JP2024008715A - 金属ナノ粒子含有リン酸カルシウム複合粒子およびその製造方法 - Google Patents

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【課題】高感度バイオイメージングのための金属ナノ粒子含有リン酸カルシウム複合粒子およびその製造方法を提供する。【解決手段】リン酸カルシウムマトリックス中の全体にわたって、金属ナノ粒子が高充填度かつ離散的に担持され、カルシウムに対する金属元素のモル比が0.4以上である、分散性の金属ナノ粒子含有リン酸カルシウム複合粒子が提供される。金属ナノ粒子とカルシウム含有液とリン酸含有液を混合、撹拌して過飽和溶液を調製し、一定期間静置または攪拌する工程を含み、金属ナノ粒子がその表面に低分子由来の極性官能基を有することを特徴とする、金属ナノ粒子含有リン酸カルシウム複合粒子の製造方法が提供される。【選択図】図1

Description

特許法第30条第2項適用申請有り 令和4年1月27日に、SATテクノロジー・ショーケース2022で発表。
本発明は、金属ナノ粒子含有リン酸カルシウム複合粒子およびその製造方法に関する。
金属ナノ粒子はバルキーな金属固体とは異なる特有の物性・機能を有することから、様々な分野でその物性・機能を応用した技術が用いられている。例えば、生物学や医療の分野では、細胞、組織、生体における特定要素の可視化または検出、構造や生物学的プロセスの可視化などのためのバイオイメージング剤として金属ナノ粒子が用いられている。特に、直径6nm以下の金属ナノ粒子は、一般に、腎臓から尿として体外へ排泄されるため体内への残留・蓄積の懸念が少ない。一方、バイオイメージングに十分な量を生体内の目的の部位(例えば腫瘍部位)に送達・集積させることは容易ではない。実際、輝度の低い一部の蛍光性金属ナノ粒子では、検出感度が低いことから、自家蛍光の強い組織や、生体内では検出困難なことがある。
金属ナノ粒子によるバイオイメージング機能向上のための方策としては、金属ナノ粒子の輝度向上のほか、生体内の目的の部位への金属ナノ粒子の送達効率の向上が挙げられる。金属ナノ粒子の輝度向上には、粒子の構造・組成の制御が有効であるが、担体(マトリックス)への担持が有効な場合もある。例えば、蛍光性金属ナノ粒子をマトリックスに担持すると、粒子のブラウン運動が制限されることで動的消光確率が低下し、輝度を向上することができる。非特許文献1には、金ナノ粒子の蛍光輝度が、メゾポーラスシリカからなるマトリックスへの担持によって向上することが開示されている。一方、金属ナノ粒子の送達効率の向上に有効な方法として、金属ナノ粒子をより大きなサブミクロンサイズのマトリックスに担持し、金属ナノ粒子を含有する複合粒子とすることが挙げられる。
金属ナノ粒子を担持させるマトリックスの主成分としては、ヒトの歯や骨の無機成分であり、低毒性で生体親和性に優れ、弱酸性条件下で血清イオンに分解して生体に吸収されるリン酸カルシウムが特に有用と考えられる。以上の背景から、金属ナノ粒子含有リン酸カルシウム複合粒子には、高機能なバイオイメージング剤としての応用が期待される。
金属ナノ粒子の機能(蛍光性、マトリックスから遊離後の体外排泄性など)を損なうことなく、生体内の目的の部位に高効率に送達するためには、多量の金属ナノ粒子をマトリックス中の全体にわたって高充填度かつ離散的に担持し、しかも体液を含む水溶液中での分散性に優れた金属ナノ粒子含有リン酸カルシウム複合粒子とする必要がある。しかし、界面活性剤などの分散剤を用いることなく、分散性の金属ナノ粒子含有リン酸カルシウム複合粒子を得ることは容易ではない。また、表面エネルギ―の極めて高い金属ナノ粒子を凝集させることなく、各粒子を離散的な状態で、リン酸カルシウムマトリックス中の全体にわたって高い充填度で担持することも困難であった。
特許文献1には、分散性の金属ナノ粒子含有リン酸カルシウム複合粒子の合成方法が開示されている。しかし当該方法では、分散剤として機能する第三成分を複合粒子中に添加する必要がある。非特許文献2には、ある種の高分子鎖で表面修飾された金属ナノ粒子を用いることで、分散剤を用いずとも、分散性の金属ナノ粒子含有リン酸カルシウム複合粒子を合成する方法が開示されている。しかし当該方法では、金属ナノ粒子の表面が比較的厚い高分子層で被覆されていることなどから、リン酸カルシウムマトリックス中における金属ナノ粒子の充填度が十分とは言えない(カルシウムに対する金属元素のモル比=0.15以下)。非特許文献3には、金属ナノ粒子をポリアクリル酸中に導入することでコアを形成した後、その表面をリン酸カルシウムで被覆することで、コアシェル型の金属ナノ粒子含有リン酸カルシウム複合粒子を合成する方法が開示されている。しかし当該方法では、金属ナノ粒子はコア部分にしか担持されず、シェルであるリン酸カルシウム部分にはほとんど担持されない。非特許文献4,5には、金属イオン含有リン酸カルシウム粒子懸濁液へのレーザー光照射によって、リン酸カルシウムマトリックス中に金属ナノ粒子を析出させ、金属ナノ粒子含有リン酸カルシウム複合粒子を合成する方法が開示されている。しかし当該方法では、リン酸カルシウムマトリックス中での金属ナノ粒子のサイズと分布を制御することが困難であった。
特許第6998008号公報
L. Ma et al., Analyst, 143 (2018) 5388-5394 M. Nakamura et al., Colloids and Surfaces B: Biointerfaces, 194 (2020) 111169 L. Li et al., Small, 11 (2015) 3162-3173 M. Nakamura et al., Materials, 12 (2019) 4234 M. Nakamura et al., Acta Biomaterialia, 46 (2016) 299-307
高感度バイオイメージングのための金属ナノ粒子含有リン酸カルシウム複合粒子およびその製造方法を提供する。
本発明の一実施形態において、金属ナノ粒子とリン酸カルシウムを含有し、リン酸カルシウムマトリックス中の全体にわたって極性官能基を表面に有する金属ナノ粒子が高充填度かつ離散的に担持され、カルシウムに対する金属元素のモル比が0.4以上である、分散性の金属ナノ粒子含有リン酸カルシウム複合粒子が提供される。
金属ナノ粒子は金ナノ粒子であってもよい。
金属ナノ粒子表面の極性官能基は低分子由来であってもよい。
金属ナノ粒子表面の極性官能基はグルタチオンまたは2-メルカプトプロピオン酸由来であってもよい。
金属ナノ粒子の粒子径が6nm以下、好ましくは1nm以上6nm以下、さらに好ましくは1nm以上3nm以下であってもよい。
金属ナノ粒子含有リン酸カルシウム複合粒子の直径または長径が10nm以上200nm以下、好ましくは30nm以上100nm以下であってもよい。
金属ナノ粒子含有リン酸カルシウム複合粒子中のリン酸カルシウムが非晶質リン酸カルシウムであってもよい。
金属ナノ粒子含有リン酸カルシウム複合粒子の蛍光強度またはX線吸収量は、金属ナノ粒子単体の蛍光強度またはX線吸収量より高くてもよい。
金属ナノ粒子含有リン酸カルシウム複合粒子の蛍光強度は、金属ナノ粒子単体の蛍光強度より2倍以上高くてもよい。
金属ナノ粒子含有リン酸カルシウム複合粒子のゼータ電位の絶対値が5mV以上であってもよい。
本発明の一実施形態において、金属ナノ粒子とカルシウム含有液とリン酸含有液とを混合、撹拌して過飽和溶液を調製し、一定時間静置または攪拌する工程を含み、前記金属ナノ粒子がその表面に低分子由来の極性官能基を有することを特徴とする、金属ナノ粒子含有リン酸カルシウム複合粒子の製造方法が提供される。
高感度バイオイメージングのための金属ナノ粒子含有リン酸カルシウム複合粒子およびその製造方法を提供することができる。
実施例1で作製された金ナノ粒子含有リン酸カルシウム複合粒子の(a)分散液の写真、(b)透過型電子顕微鏡画像(広域)、(c)透過型電子顕微鏡画像(拡大)、(d)粒子径分布を示す図である。 実施例1で作製された金ナノ粒子含有リン酸カルシウム複合粒子の蛍光スペクトルを示す図である。 実施例1で作製された金ナノ粒子含有リン酸カルシウム複合粒子の金元素1モルあたりの蛍光強度を示す図である。 実施例2で作製された金ナノ粒子含有リン酸カルシウム複合粒子の分散液の写真である。 実施例2で作製された金ナノ粒子含有リン酸カルシウム複合粒子の透過型電子顕微鏡画像(上段広域、下段拡大)である。 実施例2で作製された金ナノ粒子含有リン酸カルシウム複合粒子のゼータ電位を示す図である。 実施例2で作製された金ナノ粒子含有リン酸カルシウム複合粒子の蛍光スペクトルを示す図である。 実施例2で作製された金ナノ粒子含有リン酸カルシウム複合粒子の金元素1モルあたりの蛍光強度を示す図である。 実施例2で作製された金ナノ粒子含有リン酸カルシウム複合粒子のカルシウムに対する金のモル比を示す図である。 実施例3で作製された金ナノ粒子含有リン酸カルシウム複合粒子の分散液の写真である。 実施例3で作製された金-リン酸カルシウム複合粒子の粒子径分布を示す図である。 実施例3で作製された金ナノ粒子含有リン酸カルシウム複合粒子の金濃度を示す図である。 実施例3で作製された金ナノ粒子含有リン酸カルシウム複合粒子のカルシウムに対する金元素のモル比を示す図である。 実施例3で作製された金ナノ粒子含有リン酸カルシウム複合粒子の蛍光スペクトルを示す図である。 実施例3で作製された金ナノ粒子含有リン酸カルシウム複合粒子の金元素1モルあたりの蛍光強度を示す図である。 実施例4で作製された金-リン酸カルシウム複合粒子の(a)溶液写真、(b)透過型電子顕微鏡画像、(c)粒子径分布を示す図である。 実施例4で作製された金ナノ粒子含有リン酸カルシウム複合粒子の蛍光スペクトルを示す図である。
発明者らは、ある種の極性官能基を表面に有する金属ナノ粒子を添加したリン酸カルシウム過飽和水溶液中で、金属ナノ粒子とリン酸カルシウムを共沈析出させると、分散剤がなくとも、金属ナノ粒子を高充填度かつ離散的に含む分散性のリン酸カルシウム複合粒子が得られることを見出した。得られた金属ナノ粒子含有リン酸カルシウム複合粒子では、金属ナノ粒子がリン酸カルシウムマトリックス中の全体にわたって高充填度かつ離散的に担持されていた。さらに、金属ナノ粒子の蛍光強度は、リン酸カルシウムマトリックス中に担持させることで増強することがわかり、本発明を完成させるに至った。
本発明に係る金属ナノ粒子含有リン酸カルシウム複合粒子は、生体内への投与に適した構造的特徴を有する。まず、金属ナノ粒子含有リン酸カルシウム複合粒子は、直径または長径10nm以上500nm以下のサイズ(電子顕微鏡分析による、以下同様)を有し、体液・注射用液などの水溶液中において分散性を有することから、静脈・動脈注射などにより生体内に投与可能である。生体内に投与された金属ナノ粒子含有リン酸カルシウム複合粒子は、多量の金属ナノ粒子を高充填度かつ離散的に担持していることから、高感度イメージング剤などとして機能する。やがて金属ナノ粒子含有リン酸カルシウム複合粒子は、一定条件下(時間、pHなど)で分解し(マトリックスであるリン酸カルシウムが溶解)、金属ナノ粒子を遊離する。複合粒子中のリン酸カルシウムは溶解すると体液にもともと含まれているイオンとなる。一方、遊離した金属ナノ粒子は、腎排泄可能なナノサイズであり、かつ表面の極性官能基により、体液のような高イオン強度溶液中であっても優れた分散性を示すことから、生体外へ排泄される。すなわち、本発明に係る金属ナノ粒子含有リン酸カルシウム複合粒子は、生体内に金属ナノ粒子を送達することのできる生体内分解性粒子であり、分解生成物(金属ナノ粒子など)の生体への悪影響(残留、蓄積、毒性など)の懸念がないことから、医療、生体材料、イメージング剤などの用途で有用である。以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
[金属ナノ粒子含有リン酸カルシウム複合粒子]
本発明は、金属ナノ粒子とリン酸カルシウムを含有する金属ナノ粒子含有リン酸カルシウム複合粒子に関する。金属ナノ粒子含有リン酸カルシウム複合粒子とは、リン酸カルシウム化合物を主成分とするマトリックスからなり、担持物として少なくとも金属ナノ粒子を含む、サブミクロンサイズの分散性粒子を指す。ここで言うサブミクロンサイズの粒子とは直径または長径10nm~1000nmの粒子を指すが、本実施形態では特に、静脈・動脈注射などにより生体内に投与可能で、細胞への取り込みに適した直径または長径10nm以上500nm以下の粒子を指す。本実施形態において金属ナノ粒子含有リン酸カルシウム複合粒子は、生体内においてEnhanced Permeability and Retention(EPR)効果によるがん特異的な集積が可能になるように、直径または長径10nm以上200nm以下の粒子が好ましく、中でも、直径または長径30nm以上100nm以下の粒子が特に好ましい。
本実施形態における金属ナノ粒子含有リン酸カルシウム複合粒子は、リン酸カルシウムマトリックス中の全体にわたって、多量の金属ナノ粒子を高充填度かつ離散的に担持している。金属ナノ粒子含有リン酸カルシウム複合粒子中のカルシウムに対する金属元素のモル比が0.4以上であることが好ましく、0.4以上3.0以下であることがより好ましい。金属ナノ粒子を離散的に担持した状態とは、リン酸カルシウムマトリックス中において、隣接する金属ナノ粒子のコア同士が接触も結合もしていない状態を指す。コアとコアの間には他の物質が存在しており、電子顕微鏡分析において、コアとは組成や結晶構造の異なる領域が、各コアの周囲に観察される。
本実施形態における分散性粒子とは、生成直後あるいは注射用液に再分散させた後から、30分以上単分散状態を維持でき、凝集や沈降を起こさない粒子を言う。単分散状態の維持は、動的光散乱法(DLS)による粒子径分布により確認できる。生成直後あるいは注射用液に再分散させた後から、30分後に、超音波照射やボルテックスなどにより振動を与えることで、単分散状態となる粒子であっても良い。単分散状態となることで、静脈・動脈注射などによる生体内投与が可能となる。粒子を再分散させる注射用液としては、注射用水などが適している。粒子のマトリックスを構成するリン酸カルシウム化合物の安定性(耐溶解性)と生体内に投与する際の安全性の観点から、注射用液のpHは5~9、好ましくは6.5~8.0の、弱酸性から弱アルカリ性の水溶液が好ましい。
本実施形態における担持物は、金属ナノ粒子であり、リン酸カルシウム粒子の表面、および内部に担持されることで、生物学的研究、診断や治療に役立つ機能を発揮したり、複合粒子の分散性維持に寄与する。金属ナノ粒子は、単一の粒子でも良いし、2種以上の粒子であっても良い。担持物として、金属ナノ粒子に加えて、金属ナノ粒子以外の物質が含まれていても良い。
本実施形態における金属ナノ粒子とは、組成式に金属元素を含む物質から成るコアを持つナノ粒子である。金属ナノ粒子表面の極性官能基が、リン酸カルシウム過飽和溶液中における分散性やリン酸カルシウムやその構成成分(イオンやリン酸カルシウムクラスター)との相互作用を支配し、最終的に得られる金属ナノ粒子含有リン酸カルシウム複合粒子の構造や性質に影響するため、金属ナノ粒子のコアを形成する物質は限定されない。例えば、蛍光性やX線CT(Computed Tomography)造影能を有する金ナノ粒子、蛍光性を有するCdSe/ZnSナノ粒子等の量子ドット、MRI(Magnetic Resonance Imaging)造影能を有する酸化鉄ナノ粒子等が挙げられる。中でも、細胞・組織切片の蛍光観察用プローブ、温熱療法用の光熱変換剤、放射線治療用の増感剤(X線増感剤)、およびX線CT用造影剤として有効であることから、金ナノ粒子が特に好ましい。
本実施形態における金属ナノ粒子は、表面に極性官能基を有する。極性官能基としては、リン酸カルシウム化合物あるいはその構成成分(イオンやリン酸カルシウムクラスター)と強い相互作用を持ち、かつ金属ナノ粒子の分散性維持に有効な官能基が好ましく、例えば、中性付近の溶液中で負電荷を持つカルボキシル基、スルホ基、リン酸基や、正電荷を持つアミノ基、四級アンモニウム基などの極性官能基や、水酸基、カルボニル基、チオール基などの非イオン性の極性官能基が挙げられる。金属ナノ粒子表面の極性官能基は、1種であっても2種以上であっても良い。
極性官能基は、金属ナノ粒子の表面を、極性官能基を1つあるいは複数含む分子で修飾することによって、金属ナノ粒子の表面に導入してもよい。極性官能基を有する分子としては、リン酸カルシウム化合物あるいはその構成成分(イオンやリン酸カルシウムクラスター)だけでなく、金属ナノ粒子とも強い相互作用を持ち、かつ、金属ナノ粒子の分散性を維持できる、分子量1000以下の低分子が好ましい。ここで、低分子ではなく、分子量1000超の高分子を用いると、金属ナノ粒子の表面が厚い高分子層で被覆されることで、リン酸カルシウムマトリックス中における金属ナノ粒子間の距離が大きくなり、ナノ粒子の充填度が下がってしまう(カルシウムに対する金属の元素比が低くなる)。極性官能基を有する低分子で表面修飾を行うことで、薄い低分子層で被覆された金属ナノ粒子は、リン酸カルシウムマトリックス中において、離散的かつ高い充填度で担持される。
金属ナノ粒子が金ナノ粒子あるいは銀ナノ粒子である場合、極性官能基を有する低分子としては、これらの金属ナノ粒子表面と化学結合するチオール基と、リン酸カルシウムあるいはその構成イオンと相互作用を持つ極性官能基を有する低分子が好ましく、例えば、グルタチオン、システイン、システアミン、メルカプトエタノール、メルカプトプロピオン酸、エタンチオール、これらの誘導体などを挙げることができる。中でも特に好適な低分子として、グルタチオンならびに2-メルカプトプロピオン酸を挙げることができる。
金属ナノ粒子は、表面に極性官能基を有することで、高イオン強度溶液中であっても優れた分散性を示し、また、リン酸カルシウム過飽和溶液中において、リン酸カルシウム化合物あるいはその構成成分と相互作用することでリン酸カルシウムと共沈析出する。こうして、金属ナノ粒子が高充填度かつ離散的に担持された金属ナノ粒子含有リン酸カルシウム複合粒子を得ることができる。
金属ナノ粒子含有リン酸カルシウム複合粒子の表面には金属ナノ粒子の極性官能基が存在し、複合粒子に5mV以上、好ましくは10mV以上のゼータ電位(絶対値)を与えることができる。金属ナノ粒子含有リン酸カルシウム複合粒子は、5mV以上というゼータ電位(絶対値)を持つことで、高イオン強度溶液中であっても、相互反発によって単分散状態を長時間維持することができる。従って、分散剤として機能する第三成分を複合粒子中に担持させたり、界面活性剤などの分散剤を溶液中に添加する必要がない。
金属ナノ粒子含有リン酸カルシウム複合粒子は、金属ナノ粒子をリン酸カルシウムマトリックス中の全体にわたって高充填度かつ離散的に担持している。金属ナノ粒子が蛍光性金属ナノ粒子である場合、リン酸カルシウムマトリックスが蛍光性金属ナノ粒子のブラウン運動を制限し、動的消光確率を低下させる。このため、蛍光性金属ナノ粒子含有リン酸カルシウム複合粒子の蛍光強度は、蛍光性金属ナノ粒子単体の蛍光強度より高い。蛍光性金属ナノ粒子含有リン酸カルシウム複合粒子の蛍光強度は、蛍光性金属ナノ粒子単体の蛍光強度より2倍以上高いことが好ましい。ここで蛍光強度とは金属元素1モルあたりの蛍光強度を示す。蛍光性金属ナノ粒子が金ナノ粒子である場合、金ナノ粒子含有リン酸カルシウム複合粒子の蛍光強度は、金ナノ粒子単体の蛍光強度より2倍以上高いことが好ましく、10倍以上高いことがより好ましい。
また、金属ナノ粒子がX線造影能を有する金属ナノ粒子である場合、リン酸カルシウムマトリックスによるX線吸収量が上乗せされるため、金属ナノ粒子単体よりも高いX線吸収量を示す。
金属ナノ粒子は、金属ナノ粒子含有リン酸カルシウム複合粒子よりも小さい。具体的には、金属ナノ粒子の直径または長径(コアサイズ、電子顕微鏡分析による)が6nm以下であることが好ましく、1nm以上6nm以下であることがより好ましい。特に好ましい金属ナノ粒子の直径または長径(コアサイズ)は、金属ナノ粒子単体での腎排出性が高いことから、1nm以上3nm以下である。
金属ナノ粒子含有リン酸カルシウム複合粒子に含まれるリン酸カルシウム化合物の組成・構造は限定されない。リン酸カルシウム化合物は、少なくともリン酸イオンとカルシウムイオンを含む化合物であって、非晶質リン酸カルシウムであっても良いし、結晶性のリン酸カルシウム化合物であっても良いし、それらの混合物であっても良い。結晶性のリン酸カルシウム化合物としては、例えば、水酸アパタイト、炭酸アパタイト、α-リン酸三カルシウム、β-リン酸三カルシウム、またはリン酸八カルシウムなどを挙げることができるが、これに限定されない。生成直後は非晶質リン酸カルシウムであって、その後の洗浄・乾燥・保管中あるいは分散液中で自発的に結晶化するもの、あるいはエージング処理、水熱処理などを追加することによって人為的に結晶化させたものであっても良い。リン酸カルシウムは結晶構造や結晶性によって溶解度を変化させることから、用途によって結晶構造・結晶性をコントロールすることにより、溶解度を調整することができる。また、上記のリン酸カルシウム化合物の構成イオン(リン酸、カルシウム、または水酸化物イオンなど)の一部または全部が他のイオン(炭酸イオン、フッ化物イオン、亜鉛イオン、ナトリウムイオン、マグネシウムイオン、またはカリウムイオンなど)で置換されたものであっても良い。特に好ましいリン酸カルシウム化合物の例としては、生体内分解性に優れ、簡便・迅速に液相合成することのできる、非晶質リン酸カルシウム、リン酸八カルシウム、低結晶性の水酸アパタイトを挙げることができる。
金属ナノ粒子含有リン酸カルシウム複合粒子には、上述のリン酸カルシウムと金属ナノ粒子のほかに担持物として、例えば、診断や治療に役立つ物質が含まれていても良い。リン酸カルシウム化合物と強い相互作用を持つ物質であれば、リン酸カルシウムマトリックス中に共担持することができる。そのような物質としては、極性官能基を有する分子が挙げられ、例えば、核酸(DNA、RNA、miRNA、またはsiRNA)、ヌクレオチド、タンパク質、ペプチド、糖鎖、抗体、酵素、または補酵素などをそのまま用いても良いし、リン酸カルシウム化合物と強い相互作用を持つ極性官能基を複合化した物質を用いても良い。
金属ナノ粒子含有リン酸カルシウム複合粒子において、リン酸カルシウム化合物は、金属ナノ粒子をリン酸カルシウム粒子の表面、および内部に担持するマトリックスとなる。サブミクロンサイズのリン酸カルシウムマトリックス中に担持されることで、金属ナノ粒子は腎排泄されることなく、生体内の標的部位に高効率に送達される。例えば、サブミクロンサイズの粒子が持つEPR効果によって、金属ナノ粒子をがん特異的に送達し、がん組織に集積させることができる。金属ナノ粒子の送達効率をさらに高める目的で、金属ナノ粒子含有リン酸カルシウム複合粒子の表面に、標的とする細胞や器官、組織に特異的に結合する物質を付加しても良い。
生体内の酸性環境(例えば、がん組織や炎症部位)において、あるいは患部の細胞内に取り込まれた後のエンドソーム内において、リン酸カルシウム化合物は溶解して体液にもともと含まれているカルシウムイオン、およびリン酸イオンなどになる。遊離した金属ナノ粒子は高い腎排出性により、生体外へ排泄される。
[製造方法]
金属ナノ粒子含有リン酸カルシウム複合粒子は、リン酸カルシウムに対して過飽和な水溶液(以後、単に過飽和溶液と呼ぶこともある)中で合成することができる。具体的には、金属ナノ粒子、カルシウムイオンを含むカルシウム含有液、およびリン酸イオンを含むリン酸含有液を混合し、過飽和溶液を調製する。混合時に、必要に応じてpH調整剤なども加える。混合後、過飽和溶液をボルテックスや振とうなどにより撹拌して均一にすることが好ましい。この過飽和溶液を一定時間静置または攪拌することにより、目的の複合粒子を得ることができる。得られた複合粒子は生成直後にそのまま使用しても良いし、洗浄してから注射用液に再分散させて使用しても良い。
リン酸カルシウム過飽和溶液の原料として用いられる溶液は限定されない。カルシウムイオンを含むカルシウム含有液の例としては、塩化カルシウム、硝酸カルシウム、酢酸カルシウム、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、乳酸カルシウム、クエン酸カルシウムの水溶液、またはカルシウムイオンを含む輸液製剤などが挙げられる。リン酸イオンを含むリン酸含有液の例としては、リン酸水素二カリウム、リン酸水素二カルシウム、リン酸二水素カリウム、リン酸二水素カルシウム、リン酸の水溶液、リン酸緩衝生理食塩水、またはリン酸イオンを含む輸液製剤などが挙げられる。pH調整剤としては、過飽和溶液のpHを中性付近に調節できるpH緩衝剤を用いても良いし、過飽和溶液のpHを徐々に高めてpH7以上のアルカリ性にすることのできるアルカリ化剤を用いても良い。アルカリ化剤の例としては、脱炭酸によって溶液のpHを高めることのできる、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸カリウム、または炭酸水素イオンを含む輸液製剤などが挙げられる。
リン酸カルシウム過飽和溶液を静置または攪拌する際の温度は、溶液の凝固点以上、沸点以下の温度であればよい。ただし、温度が高すぎるとリン酸カルシウム過飽和溶液中でのリン酸カルシウムの析出が早くなるため、サブミクロンサイズの複合粒子が得られにくくなる。温度としては、0℃~50℃、中でも室温~40℃が適している。
リン酸カルシウム過飽和溶液を静置または攪拌する時間に限定はない。静置または攪拌する時間は0.1秒であってもよいが、長時間静置または攪拌すると、リン酸カルシウム過飽和溶液中で複合粒子が成長し続けることがある。また、生成する複合粒子の濃度が上がることで、分散性が低下することがある。そのような場合には、静置または攪拌時間を短く、例えば1分以上180分以下、さらには1分以上60分以下にすれば良い。生成後の複合粒子を直ちに使用しない場合には、複合粒子を洗浄して保存すればよい。
リン酸カルシウム過飽和溶液中のカルシウムイオンやリン酸イオン、金属ナノ粒子の好ましい濃度範囲は、それらの種類、ならびに、過飽和溶液を静置または攪拌する際の温度や時間により異なる。ただし、カルシウムイオンやリン酸イオンの濃度が低すぎると、金属ナノ粒子の担持率(リン酸カルシウム過飽和溶液中の金属ナノ粒子量に対して、生成粒子に担持された金属ナノ粒子量)が下がる。一方、これらのイオン濃度を適度に高めることで、金属ナノ粒子の担持率を上げることができる。
(実施例1)
リン酸カルシウムとグルタチオンを表面修飾した金ナノ粒子を用いて金ナノ粒子含有リン酸カルシウム複合粒子を作製した。
「試料の作製」
(グルタチオン修飾金ナノ粒子の作製)
金ナノ粒子の合成試薬として、塩化金酸四水和物(富士フイルム和光純薬株式会社)、テトラキス(ヒドロキシメチル)ホスホニウムクロリド溶液(Sigma Aldrich)、水酸化ナトリウム水溶液(富士フイルム和光純薬株式会社)、還元型グルタチオン(富士フイルム和光純薬株式会社)を用いた。洗浄操作に用いる透析膜として、ヴィスキングチューブ(アズワン)を用いた。塩化金酸水溶液(0.001M、235mL)にテトラキス(ヒドロキシメチル)ホスホニウムクロリド溶液(0.07M、7.5mL)および水酸化ナトリウム水溶液(1M、7.5mL)を順に加えた。その後、還元型グルタチオン溶液(0.25M、2mL)を添加し、室温条件下で6時間撹拌することにより、グルタチオン修飾金ナノ粒子を作製した。透析膜を用いて、得られたグルタチオン修飾金ナノ粒子を洗浄した後、溶媒を除去することによりグルタチオン修飾金ナノ粒子濃縮分散液(Au:0.2M)を調製した。なお、この金濃度は還元反応や濃縮操作による損失がないと仮定して算出した値である。以下、ここで得られたグルタチオン修飾金ナノ粒子をAuNCと記す。
(AuNC含有リン酸カルシウム複合粒子の作製)
はじめに、リン酸カルシウム過飽和溶液の3種の原料液(カルシウム含有液、リン酸含有液、pH調整剤)を調製した。カルシウム含有液は、リンゲル液「オーツカ」(大塚製薬株式会社)(49.553mL)と塩化Ca補正液1mEq/mL(大塚製薬株式会社)(0.447mL)を混合して調製した。リン酸含有液は、クリニザルツ(登録商標)輸液(共和クリティケア株式会社)(9.633mL)とリン酸2カリウム注20mEqキット「テルモ」(テルモ株式会社)(0.367mL)を混合して調製した。pH調整剤はメイロン(登録商標)静注7%(大塚製薬株式会社)(5mL)と注射用水(扶桑薬品工業株式会社)の混合液)(20mL)を混合して調製した。
AuNC濃縮分散液(0.1mL)、注射用水(0.4mL)、カルシウム含有液(7.674mL)、リン酸含有液(0.917mL)、pH調整剤(0.909mL)を混合し、反応液(10mL)を調製した(反応液中の濃度 Ca:5.1mM、P:2.6mM、Au:2mM)。反応液は、37℃のインキュベーターで60分静置した。60分後、遠心操作(15,000rpm、15分)と再分散の繰り返しにより析出物を洗浄・回収し、注射用水(10mL)に再分散させて試料分散液を得た。以下、ここで得られた試料をAuNC/CaPと記す。
「試料の構造・物性評価」
得られたAuNC/CaPについて、その形態および組成を、透過型電子顕微鏡(TEM)観察、高周波誘導結合プラズマ発光分光法(ICP)により調べた。TEM観察においては、グリット上で乾燥させたAuNC/CaPの形態を観察した。ICPにおいては、AuNC/CaP分散液を凍結乾燥させて得られた粉体を王水に溶解させた後、超純水で50倍に希釈した溶液を測定に用い、試料中の金ならびにカルシウムの含有量を算出した。また、作製後30分以上経過したAuNC/CaP分散液を超音波処理した後に、動的光散乱法(DLS)による粒子径分布測定、電気泳動光散乱法(ELS)によるゼータ電位測定、ならびに、分光蛍光光度計による蛍光スペクトル測定(励起波長:460nm)を行った。図1に、実施例1で作製されたAuNC/CaPの(a)分散液の写真、(b)透過型電子顕微鏡画像(広域)、(c)透過型電子顕微鏡画像(拡大)、(d)粒子径分布を示す。図2および図3に、実施例1で作製されたAuNC/CaPの蛍光スペクトルと金元素1モルあたりの蛍光強度を示す。
「結果」
(溶液写真、TEM観察)
AuNC/CaP分散液は黄白色を呈していた(図1(a))。これは、白色を呈するリン酸カルシウムに、黄色を呈するAuNCが含まれていることを示唆している。TEM観察の結果(図1(b)、(c))、AuNC/CaPは球形に近い形状の粒子であり、粒子径65.2nm±1.6nm(平均±標準誤差)のサブミクロンサイズであることが分かった。拡大像(図1(c))より、多数のAuNC(黒点)(粒子径:2.2±0.7nm(平均粒径±標準誤差))が粒子形状を維持したまま、リン酸カルシウムマトリックスの内部および表面に離散的に存在している様子が観察された。
(ICP測定)
また、AuNC/CaPのカルシウムに対する金元素のモル比(Au/Caモル比)を算出したところ、0.7となりAuNCを高充填した複合粒子の作製に成功した。高い過飽和度を有する反応液中においてリン酸カルシウムが均一核形成し、分散性のAuNCを吸着するなどして取り込みながらマトリックスとして成長していくことで、AuNCが離散的かつ高充填したAuNC含有リン酸カルシウム複合粒子を形成したと考えられる。
(DLS・ELS測定)
DLS測定で得られた粒子径分布において、AuNC/CaP分散液は単一のピークを示し、その流体力学的径の平均値(個数平均径)は126nmであった(図1(d))。すなわち、AuNC/CaPは、サブミクロンサイズの単分散粒子であった。また、ELS測定の結果、AuNC/CaPのゼータ電位は、-14.5mVであった。AuNCは、カルボキシル基を含むグルタチオンで表面修飾されていることから、負の表面電荷を有する。このAuNCが表面に存在することで、AuNC/CaPが比較的大きな負のゼータ電位を示したと考えられる。一般に、ゼータ電位の絶対値の小さい粒子は凝集しやすく、ゼータ電位の絶対値の大きい粒子ほど、粒子間の反発により高い分散性を示す。分散性粒子となるゼータ電位の閾値は5~10mV(絶対値)とされているところ、AuNC/CaPはこれを上回るゼータ電位(絶対値)を有することから、単分散性を示したと考えられる。
(蛍光スペクトル測定およびICP測定)
蛍光スペクトル測定の結果(図2)、AuNCおよびAuNC/CaPともに最大蛍光波長は570nm付近であった。ICPにより算出した金元素量から、AuNCおよびAuNC/CaPの金元素1モルあたりの蛍光強度(570nm)を算出したところ、それぞれ1.3×10、4.0×10であった(図3)。両者を比較すると、AuNC/CaPの蛍光強度はAuNCの31倍であることがわかった。以上より、リン酸カルシウムとの複合化によってAuNCの蛍光強度が増強されることを見出した。これは、AuNCがマトリックス(リン酸カルシウム)中に担持・固定化されたことによりそのブラウン運動が制限され、動的消光確率が低下したためと考えられる。
(実施例2:AuNC濃度の変化)
本実施例では、AuNC濃度を変化させて作製した試料の評価を行った。
「試料の作製」
AuNC濃縮分散液と注射用水の使用量を変化させて、反応液中の金濃度を0、0.6、1、2、4、10mMとした以外は、実施例1と同様にして試料を作製した(反応液中の濃度 Ca:5.1mM、P:2.6mM、Au:0~10mM)。金濃度0、0.6、1、2、4、10mMの反応液から得られた試料をそれぞれ1、2、3、4、5、6とする。なお、4は実施例1で作製した試料と同じである。
「試料の構造・物性評価」
実施例1と同様の方法で、得られた試料(1~6)のTEM観察、DLS・ELS測定、ICP測定、蛍光スペクトル測定を行った。図4に、実施例2で作製されたAuNC/CaPの分散液の写真を示す。図5に、実施例2で作製されたAuNC/CaPの透過型電子顕微鏡画像(上段広域、下段拡大)を示す。図6に、実施例2で作製されたAuNC/CaPのゼータ電位を示す。図7に、実施例2で作製されたAuNC/CaPの蛍光スペクトルを示す。図8に、実施例2で作製されたAuNC/CaPの金元素1モルあたりの蛍光強度を示す。図9に、実施例2で作製されたAuNC/CaPのカルシウムに対する金元素のモル比を示す。
「結果」
(溶液写真、TEM観察)
1のCaP分散液は白色を、2~6のAuNC/CaP分散液は黄白色を呈した(図4)。TEM観察の結果、1のCaPは、様々な形状・サイズの粒子が混在していた(図5)。一方、2~6のAuNC/CaPはいずれも、比較的サイズの揃った球形に近い形状のサブミクロンサイズの粒子が観察された(図5)。2~6のAuNC/CaPの粒子径はそれぞれ91.0±1.9nm、90.8±1.6nm、65.2±1.6nm、51.7±1.3nm、34.8±0.7nm(平均±標準誤差)であり、反応液中の金濃度の増加にともない、生成粒子のサイズは小さくなった。金濃度の高い反応液中では、AuNCが、成長するリン酸カルシウムマトリックスの表面をより速く、より広範に覆うことで、複合粒子の成長を抑制したものと考えられる。
(DLS・ELS測定)
DLS測定において、1のCaPは、多分散となり、信頼できる結果を得ることができなかった。TEM観察で示されたように、様々な形状・サイズの粒子が生成したことに起因していると考えられる。一方、2~6のAuNC/CaPは、DLS測定で得られた粒子径分布において単一のピークを示し、流体力学的径の平均値(個数平均径)は、それぞれ251、205、126、83、および62nmであったことから、いずれもサブミクロンサイズの単分散粒子であることが確認できた。
ELS測定の結果、1~6のCaPまたはAuNC/CaPのゼータ電位は、それぞれ-0.5、-15.7、-15.9、-14.5、-15.5、-16.4mVであった(図6)。1のCaPでは、AuNC無添加の反応液で生成したリン酸カルシウム粒子間の反発力が十分ではなかったために(ゼータ電位の絶対値が1未満)、粒子の結合や凝集などにより、様々な形状・サイズの粒子となったと考えられる。一方、AuNCを添加した反応液から作製された2~6のAuNC/CaPのゼータ電位の絶対値はいずれも15mV程度であり、粒子間の反発力が十分に大きかったことから、各粒子が単分散状態を維持したまま均等に成長した結果、比較的狭い粒子径分布を示す単分散性の複合粒子となったと考えられる。
(蛍光スペクトル測定およびICP測定)
1のCaPの蛍光スペクトルでは、ピークが全く確認されなかった。一方、2~6のAuNC/CaPの最大蛍光波長は570nm付近であった。(図7)。2~6のAuNC/CaPの金元素1モルあたりの蛍光強度(570nm)は、それぞれ5.8×10、4.8×10、4.0×10、3.1×10、および1.9×10であった。反応液中の金濃度が増加するにつれて、金元素1モルあたりの蛍光強度(570nm)は減少した(図8)。
また、1~6のCaPまたはAuNC/CaPのカルシウムに対する金元素のモル比(Au/Caモル比)を算出したところ、それぞれ0.0、0.4、0.6、0.7、0.8、および0.9となった(図9)。反応液中の金濃度が増加するにつれて、Au/Caモル比が増加することがわかった。この結果は、反応液中の金濃度が増加するにつれて、複合粒子中のAuNCの充填度が増加したことを示している。
以上より、反応液中の金濃度を調整することにより、複合粒子の粒子径、金属ナノ粒子の充填度、および金元素1モルあたりの蛍光強度を調整することが可能である。
(実施例3)
本実施例では、カルシウム含有液中のカルシウムイオンの濃度、およびリン酸含有液中のリン酸イオンの濃度を変化させて作製した試料の評価を行った。
「試料の作製」
カルシウム含有液中のカルシウムイオンの濃度、およびリン酸含有液中のリン酸イオンの濃度を変化させた以外は、実施例2の6と同様にして試料を作製した。反応液中のカルシウムイオンとリン酸イオンの濃度を実施例2の6の条件から高め、Ca:7.7mM、P:3.9mMの条件で作製した試料を7、Ca:10.3mM、P:5.1mMの条件で作製した試料を8とする(6~8の反応液中の金濃度:10mM)。
「試料の構造・物性評価」
実施例1と同様の方法で、得られた試料(6~8)のICP測定、DLS測定、および蛍光スペクトル測定を行った。図10に、実施例3で作製されたAuNC/CaPの分散液の写真を示す。図11に、実施例3で作製されたAuNC/CaPの粒子径分布を示す。図12に、実施例3で作製されたAuNC/CaPの金濃度を示す。図13に実施例3で作製されたAuNC/CaPのカルシウムに対する金元素のモル比を示す。図14に、実施例3で作製された金ナノ粒子含有リン酸カルシウム複合粒子の蛍光スペクトルを示す。図15に、実施例3で作製された金元素1モルあたりの蛍光強度を示す。
「結果」
(溶液写真)
6~8のAuNC/CaP分散液はいずれも黄白色を呈した(図10)。肉眼所見では、凝集体形成は確認されず、良好な分散性が示唆された。また、反応液中のカルシウムイオン、リン酸イオン濃度の増加に伴い、溶液色が濃くなった。
(DLS測定)
DLS測定による粒子径分布(図11)において、6~8のAuNC/CaPは単一のピークを示し、流体力学的径の平均値(個数平均径)は、それぞれ62、70、および119nmであったことから、生成粒子はいずれも、サブミクロンサイズの単分散粒子であることが確認できた。
(ICP測定)
6~8のAuNC/CaPの分散液中の金濃度は、順に1.3、2.9、および4.8mMであった(図12)。反応液中のカルシウムイオン、リン酸イオンの濃度増加に伴い、より多くのAuNCが生成粒子中に担持されたことが分かった。すなわち、反応液中のカルシウムイオン、リン酸イオンの濃度増加によって、AuNCの担持率を高めることができた。また、6~8のAuNC/CaPのカルシウムに対する金元素のモル比(Au/Caモル比)を算出したところ、それぞれ0.9、0.6、0.6となった(図13)。カルシウムイオン、リン酸イオンの濃度増加が反応液の過飽和度をさらに高め、リン酸カルシウムの核生成頻度と成長速度を増大させた結果、AuNCを保持するリン酸カルシウムマトリックスの量が増大したとことが要因と考えられる。
(蛍光スペクトル測定)
6~8のAuNC/CaPの最大蛍光波長は570nm付近であり、最大蛍光強度は、反応液中のカルシウムイオン、リン酸イオンの濃度増加に伴って増大した(図14)。一方、AuNCおよび6~8のAuNC/CaPの金元素1モルあたりの蛍光強度(570nm)を算出したところ、それぞれ1.1×10、1.9×10、1.7×10、1.6×10であった。6~8のAuNC/CaPの値は、AuNCと比較して、それぞれ17、15、および15倍であったが、比較群間(6~8)で大きな差は認められなかった(図15)。以上より、反応液中のカルシウムイオン、リン酸イオンの濃度を増加させることにより、リン酸カルシウムマトリックスによるAuNCの蛍光強度の増強効果を維持しつつ、同一反応スケールにおいて、より多くのAuNCを複合粒子として回収し、その担持率を向上することに成功した。
(実施例4)
本実施例では、2-メルカプトプロピオン酸で表面修飾した金ナノ粒子を用いて金ナノ粒子含有リン酸カルシウム複合粒子の作製を行った。
「試料の作製」
(2-メルカプトプロピオン酸修飾金ナノ粒子の作製)
金ナノ粒子の合成試薬として、塩化金酸四水和物、還元型グルタチオン、2-メルカプトプロピオン酸(富士フイルム和光純薬株式会社)を用いた。80℃の超純水(177.5mL)に、塩化金酸水溶液(0.1M、8mL)、および還元型グルタチオン溶液(0.25M、4.8mL)を添加し、3時間攪拌した後、氷水(4℃)で10分間冷却した。その後、水酸化ナトリウム水溶液(1M、5.5mL)、2-メルカプトプロピオン酸(0.25M、4.8mL)を順に加え、室温環境下で3時間攪拌することにより、2-メルカプトプロピオン酸修飾金ナノ粒子を作製した。透析膜を用いて、2-メルカプトプロピオン酸修飾金ナノ粒子分散液を洗浄した後、溶媒を除去することにより2-メルカプトプロピオン酸修飾金ナノ粒子濃縮分散液(Au:0.2M)を調製した。なお、この金濃度は還元反応や濃縮操作による損失がないと仮定して算出した値である。以下、ここで得られた2-メルカプトプロピオン酸修飾金ナノ粒子をAuNC-Mと記す。
(AuNC-M含有リン酸カルシウム複合粒子の作製)
AuNC濃縮分散液の代わりにAuNC-M濃縮分散液を用いたこと以外は、実施例3の8と同様にして試料を作製した(反応液中の濃度 Ca:10.3mM、P:5.1mM、Au:10mM)。得られた試料をAuNC-M/CaPと記す。
「試料の構造・物性評価」
実施例1と同様の方法で、AuNC-M/CaPのDLS測定、および蛍光スペクトル測定を行った。なお、蛍光スペクトル測定を行ったAuNC-M分散液の金濃度は、AuNC-M/CaP作製時の反応液と同濃度(Au:10mM)とした。図16に、実施例4で作製されたAuNC-M/CaPの(a)溶液写真、(b)透過型電子顕微鏡画像、(c)粒子径分布を示す。図17に、実施例4で作製されたAuNC-M/CaPの蛍光スペクトルを示す。
「結果」
(溶液写真、TEM観察、ICP測定、DLS測定)
AuNC-M/CaP分散液は黄白色を呈していた(図16(a))。これは、白色を呈するリン酸カルシウムに、黄色を呈するAuNC-Mが含まれていることを示唆している。TEM観察の結果、AuNC-M/CaPは、球形に近い形状の粒子であり、粒子径74.5nm±3.9nm(平均±標準誤差)であることが分かった(図16(b))。多数のAuNC(黒点)が粒子形状を維持したまま、リン酸カルシウムマトリックスの内部および表面に離散的に存在している様子が観察された。ICP測定により、AuNC-M/CaPのカルシウムに対する金元素のモル比(Au/Caモル比)を算出したところ、2.4となりAuNCを高充填した複合粒子の作製に成功した。DLS測定による粒子径分布において、AuNC-M/CaPは単一のピークを示し、その流体力学的径の平均値(個数平均径)は、192nmであったことから、サブミクロンサイズの単分散粒子であることが確認できた(図16(c))。
以上より、2-メルカプトプロピオン酸で表面修飾した金ナノ粒子を用いても、離散的かつ高充填した金属ナノ粒子含有リン酸カルシウム複合粒子を作製できることが明らかになった。
(蛍光スペクトル)
AuNC-MおよびAuNC-M/CaPの分散液の蛍光スペクトルにおいて、最大蛍光波長はいずれも570nm付近でほぼ同等あること、リン酸カルシウムとの複合化によってAuNC-Mの蛍光強度が増強されることを確認した(図17)。ICPにより算出した金元素量から、AuNC-MおよびAuNC-M/CaPの金元素1モルあたりの蛍光強度(570nm)を算出したところ、それぞれ4.5×10、1.1×10であった。両者を比較すると、AuNC-M/CaPの蛍光強度はAuNC-Mの242倍であることが分かった。
以上より、2-メルカプトプロピオン酸で表面修飾した金ナノ粒子を用いても、蛍光強度の増強された金ナノ粒子含有リン酸カルシウム複合粒子を作製できることが明らかになった。

Claims (11)

  1. リン酸カルシウムマトリックス中の全体にわたって、極性官能基を表面に有する金属ナノ粒子が高充填度かつ離散的に担持され、カルシウム対する金属元素のモル比が0.4以上である、分散性の金属ナノ粒子含有リン酸カルシウム複合粒子。
  2. 前記金属ナノ粒子は金ナノ粒子である、請求項1に記載の金属ナノ粒子含有リン酸カルシウム複合粒子。
  3. 前記極性官能基は低分子由来である、請求項1に記載の金属ナノ粒子含有リン酸カルシウム複合粒子。
  4. 前記極性官能基はグルタチオンまたは2-メルカプトプロピオン酸由来である、請求項1に記載の金属ナノ粒子含有リン酸カルシウム複合粒子。
  5. 前記金属ナノ粒子の粒子径が6nm以下である、請求項1に記載の金属ナノ粒子含有リン酸カルシウム複合粒子。
  6. 金属ナノ粒子含有リン酸カルシウム複合粒子の直径または長径が10nm以上200nm以下である、請求項1に記載の金属ナノ粒子含有リン酸カルシウム複合粒子。
  7. 前記リン酸カルシウムが非晶質リン酸カルシウムである、請求項1に記載の金属ナノ粒子含有リン酸カルシウム複合粒子。
  8. 前記金属ナノ粒子含有リン酸カルシウム複合粒子の蛍光強度またはX線吸収量は、前記金属ナノ粒子単体の蛍光強度またはX線吸収量より高い、請求項1に記載の金属ナノ粒子含有リン酸カルシウム複合粒子。
  9. 前記金属ナノ粒子含有リン酸カルシウム複合粒子の蛍光強度は、前記金属ナノ粒子単体の蛍光強度より2倍以上高い、請求項1に記載の金属ナノ粒子含有リン酸カルシウム複合粒子。
  10. 前記金属ナノ粒子含有リン酸カルシウム複合粒子のゼータ電位の絶対値が5mV以上である、請求項1に記載の金属ナノ粒子含有リン酸カルシウム複合粒子。
  11. 金属ナノ粒子とカルシウム含有液とリン酸含有液とを混合、撹拌して過飽和溶液を調製し、一定期間静置または攪拌する工程を含み、
    前記金属ナノ粒子がその表面に低分子由来の極性官能基を有する、
    金属ナノ粒子含有リン酸カルシウム複合粒子の製造方法。


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