のカフベンテック株式会社が販売している「ハイフローセラピー VUN-001」を用いることができる。
また、マスク200は、ユーザに装着されると、ユーザの口及び鼻との間に空隙部を形成した状態で口及び鼻を覆うようになっている。
なお、密封性クッション部210及び本体部212は、例えば、合成樹脂等により形成されている。
なお、フロージェネレータ50の設置可能な位置に応じて、左右のシーリング部215のうちの一方に、鼻カニューレ100のチューブ101が挿通される。
次に、本実施形態のハイフローシステムを構成する圧力調整ユニットWについて、上述した図1、2と、図3を参照しながら説明する。
ここで、図3は本実施形態のハイフローシステムを構成するマスクの内側に形成された空隙部の圧力を調整する圧力調整ユニットの構成を説明するための模式図である。
具体的には、圧力調整ユニットWは、マスク200の呼気口213に取り付けられるT字管アダプタ3と、T字管アダプタ3の先端部3a2(図3参照)に接続される圧力調整バルブ1と、T字管アダプタ3の分岐管部3bの自由端3b1に接続されるエルボ管コネクタ7と、エルボ管コネクタ7の先端部に接続された、ユーザの呼吸を確保するための安全弁5とを有している。
例えば、圧力調整バルブ1には、可変式のPEEPバルブを用いることができる。
そして、本管部3aの後端部3a1が、マスク200の呼気口213の筒内に挿嵌されて、呼気口213に接続されるようになっている。また、本管部3aの先端部3a2の筒内に、圧力調整バルブ1の後端部が挿嵌され、圧力調整バルブ1に接続されるようになっている。
また、T字管アダプタ3は、分岐管部3bの自由端3b1が、エルボ管コネクタ7の一端部の筒内に挿嵌され、エルボ管コネクタ7に接続されるようになっている。
そして、安全弁5は、ユーザの吸気流量がハイフローシステムから供給されるガス(医療ガス)の流量を上回った際にマスク200内が陰圧になって吸気困難になる事を回避するために、マスク200の内部の空隙部に向けて一方向に空気を流すようになっている。
次に、実際に、本実施形態のハイフローシステムにより、気道及び自発呼吸を再現したモデルにガスを供給した際の、PEEPを測定するとともに(実施例)、実施例に対する比較例として、本実施形態のハイフローシステムから「マスク200及び圧力調整ユニットW」を取り外したハイフローシステム(従来技術のシステム)により気道及び自発呼吸を再現したモデルにガスを供給した際の、PEEPを測定する性能試験を行った。
また、この性能試験では、「正常肺の気道・呼吸モデルに対する測定」と、「拘束性肺の気道・呼吸モデルに対する測定」と、「閉塞性肺の気道・呼吸モデルに対する測定」を行った。
また、マスク200には、本願出願人のカフベンテック株式会社が販売している「アンチ・インフェクション・マスク」を用いた。
本実施形態のハイフローシステムを正常肺の気道・呼吸モデルに装着し、圧力調整バルブ1の調整圧力値(PEEP値)を「5cmH2О」に設定し、当該モデルに対して、流量が20(L/min)のガスと、流量が40(L/min)のガスと、流量が60(L/min)のガスを順番に供給し、それぞれ、供給するガスの流量毎に、PEEPを測定した(実施例1)。
また、本実施形態のハイフローシステムを正常肺の気道・呼吸モデルに装着し、圧力調整バルブ1の調整圧力値(PEEP値)を「10cmH2О」に設定し、当該モデルに対して、流量が20(L/min)のガスと、流量が40(L/min)のガスと、流量が60(L/min)のガスを順番に供給し、それぞれ、供給するガスの流量毎に、PEEPを測定した(実施例2)。
また、本実施形態のハイフローシステムから「マスク200及び圧力調整ユニットW」を取り外したハイフローシステム(従来技術のシステム)を正常肺の気道・呼吸モデルに装着し、当該モデルに対して、流量が20(L/min)のガスと、流量が40(L/min)のガスと、流量が60(L/min)のガスを順番に供給し、それぞれ、供給するガスの流量毎に、PEEPを測定した(比較例1)。
下記表1に、比較例1、実施例1、実施例2の測定値を示す。
また、圧力調整バルブ1を「5cmH2О」に設定した実施例1のハイフローシステムでは、20(L/min)のガスを供給した際のPEEPが「3.34cmH2О(四捨五入)」、40(L/min)のガスを供給した際のPEEPが「5.69cmH2О(四捨五入)」、60(L/min)のガスのガスを供給した際のPEEPが「9.09cmH2О(四捨五入)」であった。
また、圧力調整バルブ1を「10cmH2О」に設定した実施例2のハイフローシステムでは、20(L/min)のガスを供給した際のPEEPが「3.06cmH2О(四捨五入)」、40(L/min)のガスを供給した際のPEEPが「9.52cmH2О(四捨五入)」、60(L/min)のガスのガスを供給した際のPEEPが「12.83cmH2О(四捨五入)」であった。
本実施形態のハイフローシステムを拘束性肺の気道・呼吸モデルに装着し、圧力調整バルブ1の調整圧力値(PEEP値)を「5cmH2О」に設定し、当該モデルに対して、流量が20(L/min)のガスと、流量が40(L/min)のガスと、流量が60(L/min)のガスとを順番に供給し、それぞれ、供給するガスの流量毎に、PEEPを測定した(実施例3)。
また、本実施形態のハイフローシステムを拘束性肺の気道・呼吸モデルに装着し、圧力調整バルブ1の調整圧力値(PEEP値)を「10cmH2О」に設定し、当該モデルに対して、流量が20(L/min)のガスと、流量が40(L/min)のガスと、流量が60(L/min)のガスとを順番に供給し、それぞれ、供給するガスの流量毎に、PEEPを測定した(実施例4)。
また、本実施形態のハイフローシステムから「マスク200及び圧力調整ユニットW」を取り外したハイフローシステム(従来技術のシステム)を拘束性肺の気道・呼吸モデルに装着し、当該モデルに対して、流量が20(L/min)のガスと、流量が40(L/min)のガスと、流量が60(L/min)のガスとを順番に供給し、それぞれ、供給するガスの流量毎に、PEEPを測定した(比較例2)。
そして、下記表2に、比較例2、実施例3、実施例4による測定値を示す。
また、圧力調整バルブ1を「5cmH2О」に設定した実施例3のハイフローシステムでは、20(L/min)のガスを供給した際のPEEPが「4.33cmH2О(四捨五入)」、40(L/min)のガスを供給した際のPEEPが「6.97cmH2О(四捨五入)」、60(L/min)のガスのガスを供給した際のPEEPが「10.11cmH2О(四捨五入)」であった。
また、圧力調整バルブ1を「10cmH2О」に設定した実施例4のハイフローシステムでは、20(L/min)のガスを供給した際のPEEPが「5.27cmH2О(四捨五入)」、40(L/min)のガスを供給した際のPEEPが「10.79cmH2О(四捨五入)」、60(L/min)のガスのガスを供給した際のPEEPが「13.94cmH2О(四捨五入)」であった。
本実施形態のハイフローシステムを閉塞性肺の気道・呼吸モデルに装着し、圧力調整バルブ1の調整圧力値(PEEP値)を「5cmH2О」に設定し、当該モデルに対して、流量が20(L/min)のガスと、流量が40(L/min)のガスと、流量が60(L/min)のガスとを順番に供給し、それぞれ、供給するガスの流量毎に、PEEPを測定した(実施例5)。
また、本実施形態のハイフローシステムを閉塞性肺の気道・呼吸モデルに装着し、圧力調整バルブ1の調整圧力値(PEEP値)を「10cmH2О」に設定し、当該モデルに対して、流量が20(L/min)のガスと、流量が40(L/min)のガスと、流量が60(L/min)のガスとを順番に供給し、それぞれ、供給するガスの流量毎に、PEEPを測定した(実施例6)。
また、本実施形態のハイフローシステムから「マスク200及び圧力調整ユニットW」を取り外したハイフローシステム(従来技術のシステム)を閉塞性肺の気道・呼吸モデルに装着し、当該モデルに対して、流量が20(L/min)のガスと、流量が40(L/min)のガスと、流量が60(L/min)のガスとを順番に供給し、それぞれ、供給するガスの流量毎に、PEEPを測定した(比較例3)。
そして、下記表2に、実施例5、実施例6、比較例3による測定値を示す。
また、圧力調整バルブ1を「5cmH2О」に設定した実施例5のハイフローシステムでは、20(L/min)のガスを供給した際のPEEPが「4.67cmH2О(四捨五入)」、40(L/min)のガスを供給した際のPEEPが「7.05cmH2О(四捨五入)」、60(L/min)のガスのガスを供給した際のPEEPが「10.45cmH2О(四捨五入)」であった。
また、圧力調整バルブ1を「10cmH2О」に設定した実施例6のハイフローシステムでは、20(L/min)のガスを供給した際のPEEPが「5.61cmH2О(四捨五入)」、40(L/min)のガスを供給した際のPEEPが「10.62cmH2О(四捨五入)」、60(L/min)のガスのガスを供給した際のPEEPが「13.85cmH2О(四捨五入)」であった。
具体的には、従来技術のハイフローシステムでは、流量が20(L/min)のガスを供給する際のPEEPが「0.6cmH2О」未満であったが、本実施形態のハイフローシステムでは、流量が20(L/min)のガスを供給する際のPEEPが「3~5.6cmH2О」であった。
また、従来技術のハイフローシステムでは、流量が40(L/min)のガスを供給する際のPEEPが「2cmH2О」未満であったが、本実施形態のハイフローシステムでは、流量が40(L/min)のガスを供給する際のPEEPが「5.6~10.6cmH2О」であった。
また、従来技術のハイフローシステムでは、流量が60(L/min)のガスを供給する際のPEEPが「4.3cmH2О」未満であったが、本実施形態のハイフローシステムでは、流量が60(L/min)のガスを供給する際のPEEPが「9~13.9cmH2О」であった。
また、本実施形態のハイフローシステムは、肺の状態が重症化する患者にも使えるため、患者及び医療従事者の両者に負担となる人工呼吸器への移行を減らすことが期待できる。
例えば、上述した実施形態では、マスク200の呼気口213に取り付けられる圧力調整ユニットWに、圧力調整バルブ1と、ユーザが呼吸できなくなることを防止するための安全弁3が設けられていたが、特にこれに限定されるものではない。例えば、圧力調整ユニットWには、圧力調整バルブ1だけを設ける構成にして、マスク200の別の場所に安全弁3を装着するようにしても良い。
1…圧力調整バルブ
3…T字管アダプタ
5…安全弁
7…エルボ管コネクタ
50…加温加湿機能内蔵フロージェネレータ
51…送気口
55…ガス供給管
200…マスク
210…密封性クッション部
212…本体部
213…呼気口
215…シーリング部
HB…ヘッドバンド
100…鼻カニューレ
101…チューブ
Claims (3)
- ハイフローセラピーに用いられるハイフローシステムであって、
酸素と空気を混合したガスを生成し供給するフロージェネレータと、
前記フロージェネレータのガス送気口に接続されたガス供給管と、
一端部が前記ガス供給管に接続され且つ他端部がユーザの鼻部に装着された鼻カニューレと、
ユーザの口及び鼻との間に空隙部を形成した状態で口及び鼻を覆うマスクとを有し、
前記マスクは、呼気口が設けられているとともに、前記鼻カニューレのチューブが気密に挿通され、前記ユーザの口及び鼻との間の空隙部に、当該ユーザに装着された当該鼻カニューレの鼻腔管が配置され、
前記呼気口には、前記空隙部の圧力を調整する圧力調整ユニットが取り付けられ、前記空隙部の圧力が所定圧力に維持されるようになっていることを特徴とするハイフローシステム。 - 前記圧力調整ユニットは、
前記マスクの呼気口に取り付けられるT字管アダプタと、
前記T字管アダプタの先端部に接続される圧力調整バルブと、
前記T字管アダプタの分岐管部に接続されるエルボ管コネクタと、
前記エルボ管コネクタの先端部に接続された、ユーザの呼吸を確保するための安全弁とを有し、
前記圧力調整バルブが、前記空隙部の圧力を所定圧力に維持するようになっていることを特徴とする請求項1に記載のハイフローシステム。 - 鼻カニューレを用いたハイフローセラピーを受けるユーザに装着されたマスクに取り付けられる圧力調整ユニットであって、
前記マスクは、ユーザの口及び鼻との間に空隙部を形成した状態で口及び鼻を覆うとともに、呼気口が設けられているとともに、前記鼻カニューレのチューブが気密に挿通され、前記ユーザの口及び鼻との間の空隙部に、ユーザに装着された鼻カニューレの鼻腔管が配置され、
前記圧力調整ユニットは、前記呼気口に取り付けられて、前記空隙部の圧力を所定圧力に維持するようになっていることを特徴とする圧力調整ユニット。
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