JP2024002542A - 播種性血管内凝固症候群患者における血液凝固能の評価方法 - Google Patents

播種性血管内凝固症候群患者における血液凝固能の評価方法 Download PDF

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Kazuya Hosokawa
朋香 永里
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Abstract

【課題】DIC等の患者における組換トロンボモジュリン製剤の薬効をインビトロで評価する方法およびDIC等の患者における血栓傾向をインビトロで評価する方法を提供すること。【解決手段】組換トロンボモジュリン製剤が投与された患者に、外因系の血液凝固活性化試薬、ヘパリン様物質およびトロンボモジュリン中和剤を添加して血液凝固能の評価を行い、その結果を、同じ検体に外因系の血液凝固活性化試薬、ヘパリン様物質を添加し、トロンボモジュリン中和剤を添加せずに行った血液凝固能の評価結果と比較することで、患者における組換トロンボモジュリン製剤による治療効果の評価を行い、さらに組換トロンボモジュリン製剤が投与された患者、好ましくはDIC患者由来の血液試料に、接触因子阻害剤、組織因子経路阻害剤(TFPI)に対する阻害剤およびトロンボモジュリン中和剤を添加して血液凝固能の測定を行うことで患者における血栓傾向の評価を行う。【選択図】なし

Description

本発明は血液凝固検査方法に関し、より詳細には、播種性血管内凝固症候群患者における組換トロンボモジュリン製剤の治療評価の評価方法および血栓傾向の評価方法に関する。
播種性血管内凝固症候群(DIC)は感染症や悪性腫瘍など種々の基礎疾患の存在下に全身
性かつ持続性の著しい凝固活性化が生じ、全身の主として細小血管内に微小血栓が多発する病態である。微小血栓多発の結果として、しばしば血小板や凝固因子といった止血因子が低下するため、消費性凝固障害(consumption coagulopathy)と称される。この消費性凝固障害とその後の線溶活性化があいまって出血症状を呈する。さらに微小血栓が多発することで微小循環障害となり各種臓器不全を招く。出血症状と臓器症状がDICの二大症状
となる。
DICの基礎疾患として敗血症、急性白血病、固形がんが三大疾患と言われている。他にも
、外傷、熱傷、劇症肝炎、急性膵炎、あるいは産科合併症などが原因となることがある。DICの発症機序には組織因子(TF;Tissue factor)の外因系凝固経路への関与が大きく、敗血症では、細菌内毒素(エンドトキシン:リポサッカライド)の生体内侵入により活性化された白血球や血管内皮細胞などに凝固惹起因子の組織因子が発現して発症する。感染症によるDICはPAI-1の発現が上昇するために、線溶が抑制され微小血栓による多臓器不全を起こしやすい。
一方、急性白血病や固形がんでは腫瘍細胞が産生するTFによる外因系凝固経路の活性化が要因となり、線溶亢進が見られ、出血症状を呈する。
遺伝子組み換えトロンボモジュリン(商品名リコモジュリン)は、DICの治療に用いられ
る。投与されたリコモジュリンは、トロンビンと結合することにより、直接的な抗トロンビン作用を有する。さらにリコモジュリンに結合したトロンビンは、プロテインC(PC)
を活性化し、活性化プロテインC(APC)に変換する。APCはFVIIIaやFVaを不活性化することで抗凝固効果を発揮する。
さらに、リコモジュリンは種々の経路による抗炎症効果を有することが報告されている。リコモジュリンにより産生されたAPCは血管内皮のendothelial PC receptor(EPCR)に結合するとプロテアーゼ活性化受容体(protease-activated receptor-1: PAR-1)を活性化し、抗炎症効果を発揮する。また、リコモジュリンのレクチン様ドメインはHMGB1やLPSを吸着・中和することで、抗炎症効果を発揮する。
リコモジュリンは、ヒトTMの1~498番目のアミノ酸残基からなる分子量64,000の糖タンパクであり、通常、DIC患者に380U/kgを1日1回30分かけて投与され、6
日間投与される。これによりリコモジュリンの血中濃度は15-20nM程度に到達する。
https://www.tokushukai.or.jp/treatment/internal/blood/dic.php http://www.jsth.org/wordpress/glossary_detail/?id=347
DIC患者における組換トロンボモジュリン製剤(リコモジュリン)の治療効果を評価する
には、「リコモジュリンの有する直接的な抗凝固効果」と「リコモジュリンの有する抗凝固+抗炎症能によるDIC患者における血栓傾向の改善」の両方の評価が重要である。
そこで、本発明は、DIC等の患者における組換トロンボモジュリン製剤の薬効をインビト
ロで評価する方法およびDIC等の患者における血栓傾向をインビトロで評価する方法を提
供することを課題とする。
本発明者は上記課題を解決するために鋭意検討を行った。その結果、組換トロンボモジュリン製剤が投与された患者、好ましくはDIC患者由来の血液試料に、外因系の血液凝固活
性化試薬、ヘパリン様物質およびトロンボモジュリン中和剤を添加して血液凝固能の評価を行い、その結果を、同じ検体に外因系の血液凝固活性化試薬、ヘパリン様物質を添加し、トロンボモジュリン中和剤を添加せずに行った血液凝固能の評価結果と比較することで、患者における組換トロンボモジュリン製剤による治療効果の評価が簡便に実施できることを見出した。また、組換トロンボモジュリン製剤が投与された患者、好ましくはDIC患
者由来の血液試料に、接触因子阻害剤、組織因子経路阻害剤(TFPI)に対する阻害剤およびトロンボモジュリン中和剤を添加して血液凝固能の測定を行うことで患者における血栓傾向の評価が簡便に実施できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
本発明の第一の態様は、
1)組換トロンボモジュリン製剤が投与された患者、好ましくは播種性血管内凝固症候群(DIC)患者由来の血液試料に外因系の血液凝固活性化試薬、ヘパリン様物質およびトロ
ンボモジュリン中和剤を添加して血液凝固能を測定する工程、
2)前記血液試料に外因系の血液凝固活性化試薬およびヘパリン様物質を添加して血液凝固能を添加して血液凝固能を測定する工程、
3)1)と2)の測定結果を比較する工程、
を含む、患者における組換トロンボモジュリン製剤の薬効をインビトロで評価する方法、に関する。
本発明の第二の態様は、
組換トロンボモジュリン製剤が投与された患者、好ましくは播種性血管内凝固症候群(DIC)患者由来の血液試料に、接触因子阻害剤、組織因子経路阻害剤(TFPI)に対する阻害剤およびトロンボモジュリン中和剤を添加して血液凝固能の測定を行うことを特徴とする、患者における血栓傾向をインビトロで評価する方法、に関する。
本発明の第一の態様に係る方法によれば、リコモジュリンを含む患者血に対し、TF+ヘパ
ラン硫酸+トロンボモジュリン中和剤を添加し血液凝固を評価することで、リコモジュリンの抗凝固能の評価が可能となる。
また、本発明の第二の態様に係る方法によれば、DIC等の患者の血栓傾向の評価が可能と
なる。
これらの評価を組みわせることにより、組換トロンボモジュリン製剤が投与されたDIC等
の患者において、リコモジュリンの抗凝固効果と患者の血栓傾向の両方を把握することが可能となる。
本発明の第一の態様に係る方法は、
1)組換トロンボモジュリン製剤(リコモジュリン)が投与された患者、好ましくはDIC
患者由来の血液試料に外因系の血液凝固活性化試薬、ヘパリン様物質およびトロンボモジュリン中和剤を添加して血液凝固能を測定する工程、
2)前記血液試料に外因系の血液凝固活性化試薬およびヘパリン様物質を添加して血液凝固能
3)1)と2)の測定結果を比較する工程、
を含む、患者における組換トロンボモジュリン製剤の薬効をインビトロで評価する方法である。
血液試料は組換トロンボモジュリン製剤(リコモジュリン)が投与された患者、好ましくはDIC患者由来の血液試料である。血液試料としては全血試料や多血小板血漿が好ましく
使用され、クエン酸等で抗凝固処理された血液試料であってもよい。その場合、カルシウムなどで抗凝固処理を解除して、血液凝固反応を開始することができる。
トロンボモジュリン中和剤としては、トロンボモジュリンの抗凝固能を阻害することができる物質であれば特に制限はないが、例えば、トロンボモジュリン中和抗体または、トロンビンの酵素活性をD-Phenylalanyl-prolyl-arginyl Chloromethyl Ketone (PPACK)で阻
害した不活性化トロンビン(PPACKトロンビン)が挙げられる。通常、トロンビンはトロ
ンボモジュリンに結合すると基質特異性が変化し、PC(プロテインC)を効率的に活性化
することで抗凝固能を発揮するが、予め、過剰な不活性化トロンビン(PPACKトロンビン
)を血液に加えた場合には、PPACKがトロンボモジュリンに結合することで、血液凝固反
応によって生じたトロンビンがトロンボモジュリンに結合することができなくなり、トロンボモジュリンの抗凝固能が阻害される。
トロンボモジュリン中和抗体としては、トロンボモジュリンに結合し、トロンボモジュリンとトロンビンの結合を阻害する抗体が挙げられる。
トロンボモジュリン中和剤の添加量は組換えトロンボモジュリン製剤の2倍以上の過剰量であることが好ましい。
外因系の血液凝固活性化試薬としては、組織因子(Tissue factor)及び 組織トロンボプラスチンが挙げられる。
組織因子及び組織トロンボプラスチンは、全血に添加した際の凝固時間が50~600秒にな
るように添加されることが好ましい。
ヘパリン様物質としては、未分画ヘパリン、低分子ヘパリン(例えば、質量平均分子量4500~6500のヘパリン)、フォンダパリヌクスナトリウム(アンチトロンビンのXa阻害を促進するヘパリン内の5糖構造:製品例 アリクストラ)、またはヘパラン硫酸(例えば、ダナパロイドナトリウム:製品例 オルガラン)、デキストラン硫酸などの硫酸化多糖が挙げられる。
ヘパラン硫酸は血管内皮細胞上に存在し、血管内における生理的な抗凝固作用を担っている。よって、ヘパリン様物質としてヘパラン硫酸を用いることで、生理的な血液凝固を再現できるので、より好ましい。
未分画ヘパリンまたは低分子ヘパリンは終濃度0.01~2 U/mLで添加されることが好ましい。
フォンダパリヌクスナトリウムは終濃度0.1~10 μg/mLで添加されることが好ましい。
ヘパラン硫酸は、終濃度が0.4~15μg/mLで添加されることが望ましい。
また、ヘパリンで治療を受けている患者の血液検体を評価する場合には、ヘパリン様物質としてフォンダパリヌクスナトリウムまたはデキストラン硫酸を用いることが可能である。
プロタミン及びポリブレーン等の塩基性物質は未分画ヘパリンの中和剤として用いられるが、フォンダパリヌクスナトリウムはプロタミン及びポリブレーンで中和されない。よって、ヘパリン様物質としてフォンダパリヌクスナトリウムを用いた場合には、プロタミン
やポリブレーンにより未分画ヘパリンのみを特異的に中和することが可能である。
また、ヘパリンや低分子ヘパリンの分解にへパリナーゼが用いられるが、デキストラン硫酸はへパリナーゼによる分解を受けない。よって、ヘパリン様物質としてデキストラン硫酸を用いた場合には、へパリナーゼにより、未分画ヘパリンや低分子ヘパリンのみを特異的に分解することが可能である。
このように、ヘパリンで治療を受けている患者血液などヘパリン及び低分子ヘパリンを含む血液検体の検査を行う場合に、ヘパリン様物質として、フォンダパリヌクスナトリウムまたはデキストラン硫酸を用いることで、血液中に含まれるヘパリン及び低分子ヘパリンを、特異的に中和または分解することが可能になる。
終濃度として、未分画へパリンであれば0.01~1U/mL、低分子へパリンであれば0.01~2U/mL、フォンダパリヌクスナトリウムであれば0.1~10μg/mL、で添加されることが望ましい。
また、血液凝固能の測定においては、血液試料にさらに接触因子阻害剤を添加することが好ましい。接触因子阻害剤としては、後述のFXI(血液凝固第11因子)阻害剤、FXII(血
液凝固第12因子)阻害剤、カリクレイン阻害剤などが用いられ、それら2種以上の阻害剤
を混合して添加されることが好ましい。特に、FXII阻害剤とカリクレイン阻害剤を組み合わせることで、接触因子活性化によって起こる血液凝固反応が十分に抑制され、外因系凝固の亢進による血液凝固が効率良く測定できる。
血液凝固の解析方法としては、血液凝固時間(Clotting time)の測定でを行えれば特に
制限されない。好ましくはROTEM(Rotational Thromboelastometry:Instrumentation Laboratory(IL)社)、TEG(Thromboelastography)、SONOCLOT(サイエンコ社)、角度可変式のトロンボエラスとグラフ解析装置(血液凝固検査装置及び血液凝固検査方法;WO2018/043420)など全血の粘弾性を評価できる装置や、トロンビン産生など血漿中で血液凝固を詳細に解析できる装置を用いた解析が望ましい。
組換トロンボモジュリン製剤(リコモジュリン)が投与されたDIC等の患者由来の血液試
料に対し、外因系の血液凝固活性化試薬、ヘパリン様物質およびトロンボモジュリン中和剤を混合し、血液凝固を測定する。なお、添加の順序は問わず、同時に添加してもよい。
また、同じ血液試料を用い、外因系の血液凝固活性化試薬およびヘパリン様物質を混合し、血液凝固を測定する(コントロールの測定結果)。
それらの測定結果を比較することで、DIC等の患者における組換トロンボモジュリン製剤
の抗凝固能を評価することができる。
すなわち、両測定における血液凝固の程度に結果にほとんど差がない場合は、患者において組換トロンボモジュリン製剤が効いていないと判定することができ、コントロールの測定結果に比べてトロンボモジュリン中和剤を添加したときに血液凝固の程度が大きく減少する場合は、患者において組換トロンボモジュリン製剤が効いていると判定することができる。
本発明の第二の態様に係る方法は、組換トロンボモジュリン製剤が投与された患者、好ましくはDIC患者由来の血液試料に、接触因子阻害剤、組織因子経路阻害剤(TFPI)に対す
る阻害剤およびトロンボモジュリン中和剤を添加して血液凝固能の測定を行うことを特徴とする、患者における血栓傾向をインビトロで評価する方法である。
血液試料は組換トロンボモジュリン製剤が投与されたDIC等の患者由来であるが、全血試
料であることが好ましく、クエン酸等で抗凝固処理された血液試料であってもよい。その場合、後述のようにカルシウムなどで抗凝固処理を解除して、血液凝固反応を開始することができる。
トロンボモジュリン中和剤としては、トロンボモジュリンの抗凝固能を阻害することができる物質であれば特に制限はないが、例えば、トロンボモジュリン中和抗体または不活性化トロンビン(PPACKトロンビン)が挙げられる。通常、トロンビンはトロンボモジュリ
ンに結合し、基質特異性が変化し、PC(プロテインC)を効率的に活性化することで抗凝
固能を発揮するが、予め、過剰な不活性化トロンビン(PPACKトロンビン)を血液に加え
た場合には、PPACKがトロンボモジュリンに結合することで、血液凝固反応によって生じ
たトロンビンがトロンボモジュリンに結合することができなくなり、トロンボモジュリンの抗凝固能が阻害される。
トロンボモジュリン中和抗体としては、トロンボモジュリンに結合し、トロンボモジュリンとトロンビンの結合を阻害する抗体が挙げられる。
トロンボモジュリン中和剤の添加量は組換えトロンボモジュリン製剤の2倍以上の過剰量
であることが好ましい。
接触因子阻害剤としては、FXI(血液凝固第11因子)阻害剤、FXII(血液凝固第12因子)
阻害剤、カリクレイン阻害剤などが用いられ、それら2種以上の阻害剤を混合して添加さ
れることが好ましい。
特に、FXII阻害剤とカリクレイン阻害剤を組み合わせることで、血液凝固の亢進による短縮度合いを良好に評価することが可能となる。
接触因子の阻害剤は、低分子合成物やペプチド/蛋白などを用いることができる。
FXI阻害剤は、FXI阻害活性を有する物質であれば特に制限されないが、BMS-962212(J Med
Chem. 2017 Dec 14;60(23):9703-9723)やFXI阻害アプタマー(Sci Rep
. 2017 May 18;7(1):2102. doi: 10.1038/s41598-017-02055-x.Selection and characterization of a DNA aptamer inhibiting coagulation factor XIa)などを使用することができる。FXI阻害剤は、例えば、BMS-962212であれば終濃度100nM~100μMで添加され
ることが好ましい。
FXII阻害剤は、FXII阻害活性を有する物質であれば特に制限されないが、コーントリプシンインヒビター(CTI)やペプチド阻害剤(例えば、bicyclic peptide 61(BP-61)
又はbicyclic peptide 73(BP-73);J Med Chem. 2017 Feb 9;60(3):1151-1158)などを使用することができる。FXII阻害剤は、例えばCTIであれば終濃度10μg/mL~200
μg/mLで添加されることが好ましい。
BP61及びBP73であれば、終濃度1~100μg/mLで添加されることが好ましい。
カリクレイン阻害剤は、特に制限されないが合成カリクレイン阻害剤(例えばPKSI-527(CAS番号: 128837-71-8)Abcam社)やアプロチニンなどが望ましい。PKSI-527であれば、終濃度1μM~1mMで添加されることが好ましい。アプロチニンであれば、終濃度10~1000KIU/mLで添加されることが好ましい。
さらに好ましくは、FXII阻害剤とカリクレイン阻害剤の両方を添加することで、全血における接触因子活性化によっておこる血液凝固反応が十分に抑制され、外因系凝固の亢進の識別が可能となり好ましい。
接触因子の阻害剤としては、活性化されていない凝固因子(FXII, FXI)の活性化の阻害
剤又は活性化凝固因子(FXIIa、FXIa)の酵素活性の阻害剤のどちらを用いることも可能
である。
TFPI阻害剤としては、低分子及びペプチド/蛋白の阻害剤を用いることができ、TFPIの機
能や発現を阻害できる物質である限り特に制限されないが、具体的には、低分子ペプチドのTFPI阻害剤(例えば、compound 3; J Biol Chem . 2014 Jan 17;289(3):1732-41)が例示される。TFPI阻害剤は、例えば、compound3であれば、1μg/mL~200μg/mLの終濃度
で添加される。
compound 3, Ac-FQSKpNVHVDGYFERL-Aib-AKL-NH2
その他のTFPI阻害剤として、RNAアプタマー阻害剤を用いることもできる。
RNAアプタマー阻害剤としてBAX499(J Thromb Haemost. 2012 Aug;10(8):1581-90.)が挙げられる。例えば、BAX499であれば、1nM~1000nMの終濃度で添加される。
また、TFPIを阻害活性を有する抗TFPI抗体などを使用することもできる。
抗TFPI抗体としては、TFPIのK1ドメインをエピトープとして認識する抗体(scFv clone4146;Creative Biolabs社製))等を用いることが可能である。
血液凝固の解析方法としては、特に制限されず、血液凝固時間(CT)の測定でもよいが、ROTEM(Rotational Thromboelastometry)、TEG(Thromboelastography)、ClotPro(Hemonetics社) SONOCLOT(サイエンコ社)、ACTAS(藤森工業株式会社:WO2018/043420)など全血の血液凝固を評価できる装置が望ましい。
検体に全血を用いることで、細胞成分(白血球・赤血球)に起因する血液凝固亢進を良好に評価することが可能となる。
組換トロンボモジュリン製剤(リコモジュリン)が投与されたDIC等の患者由来の血液試
料に対し、接触因子の阻害剤、TFPI阻害剤およびトロンボモジュリン中和剤を混合し、血液凝固を測定する。なお、添加の順序は問わず、同時に添加してもよい。
トロンボモジュリン中和剤により投与された組換トロンボモジュリン製剤の効果を相殺できるので、組換トロンボモジュリン製剤投与前のDIC等の患者の血液凝固能を評価するこ
とができる。
本発明の第二の態様に係る方法により、DIC等の患者の組換トロンボモジュリン製剤投与
前の血液凝固能を評価し、本発明の第一の態様に係る方法により、当該患者における組換トロンボモジュリン製剤の効果を評価することで、患者の血液の状態(血栓傾向)と、組換トロンボモジュリン製剤の効果を把握することができるため、DIC等の患者の治療方針
の決定に有用である。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明する。ただし、本発明は以下の実施例の態様には限定されない。
実施例1
血液凝固の解析にROTEM(IL社)を用いた。
血液はテルモ社製の3.2%クエン酸ナトリウムを含む採血管を用い採取した。
全血300μLに、ウサギ脳50トロンボプラスチン(終濃度;1.7μg/mL)、ヘパラン硫酸(iduron社、平均分子量 5500;終濃度;3μg/mL)、塩化カルシウム(終濃度;12mM)、FXII阻害剤(CTI; 終濃度20μg/mL)とカリクレイン阻害剤(PKSI-527;終濃度40μM)を添加して血液凝固を解析した。
血液の凝固時間(CT)は、348秒であった。
実施例2
実施例1と同様の実験で、血液にさらに組換トロンボモジュリン製剤(リコモジュリン)を終濃度15nMになるように添加して血液凝固を解析した。
血液の凝固時間(CT)は、543秒であった。 組換トロンボモジュリン製剤(リコモジュ
リン)の添加により血液凝固時間は約1.6倍に延長された。
実施例3
実施例2と同様の実験で、血液にさらにPPACKトロンビン(Haematologic Technologies社製)を500nM又は750nM添加して血液凝固を解析した。
血液凝固時間(CT)は、352秒、365秒であった。
これらの結果より、微量の組織因子とヘパラン硫酸と接触因子阻害剤およびリコモジュリン(15nM)を含む血液に対し、PPACKトロンビン(500nM)を添加することにより
、リコモジュリンの抗凝固能が中和され凝固時間が短縮することが示された。
PPACKトロンビン添加前/後の血液凝固時間の差分がリコモジュリンの抗凝固効果となる。
(実施例4)
血液凝固の解析にROTEM(Instrumentation Laboratory(IL)社)を用いた。
血液はテルモ社製の3.2%クエン酸ナトリウムを含む採血管(5mL)を用い採取した。
本採血管はラミネートフィルムでシールされ、ゴム栓が使用されていない。
全血 300μLに、塩化カルシウム(終濃度12mM)、FXII阻害剤(CTI; 終濃度20μg/mL)とカリクレイン阻害剤(PKSI-527;終濃度40μM)、TFPI阻害剤(compound3)(終濃度100μg/mL)を添加して血液凝固を解析した。
血液凝固時間(CT)は1518秒であった。
(実施例5)
実施例4と同様の実験で、血液にさらにリコモジュリン(終濃度30nM)を添加して血液凝
固を解析した。血液凝固時間(CT)は2700秒であった。
リコモジュリンの添加により、血液凝固が1.77倍に延長した。
(実施例6)
実施例5と同様の実験で、血液にさらにPPACKトロンビンを終濃度50nM又は100nM 添
加して血液凝固を解析した。血液凝固時間(CT)は2226秒、1578秒であった。
50nMのPPACKトロンビンの添加ではリコモジュリンの中和は不完全であったが、100nMのPPACKトロンビンを添加することにより、リコモジュリンの抗凝固能が中和され、凝固
時間はリコモジュリン非添加の値に戻った。
(実施例7)
血液凝固の解析にROTEM(Instrumentation Laboratory(IL)社)を用いた。
血液はテルモ社製の3.2%クエン酸ナトリウムを含む採血管(5mL)を用い採取した。
本採血管はラミネートフィルムでシールされ、ゴム栓が使用されていない。
採取した血液にLPS(Haematologic Technologies社製)を添加(終濃度10ng/mL)し、37
℃4時間インキュベーションした。インキュベーション後の全血 300μLに、塩化カルシウム(終濃度12mM)、FXII阻害剤(CTI; 終濃度20μg/mL)とカリクレイン阻害剤(PKSI-527;終濃度40μM)、TFPI阻害剤(compound3)(終濃度100μg/mL)を添加して血液凝固を
解析した。
LPSとインキュベーションしていない血液の凝固時間(CT)3267秒であったのに対し、LPSとインキュベーションした血液の凝固時間(CT)は689秒であった。
LPSとのインキュベーションで血液凝固は亢進し、凝固時間は79%短縮した。
(実施例8)
実施例7と同様の実験で、LPSとインキュベーションした血液全血 300μLに、塩化カルシウム(終濃度12mM)、FXII阻害剤(CTI; 終濃度20μg/mL)とカリクレイン阻害剤(PKSI-527;終濃度40μM)、TFPI阻害剤(compound3)(終濃度100μg/mL)とリコモジュリン(
終濃度15nM)を添加して血液凝固を解析した。
血液凝固時間(CT)は1005秒であった。LPSとインキュベーションし血液凝固が亢進した
血液に対しリコモジュリンの添加(終濃度30nM)により血液凝固時間は1.46倍に延長された。
(実施例9)
実施例8と同様の実験で、さらにPPACKトロンビン(終濃度500nM)添加して血液凝固時
間を解析した。血液凝固時間(CT)は、661秒となり、LPSとインキュベーションし、血液凝固が亢進した血液において、PPACKトロンビン(終濃度500nM)添加することで、リコモジュリンの抗凝固能が中和され、LPSによる血液凝固亢進状態の血液凝固時間を評価する
ことが可能であった。
以上のように、組換トロンボモジュリン製剤が投与された患者、好ましくはDIC患者血液
の血液凝固能の評価を模した実験において、PPACKトロンビン(トロンボモジュリン中和
剤)を用いることで、DIC等の患者における組換トロンボモジュリン製剤の薬効や血栓傾
向をインビトロで評価することができることが分かった。

Claims (10)

  1. 1)組換トロンボモジュリン製剤が投与された患者、好ましくは播種性血管内凝固症候群(DIC)患者由来の血液試料に外因系の血液凝固活性化試薬、ヘパリン様物質およびトロ
    ンボモジュリン中和剤を添加して血液凝固能を測定する工程、
    2)前記血液試料に外因系の血液凝固活性化試薬およびヘパリン様物質を添加して血液凝固能を添加して血液凝固能を測定する工程、
    3)1)と2)の測定結果を比較する工程、
    を含む、患者における組換トロンボモジュリン製剤の薬効をインビトロで評価する方法。
  2. ヘパリン様物質が、未分画ヘパリン、低分子ヘパリン、ペンタサッカライド及び硫酸化多糖からなる群から選択される一種以上である、請求項1に記載の方法。
  3. ヘパリン様物質が、ヘパラン硫酸であり、終濃度が0.4~15μ/mLである、請求項1
    に記載の方法。
  4. 外因系の血液凝固活性化試薬が組織因子または組織トロンボプラスチンである、請求項1に記載の方法。
  5. トロンボモジュリン中和剤が抗トロンボモジュリン抗体または不活性化トロンボモジュリンである、請求項1に記載の方法。
  6. 前記工程1)および前記工程2)において、血液試料にさらに接触因子阻害剤を添加して血液凝固能を測定する、請求項1に記載の方法。
  7. 接触因子阻害剤がFXI(血液凝固第11因子)阻害剤、FXII(血液凝固第12因子)阻害剤お
    よび/またはカリクレイン阻害剤である、請求項6に記載の方法。
  8. 前記血液試料がクエン酸で抗凝固処理された血液試料であり、カルシウムと、外因系の血液凝固活性化試薬、ヘパリン様物質およびトロンボモジュリン中和剤を添加することで血液凝固の評価を行う、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
  9. 組換トロンボモジュリン製剤が投与された患者、好ましくは播種性血管内凝固症候群(DIC)患者由来の血液試料に、接触因子阻害剤、組織因子経路阻害剤(TFPI)に対する阻害
    剤およびトロンボモジュリン中和剤を添加して血液凝固能の測定を行うことを特徴とする、患者における血栓傾向をインビトロで評価する方法。
  10. 接触因子阻害剤がFXI(血液凝固第11因子)阻害剤、FXII(血液凝固第12因子)阻害剤お
    よび/またはカリクレイン阻害剤である、請求項9に記載の方法。
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