JP2024007091A - 発電プラント機器の保守管理システム及び発電プラント機器の保守管理方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】発電プラントの発電損失発生頻度の実績値と、発電プラントの発電損失発生頻度の評価値とを定量的に評価できるようにする。【解決手段】本発明の一態様の発電プラント機器保守管理システムは、発電プラントを構成する各機器の故障率、機器の点検周期、機器に起因して発生した発電損失の発生頻度の実績値の情報を少なくとも含む不具合データベース1と、不具合データベース1から取得した機器の故障率、機器の点検周期の情報を入力として、発電プラントの発電損失発生頻度の期待値を評価する発電リスク評価部2と、発電損失発生頻度の評価結果と、機器に起因して発生した発電損失の発生頻度の実績値との間における相違の有無を判定する相違判定部3と、を備える。【選択図】図1
Description
本発明は、発電プラント機器の保守管理システム及び発電プラント機器の保守管理方法に関する。
発電プラントにおいては、計画外停止等によって発電が停止(発電損失)するリスク(発電リスク)を低減するために、発電プラントにおいて使用されている機器の保守員による保守・点検(保全)が定期的に実施されている。従来、発電プラントの機器の保守頻度には、機器メーカによって推奨された頻度が設定されることが多かったが、この場合、健全な状態の機器に対して過度な保守が行われてしまう可能性があった。メーカによる推奨頻度においては、保守周期が短めに設定されている傾向にあるためである。したがって、このような過度の保守の実行を防ぐために、発電プラント機器の劣化率や故障率に係る実績データ等に基づいて、発電プラント機器の保守頻度を評価する方法も考案されている。
特許文献1には、特定の修繕項目に該当する故障モード進展レベルとして特定された故障モード進展レベルの、次の故障モード進展レベルにおける故障頻度についてのデータを特定し、特定した次の故障モード進展レベルに対応付けられた故障の影響度を取得し、取得した故障頻度についてのデータ及び故障の影響度に基づいて、各修繕項目に対応する各リスク値を算出する修繕計画立案支援装置が開示されている。
ところで、発電プラントの機器の保守・点検の現場においては、保守・点検の内容が不適切であったことに起因して機器が故障する、いわゆる「いじり壊し」が発生する場合がある。そして、いじり壊しが行われた期間を含む所定の期間における発電プラントの発電損失発生頻度は、いじり壊しが行われずに、機器のランダム故障のみに起因して発生した期間における発電プラントの発電損失発生頻度よりも、高くなることが想定される。
したがって、いじり壊しが行われた可能性を含む過去の発電プラントの発電損失発生頻度の実績値と、ランダム故障に起因して発生する発電プラントの発電損失発生頻度の期待値との間の相違を評価することにより、過去におけるいじり壊しの発生の可能性を探ることができる。
また、発電プラントの発電損失発生頻度の評価値と実績値との間の相違の情報が得られれば、該情報に基づいて、保守・点検の内容や頻度を見直すべき機器を同定し、該機器への保守内容を最適化する等の手段をとることも可能となる。
しかしながら、特許文献1には、発電プラントの発電損失発生頻度の実績値と、発電プラントの発電損失発生頻度の評価値とを定量的に評価する手法については、記載されていない。
本発明は、上記の状況を考慮してなされたものであり、本発明の目的は、発電プラントの発電損失発生頻度の実績値と、発電プラントの発電損失発生頻度の評価値とを定量的に評価できるようにすることにある。
本発明の一態様に係る発電プラント機器保守管理システムは、発電プラントを構成する各機器の故障率、機器の点検周期、機器に起因して発生した発電損失の発生頻度の実績値の情報を少なくとも含むデータベースと、データベースから取得した機器の故障率、機器の点検周期の情報を入力として、発電プラントの発電損失発生頻度の期待値を評価する発電リスク評価部と、発電リスク評価部による発電損失発生頻度の評価結果と、データベースから取得した機器に起因して発生した発電損失の発生頻度の実績値との間における相違の有無を判定する相違判定部と、を備える。
本発明の少なくとも一態様によれば、発電プラントの発電損失発生頻度の実績値と、発電プラントの発電損失発生頻度の評価値とを定量的に評価できるようになる。
上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
以下、本発明に係る発電プラント機器保守管理システムの実施形態について図面を参照して説明する。各実施形態において、同一の構成要素又は実質的に同一の機能を有する構成要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。なお、各図は本発明を十分に理解できる程度に概略的に示してあるに過ぎず、以下の内容及び図示の内容に何ら限定されず、本発明の効果を著しく損なわない範囲で任意に変形または組み合わせて実施できる。
<第1の実施形態>
[発電プラント機器保守管理システムの概略構成]
まず、図1を参照して、本発明の第1の実施形態に係る発電プラント機器保守管理システム100の構成について説明する。図1は、発電プラント機器保守管理システム100の制御系の構成例を示すブロック図である。
[発電プラント機器保守管理システムの概略構成]
まず、図1を参照して、本発明の第1の実施形態に係る発電プラント機器保守管理システム100の構成について説明する。図1は、発電プラント機器保守管理システム100の制御系の構成例を示すブロック図である。
図1に示すように、発電プラント機器保守管理システム100は、不具合データベース1と、発電リスク評価部2と、相違判定部3と、機器抽出部4と、を含む。
不具合データベース1(データベースの一例)は、機器データベース11とプラントデータベース12とを含む(図においては、「データベース」を「DB」と表記)。機器データベース11は、発電プラントの保全上重要であると考えられる発電プラント機器(以下、単に「機器」とも称する)に係る情報が格納されたデータベースである。
機器データベース11には、機器の故障率に関する情報、点検に関する情報、及び、修理に関する情報が、複数の機器及びその故障モードと対応付けて格納される。機器データベース11の構成については、次の図2を参照して詳述する。
プラントデータベース12は、発電プラントの発電損失発生頻度の実績値や、発電プラントの平均停止時間などの情報が、発電損失に至る原因となった事象、該事象を引き起こした機器及びその故障モードと対応付けて格納されたデータベースである。プラントデータベース12の構成については、後述の図3を参照して詳述する。なお、不具合データベース1は、例えば系統データのデータベース等、機器データベース11、プラントデータベース12以外のデータベースを備えてもよい。
発電リスク評価部2は、不具合データベース1に記載の機器故障率や機器点検周期等の情報をGRA(Generation Risk Assessment:発電リスク評価)に入力することにより、発電損失発生頻度(発生確率)の期待値を算出する。GRAは、機器の機能喪失が原因となって発電プラントの出力が低下したことにより発生する発電損失の、発生頻度の期待値を評価する手法である。発電リスク評価部2が使用するGRAについては、後述の図4を参照して詳述する。
また、発電リスク評価部2は、モンテカルロ法等の統計的手法を用いることによって、発電損失発生頻度の期待値の度数分布の情報を、発電損失発生頻度の評価結果として生成する。発電リスク評価部2によって生成される度数分布の例については、後述の図5を参照して詳述する。
相違判定部3は、不具合データベース1に格納された、発電損失を引き起こす特定の頂上事象の発生頻度(発電損失発生頻度)の実績値と、発電リスク評価部2によって算出された発電損失発生頻度の評価結果とを比較し、両者における相違の有無を判定する。相違判定部3は、統計的仮説検定の手法を用いて相違の有無を判定する。統計的仮説検定は、母集団に関するある仮説が統計学的に成り立つか否かを、標本のデータを用いて判断する手法である。相違判定部3が行う統計的仮説検定については、後述の図5を参照して詳述する。
機器抽出部4は、相違判定部3によって相違があると判定された場合における、該相違の原因となる機器種別及び故障モードを不具合データベース1より抽出し、リスト化して機器故障モードリストとして出力する。機器抽出部4については、後述の図6を参照して詳述する。
[不具合データベース]
(機器データベース)
次に、図2を参照して、不具合データベース1の機器データベース11の構成について説明する。図2は、機器データベース11の構成例を示す図である。
(機器データベース)
次に、図2を参照して、不具合データベース1の機器データベース11の構成について説明する。図2は、機器データベース11の構成例を示す図である。
機器データベース11は、「機器」、「故障モード」、「故障率」、「点検」及び「修理」の各項目を有する。「機器」の項目には、「弁A」、「弁B」、「ポンプA」等の、発電プラントの保全上重要であると考えられる機器の名称が格納される。
「故障モード」の項目には、「機器」の項目に示される機器において過去に発生した故障モード、及び、該機器において今後発生する可能性がある故障モードの名称が格納される。図2には、故障モードとして、「誤開放」、「誤閉止」及び「内部リーク」の情報が格納された様子が示されている。
「故障率」の項目は、「分布型」、「平均(/h)」及び「エラーファクタ」の各項目を含む。「分布型」の項目には、「故障モード」の項目に格納された各故障モードの故障モデルが従う指数分布の型(以下、「分布型」とも称する)の情報が格納される。図2には、「故障モード」の「誤開放」、「誤閉止」及び「内部リーク」のそれぞれに対して、「ガンマ」(ガンマ分布)の分布型が対応付けられている。
「平均(/h)」の項目には、「故障モード」の項目に格納された各故障モードの故障率の1時間当たりの平均値が格納される。
「エラーファクタ」の項目には、「故障モード」の項目に格納された各故障モードの故障率のエラーファクタの値が格納される。エラーファクタは、故障率の不確実さ幅を表す指標であり、例えば、(故障率の95%上限値)/(故障率の50%中央値)によって示される。
図2に示した機器データベース11の「故障率」の項目には、複数の発電プラントの実績データを評価して得られた故障率の情報が登録されてもよく、Bayes(ベイズ)更新手法を用いて算出された発電プラント固有の故障率の情報が登録されてもよい。
「点検」の項目は、「周期」、「時間」及び「コスト」の各項目を含む。「周期」、「時間」及び「コスト」の各項目には、それぞれ、機器に対して予め定められた点検方法に基づく点検が行われた場合における、機器の点検周期、点検に要する時間、点検コストの情報が格納される。機器の点検方法には、例えば、故障モードの発生状況を確認するための点検方法等がある。
「修理」の項目は、「時間」及び「コスト」の各項目を含む。「時間」の項目には、「機器」の項目に格納された機器の修理に要する時間の情報が格納され、「コスト」の項目には、事業者等によって設定された機器の修理コストの情報が格納される。通常、機器に対する点検は、故障が発生する前に行われる。そして、点検によって劣化等の不具合が発見された場合、不具合を起こしている部品の交換等が実施されることによって、故障が発生する前の状態に復旧される。しかし、点検による不具合の発見前に機器に故障が発生した場合には、該機器を修理する必要が生ずる。したがって、本実施形態では、点検に関する項目だけでなく、修理に関する項目も機器データベース11に含めている。
[プラントデータベース]
次に、図3を参照して、不具合データベース1のプラントデータベース12の構成について説明する。図3は、プラントデータベース12の構成例を示す図である。
次に、図3を参照して、不具合データベース1のプラントデータベース12の構成について説明する。図3は、プラントデータベース12の構成例を示す図である。
プラントデータベース12は、「発電損失」、「事象」、「機器」、「故障モード」、「頻度(実績)(/年)」、「平均停止時間(h)」及び「復帰コスト」の各項目を含む。
「発電損失」の項目には、発電プラントの発電損失量(%)の情報が格納される。発電損失量は、自動スクラム等が発生して発電プラントが停止する場合は「100%」となるが、2台の給水ポンプ(50%×2系統)のうち1台が故障して50%出力運転になった場合等には「50%」となる。50%出力運転が行われている状態も、広義の発電損失(発電損失量=50%)と考えられるため、本実施形態では、50%の発電損失量を引き起こす事象に関する情報も、プラントデータベース12に登録される。
「事象」の項目には、発電損失に至る原因となった事象に関する情報が格納される。具体的には、発電損失を発生させた直接的な事象である「自動停止」、「手動停止」等の情報と、「自動停止」、「手動停止」等の直接的な事象を引き起こした「L3(水位レベル3)スクラム」、「外部リーク」等の事象の情報とが格納される。
発電プラント停止を引き起こす直接的な事象は、自動停止と手動停止の2種類に大別できる。自動停止の例としては、地震発生に伴い安全系が自動的にプラントを停止させること等がある。手動停止の例としては、原因不明の外部リークが発生し、かつ継続した場合に、運転員が念のために発電プラントを停止させること等がある。自動停止や手動停止を引き起こす事象は多数存在するが、プラントデータベース12においては、これらの全ての事象が、「自動停止」又は「手動停止」のカテゴリに分類されて登録される。
発電プラントの出力低下(発電損失が100%未満)を引き起こす直接的な事象は、「自動制御」及び「手動制御の」2種類に大別できる。自動制御の例としては、不図示の給水ポンプの1台が停止している場合に、スクラムを回避しつつ部分出力運転状態にプラントを自動制御すること等がある。手動制御の例としては、不図示の燃料集合体の破損が懸念される際に、該燃料集合体近くの制御棒を運転員が挿入することによって、炉出力を下げる制御等がある。自動制御や手動制御を引き起こす可能性のある機器及びその故障モードも複数存在するが、プラントデータベース12においては、各々の事象を引き起こす可能性のあるすべての機器及びその故障モードが、「自動制御」及び「手動制御」のいずれかに対応付けて登録される。
「機器」の項目には、「事象」の項目に格納された事象を引き起こした機器の情報が格納され、「故障モード」の項目には、機器の故障モードの情報が格納される。「頻度(実績)(/年)」の項目には、「機器」の項目に格納された機器の故障が原因となって発生した発電損失の一年あたりの発生頻度の情報が格納される。
「平均停止時間(h)」の項目には、「機器」の項目に格納された機器の故障が原因となって発生した発電損失の継続時間、すなわち、発電プラントの停止時間の平均時間の情報が格納される。「復帰コスト」の項目には、発電損失状態から通常運転状態(100%運転状態)に復帰するまでに要するコスト(復帰コスト)の実績値の情報が格納される。
[発電リスク評価部]
次に、図4を参照して、発電リスク評価部2が発電リスク(発電損失発生頻度)の評価(定量化)に用いるGRAの構成について説明する。図4は、発電リスク評価部2が発電リスク評価に用いるGRA20の構成の例を示す図である。なお、本実施形態では、発電リスク評価部2が発電リスクを評価する際にGRAを用いる例を挙げたが、本発明はこれに限定されない。例えば、FMFA(Failure Mode and Effects Analysis)等の他の手法が用いられてもよい。
次に、図4を参照して、発電リスク評価部2が発電リスク(発電損失発生頻度)の評価(定量化)に用いるGRAの構成について説明する。図4は、発電リスク評価部2が発電リスク評価に用いるGRA20の構成の例を示す図である。なお、本実施形態では、発電リスク評価部2が発電リスクを評価する際にGRAを用いる例を挙げたが、本発明はこれに限定されない。例えば、FMFA(Failure Mode and Effects Analysis)等の他の手法が用いられてもよい。
GRA20は、フォールトツリー構造で表現される発電リスクモデルを用いて、発電損失を引き起こす頂上事象が一定期間内に発生する確率(発電損失発生頻度)を算出する、確率論的な評価手法である。図4に示すGRA20では、1つの頂上事象21、頂上事象21を引き起こす可能性のある複数の機器故障22、機器故障22を引き起こす可能性のある複数の故障モード23が、論理演算ロジック10a又は10bによって接続されている。
図4には、頂上事象21が「L3スクラム」である例を挙げているが、L2スクラム等の他の事象を頂上事象21とした同様のツリーも構築されるものとする。図4には、頂上事象21のL3スクラムを発生させる機器故障22として、「給水ポンプ動作失敗」、「給水系の弁開維持失敗」、「給水流路閉塞」及び「外部リーク」が例示されている。これらの機器故障は、いずれか1つが発生することによってL3スクラムに至る可能性があることから、論理演算ロジック10aにはORロジックが用いられる。ORロジックが用いられた場合、論理演算ロジック10aによって接続された各事象の故障確率は足し合わされる。
図4には、機器故障22の「給水系の弁開維持失敗」を引き起こす可能性のある故障モード23として、「弁の誤閉止」、「閉固着」、「制御系故障」及び「空気圧損失」が例示されている。「制御系故障」は、発電プラントの制御系が故障したことに起因して不図示の弁が誤閉止する機械故障であり、「空気圧損失」は、弁を開くために必要となる動力(空気圧等)が損失したことによって弁が閉じてしまう機械故障である。
これらの故障モード23は、いずれか1つが発生することによって機器故障22である「給水系の弁開維持失敗」を引き起こす可能性があることから、論理演算ロジック10bにはORロジックが用いられる。論理演算ロジック10aと10bを総称する場合には、論理演算ロジック10と記載する。
発電リスク評価部2は、各故障モード23に対応付けられた各機器の平均故障率(図2参照)及び点検周期の情報を機器データベース11から読み出して図4のGRA20のツリーに入力する。そして、ツリーを構成する各事象の故障確率を算出し、算出された各故障確率を論理演算ロジック10に基づいて足し合わせたりかけ合わせたりすることによって、頂上事象の発生確率(発電損失発生頻度)を算出する。ツリーを構成する各事象の故障確率は、下記の式(1)に基づいて算出される。
機器の故障確率(-)=機器の故障率(定数)(1/s)×経過時間(s)…式(1)
上記式(1)における「経過時間」は、例えば「点検周期(s)/2」(点検周期の平均値)によって示される時間である。
本実施形態では、不具合データベース1に、各故障モードにおける故障率の分布型の情報、及び、エラーファクタの情報、すなわち、故障率の不確かさを示す情報も格納されている。したがって、発電リスク評価部2は、例えば、モンテカルロ法等の統計的手法を用いることによって、各故障モードにツリーで接続された頂上事象21の発生確率(発電損失発生頻度)の度数分布の情報も得ることが可能となる。
機器の故障率は「ガンマ分布」等の分布型を持つものであり、不確かさの幅を有するものであるため、故障率は一定ではなく、大きくなる場合や小さくなる場合などが起こり得る。この場合の、大きな故障率となる確率又は小さな故障率となる確率は、分布の度数に比例する。したがって、複数の機器の故障率の情報を用いて算出される頂上事象21の発生確率も、分布(不確かさ)を持つものとなる。
そして、機器の故障率は不確かさを持つものであるため、機器の故障率の値は、確率によって定まる。故障率の値は、例えば、予めモンテカルロ法による疑似乱数の発生領域と、分布の度数の大きさ(「5%下限値」、「50%中央値」、「95%上限値」等)とを対応付けておくこと等によって、分布の度数の大きさに応じて故障率の値の出易さを調整することにより、得ることができる。
発電リスク評価部2は、疑似乱数を機器の数だけ発生させ、得られた機器毎の故障率をGRA20に入力することにより、頂上事象21の発生確率(の近似解)を求めることができる。そして、発電リスク評価部2は、このような作業を繰り返し行い、様々な値の頂上事象21の発生確率を得ることによって、頂上事象の発生確率の度数分布の情報を得ることができる。
したがって、本実施形態によれば、発電リスク評価部2は、発電損失発生頻度によって示される発電リスクの期待値のみならず、頂上事象の発生確率の度数分布に示される、発電リスクの不確かさの評価(定量化)も行うことが可能となる。
[相違判定部]
次に、図5を参照して、相違判定部3による相違判定処理について説明する。図5は、相違判定部3が相違判定処理を行う際に用いる、特定の頂上事象21の発電損失発生確率の度数分布を示すグラフである。
次に、図5を参照して、相違判定部3による相違判定処理について説明する。図5は、相違判定部3が相違判定処理を行う際に用いる、特定の頂上事象21の発電損失発生確率の度数分布を示すグラフである。
相違判定部3は、例えば、L3スクラム等の特定の頂上事象21の発電損失発生確率の度数分布(分布型)の情報と、不具合データベース1のプラントデータベース12(図3参照)から抽出した特定の頂上事象21の発生頻度の実績値の情報とを用いて、評価結果と実績値との相違の有無を判定する。評価結果は、特定の頂上事象21の発電損失発生確率の度数分布(分布型)によって示される情報であり、実績値は、特定の頂上事象21の発生頻度の実績値である。
相違の有無の判定には、例えば、統計的仮説検定の手法を用いることができる。相違判定部3は、特定の頂上事象21の発電損失発生確率の度数分布の分布領域に対して、帰無仮説及び棄却域を設定し、特定の頂上事象21の発生頻度の実績値がプロットされる領域が棄却域に含まれる場合には、評価結果と実績値との間に相違があると判定する。なお、相違判定部3は、評価結果と実績値との間の相違の有無を定量的に判定可能な手法であれば、統計的仮説検定以外の手法を用いてもよい。
図5のグラフの横軸は、発電リスク評価部2が算出した発電損失発生頻度(特定の頂上事象21の発電損失発生確率)を示し、縦軸は発電損失発生頻度の分布の度数を示す。グラフに示された実線の曲線は、特定の頂上事象21の発電損失発生頻度の度数分布を表す分布型Dを示す。図5に示す例では、発電損失発生頻度の95%ラインLを超える領域が、棄却域に設定されている。
例えば、発電損失発生頻度の実績値が、グラフの横軸における領域A1にプロットされた場合、領域A1は帰無仮説に属する領域であるため、相違判定部3は、評価結果と実績値とには相違がないと判定する。一方、発電損失発生頻度の実績値が、グラフの横軸における領域A2にプロットされた場合、領域A2は棄却域に属する領域であるため、相違判定部3は、評価結果と実績値との間には相違があると判定する。
評価結果としての発電損失発生頻度は、機器の故障率及び点検周期を入力として発電リスク評価部2によってGRA20(図4参照)を用いて算出された期待値である。したがって、算出される発電損失発生頻度は、保守員によるいじり壊しや、災害などの外的要因を含まない、機器のランダム故障に起因して発生する発電損失の発生頻度を定量化したものであるといえる。
一方、グラフの横軸にプロットされる発電損失発生頻度の実績値は、ランダム故障に起因する発電損失だけでなく、いじり壊しや、災害などの外的要因等に起因して起こった発電損失も含む実績に基づいて算出された値である。
したがって、相違判定部3によって評価結果と実績値との間に相違がないと判定された場合、評価値の算出に使用された過去データには、いじり壊しや外的要因等に起因して起こった発電損失の情報が含まれていなかったと想定される。一方、相違があると判定された場合には、評価値の算出に使用された過去データには、いじり壊しや外的要因等に起因して起こった発電損失の情報が含まれていたと想定される。したがって、相違がある場合には、現行の発電プラントの保守・点検方法には見直しの余地があると言える。本実施形態では、相違判定部3が、このような定量的な判定方法を用いることにより、評価者の主観に依存しない、客観的な評価結果及び実績値の相違評価が可能となる。
[機器抽出部]
次に、図6を参照して、機器抽出部4による機器抽出理処理について説明する。図6は、機器抽出部4による機器抽出理処理の概要を示す説明図である。発電損失発生頻度の評価結果と実績値との間に相違がある場合、発電プラントを構成するいずれかの機器の故障モードの故障率に齟齬(異常)があることが想定される。したがって、本実施形態では、機器抽出部4は、故障率に齟齬のある機器及びその故障モードを抽出する。
次に、図6を参照して、機器抽出部4による機器抽出理処理について説明する。図6は、機器抽出部4による機器抽出理処理の概要を示す説明図である。発電損失発生頻度の評価結果と実績値との間に相違がある場合、発電プラントを構成するいずれかの機器の故障モードの故障率に齟齬(異常)があることが想定される。したがって、本実施形態では、機器抽出部4は、故障率に齟齬のある機器及びその故障モードを抽出する。
機器抽出部4は、プラントデータベース12から、「L3スクラム」等の頂上事象を引き起こした機器及び故障モード毎の発電損失発生頻度の情報を取得し、相違判定部3からは、評価結果と実績値との間に相違があると判定された機器及び故障モード毎の発電損失発生頻度の情報を取得する。そして、機器抽出部4は、各機器において、発電損失発生頻度の実績値を発電損失発生頻度の評価値(GRA20による算出値)で除した値を、機器比較値として算出する(ステップS1)。
各機器に対応する発電損失発生頻度の実績値は、GRA20に算出された頂上事象の発生確率(各故障率の積算値)を、発電損失への寄与の度合いの大きさに応じて機器毎に分離することにより、得ることができる。
次いで、機器抽出部4は、機器比較値が大きなものから順番に機器及び故障モードを並べたリストである機器故障モードリストを生成し、生成した機器故障モードリストを出力する(ステップS2)。
事業者等は、機器比較値の大きさに基づいて整列された機器故障モードリストを参考にして、機器比較値の大きいものから順番に保全方法の見直しを検討することができる。したがって、本実施形態によれば、発電損失発生頻度の低減に有効な機器の故障モードに係る保守管理方法を、優先的に最適化することができる。具体的には、機器比較値が大きい機器は、点検頻度が多いにも関わらず故障率が高い機器であることが想定されるため、点検方法の見直しを行うことによって、保守員による機器のいじり壊しの防止や、機器の故障率の低減を図ることが可能となる。
また、原子炉の規制側に対して、機器の保守点検周期の延伸理由を説明する場合にも、機器故障モードリストを提示することによって、該延伸がいじり壊し対策であることを示すことが可能となる。
<第2の実施形態>
次に、図7を参照して、本発明の第2の実施形態に係る発電プラント機器保守管理システム100Aの構成について説明する。図7は、発電プラント機器保守管理システム100Aの制御系の構成例を示すブロック図である。
次に、図7を参照して、本発明の第2の実施形態に係る発電プラント機器保守管理システム100Aの構成について説明する。図7は、発電プラント機器保守管理システム100Aの制御系の構成例を示すブロック図である。
図7に示す発電プラント機器保守管理システム100Aが、図1に示した発電プラント機器保守管理システム100と異なる点は、安全リスク評価部5を備える点である。安全リスク評価部5は、PRA(Probabilistic Risk Assessment:確率論的リスク評価)の手法を用いて、発電プラントの炉心損傷確率(CDP:Core Damage Probability)の期待値を評価する手法である。安全リスク評価部5が使用するPRAについては、次の図8を参照して詳述する。
図8は、安全リスク評価部5が安全リスク評価に用いるPRA50の構成の例を示す図である。PRA50は、図4に示したGRA20と同様の手法であるが、発電損失発生頻度ではなく、炉心損傷確率(CDP)を評価するものである。したがって、PRA50においては、頂上事象51である炉心損傷と、炉心損傷を引き起こす可能性のある機器故障52、機器故障52を引き起こす可能性のある故障モード53とが、論理演算ロジック10a又は10bによってツリー状に接続されている。このPRA50に、不具合データベース1から抽出した各故障モードの故障率及び点検周期を入力することにより、炉心損傷確率の期待値が算出される。
故障モード53が発生する確率は、故障率と保守頻度の逆数(周期)との積として計算できることから、故障モード53の発生確率は、保守頻度に依存することが分かる。そして、故障モード53が発生する確率が変化すると、頂上事象51である炉心損傷が発生する確率(CDP)も変化する。安全リスク評価部5は、保守頻度の変更前と変更と後の両方における各故障モード53の故障率をそれぞれPRA50に入力して、変更前の炉心損傷確率及び変更後の炉心損傷確率を算出することにより、保守頻度変更時における炉心損傷確率の差分(ΔCDP)を求める。
そして、ΔCDPに許容値を設けておき、ΔCDP<許容値となる範囲内で保守頻度を減少させることにより、事業者は、安全リスク評価部5から出力される炉心損失確率の情報を参照して、保守点検期間の適正化(延伸)を図ることが可能となる。なお、許容値には、事業者によって自主的に設定した値が適用されてもよく、規制側が規制要求として設定した値が用いられてもよい。
また、事業者は、機器抽出部4によって算出された機器比較値が小さい機器に対する保守頻度については、ΔCDP<許容値を満たす範囲内で減少させるとともに、機器比較値が大きな機器に対する保守頻度については、ΔCDP<許容値を満たす範囲内で増加させることもできる。このような調整が行われることにより、ΔCDP<許容値によって規定される所定の範囲内に炉心損傷確率を抑えること、すなわち、発電プラントの安全性の担保と、発電プラント全体としての平均的な保守頻度を低減可能な保守(点検)運用方針を策定することとを、両立させることが可能となる。
<第3の実施形態>
次に、図9を参照して、本発明の第3の実施形態に係る発電プラント機器保守管理システム100Bの構成について説明する。図9は、発電プラント機器保守管理システム100Bの制御系の構成例を示すブロック図である。
次に、図9を参照して、本発明の第3の実施形態に係る発電プラント機器保守管理システム100Bの構成について説明する。図9は、発電プラント機器保守管理システム100Bの制御系の構成例を示すブロック図である。
図9に示す発電プラント機器保守管理システム100Bが、図1に示した発電プラント機器保守管理システム100と異なる点は、保全コスト評価部6を備える点である。保全コスト評価部6は、機器抽出部4によって算出された機器比較値が高い機器を対象として、機器の使用を変更した場合にかかる機器仕様変更コストと、機器仕様変更に伴う発電損失コスト変化量(図では「発電損失コスト」)とを比較し、比較結果を出力する。
図10は、保全コスト評価部6の構成例を示す図である。図10に示すように、保全コスト評価部6は、仕様変更コスト計算部61と、発電損失コスト計算部62と、仕様変更判定部63と、を含む。
仕様変更コスト計算部61は、機器抽出部4で算出された機器比較値が高い機器について、新たな機器へと使用を変更した場合にかかる仕様変更コスト算出する。仕様変更コスト計算部61は、例えば、機器自身のコスト、機器の据え付けコスト、現行機器の撤去コスト等の、仕様変更に要するすべてのコストの総和を、仕様変更コストとして算出することができる。
発電損失コスト計算部62は、発電リスク評価部2から出力される発電損失発生確率(評価値)、不具合データベース1から抽出した発電損失発生頻度(実績値)、及び、発電損失時の復帰コストの3つの情報を用いて、発電損失コストを算出する。発電損失コストは、発電損失の発生から発電プラントが定格運転に復帰するまでに損失する電力量に基づく損失コストの、残運用年数における期待値である。発電損失コストは、以下の式(2)を用いて発電損失コスト計算部62が算出することができる。
上記式(2)において、「Δ発電損失発生頻度」は、発電損失発生頻度(実績値)から発電損失発生確率(評価値)を減算して得られる値である。これは、機器の仕様変更を行って機器の故障率が低下することによって、発電損失発生頻度が、発電損失発生頻度(実績値)から発電損失発生確率(評価値)まで低下するとの仮定に基づくものである。
また、上記式(2)においては、(Δ発電損失発生頻度×復帰コスト)を(1+利子率)nで除すことにより、「Δ発電損失コスト」の残運用年数経過後における将来の価値を現在価値に換算している。このような計算が行われることにより、機器変更時である現在に支払うべき仕様変更コストと、将来発生する可能性のある「Δ発電損失コスト」とのそれぞれの価値を対等に比較することが可能となる。なお、利子率は、評価時点の市中金利を用いて計算することができる。
「Δ発電損失コスト」は、発電プラントの残りの運用年数の和によって評価されるものであるため、発電プラントの残りの運用年数が短い場合は、仕様変更コストに対して「Δ発電損失コスト」が小さくなる可能性が高くなる。一方、発電プラントの残運用年数が長い場合、すなわち、若い発電プラントである場合には、仕様変更コストに対して「Δ発電損失コスト」が大きくなる可能性が高くなる。
仕様変更判定部63は、仕様変更コストと「Δ発電損失コスト」との大小を比較し、仕様変更コスト<Δ発電損失コストであった場合、機器仕様変更「可(是)」の判断結果を出力する。本実施形態によれば、事業者は、仕様変更判定部63が仕様変更コストと「Δ発電損失コスト」との比較結果に基づいて判定した内容に基づいて、機器の仕様変更を実行するか否かの意思決定を、具体的かつ定量的なエビデンスに基づいて行うことが可能となる。
また、仕様変更判定部63による判定結果に基づいて機器の仕様変更の実行の是非が決定され、保守の頻度(保守期間)が最適化されることにより、いじり壊しを発生させてしまうような周期で保守・点検が行われることを防ぐことができる。つまり、本実施形態によれば、いじり壊しが発生する可能性のある故障モードそのものを、物理的に排除することができるという効果が得られる。
<変形例>
次に、本発明の変形例について、図11を参照して説明する。図11は、変形例に係る発電プラント機器保守管理システム100Cの制御系の構成例を示すブロック図である。図11に示す発電プラント機器保守管理システム100Cは、図1に示した発電プラント機器保守管理システム100に、安全リスク評価部5と保全コスト評価部6とが加えられたものである。
次に、本発明の変形例について、図11を参照して説明する。図11は、変形例に係る発電プラント機器保守管理システム100Cの制御系の構成例を示すブロック図である。図11に示す発電プラント機器保守管理システム100Cは、図1に示した発電プラント機器保守管理システム100に、安全リスク評価部5と保全コスト評価部6とが加えられたものである。
このような構成とすることで、機器抽出部4で計算される機器比較値の大きさを参考にして、以下の(1)~(3)の対策のいずれか一つ以上を、必要に応じて選択することが可能になる。
(1)機器の点検方法の見直し
(2)機器の点検周期の見直し
(3)機器仕様の変更
したがって、本変形例によれば、自由度の高い発電プラント機器の保守管理システムを実現することができる。
(1)機器の点検方法の見直し
(2)機器の点検周期の見直し
(3)機器仕様の変更
したがって、本変形例によれば、自由度の高い発電プラント機器の保守管理システムを実現することができる。
[計算機のハードウェア構成例]
次に、図1に示した発電プラント機器保守管理システム100、図7に示した発電プラント機器保守管理システム100A、図9に示した発電プラント機器保守管理システム100B、又は、図11に示した発電プラント機器保守管理システム100Cを構成する各装置の制御系の構成(ハードウェア構成)について、図12を参照して説明する。
次に、図1に示した発電プラント機器保守管理システム100、図7に示した発電プラント機器保守管理システム100A、図9に示した発電プラント機器保守管理システム100B、又は、図11に示した発電プラント機器保守管理システム100Cを構成する各装置の制御系の構成(ハードウェア構成)について、図12を参照して説明する。
図12は、発電プラント機器保守管理システム100(100A~100C)を構成する各装置のハードウェア構成例を示すブロック図である。図12に示す計算機200は、いわゆるコンピュータとして用いられるハードウェアである。
計算機200は、バスBにそれぞれ接続されたCPU(Central Processing Unit)201、ROM(Read Only Memory)202、RAM(Random Access Memory)203、不揮発性ストレージ204及び通信I/F(Interface)205を備える。
CPU201は、本実施形態に係る各機能を実現するソフトウェアのプログラムコードをROM202から読み出してRAM203に展開して実行する。もしくは、CPU201は、プログラムコードをROM202から直接読み出してそのまま実行する場合もある。なお、計算機200は、CPU201の代わりに、MPU(Micro-Processing Unit)等の処理装置を備えてもよい。
RAM203には、CPU201による演算処理の途中に発生した変数やパラメータ等が一時的に書き込まれる。
発電リスク評価部2、相違判定部3、機器抽出部4、安全リスク評価部5及び保全コスト評価部6の各機能は、これらの各機能を実現するためのプログラムを、CPU201がROM202から読みだして実行することにより実現される。
不揮発性ストレージ204としては、例えば、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、フレキシブルディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、CD-R、不揮発性のメモリカード等を用いることができる。この不揮発性ストレージ204には、OS(Operating System)、各種のパラメータの他に、計算機200を機能させるためのプログラム等が記録される。なお、プログラムは、ROM202に格納されてもよい。
プログラムは、コンピュータが読取り可能なプログラムコードの形態で格納され、CPU201は、当該プログラムコードに従った動作を逐次実行する。つまり、ROM202又は不揮発性ストレージ204は、コンピュータによって実行されるプログラムを格納した、コンピュータ読取可能な非一過性の記録媒体の一例として用いられる。
不具合データベース1の機器データベース11、プラントデータベース12の機能は、不揮発性ストレージ204によって実現される。
通信I/F205は、他の装置との間で行われる通信の制御を行う通信デバイス等により構成される。
なお、上述した実施形態は本発明を分かりやすく説明するために装置及びシステムの構成を詳細且つ具体的に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。
また、図1、図7、図9、図11において実線の矢印で示した制御線又は情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には殆ど全ての構成が相互に接続されていると考えてもよい。
また、本明細書において、時系列的な処理を記述する処理ステップは、記載された順序に沿って時系列的に行われる処理はもちろん、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的あるいは個別に実行される処理(例えば、並列処理あるいはオブジェクトによる処理)をも含むものである。
さらに、上述した本発明の各実施形態に係る発電プラント機器保守管理システムの各構成要素は、それぞれのハードウェアがネットワークを介して互いに情報を送受信できるならば、いずれのハードウェアに実装されてもよい。また、ある処理部により実施される処理が、1つのハードウェアにより実現されてもよいし、複数のハードウェアによる分散処理により実現されてもよい。
1…不具合データベース、2…発電リスク評価部、3…相違判定部、4…機器抽出部、5…安全リスク評価部、6…保全コスト評価部、11…機器データベース、12…プラントデータベース、20…GRA、61…仕様変更コスト計算部、62…発電損失コスト計算部、63…仕様変更判定部、100、100A~100C…発電プラント機器保守管理システム
Claims (10)
- 発電プラントを構成する各機器及びその故障モードの故障率、前記機器の点検周期、前記機器に起因して発生した発電損失の発生頻度の実績値の情報を少なくとも含むデータベースと、
前記データベースから取得した前記機器の故障率、前記機器の点検周期の情報を入力として、前記発電プラントの発電損失発生頻度の期待値を評価する発電リスク評価部と、
前記発電リスク評価部による前記発電損失発生頻度の評価結果と、前記データベースから取得した前記機器に起因して発生した発電損失の発生頻度の実績値との間における相違の有無を判定する相違判定部と、を備える
発電プラント機器の保守管理システム。 - 前記相違判定部によって相違があると判定された場合に、前記相違を生む原因となる前記機器及びその故障モードを前記データベースから抽出する機器抽出部をさらに備える
請求項1に記載の発電プラント機器の保守管理システム。 - 前記発電リスク評価部は、GRAの手法を用いて、前記発電プラントの発電損失発生頻度の期待値を評価する
請求項2に記載の発電プラント機器の保守管理システム。 - 前記発電リスク評価部は、前記発電損失発生頻度の評価結果として、統計的手法を用いて算出した発電損失発生頻度の近似解の情報を用いて、前記発電損失発生頻度の度数分布の情報を取得する
請求項3に記載の発電プラント機器の保守管理システム。 - 前記相違判定部は、統計的仮説検定の手法を用いて、前記発電損失発生頻度の評価結果と前記発電損失の発生頻度の実績値との間における相違の有無を判定する
請求項4に記載の発電プラント機器の保守管理システム。 - 前記相違判定部は、前記統計的仮説検定の手法を用いて、前記発電損失発生頻度の度数分布の分布領域に対して帰無仮説及び棄却域を設定し、前記発電損失の発生頻度の実績値が前記棄却域に含まれる場合に、前記発電損失発生頻度の評価結果と前記発電損失の発生頻度の実績値との間に相違があると判定する
請求項5に記載の発電プラント機器の保守管理システム。 - 前記機器抽出部は、前記発電プラントの機器毎の前記発電プラントの発電損失発生頻度の実績値を、前記期待値で除算した値を機器比較値として算出し、前記機器比較値が大きい順に前記機器及びその故障モードを並べた機器故障モードリストを生成して出力する
請求項6に記載の発電プラント機器の保守管理システム。 - 前記データベースから取得した前記機器の故障率、前記機器の点検周期の情報を入力として、前記発電プラントの炉心損傷確率の期待値を評価する安全リスク評価部をさらに備え、
前記安全リスク評価部は、前記機器の点検周期の変更前における前記炉心損傷確率の期待値と、変更後における前記炉心損傷確率の期待値との差分を算出して出力する
請求項1~7のいずれか一項に記載の発電プラント機器の保守管理システム。 - 前記機器の仕様変更に要する仕様変更コスト、及び、前記発電損失の発生から発電プラントが定格運転に復帰するまでに損失する電力量に基づく損失コストの、残運用年数における期待値である発電損失コストを算出し、前記仕様変更コストと前記発電損失コストとの比較結果を出力する保全コスト評価部をさらに備える
請求項1~7のいずれか一項に記載の発電プラント機器の保守管理システム。 - 発電プラントを構成する各機器及びその故障モードの故障率、前記機器の点検周期、前記機器に起因して発生した発電損失の発生頻度の実績値の情報を少なくとも含むデータベースから取得した前記機器の故障率、前記機器の点検周期の情報を入力として、前記発電プラントの発電損失発生頻度の期待値を評価する手順と、
前記発電損失発生頻度の評価結果と、前記データベースから取得した前記機器に起因して発生した発電損失の発生頻度の実績値との間における相違の有無を判定する手順と、を含む
発電プラント機器の保守管理方法。
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JP2022108295A JP2024007091A (ja) | 2022-07-05 | 2022-07-05 | 発電プラント機器の保守管理システム及び発電プラント機器の保守管理方法 |
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