JP2024013864A - 加工システムおよび成形品の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】打抜き加工に使用された保護フィルムの再利用を実現する。【解決手段】加工システム100Aは、打抜き刃43を利用した樹脂フィルム10の打抜き加工を実行する加工機構40と、打抜き加工において樹脂フィルム10を貫通した打抜き刃43の先端に接触する保護フィルム20を搬送する搬送機構30と、打抜き刃43に接触した保護フィルム20の表面を溶融する加熱機構60とを具備する。【選択図】図1
Description
本開示は、加工技術に関する。
打抜き刃を利用した打抜き加工をフィルムに対して実行する加工技術が従来から提案されている。例えば特許文献1には、胴ローラ上に搬送されたフィルムに対して刃により切込みを形成する技術が開示されている。胴ローラとフィルムとの間には、刃の先端を保護するための保護フィルムが設置される。
フィルムを貫通した刃の先端が接触することで保護フィルムには切込みが形成されるから、打抜き加工に使用された保護フィルムは廃棄せざるを得ない。したがって、従来の技術のもとでは、例えば環境負荷の軽減のために資源を有効に利用する観点から改善の余地がある。以上の事情を考慮して、本開示のひとつの態様は、保護フィルムの再利用を実現することを目的とする。
以上の課題を解決するために、本開示のひとつの態様に係る加工システムは、打抜き刃を利用した被加工物の打抜き加工を実行する加工機構と、前記打抜き加工において前記被加工物を貫通した前記打抜き刃の先端に接触する保護フィルムを搬送する搬送機構と、前記打抜き刃に接触した前記保護フィルムの表面を溶融する加熱機構とを具備する。
本開示のひとつの態様に係る成形品の製造方法は、打抜き刃を利用した被加工物の打抜き加工により成形品を製造し、前記打抜き加工において前記被加工物を貫通した前記打抜き刃の先端に接触する保護フィルムを搬送し、前記打抜き刃に接触した前記保護フィルムの表面を溶融する。
本開示を実施するための形態について図面を参照して説明する。なお、各図面においては、各要素の寸法および縮尺が実際の製品とは相違する場合がある。また、以下に説明する形態は、本開示を実施する場合に想定される例示的な一形態である。したがって、本開示の範囲は、以下に例示する形態には限定されない。
1.第1実施形態
図1は、第1実施形態における加工システム100Aの構成図である。第1実施形態の加工システム100Aは、加工対象となる帯状のフィルム(以下「樹脂フィルム」という)10の打抜き加工により所定の形状の成形品Pを製造する製造装置である。樹脂フィルム10は、各種の樹脂材料で形成された可撓性の薄板である。例えば、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタラート(PET)またはポリ塩化ビニル(PVC)等の樹脂材料により樹脂フィルム10は形成される。なお、以下の説明では円形状の成形品Pを例示するが、成形品Pの形状は任意である。
図1は、第1実施形態における加工システム100Aの構成図である。第1実施形態の加工システム100Aは、加工対象となる帯状のフィルム(以下「樹脂フィルム」という)10の打抜き加工により所定の形状の成形品Pを製造する製造装置である。樹脂フィルム10は、各種の樹脂材料で形成された可撓性の薄板である。例えば、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタラート(PET)またはポリ塩化ビニル(PVC)等の樹脂材料により樹脂フィルム10は形成される。なお、以下の説明では円形状の成形品Pを例示するが、成形品Pの形状は任意である。
図1に例示される通り、加工システム100Aは、相互に平行に設置された複数の巻回軸Z(Za1,Za2,Zb1,Zb2)を具備する。各巻回軸Zは水平に設置される。巻回軸Za1と巻回軸Za2とは同じ高さに位置する。同様に、巻回軸Zb1と巻回軸Zb2とは同じ高さに位置する。巻回軸Za1は巻回軸Zb1に対して鉛直方向の上方に位置する。
巻回軸Za1および巻回軸Za2は、樹脂フィルム10が巻回されるリールである。具体的には、樹脂フィルム10が巻回軸Za1に巻回されることで円筒状の製品ロール材11が構成され、樹脂フィルム10が巻回軸Za2に巻回されることで円筒状の使用済ロール材12が構成される。
巻回軸Zb1および巻回軸Zb2は、樹脂フィルム10の打抜き加工に使用される帯状のフィルム(以下「保護フィルム」という)20が巻回されるリールである。具体的には、保護フィルム20が巻回軸Zb1に巻回されることで保護ロール材21が構成され、保護フィルム20が巻回軸Zb2に巻回されることで回収ロール材22が構成される。
保護フィルム20は、各種の樹脂材料で形成された可撓性の薄板である。例えば、樹脂フィルム10と同様に、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタラート(PET)またはポリ塩化ビニル(PVC)等の樹脂材料により保護フィルム20は形成される。
なお、樹脂フィルム10の材料と保護フィルム20の材料とは同種および異種の何れでもよい。樹脂フィルム10の機械的な特性と保護フィルム20の機械的な特性との関係も任意である。例えば、樹脂フィルム10と保護フィルム20との間で剛性または硬度が共通する形態、または、樹脂フィルム10および保護フィルム20の一方が他方よりも高剛性または高硬度である形態が想定される。樹脂フィルム10の寸法と保護フィルム20の寸法との関係も任意である。例えば、樹脂フィルム10と保護フィルム20との間で膜厚または横幅等の寸法が共通する形態、または、樹脂フィルム10および保護フィルム20の一方の寸法が他方の寸法を上回る形態が想定される。
図1に例示される通り、加工システム100Aは、搬送機構30と加工機構40と取出機構50と加熱機構60と制御システム70とを具備する。制御システム70は、加工システム100Aの各要素を制御するコンピュータシステムである。
搬送機構30は、樹脂フィルム10および保護フィルム20をX方向に搬送する機構である。X方向は、例えば水平方向である。樹脂フィルム10は、巻回軸Za1の下方において製品ロール材11から繰り出される。他方、保護フィルム20は、巻回軸Zb1の上方において保護ロール材21から繰り出される。したがって、製品ロール材11から繰り出された樹脂フィルム10と保護ロール材21から繰り出された保護フィルム20とは、相互に重複した状態でX方向に搬送される。樹脂フィルム10と保護フィルム20とは相互に近接または接触した状態にある。なお、X方向は「所定方向」の一例である。
搬送機構30は、供給機構31と排出機構32とを具備する。供給機構31と排出機構32との間に加工機構40が設置される。供給機構31は、製品ロール材11から繰り出された樹脂フィルム10と保護ロール材21から繰り出された保護フィルム20とを、X方向に搬送することで加工機構40に供給する。具体的には、供給機構31は、供給ローラ311と供給ローラ312とを具備する。供給ローラ311と供給ローラ312との間に樹脂フィルム10と保護フィルム20とが挟持される。供給ローラ311および供給ローラ312の一方または双方が電動機(図示略)により回転されることで、樹脂フィルム10と保護フィルム20とがX方向に搬送される。第1実施形態の搬送機構30は、樹脂フィルム10と保護フィルム20とを相等しい速度で搬送する。すなわち、樹脂フィルム10と保護フィルム20とは一体的に移動する。
排出機構32は、加工機構40による加工後の樹脂フィルム10および保護フィルム20をX方向に搬送する。具体的には、排出機構32は、排出ローラ321と排出ローラ322とを具備する。排出ローラ321と排出ローラ322との間に樹脂フィルム10と保護フィルム20とが挟持される。排出ローラ321および排出ローラ322の一方または双方が電動機(図示略)により回転されることで、樹脂フィルム10と保護フィルム20とがX方向に搬送される。なお、例えばエアフィーダ等の搬送機器が供給機構31または排出機構32として採用されてもよい。
加工機構40は、樹脂フィルム10の打抜き加工を実行する機構であり、金型41と金型42と打抜き刃43と駆動機構44とを具備する。金型41は、平面状の加工面411を含む高剛性の構造体である。金型42は、平面状の加工面421を含む高剛性の構造体である。加工面411と加工面421とが相互に間隔をあけて対向するように金型41および金型42は設置される。搬送機構30により搬送される樹脂フィルム10および保護フィルム20は、加工面411と加工面421との間の空間をX方向に通過する。
打抜き刃43は、樹脂フィルム10の打抜き加工に利用される刃型である。具体的には、打抜き刃43は、成形品Pの形状に対応する平面形状に形成される。打抜き刃43は、金型41の加工面411に固定され、当該加工面411から加工面421に向けて突出する。例えばトムソン刃またはエッチング刃等が打抜き刃43として採用される。
駆動機構44は、例えば電動機または油圧機構等により構成され、金型41および打抜き刃43を鉛直方向に往復させる機構である。すなわち、打抜き刃43は、金型42の加工面421に対して反復的に接近および離間する。
図2は、樹脂フィルム10および保護フィルム20と打抜き刃43との関係の説明図である。打抜き刃43の降下により樹脂フィルム10と保護フィルム20とが鉛直方向の下方に押圧されることで、樹脂フィルム10と保護フィルム20とは隙間なく密着し、かつ、保護フィルム20と金型42の加工面421とは隙間なく密着した状態となる。
図2に例示される通り、打抜き刃43の先端Eは、位置H1と位置H2との間で鉛直方向に沿って反復的に移動する。位置H1は、打抜き刃43の先端Eが加工面421に最も接近する位置である。位置H2は、打抜き刃43の先端Eが加工面421から最も離間する位置である。
図2に例示される通り、位置H1と加工面421との距離は保護フィルム20の膜厚を下回る。したがって、先端Eが位置H1まで降下した状態では、打抜き刃43は樹脂フィルム10を貫通する。すなわち、先端Eが位置H1まで降下することで、打抜き刃43に対応する形状の成形品Pが樹脂フィルム10から離間する。
樹脂フィルム10を貫通した打抜き刃43の先端Eは、保護フィルム20に接触する。図2に例示される通り、位置H1にある打抜き刃43の先端Eは、所定の間隔をあけて加工面421に対向する。すなわち、打抜き刃43が加工面421に最も接近した状態でも、先端Eは加工面421に接触しない。したがって、金型42の加工面421に先端Eが最も接近した状態でも、打抜き刃43は保護フィルム20を貫通しない。具体的には、先端Eが位置H1まで降下した状態において、先端Eは、厚さ方向における保護フィルム20の途中の地点に位置する。したがって、保護フィルム20のうち樹脂フィルム10に対向する表面(以下「保護面」という)Qには、打抜き刃43の降下により切込みNが形成される。切込みNは、打抜き刃43の平面形状に対応する有底溝である。以上の説明から理解される通り、打抜き加工時において、打抜き刃43の先端Eは保護フィルム20により保護され、金型42の加工面421には接触しない。したがって、加工面421に対する衝突に起因して先端Eが損傷する可能性が低減される。
図1の取出機構50は、打抜き加工により製造された成形品Pを取り出すための機構である。例えば、取出機構50は、成形品Pを吸着した状態で保管場所に搬送する吸着機構により構成される。吸着機構は、例えば3軸ロボット等の機構により構成される。保管場所に搬送された成形品Pは、各種の製品に組付けられる。なお、取出機構50の具体的な構成は任意である。
加工機構40による打抜き加工後に搬送機構30によりX方向に搬送された樹脂フィルム10は、巻回軸Za2に巻回される。加工後の樹脂フィルム10が巻回軸Za2に巻回されることで使用済ロール材12が構成される。使用済ロール材12は、適切な時点において巻回軸Za2から取り外され、最終的には廃棄される。
図1の加熱機構60は、加工機構40に対してX方向に設置される。加工機構40を通過した打抜き加工後の保護フィルム20は、搬送機構30によりX方向に搬送されて加熱機構60に到達する。加熱機構60は、打抜き加工後の保護フィルム20を加熱する。具体的には、加熱機構60は、保護フィルム20を加熱することで保護面Qを溶融する。打抜き刃43の先端Eに接触することで保護面Qに形成された切込みNは、保護面Qの溶融により修復される。すなわち、切込みNにおいて相互に対向する内面が融着することで切込みNが解消される。
加熱機構60は、第1部分61と第2部分62と発熱源63と駆動機構64とを含む加熱プレス機である。第1部分61および第2部分62は、例えば伝熱性の高い金属材料で形成される。第1部分61は、平面状の加熱面611を含む構造体である。加熱面611は、保護フィルム20の保護面Qに対向する。第2部分62は、平面状の加熱面621を含む構造体である。加熱面611と加熱面621とが相互に対向するように第1部分61と第2部分62とは設置される。搬送機構30により搬送される保護フィルム20は、加熱面611と加熱面621との間の空間をX方向に通過する。発熱源63は、加熱面611を加熱する。例えば電熱線等が発熱源63として利用される。なお、発熱源63が第2部分62に設置されてもよい。
駆動機構64は、例えば電動機または油圧機構等により構成され、第1部分61と第2部分62とを接近および離間させる機構である。具体的には、駆動機構64は、第1部分61を第2部分62に対して往復させる。第1部分61が発熱源63により加熱された状態で、駆動機構64が第1部分61と第2部分62とを相互に接近させることで、加熱面611と加熱面621とにより保護フィルム20が加圧される。以上に説明した加熱および加圧により、前述の通り保護フィルム20の保護面Qが溶融する。第1部分61と第2部分62とが最も接近した状態において、加熱面611と加熱面621とは所定の間隔をあけて対向する。加熱機構60による処理後の保護フィルム20の膜厚は、加熱面611と加熱面621との間隔に相当する所定の膜厚に設定される。なお、駆動機構64は、第2部分62を第1部分61に対して往復させてもよいし、第1部分61および第2部分62の双方を移動させてもよい。
以上に説明した通り、第1実施形態においては、第1部分61と第2部分62とにより保護フィルム20を加熱プレスすることで、保護フィルム20の平坦性を維持しながら保護面Qの切込みNを簡便に修復できる。なお、駆動機構64が第2部分62を第1部分61に対して移動する形態、または、駆動機構64が第1部分61および第2部分62の双方を移動する形態も想定される。
加熱機構60による処理後に搬送機構30によりX方向に搬送された保護フィルム20は、巻回軸Zb2に巻回される。保護フィルム20が巻回軸Zb2に巻回されることで回収ロール材22が構成される。回収ロール材22は、適切な時点において巻回軸Zb2から取り外される。回収ロール材22は、巻回軸Zb1に装着されることで保護ロール材21として再利用される。以上の説明から理解される通り、巻回軸Zb2は、保護フィルム20を巻取ることで保護ロール材21を製造する。すなわち、保護フィルム20が保護ロール材21として回収される。したがって、例えば保護ロール材21とは別個の状態(例えば折畳まれた状態)で回収された保護フィルム20を、回収後に巻回軸Zb1に巻回する形態と比較して、保護フィルム20を保護ロール材21として再利用する作業が容易である。なお、巻回軸Zb1は「第1巻回軸」の一例であり、巻回軸Zb2は「第2巻回軸」の一例である。
図3は、加工システム100Aの動作(以下「加工動作」という)のフローチャートである。図3に例示される手順で加工システム100Aが動作するように、制御システム70は加工システム100Aの各要素を制御する。所定の周期で加工動作が反復される。なお、図3に例示された加工動作は「成形品の製造方法」の一例である。
加工動作が開始されると、搬送機構30は、樹脂フィルム10および保護フィルム20を移動量δだけX方向に搬送する(S1)。移動量δは、図1に例示される通り、樹脂フィルム10に形成される成形品PのX方向における周期に相当する。加工機構40は、樹脂フィルム10に対する打抜き加工を実行する(S2)。前述の通り、打抜き加工の結果、樹脂フィルム10の一部が成形品Pとして製造され、かつ、打抜き刃43の形状に対応する切込みNが保護フィルム20の保護面Qに形成される。
取出機構50は、打抜き加工により形成された成形品Pを樹脂フィルム10から保管場所に搬送する(S3)。樹脂フィルム10は、搬送機構30により所定量だけ搬送されることで巻回軸Za2に巻取される(S4)。
また、加熱機構60は、打抜き加工後の保護フィルム20を加熱および加圧することで保護面Qを溶融する(S5)。加熱機構60による加熱の時間長は、例えば1秒以下の適切な時間長に設定される。保護フィルム20は、搬送機構30により所定量だけ搬送されることで巻回軸Zb2に巻取される(S6)。
以上の説明から理解される通り、樹脂フィルム10および保護フィルム20が移動量δだけ搬送されるたびに(S1)、加工機構40による打抜き加工(S2)と、取出機構50による成形品Pの取出(S3)と、樹脂フィルム10の巻取(S4)と、加熱機構60による保護フィルム20の加熱(S5)と、保護フィルム20の巻取(S6)とが実行される。図3の例示の通り、樹脂フィルム10の巻取(S4)と、保護フィルム20の加熱(S5)および巻取(S6)とは、相互に並列に実行される。
なお、図3に例示された各動作の順序は任意に変更される。例えば、樹脂フィルム10の巻取(S4)と、保護フィルム20の加熱(S5)および巻取(S6)とは、相互に並列に実行される必要はない。例えば、樹脂フィルム10の巻取(S4)の実行後に保護フィルム20の加熱(S5)および巻取(S6)が実行されてもよいし、保護フィルム20の加熱(S5)および巻取(S6)の実行後に樹脂フィルム10の巻取(S4)が実行されてもよい。
図4は、加熱機構60による保護フィルム20の加熱に関する説明図である。図4に例示される通り、第1実施形態において、X方向における加熱面611の寸法は、搬送機構30による移動量δと同等である。以上の形態においては、保護フィルム20を移動量δだけ搬送する動作毎に、加熱機構60による1回の加熱が実行される。
図4の範囲R(R1,R2,…)は、保護フィルム20のうちX方向の長さδにわたる範囲である。時点t1において、保護フィルム20のうち長さδの範囲R1が加熱機構60により加熱される。保護フィルム20が移動量δだけ進行した時点t2において、保護フィルム20のうち長さδの範囲R2が加熱機構60により加熱される。また、保護フィルム20がさらに移動量δだけ進行した時点t3において、保護フィルム20のうち長さδの範囲R3が加熱機構60により加熱される。以上の例示の通り、保護フィルム20のうち長さδの各範囲R(R1,R2,…)が、加工動作毎に順次に加熱機構60により加熱される。加工動作毎に加熱される各範囲RはX方向において相互に重複しない。
以上に説明した通り、第1実施形態においては、打抜き刃43の先端Eに接触することで保護フィルム20の保護面Qに形成された切込みNが、加熱機構60による保護面Qの加熱により修復される。したがって、修復後の保護フィルム20を樹脂フィルム10の加工に再利用できる。
第1実施形態においては、搬送機構30が保護フィルム20をX方向に搬送し、かつ、加熱機構60は加工機構40に対してX方向に位置する。したがって、保護フィルム20をX方向に搬送する簡便な構成により、樹脂フィルム10の打抜き加工時における打抜き刃43の保護と、加熱機構60による保護フィルム20の保護面Qの修復とが実現される。
2.第2実施形態
本開示の第2実施形態を説明する。なお、以下に例示する各態様において機能が第1実施形態と同様である要素については、第1実施形態の説明と同様の符号を流用して各々の詳細な説明を適宜に省略する。
本開示の第2実施形態を説明する。なお、以下に例示する各態様において機能が第1実施形態と同様である要素については、第1実施形態の説明と同様の符号を流用して各々の詳細な説明を適宜に省略する。
図5は、第2実施形態における加工システム100Bの構成図である。第2実施形態の加工システム100Bは、第1実施形態の加工システム100Aにおける巻回軸Za2を、搬送機構80と切断機構90と廃棄容器95とに置換した形態である。
搬送機構80は、取出機構50による成形品Pの取出後の樹脂フィルム10を切断機構90に搬送する機構であり、複数の搬送ローラ81により構成される。切断機構90は、樹脂フィルム10を所定のサイズの廃棄片Dに切断する機構である。具体的には、切断機構90は、第1切断刃91と第2切断刃92とを具備する。第1切断刃91および第2切断刃92が接近および離間することで、樹脂フィルム10が切断される。廃棄容器95は、切断機構90による切断後の廃棄片Dを収容する容器である。例えば、廃棄片Dは切断機構90から廃棄容器95の内部に落下する。
図6は、第2実施形態における加工動作のフローチャートである。図3に例示される手順で加工システム100Bが動作するように、制御システム70は加工システム100Bの各要素を制御する。第1実施形態と同様に、所定の周期で加工動作が反復される。
移動量δの搬送(S1)、加工機構40による打抜き加工(S2)、および、取出機構50による成形品Pの取出(S3)は、第1実施形態と同様である。以上の動作が実行されると、切断機構90は、樹脂フィルム10の切断により廃棄片Dを生成する(S4a)。廃棄片Dは廃棄容器95に収容される。廃棄容器95内の廃棄片Dは、適切な時点において廃棄される。以上の通り、樹脂フィルム10の移動量δの搬送(S1)毎に切断機構90による切断が実行されるから、樹脂フィルム10は長さδの廃棄片Dに切断される。
樹脂フィルム10の切断(S4a)に並行して、第1実施形態と同様に、加熱機構60による保護フィルム20の加熱(S5)と、保護フィルム20の巻取(S6)とが実行される。すなわち、第2実施形態の加工動作においては、第1実施形態における樹脂フィルム10の巻取(S4)が、樹脂フィルム10の切断(S4a)に置換される。
なお、図6に例示された各動作の順序は任意に変更される。例えば、樹脂フィルム10の切断(S4a)と、保護フィルム20の加熱(S5)および巻取(S6)とは、相互に並列に実行される必要はない。例えば、樹脂フィルム10の切断(S4a)の実行後に保護フィルム20の加熱(S5)および巻取(S6)が実行されてもよいし、保護フィルム20の加熱(S5)および巻取(S6)の実行後に樹脂フィルム10の切断(S4a)が実行されてもよい。
第2実施形態においても第1実施形態と同様の効果が実現される。また、第2実施形態においては、打抜き加工後の樹脂フィルム10が所定のサイズに切断されるから、加工後の樹脂フィルム10の廃棄が容易である。
3.変形例
以上に例示した各態様に付加される具体的な変形の態様を以下に例示する。以下の例示から任意に選択された2以上の態様を、相互に矛盾しない範囲で適宜に併合してもよい。
以上に例示した各態様に付加される具体的な変形の態様を以下に例示する。以下の例示から任意に選択された2以上の態様を、相互に矛盾しない範囲で適宜に併合してもよい。
(1)前述の各形態においては、樹脂フィルム10と保護フィルム20とが同条件で搬送される形態を例示したが、以下の各態様に例示される通り、樹脂フィルム10と保護フィルム20とで搬送の条件が相違してもよい。
[態様1]
樹脂フィルム10の搬送速度と保護フィルム20の搬送速度とが相違してもよい。例えば、樹脂フィルム10の搬送速度が保護フィルム20の搬送速度を上回る形態、または、樹脂フィルム10の搬送速度が保護フィルム20の搬送速度を下回る形態が想定される。
樹脂フィルム10の搬送速度と保護フィルム20の搬送速度とが相違してもよい。例えば、樹脂フィルム10の搬送速度が保護フィルム20の搬送速度を上回る形態、または、樹脂フィルム10の搬送速度が保護フィルム20の搬送速度を下回る形態が想定される。
[態様2]
樹脂フィルム10の1回の搬送による移動量δ1と保護フィルム20の1回の搬送による移動量δ2とが相違してもよい。例えば、樹脂フィルム10の移動量δ1が保護フィルム20の移動量δ2を上回る形態、または、樹脂フィルム10の移動量δ1が保護フィルム20の移動量δ2を下回る形態が想定される。
樹脂フィルム10の1回の搬送による移動量δ1と保護フィルム20の1回の搬送による移動量δ2とが相違してもよい。例えば、樹脂フィルム10の移動量δ1が保護フィルム20の移動量δ2を上回る形態、または、樹脂フィルム10の移動量δ1が保護フィルム20の移動量δ2を下回る形態が想定される。
[態様3]
樹脂フィルム10の搬送頻度と保護フィルム20の搬送頻度とが相違してもよい。搬送頻度は、単位時間毎の搬送の回数である。例えば、樹脂フィルム10の搬送頻度が保護フィルム20の搬送頻度を上回る形態が想定される。具体的には、樹脂フィルム10が所定回だけ搬送されるたびに保護フィルム20が1回だけ搬送される形態が想定される。以上の態様においては、保護フィルム20の同じ位置に複数回にわたり打抜き刃43が反復的に接触する。また、樹脂フィルム10の搬送頻度が保護フィルム20の搬送頻度を下回る形態も想定される
樹脂フィルム10の搬送頻度と保護フィルム20の搬送頻度とが相違してもよい。搬送頻度は、単位時間毎の搬送の回数である。例えば、樹脂フィルム10の搬送頻度が保護フィルム20の搬送頻度を上回る形態が想定される。具体的には、樹脂フィルム10が所定回だけ搬送されるたびに保護フィルム20が1回だけ搬送される形態が想定される。以上の態様においては、保護フィルム20の同じ位置に複数回にわたり打抜き刃43が反復的に接触する。また、樹脂フィルム10の搬送頻度が保護フィルム20の搬送頻度を下回る形態も想定される
以上に例示した態様1ないし態様3から選択された2以上の態様が選択されてもよい。例えば、搬送速度と移動量δと搬送頻度とが、樹脂フィルム10と保護フィルム20との間で相違してもよい。すなわち、樹脂フィルム10と保護フィルム20とは相互に独立に搬送されてもよい。例えば、樹脂フィルム10を搬送する機構と保護フィルム20を搬送する機構とが別個に設置されてもよい。
(2)前述の各形態においては、樹脂フィルム10における成形品Pの周期に相当する移動量δずつ樹脂フィルム10および保護フィルム20が搬送される形態を例示した。以上の形態においては、保護フィルム20において切込みNが形成される各範囲は相互に重複しない。しかし、保護フィルム20において切込みNが形成される各範囲が、X方向において部分的に重複してもよい。例えば、
A:樹脂フィルム10の搬送速度が保護フィルム20の搬送速度を上回る形態、
B:樹脂フィルム10の移動量δ1が保護フィルム20の移動量δ2を上回る形態、
C:樹脂フィルム10の搬送頻度が保護フィルム20の搬送頻度を上回る形態
においては、保護フィルム20において打抜き加工毎に形成される切込みNがX方向において相互に重複し得る。
A:樹脂フィルム10の搬送速度が保護フィルム20の搬送速度を上回る形態、
B:樹脂フィルム10の移動量δ1が保護フィルム20の移動量δ2を上回る形態、
C:樹脂フィルム10の搬送頻度が保護フィルム20の搬送頻度を上回る形態
においては、保護フィルム20において打抜き加工毎に形成される切込みNがX方向において相互に重複し得る。
(3)前述の各形態においては、樹脂フィルム10および保護フィルム20が移動量δだけ搬送されるたびに加熱機構60が保護フィルム20を加熱する形態を例示したが、保護フィルム20の搬送と加熱機構60による加熱との時間的な関係は以上の例示に限定されない。例えば、図7には、加熱機構60のうちX方向における加熱面611の寸法が、移動量δの2倍である構成が例示されている。図7においては、以下の例示の通り、保護フィルム20を移動量δだけ搬送する動作の2回毎に、加熱機構60による1回の加熱が実行される。
図7の範囲R(R1,R2,…)は、図4の例示と同様に、保護フィルム20のうちX方向の長さδにわたる範囲である。時点t1において、保護フィルム20のうち範囲R1および範囲R2で構成される長さ2δの範囲が加熱機構60により加熱される。保護フィルム20が移動量δだけ進行した時点t2においては、加熱機構60による加熱は実行されない。そして、保護フィルム20がさらに移動量δだけ進行した時点t3において、保護フィルム20のうち範囲R3および範囲R4で構成される長さ2δの範囲が加熱機構60により加熱される。以上の形態によれば、第1実施形態(図4)と比較して、加熱機構60による加熱の回数を削減できる。
(4)図4および図7においては、加熱機構60により加熱される各範囲Rが相互に重複しない形態を例示したが、保護フィルム20において加工動作毎に加熱される範囲が相互に部分的に重複する形態も想定される。
図8には、図7と同様に、加熱機構60のうちX方向における加熱面611の寸法が、搬送機構30による移動量δの2倍である構成が例示されている。以上の構成において、保護フィルム20を移動量δだけ搬送する動作毎に、加熱機構60による1回の加熱が実行されてもよい。
例えば、時点t1において、保護フィルム20のうち範囲R1および範囲R2が加熱機構60により加熱される。保護フィルム20が移動量δだけ進行した時点t2においても加熱機構60による加熱が実行される。すなわち、時点t2においては、保護フィルム20のうち範囲R2と範囲R3とが加熱される。保護フィルム20がさらに移動量δだけ進行した時点t3においては、保護フィルム20のうち範囲R3および範囲R4で構成される長さ2δの範囲が加熱機構60により加熱される。以上の例示の通り、保護フィルム20の各範囲Rが2回ずつ重複して加熱される。以上の形態によれば、保護フィルム20の各範囲Rが1回だけ加熱される形態(図4,図7)と比較して、加熱機構60による1回の加熱の時間長が短い場合でも、保護面Qに形成された切込みNを有効に修復できる。
(5)前述の各形態においては、樹脂フィルム10の直下に保護フィルム20が位置する構成において、樹脂フィルム10の上方から降下する打抜き刃43により樹脂フィルム10を加工したが、打抜き加工の方法は以上の例示に限定されない。例えば、樹脂フィルム10の直上に保護フィルム20が位置する構成において、樹脂フィルム10の下方から上昇する打抜き刃43により、樹脂フィルム10を加工してもよい。以上の構成においては、保護フィルム20の下面である保護面Qに、打抜き刃43の平面形状に対応する切込みNが形成される。加熱機構60は、保護面Qを加熱することで切込みNを修復する。
(6)前述の各形態においては、搬送機構30(供給機構31および排出機構32)を例示したが、樹脂フィルム10および保護フィルム20を搬送するための構成は以上の例示に限定されない。例えば、電動機等の駆動装置により巻回軸Z(Za1,Za2,Zb1,Zb2)を回転することで、樹脂フィルム10および保護フィルム20を搬送してもよい。以上の構成においては、駆動装置および各巻回軸Zが「搬送機構」に相当する。
(7)前述の各形態においては樹脂フィルム10を例示したが、加工システム100(100A,100B)による加工の対象物(以下「被加工物」という)は、樹脂フィルム10に限定されない。例えば、紙または布等のシートを被加工物として加工システム100により加工してもよい。また、アルミニウム等の金属製のシート(例えばアルミフィルム)を被加工物として加工システム100により加工してもよい。
(8)本願における「第n」(nは自然数)という記載は、各要素を表記上において区別するための形式的かつ便宜的な標識(ラベル)としてのみ使用され、如何なる実質的な意味も持たない。したがって、「第n」という表記を根拠として、各要素の位置または製造の順番等が限定的に解釈される余地はない。
100A、100B…加工システム、10…樹脂フィルム、11…製品ロール材、12…使用済ロール材、D…廃棄片、20…保護フィルム、21…保護ロール材、22…回収ロール材、30…搬送機構、31…供給機構、311…供給ローラ、312…供給ローラ、32…排出機構、321…排出ローラ、322…排出ローラ、40…加工機構、41,42…金型、411,421…加工面、43…打抜き刃、44…駆動機構、50…取出機構、60…加熱機構、61…第1部分、62…第2部分62、611,621…加熱面、63…発熱源、64…駆動機構、70…制御システム、80…搬送機構、81…搬送ローラ、90…切断機構、91…第1切断刃、92…第2切断刃、95…廃棄容器。
Claims (6)
- 打抜き刃を利用した被加工物の打抜き加工を実行する加工機構と、
前記打抜き加工において前記被加工物を貫通した前記打抜き刃の先端に接触する保護フィルムを搬送する搬送機構と、
前記打抜き刃に接触した前記保護フィルムの表面を溶融する加熱機構と
を具備する加工システム。 - 前記加熱機構は、
第1加熱面を含む第1部分と、
前記第1加熱面に対向する第2加熱面を含む第2部分とを含み、
前記第1加熱面と前記第2加熱面とにより前記保護フィルムを加圧する
請求項1の加工システム。 - 前記搬送機構は、前記保護フィルムを所定方向に搬送し、
前記加熱機構は、前記加工機構に対して前記所定方向に位置する
請求項1または請求項2の加工システム。 - 前記搬送機構は、第1巻回軸に設置された保護ロール材から繰り出された前記保護フィルムを搬送し、
前記加熱機構による加熱後の前記保護フィルムを巻取る第2巻回軸をさらに具備する
請求項1の加工システム。 - 前記打抜き加工後の前記被加工物を所定のサイズに切断する切断機構
をさらに具備する請求項1の加工システム。 - 打抜き刃を利用した被加工物の打抜き加工により成形品を製造し、
前記打抜き加工において前記被加工物を貫通した前記打抜き刃の先端に接触する保護フィルムを搬送し、
前記打抜き刃に接触した前記保護フィルムの表面を溶融する
成形品の製造方法。
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JP2022116269A JP2024013864A (ja) | 2022-07-21 | 2022-07-21 | 加工システムおよび成形品の製造方法 |
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2022
- 2022-07-21 JP JP2022116269A patent/JP2024013864A/ja active Pending
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