JP2024012775A - 細胞デバイス、デバイス、細胞群培養用デバイス、及び神経筋接合部情報取得方法 - Google Patents

細胞デバイス、デバイス、細胞群培養用デバイス、及び神経筋接合部情報取得方法 Download PDF

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Abstract

【課題】神経筋接合部を評価可能であり得る、新規の細胞デバイス等を提供すること。【解決手段】第1の収容ユニット110と、第2の収容ユニット120と、を備え、前記第1の収容ユニット110は、筋細胞を含む第1の細胞群310を培養している第1の培養部を備え、前記第2の収容ユニット120は、運動神経細胞を含む第2の細胞群320を培養している第2の培養部と、前記第2の培養部と前記第1の培養部とを接続する流路124と、を備え、前記流路124の前記第1の培養部側の開口端において、前記流路の底面の接線方向に前記底面を仮想的に延長させた仮想延長面が、前記第1の細胞群310と交差し、前記第1の細胞群310及び前記第2の細胞群320は、前記運動神経細胞から前記流路の底面に沿って延出し、前記流路の開口端から突出して前記第1の培養部に突入している軸索330により接合されている細胞デバイス300。【選択図】 図5

Description

本発明は、細胞デバイス、デバイス、細胞群培養用デバイス、及び神経筋接合部情報取得方法に関する。
筋萎縮性側索硬化症や球脊髄性筋萎縮症をはじめとする神経筋疾患を対象とする創薬において、神経筋接合部を評価するためのシステムが要求されている。これまで、神経筋接合部をin vitroで作製し、その機能や特性を評価することなどを目的として、種々の3次元培養デバイスか報告されている。
例えば特許文献1は、筋細胞と神経細胞とを共培養させるためのマイクロ流体デバイスを開示している。特許文献1のデバイスでは、筋細胞と神経細胞とが同一面内で共培養されている。
米国特許出願公開第2017/0355945号明細書
しかしながら、特許文献1のような筋細胞と神経細胞とを共培養させるシステムでは、筋細胞のための培地と神経細胞のための培地が混合しやすく、筋細胞及び神経細胞のいずれかのみに被験物質を投与することが難しい等の問題がある。このように神経筋接合部を適切に評価するためのシステムは未だに確立されていない。
そこで、本発明は、神経筋接合部を評価可能であり得る、新規の細胞デバイス、デバイス、細胞群培養用デバイス、及びそれらを用いた神経筋接合部情報取得方法を提供することを目的とする。
本発明の一実施形態に係る細胞デバイスは、第1の収容ユニットと、第2の収容ユニットと、を備え、前記第1の収容ユニットは、筋細胞を含む第1の細胞群を培養している第1の培養部を備え、前記第2の収容ユニットは、運動神経細胞を含む第2の細胞群を培養している第2の培養部と、前記第2の培養部と前記第1の培養部とを接続する流路と、を備え、前記流路の前記第1の培養部側の開口端において、前記流路の底面の接線方向に前記底面を仮想的に延長させた仮想延長面が、前記第1の細胞群と交差し、前記第1の細胞群及び前記第2の細胞群は、前記運動神経細胞から前記流路の底面に沿って延出し、前記流路の開口端から突出して前記第1の培養部に突入している軸索により接合されている。
このような細胞デバイスは、第1の培養部を備える第1の収容ユニットと、第2の培養部を備える第2の収容ユニットとが流路により接続されているため、第1の培養部及び第2の培養部に培養されている細胞群が適切な距離を保つことができ、両者が軸索により接合されていることを容易に確認することができ、さらに、第1の細胞群と第2の細胞群とを別々の培養液で培養することができる。また、第1の培養部と第2の培養部とを接続する流路が上記のように構成されていることにより、第2の細胞群から延出する軸索が第1の細胞群に好適に接合することができるため、第1の細胞群及び第2の細胞群は多数の神経筋接合部が形成され、神経筋接合部の評価に有利である。
前記流路の前記第1の培養部側の開口端の底面部と前記第1の細胞群の上面との高さの差は、前記第2の培養部の底面と前記第1の細胞群の上面との高さの差より小さくてよい。この態様によれば、第2の細胞群から延出する軸索をより効率よく第1の細胞群と接合させることができるため、第1の細胞群及び第2の細胞群はより多数の神経筋接合部を形成する。
前記流路の前記第1の培養部側の開口端の底面部は、好ましくは、前記第1の細胞群と接触している。この態様によれば、第2の細胞群から延出する軸索をより効率よく第1の細胞群と接合させることができるため、第1の細胞群及び第2の細胞群はより多数の神経筋接合部を形成する。
前記流路の前記第1の培養部側の先端部は、好ましくは、前記第1の細胞群に対して、連続的に又は段階的に近接している。この態様によれば、第2の細胞群から延出する軸索をより効率よく第1の細胞群と接合させることができるため、第1の細胞群及び第2の細胞群はより多数の神経筋接合部を形成する。
前記第1の培養部は、好ましくは、1対の細胞支持体と、前記1対の細胞支持体を収容する収容部とを備え、前記第1の細胞群が、前記1対の細胞支持体に跨って形成されている。この態様によれば、第1の細胞群が3次元的に培養された細胞群とすることができ、生体内の筋組織の状況をよりよく再現できる。
本発明の一実施形態に係るデバイスは、第1の収容ユニットと、第2の収容ユニットと、を備え、前記第1の収容ユニットは、第1の細胞群を培養する第1の培養部を備え、前記第2の収容ユニットは、第2の細胞群を培養する第2の培養部と、前記第2の培養部と前記第1の培養部とを接続する流路と、を備え、前記流路の前記第1の培養部側の開口端において、前記流路の底面の接線方向に前記底面を仮想的に延長させた仮想延長面が、前記第1の細胞群が培養される仮想平面と交差する。
このようなデバイスは、第1の培養部を備える第1の収容ユニットと、第2の培養部を備える第2の収容ユニットとが流路により接続されているため、第1の培養部及び第2の培養部において適切な距離を保ちながら細胞群を培養することができ、両者が軸索により接合された構造を容易に得ることができる。さらに、第1の細胞群と第2の細胞群とを別々の培養液で培養することができる。また、第1の培養部と第2の培養部とを接続する流路が上記のように構成されていることにより、第2の細胞群から延出する軸索が第1の細胞群に好適に接合することができるため、第1の細胞群及び第2の細胞群において多数の神経筋接合部を形成させることができ、神経筋接合部の評価に有利である。
前記流路の前記第1の培養部側の開口端の底面部と前記第1の細胞群が培養される仮想平面との高さの差は、前記第2の培養部の底面と前記第1の細胞群が培養される仮想平面との高さの差より小さくてよい。この態様によれば、第2の細胞群から延出する軸索をより効率よく第1の細胞群と接合させることができるため、第1の細胞群及び第2の細胞群においてより多数の神経筋接合部を形成させることができる。
前記流路の前記第1の培養部側の開口端の底面部は、好ましくは、前記第1の細胞群が培養される仮想平面と略同一平面上に位置する。この態様によれば、第2の細胞群から延出する軸索をより効率よく第1の細胞群と接合させることができるため、第1の細胞群及び第2の細胞群においてより多数の神経筋接合部を形成させることができる。
前記流路の前記第1の培養部側の先端部は、好ましくは、前記第1の細胞群が培養される仮想平面方向に対して、連続的に又は段階的に近接している。この態様によれば、第2の細胞群から延出する軸索をより効率よく第1の細胞群と接合させることができるため、第1の細胞群及び第2の細胞群においてより多数の神経筋接合部を形成させることができる。
前記流路は、好ましくは、前記第2の細胞群から延出する軸索の成長方向が前記第1の細胞群が培養される仮想平面に向かう方向に誘導されるように構成されている。この態様によれば、第2の細胞群から延出する軸索をより効率よく第1の細胞群と接合させることができるため、第1の細胞群及び第2の細胞群においてより多数の神経筋接合部を形成させることができる。
前記第1の培養部は、好ましくは、前記第1の細胞群を形成させるための1対の細胞支持体と、前記1対の細胞支持体を収容する収容部と、を備える。この態様によれば、第1の細胞群を3次元的に培養することができ、生体内の筋組織の状況をよりよく再現できる。
本発明の一実施形態に係る細胞群培養用デバイスは、細胞群を培養する培養部と、前記培養部を外部に接続する流路と、を備え、前記流路の前記外部側の開口端において、前記流路の底面の接線方向に前記底面を仮想的に延長させた仮想延長面が、前記デバイスの底面を仮想的に延長させた仮想底面と交差する。
このようなデバイスは、培養部と外部とを接続する流路が上記のように構成されていることにより、神経細胞(例えば運動神経細胞)を含む細胞群(例えば運動神経細胞スフェロイド)を培養すると、培養に伴い細胞群から軸索が延出し、デバイス外部に誘導され、流路の開口端から突出し、デバイスの底面方向に伸長することが誘導される。したがって、本実施形態の細胞群培養用デバイスを任意の細胞群の直上に設置し、神経細胞(例えば運動神経細胞)を含む細胞群(例えば運動神経細胞スフェロイド)を培養することにより、当該任意の細胞群と、神経細胞を含む細胞群とを軸索により接合した構造を得ることができる。
前記流路の前記外部側の開口端の底面部は、好ましくは、前記デバイスの底面と略同一平面上に位置する。この態様によれば、細胞群から延出する軸索をより効率よく誘導させることができる。
本発明の一実施形態に係る神経筋接合部情報取得方法は、前記細胞デバイスにおける前記第1の細胞群と前記第2の細胞群との神経筋接合部に関する情報を取得することを含む。
このような方法によれば、in vitroで任意の筋細胞と任意の運動神経細胞との神経筋接合部を評価することができる。したがって、例えば、筋細胞及び/又は運動神経細胞として、所定の疾患を有する対象に由来する細胞を用いれば、当該疾患の原因因子の特定や、当該疾患の治療又は予防に有効な薬剤をスクリーニングすることができる。
前記方法は、前記第1の細胞群及び/又は前記第2の細胞群を、被験物質を含む培地で培養することと、前記被験物質が前記神経筋接合部に与える影響に関する情報を取得することと、を含んでいてもよい。この態様によれば、被験物質の疾患の治療又は予防に対する有効性や毒性を評価することができる。
前記神経筋接合部に関する情報を取得することが、前記第1の細胞群の収縮弛緩運動及び/又は前記第2の細胞群が発する電気信号を検出することを含んでいてもよい。
本発明によれば、神経筋接合部を評価可能であり得る、新規の細胞デバイス、デバイス、細胞群培養用デバイス、及びそれらを用いた神経筋接合部情報取得方法を提供することができる。
本発明の一実施形態に係るデバイスの(A)概略斜視図、(B)概略平面図、及び(C)概略断面図(X-X断面図)である。 本発明の一実施形態に係るデバイスの流路付近における(A)概略拡大斜視図、及び(B)概略拡大断面図(X-X断面図)である。 本発明の一実施形態に係るデバイスの流路付近における(A)概略拡大斜視図、及び(B)概略拡大断面図(X-X断面図)、並びに流路の先端部における(C)概略拡大斜視図である。 本発明の別の一実施形態に係るデバイスの流路付近における(A)概略拡大斜視図、及び(B)概略拡大断面図(X-X断面図)、並びに流路の先端部における(C)概略拡大斜視図である。 本発明の一実施形態に係る細胞デバイスの(A)概略斜視図、及び(B)概略拡大斜視図である。 本発明の一実施形態に係る細胞群培養用デバイスの(A)概略斜視図、及び(B)概略拡大斜視図である。 本発明の一実施形態に係る細胞群培養用デバイスの作製方法の一工程の一例を示す図である。 実施例で製造したデバイスの部材400aの(A)平面図、(B)底面図、(C)X-X断面図、及び(D)X-X断面図の部分拡大図における寸法を示す。 実施例で製造したデバイスの部材400bの(A)平面図、及び(B)Y-Y断面図における寸法を示す。 実施例で製造したデバイスの第1の収容ユニット110の(A)平面図、及び(B)Z-Z断面図における寸法を示す。 本発明の一実施形態に係る細胞デバイスにおいて観察された、運動神経細胞の自発的な発火に応答した、筋細胞を含む細胞群の自発的な収縮弛緩運動の様子を示す図である。 本発明の一実施形態に係る細胞デバイスにおいて観察された、運動神経細胞を含む細胞群のみに電気刺激を与えた時の、筋細胞を含む細胞群の当該電気刺激に応答した収縮弛緩運動の様子を示す図である。
以下、図面を参照して本発明を実施するための形態(以下、「本実施形態」という。)について詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変形が可能である。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付して表している。図面は模式的なものであり、必ずしも実際の寸法や比率等とは一致しない。図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることがある。
[デバイス]
(第1実施形態)
図1は本実施形態のデバイスを示す(A)概略斜視図、(B)概略平面図及び(C)概略断面図(X-X断面図)である。図1に示すように、デバイス100は、第1の収容ユニット110と、第2の収容ユニット120と、を備え、第1の収容ユニット110は、第1の細胞群を培養する第1の培養部112を備え、第2の収容ユニット120は、第2の細胞群を培養する第2の培養部122と、第2の培養部122と第1の培養部112とを接続する流路124とを備える。
第1の収容ユニット110は、第1の培養部112において第1の細胞群(例えば筋細胞(例えば骨格筋細胞)を含む細胞群(例えば骨格筋組織))を培養できるように構成されている。図1に示すように、第1の培養部112は、細胞群を形成させるための1対の細胞支持体114a及び114bと、それら1対の細胞支持体を収容する収容部116とを備える。収容部116は、細胞支持体114a及び114bの周囲及びそれらを連結する部分において形成されている空洞部からなる。第1の培養部112において、細胞群は、細胞支持体114a及び114bに跨って形成される。収容部116は、かかる細胞群の形成を補助し、形成された細胞群を培養液中に浸漬する。図1において、第1の培養部112は、上方に開口しているが、開口部に別の部材(蓋部)を取り付けて、開口部を覆うこともできる。
第1の収容ユニット110は、第1の培養部112に隣接して、第2の収容ユニット120を設置するための設置部118を備える。設置部118は第2の収容ユニット120を安定して設置できるように構成されている。設置部118の上面には、第2の収容ユニット120を適切な位置に設置するための位置決め手段が備えられていてもよい。位置決め手段としては、第2の収容ユニット120の輪郭を縁取った凹部又は凸部であってよく、第2の収容ユニット120の底面に形成される凸部又は凹部と篏合する凹部又は凸部であってよい。
1対の細胞支持体のうち、第2の収容ユニット120から遠い細胞支持体である細胞支持体114aは、細胞支持体の最上部にディスク部115をさらに備える。ディスク部115と細胞支持体114aとは一体的に構成されていてもよく、細胞支持体114aに別部材としてディスク部115が取り付けられていてもよい。すなわち、ディスク部115は、細胞支持体114aから着脱可能であってもよく、一体不可分的に構成されていてもよい。また、ディスク部115と細胞支持体114aとは、同一材料で構成されていてもよく、互いに異なる材料で構成されていてもよい。
1対の細胞支持体のうち、第2の収容ユニット120側にある細胞支持体である細胞支持体114bは、開口部側の端部(上端部)においてディスク部を備えない。したがって、細胞支持体114a及び114bに細胞群を形成したとき、第2の収容ユニット120と細胞群とを近接又は接触させることができ、後述するように第2の培養部122に培養される第2の細胞群と、第1の培養部112に培養される第1の細胞群との神経筋接合部をより好適に形成することができる。
図1(C)に示されるように、細胞支持体114bの端面は、第2の収容ユニットの底面と近接しているか、接触するように構成されている。例えば設置部118の上面と、細胞支持体114bの端面とが略同一平面上に位置していてよい。これにより、第2の収容ユニット120の直下に第1の細胞群を形成することができる。
第1の収容ユニット110の寸法は、細胞支持体に細胞群を形成できる程度であれば特に限定されない。例えば、1対の細胞支持体間の距離(細胞支持体の中心間の距離)は、例えば1.0mm以上10mm以下であってよい。細胞支持体114a及び114bは、例えば直径0.10mm以上1.0mm以下の円柱であってよい。収容部116の深さは、例えば2.0mm以上9.0mm以下であってよい。
後述するように、第1の細胞群は例えば筋細胞(例えば骨格筋細胞)を含む細胞群(例えば骨格筋組織)であり、自発的に又は電気刺激を受けることによって収縮弛緩運動を行う細胞群であってよい。第1の細胞群の収縮弛緩運動を評価できるように、細胞支持体114a及び114bの少なくともいずれか一方は、第1の細胞群の動きに応じて可動なように構成されていることが好ましい。細胞支持体の少なくとも一方は、変形可能な材料により構成されていることが好ましく、弾性体であることがより好ましい。このような態様によれば、第1の細胞群が収縮する際に、1対の細胞支持体を接近させる方向の力が働き、少なくとも一方の細胞支持体が変形する。この細胞支持体の変形や変位を観測することで、第1の細胞群の収縮力を算出することができる。細胞支持体114a及び114bの両方が第1の細胞群の動きに応じて可動なように構成されていてもよい。
細胞支持体114a及び114bは、どちらかが第1の細胞群の動きに応じて可動なように構成されていればよいが、より好ましくは細胞支持体114aのみが可動であり、細胞支持体114bは固定されている。この態様によれば、細胞支持体114bは変形しないため、細胞支持体114b付近において第2の収容ユニット120との位置関係が変化することがなく、細胞支持体114bが動くことによって第1の細胞群と第2の細胞群との神経筋接合部が欠損することを確実に防ぐことができる。
細胞支持体が変形可能である場合、その細胞支持体の機械特性は、形成予定の細胞群の運動特性に応じて調整すればよい。例えば細胞群の収縮弛緩運動に応じて細胞支持体の上部端面の中心軸(細胞支持体114aにおいてはディスク部115の中心軸)が細胞群の運動方向(すなわち、細胞支持体の長さ方向に対して垂直な方向であって、1対の細胞支持体を結ぶ方向)に対して0.1μm以上1.0mm以下の範囲で運動するような機械特性であってよい。そのような機械特性としては、細胞群が形成される部分において細胞支持体の長さ方向に対してほぼ垂直に応力を印加した際のバネ定数が挙げられる。当該バネ定数の好適な範囲は、例えば0.050μN/μm以上1.00μN/μm以下であり、より好ましくは0.100μN/μm以上0.800μN/μm以下である。
細胞支持体114a及び114b、並びにディスク部115を含む第1の収容ユニット110は、各部分が同一又は互いに異なる材料により構成されていてよい。また、細胞支持体114a及び114bは、同一又は互いに異なる材料により構成されていてよい。細胞支持体114a及びディスク部115も同一又は互いに異なる材料により構成されていてよい。細胞支持体114a及び114bは、例えば円柱状、多角形状等であってよい。
第1の収容ユニット110を構成する材料は特に限定されず、金属、セラミック、ポリマー、ガラス、及びゴム等の種々の材料を含んでいてよい。第1の収容ユニット110は、製造が容易である観点からポリマー又はゴムであると好ましい。
細胞支持体が第1の細胞群の動きに応じて可動なように構成されている場合、細胞支持体は例えばポリマー及び/又はゴムで構成されていることが好ましい。ここで、好適なポリマーとしてはポリジメチルシロキサン(PDMS)が挙げられる。
細胞支持体が固定されている場合、細胞支持体は例えば金属、セラミック、ポリマー、又はガラスで構成されていることが好ましい。
ディスク部115を構成する材料は特に限定されず、金属、セラミック、ポリマー、ガラス、及びゴム等の種々の材料を含んでいてよい。ディスク部115は、製造が容易である観点から細胞支持体114aと同じ材料により構成され、細胞支持体114aと一体化していることが好ましい。
図1に戻ると、第2の収容ユニット120は、第1の収容ユニット110の設置部118上に設置されている。第1の収容ユニット110と第2の収容ユニット120とは、一体不可分であってもよく、分離可能であってもよい。第1の収容ユニット110及び第2の収容ユニット120が一体不可分である場合、両者は、接着剤等で接合されていてもよく、分子接合で接合されていてもよく、3Dプリンティング等により一体として作製されたものであってもよい。
第2の収容ユニットは、第2の細胞群(例えば神経細胞(例えば運動神経細胞)を含む細胞群(例えば運動神経細胞スフェロイド))を培養するための第2の培養部122と、第2の培養部122と第1の培養部112とを接続する流路124とを備える。
図1において、第2の培養部122は、位置決め部122aと、位置決め部122aの上部に接続された液浴部122bとからなる。第2の培養部122は、液浴部122bの底面に位置決め部122aが形成されてなるということもできる。このように第2の収容ユニットが位置決め部122aを有することにより、第2の細胞群を流路124付近で培養することができ、後述の第1の細胞群と第2の細胞群との神経筋接合部がより好適に形成しやすくなる。
第2の培養部122の寸法は、特に限定されない。液浴部122bは、例えば深さ2.0mm以上9.0mm以下の凹部であってよい。位置決め部122aは、例えば直径0.50mm以上3.0mm以下の円柱状凹部であってよい。位置決め部122aの深さは、例えば0.50mm以上3.0mm以下であってよい。位置決め部122aは、多角柱状凹部及び楕円状凹部等の任意の形状であってよい。
図1において、流路124は、位置決め部122aの底部から第1の培養部112における第1の細胞群が形成される場所に向かって形成されている。これにより、第2の培養部122において、第2の細胞群として神経細胞(特に運動神経細胞)を含む細胞群を培養すると、当該細胞群から軸索が延出し、軸索は流路内を通過して第1の培養部112における第1の細胞群方向に伸長することができる。したがって、本実施形態のデバイスによれば、第2の細胞群から延出した軸索を第1の細胞群に誘導することができ、第2の細胞群の軸索が第1の細胞群と接合した構造を得ることができる。ここで、第2の細胞群が神経細胞であり、第1の細胞群が筋細胞であるとき、神経筋接合部が得られる。
図2は、デバイス100の、流路124付近における(A)概略拡大斜視図、及び(B)概略拡大断面図(X-X断面図)である。流路124は、位置決め部122aから第1の培養部112に向かって、領域124a、124b、124c及び124Rから構成され、第1の培養部112側には開口端124Eが形成されている。ここで、領域124Rは流路の先端部である。流路124は、第1の細胞群及び第2の細胞群が通過不可能、かつ第2の細胞群から延出する軸索が通過可能なように構成されている。
領域124a及び124bは高さが等しく、幅が異なるように構成されている。領域124a及び124bの流路高さは、例えば20μm以上200μm以下であり、好ましくは40μm以上100μm以下である。領域124aの流路幅は、例えば0.10mm以上2.0mm以下であり、好ましくは0.20mm以上1.0mm以下である。領域124bの流路幅は、領域124aの流路幅より大きく、例えば0.50mm以上4.0mm以下であり、好ましくは0.70mm以上3.0mm以下である。このように、領域124aの流路幅を一定の範囲とすることにより、位置決め部122aに培養される第2の細胞群から流路124内に侵入する軸索の数を増加させることができる傾向にある。また、細胞群から延出する軸索は平面視で扇状に延出する傾向にあるため、領域124bは領域124aより幅広に設計されている。
領域124cは、領域124bに対して、幅が等しく、高さが異なるように構成されている。領域124cの流路高さは、領域124bの流路高さより小さく、例えば1.0μm以上100μm以下であり、好ましくは5.0μm以上50μm以下である。このように、領域124cの流路高さを一定の範囲とすることにより、第2の培養部122における培養液が流路124を通過して第1の培養部112に漏れ出すことを確実に抑制できる傾向にある。また、位置決め部122aに培養される第2の細胞群から流路124内に侵入する軸索の数を増加させるため、領域124aの流路高さは領域124cの流路高さより高く設計されている。
領域124R(先端部124R)は、領域124cと等しい流路幅を有し、図2に示されるように、流路底面が流路の長さ方向、開口端124Eに向けて下方に湾曲し、連続的に流路高さが大きくなるように構成されている。先端部124Rには、開口端124Eが形成されている。開口端124Eの幅は先端部124Rの流路幅と等しく、開口端124Eの高さは、例えば0.10mm以上1.0mm以下、好ましくは0.25mm以上0.75mm以下である。開口端124Eは、第1の細胞群が形成される仮想平面S2の直上に位置していることが好ましい。
なお、上記の流路124の構成は一例である。流路124は、上記の態様以外に、位置決め部122aから第1の培養部112に向かって、流路高さ及び/又は流路幅が連続的に変化する態様、流路高さのみが段階的又は連続的に変化する態様、流路幅のみが段階的又は連続的に変化する態様、並びに流路高さ及び流路幅が一定である態様等であってもよい。流路124の底面は、例えばポリマー及び/又はゴムで構成されていることが好ましい。好適なポリマーとしてはポリジメチルシロキサン(PDMS)が挙げられる。
図3に示すように、本実施形態では、開口端124Eにおいて、流路の底面の接線方向に当該底面を仮想的に延長させた仮想延長面S1が第1の細胞群が培養される仮想平面S2と交差するように、先端部124Rの底面が湾曲している。このように、仮想延長面S1が仮想平面S2と交差するように先端部124Rが構成されていると、第2の細胞群から延出する軸索が効率よく第1の細胞群と接合される。これは、軸索の伸長が、その先端に存在する葉状仮足及び糸状仮足が数μm~数十μm先の足場を検知しながら行われるためであると本発明者らは推測している。
すなわち、先端部124Rが湾曲していなく、略直角である場合、第2の細胞群の軸索が開口端124Eから突出し、第1の培養部112に突入しようとするには、軸索が開口端124Eにおいて略90°進行方向を変えるか、足場に依らないで一時的に浮遊して伸長する必要があり、そのような態様では、軸索が第1の培養部112に突入するのに大きな障壁があると考えられる。一方、本実施形態のように開口端124Eにおける流路の底面の接線方向に流路の底面を仮想的に延長させた仮想延長面S1が第1の細胞群が培養される仮想平面S2と交差するように先端部124Rが構成されていると、第2の細胞群の軸索が開口端124Eから突出し、第1の培養部112に突入する場合でも、軸索が開口端124Eにおいて進行方向をほとんど変える必要がないため、軸索が第1の培養部112に突入する障壁が小さくなり、その結果より多くの軸索が第1の細胞群と接合できると考えられる。
なお、図3(C)に示すように、先端部124Rが湾曲底面部124Rrと端面部124Reとからなる場合、仮想延長面S1は、湾曲底面部124Rrを、湾曲底面部124Rrと端面部124Reとの交線における湾曲底面部124Rrの接線方向(図3(C)中のnベクトル方向)において仮想的に延長させた面を意味する。ここで、端面部124Reは、開口端124Eにおける仮想平面S2に対して略垂直な面、又は第2の収容ユニット120の底面に対して略垂直な面として定義される。
また、仮想平面S2は、第1の細胞群が培養されることが予定されている仮想的な平面であり、より詳細には、培養された第1の細胞群の上面が位置することが予定されている仮想的な平面である。仮想平面S2は、細胞支持体114b及び第2の収容ユニットの底面の接面(細胞支持体114b及び第2の収容ユニットの底面が接していない場合は細胞支持体114bの上端面)と、ディスク部115の裏面とを通る平面であってよい。
図1(C)に示されるように、設置部118の上面と、細胞支持体114bの端面と、細胞支持体114aの端面(すなわち、ディスク部115の裏面)とが略同一平面上に位置している場合、仮想平面S2は、図3(B)に示されるように第2の収容ユニット120の底面直下に位置することとなる。したがって、本実施形態の一態様において、流路の底面の接線方向に底面を仮想的に延長させた仮想延長面S1は、第2の収容ユニットの底面の仮想延長面と交差してもよい。
第2の細胞群から延出する軸索をより効率よく第1の細胞群と接合させる観点から、仮想延長面S1と仮想平面S2とのなす角度は、好ましくは60°以上120°以下であり、より好ましくは65°以上100°以下であり、さらに好ましくは70°以上90°以下である。
図3において、開口端124Eにおける流路の底面部と仮想平面S2との高さの差h2は、第2の培養部122の底面と仮想平面S2との高さの差h1より小さい。これは、第2の細胞群の軸索が、第2の培養部122から流路124を通過して、開口端124Eから突出するまでに、第1の細胞群が培養される仮想平面に接近することを意味する。なお、図3において、h2は端面部124Reの高さと略等しい。なお、高さの差h2は、開口端124Eにおける流路の底面部と仮想平面S2との最短距離であり、高さの差h1は、第2の培養部122の底面と仮想平面S2との最短距離である。
h2はh1に対して、例えば80%以下であり、好ましくは60%以下であり、より好ましくは50%以下であり、さらに好ましくは40%以下であり、さらにより好ましくは20%以下である。
第2の細胞群から延出する軸索をより効率よく第1の細胞群と接合させる観点から、h2は、好ましくは300μm以下であり、より好ましくは100μm以下であり、さらに好ましくは50μm以下であり、さらにより好ましくは10μm以下である。h2の下限は特に限定されず、例えば0μm又は1μmである。
図2に示されるように、流路124は、領域124a、124b、124c及び124Rから構成されている。これら各領域の長さを合計した流路124の流路長さは、例えば0.10mm以上10mm以下であり、好ましくは0.30mm以上8.0mm以下であり、より好ましくは0.40mm以上5.0mm以下であり、さらに好ましくは0.50mm以上3.0mm以下である。
領域124a及び124bの合計流路長さ:領域124c及び124R(先端部124R)の合計流路長さは、例えば1:2~2:1であってよく、好ましくは1:1.5~1.5:1である(いずれの範囲も両端値を含む)。先端部124Rの流路長さは、流路124の全体の長さに対して、例えば5.0%以上50%以下であってよく、好ましくは10%以上40%以下である。
第2の収容ユニット120を構成する材料は特に限定されず、金属、セラミック、ポリマー、ガラス、及びゴム等の種々の材料を含んでいてよい。第2の収容ユニット120は、シクロオレフィンポリマー及びシクロオレフィンコポリマーのようなタンパク質等の生体物質の非特異吸着が生じにくい材料を含むと好ましい。
また、第2の収容ユニット120は、流路底面を構成する部材とその他の部材とが異なる材料で構成されていてもよい。第2の収容ユニット120は、互いに異なる材料により形成されていてよい後述の部材400a及び400bからなっていてよい。
このように、本実施形態のデバイスでは、第2の培養部から第1の培養部に至るまで、軸索の伸長を妨げる段差等がなく、特に第2の収容ユニット120と第1の収容ユニット110との境界である先端部124R及び開口端124Eにおいても軸索が第1の細胞群方向(仮想平面S2に向かう方向)に誘導されるように構成されているため、第2の細胞群から延出する軸索が効率よく第1の細胞群と接合される。
(第2実施形態)
図4は本実施形態の別の態様に係るデバイスの流路付近における(A)概略拡大斜視図、及び(B)概略拡大断面図(X-X断面図)である。第2実施形態のデバイス200は、第1の培養部及び第2の培養部を接続する流路224の先端部224Rが、湾曲底面部224Rrのみから構成され、端面部を有していない点のみにおいて、第1実施形態のデバイス100と異なる。図4において、第2の培養部122、及び細胞支持体114bは、デバイス100と同一の構成を有する。また、流路224は、先端部224R以外はデバイス100と同一の構成を有する。
デバイス200において、先端部224Rが端面部を有していないため、流路224の底面が開口端224Eにおいて第2の収容デバイスの底面と交差する。したがって、この態様において、開口端224Eにおける流路224の底面部が、第1の細胞群が培養される仮想平面S2と略同一平面上に位置するため、第2の細胞群から延出する軸索をより効率よく第1の細胞群と接合させることができる。
(変形例)
本実施形態のデバイスは、第1の収容ユニットと、第2の収容ユニットと、を備え、第1の収容ユニットが、第1の細胞群を培養する第1の培養部を備え、第2の収容ユニットが、第2の細胞群を培養する第2の培養部と、第2の培養部と第1の培養部とを接続する流路と、を備え、流路の第1の培養部側の開口端において、流路の底面の接線方向に底面を仮想的に延長させた仮想延長面が、第1の細胞群が培養される仮想平面と交差する限りにおいて、上述したデバイス100及び200を適宜変更することができる。
例えば、デバイス100において、第2の培養部122は位置決め部122a及び液浴部122bからなるが、位置決め部122aは細胞群を位置決めすることができる適当な手段に代えてよく、デバイス100は液浴部122bを有していなくてもよい。また、細胞支持体は必ずしも2つ必要ではなく、本実施形態のデバイスは、1つの細胞支持体、あるいは3つ以上の細胞支持体を備えていてもよい。
また、デバイス100では、第1の培養部112において、1対の細胞支持体114a及び114bに第1の細胞群を保持させているが、第1の培養部112は、例えば筋細胞を含む細胞群を2次元的に培養する培養シートであってもよい。この場合、当該培養シート、筋細胞を含む細胞群の運動に応じて可動なように構成することが好ましい。
デバイス100及び200において、流路の先端部124R及び224Rの少なくとも一部が円弧状に湾曲することで流路底面が第1の細胞群が培養される仮想平面方向に対して連続的に近接しているが、流路底面は必ずしも円弧状に湾曲している必要はなく、例えば流路底面の傾きを段階的に変化させることで、流路底面を第1の細胞群が培養される仮想平面方向に対して段階的に近接させてもよい。この場合、流路底面の流路の長さ方向(第1の培養部と第2の培養部を結ぶ方向)の断面は多角形状である。
さらに、デバイス100において、第2の収容ユニットは第1の収容ユニット上に配置されているが、第1の収容ユニットを第2の収容ユニット上に配置してもよいし、第1の収容ユニットと第2の収容ユニットとを隣接させて配置してもよい。その場合、流路及び流路の開口端を適宜調整することで第2の培養部に培養される第2の細胞群から延出する軸索が第1の細胞群に接合されるようにすればよい。
また、第1の培養部と第2の培養部とを接続する流路の断面形状は、長方形状に限られず、例えば台形状、三角形状、円状、楕円状等であってよい。
(用途)
本実施形態のデバイスによれば、例えば第1の培養部に第1の細胞群を培養させ、第2の培養部に神経細胞を含む第2の細胞群を培養させることで、第2の細胞群から延出する軸索が第1の培養部に接合した構造を得ることができる。ここで、第1の細胞群が筋細胞を含む場合、神経筋接合部が形成される。したがって、本実施形態のデバイスは、神経細胞と任意の細胞群との接合部に関する情報を取得するために用いることができ、特に神経筋接合部に関する情報を取得するために好適に用いることができる。
第1の培養部に培養される細胞群としては、特に限定されず、例えば筋細胞を含む細胞群が挙げられる。筋細胞としては、特に限定されず、例えば骨格筋細胞、心筋細胞、及び平滑筋細胞であってよい。筋細胞は、随意筋細胞であってよく、不随意筋細胞であってよい。筋細胞は、多能性幹細胞又は初代培養細胞に由来する筋細胞であってよく、株化細胞であってよい。
第2の培養部に培養される細胞群としては、特に限定されず、例えば神経細胞を含む細胞群が挙げられる。神経細胞としては、特に限定されず、例えば運動神経細胞であり、アセチルコリンを神経伝達物質とする神経細胞であってよい。神経細胞は、多能性幹細胞又は初代培養細胞に由来する筋細胞であってよく、株化細胞であってよい。
本実施形態のデバイスは、以下に詳述する本実施形態の細胞デバイスとして用いることができる。また、本実施形態の神経筋接合部情報取得方法に用いることができる。
[細胞デバイス]
本実施形態の細胞デバイスは、第1の収容ユニットと、第2の収容ユニットと、を備え、第1の収容ユニットは、筋細胞を含む第1の細胞群を培養している第1の培養部を備え、第2の収容ユニットは、運動神経細胞を含む第2の細胞群を培養している第2の培養部と、第2の培養部と第1の培養部とを接続する流路と、を備え、流路の第1の培養部側の開口端において、流路の底面の接線方向に底面を仮想的に延長させた仮想延長面が、第1の細胞群と交差し、第1の細胞群及び第2の細胞群は、運動神経細胞から流路の底面に沿って延出し、流路の開口端から突出して第1の培養部に突入している軸索により接合されている。
すなわち、本実施形態の細胞デバイスは、上述した本実施形態のデバイスにおいて、第1の培養部、及び第2の培養部で、それぞれ、筋細胞を含む第1の細胞群、及び運動神経細胞を含む第2の細胞群を培養し、第1の細胞群及び第2の細胞群を第2の細胞群から延出する軸索により接合させた細胞デバイスである。
図5は、図1に示すデバイス100を用いて作製した本実施形態の細胞デバイスの(A)概略斜視図及び(B)流路付近における概略拡大図である。細胞デバイス300は、上述のデバイス100と比較して、第1の培養部112において第1の細胞群310が培養され、第2の培養部122において第2の細胞群320が培養され、さらに第1の細胞群310と第2の細胞群320とが、第2の細胞群から延出した軸索330によって接合されている点以外は同様の構成を有する。
第1の細胞群310は、細胞支持体114a及び114bに跨って形成されている。より詳細には、第1の細胞群310は、細胞支持体114a及び114bの最上端において形成され、第1の細胞群310の上面は、ディスク部115の裏面及び第2の収容ユニット120の底面と接触しているか、又は極めて近接している。
本実施形態のデバイスでは、流路の底面の接線方向に底面を仮想的に延長させた仮想延長面S1が第1の細胞群が培養される仮想平面S2と交差していたが、本実施形態の細胞デバイスでは仮想平面S2に実際に第1の細胞群310が培養されている。したがって、本実施形態の細胞デバイスでは、開口端124Eにおいて、流路の底面の接線方向に底面を仮想的に延長させた仮想延長面S1が、第1の細胞群310(より好ましくは第1の細胞群の上面)と交差している。
仮想延長面S1と第1の細胞群310の上面とのなす角度は、好ましくは60°以上120°以下であり、より好ましくは65°以上100°以下であり、さらに好ましくは70°以上90°以下である。
また、開口端124Eにおける流路の底面部と第1の細胞群310の上面との高さの差H2は、第2の培養部122の底面と第1の細胞群310の上面との高さの差H1より小さい。H2とH1の関係及びそれぞれの数値範囲は、上述のh2とh1の関係及びそれぞれの数値範囲と同様であってよい。なお、高さの差H2は、開口端124Eにおける流路の底面部と第1の細胞群310の上面との最短距離であり、高さの差H1は、第2の培養部122の底面と第1の細胞群310の上面との最短距離である。
第1の細胞群310は、筋細胞を含む細胞群である。筋細胞としては、特に限定されず、例えば骨格筋細胞、心筋細胞、及び平滑筋細胞であってよい。筋細胞は、随意筋細胞であってよく、不随意筋細胞であってよい。筋細胞は、多能性幹細胞又は初代培養細胞に由来する筋細胞であってよく、株化細胞であってよい。第1の細胞群310は、筋芽細胞を含んでいてもよい。
初代培養細胞は、生体内において本来有する細胞機能を多く保持しているため、生体内における薬物等の影響を評価する系として好適に用いられる。多能性幹細胞は、特定の対象から所望の細胞を作製することができる点で、ヒトの筋細胞を評価する場合等に好適に用いられる。
初代培養細胞としては、哺乳類(例えばマウス及びラット等のげっ歯類、又はサル及びヒト等の霊長類等)の筋組織由来の細胞が挙げられる。
初代培養細胞を調製及び培養するに際し、動物の解剖方法、組織の採取方法、細胞の分離・単離方法、培養培地、及び培養条件等は、培養する細胞の種類に応じて、公知の方法から選択することができる。
多能性幹細胞としては、例えば、胚性幹細胞(ES細胞)、及びiPS細胞が挙げられる。公知の分化誘導方法を用いて、多能性幹細胞を分化誘導することにより、様々なタイプの筋細胞を得ることができる。iPS細胞としては、ヒトiPS細胞が好ましい。
第1の細胞群310は、神経筋疾患を有する対象に由来する筋芽細胞及び筋細胞の少なくとも1種を用いて作製される細胞群であってよい。あるいは、形質転換された筋芽細胞及び筋細胞の少なくとも1種を用いて作製される細胞群であってもよい。
そのような細胞群を備えることで、細胞デバイス300は神経筋疾患患者における神経筋接合部を再現することができ、当該疾患の因子の特定や、当該疾患の治療又は予防に有効な薬剤のスクリーニングに好適に用いることができる。
第2の細胞群320は、第2の培養部122、特に位置決め部122aにおいて培養されている。第2の細胞群320からは軸索が延出している。軸索330は流路124の底面に沿って伸長し、開口端124Eから突出して、第1の細胞群310の上面に接合し、その結果第1の細胞群及び第2の細胞群は、神経筋接合部を形成している。
第2の細胞群320は、運動神経細胞を含む細胞群である。運動神経細胞は、アセチルコリンを神経伝達物質とする神経細胞であってよく、多能性幹細胞又は初代培養細胞に由来する神経細胞であってよく、株化細胞であってよい。
第2の細胞群320は、神経筋疾患を有する対象に由来する多能性幹細胞、又は初代培養細胞を用いて作製される細胞群(神経細胞スフェロイド)であってよい。あるいは、形質転換された運動神経細胞を用いて作製される細胞群であってもよい。
そのような細胞群を備えることで、神経筋疾患患者における神経筋接合部を再現することができ、当該疾患の因子の特定や、当該疾患の治療又は予防に有効な薬剤をスクリーニングすることができる。
第2の細胞群320は運動神経細胞以外の細胞を含んでいてもよい。そのような細胞としては、例えば運動神経細胞以外の神経細胞や、グリア細胞が挙げられる。グリア細胞の例としては、アストロサイト、オリゴデンドロサイト、上衣細胞、シュワン細胞、及びミクログリア等が挙げられる。これらの細胞が細胞群において占める割合は特に限定されない。
また、第2の細胞群320のサイズは、流路124を通過しないサイズであればよい。第2の細胞群320は、例えば、直径100μm以上500μm以下の略球状、略楕円球状又は扁平状であってよい。
本実施形態の細胞デバイスは、以下に詳述する本実施形態の神経筋接合部情報取得方法に用いることができる。
なお、細胞デバイス300は、上述のデバイス100を用いて作製されるものであるが、デバイス200やデバイス100及び200を適宜変更したデバイスを用いて作製することができることはいうまでもない。
(作製方法)
本実施形態の細胞デバイスは、本実施形態のデバイスの第1の培養部及び第2の培養部において、それぞれ筋細胞を含む第1の細胞群及び運動神経細胞を含む第2の細胞群を形成し、さらにその後第2の細胞群の軸索が第1の細胞群に接合されるまで共培養することにより作製すればよい。
筋細胞を含む第1の細胞群を1対の細胞支持体に跨って形成させる方法としては、例えば2本の細胞支持体の少なくとも一部を囲うように筋細胞及び/又は筋芽細胞とヒドロゲルとを含む培養培地を配置し、その後当該ヒドロゲルを固化させる方法が挙げられる。より具体的には、細胞支持体を収容する収容部に筋細胞及び/又は筋芽細胞とヒドロゲルとを含む培養培地を播種した後、例えば37℃程度に加熱することでヒドロゲルを固化させることで形成すればよい。
運動神経細胞を含む第2の細胞群は、運動神経細胞を含む細胞塊を培養することで作製すればよい。培養する細胞塊としては、例えば胎仔を含む動物生体から摘出された組織片や、細胞を培養して得られる運動神経細胞スフェロイド等が挙げられる。運動神経細胞スフェロイドとは、運動神経細胞を含むスフェロイドを意味する。ここで、スフェロイドは当業界における通常の意味で用いられ、例えば複数の細胞の3次元的な集合体を包含する。
好適に用いられる組織片としては、例えば脊髄前角から得られた組織片、及び運動神経又は運動神経組織から得られた組織片等が挙げられる。ここで、組織片は、例えば哺乳類から得てもよく、具体的には、マウス及びラット等のげっ歯類、又はサル及びヒト等の霊長類から得てもよい。
培養する組織片は、各片が例えば100μm以上1000μm以下のサイズであってもよい。
運動神経細胞スフェロイドとしては、例えば運動神経細胞を培養して得られるものを用いることができる。好適に用いられる運動神経細胞スフェロイドとしては、初代培養細胞を培養して得られる運動神経細胞スフェロイド、及び多能性幹細胞由来の運動神経細胞を培養して得られる運動神経細胞スフェロイドが挙げられる。ここで、初代培養細胞としては、脊髄前角から得られた組織片、及び運動神経又は運動神経組織から得られた組織片から解離して得られた初代培養細胞が好適に用いられる。また、多能性幹細胞由来の運動神経細胞としては、ヒトiPS細胞由来の運動神経細胞が好適に用いられる。
運動神経細胞スフェロイドは、運動神経細胞(好ましくは、初代培養細胞又は多能性幹細胞由来の運動神経細胞)を、例えば2日以上、好ましくは4日以上、より好ましくは5日以上、更に好ましくは1週間以上、又は例えば2週間以上培養することにより得られるものであってよい。かかる培養期間の上限は特に限定されないが、2週間、3週間、4週間、又は5週間であってもよい。培養期間は、上記の上限値及び下限値を任意に組み合わせた範囲であってもよい。
培養条件は、使用する細胞に合わせて適宜選択すればよく、市販の神経細胞を用いる場合は、添付の培養液を用いてもよい。培養条件としては、例えば5%CO、37℃のインキュベータ中の培養であってもよい。培養の際、培養液は、例えば、1~7日間隔で交換してもよい。
運動神経細胞を含む細胞塊を第2の培養部122で培養することにより、細胞塊を成熟させると共に、運動神経細胞の軸索を成長させ、第1の細胞群に接合させることができる。運動神経細胞を含む細胞塊の第2の培養部122における培養期間は、例えば2日以上、好ましくは3日以上、より好ましくは5日以上、更に好ましくは7日以上、又は例えば9日以上である。かかる培養期間の上限は特に限定されないが、4週間、5週間、又は6週間であってもよい。培養期間は、上記の上限値及び下限値を任意に組み合わせた範囲であってもよい。筋細胞を含む第1の細胞群及び運動神経細胞を含む第2の細胞群の共培養期間は、例えば1日以上、好ましくは3日以上、より好ましくは5日以上である。かかる培養期間の上限は特に限定されないが、4週間、5週間、又は6週間であってもよい。培養期間は、上記の上限値及び下限値を任意に組み合わせた範囲であってもよい。
培養条件は、使用する細胞に合わせて適宜選択すればよく、市販の神経細胞を用いる場合は、添付の培養液を用いてもよい。培養条件としては、例えば5%CO、37℃のインキュベータ中の培養であってもよい。培養の際、培養液は、例えば、1~7日間隔で交換してもよい。
第1の細胞群及び第2の細胞群の培養期間、及び培養条件等は、国際公開第2020/171052号を参照してもよい。
[神経筋接合部情報取得方法]
本実施形態の一態様は、本実施形態の細胞デバイスにおける第1の細胞群と第2の細胞群との神経筋接合部に関する情報を取得することを含む方法である。
かかる方法によれば、in vitroで任意の筋細胞と任意の運動神経細胞との神経筋接合部を評価することができる。筋細胞と運動神経細胞との神経筋接合部の評価としては、神経筋接合部の形成度合い、及びかかる神経筋接合部により筋細胞と運動神経細胞との間でどの程度情報のやり取りを行うことが可能であるか等が含まれてよい。したがって、例えば、筋細胞及び/又は運動神経細胞として、所定の疾患を有する対象に由来する細胞を用いれば、当該疾患の原因因子の特定や、当該疾患の治療又は予防に有効な薬剤のスクリーニングをすることができる。あるいは、例えば、筋細胞及び/又は運動神経細胞として、形質転換させた細胞を用いれば、疾患と遺伝子との関係を調べることができる。本実施形態の方法は、神経筋接合部の情報を取得する方法であり、神経筋接合部の評価方法でもある。
神経筋接合部に関する情報を取得する方法としては、特に限定されず、例えば、神経筋接合部を構造的に評価すること(例えば、免疫染色法による組織染色)、神経筋接合部にのみに発現する遺伝子及び/又はタンパク質を評価すること(例えば、PCR法によるRNAの検出や、ウエスタンブロット法によるタンパク質の検出)、第1の細胞群の収縮弛緩運動を評価すること、並びに第2の細胞群が発する電気信号を検出すること等が挙げられる。これらの中でも、第1の細胞群の収縮弛緩運動及び/又は第2の細胞群が発する電気信号を検出することを含むと好ましい。
第1の細胞群の収縮弛緩運動を評価するには、例えば第1の細胞群の収縮弛緩運動を撮影デバイスにより撮影し、第1の細胞群の収縮変位を検出すればよい。この際、細胞支持体の動きを検出することで、間接的に第1の細胞群の収縮変位を算出してもよい。撮影デバイスとしては、例えば顕微鏡及び顕微鏡に取り付けられたカメラであってよい。また、取得した第1の細胞群の収縮変位と、細胞支持体の機械特性(例えばバネ定数)とから、第1の細胞群の収縮力を算出してもよい。第1の細胞群の収縮変位は、適当なアルゴリズムを用いて撮影データから自動で取得してもよい。
第2の細胞群が発する電気信号を検出するには、例えば微小な電極を細胞群に近接させて電極周辺の電位の変化を検出する方法が挙げられる。かかる方法において、好ましくは、少なくとも2つの電極が用いられる。
また、本実施形態の神経筋接合部情報取得方法において、第2の細胞群が自発的に発する電気信号に応答して第1の細胞群が収縮弛緩運動することを検出してもよい。あるいは、第2の細胞群に外部から電気刺激を与えて、当該電気刺激に応答して第1の細胞群が収縮弛緩運動することを検出してもよい。
(スクリーニング方法)
本実施形態の神経筋接合部情報取得方法の一態様は、疾患の治療又は予防に有効な薬剤のスクリーニング方法である。かかるスクリーニング方法は、第1の細胞群及び/又は第2の細胞群を、被験物質を含む培地で培養することと、被験物質が神経筋接合部に与える影響に関する情報を取得することと、を含む。
神経筋接合部に与える影響に関する情報を取得することは、被験物質の投与前後において第1の細胞群と第2の細胞群との神経筋接合部に関する情報を取得し、被験物質の投与が神経筋接合部に与える影響を評価することを含んでよい。これにより、被験物質の疾患に対する有効性や、神経毒性を評価することができ、疾患の治療又は予防に有効な薬剤をスクリーニングすることができる。
[細胞群培養用デバイス]
本実施形態の細胞群培養用デバイスは、細胞群を培養する培養部と、培養部を外部に接続する流路と、を備え、流路の外部側の開口端において、流路の底面の接線方向に底面を仮想的に延長させた仮想延長面が、デバイスの底面を仮想的に延長させた仮想底面と交差する。
図6は、本実施形態の細胞群培養用デバイスの一態様を示す(A)概略斜視図、及び(B)流路付近における概略拡大図である。細胞群培養用デバイス400は、上述のデバイス100の第2の収容ユニット120のみを取り出したデバイスである。すなわち、細胞群培養用デバイス400は、細胞群を培養するための培養部122と、培養部122とデバイス外部とを接続する流路124とを備える。培養部122は、位置決め部122aと、位置決め部122aの上部に接続された液浴部122bとからなる。流路124は、位置決め部122aからデバイス外部に向かって、領域124a、124b、124c及び124Rから構成され、デバイスの外部側には開口端124Eが形成されている。ここで、領域124Rは流路の先端部である。
デバイス100と同一の符号を付した構成についての重複する説明は省略する。
細胞群培養用デバイス400は、流路124が特定のユニットに接続されていない点で、図1~3に示す第2の収容ユニット120とは異なる。細胞群培養用デバイス400において、流路124は、位置決め部122aをデバイス外部に接続する。また、開口端124Eにおいて、流路の底面の接線方向に底面を仮想的に延長させた仮想延長面は、デバイスの底面を仮想的に延長させた仮想底面と交差する。
仮想延長面と仮想底面とのなす角度は、好ましくは60°以上120°以下であり、より好ましくは65°以上100°以下であり、さらに好ましくは70°以上90°以下である。
開口端124Eにおける流路の底面部とデバイスの底面との高さの差H’2は、培養部122の底面とデバイスの底面との高さの差H’1より小さい。これは、培養部に培養される細胞群の軸索が、培養部122から流路124を通過して、開口端124Eから突出するまでに、デバイスの底面に接近することを意味する。
H’2はH’1に対して、例えば80%以下であり、好ましくは60%以下であり、より好ましくは50%以下であり、さらに好ましくは30%以下であり、さらにより好ましくは10%以下である。
H’2は、好ましくは300μm以下であり、より好ましくは100μm以下であり、さらに好ましくは50μm以下であり、さらにより好ましくは10μm以下である。H’2の下限は特に限定されず、例えば0μm又は1μmである。
流路124は、培養部122に培養される細胞群から延出する軸索の成長方向が所定の方向に誘導されるように構成されていてもよい。
本実施形態の細胞群培養用デバイスの別の一態様において、培養部を外部に接続する流路は、デバイス200の流路224と同様の構成を有していてもよい。この態様において、流路のデバイスの外部側の開口端の底面部は、デバイスの底面と略同一平面上に位置する。
(用途)
本実施形態の細胞群培養用デバイスは、培養部(特に位置決め部)において、細胞群を培養するために用いることができる。本実施形態の細胞群培養用デバイスを用いて、神経細胞(例えば運動神経細胞)を含む細胞群(例えば運動神経細胞スフェロイド)を培養すると、培養に伴い細胞群から軸索が延出する。細胞群培養用デバイスは、培養部から外部に通じる流路を備えるため、当該軸索はデバイス外部に誘導され、流路の開口端から突出する。また、流路の開口端において、流路の底面の接線方向に底面を仮想的に延長させた仮想延長面が、デバイスの底面を仮想的に延長させた仮想底面と交差するように構成されているため、開口端から突出した軸索は、さらにデバイスの底面方向に伸長することが誘導される。
したがって、本実施形態の細胞群培養用デバイスを任意の細胞群の直上に設置し、神経細胞(例えば運動神経細胞)を含む細胞群(例えば運動神経細胞スフェロイド)を培養部で培養することにより、当該任意の細胞群と、神経細胞を含む細胞群とを軸索により接合した構造を得ることができる。当該任意の細胞群が筋細胞を含む細胞群である場合、神経筋接合部が得られる。
(作製方法)
本実施形態の細胞群培養用デバイスは、従来公知の方法により作製することができる。例えば、注型成型、射出成形、圧縮成形、真空成形、パウダースラッシュ成形、及び積層成形等の種々の成形方法や、3Dプリンティング等を用いてよい。流路底面をより精密に設計する観点からは、図7に示すように、先端部124Rの湾曲底面に対応する曲面を形成した底面部材400bと、それ以外の構成を備える部材400aとをそれぞれ作製し、両者を接合する方法で細胞群培養用デバイスを作製してもよい。底面部材400bにおける流路部分は、特に成形後、切削加工や研磨加工をしてもよい。
部材400a及び400bは、互いに異なる材料により形成されていてよい。部材400aはシクロオレフィンポリマー及びシクロオレフィンコポリマーのようなタンパク質等の生体物質の非特異吸着が生じにくい材料により形成されていることが好ましい。部材400bは特に限定されないが、成形が容易である観点からポリジメチルシロキサン(PDMS)により形成されていることが好ましい。部材400a及び400bの接合方法としては、接着剤等による接合であってよく、分子接合であってもよい。
分子接合は、例えば部材400aがシクロオレフィンポリマー及び/又はシクロオレフィンコポリマーにより形成され、部材400bがPDMSにより形成されている場合は、部材400aの接合面にシラン処理を行い、部材400a及び400bの接合面にプラズマ処理を行うことで実施すればよい。なお、部材400aがPDMSにより形成されている場合は、上記のシラン処理は省略してよい。本実施形態の細胞群培養用デバイス及びデバイスの作製方法については、国際公開第2020/171052号に記載の方法を適宜参照することができる。
[付記]
[1]
第1の収容ユニットと、第2の収容ユニットと、を備え、
前記第1の収容ユニットは、筋細胞を含む第1の細胞群を培養している第1の培養部を備え、
前記第2の収容ユニットは、運動神経細胞を含む第2の細胞群を培養している第2の培養部と、前記第2の培養部と前記第1の培養部とを接続する流路と、を備え、
前記流路の前記第1の培養部側の開口端において、前記流路の底面の接線方向に前記底面を仮想的に延長させた仮想延長面が、前記第1の細胞群と交差し、
前記第1の細胞群及び前記第2の細胞群は、前記運動神経細胞から前記流路の底面に沿って延出し前記流路の開口端から突出して前記第1の培養部に突入している軸索により接合されている、
細胞デバイス。
[2]
前記流路の前記第1の培養部側の開口端の底面部と前記第1の細胞群の上面との高さの差が、前記第2の培養部の底面と前記第1の細胞群の上面との高さの差より小さい、
[1]に記載の細胞デバイス。
[3]
前記流路の前記第1の培養部側の開口端の底面部が、前記第1の細胞群と接触している、
[1]又は[2]に記載の細胞デバイス。
[4]
前記流路の前記第1の培養部側の先端部が、前記第1の細胞群に対して、連続的に又は段階的に近接している、
[1]~[3]のいずれか1つに記載の細胞デバイス。
[5]
前記第1の培養部が、1対の細胞支持体と、前記1対の細胞支持体を収容する収容部とを備え、
前記第1の細胞群が、前記1対の細胞支持体に跨って形成されている、
[1]~[4]のいずれか1つに記載の細胞デバイス。
[6]
第1の収容ユニットと、第2の収容ユニットと、を備え、
前記第1の収容ユニットは、第1の細胞群を培養する第1の培養部を備え、
前記第2の収容ユニットは、第2の細胞群を培養する第2の培養部と、前記第2の培養部と前記第1の培養部とを接続する流路と、を備え、
前記流路の前記第1の培養部側の開口端において、前記流路の底面の接線方向に前記底面を仮想的に延長させた仮想延長面が、前記第1の細胞群が培養される仮想平面と交差する、
デバイス。
[7]
前記流路の前記第1の培養部側の開口端の底面部と前記第1の細胞群が培養される仮想平面との高さの差が、前記第2の培養部の底面と前記第1の細胞群が培養される仮想平面との高さの差より小さい、
[6]に記載のデバイス。
[8]
前記流路の前記第1の培養部側の開口端の底面部が、前記第1の細胞群が培養される仮想平面と略同一平面上に位置する、
[6]又は[7]に記載のデバイス。
[9]
前記流路の前記第1の培養部側の先端部が、前記第1の細胞群が培養される仮想平面方向に対して、連続的に又は段階的に近接している、
[6]~[8]のいずれか1つに記載のデバイス。
[10]
前記流路が、前記第2の細胞群から延出する軸索の成長方向が前記第1の細胞群が培養される仮想平面に向かう方向に誘導されるように構成されている、
[6]~[9]のいずれか1つに記載のデバイス。
[11]
前記第1の培養部が、前記第1の細胞群を形成させるための1対の細胞支持体と、前記1対の細胞支持体を収容する収容部と、を備える、
[6]~[10]のいずれか1つに記載のデバイス。
[12]
細胞群を培養する培養部と、前記培養部を外部に接続する流路と、を備えた細胞群培養用デバイスであって、
前記流路の前記外部側の開口端において、前記流路の底面の接線方向に前記底面を仮想的に延長させた仮想延長面が、前記デバイスの底面を仮想的に延長させた仮想底面と交差する、
細胞群培養用デバイス。
[13]
前記流路の前記外部側の開口端の底面部が、前記デバイスの底面と略同一平面上に位置する、
[12]に記載の細胞群培養用デバイス。
[14]
[1]~[5]のいずれか1つに記載のデバイスにおける前記第1の細胞群と前記第2の細胞群との神経筋接合部に関する情報を取得することを含む、情報取得方法。
[15]
前記第1の細胞群及び/又は前記第2の細胞群を、被験物質を含む培地で培養することと、
前記被験物質が前記神経筋接合部に与える影響に関する情報を取得することと、を含む、
[14]に記載の情報取得方法。
[16]
前記神経筋接合部に関する情報を取得することが、前記第1の細胞群の収縮弛緩運動及び/又は前記第2の細胞群が発する電気信号を検出することを含む、
[14]又は[15]に記載の情報取得方法。
以下、本発明を実施例及び比較例を用いてより具体的に説明する。本発明は、以下の実施例によって何ら限定されるものではない。
[細胞デバイスの作製]
(デバイスの作製)
以下のようにして図1~3に示すようなデバイスを作製した。まず、図7に示す部材400a、図7に示す部材400b、及び図1に示す第1の収容ユニット110を、それぞれ図8~10に示す寸法(図中の数値の単位はmmである。)にて作製した。第1の収容ユニット110、及び部材400bは、PDMSを原料として、樹脂型を用いた注型成型により作製し、部材400aは、シクロオレフィンポリマー(COP)プレートを切削することにより作製した。次いで部材400aの接合面(底面)にシラン処理を行い、部材400a及び400bの接合面にプラズマ処理を行った後、両者を接合して、第2の収容ユニット120を作製した。このようにして得られた第2の収容ユニット120及び第1の収容ユニット110の接合面にプラズマ処理を行った後、両者を接合した。
(デバイスのコーティング)
次に、得られたデバイスの培養部をコーティングした。
デバイスをdish上に表向きにして並べ、フタを開けた状態でオゾンガス+UV殺菌装置(Genlantis社製、CoolCLAVETM Plus Ozone and UV Sterilizer)に入れオゾンガス及びUVによる殺菌を行った。次に、デバイスをクリーンベンチ内で24 well plateに移し、図1に示す培養部112にのみ2% Pluronic溶液(Thermo Fisher Scientific社製)150μLを加え、一晩4℃冷蔵庫内又は室温で1時間コーティングを行った。Pluronic溶液をアスピレータで除去し、デバイスを24 well plateから取り出し、60mm dishに並べた後、プラズマ発生装置によりプラズマ処理を行った。デバイスを24 well plateに移し、コーティング液(無血清培地で100倍に希釈したMatrigel溶液(Corning社製))を各デバイスの神経ポート(図1の培養部122)に120μL、筋肉ポート(図1の培養部112)に700μL入れた。plateの蓋をして、遠心(1000rpm、30sec)してデバイスを沈めた。デシケータに入れ、アスピレータ(-0.06MPa程度)で脱気を30分行った。30分後、デシケータから取り出し、遠心(1000rpm、1分)で脱泡した。
(運動神経細胞を含む細胞群の調製及び培養)
運動神経細胞を含む細胞群(以下、「運動神経細胞スフェロイド」という。)は、以下のようにして調製した。
運動神経細胞の凍結ストックを37℃の温浴で解凍した。温めておいたNB27培地(表1の組成を有する。以下同様である。)に全量を移し、1000rpmで3分遠心分離した。適量のMN培地(表2の組成を有する。以下同様である。)で再懸濁した後、セルカウントし、運動神経細胞スフェロイド作製用細胞懸濁液の調製量を算出した。この際、運動神経細胞スフェロイド1個当たりの細胞数は2.5×10cells、1ウェル当たりの液量は150μLとした。算出した細胞懸濁液にMN培地を添加し運動神経細胞スフェロイド作製用細胞懸濁液を調製した。細胞懸濁液をU底96well plateに150μLずつ播種し、周りに乾燥防止のため蒸留水を適量入れた。プレートを200g、3分遠心した後、37℃、5% COインキュベータで培養することで運動神経細胞スフェロイドを調製した。1週間後、培養中のwell plateから培養培地を75μL除去し、MN維持培地(表3の組成を有する。以下同様である。)を75μL添加した。
上記の培養開始から7~14日後の運動神経細胞スフェロイドを上記でコーティングしたデバイスに播種し、培養した。まず、デバイスの神経ポート(図1の培養部122)にMN維持培地を120μL加えた。運動神経細胞スフェロイドをデバイスの神経ポート(図1の培養部122)にゆっくり播種した後、運動神経細胞スフェロイドが図1に示す位置決め部122aに播種されているかを顕微鏡で確認した。運動神経細胞スフェロイドを神経ポートに播種した日を培養0日目とした。以後2日に1回、神経ポートの培地を60μL除去し、新しいMN維持培地を60μL加えた。
(筋細胞を含む細胞群の形成及び培養)
骨格筋細胞を含む細胞群は、以下のようにして培養2日目にデバイスに形成した。
骨格筋細胞(HSMM細胞(Lonza社))が播かれた10cm dishの培地をアスピレータで全て除去し、10mlのPBS(-)で1回洗浄した。PBS(-)をアスピレータで除去し、2mlの0.05% Trypsin EDTA(ナカライテスク株式会社)をdish上に均一に拡げ、37℃、5% COインキュベータ内に3分静置した。4mlの20%FBS/DMEM(表4の組成を有する。)をdish内に加え、Trypsinの働きを止めた後、ピペットで細胞を剥がすようにdish上を洗浄し、細胞懸濁液をチューブに回収した。1000rpm、5分、25℃で遠心し、アスピレータで上清を可能な限り除去した。残った細胞塊に1mlの増殖培地(HSMM増殖培地(Lonza社、SkGMTM-2 BulletKitTMMedium))を加えピペッティングでよく懸濁し、セルカウントを行った。セルカウントの結果から、2.86×10cells/mlになるように希釈培地量を計算した。1000rpm、5分、25℃で遠心し、アスピレータで上清を除去し、細胞塊に計算量の2×DMEM(Merck KGaA社)を添加してピペッティングで均一に懸濁した。得られた細胞懸濁液を用いて、ヒドロゲルを含む細胞MIXを調製した。デバイスの筋肉ポート(図1の培養部112)から培地を除去した後、Thrombin(ナカライテスク株式会社)を加えよく懸濁した細胞MIXを、筋肉ポート内の溝に30μLずつ静かに均等に加えた。インキュベータ内で15分静置しゲルを固めることにより、筋肉ポート内に筋細胞を含む細胞群を形成した。筋肉ポートにHSMM増殖培地を700μL加えた後、37℃、5% COインキュベータで培養した。
(共培養)
培養4日目に、筋細胞を含む細胞群を1対の細胞支持体の上部に持ち上げ、運動神経細胞スフェロイドと筋細胞を含む細胞群とを近接させて共培養を開始した。筋細胞を含む細胞群の持ち上げは、ピンセットや注射針を用いて、デバイスを傾けないように少しずつ行い、当該細胞群が図1のディスク部115及び第2の収容ユニット120の底面に接触するようにした。筋肉ポートの培地を全量除去し、HSMM分化培地(表5の組成を有する。)を700μL添加した。神経ポートの培地を半量(60μL)新しいMN維持培地に交換し、培養を継続した。同様の培地交換を2日に1回実施した。共培養を開始して5日目(培養9日目に対応)前後から筋細胞を含む細胞群の自発的収縮が確認され始めた。
[神経筋接合部の評価]
以上のようにして作製した細胞デバイスを用いて神経筋接合部の評価を行った。
筋細胞を含む細胞群の収縮弛緩運動を顕微鏡に接続したカメラで撮影し、収縮変位を経時的に測定した。図11に示すように、運動神経細胞の自発的な発火に応答して、筋細胞を含む細胞群が自発的に収縮弛緩運動する様子が観察された。この際の最大収縮変位は142.06μmであり、予め測定した細胞支持体のバネ定数0.149μN/μmから、最大収縮力が21.17μNであることがわかった。
また、第2の培養部に培養されている運動神経細胞を含む細胞群のみに2本の電極を用いて電気刺激を与えたところ、図12に示すように、当該電気刺激に応答して筋細胞を含む細胞群の収縮弛緩運動が観察された。この際の最大収縮変位は177.58μmであり、予め測定した細胞支持体のバネ定数0.149μN/μmから、最大収縮力が26.46μNであることがわかった。なお、図11及び12の結果は、共培養開始からそれぞれ23及び25日目に取得した。
以上の結果から、別々に培養した筋細胞を含む細胞群と運動神経細胞を含む細胞群とが、効率よく神経筋接合部を形成し、多数の軸索が筋細胞に結合した細胞デバイスが得られたことが示された。
100,200…デバイス、110…第1の収容ユニット、112…第1の培養部、114a,114b…細胞支持体、115…ディスク部、116…収容部、118…設置部、120…第2の収容ユニット、122…第2の培養部、122a…位置決め部、122b…液浴部、124,224…流路、124E,224E…開口端、124R,224R…先端部、124Re…端面部、124Rr,224Rr…湾曲底面部、300…細胞デバイス、310…第1の細胞群、320…第2の細胞群、330…軸索、400…細胞群培養用デバイス、S1…仮想延長面、S2…仮想平面。

Claims (16)

  1. 第1の収容ユニットと、第2の収容ユニットと、を備え、
    前記第1の収容ユニットは、筋細胞を含む第1の細胞群を培養している第1の培養部を備え、
    前記第2の収容ユニットは、運動神経細胞を含む第2の細胞群を培養している第2の培養部と、前記第2の培養部と前記第1の培養部とを接続する流路と、を備え、
    前記流路の前記第1の培養部側の開口端において、前記流路の底面の接線方向に前記底面を仮想的に延長させた仮想延長面が、前記第1の細胞群と交差し、
    前記第1の細胞群及び前記第2の細胞群は、前記運動神経細胞から前記流路の底面に沿って延出し前記流路の開口端から突出して前記第1の培養部に突入している軸索により接合されている、
    細胞デバイス。
  2. 前記流路の前記第1の培養部側の開口端の底面部と前記第1の細胞群の上面との高さの差が、前記第2の培養部の底面と前記第1の細胞群の上面との高さの差より小さい、
    請求項1に記載の細胞デバイス。
  3. 前記流路の前記第1の培養部側の開口端の底面部が、前記第1の細胞群と接触している、
    請求項1に記載の細胞デバイス。
  4. 前記流路の前記第1の培養部側の先端部が、前記第1の細胞群に対して、連続的に又は段階的に近接している、
    請求項1に記載の細胞デバイス。
  5. 前記第1の培養部が、1対の細胞支持体と、前記1対の細胞支持体を収容する収容部とを備え、
    前記第1の細胞群が、前記1対の細胞支持体に跨って形成されている、
    請求項1に記載の細胞デバイス。
  6. 第1の収容ユニットと、第2の収容ユニットと、を備え、
    前記第1の収容ユニットは、第1の細胞群を培養する第1の培養部を備え、
    前記第2の収容ユニットは、第2の細胞群を培養する第2の培養部と、前記第2の培養部と前記第1の培養部とを接続する流路と、を備え、
    前記流路の前記第1の培養部側の開口端において、前記流路の底面の接線方向に前記底面を仮想的に延長させた仮想延長面が、前記第1の細胞群が培養される仮想平面と交差する、
    デバイス。
  7. 前記流路の前記第1の培養部側の開口端の底面部と前記第1の細胞群が培養される仮想平面との高さの差が、前記第2の培養部の底面と前記第1の細胞群が培養される仮想平面との高さの差より小さい、
    請求項6に記載のデバイス。
  8. 前記流路の前記第1の培養部側の開口端の底面部が、前記第1の細胞群が培養される仮想平面と略同一平面上に位置する、
    請求項6又は7に記載のデバイス。
  9. 前記流路の前記第1の培養部側の先端部が、前記第1の細胞群が培養される仮想平面方向に対して、連続的に又は段階的に近接している、
    請求項6又は7に記載のデバイス。
  10. 前記流路が、前記第2の細胞群から延出する軸索の成長方向が前記第1の細胞群が培養される仮想平面に向かう方向に誘導されるように構成されている、
    請求項6又は7に記載のデバイス。
  11. 前記第1の培養部が、前記第1の細胞群を形成させるための1対の細胞支持体と、前記1対の細胞支持体を収容する収容部と、を備える、
    請求項6又は7に記載のデバイス。
  12. 細胞群を培養する培養部と、前記培養部を外部に接続する流路と、を備えた細胞群培養用デバイスであって、
    前記流路の前記外部側の開口端において、前記流路の底面の接線方向に前記底面を仮想的に延長させた仮想延長面が、前記デバイスの底面を仮想的に延長させた仮想底面と交差する、
    細胞群培養用デバイス。
  13. 前記流路の前記外部側の開口端の底面部が、前記デバイスの底面と略同一平面上に位置する、
    請求項12に記載の細胞群培養用デバイス。
  14. 請求項1~5のいずれか1項に記載のデバイスにおける前記第1の細胞群と前記第2の細胞群との神経筋接合部に関する情報を取得することを含む、情報取得方法。
  15. 前記第1の細胞群及び/又は前記第2の細胞群を、被験物質を含む培地で培養することと、
    前記被験物質が前記神経筋接合部に与える影響に関する情報を取得することと、を含む、
    請求項14に記載の情報取得方法。
  16. 前記神経筋接合部に関する情報を取得することが、前記第1の細胞群の収縮弛緩運動及び/又は前記第2の細胞群が発する電気信号を検出することを含む、
    請求項14に記載の情報取得方法。
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