JP2024001961A - コンクリート構造物の劣化箇所検出システム及びその劣化箇所検出装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明はコンクリート構造物の破壊を伴わず多用可能であり、所定の調査箇所に限られずコンクリート構造物全体の評価を可能とし、簡易的な装置により何か所でも何度でも繰り返し評価可能な非破壊によるコンクリート構造物の劣化箇所検出システム及びその劣化箇所検出装置を提供する。【解決手段】本発明は、第1センサ2及び前記第1センサ2の周囲に所定の間隔をあけて配置される複数の第2センサ3と、前記第1センサ2及び第2センサ3をコンクリート構造物1の表面に密着させる密着手段と、前記コンクリート構造物1の表面に密着させた第1センサ2及び第2センサ3の近傍位置を打撃して弾性波を発生させる弾性波発生手段と、前記第1センサ2及び第2センサ3で受信された弾性波のデータを格納する格納手段4と、前記格納された弾性波のデータを解析してコンクリート構造物1の劣化箇所を検出する劣化箇所検出手段5とを有することを特徴とする。【選択図】図2

Description

本発明は、例えばコア採取やドリル削孔といった局所的にコンクリート構造物を破壊することなく、該コンクリート構造物の表層劣化を所定の検出箇所に限らず、繰り返し診断・調査できるコンクリート構造物の劣化箇所検出システム及びその劣化箇所検出装置に関するものである。
コンクリート構造物の劣化現象には、経年の環境作用(すりへり・凍結融解・化学的浸食・疲労など)に伴う微細なひび割れの発生や多孔質化で、表面より脆弱化する「表層劣化」があり、この表層劣化したコンクリートは、脆弱化したコンクリート部分を取り除き、該取り除かれた断面を新たにコンクリート等で修復する断面修復工法によりリニューアルする必要がある。
リニューアルする場合には、脆弱化したコンクリートだけを取り除き、健全なコンクリートは残したまま断面修復することが合理的であるが、表層劣化したコンクリート構造物において、「表面からどのくらいまでコンクリートが脆弱化しているか」を調査するためには、例えばボーリングによりコアを採取し観察するか、あるいはドリル等で削孔しながら触感で判断するといった、破壊を伴うサンプル採取に頼らざるを得なかった。
また、コア採取やドリル削孔といったサンプル採取による調査は、破壊を伴うことから多用不可であり、局所的な評価となっている。その局所的な評価が、対象となるコンクリート構造物の代表値として扱えるかは不透明であり、時には過大評価のため、脆弱化したコンクリートを取り除ききれなかったり、健全なコンクリートまで取り除き過ぎたりしてしまうこともある。さらに、破壊により調査箇所は失われてしまうため、同一箇所での繰り返し調査による経年変化の確認も不可となり、合理的ではない。
以上のことから、実態を直接的に評価するサンプル採取の実施(破壊)は最小化し、サンプル採取によって得られた結果はより効果的に利用できるよう、サンプル採取の前に何か所でも何度でも「表面からどのくらいまでコンクリートが脆弱化しているか」について評価可能な非破壊による調査技術を開発し、サンプル採取と照合して評価することが、表層劣化したコンクリート構造物の断面修復工法における最も合理的な調査方法である。
特開2019-56683号公報
かくして、本発明は前記従来の課題に対処すべく創案されたものであって、コンクリート構造物の破壊を伴わず多用可能であり、所定の調査箇所に限られずコンクリート構造物全体の評価を可能とし、また破壊を伴わないことから調査箇所は失われずに同一箇所で繰り返し何度でも調査による経年変化を確認でき、簡易的な装置により何か所でも何度でも繰り返し評価可能な非破壊によるコンクリート構造物の劣化箇所検出システム及びその劣化箇所検出装置を提供することを目的とする。
本発明は、
コンクリート構造物の劣化箇所を検出する第1センサ及び前記第1センサの周囲に所定の間隔をあけて配置される複数の第2センサと、
前記第1センサ及び第2センサをコンクリート構造物の表面に密着させる密着手段と、
前記コンクリート構造物の表面に密着させた第1センサ及び第2センサの近傍位置を打撃して弾性波を発生させる弾性波発生手段と、
前記第1センサ及び第2センサで受信された弾性波のデータを格納する格納手段と、前記格納された弾性波のデータを解析してコンクリート構造物の劣化箇所を検出する劣化箇所検出手段と、を有する、
ことを特徴とし、
または、
コンクリート構造物の劣化箇所を検出する第1センサ及び前記第1センサの周囲に所定の間隔をあけて配置される複数の第2センサと、
前記第1センサ及び前記第2センサとの間の間隔を設けて前記第1センサ及び前記第2センサを取り付けるセンサ取付手段と、
前記第1センサ及び第2センサをコンクリート構造物の表面に密着させる密着手段と、
前記コンクリート構造物の表面に密着させた第1センサ及び第2センサの近傍位置を打撃して弾性波を発生させる弾性波発生手段と、
前記第1センサ及び第2センサで受信された弾性波のデータを格納する格納手段と、前記格納された弾性波のデータを解析してコンクリート構造物の劣化箇所を検出する劣化箇所検出手段と、を有し、
前記センサ取付手段は、前記第1センサ及び前記第2センサとの間の間隔を変更でき、該変更により、前記コンクリート構造物の劣化箇所の検出が深さ方向に変えられる、
ことを特徴とし、
または、
コンクリート構造物の劣化箇所を検出する第1センサ及び前記第1センサの周囲に所定の間隔をあけて配置される複数の第2センサと、
前記第1センサ及び前記第2センサとの間の間隔を設けて前記第1センサ及び前記第2センサを取り付けるセンサ取付手段と、
前記第1センサ及び第2センサをコンクリート構造物の表面に密着させる密着手段と、
前記コンクリート構造物の表面に密着させた第1センサ及び第2センサの近傍位置を打撃して弾性波を発生させる弾性波発生手段と、
前記第1センサ及び第2センサが受信した弾性波のデータを格納する格納手段と、前記格納された弾性波のデータを解析してコンクリート構造物の劣化箇所を検出する劣化箇所検出手段と、
前記検出されたコンクリート構造物の劣化箇所を立体画像として描画する画像生成手段と、を有する、
ことを特徴とし、
または、
コンクリート構造物の表面に当接させ、該コンクリート構造物の劣化状態を検出するコンクリート構造物の劣化箇所検出装置であって、
前記コンクリート構造物の劣化箇所検出装置は、
第1センサ及び第2センサを有するセンサ部と、該センサ部が取り付けられた検出本体と、該検出本体のセンサ取付側と反対側に設けられた把持部と、を備え、
前記検出本体は、該検出本体を構成する押さえ板の中心軸部を貫通して突出し、前記第1センサを先端に取り付けた第1取付杆と、該第1取付杆から放射状に延出すると共に放射角度が変更可能に構成され、先端には第2センサが取り付けられた第2取付杆を有し、
前記コンクリート構造物の表面に前記第1センサ及び第2センサを密着させるべく前記押さえ板をコンクリート構造物の表面側に押圧し、前記コンクリート構造物の劣化状態を検出可能とした、
ことを特徴とし、
または、
コンクリート構造物の表面に当接させ、該コンクリート構造物の劣化状態を検出するコンクリート構造物の劣化箇所検出装置であって、
前記コンクリート構造物の劣化箇所検出装置は、
第1センサ及び第2センサを有するセンサ部と、該センサ部が取り付けられた検出本体と、該検出本体のセンサ取付側と反対側に設けられた把持部と、を備え、
前記検出本体は、該検出本体を構成する押さえ板の中心軸部に設けられ、前記第1センサを取り付けた取付部材と、該取付部材から放射状に延出すると共に延出長が変更可能に構成され、先端には第2センサが取り付けられた取付杆を有し、
前記コンクリート構造物の表面に前記第1センサ及び第2センサを密着させるべく前記押さえ板をコンクリート構造物の表面側に押圧し、前記コンクリート構造物の劣化状態を検出可能とした、
ことを特徴とし、
または、
前記第2センサは複数設けられて、前記第1センサから離間した外周線上に等間隔で配置され、
前記第1センサと前記複数の第2センサは、密着されたコンクリート構造物の表面上で直線の上に配置しない構造とした、
ことを特徴とするものである。
本発明によれば、コンクリート構造物の破壊を伴わず多用可能であり、所定の調査箇所に限られずコンクリート構造物全体の評価を可能とし、また破壊を伴わないことから調査箇所は失われずに同一箇所で繰り返し何度でも調査による経年変化を確認でき、簡易的な装置により何か所でも何度でも繰り返し評価できるとの効果を奏する。
本発明の劣化箇所検出システムの構成を説明した説明図(1)である。 本発明の劣化箇所検出システムの構成を説明した説明図(2)である。 周波数とコンクリート構造物の深さ方向の距離との関係を説明した説明図である。 劣化箇所検出手段の構成を説明する概略構成図である。 劣化箇所検出手段の制御部の構成を説明する概略構成図である。 表層劣化の深さを異ならせたコンクリート試験体A~Dの構成を説明する説明図である。 表層劣化の深さを異ならせたコンクリート試験体A~Dによって得られた結果を説明する説明図である。 本発明の劣化箇所検出システムを用いたコンクリート構造物の劣化箇所検出装置の構成を説明する概略構成図(1)である。 本発明の劣化箇所検出システムを用いたコンクリート構造物の劣化箇所検出装置の構成を説明する概略構成図(2)である。
以下、本発明を実施例に基づき説明する。
図1に本発明の劣化箇所検出システムの構成を示す。図1は、配置した各種センサを上方から見下ろした斜視図であり、図中の破線は下記で説明する各種センサの配置の理解を助けるために表記したものである。
図1に示されるとおり、コンクリート構造物1の表面に第1センサ2を配置し、前記第1センサ2を中心として、該第1センサ2の周囲に所定の間隔をあけて複数の第2センサ3が配置されている。該複数の第2センサ3は、前記第1センサ2から離間した外周線上に等間隔に配置される。
ここで、本システムの特徴の一つとして、前記第2センサ3を前記第1センサ2から離間した外周線上に等間隔に配置することが重要となる。図1では、前記第1センサ2を中心に半径を約25mmとした円周線上に、該円周線を三等分する位置に前記第2センサ3が3つ配置されている。
また、もう一つの重要な特徴として、前記複数の第2センサ3の配置は、前記第2センサ3から前記第1センサ2を通過する直線上に他の第2センサ3が配置されないことである。
すなわち、前記第1センサ2を中心とした円周線上に配置される複数の第2センサ3は、円周線を等分し、該円周線上に等間隔に配置されるとともに、第1センサ2と複数の第2センサ3が直線の上に配置されないことを要する。したがって、前記第2センサ3の配置条件を満たすものであれば、前記第2センサ3の個数や配置が図1に示すような構成に限定されるものではない。
ところで、前記第1センサ2及び複数の第2センサ3には、該第1センサ2及び複数の第2センサ3が受信した弾性波のデータを記録し、格納する格納手段4が接続されている(図2参照)。該格納手段4としては、例えばデータロガーなどの波形収録装置などが使用される。
そして、前記格納手段4に格納された弾性波のデータを劣化箇所検出手段5によって解析し、前記複数の第2センサ3が配置された円周線内のコンクリート構造物1の劣化状態を評価する。前記劣化箇所検出手段5は、例えばコンピュータなどの波形解析装置が用いられる。
ここで、前記劣化状態を評価する範囲は、コンクリート構造物1の表面から該コンクリート構造物1の深さ方向が評価範囲となる。前記第1センサ2と前記第2センサ3との間の間隔を半径とし、該半径の2~10倍のコンクリート構造物1の深さ、すなわち略円柱状の範囲が劣化状態を評価する範囲となる。
例えば、図1のように第1センサ2と第2センサ3との間の間隔(半径)を25mmとした場合の評価範囲は、コンクリート構造物1の表面から深さ方向に50~250mmの深さまでを評価することが可能となる。なお、コンクリート構造物1の反対面(裏面)に近くなるほど、該反対面(裏面)からの反射波の影響が考えられる場合は、その影響を考慮して深さ方向の評価範囲を決定することが好ましい。
次いで、解析方法について図2に基づき説明する。
前記コンクリート構造物1の表面に配置した前記複数の第2センサ3の近傍位置を弾性波発生手段により一定時間まんべんなく打撃して弾性波を発生させる。前記弾性波発生手段は、例えばハンマーなどの弾性波発振子6が使用される。
そして、発生した弾性波を前記第1センサ2及び複数の第2センサ3が受信し、該受信した弾性波を前記格納手段4がデータとして記録し、格納する。該格納された弾性波のデータから前記劣化箇所検出手段5によって、円周線上に配置された前記複数の第2センサ3と、前記第1センサ2との複素コヒーレンスを弾性波毎に求め、それらを平均したSPAC係数を算出する。
前記SPAC係数は、格納された弾性波に含まれた周波数(kHz)と表面波位相速度(m/s)の関数となることから、最適化処理により周波数に対する表面波位相速度を算出できる。該算出した周波数は波長、つまりコンクリート構造物1の表面からの深さを評価し、前記表面波位相速度は、コンクリート構造物1の健全度を評価する指標となる。
ここで、図3(a)は周波数とコンクリート構造物1の深さとの関係を示した図であり、図3(b)はコンクリート構造物1が健全な場合と脆弱な場合の表面波位相速度との関係を示した図である。
図3(a)から理解されるとおり、高い方の周波数(短い波長)はコンクリート構造物1の表面付近の浅いところを伝搬し、低い方の周波数(長い波長)は、コンクリート構造物1の表面から深さ方向に深いところまで伝搬する特性を有している。また図3(b)から、コンクリート構造物1が健全な場合は、周波数を変化させたとしても表面波位相速度は一様に速く、一方で腐食劣化などにより脆弱な場合は、表面波位相速度は遅くなることが認められる。
図3(a)(b)から、高い方の周波数(短い波長)に対する表面波位相速度は、コンクリート構造物1の表面から浅いところまでの健全度を評価し、低い方の周波数(長い波長)に対する表面波位相速度は、コンクリート構造物1の表面から深いところまでの健全度を評価することができるのである。
ところで、前記劣化箇所検出手段5は、受信部7、送信部8、制御部9、格納部10、入力部11及び表示部12を有して構成されている(図4参照)。前記格納手段4が記録し、格納した弾性波のデータを前記劣化箇所検出手段5の受信部7が受信し、該受信した弾性波のデータを前記制御部9内で処理する。
前記制御部9は、データ読み込み部13、データ処理部14及び画像生成手段15を有して構成されている(図5参照)。よって、例えば、前記格納手段4から弾性波のデータを劣化箇所検出手段5が受信すると、前記制御部9のデータ読み込み部13で読み込み、該読み込んだ弾性波のデータをデータ処理部14で処理する。
前記データ処理部14内では、前述したとおり、複数の第2センサ3と、第1センサ2との複素コヒーレンスを弾性波毎に求め、それらを平均したSPAC係数が算出される。そして、前記算出されたSPAC係数を最適化処理することで周波数に対する表面波位相速度を算出する。
その後、前記データ処理部14が算出した周波数に対する表面波位相速度の情報を前記画像生成手段15により演算して、第1センサ2及び複数の第2センサ3が配置されたコンクリート構造物1の劣化箇所を例えば平面画像や立体画像などの画像として描画し画像を生成する(図7(a)(b)参照)。
例えば、前記生成画像をコンクリート構造物1の(前記第1センサ2と前記複数の第2センサ3を配置した半径の円)×{周波数(波長)に相当する深さ}までの健全度評価を、弾性波に含まれる各周波数(波長ごと)に対する表面波位相速度(m/s)で層状に配色し、略円柱状に描画することでコア抜き画像を形成できる(図7(b)参照)。該コア抜き画像により、センサを配置した箇所の健全度を一見して評価することが可能となる。なお、この画像は所定のアプリケーションソフト並びにそれを演算、制御するPCを利用して平面画像あるいは立体画像などの画像を選択できる。平面画像あるいは立体画像など画像を前記画像生成手段15の画像生成部26で描画することにより劣化箇所が明確に認識できるものとなる。
さらに前記画像生成手段15の配色部27で前記平面画像あるいは立体画像などに色分け配色することも出来る。図7(b)に示す様に前記平面画像あるいは立体画像などにさらに色分け配色できると、いかなる深さの箇所でどの程度の劣化が生じているかを一目瞭然に認識することが出来るのである。
前記生成した画像は、劣化箇所検出手段5の格納部10に保存されると共に、表示部12に表示される。
これにより、従来はコンクリート構造物1の劣化等調査を例えば、コア採取やドリル削孔など局所的な破壊により行っていたが、本発明の劣化箇所検出システムは前記コンクリート構造物1の破壊を伴わないため、何か所でも繰り返し評価することができる。そして、本システムにより脆弱性が確認された箇所だけを実際にサンプリングを採取し、該サンプリング結果と照合することで、合理的に劣化等の脆弱化したコンクリートを推定し、修復する場合の断面修復工法(リニューアル)に役立てることができる。
次に、第1センサ2及び複数の第2センサ3を図1と同様に配置し、コンクリート試験体A~Dの表面に密着させて設置した場合の実施例およびその結果を図6及び図7に基いて説明する。
図6は、多孔質化させたコンクリートにより脆弱化を模擬し、表層劣化の深さを異ならせたコンクリート試験体A~Dを示している。コンクリート試験体Aは試験体の全体が健全な試験体、コンクリート試験体Bは試験体のかぶり部分(表層部分)が脆弱な試験体、コンクリート試験体Cは試験体の上半分が脆弱な試験体、コンクリート試験体Dは試験体の全体が脆弱な試験体としている。
試験体の寸法は、長さ900mm×横幅780mm×厚み300mmとした。また、コンクリート試験体A~Dの表面(上面)の略中央位置に、図1に示すように前記第1センサ2を中心に半径を約25mmとした円周線上に、該円周線を三等分する位置に前記第2センサ3を3つ配置し、コンクリート試験体と密着した状態で設置した。
前記第1センサ2及び複数の第2センサ3を密着させた状態で設置後、弾性波発生手段6により第1センサ及び第2センサの近傍位置を約10秒間まんべんなく打撃して弾性波を発生させた。
そして、発生した弾性波を前記第1センサ2及び複数の第2センサ3が受信し、該受信した弾性波を前記格納手段4にデータとして記録させ、格納させた。該格納された弾性波のデータから前記劣化箇所検出手段5によって解析し、コンクリート試験体A~Dの劣化状態を評価した。
ここで、前記劣化状態を評価する範囲は、表面(上面)から深さ方向が評価範囲となることはすでに説明した。前記第1センサ2と前記第2センサ3との間の間隔(半径)が25mmであるから、前記表面(上面)から深さ方向の深さは、前記半径の2~10倍の50~250mmの深さまでを評価することができる。すなわち、略円柱状の範囲が劣化状態を評価する範囲となる。
なお、前記評価する深さの最大値は250mmとなるが、本実施例のコンクリート試験体A~Dの厚さに近くなるほど直達波(P波)の対面(裏面)からの反射波により適切に解析されない可能性があるため、本実施例では、深さ方向の最大値を200mmとし、表面(上面)から200mmの深さを劣化状態の評価対象としている。
図7に本実施例で得られた結果を示す。
図7では、任意に表面波位相速度が2,100(m/s)以上であれば、コンクリート試験体は健全であるとして青色に、表面波位相速度が1,900(m/s)未満であれば、コンクリート試験体は異常であるとして赤色に、表面波位相速度が1,900(m/s)以上2,100(m/s)未満であれば、要確認(遷移帯)として黄色に配色している。
尚、添付した図7は、カラー表示ではなく、モノトーンでしか表示できないため、濃い濃淡で表示されているものは青色を示し、中間の濃淡のものは赤色で、薄い濃淡は黄色と判断されることになる。
そして、図7(a)はコンクリート試験体ごと評価結果を平面的に描画した平面画像である。縦軸は、表面(上面)からの深さを表しており、横軸はコンクリート試験体A~Dごとに表記している。また、コンクリート試験体ごとの棒グラフは左から右に周波数(波長)を低い方から高い方に変化させており、該棒グラフ中の数値は、前記周波数(波長)に対する表面波位相速度(m/s)を表している。
次いで、図7(b)はコンクリート試験体ごと評価結果を立体的に描画した立体画像である。各周波数(波長ごと)に対する表面波位相速度(m/s)を層状に配色し、直径50mm×深さ200mmの略円柱状に描画したコア抜き画像である。
図7から、コンクリート試験体A~Dの表層劣化の深さ程度を評価することができ、また特に図7(b)のコア抜き画像はコンクリート試験体A~Dの健全度あるいは劣化等の脆弱化を一見して評価できる効果が認められた。
次に、本発明の劣化箇所検出システムを利用したコンクリート構造物1の劣化箇所検出装置16を図8及び図9に基づき説明する。なお、図8及び図9に示す劣化箇所検出装置16は一例であり、図8及び図9に示す劣化箇所検出装置16の構成や形状に限定されるものはない。
まず、図8に示す劣化箇所検出装置16について説明する。
前記劣化箇所検出装置16は、第1センサ2及び複数の第2センサ3を有するセンサ部17と、該センサ部17が取り付けられた検出本体18と、該検出本体18のセンサ取付側と反対側に設けられた把持部24とを備えて構成されている。
そして、前記検出本体18は、該検出本体18を構成する押さえ板19と、前記第1センサ2を先端に取り付けた第1取付杆20と、前記第2センサ3を先端に取り付けた第2取付杆21とを有している。
ここで、前記押さえ板19は、コンクリート構造物1の表面に前記第1センサ2及び第2センサ3を密着させ、前記コンクリート構造物1の表面側に押圧する密着手段としての役割を備えている。
前記第1取付杆20は、前記押さえ板19の中心軸部を貫通して突出し、該突出した先端側に取付部材22を介して、前記第1センサ2が取り付けられている。
そして、前記第2取付杆21は、前記第1取付杆20から放射状に延出した状態で複数設けられ、前記第2取付杆21の先端側に取付部材22を介して、前記第2センサ3が取り付けられている。図8では、前記第2取付杆21は前記第1取付杆20から放射状に3本取り付けられている。
ここで、前記取付部材22はセンサと第1取付杆20あるいは第2取付杆32との間に設けられているが、両部材を取り付ける他に、緩衝材のような役割も担っている。本発明の劣化箇所検出装置16は、コンクリート構造物1の表面に密着させた状態で、前記コンクリート構造物1の表面側に押圧させて使用するため、必要以上の押圧力がかかった場合に、前記センサ部17の各種センサが破損することを防止するのである。
そして、前記第1取付杆20と前記第2取付杆21との間には、前記第1取付杆20の取付部材22から前記第2取付杆21の略中間位置に向かって斜めに保持杆23が設けられている。該保持杆23により前記第2取付杆21が前記第1取付杆20から放射状に延出した状態を保持すると共に、コンクリート構造物1の表面側に押圧された際に、前記第2取付杆21が必要以上に放射状に拡がらないよう補強する役割がある。
ここで図8(a)(b)の側面図から理解されるとおり、前記第1センサ2と前記複数の第2センサ3は、同じ高さとなるように構成されている。これにより、第1センサ2と複数の第2センサ3をコンクリート構造物1の表面に当接させて、該表面に密着させたときに前記第1センサ2と前記複数の第2センサ3が均等に密着し、前記コンクリート構造物1の劣化状態を正確に検出することができるのである。
ところで、図8(b)に示されるとおり、前記第2取付杆21は、放射角度が変更可能に構成されている。ずなわち、前記第2取付杆21の放射角度を大きくすると、第1センサ2と前記複数の第2センサ3との間の間隔が拡がるのである。
ここで、前記第1センサ2と前記第2センサ3との間の間隔を半径とした場合、該半径を2~10倍したコンクリート構造物1の深さまで劣化状態を評価することができることは、既に説明したとおりである。すなわち、評価するコンクリート構造物1に応じて第2取付杆21の放射角度を変化させることで、前記コンクリート構造物1の深さに応じて適正に評価することができるのである。
さらに、前記第2取付杆21が放射状に拡がって放射角度が変化すると、前記保持杆23が前記第2取付杆21に引っ張られ、該引っ張りに併せて前記第1取付杆20が押さえ板19を貫通して前記把持部24側に突出する。その結果、図8 (b)の側面図から理解されるとおり、前記第1センサ2と前記第2センサ3は、同じ高さとなり、前述したようにコンクリート構造物1の表面に前記第1センサ2と前記第2センサ3を均等に密着させることができる。
次いで、図9に示す劣化箇所検出装置16について説明する。
前記劣化箇所検出装置16は、図8と同様に第1センサ2及び複数の第2センサ3を有するセンサ部17と、該センサ部17が取り付けられた検出本体18と、該検出本体18のセンサ取付側と反対側に設けられた把持部24とを備えて構成されている。
そして、図9に示す劣化箇所検出装置16の前記検出本体18は、該検出本体18を構成する押さえ板19と、前記第1センサ2を取り付けた取付部材22と、前記第2センサ3を先端に取り付け、前記押さえ板19と平行に設けられた取付杆25とを有している。
前記押さえ板19は、コンクリート構造物1の表面に前記第1センサ2及び第2センサ3を密着させ、前記コンクリート構造物1の表面側に押圧する密着手段としての役割を担うものである。なお、図8及び図9では略円形板状をしているが、略円形板状に限定されるものではなく、前記センサ部17をコンクリート構造物1の表面に十分に押圧できる形状であればよい。
前記取付杆25は、該取付杆25の基端部が前記第1センサ2の取付部材22に取り付けられており、該第1センサ2の取付部材22から放射状に延出して設けられている。そして、前記取付杆25の先端側には取付部材22を介して第2センサ3が取り付けられている。
ここで、前記取付部材22はセンサと押さえ板19との間に設けられているが、互いを取り付ける他に、緩衝材のような役割を担っている。本発明の劣化箇所検出装置16は、コンクリート構造物1の表面に密着させた状態で、前記コンクリート構造物1の表面側に押圧させて使用されるため、必要以上の押圧力がかかった場合に、前記センサ部17の各種センサが破損することを防止するのである。
図9(b)から理解されるように、前記取付杆25は延出長が変更可能に構成されている。取付杆25の先端側を伸ばすことで、第1センサ2と第2センサ3との間の間隔を拡げ、その結果、コンクリート構造物1の深さ方向の距離を調整することができる。
図8及び図9に示すように、前記第1センサ2と前記複数の第2センサ3との間の間隔を変更可能に構成したものに限らず、前記第1センサ2と前記複数の第2センサ3を予め前記押さえ板19の所定の位置で固定した装置を劣化箇所検出装置16としてもよい。
前記劣化箇所検出装置16を使用して得られた弾性波のデータを格納手段4に記録し、格納する。そして、前記格納手段4に格納された弾性波のデータを劣化箇所検出手段5によって解析し、前記複数の第2センサ3が配置された円周線内のコンクリート構造物1の劣化状態を評価することとなる。
1 コンクリート構造物
2 第1センサ
3 第2センサ
4 格納手段
5 劣化箇所検出手段
6 弾性波発生手段
7 受信部
8 送信部
9 制御部
10 格納部
11 入力部
12 表示部
13 データ読み込み部
14 データ処理部
15 画像生成手段
16 劣化箇所検出装置
17 センサ部
18 検出本体
19 押さえ板
20 第1取付杆
21 第2取付杆
22 取付部材
23 保持杆
24 把持部
25 取付杆
26 画像生成部
27 配色部

Claims (6)

  1. コンクリート構造物の劣化箇所を検出する第1センサ及び前記第1センサの周囲に所定の間隔をあけて配置される複数の第2センサと、
    前記第1センサ及び第2センサをコンクリート構造物の表面に密着させる密着手段と、
    前記コンクリート構造物の表面に密着させた第1センサ及び第2センサの近傍位置を打撃して弾性波を発生させる弾性波発生手段と、
    前記第1センサ及び第2センサで受信された弾性波のデータを格納する格納手段と、前記格納された弾性波のデータを解析してコンクリート構造物の劣化箇所を検出する劣化箇所検出手段と、を有する、
    ことを特徴とするコンクリート構造物の劣化箇所検出システム。
  2. コンクリート構造物の劣化箇所を検出する第1センサ及び前記第1センサの周囲に所定の間隔をあけて配置される複数の第2センサと、
    前記第1センサ及び前記第2センサとの間の間隔を設けて前記第1センサ及び前記第2センサを取り付けるセンサ取付手段と、
    前記第1センサ及び第2センサをコンクリート構造物の表面に密着させる密着手段と、
    前記コンクリート構造物の表面に密着させた第1センサ及び第2センサの近傍位置を打撃して弾性波を発生させる弾性波発生手段と、
    前記第1センサ及び第2センサで受信された弾性波のデータを格納する格納手段と、前記格納された弾性波のデータを解析してコンクリート構造物の劣化箇所を検出する劣化箇所検出手段と、を有し、
    前記センサ取付手段は、前記第1センサ及び前記第2センサとの間の間隔を変更でき、該変更により、前記コンクリート構造物の劣化箇所の検出が深さ方向に変えられる、
    ことをコンクリート構造物の劣化箇所検出システム。
  3. コンクリート構造物の劣化箇所を検出する第1センサ及び前記第1センサの周囲に所定の間隔をあけて配置される複数の第2センサと、
    前記第1センサ及び前記第2センサとの間の間隔を設けて前記第1センサ及び前記第2センサを取り付けるセンサ取付手段と、
    前記第1センサ及び第2センサをコンクリート構造物の表面に密着させる密着手段と、
    前記コンクリート構造物の表面に密着させた第1センサ及び第2センサの近傍位置を打撃して弾性波を発生させる弾性波発生手段と、
    前記第1センサ及び第2センサが受信した弾性波のデータを格納する格納手段と、前記格納された弾性波のデータを解析してコンクリート構造物の劣化箇所を検出する劣化箇所検出手段と、
    前記検出されたコンクリート構造物の劣化箇所を立体画像として描画する画像生成手段と、を有する、
    ことを特徴とするコンクリート構造物の劣化箇所検出システム。
  4. コンクリート構造物の表面に当接させ、該コンクリート構造物の劣化状態を検出するコンクリート構造物の劣化箇所検出装置であって、
    前記コンクリート構造物の劣化箇所検出装置は、
    第1センサ及び第2センサを有するセンサ部と、該センサ部が取り付けられた検出本体と、該検出本体のセンサ取付側と反対側に設けられた把持部と、を備え、
    前記検出本体は、該検出本体を構成する押さえ板の中心軸部を貫通して突出し、前記第1センサを先端に取り付けた第1取付杆と、該第1取付杆から放射状に延出すると共に放射角度が変更可能に構成され、先端には第2センサが取り付けられた第2取付杆を有し、
    前記コンクリート構造物の表面に前記第1センサ及び第2センサを密着させるべく前記押さえ板をコンクリート構造物の表面側に押圧し、前記コンクリート構造物の劣化状態を検出可能とした、
    ことを特徴とするコンクリート構造物の劣化箇所検出装置。
  5. コンクリート構造物の表面に当接させ、該コンクリート構造物の劣化状態を検出するコンクリート構造物の劣化箇所検出装置であって、
    前記コンクリート構造物の劣化箇所検出装置は、
    第1センサ及び第2センサを有するセンサ部と、該センサ部が取り付けられた検出本体と、該検出本体のセンサ取付側と反対側に設けられた把持部と、を備え、
    前記検出本体は、該検出本体を構成する押さえ板の中心軸部に設けられ、前記第1センサを取り付けた取付部材と、該取付部材から放射状に延出すると共に延出長が変更可能に構成され、先端には第2センサが取り付けられた取付杆を有し、
    前記コンクリート構造物の表面に前記第1センサ及び第2センサを密着させるべく前記押さえ板をコンクリート構造物の表面側に押圧し、前記コンクリート構造物の劣化状態を検出可能とした、
    ことを特徴とするコンクリート構造物の劣化箇所検出装置。
  6. 前記第2センサは複数設けられて、前記第1センサから離間した外周線上に等間隔で配置され、
    前記第1センサと前記複数の第2センサは、密着されたコンクリート構造物の表面上で直線の上に配置しない構造とした、
    ことを特徴とする請求項4または請求項5記載のコンクリート構造物の劣化箇所検出装置。

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