JP2024005029A - 内燃機関の制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】ノッキングの発生と燃焼騒音の発生とを検知する。【解決手段】主燃焼室と副燃焼室と副燃焼室の内部の混合気を点火する点火部とを有する内燃機関の制御装置100は、内燃機関の振動を検出するノックセンサ9と、ノッキング、燃焼騒音発生時の振動パターンを示す第1、第2マップを記憶する記憶部50Bと、内燃機関の燃焼サイクル毎に検出された振動データに対して短時間フーリエ変換を行い、所定クランク角毎および所定周波数帯毎の最大振幅を算出する振幅算出部54と、最大振幅に基づいて燃焼サイクル毎の振動パターンを示す実測マップを生成するマップ生成部55と、実測マップと第1、第2マップとを比較することでノッキング、燃焼騒音が発生したか否かを判定する第1、第2判定部56,57と、内燃機関の運転条件と判定結果とに基づいて点火部の動作を制御する点火制御部58とを備える。【選択図】図4

Description

本発明は、副燃焼室を有する内燃機関の制御装置に関する。
従来、内燃機関のノッキングを検出するようにした装置が知られている(例えば特許文献1参照)。特許文献1記載の装置では、所定クランク角間隔でノックセンサの出力信号の周波数成分分析を行い、周波数成分強度の時系列データを二値化し、ノッキングが発生した状態のデータと比較することでノッキングを検出する。
特開2009-257316号公報
ところで、主燃焼室と副燃焼室とを有する内燃機関では、副燃焼室から主燃焼室内に火炎を噴出させることで火炎伝播を早めるため、熱効率が高い半面、ノッキングの有無にかかわらず燃焼騒音が発生することがある。このため、ノッキングの発生だけでなく燃焼騒音の発生も検知することが好ましい。
本発明の一態様は、気筒内を往復動するピストンに面した主燃焼室と、噴孔を介して主燃焼室に連通する副燃焼室と、副燃焼室の内部の混合気を点火する点火部と、を有する内燃機関の制御装置であって、内燃機関の振動を検出する振動検出部と、ノッキングが発生しているときの内燃機関の振動パターンを示す第1マップと、燃焼騒音が発生しているときの内燃機関の振動パターンを示す第2マップと、を記憶する記憶部と、内燃機関の燃焼サイクル毎に振動検出部により検出された振動データに対して短時間フーリエ変換を行い、所定クランク角毎および所定周波数帯毎の最大振幅を算出する振幅算出部と、振幅算出部により算出された最大振幅に基づいて燃焼サイクル毎の内燃機関の振動パターンを示す実測マップを生成するマップ生成部と、マップ生成部により生成された実測マップと記憶部に記憶された第1マップとを比較することでノッキングが発生したか否かを判定する第1判定部と、マップ生成部により生成された実測マップと記憶部に記憶された第2マップとを比較することで燃焼騒音が発生したか否かを判定する第2判定部と、内燃機関の運転条件と、第1判定部および第2判定部による判定結果と、に基づいて、点火部の動作を制御する点火制御部と、を備える。
本発明によれば、ノッキングの発生と燃焼騒音の発生とを検知することができる。
本発明の実施形態に係る内燃機関の制御装置が適用される内燃機関としてのエンジンの要部構成を概略的に示す図。 図1の要部拡大図。 図1のシリンダブロックを模式的に示す斜視図。 本発明の実施形態に係る内燃機関の制御装置の要部構成を示すブロック図。 図1のエンジンでノッキングや燃焼騒音が発生するときの共鳴周波数について説明するための図。 ノッキングによる振動が発生する第1領域について説明するための図。 燃焼騒音による振動が発生する第2領域について説明するための図。 着座ノイズによる振動が発生する第3領域について説明するための図。 図4の振幅算出部により振動データの最大振幅が算出される領域について説明するための図。 図4のコントローラで実行される処理の一例を示すフローチャート。
以下、図1~図8を参照して本発明の一実施形態について説明する。図1は、本発明が適用される内燃機関の一例であるエンジン1の要部構成を概略的に示す図である。エンジン1は、例えばガソリンを燃料として火花点火により混合気の燃焼を行うガソリンエンジンであり、動作周期の間に吸気、膨張、圧縮および排気の4つの行程を経る4ストロークエンジンである。吸気行程の開始から排気行程の終了までを、便宜上、エンジン1の燃焼行程の1サイクルまたは燃焼サイクルと称する。エンジン1は4気筒、6気筒、8気筒等、複数の気筒を有するが、図1には、単一の気筒の構成を示す。なお、各気筒の構成は互いに同一である。燃料は、アルコールを含む燃料であってもよい。
図1に示すように、エンジン1は、シリンダブロック11に形成された略円筒形状のシリンダ2と、シリンダ2の内壁に沿って摺動可能に配置されたピストン3と、ピストン3とシリンダヘッド12との間に形成された燃焼室4と、を有する。ピストン3は、コンロッド5を介してクランクシャフト6に連結され、シリンダ2内をピストン3が往復動することにより、クランクシャフト6が回転する。なお、ピストン3の上面は例えば凹凸状に形成されるが、図1では、便宜上、平坦面として示す。
シリンダヘッド12には、吸気ポート13と排気ポート14とが設けられる。燃焼室4には、吸気ポート13を介して吸気通路15が連通する一方、排気ポート14を介して排気通路16が連通する。吸気ポート13は吸気バルブ17により開閉され、排気ポート14は排気バルブ18により開閉される。吸気バルブ17の上流側の吸気通路15には、スロットルバルブ19が設けられ、スロットルバルブ19により燃焼室4へ流れる吸気量が調整される。吸気バルブ17と排気バルブ18とは、不図示の動弁機構により、クランクシャフト6の回転に同期した所定のタイミングで開閉される。
シリンダヘッド12には、燃焼室4に臨むようにインジェクタ7が装着される。インジェクタ7は、例えばシリンダブロック11の側方かつ吸気バルブ17の近傍に、先端の燃料噴射口を斜め下方に向けて配置される。インジェクタ7は、コントローラ(図4)からの指令により、吸気行程から圧縮行程にかけての範囲内で1回または複数回、燃焼室4内に燃料を噴射する。すなわち、インジェクタ7は、筒内噴射型の燃料噴射弁として構成される。なお、インジェクタ7の配置はこれに限らず、例えば吸気ポート13に面してインジェクタ7を配置し、ポート噴射型の燃料噴射弁として構成してもよい。
シリンダヘッド12の中央部には、吸気ポート13と排気ポート14との間において、ピストン3に向けてハウジング45が突設される。図2は、ハウジング45の周囲の構成を拡大して示す図1の要部拡大図である。図2に示すように、ハウジング45は、軸線CL1を中心とした断面略U字状、より具体的には、突出側の先端部46が略円弧状(例えば半円状ないしドーム状)に形成され、先端部46は、軸線CL1を中心とした対称形状を呈する。軸線CL1は、例えば図1のシリンダ2の中心線に一致する。軸線CL1がシリンダ2の中心線から例えばインジェクタ7の反対側にずれるようにハウジング45を設けてもよい。
ハウジング45の先端部46には、軸線CL1を中心として周方向等間隔に周方向複数の貫通孔、すなわち噴孔47が開口される。噴孔47は、軸線CL1からピストン3側かつ径方向外側に斜めに延在する軸線CL2に沿って放射状に開口される。なお、軸線CL1と軸線CL2とのなす角α1は、燃焼室壁に火炎ジェットが触れないような角度に設定することが好ましく、例えば30°~60°の範囲にある。
燃焼室4は、ハウジング45により、ハウジング45の外側の主燃焼室41と、ハウジング45の内側の副燃焼室42とに分けられる。図1に示すように、インジェクタ7は主燃焼室41に面して配置され、主燃焼室41に燃料が噴射される。吸気ポート13と排気ポート14との間のシリンダヘッド12の中央部、より具体的には、軸線CL1上には、点火プラグ8が設けられる。点火プラグ8は、先端の点火部が副燃焼室42に面するようにその長手方向の中心線が例えば軸線CL1に沿って配置され、コントローラ(図4)からの指令に応じて電気エネルギーにより点火部で火花を発生するように構成される。
インジェクタ7から主燃焼室41に燃料が噴射されると、主燃焼室41で空気と燃料との混合気が生成される。この混合気の一部は、周方向複数の噴孔47を介して副燃焼室42に流入し、点火プラグ8で点火されて燃焼する。副燃焼室42で生成された燃焼ガスは、噴孔近傍の混合気を未燃ガスジェットとして主燃焼室41に追いやった後、複数の噴孔47からトーチ状の火炎ジェット48として放射状に噴出し、主燃焼室41の混合気を燃焼させる。膨張行程では、主燃焼室41で燃焼した高温高圧の燃焼ガスによってピストン3が押し下げられ、クランクシャフト6が回転される。
図3は、シリンダブロック11を模式的に示す斜視図である。図3に示すように、シリンダブロック11には、エンジン1の振動を検出するノックセンサ9が取り付けられる。ノックセンサ9は、重りと圧電セラミックス等の圧電素子とを有する振動センサとして構成され、重りの振動に応じた力が圧電素子に加わることで電気信号を生じる。ノックセンサ9は1つのシリンダ2に対して1つ設けられてもよく、図3に示すように複数のシリンダ2に対して1つ設けられてもよい。この場合、ノックセンサ9は、複数のシリンダ2により構成されるシリンダ列の中央付近に取り付けられる。
副燃焼室42の噴孔47から主燃焼室41内に火炎ジェット48を噴出させる場合、主燃焼室41での火炎伝播が早まるため、エンジン1の熱効率が高まる半面、ノッキングの有無にかかわらず燃焼騒音が発生することがある。そこで、本実施形態では、ノックセンサ9により検出されたエンジン1の振動データに基づいてノッキングの発生と燃焼騒音の発生とを検知することができるよう、以下のように内燃機関の制御装置を構成する。
図4は、本発明の実施形態に係る内燃機関の制御装置(以下、装置)100の要部構成を示すブロック図である。図4に示すように、装置100は、コントローラ50を中心として構成され、コントローラ50にそれぞれ接続された点火プラグ8と、ノックセンサ9と、クランク角センサ51と、吸気量センサ52と、バンドパスフィルタ(BPF)53とを有する。
クランク角センサ51は、クランクシャフト6に設けられ、クランクシャフト6の回転に伴いパルス信号を出力するように構成される。コントローラ50は、クランク角センサ51からのパルス信号に基づいて、ピストン3の吸気行程開始時の上死点TDCの位置を基準としたクランクシャフト6の回転角度(クランク角)を特定するとともに、エンジン回転数を算出する。したがって、クランク角センサ51は、エンジン回転数センサとしても機能する。
吸気量センサ52は、シリンダ2への吸入空気量を検出するセンサであり、例えば吸気通路15(より具体的にはスロットルバルブの上流)に配置されたエアフロメータにより構成される。コントローラ50は、吸気量センサ52からの信号に基づいてインジェクタ7の目標噴射量を算出する。吸気量センサ52により検出される吸気量は、エンジン1の出力トルクと相関関係を有する。したがって、吸気量センサ52は、エンジン負荷を検出するトルクセンサとしても機能する。
図5は、エンジン1(主燃焼室41)でノッキングや燃焼騒音が発生するときの共鳴周波数について説明するための図である。図6Aは、ノッキングによる振動が発生する第1領域KS1について説明するための図である。図6Bは、燃焼騒音による振動が発生する第2領域KS2について説明するための図である。図6Cは、着座ノイズによる振動が発生する第3領域KS3について説明するための図である。図6A~図6Cの横軸はクランク角θを示し、縦軸は周波数fを示す。
発明者らは、短時間フーリエ変換を用いてエンジン1の振動データを周波数毎に解析し、ノッキングによる振動と燃焼騒音による振動とでは発生する周波数帯や減衰するまでの時間が異なることを知見した。また、吸気バルブ17の着座(閉弁)による振動(以下、着座ノイズという)が減衰するまでの時間が、ノッキングや燃焼騒音による振動が減衰するまでの時間よりも極めて短いことを知見した。
点火プラグ8(図2)による点火が行われると、副燃焼室42の各噴孔47から主燃焼室41内に火炎ジェット48が噴出し、火炎ジェット48が到達するシリンダ2の壁面付近で筒内圧が高まることで圧力波が発生する。また、ノッキング発生時は、シリンダ2の壁面付近の複数の着火点で混合気が自着火し、各着火点を起点とする圧力波も発生する。このように発生した圧力波は、シリンダ2の反対側の壁面で反射した反射波と干渉し、これにより主燃焼室41内で共鳴現象が発生する。
点火プラグ8による点火が行われる上死点TDC付近のクランク角では、主燃焼室41は直径に対して高さが十分小さい円筒空間を形成する。このような円筒空間では、周方向と径方向とに振幅と位相の空間分布を有する複数の共鳴モードが発生する。図5には、円筒空間で発生する共鳴モードのモード形状が示される。破線は共鳴振動の節線を表し、±は共鳴振動の位相を表す。周方向の次数mは、円筒空間の周方向における節線の本数に対応し、径方向の次数nは、円筒空間の径方向における節線の本数に対応する。ノッキング発生時は、火炎ジェット48が到達するシリンダ2の壁面付近と、その反対側の壁面付近とで同時に自着火が発生し、各着火点を起点とする圧力波と反射波とが複雑に干渉し合う。これにより複数のモードの共鳴が同時に発生する。
このような共鳴モードの周波数(共鳴周波数)fm,n,0[Hz]は、Draperの式に基づいて推定することができる。ρm,n,0はモード定数、κは比熱比、Rは気体定数[J/kgK]、Τは主燃焼室41の代表温度[K]、Bは円筒空間の直径(すなわち、シリンダ2の直径)[m]である。
1,0,0=ρ1,0,0(κRT)1/2/πB
図5では、一例として、円筒空間の直径Bを0.073[m]、比熱比κを1.3、気体定数Rを287[J/kgK]、代表温度Τを2424[K]とした場合の共鳴周波数fm,n,0を示す。ノッキング発生時の振動は、(1,0,0)モードに対応する共鳴周波数f1,0,0(7.63[kHz])、(2,0,0)モードに対応する共鳴周波数f2,0,0(12.6[kHz])、(0,1,0)モードに対応する共鳴周波数f0,1,0(15.9[kHz])、(3,0,0)モードに対応する共鳴周波数f3,0,0(17.4[kHz])、および(1,1,0)モードに対応する共鳴周波数f1,1,0(22.1[kHz])付近で発生する。
燃焼騒音発生時の振動は、(1,0,0)モードに対応する共鳴周波数f1,0,0(7.63[kHz])および(1,1,0)モードに対応する共鳴周波数f1,1,0(22.1[kHz])付近で発生する。燃焼騒音発生時の振動は、(2,0,0)モードに対応する共鳴周波数f2,0,0(12.6[kHz])、(0,1,0)モードに対応する共鳴周波数f0,1,0(15.9[kHz])、および(3,0,0)モードに対応する共鳴周波数f3,0,0(17.4[kHz])付近では発生しない。
図6A~図6Cを参照して、エンジン1の燃焼サイクル毎にノックセンサ9により検出された振動データに対して短時間フーリエ変換を行ったときの解析結果について説明する。図6Aに第1領域KS1として示すように、ノッキングによる振動は広い周波数帯で発生し(例えば5kHz~23kHz程度)、減衰にかかる時間は長い(例えば60度程度)。図6Bに第2領域KS2として示すように、燃焼騒音による振動は一部の周波数帯のみで発生し(例えば5kHz~12kHz程度の周波数帯と18kHz~22kHz程度の周波数帯)、減衰にかかる時間はノッキング発生時の振動より短い(例えば50度程度)。ノッキングや燃焼騒音による振動は、点火プラグ8による点火が行われる上死点TDC直後(膨張行程開始直後)のクランク角で発生する。
図6Cに第3領域KS3として示すように、着座ノイズによる振動は、広い周波数帯で発生し(例えば10kHz~24kHz程度)、減衰にかかる時間はノッキングや燃焼騒音による振動に比して極めて短い(例えば15度程度)。着座ノイズによる振動が発生するタイミングは、吸気バルブ17の閉弁時期に連動して変化する。
図4のBPF53は、ノックセンサ9により検出された振動データから予め定められた周波数帯、すなわちノッキング、燃焼騒音および着座ノイズによる振動が発生し得る周波数帯(例えば、4kHz~24kHz)の振動データを抽出するように構成される。
図4のコントローラ50は、電子制御ユニット(ECU)により構成され、CPU等の演算部50Aと、ROM,RAM等の記憶部50Bと、その他の周辺回路とを有するコンピュータを含んで構成される。コントローラ50の演算部50Aは、振幅算出部54と、マップ生成部55と、第1判定部56と、第2判定部57と、点火制御部58として機能する。
振幅算出部54は、エンジン1の燃焼サイクル毎にノックセンサ9により検出され、BPF53により抽出された振動データに対して短時間フーリエ変換を行い、所定クランク角(例えば6度)毎および所定周波数帯(例えば1kHz)毎の最大振幅Aを算出する。より具体的には、短時間フーリエ変換された振動データに基づいて、所定クランク角毎および所定周波数帯毎の複数の領域(i,j)について、各領域における振動データの最大振幅A(i,j)を算出する。
図7は、振幅算出部54により振動データの最大振幅A(i,j)が算出される領域(i,j)について説明するための図である。各領域のクランク角θは、例えば0~6度(i=1)、6~12度(i=2),...,84~90度(i=15)に設定され、各領域の周波数fは、例えば4~5kHz(j=1),5~6kHz(j=2),...,23~24kHz(j=20)に設定される。この場合、振幅算出部54により算出される最大振幅A(3,4)は、クランク角θが12~18度(i=3)、周波数fが7~8kHz(j=4)の領域(3,4)における振動データの最大振幅Aを表す。
マップ生成部55は、振幅算出部54により算出された各領域の最大振幅A(i,j)に基づいて、実際に観測された燃焼サイクル毎のエンジン1の振動パターンを示す2次元マップを生成する。先ず、マップ生成部55は、振幅算出部54により算出された各領域の最大振幅A(i,j)をそのまま格納した2次元マップ(最大振幅マップ)を生成し、記憶部50Bに記憶する。
次いで、マップ生成部55は、最大振幅マップの各領域の最大振幅A(i,j)がエンジン1の運転条件に応じて予め定められた閾値aを超えるか否かを判定する。閾値aは、試験により予め定められ、記憶部50Bに記憶される。最大振幅A(i,j)が閾値aを超える場合(A>a)、その領域(i,j)にマップ値M0=1を割り当て、閾値a以下の場合(A≦a)、その領域(i,j)にマップ値M0=0を割り当てる。マップ生成部55は、各領域に割り当てられたマップ値M0(i,j)(“1”または“0”)を格納した2次元マップ(振動パターンマップ、実測マップ)を生成し、記憶部50Bに記憶する。
閾値aを定めるための試験は、エンジン1の運転条件、すなわちエンジン回転数とエンジン負荷とを変えながら行われ、閾値aは、エンジン回転数とエンジン負荷とに応じて予め定められた特性マップとして記憶部50Bに記憶される。マップ生成部55は、クランク角センサ51により検出されたエンジン回転数と吸気量センサ52により検出されたエンジン負荷とに基づいて、記憶部50Bに記憶された特性マップから運転条件に応じた閾値aを検索し、実測マップの生成に用いる。実測マップの生成に用いる閾値aをエンジン1の運転条件に応じてきめ細かく設定しておくことで、以降のノッキングの検知や燃焼騒音の検知を精度よく行うことができる。
閾値aは、ノッキング判定用の閾値a1と燃焼騒音判定用の閾値a2として別々に定められてもよい。ノッキング検知用の実測マップの生成に用いる閾値a1と、燃焼騒音検知用の実測マップの生成に用いる閾値a2とを別々に設けることで、以降のノッキングの検知や燃焼騒音の検知を一層精度よく行うことができる。
記憶部50Bには、ノッキングによる振動パターンマップ(第1マップ)と、燃焼騒音による振動パターンマップ(第2マップ)と、着座ノイズによる振動パターンマップ(第3マップ)とが記憶される。第1マップには、図6Aの第1領域KS1内に相当する各領域(i,j)にマップ値M1=1が格納され、第1領域KS1外に相当する各領域(i,j)にマップ値M1=0が格納される。第2マップには、図6Bの第2領域KS2内に相当する各領域(i,j)にマップ値M2=1が格納され、第2領域KS2外に相当する各領域(i,j)にマップ値M2=0が格納される。第3マップには、図6Cの第3領域KS3内に相当する各領域(i,j)にマップ値M3=1が格納され、第3領域KS3外に相当する各領域(i,j)にマップ値M3=0が格納される。なお、着座ノイズによる振動が発生するタイミングは吸気バルブ17の閉弁時期に連動して変化するため、吸気バルブ17の閉弁時期に応じて複数の第3マップが記憶部50Bに予め記憶される。
マップ生成部55は、実測マップの各領域のマップ値M0(i,j)から着座ノイズに対応する第3マップの各領域のマップ値M3(i,j)を減算することでノイズ除去後の実測マップを生成し、記憶部50Bに記憶する。このとき、マップ生成部55は、記憶部50Bに記憶された複数の第3マップから吸気バルブ17の閉弁時期に応じた第3マップを検索して用いる。これにより、吸気バルブ17の着座ノイズの影響を受けることがなく、ノッキングや燃焼騒音の過剰検知を抑制することができる。
第1判定部56は、マップ生成部55により生成された実測マップ(ノイズ除去後の実測マップ)と、記憶部50Bに記憶されたノッキングに対応する第1マップとを比較することで、ノッキングが発生したか否かを判定する。より具体的には、先ず、第1判定部56は、ノイズ除去後の実測マップの各領域のマップ値M0(i,j)に第1マップの各領域のマップ値M1(i,j)を乗算し、全領域のマップ値の積M0M1(i,j)を積算して積算値ΣM0M1を算出する。これにより、実測マップの振動パターンとノッキングに対応する第1マップの振動パターンとが一致する領域には“1”が、一致しない領域には“0”が割り当てられる。
次いで、第1判定部56は、ノッキングに対応する第1マップの全領域のマップ値M1(i,j)を積算して積算値ΣM1を算出する。次いで、第1判定部56は、算出された積算値ΣM0M1から積算値ΣM1を除算する。これにより、実測マップの振動パターンとノッキングに対応する第1マップの振動パターンとが一致する領域の割合(第1適合率)ΣM0M1/ΣM1が算出される。
第1判定部56は、算出された第1適合率ΣM0M1/ΣM1が、エンジン1の運転条件に応じて予め定められた第1閾値Th1を超えるか否かを判定する。第1適合率ΣM0M1/ΣM1が第1閾値Th1を超える場合(ΣM0M1/ΣM1>Th1)は、ノッキングが発生したと判定され、第1閾値Th1以下の場合(ΣM0M1/ΣM1≦Th1)は、ノッキングが発生していないと判定される。第1判定部56によるノッキングの判定に用いられる第1閾値Th1は、試験により予め定められ、記憶部50Bに記憶される。
第1閾値Th1を定めるための試験は、エンジン1の運転条件、すなわちエンジン回転数とエンジン負荷とを変えながら行われ、第1閾値Th1は、エンジン回転数とエンジン負荷とに応じて予め定められた特性マップとして記憶部50Bに記憶される。第1判定部56は、クランク角センサ51により検出されたエンジン回転数と吸気量センサ52により検出されたエンジン負荷とに基づいて、記憶部50Bに記憶された特性マップから運転条件に応じた第1閾値Th1を検索し、ノッキングの判定に用いる。ノッキングの判定に用いる第1閾値Th1をエンジン1の運転条件に応じてきめ細かく設定しておくことで、ノッキングの発生を一層精度よく検知することができる。
図6Aおよび図6Cに示すように、着座ノイズによる振動の減衰にかかる時間はノッキングによる振動に比して極めて短い。このため、着座ノイズの発生時期(図6Cの第3領域KS3の左端)がノッキングの発生時期(図6Aの第1領域KS1の左端)に一致し、第3領域KS3が第1領域KS1に大幅に重なったとしても、ノッキングが発生したか否かの判定には影響しない。すなわち、第1閾値Th1は、着座ノイズを除いた分だけ第1適合率ΣM0M1/ΣM1が低下したとしてもノッキングが発生したか否かを判定できるよう、適切な値に定められる。
ノッキングはエンジン部品の損傷につながるため、ノッキングの発生が検知された場合には、直ちに点火時期を遅角し、ノッキングを解消する必要がある。この場合、ノッキングを解消するために十分な遅角量(第1所定量)θ1を確保する必要がある(例えば、1.5度程度)。
第2判定部57は、第1判定部56によりノッキングが発生していないと判定されることを条件として、ノイズ除去後の実測マップと、記憶部50Bに記憶された燃焼騒音に対応する第2マップとを比較することで、燃焼騒音が発生したか否かを判定する。より具体的には、先ず、第2判定部57は、ノイズ除去後の実測マップの各領域のマップ値M0(i,j)に第2マップの各領域のマップ値M2(i,j)を乗算し、全領域のマップ値の積M0M2(i,j)を積算して積算値ΣM0M2を算出する。これにより、実測マップの振動パターンと燃焼騒音に対応する第2マップの振動パターンとが一致する領域には“1”が、一致しない領域には“0”が割り当てられる。
次いで、第2判定部57は、燃焼騒音に対応する第2マップの全領域のマップ値M2(i,j)を積算して積算値ΣM2を算出する。次いで、第2判定部57は、算出された積算値ΣM0M2から積算値ΣM2を除算する。これにより、実測マップの振動パターンと燃焼騒音に対応する第2マップの振動パターンとが一致する領域の割合(第2適合率)ΣM0M2/ΣM2が算出される。
第2判定部57は、算出された第2適合率ΣM0M2/ΣM2が、エンジン1の運転条件に応じて予め定められた第2閾値Th2を超えるか否かを判定する。第2適合率ΣM0M2/ΣM2が第2閾値Th2を超える場合(ΣM0M2/ΣM2>Th2)は、燃焼音が基準より大きいと判定され、第2閾値Th2以下の場合(ΣM0M2/ΣM2≦Th2)は、燃焼音が基準以下であると判定される。第2判定部57による燃焼音の判定に用いられる第2閾値Th2も、試験により予め定められ、記憶部50Bに記憶される。
第2閾値Th2を定めるための試験は、エンジン1の運転条件、すなわちエンジン回転数とエンジン負荷とを変えながら行われ、第2閾値Th2は、エンジン回転数とエンジン負荷とに応じて予め定められた特性マップとして記憶部50Bに記憶される。第2判定部57は、クランク角センサ51により検出されたエンジン回転数と吸気量センサ52により検出されたエンジン負荷とに基づいて、記憶部50Bに記憶された特性マップから運転条件に応じた第2閾値Th2を検索し、燃焼音の判定に用いる。燃焼音の判定に用いる第2閾値Th2をエンジン1の運転条件に応じてきめ細かく設定しておくことで、燃焼騒音の発生を一層精度よく検知することができる。
図6Aおよび図6Bに示すように、燃焼騒音による振動は一部の周波数帯のみで発生し、減衰にかかる時間はノッキング発生時の振動より短いため、燃焼騒音の振動パターン(第2領域KS2)はノッキングの振動パターン(第1領域KS1)に含まれる。ノッキングが発生していないと判定されることを条件として燃焼騒音が発生したか否かを判定することで、ノッキングによる振動の影響を受けることなく、燃焼騒音が発生したか否かを適切に判定することができる。
図6Bおよび図6Cに示すように、着座ノイズによる振動の減衰にかかる時間は燃焼騒音による振動に比して極めて短い。このため、着座ノイズの発生時期(図6Cの第3領域KS3の左端)が燃焼騒音の発生時期(図6Bの第2領域KS2の左端)に一致し、第3領域KS3が第2領域KS2に大幅に重なったとしても、燃焼音が基準を超えたか否かの判定には影響しない。すなわち、第2閾値Th2は、着座ノイズを除いた分だけ第2適合率ΣM0M2/ΣM2が低下したとしても燃焼音が基準を超えたか否かを判定できるよう、適切な値に定められる。
第2判定部57は、燃焼サイクル毎の燃焼音の判定において、連続して、燃焼サイクルで燃焼音が基準より大きいと判定した回数C2が所定回数c2(例えば、1回)を超えると、燃焼騒音が発生したと判定する。第2判定部57による燃焼騒音の判定に用いられる所定回数c2は、試験により予め定められ、記憶部50Bに記憶される。
所定回数c2を定めるための試験は、エンジン1の運転条件、すなわちエンジン回転数とエンジン負荷とを変えながら行われ、所定回数c2は、エンジン回転数とエンジン負荷とに応じて予め定められた特性マップとして記憶部50Bに記憶される。第2判定部57は、クランク角センサ51により検出されたエンジン回転数と吸気量センサ52により検出されたエンジン負荷とに基づいて、記憶部50Bに記憶された特性マップから運転条件に応じた所定回数c2を検索し、燃焼騒音の判定に用いる。燃焼音が基準を超える頻度の判定に用いる閾値としての所定回数c2をエンジン1の運転条件に応じてきめ細かく設定しておくことで、燃焼騒音の発生を一層精度よく検知することができる。
ノッキングが発生していなければ、燃焼騒音が発生していても、すなわち燃焼音がユーザに違和感を与えるほど大きくなったとしても、エンジン部品が損傷することはない。ただし、その音量(振動)が大きい状態が一定の頻度以上で発生すると、ユーザに違和感を与え、エンジン1の商品性を低下させるおそれがある。燃焼音も、ノッキングと同様に、点火時期を遅角することで緩和することができる。燃焼騒音の発生が検知された場合には、点火時期を遅角して燃焼音を緩和することが好ましい。燃焼音をユーザに違和感を与えない程度まで軽減するための遅角量(第2所定量)θ2は、ノッキングを解消するために必要となる第1所定量θ1よりも小さい(θ1>θ2)(例えば、0.5度程度)。
点火制御部58は、エンジン1の運転条件と第1判定部56および第2判定部57による判定結果とに基づいて点火プラグ8の動作を制御する。すなわち、点火制御部58は、ノッキングも燃焼騒音も発生していない場合は、エンジン1の運転条件に応じて予め定められた基準点火時期θ0、例えば最大トルクが得られる最適点火時期MBTで点火を行うように、点火プラグ8の動作を制御する。
点火制御部58は、第1判定部56によりノッキングが発生したと判定されると、第1所定量θ1だけ点火時期を遅角するように点火プラグ8の動作を制御する(θ0→θ0+θ1)。また、第2判定部57により燃焼騒音が発生したと判定されると、第2所定量θ2だけ点火時期を遅角するように点火プラグ8の動作を制御する(θ0→θ0+θ2)。第1所定量θ1および第2所定量θ2は、試験により予め定められ、記憶部50Bに記憶される。
図8は、予め記憶されたプログラムに従い、図4のコントローラ50で実行される処理の一例を示すフローチャートである。このフローチャートに示す処理は、エンジン始動後に開始され、所定周期で繰り返される。
図8に示すように、先ずステップS1で、クランク角センサ51および吸気量センサ52からの信号と、BPF53により抽出された振動データとを読み込む。次いでステップS2で、ステップS1で読み込まれた信号に基づいてエンジン1の運転条件を特定する。次いでステップS3で、ステップS1で読み込まれたエンジン1の燃焼サイクル毎の振動データに対して短時間フーリエ変換を行い、所定クランク角毎および所定周波数帯毎の最大振幅A(i,j)を算出し、最大振幅マップを生成する。次いでステップS4で、ステップS3で生成された最大振幅マップと、ステップS2で特定された運転条件に対応する閾値aとに基づいて、振動パターンの実測マップを生成する。次いでステップS5で、ステップS4で生成された実測マップから、記憶部50Bに記憶された着座ノイズによる振動パターンの第3マップを減算し、ノイズ除去後の実測マップを生成する。
次いでステップS6で、ステップS5で生成されたノイズ除去後の実測マップに、記憶部50Bに記憶されたノッキングの振動パターンの第1マップを乗算する。次いでステップS7で、ステップS6で算出されたマップ値の積M0M1(i,j)を積算して積算値ΣM0M1を算出するとともに、記憶部50Bに記憶された第1マップのマップ値M1(i,j)を積算して積算値ΣM1を算出する。次いでステップS8で、ステップS7で算出された積算値ΣM0M1,ΣM1に基づいて、実測マップとノッキングの振動パターンの第1マップとの第1適合率ΣM0M1/ΣM1を算出する。次いでステップS9で、ステップS8で算出された第1適合率ΣM0M1/ΣM1が、ステップS2で特定された運転条件に対応する第1閾値Th1を超えるか否かを判定する。
ステップS9で肯定されると、ステップS10に進み、ノッキングが発生したと判定し、ステップS11に進む。ステップS11では、ステップS2で特定された運転条件に対応する基準点火時期θ0を第1所定量θ1だけ遅角(θ0→θ0+θ1)するように点火プラグ8に制御信号を出力し、処理を終了する。
一方、ステップS9で否定されると、ノッキングが発生していないと判定し、ステップS12に進む。ステップS12では、ステップS5で生成されたノイズ除去後の実測マップに、記憶部50Bに記憶された燃焼騒音の振動パターンの第2マップを乗算する。次いでステップS13で、ステップS12で算出されたマップ値の積M0M2(i,j)を積算して積算値ΣM0M2を算出するとともに、記憶部50Bに記憶された第2マップのマップ値M2(i,j)を積算して積算値ΣM2を算出する。次いでステップS14で、ステップS13で算出された積算値ΣM0M2,ΣM2に基づいて、実測マップと燃焼騒音の振動パターンの第2マップとの第2適合率ΣM0M2/ΣM2を算出する。次いでステップS15で、ステップS14で算出された第2適合率ΣM0M2/ΣM2が、ステップS2で特定された運転条件に対応する第2閾値Th2を超えるか否かを判定する。
ステップS15で否定されると、燃焼音が基準以下であると判定してステップS16に進み、ノッキングも燃焼騒音も発生していないと判定し、ステップS17に進む。ステップS17では、ステップS2で特定された運転条件に対応する基準点火時期θ0(最適点火時期MBT)まで必要に応じて進角するように点火プラグ8に制御信号を出力し、処理を終了する。
一方、ステップS15で肯定されると、燃焼音が基準より大きいと判定してステップS18に進み、燃焼音が基準より大きいと判定した回数C2をカウントアップし(C2(今回値)=C2(前回値)+1)、ステップS19に進む。ステップS19では、燃焼音が基準より大きいと判定した回数C2が、ステップS2で特定された運転条件に対応する所定回数c2を超えるか否かを判定する。
ステップS19で肯定されると、ステップS20に進み、燃焼騒音のみが発生していると判定し、ステップS21に進む。ステップS21では、ステップS2で特定された運転条件に対応する基準点火時期θ0を第2所定量θ2だけ遅角(θ0→θ0+θ2)するように点火プラグ8に制御信号を出力し、処理を終了する。一方、ステップS19で否定されると、点火時期の遅角も進角も行うことなく処理を終了する。
エンジン1の燃焼サイクル毎に実際に観測された振動パターンを互いに異なるノッキング、燃焼騒音および着座ノイズの振動パターンと比較することで、ノッキングの発生と燃焼騒音の発生とを個別に検知することができる(S3~S9,S12~S15)。また、エンジン部品の損傷につながるノッキングの発生を優先的に検知することで、ノッキングが発生した場合でも直ちに解消することができる(S9~S11)。また、燃焼音が基準より大きい状態が継続したときに限って燃焼騒音の発生を検知するため、点火時期の過剰な遅角を抑制し、エンジン出力や燃費の低下を最小限に抑えることができる(S15~S21)。
本実施形態によれば以下のような作用効果を奏することができる。
(1)装置100は、シリンダ2内を往復動するピストン3に面した主燃焼室41と、噴孔47を介して主燃焼室41に連通する副燃焼室42と、副燃焼室42の内部の混合気を点火する点火プラグ8とを有するエンジン1を制御する(図1、図2)。
装置100は、エンジン1の振動を検出するノックセンサ9と、ノッキングが発生しているときのエンジン1の振動パターンを示す第1マップと燃焼騒音が発生しているときのエンジン1の振動パターンを示す第2マップとを記憶する記憶部50Bと、エンジン1の燃焼サイクル毎にノックセンサ9により検出された振動データに対して短時間フーリエ変換を行い、所定クランク角毎および所定周波数帯毎の最大振幅A(i,j)を算出する振幅算出部54と、振幅算出部54により算出された最大振幅に基づいて燃焼サイクル毎のエンジン1の振動パターンを示す実測マップを生成するマップ生成部55と、マップ生成部55により生成された実測マップと記憶部50Bに記憶された第1マップとを比較することでノッキングが発生したか否かを判定する第1判定部56と、マップ生成部55により生成された実測マップと記憶部50Bに記憶された第2マップとを比較することで燃焼騒音が発生したか否かを判定する第2判定部57と、エンジン1の運転条件と第1判定部56および第2判定部57による判定結果とに基づいて点火プラグ8の動作を制御する点火制御部58と、を備える(図3、図4)。
このように、エンジン1の燃焼サイクル毎に実際に観測された振動パターンを、互いに異なるノッキングの振動パターンおよび燃焼騒音の振動パターンのそれぞれと比較することで、ノッキングの発生と燃焼騒音の発生とをそれぞれ精度よく検知することができる。
(2)第2判定部57は、第1判定部56によりノッキングが発生していないと判定されることを条件として燃焼騒音が発生したか否かを判定する。これにより、エンジン部品の損傷につながるノッキングの発生を優先的に検知することができる。また、燃焼騒音の発生を精度よく検知することができる。
(3)点火制御部58は、第1判定部56によりノッキングが発生したと判定されると第1所定量θ1だけ点火時期を遅角するように点火プラグ8の動作を制御し、第2判定部57により燃焼騒音が発生したと判定されると第1所定量θ1より小さい第2所定量θ2だけ点火時期を遅角するように点火プラグ8の動作を制御する。
すなわち、ノッキングが発生している場合は、十分な遅角量(第1所定量)θ1を確保することでノッキングを確実に解消し、燃焼騒音が発生している場合は、ある程度の遅角量(第2所定量θ2)で燃焼音を軽減する。点火時期を、エンジン1の運転条件に応じて予め定められた最適な基準点火時期θ0よりも遅角すると、エンジン出力や燃費が低下する。ノッキングの発生と燃焼騒音の発生とをそれぞれ検知し、発生事象に応じた適切な遅角を行うことで、点火時期の遅角によるエンジン出力や燃費の低下を最小限に抑えることができる。
以上の説明はあくまで一例であり、本発明の特徴を損なわない限り、上述した実施形態および変形例により本発明が限定されるものではない。上記実施形態と変形例の1つまたは複数を任意に組み合わせることも可能であり、変形例同士を組み合わせることも可能である。
1 エンジン、2 シリンダ、3 ピストン、8 点火プラグ、9 ノックセンサ、41 主燃焼室、42 副燃焼室、47 噴孔、50 コントローラ、50A 演算部、50B 記憶部、51 クランク角センサ、52 吸気量センサ、53 BPF、54 振幅算出部、55 マップ生成部、56 第1判定部、57 第2判定部、58 点火制御部、100 制御装置(装置)

Claims (3)

  1. 気筒内を往復動するピストンに面した主燃焼室と、噴孔を介して前記主燃焼室に連通する副燃焼室と、前記副燃焼室の内部の混合気を点火する点火部と、を有する内燃機関の制御装置であって、
    前記内燃機関の振動を検出する振動検出部と、
    ノッキングが発生しているときの前記内燃機関の振動パターンを示す第1マップと、燃焼騒音が発生しているときの前記内燃機関の振動パターンを示す第2マップと、を記憶する記憶部と、
    前記内燃機関の燃焼サイクル毎に前記振動検出部により検出された振動データに対して短時間フーリエ変換を行い、所定クランク角毎および所定周波数帯毎の最大振幅を算出する振幅算出部と、
    前記振幅算出部により算出された最大振幅に基づいて前記燃焼サイクル毎の前記内燃機関の振動パターンを示す実測マップを生成するマップ生成部と、
    前記マップ生成部により生成された実測マップと前記記憶部に記憶された第1マップとを比較することでノッキングが発生したか否かを判定する第1判定部と、
    前記マップ生成部により生成された実測マップと前記記憶部に記憶された第2マップとを比較することで燃焼騒音が発生したか否かを判定する第2判定部と、
    前記内燃機関の運転条件と、前記第1判定部および前記第2判定部による判定結果と、に基づいて、前記点火部の動作を制御する点火制御部と、を備えることを特徴とする内燃機関の制御装置。
  2. 請求項1に記載の内燃機関の制御装置において、
    前記第2判定部は、前記第1判定部によりノッキングが発生していないと判定されることを条件として燃焼騒音が発生したか否かを判定することを特徴とする内燃機関の制御装置。
  3. 請求項2に記載の内燃機関の制御装置において、
    前記点火制御部は、前記第1判定部によりノッキングが発生したと判定されると第1所定量だけ点火時期を遅角するように前記点火部の動作を制御し、前記第2判定部により燃焼騒音が発生したと判定されると前記第1所定量より小さい第2所定量だけ前記点火時期を遅角するように前記点火部の動作を制御することを特徴とする内燃機関の制御装置。
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